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増えるジジイに逃げるジジイ ◆1yqnHVqBO6 ジジイが空から降ってきた。 白髪鬼はパピーを抱えながら窓を突き破り、病院へと入った。 場所は普通の病室。あるのは殺風景なベッドだけ。 白髪鬼は散乱した窓硝子の破片を踏みしめ、ベッドまで歩き。 ベッドに破片がかかっていないのを確認するとパピーをそこに横たわらせた。 そして、融合を解く。 白髪鬼の体を滝のような汗が濡らしていた。 慣れない護神像の使用。 パピーのために可能なかぎり振動を与えないよう注意しながらの最速の維持。 人智を超えた未知の力の最大限の行使は 老体である白髪鬼から確実に体力を奪っていた。 白髪鬼はパピーの傷を手当てしようと物資を探しに部屋を出ようとした。 ドアへと歩き、ドアノブを回そうとするその寸前に ドアが蹴り飛ばされたような勢いで開けられる。 ドアを開けられる寸前。 気づいた白髪鬼は一歩後退し、懐に忍ばせておいた拳銃を抜く。 開かれたドアの先にいたのは白髪鬼が参加していたシルバーバトルの乱入者、猿谷甚一。 白髪鬼と向かい合う形で彼もまた銃を構えていた。 だが白髪鬼の姿を眼にしておや、という風に眉を上げる。 「まさかまた会うことになるとは。 縁というのも分からんもんですな教授」 「おお、お前さんは。そうかそうか、ここにいたのか」 猿谷は笑顔で白髪鬼に語りかけ。 白髪鬼も笑顔でそれに返す。 「そういえば、わしに撃たれた傷はどうなった?」 「それがここに来ておかげさまで傷ひとつないキレイな体に。 むしろいっそう健康になったくらいで」 二人はかつてお互い殺しあった間柄であったことには まるで頓着していなかった。 そして、銃口を向け合いながらの会話は 自然と銃口を降ろした会話へと移る。 「ご隠居をどこかで見かけませんでしたかね?」 「いやあ、見とらんなあ。一緒ではなかったのか?」 「それが出発したのは別々の場所のようで。 そういえばそこにいる男の子は何です? やけにハイカラなかっこをしているようですが」 猿谷の問いかけに白髪鬼は笑みを浮かべたまま答える。 「そこで拾ったんじゃよ。今から手当てしようというわけだ」 「ほほう。白髪鬼と恐れられた教授も優しいところがあるんですなあ」 顎を撫でながら感心したように呟くと猿谷はパピーへと近寄ろうとする。 その動きを白髪鬼が制する。 犬に命じるかのように手を掲げて猿谷の動きを止める。 「お前さん。このゲームではどうするつもりだ?」 白髪鬼の問いに猿谷は不思議そうな顔をする。 「どう、とは?」 「このゲームでどう動くか。 そして優勝したら何を要求するかということだ」 猿谷はああ、と得心がいったように頷く。 「いやあ。わたしのような小市民の老いぼれには 何でもという言葉が一番困るのですよ」 少しはにかむような口調で猿谷は続ける。 「ただ、そうですなあ。 もっと人を殺せる場が欲しいとでもお願いしてみましょうか」 「ずいぶんと謙虚じゃな。殺しがしたいのなら 大量破壊兵器でも要求してみたらどうだ。 とんでもないものをもらえるんじゃないか?」 白髪鬼の言葉に猿谷はぶんぶんと首を振る。 「そんなそんなもったいない! 人をただ殺すというのは存外味気ないものですよ。 狭い空間内で面と向かって一人ひとり殺す。そういうのが好みなんです」 「ハハ。ならこのゲームでもお前さんは」 「ええ! 精一杯、殺すだけです。 もう叶えてもらったようなものですよ」 白髪鬼は笑い。 猿谷は老後の生きがいを語るような口調で言う。 事実そうなのだろう。外からわざわざやってきて殺し合いに参加するような男だ。 よほど殺しが好きでなければやれないことだ。 だが 「賛同できんなあ」 白髪鬼はガッカリしたように呟き。 改めて猿谷に銃口を向けた。 「殺しを目的にするのは芸がなさすぎる」 銃口を向けられ。 鉛玉が飛び出すだろう昏い昏い穴を目の前にかざされても 猿谷は動じない。 「それなら教授はどうするおつもりで?」 「わしはなあ」 白髪鬼は楽しげに笑う。 銃のトリガーをゆっくり引きながら笑う。 「英雄の道を歩んでみたいのだよ」 鉛玉が吐き出される。 銃弾が猿谷の顔のすぐ横を通り過ぎる。 護神像を駆っていたことによる疲労が狙いを外す一助となり。 それを見抜いていた猿谷は銃が火を噴く直前に体ごと大きく地面へ倒れこむ。 追撃はない。 白髪鬼の体を濡らす滝のような汗が物語っていた。 本来は立っていることすら辛い状態だったのだと。 だが猿谷はそうそう容易くあの白髪鬼を倒せるとは思っていないのだろう。 殺せる相手は確実にキッチリ殺しておくべきと判断したのか 猿谷は銃口を横たわっているパピーへと向ける。 猿谷は引き金を引き絞り。撃つ。 「合体だ。クシャスラ」 その寸前。 銃弾を外した白髪鬼はすぐさまクシャスラと融合する。 だが、間に合わない。 射線を遮るには疲れが溜まり過ぎていた。 手を伸ばしても叶わない。 正確に狙いを定められて発射する弾丸は容赦なくパピーの体を蹂躙するだろう。 そうはさせん。 白髪鬼は強くそう思う。 あれは子供。子供を守るのは英雄たる務め。 英雄には観客たる子供の存在が不可欠。 いわば絶好のファクター。 少年を救い出し、死の淵から救った英雄として記憶されておきたい。 白髪鬼は思う。 手を限界まで伸ばす。 疲労が白髪鬼を鎖のように雁字搦めに縛る。 ――そんなにその子供を救いたいか? 白髪鬼の眼にクシャスラが浮かぶ。 ああ。助けたいな。 ――受け入れる覚悟はあるか? クシャスラは白髪鬼にそう語りかける。 だがクシャスラはそもそも語る相手を間違えている。 白髪鬼は鬼。 津幡共仁は鬼。 鬼に受け入れられないものなど。 喰えないものなどあろうはずもない。 力をくれるなら……よこせ。何だろうとかまわん。 白髪鬼は。 鬼は。 津幡共仁は数千年の願いを流し込まれる。 津幡共仁の脳に流れてくるのは“願い” 下衆な“願い”。高尚な“願い”。優しい“願い”。 ありとあらゆる“願い”が津幡共仁へと流れこむ。 震える体を必死に津幡共仁は抑える。 喜びのあまり震えそうになる体を必死に抑える。 これだ。これなのだと津幡共仁は歓喜する。 願い。星の数のようにある願い。 それを背負うことは彼の行動そのものに意味をもたらす。 受け継いだ、ある“願い”に沿う生き方をする一方で 他の受け継いだ“願い”を踏みにじる。 そんな傲慢な生き方ができる。 まさに英雄に相応しい道。 ああ。これだから。 人生は面白い。 津幡共仁は願いをインストールし、 本当の意味で護神像を駆る者となる。 これまでのやりとりは一瞬にも満たない刹那。 銃口は已然としてパピーに向けられたままであり。 疲労は津幡共仁の体に重くのしかかっている。 だが今の津幡共仁には新たに得たであろう能力がある。 手が届かないのなら。 足が動かないのなら。 体そのものを―― 子供の為に。死の淵で苦しむ子供の為に。 不安を消し去ってやる為に。 ジジイは。 ジジイは分裂する!! 分裂。それこそがクシャスラの真の能力。 部屋をジジイが埋め尽くす。 猿谷の視界をジジイが染めていく。 今この瞬間。 猿谷の世界はたしかにジジイが支配していた。 吐き出される銃弾を壁となったジジイがその体で弾く。 銃弾を通さない装甲が銃弾から子供を防る。 疲労で動くことはできなくとも増えることはできる。 「こりゃ逃げないわけにはいかんようですなあ!」 想像の埒外であろう事態を眼にしながらも 猿谷は冷静に状況を判断して逃げ出した。 津幡共仁は。 白髪鬼は。 鬼は子供を防ることができた。 【D-3/一日目/早朝】 【猿谷甚一@銀齢の果て】 [状態]:健康 [装備]:ニューナンブM60(3/5)@現実 [道具]:基本支給品×2、不明支給品×1~2(本人確認済)勇者の剣(ブレイブレード)@ブレイブ・ストーリー~新説~、ノコギリ@現実、救急箱@現実 [思考・状況] 基本行動方針:優勝を狙う。 1:協力者を探す。 津幡共仁には用心する。 2:ひとまず病院を拠点にする。 [備考] ※ワタルから幻界の知識をある程度得ました。 【D-3病院/一日目/早朝】 【津幡共仁@銀齢の果て】 [状態]:疲労(極大) [装備]:クシャスラ@waqwaq、コルト・シングル・アクション・アーミー(5/6)@現実 [道具]:基本支給品、簡易工具セット [思考・状況] 基本行動方針:英雄として行動する 1:少年(パピプリオ)を治療をする。そのあと休む 2:万一の場合はティオという名の参加者に少年の最後を伝える。 3 ガッシュという名のものを危険視 [備考] ※香川教授のミラーワールド研究レポートは研究室にそのまま放置されています ※工具は現地調達品です 【レオパルドン・パピプリオ@金色のガッシュ!!】 [状態]:右腕喪失、恐慌状態 、気絶 [装備]:魔本@金色のガッシュ!! [道具]:基本支給品一式、月の石@金色のガッシュ!!、不明支給品0~1 [思考・状況] 基本行動方針:死にたくない、ルーパーの所に帰りたい 1:……(気絶中) 2:ティオを探してガッシュのことを伝える。あと守ってもらいたい [備考] ※19巻、レインと戦った直後から参加。 ※出血は止まりかけているが、傷口はそのままです。 混迷する少年少女のバトルロワイアル 投下順 絆を結び/憎しみを放つ 混迷する少年少女のバトルロワイアル 時系列順 絆を結び/憎しみを放つ 老後の楽しみ 猿谷甚一 [[]] 歪む世界!? 空から飛来する黒い影! 津幡共仁 [[]] レオパルドン・パピプリオ [[]]
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誰かの願いが叶うころ ◆CFbjQX2oDg 最初に出会ったのがノールで良かった。この人数が集められている会場だ。 我妻のように話も出来ないタイプもいる可能性は高い。今後は少し様子を見てから接近する必要がある。 未来日記に護神像か…… ノールの言うとおり業の深い人間ばかり集めたもんだ。未来日記もずいぶんと常識離れした代物だったが護神像ほどでは無い。 俺たちは神を目指して戦い、ノールたちは神を生贄にする為に戦う。 一体何の皮肉だよ。俺たち日記所有者の戦いは生贄を選出するためのものだったのか? さらに、今回のゲームが今まで行ってきたものとの最大の違いはこの首輪だ。 願いの為なら命をかける、この首輪は自分の覚悟を目に見える形で表す為のものかもしれない。まったく悪趣味なこった。 悪趣味といえばこいつも…… 俺はポケットに入れた一枚のカードを思い浮かべる。 中央に羽根を模したイラスト、その周囲に描かれるのは荒れ狂う人生を象徴するかの様な旋風。 『SURVIVE―疾風―』 生き残れ と書かれた子供向け?おもちゃのカードねぇ 途中で死んだ俺に対する皮肉だな。 息子が元気に成長していたら友人達とトレーディングカードで遊んでいたのかもしれないと思うと心苦しい。 デウスの定めたゲームでは、神になろうとして失敗した。そんな俺に与えられたこのチャンス。 まったく、デウスもそうだったように主催者ってのは俺の中にある心を擽りたいようだな… やはり俺も―― はっくしょんっ!! しかし、砂漠の夜ってのは初体験だが存外冷えたな…… 水場が近いってのも気温が低い要因の一つかもな。中央の市街地についたら適当な民家に入って少し休むとするか。 次に防人って連中並に戦えるやつに出会っても話を聞いてもらえるかどうかわからないし、体調は万全に整えておくべきだろう。 俺はこの会場でお世辞にも強者の部類には入らず、どちらかと言えば狩られる側だろう。 だが、ノールのように俺の“捜査員”となってくれる者を見つけないとこの日記は役立たずだ。虎穴に入らずば虎子を得ず…だよな。 出来る限り参加者に踏み込んで同盟を結ばないといけない。民家の中から参加者の人となりが判断できれば良いんだがな。 来須圭悟は市街地に向けて深夜の草原を進み続ける。 人間が朝になったら目覚めるように、来須の内にある一度は眠ったはずの欲望が目覚める時は―― 【E-6/草原/一日目・深夜】 【来須圭悟@未来日記】 [状態]:健康。腹部に打撃、左頬に切り傷あり。 [装備]:大型カッターナイフ@現実 [道具]:基本支給品、捜査日記のレプリカ@未来日記、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎 [思考・状況] 基本行動方針:バトルロワイアルの全貌を掴みたい。優勝は……? 1:集団や同盟関係を作りたい 2:とりあえず市街地に着いたら暖かい場所で休息をとる 2:天野雪輝は保護対象、雨流みねねは交渉する、我妻由乃、戦場マルコを警戒 3:ノールにやや共感 ◇ ◇ ◇ 「ふふ、嬉しそうだね。ハルワタート。良質な水がたくさん手に入って良かった」 一時的な協力者クルスと別れたあと、川にたどり着いた。 ノールは自身の戦闘の要ともいえる大量の水を手に入れて上機嫌で歩く。その歩みは軽い。 大量の水はハルワタートが全て吸収してくれたので荷物が嵩張ることは無い。 これで川から多少は離れていたとしても、充分戦うことが出来る。 「わかっているよ、ハルワタート。哀しいけれど、僕は自分の願いの為に殺さなければならない 神を祭壇に連れて行くのだとしても、参加者皆殺しするにしても… どちらにしてもミールのためにやり遂げねば…! 僕が心を鬼にしたと決めたから、ハルワタートが力を貸してくれているのだから…!」 しばらく歩いていると刀で木に打ち付けられている見るも無残な死体がそこにあった。 その死体はまるで、次はお前だ、俺の邪魔をするな、とメッセージを残しているような不気味な存在感を放っていた。 「ああ、この人も防人のように願いに溺れたのか…」 「心が痛い…! 何故人は争わねばいけないのか! でも、見知らぬ人ごめんなさい。 僕には貴方と屍を乗り越えてでも叶えたい願いがあるんです。弟ミールを機械病から救う為に!」 突然泣き出したノールは、周囲を気にせずに叫びながら目の前の死体を木に釘付けにしている日本刀を抜き去ると、落ちていた鞘に収めて腰に差して回収していった。 「僕はレオくんのように剣術に長けているわけではないけれど、この刀は僕が使わせてもらいますね。 クルスとの話や影の男の話を考えると、信じにくいけれど異世界の人間を集めたというのもありえる。 あぁ! 神は僕に試練を与えたのだ! 僕の大切な人を失わないために他者を犠牲とする修羅になれと!」 誰に聞かれた訳でもない、ノールはただ純粋に己の願いを垂れ流しているのだ。 口にすることで相手から許しを得たいのかもしれない。鬼となるために傷ついていく自らの心を癒したいのかもしれない。 その贖罪にも似た叫びを聞いているのは森の木々たちと、その場に残された死体がひとつ。 本来ならばノールの独白を聞くものはいない。 そう本来ならば―― ◇ ◇ ◇ 少年が一人森の中を歩く。 否よく見ると少年は一人ではない。背後にプカプカと浮かんでいる物体がある。 ポニーテールのように長く伸びた頭。愛くるしい瞳。そして何かを拝んでいるかのように両腕を胸の前で合わせている、人形が一体。 さらに足元を見ると、緑を基調としてドレスを身に纏い、腰まである柔らかそうな長髪を携えてちょこちょこと歩く女の子が一人。 防人シオとその護神像アールマティ、そして薔薇乙女人形の翠星石である。 「究極の少女……すか。機械の神様みたいなものすかね。翠星石もなれるといいすね」 「だーかーらー翠星石は機械人形じゃねーって何回言ったらわかるですか!! この“もれ人間”!!」 「もっもれ人間ってもしかしてもれのことすか?」 「お前なんか「もれもれ」うるさいから“もれ人間”で充分です」 「ひどいっすよ…まぁいいすけど。 それより行き先はこっちでいいすかね?」 「砂漠に向かうなんて嫌に決まってるですぅ。間接に砂が入ったら大変ですぅー! ドレスが汚れるのも嫌ですぅー」 シオはこの世界で知っている者の名は3名。 同じ防人仲間のレオ、ノール、そして父の友人であり、医者であり…最後の防人だったヨキ先生の三人である。 レオと早く合流はしたいけれど、レオなら一人でも大丈夫だろうと思う。 目の前の機械人形は口では強がって元気な姿を見せてくれているけれど、会話の端々でどこか寂しそうな、哀しそうな表情を見せる。 あの表情が織り成す感情を自分はよく知っている。父を亡くしたときの自分と同じだ。 胸が苦しくなって、どうしようもないくらい涙が溢れてきて、今までの自分の世界が壊れてしまうことが怖い。 この状態の翠星石の意向を無視して砂漠に向かうなど、防人として皆を護ると決めた己の信念に反する。 シオが行き先を変えて中央市街地を目指すことは当然の結果だった。 (もれ人間はジュンみたいに良いやつなのかもしれんです。だが、油断は出来ねーです。 翠星石は知っているです。人間が自らの欲望のためなら他者の犠牲を厭わない連中であるということを。 そういう欲望を持った人間のせいで蒼星石は……) 姉妹といえば、先程確認した名簿で知っている名前は自身を含めて6つ。もちろん全員が薔薇乙女人形だ。 影人間が言っていた言葉を頭の中で繰り返す。 ――友人との約束を守る為に戦う者、平和な世界を望む者、究極の少女を目指す者、自身の運――… 『究極の少女』 たしかにあの男は口にした。私達姉妹の宿願であるその目的を。 そしてさらに続けて影人間はこうも言っていた。 ――『戦え、我が子らよ! 戦わなければ“願い”は叶わない!!!』 『我が子』 あの思い出すだけで汚らわしいあの男が、親愛なるお父様なわけがない。絶対に違う……と思いたい。 だが、お父様の関係者なら? 私達薔薇乙女人形はそもそもお父様一人によって作られたのか? あの男がお父様の協力者である可能性は本当に無いのか? 翠星石の頭の中でいくつもの疑問と可能性が湧き出ては消えるを繰り返す。 影人間のことは後回しにするとしても、もう一つ別の大きな疑問が残る。 そもそも、この戦いとアリスゲームは別個のものなのか、それとも平行して行われているものなのか、だ。 アリスゲームを行っている薔薇乙女人形は全部で“7体”である。 そして、このバトルロワイアルと呼ばれた戦いに参加している名前は“6体”である。 『水銀燈』『金糸雀』『翠星石』『蒼星石』『真紅』『雛苺』 ここまでは自分はよく知っている。全員が同じ時代で会合した機会は少ないが、それでも互いに姉妹だと認識している。 究極の少女になるには姉妹全員分、つまり7つのローザミスティカを集めろと、互いに戦い奪い合えとお父様は言った。 もし、この会場でのバトルロワイアルというのが、早く究極の少女に会いたいと焦ったお父様が影人間を使って開幕したものだとしたらこの参加者の中に未だ見ぬ最後の姉妹がいるのでは無いか? だが、名簿だけではやはりわからない。真紅たちと相談してみるしかない。 今のところ信用できるのは真紅とチビ苺、そして…………蒼星石だ。 例え自分たちを壊そうと水銀燈と手を組んだことがあっても、双子の姉妹だから、ずっと一緒にいたから信じたい。 もれ人間は、完全には信用できない。何故なら、この会場に集められたのは人間の中でも特に欲望の強いやつらを集めているのだから。 きっと、どいつもこいつも本性は蒼星石を人質にとった悪い人間と同じに決まっているです。翠星石は騙されないです。 ◇ ◇ ◇ 二人は簡単な自己紹介のあと、シオが一方的に話しかけるという形で会話?をしながら歩いていた。 シオの一方的な会話は闇よりの来訪者によって中断させられる。 夜の闇を切り裂いて現れた大柄な男。 翠星石はそっと物陰に隠れたその瞬間、男の眉がピクリと動いた気がした。 護神像の姿は見えない。防人ではないのは確かだ。 だが、防人としてのシオの本能が警戒信号を最大限に鳴らす。 「……もれは防人のシオと言います。あなたはどちらさまで?」 「シグドラ右頭、旅人のチャンだ」 「……チャンさんすか。どうぞヨロポコ」 シオは不穏な空気を感じながらも挨拶をするが返答はない。代わりにと返ってきたのは挨拶ではなく、男からの独白に近い質問。 「今度は少年か。その後ろに佇むのは魔物か? 幻界にいた頃よりも楽しめそうだ。あの影の男には感謝しないとな」 「魔物? アールマティは護神像といってもれの友達すよ。チャンさん、貴方も戦う気ですか?」 男から感じる禍々しい雰囲気。無言の肯定。 無駄だとわかっていても尋ねたかった。戦わないですむのがシオの願いなのだから。 しかし、戦うことでしか、この男を止める手段は無いのだ。ならば、シオも譲れない自分の“願い”のために戦う。 「翠星石はそのまま隠れているす! アールマティ!!」 シオの掛け声と共に護神像アールマティが体を覆っていく。大きな口を模した左腕を携えて、防人シオの戦闘形態完成である。 「やはり…ブックと同じだな。シグドラ時代より楽しめそうだ」 チャンは不適に笑うと、拳を握り構えた 睨み会う両者。 互いに受け入れられない願いを内に秘め、戦うことでしか決着をつけることはできない。 戦いを求め、他者を傷つけることに快楽を見出す男と戦いを止めたくて、他者を護るために戦い続ける少年。 両者が同時に地を蹴る。 シオの繰り出した右腕とチャンの右腕が激突し、その衝撃の余波で木の葉が舞い落ちる。 幾度とぶつかり合う両者。素人目には互角の戦いを繰り広げている。 しかし、実際は違う。 シオの攻撃はチャンによって的確に受け流されている。 対するチャンの攻撃はというと脚部、腹部、下顎と合体していても脆い部分を寸分違わずに突いてくる。 アールマティは護神像の中でも非常に硬い。それを数回の激突で見切ったチャンの恐るべき格闘センス。 さらに、シオに当てられる一撃一撃がまるで親が子供を叱るときの様な威力の弱い打撃。 戦いを長く楽しむために、遊んでいるのだ。 (この人生身なのにやっぱり……強いす!) このままじゃジリ貧だ、とばかりにシオは大きくバックステップをする。 そのまま背面にある木の幹に着地すると、ジャンプの要領で再度飛び掛る。 左腕を大きく振りかぶりながらチャンに向かっていく。 (ふっ、勢いをちょっと増しただけの拳などで対抗しようとは、芸が無いな、甘いぞ少年) 振りかざされた拳を横に受け流し、勢いそのままに懐に侵入、顎骨を砕いて終わりだな、あっけない幕切れだ…… しかし、チャンの思惑ははずれる。迫り来るシオの左腕が大きく口を開けて襲ってきたのだ。 「食っ!!」 左腕の口のラッシュがチャンを襲う。先程まで以上のスピードでのラッシュを前にさすがに捌ききれずチャンの体を痛めつける。 今までは片手で捌きながら、もう片方の手で攻撃をしていたがそれでは追いつかない。 先程とは打って変わってシオが攻勢になる。シオの左腕がチャンの衣服を、その下にある肉を少しずつだが捉えていく。 ニヤァァリ 異様。激しいラッシュに襲われながら微笑んだのだ。まるで、相手の力が予想以上に強大だったことを純粋に喜ぶかのように。 左腕のラッシュの隙間からのその異様な表情を見たシオは一瞬躊躇ってしまう。 その隙をチャンが見逃すはずもなく、腹部に強烈な蹴りを入れて引き剥がす。 「いいぞ、楽しいぞ少年! シグドラにいた頃では満たされなかった我が“願い”が満たされていくようだ!」 「もれは…もれの“願い”は出来るなら戦いたくないす。争えば誰かが傷つくすよ!? そんなの耐えられないす!」 「……ほう、戦いたくないか。では、こうしたらどうなるかな?」 突如今まで対峙していたチャンが攻撃の矛先を自分とは異なる方向に繰り出した。 何を狙っているのだ。余波による間接攻撃だろうか。 いや、それなら直接攻撃をした方が効果が高いのは短い戦闘でシオ自身が体験しているためありえない。 いや、待てよ。 チャンの矛先は確か―― ここまでの思考は一瞬。そして防人としての本質か、それともシオ自身の意思によるものか。それがどちらだったのかはわからない。 ただ守りたい。護りたいと思ったら既に動いていたのだ。 轟ッ!! 爆音と砂煙が辺りに広がる。 チャンの渾身の右拳がシオの背中を捉えた。 砂煙と一緒にパラパラと護神像との合体で作られた装甲の一部が崩れ去っていく。まるでシオの今後の人生そのものが崩れ去るかのように… 護神像の硬い装甲をも打ち抜くその一撃はシオの肋骨や内臓にまで深いダメージを与える。 叫び、暴れたいくらいに痛い。 けれど、この少女にはその姿は見せられない。笑え。笑うんだ、シオ。とーちゃんのように。 「大…丈夫す…か? は、…やく逃げ…るす。姉妹を探すんで、すよね」 その姿は、彼の尊敬する父親のアルの最後の姿と重なるものであった。 シオがその身を挺して護った少女は、震えながら、泣きそうになりながらこちらの顔を見ると駆け出していった。 その姿を見て、シオは純粋に良かったと思った。 ううぅ……翠星石は無事に逃げられたですかね。お腹がとっても痛いす… この人はここで自分が止めなきゃ… ここにいる翠星石の姉妹たちをも巻き込むだろう。 あんなに怯えて、怖がっていたあの機械の少女をこれ以上悲しませるわけにはいかない。 だってもれは防人なのだから!! 「アールマティ!! 特攻形だ!!」 シオの体を包んでいた護神像を突き出したその右腕に全て集まっていく。 全身を護る形で合体する護神像を一箇所に全て集めることにより、通常の何倍もの突進力を得る防人の最終奥義だ。 無論、集められた箇所以外は無防備になる諸刃の剣であるが。 シオのその姿を見たチャンは満足気味に微笑む。元来チャンは先程のような戦法を取るような男では無い。 まるでシオの戦いたくない心のリミッターを外しせば、こうなることがわかっていたかのように 「かかって来い、少年よ。ここで俺を止めねば、優勝したら少年の世界も全て戦場にしまうぞ?」 チャンが体を半身にして、左腕を頭上に、右腕を腰に構える。周囲の空気が両者を中心に二つの大きな渦を作る。 「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!」 「はあああああぁぁぁぁぁ!!」 防人と旅人 交わるはずの無い屈強の戦士の拳が、激突する。 ◇ ◇ ◇ 両者の繰り出した拳のエネルギーは拮抗している。激突箇所だけ抜き取ってみた場合は、だ。 シオは先程、翠星石を庇って受けたダメージが大きく、さらにぶつかり合う衝撃破で護神像に覆われていない部分がドンドン傷ついていく。 対してチャンは、シオとの攻防で少々のダメージを負ったものの動きにほとんど支障は無い。 「ッ…………!!」 「どうした。そんなんじゃ腹の足しにもならんぞッ!」 も…もう駄目です。もれは… ――おい、シオ。もう諦めるのか? この声は…まさか……!? ――おいおい、俺の自慢の息子はこんなに柔なやつだったのか? とーちゃんすか!! うは、最後の元気が出てきたすよ! とーちゃん見ててください! これがとーちゃんから引き継いだ、防人シオの最後の意地すよ!! 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「くっ…!」 二人の思いが交差する。 ◇ ◇ ◇ 「ふん…。防人シオか。中々楽しめたぞ。」 勝負の女神はチャンに微笑んだ。 倒れている少年をにチラリと目をやると、もう興味は無いとばかりにその場を去っていった。 「旅人ではなく防人……か。こんな素晴らしいパーティーに招待してもらったんだ。精々楽しませてもらおうか」 男は高笑いを続けながら深夜の森の徘徊を続ける。 男が求める“願い”は優勝した『結果』では無く、その『過程』なのだ。 両者の願いは対極に存在するものであり、共存は神の力をもってしても不可能である。 戦いを無くしたいというシオの“願い”はチャンの永遠の闘争を求める“願い”の前に敗北した。 【F-5/森林/一日目・黎明】 【チャン@ブレイブ・ストーリー~新説~】 [状態]:所々衣服が破れて裂傷有り 疲労中 [装備]:八卦鏡(フォーチュンテリング・ミラー)@ブレイブ・ストーリー~新説~ [道具]:基本支給品、不明支給品×1 [思考・状況] 基本行動方針:戦いを求める。 1:次の戦場を探す。 2:旅人、防人以外の自分を満足させられる奴は積極的に狙う。 [備考] ※チャンの裂傷は特に止血はしていません。 ※チャンが翠星石の後を追ったのか、別の方向に向かったのかは不明です。後の書き手にお任せします 激闘のすえ、敗者として戦場跡に残されたシオ。 自分の体がどんどん冷えていくのがわかる。先程まで痛くてしょうがなかったはずなのに、今では何も感じない。 あぁ自分は死ぬのだ、とシオは理解していた。 (とーちゃん、もれ防人として頑張れたすかね? とーちゃんが最後にいってくれた戦わない世界のために戦う もれには最後まで達成できなかったすけど、誰かを護るためには戦えました。翠星石が無事に姉妹と会えるように一緒にお祈りしてください 神様やレオ、フランはどうなってるすかね。ヨキ先生が最後の防人らしいすけど、レオならきっともれの代わりに何とかしてくれるすよね。 頼むすよ、レオ…) このまま静かに息を引き取りたい。しかし、自分には最後にどうしてもやらなければならないことがある。 それはここが世界(ワークワーク)では無かったとしても受け継いでいかなければならないもの。 「……あ、アール、ま…ぃ……も…れを」 グワッ…! 先程までの愛らしい人形の様に彼の背後に佇み、シオを、いや、シオの願いを護るために存在していた護神像アールマティ その口が大きく開き、シオの頭に齧り付く。比喩でも何でもない。文字通りシオを食べているのだ。 ばりぼりぼりぼりばり 【シオ@waqwaq 死亡確認】 【残り48名】 [備考] ※護神像アールマティ、シオの基本支給品、不明支給品×1はF-5のどこかに放置されています。 ※最初に現れた人をアールマティが次の防人と判断するかは不明です ※シオの死体はアールマティが食べたため存在しません。首輪の所在は不明です。 ※周囲にシオの血が散乱している可能性があります。 ◇ ◇ ◇ 翠星石は夜道を駆ける。普段は鞄を使って飛行しているためその足取りはおぼつかない。 それでも彼女は走り続ける。その顔が浮かべる表情は自責と恐怖。 「すっ翠星石は…わっ悪くねーですぅ……」 その言葉は誰に向けた言葉なのか、この場で聞くことの出来る唯一の本人はその言葉を頭に残すことなく、霧散した。 未来の彼女自身の言葉を借りよう。 ――言葉にできる寂しさは誰かが慰めてくれます。言葉にしない悲しみは自分で乗り越えていくしかないのです 逃げながら声に出したということは、誰かに慰めてほしい、という自己弁護の現われなのかもしれない。 だが、この場に彼女を優しく慰めてくれる少年は―― 「機械も…参加者なの?」 またも突然人間が現れた。 刀を回収して更に周囲を探索していたノールは、爆音を耳にして、音のした方へと足を進めているところへの遭遇だった。 争いは本当は死ぬほど嫌いなノールだが、譲れない願いのため――弟、ミールのために心を鬼にして戦うと決めた。 そんな彼が遭遇したのは、彼と同じく自分の姉妹の身を案じている、怯えた小さな、人形だった 「ひぃっ……! ちっ近寄るなですぅ、つの人間!」 【F-5/森林/一日目・黎明】 【翠星石@ローゼンメイデン】 [状態]:疲労小、精神的に不安定、若干の人間不信? [装備]:庭師の如雨露@ローゼンメイデン [道具]:基本支給品、不明支給品×1~2 [思考・状況] 基本行動方針: 蒼星石達とは戦わないで済む方法が欲しい 1:目の前の人間から逃げたい 2:真紅、雛苺…蒼星石に会いたい。この際金糸雀でも構わない。 3:最後の姉妹がいるかもしれない… 4:もれ人間…… [備考] ※参戦時期は蒼星石の死亡前です ※waqwaqの世界観を知りました。シオの主観での話なので、詳しい内容は不明です 【ノール@waqwaq】 [状態]:健康 [装備]:ハルワタート@waqwaq、由乃の日本刀@未来日記 [道具]:基本支給品、不明支給品0~1 [思考・状況] 基本行動方針:優勝狙い、ただしなるべく大人しくする 1:目の前の機械?をどうするか決める 2:バトルロワイアル……何て業が深いのだろう! 3:とりあえず言われたとおり川近辺を見まわる [備考] ※ハルワタートに充分な水が補給されました。 ◇ ◇ ◇ シオとチャンとの死闘に決着が付く頃、ノールに日本刀が抜かれたことにより再生していた胸の傷が完治し、薬師寺天膳が目覚めた。 「ぬぅ、あの南蛮渡来の男。意外に出来るな。 先程は様子見の上段斬りだったが、それをあっさりと打ち破るとは」 薬師寺天膳は不死の忍者である。不死であるということは防御の必要が無く、故に慢心の塊のような男に成った。 誰かが言った。勝負とは最後に立っていたものが勝者である。過程や方法など関係無い、と。 この言葉は勝負の本質を捉えたものでは無いが、その性質の一面を表していることは確かだ。 この言葉通りなら、この会場で薬師寺天膳が勝者になる可能性は高い。主催者の手によって嵌められた首輪が無ければの話だが 本人がこの致命的な制限に気付くことは、恐らく無いだろう…… 「下賤の者が有する力とは思えん。もしや、何らかの忍術か? 朧の破幻の瞳ならあの男の力を封じられるのかもしれん。やはり早く朧を回収せねばなるまい」 「刀は持っていかれたか。あの男、異世界だと抜かしておったな。馬鹿馬鹿しい。 まぁあの奇妙な格好の男も次に会ったなら、刀を奪われたお礼をしなくてはいけないな」 ニヤリと悪どい微笑を浮かべる天膳。 彼は何百年と不死の体と付き合ってきたのだ。一度や二度殺されたくらいで彼の慢心は直らない。 それが吉とでるか凶とでるか。 【F-5/森林/一日目・黎明】 【薬師寺天膳@バジリスク~甲賀忍法帖~】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品、不明支給品×1~2 [思考・状況] 基本行動方針:邪魔者を皆殺しにした後、主催者を殺す。 1:さて、どこに向かおうか 2:朧や使えそうな手駒を見付ける 3:機械? 異世界? 馬鹿馬鹿しい 4:チャン、ノール(名前は知らない)を見つけたら殺す。 [備考] ※薬師寺天膳の向かった方向は不明です。後の書き手にお任せします。 ※ノールの独白を天膳は聞いています。 銃の重さ、引き金の軽さ、理想の儚さ 投下順 老後の楽しみ CONTRACT 時系列順 未来日記 見ない日記 意味ない日記 Marked For Death チャン 虚者/強者 薬師寺天膳 側に立ち、防るもの A Boy(?)Meets A Girl(?) シオ GAME OVER 翠星石 側に立ち、防るもの 4と6 ~バトルロワイアル同盟~ 来須圭悟 側に立ち、防るもの ノール 側に立ち、防るもの
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ムスカリ ◆CFbjQX2oDg 【ムスカリ】 ユリ化ムスカリ属の植物の総称 地中海沿岸が分布の中心で50~60種ある。 近年一般家庭の園芸植物として栽培される人気品種となっている。 花言葉は『寛大なる愛』『明るい未来』『通じ合う心』 ◆ 大小様々な岩が地面から顔を覗かせているF-1の荒野地帯。 一切の人為的な建築物は存在しないこの場で二人の女性がにらみ合っている。 二人の様子を満天の星空に浮かぶ大きな満月だけが覗いていた。 「私の名前は美神愛よ。貴女は?」 「……ヒミコ。名簿にはその名で載っているわ」 美神愛と名乗る女が両手を上げながら距離をゆっくりと詰めながら話をきりだす。 女は袖の無いシャツに手袋、そしてズボンという軽装だ。 どこかのポケットにBIMを隠している様子もない。 「ヒミコさんね。どうかしら、私と手を組まない?」 「言っている意味がわからない。何が狙いなの?」 「あら、深い意味は無いわよ。名簿を見たでしょ? ただ少ない女性同士で協力しましょうってことね。あなた一人で全員殺してまわるつもりなの?」 「……ッ。お前と一緒にするな。私は極力殺す気なんて無いわ。きっと脱出の手段があるはずよ」 「誤解しないで。私だって人を殺すつもりは無いわよ。あくまで自己防衛の範囲内で行動するつもりよ。 脱出ねぇ。そう簡単に出来るとは思えないけど……。脱出の目処が立つまででも構わないわ。 この会場に仲間がいるならその人に会えるまででもいいわ」 (この女、本当に同行者を探しているだけなのか?) 「もちろん無理にとは言わないわ。ただ、夜道に女の一人歩きは色々と危険じゃない? そう思ってあなたに声をかけたの」 危険。 その言葉がヒミコの頭の中で反響する。 女性にとってそれは殺されるかもしれない、というだけではない。 最悪の場合、死ぬよりも辛い地獄に落ちる。 このバトル・ロワイアルで叶えたいというそれとは別の欲望の捌け口。 ヒミコの脳裏に真っ先に浮かんだのは醜悪で執拗に自らの身体を穢そうとした、男の姿だった。 それは、あの明智という男のように それは、吉岡先輩たちのように 男と馴れ合うのは嫌だ。 男に穢されるぐらいなら死んだほうがマシだとも思う。 ――アリサ、ユキ、ミホ アタシが皆をひどい目に合わせたんだ。 アタシが誘わなければ皆穢れることもなかったんだ。 アタシが殺し合いの舞台にいるのも当然の報いなんだ。 でも、卑怯でごめんね…… アタシはやっぱり、出来る限り死にたくないよぉ…… ごめんね…… 「いいわ。あなたと手を組むわ」 「交渉成立ね。よろしくね、ヒミコさん」 ◇ 「名簿の見知った名前は坂本竜太に平清ね。思ったより少ないわね」 他の参加者に見つかりにくいように適当な岩陰に隠れて情報交換をすることにした。 ランタンの明かりを点けようとしたが、他の参加者に見つかると危険だということで、月明かりを頼りに名簿を確認する。 互いの知人の名前をそれぞれの取り出した名簿に印をつけていく。 粗方の知り合いの情報を交換した後、支給品の話へと移る。 「私に支給されたのはこの通話も出来ない携帯電話とスタンガンの2つよ。携帯の方は電波なんかあるはずもないし、ハズレってやつね つまり、今私たちの身を守れるものはヒミコの持っている果物ナイフとBIMってやつだけね。頼りにしているわよ」 スタンガンも悪くは無いのだが、付随した説明書によると一度使用すると電力が減り威力が低下するそうだ。 一度試しに使ったあとに説明書に気づいたため、威力は大分落ちている。 時間が経つと充電されるみたいだが、いざという時に頼るには心許ない。 さりげなく美神愛のリュックの中身を確認したが、携帯とスタンガン以外の支給品が無く安堵する。 彼女は武器となるものを隠し持ったりせず、全て見せてくれている。 それだけで少しだけ心が軽くなったような気がした。 「そうみたいね。それで、これからどこに行くの?」 「中央に行けば人はたくさんいるだろうけれど、その分危ない人も多そうね。地図の外側の施設を順に回っていくってのはどうかしら?」 施設をまわるか。BTOOOMでも初めてのフィールドをプレイする際の基本的戦術と言えるだろう。 たしかに記載された施設には目印になるし、それだけ多くの人間が集まるだろう。 施設の全容を先に把握しておくことが、それだけで自らの生存確率を高める。 自らの力に自信のあるプレイヤーは密度が高くなる中央の施設に行き、ガンガン戦闘していく。 逆に非力なプレイヤーは外側の施設から巡っていく。 偵察は外側からというのは悪くないわね。 「それでいいわよ」 「とりあえず、多分あの遠くに見えるのが水上コロシアムってところだから、そっちに行きましょう。 何か私の武器の代わりになるものが拾えるかもしれないし、それに、シャワーとかもついているかも」 そう言いながら美神愛は初めて笑顔を見せた。暗がりだからよく見えないがきっと頬も赤く染まっているだろう。 「くすっ」 「何よ~。あなただってシャワーくらい浴びたいでしょ? 汗を掻いたままじゃ嫌じゃない。女はいつだって美しくなくっちゃね」 そういっておどけて見せる彼女が年上のはずなのに、どこか可愛らしく見えた。 懐かしい。“あの事件”が起こる前は毎日教室で当たり前のように友人としていた会話だ。 男の汚い欲望も、殺人も、何も無い。平穏な日常に少しだけ戻れたような気がした。 「よーし、そうと決まったら早く準備していくわよ~。ヒミコも早く荷物をまとめなさい」 美神愛は話を切り上げると、自分の荷物をまとめていく。 後を追うように私も広げた荷物をリュックに再度詰めていく。 「ヒミコ! こっちよ!」 しかし、それは美神愛の小さな叫びと共に中断させられ 荷物を残したまま私の身体は月明かりがほとんど入らない岩陰まで連れて行かれた。 「どうしたの一体? まさか誰か来たの?」 「えぇ。突然引っ張ってごめんなさい。あの岩の陰から男が覗いていたのよ」 男。 その一言で現実に一気に引き戻される。 この場は決して日常なんかじゃない。 法も秩序も存在しない。 己の欲望に忠実になった人間たちの巣窟なのだ。 男が覗いていた。私たちの身体を見ていた。 頭の中で何度も穢し、現実でも穢そうとしていた。 男なんて皆一緒だ。 女をそういう目でしか見ない下種。 そんな男に襲われるくらいなら そんな男に穢されるくらいなら ――私が殺す しまった。武器となるべくものがあの場に放置したままだ。 取りに行かなければ対抗できない。 「待ってて、愛さん。あの岩の陰ですよね。絶対に男の思い通りになんかさせませんから」 「わざわざ取りに行く必要なんて無いわよ。だって――」 このまま逃げろって言うんですか? と言おうとしたが、それは叶わなかった。 「かはっ……ぐぇ……」 ――――男がいるなんて嘘なんだから。 ヒミコの首に紐のような何かが巻かれる。 そのまま背負い投げの要領で長身の美神愛の背に乗る。 いくら足をじたばたさせたところで無残に空を蹴るばかり。 首を締め付けるものをどうにかしようと爪で引っかいても、自分で自分の喉を掻き毟るだけだ。 細い紐に全体重を掛けているのに一向に千切れる気配は無い。 目から 鼻から 口から あらゆる体液が溢れ出し、ヒミコの美しかった顔を飾っていく。 剥き出したその青い瞳にうつるものは 突然の起こったことへの戸惑いか 裏切った相手への憎しみか 己の責任で友を穢してしまったことへの贖罪か 自らの生への執着か それとも 電脳世界という架空の繋がりのために 現実で自分を救ってくれた英雄(ヒーロー)への秘めた思いか もがき続けたその腕が、重力への抵抗を無くしダラリと垂れ下がる。 動かなくなってからしばらくして、その身体ごと地に落とす。 死者は何も語らない。 ――さようなら、ヒミコ 物言わぬ死体となったヒミコの荷物から使えそうな物を回収して一息つく。 投げナイフで刺した時とは違う。私自身の手に直接相手の死が伝わってくる。 思っていたよりもずっと不快だ。 だけど、この気持ちを飲み込むしかない。 デウスの定めたゲーム同様にこの戦いは他者を蹴落とすことで、自らの願いを叶えるのだから。 きっとマルは根が優しいから桜見タワーで親に捨てられた私や、1stのような参加者がいたら この殺し合いの場でも関係なくおせっかいを焼いているに違いないわ。 まったく、『母の里』にいたときからずっとそうだったわ。親の愛情に飢えている子に弱いのよね。 まぁ、そういうところが好きになったのだけどね。 でも、マルと私の願いを叶えるためにはここにいる参加者を全員殺す必要がある。 だから私は、マルの分も殺していかないとね。 しかしここは一体どこなのだろう。 さくら市とは全然違う見たことも聞いたこともない場所だ。 最初に集められた小部屋の扉からワープしてきた。 あの感覚は因果律大聖堂に入ったときにによく似ている。 鏡に映ったデウスでもムルムルでも無い第3の存在。 あの影の男は一体…… マルと私の永遠の愛さえ約束してくれるのなら、デウスだろうと何だろうと構わないわね。 荷物をひとつに纏めたあと、日記を確認してみる。 交換日記にはやはり変化は無い。マルはまだ近くにいないみたいだ。 続けて逆ナン日記を見てみる。こちらは何か更新されている。 ############# ヨキ(?) 評価[★★★★★] 場所[F-1周辺] 空から登場。 中性的な顔立ちの美形。 色々と物知りな様子。 イケメンで知的なんて素敵。 ############# 「…………空?」 まさか月よりの使者とでも言うつもりか。 思わず夜空を見上げる。 空一面に星が広がっている。十五夜のようにくっきりとした大きな満月が浮かんでいる。 そこに浮かび上がる人影。 「本当に空から来るとはね。物知りねぇ。良い情報を持ってそうだわ」 飛来する賢者との出会いはどんな未来を描くのか ◆ 男によって奈落の底まで落とされた女は 奇しくも 男によって最高まで引き上げられた女によって殺された。 【ムスカリ】 ユリ化ムスカリ属の植物の総称 花言葉は『寛大なる愛』『明るい未来』『通じ合う心』 そして『失意』『失望』 【ヒミコ@BTOOOM! 死亡確認】 【残り46名】 [備考] ヒミコの手にレーダーがついたままです。 ちょっといじれば簡単にとれます。レーダーとしての機能が生きているかは不明。 【F-1/荒野/黎明】 【美神愛@未来日記】 [状態]:健康 [装備]:夜叉丸の糸@バジリスク、スタンガン@BTOOOM!、BIM(タイマー型)@BTOOOM!(8/8) [道具]:基本支給品×2、交換日記のレプリカ、逆ナン日記のレプリカ、手鏡、果物ナイフ [思考・状況] 基本行動方針:マルコと合流し二人で生き残る 1 現れた男(ヨキ)の情報がほしい 2 マルコが気になる ※参戦時期はマルコと結婚式をあげた後 ※坂本竜太、平清の容姿、BIMの使い方について知りました 【ヨキ@waqwaq】 [状態]:疲労(小) [装備]:スプンタ・マンユ@waqwaq、首輪探知機@オリジナル [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:優勝して赤き血の神を抹殺する 1:地上にいる女(美神愛)との接触 [支給品紹介] 夜叉丸の糸@バジリスク~甲賀忍法帳~ 伊賀鍔隠れ十人衆の一人、夜叉丸の愛用する糸。 女の髪を編込んで、特殊な油で丹念にコーティングした強靭な糸 一般人は強靭な糸としてしか使えないが、扱いに長けた者が使えば刀さえも切り刻むほど。 両手の手袋にある程度の長さが巻きついた状態で支給。 嫌味な”闇” 投下順 Not Enhanced Empowered and Tactic 獅子と乙女、繋ぐは血と星 時系列順 Not Enhanced Empowered and Tactic 403 Forbidden ヒミコ GAME OVER 美神愛 乞い願う利益者 GUNS SAW HANDS ヨキ
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【名前】ファルシータ・フォーセット 【出典】シンフォニック=レイン 【種族】人間 【性別】女性 【声優】浅野真澄 【外見】 【性格】 元生徒会会長で音楽学院声楽科に在籍する17歳(3年生)の女の子。おしとやかで誰にでも優しい優等生。だが、その本性は… 【備考】 名前はイタリア語から付けられた。 スペルはFalsita Fawcett 以下、ギャルゲ・ロワイアル2ndにおけるネタバレを含む +開示する ファルシータ・フォーセットの本ロワにおける動向 027 持ち前の嘘を用いて誠を信頼させ、更にこのみを脅迫して銃を奪う 034 誠を人形化しようとしたが、真を追いかけてどこかへ行ってしまう 仕方ないので娼館へ向かい、NYP使いの渚の人形化を計画中 060 ドライが襲撃してきたので、誠を見捨てて教会へ逃亡 083 渚を言葉責めするも、突き飛ばされて気絶してしまう 091 記憶喪失になってしまう 144 死体(岡崎)の首を切断し首輪を奪う 初登場話 027 幸せになる為に 登場話数 9話 スタンス 記憶喪失 現在状況 144 瓦礫の聖堂時点 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 伊藤誠 警戒 誠さん 記憶喪失で忘却 027 [幸せになる為に]] 柚原このみ 利用 このみさん 銃を奪う。記憶喪失で忘却 027 [幸せになる為に]] 古河渚 利用 渚さん 人形化を試みる。記憶喪失で忘却 060 [見上げた虚空に堕ちていく]] 最終状態 【E-3 大聖堂/一日目 日中】 【ファルシータ・フォーセット@シンフォニック=レイン】 【装備:包丁(少々刃毀れしています、返り血は拭き取ってあります)、デッキブラシ、イリヤの服とコート@Fate/stay night[Realta Nua]】 【所持品:リュックサック、救急箱、その他色々な日用品、ピオーヴァ音楽学院の制服(スカートがさけている)@シンフォニック=レイン 首輪(岡崎朋也に嵌められていたもの)】 【状態:重度の記憶喪失(僅かだが記憶が戻り始めている)、頭に包帯、体力疲労(中)、精神的疲労(中)、後頭部出血(処置済み)、空腹】 【思考・行動】 基本:他者を利用してでも絶対に生き延びる。自分の記憶を取り戻したい パパとママと恋人を探したい 0:他者を利用してでも、自身の生存を最優先する。 1:まずは他者と接触して、自身が置かれている状況や、首輪についての情報を入手する。 2:首輪を外せる人間を探す。 3:男性との接触は避けたいが、必要とあれば我慢する 4:パパやママ、恋人を探し出す 【備考】 ※ファルの登場時期は、ファルエンド後からです。 ※頭を強く打った衝撃で目が覚める前の記憶を失ってますが、徐々に思い出しつつあります。 ※当然バトルロワイアルに参加していること自体忘れてます。 ※教会に倒れていたこととスカートが裂けてたことから、記憶を失う前は男性に乱暴されてたと思ってます。 踏破地域 1 2 3 4 5 6 7 8 A■■■■■■■■ B□■■■■■■■ C■□■■■■■■ D■□■■■■■■ E■■□■■■■■ F■■■■■■■■ G■■■■■■■■ H■■■■■■■■
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バトルロワイアル~まったり(?)実況プレイ ◆WWhm8QVzK6 (登録タグ) パロロワ[ 百 ] ニコニコ動画バトルロワイアルβ ブロントさん 囲炉裏 ……あ、ありのまま起こったことを話すぜ。 『目が覚めたら見知らぬ場所に誘拐されていて殺し合いをしろと言われた』 何を言ってるのかわからねーと思うが俺自身もさっぱりわからねえ……頭がどうにかなりそうだ…… とにかく何がなんだかよく分からない意味不明な物の片鱗を味わったぜ…… ところでなんだかさっきと別の場所にいるみたいなんだけど……どこよ? 周りを見てもさっきまでいた奴らは誰もいないみたいだ。いるのは俺一人だけ…… そうかそうか、これはきっと夢なんだ。こうやって何もしないでおけば勝手に目が覚めるはず―――――― ……… ………… ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ――――――――――――――――― 「あれ、夢オチは?」 夢じゃないのかよチクショウッ! いや、わかってるけどさ。だって感覚が生々しすぎるし。目もありえないほど冴えてるし。 つまりこれは現実で、今俺はここにいて、バトルロワイアルなんてものに呼ばれて、そして…… 「オエッ……ゲホッ!ゲホッ……」 つまり、さっきあの誰だか知らない態度のでかい人が死んだのも現実で。 やば、思い出したら吐き気してきた。 それにしてもよくあの場で吐かなかったな俺……やっぱり人間って唐突なことに反応できないのかな。 それにしても本当に誰もいないな……。 誰かに出会いたいことは出会いたいけど今はそんな気分じゃないな。 つーかここ見晴らし良すぎだろ……隠れるか。 というわけでとりあえず物陰に隠れて休憩することにした。 傍にカバンがあったからそれもとりあえず拾っておいた。これがきっと支給品なんだろうな。 ジッパーを開けて確認してみると、ちゃんとあいつが言ったとおりの物が入ってる。 食料と水。まるで避難食みたいだな、しかも少ないし。2日分しかないのか…… 方位磁針に時計に、地図。ここの地図かな。別の地図とか入ってたら破り捨ててるとこだけどw で、他には…… バッグの中を一通り確認した後、俺は腰のベルトに支給品にあったサバイバルナイフを結わえておいた。 やっぱりいざという時に何もないと困るし。そんないざという時なんて想像したくないけどさ。 「ハァ……」 なんで俺が呼ばれたの? こんな何処にでもいそうなただの社会人だよ? しかも映画のことをマジで実行する奴がいるなんて……。誰だか知らないけどこんなことをするなんてふざけてる。けど、あいつらに反抗するなんてとても出来ない……。 「『生き残れるのはたった一人だけ』……」 俺が?生き残れる?無理だろw体力もそんなにあるわけじゃないし。 第一人殺しとか出来るわけないじゃん。戦っても勝てないしそんな度胸ないし…… 「あり得ねえ。絶対あり得ない!無理じゃん!ふざけんなよ!なんで俺なんか呼んだんだよ……チクショウ……」 あー、なんか涙出てきた。 ごめん親父、母さん、じいちゃんもばあちゃんも。 他の皆もごめん。このまま死んでしまっても仕方ないよね。 でも、死にたくない。 そんな簡単に諦められるわけないじゃん?まだ100%無理って決まってないのに早々に諦めるのはどうかと思うんだよね。 せめて自分が出来ることだけでもやって最後まで足掻きたいよ。まあ逃げることくらいしか出来ないけどさ……。 よし、そうと決まったら戦う気のない人を探そう。 そしたらこっちの気も紛れるし。でもそういう人を見分けるのってどうやるんだろ? 映画みたいにヒャッハーって殺し合いに乗ってる人もいるわけだしさ。 まあくよくよ考えても仕方ないか。とりあえずここから動こう。……って、あれ?俺こんな服持ってたっけ? それに寝た時は寝巻き着てたはずなんだけどなあ。 「ん、まあいっか。よし、それじゃあ出発だ」 とりあえず近場にでも行ってみるか……もちろん慎重に行動しながらだけど。 ……何あれ?いや、誰? なんかファンタジーなコスプレをしていらっしゃる人がいるんですけどw うわ、こっち近づいてきた!しかも無表情だし!つーか手に何持ってるの?鉈?いや、ノコギリかよ! ああああああヤバイヤバイ今すぐ逃げないと殺されるって逃げないとハヤクハヤクハヤク でも足が動かないよ逃げられねえってマズイマズイマズイ………… ……俺、オワタ\(^о^)/ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 男の鎧は月明かりに照らされて鈍く輝いていた。 髪も例外ではなく、流れるような銀色の髪は鎧の色にも引けをとらない。 その髪の隙間から覗かせている耳は何故か尖っている。 現代人にしてみればコスプレにしか見えないその姿で、男は堂々と立っていた。 しかし囲炉裏の2メートル手前まで来たところで男は立ち止まった。 顔はなにやら無表情というか、怪訝な面持ちである。 男は何も言わない。 立っている以外の行動を起こさない。 (な……なんだ?と、とにかく何とかしないと) 囲炉裏は戸惑いながらも声をかけてみることにした。 「あ、あの……」 「何いきなり話かけて来てるわけ?」 「えっ?」 囲炉裏がビビったのは言うまでもない。 あまりにも唐突でぶしつけな態度に彼は少し苛立ちを覚えた。 対処をどうすべきかと考えようとしたがそのまま男は言葉を続けた。 「お前はここにいるということはこのゲームの参加者だな? だがしかしお前の姿はおれの足元にも及ばない貧弱一般人そのものにしか見えにい。 それなのに装備をしているとはどういう了見だ?」 僅かな時間両者の無言が続く。 (えーと……つまり俺の武器奪おうとしてるの?) 「だ、駄目です。僕だって死にたくないんですよ?」 「お前自分の立場わきまえてる?マジでかなぐり捨てンぞ?」 先程よりも高圧的な態度をとるコスプレ男に対して囲炉裏はかなりたじろいだ。 だがしかし、それで退くようなことはしなかった。 いや、退くに退けないのだ。なんだかもう後ろを見せれば今にも斬りかかられそうだったし、立ち向かうにしても彼には護身術の心得など全くない。 だからなんとかしてこの男の気を逸らす必要があった。 しかし囲炉裏がそんな事を考える前に男が語りだした。 「……あいつはたった一人生き残ることがこのゲームでの優勝――エンディング――だと言った」 「いきなり何を―――」 「だがそれはあくまでも正規のエンディング。一級廃人はそんなエンディングは望まない。 そしてストーリー的に考eてあいつが真のラスボスなのは確定的に明らか。故に―――――」 「??」 「―――――仲間を増やしてあいつらを打倒することで真のエンディングを迎えて俺はひっそりと リアルより充実したヴァナ生活を送る」 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ……? い、意味不明すぎるッ! やたらと装飾が多くて意味が取りにくいけどこいつが言いたいことは…… 「つまり……あいつを倒して全員でここから脱出するってこと?」 「飲み込みが早い奴は本能的に長寿タイプ」 合ってるってことか。まあ怒らせなければなんとかなりそうかなあ? 「俺のメンバーに加われば装備を没収することはない」 「別に構いませんけど……」 話が通じてないようで通じてるから困る。 とにかく自分は非力なんだから誰かに守ってもらわないと……待て。こいつが強いっていつ決まった? 「ところであなたはどれぐらい強いんですか?」 「お前馬鹿すぐる。ナイトが強いのは当然に決まってる。 黄金の鉄の塊で出来ているナイトが皮装備のジョブに遅れをとるはずが無い」 よくわからん。自分が強いってことを言いたいんだろうが何故にこうも不思議日本語を使用するんだろうかこの人は? 正直信用ならないけど俺を殺すつもりはないみたいだし、しばらく一緒に行動してもいいかもしれないな。 一人だと心細いしなぁ。やっぱりゲームのキャラみたいに一人じゃ動けないよ。 「というわけで今から拠点になるそうな場所を探す。 別に隠れ場所がほしいわけでないそういう卑怯な発想は忍者がすること」 「ところで……あなたの名前はなんて言うんですか?あ、僕の名前は――――――」 あれ? おかしいな。自分の名前が言えない。 忘れたわけじゃないぞ。頭にちゃんと思い浮かべられる。 でも口に出そうとしたら声が出ない……なんで? 「どうした?」 「あ、いや。囲炉裏です。僕の名前」 唐突に口をから出た名前。 それは本名じゃない。俺がよく使ってた名前だけどそれですらどこで使ってたかも思い出せない。 でもなんで、こっちの名前は出せて、本名が言えないんだ?わからん。なんかわからんことだらけだ。 そんなことを考えてると男が俺に向きなおった。 「あまり名乗るべきじゃないがメンバーの信頼のために名乗っておくと俺の名はBuront(ブロント)だ」 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ おまけ おれは普段どおり睡眠をとっていたところきょうきょバトルロwアイアルに参加させられるハメになった あまりの唐突さに思わず激しい怒りをナイトが包んだがなにやら貧弱一般人が「その首輪には爆弾がある」 と言ってきたのでそいつが爆弾を爆発させる気まんmあんなのは確定的に明らか ナイトは何もしないでも勝手に目立ってしまうので首輪の爆発を恐れたがかわりに一般人が爆破していた 自分から躍り出たくせにそいつは何もできず死んだのには拍子抜けだったが気がついたらどこかの森にいたが そこでふとグラットンソードがうばわれているのに気づき深い悲しみに襲われた ナメたマネをしたヤツを妥当しようとおれは歩をすすめるとそこには気の弱そうな一般人がウロウロしていた すこし近づいただけでそいつはかなりビビっているようだったが構わず近づいた 俺が何を話そうか考えている最tゆうになれなれしく喋ったので「何いきなり話かけて来てるわけ?」と言うと ますます恐縮したようだった。ふとそこでそいつが腰につけているナイフに気づいたので装備を充実させるためには それが必要と思いもらえるかどうか頼んだのに「駄目だ。僕だって死にたくない」と堂々とヌかしたので すこし脅したら黙ってしまった。しかしよく考えたら装備を充実させるのはゲームが終わってからでもいいことに 気づいたおれは(ここでこういうことに気づくのが謙虚なナイトである秘訣)そいつに仲間になるように提案するとよろこんで受け入れた しかし愚かにもナイトの強さを計るような口をきいてきたので黄金の鉄の塊で出来ているナイトがいかに強いかを説いて完全防止した そうすると感心したようでそれからはじじゅうするようになった 名前を聞いてきたから堂々と答えるのはナイトのやることではないが仕方ないので名乗ることにした 【C-2/1日目・深夜】 【囲炉裏@まったり実況プレイシリーズ】 [状態] 少し動揺、恐怖感 [装備] サバイバルナイフ@現実 [道具] 支給品一式、ランダム支給品0~2(支給品は確認済み) [思考・状況]基本思考:とにかく死にたくない。かといって殺し合いはできない。 1:男(ブロントさん)と行動する。 2:変なヤツだ……。 3:人殺しはしたくない。 4:この先どうなるんだろう……。 【備考】 ※自分の名前を口に出せません。書くことができるかどうかはわかりません。 ※姿は『零~刺青の聲~』の天倉 螢となっていますが囲炉裏本人は気付いていません。 ※元世界の記憶はどうなっているかは不明です。 ※どこに行くかは次の書き手さんにお任せします。 【ブロントさん@ネットゲーム実況板】 [状態] 別にどこもおかしなところはない [装備] 言葉のノコギリ(レザーソー)@school days [道具] 支給品一式、ランダム支給品0~2 [思考・状況]基本思考:右上と左上を倒し真のエンディングを迎えひっそりとリアルより充実したヴァナ生活を送る。 1:行動の拠点となる場所を探す。 2:まともな武器がほしい(敢えて言うならグラットンソードだがそれを口に出さないところがまた謙虚なナイトらしい)。 3:出会ったやつに話しかけ出来れば仲間にして敵対するようならばカカッと対処する。 4:囲炉裏を連れていく。 【備考】 ※メタ知識に関しては不明だがそんなものはなくてもブロントさんはうろたえない ※ナイトの防具一式はもはやブロントさんの普段着であるので奪われるわけがない sm01 グリーン・グリーンズ 時系列順 sm03 SHUZOM@STER sm01 グリーン・グリーンズ 投下順 sm03 SHUZOM@STER 囲炉裏 sm47 愛の嵐 ブロントさん sm47 愛の嵐
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スクールランブルバトルロワイアル 漫画「スクールランブル」に登場するキャラクター達で行われるバトルロワイアル企画。 最初は漫画サロン板にスレッドが立ったが、その後クラウン、サブカル板、少年漫画板(のち漫画サロンへ移転)と引越し、終盤はイベント板で進行していた。 参加者は矢神高校2年C組の生徒に加え、2年D組、1年D組の一部の生徒を加えた計43人。 スクランらしく何かと登場人物が勘違いする展開が多く、殺し合いに乗っていないキャラが一時は参加者の1/3からマーダーだと思われたりしていた。 だが話の内容は原作とは正反対で凄惨な展開が目立つ。 また元が学園ラブコメという事もあってか各主要人物やカップルに固有ファンが多く、それが原因でスレが荒れたりする事もしばしば。 だが企画自体は順調に進み、2006年8月の開始から1周年を待たず、2007年7月17日にバトルロワイアルが終了、同年7月20日にエピローグが投下され、無事に完結した。 関連項目:書き手紹介(スクロワ編)/恋愛 ■参加者名簿 男子 01麻生広義 02石山広明 03今鳥恭介 04梅津茂雄 05岡樺樹 06烏丸大路 07斉藤末男 08菅柳平 09田中一也 10奈良健太郎 11西本願司 12野呂木光晴 13花井春樹 14播磨拳児 15冬木武一 16坊乃岬大和 17三沢伸 18飯合祐次 19吉田山次郎 20天王寺昇 21東郷雅一 22ハリー・マッケンジー 女子 01一条かれん 02大塚舞 03音篠冴子 04城戸円 05鬼怒川綾乃 06嵯峨野恵 07沢近愛理 08周防美琴 09高野晶 10種田芽衣子 11塚本天満 12砺波順子 13永山朱鷺 14塀内羽根子 15三原梢 16結城つむぎ 17雪野美奈 18寄留野香織 19サラ・アディエマス 20塚本八雲 21ララ・ゴンザレス 一部のキャラクターは原作で名前が明らかになっていないため、企画開始時にオリジナルの名前が付けられた。 外部リンク ■支援サイト スクールランブルバトルロワイアル(仮)まとめ(消失) スクロワ掲示板(避難所、閉鎖) ■スレッド スクールランブルバトルロワイアル企画スレ スクールランブルバトルロワイアル1 スクールランブルバトルロワイアル 2学期 スクールランブルバトルロワイアル3 スクールランブルバトルロワイアル4 スクールランブルバトルロワイアル5 スクールランブル・バトルロワイアル 6学期 スクールランブルバトルロワイアル7 スクールランブルバトルロワイアル8 スクールランブルバトルロワイアル9 スクールランブルバトルロワイアル 10学期 【バト】サブカル的スクールランブルスレ11【ロワ】 スクールランブルバトルロワイアル 11学期(12学期) スクールランブルバトルロワイアル13 本編保管作品の修正依頼?(避難所スレ、閉鎖) スクールランブルバトルロワイアル反省会会場(現行スレ)
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安価カオスバトルロワイアル 見せしめの為だけに参加した作品が存在するのは序の口。 初登場話で首輪解除、技術書からの参戦、 キャラ崩壊してる筈なのに、 まったく違和感を感じなくなるなどの、 様々なカオスを内包しつつ、 今日もシリアスに殺し合いが行われている。 まさに安価の邪神の仕業。 ■参加者 【リズム天国ゴールド@ゲーム】2/2 ○ウラオモテ人/○カラテ家 【とっとこハム太郎@アニメ】1/1 ○ねてるくん 【CROSS EPOCH@漫画】5/5 ○孫悟空/○クリリン/○ルフィ/○ブルマ/○亀仙人 【ナニワ金融道@漫画】4/4 ○灰原達之/○桑田澄男/○泥沼亀之助/○市村朱美 【宇宙人ジョーンズ@CM】1/1 ○ジョーンズ 【仮面ライダー電王@特撮】3/3 ○オーナー/○リュウタロス/○モモタロス 【魔獣戦線@漫画】1/1 ○来留間慎一 【Java言語で学ぶデザインパターン入門@技術書】4/4 ○アブストラクトファクトリ/○メディエータパターン/○ぎゃんぐ おぶ ふぉぉー/○大学でこの本を読んでる俺 【十三歳のハローワーク@ゲーム】6/6 ○初音ミク/○AV女優/○藤井カナ/○レオン/○プレイヤーA/○ソープ嬢 【銀と金@漫画】4/4 ○ラムタル/○アーネスエイジ/○伊沢敦志/○平井銀二 【夜明けの口笛吹き@フリゲ】4/4 ○トト/○ギルモア/○アシカ/○エリナー 【寿限無@落語】4/4 ○寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶら小路のぶら小路パイポパイポパイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助/ ○名付け親の住職/○寿限無の父親/○作者 【嘘喰い@漫画】5/5 ○マス・鬼獣院/○門倉雄大/○斑目獏/○Q大郎/○夜行妃古壱 【見せしめ】1/1 ○平山幸雄 44/45 外部リンク ■支援サイト 安価カオスバトルロワイアル Wiki ■スレッド 最強キャラバトルロワイアル
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【名前】アーチャー 【出展】Fate/stay night 【種族】英霊 【性別】男性 【声優】諏訪部順一(参加者関連ではBLEACHのグリムジョー・ジャガージャック、ハヤテのごとく!!のリィン・レジオスターなど) 【年齢】不明 【職業】サーヴァント 【外見】浅黒い肌に赤い外套を纏った男性。 【口調】 一人称は「私」又は「オレ」、二人称は「貴様」「お前」など。皮肉めいた口調が多い。 【概要】 真名はエミヤ。全てを救うという理想を追い求めた、未来の衛宮士郎その人である。 「弓兵」のクラスだが、弓を使用した遠距離戦闘よりも干将・莫耶を使用した白兵戦を主とする。 その武技は天性の才能によるものではなく、弛まぬ努力の賜物である。 英霊としての知名度は皆無だが、超一流の英霊であるランサーやセイバーにも認められるほどの実力を持つ。 第五次聖杯戦争においては、遠坂凛のサーヴァントとして召喚される。 皮肉屋な現実主義者だが、根幹はお人好し。辿ってきた稀有な人生を語る、背中が印象的な漢(おとこ)。 衛宮士郎が自分と同じ轍を踏むようならば、殺害も辞さないと考えている。 遠坂凛がマスターの際のパラメーターは以下の通り。 筋力:D 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:E 宝具:? 【能力】 ●スキル 《対魔力:D》 一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 《単独行動:B》 マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界していられる能力。Bランクならば二日は現界が可能。 《千里眼:C》 視力の良さ。遠方の標的の補足、動体視力の上昇など。 《魔術:C-》 魔術を習得していることを表す。 《心眼(真):B》 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 ●宝具 《無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)》ランク E~A++ アーチャーの固有結界。本来は魔術に分類されるが、アーチャーの象徴ということで宝具扱いになっている。 心象風景は、燃えさかる炎と、無数の剣が大地に突き立つ一面の荒野が広がり、空には回転する巨大な歯車が存在する。 結界内で目視した刀剣類は、結界に登録・複製され、荒野に突き立つ無数の剣の一つとして貯蔵される。 複製品の能力は、本来のものよりランクが一段階下がる。また、乖離剣エアなどの神造武器の類は複製できないとされる。 また、一度この心象世界に複製され記録された武器は、固有結界を起動せずとも投影魔術で作り出すことが可能となる。 ●投影宝具 《干将(かんしょう)・莫耶(ばくや)》ランク C- アーチャーの象徴ともいえる、陰陽二振りの短剣。互いに引き合う性質を持つ夫婦剣。 投影の負担が少ないためアーチャーはこれを愛用し、「鶴翼三連」という投擲と斬撃を組み合わせた技を編み出した。 《偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)》 A その名の通り、螺旋を描く刀身を持つ剣。本来のカラドボルグとは違い、アーチャーのアレンジがなされている。 便利な武器であり、矢として弓につがえ放つ場面も、剣として手に持ち使用する場面もある。 《熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)》 不明 投擲武器や使い手から離れた武器に対して無敵という概念を持つ武装。 光でできた花弁が展開し、一枚一枚が城壁と同等の防御力を誇る。アーチャーが唯一得意とする防御用装備。 《赤原猟犬(フルンディング)》 不明 冬木新都のセンタービルから冬木大橋へ、弓につがえて放ち、魔弾として使用した剣。 射手が健在かつ狙い続ける限り、標的を襲い続ける効果を持つ。剣としての性能は不明。 以下、王道ロワイアルにおけるネタバレ有 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 アーチャーの本ロワにおける動向 初登場話 012 皆の世界をまもるヒト 最終登場話 098 この大地の果てで(前編) 登場話数 3話 スタンス マーダー(無差別) 現在状況 一日目の朝、H-4付近 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 衛宮士郎 敵対 過去の自分 ※未遭遇 セイバー ランサー 犬猿の仲 アサシン 真アサシン 竜宮レナ 標的にする 012 皆の世界をまもるヒト 園崎魅音 殺害する 029 Island Days 衛宮切嗣 その他 じいさん 再会を喜ぶ 070 アーチャー時を越えた遭遇 棗鈴 敵対 癪に障る 098 この大地の果てで(前編) アウレオルス=イザード 錬金術師 守護者として行動する、すなわち主催者を含めた全員を殺害すると決意して行動を開始する。 竜宮レナを標的として矢を放つが、園崎魅音が身を挺して守ったため失敗する。 その後衛宮切嗣と出会い情報を交換、全員を殺害するという目標を告げる。 衛宮士郎を生かそうとする切嗣と敵対することを苦々しく思いながらも、行動を別にする。 放送後に棗鈴とアウレオルス=イザードの二人に遭遇。現在交戦中である。
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ファイナルバトルロワイアル(5) 音が聞こえる。 雨か。声か。それとも歌か。 崩壊する世界は音に満ちている。 だがそれは不安や恐れを呼び起こす類のものではない。 心地よい、安らぎを与える音だ。 解放された魂の声が、正しくあるべき輪廻の輪へと旅立っていく、その喜びを歌っているようだった。 ――よかった。 フォルカは心からそう思う。 全身の疲れすらも心地よく感じるほどの充実感が、その心中に満ち溢れていた。 紅く、黒く、禍々しかった魂の渦は怨念の支配から解き放たれ、陽光に照らされた新緑のような優しい輝きで、戦いを終えた修羅王を包んでいる。 その魂たちがどこか遠い世界へと昇っていく。 彼らもあの中にいるのだろうか、とフォルカはぼんやりと考えていた。 ――ありがとう。そして、またいつか。 さようなら、ではない。 自分もいつかあの光の中へ旅立つときが来る。 その時はどんなに語っても語りきれないほどの色んなことを彼らに伝えたい。 そしてそうなるまでに、願わくば彼らに恥じない生き様を刻んでいきたいと心から願う。 この彼らに救われた命はそういうものでなくてはならないのだ。 「――――ユーゼスはお前が倒したのか」 「!?」 突如、優しい光の空間から、一握りの闇が染み出した。 その闇が空間を捻じ曲げて、暗黒の世界に繋がる穴を広げる。 そこからずるりと這い出るように、両腕のない傷だらけの機体が姿をあらわした。 グランゾン、そして木原マサキ。 フォルカは満身創痍の魔神を睨み、すばやく身構えて迎え撃つ姿勢をとる。 対峙するマサキは無反応だ。ただ静かにもう一度、同じ問いを繰り返す。 「フォルカ、だったか……奴は死んだのか。どうなんだ?」 「……」 沈黙。 重苦しい雰囲気が対峙する二人の間に立ち込める。 マサキはこれ以上は語らなかった。 フォルカは無言で睨む。 ややあって。 「……ユーゼスは倒した。俺だけじゃない、皆の力があったればこそだ」 「そうか」 「……」 ユーゼスを倒した、という単語だけにしか興味はない。 マサキはそう言うようにして、フォルカの言葉が終わらぬうちにそっけない返事をかぶせた。 再び沈黙。 【――――カバラシステム起動、短期未来予測。ターゲットロックオン】 だが僅かな間のあとで、今度はマサキが新たな問いを発した。 その声からは何の感情も読み取れない。 「ならばお前はどうする。俺は奴を殺すためだけにここへ来た。だが……もはや戦う理由は無くなった」 「……」 少なくともその言葉に嘘はないように思う。 フォルカが見ていた限りでは、マサキは常にユーゼスを倒すことだけを考えて行動していたようだ。 もちろんシロッコなどから過去の悪行は聞いている。 だがそれだけで戦う気のない相手に襲い掛かっていいという理由にはならない。 「木原マサキ、お前は――ッ!?」 フォルカの声を遮ったのはマサキではない。 このユートピアワールドそのものだった。 世界そのものが消えかけている。 クロスゲートでこの世界を維持していたユーゼスの存在が無くなれば、当然この世界も同じ運命を辿る。 不安定な揺らぎどころの話ではなく、存在そのものがバラバラになり、無に還るように消え去っていく。 【――――エネルギー充填。空間歪曲座標セット】 「くっ……まずは脱出か!」 「そのようだな。あの無数に開いた空間の裂け目から、とりあえず別の世界へ行けるようだ」 マサキが機体そのものを向き直らせて指し示すその先には、揺らいだ空間に生じた数多の裂け目があった。 その裂け目のひとつひとつ、それぞれの向こうには、どれもよく似た、だが僅かに違うところのある宇宙空間が覗いている。 次元を打ち砕くほどの戦いで生じた、それぞれの並行世界へ繋がる抜け道だ。 「……ああ、そうだ。そういえばユーゼスを倒したお前にどうしても言わなければならんことがある」 「何……?」 すぐさま脱出行動に移ろうとするフォルカの機先を制する絶妙のタイミングだった。 マサキが突然、妙なことを言い出した。 こんなときに。 フォルカは当然いぶかしみ、脱出した後にしろと、そう返そうとした矢先。 【――――ワームホール展開、ブラックホールクラスター転移開始】 フォルカのほうに向き直るというような動作も無く、ゆえに察知が遅れた。 見当違いの方向を向いたまま、いきなりグランゾンの胸部装甲がばっくりと開いた。 「死んでくれ」 まるで通りすがりに挨拶でもするようにマサキは言った。 同時にヤルダバオトが闇に包まれる。 フォルカはとっさに神速のスピードで動こうとする。 だが見えざる力の渦がそれを阻み、傷ついた隻腕の修羅神を闇の中心に繋ぎ止める。 「う、うお、おお、おおぉぉおおおお!!」 何をしたのか分からなかった。 だがこれは間違いなく、あの男の仕業だ。 マサキのいるはずの方向を睨みつけるが、すでに闇がそれを遮断してしまっている。 その向こうにうっすらと見える魂の輝きが歪んで、さらに闇が濃くなっていく。 白い修羅神と新しき修羅王は亜空の深淵へと真っ逆さまに堕ちていく。 「あ、ああ、あ、ああああああああああ――――――――」 やがてブツンと何かのスイッチが切れるようにして全ての感覚が消え失せる。 いや、消えたのは感覚ではなく、それらで知覚するべき対象だった。 完全な闇、完全な無音、完全に何も無い。 永遠の暗黒、無限の虚空が続く。 やがてフォルカ自身が無となるまで。 ◇ ◇ ◇ 暗黒の宇宙空間に浮かぶ美しい惑星がマサキの視界を埋め尽くす。 眼前の巨大な蒼が描く地平の曲線、その向こうには銀色の月が見える。 そしてさらには太陽の輝き。 自分の知識の中にある水星や金星といった天体の配置。 紛れもなく、ここは地球と言う名の星だった。 「だが……俺の世界にはあんなものはなかった」 マサキから見て月の方向とは逆の地平線上に浮かぶ、十字をかたどった黄金の建造物に視線を送る。 やや遠いので詳しくは判断できないが、数百メートル単位の巨大な宇宙ステーションだろうか。 いや、そこに停泊する宇宙戦艦らしき影を見る限り、軍事基地なのかもしれない。 ここは全く見知らぬ別の場所だ。 ユートピアワールドから脱出した際に飛び込んだ、崩壊した次元の境界。 その無数の綻びのうちの一つから繋がった世界。 この青き星のいわゆる衛星軌道上に位置する空間へ、グランゾンは脱出することに成功した。 その背後にはいまだに、マサキがやってきた向こう側へと繋がる次元の揺らぎが、暗黒の宇宙とはまるっきり異質の景色を見せている。 だがそれはやがてゆらゆらと頼りなくその形を歪めていく。 そして水面の波紋を眺めているうちにやがて消えてしまうように、徐々にその揺らぎすら小さくなる。 うっすらと透けて消えるように、向こう側の景色もゆっくり宇宙の闇に溶けていく。 遂には完全に静止した宇宙の闇だけがそこに残った。 フォルカは、来ない。 次元の揺らぎが収まるまで、そして完全なる静寂が場を支配した後もマサキはその空間をしばらくの間、見つめ続けていた。 呼吸すら止めるようにして押し黙り、じっと視線をうごかさぬまま。 どれくらいたったか。 やがて長く息をつく。 僅かに口元を歪めた。 そこで初めてマサキは視線を外す。 「所詮……こんなものか」 そう、所詮はこんなものだ。 このバトルロワイアルというゲーム。 ユーゼスの圧倒的な優位から始まった殺戮遊戯で最後に生き残ったのは結局、この木原マサキただ一人。 いつも繰り返されてきたことだ。 誰も己を倒せるものなどいない。 誰も己の掌から抜け出ることなどできない。 他人は全てクズに等しい矮小な虫けらどもだ。 だがたった一人、自分以外で唯一無二の価値を認めた人間がいた。 その名はユーゼス・ゴッツォ。 消滅したはずの木原マサキという存在を再び蘇らせ、己の目的のために人形の如く利用しようと企んだ、造物主にして怨敵でもある男。 ユーゼスを殺すことを考えただけで、暗い高揚感が心を支配した。 奴が嘲りの言葉をさえずっただけで、信じられぬほどの憎悪が湧きだした。 あの男を殺すためならば、まさに何でもできると思ったし、そのことを躊躇うことすら考えなかった。 二度と戻らぬそれらを失くした今、はじめて分かったことがある。 かつてあれほどまでに充実していたことはなかったと。 己のクローンを作り上げ、思いのままに躍らせてゲームを演出しても、あの灼熱の感情には遠く及ばない。 冥王計画など、あれに比べれば所詮は自慰に過ぎないと、心の底から思い知った。 もしこの手であの男を殺すことができたなら、どんな喜びが待っていたのだろう。 すでにそれは叶わぬと知りながらも振り返ってしまう。 もうユーゼスは二度と手の届かない場所へ去ってしまったと、嫌というほど分かっていても、それでもなお。 「……ならば俺は、どうすればいい?」 誰もいない宇宙にたった独り。 小さく言葉を紡いだ。 もちろん答えるものは誰もいない。 ユーゼスを倒したフォルカもこの手で葬った。 だが何の感慨も湧き上がってはこなかった。 当然だ。誰も代わりになどなれない。 唯一無二の存在だからこそ全てを賭けるに値するのだ。 「…………」 沈黙。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 マサキは動かない。 マサキは喋らない。 その静寂が永劫に続くかと思われるほどに、その男の何もかもが停止していた。 だが、次瞬。 ――――ぴしり。 眼前の宇宙にひびが入った。 まるで空間そのものがガラスのようだった。 そこからあふれ出す金色の光。 その光には見覚えがあった。 あの戦いの時、遥か遠くからその光を眺めていた。 だが何故ここにそれが存在するのか。 そんなことはありえないはずだ。 全く己の予想の外だ。 分からない。皆目見当が付かない。 自分は混乱しているのか。この胸の高鳴りはなんだ。 何かを期待しているのか。知らず知らずのうちに口の端が釣りあがる。 「く……くくくくくくく!」 己の喉から発せられる笑みを制御できない。 イレギュラーな事態に何故こうも心が躍るのか。 誰も己を脅かすものなどいなかったからか。 誰も己の理解を超えるものなどいなかったからか。 己の掌で踊るクズどもの無様を嘲笑い、その無力を見下しながら無慈悲に叩きつぶしてきた。 だが所詮そんなものは分かりきった予定調和だ。 秋津マサトがマサキの支配から抜け出したように。 ユーゼスが真っ向からマサキを打ち破ったように。 自身の全力を尽くして叩き潰そうと望んでも、それでも敗れる可能性がある。 その可能性を持つものがもたらすスリルに比べれば、結果が見えるというのはなんとつまらぬことよ。 生物は生まれたときから死ぬことは決定している。 それだけとれば、生きるということはきわめて無意味だろう。 だが実際はそうではない。その生物が死ぬまでの間に何が起こるかは誰にも分からない。 分からないからこそ価値が在る。分からないからこそ面白い。 木原マサキは今まで余りに全てが見えすぎた。全てが分かりすぎた。 「――ぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああッッ!!!!」 空間のひびは広がり、その向こう側から漏れだす黄金の光の量が増加。 さらに聞こえる咆哮が、マサキの感情をさらに昂ぶらせる。 「……そうだ!そうでなくては意味が無い!!」 「――――マサキィィィィィィィィィィィィィッッ!!」 耳をつんざく爆裂音と同時に空間が破裂した。 そこから飛び出したのは、渾身の力を込めて次元の壁を打ち破る一撃を放った隻腕の修羅神だった。 その一撃――龍の形をした凄まじい光の砲撃は、そのまま蒼き星の上空を駆け抜けて、遥かな虚空の闇へと消えていく。 よく見ればフォルカの機体は擬似ブラックホールの重力で潰されかけ、白く美しかった装甲は見る影もない。 そして先程の一撃でほとんどの力を使い果たしたのか、身を包む黄金の輝きも弱々しい。 まさに満身創痍。 マサキのグランゾンも両腕を失い、ボロボロの姿を晒している。 今にも砕けそうな二機は、それでも戦わなければならない。 正真正銘これが最後だ。 「……何故だッ!」 「何故……か。娯楽だよ。ただの、ありふれた、普通のな」 「ふざけるなッッ!!」 「ふざけてなどいない。俺はユーゼスにこの殺し合いのためだけに造られた人形だ。 ラミアと同じ。よって奴が死に、殺し合いが終わればこの存在に意味は無い」 今にも飛び掛らんとしていたフォルカが、その言葉を聞いて絶句した。 そうだろう。この男はラミアにもそうしたように、何も分からぬくせに侮辱にも等しい同情を臆面も無く向けてくるだろう。 「俺はあの人形女とは違う道を選んだ。ユーゼス如きがこの俺の造物主などと片腹痛い。ましてや利用しようなどと。 だから俺は奴を殺して復讐を果たし、あの男に刻み付けられた運命を消し去らねばならなかった」 「……だが奴は、俺が倒した」 「そうだ。ゆえにこうなればこのまま生きることに意味は無く、そしてただ死ぬことにも意味は無い。 だから娯楽だ。俺とお前、どちらが最後に生き残るのか――――命を賭けたギャンブルだ」 「お前は……!」 これ以上の問答は面倒だ。 ワームスマッシャー発射準備。 「俺に不確定の未来を見せてみろ。運命の不条理を突きつけてみせろ。それができねば死ぬだけだ!」 無数の光弾をグランゾンの胸部から放ち、それがワームホールによって転移し、全方位からフォルカに襲い掛かる。 白いマシンの装甲はズタズタでひびだらけ。直撃すれば跡形も残らず砕け散る。 捕食者の口の中で、獲物の肉が引きちぎられてすり潰されるように。 だが。 「修羅の命など安いものだ……特に俺のは」 動かない。 諦めたのか。 詰まらないが、それならそれでどうでもいい。 「……だが!この命はもう俺だけがいいようにできるものではないッ!!」 その瞬間には何が起こったのか理解できなかった。 弾かれた。上下左右から僅かにタイミングをずらして次々と襲い掛かる無数の光弾が。 右腕から発せられた光が尾を引いてフォルカのマシンを囲むように旋回した。 それがワームスマッシャーを弾き返した。 いや、単純にあの光を纏った右腕で弾き返した。 マサキにはそれが見えず、あの光の残像しか認識できなかったのだ。 それをたった今、理解した。 これだ。 血液が凍りついたようになりながら沸騰する、矛盾した感覚。 勝敗の見えぬ戦いに身を置く緊張感がマサキの全身を支配した。 「託されたもののためにも、正しさを示さねばならぬことのためにも、俺は生きる! どんな理由があろうとも、ここでお前に殺されてやるわけにはいかんッ!!」 白いマシンが構えた。 来る。 勝てるのか。ユーゼスすら倒した怪物に。 いや――――だからこそ戦う価値がある! 「おおりゃあッ!!」 「ワームスマッシャー!!」 風を越えた弾丸となってフォルカのマシンが宇宙を駆ける。 迎撃する無数の光弾は、ことごとくフォルカが一瞬前にいた場所を通過するだけ。 一歩遅い。いや、あの機体があまりに速すぎる! 「覇ッ!!」 「……!!」 ワームホールを使った転移で間一髪かわす。 フォルカの背後へ。 だが、いかなる感覚なのか。 すでに奴はこの動きに反応していた。 「でぇやあッ!」 「――化け物めッ!」 更なる転移。 今度はもっと遠く距離をとる。 だが、そんな小細工で稼げる時間は一瞬に満たない。 グラビティテリトリー最大出力で展開。 あっという間に距離を詰めてくる敵へ、逆にカウンターで力場を纏った機体ごとぶつけてやる。 「くらえ!」 「く――――うおおッ!」 激突する。 僅かに拮抗するグランゾンの重力フィールドとフォルカの黄金の拳。 一瞬後、それが崩れて力と力が交錯。 白い機神の装甲の破片が宇宙空間に飛び散った。 蒼い魔神の右足が膝部分からへし折れて吹き飛んだ。 ダメージの違いはそのまま威力の差だった。 グランゾンの脚部を前にかざして蹴りを放つように突撃しなければ、そのまま頭部か胸部を潰されていた。 弾かれて距離をとる二機。 スピード、パワーにおいてマサキが不利。 策はもちろんある。そうでなければ木原マサキの戦いとはいえない。 無策のまま勝ち目の無い戦いに挑むなど、クズどもの愚考だ。 エネルギーは一発分だけ残っている。 空間座標の演算は完了。ある地点まで誘うことができれば、すぐさま発動可能だ。 まともに撃ってもノーモーションで発動できなければ、奴のスピードは捕らえられない。 だから問題は、そこまでフォルカをおびき寄せられるかどうか。 「ワームスマッシャー!!」 「――――はああああああああああああああッ!!」 爆光が巻き起こった。 衝撃波がフォルカの機体を中心にして広がっていく。 だがそれほどの力を振るっても、あの修羅にはとどかない。 すでに避けるまでも無く、フォルカはマサキの攻撃を全て弾き返していた。 「勝ち目はないぞ。もうやめろ木原マサキ」 「……ああ、そうか。ラミアのときもそうだったな、貴様は」 反吐が出る。 高みから見下ろしたような言動。 「勝ち目があるかないかなど貴様が決めることではない。 俺がギャンブルから下りるかどうかを決めるのも貴様ではない」 「……俺の仲間が言っていた。弱さがあるからこそ誰かの弱さを理解できると」 「ふん……それがどうした」 弱さだと? そんなものはこの木原マサキには無縁のものだ。 「俺には今まで何も無かった。戦うことしかなかったんだ。他に拘るべきものを持たず、そのことにすら気づかず。 だから何も無くなったお前が、自分の命すら範疇に入れずに戦おうとするのも理解できる気がする」 「…………何?……理解だと?」 「ああ、お前は自分自身の命が無価値だと、そう思っている。だからせめて他人と戦って勝たねばならないと。 勝利でその存在価値を証明して、そうでもなければ生きている意味が無いと――――」 「ふざけるなッッ!!!!」 何が理解だ。 ユーゼスの装置に組み込まれていた女が見せた光景と同じだ。 どいつもこいつも、この冥王に哀れみの目を向けるとでもいうのか。 「命が無価値? ああ、そうだ!この『俺以外』の命など、どいつもこいつもクズに等しい! だからそれにふさわしく踏み潰してやるまでだ!せめてせいぜい俺を楽しませてみせろ!」 「他人の命と自分の命にどれほど違いがある。お前が誰かをクズと断じるということは、それは自分をも――」 「――――黙れッ!!」 殺してやる。 殺意があふれ出す。 ああ、ユーゼスと戦ったときのようだ。 礼を言おう、フォルカ。まさかここまで面白くなるとはな! 「……そうか、プライドか。フェルナンドも……そうだったのか」 「死ね!ワームスマッシャー!!」 発射と同時に、別のワームホールを展開して時空間移動。 目的地は予定していたポイントだ。 フォルカのマシンはワームスマッシャーをあっさりとかわして追ってくる。 「ならばこの全力を以ってお前を打ち倒す!その矜持ごとな!」 「そうだ……やれるものなら、やってみるがいいッ!!」 蒼い惑星の上を二つの流星が駆け抜ける。 幾度か牽制の攻撃を放つも、フォルカにはすでに足止めにすらならない。 追いつかれる。 だがギリギリで間に合った。 ――ここが貴様の墓場だ! 「ワームスマッシャー!!」 すでに何度放たれたか分からない、虚空からの光弾がフォルカを襲う。 この距離。この位置。 さらに今度の攻撃は意図的に、フォルカの正面からこちらの本体に通じるルートを僅かに空けてある。 この状況ならば奴は間違いなく正面から突っ込んでくる。 そしてそれは現実となる。 「機神拳――――!」 ――――計算どおり! 「ブラックホールクラスター転移開始!!」 グランゾンの胸部装甲を開放し、今にも破裂しそうな超重力の集合爆弾を、同時に展開したワームホールへ放り込む。 転移する先はフォルカのマシンそのもの。 例えそこから逃れようとしても、その重力によって引きずり込まれるのみ。 ユートピアワールドですでに一度、フォルカを虚空の闇に沈めた回避不能にして必殺の一撃。 かろうじて脱出したものの、フォルカの力はユーゼスを倒したとは思えぬほど弱っていた。 そうでなければ、この半壊したグランゾンでまともに相手になるはずがない。 そしてこのダメージでこれをもう一度受ければ、今度こそ脱出する術はないはずだ! 「俺の――――勝ちだッ!!」 眼前の空間が完全な闇に包まれた。 滅茶苦茶な曲線を描いて、闇と宇宙の境目がみるみるうちに縮んでいく。 だが。 「――――――――その技はすでに見た」 その反応は背後から。 その動きはレーダーに捉えきれないほどに、まさに光の如く。 「発動のモーションを見切れば避けられる。俺に同じ技は通じない」 グランゾンが振り返る。 そこに見えるのは右拳に光を纏った白亜の機神。 ――――グラビティテリトリー全開!! フォルカのマシンから放たれたその一撃を、見えざる重力の壁が防ぐ。 力の激突で生じたスパーク。火花が黒い虚空を切り裂いた。 だが完全には防げない。 一瞬、その動きを止められるというだけ。 まもなく、その一撃が自分の命を刈り取りにくるだろう。 だのに何故か笑みが浮かぶのはどうしてなのか。 「俺は死ぬわけにはいかない!だから――――お前を倒すぞマサキッ!」 己と相手の全てを賭けた殺し合い。 それにふさわしい敵が今までマサキにはいなかった。 だから冥王計画などというまわりくどい真似をする必要があった。 だが、もうそんなことはしなくていい。 あの時、ああすれば勝てたとか。または、こうすればよかったとか。 そんな余地などありえないほどの全力の勝負。 ――――……が必要だった。 「く……くくく」 ――――…………人が必要だった。 「そうだ……」 ――――………………他人が必要だった。 「最早、一人ではつまらなすぎる」 ――――……………………自分の全てをぶつけられる他人が必要だった。 「敵が…………必要なんだよぉぉおおおおおおおおッ!!!!」 瞬間、フォルカの拳に貫かれる重力の壁。 グランゾンとの間を阻むものは何も無い。 光が炸裂する。 砕け散る魔神の装甲。 マサキは避けない。 避けようとすらしなかった。 何故ならば。 「ワーム――――スマッシャァァアアアアアアアアッッ!!!!」 零距離における直接射撃。 全弾を一発残らず叩き込む。 己の被弾は避けられず、さらに自身の攻撃の余波が跳ね返ってくる。 まさに捨て身。 砕ける装甲の破片は蒼黒と白亜の二色が混ざり合う。 そして最後に一際大きな輝きが全てを呑み込んでいった。 ファイナルバトルロワイアル(6)
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新西尾維新バトルロワイアル 書き手紹介 3312 :やってられない名無しさん:2013/02/21(木) 13 00 00 ID ???0 新西尾ロワ書き手紹介 渾名の基準的に10作以上投下か一年以内に投下した且つ死亡話を書いた書き手限定にさせてもらいました 【渾名】『雄健魁偉』零崎崩識 【トリップ】◆mtws1YvfHQ 【投下数】33 【代表作】「混沌は始まり、困頓はお終い」「スーパーマーケットの口戦」「それは縁々と」 ロワを初期から支えてくださったエースオブエースにして繋ぎからバトルまでなんでもこなす万能家。 キャラ単独話が1/3を占めるがかといって大人数が苦手というわけではなく、「混沌は始まり、困頓はお終い」では見事な群像劇を描いて見せた。 ……ちなみに氏だけ性別がわからなかったので男性とさせてもらったが女性だった場合即座に修正します。 【渾名】『不撓怒涛』零崎傾識 【トリップ】◆xzYb/YHTdI(現◆xR8DbSLW.w) 【投下数】25 【代表作】「傀 コヨミモノ 物 ガタリ 語」「この世に生きる喜び」「帰り道」 書き手枠が埋まる頃に現れ、いきなり初めて書いたとは思えない超絶クオリティのおまけSSを投下、そのまま本編デビューも果たしたという脅威の経歴を持つ書き手。 本編参入直後も圧倒的投下速度でロワのスタートダッシュを支えてくださり、早期の放送突破にこぎ着けることができた一因。 上で挙げさせていただいた代表作はどれも分割級の大作だが全てその長さを感じさせない引き付ける力を持つ。 【渾名】『堅忍開来』零崎継識 【トリップ】◆VxAX.uhVsM 【投下数】15 【代表作】「戯言語」「僐物語-ヒトモノガタリ-」 したらば、Wikiの管理人にしてリスタートの立役者。 作品も初期から積極的に投下しており、放送前の2時間は◆mtws1YvfHQ氏、◆xzYb/YHTdI氏と三人で回し、スムーズに放送を迎えることができた。 現在投下が無いが戻ってきていただきたい書き手の一人。 【渾名】『横溢邁進』零崎音織 【トリップ】◆0UUfE9LPAQ(現◆ARe2lZhvho) 【投下数】14 【代表作】「交信局(行進曲)」「ナイショの話」 第一回放送後参入した書き手だが、実は死者スレの投下が先だったという経歴を持つ。 阿良々木さんをロリコン且つ変態な鬼ーさんにした張本人(原作通りだけど)。 地の分よりも会話の応酬が得意で、会場に携帯電話をばら撒きまくった。 そしてこれ自演です。誰か書いてくださるなら書いて… 【渾名】『深渕燦然』零崎憑識 【トリップ】◆wUZst.K6uE 【投下数】3 【代表作】「自己愛(事故遭)」 第二回放送前にやってきた新規……と見せかけて実はおそらく最古参書き手。 リスタート前から参加しておりギャグ、シリアス共に原作再現度はピカイチ。 新西尾ロワの紹介であるので旧ロワの紹介をここで書くのができないのが残念だが余裕があれば是非ともそちらも読んでいただきたい。 【渾名】『筆力尽致』零崎詠織 【トリップ】◆8nn53GQqty 【投下数】2 【代表作】「marshmallow justice」 第一回放送後に新規参入した書き手。 支給品のギミックを最初に考案し、以降の話に大きな影響を与えたのも氏。 現在投下がないが復帰を待ち望まれている一人。 【渾名】『不羈一閃』零崎櫛織 【トリップ】◆aOl4/e3TgA 【投下数】2 【代表作】「無名(夢影)」 第二回放送後に新規参入した書き手。 いきなり球磨川視点という難易度の高い描写に挑戦し、違和感なく書ききって魅せた。 また、代表作として挙げさせていただいた「無名(夢影)」では原作と同じ組み合わせのバトルでありながらグダらせない濃密な筆致でスレを沸かせた。 さすがにルビまで考えることはできなかったよ… 3336 :やってられない名無しさん:2013/02/23(土) 11 57 38 ID ???0 『…が、その自演――――嫌いじゃあないぜ』 二番煎じを承知で二発目の新西尾ロワ書き手紹介ィ! 【検体名】未知導<ロードメーカー> 【トリップ】◆mtws1YvfHQ 【投下数】33 【代表作】「混沌は始まり、困頓はお終い」「オオウソツキ」「鷹と剣士の凌ぎ合い」 序盤から現在に至るまで数々の作品でこのロワの指針を示し続けてくださった、エースの名にふさわしい敏腕書き手。 これまでに手掛けたキャラの総勢が42名という(主催、非参加者含む)まさにオールラウンド。登場話、繋ぎ、バトル、考察とどんな話でも安定して作り上げる手腕は圧巻の一言。 代表作のひとつ「オオウソツキ」における善吉の葛藤と選択は特に印象的。 第一回目の放送を手掛けたのも氏。主催者側の存在感を引き立たせる見事な放送話を投下し、ここでも後の指針を示す役割を担った。 【検体名】空上戯論<トーキングオーバーヘッド> 【トリップ】◆xzYb/YHTdI(現◆xR8DbSLW.w) 【投下数】25 【代表作】「この世に生きる喜び」「帰り道」「冒し、侵され、犯しあう」 抜群の原作再現力に留まらず、独特のセンスと斬新な発想を持ってして数々の名作を書き上げてきたもうひとりのエースにして実力者。 代表作「この世に生きる喜び」「帰り道」はともにキャラの動かし方、心理描写、会話の雰囲気のらしさなど、あらゆる面において他の作品とは一線を画している。 非戦闘キャラである八九寺真宵をメインキャラ並みの存在にまで引き上げたのも、ひとえに氏の実力あってこそ。 また主人公枠のひとりである戯言遣いを現時点において最も多く使いこなしているのも氏であり、彼の登場する話では戯言ひとつでマーダー勢と対峙する異色の戦闘シーンが拝める。 とある旧作書き手が氏の作品に触発されて戻ってきたとかこないとか。 【検体名】管理作用<オールファンクション> 【トリップ】◆VxAX.uhVsM 【投下数】15 【代表作】「僐物語-ヒトモノガタリ-」「球磨川禊のパーフェクトマイナス教室」 したらば、Wikiの管理人にしてリスタートの立役者。 善吉、戦場ヶ原ひたぎ、戯言遣いなど、主要キャラをはじめとする登場人物を一ヵ月そこそこの間に合計で11名登場させ、ロワのスムーズなスタートに立案者自ら大きく貢献した。 また球磨川禊に初めて「大嘘憑き」を発動させ、その使用制限を細かく定めたのも氏である。 【検体名】情報網<エンサークリングネットワーカー> 【トリップ】◆0UUfE9LPAQ(現◆ARe2lZhvho) 【投下数】14 【代表作】「交信局(行進曲)」「ナイショの話」「切望(絶望)」 中盤から現在に至るまで、作品投下以外においても広くロワを支援してくださっている書き手。初投下作「正義の味方」を皮切りに安定した速度で投下を続けている。 原作の再現度もさることながら、読み手には読みやすく、書き手には繋げやすい話を書く能力に優れ、会話文のセンスも高いという書き手に必要なあらゆる要素を兼ね備えた屈指の実力者。 代表作「交信局(行進曲)」では難しい展開を見事にリレーして複数のキャラを次のステージへ導くとともに、掲示板という新要素を生み出して参加者同士による交流の幅を広げるという機転を見せた。 また「頼れるのは己が肉体のみ」と言わんばかりの支給品スルーっぷりが目立つこのロワにおいて、徐々に支給品が明らかになっているのも氏の尽力によるところが大きい。 【検体名】零時刻<タイムフォーラブオール> 【トリップ】◆H5vacvVhok 【投下数】5 【代表作】「全てが0になる」 零崎勢5人のうち3人を登場させた書き手。 代表作「全てが0になる」では5人のキャラを同時に初登場させるとともに、ひとりのキャラに後々まで続く深い因縁を植え付けた。 【検体名】弾き逃げ<スクラップベース> 【トリップ】◆wUZst.K6uE 【投下数】3 【代表作】「自己愛(事故遭)」 第二回放送間近に参加した書き手。 代表作「自己愛(事故遭)」ではどうしてこうなった? 3337 :やってられない名無しさん:2013/02/23(土) 11 59 38 ID ???0 【検体名】鬼人殺し<ノーライフキングブレイカー> 【トリップ】◆1aw4LHSuEI 【投下数】3 【代表作】「阿良々木暦の人間サンドバック」 オープニングの作者であり、3話目にして衝撃の展開となった「阿良々木暦の人間サンドバック」の作者。 賛否両論あったものの、この作品が後に数々の名作を打ち立てる基盤となったのは言うまでもない。 【検体名】時計仕掛けの橙<クロックロックワンダー> 【トリップ】◆PKyKffdMew 【投下数】3 【代表作】「赤く染まれ、すれ違い綺羅の夢を」 第二回放送間近、立て続けに4本の作品を投下した書き手(うち一作は残念ながら破棄となっている)。 キャラの「異常性」を際立たせることを得意とし、代表作「赤く染まれ、すれ違い綺羅の夢を」における最強vs最終のバトルはとりわけ評価が高い。 【検体名】鳥獣擬化<ディセイブロール> 【トリップ】◆T7dkcxUtJw 【投下数】3 【代表作】「それでは零崎を始めよう」 初作品「今、再び語られる物語」で鑢七花と真庭鳳凰に同盟を結ばせた書き手。 代表作「それでは零崎を始めよう」はキャラの能力を活かしたギミックを駆使し、序盤の中ではかなり完成度の高い作品に仕上げている。 【検体名】無銘刀<ネームレス> 【トリップ】◆aOl4/e3TgA 【投下数】2 【代表作】「無名(夢影)」 第二回放送直後に参加した新進気鋭の書き手。 代表作「無名(夢影)」では、この作品に登場するキャラ二名にふさわしい重厚かつ流麗な文章を駆使し、剣士二人の真剣勝負を見事書ききってみせた。 今後の活躍が最も期待される書き手の一人。 【検体名】衝失転<ロストカーペット> 【トリップ】◆8nn53GQqty 【投下数】2 【代表作】「marshmallow justice」 球磨川禊に「人間未満」の異名を与えた書き手。独特の視点からくる発想を説得力ある文章に仕上げる筆力はお見事と言う他ない。 めだか勢の希望とも言えるとあるキャラにとって重大な転機となる代表作「marshmallow justice」は掛け値なしの名作。 【検体名】狐弔の縁<クロスオーバー> 【トリップ】◆ai0.t7yWj. 【投下数】2 【代表作】「狐のきまぐれ」 投下数は少ないものの、キャラの行動や情景を詳細に至るまで描写する緻密な文章と、コミカルさ、原作らしさを演出する絶妙な表現力はまさに『本物』。 そのふたつが遺憾なく発揮された代表作「狐のきまぐれ」での『彼ら』の出会いは必見。 【検体名】愛怨欺演<ラブサイコドール> 【トリップ】◆HC4CdzPdhs 【投下数】1 【代表作】「恋物騙」 一話における「会話密度の高さ」ではおそらくダントツであろう「恋物騙」を手掛けた書き手。 ほとんどが原作を基にした台詞であるものの、この回で初登場したとあるキャラの立ち位置を後々まで決定づける印象の強い作品となった。