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259 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM:2008/03/25(火) 23 16 13 ――Interlude 「…………何のつもり? マキナ」 「――――え?」 ふと気付けば―――― 今まさに眼下の少女へ振り下ろさんと掲げられた細腕を、 悪魔憑きから借り受けた白い義手で、二度と離すまいとあらん限りの力を込めながら握り締めていた。 メリットも何もない。――――そこに一片の価値すら見出せぬ愚者の所業。 当然、改めて確認する必要すら無く、 突然の闖入者に不快も露わに面持ちを歪ませるかつての知己の姿。 信じられない。日頃から計算高いと自負する自分が犯した、まさかの致命的なミス。 いかに感情の希薄な巻菜であろうと、先程の現実離れした攻防を目にした手前、 これから我が身に降りかかるであろう災厄の規模を思えば、 自然と足は竦み、平坦な筈の胸中には並々ならぬ激浪が立った。 何故、自分はこんなことをしているのだろう? ――――わからない。もとより久織巻菜に自己など無い。 「何のつもりかと聞いているのだけれど? ヒサオリマキナ? ……まさか、この女を助けるなんて言わないわよね?」 「あ、ぅ……私は……」 「巻菜!」 「シロウは黙ってて」 タルタルの少女が小さな掌で印を刻むと同時に、 傍で従者の如く付き従う人ならざる異形に魔力が迸り、 丁度三人を取り囲む形で氷柱のサークルが描かれる。 契約の履行、験術。凍てつく鎧。 氷柱に触れれば凍るという、単純明快、摩訶不思議な秘術にして、 慮外な邪魔者を払い除ける役割を担う即席の牢獄。 半人前の彼にそれを打破する手段などあろう筈もなく、 自身の秘奥より数段上の魔術を目にし、少年は舌をうち蹈鞴を踏む。 「さてと。……その白い腕って義手? 便利そうね。指まで動く代物なんて、聞いたことがないわよ。 オマケに神獣の腕を掴むだなんて何か凄いっぽいし……レアアイテムかしら。 …………マキナ? ところで、そろそろ離して欲しいのだけれど?」 Ⅰ:離す Ⅱ:離さない 投票結果 Ⅰ:0 Ⅱ:5
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609 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM :2007/11/17(土) 15 52 26 「————ここに留まりなさい。3人ほど修行に適切な先生方がいらっしゃるので、その人の下で数ヶ月間君自身を鍛えてもらうわ。どの様な修行がご希望かは君の選択に任せる」 なるほど、修行、か。鍛錬自体ならこの世界にやって来てからも毎日欠かさず行ってはいた。が、独学で鍛えるのと、師を得た上で学ぶのとでは成長するスピードが段違いだということを、遠坂との修練から教えられている。 丁度自らの力不足に辟易していたところだ。本来ならこちらからお願いする所なのだが……。 「ちょっと待った。えと、シャントットから聞いてなかった? 実は仲間がさらわれちまって。一刻も早くそいつを助けに行かなければならないんだ。そんなに長く居座る訳にはいかない」 「知っている。誘拐したのが巨大な龍ということも。でもだからこそよ。君は知らないからそう息巻いていられるのでしょうけど、君のお知り合いをさらったその龍、ただの獣人なんかじゃないわ。いえ、獣人だったのならまだやりようはあったのだけれど…………真龍よ」 「真龍、とは?」 「人間族より遥か古代から生息すると言われる伝説の龍族。彼らの体格は山にも匹敵し、爪は大地を削る……。加えて彼らの頂点に立つバハムートは、霊獣…………世界を司る5柱の内の1柱、生ける神々の1人よ」 「神々、ね……」 いきなり胡散臭げな話になってしまった。別に彼女を疑おうという気はさらさらないが、それでも元の世界の平穏さと比べればいささか逸脱に過ぎる。 訝しい目で見つめられているのが気に障ったのか、セミ・ラフィーナは先程よりも僅かに早口で言葉を紡いだ。 「そんな連中に君程度の実力が通用すると思って? 真龍に勝てる人間なんて五種族のどれを探しても存在しないわ。だからせめて君には真龍級の脅威が現れても逃げ切れるくらいの実力を身につけて欲しいの。そうなれば私達も君にクリスタルを預けたって安心できるし、第一つまらない死に方をしないで済むでしょう?」 「それはそうだけど。だがそれなら俺の知り合いはどうなる? このまま放っておけって言うのか?」 「…………何度も言うけど君にどうにかなる領分じゃない。ウィンダス連邦も捜索に協力はするけど、危険な域にまで踏み込むことはしない……というよりできない。君が考えているよりも遥かに相手が悪いのよ……」 「それじゃあ全然良くないじゃないか! そんな気休め程度の調査なんて表面上のものでしかない。やってないも同然だろ!?」 「我侭を言わないで。1人の為に国が滅亡しろと? ……私達がしてあげられるのは君を今より強くして送り出すことだけ。これはウィンダスにとって、とても大きな譲歩だということを理解して欲しい」 「…………」 言われるまでもなくわかっている。……それでも、動くべき時に何もできない自分が悔しかった。 彼女の言い分は正しい。傍から見れば今の俺は駄々をこねて桜を困らせている慎二に過ぎないという訳か。…………まるで成長していない。 「説明はもういいでしょう? これからのことについて聞きたいことがあるの」 「……ああ」 610 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM :2007/11/17(土) 15 53 16 「始めに、3人の先生がいると言ったわね? 彼女らはそれぞれの分野のプロフェッショナルなんだけど、何を学ぶかは君が決めて。まずシーフを担当するナナー・ミーゴ。知っているわよね?」 「酷い目にあったよ。……まさかその泥棒の所で修行しろと?」 「ええ。私としてはできれば君にシーフになんてなって欲しくないんだけど。——次に黒魔道士を担当するシャントット博士ね。彼女のことは君も知っていたみたいだけど?」 「俺がここに運ばれて目覚めた時、シャントットと会話したんだ。クリスタルをよこせって迫られた」 「……災難だったわね。ご存知の通り、彼女はスパルタ志向よ。苛烈さ故にもしかしたら万が一の場合があるかもしれないけど、その代わり彼女の荒行に耐え抜くことができたら相当な強さを得ることができるでしょうね」 「…………万が一、ね……」 「さ、最後に狩人を担当するペリィ・ヴァシャイ族長よ。一応聞くけど会ったことはあるかしら?」 「いや、ないよ」 「じゃあ軽く説明しておくわね。彼女はここ、ウィンダスに住むミスラ達の族長をしているの。今でこそ視力を失い狩人を引退なさっているけど、20年前のクリスタル戦争時にはミスラ傭兵団を率いてウィンダスを守り抜いた英雄なの」 「目が、見えないのか? 全然?」 「……ええ、大戦の時に光を全て失ったとか。でも勘違いしないで。彼女はお飾りで族長の座に居座っている訳じゃない。何よりも彼女が凄いのは、心の強さなの」 「心の強さ?」 「そう。多くのミスラを惹きつけてやまない硬い心。そして狩人の鑑である厳しい信念。…………私も狩人を称する身なれど、彼女程の狩人にはまるで届かない。最高の狩人よ」 「…………」 気のせいかそのペリィ・ヴァシャイ族長の紹介には他の2人以上に多くの熱を込めた印象を受ける。彼女も狩人だと言っていたがそのせいだろうか? 「誰の下で修行するかは君の自由。もっとも開始するのは君の怪我が治ってからですけど。……さあ、決めて」 Ⅰ:ナナー・ミーゴの下で修行する(シーフ) Ⅱ:シャントットの下で修行する(黒魔道士) Ⅲ:ペリィ・ヴァシャイ族長の下で修行する(狩人)
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189 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM :2007/10/28(日) 23 24 04 ——Interlude side Magus Sisters 「スカリーZだ。少しはマシになっていてくれよ、少年」 「…………」 言葉を投げかけられた少年は、しかしそれに応じることなく、あからさまに顔を顰めて去っていった。 軽い挑発で発破をかけてやるつもりだったが、これでは僅かに張り合いがない。良くも悪くも若い、ということか。 だが……。 苦笑を漏らし、目を閉じる。 アレはアレで見物だ。あの小僧、どこからどう見ても騎士の出で立ちではなかった。恐らく若き冒険者といったところか。ならば自分の隣に居る娘がどういう人物なのか知らないというのも道理。彼らの旅路は祝福されているのか、呪われているのか……。 正直仕事なぞ放り投げて彼らの顛末を観察し続けたいが、それは叶わぬ話。できることといえばその後の展開を自らの頭の中で夢想するのみ。 一年後に私と手合わせする約束だが———楽しみだ。もしそれが彼女の隣に相応しからぬ実力のままならばその場で首を刎ねてしまおう。 「姉さん!」 「姉貴」 振り返れば、私に遅れ、後ろから妹らが走ってきた。次に私が1人で居ることに訝しみ、辺りをキョロキョロ見回している。 「……ちょっと。アイツらはどこに行ったのサ」 「逃がした」 直後。 殺気が場を冒し尽くす。 「待て、話を聞け。結論から言えば、今回の任務はどうやら上の連中の勘違いだったようだ。あの小僧はただの奇人だが、途中で出て来たあの娘はれっきとした貴人だ。ザルカバードの…………だよ。まさか女だとは思わなかったがね」 「ああ、やっぱり」 「気付いていたのか? ラグ」 「うん。少し前、ボク、運良く遠目で見ることができたから。気付いていなかったのはドグ姉さんだけだよ」 大鎌を背にしたフルフェイス、スカリーYことドグが不機嫌そうに鼻を鳴らす。 「チ、それならそうと早く言やあいいんだよ、バカ姉貴」 「いちいち説明していたら逃がしてしまうだろうが。そら、帰るぞ。本国に報告がすんだら仕事の山が待っている。狩らねばならぬ罪はまだまだ腐るほどあるのだからな」 「わかってるよ。……ねぇ、姉さん、ボク達のコードネームの『スカリー』だけど……もうちょっとなんとかなんない? 物々しい感じがして、ボク好きじゃないんだ」 「我慢しろ、罪狩りとはそういうものだ。大体罪人どもに好かれる処刑人がどこにいる? いるとすればそれは行為に痛みを伴わせぬうつけだ。偽善と変わらん。誰に言われなくとも首を掻っ切ってやる」 「あ、マグ姉さん……」 慌ててラグが私の後を追いかける。自らの行為を省みる……それは自身が辿ってきた軌跡を大いに貶める行為だ。敢えて一言で示すならば『無駄』という言葉が似合う。 無駄。私の仕事は罪を狩る——即ち人の命を奪う仕事だ。故に無駄などあっては許されない。自身が歩んできた道を信じないということは今まで摘んできた命を冒涜するに等しいから。かつてそれを行ったあの女……目の前の罪から逃げ出した私の——私達の母を私は許さない。 自身の咎から逃げることは叶わない。今も、これからも。 だから私はこれからも狩り続ける。罪を。……命を。 ——Interlude out. 190 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM :2007/10/28(日) 23 25 33 「ふぅ、ふぅ」 「暑いな。歩くのが辛いならおんぶしてあげるけど……」 「いや、いい。ありがとう、気持ちだけ受け取っておく」 足に吸い付いてくる砂の感触を確かめながら、慎重に一歩を踏み出す。 眼前に広がるのは金色の砂。あざとく生えた椰子の木。けして高くはないが、幅が大きい岩場。そして無遠慮に全てを焙り照らす太陽。 別段太陽が苦手だとかいう性質ではないものの、砂丘初体験の身としては堪えた。汗と塩と砂に塗れた体、乾燥して皮膚が剥がれた鼻、重心が安定しない足……。そしてとにかく砂丘と称する割に広大なのだ。 あの後。 罪狩り達の登場により街にいられなくなった俺達は、とりあえずここ一帯を旅することにした。俺は未だによく解ってないこの世界を知るために。莫耶は何やら修行のために。 とはいえ旅をするにしても拠点がないことには始まらない。今更バストゥークに帰る訳にもいかず、新たにウィンダスという街に居住するべく俺達はそこへ続く港へと向かっていた。だが……。 「なあ、いつになったら着くんだ?」 「……もう少し、だと思うが」 ろくな準備もしないままで旅に出るにしては、やはりこの距離は厳しかった。ただの旅路ならまだしも、この世界には無差別に襲い掛かってくるとんでもない輩がいるのだから。 俺が最初に出会ったカメは勿論、丸い火の玉に目と口が付いた自爆好きの獣人、でかい鼻と小さな体格が特徴の獣人(他の獣人と比べて知性が高く、自らをゴブリンと名乗っていた。どのみち俺達に襲い掛かってくることに変わりはなかったが)、人間以上に大きな体格をしたトンボ、etc、etc……。兎にも角にも彼らのお陰で道中はお世辞にも楽とは言い難かった。 ちなみにどいつも戦いはしたが、殺してなどいない。初めて遭遇したカメとの一戦は……戦い終わったその場は、自分以外の命も危機に曝されていたこともあり、終わった後は安心以外の感情など得られなかったが、それでも命を奪う後味の悪さだけは拭い去ることができなかった。あれは出来る限り経験などしたくない。 「ん、見えてきたぞ。港町だ」 「おっ……」 少女が指差す方向には、なるほど、街の名前が記されたゲートが掲げられていた。ここを潜った先に町があるという訳か。 「フフ……」 「?」 「それっ、一番乗りはもらった!」 「あっ……」 あまりに到着が嬉しかったため、ついつい童心に返って駆け出す。続いて慌てて俺の後を追う莫耶。正直自分でもどうかと思うが、手ぶらで砂丘を横断したのだ。この喜び、察してほしい。 「ま、待って! フ、フライングだぞ!」 「待ちませ〜ん。衛宮選手、ゴール手前……後少し! なおビリの選手には荷物持ちの罰ゲームが課されます♪」 「酷い……。うう、今まで2人で頑張ってきたのに……」 「衛門士郎も時と場合によっては卑怯な手を使うこともあるのだ」 「う、裏切られた……」 少し後にうっ、うっ、と嗚咽をこぼす音が聞こえる。やりすぎたかな、と後ろを振り向くも、何故か声の主は見当たらなかった。 「隙あり! 一着は莫耶選手で〜す♪」 「あっ、ひでぇ!」 「自業自得だ。はい、荷物持ち決定! このまま宿を探した後、この町を散策することにしよう。荷物持ちさん、頑張ってくれ」 「は、は〜い……」 女の涙は何とやらと言うが……侮れんなぁ……。 191 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM :2007/10/28(日) 23 26 27 気を取り直し、改めて町の中へ入る。 と、ふと彼女の後ろから、布に包まって顔が隠された誰かがこちらに向かって走り寄って来た。てっきり俺達に用があって、直前で止まるんだろうなぁとか思っていたが……それは予想を僅かにずれ、そのまま莫耶に体当たりした。 「うわっ!?」 「な、何だ!?」 そして……倒れる彼女に手を差し伸べることもせず、そのままそいつは町中に向かって走り去っていった。 「だ、大丈夫か?」 「…………ない」 「え?」 「ス、スリだ! く、シロウ、早くあいつを追いかけてくれ! た、大変な物を盗まれてしまった……。は、早く追いかけてくれ!」 「お、お、おう?」 「頼む、急いでっ!」 普段の物静かさとはうって変わり、凄い剣幕で俺に詰め寄る少女。 訳もわからずほぼ条件反射でソイツを追いかける。だが、こうもあからさまなスリの割に足が遅く、差はぐんぐん縮んでいった。そしてそのまま盗人に覆いかぶさる形でタックルをかます。 「うっ」 布からはみ出た二括りにされた黒い、長い髪……。それが何故だか見慣れたもののような気がして……つい勢いに任せてそいつが被っていた布を剥ぎ取った。 「チッ……」 見慣れた気がするのも道理。 左右一本ずつ括られた髪、この状況でなお不敵に笑う口元、凛とした目、それらを俺は知っている……! 「ゲ、ゲェ、遠坂!?」 Ⅰ:やはり遠坂もここに来ていたんだ Ⅱ:盗まれた物を返してもらわないと…… Ⅲ:俺の国では盗人は指を切られることになっている
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930 名前: ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 23 35 49 魔力を足に通わせ、アスリート並のスピードで街を駆け抜ける。その歩幅の広さはダチョウに肉薄しているほどの錯覚すら感じる。様子を見ようと集まる野次馬を掻き分け前へ、前へ。 遠かった路地も一瞬で縮まり、俺はものの数分でバストゥーク南門へと辿り着く。そこにはもくもくと土煙をあげるコンクリート片。それは地面に刻まれた爪跡だった。タイル張りの床に、巨大な獣が抉り取ったが如く、大きく斜めに裂けていた。 ―――心臓の鼓動が重なる。あれほどの破壊……並大抵の力では不可能だ。 その怪異の持ち主を確認すべく視線を奥へと射る。そこには巨大な怪物が――――ではない。到って小柄な女性が3人、仁王立ちで群衆を見据えていた。 だがあまりの変事に脳が麻痺していたのか。彼女らには長い尻尾が生え、一本線の入った目、愛嬌のある口……まるで猫のような容姿をしているのに気が付いた。しかも……何というか……長い槍、禍々しい巨大な鎌、短剣を以って武装している。鎌を持った奴なんて頭にフルフェイスの兜すら被っているではないか。 「どうする? この人だかりから探すのかい?」 「さて、どうしたものか。1人ずつ尋問をするのが確実なんだろうが、そんな時間などありはしないだろうな」 「ハイ! ハイ! ボクに提案がありまーす! それならぁ……今この場で全員に向けて問い質せばいいと思います!」 「馬鹿、そんなことでホイホイ名乗り出る奴がいると思うかい? そうだねぇ……何ならアタシ1人に任せてくれればすぐに終わると思うよォ?」 「出過ぎるなスカリーY。我々の任務を忘れるなよ。だが、そうだな、ここはスカリーXの案でいってみるか。心にやましいことがある者なら顔にでる筈だ」 そう呟いてから、彼女らは再度俺達に向けて視線を投げつけてきた。 「バストゥーク市民の方々よ! 我々はミスラ本国から派遣されてきた罪狩り。まずは突然押しかけてきた非礼をお詫びする。だが我々は絶対の正義により行動している! 我々の任務を邪魔する者には相応の罪を狩らせてもらうこととなる! ……解っていただけた所で単刀直入に問いたい。―――『土のクリスタル』を盗んだ者は誰だッ!!」 (ざわ……) どよめきが野次馬どもから漏れる。それほどまでに、リーダー格と思われる女から発せられた気迫は凄まじかった。 要するに彼女らの言い分はこうだ。……盗られた物を取り返しにここまでやって来た……。俺はこの国にきて間もないからその真偽を嗅ぎ分けることなんてできないけど、それでも彼女らのやり方は常軌を逸していることだけは理解できた。 931 名前: ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM [sage] 投稿日: 2007/10/14(日) 23 36 35 しかもクリスタルはどこかではなく盗んだ者は誰だときたものだ。彼女らの目的は、盗まれた物を取り返すだけではない。盗人を何らかの方法で処分することも含まれているようだ。 そうして……この街の警備員であろう赤い服を着た女性が、通報でも受けたのか慌ててここまで走ってきた。 「これは……一体何事です? 貴女方、ここはバストゥーク共和国ですよ? 貴女方にはしかるべき措置を取らせていただきます」 「アラァン? アンタひょっとしてミスリル銃士隊かい? 丁度いい、大統領に取り次いでおくれよ。ミスラ本国の罪狩りが来たってサ」 鎌女の言葉を聞いて、駆けつけてきた女性は一気に青ざめる。その様は本当に非常事態なんだって知らしめるには十分すぎた。 彼女らが先程から言っている罪狩り……そしてミスラ本国。ミスラ、という言葉自体ならシドの説明で聞いたことがある。ウィンダス連邦に住む猫に瓜二つの種族……。なるほど、確かに彼女らの容貌は猫そのものだ。さっきからぷらぷら揺れている長い尻尾、そして各々被り物をしているので見えないが、恐らくピンと尖った耳もある筈だ。 本国、というのはここから遥か東にあるウィンダスのことか? だがそれならば彼女らはどういう用でここまで来たというのだろう? 「早くしてよね。ボクたちこう見えてもとっても忙しいんだから!」 「………………」 警備員らしき赤い服の女性は、思案気に顔を伏せて顎に手を添える。一国の警備を任されている者がそれほど迷うなんて……。目の前の3人はどれほどヤバイ相手なのだろうか。 ふと何気なく視線を横にずらす。そしてその先に、俺はとんでもないものを見てしまった。 「うっ、うっ……」 丁度あの3人から死角となっている物陰から、嗚咽を漏らしながら様子を見ている莫耶の姿。片手には俺が頼んでいた食材が入っているであろう買い物袋。……その幼き体は震え、心底彼女らに怯えきっていた。大きな瞳には涙すら滲んでいる。 リーダー格が呟いていた言葉を思い出す。心にやましいことがある者なら顔にでる筈だ、と。莫耶、まさかお前!? Ⅰ:彼女に近寄る Ⅱ:見なかったふりをする Ⅲ:罪狩り達の注意を引き付ける 投票結果 Ⅰ 0 Ⅱ 0 Ⅲ 5 決定
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8 名前: ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM [sage] 投稿日: 2007/10/18(木) 18 09 30 それでは一番乗り、失礼しますo( _ _ )o ―――とりあえずだ。一つだけ言えることがある。それは莫耶があの怪しい3人組に見つかることだけは絶対にあってはならないということ。 説明できるだけの確証はない。 だが仮に莫耶が彼女らにやましいことがあるとしても、そうであって彼女らに捕まった場合、彼女はどうなる? ……これは俺の主観でしかないが、罪狩りと名乗る彼女らからは妙に不安に駆られる気配を感じるのだ。上手くは言えないが……もしそんな彼女らに莫耶が捕まることがあれば、彼女はただでは済む筈がないのだと確信できる。そんな危うさを彼女らから感じるのだ。 こればかりは信憑性のない直感でしかない。ただの勘でこの切迫した状況を推し量ろうだなんて非常に馬鹿げてる。しかしそれ以前に俺は無条件で少女の味方でありたいと思う。守ってあげたいと思う。 莫耶の罪の是非に関しては証明してあげられることなどできない。だけど彼女を危険な目には遭わせたくなどないのだ。―――遠目から見る彼女の怯える表情は、誰かに助けを求めていた。これに目を逸らして何が正義の味方か。 「……ん?」 知らずに俺は3人組の前に立っていた。毎度のことながら馬鹿すぎる。恐らく報酬と代価はまず釣りあわない筈だ。まず間違いなく俺は痛い目を見るだろう。 だが彼女がこの状況を打破するには、粘着的に辺りを監視しているこいつらを何とかしなくてはならない。それが彼女の身を案じる上での絶対条件。……さて、どうしたものか。 「何だいお前? ……もしかしてお前がクリスタルを盗んだ張本人かい? アタシ達に手間をかけさせる前に名乗り出るなんて殊勝じゃないか。……だけどそれってつまりアタシらは舐められてるってことかね」 大鎌のフルフェイスがこちらを舐るように視姦する。目は兜で覆われているものの、その視線の妖しさは人間のものではないと理解できる。ミスラ……猫人間。無謀にも彼女らの前に出てきた俺は、さながら猫の前で身を竦める鼠と言ったところか。 そしてフルフェイスに続いて他の2人も俺を凝視し始めた。 ――――断言できる。こいつらは強い。 俺だって聖杯戦争を生き抜いたという自負がある。平均的な一般人よりも腕はたつと自信を持って言える。……だから解る。小柄な彼女達が俺の何倍も、それこそ比べ物にならないほど強いんだって。 ふとそれが懐かしい感覚だと悟った。一見人と何ら変わらない外見を持ちながらも、人では決して辿り着けない境地に屹立する最強の戦士達……。 この目の前にいる3人の気配は、サーヴァントのソレだった。 後悔するにしては遅すぎる。彼女達の目の前に、立つべきではなかった……。 9 名前: ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM [sage] 投稿日: 2007/10/18(木) 18 10 17 「わ、早いねぇ。もう見つかっちゃったよ! これでボク達の仕事は終わりかな?」 「待て。まだこいつと決まった訳ではあるまい。おい、貴様。我々に何の用だ。まさか伊達や酔狂で我々に寄って来たとは言うまいな?」 「もしもコイツが喋らないってんならさ、アタシに任せておくれよ。ご無沙汰なんだ、迸る血潮と耳を劈く絶叫がさ……。この逞しそうな男ならいいモノを持ってると思うんだがねェ」 「うっ……」 怖気が肌を駆け抜ける。 猫だと? とんでもない、猫なんて可愛すぎて目の前の女からはまるで連想できない。こいつらは巨大な蛇だ。その滑った体表を四肢に巻きつけ、俺の体力がなくなるのを今か今かと待ち望んでいやがる……。その糸のような舌で頬を撫で、呟くのだ。早く食べさせてくれよ、と。俺をひと呑みにするべく、機を窺っているのだ……。 何とかなると思っていた。前に出さえすれば、機を見出せないまでも、事態は好転できると信じていた。だがこの状況は勇気と讃えるには愚かしすぎるほど無様。 引っ切り無しに痙攣する手。全身に水を被ったが如く覆い尽くす汗。相手を直視することさえ躊躇われ、下を向いている目線。―――戦う必要性すら感じない。衛宮士郎は全身を以って敗北を訴えていた。 「震えてるよ、この子! 可愛いなぁ……。ねぇ、ボクのペットにしちゃ駄目かな? 大事にするから! ……駄目?」 「それは許可できんな。コイツが罪を負っているかどうかは判然としないが、もしあるとするならば無事に帰す訳にはいかない。私達は罪を正しに来たのではない。罪狩りとして罪を狩りに来たのだ」 「え~~っ、そんなぁ……」 「どうでもいいよもう。早く殺ろうよ、コイツ。アタシゃ我慢するってのが嫌いでね。早くズタズタにしたくて堪らないんだよ……」 他の2人はいい。まだ話が通じる余地は見出せる。だが……フルフェイスの女。こいつだけは絶対に無理だ。今もなお獲物を狩るべく小刻みに体を震わせ、熱の篭もった目で俺を侵し尽くす。その姿は野生の動物と同じ……まるで理解の範疇の外にあった。きっと兜の中では溢れたヨダレで一杯であろう。 抵抗する言葉すら浮かばない。 篭手に包まれた手が俺を捕食しようと伸びてくる。殺される。衛宮士郎は、死んだ。 「―――おい」 ―――だがそれはもう一つ横から伸びてきた手によって阻止されることとなった。 Ⅰ:それは厚手の皮手袋に包まれていた Ⅱ:黒い―――大きな篭手だった Ⅲ:綺麗な子どもの手の平だった 投票結果 Ⅰ 1 Ⅱ 4 Ⅲ 5 決定
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753 名前: ファイナルファンタズム ◆6/PgkFs4qM [sage] 投稿日: 2007/10/08(月) 22 30 58 ―――2人の出会いは劇的だった。 魔物に襲われる俺と、それを助けようとして逆に返り討ちにあった少女。 ……結局のところは俺が1人でカメを倒すことになった上に、直後気絶して誰かに運ばれもしたけど…………思えばそこから俺は彼女に魅かれていたのかもしれない。 俺と強い繋がりを持った彼女と瓜二つなこの少女。 それは以前、尊敬する彼女から受けた恩義……かもしれないし、もしくは愛情という可能性もある。一目見ただけで少女から他人とは思えぬ強い何かを感じたのだ。 もちろん、正義の味方を志す身としては、危険な目に遭っている誰かを見捨てることなんてできない。だけれどもその使命感を越えた、イマイチよくわからん感情が芽生えたのがはっきりと自覚できた。 加えて……。 倒れている子ども。そしてそれを心底ホッとした表情で見つめる中年男……。 身寄りの無いこの子に、かつて見たあの憧憬を重ねてしまったのだ。俺を助け続けてくれた彼女とは別に、あの炎から俺を助けてくれたオヤジへの恩義も連動していたのだろう。こうなっては少女を手放す方が無理というものだった。 ―――だが、彼女を引き取る理由を色々説明したけど……それよりも何よりもッッ…………! この齢9歳に届くか否かという無意味にきらついた純真な瞳ッッ……! まだたどたどしい喋り方ッッ……! サラサラと揺れる金髪ッッ……! 今俺に昼食をせびっている幼児セイバーは……ッ! とんでもなく可愛いかったんだよォォォォーーーーーーーー!!!! この子を手放す……? 無理! こんなチャンスをみすみす捨てる奴なんぞ男じゃねぇ……ッ! 俺がいずれ……立派なレディに育ててみせるぜッッ……! 「……シロウ?」 「――――ん? あ、ああ、悪い……。早速昼飯に取り掛かるよ。腹減ってるんだったな」 い、いかんいかん。気付けば赤面しながらガッツポーズしてた。ていうかチャンスって何だ。 気を取り直して、材料を台所に並べる。今日はフナの塩焼きだ。この世界ではパンが主流みたいだけど、思い切ってご飯に挑戦してみた。店先で売られていた時は仰天したものだが、それよりも、いかにもヨーロッパ出身っぽいこの子、アジアの主食である米を食べられるのだろうか。そういう意味でも興味深い。 言ってもいないのにお手伝いをしようと皿をテーブルに並べる幼児セイバー。手際はもうひとつといった所だが、その表情からは十分一生懸命さが伝わってくる。―――ああもう、可愛いなっ! 必死にハグしたい感情を押さえ込め、もう一品、ウィンダス風サラダを追加。うん、今日の昼飯はこんなモンかな。 湯気が沸きたつ釜を見て、米が炊き上がったのを確信する。魚もさっきから香ばしい臭いを醸し出している。完成だ。 調理を終えた料理を彼女か並べてくれた皿に添え、2人で椅子に座る。さあ、食べよう。 「いただきます」 「い、いただきます……」 何故だか言いにくそうに食事の挨拶をした後、少女は頬一杯にご飯を口にした。……良かった、米は口に合うっぽい。 「……どう? おいしい?」 「――――おいしい」 思わず破顔。ああ、こういうありふれた幸せっていいな……。 俺自身、自分が作ったものは正直あまり美味しいとは感じない。だけど、こうして一緒に食べてくれる人がいれば、どんな物でも美味しく食べられるのだった。……今にして思えば、藤ねえが毎朝家に来てたのはそういう意味だったのかもしれない。 だけど……この完璧そうに見える食卓にも実は一つ欠点がある。 754 名前: ファイナルファンタズム ◆6/PgkFs4qM [sage] 投稿日: 2007/10/08(月) 22 31 49 「……あ、口にお弁当付けてるぜ、えっと……」 「?」 「よいしょっと」 「…………」 何となく気まずい雰囲気に包まれながら、口元についた米粒をとる。 ……俺自身、それなりには彼女と親密になれたと自負している。彼女も初めは少し固かったが、今は俺に心を許してくれていると理解できる。 でも……彼女は一番大事なことを教えてはくれない。 お気づきいただけただろうか。 俺が何度聞いても、彼女は自分の名前を絶対に教えてくれることはなかった。 最初は混乱して怖がっているのだろうと思った。 ある程度時が過ぎれば、まだ自分を信頼できてないのかなとも思った。 だけど……どうしてだか名前を言うのだけは断固として拒否しているのだ。 正直こればかりは参った。何故かって呼ぶときに非常に困るのだ。何よりもいつまで経っても俺は彼女に受け入れられないんだって寂しく思う。事情があるにせよ、これはすぐにでも解決しなければならない問題だ。 ―――そこでこの衛宮士郎は考える。 それなら適当にあだ名を付けてしまえばいいではないか、と。 彼女に違和感なく呼び合えるいいあだ名。…………決めた。よし、これでいこう。 「なぁ……」 俺の呼び声に多くの食事を頬張りながら、少女は不思議そうに顔を上げた。 Ⅰ:セイバーって呼んでいい? Ⅱ:アルトリアって呼んでいい? Ⅲ:アーサーって呼んでいい? Ⅳ:莫耶って呼んでいい? 投票結果 Ⅰ 0 Ⅱ 0 Ⅲ 0 Ⅳ 5 決定
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ファンタズム 【ふぁんたずむ】 ジャンル アクション 対応機種 アーケード(メガシステム1)ゲームボーイ メディア 【GB】2MbitROMカートリッジ 販売元【AC】発売・開発元【GB】 ジャレコ 開発元【AC】 シーピーブレイン 稼働開始日【AC】 1991年 発売日【GB】 1992年11月6日 配信【GB】 バーチャルコンソール【3DS】2011年6月7日/400円 判定 良作 ストーリー 概要 ゲームシステム 評価点 問題点 賛否両論点 総評 移植…というか、完全版 余談 ストーリー 主人公はデート中、恋人を連れ去ろうとする見知らぬ男達を阻止しようとするも銃で撃たれて死んでしまう。 霊体となった状態で意識を取り戻した主人公に対し、霊エネルギー研究者であった恋人の父親は「自分の研究を狙う組織が犯人」だと伝えた上で、主人公に娘の救出を懇願する。 彼から他者に自由に乗り移れる「霊エネルギー」を与えられた主人公は恋人を救い出すことを決意する。 概要 死んで幽霊となってしまった主人公が、悪の組織にさらわれた恋人を救うべく霊体である自身の力を駆使し手近な人間にとり憑きながら戦う横スクロールアクションゲーム。 フィールド内の敵に乗り移り、乗り移った敵の能力を駆使して進んでいくというシステムを大きな特徴としている。 ゲームシステム 前述の通り、プレイヤーは幽霊である主人公を操り、憑依した敵の性能を活か筒先へ進んでいく。性能は敵キャラクターによって大きく異なるが、操作方法は全キャラ共通となっている。 8方向レバー+2ボタン。レバー左右で移動、レバー下でしゃがみ、ハシゴの昇降はレバー上下。Aボタンで攻撃、Bボタンでジャンプ、段差扱いの床は「しゃがみながらジャンプ」の操作で下に降りることができる(段差降りは『魂斗羅 (AC)』等と同様の仕様)。 主人公本人の体力である「霊エネルギー」とともに、主人公が乗り移った敵キャラの肉体側にも体力が設定されている。本作ではダメージを受けた場合、基本的には「霊エネルギー」と肉体側の体力の両方が同量ずつ減少する仕様となっている。 肉体側の体力が無くなると「乗り移っていて操作中の敵キャラ」がその場に倒れ消滅し、主人公本人は幽霊の状態で放り出されてしまう。しかし、霊エネルギーが残っていれば、新しい体(敵キャラクター)に憑依し直すことが可能。また、憑依自体は無制限に行える。 幽霊になっている最中は完全な無敵状態。移動も空中浮遊になり、トラップや敵の攻撃、壁などを完全に無視できる。しかし時間経過とともに霊エネルギーが減少していくため、のんびりしていることはできない。また、幽霊状態では部屋の移動ができない(ボス戦に入ることもできない)。 自機の幽霊状態について補足をすると、敵キャラの多くは幽霊状態の自機が見えており「幽霊状態の自機に憑依されないよう逃げる」ような動きをする者が多い。そのため、過度なショートカットは無謀。 「霊エネルギーが尽きた状態で肉体から放り出される」か、「幽霊状態のまま新しい肉体に乗り移る前に霊エネルギーが尽きる」ことでゲームオーバーとなる。 もし霊エネルギーが尽きていても、肉体側の体力が残っていれば生存状態とみなされる。 ステージ最後のボス戦時は、操作キャラの肉体側の体力を無視し「霊エネルギーをそのまま操作キャラの残ライフとして取り扱う」ルールが適用される。そのため、霊エネルギーが敵の攻撃で尽きた時点でゲームオーバーとなる。 「霊エネルギーが尽きているが肉体側体力が残った状態」でボス戦に突入した場合もボスと戦えるが、どんなに小さなダメージでも一発喰らった時点でゲームオーバーとなる。 また、ボス戦ではザコ敵の出現は一切無い為、新しい体に乗り移ることはできない。(さらに、肉体側ゲージ自体がボス戦の間は不可視となる) 全6ステージ1周エンド、ゲームオーバーからのコンティニューはその場での再開。「最後に乗り移っていたキャラ」を操作できる状態での復活となる。 評価点 「ごく一部の例外を除きどの敵キャラクターも憑依・操作可能」(*1)であり「憑依して自機として操作する際のキャラの性能はザコ敵時と同一」という前提があるにもかかわらず、敵の種類が多いという大盤振る舞いなゲームデザイン。状況に応じて多くの、異なる性能の自機を操作する楽しみがある。 ザコ敵として戦っている際のキャラは基本的に「種類別の行動ルーチンに従って動く」。ごく一部存在する「高い自由度でプレイヤーキャラのようにあちこち動き回る」者(アマゾネス、ヨガ等)や、「プレイヤーの行動を見てから動き後の先を狙ってくる」者(ヴァンパイア、スラッガー等)のような厄介な敵を除き「対戦型アクションゲーム並のシビアな読み合い」を要求されることはない。 具体的には「その場から動かず攻撃するだけ」の者(固定砲台タイプのギャング等)や、「弾消し効果を持った攻撃を繰り出せるがジャンプとしゃがみを一切行わない」者(ドラゴン系)、といった具合の者が大半を占める。つまり、一般的な同ジャンルのザコ敵相応な者が多いので身構える必要はない。 「プレイヤーキャラと敵キャラが全くの同性能」という対戦型アクションゲームそのものなゲームデザインではあるが、一対多の状況で戦いながらゴールを目指す一般的なアクションゲームらしさを保つ上でこの調整は英断と言える。 一般的なアクションゲームでは「リーチの短い攻撃しかできないキャラクター」は圧倒的不利である事が常であるが、本作で該当するキャラクターはいずれも一芸に秀でた猛者揃い。状況にもよるが、該当キャラに乗り移った場合はハズレどころか大活躍も可能なケースもあるという、懐の深いゲームバランスとなっている。 該当するキャラクターは「クセの少ない安定した高機動力」のアマゾネス系、「敵弾消去能力と超火力を併せ持つ炎を吐く」ドラゴン系、「ほぼ全種類の敵弾をバットで打ち返す事が可能」なスラッガー、「無制限に空中ジャンプでき実質的に飛行可能」なヨガ、「リーチ以外の全てが圧倒的高性能」の赤忍者。 敵は「何かの組織」のはずだが、ギャングや忍者はまだしも魔法使いや野球選手、果ては空中浮遊する怪しい行者に吸血鬼やドラゴンと、得体の知れない生物まで出てくる。こんな個性豊かなキャラが揃うものの、何の組織なのかは結局最後まで不明のまま。本作を知る者にはネタにされる。 キャラクターはポップに描かれており、割かし可愛らしい。BGMもそれにあわせてノリが良い。 一方で、感動的な部分では非常にシックな曲が流れる。特に後述のエンディング時は必聴。 そのストーリーを生かした、直球勝負ながら非常に評価の高いグッドエンディング。本作最大の魅力でもあり、そこでの主人公の台詞は知る人ぞ知る「名言」であり、涙無しには語れない。 マルチエンドだが、グッドエンド条件である「恋人の救出」を達成できないと大抵の場合ラスボスにプレイヤーが対抗する事が困難であり、バッドエンドを見るためにはよほど実力が無い限り連続コンティニューを覚悟しなくてはならない。 そこまでのボスとは比較にならないほどラスボスは強い。しかし「恋人の救出」を達成するとラスボス戦でプレイヤーが大幅に有利になる為、プレイする上でのモチベーションに直結していると言えるだろう。 + ネタバレ注意 ここまで読めば、ある程度の予測はつくだろうが…ラスボス戦でプレイヤーが有利になる理由は「捕らえられていた主人公の恋人その人が最後のキャラであり本作最強キャラである」為。敵キャラのままで恋人を連れ出す事が不可能と判断した主人公は、仕方なく彼女に乗り移るという最終手段を取る事に。 なんで彼女が最強キャラなのかと言うと、移動速度・ジャンプ力ともに優秀(アマゾネスと同等)で、更にゲーム中最高クラスの威力を持つ飛び道具のレーザー銃(レーザーアーミーと同等の武器だが、さらに「ラスボスに対しては威力が2倍になる」という特徴がある)を持っているから。通称「最終兵器彼女」。 一応オープニングは不意を討たれたとか、父親から護身用に渡されていても心優しい彼女には使えなかったとか、理由付けは出来なくも無いが…敵は捕らえたときに気付かなかったのか?(ちなみにレーザー銃は手持ち式ではなく、腕時計のように装着するタイプという微妙に凝ったデザイン) 彼女には体力が設定されていない。主人公が乗り移った時点で体力の仕様が「霊エネルギーが純粋にライフとして扱われる」という、前述のボス戦仕様に切り替わる。つまり、主人公が力尽きない限り彼女は決して倒れない。愛の力が為せる業か…。 問題点 一度乗り移った敵キャラの肉体体力が尽きないと、憑依解除不能な仕様。このため簡単にキャラチェンジが出来ず、本作のコンセプトを大幅に殺いでしまっている。致命的な仕様の欠陥と言われても仕方がない。 肉体ダメージも霊ダメージも低く調整が容易、なおかつ極めて安定した方法である「敵にしつこく接触し続ける」方法と「ダメージ床の上で居座る」方法が代表的。というよりも、意図的にチェンジしたければほぼそうするしかない。 大半の敵キャラクターに上位互換と下位互換があり、下位互換の敵を選んでしまった場合の難易度は余計に高くなってしまう。 上位下位は基本的に色違いで分類されており、衣装の装飾が多い者、衣装が警戒色である者などが上位互換であるケースが多いため、視覚的には分かりやすい。また、敵として出てきたときの強さで能力を想像できるので、何度かプレイしていけば選択肢は自ずと絞られてくるだろう。 ボス戦では体を乗り換える事が出来ないので、事前の情報無しにはとんでもない苦戦を強いられるケースも。 恋人の救出には牢屋の鍵を3個集める必要があり、その旨は1面クリア時のデモで明言されるのだが、具体的な場所はノーヒント。 最終面を除き謎解きは無い。何度もプレイして(またはコンティニューしまくって)マップを把握すれば問題は無いが。 1個目の鍵は2面の順路の中にあるので見落とすことはほぼ無いと思われるが、2個目の鍵は完全なノーヒントで脇道にある。そして、3個目の鍵は最終面開始直前のデモで示される「暗号」を解かないと入手できない。もし取り忘れた状態でボスを倒してしまう(ステージクリアしてしまう)と当然その鍵を取りに戻る事は不可能。 ラスボス手前のステージがやたらと広い。タイムアップ(永パ防止キャラ)が存在するアーケードゲームとしてこれは…。やはりマップを覚える必要がある。 賛否両論点 + エンディングのネタバレあり 前述の通り本作のエンディングはグッドとバッドの2種類があるが、どちらのエンディングでも結局主人公が助かることはなくそのまま消滅という結末を辿る。 バッドエンドの内容は敵の体に乗り移った状態でボスを倒した後、ヒロインを置き去りにしたままかろうじて脱出を果たした主人公がヒロインの無事を祈りつつ消滅する(更にヒロインの末路については一切触れられないまま終わってしまう)という後味の悪い幕切れである。それに対し、グッドならば無事ヒロインを救い出した後に薄れゆく意識の中で彼女が帰途に着くのを見届けながら昇天するという一抹の救いある終わり方となる。 いずれにしてももの悲しい締めではあるが、オープニングの時点で既に死亡が確定しているため展開自体は納得できるものではある。 総評 「ほぼ全てのザコ敵に憑依できる」という非常に難しいテーマに挑み、堅実な完成度で実現した独自性の塊のような名作アクションゲーム。 本作は多彩なキャラクターを操作することの楽しさと、それによるプレイの幅の広さ、独自性の強いゲームシステムと完全にシンクロするストーリーや演出でプレイヤーを魅せた。 アーケードゲームの長い歴史の中で、本作はこれからも確かな存在感を持ち続けるだろう。 移植…というか、完全版 本作の移植は長年ゲームボーイのみであった。 モノクロ4階調かつ小さな画面のハードへの移植ということでさすがにグラフィックが大々的に変化しているなどの違いはあるが、 基本事項を踏襲した上で欠点を修正し、多くの追加要素を取り入れたため「完全版」と呼ぶべき内容に大幅パワーアップを遂げている。 前述の「肉体乗り捨て」仕様の追加。(道中セレクトボタンで実行可能) 便利だが「肉体乗り捨て」時には肉体残エネルギー分の霊ダメージをキッチリ受ける仕様となっており、アーケード版にありがちだった「わざとダメージを受けて憑依解除」というプロセスをセレクトボタンひとつで丸ごと省略できるのと同じ効果がある。霊ダメージを受ける以上、あくまで戦略的に使用する必要がある。 アーケード版では「敵に接触し続ける」か「ダメージ床の上に居座る」のが肉体乗り捨ての最適解であった。しかしゲームボーイ版では「敵との接触ダメージ」と「ダメージ床やトラップのレーザーのダメージ」が激増している。 その為、アーケード版と同じ方法での肉体乗り換えは不可能であり、「無敵時間を利用して強引に突っ切る」類の戦法を取ることもまたほぼ不可能になっている。 ゲームボーイ版ならではの追加要素もある。 グッドエンディングでのスタッフロール後に一枚絵が表示されるようになった。 隠しモードとして、高難度の「エキスパートモード」が用意された。(*2) エキスパートモードは「敵攻撃力倍増+ザコ敵ルーチン大幅強化+配置の凶悪化」が図られている。 どの敵も攻撃や配置が厳しく、ひとたび攻撃を喰らってしまえば大ダメージを被るため、元々はほとんど不要だったはずの「対戦型アクションゲーム並の読み合い」が必要な場面まで増える…という、まさにエキスパートな内容。 エキスパートモードでは一度に出現する敵の数も増えるため、GBのゲームでありながら露骨なまでに処理落ちが頻発する点はご愛敬。 なお、エキスパートモードをクリアした時のみ見ることができる一枚絵もあるが…その内容は、実際にプレイして確かめてほしい。 レアな新キャラクター「透明人間」の追加。 「透明人間」は攻撃性能を持たない代わりに、敵の攻撃からは無敵で移動速度・ジャンプ力も最高クラス。ただし乗り移ってから一定時間で死んでしまう(エキスパートモードではこの時間も短くなる)。 その他のゲームシステムやゲームバランスの変化。 一部敵キャラの性能変化、ステージクリア時に霊エネルギー完全回復、コンティニューの仕様変化(その場復活→ステージの最初から)、スコア 制限時間(永パ防止キャラ)廃止、幽霊状態で地形を抜けてショートカットしようとしても「地形の中では猛烈な勢いで霊エネルギーが減る」ペナルティが課せられているためリスクが甚大になっている、など多岐にわたる。 ステージクリア時に霊エネルギーが完全回復するように変更された影響もあるのか、「ボス戦突入時に霊エネルギーより肉体側残体力の方が多い」場合に限り「肉体側残体力の方がボス戦用のプレイヤー残ライフとして適用される」という、アーケード版には無かった細かい配慮も加えられている。 アーケード版より親切になった部分と、アーケード版のようなダメージを喰らいながらの力押しが通用しなくなった部分が両方ともある。 要所に登場し、本作最強の攻撃力を誇るキャラであるレーザーガン兵はアーケード版でも相当な攻撃力を持っていたが、移植の際に「肉体10割ダメージ+霊エネルギー5割ダメージ」という超火力になった。 敵攻撃力2倍のエキスパートモードでレーザーガン兵の弾を喰らうと「肉体20割ダメージ+霊エネルギー10割ダメージ」により一撃でゲームオーバーになる。実際にこの威力をプレイヤーが味わう羽目になる大事故は、エキスパートモードに挑む本作上級者なら一度は経験したことだろう。 通常モード・エキスパートモードともに、レーザーガン兵はGB版ではプレイヤーの気を引き締めるだけの大きな存在感を持つようになった敵キャラと言えるだろう。 BGMの一部が変更されている。 BGMは半分は移植、半分は新曲。オミットされた曲も一部。総じて曲のクオリティは高い。 鍵部屋のBGMと、ハイスコアのネームイン画面BGMは、残念ながらオミットされてしまった。 アーケード版ではBGMが無かったタイトル画面・オープニングデモ・ステージクリアデモに、BGMが用意された。 ゲームオーバー・3面(AC版1面と共用)・5面(AC版2面と共用)・最終面・恋人救出時のBGMは新曲に差し替えられた。敵の不気味さが前面に出ていた最終面のBGMは本作のストーリーに合わせた熱い曲に差し替えられており、純粋に再会と無事を喜ぶかのような曲調だった恋人救出時BGMがグッドエンディングの内容を匂わせる雰囲気の曲に差し替えられている。概ね最終面からエンディングにかけて気合が入っている。 演出面の大幅な強化。 敵に乗り移った時の演出が画面暗転とキャラのアップを交えた派手なものになり「乗り移った」感が業務用よりも段違いに上昇。 業務用では一枚絵の紙芝居と普通のフォントで構成されていたエンディングも、キャラや背景のアニメーションと筆記体のようなおしゃれな文字のスタッフロールになっている。 余談 海外では『Avenging Spirit』と言うタイトルで発売されている。ゲーム中の文章が英訳されている以外は同様の内容。 "憑依"の意味を持つ『ファンタズム』というタイトルのメディア作品は多く、ゲームも何種類か出ているが本作は長らくGB版以外コンシューマー移植されていなかった。 長らく入手困難なゲームだったが、現在は3DSのバーチャルコンソールで配信されており、プレイ環境も容易なものとなった。 本作の特徴でもある「敵に憑依するシステム」で近似なものとしてはボーステックの『RELICSシリーズ』が有名どころではあるが、それ以外ではアトラスが1992年にACとSFCでリリースした横スクロールSTG、『ブレイゾン』が挙げられる。 ちなみに『ブレイゾン』のシステムは乗っ取り可能な敵に対して特殊弾である「トランキランダー」を打込むと敵がフリーズし、それに触れることで乗っ取り成功となり、自機が変形、操作体系も変わると言う代物。(*3) 2022年7月18日放送の朝の情報番組「ZIP!」内の曜日パーソナリティーがオススメのものを紹介するコーナー「プレゼンZIP!」内で、本作が「ゲームセンターで100円で長く遊べるようにやり込んだゲーム」として紹介されている。 放送時点ではアーケード版の移植版はなかったが、同月2022年7月29日にSwitch/PS4/XboxOne等各種プラットフォームでアーケード版の移植版の配信が開始された。 オリジナルの基板では56フレームで動作しているため、60フレームで動作しているSwitch/PS4/OneではゲームスピードやBGMなど全体的に速くなってしまっている。
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魔弾ペトリアル・ファンタズム C 光 1 呪文:ナイト ■S・トリガー ■KM-自分のクリーチャーを一体選ぶ。次の自分のターンの初めまで相手がクリーチャーを選ぶときそのクリーチャーを選ぶことはできない。(ただしそのクリーチャーを攻撃、またはブロックしてもよい。) ■ナイト・マジック(バトルゾーンに自分のナイトがあれば、この呪文のKM能力をもう一度使ってもよい) 作者:神風弐千 フレーバーテキスト DMTT-08 「真武と永翆の決戦」 光器の魔弾は、幻影の魔弾。 評価 名前 コメント
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269 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM :2007/11/03(土) 15 29 41 ……何も聞かない。 何故聞かないのか? 無理にでも聞こうと思えば出来たかもしれない。だが……そうなった場合、俺と彼女との間に大きな溝が生まれるのではないか? そんな不安があった。 第一、まだ俺と彼女は出会って間もない。そんな奴に涙を流すほどの大事な話を伝えることなんてできない筈だ。俺も彼女の立場だったら———多分、できない……と思う。 格別、話してくれない彼女を恨めしく思うことなどない。俺達にはまだまだ時間が必要なのだ。 「そろそろ中に戻ったほうがいい。いくら心地よくとも、風邪をひいてしまっては堪らないからさ」 「ああ」 再び、無言。 少女を残したまま去るのは躊躇われたが、しかし、このままこの場に留まっても仕方があるまい。彼女に背を向け、俺は狭い客室へと歩を進めた。 「シロウ!」 ———このまま彼女との語らいは終わると確信していただけに、これは不意打ちだった。振り返って声の主を見れば、その顔は本当に苦しそうで……衝動的に抱きしめてあげたくなるのを理性で押さえつけた。 「私は——別に貴方を信頼していない訳ではない! ただ私にとっての『時期』はまだまだ先の話なのだ……。最低でも十年か、もしくはそれ以上の時を必要とするかもしれない。何をしようにも、この小さな体では頼りなさ過ぎる……」 「…………」 「このまま貴方に頼りっぱなしではいけない。貴方には本当に、言葉では言い表せないほど感謝しているが……それでもこれはまた別の話。こればかりは貴方でも、譲れない……」 彼女は責任感が強い。全てを自分1人で抱え込む気だ。多分、彼女の言う時期がこようとも俺には話さないだろう。それは彼女に覆いかぶさる『何か』に他者を巻き込まないためで———決して俺を信用してない訳ではないが、だからといってそれ以上信用もしていない。 後悔の念に包まれる。 無理矢理にでも口を開かせて、胸の内を吐露させていれば……彼女の抱え込む重荷を、強引にでも奪い取ってあげれば……どれだけ少女は楽になれただろう? 彼女が背負った『何か』は、少女の許容を完璧に超えている。このままでは、沈む。 今からでも遅くない。彼女からそれを奪い去るべきだ。 憎まれたっていい。それで俺が嫌われたって……このままでいるより遥かにマシではないか。 俺は彼女に近付くべく一歩を踏み出し————。 ——————気付けば眼前に巨大な拳が迫っていた。 「えっ?」 「シロウ!?」 是非もない。完全な不意打ちだ。極め付けにソレは、明らかに人間の力を超えていた。 背中をしこたまマストに打ちつけ、気が一瞬遠のきかける。しかし地面に降り注ぐ血の音で、辛うじて意識を繋ぎとめた。 「が……なっ……」 何故? 突然すぎて言葉にすらできない。俺を殴ったのは人間の手だったが、ソレは人間ではなかった。褐色の肌に獅子を思わせる頭部。雄々しき角、赤い体毛、そして剥き出しにされた黄ばんだ牙。つまり……ソレは人ではなく、一匹の獣だったのだ。 続けて響く獣の咆哮。 メじゃない。罪狩り達も怖かったが、あれは人間としての怖さ。目の前を覆う脅威は人間には備わらない、獣の純粋たる暴力。敢えて例えるのならば、アレはバーサーカーに似ている。人の理性を超越した黒き狂気。理屈ではない。力の前には力しかないのだ。 「シロウっ! シロウ、起きて! 死なないで!」 俺を心配してくれるのは本当に嬉しいし、力が湧いてくる。だが強大な敵意を前にして、その行動は危険すぎた。 項垂れる俺の元へ駆けつける少女の胴体を無骨な手で鷲掴み———握る。莫耶は体内の空気を搾り出すような音を出した後、がくりと頭を垂れた。 「きさ、ま……。彼女を、離せ……ッ!」 「GhOOOAAAAAAAAAaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAA!!!!!」 何がそこまで気に障ったのか。獣は鼻面にオゾマシイほどの皺を寄せ、獣は片腕を除いた三肢を以って突進した。そしてもう一撃———今度は全霊を込めた頭突きを叩き込む。咄嗟に両腕を交差し、攻撃も防ぐも…………腕はボキリと嫌な音を鳴らし、押さえ切れなかった衝撃が胴を貫いた。 「ガっ……!」 再びマストに叩きつけられ、倒れる。息が止まるほどの衝撃に今度こそ気を失うと確信したが、激痛により意識を強引に呼び起こされる。気絶している余裕なんぞなかった。 腕を見る。折れたと直感したそれは、しかし曲がってなどいない。両腕は……グシャグシャに捻れていた。 「ヒ…………グ、あああああああああああ!!!?」 恐怖と悲しみが痛覚を凌駕する。 一体誰がこのような惨劇を予想できたというのか。紫色に変色した腕、生きているのか死んでいるのかさえわからない少女。あまりに突然のことに投影のイメージすら浮かんでこない。 270 :ファイナル ファンタズム ◆6/PgkFs4qM :2007/11/03(土) 15 30 46 「Gurrrrrrrrrrrrrr……」 獣はそのデカイ足で俺を踏みつけ……そしてトドメをさすべく腕を上げ、掌に『炎』を纏わせる。 酷い……。 衛宮士郎に避ける術などあろう筈がない。次の瞬間、焦げてドロドロになった自らの顔が容易にイメージできた。 最後に咆哮。 垂直に構えられた炎の塊は正確に俺の頭を狙い————— ———当たる寸前にそれは四方に霧散した。 「なっ」 「幻獣、炎の魔人、か。厄介だな……」 俺を守るべく獣に立ちはだかる影。まぎれもなくそれは同乗していた武芸者のモノだった。 「あ、あんたは……?」 Ⅰ:「……ザイドという」 Ⅱ:「よくぞ聞いてくれた! ギルガメッシュ様と呼びなっ!」 Ⅲ:「……衛宮切嗣」 Ⅳ:「ガーランドだ」
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ゼーレ=M=ファンタズム #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (ゼーレ・N+B.png) ←:平常時 →:仕事時(ちょっと違うけど最も近いバージョン) 挿絵作成:キャラクターなんとか機 1 名前 ゼーレ=M=ファンタズム 2 年齢 外見年齢12歳(実年齢30歳 3 性別 女性 4 種族 半霊体(本来は魔人) 5 外見、身長、体重 普段は一般的な修道女の服を着ている。 銀の肩までのツンツンした髪、銀の目をしている。 顔は、可愛らしいが、何処か大人びたな感じも醸し出している。 仕事着は、黒のワイシャツに黒のスーツを着て、両手に黒のレザーグローブをつけ、黒の靴をはいている。 討伐などの任務時には目のところだけが必要最低限の大きさに開いている真っ白な面をつけている。 両耳に三日月の形をした銀のイヤリングを付けている。 身長:147.4cm 体重:?kg アノルマル化すると、一見すると天使のような姿になる。 肉体は少女のような身体から大人の身体になり、髪も長く伸びる。 白い、幾重にも布が重なったローブを身に纏い、足は裸足。 背中からは禍々しさを感じるほどの、漆黒の羽が3対出現する。 その体は宙に浮き、手には白い槍を持ち、周囲には白と黒の長剣がそれぞれ五本ずつ浮いている。 身長:171.6cm 体重:不明 6 性格 控えめで、おとなしい。 ただ、やりすぎると鉄拳制裁を行うことも(何 因みに隠れS(ぇ 7 過去 8 職業 修道女 魔術師 とある孤児院の管理者 滅魂士 『傭兵ギルド、【ファントム】』(※1)所属 コードネーム『白面』 9 口調、口癖 基本的に丁寧な言葉遣いだが、親しい仲の者には少し砕けた話し方をする。 また、任務時の白面をつけている時は己を殺し、口数が少なくなる。 「私、ゼーレといいます 以後、宜しくお願いしますね」 「一人でいるよりも大勢でいたほうが楽しいと思いますよ?」 「行く宛てが無いのでしたら、私のところへおいでになってはいかがでしょうか?」 「私の年齢…ですか? 貴方は、私が何歳だと思われますか?」 「ふふ、蓮黒、誰が撲殺っ婦ですか・・・?(コキコキ」 「目標(ターゲット)を肉眼にて捕捉」 「私は大丈夫です 他の方の心配を」 「あなたに語る名などありません」 「目標(ターゲット)の撃破を確認 任務を終了いたします」 10 一人称、二人称 一人称:私 二人称:基本的に様付けで呼ぶ。 親しい仲の者にはさん付けで、怒っている時は呼び捨てで呼ぶ。 11 好きなもの 月 お茶全般 12 嫌いなもの 煙草の煙 13 好きな人 いた 14 パートナー 従者達 15 属性 闇 氷 聖 邪 無 16 苦手な属性 光 炎 17 戦闘スタイル 接近しての肉弾戦を得意とする。 また、普段は使用していないが槍の扱いに長けている。 18 精神力 恐怖にはそこそこ強い。 19 戦闘熟練度 ★★★★☆ 20 技や魔法 <技> 【バッラーレ】 様々な方向から次々と攻撃を繰り出す。 【レスト】 威力よりも速度を重視した一撃を放つ。 【オポゼ】 その方向からの一撃、と見せかけ、逆の方向から一撃を加えるフェイント技。 【ペサンテメンテ】 捻りを加えた重い一撃を加える。 ガードの上からでも衝撃を与えるほど。 <魔術> 【ア・カートル・メーン】 無、氷、闇のいずれかの属性の魔力の弾を連射する。 【エクラタン】 着弾したと同時に爆発する魔力弾を放つ。 【ホルト】 眼に魔術をかけて、その目を見た相手を魅了する。 同性には、特殊な場合を除いてまずかかることは無い。 【ルプランドゥル】 掌から闇を放ち、対象の傷を癒す。 【ルランド】 白い、クリスタルのよう物体を作り出す。 シャルを叩くことによって、閃光を放つことが出来る。 【シャル】 黒い、円盤状の物体を作り出す。 それを叩くなり魔術をぶつけるなりするとルランドから閃光が放たれる。 【シレンツィオ】 対象を一瞬闇で包み、一時間ほど魔術の行使を封印する。 発動の瞬間、足元に魔方陣が浮かび上がるのでその場から飛び退けば回避可能。(上への回避は不可能。 【デュール】 自分の四股の硬度を上昇させ、戦闘能力を上げる。 多重にかけることも可能。 21 特殊能力・特殊技能 【武具創造】 自分の肉体を霊体化し、その一部を取りだし、武器にすることが出来る。 見たことがあるものならすぐに作り出すことが出来る。 ただ、この能力で作られた武器は自分の体を消費して作っているので、消費した分だけ体積が減る。 その武器を再び体に戻せば元に戻るが、戻さなければ戻らないし、その武器が壊れたら、手に持っている分しか戻せない。 【霊体化】 自分の体を霊と同じ状態にする。この効果は自分が身に付けているものまでに及ぶ。 この状態では殆どの物理攻撃を完全無効化する。 当然の如く、こちらからの物理攻撃も相手には効かないですり抜ける。 この状態では、聖、光属性の魔法・物理攻撃、霊体に効果のある武器や魔法での攻撃しか効かない。 【アノルマル化】 異形の姿へと変わる能力。 発動後は膨大な疲労に襲われ、動くのも辛くなる。 この間は複数の能力が発現する。 <浮遊> ほぼ常に宙に浮いていて、高速で飛行することも可能。 風などで流されることはない。 <聖・邪攻撃> 白い槍は聖属性、黒い槍は邪属性を持つ。 肉体での攻撃は双方の属性を持つ。 <詠唱破棄> 魔術を詠唱なしで発動可能。 <全属性耐性> この状態では全ての属性に対して耐性を持つ。 <状態変化無効> ゾンビ化や退化などの効果を無効化する。 <状態異常無効> 毒や麻痺、洗脳などの効果を無効化する。 【母の包容力】 まるで母親のような包容力を持つ。 パニック状態に陥っていたりする者を抱きしめると、相手の精神が自然と落ち着く。 【暗視】 光源を必要とせずに肉眼で物体を捉えることが出来る。 【飛行】 微量の魔力を用いることで浮遊・飛行することが出来る。 最大速度70km/h 【暗殺術】 暗殺に長けた格闘術及び暗殺の技術を持つ。 【家事】 多くの人を世話することが多いので何時の間にか慣れてしまった。 料理とかは少量作るより、何人もの分を一度に作った方が楽らしい。 【ポーカーフェイス】 その気になれば殆ど表情を崩さないでいられる。 22 必殺技 【ペルペトゥム・モビレ】 素早い拳や蹴りの連射。 その一撃一撃の間は常に等しく、一定のテンポで放たれている。 その速度はエストよりも更に速く、もはや亜音速の域に達している。 【フィール】 「シャル」と「ルランド」の強化技。 それぞれの個数を大量に増加させる。 【アレ・ザイテン】 「フィール」からの派生技。 一つの「シャル」に打撃を一発叩きこむ。 すると「シャル」に攻撃が吸収され、全ての「ルランド」から閃光が一筋放たれる。 さらに「ルランド」の向かい合わせた方の「シャル」に閃光が吸収され、一個一個の「ルランド」から、全ての「シャル」に吸収された数だけの閃光が放たれる。 そしてまた「ルランド」の向かい合わせた方の「シャル」に閃光が吸収され、一個一個の「ルランド」から、全ての「シャル」に吸収された数だけの閃光が放たれる。 そしてまた……と、それを繰り返す破壊と殺戮の輪廻。 ただ、この技も永久的に続けられるわけでは無く、十回以上吸収と発射を繰り返すと体が持たなくなり、何も無いところに傷が出来始める。 15回もやれば生命の危機に関わるほどになる。 因みにこの技、魔法のように見えるが、魔法攻撃だけでは無く物理攻撃扱いにもなる。 【フェルシュヴィンデント】 右腕に魔力と霊力を集め、右腕を霊体化し相手の体に突っ込む。 そして相手の奥底より魂を引きずり出し、相手から引き剥がし、右手の魔力を開放し、魂を消し去る。 この間、一切の防御行動が取れないので単独行動の時はまずやれない。 【ゲハイムニスフォル】 レザーグローブとローゼンクランツの双方を用いて行う。 自分の側に白い、巨大な槍を創造する。 この槍には高い浄化礼装が施してあり、上位の吸血鬼でも、まともに受けると消し飛ぶほど。 槍の動きはどちらかの腕の動きと連動しており、腕を動かすことによって槍も動く。 ただ、これを使用するたび身長が3cm縮んでしまうのが難点。 アノルマル化中に手に持っている槍はこれ。その際は身長に影響はない。 23 能力(E.まるで駄目 D.苦手 C.人並み B.得意 A.達人級 S.化物級 SS.神級) 通常時 体力 半分とは言え霊体なので無い 物理防御:D++ 魔力 A 魔術防御:B++ 腕力 B 知力 A 素早さ A+ 命中 B++ アノルマル化時 体力 無い 物理防御:A 魔力 S 魔術防御:A 腕力 A+ 知力 A 素早さ S 命中 A 24 武器やアイテム 【レザーグローブ】 両手につける黒いグローブ。 強度の高い皮素材を使用しており、激しい戦闘にも耐えうる。 <聖属性攻撃> この武器による攻撃は聖属性を持つ。 <浄化> アンデットや霊体などの存在を浄化することが出来る。 【ローゼンクランツ】 いわゆるロザリオ。 最高の魔除けの力を持ち、低級の悪魔やアンデットはこれを見ただけで消え去る。 <範囲浄化> ロザリオから半径1.5mに対して浄化効果をもたらす。 25 その他 (※1)【ファントム】 設営者は『幻影』。設営時期、規模は不明。 活動範囲は非常に広く、拠点は様々な場所に点在するらしい。 依頼内容も魔物の討伐、賊の退治から暗殺、諜報活動も手がける。 恐らく、いくつかのギルドが一つになっていると考えられる。 メンバーはそれぞれコードネームを所持。 設営者に関してはメンバーの一部のみ正体を知っている。 登録タグ : シスター ファントム ポーカーフェイス 合法ロリ 孤児院 暗殺者 格闘 母性 魔人