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――ぎ……ん……きて……えぎくん…… ――な、に……? 何か聞こえ…… 「苗木君起きなさい」 ――バチンッ! 「いだっっ!? 何っ!? えっ、何っ!? えっ!? 霧切さん!?」 僕は左頬に激しい痛みを感じて飛び起きようとした――けれどそれはできなかった。恐 らく今僕の頬をひっぱたいた犯人であろう霧切さんがベッドで寝ている僕に馬乗りになっ ていたからだ。当然僕は状況を飲み込めずパニックに陥った。 「え!? なんで霧切さんが僕の部屋に居るの!? ていうかなんで僕の上に乗ってる の!?」 「あなたが何度言っても起きないからよ。鍵も開いていたし、それにここまでの熟睡って ……あなた簡単に殺されるわよ?」 混乱する僕を前に霧切さんはいつも通り冷静に淡々と話す。でも、僕はそれどころじゃ ない。お腹の上の柔らかい感触で今にも発狂しそうだった。 「わかった! わかったから!今後は気を付けますからお願いですから降りてください っ!!」 「……そんなに必死になるほど重かったかしら」 「そ、それは違うよ! 別の問題があるからぁあっ!! とにかく降りてっ!」 僕が必死に叫ぶと彼女は「別の問題?」と眉を顰めながら呟いてようやく僕の上から降 りてくれた。ちょっともったいないかも、なんて全っ然思ってないけど、もう少しで本当 に色んな意味でやばかった。精神的に死んでたかも。 「苗木君? あなた顔が赤いわよ。息も上がってるし発汗もみられる……具合でも悪いの かしら」 「え、霧切さんが突然現れるからびっくりしただけだよ!(どう考えても君のせいじゃない か!)」 「苗木君、すぐにバレる嘘は感心しないわよ」 「え……ちょ、ちょちょちょ、霧切さんっ!?」 僕の嘘について批判しつつ、なんと彼女の顔が僕の顔にどんどん近づいてきた。 ――えっ?何これ?僕キスされるのかな。 そう一瞬でも思ってしまったら僕が焦らないわけがない。けれど、もちろん当然霧切さ んがそんなことをするわけがなかった。至近距離に霧切さんの顔があるのが恥ずかしくて 目を瞑っていたら、コツン――という感触が額にあった。恐る恐る僕が目を開けると、相 変わらず至近距離に霧切さんの顔があり、その額は僕のと重ねられていた。僕はようやく、 さっきの会話の流れを考えてみても、僕の熱の有無を確かめてくれているんだと分かった。 「あ、あの……霧切さん?」 「……少し微熱程度くらいには熱がありそうね。でも高熱じゃなくて良かったわ」 離れた霧切さんが、僕を案じてくれる言葉をかけながらフッと笑った。いつもポーカー フェイスを維持している彼女だから、時々見せる笑みに僕はいつもドキリとしていた。 「あ、ありがとう。でも、熱を確かめるなら手で……あっ、手袋してるからか」 「ええ、そうよ。何か不快だったかしら? だとしたら謝るけど」 「いや、そんなことないよ! こっちこそごめん、変なこと言って」 「別に気にしてないわ」 霧切さんはそういうと右手で髪を払った。その仕草と、サラリと動く綺麗な髪に僕は一 瞬見とれる。ここだけの話、僕は霧切さんのその仕草が好きだったりする。 「それで、どうして僕の部屋に?」 「ああ、そうだったわ。苗木君のせいで忘れるところだった」 「どう考えても僕のせいじゃないと思うけど」 「何か言ったかしら?」 「……あの、霧切さん? この際だから言うけど人の部屋、っていうか異性の部屋に勝手 に入ってくるのはよくないと思うんだ」 僕はそのまま何も言わず用件を聞こうとも思ったけど、なんだか霧切さんはそういう所 が危なっかしい気がして、僕の考えを話すことにした。 「勝手に入ったのは悪かったわ。でも叩かれるまで起きない人がインターフォンの音程度 で起きるかしら?」 「うっ……それは……でも! それはダメだよ! 僕だって男なんだよ!?」 僕が意を決して言い放った言葉に霧切さんが、珍しく驚いた顔をした。でもすぐにいつ ものポーカーフェイスに戻……え?霧切さんが笑ってる? 「き、霧切さん?」 何か霧切さんの様子がおかしいことに気付いた僕の問いかけを無視するように、霧切さ んが無言のままベッドの方に近づいてくる。それだけじゃない。彼女は何を考えているの か、ネクタイを緩めシャツのジッパーを少しだけ下ろして――って、えぇっ!? 「ちょ、霧切さん何やってるの!?」 「ネクタイを緩めてジッパーを下げたのよ」 「いや、そうじゃなくて!! 見えたらいけないものがもう少しで見えそうなんだけど!」 「見たいの?」 いつもの僕をからかう時の笑みを浮かべながらとうとう霧切さんが再びベッドの上どこ ろか僕の太ももの上に乗って来た。そして彼女の右手が僕の左胸に添えられる。もう何が 何だかわからない。僕の動悸は全力疾走をしても足らないほどに激しく脈打っていた。霧 切さんは分かっているのにわざっとやっている。いくら僕だって理性が揺さぶられないは ずがない危険な状況だった。そして霧切さんは僕の耳元に顔を近づけて言った。 「すごい、動悸ね。ふふっ……ねぇ、苗木君。あなたは確かに男の子だけど、私の信頼を 裏切るような甲斐性はないわ」 「へっ?」 僕が間抜けな声を出すと、霧切さんは何事もなかったように離れて服装も元に戻した。 何だか男としてはすごく複雑なことを言われた気がする。 「ね? あなたは、こんな状況になっても何もできなかったでしょ? だからあなたの反 論は認められないわ。でも……確かに男の子だというのは認めるけど」 少し顔を下に向けながら言う霧切さんの視線を追うとそこには――っ!? 「うわぁあっ!! み、見ないでよ霧切さん! セクハラだよっ!!」 僕は顔の熱がさらに上がるのを感じながら、足元にくるまっていた布団を急いで抱え込 んだ。霧切さんはそれを見て笑ってるんだから本当に性質が悪い。 霧切さんには適わないな。それを痛感した精神疲労の激しい夜だった。 ― END ―
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~絶望生活開始前~ 妹様「・・・アタシ、黒幕やんの飽きたわ。モノクマ操んのはお姉ちゃんに任せるねー♪」 むくろ「え・・・もう化粧までしたのに」 妹様「やっぱアタシの役はアタシがやるわ。じゃ、後全部任せたからー」 むくろ「ちょっと待っ」 苗木「・・・ねえ、江ノ島さん?」 妹様「何?どしたのよ、苗木」サワサワ 苗木「ボクたちは初対面のはずなのに、どうしてそんなにベタベタ触ってくるのかなと思って・・・」 妹様「別にいいじゃん。・・・苗木だって別に悪い気はしないでしょー?アタシみたいなチョーカワイイ子に触られてさ。にひひ」 苗木「いや、でもさ・・・」 霧切「・・・おかしいわ。苗木クンとは初対面のはずなのに、何故か今の彼を見ているとイライラしてくるわ」 舞園「同感です。苗木クンとはほとんど話したことないのに、今の苗木クンは許せません」 苗木「ボク、彼女たちとまともに話したこともないのに、このままだとマズイ予感が凄くするんだ・・・」 妹様「プププ・・・(あ~、苗木の困ってる顔サイコー・・・もっと絶望に満ちた顔をアタシに見せてよ・・・ハァハァ)」 苗木「うわ!何するんだよ、江ノ島さん!そんなところ、触らないで・・・!」 葉隠「おわ~、俺、こいつらと会ったことないはずないのに、何だか凄く懐かしい気がするべ」 桑田「ぶっちゃけ、よく見たことのある風景っていうかぁ?・・・こいつらのこと、全然知らないけど」 妹様「ねえ、苗木・・・踏んでいい?縛っていい?鞭で叩いていい?」 苗木「ちょ・・・ボクには(彼らとは全然話したことないけど)山田クンや腐川さんみたいな趣味はないよ!」 山田「何たることですかー!ボクの趣味は二次元限定ですぞー!・・・しかし、否定はできませんな。うん」 セレス「あら、彼とは初対面のはずなのに、とても背中に座って椅子にしてあげたくなりましたわ♪」 山田「ど、どうぞー!」 腐川「わ、私だって、白夜さま以外ならお断りよ・・・!」 十神「黙れ。お前のことは全く知らないし、興味もないが、これ以上俺の前で口を開くな。息もするなよ」 腐川「コクコク(はい・・・♪)」 妹様(あぁ・・・やっぱりモノクマのカメラごしじゃなくて、じかに苗木の困ってる顔を見なきゃダメねー) 苗木「そこは違うよ、江ノ島さん!あっ・・・」 霧舞(ピキピキ・・・) 石丸「キミたち!静かにして学園長の話に耳を傾けるんだ!」 モノクマ「・・・えっと、だからキミたちには共同生活を送ってもらって・・・それで、えっと・・・そう、ここから出るには誰かを殺さないと・・・ つ、次のカンペはどこ?」 さくら(何故だか、凄く懐かしい気持ちになるな・・・) 朝日奈「ねぇ、さくらちゃんもドーナツ食べる?」
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希望ヶ峰学園を卒業してからおよそ半年、僕こと苗木誠は大学生になった。 今日も朝一から90分間の講義があり、僕は開始15分ほど前に教室に来て適当な席に座る。 苗木「ふああ…。」 舞園「おはようございます、苗木君。今日提出するレポート、出来ましたか?」 苗木「あ、おはよう舞園さん。えっと、レポートはその…。」 舞園「ふふ。その様子だと、まだ終わってないみたいですね。」 僕と同じ大学に進学した舞園さんが僕の隣の席に着き、いつもの可憐な笑顔を浮かべる。 舞園さんは最近歌手以外にも女優としての活動も増え、芸能人として多忙な日々を送っているため、こうして朝から大学にくるのは珍しい。 苗木「でも、あとは考察の部分だけだから、締切の5時までには十分間に合うよ。今日は午後の講義は無いし。」 舞園「そうですか。では頑張って下さいね。」 苗木「うん。」 こうして午前中の講義が終わり、僕は食堂で昼食を食べつつ、今日提出のレポートの仕上げにかかった。 霧切「あら苗木君。それ、ひょっとして今日提出するレポートかしら?」 苗木「霧切さん。うん。昨夜バイトが終わってから、すぐ寝ちゃって…。」 霧切「アルバイトも結構だけど、勉強が疎かになるようじゃダメね。」 苗木「ははは…。」 僕に声を掛けてきた霧切さんが、僕の反対側の椅子に座った。 霧切さんも僕と舞園さんと同じ大学に進学し、犯罪心理学を勉強している。 霧切さんの学力ならもっとレベルの高い大学に行けたはずなのに、何故か彼女は僕らと同じ大学を選んだ。 その理由を霧切さんに聞いても、彼女はハッキリとは答えてくれない。 苗木「あれ?でも霧切さん、今日は事件の捜査を手伝うから学校に来られないとか言ってなかったっけ?」 霧切「本来ならそうだったんだけど、所長がまたあっと言う間に事件を解決しちゃって。」 苗木「そうなんだ。相変わらず凄いね、その探偵さん。」 霧切「ええ。普段はお世辞にも有能とは言えないのに、突然気を失ったかと思ったら瞬く間に事件を解決しちゃうのよ。不思議な人だわ。」 霧切さんは大学に通いつつ、有名な私立探偵の事務所で助手として働いている。 ゆくゆくは独立して自分の探偵事務所を構えるつもりだそうだ。 え?霧切さんが働いてる事務所の所長に心当たりがある?それはきっと気のせいだよ! 舞園「あ、霧切さん。今日は休むんじゃありませんでしたっけ?」 ランチの乗ったトレーを持った舞園さんが現れ、霧切さんの隣の席に着く。 霧切「事件が早期解決したのよ。今朝の朝刊にもあったでしょ?」 舞園「ああ、そういえば今朝の新聞に載ってましたね。あの事件を解決したの、霧切さんの通ってる事務所だったんですか。」 霧切「ええ。」 苗木「新聞といえば、桑田君の記事も大きく載ってたね。凄いよねぇ、桑田君。プロでも活躍するなんてさ。」 元クラスメイトの桑田君は今、プロ野球でピッチャーとして活躍している。 最初こそプロの洗礼を浴びた彼だが6月頃には盛り返し、今では新人王の最有力候補だ。 流石の桑田君もセンスだけではプロの強打者達には通用しないと痛感したのか、真面目に練習する気になったようだ。 苗木「そういえば、皆バラバラになっちゃったよね。皆今頃どうしてるのかな?」 懐かしい名前が出たところで、僕はそれぞれの道を進んでいった級友達を思い浮かべる。 風紀委員だった石丸君は一流大学に進んで教師になる勉強をしている。 次世代を担う子供達を清く正しく導くのだと卒業式で胸を張って豪語していたっけ。 その石丸君と兄弟の契りを交わした大和田君は暴走族から足を洗って工務店に就職した。 昔気質の厳しい親方の下、夢である立派な大工目指して頑張っている。 ただ、あの立派だったリーゼントを親方に咎められ、今は坊主頭だそうだ。 不二咲君は工科大学に進んで本格的に人工知能の研究をしている。 最近は自作の人工知能を、これまた自作のロボットに搭載して動かすのが楽しいらしい。 これからの時代を引っ張っていくのは不二咲君のような科学者なんだろうな。 山田君は漫画家の道に進み、週刊少年誌で連載を持っている。 実は僕も彼の漫画の読者だったりするのだが、少々読者を選ぶ内容の漫画だと感じている。 まあ、山田君らしいと言えばらしいかな? 葉隠君は占い師として細々と暮らしている。 ただ、元々直感での的中率3割前後の占いのため、評価は芳しくないそうだ。 おまけにインチキ臭い商売も続けているらしく、訴訟の数が一向に減らないとか。 まあ、それは葉隠君の自業自得だけどね。 十神君は海外の超一流大学に進み、学生生活の傍らで幾つもの会社を経営している。 彼とはちょくちょくメールのやり取りをしているのだが、主な内容は彼の自慢話だったりする。 最近では400億円以上あった個人資産の桁が一つ増えたらしい。相変わらず凄いなぁ。 朝日奈さんは水泳の特待生で体育大学へと進んだ。 進学して間もないにも関わらず数々の大学記録を塗り替え、今度のオリンピックの代表選手の座もほぼ内定しているそうだ。 最近はそのこともあってテレビなどでよく取材を受けているところを目にする。 大神さんは実家の武術道場に戻って日夜鍛錬に励みながらケンイチロウさんの復活を待っている。 ケンイチロウさんと再戦するまで最強の座を死守すると誓った彼女は、後を絶たない挑戦者を悉く返り討ちにしているらしい。 勿論、朝日奈さんとは今でも親友の間柄だ。 セレスさんは相変わらず世界中のギャンブルの大会で賞金を荒稼ぎしている。 まだ僕を自分のナイトにすることを諦めていないようで、連絡を寄越す度にその話題を出してくる。 一体何故そこまで僕にこだわるのかサッパリ分からない。 腐川さんは僕らとは違う大学の文学部に通いながら執筆活動を続けている。 大学に入って人付き合いのスキルが上がったのか、素人目ではあるが最近は登場人物が生き生きしてきたように感じる。 それから、彼女のもう一つの人格であるジェノサイダー翔は「十神君との仲を取り持つ代わりに殺人をしない」という僕との約束を守ってくれているようで、 今のところ彼女による殺人事件は起きていない。 …そういえば十神君にはまだその事を話していなかったな。どうしよう? 江ノ島さんはモデルを続けているのだが、絶望的に飽きっぽい性格のせいでコロコロとファッションや髪形が変わっている。 お蔭で彼女を真似る女子高生の流行も頻繁に変わるので目まぐるしいことこの上ない。 しかし、それでもファンが離れないのは彼女のセンスが女子高生達を絶望的に惹きつけてやまないからなのだろう。 戦刃さんは自衛隊に入って各地で様々な活動に従事している。 元傭兵という経歴とスキルを生かせる仕事を探していた彼女だが、どうやら見つかったようだ。 この間メールを貰った時はアフリカへ地雷を除去しに行くと言ってたな。無事だといいけど…。 苗木「思い出したら、久し振りに皆に会いたくなってきたなぁ。」 それぞれの道へと進んでいった仲間達のことを考えつつ、僕はレポート用紙にペンを走らせる。 霧切「そういえば苗木君。あなた、将来の事とかちゃんと考えてるの?」 苗木「え?う~ん…まあ、漠然とは…。」 霧切「呆れた。大学に入ったのなら、ある程度は将来のことを考えておくものよ。」 舞園「まあ、いいじゃないですか。大学に入ったばかりなんだし、まだまだ時間はありますよ。」 霧切「そんなことを言ってたら、あっという間に4年経っちゃうわよ?」 苗木「そ、そうだね…。と、とりあえず今はこのレポートを完成させるのが先だよ。」 霧切「でも、もし職が見つからなかったら…私の事務所で雇ってあげてもいいわよ?」 苗木「え?」 舞園「あ!それなら私も苗木君に専属マネージャーになってもらおうかな?」 苗木「え?え?」 霧切「………。」 舞園「………。」 苗木「ふ、2人ともどうしたの?黙って見つめ合って。」 霧切「別に。」 舞園「何でもありません。」 僕の目の前に並んで座っている2人は同時に笑顔を向けてきたが、僕は何故か背筋が凍るような感覚を覚えた。僕が一体何をしたっていうんだ? それからしばらくして僕がレポートを完成させると同時に、霧切さんの携帯電話が鳴った。 舞園「事件ですか?」 霧切「ええ。駅前の喫茶店で殺人未遂事件が起きたそうよ。うちの所長、どうやらその現場に居合わせたらしいの。」 苗木「所長さん、よく事件に巻き込まれるね。」 霧切「まあ、事件によく遭遇するのは探偵に求められる要素の一つとも言えるけど、うちの所長は少し異常かもね。」 ふうと溜息を吐いた後、霧切さんは携帯電話をしまって席から立った。 霧切「私はこれから現場に向かうわ。苗木君、あなたも来なさい。」 苗木「え?何で僕も?」 霧切「何でって、あなたは私の助手でしょう?私の事務所に来る時のために、少しでも現場慣れしてもらわなきゃ困るもの。さ、行くわよ。」 そう言って霧切さんは僕の手を引っ張り、引っ張られた僕は思わずよろけてしまう。 苗木「ち、ちょっと待ってよ霧切さん!僕レポート出してこないと…。」 舞園「あぁ!待って下さいよ2人とも!私も行きますよ!私は苗木君の助手なんですから~!」 霧切さんに引きずられる僕と、それを追う舞園さん。 周囲の目がこの上なく痛々しいし、男子からは射殺すような目で見られている。 ああ、この先の僕の将来は一体どうなってしまうのだろう? 完
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287 投稿日:2010/12/14(火) 01 16 10 ID Z/dQ3XKE ちーたんは性別バレてないので女子部屋にいれてみようぜ! 男女の数が揃わなくなるけど ごめんなさいちーたんとさくらちゃんのW天使部屋が見たいだけです 301 投稿日:2010/12/14(火) 08 24 42 ID my+LREz6 287 全力でその部屋の暖房を切ってやるぜーーーーーー!!!! 筋肉も脂肪もない虚弱体質のちーたんが寒くてがたがた震えてたら 弱い者と小動物に優しいさくらちゃんが拾い上げて懐に入れてあげるんだ 「あ…りがとう、ごめんね、大神さん(でも、この姿勢…なんか、すごく恥ずかしいよ…)」と 温かくてほっとするやら男なのに恥ずかしいやら 背中に微妙にあたるさくらちゃんの硬く鍛えられた腹筋と意外とやわらかいきょぬに 赤面しっぱなしで体温があがるちーたん 「我も暖を取りたかったところだ。遠慮は無用」と顔は淡々としてるけど 恥ずかしくて赤面してるちーたん小さな体をじっくりと膝の上に抱えながら (む…小さな動物というのはみなこのように温かいのだろうか。癒されるな)と かわいい子うさぎを見てるみたいで内心はきゅんとしてる乙女なさくらちゃん 315 投稿日:2010/12/14(火) 17 32 42 ID Zvt2KT5p 連投すまん 301してるところに朝日奈が「さくらちゃーん、ご飯いこうー」ってドア開けたら面白そうだ 318 投稿日:2010/12/14(火) 20 06 57 ID jfYq59/q 315 さくら「朝日奈よ、困ったことになってしまった。膝の上でうさ…不二咲が眠ってしまい動けない」
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霧切(じーーーっ) 苗木「あの……さっきからじっと見てるけど、ボクの顔になにかついてるの?」 霧切「苗木君、今この教室は私たち以外の生徒は帰寮しているわ。」 苗木「? えーっと、うん、まぁ……そうだね?」 霧切「時間は17時3分を過ぎたところ……夕日が出てるわね。」 苗木「あ……ホントだ。綺麗だね。」 霧切「…もうすぐ黄昏時。昼間あれだけ賑やかだったのに、今はグラウンドにいる部活動生の声しか聞こえてこない。」 苗木「うん。あ、今日は野球部が使ってるのか。あそこで怒られてるの桑田クンだよね。」 霧切「はぁ………苗木君のくせに生意気よ。」 苗木「え!?」 霧切「整理して言うわ。今は黄昏時。校舎内は静かで人の気配はない。つまり、今この教室にいるのは私たちだけ。 ここまで言えば分かるわね? 苗木君」 苗木「あの、全然わからな――」 霧切「分かるわね?」 苗木「(そんな潤んだ目で……)って、もしかして、霧切さん………」 霧切「馬鹿……!」 苗木「!!」 ちゅっ 苗木(き、霧切さん……キス、したかったのか…… なんだかいい匂いがするな……甘くて、眠くなりそうな…… 胸も、当たってる……) 霧切「ん……」 苗木(あぁ…そ、そんな声出さないでよ……だ、駄目だ、止まらなく、なる) ぎゅっ 霧切「!? んんっ……!」 苗木(霧切さんから誘ってきたんだからね……!) 霧切「んっ…ふ……んふぅっ…!」 数分後 霧切「はぁっ……はぁっ……」 苗木「霧切さん……もう、我慢でき――な゙ッ!?」 ばちんっ! 霧切「馬鹿……!」 苗木「馬鹿って、誘ってきたのは霧切さんじゃないか。」 霧切「な、苗木君のくせに生意気よ。 とにかく、今度教室で同じようなことしたら、あなたの舌噛み切ってやるから…!」 苗木(そんな色っぽい顔して言われても、説得力ないんだけどな……) 苗木「ん? ちょっと待って霧切さん。教室でってことは…教室以外の場所ならいいってことになるよね?」 霧切「!?」
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外の世界に出てから、二人の関係が仲間よりも深いものに変わるまでそう長くはなかった。 学園を出た後成り行きから二人は同じ部屋で生活を共にすることになり、彼らはお互いに惹かれ合い、そして自分たちの気持ちを自覚したのだ。 それを最初に伝えたのは意外にも苗木の方だった。当然ながら霧切は彼を受け入れた。 それからもう、三ヶ月が過ぎよ うとしていた頃だった。 「ねぇ、苗木君」 霧切がいつもの落ち着いた口調で、就寝しようとベッドに潜り込んだ彼の名を呼ぶ。 苗木はすぐに起き上がり、彼女へ体を向けた。ベッドの上であぐらを組み、立っている霧切に目線を合わせるため少し上を向いて彼は上目遣いになる。 「どうしたの? 早く髪乾かさないと風邪ひくよ?」 「ええ。でも、少しだけ話をしていいかしら? 隣、良いかしら?」 苗木が肯いてあぐらを組んでいた脚を下ろすと、彼女は静かに彼と密着するように腰を降ろした。 同時に苗木の鼻腔が刺激される。 シャンプーの香りだろう。 霧切は風呂あがりだった。 綺麗な紫がかった銀髪は濡れて、白い頬は少し紅潮している。 苗木の視線が彼女の髪、白い鎖骨、潤いのある唇へと流れる。 苗木は、毎晩そんな霧切の姿を目にし、共同生活を始めたばかりの頃はとてもではないが誠の心が穏やかではなかった。 しかし、今ではさすがに慣れてしまっている――が、何も感じないというわけではなかった。 「私達がお互いの気持ちを確かめ合ってからもう三ヶ月になるわ。けれど、よく考えたら 学園に居た頃と何も変わっていない気がするのよ。」 彼女はおもむろに口を開くが、普段と同様に、すぐに本題に入るがストレートには言わない。 苗木に諭させるためだ。 「えっと、急にどうしたの? 霧切さん。どういう意味?」 ――ああ、そうだ。この人は超高校級の唐変木だったわ。 霧切は溜息をついた。こういうことに関して自分が積極的に行動できる性格ではないこ とを彼は知っているのだから、もう少しリードをするべきじゃないのか。 いやそもそも、男の子なのだから女の子をリードするのは当然じゃないのだろうか――そう考えて頭を痛める。 「あの、霧切さん? 僕何か気を悪くするようなことしたかな?」 苗木は霧切が怒ったと思ったのだろう。 彼女の意図を読み取ることはできなくても、機嫌には敏感になっているようだった。 「……むしろ三ヶ月も経つというのに、何もしてこないのが悪いのだけれど」 「……え? えぇっ!? そ、それって…エ」 「それ以上言ったら殴るわよ? はぁ。それから、もっとよく順番を考えてちょうだい。 ……苗木君、ここまで言えば分かるわね?」 霧切の頬は入浴によるものとは別の理由で赤く染まっているようだった。 彼女の言う通り苗木でもそこまで言われたら霧切が何を求めているのか分かった。 途端に苗木は彼女と同様、いやそれ以上に赤面して明らかに動揺し始める。 「あ、あの!えっと、ぼ、僕経験がなくて!」 「わ、私だって経験なんてないわよ。あなたと以外なんて……」 そこまで言うと霧切の顔はさらに真っ赤になり、苗木もあからさまに照れている。 端から見ると彼らが恋人になって三ヶ月も経っているとは到底考えられないほどに初々しい。 それなりに覚悟を決めたのか、苗木が霧切の方にしっかりと体を向けた。 「えっと……き、霧切さん」 苗木が霧切の肩に両手をかけて目を見ると、霧切はピクリとした。 彼女も普段では決して見られないほどにうろたえており、相当恥ずかしそうではあるが、苗木の目をしっかり見つめ返した。 「い、良いかな?」 「……こ、こういうのって、雰囲気とか流れが大事なんじゃないかしら?」 「う、うん。ごめ……」 「謝らないで」 「あ、ご……わかった……」 苗木はゴクリと生唾を飲んだ。 彼女を見つめていた彼の目が一瞬下方へずれて、唇を見る。 「霧切さん、目……つぶってくれる?」 「……これでいいかしら?」 「うん……」 ――どうしよう、なにか言ってからした方がいいのかな? このまましていいのかな? この期に及んで苗木が所作について悩み出したとは知らず、視界を閉じた霧切は来るであろう感触を待っていたが一向に来ない。 すると彼女の何かがプツリと切れた。 そして目を開けると彼をキッと睨みつける。 「わぁっ、霧切さん何で目開けて――ふっ!?」 気づけば至近距離に霧切の顔がある。 苗木の唇は霧切の唇と重なっていたのだ。 煮え切らない苗木を待ちきれなかった霧切は、彼が着ていたシャツの首元を両手で乱暴に掴んで引き寄せ、ついにファーストキスを捧げたのだった。 しかし、恥ずかしさのあまりそれは長くはなかった。 霧切は彼の首元を掴む両手をバッと伸ばして、顔を離す。 そして苗木から顔を背けて立ち上がった。 「……二回目は絶対にあなたからでないと許さないから。……私は髪を乾かしてくるから苗木君はもう寝てしまって構わないわ。おやすみなさい」 「えぇっ!? ちょ、ちょっと待ってよ霧切さん!」 苗木の静止の言葉も虚しく、霧切は一度も彼の顔を見ること無くその場を去って行き、 彼は赤い顔のままベッドの上で呆けているしかなかった。 END -
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ージャバウォック公園ー 七海「ねえ日向君。」 日向「どうした七海、寝ないのか。」 七海「ううん、寝るよ。でもチョット試したいことがあって。」 日向「試したいこと?」 七海「うん、あ、ちょっとここに座って。」 日向「?草の上?いつもの木陰にいかないでいいのか?」 七海「む。いいから座る。」 日向「???これでいいのか?」 七海「・・・・・。」 日向「?ななm」 七海「とう!」ガバッ!! 日向「うわぁ!!」 七海に抱きつかれた俺は草の上に倒れてしまった。 七海「ん~~~~~。」 スリスリグリグリと今度は七海が顔を俺の胸に摺り寄せてきた。 日向「な、なななな、七海!?なっ何だよ急に!?」 七海「ん~~~~~~、・・・・・やっぱり。」 日向「・・・は?」 七海「ほら、前倉庫で日向君が受け止めてくれた時があったよね?」 日向「あ、ああ。それがどうした?」 七海「その時すごく落ち着いたから、昼寝のときに試したらどうなるかな~って。」 日向「あ、ああ。そーなのか・・・。で?どうなんだ?」 七海「うん、すごく落ち着く。やっぱり日向君だからかな?」ニコ! 日向「そ、そうか・・・よかったな。」 にこやかに言われた為反論してどかすことできず・・・・・。 七海「じゃあ・・・ふぁ~~、お休み・・・・。」 日向「ああ、おやす・・・・っておいまt」 七海「クーー、スーーー。」 日向「・・・・・・・・はぁ。」 わかった、この際あきらめるか・・・。 日向「せめて誰にも見られないことを祈るか。」 狛枝「うん。そうだね。」 日向「・・・・・・・・。」 狛枝「・・・・・・・・。」 日向「・・・・・・っっっっ!?!?」 狛枝「あ、僕は気にしないで大丈夫だよ。ゆっくりしなよ。」 日向「イツカライタ・・・・!?」 狛枝「七海さんが抱きついたところ、かな・・・?」 日向「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 狛枝「じゃあ邪魔したくないし僕は失礼するね。ああ、大丈夫大丈夫。 僕は口堅いから澪田さんか小泉さんにしか言わないから。じゃあね。」 日向「やめろおおおおおおお!!その二人が危険なの知ってるだろ!? ヤバイ!早く追いかけ・・・」 七海「ん~~~~~!」 七海を引き剥がそうとした瞬間七海が強い力で抱きしめて来た。 日向「・・・・・・・・・・・。」 七海「ん~~~♪」スリスリ 俺が動かなくなり安心したのか顔を摺り寄せてまた大人しくなった。 日向「・・・・・・・・どうしよう。」 それから数分悩んでも結論が出なかった俺は、俺の上で寝ている七海につられ 眠りに着いた。 その日の夜、正座姿の日向といつも以上にお説教をしている小泉の姿があった。
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卯月は花見 苗「四月と言えば、やっぱりお花見だよね」チビッ 霧「あら、良いもの飲んでるじゃない」 苗「霧切さん、お酒好きだっけ?」 霧「愚問ね。むしろ、酒に愛されていると言っても過言ではないわ」 苗「はは…」 霧「…ねえ、一杯いただけないかしら?」 苗「え? うーん…あげたいのは山々なんだけど、もう残り一杯しかないんだ」 霧「もちろん、タダとは言わないわ」 苗「…じゃ、じゃあ…一杯百円」 霧「ありがとう。…ところで苗木君。さっき露店で、焼き鳥を買ってきたのよ」 苗「あ、いいなぁ。きっとこのお酒に合うよ」 霧「私も鬼じゃないわ。一本百円で、どうかしら」 苗「奇遇だなぁ、今たまたま百円手元にあるんだ」 霧「丁度いいわね、これでお互いに手を打ちましょう」 苗「あはは…なんか、これと似たような落語あったよね」 霧「あの題名も『花見酒』と言ったわね…あら、これ美味しいわ」グビッ 皐月は端午 霧「あれを見て、苗木君」 苗「どれ?…あ、鯉幟だ。そう言えば、今日は五月五日だったね」 霧「苗木君も子どもの頃は、ああやって祝ってもらったのかしら?」 苗「え? あ、まあ…うん」 霧「…そう」 霧「端午の節句というのは、男の子が立派な大人になることを願うものらしいわね」 苗「はは…両親の期待に添えたかどうかはわからないけど、一応はお酒の飲める年齢になったよ」 霧「あら、大丈夫よ。ちゃんと素敵な男の子に育ったじゃない」 苗「え?……あ、…ほ、褒めても何も出ないからね」 霧「あら、肴をサービスするくらいの心遣いは見せてほしいわ」 苗「…やっぱり、そっち目当てか」 霧「鯉幟を見ていたら、柏餅が食べたくなったわ。苗木君、買っておきなさい」 苗「お酒に柏餅…?」 霧「あら、甘いものもいいのよ。お勧めの日本酒、うちから持っていくわね」 水無月は梅雨 苗「うへぇ…ベタベタする…」 霧「この不快感も、慣れれば良い酒の肴になるのよ」 苗「…霧切さんは、平気そうだね」 霧「そんなことないわ。服の下はグショグショだし」 苗「……」 霧「…何か邪な視線を感じるのだけど、あなた変な想像してない?」 苗「し、してない! あ、そうだ…さっきイワシの梅煮作ったんだけど、きっと湿気よりいい肴になるよ」 霧「…誤魔化されている感が否めないけれど、それで手打ちにしてあげるわ」 霧「…あ、美味しい。梅酒も入っているのね」 苗「霧切さん、お酒好きだからさ。気に入るかなと思って」 霧「……私のために作ってくれたというのなら、美味しさもひとしおね」 霧「ところで、あなたの分が無いようだけど」 苗「あ、僕は作ってる時に食べたから」 苗(霧切さんが美味しそうに食べてくれる姿で、十分お酒の肴になるしね) 文月は七夕 霧「わざわざ外に呼び出して…来てみたはいいけど、何があるというの?」 苗「町内会で、大きな笹を用意して短冊を配ってるんだ。一緒に行かない?」 霧「…何かと思えば、子供だましな、」 苗「日本酒によく合うきゅうりのピリ辛漬けを、帰りに買ってこようと思うんですが」 霧「…はぁ。お酒で釣られるなんて、私も甘くなったものね」 苗「大人になったってことだよ。ホラ、行こう」 苗「ホラ、上見て霧切さん」 霧「……ええ、綺麗な天の川ね。晴れて良かった」 苗「曇ったら、織姫と彦星が会えないからね」 霧「あなたって、意外とロマンチストね」 苗「そういう霧切さんこそ、短冊に随分熱心に書いてたけど」 霧「……冷えてきたわ。早く帰りましょう」 苗「…それに曇ったら、こうして霧切さんを誘うことも出来なかったし」 霧「…あなたが来なければ、私が行っていたから大丈夫よ」 苗「それは肴を漁りに、でしょ」 霧「よくわかったわね。ご褒美に、今晩は私が酌をしてあげるわ」 葉月は夏祭り 山「か、買ってきましたぞー! あー疲れた…」 大「オラ、たこ焼きと、コレ焼きそば、そっちが焼き鳥…ったく、なんで俺らがこんなこと…」 朝「買い出しは男子の仕事って決まってるでしょー」 セ「餃子はありませんの?」 葉「出店にねぇべ、そんなもん!」 舞「あ、もうすぐ花火始まりますよ」 桑「ちょ、ビール取ってくれ!」 ヒュルルルル ドーン・・・ 霧「花火より、周りの方が騒がしいわ」 苗「あははは…たまには、こういうのもいいじゃない。みんなで飲んだ方が楽しいよ」 霧「……まあ、そうね。この喧騒も、風流の一つと言えるのかしら」 苗「あの学校にいた頃は、こうしてみんなで飲めるなんて思わなかったなぁ」 苗「いつもみたいに二人で飲んでるのもいいけど、こうして大勢で飲むのも、ね」 霧「…私は、あなたと二人きりの方が」 ヒュルルルルル ドーン・・・ 苗「え?何?」 霧「…たーまやー」 長月は月見 苗「お邪魔しまーす…」 霧「いらっしゃい。うちで飲むのは、かなり久しぶりね」 苗「や、そんなに気軽に女の子の家には上がれないです…」 霧「ベランダから、良い月が見られるのよ」 苗「…まだ夕方なんだけど」 霧「大丈夫よ。七輪と秋刀魚、茄子、キノコを用意したわ。食べるうちに夜になるでしょ」 苗「わ、秋の味覚だ! 奮発したね、霧切さん」 霧「……」 苗「……」 霧「焼いてちょうだい」 苗「だよね…」 苗「もう、自分で作れないからって僕を呼ぶんだもんなぁ」 霧「あら、自分でも作れるわ。ただ、あなたが作った方が美味しいのよ」 苗「はいはい」 霧(あなたが作ってる姿も、良い肴になるし) 苗「え?何か言った…って、なんでもう飲んでるの!?」 霧「人が頑張っている姿を見ながら飲む酒も、なかなか乙なものね」
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娯楽室…そこに一人の人物が椅子に座っていた 大神さくらである 彼女は誰もいない娯楽室で一人静かに毒薬を飲んだ 道場の皆と…仲間達を守るため… …ねぇ、これからどうなっちゃうのかな… ふと大神の頭の中で声がした 最愛の友人、朝日奈葵の声だ 大神はその声を聞き大切な事を思い出した… 大神「…思い出した…もうすでに道場は…外の世界は…」 …そう、外の世界は超高校級の絶望達にすでに滅ぼされていたのだ… …そして、大神たちは絶望から身を守るためにこの学園に自ら閉じ込められたのだった… …しかし超高校級の絶望は学園内に忍び込んでいた… …そして超高校級の絶望は自分達を含む全員を、16人以外の全員を殺したのだった… …そして超高校級の絶望は残ったものの記憶を奪って… …この殺し合いに参加させたのだった… 大神「…くっ…我は…もう存在せぬ道場を弱みに握られ… 黒幕に従っていたのか…」 大神は残念そうな表情を見せた しかしもう時すでに遅し… 大神の意識はだんだんと薄れ始めていった… …薄れ行く意識の中大神はある事を思い出していた… …記憶を消される…前日の事を… 朝日奈「…ねぇさくらちゃん…」 大神「…我にも…外を救う事はできぬ… 外の事は…力だけでどうこうできる問題ではないのだ…」 朝日奈「…外の事は仕方ないよ…私にだってどうしようもできないんだから…」 大神「…くっ…自分の力の無さが情けない…」 朝日奈「自分を責めるなんてさくらちゃんらしくないよ。 それよりさ、一つ約束してほしいことがあるんだ。」 大神「…約束してほしいこと…?」 朝日奈「もし、外の世界に出られる日がくるなら… かならず二人一緒に出ようね!!」 大神「…うむ。」 …あの時、確かにうなづいたのに… 大神の心は悔しさに満ち溢れた しかしその悔しさを振り払うかのようににっと笑顔をつくってこう言った 大神「朝日奈よ…すまぬ…約束を守れずに… …しかし…我の心はいつでもおぬしの心と一緒だ… だから…朝日奈だけでも…生き残って…外に出てくれ…約束だ…」 そして大神は息を引き取った …最後にしがない走馬灯を思い出しながらも…希望を残しながら…
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柔らかな感触。 それに触れたことはあっても、自らの唇で感じたことはなかった。 だって、触れたことがあるのは自分の唇だけだったから。 「……」 「……」 目の前の彼は呆然と立ち尽くしている。 床に尻餅をついた私はそんな彼を同じ表情で見上げていることだろう。 「…ごめんなさい、怪我は?」 ――先に口を開いたのは私。 感情を表さず、心を凍らせ、何も感じていないかのように振る舞う。 表情はすぐに引き締めて、努めて冷静に、膝に力を入れて立ち上がり未だに固まったような彼と視線を合わせ(若干私のほうが背は高いけど)そう訪ねた。 「……―――っい、いや、ボクは怪我なんて一つも…!」 ぶんぶんと効果音がつきそうなほどに勢い良く首を横に振る彼に、ほっと安堵の吐息を漏らし 「そう…ならいいの。ごめんなさい、こちらの不注意よ―――忘れて」 「それを言ったらボクの方こそちゃんと前を見てなかっ………へっ!?」 自然な流れで言ったはずなのだが、彼には通じなかったのだろうか。 露骨に溜息を漏らして、仕方ないともう一度口を開く。 「 わ す れ て と、言ったの。…ここまで言えばわかるわね?」 「で、でも忘れてって言われて忘れられるような……」 やっぱりわかっていない、色々とわかっていない。 彼の言葉を遮るようにぐっと顔を近づけて、威圧するように指を胸につきつける。 「もう一度言わせる気?」 「………はい…忘れます…」 それでいいのよ、だってこれはただの事故なんだから。 「そう……それじゃあね、苗木君」 「あ、うん…霧切さん、ホントゴメンね…」 ゴメンだなんて一体彼は何を言っているのだろう。足早に歩き出した私の後ろから聞こえる声に独り言ちる。 だって何も謝られるようなことなんかされてないし、していない。 そう、あんな感触は気のせいだから、あんな事実はなかったんだ。 人気がないのを気配で確認した後立ち止まり、未だに熱を持つように感触が残る唇を、無意識になぞるよう指を這わせる。 手袋に包まれた手は唇の柔らかささえも感じないはずなのに――。 「どう…して……」 どうして、こんなに胸がドキドキしているんだろう。 どうして、顔がこんなに熱いんだろう。 どうして―――。 「…っ―――」 全部、これがいけないんだ。 私は勢いよく腕で唇を拭く。擦り切れてしまうのではないかと思うくらい、忘れようとするかのように。 そして私は歩き出す―――甘い感触は消え、ヒリヒリとした痛みを伴う唇をきゅっと閉じて。 探偵にこんなもの必要ない。 私の目的は唯一つだから。 雪の下からそっと芽吹くような暖かさは再び心を閉ざすことで忘れ、今度こそ立ち止まらずに私は捜査に戻った。