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夏祭りのあった日の翌日。 いつも通り皆より早く起床したデルは、ジムの開店業務を行っていた。 「♪~♪~」 ご機嫌な様子で床にモップをかけ、てきぱきと仕事を終わらせていく。 アキラは今頃、ホウを叩き起こしにかかっている頃だろうか。 そうして一通りの作業を終え、デルはシャッターを開けに玄関へと向かった。 「さーて、今日も一日頑張りましょう♪」 と、勢い良くシャッターを上げ。 ……軒下に逆さにぶら下がっている男と目が合った。 というか、合ってしまった。 「グッモーニンお嬢さん!早速だけどリーダーさんplz」 「っっっっっ、きゃああああああああああああああああああ!!!!!」 「アンビリィバボゥッ!?」 ズバババババババババァッ!!! ドシャア!!! デルは反射的に悲鳴を上げつつ、悪の波動を最大出力で放っていた。 そして衝撃で錐揉み回転しながら吹っ飛ぶ男。 彼はギャグ漫画のように頭から地面へと墜落した。正に車田落ち。 それを見届けて、デルはへなへなとその場に座り込んでいた。 「朝一で変質者だなんて……今日は厄日でしょうか……」 『挑戦者は異邦人?』 「で、君の弟さんに取り付いた悪霊の言うとおりに俺を訪ねてきたと」 あの後悲鳴を聞いて駆けつけたアキラは、事情を聞くべくエドと名乗ったその男を応接室へと通した。 後ろには彼の相棒(兼自称監視役)だというカメックスの青年……名を凛悟と言うらしい……が申し訳なさそうについてきている。 デルはというと、お茶を置いてさっさと退出してしまった。 「YES!YES!YES!話がわかるねリーダーさん!」 「あんたとりあえず大人しくしてようよ!リーダーさん引いちゃってるでしょ!?」 「アキラでいい……ってか、何でわざわざあんなことを」 「ガ イ ア が 僕 に も っ と 輝 け と 囁 い た の で」 「今日はいつにも増しておかしいな、おい!?」 「んなことでうちの嫁にトラウマ植え付けんでください」 「嫁?あの可愛らしいお嬢さんが?」 「ああ、でも結構根に持つタイプだから気をつけ……っと、そうじゃなくてだ」 こほん、と咳払いするアキラ。 「で、結局のところ俺はどうすればいいんだ?三行で頼む」 「話して 戦って くんずほぐれつ」 「意味わからんだろそれ!?」 「把握した……んじゃ、バトルフィールドへ行こうか」 「って把握しちゃったの!?これで把握できたの!?」 そんなわけで、二人はバトルフィールドへと移動した。 室内のフィールドはまだ準備ができていなかったので、今回は天候対応型の屋外フィールドである。 「そんじゃ、ルールを確認しようか。手持ちの数はそっちに合わせて5vs5、勝利条件は相手の手持ちの全滅だ」 「ああ、了解した」 お互いトレーナーエリアに立ち、先発のボールを持って構える。 「準備はいいな?」 「応!」 「「行けっ……」」 「恋歌!」「メリィ!」 先発はお互い弱点の少ない電気タイプ。 恋歌は高機動型のサンダース族、対するメリィは耐久重視のデンリュウ族。 互角に見える両者、だが恋歌の特性である「蓄電」によりメリィは主力の電気技を無効化されるという状況だ。 中央を挟んで少しの間睨み合う両者。 先に動いたのは、恋歌の方だった。 「恋歌、雨乞いだ!」 「おっけーっ!」 自慢の速度は技の展開スピードにも影響を与える。 空は見る見るうちに曇り始め、あっという間に天候は大雨へと変化する。 狙いは雷の必中効果か、それとも後続に強力な水技使いが居るのか。 何にせよ、アキラが出す指示は始めから決まっていた。 「メリィ、光の壁!」 「うんっ!」 メリィの腕に、光の粒子が集まったような盾が出現する。 それを見たエドは、内心舌打ちをしていた。 蓄電を盾に雷の連打で削る作戦だったが、光の壁がある状態では威力が半減する。 このまま戦うとどうなるか。体力で劣る恋歌が先に落ちるのは明白であった。 「くっ……恋歌、戻れ!」 デンリュウ族は元々の特殊防御力も高い。 更に光の壁を纏い、正に鉄壁といえる状態。 「(だったら、物理技で落とす……!)言ノ葉、頼んだ!」 「はいっ!」 「気をつけろ、すぐにでも攻撃が来るはずだ……!」 雨で視界が悪くなっている中、身構えるマッスグマの言ノ葉。 だが、メリィは攻撃をしていなかった。 ただ、その額と尻尾の先端の発光珠が。 アサギで燈台守をする同族のように、激しく光り輝いていた。 ──『充電』。 自らの特殊防御力を強化しつつ、次に放つ電気技の威力を倍化させる、攻防一体の補助技である。 ……アキラは、恋歌の交代を読んでいたのだった。 「……っ、まずい!言ノ葉!」 「っ……!」 主の意を一瞬で汲み取り、言ノ葉は目にも留まらぬ速さでメリィに襲い掛かる。 それは正しく「神速」。 だが、速度はあれどその攻撃は……そのままではメリィには軽すぎた。 数回の打撃を難なく受け止めると、いまだに飛び回る言ノ葉を。 「……メリィ、雷だ!」 「うあああああああああああああああっ!」 ドンッ! 白銀の雷光で、貫いた。 「っ……ぁ……」 並みの雷の三倍の威力を誇るソレは、並みの特殊防御力しか持たない言ノ葉を、意識すら残すことなく一撃で墜としていた。 エドは言ノ葉を回収すると、次のボールに手をかける。 「(恋歌ではジリ貧、ジニーとリンは相性が悪すぎる……天候が悪いが、仕方ないか)……アルバート!」 「了解だ……言ノ葉の仇、討たせてもらう」 雨粒をその身に受けながら、バシャーモのアルバートはメリィに向かって駆ける。 必殺のフレアドライブが機能しない状況で、彼が打てる手は一つだけだった。 「スカイアッパー!」 「がふっ……!」 至近距離に踏み込んで跳び上がり、顎を下から打ち抜く。 脳が揺さぶられる衝撃に意識を手放しそうになりながらも、メリィはお返しとばかりに雷で反撃する。 「いっ……けぇ!」 「ぐぉっ……!?」 空中で狙われ、回避行動もとれず(とれたとしても避けることは叶わないが)直撃を受けるアルバート。 両者共に受身を取ることができず、背中から派手に地面へと落ちた。 「メリィ、大丈夫か?」 「そろそろ……きついかも」 「アル、もう一撃でシメだ!」 「……エド、すま……ん」 「アル?……っ、まさか!」 アルバートは、大の字に倒れたまま起き上がることができないでいた。 ……特性『静電気』。 触れた相手を一定の確率で麻痺させるという、メリィの鈍さを補うことのできる特性。 「チャンスだ、もう一撃!」 「……っぁ、ええぇぇい!」 「がぁっ……!!!」 再度落ちてきた雷に、言ノ葉に続いてアルバートも沈黙した。 それと同時に、雨の勢いも次第に弱まってくる。 エドはアルバートを回収しつつこの状況での最善の一手を考察、それを実行した。 「くっ……そぉ!恋歌、雨が止む前に間に合わせろ!」 「うっりゃああああああ!」 恋歌が放ったのは、光り輝く水飛沫のビーム……水属性の目覚めるパワー。 それは止みつつある雨粒を巻き込み、メリィに届く頃には威力を倍化させていた。 メリィは光の壁を纏った腕を交差させ……当たる瞬間、光の壁が掻き消えた。 「え……うわああああああああっ!!!」 積み重なったダメージに、ついにダウンするメリィ。 「メリィ!」 「あはは……私、休むね……」 「ああ、お疲れさん……デル、頼むぞ!」 「お任せください!」 アキラはメリィを回収し、二番手としてデルを繰り出す。 それと同時に、雨も降り止んだ。 睨み合うデルと恋歌。 どちらも高機動型アタッカーながら、若干恋歌の方が速い。 更に、水技を持つ恋歌に対してデルは炎タイプを持つヘルガー族。 ……アキラにとって、この選択は一種の賭けであった。 そして、その賭けは。 「恋歌、もう一度雨乞いだ!」 「よーっし!」 アキラの、勝ちだった。 「(読みどおり……!)デル、悪の波動!」 「はいっ……はああああああああああああ!!!」 雨を全身に浴びながら、己の悪意を具現化した黒い光を顕現させるデル。 その瞳は、ただ一点。 ……恋歌の比較的豊かな双丘を、鋭く睨み付けていた。 「(妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい、その豊かな体つきが本ッ当にネタマシイ……)」 「っ!?な、何?ボク何か恨まれるようなことした!?」 「……ご自分の胸に聞いてごらんなさいっ!!!」 ……誰が上手いこと言えと。 それはともかく、怯んだ恋歌にデルは容赦なく悪意の光をぶつけていく。 ……心なしか、胸ばっか狙っているように見えるのは気のせいだろうか。 何にせよ効果はあったようで、恋歌は大きく弾き飛ばされる。 「っげほっ、何なのさもう~~!!!」 「落ち着け、次の一撃で決めるぞ!」 「当然っ!」 先制でデルを落とすべく、恋歌は目覚めるパワーを発動させようとする。 ……そして、それもアキラの読みどおりであった。 「……甘いです」 「え……げぅっ!?」 恋歌の死角から不意に現れたデルは、彼女の腹に拳を打ち込んでいた。 『不意打ち』。 相手の攻撃しようとする隙を突き、先に攻撃をする技である。 急所にクリーンヒットを貰い、恋歌はその場に倒れ伏した。 「してやられた……!リン、頼む!」 「全く、しっかりしてよ……凛悟、行きます!」 恋歌を回収し、後の無いエドは切り札であるカメックス……凛悟を繰り出す。 「さて……アルじゃないけど、レンの仇は討たせてもらうよ?」 そうして放たれるは「波乗り」。 デルはその瀑布の中に、為すすべも無く飲み込まれ……その中から一条の光線が、凛悟を撃ち抜いた。 「うぐっ!?」 「今のは……ソーラービーム?」 「ああ、パワフルハーブを使ってな。雨じゃ威力は半減だが……効果は抜群、ならトントンだ。デル、お疲れ」 「はい……」 ずぶ濡れになったデルを回収し、アキラは三番手としてリースを繰り出した。 「うふふっ、よろしくね。ボウヤ♪」 「…………(ピキッ」 「(……スリーパー、か。欠伸は効果なし……なら)普通に攻めるぞ、波乗り!」 「……うおおおっ!!!」 坊や扱いに気を悪くしたのか、いつもより心なしか大き目の波乗りがリースを襲う。 それに怯むことなく、リースは凛悟の目を見つめていた。 そして、波が過ぎ去った後。 「っ、流石に効きますわね……」 フィールドには膝を着くリースと。 「ZZZ……」 立ったまま眠りこける、凛悟の姿があった。 「催眠術……!」 「よし、リース!」 「ええ、頂きますわね♪」 即座に夢喰いをかけようとするリース。 流石にそれを許すわけにはいかず、エドは慌てて凛悟を引っ込めた。 「やべっ、戻れ!」 「あぁん、残念……」 「(咄嗟に戻したが、相性最悪じゃないか……)ええい……ジニー、済まない!」 そして現れるエドの最後の手持ち……クロバットのヴァージニア。 言うまでもなく、エスパーであるリースは最悪の相手である。 「……何だか、前回も似たような状況だった気もするのだけれど」 「本当に、ごめん……」 「いいのよ、手は……無くはないのでしょう?」 「……っ、ああ!」 力強く応えるエドに、ヴァージニアは微笑み。 並みの萌えもんを寄せ付けないスピードで飛翔し、リースに迫る。 「エディ、指示を!」 「怪しい光だ!」 「……!?」 接触する、という瞬間。 ヴァージニアはリースの顔に向け、紫色の光を浴びせた。 見た者に幻覚を見せ、正常な判断をできなくする「怪しい光」。 リースはそれをまともに見てしまい、混乱状態に陥った。 「あら?あらあら?デルちゃんが、メリィちゃんが、サイホちゃんがいっぱいいますわ~???」 「ちっ、リース!幻覚に惑わされるな!左後方120度、仰角60度にサイコキネシス放射!」 「わかりましたわああぁぁぁ???」 わかっているのかいないのか、リースは目を回しながら言われたとおりの方向に手を掲げて念力を放つ。 ある程度広域に拡散したため威力は若干落ちたが、それでもヴァージニアを落とすには十分な威力。 そしてくるくると回転しながら空へと放たれたソレから、ヴァージニアは逃げ切ることができなかった。 「ああああああっ!!!」 「ジニー!」 「後は、任せましたわ……早く、目を覚ましなさいな」 そして場には錯乱しているリースと、眠りこけている凛悟。 「ZZZ……」 「め~が~ま~わ~り~ま~す~の~??????」 「「…………」」 ……中々にカオスである。 そして。 ゴスッ。 「べぶぼっ!?」 フィールドの角に立っているポールに顔をぶつけ、リースは気絶した。 「なー、アキラさん」 「……何だ?」 「こういうとき、どんな顔すればいいかわからないの」 「……笑えばいいと思うよ」 「プギャー(^Д^)9m」 「(#^ω^)ビキビキ」 と、そんなやりとりをしつつもアキラはリースを回収する。 そして四番手として、ゲンを繰り出した。 「さぁて……真打ちは遅れてやってくる、ってな!」 「頼んだぞ、夢喰いだ!」 「任せろおっ!」 眠り続ける凛悟に、見事に夢喰いは決まる。 そしてそのショックで、彼はようやく目を覚ました。 「……はっ、状況は?」 「だいぶマズい。ってかお前以外全滅」 「何ですとおおおおっ!?」 「だがジニーが頑張ってくれたから、まだ何とかなる。分は悪いが……やれるな、相棒?」 「……ああ!」 そして改めて二人は相対する。 「(ゲンガー相手に眠ったら相手の思うつぼ……なら)波乗りだ、決めて見せろ!」 「ゲン、出し惜しみはナシだ……シャドーボール、ありったけ投げつけろ!」 「「うおあああああああああああああああああああああああああああっっっっっっ!!!!!」」 互いに全力。 凛悟の作り出した瀑布はゲンを飲み込み、フィールドを超えるかのような勢いで押し流していく。 ゲンの投げつけたシャドーボールも、殆どが凛悟に着弾。余波で周辺には土埃が舞った。 ……そして。 「──。」 「っは、はぁっ、はぁっ……やった、か……?」 ゲンはフィールドの端でうつ伏せに倒れている。 一方で凛悟は、膝をつきながらも意識を保っている。 首に巻いているマフラーからは、微かに光……隠されていた気合いの鉢巻のものである……が漏れていた。 ……数秒の時が流れ。 「――ま、だだ……」 ゆっくりと。 頭に巻いているボロボロの鉢巻を光らせながら、ゲンは立ち上がった。 「……あんたも、そいつの使い手だったとはね」 「はっ……そいつはオレのセリフだ」 ……お互い、あと一発。 鉢巻さえ発動し続ければ、いつまでも戦いは続くがそうもいかないであろう。 ……動いたのは、凛悟の方だった。 「終わらせる……波乗り……!」 「…………」 再びゲンに迫る瀑布。 その向こうにいる凛悟に人差し指を向け、ゲンはニヤリと笑って言った。 「……チェックメイト、だ」 そしてゲンは波に飲まれ、意識を手放した。 「これであと一人、か」 「ああ、そうだな……ゲン、よくやった」 そう言ってアキラはゲンを回収し、最後にサイホを繰り出した。 「サイドンか……リン、勝てるぞ」 「――――――――」 「……リン?」 返事をしない凛悟。 ……彼は、立ったまま気絶していた。 「……悪いな。何度も発動されたら困るんで『道連れ』を使わせてもらった」 「……そう、か……戻れ、リン」 エドは凛悟を回収する。 戦いは、アキラの勝利で幕を閉じた。 その後、エド達はジム備え付けの装置で回復し、来たときのハイテンションが嘘のような状態でジムを去っていった。 アキラ達はその後も業務を続け昼休みに入ったとき、デルがアキラの下へやってきた。 「ご主人様」 「ん、デルか。どうした?」 「いえ、その……今朝の方々は、またいらっしゃるのでしょうか」 少し困惑した表情でそう言うデル。 今朝の奇行にいきなり遭遇すれば、そりゃ次が心配にもなるだろう。 「ま、十中八九来るだろうな。話して戦闘はしたが……まだ三行目がクリアできてないし」 「はぁ……憂鬱です」 「あー、んじゃ明日から暫くは俺がシャッター開けるから。そんなら大丈夫だろ」 「そうですね……申し訳ありませんが、お願いしますね」 そう言ってデルは昼食の支度を手伝うべくキッチンへと向かう。 アキラはというと、エドとの戦闘を振り返っていた。 「……今回は運良く翻弄できたが、次は……」 幸運に続く幸運。 初手の相手の雨、静電気の発動、急所に入った不意打ち、錯乱してなお当たった攻撃、最後の鉢巻合戦。 どれか一つでも落としていたら、勝敗はひっくり返っていただろう。 アキラは、既に次の戦いに思いを馳せていた…… ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・後書き ども、毎度お馴染み曹長です。 ……あれ、前回の投稿から一週間経って……無い……? うむ、テスト補正恐るべし(ぇ と言うことで今回は番外編、ってか未来編。 吸血の人のとこの子がジムに遊びに来たよ!ってお話でした。 私にしては珍しくガチバトルしてたなぁ……てか割とゲーム準拠に戦わせたら脳味噌沸騰して(ry あと戦闘後のパートが短いのは仕様です(マテ さて、それじゃこの後は吸血の人にバトンタッチだ! ……未来編増えてきたし、外伝から移そうかしら…… それでは、また次回の後書きでお会いしましょう。
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夜。 それも世間一般では、草木も眠る丑三つ時とも言われる深夜。 シオンタウンの萌えもんセンターは、いまだに灯りがついていた。 もちろん、この日…というか、前の日の営業時間は終わっている。 灯りがついているのはとある個室…ヨルノズクのホウに割り当てられている部屋であった。 「………(ぱりぱりもぐもぐ」 彼女はスナック菓子をぱくつきながら、「週間萌えもんの友」という雑誌をめくっていた。 時々喉が渇くらしく、横においてあるミックスオレを一口。 「…ん、やっぱり夜更かしのお供はミックスオレ」 そこらへんは彼女なりに中々拘りがあるらしい。 再び菓子に手をつけ、雑誌をめくる。 記事はニュースからコラム、ゴシップや漫画まで様々。 それらの殆どに目を通し、独り言を呟く。 「今週号はあまり面白そうな記事が……!?」 と、そこでめくるのを止め、とある記事を凝視する。 「……じゅるり…」 そう呟いた彼女の表情は、相変わらず無表情に見える。 だが、この場に彼女のことをよく知る人物が居たならばこう言っただろう。 「何かを企んでいる表情だ」と。 彼女はそのまま、そろそろと部屋を出て行く。 部屋には、食べかけの夜食と開いたままの雑誌が残された。 『シオンタウン大規模夢喰い事件(前編)』 翌朝。 デルはいつものように早起きして、アキラたちの朝食を準備していた。 「ふふふふ~ん♪ふんふふふ~ん♪」 良い夢でも見れたのか、ずいぶんとご機嫌なデル。 センターの中で流れているBGMに合わせ、鼻歌を歌いながらてきぱきと準備をする。 黒いワンピースに白いエプロン姿で家事をするその姿は、さながらメイドのようである。 というか、彼女自身はメイドのつもりでやっているので当然かもしれないが。 と、そこに瞼をこすりながらメリィが現れた。 「うぅ…おはよう、デルちゃん…」 「あ、おはようございます」 ご機嫌なデルとは裏腹に、脱力したように食卓に着くメリィ。 「ふみゅぅ~…」 「いったいどうしたんです? なんだか疲れてるみたいですけど」 「ぅー…なんだか夕べは夢見が悪くて…」 「あら、悪い夢でも?」 「ううん…夢を見なかったの…」 「え?」 デルは少し考え込む。 夢を見なかっただけで、ここまで脱力するだろうか。 それはない、と彼女は結論付ける。 実際彼女自身、夢を見なかった夜は少なくない。 しかし、あそこまで憔悴するようなことはなかった。 「それじゃわからないんですけど…」 「うーん、見なかったというより…食べられたって感じかな」 「食べられた?」 「うん、『夢喰い』でもされたような感じ」 「…やっぱり私にはわからないですね。私は『夢喰い』はされたことがないので」 「そっか、デルちゃんは悪タイプだから…」 「ええ…では、誰かに夢を食べられたのでしょうか…」 と、そこでまた一人食卓へと人が現れる。 その人物…アキラも、疲れたような感じで食卓に突っ伏した。 「おーっす、おはよう…」 「おはようございます、ご主人様」 「あ、おはよぅマスター…」 「あの…もしかしてご主人様も夢が?」 「えー、なんでわかったんだ…?」 驚いたような声で、しかし顔は上げずに受け答えするアキラ。 それにデルが答えるのを遮るように、館内放送が鳴った。 『お客様の中にジムバッジを4個以上お持ちの方がいらっしゃいましたら、至急1Fロビーまでお越しください。繰り返します…』 「「「……」」」 顔を見合わせる三人。 一応カントーに来る前に、ジョウトのジムは制覇していたのでバッジは足りている。 数瞬の後、アキラは覚悟を決めたように席を立った。 「しゃーない、行くか…」 「何があったのでしょうか…?」 「マスター、いってらっしゃい」 「おーう、行ってくる…」 ふらついた足取りのまま、アキラはロビーへと向かうのであった。 アキラがロビーへと到着すると、既にそこそこの人数のトレーナーが集まっていた。 アキラもその中に加わって少しすると、奥から青い制服に身を包んだユキメノコが現れた。 「トレーナーのみなさん、おはようございます。私は萌えもん警察シオンタウン支部所属のユキメといいます」 ユキメは簡潔に挨拶を済ますと、状況の説明に入った。 余談だが、シオン支部所属の萌えもんはゴーストタイプが多いらしい。 「昨夜から今朝にかけて、シオンタウン全域で大規模な夢喰いによる安眠妨害が発生しました。 我々警察では土地的な条件を考え、萌えもんタワーの結界が破れて野生のゴースト萌えもんが町を徘徊した結果だと判断致しました。 今回皆さんに集まっていただいたのは、結界修復時に祈祷師の方々を護衛していただくためです。 今回の事件は、規模を考えると敵はあまりにも強力か数が多いと思われます。 なお、協力は任意で結構です。何か質問のある方はどうぞ」 静まり返るロビー。 ユキメは一通りトレーナーを見渡して確認して言う。 「…それでは、ご協力いただける方は30分後にまたここに集まってください。では、解散」 「…だとさ。結構な大事になってるみたいだ」 アキラは朝食を食べながら、先ほど受けた説明をデルとメリィにしていた。 「それは…見過ごしてはおけませんね」 「ほっといたら、文字通りゴーストタウンになっちゃうかも…」 「だな。んじゃ、飯食い終わったら行くぞ」 「あ、ご主人様。ホウさんはまだ寝てますけどどうしましょうか」 「そういえば、暢気に『もうお腹いっぱい…』とか寝言言ってたよ」 「ったくあいつ、また夜更かししてたのか」 ホウの夜更かしに、アキラはやれやれといった感じでぼやく。 だが彼女の夜更かしは今に始まったことではないし、生活リズムには種族的な所も多く出るので仕方がないとあきらめていた。 「しゃーない、ホウはおいてこう」 「わかりました。あ、荷物の準備はしてありますから」 「おう、毎度毎度ありがとな」 「いえ、そんな褒められる程のことでは…///」 アキラがデルの頭を優しく撫でてやると、デルは頬を染めて嬉しそうにしていた。 一方でメリィは、目の前でいちゃつかれてあまりいい気分ではないようで。 「…マスター、ごゆっくりどーぞ」 さっさと朝食を平らげ、寂しそうにそう言い残して部屋に戻ってしまった。 「あ、メリィ…」 「ご主人様、荷物のことなんですけど…実は殆ど、メリィさんが準備してくれたんです」 「ああ、そうか…しまったな」 「ですから…今はメリィさんの所へ行ってあげてください。片付けは私がやっておきますから」 「すまんな。じゃ、いってくら」 皿に少しだけ残っていた朝食をかきこみ、アキラは席を立つ。 そしてどうメリィを宥めるか考えながら、彼女の部屋へと向かった。 ちなみに、彼女の機嫌を直す代償はサイコソーダ1本で事足りたのであった。 (後半へ続く) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・後書き どうもこんばんわ。3度目の曹長です。 今回はシオンタウンを舞台に、アキラと愉快な仲間たちが大活躍する(予定の)お話です。 後半はまだ書いてませんが、前半だけで結構長くなったので先走って投稿しちゃいました(ォィ 次回は意外な結末が待っているかもしれません。 では。
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クチバシティ。 カントーでは一番の港を持ち、人と物と情報の行き交う交易の町。 ヨシタカにお使いを頼まれたアキラは、ホウの背に乗ってこの町の中央部に降り立った。 「っと、ついたか。ホウ、お疲れ」 「…ん。寝る」 到着してすぐにボールに戻るホウ。 アキラはやれやれとため息をつくと、代わりにデルとメリィを呼び出した。 『We are family』 「なんだかここに来るのも久しぶりだね」 「そうですね、前はカントーに来たばかりなのに即座にジムに挑んでハナダに向かいましたし」 「まぁ、そう言うなって。お使いが終わったら少し3人で見て回ろうか」 「それって、デートのお誘いかな?」 「…ま、そういうことで」 「あ、二人とも、あの建物みたいですよ」 軽く雑談しながら歩いていくと、大好きクラブはすぐに見つかった。 ジムの向かいにあるその家は、ジムほどとは言わないがそこそこ大きな建物である。 三人が正面玄関から中に入ると、受付嬢らしきギャロップの少女が挨拶してきた。 「萌えもん大好きクラブへようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか」 「あ、すみません。こちらの会長さんに手紙を預かっているのですけど」 「はい、ではこちらの部屋で少々お待ちください」 「はい…え?」 「さ、どうぞこちらへ」 手紙を届けてそれで終わりと思っていたアキラは、困惑しつつも部屋に入っていく。 「では、会長をお呼びいたしますのでお掛けになって少々お待ちください」 「はぁ、どうも」 そう言い残して彼女は部屋を出て行った。 三人はきょろきょろと部屋を見回した後、言われた通りにソファに腰掛けた。 「…わ、このソファすごいふかふかだよ?」 「中々良いソファですね…流石と言うべきでしょうか」 「二人とも、人の家の家具を評価するなって」 そんなこんなで暫くすると、奥の扉が開いて恰幅の良い壮年の男性が現れた。 後ろに先ほどのギャロップもついてきている。 「やぁ、君かね? わしに手紙を持ってきたというのは」 「は、はい」 「そうかそうか。わしが萌えもん大好きクラブの会長じゃ。早速だが、手紙を見せてもらえるかね?」 「はい、こちらです」 思わず両手で手紙を差し出すアキラ。 会長は受け取った手紙の封を開くと、数度頷いて手紙を机に置いた。 「ふむ、ヨシタカ君からの要請か…良いじゃろう、保護した萌えもんたちは家で預かろう」 「あ、ありがとうございます!…ところで、兄をご存知なのですか?」 「兄、ということは君がアキラ君かね?」 「はい、そうです」 「そうか…萌えもん思いの良い弟だと彼は自慢しとったよ」 「そんな、自分はまだまだ…」 「まぁ、何はともあれ用件は承った。という訳で、じゃ」 会長はソファに深く腰掛け、アキラを見る。 「折角じゃ。わしの自慢話でも、聞いていかんかね?」 「自慢話…ですか?」 「そうじゃ。ここは萌えもん大好きクラブ…自分の嫁、婿の自慢をする場所じゃ。どうかね?」 目を輝かせて問いかける会長。 というか、問いかけているが断らせる気は無いというオーラが滲み出ている。 アキラは一瞬気圧され、諦めて話を聞くことにした。 「わ、わかりました。聞かせていただきます…」 「よしよし。では改めて…わしが萌えもん大好きクラブの会長じゃ! 共に暮らす嫁は100人を超えとる! 萌えもんに関してはホントうるさいですぞ!」 「「「ひ、ひゃくにん!?!?」」」 いきなりのトンデモ発言にびっくりの三人。 それもそうだろう。アキラ自身嫁…というかパートナーは二人居るが、それでも随分と考え込んだのだ。 そこで軽く100人と言われてしまうと唖然ともする。 後ろで立っているギャロップはその様子を見て苦笑していた。 「では早速始めるぞ! そうじゃな…ではこのギャロップ、セフィーロの自慢でも聞かせてやるか!」 「わ、私のですか?」 「なんじゃ、何かまずいか?」 「い、いえ…ただ、私の居るところで私のお話は、ちょっと恥ずかしいです…」 「そうか…なら、そうじゃな。お前はアキラ君の嫁たちと別の場所で話をすると良い」 「よ、嫁…///」 「い、意外と甘美な響きです…///」 「…って、俺彼女たちが嫁だなんて一言も言ってない気がするんですけど」 「なに、君たちの雰囲気で何となくわかるよ。それも、想いが通じ合ったばかりのような…そうじゃろう?」 と、悪戯っぽくウィンクして言う会長。 短時間のやり取りや雰囲気の観察だけでここまで見抜いてしまう会長に、アキラは完全に恐れ入っていた。 「それじゃ、私たちは外へ行きましょう。ついてきてください」 「あ、はーい」 「ご主人様、また後ほど」 デルとメリィはセフィーロに連れられて部屋を出て行く。 部屋には、会長とアキラの二人が残された。 「では…改めて始めるとするぞ?」 「………(ゴクリ」 「あのな…わしのお気に入りのセフィがな… ……でな………が……………可愛くてな……たまらん……くぅ……」 「聞いてる方が恥ずかしい話ばっかりのような…」 「……さらに……もう…すごすぎ………で……」 「聞いちゃ居ないし…でも、自慢したい気持ちもわからなくは…」 「…そう…思うか………どうして……すき……………はー!」 …………… ………… ……… 場所は変わって、大好きクラブの裏庭。 海に面した庭園は、爽やかな日差しと心地よい海風のお陰で過ごしやすい場所であった。 セフィーロはその庭園の一角に、デルとメリィを案内した。 「さ、楽にしてください」 「はい、ありがとうございます」 「…うわぁ、ステキな場所~♪」 早速メリィは芝生の上に飛び込んだ。 その様子に苦笑しながら、デルはゆっくりと腰を下ろす。 セフィーロはというと、途中で持ってきたらしいバスケットから魔法瓶を出してお茶を淹れていた。 「お二人とも、どうぞ」 「あ、いただきまーす」 「ありがとうございます…おいしい」 「それは良かった。ローリエ姉様の葉っぱは、癖が強いので好みが分かれるんです」 「ローリエさん?」 「えっと、私よりも会長とのお付き合いが長いベイリーフ族の方です。 私達は、先に居る方々を姉と呼んで慕い、新しく来た娘は妹として世話をしているんです」 その中では私はどちらかというと古参です、とセフィーロは言う。 デルはお茶を味わいながら、隣に腰掛けてきた彼女に話を振った。 「ところで、セフィーロ…さん?」 「呼びづらければ、セフィでいいですよ」 「じゃ、セフィさん。さっき、会長さんが100人の嫁って言ってましたけど…本当なんですか?」 「はい、本当ですよ。正確には今のところ118人だった筈です」 「ひゃくじゅ…!?」 さらっと言うセフィにデルは驚いた。 「そ、そんなにいたら大変では…修羅場とか、起きないんですか?」 「殆ど無いですね…まぁ、全く起きないわけではないですけど」 「……」 デルは絶句していた。 一人でそれだけの数の女性を囲っておきながら、トラブルらしいトラブルがあまり無いという。 自分達でさえ、片方が持ち上げられたら拗ねたり妬いたりしてしまうのに。 「でも、私達がこうして仲良くしていられるのは…やっぱり、会長の努力があってこそなんですよ」 セフィはカップの水面を見つめながら話し始める。 「会長はお忙しい方なんですけど、それでも私達への気遣いや心配りを忘れない方なんです。 確かに、これだけの人数を相手に平等に時間を割いていただける訳ではないですけどね。 それでも会長は、私達全員を…平等に、愛してくれているんです」 「でも、それでも嫉妬したりとか、そういうのは…」 「勿論ありますよ。でも、そういう娘たちをうまく宥めるのが…家族である私達なんですよ」 柔らかく微笑むセフィ。 「家族…ですか?」 「ええ。会長が連れて来た娘は…私達にとっては、みんな家族です。家族は、お互いに助け合うものでしょう?」 「…ふふっ、それもそうですね」 釣られてデルも微笑みかえす。 よくよく考えてみれば、自分達も似たようなものではないか。 最初から自分達は家族だった。それが、恋人関係を含んだものに変わっただけ。 デルは「三人一緒」というあまり一般的ではない(と、彼女は考えている)スタイルがいつか崩れてしまうのでは、という不安を抱いていた。 だが、自分達よりもよほど大きな集団でうまくやっているらしき彼女達の話を聞いて、少し安心したのだった。 そんな風にデルが話を終えると、今度はメリィが話を振った。 「ねえねえセフィさん、会長さんってどんな人なの?」 「どんな人…と言われましても。優しくて、気さくで、面倒見がとても良くて…そうそう、とてもセンスが良いんですよ」 「すごい人なんですねー…」 「はい、とっても。ところで…メリィさん達の旦那様は、どんなお方なんですか?」 「え、えーと…///」 「その、何て言えば良いんでしょうか…///」 そう返されて、二人は顔を赤くする。 正直な話、結ばれたのはつい先日だったので、二人とも生々しいイメージが浮かんできたのだった。 「うん、その…とっても、優しいんだよね///」 「え、ええ…それに、色々と上手なんです///」 「そうなんですか…器用な方なんですね」 「器用…そう、かもね、二人一緒でも大丈夫だったし///」 「はぅ…それに、とても体力がありました…///」 「あらあら。何か、激しい運動でも?」 「激しっ!?///」 「た、確かに、激しかったですね…アレは///」 「あの…お二人とも、お熱でもあるのですか? お顔が真っ赤ですよ?」 「お熱…私達はますたーにお熱…ぁう///(ぷしゅー」 「いいいいえ何でもないです…ってメリィさん、しっかりー!?」 …どうやら色々と(規制)を連想するような会話が続いたお陰でメリィは脳味噌が逝ってしまったようであった。 その後。 デルとセフィは、落ちているメリィの傍でお互いのマスター自慢に話の花を咲かせていた。 セフィ曰く「ここは萌えもん大好きクラブ…トレーナーが自分の嫁、婿の自慢をする場所。そして、萌えもんがマスターの自慢をする場所でもあるのですよ」とのこと。 そして話の種も尽き、メリィの頭のブレーカーが元に戻ったのはもう夕方になろうかという時間であった。 「いつの間にか、結構な時間になってしまいましたね」 「そうですね…ですが、色々と有意義な時間が過ごせて良かったです」 「私は殆ど寝ちゃってたけどね…」 「ふふっ…メリィさんは、また次の機会にでもお話しましょう?」 そんな話をしながら、三人は応接室へと向かった。 「失礼します…会長、もうそろそろお時間が」 「……抱きしめて………寝る時も……お風呂のときも…」 「ええ、わかります……ですよね………それなら、俺も…」 「……えーと」 「……ま、ますたー?」 応接室へ入ったデルとメリィは、正に「語り合っている」二人を見て固まった。 お互いに身を乗り出して自慢話に興じているアキラと会長。 初めて会う会長はともかく、アキラのこんな一面は二人とも初めてであった。 そうしている間にも、二人は女性組に気づくことなく話を続けている。 「……じゃろ……………すばらし……!…うつくし……」 「…………ですが……………でしょう?……………」 「…会長、そろそろお時間ですよ?」 「……ん、セフィか?……………ありゃ! もう、こんな時間か!」 「時間ですか?……ってマジだ」 アキラが時計を確認すると、もう6時を回ろうかという時間になっていた。 「はははっ、ちょっと喋り過ぎたわい! わしの嫁自慢につきあってくれたお礼に…これは気持ちじゃ!」 そういうと、会長は戸棚から一枚のディスクを取り出してアキラに渡した。 「これは…技マシン?」 「そうじゃ! 中には『目覚めるパワー』が入っておる! 覚えさせる萌えもんによって威力とタイプが変わる、面白い技じゃ!」 「なるほど…」 「今、使ってみるかね?」 「…ええ。メリィ、ちょっと来て」 「あ、はーい」 アキラはケースにディスクをセットし、メリィの額に端子を当ててスイッチを入れた。 円盤が回転する音が鳴り、端子から勢い良く流れてくる技の情報にメリィは顔をしかめる。 そして… 「…よし、これで終わりだな」 「んぅ~…ちょっと熱っぽいぃ…」 「仕方ないですよ、脳に直接技の使い方を刷り込んでるんですから…」 「ほっほ、試し撃ちは後にしたほうが良さそうじゃな」 「会長、ありがとうございました。有意義なお話を聞けて助かりました」 「何、わしはただの嫁自慢をしただけじゃよ!…そうじゃ、実は君に少し頼みたい事があるんじゃ!」 会長はセフィに言って一抱えほどの荷物を持ってこさせた。 「これは?」 「うむ、わしからの支援物資じゃ。主に快復の薬が入っておる。これをヨシタカ君達の所へ届けてほしいんじゃ」 「兄さんのところへですか?」 「そうじゃ。頼まれてくれんかの」 「わかりました。二人とも、いいかな?」 「うん、いいよ」 「わかりました。では、観光はまた今度ですね」 「すまないの。では、また機会があったら来なさい」 「はい。それでは、失礼します」 挨拶をして、アキラ達三人は大好きクラブを後にした。 「ふぅ…やれやれ、ヨシタカ君も心配性じゃの。彼ならあんな心配はいらんじゃろうて」 「会長? いかがされましたか?」 「いや何、彼と話をしたら昔の自分と話をしているような感じがしてな…アキラ君なら、彼女ら二人とも幸せにできるじゃろうよ」 「うふふ、そうですね」 クチバシティを後にし、アキラ達は6番道路を北上していた。 「しまったな…もう暗くなってきた」 「クチバを出たときにはもう夕日が沈みかけてましたしね」 「もうそろそろ明かりつける?」 メリィは尻尾を抱きながらアキラに聞いた。 彼女らデンリュウ族の尻尾と額の珠は、電気を通すことで光を発生させるのだ。 普段アキラ達は、暗くなった時には彼女の灯りを頼って行動している。 だがアキラは、空を見上げて頭を振った。 「…いや、今日はいいよ。空、見上げてみ」 「……うわぁ~♪」 「……今日は、満月だったんですね」 月だけではない。 無数の星も夜空一面に光り輝いている。 「折角だし、今夜は空を見ながら眠くなるまで歩いて…それから野営しよう」 「さんせー!」 「わかりました」 間にアキラを挟み、手を繋ぎ並んで歩く三人。 彼らが向かう先はロケット団に占拠された町、ヤマブキシティ。 彼女はそこで、久しく忘れていた過去に直面することを……まだ、知らなかった。 そして……時を同じくして起きる惨劇も、また。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・あとがき どうも、久々に本編が進みました曹長です。 ああっ、やめて! 物を投げないで! 私にボール投げても捕まらないってば! えーと、今回のお話はあの大好きクラブのお話でした。 てか前々から思ってたんですよね…この人、萌えもんで同じことを語れるとしたら大物じゃね?と。 そんなわけでムリヤリ挟み込んでみたのがこのお話です。ホントはセキチクから直でヤマブキ行くはずだったんですよw でも結果的にいいクッションの話ができたと思いました。 さて、次のヤマブキシティ編は少々話が長くなりそうな感じです…多分、セキチク編位(ぇ というわけで、次はヤマブキ編(前編)、若しくは番外編でお会いしましょう。それでは。
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『Nightmare』 「……ん?」 なんとなく違和感を感じて目を覚ます。 確か俺は、いつもどおりバトルして、勝って… その後適当に皆と談笑して、昼寝したんだっけ…? 「…っ! 頭いてぇ…」 寝起きのせいか妙に頭が重い。 そのまま汗で湿った髪をかき上げようとして……腕が縛られていることに気がついた。 「……は?」 混乱する。 なんで俺は縛られている? 心当たりは……俺には無い。 と、そのとき、部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。 今気がついたが、ここは俺の部屋のようだ。 「ご主人様、目が覚めたんですね」 「デル!?」 「はい、どうかされましたか?」 デルは俺に柔らかな笑みを向け、こちらに歩み寄ってきた。 良かった、こいつは無事だったか。 「ちょうどいいところに来た、すまんがこの縄を何とかしてくれ。縄が食い込んで痛いんだ」 「わかりました。お任せください」 デルは自分の爪で縄を切ってくれた。 助かった。俺がそう思った次の瞬間。 カチャリ 俺の腕は再び拘束されていた。 今度は手錠で。 「ふふっ、これなら痛くありませんよね」 「デル…どういうつもりなんだ」 ワケがわからない。 なんで彼女が俺を拘束する? 悪戯? それにしては度が過ぎている。 こういう悪戯はホウならやりかねないが、デルはしないはずだ。 「いえ、ただ私は…ご主人様と二人っきりになりたかっただけですよ?」 そういって俺に抱きついてきた。 確かに、最近あまり相手してやれなかったから二人になりたいのは…まぁ、仕方ないが。 「しゃーないな…わかった、今日だけだぞ」 「いやです」 「…は?」 ちょっと待て。嫌ってどういう… 「これからずっと。永遠に私たち二人だけです」 「他の娘なんていらない。ご主人様は私だけのものです」 「みんな『処分』しましたから、誰にも邪魔はされませんよ」 嬉しそうにデルは語る。 その一方で、俺はデルの豹変振りに唖然としていた。 彼女は仲間を「いらない」とか言うような娘ではなかったはずだ。 というか、そもそもこの状況は彼女が…? 俺はさっきの彼女のセリフの中で一番気になった所を問いただすことにした。 「おい、デル…」 「何でしょう、ご主人様?」 「『処分』って、どういうことだ?」 「え? そのままの意味ですけど」 そのままの意味? と、そこで気づいた。 彼女の服から俺の服に……赤黒い液体が移ってきたことに。 今まで気づかなかった。彼女の着ている服は真っ黒だから。 「まさか…お前」 「ふふっ、5人も『処分』するのは大変でした…」 「なん、で」 「だって、邪魔なんです。ご主人様と二人になるには」 そう言って膨れるデル。 いつもなら可愛らしいと思うであろうその仕草が、今は恐ろしく感じる。 「ところでご主人様…」 「な、なんだよ」 「……どうして、私以外の娘のことなんか気になさるんですか!?」 「っ!?」 いままでの柔らかげな表情から一変、怒った顔で俺を問い詰めるデル。 俺が言葉に詰まると、彼女は不機嫌そうに視線をそらす。 「答えられないんですね……そうですか」 「……」 「でしたら…お仕置きです」 彼女はそういうと、俺の右膝に顔を寄せ… 間接を思い切り 噛 み 砕 い た。 「い…がっあああああああああああああ!?!?!?!?!」 「ガブ……あむあむ…ぺろっ」 余りの激痛に悲鳴を上げる。 それでもなお、彼女は俺の膝を噛み、舌で舐めて抉り、血を、肉を、骨までも、頬を上気させて味わっている。 「うふふっ、おいしい……」 「―ゥ!――――ッ!!!―――――ァ………」 ありえ無い。 なんでだ。 どうしてこんなことに。 きっとこれは悪い夢だ。 そんな思考も激痛に飲まれ、とうとう俺は意識を手放した―――――― ―――タ―――― ―マ―ター――――――――― ―――マスター!―――― 「マスター、しっかりして、マスター!」 「………はっ!?」 飛び起きる。 ここはどこだ? …俺の部屋だ。 手足は…自由。 右膝は……なんとも無い。 「マスター、だいじょうぶ? すっごいうなされてたけど…」 「メリィ? ああ…大丈夫、なんでもないよ」 メリィは心配そうに俺を見ている。 俺は安心させるように、彼女の頭をなでてやる。 「わわ、マスター?」 「心配させて悪い…ちょっと、悪い夢を見てたんだ」 「悪い…夢?」 「うん…」 「どんな夢だったの?」 「あー、実はな…」 俺は覚えている限りの内容をメリィに話してやった。 「…って内容だったんだ」 「そ、それはまた…」 「でも、夢って深層意識の発現って言うし…俺ってデルのことそんな風に見てたのかと思うと…」 最低だ、と思う。 小さいときからずっと一緒にいた、妹のような娘がそんなことするはずが無い。 でも夢で見たというのはそう思ってるということで… 「はぁ……」 落ち込む俺。 メリィの方を見ると、何故か難しい顔をして何かを考えているようだ。 「……まさか!」 「メリィ?」 「…多分、マスターは悪くないよ」 「へ? どうして?」 「実はマスターが寝た後のことなんだけど…ホウちゃんが一回、マスターの部屋に行ったの」 「……まさか」 ホウは、大人しそうに見えて一番の悪戯好きだ。 ちなみに、あいつのパーティー内での役割は催眠術からの多様な攻撃。 そして、今回のこととあいつの使える技を考えると… 「俺に『悪夢』をかけやがったなホウの奴…」 「恐らくね…」 「…メリィ」 「なーに、マスター?」 「お仕置きは任せた。俺は疲れたから、もっかい寝る…」 「おっけー、任せて。おやすみなさい、マスター」 メリィはそういって部屋から出て行った。 俺は再びベッドに横たわる。 「…もう二度と、あんな夢見ませんように」 離れた部屋から聞こえてくる電撃音と悲鳴を子守唄に、俺は再び眠りについた。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・あとがき どうも初めまして、曹長とかいうものです。 とりあえずはなっからヤンデレネタってどうなのよ? とか思いつつも浮かんだネタがこれだったので衝動で書いてしまいました>< だってー、ウチのヘルガーってば性格「ヤンデレ」なんだもんさー。 …次回書くことがあったらこうはならないと思います、多分。 最後に。デンリュウは俺の嫁。ヘルガーは義妹。
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曹長氏投稿作品 アキラ 「ここは俺の中身、曹長の書いたSS置き場だ」 メリィ 「割とぐだぐだな内容だけど、読んでいってくれるとうれしいかな」 デル 「ちなみに執筆速度はかなりまちまちなのでご了承くださいね」 ホウ 「質については保証しない……じゃ」 ゲン 「オイオイ……」 ヨシタカ「2009年11月19日、とうとう10000Hitを突破したみたいだね」 ヘル 「何ていうか、もう感謝してもしきれないわね」 リース 「作者も今後一層の努力をするそうですから、今後ともよろしくお願いいたしますわぁ♪」 サイホ 「……(ぺこぺこ」 更新履歴 2011/03/02 『Trust and distrust』を掲載しました。 2010/10/20 『常磐の日々(+α)』を掲載しました。 2010/05/02 『タビノオワリ(後編)』を掲載しました。 2010/02/01 『タビノオワリ(前編)』を掲載しました。 今日は - 人の人がホウに夢を喰われました。 今までにそのことで - 回、メリィの雷が落ちました。 今は - 人の犠牲者がデルに看病されています。 『Long long slope』 曹長のメイン作品。 主にアキラ、デル、メリィ、ホウが繰り広げる、愛と友情と悪戯心のストーリー(何 一部の作者様方のSSと世界観を共有していたりします。 作品は上から時系列順に並んでいます。 2010/05/02 第一章完結 登場キャラ紹介 ・第一章 ぶらり旅編 シオンタウン編 『紫苑の町に、雨の音』(メリィ過去編) 『シオンタウン大規模夢喰い事件』「前編」 「後編」 セキチクシティ編 『ツイン・ウェイ』「前編」 「中編」 「後編」 クチバシティ編 『We are family』 ヤマブキシティ編 『在りし日の幻、置き去りの心』(ホウ過去編) 『決戦、シルフカンパニー』「前編」 「中編」 「後編」 ナナシマ編 『Rein†carnation』 『深林の追跡者』「前編」 「中編」 「後編」 『囚われし水の君』「前編」 「後編」 『消えぬ罪、終わらぬ贖罪』 トキワシティ編 『紅の狂気と純真なる破壊者』「前編」 「後編」 『タビノオワリ』「前編」 「後編」 ・第二章 トキワ編 『常磐の日々(+α)』 『Trust and distrust』 ←NEW! 未来編(主に本編終了後のエピソードです) 『メリィのメイドさん体験記 ~おつかい編~(題名に偽りアリ)』(コスプレ祭り作品) 『Love You Forever』 『挑戦者は異邦人?』 (吸血の人氏の『吸血記』とのコラボ作品です) (『吸血記』第五話及び第六話、座談会前編及び後編もご一緒にどうぞ) Lls外伝 『Long long slope』の外伝作品。 本編には捻じ込みずらいパラレルワールド的な設定の物など。 『Nightmare』(ヤンデレ注意) 『七夕祭り→棚ぼた祭り byホウ』(七夕企画SS) 『ゲンの仕返し大作戦』(一応ひな氏の頂き物SSから続いてます) 『忘年会』(ストーム7氏・シーク氏・200のひと氏との合作) 『Legend of interstice』 曹長のセカンド作品。 シンオウ地方を舞台に、新しい主人公とその仲間たちが繰り広げる東奔西走アドベンチャー(ぇ もしかしたらLlsのキャラも出演するかも? 作品は上から時系列順に並んでいます。 登場キャラ紹介 『序章 旅立ちは再会と共に』 その他 シリーズに含まれない作品達。 リレーSSや一発ネタ等。 SSリレー『レアコイル』 SSリレー『ニョロゾ』 『Immortal blaze』 (ストーム7氏のSS『Scarlet Fighter, Crimson Revenger』シリーズの外伝作品です) 頂き物 有難い頂き物です。 主に他の作者様の書いたアキラ達のお話。 白氏より『夏祭り』 ひな氏より『いつもと違う“あいつ”の態度~ゲンの仕返し~』 感想等にぜひお使い下さい。 ページ作成おつです、テストだじゃ☆ -- 零 (2008-06-18 23 46 44) 名前 コメント
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*初期メンバー ・アキラ 主人公。萌えもんマスターを目指してカントーを旅している青年。18歳。 ジョウト出身で、一応ジョウトリーグのバッジは全部持っているが、 リーグで敗退したため、武者修行の意味も兼ねてカントーに来た。 無意識でメロメロを周りの萌えもんにかけているため、立ち寄った町には大概自称・現地妻がいる。 そのため、メリィとデルは気が気じゃなかったりする。 ・外見的特長 身長175cm 体重65kg 骨格は比較的がっしりとしている。瞳と髪の色は黒。 服装は黒いシャツに白い上着、黒のジーパンとスニーカー。 鞄はグレーの肩掛けタイプと黒いウエストポーチ。 ・デル(ヘルガー♀) アキラが幼いころから一緒に居た萌えもんその1。人間の年齢で言うと15歳相当。 昔はデルビルだったので、略してデル。今もそのまま。昔、アキラが自分で卵を孵した。 世話好きで面倒見が良く、他の萌えもんとも友好的な関係を築いている。 家事全般が得意で、旅先での料理等も七割方彼女がやっている(残り三割はメリィ)。 年の割りにかなり幼い体つきがコンプレックスになっている。 アキラへの呼称は「ご主人様」 ・外見的特長 身長138cm バストサイズ:AA 華奢で小柄、胸も薄い……ってかまんま幼児体型。 髪は漆黒のロングヘア。 服装は黒のワンピースに真紅のネクタイ、黒スト着用。 ・メリィ(デンリュウ♀) アキラが幼いころから一緒に居た萌えもんその2。人間の年齢で言うと16歳相当。 デルと同じ理由で愛称がついた。ある事件をきっかけに、アキラの家に引き取られる。 基本的に大人しいが、怒らせると誰にも止められなくなる。 幼い頃に遭った事件がトラウマになっている。 アキラへの呼称は「マスター」 ・外見的特長 身長143cm バストサイズ:A デル程ではないが、やはり子供っぽい体つき。 髪は金髪のツインドリル(ぇ 服装は黄色基本で袖に黒色の縞が入ったワンピース。 ・ホウ(ヨルノズク♀) アキラが幼いころから一緒に居た萌えもんその3。人間の年齢で言うと20歳相当。 デル、メリィと同(略。昔大怪我をして行き倒れていた所を救われ、そのままアキラの家に住み着いた。 無口でクールなキャラを演じているが、その実とても悪戯好きだったりする。 アキラへの恋愛感情は無いものの、デルやメリィの気持ちは理解できるらしい。 アキラへの呼称は「アキラ君」 ・外見的特長 身長159cm バストサイズ:D デルやメリィと比べて大分大人っぽい体つき、というか年相応。 髪は茶髪のボブカット。 服装は茶色の翼つきの羽毛ジャケットに同色のロングスカート。 注:ここから先は、作品のネタバレを幾らか含みます。未読の方はご了承下さい。 *シオンタウン編 ・ユキメ(ユキメノコ♀) 萌えもん警察シオンタウン支部所属。 元々はフジ老人の元で生活していたが、恩返しの意味も兼ねて萌えもん警察に就職した。 広域夢喰い事件の際にアキラと出会い、不意を突かれたところを助けられて惚れてしまう。 旅立とうとするアキラの元に押しかけるも、アキラの説得によりシオンに残る。 ・外見的特長 身長160cm バストサイズ:B 年相応だが胸薄め、和服が似合うスタイル。 髪は青銀のセミロングを私服時は後頭部でまとめ、簪を挿している。 私服は白地に氷と雪の模様をあしらった和服。 ・ゲン(ゲンガー♂) 萌えもんタワーに住み着いていたゴースト萌えもん。 結界の弱いところを通って夜中に外を出歩いては、細々と住人の夢を食べることを日課にしていた。 結界を直しに来たユキメに襲い掛かるがデルに撃退され、そのまま捕獲される。 いいかげんでものぐさ、面倒くさがりだがやることはきっちりこなす。 本人曰く「やらない方が後でめんどくせぇ」 ・外見的特長 身長169cm ゴースト萌えもんであるせいか、体型をある程度変化できる。 通常時はドット絵っぽい少々小太りな感じ。 服装は暗い紫色のスウェット。 *セキチクシティ編 ・ヨシタカ アキラよりも先に旅に出た兄貴。23歳。 落ち着いた性格をしており、大概のことでは動じない。 実力は折り紙つきで、トレーナー協会から指名されて仕事を依頼されるほど。 アキラ曰く『いろんな意味で俺とは次元の違う人』 パートナーのヘル(ヘルガー♀)と結婚している。 ・外見的特長 身長182cm 体重73kg しっかりとした骨格に、十分なだけの筋肉のついた理想的な肉体。髪と目の色は黒。 服装はメガネ・ワイシャツ・スラックス・革靴というサラリーマン風。 ・ヘル(ヘルガー♀) ヨシタカのパートナー。デルの実の姉。人間の年齢で言えば22歳相当。 明朗快活な性格で、喜怒哀楽の変化が激しい。 実力、ルックス、性格、全てにおいてデルの憧れである。 ・外見的特長 身長170cm バストサイズ:F デルの姉とは思えないほどスタイルが良い。 髪は漆黒のロングヘア。 服装は黒のワンピースに真紅のネクタイ、黒スト着用。 *クチバシティ編 ・会長 萌えもん大好きクラブの会長。年齢不詳。 100人を超す嫁と暮らしているという、萌えもん界の大御所の一人。 ヨシタカとは以前から親交があった様子。 ・セフィーロ(ギャロップ♀) 会長の嫁の一人。人間の年齢で言えば29歳相当。 会長がトレーナーとして現役だった頃からの付き合い。 社交的で、妹達のまとめ役になっている。 *ナナシマ編 ・サイホ(サイホーン♀) 十数年前にメリィの母親を手にかけたサイドンの娘。人間の年齢にして12歳相当。 シルフ攻略戦の際にアキラ達が発見し保護、後に彼女の母親の意向でアキラに預けられる。 幼少の頃から長い間マスターであるロケット団幹部に虐待されていたせいで、失声症と男性恐怖症になってしまっている。 前述の経緯から、よく知らない相手(特に男性)からは逃げようとすることが多いが、心を許した相手にはかなり甘えたがる。 閉鎖された環境で育ったためか好奇心は旺盛。だが同じ理由から警戒心もかなりある。 ・外見的特長 身長145cm バストサイズ:A 体格はデルやメリィとどっこい……だが、彼女はまだ成長期ということでまだまだわからない。 ってか既に身長は二人を追い越している。 服装はふっくらとしたグレーのカーディガンに黒いスカート。 ・リース(スリーパー♀) 木の実の森に住み着いて悪さをしていたスリーパー。人間の年齢にして29歳相当。 森林浴に来ていたデル、メリィ、サイホを気に入って攫おうとするが失敗し、アキラに捕獲された。 幼い頃からロケット団に所属していたせいか、倫理観や常識が多少ズレている。 ただし根っからの悪人ではなく、預けられた先での幹部の悪逆非道に付き合いきれずに逃げてきたという一面も。 筋金入りのロリコン・ショタコンであり、かわいい子にかわいい服を作って着せるのが趣味。 ・外見的特長 身長168cm バストサイズ:C 身長高め、ただしヘル姉とかと比べてスタイルは控えめ。 最近腰周りがふにふにしてきたのが気になるらしい。 金髪黒目で、服装はふわふわの襟巻きのついた黄色のワンピース。 ・スイクン ロケット団に捕まり、浄水フィルターとしてコキ使われていた伝説の萌えもん。外見年齢は20代。 助けに来てくれたアキラに恩返しも兼ねて、アキラを仕えるべき主とした。 伝説の萌えもんとしては少々性格が軽く、我侭。 実力は流石に伝説級で、水や冷気を自在に操ることができる。 ・外見的特長 身長165cm バストサイズ:E 平均より高めの背丈に、少々豊かめな体格。 ヘル姉をスケールダウンすれば丁度こんな感じだろう。 髪は紫のウェーブロング、私服はベージュのタートルネックにジーパン。 正装はアクアブルーのワンピースドレスに同色の装甲、クリスタルのティアラ、大剣。 *トキワ編 ・ノッサ(キノガッサ♂) ロケット団に売り物として捕らえられていたキノガッサの少年。人間の年齢にして10歳相当。 強制進化装置と洗脳装置の実験台とされ、延々と胞子を撒いていた所をリースに攫われた(ぇ 素直で活発な性格。実年齢よりは大人びているが、まだまだ子供。 強制進化による障害として、ポイズンヒール発動による性格反転と体の成長の停止という問題を抱えている。 ・外見的特長 身長139cm 年齢相応だが、ぱっと見少女に見間違える程華奢かつ女顔。 肌も白く、全体的に中性的を通り越して女っぽい。 茶髪緑目、服装はクリーム色のTシャツにモスグリーンのサファリパンツ、大き目のグリーンのベレー帽。 ・サイホ(サイドン♀) 寡黙天然娘。人間の年齢にして12歳相当。 強制進化の影響で爆乳と化した。症状としては日常生活に支障が無い分軽い方である。 相変わらず失声症で人見知りも激しいが、慣れてしまえば途端に甘えん坊になる。 アキラ一家の元末っ子ポジション。体はかなり成長したが、精神的にはまだまだお子様。 しかし年下であるノッサが仲間に加わり、若干お姉さんぶるようにもなった。 ・外見的特長 身長149cm バストサイズ:G ……。 ど う し て こ う な っ た(デル、心の叫び
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セキチク萌えもんセンター。 そこのアキラ達が借り受けている部屋で、アキラは一人考えにふけっていた。 「メリィか…デルか…」 考えるのは勿論二人のこと。 どちらをパートナーとして選ぶか…どちらの想いに答えるか。 改めてそれぞれのことを考え、結局は同じ考えに至るというループができあがっていた。 「後悔するなと言われたが…どっちを選んでも後悔しそうだ」 『ツイン・ウェイ(後編)』 ベッドに転がり、再び思考の海に潜り込むアキラ。 目の前にある道は二つ。 デルを選ぶか。 それとも、メリィを選ぶか。 その二つしか道はないとわかりつつ…アキラは選ぶことができないでいる。 「現状維持…は、今と変わらないし」 結局のところ、アキラが望むのはそれであった。 今の関係が最も心地いい。 だが…二人にとっては、答えを待つ苦痛の時間。 「兄さんの言うとおりだな…俺は自分が傷つきたくない、意気地なしだ」 声に出して認めるが、それだけでは何も進展しない。 …とその時、部屋の扉が開く。 アキラが振り向くと、そこに立っていたのはホウであった。 「…寝てた?」 「いや…ちょっと、考え事」 アキラはベッドから起き上がり、椅子に座るように促す。 ホウは勧められたとおりに腰掛けると、唐突に話始めた。 「…デルとメリィの事?」 「…なんで、わかるんだ?」 「今君が悩むことと言うと、それしかない」 「…ったく、お前に隠し事はできないな」 普段くだらない悪戯ばかりしているが、ホウはこう見えて結構聡い。 …聡いからこそ、ある意味あくどい悪戯を仕掛けるのかもしれないが。 「恐らく、同じ考えで回ってると思って来て見た。話くらいなら聞ける」 「そこまでわかってるのも凄いというか恐ろしいというか」 「…ボクは君たちの関係を客観的に見ているだけ。多分ヨシタカ兄さんもそう思っている」 「まぁいいか…じゃあ、話すよ」 アキラは今の自身の考えを飾ることなく話し出した。 デルかメリィ、どちらかを選ぶことができないこと。 今の関係がもっとも自分にとって心地がいいこと。 だが、それで二人の心をすり減らすのも何とかしたいということ。 一通り話すと、アキラは一つため息をついた。 「…ダメだな、俺は。我侭で、欲張りで、優柔不断で…ほんとにどうしようもないダメ男じゃんか」 「…でも、君の心はただの自分本位の考えだけではない」 「……」 「君は優しい。選べないのは、選ばれなかった方への愛情が彼女の重荷になるから」 「そんなこと、考えてないぞ」 「考えてなくても。それから…この状態を望んでいるのは、君だけじゃない」 「…え?」 「…君の目から見て、二人はいがみ合っているように見える?」 「いや…とても仲良くしていると思う。それこそ、本当の姉妹みたいに」 「それが答え…道は二つだけではない。君の思いを、そのままぶつける。それだけでいい。 君に覚悟があるのなら、それが君の本心からの言葉なら…問題ない。きっと受け入れてくれる」 ホウはそう言うとゆっくりと席から立ち上がる。 「お、おい! どういう意味だよ、それは!」 「言葉通り。あと、行動は早いほうが良い。じゃ」 そう言い残してホウは部屋から出て行った。 残されたアキラは再びベッドに横たわり、ホウの言葉の意味を考える。 「道は二つじゃない…本心をぶつける…か」 アキラの本心。 今のような関係を、そのまま続けたい。 その上で、出すべき答えとは。 「…今夜、二人と話そう」 時間は流れ、日付も変わろうかという時間。 デルとメリィは、アキラに呼ばれて彼の部屋を訪れていた。 「大切なお話って、何でしょうね?」 「さあ…私には心当たりは無いけど」 「まぁ、話していてもわかりませんし…行きましょう」 「そうだね」 会話をやめ、メリィはインターホンを押した。 「…マスター、起きてる?」 『ああ…来たか。今開ける…』 シュン、という音と共に扉が開き、アキラは二人を招きいれた。 「「お邪魔します」」 「ん…二人とも、ベッドに座ってくれ」 アキラの言うとおり、二人はベッドに腰掛ける。 「…俺、お前たちがずっと俺のパートナーになりたいって思ってるの…知ってて目を背けてたんだ。 俺がいて、メリィがいて、デルがいる。俺は、今の距離が一番良かった。だから、答えなんか出さないのが一番いいって思ってた」 「「………」」 尋常ではないアキラの雰囲気に、二人は姿勢を正す。 「でもさ、今日…兄さんに言われたんだ。何時まで逃げてるんだって。 俺、自分の気持ちだけで二人をずっと待たせて…苦しませた。だから今夜、答えを出そうと思った」 「え…!?」 「それって…」 「でも、無理だったよ…やっぱり何度考えても、二人のどっちかが居ないなんて考えられなかった」 「マスター…」 「では…どうするんですか?」 アキラは少し躊躇ったような素振りを見せ、ゆっくりと話し始めた。 「…まず先に謝っとく。今から俺は、男として最低な事を言うと思う。本当にすまない。 でも、全て俺の本音だ。だから聞いてほしい…いいか?」 「いいよ」 「…わかりました」 「ありがとう。じゃ、言うぞ…俺は、これから先もずっと三人で一緒にいたい。 だから、『どちらか』をパートナーには選べない…」 「っ!」 「そう、ですか…」 「だから…『二人とも』俺のパートナーになってほしいんだ!…だめか?」 「「……はぁ」」 アキラの答えに絶句する二人。 二人は顔を見合わせると、大きなため息をついた。 「…そうやって、ご主人様は辛い選択から逃げるんですね」 「う゛」 「今の関係が一番だからどっちも、っていうのは欲張りじゃないかな?」 「それは…ごめん」 二人からの言葉に、何も言えないアキラ。 だが二人はそれ以上は言わずに、アキラの傍まで寄った。 「ですけど…私たち、ご主人様のそういうところも含めて全部、大好きなんですよ…」 「選べないのは、優しいからだもんね。二人ともなんて言えるのは、勿論覚悟あってのことでしょ?」 「デル…メリィ…」 「実は私たちも…三人が一番だって思ってたんです」 「うんうん。誰かが欠けるなんて、やっぱり嫌だよ」 「そ、それじゃ…!」 「はい…」「うん…」 「「今後とも、よろしくお願いします!」」 ぺこりとお辞儀をする二人。 アキラは感極まったのか、そのまま二人に抱きついた。 「…デル!メリィ!」 「きゃ!」 「わぁ!」 そのまま後ろのベッドに倒れこむ三人。 アキラは二人を一度に組み敷いたまま、言うのだった。 「…二人とも、愛してるぜ!」 …翌朝。 アキラは、両腕の痺れを感じて目を覚ました。 「……んぁ?」 半分寝ぼけた頭のままで、右腕の状況を見る。 と、そこには黒髪の半裸の少女が心地よさそうに寝息を立てていた。 反対側を見てみると、やはり金髪の少女が半裸で眠っていた。 「すぅ…すぅ…」 「くー、くー…」 「………あ、そっか。夕べは…」 そこまで口にしてアキラは顔を赤くする。 あの「愛してる」の後、三人疲れて眠りにつくまで存分に愛し合ったのだ。 「…これからが大変なんだろうけど、責任は取るからな」 そう言って彼女たちの鼻先に軽く口付け、アキラは再び眠ることにしたのだった。 「これからも、よろしくな」 この後三人が起きてきたのは太陽もそこそこ高く上った頃であった。 アキラは二人をそれぞれの部屋へと返した後、コーヒーを淹れてロビーを訪れる。 そこにはホウの姿があった。 「よ、おはようホウ」 「おはよう…夕べはお楽しみ?」 「ぶほっ!」 いきなり確信をついてきた発言にアキラは思わず噴出す。 「……きたない」 「げほっ、いきなりそんなこと言うからだ!っていうか、なんでそんなこと聞くのさ!?」 「ボクの部屋まで聞こえてきた…安心していい。ヘル姉さん達もよろしくしてたから聞こえてないと思う」 「そんなことは聞いてないからな…つーか、兄さんたちの様子までわざわざばらすなよ」 「…性分だから」 「難儀だなオイ」 そこに部屋からヨシタカが現れる。 「ようアキラ。夕べはお楽しみ…」 「兄さんまで言うなあああああああっ!」 「ははは…後悔しない答えは、出たみたいだな」 「まぁね…俺はどっちの道でもない、道なき道を行くよ」 「うん、その覚悟があれば大丈夫だろう」 「兄さん」 「…なんだい?」 「…サンキュ」 「どういたしまして…っと、メールだ」 マナーモードにしていたのか、ポケットからポケギアを取り出すヨシタカ。 そしてメールの内容を確認すると、軽くため息をつく。 「はぁ…この旅行も一時中断だな」 「兄さん、どうかしたのか?」 「ああ、ちょっとトレーナー協会の方から協力要請が来てな…シルフカンパニーは知ってるな?」 「うん、カントーではトップの萌えもんグッズメーカーだっけ」 「そうだ。んで、そこの本社がヤマブキシティごとロケット団に占拠されてるのも知ってるよな?」 「まぁね…あんまりニュースは見ないけど、それくらいは」 「協会曰く、警察との共同作戦の目処がついたらしい。僕は本社内部に侵入して、社長の救出にあたることになった」 「本社への侵入!?」 さらっと言ってのけるヨシタカに、びっくりするアキラ。 「ちょっ、それって危ないだろ!何で兄さんが!」 「なに、協会からの指名さ。それに、ロケット団の下っ端如きに僕がやられるとでも思うかい?」 「そうは思わないけど…心配だからさ」 「大丈夫だ、安心しろ…そうだ」 ヨシタカは何か思いついたらしく、鞄から便箋を取り出して手紙を書く。 そして書きあがった手紙に封をすると、アキラに渡した。 「その手紙を、クチバにいる『萌えもん大好きクラブ』の会長に渡してくれ。 内容は、ロケット団から保護した萌えもんの一時受け入れ先としての依頼だ。 本当は僕が行こうと思ってたんだけど、少し頼まれてくれるか?」 「うん、そのくらいなら構わないよ」 「よし、それじゃ頼んだ。僕はもうそろそろ行くとするよ…またな」 「ん、また」 ヨシタカはヘルを呼びに部屋へと戻っていった。 アキラもまた、デルとメリィを呼びに自室へと向かうのであった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・後書き 前回の投稿から大分経ってしまいました。曹長です。 いやぁ、今回は難産だった^^; 恋愛系の話は多数読んでいても、実際に書くとなるとかなり大変ですね… さて、アキラ達が選んだのは二つの道のどちらでもなく『どっちも選ぶ』という新しい道でした。 執筆初期段階ではデルには涙をのんでもらう予定でしたが…書いてるうちに二人とも可愛くなってしまって(ォィ ちなみにこれ以上嫁を増やす予定はありません…ええ、予定の上では(ぇー それでは、また次回作でお会いしましょう。
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おお メリィ.ウェザーメリィ.ウェザーPKギルド名 ナイトカイトナイトカイトPKギルド名 バロウバロウバロウバロウPKギルド名 リーティンスルーリーティンスルーPKギルド名 レアドロップMOB情報 わかると貴重な情報という謎の数字 ここを編集
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瞳のブロマイド(18ver.) ラヴィのブロマイド(A) マリィのブロマイド(A) メリィのブロマイド(A) ペンギンのブロマイド(A) 瞳のブロマイド(A) エリィのブロマイド(A)
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少し時間を遡り、アキラとヨシタカの二人がサファリゾーンを楽しんでいる頃。 セキチクシティの南、19番水道の砂浜で彼らの手持ちの萌えもんたちは海水浴を楽しもうとしていた。 『ツイン・ウェイ(中編)』 「ん~っ、ゴージャスなリゾート地も良かったけど…私にはこういう庶民的なのが一番ね」 と、言いつつ太陽の光をいっぱい浴びるように背伸びをしているのはヘル。 グラビアアイドルもびっくりのスタイルに挑発的な黒と真紅のビキニを纏うその姿は、周囲の殆どの男の視線を釘付けにしていた。 その隣では、同じく水着を纏ったデルとメリィの姿があった。 「うぅ、ヘルお姉ちゃんはすごいなぁ…」 「メリィさんはまだいいじゃないですか。私なんか姉妹なのに…はぁ」 二人ともヘルのスタイルを羨ましがっているが、この二人もそこそこの男に見られていた。 メリィは大きすぎず、小さすぎないという微妙なバランスが取れた体に、黄色地に黒で稲妻をモチーフにした模様のワンピースタイプ。 その大人しそうな雰囲気と相まって、背伸びしたい初々しい少女という印象を醸し出している。 デルはというと、姉とは真逆のいかにも水の抵抗が無さそうな小柄で薄い体に、スクール水着という格好。 更には胸に歪な平仮名で「でる」と名前が書いてあり、特殊な趣味のお兄様方が鼻血を垂らしつつ凝視していた。 ちなみに、この水着のチョイスはヘルである。 「ったく、めんどくせぇ…」 「…文句言わない」 そんな3人を、ゲンとホウは少し離れたパラソルの下で荷物番しながら眺めていた。 「まぁいーか…太陽がうっとーしーが、眼福ではあるからな…」 そんなゲンの格好はサーフパンツにパーカー、グラサンに麦藁帽子と中々本格的である。 「…それと比べっと」 「…何?」 「おめーは色気の欠片もねーカッコだなオイ」 ホウも水着を着てはいる…が、水着というよりウェットスーツである。 さらにゴーグルとシュノーケルという格好は完全武装としか言いようが無く、ゲンの言うとおり色気も何もあったものではなかった。 「ん…ボクは色気より食い気」 「自分で言うなオメーは」 「それに…見せたい男が居るわけでもないのに色気を振りまくと、面倒」 「あ? どーいうこった」 「…ああいうの」 ホウの指差した先は、3人の居るところ。 …と、よく見ると軽そうな男3人組に声をかけられている。 デルとメリィは困ったようにヘルの後ろに隠れ、ヘルが一人で3人を相手にしているようだ。 「ああいう馬鹿の相手、面倒」 「あー、成程な…助けんでいーんか?」 「…ん、大丈夫」 と、次の瞬間3人の男の海パンの両サイドが燃え、ハラリと落ちた。 とんでもない物を見てしまい、赤面して硬直するデルとメリィ。 そしてヘルが何か言うと、男たちは泣きながら逃げていった。 「…ありゃやり過ぎじゃねーのか」 「ん、無問題」 冷や汗を垂らしながら、ゲンは男たちに心の中で合掌した。 「それにしても…」 「…だから何」 「いや、やっぱ勿体ねーよ、お前」 ゲンは改めてホウを見る。 普段はもっさりした羽毛の服を着ているせいでわからないが、結構ホウは着痩せするタイプである。 ヘル程とは言わないまでも、中々の体つきをしているのは今の格好でもわかるのだ。 無地のワンピースタイプでもあんま目立たないからいいだろうに、等と考えていると、ホウは胸を腕で隠す。 「…すけべ」 「いぃ!? なんでいきなりそんな事言い出すんだっ!」 「ボクの胸、じろじろ見てた。きっと頭の中で脱がせて色々してるに違いない」 「ば、バーロー! んなこと考えてねー! それに見てたのは全体だバカ!」 「つまり、全部脱がして妄想してた…えっち」 「だあぁっ、その考えをまずはどっかにやれーっ!」 顔を真っ赤にして吠えるゲン。 それを気にした様子もなくホウは少しゲンに寄り、ウェットスーツのファスナーを胸辺りまで下ろす。 「それとも…ここでボクを襲いたいとか考えてた?」 「っ!?」 「ボクの体…そんなに魅力的?」 「な、なななな、何を言って…」 突然雰囲気の変わったホウの誘惑に、ゲンはうろたえる。 「ここから先は…キミの手で」 「ああ、え、い?」 言葉にならない声を漏らし、ゲンの手はホウの胸へと伸びていく。 その動きは、まるでウツボットに惹かれて寄ってきた虫。 そしてついにファスナーを掴む…という所で、ホウは身を引いた。 「…って、え?」 「……冗談」 「……オイ」 「こんな公衆の面前でこの程度の誘惑に乗る…やはりキミはすけべ、いや変態。犯罪者予備軍」 「謀ったなキサマー!?」 「でも手を出そうとしたのは事実」 「う゛」 「…変態」 「う゛あああああああああああ!?!?!? オレは、オレはあああああああああっ!!!!!」 止めを刺されたらしく頭を抱えて転がりまわるゲン。 それをホウは満足げに眺めていた。 …哀れ、ゲン。 その後戻ってきた3人と合流し、一行は腹ごしらえに海の家へ。 「………orz」 「ねぇ、ホウちゃん。なんだかゲンくん元気無いんだけどどうしたの?」 「……少し弄り過ぎた。反省はしてない」 「ゲ、ゲンさん、いつまでも沈んでないで食べましょう? 焼きそば、美味しいですよ」 「さん付けで呼ぶな…オレは大工じゃねぇ…」 「…ネタが古い」 「あーらら、結構重症ね…ん、おいひ」 人事のように言いつつ、ビールと焼き蛤を味わうヘル。 「姉さん、少しは気にしてあげても…」 「根暗に付き合うだけ時間の無駄。ヘル姉さんみたいに気にしないのが正解」 「誰がネクラだあっ!」 「あ、復活した」 ホウの暴言にナイトヘッド付で噛み付くゲン。 勿論、ノーマル鳥タイプのホウには効かず。 「…馬鹿?」 「……てめー、今に見てろよ」 分が悪いと感じ、ゲンは引いて焼きそばをつつき始める。 その傍ら、ヘルはジョッキを片手にデルとメリィに絡んでいた。 「(ぐびぐびぐび)っはー、おいしー!」 「姉さん、飲みすぎですよ?」 「そんなこと気にしないの! それでねぇ、ここに来る前はナナシマ諸島に行ってたんだけど… 私もだーりんも若いからねー、何時でも何処でも ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 検 閲 削 除 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ってな感じの旅だったのよ~♪」 「あう、あう、あうぅ…///」 「ね、姉さん! 他の方も居るんだから自重してください!」 「えー、いーじゃない減るもんでもなしー」 「減ります! 主に萌えもんとしての尊厳とか色々と!」 「だーいじょうぶ! それにあんたたちもそのうちそんなこと気にしなくなるわよ~♪」 「そ、それはちょっとやだなぁ…」 酔いが回ってきたのか、ヘルはいい感じに暴走していた。 下ネタに耐性のない二人をいじくって楽しんでいる。 そして自分の話が終われば次は相手の話、となる訳で。 「あはは…ところでさ、デルもメリィも、何か進展あった?」 「それって…マスターとのこと?」 「進展と言われても…まぁ、いつもどおりとしか」 顔を見合わせてそう答える二人。 その答えにヘルは驚いていた。 「ちょっと、まさかあんたたち…まだどっちもアタックかけてなかったりするの?」 「え、ええ…」 「私は、旅が一区切りついたらって…」 「ダメね。ダメダメね。いい? 恋はね、受身じゃいけないのよ。攻め攻めでいかないと!」 「…おいおい、二人ともお前とは違うんだからそう上手くはいかないだろ」 「あ、だーりん♪」 ヘルは自身の恋愛理論を語り始め…ようとして、突然現れたヨシタカに止められた。 「だから人前でだーりんは止せって…照れるじゃないか」 「お義兄さん、ご主人様は?」 「ああ、アキラなら多分センターに戻ったぞ」 「うぅ…水着姿、見せたかったなぁ」 「まあまあ、何なら部屋で着て見せてあげればいいじゃない」 「そ、それはちょっと…」 「それじゃ、後で写真を撮りましょう。そうすれば…」 「あ、それならいいかな」 「なぁ、オレはもう戻っていいか? あんま太陽の下にゃ居たくねーんだ」 「ああ、構わないよ。荷物番は僕が引き受ける。ホウはどうする?」 「…ボクも戻る」 「ゲッ」 「…何?」 「な、何でもねぇよ! 先に戻るっ!」 ゲンはそう言い捨てるとダッシュでセンターへと戻っていく。 それを見送ったホウも、自分の食事を片付けてからゆっくりと戻る。 残された4人は、それからもう暫く海水浴を楽しむのであった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・あとがき 前回の後書き忘れてたの今更気づいた曹長です。 ってか前後編じゃ済まずに三分割になってしまったorz 今回は前回の最後の空気はとりあえず置いといて、女の子たちのサービスシーンでした。 …え、絵がないからわからん? 妄想で補完してください。 参考までに、女の子組の身長&胸は…以下のイメージです。 ヘル:170cm・F ホウ:159cm・D メリィ:143cm・A デル:138cm・AA うん、デルちっさい。ヘルとは実の姉妹なのに(笑 次回こそは後編です。 彼らの関係は、次回で一つの区切りを迎えることでしょう。 それでは。