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こんにちは!応援していますのでこれからも、良い作品をよろしくお願いします。 -- (ray) 2008-08-22 22 31 19 ヴァッシュとナイブズの二人がとうとう、出会ってしまいましたね。この先、どうなるか楽しみですね。 -- (名無しさん) 2008-08-22 22 41 11 ナイブズktkr!このチート野郎を管理局とヴァッシュがどう対処するか楽しみです! -- (名無しさん) 2008-08-22 23 45 11 続き楽しみです。 -- (名無しさん) 2009-04-05 22 22 49 うわ!!、トンガリがピンチや!! -- (ニコ兄) 2009-11-10 00 06 10 久し振りの更新乙です。本当、ずっと待ってたかいがありました。これからも更新を続けてくれると嬉しいです -- (名無しさん) 2009-11-11 00 38 04 これは、はやての異常なまでの懐の深さに触れたら、ナイヴスにも希望が見えるか、、、? -- (名無しさん) 2009-11-18 08 47 09 ヴァッシュかっこいいです。これでTRIGUN読み出しました -- (名無しさん) 2009-11-27 15 09 55 やった。久しぶりに見たら更新されてる! ですがアームドデバイスは直接攻撃をするものだから、純粋魔力攻撃と違って手加減はできても非殺傷設定なんて事はできないと思います。 そこだけ気になりました。 -- (名無しさん) 2009-12-06 21 45 44 おお、更新されてる!相変わらずのトンガリズムが良い感じです。さて、なのはとフェイトはどんな修行をするのか… -- (名無しさん) 2010-05-19 21 30 01 チートな身体能力と戦闘能力を持つトライガンの超異常人外戦闘集団やヴァッシュ、ナイブズと なのは達の戦闘バランスを取るのは大変そうだけど、頑張ってますね -- (名無しさん) 2010-05-23 03 44 34 最近トライガンにハマり、検索していてこちらを発見、なのはキャラとプラント兄弟の絡みが面白かったです。 -- (名無しさん) 2010-06-02 22 59 44 いい所で更新止まってる……続き見たいです! -- (名無しさん) 2011-03-13 03 02 48 ぜひニコラスの兄貴を -- (ミカエルの(ry) 2011-04-24 11 49 08 フォーン・コラードではなくファーン。 拳銃の使用は、ルネッサの様に申請すれば使用許可が出る例も有るみたいですよ。 -- (名無しさん) 2011-05-17 20 13 42 あの程度のスピードじゃ ヴァッシュは瞬間的な動きは最終レガート戦で分かる通りに音速遥かに超過するレベルなんですが。 あの程度なんて話じゃなくケタ外れもいいとこですが。ナイブズ自身の身体能力もヴァッシュ・レガートと同等か以上です。レガートを指先で身体を縦に押し潰してますし。 -- (名無しさん) 2011-05-26 22 25 29 久々に見たら来てた!久々のトンガリズムです。 ただナイブズの次元刃は児戯などではなく持ってくる力によって発動させてるものです。射程は数 万㌔以上、刃の速度はその射程距離を秒にも満たない速度で比喩じゃなく一瞬で 飛ぶ速度。 その速度で都市を一瞬で瓦礫に出来る程。余程加減しないとヴァッシュや同等の レガート、ネイル、ラズロ級の身体速度と反応がないと対応不可です。 他にも持っていく力で人間を血の痕跡無く消したり、融合後も地下ごと数十㌔範囲を次元消 滅させてます。 なんにせよ乙です。 -- (名無しさん) 2011-05-29 09 00 11 ほぼ一年ぶりの復活ですなw 台風はやはり原作どおり隠遁生活に入ってしまうのだろうか・・・ 管理局とも大きな確執を残しそうだ。 -- (名無しさん) 2011-05-29 09 12 38 更新乙です。 見返して気になったのがTVと原作のヴァッシュの性格が混同されてるかな、と思いました。 TVはおちゃらけてる感じですが、原作は殆んどドシリアスなので -- (名無しさん) 2011-05-29 09 29 05 こんなSSがあったとは お兄さんはこっちの世界でどんな風になっていくのだろう。 -- (名無しさん) 2011-05-29 09 41 15 ↑↑↑↑ なのはが回避した翼手(巨大な刃)と次元斬とは別物では? 次元斬(AA)は『門』から引き出した『持ってくる力』を変換させ、発動するもので、左腕を変化させての刃は『門』とかは関係なしに、プラントの身体を変化させて形成するもの。AAが組み込まれる以前のナイブズも翼手は使用してたし(12巻回想時、名もなき村にて)。 で、次元斬は、上記の通りの知覚不能の超速超規模防御無視のチート能力で、なのは達には対抗できない。でも、それ以前の翼手の攻撃(地の文中での児戯に等しい攻撃)にはギリギリで対応できていたって事では? まあ、ここらへんは原作での描写も漠然としてる上に、個々の解釈になるからアレだけど -- (名無しさん) 2011-05-29 14 10 24 その翼手とAAは描写からみてもまったく同じ物なんですよ。 4巻で宇宙の衛星を粉々にしたのも腕を持ってくる力で変換した次元刃のAA 13巻でもその腕をAAに変化させ都市を粉々にしてとレガートの首を飛ばそうとしています。 プラント船の大虐殺でも腕を持ってくる力で次元刃・巨大な次元刃のAAを使用して黒髪化が起きてます。 12巻のあの描写でも分かりますが、次元刃のAAで虐殺と、よく見ると村自体が真っ二つにされてます。 まあ内藤氏が設定自体を改変してたりしますからここの描写はなんとも言えませんが。そもそも初期と比べ物にならない程インフレしちゃったし。あと忘れられがちだけど、ノーマンズランドどころか5つの月でも地球よりも高重力で遥かにデカイ星って設定。ヘタしたらヴァッシュやAAじゃ地球の月が丸ごと無くなります。まあSSなので個々の解釈は色々ありますね。 -- (名無しさん) 2011-05-29 19 24 32 翼手って呼ばれてる物すら原作には無いんだけどねぇ 8巻の箱舟の中でワラワラ湧いてる羽が唯一呼べそうだ -- (名無しさん) 2011-05-29 19 30 53 なつかしい作品です。 トライガンってもう完結してたんですね コレを期に買い集めるか・・・ -- (名無しさん) 2011-05-29 19 37 14 更新されてるのでビビッたw 一から読み治さなきゃならんぜ -- (名無しさん) 2011-05-29 19 44 25 ARMSみたいに腕を変形させて剣代わりにしてるのを翼手と表現してるだけだろう -- (名無しさん) 2011-06-01 10 23 00 トライガンクロス面白いです。一つ質問したいんですが、これってstsには繋がるんですかね? -- (名無しさん) 2011-06-05 21 15 45 最後の所、フェイトの名字がテスタッロサじゃない -- (名無しさん) 2011-06-07 13 54 47 本気でヴァッシュの心を動かす気があるんなら無理矢理にでも留置場から出すくらいしないと無理だろ。 何にもしないで信じてくれって言われてもね。 -- (名無しさん) 2011-06-13 01 24 10 フェイトが言いたいのは「なのはを信じて」って事より「なのはなら大丈夫だから、あまり自分を責めないで」って事でしょ。ヴァッシュの解放については、一介の魔導師にどうこう出来る問題じゃないしねえ。まあ管理局にマークされて、公然で危険人物扱いされてる現状で自分を責めるなってのも無理あるが -- (名無しさん) 2011-06-13 08 10 05 上条さんの右手でアルフを触ったらアルフの使い魔化が解けて死んだりしないか? ボコボコにされてる時にとっさに顔などを庇った右手にアルフの拳や足が当たったら……。 -- (名無しさん) 2011-06-14 13 39 04 上條当麻が… 3話 右手があっても通信に映らないなんて事にはならない気が。 -- (名無しさん) 2011-06-18 11 57 45 まぁ、当然無理ありますよね(笑)プレシアの通信は完全に魔法を使用しての通信だったという事で解釈お願いします。 どうしてもプレシアとフェイトの関係性を上条に知らせたくて、こういった展開を取らせて頂きました。まあ、あと数話後あたりで上条さんが通信に映っちゃててもそれは機械を使ってんだなーって感じで見てあげて下さい。 ご指摘ありがとうございました -- (リリカルTRIGUN) 2011-06-18 14 03 47 ベツヘレムじゃなくてベツレヘムでっせ -- (名無しさん) 2011-06-21 17 47 34 すっげーおもしれつづきはよ -- (名無しさん) 2012-03-19 10 36 32 貴重なトライガンSS とても面白いので続き待っています -- (名無しさん) 2013-01-13 21 58 26 とても珍しい長期トライガンSS…良い所で終ってて先が気になります。 更新待ってます -- (名無しさん) 2013-05-13 21 05 39 待ってましたーッ! -- (falle) 2013-05-27 20 35 59
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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 第十一話「天覇絶槍」 「周りのすべての人間は、自分のための道具に過ぎん。そのくせ君達は、自分に向けられる愛情が薄れるのには臆病だ。 実の母親がそうだったんだ・・・。君もいずれ、ああなるよ・・・。間違いを犯すことに怯え、薄い絆にすがって震え、 そんな人生など、無意味だと思わんかね・・?」 「あ・・・あ・・・・。」 スカリエッティの言葉に顔を歪めるフェイト。 その体はスカリエッティの生み出した赤い線で縛られている。最初はトーレ、セッテ相手にもなんとか太刀打ちできたのだが。 「さて・・・・私はどうしたものかな。」 彼の横にいる男が現れたせいで一気に形勢が逆転してしまったのである。男の名は松永久秀。この世界に飛ばされてスカリエッティに協力している男だ。 彼等の拘束と爆破のコンボで次第に押されはじめ、今に至る。 バリアジャケットは煤にまみれ、いたるところに切られた跡が。一方の二人は無傷。 まさに圧倒的、という所だろうか。そんな中に少年と少女の声が響く。 「違う!!」 叫んだのはモニターの向こう側にいるエリオとキャロ。横には伊達政宗と片倉小十郎の姿も見える。 二人は少し笑っている。そして次に口を開いたのは政宗だ。 「HEY!そこのフェイトとか言う嬢ちゃん!今のアンタに必要なモン・・・それは勇気だ。」 そう言うとエリオとキャロの頭にポン、と手を乗せる。 「それにこいつら、利用されてるなんて微塵も思っちゃいねぇ。ほら、言ってやんな。」 手を離し、政宗は鼻で笑うと腕を組んで背を向ける。二人は互いの顔を見て頷く。 再びモニターへ目を向け、口を開いて自分達が今、言わなければならないことを言葉にする。 「無意味なんかじゃない!」 「僕達は、自分で自分の道を選んだ!」 「フェイトさんが、行き場のなかった私にあったかい居場所を見つけてくれた!」 「たくさんの優しさをくれた!」 「大切なものを守れる幸せを教えてくれた!」 「助けてもらって、守ってもらって、機動六課でなのはさんに鍛えてもらって。」 「やっと少しだけ、立って歩けるようになりました。」 政宗は二人の言葉を聞き、普段の彼にはない、穏やかな微笑をする。 フェイトの心には少しずつ、少しずつ。希望の光が。 「フェイトさんは、何も間違ってない!」 「不安なら、私達がついてます!困ったときは助けに行きます!」 「もしも道を間違えたら僕達がフェイトさんを叱って、ちゃんと連れ戻します!僕達が・・・皆がついてる!」 「だから負けないで!迷わないで!」 そして二人の声が、重なる。それはフェイトの心に、光を灯す言葉。 「「戦って!!」」 言葉を聞いた瞬間、フェイトの体の中で何かが爆発したかのように魔力が溢れる。魔力はフェイトの体を包み込むように展開している。 「オーバードライブ…真・ソニックフォーム。」 『SONIC DRIVE』 フェイトの声を聞き、バルディッシュが金色の光を放つ。魔力はさらに上昇。そして魔力の柱へと形を変えた。 思わず身構えるトーレとセッテ。フェイトはゆっくりと目を開いて今の思いを言葉に。 「ごめんね・・・ありがとうね。エリオ、キャロ。」 バリアジャケットは今までのとは違い、マントを無くし、レオタードに近いものとなっていた。 魔力で少し浮いていた足をしっかりと地につけ、バルディッシュを優しく抱える。 「疑うことなんて・・・ないんだよね。」 金属音とともにカートリッジがリロードされるとバルディッシュが二本に分かれ、二本を両手に握る。 「私は弱いから・・・迷ったり、悩んだりをきっと、ずっと、繰り返す。だけど、いいんだ・・・・!」 体を回転させて双剣を構える。目は絶望という汚れは消え、光が宿る。その光は決して消えることのない、強い信念の表れ。 目の前にいるスカリエッティ達を睨む。 「これも全部・・私なんだ!」 スカリエッティが手を動かすと地面が爆発。しかし爆風の中からフェイトが現れバルディッシュを横に凪ぐ。 突然のことにセッテは回避しきれずに手に持っていたブーメランブレードを破壊され、倒れる。 手を握る動作をすると地面から赤い線がフェイトを捕らえようと迫る。赤い線を避け、斬り、敵へと進む。 次に立ちふさがったのはトーレだ。インパルスブレードとバルディッシュの刃がぶつかり合い、火花を散らす。 フェイトは宙で一回転、トーレはその隙を突こうとIS、ライドインパルスを発動。紫の光となってフェイトを追う。 空中で激しく激突する金色の光と紫の光。トーレの頬が切れ、フェイトの肩にも軽い切り傷が。 一回止まると二本に分かれたバルディッシュを一本に装着。大剣の姿、ザンバーフォームとなる。それでも迫ってくるトーレに向かいバルディッシュを振り下ろす。 「はぁぁぁぁぁぁっ!!」 防御したトーレだがしばらくするとインパルスブレードが砕け散った。スカリエッティと松永の横を過ぎ、壁に激突して倒れる。 次にスカリエッティへと向かうが顔に何かがかかる。 「うっ・・・!!」 目に入ってしまい、そのまま落下するフェイト。かろうじて目を開けると松永が立っていた。手には砂のようなもの。 「それは火薬かね?」 「そういうことだ。ものは使いよう・・・とも言うだろう?」 目を擦りながら立ち上がり、再び構えようとする前に顔面の真横に小さな爆発が起きる。 「ああぁっ!」 小さいとはいえ吹き飛ばすには十分威力がある。壁にぶつかり、うなだれるフェイト。 額からは血が流れ、ゆっくりと目を開けるとフェイトを守るように赤い魔方陣がそこにあった。まさに溶岩の如く。 赤い魔法陣から何か出てきた。揺らめく火の粉。火の粉は火に。火は炎に。炎は火炎に。どんどん大きさを増す。 そして爆発。 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」 中から出てきたのは人。赤いコート、赤いハチマキに槍二本。首にかけているのは六文銭。 若き虎が、フェイトの前に降り立つ。槍の切っ先をスカリエッティと松永に向ける。 「忠勝殿との色々な義により、助太刀いたす!!うおぉぉぉぉぉぉっ!!」 槍を交差させ、天に掲げる。 「天!!」 交差させた槍を一回離し、足元でまた交差させる。 「覇!!」 切っ先をまた二人に向ける。 「絶槍!!」 さすがの二人も突然のことで少し驚いているようだ。とはいっても少し目を見開いただけでたいしたリアクションではないのだが。 若き虎はあたりに炎を揺らめかせ、鋭き眼光を向ける。 「真田幸村、見ッ参ッ!!」 突然現れた赤き武将、真田幸村。そんな乱入者にも冷静に対処し、手を動かし赤い線を出現させるスカリエッティ。 襲い来る赤い線を槍で切り裂く。槍の先端には炎が宿り、描いた軌道には火の粉が降り注ぐ。 最後に火薬を投げて腰に挿してあった刀で地面を擦り、生じた火花で火薬を爆発させる。 だが、それぐらいで幸村は止まらない。煙を掻き分け尚も雄たけびをあげながら二人に向かってくる。 交わるスカリエッティがはめているグローブの刃と槍の刃。 「燃えよ・・・我が槍、我が魂!!命の限り道を開けぇ!!」 主の雄叫びに答えるように槍に宿った炎が大きくなる。スカリエッティの刃が焼け、溶けていく。 幸村は槍を引き、相手の体勢を崩すと二本の槍を一本に連結させて回転。スカリエッティを宙へと飛ばす。 「大ぃ車輪!!」 飛んできた方向にはフェイトがいる。バルディッシュを構えてまた打ち上げる。 幸村はスカリエッティの落下している真下に走る。大地を蹴り、跳んだ後に回転、槍二本の横凪ぎでスカリエッティを叩き落す。 「朱雀翔!」 叩き落してバウンドした後も幸村は逃さない。降りて目の前に立つとまた槍を一本に連結。拳に炎が集まっていく。 「虎炎!!」 炎の拳はスカリエッティの顔面に直撃、宙で人形のように吹き飛び、やっと倒れることを許された。 直撃した顔は火傷だけではなく、大きく歪んでいた。 「ほう・・・・真田幸村か。これはこれは、予想外の客だな。」 「永松久秀ぇ!今までの悪行、この真田が許さん!!」 「はっはっは、相変わらず熱いな。卿は。」 「問答無用!!虎炎!!」 炎の拳を突き出すが刀で防御され、押し返される。直後に刀を振り下ろすと胸に切り傷が入る。 素早く切り傷に火薬をかけて刀を擦り火花を当てる。至近距離の爆発を避けれるはずもなく吹き飛んだ。 「うぐ・・・ごふっ・・・・!!」 胸から溢れる大量の血。それでも幸村は立ち上がり、槍を構える。 フェイトもそんな彼を見てバルディッシュを構える。 「!?」 「貴方だけに戦わせるわけにはいきません・・・・!!」 幸村とフェイトは顔を見合わせると少しだけ笑い、また真剣な表情で松永を見る。 まず先手を切ったのは幸村だ。槍から炎を吹き出し、自身は回転。回る速さはどんどん増していき、松永に近づく。 爆発で押し返そうとするが炎に守られ、止まらない。 「ぐあぁぁぁあ!?」 炎は松永を身を包み、焼く。幸村は横を通り過ぎて槍を連結。腰を低く構えてじっと待つ。 続いて接近したフェイトはバルディッシュを振り上げて松永を宙へ。落ちてきたところを炎を纏った槍を斜めに斬り上げて吹き飛ばす。 「千両花火ぃ!!」 「はぁぁぁぁあぁぁっ!!」 千両花火でまた吹き飛んだところをバルディッシュの一撃が襲う。気を失った松永は壁をぶち抜いて倒れた。 勝負はついた。フェイトが笑顔で駆け寄ると幸村の表情も笑顔に変わる・・・・が、次第に赤くなっていく。フェイトが首を傾げて近寄る。 「ななななななななんと破廉恥な格好をしとるのだお主はぁ!?」 戦いの最中で気がつかなかったがフェイトの格好はレオタードのように露出が高いバリアジャケット。 まぁ、これで反応しない人がいるとしても女性に慣れていない幸村には多少刺激が強かったようだ。 「え・・・・えぇぇぇぇっ!?」 思わずフェイトも顔を赤くして腕を組んで胸元を隠す。 赤くなり硬直する幸村と同じように顔を赤くして体を縮みこませるフェイトという、戦いの後とは思えない光景が後に駆けつけた伊達政宗のツッコミがあるまで続いたという。 戻る 目次へ 次へ
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Permanent Card 極星帝国 3F/2C -/+2/- サーチ(“サイファー”) このカードを“サイファー”にセット宣言する場合、≪このカードのコスト≫は手札に戻る。 このカードが“サイファー”にセットされている場合、≪このキャラクター≫は+1/+1/+1され、このキャラクターがバトルする際、≪バトル相手のキャラクター≫に2回同時にダメージを与える。 1:ターン終了時まで、≪このキャラクター≫はペネトレイトを得る。このエフェクトのコストを“サイファー”以外から支払うことはできない。 No.EX0448 Rarity R Illustrator 緋賀ゆかり Expansion エキストラエクスパンション 魔法戦記リリカルなのはForce カード考察
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「あれ?ノーヴェ、スーツのデザイン変えたの?」 「ああ、ギンガ姉のアドバイスでな」 「へぇー。装甲を増やしたの?」 ナンバーズ共通のスーツは変わらず、両肩に取り付けた装甲板に自身の名前である数字の9をペイントし、 右側だけだったジェットエッジを左右に装備、の二の腕と体の正面を守る目的で増加装甲のプレート。 「一応、着脱できる・・・って、何でお前に教えなきゃいけないんだよ!!」 「ノーヴェは突撃型じゃなくて、汎用前衛を目指すんだ?」 ノーヴェは認めたくないがもし禁じ手無しで真っ向勝負をスバルとした場合、IS・振動破砕を持つスバルには 勝機は無い。しかも経験や技のレパートリーでも大きく水を開けられている。 おかげで何度もスバル挑んでは連敗記録を更新していた。 紙装甲でも一本道な突撃が出来るのが防御魔法も使える姉二人。それと比べると同じ紙装甲でも魔法による 強化が出来ないノーヴェには同じ戦術は出来なかった。 そんな時、稽古をつけいたギンガが、 『スバルと同じスタイルを目指すより自分自身のスタイルを見つけなさい』 そういわれて考え、試行錯誤の末辿り着いたのが現在のデザインだった。 相手の射撃に臆することなく突撃、機動、回避、防御、確実に相手に打撃を打ち込む。 そのために今までの機動を邪魔しない範囲内で装甲を増やす。 高速を突き詰めても防御魔法が出来なければ同じ装甲でも意味合いが違う。 だが気に入っている本当の理由は。 『ほう、ノーヴェ、デザインを変えたのか?よいデザインだ。しかしうらやましいな、姉も変えてみるか』 チンク姉に褒められたからである。 「まあな」 そうやってお茶を濁す。今度こそ勝ってやると思っている相手にあまり見られたくない。 「ノーヴェ、がんばって」 そういうスバルに背を向け、ノーヴェはアリーナの入り口に向かった。 ゲートが開き、アリーナ内に足を踏み入れる。そこは広い円柱状の施設だった。 『高さはあるが狭いな』 ノーヴェにとっては閉所戦闘は得意な戦場となる。ジェットエッジによる機動力と腕のガンナックルによる打撃力を持つ 自分のほうが有利。そうノーヴェ踏んだ。 「・・・時間通りですね」 「ふん・・・」 ノーヴェの入ってきたゲートの正面のゲートより先に入場していたエネが話しかける。 相手の武装は軽量二脚型。武装はハンドガンにサーベル。左肩に用途不明の箱、右肩にチェーンガン。 目指す戦闘スタイルは同じか近いモノらしい。 「ギンガさんにお話を聞きました。ただの魔導士じゃないそうですね?」 汎用魔導甲冑の頭部ハッチから顔を出すエネの言葉にノーヴェの口元が引きつく。 「戦闘機人、強化人間ですか?」 「だったら?」 「話に聞く強化人間は壊れた人たちが多いものですから・・・」 「・・・わたしはそんなんじゃない」 上の方の窓から見下ろすギンガ達を見る。 自分を製造したジュエル・スカリエッティ博士。 今では何人か欠け、出会わなかった姉もいる、共に居れた時間も少ないが確かな家族だった十二人。 JS事件終了後、自分達戦闘機人に世界で生きるための知識を教えたギンガ。 無理を承知で頼み込んだ自分を本当に養女にしてくれたゲンヤ。 壊れるような理由がどこにあっただろうか?博士もゲンヤもギンガも自分に意味を与えてくれた。 「わたしはノーヴェ・ナカジマ。お前は?」 名前なら最初に教えてるてるのに・・・。きっと上で見ている三人と一人はそう思っているのだろう。 「エネ。ピースフルウィッシュ、いきます!!」 エネも乗ってきた。同やらノリの良い性格らしい。 <Get Ready Set> エネのデバイス、ピースフルウィッシュが頭部ハッチを閉鎖し、スターター役をする。 <Ready Go!!> 開始と同時にジェットエッジのローラーを使って一気に相手との距離を詰め、一気にケリをつける。 それがノーヴェの選択した戦術だった。 だがエネも初動で距離を詰めようと右手のハンドガンを打ちながら接近。 「・・・ちっっ!!」 数発がごく至近を通過。射撃の腕は少しはやるらしい。 「そこ!!」 エネが左手のサーベルを展開、右側、やや下側から横薙ぎに切りつける。 ノーヴェは左にに半身を取ってその斬撃を軽く受け流す。 。同時に右足のジェットエッジを加速、そのまま振り上げ エネの開いた胴体を蹴り上げる。 「っく!?」 最初の一撃はこっちがもらった。不用意に突撃し、右の胴蹴りを受けたエネは足裏を滑らせながら下がる。 最初の一撃からこっちのペースに引き込むことで有利に立つ。 もし相手がこちらより高ランクであっても低ランクであっても先手をとることが重要。 新しい戦いの師、ギンガに教わった戦い方だった。 「・・・やりますね」 「お前じゃ勝負にならねえよ」 「そうですか・・・」 言葉とは裏腹にエネは機体を立て直す。まだまだやれるという意思表示として。 「まだ始まったばかりですから!!」 言うが早いか即座に行動を開始するエネ。それに合わせてノーヴェも動く。 ノーヴェがローラーでダッシュしつつ左手篭手部に装備された発射口から光弾を連続発射。 相手を削り消耗させ追い込もうとする。 それをダッシュと機体の動きで回避するエネ。機を見てこちらは正確な照準の発砲、連射。 今度はノーヴェが攻撃を受け止める番。両腕部のシールドで攻撃を受け止める。 「意外と一発が重い!?しかも熱!?」 「はぁぁ!!」 右手のハンドガン、それに右肩の単装チェーンガンで弾幕を張り動きを制約する。 相手の動きを固め、高速で接近、寸での所で飛び上がり相手を切りつける。レイブンの常套な近接戦闘法。 プレート状のシールドに電気的な負荷を掛ける。今回はサーベルをかわさずシールドで受け止めるため。 エネルギーとエネルギーの接触する音。 コア・デバイスの甲冑の機能でいくらか軽減される中のエネと違い、ノーヴェは直接エネルギーの衝突の 余波を受ける。 「・・・っと!!」 「まだまだ!!」 一瞬だが固まるノーヴェ。機を逃さずブレードで斬りつけるエネ。 だがノーヴェが右手でレーザーブレードの本体がある左の二の腕を手で止める。 「熱・・・!!」 ブレードの部分の至近は放散される前のエネルギーが残り空気が高熱を持つ。 それでも素早く左手で胸部にブローを一発、機構的な限界まで左手を捻り上げ、振りほどこうとするエネを押さえ、 今度は足を払い相手をあお向けに倒す。 「これでとどめ!!」 ノーヴェの右の拳が振り下ろされようとした瞬間、今度はエネが機体のブースターを点火し転がりながら逃げる。 ブースターを付けぱなっしにしながら立ち上がると最高速度で相手に接近。 「まだいけます!!」 今度は機体自体の質量を武器にしたショルダーアタックを敢行。降ろし打ちが外れ、追撃に移ろうとした ノーヴェと正面からぶつかり合う。 「がはぁ!!」 軽量二脚型とはいえ重量はそれなりにある。それを加速つきで受けたのだ。戦闘機人のノーヴェといえど唯ではすまない。 吹っ飛び、転がってゆくノーヴェ。無理にとめようとせず勢いが弱るタイミングを計る。 弱ってきたタイミングを計り、左肩と腕で、手のひらに力を集め左手一本で数メートルを一気に跳躍。距離を稼ぐ。 「やりますね・・・」 息を切らせながらエネが口を開く。 「おまえこそ・・・。どんな相手でも油断するなとギンガ姉に教えられていたのを忘れてたぜ」 体内の損傷箇所をチェック。機能不全を起こした部分の維持装置をカット。ゆっくりと構えに戻るノーヴェ。 「まだまだいけるな?」 「勿論!!」 エネがうれしそうに答える。 ノーヴェはエアライナーを展張。 「いくぞ!!」 「いいでしょう、空中戦でも!!」 エネもブースターに点火し飛び上がる。 交差する一瞬で一合結び合う。それを何度も繰り返しながらも互いに一歩も譲らない。 自由に空を移動し360度を攻撃できるエネのピースフルウィッシュとコースは限定されるが強力な足場を自由に設定し、 機動の自由を持つことが出来るノーヴェ。 二人の戦いぶりを見ながらスバルとギンガは驚嘆していた。 「最初に名乗りあげてから戦うなんてさ、一騎打ちみたいだよね」 「家でよく時代劇よく見てましたから、・・・父さんと」 「ギン姉も一緒に見てたような・・・」 「・・・スバルなんか言った?・・・でも、レイブンとはいえ、ノーヴェが下位にここまで苦戦するとはね」 「すごいよ、あの子・・・」 「そりゃそうだ、あれぐらい出来なければレイブンを名乗れんよ」 地雷伍長が口を挟む。 「伍長はかつて“不死鳥”の戦いを見たことがありますか?」 同じように観戦していたなのはが伍長に聞く。 「俺はやつに簡単に踏み台にされただけだからな」 そういうと豪快に笑った。 「だが、やつのアリーナ内の戦いはこの特等席から見ていたよ。やつは、そうだな、奇に衒わない装備と機体を 使っていたよ。戦術もそれ相応のものだった。確実にマシンガンを打ち込まれ削られ、動きを掴もうとすれば いつの間にか誘導弾が飛んでくる。弾幕を掻い潜れば今度は斬り付けられる」 そういうと地雷伍長は拳を作りなのはの目の前で開いてみせる。 「ボン!!・・・どうやって勝てばよかったんだろうな?」 「砲戦タイプじゃない?」 「時々、グレネードやレーザーランチャー積んでるを見たが接近戦の手数を好んでいたようだな、あいつは」 「あれ?なんだろ?」 「エネさんのお仲間かしら?」 最初に気づいたのは二人の戦いに見入っていたスバルとギンガだった。 言葉につられて四人の視線が集まったのは黒と赤のツートンカラーに染められた魔導甲冑だった。 「な・・・、何であいつが・・・?あいつはやばい!!エネ、それに遊んでる嬢ちゃん!!すぐに脱出しろ!!」 それの意味に気が付いたのは地雷伍長だけだった。 「どうしたんですか?」 突然焦りだしたなのはが地雷伍長に聞いた時だった。 『館内放送、管理者権限を有するプログラムの指示により施設内の全隔壁を閉鎖。敵性侵入者を排除します。 繰り返します・・・』 「「「っい!?」」」 館内の灯が消え非常用電源に切り替わる。そして分厚い耐衝撃ガラスをサンドイッチする形で 厚い装甲シャッターが下りる。 「まって!!」 あわててドアに駆け寄るスバル。だが簡単にドアにはシャッターが降りる。 耳を澄ませば多数のシャッターが下りる音が響いてくる。 「閉じ込められた?」 「そうみたいだね・・・」 なのはは落ち着いて状況を考える。敵性の侵入者とはおそらく自分達しか居ない。 「ギンガ、スバル、バリアジャケット着用!!おそらくさっきの魔導甲冑が排除用の抗体だよ。すぐにノーヴェと エネさんを助けに行くよ」 そういうとすぐにレイジングハートを起動。続けてスバルとギンガもマッハ・ブリッツの両キャリバーを起動。 三人ともバリアジャケットを着用。 「どうしますか?」 ナンバーズのスーツを自分仕様に仕立てたバリアジャケット姿のギンガが聞く。 「とりあえずノーヴェとエネさんを助けに行かないと!!」 こちらは殆ど代らぬデザインのバリアジャケットを着装したスバル。 「この壁を抜いてすぐに行こう」 早速先ほど窓があった壁にレイジングハートを向ける。 「やめとけ、ここの壁は基本的に両面AM処理済の素材だ。ドーム内での下手に強力な魔力放出に耐えれるようにな」 そういうと同時に壁の向こう側から大音響で爆発音が部屋に響く。 「しかも内側は魔力を拡散放射するミラー入り」 「私の砲撃なら!!」 「はじき返せなかった分はミラー内で流れるからな他の壁が爆発する。外側にも逃がそうそうとするから・・・、 内部の人間はえらい目にあうだろうな」 「ドアは?」 「・・・只の対爆仕様だよ」 「・・・スバル!!」 「はい!!」 ギンガが聞き、地雷伍長が答え、なのはが指示し、スバルがナックルでドアを吹き飛ばす。所要時間は三十秒。 四人が部屋を出る。廊下は非常灯だけが点灯し、分厚いシャッターが下りていた。 「ノーヴェの方のゲートのほうが近いです。そっちにいきましょう」 「奇遇だな。俺のデジャーマインもそっちにあるんだが・・・」 「スバルとギンガ、シャッターはすべて吹っ飛ばして。無理だったらISの使用も許可するよ」 「「了解!!」」 二人がキャリバーを加速。一気に二人を置いてけぼりにして進んでいく。 「二人とも、早いもんだな」 「伍長は後から来てください。ではお先に!!」 そういうとなのはもジャンプ。一気に加速して飛ぶ。 「やれやれ急いで行く事もなさそうだな・・・、やつが簡単にくたばるとは思わなかったが・・・、 あいつがしくじったとも思えん・・・」 三人を見送り、言葉を区切って自分の歩いて行くべき道を見つめ一人つぶやく。 「アリーナの、レイブンズ・ネストの亡霊か・・・」 <ボス、甲冑を着用しますか?> 「いや、まだいいよ、ゆっくり行こう」 <ラジャー、ボス> 胸元からぶら提げる地雷の形をしたネックレスに答える。少し考えた後、地雷伍長はゆっくりと歩き出した。 ドーム内ではノーヴェとエネが戦闘を中止し、正体不明の乱入者と相対していた。 「お仲間を呼ぶとはな。いい性格してるじゃねえか!?」 ノーヴェがエネに対して凄む。 「知らないわよ!!・・・ちょっと、いきなり乱入するなんていったい誰よ!?」 どうやらあちらも知らないらしい。 そしてこちらも知らないということは・・・。 「まあ、どっちにせよ、ぶっ倒すだけだ。エネ、お前の相手は後だ。こいつはわたしが相手してやる」 「該当なし?旧式のパーツで構成された機体って事だけ?・・・まあ、邪魔されたお礼はしないとね。 私も倒すのは手伝うわ。勝負はその後で。いいですか?」 もちろん、そうノーヴェは首肯する。 ノーヴェとエネ、両者ともに戦闘体制で構える。 相手は動かない。装備は右肩に誘導弾ポッド、左肩にグレネードランチャー、右手にパルスライフル、 左手のサーベル、どう見ても普通のレイブンの装備だった。機体も非の打ち所が無いほどバランスが 取れた中量級機動型。肩には黒い⑨のマーキング。 「仕掛けてこないなら・・・」 最初に仕掛けたのノーヴェだった。 「こっちから行く!!」 エアライナーを展張、目標の黒い機体の周囲に広げ足場を確保。常人では耐え切れないような加速で突撃。 「では私も!!」 それに合せるかのようにエネのピースフルウィッシュが動く。こちらは自身の定石通りの相手の動きを 固めてから弾幕を張り動きを封じる。一応ノーヴェがいるが、あまり気にはしていない。 「・・・上等!!」 火の中に突っ込むノーヴェ。相手は固まっている。そう考えたノーヴェが一気に距離を詰める。 「え・・・?」 一瞬の動きだった。弾幕の中で動かなかった相手が突然、動いた。一番危険であろうノーヴェでは 無くエネに向かって。 「こいつ・・・、くそ!!」 ジェットエッジで緊急制動を駆け、ターン。だが後ろを振り向いたとたん襲って来たの誘導弾二発。 開始しようとするが近接信管が起動。大量の破片と魔力片をばら撒く。 上半身の装甲で受け止めるが大幅に姿勢を崩す。 姿勢を直しつつ体内と装備の状態をチェック。異常なし。まだやれる!! 「このこの!!当らない?なんで!?」 エネが必死に機動し、ハンドガンを放つ。チャンスを作ろうとするがあざ笑うかのように敵は近づいてくる。 敵機が右手を構え、パルスライフルの銃口がこちらを向く。 「そんな豆鉄砲で!!」 発砲炎が見えた。その次の瞬間には右手の機能異常を知らせるアラート。 「・・・嘘、間接を一発で?でもまだ!!」 そう吐き捨てながら前方を睨む。いた。もう目の前に左手を振り上げた黒と赤の機体が。 「そんな・・・」 次に感じたのは衝撃で倒れる感覚と地面を滑っていく感覚だった。 ノーヴェから見えたのは一瞬だった。左手を腹に打ち込み相手を倒し加速していく背中。 次の瞬間、機体は左へターンし、円形のドームを一周。赤と黒の機体はノーヴェの背後に回るする。 ノーヴェの正面には股関節部分を打ち砕かれたエネの姿が見えた。 「ごめんなさい・・・、戦闘機動は無理そうね・・・」 「そいつじゃ勝負出来ねえだろうが、下がってな。こいつはわたしが相手にする」 「・・・了解、お願いするわ」 さすがはレイブンの端くれ、引き際は早い。 「すぐにギンガ姉たちが助けに来てくれる。それまで待ってろよ」 そういいながら相手に振り向いたとき、ゲートの開く音が聞こえた。それに続いてきたのは・・・。 「きゃぁぁぁーーーー」 エネの悲鳴。ゲートの開いた先にいたのはまったく同じ機体がもう一機、いた。 「な、てめえ!?」 機体はほとんど動けないエネの胸元をつかむと軽々と持ち上げ投げ捨てる。 そして左肩のグレネードランチャーを伸ばす。狙いは・・・、エネとピースフルウィッシュ。 「おい、待てよ?そいつはもう動けね・・・」 容赦なく引き金を引いた。真っ赤な火球が轟音とともに一瞬発生し、静寂に戻る。 残ったのはノーヴェと二機の敵、そしてくすぶるエネとピースフルウィッシュ。 「2対1か上等!!やってやるよ!!」 ノーヴェは構える。 『・・・ギンガ姉とチンク姉に私はここまで成長したって言ってやるんだ。 それでハチマキにだって勝ってやるんだ!!』 ブレイクライナーを発動。狙いを一機に絞りノーヴェは加速した。 戻る 目次へ 次へ
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――レム、僕たちは生まれて来てはいけなかったのかもしれない…… 自らの右腕が放つ光に包まれながら男はそう思った。 厄災とも言える程の力を持ってしまった自分。 そしてその力を用い人類に破滅をもたらそうとする兄弟。 自分―-そして兄弟の罪深さを噛み締めながら、男は悔いる。 自分の右腕は異形となり極光を放っている。 視界は真っ白。他には何も見えない。 それと同化していくかのように頭の中も真っ白に染まっていく。 ふと、男はある事に気付いた。 白の中に何かが生まれた。 ――青……いや蒼色の光? 白の世界の中に蒼い光が灯っている。 まるで米粒のような微小な大きさだが確かに輝きを放っている。 それは男の目の前で段々と大きくなっていく。 それはまるで自分の罪を優しく包んでくれるかのような光。 その光を見て、男の頭に一人の女性の姿が思い浮かぶ。 レム。 幼い自分を優しく導いてくれた女性。 人間に絶望した自分をあきらめずに支えてくれた女性。 そして、自分の命を顧みず、人類を救った女性。 ――レム、僕は間違ってるのか? ――レム、僕たちはどうすればいい? ――もう一度会いたい。自分は間違っていないのかを聞いてみたい。 願いが、疑問が、溢れ出してくる。 ――レム、僕たちは…… 先まで白に覆われていた視界が今では蒼色に染まっている。 ――あぁ、綺麗だ。 そして、男の視界の全てが蒼に染まる。 その瞬間、男は世界から姿を消した。 ――星にまたひとつ伝説が穿たれた。 人々はただ寄り添う。 そうしていなければ圧し潰されそうな『跡』だった。 誰かがつぶやいた。 「悪魔は実在した」と。その言葉は小さな波になり、しかし確実に星中に届くだろう。 その体に災害を宿した優しい死神。 手に持つ大鎌はいつしか我々を薙ぎ払うのだろうか。 男の行方はようとして知れず、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの足跡はこのあと2年の間、歴史から掻き消える事となる―― ■□■□■□ 時刻は朝の4時。まだ陽は昇っておらず、辺りは薄暗い。 そんな朝早くからある森の中に、一人の男がいた。 金色の髪の毛を逆立てるというド派手な髪型をした男は、その優しそうな顔を苦痛に歪めながら歩いていた。 足取りはどこかおぼつかなく、一歩歩くごとに体がフラリと揺れている。 だが、それでも男は立ち止まらずに歩き続ける。 休息の場を求めて。 (ここはどこなんだ?) 男は霞がかった頭の中で考える。 確か自分はジェネオラ・ロックにいたはずだ。 そこで因縁の兄弟と決着をつけるべく銃を突きつけた。そこまではハッキリと覚えている。 だが、ここから記憶が途切れ途切れになる。 ぼんやりと思い出せることは三つ。 迫ってくる手。 真っ白な極光。 優しい蒼色の光。 それ以外は思い出せない。 そして、気がついたらここにいた。 男は立ち止まり辺りを見回す。 潤いのある空気。 木々や雑草。 あの砂の星からは考えられない程に低い気温。 ――明らかに自分がいた世界と違う。 あの星では、空気は常に乾燥していたし、木々や雑草なんてプラント周りにしか存在しないものだった。 だが、ここは自分の視界を埋め尽くす程の木々がある。 (……まさか、ホーム?……いや、そんなことあるわけないか) 男は苦笑しながら自分の考えを否定する。 ホームはロケットを使ってでさえ何年もかかるところにある。 それを一瞬でワープするなんて漫画でもあるまいし。 だが、ここが自分のいた惑星で無いことも確かだ。 ならば、ここはどこだ? ……ダメだ、堂々巡りだ。 ここがどこか、なんて考えても分かるわけがない。 それよりも今は休める場所を探さなくちゃ。 なんとか今は大丈夫なものの、疲労と傷の痛みで体が悲鳴をあげている。 しかも、それに加えて凍えるような寒さが体力を奪い取っていく。 このまま歩き続けるのはマズい… だが、ここで休んでしまうのもマズい。 一度休んだら立ち上がる気力も湧かないだろう。 そして、こんな所にずっと休んでいたら寒さに体がやられてしまう。 ならば、休める場所が見つかるまで歩き続けるしかない。 (せめて、家のように寒さを和らげる場所があればいいんだけど……) 右に左に周りを見るも、葉が落ちかけた木が見えるのみ。 家のいの字も出てこない。 男はため息を一つつき、痛みをこらえ再度歩き始めた。 ■□■□■□■□ ……もう何分歩いたんだ? 朦朧とした意識の中、誰に問うでもなく考える。 何時間も歩いたように感じるが、実際のところはどうなのだろう。 延々と続く木々が作り出す洞窟に、男の疲労はピークに達していた。 もはや男の眼は虚ろ。 どこを見て何を考えているかも読み取れない。 それでも歩みを止めないのは男の強固な精神力だからこそ成せることだろう。 だが、そんな男をあざ笑うかのように一陣の風が吹く。 ただ、それだけのことで体がゆれる。 普段の男だったらここまでの消耗はしなかっただろう。 傷だらけの状態で賞金稼ぎ相手に逃げきったこともあるし、熱砂の砂漠を何日もぶっ続けで歩いたこともあった。 なら何故男はここまで消耗しているのか? 答えは簡単だ。 今まで男が経験したことの無い環境―-寒さのせいだ。 今まで男が生きてきた世界は砂漠が延々と広がる灼熱の世界。 だが、今いる世界はそれとは真逆。 今までの世界では考えられない程に寒い。 慣れない寒さは男の体力を何倍、何十倍ものスピードで削っていく。 男も頭の中では寒さの危険に気付いてはいたものの、気付いているだけでは体は対応できない。 ――結果、男は消耗仕切ってしまう。 それでもフラフラと歩き続けるが、遂に膝が折れ倒れてしまう。 立ち上がろうと必死に体を動かすが、男の意思に体がついていかない。 男の動きは段々と緩慢になっていき、そして男はついに動かなくなった。 ――あぁ体が重い。傷が痛む。寒い。眠い……ダメだ、寝ちゃダメだ。………… でも体が動かない。………………何とか……しな…くちゃ…………寒い…………レ……………ム……………… □■□■□■ なのはは日課となっている朝の魔法の練習をするために桜台の登山道を歩いていた。 今朝はいつもに比べとても寒い。 ニュースでは今年一番の寒さとまで言っていた。 なのはもいつもより多めに服を着ているが、それでも寒さは遮断しきれない。 首に巻いたマフラーをきつく巻き直し、歩き続ける。 ふと、横を見ると今まさに地平線の向こうから朝日が昇ってきている。 毎朝見ていても飽きることのない綺麗な光景。 そんな光景を眺めながら、歩いているといつもの練習場所についた。 「レイジングハート、周りに人がいないか確認して」 いつものように、エリアサーチを行う。だが、レイジングハートから返ってきた答えはいつもと違った。 『マスター、右方向の森の中に人がいます』 レイジングハートの言葉になのはは首をひねる。 ――人?こんな朝早くから?しかもこんな山の中で? もしかして朝の散歩?いや、それは無いと思う。 わざわざ朝の五時にこんなところで散歩する物好きな人はいないだろうし、いたとしてもこの登山道を歩くはずだ。 森の中を歩くなんてことはしない。 ならば事故? 何らかのケガをしてしまい動けなくなってしまったとか? 『どうしますか、マスター?』 再度レイジングハートが声をかける。 なのはは、レイジングハートの問いに少し考え、答える。 「行ってみよう。もしかしたらケガをしているのかも」 そういい、なのはは森の中へと足を踏み入れた。 □■□■□■ 予想以上にうっそうとしている森の中をレイジングハートに言われた通りに進んでいく。 登山道は毎日通るが、この森の中には入ったことはない。 ――ちょっと、怖いな……。 魔法少女として沢山のことを経験してきたが、中身はまだ子供。 さすがに朝早くの薄暗い森の中を歩くのは怖い。 震え出しそうになるのを必死に我慢して歩き続ける。 森に入ってから10分ほど経った頃、レイジングハートが声をあげた。 『あそこです、マスター』 ――見つけた。 茶色いボロボロの布を体に巻きつけた派手な頭の男の人が地面に突っ伏すように倒れている。 慌てて近づき、体を揺するがまったく反応がない。 とりあえず、男の人を仰向けにして様子を見る。 そこでなのはは息をのむ。 ――この人、左腕が無い! 「わ、わ、わ!大変だよ、レイジングハート!この人左腕が無い!」 しかも体中傷だらけ。 想像を遥かに越えた事態になのははパニクる。 だが、そんななのはにレイジングハートは冷静な声をかける。 『落ち着いて下さい。左腕には何らかの処置がされています。体中にある傷も軽いものだけです』 「へ?」 ……ほ、本当だ。左腕はないけど血は流れてない。しかも、何か機械のような物で切断面が覆われている。 なのははホッと胸をなで下ろす。 『ですが、非常に危険な状態です』 「……え?」 『この男、体温が著しく低下しています。早く暖かい場所へつれていかないと凍死してしまいます』 レイジングハートが淡々と呟く。 なのはは慌てて男の額に触れる。 ――冷たい。 それも異常なまでに。 自分の手も外にいたことで冷たくなっているが、この人の体温は比べものにならないくらい冷たくなっている。 。 「ッ……!レイジングハート!」 『All right. Set up』 なのはがレイジングハートを掲げ叫ぶ。 その瞬間、眩い光がなのはを包む。 そして光が消えると、そこにはバリアジャケットを装着し、左腕にはデバイスモードのレイジングハートを持ったなのはが立っていた。 「スターダストフォール!」 なのはがレイジングハートを男に向け呪文を唱える。 すると、男は宙に浮き始める。 それに合わせるように、なのはも空へ舞い上がる。 『Accele fin』 森を抜けるとなのはの足首に小さな桜色の羽が現れる。 「全速力で行くよ!」 そう叫ぶと一気に加速し、自分が出せる最速のスピードで朝焼けの空を駆け出し た。 そしてそれに並びながら男の体も飛行し始めた。 なのはが考えたことは単純。 ――どうすればこの人を助けられるか? ただこれだけ。 このまま自分が男を背負って山を降りたりしていたら時間が掛かりすぎる。 後、どれだけ男が保つか分からないのにそんなことはしていられない。 ……なら、魔法を使うしかない。 最初に使った魔法『スターダストフォール』は本来瓦礫や岩などを魔力により加速させ敵にぶつける攻撃する魔法だが、強引にこの魔法で男を運ぶことにした。 自分が持って空を飛ぶよりはずっと速く移動出来る。 飛び始めて数分もしない内に自分の家が見えてくる。 なのはは家から少し離れたところに降り立ち、バリアジャケットを解除しレイジングハートを元に戻す。 そして男を背中に背負い玄関のドアを開く。 両親が驚いた顔でこっちを見てくる。 それもそうだろう。娘が朝早くからボロボロの男を背負って来たのだから、これで驚くなという方が無理だろう。 なのははそんな二人に叫ぶ。 「お、お父さん!この人を助けて!このままじゃ、この人、死んじゃう!」 □■□■□■ ――あれ?俺って森の中で倒れたんじゃなかったっけ? 男は目を覚ますとまず始めにそう思った。 目に映るのは四角い天井。 横を向くと大きな本棚が見えた。 どうやらここは誰かの部屋らしい。 寒さなど微塵も感じないほどに暖かい部屋。 ……誰かが拾ってくれたのかな? 傷に包帯が巻かれている。どうやらケガの治療までしてくれたみたいだ。 余程親切な人が拾ってくれたみたいだ。 いやぁ、ラッキーだなぁ。 そんなことを考えながらボーッとしていると、部屋のドアが開いた。 そちらを向くと、小さな女の子が立っていた。 何故か、ピクリとも動かずに驚いた様子で固まっている。 「え~っと、キミが僕を助けてくれたのかい?」 「……は、はい!そ、そうですけど……」 声をかけるとさらに驚かれた。 ……何か変だな。 「ありがとう。本当に助かったよ」 男は優しい微笑みを浮かべながら、心の底から礼を言う。 女の子はまだ固まっている 「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕はヴァッシュ・ザ・スタンピード。よろしく」 「わ、私は高町なのはって言います。よ、よろしくお願いします」 ヴァッシュが右手を差し出すと、女の子――なのはもその手を握る。 ――ここに交わることのない筈の二つの線が交わった。 一つは『人間台風』ヴァッシュ・ザ・スタンピード。 もう一つは『魔法少女』高町なのは。 この出会いが二人に何をもたらすかはまだ誰も知らない。 目次へ 次へ
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訓練室。 まだ明朝の筈のそこに、一人の男と一人の少女が立っている。 十メートル程の距離を挟み二人は真剣な表情で睨み合う。 男の手には一丁の拳銃。 この場に於いては、本来ならば有り得ない武器。 それを右手に握り、男は正面に立つ少女を見やる。 対する少女は素手。 何も持たずに男の正面に立っている。 突如、男は腰に掛かったホルスターへと拳銃を差し込む。 そして首を縦に振り、頷く。 それを見て少女も首を縦に振る。 瞬間、少女の足元に円と二つの三角形が組み合わさった桜色の模様が現れる。 ――魔法陣。 魔導師が魔法を使う際に発生する力場。 そして魔法陣が現れて数瞬後、少女の頭と同じ高さの位置に桜色の光球が発生する。 「いきますよ」 少女が問う。 「OK」 男が頷く。 その言葉と同時に、光球がはじけるように動き出した。 光球が上下左右、縦横無尽に男の周りを駆け巡る。 それでも男は微動だにせず、ただ立ち尽くす。 「アクセル」 少女の言葉を受け、光球のスピードが上がる。 もはや光球が何処にあるかなど予測不可能。それ程のスピードで駆け回る。 不意に光球が軌道を変え、その矛先を男へと向けた。 桜色の魔弾が右下から浮き上がり、男に迫る。 申し訳程度に開いていた距離が瞬時に消失――――するより早く、男の拳銃が火を噴いていた。 ――轟音。 ――霧散する光球。 少女の目が見開かれる。 でも――これで終わりではない。魔力弾はもう一発ある。 ――それで倒す! 少女は瞬時に気を切り替え、もう一つの光球の操作に専念する。 それと共に光球が動きを変える。 高速で男の頭上へ移動。そこから直角に滑降。 人間から見れば真上は死角。更に男は攻撃をしたばかり。 タイミングとしてはこの上ないはず。 少女の判断は、この状況では完璧といって良い程の判断だった。 ――だが、男の早撃ちはその完璧な解答をも押し潰す。 ――この時の少女の気持ちを一言で言い表すのなら『見えなかった』。 これが最適だろう。 銃を持っている右手が一瞬ぶれたと思ったら、次の瞬間には轟音が鳴り響いていた。 魔力弾は弾丸に貫かれ消滅し、少女はそれを呆然と見ている事しか出来なかった。 「よし、いい感じだ」 そんな少女を尻目に、拳銃をホルスターへて差し、男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードは嬉しそうに呟いた。 ■ 「本当に凄いんですね、ヴァッシュさん……」 ヴァッシュと並行して歩きながら、なのはが口を開いた。 その口調には感嘆が込められている。 「あっちの世界じゃ色々あったからね。あれくらい出来ないと」 飄々とヴァッシュが答える。 その言葉に、なのはが苦々しい表情になる。 『あの攻撃で、あれくらいですか……』そんな事を考えているのだろう。 それを察したのか、ヴァッシュが慌てたように言葉を付け足そうと口を開く。 「いやいや、なのはも凄かったよ! それになのはは病み上がりじゃないか。本調子だったらああはいかなかったよ」 「そうかもしれませんね……」 実際ヴァッシュの早撃ちが規格外なだけなのだが、生真面目な性格が影響してか、なのはの表情が少し暗くなる。 「あ、なのはちゃんにヴァッシュさん!」 と、その時二人に声を掛ける者が現れた。 二人が振り返ると、駆け寄って来るエイミィの姿が目に入った。 「朝から訓練?二人共精が出るね~」 笑いながらそう言うエイミィに二人は苦笑する。 「あ、それでね艦長が、アースラ全乗組員集合だってさ。何か大事な話があるみたい」 二人は顔を見合わせ首を捻る。 「大事な話って?」 「多分、闇の書に関する事だど思うけど……」 闇の書という単語に二人の顔が知らず知らずの内に引き締まる。 ――――闇の書。 あの模擬戦から数日後、リンディから知らされた謎の襲撃者達の正体。 曰わく魔導師の魔力の源、リンカーコアを蒐集し、それを媒介にし次元にまで影響を及ぼす力を発揮するデバイス。 曰わく様々な世界を永遠にさまよう破壊不可能のデバイス。 あの謎の襲撃者達は闇の書自身とその主を守るプラグラムとの事だ。 「まぁ詳しくは集合してからのお楽しみってことで!……じゃ、二人共まだ回復したばかりなんだから無理しないでね!」 エイミィはそう言い手を振り、去っていく。 「闇の書か……」 ポツリとヴァッシュが呟く。 ――今までは四人の魔導師を捕まえるだけの話かと考えていた。 だが、それは世界を賭けた戦いへと昇華した。 闇の書の主が闇の書を完成させるのが先か、こちらが守護騎士を捕獲し、主の居場所を特定するのが先か。 負ければ、世界は滅び、闇の書は再び転生する。 負けられない。 あの平和な世界を殺させはしない。 ヴァッシュはホルスターに掛かった銃を強く握りしめた。 ■ 管理局・休憩所、自動販売機と一つの机、三つの長椅子が存在するだけの部屋にアースラスタッフは集合した。 長椅子にはなのは達が座り、その後ろにアースラスタッフが立ち並んでいる。 リンディはアースラスタッフを見回し、口を開く。 「さて、私達アースラスタッフは今回、ロストロギア闇の書の捜索、及び魔導師襲撃事件を担当することとなりました。 ただ、肝心のアースラが暫く使えない都合上、事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになります」 そしてリンディはアースラスタッフの分割を指示していく。 普段はどこか抜けている様に見えても、やはり艦長だ。 淡々と内容を指示していく。 「――で、肝心の臨時作戦本部の場所ですが、」 と、そこまで真剣そのものだったリンディの表情が弛まる。 「ヴァッシュさんとなのはちゃんの保護を兼ねて、なのはちゃんの家の直ぐ近所になりま~す!」 そして、最高の笑顔でそう言った。 「え?」 なのはが目を見開き、フェイトと顔を合わせる。 そして、ワンテンポ遅れて―― 「やった~~~!!」 これまた最高の笑顔で歓声を上げた。 ■ その次の日の夜、なのはとヴァッシュは海鳴市を歩いていた。 ――あのミーティングから早速引っ越しの準備が行われた。 流石は鍛えられたスタッフと言ったところか、引っ越し作業はほぼ一日で終わり、次の日には引っ越し先――つまり海鳴市にまで来てしまった。 当然それにはなのはとヴァッシュも着いてきており、二人は約一週間振りに海鳴市に足を踏み入れた。 本格的な機材の運び出しは明日にやるらしく海鳴市に着いた時点で、今日のところは解散となった。 そして二人で帰路についている訳だが―― 「……どうしたんですか?何か不安そうですけど……」 ――どうもヴァッシュの様子がおかしい。 喜びを顔に出しているのだが、何か考え込んでいる。 その微妙な違和感をなのはは感じ取り、指摘した。 「……いや、士郎さん達に連絡いれてないから、怒ってそうだなぁって思って」 「あぁ、その事なら大丈夫ですよ。ちゃんとお父さん達には留守にするって電話しておきましたから」 ヴァッシュの悩み事に、なのはは平然と答えた。 「え、そうなの?」 ずっと言い訳を考えていたヴァッシュにとっては朗報だ。 ヴァッシュは顔を弛ませ、安堵する。 と、そこで、ようやく目的のそれにたどり着いた。 見慣れた古めかしい門。 表札には『高町』の二文字。 そう二人は帰って来た。 なのはにとっては我が家。 ヴァッシュにとっては、自分に暖かい世界を教えてくれた、そこに。 「ただいま~!」 なのはが元気に玄関を開け、家へと上がる。 その後にヴァッシュもついて行く。 「なのは!ヴァッシュさん!」 そう言い二人を迎えたのは、眼鏡をかけた少女――高町美由希だった。 「驚いたよ。いきなりフェイトちゃんの家に泊まる、だもん」 「えへへ、ごめんね」 苦笑しながら頭を下げるなのは。 ――なるほどそういう設定か。 なのはの後ろでヴァッシュは理解する。 「ヴァッシュさんもご苦労様。なのはの子守、大変だったでしょ」 美由希はその後ろで黙っているヴァッシュへと話しかける。 「いや、全然。二人共しっかりしてたしね」 ヴァッシュは両手を振り答えた。 「そう?なのはが大人ねぇ……って、どうしたのその左手!?」 無かった筈のヴァッシュの左腕を指差し、美由希が驚愕の声を上げる。 驚くのも無理はない。 娘の友達の家に付き添いで行き、帰って来たらが腕が生えているのだ。 誰でも驚く。 「い、いやーこれは……」 途端にしどろもどろし始めるヴァッシュ。 チラリとなのはを見て助けを求める。が、なのはも義手の事を忘れていたのか慌てた様子で頭を捻っている。 気まずい空気が三人を包む。 「フェ、フェイトちゃんの家はお医者さんなの!だから無料で義手付けてくれて……」 「そうそう!優しいご両親でね!」 その空気を払拭するようになのはが大声で答える。 苦しい言い訳なのは分かっているが、これしか考え付かなかった。 なのはとヴァッシュは苦笑いをしながら、この嘘でこの山場を乗り切れるよう願った。 「ふーん、そんなものなのかな……」 ギリギリでその願いは通じた。 訝しげな表情をしているが取り敢えず納得してくれたのか、義手についての言及は止まった。 二人が安堵のため息をつく。 「そういえばね。二人が久し振りに帰って来るって聞いて、お母さん喜んじゃってさ。 めっちゃ豪華だよ、今日のご飯」 その言葉にヴァッシュの眼が輝く。 「へぇ、それは楽しみだなぁ」 嬉しそうに歩を進めるヴァッシュを先頭に三人は食卓へと向かった。 ■ 「うんまぁ~い!」 いつぞやと同じ歓声を上げ、ヴァッシュが片っ端から料理を口に運ぶ。 その顔は至福に満ちている。 それを高町家の面々が微笑ましく眺める。 これでも一ヶ月近くを共に過ごしたのだ。こんな光景は慣れたものだ。 「いやーやっぱり桃子さんの料理は最高だなぁ!」 そう言ってる間も手の動きは止まらない。 皿から皿へ縦横無尽に箸が動き回る。 見る見るうちに皿から料理が消えていくが、そこは高町家の面々も慣れたもの。 隙を見て、自分の皿へと料理を取っていく。 「にゃはは……」 そんないつも通りの食卓を見てなのはが微笑む。 ――楽しそうだ。 やっぱりヴァッシュさんには笑顔が似合う。 管理局の事や異世界の事で悩んでいる時より、模擬戦に向け真剣に特訓している時より、ずっとずっとヴァッシュさんらしい。 ――良かった。 心の底からそう思う。 そしてなのはは密かに決意する。 ――ヴァッシュさんの笑顔を守ろう。 闇の書事件だって直ぐに解決して、争いのないこの世界を思うがままに楽しんでもらおう。 ずっとヴァッシュさんには笑っていて欲しい。 今まで辛かった分を取り戻せるぐらい、笑っていて欲しい。 ――心優しい少女はひっそりと心の中で願いを唱えた。 ■ 真っ暗なリビング。 ヴァッシュはボーっと闇に染まった天井を眺めていた。 背もたれに寄りかかり手をブラブラと垂らし、足を伸ばし、脱力しきった様子で何をするでもなく天井を眺める。 「……まだ起きてるのかい?」 そんなヴァッシュに声がかけられた。 少し驚いた様子でヴァッシュが天井から声のした方へ、顔を向ける。 「明日からは今まで休んだ分、しっかり働いてもらうんだ。寝といた方が良いよ」 「いやーそれが眠れないんですよね、何か……」 体を起こし苦笑するヴァッシュに士郎が呆れた様にため息をつく。 「まったく……子供か君は?」 「はははは……」 「仕方がないな…………ここに眠気をもたらしてくれる最高の薬があるんだが、どうだい?」 そう言い士郎は手に持っていた瓶を机の上に乗せる。 それを見てヴァッシュがニヤリと笑う。 「いいですね~」 「だろう?」 そう言う士郎の顔もニヤリと笑っている。 士郎は何処からともなく栓抜きを取り出し、『薬』の蓋へと伸ばした。 ■ 窓から入る月灯りが高町家のリビングを照らす。 こんな月が出てる日には蛍光灯もある意味をなくす。 自然が作り出した柔らかい光が、二人の男達を包んでいた。 「いやー美味しい薬ですねぇ、これは!」 「そうだろう!やっぱ眠れない夜にはこれしかない!」 そんな優しい光に包まれている二人の男は、大笑いしながらコップを掲げ、ぶつけ合っていた。 足元には空になった『薬』の空き瓶。 当然この『薬』は薬品の事を指すわけがなく―― 「やっぱ大人の『薬』って言ったら酒以外にありませんよねぇ!」 「その通り!これこそが最高の『薬』さ!」 ――二人は酒を飲み合い最高の高揚感に包まれていた。 それから数分後、流石に限界が来たのか、不意にヴァッシュが机に突っ伏した。 「……何だヴァッシュ君、もうダウンかぁ?」 そう言う士郎も脱力しきり背もたれに身を任せている。 「まだまだ元気ですよ、僕はぁ……」 ヴァッシュは、突っ伏したまま右手を上げて、気の抜けた声で答える。 その姿は誰がどう見ても限界そうだった。 それきり静寂が二人を包む。 聞こえるのはまだ元気に働き続ける車の音や、遠くから聞こえる市街地の喧騒のみ。 「………起きてるかい、ヴァッシュ君……」 「………何ですかぁ?」 不意に上げた士郎の言葉にヴァッシュが体を起こす。 対する士郎は椅子によたれかかったたままだ。 「…………良い表情になったな」 「…………えーっと言ってる意味が良く分からないんですけど」 ヴァッシュはアルコールにより赤みがかった顔を困惑に歪める。 「……迷いが消えてる」 「はぁ……?」 ヴァッシュの困惑の色が濃くなっていく。 「……君がなのはと出掛ける前まで、君はいつも何かに迷っている様に感じた」 不意に士郎が身を起こした。 真剣な顔に微笑みを浮かべ、ヴァッシュを見つめる。 「君だけじゃない……なのはも何かに迷っていた……君と出会ってから、ずっと……」 ヴァッシュは何も答えず、黙ったまま士郎の言葉に耳を傾ける。 「…………だけど、今のなのは、そしてヴァッシュ君は良い顔をしている……フェイトちゃんの家で何があったか知らないけど……良かったよ」 そう言うと士郎は立ち上がり台所へと向かう。 そして数秒後、冷えた数本のビール瓶を手にし戻って来た。 「聞きたい事は沢山あるさ…………何でなにも言わず夜中にいきなり出掛けたのか、何で義手を付けてもらったのか……… でも、本当に楽しそうな君となのはを見てそんな疑問はどうでも良くなった」 「……士郎さん」 ドン、とヴァッシュの前にコップが置かれる。 そのコップには並々とビールが注がれている。 「細かい事はいい……今夜は良い夜だ……こんな日に飲まないでやってられるかい?」 「……ですよねぇ!」 二人はコップを掲げる。 「「……乾杯!」」 ヴァッシュは今までの長い人生の中でも最高の一杯を飲みながら、思った。 ――絶対に消させない、この世界を、この最高の家族を。 ――俺は負けない。絶対に阻止してみせる、闇の書の完成を。 ■ 次の日、なのはは信じられない光景を見た。 床に転がる大量の空き瓶。 思わず鼻を抑えたくなる強烈なアルコール臭。 そして「レム……レム……」「桃子……桃子……」と、意味不明な寝言を呟きながら机に突っ伏し熟睡している二人。 この光景を見たなのはは深くため息をつき、桃子の眠るに寝室へと向かった。 ――――この日の二人の目覚ましは桃子からの熱い一撃だったとか。 前へ 目次へ 次へ
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フェイトは大通りの軒先にあるサイベリア出入り口で、戦闘から戻って来たシグナムに支えられる中、遅々と して足が進まない事に消沈していた。 多数の人が押し合い圧し合いする窮屈な場で、フェイトは手持ち無沙汰に携帯電話を取り出す。開かれた画面には、 メールの着信を報せる表示は無かった。 彼女が自身の送信メール履歴を確認すると、なのはへの送信メールが多数も画面の上で連なっていた。 今回の教導隊の仕事は過密日程で、想像を絶するまでに多忙であるのはフェイトも重々承知している。しかし、 そんな思考では割り切れない寂しさがフェイトの中で蟠る。 シグナムの腕で姿勢を支えられながら、フェイトは先程の惨劇を思い返した 「ワイヤード……」 最近よく耳にするインターネットサービスだ。従来の電脳機器やインターネットの様に、唯ディスプレイにのみ 情報の出力入力を依存しなければならないものではない。 相当の性能さえあれば、画期的な情報世界への自我の投射が可能となる……と、大概の知識はフェイトも持っている。 混乱もあり、うまく働かない思考で、フェイトは現在のなのはとの距離感にだけ拘泥した我欲が鎌首をもたげる。 「ワイヤード……。それさえあれば、時間と空間を越えて、なのはに逢えるのかな……」 「何か言ったかテスタロッサ?」 フェイトはシグナムへ小さく首を降り、パトカーの赤い照明や目まぐるしい電飾の外界へと視界を開けた。 サイベリアに訪れていた彼女達は、フェイト、アリサ、すずかと、玲音、ありす、樹莉、麗華の組に分かれていた。 フェイト達に対する警察署での取調べは、シグナム、シャマル、簡易変身魔法で獣の耳と尻尾を消したザフィーラが 保護者代理として受け持った。 リンディが警察署までフェイトを迎えに来、バニングスと月村からも立て続けに迎えの者が到着する。玲音達 の方も一応事が済んだみたいで、女学生衆はそれぞれに挨拶を交し合って解散した。 幼い頃からクロノを職場に連れ込んでいたリンディは、何分こうした場面での親としての振る舞いに不慣れな様子をしていた。 警察から中学生の娘の監督不届きな注意叱責を受ける間、リンディはひたすら平身低頭に反省していた。 フェイトの眼にはそんな義母の姿が痛ましく映った。 全く過失の無い筈のリンディが、自分に代わって謝罪を繰り返すのを眺め、フェイトは泣きたくなるのを必死で 堪えるしか出来なかった。 「提督、この後お話が」 シグナムからそれだけを耳打ちされ、項垂れるフェイトの背中を押してパトカーに乗る寸前、リンディは 守護騎士面々に念話で応答した。 ハラオウン宅を指して一台のパトカーが走り出す。フェイトとリンディは後部座席に並んで座り、互いに 重々しい沈黙の中から会話の糸口を手繰り寄せていた。 「お母さんごめんなさい」 暗澹とした声音でそう切り出して来たフェイトへ、リンディは眉尻を下げて娘の方へ振り向く。 「怪我が無くてよかったわ。ああいう場所に絶対行くなとまでは言わないけど……ちゃんと時間を考えて、 充分気を付けなさいね」 フェイトは小さく頷き、義母に余計な迷惑をかけてしまった事で深く落ち込んでいた。そんなフェイトの 暗い心中を察し、リンディが彼女の頭を優しく撫でて慰める。 暫く車中には、小刻みに肩を震わせるフェイトの微かな嗚咽が漂っていた。 誘われただけだと主張する事も出来たが、フェイトにはそうしてアリサやすずかに責任転嫁を企む程、自分が 可愛くも神経が図太くもなかった。自分を引き取ってくれたリンディを、自分の勝手な経緯で困らせてしまった 事実が一途に愚かしく腹立たしかった。 帰宅して遅めの夕飯と入浴を済ませ、フェイトは留守居を約束していたアルフと共に自室のベッドに沈んだ。 サイベリアでの時間はほんの短い間だったが、あの銃撃騒動で爆発した心労がすぐにフェイトの五感を奪い去っていった。 フェイトが眠りに落ちてから少し経ち、彼女の就寝を見計らった様にヴォルケンリッターが一様に難しい面持ちで ハラオウン宅に訊ねて来た。 「提督も、ここ最近多発しているワイヤード関連の事件を聞き及んでいると思いますが……」 応接間に通される途中から、シグナムは強張った口調で言った。リンディは日本人らしい私服の容姿を机の方に 移動させ、彼女達に振り返ると微妙に返事の空白を挟んだ。 「でも、次元犯罪者が関与している筋は本局の方で否認されたでしょう?」 客観的な意見を述べて来たリンディへ、シグナム達も情報という強力な壁を思い知らされる。 「デウスと名乗る男がワイヤードに潜伏し、この現実世界を掌握しようとしている……そこまでは私達も 突き止めています。だけど、この事件を深く掘り下げれば掘り下げる程に、地球の科学技術だけでは辻褄が合わない 事柄が散見されます」 シャマルがシグナムの隣の席に着き、柔和な顔付きを引き締めて会話を続けた。暗に別世界の何者かが、この 高度情報世界の変遷を巧みに悪用している──そうシャマルは示した。 ヴォルケンリッターにワイヤード関連の査察任務を渡して来たのは管理局本局、そして当事件に関する次元世界的な 関連性を却下したのも管理局本局……。 リンディは客人の飲み物を机の上に揃え、矛盾した本局の言行が照らす真相を憶測する。 「また本局の方で下らない権力争いでもやっているのかしらね……」 重役幹部の足の引っ張り合いであるだけならば、リンディもこの場の嘆息だけでシグナム達の来訪を収束させられる。 しかし今、そうして軽妙に呆れる彼女の脳裏にも、長年の局員としての研ぎ澄まされた直感から事態の不穏を過ぎらせていた。 「シャマルが収集した新情報に、我々がより効率的にこの査察を進展させられる方法がありました」 シグナムはリンディ・ハラオウンの名を城孤社鼠に扱う事への忸怩たる思いを押し殺し、騎士の眼で毅然と熟達の 女性局員を直視した。 「プシューケー・プロセッサーって言うんだけど……それをどうかしてデバイスに組み込められたら、あたし達も ワイヤードの中で思う存分活動が出来るんだ」 ヴィータは縋るようにして席を立ち、机の上から前に身を乗り出した。 「それにリンディ提督、実はサイベリアって所でアクセラの」「ヴィータ」 シグナムから制止され、ヴィータは横へと視線を移すが、シグナムの透徹とした横顔に気圧されて言葉を切った。 「……アクセラ? どういう事なの? どうしてアクセラの名が」 リンディが眉を顰め、違法魔法薬物の名を反芻する。しかしシグナムから平然とした顔で「何でもありません」と返された。 追究の手を抑えたリンディは気を取り直し、彼女達の言わんとしている事を察知し、ゆっくりと四つの容貌を巡視する。 「管理外世界の技術の導入は、可也受諾が難しいわよ? 下手をすれば、折角貴方達を保護観察処分だけに留めた 努力が無駄になってしまうわ。申請理由に不審を持たれたら、はやてさんにも余計な面倒が降りかかるかもしれない」 リンディの返答に、ヴォルケンリッターは揃って気まずくリンディから視線を逸らす。新たな主との生活の中で、 殊に義理人情というものに感化されたヴィータとシャマルは、急激に弱々しく閉口する。 遠くの地で出張任務に出ている主へ、間接的に再び過ちを犯そうとしている自分自身に四人が躊躇を催される。 「恩を仇で返す様な戯言であるのは重々承知の上」 ザフィーラの強固な意志に、シグナムが続けて首肯した。 「現にこの次元世界が、一人の男の妄執で脅かされている……主や、主の掛け替えの無い人々が生きるこの世界を、 そんな詰まらない野心の生贄にさせたくはありません」 「貴方達にとっても、でしょう?」 不意に声色を和らげたリンディは、椅子の背凭れに背中を預け、明晰な目色で改めて四人の騎士を眺め通した。 「わかったわ。一応私の方から技術部に提言しておきます。それで、そのプシューケーという物はもう貴方達の手にあるの?」 「いえ。しかし既に業者との交渉は完了しています。現在我々は本局の方から、橘研への出向扱いとなって おりますので、その方面では中々融通は利かせられますので」 リンディは頷き、守護騎士達の意を汲むと依願を請け負った。 ヴォルケンリッターを玄関まで見送ったリンディは、一人きりになった後で柔和な美貌を胡乱な感じに曇らせた。 「彼女も涼しい顔して……」 シグナムのポーカーフェイス振りに、リンディは何故か天晴れな気持ちもあった。あそこでアクセラに関する 詳細を自ら暴かず、疑念を抱いたリンディ独自に調査を行わせるよう誘導して来た烈火の将に、彼女はその配慮に 報いる義理も目覚めさせる。 「さて、と……あの子も暇だ暇だと言ってられなくなったわね」 居間に戻ったリンディは、夜更けの電灯に照らされた室内で、平穏の影に潜む危険な兆候をそっと見透かした。 / うん、組み立てもお父さんがやってくれたんだ そうなんだ……いいな、最新のフル装備のNAVIなんだよね でもまだまだわからない事ばかりだし、ワイヤードのコネクトも全然 ワイヤード、楽しいの? う~ん……よくわかんない 逢いたい友達がいるんだよね? うん、一応それでワイヤードを始めたんだ 逢えるといいね、お友達 うん あ……ハラオウンさん、まだ千砂ちゃんからメール来てる? ………………もう来てないよ フェイトは帰宅してから、その返信メールと、後一回の挨拶のメールで玲音とのやり取りを終わらせた。 アリサやすずか、ありすや樹莉に麗華にさえ知られていない、二人だけの秘密の交流だった。アルフも今だけは この部屋への入室を断っている。 互いにどうにも対人関係で強く自己主張が出来ない内向的な性格を共感したのか、どちらが歩み寄る風でもなく、 何時しか放課後の定例行事の様に継続しているメール交換だった。 フェイトは自室にある椅子に腰掛け、鳴らなくなった携帯電話を凝然と見詰めた。この機種でもワイヤードサービスは 受けられるが、スペックの問題で単なるゲーム程度にしか利用できない。ワイヤードならではの仮想空間を満喫するには、 電脳演算の性能が著しく不足していた。 フェイトは受信メールの履歴画面を表示し、今度は違う相手へとメールを送る。釦を押すフェイトの指は、 玲音へ送った先程のメールへの罪悪感を思わせた。 こんにちわ、千砂 返信は数秒も経たずに返って来た。 こんにちわハラオウンさん 玲音に嘘吐いてよかったの? よくないよ でも……嘘だってわからないなら…… 若しあたしとメールしてる事、誰かに知られたら? 止めようよ、こんな話 そうだね ごめんねハラオウンさん ワイヤードって楽しい? 毎回その質問をするんだね とっても楽しいよ それに、ここがあたしの本当の居場所だから 本当の居場所? そう あたしはリアルワールドにとっていてもいなくてもいい存在だったから そんな事無いよ……この世にそんな人なんていないよ フェイトの指は得体の知れない恐怖心から、カタカタと動揺していた。 「この世に存在する意味の無い人間」という言葉で、フェイトの脳裏で実母との確執が残酷に思い起こされる。 ハラオウンさんからそう言われるなんて心外だよ 貴方だってどうでもいい造り物の癖に フェイトは反射的に身体を戦慄させ、引き攣った喉で空唾を飲み込んだ。 「ち、違うよ」 何故その事を、と疑惑を膨らませたが、フェイトは正しい思考がそこまで回らなかった。フェイトの瞳が充血と 乾燥を通過し、大量の涙を溢れさせて来る。 造り物の癖に 紛い物の癖に 誰にも望まれずに生まれた癖に 人形の癖に 嘘偽りの癖に 「違うよ……違うよ……」 脆く儚い否定の言葉は、内部に秘められた真実の刃でフェイトの心を抉る。 フェイトは何時しか携帯電話を取り落とし、机の上に突っ伏して泣き崩れていた。 「なのは、逢いたい……」 床に転がった携帯電話がメール着信の電子音を奏でる。自動的にメールが開封され、無機質な文字の羅列が 画面に並んだ。 ねぇ、早くこっちにおいでよ────── / 「岩倉玲音んところにプシューケーを送り込んだ輩のお仲間だぞ……少々迂闊じゃねぇのか?」 繁華街の裏路地で、ヴィータとシグナムが取引相手の到着を待っていた。シグナムは腕を組んで瞑目し、 ヴィータの不安に応えない。ヴィータは支払う一万円札の束を入れた袋を片手に提げ、遣り切れない心持ちを 持て余していた。 シャマルとザフィーラは遠方で待機しており、有事の際は即座に現場に駆けつけられる態勢を整えている。 夕暮れ時、下校途中の学生などでごった返す街中で、現時点ではナイツからの襲撃は見られない。 (シャマル、相手は?) シグナムは心成しか戦意を覗かせる目付きで夕空を仰ぐ。 (外貌からは特に警戒するべき点は無いけど、絶対に油断は禁物よ。あと数分でそちらの空き地に来るわ) シグナムがレヴァンティンの装身具を掌の中に隠し持ち、威厳のある美貌で建物の間に挟まれた細い通路を 見据える。ヴィータもナイツの気配に細心の注意を払い、シグナム同様に俄かに身構えた。 シャマルの返答通り、覆面をした如何にもならず者風の人物が雑居ビルに囲まれた空き地に現れ、シグナムと ヴィータの正面で悠然と立ち止まる。 信用される余地が皆無な立場を理解しているのか、覆面の違法商売人は真っ先に三基のプシューケー・プロセッサを 提示し、そしてぞんざいに二名の女性に放り投げた。 「代金はこちらに」 小型の精密機械を受け取ったシグナムがヴィータを掌で指すと、ヴィータが片手に持っていた質素な袋を前に 突き出した。覆面は相手が同じ動作で取引をして来ない反応に一瞬だけ狼狽したみたいだが、諦めて近寄って行く。 覆面がヴィータの手にある金の入った袋を受け取ろうと片腕を伸ばし、その掌が突如として奇妙に変化した。 「動くな」 瞬時に騎士甲冑を装着したシグナムが、レヴァンティンの刀身で覆面の腕を差し押さえていた。 しかし実際にはレヴァンティンの幅広の刃が、覆面の腕の先から伸びている三本の鋭利な鉤爪に絡められている。 ヴィータを防衛したものの、先手を取られた失態にシグナムが舌打ちを打つ。 (そっちはそっちで対処を御願いっ……こっちは二人で乗り切れるわ) シャマルからの念話で、シグナムとヴィータはナイツの出現を察した。ヴィータも金袋を投げ捨てると即座に 赤い姿に変身し、一歩飛び退いてグラーフアイゼンの先端を覆面に突き付ける。 「大人しく素顔を見せろ」 シグナムがレヴァンティンを押し付ける膂力だけで相手の身動きを封じ、空いた片手で頭部を包んでいる布地を 取り払おうとする。 「シグナム!」 上空からの奇襲を感知し、ヴィータがシグナムの脳天へと急降下しているナイツ構成員を迎え撃つ。ヴィータの 強烈な横殴りの鉄槌が命中し、某オンラインゲームの戦闘人物を模倣した一名のナイツが消滅した。 束の間の隙を突かれたシグナムは、辛うじて鉤爪の至近攻撃を回避する。 シグナムと覆面の頭上で戦闘が発生し、地を蹴ったシグナムも夕陽に濡れるレヴァンティンを覆面の袈裟へと 振り落とす。頭部の布地を一切乱さず、覆面人物は華麗な足捌きで太刀から身を避ける。 「ふふっ、失敗。いえ、半分は成功かしら。どちらにしろ、私達は蚊帳の外……フフフ」 覆面が発した地声は、決して本心を窺わせない、まさしく己の素顔を徹底して隠匿する魔性の響きを有していた。 再度繰り出された炎の魔剣の一撃を、覆面の右腕の先から伸びる鉤爪が的確に食い止める。 「貴様、ナイツではないのか!」 シグナムが獅子奮迅の勢いで突進を仕掛けるが、覆面女性が掌から放った鮮やかな発光の衝撃波で吹き飛ばされる。 意表を突かれた迎撃で、シグナムの身体が奥の壁に激突した。 シグナムの怒声を裏付ける様に、覆面女性はヴィータと交戦しているナイツ各員に加勢をする素振りも無く、 黄昏に染まる空の中へと飛び上がる。 衝撃によろめくシグナムが歯を食い縛って見上げる先に、布地の下から黄土色の長髪だけが垣間見える。 ヴィータが戦線離脱を図る覆面女性を阻止しようと動くが、ナイツの妨害によって断念を強いられた。 「また機会があれば何処かで逢いましょう、ヴォルケンリッター。そして英利政美……お役目、ご苦労様です。 でも貴方はもう、ドクターの今後にとって──」 「待てっ!」 シグナムは至急立ち上がり、覆面女性の追撃に出ようとするが、輪型のバインドに四肢を拘束された。ナイツの 徒党を撃退したヴィータが地上に戻り、グラーフアイゼンの打撃でシグナムを縛るバインドを破壊する。 戦闘の余韻を漂わせるシャマルとザフィーラが、二人の空き地に合流して来る。その古代ベルカの騎士達を 嘲弄するかの様に、覆面女性の妖艶な高笑いが人気の無い裏路地に木霊した。 「彼女は一体何者……」シャマルの問いに、シグナムは痛恨の表情で沈黙するだけだった。 シグナム、ヴィータ、シャマルは多大な憾みに唇を噛み、それぞれ入手したプシューケー・プロセッサを堅く握り締めた。 To Be continued 戻る 目次へ 次へ
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カセに現れた救世主。 第三のGreenDays。 http //fesns.com/?m=pc a=page_c_home target_c_commu_id=5579 長きにわたる敗戦 滅亡の危機 そんな事態に幼女たちは立ちあがった 戦いたくなんてない、でもカセを守りたい 奪うのでなく、守るための力 それは、魔法と学業が並行する日々のスタート 魔法幼女リリカルなのら、はじまりますっ! カセ復興部隊()笑
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【魔法少女リリカルなのはシリーズ】の参加者の追跡表 高町なのは 4 NO. 作品名 作者 016 戦いの狼煙 ◆OCD.CeuWFo 035 ニアミス ◆gry038wOvE 045 nothing(前編)nothing(後編) ◆7pf62HiyTE 056 変身超人大戦・開幕変身超人大戦・危機変身超人大戦・襲来変身超人大戦・イナクナリナサイ変身超人大戦・最後の乱入者変身超人大戦・そして―――― ◆LuuKRM2PEg フェイト・テスタロッサ 6 NO. 作品名 作者 009 四重奏―カルテット―(前編)四重奏―カルテット―(後編) ◆amQF0quq.k 032 自業自得 ◆OCD.CeuWFo 039 彼らは知らない ◆LuuKRM2PEg 044 友へのQ/相棒との再会 ◆eQhlNH2BMs 048 戦いは始まる ◆Ltg/xlcQkg 059 答えが、まったくわからない(前編)答えが、まったくわからない(後編) ◆LuuKRM2PEg ユーノ・スクライア 5 NO. 作品名 作者 004 決意のT/少年の使命 ◆XksB4AwhxU 039 彼らは知らない ◆LuuKRM2PEg 044 友へのQ/相棒との再会 ◆eQhlNH2BMs 048 戦いは始まる ◆Ltg/xlcQkg 059 答えが、まったくわからない(前編)答えが、まったくわからない(後編) ◆LuuKRM2PEg スバル・ナカジマ 8 NO. 作品名 作者 012 あの時の自分と向き合って ◆XksB4AwhxU 024 現れた魔女! その名はノーザ!! ◆LuuKRM2PEg 034 捲られたカード、占うように笑う(前編)捲られたカード、占うように笑う(後編) ◆udCC9cHvps 056 変身超人大戦・開幕変身超人大戦・危機変身超人大戦・襲来変身超人大戦・イナクナリナサイ変身超人大戦・最後の乱入者変身超人大戦・そして―――― ◆LuuKRM2PEg 070 Lの季節/I don t know the truthLの季節/手ごたえのない愛 ◆7pf62HiyTE 090 青き地獄の姉妹 ◆LuuKRM2PEg 094 「親友」(1)「親友」(2)「親友」(3)「親友」(4) ◆gry038wOvE 106 解放(1)解放(2)解放(3)解放(4) ◆LuuKRM2PEg ティアナ・ランスター 6 NO. 作品名 作者 014 brother & sister (前編)brother & sister (後編) ◆7pf62HiyTE 050 飢・渇・心 ◆udCC9cHvps 058 未知のメモリとその可能性 ◆OmtW54r7Tc 075 新たなる戦い! 思いは駆け巡る!! ◆LuuKRM2PEg 097 ライバル!!誰?(前編)ライバル!!誰?(後編) ◆gry038wOvE 106 解放(1)解放(2)解放(3)解放(4) ◆LuuKRM2PEg 高町ヴィヴィオ 26 NO. 作品名 作者 010 戦慄のN/究極の闇をもたらす魔人 ◆FTrPA9Zlak 049 波紋呼ぶ赤の森 ◆eQhlNH2BMs 054 街(Nasca Version)街(Pine Version)街(Vivid Version) ◆7pf62HiyTE 064 風が私を呼んでいる ◆gry038wOvE 080 上を向いて歩け ◆LuuKRM2PEg 088 no more words ◆7pf62HiyTE 100 警察署の空に(前編)警察署の空に(中編)警察署の空に(後編) ◆gry038wOvE 118 メモリとスーツと魔法陣 132 人形遣いと少女 146 Bad City 1 Shape of my HeartBad City 2 Power of ShineBad City 3 Ghost in the ShellBad City 4 I Don’t Want to Miss a ThingBad City 5 星を継ぐ者-Shooting Star- 151 フィリップ少年の事件簿 謎の幽霊警察署殺人事件 ◆OmtW54r7Tc 163 騎士の物語ふたりの物語変わり者の物語 ◆gry038wOvE 168 壊れゆく常識 ◆LuuKRM2PEg 178 Waiting for a Girl ◆gry038wOvE 179 のら犬にさえなれない(前編)のら犬にさえなれない(後編) 182 The Gears of Destiny - 託される思い、激昂の闘姫 -The Gears of Destiny - 結成!ガイアセイバーズ ヒーロー最大の作戦 -The Gears of Destiny - 忘れえぬ思い出を胸に -The Gears of Destiny - 全参加者最終状態表 - 188 大いなる眠り(前編)大いなる眠り(後編) 191 黎明の襲撃者(小雨 2 00~2 10)黎明の襲撃者(雨 2 10~2 20)黎明の襲撃者(雷雨 2 20~2 30)黎明の襲撃者(風雨 2 30~)黎明の襲撃者(曇心 2 30~) 193 三番目のN/ああ鳴海探偵事務所三番目のN/孤門、目覚める 194 HOLDING OUT FOR A HERO!! - I need a hero -HOLDING OUT FOR A HERO!! - You need a hero - 200 怪奇!闇生物ゴハットの罠 201 覚醒!超光戦士ガイアポロン(Aパート)覚醒!超光戦士ガイアポロン(Bパート)覚醒!超光戦士ガイアポロン(Cパート) 208 崩壊─ゲームオーバー─(1)崩壊─ゲームオーバー─(2)崩壊─ゲームオーバー─(3)崩壊─ゲームオーバー─(4)崩壊─ゲームオーバー─(5)崩壊─ゲームオーバー─(6)崩壊─ゲームオーバー─(7)崩壊─ゲームオーバー─(8)崩壊─ゲームオーバー─(9)崩壊─ゲームオーバー─(10)崩壊─ゲームオーバー─(11)崩壊─ゲームオーバー─(12) 211 あたしの、世界中の友達あたしの、いくつものアヤマチ 218 BRIGHT STREAM(1)BRIGHT STREAM(2)BRIGHT STREAM(3)BRIGHT STREAM(4)BRIGHT STREAM(5) 219 変身─ファイナルミッション─(1)変身─ファイナルミッション─(2)変身─ファイナルミッション─(3)変身─ファイナルミッション─(4)変身─ファイナルミッション─(5)変身─ファイナルミッション─(6)変身─ファイナルミッション─(7)変身─ファイナルミッション─(8)変身─ファイナルミッション─(9)変身─ファイナルミッション─(10) アインハルト・ストラトス 11 NO. 作品名 作者 017 覇王と決意と蝙蝠男 ◆Z9iNYeY9a2 034 捲られたカード、占うように笑う(前編)捲られたカード、占うように笑う(後編) ◆udCC9cHvps 056 変身超人大戦・開幕変身超人大戦・危機変身超人大戦・襲来変身超人大戦・イナクナリナサイ変身超人大戦・最後の乱入者変身超人大戦・そして―――― ◆LuuKRM2PEg 073 黒き十字架(前編)黒き十字架(後編) ◆gry038wOvE 098 希望 ◆LuuKRM2PEg 100 警察署の空に(前編)警察署の空に(中編)警察署の空に(後編) ◆gry038wOvE 113 かがやく空ときみの声(前編)かがやく空ときみの声(後編) 114 Hボイルド探偵/ヤクソクノマチHボイルド探偵/ハーフボイルドノリュウギWっくわーるど/イチポンドノフクインWっくわーるど/ウルセイヤツラ ◆7pf62HiyTE 126 放送と悲しみとそれぞれの想い御大将出陣 ◆OmtW54r7Tc 137 街角軍記 ◆gry038wOvE 146 Bad City 1 Shape of my HeartBad City 2 Power of ShineBad City 3 Ghost in the ShellBad City 4 I Don’t Want to Miss a ThingBad City 5 星を継ぐ者-Shooting Star- 【魔法少女リリカルなのはシリーズ】 【仮面ライダーW】 【仮面ライダーSPIRITS】 【侍戦隊シンケンジャー】 【ハートキャッチプリキュア!】 【魔法少女まどか☆マギカ】 【らんま1/2】 【フレッシュプリキュア!】 【ウルトラマンネクサス】 【仮面ライダークウガ】 【宇宙の騎士テッカマンブレード】 【牙狼-GARO-】 【シークレット】 【超光戦士シャンゼリオン】 【主催陣営】 【外部世界】
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動力室での第二戦、はやて率いるヴォルケンリッターは、苦戦を強いられていた。 その大きな要因は二つあった、一つはガジェットVI型のバリアの強度である。 彼等のバリアは単体でザフィーラ程の強度があり、複数で張られた場合はその相乗効果によりまさに鉄壁ともいえる代物と化していたのだ。 次にバスターモードのベリオンの実力である、ルーンを組み替えることで発動させる事が出来るスキル能力、 マイトブロウを中心に一撃の威力を大きく高めるトゥルーシーイングや、再生能力であるリジェネーションヒールなどと、 強力なスキル能力に悪戦苦闘の状態が続いているのであった。 リリカルプロファイル 第三十七話 使命 とは言え此方の目的は動力炉の破壊である、つまりベリオン及びガジェットを動力炉から遠ざける、 もしくは抑えればいいのであって無理に相手をする必要はないのだ。 其処ではやては次の作戦を練り出す、それはベリオンの相手をザフィーラとシグナムが、ガジェット四体をヴィータ一人に任せ がら空きとなった動力炉をはやてのフレースヴェルグにて破壊するというものであった。 ヴィータにガジェットをあてたのはヴィータの気持ちを考慮した為である。 だが作戦を始める前にまずシャマルがヴィータにストライクパワー・フィールドインベイドのツインブーストを、 シグナムとザフィーラにはディフェンスゲインとアクセラレイションのツインブーストを掛けて強化させると、 一斉に動き出しヴィータはグラーフアイゼンをギガントフォルムに変え、四体いるガジェットのうち前方にいる一体に狙いを定め攻撃を仕掛ける。 だがガジェットはバリアを張り攻撃を受け止めると、受け止めている一体を中心に三方向、遠目で見ると三角形に見える位置を陣取り、 光弾がまるでマシンガンのように撃ち鳴らされる、ところがヴィータはパンツァーヒンダネスにて攻撃を防ぎ、 上空へと逃げ込みシュワルベフリーゲンを八発撃ち下ろして牽制、相手の動きを止めると 四体のガジェットの中心に潜り込み先程仕掛けたガジェットに横殴りでギガントハンマーを振り抜き吹き飛ばす。 すると対角線にいたガジェットからロケット弾が発射され、ヴィータは左手を向けてパンツァーシルトを張り難を逃れた。 一方でシグナムとザフィーラはベリオンの相手をしていた、だがベリオンのマイトブロウは強力で、 此方は回避を優先といった状況が続いていた、するとシグナムはカートリッジを一発使用して 刀身を炎で包み込み右に薙払うようにして紫電一閃を放つが ベリオンはバリア型のガードレインフォースを張り吹き飛ばされるも受けきり、左手をシグナムに向けて光弾を連射、 ところがベリオンとシグナムの間にザフィーラが割り込み障壁を張りこれを防いだ。 しかしベリオンは攻撃をやめず、続けて攻撃を仕掛けザフィーラを足止めすると 右手を向けてエネルギーをチャージし始める、するとザフィーラの頭上から飛びかかるかのようにしてシグナムが姿を現し 予め用意していた紫電一閃で一気に振り下ろす、ところがベリオンは右手をシグナムに向け始め、 エネルギーの直射砲を撃ち抜きシグナムは紫電一閃の威力を利用して直射砲を相殺、 直射砲は真っ二つに分かれシグナムの後方で爆発を起こしていると、ベリオンが目の前に現れ マイトブロウが効いた右拳を振り抜き、シグナムはとっさに刀身の面をを盾代わりにして攻撃を受け止める。 しかし衝撃全てを受け止める事が出来ず吹き飛ばされ、今度はザフィーラが入れ替わるようにしてベリオンに迫り、 魔力を乗せた右拳を頭部目掛けて振り上げ更に左拳の振り下ろし、続けて縦回転からの右のかかと落としが直撃しその巨体を揺らす。 ところがベリオンは何事も無かったかのようにザフィーラを見上げると、右拳をアッパーのように振り上げ、 ザフィーラは障壁を張って攻撃を受け止めるが、一瞬にして亀裂が走って砕け散り、拳が目の前に迫る中 顎を引くようにして半歩下がり紙一重で躱すと、反撃とばかりに左拳をベリオンの頭部に直撃させる。 しかしこの攻撃も余り効果無く、逆に右の裏拳が迫る中でザフィーラは先程と同様に障壁を張り、 砕け散る瞬間の間を利用して頭を下げて回避、頭頂の髪がこすれるギリギリのところで躱すが、すぐさま左の拳がザフィーラの顔目掛けて迫っていた。 するとザフィーラは右拳に先程以上の魔力を乗せて左拳を狙い打ち、辺りに衝撃波が爆音となって響き渡った。 その頃シグナムはある程度距離をとり刀身を鞘にしまい居合いの形で構えるとカートリッジを二発使用、 一気に引き抜き魔力と炎を纏った連結刃、飛竜一閃をベリオンに放ち、それを確認したザフィーラは すぐさま後方へと下がりベリオンは飛竜一閃に飲み込まれていった。 「主はやて!今です!!」 「分かっとるわぁ!!」 はやては二つ返事で答え予め用意してあったフレースヴェルグを動力炉に向けて撃ち放つが、 ガジェットVI型四体がフレースヴェルグを防ごうと飛びかかろうとしていた。 だがヴィータがフェラーテを用いて目の前に立ちふさがりギガントハンマーにて次々に床に叩き付ける、 幾ら強化されたガジェットであっても今のヴィータでは相手にはならない、それ程までに実力に差があったのだ。 「これなら直撃や!!」 はやては勝利を確信した表情を浮かべ、フレースヴェルグは動力炉に直撃、動力炉は土煙に包まれ 姿が見えない中、徐々に土煙が晴れ始めると其処には虹色の光に包まれた無傷の動力炉が存在していた。 「んなアホな!何でや!?」 「あの光……カイゼル・ファルベか! ?」 シグナムの放った言葉、それはつまり聖王の鎧が発動している事を指し示している、 だがカイゼル・ファルベ、つまり虹色の魔力光は聖王のみの能力であり、現状ヴィヴィオだけが使える代物のハズであった。 何故動力炉にそのような能力が備わっているのだろう…そうはやては疑問を感じ、ふと何気なくベリオンに目を向ける、 其処には動力炉と同様に虹色の魔力光に包まれ二周り巨大化したベリオンの姿があった。 「危険レベル更ニ上昇、サードモードカラミティヲ起動サセマシタ」 サードモード・カラミティ、体を巨大化させるだけではなく体内に存在する聖王の遺伝子に、 魔力を介する事で通常の魔力を聖王の魔力に変え、聖王の鎧の使用が可能となるベリオンの最終形態である。 しかもベリオンはゆりかごを起動させる為に動力炉と接続しており、それによってベリオンは動力炉の出力を 動力炉はベリオンの能力を共有する事になり、これによって動力炉を聖王の鎧で覆う事が出来たのである。 つまりは今のベリオンは動力炉と一心同体、ベリオンを破壊しない限り動力炉を破壊する事が出来ない、 その事実にはやては一つ舌打ちを鳴らし睨みつけているとベリオンははやてに襲い掛かり、 右拳に虹色の魔力を纏わせて更にトリプルエッジと呼ばれる一度で三度の攻撃効果を持つスキルを加えた一撃を振り抜く、 一方ではやては、それに合わせて三重の魔法障壁を張るのだが次々に破かれ直撃、 弾丸のように吹き飛ばされていく中で、はやての内側ではリインによる治療が開始されていた。 一方でヴィータはベリオンの変化に驚き更に、はやてが吹き飛ばされていくのをこの目で見て、 かつてのなのはの時と状況が被り目の色を変えてベリオンに襲い掛かろうとした。 だが、行く手をガジェットVI型が立ちふさがりヴィータは睨み付けながらギガントハンマーを振り抜いていく。 「邪魔を!するんじゃあ…ねぇぇぇぇ!!!」 振り抜いたギガントハンマーは次々にガジェットのバリアをまるで煎餅でも叩き割るかのように砕き本体に直撃、 ガジェットは大きくひしゃげ、一部は亀裂が入りその後大きな爆発を起こし残骸となった。 だがヴィータは見向きもせずベリオンに向けてコメートフリーゲンを撃ち抜き、 砕けた鉄球がベリオンに迫る中で、ベリオンはガードレインフォースを張り攻撃を防ぐと、 その攻撃に合わせてザフィーラの右拳がベリオンのガードレインフォースを砕き、 更に続けてシグナムによる右袈裟切りの紫電一閃を振り下ろすのだが、ベリオンは聖王の鎧にて攻撃を受け止め、 右手をシグナムに向けて虹色の直射砲を発射、シグナムはとっさにパンツァーガイストを自身に張り 直射砲に飲まれながらも辛うじて致命傷だけは免れた。 ベリオンの能力は確実に高まっており、それを身に滲みる程実感したはやて達は、 新たな作戦を練り始め、ベリオンと対峙するのであった。 一方でスバル達はナンバーズの最後の一人であろう女性、チンクの逮捕の為彼女を探し続けていた。 そしてある広場へと辿り着く、其処はだだっ広くヴォルテールすら召喚出来そうな程天井が高く造られていた。 すると何処からともなく声が聞こえ始めていた。 「…其は忌むべき芳名にして偽印の使徒、神苑の淵に還れ…招かざる者よ……」 「これって……」 「詠唱!!」 スバルの問い掛けにティアナが即答え声が聞こえる上空を見上げると、 其処には既に甲冑姿をしたチンクが左手を向けており、手には光が集まり出していた。 「マズイ!全員散開!!」 「セラフィックローサイト!!」 ティアナの指示の元、速やかに散開し先程までいた場所はチンクのセラフィックローサイトに包まれ、 入り口を吹き飛ばすとチンクはゆっくりと浮遊間があるように床へと着地する。 「先手必勝……とはならなかったか」 チンクは残念そうに見つめる中で警戒するスバル達、特にスバルはチンクの姿を見て一際警戒の色を宿していた。 何故ならば、この中で唯一チンクと戦闘した事があり、また敗北を喫しているからである。 彼女チンクが作り出す物質はスバルの振動破砕ですら破壊する事が出来ない、 その事を念話にて皆に伝えているとチンクがゆっくりと腰に携えていた剣を抜き出す。 「ならば…正攻法で行くまでだ!」 そう言って斜に構え対峙すると、スバル達もまた構えを取り始める。 暫く対峙していると先にチンクが動き出し斜に構えていた刀身をスバル目掛けて振り下ろす、 するとスバルは右手を向けてプロテクションを張り攻撃を防ぐと、 それに合わせてエリオがスピーアシュナイデンにて攻撃を仕掛けチンクに迫るが、 チンクは左手をエリオに向けてマテリアライズを行い三つ叉に分かれた槍を生成してエリオの攻撃を防ぎ、 更に後方へと飛ぶようにして下がると、それに合わせたかのようにスバルはナックルダスターを振り下ろす。 ところが既にスバルの行動を右目で予測していたチンクは、更に後方へと飛びこれを回避、 スバルのナックルダスターは床を瓦礫にして終えるとチンクは槍を捨て変わりに跳び舞う瓦礫を三つ左手で掴み取り、 その場で左に一回転すると左手には装飾が美しいダガーが三本握られており、それをスバル目掛けて投げ飛ばす。 だが、チンクの投げたダガーはスバルに届く前に、ティアナのクロスファイアによって撃ち落とされ 続いてキャロのツインブーストを受けたエリオがカートリッジを二発使用、魔力刃による突進メッサーアングリフにて攻撃を仕掛ける。 するとチンクは左手をエリオに向けてカートリッジを一発使用、丸みを帯びた中型の盾を形成し攻撃を左に受け流すようにして防ぎ 更にエリオに向けて斧の役割も担うハルバード型の槍を生成してエリオに投げつけようとしたが、 キャロによるアルケミックチェーンがチンクの周囲から現れ、チンクは一つ舌打ちを鳴らし 持っていたハルバードでアルケミックチェーンを薙払い更にキャロに向けて投げつける。 だがハルバードはキャロの前に躍り出たスバルのプロテクションにて弾かれまたもや舌打ちを鳴らすチンク。 「この眼も万能では…ないか」 チンクが持つ右目、ユーミルアイは見た対象の動きを予測する事が出来るのだが、 あくまで“見ている”対象のみで見ていない対象の行動を予測する事は出来ないのだ。 その為にチンクは大きく距離をあけて四人全員を見渡す位置を陣取り対峙する、 一方でチンクの一通り行動を目撃したティアナは、チンクの能力を分析しながら対抗策を練り始めていた。 場所は変わりなのははレザードがいるであろう場所に向かい続けていた。 その道中、多数のガジェットの攻撃に会うが此方も次々に破壊して何事も無かったかのように進み、 目的地である広場に辿り着くと、其処にはモニターを開き戦況を把握しているレザードの姿があった。 「…貴方もしつこいですね、二度ある事は三度あると…確か貴方の世界の諺でしたよね」 なのはは既に二度もレザードに敗北を期している、その事を踏まえなのはの世界の諺を使って 皮肉を口にするが、肝心のなのはは不敵な笑みを浮かべレザードの諺に対して反論する。 「確かにそんな諺もあるけど、三度目の正直って言う諺もあるんだよ」 そう言ってなのはは左手に携えたレイジングハートをレザードに向ける。 一方でレザードはなのはの言葉に…捉え方如何で様々な言葉が存在するのだな…と顎に手を当て考えていた。 「ならば私の言葉が正しいか、貴方の言葉が正しいか…決着をつけましょう……」 そう言ってネクロノミコンをグングニルに変え右手で携え構えると、なのはもまたブラスターシステムを発動させて構える。 この時なのはは自分の体の異変に気が付く、それはブラスターシステムの際に生じる負荷を感じ無いのだ。 すると腰に添えてあった杖が急に気になり目を向けるとミリオンテラーは淡く輝いていた。 恐らくこの杖によって体への負荷が無くなったのであろう、 つまりそれは全力全開で立ち向かう事が出来る事を意味していた。 「これなら……いける!!」 そう確信したなのははA.C.Sドライバーを起動させてストライクフレームをレザードに向けてすぐさま突撃、 しかしレザードはバリア型のガードレインフォースを張り攻撃を受け止めた。 するとなのははストライクフレームの魔力刃からディバインバスターを発射、 バリアごとレザードを飲み込み天井へと直撃させる。 そして天井は瓦礫と化して降り注ぐ中、左手を向けたレザードの姿があり、ダークセイヴァーを三本撃ち抜いていくと、 なのはは床へと着地、迫り来るダークセイヴァーを左に移動して回避、 難を逃れるとすぐさま右の人差し指を向けてアクセルシューターを五発螺旋を描くようにして発射、 だがレザードはリフレクトソーサリーを張りアクセルシューターを受け止め更になのはに向けて跳ね返し、 跳ね返ってきたアクセルシューターをなのはは同じくアクセルシューターを撃ち放ち相殺した。 「ほぅ…以前にも増して威力が上がっているとは……」 恐らくその影響は腰に添えてある杖の効果であると踏み、そしてまた力を得たという事は 以前のようにはいかないと考え、三賢人よりかは楽しめるであろうと不敵な笑みを浮かべるレザードであった。 一方でベリオンと対峙していたはやては作戦を練り終えそれぞれに念話にて指示を送る。 そしてまずザフィーラとシャマルが合わせて鋼の軛を放ち動きを封じようとしたが、 ベリオンは上空に逃げ難を逃れていると、その後方にはヴィータが位置付けており、右手に携えたギガントハンマーを振り下ろす。 しかしベリオンは左手にシールド型のガードレインフォースを張りヴィータの攻撃を受け止め、 逆にマイトブロウとトリプルエッジからトゥルーシーイングにスキル効果を切り替えた右拳でヴィータを吹き飛ばす。 一方でベリオンを見上げる位置では右側にはやて、左側にはエクストラモードを起動させているシグナムが佇み、 はやては剣に切り替えたシュベルトクロイツに炎が纏い、シグナムの左手には炎で作られた剣が握られ構えていた。 そして――― 『剣閃烈火!!火龍一閃!!!』 放たれた二発の火龍一閃は吸い込まれるかのようにベリオンに迫り飲み込むとそのまま壁に激突、 瓦礫となった壁落ちていく中、着弾点では巨大なシールドと聖王の鎧を纏い攻撃を耐え抜いたベリオンの姿があり、 反撃とばかりにベリオンは加速して二人に迫り右拳を振り抜こうとした瞬間、 エクストラモードを起動させたザフィーラが割って入り自身の最大数である五重魔法障壁を張り攻撃に備えた。 しかしベリオンの拳にはマイトブロウに加えトゥルーシーイング更には聖王の魔力を纏っている為に次々に砕け散り、 ベリオンの拳を自分の肉体で受け止め抑えつけていると、ザフィーラが声を荒らげる。 「シグナム!ヴィータ!!」 『応っ!!』 ザフィーラに呼応するようにして左からシグナムが、右からエクストラモードを起動させているヴィータが飛び出し、 シグナムは紫電一閃をヴィータはラテーケンハンマーをベリオンの胴体に打ち込み吹き飛ばした。 そしてベリオンは壁に激突し瓦礫が散らばっていく中で徐々に姿を現し、その胴体は深い切り傷と大きなへこみ痕が残されていた、 だがベリオンはトゥルーシーイングをリジェネーションヒールに切り替え徐々に傷口が治療されつつあった。 一方でザフィーラによって守られていたはやてはすぐさまヴィータと入れ替って距離を置き、 足下と目の前にベルカ式の魔法陣を張り、詠唱を始めると目の前の魔法陣から黒いスフィアが形成し始める。 そしてシグナムとヴィータの攻撃により壁に激突したベリオンの姿が現れると、 対面上にいた二人に離れるよう注意を促し、退避した事を確認するや否や杖をベリオンに向けた。 「遠き地にて…闇に沈め……デアボリックエミッション!!」 次の瞬間、黒いスフィアであるデアボリックエミッションはベリオンへと向かっていき直撃するハズであった、 だがベリオンは左手から虹色の魔力弾を連射させてスフィアの動きを鈍らせると、 右手にチャージされていた虹色の直射砲を撃ち放ちスフィアに直撃、暫くしてスフィアは砕け散った。 「んなアホな!!あの直射砲はあんだけの威力があんのか!?」 ベリオンのエネルギーは動力炉と繋がっている為に無尽蔵とも言えるほどのエネルギーを使用することが出来る、 だがそれだけではない、ベリオンはオブサベイションと呼ばれる一定の時間が経過する度に、能力が上昇するスキルを用いていた。 故に広域攻撃魔法に対抗出来る程の威力を誇る事が出来たのである。 ベリオンの実力にはやて達は警戒し一点に集まっていると、足下に巨大な複数の環状で構成される 多角形の魔法陣を張り、両手の平を広げてはやて達に向けると詠唱を始めた。 「闇ノ深淵ニテ重苦ニ藻掻キ蠢ク雷ヨ…彼ノ者ニ驟雨ノ如ク打チ付ケヨ!!」 「なぬ!?広域攻撃魔法やと!!」 そしてベリオンが向けた両手の間から黒いスフィアが形成され徐々に大きくなり、 両手を今度は頭上に掲げ更に巨大化、スフィアの中では稲光を発し飽和状態となった稲妻がベリオンの周囲に落ち床を砕いていく。 そして詠唱を終えたベリオンは掲げた黒いスフィアを力一杯はやてに投げつけた。 「グラビティブレス!!」 ベリオンの放ったグラビディブレスは吸い込まれるかのように迫りはやて達は飲み込まれ、 はやて達を中心に驟雨の如く雷が打ち続けていた、そしてグラビディブレスが消え去ると 其処にはザフィーラを前方にして巨大な全方向型の五重のパンツァーガイストを全員で張り巡らせて耐え抜いたはやて達の姿があった。 「ぬぅ…シャマルの支援がなければどうなっていた事か……」 そう言ってザフィーラを始め全員がバリアを解除する、実際シャマルの支援魔法であるがなければ 立っている事は出来なかっただろう…それ程までにベリオンの広域攻撃魔法は強力であったのだ。 相手は無尽蔵のエネルギーを持つ存在、しかもベリオンのスキルにより攻撃の威力は更に上がっていくだろう… このままではいずれ手に負えなくなり世界すら破壊する存在になりかねない、 そこではやてはベリオンを速やかに破壊する為に精神リンクによる夜天の書の魔力を共有を提案、 これによってヴォルケンリッターもまた夜天の書の魔力を使用する事が出来る為に全員は頷くと 早速はやて達は気持ちを合わせて集中、すると夜天の書が力強く輝き出し はやて達は強い魔力光に包まれるとそれぞれ構え始めベリオンと対峙した。 「いくでぇ!!」 はやての掛け声を合図にヴォルケンリッターは拡散するとベリオンに向かってはやてが飛び出し、 その動きに合わせてベリオンは右拳に虹色の魔力を纏わせマイトブロウとトゥルーシーイングの効果がある一撃を振り抜く、 だがはやては足に渦状の白いフェラーテと背中のスレイプニールを用いて右に急速旋回、 見事ベリオンの後ろをとるとシュベルトクロイツをハンマーに変え更に巨大化させてギガントシュラークを背中に打ち込む。 しかしベリオンは聖王の鎧を纏い辛うじて防いだのだが、はやては足を踏ん張り両腕に魔力を込めて強化させ 更に鎚とは対称の位置から魔力を大量に噴射、推進力にしてベリオンごと右回転をし始める、 そして回転速度が最大になるとそのまま天井を打ち砕くかのように振り上げた。 「ヴィータ!!」 「よっしゃあ!!」 上空には巨大なドリルが特徴的なツェアシュテールングスフォルムで構えていたヴィータの姿があった。 すると体に纏う雷が輝き出しドリルを覆うと回転し始め、けたたましい音を奏でる。 その中で鎚が柄から放れ間を強力な雷で繋がれており、更にその場で回転し始めるヴィータ。 そして最高速度に達したヴィータは迫ってくるベリオン目掛けて鎚を振り下ろした。 「食らえ!!ミョルニル!ハンマァァァァァ!!!」 振り下ろした鎚は見事にベリオンの腹部に直撃し、まるで雷が落ちたかのような音を奏でて床に激突した。 そしてベリオンが落ちた場所は土煙に覆われ姿を消し去っていると、土煙の中へはやてが飛び込み シュベルトクロイツを剣に変えてベリオンの姿を探っていると虹色の光弾が幾つも襲いかかり、 はやては剣やパンツァーシルトで次々に弾いていると目の前にベリオンが姿を現しその右拳を振り下ろした。 だがはやてはパンツァーシルトをベリオンの拳に向け砕ける一瞬の隙をついて後方へと回避、 土煙から脱出するとベリオンが追いかけてきており、その行動に不敵な笑みを浮かべるはやて。 すると次の瞬間、ベリオンの周囲から鋼の軛が姿を現れベリオンの動きを封じ込めた。 はやては前もってシャマルに鋼の軛の用意を念話で指示し、自らが囮となってベリオンをおびき寄せその後鋼の軛を発動させたのである。 「シグナム今や!!」 「了解です」 上空ではレヴァンティンをボーケンフォルムに変えて構えているシグナムの姿があり、 ベリオンに狙いを定めるとシュツルムファルケンを撃ち放ち貫くと衝撃が辺りに響き渡る、 だが未だベリオンは動きを見せており、右手をシグナムに向けて直射砲を発射、 シグナムは飛び出すように左へと回避、直射砲は天井に直撃し瓦礫が降り注いでいると はやてがブラッディダガーを大量に撃ち放つのだが、ベリオンはシールド型のガードレインフォースを張ってこれを防ぐ。 ところがはやてはすぐさまベリオンの懐に入り、剣に変えたシュベルトクロイツによる紫電一閃を右に薙払いシールドを破壊、 その場で一回転するとシュベルトクロイツがハンマーに変わっており、続けてラテーケンハンマーを撃ち抜いて聖王の鎧を破り、 シュベルトクロイツを杖に戻すとそのままフレースヴェルグを撃ち抜きベリオンを吹き飛ばした。 「そっちへ行ったで!ザフィーラ!!」 「承知っ!!」 其処には八枚の刃を浮かばせて構えているザフィーラの姿があり、ベリオンの姿を目撃すると刃を飛ばし ベリオンの体を次々に切り裂き最後にザフィーラの右腕に一直線に集まると一気に振り下ろした。 ザフィーラのグリムマリスはタイミング良くベリオンに直撃して床に巨大なクレーターを作り出し 更にはベリオンの巨体を跳ね飛ばす程の衝撃を与えたのだが、ベリオンはゆっくりと起きあがり未だに動ける状態であった。 だがダメージがあるのは明白で、動きは鈍く体の至る所に凹みや亀裂が走っていた、 その為はやてはとどめとばかりに足下に円状のミッド式魔法陣を目の前には三角状のベルカ式魔法陣を広げ 三角状の魔法陣の各頂点上に三種のそれぞれ異なる性質の魔力がチャージされていく。 一方でベリオンもまたスキルのマイトブロウを魔法威力を高めるスキル、オーバーロートへと切り替え 足下に巨大な魔法陣を広げて詠唱しながら両手を広げると黒いスフィアを形成、 更に両手を上へと掲げ黒いスフィアを巨大化させて先程と同様の広域攻撃魔法を準備し始める、 そして双方の準備を終えると一斉に掛け声をかけた。 「響け終焉の笛!!ラグナロク!!!」 「グラビディブレス!!」 次の瞬間、三種の魔力砲が放たれ一方で黒いスフィアが投げられ両者の間にて激突、 はやては足を踏ん張り衝撃に耐えながら必死に抵抗、ベリオンもまた両手から魔力を衝撃波に変えて抵抗していた。 その為に両者の攻撃は暫く均衡していたのだが、徐々にではあるがはやてが床を削るようにして押され始め、苦虫を噛むような表情を浮かべる。 一方でヴォルケンリッターは主の為に何も出来ない今の事態に歯噛みしていた。 その時である、シャマルから一つ提案が浮かぶ、それは精神リンクを介してはやてに魔力を分け与えると言うものである。 はやてヴォルケンリッターは精神リンクによって夜天の書の魔力を共用する事が出来る、これは言い換えれば魔力を通す道や管で繋がっているとも言える。 だからこそその逆が可能ではないのか?これがシャマルの言い分であった。 「なるほど…試してみる価値はありそうだ」 シャマルの提案にシグナムは乗り他の二人も頷くと自分の中に存在する精神リンクを探りそれぞれ見つけると、はやてにその旨を伝え魔力を込め始める。 そして自分達の魔力を精神リンクによって伝えはやての魔力、更には夜天の書の魔力を強化させていった。 「コイツなら…コイツならいける!!私らの絆…なめんなやぁぁぁぁぁ!!!」 はやてはみんなから託された魔力を使いラグナロクを威力を高めグラビディブレスを打ち砕き、 そのままベリオンに迫まるが、ベリオンはシールドと聖王の鎧を張り耐えようとした。 だが威力を高めたラグナロクはシールド並びに聖王の鎧を打ち破り胴体に直撃すると その巨体を浮かばせて動力炉に直撃、更には胴体を貫き動力炉にまで及び大爆発を起こす。 その影響で部屋全体は土煙に覆われ、はやて達の姿を覆い隠し暫くして土煙が落ち着き始めると 動力炉は破壊され両腕と頭部のみを残したベリオンの姿が現れ、 はやて達は当初の目的である動力炉の破壊を果たしたのであった…… 前へ 目次へ 次へ