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@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 RSS アーカイブ インスタグラム コメント ニュース 人気商品一覧 動画(Youtube) 編集履歴 関連ブログ これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
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アンドロマコス(2) ギリシャ神話に登場するギリシア兵。 トロイア戦争でアイネイアスに討たれた。
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(http //www.ayamenet.com/app/pos2/help/client/other.htmlより転載) その他 アンドゥ(戻る)について ホワイトボードで、お絵かき中に間違って線などを描いてしまったときに[Ctrl]キーを押しながら[Z]キーを押すと、線を描く前の状態に戻すことができます。この機能のことをアンドゥ(Undo)と言います。 Ctrl+Zを押すたびに、どんどん前の状態に戻っていきますが、環境や設定により、戻れる回数が異なります。 (状況によっては戻れる回数が0回のこともあります) 現在の戻せる回数は、「情報」タブに表示されています。 さらに、Ctrl+Zを押しすぎて、戻しすぎた場合に[Ctrl]キーを押しながら[Y]キーを押すことで、アンドゥ処理を戻すことができます。この機能のことをリドゥ(Redo)と言います。 メニューの「ホワイトボード」-「Undo用メモリサイズ」でアンドゥの大まかな回数が設定可能です。単位が[MB]であるのは、アンドゥの処理にメモリを大量に使用しているためです。つまりは、アンドゥに割り当てるメモリ量が多ければ、それだけ多くアンドゥできることになります。 注意:通常のお絵かきソフトと違い、複数の人で同時に描き込むことができる関係上、 アンドゥ回数の上限に達する前にアンドゥができなくなることがあります。 例としては、自分が描いた線の上に他の人がさらに線を描くと、その部分に 関してはアンドゥできなくなります。 ペンタブレットについて 炬燵は、一部環境化で、ペンタブレットの筆圧感知に対応しています。対応環境は、OSがWindowsであることと、タブレットがWACOM製であることです。 (WACOM以外のタブレットでも、動作することがあります) 使い方としてはメニューの「ホワイトボード」-「筆圧設定」の「筆圧感知」にチェックを入れるだけです。 初めて使用するときは、タブレットの情報がないので、「タブレットの動作範囲再設定」をします。 (設定せずに「筆圧感知」にチェックを入れると、自動で「タブレットの動作範囲再設定」が動作します) なお、マルチディスプレイ環境であれば、使用するディスプレイの設定項目が追加されます。 注意:筆圧感知は、おまけで用意した機能であるため、動作保証は一切いたしません。 アップデート(更新)処理について 炬燵は非常に多機能なアプリケーションであるため、バグが絶えません(汗)。そのため、頻繁に新しいバージョンが公開されます。そのたびに、ダウンロードしてプログラム本体を置き換えていたのでは手間ですので、簡単に更新する機能が付いています。 メニューの「ヘルプ」-「ソフトウェアの更新」を選ぶと、バージョンのチェックが行うことができます。新しいバージョンが見つかれば、そのまま「更新」ボタンを押すことで、自動的にアップデート作業が進んでいきます。 通常、起動時に自動で新しいバージョンの確認が行われ、新しいバージョンが見つかれば、アップデートするか確認してきます。 各種ショートカット ホワイトボード Ctrl + Z 戻る(アンドゥ) Ctrl + Y 再実行(リドゥ) Ctrl + 1 レイヤ1選択 Ctrl + 2 レイヤ2選択 Ctrl + 3 背景レイヤ選択 Ctrl + 4 レイヤ切り替え(レイヤ1 → レイヤ2 → 背景 → レイヤ1 と繰り返す) Ctrl + R ペンと消しゴムの切り替え Ctrl + S サムネイル表示切り替え Alt + ドラッグ スクロール Space + ドラッグ スクロール Ctrl + Space + クリック 拡大 Ctrl + Alt + Space + クリック 縮小 Spaceキーを使用するショートカットは、Spaceキーを押している間、チャット欄にSpaceが入力され続けますが、Spaceキーを離せば入力されたSpaceは取り除かれます。ただし、Spaceキーを押して各種ショートカットが実行されなかった場合は、ショートカット動作ではなくチャットへの入力と判断されます。 チャット ↑ 一つ前の発言に戻ります。 ↓ 一つ後の発言に戻ります。 Ctrl + Q 別名(キャラクターチャット)切り替え Ctrl + F1 1個目のの別名に切り替えます Ctrl + F2 2個目のの別名に切り替えます Ctrl + F3 3個目のの別名に切り替えます Ctrl + F4 4個目のの別名に切り替えます Ctrl + F5 5個目のの別名に切り替えます Ctrl + F6 6個目のの別名に切り替えます Ctrl + F7 7個目のの別名に切り替えます Ctrl + F8 8個目のの別名に切り替えます Ctrl + F9 9個目のの別名に切り替えます Ctrl + F10 10個目のの別名に切り替えます Ctrl + F11 11個目のの別名に切り替えます Ctrl + F12 12個目のの別名に切り替えます 前 | 目次 (完) Copyright H.Ayame - 2008
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名前(読み方/英):ドロイド君(ドロイドくん/Android Robot) ショップ(メーカー):Android 公式 生年月日:不明 説明:2008年10月21日に米グーグル社が発表した携帯電話用プラットフォーム「Android」のマスコットキャラクター 関連リンク:http //www.android.com/branding.html(Android | Brand Guidelines) http //www.android.com/media/goodies.html(Images and Goodies) 関連画像:droid.gif
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エクサスケルトン 作品名:ブラック・ブレット 使用者:我堂 長正、壬生 朝霞、司馬重工の警備員 ブラック・ブレットに登場する防具。 イニシエーターに装備できるほど実用化された強化外骨格。 防具についての詳細強化外骨格 使用者との関連性壬生 朝霞の場合 関連項目 関連タグ リンク 防具についての詳細 強化外骨格 身体能力を底上げする強化外骨格作中現代ではガストレアとの戦闘で使えるほど実用化が進んでいる。 司馬重工が製造している。 「延珠、お前『パワードスーツ』って聞いたことあるか? 装着することで持ち主の筋力や防 御力を上げられるスーツがあるんだ。二十年前──大体二〇一〇年代初頭とかだと、エクサス ケルトンってライフル弾を防ぐために装甲は分厚いわ、動きは鈍重だわ、バッテリーの持ちは 悪いわ、量産に向かないわと、ちっとも良いことがなかったんだけど、バラニウム合金やカー ボンナノチューブとかのハイテク素材のおかげでああいう実践的なのも出てきた。(以下略)」 一定までの衝撃を吸収する里見蓮太郎の天童式戦闘術が義肢を使わねば通らない。 剄力を込めた蹴りはエクサスケルトンに織り込まれた衝撃吸収繊維によって阻まれ、ほとん どダメージにならない。 使用者との関連性 壬生 朝霞の場合 パワー特化のイニシエーター元々膂力のある肉体を更に強化している。 彼女のガストレア因子はおそらくパワー特化型。それを鎧型のエクサスケルトンでさらに強 化している。 関連項目 関連タグ ブラック・ブレット 強化外装 鎧 防具 リンク
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◇ 「舞踏会のドレスが無いわ。じいや!ばあや!」 マーガレットの声が響く。 いつもと変わらない光景。 クランの少女達は、誰もその声に耳を傾けることは無い。 「ねえ、どこなの!」 マーガレットと目が合わぬように、少女達が視線を逸らす。 ある物は侮蔑の目で彼女を眺めた。 雨のクランの遊戯室にマーガレットが現れると、自然にその周りから人が居なくなる。 頭のおかしい少女マーガレットと、関わり合いになりたいと思う者は誰もいなかった。 マーガレットは何を分からず、どうして自分の周りに誰も居ないのか理解出来ない。 お城の中の視線は全て自分を蔑んでいて、プリンセスに対する敬意の欠片も見当たらない。 不安で、マーガレットは叫び続けた。 どうすることも出来なくて、寂しくて叫び続ける。 目に涙を浮かべながら、マーガレットは毎日自分の存在を主張し続けた。 ジャスミンはいつものようにミモザ、クレマチスと連れ立ってクランを歩いていた。 もうずっと一緒にいる3人。特別な絆を感じ、いつも寄り添っていたけれど そのきっかけが何だったのかは分からなかった。 遊戯室に訪れると、三々五々お喋りに興じる少女たちが目に入る。 ジャスミン達もその輪に加わり、腰掛けてお喋りを始めた。 と、視界にたった一人で何かを叫んでいるマーガレットが映る。 誰も相手にしない、頭のおかしな女の子。 不意にジャスミンは、酷く懐かしく悲しい感覚に襲われた。 そして、マーガレットがら目を離すことが出来なくなる。 動悸が激しくなり、耳鳴りがし、胸が苦しくなるその感覚に酷く戸惑った。 ジャスミンの様子に気付き、その視線を追ったミモザとクレマチスもまた、同じ感覚に襲われる。 他の生徒たちがそんな三人を不思議そうに見た。 「どうしたのジャスミン?マーガレットなんか見て」 そう声を掛けられた瞬間、ジャスミンの中に不意に言葉がせり上がる。 「マーガレット…お姉さま…?」 思わず呟いた言葉に自分でも酷く驚いたけれど それとは裏腹に胸の内には暖かさと寂しさが満たされていった。 「お姉さまって…。私たちのお姉さまは監督生のお二人だけでしょう。 それによりにもよってマーガレットをお姉さまだなんて」 「ジャスミンも繭期をこじらせちゃったんじゃないの?」 「ちょっとジャスミン、勘弁してよ」 他の生徒が呆れるやらはやし立てる中で、ジャスミンはただじっとマーガレットを見ていた。 寂しそうに、目に涙を浮かべ一人で何かを言い続けるマーガレットをじっと。 いつしかジャスミンの目からは涙が流れていた。 「ちょ、ちょっとジャスミン?どうしたのよ」 少女たちの方を振り返る。 ミモザとクレマチスのを見ると、二人もまた涙を流していた。 その理由が全く分からないのに。 その時からジャスミンの心を不思議な感覚が埋め尽くしていた。 マーガレットの姿が頭から離れない。 そして、ミモザとクレマチスもまた同じ感覚に襲われているのだと直感した。 だけどそれを確かめあうことも出来なかった。 全く意味の分からない自分の心理状態を、どう説明すればいいかも分からなかったし ミモザとクレマチスもまた、同じ状態なのだと思った。 夜、悶々とした感覚と一日中戦い疲れて自室に戻ったジャスミンは 自分の枕元に見慣れない本を見つけた。 随分と古い、装丁のいい児童書。 そんなものが自分の持ち物にあっただろうかと思いながら 不思議な魔力に吸い寄せられるようにそれを手に取った。 異国のお姫様の物語。 美しく、聡明で、少しだけ我がままな。 みんなから愛されたお姫様の姿がそこにある。 夢中でページを捲るジャスミンの目が潤み出す。 物語を追いながら、またマーガレットの姿が頭の中を埋め尽くす。 衝動に逆らえなくなった時、ジャスミンは小さく呟いた。 「姫、姉さま…」 瞬間、とめどなく涙が溢れ出した。 ありえないはずの感覚。 だけど、胸がマーガレットへの愛おしさで溢れていく。 寂しそうに一人佇むマーガレットの姿が思い出される。 ”大好きよ、ジャスミン” 聞いたことのないはずの言葉が次々と頭の中に浮かび上がる。 ”あたた達が愛してくれるから、私は私で居られるの” それは確かにマーガレットの声で頭に響いた。 胸を掻き毟られるような、誰にどう説明することも到底不可能と思われる悲しみが襲う。 ジャスミンは居てもたってもいられず、部屋を飛び出した。 クレマチスとミモザの二人部屋の戸を強くノックしたジャスミンは その間もずっと涙を流しマーガレットのことを考えていた。 「ジャスミン?どうしたの?」 部屋から顔を覗かせた二人が酷く驚いてジャスミンに近づく。 ジャスミンは涙に濡れた、それでも強い目で二人を見た。 「ミモザ、クレマチス…私…」 二人の肩を掴み、口を開いたジャスミンは、そこで一度言葉を切った。 自分が今から口にしようとしていることが、おかしなことだと分かっていた。 もし二人がそれを聞いて、ジャスミンもまた頭がおかしくなったのだと、 そう思われたらどうしよう。 そんな恐怖がちらつく。 だけどジャスミンは、何の確証も無いまま、内から湧き上がる衝動を信じた。 「マーガレットお姉さまの…姫姉さまの側に居なきゃ…」 ミモザとクレマチスが、その言葉に驚き固まる。 それからみるみるとその目を潤ませ、ジャスミンと同じ泣き顔になった。 二人は泣き顔のまま、強くジャスミンに頷き返した。 「行こう、姫姉さまのところへ…」 3人は夜のクランを歩きマーガレットの部屋の前まで来ていた。 誰も口を開くことなく。 誰も、自分の感情を説明することが出来なかった。 冷静に考えれば、クランでも誰も相手にしない頭のおかしなマーガレットを『姫姉さま』などと呼び その元を訪れるなんて馬鹿げている。 まして、そうするだけの理由に、何の心当たりも無い。 なのに3人は同じ気持ちでそこに向かった。 根拠は心の奥底から湧き上がる衝動、それだけ。 3人でマーガレットの部屋の前に立つ。 訪れたことも無いはずのその場所が、何故か酷く懐かしい。 代表してジャスミンが小さく戸を叩くと、随分遅れて「だれ?」というくぐもった声が聞こえた。 「ジャスミンとミモザとクレマチスです」 涙を拭いジャスミンが強い声を出す。 迷いが消えていく。 怯えたように、恐る恐る戸を開きマーガレットが顔を出した。 3人を、緊張が襲う。 マーガレットが部屋の前に立つ3人を見回し、また怯えたように小さく声を出した。 「だれ…?」 拭いたはずの涙が、またジャスミンの頬を伝った。 だけどジャスミンは、笑顔を浮かべた。 怯えるマーガレットを安心させるように。 「ジャスミンです、姫姉さま。御側を離れてしまって、申し訳ありません」 自分の発している言葉が、このクランにおいてあまりにもおかしいことだとは分かっていたけれど ジャスミンは笑顔を浮かべたまま、強く言い切った。 マーガレットは戸惑いの表情を浮かべたまま、そわそわと3人の顔を見比べた。 「私たちも…一人にしてしまって御免なさい、姫姉さま」 ミモザが言う。 マーガレットがまた不安気にその顔を見た。 それから、小さな声を出す。 「…ないてるの?」 ジャスミン達は、その小さな、だけど自分達を気遣う言葉に 胸を震わせ、愛しさに満たされて笑みを深めた。 マーガレットの愛らしく小さなその胸に、飛び込みたい衝動に駆られる。 「大丈夫です、姫姉さま…。私たちは辛くて泣いてるわけではありません」 「そうなの…?」 マーガレットが心配そうにミモザとクレマチスを見ると 二人も泣きながら、だけど満面の笑みで強く肯いた。 「そっかぁ」 時間をかけて、ゆっくりと強張っていたマーガレットの表情が緩んでいった。 それから、その顔に遠慮がちな笑みが浮かぶ。 3人は震える足を気力で支えながら、ただ愛おしさと嬉しさの衝動に耐えて突っ立っていた。 「もう、遅いじゃない…。 3人とも、てぃーたいむが始まるわよ。はやくいらっしゃい」 マーガレットが言うと、3人は箍が外れたようにまた涙を流しマーガレットに抱き付いた。 その行動の意味が分からずびっくりしたマーガレットも 自分に縋り子供のように泣く3人が愛しくて、しばらくその背中を撫で続けた。 ◇ マーガレットの部屋に上がり、4人は一緒に就寝前のお茶を楽しんだ。 相変わらず、マーガレットの言うことは訳が分からないことばかりで 自分たちもまた彼女の妄想の登場人物になっているらしかった。 だけどそれを嫌とは思わなかった。 寧ろ心地よく、昼間悲しそうにしていたマーガレットが、今笑顔でいてくれることが何より嬉しかった。 お茶を飲み、夜も深くなるまで4人はお喋りに興じた。 3人にとっては、あまりにも自分たちの行動が不可解で、他の生徒たちに何と言われるか解らないものだったけれど 何を言われてもいいと思った。 頭のおかしなマーガレット。 だけど触れ合って、お話をして、マーガレットがとても純粋で心優しい少女だと分かった。 自分の奥底にある衝動とは別にしても、ジャスミン達はマーガレットのことが好きになっていた。 会話が途切れ、雨の音が響き出すと、そろそろお開きかという空気になる。 それを敏感に感じ取ったマーガレットが、不意に不安げな表情になった。 今まで得意気にお姫様の妄想を披露していたその表情が、夜に怯える子供のそれになる。 「…かえっちゃうの?えっと、タナベ…」 「ジャスミンです、姫姉さま」 ジャスミンは、会話中何度名乗ってもなかなか名前を覚えてくれないマーガレットに苦笑しながら優しく言った。 「帰りません。今夜は寂しいので、一緒に居させて下さい」 「私たちも、いいですか?姫姉さま」 「ササキ、カガ…」 「ミモザです」 「クレマチスです」 不安に揺れていたマーガレットの目が、安堵の色に変わる。 「しょうがないわね、あなたたち。 今日はあたしの部屋に泊まっていきなさい」 「はい、姫姉さま!ありがとうございます!」 4人は一緒にベッドに入った。 今まで話したことも無かったマーガレットと一緒に眠る。 それがどれだけ変なことか、ジャスミン達は重々承知していた。 だけどちっとも嫌じゃないし、どこか懐かしい感覚になった。 マーガレットを一人にしない。 そんな使命感にも似た気持ちが湧き上がる。 3人の気持ちを知らず、マーガレットは安心しきったように寝息を立て始めた。 ◇ それからジャスミン達3人は、いつもマーガレットの側に居るようになった。 それに伴い、段々と他の少女達から3人も浮いていった。 マーガレットの妄想に付き合う姿を見て、3人もまた繭期を拗らせておかしくなったのではないかと噂される。 幾度もそのことの弁明を試みたジャスミンも、やがてそれを諦めた。 自分達が何故、そうまで言われてもマーガレットの側に寄り添うのか、何も説明する言葉が無い。 まるで魂が要請しているように、ただ強い衝動によって突き動かされていた。 マーガレットを決して一人にしない。 寂しい想いをさせない。 涙を流させない。 その為に、陰口も視線も、甘んじて受ける。 時にそれは3人の心に強い負担を与えたけれど、それでもマーガレットの側にいることを選び続けた。 次第にマーガレットも3人を心から信頼するようになった。 子供のように無邪気なマーガレットはそれを表情や仕草で存分にあらわしてくれるから それが3人の支えになった。 そうして暫く時が過ぎた。 ジャスミンは、時が経てばあの時自分に襲った感覚の正体、マーガレットに固執する衝動の理由が判然とするものと思っていた。 だけどどれだけ一緒に居ても、その理由は分からず、どこにもそれをすべき記憶は無い。 そのことに次第に不安を覚えるようになっていた。 やはり、理由などはどこにもなく、ただ自分の頭がおかしくなってしまったのでは無いか。そんな不安が日に日に高まる。 だけど一緒に居て、マーガレットのことを理性の上でも好きになっていた。 だから、彼女の側に居たいという自分の衝動を、論理的な思考が否定しようとすることが怖かった。 ある日、ジャスミンはマーガレットに提案をした。 それは、禁を犯すこと。 自分の全てをマーガレットに委ねる提案だった。 だけどそれを言い出すことに、驚くほどに抵抗は無かった。 「かむ…?ジャスミンを?」 「はい、姫姉さま。お姉さまに、私を噛んで貰いたいんです」 提案を受けたマーガレットは戸惑いの表情を浮かべミモザとクレマチスを見た。 最初ジャスミンの言葉に驚いた二人も、次第にその意味を理解し、肯いた。 「私も、噛んで下さい姫姉さま」 「私も」 マーガレットにはその意味が分からず ただ真剣な妹たちの表情を不思議に思った。 「でも、痛いでしょ…?」 「痛くありません。 これは私がいつまでも姫姉さまの側にいる為の、誓いの儀式です。 プリンセスとして、そしてその妹としてとても重要なことなのですよ、姉さま」 それは血盟議会の掟で固く禁じられた行為。 だけどジャスミンは強くそれを欲していた。 自分が、マーガレットの意に沿わぬことをしてしまわぬように。 また側を離れてしまわぬように。 マーガレットの心を裏切るような真似を、絶対しないと思いたいけれど、 自分の心の強さに自信が持てない。 マーガレットを愛する理由を探してしまう自分が嫌で仕方ない。 きっと理由なんて要らない。今側に居たいと思う、それだけでいいはずなのに。 だからもしもの時の為に、イニシアチブで縛って貰いたかった。 それはただ、安心感を得たいというエゴだと分かっていたけれど。 戸惑うマーガレットにジャスミンが抱き付く。 そして束ねた黒髪を退かし、首筋をマーガレットの顔の前に差し出した。 「ここを。 お願いします、姫姉さま。大丈夫ですから」 マーガレットは、ジャスミンの白い首筋をまじまじと見つめ、暫く逡巡した後 柔らかくその透くような肌に噛みついた。 「…だいじょうぶ?」 「大丈夫ですよ。姫姉さま…ありがとうございます」 暫く抱き合いそれから身体を離す。 ジャスミンの目に涙が浮かんでいた。 それは歓びの涙だと強く感じる。 マーガレットは同じように、ミモザとクレマチスの首筋も噛んだ。 4人はそうして、イニシアチブの主従関係を結ぶこととなった。 だけどマーガレットは一度も、その力を行使することは無かった。 イニシアチブが何かも、マーガレットは理解していなかったから。 それ以降は、ジャスミン達も吹っ切れたように 他の生徒の目を気にすることが無くなった。 開き直り、マーガレットに付き合ううち、すっかりそれも馴染んでいった。 誰も親しくジャスミン達に話しかけることは無くなったけれど いつも楽しそうにクランを4人で歩き回る姿を、そういう風景として認めるようになった。 マーガレットは繭期を拗らせて自分をどこかの国のお姫様と思い込んでいる。 そのことは少女達にとって変わりなかったけれど いつも3人と楽しそうにしているマーガレットの笑顔に、嫌悪感や侮蔑の視線は薄れていた。 いつも寄り添い、妄想しながら楽しそうにしている。 まるでピエロのようだったけれど、ピエロ達の道化は時に少女達に笑いを齎した。 そうして4人は、クランの中で不思議な市民権を得た。 ある日、遊び疲れたマーガレット達は 談話室で眠りこけてしまった。 少女達は、関わろうとはしなかったけれど、幾らか微笑ましい気持ちで4人の少女達の寝姿を眺め部屋を後にする。 誰も居なくなった部屋で眠る四人のところに一人の少女が近づいた。 それはスノウだった。 スノウは、眠るマーガレットの側にそっと近づきその頭を撫でた。 「マーガレット…私は…」 ”もし私が何かを変えることが出来たなら…あなたがそれを見届けたなら。 あなたにも、何かをして欲しい。諦めて、閉じ込めてしまわず、幸せになるために何かを” スノウの脳裏には、いつかマーガレットが言った言葉が浮かんでいた。 スノウは見届けた。 マーガレットの『結果』を。 少しだけ、期待していたのだ。無責任に、マーガレットならば何かを成し遂げられると。 だけど何も変わりはしなかった。 いや、もしジャスミン達が居なければ、マーガレットは孤独の淵で苦しみ続けたかもしれない。 せめて4人が一緒に居れてよかった。 だけどクランも、ファルスも何も変わらなかった。 全てを賭け、その人格の全てを失ってまで、マーガレットが変えようとしたというのに。 スノウはもはやその目に、哀しみを浮かべることすら難しくなっていた。 みんなは覚えていない。 だけど、以前のマーガレットが『死んで』しまったことを、スノウだけが覚えているのだ。 あの時もっと強く止めていれば。 そんな後悔も、もう波が引いてしまった。 マーガレットのことを、その末路を直視することは、もう出来ない。 そんなことをすれば、本当に自分の心もまた壊れてしまう。 悲しみと絶望の為に。 だからスノウは決めた。 もう何もしない。 ただ、耐えて、このクランで生きるのだと。 もう二度とマーガレットに関わることも、誰と関わることもしないと心に決めた。 リリーにもう一度話してみようと、そう思っていた。 マーガレットが何かを成し遂げたら、そうしてみようと。 でももう、そんな気にはなれなかった。 もう一度スノウは眠るマーガレットの髪を撫で それから寂しそうに俯いてその場を離れていった。 時は過ぎ、クランからシルベチカが居なくなった。 誰もそれに気付くことは無かった。 マーガレットも、気付かない。 マーガレットは、シルベチカなんて知らなかった。 いつか微笑みを交し合った友人の死を、知らなかった。 ただマーガレットはジャスミン達と4人で、楽しそうにクランで暮らしていた。 最期は突然だった。 マーガレットが用意したお茶菓子を広げ、いつものように4人でティータイムを楽しもうと準備していた、まさにその時 何の前触れもなく剣を手に取った四人は、お互いの身体を切り裂き、胸に剣を突き立てて絶命した。 折り重なるように、ジャスミンとミモザとクレマチス、そしてマーガレットは息を引き取った。 その最後に、プリンセス・ピエレット・マーガレットが何を思ったのか、誰も知らない。 物語にも記憶にも、マーガレットのその生涯が記されることは無い。 その亡骸はただ炎の中に消えた。 終わり ←その3
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名前:アンドロ 種族:ルナリア 性別:女性 年齢:20歳 身長:160cm 体重:秘密 職業:ハーバリスト(元ウォーロック) ボイスパターン:クール(名塚佳織) 一人称:私 二人称:あなた、きみ 三人称:○○さん 好きなもの:爆発物、薬物 元々は研究者で、アイテムや薬品の生成をおこなっていた。冒険者ギルドと評議会からの依頼により毒を開発。趣味で爆弾型(スモーク)にしたところ想像以上の効果を発揮。技術提供を行い他の冒険者が使えるようにする代わりに研究資金として大金を受け取っている。もちろんほとんどが研究で消えていくため基本質素な生活をしている。 既存の素材からの薬品開発はしつくしてしまい迷宮にいどむことに。迷宮に挑む目的は踏破よりも新素材採集や新薬品の試用の部分が大半である。 初めはウォーロックになったが、ハーバリストで自分が作ったスモークが使えるためハーバリストになる。 ウォーロックの知識と経験があるため魔力感知やパラダイムシフトなどを使うことができる。 爆弾には複雑な薬品が必要なためさまざまな薬を調べていたが、その魅力にはまっていく。 優秀な薬品を作ることができるが、爆弾が使いたいあまり薬品は爆弾に似せて作ってしまう。そのためハーブとスモークの区別が塚なることもしばしば。魔力感知で判断できる(このために修得したとかそうでないとか)が、稀に戦闘中に行動が遅いときはだいたいこのせい。ハーブを元の形にする気はないらしい。 最近は新たな薬品の開発に没頭する毎日を送っている。 ゴーレム戦後、ゴーレムの爆発に大変興味を抱きどうにか自分の道具に活かせないかと研究に余念がない。 最近ついにスモークボムが完成、二つ名「慈悲深き爆殺者」を取得した。それに伴い今までギルドで重宝されてきたハーブによる回復を捨てボムのみに絞った。そのため最近は比較的街で待機が多くなった。 研究方針 スモークボムはもちろんMAXに:今Lv9 ○ 4種のスモークであらゆる敵に対応できるようになりたい:取得したがまだまだLvが低い △ 幸運のネックレスなどLUC装備がほしい:カメオ装備 ◎ ギルカ:[アンドロ https //www.flickr.com/photos/146967616@N08/?] キャラクター原案:アンドロ
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イギリス 不思議の国のアリス ブレッド・アンド・バタフライ(Bread-and-butterfly) バタツキパンチョウ。 ルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場するもの。 参考文献 桑原茂夫『図説 不思議の国のアリス』76頁
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◇ 深夜一度目の地下室探索を終えたマーガレットは 寝付けない夜を過ごしていた。 そこには確かに、薬、名簿、そして写真があった。 全てを裏付ける確かな証拠。 そして現在もクランに在籍しながら、ただ一人どこにもその名前が記されていなかった人物。 予想はしていたし、ある程度分かっていたこと。 だけど、覚悟していたはずのマーガレットにとっても それらは余りにも大きな衝撃だった。 むせ返る臭いも相俟って、胸が悪くなり頭がガンガンと痛み 長くその場に留まる事は出来なかった。 自分の精神が余裕を失っていることを感じ、そこに居たという証拠を出来るだけ隠すのが精いっぱいで 地下室を出たマーガレットは、すぐに湯浴みをした。 あの臭いが身体にこびりついているような気がして、堪らなかったから。 確かに事前に示された物は見つけた。 それは想像以上の衝撃をマーガレットに齎した。 だけど、短い時間の中でそれ以上のものを見つけることは出来なかった。 またもう一度、地下室に行かなければならない。 それまでに、分かったこと、頭の中を今一度整理しなければならなかった。 ベッドの中でマーガレットの世界がグラグラと揺れていた。 疑いが確信に。 そして自身の存在その物が根底から覆される感覚。 クランでの生活や仲間たちの顔、ジャスミンやミモザやクレマチスの顔、 思い浮かんだ愛しい物たちが、紗に覆われていく。 そうして長い時間を悶々と過ごしたのち 波止場を探した心は、あの人物への怒りと憎しみとに落ち着こうとしていた。 それを滾らせることで、マーガレットは漸く眠りにつくことが出来た。 もはや死も破滅も、通り越した場所に自分は居るのだ。 それならば、せめてもの一矢をあの男にくれてやりたい、と。 ◇ 強い雨がクランの窓を叩く朝。 マーガレットは妹たちとの朝の挨拶を交わすと、いつものように図書室を訪れていた。 TRUMP。それに関する資料を探している。 意外なことに、クランの膨大な蔵書の中にはそれに関する記述があるにはあった。 だけどどれも断片的で画一的。 お伽噺として触れられている以上の物は無かった。 半ば諦めて、ついでに興味のある書籍を紐解くことがマーガレットの日課になっていた。 普段は殆ど利用者も居ない図書室。 だけどこの日は先客が居た。 マーガレットはその姿を見て小さく微笑んだ。 以前はよく図書室で顔を合わせた気がするけれど、最近はご無沙汰だった。 その少女、シルベチカは静かに椅子に腰かけ、本を読むともなく窓の外を眺めていた。 近寄ってくるマーガレットに気付き、シルベチカも優しく微笑む。 「おはようシルベチカ。なんだかあなたとこうして図書室で会うのも久しぶりね」 「そういえばそうね、マーガレット。あなたは最近も熱心にここに来てるみたいね。 何を調べているの?」 「お伽噺と現実について」 マーガレットがそう言うと、シルベチカは小さく苦笑した。 シルベチカには何か思い当ることがあるだろうか。 マーガレットはふと浮かんだ考えを押し込み、笑顔を浮かべ直した。 「今日は行かなくていいの?」 マーガレットが隣の椅子を引きながら意地悪に笑って言うと、シルベチカが苦笑して肯いた。 「今日は流石に、こんな天気だから」 いつもはしとしとと降っている雨が、今日は激しく叩きつけている。 時々雷も鳴っていて、これでは渡り廊下に出ることも出来そうになかった。 からかうように笑うマーガレットの表情を見て シルベチカが恥ずかしそうに言う。 「あなたも何か聞いたの?」 「ええ、みんなが話してたわよ。シルベチカとキャメリアのこと」 「そっか」 頬を赤らめるシルベチカを、マーガレットは可愛らしいと思った。 「うまくいきそうなの?」 マーガレットの問いに、シルベチカは頬を染めたまま小さく肯いた。 「ええ。昨日、やっと…」 「まあ。おめでとう、でいいのかしら」 またシルベチカがコクリと肯く。 とても幸せそうに、暖かさに包まれているように。 「チェリーにもなんだか世話をやいて貰っちゃったわ。ちゃんとお礼しないと」 「そういえばチェリーとも一緒じゃないのね」 「さっきまで一緒に本を読んでいたけど、飽きたって行ってしまったの」 「ふふ、チェリーらしいわね」 マーガレットとシルベチカは顔を見合わせて笑い合った。 「それにしてもシルベチカがそんなことになるなんて思ってもみなかったわ。 いったい彼とどんなことがあったのかしら」 独り言のように呟いたマーガレットに、シルベチカが少し意外そうに目を向ける。 「マーガレットがそんなことに関心を持つなんて思わなかった」 「これっぽっちも関心なんて無いわよ」 言ってマーガレットが得意げに胸を張ると その仕草にシルベチカは思わず噴き出した。 「ただシルベチカが幸せになることが嬉しいだけ」 マーガレットが言うとシルベチカがくしゃりと顔を綻ばせる。 「ありがとう」 マーガレットは今目の前にあるシルベチカの笑顔を見られることが嬉しかった。 図書室に入って来た時、マーガレットにまだ気付かず外を見ていたシルベチカの顔は違っていた。 そこに浮かんでいた憂いは、ただ今彼に会えないという、それだけの為では無いと感じる。 幸せと同じくらい、シルベチカの心に不安があるのだと思った。 少し会話が途切れた。 窓の外で一つ稲光が煌めき、暫くして恐ろしい音が轟く。 幸せを浮かべていたシルベチカの表情は段々と戻り、そしてその目にはまた どこかしら憂いの色が浮かんでいた。 マーガレットがその顔をじっと見つめていると、その視線に気付いたシルベチカが苦笑する。 「今私、とても幸せ、なんだけどね、凄く不安になるの」 「シルベチカ?」 「色々なことが分からなくなって、自分のこともよく分からないの。こんなことはじめて」 「シルベチカにも分からないことがあったのね。 あなたは何でも知っていると思っていたわ」 暗い顔を続けさせるのが嫌でマーガレットがおどけて言う。 シルベチカの口元には変わらず笑みが浮かんでいたけれど、その瞳はやはりどこか打ち沈んでいた。 「それはあなたでしょうマーガレット。 何でも知っている優しくて聡明なみんなのお姉さま」 シルベチカの思わぬ反撃に、マーガレットは口を開けて笑った。 また雷が轟く。 「何でも知ってるマーガレットに聞いてもいいかしら」 「なあに?」 「私は彼を、キャメリアを愛してる。彼も私を愛していると言ってくれたわ。 だけど……永遠に続く愛ってあるのかしら」 シルベチカのその言葉は、マーガレット心臓をドキリと跳ねさせた。 その言葉は今マーガレットが辿り着いた事実との関連を思わせる。 まるでシルベチカも何かを知っているのでは無いかと疑わしくなるくらいに。 マーガレットは内心の動揺を悟られないよう、顔に笑顔を張り付けて軽い調子で言葉を返した。 「意外とあなたってロマンチストなのね。 でも私に聞くこと? 私にはそんな経験は無いんだから、答えようが無いわ」 「ふふふ、ごめんなさい。 ね、マーガレット。『永遠に枯れない花を作ろうとした庭師の物語』って知ってる?」 「お伽噺ね。いつだったか、聞いたことがあるわ」 「さすがマーガレットは物知りね」 それを聞いたのはもしかしたらシルベチカからだったかもしれない。 マーガレットはそう思ったけれど、言わなかった。 そんな記憶は無い。マーガレットにも、シルベチカにも。 「庭師が育てた花は枯れてしまった。 庭師が作ろうとした『永遠に枯れない花』はとうとう完成することなく、朽ち果ててしまった。 どんな花もいずれ枯れるように、私たちの愛もいずれこの世から無くなってしまうのかしら。 そんなことばかり考えて居るの。 彼の心も、自分の心さえもやがて朽ち果てて、彼を愛した記憶さえ無くなってしまうんじゃないかって」 いつしかシルベチカの笑顔は消えていた。 まるで寒さに震えるように、シルベチカがそっと自身の身体を抱く。 それを見てマーガレットは、何故だか泣きたい気持ちになった。 この異常なクランに居る限り、シルベチカの愛も、キャメリアの愛も、いずれ消されてしまうかもしれないのだ。 だけど何百年も歳の離れたシルベチカがキャメリアと出会うことが出来たのもまた、この異常なクランにいたから。 「ねえシルベチカ、私が調べていたのは『お伽噺と現実について』そう言ったわよね」 「ええ」 「私が一つ知ったことはね、お伽噺と現実とは違うってことなの。 お話の中で起こった奇跡は現実には起きない。 だけどお話の中で起こらなかった奇跡が現実にも起こるかもしれない。 あなたが物語の庭師のように大切に育てた花は、もしかしたら永遠に枯れない花かもしれないわ。 彼とあなたは永遠に愛し合っていられる、かもしれない。そうは思わない?」 シルベチカの顔にまた小さな笑みが浮かぶ。 「優しいねの、マーガレット」 「私の優しさだなんて思われるのは迷惑。あなたの問題だもの。あなたの考え方の」 「……そうよね」 「『運命』なんて物語の中にしかない。現実を生きる私たちにそんなものがあるなら、 それは自分の力で変えられるはずだもの。そんなもの運命でもなんでもない」 「マーガレット…。ふふ、随分語るわね」 「運命に負けるなんて癪だもん。 シルベチカみたいな女の子が幸せになれないなら、この世界の方が間違ってるわ」 拳を握り言い放ったマーガレットに、シルベチカはとうとう吹きだしてしまった。 それでようやくマーガレットも笑うことが出来た。 二人はまるで小さな子供のように大声で笑い合った。 妹たちの前では決して見せないような顔で。 「ありがとうマーガレット。参考になったかは兎も角、随分と楽になったわ」 一頻り笑った後、シルベチカは涙目でマーガレットに告げた。 クランの中では古参同士。 スノウやリリーと共に、長い付き合いの二人は 互いのことを良く知っていた。 性格は全然違う。 だけどどこか似ているところもあるとマーガレットは感じていた。 シルベチカは強い女の子。 マーガレットが自身に感じる傲慢さや強がりとは違う、本当の意味での強さを持った子だと感じていた。 そしてマーガレットはそんな彼女を心から尊敬している。 だから幸せになって欲しい。 もし自分がこのクランの闇に呑まれ消えてしまったとしても シルベチカには打ち勝って欲しいと思った。 ◇ 激しい雨が降り続いている。 窓に叩きつける雨音はうねりながら勢いを強め、恐ろしい稲光と轟音がひっきりなしに空を埋めていた。 あまりの煩さに眠りにつくことを邪魔されたマーガレットは ベッドの上で明かりを灯し、古い本のページを捲っていた。 それは草臥れた、だけど豪奢な装丁の本で、マーガレットの宝物だった。 小さい頃からマーガレットがいつも枕元に置き、何度も何度も読み返した物語。 ある国のお姫様の気高く誇り高く美しい生涯を優しく綴った児童書だった。 傷んだ紙をそっとめくると、いろいろなページの文字の上に書き足されている記号がある。 大切な大切な本に書き足されたそれらを見る度に、マーガレットは悲しい気持ちになった。 それは間違いなく、マーガレット自身が書き込んだものだった。 また一つ激しい雷鳴が轟く。 クランのすぐ近くに落ちたらしい雷は、その余韻と共にグラグラと空気を揺らした。 と、また立て続けに恐ろしい光と音があたりに木霊する。 今晩はもうずっとそんな調子だった。 不意にコンコンと、部屋のドアが控えめにノックされた。 雨と雷の音に消されて、ともすれば聞き逃してしまいそうな控えめなその音を聞いたマーガレットは 少し大きめの声でベッドの上から返事をした。 「誰かしら」 また大きな雷が落ちると、ドアの外に立つ気配がゴソゴソと蠢く。 「ミモザとクレマチスです。お姉さま、入ってもいいですか?」 ドアの外から聞こえた声に、強ばっていたマーガレットの頬は一気に緩んだ。 「ええ、どうぞ」 言うと遠慮がちにドアが開かれる。 そこには、パジャマに身を包み、枕を抱き抱えて身を小さくしているミモザとクレマチスの姿があった。 その姿に、マーガレットの中で愛おしさが溢れていく。 「お姉さま、その…」 クレマチスが言い淀みながら遠慮がちに声を出した。 ミモザも不安げな顔のまま、そろそろとマーガレットに近づく。 マーガレットはベッドから抜けると、佇む二人の頭をそっと撫でた。 「いらっしゃい。今晩は一緒に寝ましょう。 ちょうど私も、雷が怖くて眠れそうになかったの」 そういうとミモザとクレマチスが顔を見合わせ、満面の笑みを浮かべる。 また、雷が轟いて、その拍子にミモザとクレマチスがマーガレットにしがみつく。 マーガレットは二人を抱きしめると、そのままベッドへと誘った。 ミモザとクレマチスが楽しげにベッドに倒れ込む。 その時またマーガレットの部屋の戸がノックされた。 二人をベッドに残しマーガレットがその扉を開けると、そこには先ほどの二人と同じように 申し訳なさそうに肩を丸め、枕を抱えたパジャマ姿のジャスミンが立っていた。 ◇ 大き目のマーがレッドのベッド。 だけど4人で潜り込むのはとても窮屈だった。 でも誰もそれを嫌だとは思わない。 雷が落ちる度にミモザとクレマチスがマーガレットにしがみつく。 ジャスミンも恥ずかしそうにそこに加わった。 「本当に今日は酷い雨ね。これじゃあ眠れないのも仕方ないわ」 マーガレットが事も無げに言うと、ジャスミンが遠慮がちに尋ねる。 「お姉さまは怖くないんですか?」 「怖いわ。だからあなたたちが来てくれて本当に嬉しいわ。 あなたたちと一緒なら、怖くないもの」 それを聞いた三人は、何か擽ったいような表情を浮かべて尚強くマーガレットにしがみついた。 小さく固まりながら4人はベッドの中でお喋りに興じていた。 いつものお茶会と内容は大差ない。 だけど雰囲気がいつもと全然違うから、なんだかワクワクする。 暫くすると雨も雷も弱まっていたけれど、4人は嬉しくて楽しくて、誰もそのことに気付かなかった。 「お姉さま、この本何ですか?」 枕元に置かれた本を見つけ、ミモザが尋ねる。 マーガレットはそれを手に取り、愛おしそうにその表紙を撫でた。 「私の大切な本よ。 小さい頃から大好きだった物語。 これはね、ある国のお姫様の本なの」 「素敵」 クレマチスの呟きにマーガレットは嬉しそうに笑った。 「私ね、ずっとこのお姫様に憧れていたの。 それで小さい頃は、私も本当はどこかの国のお姫様なんじゃないかって勘違いして。 お姫様の振りをして遊んだりしていたわ。 今でもねたまにそんなことを考えるの。 私がどこかの国のお姫様だったらどんなに素敵でしょうって。 物語の中の、高潔で美しいお姫様と私じゃ全然違うのにね。 ふふふ、子供っぽいでしょう?」 「そんなことありません!」 自嘲気味に笑ったマーガレットの言葉をミモザが強く否定する。 それからクレマチスもそれに続いた。 「お姉さまくらい綺麗でかっこいい人はいないです! きっと本当にお姉さまはお姫様なんですよ」 「素敵!きっとそうだわ」 ミモザとクレマチスが盛り上がるのをマーガレットは嬉しそうに聞いていた。 ジャスミンも妹たちにしがみつきながら目を細めて笑う。 「あ、じゃあ今度からお姉さまのこと『姫姉さま』って呼んでもいいですか!」 ミモザの提案にマーガレットは思わず苦笑した。 「なあに、それ」 「えー、ダメですか?」 「ダメ…じゃないわ。だけどちょっと恥ずかしいわね」 マーガレットがそう言ってミモザの頭を撫でると、ミモザが嬉しそうに笑った。 「姫姉さま!」 ミモザとクレマチスが口々に言う。 マーガレットはさすがに照れくさくなって顔を下げたけれど その耳にジャスミンの声も届いた。 「姫姉さま。私もそう呼びますね」 少し笑いながら、だけど幸せそうに言うジャスミンにマーガレットは苦笑いを返した。 「あなたもなのね、ジャスミン。まあいいけれど」 いつしか雨は随分小降りになっていた。 耳を澄まさなければその音が聞こえないくらいに。 ひとしきり笑いあった後は、ゆっくりと落ち着いた時間が部屋に流れ始めていた。 もうみんなくっついて固まってはいなかったけれど ベッドの中はすっかり4人の温度に温められていて、マーガレットはその幸せな温度をじっと感じていた。 「姫姉さま、この御本ちょっと見てもいいですか?」 ジャスミンの言葉にマーガレットがにこりと笑う。 「どうぞ」 ジャスミンがパラパラと本を捲る。 綺麗な挿絵。大きな文字で書かれた物語。 その古い紙からは不思議な高揚とどこか懐かしい匂いが放たれていた。 と、ジャスミンはそこに書かれている不思議な印を見つけ首を傾げた。 「あれ。姫姉さま、何か書いてあるみたいですが」 それは文字を飛ばし飛ばしに追うように、不規則に付けられていた。 マーガレットがふっと笑って答える。 「小さい頃からのものだからね。私が書いてしまったみたいなの。特に意味は無いわ」 「そうなんですか?」 「ええ」 ジャスミンは不思議そうにその文字を追っていたけれど マーガレットの言葉を受け止めてそれを考えるのを辞めてしまった。 「雨、止んだのかしら」 雨音がすっかり聞こえなくなって、マーガレットがポツリと呟いた。 それにクレマチスが答える。 「いえ。さっきまでと比べると大分小降りになってますが、まだ降ってます。ずっと」 「そう。 止ませたいわね。この雨も」 マーガレットが深く息を吐きながら呟いた言葉に、3人は首を傾げた。 雨は止まない。 もう雨の降らない世界を思い出すことも出来ないくらいに、ずっとずっとこの森には雨が降っている。 マーガレットは、愛おしい妹たちの温度を感じながら 胸に迫る衝動に身を任せようと決意していた。 終わらせる。 いたちごっこも、偽りの花園も。 それは直截に、マーガレット自身の死を意味していた。 これまで生きながらえたこと。それはマーガレット自身の慎重さと、生への執着だと知っている。 自身を守り、保険をかけ続けた結果の今だとすれば、それはひどく自尊心を傷つける事実だった。 鍵がいる。 あの男の思い通りにはさせない。 心までも支配されない為の鍵。 それがふと、マーガレットの中に閃いたのだ。 妹たちへの愛しさから気付いたその鍵。 それはシルベチカと、スノウ。 これまでのヒントの中に、二人に関するようなものは無かった。 きっと二人は「変化した」のだ。 永遠のような時の中で、だけど永遠に同じことが繰り返されるわけじゃない。 変化があるのなら、終わらせることも、支配を脱することも可能に違いない。 変化することは恐ろしかった。 そして死ぬことが何より怖い。 だけど自分は、それを選ばなければならない。 それが誇り高きプリンセス・マーガレットの生き様でなければならない。 到底なり得なかった高潔な物語のお姫様のように、死ななければならない。 怖い。 そして何より、妹たちと別れなければならないことが嫌で堪らない。 死にたくない。だけど我慢ならない。 自分に、従わせなければ。 「ジャスミン、その本、あなたにあげるわ」 「え?」 不意に呟いたマーガレットの言葉に、ジャスミンが驚きの声を上げた。 ミモザとクレマチスもまた、驚きをその顔に浮かべている。 「でもこれは…姫姉さまの大切な御本なのでしょう…?」 「ええ。だからあなたに持っていてもらいたいの。 私が持っているとまた落書きしてしまうかもしれないわ。 そんなのは物語の中の本物のお姫様に対して失礼だもの」 「そんな…」 「ねえ、聞いて。ジャスミン、ミモザ、クレマチス」 マーガレットが言う。 戸惑いの表情を浮かべた三人は、マーガレットの声を一言も聞き漏らすまいと息を潜め身を寄せた。 「あなたたちが来てくれて本当に良かったの。 私今晩は怖くて眠れそうになかったわ。 だけどあなたたちと一緒なら、眠れそう」 「姫姉さま…」 「私ね、強がりで見栄っ張りだけど、本当はとても臆病な子供なの。 いつも怖くて、誰かに愛してもらわないと一人では何も出来ない。 だから本当にあなたたちが居てくれてよかった。 あなた達が愛してくれるから、私は私で居られるの。 『強い姫姉さま』で居られるのよ」 三人はマーガレットの言葉の意味が分からずただ戸惑っていた。 その意味だけを思えば嬉しいことのはずなのに、不安が襲う。 まるでマーガレットがどこかに行ってしまう。 そんな気がして、またミモザとクレマチスがマーガレットにしがみついた。 「ありがとう三人とも。 私を忘れないでね」 ジャスミンが瞳を揺らし首を振る。 「私たちが姫姉さまのことを忘れるわけ無いじゃないですか…」 「そうですよ…変な、お姉さま…」 妹たちの不安気な声に申し訳なくなったマーガレットは、パッ明るい声を作った。 「さあ、寝ましょうか。 雷が治まったからって、自分の部屋に帰るなんて言わないでしょうね?」 「勿論です。私たちはずっと姫姉さまと一緒に居るんだから」 4人はまた寄り添い合い、ランプを消して眠りに就いた。 静かな雨の夜。その温もりは、まるで永遠のように四人の身体に残り続けた。 ◇ ←その1 その3→
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Androspinxアンドロスフィンクス神獣エジプト----------出典----------民間伝承 スフィンクスの中でも、獅子の身体に人間の男性の顔を持つスフィンクスをアンドロスフィンクスと呼ぶ。 この分類は、紀元前5世紀のギリシア人ヘロドトスによるものである。 アンドロスフィンクスは、人間の知性と、獅子の強さを併せ持つ理想的な怪物とされ、また、その顔は当時の国王の顔に似せられており、王権の象徴でもあった。