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Log.156 3230313130393231 31323134 昼食のポタージュを食べていたら、クロフテイフから針工員が二人やってきた。 ゴゴウサントの地下で第三機層と思われる洞穴が見つかったらしい。 彼らは私に協力を要請してきたが、私には平穏な日々を送るという義務があった。当然すぐに断らせてもらった。 しかし彼らは食い下がる。針工員によると既に顕像の出現が確認されているらしかった。なおさら行くものか。 再度断ると(今度は苛立った風を装った)、針工員達は帰って行った。今更クロフテイフに関わるなんて冗談じゃない。 ポタージュはおかわりした。 Log.157 3230313130393232 31323536 今日も針工員が二人やってきた。昨日とは違う面子だった。 向こうが口を開く前にイヤですよと言ったら、話だけでもと言って勝手に話し始めた。 機層を深く降りてみると、さらに早化した空間が見つかったこと。そこが埋土前期の機層だと思われること。野生化した針により顕像とは比べ物にならない被害を出したこと。エトセトラエトセトラ…… 何故この人たちは私が行く気を更に失くすであろうことをこうもペラペラと話すのか不思議だったが、私も昔こんな風だったのかと思うと頭痛がした。 駆人を投入すればいいじゃないと言うと、既に六機も投入しているとのこと。当然通常使用される針も。 それを聞いて更に頭痛がひどくなる。なぜそんなところに私を連れて行こうとするのか。 何やらもうどう断ってもダメな空気が部屋に漂っていたので、しぶしぶ承諾した。 私の装備はすでに用意してあるらしく、すぐに出発するとのことだった。 ポタージュぐらい食べさせてほしい。 Log.158 3230313130393232 31343232 機層へ向かうメンバーは、私を入れて六人だった。針工員二人、駆人四人。あとは針が六基。 何故駆人の数が前回より少ないのか全く意味が分からないが、今私の隣を歩いているメ頭駆人のニクラガヌツに出会えたことを鑑みるとまあ、スルーしてやってもいいだろう。 私より歳が一回りも若い女性で、物静かそうな外見とは裏腹に質問攻めにされた。 なぜ私しかヒ頭駆人殻を使いこなせなかったのかといった誰もが訊く質問に始まり、どうしてクロフテイフを辞めたのか、今は何をしているのかという日常的な質問になったかと思えば、顕像二基に対して単機で戦うにはどうするのが効果的かといった専門的な質問に飛ぶ。 忙しなく楽しそうに喋る彼女のおかげで、何を考えているのか分からない針工員や仏頂面の駆人達の存在を忘れることができた。 今Logを書いているところを不意に覗かれたが、ノートを見た彼女は顔を赤らめて喋るのをやめてしまった。ううむ、可愛いな。
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Log.156 3230313130393231 31323134 昼食のポタージュを食べていたら、クロフテイフから針工員が二人やってきた。ゴゴウサントの地下で第三機層と思われる洞穴が見つかったらしい。 彼らは私に協力を要請してきたが、私には平穏な日々を送るという義務があった。当然すぐに断らせてもらった。 しかし彼らは食い下がる。針工員によると既に顕像の出現が確認されているらしかった。なおさら行くものか。 再度断ると(今度は苛立った風を装った)、針工員達は帰って行った。今更クロフテイフに関わるなんて冗談じゃない。 ポタージュはおかわりした。 Log.157 3230313130393232 31323536 今日も針工員が二人やってきた。昨日とは違う面子だった。 向こうが口を開く前にイヤですよと言ったら、話だけでもと言って勝手に話し始めた。 機層を深く降りてみると、さらに早化した空間が見つかったこと。そこが埋土前期の機層だと思われること。野生化した針により顕像とは比べ物にならない被害を出したこと。エトセトラエトセトラ…… 何故この人たちは私が行く気を更に失くすであろうことをこうもペラペラと話すのか不思議だったが、私も昔こんな風だったのかと思うと頭痛がした。 駆人を投入すればいいじゃないと言うと、既に六機も投入しているとのこと。当然通常使用される針も。 それを聞いて更に頭痛がひどくなる。なぜそんなところに私を連れて行こうとするのか。 何やらもうどう断ってもダメな空気が部屋に漂っていたので、しぶしぶ承諾した。 私の装備はすでに用意してあるらしく、すぐに出発するとのことだった。 ポタージュぐらい食べさせてほしい。 Log.158 3230313130393232 31343232 機層へ向かうメンバーは、私を入れて六人だった。針工員二人、駆人四人。あとは針が六基。 何故駆人の数が前回より少ないのか全く意味が分からないが、今私の隣を歩いているメ頭駆人のニクラガヌツに出会えたことを鑑みるとまあ、スルーしてやってもいいだろう。 私より歳が一回りも若い女性で、物静かそうな外見とは裏腹に質問攻めにされた。 なぜ私しかヒ頭駆人殻を使いこなせなかったのかといった誰もが訊く質問に始まり、どうしてクロフテイフを辞めたのか、今は何をしているのかという日常的な質問になったかと思えば、顕像二基に対して単機で戦うにはどうするのが効果的かといった専門的な質問に飛ぶ。 忙しなく楽しそうに喋る彼女のおかげで、何を考えているのか分からない針工員や仏頂面の駆人達の存在を忘れることができた。 今Logを書いているところを不意に覗かれたが、ノートを見た彼女は顔を赤らめて喋るのをやめてしまった。ううむ、可愛いな。 次へ 短編目次
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アーマードコアの二次創作はに。 赤ずきん 1 2 3 4 デジモータルへのオマージュ短編。 元ヒ頭駆人の日記 1 2 3 敬愛するポタージュ様が「うちの子書いてもいいのよ」と仰るので、 「うちの子」どころではなく「うち」自体を書かせてもらいました。
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「ひどいな、この街は」 「うん」 宿屋の一室で、二人の女が話をしていた。一人は栗毛を長く伸ばした妙齢の女性で、紫煙をくゆらせながら酷く不快な表情をしていた。 もう一人はまだ十代に達したばかりであろう少女で、数年前に祖母を殺された少女、リェードの成長した姿だった。髪は相変わらず綺麗な金色を保っていたが、肩の辺りで短く切り揃えられ、来ている服も地味な寒色のものだった。服については、栗毛の女も似たようなものだった。 二人は別々のベッドに向かい合って腰を下ろし、ベッドの上には旅荷物の入った大きなリュックが置かれていた。 「教会が獣人狩りをしているのは当然としてだ。気に入らない人間を罪をでっち上げて即座に殺すとは、教会もいよいよ堕ちてるな」 「かわいそうだったね、あの人」 「ああ」 会話中、栗毛の女は終始苦々しげに顔を歪めていたが、一方のリェードは終始無表情だった。かわいそう、と言いはしたが、その声にも感情が感じられない。 「いつやるの?」 リェードの問いに、女はちらと旅荷物を一瞥した。 「今夜だ」 街に夜が訪れ、民家に明かりが灯るが、どの民家からも談笑する家族の声は聞こえてこなかった。街中に明かりが灯っているというのに、街中から声が聞こえない。ひどく不気味だった。 「いつも通りにやる。お前は最上階を目指せ」 「うん」 人通りの全くない街路を、月明かりに照らされて女とリェードは歩いていた。 女は相変わらず煙草をくわえ、リェードは相変わらず無表情だったが、二人とも宿屋にいた時とは服装が大きく違っていた。 女は娼婦が着るような露出の高いドレス一枚を纏い、リェードはかつて祖母が殺されたときに着ていたものと酷似したワンピースを着用し、頭には肩まで覆うスカーフをフードとして被っていた。 彼女たちの身に着ける全てが血のように、穢れなく鮮明に赤かった。服だけでなく、女の履くミュールやリェードが履くブーツ、そして各々が手にする、武器までも。 「見えた。城門だ」 女は左手に刀身が収まった鞘をぶら下げていた。艶やかな赤一色に染め上げられた鞘は軽く弧を描く形をしており、それがカタナと呼ばれる類の刀剣だとは誰が見ても分かった。 「人いるね」 リェードが肩に担ぎ気味に右手に持つのは、自分の身の丈以上もあるハルバードだった。長い柄だけでなく、刃の部分も全て赤く塗られていた。しかし女の鞘とは対照的に、リェードの武器は月の光を受けても鈍く光るばかりだった。 「ん、気づいたかな」 二人の行く先には、この街の中心、何本もの塔が寄り添うようにしてできた教会の巨大な城と城壁があった。強固な石造りの城壁の高さは十メートルほどだったが、城の高さは計り知れないほどに高かった。 その城壁の前には、見張りであろう兵士が二人立っている。腰に剣を挿し左手に盾を装備した一般的な教会の兵士で、今まで何か雑談していたらしいが、通りを歩いてくる二人に気付いたのか話すのをやめて警戒しているようだった。 「じゃあ、先に行くね」 「おう、後でな」 「うん」 リェードは小さくうなずくと、ハルバードを握りしめたまま駆け出した。 「なっ!?おい、止まれ!」 「“牙”だ!構うな斬れ!」 兵士が剣を抜くと同時に、リェードは更に加速する。重量のあるハルバードを持った少女の速さとは思えぬ速度で彼我の距離を詰めると、兵士たちの眼前で高く跳躍した。 「な……!」 「高……」 兵士たちの頭上を軽々と飛び越し、その後ろにそびえる城壁の中程に“着地”した。 そのまま城壁を地面と垂直に蹴りあがると、更に五メートル程上昇し、リェードは城壁の上に軽々と着地した。 「なんて奴だ……!」 兵士たちが呆気にとられて城壁を見上げていると、背後から女の声がした。 「ようお兄さん方。あんなチビより、私の相手をしてくれないか?」 兵士たちが振り向くと、赤い女が左手に持った鞘から刀身を抜くところだった。ゆっくりと引き抜かれたカタナは、鏡のような刀身に頭上の月を妖しく映し出す。リェードのハルバードのように、刃までは赤くはなかった。 「私の方が、何倍もお前たちを楽しませてやれると思うがな」 女の眼は、獣の眼をしていた。 前へ 次へ 短編目次
https://w.atwiki.jp/fugudoku/pages/42.html
初めに目に入ったのは、青一色の景色でした。それが雲一つない青空で、私が地面に横たわっていると気付くのに随分と時間がかかりました。 体を起こしてみると、ギギッ、と鎧が嫌な音を立てました。自分の体を見てみると、左腕がありませんでした。左足も、ひざから下が欠くなっています。着ている鎧はところどころ錆びてきていました。 周りを見回すと、私と同じように傷つき、横たわっている人間が大勢いることに気づきました。人間だけではなく、馬の姿も見えます。それらはどれも鎧を身に着けていて、血まみれでピクリとも動きません。 私は傷ついていない右腕を持ち上げてみました。手に槍を持っていることに気づきました。再び自分の体を眺めます。どこもかしこも鉄板と鉄柱だらけで、およそ人間の体には見えません。私は鎧を着た兵士ではなく、ブリキの塊でした。戦場で人を殺すためだけに生まれた、ブリキ兵でした。 少し歩いてみようとしました。しかし左足がないため、立ち上がってもすぐに倒れてしまいます。どうしようと悩んだ挙句、他の兵士の鎧を使うことにしました。近くに倒れていた死体の具足を外し、欠けた左足にあてがいました。死体の服を使って、しばりつけました。これで私は、どうにか歩くことができました。 どこを歩いても、死体しかありませんでした。人間の死体、馬の死体、そして、ブリキ兵の死体。人間と馬の死体はすっかり腐ってしまって、ハエがたかっていました。どうやらこの戦場で生き残っているのは、私だけのようでした。 私は本来何も考えず純粋に戦い続けるだけの存在でしたが、今はもう敵も味方もいなくなったので戦うことができません。どうすればいいのか考えます。 そこでふと私は疑問に思いました。純粋に戦い続けるだけの私が、なぜそのようなことを考えているのかと。私は、私の中に自我が芽生えていることに気付きました。 結局戦場を歩き続けても、何もありませんでした。 ここがどこで、今が一体いつで、私がどこで作られて、なぜ私には自我が芽生えていて、私だけが生き残ったのか、それが分かるようなものも、全く発見できませんでした。 もう夕方になっていました。あれほど青かった空も今では朱く染まっています。西の地平線に、真っ赤な夕日が沈もうとしていました。 「綺麗……」 ふと声が漏れました。それは私の中から聞こえました。 「あ、あーあー。あー」 もう一度声を出してみます。たしかに自分の意志で、私は声を出すことができました。 「……綺麗」 自分の自我と声を確認するように言い直し、そして私は夕日に向かって歩き出しました。 目的を失ったブリキ兵がどうするべきなのかはわかりませんが、私は綺麗な夕日を見せてくれた西に向かって、生きる目的を探して進むことにしました。 ブリキ兵のお話目次 第一話 長編目次
https://w.atwiki.jp/fugudoku/pages/44.html
目的の村に着いた頃には、もうすっかり日が傾いていました。 そこは村の入り口から辺りを見渡すだけで全景が確認できるほど小さな村で、また点在する木造の建物や村人たちの格好から、お世辞にも豊かとは言い難い村でした。確かにこのような村には、デニスさんのような人が必要かもしれません。 今デニスさんは村長さんに会いに行っていました。村人たちに薬を配る許可を貰う為だそうです。 待っている間私は馬車の傍で見張りをしていましたが、私に興味を持った子供たちに囲まれてしまい馬車の周りは逆ににぎやかになってしまいました。荷物には触らないようにと言うと、みんな素直に従ってくれたので助かりましたが。 村長さんから無事に許可を貰ったデニスさんはすぐさまその場で薬を配る準備を始めました。村長さんがとても歓迎してくれたようで、村の人たちを全員集めてくれるそうです。 やがて馬車の周りには、子供たちだけでなく村の人たち全員が集まりました。 「暗くなる前に、さっさと配り終えてしまおう。手伝ってくれるね?」 「はい、もちろんです」 私たちの目の前には大勢の人だかりが、背後には荷物を満載した馬車がありました。デニスさんと私の二人がかりでも、とても時間がかかりそうでした。 「これはこの辺りで見られる病気を予防、治療するための薬です。今日中に飲んでおいてくださいね」 デニスさんはそう言いながら、液体の入った小さな瓶を村の人たち一人一人に丁寧に手渡していきます。私も見よう見まねで、瓶を一つずつ手渡していきました。 「ありがとうございます。本当に助かりました」 薬を手渡す間、このようなお礼を私たちは幾度となく頂きました。薬を貰った人たちは本当に嬉しそうに、お礼を述べて帰っていきました。私はお礼を言われるたび、とても温かい気持ちになるのを感じました。 全ての薬を全ての人に配り終わった時には、辺りは明かりが必要なほど暗くなっていました。 「ご苦労様。おかげで助かったよ」 「こちらこそ、ありがとうございます。デニスさんのおかげで私は、とても、とても良い仕事をしました」 「そうか。それはよかった」 「私は、皆さんに薬を配ってとても温かい気持ちになりました。幸せとは、こういうことを言うのでしょうね」 「ああ、そうだな。私も彼らの笑顔を見ると、ここまで来てよかったと思えるよ」 そして私は、デニスさんに一つお願いをしてみることにしました。 「デニスさん。できれば、これからもこの仕事を手伝わせてはいただけませんか?是非このような素晴らしい仕事を、私の新しい生きる目的としたいのです」 「…………」 暗がりでデニスさんの表情はよく分かりませんでしたが、彼が長くため息をついたのは聞こえました。 「……駄目だ」 デニスさんは首を横に振ったようでした。 「今回は馬がいなかったから君に馬車を引いてもらったが、本当なら馬一頭で済む役割だ。馬の方が、もっと早く引くことだってできる。薬を配るのだって、普段なら私一人で問題ない。そんな既に事足りた役割で、それも馬で済むような役割で、一生を終えることはない」 デニスさんは静かに言葉を続けます。 「馬には馬の、人には人の役割があり、君にも、自我を持ったブリキ兵にも、ちゃんと用意された役割があるはずだ。ここではない、どこか別の地で」 「私に用意された……役割……」 「君が戦場で目覚めたのには、必ず大きな理由があるはずだ。馬車を引くためでも、薬を配るためでもなく、もっと大きな理由が。君はちゃんとその理由を見つけて、全うして欲しい」 その夜、眠ることを必要としない私は、宿の部屋の片隅で、自分に用意された役割とは何かを延々考えながら、朝を迎えたのでした。答えは、当然のように出ませんでした。 まだ太陽が半分ほどしか顔を出していない早朝、村はとても静かでした。部屋の窓からは澄み切った朝の空が見え、鳥の鳴き声が聞こえていましたが、まだ村の人たちが活動する音は聞こえませんでした。 デニスさんは、太陽が完全に顔を出した頃に目覚めました。ベッドから立ち上がり、着替えを終えたデニスさんは、私に向き直って口を開きました。 「君に、話がある」 その顔は、少し悲しそうに見えました。 前へ ブリキ兵のお話目次 次へ 長編目次
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とても初めまして、アキヅキカスガといいます。 htmlわかんないので手軽なwikiでHPを作りました まだほんの少ししかありませんが、お湯でも飲みながらゆっくりしていってください。 ロゴ、プロフ絵:じゃこ様 アリガトー! testest -- test (2011-09-21 12 39 18) 元ヒ頭駆人の日記、楽しく読ませていただきました~。情景が浮かぶ文章が魅力な秋月春日さんに書いていただけた事がとてもうれしかったです。ありがとうございました!あとpixivでのAC小説はもとより、こちらのオマージュ短編『赤ずきん』もラストの流れが素敵で個人的に大好きです~。今後の秋月春日さんのご活動、作品を楽しみにしています!またちょくちょく遊びに来まーす(´ω`) -- ポタージュ (2011-09-28 18 16 16) まさか感想までいただけるとは、もう秋月は幸せで死にそうです。ポタージュさんの想像(創造)する世界観にどこまで近づけられたかわかりませんが、私も楽しく描かせていただきました。これからも宜しくお願いします(*´ω`) -- 秋月春日 (2011-09-28 23 35 14) 名前 コメント
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