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[部分編集] 概要 シナリオ製作者 XXXX様 バージョン 6版/7版 ジャンル ホラー/コメディ/脱出 シナリオタイプ オープン/クローズド 人数 xx人〜xx人 時間 xxh〜xxh シナリオ難易度 中/高 ロスト確率 中/高 特殊ルール あり/なし あらすじ 注意事項 探索者作成 シナリオ指定 学生/刑事/社会人 HO あり/なし/秘匿 HO1 HO2 その他情報 シナリオリンク [[]] 過去卓 日付 KP PL ロスト 1
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ベヨネッタ 機種:360, PS3, WiiU, NS, PC 作曲者:泉谷隆洋、上田雅美、川口博史、近藤嶺、袖岡隆泰、田中直人、丹羽映理納、日比野則彦、鈴木克崇、福山光晴、山口裕史、Bart Howard 開発元:プラチナゲームズ(360,NS)、セガ(PS3)、ビー・トライブ(WiiU) 発売元:セガ(360,PS3,PC)、任天堂(WiiU,NS) 発売年:2009年 概要 神谷英樹がディレクターを務める3Dアクションゲーム。 「デビルメイクライ」シリーズのシステムを昇華させたような作風。 『アウトラン』や『スペースハリアー』など過去のセガゲームのBGMアレンジもある。 WiiU版は続編の『ベヨネッタ2』とセットで任天堂から発売された。 サントラはなんと5枚組(DISC5はボーナストラックが中心)。 なお、ライナーノーツにて各作曲家の担当曲が明かされているが、鈴木克崇, 日比野則彦, 泉谷隆洋の担当はGEM Impact名義で纏められている。 また、ゲーム内の効果音をMasato Shindoが担当している。 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 DISC 1 オープニングデモ 山口裕史 One Of A Kind 山口裕史 戦闘イベント・魔女狩り 第4回680位 EV01 始まり GEM Impact GM01 チャプタースタート 丹羽映理納 EV02-1 プロローグ GEM Impact EV02-2 天使降臨 A GEM Impact Riders Of The Light 山口裕史 戦闘曲 2009年143位ピアノ92位 Fly Me To The Moon (∞ Climax Mix) 山口裕史 序章Verse1戦闘曲 第4回441位第5回576位第6回465位第8回994位第9回980位第11回639位第12回784位第13回481位2009年96位ゲームソング179位第2回ゲームソング64位セガ96位アレンジ128位 EV03-1 エンツォとドライブ 丹羽映理納 EV03-2 ジャンヌ登場 GEM Impact ST01 墜落する軍用輸送機 袖岡隆泰 序章Verse2 EV04-1 Dance With Jeanne GEM Impact EV04-2 不穏な気配 GEM Impact The Gates Of Hell 山口裕史 ゲイツ オブ ヘル EV05 スカボロウ フェア装着 GEM Impact ST02 ヴィグリッド 駅ホーム 上田雅美 Theme Of Bayonetta - Mysterious Destiny 上田雅美 戦闘曲 2009年32位ゲームソング216位通常戦闘曲168位 ST03 ヴィグリッド 市街地 上田雅美 EV06-1 天使降臨 B 丹羽映理納 EV06-2 ベヨネッタ戦闘態勢 A 丹羽映理納 The Heavies 上田雅美 ビラブド戦 魔獣召喚 上田雅美 トドメ Fortitudo - In Labors And Dangers (Movement 1) 近藤嶺 フォルティトゥード(腕)戦 GM02 チャプタークリア 丹羽映理納 EV07-1 ジャンヌ バイクアクション GEM Impact EV07-2 ジャンヌとの会話 GEM Impact EV07-3 記憶の中の修練場にて A GEM Impact Battle For The Umbra Throne 近藤嶺 ジャンヌ戦1 EV08 天使降臨 C 上田雅美 EV09-1 ルカ登場 上田雅美 EV09-2 ルカとの会話 A 上田雅美 EV09-3 ルカとの会話 B 上田雅美 EV09-4 天使降臨 D 上田雅美 EV09-5 ベヨネッタ戦闘態勢 B 丹羽映理納 ピンチ! 上田雅美 EV10-1 謎の少女、セレッサ登場 GEM Impact EV10-2 フォルティトゥード、現る GEM Impact EV11 フォルティトゥードとの会話 GEM Impact DISC 2 ST04 溶岩にのまれる市街地 近藤嶺 EV12-1 危機一髪! GEM Impact EV12-2 アクション! 上田雅美 ST05 地下洞窟 近藤嶺 パラディソ - 光の楽園 Masato Shindo 神の歌声 A 近藤嶺 神の歌声 B 近藤嶺 EV13 フォルティトゥード、再び GEM Impact Fortitudo - In Labors And Dangers 近藤嶺 フォルティトゥード戦 Climatic Battle 近藤嶺 四元徳戦・クライマックス Let's Hit The Climax! 上田雅美 四元徳トドメ ST06 月光の谷 近藤嶺 EV14-1 ジャンヌとの対決 A 近藤嶺 EV14-2 ジャンヌとの対決 B GEM Impact Red Black 山口裕史 ジャンヌ戦2 2009年109位 ST07 魔女の鍛錬房跡 田中直人 EV15 セレッサ 近藤嶺 初恋 袖岡隆泰 失恋 袖岡隆泰 EV16 セクシーバトル GEM Impact EV17 悪知恵 GEM Impact EV18 テンパランチア登場 GEM Impact Temperantia - In Foregoing Pleasures 上田雅美 テンパランチア戦 Splash Wave (∞ Climax Mix) 福山光晴 バイクステージアウトランのアレンジ After Burner (∞ Climax Mix) 川口博史上田雅美 バイクステージアフターバーナーIIのアレンジ Magnificent 7 (∞ Climax Mix) 川口博史 バイクステージファンタジーゾーンのアレンジ DISC 3 ST08 パラディソ - 時の記憶の墓場 上田雅美 EV19-1 記憶の中の修練場にて B GEM Impact EV19-2 記憶の中の修練場にて、襲撃 GEM Impact ST09 パラディソ - 星の大海 近藤嶺 EV20 ベヨネッタの戦いを垣間見るルカ GEM Impact EV21-1 ユスティジア登場 A GEM Impact EV21-2 ルカの妄想 A GEM Impact EV21-3 ユスティジア登場 B GEM Impact EV21-4 ユスティジア登場 C GEM Impact Iustitia - In Giving Every Man His Due 近藤嶺 ユスティジア戦 EV22-1 空港にて、ルカの語り A GEM Impact EV22-2 アイズ・オブ・ザ・ワールド 上田雅美 EV22-3 空港にて、ルカの語り B GEM Impact EV22-4 空港にて、襲撃 GEM Impact ST10 巨大軍用輸送機 ヴァルキュリア 近藤嶺 EV23-1 ジャンヌとの対決 C GEM Impact EV23-2 墜落するヴァルキュリア GEM Impact ST11 セレッサを救え! 袖岡隆泰 EV24-1 サピエンチア登場 A GEM Impact EV24-2 サピエンチア登場 B GEM Impact Sapientia - In The Choice Between Good And Evil 近藤嶺 サピエンチア戦 2009年193位 EV25 ルカの妄想 B GEM Impact Space Harrier (∞ Climax Mix) 川口博史 ミサイルステージスペースハリアーのアレンジ Wiwi Jumbo (Heaven Sent Mix) 川口博史 ミサイルステージスペースハリアーのアレンジ EV26-1 ジャンヌとの最終決戦前 A GEM Impact EV26-2 ジャンヌとの最終決戦前 B GEM Impact EV26-3 ジャンヌとの最終決戦前 C GEM Impact Blood Darkness 山口裕史 ジャンヌ戦3 2009年193位 EV27-1 ジャンヌ A GEM Impact EV27-2 真実 GEM Impact EV27-3 ジャンヌ B GEM Impact EV27-4 奇跡の生還!? 袖岡隆泰 EV27-5 ベヨネッタとルカ GEM Impact DISC 4 EV28 イザヴェルビルへ GEM Impact ST12 イザヴェルビル 下層部 近藤嶺 ST13 イザヴェルビル 上層部 近藤嶺 EV29-1 バルドルの語り A GEM Impact EV29-2 バルドルの語り B GEM Impact EV29-3 バルドルの語り C GEM Impact EV29-4 バルドルの語り D GEM Impact EV29-5 ルカ、死す GEM Impact EV29-6 バルドル GEM Impact You May Call Me Father 近藤嶺 ファーザー戦 2009年193位 EV30-1 旅の終わり GEM Impact EV30-2 神像に囚われるベヨネッタ GEM Impact EV31-1 ジャンヌ、宇宙へ A GEM Impact EV31-2 ジャンヌ、宇宙へ B GEM Impact 友よ 近藤嶺 バイクステージ(ジャンヌ) 第5回526位第6回820位2009年65位セガ38位第2回掘り出し149位ピアノ198位 EV32 ジャンヌ、死す GEM Impact The Greatest Jubilee 近藤嶺 ラスボス戦 第5回916位2009年51位ラストバトル208位 EV33 スタッフロール…? 袖岡隆泰 EV34 夜空を見上げるルカ GEM Impact EV35-1 エピローグ GEM Impact EV35-2 ロマンス GEM Impact Let s Dance, Boys! 山口裕史 スタッフロール&イベント戦 第4回321位第5回473位第6回367位第7回413位第8回359位第9回507位第10回807位第11回672位第12回624位2009年29位エンディング127位第2回エンディング96位セガ30位 Fly Me To The Moon Bart Howard Memory 袖岡隆泰 DISC 5 Magical Sound Shower / Out Run 川口博史 Splash Wave / Out Run 川口博史 After Burner / After Burner 川口博史 After Burner / After BurnerII 川口博史 After Burner With Melody Ver. / After BurnerII 川口博史 Boss / Fantasy Zone 川口博史 Theme / Space Harrier 川口博史 GM03 Angel Attack 上田雅美 GM04 バースリザルトジングル 上田雅美 GM05 シルバーメダル取得ジングル 上田雅美 GM06 ゴールドメダル取得ジングル 上田雅美 GM07 プラチナメダル取得ジングル 上田雅美 天使の歌声 軍隊行進曲 上田雅美 天使の歌声 月光 上田雅美 天使の歌声 幻想即興曲 上田雅美 天使の歌声 2台のピアノのためのソナタ 上田雅美 天使の歌声 スケーターズ・ワルツ 上田雅美 天使の歌声 ワルキューレの騎行 上田雅美 天使の歌声 ハレルヤ 上田雅美 天使の歌声 木星 上田雅美 天使の歌声 火星 上田雅美 2008 東京ゲームショウ プロモーション 山口裕史 ベヨネッタイメージ曲 プロトタイプ A 山口裕史 Mysterious Destiny プロトタイプ 上田雅美 ベヨネッタイメージ曲 プロトタイプ B 丹羽映理納 ベヨネッタイメージ曲 プロトタイプ C 丹羽映理納 ピンチ! プロトタイプ 上田雅美 Mysterious Destiny レトロバージョン 上田雅美 One Of A Kind レトロバージョン 山口裕史 サウンドトラック ベヨネッタ オリジナル サウンドトラック BAYONETTA Original Soundtrack Vol. 1 ダウンロード配信 BAYONETTA Original Soundtrack Vol. 2 ダウンロード配信 BAYONETTA Original Soundtrack Vol. 3 ダウンロード配信 BAYONETTA Original Soundtrack Vol. 4 ダウンロード配信 BAYONETTA Original Soundtrack Vol. 5 #amazon plugin Error amazonは1ページに5つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 ダウンロード配信 PV
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はらはら、はらはらと雪が降る はらはら、はらはら、はらはらはら そんな街中の商店街を、一人の男が歩く 男、上田 明也は、探偵であり、殺人鬼であり、ロリコンである だが、別に指名手配されているわけでもなし、見た目から彼のそんな本性を見抜ける人間なんて、そうそういない だからこそ、真昼間から堂々と出歩く事ができるのだ とまれ、雪がやまぬ糞寒い中、この匂いは反則だろう、と上田は思った ふわふわ、ふわふわ、ふわふわふわ 美味しそうな、肉まんの匂い 肉屋の店先でコロッケ、ならよくあるが…この店は、肉まんも販売していたのだ ふわふわ、ふわふわ、ふわふわふわ 尾行をくすぐる誘惑の香り この誘惑に抗える日本人はいるか?否、いない!! 「肉まん一つー」 「はいよ!」 上田も、その例外ではなく、肉まんを購入することにした 寒い中、外で歩きながら食べる肉まんと言うのは、美味しいものだ ……と 店の店主は、なぜか上田に、肉まんを二つ、渡してきた 「おや?店主、肉まんは一つで…」 「一個はサービスさ……あそこにいるお嬢ちゃんに、渡してくれるかい?」 す、肉屋の店主が指差した先 ……そこには、一人の幼女がいた 小さな、小さな幼女 多分、6歳前後くらいだろうか 上田的に言うならば、ナイスロリータ、である この寒い中、帽子も被らず、マフラーも手袋も身につけず、当然、耳当てもつけていない コートも薄っぺらで、寒そうで そんな幼女が…じーーーーーっと、店先の肉まんを見つめているのだ きっと、肉まんを食べたいのだろう しかし、金がなくて変えないのだろう なるほど、と上田は考えた この店主、先ほどから、あの幼女になんとかして肉まんを渡してやろうと思っていたのだろうが、うまく言い出せなかったのだろう ……まぁ、この素敵にゴツイ顔に近づかれたら、幼女が泣き出しそうな予感がしないでもないので、上田にたくして正解かもしれない 上田の性癖を知っていたならば、任せなかったかもしれないが 「OK、任せてくれ……俺は全世界の幼女の味方だ」 店主の意思を受け継いで……上田は肉まんをもって、幼女に近づいた 幼女は、店先の肉まんに視線を集中させていて、上田に気づいた様子はない 「お嬢さん」 「??」 声をかけれて、ようやく上田に気づいた幼女 上田を見あげて、きょとん、と愛らしく首を傾げてくる 「おにいちゃん、だぁれ?」 「通りすがりのはらぺこ幼女の味方さ。さぁ、この肉まんをお食べ」 す、と肉まんを差し出す上田 幼女は、キラキラと瞳を輝かせて、肉まんを見つめて… …が、すぐにしゅんとした表情を浮かべてくる 「…しらないひとから、ものをもらっちゃいけません、っていわれてるの」 あぁ、なんと良い子だろう 大人のいい付けをきちんと護る、純粋な良い子 が、このまま肉まんが食べられないのでは、可哀想だ 「お嬢さん、お名前は?」 「しらないひとに、なまえをいっちゃいけません、って…」 「俺の名前は、上田 明也」 ……この時 何故、いつも名乗っている偽名ではなく、本名を名乗ってしまったのか 正直、上田にはわからなかった ただ、何故か……この幼女に対して、嘘をつきたくない、と この瞬間、なぜか、そう思ってしまったのだ 突然、名前を名乗った上田の様子に 幼女はますます、首を傾げた 「名前がわかったら、もう知らない人じゃないだろう?」 「あ、そっか!」 納得してくれたらしい幼女 名前がわかったからと言って、知らない人ではないと言う訳ではないのだが、今はそう言う事にしてもいいだろう それくらい、幼女はおなかをすかせていたのだから そっと、上田から肉まんを受け取って 「……えっと、ね」 もじもじしながら、幼女は上田を見つめた 「わたし、ね。こくう よしずっていうの」 よろしくね、と 幼女…穀雨 吉静は、自分もまた、上田に名前を名乗ったのだった 「そうか…お父さんとお母さんが、いないのか」 「そうなの」 あむあむ 上田と吉静は、二人で公園のベンチに座り、肉まんを食べていた 幸い、雪も小ぶりなってきている 吉静は、寒さで真っ赤になってしまった手で、大切そうに肉まんを持って、一口一口ゆっくりと、味わうように食べていた 二人で肉まんを食べながら、上田はさり気なく、吉静の身の上を聞き出していた こんな愛らしい幼女を、こんな糞寒い中、こんな薄着で放り出すなどどこの鬼畜親だ、と思ったからだ しかし、実際には、吉静には両親がいなかった 記憶の中にすら両親は存在せず、ずっと養護施設で育ってきたらしい 「お父さんもお母さんもいなくて、寂しくないのかい?」 「さみしくないよ。おともだちはいっぱいいるし、せんせいたちもいるの」 だから、寂しくない、と 健気に、吉静はそう言って見せた しかし、上田は気づいてしまった 吉静が、一生懸命、寂しさを堪えている事に 寂しさを表に出したら、周りを心配させるとそう考えて…一生懸命、寂しさを押し殺している事に 純粋な子供だな、と上田は感想を抱いた 嘆かわしい事に、最近ではこれくらいの年齢でも、すれた子供が多いと言うのに この吉静という幼女は、どこまでも純粋で、汚れ一つ知りやしない 「それにね」 にっこりと、 吉静は上田に笑ってみせる 「もうちょっとで、ね、かぞくができるの」 「家族?」 「うん、わたしをひきとってくれるひとがきまったんだって」 なるほど 養護施設では、里親も募集している訳か 幸運にも、彼女を引き取ってくれる里親が見付かった そう言う事なのだろう 「いい人だといいな」 「うん、やさしいひとだといいな」 上田に頭を撫でられて、吉静は嬉しそうに笑った …惜しかったなぁ、と上田は思う まだ決まっていなかったなら、いっそ、自分が吉静を引き取ってもいいのに メルとかには…まぁ、うまくいえば大丈夫だろう、きっと 「吉静ちゃんは、その人がどんな人か、まだ知らないのかい?」 「えっとね、とおくから、うしろすがただけ、みたことあるの」 ……この、次に 吉静が口にした、内容 それは、彼女の残酷な未来を、決定付けているかのようで 「まっくろなおようふくきて、まっくろなめがねをかけたおとこのひとだったの」 「--------え」 黒い服、サングラス ……「組織」の、黒服? (…「組織」の黒服が、子供を引き取る?) 酷く、嫌な予感がした 何か、吉静というこの幼女の未来が……閉ざされてしまっているかのような そんな、予感 何故だろう、希望に満ちた表情を、吉静は浮かべているのに このままでは、彼女の未来には、一欠けらの希望すらないような そんな、絶望感 「…ごちそうさまでしたー!」 けふっ 肉まんを食べ終わった吉静 上田にぺこり、頭を下げてくる 「どうもありがとう!」 肉まんのお礼を言ってきた吉静 きゅう、と上田の手を握る 小さな手 肉まんを持っていたお陰で、ほのかに温まった手 じわり、吉静の体温が上田に伝わる 「えとね、えとね……わたし、おっきくなったら、にくまんのおれいするね!」 「お礼?」 「うん!わたしがおっきくなったら…うえだおにいちゃんに、おっきなにくまんをつくってあげるの!」 約束だよ、とそう言って するり、上田の小指に、吉静の小指が絡んだ 「……あぁ、約束だ」 指きりげんまん 嘘ついたらハリセンボン飲ます 子供の約束の呪文 吉静が口にしたそれが、上田の耳にこびりつく 「それじゃあ、またね!」 「あ………」 約束を、して 帰らなければならない時間だったのだろうか 吉静はベンチを飛び降りて、走り出してしまった 追いかけようとして……しかし、上田は躊躇する …彼女を引き取る人物が、「組織」の黒服とは限らない たまたま、黒い服を着てサングラスをかけた男にすぎなかったのかもしれない それに、「組織」の黒服だったとしても…もしかしたら、例の超お人好しのあの黒服のような、慈悲深い黒服かもしれないではないか 彼女の未来に希望がないなどと、決まっている訳ではない 「………」 しかし 吉静を追いかけなかったことを 呼び止めなかったことを、上田はすぐに後悔した 嫌な予感が、こびりついて離れない 吉静の未来に、今のままでは絶望しか存在しないような錯覚 今のままでは、もう二度と、あの笑顔を見られないのではないか、と言うような、そんな…… 「……温かかったな」 一瞬だけ、触れた吉静の手 肉まんで温まった、小さな小さな手 その手の感触を思い出し……上田は、吉静が走り去っていった道を、じっと見つめ続けた 一つ歯車動き出す 彼女の確定しかけた未来に、何か変化が訪れかける 新たに作られ始めた未来の可能性がどうなるのか 全ては、ただ、神のみぞ知る to be … ? 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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焼きもち by ◆dv1/DP6HGsさん 6-10 あぁ、キスされるんだな、とわかってた気もするけど、 そう思うより唇が触れる方が先だったかもしれない。 けど、そんな事はどうでもよかった。 背中には腕が回されて、何度も何度も口付けて。 どれ程の時間が経っただろうか。 息苦しさで我に帰って、何とか上田を押しやった。 「はぁっ…苦し…お前もうちょっと考えて、んっ!」 隙ありと言わんばかりに口に舌が入ってきて口内を撫で回す。 優しく舌を絡め取られて、また私の頭は簡単に思考を手放す。 もう、どうなってもいいかな…なんて朧気に思った頃、上田はやっと唇を離した。 「you…可愛いな」 「な、気持ち悪い事言うな」 やっぱり普段の勢いがないのが言いながらわかった。 上田は笑いが抑えられないといった様子で返してくる。 「ふっ、そんな真っ赤な顔して言っても可愛いだけだ」 何でこんな時だけ余裕があるんだこいつは。 「…上田さんも顔赤いですよ」 「嘘だろ!?」 「あ、赤くなった」 「…こいつ」 ふっ、やっぱり私の方が一枚上手だな。 「それくらいで優位に立ったつもりか? いいか、俺はyouとは決定的に知識の量が違うんだよ。 今までどれだけ練習してきたと思ってるんだ」 「そんな事自慢するか普通…っていうか、普通こんなに雰囲気ぶち壊しにするか?」 「それはyouのせいだろ」 「……」 「………」 もう、何でこうなってしまうんだろう。 知識が豊富だとか自慢してた目の前の男もこんな時の対処法はわからないらしく、 目が泳いでいて私なんて目に入ってないみたいだ。 やっぱり肝心な所は私が動かないといけないのか。 しょうがないなぁ、もう。 心の中で小さく決意を固めて、私はそっと上田の頬に手を伸ばした。 驚いた上田が向けた視線に思わず止まりかけたが、勢いのままにそっと唇を重ねた。 おずおずと食むように唇を動かすと、すぐに上田はさっきの調子に戻って あとはもう、上田のペース。 気付けば押し倒されるような体勢になっていて、お互いの息も荒くなっていた。 もっと触れて欲しい。 そんな想いが浮かんだ事がたまらなく恥ずかしかったけど、 でも、どうしようもない。 気持ちを悟られたくなくてそっと視線を外すと、上田は小さく笑った。 「…何で笑うんですか」 「もう何も言うな。さっきみたいになるのは嫌だからな」 「嫌です」 「おいyou」 私はそっと腕を首に回して抱き寄せて耳元で囁いた。 「あの…私も…好きですから。だから…」 優しくしてくださいね、という言葉はキスの嵐で押し込められた。 至る所に唇をつけながら、上田は器用にボタンを外していく。 あっと言う間に服は脱がされ、とうとうブラも外された。 身につけているのは下着一枚のみ。 「そんなに見るなぁ…っ」 恥ずかしくない訳がない。 視線のやり場に困って思わず目をつむってしまう。 「気にするなyou。小さいが…綺麗だよ」 そう言って上田は胸に顔を埋めて、また至る所にキスしてくる。 ゾクゾクして思わず足を擦り合わせていると、一際強い刺激に襲われた。 「やぁっ…」 「やはり感度はいいみたいだな」 恐る恐る見てみると、上田は胸を揉みしだきながら先端に口付けていた。 「んっ…あぁっ…」 顔が、いや顔だけじゃない。 身体中が熱くて、身体の奥が疼いてしょうがない。 何なんだろうこの感覚。 上田の顔はどんどん下に下がっていき、 気付けば太腿に舌を這わせていた。 口から出るのは自分の物とは思えない喘ぎ声ばかり。 足を開かれても恥ずかしいとも思わなかった。 考えられるのは、早くどうにかして欲しいという事だけ。 「you、随分濡らしてるじゃないか」 上田は笑みを浮かべてこっちを見てくる。 「うっ、うるさい…もう一思いにやってくださいよ」 「一気にいきたいのは山々だがな、 俺は紳士だから初めてのyouを気遣って徐々に慣らしてやってるんだ。 まずはじっくり愛撫しないとな…」 「やるなら黙ってさっさとやれ、この変態」 「変態ならyouもだろ。あんなに喘いじゃって更に更にこんなに濡らして」 「あーもうわかったから言うなっ」 上田はあの余裕たっぷりな笑みを浮かべて、顔を足の間に戻した。 ムカつく。でも… その先を考える間もなく、また強い刺激が身体中を駆け巡る。 「んあぁっ…はぁっ…」 気持ち良い。気が遠くなる位に。 でも、何か足りない。 「んっ…うえださん…」 お願いがあるんですけど。 「どうした?」 強がりな私はなかなか言えないけど。 「あの…起き上がってもいいですか?」 本当に言いたいのはそんなことじゃないのに。 上田は少し悲しそうな顔をした。 「…気持ち良くなかったのか?練習は完璧だったはずなんだが…」 それには答えずに私は身体を起こした。 そして向かい合う形になった上田にそのまま抱きつく。 「…この方がいいです」 多分、私が欲しかったのは快感じゃなくてあなたの温もり。 「you…」 上田が頬に唇をつけたのを合図に、またキスの嵐が始まった。 片方の腕は背中に回されたまま、もう片方の手は下へと伸びていく。 まだ十分に濡れているらしく、上田の指はすんなりと中に入ってきた。 自分の中で自分じゃないものが動いてるなんて変な感じだ。 変なだけじゃなくて、ちょっと気持ち良い。 やっとキスが止んだと思ったら、同じ位息の荒い上田が口を開いた。 「はぁっ…奈緒子、腰浮かせて」 不安じゃないと言えば嘘になる。 けど、今はそんなのがどうでもよくなる位穏やかな気持ちだった。 大丈夫、死ぬ訳じゃないんだし。 私は小さく頷いてそっと腰を上げた。 嫌でも目に入る、冗談だとしか思えない上田の巨根。 「力抜かないと怪我するぞ」 「なるべく痛くなく…って無理ですよね」 「努力するから安心しろ、you」 そして、口付けと同時に上田は侵入してきた。 物凄い圧迫感だったけど、上田は少しずつ入っていく。 「うっ、痛っ…あぁっ」 「はぁっ…you、力を抜かないと…」 だからそうできれば苦労しないんだって。 痛くて痛くて仕方なかったけれど、時間が経つにつれて少しずつ慣れてきた。 「上田さん…ちょっと大丈夫になってきました」 「そうか…動いて大丈夫か?」 「はい…多分…」 「動き出したら止まらなくなるぞ、きっと」 「あの、私が痛がっても気にしないでくださいね。何とかなりますから。ただ…」 私は背中に回した腕に少し力をこめた。 「…何だ」 「いや、やっぱ何でもないです」 「言えよ」 「いいです」 「奈緒子」 あぁもう、言わなきゃよかった。 顔が熱くなるのがわかる。 「あの…離さないでくださいね」 上田は小さくフッと笑った。 「わかったよ」 そして上田はゆっくりと動き始めたが、激しくなるのにそう時間はかからなかった。 肉がぶつかり合う音が耳に響く。 「うえだ…さんっ」 「奈緒子っ…」 理性なんて吹き飛んでるように見えても、上田はちゃんと約束を守ってくれた。 しっかりとした腕の中で繋がって、絡んで、口付けしては抱き合って。 肌が二人を隔ててることすら鬱陶しくて、 このまま溶けてしまえばいいと本気で思った。 「あぁっ、うえださん…もっ…だめぇ…」 そう口に出したのと同時に目の前が真っ白になって 私はそのまま意識を手放した。 「ぅん…うえだ…さん?」 目が覚めると上田はいなくて、身体には毛布がかけられていた。 ちゃぶ台に目をやると「夕飯を買ってくる」との置き手紙。 時計を見るともう9時を過ぎていた。 …何時間やってたんだ? 「おぅ、you起きたか」 びっくりして振り返ると、コンビニの袋を持った上田が立っていた。 「人の家なんですからノックするなりしてくださいよ」 「俺が家賃払ってるんだから俺の家だろ」 「あーはいはい。それより早くご飯食べましょうよ」 「食べたら2回戦だからな」 「は?何の話ですか?」 「さっきの続きに決まってるだろ」 「…おとこわりします」 「今ちょっと迷っただろ」 「おとこわりします」 「試してみたい体位とか色々あるんだよ」 「おとこわりしますって言ってるじゃないですか!」 「じゃあ無理矢理やるまでだ」 「だから犯罪ですって」 「どうせ通報なんてしないだろ。俺がいなくなって困るのはyouだからな」 「それは上田さんの方じゃないんですか?」 「さっき離さないでとか泣きそうな顔で言ってたのは何処の誰だよ」 「…空耳じゃないですか?」 結局勝てなかった私は一晩中上田の好きなようにされてしまった。 立ったままだとか後ろからだとか 一体どれだけ試せば気が済むんだ?こいつは。 やっと終わったと思ったら、 今度は道具を用意しておくから楽しみにしてろとか言いながら鼻息荒く去って行った。 何をどうしたらあんな変態が出来上がるんだ? 結局されるがままになってしまうんだろうけど。 あの馬鹿力に敵うはずがない。 でも、絶対に私はハマったりしないように気をつけないと。 …上田にはハマってしまったのかもしれないけど。 おしまい。
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呪文と石 10-12 上田は少し赤くなり、目を逸らした。 「……言いにくい事だったんだ。その、ちょっと口には出しづらいというか…」 奈緒子は溜め息をつき、上田がいじくっている茶筒を取り上げた。 「話さないともう二度と和姦なんかさせてあげませんよ。いいんですか」 「すぐに話すよ」 「…………」 上田は奈緒子に手を差し出した。 「コンドームの箱を出してくれ」 奈緒子は真っ赤になり、眉を吊り上げた。 「上田っ」 「違う。落ち着け、いいから…その、出してみせてくれ」 奈緒子は上田を数秒凝視し、それからしぶしぶバッグを引き寄せた。 中を探って、ハンカチに包んだ箱を取り出す。 「…はい」 手渡すと、上田はそれをほどいて蓋をあけた。奈緒子の前に滑らせる。 「中を見てみろ。何がある?」 奈緒子はいやいやそれをとりあげ、中身の箱を押し出した。 「コンドームが入ってるに決まってます」 「何枚残ってる」 奈緒子は仕方なく覗き込んで確認した。 「…二枚」 「くそっ。そこまでこぎつけていたのか…」 上田が呻いて額をちゃぶ台に落とした。ごんと大きな音がした。 「『こぎつけて』?」 「その下、見てみろ。開いていいから」 伏せた上田の声はくぐもって聞こえた。 コンドームの下には、薄い紙の平べったい包みが隠れていた。 奈緒子が指先で掬い上げてちゃぶ台で開くと、中から銀色に光る指輪が出てきた。 クラシカルな立爪に美しい透明な石が輝いている。 「…百カラットもないけどな」 「何だこれ」 「──どう見ても典型的な婚約指輪じゃないか!言っておくがな、銀座の老舗宝飾店の保証書付きだ」 上田は勢いよく顔をあげた。全体が深紅に染まっている。 「君に、君にあの時、コンドームに隠してこっそりと贈ったんだよ」 「…………はい?」 「仲良く使っているうちに中身が減るだろ。そこに隠しておけば、最後の一枚を使ったところで君が気付いて嬉しさに涙する。 俺は優しくその肩を抱いて……フフ、フッフフ」 「……」 「しかもだ。その頃には君の躯も俺とのセックスに十分に馴れている。双方の実家への挨拶も済んでいるはずだ。 いつ子どもができても不都合は無い。な、コンドームも不要になるよな」 「……」 「そこで晴れてその指輪で見事結納、即座に結婚という完璧な手筈だった。どうだ…お洒落でさりげなくてロマンティックな演出じゃないか」 「どこがだ」 「それが何故こうも情緒のない発見に繋がるんだ。……youは泣いてないし」 「安心してください。今涙が出てきました。情けなくて」 「どういう意味だよ」 「上田。どこのくだらないマニュアル本で見つけたんだこのつまんない計画。な、怒らないから正直に言ってみろ」 「失敬な。無論、天才的なこの頭脳で考え抜いた上田次郎オリジナルのアイディアに決まってるだろ」 「それが原因だっ!!」 奈緒子はすっくと立ち上がり、落胆のあまりか眼鏡の下をハンカチで拭っている上田を睨みつけた。 「上田さんが頭使うとろくな事ないっていつもいつも言ってるじゃないですか!」 「だから、それはどういう意味なんだ」 「そのまんまですよ」 上田も嵩高く立ち上がった。 「そんな事言うがな、you。君にもこの失敗の責任があるんだぞ!」 「自分の頭の悪さを人のせいにする気かお前」 「上田さん大好きとか気持ちいいとか愛してるとか、youが俺にコンドームを使わせないから」 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」 上田のへ理屈の炸裂ぶりに、奈緒子は赤面を通り越して脳天から湯気が噴き出しそうな気がして来た。 「それのどこが使わせない事になるんですか!?」 「やってる最中好きな女に耳元で喘ぎながら早く来てなんて囁かれてみろ。鉄の意思を持つ俺のような人格者でもだな」 「威張るなっ」 「それにやっぱり気持ちいいしな。生。……最高だよな、youに生で中出し。きゅって。フ、フフ。フッフフフフ」 奈緒子はつま先で伸び上がり、大急ぎで上田を殴った。 「戻って来い上田!……要するにあれじゃないか、そ、そっちが使いたくなかったってだけ」 「そうだよ」 「認めるのか」 「それで、あんまり楽しいからコンドームもろとも指輪のことを忘れかけていたんだ。だが、やっぱりこういう、その、申込は最後まできちんとしなければいけないだろ。 正式な婚約が必要だ。いつ君が俺の子を身籠るかわからないし……生でやってるんだから。生…フ、フフ」 「上田!」 もう一発殴りつけておいて奈緒子は眉をひそめた。 「まさか、それに気付いたのが──」 「そう。月曜日の夜、君がぱくぱく嬉しそうに懐石料理を食べてた時の事だ。それで──善は急げっていうしな」 「………」 「その後コンドーム消費のために俺が払った獅子奮迅の涙ぐましい努力は、君も知っての通りだ」 「獅子奮迅ってお前…」 「ああ。結構キツかったよ。運転中意識が遠くなって次郎号を電柱にぶつけそうになったり、講義中もスライド映写しててうっかり熟睡しそうになったりな」 「………」 「でも、君と俺の明るい未来のためだ。ここが踏ん張りどころだと思ってがんばったんだよ。ああ、そんなに嬉しいか?やっぱりな…泣かなくていいんだyou。ハハハ、ハッハッハ!」 奈緒子はがっくりとちゃぶ台の前に座り込んだ。 常識を超える回りくどさを目の当たりにしたせいか、涙が止まらない。 なんでそこまで手間のかかる事をしなければならないのかさっぱりわからない。 奈緒子に内緒で数枚コンドームの包みを抜き取っておけばいいだけの話ではないか。 馬鹿正直に体当たりで全部消費する必要がどこにある。 ……この男がバカだからだ。それともスケベなだけなのか。 奈緒子に褒めてもらいたがって落窪んだ目をきらきらさせている上田はあまりにも不憫であまりにも間抜けだった。 どうして褒めてもらえると思っているのか──それは上田次郎だからとしか言いようがない。 上田が座り、気遣わし気に奈緒子の顔を覗き込んでくる。 「どうしたんだ、you。なんだか──元気がないじゃないか」 「……」 「飲むか、ピラニア」 「要りませんっ!………ねえ、上田さん。こんな高価なもの」 「ああ、一滴三万円」 「違う、指輪!……黙って私に預けてて平気だったんですか?コンドームごとうっかり落としたり無くしたり──」 「有り得ないね」 上田はきっぱりと言った。 「極貧の君が人から無料で、しかも親切で貰ったコンドームを無くすなんて」 「親切?」 「いや。躯目当てなんだが」 「上田っ!」 奈緒子のパンチを上田はあっさりと避けた。かなり復調したらしい。 拳を掌で握りこみ、奈緒子に顔を近づけた。 「で、感想はどうなんだよ。俺が君のために用意したこの指輪を見てどう思った?」 「質に入れたら高そうですね。保証書あるんだろ。それも寄越せ」 「おいっ!」 上田の胸をおしやって、奈緒子は赤いままの顔を振った。 「……あのね、上田さん」 「ん?」 「指輪をやるって、思い出したならちゃんと言葉で教えてください。体当たりじゃなくて。強姦でもなくて」 「和姦だって言ってんだろ!…youがいつも言うじゃないか。考えずに躯使えって」 「その前に考えてちゃ駄目じゃん」 「しかも熟考だ。ハッハッハ!」 「意味ないじゃんっ!」 奈緒子はむくれてさらに上田の胸を押しやった。 押しやらないと、どんどん近づいてくるのだ。 「でさ。なあ……感想」 「………」 奈緒子は上田の目を見上げた。 「恥ずかしがらずに最初からあっさり直接手渡して欲しかったです」 「それだけか」 「それだけです」 「もっと他にもあるだろ、こう。嬉しいとか。綺麗だとか愛してるとか。大事にするとか幸せにしてあげるとか…」 言いながら、上田は奈緒子の背に腕をまわした。 引き寄せられて奈緒子は眉をしかめた。 「……上田」 「ん?」 「強姦する気だろお前」 「違うよ…お礼を言いたいんじゃないかと思ってな」 「お礼?」 「キスしたいんだろ。目にそう書いてある」 「嘘付け。こら、近づくな」 「君が素直に気持ちをうまく言えないみたいだからさ」 Next>>
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池田荘にて by ◆QKZh6v4e9wさん クーラーの存在しないアパートに戻ってくると部屋にはいつものように日本科技大学の教授が座っていた。 ほとんど乾いた下着類が押しやられた洗濯紐には万国旗が翻り、窓際には紙で作った花がいくつもとめられている。 上田は頭には赤と緑の厚紙製のとんがり帽子、首にはこの暑い最中に金ぴかのモールを幾重にも巻いていた。 「ハッピ~~ッ、バ~~スデ~~~!」 手にしたクラッカーの紐を引き、彼は白く輝く歯を見せた。 奈緒子は今更もう驚いた表情などみじんも見せなかった。 疲れた風情で足元に本日ゲットのパンの耳の袋を置く。 「なにやってるんですか上田さん」 上田は新しいクラッカーをとりあげ、またぽんとはじかせた。 「見ればわかるだろう。ハッピーバースデー」 「どう見てもクリスマスだ。やめろ暑くるしい」 上田の前にはケーキの箱や大きな鳥腿の照り焼き、シャンメリーなどが並んでいる。 それらをちらちらと気にしながら奈緒子は座った。 「何企んでるのか知らないけど、私の誕生日は今日じゃないですよ」 「なぜ貧乳、かつ水虫、かつ魚の目のyouの誕生日などを祝ってやる必要がある?そんな呪われた日なんかじゃない!今日はな、俺の誕生日だ」 「そうだっけ?」 「知らないのか。なんという認識不足だ」 上田は偉そうにとんがり帽子を揺らせた。 「ノーベル賞獲得の暁には、この上田次郎の生まれた日が国民の祝日に制定される可能性は非常に高いというのに」 「絶対にされませんから」 上田はまたクラッカーを取り上げて鳴らした。 「はははっ。誕生パーティーは楽しいなぁ」 「ちょっと待て。なんで私の部屋でやる?」 「you!」 びしっと上田は奈緒子の鼻先を指差した。 「余計な事を考えるな。常在餓鬼道のyouの前に食パン以外の高カロリーの食べ物が存在する、その奇跡だけに目を向けるんだ」 「つまり祝ってくれる友達がただの一人もいないんだな。まあいい、仕方ないから祝ってやる」 奈緒子は照りも美しく輝く腿肉に熱い視線を向けた。 「…でかい!奮発したな、上田。……誕生パーティーは楽しいなぁ、えへへへっ!」 「よし乾杯だ!」 上田はシャンメリーをグラスに注ぎ、奈緒子に渡した。 「上田次郎次期名誉教授のますますのご発展とご活躍を祈って!」 「明日にでも上田とのこの腐れ縁がさくっと切れますように」 二人はグラスを干した。 奈緒子は急いでグラスを置き、腿肉に手を延ばした。 上田のことである。いつ気が変わらないとも限らない。 「じゃ、遠慮なく!」 「待て!」 上田がその指先をクラッカーで抑えつけた。 「その前に、出してもらおうか」 「何をですか」 奈緒子の視線は一直線に腿肉だけに向かっている。 上田はにんまりと眼鏡の奥のつぶらな目を細めた。 「誕生パーティーで要求するものといえば、誕生日のプレゼントと相場は決まっているだろう」 「せこっ。いつも世話をしてやっているこの私から貢ぎ物をとるというのか、上田?水臭い奴だ……なっ、私たちの仲じゃないか」 「我々の間にそんな仲など存在しない!」 上田は腿肉を押しやり、奈緒子の指をつかみあげた。 「youがプレゼントはおろか普段二百円以上の持ち合わせすらない事は百も承知だ。大丈夫だ、今回は持ち合わせているもので勘弁してやる」 「亀とハムスターは譲らないぞ!」 「誰があんな生き物など!俺の狙いはな、山田」 上田は奈緒子の目の前にぐいと顔を近づけた。 聞き取りにくい低音が鼓膜をくすぐった。 「youだ」 「え?」 眉間に皺を寄せた奈緒子はまじまじと間近の上田の顔を眺めた。 その間にせこせこと膝で移動した上田は卓をおしやって腿肉を遠ざけてしまった。 「you……わかっているんだ、最初に出会った瞬間からyouが俺の事を密かに慕い、貧乳、いや、胸をいためているという事はな」 声は言いくるめるような騙くらかすような甘い響きを帯びている。 「う、上田。何を言っているんだ。何か悪いものでも食ったのか……にゃっ!?」 大きな手がそっと胸に這い上がってきたことに気付き、奈緒子は頬を赤らめた。 「さ、ささ触るなっ」 「恥ずかしがる事などあるものか。youの救いのない貧乳ぶりに関しては熟知しているから隠す必要もない。しかも男女間の行為のあらゆる資料を予習済みのこの俺だ。処女を捧げるにこれ以上の相手はいないぞ、山田奈緒子!」 「誰が処女だっ」 奈緒子は急いで身を捩ろうとしたが相手は通信教育で空手を極めるという非常識を体現する上田次郎である。 素早く腕を捻られてあっさり畳面に押し伏せられてしまった。 「ん~~~、いい匂いだ……you……リンスは何を使っている…?」 頬に乱れた黒髪の匂いをうっとりと嗅いでいる上田の表情と台詞に、奈緒子は不吉な既視感を覚えた。 「はっ……う、上田っ!?まさか、お前は例の怪し気なあれを服んで…」 「うむ、例のポ○モン島の媚薬成分をちょっとな。youのような貧乳を襲うにはやはりクスリの力が必要だ」 「ポ○モンじゃない。黒門島だ!」 「ふっふっふ……」 上田が笑い出した。 「ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ」 「意味もなく長々と笑うなっ」 「長く笑いたくもなるじゃないか……さっき、youも媚薬を服んだんだぞ。油断したな…」 「え」 奈緒子の顔から血の気がひく。 今しがた乾杯したシャンメリーに違いない。楽しい誕生パーティーにかこつけて、なんという卑劣漢か。 「上田!放せ、そこからおりろ」 「超即効性の媚薬だ。どうだ~、ドキドキしてきただろう…?」 「う」 上田の指がやけに不器用に奈緒子のブラウスの胸元を探った。釦をうまく外せないようだった。 「……うむ、急いではずすんだ、山田!」 「なんで私が?」 「強がるな……ほ~ら、youも、すっかり…目が潤んでいるじゃないか」 それはお前だろうと言いかけて、奈緒子は頬が熱い事に気がついた。 それどころかやたらでかい上田の重い躯がぴったり密着した部分も熱い。特に股間のあたりが熱い。 「い、いやだ。やめろ、上田」 「こうして間近で見ると…いや…わかっはていたが、よく見ると……可愛いぞ、 you」 奈緒子は耳を疑い、自分の正気を疑い、最後にはやはり上田の狂気に烙印を押す事にした。 Next>>
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鮫子「ふぅ…お仕置きはこれくらいにして、アタシにもグラスいいかしら?」 友 「お、おう…その鮫子…ほれ」 鮫子「どうしたのよ?そんなにキョドっちゃって、挙動不審がデフォの友君らしいっちゃらしいけど」 俺 「絶妙に失礼だな…」 友 「その、久々に会って思ったんだが…鮫子」 鮫子「あ、そのくらいでいいわお酒、んで何?」 銀が俺の耳元に声をかける 銀 「口説くの?」 俺 「無いな、あいつは意外な所で義理堅い奴だからな」 銀 「?」 友 「お前…その」 鮫子「何よ」 友 「やっぱSキャラだよな」 鮫子「…」 友 「…」 ふふと笑いながら鮫子 鮫子「乾杯」 友 「かぁっ!か、カンパイ…」 銀 「あら?意外ね。派手にぶん殴るかと思ったわ」 俺 「友の足元…ヒールの踵が突き刺さってるだろ…昔は表情に血管が見えたが、今じゃ普通に笑顔だし」 そしてその足元に頭から煙を出したまま倒れてるツンバカの姿があった 脇谷 「ご、ごめんねぇ…遅れて」 軍師 「予想通りだから大丈夫よ、どうせ上田絡みでしょ…って何その背中の死体みたいなの」 えーじ「あ、上田ちゃんだ!おーい!上田ちゃーん」 えへへと笑いながら上田を席に着かせ、後ろの壁にもたれかけさせる 脇谷 「その、仕事が午前中に終わったみたいでね、一人で出来上がっちゃったみたいで」 軍師 「はぁ…今確か上田って作家してるのよね?」 脇谷 「そうだよ、で、私が上田担当なんだけど…相変わらず我侭のムラっ気仕事だから」 軍師はとりあえず脇谷のグラスを用意させ、ビールを並々と注いでゆく そして片手に自分のグラス、もう片手のグラスを脇谷さんに差し出す 軍師 「とりあえず、お疲れ様…脇谷さん」 脇谷 「えへへ、ありがとね。んじゃ乾杯♪そしてえーじも」 えーじ「うにぃ」 カランとグラスの触れる音が店内の喧騒に紛れて消えてゆく 上田 「うぃ~男なんて…ひいっく!」 軍師 「もしかして?」 脇谷 「だから飲んでたみたいなの…」 へへと苦笑いしながら脇谷はくいっとビールを傾ける ヤン 「お?大丈夫か?上田?」 上田 「うぅ~らいじょうぶ…」 ヤンデレが壁にもたれる上田に声を掛ける 脇谷 「あ、あはは。なんかお昼くらいから飲んでたみたいで」 ヤン 「駄目人間だなぁ、こいつは…上田?少し吐くか?」 上田 「んん…あらしを酔わせてどうするつもりなのよぉ…うへへ」 ヤン 「だっ!?どあああああ!!抱きつくな!臭ぇ!酒臭ぇぇぇ!!」 上田 「寂しかったよぉ~ねぇ!答えてぇ!」 ヤンデレの首元に絡みつく上田 それを引き剥がそうと必死のヤンデレ 上田 「恋は下心ぉ~愛は真心ぉぉ」 ヤン 「だぁぁぁ!意味わからねー!!」 その風景を見ながら脇谷 脇谷「あー桃色時空だね…座標見失ったヤマトって感じ」 軍師「つ、使えないわね」 上田「男は全て奴隷なのよぅ!!!!!」 ヤン「こ、声がでかいんだよっ!!」 店員の案内を受け、別の人間が予約スペースのほうに入ってくる 荒鷹「表まで声が…って上田ちゃんだよね…やっぱし」 日下「あ、あはは皆、お久しぶりだね」 古風「あら、皆様、お久しぶりです…」 OLさん風なスーツを着た荒鷹に大人しめのセーターにジャケットを着込んだ日下 そして相変わらずの着物姿での変態古風 三人は同じく上着を壁に掛け、席に座る プロ 「あ、お久しぶりですね、ささ、駆けつけ三杯♪」 日下 「い、いきなりは無理だよ…」 きちょ「古風さんも、ふふ子供さんは元気?」 変態古風、卒業の二年後付き人の橘と結婚 その後子供を出産、今や二児の母である 古風 「ええ、既にギンギンに立ってそこらじゅう駆け回って…大変です」 きちょ「へ、へぇ…何か色々凄そうね…」 相変わらず淑やかにおかしな人だなと冷や汗のきちょうめん その背後でいきなり金切り声が上がる 軍師 「何じゃこりゃー!!!!上田ぁぁぁぁぁぁ!!!」 脇谷 「お、怒らないでぇぇぇぇ!!!」 軍師 「ききききき…貴様私をぶぶぶぶぶ侮辱しているのか!!!!?」 上田 「んあ…えへへ、可愛いよねぇこれ」 軍師 「何だこの 『 深夜の防衛省・淫虐の制服組絨毯爆撃 』 とはー!!!」 脇谷 「あ、あははしょがないよ…エロ作家だし」 顔を真っ赤にする軍師にうにゃうにゃと眠りこける上田 暴れる寸前の軍師を抑えるように脇谷、そしてうっとりする変態古風 古風 「上田さん!防衛省シリーズの新刊ですか!?実に楽しみです…」 上田 「えへへぇ…しかも今回は主人公の女の子は黒髪のメガネを掛けた軍師っぽ」 既に鼻息も荒く軍師は飛び掛る寸前である その風景を見つめる荒鷹と日下とヤンデレ ヤン 「ほらよ、グラスに酒だ、まあ…上田はなんつーか相変わらずべらんめぇな奴だな」 荒鷹 「ふふ、そうだねーなんだかんだで結構仲間思いなのにね、こんな事しちゃうんだから」 日下 「だね、思い出しちゃったよ…あのホテルでの上田ちゃん」
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pink marriage blue by ◆QKZh6v4e9w さん 1-4 仕事が忙しくてあまり構ってやれないせいか、それとも間近に迫った式の準備に追われているからか。 彼女の機嫌は悪かった。 そう、昨日、記念写真の前撮のため式場に行った時の話だ。 「新婦さま、もっと嬉しそうに笑ってくださーい」 もともと笑うのが苦手な彼女はものすごくがんばっていたには違いない。 「ちょっとこわばってますねー。緊張しますか。えーとですね、深呼吸してー。もっと自然に、自然に笑ってー」 それでもカメラマンにいろいろ指導されていた。 一方彼のほうはと言えば、 「新郎さまはそんなに歯を見せないでくださーい。あ、新婦さまより前に出ないで。ポーズ作らないでくださいねー。お顔の角度はもっと、自然に、自然にー」 別の理由でいろいろ注意されてたがこれは別にいい。 撮影のあいだ、綺麗に着飾った彼女の機嫌はどんどん悪くなっていった。 試行錯誤の結果辛うじてOKがでて二人は解放されたが、不機嫌はその後も続いていた。 腹が減ったのかと高級レストランに連れて行くと、山ほど食べはしたもののやはり機嫌がなおらない。 足りないのかとデザートを勧めると、三種類食べても無言だった。 熱でもあるんじゃないかとおでこに手をあてようとしたら低く唸られた。 挙げ句の果てに、彼女の部屋にいそいそあがりこもうとしたら明日はバイトがあるからと追い払われた。 彼だって忙しい時間を割いて少しでも一緒にいようと努力している。 人生でも大きな(だろう)イベントを控えて怒濤のように過ぎていく日常の中の貴重なデートの機会でもある。 大体、ここ最近がこれほど忙しいのは、新婚旅行用の休暇を確保するためなのだ。 なのに仏頂面だけ見せられて、彼も昨日は虚しかった。 * 今日も今日とて研究の合間、せっせとレポートの採点をしているところにゼミの学生が現れた。 「上田先生、披露宴での余興なんですけど、参加希望の人数が増えまして。会場の外でもっと待機できますか」 「ああ、構わないよ」 休憩がてらペンを置き、上田は椅子の背に躯を預けた。 「ほかの学部の奴らまで訊いてくるんですけど。参加させていいですか」 「勿論だ」 上田は気分良く頷いた。 日頃から理工学部以外の学部生にも有名教授である上田の講義は大人気で、毎回立ち見が出るほどである。 今回の彼の結婚には学内全体が興味津々であるらしい。 「会場で配布する先生の業績紹介のパンフレット、試し刷りができました。あとで持ってきますからチェックしてください。で、編集後記のとこのためにお借りしてたこれなんですが」 学生は小脇に抱えたファイルケースから写真を取り出した。 そこには講義の後学生たちの質問を受けている上田の満面の笑顔がある。 「ここに、よっと…、お返ししておきます。ありがとうございました」 「いやいや。いろいろ面倒をかけるね、ハッハッハ」 学生が去ったあと、上田はすぐにはペンに手を伸ばさず、レポートの山に半ば埋もれている電話を眺めた。 結婚披露宴の話などしていると必然的に昨日の奈緒子を思い出す。 彼女は部屋にいるだろうか。 さっさと上田のマンションに移ってくればいいものを、荷物整理とバイトのために未だに池田荘で暮らしている。 彼女の引っ越し予定は来週末だ。 機嫌が機嫌だったので昨日はあまり話もできなかった。 ……物足りない。 心に潤いが足りない。少しは生活に糖分が欲しい。 受話器をとる。 もうすぐかけることもなくなる電話番号をプッシュする。 短い呼び出し音のあと、奈緒子の声が聞こえてきた。 「ああいたのか、俺だ。元気?」 「昨日会ったばかりだろ」 「バイト終わった?」 「終わったから電話に出てるのに決まってるじゃないか」 上田はレポートの山の上に肘をついた。 「今大学にいるんだが、you、晩飯食いに来ないか。これから出前でもとろうかと思ってるんだ」 「…まだ、仕事してるんですか」 「ああ」 奈緒子は承諾した。 電話をきった上田は猛然と採点を再開した。 * 一時間後。 上田研究室では、炒めものと餃子と天津飯と担々麺などから立ち上る香りが節操なく混じり合っていた。 それはそれで食欲をそそるカオスではある。 「この担々麺も私の?」 「それは俺のだ」 「じゃあこっちの杏仁豆腐は」 「それもだ。食うな勝手に」 今日の奈緒子は昨日とはうってかわって楽しそうだった。 ぱくぱくと食べ(これはいつもの事か)、話し、水を飲み、上田の料理を狙おうとしている。 上田は心も軽く彼女を眺めた。 やっぱり、昨日の奈緒子は疲れていただけなのかもしれない。 なんであんなに不機嫌だったのか、ふと訊ねてみようと思った。 「昨日だけどな、you」 上田はレンゲを持ったまま一人掛けのソファから立ち上がり、奈緒子の横に移動した。 「う?」 口に一杯天津飯を頬張ったばかりの奈緒子はもの問いた気に上田を見上げた。 「どうしてあんなにつんつんしてたんだ?変だったぞ」 「……ん、ぐ。別に」 奈緒子は口元を拭った。 「つんつんなんて、してませんけど」 「嘘つけ」 上田は丼を引き寄せた。 「あからさまに機嫌が悪かったじゃないか。あの日か?」 「違いますよっ。…だから、そういう事言うなって」 奈緒子は眉間に皺を寄せ、上田は麺を啜り込んだ。 「…じゃああそこまでつんつんしなくてもいいだろ。せっかく久しぶりにゆっくり会えたのに」 「ゆっくり?」 奈緒子が口を尖らせた。 「めちゃくちゃ大変だったじゃないですか。何回も着替えたり写真撮ったり」 「……まあな」 上田は麺を啜った。 「ま、俺の格好いい姿を見られて、良かったじゃないか」 「………」 途端に奈緒子の周辺の空気が冷たくなった。 上田は気付かず相づちを求めた。 「な。you、そう思っただろ」 「なんで私に聞くんです」 奈緒子はそっぽをむいた。 「だってさ、貸衣装の人も、カメラマンも助手の人も褒めてただろ、格好いいって」 「そうでしたっけ?」 「ほかのスタッフもみんな言ってたじゃないか。式服も羽織袴も凄くお似合いですねって」 「お世辞ですよ。決まってるだろ」 「背がお高いからとてもご立派に見えます、とか」 「ふっ。他に褒めるとこなかったんですよ、きっと。上田さん、無駄にでかいからどれもこれもサイズ合う服一種類ずつしかなかったじゃないですか」 「着替える時にもさ、眼鏡がないと随分雰囲気変わりますねとか」 「ダッサイもんな、その銀縁」 「ほら、式服の時に髪型少し変えてみたじゃないか。そちらも素敵ですって言われたな。フフ。フフフ」 「なんでそういうどうでもいい事覚えてるんだ」 「俺はね、賞賛の言葉は決して忘れたりしないんだよ」 「………」 「ほら、ほかのカップルの女性。スタジオの入り口に集まって、俺のパートナーである君を羨望の目で見てたじゃないか」 「上田さんがモデルみたいにポーズとってて確実に変だったからです。あれは憐れみの目だっ」 「そういえばお茶いれてくれた式場の人」 「聞いてんのか、お前」 「ほら、彼女なんか、ハンカチに俺のサインくれって」 「お前が自分からサインしてたんじゃないか。お世辞言われて褒められて、ニヤニヤ鼻の下長くして、浮かれきってデレデレして」 奈緒子の眉間にはくっきりと皺が刻まれ、彼を見る視線が険しい。 ふくれている頬はほんのり染まっている。 上田はまじまじと奈緒子を見た。 「なんだ。you」 「え」 「君が不機嫌だった理由がようやくわかったよ。そうか、そういうわけか」 「何ですか」 「ジェラシー。俺があまりにも格好良くてモテてたから、君…」 言葉を続けるより、奈緒子が立ち上がるほうが早かった。 「ごちそうさまでした!じゃっ。私帰ります」 「待てよ!」 上田は素早くその腕を掴んだ。このへんの呼吸はほとんど考えなくても身についている。 「まあ待ちなさい。落ち着きなさい。いい子だから」 「放せ上田!」 腕をひっぱり、上田は奈緒子をソファに戻した。 「フ。……フフフフフ、you」 奈緒子は顔をそむけ、ホワイトボードの、学生が残していった満面の笑顔の上田の写真を睨んだ。 真っ赤になっていた。 「君はそんなくだらない事を気にしていたのか」 「くだらない事?」 「恥ずかしがらなくてもいいんだ。君がジェラシーを覚えるのは当然だよ」 奈緒子はちらっと上田を見た。 「俺の場合、中身の優秀さが外見にまで影響を及ぼしているのは天然自然の理だからな。今更そんな瑣末事をことさら改めて君に認識させようなどとそんな押し付けがましい事は、全く思ってもいない。 全てにおいて価値ある俺と結婚できるyouは胸は貧しいがとんでもない幸運の持ち主だとか、そんな」 「押し付けてる。押し付けてるぞ上田」 「それよりさ…」 上田は奈緒子を抱き寄せ、顔と躯を近づけた。 「昨日はせっかく休日だったのに……な、you……」 「放してください」 奈緒子は上田の腕を払って立ち上がった。 「モテモテで人気者で忙しいんだろ。無理に胸の貧しい私を構ってくれなくてもいいですよ。勝手にしろ」 上田も立ち上がった。 「勝手にしろってどういう事だよ」 奈緒子は上田を憤然と睨みつけた。 「上田さんって、結局自分の事が世界で一番好きなんじゃないですか。結婚式だって、上田さんにとっては私は単なる添え物なんです。 別にいいですよ。好きなだけ変なポーズとって、ちやほやされて勘違いして笑ってろターコ!」 まくしたてる奈緒子の肩をむんずと掴んで上田は彼女を抱え込んだ。 このへんのタイミングももう条件反射的に掴んでいる。 Next>>
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ステージ名 ステージ名 あらすじ ステージ情報 ミッション あらすじ ステージ情報 冒頭解説 出現条件 操作可能武将 真田信之・稲姫・服部半蔵・柳生宗矩・早川殿 難易度 ★★★★☆☆☆☆☆☆ 制限時間 60分 勝利条件 真田昌幸と真田幸村の撃破 敗北条件 徳川秀忠と真田信之と稲姫いずれかの敗走 ミッション 番号 名称 内容 備考 No.1 兄弟対決・疑 戸石城制圧のため、真田幸村を撃破せよ! No.2 火中の救援 根津甚八と由利鎌之助を撃破し、牧野康成と牧野忠成の敗走を阻止せよ! No.3 襲いかかる忍び くのいちを撃破せよ! 制限時間:2分 No.4 襲いかかる乙女 甲斐姫を撃破せよ! No.5 立ちはだかる真田家臣 唐沢玄蕃と池田長門と石井舎人を撃破せよ! No.6 三方よりの奇襲 徳川秀忠への接近前にくのいちの本体を撃破せよ! 本体位置はランダム No.7 兄弟対決・真 真田信之は真田幸村を撃破せよ! 必要武将:真田信之 No.8 ☆父の策 大久保忠隣が霧隠才蔵に接近する前に霧隠才蔵を撃破せよ! No.9 ☆秀忠護衛 柳生宗矩は筧十蔵とすべての鉄砲兵長を撃破せよ! 必要武将:柳生宗矩柳生宗矩選択時のみ鉄砲隊長が3名出現。 No.10 ☆父との決別 真田信之は真田昌幸と横谷重氏と野呂兵庫を撃破せよ! 必要武将:真田信之 No.11 ☆駆ける影 望月六郎の中央砦侵入を阻止せよ! No.12 ☆四天王救援 来福寺左京と馬場惣市を撃破し、榊原康政の敗走を阻止せよ! ☆はボーナスミッション
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呪文と石5 13-14 キスはとても優しかった。 「照れ屋だからな、youは」 奈緒子はむくれて視線を泳がせた。 「お前に言われたくない」 上田の躯がかたむいて、奈緒子は畳に横たえられた。 「…なあ」 上田は照れくさそうに頬を歪めた。 「キスされてると、和姦したくならないか?」 再び唇を塞がれた奈緒子は心底ほっとした。 キスしてんのはお前だとつっこまずに済んだから。 * 「──じゃあな」 上田は奈緒子の躯を放すと、のっそりと起き上がった。 「体調が完全に回復したらまた改めて来るから」 「来なくていいです。上田さんが来るとお腹が減るだけだし」 疲れきった奈緒子は服をかき集めつつ、上気した顔で呟いた。 結局なんのかのと言いながらピラニア効果で上田はまともにやる事を一通りやったからだ。 しかもまたもやコンドームをつけなかった。 「もう指輪は見つけたしな」とかほざきつつ。 「来るよ」 上田はシャツの襟を整え、ニヤっとひげ面を綻ばせた。 「婚約してるんだから」 「……」 奈緒子にはやはりなんだか実感がない。 「……この指輪、どうすればいいですか?」 奈緒子はちゃぶ台の上には不似合いな輝きを指差した。 「結納まで大事にしまっとくんだ。質には入れるんじゃないぞ」 上田は靴を履きながら言った。 「え?つけてなくてもいいんですか?」 「なんでつけてなくちゃいけないんだ?君の好きにすればいい、不便だろ」 彼は振り向いた。 「…上田さん。あの…」 奈緒子の眉間に皺が寄った。 「今すごく…ひっかかった事があるんですけど」 「言ってみろ」 「うちの母や上田さんのお父さんやお母さん、全員、私たちが結婚するって思ってるんですよね」 「おう。みんな喜んでるようだな」 「それ……急いで私がこれに気付く意味、あまりないんじゃ」 「ないかもな」 「じゃあこの一週間って」 上田は目を細めた。 「前々から、一度自分の限界に挑戦してみたかったんだよ」 唇が満足げにつり上がった。 「やればできるもんだな」 「──やっぱり躯目当ての犯行だったのか!」 「最初からそう言ってるじゃないか」 「とっとと帰れ!二度と来るなっ」 奈緒子が力一杯投げつけた湯のみは、上田が素早く閉じたドアに跳ね返って割れた。 「またなyou!ハハハ、ハッハッハ!!」 上田の明るい笑い声が池田荘の廊下を遠ざかっていく。 奈緒子は窓に駆け寄り、がらっと開いて顔を出した。 「この、この…変態!巨根!腰を壊して寝込んでしまえバカーー!!!」 「そうなったら看病に来てくれ」 上田は階段の上で立ち止まり、また照れくさ気な表情を浮かべると、妙に巧みなウィンクをよこした。 「な。………ジュヴゼーム」 最後の言葉はとても小さく、上田は大きな背中を丸めるようにして素早く階段を降りて行った。 * 色ボケ教授の姿が見えなくなると、奈緒子は割れた湯のみを片付けた。 ジュヴゼーム。 照れくさそうな顔。 羞恥を感じることはできるようだが、その方角がズレているというのだ。 ちゃぶ台の上の指輪を見る。おそるおそるはめてみるとぴったりだった。 薬指のサイズなど上田に訊かれた事は無い。 という事は奈緒子が眠っているときにこっそりと測ったとでもいうのか。 どこまで不審者なのだあいつは。 急いで指輪を外し、ハンカチの上に置いた。 見つめているとあまりの美しい輝きに質に入れたくなってくる。目の毒だ。 ジュヴゼーム。 改善の余地の無いバカの上田が柔軟性のない石頭を振り絞って贈ってきた世界で一番硬い石。 出来過ぎていて笑えてしまう。 躯目当てだとかお礼の手伝いとか質に入れるなとか演出だとか。やはりあいつは小心者だ。 「…だから、フランス語で言うなって」 あのバカから逃げるなら今なのに。 今しかないはずなのに。 「バカ上田」 奈緒子は美しい石に唇を尖らせて呟いた。 その五文字の抑揚は、さっき上田が囁いた愛の言葉とどこか似ていた。 おわり