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禁忌『エキストラバージン』後半 ◆CFbj666Xrw 前半 それは激突の瞬間だった。 フランドールの全力の魔法はゴンの拳が眼前に迫っても発動していなかった。 当然だ。フランドールは防御魔法を苦手とする。 防御系でかなり高位の魔法であるプロテクションEXなど発動するはずがない。 そう思われた。 だがゴンの拳がフランドールに直撃したその瞬間に、プロテクションEXは発動した。 それは防御魔法とは言えなかった。 レイジングハートの世界の魔法は、同じ魔法でも使い手により性質が変わる事が有る。 例えば主である高町なのはのスターライトブレイカーをコピーした別の術者が使った時、 魔力収束技術の欠如による発動の遅延と、広域魔法技術による攻撃の広範囲化が起きた。 他にも魔力を炎として具現化させる性質などが存在する。 フランドールの場合の性質は言うまでもない。圧倒的で完全に純粋なまでの、破壊だ。 その性質は防御魔法にさえも現れた。 発動した魔法を言い表すならこう言うのが正しいだろう。 プロテクションEX・フランドールVer。 バリア系“攻撃”魔法。 そのバリアは生成された瞬間にバリアバースト――バリアの爆破を起こした。 威力は強力だが攻撃範囲は極めて狭く、全周囲とはいえ極至近距離にしか効果が無い。 防御に使えない事もないが、持続時間が短い上に多少のタメを要するため防御魔法としては欠陥品。 ……よりによってその発動の遅れが最大の効果に繋がった。 ゴンの拳はバリアを通り過ぎ、そこに衝突する事が無かった。 結果、ゴンは念でガードしていない全身から破壊的な魔力の洗礼を受け……全身が消し飛んだ。 肉片一つ血一滴すらも残らなかった。 走る前に投げ捨てていたひらりマントと。彼の背負っていたランドセルから転げ落ちた奇妙な物。 それからゴンの拳が生みだした無惨な傷だけが、フランドールに残された。 ――――遊びは、徹底的な破壊を生みだして決着した。 「…………ねえ、レイジングハート。これって何かわかる?」 フランドールはゴンのランドセルから転がり落ちた奇妙な物を取りだした。 『マスターの世界に有る、i-Podという物と思われます』 「あいぽっど?」 『多数の音楽が収録されたものです』 「ふーん」 レイジングハートに教わりながらおっかなびっくりi-Podを操作してみた。 ♪膝を抱えてー部屋の片隅ーいつも不安で震えていたー ネクスト。 ♪そしてこの空ー赤く染めてー ネクスト。 etcetc。 色んな歌曲やよく判らないそれ以外の物などが入っていた。 歌が無い曲だけの物も有った。 フランドールが気に止めたのはその中の一つ、曲だけの物だった。 曲名は『亡き王女の為のセプテット』。 どうしてかフランドールはその曲を聴いていると姉のレミリアの事を思い出したのだ。 「なんだかお姉様が側に居るみたいね」 そう思うと少しだけ、嬉しくなった。 「ねえ、レイジングハート」 『なんですか?』 「あなたは壊れないよね?」 『…………はい、仮マスター』 レイジングハートの意地を聞いて、フランドールはもっと嬉しくなった。 それから少し寝ようと思って……その前に少し考えた。 「そうだ、さっきの弾幕に名前を付けないと」 それが弾幕を作った後の締めだ。 「何が良いかな。EX三重弾幕……じゃ巫女みたいね」 『アクセルシューターはEXではありません、仮マスター』 細かいツッコミが入る。 「そうね、じゃあ……」 フランドールは裏口から入った時に台所で見たオリーブオイルの事を思いだした。 一番絞りのそれは特別な初物という名で呼ばれる。 レイジングハートで初めて作った、自分の弾幕を模した物ではない新しい弾幕。 遠距離に離れようとしたらディバインバスター・エクステンションで撃ち貫き。 中距離ではアクセルシューターで圧殺し。 至近距離に迫られたら攻撃魔法と化したプロテクションEXで迎え撃つ。 あの少年に打ち破られる事を少し期待したこの弾幕に、フランドールはそう銘々した。 「禁忌『エクストラバージン』」 フランドールは幸せでした。 i-Podから流れる曲に姉の姿を感じるのはきっと幻想で。 レイジングハートは自分を仮のマスターだと呼び、トモダチになれるかも判らなくて。 トモダチになってくれるはずだったゴンは壊してしまって。 ゴンの拳を受けた左腕はまた動くようになるかも判らなかったけれど。 495年自分を閉じこめていた、それでも大好きな姉を想える事が幸せで。 トモダチになれるかもしれない壊れない存在、レイジングハートとこれからも遊べる事が幸せで。 壊してしまったけれどゴンと弾幕ごっこを楽しんだ事が。 左腕のじくじくとした痛みがその想い出を刻みつけてくれる事がとても幸せでした。 めでたしめでたし。 【ゴン@HUNTER×HUNTER 死亡】 【G-1/道路/1日目/午前】 【リルル@ドラえもん】 [状態]:健康、人間への興味? [装備]:長曾禰虎徹@るろうに剣心、US M1918 “BAR”@ブラックラグーン [道具]:基本支給品×2、命の水(アクア・ウイタエ)一人分@からくりサーカス さくらの杖@カードキャプターさくら、クロウカード(花、灯、跳)@カードキャプターさくら [服装]:全裸にランドセル姿 [思考]:ミス続きな事に苛立ち 第一行動方針:ククリを人間観察に適当な相手だと考えた。 第二行動方針:敵意のない人間を見つけ、ともに行動して観察する 第三行動方針:兵団との連絡手段を探す 第四行動方針:自分に危害を加えるおそれのある「ロボット以外の参加者」には容赦しない 第五行動方針:のび太を見つけたら、一緒に行動する(利用する) 基本行動方針:このゲームを脱出し(手段は問わない)、人間についてのデータを集めて帰還する 参戦時期:映画「のび太と鉄人兵団」 中盤 (しずかに匿われ、手当てを受ける前。次元震に巻き込まれた直後からの参戦) 【ククリ@魔法陣グルグル】 [状態]:気絶/電撃のダメージ有り?/魔力消耗(小) [装備]:ベホイミの杖@ぱにぽに [道具]:基本支給品、インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録、目覚まし時計@せんせいのお時間 [服装]:ファンタジーに普通のローブ姿? [思考]:わたしのせいだ…… 第一行動方針:起きたら、間に合わなくてもゴンくんとフランドールちゃんの所に…… 第二行動方針:勇者さまとジュジュちゃんとトマくんを探す。 基本行動方針:勇者さまと合流してジェダを倒す [備考]:ゴンに対する誤解は解けた。ゴンとフランドールの戦いを自分のせいだと思っている。 【ネス@MOTHER2】 [状態]:健康 [装備]:立て札@一休さん、ウサギずきん@ゼルダの伝説 時のオカリナ [道具]:ひろしの靴 靴下(各一足)@クレヨンしんちゃん、基本支給品 [服装]:普通の現代服 [思考]:この素っ裸の少女(リルル)はギーグの手下なのかな? 第一行動方針:目の前の少女達に対応 第二行動方針:役立つ物を探す 基本行動方針:ゲームに乗らない 【F-2/桜の木の下/1日目/午前】 ※桜の木の下に、空のランドセルが一個放置されています。血の跡と僅かな肉片が残っています。 他に掘り起こされたお墓やグルグルの魔法陣×3などが残っています。 【H-1/戦場跡/1日目/午前】 【ヴィクトリア=パワード@武装錬金】 [状態]:健康/満腹 [装備]:なし [道具]:アイテムリスト、基本支給品、首輪 [服装]:制服の妙なの羽織った姿、返り血無し [思考]:首輪を集めて研究し、首輪を外す。 第一行動方針:首輪を外す。 第二行動方針:主催者の目的について考える。 第二行動方針:“信用できてかつ有能な”仲間を捜す。 基本行動方針:まずは様子見 参戦時期:母を看取った後 [備考]:能力制限は再生能力及び運動能力の低下、左胸の章印を破壊されたら武器を問わず死ぬ。 ジョーカーの存在を疑っています。 【H-1/ちょっと良い家/1日目/午前】 【EXボスな妹様】 【フランドール・スカーレット@東方Project】 [状態]:左肩粉砕骨折/疲労困憊/魔力大消費/バリアジャケット(半脱げ) [装備]:レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのは [道具]:支給品一式、ランダム支給品1~2個(不明)/ひらりマント@ドラえもん/i-Pod@現実? [服装]:片方の肩付近が大きく破れた半脱げ状態 [思考]:レイジングハートを使って弾幕ごっこで遊ぶ(特に殆ど見た事が無い人間に興味津々) ……やっぱり嘘吐きじゃない。 [備考]:バリアジャケットのおかげで直射日光も平気です。 両腕で杖を保持できなくなった為、反動の大きい放出系魔法の精度が落ちています。 荷物の取りだし等にも不便すると思われます。 第一行動方針:しばらく休憩する。 第二行動方針:人を見つけ次第弾幕ごっこを仕掛ける。 第三行動方針:レミリアを捜す。 基本行動方針:遊ぶ。 ※弾幕ごっこ 弾幕ごっこをするという宣言をしてから弾幕をばらまく。何も言わず不意を打つ事は無い。 思いつく限りの弾幕(極めて多種多様)を避けきられると敗北を認める。 その途中での互いの生死は気にしない。 全力で遊ぶぜ! 禁忌『エクストラバージン』@オリジナル? フランドールの構築した新弾幕。 遠距離に逃げれば精密無比なディバインバスター・エクステンションの狙撃で貫き、 中距離に留めてアクセルシューターで圧殺する弾幕。 もしもそれを凌いで近距離に迫られた場合、バーストするプロテクションEXで迎撃する。 フランの片腕が使えなくなった為、遠距離のディバインバスター・エクステンションの精度が落ちている。 また、近距離に突撃した際に直前で立ち止まってプロテクションEXを凌げば突破可能。 i-Pod@現実? 現実世界のごく普通のi-Pod。 中に入っている曲は参加者達のテーマ曲などのようだ。 ちなみに少年少女について熱く語る演説などよく判らないトラックも含まれている。 ≪066 臆病者の誓い―第7番― 時系列順に読む 071 選ぶのは一つだけ≫ ≪069 変わらぬ微笑み 投下順に読む 071 選ぶのは一つだけ≫ ≪043 「ポレポレ~ッ!!」 ゴンの登場SSを読む GAME OVER ククリの登場SSを読む 089 おにごっこ≫ ≪009 終わりは桜の下で、そして始まりも桜の下で リルルの登場SSを読む ≪038 うさぎぴょこぴょこ ネスの登場SSを読む ヴィクトリアの登場SSを読む 098 隠密少女≫ ≪004 油断一秒重傷に フランドールの登場SSを読む 092 君のために、僕のために≫
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【種別】 人名 【初出】 新約20巻 フルネームの初出は新約21巻 【解説】 イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会』に所属する魔術師。 メガネを掛けた若奥様風の女性。 必要悪の教会の中でも「悪名が高すぎて国外に派遣できない」とまで言われた実力者。 太いリードを手にしており「犬を散歩させる若奥様」といった風体だが、リードの先につながれている「あるぷすちゃん」は飼い犬ではなく赤錆色をしたゴツい回転刃である。 罪人の体液からアラウネが生えたように、 「穢れ」は適切に転化せることができれば特別な力を宿す。 赤錆色の刃の正体は「刀の錆」をかき集めた集積体であり、 彼女の刃はイギリスの王侯貴族のロイヤルでセレブリティな恨みを凝縮した自信作である。
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『幸せのバージンロードを歩いて 後編』 36KB 愛で 虐待 思いやり 愛情 差別・格差 育児 群れ れいぱー 自然界 虐待人間 独自設定 うんしー ぺにまむ 楽しいありすの結婚式 太陽が丁度頭上高くに昇った頃、式場となった広場は飾り付けを終え大勢の群れのゆっくりたちが今か今かと新郎新婦の登場を待ち侘びていた。 群れの子供たちが丹精込めて作り上げた花冠をお帽子に掛けた花婿まりさは、 花嫁を迎えるべくありすの着飾りが終わり声が掛かるのをやや緊張した面持ちで控えている。 準備を終えた事を伝えにやってきた母れいむは、何故か目尻に涙を浮かべて腫れた相貌をしていて、婿まりさに近寄りひそひそと相談話を持ち掛けており、 そんな様子を親族用の特等席から遠巻きに伺っていたまりさは、不思議そうに小首を傾げて見守っていると、 婿まりさと母れいむが二匹揃ってまりさの所へやって来て、唐突にある進言を申し出た。 「おとうさん、ありすをむかえにいってあげてほしいんだぜ」 「ゆっ!? どうしてなの? はなよめをむかえにいくのはむこさんのおしごとだよ」 「まりさ、ありすがおはなししたいことがあるっていってたよ……ゆっくりしないでいってあげねて!」 どういう事なのか理解出来ていないまりさは、渋々ながら押し出される形でありすを迎えに長ぱちゅりーのお家に向かう。 丁度入れ違いに長のぱちゅりーが家の入り口から出て来た所で、彼女は軽く頭を下げて合図を送るとさっさと式場の方へ行ってしまった。 まりさは一度お家の中へ声を掛けてから入室すると、そこにピンクのツツジから抜き取った蜜を頬に塗って色付け、 花婿同様に鮮やかな花冠をカチューシャの上から乗せてちょこんと腰を下ろし着飾られたありすが凝然とまりさを見つめていた。 我が娘の華やかな姿を眼に焼きつけ、まりさは思わず息を呑んだ。 「ゆぅっ……! ありす、きれいだよ……まりさおもわずみとれちゃっ――」 「おとーさんっ!!!」 やにわにまりさの胸に飛び込んだありすが、顔を埋めたまま小刻みに震える。 まりさは突然のありすの振る舞いに当惑していると、顔貌を隠したありすから微かに啜り泣く声が届き、まりさは何故かありすが涙を流しているのに感付いた。 「ど、どうしたの? せっかくのけっこんしきさんなのに、ないちゃだめだよ……」 「おとーさんっ……! まりさおとぉぅさぁんっ……いままで……! いままでありがどうございまじだっ……!」 掠れた声帯がやや聞き取り辛くも、鮮明な感情のメッセージとして意思を疎通させるべくまりさの芯に響く。 その言葉の前にまりさは漸くありすが自分に何を云いたかったのかはっきりと理解した。 そう理解した上で、まりさはそっとお下げでありすの頬を撫でて宥めて見せ、 ありすが涙交じりの面を上げるとまりさの慈愛に満ちた笑顔がそこに広がっていた。 「ずっといいたかったの、けっこんがきまってれいむおかーさんといっしょにはなよめしゅぎょうばっかりだったから…… ほんとうは、ほんっとうはっ……! さいしょにまりさおとーさんにつたえるべきだったの…… でも、ありす……きはずかしくって……ごめんなさいっ……いっぱいっ、いっぱいあいしてくれたのに……」 折角施した化粧が涙で台無しにならない様に、まりさはそっとありすの目尻をお下げで拭う。 それは幼い頃からずっと繰り返してきた事で、泣きべそをかく度にまりさはこうして幾度と無くありすをあやしたものだ。 古い時代を懐かしみながらまりさはそっと語りだす。 「ゆふふっ、ありすはおかーさんっこだったからね。まりさとこうしてふたりでおはなしするのもひさしぶりだね」 「……うん」 「ありすはおぼえているかな? ありすがはじめてまりさのことをおとーさんってよんでくれたひのこと、まりさはいまもはっきりとおぼえてるよ!」 それは舌足らずが抜け始め一人で出歩けるくらいに発育した揺籃期の事、 まだ多感な幼子であったありすは身辺回りから陰湿な誹謗中傷を受けており、 その日も鼻摘み者として同年代の子供たちから苛めを受け、大切なカチューシャを取り上げられてしまい。 赤く腫れ上がった身体を揺らし慟哭しながら帰宅すると、まりさとれいむに泣き付いて助けを求めた、 激昂したまりさはその虐めっ子を取っちめてカチューシャの返還を求めると、森の奥で失くしてしまったと泣く泣く白状した。 それを聞いたまりさは、長ぱちゅりーや自警団のゆっくりたちの静止も振り切ってたった一人で森の中を探し彷徨い、 陽が落ちて捕食種が蠢き始める暗がりの中でも果敢に捜索して回り、再び太陽が東の空から昇り始める頃、 お帽子の裏に見つけ出したありすのカチューシャをしっかりと忍ばせ、 精根尽き果てる程の重い傷を負いながらもまりさはゆっくりプレイスに帰還した。 今まで他人行儀にぎこちなく「おじさん」や「おばさん」とまりさやれいむを呼んでいたありすは、 自分の為に命を張るまりさの姿を眼にして、その日を境に二匹を父と認め母と慕うようになった。 丁寧にゆっくりと過ぎし日々の記憶をなぞる様に語ったまりさは、瞳を潤ませている。 「あれがまりさたちかぞくのはじまりのひだったよ……それからのありすにはいっぱい、たくっさんっのおもいでをもらったよ…… たいへんなこともあったけど、ありすとのまいにちはとってもしあわせーだったよ、まりさはじしんをもっていえるよ!」 「まりさおとーさん……」 まりさの胸の中であの日の姿のまま抱かれたありすがそっと離れていく、 まりさは無性に淋しさを感じながら一ゆん前の大人のゆっくりとして再び凛としたありすの表情、 やんわりと微笑んだありすが頭を深々と下げるのを見て父親としての区切りを改めて感じ取った。 「れいぱーのおちびちゃんだったありすを……ここまでそだててくれて……ありすをまりさおとーさんのとれいむおかーさんのおちびちゃんにしてくれて…… ほんとうにっ、ほんとうに……! ありがとうっ、……ございましたっ……!」 「……ゆぅ……ありすからもらった、たからものさんはずっとまりさとれいむをあったかいきもちにしてくれるよ だからありすは、これからは……ありすとむこさんとうまれてくるおちびちゃんのしあわせーだけかんがえればいいよ! まりさからもいわせてもらうね! ありす、ありがとうね!! ありすはまりさのじまんのおちびちゃんだよ!!」 まりさの想いを静聴し再び度涙を流しそうになったありすは唇を噛んでグッと堪える。 そんなありすにそっち近付いたまりさは最後に一度だけ頬を撫で合ってスキンシップを図ると、ありすを式場に導く為に背中を押し出した。 「もうみんなまちくたびれてるよ、さぁありす。いっしょにしきじょうにむかおうね!」 「……うんっ……!」 長ぱちゅりーのお家を抜けて日差しを受ければ、ゆっくりプレイスを包んだ森が甘い匂いを漂わせているのに二匹は気付いた。 今までに経験の無い不思議な現象に神秘性を感じ取ったまりさが、きっと神様がありすを祝福しているのだと信じ森の木々たちに感謝の言葉を掛けた。 そうして会場へ向かうべく二匹は歩を進める、木々の隙間から差し込む木漏れ日が一直線に伸びた煌びやかな花の道を照らす。 待望の花嫁が式場に到着した途端、待ち侘びた新婦の登場に気付いた一部のゆっくりたちが歓声を上げてありすを出迎え、 御近所のれいむが拍手の変わりに揉み上げを上下にバッサバッサと振り払い、仕事仲間のまりさが嬉しそうにぴょんぴょんと跳ね上がり、 友人達のみょんやちぇんがうっとりと羨望の眼差しで甘い溜め息を吐いている。 群れの子供達もありすの見目麗しい容姿と化粧姿を眼にしようと、興奮気味に身体を伸ばしてあちらこちらでのーびのーびと大人達に混じって頭を振っている。 牧師役を買って出た長ぱちゅりーは切り株の上に陣取り、その目先に新郎のまりさが待っていた。 群れを左右に割る形で意図せず出来上がったバージンロードを眺入り、まりさはある事を思い出した。 それはかつて飼い主だった女性が、ブライダルコーディネーターという職に付いていた為に得た知識、 ゆっくりは人間と同じ様な形式を重んじる事はない、あくまで真似事の言い換えれば『ごっこ遊び』と大差ないのだが、 偶然仕上がったそれの意味を、まりさはこれから旅立つ愛しいありすにそっと最後の教えとし披露して見せた。 「ありす……むこさんまでのみちがそこにみえるね?」 黙って頷くありす、感極まっているのか言葉が出ないらしくオーバーアクションに何度も相槌を打っている。 「まりさがありすにおしえてあげるさいごのおはなしだよ、あのみちはばーじんろーどっていうんだよ ばーじんろーどさんはね、いままであるいてきたかぞくのおもいでなんだよ! まりさとれいむと……ありすのむかしがつまったみちなんだ そしてばーじんろーどさんをぬけて、むこさんのとなりにならんだら、そこからはありすのあたらしいみらいがはじまるんだよ」 「ゆぅぅっ……おとぉさぁん……!」 「さぁありす、おかおをあげてむねをはってね! いっしょにおもいでをあるこうね!」 この日の為に遠方の森に住むゆっくりプレイスから呼び寄せたゆっくりぷりずむりばー三姉妹の奏でるファンファーレが広場に響き渡った。 「「「ゆゆゆーんっ!!」」」 喝采がそこかしこから湧き上がる。 立ち並んだゆっくりたちからは「ありすはとってもゆっくりしてるよー!」「ありずぅううどうじでけっこんしじゃっだのぉおお!?」 「ありすおねーしゃんはきれいなのじぇ!!」「いつかれいむもあんなふうになりたいよ!」と様々な反応が飛び交っている。 一歩一歩過去の記憶を救い上げては踏み締めバージンロードを進んで行けば、ついには婿まりさと長ぱちゅりーが待つ祭壇に辿り着いた。 「おとーさん、ありすはゆっしょうたいっせつにするんだぜ」 「むこさん……ありすをおねがいするよ!」 バージンロードを歩き切ったありすを婿まりさに手渡し、二匹は頭を並べて長ぱちゅりーが登った切り株の前に佇立した。 まりさは親族用の特等席に戻ると、既に号泣していたれいむがゆんゆんと泣き腫らしては娘の晴れ姿を見つめていた。 老いた二匹はお互い草臥れた顔を合わせてこれまでの苦労を労い合う様にニッコリと微笑む、 指輪の交換もなければ、ブーケの投げもなく、取って付けた見よう見真似の陳腐な結婚式に過ぎないが、 それでも花嫁のありすと花婿のまりさ、まりさとれいむにとっても、一生忘れる事の出来ない思い出になるのは間違いない。 昂ぶる感情に呑まれて、まりさは気付かない内に涙を滴らせていた。 そうして式は最高潮へと向かい、長ぱちゅりーの言葉に従い誓いのスキンシップをする為、新郎新婦は照れながら頬をなぞり合った。 大歓声が森中に反響する、れいむ種たちが揉み上げに忍ばせた花弁の塊を空に投げると風に乗って花片が舞い上がった。 皆の賛辞に包まれながらありすとまりさがゆっくりとバージンロードを下っていく、すると突然とその幸福を打ち壊す音が辺りに木霊する。 そこに、そこに予期せぬ乱入者は――現れた。 パチパチパチッ、唐突に空気を微かに振動させる乾いた音が式場に響き渡ると、群れのゆっくりたちが言葉を無くして音源に向き直る。 そこで立っていた影、大きく伸びた二本の腕がまるでタンバリンを演奏するが如く大袈裟に手を叩き合っている、そう、それは人間の、影――。 『永らくお待たせしました、はい、僕です。虐待鬼意山です』 上下黒のジャージ姿にリュックサックを背負った軽装の青年が、にんまりと蓄えた顎肉を緩ませ嫌味ったらしくせせら笑う。 右脇に掛けていたガンホルスターからエアガンを取り出すとわざとらしく掲げた後、何の躊躇も無く撃鉄を引き抜いた。 タンッタンッタタン――。重みの無い音と共に放たれる黒の小玉が無差別にゆっくりたちの肉を抉り、餡を裂き始めた。 「ゆわぁああああぁぁっ!! にんげんざんだよぉおおおっ!! ゆっぐりじないでにげるよぉおおーっ!!!」 「ひぎぃいいっ、ゆっくりできないにんげんざんはあっちにいくのぜっ!! まりざをねらうんじゃないのぜっ!!」 「むぎゅううぅー、ばじゅりーをさきにいかせるのよ!! おばかなれいむはにんげんさんのまとになってね!!」 「おかーしゃんたしゅけちぇぇええーっ!! どこいっちゃったのぉおおおっ!!」 一瞬の内に広場をキャンパスとして阿鼻叫喚の地獄絵図を描き出す、我先に逃げ出すゆっくりが他を押し退け逃げ道を探して跳ね回る。 長ぱちゅりーが先導しようと目立つのも承知で果敢に声を張り上げるも、指揮系統は完全に混乱に飲み込まれどうする事も適わない。 このゆっくりできない人間、ゆっくりを狩って楽しむ虐待鬼意山は森に度々出没する危険因子として警戒されていた、 安穏の森に住むゆっくりたちが自警団という警備組織を結成し巡回しているのも全てはこの為であったが、 春祭り併合の結婚式という一大イベントに際して運営を一日取り止めた事が仇となり、 ゆっくりプレイスへと近付く青年に気付かず、群れの一堂が密集して会した式場で鉢合わせる最悪の事態に直面する有様だ。 「ていうかこれって結婚式だよね? 超レアだよ。でも腹立つねー、劣等ナマモノの分際で人間様の真似事なんて図々しい、糞食らってね饅頭共め!」 青年は歯をぎちぎちとかみ合わせては半狂乱にトリガーを引き続ける、 しかし中枢餡を射抜かれ即死する者は少なく痛みに喘いでその場で蹲り悲鳴を上げるゆっくりがそこら中に散らばった。 そうして負傷したゆっくりの壁に阻まれ逃げ場を失ったみょんを彼が見つけると、実に面白そうに頭に向けてエアガンの銃口をチラつかせる。 「ち、ちーんぽ……!」 「残念でした御愁傷様でした、悲しい悲しい彼岸の旅を案内するね、ゆっくり行ってらっしゃい!」 激しく踏み付け瀕死の状態にしたみょんに向けて三点バーストの生分解性プラスチック弾を何十発も無慈悲に叩き込む。 抵抗か痙攣かの区別も出来ぬほどの僅かな動作を繰り返してみょんは死に絶えた。 そんな中、円の外側を目指して逃げていくゆっくりたちを掻き分け、二匹のゆっくりが川を昇る鮎の如く逆の方向へ、青年に向けて突き進んでいく。 彼の視界に映ったゆっくりは、あのでいぶと姉のれいむだった。 二匹は肉付いた顔を歪ませ薄気味悪い笑顔を見せ付けると、青年に突然と感謝の言葉を掛け始めた。 「ゆゆーん、にんげんさんありがとうだよっ!! でいぶにひどいことをするむれのまぬけなゆっくりたちをせいっさいっしてくれてるんだね!!」 「このちょうしでれいむのおりぼんさんをぱちゅりーからとりかえしてね! それかられいむをかいゆっくりにするけんりをあげるよ!! あまあまさんもたくっさんっよういしてね!!」 「……ンァ?」 呆気に取られている青年を前にしてうねうねと茄子型の身体を捻らせるでいぶとれいむ。 二匹は青年と眼を合わせると、気色悪いウインクを投げて愛嬌には到底及ばない苛立たしい仕草を放っている。 「でいぶもなかまにいれてね! でいぶはにんげんさんのみかただよ!! むれのむのうとはちがうんだよ!!」 「れいむもにんげんさんのやくにたつよ!! れいむかしこすぎてごめんねぇ!!」 でいぶらの提案に青年は一寸だけ思索にふけた後、軽く頷いて見せた。 「……そーなのかー、しょうがないから仲間に加えてあげるよ」 その言葉を耳にしてでいぶはニヤリとほくそ笑む、恐らく都合のいい駒を手に入れたとでも思っているのだろう。 青年を出し抜けたと浅はかにも思考し、奴隷扱いしてくれた群れゆっくりたちを土下座させ甚振り殺し、最終的に彼を奴隷とし飼いゆっくりに成り上がる未来を想像し、 在りもしないセレブな生活を妄想しているのか、だらしなく涎が頬を伝っている。 そんな妄想に浸っているでいぶに青年がのっそりと近付き、長い歳月の重労働で禿げ散らかした後頭部を――思いっ切り蹴り飛ばした。 放射線を描きでいぶの、黒髪と両目の一部と小麦粉の肌を乗せた上半身が落ちていく。 その場に残されたでいぶの下半身が一転し、不意に乱暴なブレイクダンスを踊り始めた。 露出した餡子が水を弾くように飛散し、中枢餡が投げ出されるとまるで電源を失った機械の如くその機能を停止した。 隣で一部始終を見せ付けられた姉れいむは、突然の凶行の前にへたり込み、恐ろしーしーを盛大に噴射し、 自らが近寄っていった人間が想像を絶する脅威であり、とても手玉に取れたものではないと遅蒔きながらに感付かされた。 「ゆわぁああああぁっ、なにじでるのぉおおおっ!? れいむはにんげんさんのみかただっていってるでしょぉおお!? どおじでひどいごどずるのぉおおっ!?」 「でいぶの癖に人間様の仲間にしろだなんて生意気だぞ! でいぶは無条件で死すべしッ! とりあえず死ぬぇ!!」 諦めの悪い姉れいむは背を向けて逃げ出すも怯えて竦み上がった身体は融通を効かせず、 尻を青年に見せびらかす形で派手に転倒し、汚らしい尻穴を左右に振って意図せず挑発を繰り返してしまった、 その代償は振り上げた厚底の靴を脳天から打ち込まれ圧死させられる惨めな死に様だった。 この錯乱の渦中に、まりさとれいむ、花嫁ありすと花婿まりさは、咄嗟に木々の根元に身を隠していた。 見ればれいむの頬に三つほど小さな穴が開いており、餡子が僅かに溢れ出て苦しそうに表情を歪めている。 身体をBB弾が突き抜けた痛みは移動を困難にしているらしく、その場に蹲ったれいむは歩を進ませる様子が全く無い。 胸を躍らせた華燭の典の崩壊に嘆き悲しむよりも先に、母親れいむの生命活動を阻害し兼ねない悲痛な惨状を現認して ありすと婿まりさは一家全員での救済の道を模索するべく、奥底からにじり寄って来る動揺を必死に押し殺している。 「れ、れいむおかーさんっ!! どうしてっ、どうしてこんなことにっ……!!」 「ゆぐぐっ、あ、ありず……れいぶはもうだめだよっ……れ、れいぶをおいで……に、にげるんだよ……」 「なにいってるのっ!? おかーさんをおいてにげられないわっ!! あきらめないでみんなでにげるのよっ!!」 「ありすっ!! れいむはまりさがみてるよ、だからありすとむこさんだけでもにげるんだよ!!」 「いやよっいやぁっ!! たいせつなおとーさんとおかーさんをみすてていけないわっ……!!」 「だだをこねないでね!! まりさもれいむもいちどにんげんさんにひどいめにあってるからわかるんだよ!! にんげんさんはぜったいにようしゃしてくれないよ!! つかまったらさいごだよ! えいっえんっにゆっくりさせられちゃうよ!! きいてね! ありすはもうありすだけのおからだじゃないんだよ! むこさんとぽんぽんのなかのおちびちゃんのためにもゆっくりしないでここをはなれてね!! むこさんっ! おねがいだよ、このごうじょうなありすをつれてにげてね!!」 「わ、わかったんだぜっ! おとーさん、すまないんだぜ!」 聞き分けのないありすの、ブロンドの髪を強引に咥え引き摺ってでもその身を隠させようと婿まりさが口を精一杯に開こうとしたところで、 背後から土を蹴り、打ち抜かれて負傷した群れのゆっくりたちをわざわざ踏み潰しながら近付いてきた青年の影が一家から日差しを奪った。 見上げて交わした視線の先に青年がおぞましい程に冷ややかな眼を向けながら嘲笑を浮かべている。 「おやおや~? 主役が見当たらないと思ったらこんなところに隠れてたんだね?」 「に、にんげんさんっ……!! こ、ここはまりさがじかんをかせぐよ!! むこさんっ!! ありすを、ありすをたのむよ!!」 ぽよよんと間抜けな音を立てながらまりさは青年の脛に突撃する形で体当たりを繰り出した。 こんなものが通用しないと重々承知の上で、この先に待ち構えているものが死であると認識しながらも、 せめて一秒でも多く時間を稼ごうとまりさは果敢に攻め続ける、彼が煩わしさを感じるほどの猛攻を見せるも、 まりさは頬の肉に波を打たせるほどの衝撃を受け派手に吹っ飛んだ、青年のすらっと伸びた脚部がまりさを蹴り付けたようだ。 相変わらず駄々を捏ねて避難しようとしないありすは、まりさが投げ飛ばされたのを見て悲鳴を上げた。 彼はそんなありすを素通りして虫の息のれいむを乱雑に持ち上げ、半分ほど開いたリュックサックに顔だけを外に露出させる形で押し込み始める。 「ゆ”っ、ゆ”ゅっ……!!」 「れいむおかーさんになにするのっ!? にんげんさんっかいほうしてあげて!! おかーさんはけがしてるのよぉっ!!」 「ありすーっ、いいからにげるんだぜ!! あのにんげんさんはきけんなんだぜっ!!」 ありすの抗議の声も気に留めず、青年はサバイバルナイフを颯爽と取り出すと二本並んだ緑樹の丁度中間辺りの黒土を掘り始めた。 素早く慣れた手付き窪みを作ると、その中に枯れ妓を放り込んで準備を整える。 そうしてれいむを押し込めたリュックサックの隙間から野太い鎖を引っ張り出し、二本並んだ樹木の幹を何度も往復する形で巻きつける、 出来上がったそれはまるで鉄のハンモックか、黒光りする蜘蛛の巣の出で立ちを思わせる。 鎖で出来上がったそれに背負ったれいむを取り出しては絡み付け、真下の枯れ枝が盛られた窪みに発火剤を注入するとマッチで火を付けた。 直ぐに轟々と真っ赤な炎が穴倉から立ち昇り、鎖に縛られた瀕死の、声を絞り出すのもやっとだったれいむが壮絶な叫び声を捻り出し始めた。 「あっぁじゅぅい”ぃぃい”ぃっ、あぁあじゅぅい”ぃぃい”ぃっ!! ゆべっ、あぁぁじゅい”ぃぃよょおぉおおぉーっ!!! 」 あんよの辺りを擽った炎が詰る、拘束された身体をぐねぐねと動かして抵抗すればれいむの穴の開いた頬から餡子がぴゅうぴゅうと放出される。 必死に熱から逃れようと鎖と肌を擦り合わせ続ける母の姿を見せ付けられて顔を青褪めさせたのは他ならぬありすだった。 血の気を引いたように真っ白い肌をして、頻りにれいむの名前を呼び続けている。 そんな中ようやく全身の痛みが和らぎ、這い上がったまりさが眼にしたのは絶叫と嗚咽の混じった兇悪の光景。 「ゆわぁあああぁっ、れいむぅーっ!! どおじで……どおぉじでごんなごどずるのっ……!?」 「戻ってきたか、ふんふん。やっぱり見るからに善良って感じだよね、ありすの言葉から察するところ善意で他ゆんの子を引き取って育てたって感じかな? 悪くない、むしろ好物だね、さてさてまりさ君。一つ提案があるんだけど話を聞いてくれるかな?」 熱気に包まれているれいむを助けようと跳ね上がったまりさに向けて青年は一人呟く、 まりさは青年の事など無視してれいむを救出するべく吸い上げた空気を炎に当てて勢いを弱めようと躍起になっている。 そんなまりさを軽々しく持ち上げた彼が再びまりさに問い掛ける、顔を強制的に合わせられた事でまりさは身を縮める程の恐怖が蘇った。 「あのれいむはまりさの番だよね? 助けて欲しいのかな?」 「に、にんげんさんっ……い、いじわるはよくないよ! れいむがいたがってるよ!! たすけてあげてね!!!」 「そうかそうか、ふふっ、じゃあ物は相談なんだけど、まりさの愛娘を僕に処分させてくれないかな? あっ、もちろん処分って言うのは暴虐の限りをし尽くして中身をぶちまけるって意味だよ! 要するに殺しちゃうってことだね!」 半笑いを続けてそう言い放った青年、その言葉の前にまりさは顔は絶望に染まる、 それと同時に確信する、この人間はまりさたちを困らせて泣き叫ぶ姿を、嘆きのたうつ様を見物し満喫する言うなれば愉快犯、 煽り焚けって嬲っては掻き乱しその反響を心の底から楽しむ、ヒトの皮を被った悪魔、鬼、狂人 屈さなければれいむの死、屈せばありすの死、この二者択一をまりさに選ばせ暗澹冥濛と揺れ動く天秤の行方を鑑賞する事が青年の至福、 弱みや怯えた様を見せる事はこの青年を喜ばせるだけに過ぎない、そう感じたまりさは俯きながらキュッと歯を食い縛った。 そんな中、彼の陰険な提案を耳にした人柱の当事者であるありすが一歩押し出てぷるぷると頬を震いながら彼の要求を復唱する形で受け入れた。 「にんげんさんっ、ありすをいじめたいのならそうしてねっ!! れいむおかーさんをゆっくりじないでかいほうじでっ!!」 「ありすっ!! だまってるんだよ!!!」 「お……お、おとーさん!?」 青年の剣幕に負けないよう精一杯睨み付けてまりさは思いっ切り叫んだ――れいむに向かって。 「れいむっ!! かくごをきめてねっ!!! ぜったいに、このくそじじいにありすをわたさないよ!!」 「……っ!! ゆ、ゆっぎゅり、り、りがいっ……! じだ、よっ!!」 猛火蠢く釜の上で踊らされているれいむが、ほんの一瞬だけ笑った。 その返答、態度を前にして青年が表情を崩した。先程までの道化を演じていたあざけりの笑いは消え失せ、 表情筋が一切の活動を停止した純然たる『無』がそこに張り付いている、そうして青年はぼそりと独り言のように囁きを漏らす。 「あぁ、そっか……」 まりさを投げ捨て、青年は足音響かせ焚火の渦中に吊るされたれいむに近寄ると高樹に巻いた鎖を片手で緩め始めた。 カラカラと鉄同士が擦れる音と共にれいむの身体が徐々に引き下げられていく、枯れ枝を燃やさんとした焔がれいむのあんよを炭化させるべく染み込んでいく。 「あ”ひゃぁあ”あ”ぁっ、あ”ぁぁあ”っ、あ”じゅうゅうううっいぃいいっ!!あ”ひゃぁあ”あ”っ、ゆひゃぁあ”あ”っじゅぃっ あ”じゅうぅううぃい”ぃい”っ!!! い”やじゃぁあぁあっ、じゅうぅじゅううぅじゅりゅぅううっ、い”ひゃぁあ”あ”っ!!!」 叫声が咆哮に変わる、滴り落ちた大量の砂糖水の涙が瞬く間に蒸発し辺りに甘ったるい匂いを漂わせる。 それでもれいむはどんなに苛烈な痛みに屈しようともありすと取り代わりを求め、この苦痛から逃れようとはしなかった。 一層激しくなるれいむへの虐待に、ありすは嗚咽を漏らしてただ只管と「どおしで……! なんでっ……!!」と受け入れがたい現実を拒み続けている。 「強情なんだねー。でも構わないよ、その方が甚振り甲斐があるってものだよね! よーしまりさちゃん。第二ラウンドを始めようか」 ありすを護る、その為にゆん命を差し出せと生涯連れ添った伴侶に強要させた罪悪感に泣き入りそうになったまりさの顔を見て、再び青年が役者を演じ始める。 彼が草陰に隠していたある物を取り出すと、まりさといつでも逃げられる距離を保ちながら様子を伺っていた群れのゆっくりたちが蛮声を轟かせた。 視線の先には、青年が手にした車輪付きの持ち運びを可能とした透明な箱に詰められた、大量の――赤ゆっくりたち。 「「「おちびちゃんっ!!!」」」 浜に打ち上げられた魚の如く、赤ゆっくりたちはぎゅうぎゅうとした窮屈な箱の中で泣きながら跳ね回っている。 「巣の方はがら空きだったからね、ちょっと飴玉を火で炙ったら匂いに釣られてゾロゾロ出てきたんだ、 序でに留守番をしていた子守中のゆっくりも殺しておいたよ、一匹残らずね!」 「く、くそじじいっ……!」 「さぁーてまりさちゅぁーん、今からこのおちびちゃんたちを一匹づつ殺していくよぉー。やめて欲しかったら……分っかるよねぇー?」 ニタニタと厭らしい笑顔をふんだんに振り撒いて青年は透明な箱を開け放ち、中から徐に赤ぱちゅりーを取り出した。 それを右手に掲げて握力を駆使してゆっくりと締め上げていく、圧力が掛かれば掛かるほど赤ぱちゅりーの声はまるでスピーカーの様に音量をあげていく。 「むぎゅぅううっ、おきゃーしゃんっ、たちゅけじぇぇえっ、ちゅぶれりゅううっ、むっ、むっぎゅうぅぅうっ――!! 」 「…………」 「やめでぇええっ!! ぱぢゅりーのおちびちゃんなんだよっ!! ばでぃざぁああっ、おでがいだがらありずをにんげんっさんっにさしだじでっ!! このままじゃぱぢゅりーのおちびちゃんがっ、おちびちゃんがぁああっ、えいっえんっにゆっぐりじちゃうわぁぁあっ!!」 丘の斜面で一部始終を見守っていた群れの狩り仲間のぱちゅりーがたった今青年に掴まれている赤ぱちゅりーを我が娘と知り喚く、 必死にありすと身代わりになってくれと頼み込んで叫んでいるものの、まりさは微動だにせず沈黙を頑なに護っている。 「まりざおどーざんっ、ありずのっ、ありずのために、むれのおちびちゃんがぢぬなんでいやよぉおおっ!! おねがいだがらっ……!! おねがいだがらっ、ありずをいげにえにじでっ、おどーざんっ!!!」 「…………」 「はい、タイムアウト。残念だったねー」 ぐちゃっと音を立てて赤ぱちゅりーは砕け散った、青年の手にはべたべたになった生クリームが付着し、それを面白そうにぺろりと舌で舐めている。 「ゆあぁあああぁあぁっ、ぱじゅりーのおちびぢゃんがぁぁっ!! おちびしゃぁぁああんっ!!!」 歔欷きと恨み言がまりさの背後から嫌というほど伝わってくる、群れの注目を一心に受けたまりさは脂汗を浮かべながらそっと口を開いた。 「みんな……ごめんね……まりさはっ……! なにがあってもありすをまもるってちかったよ……!! もしまりさがいきてかえれたらせいっさいっしてくれていいよ!! ゆっくりできないおいけのなかにおとしても、えださんてぷすぷすしてくれてもいいよ……!! だからね……だからっ……むれのおちびちゃんたちはっ、まりさのためにぎせいになってね!!!」 「あ、ありずそんなののぞんでないよ……おどーざんっ、もうやめようよっ……こんなのっ、おかしいわっ……!」 ありすの静止はまりさには届かない、ただ婿まりさだけはまりさの心情と決意をよく理解していた故に、 泣きじゃくるありすを宥めて逃げ出そうと説得を試みていたが、群れのゆっくりたちを敵に回してしまった事で、 完全に退路を絶たれ退避が適わないと思い知らされる、そうなれば義父同様に覚悟を決めたようで、ありすの傍から離れないようしっかりと密着している。 「あーはっはっはっ、とっても素敵な愛情だね! それすっごくいいよ!! でもね……その態度はちょーっと気に食わないなぁ……糞がッ……望み通り潰してやるッ!!」 豹変した青年が透明な箱を持ち上げて地面に叩き付けた、中に詰まっていた沢山の赤ゆっくりたちはそれで大半が即死し、 奇跡的に生き残った者でも彼が踏み付ける厚底のブーツに、ケージの破片と一緒になって押し潰された。 餡子やカスタード、チョコに白玉が辺りに派手に散乱し、生ゴミと化したそれらの塊が言葉を失くして佇むだけ。 「ゆえぇえええぇぇんっ、れいぶのおちびちゃんがぁああっ!! どうじでごんなごどずるのぉおおっ!?」 「よぐもぱじゅりーのおちびちゃんをぉおおっ!! ばぁりざぁああぁああっ、ぜいっざいっじでやるぅううっ!!!」 「ありずをさしだぜばみんなだずがったみょん!! おちびぢゃんをごろじだのはまりざだみょん!!」 怒りの矛先をまりさに向け、各々に憤慨し続ける群れのゆっくりたち、周囲の批難を物ともせずまりさが突然と青年を見つめて微笑むと話し掛けて見せた。 「にんげんさんっ、まりさはしってるよ! にんげんさんはとってもぷらいどさんがたかーいんだよね! だからまりさにありすをいけっにえっにする。っていわせないと、ありすにおててをだせないんだよね! そうじゃないとにんげんさんはまりさにまけたことになるんだよね!! にんげんさんはゆっくりにまけるのがすごくきらいなんだよね! まりさはたえてみせるよ!! ぜったいに、にんげんさんみたいなくそじいいにありすをわたさないよ!! さぁくそじじいっ!! まりさをぎゃくったいっしてえいっえんっにゆっくりさせるんだよ!!! たえきったらまりさのかちだよ!!!」 自信たっぷりに、まりさがそう断言する。 かつての経験を元に構築した人間という種の分析は、確かに的を得ていた。 的を得てはいたが、まりさは確信を突き切れてはいなかった。 ゆっくりとは遥かに異なる高度な知能が多角的な視野を持ち、あらゆる物事に別の捕らえ方を出来る種であるという事を。 「何か勘違いしているようだね」 「……ゆっ!?」 れいむを絡めていた鎖を更に緩めながら彼は答える、落とされたれいむは劫火に包まり揉み上げを上下させ雄叫びをあげながら死んでいった。 まりさが叫ぶ暇も与えず青年は次にありすと婿まりさの元へ歩を進めると、振り下ろした脚部が繰り出すたったの一撃で――婿まりさを叩き潰した。 ほんの数分前に永遠の愛を誓い合った夫を一瞬にして失ったありすは、声にならない怒号を発し拉げた婿まりさの身体を揺すって起き上がらせようと頬を弾いている。 「まりざぁあああっ、あぁああっ!! れいむおがぁざあぁんっぁ、ゆあぁああっ、なんでぇええっ!? なんでなのぉよぉおっ!?」 二匹を幽冥界に送り届けた青年が白い歯を見せて笑い始めた、ピエロを気取った顔ではなくそれが真正たる本心からの笑顔だと気付いてまりさは息を呑む。 「うーん、残念だけどスポーツじゃないんだから勝敗なんてものはないんだよね、でもまりさが凄く強情だから逆にそそられちゃったなぁ うん、むしろ見たくなっちゃったよ!! まりさが最も苦痛に悶える瞬間って奴をね!!!」 リュックサックからベルト付きのA4サイズの鉄板を取り出すと、切り株の上に乗せ泣き喚いているありすをガッチリと掴んでそこに移動させる。 まりさに白旗をあげさせようとしていた青年は、その思惑をあっさりと翻し抵抗するありすを小さな診察台に乗せてベルトで固定しナイフを取り出した。 「な、なにじでるのぉおおっ!? まりざがどういしないとくそじじいのまけなんだよっ!? ありずをはなぜっ!! ゆっくりじないではなぜぇえっ!!!」 「方向転換だよ、まりさたちの様子を見ていて最初はありすから恨み言を引き出して君達を後悔させてやろうと思ったんだけどさ、 そこまで愛情深いなら、有無を言わさず持ちうる限りの暴力で何ものにも代えがたい愛娘のありすを痛めつけれて見せれば…… 己の無力さを知ったまりさはさぞ愉快な表情をするんだろうねぇ、諦念と自責に苛まれた顔はどんな色をしているんだろうねぇ?」 悪寒が体中を駆け巡り、震え上がる。まるで脳震盪でも起こしたかの様に中枢餡が炎症を起こした錯覚をまりさは覚える。 暴虐の対象を自分に留められないと知り途方も無い焦りが促されるも、この場からありすを救い出す奇跡のような一手をまりさが到底思い付けるはずはない。 「やめろぉおおおっ!! ありずだけにはてをだすなっ!!! くそじじいっ!! はなぜっ!! かいほうじろっ!!!」 「膨らんでるからもしやと思ったがやっぱり妊娠してるんだね……ふふふっ」 銀色の曇り一つない光沢が犀利さを如実に現すサバイバルナイフを、尻を振って抵抗を試みているありすの腹部にケーキを裂く感覚で切れ目を入れていく。 そこは、ありすの餡子を受け継いだ赤ん坊が眠るゆっくりの揺り籠の真上、抉り出すように穿り出すように丁寧に皮を破りカスタードを抜いていく。 「ひぎぃいいっ!! やべでぐだざいっ、にんげんざんっ、ありずのぽんぽんざんにはっ……! ありずのおちびしゃんがっ、い、いりゅのよぉおお!?」 「はいはいとかいはとかいは、死ぬ前におちびちゃんの面を拝ませてあげるね。さぁ摘出手術の始まりだよー!」 袋小路に追い詰められたまりさが、状況を好転させようと健気に跳ねてお帽子を拉げさせるのも構わず頭突きを試みている。 青年は特に気に留めずありすの内部を蹂躙していくと、程無くしてゆっくりで言う子宮に当たるゼリー状の膜に包まれた胎児まりさを見つけ出した。 ナイフの先端でその物体を軽く突くと、ぷるんっと微弱な痙攣を起こしたのが分かった。命の花が確かにそこに咲き掛けていた。 「ひゅっ、ゆひゃっ……! やめっ……!! ありずのっ、ぽんぽんさんだけはっ……やぶりゃないでぇぇえっ!! おでがいよぉおおっ!!!」 「ヒヒヒッ、あっははははーッ!! ほらほら出来損ないが出てくるよぉ!!」 右手に持ったナイフをリュックサックに収納し、開いた人差し指と親指を突っ込みありすの中身を掻き混ぜていく、 ゼリーの子宮を割って目的の胎児まりさを掴む、生温い不愉快な感触を存分に味わいながら青年は指を徐々に引き上げる。 そして、にゅるっと粘り気のある糸を引いた胎児まりさが太陽の下に晒された――。 「……ゅ……ゅっ……」 「……っ!! おちびぢゃんっ……! ありっずのっ……! おひびしゃんっ……!!」 掲げられた胎児まりさを形容するならば萎びた風船と表現するのが一番近いだろう、お帽子や顔のパーツの一部が構築途中で、 左右非対称の歪な姿は正しく化け物、鬼瓦のような風貌をしたそれを持った青年は、強引にありすの口腔を開いて押し込もうとする。 縛り付けられたベルトをガチガチと掻き鳴らしてありすは泣き喚きながら拒絶の気概を示すも、頬を握られ八の字に開け放たれた口内にそれは放り投げられた。 最後に青年はありすの尻を叩いて胎児まりさを飲み干す様に促すと、ありすは口に含んだ我が子と共にカスタードを大量に吐き出し咳き込んだ。 「ゆげええぇぇぇっ……!! ゆごほっ、ごほぉっ!!」 「駄目だなぁ、自分の子供を粗雑に扱っちゃ。そんなんじゃおちびちゃんが泣いちゃうよ」 「に、にんげんざんっ……おでがいっ、おでがいでずぅうっ、もうやべでっ! もうやべでぐだざいぃぃっ……!!」 青年が振り向けば顔を紅潮させ泣き腫らしたまりさが、まだ焦げが残った古傷のある額を何度も地面にぶつけて哀訴していた。 愛寵した妻を、まな娘を託した新郎を、生れ落ちる筈だった初孫を、群れの仲間を、その大切な幼子達を 冷酷にも強殺した相手に頭を下げなければならない屈辱をまりさは噛み締めて尚、ありすの助命を懇願した。 懇願しつつも内心でこの行為が無駄であると悟っていた、この非道な人間が今更自分の言葉で良心の呵責に苛まれる訳がないと、 それでもまりさは行動を起こさずにはいられない、もう他に打つべき選択肢など残っていないのだから、 万が一、森の下で見た満点の星空の中から掴むたった一つだけの可能性、それが無いものだと知っていても縋るしかない。 そんなまりさが五度目の土下座をして顔を上げたところに、パシャっと電子音が響いて眼中に眩い光が走った。 見れば青年が、いつの間にか取り出していたデジカメでまりさの滑稽な姿を納めていた。 彼の面相はやはり変わることなく魔性さと邪悪さに包まれている。 デジカメをポケットに収め青年が最後に取り出した物、それは、白く濁った液体が筒の中で揺れている――注射器。 極細の針をありすの腹部に乱暴に突き刺すと、プランジャーを押し出して中身を注いでいく。 液体がありすの中に進入していく度に、ありすの形相が徐々に変化する。 涎を溢れさせ、眼を充血させ、ブロンドの髪を逆立てさせ、そうして最後に、 「んほぉお”お”ぉお”お”おぉお”おお”ぉお”おっぉぉお”おっ!!!!」 と、雄叫びをあげた。 それは所謂『れいぱー化』と呼ばれる原始本能の開錠、あの白い液体はそれを促す物だった。 ベルトを軋ませる程にぶりぶりと乱雑に身体を振るっているありすを見て、青年はそっと野に放つとサッカーボールが跳ねる様にありすは飛び上がった。 着地したありすは唾液をだらだらと滴らせて、舌を巧みに上下させベロベロと頬を嘗め回しながら獲物を狩る肉食獣の如く周囲を伺う、 朱唇皓歯で可憐な乙女だったありすの姿はそこに無く、超自我を取り払われたエゴの塊がそこに佇んでいる。 「ゆわぁああぁあっ、ありずがれいぱーになったのぜぇええ!! ゆっくりじないで、に、にげるのぜっ!!」 最初の悲鳴を皮切りに、一定の距離を保っていた群れのゆっくりたちが悲鳴を上げながら蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。 ぷるんぷるんと無防備に背中と尻を向けたゆっくりたちをありすが背後から襲い掛かる、 ありすの跳躍力はちぇんのそれを遥かに上回り、逃げ遅れたれいむをあっさりと捕まえて馬乗りにしてしまう。 「ゆんやぁぁぁーっ!! やべでねっ!! でいぶをれいぽぉしないでね!! まだでいぶじにだぐないよぉおおっ!!」 「んほぉお”お”お”ぉぉぉぉっ!!! あんしんしてねっ、ありずはとかいはなあいをおしえてあげるだけよっ!!」 「いやだっていっでるでしょおぉおおっ!! やべでよぉおおっ、ゆっ、ゆゆゆっ、ずっきりぃい”い”い”ぃい”ぃい”ぃーっ!!!!」 野太く天に伸びたイチモツ、精子餡を通した管がグロテスクにも表皮に浮かび上がっているありすのぺにぺにがれいむのまむまむを突き刺した。 額に何十本と茎を生やすと、黒ずんで炭化しれいむは「もっとゆっくりしたかった……」と漏らす暇も与えられず息絶えた。 こんな物では満足できないありすが、次の標的を見定める、逃げ惑う群れの仲間達のそれはまるで無数のケツがありすを誘っているかの様だった。 遅れて青年がデジカメとエアガンをそれぞれ手にしてゆっくりプレイスを徘徊する、大人も子供も関係なく立ち上る悲痛な叫び声、 それがありすとあの人間の仕業だと知りながら、もうまりさは何も出来なかった。 犯し殺されていく朋輩たちを、プラスチック弾で中枢餡を打ち抜かれる同輩たちを、ただただ言葉を無くして眺め入るしかなかった。 ねぇ、人間さん……まりさたちはなんで生きてちゃいけないの? ねぇ、人間さん……まりさたちを殺すのがそんなに楽しいの? ねぇ、人間さん……まりさたちの幸せをどうして壊しちゃうの? ねぇ、人間さん……まりさたち何も悪いことしてないよ ねぇ、人間さん……まりさたちはただひっそりと暮らしたいだけだよ ねぇ、人間さん…… ねぇ……人間……さ……ん…… 全て、全てが終わった。 結婚式に沸き立ち祝賀に彩られた会場は、物言わぬ骸がぞんざいに打ち捨てられた廃墟と化した。 光沢を失ったドス黒い瞳でぼんやりと夕空を眺めていたまりさに足音が近付く、その靴音がぴたりと止まると、 空気の抜けたボールか、綿を取り除かれたヌイグルミの様に丸みを無くした物体を放り投げてまりさの前に落下させた。 それは精子餡を絞り尽くされ外皮だけに成り果てたありすの姿で、とうの昔に死に絶えたらしくピクリとも動いていない。 哀れな娘の姿を見てまりさの喉が微かに震え、ぽつりと名前を呼び掛けた。頬には一筋の涙が下り呻っている。 エアガンの銃口をまりさに向けて青年が肩を竦めながら問い掛ける。 「まりさで最後だよ、何か言い残すことはあるかい?」 「……ろして……」 「んー? なにかなぁ、聞こえないからはっきり言ってね」 「まりさを、ゆっくりしないでころしてね……」 消え入りそうなまりさの声を聞いて、彼が実につまらなそうに眉を折り曲げながらエアガンを降ろした。 「どうしたの? にんげんさんは……ゆっくりをころすとしあわせーなんでしょ? まりさもみんなのところへいかせてね…… まりさは……みんなにごめんなさいしないといけないんだよ、ありすをまもってあげられなかった…… れいむをみすてた……むこさんだって、うまれてくるはずだったおちびちゃんだって……むれのみんなもうらぎっちゃったよ…… だから……だからまりさを、みんなのところに……」 まりさの虚ろな表情を横目に青年がガンホルスターやエアガンをリュックサックに押し込んで無造作に帰り支度を進めていく、 あれほど愉快そうに殺戮を楽しんでいた彼が、突然と無関心になった事を不思議に思いまりさが見上げていると、青年はふんっと鼻で笑ってまりさを嘲笑った。 「生への執着が無いゆっくりなんて殺しても面白くないんだよねぇ、そんなの物言わぬ人形を殴るのと変わんないよ むしろその様子だと今のまりさにとって死は救済、どうしてこの僕が手助けなんてしてやらないといけないのさ?」 「……どおして、そんなこと……いうの?」 「まぁ墓守にでもなって毎日を懺悔と後悔に苛まれながら余生を過ごせばいいよ、それが嫌なら自分で突起物にぶつかって死ねばいい」 さっと立ち上がった青年はもうそれ以上何も語らなかった、リュックサックを背負い直して来た道を戻っていく。 その道は、ありすと婿まりさが下っていく筈だった――幸せのバージンロード。 まりさはなけなしの気力を振り絞って吼えた。まりさを殺せ、殺してくれと、 決して耳を傾けず芽生えかけた愛を潰して彼は雑木林の中へ消えた、何もかもを奪い去って。 まりさの願い出が暗がりに沈みゆく森に反響する、しかし、もうまりさに応える者は、誰も居ない――。 おわり 作:おおかみねこあき
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バージニア郵政株式会社 ===================================== 名 称:バージニア郵政株式会社 正式 名称:バージニア連合郵政グループ株式会社 別 称:帝国郵便 種 類:株式・特殊 市場 情報:中央証券一部 業 種:郵便 事業 内容:郵便配達・物流事業・金融窓口事業など バージベルク県バージベルナ市サウスナール2丁目1番地 設 立:1996年3月3日 創 立 者 :バージニア連合王国 代 表 者 :ビールズ・アーノルド 従業員 数 :単体2005人 連結21488人 子 会 社 :バージボルグ銀行株式会社 :バージベルク生命株式会社 :郵政不動産株式会社 支店 舗数 :27906(郵便局を含む) 資 本 金 :$491,5000,0000 売 上 高 :連結$1650,0000,0000 :単体$3,6360,0000 経常 利益 :連結$107,0000,0000 :単体$39,0000,0000 純 利 益 :連結$51,2555,0000 :単体$37,0000,0000 純 資 産 :連結$1910,0000,0000 :単体$693,0000,0000 総 資 産 :連結$4,6457,0000,0000 :単体$701,0000,0000 発行済株数 :51億株 決 算 期 :3月31日 ===================================== 概要 バージニア郵政は、1993年の郵政民営化により誕生した特殊企業である。さらに主なバージニアの銀行や生命保険の親会社であり、バージニアの郵政を担っている。 主な沿革 1897年 6月30日 バージベルクとコルリール・ドナウで郵便制度が始まる。 1917年 3月2日 範囲が全国に拡大し、金融窓口事業を始める。 1978年 1月10日 トレド不動産株式会社を買収し、後に名前を郵政不動産株式会社と名づける。 1996年 1月4日 郵政が民営化され、バージニア郵政株式会社が設立。 全事業内容 郵政 物流事業 金融窓口事業 銀行事業 生命保険事業 支社・支店 《バージベルク地区》 バージベルク中央本社 バージベルク支社 バージベルク巡査室 バージベルク共通事務集約センター 《コルリール地区》 コルリール支社 コルリール巡査室 トレド共通事務集約センター 《ドナウ地区》 ドナウ支社 ドナウ巡査室 ハツリックス共通事務集約センター 《シェミング地区》 シェミス支社 シェミング巡査室 シェミング共通事務集約センター 《バージン地区》 バージン支社 バージン巡査室 バージン共通事務集約センター 《スラッパ地区》 スラッパ支社 スラッパ巡査室 スラッパ共通事務集約センター 《グルジア・バージニア地区》 グルジア支社 カリード支社 バージニア巡査室 グルジア共通事務集約センター 《ヒハイド地区》 ヒハイド支社 バジル巡査室 バジル共通事務集約センター 《アイゼンハイト地区》 アイゼンハイト支社 アイゼンハイト巡査室 アイゼンハイル共通事務集約センター 《ロガ中央地区》 ロガ支社 グンマー支社 ロガ巡査室 ロガ共通事務集約センター 《ベンドルフ地区》 ベンドルフ支社 ベンドルフ巡査室 ベンドルフ共通事務集約センター 《ポートロン地区》 ポートロン支社 ポートロン巡査室 ポートロン共通事務集約センター 《ニベリア地区》 ニベリア支社 ニベリア巡査室 ニベリア共通事務集約センター 《コロロン地区》 コロロン支社 コロロン巡査室 コロロン共通事務集約センター 《ロギンヌス地区》 ロギンヌス支社 ロギンヌス巡査室 ロギンヌス共通事務集約センター 《ヘレン地区》 ヘレン支社 ヘレン巡査室 ヘレン共通事務集約センター 《ゲルマン地区》 ゲルマン支社 ゲルマン巡査室 ゲルマン共通事務集約センター 《ノースヒマジアアイランド地区》 ノースヒマジア支社 ノースヒマジア巡査室 ノースヒマジア共通事務集約センター 《海外県地区》 海外県支社 海外県巡査室 海外県共通事務集約センター
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ヴァージンな関係というH漫画 なかなか変化変身のある漫画です。 ヴァージンな関係はモテナイ冴えないお金がない男が 美女と出会う。 そこから大変身してしまう漫画です。 その大変身の内容は とにかく美女にモテる。 外も中も変わっていないのに モテ度だけはあがります。 最初に出会った美女 (のち妻になる) かなりの上げマンだったんでしょうね。 そのおかげでモテまくる。 女がどんどん寄ってくる。 男してうらやましすぎる漫画 それがヴァージンな関係です。 ただ、キレイな彼女、のち奥様がいるのに いろんな女と浮気をしてまう男 ゆるせない ことはなく すごく気持ちはわかる。 妻は好きだけど、せまってくる女とはヤッてしまう。 男の本能だから仕方ないですね。 男の本能がうずまくヴァージンな関係 いろいろと紹介されて人気なので、電子コミックで読んでみようと思います。
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『幸せのバージンロードを歩いて 前編』 33KB 愛で 思いやり 愛情 差別・格差 育児 群れ 赤ゆ れいぱー 自然界 独自設定 うんしー ぺにまむ 主要ゆっくりがやや高性能です 西の上天が赤みを帯びた夕空の頃、吹き込んだ微風に僅かな湿り気が混じっており通り雨の到来を予見させている。 暗がりに沈み往く森の、奥地に聳え立った大木を前にしてゆっくりぱちゅりーは穏やかならぬ剣幕をその小麦粉の面貌に浮かべていた。 彼女の脇には樹枝を口に咥えて周囲を警戒するみょんや、きょろきょろと近傍を見渡しているまりさの震え怯えた姿を窺わせる。 「むきゅー、いいみんな。まむまむさんをきゅっとしぼるのよ! いつれいぱーがおそってくるかわからないわ!!」 「ゆーっ、れ、れいぱーをせいっさいっしないとみんなあんっしんっできないのぜ!」 「どこからでもかかってくるみょん、このはくろーけんのさびさんにしてあげるみょん!」 厳戒態勢を強める三匹、ぱちゅりーの指令に従って相身互いに尻を死守しながらじりじりと野苺が茂る狩場に移動していくと、 ガサリと注視していた草原が大きく掻き乱れて揺れ始めた、ギョッとしたぱちゅりーは息を呑みつつも恐る恐る震源に向けて声を掛ける、 すると茂みの中からひょっこりと耳付きが、群れの朋輩である自警団のちぇんが飛び出し極度の切迫感に縛られていた三匹は見慣れた仲間の姿にホッと胸を撫で下ろした。 「おさっ、れいぱーがみつかったんだよー!らんさまとせいっさいっしたからもうあんしんだよー!ゆっくりしないでれんこうするよー!」 「よくやってくれたわ! みょん、まりさ、ゆっくりしないでむれのみんなをあつめてちょうだい!」 「わかったみょん!」 「わ、わかったのぜ!」 ちぇんの報告を受けて、ぱちゅりーは安堵しつつも取り巻きの二匹に出払った全員の招集を指示した。 森のゆっくりプレイスを突然と襲ったれいぱーありすによる無差別すっきりテロは、事態の終息を迎えられたらしい。 切り株に寄り添って昂った感情を整えぱちゅりーは待機していると、雑木林の脇を潜って群れの自警団長であるらんと自警団員のちぇんやまりさなどが 無数の枝を身体中に差し込まれたれいぱーありすの薄汚れたブロンドヘアーを強引に口で咥えてぱちゅりーの前に突き出した。 片目を深く抉り取られてドロドロになった寒天が涙の様に頬を滴り、根元を切断され千切れた陰部からとろりとカスタードクリームが漏れ出している。 生きているのもやっとの身体を引き摺りながら喉を壊すのも承知で本能に忠実なまま「んほぉぉ……」と呟いている文字通り無様なれいぱーありすの姿に、 思わず眼を背けたくなったぱちゅりーは、それでも必死に群れを恐怖のどん底に叩き落した元凶を見下ろし、 れいぱーありすの凶行により未来を奪われた者たち無念を想い憎悪の感情で以って睨み付けていた。 「いけのちかくでうずくまっているところをかくほしたよ、いくらかなかまたちをぎせいにしてしまったが、なんとかつかまえることができたよ」 「ごくろうさま、らんたちのおかげでこれいじょうひがいをかくだいせずにすんだようね じけいだんのみんなにもかんしゃするわ、あとはてのあいたものでしょりするからそのへんでやすんでいていいわ」 ぱちゅりーの労いの言葉に自警団のゆっくりたちは自警団長のらんと数匹のゆっくりを警護に残して各々に腰を落ち着ける。 暫く待っていれば、みょんとまりさが連れてきた群れのゆっくり達が、れいぱーありすと一定の距離を保ちながら囲いぞくぞくと集まり、 ほぼ全員が結集したところで、ぱちゅりーは各自に得ている情報を受け取り群れの被害状況を確認した。 「ゆぇえええぇえんっ!! れいぶのまりざとおちびぢゃんがれいぱーにまっくろにされちゃったんだよぉおおおっ!!」 「おとなりのまりさのおうちはぜんめつだったよー、おうちのなかにくきさんをたくっさんっはやしたまりさとおちびちゃんのしたいがころがってたよー」 れいぱーありすの毒牙に罹った者は大半がまりさ種であったらしく、子や赤ゆ問わずに大勢のゆっくりがれいぱーの餌食と化した様だった。 改めて伝わってくる被害の甚大さにぱちゅりーは顔を渋めるばかりで、むきゅーっと大きく溜息を吐いて家族や親類や友人を亡くし涙する群れのゆっくりたちを宥めて回った。 集まった群れの面々は深い弔意に包まれていたが、次第に悲嘆は憤怒に、故ゆんへの愛心はれいぱーへの怨恨へと急変し 一部の盛んな若いゆっくりたちがその場で跳ね上がり『れいぱーを制裁しろッ!』と声を大にして主張を掲げた。 辺りは騒然とし直ぐにでも組討ちの火蓋が切って落とされそうな一触即発の雰囲気に、 慌ててぱちゅりーが騒乱を鎮めるために皆の前に躍り出るも、同じく割り込んだ自警団長のらんがぱちゅりーに目配せし左右に首を振って眼を伏せた。 「ざんねんだけれど……れいぱーはこときれてしまったようだ……もうせいさいはかなわない」 ぱちゅりーが視線を移すと辛うじて息をしていたれいぱーありすは完全に沈黙していて、厭らしい笑みを浮かべたまま凍結し僅かに死臭を漂わせている。 せめて特にゆん的被害の大きかった遺族を優先して制裁に充てようと思惑を張り巡らせていたぱちゅりーは、 それが実現できないと知り朽ち果てたれいぱーありすから視線を外すと唇を噛みつつくるりと向きを正した。 「む、むきゅー……しかたないわ……みんなっ! れいぱーがえいっえんっにゆっくりしてしまったからせいっさいっはなしよ! このれいぱーのむくろさんは、ぱちゅりーたちがむじひっにしょぶんするから、とりあえずかいっさんっしてね!!」 ぱちゅりーの感情の無い群れの長としての事務的な言葉は無論全員を納得させられる筈もなく、 失った物への対価を求めて大勢のゆっくりたちが反発の胴間声が上げる。 思いの他、強い憤慨に晒されたぱちゅりーや自警団のらんやちぇんは驚き困惑していると、 突然と金切り声が周囲に轟き間の抜けた泣き声と共に、集まったゆっくりたちの肉壁を易々と破って一匹のでいぶが輪の中心に雪崩れ込んで来た、 その食欲をコントロール出来ていない不健康さをありありと見せ付ける肥えた巨体が表す、 群れでも随一の我侭者で周りから敬遠されているでいぶが大口を開けてぱちゅりーを押し潰さんと迫ってきた。 「ゆびぇぇえええぇんっ、ぱじゅりぃいいいーっ!! でいぶのこうっけつなていっそうっが、れいぱーにやぶられっちゃっだよぉおおお!!!」 「むぎゅっ!? ちょっとやめなさいっ! ぱ、ぱぢゅりーをつ、つぶするもりなのっ!? らんっ、おねがいっ、れ、れいむをとめてちょうだいっー!!」 ぱちゅりーの叫び声に感化してらんは大慌てにでいぶを取り押さえ強引に距離を離すと、 開放されたぱちゅりーは青白い顔をしながらもでいぶの体面を見つめ直ぐにその異変に勘付いた。 良く眼を凝らせばでいぶの額に茎が生えておりその先からプチトマトサイズの実りゆ、れいむ種二匹とありす種一匹をぶら下げている。 でいぶもれいぱーありすに襲われて植物型妊娠をしてしまったのが見て取れ、実りゆが少数な事かられいぱーに直ぐに飽きられたのが伺えた。 大方でいぶの絞まりの無いまむまむに満足を得られなかったか、身体だけは無駄に大きいのが仇となってまりさと見間違えられたのかの何れかだろう。 悲劇のヒロインを存分に演じているでいぶを横目にぱちゅりーは白けた顔をしていると、でいぶの騒ぎに押されて言葉を失っていた群れのゆっくりたちの熱が再び上昇し始めた。 「おさっ!! れいぱーをせいっさいっできないならそのれいむのおちびちゃんをせいっさいっさせてね!!」 「そうなのぜっ!! れいぱーのおちびちゃんはゆっくりできないのぜっ!! ゆっくりしないでせいっさいっするべきなのぜ!!」 「えいえんにゆっくりしちゃったみんなのかたきをとらないといけないんだねー、ちぇんにもわかるよー!」 気付けば彼らの要求が、でいぶの額に実ったれいぱーありすの遺児に対する制裁に切り替わっていた。 目に見える結果を冀求する姿勢を崩さない群れの面々は、まるで主張を隣人に感染させる様に広げていく。 ぱちゅりーは対応に手を焼いていると、わなわなと巨躯を小刻みに震わせたでいぶがヒステリックな赤い声を捻り出し一瞬にして群れのゆっくりたちを黙らせた。 「はぁあああっ!? なにいってるのぉおおお!? れいむのおちびちゃんにひどいことするなんてだめにきまってるでしょぉおお!! れいぱーにのおちびちゃんならまだしも、びゅーてぃふるでびゆっくりなれいむのあんこさんをうけついだ れいむにのおちびちゃんをせいっさいっするなんてぜったいにゆるさないよ!!」 でいぶはキリッと吊り上げた眉とキュッと絞った唇をこれでもかという程周囲に見せ付ける。 呆れ気味にその申し立てを聞いていたぱちゅりーは半開きにした目をしてでいぶにそっと尋ねた。 「……れいぱーにのおちびちゃんならいいのね?」 「いいよ! れいむがこそだてしたいのはれいむにのおちびちゃんだよ、れいぱーにのおちびちゃんはいらないよ!」 特段悪びれた様子も無く諏訪っとした顔をしてでいぶはそう言い切った。 れいぱーに襲われた不幸も茎に実った子供たちで帳尻が合うようで、なんともでいぶらしい思考回路だと感心しながらも、 その上で遊び感覚の子育て論を目も前で自信たっぷりに見せびらかされた気がして、ぱちゅりーは心底仰天としていたが、 彼女の意識は別に『これを利用しない手はないだろう』と思惑を巡らせていた。 道徳的に後ろめたい部分はあるものの、あの実りゆのありすを生贄にすれば群れの不満は解消されて安定を保てるのではないか、 下手に鬱積を抱えさせるのは群れの運営に支障を来たす可能性が十分にあると警戒したぱちゅりーは、でいぶの了解を得るべく提案を投げ掛けた。 「むきゅー、みんなをなっとくさせるためにはしかたないわ、そのれいぱーにのおちびちゃんをいけっにえっにしましょう、いいわねれいむ?」 「ゆっ!? でもこのれいぱーにのおちびちゃんもいらないこだけどれいむのおちびちゃんだよ、 おさがどうしてもほしいならあまあまをちょうだね! たくっさんっじゃないとゆるさないよ!!」 「……」 「どおじでだまっちゃうのぉおおおっ!? でいぶはおかーさんなんだからとうっぜんっのけんりでしょぉおおお!?」 あの学が無さそうな身形とは裏腹に取引を持ち掛ける狡猾さに、ぱちゅりーはゆっくり出来ない事だと承知の上で こいつがすっきり死すれば良かったのに、と嫌な妄想を浮かべ腹黒い含みのある笑みを作り渋々とでいぶの要求を呑んだ。 「し、しかたがないわ……むれのきょうどうほかんこさんに、にんげんさんがすてたがむさんがあるわ……それをわたすわ」 「ゆーん、わかればいいんだよ!! れいむのかわいいおちびちゃんとあまあまさんがもらえるなんてれいむはさいっこうっにうれしいよ!」 左右に巨大な体をぶるんぶるんと振って喜びを表現しているでいぶを他所にぱちゅりーは群れの一同に向かって声を張り上げた。 ともかく、このままれいぱーにのおちびちゃんをでいぶから引き離すのは幾らなんでも母体へのダメージを考慮し現実的ではないと判断したぱちゅりーは、 一旦日付を置いて、実りゆから赤ゆへと成長を待ち産まれ落ちるまで事の保留を群れのゆっくりたちに強要した。 それでも制裁せずにはいられない一部のゆっくりが駄々を捏ねるも、先程から厚い雲に覆われていた空が通り雨を齎し、事態は有耶無耶なまま一時的な休戦へと繋がった。 それからでいぶは味を占めたのか何度もれいぱーにのおちびちゃんを盾に、食料の提示を求めたりと散々好き勝手してぱちゅりーを困らせた。 だが、でいぶの有り余るほど豊満な餡子は実りゆたちを急速なペースで成長させていくことになり、ついには予定よりも遥かに早い出産日を迎る件となる。 れいぱーの一件で愛すべき家族を失ったゆっくりたちがでいぶのお家の前に集まり、今か今かと実りゆの生と死を待ち望んでいた。 ぱちゅりーや自警団の面々、いざという時の為に隣群れから呼び寄せた助産師であるえーりんも集まり万全の出産体制を整え待機していると、 まず最初にれいむ二匹が茎から震え落ちて舌足らずな産声を轟かせた。 いよいよれいぱーにのおちびちゃん、実りゆのありすが痙攣を始めると一同は息を呑んで見守り始める、ただ一匹でいぶを除いて。 「ゆぅ~ん、れいむのあまあまひきかえけんさんっ! ゆっくりしないでうまれたら、ぱちゅりーたちにせいっさいっされてね!!」 産まれたばかりの赤れいむたちを揉み上げで寄せて、お菓子を独占する子供の様に厭らしく欲深そうな微笑を浮かべたでいぶ。 その視線の先にある引換券と称した我が子を涎を溜め込みながら見つめていると、ついに実りゆのありすが――茎から放たれた。 「ゆっ! ゆっくししちぇいっちぇにぇ!! ときゃいはなありしゅがゆっきゅりうまれちゃわ!!」 雑草で急造したクッションを弾いて産み落とされた赤ゆっくりありすは、ニッコリと満面に無邪気でご機嫌な笑顔を貼り付け、 親であるでいぶを見つけて元気いっぱいに挨拶をして見せた、しかしでいぶはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべるだけで言葉を返す事はしない、 でいぶの態度をやや不審に思いつつも、赤ありすは先に産み落とされた赤れいむたちが、 額から切り落とされた茎を「むーちゃむーちゃ」と美味しそうに頬張っているのに気付いて、 急いで跳ね上がり列に加わろうとまだ覚束無い足取りで擦り寄り始めた、 しかし、でいぶの野太く膨れ上がった揉み上げがそれを拒み、鉄槌が赤ありすの頬を敲いて放り飛ばしでいぶを中心とした家族の領域から無慈悲に排除した。 突然の出来事に蹲った赤ありすは拒否の気概をはっきりと示した親であるでいぶを呆然と見上げ、 後からじんわりと伝わってきた痛みの反動で溢れんばかりの砂糖水が目尻に溜まり頬をなぞる様に下っていった。 「ゆぅえ”ぇえ”ぇえ”え”んっ!! みゃみゃぁああっ!!!! ありしゅにどうじでしょんなことじゅるのぉおおおっ!!」 「ひきかえけんのぶんざいでれいむをおかーさんよばわりしないでね! さぁぱちゅりーっ! そいつをゆっくりしないでしょけいしてね!! それからあまあまさんをもってきてね!!」 「ゆぷぷっ、きっちゃないいもうちょだにぇー!」 「ゆぐっ、ゆぐっ……どうじじぇなの? ありしゅはときゃいはなゆっきゅりなのに、どうじじぇっ!?」 実りゆの頃から想像を膨らませ描いた未来は幸福に包まれた世界の明け、与えられる筈だった甘やかな祝福は一変し、 酸鼻の形で始まったゆん生のスタートに、赤ありすは一匹めそめそと悲涙を落としていると、 のっそりと重い足取りで裡面から近づいた自警団長のらんが、赤ありすの餅と酷似した頭部を咥えようと大口を開いて差し迫った。 「さぁ、みんなこのれいぱーのおちびちゃんを、このありすを――」 ぱちゅりーは集まった皆を、群れの広場であり本日限りの処刑場へ導こうと号令を発したところで、 何の前触れもなく、周囲の注目を一身に集めるほど透き通った張りのある声をしたゆっくりがぱちゅりーの口回しを遮った。 『みんな、まってねっ!! まりさのおはなしをきいてねっ!!』 声の主の方を見るようにでいぶのお家の入り口を塞いだゆっくりたちが徐々に道を開けていく。 見れば、日差しを背にしてお帽子に形遅れな銀の古ぼけたバッジを装着したゆっくりまりさとゆっくりれいむがそこに佇んでいた。 二匹は自警団長のらんを押し退けて、赤ありすから引き離すとれいむが揉み上げでそっと赤ありすを持ち上げ、 同席者たちが有りっ丈に注ぐ殺意の眼差しから護る様にがっちりと掴んで一歩引き下がった。 そのれいむと赤ありすを庇う形で立ち塞がり仁王立ちしたまりさは、キュッと鋭い眼光を辺りに撒き散らし言葉を紡ぐ。 「みんなきいてね! このおちびちゃんをせいっさいっするのはやめるべきだよ! とてもほめられたことじゃないよ!!」 「なっ……! と、とつぜんなにをいいだすのっ!? このれいぱーのおちびちゃんは――」 「このこはれいぱーのおちびちゃんかもしれないけれど、まだなにもわるいことはしてないよ! それなのにせいっさいっするのはまちがってるよ! みんなおめめをさましてね!」 「なにいってるのー!! ふざけたこというのはやめてねー!!」 予期しない乱入者の、制裁中止の訴えに異を唱えたのは長ぱちゅりーや自警団たちではなく一番手前で出産を見守っていたちぇんだ。 このちぇんはれいぱー襲撃事件で癒える事のない傷痕を刻まれたゆっくりの一匹だった。 番のまりさやまだ年端も行かぬ幼い子供たちも、れいぱーに犯し殺され唯一の生き残ってしまったちぇんは、 失意のままただただこのれいぱーの遺児である赤ありすの死と、 制裁を願って浄水を沸騰させるほど煮え切った堅固な憎悪を内に溜め今日という日を待ち望んでいた。 「そんなのぜったいにわからないよー! ちぇんのまりさも、ちぇんのおちびちゃんも、みんなみんなれいぱーにえいっえんっにゆっくりされちゃったんだよー! それなのにそのおちびちゃんをどうしてゆるさなきゃいけないのー!? ちぇんにはわからないよー!! わかりたくもないよ!!」 「……ちぇんのかなしみをおもうとまりさもこころさんがちくちくするよ! でもよくかんがえてね!! ちぇんのまりさもおちびちゃんも、ちぇんにゆっくりごろしをしてほしいとはおもってないはずだよ! きっとそうだよ!!」 「なにかってなこといってるのー!! かんけいないまりさはだまってろよー!! ぢぇんはたぐっざんっうしなっだんだよー たいせつなおちびぢゃんをえいっえんっにゆっぐりざぜられだのにっ……わがるわけないよーっ!! そんなごどぐらいわがれよーっ!!」 涙ながらに語るちぇんの気迫が満ちた訴えに、まりさは一瞬だけたじろいでしまうが、 相対したまりさにも譲れない強い熱意があるのか、下から覗き込むようにしっかりとちぇんの瞳を見据えては、 大きく息を吐き、冷々たりながら且つ芯の通った抜き難い胸中をその願い出に乗せてまりさは答える。 「ゆっくりごろしはゆっくりできないよ!!」 その一言で、一同はちぇんを含めて固唾を飲んだ。 「なんどでもまりさはいうよ! ゆっくりごろしはぜったいにゆっくりできないよ!!」 各々に後ろめたさの尺度は違うが、一様に決まりが悪そうに眼を逸らし唇を折り曲げる。 特に長であるぱちゅりーは、道徳的な部分をすっぽ抜くのを当初から仕方ないと割り切って自分を誤魔化していた故に、 まりさの発言には胸を射抜かれた様ななんとももどかしい気持ちに支配されていた。 「ちぇんのくやしいきもちをまりさはぜんぶりかいできないよ、でもこれだけはいえるよ! ちぇんがこのおちびちゃんをえいっえんっにゆっくりさせちゃったら ちぇんもれいぱーとおなじゆっくりごろしになっちゃうよ! きっとゆっくりできなくなったちぇんのすがたをみたらてんごくのおちびちゃんはよろこばないよ!」 「そんな……かってなこと……わっ、わがらないよっ……」 「ゆるしてとはいわないよ、でもおねがいだよ……このおちびちゃんをせいっさいっするのはやめてあげてね……」 徐々に表情を暗く沈ませたちぇんは、一度だけギロリとれいむの揉み上げに隠れた赤ありすを睨み付けた。 赤ありすは刺すような視線を受けて「きょわいょおぉおおお!!」と泣き叫びながら、プシャァっと勢い良く恐ろしーしーを漏らし円らな身体を震わせる。 あまりにも幼過ぎる赤ありすの姿を見て、ちぇんは刹那に失った子供たちの面影を赤ありすと重ね、顔を伏せるとか細い呟きを残して背を向けた。 「もしそのこがれいぱーになったらちぇんはまよわず、そのこをえいえんにゆっくりさせるよ……」 それだけ言い残すとちぇんはでいぶのお家から去って行ってしまった。 毒気を抜かれた群れのゆっくりたちは、それぞれ居合わせたゆっくりたちの様子を伺い一匹がちぇんの後を追うように出て行くと、伝染する様に次々と退出していった。 残されたのは出産に立ち会った自警団の面々と長のぱちゅりーだけだ、ぱちゅりーは群れの皆を鎮めたまりさに近寄き、わざとらしく咳払いをしてまりさの頬をそっと突いた。 「むきゅー……とんだことをしてくれたわね」 「お、おさっ、かってなことをしてごめんね! でも、でもまりさはねっ――」 「それいじょういわなくてもいいわ、ほんらいならぱちゅりーがみんなにいうべきことだったのよ まりさのいうとおりゆっくりごろしはゆっくりできないわね……まりさたちにはきづかされたわ、ありがとう」 ぺこりと頭を下げたぱちゅりーに、まりさは左右に身体を振って謙虚さを表している。 一連の行動といい、照れを隠した直向な態度からまりさの人となりをぱちゅりーは再認識しつつ、 改めて赤ありすを見つめてみれば、先程から自分の事で揉めているのだと勘付いているのか、 さっとれいむの揉み上げ深くに潜り込んで姿を隠してしまった。 「でも……このれいぱーにの……いいえ、おちびちゃんありすをどうしたものかしら……むきゅー、こまったわ」 「そのことならしんぱいいらないよ! おさっ、このおちびちゃんをまりさたちのおちびちゃんにしたいんだよ! だからきょかをちょうだいね!」 「ほ、ほんきなの? まりさもれいむも、そのつもりでこのおちびちゃんをたすけたの!?」 お互いに顔を見合わせたまりさとれいむは同時に頷いて決意を新たにする、今まで黙していたれいむが片方の揉み上げで前髪を掻き揚げると、 ガッチガチに凝固した哀れを誘うほど痛々しく黒焦げ傷付いた額をぱちゅりーに見せ付けた。 「おさにはまえにおはなししたけど、れいむも……まりさも、にんげんさんにぎゃくたいされて、もうおちびちゃんがつくれないおからだなんだよ まりさのぺにぺにさんはぶちぶちされちゃったし、れいむのまむまむさんはふさがっちゃってるよ だから、みんながれいぱーのおちびちゃんをせいっさいっするってきいて、いてもたってもいられなかったんだよ どんなににくまれてうまれてきたおちびちゃんでも、えいっえんっにゆっくりさせるのはかわいそうだとおもったんだよ」 まりさとれいむは外し忘れた銀バッジが示す通り、元は飼いゆっくりだった。 ペットショップで『ゆっくりつがいセット』という名目で二匹は揃って売り出され人間のお姉さんに飼われる事になり、 それなりに順境な暮らしを送っていたものの、子供を許可無く作ってしまう在りがちな失態を犯してしまい状況は一変した。 初めてのおちびちゃんはお姉さんに処分され、家を放り出され、途方に暮れた二匹は当時まだ人間に対して無知だった為に、 もう一度飼いゆっくりにしてもらおうと人間たちが集まりそうな駅前で只管と自分達がゆっくりしている事を訴え続けていた。 そこで不運にもゆっくりを良く思わない人間と鉢合わせ弄ばれ、二度と子供が出来ない身体に虐待という名の改造を施されてしまった。 奇跡的にも一命を取り留め、ほうほうの体で人間の街を脱した二匹はこうして森の奥地に根付いたゆっくりプレイスの一員に加えられた、 そういう経緯から野生のゆっくりでは到底想像し難い波乱のゆん生を送って来た過去があり、 どれほど希求しようとも二度と自分たちの餡子を受け継いだ子供を作れない故に、 誰からも望まれないれいぱーの遺児を育てると誓った決心は並大抵の物ではない。 れいぱーに家族を殺されたちぇんの様な、被害者たちから蒙るであろう非難の全てを受け止める覚悟をその瞳に宿している。 「むきゅー……まりさとれいむのおもいはつたわったわ、でも、もし……もしそのおちびちゃんがれいぱーかして、むれのみんなをおそうようなことになれば……」 「そうならないようにするよ! まりさのえいえんにゆっくりしちゃったおちびちゃんにちかってやくそくするよ!! ぜったいにないとおもうけど、もしもおちびちゃんがれいぱーかしちゃったらむれのるーるにしたがって、まりさもれいむもどれいになるつもりだよ! だからまりさをしんじてね! まりさはいのちがけでこのこをいちゆんまえのゆっくりにしてみせるよ、だからっ……! だからおねがいだよっ!!」 子供が欲しいというまりさたちの粘り強い一念は、長であり同時に親であるぱちゅりーにも痛いほど響いてくる。 ぱちゅりーは群れの舵を取り均等を司る旗頭の為、決して肩入れすることは出来ないと念を押してから二匹の意思を汲み取り養子縁組を承諾した。 儀礼的とは言えようやく念願のおちびちゃんを家族に加える事が叶ったまりさとれいむは頬を綻ばせるが、 それに異を唱えた絶え入るような声が、れいむの揉み上げに隠れた赤ありすから発せられまりさとれいむは思わず表情を崩した。 「かっちぇなこといわないじぇにぇ!! ありしゅのみゃみゃはほかにいにゃいわっ!」 ピンポン玉が跳ねる様に、赤ありすはれいむの揉み上げから飛び出すと再びでいぶの前に躍り出た。 「みゃ、みゃみゃぁっ! ありしゅもいいこにしゅるからありしゅもいっちょにゆっきゅりさせちぇねっ!!」 のーびのーびして上下に身体を揺らし精一杯に痛々しい笑顔を振り撒き、自分がいかに実親のでいぶをゆっくりさせられるか必死にアピールし、 せめてこっちを振り向いて欲しいと、自分を見限らないで欲しいと、幼いながら我武者羅に喰い付こうとする健気な姿を皆の前で曝け出す。 だがでいぶは、そんな幼子の微かな想いさえ踏み躙って一喝を下してしまう。 「れいむをおかーさんよばわりするなっていったでしょぉおお!! おまえなんかしらないよっ!! くずのれいぱーのくせにちかづかないでねっ!! れいむのかわいいおちびちゃんにすっきりーしたらしょうちしないよ!!」 「そ、そんなちゅもりはないわっ!! みゃみゃぁっ、ありしゅはとっちぇもときゃいはなゆっきゅりよ!!だから――」 「うるさいよっ!! これいじょうれいむにいやなおもいをさせないでね! めいわくだからゆっくりしないでしんでいいよ!!」 酷薄な痛罵の壁の前に、ようやく自身が望まれぬ稚児と認識した赤ありすは、 世界の終焉を垣間見た様な言葉通りの絶望を知り、顔を真っ赤にして涙腺を緩ませる。 でいぶにとっては目障りでしかない赤ありすの啜り泣きに、でいぶは眉を顰めて舌打ちしては、 何か良からぬ事を思い付いたのか含みのある冷笑を見せて脇に寄り掛かった子供たちにそっと耳打ちをし始めた。 「おちびちゃんたち、あのくそめざわりなれいぱーにむけていっしょにぷくーしようね! わるいゆっくりをやっつけようね!!」 「ゆっくちりかいしちゃよ!! れいみゅのさいきょうのぷきゅーをくらっちぇにぇ!! ぷきゅぅうううーっ!!」 「れいぱーはれいみゅのいもうちょじゃないにぇ!! ゆっきゅりしないじぇきえちぇねっ!! ぷっきゅううぅううー!!」 歪に膨れ上がった三匹のれいむたち、もうここに居場所が無いと確信した赤ありすは呻りながら旗を巻く様に後ろへ駆けていく。 一心不乱に跳ねればボスンッと柔らかい肉圧にぶつかり赤ありすが巧まずして見上げれば、 群れのゆっくりたちから身を護り庇ってくれていたれいむが切なげに微笑んでいた。 「おちびちゃん、れいむといっしょにいこうね……れいむならおちびちゃんをゆっくりさせてあげられるよ……」 「ゆぐっ……ゆぐっ……おばしゃん……」 「まりさのおうちならゆっくりできるよ……おいしいごはんさんもよういしてあるよ、だからたくっさんっわらってね!」 紅く腫れ上がった目蓋に湧き上がる砂糖水を、れいむは揉み上げで丁寧に拭いて慰めるとやんわりと頭を撫でてやった。 もうここに居ても赤ありすの為にならないと判断したまりさは、れいむに目配せし、ぱちゅりーに軽く会釈をするとでいぶのお家を家族全員で出て行った。 その様子を見続けていたでいぶは終始一貫して、赤ありすを「くそれいぱー」「ゆっくりしていないくず」等と口汚しては罵り、 最後まで自分の餡子を分けた子供であると認めなはしなかった。 そうして外敵の排斥に成功したと思い込んだでいぶは、まるでうんうんを捻り出した後の晴れ晴れとしたうりざね顔をくっきりと周囲に見せ付けた。 「ゆーん、やっとれいぱーがいなくなったよ! これでおちびちゃんはあんっしんっだよ!! れいむさいきょうでごめんねぇ! そういえばまだあまあまさんをもらってなかったよ! ぱちゅりー、ゆっくりしないでよういしてね!!」 一部始終を見守ったぱちゅりーは侮蔑の眼差しでたっぷりとでいぶを睨み付けた後、一言も返事を交わさずそそくさと引き揚げて行った。 「ちょっとぉおおおっ!! なんでむしするのぉおぉぉっ!! でいぶはしんぐるまざーなんだよぉおおっ!! やさしくするのがあたりまえでしょぉおっ!!」 「おきゃーしゃん、れいみゅうんうんしゃんがでりゅよ!! もうがまんじぇきないにぇ! もりもりでてきちぇにぇ!!」 「れいみゅもちーちーしゃんがしちゃくなったにぇ!! はじめちぇのちーちーしゃん、いっぱいでりゅよぉおお!!」 「おちびちゃんたちなにじでるぉおおおおっ!! うんうんさんもしーしーさんもおへやのなかでしちゃだめでしょぉおおお!! おそとでしてきてよぉおおおっ!!」 「「しゅっきりー!!」」 ぱちゅりーを追い掛けてあまあまをせしめようとするも、早速とでいぶの子供たちが粗相をする始末、 覚悟のない者の子育てが如何に大変なのか、それをでいぶが知覚するのはもう間も無くの事だ。 ――――――――――――――――― あれから季節を三つ跨いだ――。 実りの秋、白銀の冬は過ぎ去り、野花が咲き誇る春の時代が森のゆっくりプレイスに訪れていた。 この日、広場には大勢のゆっくりが集まり、とある祭り事を催す為に忙しなく準備に取り掛かっている最中で、 その中にやや草臥れた顔をした老齢のまりさが、群れの皆の様子を遠巻きに伺っている。 まりさの背後にガサリと土を踏む音が響き、思わず振り向くとその視線の先に、 清楚な微笑みを浮かべた成体のゆっくりありすが春風にブロンドの髪を靡かせ佇んでいた。 「まりさおとうさん……」 「ゆっ、ありす。どうしたの? はなよめさんがくるにはまだはやいよ」 このありすはあのれいぱーの遺児、捨て子のありすだった。 ありすが父親と呼んだ老齢なまりさも、かつて長ぱちゅりーに命を懸けると宣言してまで赤ありすを引き取ったまりさで、 若々しさを失ってしまったものの、あの時と変らぬ穏やかで温厚な相貌をありすに向けている。 「……その……なんだか、まりさおとーさんにあいたくなって……」 「そうなんだね……ありす、こっちへおいで」 僅かに高く山形になっている丘の斜面で、二匹は無言のまま頬を寄せ合った。 「……」 お互いこうして身近な距離で寄り添うのは久方振りで言葉に詰まっていると、 まりさはすっかり一ゆん前のゆっくりに成長したありすを横目に、感傷に浸りながら過去の断片を拾い上げていた。 まりさが飼いゆっくりとして育ち勘当され森に居着いた軌跡があるように、ありすが歩んできた歴史も決して軽妙な物ではなかった。 幕開きの幼少期は正しく波乱の連続だった。 公式に群れの一員に加えられたものの、れいぱーありすの遺児というレッテルは、 当然ながら直ぐに拭える物ではなく、迫害を受け虐げられありすはいつも孤立の渦中にあった。 年相応の友人にも恵まれず、常に孤独で「れいぱーのこども」という汚点を種に近所のゆっくりたちがありすをからかい、見下しては除け者にする、 そういった日々でも、親であるまりさとれいむは非のないありすが苛めを受けていると知ればそのいじめっ子の家に乗り込み、 謝罪させるまで何度も異議を唱えて押し迫った。そんな姿に群れのゆっくりたちは「ゆっくりできないくれいまー」と馬鹿にし嘲笑ったが、 世間の逆境など物ともせず、まりさとれいむは如何なる時でもありすの味方に徹しては身を守る盾となった。 そうしてまりさたちに護られたありすが少年期に達したとき、負の呪縛がありすを何度と無く苦しめた。 子ゆっくりにまで成長した体は、れいぱーありすとでいぶの餡子が性格として色濃く現れてしまう時期で、 ありすは時折発作的に癇癪を起こしてはまりさたちを幾度も困らせるも、慈悲と忍耐の心で接したまりさとれいむは、 ありすの暴力的な癇癖に正面から向き合い、身勝手で自己中心的な振る舞いが如何に恥ずかしい事なのか丁寧に一から教え諭して来た。 呆れ返るほどの積み重ねが功を奏し、ありすは本能に打ち勝つ事が叶い、発作的な癇性は鳴りを潜めていき、 その頃になればありすは素行の良さから群れの一員として名実共に認められ、母親であるれいむから教わった乙女の嗜みが美ゆっくりへと着実に導いていった。 越冬を終え、春を迎えればありすはすっかり成体のゆっくりに姿を変え、群れの管理運営を任される首脳部 長のサポートをする助言役として働き、群れには欠かせない存在になっていた。 それらの結果は偏に親たちの教育の賜物でもあるが、まりさはしばしば「他ゆんの痛みが分かるゆっくりになるんだよ」と言って問題に直面する度にありすを諭し、 一流のゆっくりブリーダーでも難易度が極めて高い道徳心を芽生えさせ、ありすの根底に献身的なゆん格の構築を成せた事が大きかった。 優しく他ゆん思いなありすは、群れの子ゆっくりたちからは憧れのお姉さんとなり、年頃の成体ゆっくりからは理想の妻として圧倒的な支持を受ける程であった。 そんな折、遠方の彼方からやってきた一匹の旅ゆっくりとの邂逅がありすの運命を大きく揺るがした。 安息の地を求めて森のゆっくりプレイスに訪れたそのゆっくりまりさは、その身一つに命懸けで世界を転々としてきただけあって、 肉体的にも精神的にも逞しく主体性に富んだ気質を垣間見せ、安穏な暮し振りに慣れきった群れのゆっくりとは違い、成熟した大人の魅力を持っていた。 二匹は出会って直ぐに恋に落ちた、運命を感じられずにはいられない程のセンチメンタリズムに溺れ、情熱的な恋愛を得て結婚を誓い合った。 挨拶にとやって来た旅ゆっくりのまりさとありすの仲睦まじい姿を眼にし、まりさとれいむは喜んで二匹を祝福した。 そうしてつい三日前に発覚したのがありすの妊娠――。 その喜ばしいニュースは群れ中を駆け巡り、ついには毎年執り行われる春祭りに便乗して ありすとまりさの結婚式を一緒に挙行しようではないかと長ぱちゅりーが提案し、満場一致で可決された。 子供を産むとなればありすも自分の時間を作るのが難しくなる為、 胎児型妊娠の初期段階でまだ母体がそれなりに融通の利く状態であることを理由に急遽開催が早められた。 群れの皆が広場に集まって、狩りで収穫した木の実や茸を広葉樹の葉に乗せて並べたり、 切り株に野花を刺して飾り付けしているのも全てはその為だった。 ふと思い出に揺られてまりさは追憶にふけていると、隣に腰掛けたありすが何か伝えたそうに、 まごまごと曖昧な態度で視線を泳がせているのに気付いて横を向き直った。 まりさは自分よりも遥かに聡明で柔和な気立てのいい立派なゆっくりに育ってくれたありすを見つめて、やんわりと微笑む。 そんなまりさの表情に押されて意を決したありすがついに口を開こうとした時、突然と周囲に金切り声が轟き驚いた二匹は思わず声の主の方へ振り返った。 「ゆ”ゆ”ゆ”ーっ!! でいぶのおちびちゃんのありすちゃんがいるよぉおおっ!! でいぶだよっ、おかーさんっだよ!!」 そこに佇立していたのは、あのありすの産みの親である『でいぶ』とありすの姉に当たる『れいむ』だった。 だがよく眼を凝らせば、でいぶの姿は明らかに他のゆっくりと異なり全身が泥で汚れており、茄子型のお腹をぷりぷりと振って奇妙な動きを繰り返し、 頭部には生命の次に大事なお飾りが消失し、変わりに埃と砂利塗れの艶を失った黒髪が糊を塗り手繰った様にへばり付いていた。 姉れいむの方も同様で、頬が痩せこけているのに腹周りは奇怪な肉付きを蓄え、見苦しい泣きっ面を見せ付けている。 「おかーさんがわかるっ!? ありすちゃんをうんだでいぶだよぉっ!! おねがいだからおかーさんをたすけてねっ!! むれのみんながでいぶにひどいことをするんだよ!! ありすちゃんはおやこうこうしないといけないんだよっ!!」 「ありずぅうううっ、れいむだよぉっ!! おねーちゃんだよぉっ! そっちのくそおやなんかよりおねーちゃんをだずげでねっ!! おでがいだよぉぉぅううっ!!」 狼狽し震え怯えた様子で後ずさるありすを、でいぶとれいむは己の主張だけを取り上げて押し迫る。 ありすの身の危険を察知したまりさは、拙速にありすを庇う形で割り込むとでいぶの括れた土手っ腹を思いっ切りぶつけられ、派手に顔面から転倒した。 「まりさおとーさんっ!!!」 「ゆぐっ……あ、ありすっ!!」 「でいぶからありすちゃんをとりあげたげすはどいてねっ! ゆっ!! ありすちゃんはおびえなくてもいいんだよっ!! ありすちゃんいっしょにぱちゅりーのところにいこうねっ!! ぱちゅりーにじかだんぱんしてでいぶをふつうのゆっくりに――」 「むっきゅーんっ!! そこまでよっ!!」 騒ぎを掻き付けて颯爽と登場した長ぱちゅりーが、丘の天辺から転がるように滑って四匹の前に現れた。 遅れてやってきた自警団長のみょんが、俊敏な速度でありすにしがみ付くでいぶとれいむに体当たりすると、 二匹はお互いを巻き込む形ではぶわっと持ち上げられ斜面に小麦粉の肌を削られるように転がっていった。 「むっきゅん、ありす! まりさ! けがはないかしらっ!?」 「じけーだんちょうのみょんがきたからにはもうあんしんみょん!」 まだ幼顔を僅かに残した長ぱちゅりーと、自警団長のみょんの助太刀によって難を逃れたまりさとありすはホッと胸を撫で下ろした。 この若い長ぱちゅりーは冬を越せなかった前代の長ぱちゅりーの二番目の娘で、今はありすと共に群れの運営を任される頭目である。 三つの時節を乗り越える最中、古い世代のゆっくりたちは残した娘達に後を託して過ぎ去った季節と共に消えていった。 まりさもまたそれを待つゆっくりであり、若い世代の舵取りを陰ながら見守りつつ余生を過ごしていた。 「まりさはだいじょうぶだよ、おさっ、たすかったよ」 「ごめんなさいね、けっこんしきのじゅんびにゆんいんがたりなかったから、どれいのあいつらにもてつだわせていたの ぱちゅりーのおかーさん……ぜんだいのおさのいいつけをまもって、ありすとあのでいぶのおかおをあわせさせないようにしていたのに……とんだしったいだわ」 「……ありすはきにしてないわ、ぱちゅりー、ありがとう……」 あのでいぶは今、群れの中の最下層被支配階級である『どれい』として辛うじて群れの一員に加えられている。 どうしてその様な地位に落とされたかというと、過去にでいぶの上の娘であるれいむが子ゆっくりの時にとある出来事を切っ掛けに『擬似れいぱー化』してしまい、 近隣の子まりさを巻き込んですっきりー死させた事件が発生してしまい、擬似れいぱー化したれいむはその場で処刑され、 残された姉れいむとでいぶ共々、身内から重犯罪者を出してしまった責任として、生殖器を切り落とされ、 お飾りを奪われた上で、群れのルールに従い奴隷に成り下がり遺族への奉仕活動を強要されていた。 結局のところでいぶは子育てに失敗し娘をれいぱーとして世に送り出してしまった、覚悟の無い者の末路はあまりにも惨めだった。 「みょん、どれいをひきさげてきてちょうだい。それからありすのけっこんしきのじゃまをぜったいにさせないようにね」 「まかせるみょん、ちょうどいいからうんうんしょりじょうのおそうじをさせるみょん」 そう言ってみょんは這い蹲っているでいぶとれいむに再び体罰を下して会場から引っ張り出して行く。 でいぶとれいむは最後まで泣きじゃくりながらながらありすに救済を求めて去っていった。 ありすが群れの重役だと知っていたらしく、ぱちゅりーに口利きして罪を免除してもらおうという魂胆だったのだろう、 連行されていくかつての肉親だった彼らに、ありすは一度も眼を向けはしなかった。 でいぶの騒動も治まって再び準備が進められると、群れの家々がある方向からありすを呼ぶ声と共にれいむが近付いて来た。 「ゆーっ、こんなところにいたんだね! ありす、そろそろおめかしさんをしようね、れいむはぴこぴこさんによりをかけててつだうよ!」 「ちょ、ちょっとれいむおかーさん、ありすまだまりさおとーさんとおはなしが――」 駆けて来たのはまりさの番であり、ありすの母であるれいむだった。 母れいむはありすの背中を押すように急かすと、これから施す花の蜜を使った頬紅の話を切り出し、娘の晴れ姿を想像して顔がニヤけ切っている。 胸中に押し留めた想い伝えるべくまりさの元にやってきたありすは、まだ何も会話をしていないと抵抗して見せるも、 そんなありすの心情に気付けないまりさは、柔らかい笑顔でそっと見送った。 「ありす、かいじょうでまってるよ」 「……おとーさん……」 ありすは後ろ髪を引かれる思いで母れいむに追従し、花嫁の控え室にした長ぱちゅりーのお家に戻っていく。 残されたまりさは、雲一つ無い晴天を仰ぎ、会場に一足先にやってきた花婿のまりさの姿を見つけ挨拶と談話をするために近付いて行った。 ※後編に続きます
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※人物的説明については、「バージニアン」をご覧ください。 バージニア帝について バージニア連合王国の皇帝の総称である。 ツォネッツァ家は大ビネッツェ帝国時代から代々皇帝を務めており、大ビネッツェ帝国からバージニア連合王国まで合計すると現在は81代目となる。 歴代皇帝 大ビネッツェ帝国 初代 バージニア・ツォネッツァ 2代目 シュナリア・ツォネッツァ 3代目 ウィトウィック・ツォネッツァ 4代目 ナレロ・ツォネッツァ 5代目 シャレロート・ツォネッツァ 6代目 アパタイト・ツォネッツァ 7代目 シェパートロ・ツォネッツァ 8代目 アルタイト・ツォネッツァ 9代目 カマロ・ツォネッツァ 10代目 レパニエル・ツォネッツァ 11代目 カパルト・ツォネッツァ 12代目 アキニュエル・ツォネッツァ 13代目 シパロトニエフ・ツォネッツァ 14代目 ロギンヌス・ツォネッツァ 15代目 ツァーリ・ツォネッツァ 16代目 サントラアナ・ツォネッツァ 17代目 ヒハイト・ツォネッツァ 18代目 スパニール・ツォネッツァ 19代目 ラトニエル・ツォネッツァ 20代目 ガパタ・ツォネッツァ 21代目 ロパート・ツォネッツァ 22代目 ラパート・ツォネッツァ 23代目 カストロ・ツォネッツァ 24代目 マラニウム・ツォネッツァ 25代目 ハビトル・ツォネッツァ 26代目 ジュパトラ・ツォネッツァ 27代目 セパトレリーナ・ツォネッツァ 28代目 レーガン・ツォネッツァ 29代目 セントヘレナ・ツォネッツァ 30代目 ラスバニア・ツォネッツァ 31代目 ラパネトリアヌ・ツォネッツァ 32代目 ヘパトロニクス・ツォネッツァ 33代目 アーバン・ツォネッツァ 34代目 アストロ・ツォネッツァ 35代目 クロトヘルツ・ツォネッツァ 36代目 ニッパーツ・ツォネッツァ 37代目 ニクソニアゲート・ツォネッツァ 38代目 ニケアリス・ツォネッツァ 39代目 リッパンドラ・ツォネッツァ 40代目 アパルガ・ツォネッツァ 41代目 ゲルマニア・ツォネッツァ 42代目 マニアストロ・ツォネッツァ 43代目 ヘンリー・ツォネッツァ 44代目 マハトム・ツォネッツァ 45代目 エルダー・ツォネッツァ 46代目 ミネストローネ・ツォネッツァ 47代目 ウォーデン・ツォネッツァ 48代目 コルリール・ツォネッツァ 49代目 バージン・ツォネッツァ 50代目 ゲルマン・ツォネッツァ 51代目 セラパナ・ツォネッツァ 52代目 カルパトロニア・ツォネッツァ 53代目 アルゴン・ツォネッツァ 54代目 セシル・ツォネッツァ 55代目 パルパティーニ・ツォネッツァ 56代目 マンリットル・ツォネッツァ 57代目 ラパトハム・ツォネッツァ 58代目 ロムラッキー・ツォネッツァ 59代目 ゴットラー・ツォネッツァ 60代目 タラッパー・ツォネッツァ 61代目 トムウィッグ・ツォネッツァ 62代目 クラムニトロ・ツォネッツァ 63代目 センセート・ツォネッツァ 64代目 ガパルマン・ツォネッツァ 65代目 サーバアス・ツォネッツァ 66代目 ガルシア・ツォネッツァ 67代目 ラセパトール・ツォネッツァ 68代目 マルセル・ツォネッツァ 69代目 セントバーナ・ツォネッツァ 70代目 フリュート・ツォネッツァ 71代目 セバスチャン・ツォネッツァ 72代目 カークルス・ツォネッツァ 73代目 カール・ツォネッツァ 74代目 ナパレチオン・ツォネッツァ 75代目 パルチアン・ツォネッツァ 76代目 ローブ・ツォネッツァ 77代目 ラダカラー・ツォネッツァ 78代目 ゴートム・ツォネッツァ 79代目 アンドリュー・ツォネッツァ バージニア連合王国 初代 フェレミナール・ツォネッツァ 2代目 ウォーリア・ツォネッツァ
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ゴン 初登場話 16 ゴン×制限×血の臭い 死亡話 70 禁忌『エキストラバージン』 登場話数 3話 現在状況 一日目の午前時点で死亡 初期支給品 ひらりマント、i-pod キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 解説 初遭遇話 キルア 仲間 元世界の親友 ロワ内では再会していない。 ククリ 友好 フランの遊びに巻き込まれそうな所を助けた。 43 「ポレポレ~ッ!!」 フランドール・スカーレット 友好 寂しい子。友達になってやろうとしたが……。 70 禁忌『エキストラバージン』 レイジングハート・エクセリオン その他(物) フランドールの所有物。魔法少女リリカルなのは出典。 70 禁忌『エキストラバージン』 リルル 不認知 一部陰で見られていた。 70 禁忌『エキストラバージン』 ヴィクトリア=パワード 不認知 一部陰で見られていた。 70 禁忌『エキストラバージン』 最終状態 一日目の午前H-1でフランドールのプロテクションEX・バリアバーストによって全身消滅した。 踏破地域 E-1(道路)→F-1(桜)→G-1(市街地)→H-1(市街地) A B C D E F G H ■■■■□□□□1 ■■■■■■■■2 ■■■■■■■■3 ■■■■■■■■4 ■■■■■■■■5 ■■■■■■■■6 ■■■■■■■■7 ■■■■■■■■8
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メカナイズドバージン(DM3) 通常モンスター 星3/(炎属性)/水族/攻2000/守1500 下級モンスター 水族 炎属性