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「ゼロが、一発で・・・」 「嘘、何で・・・」 ルイズが使い魔を簡単に召喚できたのがまるで奇跡としかいいようがないような感じで他の貴族たちは彼女を見つめるのであった。召喚されたのは、丸っこく青い体に、白く美しい腹部、耳、しっぽを持った愛らしい小さな生物だった。 「きゃっ、何これ?かわいーい!」 その生物を抱き上げるルイズであったが、彼女はその期待をぼろぼろにされるのだった。 「い、息してない・・・」 もしかしたらぬいぐるみなのかもと、口の中を覗きこんでみたが、そこにはリアルな舌や歯があった。正真証明の生物だ。死体だが。 「呼んでも役に立たんとは・・これぞゼロクオリティwww」 「ルイズにゼッロゼロにされちゃった」 そのころ、この生物がいた世界、渓谷の宿場からテーブルマウンテンに続く道をいく一人の冒険者がいた。その名も、人呼んで、風来のシレン! 「なるほど、この杖は吹き飛ばしか。これならマムルなんて簡単に倒せ・・・ってちっがーう!何だよあの鏡!マムルぶつけたらヒュッと吸いこまれちまったぞ!罠か!?一種の罠なのか!? 落ち着け、こういうときは、風来の書、950条、罠について。何々、罠は利用できるものです。その効果をよく考えましょう。分からなかったときは、逃げろ!?つっても、このでけー鏡が道ふさいじまってるんだよー!かくなるうえは、この鏡を持っていく!」 マムルを吸い込んだ謎の鏡、これは一体何なのか!?危険なのは承知のうえ。しかし、この鏡がダンジョン攻略に役立つと、俺は信じる!!! 轟々と水が流れる山間渓流。ここは谷に釣り橋がかけてあるだけの危険な場所だ。そこに、あの男がいた。風来のシレン!ボウヤーの打つ矢もなんのこれしき!全部鏡が吸い込んでくれるのだ! そのころルイズはというと・・・ 「痛ーい・・・何で矢なんて飛んでくるのよ!」 生物すら召喚できないルイズ。しかし、そのような物はまだまだ序の口。次に来るものに比べたらずっと・・・次に来たのは鎧のような物を見に付けた骸骨。 「また、死体かよ・・・」 「ネタの使いまわしすんなよ~」 その骸骨はよろよろと動き出す。 「あれ、動けるの?せ、成功!?」 しかし様子がおかしい。骸骨はルイズなど見向きもせず、キュルケの使い魔、サラマンダーのフレイムにゆっくりゆっくり近づいていった。頭からフレイムに吸い込まれるようにして消えていった。 「なんだったのよあれ・・・」 思わず涙ぐむルイズだったが、落ち込んでいるのもつかの間。フレイムは骸骨を吸い込んだ途端に狂ったように暴れだした。体も変色している。 「な、何!?フレイム、落ち着きなさい!」 主人のキュルケも同様を隠せない。 フレイムが元に戻ったときは、すでに一面焼けの原だった。他のみんなは被害にあいたくないといわんばかりにルイズから離れていった。結局そばにいるのは教師のコルベールだけであった。 次に召喚されたのは、泥のような生物だった。その生物と契約しようとキスをしようと思ったその瞬間、腐った液体をかけられてしまった。 もう契約なんてどうでもいい、この生物を殺す!お得意の爆発魔法でこっぱみじんにしてしまう。 今度は謎の布をかぶった緑色のトドが召喚された。そのトドは、あろうことかルイズの杖を布を使い奪っていった。 「そんな・・・杖がないと・・・」 いきなりたくさんの生物がわらわらと現れた。 「何で?!杖もないし呪文も唱えてないのに!」 その頃のシレンは、 「モンスターハウス?子供騙しだね!単に雑魚が集まっただけ!こんなやつら、この最強の鏡の敵ではないわ!」 マスターチキンもミノタウロスも、エーテルデビルでさえただただ鏡にに吸い込まれるだけ!誰か、この鏡男を止める奴はおらんのか! しかしルイズは・・・ 杖無し、呪文なしで現れた、鶏やら、牛やら、見えない何かやらにフルボッコにされる始末。ついに彼女は死んでしまった。 …と思ったら、 「・・・ここは?私の部屋・・・?」 彼女は自分の部屋のベッドで横になっていた。 「あーなんていやな夢なのかしら。現実はこうはいかないわ。エーと、杖杖」 ない。どこを探しても見つからない。彼女は探すのをあきらめコルベールに謝ろうと魔法学院の廊下をとぼとぼと歩いていた。しかし、杖はすぐ見つかった。廊下に落ちていたのだった。 なぜ廊下に落ちているのか分からぬまま、彼女は使い魔を召喚する。召喚されたのは巨大な虫の怪物だった。糸で絡められ、ルイズは洞窟の中に閉じ込められ、ついに彼女は死んでしまった。 …と思ったら、 「・・・ここは?私の部屋・・・?」 彼女は自分の部屋のベッドで横になっていた・・・の、繰り返し。 魔蝕虫もかたなしっ!byシレン
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トリステイン魔法学院 ここである奇妙な事件が起こった。それは『失踪』である。 ただの失踪ではない、そこにいた使い魔、生徒、教師、給士に料理人やそこにいた者達全てがいなくなった。 それに気づいたのは偶然上空を飛んでいたジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵で、お昼なのに全然人気が無かったため。 降りてみたところ人一人いなかったという。 王宮は直ちに捜索部隊を組織し、学院に向かわせた。 辿りついたときは夜中で明かり一つ付いていなかった。 厨房には火を付けられっぱなしで暖かいシチューがあり、食堂には冷めてしまった昼食がある。 まるでつい1時間前までそこに『人』がいたかのような雰囲気であった。 「くそ…一体どうなっているんだ?」 捜索隊の隊長であるアニエスは舌を打ち、辺りを見回す。学院には明かりもなく、唯一隊員達が持つ松明の火などが明かりであった。 ここにいた連中は何処に行ったのだろうか?集団ヒステリーというものか? アニエスがそんなことを考えているとワルド子爵が肩を叩いてきた。 「こっちへ来てくれ、地下で生徒が見つかった!」 ワルド子爵の顔は何故か笑っていた。 ワルド子爵と共に数名の部下を連れアニエスは地下に来た。 地下には見つかった生徒の他、2名の魔法衛士隊員がいた。 生徒の髪はピンク色で、顔は俯いているため分からない。 「やぁぼくの…じゃなかったミス・ヴァリエール。一体何があったのだい?」 ワルドが生徒に近づき、肩を叩くと……その生徒が顔をガバッ!っと上げ、ワルドの肩を強く掴んで叫んだ。 「ばらいぞつけたいそいご!!」 その後トリステイン魔法学院で一週間探索が続いたが奇妙な事件が立て続けに起こったため閉鎖。 発見されたルイズ・フランソワーズは精神が崩壊しておりあの時から二年たった今でも家で静養している。 また付近の森を探索中、見たこともない村を見つけたがそこを行く道全てが通行不可能だったため諦めた。 なおこの後に様々な物好き達が学院と謎の人里に行くが5割の内4.9割が行方不明になっている。 アーカイブ『とある平民の通報』 ある平民が学院付近の森を歩いていたら奇妙な生き物を見たという。 なんでもそれは人のような形で頭に二本の角が生えていて。4足歩行をしていたという。 それを見たのは一瞬だっため詳しく確認できなかったものの、あの学院の制服を着ていたという。 調べようにもあの事件から霧が年中掛かるようになっており、下手に近づいたら道に迷いかねない。 アーカイブ『街の噂』 街ではある噂が出てくるようになった。 『あの森に入ったら、ゾンビになって二度と森からでれなくなる。』 このことがきっかけで森に入る人間はゼロに近くなった。 一部の研究家達は丁度あの事件の日が『春の使い魔召喚儀式』であったため。そのときに何かあったのではないかと言っている。 また最近露店ではあの人里付近で見つけた奇妙な骨や置物を売っているらしい。 一度かのワルド子爵がそれを見に行ったが「気味が悪い」と言っていた。 アーカイブ『ミス・ヴァのエールの診察報告書の一部』 正体不明の精神病が継続、また知能の退化が進行。静養を続行されたし。 尚二年経過しても直らなかった場合、精神病院に入院させよ。
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強烈な閃光。それが私が見た最後の光景だった。 この日、ハルケギニアの地図上からトリステイン魔法学院は文字どうり消滅した。 ゼロの大統領ー完 「ってそんなのあるかー!」 と、ベッドから飛び起きそのまま転がり落ちるルイズ。 「きゃんッッいたた・・・あれ?」 辺りをキョロキョロ見回すルイズ。 「やっぱり夢?そうよね!夢よね!夢かーって何の夢だっけ?まあいいわ それより明日は大事な使い魔召喚の日だから早く寝なくっちゃ!」 そう言って再びベッドに潜り込みすやすやと寝息を立て始めるルイズ。 だが彼女は、夢は夢でも正夢だったと分かるのはそれから数時間後の事だった。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 何度も失敗し周囲の黒煙が風に流された後、そこに居たのは一体のゴーレムだった。 「ゼロのルイズがゴーレムを召喚しただと!」 「あのルイズが?」 周りの驚く声など聞こえず、ルイズは自分が召喚したゴーレムをじっと見る。 「あれ?これって・・・・・」 彼女の脳裏に忘れたはずの夢の記憶が映し出される。 『オゥケェェイ、レッッツパァリィィィー!!!』 「ヒッ!」 夢の記憶を思い出したルイズは小さく悲鳴を上げるが、彼女の夢とは違いゴーレムは指一本動かさなかった。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」 その後、コルベールの指示に従い嫌々ながら契約を済ませるルイズだが 「いったーって何で私にルーンが浮かび上がるのよ!」 彼女の左手には使い魔のルーンが浮かび上がっていた。 それを見ていた周りは一部を除いて大爆笑。ルイズとゴーレムを残し皆学院へ帰っていったあと、ルイズは泣いた。 始めはゴーレムに八つ当たりし、喚き散らし、最後にはシクシクと泣いた。 どの位そうしていたか、ルイズはヨロヨロと立ち上がりゴーレムに手を着いた時、彼女は理解した。 今までの彼女なら決して理解できなかった、しなかったであろうことも。 ガンダールヴのルーンの力でこのゴーレム“メタルウルフ”の持ち主の熱き“大統領魂”を。 平和だったハルケギニアの地に戦乱の嵐が吹き荒れる。だが、我々には最後の希望が残されている。 熱き大統領魂を受け継ぐ“メタルウルフ”の使い手。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだ。 これから派手なパーティーが始まるんですね。私もこんな派手なパーティーは初めてです・・・・・ミス・ヴァリエール? 平民の名誉を守るため決闘を受けるルイズ。 「平民を守るのは大統ryげふんげふん・・・貴族の勤めよ」 ヴェストリの広場にギーシュと“メタルウルフ”を着けたルイズが対峙する。 「いけ!ワルキューレ」 『淑女なのは17時までよ!』 ギーシュはワルキューレを一体造りルイズに向かわせるのに対し、ルイズは黒い筒をワルキューレに構える。 『オーケー!レッツパーティー!』 ドカン! 『ビンゴー!』 一撃で破壊されるワルキューレ。その威力に驚くギーシュだが 「それは銃か?威力は凄いがそれで終わりだろう!」 そう言って六体のワルキューレを造りルイズを攻撃するギーシュ。だが、それに対してルイズは 『大歓迎ね、お返しに穴あきチーズにしてやるわ!」 ドガガガガガガガ!!! 武器を持ち替えたルイズが発砲。ワルキューレは粉々になり、穴あきチーズになったのは学院の一部と宝物庫だった。 その様子を遠くから見ていたメイドは、ぽつりと呟いた。 「前々からこんなに壮観なトリステイン魔法学院を壊したら、どんなに綺麗かと気になっていたんですよね」 宝物庫損壊の隙をつき、破壊の杖を盗み出す土くれのフーケ。 それを追うルイズたち、破壊の杖を取り戻すもその直後襲い掛かる巨大ゴーレム。 巨大ゴーレムの攻撃に対し、それを正面から受け止めるルイズ。 『見なさい!これがヴァリエール魂よ!』 そう言って巨大ゴーレムをぶんぶん振り回しぶん投げるルイズ。 ありえない光景にあんぐりと口を開けるキュルケとタバサとシルフィードとフーケ。 「私を捕まえないのかい?」 『私たちが受けたのは破壊の杖を取り戻すことよ。それにあんたは根っから の悪人には見えないし』 破壊の杖を取り戻して数日後、アンリエッタ姫殿下の密命を受け婚約者のワルド子爵、途中からキュルケ、タバサ、そして なぜかいるギーシュたちと共にアルビオンへ向かうルイズ。 だが、そこで待っていたのは婚約者の裏切りだった。 「んふはははははは。ルイーズ!」 「ワールドー!」 密命の為“メタルウルフ”の無いルイズは、ウェールズの命を懸けた行動により逃がされ、キュルケたちと合流し アルビオンを去ることしか出来なかった。 アレから数日後、不可侵条約を破り侵攻するアルビオンの艦隊。 『親愛なるトリステインの皆さん、私はレコン・キスタの一市民としてこのような状況は非常に残念です トリステインの女王にそそのかされた人々よ、思い出して欲しい“正義の心”を、ハルケギニアを思う心を 今投降すればまだ罪は軽いはずだ。貴方たちに“正義の心”が残っているならばその女を捨てて 17:00までに投降しなさい。これは最後通告です。合言葉は“ウィー・ラブ・クロムウェル”』 そのような言葉になど従わず攻撃を開始するが、圧倒的な火力の差によりほぼ壊滅状態のトリステイン艦隊。 「いくらあなたでもムチャよルイズ!」 『ムチャではないわ!なぜなら私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだからよ!』 「ちょっと、まちなさいルイズ!」 『キュルケ、ちょっとタルブまで行って来る』 戦火の火が迫るタルブの村では、シエスタがある決意をしていた。 「招待したわけでもないのにずうずうしいですね・・・・・お爺ちゃん、これ使わせてもらいます」 そう言って伝説の竜の骸、灰色の“メタルウルフ”に乗り込むシエスタ。 『ンフハハハハ!レッツパーリィー!』 アルビオンの艦隊旗艦レキシントン号に突撃するルイズ。 『ナイスランディング』 次々に現れ取り囲む敵兵に対して、ルイズは不敵につぶやく。 『ようこそ、トリステインへ。ハローボーイズ、そしてそのままおやすみボーイズよ』 ドガガガガガガガ!!! 待ち構えていたワルドと最後の戦いを繰り広げるルイズ。 アルビオンの艦隊はシエスタの“メタルウルフ”に落とされ、旗艦レキシントン号はルイズとワルドの戦闘により 落ちていくが、その際暴走した風石によりはるか高くへ飛ばされてしまう。 『これがハルケギニア・・・綺麗・・・』 「美しい・・・だがその下では醜い争いが起こっている、いまの我々のようにね さあ、これが最後の戦いだ!」 決着はルイズの勝利に終わる。風の魔法を使って息をするのがやっとの状態では、大気圏突入の摩擦熱までは防げなかった。 ワルドがこのまま燃え尽きるのかと覚悟した時、ルイズが救いの手を差し伸べる。 「ルイズ・・・・・なぜ」 『貴方がハルケギニアを思う気持ちは本物だった。けど、貴方は方法を間違ったのよ』 だが、ワルドはルイズの手を突き飛ばし、最後の力を振り絞り風をルイズの周りに張り巡らせる。 「さよならだ・・・・・僕の小さなルイズ」 『ワルドー!』 そのままルイズはハルケギニアの地に落ちてゆく。 『ルイズさん、ルイズさん、答えてくださいルイズさん!』 シエスタの応答にルイズが答えることは無かった。だが、ルイズを知る者は誰も彼女が死んだとは思わなかった。 あのルイズがこんなことで死ぬはずがないと。 「人間が!この包囲から抜けられると思うなよ!」 『ノープロブレム。熱々のローストチキンにしてやるわ!』 ゼロの大統領ルイズ変 メタルウルフルイズー完
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トリステイン魔法学院の学生にして失敗ばかりの落ちこぼれ『ゼロのルイズ』。 二年生への進級をかけた『春の使い魔召喚の儀式』へと臨んだ彼女は”彼”を召喚した。 召喚されたばかりの”彼”を見たルイズはただの平民の子供だと思った。 自分よりも年下のようだが、そう年が離れているわけでもなさそうだ。 ともかく召喚自体は成功したのだから、まるでダメと言うわけではないのだとルイズは自分を元気付けた。 そして周囲を不安げに見回し、怯える犬が威嚇するように唸る”彼”を宥めながら使い魔の契約をした。 使い魔のルーンは”彼”の胸へと刻まれた。 そんな”彼”との生活が始まったのだが、それはとても多忙な日々となった。 まず、”彼”は何かしらの障害を持っているのか、言葉を話さないのだ。 ”あ~”、”う~”などの唸り声を上げるだけ。 次に好奇心が旺盛であり、感情の起伏が激しい。他の使い魔を見れば時と場合を選ばず飛び掛り、 魔法の授業の時には練金で小石が真鍮に変わったのを見るや、怯えて暴れ出した。 更に食欲も旺盛。最初に食堂に連れて行った時は野生児の如くテーブルに飛び乗り、料理を散々に食い荒らした。 その事があって食事の件は知り合いのメイドであるシエスタが何とかしてくれる事になったのだが、 結局はこれらの事実にルイズは頭を悩ませる事になった。 だが、それでもルイズは”彼”を見放そうとはしなかった。 自分が召喚できた使い魔だと言う事もあるが、何より”彼”はルイズやシエスタに懐いていたのだ。 その懐きぶりは自分が下の姉に甘える姿にとてもよく似ていたのだ。 それゆえ、無下に突き放す事も出来なかったのだ。 そんな”彼”をルイズは日が経つにつれ、ただの平民だとは思えなくなった。 …その原因は”彼”の成長にあった。どういう訳か、”彼”は常人とは比べ物にならない速度で成長していったのだ。 どんどん成長し、ついにはドラゴンなどと比べられるほどの大きさになった”彼”に、 使い魔召喚の儀式から”彼”に刻まれたルーンに興味を持っていたコルベールも驚きを隠せなかった。 そして、最初はルイズと同じか多少低い位だった”彼”の背丈は、今や二十メイルに達しようかとしていた。 最早疑う余地は無かった。”彼”の常人とは異なった言動もこれで説明がつく。 ”彼”は亜人だ――そうルイズは思い至った。 そんなある日…、学園にルイズの姉であるエレオノールがアカデミーの研究員数名と共にやって来た。 ハルケギニアに生息するどの亜人よりも巨大で異質な”彼”は王宮の、アカデミーの興味を引いたのだ。 そして実験体としてアカデミーに連れてくるように指示が出て、エレオノールらが来たのだ。 エレオノールは”彼”の引渡しを妹に伝えるが、ルイズは当然それを拒否した。 幾ら頭の上がらない姉であろうと大事な使い魔を渡せるはずが無かったのだ。 すると他の研究員が”彼”を魔法で捕縛し、強引に連れ出そうとしだした。 ”彼”は怯え、激しく抵抗し、暴れた。その結果、研究員の内二名が巻き込まれて死亡した。 そのまま”彼”は魔法学院から逃げた。一度だけ、ルイズの呼び声に振り向き、悲しそうな表情を見せて。 ルイズは”彼”を連れ戻すべく、魔法学院を飛び出した。コルベールとエレオノールもそんな彼女に付き添った。 消えた”彼”は食料となる家畜を襲いながら、トリステイン中を放浪しているようだった。 目撃情報を得ながら、ルイズ達は”彼”の姿を捜し求めた。 そんな最中、ガリア南部の山地の中に点在するアンブランと言う村が何かに襲われ、村人全員が行方不明となる事件が起きた。 その村は以前からコボルドに襲われていた為、最初はそれらの仕業かと思われたが、そうではない事が解った。 破壊された家々はコボルドとは思えない、巨大な物に叩き壊されたような物ばかりであり、 何より人の死体が一つも無い所が妙であった。 コボルドに人の死体を一々始末するような知能が無い事は、ハルケギニア中の人間は知っているのだ。 そして、この奇怪な事件の犯人が先日トリステイン魔法学院から逃げ出した亜人では無いかと、人々は噂しあった。 無論、ルイズはそんな事は信じなかった。”彼”が自分から人を襲った事など、ただの一度足りとも無いのだ。 だが、世間はそんな少女一人の気持ちなどでは動かなかった。 事件がガリアだけに止まらず、ロマリア、ゲルマニアでも起こり、”彼”を完全に危険視したのだ。 各国の王宮は討伐隊を編制し、”彼”を捜索を開始するに至った。そんな状況にルイズ達は焦った。 そして、ルイズ達は朝靄が掛かる森の中でそれと遭遇した。 突如として地面が盛り上がり、巨大な怪物が姿を現したのだ。 それを見たコルベールは、その怪物が何か解った。 それは大昔に韻竜と共に絶滅したはずの火竜の亜種『バラナスドラゴン』であった。 怪物は地面から這い出るや、ルイズ達を見つけて大きく咆哮する。 その耳まで裂けた口から赤い液体が滴り落ちている。 それが人の血液であると言う事は直ぐに解った。…口の端から”人だった物”が除いていたのだから。 ルイズは吐き気を覚えたが、それを上回る激しい怒りが頭の中を駆け巡った。 ルイズは杖を振り、失敗魔法の爆発を怪物に放ち、エレオノールとコルベールも魔法を唱えるが、 怪物はそれらに全く怯む気配を見せなかった。 ついに精神力が切れ、魔法が撃てなくなったルイズ達は怪物から逃げた。 だが、ルイズだけが躓き、地面へと倒れてしまった。そのルイズへと怪物は牙の並んだ口を開けて迫る。 もうダメだ、とルイズが絶望した時、怪物の角が何者かに掴まれた。 見上げれば、怪物の角を掴んでいるのは”彼”だった。 ”彼”が怪物と戦っている隙にやって来たコルベールがルイズを抱え上げ、その場を離れた。 ”彼”と怪物の戦いは、人間と獣の戦いだった。 怪力と知恵で戦う”彼”に対し、怪物は牙や爪、ブレスを進化させたかのような強烈な熱戦、 更には最高百メイルに達する跳躍力で持って”彼”に襲い掛かる。 そんな理性と野生の対決は壮絶な物となった。 結果的に頭脳プレーで攻める”彼”に怪物は遂に逃げ出し、地中へと逃れた。 その後、”彼”は逃げる最中に謝って足を滑らせ、崖下へと転落したエレオノールを助け出し、 ルイズとコルベールの下へと送り届けるや、再び姿を消したのだった。 トリスタニアへと戻ったルイズ達は王宮へと事の次第を報告した。 全ての事件はバラナスドラゴンの生き残りの仕業であり、”彼”は無関係だと。 しかし、絶滅したはずのバラナスドラゴンが生き残っているなど在り得ない、と否定された。 更には、使い魔だからと問題の亜人を庇っているのではないか、と言われる始末だ。 結局、何を言っても信じてはもらえなかった。 そして、バラナスドラゴンの生き残りである怪物は再び現れた。 夜闇に隠れ、シエスタの生まれ故郷であるタルブの村の人々に襲い掛かったのだ。 次々と家が壊され、村人が老若男女の区別無く食べられていく。 タルブ領主のアストン伯が慌てて討伐隊を率いたが、一人残らず熱戦に焼かれたり食物にされた。 そんな地獄の様な光景を見ながら震えるシエスタに怪物は迫った。 その時、再び”彼”が姿を現し、怪物へと立ち向かった。怪物の首を締め上げ、投げ飛ばす。 だが、怪物もやられてばかりではなかった。二度も食事を邪魔された事は怒りを爆発させるには十分だった。 怒りの所為か、威力の増した熱戦が怪物の口から迸り”彼”に命中する。 最初は耐えられたそれも、威力の増している状態では耐え切れなかった。 僅かに怯んだ”彼”の隙を突き、怪物は大きく跳躍して覆い被さる。 鋭い牙で噛み付こうとする怪物の口へ、”彼”は岩を押し込み蹴り飛ばした。 ひっくり返る怪物に”彼”は更に岩を投げつける。 怒り狂う怪物は熱戦を吐き散らしながら”彼”に襲い掛かる。 ”彼”は怪物の注意を自分に引きつけ、村から引き離していった。 遅れて村へとやって来たルイズは、”彼”の意図を理解し、馬に乗るや後を追って森へと入った。 移動を続けながら二体の戦いは激しさを増していく。 やがて森を抜け、二体はハルケギニア随一の巨大な湖『ラグドリアン湖』へと辿り着いた。 そこで遂に戦いは終わりを迎えようとしていた。 ”彼”に投げ飛ばされ、地面に叩きつけられた怪物はフラフラになる。 その怪物の首を”彼”は渾身の力で締め上げる。 怪物は苦しみ、激しく暴れたが、”彼”も必死に締め上げる。 やがて、怪物の鳴き声が弱々しくなっていき、大きく一声鳴くとそのまま口を閉じた。 直後、骨が折れる音が首から響いた。 不自然に首が折れ曲がった怪物は地面に力なく横たわる。 その怪物の身体を”彼”は二、三度蹴り飛ばしたが反応は無い。完全に事切れていた。 ”彼”は怪物の死骸を持ち上げると、湖に向かって力任せに放り投げた。 大きな水飛沫を上げて怪物の身体は湖底へと沈んでいった。 怪物が沈んだのを見届け、”彼”は勝利の雄叫びを上げる。 その彼の勇姿に駆けつけたルイズだけでなくエレオノールやコルベールも笑顔を浮かべた。 ――だが、事はそれで終わらなかった。 突如、ラグドリアン湖の水面から巨大な水柱が立ち上り、そこから声が辺りに響き渡る。 声の主はラグドリアン湖の水の精霊だと名乗った。 水の精霊は自らの領域を侵した”彼”へと制裁を加えると言った。 直後、水面が盛り上がり、巨大な蛸が姿を現した。それは水の精霊の使いだ。 呼吸する音が不気味な鳴き声のように聞こえ、足や胴体が動く度に粘液が嫌な音を立てる。 大ダコは八本の大蛇の様な足を振り回しながら”彼”へと襲い掛かった。 ”彼”は必死に戦ったが、怪物とは勝手が違いすぎた。 柔らかい柔軟性に長けた身体は木や岩を投げつけられても大したダメージを受けずに弾き返してしまう。 業を煮やした”彼”は肉弾戦を仕掛けたが、逆に大ダコの足に絡め捕られてしまった。 そのまま”彼”は大ダコに力任せに湖へと引きずり込まれる。 ”彼”の危機にルイズは助けようと杖を抜くが、エレオノールに止められる。 水の精霊を怒らせればどんな事になるか解らないのだ。 そんな事はルイズも解っている。だが、理屈では割り切れない事もあるのだ。 しかしエレオノールは譲らず、暴れるルイズの頬を叩いた。 そして、ルイズは気付いた。…姉もまた、自分の命の恩人の危機を見つめている事しか出来ないのに苦しんでいるのを。 結局、”彼”が大ダコによって湖底に引きずり込まれるのを見ている事しか出来なかった。 こうして、事件は一応の終わりを迎えた。 この日を境にルイズは一つの可能性を考える事となった。 それは”異種族との和解と共存”だった。 この後、ルイズはアルビオンで一人のハーフエルフの少女と出会い、 彼女と協力してエルフとの和解を実現させる事になる。 そして、彼女は和解成立のその後も毎日ラグドリアン湖へと通った。 何時の日にか”彼”が戻って来てくれる事を信じて…。 『終』
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キャラクター紹介 イメージAA / . . / .. . . . . / . / . .. . . \ . ヽ ヽ. / / . . ./ . \. . / . .{ l . . . . .. 、 . . . ヽ . }l . . . l l / . . / . . . . . . . X . . . ./l . .| . / . . 丶 . . . \. ヽ . . l . . l| . . . | | ハ . l . . . . . . . . | l \/ ! . .! . .! .ヽ . \ . ..} ヽ. ._ ヽ-‐| . . l| . . . ! | l l . . | . . . . . . . / l . .. l\|. . | . .l . .! .. . l. . . l イl . . | . . .| . . l| . . . l V l .! . | .i . . . . . . l ル≧ァz\l . . ', . . .jヽ. l∠j≦ .!. . ∧ . l . / ! . . . . ヽ ヒロインヒロイン /ヽ{ . .l .l . . . . . . . j彳 〃´¨ヾ\. . .ハ . . / ァ匕 j/ `ヾ`ミ<! .,' . . . lヽ . . . .. \ ヒロいーン! / . . .\i小 . . . . .l . l ヽ |l\__ /i`ヽ{ ヽ .. . 7´ |l \__ / i /ハ ./ . . . ,' . . \ . . . ... / . . . . . . . .\ l\ . .∨ 弋{ j.l j. / 代{ j ,' / j . . / . . . . . \ . .../ . . . . . . . . . . . . l `ヾハ vヘ三イソ '´ vヘ三イ/ / . . .∧ . . . . . . . \/ . . . . . . . . ./∨l . . . . ', '´ ``′ / . . ./ ヽ . . . . . . . . . . . . . . . . / l l . ヽ∧ ' ___ / . . . .l Y^ヽ . . . . . . . . . / i } . . ヽヘ ,,ィ´___ /`ヽ ,イ . . / . | / \ヽ . . . { ∨ . . .ヽ .\ 〃 } //. . ./ . . . l / ヾ . .} / . . . i . .ヽ>.、 ゞ _ノ イ . . . ,' . . . . .| } . j / . . . i . . . .} ヽ>`、 ー―‐ '´ィ< 〃 . . . ! . . . . . ! ./ . / ヽ / . . . . . l . . ./ \ \ ̄ / /{ . . . l . . . . . .ヽ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール LV1 称号:ゼロ 【Louise the Zero】 種族:ヒューマン ♀ 歳:16歳 身長 153cm 体重:?? スリーサイズはB76/W53/H75 ジョブ:メイジ サポジョブ:? 本作【!!ヒロイン!!】 時空と次元の交差により本来の使い魔ではなく、ブロントさんを召喚した張本人。 ブロントさんへの適応能力は高い。使える魔法は【爆発】のみだが、本編では色々と活躍している? アイデンティティとも言えるツンデレ要素は薄め。 メイジとしての実力はドット以下のゼロ。使い魔ブロント。 好物:クックベリーパイ 趣味:編み物 特技:馬術、リアクション芸人 初期ステータス +... HP MP STR DEX VIT AGI INT MND CHR 短剣 片手剣 片手棍 両手棍 回避 受け流し コモン 火 水 風 土 虚無 F F F F G G E E D F F E E F F 0 0 0 0 0 E
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前略 ちい姉様 マジカルメイドが暗躍したお陰で、無事…いや無事ではありませんが何とか使い魔を召喚することが出来ました。 ええ、出来たんです。 ですが……何というか人間の子供を呼び出してしまったんです。それも二人も。 『見た目』だけはとても美しい双子の少年と少女が使い魔となったんです。 そう、なったんですが……わたし、これからの学院生活がとても不安です。 ぶっちゃけ、家に帰ってもいいですか? いいですよね? 草々 ルイズの憂鬱(魔法少女ラジカルイズ~双子編~) 「ミス・ヴァリエール!」 ある日、教室に呼び出されたルイズは、渋る双子の使い魔をつれて約束した時間より少し早くやって来た。 教室に入るや否や待ち構えていた中年の女性教諭、シュヴルーズが怒鳴りあげたのだ。 「あの、ミセス・シュヴルーズ。 何か御用ですか?」 覇気もなく気だるげに答えるルイズにますますシュヴルーズは声を荒げる。 「何かじゃありません! ミス・ヴァリエール! あなたは使い魔にどういう教育をしているのですか!」 「はぁ、その、スミマセン」 ヒステリックな怒鳴り声に取り合えず謝罪の言葉を告げたルイズ。 どうやらまたこの双子が何かをやらかしたらしい。 今度は何だろうか。 またモンモランシーの使い魔の蛙に何かしたのか、でも蛙の御尻にストローさして空気を入れるなんて昨日やって怒られたばかりだ。 あるいはギーシュの使い魔のモグラの餌(ミミズ)に釣り針を仕掛けて釣り上げたことか、はたまた学院長の使い魔のネズミをまた罠にはめたのか。 思い当たる節が沢山ありすぎてよく分からない。 「錬金の授業で使う粘土に爆薬を仕掛けるなんて! こんな悪戯初めてです!」 ルイズは、『ああ、どんどん過激になっているなぁ』と思いながらもひたすら平謝りを繰り返す。 それにも拘らず、 の怒りはまだ収まらない。そう、 がルイズを呼び出すのは何も初めてというわけではない。 双子が悪戯を仕掛けるたびに、コルベールやギトー、オスマンにロングビル等、学院に努めている教職員から一通り注意を受けているのだ。 その度に彼女は下げたくもない頭を何度も下げたのだ。 「昨日も、ミスタ・コルベールの髪を全て燃やしたではないですか! いいですか! ちゃんと教育なさい!」 コルベールのあの可笑しな鬘はそういう理由だったのか。ルイズは心の中で納得すると再び頭を下げる。ちゃんと謝罪の意思をのせて。 「スミマセン。 ほら、あんた達もあやまんなさいよ!」 この日、同席した双子の頭を下げさせようとグイグイと押すが彼らはそれに反発するのだ。 そしてあろうことか、 「ばーか、はーげ、タコ坊主ー」 「タコなら海ん中でチューチュースミ吐けー」 暴言を吐くのだ。 ルイズの短い堪忍袋の緒は当然の如くブチキレた。 「ちゃんとあやまんなさいッ!」 怒りと共に振るわれた杖から奔るはずだった魔法。だが忘れてはならない。彼女が魔法をうまく使えないという事実を。 激しい爆発が教室中を蹂躙する。響き渡る4人の悲鳴。だが奇跡的に皆無傷だった。 そして当然のようにルイズは教室の清掃を命ぜられたのだが、双子はというと当然の如くその場から逃げ出したのだった。 拝啓 エレオノール姉様 わたしはちゃんと学院を卒業できるのでしょうか? とても不安です。 だからお願いします。家に逃げ帰っても怒らないで下さい。 敬具 数日後…。 ルイズが部屋で双子と何ともいえない時間過ごしているとを唐突に扉を叩く音が聞こえるではないか。 あまりにも激しく叩かれる扉。煩くて敵わないと扉を開けるとそこにはモンモランシーがに鬼気迫る雰囲気で仁王立ちをしている。 「少し時間いいかしら?」 そう言うとモンモランシーはルイズの返答を待たずして部屋にズカズカと入って来た。 用件をルイズが聞き出そうとする前に彼女は口を開いた。 「ルイズ、使い魔にどういう教育しているわけ? ギーシュがノイローゼになってるんだけど…どうしてくれるの」 モンモランシーの言葉にはてと首を傾げるルイズ。 その様子がモンモランシーを苛立たせる。 「ちょっと! しらばっくれる気?」 モンモランシーが言うには…… 学院某所。 その日、ギーシュは一人、使い魔のヴェルダンデに餌をやっていた。すると背後から不穏な影がするすると近づいてくるではないか。 音もなくギーシュの背後にピタリとくっつくと耳元で吐息を掛けるように双子の、少年のほうが声をかけた。 「ねぇギーシュさん。 遊ぼうよ」 「あひゃぁ!」 突然のことに飛び上がらんばかりの勢いで驚いたギーシュだったが、双子の姿を認めるとすぐさま使い魔を己が背に隠した。 「も、もうヴェルダンデをお前達の玩具にはさせないからな!」 おっかなびっくり双子に向かって啖呵を吐いた。だが双子はそんなことは気にも留めない。 今度は双子の少女のほうがギーシュの耳元で囁いた。 「何を言っているのかしら? 私達はギーシュさんと遊びたいの? ね、兄様」 「うん、姉様の言うとおりだからね、ギーシュさん」 使い魔を玩具にされないと分かって一瞬だけ安堵したギーシュ。だが疑問が一つ浮かぶ。 「僕と遊ぶって……何をするんだい?」 ギーシュの問いに双子は満面の笑みを浮かべて言い放った。 「んー、今日はお医者さんごっこでいいよね、姉様?」 「そうね。 せっかく本式の道具一式そろえたんだもの。 それにしましょう」 途轍もなく嫌な予感がするので回れ右をしてその場を立ち去ろうとしたギーシュだったが… 「こ、これからケティと遠乗りの約束が…」 そうは問屋が卸さない。少年がギーシュの服の襟をがっしりと掴んだ。ちなみにヴェルダンデはとっくに逃げていた。主を見捨てて……。 「姉様、きっと普通のお医者さんごっこが嫌なんだよ」 「まぁ兄様、本当かしら? だったら……」 ――大人のお医者さんごっこにしましょう―― そういってギーシュの眼前に出されたものは18歳未満の人には説明することが憚れる器具の数々。 「大人のお医者さんごっこー♪ 僕らのテクにかかればその愚息も昇天だよ?」 「さぁ、天使を呼んであげましょう……」 哀れ。 ギーシュはもはや逃げることなど出来ない。 「やめろ! 助けてケティ! モ、モンモランシーでもいいから!」 ああ、その悲痛な叫びは届かない……。 「い、いやぁぁぁぁ!」 そんな事があったらしい。 「あれ以来ギーシュはうわ言の様に『助けてケティ』って繰り返すのよ!」 ギリギリとモンモランシーの歯軋りが聞こえてくる。 「何で!? どんなプレイしたか知らないけど、何故助けを求めるのが私じゃないのよ! ふざけないでよね!」 私もあんな事ギーシュにしてみたかったのにと、興奮して怒鳴り散らすモンモランシーを尻目に、双子はというと……。 「弱いわね、兄様」 「そうだね、姉様。 この程度で泣いていたらこの先辛いことがイッパイ、イッパイあるよ」 シエスタから貰ったペロペロキャンディーなめながら、達観した様子で佇むのであった。 それがルイズの逆鱗に触れたのは当然である。 「あやまんなさいッ!」 ルイズは学んだ。怒りに我を忘れてはいけない。だから魔法は使わず杖で双子の頭を殴ったのだ。 うわぁーんと泣き声をあげる双子の姉兄。ルイズはきっと懲りずにまた何かやらかすだろうと、遠い目をして考えていた。 親愛なるワルド様へ この先の学院生活がとても不安です。比喩でも過剰表現でもありません。 例え中退してもわたしを貰ってくれますか? デルフリンガーに相談しても、 「剣であるオレにどうしろと?」 そんなことばかり言って取り合ってもらえません。 そんなルイズの神経をすり減らす双子の使い魔であったが、ルイズを癒してくれる時間があったのだ。 「寝顔は天使そのものね」 子供らしく可愛らしい寝顔、多くの人はそれに癒されるだろう。 剥製の作り方と銘打たれた本と囚われた梟と土竜の姿さえなければの話だが……。 エピローグ(?) 「ねー、ルイズさん」 「圧力釜どっかにないー?」 「あー…シエスタの所に行けばあるんじゃない?」 読書に勤しむルイズに話しかける双子。本から目を離すことなく投げやりに答える。 「はーい。じゃあ聞いてくるわ」 「ねぇ、アレ持った?」 一瞬のやり取り……これでルイズは察した。 「…石礫とか釘詰めたら爆殺するからね」 その言葉にブーブー文句を言ってくるが最早ルイズは気にしない。 前略 ちい姉様 色々あったけど最近慣れました。 家に帰らなくても恐らく大丈夫なはずだと思います。 いろいろあるけれど、わたしは元気です……多分。 草々
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高い知性を持った存在を使い魔にするのは結構大変だ。 通常の使い魔に提供する以上の待遇を求められたり、それ以外の条件を求められたりするからだ。 例えば韻竜を使い魔にしたタバサの場合……。 「きゅい!きゅい!ただの人間の小娘がこのわたし、○×△□wsx(日本語では正確に発音できないため当て字になっています)を使い魔にしようなんて生意気なのね!きゅい!きゅい!」 「学院が使い魔の餌として準備している食べ物の他に、任務が終わった後には高級な牛肉を1キロつける。これで、どう?」 「きゅい!……ちょっとだけ心が動いたけど、そんなことじゃ騙されないのね。きゅい!きゅい!あなたの方がわたしより優れてることを証明して見せない限り、使い魔になんかなってあげないのね。きゅい!きゅい!」 「分かった。何をすればいい?それをすれば使い魔になってくれるのね?」 「きゅい!きゅい!とっても難しい試練を与えるのね!きゅい!きゅい!誇り高き竜族の一員、○×△□wsxの何かけて、その試練を乗り越えられたらわたしはあなたの使い魔になってあげるのね!きゅい!きゅい!」 「教えて、わたしは何をすればいい?」 「きゅい!わたしの名前をあててみせるのね!きゅい!きゅい!」 「名前?」 「きゅい!きゅい!そうなのね。わたし、○×△□wsxの名前を当ててみせるのね。きゅい!きゅい!」 「○×△□wsx?」 「きゅい~~~~!凄いのね!なんで分かったのね!?」 「………」 「お姉さま凄いのね!わたし、お姉さまの使い魔になってあげるのね!きゅい!きゅい!」 とまぁ、こんな感じだったりする。 それでも、思考形態が人間に近く、また、同じ言語で会話が出来る相手ならまだいい。 問題は、ルイズが召喚してしまった者達のような場合だ。 「うー!」 「やー!」 「たー!」 その日、使い魔召喚の儀式でルイズが呼び出したのは、一言で言えば3個の巨大な喋る玉子だった。 これが、ただの玉子なら問題は無かった。 いや、ルイズ的には大問題なのだが、とりあえず親鳥がそうするように玉子を暖め、孵化した何かと改めて使 い魔の契約を結べばいいのだから、問題が無いと言っていい。。 しかし。 ルイズが召喚したのはただの玉子ではなかった。 まず第1に、顔があった。 玉子達の大きさはルイズの腰くらいまでだろうか。全体のフォルムは鶏卵の尖った方を下にして立てた感じだ が、上から6分の1くらいのところに一つだけ目があった。そのすぐ下には鼻に見えないことも無いちょっとし たでっぱりがあり、上から3分の1くらいのところには口があった。 幸いなことに、それらの目や口や鼻は子供が玉子にペンでいたずら書きをしたような感じなので気持ちが悪い ということは無かった。見ようによってはむしろ可愛いと感じられさえする。 そして第2に、その玉子には手足が生えていた。もちろん、顔がそうであるように、手足も子供の落書きのよ うなもので、人間で言えば肩に当たりそうな部分と股に当たりそうな部分から、それぞれ2本針金のようなもの が伸びていて、肩から伸びた針金の先には5本指の手袋のようなものが、股から伸びた針金の先にはブーツのよ うなものが付いている。 第3には、その玉子達は服を着ていた。 一つ目の玉子は、金色にピカピカ光る鎧を着ていた。 二つ目の玉子は、濃い紫色のローブを着て先端の尖った三角帽子を被っている。 三つ目の玉子は、王様が着るような豪華な衣装を身に纏っていて、一目で良いものと分る冠……恐らくは王冠 を被っている。 第4には、玉子達の持ち物。 鎧を着た玉子は、右手にはやはり金色にピカピカ光る剣を、左手には同じく金色にピカピカ光る盾を持ってい た。 ローブを着た玉子は、長い、先端に宝石を嵌めた杖を持っていた。 豪華な衣装を着た玉子は、大きな宝石をいくつも嵌めた豪奢な杓を持っていた。 つまり、ルイズが召喚したのは、収穫祭のときに平民の子供が玉子で作る、王様とメイジと戦士の人形だった。 ただし、その人形は自分の“足”で立って、「うー!」「やー!」「たー!」とルイズに向かって何か訴えて いる。 「コルベール先生、やり直しを要求します!」 ルイズがやり直しを要求するのはある意味当然だったが、コルベールがそれを認めるわけがないのも当然なの で、二人のやり取りは割愛。 「分りました!」 ルイズはコルベールを睨みつけた。 「契約します!契約すればいいんでしょう!ええ、契約しますとも!」 コルベールを怒鳴りつけたルイズが、玉子達に向き直る。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」 そして、一番近くにいた戦士玉子にコントラクト・サーヴァントの魔法をかけようとした時だった。 「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔とな」 「うー!」 戦士玉子は不意に後ろに飛んで、ルイズから逃げ出した。 「な、な、な。」 突然の、そしてあまりに予想外な出来事にルイズが絶句すると、戦士玉子は再びぴょんと飛び跳ねてルイズの 前に寄って来て「うー!」と何かを訴える。 「落ち着いて。落ち着くのよ。ルイズ。」 ルイズは大きく深呼吸して、自分に話しかける。 「逃げられたわけじゃない。逃げられたんじゃないんだから。」 そんなやりとり……コントラクト・サーヴァントの呪文を唱えようとしては逃げられ、再び寄って来た玉子達 が「うー!」「やー!」「たー!」と何かを訴える……が、5回か6回続いた後、ルイズが手負いの熊のような 叫び声をあげた。 「うが~~~!あんたらいいかげんにしなさ~~~~~~いっ!」 ルイズは少し危ない目をしていたのか、ルイズに睨まれた玉子達は一歩後ずさった。 あとずさりながらも、「うー!」「やー!」「たー!」と何かを訴えるのは止めていないあたり、玉子達には 玉子達なりに、何かルイズに伝えたいことがあるのだということはルイズにも分かった。 しかし、「うー!」「やー!」「たー!」だけでは、何が言いたいのか分らない。 「あ、あ、あ、あ、あんたらね!言いたいことがあるなら、ちゃんと、はっきり言いなさいよ~~~~~!」 ルイズは切れた。 「ライト!」 ルイズは、呪文の詠唱時間が一番短く、当然のことだが爆発の威力も一番小さい、けれども、いくら大きいと はいえ玉子を破壊するには十分な威力を持った失敗魔法を玉子達にぶち込んだ。 「ライト!ライト!」 最初は戦士玉子に、二発目はメイジ玉子に、三発目は王様玉子に。 ぱん、ぱん、ぱん。乾いた爆発音が3回響く。 玉子達が爆煙に包まれた。 「みっ、ミス・ヴァリエール!?」 コルベールは慌ててルイズを止めようとした。が。 「ロック!」 ルイズの失敗魔法に弾き飛ばされた。 「邪魔しないで下さい。コルベール先生!」 地面に叩きつけられ呆然と見上げるコルベールに、ルイズは言った。 「これは、あいつらとわたしの勝負なんです!」 「勝負?」 「ええ。分らないんですか?あいつらは生意気にもこう言ってるですよ。『おれ達を使い魔にしたかったら、お れ達に勝ってみろ』って。」 「えええ?」 コルベールが驚くのも無理は無い。ルイズ自身、確証があるわけではないのだから。 しかし、絶対にあいつらはそう言ってるという確信はあった。 だから、試すのだ。 爆煙が消えた後に。 あいつらが倒れていたら、この勝負わたしの勝ち。契約してしまおう。 割れた玉子が落ちていたら、わたしの負け。 ルイズは、フライの呪文を唱えながら煙が晴れるのを待つ。 そして。 「うー!」「やー!」「たー!」 煙が晴れた瞬間、王様玉子、メイジ玉子、戦士玉子の3人は嬉しそうに叫びながらルイズに襲い掛かってきた。 「きゃ~~~~~~!」 王様の飛び蹴り、メイジの良く分らない魔法、戦士の剣戟を受けて、ルイズが吹き飛ばされる。 吹き飛ばされたルイズに、追い討ちをかけようと迫る3個の玉子。 しかし、ルイズも悲鳴をなんとか飲み込んで、フライの呪文を完成させていた。 正面からぶつかり合う、ルイズの爆発と3個の玉子。 一人のメイジと3個の玉子が、楽しそうに笑っていた。 その後のことは書くのもあほらしいのだがその後も、ルイズが系統魔法に目覚めることは無かった。 何故なら、ルイズの失敗魔法はどんな系統魔法よりも強力だったからだ。 風のスクエアスペルであるカッタートルネードを失敗したときなど、卑劣にも不可侵条約を破ってタブルに攻めてきたアルビオンの艦隊をことごとく爆破、破壊しつくしてしまったくらいだったのだから、こと戦闘に関す る限り、系統魔法も虚無も、ルイズには必要なかったのだ。 そして、3個の玉子を従えたトリステインの聖女の名は、末永く語り継がれたという。 あの作品のキャラがルイズに召喚されました part153 766-770
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いかりや長介「え~、使い魔、というものを皆さんご存知でしょうか?ファンタジーな物語に置いて 魔法使いを助ける者、魔法使いを見るなら使い魔を見よ、の言葉にある通り 主人の一生を決める大事な存在、しかしその使い魔がどこかおかしい、となると色々大変で」 …もしも使い魔が平民の男だったら… この宇宙のどこかに居る神聖で強力で美しい使い魔よ、我の求めに応じて現れたまえ ドカーン! キュルケ(仲本工事)「平民よ!ゼロのルイズが平民を召喚したわ!」 タバサ (高木ブー)「…」 コルベール(いかりや長介「サモンサーバントは神聖な儀式だ、コントラクトサーバントを実行したまえ」 ルイズ(加藤茶)「ミスタ・コルベール!やり直しを要求します!」 サイト(志村けん)「…イテテテ…ここ、どこだ?」 <出オチなので以降の話は省略> いかりや長介「続いては毎度お馴染み、コルベール、キュルケ、タバサの雷様をお届けします」 ザ・ドリフターズを召喚
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「ACECOMBAT ZERO」からエクスキャリバーを召喚 聖剣と、ルイズ-1 聖剣と、ルイズ-2
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