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パチュリー11 10スレ目 300 ※※※幽香長編「桜花之恋塚」と10スレ目 286のコラボ 「結婚おめでとうございます」 「大変なのはこれからだがな――ありがとう」 図書館の外れ、物置同然の部屋で、カップを鳴らす音が響く。 部屋には、乱雑に置かれた雑誌類、古ぼけたテーブルと草臥れた椅子、 そしてそこに座り、カップの中身を消費する二人の人影がある。 あたりに漂う香りは珈琲。 昼間から酒を飲む趣味は、この二人には無いらしい。 「しかし――お前が自分からご足労とはね――『留年皇』」 人影の片方――作業着と思しき革のツナギ姿の小柄な青年が、黒い霧を吹いた。 もう一方、着崩した司書服の男は「ぅわ汚な」と、トレーでそれを回避。自分と周囲の本を守った。 「その名で呼ばんといてくださいorz」 「はっはっは」 お互いの存在を知ったのは、互いの伴侶の邂逅と時を同じくする。 とはいえ、何か大事があったわけではない。 『留年皇』の伴侶は、この館の庭の花園と、上質の紅茶を目当てに、時折ここを訪れる。 その折に、館の主は勿論、七曜の魔女と会うこともある。 ならば、その傍らに連れ添う者同士に縁があるのも無理は無い、というだけの事。 ごほごほと咽ていた青年が、それは置いといて、と話題を変える。 「まあ、困った事があったら、何でも言ってください。 人外付き合いも、結婚生活も、こちらの方が先達なので」 「あー、その事なんだが、な」 早速、相談がある――。 そんな色がありありと現れた表情で、司書の男はしかし、言い淀んでしまう。 作業着姿の、まるで用務員のような青年は、それを茶化す事も急かす事もせず、ただカップの中身を継ぎ足し、言葉を待つ。 ややあって、言葉を選びながら、重々しく沈黙が解かれた。 「うちの奥さんさあ――嫉妬深いんだよ」 「まあ良くある話です。でもどんな風に?」 努めて軽く、しかし真剣に。 聞き上手の手本のような仕草で、意見を聞き出して行く。 「特にきついのが、視線の置き方でな? ほら、黒いのとか人形師とか、色々客が来るだろ?」 成る程、と思案げに目線を天井へ向ける用務員。 「あの人たちも可愛いですからね」 「ああ。パチュリーが一番愛らしいがな」 「でも、パチュリーさんは、その気持ちを汲んでくれない、と」 話が早い。と諸手を上げ、司書は「降参」のジェスチャーを示した。 「元を辿れば、騒動の一因だからな。 そこが可愛い所でもあるんだが――あんま頻繁だと、お互いに宜しくない。 ――単刀直入に言うが、良い知恵は無いか?」 上手く、場の空気を和らげられれば良い。 とは言っても、普段が比翼連理を地で行く間柄である。 どちらかが折れる、譲るというのは、互いの性分に合わない。 「――ふむ」 ひとつ、思い付きました、と。 作業着のポケットの一つから、何かを差し出す用務員。 「……グラサン?」 「ミラーシェイド、っていうとお洒落ですよ?」 縁が無く、蔓は鍵型ではなく棒状で、ただ骨格に適度な弾力でフィットし、保持されるタイプの色眼鏡。 職業柄、日向の苛烈な日差しから目を守る目的で、掛けているのだという。 司書は訝しげながらも手に取り、それで、と先を促す。 「目線を隠せます」 「あー?そりゃ尚の事失礼だと思うんだが」 だからですね、と。 用務員は、ある台詞を呟いた。 「……そりゃ、用法が違わないか?」 「いえ、だから、ちょっと捻った使い方を」 そうやって、青年のレクチャーは続いた。 最初は不審げだった司書の顔も、徐々に合点が言ったのか、頷きが深くなっていった。 「いやー、あのフラワーマスターを口説き落としただけはある」 「雑学が多いだけですよ」 「まあ確かにそんなに趣味人じゃあ、留年もするわな」 「……一言余計ですorz」 ――そして、実践編と相成る。 先制から、司書の奇行は極まっていた。 「あ、あのー○○さん?」 「何だ?」 「し、室内でサングラスを何故?」 「ミラーシェイドだ――格好良いだろう?」 薄暗い室内で、必要も無いのに色眼鏡を掛ける男。 幸か不幸か、精悍な顔立ちに、その鋭角なワンポイントは、意外なほど似合っていた。 だが、そんな彼の姿に、終始不機嫌な者が一名。 「目悪くなるぜー?」 「お気遣い有難う、魔理沙――おや、リボンの色を変えたのかい?お洒落だね」 「……お前、やっぱそれ外せよ」 黒白に楽しそうに世辞を吐き。 「アリスこんにちは。えーっと、今日連れているのは――上海?」 「違うわ」 「じゃあ蓬莱」 「オルレアンなんだけど」 アリスと漫才をしてみたりするが。 「……」 「ぱ、パチェ、目が怖いわ」 「あらレミィ、大丈夫よ?私は絶好調。 ――今なら、ロイヤルフレア詠唱破棄出来そうな程度には」 よりにもよって、今日一日。 パチュリーの方は、一度も向いていないのだ。 魔女の機嫌は、見る見るうちに悪くなり―― べきり、と。 鈍い音を立てて、魔道書の鉄と革の装丁に、その細い指が突き立ち。 それを見たレミリアが、全速力で図書館から逃げ出した。 「どういうつもりよ!?」 「何を?」 「な――それを私に言わせる気!?」 「まあ怒鳴るなパチュリー、目が血走っているぞ」 「貴方のサングラスが赤いのよ!?」 「ミラーシェイドだ」 「どっちでも良いわよッ!!」 案の定、その日の暮れに、とうとう爆発。 夫婦喧嘩の時間と相成った。 ただこの光景もまた、いつもとは違っていた。 一方的に捲くし立てるパチュリーに対し、彼は反論するでもなく、ただ曖昧に応答するのみ。 口論というよりは、一方的な小言であった。 「……聞いているの?」 その態度に、息を整えて、しかし声のトーンを落として睨み付けるパチュリー。 もはや険悪な空気が渦巻いて見えるような状況で―― 「聞いてない」 「――え?」 男が、意外な一言を放った。 男は漸くミラーシェイドを外し、目頭を揉みながら、あのな、と続ける。 「――『眼鏡の下は、別の女性を物色中』って台詞、知ってるか」 「……ええ、身分を偽る影武者の女王に対して、側近の男が吐いた台詞ね」 『眼鏡の上からは、仕えるべき人として。眼鏡の下では、愛しき女として』。 そんな意味の込められた、この上なく芝居がかった台詞。 「って説明に――」 「違う。俺の場合は、そんなに捻った使い方はしてない」 訝しがるパチュリーの目の前で、「あー目が痛え」と呟いた彼の瞼が、漸く開き、 真剣そのものの視線が、パチュリーの瞳を射抜く。 それまでの態度から一転した彼の様子に、先程までの剣幕は何処へやら、 パチュリーの瞳は、戸惑いと、一抹の不安さえ見せていた。 それを、静かに見つめて、さて、と一息。 「じゃ、パチュリーはずーっと俺を見ていたわけだ?」 「……ええ、見ていたわ」 「なら答えられるな――問題です」 その一言と共に。 「!?」 彼が一息に踏み込み、パチュリーに詰め寄る。 背後の本棚に両手を置き、彼女の左右を塞ぐ様に詰め寄った。 互いの吐息を、鼻先に感じるほどの、至近距離。 あまりの強引且つ脈絡無いその展開に、魔女はとうとう怯えの色さえ見せ始めた。 しかし、彼はその強引な態度と裏腹に―― 「今日一日、俺がパチュリーの顔を、どんだけ向いていたっけ?」 努めて、優しい声で、呟いた。 「……」 何を言われたのか、解らない。 そんなパチュリーの表情が、数秒ほど続き―― 「!!」 一転。 普段血色の悪いその容貌が、紅一色に染め上げられる。 そう。 彼は一度も、パチュリーを見ていないのだ――眼鏡の上からは。 「……以上、説明終わり」 その姿に、してやったりな笑みを浮かべる。 あんだすたんど?と回答を求める彼に、蕩けた表情のまま、彼女は辛うじて頷いて見せた。 「さて、じゃ――埋め合わせだ」 その彼女との距離が、零になる。 「ん――!?」 あまりに唐突で、強引なキス。 パチュリーの目が一瞬、驚きに見開く。 「――」 だが、彼は止めない。 優しく、だが硬く彼女の身を抱き寄せ、その唇を音を立てて味わう。 「――ん――む――」 彼女もまた、身体の力を徐々に抜き、彼の背に手を置き、身を預けていった。 「――は」 彼女の無呼吸記録を軽く塗り替える時間を置いて、二人の唇が離れる。 恍惚に震える彼女は、残滓を取り払うのももどかしく、 「……○○……○○……」 熱に浮かされた声で、愛しい人の名前を呼ぶ。 「……二人っきりの時は」 その声に答えるように、彼は、想いの丈を言葉に乗せた。 ――ずっと、君だけを見ているから。 彼女は、涙さえ流して、彼の瞳を見つめ返し―― 「見るだけじゃ……嫌」 自分より背の高い彼を、抱き寄せる。 彼の身体は、軽いはずの彼女の重みに負けて、次第に下がり―― 「――確かめて。確かめさせて」 かしゃん、と。 彼が手に持っていた色眼鏡の落ちる音がして。 ランプに照らされた、二人の影が、重なった――。 「おう留年皇!やったぞ!」 「それはそれは――って留年皇言うな!?」 「しっかし、よく思いつくな!?あんな臭い言い回し」 「あー、あのですね」 「ん?」 「実は、試したんですよ」 「あの、花のお嬢さんにか」 「結果、どうなったと思います?」 「さあ?」 ――色眼鏡で私を見るたあ良い度胸ね!! ――え?いや、これは色々と事情gあー O)))) _/L 「見事に首が飛びましたよ。 問答無用、前座の仕込みも出来ませんでした。 いやー、見事に残機、減りましたねぇ」 ←※現在、蓬莱人 「そ ん な も ん を 俺 に 勧 め た の か ッ !!?」 「まあ貴方ですから。 ほら、本読んでいるから、語彙とハッタリでどうにでも――あ、待ってください、椅子はヤバイd」 「そ の 首 貰 い 受 け る ッ」 (豪快に何かが飛び散る音がしました) ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目865 〇〇「いきなりだが魔法を教えてほしい」 パチュ「本当にいきなりね」 〇〇「頼む!」 パチュ「却下」 〇〇「うう。……いいよ、アリスに頼むから」 パチュ「―― 待ちなさい」 〇〇「なに?」 パチュ「魔法は明日から教えてあげる。だから、アリスの所には行かないで」 〇〇「ん、わかった。今日はパチェで遊んでる」 パチェ「……好きなだけ遊びなさい」 どうやって遊ぶのかは内緒 というか思い付かぬ ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目868 「…で、パチェで遊ぶと決めたわけだが! ……何しようか」 「その前に、『で』じゃなくて『と』でしょ」 「んにゃ、『で』が正しい」 「妖しい響きね……。それで、具体的には?」 「とりあえず乳繰り合おうか」(ワキワキ) 「え……何その手!? ちょっ、待って、心の準備が……」(後ずさり) 「問答無用っ!」(こちょこちょ) 「ぁ……ダメっ・・・…そんなとこ…触られたらっ…!」(頬を染め) 「へっへっへ、可愛い声出すじゃねぇか嬢ちゃんよ」(興奮してきたお) 「んっ! だめ……だって、ふぁ……」(口が半開きになって) 「へっへっへ、観念しなっ」(やめられないお) 「ふぁ…………ふぁ……………………ふああああああっくしょん!」 「……………………パチェ」 「ななななに!? ○○が悪いのよ! あんなとこ触るから!」 「だからってくしゃみは無いと思うぞ」 「うるさいわね! とにかく、謝りなさい!」 「何で俺が…………」 「うるさいうるさいうるさい! あやまれ~~~~!」(じたばた) 「はいはい、すみませんでした」 「むきゅ~~!! 誠意が感じられないっ、もう一回!」(じたばた!) 「…………(なんでツンデレ仕様なんだ)」 ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目871 〇〇「……仕方ないなぁ」 ぎゅっ パチェ「ひゃっ!いきなりなによ」 〇〇「ごめんね、パチェ。ちょっと調子に乗りすぎたよ」 パチェ「わ、分かればいいのよ」 〇〇「ありがとう」 パチェ「何で礼を言うの」 〇〇「? パチェが許してくれたからだよ」 パチェ「そう」 〇〇「さて、改めてパチェで遊ぼ「却下」えー」 パチェ「『と』ならいいけど『で』はダメ」 〇〇「そっか。……たまには無理矢理もいいよね?」 パチェ「無理矢理って―― ちょっと、本を取らないで」 〇〇「駄目。今日はパチェには抱き枕になってもらうから」 小悪魔(熱いなぁ) ─────────────────────────────────────────────────────────── 7スレ目962 ○「パチュリー」 パ「…………」 ○「ぱっちゅさーん」 パ「…………」 ○「パチェー」 パ「…………」 ○「紫もやしー」 パ「…………」 ○「……反応無しですか」 スゥーーーーーー ○「パチュリーーーーーーーーー!!!」 パ「不下うwさmさえふぃh&7dふぇえw8!!??」 ○「ああ、やっと気づいたか」 パ「ま、○○?なによいきなり大声出して」 ○「何って何度呼んでもパチュリーが返事をしないから大声出して呼んだだけだ」 パ「……悪かったわよ」 ○「で、なに読んでるんだ?」 パ「○○には関係ないことよ」 ○「ふ、お前のことで俺に関係ないことなんて一つもないんだよ」 パ「…………馬鹿」 ○「と、言うわけでパチュリーが読んでる本GET」 パ「あ……」 ○「結婚雑誌?」 パ「な、なによ悪い?」 ○「いや悪いなんてことはないけど……パチュリーって結構結婚願望あるんだなーって思ってさ」 パ「べ、別に結婚願望があるわけじゃないわ、ただ……」 ○「ただ?」 パ「ま、○○と結婚したいと思っただけよ////」 ○「うおぉーーーーーー!!パチェーーー!!好きだーーー!結婚しよーーー!!」 だきっ! パ「むきゅー!?」 ─────────────────────────────────────────────────────────── うpろだ547 「……ふぅ」 手が届かない。どうしたものか。 目当ての書籍を前にして、悩んでいると 影が私を覆った。 「はい、どうぞ。パチュリー様」 「あ、ありがとう、○○」 (いつのまに後ろに……?) 「そこの本棚に用事があったのですよ。苦戦しているパチュリー様が見えましたので、そのついでです」 尋ねてもいないのに答えが返ってくる。 (顔に出ていたのかしら……それよりも) "苦戦している"、ということはとどのつまり。 ジャンプやら背伸びまでして取ろうとしていた姿を (見られてた――!?) 最初から見ていたのならすぐに手伝いなさい、と叫ぼうと後ろを振り向いた時には既に遅く。 彼は遠い本棚の隙間へと消えていた。 彼が、どうして此処へ来たのか、私は知らない。 この館の主である吸血鬼のレミリアにどういうわけかいたく気に入られ、 身の回りの世話はメイド長がしているということで図書館の司書に、ということだった。 人間にしては細かい所まで目が行き、司書としての働きは悪くない。 何しろ乱雑に並んでいるだけだったこの図書館の膨大な書籍を 彼は一月足らずで分類別、かつアルファベット順に並び替えるという所業をやってのけたのだ。 それは知識を得ることが容易になったということでもあり 私にとっては、とてもありがたいことでもあった。 司書として優秀なのは上述した通り、なのだが 彼は一切の素性を伏せている。 「別にいいじゃないですか、そんな事」 といって、何度尋ねても笑って誤魔化す。 そもそも、レミリアに何の段取りもなく謁見したということは、あの門番を倒してきたということで。 (……ただの人間に、役立たずとはいえあの門番が倒せるのかしら) 只者ではないということは確かである。 「よし……と」 今日の仕事も滞り無く終わった。 魔理沙という魔法使いの少女が、「読み終わったから返すぜ」と 3ケタになろうかという本を持ち寄った時にはさすがに面食らったけれど。 いつものようにパチュリー様は本を読み耽っている。 本当に知識欲が旺盛な方だ。 件の本の山もようやく棚に戻し終え、帰りに苦戦するパチュリー様を手伝い、今に至る。 「さて、やることが無くなりましたね……どうしましょうか」 家事に関しては一般人程度にはできるものの、この館のメイド長には遠く及ばない。 手伝おうかとも思ったけれど、また「私の仕事までやらなくてもいいのよ」とやんわり拒絶されそうだ。 (お茶を淹れるくらいなら問題は無いでしょう……さて、キッチンはどこでしたっけ) 廊下を歩いているメイド(妖精)の誰かに尋ねれば分かるかな。 パチュリーの反応楽しみにしつつ、鼻歌交じりで廊下へ続くドアを開けた。 「あら、○○。仕事はどうしたの?」 廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。 「おや、咲夜様。本日の仕事でしたら、全て滞り無く終わりましたよ」 「途中で魔理沙が本を返しに来たはずだけど、それも含めて?」 「ええ、勿論」 「まだ夕刻には程遠いのに……凄いわね」 感心するように溜息をつく咲夜様。 「それ程の事でもございませんよ。図書館という、小さな空間での事ですから……それよりも、昨夜様?」 貴方に言いつけてある仕事の量なら、夜までかかるはずなのだけれど、と呟いていたメイド長に、尋ねる。 「あ、ええ……何かしら?」 「キッチンは、どこでしょうか?」 「さて、こんなものでしょうか」 咲夜にキッチンの場所、ポット、茶葉、ティーカップの在処を尋ねた後、別れてからキッチンに辿り着くまでおよそ15分。 (想像以上に広いですねぇ、この館は……) 妖怪の類や、人間のハズなのに飛べるメイド長からしたら短いのかも知れないけど、徒歩ではいささかキツい。 「保温ポットが確かここに……ああ、ありました」 時間を考えると淹れてからそのまま図書館に戻るようでは冷めてしまう。 淹れたお茶を保温ポットに移しなおし、腕に抱えて歩き出す。 (喜んでくれるといいのですが) 「パチュリー様? ああ、そちらにいらしたんですね」 「○○? どうしたの?」 「いえ、喉が渇いたかと思いまして。お茶をお持ち致しました」 壁の時計を見やる。丁度アフタヌーンティーくらいには丁度いい。 要不要の声も聞かずにポットからカップへお茶を注ぐ○○。 ただし、そのお茶は暗がりで見てもやや青い。 「……何ソレ、毒?」 今まで見たことがない色のお茶であったため、少々警戒を抱く。 「まさか、とんでもない。私も飲むのに毒を入れるわけが無いじゃないですか」 そうして淡々と二つのカップにお茶(?)を淹れ終わり、私に一つ差し出す。 「では、ご賞味くださいませ」 「本日のお茶はマロウブルーティーです。ちょっとしたハーブティーですよ」 喘息持ちの彼女の為に、直接的ではないが、喉へ良いと書かれていたお茶を差し出す。 まさか茶葉の棚にハーブティーまであるとは予想もしていなかった。 普通の紅茶を淹れようと思っていたのだが、目的のハーブを見つけたのでそれを淹れることにした。 「効果は?」 「さて。"知識"の名を冠す貴女なのだからもうご存知だと思っていたのですが」 「もったいぶらずに教えなさいよ」 「万病の予防になると言われています。喉や声に特によく効くのだとか」 素っ気無く言い、そのまま自分の分に口をつける。うん、苦い。 彼女の分には砂糖を一応つけておいたのだが、自分のを用意するのを忘れるとは……不覚。 「それなりに苦いですから、砂糖をつけることをオススメしますよ」 ちょっと顔をしかめつつ、笑顔で忠告をくれる○○。 なんでこうも気がよく回るのだろう。 なんでここまで優しいのだろう。 何故、色んなことを知っているのだろう。 私でも知らないことが、あるのに。 「パチュリー様?」 呆けてしまっていたらしい。私としたことが。 「え、ええ……わかったわ。ご忠告ありがとう」 「どういたしまして。残りはここに置いていきますね。保温ポットですからしばらくは持つはずです」 「貴方はどうするの?」 「明日の仕事になりそうな事をあらかじめ片付けておきます。 カップ等を下げたくなったらお呼び下さい。すぐに参ります」 それだけ言って自分のカップを手に踵を返す○○。 「ねえ、○○」 ふと、口から零れてしまった。 「どうかしましたか?」 「これからは、私のことは呼び捨てでいいわよ。何ならパチェ、でもいいわ」 彼の事が、もっと知りたい。 私の中の知識欲に、小さな火が灯る。 「しかし、貴女は私の主の御友人。そうそう無礼をはたらくわけには」 「良い、と言っているのよ。わからないなら命令よ、コレは」 「……承知致しました。パチュリー。…これでよろしいですか?」 「ええ。下がってもいいわ」 「御意に」 彼の姿が見えなくなってから、自分の顔を抑える。 (言っちゃった…言っちゃった…!) 今、顔はきっと火のように赤いのだろう。 でも、それはそれで良かったような気もする。 これから、少しずつ仲良くなればいいのだから。 少しずつ、知っていけばいいのだから。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 8スレ目 562 「あら○○、お茶の時間かしら」 「はいパチュリー様、レミリア様が呼ばれていますよ」 「ありがと・・・どう?紅魔館にはなれたかしら?」 「・・・まぁ、まぁと言った所です」 少し言いよどんで眼を背けた その様子からまだなじめないでいるのは解かる 「・・・人間と言うのは慣れるイキモノよ、人間だった貴方も例外ではないわ」 「そう・・・だといいんですが」 「慣れるわ、人間は人殺しすら慣れてしまうもの」 そう言って彼女は可笑しそうに笑った 俺を残して彼女はお茶を飲みに行った、俺はとんでもないところに来たと再認識した 「あら・・・何をやってるの?」 「あ、パチュリー様、少々散らかっていたので本の整理を・・・埃も溜まっていますよ、喘息にはよくありません」 「・・・あ、ありがと」 そのまま片づけを再開した、埃が立つので数冊の本を持って出て行ってもらった 「何か片付けが楽しくなってきた・・・」 「おいパチュリー!本を借りに来たぜ!」 ドアを乱暴に開け放ち白黒が登場した 「出たな白黒!この図書館は清掃中だ!貴様の好きにはさせん!!」 「おのれ○○!またしても私の邪魔をするか!」 なんとノリのいい魔法使いだ、絶対特撮見てやがる 「と、言うわけで清掃中だ、悪いが今日は帰れ」 「ああ、邪魔して悪かったな、仕事がんばれよー」 立った数分で退場、白黒の出番は基本的に少ないらしい ふいてはわいて、本を整理して、一段落したので開けている窓を閉めようと 「え?」 うっすらとだが空が白み始めている 「・・・徹夜か・・・パチュリー様怒ってるかな」 「怒ってないから安心しなさい」 「そっかーそれなら・・・!?パチュリー様!」 「おはよう○○、もう6時ぐらいかしらね」 図書館を見て回るパチュリー、それをびびりながら見る○○ 「綺麗になったわね・・・ありがとう○○この図書館も喜んでると思うわ」 「い、いえもったいないお言葉です、はい」 「ふふふ・・・いい子ね、使い魔にしたいぐらい・・・レミィ怒るかしら」 「そ、それは」 「その気になったらいつでも言いなさい、すぐに僕にしてあげるわ」 「は、はい考えておきます、それでは」 彼女の読書を邪魔すまいと思い図書館を去ろうとしたとき 「○○・・・本当に色々と、ありがとう」 今世紀最高(当社比)の笑顔をくれた、朝日をバックにした彼女の笑顔は最高だった 「眼がー眼がー!!灰にー」 日の光を浴びる莫迦な吸血鬼、色々台無し 終 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 269 あー、パチュリーに言われてお届け物だ。 中身はクッキーだったかな。 「本に書いてある通りに作ってみた。甘い方がいいだろうから砂糖は大目よ」 だとさ。横で作るの見てたんだが、一掴みくらい入れてたか、砂糖。 まあ、いいだろ? 恋は甘い方がいいに決まってる。お菓子だってそれさ。 受け取ってくれよ ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 442-443 霧に煙る朝の湖。 こんな日くらい、湖岸の散歩を楽しんでも良いじゃないか。 そう自分に言い聞かせる。 単にパチェに貰った飛翔の呪符の更新を怠って、 他に手段が無いという切実な現実はあえて忘れよう。 借りている薄めの一冊の本の他、大した荷物もないし、 それにもう間もなく着くはずだ。彼女の住む館へ。 「あ、○○さん。おはようございます。珍しいですね、歩いてこられるなんて。」 「おはようございます。美鈴さん。朝から大変ですね。」 紅魔館の門番、紅美鈴さん。始めてきた時に、パチェが図書館を始めたという話を 聞いてなかったらしく、通す通さないで散々揉めたのを思い出す。 そういえば、図書館を始めたという話は誰に聞いたんだったか……。 解決しない思考を振り払って館に入ろうとすると、 「あ、ちょっと待ってください。」 呼び止められた。 近くに来て真面目な表情でじっと見つめられる。 「んー、やっぱりいよいよですか。頑張ってくださいね。」 にやり、と笑って門へと戻っていく。 良く解らない人だ。悪い人ではないのだが。 大図書館の大きな扉の前。そこで意外な人が待っていた。 紅魔館の主レミリア・スカーレット嬢、朝方とはいえ、 日が出てる間に活動してるのを見るのは稀だ。 「まったく、なんでこんな奴が……。」 小声でそう呟くのを聞いた時、突然思い出した。 パチェが図書館を始めたのを伝えにきたのはこの人だった。 そのときも「まったくなんでこんな奴が……」と呟き、そして手書きの チラシを1枚渡して帰って行ったんだ。 「あの……。」 なんと言おうか考えてるうちにレミリア嬢はふい、とそっぽを向いて霧になって消えた。 何が言いたかったんだろう。微かに苛立ちを覚えないではないが、相手が悪すぎる。 大図書館、いつもの場所でパチェは本を読んでいた。 とりあえず、本を返し、新しく一冊の本を借り、 本を読むパチェの隣で読み終わるのを待つ。 パタンと本を閉じ、次の本を取ろうとするパチェの手を掴み、 意を決し今日来た一番の目的を告げる。 「パチェ……。」 振り返るその顔を正面から見つめ、言う。 「パチェのことが好きだ。」 しかし、パチェはスッと目を細め、そして何事も無かったかのように 本を手に取り読み始める。 色々な反応を予想してはいたが、これはまったく予想外の展開だ。 「えっと……「それで。」 言いかけたのを遮ってパチェが言う。 「○○は、それでどうしたいの?」 本から顔を上げずに続ける。 「人が人に好きだというのは大きく分けて二つの意味があるわね。 一つは相手への揺さぶり。その発言によって相手に動揺をもたらし、 釣り橋効果で自分への好意を引き出そうとする利己的な物。 もう一つは宣言。自分は相手が好きだと宣言した以上、相手に対する行為は その宣言のもとに許されるという傲慢。いずれにしても美しい物ではないわ。 大体、あなたは人間、私は魔女。魔女の存在は人の隣にありながら常に妖怪を指向する。 けして交わる事の無い平行線。死する運命を持つ物に永遠は理解できない。」 早口で言い、そして更に続けようとするパチェを制して言う。 「解った。ごめん。」 それだけ言い残し、大図書館を去る。 深夜、パチュリーは紅魔館の主のもとを一人、訪れる。 「レミィ、私……。」 「それ以上言う必要は無いわ。」 夜の王は言い放つ。 「何が起きたのかも何を思っているのかもこれからどうなるのかも、 すべて知っているけど私の言うべき事は一つね。 貴女が思い感じたとおりに行動しなさい。運命は人の意思が作るべきもの。」 「うん…………。」 パチュリーの去った部屋でレミリアは一人呟く。 「まったく、なんで私が恋愛相談なんかに……。」 「嫉妬ですか?」 咲夜の声が答える。 「貴女、何時からそこに居たのよ。」 「最初から控えておりました。」 「まぁいいわ。それにしても私なんて500年も生きているのに、 パチェはまだ100年かそこらのひよっ子じゃない。なんか悔しいわね。」 「あら、この場合年は関係ないかと思います。それに……。」 「それに何よ。」 苛立った声でレミリアは問いただす。 「レミリア様には私が居ますわ。永遠に。そういう運命ですもの。」 「咲夜、運命という言葉を軽々しく使うのは」 「人の意思の作るもの、そうでございましょう?」 「ふん」 馬鹿にしたように、しかし何処か嬉しそうにレミリアは笑った。 翌日、昨日借りた本を結局持ってきてしまったことに気付く。 気は進まないが、返さないわけには行かないだろう……。 義務感から紅魔館を訪れるが、門番の姿はおろか妖精メイド一人すら見かけない。 多少不気味ではあるが、しかし誰にも顔をあわせずに済むなら寧ろその方が好都合か。 そっと図書館に本を返し、帰ろうとしたその時、 「○○っ。」 パチェの声がしたように思った。おそらく幻聴だろう。 まったく未練がましい自分が嫌になる。 振り返るのも癪なのでそのまま帰ろうとしたら、今度は袖を掴まれた。 「待って、○○。」 必死の形相で引き止めるパチェを胡乱げに見つめる。 「あの……私○○に酷い事を。あの時私、嬉しくて、恥ずかしくて、どんなキモチで ○○が言ってくれたのか解ってたのに、私……卑怯だ。もう、○○はこんな私のこと 嫌いかもしれないけど、それでもこれだけは言わせて。私、○○の事が好きだった。 ずっと前から好きだったの。」 そう言うパチェの肩に手を置いて、答える。 「―――――――――――」 一羽の蝙蝠が、音も無くその場を離れていった。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 490 「・・・」 「・・・」 2人きりの空間に2人がページをめくる音だけが響く。 「・・・」 「○○。 本取って来て頂戴。 ××の棚の△△っていうタイトルの」 「分かった。 ちょっと待ってろ」 奥に本を取りに行く。 「これで良いんだよな?」 「ありがとう」 再び2人、それぞれの本のページをめくる。 「失礼します」 咲夜さんが入ってくる。 「パチュリー様、お茶を御持ちしました」 「悪いわね」 「咲夜さん、お疲れ様です」 咲夜さんが退室した後、お茶を飲みながら、再び静かに時が過ぎて行く。 紅茶に落とした角砂糖が溶けるように、ゆっくり、ゆっくりとした、 それでいて甘い時を過ごす。 2人に言葉は必要ない。 お互いにそこにいるだけで良い。 今日も紅魔館の一室に、甘く静かな時が流れる。 ─────────────────────────────────────────────────────────── 9スレ目 561 最近心が不安定になっている 本を読んでも内容が入ってこないし 魔導書を書こうと思っても思うように書けない 理由は分かってる 彼と……○○と出会ってから私は不安定になってきている 最初に会ったのは魔理沙が何時もの様に 本を借りると言う名の強奪をしに来た時だ なんでも外の世界から来た魔法使いだそうで 魔理沙の話を聞いてここに興味を持ったらしい まるで子供のような顔をしてきょろきょろと図書館を見るその姿を見て 呆れるよりも何故か微笑ましく思った 思えば一目ぼれだったのかもしれない だから今は言えないけど近い将来私は必ず貴方に伝えるわ 「○○、私は貴方のことを愛している」って ───────────────────────────────────────────────────────────
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肖像画の前で、少女がゆったりと安楽椅子に座り奇怪な文字で構成された書物を読んでいる。 「でな、パチェはすっごく独占欲が強い。どんくらい強いかと言えば紅魔館でも上位だと思う」 少しだけ眉を潜め、少女はその病的に白い指で魔導書のページを捲る。 動きがよどみないのは、男の声を聞き流しているからだろう。 「幾ら浮気なんてしてないって言ってもきかないし、危うくこぁを魔界送り寸前まで逝ったし」 男の声が、少しだけ低くなる。当時を思い出して頭が痛くなったのだろうか。 「結局、しばらくの間パチェ専用の人間椅子になったよ。 偶に腰掛けタイプにもなったな。あれはパチェの柔らかいお尻をダイレクトに感じたからなかなか役得だった」 紅茶を軽くすすり、更にページを捲る。 相変わらず話は聞き流している様だが、少しストレスを感じているらしい。 紫の宝玉のような瞳は細められ、長い紫色の髪を煩わしそうに横に流している。 「しかしまぁ、そんな感じだったけど悪くはなかったよ。 ドきついって言われそうな愛情表現だったし、何度か死にかけたり蘇生されたりしたこともある。 だけどそれはそれでいいかなぁとか思えるんだ。他の連中や新しく外界から来た奴らに異常者呼ばわりされたけどな。 確かにあんな常軌を逸した愛情を受け入れる方が異常かもしれないけど俺はパチュリーが好きなんだよ。 一晩中しがみついてくるのを抱きしめ返したり、うっかり刺した後俺を抱えながら錯乱したりとかな」 ページを捲る音が止んだ。イラッとした目つきで肖像画を見上げるが声は止まらない。 「もー、あん時は愛を感じたね愛を! 『え、嘘、やだ、ヤダァァァァそ、そんなし、死ぬ私が殺しいやあぁぁぁぁぁ!! お、お願い◯◯しっかりして死んじゃいや血、血が止まらないなんでイヤイヤイヤイヤぁ!!! だ、誰か血を止めて◯◯が死ぬ私が殺しちゃう駄目、死んじゃ嫌嘘止めてよお願いぃぃぃぃ!!!!!』とか最高だったね☆ あのまま死んでも超ハッピーだったなぁ! でもパチェとの間にまだ子供出来てなかったし! パチェの泣き顔とかも笑った顔やレ◯プ目とおんなじ位好きなんだよマジで!! 普段はツンとして気難しい猫の様に素っ気ないパチェが感情剥き出しとかそれだけでご飯三杯「煩い」」 栞を挟み込み、パタンと本を机の上に置いて少女はつぶやいた。 小さな声だったが男の声を止めるのには十分だったようだ。 「……だって暇だしさ。動けないからなぁ」 「だからって延々と惚気話聞かされる方にもなってよ。ここは読書室なんだから静かにしなさいって言われてるでしょ。 全く……なんでよりにもよってここの肖像画に閉じ込めたんだか」 「そりゃー、この方が都合がいいからだわな。外出時だけじゃなく偶に意味もなく閉じ込められるし」 口と目線だけが動くごく平均的な日本人青年の肖像画を見上げ、少女は嘆息混じりにつぶやいた。 「ホント、よく母様も飽きないものだわ。ねぇ、お父様?」
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チベット レルパチェン(Ralpacan རལ་པ་ཅན) ティツク・デツェンとも。 チベットの三人の聖なる父祖王の一人。 参考文献 石濱裕美子『物語チベットの歴史 天空の仏教国の1400年』36頁
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パチュリー No.004 タイプ:ことわり 特性:トレース(相手と同じ特性になる) HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 70 60 60 125 135 70 ばつぐん(4倍) --- ばつぐん(2倍) おばけ/あんこく/こころ いまひとつ(1/2) ゆめ/しょうき/しんとう いまひとつ(1/4) --- こうかなし --- コスト:100(コスト技の威力:80) 覚える技 レベルアップ ちびパチェ パチェ 1 マナシールド 5 サイコショット 9 ひのこ 14 マジックコート 18 マッドショット 23 リフレクター 27 バブルこうせん 32 サイケこうせん 1 ミラーコート 1 こごえるかぜ 1 チャージ 1 ナイトヘッド 1 じこあんじ 1 エアロブラスト 1 マナチャージ 1 サイコブースト 37 ウェザーボール 40 だくりゅう 43 かえんほうしゃ 46 トライアタック 50 だいちのちから 54 エアロブラスト 58 マナチャージ 62 サイコブースト 卵 アロマセラピー すなあらし しろいきり サイコウェーブ 技マシン 03 みずのはどう 11 ちび にほんばれ 17 ちび みきり 18 ちび あまごい 22 ソーラービーム 24 10まんボルト 25 かみなり 27 ちび おんがえし 29 ちび マナバースト 32 ちび かげぶんしん 33 ちび リフレクター 35 ちび かえんほうしゃ 38 ちび だいもんじ 43 ちび ひみつのちから 44 ちび ねむる 45 ちび メロメロ 48 ちび スキルスワップ 50 マインドボム
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スパチェック これを言い出したら要注意、1つでも当てはまる方は病気です □脈絡もなくきみはリーマン幾何学を知っているのかね?と言ってしまう。 □脈絡もなくブラウアーくらいは流し読みしたんだろ?と言ってしまう。 □私の思考圧は優れている。 □私の論理圧は優れている。 □伊藤博文をハクブンと言い出す。
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パチュリー ぜんそくもちで そとに めったに でないため からだが よわいが たさいな まほうをあつかえる。 タイプ エスパー 特性 トレース 分布 ともしびやま内部 右側エリア2 ともしびやま内部 左側エリア2 ともしびやま内部 右側エリア1 ともしびやま内部 右側エリア3 種族値 HP 40 すばやさ 45 こうげき 35 とくこう 120 ぼうぎょ 30 とくぼう 120 進化系統 ちびパチェLv18でパチュリーLv40でEパチェ レベルアップで覚える技 Lv01 テレポート Lv12 ねんりき Lv15 ひのこ Lv15 あわ Lv22 マッドショット Lv22 リフレクター Lv28 エアカッター Lv34 かえんほうしゃ Lv34 じしん Lv38 めいそう Lv44 サイコキネシス Lv50 トライアタック 覚える技マシン 03 みずのはどう 04 めいそう 06 どくどく 07 あられ 10 チームワーク 11 にほんばれ 13 れいとうビーム 14 ふぶき 15 はかいこうせん 16 ひかりのかべ 17 まもる 18 あまごい 19 ギガドレイン 20 しんぴのまもり 21 やつあたり 22 ソーラービーム 24 10まんボルト 25 かみなり 26 じしん 27 おんがえし 29 サイコキネシス 30 シャドーボール 32 かげぶんしん 33 リフレクター 34 でんげきは 35 かえんほうしゃ 36 ヘドロばくだん 37 すなあらし 38 だいもんじ 43 ひみつのちから 44 ねむる 45 れいげき 48 スキルスワップ 49 よめしゅぎょう 50 オーバーヒート 覚える秘伝マシン 05 フラッシュ 倒すと獲得できる努力値 とくこう +2 育成例
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コダマ名 HP 攻撃 防御 速度 合計 属性1 属性2 攻撃属性 弱点 耐性 スキル 必要アイテム ちびパチェ 90 105 65 20 280 理 - 理炎水樹地鋼 虫霊闇 闘理 - パチュリーカード Dパチュリー 100 110 140 30 380 理 地 理地(炎水樹毒鋼) 水樹氷虫霊闇 雷闘毒理岩 動かない大図書館 守の霊珠 Aパチュリー 100 130 85 65 380 理 炎 理炎(水樹毒地鋼) 水地岩霊闇 樹闘鋼氷理炎然 動かない大図書館 力の霊珠 Nパチュリー 105 115 75 85 380 理 樹 理樹(炎水毒地鋼) 虫炎氷毒風霊闇 水雷樹闘地理 動かない大図書館 不偏の霊珠 Sパチュリー 95 105 80 100 380 理 水 理水(炎樹毒地鋼) 雷樹虫霊闇 炎水氷闘理鋼 動かない大図書館 疾風の霊珠 Pパチュリー 100 135 75 90 400 理 樹 理樹炎 虫炎氷毒風霊闇 水雷樹闘地理 動かない魔法少女 Pパチュリーカード ※青文字は属性一致、赤文字は重複弱点、緑文字は重複耐性、灰色は無効、(括弧内)はスキル効果あり ちびパチェ.gif Dパチュリー.gif Aパチュリー.gif Nパチュリー.gif Sパチュリー.gif Pパチュリー.png ちびパチェ Dパチュリー Aパチュリー Nパチュリー Sパチュリー Pパチュリー スキル 動かない大図書館 SLv×20%の確率で、スペルの威力が属性一致扱いになります。 動かない魔法少女 効果抜群の時、与えるダメージがSLv×6%増加します。 スペル スペル名 属性 威力 消費 詳細 必要銭 ちびパチェ Dパチュリー Aパチュリー Nパチュリー Sパチュリー Pパチュリー サイレントセレナ 理 80 20 通常攻撃(初期) 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 賢者の石 理 100 30 通常攻撃 20000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 理 120 40 自分の攻撃と防御と速度を10%上げます。 禁呪 - ○ ○ ○ ○ - ロイヤルダイアモンドリング 理 120 40 相手の防御を20%下げます。 100000銭 - - - - - ○ 理 150 50 相手の防御を30%下げます。 禁呪 - - - - - ○ シルフィホルン 樹 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ グリーンストーム 樹 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ ○ フォトシンセシス 樹 - 0 味方全員のVPを50%回復します。 50000銭 - ○ ○ ○ ○ - サテライトヒマワリ 樹 120 40 通常攻撃 100000銭 - ○ - ○ - ○ 樹 120 40 与えたダメージの1/4、HPが回復します。 禁呪 - - - ○ - ○ マーキュリポイズン 毒 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - 毒 120 40 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - ○ - ○ - レイジィトリリトン 地 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ - トリリトンシェイク 地 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - エメラルドメガロポリス 地 120 40 自分の防御を20%上げます。 100000銭 - ○ - ○ - - 地 150 50 自分の防御を30%上げます。 禁呪 - ○ - - - - メタルファティーグ 鋼 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ - シルバードラゴン 鋼 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - エレメンタルハーベスター 鋼 120 40 相手の防御を20%下げます。 100000銭 - ○ - ○ - - 鋼 150 50 相手の防御を30%下げます。 禁呪 - - - ○ - - プリンセスウンディネ 水 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ - ベリーインレイク 水 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ - ノエキアンデリュージュ 水 120 40 相手の速度を20%下げます。 100000銭 - - - ○ ○ - 水 150 50 相手の速度を30%下げます。 禁呪 - - - ○ ○ - ジェリーフィッシュプリンセス 水 - 10 先行になります。3ターンの間、攻撃スペルのダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 150000銭 - ○ ○ ○ ○ - アグニシャイン 炎 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ ○ ○ アグニレイディアンス 炎 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ ○ ○ ○ ○ セントエルモピラー 炎 120 40 通常攻撃 100000銭 - - ○ ○ - ○ 炎 120 40 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - ○ - - ○ ロイヤルフレア 炎 150 50 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 300000銭 - - ○ ○ - - 炎 200 80 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 禁呪 - - ○ - - - カード効果 アイテム名 装備時効果 契約コダマ 入手(金額) 備考 パチュリーカード 攻撃が30増加します。 ちびパチェ 中吉印の福袋・アイテムショップ(1000000銭) 11-7クリアでショップ追加 Pパチュリーカード VPと攻撃と防御が50増加します。 Pパチュリー PH4-7初クリア報酬 -
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風が、駆け抜けた。 雪狼の牙の冷たさと鋭さを携えた風だ。 切り裂くように頬を撫でた風は、一息のまに森を抜け、妖怪の山にまで達しているだろう。 その後に、雪が来た。 空は晴れわたり、雲などどこにも見当たらない。 どこからか運ばれてきた粉雪が蒼天に散る。 風花。 ひらりはらりと舞い踊る六花を見上げながら、パチュリー・ノーレッジは、ちいさくため息をついた。 「……さむい」 「そりゃ、そうだろう」 いつものパジャマみたいな服に、うえから一枚ケープを羽織っただけの格好だ。 もう十二月も後半に入っているのだから寒かろう。 ときどき吹き抜ける、風の精霊たちの行く先を見送りながら、紅魔館の庭園に二人で居る。 昨夜、積もった雪が、花壇のうえにうっすらと残っている。 また、一陣の風。 おおきく翻ったパチュリーの髪が、陽光に照らされて輝く。 よく手入れされた、さらさらの髪だ。 外出をあまりしないのは、髪が傷むのが嫌だからだそうだが、なるほど、自慢して良いレベルだ。 彼氏としての贔屓目を除いても、素直に美しい。 例えるなら……月か。 太陽の光を享けて、静かに柔らかな光を放つ月。 本人の性格からして、そんなとこが妥当かなぁなどと、帽子の飾りを見ながら思った。 「やっぱり、さむい」 「外に出るって言ったのは、パチュリーじゃないか」 「でも……さむいものはさむい」 どうにも我が儘なお姫さまである。 「で、クリスマスツリーに使えるようなモミの木って、どこにあるんだ?」 「もうすこし森の方。館の裏手あたりになるかな」 「了解、監督」 今日はクリスマス。 毎年の如く開かれる紅魔館主催のパーティの準備係が、今年はパチュリーだったというわけだ。 やることはいつもの宴会と大した違いはないとはいえ、巨大なクリスマスツリーの準備だけはひと手間かけなきゃならない。 監督の号令一声。 俺は作業服(香霖堂で見つけた)と大工道具一式を装備して、現場の踏査に赴いたわけだ。 5メートル程度の大きさは必要とのこと。 木を切り倒したあとは、妖精メイドも総出で紅魔館のホールに運び込むことになる。 「この樹なんかどうだ?」 「ダメよ。こういう穴のある樹木には、何らかの虫がついてるの」 彼女についているのは本の虫だけど。 さすがに知識は人数十倍だ。 何が気に入らないのか、林のなかを難しい顔でふよふよと飛びまわっている。 物事を知る、ということは、こだわりにも繋がるわけで。なかなか「これで良し」というのが見つからない。 俺も探しているふりをして、下から確かめる。白青縞。これで勝つる。 「これが良いわね」 上空から声。 真下に居た俺は慌てて根本を見ていたように振舞う。 あくまで自然に、そして優雅に。 「この木?」 「ええ。この赤黒い色もご立派な形も黒光りしてるようなツヤも、申し分ないでしょ」 バレてたらしい。俺は五体投地して謝意を表明する。 これでダメなら究極の土下座、『水揚げされたマグロ』で完全服従の態勢を取るしかない。 「……まあ、いいわ。その変わり今日は働いて貰うよ」 「へいへい」 ぶつくさ言いながらも、手にしたノコギリの刃を幹に当てる。 パジャマ娘は後ろでみているだけ。 金符あたりを使えば、すぐ終わるんじゃないかなーなんて思ったりもしたが、口には出さない。 せっかく久しぶりに二人きりなんだから、時間は有効に使わなきゃいけないじゃないか。 普段はほとんど図書館に詰めっきりだし。 あそこには誰か彼かがやってきては騒ぎを起こしていくところだから。 騒がしくも楽しい日常に不満を持っているわけではないけど、それでもこうやって過ごせる時は貴重なんだ。 彼女も、そう思っているのだろうか? 「さむい」 まだ三分の一くらいしかノコギリの刃は到達していない。 後ろで見ていたパチュリーが寄ってきたので、俺は動きを止めた。 「どうした?」 「私もやってみたい。身体を動かせば温まるでしょ」 「そうだなぁ……」 俺が逡巡してる間にも、パチュリーは勝手にノコギリを握ってしまう。 まあ、いいか。危なそうだったら助け舟を出せばいいし。 邪魔になるからすこし離れる。 両手でしっかりとノコギリを持って、ぎこちなく動かし始める。 ゆっくり進み、ゆっくり引く。 ほとんど切れてはいないけど、手堅い動きだ。 やがて慣れが生まれたのか、だんだんと動きが速くなる。 と、そこで刃の進みが急停止。引っかかったのか。 「むー。むー。むーーー! ……むきゅ~」 あ、回線が切れた。 「ストップ。ちょっと貸してみ?」 「貴方の真似をしてみたけど、なかなか上手くいかないね」 パチュリーの言葉はちょっと嬉しかった。 彼女の後ろ側から、手を添える形で俺もノコギリを掴む。 背後から抱き締めるようなかたちだ。 こうしてみると、やはりパチュリーはちいさい。 俺の首くらいまでしか身長ないんだから当然か。 そのまま、ゆっくりと手を動かす。 「力を入れ過ぎるとダメなんだ」 「こうかな?」 「そうそう。ほら、すんなり入ってくだろ」 「ほんとね。ちょっと気持ち良くなってきたかも……」 「じゃあ……もうちょっと大胆に動かしてもいいか?」 「うん。手加減、しなくていいよ」 すぐ近くにある彼女から、ふわりと香るのは彼女の名の元となった花の香り。 たまたま香霖堂で見つけたのをプレゼントしたんだが、使ってくれてたのか。 「やめた。ゆっくりやろうか」 「どしたの?」 答える代わりに、彼女を抱く力を強くする。 それだけでわかってくれるだろう。 「そうしようか。でも、パーティーに間に合うように、ね」 「おーけー」 これは、日常の間隙にある、ちいさなイベントでしかない。 赤黒くツヤのあるご立派なクリスマスツリー候補を切り倒してしまえば、また騒々しくなる。 繰り返すけど、それが嫌なわけじゃない。 でも、こうやって二人で居れる時間を大切にしたいとも思う。(それがノコギリで木を切ってるだけってことでも) これからも一緒に、ずっと一緒に…… 新ろだ229 ─────────────────────────────────────────────────────────── トントン、と玄関のドアを叩く音で、浅い眠りから目を覚ます。 続いて鍵の開く小さな金属音と、入ってくる客人の気配。 「起こしちゃったかしら?あぁ、いいから、そのまま寝ていて。大体の事情は聞いているわ」 聞き慣れた声に、布団の中で起こしかけた体を再び横たえ、顔だけを向けて挨拶を…… 「お゛ー……おはよう、パチェ。いつも済まないねぇ……ゲホゲホ」 「……何の話?それにしても酷い声ね」 我ながら酷い声が出たものだと思う。 「それはまぁ、風邪引きだから。でもあんたがお見舞いに来てくれるなんて、たまには風邪も悪くな……っくしゅん!」 「馬鹿言っていられる余裕はあるみたいね。あと私は本を回収に来ただけよ。期日になっても返しに来ないから」 クールに返しつつ、炬燵の上に重ねて置いた本を、手に取って確認しつつ回収していくパチェ。 「つれないなぁ」 「……冗談よ。とりあえずこれ、次にあなたが読みたいのはこの辺ね?」 はい、と渡された本を見てみると、確かに以前図書館で目を付けておいたもの。 「凄いな、よく分かるもんだ」 「以前に貸した本の履歴と傾向から、この辺りかなって。合っていたなら良かった」 「さすがは大図書館の主ってところか。ありがとう」 「どういたしまして。っと、ちょっと台所使わせて貰うわね。どうせまともなもの食べてないんでしょう?」 ちょっと照れたように微笑んで、何やら持ってきた荷物を開け始める。 「お、何か作ってくれるの?」 「お粥、持ってきたから、温めればすぐに食べられるわ」 取り出したのは小さな鍋とエプロン。 「……私が作ったわけじゃないのだけどね。作ったのは咲夜。だから味と栄養は保証するわ」 「なるほど、咲夜さんなら確かだな」 色々と完璧な人だからなぁ。 パチェの手作りも食べてみたかった気もするけれど、また機会もあることだろう。 「そういう訳だから、少し待ってて」 「あいよー。その間に着替えでもしておくかな……おぉ?」 パチェが、エプロンを着けている。どうやらメイドのものを借りてきているようだ。 「……何よ?」 これは……なかなか…… 「……意外と有りだな」 「……何がよ?」 「似合ってる」 「っ……ね、寝ぼけたこと言ってないでっ……私い、行くから」 わーお、真っ赤になってそそくさ出て行ってしまった。ストレートに言い過ぎたかなー。 新妻みたいな感じで、まで続けたらさらに大変なことになったのだろうか。 ……あれ?むしろ俺が恥ずかしい事言った?なんだか今になって急に……あー。 結局俺もなんだか微妙な気分になりつつ、上の空で着替えることになりましたとさ。 全部風邪が悪い。 「なぁなぁ、アレやってくんない?『あーん』ってアレ」 「……馬鹿なことばっか言ってないでとっとと食べちゃいなさいよ」 などといつものようにあしらわれつつ、のんびりと食事タイム。 ちなみにエプロンはもう外してしまった。残念。 「……ほら、口開けなさい」 「あーん」 なんだかんだ言いながらもやってくれるパチェ。さすが、話が分かるね。 「うむ、やっぱり普通に食べるより美味い気がする」 これぞ病人の特権。ビバ風邪引き。 「そんなわけないでしょ。さ、とっとと食べちゃいなさい。薬も用意してあるんだから」 「あーい。って、薬か……苦いの?」 「子供みたいなこと言うわね。これは私が調合したもの。だから苦さと効果は保証するわ」 「苦さは保証しないでくれていいんだけどなぁ……大人でも子供でも苦いものは苦いし。我慢できるかどうかだけの違いだろ?」 余談ながら、俺は注射も嫌いである。大人の現実ってそんなものだと思う。 「苦さと効果が比例するとは言わないけれど、効果を求めればある程度苦くなってしまうものよ。我慢しなさい」 「はいはい、分かってますよー……っと、ご馳走様」 「お粗末様。治ったらちゃんと咲夜にお礼言っておくのね」 「分かってるよ。それじゃ、あとは薬かな」 「少し待ってて。水取ってくるから」 はい、と渡された薬包を手に、静かに眼を閉じて覚悟を決める。 「……何大げさに悲壮感を演出してるのよ」 「や、雰囲気って大事だよな、と思って」 気を取り直して、コップを受け取る。 薬包紙を開いて、粉薬を一思いに口の中へ。間髪いれずに水で一気に流し込む。 「おぉ、さすが、豪快ね」 飲み干したコップを置いて、しばし瞑目。 「……覚悟、していたよりは、苦く、なかった」 「負け惜しみね」 文字通り苦い顔の俺を見てニヤニヤしてるパチェは意地悪だと思う。 「うるせぃ。あーくそ、これは確かに効きそうだ。よく効くだろうな。そういう味がする」 そうであってくれないと報われない。 「保証するわよ。さ、片付けはやっておくから、あなたは横になってなさい。薬が効いてくれば眠くなると思うから」 「あいよー。悪いけど、頼むな」 「気にしなくていいわよ。任せておいて」 食器を魔法で浮かべて運んでいくパチェを見送って、布団に潜り込む。 エプロンは台所に置いてきたらしく、あの姿のパチェをまた見られなかったのがちょっとだけ残念だった。 薄っすらと目を開けると、ランプの柔らかな光が、薄暗い部屋を照らしている。 「あら、目が覚めた?」 俺の隣で、炬燵に入って本を読んでいたパチェが、俺の目覚めに気付いて、栞を挟んで本を閉じる。 「あー……そっか、来てくれてたんだよな。ごめん、眠っちゃってた」 「謝らなくてもいいわ。気分はどう?」 「んー、結構楽になってきたのかな。どっちかというと眠気が強いかも」 「それはよかった。どれ、熱は……」 パチェのひんやりとした掌が、俺の額に当てられる。 「……まだ少し、ってところかしら。それでもこの調子なら明日には治りそうね」 「そっか、ありがとな。薬が効いたみたいだ」 「どういたしまして。眠いのなら、無理しないで眠っていいから」 そう言って柔らかく微笑む。そして、はたと思い出したように質問。 「あ、そうだ。今日はここに泊まって看ていくけれど、来客用の布団とかある?」 「あー、ごめん、無いんだ。想定の範囲外でした」 「やっぱり。この部屋見た時点でそうじゃないかと思った」 軽く溜息をつくパチェ。 「まぁいいわ。一緒に入れてもらうことにするけど、伝染さないでね……あと、あなたは病人なんだから、手出しも駄目」 「……それはなかなか残酷だと思うな」 「そもそも起きている余裕もないと思うけれどね」 その通りでした。実際かなり眠気が強い。 「さて、そろそろ寝ましょう。私も今日はもう寝るから」 言って、ランプの明かりを落とす。 「最後に、ちょっとだけ。目を閉じて」 とりあえず言われた通り、目を閉じる。 「ん、何か?」 「おまじない」 小さく囁く声と、直後、柔らかな感触、そして、ほんのり伝わる温かさ。 「ぅん……、ちょっとだけ、私の魔力を分けてあげる。自然治癒の助けにくらいはなるはず」 目を開くと、すぐそばにパチェの照れ笑い。 「目が覚める頃には、きっと治ってる。また明日、ね」 そう言って、俺の横に潜り込む。 「ん、ありがと、パチェ」 「どういたしまして。それじゃ、おやすみなさい」 「うん、おやすみ」 囁いて、なんとなく、手を握る。ちょっとだけ驚いたような気配。 「これくらいならいいだろ?……そういえば」 「……何?」 「や、うちの鍵、使ってくれたの初めてだなぁ、って思って」 「……忘れててもいいのに。意識すると恥ずかしいのよ、結構」 少しだけ強く、握り返す掌。 「また使う機会もあるでしょ、そのうち、きっと」 「そうだな……でも、嬉しかった。それだけ言いたくて」 「……うん」 取り留めの無い会話が、なんだか温かい。こういうのが幸せってやつなのだろうか。 ほとんど八割方夢の中に足を突っ込んで、ぼんやりと考えてみる。 明日は、今日のお礼に何か美味いものでも作って、パチェにご馳走してやろう。それから二人で…… 新ろだ286 ─────────────────────────────────────────────────────────── ゆっくりと一文字一文字を大切に読んでいく。ページが進むたびに『知識』として自らに吸収されていく喜びを 感じ、更なる知を求めてページを進める。しかし焦らずゆっくりと……その意味を噛みしめて進める。時折瞳を 閉じて、思考する。その言葉に秘められた思いや意味を。そしてそれを自分なりの解釈をしてから瞳を開けてま た読み始めていく。 静かに時が流れる。外からの音が届かぬ地下。そこに位置する図書館であるから当然だ。ゆえに邪魔するものなどなにもなく、集中して読書に励むことができるというものだ。 「まぁ、そんなセリフは、テーブルに足投げ出した上、その足を組み、読んでいる本が絵本じゃなかったらなか かな様になっていたでしょうね」 「・ ・ ・ 。無粋だなパチュリー。人がせっかく感慨に浸っているというのに」 「何が感慨よ……もっと別の物に浸りなさいな」 横やりを入れたのはこの大図書館の主であるパチュリー・ノーレッジ。能力は『火+水+木+金+土+日+月を操る程度の能力』 俺との関係は恋仲。別に紆余曲折は経ていない。ここに通って会話して、いつの間にか好きになって……って感じ。単純故に、その絆は深い。 理由?俺が彼女とそうなってからかれこれ数百年が経っているからだろ。つまり俺はもう普通の人間ではない。 れっきとした『魔法使い』だ。人間頑張ればなんとでもなるというのを、改めて実感したのはいい思い出であったりする。 まぁ、なんだかんだで紅魔館住人たちとも仲はいいし、楽しく暮らしているからなんでもいいがね。 「つーか……別のものって……例えば?」 「自分で考えなさいな。私は本で忙しいの」 だったら話しかけなきゃいいってのは野暮なこと。互いにそれは分かってる。何を要求されているのかも。 「だったらパチュリーに浸って溺れるとしますか」 そう言って後ろから抱き締める。パチュリーも栞を挟んで微笑む。見つめ合ったのち、唇が重なり合ったそして そのまま------------- -----隙間送りになりました。文句は日本の法律に言って下さい----- 追伸。第七ラウンドパチュリーダウンによるTKO ここまでくると後処理が大変とメイド長がぼやいていたのは内緒話 新ろだ416 ───────────────────────────────────────────────────────────
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あー、パチュリーに言われてお届け物だ。 中身はクッキーだったかな。 「本に書いてある通りに作ってみた。甘い方がいいだろうから砂糖は大目よ」 だとさ。横で作るの見てたんだが、一掴みくらい入れてたか、砂糖。 まあ、いいだろ? 恋は甘い方がいいに決まってる。お菓子だってそれさ。 受け取ってくれよ 9スレ目 269 ─────────────────────────────────────────────────────────── 霧に煙る朝の湖。 こんな日くらい、湖岸の散歩を楽しんでも良いじゃないか。 そう自分に言い聞かせる。 単にパチェに貰った飛翔の呪符の更新を怠って、 他に手段が無いという切実な現実はあえて忘れよう。 借りている薄めの一冊の本の他、大した荷物もないし、 それにもう間もなく着くはずだ。彼女の住む館へ。 「あ、○○さん。おはようございます。珍しいですね、歩いてこられるなんて。」 「おはようございます。美鈴さん。朝から大変ですね。」 紅魔館の門番、紅美鈴さん。始めてきた時に、パチェが図書館を始めたという話を 聞いてなかったらしく、通す通さないで散々揉めたのを思い出す。 そういえば、図書館を始めたという話は誰に聞いたんだったか……。 解決しない思考を振り払って館に入ろうとすると、 「あ、ちょっと待ってください。」 呼び止められた。 近くに来て真面目な表情でじっと見つめられる。 「んー、やっぱりいよいよですか。頑張ってくださいね。」 にやり、と笑って門へと戻っていく。 良く解らない人だ。悪い人ではないのだが。 大図書館の大きな扉の前。そこで意外な人が待っていた。 紅魔館の主レミリア・スカーレット嬢、朝方とはいえ、 日が出てる間に活動してるのを見るのは稀だ。 「まったく、なんでこんな奴が……。」 小声でそう呟くのを聞いた時、突然思い出した。 パチェが図書館を始めたのを伝えにきたのはこの人だった。 そのときも「まったくなんでこんな奴が……」と呟き、そして手書きの チラシを1枚渡して帰って行ったんだ。 「あの……。」 なんと言おうか考えてるうちにレミリア嬢はふい、とそっぽを向いて霧になって消えた。 何が言いたかったんだろう。微かに苛立ちを覚えないではないが、相手が悪すぎる。 大図書館、いつもの場所でパチェは本を読んでいた。 とりあえず、本を返し、新しく一冊の本を借り、 本を読むパチェの隣で読み終わるのを待つ。 パタンと本を閉じ、次の本を取ろうとするパチェの手を掴み、 意を決し今日来た一番の目的を告げる。 「パチェ……。」 振り返るその顔を正面から見つめ、言う。 「パチェのことが好きだ。」 しかし、パチェはスッと目を細め、そして何事も無かったかのように 本を手に取り読み始める。 色々な反応を予想してはいたが、これはまったく予想外の展開だ。 「えっと……「それで。」 言いかけたのを遮ってパチェが言う。 「○○は、それでどうしたいの?」 本から顔を上げずに続ける。 「人が人に好きだというのは大きく分けて二つの意味があるわね。 一つは相手への揺さぶり。その発言によって相手に動揺をもたらし、 釣り橋効果で自分への好意を引き出そうとする利己的な物。 もう一つは宣言。自分は相手が好きだと宣言した以上、相手に対する行為は その宣言のもとに許されるという傲慢。いずれにしても美しい物ではないわ。 大体、あなたは人間、私は魔女。魔女の存在は人の隣にありながら常に妖怪を指向する。 けして交わる事の無い平行線。死する運命を持つ物に永遠は理解できない。」 早口で言い、そして更に続けようとするパチェを制して言う。 「解った。ごめん。」 それだけ言い残し、大図書館を去る。 深夜、パチュリーは紅魔館の主のもとを一人、訪れる。 「レミィ、私……。」 「それ以上言う必要は無いわ。」 夜の王は言い放つ。 「何が起きたのかも何を思っているのかもこれからどうなるのかも、 すべて知っているけど私の言うべき事は一つね。 貴女が思い感じたとおりに行動しなさい。運命は人の意思が作るべきもの。」 「うん…………。」 パチュリーの去った部屋でレミリアは一人呟く。 「まったく、なんで私が恋愛相談なんかに……。」 「嫉妬ですか?」 咲夜の声が答える。 「貴女、何時からそこに居たのよ。」 「最初から控えておりました。」 「まぁいいわ。それにしても私なんて500年も生きているのに、 パチェはまだ100年かそこらのひよっ子じゃない。なんか悔しいわね。」 「あら、この場合年は関係ないかと思います。それに……。」 「それに何よ。」 苛立った声でレミリアは問いただす。 「レミリア様には私が居ますわ。永遠に。そういう運命ですもの。」 「咲夜、運命という言葉を軽々しく使うのは」 「人の意思の作るもの、そうでございましょう?」 「ふん」 馬鹿にしたように、しかし何処か嬉しそうにレミリアは笑った。 翌日、昨日借りた本を結局持ってきてしまったことに気付く。 気は進まないが、返さないわけには行かないだろう……。 義務感から紅魔館を訪れるが、門番の姿はおろか妖精メイド一人すら見かけない。 多少不気味ではあるが、しかし誰にも顔をあわせずに済むなら寧ろその方が好都合か。 そっと図書館に本を返し、帰ろうとしたその時、 「○○っ。」 パチェの声がしたように思った。おそらく幻聴だろう。 まったく未練がましい自分が嫌になる。 振り返るのも癪なのでそのまま帰ろうとしたら、今度は袖を掴まれた。 「待って、○○。」 必死の形相で引き止めるパチェを胡乱げに見つめる。 「あの……私○○に酷い事を。あの時私、嬉しくて、恥ずかしくて、どんなキモチで ○○が言ってくれたのか解ってたのに、私……卑怯だ。もう、○○はこんな私のこと 嫌いかもしれないけど、それでもこれだけは言わせて。私、○○の事が好きだった。 ずっと前から好きだったの。」 そう言うパチェの肩に手を置いて、答える。 「―――――――――――」 一羽の蝙蝠が、音も無くその場を離れていった。 9スレ目 442-443 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「・・・」 「・・・」 2人きりの空間に2人がページをめくる音だけが響く。 「・・・」 「○○。 本取って来て頂戴。 ××の棚の△△っていうタイトルの」 「分かった。 ちょっと待ってろ」 奥に本を取りに行く。 「これで良いんだよな?」 「ありがとう」 再び2人、それぞれの本のページをめくる。 「失礼します」 咲夜さんが入ってくる。 「パチュリー様、お茶を御持ちしました」 「悪いわね」 「咲夜さん、お疲れ様です」 咲夜さんが退室した後、お茶を飲みながら、再び静かに時が過ぎて行く。 紅茶に落とした角砂糖が溶けるように、ゆっくり、ゆっくりとした、 それでいて甘い時を過ごす。 2人に言葉は必要ない。 お互いにそこにいるだけで良い。 今日も紅魔館の一室に、甘く静かな時が流れる。 9スレ目 490 ─────────────────────────────────────────────────────────── 最近心が不安定になっている 本を読んでも内容が入ってこないし 魔導書を書こうと思っても思うように書けない 理由は分かってる 彼と……○○と出会ってから私は不安定になってきている 最初に会ったのは魔理沙が何時もの様に 本を借りると言う名の強奪をしに来た時だ なんでも外の世界から来た魔法使いだそうで 魔理沙の話を聞いてここに興味を持ったらしい まるで子供のような顔をしてきょろきょろと図書館を見るその姿を見て 呆れるよりも何故か微笑ましく思った 思えば一目ぼれだったのかもしれない だから今は言えないけど近い将来私は必ず貴方に伝えるわ 「○○、私は貴方のことを愛している」って 9スレ目 561 ─────────────────────────────────────────────────────────── 最近、○○が他の女と一緒にいる時の事ばかりが頭に浮かんでは消えていく。 「お嬢様はいつも御綺麗ですね」 何故? 「咲夜さん、今日もお疲れ様です」 そんな事を言うの? 「よお中国。 頑張ってるな。 差し入れ持ってきたけど食うか?」 どうして? 「小悪魔も少し休憩したらどうだ? 仕事は俺が代わりにやっとくから」 私以外の女を気にかけるの? 優しくするの? 褒めるの? 小さな嫉妬がやがて、大きな強迫観念となって私に襲い掛かってくる。 ○○とほんの少しでも関わった女達が私の頭の中で融合し、1人の女になって私から○○を奪おうとする。 彼の心を私から離れさせようとする。 だから…… 私は…… 「どうして他の女を褒めたり、他の女に優しくしたりするの?」 パチュリーが無表情、冷たい視線で訊ねてくる。 まるで研ぎ澄ませた刃物のように、鋭い口調で俺の心に切りかかってくる。 「俺は別に……普通にしてるつもりだが」 「○○はいつもそうよね。 今までに私を褒めてくれた事があった? 私に優しくしてくれた事があった?」 当然褒めてもいるし優しくもしている。 でも、今は何を言っても無駄な気がした。 冷静に問い詰めているようでも、パチュリーは正気を失っている。 直感的にそう思った。 「この前魔理沙とアリスが来た時だって……2人と凄く楽しそうに話してた。 私と一緒にいてあんなに楽しそうにしてる事なんて無かったわ」 その言葉に、さすがに我慢できずに反論する。 「そんなこと無――」 だが、反論は言い切る前に遮られた。 「どうして私だけを見てくれないの!?」 パチュリーが珍しく声を荒げる。 「どうしたんだよいったい? 少し落ち着け。 今日のパチュリー変だぞ?」 「変?…そうよ!! ○○のせいで私は変わった!! 全部○○のせいよ!!」 声を荒げているというより、それはもう怒声だった。 喘息持ちで辛いだろうに、かすれた声で休みなく続ける。 「もうここで1人だけで本を読み続けるのは嫌なの!! ○○がいつも傍にいてくれなきゃ駄目なのよ!!」 溜め込んだ感情を吐露するパチュリーに、俺は罪悪感のようなものを感じ始めていた。 自分がもっと彼女を理解できていれば……。 彼女がどう思っているのか考えていれば……。 ズキリと胸が痛んだ。 「私はもう○○の物なのに……どうして○○は私の物になってくれないの……」 怒りは既に無くなり、怒声が嗚咽と懇願に変わっていた。 今、目の前にいるのは膨大な知識を持った魔女なんかじゃなくて、嫉妬と強迫観念に駆られ、ただ泣く事しかできない1人の女の子だった。 俯いて涙を流す彼女に、俺も自分の思いを言葉にする。 「俺は……お前を愛してる。 俺は好きだとか愛してるとか、そういうことはパチュリーにしか言わない。 解るよな?」 彼女は泣きながら俺の言葉に耳を傾けた。 「俺ももうパチュリーの物なんだから、下らない事で嫉妬なんかするなよ。 ずっと傍にいるから」 次の瞬間、突然パチュリーが抱きついてくる。 その体は驚くほど細くて、軽くて、俺は優しく抱き返した。 「もっと強く」 「?」 「もっと、壊れそうなぐらい強く抱いて頂戴」 「でも――」 「良いから、○○になら壊されても良いから。 お願い」 絶対に離さないという意思を示すように、彼女の華奢な体を強く抱きしめる。 パチュリーもそれに答えるように俺を抱き返してきた。 「○○……」 「ごめんなさい」 「へ?」 何を言ってるんだろう? 「やっぱり私、これだけじゃ満足できない。 だから……」 パチュリーが流麗に、俺が今まで聞いた事も無い言語で何かを唱える。 どんな詩よりも叙情的に、どんな歌よりも美しく詠みあげていく。 同時に、俺の体を紋様が走った。 それは苦痛と快楽が綯い交ぜになったようで、酷く嫌な感覚だった。 肉体から自分の意思が、力が抜けていくような……眠りにつく寸前のような心地良い感覚。 それでいて頭だけ起きているような、不気味な感覚に支配されていく。 どれだけ抗おうとしても眠りについた肉体は俺の意思を受け付けない。 腕の中にいるパチュリーの匂いも、感触も、徐々に遠ざかって行く。 「ごめんなさい」 そう聞こえたのを最後に、俺の世界が閉ざされていった。 そこはパチュリーしかいない世界。 でも、姿は見えるし声も聞こえるのに、自分から触れる事は出来ない世界。 2人だけの歪んだ楽園……。 一週間後の魔法図書館。 はて? あの青年は何処へ行ったのだろう? 「パチュリー様、○○さんはどうしたんですか? 最近見ませんけど」 「○○には別の仕事を任せてあるから当分は帰ってこないと思うわ」 「えっと……そうなんですか」 別の仕事とは何だろう? ここでの仕事といったら本の整理ぐらいしかない筈だが……。 まあ2人は恋人同士だし色々あるのだろう。 訝りながらも私は主を信じて仕事に戻った。 同日。 魔法図書館、隠し部屋。 「ごめんなさい。 ちょっと読書に夢中になって今日は来るのが遅れちゃったわ」 うなだれて椅子に腰掛けていた青年が顔を上げて微笑みかける。 彼は私の声だけ聞いてくれる。 彼は私だけのために笑ってくれる。 彼は私だけを見てくれる。 そう、私だけ……。 一見するとただの洗脳のようでも、ちゃんと自我は残っている。 心も、体も、私のものになっただけ。 「今日は何をしましょうか?」 訊ねても、微笑むだけで彼は何も答えない。 仕方がないので隣に座り本を開く。 解っている。 ○○は壊れていくのだろう。 いずれ自我も崩壊して、本当に壊れてしまうのだろう。 でも、それでも良い。 何故なら、これで○○は私だけのものになったのだから。 そう考えると、彼が壊れていくのも嬉しい。 私はそっと、○○にキスをした。 動きたくても体は自由に動かない。 言いたい事は山ほどあるのに口も開かない。 見ている事しかできない。 パチュリーが俺のせいでどんどん壊れていく。 それがとても悲しかった。 だが、同時にそれが嬉しくもあった。 自分がそれほどまでに彼女に愛されているのだと実感できたから。 そう考えると、彼女が壊れていくのが嬉しかった。 いつか渡そう。 そう思って、肌身離さずシャツの胸ポケットに入れて持ち歩いていた安物の指環の軽い感触も、とっくに消えていた。 間違っているのは解っている。 けれど、もうどうでも良いような気がする。 愛し合っていることに変わりは無いのだから。 ○○が パチュリーが 壊れていく。 それは見ていて、愉快だった。 だけど、楽園の終わりはすぐそこまできていると、この館の主が紅茶を飲み干して笑っていたことを、 俺は 私は まだ知らない。 10スレ目 96 ─────────────────────────────────────────────────────────── 紅魔館の大図書館に住む魔女、パチュリー・ノーレッジ 彼女の仕事に最近、幻想郷の出版物の検閲が追加された。 何故かって? 本人が言うには蔵書に閻魔帳が欲しかったから、だそうな。 そんなわけで紅魔館には一足早く新聞が届く。 「そうか、明日は快晴なのか……。」 隣で楽しそうに閻魔帳をめくるパチェに話を振る。 「せっかくいい天気なんだし、たまには外に出かけてみないか?」 「…………?」 そんなに変な物でも見るようなジト目で見なくてもいいじゃないか。 「晴天は外出の誘引にはならないわ。レミィやフランのような特殊体質なら 雨の日は外に出たくないという意味で曇りを避けるかも知れないけれど、 寧ろ私は肌や髪が荒れるから曇天の方が外出日和ね。」 そういえば前にそんな事言ってた気もするな。 「そうか……解った。図書館だと何時も小悪魔が居るしたまには二人で、と思ったんだが。」 そう言って新聞を戻そうと立ち上がったら、 「あ……。」 袖を掴まれた。 「やっぱり行く。晴れの日はハレの日だから外出日和だ、って本に書いてあったし。」 あっさり前言を翻すとは魔女失格じゃないのか? 「肌や髪が荒れるんじゃなかったのか?」 「いい、魔法で何とかする。」 まあ、本人がそう言っているんだから大丈夫なのだろう。 何はともあれ明日が楽しみだ。 翌朝、予報通り突き抜けるような快晴。 「パチュリー様、無理をなさっては……」 「くどいわ。使い魔なら使い魔らしく主に従いなさい。」 珍しく二人が口論をしている? 「おはよう。」 「あ……おはよう、○○。」 この様子は……昨晩全く寝てないのか? 「○○さんからも言って下さい。こんな状態で外出なんて無茶です。」 小悪魔の言ってる事は正しい気もするが。 「規定値以上の陽光を遮る魔法もかけたし、大丈夫よ。さあ、早く…………」 「パチュリー様! 」 相当無理してたんだろうな……さて、どうしたものか。 「パチュリー様は夜を徹して魔道書の執筆をなさっていて…」 「ん、どんな内容? 」 「耐火、耐水、耐衝撃、耐魔法、耐巫術、耐人形操術……の結界を張る魔法です。」 そりゃまた豪勢な。 「せっかくだし、行くか。」 「パチュリー様はどうするんですか。」 「背負っていく。後、その魔道書も……」 「これをもって行かれるのですか? 」 怪訝そうな顔で小悪魔が取り出した本は優に10000ページはありそうな…… 「圧縮してる時間が無いからと一気に書き上げられてました。」 これを持って行くのはちょっと、辛いかもな。 「私が持って行きます。大丈夫、お邪魔はしませんから。」 そんなわけで、今パチェを背負って山登り(丘登り?)をしている。 規則的な寝息を立てて丸くなってるパチェは以外にも暖かいし、柔らかい。 空は今も変わらず快晴。天高く馬肥ゆる秋、だね。 ふっ、と息を吐いて丘の頂を仰ぎ見る。 小悪魔の話では丘の上に魔道書と飲み物、そしてお弁当が置いてあるそうだ。 道中にも飲み物を置いてもらうべきだったかと少し考えるが、 やはり楽しみは頂上まで取っておくべきだろう。 「ん……」 背中のパチェから小声が漏れる。どうやら目を覚ましたらしい。 「あ……」 降ろしてくれと言うように体を捩る。 そっと降ろして、そして振り返る。 「○○……大変だったでしょ、ごめんね。」 「せっかく誘っいに応じてくれたんだからな……。これくらい大したこと無い。」 「そう……」 呟いて空を仰ぐ。 「……空凄いね。」 「そうだな。」 「風、気持ちいいね。」 「そうだな。」 「二人っきりだね。」 「ああ。」 はにかみながら目を閉じるパチェ。 そっと、その肩を抱いて唇を寄せて…… 10スレ目 107 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「おいパチュリー、この本借りるぞ」 「ええ・・・」 紅魔館の図書館、俺は主に魔法関連の本をあさっていた パチュリーは紅茶をちびちびと飲みながら本を読んでいる 俺の分の紅茶はとうに冷めていた、冷めても飲めればいいしな 「ねぇ○○・・・」 「ん?どうした?」 本を読みながら目を合わせずに、パチュリーが話しかけてきた 図書館でパチュリーから話しかけてくるのは非常に、珍しい 「明日なんだけど・・・何か予定はあるかしら?」 「明日?・・・・・・悪い、アリスと実験する約束が・・・」 「そ、そう・・・アリスによろしく伝えといてね」 「ああ・・・何かあったか?」 彼女がなぜか、悲しそうに見えたから 「いいえ、気にしないで」 それから会話はなく、俺は借りた本をもって家路を歩いた ~翌日~ 「・・・ちょっと!」 「うぇ!?あ、ああ悪い」 俺は約束通りアリスと実験をしている 「全然集中できてないじゃない!怪我するわよ!」 そうなのだ、前々集中できていない、なぜか寂しそうな彼女の顔が、頭をよぎるのだ 「・・・今日は終わりにしましょう」 「え?いや・・・まだ昼前だぜ?」 「実験は後回しに出来るけどね、ヒトの心は後回しには出来ないのよ」 「え?あ、ああ?」 「何か大切な事があるんじゃないの?今しなきゃいけない事があるんじゃないの?」 「アリス・・・ありがとな!」 それじゃあ、と手を振って彼は走っていってしまった 彼が持って来た実験道具やら本やら、いろんな物を忘れていった 「・・・はぁ、何でいつもこうなんだろう・・・ねぇ上海?」 「パァァァチュゥゥゥウリィィィィィイ!!!げふげふ」 むせながら図書館へ、重いドアを開け放ち、彼女のもとへ 「○○!?え?え?」 「ようパチュリー、待たせたな」 驚き戸惑っているパチュリー、そりゃあそうだ 「え?今日はアリスの」 「今日は切り上げてきた、パチュリーが・・・気になったから」 「あ・・・」 赤くなって俯くパチュリー、まるで少女のように、初心な感じで・・・少女パチュリー略してパチュ子 「それで・・・なんか用が有ったんだろ?ほれほれ、遠慮せずに言ってみろ」 すこし、間をおいて、彼女は言った 「あ、貴方と一緒にいたいな、と思っただけだから・・・きにしない「パチュリー!」 俺はか細い両肩を掴んで、彼女をこちらに振り向かせた 「な、なに?」 「・・・そういうことを言うと・・・勘違いしちまうぜ?・・・勘違いしていいなら、目閉じて」 半分冗談ぐらいで言ったつもりなんだが、パチュリーはゆっくりと目を閉じた、ちょっと上向いて、唇を・・・ 「あー・・・うん、えっと・・・」 とりあえずキスはまだ早い、キスは結婚してからだ、うん とりあえず優しく抱きしめた、やっぱりすごく、細い 「・・・でも抱き心地いいな」 癖になりそうだ 「・・・き、キス、は?」 「んーまた今度な、まぁゆっくり、な?」 ゆっくりゆっくり歩いていけばいい、走る必要は無いのだから そーして最後にキッスでしめるのさー そうだな、帰り際にキスしようか、驚く彼女が目に浮かぶようだ 何かワクワクしてきたぞ! ~終~ 10スレ目 204 ─────────────────────────────────────────────────────────── パ「この本を読んでほしいのよ」 俺「え?俺にですか?」 パ「そう」 渡されたのは一冊の絵本。 俺「…では後で読んでおきます」 パ「違うわ、いま私に読んでほしいのよ」 俺「え?」 パ「いやなの?」 俺「と、とんでもないです!」 パ「お願いね」 パチュリー様の顔からはなにも窺えない、とりあえず椅子に座り本を開く。 俺「では…」 パ「それでは見えないわ」 そう言うとパチュリー様は俺の身体と本のあいだに割り込むように ももの上にちょこんと腰を掛けた。 俺「ち、近いです…」 パ「読んで」 俺「…はい。むかしむかし、あるところのオーロラの先にたくさんの雪だるまが」 逆らえない雰囲気に押され、絵本を読み進める。 俺「さようならなの…だッ!?」 突然パチュリー様が背中に腕を回し、服をきゅっと掴んだ。 そして俺の胸に顔をうずめるようにゆっくりと抱きついた。 俺「あああ、あの…」 パ「…」 俺「…」 パ「…どきどきしているのね」 俺「…はい」 パ「…そう」 下目に少しだけ嬉しそうな顔が見えた。 そのとき遠くから足音が近づいて来るのが聞こえ凍りつく。 俺「パチュリー様!だ、誰か来ましたよ!?離れてください!」 パ「…」 小「パチュリー様ぁ~、なにかお飲みモノッ…!?」 俺「…は、はは」 小「…」 パ「…」 微動だにしないパチュリー様、しがみついたまま… 小悪魔さんは無言でふらふらと立ち去って行く、完全に目が死んでいた。 俺「見られましたね…」 パ「それより」 俺「はい?」 パ「『様』はやめてほしいわ」 俺「そういうわけには」 パ「パチェと」 俺「レミリア様に怒られてしまいます…」 パ「早く」 俺「…パ、パチェ」 パ「聞こえないわ」 俺「パチェ」 パ「そう」 俺「…」 パ「…」 また力強くきゅっと抱きつかれる。 俺「…あ、本の続き読みますね」 パ「いいわ」 俺「そ、そうですか?」 パ「まだ、どきどきしているのね」 俺「うっ、ひきょうですよ…」 パ「そうね」 俺「…」 パ「…なら、あなたも確かめてみて」 俺「え!?」 パ「早く」 俺「…」 パ「早く」 俺「は、はい」 , , ! \ \ , _,,.. -‐ "´ ̄`" ト、.,_. ,,--,┐ \ ヽ / \ \\ r-、 ァ ´ _ト、.,__ノ ノ `ヽ,ヘ, // / ! < ∠______ ノヾ、rァ __,ゝ‐i"`y __]` ー、 / ` t,// / ! / / \\ ` (__!r-‐i__」-‐ "´,i ` ー、」ー-ヘ、イ "´.! ||||| / \ (___ \ r‐ァ ´]-‐ / ! ハ /!ィ i ` ー 、/ゝ | ||||| ;t 、 ミ _______ ` 、 ヽ7´ ! !/!メ、!」 レ-rァ iT7 iヽ」`i´! !!!」 ノ ! i / ´ i´ヽ. | .! ! !-rァ T 、,_,ノ !__トr┘i r 、` ´ ; \ 、,_____ (`ヽ;、 `ヽr、. └‐ `ゞ、ハ. 、_ノ ⊂⊃ ! ;./ ; ゝ.,二二7i < ,.-`ヽ i_,!`ヽ、 /| !⊃ r‐-、 /! ! ヽ._」 / ! / ー┼- `ー‐ァ (´__,ノ! | `7! .i >,、.,__ --‐ ,..イ! i ̄´ノ! | / ー┼- ーri´ヽ_/7 〈 V7「ヽ7i ̄´ ノ ! .、 、 、 ; \ r-iー、 --─ ! | // r-、,ゝ、!__j ; トー i i , `ヽ.、 / \ `ー 、ゝ ン___,,...->ア`ー- 、 , i | i i | ヽ. ヽソ` ー--‐ / --─ァ ヽヽ  ̄ く ./___」_ ;/ ! | ! ! ! i ,ゝ-‐ ンヽ. く / rソ´`ヽ、` ァー-‐ ,.イ/ , , ! , く_」`7´ハ 〉 、___ _r ー--‐ "´ / ; i i ,ハ ヽ !_/ヽ!__L/ く i // -イ /! ; / ム \ \. ├‐ rン_,,.. - / / ; !レ ´ i `ヽ. < r-iー、 `ト、 ! 〈 i ; / ,ハ ヽ. r、 / `ー ノ.ノ __ ノ i V / / /! ., _r ヘ / l 7 l 7 i_| V / ハ./ ; i i 、 }><{ ン´/!/ \ |/ .|/ ヽヽ ∧ / ; i , ヽ、 i r "ン / / o o パ「ひとつ約束してほしいわ」 俺「はい」 パ「毎日わたしに会いに来なさい」 俺「はい」 パ「それとずっと私のそばにいなさい」 俺「はい」 パ「毎日好きだと言いなさい」 俺「はい」 パ「それと絶対に私に逆らってはダメよ」 俺「…はい」 パ「あとは…えーと」 俺「あの、全然一つじゃないんですけど…」 パ「ふふ、そうね」 彼女はとても満足そうに笑った。 11スレ目 463 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「パチュリー様?大丈夫ですか?」 ひゅうひゅうという音、顔色も悪い 「・・・発作が出ておられるようですね・・・白湯をお持ちします」 「だい、じょうぶ・・・すぐ治まるから」 とても大丈夫そうには見えない とりあえず埃の多い図書館よりも部屋の方がよかろう そう判断した俺はとりあえずパチュリー様を移動させる事に 「・・・失礼しますよ」 「えっ!?ちょ、ちょっと」 「大人しくしていてください、発作が悪化します」 「・・・」 俺はパチュリー様を抱えて(そこはもちろんお姫様抱っこで)パチュリー様の部屋へ向かった 「ベットに横になって・・・膝を立てて腹式呼吸を・・・そうです、すぐに白湯をお持ちしますので」 「あり、がと・・・永琳から貰った薬があ、るからすぐにおちつくか、ら」 棚から小瓶を取り出し小さな薄いオレンジ色の錠剤を取り出す しょうがないので白湯を取りに厨房まで行くことにした 「・・・まぁこれぐらいでいいだろ、あんまり熱くてもかなわんからな」 熱いポットとカップをお盆に載せて・・・後は何もなかったかな? 「また発作?」 「あ、メイド長」 はろーと軽く手を振られる、もう夜なんだが・・・ 「この季節になるとどうしても辛いみたいね・・・まぁ辛さはわかりようがないけど」 「・・・とても辛いと思いますよ、あのパチュリー様が弱気になるほどですから」 「へぇ・・・引き止めて悪かったわね、それじゃあ」 コツコツと足音が遠ざかっていった メイド長も心配してるんだな、わざわざこんなところまで 「パチュリー様?」 「○○、ありがと・・・だいぶ良いわ」 「そのようですね・・・今日は早めにお休みください、ここで油断すると悪化しますよ」 顔色もさっきと比べればまぁ良い、呼吸も今は落ち着いている 「・・・ねぇ○○、一緒に寝ましょう?」 「なななな、何をおっしゃてるんですか!?わ、私も一応男ですので・・・」 「○○は喘息の発作で苦しんでいる私相手に欲情できるような人じゃ無いでしょ?それぐらいは知ってるわ」 「いや、しかし・・・」 「夜中に発作が出たらどうするの?アナタの部屋までとてもじゃ無いけど行けないわ、大声も出せないでしょね」 「・・・」 「お願い、あなたがいると安心できるの・・・お願い○○」 「わ、わかりました・・・喜んで」 「ふふ・・・ありがと」 辛そうだが、とてもいい笑顔に見えた 結局ベット脇に毛布に包まって寝た、同じベットで寝るというパチュリー様の提案を却下して そしてその夜、発作が悪化したパチュリー様を抱えて永遠亭まで走ったのだが・・・それはまた別の話 end 10スレ目 400 ─────────────────────────────────────────────────────────── (軽く三日ほど、日の光を浴びてない…)○○はぅぅぅと微かな呻り声を上げながら内心で愚痴ってみるが、同じ図書館内にいる己の上司は取り合ってくれなかった。 いつも通り本を読んでいる。彼女の考えていることは分かりづらい、間抜けな呻り声を上げる自分を馬鹿にしているんだろうかなどと彼は考える。 考えて、上司の顔をじーっと睨んではみるのだけれど、やはり反応が返ることは 無い。 「どう考えても仕事、多過ぎじゃないですか?パチュリー様。」 今度は内心ではなく口にして○○は訴えてみる。 「…あなたにこなせる程度の量だけれど、具体的には小悪魔の半分ほど。」 言いたいことは先程の呻り声で十分伝わっている、と言わんばかりに一蹴された。 自分の前にある本の山とパチュリーの机とを見比べて、お互いの顔が辛うじて見える山がいくつも並んでいることにまた○○は呻る。 こうなっては、ここ最近顔を見れない程度に離れたところで仕事をしている小悪魔の控えめな気遣いが恋しくなって来る気がした。(最初のころは悪魔って聞いてとにかく怖かった、けど!) 一向に減らない整理しなければならない本、本、本。(仮眠する時だって、図書館を出てない!) 目を離すとまた増えている気がするパチュリーの机の本の山と戻さなければいけない読み終わった本。(気のせい?ホントに気のせい?!) (ずっと本とパチュリーしか見てない。ずっとパチュリーとしか会ってない。ずっとパチュリーの声しか聞いてない!) 悲鳴の様な心の叫びを上げて○○は図書館の入り口を見やる。 ここ一週間ほど役目を果たす機会のない扉に憂鬱な溜息をついてみたけれど、やはりというか案の定パチュリーは取り合わず、ページを滑らせる音だけが 響く。 (…寝よう。目が覚めたらせめて小悪魔と同じ仕事にかかれますように) ・ ・ ・ ・ 「そう、それじゃあその仕事も彼にまわすわ。 ……彼の仕事が多過ぎだって?良いのよ。少しくらい働きすぎでも、私が彼の顔をいつでも見れるのだから。」 11スレ目 670 ─────────────────────────────────────────────────────────── 本を読んでいたパチュリーが唐突に口を開いた。 「何かくれなきゃ悪戯するぞー」 「……」 「……」 唖然、とはこういう事を言うのだろう。 俺と小悪魔はかける言葉が見付からない。 黙り込む俺達に、パチュリーは真っ赤な顔で抗議する。 「何か言う事は無いの? 恥ずかしいじゃない」 なんか可愛い……。 パチュリーってこんな事もするんだ。 しかし、いくら今日がハロウィンで素で魔女だからってこれはどうなんだろう? 「可愛いな」 「可愛いですね」 「むしろ悪戯されたいな」 「されたいですね」 言ってにやつく俺と小悪魔に、パチュリーは更に顔を赤くして 「馬鹿! ○○と小悪魔なんてもう知らない!」 そう言って再び本に視線を戻した。 今日も図書館は平和だ。 10スレ目 438 ─────────────────────────────────────────────────────────── あなたとみる世界はとてもうつくしくて、あたたかくて、しろくて、とうといのだ。(そう、それはまるで、あなたのように。) 「おっしゃっ出来たぞー!パチェ、ちょ、来い!!」 「・・・はーい(声おおきいわねぇ)」 「遅せぇーぞ!早く来い!パチェ、はやく!」 「わかってるわよ、今行くからっ!」 きゃんきゃんと子犬のように(あんなに大きいのに、子犬。雪にはしゃいでいる、可愛らしい犬ね)大声を上げ続けている○○に叫び返したら、彼の動きが一瞬止まった。 が、すぐまたぶんぶんと腕を振り回しだす。 ・・・こんな寒いのに、元気なこと。 久しぶりの外は冬景色で、私はただ歩くだけで凍て付くような冷たい風に変わる外気に震えながら、首までずり落ちていたマフラーを引っ張って鼻先まで上げた。 まだ少し距離が遠くてきちんと表情は見えないけど、たぶん彼はにこにこ笑ってるんだろうと思う。 真っ黒のロングコートには、ところどころ雪がくっついている。 キラキラと光を放ちながら、さらさらと溶け出すそれは、私が前に○○にあげたマフラーくらいに真っ白だった。 編み物なんて知識はあってもした事はなかったから全然上手に出来なくて、自分で見ても歪だったから、つけなくてもいいと言ったのに。 つけないどころか、洗濯しないの?って聞いても絶対にマフラーを手放さない彼の姿をふと思い出して、少し苦笑した。 苦笑と言っても苦しいから笑ったわけじゃなくて、幸福だから漏れた笑い。 私は自分の笑った顔がそんなに気に入ってなかったけれど、この時の顔だけはなかなかいいんじゃないかと自惚れている。 だって、○○もこんな顔でよく笑っているのだ。 (幸福そうな、幸福そうな。私よりも、もっと綺麗で、純粋で、あたたかいけれど) 「なに、どうしたの」 「見せたいものがある」 「見せたいもの?」 「おう!」 ぜってぇ驚くぞ!!○○がけたけたと大声で笑う。 色白の頬は赤く染まっていて、真っ白な景色に柔らかく色をつける。 夏の激しさが嘘だったように、優しく降りそそぐ太陽の光を浴びた黒髪は、輝きを失うことなく揺れていた。 伸ばされた手は厚い手袋に包まれていて私の一番好きな手のひらとは少し違う様子だったけど、握ってしまえばいつもと変わりが無い。 大きくて、心地の良い温度。 絡めた指先は○○の手袋と私の手袋とに阻まれてごわごわしていたけど、いつもより強い力が加わっていたので悪くない、と思った。 葉を落とした茶色い木の枝に乗っかる冷たそうな塊。 歩くたびに響く、かき氷にスプーンを突っ込んだときみたいな、ざくざくという音を聞きながら、ふたり並んで歩く。 ○○は上機嫌に鼻歌を歌っていて、私はそれを黙って聞いた。 聞いたことないから、たぶん外の世界の歌だと思う。 今真面目に聞いて、覚えて。後で歌って驚かせてやろう。 そう思って内心ほくそ笑んでいたら、○○が唐突に「あ」と言った。 「どうかしたの?」 「あのな、・・・パチェ」 「何、○ま る、って最後まで言い切る前に、抱きしめられて押し倒された。(ええええええええ!?) ぼふんって音がして、雪が私たちの周りをもう一度舞った。 空を見上げたら青くて眩しくて、視界の端に貴方が見えた。 髪の毛を通り越して頭皮とか首周りとか、きちんと皮膚の部分に触れた雪は、私の体温で少しずつ溶けて水になる。 長いスカートから出ていた足の下の雪は直接当たって、冷たかった。 まだ熱を持っているのは、○○に握られたままの指先だけ。 倒れる前に微かに見えた、雪上に引かれた下手なラインは、確かに相合傘のかたちで。 (見せたかったものは、これか)(ああどうしよう、なんて、なんて。) 「なにするのよ○○」 「相合傘、作ったんだ。線引いて」 「だから?」 「俺とパチェがその上に乗ったら、完成するだろ。これ」 ぎゅうと手を握る力がもっと強くなる。 上半身だけ起こしてみたら、相合傘の形の上の私と○○。 どこの漫画よ、と思わず笑ってしまいそうな光景だけど、とろけそうな顔で微笑んでいる、○○の優しい視線に笑うことも出来なくなる。 うそ、こんなに嬉しいなんて。 どきどきと早く動きだす私の心臓は、私と同じくらい愚かだ。そして恋をしている。 頭にハートの形のついた、同じ傘の下にいる彼に。 服はじわりと水を吸ってきていたけど、もう気にならなかった。 「すげーだろ」 「うん すごい」 「驚いた?」 「ええ とっても」 「・・・ほんとにそう思ってんの?」 思ってるわよ。本当かよ。思ってるって。いやでもパチェ、 まだ何か言おうとする○○のマフラーを掴んで引っ張って、そのまま頬にキスをしたら、彼の頬は私の唇が冷たかったせいでない(と思うのは自惚れじゃない?)赤に染まる。 もうコートにくっついているどころか、乗っかってしまっている雪を掃ってやりながら、私は笑った。 そうそれは貴方と同じ幸福そうなあの笑顔。 赤い頬のまま笑いあう私たちは、つめたくてあたたかい雪の中で、本当に相合傘の一部になってしまったよう。 「パチェ」 「なに、○○」 「俺たちもうこれで永遠だと思わない?」 「相合傘に守られてるから?」 「・・・パチェがこんなに傍にいるから」 どこの漫画よ、笑う前に騒ぎ出す私の心臓をさらに騒がせるのは、頬だけにじゃない貴方のくちづけ。 12スレ目 356 うpろだ818 ─────────────────────────────────────────────────────────── ――それじゃ、また。 そう言って彼は帰っていった。あとに残されたのは静けさが支配する本の寝所。 気のせいか彼がいなくなったことで温度が少しだけ下がったような気がする。 だから、だろうか。 私は読んでいた本から顔をあげ、席を立った。そして、さっきまで彼が使っていた椅子に意味もなく座ってみる。 ……あったかい。 あ、やっぱりダメだ。頬がにやけてしまうのが押さえられない。こんなところ誰かに見られでもしたら余裕で死ねる。死因はきっと喘息の発作。 ほんとうに、私はいつからこんなになってしまったのだろう。魔女である私が、たかだか人間ひとりの事でこんなにも心を揺さぶられるなんて。 彼こと○○との出会いに特筆すべきことは何も無い。 命を救われたとか、殺されかかったとか。そんなことは一切無い、ごくごくありふれた出会いだった。 ……まああれを“ありふれた”で片付けてしまう自分の思考にすこしばかり危機感を覚えるのだけれど。 ○○は魔理沙に連れられてやってきた。例によって例のごとく魔道書を強奪しにこの図書館に来たときに。 魔理沙は「私はここらで一番大きい図書館を紹介しにきただけだぜ」と言っていたが結局何冊か持って帰ったのだから同じことだ。 もってかないでって言ってるのに、もう。 と、それで○○のことだけど。 魔理沙曰く、○○は“外”の人間らしい。服装からしてなんとなくそんな気はしていたのでさほど驚くことではなかったが、自分の目で外の人間を見たのはこれが初めてだったので少しだけ興味は湧いた。 彼は幻想郷に迷い込んだものの、こちらの世界が気に入ったらしくこっちで永住することに決めてしまったらしい。 ○○自身のことは魔理沙も詳しくは知らないそうだが、その事で話をしにいった先の霊夢も「まあ、それならそれでいいんじゃない」とあっさりOKを出してしまい、今では神社近くの里で暮らしているらしい。 こうしてめでたく幻想郷の住人と化した○○だが、しばらくして魔理沙に「どっか図書館とかないのか? 最近暇なんだ」と漏らしたらしい。 ……あとはもう想像に難くない。 実験の手伝いとその期間の食事の世話という対価を要求した魔理沙が、○○をこのヴワル魔法図書館につれてきたというわけだ。 本を折らない曲げない汚さない破らないもとの場所にちゃんと戻す貸し出し禁止。 以上のことを守るならば好きに読んで構わないと私は許可を出した。その時○○は「それは普通じゃないのか?」と言っていた。 ……○○、それを守れない輩が約一名いるのよ。具体的にはあなたをここに連れてきた張本人が。 それを言うと彼は苦笑していた。 それから○○はここに通うようになった。 とはいえ里での仕事もあるのだろう、毎日という訳ではなかったがそれなりによく通ってきていたと思う。 門番とレミィには話を通しておいたので問題ないのはわかっていたが、紅魔館まではどうやってきていたのだろうと思って以前気まぐれに聞いてみると魔理沙がいるときは魔理沙に頼んでつれてきてもらっていたらしい。 もちろん対価は要求されたそうで。魔理沙がどうしても都合が付かない時は霊夢に護符もらって走って駆け抜けているとのことだった。 ともあれ。 ○○はここにいる間は無駄に話かけてもこなかったし、ほとんど無言のまま本をひたすら読み漁っていたので悪い印象は抱かなかった。 本の扱いも丁寧だし、彼がここに来るようになってから最初は小悪魔以外の誰かがいるというのは違和感があったけどそれもすぐに消えて言った。 ――だから、私の中での○○の在り方が大きく変わったのはそんなある日のこと。 その日は何故か○○は魔道書とにらめっこしていた。 いつもとは違い、隣にいた小悪魔に何度も質問しつつ眉間に皺をよせながら少しずつ読み進めていた。 そんな○○と小悪魔の様子がたまたま目端に入って、少しだけ私も興味をそそられて覗いてみたんだった。 本そのものはなんのことはない、初心者向けの魔道書だった。理論も簡単なものしかのっていない。 きっとそれすら読めないのだから○○は魔道の才能はないのだろうなあと思い、けどそれでも必死になんとか理解しようとしている○○を見て興が乗ってその本に載っている指先に小さな灯りを燈す魔法を目の前でやってみせた。 ……その時浮かべた○○の表情を私はいまでも忘れられない。 ○○はそれを、まるで子供のように目を輝かせてみていた。 人間からすればどうということのない事なのかもしれない。些事なのだろう。でも、それでも。 永き時を生きてきた者からして見れば彼の浮かべた表情は胸をつくような、締め付けつけるようなものだったのだ。 少なくとも私はそう感じていた。 その後、彼は当然のように私に教えを請い、私もそれを承諾した。そういえば小悪魔がやけに驚いていたっけ。 普段の私をよく知っているのだからその反応も当然といえた。……だって他ならない私自身が承諾してしまったことに驚いていたんだから。 そして私は○○に魔法を、とりあえずあの指先に灯りを燈す魔法を教えることになったのだが。 なんというか。教え子として○○はどうみても落第だった。 はっきり言うと才能の「さ」の字もなければ、資質の「し」の字も無い有様だった。 それでも引き受けたからにはこのままでは魔女の名が廃る。 様々な手を尽くして、もうこれ以上どうしようも無いというところまでやって、二年という歳月を消費してようやく――彼は灯りを燈す程度の魔法を使えるようになったのだった。 あの時の妙な達成感は思わず小悪魔と手を取り合うぐらいに大きいものだった。 そんな私の側に○○が寄ってきた。まだ魔法を使えたという興奮が冷め遣らないのだろう目にはあの時の輝きが宿っていた。 そして私と目をあわせるなり、本当に嬉しそうな声で○○は言った。 『ありがとう。パチュリー』 ……――ああ、私のバカ。 ○○に魔法の才能がないなんてどうして思ったんだろう。 そんなわけないじゃない。だって彼はずっと前から魔法を使っていたんだから。 私がそれに気付かなかっただけ。そして気付かぬまま彼の魔法にかかってしまっていただけなのに。 この胸に宿る熱が、鼓動が、ふとしたときに○○を追うようになっていた視線が、その証。 自覚してしまえばもう止められない。人間と妖怪という避けて通れない壁もあるけれど、今はとりあえず保留にしよう。 だって。私、パチュリー・ノーレッジは 間違いなく、○○に恋してるのだから。 「はあ……」 ○○の遺した熱を感じながら私はまた彼のことを考えてしまっていたようだ。 最近はいつもこうだ。おかげで○○がいるときも、いないときも読書に身が入らない。 ○○のことを考えるだけで胸が熱くなる。 ○○のことを思うだけで胸が痛む。 ○○のことを見つめるだけで胸が張り裂けそうになる。 ほんとうに、重症だ。でも、それが別にいやじゃないと感じてるのだから困ったものだと思う。 ふと視線をやると、その先にあった暦はもうすぐ如月を指そうとしていた。 ……そういえば。○○が毎年外の世界では如月の月になると――。 「小悪魔、いる?」 「はい? どうかなさいましたかパチュリー様」 「探してほしい本があるの。外の行事について詳しく載っている本を持ってきてちょうだい」 「はい。その行事について名前とかわかりますか? わかればそれだけみつけやすくなりますけど」 「そうね……確か『バレンタインデー』だったかしら?」 私がこんな風に、貴方無しではいられなくなってしまったのは全部○○の所為。 だからちゃんと責任をとって? ――貴方がかけた、恋の魔法の。 12スレ目 643 うpろだ863 ─────────────────────────────────────────────────────────── 1月5日 新しい研究テーマを立ち上げることにした。 基礎理論は既に構築しているので、そう苦労せずに結実を見ることが可能だろう。 今日は朝から妙にメイドたちが浮き足立っていた。 もともと騒がしい連中なのに、更に落ち着きがないとなったら、大変な目障りだ。 小悪魔によると、昨晩保護した行き倒れの人間の男が、中々の男前だとの事。 実にどうでもいい理由だった。 小悪魔がニヤニヤしながら「気になりますか? 気になりますか?」とやかましかったので、アグニシャインで燃やしておいた。 1月7日 小悪魔に伴われて、人間の男が図書館にやってきた。 先日助けた行き倒れだとの事。 メイドたちが騒ぐほどの美形ではないように思う。 何か挨拶をしてきたが、面倒なので適当に目礼を返しておいた。 そのまま放っておいたらおもむろに禁書を開こうとしだしたので、慌てて止めに入った。 普通の図書館と魔法図書館の区別がついていないらしい。 結局そのまま図書館を案内することになってしまった。 別に面白くもおかしくもなく済んだが、終始おとなしくしていてくれたのはありがたかった。あまり喋るほうではないらしい。 ただ、魔法についての話をするたびに、一々驚いていたのが印象的だった。 彼が帰った後、小悪魔がニヤニヤしながら「いやあお疲れ様でした」などと言い出したので、あんたの仕事でしょうとエメラルドメガリスで潰しておいた。 1月8日 昨日の男がまたやってきた。 帰らなくていいのかと思ったが、小悪魔によると外界からの迷い人であるとの事。 魔法についての知識がない理由に納得する。 帰る方法が見つかるまでここにいることにしたらしい。 紅魔館は普通の人間が生きていくには少々厳しい環境であるように思うが、一体何が気に入ったのか。 まあ別に私には関係のないことだ。 図書館の使用許可を求められたので、騒がないこと、私の邪魔をしないこと、勝手に本を持っていかないことなどを条件に許可した。 それはわざわざ言うほどのことなんですかと不思議そうな顔をされた。悲しい。 彼は本を持ってきて、読んで、帰っていった。 去り際にまた来ますね、と言ってきたので、そう、と適当に返しておいた。 私としては、私の邪魔にさえならなければ、いてもいなくてもどうでもいい。 小悪魔がニヤニヤしながら、「恋の予感ですか?」とよくわからないことを言ってきたので、プリンセスウンディネで頭を冷やしておいた。 2月13日 今日は特筆すべきことはなかった。研究も引き続き順調に推移している。 無理をして一点挙げるとするなら、○○の姿を今日は見なかったことだろうか。 このところは毎日来ていたように思うが、あまり注意していなかったので本当にそうだったかはよく分からない。 聞いてもいないのに小悪魔が、彼が風邪を引いたらしいということをしつこく言ってきた。私にどうしろと言うのか。 それを問うと、ニヤニヤしながら「またまたあ。わかってるくせに」と意味不明なことを言ってきたので、マーキュリポイズンで沈没してもらった。 2月14日 今日は朝から妙なことを言われ通しだった。 まず起き抜けに顔を合わせるなり小悪魔が「部屋は二階の掃除用具入れの隣ですよ」と言い出した。誰の部屋だ。 朝食の席に行こうとすると廊下で門番と出くわし「酷い風邪だそうで。このたびは大変でしたねえ」と慰められた。なぜ私が大変なのか。 席に着いたら着いたでレミィが「そういえば、あいつの容態はどうだ?」と聞いてきた。私が知るわけがない。 挙句の果てに咲夜が「薬膳を作ったのですが。持っていっていただけますか?」などと言って怪しげなスープを押し付けてきた。自分で持って行けと思った。 妙な臭いに辟易しながら持っていくと、○○はベッドで眠っていた。確かに風邪のようで、高潮した頬や湿っぽい吐息がその症状を伝えていた。 ベッド脇に土鍋を置くと、その音に反応して、一瞬だけ薄目を開けたように見えたが、消耗しているのか、すぐにまた眠りに落ちていった。 看病など柄でもないのですぐに立ち去ろうと思ったが、せめて床に散乱しているシャツくらいは椅子にでも掛けておいてやろうかと手に取ると、 「おう、風邪引いたんだって? 調子はどうだ?」と言いながら扉を蹴破るようにして魔理沙が入ってきた。 しかし魔理沙はシャツを持つ私を見ると急に頬を赤らめ「あー、すまん。これを渡しに来ただけだから。義理だから全然心配しなくていいぜ」と 早口で言いながら、私に小さい箱を押し付けるやいなや「じゃあお前から渡しておいてくれよ。まあなんだ、邪魔したな」と、 困惑する私を尻目に去っていった。 意味が分からないので箱を開けると、「義理 Marisa.K」と白文字で大書されたチョコレートが入っていた。 そういえば、これまでは女所帯なので大して気に留めることもなかったが、今日は確かそういう風習がある日だった。 もっとも、男がいたとしても気には留めなかったと思うが。 それも土鍋の横において部屋を出る。なんだかよく分からないが、まだ朝だというのに異様に疲れた。 図書館に戻ると、小悪魔がニヤニヤしながら「看病イベントですね! これでフラグが立ちましたよ」とこれまた意味不明なことを言ってきたので、 ジンジャガストで薙ぎ倒しておいた。 2月16日 驚愕の事実が判明した。 どうも周囲からは、私と○○が両想いの仲だと思われているらしい。 通りで先日は皆から妙なことを言われると思った。 実際には、私と○○は会話することすらあまり無いのだが、確かに図書館の外から見ると、私に会いに足しげく通いつめているように見えるかもしれない。 良い悪いという以前に困惑せざるを得ない事態だ。実験にも身が入らない。 考えていると、間の悪いことに当の本人がやってきた。もう大丈夫なんですか、という小悪魔の質問に、ええおかげさまで、などと呑気に答えている。 こちらの身にもなってほしいものだ。 ○○がこちらを向いて、パチュリーさん一昨日の朝に来てくれましたよね、と言ってきた。あいまいにうなずくと、きっとあのスープが効いたんです、 ありがとうございますと頭を下げた。 あれは私じゃなくて咲夜が作ったものだと言おうと思ったが、小悪魔がさえぎるように「いやーそうなんですよー、パチュリー様ったら慣れない料理を 一生懸命、○○さんのためにですね」とよどみなく嘘を並べ立てた。○○はそれを聞き、よりいっそう感謝の念を深めたようだった。非常に困る。 彼はまた帰り際に改めて礼を言い、お返しには期待しておいてくださいね、と笑顔を残して去っていった。 小悪魔に目線で非難を送ると、悪びれずにニヤニヤしながら「だって本当に両想いになったほうが面白いじゃないですか」とうそぶくので、 セントエルモピラーで爆破しておいた。 2月28日 どうにも先日以来、○○が来ると調子がおかしくなって困る。 それもこれも、あの両想いだとか何とかいう噂のせいだろう。 何度か否定してみても、誰もが「またまた照れちゃって」という顔をする。まったく信じてくれないのはどういうことだろうか。 小悪魔によると、○○と私は「静かで本好き」という共通点があるため、きわめて「お似合い」であるのだそうだ。意味が分からない。 その○○は今日もテーブルの隅でページをめくっていたが、こんな状況ではその様子が気になって何度も目を向けてしまう。 一度は○○がそれに気づいて目が合ってしまい、慌てて視線をそらしたほどだ。まるでこれでは本当に恋仲のようではないかと、我ながら呆れてしまう。 そういえば○○はこの噂を知っているのだろうか。知っているのだとしたら、それについてどう思っているのだろうか。以前なら気にも留めなかっただろう 些細なことが、なぜか今はとても気になった。 あと小悪魔がニヤニヤしながら「いやあ青春っていいですねえ」と言ってきたので、エレメンタルハーベスターで削っておいた。 3月13日 本を読んでいる○○の元に狐の式神が訪れた。 そろそろ春、隙間妖怪が目覚める時期なので、それにあわせて外界に帰る算段をつけたいとの由。 ようやくと言うべきか、これで私の精神にも平穏が訪れるというわけだ。 しかしあろうことか、○○は狐に、帰るつもりはありませんと言った。 私の心臓はなぜか跳ね上がり、狐も当然驚いたが、私を見ると急ににやつきだし、何かを納得した様子で帰っていった。 そしてまた図書館は静かな状態に戻ったが、私はどうしても気になったので、なぜ帰らないのかと尋ねた。 ○○は驚いたように顔を上げたが、すぐに満面の笑みを浮かべると、僕がここに通うようになって初めてじゃないですか、パチュリーさんのほうから 話しかけてくれたの、などと言い出した。 私はそれを聞くと急に○○を見ていられなくなって、馬鹿じゃないの、と小声で言い、本に視線を落とした。 そのページに何が書かれていたのかは、あまり覚えていない。 後で小悪魔がニヤニヤしながら「あーあパチュリー様ばっかりいいですねー。私もときめきたいですー」と言い出したので、ノエキアンデリュージュで 押し流しておいた。 3月14日 そういえば結局昨日はなぜ帰らないのか聞いていなかったということに気づき、改めて今日聞いてみた。 ○○は悩んでいるようなそぶりを見せたあと、もともと帰るところなんてなかったんです、と少し寂しそうに笑った。 それを聞いて初めて、そういえば私は○○のことを何も知らないということに気づいた。知っていることといえばせいぜい名前くらいだった。 それに気づくと、私は急に○○へ質問がしたくなった。 外界では何をしていたのか。どんな本を読むのか。好きな食べ物は。そのような、まったくどうでもいい疑問は尽きることなく湧き続け、その答えを 得るたびに、私のどこかにある空白が埋まっていくように感じられた。 今日は随分と喋った気がする。今まで○○と喋った分、その数倍を今日一日で喋っただろう。 その間、本は脇に置かれたままだったが、ありえないことに、それはあまり気にならなかった。 最後に、○○は「先月のお礼です」と言って袋包みのクッキーを置いて帰っていった。 おそらく手作りだろうそれを前に私がぼんやりしていると、小悪魔がニヤニヤしながら「いらないんですかー。私が食べちゃいますよー」と 言ってきたので、ラーヴァクロムレクで撃ち抜いておいた。 3月25日 いつになく真剣な目つきの○○がやってきて、何かと思ったら愛の告白をされた。 正直○○本人よりも、「ついにやった!」という顔の小悪魔のほうが強く印象に残っている。 返事は少し待ってほしい旨を告げると、○○は分かりましたと言って、本は読まずに帰っていった。 ○○のいないテーブルは、少し広く感じた。 なんで即断即決じゃないんですかー、と不満そうな小悪魔は無視し、私は考えた。 ○○とは誰か――紅魔館の前で行き倒れていた外の人間。毎日のように図書館へ来る。 私はそれが嫌か――嫌ではない。 では、それは好ましいことか――今はそのように思える。 愛の告白を受けて、どのように感じたか――嬉しかった。 つまり……おそらく、私は○○のことが好きだ。 本当は、こんな問答を行うまでもなく、自分の答えはわかっていた。 ただ、それを認めてしまうのは、少し怖かったのだろう。 何しろ、知識以外の物事に自らをゆだねたことは、いまだかつて全くなかったのだから。 きっと、私には自分から踏み出す一歩が必要なのだと思う。 そう決心して腰を上げると、小悪魔がニヤニヤしながら「行きますか? 行っちゃいますか?」とやたら楽しげに言うので、サイレントセレナで 少し黙らせておいた。 3月26日 小悪魔がニヤニヤしながら「ゆうべはおたのしみでしたね」と言ってきたので、ロイヤルフレアで蒸発させておいた。 6月30日 6月の花嫁は幸せになるという俗説がある。それになぞらえたのかどうかは知らないが、とにかく今日、私と○○の結婚式が執り行われた。 わずか半年前、過去に戻って「お前は来年の6月に結婚する」と言ったら信じるだろうか。とても信じまい。実に隔世の感があった。 ただ隣にいる、慣れない礼服に辟易した様子の○○の存在が、これは夢ではないということを告げていた。 控え室で○○が、言ってなかったけど、ここにお世話になることに決めた理由は、パチュリーに一目ぼれしたからなんだよね、とぽつりと言った。 私はそれに、今更そんなことを言われても困ると思った。これから本番だというのに、恥ずかしくて新婦が新郎の顔を見れないというのでは式にならないから。 結婚式の様子については、多く語ることもない。館のメイドたちやそれなりに多くの人妖が私たちを祝福し、私たちはその祝福を受けた。 式は西洋の作法にのっとって行われた。もちろん神父などというものを呼ぶはずもないが、代わりに紅魔館のエントランスに設けられた高台にレミィが立ち 「おいお前、パチュリー・ノーレッジを妻とし、病める時も健やかなる時も、生涯愛することをこの私に誓え」とものすごく偉そうなことを言っていた。 ○○は私の目を見て笑みを浮かべると、レミィに向かい、誓います、と言った。 その言葉だけで、私は幸せになれた。 ことはそう単純ではない。そもそも寿命も異なるし、今後どうしていくのかということも不透明だ。 ただそれでも、その言葉を聴けただけで、今の私は、これはきっと間違いではなかった、と思えた。 次いでレミィが私にも問いかけた。私もまた、レミィに誓った。 ありきたりな言葉だけれど、きっとその誓いが、二人で生きていくということなのだろうと思う。 そのあと、小悪魔が泣きながら米粒を投げてきたので、花束を叩きつけておいた。 9月30日 今日で結婚から3ヶ月経ったことに気づいたが、生活が何か変わったかというと、実のところそれほど変わったようには思えない。 私は相変わらず図書館で本を読んでいるし、○○もまた、館の仕事をこなしては図書館へとやってくる。 今日、唯一つ違ったのは、○○と二人本を読んでいると、小悪魔が知らない男を連れてきたことだった。 聞けば、彼もまた、○○と同じように外界から来た行き倒れだという。 彼は○○と違ってよく喋り、また屈託なく笑ったが、馬が合ったのか三人で歓談していた。 やがて部屋を案内すると言って男二人は出て行ったが、小悪魔がなんとなく落ち着かない様子で、そわそわと立ったり座ったり、ちらちらと 扉に目線を送ったりしていた。 私はピンと来るところがあり、ニヤニヤと笑みを浮かべながら小悪魔に言った。「恋の予感かしら?」 反撃はなく、ただ小悪魔は酷く赤面した。 12スレ目 853 うpろだ896 ─────────────────────────────────────────────────────────── 退行したぱっちぇさん。 「ねぇねぇ○○」 「どうしたのパチュリー」 「あのね、お本読んで~」 「あ・・ぁ良いよ、ささ、ベッドに行こうね」 「○○~」 「なあに?」 「お本てね、食べられるの?」 「美味しくないよ」 「じゃあ食べない」 「うん」 「・・・でした、おしまい」 「ありがと~○○~」 「今日のお話は面白かった?」 「ん・・・わかんない、でも」 「でも?」 「○○が読んでくれたから、面白かった気がする~」 「そうかい、それはよかった・・・ ところでパチュリー」 「?」 「ぎゅってしたいのは良いが腰に抱き着くとポジション的に」 「そ、そ、そ、そそそそそこまでですぅ!」 12スレ目 887 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「うう……」 口から言葉が漏れると同時に無意識で本を開く手が止まった。 集中して読んでたはずなのに、思わず呻いてしまうようなこの匂い。 いや、匂いそのものはまったくもって問題ない。 甘くていい匂いだ。 ……だから問題なのはその量。甘い匂いがこれはありえんだろうというくらいに充満している。それも紅魔館中に。 そもそもこのヴワル図書館にまで届くような匂いってどういうことだ。 しかし本来このことにお怒りになられるはずであろうパチュリーはというと、今回はこの匂いを生産する側。 お嬢様、妹様、中gもとい美鈴さん、咲夜さんも同様だ。 加えて紅魔館で働くメイドの数を考えれば……いややっぱありえない。どう考えてもおかしい。 一体どれだけの数の『チョコレート』がこの紅魔館にあるというのだろう。 想像することすらもはや不可能っていうか想像したくない。 流石は悪魔の館というべきなのか。なにか間違ってる気がするけど。 ――今日の日付は2月14日。つまるところ完全無欠にバレンタインデーだった。 「つってもなあ」 一体なんで幻想郷に外の世界の行事なバレンタインデーがあるのかとかはこの際おいとく。 しかしこっちであるからといっても俺にはさほど関係が無い。 確かにこっちに来て女の子の友人がやたら増えたが、まあ義理チョコ一個くらいもらえれば御の字と思ってるし。 本命? ははは、ばかだなあ。そんなの天地がひっくり返ってチルノが⑨じゃなくなるくらいありえない。 もう期待すらできなくなった俺の外での経験に涙がでそうだ。 く、くやしくなんかない! ……でもパチュリーが生産する側ときいたからちょっとだけ期待もしてたりもする。 どっか矛盾してるけどしょうがないよね、だって男の子だもん。 本を片手にニヤニヤしながらそんな事を考えていると、扉を開ける音が俺の意識を妄想から引き上げた。 目を向ければそこにはパチュリーと小悪魔の姿。 ……と同時に、館に充満していたであろう甘いをとおりこして甘ったるいチョコレートの匂いが襲ってきた。 「あががががが」 「○○? どうしたの」 「あ、いやなんでもない」 「? ……そう。じゃあ小悪魔、準備して」 「はいー」 平素状態そのままに、そう言って奥に飛んでいく小悪魔。 つかなぜこの強烈な匂いに気付かないんだ皆。感覚が一時的に麻痺してんじゃと思わざるを得ない。 救いといえば、パチュリーが後ろ手に持っているものからの匂いはここまで強烈ではないこと。 「…………」 「…………」 そして小悪魔が準備している間。 その間ずっと身体をソワソワしさせているパチュリーから断続的に俺に視線が飛んできていた。 視線が合うとそらされ、だけど恐る恐る戻して、しかしまた合うとそらす。 普段では絶対にお目にかかれないパチュリーの姿に俺はもう狂喜乱舞しそうです。キャッフー。 これはいいんですよね、期待してもいいんですよね!? 少なくとも義理はもらえるはず! しかしそんなことはおくびにも出さず平静を装う俺。 そして気付いたときにはすでにお茶会セットは準備完了しており、俺とパチュリーは向かい合うように席についていた。 とりあえず、目の前の適温に温められた紅茶を手に取り一口飲む。 ……嗅覚の影響をうけたのか、なんだか甘い。 「あの、これ……」 お互いに紅茶を飲んでいたがやがてパチュリーの方がカップをおいた。 陶器がかち合う音と同時に、すっと俺の方に小さな包装された箱が差し出される。 「あ、これチョコ?」 「ええ。……今日は、そういう日なんでしょ? 貴方は整理とか手伝ってもらってるし、本の扱いも丁寧だし、もってかないし……」 言葉を探しながら色々と理由付けしようとするあたり、らしいといえばらしい。 可愛いなあと思ったがどこぞのギャルゲー主人公のように口にだしたりはしないぜ。 「食べてみても?」 「……うん」 顔がニヤケるのを必死で抑え込みながら、包装を丁寧に剥がしていく。 この包装もところどころ曲がってたりしていたが手作り感がまた非常にグッドです。 箱を開けてみると中に入っていたのは一個のチョコレート。 ……しかしですねパチュリーさん。ハート型ってのは、こう、気恥ずかしいです。はい。 向こうもそうなのか俺が箱を開けた瞬間に俯いてしまった。耳まで真っ赤にして。 とりあえずこのハートのチョコを真っ二つに割ってしまうというバッドエンドフラグを回避すべく、端っこを少しだけ割る。 そして口の中に放り込んだ。 ……。 …………。 ………………。 「どう……?」 無言でいた俺に不安を抱いたのだろう。 恐る恐るといった感じで聞いてきたパチュリーに、俺は新たに割ったチョコの欠片をパチュリーの口の中に突っ込むことでその返答とした。 「んむ!?」 最初は一体なにを! と眉がつりあがっていたが咀嚼するにつれてだんだん眉がさがっていく。 俺の言わんとしていたことがわかったのだと思う。 そうして、こくりと喉を小さく鳴らした後 「ニガイ」 言ってから紅茶に手をつけた。 それを確認してから、俺もまた紅茶に手をつける。 チョコそのものの出来は全然問題ない。むしろかなり良いと言っていい。 しかし如何せん、苦すぎた。ビターというよりはド・ビター。つまり凄く苦い。 まあ、この甘ったるい空気の中なので俺には普通のビターより少し苦いくらいにしか感じなかったのだが。 同じものを食べたパチュリーの感想は違っていたようで。 「ごめんなさい……」 ひどく申し訳なさそうに言ってきた。 ついでにちょっと涙目。 俺の冷静な部分は「涙目のパチュリー。なんてレア……!」とか思ってたりもするが大部分では大慌てだ。 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!? その時。 8割がたパニックになりかけな俺の目に飛び込んできたのはティーセット一式。 ――これだっ! そのひらめきのままに、新たに注ぎなおされた紅茶に多めの砂糖とミルクを入れる。 パチュリーの紅茶にもおなじことをして例のチョコを割り、二欠片つくって片方をパチュリーのソーサーに置く。 そして俺の奇行に向けられるじと目はとりあえず無視してチョコを再び口に放り込んだ。 「あ……」 小さな声が聞こえたような気もしたけどそれも無視。 口の中で砕かれたチョコが熱でゆっくりと溶け、苦味が広がっていくところにさっき作った甘めのミルクティーを含む。 すると二つの味がちょうどいいかんじに混ざり合っていって―― 「ん。うまい」 素直な感想が口から出た。 俺がそう言うと、確かめるようにパチュリーもおなじようにしてチョコを食べる。 するとこちらも少しだけ驚いた顔で 「……おいしい」 と言った。 まあやった事といえば、苦ければ甘いので打ち消せいいというそれだけの事なのだけれど。 今回の場合はそこにミルクが加わったことで、砂糖の尖った甘さがマイルドになったのだ。 チョコの出来はいいんだし。口当たりの良さは抜群だった。 ともあれ、僅かな変化ではあるがパチュリーも笑顔を浮かべてくれているみたいだしよかったよかった。 涙目なパチュリーも可愛かったけれど。 やっぱり……その、好きな人には笑っていて欲しいし、そっちの方が断然イイ。 改めてそう思いながら俺は手に持っていたカップを静かに置いた。 「チョコ、ありがとな」 「どういたしまして」 はにかみながらも笑顔を向けてくれたパチュリーに、思わず赤面しながらそれを誤魔化すためにまたチョコを一欠片口に入れる。 口の中に広がる苦味を感じながら思った。 ――まあ、こんなバレンタインも悪くないかな。 ……後日、図書館中に染み付いたチョコの匂いにパチュリーが遅れて激怒した。 12スレ目 970 うpろだ925 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「―ゴホッ、ゴホッ」 「……やれやれ、またか」 ここ何日か、パチュリーが俺をつけ回してる。 いわゆるストーカー、なのだが…… 「また発作だな?ほら、背中さすってやるから」 「ゴホッ……あ、ありがとう……」 「なあ、もうやめたら?俺は絶対浮気なんかしないし、 何よりパチュリーにはストーカー向いてないって」 「……だって、貴方を他の誰かに取られたらと思うと、私……」 体力がなく、動き回るのになれていないのに 外をついてくるもんだから、 発作を起こしたり日射病で倒れたり。 何度介抱したことか。 「せめて、小悪魔に代わってもらうとか……」 「……あの子が一番心配なのよ、ゲホッ、ゴホッ……」 こりゃ図書館に住み込むしかないかな、などという俺の思いをよそに、 今日もパチュリーはついて来るのだった。 13スレ目 216 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「……エヘヘ……○○とこんな感じでこう」 「なあ、パチュリー、なに読んでるんだ?」 「ちょ、見ちゃ駄目!……ハァハァ」 「寂しいなあ……。?……鼻血!おい、マジでなに読んでたんだよ!」 「証拠を……隠滅しなきゃ……」 「そんなことより早く安静に!ただでさ「大丈夫。ちょっとくらっと来ただけ……あれ?」 「どうした」 「本がない……」 「大事なものだったのか?よし、探してきてやる!」 「あ、ちょっ」 「ここにありますよー!!!!!」(小悪魔) 『放課後の淫魔な図書館』 「え?なにそ「そ、そこまでよッ!!!」 13スレ目 221 ─────────────────────────────────────────────────────────── じー…… パチェ「…………(読書中)」 むにっ パチェ「……………何?」 いやなんでも パチェ「…そう……(読書再開)」 むにむに パチェ「…………」 愛してるぞ 「……そう」 パチェ可愛いよパチェ 13スレ目 239 ─────────────────────────────────────────────────────────── ふと思った 身長180オーバーの俺からしたら、幻想郷の女の子はみんなちっちゃいのだ 勿論想像だが、イメージ的に長身なのは師匠やこまっちゃんぐらいなものだと思う そこでその体格差を最大限に活かし、パチュリーを膝の上に座らせたい 椅子の上に座った俺の膝の上に、パチュリーが腰掛けるのだ 「これ1冊しかないから・・・」とかわざわざ言って俺の上に腰掛けてくるパチュリー 座ったはいいものの慣れない据わり心地にもぞもぞするお尻から伝わるバイブレーション 視線を下げればすぐそこにある絹糸のような紫の髪とそこから漂うフレグランス じっと見ている視線に気づいて「何よぅ」と見上げてくる不機嫌そうな瞳 それを塞ぐようにぎゅっと抱き締めて、半ば強引にその唇を・・・ ・・・どうしてパチュリーは現実にはいないんだ ヤらしいこととかしなくていいから、一日中腕に抱いて過ごしていたいよぅ 13スレ目 255 ─────────────────────────────────────────────────────────── 図書館にて―― パ「また来てたの?」 ○「ああ、ここには面白い本がたくさんあるからね。ほとんど読めないけど」 パ「そう。はい、コーヒー」 ○「お、ありがと」 パ「…………ぼそっ(日符『ロイヤルフレア』)」 ゴボゴボゴボッ ○「うあっちぃ!?」 コトッ パ「えー?」 ○「ふーっふーっ、あー熱かった。てかなんで急に熱くなったんだ?」 パ「なんでこぼさなかったの?」 ○「本のある場所で飲物をこぼすようなことはしないって。それよりいたずらしたのパチュリーだろ」 パ「ここにある本は飲物くらいかけられても問題ないしズボンにこぼしたコーヒーを拭きながら だんだんとアレな雰囲気になって○○とそこまでよ! なことしたかったのに」 ○「それが目的か」 パ「えーと、積極的に○○とアバンチュールする方法は……」 ○「おーい、そこは消極的にだろー」 13スレ目 335 ─────────────────────────────────────────────────────────── ものすごい轟音と共に現れた普通の魔法使い 「パチェ~。今日も借りに来たぜ~っと。○○じゃないか」 パチェはやれやれ。といった目つきで魔理沙を眺める。 が、特に動く気は無いらしい。いつもの事。といった感じで。 「魔理沙。パチュリーの…というか紅魔館の苦労も考えような」 「いやいや○○。これは私の道だ。邪魔はさせん」 そう言って魔理沙は俺の頭を撫でる 「邪魔をする気は無いがなぁ。パチェの苦労を考えたら、一声掛けといたほうがいいな、と」 「○○。魔理沙は基本的には何を言っても無駄よ。何かを言って帰るようなら苦労はしない」 その言葉に魔理沙が食いつく 「また私を馬鹿みたいに言いやがって」 「違うの?」 「私は馬鹿じゃないぜ。図書館に寄って本を借りる勤勉な魔法使いだ。なぁ○○?」 あながち間違えでは無いが、借りるってとこがどうもパチェには気に食わないらしい。 「借りる借りるって、いつ返すのよ。そろそろ取り立てに行くわよ?」 「別にいいぜ?返却する義務はいつも課せられてないからな。お前が捕まるだけだ」 「何よそれ。勝手に取って行ってる貴女が言えるセリフなの?」 ピリピリした空気が流れる。そして俺空気。 「な…なぁパチェ。少し落ち着け。魔理沙も。な?」 「それもそうだな。○○に落ち着けと言われて、落ち着かなかったら良いことが起きない」 「いつも落ち着かないで事を悪いほうに進めてるのは貴女だけどね」 「なんだと」 更にピリピリとした空気が流れる。なんだ?今日はパチェの機嫌が悪いのか? 「パチェ。落ち着けって。なんか今日変だぞ?」 「…○○。魔理沙の事を追い返しておいて。私はちょっと自分の部屋に行くから」 「俺に任されても…」 「いいから」 「…はいはい」 これはさっさと魔理沙を帰してパチェと話す必要がありそうだな… 「なぁ魔理沙。今日は勉強もいいが休む日にしないか?いつも勉強詰めじゃあ疲れるだろ」 なんとなく変な空気と分かった魔理沙は今日は食い下がる 「…あぁ。分かった。今日は勉強と趣味を慎む日にするぜ。じゃあな」 そう言って素直に帰る魔理沙。小悪魔はドアの修理に早速取り掛かっている 「小悪魔?」 「なんでしょうか」 そう言ってこっちを見る 「パチェ、今日機嫌悪かったみたいだけど…なんか知ってる?」 「いいえ。なんででしょう?魔理沙さんが来るまでは、いつもどおりの用に見えましたが」 「だよなー。まぁちょっとパチェのところに行ってくるわ。いつもすまないが修理頼んだ」 「はいはい。パチュリー様の部屋に行ってもお話だけにしてくださいよ」 「なんだそのジョークは」 俺は苦笑いし、ドアの修理を小悪魔に任せてパチェの部屋に向かう。 「どうしたんだろう…」 本当に何なのか分からないままパチェの部屋の前に止まる。 そして一呼吸置いてノックする。 「誰?」 「○○だけど」 「…いいわよ」 そう言われ俺は部屋に入る。 パチェはベットに寝転がっている。その横に腰を掛ける 「で、何よ?」 「いや、今日どうしたのかな。って」 「別に何でも無いわ」 「そういうときに限って絶対なんかあるんだよな」 そう俺が言うとパチェが黙る 「どうしたんだよ。言ってくれなきゃわかんないぞ?」 「あんまり言いたくない…というか、ちょっと考えれば分かるわよ…」 そう言われ、俺はパチェの機嫌が悪くなったと思われる行動が、何かあったか考える 今日は図書館に来て、そろそろ図書館を仕舞おうかなー。 って思ってるときに魔理沙が来て、俺が注意して、魔理沙がさり気なく反論しながら俺の頭を撫でて 俺が微妙に突っ込みを入れた後パチェが怒って… …そういうことか、パチェ。可愛いやつめ 俺はパチェの頭を撫でる 「あぁもう可愛いなぁパチェは。俺が魔理沙に撫でられたくらいで怒って」 パチェは顔を赤くして枕に頭を埋める。やはり図星か。 「だって…私の大好きな○○が魔理沙に撫でられたら…」 「ちょっとしたことでヤキモチを焼くのが、お前のまた可愛いところなんだなぁ。パチェ。好きだぜ」 そう言うとパチェはのっそりと起き上がり、俺に抱きいて、ベットに一緒に倒れる 「今日はなんか凄い積極的だな」 俺は笑いながら言う 「だって久しぶりに○○が好きって言ってくれたんだもん。私も大好きよ。○○」 パチェも笑顔で返す そんな甘甘ムードの中ベットで二人が寝転がっている 俺がパチェの顔を見つめると目を横に反らす そこで顔を徐々に近づけて… コンコン 二人ともビクリと体が動く ガチャリ 「小悪魔です。パチュリー様。ドアの修理が終わりました…っと」 俺が小悪魔の顔を反射的に見ると、この世のものと思えないほどニヤニヤしている 「へぇー…へぇー。お取り込み中でしたか。へぇー。」 いやらしく笑いながら小悪魔は言う。 「では、失礼致します。パチュリー様」 パチェは口をパクパクさせ、目は泳いでいる。 小悪魔が帰ろうとするが、後ろからでもニヤニヤオーラが出てるのが分かる。 そりゃ、あんなシーンを見せたらな。 ガチャリ。とドアを閉め、小悪魔が出て行った 「…はぁ。見つかっちゃったな」 小悪魔にばれたらちょっかいを掛けられる。と常々言わていたが、まさかこんな所を見られるとは。 「でも、まぁ見つかっちゃったんだから、これからは堂々と図書館でもイチャイチャできるわね。しないけど」 「ま、そうだな。見つかったんだからしょうがないな」 俺とパチェは楽しげに笑う。 「○○。さっきやろうとしてたことは、結局無しになったの?」 パチェは目を閉じて言う 「いやいや。そんな分けないだろ」 そう言ってキスを交わす 「もうせっかくだしこのまま寝ちゃう?」 「う~ん。まぁそうだな。時間も時間だし」 魔理沙が趣味を働く時間は大抵真夜中だ。 「じゃあ髪縛ってるのはずしてくるからちょっと待ってて」 「あ、俺はずすよ」 そう言ってパチェを後ろに向かせてそれをはずす 「はい。とれたよ」 「有難う」 「相変わらず、髪。凄い綺麗だな」 「○○に撫でてもらえるように髪を綺麗にしてるから…」 「そんなことをしなくても、パチェは可愛いさ。俺もお前にもっと好かれるように、格好良くならなきゃな」 「大丈夫よ。○○は、世界で一番私の好きな人だし、世界で一番格好良いから」 二人とも、ウフフ。と遠慮がちに笑う 俺はパチェの髪を撫でながら眠りに付く。 朝起きて、腕が痺れててもまぁ良いか。それは幸せな痺れだと分かっているから。 うpろだ1304 ───────────────────────────────────────────────────────────