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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/ログ 24スレ目ログ ____ ________________ 24-013 幻影(23-724) とある二人は反逆者 9 第3章 ②本質が呼ぶ戦いと残された謎 24-023 幻影(23-724) とある二人は反逆者 10 第3章 ③入院とこれから… 24-034 piVSbPnx0(24-033) おめでとうを永遠に 24-042 幻影(23-724) とある二人は反逆者 11 第4章 ①大覇星祭開幕 24-049 くまのこ(17-598) レベル5について調査するだけの簡単なお仕事です 24-058 幻影(23-724) とある二人は反逆者 12 第4章 ②未来を見据えて 24-066 幻影(23-724) とある二人は反逆者 13 第4章 ③大覇星祭を終えて 24-088 コスモス(22-047) アレイスターの思惑 24-101 幻影(23-724) とある二人は反逆者 14 第5章 ①潮風の香り 24-104 幻影(23-724) とある二人は反逆者 15 第5章 ②恋と少女と生き方 24-108 幻影(23-724) とある二人は反逆者 16 第5章 ③神の右席 24-129 風花(19-114) みこにゃんの日常 はちっ! 2年前の… 24-139 さわわ(22-733) 決め手は隠し味 24-171 くまのこ(17-598) 小ネタ 無自覚なフラグ建築とそれに翻弄されるツンデレ 24-180 トワノハテ(23-319) 手を繋いで 24-197 さわわ(22-733) 小ネタ 誰も見ていなかった 24-209 幻影(23-724) とある二人は反逆者 17 第6章 ①衣替えの季節 24-214 幻影(23-724) とある二人は反逆者 18 第6章 ②ヒーローの敗北 24-246 幻影(23-724) とある二人は反逆者 19 第二部 序章 24-254 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 5 24-262 はりねずみ(23-141) 上条家の日常 1 思わぬ客人 24-275 幻影(23-724) とある二人は反逆者 20 第二部 第1章 ①魔術師の誘い 24-279 幻影(23-724) とある二人は反逆者 21 第二部 第1章 ②一端覧祭を終えて 24-280 幻影(23-724) とある二人は反逆者 22 第二部 第1章 ③幸せとは… 24-294 くまのこ(17-598) 御坂美琴のとある休日 24-300 幻影(23-724) とある二人は反逆者 23 第二部 第2章 ①これから先の目的 24-301 幻影(23-724) とある二人は反逆者 24 第二部 第2章 ②英国三派閥との接触 24-305 幻影(23-724) とある二人は反逆者 25 第二部 第2章 ③裏切り者 24-340 はりねずみ(23-141) ドキドキデート 美琴編 24-346 コスモス(22-047) アレイスターの思惑・続! 24-373 はりねずみ(23-141) ドキドキデート 上条編 24-383 風花(19-114) みこにゃんの日常 きゅうっ! 定期検診っ! 24-394 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 1 第一章 ベランダの少女~rail gun~ 24-401 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 6 24-425 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 2 第二章 明確なる敵~melt downer~ 24-434 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 3 第三章 つかの間の休息~teacher~ 24-442 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 7 24-449 くまのこ(17-598) 御坂美琴改造計画 24-456 コスモス(22-047) 大学で始まる恋の予感 24-469 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 8 24-484 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 1 序章 ①過去の出来事 24-485 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 2 序章 ②激闘の終わり 24-487 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 3 序章 ③罪と不幸 24-489 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 4 序章 ④再会 24-491 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 5 序章 ⑤同棲開始 24-494 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 6 第1章 ①虚空爆破事件 24-509 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 4 第四章 心の拠り所~imagine breaker~ 24-525 くまのこ(17-598) こぼれ話 4 超電目録こぼれ話 絶対能力進化実験 後編 24-537 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 5 第五章 壊れかけた何か~sisters~ 24-542 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 1 世界観 24-543 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 2 第1章(1) 24-552 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 3 第1章(2) 24-560 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 4 第1章(3) 24-569 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 5 第2章(1) 24-572 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 6 第2章(2) 24-581 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 7 第2章(3) 24-587 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 8 第3章(1) 24-597 はりねずみ(23-141) 小ネタ 美琴の八百変化 24-601 masa(24-539) とある科学の執行部員 1 世界観 24-602 masa(24-539) とある科学の執行部員 2 第1章(1) 24-609 masa(24-539) とある科学の執行部員 3 第1章(2) 24-614 くまのこ(17-598) こぼれ話 5 超電目録こぼれ話 絶対能力進化実験 未公開シーン 24-621 紅蓮(24-620) 上条さんとミコっちゃんが超電磁砲S第一話見ました 24-637 masa(24-539) とある科学の執行部員 4 第2章(1) 24-640 masa(24-539) とある科学の執行部員 5 第2章(2) 24-649 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 6 第六章 全ての真実~radio noise~ 24-655 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 7 行間 24-658 くまのこ(偽)(24-657) 超電目録こぼれ話 絶対能力進化実験 アンソロジー 24-670 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 8 第七章 微かな希望~hope in hand~ 24-676 masa(24-539) とある科学の執行部員 6 第3章(1) 24-686 masa(24-539) とある科学の執行部員 7 第3章(2) 24-695 masa(24-539) とある科学の執行部員 8 第4章(1) 24-698 masa(24-539) とある科学の執行部員 9 第4章(2) 24-700 masa(24-539) とある科学の執行部員 10 第4章(3) 24-711 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 9 第八章 悪夢殺し~imagine breaker~ 24-721 コスモス(22-047) いちゃいちゃバカップル予備軍誕生!? 24-725 くまのこ(17-598) こぼれ話 6 超電目録こぼれ話 鉄橋は恋の合図編 24-737 ナナ氏(20-146) (無題)5 24-747 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 10 終章 始まりを告げる音~go to future~ 24-755 くまのこ(17-598) 抱き枕を抱くときは、部屋を暗くしてできるだけ人から離れて抱いてね 24-761 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 11 後日談 24-778 はりねずみ(23-141) 小ネタ 傘 24-785 コスモス(22-047) 小ネタ のどかにのんびり 24-790 くまのこ(17-598) レベル5が立案した完璧な計画 24-796 はりねずみ(23-141) 小ネタ 夫婦 24-802 くまのこ(偽)(24-657) 上条美琴の禁書目録こぼれ話アンソロジー 24-827 はりねずみ(23-141) 16巻if ~あの時あの手を掴めたら~ 24-837 ツキサカ(15-321) 消えゆくあいつの背中を追って 2 24-854 ・・・(22-517) 被害者 2 白井 24-859 はりねずみ(23-141) 小ネタ クレーンゲーム 24-868 さわわ(22-733) 部屋訪問 24-876 くまのこ(17-598) 終章その後 先に辿り着いた者は 24-886 くまのこ(17-598) 小ネタ わたしのパパとママ 24-893 はりねずみ(23-141) 小ネタ お勉強の時間ですよ上条ちゃん! 24-897 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 1 第1章 24-916 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 2 第2章 24-932 コスモス(22-047) 小ネタ His uneasiness 24-937 風花(19-114) みこにゃんの日常 じゅうっ! ショッピング? 24-942 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 3 第3章 24-955 はりねずみ(23-141) 小ネタ 時が過ぎて変わるもの 24-961 くまのこ(17-598) 好きなパターンを選んでみよう 24-970 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 4 第4章 24-980 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 5 第5章 24-993 はりねずみ(23-141) 白き大地での戦い 1 ▲ 編集 Back
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前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある宣伝の超電磁砲 「「えっ、えええええ…白井さん!!!!」」 とあるファミレスに二人の少女の叫び声が響き渡る。 あまりの声に周りのお客が、なんだなんだとその一角を見やる。 「――いっ今なんて…」 「そっそうですよ、今のは」 もう少し声のボリュームを落としてくださいませと、周りの視線を気にしながら、二人に注意する。 うっかり口を滑らせたのが原因だった。ちょっとお姉さまに思いを馳せたら、先ほどの事を思い出して 何とも切なくなって、ぽろりと涙が溢れて零れて止まらなくり、二人に慰められる形でぽろっと出てしまったのだ。 そして二人の少女の叫びへと至るわけである。 (黙っておくつもりでしたのに…佐天さんと初春にはしてやられましたわ) 「で、白井さん…御坂さんと上条さんはどこに?!」 と、佐天は白井に迫る。 「それを、聞いてどうするつもりですの?」 答えは、予想がついているのでおざなりに返す。 「も・ち・ろ・ん、見に行くんですよ!」 ああ、やっぱりかと…もっと捻った回答が欲しかったような気がしないでもない。 「そんな野暮な真似は…わたくしのプライドが許しませんわ」 そうかなぁ~と佐天は続ける 「二人の恋の行方は気にならないんですか?」 「それこそ…野暮じゃありませんの」 大体、あのお二方は既に両想いであるということがわかっている。これ以上、何を気にしろと言うのだ。 「え~二人が両想いなら尚更じゃないですかー」 続く佐天の言葉には白井にとって妙に説得力があった。 「御坂さんも上条さんも出会ってから気付かないうちに愛を育んできたんですよーだからもしかしたら そのまま一足飛びでステップアップってことも、早すぎる大人への階段、これはまずいと思うんです、白井さん!」 佐天は、危険ですよと主張し、告げる。 「様子を見に行くべきだと思うんです!」 佐天さん、その理論はむちゃくちゃですよと初春は突っ込んでたりするのだが、その声も既に白井には届かない。 ま、まさか、お姉さまに限ってそんな事あるわけがない、いやでもあの類人猿はどうだ…あの類人猿は 信用ならないかもしれない、不安だ。そんなお姉さまを無理やり…あらぬ方向へ妄想は膨らみ、止まらない。 「佐天さん、初春…それにインデックスさん」 まんまと乗せられた白井は、立ち上がる。 「行きますわよ、鉄橋に!」 やったーと佐天はガッツポーズ、白井に何が起きたのか分からず、ただ困惑する初春。 まだ食べたりないのにと、一人食べ続けていたインデックスはちょっぴり不満そうにした。 かくして四人の少女は、鉄橋へと向かう。 勿論、そんなとあるファミレスでの一幕を知るはずもない、上条と美琴。四人と二人が交差するとき、物語は始まる。 一人の少女がぽつんと夜の鉄橋に立っていた。 街の中心部から離れたこの場所は、少女にとって思い出の場所だ。 ここで、最初の収録が行われ、そこで二人は出会ったのだから。 (あいつ、来てくれるかな…) はぁ~とため息をつく。待つ間、特にする事がない美琴は、とりとめない考えを巡らす。 美琴の予定では、こんなはずではなかった。もっと段階を踏んでから、きちんと告白するつもりでいた。 あの時、あんな風に偶然出会わなければ、あの様な恥ずかしい告白の仕方は回避できたかもしれない。 いやでもインデックスといたから、居候を許しているから、全部あいつが悪いと責任転化しそこに落ちつく。 (それにしても、黒子のやつ…) と美琴は先ほどのやり取りを思い出す。 もう逃げないと、ファミレスへ戻ろうとしたところを黒子に止められて 「お姉さま、せっかくですから、この際告白をし直すという手もありますの」 と提案され、あの告白の仕方は…と思うところがあった美琴は、思わず賛成してしまった。 黒子の提案の内容はこうだ、お姉さまの一大イベント、こんなムードもへったくれもない公園や、ファミレスに戻ってなんか するよりは二人のワンシーン、鉄橋での一幕、つまりここで告白すれば、それはもう思い出に残る素敵な物となるはずであると。 ちなみに、振られないことを前提としているわけであり、振られたらそれこそ立ち直れないのではと、その時は気付かなかった。 お姉さまは大船に乗った気持ちでお待ちくださいませ、全ては黒子に任せてくださいと、別れてから 少々時間が経ち、既に辺りは真っ暗な夜なのだ。大船どころか泥舟って事はないだろうかと心配になってくる。 (大丈夫だろうか…) 心配なのはあいつではなく、黒子のほうだ。美琴は、黒子が泣いていた事に気付いていた。 迎えに行きますと申し出たのは、黒子なりに決着を着けるためかもしれないと美琴は思う。 誰よりも美琴を想い慕う後輩であり、相棒である黒子にありがとう…と心の中で感謝する。 様々な要素が重なり、美琴はここにいる。 だから、ちゃんとあいつに想いをぶつけよう、どんな結果でも私は後悔しない。 「御坂っ!」 聞き覚えのある声、間違えようもない。 唐突に名を呼ばれた美琴は、来てくれたんだとそれだけで胸がいっぱいになった。 待ち続けた人――上条当麻がそこにいた。 「「……………」」 いざ、その時となると、中々言い出せないものだ。 お互いに顔を見合わせては二人して意識し、顔を赤くして俯くを何回か繰り返して、 初々しいこと既にカップルじゃないですかと、外野がいたら突っ込まれそうな雰囲気を醸し出している。 いい加減この状態を、ぶち壊さなければと上条は思い。 対する美琴も、言わなきゃと自分を叱咤し、二人は同時に口を開いた。 「「……あの!」」 (だぁぁあータイミング悪すぎだー!) (あぁもう、なんでうまくいかないのー!) タイミングが重なり、何とも言えない空気が流れる。 (まずい、何かきっかけを作らないと…) (どっどうしよう…何かきっかけがあれば…) 数分後、意を決して言葉を紡ぎだしたのは美琴だった。 「ね、ねぇ」 「なっ、なんだ?」 「あ、あのさ…今日、あんたに言った事、覚えてる?」 「…お、おう、覚えてるぞ」 「ど、どうなのよ…」 「ど、どうって…」 「だから、私が…「まっ待て!御坂っ、それ以上は言うな!」 あまりの歯切れの悪さにじれったくなった美琴は言おうとするが、止められてしまった。 (えっ、言うなってつまり…もしかして、私振られた…の?) どんな結果でも後悔しないと思っていたのに…やっぱり無理だ。 途端に泣けてきて、その顔を見られまいと美琴は俯き、逃げるように走り出そうとする。 「って、御坂!どうしたんだ、いきなり?!」 様子がおかしい事に気付き、逃げようとする美琴の腕を掴む。 「は、離して…」 「嫌だ」 と言ってその腕をぐぃっと引っ張り抱き寄せる。 突然の事で、何の抵抗もできずに美琴は腕の中に納まった。 「えっ、ちょっと…なっなにしてんのよ!」 「お前、何か誤解してるだろ」 「そ、それは…だって…」 「だって?」 「さっき言うなって…だから私」 「いや、それは…そのだな…」 「…………うん」 「…御坂に先に言われたくなかったんだよ」 観念したように告げ、美琴を抱きしめる腕をほどくとその肩に手を置き、少しだけ離す。 ちょうど、美琴が見上げる形になり、二人の視線は交差して、互いの瞳に相手を映し出した。 「俺は…お前の事が好きだ!」 「……………っ!」 一瞬、何を言われたのか分からなかった。 言葉は、心に響いて、気持ちは溢れて涙になった。 「まっ紛らわしいのよ、このばか…」 勝手に一人で勘違いして、恥ずかしさ半分、嬉しさ半分、どうしていいか分からない。 頬を伝う涙は止まらなくて、泣くなよとその雫を拭う手が不意に添えられる。 「なぁ…お前の気持ち、もう一度ちゃんと聞きたいんだけど?」 (ずるい…そんなのもう分かってるじゃない) 添えられた手、徐々に縮まる距離、『好き』という気持ちは言葉になる前に塞がれた。 しばらく二人は黙って寄り添っていた。 永遠に続けばいいと思う時間は、唐突に終わりを告げる。 「お姉さまーーーーー!」 「とうまーーーーーー!」 「「御坂さーん!」」 えっと思って声のする方向には、見知った四人の少女達。 いやな予感が駆け巡る、もしかして…一部始終見られた? 「ばっちり見ましたよ!」 と佐天は言う。 「遠くから見てたんで、何を喋ってるのかは分かりませんでしたけど!」 「でもドラマみたいでした!」 とこれは初春。 「おのれぇぇぇお姉さまのベーゼをあっさり奪っていくとはぁぁあ」 と言うまでもなく、白井。 「だぁっはー痛い!こら噛むな、インデックス!」 皆が祝福してくれてるのは分かる、分かるけど。 「なんていうかこれって、不幸だぁぁぁぁぁぁあー」 満天の星空に、一人の少女の叫び声が木霊した。 ――ザッ 川原にツンツン頭の少年とパチっと放電させている少女がいた。 緊迫した空気の中、ツンツン頭の少年はうんざりした面持ちで、口を開いた。 「で…何の用だ、ビリビリ」 「ビリビリじゃない!いい加減、名前で呼びなさいよゴラァァ」 ビリビリと呼ばれた少女はちょっと顔を赤くしながら 「今日は、あっあんたに…えっとその」 「はぁ?…てか一日早く呼び出しておいて何も考えてないとかはないよな?」 「明日は、そう都合が悪くなったから、今日呼び出して何が悪いのよ!」 「俺の都合は無視かよ…で、改めて聞くが何の用だ?」 「あ、あの、私はあんたの事が好…『ピピピピピピピ』」 「あ、わりぃ…メールだ、で何か言ったか?」 ふるふるふる… 「…っ好きだって言ってんのよゴラァァァァ!」 「ぐふぅ!」 『とある科学の超電磁砲 レールガン 第4巻いよいよ発売!』 おまけ 帰り道、二人の少女は話に花を咲かせていた。 「ねえ…初春」 「何ですか、佐天さん?」 「私たちもさ、いつかあんな恋がしたいね!」 「…そうですね!」 「あ~もうほんとっお似合いだなぁ~」 「上条さんは、幸せ者ですよね!」 「ね、二人の結婚式とか楽しみじゃない?」 「って気が早すぎですよ!」 終わり 前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある宣伝の超電磁砲
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある10人のハロウィンパーティ The_secret_meeting. 3 美琴と上条が一緒に料理を作っている頃、佐天の部屋には初春と白井が来ていた。 こちらもメールにあった通り、料理を作っていたのだ。 「初春そっちはどう?」 「ラザニアはもうちょっとですね。うーん、いい匂いがします」 「そっか。サラダももう出来るから、後は明日まで冷やせばいいだけだよ」 キッチンに立つのは佐天と初春。白井の姿はそこにない。 「白井さーん。そっちはどうですか?」 サラダの入ったボールにラップフィルムを掛けながら、佐天が白井に問い掛ける。しかし。 「あー、白井さんなら顔ドラムの真っ最中だから答えられへんよ」 答えた声は野太いテノールであった。 現在、佐天の部屋には同じ手料理班の2人以外に、青髪ピアスと土御門が来ていた。 パーティグッズを買いに行った帰りに、佐天を訪ねてきたのだ。 「顔ドラムって、白井さんどうしたんですか?」 キッチンでオーブンをチェックしていた初春が、白井たちが囲んでいるテーブルの方へと戻る。 「いやー舞夏と電話中なんだけどにゃー」 そう答えるのは土御門。確かに片手には携帯電話が握られている。 「俺が話すと新鮮味が薄れちまうから、良かったら初春さんが直接聞いてみればいいと思うぜい」 「そうなんですか?」 よくわからないまま、初春は土御門から携帯電話を受け取った。 「もしもし? 初春ですけど……」 『おー盛夏祭の時以来じゃないのかー? 久しぶりだなー!』 「あ、お久しぶりです。覚えていて下さったんですね」 『御坂や白井からもよく話に聞いてるからなー。最近は兄貴からも聞かされてたし』 「そうなんですね。ところで、白井さんが顔ドラムしちゃうような話って何ですか?」 『おー単刀直入だなー。いいぞー君にも話してあげよう!』 「……、ほう。……ほほう」 以下、土御門舞夏の話をまとめるとこういうことらしい。 いつものように兄貴の夕食を作りに、部屋を訪れた舞夏。 合鍵で入って調理を始めた舞夏だが、料理人としての嗅覚が反応した。 匂いの源は隣人、上条当麻の部屋。 推測するにおそらく肉じゃが。しかも相当な作り手の肉じゃがとみた! ベランダを使って隣の部屋を覗き込むと、部屋の主である上条はベッドに寄り掛かって寝ているではないか。 そして、キッチンから顔を覗かせているのは、鼻歌まじりに調理している御坂の姿が。 これは乱入するよりもここから見ていた方がいいと判断した舞夏。 そのまま美琴が帰るまで秘かに覗き見し続け、また兄貴の部屋に戻ってから電話を掛けて今に至る。 ベランダから覗き見って犯罪ですよね……と思った初春だが、最後までツッコミを入れることはなかった。 電話の向こうの土御門舞夏は言う。 『あの御坂の恋する乙女ぶりは、カメラを回したくなる画だったぞー。肉じゃが作り終わった後も、書き置きのメモを何度も書き直してたしなー。 顔が真っ赤だったから、きっと御坂にとって恥ずかしい言葉を綴ろうとしてたんだろうなーあれは。まぁ、結局は諦めたみたいだけどなー』 つまり、その御坂の可愛らしい様子の詳細を聞かされて嫉妬が爆発した結果、白井は顔ドラムしているようだ。 その後、サラダの調理を終えた佐天が初春と電話を代わり、全く同じ話を耳にした。 結局、人数分の計5回も同じ話を繰り返した舞夏であったが、本人は自分の楽しみを共有出来たことが嬉しいらしく、 最後に兄の土御門と会話してから機嫌良く通話を終えたようであった。 「ということは、作戦は大成功ってことですね」 「みたいだにゃー」 「あの類人猿め…お姉様の手料理なんてこの黒子でさえ滅多に食べることは出来ませんのに……」 「まぁまぁ白井さんも落ち着いてーな。おでこ冷やそ?」 「白井さん、上条さんに危害加えたらダメですよ」 にっこりと笑い、やんわりと白井に告げる初春。 しかし、そんな初春の笑顔に、彼女をよく知る白井と佐天は『黒春』を垣間見た。 ラザニアも仕上がった後、5人は小さなテーブルを囲んで話し合う。 「あーいよいよ明日が本番ですね。明日で何とか2人をくっつけたいんですけど……」 「コスチューム選びや胃袋作戦で、いくら鈍感なカミやんといえど多少は御坂さんを意識し始めてるはずと違う?」 「そうですよね。だから、あとは御坂さんが告白出来るよう、私たちで背中を押すことさえ出来れば……」 「いや、背中押すのは御坂さんじゃなくてもいいと思うぜい」 すると、土御門がニヤリと笑って口を挟んだ。 「カミやんを押すのもありじゃないかにゃー?」 「押すって土御門さん、それは上条さんも御坂さんを想ってるってことですか!?」 思わぬ土御門の言葉に、佐天が勢い良く食いつく。 「どうかにゃー? もちろん本当のところはわからないが、揺さぶりをかけるのは有りだと思うって意味ぜよ」 「揺さぶり、ですか?」 「そうだにゃー。たとえば、」 と、言葉を区切った土御門は突然、周囲を驚かす行動に出た。それは、 「白井さん。俺、実は君に一目惚れだったんだぜい」 「「「なっ!?」」」 なんと、土御門が隣に座っていた白井の肩を抱き寄せて囁いたのだ。 「な、何しよんねんつっちー!? 白井さん抱きしめるなんてーっ!?!?」 しかし、当の抱きしめられている白井は、土御門に向かって極めて冷静に告げる。 「離してくださいな、土御門さん。あなたの意図はわかりましたので」 「「「へ? 意図?」」」 「つまり、私たちがお姉様の後押しをする一方で、あなた方殿方がお姉様にちょっかいを掛け、上条さんの嫉妬を引き出そうという魂胆ですの。ですわよね?」 「さすが白井さん。察しがいいにゃー」 つまらなさそうな白井を、土御門が怪しい笑みを返しながら開放した。 その様子を見て、佐天はケラケラと笑いながら言う。 「なーんだ。もうビックリさせないで下さいよー。応援が必要な人が増えたかと思ったじゃないですか」 「悪かったにゃー。でも、さっき白井さんが言った通りぜよ。カミやんに揺さぶりをかけるのも有りだと思うんだにゃー」 「それには私も賛成です。名案だと思います。まぁ、さっきのはやり過ぎですけどね」 「お姉様にむやみやたらに抱きつこうなどお考えでしたら、この黒子が串刺しに致しますのでご覚悟下さいな」 スッと白井が金属矢数本を取り出して牽制する。 「もちろんわかってるよ、白井さん。ボクらもまだ死にたくないしね。そうやろ、つっちー?」 「もちろんだにゃー」 「じゃあ、話も一段落ついたことですし、明日新しいカップルが誕生することを祈って乾杯しませんか?」 「いいね、初春! あ、新しいジュース取ってくるよ」 そして、5人全員にジュースを回してから、佐天が音頭を取る。 「御坂さんの恋が成就することを願って! 乾杯!」 「「「「乾杯!」」」」 いよいよ明日は10人合同ハロウィンパーティ当日。 応援隊最後にして最大の作戦が幕を開ける。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある10人のハロウィンパーティ
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/一本の白き道 とある右手の番外編(パラレルワールドストーリー) ドモ。右手です。 えっ!?何でオマエが出てくるんだって?……イイじゃないですか……タマには……。 別にこの前出たことで味を占めた訳じゃありません。 何か前回より腰が低い? 前回は後ろ盾があったから、ちょっと大きな顔が出来ただけですってば。 元の私はこんなのです。 ゑっ!?オマエなんか出なくてイイから……早く、やっちゃった後のイチャイチャな美琴と当麻を書け? イヤ、私が書いてる訳じゃないんですけど……。 今回はちょっと事情がありまして、その説明というか……何というか……。この低姿勢もその現れでして……。 まぁ、私にも色々あるってコトで、その辺りはお許しいただきたいな……と。 実はですね……この前私どもの会合がありましてね。 何だよ?会合って……?……そりゃ、そうですよね。その反応が普通。 ええっとですね……何から話せばイイかな……? 皆さん、並行世界(パラレルワールド)ってご存知ですか? 並行世界(パラレルワールド)って言うのは……ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す訳ですが、今私が居るこの世界でも色んな世界が並行して存在してるって訳です。 で、その並行世界の右手が集まって(変な想像しないで下さいね。異様な光景ですから……)今の上琴の現状ってヤツを話し合った訳ですよ。 そしたらまぁ……出るわ、出るわ。秘守義務ってヤツがあるんで詳しくお話は出来ないんですけど……ココのエピソードの比じゃないですから。 とてもココじゃあ書けないような泥沼化したのもあれば、もう桃色空間全開過ぎて18歳未満はヤバイのまで……中にはかなりな鬱展開まっしぐらなのもあったりしましたが……。 で、話がどんどん進んでいって、結局行き着く先は、美琴さんの電撃を消すのは結構骨なんだよなぁ……っていう、話になっちゃったんですよ。 私としましては、最近美琴さんの電撃は……あんまり消してないかな? この前、スンゴイのを一発喰らいそう(実際に喰らいましたっけ……)になったんで……さすがにあの時は慌てましたけどね……。ハハハハハ……ハァ……。 今はどちらかと言うと、電撃より、漏電を止めてる方が多いですね。 えっ!? あの首筋の件はどうなんだって? そ……そんなコトもありましたっけかねぇ……。どうだったけかなぁ……。(遠い目……) で、ですね……さっきの会合の話に戻すと、その中の一人(と言うとおかしな話かも知れませんが……)がですね、かなり落ち込んでる訳ですよ。 『もう、毎日毎日が辛くって……。だって、美琴さんと来たら、顔を合わせる度に『バチバチ。ビリビリ。ドッシーン。ズッシーン。バッシャーン。ビビューン』と、やりたい放題で……しかもそのパワーがハンパない訳ですよ……正直、カラダが保ちません。少しお休みが欲しい訳で……一日でイイから、どなたか変わっていただけませんかねぇ……』 てな話が出て来ましてね。……で、誰が行くか?ってコトになって、なぜか満場一致で私に決まっちゃったんですよ……。 他の連中が言うには……『オマエが一番美味しい想いしてんだから……』って言うんですが……。 心当たり……無いんですよね……。 今までは、イマイチ『不幸』ってコトが分からなかった訳ですけど……今回は身に染みましたね。 ああ、『不幸』ってこういうことを言うんだ(遠い目……って目は付いてないんですけど……)……って。 だから言わせて下さい……。 不幸だ……。 ただ、私だけが行ったってどうにかなる訳じゃあないので……だって、私が力を揮えるのは上条さんのカラダの中に居る時だけなんですから……。 ということで、今回は上条さんと一緒に一日だけ、並行世界(パラレルワールド)に行って来ます。 それにしても……アッチの世界の私が、今日入れ替わるって言ってたけど……一体いつ入れ替わるつもりなんだろう? 変な時間に入れ替わられるとなァ……ホントは上条さんにちょっと説明した方が良いんだろうけど…… 言う時間もないし……言っても信じて貰えるかどうか…… 実際のトコロ、なるようにしかならない……と投げやりになっちゃいけないんだけど……ハァ、不幸だ…… 「ン~……何だ?誰かが独り言をボソボソ言ってるよーな気がするんですけど……気のせいでせうか?……ん~……第一オレしか居ねえもんな」 などと独り言を言いながら、朝の準備を始めてる上条さん。 最近は美琴さんからのモーニングコール前に起きて、3コール以内には電話に出るように心掛けておられます。 美琴さんもその事がエラくお気に入りのご様子で、もう朝からイチャラブ全開です。 時々、電話の向こう側で白井黒子さんの叫び声が聞こえる時があるんですけど……、大体美琴さんの電撃でやられてます。 学校の成績の方も、さすがにうなぎ上りとは行かないモノの、もう補習や追試とは無縁の生活が当たり前になっておられますよ。 人間、変われば変わるというか……変われるモノなんですねぇ……。 『ピンポーン』 「さすが美琴。定刻通りだな」 「おはよう、当麻。んっ」 玄関に入ってドアを閉めたら、もう朝のキスの催促ですか? 「ハイハイ。好きだよ、美琴。んっ……」 上条さんったら、おはようの代わりの『好きだよ』なんて言っちゃって……もう……。 「ウン……私も、当麻が好き。エヘへへ~……」 スイマセン……ストロングブレンド、プレスで煎れて戴けません? あ……砂糖いらないんで……。ハイ……。 「あ、そうそう、昨日出しといてくれた課題でさ、分かんないところがあるんだよな。まずそこを教えてくれないか?」 「え……ちょっと難しすぎたかな?今の当麻ならイケると思ったんだけど……」 「期待してくれるのは嬉しいけどさ、基本的にはまだまだなんだから……」 「そんなコト無いよ。かなり頑張ってると思うよ……当麻は」 「そうか?でも、美琴が居なかったら、オレはこんなに変われてないぞ。全部美琴のお陰だよ」 「そんな……でも、お世辞でもそう言って貰えるのは嬉しいな」 「お世辞な訳無いだろ。本気でそう思ってるよ。今のオレがあるのは美琴のお陰だ」 「エヘヘ~……ねぇ、当麻。そこまで言ってくれるなら……何かご褒美が欲しいな♪」 「ご褒美か……何がイイんだ?」 「……あのね……また……お泊まり……がイイな」 「オイオイ、ここんとこ連続過ぎないか?……そりゃ、オレだってずっと美琴と一緒に居られるのは嬉しいけど……」 「お泊まりがイぃイ~~~~」 「分かった、分かったよ。もう……ワガママなお姫様だ……」 「そのお姫様を強引に押し倒した勇者様はドコのどなたでしたっけ?」 「……んなこと言ってると、今朝の朝食は美琴になっちまうんだけど……」 「……ポンッ!……//////////……バカ……」 「……美琴……カワイ過ぎだ……」 「……今はダ~メ……続きは……んっ!!……もう……」 「続きは……お泊まりで……。……今は……キスだけ……だろ?」 「……む~~~~~~~~~~っ……」 「怒った美琴も可愛いぜ」 「ゴニョゴニョ……ふにゃあぁぁあぁぁぁぁ~~~~~~……当麻……ゴロニャン……」 「ハイハイ、撫で撫でな……」 「うん……エヘへへ~……しあわせ……」 すいませ~ん、冷房にしてもらえますぅ~。 それと、ストロングのアイスコーヒー下さ~い。 もう……朝っぱらから、桃色空間全開じゃないですか……。 でも……、コレで向こうに行ったらどうなっちゃうんだろう? そんなこんなで、上条さんは美琴さんに分からないところを教えてもらった後も続けて勉強。美琴さんは朝食とお弁当を作り始めてます。 最近は二人一緒に朝食を食べて、一緒に学校に登校。 といっても、途中の交差点で分かれるんですけどね……。 さすがに外では『バイバイのチュッ』はしませんけど……出掛ける時の『行って来ますのチュウ』は……ねぇ……。 まだ3月だって言うのに……ああ……暑い、熱い。 それにしても、アイツ……一体いつになったら……。 『キーンコーンカーンコーン』 アララ……授業開始しちゃったよ……。 どうするつもりなんだろ?……ホントに……。 ん?……あ……始めたな……。 (えっ!?……何だ!?……何か景色がエラく揺らいでる……もしかして……オレ……おかしくなってきた?) (イヤ……違う……おかしいのは周りの方……?) (アレッ!?……何だ……どっちが上で、どっちが下かも……分からなくなって来やがった……) 『(パキィィィィン)』 (えっ!?、今……幻想殺し(イマジンブレーカー)の音がしたような……周りの揺れも収まってる……一体何が……起こったんだ?) 「……じょうちゃん……み…うちゃん……上条ちゃん!!!」 「ヘッ!?……あっ……ハイッ!!!」 「さっきまで寝てたと思ったら、急にキョロキョロし出して……もっと授業に集中しないと、また補習ですよ~」 「「「「「ワハハハハハハ……」」」」」 「???」 「どうしたんです?上条ちゃん。変な顔して……」 「い、イヤ……あの小萌先生……今、地震みたいなモノが起きませんでしたか?」 「何を寝ボケているんですか、上条ちゃん……。もう……目覚まし代わりに前に書いたこの問題を解いてみなさいなのです~」 「あ……ハイ」 「えっ!?」 「「「「「ザワザワザワザワ……」」」」」 『カッカッカッカカッカカッカッカッカッカカ……』 「ハイ……出来ました」 「「「「「「「「「「ええぇぇぇぇ~~~~~~~~ッ!?」」」」」」」」」 「ウソやっ!?上やんがあんな問題を解けるはずがない!!!」 「明日は大地震で学園都市が滅ぶかも知れないぜよ!!!」 「上条、貴様……どんな不正をしたっ!?」 「上条君、変なモノでも食べた?」 「こんな日が……こんな日が来るなんて……先生は……先生は……今、猛烈に感動しているのです~~~~!!!」 「……オマエら、何言ってんだよ。……チョット前までならダメだったろうけど、上条さんはレベルアップしたんですのコトよ」 「この一週間、補習を受け続けてるヤツのセリフじゃないにゃー」 「ヘッ!?」 「そーや、そーや。昨日も一昨日も僕らと一緒に補習を受けとったクセに、何がレベルアップや!?」 「ちょっと待て……オレ、最近補習なんて受けてないぞ?」 「「「「「ハァ?」」」」」 「美琴と一緒に過ごす時間が無くなるから、頑張って補習や追試を受けなくても済むように……」 「『美琴』って誰や!?」 「まさか『常盤台の超電磁砲(レールガン)』こと、御坂美琴のことじゃないだろうにゃー!?」 「上条、貴様!!いつ、中学生を拐かしたっ!?」 「恋人呼び……|||||」 「やっぱり、デルタフォースはロリコンだったのね!!!」 「私のことは遊びだったって言うの!?上条君!!!」 「私の時はあんなに激しかったじゃない!?(階段から落ちそうになったのを抱き留めてもらっただけだけど……)」 「私の時はあんなに強引だったじゃない!?(不良に絡まれたのから一緒に逃げただけだけど……)」 「私の時はあんなに優しかったのに!?(転んだ時に絆創膏を貼ってもらっただけだけど……)」 「私の時も優しかったじゃない!?(買い物袋を持ってもらっただけだけど……)」 「あたしなんか……」 「私だって……」 「私も……」 「オノレはどんだけフラグを立てたら気が済むんじゃい!?」 「「「「「「「「「「ギロッ!!!!!」」」」」」」」」」(クラス男子全員の視線) 「まっ、待てッ……はっ……話せば分かる……なっ……ってか、……オマエら……何でそんなに怒ってるんだぁ~~~!?」 「良いか!!上条、そこに直れ!!!!!」 「はヒッ!?」 「コレより、上条当麻を詰問する!!!!!!!!」 「「「「「「「「「「「「「「「オオ~~~~~~~~~~ッ!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」 「不幸だァ~~~~ッ!!!!!」 「ああ~……もう、散々な目に遭った……」 あの後、クラス全員vs上条当麻の詰問委員会が開かれ、吊し上げを喰らうわ。 災誤先生の授業の小テストで、満点を取ったらカンニングを疑われるわ。 お昼に美琴の作ってくれたお弁当で傷ついた心を癒そうと思ったら、なぜか弁当箱まで変わってて、ご飯と梅干し(多分神裂のお手製)とタクアンが二キレしか入ってないわ。 その上、帰り際に補習を言い渡されて、延々二時間残されるハメになるわ。 ホントにもう……散々である。 「美琴のヤツ、怒ってんだろうなぁ……。一応メールはしといたけど……。絶対怒られるよ……。……ああ、不幸だ……」 「『超電磁砲(レールガン)連発の刑』かなぁ……『雷撃の槍乱れ打ちの刑』かなぁ……。ま、まさか……『砂鉄剣・頭上リンゴ皮むきの刑』じゃないだろうな……」 「あ……アレだけは……マジで勘弁して欲しいよなぁ……」 そんなコトを呟きながら、トボトボといつもの道を歩く上条さん。 ホント、スミマセンねぇ……。 一方、その頃。いつもの自販機の前には……この世界の御坂美琴が立っていた。 彼女は今、混乱している。大混乱していると言ってイイ。 その原因は昼過ぎに上条から送られてきた一通のメールだ。 to 美琴 from 上条 sub ゴメン 美琴。ホントにゴメン。なぜか 判らないんだけど、急に補習を 言い渡された。 補習を受けなきゃならないよう なことはしてないはずなのに。 2時間ぐらい遅れるから、先に 買い物して部屋で待っててくれ。 埋め合わせは必ずするから。ホ ントゴメンな。 このメールを受け取った時、美琴は…… 「何なのよ、このメールはぁ~~~~ッ!?」 と、学校中に響き渡るのではないか?というくらいの大声で叫んでしまった。 しかも、メールの内容が問題だ。 メールに書かれている内容は、それほど大したことではない。補習を受けなければならなくなったので、待ち合わせに遅れる。というコトだ。 だが……なぜ、そのような内容のメールをわざわざ自分に送りつけてくるのか? 自分が上条を待ち伏せしているのが判っている……のではなく、約束して待ち合わせをしていることが前提……としか考えられない。 それに、メールはいきなり名前呼びで始まっている。コレではまるで、恋人同士のメールではないか? しかも『先に買い物をして部屋で待っててくれ』とまであるのだ。 『先に買い物をして』と言われても、何を買えばいいのか皆目見当がつかない。第一、上条と買い物になど行ったことすらないのだ。 そして、美琴を一番混乱させているのが『部屋で待っててくれ』の一文である。メールで言っている『部屋』とは多分、学生寮の上条の部屋のことだろう。 こちらの美琴は、上条の学生寮がドコにあるかは知ってはいるが、それは上条を尾行して知ったのであって、彼から教えてもらった訳ではない。 それに、『寮の前で待っててくれ』でも『部屋の前で待っててくれ』ではなく『部屋で待っててくれ』とある。 この内容から推察するならば、自分はもう既に上条の寮の合い鍵を持っている。 ……ということになる……のだが……。 実際には、そんなコトがあろうはずがない。 顔を合わせれば『勝負よ、勝負!!』と言うのが当たり前になってしまっているし、『上条に対する想い』があることは自覚しているが、それ以上に勝負に拘ってしまっている日常の方が、既に長くなってしまっている。 ある時までは『素直になって想いを伝えよう』としたこともあった。だが、そんなコトが思い出し難くなるほど、今は……。 そんな日々を繰り返しているのに……今日、アイツから来たメールは……まるで恋人に送るような……相手を気遣ったとても優しいメールだった。 「……あのバカ……、何でこんなメールを……」 上条の真意を測りかね、この世界の御坂美琴は混乱を抱えつつ、いつもの自販機の前で上条が通るのを待つのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/一本の白き道
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ほのぼのハッピーエンド(?)注意。 過去作以上にぬるいです。 幻想郷には珍しい和洋折衷な一軒家、そこに子供のいない夫婦が住んでいる。 子供のいない寂しさを埋めるため、彼らは多くのゆっくりを飼いはじめた。 以下に見ていくのはゆっくり達の日常の一部である。 ①きれい好きなれみりゃ 台所をぽてぽてと歩いているれみりゃ、このれみりゃは非常にきれい好きである。 常にハンカチを装備し、汚れを見つけるとごしごしと拭ってきれいにする。 「うっう~♪きれいきれいだどぉ~♪れみりゃきれいきれいだどぉ~……う?」 妙に体がべたつく。見ると、汗(肉汁)をかいているではないか。 家は暖房が入って温まっている。れみりゃには少し暑すぎるのだろう。 「う~~~~きちゃないどぉ!きれいきれいするどぉ~☆」 ごしごしと顔や手を拭い始めるれみりゃ。つるっときれいになった肌(皮)に満足する。 が、それも一瞬のことだった。きれいになったと思ったらすぐに肉汁がじんわり染み出てくる。 れみりゃは体の中にジューシー肉汁の染みた具が詰まった肉まんなのだから、当然といえば当然である。 「う~~~!?!?!?どうしてだどぉ!?きれいにならないどぉ!」 ごしごしごしごし。 れみりゃは際限無くあふれる肉汁を一心不乱に拭う。 ごしごしごしごし。 ハンカチがべとべとになり、皮がすれて真っ赤になっても拭い続けた。 ごしごしごしごし。 「うっ……うああああああぁあああぁぁあああぁああ!!!!!!!」 数時間後、れみりゃは全身ずる剥けになり中の具をあふれさせた状態で、飼い主の「おかあさん」に発見された。 ほとんど虫の息だったが、「おかあさん」がすぐさま手当てしてくれたので一命は取り留めた。 しかし、台所を汚した罰としてぬか漬けの樽に突っ込まれて数日放置されることになってしまった。 きれい好きのれみりゃは、しばらくぬか漬けのきつい臭いがとれなかったそうな。 ②酒かすゆっくり 「なあ、すいか」 「なに?ういっく、おと、うぷっ、さん!」 「吐くなよ。……こんどな、俺の友達が遊びにくるんだ」 「うん」 「そいつな、凄い酒に弱いんだ。臭いも駄目なぐらい」 「うん」 「……お前、中身酒かすだよな?」 「……うん」 「…………いつも酒の臭いがするよな」 「…………うん」 「……………………………………」 「……………………………………」 「………………ごめん」 「………………うんっ………………」 数日後、木枯らし吹きすさぶ庭から暖かい家を眺めているゆっくりすいかがいた。 楽しげに鍋をつつく他のゆっくり達を見つめる視線は羨ましげで、酒に弱い「おとうさん」の友達を睨みつける視線はじっとりしていた。 「……へっくしゅん…………うぃっぷ」 酒臭いくしゃみが、草木の枯れ果てた庭に、やけに大きく響いた……。 ③ドイツ風ちしきまんじゅう まりさとぱちゅりー、二匹はとっても仲良しなゆっくりである。 悲しみに満ちた目で見つめてくるありすのことなど綺麗に無視して、いつも二匹で戯れている。 「まっ、まりさ!!」 「どうしたのぱちゅりー?」 「(いっ、いうのよぱちゅりー!まりさにわたしのあいをつげるのよ!) いっ……いっいっひりーべまりさ!!!!」 「?」 「(む、むきゅ?きこえなかったのかしら??もういっかい……) いっひりーべまりさ!」 「なにいってるのぱちゅりー?」 「(むっ、むきゅうん!?!?) いっひりーべまりさ!!」 「もう、さっきからなんなの!?まりさおこるよ!?」 「(だってごほんにはあいのこくはくってかいてあったの!) いっひりーべまりさぁ!!!」 「わけわかんないことばっかり!!もういいよ!わけわかんないぱちゅりーなんて嫌いだよ!ぷんぷん!」 「いっひりーべ…………まっまりさ!まっていかないで……げほっごほっうぐぇっほ!」 まりさとありす、二匹はとっても仲良しなゆっくりである。 絶望に満ちた目で見つめてくるぱちゅりーのことなど綺麗に無視して、いつも二匹で戯れている。 「むぎゅううううううう……なんでぇ……なんでなのぉ……まりざあああ……」 部屋の隅には「楽しい初心者ドイツ語講座(ふりがな付き)」と書かれた本がくしゃくしゃになって放り捨てられていた。 結論:ゆっくりには日本語で話しかけましょう ④こけしカット 家で最も日当たりのいい場所に作られた「おかあさん」の部屋。 そこではこの家のゆっくり達の最古参であるかぐやが「おかあさん」に髪を整えてもらっていた。 ふかふかの座布団の上で、かぐやはいつにもましてうつらうつらとしている。 「かぐや、たまには違う髪形にしてみない?」 「ゆぅー……?」 つるつると手触りのいい長い黒髪はかぐやの自慢だ。基本的に何事にも執着しない面倒くさがりなかぐやが、この髪だけは大事にしている。 床に流れる髪はまるで黒曜石を編みこんだようで、人間にだってひけをとらないだろう。 美しい、この上なく美しい。だかろこそいぢってみたくなる。 「……かぐや、ゆっくりの髪も伸びるんだよね?」 「ゆー……ゆん(うん)」 「……切ってもいい?」 「ゆーん…………ゆん」 かぐやは、ぼんやり寝ぼけた思考で肯定の返事を返してしまった。 「おかあさん」の言葉の意味をあんまりよく考えることなく。 ――――う゛あ゛ああああ゛あ゛ああ゛あん……うあああ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛ん゛ん゛ん゛……―――― 穏やかな昼下がり、突如として響いたかぐやの泣き声に昼寝をしていたえーりんは飛び起きた。 自らの最高速度を持って泣き声が響いてくる方へと急ぐ。途中でれいむを突き飛ばしたような気がするが気にしない。 「かぐやっ!」 急いで飛び込んだ「おかあさん」の部屋。そこにいたのは。 「……かぐや?」 「う゛あ゛っう゛っひっぐ……え゛、え゛ーり゛ん」 こけしだった。否、こけしヘアーにカットされたかぐやだった。 「ゆんって言うからてっきり切ってもいいのだと……寝ぼけていたんだね。ごめんなさいねぇ……」 困り顔で謝る「おかあさん」。泣き止まないかぐや。 しばし呆然としていたえーりんだったが、二人を交互に見つめると、やがて何か決心したような面持ちで口を開いた。 「おかあさん!」 「んー?」 「わたしのかみもきって!」 「え」 「かぐやとおそろいにしてっ!!!」 「……なあ、あれ」 「おとうさん」が指差す先にはかぐやとえーりんが寄り添いあって眠っていた。 あの後、お揃いのこけしヘアーになった二匹は互いに寄り添い泣き続け、そのまま眠りに落ちたのだった。 「……何も言わないでおくれ」 「いや、うん…………こけしカットだけなら俺だって何も言わない。髪はまた伸びるからな。でも…………」 「…………」 「…………なんで顔の表情までこけしそっくりになっちゃってんの?」 ―――これは、こけしの道を極めたゆっくりの物語である――― あとがき すっごくお久しぶりなぽてちです。 こけしなかぐやとえーりん想像したら悲しくなりました。とんだ自分いぢめです。 ぽてちその他の作品。 ゆっくりめんどくさい ゆっくりえーりんの一日 ゆっくりごはんですよー ぶたまんじごうじとく だいふくしょっく ようじょのにっき byぽてち このSSに感想を付ける
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の帰還記念祭 後日談 ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ 「ふぁ……」 太陽の光の眩しさでベッドの上の美琴はゆっくりと目を覚ました。 なぜかわからないがいつもより数倍寒い気がする。 大きめの毛布に包まったまま上半身を起こし、きょろきょろと辺りを見回す。 「んー…?あれ!?ここ寮じゃない!!」 目に映るのは明らかに寮とは違う光景。 しかし今いる部屋は見覚えがあるような… 「あ、実家に帰ってきてるんだったっけ。また帰還記念祭の時みたいにわけのわからないことになってるかと―――」 そこまで言って美琴は何かがおかしいことに気づいた。 なんだか毛布の下がスースーする。 まるで何も着ていないかのような… 「……………えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええッッッッッッ!!?!?」 美琴は思わず大声を出した。 (な、な、ななんで私何も着てないわけ!?前は下着とYシャツだったのに今日はそれすら着てないじゃない!!!) この寒い真冬にもかかわらず素っ裸、しかしなぜこんな格好でベッド寝ているのか全くわからない。 わかることと言えば、ここが自分の部屋だということくらいだ。 「冷静になって考えてみたら…昨日の夜の記憶ない………と、とりあえず何か着よ…確かそこのタンスに……」 いくらなんでも素っ裸は寒いので何か着ようと考え、毛布に包まったままベッドから降りようとした時だった。 「う~ん…」 「へ?」 同じベッドのすぐ隣で声がした。 その声がしたところを見てみると (…な、なんか動いてる……まさか…) 人1人くらいの大きさの何かが掛け布団に包まってもぞもぞと動いていた。 まさかそんなわけはない、ありえるわけはないだろうと自分自身に言い聞かせていたのだが、掛け布団がめくれたかと思ったら 「ふわぁぁぁぁ……あ…おはよ、美琴。」 同じベッドの隣に上半身裸の上条が姿を現した。 今見えているのは上半身だけだが、この様子からして下も何も着ていないっぽい。 「あ、アンタなんで裸!?」 「は?何言ってるんだよ。昨日の夜……って寒いなー。12月にこんな格好で寝るもんじゃねーな。えーと俺の服は…」 「…あの……」 「ん?どうした?」 「…記憶ない……」 「………え?記憶ないってどういうことだ?ま、まさか俺みたいに記憶喪失に…」 「違う違う!昨日の夜6人でパーティしてる途中からの記憶が……」 「まさか…ないの…か…?」 顔を真っ赤にした美琴は毛布に包まったままコクリとうなずいた。 対象に顔を青くする上条は慌てた様子で 「ど、どこまで覚えてる!?ここに来たときのことは覚えてるか?」 「覚えてない…えーと…確か実家に帰ってきて―――――」 ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ 『上条当麻帰還記念祭』があった日から数週間後のお昼過ぎ。 本来は学校がある時間帯だが今は冬休みのため、美琴は彼氏となった上条と一緒に舞夏が撮ったビデオを見ていた。 今テレビには美琴が酔って上条に衝撃の告白をしたところが映されている。 が、見ているのは美琴と上条だけではない。 「わ、わ、ちょっと抱きついてるじゃない!!積極的ね…ってキスまで!!美琴ちゃん成長したわね~♪」 「あぅ…もう勘弁して…」 「あらあら…当麻さんったら顔が真っ赤ね。」 「そりゃいきなりキスされりゃ真っ赤になるよ…」 もうお分かりかと思うが、一緒にビデオを見ているのは美琴の母、御坂美鈴と上条の母、上条詩菜である。 暖房の効いた温かい8畳ほどの部屋で美琴と上条は仲良く一緒のソファに座り、美鈴と詩菜は床に座布団を敷いて座っており、 母親2人は食い入るように舞夏が撮ったビデオを見て、はしゃいでいた。 今、美琴と上条がいる場所は学園都市ではない。美琴の実家、つまり学園都市の外にいるのだ。 なぜ2人が美琴の実家にいるのかというと、上条のいつもの不幸で付き合い始めたことがバレてしまった。 しかもバレたのは美琴の父親である御坂旅掛、『一度顔を見せなさい』と言われ学園都市から出てきたのだ。 そして今日旅掛が海外から帰ってくるということで上条の父、上条刀夜が車で迎えに行っている。 そんなわけで今に至るのだが、母親たちは攻撃を緩めない。 美鈴が近くに置いてあったリモコンを手に取ったかと思うと 「見て見て美琴ちゃん!ほらこれこれ!!チューしてるじゃない!」 ホテルの一室でキスしているシーンで停止させた。 そんなシーンを見せられれば 「……ふ、ふ、ふ、ふにゃ…」 「ちょ、ちょい待った待った!!漏電すんな!!美鈴さんもキスシーンで一時停止するの止めてください!!」 映っていた衝撃映像+親にからかわれるというコンボをくらった美琴は思わず気絶しそうになり、上条が慌てて右手で美琴の左手を握る。 まあ酔っぱらって好きな人に抱きついたり、キスしたりしているところを新ためて見るとか美琴にしてみれば恥ずかしく死ねる。 美琴をからかった美鈴は笑いながらリモコンの再生ボタンを押し続きを見始める。 一方美琴の手をしっかりと握っている上条は漏電しかけの美琴に対し 「おい大丈夫か?」 「……大丈夫じゃにゃい…」 本気で大丈夫じゃない美琴は上条の右手をギュッと握り、それを親に見られまたからかわれた2人は赤面する。 「も~2人とも初々しいわね!……ってちょっと!これ修羅場じゃない!!」 「あらあら~なんだか大変なことになってきたわね~。」 美鈴と詩菜の声を聞いて2人がテレビを見てみると、丁度神裂やアニェーゼが部屋に入ってくるところが映し出されていた。 「あーこの後大変だったよな…」 「あんまり思い出したくないわね……ちょっと、なんか楽しんでない?」 「え?そりゃ楽しんでるわよ。これからこの修羅場がどうなるのかなー、って思って。」 美鈴は実に楽しそうだった。 その後テレビには黒子や寮監、神裂、アニェーゼに激しく問いつめられる美琴と上条の映像。 佐天たちが入っていたクローゼットからアニェーゼの『蓮の杖』を持って眠たそうに出てくる春上の映像。 新たに部屋に飛び込んできたインデックス、五和、オルソラ、レッサー、フロリス、吹寄、姫神など女子陣の映像。 その新たに入ってきた女子陣からものすごい勢いで質問攻めに遭う上条の映像。 そして頭を噛み付かれ、刀で斬られかけ、おでこで頭突きをされ、その他物理的攻撃を受ける悲惨な上条の映像。 そんな上条を必死に守ろうと頑張る美琴の映像。 などなど白熱する修羅場が次々と映し出された。 「……思ったより悲惨だったわね。」 想像を超える悲惨さにさすがの美鈴も少し驚いたようだ。 「…はい……あの時は死ぬかと思いましたよ…」 「もうあんな思いはこりごりね…」 上条と美琴は手をつないだまま仲良くため息をついた。 「お!予想以上にラブラブじゃないか!!」 「「はい?」」 ふいに真後ろから声が聞こえた。 美琴は一体誰?と思い、上条はこの声は聞き覚えがある、と思い2人同時に振り返った。 そこに立っていたのは一人の男性。 「父さん!」 「あ、どうもお久しぶりです……当麻のお父さんが到着したってことは…」 「おお!久しぶりだな我が娘よ!!」 「やっぱり…」 上条の父、上条刀夜の後ろから現れたのは大きめのスーツケースを持った美琴の父、御坂旅掛。 久しぶりに美琴に会えたのが嬉しいようで満面の笑みだが、やっぱり外見がちょっと怖い。 上条は美琴の手を離し、少し緊張した様子で立ち上がり 「あ、あの初めまして…か、上条当麻です。」 「ああ、初めまして。御坂旅掛だ。君のことは妻からよく聞いてるよ。それにしても…俺の知らないところで成長したんだな美琴ちゃん。」 「成長?何が?」 「ほらテレビに映ってるじゃないか。ああやって上条君に大胆に抱きついて…」 「え……えええええええええええ!?なんで巻き戻って…ってそこのリモコン持ってるバカ母!!なんで巻き戻してるのよ!!!」 「いやー面白いかと思って。」 相変わらず美鈴にからかわれる美琴、そして上条は顔を青くしていた。 (や、やばい!旅掛さんに思いっきりビデオ見られた……これは上条さんに死亡フラグが…) 愛する娘をたぶらかした、とかいう理由でコンクリ詰めにされ海に沈められるのでは!?と上条は恐怖に震えた。 そんな盛大にビビる上条の両肩を急に旅掛の手が掴んだ。 「うぇい!?な、なななななんでございましょうか…?」 上条があれこれ俺の人生終わったんじゃね?とかもっと美琴と一緒にいたかった…、とか考えていると 「うん!君になら美琴ちゃんを任せられそうだ!これから末永く美琴ちゃんのこと頼んだよ?」 「………え!?それってまさか…」 「ああ、交際を認めよう!」 「ええ!?本当ですか!?あ、ありがとうございます!!」 なんと旅掛に会って30秒もしないうちにこの日上条が1番心配していた問題が解消された。 本当にありがたく思う上条は旅掛に向かって深々と頭を下げた。 「なんだか以外ね。もっと反対されるかと思ったのに。最初から交際OKするつもりだったの?」 「いやいや、当麻君がものすごいカス野郎だったらありとあらゆる手段を使ってこの世から抹殺していたさ。けど彼は立派な人物だろ?」 「まあそうだけど…なんで立派ってわかったの?」 「そんなの簡単だよ。相手の目を見ればわかる。」 それは絶対嘘だ、ママから当麻のことを聞いていたに違いない、と美琴は思った。 すると今度は詩菜が座ったままの状態で 「あらあら~よかったわね当麻さん!美琴さん、当麻さんのことよろしくお願いしますね。」 「父親である私からもよろしく頼むよ。」 「はい!ありがとうございます!」 美琴は満面の笑みで上条と同じように頭を下げた。 すると美鈴がパンッと両手を合わせたかと思うと 「さて!2人の交際が無事認められたことだし、お祝いパーティにしましょうか!私と詩菜さんでごちそう作っておいたのよ! うちの夫が遅れたせいで冷めちゃったけど…」 「も、申し訳ない…」 「暖めればいいから気にしないでください。今暖めてから持ってくるわね~。」 「あ、母さん、私も手伝うよ。当麻と美琴ちゃんは主役なんだから座って待っててくれ。」 そして親4人は台所へと向かった。 それを見届けた上条は緊張が解けたのかソファに勢い良く座り込んだ。 「ふ~…よかった無事認められて。肩掴まれたときはどうなるかと思ったよ。」 「ほんとよかったわね。……で、でも末永くか…なんか恥ずかしいわね。」 「美琴、顔赤いぞ。ま、ほんとに末永くよろしく頼むよ。」 「う、うん……よろしくお願いします…」 余程嬉し恥ずかしいのか美琴の返事は超小声。 さらに上条の『末永く』発言を聞いたせいで、やっぱり美琴の顔は真っ赤だった。 こうして上条と美琴の関係は親にも認められ、実質『結婚を前提としたお付き合い』となった。 この後のパーティでそのことについてからかわれたのは言うまでもない。 ♢ ♦ ♢ ♦ ♢ 「で、パーティで酔っぱらったバカ母にお酒飲まされてからの記憶がない……」 「マジかよ…」 帰還記念祭の時と同じような展開。 そして気まずさから生まれる沈黙、2人は状況も状況なだけに目を合わせられていない。 「ま、まあその後のことはちゃんと説明するよ…今回はそんなに長くならないと思うし…それにしても夜のこと覚えてないのか……可愛かったのに…」 「……ちょっと待った。夜のこと?可愛かった?そ、それって私が裸なのと関係してる…?」 「…まあ関係してる…かな?うん、関係してる。」 うんうんとうなずく上条の隣で美琴は困惑を深めていた。 前回と違って今回はこの状況といい上条の反応といい何があったか予想できる、予想できてしまうのだ。 しかしそれを聞いていいものかどうか、美琴はしばらく(10秒くらい)悩んだ後 (よ、よし!やっぱり何があったか聞こう!!今回は前と違って彼女って立場なんだし何があっても大丈夫…のはずよね。) 覚悟を決めた美琴は上条に昨夜のことを尋ねるため口を開く――― 「あー…頭痛い~…2人とも起きてる?母さんが朝ご飯もう作って…………」 絶妙なタイミングでドアが開いたかと思うと旅掛が頭を抑えながら入ってきた。 当然素っ裸で2人でベッドで寝ているところをバッチリ見られたわけで旅掛はその場で完全停止。 2人は親は4人いるのによりによってなんで美琴sパパが来るんだ、とか思っているといつの間にか険しい表情に変わっていた旅掛が 「………これは…どういうことかな?服を着てからゆっくりと聞かせてもらおうか。」 そう言って旅掛は部屋から出て行った。 その際後ろ姿には禍々しいオーラが漂っているのがはっきりと見えた。 「ふ、不幸だ……よりによって旅掛さんが呼びに来るとは…」 「ほんとね……ま、これも私たちらしいしいいんじゃない?帰還記念祭もこんなかんじだったし。」 美琴はちょっぴり恥ずかしそうにそう言った。 「そう言われるとまあ確かにそうかもな。さて、旅掛さんが待ってるだろうし服着て早く行くか…殴られないといいけど…」 「当麻が殴られそうになったら、わ、私がかばってあげるわよ。その代わり昨日何があったか全部詳しく話してもらうからね!!」 そして2人はそこらへんに落ちていた自分の服を着て、美琴の部屋を後にした。 もちろん仲良く手をつないでだ。 この後親4人による厳しい追求が待っていることは予想できるが、全く不安はない。 たとえ何が起ころうとも、2人一緒ならどんな困難も乗り越えられるに決まっているのだから――――― ~THE END~ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の帰還記念祭
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/記憶鮮明! 「どうしたっていうのよ?待ちなさいってば」 ミサカミコトは再度、同じ言葉を繰り返した。 「まさか、なんでだよ。アイツがやったって言うのか、そんなヤツじゃないだろ」 それも耳に入らないのか電話を閉じたあと、上条はどこへ行くともなく、早足で歩いていた。 「だから、一人で悩んでないで話しなさいよ、いつも『私』に言われてるでしょ」 追いすがるミサカミコトが注意を促すが 「ん、ああ御坂か、必ずアイツに謝らせてやるからな」 上条の心はここに無いようだった。 「もう、『私』じゃなくてミサカミコト!正気に戻りなさいっば!」 呼び戻すため、 「うおっ」 美琴がしたように電撃を放つ。 「ナニすんだ、御坂?危ないじゃっ!」 息が合ったコントのように上条が右手で防ぐ。 「ってアレ?」 そして誰が電撃を放ったか、気づく。 「気がついた?」 「あ、ああ」 申し訳無さそうな、どこか気持ちのやり場がないように見える上条。 その上条に 「まず、アイツって誰?」 ミサカミコトは情報を求めた。 「そのアイツって言うのはステイルって名前の魔術師」 「魔術師?」 「ああ、ほらグレムリンとか、それとかレイヴィアにレッサー達の」 「学園都市の超能力とは別の方式で異能を操る連中ね」 「そう、そう」 「で、その魔術師の一人のステイルって人?そいつが怪しいと思うアンタの根拠は?」 「いや、黄泉川先生の話だと能力者の可能性は低いだろ?」 「そうね、別の法則を持つ者なら可能かもね」 「だろ?そのうえでステイルは炎の魔術を得意としてんだ、ルーンとか言って」 「ルーンね……それだけ?他の、その魔術師?でも可能じゃないの?」 「それは……俺も考えたさ、そのうえでステイルの居場所を尋ねたら学園都市にいる可能性が高いんだ」 「なるほどね、証拠とも言えないけど偶々が重なってる訳ね」 「ああ、こんな事をする奴じゃないはずなんだ、確かめねーと」 「アンタの友達になるの?」 「友達?アイツが?」 「それなりに信頼してるんじゃないの?」 「ぐっ」 「くすっ」 「笑うところか?」 友人とかでは無い、と上条は思う。ただ信頼しているかと尋ねられたら、肯定の意味で言葉が詰まる。つまりステイルとはそんな関係と言えたが笑われるのは堪らない。 「あはははは」 「いや、マジで悩んでんですけどミサカミコトさん?」 「あはは、なんで悩んでるか分かってる?」 「え」 「そのステイルって人がそんな事する人じゃないと思ってるからよ」 「あー、でもステイル、必要と思ったらやりかねねーからな」 「アンタがそう思うステイルって人が主犯なら何か事情があったんでしょ」 「だから、それを聞くために」 「そうは見えなかったわよ、心ここに在らず、とりあえず殴りに行くって感じで……落ち着いた?」 ミサカミコトが質問を続けていたのは理由があった。状況を把握したいからではなく、上条に考える時間を与えて落ち着いて貰う為であった。 「え、あー」 上条も取り憑かれたような焦燥感、留まってはいられないジレた感覚が修まっていた。 「その、すまなかった」 そして自分に囚われミサカミコトを置き去りにしようとした事を謝る。 「いいわよ、それぐらい、昔の『私』に対する仕打ちに比べたら」 ダラダラと汗が流れそうになる。 「そんなに、えーと酷かったか?」 最後はか細い声。 「今はだいぶマシよ、頼るって事を覚えたからじゃない?」 「頼るか……」 今の上条を形成したモノ、それは記憶喪失に尽きる。他者から見た記憶喪失前の上条を記憶喪失後の上条と相違ないように見せるためだった。特に他者から見た記憶喪失前の上条とはインデックスから見た上条を差す。記憶喪失の原因となったと思しきインデックスに責任を思わせないためだった。 記憶喪失後の上条はインデックスから見た上条を演じた。 「頼りなさい、『私』を」 それは正義とか悪ではなく、心の赴くまま、人から見たらヒーローと呼ばれるような姿だった。それがカッチリと今の上条と当てはまったところがあった。 「そうだな、心配かけちまったら意味ねえよな」 が、それは同時に独り善がりな自己満足な側面もあった。記憶喪失は自分が背負う荷であり、自らの行為は上条がしたい事をしているだけであり他者に預ける物ではなかった。 「頼られたら『私』は嬉しいんだから」 第三次大戦の時、記憶喪失という重荷を降ろした。それからである、在らねばならぬ指標が失せ、悩みを抱えるようになったのは。 「助かる」 ハワイからバケージシティ、思いのまま行動した結果が重くのしかかった。 それを救ってくれたのは美琴の言葉であり、トールがぶん殴ってくれたお陰もあり、仲間が支えてくれた事が大きい。 一人で背負い切れない物を背負おうとしていた。 「それは『私』に言いなさい」 突っかかって来る少女であり、次に庇護対象となり危険な事に自分の面倒事に関わらせてはならない少女だった。そして上条の横にいつの間にか並んでいた、一昨日までは。 「御坂にか……」 呼び戻す、必ず呼び戻す。 「いや、ミサカミコトにも謝っとかないとな」 「それはいいのよ、どうせ期間限定なんだから……アンタが救わないといけないのはミサカミコトではなく、御坂美琴と妹達」 口を滑らしてしまった。 「礼ぐらいは……期間限定?」 「そりゃ期間限定でしょ。ミサカミコトは妹達に戻るまでの一時的な存在なんだから」 新たな重荷になるわけにはいかなかった。妹達、御坂美琴、ミサカミコト、それぞれの人格は並び立てない。それを悟らせるつもりはなかった。 「そのミサカミコトって妹達の性格が変わっただけだよな?」 とも言えるが、全くの別人格が宿っているとも言えるのだ。 「まあ、そうよね」 しかしミサカミコトは上条にそうとしか言えない。 妹達に戻った時、ミサカミコトというこの人格がどうなるのか単に消えてしまうモノなのかは分からない。 上条には元に戻るだけ、それだけの理解でいて欲しかった。 「そうよ、一時的に変調をきたしてるだけよ、『私』が戻ればあのイヤミったらしい第一位に頼まなくても元に戻るんだから頑張ってよ」 「頑張れ言われてもな、記憶を探って御坂を刺激するんだから、俺じゃなくミサカミコトが……なんか呼びにくいよな」 「何が?」 「フルネームで呼んでるとさ、なんかおかしくないか? それに人前だと御坂を呼んでるみたい、つーか今人がいるところで御坂の名前呼んでいいもんか?」 「それは考えてなかったわね……うーん、とりあえずこのミサカミコトはミクでいいかな?」 「ミク?」 「元の個体番号は10039号、それで呼ぶのもおかしいでしょ、10039号だから下二桁を取ってミク」 「安易と言うか……偶々それで呼べるのが運が良かった言うべきなのか」 「ほー、呼びにくい言ってるアンタのために考えてあげたのにそーゆー風に言いますか」 「いえ、感謝してます、どうかミクさんと呼ばせて下さい」 「いいわよ、それでステイルって人、どこにいるの?会いに行くんでしょ?犯人かどうかは別にしても参考になる話しは聞けるでしょうから」 「…………」 空を仰ぐ上条、その背中をダラダラと汗が今度こそ流れていた。 「まさか、居場所も解らないで急いでたの?」 上条は答えに窮する。闇雲に歩いていたのが答えであるからして。 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 「ごめんなさい」 「知らなかったのね」 ミサカミコトの呆れた声が低く地を這うように聞こえる。 ステイルが学園都市を訪れたのは上条の記憶にある限り6回。 一度目は上条が記憶喪失に陥った際、記憶にはないもののほぼ間違いない。あとは三沢塾、オルソラ、エンディミオンに大覇星祭、レイヴィアに始めて会った時にも来ていた。 「外」の人間としては一年足らずのうちにしょっちゅう学園都市に顔を出している。 その割には上条はステイルが学園都市内で何処に滞在していたか知らない。 勢いこんでみたものの、改めて考えるとステイルを探す手掛かりがほとんど無かった。 「仕方ないわね、まずは入国記録があるか調べてみるわ、あれば滞在先もわかるでしょ、ないと手当たり次第に監視カメラを調べるか、ホントは初春さんに頼めればいいんだけど、今回はそうもいかないわね、人海戦術でやってみましょうか」 「その、お世話になります」 そして上条から犯人ではないかと疑われてしまったステイルがどうしているかと云うと 「もぬけの殻か」 「ここもカムフラージュの施設だったかにゃー」 土御門と二人で、ある研究施設に踏み込んでいた。しかし、既に廃棄された跡だった、手掛かりと言える物は残されていない。 そもそも、この施設の前に幾つか踏み込んだ先も同じ状態、最初から何もない本命を隠すための偽のアジトである可能性があった。 「規模としては小さい組織のはずにゃー」 「小さいのかい?これで」 「カムフラージュの施設を幾つか用意してあるのは用心深いだけにゃー、規模が大きければ拠点を複数構えて生残性を高めるぜい」 「ふう」 ステイルはタバコに火を付ける。 「イライラすんのかにゃー、ステイル」 「そう思うなら、その口調は辞めてくれないかな」 「ステイル?面倒をかけられているのはオレの方だぜい」 「それは」 「どうなるかにゃー、ステイルのミスで魔術が科学側に解明されたってことになれば」 面白くない未来だった。ただでさえ第三次大戦後、科学側優勢の図式ができている。 「全く全部回収ぐらいしとけ」 「確かにそれは僕のミスだよ、だけどルーンのカード一つから解明されるとは思わないさ、だいたいこの街の人間は拒絶反応を起こして魔術は使えないじゃないか」 「甘いんだよ、舞夏が作るデザート並みに甘いぜい、魔術を使って拒絶反応を起こすのは開発を受けた能力者だけだ、学園都市の人口230万のうち180万が開発を受けた学生だ、なら残りの50万はどーだ?」 「それはそうでも、学園都市では超能力の研究が」 「そーだ、学園都市では超能力の研究が中心だ、だがなそれはSystemに至る道に早道だって理由で主流になってるだけぜよ、別に他の研究に情熱を燃やしてる研究者がいないわけじゃない」 学園都市の闇そのものと言える木原一族、学園都市に多大な貢献ももたらすが、その本質は科学的興味を満たすこと、彼らにしてみれば超能力もそのための道具でしかない。木原を名乗らなくてもこの学園都市には同類が多勢存在する。 「上層部は魔術の存在を認識している、だからと言って魔術の実態を理解しているわけじゃないんだ、オレが学園都市に入り込んでいるのと同様に当然、魔術について知りたがる人間がいてもおかしくない」 目的がそれとは限らないが木原でも一族の幼い少女を供して魔術の実験を行った事がある。古くはまだイギリス清教との交流が厳しくなかった頃、能力者による魔術の 実験もあった。その実験により能力者が魔術を使用すると拒絶反応を起こす事が解っているのだ。 「その上で9月30日、あの事件で学園都市の超能力とは別の魔術の存在を公表した。そして第三次大戦にグレムリンがやった事に目を惹かれた輩が出て来ることをオレは警戒してたんだぜい?」 「・・・・・・」 何も言えないステイル。 「ところがだ、お仲間と思っていたステイルに」 この男に仲間意識があるのか疑問であり、ステイルは憮然とする。 「しょっちゅう学園都市にやって来るたびに派手に魔術を使ったうえ、肝心のルーンを置き忘れるとはとんだ裏切りぜよ」 裏切りは土御門のキャッチフレーズだとステイルは言いたいが、反省しなければならなかった。土御門が言うように学園都市の解析力を甘く見ていたのだ。 実のところ土御門も怪しい気配に気がついたのは最近の事である。口にしたように第三次大戦にグレムリンといった魔術絡みの大事が立て続けにあり、改めて調査してみた結果であった。 土御門自身も学園都市に侵入している魔術師を数人知っているがその者達に研究者側からの接触もない事もあり、あまり大事とは捉えてはいなかった。才能がない者が才能ある者に追いつく技術と言ってもすぐに身につく技術でもない。やはり超能力研究が主流であり魔術に興味を惹かれる者、積極的に研究してみようと思う者はいない、とたかをくくっていたと言える。 それが調査を進めるうちに不確かな情報が入る。記号を記したカードで火を起こす実験が行われているとか、そのカードは火災現場で拾われた物を模した物だとか、不審火を映した監視カメラの映像が何処かに引き取られているとか、怪しことこの上なかった。 そして土御門は決定的な証拠としてルーンが描かれたカードを入手する事になる。 おかげでステイルは学園都市に呼び寄せられ、責任を取るはめになっていた。 ただ、まだ全容までは見えていない、誰が魔術を使用しているのか不明であった。 「死んでない?」 「その通り」 「じゃあ、これは夢の中?」 「ではない事は理解しているのではないかな」 「そうだけど」 「もう見当はついているだろ」 「AIM拡散力場」 「正解、君は死んだと思った時、意識を飛ばしAIM拡散力場に入った、今の君はAIM思考体だ」 「臨死体験てこういうモノなのかしら」 「原理的には似たようなモノだね」 「望むようにってことは私が望めば帰れるってことね」 その時、美琴にはエイワスが笑ったように見えた。思考体であるが故にそれは思考体が受ける感覚にすぎない。 それ以前に輝きを放つエイワスは超然として見え、表情があるようにも見えなかった。 何か落とし穴がある、美琴はそう思った。 「急ぐ必要はない」 やはりという気持ちになる。 これまでの会話を思い出す。 「依頼主は早く安心したいんじゃ?」 「それも、面白くない」 「何がしたいかわからないわね」 「努力する姿を見たい、ということになるのかな」 「アンタが、ね」 「ちなみに帰るにしても帰り方が解るかね」 「・・・教えてくれそうもないはね」 「教えてあげても良いが、現状では不可能だな」 「囚われの姫君」 「監視役の『ドラゴン』」 「アンタがいれば私が起こしかねない災厄も起きない」 「情報量の差だね」 「情報圧に格段の違いがあるアンタがいれば私が起こすことは抑制されてしまう、私が帰りたいと望んでもアンタを突破しない限り無理、私は籠の鳥でアンタは私を閉じ込めておく檻ってわけ?」 「諦めるかね?」 「冗談、何としてでも帰ってやるわよ」 「それは楽しみだ、私は突破を志す者を愛する」 「初春、何か判りましたの?」 「白石さん、そう何度も尋ねられても、今判ってるのは発火能力でいて発火能力じゃないってことぐらいですよ」 「早く犯人を捕まえませんとお姉様に申し訳たちませの」 「私も早く何とか犯人を捕まえたいのはやまやまですって」 「でしたら」 「まだ、関係してるか判りませんけど」 「何かありますの?」 「一昨日以外にもボヤ騒ぎが幾つか以前に起こっているようなんです」 「そんな事があったのでしたら」 「当然、注目されます、放火なら注意も呼びかけられたでしょう」 「それが無いと」 「ええ、空き地での焚き火程度でしたから」 「注目されなかった、と」 「はい」 それが関係しているか二人にはわからなかった、しかし漠然とした予感がよぎる。 そしてその夜、炎が燃え上がった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/記憶鮮明!
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今後本サイトへのご意見ご要望は下のコメントでお願いします。 書き込まれた内容は原則保管、勝手に消さないこと! 2010/03/06 コメント形式に変更。 名前 編集しづらい - 名無しさん 2012-10-19 00 15 27 「還ってきてよ・・・」の続きが見たくてしょうがないです。。。 - みたいのらー 2012-09-06 06 36 49 いちゃいちゃの続きってあるんですか? - 上琴 2012-08-21 22 14 53 継続と完結あるなら打ち切りってカテゴリがあってもいいと思うんだけど - 名無しさん 2012-03-30 19 57 17 「memories」の続き見たいと思うのは俺だけ???? - wwwww 2011-11-28 16 48 34 上に同じく - 氷守 2012-01-29 17 51 50 三バカでいつステイルとインデックスはバカップルになりますか? - 氷守 2011-09-27 22 36 59 砂場の更新がRSSに載らないようにできませんかね・・・ - 名無しさん 2011-09-10 06 49 17 ちなみに理由は?たまにしか更新されないページなのに……。それともたまにだから目立つのでしょうかwここに画像貼ってもいいのなら、砂場なんて使わないですよ。 - いちゃSS編集人 2011-09-10 22 50 48 管理人さんこれどうにかなりませんか? - いちゃSS編集人 2011-09-06 10 05 17 おっと、すいません。感想書く場所がわからなかったので。ていうか今もわかりません。 - つんつん 2011-08-24 21 49 24 ここはURLの直リンク出来ませんので、誘導できないのです。現行スレとか、partの数字が一番大きいURLやリンクをたどってください。 - いちゃSS編集人 2011-08-25 09 55 55 ここは各作品の感想を書く場所ではないはず……。感想は該当スレにどうぞ。 - いちゃSS編集人 2011-07-30 23 06 13 該当レスって何処から行けるか教えて - 氷守 2011-08-20 21 51 21 デルタフォース クラスの3バカの日常と上条さんと美琴のいちゃいちゃSSにリンクがありますよ。 - いちゃSS編集人 2011-08-20 22 28 49
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/育児日記 激劇 テケテケテケと小さな2つの足が駆けまわる。 それをさっと抱き上げたのは、ツインテールの少女。 「あう、くおこー」 「ダメですわよ。邪魔になってしまいますわ」 「まーま、びりり?」 「えー、あれは……」 白井の視線の先にいるのは、ドレスを着た美琴。 この前は美琴のあまりの美しさに息を飲んだ周囲が、 現在は恐怖に固唾を飲んでいる。 雷神様の堪忍袋がパンパンなのだ。 「アンニャロウ」 美琴の視線の先は、 嵐。 3D映像が見せる情景は、荒れ狂う大海。 水をぶっかけられ、ずぶ濡れの上条はリフトに揺られている。 映像でリフトは隠れ、まるで2人は本当に大波に揉まれているように見える。 そう、彼に寄り添う姿が1つあるのだ。 こっれが美琴が気に入らない。 プリンセスドレスを着た自分に対し、 マーメイドドレスを着た人物。 「早くセリフいいなさいよ!! 先に進まないじゃない!!」 ついに堪忍袋が切れた。 「いい加減にしろや!! 食蜂!!!」 「やはり、あの約束を遂行するのは、自分ではなく、貴方でなければならないようですね」 数日前、 衣装合わせで海原は仮病をした後、上条とすれ違い様にそう言った。 退場した海原に代わり、王子姿に変身した上条。 「ばぶふっ!! に、似合わなすぎでしょ~~!! ふっ、くっあははははは!!」 海原と違い、当然似合わない。 大爆笑の美琴。周りも笑いを堪えている。 上条ももちろんおもしろくない。 だからクラスの連中に、自分の学校でも執事 メイド喫茶の催しものがあるから無理だ、と言ってもらおうとした。 しかし姫神に連絡したら、青髪にこっちに戻らなくていいとキレられた。 なぜ、姫神は他の奴に代わるのだろうか。 「ぶぷぷー!!」 「まぁま!! ぷぷー」 美琴はまだ笑いが止まらないようだ。 つられてインデックスからもバカにされた。 上条がため息を吐いた瞬間、入り口が大きく開かれる。 中央に立つ人物のポーズは見覚えがあるのに、そのシルエットは記憶になかった。 「主役の登場だゾ☆」 で、現在。 「アンタは!! いつまでアイツの凶器に甘える予定だったのよ!! 揉まれているのは波だけでなくてだとふざけんな!!」 「いやいや、美琴、オレはあの場面、意識がない設定なのにどないすればいいの!!?」 確かにドキドキしたのは認めるが、 今の方がドキドキしている。 美琴さん、顔近すぎなのですよー!! 「毎回毎回アイツとイチャイチャしやがって!!」 「台本的にしょうがないかと!! あとあの子とは初対面のはずなのに昨日も同じ内容で怒られた気がする!! 」 「金髪ロングがそんなに魅力的かい!!」 「えー!! 一言もいってないよー!!?」 「そんなにたゆんたゆんぷにぷにがええんかコラ!!」 「嫌い、ムキムキが好きって答えた方が問題だと思います!!」 「で、アイツとはどういう関係なの!!?」 「アイツって誰さ?」 「……」 「あれ? さっきから舞台の練習してるけど、いつになったら主役来るんだろうな?」 「毎度毎度しらばっくれやがって!! 大概にしろビリビリーー!!」 「あっぶね!! 効果音が口癖になってらっしゃる!!? 昨日もこんなくだりした気がする!!?」 そこにかわいい乱入者が現れた。 「ぱーぱ!! まーま!! けーか、めっ!!」 「うぐっ、ご、ごめんなさい」 「えっ? オレは悪く……わ、悪かったよ、泣くなよインデックス」 ぐずりそうだったインデックスを白井から受け取り、慌てて2人であやす。 そこに、声をかける人物が1人。 「みぃーさぁーかぁーさぁーん」 「みしゃき!! こーちゃ!!」 「こんにちわぁー、インデックスちゃん。相変わらずキュート力抜群だゾ☆」 睨み付ける母に代わり、娘が元気に挨拶する。 もう一人も挨拶する。 「お、アンタが主役の食蜂か、よろしくな」 そろそろ美琴のデコに青筋が浮かんだと、気づく鋭さが欲しいところだ。 「……はじめまして、上条さん。わたしぃー、 御坂さんのお友達の食蜂操祈っていいますぅ。ヨロシクね♡」 「あれ? オレ名乗ったっけ??」 「ええい!! 毎日なによ!! おんなじコントしやがって!!」 「えー? 毎度毎度なんで美琴さんはお怒りになるの?」 「……死ぬ?」 「目にハイライト入れてよー、 恐いよー」 「ほんと、御坂さんこわ~い。ね、上条さん」 「へ?」 「アアン? アンタ、もう少しまじめに練習しなさいよ」 「え~? 監督は大絶賛力だけど?」 「能力使ってんだろォが!!」 「み、美琴さん、声が一方通行になってますよー……って顔も!!?」 白井はため息をついた。 このやり取りを何度見たかわからない。 呆れた白井の後方で、監督から練習再開の声がかけられた。 そして、しばらくして再び白井は息を吐く。 息の中身は異なる。 感嘆だ。 「『助けていただいたあの時から、あなたの姿が瞼の裏から離れないのです』」 視線はスポットライトの中にいる二人。 「『どうか、私と結婚してください』」 数日前までは、2人とも演技がボロボロだったはずなのだ。 上条は演技力どころかセリフを覚えてこれなかったし、 美琴は高い演技力を持っているはずだが、相手が相手なので、しょっちゅう気絶していた。 彼らはそれを3日で修正してきたのである。 監督も素人の2人を絶賛していた。 それほどの演技だった。 きっと想像できないほどの練習をしているのだろう。 さらに上条は人のために動くとき、通常の数倍のポテンシャルを発揮する。 それが好きな人ならやる気も数倍だろう。 戦闘時の頭の良さが発揮されれば、演技やセリフの習得や記憶も簡単なようだ。 しかも教えるのはあの美琴だ。観察眼は鋭く、説明は的確。 考えてみれば彼らが本気を出せば、すぐに上達するに決まっている。 このシーンも、文句なく終わった。 その演技を見た後、休憩の時間。 息を吐いたのは、外のベンチで座る食蜂。 あの景色を見るのが辛いというわけではない。 ただ、やはりあの「はじめまして」という挨拶が、重い。 だから、もういいかな? と思った。 そろそろ誰かに役を押し付けてさっさと消えよう。 頷いた瞬間、あの毎日想っている声が聞こえた。 「おい、なにしてんだよ、食蜂」 比喩ではなく、心臓が止まった。 いつの間にか、頭が動いていた。 瞳には、幻でない彼の微笑む顔が写る。 枯れ葉が、風で舞い上がった。 その日から、毎日数時間上条の姿が消えるようになった。 数週間後、 「ん? またその話?」 今日は劇の本番。 白井は美琴に駆け寄った。 しかし、対応は劇の練習期間中、なんども繰り返したものと同じ。 「しかし……」 「くおこ、だーじょぶ?」 「ほら、インデックスも心配しちゃった。気にしすぎよ、アンタは」 白井もそうだとは思う。 なんたって先日彼の覚悟を問うために、決闘を申し込んだのは自分だ。 あの覚悟が演技とは思えない。 しかし、 「では、あのお二人は毎日どこで何をしていますの?」 もし、食蜂に彼が操られていたらと白井は懸念する。 (その可能性は0なんだけどねぇ) 幻想殺し。 白井はその詳細を聞いていない。 それに… 「さ、そろそろ出番よ」 ステージを見ると、食蜂が演技をしている。 「相変わらず、演技だけは素晴らしいですわね」 「……そうね」 広い劇場の客席、 あちこちから感嘆の声があがる。 食蜂の叫ぶ嘆きが、悲鳴が、観客の心をかきむしる。 最後のセリフだ。 「私は!! こんなにもあの人を愛しているのに!!」 食蜂が舞台の袖に駆けてきた。 次は美琴の出番だ。 食蜂とすれ違う際、 互いを一瞥するが、かける声はない。 美琴が出て、演技を始めた。 再び会場がざわめく。 息つく暇もなく、劇に飲み込まれたのだろう。 指の動き、表情、声、 その全てが、観客の心に突き刺さる。 「なんで!! あの人はこんなにも遠いの!!!!?」 一部の警備員【アンチスキル】は防衛を忘れて泣いていた。 凶悪犯が脱獄したという噂があるけど、いいの?それで? そんなことは考えもせず、白井は美琴の演技に見とれていた。 しかし、途中から、バタバタという無粋な音がする。 最初は無視していたが、ついに我慢の限界だ。 「なんなんですの!!?」 目をやると、一部の生徒が慌てふためいていた。 理由を聞き、白井は目を見開く。 「少し前から、上条さんが戻っていない??」 時間を少し遡る。 上条と美琴、両者の演技がない空白の時間。 2人は近くの公園にいた。 いや、違う。 「で、なんの用だよトール?」 美琴にヒビが入る。 中から現れたのは金髪の戦神だ。 「お? よくわかったな」 「いいから要件いってくれよ、この王子の格好であまり出歩きたくない」 「……」 「……なんだよ?」 「今まで、ずっと言うのを我慢していたんだ」 「……」 雷神は大きく息を吸った。 「くっそ似合ってねーぞばぶふふふくふあはははははは!!」 「うっせーよ!! 自覚あるわ!!」 「ちょーうける!!」 「うるせぇ!! さっさと用件を言えって!!」 「悪い、悪い、あのさ、拳を構えてくれ」 木枯らしが木々を揺らす。 あまりにも、自然に言葉は紡がれたため、上条はその言葉を飲み込むのに多少時間を要した。 「殺し合おうぜ!!」 トールは笑顔で話す。 ようやく言葉の意味を理解した上条は、口からこぼれるままに音を発する。 「な、にを、言っているんだ?」 「だから、殺し合おうぜ!!」 「い、いや、オレとお前が戦う理由なんてないだろ?」 「御坂美琴」 風の音がやんだ。 「1人の女に2人も男はいらない」 そうだろ? ニヤリ、と笑いながらトールは拳を握った。 周囲の喧騒がフェードアウトする。 世界に2人しかいないような錯覚に陥りそうになっていたトールの耳に、 「なにいってんの? 用事ないならオレ戻るよ?」 という信じられない言葉が飛び込んできた。 「は?」 今度はトールが混乱していた。 何かの間違いだと思った。 しかし、目の前の男は自分に背を向け戻っていく。 何故だ? ヤツは自分の気持ちを知っているはずだ。 夏祭りで当て付けるように自分の感情を聞かせたから。 だというのに ヤツは冗談だと笑いやがった オレがどんな気持ちでここに立っているかも知らずに!! あの少女の気持ちも察せないくせに!! この覚悟を踏みにじる気か!!!! 呆けた顔が歪んだ時、 少年の覚悟が殺意に変わった。 「まま??」 婚后の腕に抱かれたインデックスが、不安を込めて声を紡ぐ。 視線の先には愛しの母。 ドレスを纏った彼女はステージの上で佇む。 観客がざわつき始めた。 あまりにも、間が空いていた。 「もう少しお待ちください!!」 白井は叫ぶ。 相手は困った顔をした監督や責任者だ。 「とはいっても、これ以上時間を空けるわけにはいかない」 「代役を用意しますので、そちらで対処するしかないでしょう」 白井はくじけない。 あの人が待っているのは、代役なんかではない。 「お願いです!! 時間を稼ぐ方法ならありますの!!」 「そんな不確定の要素に賭けれるわけがないだろう? なにを用意すればいいんだい?」 「昭明をおねえ…御坂さまに集めるだけで構いません」 「よし、指示を急げ!!」 誰も、自分にリモコンが向けられたことに気付かなかった。 血が、飛び散った。 「て、めぇ!! 衣装に血がついちまったじゃねぇか!!!!」 「衣装?? …おまえは!! いつまでふざけてやがんだ!!」 攻撃を避け続けていた上条に、ついに拳が届いた。 口からこぼれる赤い液体が、王子の衣装を黒く染める。 「ふざけてんのは、てめぇだろうが」 「……わかった。ふざけてたかもな。手加減せず、きちんと殺してやるよ」 「……わかってねぇよバカ野郎。時間切れだ。もう付き合ってやれねぇ、沈めてやる!!」 「ふ、ふぇぇ」 「あぁ、どうしましょ!! どうすれば!!?」 観客席のプレッシャーに耐えられなくなったインデックスが、婚后の手のなかでグズりだした。 (インデックス…) すぐに駆け寄ってあげたい。 抱きしめて安心させてあげたい。 すべてを投げ出したい衝動にかられた美琴の正面、 段々と階段のようになっている観客席の最上段、その奥の入り口付近に一瞬、 (黒子?) 瞬間移動能力者の姿が見えた。 そして、次の瞬間、手元に荷物が届く。 3メートルは浮かんだだろうか? 2、3度バウンドして上条は地面を転がる。 「ガハッ、グフッ」 酸素を吸おうとしているのに、 喉は血を吐くことしかしてくれない。 「あの雪原とは違ってここには鉄道はない」 上条の吐く血を浴びたトールの足が、そのまま上条の頭を蹴りあげる。 再び距離が開いた。 トールは呆れている。 流石のタフさだ。 普通の人間ならもう気絶してもおかしくない。 「てめぇにオレを攻撃する術はない」 だが、 自分の覚悟を踏みにじったコイツを賞賛する気には、さらさらなれなかった。 「ここでてめぇを乗り越えて、アイツを奪い取ってやる」 この言葉を言い終わった後だった。 ヤツが、モゾモゾと動いた。 それだけではない。 虚ろな瞳で、ふらつく足で、朦朧とした意識で立ち上がり、 かすれた、しかし、強固な意思を孕んだ声を放った。 「…奪う?」 「あれは……ヴァイオリン?」 客席に座る硲舎佳茄は呟いた。 いつもお世話になっている御坂美琴が手にしたのはヴァイオリン。 美琴は弦を構えると、舞台の脇にいるインデックスに優しく笑みを送った。 視線が交わったのを確認すると、心のなかで頼りになる後輩に感謝し、弦を動かす。 戻った白井は、流れるメロディーを聞き、ふと声を漏らした。 「キラキラ星?」 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/育児日記
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の猛烈恋慕 ここは学園都市。オカルトすら霞む科学の街。 紆余曲折を経て平和になったその街に、その平和を作り上げた張本人がいる。 その男、上条当麻は上の空だった。 目は四六時中どこか遠いところをみているし、それを茶化す青髪ピアスや土御門の声も聞こえているのか怪しい。 それを見かねた小萌先生が声をかけるがこれさえもスルー。 結果、吹寄のデコがとんだわけだが・・・逆に吹寄のほうが額を押さえて涙目になってしまった。 イギリスのインデックスからの電話にさえ、聞いているのかいないのか曖昧な返事を繰り返し、ステイルに電話口で怒鳴りつけられたこともあった。 一方通行や妹達に声をかけられても全く微動だにせず、本気で心配された。 『不幸だ』という台詞の代わりに、深い深いため息が定着しつつあった。 以上のように、上条当麻は上の空だった。この状態がすくなくとも一週間ほど続いている。 上条にしかその理由はわからない。そう、上条はわかっていた。 自分がいかに上の空か。自分がいかに普通じゃないか。鈍感な彼にしてはめずらしく、それをわかっていた。 上条当麻は恋をしていた。 いつからだろう。戦争が終結しロシアから帰ってきたときに彼女の顔を見たときだろうか。 涙を浮かべ、しかし嬉しそうに自分に抱きついてきた彼女を見たときだろうか。 おそらくその頃だろう。彼が『恋』を知ったのは。彼が自分でもその時まで気づかなかった、彼女に対する莫大な気持ちに気づいたのは。 「・・・御坂・・・」 下校途中の上条は愛しい少女の名前をつぶやき、やはり深いため息をつく。 話は変るが、上条は記憶を喪失している。知識はあるが経験はない、というような体なのだ。 トンカツを食べたことのなかった人間が初めてトンカツを食べ、その美味しさに感動したとする。するとどうなるだろう? 同じように、恋を知らなかった少年が、そのあまりに莫大な感情に気づき、恋をしてしまったらどうなるだろう? ・・・たとえが悪いかもしれないが言うまでもないだろう。 『上条当麻』は『御坂美琴』のことが、好きで好きで、愛しくて仕方がなかった。 今の彼ならば、たとえ彼女が『妹達』と並んで歩いていたとしても、誰が美琴か当てることが出来るだろう。 笑顔が見たい。泣いて欲しくない。自分だけを見て欲しい。自分にだけ『特別』な視線を向けて欲しい。 ―――彼女の『特別』になりたい。 上条の『幻想殺し』でさえ、この幻想(おもい)は消すことは出来ない。できたところで消そうなどとは思わないだろうが。 「気づかなきゃよかったのでせうか・・・」 再びため息と共に言葉が漏れる。この言葉の半分は本心だが、半分は違った。 自分の思いに気づかなければ、こんな気持ちになることはなかった。そう思うのは本当だ。 だが『恋』を知った時、いや、彼女に恋をしたと分かったとき、上条は例えようもない幸せな気分になったのだ。ゆえにすべてを否定する気にはなれなかった。 上条はまっすぐな人間だ。自分の感情に正直で、損得の勘定など抜きに人のために頑張れる。命をはれる。 今回は、その『まっすぐさ』があだになりつつある。 自分で自分を制御できない。気づいたときからレッドゾーンを振り切っていた気持ちは、今まさに爆発しようとしていた。 上条は今、真っ直ぐに一途で、だからこそ始末におえない『暴想恋車』(ラブトレイン)になろうとしていた。 ――――【とある少年の猛烈恋慕】――――― ・・・とはいえ、上条には勇気がなかった。今の関係から1歩踏み込むだけの勇気が。 その勇気があれば、一週間も上の空になったりはしない。 幾度も死線をくぐった彼といえど、こういうことに関してはたやすく踏ん切りをつけられずにいた。 告白したい。でも、恐い。でも―― その単純な思考を延々と頭の中で繰り返すだけ。 言葉にすれば『好きだ』『愛してる』、たったこれだけだろうが、これだけでは二万回言っても収まらないほど少年の気持ちは莫大だった。 「上条さんらしくないのはわかっているんですけどねぇ・・・」 学園都市に帰ってきたときに一度会ったきり、上条は御坂美琴に会っていなかった。 いや、こちらから声をかけられる機会は何度かあった。だが、出来なかった。 彼女の後姿を見るだけで心臓の鼓動が早く強くなり、全身が燃えるようになる。きっと顔は真っ赤だろう。 彼女は中学生。恋愛対象にはなりえないと思っていた。少し前までは。 いまはそんなことはどうでも良くなっている。他人からからかわれようがバカにされようが、今以上に自分が不幸になろうが構わない。 どうなっても、どんな手段を使ってでも、彼女のそばにいたい。その一念しかなかった。 「・・・・・・いつの間にか来てしまいましたよ。こりゃ重症ですねぇ。」 まとまらない思考を纏め上げようと必死になっているうちに、いつの間にか足はあの公園のあの場所へと向っていた。 上条の、御坂美琴との最も古い思い出の場所。上条のなけなしの財産を飲み込み、愛しの少女にサンドバッグのように蹴られる自販機の前。 その近くのベンチに腰掛け、再び思考を始める。もっとも、いくらそうしたところで延々と続く自問自答なのだが。 「・・・・・・・・・」 もはやクセのようになってしまったため息を吐き、首を上げて空を見る。 夕日で焼けた茜の空の中に、思い人の笑顔が写ったような気がした。 「・・・・・・御坂・・・・・・・」 情けないやら、哀しいやら。そんな顔をしながら、自嘲じみた笑いと共にぽつりとつぶやく。そして周囲を見回した。 人通りのとても少ないこの場所。時刻は夕刻。どうせ誰も聞いていやしないのだ、と上条は思った。 ごくりと息を飲んで、言葉を用意する。立ち上がって、目の前に御坂美琴の姿をイメージする。 「御坂・・・・・・」 「・・・・・・好きだ。」 そして、はっと我にかえる。自分は何をしているのだろう。こんな、こんな恥ずかしいことを。 「うわあああああああああ・・・・」 頭を抱えて己が体を揺さぶる。いつか、ここの自販機に飲まれた時と同じように。 違うのは首筋まで赤く染まり、どこか嬉しそうな、恥ずかしそうな表情を浮かべていることだけだ。 「・・・・・・」 同刻、同場所。少しはなれたところで少女は少年のことを見ていた。 いとしの少年を見なくなって久しくなり、ならばとここで待ち伏せしていたのだ。 少年がここにやってきた時すぐに声をかけようとしたのだが、どうも様子がおかしい。 なにやらフラフラしているし、立ち止まったと思ったら『ここはどこだ』といわんばかりにキョロキョロしている。 「アイツ、何してんのかしら・・・」 上条の行動が気になった美琴は、物陰に隠れて様子を伺うことにした。 なにやら思案顔でベンチに腰掛ける上条を見て、また厄介ごとに巻き込まれているのかと心配になる。 すぐにでも駆け出していってやりたいが、そこを我慢して上条を監視する。 なににまきこまれているのか盗み聞いて、今度こそついていってやる。そう思いながら。 そのうち上条がため息をつき空を見上げ・・・・ふっ、と笑った。 美琴も見たことがないようなとても穏やかな、優しい顔で。 「・・・アイツ、あんな顔するんだ・・・」 『・・・・・・御坂・・・・・・・』 「!?」 名前を呼ばれた。ばれたかと思い体を縮こまらせるが、上条の目は何もない空間を見つめている。 「なんだ、独り言かぁ。ビックリするじゃない全く・・・・って! なななななんで独り言であたしの名前を・・・・」 上条のほうを見る。愛しの少年はよくわからない表情を浮かべ、乾いた笑いをこぼした。 そしてフッと真面目な顔になって立ち上がり、言った。 『御坂・・・・・・』 「?!」 ビクッと体が跳ねる。ばれたかもしれないという驚きからか、名前を呼ばれたということに対してなのかは解らないが。 上条のほうを見るが、こちらに気づいたわけではないらしい。 「またなにか面倒なことにまきこまれてるんじゃないでしょうね・・・」 ・・・・・・・・・ 沈黙。その間に美琴は決心していた。 「しょうがないわね。こうなったら直に言ってやるんだから!」 『・・・・・・好きだ。』 「そう、好きって」 「・・・・・・・・・え?」 思考が停止する。数秒の後、美琴の顔は夕焼けよりも鮮やかに染まった。 少し遠くにいて、身もだえする少年と同じように。 ひとしきり身悶えた後ベンチに座って、右手を夕日にかざし見る。 異能を打ち消す右手。神の加護さえも打ち消す右手。結果的に、不幸を呼び込む右手。 「これのおかげで、御坂を助けられたんだよな・・・」 あのときはなかなかヘビーだった。『不幸』だったかもしれない。 でも今思えば、おかげでかけがえのないひとを救うことができたのだ。 「不幸じゃない、な。むしろ―」 と、視界の端に何かを捕らえた。木の影に誰かが隠れているらしい。 「まさか・・・聞かれてた・・・?」 不幸だ、と久しぶりにこぼす。知り合いでなければいいと思い、すこし目を凝らす。 ちらりと木陰から見える後姿。茶色い髪に常盤台の制服。 上条の心臓が跳ねる。 それだけの情報で彼にはわかる。何故だかわらないが、わかる。 たった一人の愛しい人、見間違いようもない。御坂美琴があそこにいる。 暴走する恋心が、鈍い彼の心のセンサーの感度を限界まで引き上げたのかもしれない。 聞かれた いやまさか でも 不幸 ・・・聞かれたな 間違いない 誰に 御坂に ウソだろ 不幸? むしろ幸せ? 偶然? 必然? 脳がすさまじい勢いで回転する。意味の無い思考を繰り返す。が、それもすぐに終わった。 自然と足が動いた。 ラヴトレイン 『暴想恋車』は走り出す。フルスロットルで終点と始発点へ。 「アイツ・・・今なんていったの?あたしのことを好きって言ったの?」 先ほどの衝撃的な出来事を整理する。しようとする。だが、できない。 「~~~~~~~~~ッ!」 片思いだと思っていた。どうしたらいいのだろうと悩んでいた恋。それが叶ってしまった。 身を隠す木にもたれ、真っ赤な頬に手を当て悶える。気を抜いたら漏電してしまいそうだ。 体が熱い。しびれるような感覚がからだを走る。 ウレシイ。嬉しい。うれしい! 「(これはチャンスよ!今なら、今ならきっと―――)」 「御坂!」 「へっ?」 「あ、あの、これは、えっとその、そう!ネコがこっ『御坂。』ちに・・・」 「・・・御坂。」 三度、呼んだ。 最初は強く、気づかせるように。二度目は静かに、なだめるように。三度目は優しく、包むように。 「・・・俺は、だめな男だ。頭は悪いしお金もないし、顔は・・・まぁ平均だと思いたいけど。」 「とにかくもう一度、しっかり聞いてくれ。俺は、御坂が、好きだ。」 本心のままに、話し続ける。美琴はそんな上条をじっと見ている。 「俺は不幸体質だから、一緒にいると不幸になるかもしれない。だめな男だから、いいカッコできないかもしれない。 困ってる人がいたら放っておけないから、いつかみたいにどこかにフラッと行ってしまうかもしれない。」 「でも、我慢できないんだ。どうにかなっちまいそうなんだ。 俺と付き合って欲しい。俺を好きになって欲しい。御坂じゃなきゃ、だめなんだ。」 さぁっと風が木々の枝を揺らす。夕日の中で、二人はお互いを見つめあう。 「・・・アンタ、もっとムード考えたり、ロマンチックなこといったりできないの?」 「・・・・・・・・すまん」 「でも、それでいいわ。ううん、それがいい。アンタらしくって。」 ぎゅっと。 一歩踏み出して、美琴は上条に抱きつく。 「あたしだって、アンタじゃなきゃだめだもん。とっくにアンタのことが大好きよ!」 「・・・・・・」 「あたしも、もう我慢しないわ。あたしをアンタの彼女にして?」 「・・・・・・御坂ぁ・・・」 「・・・アンタ、泣いてるの?こういうときに泣くのは、普通女の子のほうなんじゃないかしら?」 「しょうが、ねーだろ・・・うれしくって、とまらねーん、だからよ・・・」 照れくさそうに言った後、上条も美琴を抱きしめた。 はじめてみせる上条の表情としぐさに、美琴はハートをぶち抜かれた気持ちになる。 「・・・わりとダメージがおおきいわね・・・」ドキドキ 「・・・なんの、ことだよ・・・」 「・・・こっちの話よ。」 「ねぇ、もう・・・・」 「いやだ」 ぎゅうっ 「あう」 「もうすこし、こうさせててくれ。」 しばらくたったが、二人はいまだ公園にいた。 上条はベンチに座り、自分の膝の上に美琴を乗せて、抱きしめている。 「アンタね、それでどんだけながいことこうしてるかわかってるの?」 「イヤなら、ビリビリするなりなんなりして離れりゃいいじゃねーか」 「う、だって、その・・・」 「・・・今日だけは、俺のワガママ聞いてくれよ。確かめてたいんだよ。現実なんだって。」 「・・・仕方ないわね。今日だけ特別よ。」 自分を抱きしめる上条の腕に、美琴はそっと手を添える。 橙色の光の中で、二人は幸せそうに微笑む。 「好きだぞ、美琴。」 「好きよ、当麻。」 ラヴトレイン 『暴想恋車』はかくして路線を変えて走り出した。 これからも、尽きぬ愛を燃料に、まっすぐにとまることなく走り続けるだろう。 これはただのはじまり。波乱がないとは限らないが、きっと乗り越えることが出来るだろう。 この二人なら、きっと。 はじまりのおわり。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の猛烈恋慕