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このページはメンバーしか編集出来ません。編集にはメンバー登録が必要です。 01 BIaBIo 頭空っぽの連中赤白混合 02 【絆】 03 家族 04 【蝕】 マスターがハゲで目立ちたがりや 05 DemonSouls 赤白混合 06 人非人 在日中国人のユニ 07 ちょとPKが通りますよ チートユニ、クラッキング連中 08 “魂 韓国人おおし 09 ☆RulerOfMery☆ 赤白混合 10 七ツノ大罪 雑魚、キチガイのふきだまり 11 四面楚歌 12 なんだかな~ 13 ここにギルド名 14 ここにギルド名 こちらにもコメントを用意しました。PKギルド名の情報をお寄せください - 管理者 2011-10-25 18 11 23 ちょっとPKが通りますよ とかって名前のユニオンもあるみたい。 - 名無しさん 2011-11-05 18 59 25 ☆RulerOfMery☆ 人非人と仲いいみたい - 名無しさん 2011-11-11 15 16 39 上記の犯罪ユニを討伐するユニも教えてほしいな - 名無しさん 2011-11-15 16 27 39 PKerが多い=PKユニオンって勘違いされるのもどうかと - 名無しさん 2011-11-22 17 48 46 なんだかな~ってギルドもPKギルドです。 - 名無しさん 2011-11-23 20 16 43 名前
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カードリスト 能力 https //login.alteil.jp/lhCardDB/detail.php?id=3688 解説 バレンタイン を持つLV1ユニットカード。援護発動を持たない援護可能ユニットである。 自身がサポートエリアに存在すれば、自軍をHP+10/AT+10/AGI+1しこのカードのスキルを発動不可する。 オープンスキルにて自軍手札から バレンタイン を1枚選び山札へ戻す。その場合自身をLV+1する。 自身がLV2であればSP2のバックを行い、敵軍手札1枚をランダムで山札の上へと戻すドローロックを行う。 手札2枚とSP1を支払い、SP2バックと敵軍手札1枚の山札戻しを行う為SP差の発生は0である。 【バレンタイン】には山札内 バレンタイン カードを参照するスキルもある為、手札を山札へ戻す事は一概に損失であるとは言えない。 いざとなればHP+10/AT+10/AGI+1援護としても使用可能な為、デコイ目的で複数枚採用しても手札で腐りにくい。 コンボor必殺コンボ カード名 あれば。なければ空欄のままで。 解説や弱点など。 カード背景 ラヴァートの世界ではどんな人物or事件or魔法なのか 関連ファイル ファイル名 関連カード カード名 関連用語 用語 収録 どのパックに入っているか? カードリストからコピペしてください。 また着せ替えの有無もここに
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メリィラー ペピイッセイの別名。
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こちらにもコメントを用意しました。PKギルド名の情報をお寄せください - 管理者 2011-10-25 18 11 23 ちょっとPKが通りますよ とかって名前のユニオンもあるみたい。 - 名無しさん 2011-11-05 18 59 25 ☆RulerOfMery☆ 人非人と仲いいみたい - 名無しさん 2011-11-11 15 16 39 上記の犯罪ユニを討伐するユニも教えてほしいな - 名無しさん 2011-11-15 16 27 39 PKerが多い=PKユニオンって勘違いされるのもどうかと - 名無しさん 2011-11-22 17 48 46 なんだかな~ってギルドもPKギルドです。 - 名無しさん 2011-11-23 20 16 43
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シルフカンパニー。 カントーで流通している萌えもんグッズの大半を生産・販売している、業界最大手の会社である。 その本社ビルの内部は今。 戦場と化していた。 『決戦、シルフカンパニー(中編)』 「侵入者が……ぐあっ!」 「そこで寝てろっ!」 一階に控えていた数名の団員を突破した突入部隊は、各自社長室への道を開くべく上のフロアへと向かっていた。 そんな中、とあるフロアでは二人のトレーナーが何処からとも無く大量に湧いてきた下っ端に囲まれていた。 アキラとクリムである。 「ちっ、流石に数が多い……!」 「……アキラ、やるぞ!」 「わかってる!」 二人は腰につけていたモンスターボールを全て外し、放り投げた。 まず現れたのは……デルとロコン。 彼女らに向かって、数え切れないほどのズバットやゴルバットが殺到する。 「……ロコンさん、二人で纏めて薙ぎ払いましょう」 「わ……わかり、ました!」 言葉を交わし、身構える二人。 その視線は一度交わり、次の瞬間には群れの中央へと。 「いきますよ……ダブル!」 「ばーにんぐ……!」 「「ふぁいやーーーっ!!!」」 小柄な二人から放たれた二条の火炎放射。 二つの「火」は合わさり「炎」と成りて敵を焼き尽くす。 また、それによって起きた空気の対流は火炎の熱を取り込み、熱風となって群れに襲い掛かった。 ……そして、その炎が消えた時。 あとに残ったのは、力なく折り重なったズバットらの群れであった。 一方、反対側ではメリィとピカチュウがコラッタやラッタを相手に大立ち回りを演じていた。 「おりゃおりゃおりゃーーーっ!!!」 「やぁっ、せいっ、せやぁーっ!」 「やられる前にやる」を体現するかのように、動きを止めず、次々に敵へと飛び掛っていくのはピカチュウ。 逆にメリィはその場で足を止めて攻撃を見切り、近くに来た相手には拳を、遠い相手には電撃を撃ちこんでいる。 更に彼女達をフォローするように、シャドーボール・水鉄砲・葉っぱカッターの弾幕が飛んでいた。 「おらおらぁっ!撃墜マーク、ゲットだぜ!」 「あははっ、負けないよーっ♪」 「ふ、二人とも、最初からそれだと体力が持ちませんよ?」 競うように敵を叩き落していくゲンとフシギソウ。 そんな二人を気遣いつつ、シャワーズも弾幕を張る手を緩めない。 更にそこから少し敵陣側。 やはり大勢の敵に囲まれ、背中合わせで立っている二人の萌えもんが居た。 フーディンとホウである。 「……やれやれ。たった二人を相手にこれだけの人数を裂くかね、普通」 「……妥当な線。むしろ足りない」 「何がだい?」 「……敵の戦力」 「ふむ……確かに。だけど、いくら小物とはいえ一つづつ片付けていくのも面倒だね」 「ん。力を合わせる」 「なるほど。面白そうだ」 二人は少しだけ姿勢を崩す……団員達はそれに対し、各々で身構える。 「……今からする攻撃は」 「キミたちが何をしようが関係ない攻撃だよ」 いつの間にか、二人の周囲で紫色の火花が散っていた。 「それじゃあ、始めようか」 「……全力全壊」 「「サイコブラスター!!!」」 二人が声を上げると同時に、彼女達を中心とした半径数メートルの範囲は念力の嵐が巻き起こっていた。 彼らは気づかないうちに、ホウが築き上げたリフレクタードームの中に閉じ込められていたのだ。 そうして念動力的に閉鎖された空間に、フーディンの力が指向性を持たずに解放されたのである。 するとどうなるか。いわゆる念力版電子レンジの出来上がりだ。 「ぎゃああああああああああああああああああ!?!?!?」 「頭が……頭が割れる……!!!!!」 閉鎖空間を不規則に暴れ回る念力は、内部に居る生物を無差別に叩きのめす。 嵐が止んだ後、立っていたのはフーディンとホウの二人だけであった。 「ふむ……少々、やりすぎたかな?」 「……いいんじゃない?」 再び視点はピカチュウとメリィ。 粗方敵は排除し、細々と残っている連中は後方からの弾幕が掃除している中、一人のゴローニャと対峙していた。 「うぅ……硬いよ、このひと」 「だからって諦めてちゃ話になんないよ!もっかい行くよ!」 「う、うんっ」 ピカチュウは助走をつけ、電気を纏い一直線に飛び掛る。 メリィは反対側に回り、腰だめに拳を構えて力を溜めている。 「いくよ、必殺!イナズマ……キーック!!」 「いち…に…さん、きあい……パーンチッ!!」 前後から挟み込むようにしての同時必殺技。 だがしかし。 「……甘い」 「うそぉっ!?」 「そんなっ……」 前面からのイナズマキックは交差させた腕で防ぎ、背後からの気合パンチは全く意に介した様子も無く。 「フン!!!」 ずしんっ!!!!!!! 「うわああああああっ!!!」 「きゃうぅぅぅぅっ!!!」 大技を繰り出した後の硬直に地震を合わせられ、大きなダメージと共に二人は壁際まで弾き飛ばされた。 「メリィ!!」 「ピカチュウ、大丈夫か!?」 「あぁうあうううーっ……痛いけどだいじょうぶ……」 「あたしも平気っ……まだやれる!」 メリィは頭を抱えながら起き上がり、ピカチュウも少しふらつきながら立ち上がる。 「だけど、このまま攻撃してもジリ貧だぞ……どうする?」 「………ピカチュウ、お前の攻撃の弱点…それは攻撃に重さが無いことだ」 「うっ……それはわかってるけど、どうしようもないじゃない」 「だから、重さが足りなければ加えればいいんだ……頼めるか、アキラ?」 「…!なるほど、わかった。メリィ、さっきのピカチュウの動きを物真似するんだ!」 「わ、わかったよ。ピカちゃん!」 「おっけー、いくよ必殺っ!」 再び助走をつけ、電気を纏って加速するピカチュウ。 それをメリィが鏡写しでなぞる様に動き、同じように電気を纏う。 「イナズマ……」 「ダブル……!」 「「キーーーック!!!」」 雷の矢となってゴローニャへと突っ込む二人。 それを先ほどと同じように交差させた腕で防ごうとして。 ドゴッ!!! 「……っがぁ!?」 勢いを殺せずに吹き飛ばされた。 その向かう先は……ガラス窓。 パァン! 「うああああああぁぁぁぁぁ…………」 重量級の体は窓を容易く突き破り、そのまま悲鳴を残してフロアから姿を消した。 「はぁ、はぁ、ふぅ……」 「あたしたちを……なめないでよね……」 「……なぁ、クリム。ここ何階だっけ」 「……知るか。それより、敵も粗方片付いたし、先に進むぞ」 「ああ、了解……っと、待ってくれ。フロアの探索と上階の制圧に別れたほうが良くないか?」 「……いつまでも固まって動いてる訳にもいかない、か。よし、俺が上に行こう」 「わかった、そんじゃ幸運を祈る」 「お互いにな」 ……十数分後。 応接室らしき部屋で、アキラ達は休息をとっていた。 「ふぅ……この階の探索も大体は終わったか」 「この階は、あんまり仕掛けとか敵とか無かったね」 「そうですね……各ワープ床も、重要そうな場所には繋がっていないみたいですし」 「……よし。下には制圧の連絡入れたし、少ししたら上に行くぞ」 「ん、了解」 「……あ、ちょっと待って」 「ん、どうしたメリィ」 「えと、その……」 もじもじして言いずらそうにしているメリィ。 「……あー、メリィ。ちと俺トイレ行くから護衛についてきてくれ」 「あ……うん!」 「ご主人様、私達は……」 「ああ、そんなにしないで戻るから待っててくれ」 そう言って、二人は連れ添って部屋を出て行く。 トイレへ向かう途中の廊下で、メリィは小声でアキラに話しかけた。 「……マスター、ありがと」 「気にすんな。トイレ行きたかったのは本当だしな」 そしてそれぞれ用を足して戻る途中。 「~♪」 「……」 鼻歌なんぞ歌いつつ、ゆっくり歩くメリィ。 その後姿をぼーっと眺めながらついていくアキラは、ちょっとした悪戯心が首をもたげてきていた。 「……なぁ、メリィ」 「なーに、マス……きゃっ!?」 突然後ろからメリィの体を抱きしめるアキラ。 そのままうなじに顔を寄せ、首筋を啄ばむ。 「ちゅ、む……」 「ひ、ぁあっ!…ま、マスター、何して…!?」 「いや……なんかこうムラっと来て」 「だからってこんな時にこんなとこで……んっ」 後ろからメリィの唇を奪い、小柄な体躯を抱き上げて逸れた通路へと連れ込むアキラ。 ……と、その時だった。 カチッ。 「あ」 「え」 アキラが踏み込んだその地点。 敷かれているマットからはみ出している床。 その床は、マットの下に隠された……彼らがまだ確認していないワープ床だった。 シュン、というような音と共に、二人は違うフロアへと飛ばされる。 不安定な格好のままワープした二人は、ワープ先でもつれ合うようにして転倒した。 「きゃ!」 「ぐぇ……」 「ま、マスター大丈夫?」 「お、おう……ってかここはどこだ?」 立ち上がり、周囲を見回すアキラ。 部屋は薄暗く、多数のよくわからない機械が電子音を立てながら稼動している。 と、その中に一つ、とりわけ目立つ機械があった。 「なんだこれ……!?」 円筒状のカプセルに液体が満たされ、発光している装置。 その中には全身痣や傷だらけの、幼いサイホーンの少女が一人入っていた。 「ひどい……こんな怪我、普通に戦ったらできないよ」 「……もしかしたら、トレーナーに虐待されたのかもしれないな」 「クックック……その通りさァ」 「!?」 奥から聞こえてきた笑い声に、二人は身構える。 さっきまでは暗くてよくわからなかったが、よく見ると粗末な椅子に腰掛けた黒服の男が居た。 メリィは警戒しつつ、アキラをかばうように前に出る。 「どういう、ことですか…?」 「どーもこーもねぇよ、言葉通りの意味に決まってんだろが。クックク…」 「そんな……あんな小さい子に」 「ククク…クッハハハハハハハ!!!」 「何がおかしいんですか!」 「馬鹿じゃねぇかお譲ちゃん?……ちんまいガキだからこそ、よーく怯えてくれて面白れぇんじゃねーか」 「……ッ!」 「メリィ、落ち着け!奴はロケット団なんだ……叩きのめして、確保するぞ!」 「了解だよ!」 「クックク……俺と戦おうってか。望むところだ、出て来いサイドン!」 男は立ち上がると腰に一つだけ着けていたモンスターボールを放り、サイドンを呼び出した。 「サイドンか……相性最悪に近いな。メリィ、格闘技で行けるか?」 「…………ぁ…」 「……メリィ?おい、どうした?」 メリィは青ざめた顔で、相手のサイドンを見ている。 瞳孔は縮み、体は震え、今にも膝から崩れ落ちてしまいそうであった。 「メリィ、おい!返事してくれ!」 「……ます、たー……?」 「一体どうしたんだ、お前……」 「う、ううん。なんでも、ないよ」 「そうか?無理はするなよ」 「うん……ねえ、マスター」 「ん、何だ?」 「えと…キス、して。それから、ぎゅっと、して」 「……いいぜ」 アキラはメリィの要求どおり、震える体を抱きしめて唇を重ねる。 五秒ほどの時間が経ち、メリィの方から唇を離した。 「充電、完了……なんてね」 「ばか、何言ってんだ」 「おーおー、人前でお熱い事で……さぁ、やろうか。ククク……」 「……余裕こきやがって。メリィ、行くぞ!」 「…っ、うん!」 メリィは気合を入れ、右の拳をしっかりと握りなおす。 (昔のことなんて、いつまでも引きずってられない……) (大丈夫……私にはマスターがいる……) (見ていて……お母さん!) そしてメリィの跳躍と同時に、戦いの幕は開いたのであった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・あとがき ども、約二ヶ月ぶりに(ry えー、今回は戦闘編……というか合体攻撃のオンパレードでした。 ってか引き続きキャラ貸していただき、ストーム7氏にはホント感謝の気持ちでいっぱいです。 ……書くことがもう無いっ(マテ ということで、次は後編でお会いしましょう。それでは。
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/1008.html
夜空を彩る無数の提灯。 道の脇には屋台が立ち並び、客引きの声が響いてくる。 道には数えるのも馬鹿らしくなるほどの人があふれ、熱気が満ち満ちている。 季節は夏真っ盛り。 この日セキチクシティでは、年に一度の夏祭りが開かれていた。 「ほんとにたいした人数だなぁ……」 「もともとが観光地ですからね。この祭りを見るためにいつもより大勢の人が来ているようですよ」 俺のつぶやきにデルが律儀に応えてくれる。流石はデル、下調べも万全なようだ。 デルの話によればここの祭りはカントーではなかなかに有名で、観光客も大勢来るらしい。 にぎやかなのは結構なことだ。祭りはにぎやかなのに越したことはない。 しかし、この人ごみはなんとかならないのだろうか。これでは、 「……いたか?」 「……いえ、見つかりません」 「ったく、メリィのやつどこいったんだ……?」 これでは、迷子が見つけにくくてしかたないじゃないか。 ――― ことの始まりは、今日の夕方に遡る。 「マスター、これ見て、これ!」 「祭り?」 メリィが持ってきたチラシにはでかでかと『祭』の文字が描かれていた。 「今日の夕方からやるんだってさ! ねぇ、行ってみようよ」 「おもしろそうですね。いってみませんか? ご主人様」 「まあ、特に用事もないし……。よし、行こうか!」 それからわずか1時間後、俺たちの姿は祭り会場の入り口にあった。 どこから調達してきたのかは知らないが、デルは黒を基調としたアサガオ柄の浴衣、 メリィは薄黄色を基調としたひまわり柄の浴衣を着ており、2人とも準備万端といった様子だった。 「2人とも、よく似合ってるぞ」 「うん。ありがと」 「あ、ありがとうございます」 俺の率直な感想に頬を染めて礼を言う2人。 その様子に俺もなんだか気恥ずかしくなり、無意味にあたりをぐるりと見回した。 提灯はまだ灯ってはいないもののあたりには人ごみができ始めており、 屋台はすでにフル回転を始めている。 「まだ夕方なのに、すごい人だかりですね」 続々と集まってくる人を見ながらデルが感嘆の声を上げる。 「ああ、これははぐれたら大変だぞ」 「だったら、こうすればいいんじゃない?」 言うが早いか、メリィが俺の右手を取ってきた。 「お、おい……」 「はぐれたら困るんでしょ?」 確かにそうだが、ちょっと恥ずかしい。などと戸惑っている間に今度は左手が引かれた。 「ん?」 視線を向けた先にはデルの姿。彼女は少し恥ずかしそうにしながら、 「確かに少し恥ずかしいですけど、皆やってますよ?」 言われて視線をめぐらせると、 多くの人々――主に家族連れや恋人と思しき人たちは皆手をつないでいた。 「……そうだな。俺たちだけ恥ずかしがっててもしかたないしな」 「そうそう」 「そうですよ」 2人の嬉しそうな声を聞きながら歩き出す。 多分俺もまんざらでもなさそうな顔をしているんだろう。 このとき、はぐれたときのことをもっと考えておけばこんなことにはならなかったと思う。 しかし浮かれ気分の俺達はそんなことを少しも心配せずに祭りに乗り込み、 予想以上の人波にもまれてはぐれてしまったメリィを探すはめになってしまったのだ。 ――― 「ふぅ……」 人の波から外れて一息つく。流れの外側に出たおかげで、人の多さをあらためて感じさせられた。 この中からたった一人を探し出すのは至難の業だろう。 「メリィ、大丈夫でしょうか……」 デルが不安そうな声を上げる。俺もデルも、頭の中はメリィを探すことでいっぱいだった。 この祭りには3人で来たのだ。3人そろっていなければ楽しむ意味がない。 この上メリィに何かあったらと思うと、とてもじっとしてはいられなかった。 「きっと大丈夫だ。さぁ、行こう」 デルの手を取って歩き出す。その瞬間、 「やめてください!」 そんな声と共に、もめごとの気配が漂ってきた。 見れば、ハクリューの女性が人間の男にからまれている。 今はメリィを探し出すのが最優先だ。それはわかっている。 「なあ、デル」 「はい。なんですか?」 「少しだけ、寄り道してもいいか?」 でも、俺にはなぜかほうっておくことができなかった。 「本当にありがとうございました」 助けた女性が丁寧に頭を下げてくる。 「あ、いえ。大したことはしてないですよ」 この言葉は謙遜ではない。俺たちが介入したとたん、男たちはさっさと逃げ出してしまったからだ。 その程度の度胸ならからんだりするなとも思うが、争いごとにならなかったのでよしとしよう。 「いえ。そんなことはありませんよ。実際に私はあなた方のおかげで助かったのですから」 そう言ってやわらかくほほ笑む女性。 彼女はミルトという名前で、俺達と同様に連れとはぐれてしまったらしい。 俺たちと違うところは、合流場所をしっかりと決めていたところだろうか。 その方向はまだ探していなかったので、俺たちはミルトさんと一緒にその合流場所に行くことにした。 道すがら、俺たちはいろいろと話をした。 旅の目的、今まで訪れた町のこと、道中でのトラブルなどなど。 お互い旅人ということもあってか、それらの話はすごく盛り上がった。 特にデルはミルトさんと気があったようで、とても楽しそうに話をしている。 「……メリィのやつ、ほんとにどこにいったんだ?」 そんな様子を横目に見ながらも、周囲の人波のなかにメリィの姿を探すことは忘れない。 見つからないのは先ほどまでと同じだが、俺は自分の中の焦りが小さくなっていることを感じた。 ミルトさんと話してリラックスしたおかげだろうか。視野も幾分か広がっているように感じる。 今ならきっとメリィを見つけることができる。根拠もなくそう思ったとき、 「あ、着きました。あそこが合流場所です」 ミルトさんが示す方向を見る。俺の目に飛び込んできたのは、 「「メリィっ!」」 紛れもなく、はぐれてしまった大事な人の姿だった。 ――― 「なぁ、そろそろ機嫌直してくれよ」 「ふーんだ」 もう何度このやり取りを繰り返しただろう。 再会すると同時に「この、バカマスター!!」と言って電気ショックを放って以降、 メリィはまったく口をきいてくれない。 メリィの怒りはもっともだと思うが、いい加減話をしてくれてもいいんじゃないだろうか。 ふと横を見ると、ミルトさんが彼女のマスターと思しき男性と話をしていた。 きっとはぐれてごめんとか、無事でよかったとか、そんな話をしているんだろう。 話をしているミルトさんは、俺達が見たことの無いような柔らかい表情をしていた。 「あの様子なら、今回は心配ないみたいですね……」 「え? 何か言ったか? デル」 「い、いえ。何でもないですよ」 「そうか? しかし、どうしたもんか……」 思案にくれていると、ミルトさんがマスターらしき男性を伴ってこちらへと歩いてきた。 「紹介が遅れてすみません。こちらが私のマスターです」 「はじめまして。トウマといいます。ミルトがお世話になりました」 そういって男性――トウマさんは右手を差し出してくる。 眼鏡をかけた、人のよさそうな男性だ。 骨折でもしたのか左手を吊っているが、とりあえず悪い人ではなさそうだ。 「いえ。こちらこそ、メリィがご迷惑をおかけしたようで」 握手に応じると、思いの外がっしりとした手をしていた。 「迷惑だなんてとんでもない。……彼女、まだご機嫌ナナメのようですね」 「そうなんですよ。まあ、無理もないけど……」 メリィのほうを見る。相変わらずのその様子に思わずため息が漏れた。 「相当寂しがってましたよ? なんせあなたを待ってる間中―」 トウマさんの口からその言葉が漏れた瞬間、そっぽを向いていたメリィが一瞬でこちらを向いた。 「ちょ、ちょっと。それは……」 「―俺が何を勧めても『マスターと一緒じゃないと嫌』の一点張りでしたからね」 「~~~~~!」 メリィの顔が赤く染まっていく。 何か言おうと口が必死に動いているが、漏れてくるのは言葉にならない音ばかり。 でも、俺にはわかる。この後に来るのは、照れ隠しの電撃だということが。 その想像を裏付けるかのようにメリィの周囲の空気が帯電し始め― ドーン 腹に響くような衝撃がはしり、大きな爆発音が響く。 咄嗟に目をつぶるが、なぜかぜんぜん痛くない。 「…………?」 恐る恐る目を開けると、俺以外の全員が空を見上げていた。 その視線を追って夜空を見上げた瞬間、 ドーン そこには、大輪の花が咲いていた。 「うわぁ……」 誰かが感嘆の声を漏らす。あるいはそれは、おれ自身の声だったかもしれない。 夜空を彩る様々な光に、俺達はしばらくみとれていた。 「……許してあげる」 そんな中で、ぽつりと聞こえた声に振り返る。 「え?」 「だから、許してあげるってば!」 口調こそ少し乱暴だが、花火の光に照らされるその顔には怒りの色は見えない。 「……ありがとう。これが終わったら、3人でいろいろと出店を回ろう」 「うんっ!」 そういってメリィが浮かべた笑顔は、夜空の光よりも輝いて見えた。
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ゲンとホウがニュースを見て3の島へ飛び立った頃。 自分達に危機が迫っているとも知らぬアキラ達4人は、まったりとした食後のひと時を満喫していた。 『深林の追跡者(中編)』 「はぁ……食った食った」 「マスター、そのセリフはおじさん臭いよ」 「メリィさんこそ、木に寄りかかってお腹をさすっていては人のこと言えませんよ?」 「…………(ウトウト」 「ん、サイホは眠いのか?」 「…………(コクリ」 「それでは…………?」 デルは何かを言いかけるが、一瞬目つきが鋭くなって背後を振り返る。 「デル、どうかしたのか?」 「……いえ、なんでもないです。それでは、マスターはサイホさんとここでゆっくりしててください」 「え、デルはどうするんだ?」 「私はメリィさんと少し散歩してきます。これくらい慣れてもらえれば、二人きりでも平気かと」 「まぁ、そうだといいけど」 「大丈夫、サイホちゃんいい子だもん!」 「メリィ、それは理由になってないぞ……ま、そういうことなら頑張ってみるか」 苦笑いしながらアキラはそう応えた。 折角デルが気を使ってくれたのである。 膝の上で舟をこぐサイホを撫でながら、アキラは二人を見送ることにした。 「じゃ、気をつけてな」 「マスターこそ、野生の子に気をつけてねー!」 「それでは、行ってまいります」 そう言って、二人は広場から森の中へと入っていく。 暫く進んだ所で、デルの方から話を切り出した。 「……メリィさんは、気がつきました?」 「それって、もしかして……さっきの広場で私たちを見てた人のこと?」 「ええ……」 先ほどデルの目つきが鋭くなったのは、自分達の背中に舐めるような視線を感じたせいであった。 彼女はそれを危険なものと判断し、自らのマスターの手を煩わせずに対処しようと考えていた。 「折角の森林浴を、無粋な輩に邪魔されるわけにはいきませんし……」 「サイホちゃんはおやすみ中だから、気づかれないようにお邪魔虫を倒すってこと?」 「そういうことですね。それでは、手分けして探しましょう」 「どっちがやっつけるか、競争だね」 そう、互いに声をかけて二人は反対方向に歩を進めた。 彼女達は、それぞれがそれなりに……戦闘能力で言えば、一般の野生萌えもん程度なら一撃で倒せる程度には強い。 それほどの実力を持つという自負が、今回二人に単独行動をとらせたのであろう。 ……その判断が、逆にアキラ達を窮地に陥れることになるとは全く思いもせずに。 一方で。 デルやメリィに視線を送っていた相手は、二人が立ち上がって自分のほうに歩いてくることに気づき、咄嗟に場所を変えて潜伏した。 髪の色と同色の全身黄色で統一された衣装と手に持つ振り子は、彼女がスリーパー族であることを示していた。 「……まさか、わたくしの視線に気づくほどの手だれだなんてねぇ」 彼女はそう呟きながら、二人の様子を伺っていた。 下手に注視すると気づかれるので、焦点を拡散させて二人の位置だけを把握しながらこれからどうするかを考える。 「流石に二人同時に何とかするのは無茶ねぇ……一人づつなら絡め手でいけるかしら」 そう呟いた矢先、視界内の二人が二手に分かれて歩き出した。 片方は遠くへ、もう片方は自分のほうへ。 「あらぁ……これは願っても無いわ♪」 そう言って笑みを浮かべると、彼女は近づいてくる黒い少女……デルを落とすための行動を開始した。 「……そろそろ出てきていただけないでしょうか」 デルは少し開けた場所で足を止めると、後ろを振り返って言い放った。 その声に応えるように、木々の間から黄色い萌えもん……スリーパーが姿を現す。 「あらあら……何時から気づいていたのかしらぁ?」 「最初からずっとです……何か御用でしょうか」 警戒を解かず、鋭い目のままデルは問いかける。 それに怯む様子もなく、スリーパーは答えた。 「まぁ……貴女、中々かわいい顔してるのにそんな表情じゃ台無しよ」 「質問に答えてください……!」 「あら怖い。そうねぇ……貴女が欲しい、って言えば理解できるかしら?」 「……何を言っているんです」 「そのままの意味よ、住処に連れて帰って……わたくしの玩具になってもらうわ♪」 「……っ!?」 そう言って黒い笑みを浮かべるスリーパー。 デルはその表情に薄ら寒いものを感じ、反射的に後ずさって悪の波動を放射した。 スリーパーはそれを避けようともせずに喰らい……そのまま影のように掻き消えた。 「なっ、身代わり!?」 「はい、残念♪」 「なっ!?」 すぐ横にいきなり現れたスリーパーに驚き、後ずさろうとして何かにぶつかる。 何かと思い見上げると、それもスリーパー。 「あらぁ、逃がしませんことよ?」 「い、嫌っ!」 その場で90度向きを変えて走り出そうとして、そちらにもスリーパー。 嫌な予感を感じて背後を振り返ると、そこにもスリーパー。 気がつくとデルは、4人のスリーパーに囲まれていた。 「な、何故……いつのまに……!?」 「うふふふふ」 「わたくしからは」 「逃げられると」 「思わないことですわねぇ♪」 「い、嫌あああああああっ!!!」 錯乱したデルはその場でへたり込み、頭を抱えて怯えていた。 正直な話、甘く見ていたのだ。 すぐ傍に、主人の居ない戦いというものを。 「ふふふ……泣く姿も可愛らしいですわ」 「やめて……来ないでください……!」 「あらぁ、そんな連れないことを言わずに……」 気がつけば分身は姿を消し、目の前に一人だけ、同じ目線にあわせてきたスリーパーが居た。 恐怖のためかデルの体は硬直し、スリーパーの目から視線を外すことができなくなっていた。 ……実際の所はスリーパーの金縛りなのだが、デルは知るべくも無い。 「さぁ、わたくしの目を見て……わたくしに全てを委ねなさぁい」 「嫌……私は、ご主人様の……」 「いけない娘ねぇ……もう少し、仕込まないといけないかしら」 そうスリーパーが呟くと、デルの脳裏に様々な思い出がフラッシュバックし始めた。 「な、何を……」 「うふっ、ちょっと記憶を見せてもらうわねぇ」 「や、やめてください……」 「それはできない相談だわぁ……あら、これなんかよさ気ね」 スリーパーが選んだ記憶、それは。 ……メリィが引き取られて暫く経った、ある日の思い出だった。 「だ、だめ……その、思い出は……!」 「あらまぁ、大事なお兄ちゃん……今のご主人様かしら、この黄色い娘に取られたと思って……」 「やめて……それ以上は……」 「嫉妬に狂ってこの娘に攻撃して、お兄ちゃんが庇って記憶喪失ねぇ……それで忘れられたのをいいことに、無かった事にしたのね。いけない娘」 「そんな……違う、違う……!」 「違わないわぁ。貴女はずるくて酷くていけない娘、お兄ちゃんの傍に居るだけでも罪深いのよぉ」 「嫌……そんな……」 勿論スリーパーの言っている理論はおかしいのだが、今のデルにそれを考えるだけの心理的な余裕は無かった。 相手を精神的に追い詰め、徐々に外堀を埋めつつ催眠と暗示をかけていく……これがスリーパーの戦術だった。 「あ……ああ……」 「そろそろかしらねぇ……さぁ、こんな罪な娘はわたくしの玩具になりなさいな。他に居場所なんてありはしませんわ」 「わた……し……は」 そして。 「はい……あなたの……玩具、です……」 虚ろな目で……敗北を宣言する言葉を、口にした。 「……うーん、どこかなー」 デルと反対の方向に進んでいったメリィは、視線の相手を探して周囲を見渡していた。 が、今は先ほどのような視線は感じられず、彼女は少々困っていた。 「気配とかそういうのを探るのは苦手なんだけどなぁ……あ」 そんな時、メリィは少し先の開けた場所にぼーっと立っているデルの姿を見つけた。 「デルちゃーん、見つかった?」 「………メリィ……さん?」 「デルちゃん? どうかしたの?」 顔だけメリィの方を向き、虚ろな表情で返事をするデル。 メリィは何かあったのかと心配になり、急いで駆け寄ろうとして。 「主様のため……倒す……」 「え……きゃぁっ!」 突如デルの放ってきた悪の波動を、避けきれずに吹き飛ばされた。 「いったぁ……デルちゃん、一体どうしちゃったの!?」 「攻撃……続行……」 「っ、やめて!」 続けてデルは悪の波動を放ち続ける。 メリィは咄嗟に光の壁を展開するが、完全には防ぎきれずに徐々に体力を消耗させていた。 「くぅぅぅっ……デルちゃん、どうして……」 「障壁……打ち砕く……」 「ううううっ、ああああああ……!」 パァン! 「きゃああああああああっ!!!」 そしてとうとう耐え切れなくなった光の壁は割れてしまう。 遮る物の無くなった悪の波動に呑み込まれ、あまりの威力にメリィは意識を手放した。 如何にメリィが特殊耐久力の高いデンリュウ族とはいえ、対するデルも特殊攻撃力が自慢のヘルガー族。 更に言えば悪の波動の基本威力も高く、ついでに催眠によるリミッターカットまでかかっていればなおさらである。 隠れていたスリーパーはその様子を見て、二人のところへと歩み寄る。 「任務……完了……」 「あらあら、駄目じゃないの気絶させちゃ」 「主……様」 「まぁいいわ……意識がハッキリしないうちに仕込みましょうかしらねぇ」 そう言ってスリーパーは倒れているメリィを抱き起し、念力で少しだけ頭を揺さぶって意識を取り戻させる。 そしてメリィがうっすらと目を開くと同時に、視線を合わせて暗示をかけ始めた。 「あ……うぅ……?」 「かわいい娘……わたくしのお人形さんになって頂戴な」 「わたし……あなたの……おにんぎょう……」 「あらぁ、思ったより暗示が効きやすいのね……いい子ねぇ」 「わたし……いいこ……?」 「ええ、いい子……さぁ、わたくしにその身を委ねなさぁい」 「はぁい……えへへぇ……♪」 「……う」 何かに酔った様な表情でメリィはスリーパーに返事をする。 その仕草に何かキたのか、スリーパーは鼻を押さえつつも指示を出した。 ……押さえているのにだばだばと溢れ出ている赤い液体については気にしない方がよさそうだ。 「そ、それじゃぁ貴女達……最後の目標に向かいますわよ」 「了解……」 「うん……」 「お願いしますわ……♪」 そう言ってスリーパーが目を光らせると同時に、二人は本来の主の下へと走り出した。 それを追うように、スリーパーもゆっくりと歩き始めた……歩んだ跡に赤い液体を残しながら。 「………(スゥスゥ」 「……すっかり寝ちゃってるな。それだけ俺に気を許してくれたってことなんだろうか……」 アキラ達が昼食を取った広場では、相変わらず二人がゆっくりとした時間を過ごしていた。 折角デルとメリィが気を使ってくれた(と、アキラは思っている)のだが、こういうのも悪くないとアキラは感じていた。 木漏れ日とそよ風を浴びながら、アキラは優しい手つきでサイホの髪を撫で続ける。 そんな時だった。 がさがさと藪をかきわけ、メリィが現れたのは。 「お、おかえり」 「………」 「……メリィ? どうしたんだ?」 声をかけてもメリィは反応しない。 妙に思ったアキラはサイホを抱きかかえ、メリィの方に近づいていく。 すると。 メリィはとろんとした笑顔のまま、右腕を上げ。 アキラに向けて10万ボルトを放った。 「……っ!?」 「……あはっ♪」 バババババババババババババッ!!! アキラは放たれた電撃を避けることも敵わず、サイホを抱きしめて反射的に身を縮めた。 が、電撃はアキラには命中しなかった。 全てサイホの角の先端から、彼女に吸収されていた。 「避雷針」の特性である。 それと同時に、サイホは目を覚ました。 「……??」 「サイホ、大丈夫か!?」 「……(コクコク」 「そっか、地面タイプだもんな……ってかメリィ、いきなり何するんだ!」 アキラはメリィから少し距離を取り、彼女を叱る。 が、その言葉も今の彼女には届くはずもなく。 「あは、あははっ♪」 バリリィン!! 「っ、聞こえてないのかよ!」 壊れたように笑い声を上げながら、メリィは二人に向かって電撃を放ち続ける。 だがそれは悉くアキラに当たらず、全てサイホに吸収される。 アキラはこのままではまずいと判断し、とりあえず逃走することにした。 「くっ……サイホ、逃げるからしっかり掴まってろよ!」 「……!(コク」 メリィに背を向け、アキラは走り出す。 相変わらず電撃が飛んでくるも、サイホの特性のお陰でアキラには当たらない。 そうして小路に飛び込もうとしたところで、突然現れたデルに行く手を塞がれた。 「デル!? まさか……お前も!?」 「目標……捕捉……」 「やべっ、避けきれるか!?」 大きく息を吸い込むデル。 アキラはダッシュの慣性が効いたまま横に飛び、火炎放射の射線軸から退避する。 が、それを追うようにデルの首が動き、アキラを射程範囲に引っ掛けていた。 「発射……」 「んなんとぉっ!?」 「……!?!?!?」 「うあちゃっ、くそ! 殺す気かよ!」 辛うじて上着を焦がすだけで済んだが、今度は逃げ場の無い場所に追い込まれていた。 アキラは腕の中で震えるサイホを撫でながら、次に打つ手を模索するも良い手が見つからない。 「くっそ、万事休すか……?」 「……(ブルブル」 「サイホ……くっ、絶対にお前だけは守ってやるからな」 「……(えぐえぐ」 怯えて涙目のサイホを、アキラは庇うように抱きしめた。 そして二人に向かって、再び火炎放射が襲い掛かる。 と、その時。 ゴォッ! 「な、何だ!? ……風?」 アキラの目の前に突如出現した竜巻。 デルの放った火炎は、竜巻に巻き上げられてアキラ達に届くことは無かった。 そして。 「ったく、誘拐犯が出るってから助けに来て見りゃ……何がどーしたらおめーがこいつらに襲われてんだよ」 「サイホ、アキラ君……無事?」 「二人とも、来てくれたのか……!」 竜巻が消えた後には、ゲンとホウの二人が立っていたのだった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・後書き ども、約三ヶ月ぶりに本編が進んだ曹長です。 これがいわゆる四度目の正直と言うものですね!(言わん てか後編どころかまたしても中編が挟まったよ! 解決編どころか問題が増えたよ! 無駄に文章が長くなる癖はどうしたら良いものか……気にしても仕方ないか(ぇ さて、操られた二人をアキラは取り戻すことができるのか。 そして、デルの心の奥底に仕舞われていた罪の意識は。 今度こそ、待望の解決編! 次回、萌えっこもんすたぁ Long long slope 『深林の追跡者(後編)』 それではまた、次回の後書きでお会いしましょう。
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メリィベル とは、【ドラガリアロスト】のキャラクター。 プロフィール 作品別 関連キャラクター コメント プロフィール メリィベル imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1.png) 他言語 種族 【ヒューマン】 性別 女 趣味 山菜あつめ 特技 キノコの目利き 好き 甘いお菓子! 苦手 ニンジン…… 声優 花澤香菜 初登場 【ドラガリアロスト】 天真爛漫な森の少女。持ち前の無邪気な笑顔と明るさで周りの人々を和ませる。 本人はいつも真剣なのに、子ども扱いばかりされてよく怒っている。 しかし、お菓子さえ与えれば誰でも手懐けることが可能。 作品別 【ドラガリアロスト】 通常版 性能 二つ名 森の愛し子 (フォレストメイデン) ★ 属性 武器 タイプ HP 攻撃 5 風 ロッド 攻撃 897 614 入手 実装日 レジェンド召喚 2018/09/27 スキル わたしの友達、まもるもん!(シェア可能/5) Lv4 ターゲットとその周囲の敵に風属性のダメージを与え、10秒間、防御力を5%ダウンさせる。この防御力ダウン効果は重複しない。 Lv1 ターゲットとその周囲の敵に風属性のダメージを与える。 だいじなみんなに、ちかづくな! Lv3 直線上の敵に風属性のダメージを与える。30ヒット以上のときに発動すると、自身を【超やる気】にする。 Lv2 直線上の敵に風属性のダメージを与える。 EXアビリティ スキルダメージ+15% パーティ全員のスキルダメージが15%アップする。 リンクEXアビリティ 【風】堅守 HP80%で耐水+6% パーティ全員が以下のアビリティを得る。キャラが風属性ならHP80%以上のとき、水属性耐性が6%アップする。 アビリティ HP満タンでスキル+45% HP満タン時、スキルのダメージが45%アップする。 ずぶぬれ耐性・改+100% 「ずぶぬれ」状態になる確率が100%ダウンする。ずぶぬれ判定を持つ攻撃を受けた時、自身に【10秒間、攻撃力が15%アップするバフ】が発動。バフを発生させる効果は発動してから15秒間は発動しない。 スキルチャージ 開幕ゲージ+100% クエスト開始時のスキルゲージが100%アップする。スキルを使用したとき、スキルゲージが5%アップする。 引用 ドラガリアロストDB【ドラガリDB】 サービス初期から実装されている★5キャラ。 とにかくシンプルなスキルアタッカー。「わたしの友達、まもるもん!」は防デバフを付与できる。 2020/09/24から配信されたVer.2.0.0以降は「わたしの友達、まもるもん!」の防デバフが重複しなくなった代わりに成功率が増加。 2020/09/27にマナサークル第6層が解放。「だいじなみんなに、ちかづくな!」に超やる気の自己バフが追加され、よりアタッカーとして磨きがかかった。 キャラストーリーでは聖城に抗議に来たメリィベルを、【クラウ】がお菓子であっさりと懐柔するやり取りが描かれている。 フラワリーVer. 性能 二つ名 笑顔満開 (チアフルスマイル) ★ 属性 武器 タイプ HP 攻撃 5 火 ロッド 攻撃 747 513 入手 実装日 レジェンド召喚 2019/05/31 スキル おべんきょしようよ!(シェア可能/5) Lv3 前方の敵に火属性のダメージを与え、10秒間、防御力を5%ダウンさせる。この防御力ダウン効果は重複しない。 思い出いっぱい! Lv2 周囲の敵に火属性のダメージを与える。 EXアビリティ スキルダメージ+15% パーティ全員のスキルダメージが15%アップする。 リンクEXアビリティ 【火】堅守 HP80%で耐風+6% パーティ全員が以下のアビリティを得る。キャラが火属性ならHP80%以上のとき、風属性耐性が6%アップする アビリティ HP満タンでスキル+40% HP満タン時、スキルのダメージが40%アップする。 気絶耐性+100% 「気絶」状態になる確率が100%ダウンする。 ブレイク特効+30% ブレイク中の敵へ与えるダメージが30%アップする。 引用 ドラガリアロストDB【ドラガリDB】 2019/05/31から開催されたレジェンド召喚「フラワリーユアスマイル♪」で実装。憧れの制服を来て学校に通っている姿。 実装時にはVer.の区別がないキャラだったが、後にフラワリーVer.と改められた。 基本は通常版と似ているが、開幕スキルゲージの代わりにブレイク特効を持っており、防デバフが無い。 2020/09/24から配信されたVer.2.0.0以降はスキル2種類の威力が上がり、「おべんきょしようよ!」に防デバフが追加された。 キャラストーリーでは祖母や森の仲間達が登場し、メリィベルの住む森や樹海都市ロブレールの学校などの地理関連も若干掘り下げられている。 関連キャラクター 【クラウ】 【シカ】? 【クマ】 【ウサギ】 【トリ】 コメント 名前 全てのコメントを見る?
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「南の倉庫?」 リースが仲間になった翌日のこと。 ホウは朝食の席で、昨夜のことを話していた。 この場に居るのはアキラを始め、ホウ、ゲン、サイホ、リースの五人。 メリィは未だ部屋に篭っているデルを心配し、様子を見に行っていた。 「ん……夕べ、念で助けを呼ぶ声が聞こえた」 「そうか……リース、何か知らないか?」 「……知らないも何も、私はあそこから逃げてきたんですわ」 「何だって!?」 大げさに驚くゲン。 それを放置し、アキラは更に話を聞く。 「一体、何が?」 「……そりゃ、色々やってましたわ。萌えもんの身柄の売買、裏ルートの品物の管理、恐喝や強盗。 ……でも、そんなのはいつものことで、気にするほどの事でもありませんでしたわね」 「……(フルフル」 サイホは顔色を青くして震えていた。 以前のマスターも、似たようなことに彼女の母を使っていたのだろう。 「まぁその程度には……いわゆる悪事と言われる事には慣れたつもりでしたけど。流石の私でも……あんなことはねぇ」 「すまん、できれば具体的に頼む」 アキラがそう言うと、リースはため息をついて話を続けた。 「……スイクン、という伝説の萌えもんをご存知でしたかしら?」 「ああ。ジョウト地方で、ホウオウに仕えるとされている三人のうちの一人だっけ」 「……「カネの塔の火事を消し止めた雨」の力を持つ伝説、水を浄化する能力も持つ」 「そのとおりですわ。そして彼らは……彼女を捕らえ、浄水装置を作ったのですわ」 「……浄水装置だぁ?」 素っ頓狂な声を上げるゲン。 他の二人も、首をかしげている。 が、アキラは何があったのかを理解した。 「まさか、スイクンは」 「……浄水層の中央の柱に磔にされて、ひたすら汚水攻めを受け続けていましたわ。 体力が無くなれば、薬で強制的に回復をして……」 「何だと……っ、あいつら!」 「……酷い」 「……(クイクイ」 「サイホ?……ああ、勿論だ。助けに行かないとな」 「……!(コクン」 「リース、案内を頼めるか?」 「ええ、そのくらいならお安い御用ですわ」 「よし、それじゃ皆準備を……」 と、その時。 バン!と音を立てて扉を開き、メリィがアキラに飛びついて来た。 「た、大変!大変だよマスター!!!」 「うぉわ!ど、どうしたんだ!?」 「うぐっ、デルちゃんが、デルちゃんがぁっ……!」 アキラの胸に泣きつくメリィ。 そんな彼女を宥めながら、メリィが握り締めていた紙切れを受け取って読む。 そこには。 「……何でだ」 「うっ、うぅ……うあぁぁぁぁぁぁ……!」 「訳わかんねーよ……何を、お前がそんなに気に病む必要があるんだよ……!」 ただ『罪深い私を、どうかお許しください。さようなら』とだけ、書かれていた。 『囚われし水の君(前編)』 「……それで、今に至るというわけだね」 「…………」 黙りこむアキラ。 そんな彼に、ヨシタカ……偶然近くを通ったので寄ったらしい……は「これは重傷だな」と思いながら思考する。 部屋には二人のほかに、未だに泣き止まないメリィをヘルがあやしていた。 残りのメンバーは、それぞれ自室で待機している。 「……なんで」 「?」 「なんで、こんなことになったんだろう……俺の、せいなのか……?」 「アキラ……」 光の無い瞳で中空を見つめながら呟くアキラ。 そんな彼に。 パンッ! ヘルの平手打ちが飛んだ。 「……っ!?」 「ヘルお姉ちゃん!?」 「ヘル……」 「……少しは目、覚めたかしら?」 ヘルはアキラの隣に腰掛けると、彼の頭を掴んで自分の方へ向かせる。 「いででっ……」 「こっち向きなさい。それから、ちゃんとあたしの目を見る!」 「わ、わかったって」 そこでヘルは手を離す。 アキラはこめかみと頬をさすりながら彼女に向き合った。 その表情は弱弱しいながらも、僅かに瞳に光が戻っていた。 「よろしい。まず、あの子が家出した原因だっけ?あれは別にあんたのせいじゃないから気にしないでいいわ」 「え……?ヘル姉は、デルが出てった訳知ってるの!?」 「知ってるというか、あの子があんた絡みで思いつめて家出するなんて、アレ以外に思いつかないわ。ねぇ、ダーリン?」 「……ま、確かにね」 「兄さんも知って……!?」 「ああ……でもアキラ、お前とメリィは知らない……いや、覚えていないはずだよ」 「覚えていない、って」 「ヨシタカお兄ちゃん、それってどういうこと……?」 ヨシタカはその問いに一息つくと、逆にアキラに問い返した。 「アキラ。お前、デルと初めて会った時の事、覚えてるかい?」 「えーと、確か……」 少しアキラは考え込む。 そして、出た答えは。 「……メリィが家に来た後しばらくして、俺のメイドとして自己紹介してもらった時が最初だったよな」 「え……!?」 その答えに驚くメリィ。 何故ならそれは、彼女の記憶とは食い違っていたから。 「そうだね……それまでは、メイドとしての勉強をさせるために他所に預けていた……"そういうことになっていた"よね、ヘル」 「ええ……そうね」 「……ちょっと待ってくれよ、そういうことになっていたって、どういうことさ!?」 混乱して詰め寄るアキラ。 ヨシタカは「まぁ落ち着け」と彼を座らせると、話を始めた。 「メリィがさっき驚いてたことから分かると思うけれど……その記憶は間違いなんだ。本当の最初は……お前が、デルのタマゴを孵した時。彼女が生まれたときなんだ」 「そんな……嘘だろ、だって俺、その前のデルの記憶なんて」 「いいから聞いて。事の始まりは、メリィが家に来たことなのよ」 「私が?」 「そ。メリィは覚えてると思うけど、あの子って結構なお兄ちゃんっ子だったでしょ」 「う、うん……いつもマスターの後ろにくっついて『お兄ちゃん』って言ってた」 「……っ!?」 アキラは覚えの無い光景が脳裏にフラッシュバックし、頭を押さえる。 それに構うことなく、ヨシタカとヘルは話を続けた。 「ま、メリィの面倒をアキラに任せちゃった母さん達もいけないんでしょうけど……それまでアキラのこと独り占めにしてたデルが癇癪起こしちゃったのよね。 ……まさか、当時二つ三つくらいのあの子が『悪の波動』なんか使っちゃうなんて誰も思わなかったでしょうし」 「ま、さか……うっ!」 「ああ……デルは、メリィが居なくなればまたお前を独り占めできると考えて……メリィを、撃った」 「う、嘘だよね……デルちゃんが、そんなこと」 「ここからはメリィも覚えてないわよね。衝撃で気絶して、打ち所悪くて数ヶ月眠ったままだったし」 「そして、撃たれたメリィを庇った奴が居た……それがアキラ、お前だ」 「…………」 「その時のショックのせいなのかどうかは知らない……けれど数日眠った後目を覚ましたお前は『デルに関する記憶』だけを、一切合財無くしていたんだ」 「そん、な」 「ずっと黙ってたことは謝るわ……ごめんね」 「本当に、すまない」 ヨシタカとヘルは二人に頭を下げる。 「い、いや、兄さんやヘル姉が謝ることじゃないだろ」 「そうだよっ、それよりも……!」 「……そうだね。まずはデルのことが先決か」 そう言って、ヨシタカは話を仕切りなおした。 「とりあえず、最後に姿を確認したのは?」 「……帰ってきて部屋にボール置いたのが最後だな。その後は見てない」 「そうか……ベッドとかの状態は?」 「えーっと……寝てたんじゃないみたいだけど、使った形跡はあったよ」 「なるほど、じゃ居なくなったのは夕べの遅い時間帯ね。あの子のことだから、布団被って悩んでたりしたんでしょ」 「そ、そうかなぁ……」 「ってか、なんでそこまで解るのさ」 「当然でしょ、あたしを誰だと思ってんの?」 そう言ってふふんと胸を張るヘル。 その姿にメリィは僅かに羨望の眼差しを向け、アキラは苦笑いをした。 「まぁヘル姉は置いとくとして」 「あ、アキラそれは酷くない?」 「ヘル、話が進まないから少し我慢しよう?」 「む~」 「兎に角、まだ朝も早いから船に乗ったということは無いだろうね。恐らくだけど、5の島……それも、このリゾートエリアに居ると思う」 「それじゃ、早く探しに……!」 「まぁ待って。アキラ、お前達は本島に渡って事件を解決して来るんだ。デルは僕とヘルで連れ戻す」 「な……なんでさ!デルは俺の……!」 「落ち着いて」 いきり立つアキラを再び押さえるヨシタカ。 アキラは納得が行かないながら、しぶしぶと腰を下ろす。 「ちゃんとした理由はあるんだ。一つは、お前達よりも僕達のほうがこの島について詳しいということ」 「う……それは、確かに」 「二つ。お前の手持ちでは、逃げるデルに追いつけない。種族の平均で言えばヘルガー族よりもゲンガー族の方が速いけれど、その中ではデルは速い方だしゲンは遅い方だろう?」 「……いや、そうだけどそれを何故兄さんが知ってるのさ」 そう問うアキラに、ヨシタカは不思議そうな顔で言う。 「見ればわかるよ?」 「ん な わ け あ る か」 「えぇー、ダーリンすごいのよ?この前なんか見ただけであたしのスリーサイズを……」 「……もういいや、なんか兄さんならなんでもやってのけそうな気がするし」 「ん、もういいのかい?あと十数個くらい理由はあったんだけれど」 「そんなにあるのかよっ!?」 「いや、流石に冗談だけど……兎に角、わかってくれたかい?」 「わかったよ……兄さんとヘル姉なら、絶対に何とかしてくれるよな」 「当然じゃない。あの子はあたしの可愛い妹なんだから」 「そうだね。デルは僕にとっても妻の妹であり、弟の嫁なんだ。他人事で首を突っ込むのとは訳が違う」 「そゆこと。大船に乗ったつもりで、あんたたちはロケット団を蹴散らしてきなさい♪」 「二人とも……ありがとう、行ってくる。メリィ!」 「え、あ、うんっ!」 アキラはメリィの手を引き、部屋から出て行く。 その場に残されたヨシタカとヘルは、その様子を笑顔で見送った。 「ということで、倉庫の前まで来たわけだが……」 ここまでに居た見張りの団員は、全員眠っている。 言わなくてもわかるかも知れないが、ホウ・ゲン・リースの催眠によるものだ。 アキラは目の前の鋼鉄の扉を見上げ、思案する。 「何か問題でもあんのかよ?」 「いや、鍵が閉まっててな」 「ならそこらで寝こけてる連中シメて奪おうぜ」 「うーん、折角気づかれずにここまで来たのに勿体無いな……デルが居ればこのくらいの鉄扉、溶かせると思うんだけど」 「ねぇ、マスター」 「ん、どうしたメリィ」 「私なら、もしかしたらなんとかできるかも」 「何とかって……電撃じゃ厳しくないか?」 「んーとね、ちょっと危ないから離れてて」 そう言ってメリィは扉の前に立つ。 数秒集中した後、彼女は右腕を燃え上がらせた。 「炎のパンチ……でも、火力足りるのか?」 「これだけじゃ……ない、よっ!」 と、次にメリィは左腕に電撃を纏わせる。 そして、左右の手をゆっくりと組むと、炎と電撃が混じりあい眩い光が彼女の拳を包み込んだ。 「っくぅ……やっぱり、キツ……!」 「メリィ!?」 「大丈夫……いっけええええええ!」 メリィは組んだ拳を大きく振りかぶると、鋼鉄の扉の鍵の部分に真っ直ぐ叩きつけた。 そして、扉は。 ジュゥゥゥゥゥッ! 鍵のあった場所とその周辺が、見事に融解していた。 「っは、はぁ、はぁ、はぁ……これで、どうかな?」 「……メリィ」 「?」 「今の、絶対に生き物相手に使うなよ……?」 「う、うん。当たり前だよ!」 「っつーか、どこでこんな技覚えたんだオメー」 「えっとね、この前やってたアニメで二種類の力を混ぜると強くなるって。ほんとは雷じゃなくて冷凍パンチのほうがいいみたいなんだけど」 「……まぁ、とりあえず行こうか」 「はーいっ」 この時、その場に居たメンバーが思っていたことは見事に一致していた。 「メリィを本気で怒らせたら、命は無い」と。 ……一方その少し前。 倉庫の一番奥にある巨大な機械の前で、二人の団員がそれを操作していた。 機械の中の水槽では、青い美しい萌えもん……スイクンが猿轡をかまされ、柱に磔になっている。 団員の片方がスイッチを入れると、水槽の中は黒茶色に濁った水で満たされていく。 その様子を眺めながら、もう片方の団員はスイクンにマイクで話しかけた。 「さーさー、ちゃっちゃと浄化しないと……またあっという間に頭まで浸かっちゃうよ~?」 『ふぅ……んぐぅ……!』 その無慈悲な宣告に、泣きながら力を使うスイクン。 すると、濁っていた水が彼女に触れている部分からみるみるうちに澄んでいく。 そして入れられた汚水を全て浄化しきったと同時に、スイクンは気絶した。 だが、そんな彼女を彼らが休ませるはずも無かった。 「チッ、もう限界か……おい、快復の薬を投与だ!」 「あいよー……しかしアレだな、横流しされた薬とはいえタダ同然のシロモノでとんでもねぇ儲けが出るんだよなぁ」 「正に水商売ってかww」 「だれうまwww」 そう盛り上がる二人を睨む事もできず、無理やり回復されたスイクンはいつ終わるとも知れない悪夢に再び涙を流す。 (もう嫌……誰か…誰か助け…て……) そう思う間にも再び浴びせかけられる汚水。 スイクンはひたすらそれを浄化しながら、期待の出来ない助けを求め続ける。 倉庫の警報装置が鳴り響いたのは、そのほんの数分後であった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ・後書き どもこんばんわ、曹長です。 約二ヶ月ぶり。漸く本編が進んだ……さて、次は後編だ。 それにしても、デルやアキラの過去を軽く触るだけであんだけ長くなるのは想定外だったかも…… 詳しく何があったかは、また後のお話で。 そしてスイクン式浄水装置(マテ。 え、R団これで何してるかって? 「スイクンの美味しい水」として販売して(ry 流石R団外道だな、外道だなR団。 さて、次回予告。 警報が鳴り響くR団倉庫。 迫り来る敵の萌えもんを薙ぎ倒して進むが、何故か催眠術が効かず様子もおかしい。 そして最深部手前で待ち受ける凶悪な罠。 彼らは、スイクンを救い出すことができるのか。 次回、萌えっこもんすたぁ Long long slope 『囚われし水の君(後編)』 それではまた、次回の後書きでお会いしましょう。
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宮島家を巻き込むわけにはいかない……そんな悲壮な決意と共に慣れ親しんた棲家を後にしたミアは即座にプアに変身、そのまま繁華街へと向かった。 あにまん市でも最悪の猿治安と恐れられているこの街には、しかし情報が眠っていると、元々娼館で働かされていたプアは知っていた。それに、かつてプアを薬漬けにしていた娼館が殺し合いと何か関係しているのかもしれない。そんな風にも思ったのだ。 一般人に気づかれないよう裏路地を移動していたプアは、しかし不幸にも白のレザーコートの魔法少女、クリックベイトと遭遇してしまった。 瞬時に、二人の間に緊張が走る。 どちらも穏健派である。だが、決して完全平和主義ではない。降りかかる火の粉にはそれなりに対処する。 プアは化学物質生成、クリックベイトは釣り竿と共に遠距離攻撃は備えている。 二人は一瞬即発の空気を醸しながら睨みあい。 「そこまでなのだ! プアちゃん! クリックベイトちゃん! 双方魔法を納めるのだ★」 第三者の登場に、二人は思わず虚を突かれる。 「え、どうして私の魔法少女名を……」 「僕、君に名乗ったっけ?」 現れたのはVRゴーグルのゴスロリ人形という古いのか新しいのかよくわからない恰好の魔法少女である。 「僕は、ナイトメア★メリィなのだ! 二人にお願いがあって、声をかけたのだ!」 「お願い、ですか……?」 「ナイトメア・メリィ。どういうお願いだい……?」 「ズバリ、僕を守って欲しいのだ★」 薄い胸を偉そうに張りながら、メリィは情けないことを言った。 「僕の魔法はとても強力なのだ。けれど、魔法を使用している間、僕の本体は無防備なのだ★」 「僕たちに、君を守るメリットはあるのかな? 悪いけど、困っている人は誰でも助けるタイプの魔法少女じゃないんだよね、僕」 わ、私は……とプアは言いよどむ。 かつて宮島家に助けられたように、できれば自分も善意で人を助けたい。 ただ、自分にそこまでの余裕があるのかと問われれば、プアは答えに窮する。 「僕の魔法で得たメリットを君たちに共有するのだ★」 「具体的には?」 (な、なんというか、クリックベイトさん……交渉に慣れている……手ごわいな……) 12歳の宮島優香にさえ怒られるとたじたじになってしまうプアには、殺し合いという状況、更には一方的に名前を知られているという不利な局面でも冷静さを失わないクリックベイトに、仮想敵としての手強さを感じていた。 ただ、娼館の大人たちのような厭らしさは無い。 淡々と、クリックベイトは話を進めていく。 「それは、僕の提案を受け入れてから話すのだ★」 「拷問してもいいんだよ? できないと思ってる?」 「クリックベイトは、そんな奴じゃないのだ★」 「僕の何を知っているんだい、君は?」 「それが分からないうちから攻撃はしない……クリックベイトはそういう奴だと知っているのだ★」 「………………」 クリックベイトはバイザーを深く被った。 「僕から条件を出そう」 「どうぞなのだ★」 「承諾したら、必ず情報の出所を話すこと。そして——君の素顔も晒すこと」 「げぇっ、マジかよ……!? あ、いや……えっと、うーん、でもなぁ……背に腹は……でも心の準備が……」 いきなり余裕を無くし頭を抱えだしたメリィを、クリックベイトはバイザー越しに冷めた目で見下ろす。 プアもまた、口を挟まず、二人のやり取りを見守っていた。 「…………分かったのだ★ その約束を呑むのだ」 「………………いいよ、僕は君の護衛をする」 「仲間が増えて嬉しいのだ★ プアはどうするのだ?」 「わ、私は……」 分からない。 仲間が多い方が生き残りやすいというのは分かる。 けれど、二人が信用できるかは未知数だ。 (わ、私も何か約束を取り決めた方が……でも、何を? 宮島家を守ってとか……駄目、あの人たちの名前を不用意に出したら、どんな風に利用されるか……) 「——例の一家のことは守ってやるのだ★」 ゾッとプアの全身に鳥肌が立つ。 (既に知られている……! いつから、どうして……? わ、私はどうしたら……?) 「きょ、協力するわ……」 プアは、折れた。 クリックベイトのように交渉で勝ち取ったのではなく、メリィの情報収集力に完全に屈してしまった。 その様子を、クリックベイトは冷静に観察する。 (僕の生命線……家族やスピードランサーとの関係については出さないのか? まぁ、スピードランサーなら別に人質に取られても自力で何とかするだろうからいいか) それはそれとして、やはり、ナイトメア★メリィ、得体が知れない。 ただ……。 (彼女を守ることを承認したが、何か魔法をかけられた様子は無い。てっきり『承認』を条件とする制約魔法でもかけられると思ったのだけれど、杞憂だったか……) だとしたら、約束など取り付ける理由が分からない。 クリックベイトの条件をメリィが履行した時点で、クリックベイトは好きなタイミングで契約を破棄できる。 (もっとも攻撃に映れるわけではないが……まずは、この子の魔法を把握しないと……) 「ちなみに、さっきクリックベイトが遭遇した魔法少女は、本名桐生ヨシネ、魔法少女名はバーストハートなのだ。得意魔法は相手と自分の鼓動を共有する心魔法で、更に一子相伝の桐生神拳の使い手なのだ」 (……そこまで把握済みってことか。僕に襲われないようにするための牽制か?) 「……さて、僕たちは君の護衛をすると決めたよ。さぁ、僕の条件を履行してもらおうか」 「……分かったのだ。実のところ、ただの口約束を交したのは、一時的でも話を聞いてもらえる状態を作りたかったからなのだ」 そう言って、メリィはスマホを取り出す。 画面に映っているのは、ヤフージャパン。 「僕の魔法は」 そう言って、メリィは指を液晶に当て——そのまま潜り込ませる。 「『ネットの海にダイブできるよ』なのだ★」 「嘘……指が……沈みこんで……」 「……筋力で貫通させているわけじゃない。ネット世界に自ら潜入できるということか。なるほど、それなら情報通になるのも……待て、ネットに入れるだけでどうして僕たちの名前が分かる? それに、僕が桐生ヨシネと遭遇したことも」 「今の時代、ネットは全てと繋がっているのだ。……当然、スマホの通話記録も、ネットに転がっているのだ★」 「…………なるほど、恐れ入ったよ。けど、僕がヨシネと遭遇したのは? 監視カメラにでも映っていたのかい」 「いや、普通に隠れて見ていたのだ★」 「………………」 (ネット……通話記録……監視カメラ) 果たして、どれだけ自分がそれらに注意して暮らしていたのか、プアには自身が無かった。誰にも秘密にしているとはいえ、宮島姉弟が通話やLINEなどで、プアの名前を出していないとは限らない。 「……いや、やっぱりそれだけで魔法少女の情報を集められるとは思えないな。さすがに僕たちも監視カメラの無いところで変身しているよ。プアもそうだろ」 「も、勿論……」 人目のつくところや、監視カメラがある場所で変身していない。だから正体はバレていないはずだし、得意魔法も知られるはずがない。 「ネットの海に潜っている間は、ネットに繋がっている電子機器は自由にハッキング出来るのだ。魔法少女本人、あるいはその周辺のスマホを操作して録音・カメラ機能をオンにするくらい、造作も無いのだ⭐︎ 得た情報は持ち帰って、僕が居た痕跡すら残さないのだ★」 「……チートすぎるよ、それ」 「……ふざけてるな」 プアは恐れ、クリックベイトは呆れた表情を見せた。 メリィは笑う。 「どう? これで僕と組むメリットが分かったのだ? もちろん身体は一つだからすべての情報を一度に閲覧したり、街中の電子機器を一斉に操作は出来ないのだ。けど、あにまん市全域は、僕の庭みたいなもんなのだ。ここで何が起きるのか、僕は全てを手に取るように分かるのだ★ これって、圧倒的なアドバンテージじゃないのだ?」 「………………そうだね、君を拷問する理由は無くなったよ」 これからよろしく、ナイトメア★メリィ。 クリックベイトは手を差し出し、メリィはその手を取る。 プアもまた手を伸ばそうとし 「で、早く変身解除しなよ」 「……へけ?」 「条件その2,素顔を晒せ。どうせ僕たちの素顔も知ってるんだろ。君だけが一方的な情報を持っているのはフェアじゃない」 「い、いや、実のところ、クリックベイトは得意魔法も正体も知らないのだ……。僕も、いつだってネットの海に潜っていられるわけじゃないのだ……」 「信用できないな。メリィ? 君は、一度決めた条件を履行しないのかい? これから僕たち、組んでやっていくんだから、一度決めた約束は守らなくっちゃ」 「……ま、マジかぁ……」 メリィは泣きそうな表情を見せた。 その後、メリィは渋々変身を解除し、更には年下の男子ということまで白状させられて、プアとクリックベイトに散々可愛がられたのはまた別の話である。 そして、クリックベイトの情報は名前と顔しか知っていないメリィが——クリックベイトが三年前に魔法の王国のとある場所に踏み込んでいることを、知っているはずが無かった。