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友を失った時、彼はなにを想ったか。 彼の『愛してる』を知った時、彼はなにを想ったのか。 答えはきっと、すぐそこにある。 ☆ 「...なるほど、事情は相分かった」 高坂麗奈が月彦に怪物にされており、茉莉絵に襲い掛かった。 その茉莉絵もまたゲームに賛同していたものであり、且つ月彦に怪物にされた。 茉莉絵を抑え込むためにアリアが捨て身の覚悟で彼女を引き離した。 そして人食いの本能に抗えなかった麗奈がヴァイオレットに噛みつき、しかし殺さず逃亡。 ヴァイオレットの語った顛末はこんなところだった。 「少なくとも茉莉絵殿と月彦殿は確実に『クロ』と言えるが...ひとつ確認しておきたい」 言いながら、オシュトルが視線をずらす先は、折原臨也。 「問おう、臨也殿。其方は茉莉絵殿のことを知っていたのか?」 警戒の色をふんだんに込めながらオシュトルは鉄線を突きつける。 共に怪物退治に赴き、こうして負傷者の治療を受け以てくれた相手に対し些か過敏ではあるかもしれないが、しかし、当然の対応と言えよう。 この遺跡の面々の中で、一番水口茉莉絵と接した時間が長いのは彼だ。 無論、会って精々数時間。騙されていた可能性も充分にありえる。 だが、もしも彼が知った上で遺跡の面子を排除する為に手を組んでいたのならば易々と隙を見せるわけにはいかない。 だからこうして脅しの意味も込めて真意を問いただす。 「あぁ、知っていたよ」 だが。 警戒心と敵意に晒されながらも折原臨也はへらへらとした面の皮を崩さず、あまつさえ肯定までしてみせた。 「誤解がないように言っておくけど、俺はあなたたちを殺そうとして彼女と一緒にいたわけじゃない」 「...その真意は」 「そうだね...かみ砕いて言えば、おれ個人の主義というやつかな」 「主義だと?」 一層濃くなるオシュトルの不満げな視線を意にも介さず、臨也はヘラヘラと続ける。 「俺は人間を愛している。性別も善悪も賢愚も優劣もなにひとつ区別なく平等に。人間すべてを愛している。 だから俺は誰の邪魔もしない。茉莉絵ちゃんが貴方たちを殺すために動いていても咎めないし、貴方たちが命を救おうとするのを見ても邪魔はしない。 人間がこの限界の状況でなにを見せてくれるのか―――俺はその全てを尊重し、肯定しているんだ」 「...まるで神様気取りの観察者のような口ぶりだな」 「神様?俺は人間だよ。ずっと、変わらずね」 どっちでもいいだろとオシュトルは内心でため息を吐く。 そう。彼が聞きたいのは臨也の価値観などではなく、現状での彼の立ち位置のみだ。 適当にはぐらかされても面倒だ、とオシュトルは自ら解を指定した。 「...とどのつまり。其方は我らの味方でも茉莉絵殿の味方でもないということか」 「その通り...と、言いたかったんだけどね。事情が変わった。茉莉絵ちゃんは俺の『敵』だ」 「ふむ?」 「俺は人間のする行動も想いも答えも全てを肯定している。 たとえ、オシュトルさんやヴァイオレットちゃんがいまここで俺を殺しにきても、茉莉絵ちゃんが戻ってきて俺たち三人を殺しても全てを受け入れるよ。ある程度の抵抗はするけど、それはご愛敬ってやつさ。 けど、そんな俺にも絶対に看過できないことがある。化け物が人間を蹂躙すること―――これだけはいただけない」 『化け物。その単語を口にしたほんの一瞬だけ、臨也のヘラヘラとした顔が引き締まる。 「『化け物』は人間の想いも努力も感情も経験も容易く踏みにじる。こんな素晴らしい生き物を嘲笑い捻り潰してくる。 さっきの月彦さんなんかがいい例だろう?茉莉絵ちゃんはこれまで人として必死に頑張ってきた。友情愛情の関係にヒビを入れるために猫を被って。 爆弾の能力もどこをどうすれば効果的に使えるか、自分に被害が及ばないかを考えて。 そうやって自分が楽しめる為の土台作りを一生懸命にやってきたというのに、怪物の力はそれらを全部台無しにした。彼女にこれまでの全てを否定させて、ポンと手に入った怪物の力の方がイイと思わせ、茉莉絵ちゃんという人間そのものをめちゃくちゃにする....俺はそういうのが嫌いなんだ」 だからね、と言葉を切り、再び軽薄な笑みを取り戻す。 「俺は水口茉莉絵という『人間』を愛しているからこそ、『怪物』になった彼女にはご退場願いたいんだ」 臨也の持論にオシュトルは言葉を失う。 自分の快不快のままに、危険すら厭わない無謀さに。 偽ることすらなく告げたその幼稚な思考に。 (こいつの持論だと尻尾とか生えてるクオンやムネチカもどうなることやら...) 敵ではないようだが、少なくとも味方に置いておきたい人間でもないな、とオシュトルは思わざるをえなかった。 「と、まあこんなところで、俺は月彦さんと茉莉絵ちゃんを排除する為に動く予定だけど、オシュトルさんとヴァイオレットちゃんはどうするつもりだい?」 「某は降りかかる火の粉は払うつもりでいる。あの二人は確かに危険故、排除することに異論はない」 オシュトルは心の中で『自分だけだったら関わらずに奴らを放置してもいいんだがな』と付け加える。 もしもこれが『ハク』一人の問題であれば「危険なことはできるやつにやらせておけばいい」と嘯いて下手な手出しは避けるところだろう。 だが『オシュトル』としてはそうはいかない。 率いる命が、立たねばならぬ立場があれば後の憂いに繫がる種を放置する選択肢は取れない。 それに幸か不幸か、戦場に慣れすぎた。 極力殺生は望まないとはいえど、己の邪魔立てをする者に遠慮も配慮も抱けない。 「...臨也様とオシュトル様のお気持ちも理解できます」 ヴァイオレットは面持ちを暗くしたまま、ぽつりとそう呟く。 人間、我が身が可愛いのは当たり前で、護るべき者がいるならなおさらだ。 害してくる者を排除するのは決して間違いではない。 「けれど...」 けれど。 ヴァイオレットは少佐に教えられてしまった。 心の壊れた道具にも愛してると言ってくれる人のことを。 ヴァイオレットは学んでしまった。 どんな人にも、大切だと言ってくれる人がいることを。 たとえいまはいなくても、そう言ってくれる人がいれば変われることを。 『オメエはオメエのやりたいことをやりゃいいんだからよ』 「けれど、私は―――」 「っと、少し時間をかけすぎたね。アリアちゃんを探しにいかないと」 竜馬に会った時にかけられた言葉に後押しされるように答えを返そうとしたヴァイオレットを、しかし臨也が遮るようにアリアの捜索を提案する。 アリアが茉莉絵を引き受けてから、既に一時間は経過している。 どのような形にせよ決着はついている可能性は高いし、茉莉絵の体質状、その結末も凡そ察しはつく。 しかしだからといってアリアを諦める訳にはいかない。 生きている可能性が僅かにでもあれば見捨てるわけにはいかない。 そう、オシュトルとヴァイオレットは思っている。 「とはいえ、近くに怪物共がいるかもしれない。オシュトルさん、俺とヴァイオレットちゃんが探しにいってくるからそこの彼を頼めるかな?」 臨也の示す、そこの彼とは、未だに目を覚まさないロクロウ・ランゲツ。 現状、臨也・オシュトル・ヴァイオレットの中でコンディションも含めて一番戦えるのはオシュトルだ。 彼をロクロウの護衛に着かせて、捜索中に襲撃される可能性も考慮し残る二人でアリアを探しに行く。 特段、不審がる点もないため、オシュトルは了承し、ヴァイオレットと臨也は部屋を後にする。 「...はぁ」 一人残されたオシュトルは溜息を吐く。 まただ。またたくさんの問題が増えた。 この会場に連れてこられた直後は首輪を解除しアンジュら仲間たちと共にこの催しから生還する、程度のぼんやりとした形だったというのに。 それがこの数時間でなんだ。 謎のゲッターロボ、ここにいる自分が偽物かもしれない説、ロクロウの受けた毒と思しきものの治療、茉莉絵や月彦らの強力な参加者、だけでなくヴライやマロロへの対処。そして折原臨也の扱い方。 一気に増えすぎだ。 「とても一個人に数時間で処理させる量の仕事じゃないだろう...時間外労働手当でも貰わんとなこりゃ」 「安心しな。そのうち一つは俺の問題だ」 ポツリと零した『ハク』としての弱音を拾うように快活な声が背後より聞こえた。 ロクロウ・ランゲツ。いつの間にか目を覚ましていたのか、その顔には疲労の色を見せずすぐにベッドから起き上がる。 「ロクロウ。無理はするな、其方は毒らしきものを月彦に盛られている」 「知ってる。このままじゃ俺は死ぬってこともな」 起き上がるなり、ロクロウは立てかけてあった號嵐の影打ちを手に取り、すぐに装着する。 「垣根の奴に教えてもらった。あの男、鬼舞辻無惨は攻撃と一緒に毒を盛るから下手に攻撃を受けるなと。...まあ、気を付けてはいたんだが、そううまくはいかないわな」 「ならば猶更安静にしておくべきだろう」 「そうもいかん。解毒剤は垣根が持っているし、他の手段があるかもわからん。となれば、解除できる可能性があるのは、俺が死ぬ前に鬼舞辻無惨を倒すことくらいのようだ」 「それならばあの二人を待ってからの方がいいのでは?」 「悪いがそれはできん。俺はあれだけ強いやつは一人で戦って食らいたい。それに、俺とあいつらはどうにも合いそうにない。あの折原ってやつは化け物を敵にまわすと言っているだろ?なら業魔の俺とも組むのなんかは勘弁したいだろう。ヴァイオレットに関しては、わかるな?」 「...ああ」 ロクロウの言葉にオシュトルは同意する。 臨也とは会ってまだ一時間弱程度であり、ヴァイオレットともそれよりは長いとはいえまだ半日にも満たない付き合いだ。 それでも、彼らがどういった目的で動いていて、どういう人間なのかはおおよそ把握できた。 臨也はあれだけ嫌う化け物であるロクロウとは手を組めないだろう。 百歩譲って組むとしても、ロクロウの願望など知ったことじゃないと言わんばかりに無惨とロクロウ、両者に悔いが残るように流れを作るだろう。 ヴァイオレットはもはや水と油だ。 臨也に遮られた返答が如何様なものだったかは考えるまでもない。 恐らく、麗奈はおろか、茉莉絵や無惨ですら殺したくない、といった旨だろう。 シグレのみならず強者と刃を交えたいロクロウとは決して噛み合うはずもない。 となれば、ロクロウが一人で無惨を探しに行こうとするのも無理はない話だ。 オシュトルとしても、首輪回収を頼んでいた件もあり、ロクロウが一人で戦いに向かうことに異論はない。 むしろ他の反主催派と余計な対立をするくらいならそちらの方が好都合というものだ。 ヴァイオレットには申し訳ないと思いつつも、オシュトルはこれ以上彼を引き留めようとはしなかった。 「しかし随分と察しがいいな」 「ヴァイオレットが事情を話してる時には起きていたからな。寝たふりして様子を伺ってた」 「気のまわる漢だ」 戦いの時もそうであってくれと思いながら、オシュトルはヴァイオレットたちが戻ってくるまでの間、ロクロウとの簡易的な情報交換を始めるのだった。 【E-4/大いなる父の遺跡/病室/夕方/一日目】 【オシュトル@うたわれるもの 二人の白皇】 [状態]:健康、疲労(大)、全身ダメージ(中)、強い覚悟 [服装]:普段の服装 [装備]:オシュトルの仮面@うたわれるもの 二人の白皇、童磨の双扇@鬼滅の刃 [道具]:基本支給品一色、工具一式(現地調達) [思考] 基本:『オシュトル』として行動し、主催者に接触。力づくでもアンジュを蘇生させ、帰還する 0:一先ず、ロクロウと簡易的に情報交換をして、状況を整理する 1:ロクロウを蝕んでいる毒(無惨の血)の治癒方法を探る 2:首輪解除に向けて、首輪の緊急解除コードを探る 3:『レポート』の内容は整理しておきたい 4:クオン、ムネチカとも合流しておきたい 5:マロロ、ヴライ、無惨を警戒 6:ゲッターロボのシミュレータについては、対応保留。流竜馬とその仲間を筆頭に適性がありそうな参加者も探しておきたい。 7:殺し合いに乗るのはあくまでも最終手段。しかし、必要であれば殺人も辞さない 9:『ブチャラティ』を名乗るものが二人いるが、果たして……。 10:誰かに伝えたい『想い』か……。 [備考] ※ 帝都決戦前からの参戦となります ※ アリア、新羅と知り合いの情報を交換しました。 ※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。 ※ 首輪の説明文を読みましたが、「自分たちが作られた存在」という部分については懐疑的です。 ※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『003』がミカヅチであることを認識しました。 【ロクロウ・ランゲツ@テイルズオブベルセリア】 [状態]:全身に裂傷及び刺傷(止血及び回復済み)、疲労(極大)、全身ダメージ(極大)、反省、感傷、無惨の血混入、右腕欠損 [服装]:いつもの服装 [装備]: オボロの双剣@うたわれるもの 二人の白皇、ロクロウの號嵐(影打ち)@テイルズ オブ ベルセリア [道具]:基本支給品一色、不明支給品0~2 チョコラータの首輪@バトルロワイアル [思考] 基本:シグレ及び主催者の打倒 0: ヴァイオレットたちが戻ってくる前にオシュトルと簡単な情報交換をする。その後、一人で無惨を探しだして斬る。 1: 手に入れた首輪を、オシュトルの元へ届ける 2: シグレを見つけ、倒す。 3: 號嵐を譲ってくれた早苗には、必ず恩を返すつもりだが…… 4: ベルベット達は……まあ、あいつらなら大丈夫だろ 5: 殺し合いに乗るつもりはないが、強い参加者と出会えば斬り合いたいが… 6: シドー、見失ってしまったが、見つけたら斬る 7: 久美子達には悪いことしちまったなぁ…… 8: マギルゥ、まぁ、会えば仇くらい討ってはやるさ。 9: アヴ・カムゥに搭乗していた者(新羅)については……。 [備考] ※ 参戦時期は少なくともキララウス火山での決戦前からとなります。 ※ 早苗からロクロウの號嵐(影打ち)を譲り受けました。 ※ オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。 ※ 垣根によってマギルゥの死を知りました。 ※ 無惨との戦闘での負傷により、無惨の血が体内に混入されました。解毒を行わない限り、数時間以内に絶命します。 ☆ 「アリア、さま...」 アリアが落下した場所を思い返し、やがて現場に辿り着いたヴァイオレットは息を呑んだ。 全身を焼かれ、手足が吹き飛ばされ、心臓部に風穴を空けられ血だまりに沈む死体。 神崎・H・アリアは目を見開き、苦痛に顔を歪ませながら息絶えていた。 「うぅ、あ」 ヴァイオレットはその場にがくりと膝まづき、俯いた顔からはぽたりぽたりと涙が零れ落ちる。 失ってしまった。 傍にいたのに、庇われるだけでなにもできなかった。 アリアは優しく強い少女だった。 関わった時間は少なかれど、正義感が強い善き人だと思っていた。 そんな彼女が、このような惨い死に様を晒していいはずがない。 「アリア、さま...アリア様...!」 「...これが化け物だよ、ヴァイオレットちゃん」 泣き崩れるヴァイオレットの肩に寄り添うように、臨也は片膝を着き、ヴァイオレットの耳元に顔を寄せる。 「アリアちゃんは君たちを護る為に化け物と一人で対峙した。武偵という立場に誇りを持ってね。 爆弾を撒き散らす化け物にも畏れなかった素晴らしい人間だ。彼女が俺たちと別れたほんの少しの間になにを想い、行動したのかを見届けられなかったのは非常に惜しい―――そんな彼女を、化け物は玩具にして殺したんだよ」 「ヴァイオレットちゃん、きみがさっき言いかけた答えはわかってる。月彦さんも茉莉絵ちゃんも殺さずに事を済ませたいんだろう? けど、現実はこうだ。彼らはきみの、『人間』の事情なんて知ったことじゃない。己の気の向くままに人を壊し台無しにしていく...そんな彼らを、それでもきみは護りたいかい?」 耳元で囁かれた臨也の言葉にヴァイオレットは目を見開き、顔を上げる。 袖で目元を拭い、臨也を見つめ、そんな彼女を臨也も見つめ答えを待つ。 沈黙。 微かな風の音を背景に、二人の男女はただじっと見つめ合い、次の言葉を待つ。 やがて口を開いたのは、ヴァイオレット。 「臨也様」 けれどその言葉は臨也の望んでいた解答ではなく。 「臨也様は、悲しんでおられるのですね」 臨也の心に寄り添うような言葉だった。 「...悲しんでいる?俺が?」 思わぬ言葉に、臨也はきょとんとしてしまう。 臨也は人間を観察するのが趣味だが、しかし、観察するのは彼の専売特許ではない。 ヴァイオレットエヴァーガーデンら自動書記人形は、依頼者の言葉を単に紙に打つだけでなく、その言葉の裏に籠められた気持ちや仕草から感情を読み取ることを要求される。 憎々し気に放つ言葉は本当にそのままの感情しかないのか。ありがとうという言葉にはどれだけの想いが込められているのか。 それらを読み取るには相手の観察と理解は必須である。 ヴァイオレットは違和感を抱いていた。 臨也は人間の行為も決断もすべてを肯定すると言っていた。 たとえ、己の想定する答えにそぐわなくとも、それを肯定し矯正することもしない。 それが全てを肯定するということ。 なのに、いまの臨也は違う。 アリアの件をダシにヴァイオレットの決意を遮り。 そしていまは明確に化け物への敵意を煽ろうとしている。 ヴァイオレットが化け物も殺したくはないという意志を挫こうとしている。 それはなぜか。 思い当たるのは一つしかない。 岸谷新羅。 臨也の友達の死。 彼の死に化け物が絡んでいるから、そうせずにはいられなかった。 化け物と敵対せずにはいられなかった。 ヴァイオレットは、臨也という人間を観察した結果、そう捉えた。 (...俺は悲しんでいるのか?) 口元を掌で覆いながら臨也は自問する。 思い返せばらしくないことをしている。 オシュトルに詰められた先ほども、別にいくらでもはぐらかすことはできた。 あそこまで懇切丁寧に化け物へのスタンスを自白する必要はなかった。 そしていまのヴァイオレットへの対応も。 自分は確かにある程度の扇動をして誘導することはある。 だがそれはあくまでも場を整える程度のモノであり、対象の心理にまで扇動はしない。 そんなことをしてもその人間の真理は計り知れないからだ。 だがいまはどうだ。 人を殺す、なんて『人間』でもやることを化け物がやったと強調し。 ヴァイオレットの決意が苦しいものでしかないと暗に示し。 明確に化け物への敵意を煽ろうとしていた節が見受けられる。 それは、ヴァイオレットの言う通りに悲しんでいるからなのだろうか。 岸谷新羅という友人を化け物に殺された。 その喪失を悲しみ嘆いているからなのか。 「...調子が狂うなあ」 「臨也様?」 「いや、きみのことじゃない。むしろ俺という人間を観察してくれたことに礼を言うよ。自分じゃ気づけないものもあるからさ」 ぽつりと出た言葉は、あの友人に向けて。 彼が殺されて悲しい。確かにその気持ちもあるかもしれない。半分くらいはそうなのかもしれない。 けれどそれだけに非ず。 抱いている感情は、最期まで自分へと見向きもしなかった新羅の瞳に映っていたモノに向けて。 他者に一切興味のなかった新羅をあそこまでの狂気と凶行に駆り立てた化け物。 今まではさしたる嫌悪を抱いておらず、便利な情報屋としてしかみていなかった『化け物』セルティ・ストゥルルソンへの―――『嫉妬』。 それが、臨也の化け物への敵意をさらに煽り、他者にも共感させようとらしくない行動をとっていた。 岸谷新羅の存在は、臨也にとって自覚している以上に大きい存在であった。 (...本当に友達がいのないやつだよ、お前は) ☆ 友を失った時、彼はなにを想ったか。 彼の『愛してる』を知った時、彼はなにを想ったのか。 答えはすぐそこにあった。 けれどそれは誰にも伝わることはなく、彼の中にひっそりとしまわれた。 たとえようのないその想いを掬い上げられた時、彼は、今までの彼でいられるのだろうか。 【E-4/大いなる父の遺跡/夕方/一日目】 【折原臨也@デュラララ!!】 [状態]:疲労(中)、全身強打、右拳骨折、言いようのない喪失感 [服装]:普段の服装(濡れている) [装備]: [道具]:大量の投げナイフ@現実、病気平癒守@東方Projectシリーズ(残り利用可能回数0/10、使い切った状態)、まほうのたて@ドラゴンクエストビルダーズ2、マスターキー@うたわれるもの 二人の白皇、不明支給品0~1(新羅) [思考] 基本:人間を観察する。 0:ひとまずオシュトルたちのところへ戻る。 1:『レポート』の内容は整理したいね 2:首輪解除に向けて、首輪の緊急解除コードを探る 3:茉莉絵ちゃんは本当に面白い『人間』だったのに...残念だよ。 4:平和島静雄はこの機に殺す。 5:『月彦』は排除する。化け物風情が、俺の『人間』に手を出さないでくれるかな。 6:佐々木志乃の映像を見た本人と、他の参加者の反応が楽しみ。 7:主催者連中をどのように引きずり下ろすか、考える。 何が目的なんだろうね? 8:『帰宅部』、『オスティナートの楽士』、佐々木志乃に興味。 9:ロクロウに興味はないが、共闘できるのであれば、利用はするつもり。 [備考] ※ 少なくともアニメ一期以降の参戦。 ※ 志乃のあかりちゃん行為を覗きました。 ※ Storkと知り合いについて情報交換しました。 ※ Storkの擬態能力について把握しました ※ ジオルドとウィキッドの会話の内容を全て聞いていました。 ※ 無惨との情報交換で、第一回放送時の死亡者内容を把握しました。 ※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。 ※ 首輪の説明文を読みましたが、「自分たちが作られた存在」という部分については懐疑的です。 ※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読みました。 ※ 無惨を『化け物』として認識しました。 【ヴァイオレット・エヴァーガーデン@ヴァイオレット・エヴァーガーデン】 [状態]:全身ダメージ(大) 、肩口及び首負傷(止血及び回復済み) [服装]:普段の服装 [装備]:手斧@現地調達品 [道具]:不明支給品0~2、タイプライター@ヴァイオレット・エヴァーガーデン、高坂麗奈の手紙(完成間近)、岸谷新羅の手紙(書きかけ) [思考] 基本:いつか、きっとを失わせない 0:オシュトルたちのもとへ戻りアリアのことを報告する。 1:お嬢様……どうかご無事で... 2:主を失ってしまったオシュトルが心配。力になってあげたい。 3:麗奈と再合流後、代筆の続きを行う 4:手紙を望む者がいれば代筆する。 5:ゲッターロボ、ですか...なんだか嫌な気配がします。 6:ブチャラティ様が二人……? [備考] ※参戦時期は11話以降です。 ※麗奈からの依頼で、滝先生への手紙を書きました。但し、まだ書きかけです。あと数行で完成します。 ※ オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。 ※ アリア、新羅と知り合いの情報を交換しました。 ※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。 ※ 首輪の説明文を読みましたが、「自分たちが作られた存在」という部分については懐疑的です。 前話 次話 明日を信じて 投下順 ニンゲンだから 前話 キャラクター 次話 狂騒曲の終末に 折原臨也 一虚一実 狂騒曲の終末に ロクロウ・ランゲツ 一虚一実 狂騒曲の終末に オシュトル 一虚一実 狂騒曲の終末に ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン 一虚一実
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神無月の巫女 ハアハアスレ投下もの 「月の巫女の切なき想い」 「昨晩は寒かったわね、姫子は大丈夫?風邪引いたりとかしてない?」 薔薇の園での出来事、千歌音に話しかけられ胸の高鳴りが大きくなる姫子 「うん、昨日はね、マコちゃんと一緒に寝たの、凄く温かくて・・・大丈夫だったよ、マコちゃんの温もりを肌で感じたから・・・」 「早乙女さんと・・・?そう・・・仲が良いのね」 「う、うんマコちゃんとはね、よく一緒に寝るの・・・お風呂も背中の洗いっことかしてるし、学校では私の一番の友達だよ」 「そう・・・ふふ、ちょっと妬けるわね、私が嫉妬だなんてらしくないだろうけれど」 それは本心からだった、私の知らない姫子を早乙女さんは知ってる、無邪気に話す姫子だが、早乙女さんの腕に抱かれながら眠る姫子を想像し・・・少し苛立つ 「ち、違うよ!!私とマコちゃんはそんな関係じゃないの・・・ただのお友達だよ、誤解とかしちゃだめだよ!千歌音ちゃん怒っちゃやだ・・・」 「わかってるわ・・・でもごめんなさい、私・・・貴女のことになるとついムキになっちゃうのね、貴女が他の人と親しくしてるとつい・・・嫉妬しちゃうのね」 「千歌音ちゃん・・・!?ち、千歌音ちゃん・・・」 千歌音の両腕に抱き締められ頬を赤く染める姫子 「好きよ姫子・・・ほんとならお昼休み以外も2人で逢いたいわ、でも」 「うん、私も好きだよ千歌音ちゃん・・・でも私と千歌音ちゃんじゃ立場が全然違うから、千歌音ちゃんは皆の大切な人だから」 「ええ、でも貴女を好きであることに変わりはないわ、愛してるわ・・・姫子 「千歌音ちゃん・・・うん」 2人は弁当箱を片付けると・・・静かに見つめ合い・・・キスを交わした
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純なる想いを叶える智 京太郎×衣×智紀×純 衣の人 第4局 400~ 457 純なる想いを叶える智2/8 「困った・・」 沢村智紀は道すがら途方にくれていた、何が理由かと言えば目の前にあるキャリーバッグで、何時もはその底についているはずの左右四つの車輪、しかし今は右の二つのみ、簡潔に言えば車輪が外れたのだ。 「何かにぶつかったのか・・って、今はどうでもいい」 それなりに丈夫なはずの物が何故壊れたのか気になった智紀だが、それよりも先に考えなければならない事があった。 「さて・・」 バッグを開けて中身を覗く智紀、当然自分の知っている中身と変化している訳も無く、そこにあるのは本、本、本、大量の本が入っていた、それは同時にこのキャリーバッグがそれなりの重さがある事を意味していた。 「すぅ・・はぁ・・、うっ・・」 深呼吸をし息を整え覚悟を決めてキャリーバッグを持ち上げる智紀、見事に持ち上がったのだが、右に左にとよろけてしまう。 「お、重い・・うっ、はぁぁ」 想像していたよりも重さに、一旦キャリーバッグを地面に下ろして智紀は大きく溜め息をついた。 「どうする?」 自問する言葉、しかし本来の引いて帰ることができないならば、キャリーバッグを抱えて帰るか、あるいは引きずって帰る選択肢しか思いつかない、とは言え持つのが辛い以上、それは選択肢と呼べる代物では無かった。 「はぁぁ、仕方ない・・」 「沢村さん?」 「うん・・、須賀・・京太郎?」 智紀が諦めて引きずって帰ろうとした、その時、名前を呼ばれたので振り返ると、そこに居たのは智紀の友達の恋人で、智紀も良く知る男性、須賀京太郎であった。 「こんにちは・・って、どうしたんですか、それ?」 挨拶もそこそこに京太郎が指差したのは、片側の車輪がなくなり不恰好になってしまったキャリーバッグだった。 「・・・壊れた」 「それはまあ・・見れば、しかし何故?」 智紀の答えは間違いではない、間違いではないが京太郎が聞きたかったのは何故こんな特殊な壊れ方をしたかだ、しかしそれは聞くだけ無駄なこと、なぜならば。 「急に車輪が外れた・・いや、割れた・・というべきか・理由は不明・・」 智紀自身にも理由はわからなかったからだ、分からない事を説明できるわけも無く、出来ること言えばポケットから取れた二つの車輪を取り出して京太郎に見せる位。 「本当だ・・見事に折れていますね」 問題の車輪はというと、京太郎の言う通り見事なほどに根元がぽっきりと折れていた。 「ここまで見事だと清々しくもある、しかもこんな日に限って大量の本を購入・・はぁぁぁ」 皮肉そうな笑みを浮かべながら車輪をポケットに戻す智紀は、溜め息をつきキャリーバッグに手を伸ばす、すると隣から出てきた手が智紀より早くキャリーバッグに手を掛けた。 「えっ?」 突然の事態に驚いた智紀は自然と伸びてきた手を目で追う、その先にいたのは、その手の持ち主は当然。 「うん、これだと重くて大変でしょう、俺が持ちます」 京太郎だ、京太郎はキャリーバッグを持ち上げて重さを確認し、女性の力では持ち帰るのが大変だと認識して手伝いを申し出た、その思いもよらぬ事態に智紀は黙って考え込む。 (悪戦苦闘していたから、正直ありがたい・・けど、須賀京太郎は衣の恋人であって、私とは・・顔見知り程度、それなのに・・手伝ってもらっていいのかな?) 苦労していた智紀にとって京太郎の申し出は願ったり叶ったりであったが、親しいとは言えない自分が京太郎の力を借りても良いのかという迷いもあった。 (もしかして俺、迷惑がられているのか?、あんまりしつこくするのもなんだよな・・よ、よし)「えっ~と、その・・迷惑なら、気にせずに言ってくれれば」 黙って考え込む智紀を見て、自分の行為が迷惑なのではないかと思い始める京太郎は、それなら断りやすくしようと自分から言い出すのだが。 「迷惑ではない!、あっ、いや・・その・・・困っていたからた、助かる」(な、なんで・・大きな声で、でも・・め、迷惑な訳ないから・・勘違いしてほしくない) すぐさま京太郎の言葉を否定する智紀、思わず出てしまった大きな声に自分でも戸惑いながら、最後に小さく迷惑で無いと事を告げる。 「ふぅ、それなら俺が持ちますね」 「・・うん、お願いする」 迷惑で無かった事に安心して胸を撫で下ろした京太郎、智紀もあそこまで言って今更断る気にもなれず、素直に京太郎の助けを受けることにした。 「じゃあ行きましょうか・・って、すみません、どこまでですか?」 智紀にお願いされて勢いよく歩き出そうとした京太郎であったが、肝心の目的地を聞いていないことを思い出して苦笑しながら訪ねる。 「ぷっ・・・龍門渕家まで・・お願い」 そんな京太郎を見て、智紀は噴出しそうになりながらも何とか耐え切り目的地を告げた。 「わかりました、じゃあ行きましょうか」「うん・・」 そう言って歩き出した京太郎に、智紀も続いて歩き出す。 京太郎と智紀の間に特に会話は無く、龍門渕家に向う二人の間に流れるのは沈黙のみ、最初は特に気にしていなかった京太郎であったが、十分が過ぎようとした頃。 (どうしよう何か話したほうが良いかな・・・でも、何を話せば、麻雀は・・無理か、俺と沢村さんじゃレベルが違うよな、なら・・衣の事かな・・) さすがに何か話した方が良いのではないかと思い始め、話題を考えるものの、あまり話しをした事の無い智紀相手に京太郎が頭を悩ませていると。 「一つ・・聞いても良い?」 「あっ、はい、なんでも聞いてください」(た、助かった・・このまま龍門渕家に付いたら何か微妙だったからな・・) 突然沈黙を破り問いを投げかけてきた智紀、しかし沈黙をどうするか迷っていた京太郎にとってそれはありがたいもので、すぐさま智紀の質問に答える意思を見せた。 「何故・・私を助けた?」 「えっ、何故って言われても、う~~ん・・知り合いなのもありますし、沢村さんは衣の大切な友達ですから・・」 まさかそんな質問が来るとは思わなかったか、少し戸惑いながらもそれらしい理由を探して答える。 「そう・・」(衣の友達・・嬉しいような・・そうでないような・・って、あれ・・私なにをがっかりしている?) 衣の友達、それは十分すぎる理由のはず、そう理解しているはずなのに智紀の心はすっきりとせず、どこか寂しい気持ちを覚えた。 (もしかして・・駄目だったか、でも助けた理由なんて・・そんなにないし・・あとは、う~~ん・・あっ!) どことなく智紀が落ち込んだのを感じ取った京太郎は、何か他に理由になりそうなことを探し何かを思いつく。 「後はやっぱり・・・綺麗な人が困っていたら絶対助けなくちゃってのが・・」 冗談めいた口調で語る京太郎、その訳の中で智紀はある一部分に引っかかりを覚え、首をかしげて考え込む。 「綺麗な人が困っていたら?、綺麗な人が?・・綺麗な・・ひと・・綺麗!?」 引っ掛かりを覚えた部分を何度か繰り返し、今現状で『綺麗な人』を指すのが自分だと理解すると智紀の顔は火がついた様に真っ赤に染まる。 (き、綺麗・・須賀京太郎がわ、私を綺麗って・・・)「ええっ!?」 頭の中で京太郎の声がリピート再生され、改めてその意味を理解すると、智紀は心臓がドクンと大きく脈打つのを感じた。 (わ、私の事を・・ほ、褒めてくれた!?) 智紀は容姿を褒められたことなど殆ど、いや覚えが無かった、人より劣るとも勝るとも思っていない、むしろそんな事に興味が無かったというべきか、それなのに京太郎に容姿を褒められた今、鼓動が早くなり心が掻き乱されていた。 (・・ほ、褒めてくれた・・須賀京太郎が、私を・・あっ) でも、考えたことすらなかったからだろうか、京太郎のその言葉に不安を覚えたのは。 (お・・お世辞かもしれない、あるいは・・社交辞令?、いや・・でも・・) どちらも先ほどの綺麗という言葉を否定する意味に思える、京太郎を疑うわけではない、それでも、何故だろうか、どうしてもさっきの綺麗が、間違いでなかったのか確かめたくなってしまう智紀は口を開いた。 「じょ、冗談は良くない・・」(き・・きっと、冗談でお世辞・・) 智紀は頭の中で想像していた、こういえばきっと京太郎はああ言ってくるだろうと、そして。 「あっ・・やっぱり冗談ってわかりますか、あはは」 ある意味智紀の想像通り、京太郎は苦笑いを浮かべて少し悪びれた様子で頭を掻いていた。 「あ、当たり前・・わ、私が綺麗なはずが無い・・」(予想通りのはずなのに・・なぜこれほど、と言うか・・別にわかっているなら聞かなくても良かった・・筈、どうして・・) 予想通りの答えに呆れた口調で冷静に返したつもりの智紀だったが、声は震えていた、心もまた震えていた、そんな自分の動揺具合に驚く智紀、そして何故態々確認したのかと言う後悔を覚え始めた、その時。 「えっ・・沢村さん綺麗じゃないですか?」 そう言って首をかしげたのは、今し方それを否定したばかりのはずの京太郎であった。 「???・・で、でもさっき冗談って・・」 智紀の脳裏に浮ぶのは疑問符ばかりで、最後にようやくその疑問が形となって口から出てきた、だがそれを聞いた京太郎は再度首を傾げながら口を開いた。 「いや・・だから、絶対助けるって言うのが冗談ですよ、さすがに絶対は言いすぎだと思いますから」 「つまり・・私が考えていた冗談と、京太郎の言った冗談は別・・な、なら・・」(ど、どうする、態々確認してあっちまで冗談ですって言われたら・・で、でもあ、あの言い方なら大丈夫なはずだから・・) 京太郎の説明を聞いて、自分と京太郎の話のズレを理解した智紀は改めて確かめようとするが、先ほど覚えた後悔が足を引っ張ると、なんとか大丈夫だと自分自身に言い聞かせて踏み込もうとしたのだが、その問いを口に出す前に。 「えっ~と、よくわかりませんが、沢村さんは綺麗ですよ」 京太郎が笑顔で、智紀が聴きたかった言葉を口に出した。 「・・っっ!?」(す、すが・・須賀京太郎が・・わ、私を・・き、綺麗・・こ、今度は・・ま、間違えなく・・ど、どきどきするけ・・けど、い、嫌じゃない・・) 思わぬ不意打ちに焦る智紀、鼓動は先ほどよりも強く激しく脈打つ、あまりのドキドキに苦しさすら感じる智紀だが、それが嫌だとは微塵も思わなかった。 (この感覚は・・まさか?) ネットか本、何かで得た知識の中に今の自分と類似する説明のされていた感覚、それを思い出す智紀、しかし普段は疑わないはずの知識を疑ってしまうのは、それがあまりに信じ難いが為か。 「黙り込んでいますけど・・どうかしましたか?」 黙りこんでいるのを心配した京太郎は智紀の顔を覗き込む。 「っっ!?・・・な、なんでもない!」(び、びっくりした・・し、心臓に悪い・・) 目の前に突然現れた京太郎の顔に驚く智紀、心臓が口から飛び出さんばかりにドクン!ドクン!と激しく脈打つ。 (お、驚いたけど・・こ、これは・・違う・・こ、これは・・おそらく・・) 智紀自身もわかっていた、ただ驚いただけの鼓動と今のそれが違っていることに、ちらりと京太郎の顔を見ればやはり鼓動が高鳴るのを感じる。 (わ・・私は・・す、須賀京太郎を・・) 「・・俺の顔に何かついています?」 智紀の視線を感じたのか、自分の顔を指差し尋ねる京太郎。 「うっ・・あっ、ち、違う・・ついてない、そ、その・・・・あっ、そ、そう、そのビニール袋の中身が何かと思ったから・・」 まともに見合うことができず、京太郎の顔から視線を逸らす智紀、ついでに話題も逸らそうと辺り見回すと、京太郎がキャリーバッグとは反対の手にビニール袋を持っているのに気付き、それを指差す。 「えっ・・ああ、これですか?」 確認するように、ビニール袋を智紀に見せる京太郎。 「そ、そうそれ・・少し気になった、良ければ・・だけど、何の本?」(す、少し・・踏み込みすぎ?) いくら知り合いとは言え、袋の中身を訪ねたら気分を害するかもしれない、そんな些細な不安を抱きながらも、智紀はこれ以上自分の内心がばれないように必死に訪ねる。 だがそんな智紀の不安を余所に、京太郎は少し照れくさそうな笑みを浮かべて答えた。 「これは絵本ですよ」 「絵本・・あっ・・」 京太郎と絵本の組み合わせに首を捻りそうになる智紀だが、直ぐにそれが誰のために買われた物かを理解した、そして京太郎も智紀の態度から、理解したことを読み取った。 「ええ、この前に衣の部屋で読んだのと似た雰囲気の絵本があったんで、それで・・でも、絵本って買うのを初めてで・・衣が気に入ってくれれば良いんですが」 不安を口にする京太郎、それを聞いていた智紀の鼓動は徐々に落ち着きを取り戻す、でもそれは決して呆れたからでも、嫌いになったからでもない。 智紀は京太郎の肩に手を置いて笑う。 「・・・大丈夫、須賀京太郎からのプレゼント、衣が喜ばないわけが無い」 「ありがとうございます、沢村さんにそういわれると、自信が出てきました」 智紀に元気付けられた京太郎は、すっかり自信を取り戻し様子で笑みを浮かべる、そんな会話がちょうど終わろうとした時に、龍門渕家の大きな門が見えてきた。 「と、つきましたね」「うん、今開ける」 龍門渕家の正門前に着くと、智紀はインターホンを押して正門横の通用口を開けてもらい、京太郎と智紀はそこから龍門渕家の敷地内に入った。 「・・・ありがとう、助かった」 「あれ、そこまで運びますよ?」 敷地内に入ると直ぐに礼を言って両手を差し出す智紀、ここまでで良いと言う意味なのだろうが、建物までの距離が距離のため京太郎はもう少し運ぶ気でいたのだが、智紀はゆっくりと首を横に振った。 「ここまでで十分だから、早く衣のところに行って・・それをプレゼントすると良い」 「えっ、でも・・」 車輪が壊れて途方にくれていた智紀を考えれば、幾等先ほど帰り道より短いといっても、素直に渡す気に離れない京太郎だったが。 「私は・・私は須賀京太郎と衣の関係を応援しているから・・」 (沢村さん、そこまで俺と衣の仲を・・仕方ないか、あんまりしつこくしてもなんだし・・) そこまで智紀に言われては、京太郎も無理に送ってゆく事も出来ず、また龍門渕家の敷地は広く送れば衣と過ごす時間が少なくなるのは事実、衣は気にしないだろうが、智紀は確実に気にしまうのは分かりきっていた。 「わかりました、それじゃあお言葉に甘えて衣の所に行きますね、ここに置きますね」 京太郎は智紀の言うことを聞いて、キャリーバッグを智紀の前に置いた。 「うん・・ここまでありがとう、本当助かった」 「どういたしまして、それじゃあ」 もう一度お礼を言われる智紀に見送られ、衣の住む邸に向かう京太郎、智紀は見えなくなるまでその姿を見送ると。 「・・・ふぅぅぅ」 溜め息をついた、当然京太郎と居るのが憂鬱だったわけではない、むしろその逆。 「・・あれ以上京太郎といたら・・まずい、私は須賀京太郎と衣の関係を応援しているのだから」 そう、先ほどの言葉は京太郎を説得する意味もあったが、それとは別に自分自身に言い聞かせる意味もあった。 (そう・・だから・・この思いは駄目、絶対に・・駄目) 京太郎に褒められた事を思い出すと、鼓動が少し早くなるが、それはいけない感情だと自らに言い聞かせた智紀は、自分の前に置かれたキャリーバッグの取っ手を掴む。 「さて・・お、重い・・やっぱり」(優しくて・・力も持ち・・それで、私を・・) 持ち上げてみるがやはりかなり辛い、一旦下ろして後で思い浮かべるのは平然とこれを持っていた京太郎の事、男性と女性の差はあるかもしれない、だがやはり思い出されるのは態々持ってくれた京太郎の優しさ。 「・・・だめ」 智紀が頭を振って振り払おうとするのは、再び浮びそうになる京太郎の言葉か、それとも。 「・・今日中に読まないと駄目・・・明日はきっと衣が自慢話をするから・・」 絵本の事を思い出して、それをプレゼントされた衣を想像すれば、明日にはきっと喜びに溢れた衣が麻雀部のメンバーに絵本を自慢しに来る図が智紀の脳裏に思い浮かぶ。 「・・ふぅ、行こう・・・」 衣の幸せそうな顔を思い浮かべると、智紀の鼓動は落ち着きを取り戻した、そして持ち上げることを諦め智紀はキャリーバッグを引きずって、京太郎とは違う方向に歩き出すのだった。 「お~~い、衣~~」 そう言いながら衣の住む邸の廊下を進むのは、部活が無いため暇を持て余していた井上純であった。 「お~い、衣~」 もう一度呼びかけるものの反応は返ってこず、邸に響くのは純の声のみ。 「暇だから・・遊んでやろうと思ったんだがな居ないのか?、それとも・・トイレか奥の部屋・・は無いか」 聞こえているのならば何かしら反応があっても良さそうなものだが、それが無いのは返事が出来ないところに要るのか、聞こえていないのか、それとも邸内に居ないのか。 「はぁぁ、ハギヨシが居ればわかるんだけどな」 溜め息混じりに愚痴を零す純、確かにここに世話役のハギヨシが居れば、衣がどこに居るかまでは知らなくても外出中か否か位は把握しているだろう、とは言え今はそのハギヨシも所要で出かけているため無理な話だ。 「虱潰しに探すのは・・無理だな、しゃあない、部屋だけ見て帰るか」 かくれんぼをしている訳でもあるまい、居るかどうかわからない衣を探すにはこの邸は少々広すぎるので、純は一番居る可能性の高そうな衣の部屋だけ確認しようと、部屋の戸に手を掛けた。 「お~い、衣さんや居ませんか~?」 「あっ・・やっぱり、井上さん」 戸を開けて声を掛けながら部屋の中に入る純、部屋の中から返ってきた衣の声ではなく京太郎の声であった、大きいソファーに腰掛けていた京太郎は立ち上がる事無く顔だけを出入り口に向けて、入ってきたのが純であると確認した。 「えっ・・須賀、あっ、わ、悪い邪魔した」(須賀が来ていたのか、そりゃ呼んでも出てこない訳だ、さすがに俺が居ても邪魔だろうしな・・) 恋人と楽しく過ごしていたのなら、自分の呼びかけに反応が無くても仕方ないと納得した純は、さすがに恋人との一時に一人で乱入する気にはなれず謝って直ぐに部屋を出ようとするのだが。 「あっ、井上さん、ちょっと待ってください」 「うん、なんだ?」 出てゆく直前で呼び止められた純が振り返ると、呼んだ本人である京太郎が立ち上がりもせず、ただ手招きをしてこっちにこいと呼んでいる様だった。 「なんだよ、邪魔したのは悪かったけど・・」(なんだ乱入したから怒っているのか?) 警戒しつつ京太郎に歩み寄る純、徐々に京太郎の近づいてゆき、京太郎の足、正確に言えば太ももを見て、なぜ京太郎が立てなかったのかを理解した。 「えっ、衣!?」 純の眼に飛び込んできたのは、京太郎の膝枕で規則正しいリズムで呼吸をしながら、気持ち良さそうに眠る衣の姿。 「寝ているのか・・なんで?」 「ああ、それはですね」 京太郎が遊びに来ていたらテンションが高まり、夜でも寝そうに無い衣が寝ていることに驚く純、京太郎はその疑問を説明するのに目の前の机に置いてある絵本を指差した。 「この絵本をプレゼントしたいんですけど、衣気に入ったみたいで、それで折角だから何回か読み聞かせていたら・・いつの間にか」 「なるほどな、そういや衣を寝かしつけるのに絵本が要るって、透華が言っていたな」 よく衣を寝かしつけている、龍門渕透華から聞いた話を思い出し納得する純。 「それで、すみませんが、ベッドの上にある・」「ああ、わかっている」 京太郎が頼み終える前に、純は何を頼まれるのかを理解し、ベッドの上に置かれている毛布を手に取り、衣を起こさないようにそっと上に掛けた。 「冷えるといけないなとは思ったんですけど立てなくて、ありがとうございます」 「気にするな、さすがにその状態じゃ無理だろうからな、ははは」 苦笑して礼を言う京太郎、純も膝枕している相手を起こさずに立ち上がるのは至難の業なのは分かっており特に気にしてはいないようだ。 「うっ・・きょうたろ~・・」 (あれ、起きちゃったか!?)(まずい、起こしちまったか!?) 衣が声を上げた瞬間、京太郎と純は五月蝿くして起こしたのかと思い反射的に黙り込むが。 「うっ・・うにゃ・・すぅぅ・・すぅぅ・・」「はぁぁぁ」「ふぅぅぅ」 少し体を動かし後、衣は眼を瞑ったまま規則正しい息遣いに戻り、京太郎と純は安堵の息を漏らした。 「たくぅ、脅かしやがって・・えい・・」「あんまりしていると、起きちゃいますよ」 文句を言いながらぷにぷにと衣の頬を指で軽くつつく純、京太郎は注意しながらもその手を止めようとはせず笑みを浮かべて見守っていた。 「わかっているって・・しかし、寝顔はまさに天使って感じだな・・頬も柔らかいな、ふふ」 純も衣を起こすつもりは無いので、素直に京太郎の注意を聞いて突くのを止めて見守ろうとしたが、衣の寝顔を見ているとつい触れたくなってしまし今度はそっと手を伸ばして、今度は優しく頭を撫ぜる。 「ふふ・・ふ・・」 良い夢を見ているのか眠りながら微笑む衣、それを見ていた純は、改めて目の前で眠る衣と自分の差を感じていた。 (本当に可愛いな・・俺もこいつみたいだったら、男扱いもされないんだろうな・・) 目の前に居るのは自分と同じ性別だが、自分には絶対に使われないだろう『可愛い』という言葉が良く似合う少女、透華達に男っぽいと言われるのが冗談だとはわかっているが、純も女性であり多少気にしていた。 (って、そんな事考えても今更どうにもならないし、それに別に女扱いされたい訳でもないからな) 気になっているとは言え、自分の今の性格を変えられるとも変えたいとも思わない純。 (そのうち・・俺を女扱いする、物好きな奴がでてくるだろう・・って、自分で言っているとさすがに・・)「はぁぁぁぁ」 自らを擁護する言葉を自分で想像していると、純は空しさを感じ長めの溜め息をついた。 「井上さん?」 「うん・・ああ、そうか悪い、あんまり撫でていたらさすがに起きるよな・・」 京太郎に声を掛けられて、思考の世界から現実に引き戻された純は、まだ衣の頭を撫ぜ続けていたことに気付き、京太郎もそれを注意しようとしたのだと思い慌てて手を引っ込めようとする、だが。 「あっ、違いますよ、井上さんのその中指・・怪我しているんじゃないんですか?」 京太郎が指摘したのは衣の頭を撫ぜ続けたことではなく、撫ぜていたのとは逆の手、その中指が切れて、その傷口から血が零れていた。 「あっ、確かに・・切れているな、気付かなかったぜ」 純も自分の指を見て初めて怪我をしている事を知り、血が出ているので少し驚いたものの痛みは無いので焦った様子は見せなかった。 「早目に手当てしたほうが良いんじゃないですか?」 「良いって、こんなの舐めて放っておけば治るだろう・・えっ?」 心配する京太郎を余所に、痛みも特に感じない為か純は適当に治そうと傷がついた指を口に含もうとしたが、寸前のところでその手をがっしりと掴まれ止められた、もちろん純をこんな止め方をするのはここには一人しか居ない。 「はぁぁ・・駄目ですよ、そんな治し方」 「あん・・そんなの俺の勝手だろう」 呆れた表情で溜め息をつく京太郎、しかし純は自分のやり方に口を挟まれるのが気に食わないのか不機嫌そうな表情で京太郎を睨め見つけた。 「うっ・・だって井上さん女の子なんでしょう」 純に睨まれ一瞬怯んだ京太郎であったが、それでも純の手は離さず傷口に唾をつけるだけの治療と呼べそうに無い治療を止める。 「だからほうって・・へぇ、お、女の子・・お・・俺が・・女の子!?」 純も聞く耳を持たないつもりであったが、その内容に・・手を、口を、思考と呼吸以外の行為を止めさせた。 (ままままま、まさか・・こここ、こいつがぁぁぁ!?) いつか現れると思っていた自分を女性として見てくれる男性、しかし予想よりも圧倒的早く突然の登場に驚いて固まる純。 「そうですよ、傷ついて反射的に舐めたとか言うならまだしも、舐めて終了じゃ駄目ですよ・・男じゃないんですから」 「そ・・そそそ、そうだな・・うん、そうだ・・確かに・・」(そ、そういうもんなのか・・やっぱり・・) 珍しく女扱いされたためか、京太郎の言葉に只管頷く純、それを見て京太郎はわかってくれたのだと思い、安心した様子で胸を撫で下ろす。 「ふぅ・・そうですよ、だから普通に絆創膏でも貼ってください」 「そ・・そうしたいけどよ、絆創膏なんて持ってない・・あっ」(も、もしかして普通の女子は持ち歩くのが当たり前・・とか?) そんな事は無いとは思うが、女子ならば持ち歩いているのではないかと想像してしまう純、思い出してみればクラスメイトの女子は色々な物を持ち歩いている、その中に絆創膏一つや二つ、あったところで何の不思議もなかった。 「ああ、そうですね、全員が全員持ち歩いているわけありませんよね、いや~今日怪我した時に咲が絆創膏をくれたんで、女子って色々持っているから持ち歩いているのかなって・・勝手に思い込んじゃって、すみません」 「い、いや・・気にするなって、あはは」(な、なんだ・・須賀も俺と同じこと考えていたのか、よかった当たり前じゃなくて・・) 京太郎が偶然自分と同じ考えをしていただけだったのに、安心して胸を撫で下ろす純。 「あっ、そうだ確か・・咲に予備用だってもう一枚・・ああ、あった、これよかったら使いますか?」 (な、なんか、須賀と居ると・・ぺ、ペースが掴めないな・・、絆創膏だけ貰っておくか) 話をしているうちに予備の絆創膏の存在を思い出した京太郎は、すぐさまズボンのポケットから絆創膏を取り出して純に使うどうか訪ねる、自分のペースを乱されてドキマキされっぱなしの純は早めに絆創膏を受け取り退散する事に決めた。 「お、おう・・ありがたく使わせてもらうぜ・・・・って、な・・何しているんだ?」 絆創膏を受け取ろうと手を伸ばす純、しかしその手に絆創膏が渡されることは無く、絆創膏は京太郎の手によって外紙と粘着部分についた紙が剥がされ、京太郎が何をしようとしているか分からない純は首を傾げた。 「何って、使うんでしょ・・さぁ、怪我した指だしてください」 「あっ・・ああ、って、いや、えっ?」(これって・・えっ、どういうことだ?) 京太郎に言われ一旦は怪我をした指だけを立てた純だが、訳がわからずすぐさま引っ込めようとしたのだが。 「あっ~駄目ですよ、じっとしてくれないと上手く巻けないじゃないですか」「えっ、ああ・・悪い」 京太郎に注意され反射的に謝ってしまう純、そのままじっとしていると直ぐに怪我をした部分が絆創膏によって覆われていった。 「はい、終わりましたよ」 「あっ、う・・うん」(・・貼ってくれたんだな・・態々・・って、そ、それどころじゃないだろ!) 京太郎に終了したことを告げられ、これまた反射的に返事をした純は、自分の指に貼られて絆創膏をぼうっと見つめながら何が起こったのかを少しずつ理解し、そしてある重要な事を思い出す。 (れ、礼だよ礼、は・・早く言わないと、け、けど・・こんな時、女ってどういうんだ、い、いや・・俺も女だけど、そ、そうじゃなくて・・折角女の子って、だから・・それらしい言い方は・・) 珍しく女の子扱いされたためか、なるべく女性らしい言葉と考えるが、普段使っていない言葉がそう易々と出てくる筈も無く、勉強や麻雀などよりもはるかに難しい難問に苦戦する純。 「あれ、もしかして俺、貼り方間違えましたか?」 「えっ、ああっ、ち、ちげぇよ、そ、その・・あ、あれだ、自分で貼るといつもずれるから、貼るのが上手いなって感心していただけだ、あはは!」 考え込んでいる純を見て心配そうに絆創膏を巻いた指を覗き込む京太郎、純もよもやそんな事態に陥るとは思わず、慌てて適当な理由をつけて誤魔化そうと笑い飛ばす。 「あっ~そうですね、自分で貼ると失敗することってありますよね」 「あっ、ああ、だから気にすることじゃねぇよ」(と、とにかく、れ、礼だ・・これ以上誤解されてもなんだしな・・、早く女性らしい言葉で・・よし!) 何とか誤魔化すことに成功した純は、これ以上余計な誤解を生む前に、なるべく女性らしい言葉遣いでお礼を言おうと意気込むが。 「あ・・ありがとな・・」(・・ち、違う、礼の言葉だが、ぜ、全然、女の子らしくない・・いや、それ以前に素っ気無さ過ぎるだろう、ううっ・・こ、これじゃあ・・須賀も・・) ようやく口から捻り出したお礼の言葉、でもそれは純自身も痛感するほどの可愛らしいとは程遠い素っ気無いもの、折角女性扱いをしてくれている京太郎もこれでは・・と思いがっくりと肩を落とす純、だが。 「いえ・・お礼なんて良いんですよ、早く治ると良いですね」 別に気にした風も無い、むしろお礼を言われて恐縮しがちな様子で純の具合を心配しながら笑いかけてくる京太郎。 (よかった気にして無いみたいだ、それに須賀って、こんな顔して笑うんだな・・前に見た時と・・まあ、良いか・・) 京太郎の様子に言葉に笑みに、安心して胸を撫で下ろした純、京太郎の笑みが以前に見た時とは違うように思えたが気にしないことにし。 「そうだな、心配してくれてありがとう、須賀」 偶然かたまたまか、安心しきったからか京太郎の笑みにつられたらかは分からないが、先ほどと違いお礼を口にする純の顔には笑みが浮んでいた、ただそれは自然に浮んだものなのだろう、何故ならば。 「へぇ~、井上さんって笑うと結構可愛いんですね」 「えっ、俺笑って・・って、それよりも須賀、い、今なんて言ったんだ!?」(可愛いって・・いや、そんな馬鹿な?) 京太郎の言葉で純は自分が笑っていた事を理解し驚きそうになるが、それよりも信じられない部分があり聞き直す。 「えっ・・ですから、井上さんって、笑うと結構可愛いんですねって」 「やっぱり可愛いって・・・えっ、えええええええええええええええ!?」 京太郎が先ほどと同じ言葉繰り返した瞬間、頭をハンマーで叩かれたような衝撃が純を襲う、僅かに考える間があり、言葉に意味を理解した瞬間、信じられず叫び声を上げてしまう。 (ここ、こいつが・・す、須賀が、おおお、俺のこと可愛いだと・・えっ、ど、どういう・・つもりだよぉ!?) 「えっ~と、井上さん・・大丈夫ですか?」 急に叫び声を上げた純を見て心配した京太郎が、純の顔に手を伸ばそうとした、瞬間。 「けけけけけけけっこう、かかかかかわいいって、そそそ、そんなことかか、簡単に言うんじゃねえよ、ば、バッキャローー!!」 言葉だけでも混乱しきっていた純は、手を伸ばされたことに驚いて、訳の分からない文句を言い残して部屋を飛び出していってしまった。 「・・もしかして・・結構が余計だったとか・・」 衣を膝枕している京太郎は追いかけることも出来ず、出来る事と言えば自分の言葉の反省点を探すこと位であった。 「はぁはぁ」 部屋を飛び出した純、そのまま勢いで建物も飛び出して龍門渕家の広大な庭を走るが、次第に息も続かなくなり、足もそれに連れて動きが鈍くなり、やがて歩みを止めた。 「はぁ・・はぁ・・はぁぁぁ、まったく須賀の奴・・・俺が、か、か、可愛いなんて、何言って・・えっ、あ、あれ?」 息を整えながら先ほどの京太郎の言葉を思い出して、文句を口にする純であったが、そこでようやく自らの行動に疑問を感じた。 「ま、まてまて、べ、別に須賀は・・変なこと言って無いんじゃ・・」 一度落ち着いてしまえば、とことん冷静になれるのが人間という生き物か、京太郎との会話を最初から思い出すと、京太郎のした事と言えば、純を女性扱いして、怪我を手当てし、そして笑顔を褒めた、ただそれだけ。 「ま・・まて、な、なんで、悪態ついて飛び出してきたんだ?、も・・もう一回・・」 自分でとった行動であったが、何故自分がそんな行動をとってしまったのか分からず首を傾げる純、仕方なくもう一度最初から思い出してみるのだが。 「えっ~と、け・・怪我した指を舐めて終わらそうとしたら、あ、あいつに・・注意されて、それで・・・」 視線が京太郎に貼ってもらった絆創膏に行く、そこからゆっくりと貼ってもらった後の会話を思い出す胸を高鳴らせながら。 「そ、それで・・あ、あいつ・・笑って、そ、それで・・礼を言って、そ、それで・・」 純の脳裏に浮ぶのは京太郎の笑顔と、『可愛い』と言うその言葉。 「!?」(な、なんだ、なんで・・た、確かに、褒められてう、嬉しかったけど・・それでも、なんで・・こ、こんなにドキドキするんだよ!?) 思い出した瞬間、強く激し胸の高鳴りを感じる純、だがその正体はよく分からず、飛び出した理由もよく分からないまま、しかしそんな純にも一つだけ分かっていることがあった。 「す、少なくとも、馬鹿野郎って叫んで飛び出てくることはなかったよな・」 純の口から出るのは反省の言葉、とは言え今更後悔したところでどうなるモノでもない、できる事と言えば謝罪位なのだが、状況が状況のため直ぐに行き気にはなれず。 「呆れただろうな、須賀の奴も、これで須賀も俺を女性扱いしなくなる・・よな・・」 京太郎が自分を女性として見えくれなくなったと思うと、純の胸にグサリと何かで刺された様な痛みが走った。 「うっ・・仕方ねえよな、俺が男だったらそう思うからな、はぁぁ・・・今度、謝ろう」 取ったしまった態度が態度だけに、自分自身で仕方ないと納得できてしまう純、今はあの場所に戻って謝る気力も無く、溜め息をついて邸とは反対方向に歩き出すのだった。 純なる想いを叶える智2/8
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SA/009 R 想いを届ける パニス/片翼の天使 女性 パートナー 白い翼 パニス/片翼の天使 女性 レベル 2 攻撃力 2500 防御力 4500 リミテッドアイコン 【ヒール】 【私、どうしてもこの想い伝えたいの】《ココロ》《パン》 【スパーク】【自】あなたのリタイヤが相手より多いなら、あなたは自分のリタイヤ置場の《パン》を1枚選び、自分のエネルギー置場に【レスト】して置く。 作品 『シャイニング・アーク』 備考 2013年3月29日 今日のカードで公開 このカードをパートナーにしているカード 取得中です。 関連項目 取得中です。
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父への想い(ちちへのおもい) 概要 グレイセスに登場したサブイベント。 登場作品 + 目次 グレイセス 関連リンク ネタ グレイセス ラントで発生するトラベル。No.12。 未開の雪道に行けるようになった後、領主邸にいるケリーに話しかけると発生。 No. 12 発生場所 ラント 発生条件 領主邸にいるケリーに話しかける 入手 - ▲ 関連リンク ▲ ネタ ▲
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【検索用 はちふんめ 登録タグ 2022年 VOCALOID あ子 は アルセチカ 曲 曲は 藍瀬まなみ 鏡音レン】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:あ子 作曲:あ子 編曲:あ子 絵:アルセチカ 映像:藍瀬まなみ 唄:鏡音レン 曲紹介 あーあ いつから 片想いになっちゃったんだろ 切なくてかわゆくて切ないです。青春。 曲名:『はちぶんめ』 アルセチカ氏によるテーマ・投稿日統一企画、#eneeemy参加作品。 動画に出てくる男の子は宮間 千秋(みやま ちあき)。出席番号24番。プロフィールはこちら。 MVはアイセチカによる合作。 続編:「じゅうぶん」 歌詞 (piaproより転載) 器用な方だと思ってたし 見よう見まねの青春も 君の気持ち知った時から 楽観 達観 ハッピーエンド 理想も特にはなかったし 部活もデートも勉強も 全部それなりで良くて それで幸せだった 僕らはふたり似ていて チカラも愛も八分目 なら変わるときもふたり一緒って そうはいかないよな あーあ いつから 片想いになっちゃったんだろ 欲張りにみだりに君のこと 考えては眠れないけど あーあ 会えない一日を 千の秋と呼ぶことだって 君はそうじゃないって 勝手に傷付いてる しようがないって思ってたし 自業自得の結末も 諦めすら要らないくらい 心動かないはずだった 僕らはふたり似ていて ケンカも毎度八分目 ほら残りのわずかが積もっていって どうもいかないよな あーあ いつから 高望みになっちゃったんだろ 似ていると同じは違うこと 痛いほど思い知ったけど あーあ 会えない一日を 千の秋と呼ぶことだって 君がそうじゃないなら 運命なんてないのかもな 記憶を失くして始めから君とやり直せたらだとか 来世はカフェで出逢ってさ 一目惚れもいいよなとか 全部 いまの僕らの続きじゃない所にしか もう ふたりはいないって。 空想は正直だな あーあ いつから 片想いになっちゃったんだろ 欲張りにみだりに君のこと 考えては眠れないけど あーあ いつかさ 片想いが成就するのは 君じゃない誰かにだろうな 同じ重力の相手だ あーあ 会えない一日を 千の秋と呼び合うような 君じゃない誰かに気付けるまで 恋を許して コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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[散花の想い]アルデバラン タイプ パワー 必要コスモ 14 初期攻撃力/防御力 3220/4000 初期総パラメータ 7220 最大攻撃力/防御力 8050/10000 最大総パラメータ 18050 必殺技 花に込められた希望 効果 パワータイプの攻 大アップ 【解説】 十二宮の一つ、金牛宮を守護する巨躯の黄金聖闘士。威風堂々たる風貌で、他の者を威圧するその男は、少女から差し出された可憐な一輪を戸惑いながらも手にする。 [散花の想い]アルデバラン+ タイプ パワー 必要コスモ 14 初期攻撃力/防御力 3864/4800 初期総パラメータ 8664 最大攻撃力/防御力 9660/12000 最大総パラメータ 21660 必殺技 花に込められた希望 効果 パワータイプの攻 大アップ MAX覚醒時 初期攻撃力/防御力 5474/6800 初期総パラメータ 12274 最大攻撃力/防御力 11270/14000 最大総パラメータ 25270 【解説】 十二宮の一つ、金牛宮を守護する巨躯の黄金聖闘士。戦いに明け暮れる聖闘士が少女から受け取った一輪。その花に込められた優しさは、不意打ちを受け薄れゆく意識の中で最後の力を呼び起こさせる。
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取り戻した想い「鴇崎 摩耶」 読み:とりもどしたおもい「ときざき まや」 カテゴリー:Chara/女性 作品:初恋1/1 属性:地 ATK:4(+2) DEF:4(+2) 【登場】〔自分の 初恋1/1 のキャラ1体を【表】から【裏】にする〕 [永続]自分の「片桐 祐馬」が登場している場合、このキャラは『貫通』を得る。 [自動]【パートナー】【ターン1】自分がカードの効果でカードを引いた場合、ターン終了時まで、このキャラは攻撃力と耐久力が3上昇する。 いきなり襲って来たりして illust:唯々月たすく va-107 RR 収録:ブースターパック 「初恋1/1&Kanon」
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俺がハルヒと出会ってもうすぐ1年が経とうとしていた3月の話だ。 春休みを目前にして北高生徒たちはほんのり余裕のある毎日を送っていた。 だが俺にとっては一生悔いの残る春だった。 今日は10日。あと一週間ほどで春休みだ。 短縮授業が始まったことにより、部活動に所属していないほとんどの生徒は午前中の授業が終わると足早に下校を始める。 部活動には所属していない俺だが生徒会非公認の部活(部活と呼べるものでもないが)SOS団に所属していたため授業後は下校せずに部室に向かった。 部室と言っても正確には文芸部なのだがハルヒによって乗っ取られ、今となってはSOS団の根城となっている。 部室のドアを開けるとそこにはやはり椅子に座って本を読んでいる長門がいた。 「よう、長門。」 長門は俺を一瞥すると再び本に目を落とす。 これが長門流のあいさつ。いつもの光景だ。 俺はパイプ椅子を引き寄せ、腰掛けた。 時間は12時か。 腹が減ったな。弁当食うか。 俺は腹の虫を黙らせるため鞄の中の弁当を取り出して机に広げた。 なかなかうまいぜお袋。 弁当をかき込みながらふと思った。 やっぱり長門は宇宙人なんだから食べなくても平気なのだろうか? 以前長門のマンションに行ったときレトルトのカレーを出されたことがあったな。 あのときは気づかなかったが長門でも家ではメシは食ってんだな。 だが学内で食べてるところをほとんど見たことはない。 長門は昼はいつも部室で本を読んでいる。 万能な長門のことだからその気になれば一流シェフ並の料理ができそうな気もするんだがな。 聞いてみようか。 「長門。お前は料理とかしないのか?」 長門は無表情で俺を見ると、 「・・・・・しない。」 「いつぞやお前のマンションに行ったときに出してきたようなレトルトをいつも食べてるのか?」 「・・・そう。・・・手間がかからないので余計な行動をしないで済む。」 「レトルトだけじゃ栄養偏るぞ!」 「・・心配いらない。私はあなたたち人間とは違う。基本的に食べなくても活動自体に支障はない。」 やはり長門は食べなくても平気なのか。 それでも食べるってことは一応長門にも食欲はあるんだな。 長門には日頃から世話になりっぱなしだからな。今度どこかうまい店に連れてってやろうか。 「たまには自分で料理してみればいいさ。お前ならできるよ。」 長門はすこし考えこんだように沈黙すると、 「・・・・・承知した。」 そう言って再び本に目を落とした。 俺が弁当を食い終わり空の弁当箱を片付けていたとき部屋がノックされた。 「どうぞ。」 開かれたドアの向こうには憎らしいほどのハンサムフェイスを持った古泉が立っていた。 古泉は俺と長門を見て、 「おや?まだお二人だけですか。涼宮さんと朝比奈さんはまだのようですね。」 微笑面を浮かべながらいけすかない超能力野郎は俺の隣に座った。 こいつは料理とかするんだろうか? まぁ長門よりは可能性はありそうだが。 「なぁ古泉。お前は料理とかするのか?」 古泉は相変わらずの微笑面で俺の顔を見て、 「なんですか藪から棒に。珍しいですね。」 「で、どうなんだ?」 「えぇ、料理だけでなく洗濯や掃除などもしていますよ♪」 「男のお前がか?」 「僕も機関の指示で家族と離れてこちらでは一人で生活してますからね。全部一人でやってますよ。」 「ご苦労なこった。」 「まさかあなたから労いの言葉がもらえるとは思いませんでしたよ。なにか良いことでもあったのですか?」 「いや、聞いてみただけだ。大した理由はない。」 「あなたも料理くらいしてみたらどうですか?楽しいですよ♪」 「悪いが俺の中学のときの家庭科の成績は1だ。お前のように器用じゃない。」 古泉は俺に顔を近づけ、 「そんなこと練習次第でどうとでもなりますよ。なんなら僕が一から手とり足とりお教えしましょうか?」 古泉よ、目の前に長門がいることを忘れてないか?人がいる前でそこまで顔を近づけるのはやめてくれないか?いや、二人のときに言われたらもっと嫌だが… 「断る。俺の性分に合わねーよ。」 俺が古泉から離れながら言うと古泉はふふっと微笑みながら、 「それは残念です。」 何が残念なんだ? まぁいい。 すると再び部室のドアが小さな音でコンコン鳴った。 この小鳥がつついたような叩きかたはあの方しかいない。 古泉が応える。 「どうぞ。開いておりますよ。」 ドアが開くと廊下に立っていた人は頭をペコリと下げながら、 「ご、ごめんなさい。遅くなっちゃいました。」 この朝比奈さんの愛くるしい仕草は俺の目の保養だね。 あなたがいくら遅れても俺は怒りませんし、あなた待っててと言うならいつまでも待ちますよ。 朝比奈さんは顔を上げて部室内を見回すと、 「涼宮さんはまだ来てないんですかぁ?よかったぁ。」 朝比奈さん今のは少し問題発言ですよ。ハルヒに聞かれてたらまたあなたは悲劇のヒロインを演じてしまう。 「ハルヒならまだ来てませんよ。」 朝比奈さんは机の上に鞄を置き俺たちを見ると、 「キョン君、古泉君」 とニコリと微笑んだ。 これは今から朝比奈さんが着替える合図である。 いつまで愚直にハルヒの命令を守るつもりなのか。 まぁ俺としてはいろんな衣装の朝比奈さんを見れるわけで嬉しいんだが。 「おい。古泉。」 「はい。」 俺と古泉は部室の外に出てドアを閉めた。 今この中の光景を目にできないのは残念でならないね。 数分後ドアが開くとメイド服姿の朝比奈さんが、 「お待たせしちゃってごめんなさい。」 「いえいえ。」 別に謝らなくて結構ですよ。 あなたの迷惑ならいくらでも受けましょう。 「あ、お茶いれますね♪」 朝比奈さんはそのままお茶をいれる用意をしていた。 格好も行動もまさにメイドさんだ。 わざわざ先ほど長門と古泉に聞いた料理のことは朝比奈さんに聞くまでもないな。 朝比奈さんは既に実証済みだ。 同じ理由でハルヒもね。 そういえばハルヒはまだ来てなかったな。 学食にでも行ってるのか? まぁあいつがいないと平和でいいぜ。 することもないので古泉とチェスをすることになった。 口では偉そうにチェスの魅力を語っておきながら実力は相変わらずだ。 朝比奈さんはお茶をいれるためお湯を沸かし、長門は黙って本を読んでいる。 すると突然、バタンとドアが開き、 「遅れちゃったわ!」 とハルヒが現れた。 ハルヒは団長の席に座ると満面の笑みを浮かべて、 「みんな聞いて!SOS団に朗報よ!とうとうSOS団の名が全国に知れ渡るときが来たわ!」 またわけのわからないことを言い出しやがった。 「頼むから最初から説明してくれよ。」 ハルヒは立ち上がると俺の前に来て一枚のチラシを突きつけた。 『ミス女子高生日本一決定戦・予選受付開始』 なんだこれ? 「見ればわかるでしょ!ミス女子高生日本一を決める大会のチラシよ!」 「それは見ればわかる!お前は何が言いたいんだ!?」 ハルヒは腕を組み、 「あんたホントにバカね。この大会に出場して日本一になればSOS団の名も全国区に鰻登りよ!」 わかってはいたが一応ハルヒに聞いてみる。 「で、誰が出るんだ?」 ハルヒは朝比奈さんに抱きつくと、 「もちろんみくるちゃんよ!みくるちゃんならグランプリ間違いなしだわ!」 朝比奈さんはハルヒに抱きつかれ戸惑っている。 「えぇ~!?私が出るんですかぁ~?む、無理ですぅ~。」 「大丈夫よみくるちゃん!あたしが必ずグランプリにしてやるわ!」 「そ、そんなぁ~!」 またハルヒの横暴が始まった。 「おいハルヒ。朝比奈さんばかりに頼ってないでお前が出たらどうだ。たまには団長らしいとこ見せてくれよ。」 ハルヒは俺を睨み、 「なんで団長のあたしが出なくちゃならないのよ!団員なら団長の言うことに黙って従いなさい!」 「だったらお前も団長なら団員のことを少しは気遣ったらどうだ!少しは他人の迷惑も考えろよ!」 ハルヒは俺のそばに寄ると、 「迷惑?みくるちゃんはあたしのオモチャなのよ!あんたにそんなこと言われる筋合いはないわ!」 オモチャ? こいつが以前同じような発言をして俺が殴りかかろうとしたことがある。 あれから半年近くが経ってこいつも少しはマシになっていたかと思ったがちっとも変わっちゃいなかった。 「ふざけんな!朝比奈さんはお前のオモチャでも奴隷でもないんだよ!いつまでも子供みたいなこと言ってんじゃねえよ!」 俺は怒りに震えハルヒを怒鳴りつけた。 古泉が俺を止めようと俺の肩に手を置く。 ハルヒは一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに俺を睨みつけ、 「そんなにあたしが嫌なら出て行きなさいよ!あんた一人いなくてもSOS団の活動になんら支障はないわ!」 この言葉を耳にして俺の中の何かが音をたてて切れた。 「や、やめてくださぁい。私なら大丈夫ですから喧嘩しないで下さぁ~い。」 そんな朝比奈さんの言葉も今の俺には届かなかった。 気がつくと俺はハルヒの頬を平手でひっぱたいていた。 パチンと渇いた音が部室内に広がる。 その音で俺は我に帰った。 しばらくの沈黙が流れハルヒが、 「なにすんのよ!」 と怒りだした。 「すまんハルヒ。つい・・・」 ハルヒは怒り顔のまま、 「あんたの考えはよくわかったわ!もうここには来なくていいわよ!破門よあんたなんか!死んじゃえバカ!」 ハルヒは鞄を取ると、怒っているのか泣いているのかなんとも言えない表情で走って部室を出ていってしまった。 やっちまった… あのハルヒとは言え俺は女に手をあげてしまった。 それもハルヒの心を深く傷つけてしまったらしい。 男として俺は最低だった。 「・・・キョン君。」 朝比奈さんは今にも泣きそうな顔で俺を見ている。 古泉がいつになく真剣な顔で俺を見ると、 「正気ですか!?男性であるあなたが女性に手をあげるなどとは!」 流石の古泉も今回の俺の行動には怒っているようだ。 古泉は真剣な顔で続ける。 「これは涼宮さんの性格や能力以前の問題です!あなたは涼宮さんの心を深く傷つけた!」 わかってはいるんだ古泉。だがあのときの俺は止めようがなかった。 「手をあげる気なんてなかったんだ・・・」 「それでもあなたが涼宮さんに手をあげてしまったのは事実です。すぐにでも謝るべきでしょう!」 「ああ、わかってる。」 泣きそうな顔の朝比奈さんは、 「ごめんなさいキョン君。・・・あたしのせいで。」 「朝比奈さんのせいじゃありませんよ。悪いのは俺なんです。」 「わ、私が言うのもなんなんですが涼宮さんには謝ってほしいです。涼宮さんきっと傷ついてます・・・」 「はい。わかってます。」 俺はハルヒを追うため部室を出た。 急いで校門に向かい坂道を下りるがハルヒの姿はない。 もう帰っちまったのか… 俺は携帯を取り出すとハルヒの番号にかけた。 「おかけになった電話は電波の届かないところにあるか電源が入っていないためかかりません。」 聴こえてきたのはハルヒの声ではなかった。 自力で探すしかないな… 結局その後夜まで不思議探索ツアーで行った場所やSOS団が活動した場所を探したがハルヒを見つけることは出来なかった。 諦めて帰ろうとしたとき背後から、 「キョン君。」 俺を呼び止める声がした。 振り返るとそこにはいつもより大人びた格好をした朝比奈さんがいた。 いや違う。これはさっきまでの朝比奈さんじゃない。 「ふふ♪またお会いしましたねキョン君。」 それは今まで何度も助けてくれた朝比奈さん(大)だった。 「朝比奈さん。また何か厄介事でもあるんですか?」 朝比奈さんは優しく微笑むと、 「今まさにキョン君が遭遇してるじゃないですか。」 ああ、そうか。この朝比奈さんもそれを体験済みなのか。 「キョン君。詳しくは禁則事項なので言えませんが明日世界にとってとても良くないことが起こります。この時間の私はそれに気づきません。そして長門さんでさえも。」 朝比奈さんは俺の手を取ると長方形のお守りを渡してくれた。 「このお守りはあなたを守ってくれます。今日は肌身離さず持って寝て下さい。」 「詳しくは教えてもらえないんですね。」 「ごめんなさい禁則事項です。ほんとはもっと早い時間に来るべきだったのですがどうしてもこの時間軸より前に遡行することができませんでした。」 「ハルヒの力ですか?」 「はい。とにかく明日涼宮さんに素直に謝ってあげて下さい。」 「わかってます。」 朝比奈さんはニコリと笑うと、 「それでは私は戻ります。涼宮さんのことを大切にしてあげてね。」 そのまま足早に俺の前から姿を消した。 とりあえず帰るか。 すっかり暗くなった空を見上げて俺は家路についた。 俺は家でシャワーを浴び、朝比奈さん(大)の言うとおりお守りをポケットに入れたまま床についた。 翌日になると俺はメシも食べずにいつもより早く家を出た。 早くハルヒに謝りたい。 俺のしちまったことは許されることじゃないかもしれないが、もしハルヒが許してくれるなら俺はなんだってする。 教室に着くとまだ誰もいなかった。 俺は自分の席に座りハルヒを待つことにする。 どうやってハルヒ謝ろうか? ハルヒは許してくれるだろうか? 俺にはハルヒを待つ1秒1秒がとても長く感じた。 どれくらい経っただろうか。 クラスに人が増え始める。 俺は教室の扉を見つめながらハルヒを待った。 予鈴が鳴りほとんどのやつらが席につき始めたときあいつはやってきた。 ハルヒは俺の顔を見ると俺の後ろの席に座った。 今俺の心臓は緊張で爆発寸前だ。 だがこのまま放っておくわけにはいかない。朝比奈さんとも約束したしな。 俺は勇気を出してハルヒに話しかけた。 「な、なぁハルヒ。昨日のことなんだが。お前に謝りたいんだ。」 ハルヒは眠たそうな顔で、 「なに?昨日のこと?どうゆうこと?」 良かった。 一応口は聞いてくれるみたいだ。 「昨日は俺もどうかしてたんだ。あんなことするつもりじゃなかった。悪いのは全部俺だ。本当にすまん。」 ハルヒは、 「だから昨日のことってなによ。なんで謝ってんのよ!あんた寝ぼけてんの?それとも夢であたしに変なことしたんじゃないでしょうね?」 「い、いやだからお前の顔に平手打ちをしてしまったことだ。許してくれとは言わん。お前の気の済むまで俺を殴ってくれても構わん。」 ハルヒは俺を睨みつけると、 「あんた夢の中であたしにそんなことしてんの?あたしになんの恨みがあんのよ!」 夢?さっきからなに言ってるんだハルヒは。 「夢じゃないだろ!」 「あたしはそんなことされた覚えないわよ!もしあたしにそんなことしたら死刑にしてやるから!」 覚えがないだって? 俺が叩いたせいでハルヒの記憶が飛んじまったのか? 「夢でもあんたに平手打ちくらったなんて気分悪いわね。放課後たっぷりお仕置きしてあげるから部室から逃げるんじゃないわよ!」 「俺はSOS団破門じゃないのか?」 「なに?あんた辞めたいわけ?いい度胸じゃない!あんたの罰ゲームが増えたわ!」 さっきからハルヒと話が噛み合わないのは何故だろうか? ハルヒは昨日のことを忘れようとしてくれてるのか? まぁいい。ハルヒが許してくれるならどんな罰だって受けてやる。 「放課後部室に行っていいんだな?」 「当たり前じゃない!来なきゃ死刑よ!」 俺とハルヒがそんな話をしていると担任の岡部が現れHRが始まった。 岡部の話を聞いてると話してる内容が昨日と同じである。 ハンドボールのやりすぎでとうとうボケたのか? 「なぁハルヒ。岡部のやつ昨日と同じこと言ってないか?」 頬杖をついたハルヒは、 「知らないわよ。いつも聞いてないから。」 それもそうか。 まぁいい。ハルヒの機嫌は悪くないしな。 そして岡部の話が終わると授業が始まった。 一時限目は昨日と同じ数学だった。 数学?今日は物理のはずだ。 時間割に変更でもあったのか? だが授業を聞いてると内容が昨日と全く同じだった。 ハルヒの不可解な言動といい、岡部の話といいさっきからおかしいぞ? 昨日の出来事はハルヒの言うとおり夢だったわけか? いや、違う。 俺のポケットには確かに朝比奈さん(大)から貰ったお守りがある。 朝比奈さんは俺に気づかせるためにこのお守りを持たせてくれたのか。 じゃあ一体どういうことなんだ? 俺だけが昨日にタイムスリップしちまったのか? 長門なら何かわかるかも知れない。 俺は午前の授業が終わると急いで部室に向かった。 俺が部室のドアを開けると昨日同様本を読んでいる長門がいた。 俺は座っている長門の両肩を掴み、 「一体これはどういうことなんだ長門!お前ならわかるだろう!」 長門は俺を見ると、 「あなたの言ってることは理解できない。」 俺は絶望した。 いや、待て。昨日の朝比奈さんの言葉を思い出せ。 確か長門さえも気づかないと言っていた。 じゃあ何故俺だけ? すると部室のドアがノックされた。 開いたドアの向こうにはやはり古泉がいた。 俺は古泉に向かって、 「おい古泉!今日は何日だ!」 古泉は微笑面で、 「今日は10日ですよ。今日もいい天気ですね。」 やはりこれは昨日だ。 もはや頼みの綱はこの2人に昨日のことと朝比奈さん(大)のことを話すしかない。 「古泉、長門。信じられないかもしれないが聞いてくれ。」 俺は二人に全てを話した。 「ってことなんだ。信じてくれるか?」 長門は俺を見て、 「あなたは嘘をつかない。私は信じる。」 よかった。 「ありがとう長門。それとこれがなんだかわかるか?」 俺はポケットから朝比奈さん(大)から貰ったお守りを長門に見せた。 長門はお守りに手をかざすと、 「この物体には時空振動に対しての防御シールドが展開されている。これを持っているといかなる時空振動の影響も受けない。」 …なるほど。 これが朝比奈さん(大)のお守りの正体か。 どうりで俺だけ昨日の記憶があるはずだ。 俺と長門の話を黙って聞いていた古泉が、 「あなたの話は本当でしょう。涼宮さんの力によって時空操作が行われたに違いありません。」 「古泉お前にはわかるのか?」 「ええ、8月の時間ループのことを思い出して下さい。いまおそらくあの時と同じことが起きてるんですよ。」 「なんでこんなことになったんだ?」 「簡単なことです。涼宮さんもあなたと同じように自分の行為を後悔していたのですよ。それにあなたに平手打ちされて気づいたのです。だから時間を戻せないかと考えてしまい、それが現実に起こってしまったのです。」 …そういうことか。 だが俺が謝りたいのはこの時間のハルヒじゃない。昨日のハルヒに俺は謝りたいんだ。 「もとに戻すことはできないのか?」 すると長門は、 「・・・可能。私が涼宮ハルヒの力の仲介となり時空操作を行う。」 「できるのか?じゃあやってくれ!」 「あなたにとっての昨日の何時に戻せばいいのか教えてほしい。」 何時?確かあれは12時を30分ほど過ぎたころだ。 「12時30分頃だ。頼む長門。」 長門は少し沈黙すると、 「了解した。これよりあなたの記憶の中にある時間に合わせて時空操作を行う。」 長門は立ち上がり手を上にかざした。 古泉が、 「むこうの僕にもよろしくお願いしますね。」 と微笑んだ。 長門は、 「あなたのいるべき時間はここじゃない。あなたはあなたの世界に帰るべき。あなたには帰る場所がある。」 「ありがとな。長門。古泉。」 「目を瞑って。」 俺が目を瞑ると頭の中が回転したように感じ、光の中へ飛び込んで行った。 俺が目を開けると目の前にはハルヒがいた。 ここは部室。 ハルヒは走って部室を出ていった。 なるほど…ドンピシャだぜ長門。 前に見たときは気づかなかったがハルヒはあの時怒っていたのではなく泣いていたんだ。 追わなければ。 これでハルヒを見失ってしまったら時間遡行してきた意味がなくなる。また同じことの繰り返しだ。 俺は急いでハルヒのあとを追った。 ハルヒに謝りたい。ただそれだけなんだ。 俺の前を走るハルヒは1年5組の教室に飛び込んでいった。 あの時ハルヒは教室にいたのか。街で発見できないはずだ。 俺は覚悟を決めて教室に入った。 ハルヒは自分の席に腕をついて顔を伏せている。 「・・・ハルヒ」 ハルヒはなおも顔を伏せている。 「ハルヒ。俺が悪かった。お前の気持ちも考えずに手を上げちまったことを謝る。すまん。」 ハルヒはなおもうつむきながら、 「・・・ぇっぐ・・あ・・あんたは私のこと迷惑だと思ってるんでしょ?」 ハルヒは明らかに涙声だ。 「確かに毎回お前に振り回されて迷惑することもある。だがお前を嫌いになったことなど一度もねぇよ!」 「・・・ぅっぐ・・・・ホントに?」 「ああ。お前が俺たちを勝手に振り回してるのになぜ俺たちがお前と一緒にいるかわかるか?」 ハルヒは黙りこんでしまった。 「それはなハルヒ。お前のことが好きだからだよ!俺も古泉も長門も朝比奈さんもみんな好きだから一緒にいるんだ。」 ハルヒは顔を上げると立ち上がり俺を見た。 やはりハルヒの目には涙が流れてる。 俺のしちまったことは重大だな。 「・・・その言葉信じていいの?」 ハルヒは涙を流しながら真剣に俺を見ている。 「同じSOS団だろ?団長なら団員の言葉を信じろよ!まぁ今の俺はお前に破門されちまったから団員じゃないがな。」 ハルヒは涙を服の袖で拭うと、 「有希とみくるちゃんと古泉君の3人に免じて破門だけは撤回してあげるわ。」 「ごめんなハルヒ。今の俺をお前の気の済むまで好きに殴ってもらっても構わん。これからどんな罰ゲームでも受ける覚悟はできてる。」 ハルヒは俺に近づきながら、 「そんなことするわけないでしょ。あんたを殴ってもあたしの気はおさまんないわよ!」 「じゃあどうしたらお前の気が済むんだ?俺に出来る範囲ならなんでもするつもりだ!」 「・・・なんでも?それは本当ね?」 「ああ。男に二言はねえ!」 ハルヒは俺のすぐ前まで来て俺の顔を見る、 「だったらあたしのこと抱きしめなさい!」 抱きしめる?なんでそんなこと。 「なんでも言うこと聞くんでしょ?早くしなさい!」 ハルヒの考えてることはよくわからんがそれでハルヒの気が済むなら… 俺はハルヒを抱きしめた。 今俺の胸の中にいるハルヒがどんな顔をしているのかわからない。 怒っているのか、泣いているのか、笑っているのか、照れているのか。 だがハルヒがどんな顔をしていたとしても俺は全てを受け入れるつもりだ。 そのまましばらく沈黙が続きハルヒが俺の胸から離れると 「今日はこれで許してやるわよ。そのかわり今度からあんたにはいっぱい償ってもらうからね!」 「わかってるよ。」 その後のハルヒとの会話は覚えていない。 俺たち二人は部室に戻り、他の団員に和解を伝えた。 なんとか全て丸く納まり俺たち5人は今下校のため坂道を下っている。 俺がハルヒに謝れたのはお守りをくれた朝比奈さん。状況を理解して俺に教えてくれた古泉。俺のことを信じてこの時間へ送ってくれた長門。 この3人のおかげだ。 この3人はそのことを知らないだろうが… 「朝比奈さん、古泉、長門。・・・・・ありがとな。」 朝比奈さんは頭に?マークを浮かべて、 「なんのことですかぁ~?」 古泉は得意の微笑を浮かべて、 「おや?僕に料理を教わる気になったのですか?」 長門は不思議な顔で俺を見つめていた。 「じゃあ僕たちはこの辺で。」 朝比奈さん、古泉、長門はそれぞれ違う方向に帰っていった。 残った俺とハルヒは二人で街中を歩いている。 俺たちは途中で見つけた雑貨屋に何気なく入った。 雑貨屋の中を歩き回っているとハルヒが足を止め、ある商品を見ている。 そこにはピンク色のリボンつきのカチューシャが飾ってあった。 そういえばハルヒはカチューシャが好きだったな。 「なぁハルヒ。今日のお詫びにこれをお前にプレゼントするよ。」 ハルヒはいらないと言っていたが俺はすぐさま購入し、ハルヒに無理やり押しつけた。 ハルヒは戸惑いながら、 「あ、あんたが勝手に渡してきたんだから礼なんて言わないわよ!」 「礼なんていらんよ。俺のお詫びだ。ここでつけていけよ。」 「い、嫌よ!あたしはこっちのほうが気に入ってるの!」 と頭を指差す。 まぁなんでもいいさ。 ハルヒが俺を許してくれたみたいだからな。 俺の背中を後押ししてくれた朝比奈さん・古泉・長門。 そして目の前にいるハルヒ。 改めて思ったよ。 みんな俺にとってかけがえのない存在だってことをな。 今なら胸を張って言えるぜ。 「俺はSOS団団員その1だ!」 ってな… ◆エピローグ◆ 日曜日の話だ。 俺たちSOS団は今日も駅前に集合し不思議探索を始める予定だった。 だが当日になって朝比奈さんと古泉と長門が揃って欠席した。 俺は仕方なく駅に向かうとハルヒがすでに待っていた。 ハルヒは意外と機嫌は悪くなく笑顔で、 「さ~て今日の欠席の罰ゲームは何にしてやろうかしら!」 またなにやらよからぬことを考えてるらしい。 「さぁ行くわよキョン!」 俺の手をひいて歩くハルヒの頭には俺がプレゼントしたピンク色のカチューシャが掛かっていた。 「…似合ってるぜハルヒ。」
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きみとおかにて【登録タグ き 初音ミク 小菅こんにゃく 曲】 作詞:小菅こんにゃく 作曲:小菅こんにゃく 編曲:小菅こんにゃく 唄:初音ミク 曲紹介 小菅こんにゃく氏の処女作。 ボーカロイド曲をずっとつくってみたくてようやく投稿できました! 歌詞 (piaproより転載) たぶんぐちゃぐちゃのそのポケットには 二人分の期待と不安が紛れ込んで キミのそばにいるその距離感は 新しい世界の扉ときっとつながっている 星が降る夜は キミが住む丘目指し みつけた流星と ららら 歌を歌いながら歩く 紡がれた1つ1つの 言葉の端はどことなく そう 夜空の先 キミを探して まだ気づかないキセキも キミの笑顔に出会うとしたなら 導びかれてく ああ 神様 ボクらの未来に 決して忘れない言葉を たぶん描いてた明日の景色には キミがいる水面のヒカリが忍び込んで 手と手 触れ合った その瞬間は まだ知らない世界の波音にそっと奪われてた どうしようもなくて キミに会いに 飛び出した 伝えたい想いは ららら たくさん瞬いているけど 見つけ出す1つ1つは 切なくて言えないんだ ねぇ 目線はつい キミ追いかけて まだ明かせないこの想いも キミの瞳に出会うとしたなら 魔法みたいだ ああ 満ちてく メロディーのせて 本当(ホント)の気持は歌うよ 今夜空に降り注ぐ数多の星の欠片たちから 渡された1ページには ボクからキミへ 伝えたいストーリー 満天の星空 ららら 丘の上のボクらだけは 星々のキラメキさえも 2人の思い出に変えてく どこまても続け願い星 今ここにいるキセキを 2人でいるこの瞬間だけを 閉じ込めたなら ああ 神様 そう 君のことが あきれるくらい好きでした コメント 名前 コメント