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アギト「変身」 異世界女「じゃいくよ」 ネウ俺「来るぞ」チャキ ナイト「ああ」 異世界「・・・・」 異世界「おいナイト。今次元の扉を開けてやる。だからお前達は元の世界へ帰れ」 ナイト「なに!?ここまできてか!」 169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/12/03(金) 16 48 36.84 ID z31Ytx+lP なんかまた増えてきたwww 170 :前1[sage]:2010/12/03(金) 16 52 13.95 ID iVGbqLOf0 異世界「俺はここで死ぬかもしれない。だから今なんだ」 リフ「ふざけるなよ!」 異世界「この世界の人々はみんなお前達に感謝してるさ」 喉「お前は死なない!だからこの戦いの後にでも」 異世界「すまない。もう開けた。この世界のことはこの世界の住人に任せるんだ」 グォオオオオオオオオ ナイト「!?」 リフ「な、なんだ!?」 喉「体が吸い込まれて」 サンダー「くっ!」 ナイト「おい!任せたぞ!お前ら必ずこの世界を!」 シュパ アイス「消えた・・・」 異世界「すまない・・・」 異世界女「もういいですか?」 異世界「ああ。覚悟はいいか?」 ナックル「待ってくれ!」 ネウ俺「ん?」 ナックル「あ、あの緑の相手は俺がする」 ナックル「みんなは早くこの戦いを終わらせて来てくれ・・・」 アイス「大丈夫なんだな?」 ナックル「ああ、信じてくれ」 ネウ俺「わかった。ここは任せる」 ブゥーーーーーーーーーン アギト「行かせるか!」フォン ネウ俺「くっ!」 ドカッ アギト「くッ」 ナックル「お前の相手は俺だって言っただろ!」ブゥーーーン 異世界女「私もいるんですよ」 異世界「お前は俺だ!」 異世界女「また邪魔してー」 ナックル「今のうちに行けー」 アイス「わかってる!」 ブゥーーーーーーーーーーーン アギト「貴様も拳士か。いいだろう相手をしてやろう」 ナックル「こい!」 _______________________________ _____________________ ブゥーーーーーーーーーーン ネウ俺「よし、もうすぐだ」 アイス「OK」 槍「下からなにか来る!!」 ネウ俺「構えろ!またでかいのが来るぞ」 ザッパアアアアアアアン ネウロイ「ギュオオオオオオオオッ!!」 ビリビリ・・・ アイス「くっ・・・うるさい・・・」 槍「もうすぐなんだ・・・」 槍「邪魔をするなぁぁああッ!!」 槍「天槍‘ヒンメル・ランツェ’」 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン グシャッ パリィン 槍「はぁはぁ・・・」 ネウ俺「おどろいたな・・・あれを一撃でしとめるなんて」 槍「結構魔力を消費したけどね・・・」ハァハァ アイス「急ごう」 ネウ俺「ああ」 ロボ子X「マダデス。敵機反応アリ」 アイス「コアは破壊した。そんな筈はない」 ロボ子X「イエ、マダ反応ガ、アリマス」 槍「そんな!コアが再生している!?」 アイス「なにッ!?」クルッ ネウロイ「ギュオオオオオオオッ」ウネウネ ネウ俺「ははっ、クラーケンとでも名づけようか・・・」 ネウ俺「くだらないことを言ってる場合じゃないなさっさと片付けるぞ!」チャキン アイス「ああ」ピキピキ・・・ 槍「よし・・・」ブォン ブゥーーーーーーーーーーーーーン 槍・アイス・ネウ俺「ハァアアッ!!」 シャキンッ! シュパッ ザシュザシュザシュ クラーケン「ギュオオオオオオオオ」 ウネウネウネ・・・ アイス「だめだ」 槍「すぐに再生する!」 ロボ子X「ワタシニ、任セテ、クダサイ」 ロボ子X「フォトンブラスター起動、目標クラーケン」ピピッ バシュン! ボオオオオオオオオオオオオン バシュンバシュン! ボオオオオオオオオオン ボオオオオオオオン ロボ子X「胸部ミサイル発射」 シューーーーン シューーーーン ドガアアアアアアアアアアン ドガアアアアアアアアン アイス「やったか!?」 ネウ俺「いや、まだだ!」 槍「攻撃するたびに再生速度が速くなってないか!?」 クラーケン「ギュオオオオオオオ」ブゥン アイス「やつの触手が来るぞ!回避だ」 ヒュンヒュン バシャアアアアアアアアン ボタボタ・・・ ネウ俺「斬っても燃やしてもダメ、コアも再生する」 ネウ俺「いったいどうすりゃいいんだッ!」 アイス「!」 アイス「みんなは注意を惹きつけてくれ」 ネウ俺「どうする気だッ!?何か策があるのか?」 アイス「まぁ、俺に任せてくれ」 ネウ俺「いいだろう。行くぞ!」 槍「了解」 ロボ子X「ファンネル起動」チュンチュン クラーケン「ギュオオオオオ!」ブゥン 656 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/12/06(月) 22 18 18.19 ID m7ROtULh0 ロボ娘万能すぎるwww 657 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2010/12/06(月) 22 23 00.20 ID 6cQeaRno0 そろそろお腹から巨大ビーム砲とかぶっ放しそうww 658 :前1[sage]:2010/12/06(月) 22 24 51.28 ID kyhExVFc0 ドガアアアアアアアアン バシャアアアアアアン ヒュンヒュン ビッビッ アイス「・・・」ピキピキ・・・ チャキン アイス「はぁあああッ」 シャキン スパッ ドボオオオオオオン クラーケン「ギュオオオオオ」 アイス「ヤァッ!」 スパスパスパ ネウ俺「なんだ?ただ斬ってるだけじゃないか」 槍「いや!よくみろ!斬られた触手が再生していない!」 ネウ俺「なに?」 アイス「斬っても燃やしてもダメなら再生する前に凍らせればいい」 シャキン! アイス「勿論、コアもな!」シュバッ パリィン ピキピキピキ・・・ ドシャアアアアアアアアアアアアン アイス「ふぅ・・・」チャキ ネウ俺「考えたな」 アイス「しばらくは溶けないだろう」 アイス「はやく黒いコアを壊しにいこう」 槍「ああ!」 ブゥーーーーーーーーーーーーン ___________________ ____________ ______ 俺団Ⅲ29へ続く
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――三ヵ月後 1945年3月 ロマーニャ上空 ――トラヤヌス作戦戦闘空域 ――スオムス空軍所属義勇兵 俺少尉 ネウロイの巣の下、俺と竹井大尉、そして人型ネウロイが向き合う 俺「…久しぶり、で良いのかな」 ネウ子「キュゥイン」 人型が軽くうなずく 俺(俺のことを覚えてる、のか…?) 竹井「少尉、お願いします」 俺「あ、はい。ネウロイ、また頼む」 ネウ子「キュィン」スッ ネウ子が俺に近づき、額に手をかざす 俺「んっ…」 あの痛みに耐えるため、目を閉じ…… ――『WARNING!! ENEMY FIRE!!』 俺「っ!?」 目を開けると、目の前――人型を貫くように弾道予測が表示されていた 俺「どりゃぁっ!」グイッ! ネウ子「キュイ!?」 竹井「!?」 なりふり構わず、ネウ子の腕を取り乱暴に引っ張る <ギュィィィィン!! 刹那、先ほどまでネウ子の居た位置に極太のビームが照射される 俺「くぅ…!」 竹井「ネウロイのビームがネウロイを……!?」 ネウ子「キュィィン!?」 人型に表情はないが、かなり驚いているようだ 俺「あれは…」 上空には、今まで見たことも無い巨大な巣が出現し、小さいほうの巣を飲み込んでいた 竹井「一体…何が…」 俺「…大尉、撤退命令を…我々で何とかできる相手じゃない」 ネウ子「キュィ…」 俺「…安心しろ。お前は、俺が連れて帰る」 ネウ子「…キュイ」 これが、俺たちの出会いだった ロマーニャ編第一話 "Operation Trajan" 数週間前 スオムス ヨロイネン観測所 エイラ「転属ぅ?」 俺「ああ。連合のお偉いさんからお声がかかった」 あのクリスマスから早二ヶ月ほどたった 特に進展があるというわけでもなく、特にいざこざがあったわけじゃない …あ~、エイラの誕生日パーティーでの話はさせないでくれ ……エイラ、お前酒に強いんじゃなかったのか? エイラ「お声がかかったって…何処に行くんダ?」 俺はずっとここヨロイネン観測所に居たが、 エイラとサーニャはちょっと前に拠点を移した。というより移された さすがに、エース二人をこんな辺ぴなところに置く訳には行かなかったのだろう でも、エイラはちょくちょくこっちに顔を出してくれる 本人は『ニパに用があって来た』とか『オラーシャの情報を集めに来た』とか言ってるが…素直になってくれよ とどのつまり、俺とエイラは半遠距離恋愛状態というわけだ 俺「それがぁ、ここに書いてあるとおりなら…」 エイラ「とおりなら?」 で、昨日上層部から辞令が届き、 俺「504JFWに行くことになった」 エイラ「…はい?」 ついに、スオムスを離れることになった ロマーニャ 504基地 竹井「ロマーニャへようこそ、俺少尉。歓迎します」 俺「出迎え、感謝します。竹井大尉」 Ju-52のタラップを降り、ロマーニャの土を踏む ちなみに、504へ行くにあたって、上から少尉の階級を与えられた うれしいやら…自由が利かなくなって苦しいやら… 竹井「灰色のメルス乗り…数少ない男性ウィッチっと聞いて、どんな方かと思いましたが、」 俺「案外普通でしょう?」 竹井「ええ、かわいいくらい普通です」 …どゆこと? 竹井「ミーナ中佐からの報告は聞いています」 俺「ネウロイの代弁者(メッセンジャー)、のあたりですか?」 基地の中を歩きながら、大尉といろいろ話をする 竹井「ええ…トラヤヌス作戦については、」 俺「輸送機の中で資料を読みました。ネウロイとのコミュニケーション実験、ですか」 竹井「この作戦が成功すれば、戦争を終わらせられるかもしれない。あなたには、人類とネウロイの通訳になってもらいます」 俺「…あれ痛いんだよナァ」 思わず後頭部をさすってしまう 竹井「作戦までしばらくこの基地で暮らすことになるでしょうから、部隊のみんなを紹介しておくわ」 そういって、『ブリーフィングルーム』と書かれた扉を開ける <ガチャ 竹井「さぁ、入って」 フェデリカ「お、噂をすれば。来たわね」 ドミニカ「竹井、そいつが例の男性ウィッチか?」 竹井「そうよ。俺さん」 俺「はい!スオムス空軍義勇兵の俺少尉です。本作戦に限り、504に配属となりました。よろしくお願いします」 フェデリカ「そう硬くならなくても良いのよ?私がこの隊の指揮官フェデリカ・N・ドッリオよ。よろしく」 ドミニカ「私はドミニカ・S・ジェンタイル。大尉だ。気軽に大将と呼んでくれ」 俺(大尉?大将??) ジェーン「ジェーン・T・ゴッドフリー大尉です。大将の僚機を勤めてます。大将っていうのは、あだ名みたいなものです」 俺「は、はぁ」 パティ「パトリシア・シェイド中尉。この隊の後方支援を任されてるわ。気軽にパティって呼んでね」 俺「い、いいんですか?」 フェル「基本的にみんなニックネームとかで呼んでるから。敬語もなしよ」 俺「あ、そうなの」 もっとお堅いとこだと思ってた フェル「私はフェルナンディア・マルヴェッツィよ。階級は中尉。フェルって呼んで」 アンジー「アンジェラ・サラス・ララサーバル中尉だ。灰色のメルス乗りの噂は聞いている」 俺「う、噂って?」 アンジー「そうだな…新聞には、不可能を可能にする神出鬼没の特攻野郎と」 俺「それ全部嘘です」 タイトルコールとともに銃声が鳴り響くような登場の仕方はしない ルチアナ「ルチアナ・マッツェイです。よろしくお願いします」 マルチナ「僕はマルチナ・クレスピ!よろしくね!」 俺「…名前が混乱しそう」 ルチアナ「ははは…」 マルチナ「いつものことだから、気にしないで!」 俺「すんません…」 竹井「で、最後に私が、隊の戦闘隊長。竹井醇子大尉よ」 俺「改めて、よろしくお願いします」 その日の夜 俺「…とまぁ、いろいろあってね」 エイラ『ホェ~』バリボリ 俺(サルミアッキ食ってんな) 竹井大尉に頼んで電話を借り、エイラに電話をかける エイラ『それで、作戦はいつだっけ?』 俺「明々後日だ。明日、作戦に参加する全部隊が揃う。そのあといろいろ調整がある」 エイラ『504以外にどこか参加するのカ?』 俺「ウィッチ隊じゃないよ。空軍の研究グループ、だったかな」 エイラ『ふ~ん…俺は、ブリタニアのときみたいに、』 俺「そうだ。ネウロイに体を貸すんだ」 T-RIPのチップを通し、ネウロイの俺の頭をハッキングさせ、通訳に用いる エイラ『…キケンだってことは、分かってるんダナ?』 俺「じゃなきゃここにいないよ」 エイラ『作戦が成功すれば、すぐ戻って来るんだよナ?』 俺「なるべく早く戻るつもりだけど…何を焦ってるんだ」 エイラ『だって…会えないし…』 俺「はぁ…距離が離れただけで、ここ数ヶ月と状況は変わらんだろう」 エイラ『ウン…』 俺「ロマーニャ土産買って帰るから。またな」 <ガチャン 心配してくれるのはうれしいんだが…もうちょっと信用してくれてもいいじゃないか 竹井「それだけ愛されてるってことよ」 俺「…いつから居たんです?」 竹井「『空軍の研究グループ』のあたりから。で、ネウロイに体を貸す、っていうのは…」 俺「言葉のままの意味ですよ」 竹井「…大丈夫なの?」 俺「危険性はありませんから、安心してください。二度体を貸していますが、後遺症はありません」 竹井「なら、良いのだけれど…」 口ではそういっているが、明らかな不安と迷いが感じられた 俺「…大尉、この作戦が成功すれば、戦争は終わる。これ以上の犠牲を出さずに済む。そう言ったのはあなただ。方法を選んでる暇はないはず」 竹井「そうね…あなたの言うとおりだわ、気を引き締めないと」 俺は、電話を貸してくれたお礼を言ってから、部屋をあとにする 竹井(俺少尉…あなたは一体何者…?) 机の上には、ミーナ中佐から送られてきた、俺少尉のプロファイルがあった 501に正規配属されてからの経歴しか載っていないが 竹井(オラーシャ上空で空母型ネウロイを撃沈…その際に用いたらしい個人開発の新兵器…『Nuke』…) ただの義勇兵でないことは、確かだ === ――抵抗軍防衛拠点 地下居住区画 ――人類抵抗軍ジョン・コナー直属部隊 ???「俺兄さん!」タッタッタ 俺「ん?」 任務のため、基地を出ようとしていた俺を、誰かが呼び止めた ???「やっと、おいついた…」ハァハァ 俺「おい大丈夫か、エフィ?」 エフィ「走った、から、疲れた、だけ…」ハァ…ハァ… 駆け寄ってきた少女の名前はエフィ ショートの黒髪に黒い目。東洋の血が入っているが、顔つきは欧米のものだ。背は俺より低い 俺と同じ孤児で、二歳下。孤児のよしみでよく一緒にいる エフィという名前は俺が付けた。スペルはEFFY 俺はエフィを妹のように思っており、エフィは俺を兄のように慕っている 現に、エフィは俺のことを俺兄さん、と呼ぶ エフィ「それより、はい、これ」 差し出されたエフィの手には、パイプのようなものが乗っていた 俺「プラスチック爆弾?お前が作ったのか?」 彼女は口があまり達者ではなく、言葉が細切れになる その代わりというわけではないが、手先がすごく器用で、 材料さえあれば、一日で五十個以上のプラスチック爆弾を作ることができるほどだ 口が達者でない理由は………いつか話そう。あんまり良い話じゃない エフィ「俺兄さんに、あげる。危ない、任務だって、聞いたから」 俺「…ありがとう。もって行くことにするよ」 円筒状のプラスチック爆弾を後ろ腰のベルトに引っ掛ける エフィ「気を、つけて、ね」 俺「ああ、死なない程度にがんばってくるよ」 地上へとつながる梯子の下で、手を振り、別れる その日のその任務で、俺はエフィの作ったプラスチック爆弾で、一体のターミネーターを倒した それと同時に、俺は異世界に飛ばされ、 エフィの顔を見ることは、二度となかった……… === <パッパパーパーパパーパッパパッパパー、パッパパパパパー 俺「ん…」 起床ラッパとともに目が覚める 俺「…ずいぶん懐かしい夢を見た」 ベッドから体を起こし、軽く伸びをする 俺「向こうへの未練は断ち切ったはずなんだけどな…」 何で今になってエフィの夢を見たのだろう 彼女を思い起こさせるような風貌をした少女には会っていないし… 俺「考えても仕方ないか」 思考を中断し、ベッドから抜け出す ちゃっちゃといつものジャケットに着替え、食堂へ向かう 今日はトラヤヌス作戦の決行日だ ――再び 1945年3月 ロマーニャ上空 ――トラヤヌス作戦戦闘空域 ――スオムス空軍所属義勇兵 俺少尉 俺「死神は俺のことがよほど嫌いみたいだな!」テュンテュン!! 迫り来る敵を牽制しながら、必死に逃げる ネウロイの攻撃から助けたネウロイを抱え、俺はとにかく逃げる 逃げているのは俺だけでない ウィッチの皆や、研究グループを乗せた輸送機も、撤退命令に従って逃げる逃げる クモの子を散らすように、というのはこの事か? いや、この場合は、尻尾を巻いて逃げる、の方か? アンジー「少尉!先に行け!ここは任せろ!その子を基地に連れて行くんだ!」 俺「っ!…すまない」ブォォン!! 俺たちの任務は、ネウロイとのコミュニケーション実験から、人型ネウロイの保護へと移った ネウロイがネウロイを攻撃した…今まででは考えられない事態だ 俺(一体何がどうなってやがる!?簡単な任務のはずじゃないのか!?) 俺はただネウロイに体を貸して、通訳になれば良いだけ ただ…ただそれだけだったはず ネウ子「ッ! キュィン!!」 人型が危険を知らせ、 俺「くそっ!」ブォォン!テュンテュン!! 何とか回避する とにかく、すべてをこいつを基地に連れ帰ってからだ ネウ子「キュイ…」 俺「どうした?」 ネウ子「キュ」 俺「え?ちゃんとつかまれって?」 ネウ子「キュッ」コクコク 俺「何か知らんが、失礼するぞ」ギュッ ネウ子「キュィン!!」 俺「ぬわっ!」グィィン! この人型がネウロイパワーでも使ったのだろう。機体が急にスピードを上げる 一瞬振り落とされそうになるが、相手はネウロイだと割り切って思いっきり抱きつく <キィィィン!! 背後に敵が二機喰らいついてきた 俺「この速度でも追ってくるのかよ!」テュンテュン! プラズマライフルを乱射するが、当たる気配はない ネウ子「キュィッ!」 人型が片腕を俺から離し、敵のほうへ向け <ビィィィムッ! <キィィン!?ドカーンパリーン 正確な射撃で二機を撃ち抜いた 俺「すんげぇ…」 ネウ子「キュイ」 徐々に減速を始める。安全圏まで逃げれたのだろうか 俺「もう大丈夫なのか?」 ネウ子「」コクコク 俺「よし。ララサーバル中尉!人型を安全圏まで避難させました!そちらもすぐに撤退を!」 アンジー『わかった!おい皆聞いたか!?撤退だ!退け退けぇっ!(キィィン!!)くそっ!(ダダダダ)ザァーー………』 『中尉?中尉!?』 『3時方向に敵!』 『くそぅ!情報が錯綜してる!一体誰から見て3時なんだ!(ババババ)』 『ぐわぁぁっ!!(ドォォン!!)』 『フォルゴーレが一機やられた!』 『無理にやりあうな!退け!(ダダダダ)』 『っ! ケツに二機つかれた!(ブォォン)』 『待ってろ!今行く!(ビィィィ!!)だぁぁ!ちくしょう!』 『一機そっちに行ったぞ!』 『ちくしょう…チックショー!!(ビィィィ!!ドグァーン!)』 『またやられた!(ダダダダ)Check Your Fire!! くそったれ!俺は味方だ!!』 『Last Mag!!』 『ハァ…ハァ……魔力が…おのれ…』 インカムから聞こえてくる無線の内容に、 俺「……っ」 ネウ子「キュィ…」 一人と一匹は顔をしかめる 504管制『俺少尉、そちらの機影を捉えた。着陸を許可する』 俺「…保護対象引渡し後、残存部隊の支援に向かいたい」 504管制『ネガティブ。情報が錯綜しており、現場の細かな状況が把握できない』 俺「見殺しにしろってのか…!」 504管制『彼女らを信じろという意味だ……着陸を許可する』 俺「…………デェッム」 ネウ子「…」 数時間後 504基地 営倉 兵士A「おい、ウィッチ隊、ほぼ壊滅だって…」 兵士B「マジかよ…」 兵士C「じゃあ、ロマーニャの防空はどこが?」 B「空軍のどっかがやってくれるさ。俺たちはただの基地警備隊だ」 A「そうだ、俺たちが騒いだところで、どうにもならん。それより今は…」 C「こいつ、か」チラッ ネウ子「キュー…」 執務室 俺「なぜ彼女を営倉に?保護という扱いではないのですか?」 連れ帰った人型ネウロイは、竹井大尉の判断で営倉に入れられた その中で、基地警備隊の兵士に見張られているはずだ 竹井「彼女じゃないわ、あれよ。ネウロイは人じゃない」 俺「彼女は我々と分かり合おうとしてる!それなのにか!?」 フェデリカ「少尉!」 俺「っ…」 竹井大尉は多くの部下が負傷したことに 俺は人型ネウロイのことで頭がいっぱいに 二人とも、それぞれの理由で少々情緒不安定・神経質になっていた 竹井「……俺さん、あのネウロイ。あの人型に固執する理由は何?」 俺(…) ――俺『おいお前!』 ――ネウ子『キュゥイィン?』 ――俺『…ありがとう』 ――ネウ子『…キュィン』 ――宮藤『あのネウロイは…?』 ――俺『…俺たちを庇って死んだ』 俺「……彼女に会わせてください」 竹井「質問に答えて!それに、あなたの経歴には不審な点が多すぎるの!」バンッ! 机を叩いた拍子に、俺のプロファイルが床に落ちる フェデリカがそれを拾い上げる ―『魔力が極端に微量。しかしユニットの使用は可能。理由は不明』 ―『個人で開発したものと思われる新兵器を所有。現代の技術を超越している』 ―『人型ネウロイと接触。何らかの情報を入手、ないしはネウロイと関係を持った模様』 プロファイルには上のようなことが書かれていた 男性ウィッチというだけで珍しいのに、こんなことを書かれては、 フェデリカ(疑われても当然…) 俺「会わせろ!会わせてくれ!」 いつもの冷静さはどこかに飛んでいき、感情のままに言葉を発する あのときとは違う人型ネウロイ。分かっているつもりだ… 俺(でも、彼女は俺を知っているようなそぶりをした…!) ……確かめたい …確かめるべきだ 俺(確かめなきゃならない……!) フェデリカ「…竹井、会わせてあげましょう」 竹井「でも…」 フェデリカ「俺さん、確かめたいことがあるんでしょう?」 俺「はい」 フェデリカ「…行きましょう」 再び営巣 ネウ子「キュー…」 A「こいつ、瘴気は出さないのか?」 C「そういえば…」 B「何でだ?」 俺「出さなくても生きていけるってだけだろ」 A「俺少尉!ドッリオ少佐!竹井大尉まで!」 フェデリカ「ノックしたんだから、返事ぐらいしなさい」 B・C「す、すいません」 俺「……何かされたりしなかったか?」 ネウ子「キュー」フルフル 俺「そうか。なら、良いんだ」 竹井「俺さん、確かめたいことって?」 俺「…警備の三人を外に出してもらえますか」 フェデリカ「聞こえたわね?」 A「了解。廊下に出てます。行くぞお前ら」 <キィィ、バタン 俺「さて、と。いろいろ聞きたいことがあるんだ。いいか?」 ネウ子「キュッキュ」フルフル 俺「なっ…」 ネウ子「キュッ」ツンツン 俺「ん?」 人型がなにやらジェスチャーを始めた まず俺を指差し、次に自分の頭を。最後に口の辺りで手を閉じたり開いたりした え~と… 俺「しゃべる方法が知りたい?」 ネウ子「キュー!」コクコク 竹井「ちょっと待って!今ので分かったの!?」 俺「え、ああ、はい。大体」 フェデリカ「すごい…」 ネウ子「キュゥ…」ツンツン 俺「ああ、すまん。で、具体的に何をすれば良い?」 人型はまず俺の額を指差し、自分の額を小突いた 俺「こうか?」 意味を理解した俺は、人型の額に自分の額を近づける お互いの顔の間で青白い光が発生する ネウロイに体を貸すときのような、鋭くも鈍い痛みが来ると重い、身構える <ピリッッ!! 俺「んっ――!」 思っていたような痛みはなく、軽く電流が流れたような痛みが来た ネウ子「…」スッ 人型が無言で離れると同時に、 俺「ぉぅ…」 まだちょっとだけ痛み額をさすりながら、俺も後ろに半歩下がった 竹井「何が、おこったの?」 フェデリカ「私に聞かないで…」 俺「多分、俺の記憶を探って、人の言葉をしゃべる方法を探ったんだと思います」 フェデリカ「そんなことができるの?」 俺「相手はまがいなりにもネウロイですよ。洗脳もやってのける連中ですから」 ネウ子「…」 何かを考えていたのか、うつむいていた人型が不意に顔を上げた そして一言 ネウ子「聞こえる?」 俺・フェ・竹「!?」 今までキューとかキュィィン!とかキュゥ…としか言わなかった人型が突然しゃべりだした …いやまあ、しゃべり方を教えたんだから当たり前なんだが。やっぱり驚く それと、俺は別の意味でも驚いていた 俺(この声……人型の声って……) ――エフィ『俺兄さん!』タッタッタ ――エフィ『やっと、おいついた…』ハァハァ ――エフィ『走った、から、疲れた、だけ…』ハァ…ハァ… ――エフィ『それより、はい、これ』 ――エフィ『俺兄さんに、あげる。危ない、任務だって、聞いたから』 ――エフィ『気を、つけて、ね』 俺(エフィの声にそっくり…つうかまんまじゃねぇか……!) 人の言葉を発生する上で、人の声のサンプルをとる必要があるのは分かる でも、よりによってエフィの声だなんて… ネウ子「聞こえる?」 驚いた顔のまま固まっていた俺たちに、人型が再度尋ねる 竹井「え、ええ、よく聞こえるわ」 ネウ子「良かった。私には、声帯と、呼べるものが、ない。スピーカーの、ようなものから、発声している」 そのスピーカーじみたものがどこにあるのかは分からんが、人型の口は動いていない フェデリカ「でも驚いた。ネウロイが人の言葉をしゃべるなんて」 ネウ子「私たちは、日々、進化している。今、この瞬間も」 どっかで聞いたような気もするが…まぁ、気のせいだろう 俺「しゃべれるようになったところで、質問に答えてもらおう」 ネウ子「私の、答えうる、範囲なら」 俺「お前は、ブリタニアに現れた人型なのか?」 優先順位一位はこれだ ネウ子「YESであり、NOである」 竹井「どういうこと?」 ネウ子「私の、IDは、X-11/Mk2。ブリタニアの、巣にいたのは、X-11。私は、彼女の、いわば、コピー」 俺「コピー?」 ネウ子「まったく、同じ性能の、体を持ち、彼女が、死ぬ直前の、記憶を、引き継いだ。コアネットワークに、残っていた、彼女の、記憶を」 俺「だから、俺のことを知っていた、と?」 ネウ子「あなただけでは、ない。宮藤芳佳の、ことも、知っている」 フェデリカ「ミヤフジ?」 竹井「扶桑海軍のウィッチよ。元、だけど」 フェデリカ「引退したの?」 竹井「…話すと長くなるわ」 不名誉除隊だっけか… ネウ子「宮藤さんは、いる?」 俺「ここにはいない。でも、多分いつか会えるさ」 ネウ子「そう…」 俺(しゃべり方までエフィそっくりだ…) ネウ子「ところで、これ、どう?」 竹井「どう?って?」 ネウ子「人間と、話す時に、ネウロイの、姿、という、のは?」 竹井「別に構わないと思うけど、」 フェデリカ「他の姿にもなれるの?」 ネウ子「」コクッ 人型は頷き、 ネウ子「」ドロー 竹井「ヒッ…!」 フェデリカ「!?」 T-1000のように体の表面が溶け始めた 今までネウロイらしい黒色をしていた表面は、一度溶けた後再び形を作り、 手や顔など露出する箇所は肌色に。髪はネウロイらしさが残る黒になっていった ユニットの形をしていた足は、上半身に比例した太さのちゃんとした足になった 目や口、鼻も形作られ、顔立ちは欧米系、目はやはりというか黒だった 上半身は黒の縦セーター、ズボンは灰色。つまりはネウロイ時の格好を人間っぽくしただけ 俺(……やっぱりな) 多分分かっていると思うが、その風貌はエフィそのものだった ネウ子「どう?」 ちゃんと口が動いている 俺「ああ…あいつにそっくりだ…」 怖いくらいな… ネウ子「俺兄さん?」 俺「ッ!?」 竹井「兄、さん…?」 俺「…兄さんはやめてくれ」 ネウ子「わかった」 フェデリカ「ちょ、ちょっと待って!一体どういうこと?」 ネウ子「彼の、記憶の中にいた、少女を参考に、この容姿と、声を、構築した」 竹井「つまり、俺さんの知り合いを真似た、ってこと?」 俺「ええ、俺の妹分だった、エフィにそっくりです」 フェデリカ「その子は今、どこに?」 俺「…」 フェデリカ「……ごめんなさい」 勘が良いよな、この人 ネウ子「他に、質問、は?」 俺「ああ、もう平気だ」 エフィを真似ているあのときとは違う人型ネウロイ。こいつの位置づけはこんな感じ ネウ子「私は、これから、どう、なるの…?」 竹井「しばらくはこの基地で暮らしてもらうことになるわ」 フェデリカ「連合軍の保護下に入るってことね」 竹井「この基地の中であれば、好きに行動しても大丈夫よ。でも、」 ネウ子「でも?」 竹井「ふざけた真似をすれば、然るべき施設に幽閉されることになるわ」 ネウ子「…キュー」 フェデリカ「分かってくれたみたいね」 人の姿のときにキューといわれると、ちょっと違和感がある が、さっきまでの動物の鳴き声みたいなキューではなく、口でキューといっている感じなので、 俺(何かかわいい…) チワワとかの小動物的なかわいさだ 竹井「行動するときは、必ず誰かがつくようにしましょう」 俺「その仕事、俺にやらせてください」 竹井「え?いいけど、一応理由を聞かせて」 俺「やっぱりというか、こいつを見てると、エフィを思い出して…」 フェデリカ「妹分、って言ってたわね」 俺「ええ。血は繋がってませんが、本物の妹みたいでした…」 ネウ子「キュー?」 ――エフィ『俺兄さん!』 俺「っ…」 竹井「……俺さん、“彼女”を頼むわね」 俺「はい」 ネウ子「キュ?」 俺「…お前とは、長い付き合いになりそうだな。“エフィ”」 ネウ子「…うん」スッ 人型が手を差し出してきた ネウ子「ありがとう」 俺「?」 ネウ子「こんな、風に、使うん、でしょ…? 感謝の、言葉は」 俺「…ああ、そのとおりだ」スッ 人型の手を握る 俺「よろしくな」ギュッ ネウ子「キュー♪」ギュッ <ギュゥゥゥゥゥゥ 俺「…痛い」 手がちょっと腫れました ―次回予告― 俺「一日で11人全員が揃うとは…」 ネウ子「宮藤、さん…」 宮藤「あの時のネウロイ!?」 ネウ子「今、急進派を、抑えられるのは、あなたたちだけ」 エイラ(バカッ!私は何を…) 俺「フギュウッ!?」バタッ 兵士1「……"Project C.T.N"…?」 ネウ子「私は…敵じゃない」
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俺「ストライクウィッチーズだってね」 355-377 作者 パラレルワールド あらすじ 突然、2010年の東京に飛ばされてしまった宮藤。 そこで俺と出会い、短い時間だが一緒に過ごすことになる。 2人は打ち解けその生活を楽しんだが、ついに帰る方法が見つかった。 ところが俺まで飛ばされてしまい逆に宮藤の世界へ。 運よく使い魔と契約し、ウィッチとして認められた俺はストライクウィッチーズに入隊。 ビビリながらも何とか初戦をこなす。 エーリカや宮藤と一緒に帰省も済ませ、過ごしていたある日… 第6話「異変」 ―――ブリタニア 俺「ただいま…で合ってるかな?」 エーリカ「楽しかったねー!」 宮藤「そうですね!」 まるでちょっとした観光旅行だな。 そんな簡単にして良いものか… まあ副作用は無いみたいだし、大丈夫だろう。 357 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 07 27.14 ID dGR+Olt60 またしても海岸に到着した俺達を迎えたのは、お留守番のウィッチ達だった。 帰る時間は告げていたので、待ち構えていたのだろう。 ゲルト「よく帰ってきたな!宮藤、ハルトマン!」 俺「…俺は?」 ゲルト「どうでもいい」 俺「ひどくないか?」 ミーナ「ふふ、俺さんもおかえりなさい」 ゲルト「冗談だ、冗談。真に受けるな」 リーネ「芳佳ちゃん大丈夫だった!?」 ルッキーニ「うじゅー!お菓子ー!」 ワイワイ ガヤガヤ こうして賑やかに出迎えてもらうと、改めて俺はここに居るということがわかる。 今までは俺は明確な”居場所”なんて見つけられなかった。 クラスでも、学年でも、学校でも、バイト先でも。 それが、始めて「ここに居ていいんだ」と思えるような所に出会えた。 359 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 12 11.05 ID dGR+Olt60 おっと、感傷に浸っている内に涙が出てしまったようだ。 拭おうとするも間に合わず、 宮藤「俺さん泣いてるんですか…?」 エーリカ「トゥルーデが苛めるからー」ヨシヨシ ゲルト「す、すまない!別に苛めるつもりではなかったんだ…」 俺「いや、違うんだ。別に悲しくて泣いてたんじゃない」 シャーリー「じゃあどうして?」 そう聞かれて、俺は自分自身の生い立ちを説明した。 そして感謝の気持ちを伝えた。 それが俺なりの誠意だった。 エイラ「オマエ、悲しい人生送ってきたんダナ」 サーニャ「泣けてきます…」グス ルッキーニ「アタシが友達になってあげるね!」 坂本「はっはっは、良かったじゃないか俺!」 あれ…?何か俺哀れまれてる? こういう事じゃなかったんだが、まぁいいか。 361 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 17 16.75 ID dGR+Olt60 ミーナ「基地に帰りましょうか」 ストライクウィッチーズは、大量のお菓子と共に基地に帰還した。 そして俺は、また訓練の日々が始まった。 ――――――――――――――――――――――― ある日の、休憩時間のこと。 エーリカ「ねー俺ー。ちょっと元の世界行ってお菓子買ってきてよ」 俺「あれだけあったのにもう無くなったのか!?」 他の面子を見ても、首を横に振る。 どうやら1人で大量に食べていたようだ。 だからって俺を使うな。 というか、パシリ感覚でパラレルワールドを行き来させるなよ… 俺「ダメだ、食べてばかりじゃ太るぞ?」 エーリカ「私どれだけ食べても太らないもーん」 リーネ「へ、へー。そうなんですかー」 ミーナ「いいわね、本当に羨ましいわ…」 若干数名の背後に黒い影が見える。 いつの時代も女性の悩みの種は尽きないんだな。 そんなどうでもいいことを考えていると、今度は俺の話題となった。 363 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 22 18.14 ID dGR+Olt60 坂本「それにしても、俺も強くなったな」 ゲルト「まあ私にはまだまだ及ばないがな」 シャーリー「ま、少し動きは固いかも知れないが十分一人前だろう」 鷹「うむ、だがもう少し固有魔法の使い方を考えるべきではないか?」 俺「ビックリした…唐突に出てくるなよ」 鷹「すまない。しかし今のままでは駄目なのはわかっているだろう?」 もちろん俺だって、守ってもらう以外の方法を考えている。 だからってそう簡単に思いついたら苦労しない。 鷹「それなのだが…魔力を限界まで溜めなくても撃てるのは知っているか?」 俺「え?普通に限界まで溜めるもんだと…」 鷹「実は調整できるぞ。」 俺「そんなの聞いてねえよ…」 鷹「うむ、言い忘れておった」 俺「ただの言い忘れかよ!!」 364 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 27 47.11 ID dGR+Olt60 宮藤「まあまあ、落ち着いてください俺さん」 エイラ「そうダゾ、使い魔に怒ってどうするンダ」 ペリーヌ「これで少しは役に立ちますわね」 ルッキーニ「他には何かないのー?」 ルッキーニが、鷹の背中に飛び乗りながら聞く。 鷹の方も満更ではないのか、好きなようにさせている。 …羽はモフモフで気持ち良さそうだな。 鷹「まだあるぞ。なんと複数同時に魔力充填も可能なのだ」 俺「ふーん、まぁこれで少しは…他には?」 鷹「我の知る限りには無い。あるとすれば、それはお主が考え出した方法であろう」 そう言って、鷹は消えた。 言い忘れは有力情報でチャラにしておこう。 ちなみに、あれから練習用の弓では…ということになり特注で弓を作った。 神話に準えて、2本の弓――アポロンとアルテミスを。 その時突然、サイレンが鳴り響いた。 ウーーーーーーーーーーーウーーーーーーーーーーー 367 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 32 42.10 ID dGR+Olt60 坂本「なんだと!?今日はネウロイの予報はなかったはずだぞ!」 ミーナ「とりあえず、私と美緒は司令室へ。他は全機出撃よ!」 「「「「「了解!」」」」」 突然の出撃だったが皆慌てることなくハンガーへ向かう。 俺ももう慣れたもので、愛用の弓と矢筒を担ぎ走る。 俺「出撃!」 ブロロロロロロロロロロロ 坂本『ザザ…みんな、聞こえているか』 ゲルト「あぁ、大丈夫だ」 坂本『今回は少々厄介だ…そこから北の方向にネウロイ、およそ100体』 俺「100だって!?」 ミーナ『大編隊よ…大型から小型まで、かなり居るわ』 ミーナ『私達もすぐに向かうから、それまでの指揮はトゥルーデが執ること。いいわね?』 ゲルト「わかった」 シャーリー「それにしても100体とは多いな…」 368 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 37 19.20 ID dGR+Olt60 エイラ「しかもこの先はロマーニャダゾ…」 ルッキーニ「絶対通さないからね!」 サーニャ「私達の未来を守りましょう」 しばらくして、ネウロイと交戦する前に中佐と少佐が合流した。 どうやら敵は相当進むのが遅いようだ。 ミーナ「おかしいわね…あれだけ戦力があるなら一気に戦ってもそこそこ戦えるはずなのに」 ペリーヌ「陽動という可能性はありませんの?」 坂本「ああ、レーダーは他に映ってなかったし故障もしていなかった。」 宮藤「見えてきました!」 ゲルト「今は目の前の敵に集中しよう!」 こうして、戦闘が始まった。 ガガガガガガガガガ ペリーヌ「ちょこまかと…トネール!」バリバリバリ エイラ「上ダナ」 サーニャ「うん」ドシュドシュ 369 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 42 28.45 ID dGR+Olt60 エーリカ「多すぎだよー」ガガガガガ ゲルト「勲章が飛んでくると思えばいい!」ガガガガガガガガ エーリカ「むーりー」 坂本「あの大きいのは私がやろう…烈風斬!」ドォン 流石はストライクウィッチーズ、数は多いといえども余裕すらあるようだ。 しかし、そこに基地から連絡が入った。 連『ザザ…こちら基地、応答願います』 坂本「どうした、何かあったのか?」 連『そちらとは逆方向から基地に向かって、ネウロイが1体進行中です』 ミーナ「速度は?」 連『これもまた通常より遅いですが、10分後には到達すると思われます』 ミーナ「陽動だった…?いえ、とにかく援軍を送るわ」 連『了解』 そこで通信が途切れた。 どうやらあまり悠長にしている時間はないようだ。 371 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 20 47 31.46 ID dGR+Olt60[ 俺「俺に行かせてくれ」 ミーナ「え?でも…」 俺「大丈夫。1体なら固有魔法でどうにかなるし、こっちもあまり戦力を削られたくないだろ?」 坂本「少し心配だが…仕方が無い、お前に任せよう」 ゲルト「危なくなったら無理せず逃げるんだぞ!」 俺「了解」 皆の視線を背に受け、俺は基地に向かって飛び始めた。 およそ5分、間に合うだろう。 基地を越え、しばらく飛んでいると前方にそれらしき物体が見えた。 敵は気付いていない…先制攻撃だ。 俺「魔力充填開始」 矢を番え、弓を引き絞る。 待つこと数秒。 俺「魔力充填50%、発射!」ヒュン ドォン パリィン 俺が放った矢は、ネウロイを一撃で粉砕した。 そして基地に連絡をいれようとしたその時、上空から何かが降りてきた。 373 :パラレルワールド[ 372了解、ありがとう][]:2010/12/08(水) 21 00 03.85 ID dGR+Olt60 俺「ウィッチ…いや、ネウロイか…!?」 体はネウロイのように漆黒に染まっているが、形はウィッチのように人型をしている。 攻撃の気配もないし…なんだあれは。 銃を構えたまま警戒していると、突如それが声を発した。 ネウ子「私は…戦う気はない…」グニャ そう言って、自らのコアを露出させた。 思わず撃ちそうになってしまったが、堪えて問う。 俺「お前は何者だ、敵か?」 ネウ子「敵じゃない…知らせに来たの…」 俺「知らせに?何を…」 ネウ子「これは罠…危ないから…逃げて…」 俺「これが罠だったと?しかしもうネウロイの姿は無いらしいじゃないか」 ネウ子「私もアイツも…感知されない…」 その時、目の前のソレがビクッとした。 何かに反応しているようだ。 俺「どうした?」 ネウ子「ダメ…逃げて…私も敵わない…」 374 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 03 38.48 ID dGR+Olt60 空から同じようなものが降りてくる。 しかしそれは禍々しい感じがする。 形は男か…さっきのがネウ子だとしたら、これはネウ男かな。 ネウ男「はっ、こんなとこに居やがったのか裏切り者め」 ネウ男「そっちは初めてだな、よう。よろしくなー」 わけがわからない。 こいつもネウロイなのか?じゃあ何故片方を裏切り者と? ネウ男「じゃ、死んでもらうわ」シュン ネウ子「させないよ…」バシッ 突然ネウ男が俺に向かってビームを放つ。 呆気に取られて動けないでいると、そこにネウ子が割り込んできた。 それもシールドをはって。 ネウ男「ちっ、邪魔すんなよ裏切り者風情が!!」 ネウ子「あなたは…逃げて…」 逃げてと言われて逃げるほど俺は落ちぶれちゃいない。 どうやらこのネウ子は、とりあえず味方のようだ。 味方を、しかも女の子を放っておくなんて出来るわけないだろ? 375 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 07 20.28 ID dGR+Olt60 俺「よくわからんが食らえ!」ガガガガガ ネウ男「それがどうした」ヒョイ ネウ男「今度はこちらからいくぞ」 俺は奴に向けて銃を撃った…はずだ。 しかし、それが当たらなかったどころか 気が付けば眼前にネウ男が迫っていた。 ネウ男「おらぁ!」ドカッ 俺「ぐはっ」 腹に受けたパンチはたった1発だ。 なのに、凄く重い。 一瞬意識を持っていかれそうになるが、なんとか繋ぎとめる。 追撃しようとするネウ男を、ネウ子が妨害する。 ならばその隙を狙って… 俺「魔力充填20%、発射!」ヒュン ドォン 煙がかかって見えない。 俺「やったか!?」 376 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 10 03.54 ID dGR+Olt60 しかし、ネウ男には傷一つ付いていなかった。 ネウ男「もういいや、とっとと死ね」ガシッ ネウ子「きゃっ」 俺「ぐっ…」 俺達は、一瞬の内に首を掴まれた。 このままでは…息が… ネウ男「冥土の土産に教えてやろう」 ネウ男「俺が…まあ一応そこの出来損ないもだが、何故これほど強いのか」 ネウ男「それはな…お前のせいだよ、俺」 俺達は、今までは他のネウロイと同じだった。 ある時交戦区域の海中で膨大な魔力が観測された。 その時は突然で逃したが…俺達はそれを使えると思い、注意して観測し続けた。 すると予想通り、海岸で魔力反応があった。 その魔力を取り込んだのが俺とそこの出来損ないだ。 ま、実験台って奴だな。だが強くなるなら文句はねぇ。 ちなみに1回目より2回目の方が魔力が多かった。 だから俺の方が強いってわけだ。 377 :パラレルワールド[]:2010/12/08(水) 21 12 15.35 ID dGR+Olt60 よく考えてみろよ? 世界間を移動する、なんて大技が魔力を消費しないわけないだろ? 普通ならそのまま発散するところだが…有効利用してやったよ。 俺「そんな…じゃあ俺のせいで…」 ネウ男「安心しな、すぐにお仲間もそっちに送ってやるよ」 ネウ男「じゃあな」シュン 俺「ぐああああああああああああああ」 俺達は下に投げつけられたあと、2人とも足を撃ち抜かれた。 ネウ男「そのままもがき苦しんで、海の藻屑になるんだな」 ネウ男「ハーッハッハッハッハ」 俺は薄れ行く意識の中、手を伸ばす。 何か暖かいものに包まれるような感触があった。 そして2人は…海に落ちた。 次回予告 俺のせいで、強化ネウロイが出現してしまい、 さらに罠にかかって俺とネウ子は撃墜される。 俺の運命は、そしてネウ子とは一体――― 第7話「私にできること」
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海上 私「……これで最後か」 甲板から周りを見渡しながら呟く。 辺りには戦艦や護衛艦が沈んでいく様子が見える。 艦隊で巣に攻撃を仕掛けて来たので、宣言通り全てを沈めさせてもらった。 私「さて、と」 海兵「ぐ、ぐ……」 私に胸倉を掴まれ苦しそうに呻く海兵。 今、この戦艦にいるのはもうコイツだけだ。 私「ふん」 ぽい、と海に放り投げる。 海兵「うわあああぁぁぁぁ……」 ザボン! そっと海を覗き込むと、先にボートや浮輪と共に捨てた他の海兵達が今落下した男を救出しているのが見えた。 この戦い、恐らく人間側に死者はいない。 殺す前に私が海にボートなどと共に放り投げているからだ。 確かに怪我人はいるかもしれないが、命にかかわる怪我をした海兵はいないだろう。 昔の私なら間違いなくこの近海は血で染まったことだろう。 何故変わったか、それは間違いなく―― 私「……さあ沈めるか」 首を左右に振って考えるのを止める。 考えていてもしょうがないことだ。もう彼女達とは決別したのだから。 体制を低くし右手を力を込める。 戦艦といってもこの船は小さい。断艦を使う必要もない。 ガゴン! と、鈍い音と共に戦艦は割れる。 同時に足場が傾いてきたので海に落ちる前に足を変化させ空へと飛ぶ。 海面を見ると海兵達が忌々しそうに私を睨みつけているのが見えた。 私「……彼女達に感謝してもしたりないぞ?」 吐き捨てるように呟くと、巣にもどることにした。 ネウロイの巣 巣に帰るとネウ子が何やら作っていた。 よほど集中して作っているのか、私が近付いても気付きもしない。 私「何作ってるんだ?」 肩に手を置く。 ネウ子(もっきゃー!?) 聞いたことのない声と共にネウ子は背筋を伸ばした。 ネウ子(お、おおおおお、脅かさないでヨ! コアに悪いよコアに!) 手をブンブンと振りながらネウ子が言う。 私「でもお前のコアってそこの大きい奴じゃないのか?」 ネウ子(気分の問題なの気分の!) ネウ子は腰に腕を当てて胸を前に出す。 私「ああそうかそうかそれは悪かったな」 ネウ子(もーなんで棒読みなのさ!) 腕を上下して怒るネウ子を無視して、後ろにある何かを確認する。 私「ガラス……か?」 そこには一枚の薄い板の様なものがあった。 地面も黒いので分かりにくかったが、どうやらそれは黒色をしているようだ。 ネウ子(ああもうこれは秘密兵器なの! 秘密だからキミにはまだみせれないの!) ネウ子は板をどこかへ隠す。 どうやら本当に重要なものらしい。まあ、この状況で遊んでいる余裕は流石に無いだろう。 私「……ところで、基地の様子はどうだ?」 最初の一週間は泣いてたことに凹んでしまい、まともに様子を見ることが出来なかった。 なので基地を確認するのは実は今日が初めてだったりする。 ネウ子(特に変わりは無いかな。多分彼女達はボク達と戦うつもりだ) 私「当たり前だろ? なにせあいつらは――」 ネウ子(……嬉しそうだね) ネウ子の言葉にはっとして口を閉じる。 ネウ子(ああ、変わったといえばさ) ネウ子が指を鳴らすと、空間に映像が映し出された。 月が出ていることから夜の屋外のようだ。 視点は段々下に下がって行き、滑走路を映し出した。 私「……」 そこには彼女が、ルッキーニが膝を抱えて座っていた。 ネウ子(ここ一週間毎日夜になると彼女はここに来るんだ。少しして誰かに部屋に戻されてるみたいだけど) 私「……そうか」 魔力を奪われたのが原因で落ち込んでいるのだろう。 ネウ子(ねえ、一度会ってみたら?) 画面を見つめる私の肩をネウ子が叩いた。 夜 501基地付近 結局あれからなすがまま流されるまま、会いに行くことになってしまった。 ネウロイとばれているのでコアを隠す必要はないが、坂本やサーニャに見つかると厄介だ。 今はサーニャの他にも別のメンバーも一緒に飛んでいる可能性が高い。 私「しかし……」 今更ながら会ったとして何を言えばいいんだ。 私は魔力を奪った張本人だぞ。 それでも会いたいという気持ちは滑走路に近づけば近づくほど大きくなる。 私「……いた」 ずっと下に、映像と同じように膝を抱えて座っているルッキーニが見えた。 少しずつ音を立てないように降下して、ルッキーニの背後へと降りる。 私「ルッキーニ」 背中がピクリと反応してゆっくりとこちらを振り向く。 ルッキーニ「……私?」 立ち上がるとふらふらした足取りでこちらへ近づいてくる。 目に涙を浮かべながら少しずつ少しずつ。 きっと殴られるだろう。それほどのことを私はしたのだから。 目を瞑りその瞬間を待つ。 しかし、私の想像とは裏腹に、痛みはいつまで経ってもやってこない。 それどころか胸の当りに暖かいものを感じる。 恐る恐る目を開くと、そこには抱きついて泣きじゃくるルッキーニがいた。 ルッキーニ「あ、ああ、うじゅ……ぐしゅっ……うあああああああん!」 私はただ、泣きやむまでルッキーニの頭を撫でてやることしかできなかった。 数分後 滑走路の先に二人で並んで座った。 ルッキーニは泣きやんで、赤くなった目でじっと海を見つめている。 私「……恨まないのか?」 私が先に口を開く。 ルッキーニ「ううん」 意外にもルッキーニは首を横に振った。 ルッキーニ「なんとなくだけどわかってた。私は普通の人じゃないってこと」 私「……結構努力したんだぞ? わからないように色々とな」 ルッキーニ「でも、少しずれてたよ」 ルッキーニは笑う。 それは私が仲間だったときのことを思い出してのことだろう。 私「魔力のこと……すまなかったな」 ルッキーニ「ねえ、なんで魔力を奪ったの?」 私「……だ」 ルッキーニ「え?」 聞き取れなかったようでルッキーニが顔を近づけてくる。 私「……お前と戦いたくなかったからだ」 私の復讐の対象はウィッチと軍人。 魔力が無くなった彼女はウィッチではなくなる。 また幼い彼女は恐らく1カ月以内に軍をやめさせられることになるだろうと思ったからだ。 一部を除いて退役したウィッチや軍人は復讐の対象ではない。 しかしそれは私の願望や考えだ。私は彼女の翼を奪ってしまった。 ルッキーニ「そっか……」 それだけ言ってルッキーニはまた海を見る。 私「……」 言いたい。言ってしまいたい。私の感情を全て。 だが駄目だ。私に言う資格なんてない。 潮風が髪を撫でる。 私「なあ……」 ルッキーニ「なに?」 私「……お前もネウロイにならないか?」 これは私の歪んだ望みなのかもしれない。 一緒にいたい。だが私と彼女はそもそも違う種族になっている。 私が人間に戻るのは不可能。ならば、彼女がこっちに来ればいい。 ルッキーニ「ヤダ」 きっぱりと答える。 私「だよなー」 私はルッキーニの頭をくしゃくしゃと撫でてやる。 きっと私もどこかでわかっていたのだろう。断られても哀しみも憎しみも何も感じなかった。 ただ、少しだけ羨ましく感じた。 どんな状況でも自分を貫き通す彼女が眩しかった。 私「……ん」 ふと背後に人の気配を感じ振り向く。 そこにはシャーリーが複雑な表情で立っていた。 私「シャーリー……」 シャーリー「ルッキーニ今日は寝ておけ」 シャーリーはルッキーニを立ち上がらせる。 ルッキーニ「……またね私」 何度もこちらを振り向きながらルッキーニは基地へと戻って行った。 シャーリーは先ほどまでルッキーニがいた場所に座る。 私「……お前は憎くないのか?」 シャーリー「さっきまで一番の被害者のルッキーニが話してたんだ。あたしがどうこういう問題じゃないさ」 私「そうか……」 シャーリー「ホントの所、一発殴ってやりたいところだけどな」 シャーリーは拳を握りしめる。 シャーリー「でもルッキーニが殴らないならあたしもそうする。……見つけたのがバルクホルンじゃなくてよかったな」 私「やっぱり相当憎まれるよなあ……」 シャーリー「もう原形とどめないくらい殴られるんじゃないか?」 私「だよなあ……」 乾いた笑いを二人して浮かべる。 少しだけ空気が緩くなった気がした。 シャーリー「……一ついいか?」 私「なんだ?」 シャーリー「どうして私はネウロイになったんだ? 元は人間だったんだろう?」 話すべきかどうか、私は少し悩んだが、話すことにした。 多分、シャーリーなら話しても構わないと前から思っていたからだろう。 それにルッキーニには少々重すぎる話だ。 私「……私の出身国はな、医学で有名な国だった。軍事力あたりは隠してたがな」 シャーリー「あの国だったな」 私「ああ。……主にその研究は軍が進めてたんだ。軍で研究されていた医療が国を大きくしていった」 私は事実を知った時の感情は生きている限り忘れられないだろう。 私「……科学者がなんでもできると知って、一番やりたい実験はなんだと思う?」 シャーリー「んー……」 シャーリーは悩むが直ぐに答えを出した。 シャーリー「まさか……人体実験か」 私「そう。あの国はネウロイとの戦いが終わった後に備えて、対人兵器を作っていたんだ。身寄りのない孤児を集め、様々な薬物を使ってな」 シャーリー「……なるほど」 私「全てを知った私は上官に言ったさ。直ぐに実験を止めろってな。何年も軍人として戦っていたのに知ったのは死ぬ前日だ。滑稽すぎて涙が出る」 私は頭を抱えながら吐き捨てるように言う。 私「そしたら上官はこう言ってきたんだ」 お前が国の近くにあるネウロイの巣を破壊できたなら実験を止める 私「私は次の日、部隊を率いて巣に攻撃に向かった。その中には私の妹もいた」 大きく息を吸い、吐く。 思い出しただけで気分が悪くなる。 私「巣の上空まで行ったところで、私は部隊の全員に背後から銃撃を受けた。もちろん妹も攻撃してきた」 シャーリーは信じられないといった表情で話を聞いている。 困ったことにこれは真実だ。事実は小説より奇なりといったところだろうか。 私「妹は知識欲に、他の連中は地位に負けて私を裏切ったよ。そして私は巣に落下して、目が覚めたらこうなっていた」 胸元のボタンをはずし、さらにその下に隠れたコアを露出させる。 私「悪いな。長い話につきあわせてしまって」 コアを直してボタンをとめる。 シャーリー「……その基地の人たちは」 私「ご想像の通りだ」 シャーリー「そうか……」 私「まあ、この話はこのくらいにしよう」 立ち上がりズボンについた砂を掃う。 私「あいつは、ルッキーニは強いな。魔力を失っても目は変わっていなかった。それが私には羨ましい」 シャーリー「私……」 私「シャーリー……私は待っている」 私は足をネウロイユニットにすると空へと浮かび上がる。 言葉の意味を理解したのかシャーリーは無言で頷いた。 私(……少し、寄り道をしよう) 私は巣へ直接戻らずに帰ることにした。 ネウロイの巣 帰ってくると再びネウ子が作業をしていた。 今度は気付いたのか振りかえる。 ネウ子(お帰りー……って、どうしたの?) じろじろと私を上から下まで舐めまわすようにみてくる。 ネウ子(髪ほどけてるけど、リボン無くしたの?) 私「ちょっとした気分の変化だ。気にするな」 ネウ子(ふーん……そっか) ネウ子は私の背後に回り込むと、髪を触り始めた。 ネウ子(……なにこの世界が嫉妬する髪) 髪を触るのを止めネウ子は再び作業に戻る。 ネウ子(多分今日の朝にはできるんじゃないかな) 私「さっきも聞いたが何作ってるんだ?」 ネウ子は何も言わず作業を続ける。 聞えなかったのかそれとも言いたくなかったのか私にはわからない。 私「……寝よう」 作業を続けるネウ子を見ながら私は目を閉じた。 朝 ネウロイの巣 ネウ子(できたー!) 私「んぁ?」 元気のよいネウ子の声に目が覚める。 気が緩み過ぎて口元から出た涎を服の袖で拭いながら立ち上がる。 私「出来たのか」 ネウ子(もちろん! ボクの科学力はネウロイ一!) 胸を張ってネウ子は体をそらした。 完成したそれは黒い箱だった。 巨大とも言えないが小さいとも言えない微妙な大きさをしている。 私「これが秘密兵器?」 とても私にはこれが特別な力がやどっているとは思えない。 中に入っている武器が秘密兵器なのかと思い開いてみるが、中身は入っていない。 まさかこれで殴りつけるのかと思って持ちあげる。大きさに反して多分その辺の小冊子よりも軽い。 私「……なんだこれ」 いや本当になんなのだろうこれは。 私「ネウ子これは一体……」 ネウ子(これはね、再生機) 箱に近づき頬ずりをする。 ネウ子(これに何かの欠片でもいいから入れておくと、元の形に再生するってわけさ) 私「確かにそれは秘密兵器だな」 私は素直に驚いた。 人間がこの技術を得るには恐らく後数百年はかかるだろう。 ネウ子(これにキミのコアの欠片を入れる) 私「何故だ?」 ネウ子は私に近づくと両肩を掴み顔を近づけてきた。 ネウ子(正直に言おう、ボク、いやわたしはキミに生きてもらいたい) 私「……まだ死ぬときまった訳じゃない」 ネウ子(いいや、キミは死ぬつもりだ。シャーロット・E・イェーガーの手によって倒される気だ) どうやらネウ子は私達の会話を聞いていたようだ。 私「……盗み聞きなんてするもんじゃないぞ」 ネウ子(なんとでも言ってくれ) 私はため息をつくとネウ子の手を肩から離す。 私「確かに一度倒された後復活するのも悪くは無いさ」 ネウ子(ならどうしてだい!?) もし声が出ていたなら部屋全体に響くようなテレパシーが頭の中に響いた。 私「でもな、それは私じゃないんだ。お前と今話して、彼女達と過ごした私じゃないんだ」 箱に手のひらを乗せて力を込め破壊する。 パリパリと薄い氷の割れるような音が空間に響いた。 ネウ子(そっか。……まあ、約束したしね。ボクはキミが選んだ道を一緒に歩くヨ) 私「悪いな」 ネウ子(そういうのは彼女達に言ってあげてヨね。……というか壊さないでほしかったなー。ボクも使うかもしれなかったのになー) 私「あー、それはその、……悪かった」 ネウ子(なんてね。気にしなくていいさ。ボクもすぐ追いかけるから) ネウ子は私の腰に手を回し抱きしめてきた。 冷たいはずの彼女の体が何故か暖かく感じられた。 ネウ子(……行ってらっしゃい) 私「……ありがとう。ネウ子」 ネウ子から体を離し、外へつながる道へと歩きだす。 一度だけ振り返るとネウ子が手を振ってくれていた。 海上 コアを露出させ、腕を組みながらシャーリーを待つ。 背後にはネウロイの巣がある。もうあそこに戻ることは無いだろう。 一時間ほど前にコアの反応を大きくさせ、わざと感知させた。 それから少しも動いていないので恐らくシャーリーには伝わったはずだ。私が待っていると。 私「むぅ……海風が……」 髪を結んでいないので風で髪が乱れる。 まあ無い物をねだってもしょうがないので風にまかせるままに放っておくことにした。 私「来たか」 遠くから魔力の反応を感じた。 反応は1つ、そしてこの魔力のパターンからしてシャーリーに間違いない。 予想より少し時間がかかったのは、多分基地の連中を説得していたか、それともこっそり抜け出してきたかのどちらかだろう。 私「……しかし遅いな」 あまり速度は出していないようだ。 普段の彼女らしくないが、私は彼女には戦うとだけ言ったので、大量の武器を持っている可能性もある。 どちらにせよ私は適当に戦って死ぬ気なのであまり関係ないが。 私「ん……?」 ようやく肉眼で目視できるようになったが、どこか違和感を感じる。 少し影が大きいような気がする。手に武器を持っているのは判るが、背中にも何かがある。 目をネウロイ化させさらに確認する。 私「あれはまさか……!」 シャーリーの背に人がしがみついている。それも私がよく知る人物が。 ツインテールが風で揺れているのが見える。必死に風に耐えてしがみついているのが見える。 やがて二人は私の前で止まった。 私「……何故だ!? 何故来たルッキーニ!」 怒声を彼女達に浴びせる。 私「お前はもう魔力が無いんだ! お前は戦えないんだ!」 シャーリー「私、お前もわかってるはずだ」 私「何がだ!」 シャーリー「あたし達は決して諦めないってことをさ」 シャーリーが銃を構えるとルッキーニも左手に拳銃を持つ。 今にもルッキーニは落ちそうだが必死に耐えている。 ルッキーニ「あたしね、私があたしと戦いたくないから魔力を奪ったって聞いて、それから私とシャーリーが戦うって知ってすっごく悩んだ」 ルッキーニの目はあの時、出会ったときと同じように輝いている。 ルッキーニ「でもあたしは私と戦わなきゃって思った。嫌いだからじゃない、凄く大好きだから、戦わなきゃって思ったの」 ルッキーニは涙を浮かべながら言う。 私「……」 ああ、そうか、そうだったな。 私も胸を張って言いたかった。今頃気づいても遅いんだがな。 ルッキーニ「だからあたしが私を止める、だってあたしは、あたし達は――」 だってお前達は―― ウィッチなんだから 私「ふ、ふふ……」 自然と笑みがこぼれてきた。これはきっと嬉しいからだろう。 私が彼女に惹かれた理由が分かった気がした。 妹に似ているわけでもなく、ピザが美味しかったわけでもなく。 子供っぽくて、まっすぐで、人懐っこくて、誰にでも優しいそんな彼女に惹かれたのだと。 私「そういえばお前達二人と宮藤には色々と復讐したいことがあったな」 背中からジリオスを抜き取り構える。 二人が戦闘態勢に入る。 私「本当にお前達は人の胸ばかり触ってばかりで……」 ジリオスの刃を自分に向け 私「でも、楽しかったぞ」 自らのコアに突き刺した ピキン ガラスにひびが入るような音が辺りに響く。 足の力が抜けユニットを維持できなくなって私は海へと落下する。 シャーリー「私ぃぃぃぃぃ!」 ルッキーニ「あたしのことは気にしなくていいからシャーリーやって!」 銃を投げ捨てシャーリーが加速する。 ルッキーニは振り落とされないように必死にしがみついている。 ホント、無茶をする連中だ。まあそれがいいんだけどな。 海にたたきつけられる寸前に私は受け止められた。 私「……泣くな、馬鹿」 泣きじゃくる二人の頭をを力があまり入らない手で撫でる。 もう感覚も無くなっているようで何も感じない。 幸い痛みは無いので話すこともできる。ある意味ネウロイ化に感謝すべきところだな。 私「……本当はな、シャーリーに私を倒してもらうつもりだった」 シャーリー「なら、なんで……」 私「でも、ルッキーニの言葉を聞いて思いだしたよ」 二人に私は笑いかける。 私「お前達はウィッチだ。そして、私もウィッチだった。だからネウロイは自分の手で倒した、それだけだ」 足をみると足首の所まで白い破片になっていた。 私「ルッキーニ」 ルッキーニ「な、に」 必死に涙をぬぐいながらルッキーニは返事をする。 私「ちょっと顔近づけてくれないか」 背中から身を乗り出したルッキーニに、かろうじて力の入る首を持ち上げ、キスをした。 今度はルッキーニは暴れず、じっと眼を瞑って私のキスを受け入れている。 ほんのりと甘い味がした。 悪いなシャーリーほんといろんな意味で。 ルッキーニ「ぷぁっ……」 口を離したルッキーニは顔を赤くして深呼吸をする。 私「魔力、返したからな。それに私の魔力も追加してな」 魔力を与えたことによって少し体の崩壊が早くなったがこれでいい。 ルッキーニ「あたし、また、飛べるの?」 私「今よりもっと高くにな。……やっぱり、お前は飛んで笑っているほうがいい」 ルッキーニは泣きながら笑っている。 私「気にすることは無いさ。嬉しいなら嬉しいと言ったほうがいい」 シャーリー「わ、私!」 私「どうした?」 シャーリー「か、髪! 髪が!」 シャーリーが手鏡で私の顔を写す。 そこには髪が銀髪の私の姿があった。 どうやらコアが壊れたことで人間時に戻りつつあるようだ。 もちろん死ぬことには変わりないが。 私「……お前達のおかげだ。お前達のおかげで私は人間として、ウィッチとして死ねる」 私はルッキーニの手を掴む。 もう体の半分は無くなってしまった。 私「ルッキーニ、私のことは忘れろ」 ルッキーニ「嫌だ! 嫌だよ!」 必死に首を横に振るルッキーニ。 涙が海へと落ちていく。 私「まあ、そういうと思ったよ」 左手を何とか動かし、ルッキーニの頭に載せる。 私「少し強引だが、記憶を弄らせてもらおう」 ルッキーニ「やだやだ!」 私「……忘れたほうがいいんだルッキーニ」 ルッキーニ「あたしは忘れない! 絶対、絶対に! 記憶いじられても絶対に私のこと思い出すから!」 記憶を弄るとルッキーニは眠った。 目覚めた時には私のことなど覚えていないだろう。 それでも手をルッキーニは離さない。感覚の無い手が少しだけ暖かく感じる。 私「シャーリー、他の連中に説明を頼む」 シャーリー「……わかったよ。なあ、ルッキーニの記憶を弄る必要なんてあったのか?」 泣きやんだようだがシャーリーは未だに目が赤い。 私「……私はルッキーニの泣く顔を見たくないんだ」 シャーリー「ルッキーニはそんなに弱くない。きっと立ち上がるさ」 私「そう、だな。そうだったな。ルッキーニは、強いからな」 私達は眠っているルッキーニの寝顔を見て微笑む。 シャーリー「もうルッキーニは私のことを思い出すことは……」 私「多分無い。いや、もしかしたら……」 シャーリー「あるのか!?」 私「あるかもしれない、けれどそれは多分起きたら奇跡に近いな」 シャーリー「奇跡程度ならルッキーニなら簡単に起こせるさ」 私「ふふふ、そうだな」 少し眠くなってきた。 もう体は胸と頭と手しか残っていない。 遠くで巣が壊れる音を聞いた。ネウ子も私についてくるようだ。おせっかいなやつめ。 私「そろそろお別れだな」 シャーリー「……そうか」 私「もし」 シャーリー「ん?」 私「もし、ルッキーニが記憶を取り戻した時の為に伝言を頼む」 シャーリー「ま、任せてくれ! 一言一句正確に伝える!」 私「その、だな……『大好き』とそれだけ伝えてくれ」 シャーリー「そ、それくらいルッキーニに面と向かって言えよ!」 私「恥ずかしいんだよ! 言わせるな恥ずかしい! まあ……頼んだぞ、親友」 シャーリー「っ! ……わかった」 猛烈な眠気が私を襲う。 目を閉じる前にルッキーニの顔をちらりと見た。 とても可愛らしかった。出会えてよか エピローグ 三ヶ月後 ローマ きょろきょろと辺りを見ながらルッキーニはローマの街を歩いている。 今日は休暇でシャーリーと宮藤と一緒に買い出しに出かけていた。 が、どうやら二人とはぐれてしまったらしい。 ルッキーニ「シャーリー、芳佳ーどこー?」 探し疲れたのか人通りが激しい道の真ん中で立ち止り、なんとなく空を見上げる。 もうネウロイがローマにやってくることは無い。 三か月前、ストライクウィッチーズがネウロイの巣を攻撃、その際にルッキーニは攻撃を受けて気絶していたらしい。 目が覚めた時にはもうネウロイの巣は跡形もなく消滅していた。 それでも何があるかわからないので、ストライクウィッチーズは解散はしなかった。 ???「うひひ、お困りかなおじょうちゃん」 振り向くとそこには髪型で名前を付けるが、パンチ、スキン、リーゼントという特徴的な髪型の持ち主がいた。 パンチ「お嬢ちゃんの探してるのはウィッチだろう?」 リーゼント「それならさっき軍服来たウィッチをあっちの方で見たぜ」 リーゼントが道を指をさす。 ルッキーニ「あ、ありがとう! でもお兄さん達どうしてあたしがウィッチを探してるってわかったの?」 スキン「んー? そういやなんでだ?」 リーゼント「さあ?」 パンチ「ワカンネ」 ルッキーニの質問に3人は首をかしげた。 リーゼント「まあ気にしてもしょうがないよな」 パンチ「そうだな」 スキン「あ、そろそろ店に行かないと店長に怒られるぞ!」 慌てて3人は走り去っていく。 その姿にルッキーニは何かを感じた気がした。 ルッキーニ(なんだろこの感じ……) 胸にもやもやを感じながらルッキーニは教えられた方向へ走りだした。 噴水前 指さされた方向へと歩いたルッキーニは、噴水の前で足をとめた。 ルッキーニ「あれ?」 前にここに来たような様な誰かと約束したような。 とても大切な誰かを忘れている様な―― ルッキーニ「え? あ、あれ……」 ぽろぽろと涙がこぼれてきた。 拭っても拭っても、次々に溢れてくる。 ???「お嬢ちゃんどうしたんだい?」 ぬぐいながら振り返ると、そこには優しそうな老婆が立っていた。 老婆「おやおや大丈夫かい?」 老婆はルッキーニにティッシュを手渡す。 ルッキーニ「あり、がと、う……」 老婆「ひょっとしてお嬢ちゃん……ルッキーニって名前かい?」 ルッキーニ「なん、で知ってるの?」 老婆「三ヶ月くらい前に黒い髪の女の人が来てね、もしルッキーニって名前の子がここに来たらこれを渡してくれって頼まれてたのよ」 老婆は服のポケットから何かを取り出すとルッキーニに手渡す。 それは黒い色をしたリボンだった。 老婆「なんでだろうね。なんとなくわたしはお嬢ちゃんがルッキーニちゃんって直ぐにわかったよ。じゃあ、わたしは散歩の続きにいこうかね」 笑いながら老婆は去って行く。 ルッキーニ「……」 ルッキーニは涙をぬぐうと、右側の白いリボンをほどき、代わりに黒色のリボンで髪を結ぶ。 ルッキーニ「……おかえり」 空を仰いで、ルッキーニは少し無理に笑顔を作った。
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海上 私「……これで最後か」 甲板から周りを見渡しながら呟く。 辺りには戦艦や護衛艦が沈んでいく様子が見える。 艦隊で巣に攻撃を仕掛けて来たので、宣言通り全てを沈めさせてもらった。 私「さて、と」 海兵「ぐ、ぐ……」 私に胸倉を掴まれ苦しそうに呻く海兵。 今、この戦艦にいるのはもうコイツだけだ。 私「ふん」 ぽい、と海に放り投げる。 海兵「うわあああぁぁぁぁ……」 ザボン! そっと海を覗き込むと、先にボートや浮輪と共に捨てた他の海兵達が今落下した男を救出しているのが見えた。 この戦い、恐らく人間側に死者はいない。 殺す前に私が海にボートなどと共に放り投げているからだ。 確かに怪我人はいるかもしれないが、命にかかわる怪我をした海兵はいないだろう。 昔の私なら間違いなくこの近海は血で染まったことだろう。 何故変わったか、それは間違いなく―― 私「……さあ沈めるか」 首を左右に振って考えるのを止める。 考えていてもしょうがないことだ。もう彼女達とは決別したのだから。 体制を低くし右手を力を込める。 戦艦といってもこの船は小さい。断艦を使う必要もない。 ガゴン! と、鈍い音と共に戦艦は割れる。 同時に足場が傾いてきたので海に落ちる前に足を変化させ空へと飛ぶ。 海面を見ると海兵達が忌々しそうに私を睨みつけているのが見えた。 私「……彼女達に感謝してもしたりないぞ?」 吐き捨てるように呟くと、巣にもどることにした。 ネウロイの巣 巣に帰るとネウ子が何やら作っていた。 よほど集中して作っているのか、私が近付いても気付きもしない。 私「何作ってるんだ?」 肩に手を置く。 ネウ子(もっきゃー!?) 聞いたことのない声と共にネウ子は背筋を伸ばした。 ネウ子(お、おおおおお、脅かさないでヨ! コアに悪いよコアに!) 手をブンブンと振りながらネウ子が言う。 私「でもお前のコアってそこの大きい奴じゃないのか?」 ネウ子(気分の問題なの気分の!) ネウ子は腰に腕を当てて胸を前に出す。 私「ああそうかそうかそれは悪かったな」 ネウ子(もーなんで棒読みなのさ!) 腕を上下して怒るネウ子を無視して、後ろにある何かを確認する。 私「ガラス……か?」 そこには一枚の薄い板の様なものがあった。 地面も黒いので分かりにくかったが、どうやらそれは黒色をしているようだ。 ネウ子(ああもうこれは秘密兵器なの! 秘密だからキミにはまだみせれないの!) ネウ子は板をどこかへ隠す。 どうやら本当に重要なものらしい。まあ、この状況で遊んでいる余裕は流石に無いだろう。 私「……ところで、基地の様子はどうだ?」 最初の一週間は泣いてたことに凹んでしまい、まともに様子を見ることが出来なかった。 なので基地を確認するのは実は今日が初めてだったりする。 ネウ子(特に変わりは無いかな。多分彼女達はボク達と戦うつもりだ) 私「当たり前だろ? なにせあいつらは――」 ネウ子(……嬉しそうだね) ネウ子の言葉にはっとして口を閉じる。 ネウ子(ああ、変わったといえばさ) ネウ子が指を鳴らすと、空間に映像が映し出された。 月が出ていることから夜の屋外のようだ。 視点は段々下に下がって行き、滑走路を映し出した。 私「……」 そこには彼女が、ルッキーニが膝を抱えて座っていた。 ネウ子(ここ一週間毎日夜になると彼女はここに来るんだ。少しして誰かに部屋に戻されてるみたいだけど) 私「……そうか」 魔力を奪われたのが原因で落ち込んでいるのだろう。 ネウ子(ねえ、一度会ってみたら?) 画面を見つめる私の肩をネウ子が叩いた。 夜 501基地付近 結局あれからなすがまま流されるまま、会いに行くことになってしまった。 ネウロイとばれているのでコアを隠す必要はないが、坂本やサーニャに見つかると厄介だ。 今はサーニャの他にも別のメンバーも一緒に飛んでいる可能性が高い。 私「しかし……」 今更ながら会ったとして何を言えばいいんだ。 私は魔力を奪った張本人だぞ。 それでも会いたいという気持ちは滑走路に近づけば近づくほど大きくなる。 私「……いた」 ずっと下に、映像と同じように膝を抱えて座っているルッキーニが見えた。 少しずつ音を立てないように降下して、ルッキーニの背後へと降りる。 私「ルッキーニ」 背中がピクリと反応してゆっくりとこちらを振り向く。 ルッキーニ「……私?」 立ち上がるとふらふらした足取りでこちらへ近づいてくる。 目に涙を浮かべながら少しずつ少しずつ。 きっと殴られるだろう。それほどのことを私はしたのだから。 目を瞑りその瞬間を待つ。 しかし、私の想像とは裏腹に、痛みはいつまで経ってもやってこない。 それどころか胸の当りに暖かいものを感じる。 恐る恐る目を開くと、そこには抱きついて泣きじゃくるルッキーニがいた。 ルッキーニ「あ、ああ、うじゅ……ぐしゅっ……うあああああああん!」 私はただ、泣きやむまでルッキーニの頭を撫でてやることしかできなかった。 数分後 滑走路の先に二人で並んで座った。 ルッキーニは泣きやんで、赤くなった目でじっと海を見つめている。 私「……恨まないのか?」 私が先に口を開く。 ルッキーニ「ううん」 意外にもルッキーニは首を横に振った。 ルッキーニ「なんとなくだけどわかってた。私は普通の人じゃないってこと」 私「……結構努力したんだぞ? わからないように色々とな」 ルッキーニ「でも、少しずれてたよ」 ルッキーニは笑う。 それは私が仲間だったときのことを思い出してのことだろう。 私「魔力のこと……すまなかったな」 ルッキーニ「ねえ、なんで魔力を奪ったの?」 私「……だ」 ルッキーニ「え?」 聞き取れなかったようでルッキーニが顔を近づけてくる。 私「……お前と戦いたくなかったからだ」 私の復讐の対象はウィッチと軍人。 魔力が無くなった彼女はウィッチではなくなる。 また幼い彼女は恐らく1カ月以内に軍をやめさせられることになるだろうと思ったからだ。 一部を除いて退役したウィッチや軍人は復讐の対象ではない。 しかしそれは私の願望や考えだ。私は彼女の翼を奪ってしまった。 ルッキーニ「そっか……」 それだけ言ってルッキーニはまた海を見る。 私「……」 言いたい。言ってしまいたい。私の感情を全て。 だが駄目だ。私に言う資格なんてない。 潮風が髪を撫でる。 私「なあ……」 ルッキーニ「なに?」 私「……お前もネウロイにならないか?」 これは私の歪んだ望みなのかもしれない。 一緒にいたい。だが私と彼女はそもそも違う種族になっている。 私が人間に戻るのは不可能。ならば、彼女がこっちに来ればいい。 ルッキーニ「ヤダ」 きっぱりと答える。 私「だよなー」 私はルッキーニの頭をくしゃくしゃと撫でてやる。 きっと私もどこかでわかっていたのだろう。断られても哀しみも憎しみも何も感じなかった。 ただ、少しだけ羨ましく感じた。 どんな状況でも自分を貫き通す彼女が眩しかった。 私「……ん」 ふと背後に人の気配を感じ振り向く。 そこにはシャーリーが複雑な表情で立っていた。 私「シャーリー……」 シャーリー「ルッキーニ今日は寝ておけ」 シャーリーはルッキーニを立ち上がらせる。 ルッキーニ「……またね私」 何度もこちらを振り向きながらルッキーニは基地へと戻って行った。 シャーリーは先ほどまでルッキーニがいた場所に座る。 私「……お前は憎くないのか?」 シャーリー「さっきまで一番の被害者のルッキーニが話してたんだ。あたしがどうこういう問題じゃないさ」 私「そうか……」 シャーリー「ホントの所、一発殴ってやりたいところだけどな」 シャーリーは拳を握りしめる。 シャーリー「でもルッキーニが殴らないならあたしもそうする。……見つけたのがバルクホルンじゃなくてよかったな」 私「やっぱり相当憎まれるよなあ……」 シャーリー「もう原形とどめないくらい殴られるんじゃないか?」 私「だよなあ……」 乾いた笑いを二人して浮かべる。 少しだけ空気が緩くなった気がした。 シャーリー「……一ついいか?」 私「なんだ?」 シャーリー「どうして私はネウロイになったんだ? 元は人間だったんだろう?」 話すべきかどうか、私は少し悩んだが、話すことにした。 多分、シャーリーなら話しても構わないと前から思っていたからだろう。 それにルッキーニには少々重すぎる話だ。 私「……私の出身国はな、医学で有名な国だった。軍事力あたりは隠してたがな」 シャーリー「あの国だったな」 私「ああ。……主にその研究は軍が進めてたんだ。軍で研究されていた医療が国を大きくしていった」 私は事実を知った時の感情は生きている限り忘れられないだろう。 私「……科学者がなんでもできると知って、一番やりたい実験はなんだと思う?」 シャーリー「んー……」 シャーリーは悩むが直ぐに答えを出した。 シャーリー「まさか……人体実験か」 私「そう。あの国はネウロイとの戦いが終わった後に備えて、対人兵器を作っていたんだ。身寄りのない孤児を集め、様々な薬物を使ってな」 シャーリー「……なるほど」 私「全てを知った私は上官に言ったさ。直ぐに実験を止めろってな。何年も軍人として戦っていたのに知ったのは死ぬ前日だ。滑稽すぎて涙が出る」 私は頭を抱えながら吐き捨てるように言う。 私「そしたら上官はこう言ってきたんだ」 お前が国の近くにあるネウロイの巣を破壊できたなら実験を止める 私「私は次の日、部隊を率いて巣に攻撃に向かった。その中には私の妹もいた」 大きく息を吸い、吐く。 思い出しただけで気分が悪くなる。 私「巣の上空まで行ったところで、私は部隊の全員に背後から銃撃を受けた。もちろん妹も攻撃してきた」 シャーリーは信じられないといった表情で話を聞いている。 困ったことにこれは真実だ。事実は小説より奇なりといったところだろうか。 私「妹は知識欲に、他の連中は地位に負けて私を裏切ったよ。そして私は巣に落下して、目が覚めたらこうなっていた」 胸元のボタンをはずし、さらにその下に隠れたコアを露出させる。 私「悪いな。長い話につきあわせてしまって」 コアを直してボタンをとめる。 シャーリー「……その基地の人たちは」 私「ご想像の通りだ」 シャーリー「そうか……」 私「まあ、この話はこのくらいにしよう」 立ち上がりズボンについた砂を掃う。 私「あいつは、ルッキーニは強いな。魔力を失っても目は変わっていなかった。それが私には羨ましい」 シャーリー「私……」 私「シャーリー……私は待っている」 私は足をネウロイユニットにすると空へと浮かび上がる。 言葉の意味を理解したのかシャーリーは無言で頷いた。 私(……少し、寄り道をしよう) 私は巣へ直接戻らずに帰ることにした。 ネウロイの巣 帰ってくると再びネウ子が作業をしていた。 今度は気付いたのか振りかえる。 ネウ子(お帰りー……って、どうしたの?) じろじろと私を上から下まで舐めまわすようにみてくる。 ネウ子(髪ほどけてるけど、リボン無くしたの?) 私「ちょっとした気分の変化だ。気にするな」 ネウ子(ふーん……そっか) ネウ子は私の背後に回り込むと、髪を触り始めた。 ネウ子(……なにこの世界が嫉妬する髪) 髪を触るのを止めネウ子は再び作業に戻る。 ネウ子(多分今日の朝にはできるんじゃないかな) 私「さっきも聞いたが何作ってるんだ?」 ネウ子は何も言わず作業を続ける。 聞えなかったのかそれとも言いたくなかったのか私にはわからない。 私「……寝よう」 作業を続けるネウ子を見ながら私は目を閉じた。 朝 ネウロイの巣 ネウ子(できたー!) 私「んぁ?」 元気のよいネウ子の声に目が覚める。 気が緩み過ぎて口元から出た涎を服の袖で拭いながら立ち上がる。 私「出来たのか」 ネウ子(もちろん! ボクの科学力はネウロイ一!) 胸を張ってネウ子は体をそらした。 完成したそれは黒い箱だった。 巨大とも言えないが小さいとも言えない微妙な大きさをしている。 私「これが秘密兵器?」 とても私にはこれが特別な力がやどっているとは思えない。 中に入っている武器が秘密兵器なのかと思い開いてみるが、中身は入っていない。 まさかこれで殴りつけるのかと思って持ちあげる。大きさに反して多分その辺の小冊子よりも軽い。 私「……なんだこれ」 いや本当になんなのだろうこれは。 私「ネウ子これは一体……」 ネウ子(これはね、再生機) 箱に近づき頬ずりをする。 ネウ子(これに何かの欠片でもいいから入れておくと、元の形に再生するってわけさ) 私「確かにそれは秘密兵器だな」 私は素直に驚いた。 人間がこの技術を得るには恐らく後数百年はかかるだろう。 ネウ子(これにキミのコアの欠片を入れる) 私「何故だ?」 ネウ子は私に近づくと両肩を掴み顔を近づけてきた。 ネウ子(正直に言おう、ボク、いやわたしはキミに生きてもらいたい) 私「……まだ死ぬときまった訳じゃない」 ネウ子(いいや、キミは死ぬつもりだ。シャーロット・E・イェーガーの手によって倒される気だ) どうやらネウ子は私達の会話を聞いていたようだ。 私「……盗み聞きなんてするもんじゃないぞ」 ネウ子(なんとでも言ってくれ) 私はため息をつくとネウ子の手を肩から離す。 私「確かに一度倒された後復活するのも悪くは無いさ」 ネウ子(ならどうしてだい!?) もし声が出ていたなら部屋全体に響くようなテレパシーが頭の中に響いた。 私「でもな、それは私じゃないんだ。お前と今話して、彼女達と過ごした私じゃないんだ」 箱に手のひらを乗せて力を込め破壊する。 パリパリと薄い氷の割れるような音が空間に響いた。 ネウ子(そっか。……まあ、約束したしね。ボクはキミが選んだ道を一緒に歩くヨ) 私「悪いな」 ネウ子(そういうのは彼女達に言ってあげてヨね。……というか壊さないでほしかったなー。ボクも使うかもしれなかったのになー) 私「あー、それはその、……悪かった」 ネウ子(なんてね。気にしなくていいさ。ボクもすぐ追いかけるから) ネウ子は私の腰に手を回し抱きしめてきた。 冷たいはずの彼女の体が何故か暖かく感じられた。 ネウ子(……行ってらっしゃい) 私「……ありがとう。ネウ子」 ネウ子から体を離し、外へつながる道へと歩きだす。 一度だけ振り返るとネウ子が手を振ってくれていた。 海上 コアを露出させ、腕を組みながらシャーリーを待つ。 背後にはネウロイの巣がある。もうあそこに戻ることは無いだろう。 一時間ほど前にコアの反応を大きくさせ、わざと感知させた。 それから少しも動いていないので恐らくシャーリーには伝わったはずだ。私が待っていると。 私「むぅ……海風が……」 髪を結んでいないので風で髪が乱れる。 まあ無い物をねだってもしょうがないので風にまかせるままに放っておくことにした。 私「来たか」 遠くから魔力の反応を感じた。 反応は1つ、そしてこの魔力のパターンからしてシャーリーに間違いない。 予想より少し時間がかかったのは、多分基地の連中を説得していたか、それともこっそり抜け出してきたかのどちらかだろう。 私「……しかし遅いな」 あまり速度は出していないようだ。 普段の彼女らしくないが、私は彼女には戦うとだけ言ったので、大量の武器を持っている可能性もある。 どちらにせよ私は適当に戦って死ぬ気なのであまり関係ないが。 私「ん……?」 ようやく肉眼で目視できるようになったが、どこか違和感を感じる。 少し影が大きいような気がする。手に武器を持っているのは判るが、背中にも何かがある。 目をネウロイ化させさらに確認する。 私「あれはまさか……!」 シャーリーの背に人がしがみついている。それも私がよく知る人物が。 ツインテールが風で揺れているのが見える。必死に風に耐えてしがみついているのが見える。 やがて二人は私の前で止まった。 私「……何故だ!? 何故来たルッキーニ!」 怒声を彼女達に浴びせる。 私「お前はもう魔力が無いんだ! お前は戦えないんだ!」 シャーリー「私、お前もわかってるはずだ」 私「何がだ!」 シャーリー「あたし達は決して諦めないってことをさ」 シャーリーが銃を構えるとルッキーニも左手に拳銃を持つ。 今にもルッキーニは落ちそうだが必死に耐えている。 ルッキーニ「あたしね、私があたしと戦いたくないから魔力を奪ったって聞いて、それから私とシャーリーが戦うって知ってすっごく悩んだ」 ルッキーニの目はあの時、出会ったときと同じように輝いている。 ルッキーニ「でもあたしは私と戦わなきゃって思った。嫌いだからじゃない、凄く大好きだから、戦わなきゃって思ったの」 ルッキーニは涙を浮かべながら言う。 私「……」 ああ、そうか、そうだったな。 私も胸を張って言いたかった。今頃気づいても遅いんだがな。 ルッキーニ「だからあたしが私を止める、だってあたしは、あたし達は――」 だってお前達は―― ウィッチなんだから 私「ふ、ふふ……」 自然と笑みがこぼれてきた。これはきっと嬉しいからだろう。 私が彼女に惹かれた理由が分かった気がした。 妹に似ているわけでもなく、ピザが美味しかったわけでもなく。 子供っぽくて、まっすぐで、人懐っこくて、誰にでも優しいそんな彼女に惹かれたのだと。 私「そういえばお前達二人と宮藤には色々と復讐したいことがあったな」 背中からジリオスを抜き取り構える。 二人が戦闘態勢に入る。 私「本当にお前達は人の胸ばかり触ってばかりで……」 ジリオスの刃を自分に向け 私「でも、楽しかったぞ」 自らのコアに突き刺した ピキン ガラスにひびが入るような音が辺りに響く。 足の力が抜けユニットを維持できなくなって私は海へと落下する。 シャーリー「私ぃぃぃぃぃ!」 ルッキーニ「あたしのことは気にしなくていいからシャーリーやって!」 銃を投げ捨てシャーリーが加速する。 ルッキーニは振り落とされないように必死にしがみついている。 ホント、無茶をする連中だ。まあそれがいいんだけどな。 海にたたきつけられる寸前に私は受け止められた。 私「……泣くな、馬鹿」 泣きじゃくる二人の頭をを力があまり入らない手で撫でる。 もう感覚も無くなっているようで何も感じない。 幸い痛みは無いので話すこともできる。ある意味ネウロイ化に感謝すべきところだな。 私「……本当はな、シャーリーに私を倒してもらうつもりだった」 シャーリー「なら、なんで……」 私「でも、ルッキーニの言葉を聞いて思いだしたよ」 二人に私は笑いかける。 私「お前達はウィッチだ。そして、私もウィッチだった。だからネウロイは自分の手で倒した、それだけだ」 足をみると足首の所まで白い破片になっていた。 私「ルッキーニ」 ルッキーニ「な、に」 必死に涙をぬぐいながらルッキーニは返事をする。 私「ちょっと顔近づけてくれないか」 背中から身を乗り出したルッキーニに、かろうじて力の入る首を持ち上げ、キスをした。 今度はルッキーニは暴れず、じっと眼を瞑って私のキスを受け入れている。 ほんのりと甘い味がした。 悪いなシャーリーほんといろんな意味で。 ルッキーニ「ぷぁっ……」 口を離したルッキーニは顔を赤くして深呼吸をする。 私「魔力、返したからな。それに私の魔力も追加してな」 魔力を与えたことによって少し体の崩壊が早くなったがこれでいい。 ルッキーニ「あたし、また、飛べるの?」 私「今よりもっと高くにな。……やっぱり、お前は飛んで笑っているほうがいい」 ルッキーニは泣きながら笑っている。 私「気にすることは無いさ。嬉しいなら嬉しいと言ったほうがいい」 シャーリー「わ、私!」 私「どうした?」 シャーリー「か、髪! 髪が!」 シャーリーが手鏡で私の顔を写す。 そこには髪が銀髪の私の姿があった。 どうやらコアが壊れたことで人間時に戻りつつあるようだ。 もちろん死ぬことには変わりないが。 私「……お前達のおかげだ。お前達のおかげで私は人間として、ウィッチとして死ねる」 私はルッキーニの手を掴む。 もう体の半分は無くなってしまった。 私「ルッキーニ、私のことは忘れろ」 ルッキーニ「嫌だ! 嫌だよ!」 必死に首を横に振るルッキーニ。 涙が海へと落ちていく。 私「まあ、そういうと思ったよ」 左手を何とか動かし、ルッキーニの頭に載せる。 私「少し強引だが、記憶を弄らせてもらおう」 ルッキーニ「やだやだ!」 私「……忘れたほうがいいんだルッキーニ」 ルッキーニ「あたしは忘れない! 絶対、絶対に! 記憶いじられても絶対に私のこと思い出すから!」 記憶を弄るとルッキーニは眠った。 目覚めた時には私のことなど覚えていないだろう。 それでも手をルッキーニは離さない。感覚の無い手が少しだけ暖かく感じる。 私「シャーリー、他の連中に説明を頼む」 シャーリー「……わかったよ。なあ、ルッキーニの記憶を弄る必要なんてあったのか?」 泣きやんだようだがシャーリーは未だに目が赤い。 私「……私はルッキーニの泣く顔を見たくないんだ」 シャーリー「ルッキーニはそんなに弱くない。きっと立ち上がるさ」 私「そう、だな。そうだったな。ルッキーニは、強いからな」 私達は眠っているルッキーニの寝顔を見て微笑む。 シャーリー「もうルッキーニは私のことを思い出すことは……」 私「多分無い。いや、もしかしたら……」 シャーリー「あるのか!?」 私「あるかもしれない、けれどそれは多分起きたら奇跡に近いな」 シャーリー「奇跡程度ならルッキーニなら簡単に起こせるさ」 私「ふふふ、そうだな」 少し眠くなってきた。 もう体は胸と頭と手しか残っていない。 遠くで巣が壊れる音を聞いた。ネウ子も私についてくるようだ。おせっかいなやつめ。 私「そろそろお別れだな」 シャーリー「……そうか」 私「もし」 シャーリー「ん?」 私「もし、ルッキーニが記憶を取り戻した時の為に伝言を頼む」 シャーリー「ま、任せてくれ! 一言一句正確に伝える!」 私「その、だな……『大好き』とそれだけ伝えてくれ」 シャーリー「そ、それくらいルッキーニに面と向かって言えよ!」 私「恥ずかしいんだよ! 言わせるな恥ずかしい! まあ……頼んだぞ、親友」 シャーリー「っ! ……わかった」 猛烈な眠気が私を襲う。 目を閉じる前にルッキーニの顔をちらりと見た。 とても可愛らしかった。出会えてよか エピローグ 三ヶ月後 ローマ きょろきょろと辺りを見ながらルッキーニはローマの街を歩いている。 今日は休暇でシャーリーと宮藤と一緒に買い出しに出かけていた。 が、どうやら二人とはぐれてしまったらしい。 ルッキーニ「シャーリー、芳佳ーどこー?」 探し疲れたのか人通りが激しい道の真ん中で立ち止り、なんとなく空を見上げる。 もうネウロイがローマにやってくることは無い。 三か月前、ストライクウィッチーズがネウロイの巣を攻撃、その際にルッキーニは攻撃を受けて気絶していたらしい。 目が覚めた時にはもうネウロイの巣は跡形もなく消滅していた。 それでも何があるかわからないので、ストライクウィッチーズは解散はしなかった。 ???「うひひ、お困りかなおじょうちゃん」 振り向くとそこには髪型で名前を付けるが、パンチ、スキン、リーゼントという特徴的な髪型の持ち主がいた。 パンチ「お嬢ちゃんの探してるのはウィッチだろう?」 リーゼント「それならさっき軍服来たウィッチをあっちの方で見たぜ」 リーゼントが道を指をさす。 ルッキーニ「あ、ありがとう! でもお兄さん達どうしてあたしがウィッチを探してるってわかったの?」 スキン「んー? そういやなんでだ?」 リーゼント「さあ?」 パンチ「ワカンネ」 ルッキーニの質問に3人は首をかしげた。 リーゼント「まあ気にしてもしょうがないよな」 パンチ「そうだな」 スキン「あ、そろそろ店に行かないと店長に怒られるぞ!」 慌てて3人は走り去っていく。 その姿にルッキーニは何かを感じた気がした。 ルッキーニ(なんだろこの感じ……) 胸にもやもやを感じながらルッキーニは教えられた方向へ走りだした。 噴水前 指さされた方向へと歩いたルッキーニは、噴水の前で足をとめた。 ルッキーニ「あれ?」 前にここに来たような様な誰かと約束したような。 とても大切な誰かを忘れている様な―― ルッキーニ「え? あ、あれ……」 ぽろぽろと涙がこぼれてきた。 拭っても拭っても、次々に溢れてくる。 ???「お嬢ちゃんどうしたんだい?」 ぬぐいながら振り返ると、そこには優しそうな老婆が立っていた。 老婆「おやおや大丈夫かい?」 老婆はルッキーニにティッシュを手渡す。 ルッキーニ「あり、がと、う……」 老婆「ひょっとしてお嬢ちゃん……ルッキーニって名前かい?」 ルッキーニ「なん、で知ってるの?」 老婆「三ヶ月くらい前に黒い髪の女の人が来てね、もしルッキーニって名前の子がここに来たらこれを渡してくれって頼まれてたのよ」 老婆は服のポケットから何かを取り出すとルッキーニに手渡す。 それは黒い色をしたリボンだった。 老婆「なんでだろうね。なんとなくわたしはお嬢ちゃんがルッキーニちゃんって直ぐにわかったよ。じゃあ、わたしは散歩の続きにいこうかね」 笑いながら老婆は去って行く。 ルッキーニ「……」 ルッキーニは涙をぬぐうと、右側の白いリボンをほどき、代わりに黒色のリボンで髪を結ぶ。 ルッキーニ「……おかえり」 空を仰いで、ルッキーニは少し無理に笑顔を作った。
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私「んっ……くぁあ……」 背骨を伸ばしながら周りを見るとまだ部屋は暗いままで、窓の外を見ても太陽は昇っていなかった。 珍しく夜中に目が覚めたようだ。 二度寝をしようにも目が冴えているし、起きていようにも暇でしょうがない。 私「どうしたものだろう」 誰かの部屋に行こうかと考えたが、今の時間は恐らくミーナも寝ているだろう。 こういうときに部屋に何もないと暇をつぶすことができない。今度絵本でも小説でも、暇にならない物をかってこようか。 そんなことを考えつつベッドから起き上がる。 私「……何か作るかな」 別に小腹が空いていたわけではないがベッドの上で寝転がっているだけ、というのも中々に辛いものがある。 余ったら今日の朝食にでも並べてやればいい。 テーブルの上のリボンを掴み、髪を結びつつ部屋の扉を開いた。 少し肌寒さを覚えながら一人で廊下を歩く。 自分以外に誰もいない廊下というのは音がよく響く。静かに歩いているつもりなのに足音が鬱陶しく感じる。 ドドドドド…… 突然の轟音、窓の外を見ると海が真っ二つに割れている。 私「坂本か」 この基地でこんな芸当ができるのは坂本1人しかいない。 目を凝らすとやはり坂本が見える。それにしてもなぜ岩に乗る必要があるのだろうか。 よく見ると宮藤も見える。何か坂本に言っているようだ。 私「まあ、言っていることは予想できるけどな」 正直、私は宮藤があまり好きではない。 理由なんてくだらないもので、昔の自分に似ているということだけだ。 私「……全てを守れるなんてあり得ないんだよ」 自分に言い聞かせるように呟くと、再び台所を目指して歩き始めた。 台所につくとまず冷蔵庫をあさる。 あるのは卵とジャガイモ、そして小麦粉に調味料が多数。 私「……補給日は今日だったか」 しかたない、あるもので作ってしまおう。 ジャガイモを3つと卵を1つ、小麦粉と塩と胡椒を取り出す。 まずジャガイモの皮をむき芽を取る。この辺は大体アバウトでいい、ただし芽はきちんと取る。 次にジャガイモを生のまま摩り下ろす。 ジャガイモを下ろし終わったら、小麦粉と卵、そして塩コショウ。ここもまたアバウトで。 そしてこれをよく混ぜ合わせる。出来れば手で。 適度に混ざったらフライパンを用意して熱する。 バターをフライパンにしいてペースト状になったジャガイモを焼く。 ある程度焦げ目がついたらひっくり返して、それを繰り返して完成。 私「失敗した……」 アバウトに焼き過ぎたのか、表面が黒く焦げついてしまっている。 これにトマトを乗せればネウロイ焼きの完成。……馬鹿か私は。 しかし食べ物を粗末にするわけにはいかない。 包丁で切るのもよかったが、横着して人差し指の指先でビームを放ち、昔扶桑で食べたお好み焼きのようにカットする。 私「久々に使った気がする」 数か月ぶりになるビームの使用に違和感を感じつつ、箸を持って一切れ口に入れる。 私「にっがぁ……」 焦げ目が舌がしびれるほど苦い。 甘党の私にとってこれはつらい。 だが自分が作ったものは自分できちんと始末をつけなければならない。 次々と口の中へとイモ焼を放り込んでいく。 数分後 私「うんうまいうまいようまい」 舌が麻痺してきたのか、段々と美味しく感じてきた。ついでに涙も流れてきた。 最後の一切れを口に入れようとした時―― 宮藤「あ、私さん……」 宮藤が台所へとやってきた。普段の彼女とは違いどこか落ち込んでいるように見える。 私「どうした宮藤、なんでここへ?」 宮藤「いえ何かいい匂いがしたんで……」 いい匂いって私には焦げた匂いしかしないんだが。 私「……食べるか?」 箸でつまんだイモ焼を宮藤へと差し出す。 少し躊躇ったが宮藤はイモ焼を口の中へと入れた。 宮藤「苦い、です」 私「そりゃあそうだ、焦げてたからな」 じゃあ食べさせるなと自分に言う。 宮藤「私さん……」 俯いたまま宮藤が私の名前を呼ぶ。 宮藤「わたし強くなりたいんです!」 私「……何故だ?」 わかりきっていることなのにわざと尋ねる。 宮藤「わたしみんなを守るために強くなりたいんです!」 坂本も苦労しているだろうに。 だから嫌いなんだ。考えを変えず、真っすぐなところが昔の私に似ているんだ。 私「みんなを守る、か」 宮藤「はい!」 私「無理だな」 別に彼女が嫌いだから言っているわけじゃない、彼女が誰かを守れないから言っているわけじゃない。 全てを守ることは無理なんだ。ただ、それだけ。 宮藤「でも……」 私「……そう落ち込むな。まずは一つの物を守りきれ」 宮藤「一つ……?」 私「そうだ。扶桑の言葉だったか? 二兎を追うものは一兎を得ず、だっけ? 全てを守ろうとして無理をすると全てが守れない。なら、まずは一つずつ確実に、だ」 宮藤の為じゃない、ただ彼女の夢は幻想だと思い知らせるためだ。 そう自分に言い聞かせ納得する。 宮藤「私さんの言う通り私には全ては守れません。……でも」 宮藤は顔を上げ私を真っすぐと見つめてくる。 宮藤「今は一つでも、絶対に守ります! みんなを守ります!」 ああ、だから嫌いなんだお前は。 どうしてそう真っすぐなんだ、どうしてあきらめないんだ。 ……守れなかった私には眩しすぎる。 私「……そうか」 私は立ち上がり宮藤の横を通る。 私「宮藤お前、強くなったな」 宮藤「えっ?」 片目を僅かにネウロイ化させてみると、魔力が溢れているのが見える。純粋な魔力の量なら間違いなく、私が見たウィッチ達の中で一番だ。 初めて出会ったときはそうでもなかったのだが、今見ると明らかに成長していた。 私「後悔だけはしないように、な」 逃げるように私は自室へと戻る。 台所から出る直前、後ろから『ありがとうございます』と声が聞えた。 部屋に戻ると変なのがいる。 人型で黒くてういてて足に変なのつけてておまけに耳まで生えている。 どうみてもネウ子です本当にありがとうございました。 ネウ子(君の悲しみを因数分解『バラ』してみようか?) 私「うるさい黙れ」 ご丁寧に窓が割れている本当にどうしてくれようこいつ。 ネウ子(もーノリ悪いなあ) 私の背中に抱きつくネウ子。 ネウ子(まあいっか。今日は君に頼みがあって来たんだヨね) 私「頼み?」 一体全体頼みって何だ。こいつの頼みごとって基本ろくでもないことが多い気がする。いや、気がするじゃなくて実際そうなんだが。 ネウ子(んー扶桑から大和って戦艦が来てるんだよね) 大体わかった、それを沈めて来いというわけか。それくらい自分でやれ。 ネウ子(おおっと! 別に大和を沈めてほしいってわけじゃないヨ?) 私「何故だ?」 尋ねるとネウ子は首をかしげる。 ネウ子(うーん、わかんないんだけど、なんとなーく大和は沈めちゃ駄目な気がするんだよね) 私「なんだそりゃ……」 ネウ子(まあ本題はこの大和とほぼ同じサイズの戦艦が、ロマーニャに向かってるってこと) 私「大和と同じサイズだって?」 そんな戦艦なら噂になっていてもおかしくはないはずなんだが。 ネウ子(そりゃ噂にもならないヨ。だってキミとボク達が侵略しきった国の、最後の戦艦だから) 私の脳裏に一つの国が思い浮かぶ。私がかつて育った国、私がかつて軍人だった国。 ――私がかつて裏切られた国。 私「……あの国か」 ネウ子(あの国、ボク達と戦う気はもうないみたいなんだけど……) 私「じゃあ放っておけばいいじゃないか」 ネウ子が首を横に振る。 ネウ子(ボク達を倒し終わった後、ロマーニャにその戦艦で攻め込んで国を再興しようとしてるみたいなんだ) あの国、全く変わってない。馬鹿の極みだ。 私「……となるとその戦艦の名前は」 ネウ子(だね、キミも完成した時はいたはずだよ) 私「ああ、最高に趣味の悪い名前だった」 ネウ子(ボクは大和側に攻撃を仕掛けるから、キミはその戦艦へと向かってほしい) 私「……泳いで行けと?」 ネウ子(いんや、ボクの知り合いが攻撃をしかけてくれるはずだから、多分この基地に救援要請が来ると思う。そのまま護衛ってことで乗りこめばいい) 私「……わかった」 ネウ子(ボクは向かってくる人間は好きだけど、後から漁夫の利を狙う人間は大嫌いなのさ) 私「相変わらずわからないなお前は」 ネウ子(褒め言葉だね。じゃあね、また来るヨ) そう言ってネウ子は割れた窓から飛び去って行った。 私「また人を殺すか……」 拳を握りしめ呟く。 自分を姉と呼んでくれる少女、真っすぐな少女、二人の姿が浮かんで消えた。 世界最強と謳われた兵器 特典は予約済みの鬼籍 その戦艦の名は 殺戮の女王(レーヌ・ミシェル)
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数日後 早朝、基地上空 俺「ふぁぁ…」ブゥゥン エイラ「ふにゅー…」ブゥゥン 夜間哨戒帰りの二人が、あくびをしながら滑走路に近づく 管制『二人ともお疲れさん。眠そうだな』 俺「そら眠いよ……ふぁぁ」 またあくび 管制『今日は予報によると襲撃はなさそうだ。ゆっくり休め』 俺「そうする…」 管制『エイラ中尉を部屋に連れ込んで一緒に寝てもいいんだぞ?』 俺「…おっと手が滑った」 管制『銃口こっちに向けないで、双眼鏡越しでも怖いから』 俺「まったく…」 エイラ「………あのさ、俺…」 俺「?」 エイラ「その…俺さえ、良ければ…私は、別に……///」 俺「…///」 管制(聞こえてっぞ……) 結局俺の部屋で一緒に寝ることに 今日は休みの日。抹殺者俺です 第四話 "The Disappearance of EFFY" 宿舎 サーニャとエイラの部屋 サーニャ「………ん」 夜間哨戒が休みだったサーニャが目を覚ます サーニャ「エイラ………?」 いつもなら、隣に寝巻き姿の大親友が居るはずなのだが、 サーニャ「…いない……?」 部屋に戻ってきた痕跡すらない まだ夜間哨戒から戻ってきていないのか? そう思い、時計に目をやると、もうすぐ起床ラッパがなりそうな時間だった サーニャ(……) 探しに行こうか?いやでも… <パッパパーパーパパーパッパパッパパー、パッパパパパパー サーニャ「ん?」 起床ラッパに思考をさえぎられる サーニャ「…ご飯食べよう」 エイラを探すのはその後でもいいか… 食堂 サーニャ「おはようございます」 ミーナ「おはよう、サーニャさん」 宮藤「サーニャちゃん、おはよう!」 食堂にはエイラと俺とエフィを覗く皆が揃っていた…あ、エーリカも居ない バルクホルン「あ、サーニャ。来る途中で、エフィを見なかったか?」 サーニャ「エフィちゃん、ですか?見てませんが…?」 バルクホルン「…あいつ、まだ寝てるな」 シャーリー「いいじゃ~ん、寝かしといてあげろよ」 バルクホルン「夜間哨戒だった俺やエイラはともかく、エフィは起きているべきだろう」 サーニャ(あ、そっか。エイラ夜間哨戒だったんだ) じゃあ多分…俺さんの部屋で寝ている 男女二人が同じ部屋で寝るのは風紀的によろしくないが、平気だろう サーニャ(二人ともヘタレだし…) シャーリー「ずいぶんとご執心だな~、バルクホルン」ニヤニヤ バルクホルン「あいつにもそろそろ規律というものを教えねばならんな…起こしてくる」 椅子から立ち上がり、廊下に出る サーニャは自分の席につこうとして、 サーニャ(あれ?エフィちゃんって、俺さんと相部屋だったよね……) ……………… サーニャ「バルクホルンさん!待って!」タッタッタ 慌てて大尉の後を追った あの二人は多分一つのベッドで寝てる 大尉に見られたら大変なことに… 宮藤「あ、あれ?サーニャちゃん!」 シャーリー「なんだ?」 ミーナ「慌ててたみたいだけど…」 リーネ「追いかける?」 シャーリー「追いかけようぜ、面白そうだし」タッタッタ 宮藤「あ、シャーリーさん!待ってくださいよー!」タッタッタ リーネ「あ、待ってよ!芳佳ちゃん!」タッタッタ シャーリーを先頭に、ぞろぞろと後を追う ミーナ「………ご飯冷めちゃうわよー」タッタッタ 結局全員出て行った 俺の部屋 俺「………」クカー エイラ「………」スゥスゥ ネウ子「………」ムニャ 実に平和な時間が流れている 俺とエイラが俺のベッドで、エフィが自分のベッドで寝ている ちなみに、エイラは俺に腕枕されている エイラ「……ん」モゾモゾ 寒い、エイラの本能はそう言っていた 何か熱源、もしくは暖が取れるものを探し求め、ベッドの上をモゾモゾする 割とすぐに熱源を見つけた 俺「クカー」←熱源 エイラ「ん……」ギュッ 俺を抱き寄せ、抱き枕代わりにする 俺「むにゅ…」ギュッ 俺も、エイラの背中に手を回す お互いの暖かさを求めるように抱き合う 足も絡ませ、密着する形になる 俺・エ「……」スゥスゥ …どんな夢を見ているのでしょう エイラ「うん……?」 エイラが先に目を覚ます 目の前にある俺の顔 エイラ(あれ、私なんで……) この状況に至る経緯を思い出そうとするが、 俺「…スゥ…スゥ…」 エイラ「寝顔かわいい…///」 途中で放棄 エイラ「…」ナデナデプニプニツンツン 俺「ん……スゥ…スゥ」サレルガママ エイラ「…///」ニヘラァ 恋人の寝顔で遊ぶ、先に起きたほうの特権である エイラ(俺の髪って意外とさらさらダヨナ。黒くて綺麗だし…) 顔もそれなりに整っているので、髪を伸ばして女装すれば、いい感じの美少女になりそう エイラ(まぁ、俺にはこれくらいの短さが似合ってるけどナ)ナデナデ 俺「ん~……むにゃ…」 そんな平和な時間も、突然の来訪で終わりを告げる <バルクホルン「エフィ!起きろ!起床の時間だ!」 ドアがドンドンとノックされる。いきなり入ってこない辺り、ここが俺の部屋、男子の部屋であることをわきまえているよう エイラ(ど、どうしよう…) この状況を見られたら確実に勘違いされる。大尉なら尚更… エイラ(あれ?別に勘違いされても良くないか?私たち恋人だし…) いやでも男女がベッドの上でヤりそうなことをしたと勘違いされても困る エイラ(私今、下着だし…) 俺は寝巻きに着替えているけど……うん、これは勘違いされそう。一度自分の部屋に行って着替えてくるべきだった <バルクホルン「入るぞ!」 <サーニャ「バルクホルンさん!待って!」タッタッタ エイラ(サーニャ?) <バルクホルン「ん?どうした?」 <サーニャ「あの、今は入っちゃダメ…と言うか…」 <バルクホルン「? ああ、安心しろ、俺は起こさない」 <サーニャ「そうじゃなくてですね…えっと…」 エイラ(頼むゾ!サーニャ!) 俺「…ん?……ん~……む?……騒がしいなあ」ムクッ 俺が起床 エイラ「あ、俺」 俺「おう、おはようエイラ。廊下が騒がしいが…」 エイラ「バルクホルン大尉とサーニャだ」 俺「珍しい組み合わせだな。まぁいい」 そういってベッドから降り、ドアに向かう エイラ「俺…?」 俺「大丈夫、穏便に追い返すだけだから。大尉、サーニャ」ガチャ ドアを開ける サーニャ「あ…」 バルクホルン「ああ、俺。すまん、起こしたか?」 俺「ええ、まぁ。それより二人とも」 バ・サ「?」 俺「エイラが寝てるんで静かにお願いします」 エイラ「バカーー!!///」ガバッ 俺は状況をまったく理解していなかった 驚きのあまり、ベッドから跳ね起き、罵声を浴びせる バルクホルン「なっ!///エイラ!俺の部屋で何をしている!その格好はなんだ!///」 サーニャ「やっぱり…」 俺「…あれ?俺何かまずった?」 エイラ「まずってるわ、このバカ!」ブンッ 俺「うおっと」サッ エイラが俺の枕を投げつけるが、寸でのところで回避されてしまう シャーリー「お、なんか面白いことになってる」タッタッタ 宮藤「あれ?エイラさん?なんで俺さんの部屋に…しかもその格好…」 リーネ「キャー」 ミーナ「俺さん…」ゴゴゴゴ 俺「ちゅ、中佐?笑顔が、笑顔が怖いです…」 何か絶対勘違いされてる? <ハレンチナ!オマエラチョットコイ…クワシクセツメイシテモラオウ!ギャーワー!! ネウ子「………………うるさい」 説教から解放されたのはかなりあとだとかどうとか それから 談話室 ミーナ「…と、いうわけで、臨時補給作戦を実施することになりました」 何がというわけで、なのかというと、食料が底をつきかけているらしいので、街に買出しに行く、というわけ ルッキーニが道案内、シャーリーがトラック運転の担当。宮藤も同行することになった エイラ「ピアノ!ピアノを頼む!」ブンブン ミーナ「ふふっ、いくらなんでもピアノは運べないわ」 エイラ「ちぇ、サーニャのピアノが聞きたかったのに…ナァ、サーニャ、欲しいものはないか?」 サーニャ「エイラ、自分の欲しいものを頼んだら?」 宮藤「俺さんとエフィちゃんは、何か欲しいものありますか?」 俺「そうだな、インスタントコーヒーを頼む」 宮藤「コーヒー、ですか?」 俺「軍用のはまずくてな。エフィは?」 ネウ子「キュー?」 俺「…特にないって感じ?」 ネウ子「キュゥ」 俺「…街に出てみるか?」 ネウ子「キュ!?」 俺「基地の外に出たことがなかっただろ?行ってみようぜ」 ネウ子「キュ…」 俺「いいですよね、中佐?俺も付き添いますから」 ミーナ「止める理由はないわ。行ってらっしゃい、エフィさん」ニコッ ネウ子「…キュー!」 俺「よかったな」ナデナデ リーネ(ねぇねぇ芳佳ちゃん。俺さん、キューだけでエフィちゃんの言いたいこと理解してる…)ヒソヒソ 宮藤(うん、何かすごい…)ヒソヒソ 俺「聞こえてるぞ~」 宮・リ「ひゃう!」 実は、エイラも似たようなことができる (サーニャ「エイラ…」) (エイラ「ほい」つ枕) (サーニャ「エイラー」) (エイラ「はい、サーニャ」つコーヒー) (サーニャ「エイラ~」) (エイラ「これダロ?」つネコペンギン) ちなみに「え~いらっ」というときは甘えたいときらしい 俺(俺にはさっぱり理解できんがな) それから、隊員の欲しいものを聞いて回ったりした しばらくして、俺、エフィ、シャーリー、ルッキーニ、宮藤を乗せたM3ハーフトラックが基地を出発した ローマ 宮藤「うぇ~、ぎぼぢわるい~」 トラックの座席で宮藤がうずくまっていた シャーリーの運転は、かなり乱暴で、宮藤にはこたえたようだ 宮藤「皆なんで平気なんですか~」 シャーリー「運転してるのあたしだし」 ルッキーニ「何度も乗ってるし!」 俺「もっとひどいのに乗ったことあるし」 ネウ子「荷台の、床から、3mm、浮いてるし」 こんなところでネウロイパワー使うな 宮藤「もぉ~!」 そんなこんなで、ルッキーニが地元自慢をしている間に、目的地の雑貨屋に到着 シャーリー「ここでいいのか?」 ルッキーニ「うん!ここなら大抵のものが揃ってるんだ!」 俺「エフィ、分かってると思うが…」 ネウ子「大丈夫、街中で、ネウロイパワーは、使わない」 <イラッシャセー 俺「行こうか」 ネウ子「うん」 棚に並んだ商品を見る。確かに、大抵の物が揃ってそう 宮藤「ラジオと目覚まし…」タッタッタ こちらは隊員からの要望があったものを探し、 ルッキーニ「これあたしの!」ドサッ こっちはお菓子を物色中 俺とエフィも店内を見回る 俺「エイラが枕で、サーニャは猫の置物だっけか」 ネウ子「そう」 エイラの指定は確か、色は黒で赤のワンポイントがあるもの。素材はヴェルヴェット、中綿は海鳥の羽で、ダウンかスモールフェザー 俺(我ながら良く覚えられたな。多分サーニャにプレゼントするんだろう) 寝具のコーナーでそれらしきものを発見 ネウ子「赤ズボン隊の、グッズ」 俺「みたいだな」 隣に縞柄の枕があるのは、見なかったことにしよう <ハナシテクダサイ! ふと、ある一つの枕が目に付いた <スーパールッキーニキックー! 色は水色で、素材は分からないが手触りはいい。カバーに星のマークが描かれている エイラの着ていたパーカーと同じ配色だ <デュクシッ! 俺(これいいなぁ) <ニヒッ!イコッ!タッタッタ 自分が使うわけではないが、欲しいと思った <? ルッキーニ?トテトテ 俺「ナァ、エフィ。これ、どうかな?」 振り返ったら、 俺「……あれ?エフィ!どこ行った!?」 ローマの街中 エフィ エフィは、店を飛び出ていったルッキーニを一人で探していた ネウ子(どこ行っちゃったんだろう…)トテトテ 見知らぬ街で人探し。かなり大変だ ネウ子(ネウロイパワーを使えば何とかなるかもしれないけど、彼と街中じゃ使わないって約束したし…) いい忘れていたが、エフィはモノローグだとよくしゃべる ネウ子(トラックまで戻ろうか……あ、道わかんない…) 当てもなくうろついていたのだが、実はエフィは、ルッキーニとマリア皇女の足跡を正確にたどっていた 二人が訪ねた場所を訪ねた順に、入れ替わるようにして来ていた。いわゆるすれ違いである ネウ子「疲れた…」 塔のある広場に出る。ベンチに座って休もう ネウ子「キュゥ…」ストン ぼ~っと広場を見回す。同じくベンチで休んでいる人も居れば、遊んでいる子供もいた それぞれが、それぞれの日常、人生を過ごしている ネウロイと人類…共に生き、ともに生活する方法はないのだろうか 彼と生活を共にし、人間の文化、生活に触れ、幾度となく同じことを考えた ネウロイには、情というものがない 個々はネウロイの一同志に過ぎず、派閥の頭数でしかない ネウロイ同士が信頼しあうこともなければ、自己犠牲なんてものもない エフィのような特異ケース――人類と戦闘以外で関わりを持とうとする――を除き、 ネウロイは基本、人類を敵と認識している。人類のことを理解できないから なぜ、人間は他人を思いやるの なぜ、他人の死を悼むのか なぜ、国を守ろうとするのか すべては、感情・友情・意志・プライドによるものなのだが、ネウロイには理解できない ネウ子(ネウロイが、人間の持つ感情……涙を流す理由を理解できれば……) エフィに涙は流せない。それは他のネウロイも同じ だが、エフィには感情、またはそれに準じたものがある。隊の皆と笑い合うことができる 人間と積極的に関わりを持ったり、小説を読んだり話を聞いたり、人間のことを知ろうとしたから エフィにできたのだから、他のネウロイにできないわけがない そのはずなのだが… ネウ子(やっぱり…私が特異なだけなのかな…) …今度、彼や隊の皆と話しをしよう。何かヒントが見つかるかもしれない そう考えていたとき、不意に声をかけられた 男A「ねぇ、君、かわいいねぇ」 ネウ子「キュ?」 男B「夏なのにセーターって、変わってるね。暑くないの?」 分かりやすいナンパだ ネウ子「あ、えと…」 怖い。怖い… 見知らぬ人を疑うことも、信用することも、エフィにはできない。術を知らないから 男A「ちょっと歩いたところに喫茶店があるんだ。そこでお茶しない?」 ネウ子「あ、あう……」ガクブル 助けて……誰か助けて…… ネウ子(俺兄さん………!) <コラーッ! ネウ子「!?」 怒鳴り声と共に、誰かが走ってくる音が聞こえた 男A「なんだ?」 男B「女の子?」 走ってこちらに向かってきたのは、 <スーパーッ 黒髪ツインテールの、 <ルッキーニッ 縞ズボ少女、 ルッキーニ「キィィック!!」ドゲシ フランチェスカ・ルッキーニ少尉である 男A「ふぎゃぁ!?」ドタンッ ルッキーニのとび蹴りを喰らった男がひっくり返り、 男B「うわぁ!?」ビタンッ もう一人が下敷きになった 一瞬の出来事に驚いて呆けていると ルッキーニ「にしっ!いこっ!」タッタッタ ネウ子「はわ…」タタタ 手をとられ、走り出した その近くの喫茶店にて シャーリー「あ~、全然見つかんねぇ~」ハァ 俺「あいつどこ行ったんだ…」ズズッ 新聞片手にコーヒーを啜る 『ローマタイムズ 第一面』 ―第一公女、明日初公務 ―ロマーニャ公国第一公女マリア殿下は、明日の園遊会に出席 ―その場で、ラジオや新聞等のメディア向けのスピーチを行う予定 その横には、その第一皇女さんらしき少女の写真が載っていた 俺(公室や政治の事はわからんが、若いのに大変だな~) 素直にそう思ったが、自分らウィッチも若い世代に分類されることを忘れている ところで、ここのコーヒーはなかなかうまい。豆を売っていたら買って行こう 宮藤「アムッ…!…シャーリーさん!これすっごくおいしいですよ!」 シャーリー「お前な~…」 宮藤「はい!」スッ 自身がおいしいと絶賛したケーキを一口、シャーリーに向ける シャーリー「アムッ…!…おお!すっげぇうまいな、これ!」ガタッ 宮藤「でしょ~!」 シャーリー「ああ、すいません!このケーキもう一つ…いや、二つ!」 宮藤「お願いします!」 近くを通ったウェイターに注文する 俺「あ、コーヒーももう一杯お願いします」 しばらくここに居ることになりそうだな 広場の塔 テラス 塔の上のテラスっぽいところ(私には正確な表現ができない)にいる ここからだと、ローマを一望することができる マリア「きれい…」 どことなく高貴な雰囲気をしている少女が漏らす 聞いたところによると、マフィアらしき連中に囲まれているところをルッキーニに助けられたらしい で、なんやかんやあって一緒にローマ巡りをすることになり、この広場に来たと言う その途中、ナンパされていた私を見つけた、というわけ マリアと対面したときは、私がネウロイだってことがバレないか心配したけど、 ルッキーニ『あたしの近所に住んでる友達!エフィって言うんだ!』 ルッキーニの機転で何とかなった。いろいろあったけども、この景色は確かに綺麗だ ルッキーニ「実は、もう一つ見せたい景色があるんだ」 マリア「それは是非見てみたいですね」 ネウ子「私も、見たい」 ルッキーニ「ん~と、今は、ちょっとね」タハハ ネウ子「キュ?」 マリア「では、またの機会に」 ルッキーニ「うん!」 もしかして、ルッキーニが見せたい景色って…… <ウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!! ネウ子「キュッ!?」 警報!? ネウ子(そんな……敵ネウロイが近くに居たら、なんらかの反応があるはず……まさか、研究中だったステルス!?) 急進派の連中、もう実用段階まで漕ぎ着けたの!? …とりあえずステルス性能の有無の話は置いておこう 急進派の目的は、ロマーニャの占領と穏健派ネウロイの掃討。私が生き残っていることが急進は上層部に知れれば―― ネウ子(――全力で殺しにくる……そしたら、街に被害が………ウィッチーズの皆が………俺兄さんが……) とにかく、コアの活動を最小限に抑え、敵機の探知に引っかからないようにする ネウ子「逃げなきゃ…」 マリア「そうです。ルッキーニさんも、早く逃げましょう」 マリアがルッキーニの手を握る ルッキーニ「…あたし、行かなきゃ。ウィッチだから!」 マリア「え?」 <キキーーッ! ネウ子「あ……」 広場にトラックが入ってきた 俺「エフィィィィ!!」 助手席から身を乗り出して俺が叫ぶ ネウ子「!」パァァ ルッキーニ「これ、持ってて」スッ マリア「あ…ウィッチ?」 ルッキーニ「うん!」シュタッ テラスの手すりを乗り越え、 ルッキーニ「とぅ!」 マリア「!っ危ない!」 広場に停車したトラックへ飛び移る ネウ子「大丈夫。平気」 マリア「え?」 ネウ子「彼女は、本物の、ウィッチ、だから」 荷台のユニットを装着、垂直の上昇し、敵機迎撃へ向かう 俺『エフィ!?聞こえるか!?』 ネウ子「キュ!?あ、うん、聞こえる」 ポケットに入れっぱなしだったインカムを慌てて装着する 俺『説教は後だ。今はその子を連れて避難しろ。軍の誘導に従うんだ』 ネウ子「わかった」 一方マリアはと言うと、上空で繰り広げられる空戦に目を奪われていた。マリアの腕を取り、 ネウ子「逃げるよ…」タタタ マリア「あ、はい!」タッタッタ 塔を降り、避難する 塔の階段を駆け降り、広場への出口に出る ネウ子「建物に、沿って、走る。離れないで」タタタ マリア「はい!」タッタッタ 彼女の手を取り、必死に走る 上空 俺(あいつ、走れるようになったのか) 高貴な感じの女の子を引っ張るエフィ。どうやら、小走りくらいはできるようになったらしい ルッキーニ「シャーリー!コアが見えた!」ダダダダ シャーリー「よし!X攻撃だ!」ダダダ 今回俺は後方支援。空戦はシャッキーニの二人に一任だ 宮藤は街への被害を最小限に抑えるため、放たれたビームをシールドで防ぐ 俺「あとすこし…」テュンテュン! 敵機に外装を徐々に削っていく 防空隊の高射砲攻撃によりあらわになったコアの周りは、徐々に再生していた その時、 <キィィィン!!バシュゥ!ビィィムビィィム!! シャーリー「!?」 宮藤「!?」 俺(まずい…!) 敵の左翼から地上に向けビームが放たれる 宮藤が居るのは右翼側。シャッキーニの二人は敵機の上を取っている 放たれたビームの先にいたのは ルッキーニ「マリアっ!!」 俺「エフィっ!」 地上を走って逃げている二人だった 地上 マリア「!?」 驚きを隠せない、と言った表情。恐怖に満ちている 自分に向け放たれ、向かってくるビーム ネウ子(マリアは放心状態で走れない…引っ張っても間に合わない……) 私ならともかく、生身の人間があのビームを喰らって無事で済むはずがない 助けなきゃ…マリアを……私が………!! ネウ子(引っ張るのがダメなら……) マリア「…あぁ……」 ネウ子(突き飛ばす!!) ドンッ!! マリア「きゃっ!?」ドサッ <ビィィム!!…ジュッ ネウ子「あぁぁっ!?」 マリア「エフィさんっ!?」 ビームはエフィの左わき腹を貫通した 俺「エフィ…!」 シャーリー「俺!あいつのところに行ってやれ!」ダダダ 俺「すまん!」ブォォン 敵のビームを防ぎながら地上へ降下。エフィの元へ向かう マリア「エフィさん!しっかり!………――っ!?」 大きな穴の開いたわき腹。血はまったく出ていない ネウ子「…驚いた?」シュゥゥ 傷口に光の粒子が収束して行き、穴がふさがっていく そこに俺が到着し、地面スレスレでホバリングする 俺「(ブォォン)エフィ?お前…」 ネウ子「ごめんなさい…こう、するしか、なかった」シュゥゥ マリア「…」 俺「…あの機体の弱点、わかるか?」 ネウ子「すべての、面において、平均値以下…装甲も、もろい」 傷口の修復を終えたエフィが上体を起こす 俺「縞パフのあれは使えるか?」 ネウ子「使える」 俺「よし。シャーリー!ルッキーニ!いつもの奴をお見舞いしてやれ!」 シャーリー『了解!行くぞ!ルッキーニィ!』 ルッキーニ『あいよー!』 いつものあれ、とどのつまり多重シールド特攻である 俺「良く見て置きなさい」 マリア「え?」 俺「あなたの国のウィッチですよ、殿下」ニッ マリア「!」 <ドォォン!パリーン!! ネウ子「撃墜数…プラス1」 それからしばらくして 広場 ネウ子「…」シュン 俺「…」ムスッ お説教の時間です ネウ子「…ごめんなさい」 俺「…」ギュッ ネウ子「キュ?」 そっとエフィは抱きしめる 俺「…心配…したんだからな…」 ネウ子「……」 マリア「今日は、ありがとうございました」 ルッキーニ「うん!また遊ぼうね!」 マリア「はい」 俺「…殿下」 小声で話しかける 俺「エフィのことは、どうか内密に。最高級の軍事機密に値しますので」 マリア「分かっています……エフィさん」 ネウ子「キュ?」 マリア「先ほどは、ありがとうございました。あなたは命の恩人です」 ぺこりと頭を下げる ネウ子「私は、その…ただ、必死で…できることを、しただけ」 俺「いや、胸を張ってもいいぞエフィ。お前が救ったお方は――」 マリア「しー!」 口に人さび指を当て、わずかに微笑む 俺「失礼…」 マリア「では、私はこれで」 ネウ子「うん。バイバイ…」 俺「…スピーチ、がんばってください」 マリア「…ええ」 ちょうどシャーリーがトラックのクラクションを鳴らした シャーリー「そろそろ行くぞ!」 俺「ああ!今行く!」 俺が先に荷台に乗り、 俺「ほら」スッ エフィ「うん」ギュッ エフィの手をとって乗るのを手伝う ミラー越しに俺たちが乗車したのを確認し、トラックが発進する ルッキーニ「バイバイ、マリアー!またねー!」ブンブン ネウ子「また、いつか…」フリフリ 二人が荷台から手を振る。マリアも振り返してくれた 彼女の後ろには、体の各所に包帯を巻いたSPらしき男が立っていた 翌日 談話室 宮藤「はい、エイラさん」 エイラ「言ったのあったカ?」 街で買ってきた各隊員の欲しいものを、宮藤が配り歩いている サーニャ「欲しいもの見つかったの?良かった」 最近サーニャがエイラの母親みたいになってる気がする 宮藤「サーニャちゃんにはこれ」 つ猫の置物 サーニャ「ありがとう芳佳ちゃん」 俺「エイラの指定が細かすぎてさ~。探すの苦労したよ」ハハ エイラ「ソ、ソンナコトナイゾ」 サーニャ「エイラ、人にお願いするときは、ちょっとは遠慮するものよ」 エイラ「ウ…」 ……やっぱり母親だ エイラ「そ、それより、あっちの枕はナンダ?」 積み上げられた買ってきたものの中には、もう一つ枕があった 宮藤「あ、私も気になってたんですよ。買い物メモにはなかったし、エイラさんの指定とは違うし」 水色に黄色の星のマーク。雑貨店においてあった枕だ 俺「あ~、あれか。俺が買ってきた」 エイラ「俺が?自分の枕カ?」 俺「いや、俺のじゃないんだ。枕は今ので満足してる」 エイラ「じゃあエフィの?」 ネウ子「キュー」フルフル サーニャ「違うって」 エイラ「じゃあ、ナンダ?」 ………みんなが居る前では言いたくなかったな 俺「えっと…そのぉ…」 一同「?」 俺「エイラ、お前の、分だ」 エイラ「ウェ?私の?でも…」 俺「あぁ、その……俺の部屋に、置いとく…お前の分だ」 エイラ「ウェ!?///」 宮藤「キャー」 サーニャ(やったねエイラ!夜這いOKだって!) …暗に誘ってるようなモンだよな、これ エイラ「え?えー?えっと、その…なんで…///」 俺「え、いやー……///」 言いたくない。みんなが居る前じゃ言いたくない ネウ子「毎回、腕枕は、辛いよね」 俺「バッカ!言うなよっ!///」 エフィ!! サーニャ「腕…」 宮藤「枕…」 エイラ「サ、サーニャ?ミヤフジ?目が、目が怖い…」 宮藤「詳しく…」 サーニャ「聞かせて…?」 にじり寄る二人 エイラ「ニャー!!///」タッタッタ 逃走する我が想い人 俺(女の子ってやっぱりそういう話好きなのね) ウィッチといえども年頃(ティーンエイジャー)の女の子です ネウ子「これ、どうする?」 エフィが水色の枕を持ってきた 俺「…部屋に置いとこう」 ネウ子「わかった」 エイラ、使ってくれるかな ミーナ「入った!」 机でラジオを弄っていた中佐が声を上げた 『…ザー…さて、本日始めて公務の場である園遊会に出席された、ロマーニャ公国第一公女、 マリア殿下から野のお言葉です』 『昨日、ローマはネウロイの襲撃を受けました。しかし、そのネウロイは、小さなウィッチの活躍で撃退されたのです その時、私はネウロイの攻撃で、危うく命を落としかけました。それを救ってくれたのは、ウィッチと変わらぬ年頃の女の子でした 私が彼女にお礼をすると、彼女はこう言いました。「自分にできることをしただけ」と 私は、ウィッチと彼女にとても大切なことを教わりました。地位には責任が伴うこと。この世界を守るには、一人一人ができることをすべきだと 私も、私にできることで、この世界を守っていこうと思います ありがとう、私の大切なお友達。エフィさんとフランチェスカ。ルッキーニ少尉』 一同「ええ~っ!?」 さっきの演説、ルッキーニ本人に聞かせてやりたかったぜ サーニャ「よかったね」 ネウ子「?」 サーニャ「新しいお友達ができて」ニコッ ネウ子「…うん」 <ウキャー!ドサドサ 俺「ん?」 滑走路のほうから声が聞こえた 『感謝を込めて、ささやかなお礼を、第501統合戦闘航空団に贈ります』 <オモイー 俺(…これで食料に困らずに済むな) ………ところで、夜に中佐が腹痛を訴えて医務室に行っていたんだが、ありゃなんだったんだ? ―次回予告― 俺「あーめが降っても?」テュンテュン!! エイラ「キニシナイー」ダダダダ 坂本「お前と、エフィの力を借りたい。後で部屋に来てくれ」 エイラ「…ナ、ナンダヨ!ナンカ言えヨ!///」 俺「おかえり、エイラ…」 エイラ「…ただいま」
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私の部屋 私の横にあるテーブルの上の、瓶の中に入った一匹の赤と黒の色をした虫。 何気なく持ちあげて揺らしてみると、コンコンと硬いものがガラスに当たる音がする。虫にあるまじき硬度。 それもそのはずこれは虫ではなくネウロイなのだから。 私「とりあえずテープでガッチリと蓋しておくか」 どこからともなく取りだしたテープで、蓋部分を隙間が無くなるほど密閉する。 もっともこのネウロイが本気を出せば、こんな封などあってないようなものだが、それをする気があるならこの基地はとっくの昔に壊滅している。 私「……お前は何がしたいんだ?」 そういうと中のネウロイが心なしか喜んでいるように見える。聞えているようだが、巣からは相当離れているので、テレパシーで話すことはできないようだ。 本当に何をしたいのかさっぱり分からない。ネウロイの中でも異端中の異端のあのネウ子が操っているのだから。 こいつを捕まえた場所も本当に訳がわからなかった。 このネウ子、いやネウロイは私達が風呂にあがって更衣室で着替えていたところ、何故かリーネのズボンの中で蠢いていた。 慌ててリーネがズボンを下ろすとこいつは今度はエイラのズボンに。 次に私のズボンに入ろうとしたところを捕獲した。 他の連中からは驚かれていたが、昔から虫を素手で捕まえるのがうまかったということにしておいた。その時何故かルッキーニの目が輝いていた気がする。 ともかく、現在こいつは私が捕獲してある。電気も元に戻ったようで、普段と変わらない基地に戻っている。 私「はぁ」 一つため息をつくと私はベットの上に寝転がりながら、この間(番外)ルッキーニと一緒に街へ買い物に行った時に買ったぬいぐるみを抱きしめてみる。名前は荒巻スカルチノフと先ほど決めた。 ネウ子について考えるのはやめよう。考えるだけ無駄だし、恐らく正解にたどり着いたとしても理解できないだろう。 その時、扉を叩く音が部屋に響く。叩いた音の位置的にルッキーニだろう。 ルッキーニ「私ー、一緒にお菓子食べよっ! シャーリー忙しいみたいだし」 入ってきたルッキーニの手には、コーヒーとチョコケーキ、そして銀のフォークがそれぞれ二つと砂糖の入った瓶の載った、銀色のプレートがあった。 私はベッドから起き上がり、ネウロイの入った瓶をテーブルの隅にやると、ルッキーニからプレートを受け取る。 ルッキーニ「ムシー!」 私がテーブルにプレートを置いたのを確認すると、ルッキーニはネウロイの入った瓶を持ちあげて様々な角度から覗き込む。 私「おいおい、お菓子を食べに来たんじゃないのか?」 ルッキーニ「うじゅ、そうだった!」 ペロリと舌を出しルッキーニは私の正面に座る。 プレートからケーキとコーヒーを下ろして、自分の前に持ってくるとルッキーニは満面の笑みを浮かべた。 ルッキーニ「いっただっきまーす!」 銀のフォークでチョコケーキを小分けにして食べ始める。 一口食べるたびに幸せそうな表情をする彼女。見ていて飽きないと私は思った。 私「じゃあ私も食べるとするかな」 ルッキーニと同じようにプレートからケーキとコーヒーを下ろす。 私は先にコーヒーが飲みたかったので、砂糖瓶のふたを開けると中に入っていた小さな銀のスプーンで コーヒーに砂糖を入れた。 ルッキーニ「え!?」 何かとんでもない物をみたような声を上げるルッキーニ。 一体何事かと私は尋ねる。 私「ど、どうした?」 ルッキーニ「そ、その、私ってすんごく甘党だったりする?」 私「……そうだが何故そう思うんだ?」 ルッキーニ「そのね……砂糖5杯は入れすぎだと思う」 確かに入れすぎだとは自分でも思っている。思ってはいるがクセのようなもので、言葉使いと同じように今更変えることはできないしする気もない。 ちなみにネウロイとなった私の体は、いくら糖分やカロリーを取っても太らないと言っておく。 私「……糖分は胸に行ってるから、そのうち砂糖味の母乳でも出るかもしれないな」 ルッキーニ「本当!?」 私「嘘だ」 そもそも男性経験すらないうちに死んだからな、私。 ルッキーニ「うじゅあああああああああ!」 多分本心からの絶叫がほぼ何もない部屋に響き渡る。どれだけ胸が好きなんだろう。 私「……そのうちルッキーニだって大きくなるさ」 ルッキーニ「本当!?」 私「多分」 ルッキーニ「うじゅあああああああああああああああ!」 そんな会話をしばらくしていると、ルッキーニが何か思いついたのか、二ヤリと笑う。 私「……何を思いついた?」 ルッキーニ「ねえケーキ少し貰っていい?」 私「食べかけだがいいのか?」 ケーキは半分ほど既に私が食べた後だ。 ルッキーニ「うん!」 それでもいいようなのでルッキーニへケーキの載った皿を手渡す。 ルッキーニはそれを自分のフォークで小分けにすると、一欠片を先端に刺して私に向ける。 ルッキーニ「あーん」 私「……は?」 思わず間の抜けた声を出してしまう。 ルッキーニ「ほら、あーんって言ったらあーんって言って口空けないとマナー違反だよ!」 一体どこの世界のマナー違反だ。いつの間に人間の世界はそんなよくわからないルールを採用したんだ。 私「いや、しかしだな……」 ルッキーニ「あーん!」 私の言葉も虚しくルッキーニの声に消されてしまう。 私「……あーん」 口の中に甘いケーキの味が広がる。 負けた、完全に負けた。どうしてこう私は押しに弱いんだ。 これじゃあまるで私が人間みたいじゃないか。ネウロイだぞ私は。お前達を裏切りに来たネウロイだぞ。いつかお前たちを殺すネウロイだぞ。 胡散臭い見ず知らずの人の形をしたモノに、どうして親切にできるんだこの基地の連中は。 ルッキーニ「美味しい?」 私「……ああ」 答えるとルッキーニが私と初めて出会った時のように笑った。 自然と私の頬も緩む。慌てて口元を隠すが、どうも見られていたようでニヤニヤと、先ほどとは違ういやらしいルッキーニが笑っている。 私「ぐむぅ……」 思わず唸ってしまう。やっぱりここの基地の連中は苦手だ。 その時、背中を這うような寒気が私を襲った。 ネウロイ「……」 見ている、テーブルの隅で今まで何もしなかったネウロイが、ルッキーニをひたすら見つめている。 キュウウン 耳をすませなければわからないほど小さな、ガラスを引っくようなネウロイの鳴き声。 もったいないがテーブルを蹴りあげつつ、ルッキーニの手を右手で強引に引っ張りベッドへと押し倒す。 ルッキーニ「うわっ!?」 私「……」 ルッキーニ「……な、何?」 何も分かっていないのかきょとんとした表情をするルッキーニ。ならいい、別に礼を言ってほしくて助けたわけじゃない。 ちらりと下を見ると、床には私の左腕が転がっている。痛みはない、コア付近に衝撃を受けなければ頭が吹っ飛ばされようが痛みを感じない。 あのネウロイはルッキーニの体を狙ってビームを撃ったようだが、私がテーブルを蹴りあげたので狙いが定まらず私の左腕を切り落としただけだった。 失敗したと判断したのかネウロイは割れた瓶の中から逃げ出すと、私の部屋から出ていく。 私「……いや、気のせいだったみたいだ。疲れてたのか、ルッキーニにネウロイが突っ込んでいくように見えたんだすまない」 既に私の左腕は再生を始めている。あと20秒もすれば元通りになるだろう。 ルッキーニ「うじゅー……ケーキがぁ……」 ルッキーニが残念そうな顔をする。何故私は彼女を助けたのだろう。 結局殺すんだから、別にあのネウロイの攻撃を黙って見ていればよかったじゃないか。 しかし体は勝手に彼女を助けようと動いていた。 ルッキーニ「うじゅー……」 私「……そのうちまた街にでも買いに行こう」 ルッキーニ「ほんと!?」 私「ああ」 私は再生した左腕で頭をなでてやる。その間に右足で床に転がっている切り落とされた左腕をベッドの下へと入れた。 切り落とされた分の軍服の袖が微妙に無くなっているが、特に気付かれてはいないようだ。 ウゥゥゥゥゥー! ルッキーニ「うじゅっ!?」 私「ネウロイか。どうやらさっきのはあながち間違ってなかったようだな」 私はルッキーニを起きあがらせるとベッドから下ろす。 私「ほら、急いで行ってくるといい。部屋の片づけは任せておけ」 ルッキーニ「ありがとう行ってくるね!」 振り返って手を振りながらルッキーニは私の部屋から出て行った。 静まりかえる部屋。人が一人いなくなるだけでここまで静かになるのか。 私「行ったか」 孤独感を紛らわせるかのように呟く。 ベッドの下に手を突っ込んで、斬り落とされた左腕を拾い上げる。 腕の斬られて断面になった部分には骨も肉も無く無機物を思わせるが皮膚は柔らかく、切り口が黒光りしている。 もちろん血の一滴も流れていない。こういうところで私は人間じゃないのだと実感する。 私「……ふん」 斬られた左腕を床に落とし、足で思いっきり踏み潰す。 私の腕は私がネウロイであると再び告げるように、白い物質へと変化した。 夜 あれから少ししてあのネウロイは倒されたらしい。 ルッキーニが言うには、なんでもミーナの尻に潰されて倒されたようだ。確か資料では撃破数は199機で止まってたはずだから、今回ので祝200機のはずだ。 本人は複雑な気分だろうが、明日の夕飯は私が赤飯を作ってやろう。 ?(ボクーの理想ーのはなよーめはー) 時計の針が丁度12時を指した時、突然頭の中に響く声。 ?(どこーにいーるのーだろーう) 声のする方を振り向くと―― ネウ子(やほー) 私「ぶっ」 窓の外に何故かネウ子が居た。思わず噴き出してしまう。 私「な、ななななななな何やってんだお前!」 ネウ子(んー? 暇だったから) ともかく窓を開けるとネウ子を部屋の中へと引っ張り込む。 流石にこんな場面を見られたら言い逃れは出来ない。 ネウ子(やだー犯されちゃうー) 訳のわからないテレパシーを送りながら、体をくねらせるネウ子。 相変わらずよくわからないのでスルー。 ネウ子(ツッコミ欲しいなーボク) 私「……お前ってそんなキャラだったか?」 ネウ子(ボクって人間観察が趣味って言ったヨね? だ・か・ら人を知るために色々な人間の口調になってみてるのさー。今回は特殊な性癖を持った王子様) ネウ子はネウロイユニットで部屋を縦横無尽に飛び回る。 私「まさか、とは思うが」 ネウ子(何ナニー?) 私「ウィッチ達のズボンの中に入ったのも人間観察なのか?」 ネウ子(それはシリません。というのは冗談で単純に趣味) 私の拳が、丁度正面に来たネウ子の後頭部にクリーンヒットした。 ネウ子(おお、イタイイタイ) 私「やかましい」 頭が吹っ飛んだにも関わらず平然と喋るネウ子。コアは巣に置いてきているのか、再生の速度が遅い。 ネウ子(まあそんなことより私に聞きたいことがあったから来たんだよね、ボク) 暇だから来たんじゃないのか。 私「聞きたいこと?」 ネウ子(うん) 一呼吸置いてネウ子がテレパシーを送ってきた。 ネウ子(ね、どうして殺さないのかな?) 今までふざけていた雰囲気から一転、部屋の温度が一度ほど下がったような感覚。 私「……まだ信頼されてないからな」 ネウ子(ふーん……) 目は無いがじろじろと私を見ているのははっきりと感じる。 ネウ子(まあいっか。でも、君はウィッチ達を殺してるんだ、ウィッチ以外の軍人を含めると軽く100人は超えてる。君の居場所はどこにもないんだヨ) 私「……わかっているさ」 この居場所が仮初めで、いつか私は彼女たちを殺さなければいけない。 わかっているのにそれを否定したい私が居る。彼女たちなら私を受け入れてくれるかもしれないという甘い幻想を抱いている。 ネウ子(でも、あんまり他の子といちゃいちゃしたらダメだヨ? 今日みたいにボクが殺しそうになっちゃうからさ) そう言ってネウ子は窓から消えていく。 私「ルッキーニ……」 彼女に出会わなければ、私はもっと楽に彼女たちを殺せただろうに。 ルッキーニ、いや、誰でもいい教えてくれ。何故私は守りたいと思ってしまったのか。 ネウ子が消えていった窓からは、あの日彼女と出会った日と同じ潮の匂いが流れてきていた。
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ノンタンになったネウ -- 名無しさん (2005-09-23 22 18 19) ラブラブなのネウ☆ -- 名無しさん (2005-09-24 02 13 15) やべぇ・・・。トロと間違えた・・・。ビビデダバビデダなのネウ -- ↑の名無しさん (2005-09-24 02 32 25) Ave糞から来ます田。訴えるよ -- 名無しさん (2005-09-26 18 28 44) のまネコだったのか -- 名無しさん (2005-09-27 12 07 39) 名前 コメント
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501宿舎 俺自室 朝 俺「クカー…カァー…」 エイラ「スゥ…スゥ…」 ネウ子「…ムニャ…」 いつの間にかダブルベッドになっている俺のベッドで、俺・エイラ・エフィの三人が一緒に寝ていた 俺とエイラがエフィを挟むようにして寝る。いわゆる川の字だ エイラは俺からもらった枕を使い、エフィはエイラの胸に顔をうずめている 俺は手をエイラの腰に回し、エフィごと抱き寄せている 時間がゆっくり流れる、平和な時間 <トントン ガチャ リーネ「俺さん?エフィちゃん?おきてまs……あ…」 リーネが起こしに来たが、三人は起きる気配がない 三人が身を寄せ合って寝ているのを目にしたリーネは、静かにベッド際に近寄った リーネ「…幸せそうな寝顔」 まるで親子みたい、と素直に思った リーネ「もうすこし、寝かせてあげよう」 三人はどんな夢を見ているのだろうか 第五話 "We want to say I LOVE YOU" エイラが良く俺の部屋で寝るようになった といっても、一緒に夜間哨戒したあとか、休みの日ぐらいだけど それ以外は大抵自分の部屋で寝ている サーニャが哨戒から帰ってきたときに、ベッドの上で出迎えたいんだそう 俺と恋人関係になっても、エイラのサーニャへの溺愛は相変わらずだ あの溺愛っぷりは……そうだな、親バカという言葉がぴったりだと思う。過保護ではない サーニャに嫉妬等はしていない。ちょっとうらやましいな、と思うことはあるが 見てて面白いというか、理想の信頼関係の一つだと思うし、 エイラを独占しようという気はない。嫉妬とか浮気とかそういうんじゃない そもそも、エイラとサーニャの関係は、そう易々と壊れるものじゃないだろう 今回は、その二人が喧嘩しちゃうお話です 空 戦闘空域 俺「あーめが降っても?」テュンテュン!! エイラ「キニシナイー」ダダダダ <キィィン!パリン!キィィン!パリン! 俺「やーりが降っても?」テュンテュン!! エイラ「キニシナイー」ダダダダ <パリン!キィィン!?パリン!キィィン?? 俺「なーにがあっても?」テュンテュン!! エイラ「キニシナイー」ダダダダ <パパパパリーン 俺とエイラが背中合わせで飛び、お互いの予知で敵の攻撃を回避、息の合ったロールの間に射撃 射線に敵が飛び込んでいく様とはこの事か。放たれた光弾と弾丸は正確に敵を撃ち抜いていた ここまで、二人ともシールドは使っていない この攻撃形態は、多数の小型相手の乱戦にはとても有効だった 未来予知系の固有魔法の持ち主で、互いがとても硬い信頼関係に無いとできない芸当だが 宮藤「エイラさん、俺さん。シールド使わないと危ないですよ」 『シールドだけが取り得』といわれている宮藤が近寄ってきて言う エイラ「アー?どこ見てんだお前ー」ブォォン!! 宮藤「あ!」 俺「よっと」ブォォン!! 急上昇したエイラの背中にぴったり付き、周りの子機へ光弾を打ち込んでいく。正確には、子機の未来位置へ エ・俺「ほ~らよっと!」ダダテュン!! <キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!パリーン! 殲滅! 宮藤「す、すご~い…!」 …まずはその常時展開してるシールドをしまおうか? バルクホルン「あらかた撃墜したようだが…妙だな手応えがない」 坂本「敵の本体を探しているんだが…」 少佐が魔眼で周囲を索敵。隊のメンバーが集まっている そこにエイラと俺と宮藤が合流 宮藤「いつあんな技覚えたんですか?」 エイラ「スオムスにいた頃ダ」 俺「ある作戦のときに、ぶっつけ本番でな」 宮藤「ぶっつけ!?」 エイラ「俺から、『背中合わせで飛ぼう』って言われただけで、練習とかは一切なし」 俺「今思えば、良くうまくいったもんだよ」ハハッ ペリーヌ「少佐、まだ、健在だと?」 ルッキーニ「いつの間にかやっつけちゃったんじゃない?」 リーネ「コアを倒せば子機も消えるはずだよ」 坂本「…っ!」 少佐が振り返る。その先には バルクホルン「なんだあれは…!」 ペリーヌ「雲を突き抜けてますわ」 とんでもなくデカイタワー型ネウロイがいた 宇宙エレベーターを連想したのは多分絶対俺だけだろう 俺「どこまであるんだ、あれ?」 エイラ「さぁ?」 坂本「お前たちはここに居ろ」ブォォン ペリーヌ「少佐!」 少佐がタワー型にそって上昇していく 俺「っ」ブォン 赤目を使って、タワー型をスキャンする 一番上を見上げようとしたとき、 <キィィンッッ 俺「ぐぁっ…」ズキ エイラ「俺!?」 俺「大丈夫だ…大丈夫」 久々の頭痛。それも、電気が流れるようなものではなく、物理的に殴られるような痛みだった 俺(それと……何かが流れ込んできたような…) もう一度タワーを見上げる ……頭痛は来ない。何かが流れて込んでくるような感じもしなかった 俺(何かの勘違いか……?) 坂本「一時撤退だ。帰って作戦を練り直す」 戻ってきた少佐が言う ペリーヌ「ですが、まだ敵が…」 坂本「今日は遠出をしすぎた。そろそろ戻らないと、基地に辿り着けなくなるぞ」 帰り道 基地周辺の空 夕方 エイラ「…ニヒッ」 手に持っている何かを見ながら、エイラが笑う。かわいい 宮藤「なんですか、それ?」ブゥゥン それに気づいた宮藤が近寄る エイラ「ナ、ナンダヨ」ブゥゥン 距離をとるエイラ 宮藤「何かの葉っぱですか?何でそんなの持ってるんですか?」ブゥゥン 質問と一緒にさらに近づく エイラ「うるさいナァ!関係ないダロ!」ブォォン 回避 宮藤「見せてくれたって、いいじゃないですかぁ!」ブォォン 決着:エイラの逃げ勝ち 俺「お前ら元気だナァ…」ブォォン エイラ「大丈夫カ?」 俺「基地までは持つよ…疲れた」 宮藤「エイラさんも俺さんも、なんでそんなにすばしっこいんですか?」 エイラ「フフーン、すばしっこいだけじゃこうは行かないサ」 俺「エイラは未来予知の魔法が使えるんだ。俺も似たようなのが使えるが、エイラには負ける」 俺のは敵機の攻撃予測と未来位置予測限定だからな エイラ「ヘヘーン、自慢じゃないが私は実戦でシールドを使ったことが一度もないンダ!」 俺「俺は……対アカギ戦の時に使ったか」 無被弾ってやっぱりすごいんだな 宮藤「へぇ~…」 エイラ「私に言わせりゃ、あんなの頼ってるのは二流ダナ」フフン 宮藤「そ、そんな~!私はシールドだけが取り柄だって言われてるのに~!」 自覚してたんか……メイン盾? サーニャ『そんな言い方したらダメよ、エイラ』 エイラ「ん?」 インカムから歌姫の声がー サーニャ「おかえりなさい、みんな」ブォォン エイラ「サーニャ!」 宮藤「サーニャちゃん!」 一度すれ違い、反転。サーニャが編隊に合流する エイラ「~♪」パタパタ 尻尾ブンブン……かわいい 宮藤「そっか、これから夜間哨戒なんだ」 サーニャ「うん」 俺「今日と明日の連続だっけか?すまないな、俺も出らればよかったんだが」 サーニャ「良いんです。慣れてますから」 坂本「待て、サーニャ。今夜はいい。一緒に基地に戻れ」 サーニャ「? はい…」 坂本「…俺、ちょっと」 俺「あ、はい」 少佐が手招きする 坂本「お前と、エフィの力を借りたい。後で部屋に来てくれ」 俺「…了解」 タワー型の件だろうか 談話室 ピアノが置かれ、談話室らしさが出てきたというかなんというかな部屋 今はブリーフィングルームの役目を果たしていた 部屋の明かりが消され、スクリーンにプロジェクターの画像が映し出される 坂本「空軍の偵察機が撮ってきた写真だ」 バルクホルン「ノイズしか写っていないようだが…?」 坂本「これが今回現れたネウロイの本体だ。全体を写そうと思ったらこうなった。全長は30000mを超えると推測される」 バルクホルン「30000!?高さ、30kmってことか!?」 宮藤「え~と、それって富士山の…」 ネウ子「約7.944915254237288倍……タワーの、正確な、高さは、33333mだから……約8.827595338983051倍……もっと、正確には、」 宮藤「それぐらいで大丈夫だよ、ありがとう…」 少佐が一つ咳払いをしてから話を続けた 坂本「ゴホン…こいつが、毎時10kmという低速でローマ方面に向かっている。それよりやっかいなのは、こいつのコアの位置だ」 ここ、と指示棒で写真の一箇所――タワー型ネウロイの先端を指した バルクホルン「てっぺん?」 坂本「ああ、私がこの目で確認した」 俺(…) タワーの先端……コアを見上げたとき、俺の頭に何かが流れ込んできた あのあと、T-RIPチップのログやプログラムをあさってみたが、それらしいものは見つからなかった 俺(……何かの勘違いか…持病の頭痛がぶり返したか…) ペリーヌ「ですが、私たちのストライカーユニットの限界は、せいぜい10000m…」 バルクホルン「ジェットなら話は別だが……ん?」 ジェット、に何か引っかかるところがあったのか、大尉がエフィに振り返る エフィは中佐が操作しているプロジェクターに興味津々のご様子 バルクホルン「エフィ、お前なら30000mまで上がれるんじゃないか?」 ネウ子「キュ!?」 シャーリー「そうか!エフィのネウロイユニットなら楽々…」 俺「そいつは無理だ」 シャーリー「な、なんでだよ!」 俺「忘れたか?エフィはあくまで保護対象だ。前線に出すわけには行かない。それに」 エフィのほうを見て、アイコンタクトを送る ネウ子「急進派に、私の…穏健派の生き残りの、存在が、知られては、ダメ」 バルクホルン「なに?」 俺「急進派…ヴェチツィアの巣のネウロイの目的は、穏健派の掃討とロマーニャ占領。トラヤヌス作戦で穏健派は掃討されたはずだった」 ネウ子「でも、私だけ、生き残った…」 俺「生き残りがここに居ると分かったら、エフィを始末しに攻撃を仕掛けてくる。この基地をピンポイントで」 シャーリー「マジかよ…」 バルクホルン「なぜ黙っていたんだ、エフィ?」 すこし怒気の混じった声で大尉が問い詰める 俺だってついさっき、少佐と作戦を立てているときに聞かされた エフィが俺にまで隠した理由…そいつは単純だった ネウ子「………――で…――と………て……」 バルクホルン「?」 ネウ子「……自分で、何とかしようと、思って……皆に、迷惑、掛けたくなくて……でも、出て行く、勇気も、なくて…」 一同「!」 ローマから帰ってきたあと、少し落ち着きがなかったのはこのせいだったのかもしれない 自分のせいで、ウィッチーズの皆に被害が出るのでは……逃げたとしても、何かしらの形で隊や街に被害が出る 不安に押しつぶれそうになり、一人でなんとしようと抱え込んで、悩んで…… 俺(なんで、手を差し伸べてやれなかったのだろう…俺はエフィの保護者で、理解者で……兄、家族も同然なんじゃないのか!?) 重い沈黙を破ったのはエフィだった ネウ子「ごめんなさい……」 バルクホルン「…謝らなくていい……」 ネウ子「でも………――っ」 バルクホルンがエフィの頭に手を乗せ、ゆっくり、やさしく、撫で始めた バルクホルン「私たちは、ウィッチだ。何があってもお前を守る。追い出したりなんかしない」 ネウ子「キュゥ……でも、私が、居たら…みんなに、迷惑が……」 エイラ「…迷惑なんかじゃない」ガタッ ピアノの椅子にサーニャと二人で座っていたエイラが、突然立ち上がり言った エイラ「信用してなかったり、迷惑だと思ってたら、最初から基地に入れないはずダ」 そうダロ?と言いたげな視線を俺に向ける。とりあえず微笑み返しておいた ネウ子「でも………でもっ………」 今にも泣きそうな声でエフィが言う。体の構造上、実際に涙は流せないが、泣きたい気分には違いない 俺「エフィ……」ギュッ ネウ子「…!」 エフィをそっと抱きしめる 俺「一人で抱え込まないでくれ…軽々しく出て行くなんて言わないでくれ……俺は、お前の…保護者で………」 くっそ!うまく言葉が繋がらない!こんなときに!戦闘技術以外の教育を受けていない自分の語彙力が恨めしい! なんて言えばいい?俺とエフィ……いや、俺たちとエフィの関係を表す的確な表現…… エイラ「家族、ダロ?」 俺「!?」 俺の心を見たのか?というくらい的確な言葉だった ネウ子「家族………」 ネウロイに家族という言葉、関係の重みが理解できるかは分からないが、 バルクホルン「そうだ。家族だ」 そうとしかいいようがなかった 俺「そう…家族は助け合うもんだ。何がどうなろうと、俺はお前を見捨てない」 ネウ子「キュ…」 俺「一人で悩んだり、抱え込んだりしないで…俺たちに甘えてもいいんだぞ」 ネウ子「……キュゥ…」ギュ エフィが俺に抱きついてくる。俺はそれをしっかり受け止めた なぜだが分からないけど、今のエフィは、泣いている様な気がした… エイラ(ぐぬぬ…) 悪いこととは分かっていても、エイラはエフィへの嫉妬心を抑えられなかった エイラ(俺とエフィは兄妹みたいなもの…恋愛感情はない……嫉妬する必要もない……) はずなのだが、エフィを抱いている俺の顔は、今まで見たことないくらい優しくて… 私に向けたことのない顔をエフィにするのが、なんだか悔しくて… あの二人は、兄妹や恋人を越えた関係で結ばれているようで……その関係がちょっとうらやましくて エイラ(あれ?そういえば私…俺に愛してるって言われたことない…) 自身から俺に言ったこともないが、恋人同士になって早八ヶ月ほど。電話越しでも愛してると言い合ったことがない エイラ(……大丈夫カ?私たち……?) メインヒロイン()の心配をよそに、俺とエフィ、少佐を中心にブリーフィングが再開された 坂本「それでだ、タワー型を撃破する具体的な方法なのだが…こいつを使う。ロケットブースターだ」 プロジェクターからまた新しい画像――ブースターの設計図が表示される 宮藤「これがあれば、コアのあるところまで飛べるんですか」 バルクホルン「いや、そんな単純な話ではないはずだ」 ミーナ「ええ、ブースターは強力だけど、一度に大量の魔法力を消費するから、短時間しか飛べないわ」 シャーリー「だったら、あたしたち皆で誰かを30000mまで運べばいい」 俺「当たりだ……俺は使えんがな」 エイラ「な、ナンデ?」 俺「俺の魔力はごく微量。すぐに魔力を使い切っちまう」 ストライカーは省魔力と生体電気の助けを借りて動かしていたが、ブースターはそうは行かない エイラ「つまり、作戦には不参加ってことカ?」 俺「いや、別の形で関わらせてもらう」 プロジェクターがまた別の画像を映し出す バルクホルン「これは?」 坂本「対タワー型ネウロイ用に俺が急遽開発した武装だ」 俺「開発というよりは改造ですね。ハマーの弾頭にプラズマガス詰め込んだだけの簡単なものですし」 詳しい解説をしていこう フリーガーハマーの弾頭にプラズマガスを詰め込んだだけ。確かにそうなんだが、それ以外の機能もある 一つは誘導機能 魔力が動力の誘導装置を無理やり載せた ノイエカールスラントで開発中だった物で、名前は「ルールシュタールX-4」。Me262と一緒に開発されていたらしい もう一つは近接信管 タワー型のコアは小さくて狙いづらく、確実に当てられる保証はないためつけた ガスのおかげで単純な威力は大幅に上がり、誘導機能と近接信管で直撃させられる可能性は上がった しかし、さまざまな機能にスペースを取られ、推進用燃料の搭載量は少なくなってしまった つまり、使用者はかなり敵に近づいて撃たなければいけない エイラ「それで…フリーガーハマーってことは、今回の攻撃担当は」 坂本「お前の思ってる通りだ…サーニャ、お前が適任だ」 サーニャ「!」 俺「危険なのは承知の上だ…頼めるか」 サーニャ「…はい」 エイラ「ハイハイハイ!だったら私も行く!」 光の速さでスタンダップしたエイラが身を乗り出して言う 坂本「うむ…時にエイラ、お前、シールドを張ったことはあるか?」 エイラ「シールド?自慢じゃないが私は実戦でシールドを使ったことが一度もないんだ」ドヤァ 坂本「なら無理だ」 エイラ「ウン、ムリ(・x・)ダナ…………あれ?」 ミーナ「そうねぇ、こればっかりは…」 エイラ「ナ、ナンデ…」 俺「さっきも言ったろ?ブースターは一気に魔力を消費する。飛行と攻撃に魔力を取られて、防御に回す分がないんだ」 坂本「おまけに成層圏という極限環境における生命維持も必要…そこで、サーニャを守る盾となるものが必要なんだ」 エイラ「わ。私は別にシールドを張れないわけじゃないゾ!」 俺「でも実戦では?」 エイラ「使ったことがない!」ドヤァ 俺・坂・ミ「…はぁ」 沈黙 エイラ「…ナ、ナンダヨ!ナンカ言えヨ!///」 俺(………焦るエイラかわええ)ホッコリ ナチュラルにイチャつく二人を尻目に、坂本は視線を宮藤に移した 坂本「宮藤、お前がやれ」 宮藤「は、はい!………へ?」 坂本「もっとも強力なシールドが張れる、お前なら適任だ」 宮藤「は…はい………ん?」 視線を感じ、振り返った正面には エイラ「ぐぬぬぬぬぬ……」 宮藤「え?え~!?」 餌を横取りされた野良犬状態のエイラが居た ネウ子「エイラ姉さん、落ち着いて…」オロオロ 俺「そうだ、とりあえず落ち着け………って、姉さん?」 エイラ「姉さんって…ナンダヨ急に…」 ネウ子「ダメ………?」 エイラ「ウッ///…………ダメ…じゃ、ないけど……ナンカむず痒いィィィ!!///」 真っ赤になって悶えるユーティライネン家の次女 俺「…」ホー この人にとっては目の保養みたいです ちなみに、サーニャのことは、サーニャお姉さんと呼ぶみたい サーニャ本人はそう呼ばれて、ちょっと戸惑ってたけど、嫌ではなかった様子 …あ、バルクホルンのことは相変わらずお姉ちゃんって呼んでる 数時間後 俺自室 俺「ふぃ~」ワシャワシャ サウナ上がり、濡れた髪をタオルで拭きながら自分の部屋に入る ここのサウナはちょっと狭い。それと、やっぱりというか、トントが居た 俺(俺の事知ってたみたいだし、エイラが連れ込んだのかな) 今度サルミアッキを持って行こう 俺「さて、そろそろ寝るか…ってエフィはもう寝ちゃってらぁ」 ネウ子「…ムニャ…」 俺のほうのベッドで寝てるのは、もはやいつものことなので気にしない 俺「よいしょっと」ドサ タオルを首にかけ、ベッドに腰掛ける 俺「良く寝てる」 エフィの頭を軽く撫で、起こさない程度にほっぺをムニムニする 俺(抱きしめたときも思ったけど、やわらけぇ、人のものとしか思えん) 形状記憶合金とか液体金属の類なの?どうやって人の皮膚の柔らかさを再現してるの? 俺「」ムニムニツンツン ネウ子「ん…ムニュ……ふぁ……や…///」 ちょっと色っぽい声を出しながら身もだえする 俺「……」 その時 <ガチャ エイラ「俺ー、いるかー」 俺「うぉぅ…あ、なんだエイラか」 エイラ「ナンダとはナンダヨー」 エイラが入ってきた。なんつータイミングだ…エフィに発情しかけちまったぜ 俺「エフィがもう寝ちゃってるから、静かに頼む」 エイラ「オッケー。それで、話があるんだけど、いいカ?」 俺「話?いいけど…まぁ、座れや」 ベッドの上をぽんぽんと叩く エイラ「アリガト。で、話なんだけどさ」 俺「うん」 エイラ「シールド張る練習、手伝ってくれないカ?」 俺「…お前、あきらめてなかったのか?」 エイラ「だって…考えてもみろよ!ミヤフジがサーニャを取っちゃうかもしれないダロー!」 俺「取る取られるって…お前らそういう関係じゃないだろ」 エイラ「じゃあ俺は、エフィがバルクホルン大尉と一緒にローマに出かけてもいいのカ?」 俺「………エフィが危ない」 エイラ「ダロ?どうしたらその結論に至るのかは置いといて」 俺「まぁ、練習の手伝いをするのに異論はないけど、具体的にどんな練習をするんだ?」 エイラ「ソウダナ……私を撃ってクレ」 俺「…………はい?」 翌日 俺「……危なくないか?」 エイラ「このほうが本気で練習できる」 俺「確かにそうだけど…」 基地上空。中佐に飛行許可をもらい、シールドの特訓中だ 俺が防御対象で、攻撃役の攻撃をエイラが防ぐ。というもの で、その攻撃役が、 ネウ子「いくよー」ブンブン 数十メートル向こうで元気良く手を振っている彼女である 足をネウロイユニット化させて空を飛び、手先もネウロイ化し、いつでもビームが撃てる体勢だ シールドの特訓をするんだ、と言ったらすぐに、手伝わせて欲しいと言ってきた 俺(……訓練とはいえ、身内に撃たれるのはいい気分じゃないな) エイラ「ドンとこーい!」 ネウ子「キュィィン!!」ビームッ! 前に突き出したエフィの手からビームが放たれる 赤い光線はまっすぐこっちに向かってくる 当たる直前にエイラがシールドを張り…… エイラ「ヒョイ」ブォォン 俺「よっと」ブゥゥン <ビィィム!! エイラ「ホッ」ブゥゥン 俺「そらっ」ブォォン <ビィィム!! エイラ「ヨッ」ブォォン 俺「ていっ」ブゥゥン 全弾回避 俺「さすがだな、エイラ!」 エイラ「いつも通りダナ、俺!」 思わずハイタッチしようとした瞬間 ネウ子「避けちゃ、特訓に、ならないでしょ!!」クワァッ 俺・エ「……サーセン」シュン エフィに本気で叱られました 基地 テラス エーリカ「うわぁ~、あんなの私にもできないよ…」 バルクホルン「その才能が仇になるとわな」 エーリカ「あ、またやるみたいだよ」 <ネウ子「今度は、真面目に!」 そういってから、もう一度ビームを放つ <ビィィム!! <エイラ「……………ヨッ!」ブォォン <俺「……………フンッ!」ブゥゥン 息ピッタリの回避 <ネウ子「……」 <俺・エ「……」 <ネウ子「……」ビィィム!ビィィム!!ビィィム!!!ビィィム!!!! <俺「無言で乱射してきたぞ!」ブォォン! <エイラ「さっきより威力上がってないカ!?」ブゥゥン! それでも避ける二人。さすがは未来予知能力持ち そんな三人を見て、地上の見学者がふと漏らす エーリカ「ねぇ、トゥルーデ」 <俺「エフィ!落ち着けって!」 バルクホルン「なんだ?」 <エイラ「ソウダゾ!おちつけよ!」 エーリカ「あの三人って、なんか家族って感じだよね」 <ネウ子「キィィィン!!」 バルクホルン「……不真面目な両親に説教をする娘…?」 <俺「本気で怒ってるぞ!」 エーリカ「そうそう。その言葉だけならまだ微笑ましいかもしれないけど」 <エイラ「ウェ!?今のはやばかったぞ!?」 <ビィィム!! <俺「乱射の次は極太かよ!?」 バルクホルン「……あれはもはや、説教とか喧嘩以上の何かだな」 エーリカ「ねー」 その後、エフィは気が済むまでビームを撃ち続け、 エイラと俺はそれを全部回避し、 着陸後に三人仲良く中佐にこってり絞られたそうな エイラ・サーニャの部屋 エイラ「はぁ…」 結局一度もシールドを張れずに終わってしまった エイラ(このままじゃ、本当にサーニャをミヤフジに取られる…) 自分の部屋に入ると、椅子にコートがかけられているのが目に入った エイラ「これって…」 サーニャ「エイラの、コートでしょ?」 思わず手に取ったら、クローゼットをあさっているサーニャが話しかけてきた サーニャ「成層圏は、寒いから」 エイラ「そっか、そういやこいつも久しぶりダナ」 ヨロイネン観測所に居た頃、よく着ていたものだ サーニャ「それで、どうだった?」 エイラ「?」 サーニャ「俺さんとエフィちゃんの特訓」 エイラ「ナ、ナンダ、知ってたのカ」 まぁ、あれだけ騒げば当然なのだが サーニャ「うまくできた?」 その、わずかに期待の混じった、何の疑いもない、純粋な目を、私は直視できなかった エイラ「あはは…ムリ、ダメだった…」 サーニャ「そう…」 少しがっかりした顔をする その彼女の手には、いくつかのマフラーが握られていた。首にも一本かけている エイラ「あれ、マフラー、そんなにもって行くのカ?」 サーニャ「これ?エイラと私と、芳佳ちゃんの分よ」 エイラ「ミヤフジの!?」 できれば聞きたくない名前が出てきた サーニャ「芳佳ちゃん、扶桑から何も用意しないで来ちゃったから、貸してあげようと思って」 エイラ「そうか…」 このとき、サーニャの首にかけられているマフラーが、 去年のクリスマス。俺に告白したあの夜にプレゼントした、赤いマフラーだと気づいていたら、 少しは、嫉妬と苛立ちを抑えられたのかもしれない サーニャ「エイラも、張れるようになるといいね…シールド」 エイラ「ムリだよ…」 サーニャ「え…?」 エイラ「やっぱり、慣れないことはするモンじゃないナ」 サーニャ「エイラ、諦めるの?」 エイラ「…できないことを、いくらがんばったって、仕方ないじゃないか…」 サーニャ「できないからって、諦めちゃだめ!…諦めちゃうから、できないのよ…」 悪気なんてこれっぽっちもない、素直な労いの言葉。私を元気付けようとかけた言葉なのは分かる でも、今の私には、その言葉の本当の意味は分からなくて、ただ心に堪えただけで… 耐え切れなくなり、私はサーニャに背を向ける 積もり積もったイライラと、心の奥の黒いものが合わさり、思わず感情的な言葉を吐いてしまった エイラ「だったら最初からできるミヤフジに守ってもらえばいいダロ!!」 言った後、なんて馬鹿なことを言ってるんだ、と思った サーニャ「!……エイラのバカ!」 振り向き様に一言、 エイラ「サーニャの分からず屋!………――っ!」 その言葉に返ってきたのは、 エイラ「!」バフッ……ドサッ 俺に無理を言って買ってきてもらって、サーニャにプレゼントした枕だった 避けようと思えば避けられたのかもしれない でも、私は避けなかった…避けられなかった サーニャ「……………!」 愛しの彼女が、辛そうで、悲しそうで、怒りの混じった、今にも泣きそうな顔をしていたから サーニャ「!………――っ」ダッ エイラ「あ……」 逃げるように部屋から出て行ったサーニャの目に涙が浮かんでいたのを、私は見逃さなかった ――………追えよ… ――追うんだ……追って、謝って、抱きしめるなり何なりしろ! ――ほら、追えよ!追えってんだ!! もう一人の私が心の中で叫ぶが…… エイラ「サー……ニャ……」 私の足は、凍りついたように動かず、 エイラ「……」ジワ ただ、立っていることしかできなかった 基地 書庫 ネウ子「……」ペラ 窓際の椅子に座り、分厚い本をめくるエフィ 傍らには、平積みされた本が置いてあった すべて、心理学や人類の歴史、文化に関係する書物だ 一冊だけ恋愛小説が交じっていたのは触れないで置こう ネウ子「ふぅ…」パタン 読み終わった本は、机の上に無造作に置く… 様に見えて、エフィなりの評価順に置かれていた 今の本は…あんまり面白くなかったみたい ネウ子「?」 ふと、窓の外を見ると、サーニャが基地外周をとぼとぼと歩いていた いつもと様子が違う。直感でそう感じたエフィは、 ネウ子「よっと」ヒョイ 何のためらいもなく窓から飛び降りた 基地外周 <ヒューン…シュタッ! サーニャ「ひっ!?」ビクゥ 歩いていたら空から女の子が降ってきた。な、何を言っt(ry ネウ子「落ち着いて、私」 サーニャ「え、エフィちゃん…どこから落ちてきたの?」 ネウ子「上」 指差した先には、開けっ放しの窓があった。あそこ三階だよね? サーニャ「大丈夫なの?」 ネウ子「ネウロイだから」ニコッ そんな素敵スマイルで言われても… ネウ子「サーニャお姉さん…何か、あったの?」 サーニャ「え?」 ネウ子「なんか、元気、ない」 …ネウロイにも分かるほど、落ち込んでたのか サーニャ「……エイラがね」 ネウ子「エイラ姉さんが、どうか、したの?」 話し始めるのと一緒に、再び基地外周を歩き始めた エフィもサーニャのあとに続く サーニャ「…エイラと、喧嘩しちゃったんだ」テクテク ネウ子「喧嘩…」 サーニャ「そう、喧嘩…」 ポツポツと、今日の出来事を話し始めた エイラがシールドを張るのを諦めたこと 励ましたつもりが、逆に怒らせてしまったこと プレゼントしてくれた枕を、エイラに投げつけてしまったこと すべて話し終わったとき、二人は庭園のベンチに座っていた サーニャ「それで…走って逃げてきちゃって…」 ネウ子「…サーニャお姉さんは、エイラ姉さんと、飛びたいの?」 サーニャ「私は…」 ネウ子「もしかしたら、エイラ姉さんに、どうして、欲しいのか、言って、ないんじゃない?」 サーニャ「あ…」 確かにそうだ。ただ励ますだけで、エイラに自分がどうして欲しいのか、一言もちゃんと告げていなかった ネウ子「あなたは、やさし、すぎるから」 サーニャ「エイラだって、やさしいもん……///」 照れ隠しに変な事を言ってしまった ネウ子「………サーニャお姉さんは、エイラ姉さん、のことが、好きなの?」 サーニャ「え?」 どうなんだろう……その『好き』っていうのは多分、恋愛感情のことだろうけど… サーニャ「エイラは、大切な人よ」 ネウ子「つまり…好きなの?」 サーニャ「ううん、好きとか嫌いとか、そういう単純な関係じゃないの」 ネウ子「?」 友情でも愛情でもない。それらを超越した関係 エフィちゃんは分かってないみたいだけど、 サーニャ(あなたと俺さんも、似たような関係なのよ) サーニャ「エフィちゃんは、俺さんのことが好きなの?」 ネウ子「キュ?」 想定外の質問を振られ、エフィが首をかしげる サーニャ「いつも一緒に居るし、お互い信頼しあってるじゃない」 ネウ子「……………わからない」 かなりの間があっての返答 ネウ子「人を、好きになる。というのは、わかる。本で、読んだ。でも、私が、彼を、好きなのかは、分からない」 空を見上げるように顔を上げ、つぶやく様に言う サーニャ「でも、嫌いじゃ、ないでしょ?」 ネウ子「………言いたいことが、わかった…確かに、単純な、関係じゃ、ない」 そう言ったあと、サーニャのほうを向き、わずかに微笑む 俺との関係を指摘されたことへの照れ隠しなのか、良い話の持って行き方だ、という意味なのか サーニャ「……フフッ」 ネウ子「……ハハッ」 どちらともなく笑い出し、 気づいたときには、私の胸のわだかまりは、かなり楽になっていた