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攻略チャート4 ステージ16『潜入』 出撃可能ユニット数 7人(ハクオロ、エルルゥ、カルラ、デリホウライ+3人) 勝利条件 味方が指定位置まで到達 敗北条件 ハクオロの撃破 備考 攻略メモ 敵は穴キママゥと石弓、デクカパ。 特に注意点はない、普通に陣を組み、徐々にラインを上げて行くといいだろう。 石弓、狛犬は正面しか攻撃できない。横から狙い撃つと良い。 敵ユニットデータ ユニット名 Lv 体力 技 攻撃力 防御力 術防御力 属性 アイテム ステージ17『カルラゥアツゥレイ』 出撃可能ユニット数 7人(ハクオロ、エルルゥ、カルラ、デリホウライ+3人) 勝利条件 スオンカスの撃破 敗北条件 ハクオロの撃破 備考 デリホウライ、カルラ強制出撃 会話発生 スオンカス×ハクオロ、カルラ、デリホウライ 攻略メモ 見た目の敵は少なめだが、階段を上りきるとスオンカスへの道を阻む柵が出現、 それとともに敵一般兵が6人増援される。 スオンカスの攻撃力は高い。射程も3ある。 下手すると後衛のキャラが一撃で溶ける可能性がある。 狙われる順番はエルルゥ>ハクオロ=カルラ>他。エルルゥは射程に入れないように注意。 スオンカスの攻撃力の高さは、逆を言うとエルルゥ上げには適している。 敵ユニットデータ ユニット名 Lv 体力 技 攻撃力 防御力 術防御力 属性 アイテム ステージ18『追跡』 出撃可能ユニット数 5人(備考参照) 勝利条件 ノポン、及びゴムタの撃破 敗北条件 味方の全滅 備考 ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ強制出撃 会話発生 ノポン×ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ ゴムタ×ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ 攻略メモ ここから3シナリオはナ・トゥンクで留守番していた5人だけ使用可能。 注意点はあまりない、ボスクラスの攻撃力は若干高め。 敵ユニットデータ ユニット名 Lv 体力 技 攻撃力 防御力 術防御力 属性 アイテム ステージ19『滅びし國の皇女』 出撃可能ユニット数 5人(備考参照) 勝利条件 ノポン、ゴムタ、カムチャタール全ての撃破 敗北条件 味方の全滅 備考 ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ強制出撃 会話発生 カムチャタール×ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ ノポン×ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ ゴムタ×ベナウィ、ドリィ、グラァ 攻略メモ このシナリオではカムチャタールが敵として出てくる。 彼女の攻撃力は侮れない。射程2な点にも注意。 更にノポン驚異の分身の術。何と3人になる。 本体以外の能力は本体よりは若干低めだがHPは高いので中々倒しづらいかも。 またワラワラと出てくるキママゥ共も数で攻めてくるため厄介。 やはりここはベナウィが先陣を切り、壁になって後続が各個撃破という流れが安定。 敵ユニットデータ ユニット名 Lv 体力 技 攻撃力 防御力 術防御力 属性 アイテム ステージ20『残してきた想い』 出撃可能ユニット数 5人 勝利条件 敵の全滅 敗北条件 味方の全滅 備考 ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ強制出撃 会話発生 カムチャタール×ベナウィ、クロウ、オボロ、ドリィ、グラァ ノポン×ベナウィ、クロウ ゴムタ×オボロ、ドリィ、グラァ 攻略メモ 自走デグカパが登場。 移動力は1と低いが攻撃射程が長いので確認しないと思わぬところで攻撃され、 状態異常に陥ることもありうるので注意。 デグカパは状態異常以外には特に厄介なことは無く、攻撃力も低いので対処は簡単。 カムチャタールは装備品の影響で前より攻撃力が高くなっているので少し注意。 敵ユニットデータ ユニット名 Lv 体力 技 攻撃力 防御力 術防御力 属性 アイテム
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黄金の精神は男の信念を打ち砕く◆EHGCl/.tFA 「サカキさん、まだかなぁ。ヴァッシュさんもヤケに遅いし……」 淡い朝日が差し込む森の中、広瀬康一は木に寄り掛かるように座っていた。 右手には巨大なカタツムリを、左手に食糧として支給されたサンドイッチを持ち、鬱蒼と生い茂る森林を見つめる。 数分前森の奥に消えた仲間は未だ帰っておらず、もう一人の仲間からも連絡は来ない。 心の中で、不安という名の風船が急激に膨張していく事を感じつつ、康一はサンドイッチを口に詰め込んだ。 「サカキさんなら大丈夫だと思うけど……なんか不思議な貫禄がある人だったし。でもあのメイドさんも普通じゃなかったからなぁ……」 全く躊躇う事なく拳銃を撃ったメイド。 その動きは、銃に関して素人である康一にも分かる程に無駄のない動きであった。 対するサカキも素人には見えないが、拳銃と比較すると武装が心許ない。 拳銃に剣で対抗するには、多少腕に自信がある位じゃ全く足りない。 説得に成功すれば良いが、失敗したらどうするのか―――康一の心配は尽きることがなかった。 (あぁ、杜王町のみんなも心配してるんだろうな。由花子さん、荒れてなければ良いけど……) 自分と仗助が突然消えた杜王町。 仲間達はスタンド使いの所為だと思い、調査を始めているのか。 超が付くほど短気な恋人―――山岸由花子は錯乱し、暴れ回っているかもしれない。 八つ当たりで、大量の髪に縛り付けられた親友の姿が目に浮かぶ。 ため息一つ。 早く元の世界に帰らなくてはと、再度決心する康一であった。 ――ガサリ 丁度その時、森の奥から葉と葉が擦れ合うような音がした。 音源はヴァッシュが用を足しに行った方向とは正反対の森林。 (誰か居る……!) 止まる事なく、ゆっくりとながら徐々に近付いてくる音。 康一は直ぐさまエコーズACT.3を発現し、警戒心と共に立ち上がる。 魅音と名乗った少女、三つ編みに眼鏡のメイド―――この殺し合いが始まって僅か数時間の間に二人もの危険人物と出会った康一が油断することはない。 ガサリと一際大きい音が鳴った次の瞬間、一人の男が現れる。 整えられた黒色の髪に、理知的な雰囲気の凛々しい顔立ち。 手には朱色の槍を握り、青色の外套と和服のようなで和服でない不思議な服を着ている。 女の人にモテるんだろうなぁ、と場違いな事を考えつつ康一は相手を観察し終え、そして 「ACT3! 奴を重くしろ!!」 躊躇いなく攻撃を開始した。 横で傍観に勤めていたエコーズが動き出し、男に向けて連打を放つ。 「ッ!!」 だが男は弾幕に触れる寸前で後方に大きく跳び回避、同時に槍を構え康一へと向ける。 「……穏やかじゃありませんね」 「その……その返り血は何だッ!?」 康一が相対する男――ベナウィを敵だと判断した理由。 それは甲冑に付着した夥しい量の返り血――桜田ジュンを殺害した際に噴出した血液が甲冑を汚していたからだ。 康一はエコーズを側に戻し、相手の出方を窺うようにベナウィを睨む。 「バレてしまいましたか……まぁ隠すつもりも有りませんしね」 「ッ! エコーズ!!」 『SON OF A BIIIIICH!!』 一歩、エコーズの射程距離に踏み込む為に康一がベナウィへと近付く。 だが距離を詰めに掛かったのは康一だけではない、ベナウィもまた然り。 康一よりも何倍も鋭い速度で自身の得意とする距離へ移動し、槍を振るう。 交差する拳の連打と槍の連突。 一瞬の攻防を制したのは――――あらゆる魔を無効果する槍であった。 「ぐわっ!」 エコーズの拳は器用に動かされた槍に全て防がれ、対する槍はエコーズの頬と左の腕を切り裂く。 そのダメージは康一へと伝達し、康一の身体の頬と左腕に切り傷が現れ、少量の血が滲み出た。 「不思議な魔獣を扱うようですが、速度は大したことがない。その程度の動きなら防ぐのは他愛もない事です」 明らかな余裕を含んだ言葉を吐きつつ、ベナウィは、裂傷により僅かな怯みを見せた康一へと槍を突き付ける。 穂先は康一の眉間を薄皮一枚の所で捉え、離れない。 あと数センチでも押し込めば確実に命を奪うであろう位置に止められた槍。 ―――だが、それを見て康一は微笑んだ。 「何故、笑っているのです?」 「……お前は致命的な勘違いをしている。僕は「防がせる」だけで良かったんだ。そりゃお前自身に当てられれば一番だったけどさ」 康一の表情には、敗北感や死への恐怖というものが寸分も宿っていなかった。 逆に自信と確信に満ち溢れた微笑みが映っており、その態度がベナウィに疑問を植え付ける。 「……何を言っているのですか」 「僕の勝ちってことさ……『3・FREEZE』!」 『Let s kill DA HO!』 瞬間、ベナウィの表情に驚愕が生まれ、周囲にズンという重い音が響き渡った。 音の先には、地面にめり込む長細い物体―――宝具・破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)。 急激に重量を増したそれは、ベナウィの手から離れ地面を陥没させていた。 とっさのことにベナウィの意識が康一から破魔の紅薔薇に向く。 そして、その隙を見逃す康一ではなかった。 「今だ! ブチのめせッ、ACT3ッ!!」 「くっ!」 残像を映しながら迫る拳の壁をバックステップとダッキングを駆使し、何とか回避するベナウィ。 エコーズの射程距離外へ身体を逃げ込ませ、大きく息を吐く。 「……やっぱりエコーズが見えてるみたいだな。お前もスタンド使いか……」 だが休ませる暇を与える事なく、康一は槍を拾い上げ、ベナウィへと一歩一歩接近していく。 ある勘違いの為に警戒を解くこともせず、その佇まいからは一縷の隙も見いだせない。 段々と距離を詰めてくる康一を睨み、ベナウィは思考する。 (撤退か、抗戦か……) 謎の能力に武器は奪われ、依然敵には魔獣が付き従っている。 魔獣のスピードに付いていく事は可能だが、素手ではこちらから攻撃することが出来ない。 何らかの策を弄さない限り不利は明確。 (……またコレの力に頼りますか) だが打開策は直ぐに考え付いた。 百発百中で成功するとは思えないがリスクは低く、試す価値は充分にある。 失敗したら逃走すれば良いだけ――そう考えベナウィは康一へと意識を戻す。 そして、懐から取り出すは一つの巻物。それを口にくわえると康一に背を向け、その場から走り出す。 「逃がすかッ!」 相手が逃亡を図った――康一がその思考に行き着くのも無理はない話であった。 唐突に背中を見せ、隙だらけの姿で走り去る男。逃げを選択したとしか思えない。 だが男は十メートルと走る事はしない。 一本の木の下でピタリと立ち止まり、再度康一へと視線を戻した。 (止まった……? 何をする気だ……) 理解仕切れない男の行動を不可解に思いつつ、何が起きても対応できるよう、エコーズを前方に待機させる康一。 エコーズは康一を護るように立ち塞がり、両の手を合わせ捻りながらベナウィへと向ける。 (ACT3……奴が射程距離に入ったら一気に勝負を掛けるぞ) 『了解シマシタ、康一サマ。アノクソッタレ槍使イヲ、ボコボコノメタメタ二、ブチノシテヤレバイインデスネ』 康一の視界の中では、謎の巻物を口にくわえたベナウィが真っ直ぐにコチラを見詰めている。 康一はベナウィの一挙手一投足に集中する。 攻め込まれても、逃げられても、スタンドを発現されても……どう動いても反応できるよう身構えていた。 「なッ!?」 ―――だがそれでも、予想外の事態とは発生するもの。 視界の中、男が動く。康一にとって予想外だったのは男の動いた方向。 男は、前でも後ろでも横でもなく、真上に跳んだ。 まるで縄跳びをするような軽い動作で、三メートル程その身体が宙にに浮く。 そして空宙で前方に90度ほど体を傾けると、先程地面を蹴った両の脚を枝に当て―― 「ッ、エコー……」 ――弓矢の如く一直線に、エコーズですら反応不可能な速度で、ベナウィは康一へと突進した。 康一の前に立つエコーズに突き刺さったのはベナウィの両脚。 勢いはそのままにドロップキックの要領で放たれた脚がエコーズの胴体にめり込み、本体である康一にダメージを与える。 「うげぇっ!」 肋骨が音を立ててへし折れ、康一の小柄な身体がエコーズごとぶっ飛ぶ。 右手に持っていた電伝虫は何処かに飛んでいき、左手に持っていた破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)も宙を舞う。 だが、破魔の槍が地面に落ちる事はない。 それより先にベナウィが空中で掴み取ったからだ。 そしてベナウィが着地、息つく間もなく疾走し、康一の鳩尾、心臓、左右の肺を槍で刺し貫いた―――。 もう動かない康一を見下ろしベナウィは軽く息を吐く。 『忍術免許皆伝の仮免』を使用しての跳躍、そして木の枝を利用して斜め前方に再び跳躍。 「バッタの術」により強化された跳躍力と重力とが組み合わさり、引き出された神速とも言える速度。 その速度は、康一へ会心の一撃を叩き込むには充分すぎる速度であった。 「……あなたは素晴らしい精神を持った戦士でした」 ベナウィは純粋な感嘆を口から出し、康一へと近付いていく。 そしてデイバックを手に掛けると、口と口を合わせ中身を全て自身のデイバックへと流し込んだ。 (一旦、休息を取りますか……) 先のルフィとの戦闘、そして康一との戦闘により身体には疲労が溜まっていた。 行動に支障が出る程ではないが念には念を入れるべきだろう、と考えベナウィは康一に背を向ける。 そして、気付く。 自分と康一の死体を見つめ、茫然と立ち尽くす一人の男に。 漆黒に髪を染め、漆黒のコートを纏った、黒づくめの男に。 あまりに遅すぎる帰還を果たした男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードの存在に、ベナウィは気が付いた。 □ それは訳の分からない光景だった。 つい数分前まで仲良く話していた少年が血の水たまりに沈んでいる。 その傍らには見知らぬ男が一人、血に染まった鎧と槍を持ち、佇んでいる。 何が、起きた? 自分が居ない数分の間に、何が起きたんだ? 「あなたは……」 振り返った男が自分の存在に気付く。 整った顔に僅かな驚愕が現れる。 コーイチの返り血かそれとも他の誰かのものか、その顔は血に濡れていて、そしてそれを見た瞬間、俺は――― □ ベナウィがヴァッシュに気付いて数秒後、パンという渇いた、それでいて暴力的な音が轟いた。 ベナウィにとって幸運だったのは、音がする数瞬前にヴァッシュ目掛け駆け出し、槍を振るっていた事。 誠に偶然だがヴァッシュが放った弾丸とゲイ・シャルグが激突し、互いの攻撃が逸れる。 ヴァッシュの腹部に突き刺さる筈だった槍は脇腹を掠めるだけに終わり、ベナウィの右腕を貫通する筈だった銃弾は何処にも命中することは無かった。 「お前がコーイチを殺したのか……」 「……あの少年はコーイチと言うのですか。仕留めるまでに少し手こずりましたよ」 ヴァッシュへ冷静に言葉を返しながらもベナウィは焦燥を感じていた。 ヴァッシュが持つ拳銃――ベナウィからすれば謎でしかない兵器に、ヴァッシュが見せた超速の抜き打ち。 どちらも最大限の警戒するには充分すぎる要素であった。 「何故コーイチを殺した……」 「あなたもギラーミンの言葉を聞いていたでしょう? この殺し合いは一人しか生き残れないんですよ」 (あの黒筒は遠距離武器ですかね。不可視にして高威力の矢、と言ったところか……あの穴から矢が発射されるようですが……) 会話の間に現状を打破する為の思考を進めるベナウィ。 破魔の槍が朝日に照らされ朱色に光る。 「お前は、あんな言葉を信じ、従うのか……?」 「はい、その通りです。私は聖上を守り抜ければそれだけで良い……」 (矢は相当な速度で射出されるようですが、黒筒の正面に立たなければ回避は可能なはず……勝機は充分にある) ヒュン、という高い音と共に槍がヴァッシュに向けられる。 ベナウィの中で兵器の把握は完了していた。 あとは優勝という名の頂を踏破する為に、眼前の男を殺害するのみ。 「聖上?」 「……これ以上の会話は不要のようですね。私は道を違えるつもりは有りませんし、それはあなたも同様でしょう」 その締め括りと共にベナウィは槍を掲げ、次いでヴァッシュがゆっくりと拳銃を構える。 地を蹴る音が銃声に掻き消され、それを合図にガンマンと槍兵の戦いは始まった。 相手を殺すため自身の技量の全てを用い連撃を振るうベナウィ。 相手を殺す事のなく無力化しようとするヴァッシュ。 瞬間、轟音。 命中を目的としていない威嚇の為だけの発砲を一回。 この角度では当たらない―――そう分かっていても、銃と存在に馴れていないベナウィは反射的に回避行動を取ってしまう。 その刹那の隙を見逃さず、ヴァッシュは半歩だけ距離を空ける事に成功。 次いで義手の隠し銃を起動し、ベナウィへと狙いを付け引き金を絞る。 勿論、弾など装填されていない。だが、それがベナウィに判断できる訳がなく、隠し銃の射線から逃れようと横に跳ぶ。 そしてそれこそがヴァッシュの狙い。 ベナウィの両脚に銃口を向け、弾丸を射出する。 「甘い!!」 ―――が、当たらない。 射線から逃れたベナウィの身体が真上に跳ね上がったからだ。 「バッタの術」を発動と共に頭上の木を利用して再びの方向転換――康一に活用した策を再度用いる。 支給品と重力と脚力による超加速。同時にゲイ・シャルグを突き出す。 予想外の攻撃だったが、異能集団やそれ以上の怪物を相手にしてきたヴァッシュは問題なく反応する。 「……良い反応です。」 ヴァッシュの後方に着地したベナウィが槍を構え、淡々と告げる。 「いやいや、そちらこそ。まさかそんな動きをするとは思わなかったよ」 ヴァッシュも、直ぐさま銃を向け直し口を開く。 「そこの彼は同様の攻撃で仕留められたのですがね」 「……そうかい」 瞬間、轟音。 持ち主の感情を表すかのように放たれた銃弾が音を切って走る。 が、引き金を引く寸前に標的は疾走を開始しており、銃弾は後ろの木を穿つに留まった。 消えぬ轟音の中に鈍い着弾音が響く。それが耳に入ったと同時にベナウィは一直線にヴァッシュへと駆ける。 そして、刺突一閃。 風切り音と共にゲイ・シャルグが紅色の線となり―――しかし、黒金の銃身により軌道を曲げられる。 頬の数センチ横を通り抜けるゲイ・シャルグ。 二人の男の視線がぶつかり合う。 「……他の全てを殺してまで、その『聖上』って人を優勝させたいのか?」 「ええ、彼が死ねば国は滅びたも同然です。私や仲間達の命を賭してでも生還させなくてはいけない」 「皆と協力してギラーミンを打倒する道を――聖上も、仲間も、全てが助かる道を、選ぼうとは思わないのか?」 「一番確実な道を選択しただけです……それに私はもう二人の人間を殺した。今更、戻る気など毛頭ありません」 「……そうか、分かったよ」 言葉と共に一歩で大きく後ろに下がったヴァッシュ。 常人では考えられない距離だがヴァッシュ自身の超常の能力を持ってすれば容易い。 そして手に持っていた拳銃をホルスターに仕舞い、挑発的な笑みを浮かべてベナィを睨む。 ベナウィはベナウィで、ヴァッシュの取った、武器を手放すという奇怪な行動に動きを止めている。 「何の真似でしょうか?」 「……んー、大した意味はないんだけどね。『ハンデ』だよ」 ヴァッシュの言葉に、ベナウィの眉がほんの少し吊り上がった。 心無しか槍を握る力が強まっているようにも見える。 「ま、御託は良いでしょ。早く掛かっておいでよ」 「……分かりました」 続く挑発の言葉を聞き終えたと同時にベナウィが動く。 疾走し突き穿つ狙いは、銃の収まっているホルスターから最も距離のある頭部。 不愉快極まりない微笑みを宿す顔面に向け、朱色の槍が進撃し、 ―――そして、ベナウィは体験する事となった。 己を貫く銃弾が醸し出す灼熱の痛みを。 野獣の歯や爪による一撃とも、槍や刀での斬撃ともまた別種の痛みを。 ベナウィの世界には存在しない痛みが身体を包み、そして意志に反して身体は倒れていた。 「ごめんよ……」 ベナウィが地面の冷たさを身体全体で実感していたその時、頭上から声が降り懸かる。 その声は何処までも悲しそうで、今にも泣き出しそうであった。 □ 足元には一人の男が、両脚から血を流し倒れている。 自分が「本気の」早撃ちで戦闘不能にした男。 自身の兄弟にも、兄弟を狂信する最凶の化け物にも知覚される事はなかった「本気の」早撃ち。 それはこの男にも当たり前だが知覚される事なく、両脚を撃ち貫いた。 言葉で阻止したかった。 だが男の決心を目の当たりにしてしまった。 だから、撃った。 止める為に、これ以上の犠牲を――コーイチのような犠牲を出さない為に。 「コーイチ……」 救えなかった名前。 自分が彼を一人にしなければ、あと十秒でも早くコーイチの元に帰っていれば確実に救えた命。 自分は何をしているのだ。 さっきの騒乱で後悔をした筈なのに、同じミスを、いやそれ以上に愚かなミスをした。 「すまない。本当にすまない……」 血だまりに沈むコーイチへと歩み寄り、手を乗せる。 出血はいまだ止まらず、身体中の熱を奪い尽くしていた。 傷跡は殆どが急所を貫いており一目で致命傷だと理解できる。 おそらく即死だったんだろう。 「すまない、すまない……」 ただ謝罪だけを続ける。 許されない事を知りながらも謝罪の言葉を止めることは出来なかった。 ―――俯き、まるで壊れたラジオのように謝罪を続けるヴァッシュ。 罪悪感に支配された彼は自身の危機に気付くことが出来ない。 その後方で、血塗れの槍を支えにして一人の男が立ち上がった事に。 両脚は血を流し続けており、貫通した弾丸により骨も折れている。 歴戦のヴァッシュから見ても動ける筈がない傷。しかし男――ベナウィはギラついた瞳を宿し、立っていた。 一歩一歩、気配を悟られぬよう足音を消しながら漆黒の背中に近付き、そして槍を振りかざす。 ベナウィの足が康一の血液が作った水たまりに入り、ピチャリと些末な音を立てた。 それを合図とするように、ベナウィは槍を突き出す。 ベナウィの視界の中では、何を理由に気が付いたのか、信じられない速度で銃を抜き身体を向けるヴァッシュが居た。 だがベナウィは怯まない。 先の戦闘によりヴァッシュの攻撃に殺気が含まれていない事を、ベナウィは気付いていた。 手足にどれだけ攻撃を受けようと構わない。絶対にこの男を始末する―――ベナウィの胸中にはどす黒い執念と殺意が居座っていた。 そしてベナウィの予想通り、穂先が標的に喰らい付くよりも早く銃声が鳴り響く。 「え?」 間の抜けたヴァッシュの声がベナウィの耳に届いた。 それを最期に、男は後頭部から血を撒き散らし―――康一と重なるように倒れた。 □ ――ピチャリと音がした瞬間、ヴァッシュは無意識の内にホルスターから銃を取り出していた。 そして無理矢理に身体を捻り、槍を振り被っていたベナウィに銃口を向ける。 躊躇いを見せる暇すらない刹那の時間。 意識せずとも照準は男の急所から外れ、右肩に定まっていた。 引き金を引く。 もはや身体に染み付いてしまった一連の動作を、ヴァッシュは反射的に行っていた。 「え?」 ―――そして銃弾は吸い込まれるようにベナウィの『眉間』に命中した。 糸の切れた人形のように脱力し、康一と折り重なるように倒れるベナウィ。 離さないと決心していた槍は呆気なく手から零れ落ち、血だまりに沈む。 「せ……ょ……」 意識など有る筈のない口から漏れた音。 ヴァッシュは目を見開いたまま動かない。 そして数秒後、自身がした行為を理解し―― 「う、わぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」 ――全力で森林の中へと駆け出していた。 自分の成した罪から逃亡する様に、漆黒が駆ける。 数十年の長きに渡って課していた不殺という名の信念は、余りに容易く、唐突に破られた。 □ 何処からか聞こえた「すまない」という言葉の雨に、彼の意識は引き上げられた。 本来ならそのまま死に向かうだけであった「魂」は、自身が持つ「黄金の精神」の恩恵を受けてか、身体の中に戻っていった。 覚醒する意識。だが、視界はぼやけており言葉を発する事も出来ない。 その視界の中、彼は捉える。 自分の死に涙する「仲間」へと忍び寄る、朱色の槍を握った「死神」を。 ――死なせない。 ――「仲間」は、絶対に、死なせない。 彼は文字通り死力を振り絞り最後の力を発現した。 死の間際、解毒剤を能力に乗せ仲間に届けた少年のように。 死の間際、仲間に敵の能力を伝えるため時計台を破壊した少年のように。 死の間際、敵の手掛かりを仲間に残すためデスマスクを形成した青年のように。 ―――死の間際、彼は自分の能力を使用した。 触れた物を重くするという彼の能力により、「死神」は体勢を大きく崩す。 「右肩」があった位置に「眉間」を晒すように大きく―――。 (ヴァッシュ、さん……これが僕、の……最、後の…………) そして「仲間」が放った弾丸が「死神」を貫き、「仲間」は走り去っていった。 仲間の無事を確認し、彼は満足気な笑みを浮かべ、力尽きる。 「仲間」を護れきれた―――それを誇りに彼の「魂」は天に昇っていった。 【ベナウィ@うたわれるもの 死亡】 【広瀬康一@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】 【B-2 森/1日目 早朝】 【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン・マキシマム】 [状態]疲労、黒髪化、身体中に浅い切り傷、左肩に刺突による傷 [装備]S W M29 6インチ 0/6@BLACK LAGOON [道具]支給品一式、不明支給品0~1、予備弾丸32/32 [思考・状況] 基本:殺し合いを止める 0:人を殺して、しまった…… 1:この場から離れる 2:ウルフウッド、リヴィオとの合流。 3:ウルフウッドがいるかもしれない……? ※原作13巻終了後から参加 ※サカキ、ロベルタの名前はまだ知りません。 ※詩音を『園崎魅音』として認識しています。 ※口径などから、学校の死体を殺すのに使われたのはロベルタの持っていた銃ではないかと考えています。 ※康一と簡単な情報交換をし、仗助、吉良、スタンドの事について聞きました。 仗助を協力者、吉良を危険人物だと見ています。 ※義手の隠し銃には弾が込められていません。弾丸を補給すれば使用可能です。 ※何処に向かうかは次の書き手に任せます。 B-2・森にベナウィの死体、広瀬康一の死体、破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん、電伝虫@ONE PIECE、和道一文字@ONE PIECE、 康一のデイバック(支給品一式、不明支給品1~3)、ベナウィのデイバック(支給品一式、シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの、謎の鍵)が放置されています。 時系列順で読む Back 炸裂―エクスプロード― Next 第一回放送 投下順で読む Back 炸裂―エクスプロード― Next 第一回放送 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない ヴァッシュ・ザ・スタンピード 審判-Judgement- 本気のココロを見せ付けるまで 僕は眠らない 広瀬康一 死亡 想いは簡単に届かない ベナウィ 死亡
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あり得る事、成し得る事、求め得る事…… ◆WDKcDkBO8c 黄金色の月が、雲に隠れることなく存在感を誇示していた。 殺し合いの場で必死に足掻く者どもを嘲笑し、見下すように。 小高い丘の中腹に位置する、ぽつんと佇んでいる名も無き寺も月明かりを受けて屋根の色までも鮮やかに照らし出していた。 一方でその内部は薄暗く、まるで対照的に室内を闇色で染め上げており、窓枠から差し込む月の光だけが唯一の照明だった。 寺の内部にはいくつか蝋燭が半分溶けたままの状態で部屋の隅に置かれており、かつては誰かがそこに住んでいたのであろうことを想像させる。 この殺し合いが始まったときに、追い出されたのであろうか――そんなことを考えながら、トゥスクルの侍大将、ベナウィは静かに足を組んで部屋の中央に座り込んでいた。 殺し合いをしてもらう、というギラーミンと名乗った男の言葉を口内で反芻する。 つまり、自分達は剣闘士……見世物として連れてこられてきたということか。 しかし剣闘士とは異なる部分はいくつかある。 名誉をかけた戦いではないこと。金銭をかけた戦いでもないこと。 そして……参加する者の意思は無視されていること。 明らかに人道に悖る行為であった。聖上――ベナウィにとっての主であるハクオロのことだ――が憤るのも、まあ当然でしょうね、とベナウィは苦笑する。 無論ベナウィとて、それを許容できるほどには人の道を外れてはいない。 武人の本領は力無き者を脅かそうとする外敵から守ることであり、義を為して義に尽すことこそ我が名誉であり、誇りだとも諒解している。 だが、しかし……主であるハクオロの命が脅かされるとなれば、話は別になる。 自分はハクオロの剣であり、盾でもある。それ以前に、武人はその主の道具であり、命令に従いあらゆる危機を排除せねばならない。 そう、自分にはその使命がある。ベナウィは一つ深呼吸をすると、瞑想するようにゆっくりと目を閉じる。 武人は主の道具だ。それは他ならぬ自分自身が誰よりも知っていたはずなのに、一度それを裏切ってしまった。 勝てぬ戦と知りもせず、己の安寧のみに縋っていた元の主に、国家の切腹としての死を強要した。 つまり、それは道具にも……ベナウィにも死を強要することを意味していた。 國の恥は、自らの恥。 國の死は、自らの死。 受け入れる覚悟は武人になったときに、既に出来ているつもりだった。 死を賭して少しでも國に報いることが出来るのなら。至誠に悖らぬと信じて行動した筈だった。 しかし寸前、死を咎めその行為こそが至誠に悖る行為だと叱り付けた人物がハクオロであった。 國に殉じる意思があるのならば、こんなところで死んではならない。お前のしている行為は報国などではない、ただ逃げているだけなのだと。 最後に、ハクオロはこうも付け加えた。 道具にだって、死ぬべき場所を決める権利くらいあるだろう、と。 強烈に頭を殴られたような感覚を味わったのは、後にも先にもあの時だけだった。 言ったと同時、全てを受け入れるような穏やかな視線に射られたときには自然と背筋が張っていたのも覚えている。 何もかもを知り、何もかもを赦した男の目だった。 ベナウィはその瞬間から、この人の道具となり、二度と現れないであろう仁君のために全てを投げ打つことを決めた。 たとえ後世で、鞍替えをした裏切り者と、主君殺しの不忠義者と罵られようが、最早迷いはなかった。 武人としてではなく、個の人間として仕えようと。ベナウィは決意したのだ。 だからこそ……再び、至誠に悖る生き方をしなければならない。そうしなければならないのだ。 ベナウィがゆっくりと目を開く。その表情は武人そのものの目だった。 かつて、彼が主君たるインカラ皇に死を強要したときと同じ目に。 ハクオロはあの場で宣言した通り、最後まで殺し合いに抗い、可能性がなくなったとしても皆との共存の意思を曲げず進もうとするだろう。 罪もないような人々を殺して回るようなことなど絶対にある筈がない。 敵である自分でさえ赦したのだから。 だがそれでは……もしもハクオロが死んでしまったとき、一体誰がトゥスクルを治めるのか。 まだ子も成していない。後継者も決めていないとあれば再びあの地は戦乱にまみれ、多くの人々が悲しみ、嘆き、絶望の呻きを上げながら苦しむ日々を送ることになる。 それだけは武人としてではなく、個人としてのベナウィが決して起こしてはならぬと思っていること。譲れない一線であった。 そう簡単にハクオロが死ぬとは考えていない。あれだけの人間が容易く殺されるわけはない。 けれどもベナウィは知っている。どのような歴戦の猛者でさえ、戦場では流れた一本の弓矢で人はあっけなく死ぬ。 増してここは未知の文化、技術、知識を持った人物ばかり。ここにベナウィを移動させた技術さえどのような原理なのか知る由もなく、また理解もできまい。 一方で死んだ者をもギラーミンは生き返らせることが出来ると言ったが、その信憑性は疑わしい。 死者を生き返らせるというのは禁忌であり、神の怒りに触れるとさえ言われる。 恐らく、ここで死んだ者が生き返ることはないだろう。殺し合いに乗せるための方便と考えた方が良い。 ならば尚更、ここでハクオロだけは死なせてはならなかった。少しでもハクオロが生き残る確率を高められるのならば、ベナウィはそちらを選択する。 それが人道に悖る行為であったとしても。 だがそれはトゥスクルで共に暮らしてきた仲間を切り捨てる行為でもあった。 常に皆の体を労り、優しく母親のように接してくれるエルルゥ。 無邪気な心で周囲の心を和ませ、塞ぎがちな兵士の心にも明るさを与えてくれるアルルゥ。 奔放かつ横暴に振る舞いながらも大人の余裕を持ち、心強い味方でいてくれるカルラ。 剣士としての腕は一流ながらもどこか間の抜けた部分が却って人間らしいトウカ。 ハクオロが愛し、また同様に自分も愛している仲間の命をも切り捨てなければならない。 できるのか、という問いとやらねばならない、という答えがベナウィの腹の内でずっと渦巻いていた。 物理的に、ということだけでなく精神的にも、彼らを殺すことが出来るのか。 仲間に殺されるという悲鳴と怨嗟を受け止めることが出来るのか。 そして武人としての使命を裏切り、主さえも再び裏切るような行為を、私は成すことが出来るのか。 迷いという名の袋小路に入り込み、ずっと足を動かし続けながらも未だに結論は見出せない。 しかしこうしている間にも主君の命を奪おうとする輩は一歩、一歩と忍び寄っている。 むしろ考えている間にハクオロが殺されてしまっては、どんなに後悔しても足りないほどの罪になる。 それこそが本当の不義であり、また自分が罵り蔑むことであるはずだ。 不精に亘り、己にも武人としても恥ずる行為であることなど既に諒解しきっていることではないか。 己の信念は國を守り、民を守り、忠を尽し……主君を、守ること。 トゥスクルにはハクオロがいなければならない。あの皇の存在は、トゥスクル一國だけに留まらずこの戦乱の時代に終止符を打てるのではないかとさえ思わせるほどのものがある。 喪ってはならない。あの方が生きてさえすれば、あまねく民が救われるかもしれない。 多くの命と、仲間の命を天秤にかけたつもりはない。 天秤にかけるくらいならば両方ともを救う手立てを考える。それがハクオロ皇のやり方だ。 戦乱の時代においては温い考えかもしれない。けれどもそれは確かに人の心を集め、導いている。 現実主義者と言われるこの私でさえ、心惹かれているのだから。 あそこにいて、私は本当に色々なものを学んだ。 太陽の暖かさ、賑わいのある街、ひとの心―― 誠に得がたいものでした。聖上がいなければ、きっと私はこれらを忘れていたままだっただろうから…… 故に、忘れよう。 彼等の与えてくれた温もり、教えてくれた優しさ。 それら一切を捨て去り、今また道具として生きよう。 自らの義を為すため、心の内の辛苦も血に変えて進もう。 聖上、貴方はきっと私の行為を咎めるでしょう。 ですが私が貴方への義を為すには、こうする他にないのです。 説得されたときと同じ、仮面の下に隠れながらも迸るような激情を持った男の表情が再び脳裏に克明に描き出され、僅かに口元が緩む。 「愚直に、過ぎるでしょうか」 尋ねてしまった声の向こうから、そうだな、という声が聞こえてきたような気がしたが無視するように、ベナウィは立ち上がり、声に背を向ける。 ガチャリ、といつも身に纏っている武具が低く音を響かせた。しかし重たくはない。いつも通り、変わらない。 仲間を切り捨てることが自分の弱さだとするなら、それをまず切り捨てればいい。 感情の波は力で押し潰すことが出来る。非道すら目にしてきたベナウィには、そのやり方も分かっていた。 そして与えられた武器は、まさにベナウィのために用意されたかのような代物だった。 デイパックから出てきたのは彼の愛用の武器である槍。それだけでも幸運だと思ったベナウィだったが、付属していた説明書には以下のような一文が記されていた。 『触れたものの魔力を打ち消す槍』 魔力とはどんなものかいまいちピンとこなかったベナウィだったが、何かしらを相殺する効果が付け加えてあるらしいというのは理解出来る。 ただの方便かもしれなかったが、手にした槍(名前は、破魔の紅薔薇『ゲイ・シャルグ』というらしい)の持つある種の神々しさと、じっとりと手に馴染むようなその感触がいずれ強力な武器であることには違いないと思わせる。 これで馬……ウォプタルでもいれば万全の体勢で戦えたのだが、と思ったものの得意武器を支給されただけまだ自分は幸運。 この期に乗じて未だ混乱の極みに達しているであろう参加者達を逐次殺害していくのが至上の策だろう。 兵は神速を尊ぶとも言いますからね、と呟いたベナウィは続けて腰にもう一つの武器である刀――和道一文字――を差す。 こちらは槍に比べても得意という訳ではないが、扱い慣れている武器ではあるし、感触も中々手に馴染む。 恐らくは、名匠の手によって鍛え上げられた業物だろう。万が一槍を失ってもまだこちらで戦える。 最後に確認した支給品はベナウィもよく知るものだった。 シゥネ・ケニャと呼称される薬草。自らもよく使っているだけに有り難い存在であった。 多少の怪我を負ったとしても、これがあれば多少の無茶はできようというものだ。 袋詰めにされており、量的にも問題はない。 確認した後、再びシゥネ・ケニャをデイパックに仕舞いこむ。 内容としては中々悪くは無いものであったが、やはりウォプタルがいないと……とどこかで不満を抱いている自分に気付き、ベナウィは苦笑する。 やはり自分は、生粋の騎兵気質であるらしい。 そう思いながら寺を出ようとしたベナウィであったが、急に踵を返すと備え付けられてあった仏像の前に立つ。 ベナウィにはそれが何であるか分からなかったが、どこか威容のある姿かたちからそれが備えられてあるものであるということは分かる。 恐らくは、神か何かを奉ったものなのだろうと判断したベナウィは、必滅の黄薔薇を真っ直ぐ、刃先を立てて仏像に向ける。 武器の威力を試す。それもあったが、かつての自分との決別という意味合いも兼ねて、目の前の仏像を壊す。 それは背徳行為であり、決して認められることのない修羅の道をも歩むという決意を表したベナウィなりのけじめ。 この槍で、全てを貫く。 この槍で、仲間を貫く。 この槍で、我が道を往く。 シッ、という短い声と共に勢い良く突き出した破魔の紅薔薇が、仏像を頭から粉々に砕き、パラパラと音を立てて床に破片が零れ落ちる。 刃先に視線を移してみたが、刃こぼれの一つもない。どうやら自分の予測は間違っていないようだと確信を得たベナウィは、塵を払うように破魔の紅薔薇を振り下ろし、改めて背を向け寺を後にする。 その目に曇りはない。やると決意した武人の目であった。 出来ることなら、最初の標的は――かつての仲間でありたいものだ。 力で屈服させていけば、それはトゥスクルの中にあった自分をも屈服させ、より冷徹に行動出来るということなのだから。 今宵は月。 こんなにも美しい夜だから……さあ、心置きなく、殺し合いをしよう。 修羅が、一人。生まれ落ちた。 【C-1 古寺 1日目 深夜】 【ベナウィ@うたわれるもの】 [状態] 健康 [装備] 破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE [道具] 支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの [思考・状況] 1 聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担 2 かつての仲間を優先的に殺したい ※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。 時系列順で読む Back 同盟 Next 匙は投げられた 投下順で読む Back Doubt & Trust Next 小鳥の遊び GAME START ベナウィ 残されたものは一つ
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あり得る事、成し得る事、求め得る事…… ◆WDKcDkBO8c 黄金色の月が、雲に隠れることなく存在感を誇示していた。 殺し合いの場で必死に足掻く者どもを嘲笑し、見下すように。 小高い丘の中腹に位置する、ぽつんと佇んでいる名も無き寺も月明かりを受けて屋根の色までも鮮やかに照らし出していた。 一方でその内部は薄暗く、まるで対照的に室内を闇色で染め上げており、窓枠から差し込む月の光だけが唯一の照明だった。 寺の内部にはいくつか蝋燭が半分溶けたままの状態で部屋の隅に置かれており、かつては誰かがそこに住んでいたのであろうことを想像させる。 この殺し合いが始まったときに、追い出されたのであろうか――そんなことを考えながら、トゥスクルの侍大将、ベナウィは静かに足を組んで部屋の中央に座り込んでいた。 殺し合いをしてもらう、というギラーミンと名乗った男の言葉を口内で反芻する。 つまり、自分達は剣闘士……見世物として連れてこられてきたということか。 しかし剣闘士とは異なる部分はいくつかある。 名誉をかけた戦いではないこと。金銭をかけた戦いでもないこと。 そして……参加する者の意思は無視されていること。 明らかに人道に悖る行為であった。聖上――ベナウィにとっての主であるハクオロのことだ――が憤るのも、まあ当然でしょうね、とベナウィは苦笑する。 無論ベナウィとて、それを許容できるほどには人の道を外れてはいない。 武人の本領は力無き者を脅かそうとする外敵から守ることであり、義を為して義に尽すことこそ我が名誉であり、誇りだとも諒解している。 だが、しかし……主であるハクオロの命が脅かされるとなれば、話は別になる。 自分はハクオロの剣であり、盾でもある。それ以前に、武人はその主の道具であり、命令に従いあらゆる危機を排除せねばならない。 そう、自分にはその使命がある。ベナウィは一つ深呼吸をすると、瞑想するようにゆっくりと目を閉じる。 武人は主の道具だ。それは他ならぬ自分自身が誰よりも知っていたはずなのに、一度それを裏切ってしまった。 勝てぬ戦と知りもせず、己の安寧のみに縋っていた元の主に、国家の切腹としての死を強要した。 つまり、それは道具にも……ベナウィにも死を強要することを意味していた。 國の恥は、自らの恥。 國の死は、自らの死。 受け入れる覚悟は武人になったときに、既に出来ているつもりだった。 死を賭して少しでも國に報いることが出来るのなら。至誠に悖らぬと信じて行動した筈だった。 しかし寸前、死を咎めその行為こそが至誠に悖る行為だと叱り付けた人物がハクオロであった。 國に殉じる意思があるのならば、こんなところで死んではならない。お前のしている行為は報国などではない、ただ逃げているだけなのだと。 最後に、ハクオロはこうも付け加えた。 道具にだって、死ぬべき場所を決める権利くらいあるだろう、と。 強烈に頭を殴られたような感覚を味わったのは、後にも先にもあの時だけだった。 言ったと同時、全てを受け入れるような穏やかな視線に射られたときには自然と背筋が張っていたのも覚えている。 何もかもを知り、何もかもを赦した男の目だった。 ベナウィはその瞬間から、この人の道具となり、二度と現れないであろう仁君のために全てを投げ打つことを決めた。 たとえ後世で、鞍替えをした裏切り者と、主君殺しの不忠義者と罵られようが、最早迷いはなかった。 武人としてではなく、個の人間として仕えようと。ベナウィは決意したのだ。 だからこそ……再び、至誠に悖る生き方をしなければならない。そうしなければならないのだ。 ベナウィがゆっくりと目を開く。その表情は武人そのものの目だった。 かつて、彼が主君たるインカラ皇に死を強要したときと同じ目に。 ハクオロはあの場で宣言した通り、最後まで殺し合いに抗い、可能性がなくなったとしても皆との共存の意思を曲げず進もうとするだろう。 罪もないような人々を殺して回るようなことなど絶対にある筈がない。 敵である自分でさえ赦したのだから。 だがそれでは……もしもハクオロが死んでしまったとき、一体誰がトゥスクルを治めるのか。 まだ子も成していない。後継者も決めていないとあれば再びあの地は戦乱にまみれ、多くの人々が悲しみ、嘆き、絶望の呻きを上げながら苦しむ日々を送ることになる。 それだけは武人としてではなく、個人としてのベナウィが決して起こしてはならぬと思っていること。譲れない一線であった。 そう簡単にハクオロが死ぬとは考えていない。あれだけの人間が容易く殺されるわけはない。 けれどもベナウィは知っている。どのような歴戦の猛者でさえ、戦場では流れた一本の弓矢で人はあっけなく死ぬ。 増してここは未知の文化、技術、知識を持った人物ばかり。ここにベナウィを移動させた技術さえどのような原理なのか知る由もなく、また理解もできまい。 一方で死んだ者をもギラーミンは生き返らせることが出来ると言ったが、その信憑性は疑わしい。 死者を生き返らせるというのは禁忌であり、神の怒りに触れるとさえ言われる。 恐らく、ここで死んだ者が生き返ることはないだろう。殺し合いに乗せるための方便と考えた方が良い。 ならば尚更、ここでハクオロだけは死なせてはならなかった。少しでもハクオロが生き残る確率を高められるのならば、ベナウィはそちらを選択する。 それが人道に悖る行為であったとしても。 だがそれはトゥスクルで共に暮らしてきた仲間を切り捨てる行為でもあった。 常に皆の体を労り、優しく母親のように接してくれるエルルゥ。 無邪気な心で周囲の心を和ませ、塞ぎがちな兵士の心にも明るさを与えてくれるアルルゥ。 奔放かつ横暴に振る舞いながらも大人の余裕を持ち、心強い味方でいてくれるカルラ。 剣士としての腕は一流ながらもどこか間の抜けた部分が却って人間らしいトウカ。 ハクオロが愛し、また同様に自分も愛している仲間の命をも切り捨てなければならない。 できるのか、という問いとやらねばならない、という答えがベナウィの腹の内でずっと渦巻いていた。 物理的に、ということだけでなく精神的にも、彼らを殺すことが出来るのか。 仲間に殺されるという悲鳴と怨嗟を受け止めることが出来るのか。 そして武人としての使命を裏切り、主さえも再び裏切るような行為を、私は成すことが出来るのか。 迷いという名の袋小路に入り込み、ずっと足を動かし続けながらも未だに結論は見出せない。 しかしこうしている間にも主君の命を奪おうとする輩は一歩、一歩と忍び寄っている。 むしろ考えている間にハクオロが殺されてしまっては、どんなに後悔しても足りないほどの罪になる。 それこそが本当の不義であり、また自分が罵り蔑むことであるはずだ。 不精に亘り、己にも武人としても恥ずる行為であることなど既に諒解しきっていることではないか。 己の信念は國を守り、民を守り、忠を尽し……主君を、守ること。 トゥスクルにはハクオロがいなければならない。あの皇の存在は、トゥスクル一國だけに留まらずこの戦乱の時代に終止符を打てるのではないかとさえ思わせるほどのものがある。 喪ってはならない。あの方が生きてさえすれば、あまねく民が救われるかもしれない。 多くの命と、仲間の命を天秤にかけたつもりはない。 天秤にかけるくらいならば両方ともを救う手立てを考える。それがハクオロ皇のやり方だ。 戦乱の時代においては温い考えかもしれない。けれどもそれは確かに人の心を集め、導いている。 現実主義者と言われるこの私でさえ、心惹かれているのだから。 あそこにいて、私は本当に色々なものを学んだ。 太陽の暖かさ、賑わいのある街、ひとの心―― 誠に得がたいものでした。聖上がいなければ、きっと私はこれらを忘れていたままだっただろうから…… 故に、忘れよう。 彼等の与えてくれた温もり、教えてくれた優しさ。 それら一切を捨て去り、今また道具として生きよう。 自らの義を為すため、心の内の辛苦も血に変えて進もう。 聖上、貴方はきっと私の行為を咎めるでしょう。 ですが私が貴方への義を為すには、こうする他にないのです。 説得されたときと同じ、仮面の下に隠れながらも迸るような激情を持った男の表情が再び脳裏に克明に描き出され、僅かに口元が緩む。 「愚直に、過ぎるでしょうか」 尋ねてしまった声の向こうから、そうだな、という声が聞こえてきたような気がしたが無視するように、ベナウィは立ち上がり、声に背を向ける。 ガチャリ、といつも身に纏っている武具が低く音を響かせた。しかし重たくはない。いつも通り、変わらない。 仲間を切り捨てることが自分の弱さだとするなら、それをまず切り捨てればいい。 感情の波は力で押し潰すことが出来る。非道すら目にしてきたベナウィには、そのやり方も分かっていた。 そして与えられた武器は、まさにベナウィのために用意されたかのような代物だった。 デイパックから出てきたのは彼の愛用の武器である槍。それだけでも幸運だと思ったベナウィだったが、付属していた説明書には以下のような一文が記されていた。 『触れたものの魔力を打ち消す槍』 魔力とはどんなものかいまいちピンとこなかったベナウィだったが、何かしらを相殺する効果が付け加えてあるらしいというのは理解出来る。 ただの方便かもしれなかったが、手にした槍(名前は、破魔の紅薔薇『ゲイ・シャルグ』というらしい)の持つある種の神々しさと、じっとりと手に馴染むようなその感触がいずれ強力な武器であることには違いないと思わせる。 これで馬……ウォプタルでもいれば万全の体勢で戦えたのだが、と思ったものの得意武器を支給されただけまだ自分は幸運。 この期に乗じて未だ混乱の極みに達しているであろう参加者達を逐次殺害していくのが至上の策だろう。 兵は神速を尊ぶとも言いますからね、と呟いたベナウィは続けて腰にもう一つの武器である刀――和道一文字――を差す。 こちらは槍に比べても得意という訳ではないが、扱い慣れている武器ではあるし、感触も中々手に馴染む。 恐らくは、名匠の手によって鍛え上げられた業物だろう。万が一槍を失ってもまだこちらで戦える。 最後に確認した支給品はベナウィもよく知るものだった。 シゥネ・ケニャと呼称される薬草。自らもよく使っているだけに有り難い存在であった。 多少の怪我を負ったとしても、これがあれば多少の無茶はできようというものだ。 袋詰めにされており、量的にも問題はない。 確認した後、再びシゥネ・ケニャをデイパックに仕舞いこむ。 内容としては中々悪くは無いものであったが、やはりウォプタルがいないと……とどこかで不満を抱いている自分に気付き、ベナウィは苦笑する。 やはり自分は、生粋の騎兵気質であるらしい。 そう思いながら寺を出ようとしたベナウィであったが、急に踵を返すと備え付けられてあった仏像の前に立つ。 ベナウィにはそれが何であるか分からなかったが、どこか威容のある姿かたちからそれが備えられてあるものであるということは分かる。 恐らくは、神か何かを奉ったものなのだろうと判断したベナウィは、必滅の黄薔薇を真っ直ぐ、刃先を立てて仏像に向ける。 武器の威力を試す。それもあったが、かつての自分との決別という意味合いも兼ねて、目の前の仏像を壊す。 それは背徳行為であり、決して認められることのない修羅の道をも歩むという決意を表したベナウィなりのけじめ。 この槍で、全てを貫く。 この槍で、仲間を貫く。 この槍で、我が道を往く。 シッ、という短い声と共に勢い良く突き出した破魔の紅薔薇が、仏像を頭から粉々に砕き、パラパラと音を立てて床に破片が零れ落ちる。 刃先に視線を移してみたが、刃こぼれの一つもない。どうやら自分の予測は間違っていないようだと確信を得たベナウィは、塵を払うように破魔の紅薔薇を振り下ろし、改めて背を向け寺を後にする。 その目に曇りはない。やると決意した武人の目であった。 出来ることなら、最初の標的は――かつての仲間でありたいものだ。 力で屈服させていけば、それはトゥスクルの中にあった自分をも屈服させ、より冷徹に行動出来るということなのだから。 今宵は月。 こんなにも美しい夜だから……さあ、心置きなく、殺し合いをしよう。 修羅が、一人。生まれ落ちた。 【C-1 古寺 1日目 深夜】 【ベナウィ@うたわれるもの】 [状態] 健康 [装備] 破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE [道具] 支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの [思考・状況] 1 聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担 2 かつての仲間を優先的に殺したい ※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。 時系列順で読む Back 同盟 Next 匙は投げられた 投下順で読む Back Doubt & Trust Next 小鳥の遊び GAME START ベナウィ 残されたものは一つ
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君に戦ぐ風、揺れるココロとススキ サーという音が延々と響いている。 それは夜風に戦がれ薄が奏でる音。 五月蝿くもあり静かな音。 そんな音が当たり一面に響いている。 薄が風に戦がれ揺れていた。 黄金色に耀くススキが。 黄金色の月に照らされ耀いていた。 その場所は薄野原。 見渡す限り薄で支配された場所。 高さが1メートル以上に及び空を目指すように聳え立っていた。 そして、ススキは揺れる。 涼しげな音を奏でながら。 その音を唯、静かに聞くものが一人。 目を瞑りながら唯考えていて。 月は彼を唯照らし。 薄は唯音を奏で。 その音はまるで揺れるその者の心の如く。 唯、薄が風に戦がれ―――揺れていた。 そして、その者は顔を上げる。 月の光が彼の黒い髪と鎧のような肩当てを照らして。 夜風が彼の赤い着物と蒼い外套を揺らす。 彼が見上げし空には丸い黄金の月が薄に少し隠れながらも耀いていた。 「殺し合いですか……」 月の光に照らされながらその者――ベナウィ――がそう反芻する。 それは強要されたもの。 最後の一人になるまで殺し合いをしろと。 それは戦に似ているようで違うもの。 そこに大義は無く道理も無い。 主催者が強要した極めて人道にかけたもの。 それに自らも放り込まれたという事。 つまり罪無き人々を殺せと言う事。 それをベナウィ自身が許容する事などは出来なかった。 既に沢山の命を狩ったベナウィだがそれでも罪無き人を切るなど出来なかった。 ベナウィは自身を未だ人道を外れていないと想っているのだから。 何故ならベナウィは武人であるという自負があったから。 力無き者の為に戦い守り抜く事。 大儀の為にこの身が滅びようと戦い抜く事。 それこそが武人の誇り。 それこそが武人の本懐。 ならばベナウィがすべき事は殺し合いを潰し、力無き者、罪無き者を守ること。 それこそが武人の在り方であろうとベナウィは想う。 それが、 それが ――――自らが絶対の忠誠を誓い信奉する主、ハクオロが居ないならの話だ。 ベナウィは武人であるから。 國の為に全てを殉ずる事。 國の為に誠を尽くす事。 それが武人の宿命であり最もすべき事であるのだから。 トゥスクルという国がある。 それはベナウィが侍大将として仕える国。 聖上――ハクオロ――が統治する国である。 ハクオロが治めるその国は傍から見ても善政でありまた豊かな国であった。 ハクオロが納める前とは比べようの無いぐらいの。 ベナウィは一重にハクオロのお陰であると想った。 その昔の主が治めていた時は酷いものだったから。 ベナウィが昔仕えていた主は圧政を強いていて民を苦しめていた。 しかし、ベナウィは国を案じても家臣であるが故に止めることも出来ない。 そしてその國はハクオロに滅ぼされた。 終わりを迎える折に最後まで身勝手に生きようとした主に最後に國の為に自殺をベナウィが強要させて。 その時自身も自決する道を選ぼうとした。 國の死は仕える武人の死であると思っていたから。 それが最後の國に対する奉公と考えた上で。 しかし、それをハクオロが止めた。 こんな所で死ぬべきではないと。 國に尽くすのなら最後まで見届ける責任があると。 新たに生まれ変わる國を。 幕引きをしたベナウィ自身が見届ける責任があると。 ここで死ぬのは逃げでしかないと。 そしてベナウィ個人としてで死ぬ場所を選べと。 彼は言った。 ベナウィはその時、生まれ変わった気がした。 そしてハクオロを主として定め命を懸けて仕えようと。 自身がどれだけ罵られようと。 武人ではないといわれても。 ベナウィ個人として仕えたかったのだから。 そして今までハクオロの腹心として新たに生まれ変わった國を見続けていた。 それはベナウィからみても好い方向に向かっていたはずだった。 そんな時……殺し合いに呼ばれたのだ。 ハクオロと仲間達と共に。 殺し合いに乗るべきではない。 ベナウィ個人としてはそう想っている。 だが、もし聖上として尊敬し仕えてるハクオロが死んでしまったら……? トゥスクルは乱れるだろう。 ハクオロには未だ世継ぎも居ないのだ。 主を失った國は混乱の内に戦乱にまみれハクオロが築き上げた安寧はなくなってしまう。 そして仕えるべき國は滅んでしまうだろう。 ベナウィは想う。 それだけは。 それだけは絶対してはならない。 ベナウィ個人と武人としてそれは起きてはならない事。 武人として主を守り、國を守り誠を尽くす事。 それは自らに刻まれた意志。 ならば。 武人として。 ハクオロを護る為に。 ―――殺し合いにのるべきではないか? そう想う。 でもそれは仲間を切り捨て罪無き人を殺すこと。 それを自身ができるのかと自問する。 ―――応えは未だにかえってこない。 國か、それとも多くの人の命か。 自身が取るべきか。 ゆらり、ゆらりと。 心が揺れている。 風に戦がれ揺れる薄の様に。 ベナウィの心は……揺れていた。 そして幾許かの時が経ったころだろうか。 ベナウィの先の薄が大きく揺れ始めたのは。 それは恐らく他の参加者が歩んでいる音。 こちらに向かい歩いてる音。 ベナウィは支給された武器、一尺八寸の白鞘の小刀――長曽祢虎徹入道興里――を持つ。 選択の。 選択の時はもう直ぐだと。 風と月が。 静かに。 唯静かに。 告げていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「………………」 風に戦がれ無数に揺れる薄の中、一人の少女が佇んでいた。 その姿は薄に全て隠されるぐらい小柄だった。 大きな黄緑色の帽子の中に髪を全ていれ白と緑のパーカー、ホットパンツとまるで男の子の様ないでたちをして。 その少女は目を瞑り腕を組みながら考えていて。 やがて少女は近くに生えていた薄を持って折ってみる。 薄は軽い音を立てながら簡単に折れ少女の手に収まった。 その瞬間 「はぁ……やっぱネットの世界じゃないよね。普通だったらボクの手に収まらずに消えるはず。この薄が構造体〈ストラクチャ〉になら。それがネットの法則〈ロジック〉だしね……」 大きな溜め息を吐き彼女は折った薄を放り投げた。 まるでやれやれといいたいように。 そしてまた腕を組んで考え始める。 「これでネットの線は消えたか……まぁこんな自然が溢れてる中でネットだったら驚きだけど……まぁ神経挿入子〈ニューロジャック〉を抜かれて脳死〈フラットライン〉よりましか」 彼女は自分の世界では日常的に存在するものを口にする。 彼女の住む世界、それは現実空間〈リアルワールド〉ともうひとつ。 ネット―――仮想情報ネットワーク空間〈サイバースペース〉と呼ばれる人類の生み出した最高の虚像の世界。 その世界が彼女が生きるもの中で存在している。 彼女が生きる世界はあらゆるネットワークが世界を張り巡り、情報ネットワーク化が加速度的に進展したその時代。 人々は現実空間〈リアルワールド)と仮想情報ネットワーク〈サイバースペース〉、二つの世界の発展を遂げていた。 サイバースペースとはネット空間を具現化したもの。 子供の頃、脳に埋め込まられるチップとコンピュータを神経挿入子〈ニューロジャック〉で接続〈ジャックイン〉する事によってその世界にいく事ができる。それは没入〈ダイブ〉というのだ。 ダイブをしたさきに広がるのは仮想現実〈バーチャルリアリティ〉。 人々はそうして作り出された仮想の世界に入る事ができる。 仮想の世界はデータによって作られた構造体〈ストラクチャ〉によって構成されるのだ。 例えばサイバーワールドに広がる摩天楼。広がる草原。広がる海。 それは全てデータによって作られた構造体でしかない。 造られた構造体の形を壊すと光になって消えてしまう。 造られた植物も人もだ。 人々に与えられるのは仮想の肉体。 それはまるで現実世界と何も変わらない肉体。 だけど感じる感覚も痛みも全てデータによって作られたものでしかない。 しかしそれは実際あったように感じるのだ。 致命傷を受ければ死に至ることもあるのだから。 サイバースペースで死んだ場合は脳の死。つまり脳死〈フラットライン〉状態に陥り結局は死んでしまう。 また、没入中に神経挿入子を外されても死んでしまう。 そう、サイバースペースはリアルワールドに限りなく近くでもそれは果てしなく遠い虚像の世界。 リアルワールドとサイバースペースの二つが日常のように存在する果てしなく未来の世界。 その世界を少女は生きているのだ。 そして少女その世界に生きるが故にこの島をサイバースペースの世界と想うがそれを実験したった今否定した。 植物を刈り取る事によって。 構造体なら光となって消えるからと。 結果、消えることなく残っていた。 「しかし……このボク、天才ハッカーバチュラがこんな失態……でもリアルならしかたないのかな」 ハァと溜め息を吐く少女――バチュラ――。 バチュラは元の世界では腕利き〈ホットドガー〉ハッカーとして生きていた。 その世界でのハッカーはアウトローを意味していて。 違法なデータを奪ったり悪戯をしたりするある意味盗賊のような存在。 その中でもバチュラは天才と崇められるほどの存在だった。 もっともバチュラの正体をこんなにも幼い子供の女の子とは誰も知らない。 何故ならバチュラはガキと思われたくないが為に声を隠し姿を隠していたのだから。 だがそんなバチュラもリアルでは唯の少女でしかないのだ。 そう、力の無い唯の少女でしかない。 「殺し合い……か」 バチュラはその言葉を反芻する。 アウトローが故に死など身近だった。 こんなにも小さい少女でも生きてる為にはアウトローに落ちるしかなかったのだから。 だから、今更普通の子供のように怯えるなど出来なかった。 リアルが故にやはり少しは怖い。 でもそれよりもバチュラの心には生き残りたいという感情の方が強かった。 生に執着するのは本当に子供のときから。 自分の知識を使って生き延びてきたのだから。 だからこそ 「……さてどうしようか」 考える。 生き残るすべを。 「殺し合いに乗る……無理だね。リアルじゃ勝ってこない……第一殺したくも無いよ……なら脱出だけどボクにできる事は……」 殺し合いに乗る。 その可能性をばっさりと切り捨てた。 ネットなら兎も角リアルでは勝てるとは想わなかった。 彼女の力は平均して思春期の女の子ぐらいしかなかったのだから。 それにバチュラは殺しに関しては元の世界から嫌っている。 アウトローに染まっていてもそれだけはしたくなかった。 深い理由はなかった。 ……いや、バチュラが気付いてないだけであるのだけれども。 それ故に殺し合いに乗るという可能性を消した。 ならば、バチュラがこの殺し合いでできる事。 それは 「首輪だね……どんな仕組みかは知らないけど……ボクに出来ないものなんてないよ。絶対に解除してみせる」 首輪の解除。 殺し合いから脱出する為に最も枷になる首輪。 これを解除させる事を誓う。 バチュラには自信があったから。 そう、バチュラは普通じゃないものを持っていたから。 それは左脳。 左脳が人間の範囲以上に発達しているという事。 陳腐な言葉で言うなら云わば左脳の天才。 計算し論理立て考える事には誰にも負ける自信がなかったのだから。 その脳をフルに使って首輪を解除する事を誓う。 「じゃあ……まずは首輪のサンプルがほしいな……それ以前にここから出よう。薄が足に当たって痛いや」 そう方針立てをしまずはここの薄野原から出る事。 こんな所じゃ何もできないと思って。 そして歩き出す。 「ん……前が見えない……子供じゃなきゃ良かった……」 薄をかきわけながらすこしづつ進む。 そして自分の子供の身体にごちりながら。 子供のから出なければ前が見えないなんて事無いのにと。 そう歩き続けた時。 「……ん……ひゃう!?」 唐突に前に現れた男。 その様子にバチュラは怯え尻餅をつく。 だってその男は。 月の光を浴びながら。 逆手に持った小刀を。 バチュラに向けて。 掲げていたのだから。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 今、私の傍に居る子供が怯えています。 それは十中八九私が掲げている小刀のせいでしょう。 私は。 私はこの子を殺すのでしょうか? この子に罪は無いでしょう。 それでも殺すというのですか。 全ては聖上の為に。 全ては國の為に。 それが武人の定め。 それが武人の生き様。 ならば命を刈り取る事に後悔などしないはずです。 どんなに手が汚れたとしても。 それが聖上が生きるためになるなら。 それが國の為になるのなら。 だから私は。 後悔などしないです。 可哀想ですが。 ですが…… 私は小刀を握る手に力を篭める。 これが武人として。 私がやるべき事。 ですから。 申し訳ありません。 これ…… 『それでいいのか……ベナウィおまえ自身はどうなんだ?』 ……っ?! ……聖上。 私は。 私自身は。 ……私は 『ベナウィさん……よければお茶どうぞ』 ……!? エルルゥ殿……。 ああ、そうでした。 私は。 私は学んだのでした。 貴方達と過ごして。 人との心。 人の優しさ。 暖かい温もりを。 あの仲間達のとの騒がしくもあり優しい触れ合いを。 私は。 ベナウィは。 それを。 絶対。 絶対忘れたくないでしょう。 武人ではなく。 ベナウィとして。 聖上が居たお陰でした。 ならば…… 私は。 もし、罪も無い人を殺してしまったのならば。 きっともう戻れないでしょう。 あの日々と。 そして人に。 ならば…… 私は。 ――――申し訳ありません。 手に持った小刀を。 私は落とした。 カランと音がなって。 地面に落ちた。 ああ。 私はいつからこんなにも弱くなったのでしょうか。 聖上を生かす為にも。 國の為にも。 人の心など。 あの優しい日々など。 忘れた方がいいのだろうに。 私は。 ―――忘れたくなかった。 ベナウィとして。 だから、殺そうと思えなかった。 戻れなくなるから。 だから。 だからこそ。 殺し合いに乗ることをやめてしまった。 はは。 武人が。 武人が呆れますね。 ですが。 私は聖上の部下です。 聖上は恐らく殺し合いをとめるでしょう。 エルルゥ殿を失っても。 強い方ですから。 ならば。 ならば。 聖上の意志に従わないわけにはいかないでしょう。 私は。 ベナウィは 聖上の臣下なのですから。 この選択が正しいかなどは分からない。 もし聖上を失った場合。 もう一度殺しあいに乗るかもしれません。 國の為に。 聖上は欠かせません。 ですが。 ですが今は。 「おどろかしてすいません……私はベナウィ。殺し合いに乗っていません……貴方は?」 人の温もりを思い出した。 ベナウィ『個人』として。 動かせてください。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「ふむ……つまりバチュラ殿はこの首枷を解除しようと……?」 「そうだよ。どんな仕組みかは分からないけど……きっと解除できるよ」 「……凄いですね……子供なのに」 「子ども扱いしないでほしいね! 少なくともベナウィより知ってるよ!」 月の光の下二人の人間が話し合う。 あの後、何とか纏まる事が出来た二人は情報交換をし合っていた。 そして共に行動する事も決めた。 だが、バチュラはベナウィが子ども扱いするのがどうも気に食わないらしくさっきから怒っている。 そんなバチュラに苦笑いをしながらもにこやかにベナウィは応えていた。 「……すいません。兎も角ここからでましょうか」 「そうだね。ボクさっきから薄が邪魔で仕方ないよ」 そういってバチュラがずけずけ歩き出す。 未だに子ども扱いされてるのが納得いかないらしい そんなバチュラを思いつつベナウィは想う。 (これでよかったのでしょうか?……もし……もし聖上を失った場合……) 頭に浮かぶ死者蘇生という言葉。 それが浮かんでは消え浮かんでは消えていく。 未だによかったのかと悩んでいた。 それでもベナウィは國が大事だったから。 だからもし ハクオロが死んでしまったら…… 「うわ……もーーーこの薄邪魔だよ!」 バチュラの叫びが聞こえる。 それを契機に不意に我に返ったベナウィは苦笑いを浮かべバチュラに近づいていく。 やはり未だ子供だと思いながら。 「仕方ありませんね」 「……ってわぁ……ベナウィ! 子ども扱いするなー!」 ひょいとベナウィはバチュラに対し抱っこをする。 薄野原に抜けるまでの間と。 バチュラは恥ずかしいのか。 それとも子ども扱いされたのが嫌なのかベナウィの手の中で暴れていた。 ベナウィは想う。 今は。 今はこれでいいと。 そう想って。 歩き出した。 そうして。 風が戦ぐ。 薄が。 静かに。 静かに。 揺れた。 彼らを見送るが如く。 唯、揺れていた。 【B-5 薄野原 下部/一日目 深夜】 【ベナウィ@うたわれるもの】 【装備:長曽祢虎徹入道興里(白衣)@終末少女幻想アリスマチック】 【所持品:支給品一式×1、不明支給品(0~2)】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:殺し合いに取り敢えずは乗らない。 1:バチュラと行動 2:ハクオロが死んだなら…………? 【バチュラ@バルドフォース】 【装備:なし】 【所持品:支給品一式×1、不明支給品(1~3)】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:殺し合いに乗らない 1:首輪解除最優先。サンプルの為に首輪入手。 2:ベナウィと一緒に行動。 3:子ども扱いしてほしくない 【備考】 ※ルート未定 Lostthingis...-Bygonedays- <前 次> Will&Wish ▲上へ戻る
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想いは簡単に届かない ◆TEF4Xfcvis 「――――――何も、ありませんね」 ベナウィは駅の構内を一頻り見回したあと、少し残念そうにつぶやいた。 電車が停まっていればベナウィも駅がどんなものか知る機会はあったのだろうが、生憎その電車とは 時間違いで出会わなかったのだ。しかし彼の要望に電車は沿っていないので存在を知ったところで 彼にとって利点があるかどうかは疑問である。 ベナウィは駅のプラットホームから身を乗り出し、その下にある線路を見つめる。 「これが延々と続いているということは……ここを何かが通るのだろうか」 自問してみるが、結論が出るはずもない。 彼はこの場所に来てまだ数時間しか経っていないが、ここには多くの未知なるものが溢れていると実感できた。 彼は思索する。ギラーミンとは一体どのような者なのだろうか、と。 自らが見聞きしたこともない世界に瞬時に移動させ、そのうえこの首に取り付けられた首輪。 手で触れて調べてみれば繋ぎ目などは一切存在しない。どのようにしてこれを取り付けたのかはわからない。 それを考えると同時に、彼はハクオロを無事に生き残らせなければならないと感じた。 このような場に集められた者たちなのだから、自分のようにこの殺し合いに参加する者がいないわけがない。 その場合、ハクオロとて無事では済まないだろう。出来れば彼を見つけて守りたいところだが、仲間を殺すとなれば 彼が承知してくれるはずがない。それならば、一刻も早く参加している者を減らすのが道理だろう、とベナウィは考えた。 「ならばここでじっとしている必要もない。ここがどういう場所なのかは気になるが……」 そして、彼は出口へと足を戻した。 * * * * * * * * とりあえず、橘あすかは真紅の進言に乗ることにした。 「先にホテルの方へ行ってみて、その後に遊園地の方へ行きましょう」 「どうして?」 「何がですか?」 真紅はジト~ッとあすかを睨みつける。 「だから!どうしてホテルの方を先にするのかってこと!」 「ああ、そういうことですか。まあはっきりとした理由ではないんですけど、やっぱり市街地の方が 人が集まりやすいでしょう。人は慣れた環境の方が落ち着きやすいですしね。 隠れる場所があるという点では遊園地も同じでしょうが……」 そうかもしれないわね、と真紅は言い返した。 「とにかく、これから出会う相手が友好的とも限らない。くれぐれも離れないようにしてください」 しばらくして、二人はホテルへと向かった道を戻っていた。 「結局誰もいなかったわね」 「そう……ですね。本当はもっと奥の方に行ってもよかったんですけど電車に乗るならどのみち中心部に 行くことになるでしょうし」 「私たちが慎重すぎたのかしら?」 真紅の言葉にあすかは俯き、唸る。 「そうかもしれません。僕たちが地図に書かれている道を通らなかったのが理由でしょうね」 目的は果たせていないが、それはあくまで自分たちの身の安全を考慮してのことだ。 あまり見通しが良すぎるところにいても、それでは逆に殺し合いに乗っている者の恰好の標的になってしまうのを あすかは何としてでも避けたかった。ミイラ取りがミイラになってしまっては何の意味もない。 あくまでも確実に、そして慎重に行動すべきだと彼は思っていた。 「別に気に病むことはないのだわ。焦っても仕方のないことなのだから」 そうだ、そうなのだが、それがあすかにしてみれば最も気に病む要因だった。 自分の発見が遅れたせいで殺された人がいたら……そう思うととてもいたたまれなかったのだ。 突然、あすかはハッと顔を上げる。 「真紅」 「ええ、気づいてるわ」 何かを蹴る音が少しずつあすか達の後方から近づいてくる。 間隔は数秒程度。しかも、音は地面から発せられるものではないようだ。 二人は、音をたてないようにそっと木陰に身を隠した。 彼らが潜んでいる林の前方には、地図には載っていない小道を挟んでE-2駅へと続く線路がのびている。 すでに音は彼らの前方へと迫っていた。 (音は何処から……?) あすかがそう疑問に思ったのも束の間、音の発生源はすぐに知れた。 電車に電気を送るための電線をつなぐ電柱を、黒い人影がまるで蛙のように次から次へと飛び継いでいた。 (人か?しかしあの身体能力……とても普通の人間には思えない) 真紅が何かを言おうとしたが、あすかは左手でそれを制する。 彼はじっと人影を見つめるが声をかけようはとしなかった。 人影が50メートル程離れた時、ようやくあすかは動き出した。 「どうするの?どうやら駅の方に向かっていったみたいだけど」 「後をつけてみましょう。まだあれが安全かどうかはわかりません」 そうして二人は薄暗い闇の中を駆けて行った。 * * * * * * * * 「どうやったら早くエルルゥの仲間をみつけられるかなあ……」 電柱の上を一つ飛ばしで跳びながら、ルフィはそんなことを考えていた。 これといった目的地は無い。駅を目指しているのだって、先ほどいた位置から一番近かったからにすぎない。 探知機があればよかったのだが、さっきの混戦でどこかへ失くしてしまったようだ。 それでもルフィは、同じ場所にとどまるよりは動き回った方が誰かに出会う確率も高まると思った。 ところで、彼の目的はまずエルルゥの仲間を探すことである。 名前は知っているといえども、ルフィにとっては姿さえ知らない者達。 あと、探す上でヒントとなるものを挙げれば、似たような服装を見つければいいといったところか。 それを踏まえても確認する方法といえば、やはり限られてくる。 「やっぱり名前を聞いていくしかないか」 その場合だと、相手とは正面から出会って確認することが必須となる。 危険なのは確かだが、今の彼にはこれくらいしか術はなかった。 それでも、ルフィは諦めない。過ごした時間はほんの数時間だが、エルルゥは間違いなく彼の仲間だった。 その仲間に報いるためにも、ルフィは捜索を止めることはないだろう。 そうしてルフィは駅へと辿り着く、と同時に、駅の入り口から出る人影を発見した。 「……とりあえず、会ってみるっきゃねえな!」 そう言うと彼は下方の人影に向かって弧を描くようにジャンプした。 ルフィが滞空している間にすでに人影はルフィの存在に気づいたようで、素早く5メートル程後ろに下がり 距離をとった。手には赤い穂先の槍を持ち、上から降ってきたルフィに対し構えをとる。 「待ってくれ!」 ルフィは目の前の男に叫ぶと、隠しポケットから何かを探りだした。 目の前の人影……ベナウィは猶も構えを崩すことなくルフィを見つめている。 ルフィはポケットから何かを取り出す前に、男に質問をした。 「なぁ、エルルゥってヤツしってるか?」 ぴくり、と男が動く。 「知っているが、どうかしましたか?」 ここではじめて男は口を開いた。 ルフィは内心で喜ぶと、また男に問いかけた。 「お前の名前は?あ、俺はルフィってんだ。よろしくな」 「私はベナウィです」 男は答えるが、それでも表情を崩さない。 男の言葉を聞き、ルフィはほっとしたように肩を下ろすと、ようやくポケットからエルルゥの首飾りを取り出した。 「よかった。探してたんだ、エルルゥの仲間を」 そう言うとルフィはベナウィの方へ近づいて行った。 ベナウィはしばらく何か考えたあと、槍の穂先を地面に下ろした。 「彼女は今、どこにいるのですか?」 ルフィは、立ち止まった。 そしてほんのすこし間をおいて、ルフィは話し出した。 「ごめん……オレ、エルルゥを守れなかった」 「……どういうことですか」 「銃で撃たれたんだ。オレが周りに注意してなかったから……」 ベナウィは何も答えない。 ルフィは左手で帽子のふちを下げ、言葉をつづけた。 「だから、エルルゥの前に会いに行ってほしいんだ。そのくらいしか出来ること思いつかなくてさ」 しばらくの沈黙の後に、ようやくベナウィが口を開いた。 「エルルゥは、死んだのですね」 「……そうだ。だからアイツに」 「それならば好都合です」 * * * * * * * * ぽた、ぽたと液体が流れ落ちる。 その色はベナウィの持っている槍の穂先と同じくらい赤く、それはルフィの左肩から滴り落ちている。 傷は左肩から胸まで縦一文字に10cmくらいの長さで、傷はそれほど深くはない。 気づくのは遅かったが瞬時に飛びのいたおかげで、致命傷は避けられたようだ。 ルフィの顔はその痛みに耐えているというよりは、ベナウィの行動にショックを受けているような表情だった。 「ク……なんで……」 ルフィにはベナウィの気持ちは理解できているつもりだった。 誰とも分らぬ者に自分の仲間が殺されたのだ。それに対し怒りの念がぶつけられるのは理解できる。 その怒りはルフィに向けられてもおかしくはないだろう。だがしかし、ルフィにはベナウィの発した言葉の意味が 理解できなかった。 「どういうことだよ……好都合って!」 声を荒げてルフィは叫ぶ。 「言葉どおりです。彼女が殺した者は誰だかは知らない。もしかしたら実はあなたが彼女を殺したのに 虚言を用いて私を騙そうとしているのかもしれない」 「ッ!そんなことは……!!」 「どうでもいいんです。結果として彼女は死んだ。私が手を下す前に」 「何!?」 「私は目的のために此処にいる者たちを誰であろうと殺す。そう、たとえ仲間であっても―――――」 ルフィにはベナウィが何を言っているのかわからなかった。いや、理解したくはなかったのだろう。 肯定できない。肯定してしまえば、仲間を想っていたエルルゥの気持ちを踏みにじることになる。 「ふざけるな!お前、エルルゥがどんな気持ちで仲間を心配してたと思ってるんだ!!」 ルフィの顔は完全にベナウィに対する怒りで染まっていた。 許せない。いますぐこいつの言葉を取り消したい。 「単純に、仲間より私の目的の方が重要だと判断しただけのことです。それ以上でもそれ以下でもありません」 ルフィから落ちる血の音以外に、他の音は響かない。 「……もう言うことはねえのか?」 「言うことはそれだけです。やることは、まだ残ってますが。」 そう言い放ち、ゲイ・シャルグをルフィの首へと向ける。 「わかった」 ルフィはエルルゥの首飾りをポケットにしまうと、ベナウィを睨みつけた。 「俺は、お前をブッ飛ばす!!」 先に動いたのはベナウィの方だった。 下段よりの喉笛目掛けての刺突。常人ならば捉えることさえままならない高速の攻撃を、今度こそルフィは 首をずらすことで難なく避けきった。しかしそれだけでベナウィの剣戟は留まらない。そこから一気に ルフィの頭と胴を乖離させるがごとく一線に薙ぎ払う。が、それに当たることなくルフィは槍の間合いから逃れた。 ベナウィも後れを取ることなくすかさず距離を詰めようとしたがそれは意表を突く攻撃により阻害された。 「ゴムゴムの銃(ピストル)ッ!」 ルフィの左腕だけが一瞬で間合いを詰め、ベナウィを打ち砕かんと襲いかかる。 しかし間抜けに喰らうベナウィではない。咄嗟に槍を両手で構え、不意の強襲を防ぐことに成功した。 生身の人間では有り得ない攻撃に一瞬驚いたが、それでも彼を倒すほどには至らない。 ベナウィはルフィに問いかけようとしたがそれを自制した。 (もはや余計な詮索は無用……) 殺し合いとして対峙する相手にその特異な体質のことなど聞いても仕方がない。 それよりもこの戦闘を早く終わらせなければならないとベナウィは思っていた。 このような場面をハクオロに見られるわけにはいかない。 (早々にケリをつける!) 「ゴムゴムのォ~……ック!」 大技を出すようだったが、ベナウィはみすみす相手にそんな隙を与えるほど悠長ではない。 右手、左手と槍を持ち替え、縦横無尽にルフィを絡め取ろうと槍を振り払う。 ルフィも負けじと拳を突き出すが、どうしても防がれて決定的な一打に欠ける。 そんな感じで両者ともに攻めあぐねていた。 (……そうだ!) ルフィは何か思いついたのか、腹を抉る軌道の槍を躱しながら右足をサッカーボールを蹴るように振りかぶった。 「だあっ!」 そしてそのまま右足を思い切り振りぬくと同時にサンダルを飛ばした。 無論、何の変哲もないサンダルである。 しかし、ベナウィはそれを防ぐことに神経を注いでしまった。 ルフィのサンダルはあくまでも只のサンダルであるため、爆発するとかいったそういう効果は一切ない。 しかし、ベナウィは今現在ルフィの奇怪な体質を目の当たりにしている。 それにより必要以上に警戒心を高めてしまい、ただのサンダルにも完全防御の形で対応してしまったのだ。 「ゴムゴムのォ~~~」 ベナウィはルフィを再度見ると同時に、驚愕の表情へと変わる。 ルフィがサンダルを飛ばすために振りかぶった右足はそのまま天を突き破らんとするばかりに高く伸びている。 ゴムゴムの戦斧(おの)。バラライカにも使用した、自らの片足を伸ばし、敵に振り下ろすというシンプルではあるが威力は絶大の技。 それが今まさにベナウィの下に振り下ろされようとしていた。 (槍で防ぐ?いや、あれを私が耐えられるかどうかわからない。逃げるにしても間に合わないかもしれない……) 「~~~戦斧!!」 選択は2つに1つ。だがベナウィは逆に、 『忍法、バッタの術!』 その戦斧へと突っ込んでいった。 此処に辿り着く前に少年より奪い取った支給品の中の一つに、この巻物があった。 半信半疑ではあったがベナウィは地震で試してみることによりその効果を実感した。 そしてその巻物をすかさず口に咥え、バッタの術を使用したのである。 その時にすでに右足は振り下ろされていたが、ちょうどバッタの術の限界跳躍高度にあった。 故にルフィの右足とベナウィが交錯するときはそれより少し下辺りになる。 ベナウィはルフィの右足目掛けて槍を振るう。 ルフィは驚き避けようとするが、おそらく完全に避けきることはできないだろう。 そして2つの影は、一瞬だけ交わった。 ドサッと二つのモノが地面に落ちる音がした。 一つはベナウィの着地する音、もう一つはルフィがバランスを崩して尻もちをつく音だった。 「グッ……」 「なかなか素晴らしい強さでしたが……此処でおしまいです」 そう言って、ベナウィはルフィの方向へ向かっていく。 一方のルフィは右足のふくらはぎから血を流していた。さっきの傷よりも深い。 治療をすれば大丈夫だろうが、治療などしている暇はない。 目の前にはルフィの命を刈り取ろうとする者がいるのだから―――――― その時、8つの光弾……否、光った珠がベナウィめがけて同時にルフィの後方より飛び出してきた。 ベナウィはすかさず打ち払うが、何度叩き落としても珠は迫ってくる。 彼は視界の向こうに人影を確認すると、珠を払いながら踵を返して逃走した。 (多勢に無勢……今はまだ死ぬわけにはいきません) ベナウィがルフィからほどほど離れたと同時に、一人の人間と一体の人形がルフィの方へと駆けつけてきた。 「畜生……」 ルフィは二人(?)を気に留めずに、その場に座り込んだ。 【E-2 駅前 1日目 早朝】 【ベナウィ@うたわれるもの】 [状態] 健康 甲冑に返り血 、軽い疲労 [装備] 破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE [道具] 支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん 謎のカギ [思考・状況] 1 聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担 2 かつての仲間を優先的に殺したい 3 駅内を探索する。出来れば馬も欲しい。 4 ルフィは、また改めて殺す。 ※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。 【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】 [状態]:右手のひらに切り傷 、左肩から胸にかけて浅い切り傷、右足ふくらはぎに深い切り傷、中度の疲労 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの [思考・状況] 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く 2:ベナウィを止められなかった…… 3:ギラーミンブッ飛ばす! 4:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす! 5:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ! 【備考】 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。 ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、 庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています 【真紅@ローゼンメイデン(漫画版)】 【装備】:庭師の鋏@ローゼンメイデン 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:殺し合いを阻止し、元の世界へ戻る。 2:目の前の少年(ルフィ)に話しかける。 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。 5:カズマ、水銀燈に用心する。また、水銀燈が殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める。 。 【備考】 ※参戦時期は蒼星石死亡以降、詳細な時期は未定(原作四巻以降) ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。 ※蒼星石が居る事や、ホーリエが居ない事などについて疑問に思っています。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします 【橘あすか@スクライド(アニメ版)】 【装備】:なし 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1~3個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:ギラーミンを倒し、元の世界へ戻る 2:目の前の少年(ルフィ)に話しかける 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。 5:カズマ、水銀燈に用心する。特にカズマは気に食わないので、出来れば出会いたくもない 6:できれば会場全体を一通り見ておきたい。 【備考】 ※参戦時期は一回目のカズマ戦後、HOLY除隊処分を受ける直前(原作七話辺り) ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました(アリスゲームは未だ聞いてない)。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※何処へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。 ※電車は北方向に1つ分進んでいます。1周30分程度(停車時間含む)。 詳しい車両数や、車掌や運転手の存在の有無、詳しい内装は後続の書き手に任せます。 時系列順で読む Back BLACK FRACTION Next その幻想を―― 投下順で読む Back BLACK FRACTION Next その幻想を―― Back Next 輪廻-ロンド- 真紅 一歩踏み出して 輪廻-ロンド- 橘あすか 一歩踏み出して 残されたものは一つ ベナウィ 黄金の精神は男の信念を打ち砕く 終わらない夢 モンキー・D・ルフィ 一歩踏み出して
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クロウ ステータス 技上昇:Lv13、Lv16(Max) ポイント:攻撃力60 防御力40 術防御力50 特徴 ベナウィよりも攻撃寄りなキャラである点はPC版と変わらず、DVD版ではベナウィの 影に隠れてパっとしなかったクロウだが、能力追加のおかげでDVD版よりもさらに攻撃的に。 能力はベナウィには劣るが防御面もある程度優秀で気力も回復しやすい。 特質すべきは「烈火の技」、気力が多いほど攻撃力が上昇するので気力MAXの状態で連撃を 繰り返すのが一番良い戦法だろう。 ただ、「会心の技」を持っていないので結果的に連撃回数も多いベナウィに攻撃力でさえ負ける こともしばしば・・・ 協撃ではクロウとオボロの協撃があるが、範囲が狭いため使いづらいと言わざるを得ない。 ベナウィとの協撃は十字型の範囲なので、複数の敵を巻き込み辛いという欠点がある。 攻撃面では優秀といえるのは確かだが、機動力随一のオボロ、攻撃力最強のカルラ、超万能ユニットベナウィ、 万能のうっかり侍トウカなど色々利点があるのに対し、これと言ってパっとするものがないのがDVD版と同じく欠点と言える。 ユニット的にどうしても劣化ベナウィとなってしまうのが悲しいところか・・・ せめて「会心の技」か「明鏡止水」もあれば良かったのだが・・・ ゲーム内でも「生まれたての39歳ヒゲ独身」になってしまうかはプレイヤー次第、純粋な味方 キャラでは攻撃面で唯一の土属性なのでそれを利点に考えるのも良いだろう。 クロウを参戦させるなら、ベナウィかオボロもセットで参戦させておこう。 能力名 習得Lv 効果 闘志の瞳 初期 隣接する四方に対して停止させる領域を常に発生させる ぶち壊し 初期 障害物に対して攻撃力が上昇する 気力が高いほど攻撃力は高まる 烈火の技 Lv13 気力により攻撃力が増加 気力が多いほど攻撃力は高まる 報復の技 Lv17 攻撃を受けた時、低い確率で反撃する 気力が多いほど発生確率は高まる ムアの加護 Lv21 気力により受けるダメージが軽減される 気力が多いほど軽減率は高まる 死中求活 Lv25 一戦闘につき一度だけ体力が25%以下になると気力が100%になる
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Fate ◆PNBSYQEqx6 ある少年が居た。 何回も繰り返すひぐらしが鳴く夏の中で生き続けていた少年。 時には挫折もした。 時には後悔もした。 特には過ちだって犯した。 それでもその夏を乗り越える事を諦めなかった。 何度でも、何度でも。 惨劇を止めようと進んできた。 運命を乗り越えようと諦めなかった。 そして乗り越えたのだ、運命を。 惨劇が起こるという運命を仲間と共に。 運命に屈しなかった少年。 運命を乗り越えた少年。 その名前は前原圭一。 運命を打破すべき鍵となる赤い炎。 そしてこの殺戮の島で彼は何を志すのだろうか―――― ◆ ◆ ◆ 「……何だってんだよ……畜生」 深い森の中、一人の少年が呟く。 少年は標準的な夏服の学生服を纏い大樹に寄りかかっている。 ボブカットの茶色の髪を不機嫌そうに掻く。 意味が解らなかった。 いきなり自分と同じ年ぐらいの人に変なことを言われて。 いきなり三人の命を奪われて。 そして気がつければ深い森の中だ。 瞬く間の出来事で少年――前原圭一――の理解が追いつかない。 必死に考えても何故こんな事がおきたかなど彼には思いつかなかった。 わかるのは一つ。 「三人……死んじまったんだよな……くそっ」 三人の命が奪われたと言う事。 罪も無いだろう三人の命が無慈悲に奪われた。 命の価値も解っていなさそうな少年少女達の手で。 その事に圭一は思う。 「ふざんけんな……許せるかよ」 許せないと。 自分たちに殺し合いを強要させる為に三つの命が散っていったのだ。 そんな事、許したくもなかった。 それにこの殺し合いに自分の大切な仲間も居た。 「レナ……魅音……詩音」 竜宮レナ。 園崎魅音。 園崎詩音。 共に楽しい日常を過ごした仲間達。 共に運命を覆す為に戦った仲間達。 惨劇を回避する為に。 それを起そうとした鷹野を止める為に。 ずっと一緒に戦った仲間達。 その仲間たちが巻き込まれてその仲間達と殺し合いなど圭一には考えられなかった。 考えたくも無かった。 ならば圭一は 「そうだよ……運命なんて……惨劇なんて……」 こんな殺し合いをする運命なんて。 仲間が死ぬという悲しい惨劇なんて。 「俺が覆してやる……止めてやる……見てろよ……!」 覆そうと。 止めようと。 強く強く心に誓う。 「それを俺を成し遂げてきたんだ!……絶対に諦めてたまるかよ!」 圭一は諦めないと強く思う。 何故ならそれを成し遂げたのだから。 レナ達と一緒に。 哀しみしかなかった惨劇という運命を。 皆が幸せになれる運命に変えて見せたのだ。 挫折もした。 失敗もした。 後悔もした。 限りなく続く夏の中で。 でも。 それでも。 圭一は進み続けていた。 諦めずに。 ずっと。 ずっと。 そして運命を覆した。 圭一自身の力と仲間達の力を合わせて。 だから。 それだからこそ。 この殺し合いでも誓う。 「俺は絶対諦めない! この殺し合いを止めてみせる!」 殺し合いを止めると。 そう右手を突き出し力強く誓った。 負けないと。 諦めないと。 前原圭一はこの殺戮の島でも変わることなく誓ったのだ。 その直後だった。 「動かないでください」 圭一の直ぐ近くの茂みから1人の男が躍り出たのは。 ◆ ◆ ◆ 「貴方に聞きたい事があります」 「……い、いやその前にお前は誰なんだよ……俺は前原圭一。仲間を探してる」 「……そうですか。まぁ名乗っておきましょうか。私はトゥスクルの侍大将、ベナウィと申します」 躍り出た途端圭一に胸に槍をつけつけている男。 名はベナウィといった。 彼はい着物と蒼い外套の上に甲冑なような肩当をしていた。 ベナウィの端麗は顔立ちをしており表情を変えずただ圭一を睨んでいるだけ。 圭一にはベナウィの目的がわからずただ混乱するだけで迫る命の危険に怯えていた。 「それで……貴方は聖上……いえ、ハクオロという者知っていますか?」 「……ハクオロ?」 ベナウィが告げた名前、ハクオロ。 その名前に特に何かを思いつくわけでもなかった圭一はついその名を聞き返してしまう。 その反応が不味かった。 「……いえ、もう結構です……では…………すいません」 すっとベナウィは槍を引く。 その動作に圭一は直ぐ身をよけた、何か嫌な予感がして。 その瞬間ベナウィは凄まじい勢いで槍を突き出した。 間一髪で圭一は避ける事ができたが尻餅をついてしまう。 「……なんでっ! お前……殺しなんて」 「簡単です……私が仕えるの主が巻き込まれていた……それだけです」 「それだけ……それだけってなんだよ! それだけであんな少女の言いなりに……」 圭一は声を荒げて言う。 こんなにも簡単に殺し合いに乗る。 そうしたベナウィが言ったのが信じられなかったから。 圭一の言葉にベナウィが悲しく笑う。 「そう、それだけ……ですが私にとって……トゥスクルに仕える家臣にとってはそれだけの事が途轍もなく重大なのですよ」 「重大……?」 「国を纏める主が居なければ国は治まりません。まして未だ発展途上の我が国……聖上の存在は必須なのです」 ベナウィは国に仕える家臣だった。 だからこそ主に死んでもらうわけには行かない。 ここで死んでしまえば国は滅ぶだろう。 だからこそ、自身が死んでもハクオロには生きて貰わなければならない。 そう、だから乗った。 簡単で且つ悲しい事だった。 何故なら…… 「そんな……でもそれでも無実な人を殺してまでやるなのかよ!」 「……ええ。殺します」 「それが許される……」 「許される訳ないでしょうね。私自身『武人』としても許すわけにはいきません。その非道な行為を許すなどもってのほかです」 「……なら、何故!」 「『家臣』であるからですよ。国の為なら、そこ住まう民の為なら。そして主の為なら……私は喜んで自分を捨てましょう。そして家臣として忠義を貫くのみなのですから」 ベナウィは悲しいほど『家臣』であったから。 ベナウィ自身は本来『武人』だ。 人道に外れ力無き者を守る。 それが至純の信念であるのだから。 だが……国の危機となったら別だ。 道具となり意志を捨て国を守る。国の民を守る。主を守る。 あらん限りの忠義を尽くすのだ。 そして今、主の危機なのだ。 その為なら捨てなければならない。ベナウィ個人を。 一度はハクオロによって戻されたベナウィの個人。 だがその為ならもう一度喜んで捨てよう。 そう、ベナウィは思ったから。 『家臣』であるからこそ。 ハクオロに心酔しているからこそ。 全てを切り捨ててハクオロを生かすのだ。 「……ふざんけんなよ……どうしてそんなに簡単に決めてしまうんだよ!」 そのベナウィの決意に圭一が怒る。 どんな時でも諦めなかった圭一が。 「そんなの……喜ばないだろ! 誰も! 誰も! 幸せになりっこない!」 圭一は挫折した。 圭一は後悔もした。 だからこそ解る。 それが幸せになるとは絶対思えないと。 「そんな運命乗り越えて見せろよ! 俺は……絶対に諦めなかった!」 悲しい運命も。 諦めずに乗り越えたから。 だから、簡単に割り切ってしまうベナウィが。 どうにも許せなかった。 「俺はここににも居る仲間……竜宮レナ、園崎魅音、園崎詩音、北条沙都子、古手梨花と乗り越えたんだ! 運命を!」 仲間と共に。 運命を乗り越えたから。 どんな苦難も絶望も。 乗り越えたから。 だから 「なあ! お前もこんな運命を……仲間と共に……覆し乗り越えてみろよ!」 「運命ですか……」 「ああ! 悲しい運命……難しく考えなくていい……単純に……覆して乗り越えて見ろよ! あるはずだ。皆が幸せになる方法が!」 手を伸ばす。 運命を覆す為に。 だけど 「……運命……確かにこの運命は悲しいかもしれません。覆したら幸せになるかもしれません。ですが―――」 ズブリと。 肉を貫く音が。 「―――不器用なんですよ。私は……こうする事でしか聖上を国を護る事はできないんです。貴方と違って。真っ直ぐには進められません」 槍が。 圭一の胸に刺さっていた。 「だから―――私はその運命に従います。それが私が選び取った『運命』なんですから」 命が。 圭一の命が急速に失っていく。 目には生気が失われていき。 そして 「だから……そ……れ……は……とても……かな……し……い……運命……なん……だ……よ――――馬鹿野郎」 手が落ちた。 その手はもう二度と動く事がなく。 運命を覆す事もなく、乗り越える事もなく。 かくして。 この島でも運命を打破しようと志した少年は。 悲しい運命に飲み込まれて。 そして。 赤い炎は潰えた。 【前原圭一@ひぐらしのなく頃に 死亡】 ◆ ◆ ◆ (まずは1人ですか) ベナウィが二度と動く事が無い少年を見つめる。 もう戻れないと思いながらも。 だけど迷いは無かった。 ベナウィはハクオロにトゥスクルに心酔していたから。 それを護るのだ。 後悔も迷いも無かった。 ただ、圭一が言った言葉。 「運命と仲間……ですか」 ベナウィにも仲間が居た。 この島にもいる掛け替えの無い仲間。。 エルルゥ。 アルルゥ。 トウカ。 カルラ。 大切にしたい仲間。 失いたくないと思った仲間。 彼女達ならハクオロと共に運命を覆す事ができるのだろうか。 またそう志すのだろうか。 そう思い…… 「それがどうしたの言うのです。私は『家臣』……ならば主の為に……忠義を貫くのみ」 そこで止まった。 もう考えない。 そんな戯言は。 そして 「……できれば会いたくないですね……仲間を斬りたくありませんから」 悲壮の決意を決め。 そして何も考えず空を見上げる。 月がただ怪しく光りベナウィを照らす。 そのベナウィの背は悲しい決意をした ―――修羅だった。 【G-3 森/1日目・深夜】 【ベナウィ@うたわれるもの】 [状態]:健康 [装備]:海軍用船上槍(フリウリスピア) @とある魔術の禁書目録 [道具]:支給品一式、不明支給品1~5 [思考・状況] 基本:殺し合いに乗りハクオロを生還させる。 1 :殺し合いに乗りハクオロを生還させる。 2 :仲間には会いたくない、会ったならば斬る。 【海軍用船上槍@とある魔法の禁書目録】 天草式の五和の使用武器。 デザイン的にはシンプルな槍。 しかし1500回ほど樹脂のコートを重ねることによる『植物の持つ繁殖力』の術式を付加し、更に刃先に『冷たい夜気』を利用した術式を付与したもの。 その結果、メイスによる一撃に耐えるほどの耐久力を持ち、その一撃が破壊的な攻撃力を撒き散らす霊装になっている。 02 壁に耳あり天狗に目あり 時系列順 04 ハヤテはお嬢様のためなら、鬼にも悪魔にもなれる 02 壁に耳あり天狗に目あり 投下順 04 ハヤテはお嬢様のためなら、鬼にも悪魔にもなれる 前原圭一 死亡 ベナウィ 35 Quo Vadis
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陰日向に咲く ◆auiI.USnCE 「………………」 太陽が燦々と輝く空の下。 物陰で自分の存在をかき消そうとするように、彼女――長谷部彩はひっそりと佇んでいた。 蒼い蒼い空だけを儚げに見つめ続けながら、今までの事を思い出している。 よく解らなかった。 いきなり、変な場所に自分が居て。 漫画みたいな天使みたいな男の人が居て。 でも、天使みたいな人は実は悪魔のようで、容赦無く同じ年齢のような女の子を殺した。 今でもシャワーの様に紅い紅い血が降り注いだ映像が、頭の中からこびり付いて離れない。 それでも、嘘みたいな夢の様なあの光景は、やはり嘘と思いたくなる現実だった。 首がなくなった胴体から滴りたる血が、これが現実だという事を自分に見せ付けていたから。 「…………どうして」 どうして、こうなってしまったのだろう。 輝きを失わない太陽を見ながら、彼女はずるずると寄りかかったものからずり落ちていく。 影に隠れるように、身を静かに寄せ、膝を抱え込むように座り込んでしまう。 そのまま、顔を膝に押し付け、目を閉じる。 眩しかった光はあっという間に無くなり、何も無い闇のような無が広がっている。 死んでしまったら、このような無になってしまうのだろうか。 何も感じない世界の中で一人きりになってしまうのだろうか。 それとも、死後の世界というものがあって、其処にずっと前に死んでしまった父親もいるのだろうか。 でも、それはやっぱり死んでみないと解らない事で。 ただ、死がとても近い事が、とてもとても怖かった。 終わって、しまうのだろうか。 そう思った瞬間被っていた白い帽子を強く握りしめてしまう。 思い起こすのは、この島に連れてこられる前の事で。 ただ、漫画を描いていて。 それをこみパで売って。 全く売れはしなかったけれども、それでも楽しかったはずだ。 最近は何故か色んな人と出会う事もできた。 何故だか、ワクワクした。 これからだったはずだったのに。 始まりは見えていたのに。 でも、始まる事すらせず、終わってしまうのだろう。 自分に人殺しなど出来る訳も無く、また戦う力なんてある訳がなかった。 だから、このまま、ここで死んでしまうのだろう。 それも、仕方ないのかなとも思ってしまう。 自分はこんなにも目立たなくて地味なのだから。 このまま誰にも気付かれずひっそりと死ぬ方がいいのかもしれない。 それが、自分の生き方のようにも思えたのが、とても哀しかった。 でも、自分の末路として似合うかもしれなかった。 長谷部彩の終わりとして、相応しいのかもしれない。 でも 「…………死にたく……ない」 やっぱり死にたくなかった。 自分の家に帰りたかった。 まだ、沢山漫画を描きたい。 また、あのこみパに行きたい。 未練ばっかりが沢山有って。 死を受け容れる事なんて、できようもなかった。 ただ、生きたくて、生きたくて。 気が付いたら涙がぼろぼろと流れている。 光が当たらぬ、陰の中で、ひっそりと泣いていた。 「……!?」 そんな時だった。 かつかつと靴音が彩の耳にも聞こえてきたのだ。 びくっと体を震わせ、纏っていた白いショールを抑える。 ああ、終わってしまう。 そう思って、自分の身をぎゅっと抱きしめる。 せめて、最後だけは楽にいけるように。 それだけを願いながら目をぎゅっと閉じる。 直ぐに訪れるだろう終焉に震えながら。 だけど、その終焉は何時までもやって来なくて。 おずおずと恐る恐る目を開けてみる。 其処に居たのは恐らく自分より少し年上の黒髪の青年で。 甲冑か着物かよく解らないものを纏い、手には剣が握られていた 青年は彩を見つめながら、ずっと動かないままだった。 彩は目をぱちくりとさせ、そのまま固まったように座り込んでいる。 長いか短いか良く解らない時間が暫く流れ、見つめ合って。 そして。 「……返事が送れて申し訳ありません。ベナウィといいます」 青年が柔らかい声色で自分の名を名乗った。 そして静かに手を差し伸べる。 彩はきょとんとし、その手を取った。 そのてのひらは何処か、何故か温かくて。 優しく感じられて。 また、彩はぼろぼろと涙を流した。 それが、生きているという実感だった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ その後、泣き出した彩をベナウィは何とか宥める事が出来た。 余り慣れた事ではなかったので随分と時間がかかってしまったが。 そして、ベナウィは自分の身の上や現状などを話し始めた。 彩は聞き慣れない国名や何処か時代錯誤した話に戸惑ってしまった。 けど、元来極めて無口で大人しい性格なので、戸惑いや疑問を彼に話す事ができない。 だから、そういうものなのだろうと無理矢理自分自身を納得させる。 解らない事は後でまたゆっくり聞けばいいと思いながら。 そしてベナウィは今は自分の主君や仲間を探している旨を彼女に告げる。 ベナウィは彼女に仲間の所在を尋ねた。 しかし、今までベナウィの話にコクコクと頷いていた彼女はその時ばかりはフルフルと首を横に振って否定をする。 その事にベナウィは特に気を落とす事は無かった。 この殺し合いも始まったばかりなので、会っていない可能性の方が高いと思っていたからである。 ベナウィ自身も彼女がこの島で出会った始めたの人でもあったからだ。 「そうですか……では、すいませんが私は仲間を探さねばなりません」 そして、ベナウィは立ち上がり、この場を去ろうとする。 とても薄情な事をしていると自覚している。 けど、今はそれをしなければならい。 何故ならば………… 「…………」 でも、ベナウィは立ち去る事ができなかった。 彩が、何もいわずに自分の袖をちょこんと持って、そしてクイクイと引っ張り、引き止めていたから。 その表情は、何処か切なそうにベナウィを見つめている。 ただ、離れたくなかった。 一人きりではとても不安だったから。 死にたくなんて無かったから。 だから、今は彼と居たかった。 彩は捨てられそうな子犬のような視線をずっとベナウィに向けていて。 ただ、捨てられたくないといいたい様に見つめていた。 「…………そうですね。解りました。一緒に行きましょう」 その様子にベナウィはふっと息を吐き、そして一緒に行くことを決めた。 何時の間にこんなに甘くなったのだろうか。 それともこの少女のせいだろうか。 それは、ベナウィ自身にも解らなかった。 優しげな笑みをベナウィは浮かべ、またその少女に手を差し伸べる。 彩は儚く笑いながら、コクコクと頷き手を取った。 そして、できるだけ優しく、彼に言葉を告げる。 「……………………ありがとうございます」 その笑顔は、陰にも光が差し、まるで日向のような、とても柔らかい笑顔だった。 優しく、可憐な笑顔の花が、彩っていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ……全く……私は何をしているんでしょうね。 自分自身の事なのに、自分が行った事に驚きを隠せないでいる。 最初にこの少女に出会った時、私は殺そうか迷った。 自分が忠誠を誓ったあの主君の為に。 彼を生かす為に全員を殺す事を選び取るのは、当然かとも思えたからだ。 なのに、殺せなかった。 あの顔を見ていたら、殺せなかった。 それはきっと人の触れあいの温かさを、家族とも言える空間を知っていたからであろうか。 手を血に染めれば、あの空間に戻る事ができない。 そう思ってしまったらふがいもなく迷ってしまって。 結局、殺せなかった。 だから、これ以上自分のペースを崩させない為にも離れようと思った。 あの笑顔は、毒だと思った。 自分の牙を奪ってしまう。 儚げで柔らかい笑顔は、どうしても、あの国の、家族の温かさを思い出させてしまう。 あの食事の温かさを思い出してしまうと、忠誠の為に罪無き人を殺す……など出来なくなってしまう。 まだ自分の中でも定まっていないのだ。 だから、あの笑顔を見続けていたら、いけないと思った。 だから武士としての誇りを捨て、薄情のまま、立ち去ろうとしたのに。 あの瞳が、また自分を見つめていた。 最初に殺そうとした時のように見つめられて。 立ち去ろうとした自分を縛ってしまう。 離れようとした自分を引きとめようとして。 そして、また私は残ってしまった。 こんな自分自身に本当に驚いてしまう。 とても無様とも思う。 けど、それでいいと思う自分自身も居た。 本当に訳が解らない。 彼女はまだ陰のある、けれども日向のような笑みを自分に向けている。 柔らかで優しげな温かい笑みだった。 ああ、その笑みは 私を縛り、苦しめ だが、 私を引きとめ、安らげてくれる。 そんな 陰日向の笑みだった。 【時間:一日目 午後1時ごろ】 【場所:E-1 北部】 ベナウィ 【持ち物:フランベルジェ、水・食料一日分】 【状況:健康 彩と共に行動】 長谷部彩 【持ち物:不明支給品、水・食料一日分】 【状況:健康、ベナウィと共に行動】 008 天使の消えた島 時系列順 010 Number Of The Beast 008 天使の消えた島 投下順 010 Number Of The Beast GAME START 長谷部彩 077 侍大将は儚き少女の為に ベナウィ
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想いは簡単に届かない ◆TEF4Xfcvis 「――――――何も、ありませんね」 ベナウィは駅の構内を一頻り見回したあと、少し残念そうにつぶやいた。 電車が停まっていればベナウィも駅がどんなものか知る機会はあったのだろうが、生憎その電車とは 時間違いで出会わなかったのだ。しかし彼の要望に電車は沿っていないので存在を知ったところで 彼にとって利点があるかどうかは疑問である。 ベナウィは駅のプラットホームから身を乗り出し、その下にある線路を見つめる。 「これが延々と続いているということは……ここを何かが通るのだろうか」 自問してみるが、結論が出るはずもない。 彼はこの場所に来てまだ数時間しか経っていないが、ここには多くの未知なるものが溢れていると実感できた。 彼は思索する。ギラーミンとは一体どのような者なのだろうか、と。 自らが見聞きしたこともない世界に瞬時に移動させ、そのうえこの首に取り付けられた首輪。 手で触れて調べてみれば繋ぎ目などは一切存在しない。どのようにしてこれを取り付けたのかはわからない。 それを考えると同時に、彼はハクオロを無事に生き残らせなければならないと感じた。 このような場に集められた者たちなのだから、自分のようにこの殺し合いに参加する者がいないわけがない。 その場合、ハクオロとて無事では済まないだろう。出来れば彼を見つけて守りたいところだが、仲間を殺すとなれば 彼が承知してくれるはずがない。それならば、一刻も早く参加している者を減らすのが道理だろう、とベナウィは考えた。 「ならばここでじっとしている必要もない。ここがどういう場所なのかは気になるが……」 そして、彼は出口へと足を戻した。 * * * * * * * * とりあえず、橘あすかは真紅の進言に乗ることにした。 「先にホテルの方へ行ってみて、その後に遊園地の方へ行きましょう」 「どうして?」 「何がですか?」 真紅はジト~ッとあすかを睨みつける。 「だから!どうしてホテルの方を先にするのかってこと!」 「ああ、そういうことですか。まあはっきりとした理由ではないんですけど、やっぱり市街地の方が 人が集まりやすいでしょう。人は慣れた環境の方が落ち着きやすいですしね。 隠れる場所があるという点では遊園地も同じでしょうが……」 そうかもしれないわね、と真紅は言い返した。 「とにかく、これから出会う相手が友好的とも限らない。くれぐれも離れないようにしてください」 しばらくして、二人はホテルへと向かった道を戻っていた。 「結局誰もいなかったわね」 「そう……ですね。本当はもっと奥の方に行ってもよかったんですけど電車に乗るならどのみち中心部に 行くことになるでしょうし」 「私たちが慎重すぎたのかしら?」 真紅の言葉にあすかは俯き、唸る。 「そうかもしれません。僕たちが地図に書かれている道を通らなかったのが理由でしょうね」 目的は果たせていないが、それはあくまで自分たちの身の安全を考慮してのことだ。 あまり見通しが良すぎるところにいても、それでは逆に殺し合いに乗っている者の恰好の標的になってしまうのを あすかは何としてでも避けたかった。ミイラ取りがミイラになってしまっては何の意味もない。 あくまでも確実に、そして慎重に行動すべきだと彼は思っていた。 「別に気に病むことはないのだわ。焦っても仕方のないことなのだから」 そうだ、そうなのだが、それがあすかにしてみれば最も気に病む要因だった。 自分の発見が遅れたせいで殺された人がいたら……そう思うととてもいたたまれなかったのだ。 突然、あすかはハッと顔を上げる。 「真紅」 「ええ、気づいてるわ」 何かを蹴る音が少しずつあすか達の後方から近づいてくる。 間隔は数秒程度。しかも、音は地面から発せられるものではないようだ。 二人は、音をたてないようにそっと木陰に身を隠した。 彼らが潜んでいる林の前方には、地図には載っていない小道を挟んでE-2駅へと続く線路がのびている。 すでに音は彼らの前方へと迫っていた。 (音は何処から……?) あすかがそう疑問に思ったのも束の間、音の発生源はすぐに知れた。 電車に電気を送るための電線をつなぐ電柱を、黒い人影がまるで蛙のように次から次へと飛び継いでいた。 (人か?しかしあの身体能力……とても普通の人間には思えない) 真紅が何かを言おうとしたが、あすかは左手でそれを制する。 彼はじっと人影を見つめるが声をかけようはとしなかった。 人影が50メートル程離れた時、ようやくあすかは動き出した。 「どうするの?どうやら駅の方に向かっていったみたいだけど」 「後をつけてみましょう。まだあれが安全かどうかはわかりません」 そうして二人は薄暗い闇の中を駆けて行った。 * * * * * * * * 「どうやったら早くエルルゥの仲間をみつけられるかなあ……」 電柱の上を一つ飛ばしで跳びながら、ルフィはそんなことを考えていた。 これといった目的地は無い。駅を目指しているのだって、先ほどいた位置から一番近かったからにすぎない。 探知機があればよかったのだが、さっきの混戦でどこかへ失くしてしまったようだ。 それでもルフィは、同じ場所にとどまるよりは動き回った方が誰かに出会う確率も高まると思った。 ところで、彼の目的はまずエルルゥの仲間を探すことである。 名前は知っているといえども、ルフィにとっては姿さえ知らない者達。 あと、探す上でヒントとなるものを挙げれば、似たような服装を見つければいいといったところか。 それを踏まえても確認する方法といえば、やはり限られてくる。 「やっぱり名前を聞いていくしかないか」 その場合だと、相手とは正面から出会って確認することが必須となる。 危険なのは確かだが、今の彼にはこれくらいしか術はなかった。 それでも、ルフィは諦めない。過ごした時間はほんの数時間だが、エルルゥは間違いなく彼の仲間だった。 その仲間に報いるためにも、ルフィは捜索を止めることはないだろう。 そうしてルフィは駅へと辿り着く、と同時に、駅の入り口から出る人影を発見した。 「……とりあえず、会ってみるっきゃねえな!」 そう言うと彼は下方の人影に向かって弧を描くようにジャンプした。 ルフィが滞空している間にすでに人影はルフィの存在に気づいたようで、素早く5メートル程後ろに下がり 距離をとった。手には赤い穂先の槍を持ち、上から降ってきたルフィに対し構えをとる。 「待ってくれ!」 ルフィは目の前の男に叫ぶと、隠しポケットから何かを探りだした。 目の前の人影……ベナウィは猶も構えを崩すことなくルフィを見つめている。 ルフィはポケットから何かを取り出す前に、男に質問をした。 「なぁ、エルルゥってヤツしってるか?」 ぴくり、と男が動く。 「知っているが、どうかしましたか?」 ここではじめて男は口を開いた。 ルフィは内心で喜ぶと、また男に問いかけた。 「お前の名前は?あ、俺はルフィってんだ。よろしくな」 「私はベナウィです」 男は答えるが、それでも表情を崩さない。 男の言葉を聞き、ルフィはほっとしたように肩を下ろすと、ようやくポケットからエルルゥの首飾りを取り出した。 「よかった。探してたんだ、エルルゥの仲間を」 そう言うとルフィはベナウィの方へ近づいて行った。 ベナウィはしばらく何か考えたあと、槍の穂先を地面に下ろした。 「彼女は今、どこにいるのですか?」 ルフィは、立ち止まった。 そしてほんのすこし間をおいて、ルフィは話し出した。 「ごめん……オレ、エルルゥを守れなかった」 「……どういうことですか」 「銃で撃たれたんだ。オレが周りに注意してなかったから……」 ベナウィは何も答えない。 ルフィは左手で帽子のふちを下げ、言葉をつづけた。 「だから、エルルゥの前に会いに行ってほしいんだ。そのくらいしか出来ること思いつかなくてさ」 しばらくの沈黙の後に、ようやくベナウィが口を開いた。 「エルルゥは、死んだのですね」 「……そうだ。だからアイツに」 「それならば好都合です」 * * * * * * * * ぽた、ぽたと液体が流れ落ちる。 その色はベナウィの持っている槍の穂先と同じくらい赤く、それはルフィの左肩から滴り落ちている。 傷は左肩から胸まで縦一文字に10cmくらいの長さで、傷はそれほど深くはない。 気づくのは遅かったが瞬時に飛びのいたおかげで、致命傷は避けられたようだ。 ルフィの顔はその痛みに耐えているというよりは、ベナウィの行動にショックを受けているような表情だった。 「ク……なんで……」 ルフィにはベナウィの気持ちは理解できているつもりだった。 誰とも分らぬ者に自分の仲間が殺されたのだ。それに対し怒りの念がぶつけられるのは理解できる。 その怒りはルフィに向けられてもおかしくはないだろう。だがしかし、ルフィにはベナウィの発した言葉の意味が 理解できなかった。 「どういうことだよ……好都合って!」 声を荒げてルフィは叫ぶ。 「言葉どおりです。彼女が殺した者は誰だかは知らない。もしかしたら実はあなたが彼女を殺したのに 虚言を用いて私を騙そうとしているのかもしれない」 「ッ!そんなことは……!!」 「どうでもいいんです。結果として彼女は死んだ。私が手を下す前に」 「何!?」 「私は目的のために此処にいる者たちを誰であろうと殺す。そう、たとえ仲間であっても―――――」 ルフィにはベナウィが何を言っているのかわからなかった。いや、理解したくはなかったのだろう。 肯定できない。肯定してしまえば、仲間を想っていたエルルゥの気持ちを踏みにじることになる。 「ふざけるな!お前、エルルゥがどんな気持ちで仲間を心配してたと思ってるんだ!!」 ルフィの顔は完全にベナウィに対する怒りで染まっていた。 許せない。いますぐこいつの言葉を取り消したい。 「単純に、仲間より私の目的の方が重要だと判断しただけのことです。それ以上でもそれ以下でもありません」 ルフィから落ちる血の音以外に、他の音は響かない。 「……もう言うことはねえのか?」 「言うことはそれだけです。やることは、まだ残ってますが。」 そう言い放ち、ゲイ・シャルグをルフィの首へと向ける。 「わかった」 ルフィはエルルゥの首飾りをポケットにしまうと、ベナウィを睨みつけた。 「俺は、お前をブッ飛ばす!!」 先に動いたのはベナウィの方だった。 下段よりの喉笛目掛けての刺突。常人ならば捉えることさえままならない高速の攻撃を、今度こそルフィは 首をずらすことで難なく避けきった。しかしそれだけでベナウィの剣戟は留まらない。そこから一気に ルフィの頭と胴を乖離させるがごとく一線に薙ぎ払う。が、それに当たることなくルフィは槍の間合いから逃れた。 ベナウィも後れを取ることなくすかさず距離を詰めようとしたがそれは意表を突く攻撃により阻害された。 「ゴムゴムの銃(ピストル)ッ!」 ルフィの左腕だけが一瞬で間合いを詰め、ベナウィを打ち砕かんと襲いかかる。 しかし間抜けに喰らうベナウィではない。咄嗟に槍を両手で構え、不意の強襲を防ぐことに成功した。 生身の人間では有り得ない攻撃に一瞬驚いたが、それでも彼を倒すほどには至らない。 ベナウィはルフィに問いかけようとしたがそれを自制した。 (もはや余計な詮索は無用……) 殺し合いとして対峙する相手にその特異な体質のことなど聞いても仕方がない。 それよりもこの戦闘を早く終わらせなければならないとベナウィは思っていた。 このような場面をハクオロに見られるわけにはいかない。 (早々にケリをつける!) 「ゴムゴムのォ~……ック!」 大技を出すようだったが、ベナウィはみすみす相手にそんな隙を与えるほど悠長ではない。 右手、左手と槍を持ち替え、縦横無尽にルフィを絡め取ろうと槍を振り払う。 ルフィも負けじと拳を突き出すが、どうしても防がれて決定的な一打に欠ける。 そんな感じで両者ともに攻めあぐねていた。 (……そうだ!) ルフィは何か思いついたのか、腹を抉る軌道の槍を躱しながら右足をサッカーボールを蹴るように振りかぶった。 「だあっ!」 そしてそのまま右足を思い切り振りぬくと同時にサンダルを飛ばした。 無論、何の変哲もないサンダルである。 しかし、ベナウィはそれを防ぐことに神経を注いでしまった。 ルフィのサンダルはあくまでも只のサンダルであるため、爆発するとかいったそういう効果は一切ない。 しかし、ベナウィは今現在ルフィの奇怪な体質を目の当たりにしている。 それにより必要以上に警戒心を高めてしまい、ただのサンダルにも完全防御の形で対応してしまったのだ。 「ゴムゴムのォ~~~」 ベナウィはルフィを再度見ると同時に、驚愕の表情へと変わる。 ルフィがサンダルを飛ばすために振りかぶった右足はそのまま天を突き破らんとするばかりに高く伸びている。 ゴムゴムの戦斧(おの)。バラライカにも使用した、自らの片足を伸ばし、敵に振り下ろすというシンプルではあるが威力は絶大の技。 それが今まさにベナウィの下に振り下ろされようとしていた。 (槍で防ぐ?いや、あれを私が耐えられるかどうかわからない。逃げるにしても間に合わないかもしれない……) 「~~~戦斧!!」 選択は2つに1つ。だがベナウィは逆に、 『忍法、バッタの術!』 その戦斧へと突っ込んでいった。 此処に辿り着く前に少年より奪い取った支給品の中の一つに、この巻物があった。 半信半疑ではあったがベナウィは地震で試してみることによりその効果を実感した。 そしてその巻物をすかさず口に咥え、バッタの術を使用したのである。 その時にすでに右足は振り下ろされていたが、ちょうどバッタの術の限界跳躍高度にあった。 故にルフィの右足とベナウィが交錯するときはそれより少し下辺りになる。 ベナウィはルフィの右足目掛けて槍を振るう。 ルフィは驚き避けようとするが、おそらく完全に避けきることはできないだろう。 そして2つの影は、一瞬だけ交わった。 ドサッと二つのモノが地面に落ちる音がした。 一つはベナウィの着地する音、もう一つはルフィがバランスを崩して尻もちをつく音だった。 「グッ……」 「なかなか素晴らしい強さでしたが……此処でおしまいです」 そう言って、ベナウィはルフィの方向へ向かっていく。 一方のルフィは右足のふくらはぎから血を流していた。さっきの傷よりも深い。 治療をすれば大丈夫だろうが、治療などしている暇はない。 目の前にはルフィの命を刈り取ろうとする者がいるのだから―――――― その時、8つの光弾……否、光った珠がベナウィめがけて同時にルフィの後方より飛び出してきた。 ベナウィはすかさず打ち払うが、何度叩き落としても珠は迫ってくる。 彼は視界の向こうに人影を確認すると、珠を払いながら踵を返して逃走した。 (多勢に無勢……今はまだ死ぬわけにはいきません) ベナウィがルフィからほどほど離れたと同時に、一人の人間と一体の人形がルフィの方へと駆けつけてきた。 「畜生……」 ルフィは二人(?)を気に留めずに、その場に座り込んだ。 【E-2 駅前 1日目 早朝】 【ベナウィ@うたわれるもの】 [状態] 健康 甲冑に返り血 、軽い疲労 [装備] 破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero、腰に和道一文字@ONE PEACE [道具] 支給品一式 シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん 謎のカギ [思考・状況] 1 聖上を生き残らせるため、殺し合いに加担 2 かつての仲間を優先的に殺したい 3 駅内を探索する。出来れば馬も欲しい。 4 ルフィは、また改めて殺す。 ※破魔の紅薔薇:あらゆる魔力の循環を遮断する事が可能で、対象に刃が触れた瞬間その魔術的効果をキャンセルする。ただし、魔術そのものを根元から解除するわけではない。破壊される、触れてから一定時間経過などすると効果は解除される。 【モンキー・D・ルフィ@ワンピース】 [状態]:右手のひらに切り傷 、左肩から胸にかけて浅い切り傷、右足ふくらはぎに深い切り傷、中度の疲労 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式 ・三代目鬼徹@ワンピース、エルルゥの首飾り@うたわれるもの [思考・状況] 1:エルルゥの仲間を探し、エルルゥの墓前に連れて行く 2:ベナウィを止められなかった…… 3:ギラーミンブッ飛ばす! 4:ワニ(クロコダイル)は会ったらブッ飛ばす! 5:一応探すけど、ゾロ達は一人でも大丈夫だ! 【備考】 ※原作44巻(第430話)終了後から参戦。 ギア2およびギア3の能力低下、負荷は凄まじいものになっています。 ※悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に、基本支給品一式、アミウダケ@ワンピース 、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、 庭師の如雨露@ローゼンメイデンはデイバックに詰められ、エルルゥの墓の前に置かれています 【真紅@ローゼンメイデン(漫画版)】 【装備】:庭師の鋏@ローゼンメイデン 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:殺し合いを阻止し、元の世界へ戻る。 2:目の前の少年(ルフィ)に話しかける。 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。 5:カズマ、水銀燈に用心する。また、水銀燈が殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める。 。 【備考】 ※参戦時期は蒼星石死亡以降、詳細な時期は未定(原作四巻以降) ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。 ※蒼星石が居る事や、ホーリエが居ない事などについて疑問に思っています。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします 【橘あすか@スクライド(アニメ版)】 【装備】:なし 【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1~3個(未確認) 【状態】:健康 【思考・行動】 1:ギラーミンを倒し、元の世界へ戻る 2:目の前の少年(ルフィ)に話しかける 3:ループを生み出している何かを発見する。 4:ジュン、翠星石、蒼星石、劉鳳、クーガーと合流する。 5:カズマ、水銀燈に用心する。特にカズマは気に食わないので、出来れば出会いたくもない 6:できれば会場全体を一通り見ておきたい。 【備考】 ※参戦時期は一回目のカズマ戦後、HOLY除隊処分を受ける直前(原作七話辺り) ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました(アリスゲームは未だ聞いてない)。 ※ループに気付きました。ループを生み出している何かが会場内にあると思っています。 ※何処へ向かうかは次の書き手さんにお任せします。 ※電車は北方向に1つ分進んでいます。1周30分程度(停車時間含む)。 詳しい車両数や、車掌や運転手の存在の有無、詳しい内装は後続の書き手に任せます。 時系列順で読む Back BLACK FRACTION 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