約 3,866,876 件
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2905.html
魂を得る代わりに受けたレザードの依頼である戦闘機人の作成。 スカリエッティは手渡された“髪の毛”を調べ、その遺伝子に驚きを覚えた。 それはこの世界では有り得ない根本的に異なる遺伝子で、 肉体面として逸脱し、また精神面にも優れた因子を含む、まさに完璧と言える遺伝子であったのだ。 そんな遺伝子を基に作成される戦闘機人、スカリエッティはフレームの入った培養液の前で、考え込んでいた。 「う~ん、どうしよかな……」 「どうしよなか?っと言われましても、完成している基礎フレームの中で使われていないモノはコレしかないのですから」 仕方がないとウーノは答える。No.IVの基礎フレームは既に使用しており、 現状残っているのはNo.Vの基礎フレームのみだった。 No.Vの基礎フレームの特徴は戦闘用の為、他の基礎フレームよりかなり頑丈に出来ている。 ………ただ少女タイプのフレームであるが… リリカルプロファイル 第三話 計画 一週間後、培養液の中には銀色の髪の少女が浮かんでいた。 レザードから手渡された“髪の毛”の遺伝子を組み込み作成された戦闘機人である。 「どうしようか…勢いで使ってみたが、やっぱり少女タイプのままだね」 「そうですね、戦闘機人は成長しませんですし」 “髪の毛”から得た遺伝子情報によると、23歳前後の女性の物である事が判明していて、 それを大事に…しかもケースに閉まってあるという事は、 レザードにとって、その髪を持つ女性は“愛しき者”で、既に死去しているという可能性があった。 これはスカリエッティの予想であるが、もし…レザードの望みが亡くなった“愛しき者”を、 戦闘機人としてでも良いから、蘇らせたいというものだとしたら。 …そして蘇った“愛しき者”が成長しない少女だとしたら、一体どんな顔をするのであろうか… もしかすると次元振を起こし、研究所の一つや二つ、消し去るかもしれない。 彼の場合、その例えが比喩的表現ではなく、有り得ないとは断言出来ない。それほどの魔力を秘めているのだ。 「おや?どうかしました?」 突然の声に思わず驚くスカリエッティとウーノ、 振り返ると其処にはレザードがいた。どうやら様子を見に来たようである。 「どうです?塩梅は」 「……一応、肉体は完成したよ、後は魂を定着させるだけだが……」 「なるほど……」 そう言うとレザードは培養液の中にいる戦闘機人をジッと見つめ、 隣ではスカリエッティとウーノが尋常ではない冷や汗を垂らしている。 「ほほぅ…中々の出来ですね」 「へっ?!」 「細部も丁寧に造られているようですし…」 どうやらレザードの趣味に合っていたのか、上機嫌な態度を見せ、 彼の態度にスカリエッティとウーノは、ホッと胸をなで下ろした。 それから更に一週間後、訓練場には銀色の髪の少女とトーレが模擬戦を行っていた。 彼女の名はチンク、名付け親はスカリエッティで、 名前の由来は基礎フレームのNo.Vからとったらしく、またウーノ達の名も同様で、 スカリエッティは全員を纏めて呼ぶ際は“ナンバーズ”と呼んでいた。 話を戻し二階のモニター室では、茶髪の女性クアットロがドゥーエと共に模擬戦のデータを纏めていた。 彼女はチンクより三日ばかり遅くロールアウトした“姉”である。 そして彼女らの様子を別の部屋で見つめるスカリエッティとウーノ。 すると不意に後ろからスカリエッティを呼ぶ声が聞こえ、振り向く。 「ドクター、彼女達の様子はどうです?」 「やぁレザード、安心したまえ順調に学習しているよ」 「それは良かった、ところで頼みたいことがあるのですが」 「ほぅ…君が?一体何かな?」 「ガジェットをいくつか貸して頂きたいのです」 「…と言う事は完成したのかね」 レザードの眼鏡が怪しく光り、そのまま右手を当て小さく頷いた。 場所は変わり、ここは先ほどチンク達が模擬戦をしていた訓練場。その中心にてレザードが佇んでいた。 一方で二階のモニター室では、スカリエッティとウーノがデータ取りの準備に勤しみ、 残りのナンバーズはレザードが模擬戦をすると聞いて、野次馬見物をしていた。 「準備は良いかい?」 「いつでもどうぞ」 レザードの返事を確認したスカリエッティはウーノに合図を出し、模擬戦が開始、 目の前の入り口からカプセル型の機械が五つ現れる。 ガジェットドローンⅠ型、偵察・情報収集を主にしていた機械で、最低限の戦闘力しか持たせておらず、 レザードの相手としては役不足ではあるが、情報収集にはもってこいの相手だった。 「さて……ネクロノミコン起動」 レザードが放つ一言に腰に備えてあるナイフ型のデバイスが反応、眩い光と共に形状を変え、左手に収まる。 魔導書型ストレージデバイス・ネクロノミコン、レザードの圧倒的な魔力に対応する為、 自身で錬金したオリハルコンで造られたデバイスである。 オリハルコンとはレザードの世界における最高品質の金属で、神の金属と呼ばれる程の代物である。 さて…何から始めるかと悩んでいると、ガジェットが一斉に攻撃を仕掛けてきた。 「やれやれ、せっかちですね……ガードレインフォース」 レザードは慌てる素振りもなく詠唱し、自分の足下を基準に防御結界で守り、ガジェットの攻撃を弾いていく。 ガードレインフォース、かつてレザードが居た世界では補助魔法の一つであったが、 今はこの世界に合わせ、シールド・バリア・フィールドに用途を使い分ける事が可能で、 更には元々の補助魔法も機能している為か、肉体にも防御効果を及ぼす強固な防御魔法と化していた。 一方ガジェットは連射による一点集中攻撃に切り替え、雨のように弾が鳴り止まぬ中、 レザードは何事も無いかのように慌てる素振りも無く、右手を一体のガジェットに向けた。 「ファイアランス」 詠唱後、レザードの周りに二つ炎が現れ、それは刃となってガジェットに向かって行き、突き刺さると呆気なく溶解した。 ファイアランス、レザードの世界では一般的な魔法の一つで、炎を槍に見立て相手に突き刺し焼き尽くす魔法なのであるが、 レザードはこの世界の魔法技術を応用して、誘導性のある魔法へと仕上げていた。 「さて……」 レザードは一呼吸置くが、ガジェット達の攻撃の手が休まる事は無かった。 するとレザードは足元に五亡星を描き、輝き出すとレザードの姿が消え、ガジェットの攻撃は虚しく空を切った。 移送方陣、レザードの世界ではロストミスティックと呼ばれ、モノや人を移動させる失伝魔法であるが、 この魔法は移動距離によって発動に時間が掛かり、とても使いにくい代物であった。 ところが、この世界の技術である魔法のプログラム化により、本来よりも遥かに使い易くなっていた。 「魔法のプログラム化、これだけでこうも使いやすくなるとは」 元々この世界には移送方陣とよく似た技術や魔法が存在する。 故に、それがかえって扱いやすくなった要因の一つなのかもしれない。 そんな生まれ変わった移送方陣で一体のガジェットの後ろをとり、先程と同様に右手を向ける。 「クールダンセル」 今度はガジェットの前に氷の固まりが現れ、固まりは氷の刃を持った女性へと姿を変え、ガジェットを三度斬りつける。 すると傷口から凍り始め、最後には全身を凍り付かせ、ガジェットは床に落ち、粉々に砕け散った。 本来クールダンセルは氷の精霊を召喚して攻撃させる魔法であるのだが、 この世界に氷の精霊がいるハズもなく、仕方なく魔力によって形成された氷人形で手を打った。 しかし当然、人形であるため武器で切り払われる可能性もあり、 誘導性を高く設けてあるとはいえ、少々使いづらい魔法となっている。 だが、レザードにとってはその程度は、些細なことなのかもしれない。 「まだまだですよ」 レザードはマントを翻し人差し指をガジェットに向けると、足下に魔法陣を広げる。 「ライトニングボルト」 すると指先から強力な電撃が発生して、一直線にガジェットに向かい直撃、 電撃を食らったガジェットはショートしながら爆発した。 ライトニングボルト、本来は雷属性を含む直線上に伸びる雷撃であるが、 レザードの手によって魔力量を調節する事により、直射砲として利用する事が可能。 ただし、他の魔法とは違い誘導性はなく、むしろ威力を重視した魔法に仕上がっている。 更にレザードはダークセイヴァーを唱え、ガジェットの周りに黒い刃が生まれると、ガジェットを串刺しにした。 本来のダークセイヴァーは、闇属性を帯びた魔力の刃で攻撃する魔法なのだが、 今回の魔法はレザードの意志で、発現場所を特定する事が可能で、 死角からの攻撃による奇襲などに打って付けの魔法と仕上がっている。 ただその代償に、誘導性は全く無く、弾道速度も遅くなっていた。 「これで最後ですね、ストーントウチ」 レザードが指を鳴らすと、ガジェットの足下から灰色の煙が立ち上り、 煙が晴れると其処には石と化したガジェットの姿があった。 そして石化したガジェットはゴトッという音と共に床下に落ち、真っ二つに割れる。 ストーントウチ、対象の足下に魔法陣を張り、石化効果のある魔力を帯びた煙に包ませて攻撃する魔法である。 この魔法は殆どオリジナルと変わらない効果と性能であるが、一つ違うのは 指でパチンッとならさないと発動しない仕掛けとなっていて、どうやらレザードのこだわりのようである。 「少々やりすぎましたか…意外に加減が難しい……」 そう言って眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべるレザード、 周囲には熔解、凍結、石化、黒こげになった破片と、裂傷痕があるガジェットが転がっていた。 一方モニター室では、全員レザードの実力に唖然としていた。 自分達の世界では珍しい魔力変換魔法を、こうも自在に操り 更に高度な、状態異常を引き起こす魔法すら操れるからだ。 前者は、数は少ないも例が無い訳ではない。ベルカ式などがそれである。 ところが、後者はそうお目にかかるものではない。例としてもベルカ式のミストルテインぐらいである。 それ程の、まさに圧倒的な実力差を目の当たりにしたナンバーズの中に、レザードを尊敬の念で見つめている者がいた。 「良いデータは取れましたか?」 「あぁ、データは十分に取れたよ。これなら例の計画をにも支障がないよ」 スカリエッティは狂気を含んだ笑みで、レザードを見つめ、 レザードもまた不敵な笑みを浮かべ、スカリエッティを見上げていた。 場所は変わって此処は会議室、部屋の中にはスカリエッティを中心に右側にウーノとドゥーエ、 左側にレザードが座り、先ずはスカリエッティが計画を発表する。 スカリエッティが立てた計画とは、自分を造った最高評議会を暗殺し、更に時空管理局を崩壊させるというもの。 具体的には先ず、最高評議会を暗殺する為にドゥーエを管理局に潜入させる。 何故彼女が選ばれたかというと、彼女が持つIS(先天固有技能)ライアーズ・マスクが適任であるから。 ライアーズマスクは、戦闘機人である自身の肉体を、人の肉体に擬態させる効果を持つ。 この能力ならば暗殺も容易いだろうとスカリエッティは説明を終える。 すると説明を聞いていたレザードが、異を申し立てた。 「なるほど…すばらしい能力ですが、些か心許ない…」 「そうかね?」 「えぇ、なので此処は一つ、私の呪法を授けましょう」 レザードがドゥーエに授ける呪法は魅惑の呪〈チャーム〉という物で、 相手を魅了させ意のままに操る、ドゥーエに打って付けの呪法だという。 「彼女達の力は魔力に近い特性を持っています。プログラム化させた魅惑の呪を組み込めば、任務も遂行しやすくなると思いますが」 レザードの説明にスカリエッティは納得する。 確かに相手を魅了して意のままに、特に管理局の狒々爺共を操れれば中央に近付くのも容易い。 それにドゥーエはスタイルも抜群、適材適所とはまさにこの事、故にドゥーエもレザードの案に賛同した。 次に時空管理局を崩壊させる為に、スカリエッティは新たな戦闘機人を育成とガジェットの量産を、 レザードは不死者〈グール〉の製造と量産を考えていた。 不死者とはレザードの世界にいる死体や魂が魔物化した所謂アンデッドで、 特にグールパウダーと呼ばれる粉によって変化させられる事が多い。 不死者の製造の方はグールパウダーを大量に生産すれば問題なく、量産化はクローン技術を応用して数を揃えると。 そして新たな戦闘機人の教育は、ウーノとトーレに、いずれはクアットロ、チンクにも協力してもらうとの事。 「ではそのような手筈に…」 「それで…この計画はなんと名付けるのですか?」 レザードの問いにスカリエッティは狂気を含んだ笑みでこう答えた。 「ふっ、それは勿論“ラグナロク”計画さ」 かつてレザードが居た世界で起きた厄災、その名を冠した計画が徐々にしかし確実に進み始めた…… 一方研究所の廊下、チンクは自身の鍛錬を終了させ、自分の部屋に戻ろうとしていた。 すると反対側からクアットロが楽しそうに歩いてくる。 「あら?チンクちゃん、今から部屋にお戻り?」 「クアットロ……それは?」 「どう似合う?、博士に習って掛けてみたのよ」 眼鏡に手を当て不敵な笑みを浮かべる。この日からクアットロは伊達眼鏡を掛け始めた。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/4456.html
Break Card E.G.O. 3F/1C ウォリアー♂/アスリート♂/スキャナー♂ 5/4/4 【ブレイクしている“トーマ・アヴェニール”のみブレイク可能。】 ▼/バインド2/サーチ(“ディバイダー996”) ≪このキャラクター≫は精神ダメージを受けない。 このキャラクターがバトルまたはプレイヤーにアタックする場合、あなたのデッキの上からカードをX枚捨て札することが可能。そうした場合、≪このキャラクター≫に±0/+X/+Xして判定する。Xはこのキャラクターの精神力に等しい。 No.EX0360 Rarity R Illustrator 緋賀ゆかり Expansion エキストラエクスパンション 魔法戦記リリカルなのはForce カード考察
https://w.atwiki.jp/togazakura/pages/370.html
ティアナ事件から戻りつつ平穏な一日 そこで、なのはたちは、機動6課のフォアード陣に 嬉しいお知らせをする 「明日一日は、お休み。ゆっくり休んで」 と、 さあ、機動6課の休日の始まりだ 集長の一言 今回は、戦いもお休み。 フォアード陣(ティアナ・スバル・キャロ・エリオ) それにしても、フェイトって子供の頃 活発だったらわりに いいお母さんしてます そして、事件が・・・ 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 10 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1801.html
「そう、良かった。今どこ?」 デュークがグレンダイザーを受け取ったのと同じ頃。 ハラオウン家にいるエイミィは、なのはの受けたダメージが完全回復したという知らせを受けていた。 その顔には嬉しそうな笑みを浮かべ、ユーノからの通信を受け取っている。 「二番目の中継ポートです。あと10分くらいでそちらに戻れますから」 「そう、じゃあ戻ったら、レイジングハートとバルディッシュについての説明を……あっ!?」 ユーノからの答えに対し、エイミィも上機嫌。 そのまま帰ったらデバイスの新機能について説明すると言おうとしたが……中断された。 大音量のアラートが響き、モニターには「CAUTION」の文字。どう考えても緊急事態である。 急ぎ端末を操作し、そのエマージェンシーの発生源を捜索。 そして、すぐに発見。海鳴市の上空に、ヴィータとザフィーラの姿があった。 「ああっ、こりゃまずい! 至近距離にて、緊急事態!」 エイミィの報告の直後、リビングにいたリンディは局員からの報告を受けていた。 『都市部上空にて、捜索指定の対象二名を捕捉しました! 現在、強装結界内部で対峙中です!』 報告によると、どうやら堅い結界を張り、それによって閉じ込めている最中らしい。さて、どう動くか…… 相手は闇の書の守護騎士。おそらく相当の腕利きでなければ対抗はできまい。 ほんの一瞬だけ考え、そして今動かせる「腕利き」がいる事に思い至った。 そこから素早く次の指示を出す。 「相手は強敵よ! 交戦は避けて、外部から結界の強化と維持を! 現場には、執務官と甲児さんを向かわせます!」 そう言うと、同じように後ろで聞いていた甲児へと目を向ける。なるほど、リンディの選択は確かに適切だ。 まずはクロノ。今回のメンバーの中でも最大戦力の一角である彼ならば対処も可能だろう。 そして甲児。元の世界での戦闘経験と、マジンカイザーの性能があれば、守護騎士にも引けをとらずに戦えるはず。 ……だが、今甲児の手元にはカイザーは無い。異世界の物品がデバイスに変化するという事例は珍しいらしく、現在はそのサンプルとして本局で解析の真っ最中である。 ならば必然的にクロノが先行し、甲児がマジンカイザーを受け取ってから向かうという形になる。そう考えながら、甲児へと言った。 「甲児さん、聞いての通りよ。マジンカイザーは今、本局でマリーが解析しているわ」 「マリー……ってぇと、あの人か」 そう言われ、甲児の頭に浮かぶのは本局メンテナンススタッフのマリーの顔。彼女とはマジンカイザーを渡す時に面識がある。 その後すぐにリンディの言わんとしている事を理解し、確認のためにそれを聞き返す。 「それじゃあ、本局でカイザーを受け取ってから、あの守護騎士の所に行けばいいんだよな?」 「ええ。急いで!」 第五話『新たなる力、起動!』 数分後、海鳴市上空ではヴィータとザフィーラが局員に囲まれていた。 その数、およそ十。数では局員の側が遥かに有利だ。 小さく舌打ちし、ザフィーラがぼやく。 「管理局か……!」 「でも、チャラいよこいつら。返り討ちだ!」 そのぼやきに対し、ヴィータが返答する。 数は多いが、それでも一人一人は大した相手ではない。というより、むしろ多くの魔力を得る好機。 そう考えたヴィータは、まとめて倒すべくグラーフアイゼンを構える。 だが、戦端は開かれなかった。局員たちがすぐにその場を離脱したのだ。 「え……?」 「上だ!」 その意味が分からず、呆けた声を出してしまうヴィータ。捕らえに来たのなら、何故離れる? その答えは、ザフィーラによってすぐに明かされた。上に何かがいるという事実に。 上を見ると、遥か上空にクロノがいた。愛用のデバイス『S2U』を振り上げ、周囲には無数の剣を出して。 「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」 その咆哮とともに、S2Uを振り下ろす。 動作に連動し、周囲に浮かぶ無数の剣を流星のように降らせて。 無数の剣で滅多刺しにする魔法。処刑(エクスキューション)とはよく言ったものだ。 ザフィーラがすぐに防御魔法を展開し、受け止める。攻撃範囲が広いので、展開するサイズは必然的に大きくなる。 そして着弾と同時に一斉に起爆。その煙がクロノの視界から二人を隠した。 「ハァ、ハァ……少しは通ったか?」 それを上空から見ているクロノ。あれだけやったのだから、疲労だって当然ある。 だが、それだけの効果はあったはずだ。その疲労に見合うだけの威力は確かにあるのだから。 煙が晴れた所には、無傷のヴィータと剣が三本ほど刺さったザフィーラ。 しかし、その刺さった剣もどうやら浅いらしく、大したダメージは無いようだ。 「ザフィーラ!」 「案ずるな。この程度でどうにかなる程……ヤワではない!」 そう言うとザフィーラは腕に力を込め、刺さった剣を落とす。 対するヴィータも、ニヤリと笑って答えた。 「……上等!」 そう言うと、ヴィータは敵意を全開にしてクロノを睨み付けた。 その頃、時空管理局本局。 転移を終えた甲児が、本局の廊下を全力疾走している。 時たま「廊下で走るな!」という怒号が聞こえたが、今はそれを聞き入れている場合ではない。 だが、ある程度走った所でふと気付く。彼はどこにマジンカイザーがあるか知らないのだ。 解析しているという事は技術部だろうが、その場所が分からない。全くのタイムロスである。 戻って見取り図を探そうと、反転。すると、そこにマリーがいた。よく見ると、息が上がっている。 「甲児さん、マジンカイザーの解析終わりました! いつでも使えます!」 そう言って、マリーがスタンバイモードのマジンカイザーを渡す。どうやら届けに来てくれたらしい。 わざわざ届けにきた事といい、おそらく事情は聞いているのだろう。 これは甲児にとっては嬉しい誤算。わざわざ見取り図を探す手間が省けた。 「サンキュー、マリーさん!」 甲児は笑顔で礼を言い、マジンカイザーを受け取って転送ポートへと駆け出す。 その後姿を見送るマリー。だが、今の彼女には疑問……というか、気がかりな事があった。 「でも、いくら別の次元世界のロボットが変化したからって、あんな高性能すぎるデバイスになるものなの……?」 それは、マジンカイザーの異質さである。 そもそも、全身に纏うデバイス自体が珍しく、その上にかなりの高性能。 おそらくストレージデバイスとしては、現在開発中の『デュランダル』にも匹敵するだろう。 まあ、この高性能はベースとなったマジンカイザーが凄まじい性能を誇っていたと考えれば納得がいくが。 ……それだけならまだしも、マジンカイザーには二つのブラックボックスが存在している。 一つは例の暴走スイッチだとしても、もう一つは一体何なのだろうか…… 『武装局員、配置終了! オッケー、クロノ君!』 「了解!」 エイミィの通信を受け、了解の意を返すクロノ。その顔には、ヴィータが今浮かべているもの……敵意が浮かんでいた。 だが、相手は今の所二人。それに対し、こちらはクロノ一人。状況は不利だ。 『それから今、現場に助っ人を転送したよ!』 その台詞に、クロノの顔から敵意の色が薄れる。 来たのは一体何者か。そう思って周りを見ると、なのはとフェイトの姿があった。その近くにはユーノとアルフの姿も。 そしてなのはとフェイトは、甦った自身のデバイスを掲げ、叫んだ。 「レイジングハート!」 「バルディッシュ!」 『セェーット、アーップ!』 声に反応し、レイジングハートとバルディッシュが光を放つ。ここまでは前と同じ。 だが、ここから先は前のものとは違う。光の帯がなのはとフェイトの周りを螺旋状に走り、それに呼応するかのようにレイジングハートとバルディッシュが喋り出す。 「え? こ、これって……」 「今までと……違う?」 その差異は、少なからずなのはとフェイトを驚かせる。 これは一体何事だろうかと思っていると、エイミィからの通信が入った。 『二人とも、落ち着いて聞いてね。レイジングハートもバルディッシュも、新しいシステムを積んでるの』 「新しい……システム?」 『その子たちが望んだの。自分の意思で、自分の思いで!』 そう、レイジングハートもバルディッシュも、先日の戦いで主を守りきれなかったことを悔やんでいた。 その悔しさは、本来インテリジェントデバイスに組み込むようなものではないシステムを組み込むよう、管理局へと要請する程。 そして、その結果は……今のように、新たなる力を得たという事である。 『呼んであげて……その子たちの、新しい名前を!』 その強化の結果、デバイスの名も変化している。まるで力を得たという証のように。 その名は…… 「レイジングハート・エクセリオン!」 「バルディッシュ・アサルト!」 『Drive ignition.』 一方、結界の外。 騎士甲冑を纏ったシグナムが、空から結界を見据えている。 その手に握る剣はレヴァンティン。そのデバイスとともに、今の状況を察した。 「強装型の捕獲結界……ヴィータ達は閉じ込められたか」 『行動の選択を』 シグナムはレヴァンティンにそう言われるが、最初から取る手段は決まっている。 彼女の中には、ここで引くなどという選択肢は無い。そうなれば、必然的にこの選択となるだろう。 「レヴァンティン、お前の主は、ここで引くような騎士だったか?」 『否』 「そうだレヴァンティン。私は、今までもずっとそうしてきた」 そう言いながら、レヴァンティンを構える。 レヴァンティンからはカートリッジが排出され、それがシグナムの魔力と合わさって炎と化す。 シグナムの選択、それは結界をぶち抜いて突入するというものだった。 「紫電一閃!」 咆哮とともに、結界へと突撃。そのまま渾身の力で炎を纏った斬撃『紫電一閃』を見舞う。 だが、堅い。全力での紫電一閃を叩き込んでも破れない。 やむを得ず一度離れ、もう一撃叩き込もうとするが……それは突然の声に中断させられた。 「シグナムさん!」 彼女にとってあまりにも聞き覚えのある声。 何故今その声がするのかと疑問に思い、声の方へと振り向く。 すると、そこには一体の人型の何かがいた。 これは一体何者だという念がすぐに浮かぶが、先程の声とあいまってすぐに正体を察した。 「その声……まさか、デュークか?」 視点は再び結界の中へと移る。 なのはとフェイトがセットアップを終え、ビルの屋上へと着地する。進化したデバイスには、カートリッジシステムが搭載されていた。 彼女ら曰く、戦いに来たのではなく、闇の書を完成させようとする理由を聞きたいだけらしい。 それに相対するヴィータは、腕を組んだままこう返した。 「あのさ……ベルカの諺にこんなのがあんだよ。『和平の使者なら槍は持たない』」 急に言われたベルカの諺に、意味が分からず困惑するなのは。 フェイトの方を向いて「意味、分かる?」と目で聞くが、どうやらフェイトにも分からなかったらしく、首を横に振る。 そしてヴィータが武器を向け、その真意を告げた。 「話し合いをしようってのに武器を持ってやって来る奴がいるかバカって意味だよ。バーカ」 「いきなり有無を言わさずに襲いかかって来た子がそれを言う!?」 両者ともごもっとも。 「それにそれは諺ではなく、小話の落ちだ」 「うっせぇ! いいんだよ細かい事は」 敵味方双方からのつっこみを受け、逆ギレするヴィータ。間違いを指摘されて逆ギレとは、どうやら気が短いようだ。 というか、諺と小話の落ちとの違いは細かいことではないと思うが…… と、その時である。 ズッガァァァァン! 轟音。それとともに、上空から二筋の光が降ってくる。 光は同じような轟音を立てて近くのビルに着地。それとともに巻き上げられた埃がその光の正体を隠す。 そして埃が晴れた時、そこにはシグナムともう一人の姿があった。 本人とシグナム以外は、そのもう一人……デュークの存在を疑問視する。こいつは一体何者だろうかと。 そしてその直後、なのは達の近くのビルに転移魔法陣が現れる。そこから現れたのは甲児だ。 「遅かったな、甲児」 「悪ぃ悪ぃ、あっちでちょっと手間取っちまってな」 甲児とクロノがちょっとした軽口を叩く。 その「手間」とは無論、マジンカイザーを探して走り回ったあの時の事である。 と、甲児の目にデュークの姿が映った。いや、正確にはデュークの纏っているグレンダイザーが。 (ありゃあ……まさか、俺のカイザーと同じだってのか?) 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2137.html
リリカル・グレイヴ 番外編 「ツギハギと幽霊と女の子」(中篇) 「そういえばビリーさんって足が透けてるように見えるんですけど‥‥」 「ああ、俺は幽霊だからさ」 「ゆ、幽霊!?」 「ちなみに俺は死人だしな」 「死人!?」 「ああ」 「じょ、冗談ですよね?」 「いいや」 「誰がそんな冗談なんぞ言うか」 「ええ~!?」 △ 十二とビリーの旅にキャロが同行するようになって、彼女にとっては驚きの連続だった。 なにせ相手は死人と幽霊なのだ、これで驚くなという方が無理だろう。 だがまあ適応能力が高いのかそれとも理解するのを早々に諦めたのか、キャロは状況をすぐに受け入れた。 西へ東へ、十二とビリーの探す“モノ”を求めて一行は方々を旅した。 時に人助けをしたり町にはびこる悪党をノシたりと波乱万丈の風来坊三人。 そして今日もまたとある町に巣食う麻薬組織を軽くボコっている最中だった。 「逝きさらせっ!!」 掛け声と共に十二の蹴りが目の前の男に炸裂する。 強烈な打撃の衝撃に男は吹っ飛びながら手にした銃を落とした。 周囲にいた他の男達は口汚く罵声を吐きながら十二に向かって鉛弾の雨を降らせる。 だがその銃弾が十二の身体を貫くことは無かった。 朽葉流忍術の悉くを極めた死人の動きは一陣の風のように素早く、疾風迅雷となって弾丸の軌跡を掻い潜り回避する。 乾いた銃声が鳴り響く中、雷撃を纏うエレキギターとその主が軽快な音色を奏でた。 「まったく、もう少し平和的に話し合いとか出来ないのかねぇ」 ギターの音色と共に銃を持った荒くれ共を電撃が襲う。 高速の凄まじい打撃を打つ十二と電撃を放つビリーの荒っぽいセッションは瞬く間に敵を残らず倒し尽くし、後には気を失った悪党共が何十人と横たわっていた。 「おいキャロ、終わったぜ」 「はぁ~い」 ビリーの呼ばれたキャロがトタトタと物陰から走ってくる。 この奇妙な風来坊三人の中では、基本的に荒事担当は十二それに仕方なく付き合うのがビリーそしてその後始末がキャロの役目となっていた。 キャロは慣れた手つきで気を失った男達をふん縛りながら懐からサイフを抜き去っていく。 これこそが彼らの日銭の稼ぎ方。 麻薬取引の現場や悪党の溜まり場に殴り込んではボコボコにして(キャロの教育上、殺しはしない)金目の物を取っていくという最高に荒っぽいものだった。 「終わったか?」 「はい」 「んじゃ、後はサツに通報でもしてトンズラすんぞメスチビ」 「ちょっ、待ってくださいよ屍さ~ん」 一人でズカズカと先行く十二にキャロが慌てて後に付いて行く。 後にはボコボコにされてふん縛られた悪党数十人を残して三人はねぐらである安ホテルへと戻った。 別に十二とビリーは宿泊施設など必要ではない、なにせ彼らは既に死んでいる身の上だ、いつもは野宿でもして夜を明かすのが普通だった。 しかし10歳に満たない少女にそれは厳しいものがある、故に十二とビリーは少ない身銭を切って宿泊施設を使用するようにしているのだ。 ホテルに帰る道すがらその事を考えるとキャロは二人に“すまない”という想いで一杯になった。 誰にも迷惑をかけたくなくて里を黙って出て行ったのに、このままでは自分は十二とビリーのお荷物でしかない。 「あの十二さん‥‥‥すいません‥」 「てめえ突然、何言ってんだ?」 「だって私‥‥お二人にご迷惑ばかりかけて‥」 シュンとなって俯くキャロ。 十二はバツが悪そうに口元を不機嫌そうに歪ませる。 「ったく、チビがんな事気にしてんじゃねえ」 「でも‥‥」 「どうせ俺らの目的にゃあ、ヤクの売人シめるのが入ってんだ。べ、別にてめえの為にやってる事じゃねえ」 「目的‥‥確か“シード”っていう麻薬でしたっけ?」 「ああ、まあ因縁のあるヤクだからな。それにアイツを探すのもな」 どこか懐かしそうに言う十二の言葉にキャロは不思議そうに首をかしげる。 今までこんな十二の顔を見たことがなかった。 「“アイツ”?」 「まあ俺らの昔の連れだ、訳あって行方不明でな‥‥もう何年も探してる」 「連れっていうかファミリー(家族)って言っても良いんじゃないか十二? 特にミカとかはさ」 「う、うるせえぞRB!!」 「?」 十二が恥ずかしそうにしている理由が分からずにこれまた首をかしげるキャロ。 そんなこんなで騒がしくしながらも3人はねぐらの安ホテルに戻っていった。 △ 「で、なんて書いてあんだ?」 「“娘は預かった、返して欲しければ港の第八倉庫に来い”だってさ」 「ちっ! あのメスチビ、簡単に拉致られてんじゃねえぞクソがぁ」 十二とRBがほんの少し部屋を留守にしている間にキャロが攫われた。 言うまでも無く相手は十二とビリーが相手にしていた麻薬組織だろう。 置手紙を読み終えたビリーは、いつもの軽い雰囲気が嘘のように鋭い気迫に満ちた目で十二に視線を投げる。 「さて、どうするジュージ?」 「決まってんだろ、売られた喧嘩は買ってやらぁ」 「だな」 二人の死者は幼いファミリー(家族)を救うべく、怒りを胸に手の得物を担いで歩き出した。 こうなったこ二人は、例え悪鬼羅刹でも敵うまい。 △ 「で、これで終わりか?」 「まったく大した事ないねぇ~」 十二とビリーの呟きが海から吹く潮風に混じって空に消える。 場所はキャロを浚った連中に指定された港の一角、そして二人の周囲には倒された麻薬組織の悪漢共が気を失って倒れていた。 ただの銃火器で武装した程度のチンピラ連中では十二とビリーを止める事など叶わず、ただ一方的に倒されるのみ。 この有様に組織の親玉と思われる小太りの男は頬を怯えて腰を抜かしている。 「ひぃっ! て、てめえら人間じゃねえっ!!」 「当たりだぜブタ、なんせ俺ぁとっくの昔に死んでる死人だからなぁ」 「俺なんて幽霊だからな♪」 ドスの効いた声を吐く十二に陽気に喋るビリー、いつもと変わらぬように見える二人だが漂う気迫は修羅の如く鬼気迫るものだった。 それだけキャロに手を出された事は二人の怒りに火を付けていたのだ、この迫力に組織の親玉は小便すら失禁して身悶えする。 「ひぃぃっ! お、お前ら、早くこいつらを殺せえええぇぇっ!!」 その声と同時にミサイルランチャーの雨が降り注いだ。 この奇襲に即座に振るわれた十二の両手の得物、ガンブレード旋風と疾風の赤き刃が踊り絶妙な太刀筋で軌道を逸らして跳ね返す。 進行方向を狂わされたミサイルはあらぬ方向に飛んで行き、海に落ちて爆炎を上げる。 奇襲を仕掛けた新手に顔を向ければ、そこには大量のサイボーグの集団がいた。 「ったく、ゾロゾロやって来てんじゃねえぞクソがぁ!」 「ヤレヤレ、お姫様を助けに行くのはもう少しかかりそうだな」 十二とビリーは思わず苛立った言葉を漏らす。 次の瞬間には数多の銃火が二人に襲い掛かった。 そしてこの銃声と爆音に駆けつける者が一人。 「この騒ぎ、ただ事じゃないね‥‥行くよバルディッシュ」 <YES SIR> 雷光の名を持つ執務官、その名の通りに運命の出会いへと。 続く。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/togazakura/pages/382.html
よ道に抜けていったゆりかごをえて スカリエッティの計画は、最終段階へ そして、機動6課は? 集長の一言 スカリエッティの裏には、意外な人物が、いました もしかすると、この事件は、 ちゃんとした終幕は、あるのでしょうか? 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 20 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
https://w.atwiki.jp/anime_impression/pages/216.html
魔法少女リリカルなのはStrikerS レビュー (ジャンル:魔法少女、SF、ファンタジー) 全26話 監督:草川啓造 アニメーション制作:セブン・アークス 評価 ストーリー キャラクター 声優 映像・作画 2点 2点 15点 14点 合計33/100点 感想 とにかくキャラクターが多すぎる。この一言に尽きます。 キャラそれぞれの色々な境遇を明らかにされて表面的な事が分かっても、 中身の描写がありません。一度説明してさっさと流してしまうので。 というか、この作品のテーマが分からないのでそれ以前の問題ですね。 これが描きたい!という強いものは何も感じませんでした。 (いままではロリコンの為の作品という事だったけど…。 正直なのは は「少女」というのも無理がある貫禄。(笑)) このシリーズの特徴である、どうでもいい会話が無駄に長く、 設定や自分の感情等を全部キャラに説明させて終わり。という構成は変わっていません。 2クールの情報を知ったとき、 説明セリフが減るから面白くなるかもしれないと期待していましたが、 キャラもストーリーも2クール用(笑)になり、 この無能な製作者達では放送期間が2年あってもまともな作品が作れないでしょう。 「魔法少女リリカルなのはStrikerS」アニメ公式サイト
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/1203.html
登録日:2011/09/01(木) 02 58 10 更新日:2023/05/29 Mon 11 08 15NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 AI S2U ⊃星⊂ ● ちょっとやりすぎた?←Don't woryy. とらいあんぐるハート インテリジェントデバイス オムライス オートマチック グレートハイジン デバイス レイジングハート ロストロギア? 不屈 不屈の魂 大体砲撃専門 好戦的 新幹線のアナウンス 次元連結装置 漢 自爆 薬(カートリッジ)中 飴 高町なのは 鬼に金棒 魂 魔法少女の杖←ではなく「魔導師の端末」 魔法少女リリカルなのは レイジングハート (Raising Heart) CV:Donna Burke 魔法少女リリカルなのはシリーズの主人公、高町なのはの使用する魔導端末。 ミッドチルダ式のインテリジェントデバイスで独立した意志と高い知性を持つ。 助けを求める声(広域念話)を聞いてかけつけたなのはにフェレット状態のユーノが「今の僕じゃアレを止められない」と、暴走するジュエルシード封印を依頼し、 その際に待機状態のレイジングハートを渡され、それ以降なのはが正式なユーザーとなる。 インテリジェントデバイスの使用には「相性」の問題が大きく関わってくるため、通常はあらかじめユーザーを限定した上で専用の調整を施し、 本人もそのデバイスの使用を前提とした訓練を積むのが一般的で、それ故かレイジングハートは誰からの使用者登録を受け付けなかった。 しかし、 風は空に、 星は天に、 不屈の魂はこの胸に! この手に魔法を! レイジングハート! セーット、アップ! ● stand by ready, set up. レイジングハートは見事起動し、なのはをユーザーとして登録した。 また、魔法戦闘経験の少ない主なのはの為、砲撃魔法に特化したデバイスとして自身を構築した。 元々はユーノが所持していたデバイスだが、彼は完全には使いこなせていなかったようである。 本編以前にはスタンバイモードのレイジングハートを用いてジュエルシードを一応封印している。 起動呪文(正確には、起動用パスワード)は以下の2種類が確認されている。 我、使命を受けし者なり。 契約のもと、その力を解き放て。 風は空に、星は天に、そして不屈の魂はこの胸に。 この手に魔法を。 レイジングハート、セットアップ! 風は空に、星は天に、輝く光はこの腕に、不屈の魂はこの胸に! レイジングハート、セットアップ! 『ORIGINAL CHRONICLE 魔法少女リリカルなのは The 1st』によると、 原作同様、魂と書いて『こころ』と読む。 本編のなのはとフェイト、2人の少女の出逢いの物語に隠れて影が薄いが、 ここにもまた1つ奇跡の出逢いがあったことを忘れないでもらいたい。 なおレイジングハート自身のAIの性格は冷静かつ情熱的なのだが、 「バルディッシュはフェイトの負担が過ぎないように気を配るのに対し、 レイジングハートは一心同体ゆえになのはと一緒になって無茶をする」 としてフェイトが心配してるほどかなり無茶をしやすい部分もある。 以下デバイスとしての性能。 ◇レイジングハート ユーノから渡された初期の状態。モードは3つ。 スタンバイモード 出典:魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2010年11月26日発売、© NANOHA The MOVIE 1st PROJECT 待機状態。赤い球体でなのははペンダントのように首から下げている。 この状態でも、ある程度の魔法の補助が可能。 デバイスモード 出典:魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 基本形態。射撃能力を主とした魔導師の基本的な性能をもつ。 シューティングモード 砲撃に特化した形態。なのはの得意とする砲撃魔法はこれで放たれる。 アクセラレイションでさらなる強化も可能。 シーリングモード 出力を強化した形態。本体から翼が発生する。ロストロギアの封印処理や集束砲撃に使われる。 一応、A's以降で言うフルドライブ形態らしい。 ●劇場版 物凄くよく喋るようになり状況分析や航空軌道・空間戦術の教練など上記の設定に違わぬハイスペックAIと化す。この辺はA's以降からの設定の逆輸入という面も。 ついでにユーノが遺跡から発掘したデバイスということになっている完全にロストロギアじゃないですかヤダー! デバイスモード 出典:魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2010年11月26日発売、© NANOHA The MOVIE 1st PROJECT なのはのバリアジャケットのカラーリングに合わせたパーツが追加される カノンモード 出典:魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2010年11月26日発売、© NANOHA The MOVIE 1st PROJECT 形状が1から変更され、鋭いイルカヘッドのような形になる。カッコいい。 さらには収納型のグリップとトリガーまで追加される 劇場化にあたり、「魔法少女の杖」ではなく「魔導師の端末」へと完全にシフトしているようである ◇レイジングハート・エクセリオン (Raising Heart Exelion) A s第一話にてヴィータの攻撃を受け止めきれず破壊されたレイジングハートが、 その後自らメカニックに依頼しカートリッジシステムCVK-792A搭載をした新しい形。 6連装オートマチック型カートリッジシステムを装備。性能を大幅に強化している。 ついでにこの辺からよく喋るようになる。 シーリングモードはオミットされ、モードは4つ。 スタンバイモード 以前とかわらず。ペンダント型。 第五話でなのははヴィータに話し合いを求めたときに「和平の使者は槍を持たない」と拒絶されたので、 その後の第七話なのははヴィータに対して、最初はスタンバイモードにしたままで声を掛けている アクセルモード 出典:画像左、魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 出典:画像右、魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2013年3月22日発売、©NANOHA The MOVIE 2nd A's PROJECT 中距離射撃と誘導管制、強靭な防御力を含めた中距離高速戦専用モードとなっている。 なのはの特性に合わせて、魔力弾を加速(Accel)させることに特化したところからこの射撃魔法の操作性・加速力を向上させた形態。 圧倒的な弾幕と敵の射撃を撃ち落とす精度に応えるだけの性能を持つ。 StrikerS後期以降は基本的にエクシードモードを使うためか教導の時くらいしか出て来ずサナギマン状態。 でもOPで毎回登場するので意外と目立つ。 バスターモード 出典:画像左、魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 出典:画像右、魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's、DVD付属特典パンフレット、キングレコード、2013年3月22日発売、©NANOHA The MOVIE 2nd A's PROJECT 砲撃特化の遠距離戦用形態。カートリッジで強化された砲撃は更なる威力やバリエーションを生む。 シューティングモード同様、形状自体は管理局魔導師が使用している量産型ストレージデバイスと変わらない。 劇場版では前述したカノンモードの進化形態として、『バスターカノンモード』となっている。 エクセリオンモード 出典:魔法少女リリカルなのは/魔法少女リリカルなのはA's ビジュアルファンブック、晋遊舎刊、©なのはPROJECT 、2006年3月10日 レイジングハート・エクセリオンのフルドライブ。 本体破損を防ぐ出力リミッターを解除した状態で、魔力消費と引き換えに爆発的出力を生み出し、術者の全能力を底上げする。 位置的にレイジングハートのシーリングモードに対応するモードだが、形状はまるで違い、もはや杖というより槍である。 この時点ではフレームの耐久力や使用者の負担など問題が多く残っていたため絶対に使ってはいけないと要注意をされた。 劇場版ではなのはのバリアジャケットカラーの装甲部品が新たにつけられている。 A.C.S展開状態 A.C.Sは「Accelerate Charge System」の略。瞬間突撃システム。 エクセリオンモード及び後述のエクシードモードのみ使用可能なシステムで半実体化した魔力刃『ストライクフレーム』を備え、六枚の羽根を広げる。 因みに、本来は近接戦の為のシステムではない。 エクシードモード エクセリオンモードに変わり登場した形態。旧エクセリオンモードを改良したもので強力な射撃と大威力砲撃に徹底特化している。 段階的に出力をエクセリオンモードと同等以上に引き上げるブラスターシステムを切り札とし、 常に莫大な魔力消費と引き替えに能力を底上げするエクセリオンモードより負荷が少なく、一点特化により無理なく扱いやすくなっている。 ブラスターモード レイジングハート・エクセリオンのリミットブレイク。 使用者であるなのは、デバイス両方の限界を超えた力を無理やり引き出す自己ブーストによる強化。三段階のリミッターがつけられている。 聖王ヴィヴィオ戦では単なる強化にしか見えなかったが、 本来は後方からの一撃必殺を目的とした、短時間の使用が望ましい文字通りの切り札らしい。 ゲーム版によるとA'sの時代から開発中だが存在していて、なのはもテスターだったらしい。(11歳での撃墜も当然である) ◆ブラスタービット ブラスターモード時に、なのはが任意で最大4機まで展開できるレイジングハートの子機。 レイジングハートと同様の機能を持ち、本来なら近づく必要のある拘束魔法や砲撃補助など、あらゆる面で強化を施す。 単独飛行形態 ストライクカノンとフォートレスの同時使用に際し、両腕がふさがってしまうなのはのために自分で考えた形態。 一部第五世代デバイスのパーツを使用している なおvivid以降ではスタンバイモードに羽を生やした状態で独立稼働したりする。 ヴィヴィオがセイクリッド・ハートを入手するまではヴィヴィオのデバイス代わりも務めていた模様。完全にオカンである。 やたら高性能な面が目立つが、シューティングモードなど、 モブの魔導師が持っているデバイスと形は大体同じなので、規格そのものはわりと普通なのかもしれない。 しかし長いことやってるリリカルなのはシリーズだが、 レイジングハートの製作者はいまだに判明していない。(INNOCENTのRH-1はおそらくグランツだが) まさか、ロストロg二二二⊃← 出典:とらいあんぐるハート3 リリカルおもちゃ箱、ivory、JANIS、2001年6月29日、©1998~2002JANIS©ivory 実はアニメ版のレイジングハートは3代目。 初代は嘘予告で月村忍が造った完全な兵器だった。 このレイジングハートには重火器二対にスタンガン、発煙機能、世界時計、スケジュール&アラームにスナップショットを搭載しており、 さらに男のロマンを追求する忍の趣味で自爆機能を搭載する等、 とってもお買い得だと忍が言っていたが、いかがわしくも物騒な兵器だと、なのはは怖がっていた。 どこかの恭也は喜びそうだが……。 近年のレイジングハートはこの初代に戻りつつある。 ちなみに魔法の国も領収書が落ちないのでお金も要求されるなど、世知辛い世界観だった。 2代目はリリカルおもちゃ箱でリンディが所持していた赤い宝石、起動時には白い羽がついていて、中心がハートだった。 そのため元祖レイジングハートの対となっているS2Uには、クロノの心を映した鋼の翼がついている。 2代目も起動詠唱が存在し、これを唱えなければ、なのはは起動できず魔法も使えない。 起動詠唱は以下の通り。 我……、使命を、受けたもうものなり。 ……契約のもと、その力を解き放ち給え……。 ……風は空に、星は天に……そして、不屈の魂は、この胸に。 この手に魔法を……。 ……レイジングハート、力を! 最終回でシンクロするまで必ず唱えていた。 2代目も意思疎通ができるが、光り輝くだけでその意思はなのはにしか伝わらない。 2代目の魔法は祈願実現型魔法、なのはの強い意志と魔力を使用して願いを叶えるという正統派な魔法。 3代目も祈願実現型ではあるが系統が違う。 2代目は副次効果で持ち主の魔力を強化したり、その人特有の力を強化したりできる。妖狐なら妖力とかを。 そんな2代目だが、最終決戦の際壊れてしまった。 そしてリンディ帰還時に久遠には鈴を、なのはには2代目を、思い出としてプレゼントした。 ……壊れ物だが、リンディにはこれしか持っていないのだから仕方ない。 そしてネックレスとして、S2Uと思い出と共になのはを見守っている。 The MOVIE 1stのコミック版の扉絵でこの2代目は登場している。 気になる人は探してみよう。 ●<You haven't heard anything, have you? ――All right. Please add a sentence to my item or revise this. (何も聞いていませんね? ――結構。 追記・修正をお願いします。) △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] そういやS2Uの無駄な翼はレイハさんの対の為だったんだっけ、……S2U(泣) -- 名無しさん (2013-09-09 10 33 23) あんな時期からエクセリオンや開発中のブラスター使ってたらそりゃ撃墜されるほど負担たまるわなぁ -- 名無しさん (2013-10-21 00 29 53) ↑そう考えると何のためにAI搭載してんだってレベルの欠陥兵器だな。 -- 名無しさん (2013-11-09 17 22 51) 原作では魂と書いて「こころ」って読むはずなんだけど……、アニメ版はどっちだったっけ? -- 名無しさん (2013-11-09 17 26 54) AIが処理しても無理だったって事だろ。元よりエクセリオンもブラスターも『極力使わない』のが望ましいけど、必要があって搭載・使用せざるを得なくなったモノだし。ついでに言うならなのはが自分の身体に気を遣わないで出撃したのも原因 -- 名無しさん (2013-11-09 17 32 28) ↑フェイトに心配されるレベルで頑張りすぎるからな二人とも -- 名無しさん (2013-11-09 17 34 11) ↑3キャッチコピーとかでも不屈の魂ってなってるし、変わってないんじゃないかな?…多分。 -- 名無しさん (2013-11-09 17 49 31) ↑ただキャッチコピーのほうのルビは『エース・オブ・エース』だからなぁ。なのはWikiでも不屈の魂表記は一か所しかないし -- 名無しさん (2013-11-09 17 52 59) 主人公の武器が「高性能な基本型で唯一無二の機能はありません」というのはかなり珍しい気がする -- 名無しさん (2013-11-09 18 47 02) ↑レイハさんは極端なオリジナル機構持ってないしな。オリジナルに見えてもなのは以外にも使用者いたり、なのはの要望で付けてるだけでつけようと思えば誰にでもつけられるし -- 名無しさん (2013-11-20 20 18 24) 初代:兵器、二代目:魔法少女の杖、3代目:その中間、次はどうなるのかな? -- 名無しさん (2013-11-26 16 34 43) ↑その前にINNOCENTの「4代目 データ」も追加で -- 名無しさん (2013-11-26 16 47 00) 今分かっている製造者は、初代:忍、2代目:リンディかクロノ、3代目:???、4代目:フローリアン博士……こんなとこかな。 -- 名無しさん (2013-11-27 13 46 57) 充実してんな -- 名無しさん (2013-12-29 20 31 10) デバイスなのに劇場版でなのはやフェイトが敗れたのは自分達の性能不足と解析し、自らカートリッジ搭載を進言するとか漢気パネェす。さらにおそるべきは勝負を最後に決めるのは『根性』とレイハさんに認めさせたナノハさんか…… -- 名無しさん (2014-02-11 17 54 15) レイジングハートは日本語だと「起き上がる心」→「不屈の心」ってところだろうか? -- 名無しさん (2014-04-07 00 54 14) "Let's shoot it, Accelshooter"って、「あの虫けらを撃ちましょう、アクセル・シューターで」と聞こえるw -- 名無しさん (2014-05-30 23 49 06) なかの人は東海道新幹線の外国語版のアナウンスをやってます -- 名無しさん (2014-09-01 09 35 28) Don't woryyでいいんじゃないでしょうかはいい皮肉 デバイスの言語は英独で区別してるんだっけ? 1期じゃクロノのデバイスはもろ日本語だったが -- 名無しさん (2014-10-19 02 37 48) ↑一応オリジナルのミッド語だけどね。(AccelがAxelになってたり)、クロノのS2Uはリリちゃの設定故かリンディさんの声だったらしいけど -- 名無しさん (2014-10-19 12 57 42) 使用者の負担を無視してまで要望に応えて出力するあたり、ロストロギアの香りがぷんぷんするぜw -- 名無しさん (2014-11-27 14 44 12) オリジナルクロニクルだと魂にこころのルビがふってあったか -- 名無しさん (2014-12-23 16 27 42) ブルースワットのディクテイターみたいに、電動ブローバック式の玩具出てほしかったな。 -- 名無しさん (2015-01-13 13 07 58) 実は自己進化自己増殖自己再生ができるロストロギアなんだよ!!11!! -- 名無しさん (2015-01-13 14 52 39) 進化し過ぎですから!! -- 名無しさん (2015-06-13 12 57 25) 最近は伝説のボスが似たような声の端末を使ってるよ -- 名無しさん (2015-10-31 02 26 38) もしなのはの手に渡らずユーノがそのまま持ってたら、主に探索・維持・解析・修復方向に進化してたんだろうな。主の望みに沿う方向で。 -- 名無しさん (2023-01-01 01 44 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2321.html
【LYRICAL PSYCHIC FORCE StrikerS】 ♯PROLOGUE:SIDE - PSYCHIC FORCE □■□■□ ━━針葉樹が生い茂る広大な昏い森の中、 真昼の様に周りに連なる峰々を赭々と照らし燃え上がる一画を 離れた崖の上から見下ろし眺める男が一人━━否、その男は 十代前半の少女の様な面差しの少年を下から掬い上げるかの様に 両腕で自身の胸許に抱えているので二人か。 尤も少年の方は気絶でもしているのか、僅かに胸は心臓の鼓動に合わせるかの様に 緩やかに上下してはいるが瞼は閉じられ身体はぐったりと力無く弛緩している。 少年を抱えて崖上から焔の園と化した曾ての居場所━━超能力集団・ノアの本部が有った辺りを 見下ろし眺めていた男は、焔に焙られ生じて離れていてもそこまで届いている薄熱い風に 襟足で馬の尻尾の様にひとつに括った艶やかな黒髪と纏っている派手な柄のスーツの裾をはためかせながら、 口許に愉悦めいた微笑を浮かべつつ言葉を紡ぐ。 「……此れで、後顧の憂い無く私は新たな舞台へと移る事が出来ますね」 男の言葉には、数多の曾て同胞と呼んだ者達が死んだで在ろうこの崩壊が 自分が望んで招いた事に対する罪の意識は一片も含まれてはいない。 それどころか、その響きには“次”へ進む事への愉しみしか滲んではいない。 そんな男の後ろの森の中から、葉擦れの音を極力抑えつつ別の男が歩み現れる。 巌の様な体躯に猛々しくセットした髪、額から顔の左半面を大きな傷痕が刻まれている その剛毅な男は、先程から崖上に居るスーツ姿の男から数歩離れた辺りで歩みを停めると、 スーツ姿の男に向けてぞんざいに声を掛ける。 「俺が言うこっちゃ無ぇけどよ、本当に良かったのか? えぇ、ノア参謀のリチャード・ウォンよ」 リチャード・ウォンと呼ばれたスーツ姿の男は顔だけを僅かに振り向いて、 声を掛けて来た貌傷(スカーフェイス)の男に言葉を返す。 「『元』参謀ですよ、ガデス。━━寧ろ好都合でしたよ、キースの下では様々な意味で もう先は有りませんでしたからね。それに、次の売り込み先にももう内定は採れていますからね。 それよりもガデス、頼んでいた事は終らせて載けていますか?」 「応、『色々と』回収は終えてるぜ。アンタに着いて行く事にしたサイキッカー2012人その他、 全員避難はさせて有るぜ。で、売り込み先ってなぁ何処なんだ? 前から噂が有った、 俺等サイキッカーを目の敵にしてたこの国の軍か?」 ウォンがガデスと呼んだ貌傷の男が訝しげに訊いて来るのに対して、 ウォンは顔半面だけを向けた姿勢のままで応える。 その容貌に掛けられている丸いフレームの黒縁眼鏡のレンズは 赭々と猛る焔の光を反射し、その向こうに在るウォンの眼差しを窺う事は出来無い。 「いえ、この国の軍よりも━━この世界よりも広い世界を統べる軍組織が 新たな私達の舞台ですよ。そろそろ、向こうから迎えが来る頃ですよ」 「何だそりゃ?」 ガデスが困惑した様に首を傾げると同時に燃え盛る元ノア本部の上空の空間が歪み、 直後に蒼白い閃光が疾りそれが収まると星明かり散りばめた漆黒の夜空には 一隻の艦(ふね)が静かに飛空していた。 突然の飛空艦の出現に驚いたガデスが即座にウォンに訊く。 「おいウォン、何だありゃあ!?」 「あれが私達の新たな舞台━━時空管理局からの迎えの次元航行艦ですよ。 ほら、内火艇が出て来ました」 ウォンの言葉通り、虚空から現れた次元航行艦のコンテナと思われる辺りから 小集団を運搬するには適した大きさの小型艇が離推する光景がガデスにも確認出来た。 尤も次元航行艦が現れた空域からこちらまでの距離は少し離れており、 内火艇がこちらに到着するまでにはまだ1~2分程の猶予が有る様に見え、 その間に訊ける事は訊こうとガデスはウォンに話し掛ける。 「で、察するにこの世界を離れて異世界に行くってみてぇだな? ま、俄かにゃ信じられねぇが問題はそこじゃねぇ…… 向こうの世界でも、俺が存分に暴れられんのか?」 獰猛な笑みを浮かべてガデスは問いを口にする。 それに答えるウォンの口調は実に淡々としたもので有る。 「……向こうの世界━━次元世界と呼ばれていますが、その中でも時空管理局が統轄している 管理世界でもサイキッカー問題は有るのですよ。それに、我々とは似て非なる能力体系 『魔法』を駆使する『魔導師』が次元犯罪者として暗躍もしていますからね、貴方の出番には 不自由はしない筈ですよ」 「そりゃ有り難ぇ♪……けど、やけに向こうの事情に詳しいじゃねぇか、ウォン? 前々から時々姿眩ましてたなぁ、奴等と接触してたからかぁ?」 「正確には、ノアに参加する前からですがね。と、内火艇が着きましたね」 ウォンとガデスが話をしている間に内火艇は二人から数m離れた辺りに静かに着陸し、 機体側面半ばに有るハッチが開くと同時に展開されるタラップを数人の武装した隊員らしき者達が 駆け降りて来て直ぐに整列すると、その中でも隊長と思われる一人が進み出てウォンに向けて 直立不動で敬礼する。 「リチャード・ウォン空少将、御迎えに上がりました!」 「少将ぉ~?!」 隊長が口にしたウォンの階級を耳にして、ガデスが素っ頓狂な驚きの声を挙げる。 そのガデスの驚きの声を耳にした隊長は、憤慨して高慢な態度で食って掛かる。 「貴様、何者だか知らないが失礼だろうっ! リチャード・ウォン空少将は長年管理局に勤められ、 かの『邪聖剣事件』を解決に導いた実績を経て今や技術部の総部長でも有らせられるのだぞ。 口の利き方にも身の程を知れっ!」 「……っンだとぅ……!?」 隊長の態度に鶏冠にキたガデスのPSYエネルギーが瞬時に高まり、ガデスの周囲の空間が 重力で歪み出す━━と、そんなガデスと睨む隊長との間にウォンが入って微笑みながら執り成す。 「落ち着いて下さい、ガデス。━━ワーゲン三尉、君も早合点はしないで下さい。 彼━━ガデスはノアから引き抜いた幹部級のサイキッカーなのですよ。 口の利き方も、彼の好きな様にと私自身が認めているのですから良いのですよ」 双方共に未だ納得は行ってはいなかったがウォンのその言葉で一応は互いに矛を納め、 ガデスは高めたPSYエネルギーを鎮め、ワーゲン三尉と呼ばれた隊長は気を取り直して 退きながら部下に対して様々な指示を飛ばしている。 「……で、先刻から抱えてるそのガキはどうすんだ、ウォン?」 ガデスから見れば小物相手に諍いを引き摺るのも阿呆らしいとでも思ったのだろう、 ガデスは退く隊長にはもう視線も遣らずに再びウォンに問いを放つ。 別にガデスは少年の安否を気遣っている訳では無いが、その少年がS級の力を保持している “MASTER OF LIGHT”エミリオ・ミハイロフで在ると知れば必然その処遇をどうするのか、 彼の傭兵としての感性が気にしていた。 何しろ、今保護している相手はウォンで在る。 もしかすれば、身内粛清用の兵器としてエミリオを“調整”してガデスの敵として 仕立て上げるかも知れないと云う懸念が拭い切れない。 対するウォンは、再び愉悦の混じる微笑を口許に浮かべてガデスに応じる。 「……今回の争乱で有力な手駒が幾つか機能停止してしまいましたからね、 その穴を埋める為に彼には“処置”を施そうと思いまして。ブラドで培った 人格制御処置の応用ですから、兵器としての質は落ちませんが少々開放的に なってしまいますか」 その様を想像してか、ウォンの口許に浮かぶ微笑にやや苦笑気味な感じが混ざる。 そして、そんなウォンの様を見てガデスは彼なりにそれなりの安堵を得た。 どうやらエミリオを身内粛清用に調整するつもりはウォンには無いらしい。 だが、ウォンの命令ひとつでそう変貌出来る様に何がしかの仕込みは施す可能性は高いが、 何、その時はエミリオがそうなっちまう前に不意討ちでも仕掛けて先にぶち殺しちまえば問題無ぇ、 とガデスはここまで考えて自身を納得させていた。 「……で、時空管理局とやらに入るとして、俺達の立場はどうなんだよ?」 ひとつの懸案をそれなりに解消したガデスは、次なる問いをウォンに投げ掛けた。 応じるウォンは、今度は淡々とした口調で答える。 「先ずは、今引き連れる二千人余のサイキッカーも管理局に登録して “管理局サイキッカー部隊”を編成します。勿論、私が司令官に就きますが。 ガデス、貴方は其処で幹部待遇として迎えられます。 ━━その次に、この二人が何やら画策している様ですので、それを利用して 次の段階に進む計画ですよ」 そう言ってウォンが軽い念動力で自身の懐から取り出したフォト・チップから投射された 二枚の2Dホログラフ画像には、恰幅が良いながらもいかつい風情の壮年男性と、 褐色のボブヘアーに育ちの良さそうな明るい笑みを浮かべた美少女がそれぞれに写っていた。 二人共に堅い感じの制服を身に付けているが両方とも明らかに盗撮された撮され方で、 画像に添付されているメモデータにはそれぞれに「レジアス・ゲイズ陸中将(地上本部付)」と 「八神はやて三等陸佐(特別捜査官)」と名称階級が添えられている。 画像を見たガデスは極素直にウォンに問う。 「……で、コイツ等が何企んでやがんだ?」 「それは向こうに行ってから明かします。まぁ、直接には貴方には関係しませんから あまり気にする必要は無いですよ。それとも、舞台裏の細かい絡繰まで知らなければ 舞台上で演技が出来無い程貴方は繊細な役者でしたか? “MASTER OF GRAVITY”地獄の傭兵、ガデス」 聞き様に因っては明ら様に馬鹿にしている様なウォンの台詞を、しかしガデスは そうとは取らずに豪快な高笑いと共に軽く往して陽気に応える。 「ガハハハハ! 確かに、な。裏に何が有ろうと俺の邪魔になるなら 纏めてぶっ飛ばすのが俺流だったな」 言いつつ、視線だけはウォンの眼を離さず欠片も笑みを含めず 用心深く見据えているのは、やはりガデスの傭兵たる所以か。 そんな遣り取りを数分程していた後に、先程の ワーゲン三尉が二人に歩み寄って来て報告を告げる。 「ウォン少将貴下の二千人余は皆、転送で艦に収容終了しました。 ですが……次元航行艦がこの次元に現れた際の極微弱な次元震動と この場に充満していた膨大なPSYエネルギーとが相互に干渉し合って、 大規模な次元穴が意図せず開いてしまいました。 これへの対処は如何致しましょう、ウォン少将?」 「その次元穴は何時まで開きっ放しになりますか?」 ワーゲン三尉に尋ねるウォン。 「試算では約30分間程かと……」 「自然には閉じるのですね、なら放って置きなさい」 淡々と応えるウォンの返答に、ワーゲン三尉は吃驚して ノア本部が在った辺りを指差して尋ね返す。 「放って置くって……!? ですが、あの施設の中にまだ生きている人が居れば 運良く一命を取り留めたとしてもそのまま次元漂流に巻き込まれてしまう可能性が高く……」 「この作戦は管理局の中でも上層の更に一部しか知らない、謂わば極秘任務です。 これ以上長居をして他の次元艦艇に気付かれる訳には行きません。 さぁ、早く私達も内火艇に乗せて撤収して下さい」 ウォンは一方的にそう告げると続けて何かを言い縋ろうとするワーゲン三尉を後に置いて、 エミリオを抱えたまま足早に内火艇に乗り込んだ。その後ろには、大袈裟におちゃらけた感じで 肩を竦めたガデスが続く。 その場に置き去りにされたワーゲン三尉は、燃え上がるノア本部の在る辺りと 黒く開いた次元穴とを見据えて数瞬逡巡すると、頭を左右に振って何かを振り切って 内火艇へと歩を進めた。 ウォン達を乗せた内火艇を収容した次元航行艦は、現れた時と同じく閃光と共に 虚空へと消え、それから約30分後に山の斜面に開いていた次元穴も閉じ、 唯、後には次元穴に猛焔をも引き剥がされ只々黒々とした燃え跡を晒すだけの一画が ぽっかりと樹海の只中に開いているだけで有った……。 ━━以上が、この次元に置ける“第一次超能力大戦”の知られざる顛末で有る。 そして、場面はもうひとつの序章━━これより半年後の と或る場所へと向かう少女へと移る事になる……。 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/aquarianagetcg/pages/4540.html
Permanent Card 極星帝国 3F/2C -/+2/- サーチ(“サイファー”) このカードを“サイファー”にセット宣言する場合、≪このカードのコスト≫は手札に戻る。 このカードが“サイファー”にセットされている場合、≪このキャラクター≫は+1/+1/+1され、このキャラクターがバトルする際、≪バトル相手のキャラクター≫に2回同時にダメージを与える。 1:ターン終了時まで、≪このキャラクター≫はペネトレイトを得る。このエフェクトのコストを“サイファー”以外から支払うことはできない。 No.EX0448 Rarity R Illustrator 緋賀ゆかり Expansion エキストラエクスパンション 魔法戦記リリカルなのはForce カード考察