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台車に乗せられた檻の中にいるのは10匹の胴体の無いゆっくりれみりゃ。 この最もメジャーな捕食種は、空を飛ぶことでゆっくりとしてはでたらめな速さで移動することが出来る。 その高い機動力と旺盛な食欲を武器に通常種を追いまわし、蹂躙する恐るべき存在。 「うー!うー!」 「ううーーー!」 「ぎゃおー!」 人語を話すことの出来ない彼女達は一見すると楽しそうな笑顔を浮かべながらもここを出せと訴えてくる。 そんな要求を適当に聞き流しつつれみりゃ達をゆっくり達の姿が見えるところまで連れてゆく。 白い牙を光らせて、いっそう元気良く鳴いた直後、れみりゃ達を檻から解き放った。 「うーうー!」「うーっ!」 「れれれ、れみりゃだあああああああ!?」 「れびりゃいやああああああ!」 これが本能のなせる業なのか、生気を失った瞳で怯えていたゆっくり達は蜘蛛の子を散らしたように逃げ始める。 もはや絶望しきって微動だにしないのではないかとも思っていただけに、これは嬉しい誤算だった。 しばらく餌を与えていなかった10匹のれみりゃは涎を垂らしながら獲物めがけて一直線に飛んでゆく。 「うーうー!」 「や、やべでえええええええええ!?」 「ま、まりざああああああ!?」 最初に襲われたのは1匹の成体のゆっくりまりさ。 彼女の頭に食いついたれみりゃは本能の赴くままにその中身を吸い上げる。 そして、まりさが襲われたためについ足を止めて振り返ってしまったれいむ目掛けて2匹のれみりゃが牙を剥いた。 「ゆぐっ!いぢゃ、いだぃい!?やべでね!ゆっぐぢやべでね!?」 「「うーっ!」」 「ゆっぐ・・・やめでよぉ、ゆっぐぢぃ・・・!」 毒による理解不能の死や人間による不条理かつ一方的な暴力とはまた違った恐怖がゆっくり達を包み込む。 毒ならば、人間相手ならばもはや諦めるしかなかった。 しかし、れみりゃならば逃げれば死なずに済むかもしれない。 「ゆっぐぢやべでね!あでぃず、ゆっぐぢぢだいわ!?」 「おちびちゃんはまもるよ!ぷくうううううう!」 「「おかーしゃん!?」」 若いありすが喚く傍らで1匹のれいむが頬を膨らませてれみりゃを威嚇していた。 恐らく子どもを守るためなのだろうが、空を飛べるれみりゃに通常種が一対一で勝つ事は不可能。 1匹のれみりゃが彼女の頭に噛み付いている隙に、別のれみりゃが子ゆっくりに迫る。 「おぢゃああぢゃ・・・ぎゅ!?」 「うーうー!」 「ゆゆっ、おちびぢゃ!?やべでね、ゆっくぢはなれでね!?」 が、そうそう簡単に食うものと食われるもの関係が変わるほど世の中は甘くない。 何とか対抗策を考えようにもそれを仲間に話す前に食われ、よしんば話してもうまく実行できる保証も無い。 ましてや、こんな平坦で開けた場所でれみりゃを相手にするなど自然では愚の骨頂でしかない。 「ゆ゛っ・・・」「まぢざぁ・・・」 「おきゃ、ゆびぃ!?」 「おぢびぢゃあああ、ゆぎぃ!?」 「ごんなの!どかいはぢゃ、ないいいいい!」 そうこうしているうちにも全てのれみりゃが適当なゆっくりを見繕ったらしく、満面の笑みを浮かべて食事に取り掛かる。 彼女達は狡猾にも上から覆いかぶさるようにして食いついているので他のゆっくりから攻撃を受けにくい。 もっとも、幸いにも狙われなかったゆっくり達は離れたところで固まって怯えるばかりなのだが。 「ゆっぐ・・・れいぶのおぢびぢゃ・・・ゆ゛っ」 「ぢんぼおおおおおおおお!?まらっ!?まらっ!?」 「むっきゅううううううう!」「ゆげぇ・・・」 やがて最初に襲ったゆっくりを食べ終えたれみりゃ達は次の標的を探し始めた。 うーうー!と先ほどよりも力強い声で鳴きながらふらりふらりと飛び回る。 それを見たゆっくり達の中には立ち向かおうと頬を膨らませるものもいたが、大半は逃げ惑う。 「ごわいよおおおお!ゆぐっ、おみずざっ、やべっ・・・やべでぇ!?」 「おびずざん、どがいはぢゃないわああああ!?」 「ゆゆっ、やべでね!こっぢごないでね!?」 逃げ惑う最中に柵のあった場所の外側にはみ出してしまい、3匹ほどのゆっくりが落とし穴に落ちた。 それを見た他のゆっくり達は方向転換しようとするが、前が見えていないゆっくり達とれみりゃが行く手を阻む。 こうして思うように身動きが取れなくなったところに更にれみりゃが悠然とゆっくり達の頭にかじりついた。 「ゆ゛っ!や、やべでねぇ!?」 「ゆっぐりぃ!ゆっぐりぃ!?」 「ゆっくりやべでね!ゆっぐぢぢでね!?」 必死になって許しを請うゆっくり達。 しかし、れみりゃ達にそれに応じる理由がない以上、止めるはずがない。 それどころか、悲鳴を楽しむためにいっそう勢いづいてしまった。 「うーうー!」 「やべでー!でいむのあがぢゃああああん!?」 「おきゃああああぢゃあああああ、びぃ!?」 あえて死なない程度に衰弱させてから子どもを狙うれみりゃ達。 身動きひとつ取れない彼女達の前で、必死に助ける子ども達が無残にもれみりゃの中に消えてゆく。 そして、喪失感に絶望する親達は落とし穴の中の水へと落とされた。 「やめぢぇえええええ、びゅ!?」 「あぢずのおぢびぢゃああああああん!?」 「やべでね!おびずざんはゆっぐぢでぎないよ!?ゆぐぅぅぅ!?」 「わきゃりゃに゛ゃいよおおおおお!?」 流石は捕食種とでも言うべきだろうか。 自分とさほど変わらない大きさの成体を含めた相当の数のゆっくりがあっという間に消えてゆく。 れいむ、まりさ、ありす、ぱちゅりー、ちぇん、みょん・・・いろんな味を楽しむかのように。 「ゆひぃ!こっち、ごないでね!」 「「おきゃあああぢゃあああ、まっぢぇえええええ!?」」 「もうやだ!れいむおかーさんやだあああああ!?」 中には恐怖のあまりに子どもを見捨てて逃げ出すものもいた。 しかし、そういった個体を追うときはあえて子ゆっくりを狙わず、とにかく成体の捕獲に全力を上げる。 恐らく、そうやってじっくり恐怖を味あわせることで甘味が増すことを理解しているのだ。 「ゆっぐ・・・もうやだ!おうぢがえる!?」 「「おきゃーしゃあああああん!」」 「うーっ!!」 こうして次々にゆっくり達の中身を吸い出し、あるいは面白半分に嬲り殺してゆく。 哀れな餌達はなすすべもなく食われ、時には食われることさえなく次々にはかない命を奪われる。 その、傍目には間抜けだが凄惨な宴は10匹のれみりゃが遊びつかれておりに戻ってくるまで続けられた。 「ゆゆっ!なんだかへんなこがいるよ!」 「ゆぅ・・・なんだかゆっくりできないよ・・・」 「りーぐるんるん!」 れみりゃが去って一息ついたゆっくり達に新しい脅威が差し向けられる。 その名もゆっくりりぐる。成体でも赤ゆっくりの半分ほどの大きさしかない希少種のゆっくりだ。 彼女達の特徴はその小ささと、古いゆっくりが持っていたとされる壁のぼりの能力を受け継いでいる点。 そして・・・・・・ 「ゆゆっ、やめてね!?れいむのおくちにはいら・・・ゆ゛ゆ゛ゆ゛っ!?」 「ゆ?・・・れ、れいむ?!」 「やめちぇね!れーみゅ、ゆぐっ!?」 何よりも特筆すべきは相手の体内に侵入し、中から食い破ると言う恐ろしい捕食方法だろう。 真っ先に標的にされたれいむ親子がりぐるの集団に進入を許し、内側から食い破られていた。 泡を吹き、白目を剥いた恐ろしい形相で呻きながらのた打ち回り、やがて赤れいむの皮を破ってりぐるが飛び出してきた。 「りーぐるんるん!」 「おくちをとじるよ!むん!」 「むーしゃむーしゃ!」 そう言ってまりさは思いっきり口を瞑った。 しかし、りぐるは口内で生成される微量の鬼胃酸でいとも容易く皮を破って体内への侵入を試みる。 結局、まりさはその拍子に声を上げてしまい、他のりぐるの口からの侵入を許してしまった。 「ゆぐっ!やべでね!まぢざ、おいぢ、ぢぢ・・・ぢ、ぢ・・・ゆ゛びぃ!?」 「りーぐるんるん!」 「ゆぅぅぅううう!そうだわ!」 その凄惨な光景に驚愕し、多くのゆっくりが逃げ惑う中、1匹のありすが敢然とりぐるに飛び掛った。 圧倒的な体格差に物を言わせてのボディプレス。 平地であることが幸いしたのか、りぐるはくぼみに身を隠して攻撃をかわすことが出来なかった。 「ゆゆっ!いっぴきやっつけたわ!」 「「「「りーぐるんるん!」」」」 「ゆゆっ!どおぢでー!まだいっばいいるよおおおおお!?」 が、解き放たれたゆっくりりぐるの数はおよそ100匹。 あっという間に取り囲まれてしまったありすは、わずかな隙にりぐるに侵入される。 こうなってしまえば後はただ食われるばかり。 「ゆ゛っ!いだっ、いだいいいいいい!?ごんなの、どかいはぢゃないわ!?」 「「「りーぐるんるん!」」」 「や゛べ・・・でぇ・・・」 またたく間にありすの柔らかい皮は外と内から溶かし、食いちぎられてみるも無残な姿になってしまう。 破れた皮からカスタードが漏れ出し、彼女がもはや助からないことを示している。 10秒後、中に侵入したりぐるが飛び出してきたときには、ありすはすでに息絶えていた。 「「「「「りーぐるんるん!」」」」」 「「「りーぐるんるん!」」」 「ゆうううう!ゆっくりしね!」 カサカサと地面を這いながら逃げ惑うゆっくり達に近づいて行くゆっくりりぐるの群れ。 衝動に任せて若いまりさがその群れの中に飛び込んで行くが、2匹ほど潰しただけで大半が健在。 今度はそのまりさに目を付けたらしく、彼女の周りをくるくる回りながら、歯と酸でじわじわと嬲る。 「ゆぐっ!いだいよ、やべでね?!」 「りーぐるんるん!」 「ゆぶぅ!やべでえええええ!?おぐぢさんはまりざのゆっぐぢぷれいずだよ!?」 が、必死の抵抗もむなしく、まりさもまた中と外から食い破られてずっとゆっくりしてしまった。 その後もりぐる達は今までと同じように集団からはなれた個体を襲う戦法を繰り返した。 その度に数を減らしながらも1匹1匹確実に食い散らかしてゆく。 「むきゅ・・・ここまでね。でも・・・!」 「「「りーぐるんる、びぃ!?」」」 「さあ、ぱちぇのおくちにはいってきなさい!」 集団の中にいてこそ力を発揮するはずのゆっくりぱちゅりーが意外な奮戦を見せていた。 どうやら彼女は現在のりぐるの戦法が最善のものでないことに気づき、身をもって仲間に戦い方を示しているようだ。 小さなりぐるがその力を遺憾なく発揮するのは一箇所に固まっている集団の中に潜り込んだその時である。 「む゛ぎゅ・・・」 「「りー・・・ぐ、るん・・・る・・・」」 「「「!!?」」」 何故かぱちぇを食い破って出てきた仲間が虫の息であることを知ったりぐる達は驚愕した。 1匹はぱちゅりーに食われ、もう1匹は彼女があらかじめ含んでいた土を彼女の中で被って痛手を負わされた。 平坦な場所で、死を覚悟して戦えば体の弱いぱちゅりーでさえも5匹は倒せる。 その事実がゆっくり達を励まし、りぐる達を恐怖のどん底へと陥れた。 「れいむ、おちびちゃんのためにがんばるよ!」 「まりさもゆっくりがんばるよ!」 「わかるよー」「ちーんっぽ!」 生き残ったゆっくり達の中でも勇敢な数匹がぱちゅりーの遺志を継いで、りぐる達めがけて飛び跳ねてゆく。 一方のりぐる達は一応抵抗するものの、先ほどまでの勢いは微塵もなく明らかに逃げ腰だった。 「ゆっくりふまれてね!」 「「ゆぎっ!?」」 「「「りーっぐるんるーん!?」」」 れいむの一撃で2匹のりぐるが潰され、続く2度目の踏みつけで更に1匹のりぐるが潰される。 りぐるの攻撃には先ほどまでのキレも統率の取れた動きもなく、それがさらにれいむ達を優位に立たせる。 こうして、たった1匹のれいむを倒すために最終的に9匹ものりぐるが犠牲になった。 「ゆーっ!ありすもいくわ!」 「むきゅ・・・ぱちぇもがんばるわ~」 「りーっぐるんるーーーーん!?」 更に続々と参戦するゆっくり達を前にりぐる達は完全に戦意を失って逃げ惑う。 が、必死の逃亡も逃げられない状況ではジリ貧を招くだけ。 1匹、また1匹と潰されながら徐々にその数を減らし、更に10匹ほどのゆっくりを道連れにりぐるは全滅した。 「ゆふぅ~ん、ゆうかすっきりしたいわ!」 「ゆゆっ!ゆうかだよ!?」 「ゆうかがたくさんいるよ!ゆっくりぃ?」 思った以上に不甲斐なかったりぐるの代わりに、今度は発情しているゆうかを20匹ほど差し向ける。 ゆっくりゆうか。何故か畑を耕すことを好むゆっくりで、一般に捕食種とされている。 しかし、正当防衛でもない限り積極的に他のゆっくりを食べようとしない彼女の捕食種たる所以はあまり知られていない。 「ゆっくりしていってね!ねえ、まりさ、ゆうかとすっきりしましょ?」 「ゆゆっ!?ま、まりさは・・・ゆ、ゆっくりぃ・・・?!」 「まりさのほっぺ、とってもすべすべでゆっくりできるわ!」 本来ここまで積極的な種ではないのだが、すでに発情しているがゆえにすぐにすっきりーを求めるゆっくりゆうか。 まりさはその申し出にためらうが、ゆうか種は総じて美ゆっくりとされている。 このゆっくり出来ない地獄の中でそんなゆうかに積極的に迫られて抗うことなど出来るはずもなかった。 「ゆぅ~ん!ゆ、ゆうかのほっぺもとってもゆっくりしてるよ!」 「す~りす~り」 「す~りす~り・・・ゆっくり~」 ゆうかの美貌を間近で目の当たりにしたまりさはもう彼女の虜。 他のゆっくりの目もはばからずにすりすりに興じる彼女の頬はとてもだらしなく緩んでいる。 今、柵?の中ではそんな痴態が差し向けられたゆうかと同じ数だけ繰り広げられていた。 「ゆぅ~ん、ゆうかおーねちゃんとってもゆっくりしてるね!」 「れいむもとってもゆっくりしてるわ!す~りす~り」 「ゆぅぅうん・・・とってもとかいはだわ!」 最初は軽いスキンシップ。 その行為を徐々に激しくしていくと、頬をこすり付けあう2匹の体から汗のようなものが噴き出す。 汗のようなものをお互いの頬に練りこむように、いっそう激しく頬を擦り付ける。 「ゆ~ん、ゆふん・・・ゆぅぅぅうん・・・」 「ゆぅ・・・まりさぁ~、ゆっくりぃ~♪」 やがて、2匹の頬が赤く染まり、体温も若干上がって本格的にすっきりーの体勢に入る。 と言っても人間の目には今までの頬ずりを体が湿った上体で続けているだけにしか見えないのだが。 それでも2匹にとっては情熱的な愛の舞踏であることに違いはなく・・・お互い、徐々に昂ぶって行く。 「ゆっ!まりさぁ・・・ゆっくりぃいいぃぃい!」 「ゆぅぅぅぅうん・・・ゆうかぁあぁぁ・・・!」 「「すっきりー」」 お互いのゆっくりした気持ちが最高潮に達した瞬間、同時にすっきり宣言をした。 直後、まりさの額からにょきにょきと茎が生え、そこにいずれ赤ゆっくりとなる小さな実が実る。 他のゆっくり達もゆうかでないほうの種がにんっしんっしたらしく、それぞれ額に赤ゆっくりを実らせていた。 「ゆゆ~ん・・・すごくゆっくりしたあかちゃんだよ~♪」 「ゆうかとありすのとかいはなあかちゃんだわ!」 「みんなとってもゆっくりしてるね!」 本人達ばかりでなく、周りに居た他のゆっくり達も子どもの誕生を祝福する。 こんなゆっくり出来ない場所でようやく見つけたゆっくりをかみ締め、分かち合うように・・・。 後のことを考えていないのか、考えたくないだけなのか、ただ目の前のゆっくり出来るものを眺めながら微笑んでいる。 「ゆぅ・・・ゆうか、みんながみてるよ!ちゅっちゅははずかしいよぉ」 すでに公開交尾をしているにも関わらずゆうかにキスを迫られて照れる彼女のつがい達。 しかし、その表情はまんざらでもなくあっさりとゆうかのキスもといちゅっちゅを受け入れた。 「~~~~~~~っ!!?」 「おああああああ!?」 「うあ゛あ゛ーーーーっ!?」 直後、ゆうかと口づけを交わしたゆっくりがろれつの回っていない悲鳴を上げた。 当のゆうかは涼しい顔をしてつがいから引きちぎった舌を地面にはき捨てると、再びパートナーに擦り寄る。 そして、茎を折らないように彼女達をひっくり返すと、底部を容赦なく食いちぎり始めた。 「あ゛あ゛あ゛・・・!?」 「う゛い゛い゛いい゛ぃ!?」 「ゆゆゆっ!や、やめてあげてね!いたがってるよ!?」 周囲のゆっくりはその凶行を必死に止めようとするがゆうかは一向に止めようとしない。 何匹かは力づく止めようとしたが、ゆうかの方が圧倒的に身体能力が高くそれも叶わなかった。 そうこうしているうちにも茎を生やしたゆっくり達の底部は二度と使い物にならないほどに傷つけられていった。 「う゛う゛・・・うい゛ッ!?」 「・・・ゆっくりかんせいしたわ」 「ゆえーん、ぎょわいよおおおお!?」 今や周囲のゆっくり達はゆうかに近づこうとすらせず、遠巻きから様子を伺いながら怯えるばかり。 が、ゆうかは舌と底部を失いただの鉢植えとなってしまったつがいを眺めながら満足げに笑っている。 それから傷を付けすぎて中身が漏れ出している場所がないかを念入りに確認し終えると、大事な鉢植えに頬ずりをした。 「ゆうかのあかちゃん・・・ゆっくりうまれてね」 総勢20匹、もとい20個のゆっくり植木鉢というのは中々の壮観で、虐待家にとっては悪くない光景だろう。 しかし、今回の目的はあくまで虐殺。そんな有様になったゆっくりを生かして嬲るというのは目的外。 と言うわけで、全力で植木鉢どものそばまで駆け寄ると彼女達を踏み潰し、放り投げ、水の中に落として処分した。 「ゆゆっ、ゆうかのあかちゃ・・・ゆ゛っ!?」 「なにするの、ゆっくりやめて・・・ぎぃ!?」 ついでに文句をたれてきたゆうかも処分し、いつの間にやら100匹以下にまでを数を減らしたゆっくり達と向かい合った。 (その5へ)
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べちん!! 「ゆっくりいたいよ!!おにいさんなにするの!!」 れいむは自分に害を為した張本人であるお兄さんを見上げた。 お兄さんの手によって下ろされたそこは、冷たい石作り、あたりを壁で囲まれたゆっくりできない場所。 今れいむが落とされてきたわずかな隙間から、もといた世界とお兄さんの目がのぞいているにすぎない。 「ここはせまくてぜんぜんゆっくりできないからゆっくりひきあげてね!」 「れいむ、話を聞きなさい。 ……そこはお兄さんが作った”ダンジョン”だ。 もう一度日の光が拝みたければ、ダンジョンを制覇して戻っておいで」 「なにいってるの!ぜんぜんりかいできないよ!!」 バタン。 お兄さんがそこに蓋をし、世界は闇に包まれた。 ゆっくりとだんじょん 「ゆびいいいいい!!!!どぼちでこんなことするのおおおおお!!!!!」 れいむは泣き叫んだ。その声は石の壁に反響して響いたあと、むなしく消えていくのみ。 ◎地下10階◎ ひとしきり泣いたあと、れいむはゆっくりと移動を開始した。 落とされてきた場所はまったくの暗闇だが、見回してみると明かりのついている場所があることに気づいたのだ。 せめて明るい場所で少しでもゆっくりしたいという思いで、れいむは進む。 「ゆっくりつかれたし、おなかもすいたよ! ぷんぷん!おにいさんがたすけてくれないなら、れいむはじぶんだけでゆっくりするからね!」 そうは言うものの、ゆっくりできるあてなどどこにもない。 人間でも踏破に時間のかかるであろう大規模のダンジョンを、ひたすら歩くしかないのだった。 「ゆゆ?」 しばらく進むうちに、れいむはなにやら見覚えのある箱を見つけた。 それはお兄さんがいつも食べ物などをしまうのに使っていた箱だ。 「きっとおにいさんのごはんがはいってるんだよ!れいむがたべてあげるね!!」 いつも勝手に開けては虐待の限りを尽くされているれいむだったが、ここにはお兄さんはいない。 重くて開けにくい箱を、必死の思いでこじ開けるれいむ。 れいむは たからばこをあけるのに せいこうした! 「……ゆゆ?」 宝箱のなかにはご飯は入っていなかった。そのかわりになにやら紙が入っている。 は ず れ ☆ ごはんがはいってなくてどうおもった?くやしい? まあでも、たまにはアイテムのはいっているはこもないとはいえないから、 そのつどがんばってあけるのがおにいさんてきにはおすすめ。 ゆっくりがんばってね! おにいさんより- 「ゆぎぎ……!!」 激しい怒りに駆られるれいむ。 「しょうがないから、ゆっくりすすむよ… ゆ?よくかんがえたら、このはこのなかでならゆっくりできるよ!!」 れいむは宝箱の中に充分なゆっくりぷれいすがあることに気づき驚喜する。 「ゆっくりよじのぼるよ!」 しかし、そうは問屋がおろさない。その背後に忍びよる影があった。 ブーン…… 「ゆっ!」 振り返るれいむの目に飛び込んできたのは、一匹の蜂だった。 通常のものより大きく、動きも活発で危険な空気をかもし出しているが、ゆっくりした頭では気づくはずもない。 いつもとおなじように、一方的に挨拶をかます。 「むしさん、ゆっくりしていってね……ゆ゛う゛う゛!!??」 蜂はれいむに飛び掛ってきた。れいむと同じように外から連れてこられて気が立っているのだ。 普段なら危険がないと放置しているゆっくり相手であっても、示威行動をするのは無理からぬところだろう。 というより、そのためにダンジョンに配置されているのだ。 「いだいよ!ゆっくりやめてね!!」 体当たりしてもかわされ、ところかまわず刺されまくるれいむ。 「もっとゆっぐりじたかったよぉぉぉ!!!」 「そこまでよ!!」 暗いダンジョンに光が満ちた。 「ゆゆっまぶしっ」 「むきゅーん!!」 どこからか現れたぱちゅりぃが松明を咥えて蜂へと突進する。ゆっくり随一ともいわれる緩慢な動きのぱちゅりぃだが、 松明の火の脅威を駆って、蜂を追い払うことに成功する。 「ゆゆっ!ありがとう!」 「むきゅん、どういたしまして」 長くからこの場所にいるというぱちゅりぃから、この場所についての説明を聞く。 「どうやらだんじょんというものらしいわね! だんじょんではぱーてぃーをくんでいきのこるものよ!ぱちゅりぃといっしょにだんじょんをこうりゃくしましょう!」 「ゆっくりりかいしたよ!ゆっくりぱーてぃーしていってね!」 「……」 ほんの少しだけ、心配なぱちゅりぃだった。 (かといってまりさはずるっこだし…ありすはどこでもかまわずすっきりしだすし… しょうがないわよね、むきゅ) ぱちゅりぃが仲間を求めたのはとても単純な理由からだった。 力のないぱちゅりぃには宝箱が開けられないのだ。 「こっちよ!」 ぱちゅりぃがダンジョンを案内し、今まで放置せざるを得なかった手付かずの宝箱を回収する。 「づがれたよ!!!ぞれなのにどぼちてはずればっかりなのぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」 「がんばってねれいむ!」 宝箱の内訳 ハズレ……5つ 食料……1つ(分け合ってその場で食べた) 赤ちゃんゆっくり……1体 最後の宝箱には、小さなゆっくりが入っていた。 あまりにちいさいので、何の種族かはわからない。 「ゆゆっ!ゆっくりしたあかちゃんだよ!」 「ここにいたらきっとひどいめにあうわ!つれていくしかないわね!」 ◎地下9階◎ スロープ状の階段を登り、上の階にたどり着く一行。 上がってすぐに宝箱を発見し、その中には剣が入っていた。 「これであぶないことがあってもみんなをまもれるね!」 れいむは けんをそうびした! ◎地下8階◎ 「ゆっくりしたとりさんだよ!ゆっくりしようね!」 「れいむ!きけんよ!」 「ゆ!」 襲い掛かってきたカラスを懸命に退治する。 「ゆーはー…ゆーはー…」 「いい?れいむ、ここでであうあいてはみんなあぶないのよ」 「ゆっくりわかったよ…」 れいむは”そんなのゆっくりできないよ”と思ったが、 ぱちゅりぃの言うことも正しいと思いうなずいた。 早くここを出たい。ただそう願うのみだった。 ◎地下5階◎ 凶暴な動物を剣で撃退し、一行はスムーズにここまで上ってきた。 「むきゅん!きっともうすこしでおそとにでられるわ!」 「おそとにでたらゆっくりできるね!!」 「ゆゆー!」 しかし、一行は知らなかった。識者のぱちゅりぃでさえも知らなかったのだ。 この手のダンジョンに付き物のあるルール――”階層を進むにつれて敵が強くなる”ということを。 「うー!うー!」 はっ、と一行は息を呑む。 出会ったことはなくても、語り継ぐ餡子の記憶が知っている天敵。 その声が、ダンジョンの壁に反響して聞こえてきているのだった。 「ゆっくいいっぱいたべるっどぅ~☆」 まだ幼いれみりゃ種だが、見つかれば被捕食種である一行はあっさりと全滅するだろう。 「(こえをたてちゃだめよ!ゆっくりにげるわよ!)」 「(わかったよ!ゆっくりにげるよ…)」 「(ゆゆゆ…)」 何とかやり過ごしたものの、その後一行は何度もれみりゃに遭遇した。 そんな折、一行の前に広い空間が広がった。 そこはダンジョンの中でも比較的快適そうな空間で、アイテムが並べ売りされている。 人間が座っており、一行を見かけると話しかけてきた。 「やあ!ここはゆっくり用品店『ゆ虐の友』ダンジョン店だよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆっくりしていってね!おにいさんはゆっくりできるひと?」 「個人的にはすごくゆっくりしてるよ」 「ゆ?」 「つまり、お兄さんは、君達が生きてるのを見てゆっくりしてるんだよ」 「それじゃあ、やっぱりゆっくりしてるんだね!」 「むきゅん、それならなっとくだわ!」 れいむは並べ売りされている商品の食べ物に跳ねていく。 「ゆっくりたべてあげるよ!あかちゃんもゆっくりたべてね!」 「これこれ」 その前に立ちふさがるお兄さん。 「これはお店の売り物だから、お金をはらわなくちゃあげられないよ」 「どぼぢてそんなこというの゛お゛お゛お゛!!!」 「ぱちゅりぃはおなかがすいてるのよ!ゆっくりゆずってね!!」 「ゆゆ~!!」 「やれやれ、ここにたどり着くゆっくりは稀だけれども、貨幣を理解して持ってくるゆっくりはもっと稀だ。 ……それじゃあ、物々交換でもいいよ。ここに来るまでに拾ったものと交換してあげよう」 一行は口の中に物資を保管してここまでやってきたので、めいめいに自分の持っているアイテムを吐き出す。 その多くは食べ物で、ほとんど価値はなかった。 「ぜんぶでこれだけになるね」 適正に計算した見積もりを提示するお兄さん。 「わかったよ!それでここにあるものぜんぶちょうだいね!!」 「(こいつら何にも判ってねえよ…)」 小半時かかってお金の価値を説明するお兄さんだった。 「それじゃあなんにもかえないじゃないぃぃぃ!!!」 「やっと理解したか」 実際には一個か二個ぐらいなら買えるはずだが、手持ちの食料を手放して別な食料を買うのはほとんど意味がない。 しかも、れいむ的には全部手に入るのでなければ気に入らないのだ。 「それにしても強欲な奴だな……おっと?」 お兄さんはゆっくりから商品を守りながら、とあることに気づいた。 「そこのちびっこ、そうだな…お前とだったらここの食べ物三つと交換してやってもいい」 「ゆゆ!?」 「ほんとう!?おにいさん!」 「ああ本当だ。それはなかなかの貴重品でね。それとだったら交換してやれる」 「ゆゆ!!」 だが赤ちゃんゆっくりはれいむの側を離れようとしない。しがみついてくる。 離れたくない。自分も地上に出たい。その瞳はそう言っていた。 れいむは溜息をついた。 「おにいさん、せっかくだけどこのあかちゃんはあげられないよ」 「むきゅん!そのとおりよ!あかちゃんといっしょにちじょうへでるのよ!」 「そんなら出て行きなさいな、素寒貧に用はないよ」 「ゆゆ!いいあいでぃあがうかんだよ!ここをれいむのおうちにすればいいんだよ!ゆっくりでき……」 「ゆっくりゃの餌にすんぞお前ら?」 お兄さんが目を剥いたのでれいむは黙った。 「……おにいさん」 ぱちゅりぃだった。口の中にあった食料全部と、眠るときに使う毛布のきれっぱしをすべて吐き出す。 「これで、そこにあるまるいのをちょうだい」 ぱちゅりぃが目をつけたのは、店の隅に置かれていた球体だった。 「ふかふかがなくなったらゆっくりできないよ!なんでそんなものかうの?ばかなの?しぬの?」 れいむが呆れる。 「むきゅん、これは”ぼむ”といって、れみりゃをおいはらってくれるものなのよ!」 「そ、そうだったの!」 「お目が高いね、毎度あり」 「これはあぶなくなったときのためにれいむがだいじにもっていてね」 「わ、わかったよ、ゆっくりだいじにするよ」 ◎地下2階◎ 階を登るなり、まりさ種の悲鳴に遭遇した。 「ゆぎゅううううう!!!!!どぼぢでゆっぐりざぜてぐれないの゛お゛お゛お゛!!! れ゛い゛む゛!ばぢゅ゛り゛ぃ!た゛す゛げでぇ゛!!」 まりさがれみりゃに捕らえられ、いたぶられている。 「あっちにもゆっくりいるどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~♪」 れみりゃはそういうが、実際には一行との間には格子状の仕切りがあり、視線は通るが通行はできない。 「やめてね!まりさをゆっくりたすけてね!!」 鉄格子越しに泣き叫ぶれいむと、 「むりよ…いまのうちにわたしたちはにげましょう。もうすぐちじょうだわ」 あくまで冷静なぱちゅりぃ。 「いやだよ!まりさをたすけるよ!」 れいむは感情のままに、口の中からアイテムを取り出した。 「!!だめよ!れいむ!!そんなのことをしてもあのまりさはたすからないわ!!」 それはよりにもよって、たった一つしかない貴重なアイテム、”ぼむ”だった。 れいむの口から射出された”ぼむ”はころころとれみりゃの足元まで転がり… 「そんなのでりしゃすじゃないんだっどぅ~♪ぷっでぃんよこすどぅ~☆ こんなの、ぽーい☆だっどぅ……」 ボン!!! それを踏んだれみりゃを、爆散させた。 「むきゅ!むきゅ!どうしてあんなことしたの!!」 「ゆ…ほっとけなかったんだよ……」 「ぼむはとってもきちょうなんだから、だいじにとっておいてっていったのに!」 いまや生命線を失った一行は途方に暮れる。 「ごめんねぱちゅりぃ…またがんばってたからばこあけて、おにいさんにうってもらうよ…」 「むきゅ。……わたしもいいすぎたわ。ごめんねれいむ。 たからばこはいいから、いそいでちじょうをめざすのよ、 いまのものおとでれみりゃがあつまってくるかもしれないわ」 ◎地下1階◎ ぱちゅりぃの洞察は哀しくも正鵠を射た。 「う~!!」 「こっちからおとがしたっどぅ~☆う?」 「うっう~!ゆっくりがさんびきだっどぅ~!!たーべちゃーうどぅ~!!」 ここまでは奇跡的に危険を避けてきた一行だったが、先ほどの物音を目指して 様々な方角から階段を目指してくるれみりゃと正面衝突してしまったのだ。 その数2匹。先ほどと違い、だだっ広い通路に仕切りはない。 後方からも、たった今逃れてきた別のれみりゃ集団の鳴き声がしている。 もうどこにも逃げ場はなかった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛…」 「む゛っ゛ぎゅ゛う゛う゛ん゛!!」 絶望するれいむとぱちゅりぃ。 れいむの口から、剣がカラリと音を立てて落ちた。 子ゆっくりが口を開いた。 「おとうたん、おきゃあたん、ここまでつれてきてくれてありがとう!! てんこはおとうたんとおきゃあさんにあえてしあわせだったよ……」 「ゆっ?」 「あかちゃんなにをゆってるの?」 迫り来るれみりゃ。 その前に、ゆっくりてんこはただ一匹その身を投じた。 「ゆっくりいじめてね!!ゆっくりぶってね!!」 「へんなゆっくりだっどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~☆」 ちいさなゆっくりは辛くもれみりゃの足の下をかいくぐり、前方の通路から脇道へと逃げ込む。 「ちっこいくせになまいきだっどぅ~!!」 「ぜったいつかまえるっどぅ~!!」 れみりゃ二匹はそれを追っていった。 「れいむ!いまのうちよ!!ゆっくりにげましょう!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!でいぶのあがぢゃああああんんんん!!!」 「ゆっぶ!ゆっぐり!ゆっぐりいじ!いじべちぇ!!いじっ!いじっ!!」 脇道から聞こえるゆっくりてんこの嬌声を聞きながら、二匹は走った。 もうてんこの声は聞こえない。けれども、階段はすぐそこだ。 ◎エピローグ◎ 風が吹いている。二匹のゆっくりはそれを体で感じると、思いのままゆっくりした。 それができるのは、石造りのダンジョンで出会った小さなゆっくりのおかげなのだ。 「あがちゃん……」 悲しい記憶が消えるのにはもう少しかかるけれども、それも風に吹かれていつか消えてゆくだろう。 「れいむは、おにいさんのところへもどるの?」 その言葉にこめられた意図に気づいたかどうか。れいむは首を横に振った。 「あんなひどいことをするおにいさんとはいっしょにいられないよ! べつなところでゆっくりするよ!!」 「そ、そそそそれなら、わ、わたしといっしょに……」 お兄さんは、ダンジョンの出口を遠くから眺めていた。 ”ゆっくりダンジョン”攻略は過去に例のない快挙だ。 「ってか、攻略するとは思わんかった……」 ゆっくりてんこ――よく希少なアイテムを引いたものだ。そして、それを手放さなかったとも報告されている。 「れいむか……」 品性に劣るまりさなら、それどころか頭のいいぱちゅりぃ単体であっても、その判断はできなかっただろう。 その判断が二匹を救ったのだ。 (俺のところへは……戻らないか) こちらから遠ざかっていく二匹を見て、お兄さんは笑んだ。 「おーい!! ゆっくりしていってねーーーーー!!!」 風に乗って、どこからか声が運ばれてきた。 二匹のゆっくりはそれに答えて、 「「ゆっくりしていってね!」」 と、声を返した。 それから三日後の夜、二匹はれみりゃの襲撃を受けた。 「うー☆うー☆うんまぁ~いどぅ~♪」 「ばちゅりぃ!!??ばぢゅりぃぃぃぃ!!!???」 ダンジョンでは、物陰で寝ていればれみりゃをやり過ごすことは簡単だった。 しかしここではそうではないのだ。ダンジョン用の飢餓感のないれみりゃと違い、 野生のゆっくりゃからはよほど巧妙に隠れないかぎり逃げられない。 それは、自然に生きるゆっくりがゆっくりぷれいすにこだわる理由でもある。 それを人間に育てられたれいむとぱちゅりぃは知らなかった。だから、ダンジョンとは勝手の違う餌取りに疲れ、 木の幹にもたれかかって寝ていたのだ。見つかって当然ともいえた。 お兄さんは思う。 「今頃あいつら、どうしてるかなあ……過酷な自然で、ゆっくりできるものならゆっくりしていってね!! さて次は何をダンジョンに放り込もうかな……れみりゃ沢山放って、ふらん無双とかもいいな……」 「むっぎゅむぎゅむぎゅ……」 「やめてね!!たいせつなぱちゅりぃをゆっくりはなしてね!!」 「つぎはおまえだっどぅ~!!おぜうさまにかんしゃしてたべられるんだっどぅ~☆ きょうはごちそうだっどぅ~☆」 おしまい。 □ ■ □ ■ 箱入りで育てられた結果がこれだよ!! ダンジョン→イージーモード 自然→ルナティック ってことで。 今までに書いたSSです。よかったら読んでくださいね 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり ゆっくりゆうぎ このSSに感想を付ける
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レミリア・スカーレット +1 レミリア11スレ目 60 1スレ目 92 1スレ目 149 1スレ目 244 1スレ目 338 1スレ目 362 1スレ目 797 th2_0218.txtより 1スレ目 930 2スレ目 141-142 +2 レミリア22スレ目 134 173 2スレ目 219-220 249 449 3スレ目 111 +3 レミリア33スレ目 154 3スレ目 463 3スレ目 596 3スレ目 728 3スレ目 898 4スレ目 23 避難所 50(うpろだ0027) 4スレ目 652 4スレ目 696 4スレ目 844 +4 レミリア46スレ目 199 6スレ目 583 7スレ目 170 7スレ目 518 541 +5 レミリア57スレ目 837 7スレ目 638-639 7スレ目 671 初めてのチュウ レミリア攻編(うpろだ422) うpろだ487 10スレ目 490 +6 レミリア6うpろだ537 うpろだ544 うpろだ564 うpろだ565 うpろだ595 +7 レミリア77スレ目 955 8スレ目 86 8スレ目 162 8スレ目 474 8スレ目 702 8スレ目 908 9スレ目 171 9スレ目 299 9スレ目 372 9スレ目 999 10スレ目 46 11スレ目 136 11スレ目 155 11スレ目 344 +8 レミリア811スレ目 351 11スレ目 100 11スレ目 310 11スレ目 396 11スレ目 426 11スレ目 493 12スレ目 504 うpろだ840 11スレ目 990 12スレ目 966 うpろだ921 12スレ目 968 うpろだ923 +9 レミリア913スレ目 276 うpろだ965 うpろだ1020 うpろだ1030 うpろだ1061 +10 レミリア10うpろだ1121 月夜の訪問者(うpろだ1239) 新ろだ150 +11 レミリア11新ろだ232 れみりあといっしょ 或いは『夢見る少女じゃいられない』(新ろだ239) 新ろだ319 新ろだ339 新ろだ340 新ろだ691 +12 レミリア12新ろだ2-216(フランドール 新ろだ2-212から続き) 新ろだ2-272 Megalith 2010/10/26 Megalith 2010/12/09 イチャ絵板 2010/01/08(文章は別人による) Megalith 2011/03/03 Megalith 2011/03/29 +13 レミリア13Megalith 2011/06/06(2011/03/03投下分の改訂版?) Megalith 2011/11/10 Megalith 2011/11/19(Megalith 2011/11/10続き) +14 レミリア14Megalith 2012/05/21 Megaith 2013/03/11 +15 レミリア15 +16 レミリア16 +17 レミリア17 +18 レミリア18 +19 レミリア19 +20 レミリア20 +21 レミリア21 +22 レミリア22 +23 レミリア23 +24 レミリア24 +25 レミリア25 長編 ○○が、欲しい レミリアとでいうぉーかー(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8) レス 1 35スレ目 207-208より後のレスはレミリア14以降にまとめ
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里から森に続く道を歩いていると、向こう側からゆっくりと跳ねてくる 1匹の饅頭が見えた。丸い頭の上に乗った黒い帽子から、まりさ種だとわかる。 その動きはとてもゆっくりとしていて、一歩一歩の跳躍の幅もとても小さなものだ。 ある程度近づいた所で、まりさも近づいてくる人間に気付いた。 このまままっすぐ跳ねて行けば、人間と正面衝突してしまう。 まりさはその場で垂直に跳ねながら、よいしょよいしょと横を向くよう少しずつ回転し 道の脇の土手に跳ねて行こうとしたところで、人間が目の前まで来てしまった。 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 「ああ、ゆっくりしていってね」 道の脇の方を向くのにもその場で何回も跳ねなければいけなかったので、 すぐに人間の方を向く事が出来ず、横目で見ながら挨拶をしてくる。 顔には汗のような分泌液が噴出し、明らかに人間を警戒しているようだ。 「そ、それじゃまりさはもういくね?」 「まあ待て」 そそくさと、それで居てゆっくりとした動きで、土手に跳ねようとするまりさ。 跳ねる前の準備動作として体を沈み込ませた所で、その後頭部を掴んで止める。 掴んだ手に、明らかに他のゆっくりとは違うべたべたした感触が伝わり、 思わず跳ねのけてしまった。頬の部分で地面にべたっと落ちるまりさ。 「ゆっ、なにするの!?ゆっくりさわらないでね!」 さっきの感触はなんだったのか、頬の部分を下にして倒れたまま 起き上がろうとしないまりさの顔を恐る恐るつついてみる。 「ゆっゆっ、やめてね、つつかないでね!」 「うっわぁ、こりゃべたべただ」 少し押すと指が皮に沈み込み、引き抜こうとすると指に接触した部分の皮が うにょ~、と伸びて指について来る。ちょっと伸びたところで、 限界まで伸長した皮が元々あった場所に勢い良く戻って行き、 皮が戻ってきた勢いで表面がぶよよんと波打つと「ゆひんっ」と声を上げる。 ゆっくりの皮はもちもちとして、手に触れれば軽く吸い付くような感触もあるが、 ここまでべったりとくっ付いてくる感触は初めてだった。 今もまりさは頬を地面につけたままの姿勢で、足を少し地面から浮かせているが そこには砂や葉っぱ、アリのように小さい虫などが沢山くっ付いている。 足の裏もべたべたとして、地面をしっかり蹴る事が出来ないので ゆっくりとした動きでしか歩けなかったのだろう。 帽子を掴んで手前に引くようにし、まりさを元の姿勢に戻した後、 底面の近くを持ち上げて顔をこちらに向き直させてやる。 体と違って、帽子はそんなにべたべたしていない。 逃げられないと断念したのか、まりさは居づらそうにもじもじとする。 「ゆゆ…にんげんさんはゆっくりできるひと?」 「ああ、お前家族はどうしたんだ?」 「ゆ、ここにはいないけど、もりにいるよ」 「そうか、その、お前の体はべたべたしてるけど、家族もみんなそうなのか?」 「……」 このゆっくりに家族が居るなら、揃ってべたべたしたゆっくりなのだろうか、 疑問に感じて聞いてみると、まりさは俯いて黙ってしまった。 聞いてはいけない事を聞いたのだろうか。人間と饅頭の間に沈黙が流れる。 何か違う事を聞いてみるか、そう思った矢先まりさがぽつぽつと話しだした。 「おかあさんもおねえちゃんも、まりさみたいにべたべたしてないよ まりさみたいにべたべたしてるゆっくりは、ゆっくりできないんだって…」 「そうなのか?さっきの歩きを見るに、他のゆっくりよりもよほどゆっくりと跳ねていたけどな」 「ゆ?まりさゆっくりしてる?」 「ああ、多分」 そう答えてやると、少し笑顔になり話を続けてくれた。 このまりさは父親まりさと母親まりさの間に生まれた子供の1匹で、 姉が「たくさん」いたのだそうだ、ゆっくりだから正確な数は覚えていないらしい。 生まれた子供の1匹に触れてみると実にべたべたとしており、親も姉も驚いたそうだが、 親はそのまりさを育てる事を放棄はしなかった。 だが子ゆっくりには、少しでも異常な所があるゆっくりに対して、 たとえそれが自分の姉妹でも執拗に嫌がらせや暴力を行う性質がある。 例によって「こんなゆっくりできないまりさはゆっくりしんでね!」と体当たりもされたが、 ゆっくりの力で押しつぶされても、餅のような皮は破れたりせず、逆に姉の方が べたべたした肌に引っ付いて離れられなくなり、「な゛んではなれられない゛のぉぉ!?」 と泣き出してしまったそうだ。 親もこのまりさは異常だと、やっかいに思っていたのだろう。 子ゆっくりはもう少しで成体になれる所まで成長すると一人立ちするものだが、 このまりさは子ゆっくりより少し大きい程度に育ったところで 「もうまりさもいちにんまえだね!」 「そうだね、もうりっぱにひとりだちできるよ!」 「ゆっ!?まりさまだおおきくないよ?」 「だまってね!まりさはもうおとなだからでていくんだよ!」 と追い出されてしまった。先に生まれた姉達がまだ誰もひとり立ちしていないのに、である。 姉達も、どんなに体当たりしても全く死なない、気に食わないべたべたまりさが居なくなると ニヤニヤしながら見送ったのだった。 巣から追い出されたまりさは森をさ迷うが、べたべたした体では素早く動けず、 雑草や花、ゆっくりとしたいも虫くらいしか食べる事ができない。 そんな餌も目の前で他のゆっくりに横取りされ、餌を求めて歩いていたら この人間の里に通じる道に迷い出たのだそうだ。 「ははあなるほど、大変だったんだな」 「ゆ…」 話して辛い事を思い出してしまったべたべたまりさは、また笑顔を消して俯く。 肌の質感が違うせいで、他のゆっくりは助けてくれないどころか迫害もうけたのだろう。 粘着質な肌には裂傷などは見えないが、投げつけられたのか小さい石が付いている。 この肌、どれくらいくっつくんだろう。 思い立っては試さずに居れぬ。と帽子の先端を掴んで上に持ち上げる。 髪の毛にも粘着性があるのか、帽子にくっ付いた髪が持ち上がり、 髪に引っ張られて頭頂部がにゅー、と上に伸びる。 「ゆっ!?やめてね、まりさのぼうしをひっぱらないでね!」 悲鳴をあげるが、ある程度引っ張ったところで帽子と髪の接着面が剥がれ、 引っ張られていた頭頂部がぶよんと戻って来る。 「かえして!まりさのおぼうしかえして!」 自分の上にある帽子を見上げながら、上下にぼよんぼよんと沈んだり伸びたりするまりさ。 粘着性が強く地面をうまく蹴る事の出来ない足では、帽子に届く跳躍が出来ない。 そのまりさの頬、先ほど地面に落ちて細かい砂が付いている面を押し、 ころんと横向きに転がしてみる。 「ゆ、ゆゆっ?」 今まで経験した事の無い横回転、視界がぐるんと回転して、まりさは心臓が飛び出そうになる。 1回転しただけで涙目ではっはっと息をつくまりさの両頬や横髪、頭頂部には細かい砂が びっしりと付いている。綺麗な髪が砂だらけになったのが嫌なのだろう、 水を被った犬がするように、全身をぶんぶんと横向きに振って砂を飛ばそうとするが 一向に離れる様子がない。 「ゆうっ!とって!ざらざらとってね!」 「あっはっは」 「なんでわらってるのぉぉ!?ざらざらとって!ぷくぅぅ!」 髪の汚れの不快感に耐えられず、いやいやをするように顔を振るのが微笑ましい。 つい笑ってしまうと頬を膨らませて怒りだした。 肌が餅の様に柔らかいとは言え、頬を膨らませたサイズは他のゆっくりとそう変わらない。 膨らんだ事で下腹部、あごに当たる部分も持ち上がったのでそこに手を当て、 「そいっ」 「!? ゆぶっ!」 ちゃぶ台返しの要領で、今度は縦回転させてみる。 ぐるんと空が下に流れて、上からやって来た地面が顔にかぶさる。 ころんと1回転したまりさの顔面には、やはりびっしりと細かい砂が張り付いていた。 まぶたは閉じたのでゼラチン質の眼球は無事だが、口には少し砂が入ったようだ。 「ぺっ!ぷっぺっ!なにするのぉぉ!?もうざらざらやだぁぁぁ!」 目をうるうるさせて体を横にゆさゆさ揺するまりさ。 人間の子供が手をじたばたさせて、ダダをこねるのと同じような動きなのだろう。 このべたべた肌は面白い。家に持ち帰って砂を洗い流したら飼ってやろうか。 そんな事を考えていると、いつの間にかまりさの背後まで近づいて来ているものがあった。 短い足でもたもたと歩き、ちょっと息が上がっているのか紅潮した顔でニコニコしている。 「うっうー、れっみりゃっだどぅー!にぱー」 ブボボッ! 聞いてもいないのに自己紹介をして、間髪置かず盛大な音の屁をするれみりゃ。 目の前のまりさは、ざらざらとってぇぇ、と泣き叫んでいるので背後の豚には気付いていない。 あまりの光景に何も言えず見ていると、レディーである自分の美しさに声も出ないのだと 勝手に判断したれみりゃはご満悦の表情を見せる。 「れみりゃにぶっでぃん、もっでくるんだどぅ、ぶっでぃ~ん!」 「うっわぁ」 よだれをたらし、ゆさゆさと太った体をゆさぶって踊るれみりゃの汚さに唖然としていると むう、とふくれっ面になる。 このまま苦情を言ってくるかと思ったら、自分と人間の間でゆんゆんと泣くまりさに目をつけた。 「うー!あっまあま、た~べちゃ~うぞ~」 「ゆゆっ!?」 ゆっくりの餡子の味を知っているれみりゃが、がっしりとまりさを持ち上げ、 後頭部に狙いを定めて口を開く。べたべたまりさには細かい砂が大量についているが、 まったく気付こうともしない。 「あも゛っ!…む゛も゛?む゛っむ゛ー!」 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!」 れみりゃの牙がべたべたまりさの後頭部に刺さるが、あまりにももちもちした肌は噛み切れず さらに髪についていた砂の味に強い不快感を感じるれみりゃ。 吐き出そうとしても、唇にまで強く張り付いたまりさの頭は離れない。 「む゛ん゛む゛──っ!」 「いだい!はな゛ぢでぇぇぇぇ!」 何とか引きちぎろうと、まりさを掴んだ短い両手を一生懸命下にのばすが、 まりさの体はうにょーん、と伸びるばかりである。 さっき指でつついた時はあそこまで伸びなかったのに、他のゆっくりが苦痛や絶望で 餡子の甘みを増すように、べたべたまりさも苦痛で体の餅っぽさを増すのだろうか。 「…………!!」 「も゛うやへ゛て゛え゛ぇぇぇぇぇ!」 一向に口から離れる事のないまりさをほおばったまま、れみりゃの顔色は紫色になっていった。 手に付いたまりさを離そうともがいて暴れるうちに、まりさの体は縦にも横にも伸ばされ いびつな形の肌色の凧に泣き叫ぶ顔と、いくらかの金髪が生えた不思議な生き物へと変貌している。 これを持ち帰っても、もう元の形には戻せないだろう。 「ゆ゛!?どごいぐの?おいでがな゛いでぇぇぇぇぇ!」 珍しいゆっくりを手に入れられなかったのは残念だが、白目を向いて倒れるれみりゃと ぎゃあぎゃあと泣き喚く平面まりさはほっといて帰る事とした。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子 (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身 (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子 (fuku2437.txt) お帽子の人? このSSに感想を付ける
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前ページから ~☆~ 「ハァ…ハァ…ハァ…。」 「かぜがつよくて めがあけらりぇないよー!」 うどんげは必死になって屋上の屋根の上へと登っていた。 小脇に抱えている植木鉢には、相変わらず赤ちゃんれいむが舌ッ足らずで叫んでいる。 そんな叫びを無視するかのように、うどんげは屋根の頂上へ、頂上へと向かってくる。 何故か? 「おぉおおおおおお!れいむの赤ちゃんを返せェええええええええ!」 後ろから、赤ちゃんれいむの母親のれいむが凄い勢いで登ってきているからだ。 「ちょ、あのれいむ、凄すぎでしょ…。」 「ちょッと怖すぎるど…。」 その迫力、後ろから追いかけているれみりゃ達がマジで引いてしまいそうな程である。 …が、まぁその追いかけっこもすぐに終わることになる。 「…ゲ、ゲラ…!」 屋根の端までうどんげが追い詰められたからだ。 「ふぅ…ふぅ…さあ!追い詰めたよ!ゆっくり赤ちゃんを返してね!」 れいむはうどんげにそう言い放つ。 「ゲラゲラ…!」 「誰が返すものか!これは私の子だ!イオシスカンパニーの跡取りだ!」 そんなれいむに対してうどんげはそう言い返す。 そして、睨み合ううどんげとれいむ。 「…呆れた奴だど、まだそんな事言っているのかど。」 「今だ、そんな事にこだわっている時点で器が知れたな、あまりにも小物過ぎるでしょう。」 てんことれみりゃは呆れ顔でそう言い放った。 正に、一触即発とはこの事を言うのだろう。 「ゆきゃああああああ!」 そして、赤ちゃんれいむが、うどんげの腕の中で凄い勢いで泣き出した。 「ああもううるさい!一体どうやったら泣き止んでくれるんや! おーよちよち!いい子だねんねしなー!」 「おお、いない、いない。」 「ゆぅきゃあああん!ふらぁああああいい!」 「…あのさ、てんこちゃん、あの泣き声…。」 「気持ちは解るが、ここはスルーすべき、そうすべき。」 うどんげは必死で赤ちゃんれいむをあやしている。 チビきめぇ丸も手伝ってくれているが、全然泣き止んでくれない。 「…そんなに大変なられいむが手伝ってあげようか?ホラ、プリーズ。」 れいむはそう言ってうどんげにもみ上げを差し出す。 「ああ、それはどうもご親切に…って騙されるかぼけぇ!」 うどんげはノリツッコミ! 「チッ。」 れいむは舌打ちした。 「ゆっきゃあああん!…!」 と、その時だった。 : _ __ : : r, - `―'- 、イ、 : : ィ i ルイ人ルレ ン、 : : ル( ゚ ) ( ゚ )| i、|1 : .: (" 'ー=三=-'."[]ノ i : : `ー―――― 'レル' : それまで元気に泣きまくっていた赤ちゃんれいむが急に泣きやんだのだ。 それだけならまだ良い、 問題は、その後凄い勢いで痙攣し始めているという事だ。 「!?子供の様子がおかしいぞ! おい!聞こえるか!?しっかりしろ!」 うどんげが通訳を通してではなく、地声で赤ちゃんれいむに問いかける。 「…!…!…!」 しかし、赤ちゃんれいむは痙攣ばかりで何の返事もしてくれない。 「ちょ、ま、まさか色々連れまわしたから変な病気にかかった…。」 「違うよ!それは病気じゃ無い!熟したんだよ!」 突然の事態に困惑するうどんげに対して、れいむはそう叫んだ。 「え…じゅ、じゅく…?」 聞きなれない言葉に戸惑ううどんげ。 れいむはそんなうどんげに向かって説明する。 「れいむの赤ちゃんは今、自らの力でその身体を蔦から切り離して 地面に降り立とうとしているんだよ!正に今!れいむの赤ちゃんは真の誕生を果たそうとしているんだよ!」 「よ、良く解らないけど、とても大事な局面なのは解ったわ。」 「で、でもどうしよう!こんな所で熟す何て事は考えてなかったから何の準備もしてないよ!」 れいむは慌てて辺りを走り回っている。 「おいぃ!?なんだか知らないが、このままじゃあ赤ちゃんがヤバイのが確定的に明らか、れみりゃ、何とか出来ますか!?」 「れ、れみりゃに言われても赤ちゃんの事なんて全然解らないんだど!」 れみりゃもてんこもパニックになってしまい、その場の収拾がつかなくなってくる。 「お前達!その辺うろうろ走り回ったって仕方ないてんこ!」 しかし、その中で一匹だけ冷静なゆっくりがいた! .∧ ○、,_ ○、.,_ / ', / `ヽ.`ヽ. /´ `ヽ)!へ,/V/、 ' ,_,ノト 、 ,' _[_`ゝ-‐''´ヽ、/ !/ ,ハ ,| ,' ´ |レへ,! / ! /_.7-‐ァ' ̄!二7´ ̄7ヽ、/`ヽ._! !/ | r' ̄7-‐'"´ ̄  ̄`ヽ、_!`ヽ、___! |、/ヽ| !ァ'´ ゝ、 !. / ァ'/! 、`ヽ、___7、 ,ハ | ;' ,' /(◯), V 、(◯)ハ/! ヽ. ヽ ! / / ! ! ;' '"" ,rェェェ、 "" ! /! ハ!/ / `ヽ! ! .|,r-r-| .レ' ,' ./ |‐--‐< レ'7 `ニニ´ .,' レ' ./ く\ 〈 ヽ、 ,イ / ハ 〉 < `> `ヽ./!>.,、.,___ ,. イ;'/、/_!/>、,__,.>'´ 何でこんな所にいるのか、もうその理由さえどうでも良くなってきているゆっくり、らんであった! らんは何処にしまっていたのか小さめのクッションを取り出すと、赤ちゃんれいむの真下に敷く。 「こうやって落下の際の衝撃を和らげておけば、生まれてそうそう怪我をしなくて澄むてんこ。」 「おいぃ、お前意外と詳しくないですか?」 「ちぇんとの将来に備えて色々勉強したてんこ!」 らんはフフン、と胸を張ってそう言った。 「…!…!…!」 そうこうしている間も赤ちゃんれいむは無言で気張っている。 「が、頑張れ!赤ちゃん頑張れ!ホラ、ひっひっふー!ひっひっふー!」 れいむは赤ちゃんれいむを励ましながらラマーズ呼吸法を実践している。 「…あの、ここでラマーズ呼吸法を使ったところで意味がないんじゃ…。」 うどんげがれいむにそうツッコミを入れると。 「バカだね!ラマーズ呼吸法を通して赤ちゃんにエネルギーを送るんだよ!」 れいむは自信満々にそう答えた。 「そ、そうか、じゃあ私も…ひっ、ひっ、ふ~。」 それを聞いたうどんげも、ラマーズ呼吸法を始める。 赤ちゃんれいむを挟んで二人のゆっくりがラマーズ呼吸法をする光景。 傍から見れば、かなり異様な光景であった。 しかし、本人達から見れば真剣な光景なので、れみりゃ達は必死で吹き出したりするのを我慢した。 「…!…!…!フンヌギャああああああ!」 そして、とうとうその時が来た! 赤ちゃんれいむが物凄い踏ん張り声とともに、その体時を繋いでいた部分をぶち切ったのだ! 重力に従い、落下する赤ちゃんれいむの身体! その身体はらんが敷いたクッションの上に見事に着地した! 「おぉ!」 「やったど!」 その光景を見て、れみりゃとてんこがそう声を上げる! しかし、その直後だった! ポォオオオオン! 赤ちゃんれいむの身体がクッションの弾力で思いっきり跳ね上がったのだ! 風に乗ったれいむの身体は予想以上に大きく飛んで 飛んで。 飛んで…。 「あぁぁあああああああああああ…。」 ドップラー効果を起こしながら屋根の下へと落ちてしまったのだ。 お忘れないようにいっておくが、ここは地上数十階にも及ぶビルの天辺である事を忘れてはいけない。 「…えぇええええええええ!?」 れいむ、うどんげ、殆ど同時に絶叫。 「おいィ!?お前、何がどうしてこうなった!?」 てんこはらんに思いっきり怒鳴りつける。 「ご、ゴメンてんこ!クッションの弾力が予想以上だったてんこ!」 らんは冷や汗交じりにそう言い訳する。。 「ありすぎだど!赤ちゃんが数メートルも飛ぶほどの弾力を誇るクッションって一体どんなクッション何だど!」 もはやクッションと言うより、トランポリンでは無いだろうか。 「ちょとこれシャレにならんでしょ、間接的とは言え、殺ゆっくり罪なのは確定的に明らか。」 「ちょ…!」 らんは顔を真っ青にする。 「赤ちゃーん!」 「ゲラゲラゲラゲラーーーー!!」 れいむとうどんげは凄い叫び声を上げながら赤ちゃんれいむの落ちた方へと向かっていく。 その時だった。 「…よっこいしょ。」 そんな親父臭い声を上げて、てゐが屋根の上へと登ってきたのだ。 (^^^^^) | | | _ __ r , -`―'- 、イ、 ,. -‐イゝイ人ハレ ン、、 / /ヒン ヒン)| i、| ヽ. / .(" )―( "[]ノ i i ,' / `ー―――'レル' | i / ; ; ゝ、____ノ 〉--' / /、__; ィ ハ 、_; ! i ハ 〈 i / ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ | Y ハ レヘ i' rr=-,´ r=;ァハソ ハ | ノ l |  ̄  ̄ l | ノ ノ ハヽ、 ー=- ノ i ( イ / / イヽ>, -r=i' ´イ ハノ 〈rヘ ! レ´ `y二」ヽレ' 〈 「あーびっくちした。」 「びっくりしたのはこっちだって言うの、何で上から落ちてきたのさ?」 その頭の上に、赤ちゃんれいむを乗せて。 『…あかちゃぁああああん!』 その様子を見て、れいむとうどんげは凄い勢いでてゐに近づいてきた。 「う、うわ!ちょっと落ち着きなよ!」 凄い憩いで迫ってきたゆっくり二人に驚きながらもてゐは赤ちゃんれいむをれいむの頭の上に乗せる。 ,.‐‐、 ,.-‐-、 く__,.ヘヽ. / ,ー、 〉 \ ', !-─‐-i / /´ /`ー' L//`ヽ、 / /, /| , , ', イ / /-‐/ i L_ ハ ヽ! i ___ _____ ______. レ ヘ 7(ヒ_] ヒ_ン )ト、!| | ネ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ、_'' !,/7"" ,___, ""iソ| | , ン 'r ´ ヽ、 |.从 ヽ _ン / |./ | i ,' ==─- -─== ; レ'| i>.、,,__ _,.イ / .i | | i イ ルゝ、イ;人レ/ルヽイ i レ'| | / k_7_/レ'ヽ, ハ. | ||. i、|. | (ヒ_] ヒ_ン) i リイj _ __ | |/i 〈|/ i ,.ヘ | i | | iヽ「 ! "" ,___, "" !Y.! r , -`―'- 、イ、 .|/ / i: ヘ! \ | .| |ヽ.L.」 ヽ _ン ,'._.」 イi イ人ルレ ン、 kヽ 、ハ _,.ヘ、 /、! ヽ |イ|| |ヽ、 イ|| | /ヘ へ| i、| !'〈//`T´', \ `'7'ーr' レ レル. `.ー--一 ´ル レ .(// マフ///[]ノ i レ'ヽL__|___i,___,ンレ|ノ `ー―――'レル' ト-,/ |___./ 'ー' !_,./ 「赤ちゃーん!もう大丈夫だからね!安心してね!」 「良かった…本当に良かった!」 「おかーちゃんもちょっとしんぱいしちゅぎ!」 そう言ってくる赤ちゃんれいむを、れいむも、うどんげも笑顔であやしていた。 その光景を見て、てゐは呟く。 「…あれま、あの二人、子供の件についていざこざし合って居たんじゃなかったっけ?」 さっきまで、子供は自分の物だ自分の物だと争っていたのに、その肝心の子供を前にするとそんな事を忘れてしまう。 実にゆっくりらしいというか、何というか。 それとも子供というのには場を和ませる力があるというのか。 「…ま、後は私らがああだこうだ言う問題でもないって事かな。」 なんとも喉かな光景を見て、てゐがそう呟く。 「てゐさーん!無事だったのかど!」 「やっぱりてゐに隙は無かった!」 と、てゐに向かって、れみりゃとてんこが向かってくる。 「あ、れみりゃ、てんこ!そんなに心配していたの?」 こっちに駆け寄ってくるれみりゃ達に向かっててゐがそう呟く。 「あ、当たり前だど!こっちがどれだけ心配したと思ってるんだど!」 「ハイハイ、解った解った・・・ところで、一つ聞きたい事があるんだけど。」 「え?」 てゐは突然、身体を仰向けに寝かせる。 そうすることで、身体の下の部分が丸見えになる。 そして、からだの下の部分には、ある物が付着していた。 ∞ ∬∬ ■□■ □■□ □■□ 「…こ、これって…。」 「さっきあの赤ちゃんを助けたときにうっかり踏んづけちゃったんだけどさ。 …これ、鳥のフンじゃ無いよね、明らかにゆっくりのう○こだよね。 このうんこに見覚えはない?」 てゐは静かに殺気を放ちながらそう問いかけた。 「え?」 「ええと…。」 れみりゃとてんこはゆっくりと、後ろを振り向く。 :.∧ ○、,_: :○、.,_ / ', / `ヽ.`ヽ.: :/´ `ヽ)!へ,/V/、 ' ,_,ノト 、: :,' _[_`ゝ-‐''´ヽ、/ !/ ,ハ ,|: :,' ´ |レへ,! / !: : /_.7-‐ァ' ̄!二7´ ̄7ヽ、/`ヽ._! !/ |: :r' ̄7-‐'"´ ̄  ̄`ヽ、_!`ヽ、___! |、/ヽ|: :!ァ'´ ゝ、 !. / ァ'/! 、`ヽ、___7、 ,ハ |: :;' ,' /(◯), V 、(◯)ハ/! ヽ. ヽ ! / /: :! ! ;' '"" ,rェェェ、 "" ! /! ハ!/ /: :`ヽ! ! .|,r-r-| .レ' ,' ./ |‐--‐<: : レ'7 `ニニ´ .,' レ' ./ く\: 〈 ヽ、 ,イ / ハ 〉 < `>: `ヽ./!>.,、.,___ ,. イ;'/、/_!/>、,__,.>'´: 後ろではらんが、恐怖に染まった表情のままで固まっていた。 地獄絵図になるであろうてゐ達の方は放って置いてとりあえず、話は赤ちゃんれいむとその関係者達の方へと戻そう。 「…スピースピー…。」 赤ちゃんれいむはと言うと、母親の頭の上で呑気に眠っていた。 「ゆふふ、よく寝ているね。」 れいむは寝息を聞いて何だか笑顔だ。 「…ゲラゲラゲラゲラ…。」 「あの、住みませんが、子供を私に抱かせてくれませんか?」 と、うどんげがれいむにそうお願いして来た。 「…そう言って、そのまま子供連れてとんずらするんじゃないでしょうね?」 「ゲラゲラ。」 「…それはしないって、ねぇ、お願い。」 うどんげはそう言ってれいむに向かって水をすくうように手を差し出した。 「…ちょっとでも怪しい仕草をしたらすぐにぼこるよ。」 れいむはそう言うと、頭の上の赤ちゃんれいむをうどんげの手の上に乗っけてあげた。 うどんげは赤ちゃんれいむの寝顔をじっと見つめている。 「…こうしてみると、あいつの・・・きもんげが赤ちゃんの頃を思い出すわね。 寝顔が実にそっくり。」 「え。」 それを聞いたれいむが明らかにいやな顔になる。 「そんなにいやな顔しないでよ…こうして子供を抱いていると、 あの頃を思い出すわね…。」 「あの頃?」 「…きもんげが子供の頃よ。」 きもんげが生まれた時、医者はうどんげたちにこう告げた。 きもんげは生まれつき身体が弱い。 恐らく、普通のゆっくりの3分の一も生きていられない、と。 それを聞いたうどんげは落胆してしまった。 その時、うどんげの妻…つまりきもんげのお母さんはこう言ったそうだ。 「普通のゆっくりの三分の一しか生きられないのなら私達が3倍の幸せを送ってあげましょう。 それが、あの子にとって一番のゆっくりした贈り物になるはずだから…と。 …私は妻と約束したわ、あの子にそんなゆっくり生を送ってあげられる様にするって。 妻が永遠にゆっくりしたのはその直後だったわ。」 うどんげは喋っているうちに俯き加減になる。 「…私は怖かった、妻だけじゃなくて、子供まで私を置いていってしまうことが… だからあんな所に押し込んで、少しでも長く生きながらせようと… バカよね、そんな事したって、妻が喜ぶはずがないって解ってたのに…ね。」 ふと、うどんげの顔に何か光る物が零れ落ちた。 俯いていたのでれいむにはよく解らなかったが、それが涙であることは何となく予想がついた。 その涙は、手のひらに乗っかっていた赤ちゃんれいむの顔に掛かってしまう。 「む~ちゅめたい…。」 眠っていた赤ちゃんれいむはゆっくりと目を覚ます。 目を覚まして、まず視界に入ったのはうどんげの顔だった。 「…ねぇ、なんできみはないてりゅの?」 「え?」 赤ちゃんれいむに問いかけられてうどんげはきょとん、となる。 「どんなことがあったのかわからないけど、これでゆっきゅりげんきだしちぇね!」 _ __ r , -`―'- 、イ、 イi イ人ルレ ン、 /ヘ へ| i、| .(// マフ///[]ノ i `ー―――'レル' 赤ちゃんれいむはそう言って手のひらをすりすりし始めた。 …うどんげは更に大粒の涙を流し始めた。 「ゴメン、ごめんなさい…私の勝手なわがままで、親と離れ離れにしちゃって…。」 「え!?な、なんでないちぇるの!?れいみゅのせい!?ゆっきゅりなきやんでね!!!」 赤ちゃんれいむは慌ててうどんげにそう語りかける。 「赤ちゃん、良いんだよ。」 「え?」 突然声をかけられて、振り向いてみると、そこには母の姿があった。 「思いっきり泣いた方が良い時もあるんだよ、とてもすっきりするからね。」 「にゃるほど!またべんきょうになったにぇ!」 赤ちゃんれいむは無邪気にそう叫ぶ。 うどんげは赤ちゃんれいむを手に持ったまま、大粒の涙を流し続けた。 「て、てゐさん!やめて!やめててんこー!」 「うるせぇええええええええええええ!」 …そこから離れた場所では、らんがまた違う意味で大粒の涙を流していた。 ~☆~ 戦い終わって日が暮れて、ビルのふもとの公園で。 「ありがとう!皆さんが居なかったら今頃どうなっていたか解らなかったよ!」 れいむはてゐ達に向かってお礼を言う。 |`\ ,. -──-...、 ト、 ./| 人 .! / ____ >-、/ ∨ / / ̄`ヽ|>''"´ `( ノ )‐ く/  ̄>'"´>''"´ ̄ ̄ ̄ ̄`゙''<! ,ノ)\ ;' / /` 、 `'<\ ハ \/ / /| , ハ | `Y/ ,' ./ ! メ、 / ! /| /_, ! .! | | .| |ァ' iゝ、, ', //イiヽ! .| | ∨`| |! (ヒ_] ∨ ヒ_ン ) ノ | | ,. -‐-、 ,.- 、 ♪ , ! ! ""xx ,___, xx""| ! 八 / i /, ヽ. ,. -───-- 、_ / / | | > 、 ヽ _ン ,.イ! !/ ヽ. / ハ├──-//i i rー-、,.'" `ヽ、. ./ ∧ |,.-‐イ`i7ァニi"´ト-| ,ハ ハ ,' / ソ ヽ、! | _」 i _ゝへ__rへ__ ノ__ `l / ∨ r'─ ァ‐r-─'ァ. レ'`ヽ! / ! i / ; ; ゝ、____ノ く `i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、 }^ヽ、 ,' r〈 〉 ァト-ヘ 〈ハ 〉' | 〉--' / /、__; ィ ハ 、_; ! i ハ 〈 .r'´ノ\ ゝイ,.イノヽ! レ ヽ,_`ヽ7ヽ___ 、_ ノ ハ } \! ∧>、__トイ_」o|__(\ |ー-‐イノ ,' i / ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ | Y /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒ ,___, ⌒ `! i ハ / }! i ! |/`ー-ァ| |( ∨ー‐ァ' ./ ハ レヘ i' rr=-,´ r=;ァハソ ハ / / ハ ハ/ ! /// ヽ_ ノ /// i ハ 〈〈{_ ノ } | __,/ /∧、 |o|>-、 `ヽ/ / | ノ l |〃 ̄  ̄ l | ノ ⌒Y⌒Y´ノ /l ハノ i ヽ⌒Y⌒Y´',(__,r/ / `ァー---r‐`ー‐イ\イ ノ ハヽ、 'ー=-' ノ i ( 〈,.ヘ ヽ、 〈 i ハ i 〉 ヽr/ /、 / | ,ハ ハ、 イ / / イヽ>, -r=i' ´イ ハノ ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ く人 く\へ.__ __rへ/ 人 〈rヘ ! レ´ `y二」ヽレ' 〈 \\ 7--へ._><><__/ // `ト>、 /___ ___ !>'r '´ ト、_ア`'ー-‐'´ ̄`ー‐ヘ _.ノ| !__/ ∨_,! O o - 、_ ,.ィ´`ヽ、 ノ/´`ヽ、 `ヽ、 ノ i  ̄/,='='ヽ、 ' ,、 ' , (/ く__/ \/ くヽ, ',. .ト--, r_ニ=-=r_ニ=-r、__,イヽ,', .L,.-!_r'´ イ-─ハ ハヽ)ニi _」 〈イ´ γ ./i__,.!/ V 、!__ハ i `i l `i !イ´|イ(ヒ_] ヒ_ン ハ、 |レ' ハ ヽ,ゝ" ,___, "' i ハ!'| ゝ、イiヽ、 ヽ _ン 人! `ヽ、_,> ノ ヽ . / \ / ) ノ ( ( (( ') 「イヤイヤ、私達は自分の都合で動いただけだって。」 別に照れるでもなくてゐはそう答える。 「そこの狐みたいなゆっくり、幽体離脱してるけど大丈夫?」 「気にしないで下さい、一応本体は呼吸していますんで。」 浮遊霊状態になりながらもらんはそう答える。 …まぁ、確かに大丈夫には違いないだろう、このゆっくりがこんな目に合うのはいつもの事だ。酷い話だが。 「ホントに大丈夫何だど?またあの会長さん子供にちょっかい出そうとするんじゃ…。」 「その心配は無いよ、今度会うときは、イオシスカンパニーの会長ではなく、この子のおじいちゃんとして会いに行くって言ってたし。」 れいむはそう言って、頭の上の赤ちゃんれいむを見せる。 赤ちゃんれいむは、何も言わずに黙り込んでいる。 「…そっか…じゃあもうあたし達が心配することもない訳だ。」 「うん。」 てゐの問い掛けにれいむはコクリと頷いた。 「…よかったーよーやっとあの赤ん坊から解放されるわけかぁ…。」 それを聞いたてゐはほっ、と全身の力を抜いてフニャッとなる。 今までどれだけ大変だったか、この様子を見れば一目瞭然だ。 「てゐさん、そろそろ帰らないと、みま様が心配してるど~。」 れみりゃがてゐにむかってそう呼びかける。 「…別にあんなババアが心配するとも思えないけどねぇ、 ま、とりあえず帰りますか。」 てゐはそう言うと、赤ちゃんれいむの方へと近寄る。 「そんじゃあ、縁があったらまたって事で。」 「…おとうちゃん、どきょかいくの?」 「ん?別れが寂しいってのか?そんな心配しなくって良いって、 そうだ、お前が酒が飲めるくらいの年齢になったら良い所に案内してやるよ。」 てゐはそう言って耳の先で赤ちゃんれいむのオデコをつっついた。 …途端に赤ちゃんれいむのか尾が涙目になる。 「どうしたの?おでこ、思いの他強く突っついちゃった?それとも別れが惜しいの?」 「お…。」 _ __ r , -`―'- 、イ、 イi イ人ルレ ン、 ・゜゜・ / =- -=| i、 | ・゚・。゜ .(" U Д U" []ノ i ゜ `ー―――'レル' 「おとーちゃんがおかーちゃんとれいみゅをすてるきだー!」 「え?」 いきなりそんな事をいって泣き出した赤ちゃんれいむを見て、てゐはキョトンとした顔になる。 「…あ~。」 「この赤ちゃん、てゐの事をまだお父さんだと誤解したまま何だどね。」 てんことれみりゃがその様子を見て、何となく状況を理解した。 「ひどい!ひどい!さんざんもてあちょんでおいちぇ、あきちゃらぽいだんだにぇ!」 「い、いや!それは違っ…!」 言いかけててゐは気づく。 周囲から、冷たい視線が突き刺さっていることに。 ,. -‐' ┐__,,.._ / l-‐─-='、ニー -,,,__, / _ ノ ノ ) ヽ. _ ;l.'-―‐ ' "´ヽ. //ヽ ̄ ヽ / -=_. ´) Y--‐''"´`''、 i. - 、 _,,. -‐| | 閻 l |、 , | _l. 、_) | V,-,-,-,-( |ヽ、,ノ |\_,. ‐''" i l 魔 l | ヽ/ i | ヽ _ _ l l ) ./∧ーーーー |‐'" | \ _r-ァイニ7二ハ二ヽ_ | /. `、 _ ,イ ; -‐―‐-、.--、 |' ー、'"`ヽ | _r- -''7'´ / / i ; ヽ/!_ ! ヽ l ー-‐<__フ / i. | | ノ r'ア二7-/ /! i /| ハ ヽ ン、 ヽ、  ̄ ー‐-‐ !、 l_,,..-< _ /,..-‐''"く\i - '/ / / ,.!/レ' |/ ! iヽ/<]よいぞっ♪ 丶. 、;;;;__ `_、_l ;; l ヽ/ Yi/ ノレ' ヘ/ > < レ ! /  ̄ ̄ ̄ ̄ ' ー ―――-┘' // i Y ! /// ,___, // iハリハ _,,.. -‐ァ'"´ ̄`7ー 、.,_ イ ;' /! ハ ヽ _ン 人 |/./|/\. ,ト、_/|___>-‐ァ7"´  ̄`ヽ、 `メ、. ! / ; イ_;イ>,、 _____, ,.イ/ノ |.//| 永 | く \/|>-‐──- 、., /| \_ノ\ />''"´ ´ ̄ ̄`"' 、 \| \_,ノ 、 ヽヽ、 r| ̄ヽ、/ く_/ヽY__ ̄7 / \ ' , ∧ ,ハ 〈/^ヽ、''' " ̄`""/ /ヽ、__」 / ∨ハ ./ |ハ ' ,` '´ ( /ヽ、| ,' / __/ /| i ヽ; | ! \.| .|_/| / `'ー'ヽ. | ;ハ/トゝ / '、 /_ i '; '、/| | |-―v、 〃 {ハ_ハ_,!V ハ レ'、i l │ i| | / | (ヒ_] ヒ_ン )_;ハ | ヽ/ |_/| ヾ、, ` レ!小(◯), 、(◯) 从|、i|../∨ 7,, ,___, "" |/! / ハ| |ヽ、_ ,,.ソヽ|("  ̄ 'ー=-' ̄" |ノ│..! | ト、 ヽ _ン '/レ' | | | |_/| ~ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄..∨´|\| へ、 / / / ノ / / ヽ. ゝ,,,, \| ) )_,,....,,....,,....,.,,. )\ |/| レへ `>r-‐,∠ __; イ/| ; イ/_,/ ヽ. /_,,....,,_\、' r''''ヽ''ヽ ) \_ \ /´ カナこン´ ` /レ'´ /_,/ i _..,,-" { ' }r-''''フ \_ \__________/_/ i "-..,,_ r''''''''''''''''''''''''''''''''''''''( ( )____ノ - ,, \/_/_/_/_/_/_/___/ ,; ノ ヽ // r ; ! ヽ i ヽ ',' |''" | ー 、 ,r',. '" '/~~`ヽ、 | .' '; i i i ! i } } i | ; |`ヽ、__ヾ , /;;;;;;; "/! ヽ | ,' i ' ; ゝ、人人ノ/_ノノ / ノ 、 i ; | ヽ ,| ヾ、 `) \ !、 i ヽ | / / i '、 ! ;| | | ヽ / ヾ i! ! |\.| Y ( /| | '、 | ; | ! , ,i / . | | | ヽ V 人 | 人 人 '、 、_)ノ ノ \_人__/イ/ ( ノ (._ )フ ウ--,, ノ フ フ  ̄ ̄ヽ...--.../ フ フ ......ヽOノ.............フ___ フ / ヽ/ <>/==─ 人 ─==ヽ ? >ノ ノ ヽ ヽ クノ_ノノ_ノ/ゝ、 /ヽ _ヽ_ヽ __ノ r ● ●人 ) ∠ |”" ,___, "''| / ノノ 人. 「 Y ,' ヽ / >,、 _i` ´_ ,.イ \ 「まぁ、捨てるですって…?」 「あんなかわいい奥さんと子供に対してよくそんな酷いことがいえるんだぜ!」 「おぉ、修羅場、修羅場。」 周りを見回すと、公園を散歩していたであろうゆっくり達が一斉にこちらを見つめていた。 てゐはゆっくり達の避難の視線を一身に浴びていた。 その様子を見て、れいむはてゐに向かってこう言った。 「…あの、いっその事?ホントに一緒になろうか?」 「そんな余計なことは言わなくて良いってぇええええ!」 夕暮れの中、てゐの叫び声が空に吸い込まれていった。 第二十四話、終わり 良かった! -- 名無しさん (2010-06-02 07 26 34) 周囲から、冷たい視線が突き刺さっていることに。 一人寝てるー!(ガビーン -- 名無しさん (2010-06-03 20 17 31) クッションは低反発性にすべきそうすべき ところでうどんげっておじいちゃんだったのか?前の話ではおばあちゃんだったような気が -- 名無しさん (2011-02-02 16 05 28) 名前 コメント
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第六回IRC突発大会~~ 大会エントリー前・開始前に必ず目を通してください。 特にテンプレを使うようにしてください、お願いします。 エントリー、進行に使うスレッドは以下のURLです。 突発大会用スレッド スタッフ ジョインジョイントキィ 手伝ってくれるという豪気な方は是非お願いします。 エントリー受付期間 【募集締切】エントリー募集時間は19 00~20 30の間です。 【日時】7月22日(火)21 00より開始。平日なのでサックリやってサックリ終わりましょう。 使用NW ベーシックの人も多いため特定のNWは使用しません。 個人NW等で対戦を行ってください。 大会進行 雑談はIRCのチャット、進行は突発大会スレッドで行います。 チャンネルは「#緋想天Hamachi」を使用、詳しくはIRCの導入のページで。 リプレイについて リプレイの公開は任意でお願いします。アップしたい方は大会用アップローダにどうぞ。 大会進行用テンプレw =それでは次の試合の準備をお願いします。各自ホスト側のNWに入ってください= =それでは試合を開始してください、勝者の方は報告とリプのうpをお願いします= テンプレ 大会用テンプレ(wiki仕様) 参加申し込み用 |エントリーネーム|キャラ名|IP Port(Hamachiの)|個人NW(PASSも)|一言| 対戦開始用(準備) |試合番号|ホスト名|クライアント名|NW(PASS)| 結果報告とリプレイのアップロードのコメント |試合番号|ホスト名|勝者名| ここにアップしたリプレイのURL(無くても結構です) リプレイの名前変更について 試合番号.rep としてくださると有難いです。 エントリー一覧 エントリー名 使用キャラ IP Port 使用するNW 一言 mikage 幽々様という嫁 5.3.233.254 10800 yuyusamahayome suikamoyome れみりあこわいです あさみちん 小町 5.15.164.154 10800 5.15.164.154 10800パスも同一 前回みごとに1回戦負けの人です めろす 鈴仙 5.20.39.38 10800 同左 ウルトラレッド暴発はデフォ GD3012 komachi 5.2.91.253 10800 5.2.91.253 10800(5.2.91.253 10800) 一言もこたんいんしたお PINE 西瓜 5.4.185.178 10800 同左(同左) 主催が増えて俺、感激! ジョインジョイントキィ レミリア 5.11.162.232 10800 同左(パスも) ん!?間違ったかな・・・主催ですが一応参加します crat 霊夢 5.7.178.137 10800 hinanaitena(pass hinanaiten) 結構緊張するなー トーナメント表 ┏━ ジョインジョイントキィ ┏━┛(4) ┃ └─ PINE ┌━┛(2) | | ┌─ めろす | └━┓(5) | ┗━ crat ★┓(1) ┃ ┌─ あさみちん ┃ ┏━┓(6) ┃ ┃ ┗━ GD3012 ┗━┛(3) | ┏━ mikage └━┛(7) └─ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (.jpg) 反省点
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巨大ゆっくりの饗宴(前編)の続き 『うぅ~?!』 「ん~・・・改めて見ると本当に不細工ねぇ?」 目を覚ました、というよりも彼女が去ったのを確認してから動いた私の目の前には巨大なれみりゃザウルス。 聞くところによればティガれみりゃというらしい、が私の結界を壊そうと必死に腕を振り回していた。 もちろん、この結界が饅頭風情の惰弱な攻撃でどうにかなるはずもない。 『う゛~~~~~!おぜうさまはぶざいぐじゃないど~!!』 「そうなの、それはごめんなさい。今度から醜悪な豚まんと呼ぶわ」 『でびりゃは・・・ぶだばんじゃないんだど~~~~~~~!!?』 どうしてこうも安い挑発に簡単に乗るのかしら? 涙目になりながらも執拗に右手に握られた扇の先に展開されている結界にパンチだか引っかきだかを繰り出している。 何度も何度も結界を殴り続けているうちに気がつけばティガれみりゃの手はボロボロになっていた。 『う゛、う゛~・・・でびりゃのえれがんとのおででがいだいどぉ~・・・』 「あら、本当にボロボロね?まるで野生の豚みたいだわ」 『ぶだっでいうな゛~~~~~~!?』 再び始まる猛攻。といっても、一撃たりとも結界を破って私に届くことはないのだけれど。 それでもボロボロになった両手から肉汁や中身を撒き散らしながら、延々と腕を振り回す。 ゆっくりにしては見上げた闘志かもしれない。 『う゛~!でびぃはもう゛ぶださんはいや゛なんだどぉ~!!?』 「・・・・・・“もう”?」 『どうぢであだらないんだどぉ~!?う゛~~~~~~!!』 なるほど。彼女を突き動かしているのは私に対する怒りでも、おぜう様としての矜持でもないらしい。 とめどなく双眸から溢れ出す涙と、本人は自覚さえしていないであろう、肉汁の混じった涎。 力みすぎたせいで口内を噛んでしまったにもかかわらず、そのことに気付いていない。 『う゛う゛う゛~~~~~~~~~~~~~っ!!?』 「れみりゃ、もうお止めなさい」 『うあ゛~~~~!いだい゛いだいはいや゛なんだどぉ~~~~!?』 恐怖のあまりにティガれみりゃは錯乱状態に陥ってしまっていた。 彼女の視界には私も、私の後ろで傷を癒しているドスまりさも映っていないのだろう。 今、彼女の見ているものは、脳裏に焼きついた恐怖。 「・・・仕方ないわね」 話を聞ける状態にないティガれみりゃにため息をつきつつ右手を下ろし、代わりに左手を突き出す。 しかし、れみりゃは私の動作に気付くことなく巨大な腕を私にめがけて振り下ろした。 警戒心がない、というよりも警戒する余裕すらないと言うべきだろうか。 守りの構えから反撃の構えに転じたことも知らずに、私めがけて渾身の一撃が放った。 『うあ゛ーーーーーーーっ!!』 「四重結界」 その一撃を受け止めるべく、再び結界を展開する。 さっきまでの結界とは比較にならない強度に加え、接触した相手に破壊をもたらす結界を。 高速で回転する4枚の薄い光の壁は思い切り良く突っ込んできたれみりゃの腕を瞬く間ずたずたに引き裂く。 そして、彼女が異常に気付いたころには右手をごっそりと失っていた。 『う゛・・・う゛あ゛・・・れ、れびりゃのおででがーーーーー!?』 「参ったわ、これはこれで話になりそうにない・・・」 仕方がない、そう心の中で呟いてかられみりゃの大きな顔の前まで飛んで行き、彼女に話しかける。 錯乱しているせいで全くと言っていいほど会話にならなかったが、スキマから取り出した標識で2,3発叩いたら落ち着いた。 『う゛ー・・・れみりゃはぶだざんななんがじゃ・・・』 「分かったわ。ごめんなさいね、豚なんて言って」 『うぅ?』 突然の態度の変化に少し戸惑うティガれみりゃ。 少しの間、不思議なものを見るような目で首をかしげながら私を見ていたかと思うと、急に満面の笑みを浮かべる。 何となく、にぱぁ~♪という効果音と後光が見えたような気がしなくもないが、多分気のせいだろう。 『わかればいいんだどぉ~♪』 「ところで、エレガントなおぜう様に訊きたいのだけれど・・・」 『なんだどぉ~?』 ようやく機嫌を直したれみりゃは重そうな顔に両手を添えてお尻を振りながら私を見つめている。 どうやら褒められたのが相当嬉しかったらしく、照れて顔が真っ赤になっている。 恐らく、育った場所で罵られ酷い目に遭うばかりで、褒められることに慣れていなかったのだろう。 「貴女達の主人について教えてもらえないかしら?」 『う~・・・おねえさんはいいひとだけど、それはむりなんだどぉ~・・・』 「どうして?」 出来るだけ警戒されないように笑顔を絶やさずに、そう尋ねた。 両手は腰の高さまで下ろされ、手のひらをれみりゃに向けて、ペットに対して「さあ、おいで」と言う時のような格好をしている。 もちろん、スキマを出すこともせずに霊力や妖力も抑えて、可能な限り無防備を装った。 『だって・・・そんなこといったら、ゆっくりできないんだどぉ~・・・』 「あら?そんなこと気にしなくてもいいのに」 『い、いやだどぉ・・・お、おぢおぎは、ずごぐごわいんだどぉ・・・』 目に見えて怯えるティガれみりゃの体はぶるぶると震えている。 いささか鬱陶しい顔立ちのナマモノとは言え、同情を誘うには十分すぎる仕草だろう、このサイズでなければ。 「大丈夫よ、私が守ってあげるわ」 『うぅ?・・・ほんとうに?』 「ええ、本当よ。それに、私の知り合いには私よりも強い人だっているわ」 だから、あなたは何も恐れなくて良いのよ? すっ、とれみりゃの額に手の届く距離まで近寄った私はそう囁くと、彼女の頬を撫でる。 泣きじゃくっていたせいで少し脂っこいが、弾力があってさわり心地は決して悪くなかった。 『うぅ・・・だっだら、おしえてあげるどぉ~♪』 「ふふ、ありがとう」 『へんなおにーさんたちだどぅ~♪』 「・・・・・・飛光虫ネスト」 それじゃ何の役にも立たないでしょうが。 そんなツッコミより早く、私は彼女の巨体めがけて無数の未確認飛行物体を射出していた。 まったく、何のためにこんな肉まんに優しくしたのかわかったものじゃない。 『うぎゃーーーー!?なにずるんだどーーー!?』 私の背後に連続して出現する無数のスキマから、何発も何発も謎の飛行物体が放たれ、ティガれみりゃの巨体を穿つ。 まずは動きを封じるために脚を。ついでに不可抗力で尾を穴だらけにしてゆく。 やがて、自重を支えられなくなった脚は崩れ、支えを失った胴体は地へと沈んだ。 『やべるんだどーーーー!でびりゃは、やざじいおねーざんがずぎだどぉおーーー!?』 もはや歩くことも敵わないほどにボロボロで、もはや健常な四肢は左手しか残っていない有様。 それでもティガれみりゃ身をよじり、両腕をばたつかせて飛行虫の大群から逃れようと必死にもがく。 しかし、その抵抗は何の意味もなさなかった。 『う゛ぅ・・・ほどぢで・・・』 やがて、その胴体すらも蜂の巣にされてしまったティガれみりゃは顔だけになっていた。 それでもここが本体のようなものである彼女は決して死なない。 しかし、今の彼女に自力でこの状況を打開する手段は残されておらず、もはやただ大きいだけの肉まん。 「ふぅ・・・まりさ?」 『なあに、お姉さん?』 一仕事終えた私は、私がティガれみりゃの相手をしている間に傷の大半を癒したドスまりさに声をかける。 その声に反応した彼女は急いで傍までぼいんぼいんと跳ねて来ると、場違いな気の抜けた笑みを浮かべた。 「れみりゃはもう大丈夫・・・ゆっかりん達を探しにいくわよ」 『ゆっくり理解したよ!』 私とドスまりさは木々を掻き分けながら、何か大きな気配のするほうへと急いだ。 「こ・・・これは?!」 ようやくゆっかりん達を発見した時、なんだか面白いことになっていた。 その場に居合わせたのはきめら丸に、ゆっかりん、気色の悪い巨大ありす。それと申し訳程度にれいむ。 その撃ち3匹が巨大種であり、ありすに至っては触手まで搭載したオリジナルに見せたら昏倒しそうな風体をしている。 しかし、驚くべきことに巨大な3匹を差し置いて場の主役になっていたのは無理矢理連れてきた例の娘だった。 『ゆゆっ!なんだか凄くゆっくり出来る感じがするよ!』 『なんというゆ力・・・おお、怖い怖い』 きめら丸と触手ありすが現在対峙しているのは妖怪でもなんでもない、間違いなく普通の人間。 ただ一点、何故か未知のオーラを放出していて、そのオーラが10mを超える超巨大ドスまりさの形になっていることを除けば。 そして、そのドスまりさがありすの触手による一撃をことごとく阻んでいることを除いては。 『ゆゆっ!どうして、ありすのぺにぺにがとどかないの!?』 『ゆっくり光線・・・いや、それ以上の力・・・!?』 「あえて名付けるなら“ゆっくり結界”ね」 名付ける必要は特にないのだけれど、名前があったほうが便利でしょう? とにかく、ゆっくり結界を纏った彼女の前に触手ありすは手も足もぺにぺにも出ない。 対する彼女はゆっくりとれいむをゆっかりんの傍に下ろすと、余裕の表情で触手ありすと向かい合う。 『ゆぅうぅぅ!はやぐごごがらででぎなざいよ、いながもの!?』 「いや、そう言われて出て行く馬鹿はいないでしょ?」 『でてきたらありすのぺにぺにでそっちのおおきのといっしょにすっきりさせてあげるわよ!』 おおきいの、は言うまでも無くゆっかりんのことだろう。 彼女とすっきりーするときのことを想像しているのか緩みきった見るに堪えない笑みを浮かべている。 “彼女”に見せたら本当に発狂してしまうんじゃないかと思えるほどに見苦しい表情だ。 「大きいの?ゆっかりんのことか・・・」 『そうよ!いなかもののおねーさんもとくべつにあり・・・』 「ゆっかりんのことかあああああああああああ!!」 どこぞの超野菜星人みたいなことを叫びながら、彼女は触手ありすを睨みつけた。 と同時に、触手ありすめがけて全力疾走。彼女にあわせて移動するゆっくり結界を利用して近くの樹木に触手ありすを叩きつけた。 彼女と一緒に中にいるゆっかりんとれいむも結界に移動に引きずられ、転げまわっている。 『ゆぎぃ!?』 「これは、ゆっかりんの触り心地抜群のほっぺたの分・・・!」 一瞬、バトル漫画チックにキャラが変わっていると思ったけどそんなことは無かった。 ゆっかりんの頬じゃなくて本人を心配してあげなさい。 と内心で突っ込んでいるうちに、今度は触手ありすに向かって右手を突き出す。 すると、ドスまりさの形をした結界が全身を使って柔らかそうな右頬を叩きつけた。 『ゆべしっ!?』 「これは・・・いきなりこんなところに連れてこられた私の分・・・!」 それ、ただの八つ当たり。 しかし、よっぽど根に持っていたらしい。更に問答無用で結界を叩きつけた。 右、左、右、左、右、左、右、左・・・と執拗に殴打を繰り返す。 「これは、脚の疲労感の分・・・!これは、さっき食べた茸が苦かった分・・・!」 『ゆびぃ!?ありずっ!?ぞんなのっ!?ぢらなっ!?』 気がつけば、もはや八つ当たりですらなくなっていた。 昨日目玉焼きが焦げた、節分の時にペットのゆっくりすいかが泣き叫んだせいで怒られた・・・ もはや腹いせ同然のやり場のない怒りを容赦なく触手ありすに叩きつける。 やや気の毒な気もするけど、面白そうだから放っておこう。 『ゆ゛っ・・・やべで、やべでぐだざいいいいいい!あやばりまず!あやばりまずうううううう!?』 「だが断る」 その言葉は相手の提案が自分にとって有利なものである時に使ってこそよ? それはさて置き、再開される理不尽な暴力。 結界ドスの頬でありすを叩き、跳躍して結界の顎で踏みつけ、体当たりをして弾き飛ばす。 『ゆびょ!?あ、ありずの・・・べにべにがぁ・・・!』 執拗な攻撃に耐えかねた触手ありすの触手、もといぺにぺにが1本もげた。 触手ありすは力なく地に落ちたぺにぺにへと這って行こうとするが、彼女の容赦ない攻撃のせいでそれすらも叶わない。 そうこうしている内に1本また1本と触手ありすのぺにぺにが引き千切られ、本体から離れてゆく。 『やべでええええええええ!?あ、あでぃずのどがいはなべにべにがあああああああ!?』 『おでがいでず!ぼうやべでぐだざいいいいいいいいい!?』 「やだ」 『ぞんなああああああああああ!?ごんなのどがいはじゃないわ゛あ゛あ゛ああああああ!?』 数分後、触手ありすのぺにぺにはもはや見る影も無くもがれ、今やただの大きいだけのありす種と化していた。 自分のアイデンティティを奪われた彼女は焦点の定まらない目であらぬ方向を見つめながら、『ゆひっ、ゆひぃ』と気味の悪い笑みを浮かべている。 これで、残るはきめら丸ただ一匹。 『ねえ、お姉さん?』 「なにかしら?」 『加勢しなくていいの?』 「危なくなってからで十分でしょ?」 『まりさはどうしたら良いの?』 「邪魔になるだけだから観戦してなさい」 『ゆっくり理解したよ!』 「でも、そうね・・・思いっきり戦えるようにはしてあげても良いかしら?」 ゆっくり結界の中にスキマを発生させ、ゆっかりんとゆっくりれいむをドスまりさの傍に呼び寄せた。 『まさかありすが敗れるとは・・・何者ですか、貴女は?』 「私は・・・やる気のないお姉さんが手前勝手な怒りによって目覚めた・・・・・・ん~、ドスお姉さんよ!!」 『今考えましたね?おお、適当適当』 ニヒルな笑みを浮かべつつ首を振るきめら丸。 一見するときめぇ丸種特有の人を馬鹿に仕切った態度にしか見えないが、彼女には全く油断がなかった。 四肢でがっちりと地を掴み、翼を広げ、僅かに身をかがめて角を突き出し、尾を持ち上げるその姿は間違いなく臨戦体勢。 対するドスお姉さん(仮)もゆっくり結界を展開したまま、じっときめら丸を睨みつけている。 「うりゃ!」 『おお、遅い遅い』 先に動いたのはドスお姉さん(仮)だった。 しかし、きめら丸は大きな翼を羽ばたかせて空へと飛び上がり、いとも容易くそれを凌いだ。 ゆっくり結界は10mを超える巨大なものだが、きめら丸はるか上空。 とてもじゃないがゆっくり結界による攻撃は届きそうにない。 『ここなら一応安全なようです・・・ね?』 一旦その場にとどまり、地に這いつくばっている私たちの様子を確認しようと下を向くきめら丸。 淡く輝く金色のオーラはいつの間にか消えていて、代わりに一点に収束された光がまばゆく輝いている。 その閃光の正体を知る彼女の瞳は驚愕によって見開かれた。 『こ、これは・・・!?』 『ゆゆっ!すごい!ドスパークだよ!』 ドスパーク。それは本来ドスまりさのみが使える必殺技。 あるキノコを食べる必要があったり、使用回数があったりとその性能には個体差があれど、いずれもゆっくりの希望。 襲い来る獣を焼き払い、時には人間さえも恫喝せしめるその力を人間が行使した。 それも、出力は10m超級のドスまりさが放つドスパークとほぼ同じ。 「発射口が小さい分射程と威力が随分増しているみたいだけど」 『しかしそれでは素早い標的には当たりませんよ?おお、無駄撃ち無駄撃ち』 そこにいたのは数瞬前まで上空にいたはずのきめら丸。 巨体を得てなお衰えることを知らない俊足を以って、一瞬にしてあの距離を詰めてきたらしい。 おお、速い速い。 などとやっている間にもきめら丸はドスお姉さん(仮)めがけて突進する。 「はい、隙あり」 『なん・・・ですと・・・?!』 2発目のドスパークが、それも今度は右手の掌から、ただ撃つのではなく薙ぎ払うように放たれた。 なるほど、これなら簡単にはかわせないだろう。少なくとも空を飛べる相手でなければ文字通り必殺の攻撃だ。 そう、空さえ飛べなければ。 『おお、怖い怖い』 手からドスパークを発射できたことも驚きだが、きめら丸の想像を絶する機動力は驚嘆に値する。 もっとも、流石にかわしきれなかったらしく、きめら丸の一部が転がっているが。 彼女の中身は黒糖饅頭のようで、その破片からは甘い匂いが立ち込めている。 『おや、前足を落としてしまったようですね?おお、痛い痛い』 「また空に逃げたか・・・もうそろそろ体力がもたないんだけどなぁ・・・」 『どうやらお互い限界のようなので、そろそろ逃げさせてもらいますよ』 そう言い残すと、翼を羽ばたかせて夜空の彼方へと飛び去っていった。 直後、ドスお姉さん(仮)は地面に突っ伏した。どうやらわりと真剣に体力の限界だったらしい。 『ゆゆっ!お姉さん、あのお姉さんを助けないと!』 「そうね・・・貴女に任せるわ」 そう言い終えるが早いか、私はスキマに潜り込んできめら丸の後を追った。 『まさか人間がドスパークを撃つとは…』 「おお、怖い怖い?」 声をかけられてようやく、背中の重みを認識したきめら丸は振り返った。 そして、彼女にしてみればいつの間にかそこに腰掛けている私を見て、驚愕する。 『・・・おお、いつの間に?!』 「知らなかったの?Phボスからは逃げられない」 実際はPhに限ったことではないけれど。 再びスキマに潜り込んできめら丸の尾による先制攻撃をかわし、今度は彼女の眼前に姿を現す。 空を歩く姿を目の当たりにして私が人外の何かであることを理解したらしく、『おお、怖い怖い』と激しく首を振った。 「今、貴女の前には逃げられない敵が立ちはだかっている」 『おお、大魔王大魔王・・・』 「もちろん、何の意味もなく立ちはだかっているわけじゃないわ」 『そう仰られても、私には貴女にお教えすることなどありませんよ』 シェイクを止め、先ほど見せた臨戦態勢(空中Ver.)になるきめら丸。 「だったら、私にも貴女を生かして帰す道理は・・・あら?」 しかし、きめら丸は私に突撃を仕掛けず、急降下して戦線離脱を図った。 どうやら自分の実力では絶対に勝てない相手であることも把握しているらしい。 本当に優秀な個体だ。 「もっとも・・・絶対に逃げられないことも把握しておくべきだったわね」 巨大ゆっくりの饗宴(後編)
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巨大ゆっくりの饗宴(前編)の続き 『うぅ~?!』 「ん~・・・改めて見ると本当に不細工ねぇ?」 目を覚ました、というよりも彼女が去ったのを確認してから動いた私の目の前には巨大なれみりゃザウルス。 聞くところによればティガれみりゃというらしい、が私の結界を壊そうと必死に腕を振り回していた。 もちろん、この結界が饅頭風情の惰弱な攻撃でどうにかなるはずもない。 『う゛~~~~~!おぜうさまはぶざいぐじゃないど~!!』 「そうなの、それはごめんなさい。今度から醜悪な豚まんと呼ぶわ」 『でびりゃは・・・ぶだばんじゃないんだど~~~~~~~!!?』 どうしてこうも安い挑発に簡単に乗るのかしら? 涙目になりながらも執拗に右手に握られた扇の先に展開されている結界にパンチだか引っかきだかを繰り出している。 何度も何度も結界を殴り続けているうちに気がつけばティガれみりゃの手はボロボロになっていた。 『う゛、う゛~・・・でびりゃのえれがんとのおででがいだいどぉ~・・・』 「あら、本当にボロボロね?まるで野生の豚みたいだわ」 『ぶだっでいうな゛~~~~~~!?』 再び始まる猛攻。といっても、一撃たりとも結界を破って私に届くことはないのだけれど。 それでもボロボロになった両手から肉汁や中身を撒き散らしながら、延々と腕を振り回す。 ゆっくりにしては見上げた闘志かもしれない。 『う゛~!でびぃはもう゛ぶださんはいや゛なんだどぉ~!!?』 「・・・・・・“もう”?」 『どうぢであだらないんだどぉ~!?う゛~~~~~~!!』 なるほど。彼女を突き動かしているのは私に対する怒りでも、おぜう様としての矜持でもないらしい。 とめどなく双眸から溢れ出す涙と、本人は自覚さえしていないであろう、肉汁の混じった涎。 力みすぎたせいで口内を噛んでしまったにもかかわらず、そのことに気付いていない。 『う゛う゛う゛~~~~~~~~~~~~~っ!!?』 「れみりゃ、もうお止めなさい」 『うあ゛~~~~!いだい゛いだいはいや゛なんだどぉ~~~~!?』 恐怖のあまりにティガれみりゃは錯乱状態に陥ってしまっていた。 彼女の視界には私も、私の後ろで傷を癒しているドスまりさも映っていないのだろう。 今、彼女の見ているものは、脳裏に焼きついた恐怖。 「・・・仕方ないわね」 話を聞ける状態にないティガれみりゃにため息をつきつつ右手を下ろし、代わりに左手を突き出す。 しかし、れみりゃは私の動作に気付くことなく巨大な腕を私にめがけて振り下ろした。 警戒心がない、というよりも警戒する余裕すらないと言うべきだろうか。 守りの構えから反撃の構えに転じたことも知らずに、私めがけて渾身の一撃が放った。 『うあ゛ーーーーーーーっ!!』 「四重結界」 その一撃を受け止めるべく、再び結界を展開する。 さっきまでの結界とは比較にならない強度に加え、接触した相手に破壊をもたらす結界を。 高速で回転する4枚の薄い光の壁は思い切り良く突っ込んできたれみりゃの腕を瞬く間ずたずたに引き裂く。 そして、彼女が異常に気付いたころには右手をごっそりと失っていた。 『う゛・・・う゛あ゛・・・れ、れびりゃのおででがーーーーー!?』 「参ったわ、これはこれで話になりそうにない・・・」 仕方がない、そう心の中で呟いてかられみりゃの大きな顔の前まで飛んで行き、彼女に話しかける。 錯乱しているせいで全くと言っていいほど会話にならなかったが、スキマから取り出した標識で2,3発叩いたら落ち着いた。 『う゛ー・・・れみりゃはぶだざんななんがじゃ・・・』 「分かったわ。ごめんなさいね、豚なんて言って」 『うぅ?』 突然の態度の変化に少し戸惑うティガれみりゃ。 少しの間、不思議なものを見るような目で首をかしげながら私を見ていたかと思うと、急に満面の笑みを浮かべる。 何となく、にぱぁ~♪という効果音と後光が見えたような気がしなくもないが、多分気のせいだろう。 『わかればいいんだどぉ~♪』 「ところで、エレガントなおぜう様に訊きたいのだけれど・・・」 『なんだどぉ~?』 ようやく機嫌を直したれみりゃは重そうな顔に両手を添えてお尻を振りながら私を見つめている。 どうやら褒められたのが相当嬉しかったらしく、照れて顔が真っ赤になっている。 恐らく、育った場所で罵られ酷い目に遭うばかりで、褒められることに慣れていなかったのだろう。 「貴女達の主人について教えてもらえないかしら?」 『う~・・・おねえさんはいいひとだけど、それはむりなんだどぉ~・・・』 「どうして?」 出来るだけ警戒されないように笑顔を絶やさずに、そう尋ねた。 両手は腰の高さまで下ろされ、手のひらをれみりゃに向けて、ペットに対して「さあ、おいで」と言う時のような格好をしている。 もちろん、スキマを出すこともせずに霊力や妖力も抑えて、可能な限り無防備を装った。 『だって・・・そんなこといったら、ゆっくりできないんだどぉ~・・・』 「あら?そんなこと気にしなくてもいいのに」 『い、いやだどぉ・・・お、おぢおぎは、ずごぐごわいんだどぉ・・・』 目に見えて怯えるティガれみりゃの体はぶるぶると震えている。 いささか鬱陶しい顔立ちのナマモノとは言え、同情を誘うには十分すぎる仕草だろう、このサイズでなければ。 「大丈夫よ、私が守ってあげるわ」 『うぅ?・・・ほんとうに?』 「ええ、本当よ。それに、私の知り合いには私よりも強い人だっているわ」 だから、あなたは何も恐れなくて良いのよ? すっ、とれみりゃの額に手の届く距離まで近寄った私はそう囁くと、彼女の頬を撫でる。 泣きじゃくっていたせいで少し脂っこいが、弾力があってさわり心地は決して悪くなかった。 『うぅ・・・だっだら、おしえてあげるどぉ~♪』 「ふふ、ありがとう」 『へんなおにーさんたちだどぅ~♪』 「・・・・・・飛光虫ネスト」 それじゃ何の役にも立たないでしょうが。 そんなツッコミより早く、私は彼女の巨体めがけて無数の未確認飛行物体を射出していた。 まったく、何のためにこんな肉まんに優しくしたのかわかったものじゃない。 『うぎゃーーーー!?なにずるんだどーーー!?』 私の背後に連続して出現する無数のスキマから、何発も何発も謎の飛行物体が放たれ、ティガれみりゃの巨体を穿つ。 まずは動きを封じるために脚を。ついでに不可抗力で尾を穴だらけにしてゆく。 やがて、自重を支えられなくなった脚は崩れ、支えを失った胴体は地へと沈んだ。 『やべるんだどーーーー!でびりゃは、やざじいおねーざんがずぎだどぉおーーー!?』 もはや歩くことも敵わないほどにボロボロで、もはや健常な四肢は左手しか残っていない有様。 それでもティガれみりゃ身をよじり、両腕をばたつかせて飛行虫の大群から逃れようと必死にもがく。 しかし、その抵抗は何の意味もなさなかった。 『う゛ぅ・・・ほどぢで・・・』 やがて、その胴体すらも蜂の巣にされてしまったティガれみりゃは顔だけになっていた。 それでもここが本体のようなものである彼女は決して死なない。 しかし、今の彼女に自力でこの状況を打開する手段は残されておらず、もはやただ大きいだけの肉まん。 「ふぅ・・・まりさ?」 『なあに、お姉さん?』 一仕事終えた私は、私がティガれみりゃの相手をしている間に傷の大半を癒したドスまりさに声をかける。 その声に反応した彼女は急いで傍までぼいんぼいんと跳ねて来ると、場違いな気の抜けた笑みを浮かべた。 「れみりゃはもう大丈夫・・・ゆっかりん達を探しにいくわよ」 『ゆっくり理解したよ!』 私とドスまりさは木々を掻き分けながら、何か大きな気配のするほうへと急いだ。 「こ・・・これは?!」 ようやくゆっかりん達を発見した時、なんだか面白いことになっていた。 その場に居合わせたのはきめら丸に、ゆっかりん、気色の悪い巨大ありす。それと申し訳程度にれいむ。 その撃ち3匹が巨大種であり、ありすに至っては触手まで搭載したオリジナルに見せたら昏倒しそうな風体をしている。 しかし、驚くべきことに巨大な3匹を差し置いて場の主役になっていたのは無理矢理連れてきた例の娘だった。 『ゆゆっ!なんだか凄くゆっくり出来る感じがするよ!』 『なんというゆ力・・・おお、怖い怖い』 きめら丸と触手ありすが現在対峙しているのは妖怪でもなんでもない、間違いなく普通の人間。 ただ一点、何故か未知のオーラを放出していて、そのオーラが10mを超える超巨大ドスまりさの形になっていることを除けば。 そして、そのドスまりさがありすの触手による一撃をことごとく阻んでいることを除いては。 『ゆゆっ!どうして、ありすのぺにぺにがとどかないの!?』 『ゆっくり光線・・・いや、それ以上の力・・・!?』 「あえて名付けるなら“ゆっくり結界”ね」 名付ける必要は特にないのだけれど、名前があったほうが便利でしょう? とにかく、ゆっくり結界を纏った彼女の前に触手ありすは手も足もぺにぺにも出ない。 対する彼女はゆっくりとれいむをゆっかりんの傍に下ろすと、余裕の表情で触手ありすと向かい合う。 『ゆぅうぅぅ!はやぐごごがらででぎなざいよ、いながもの!?』 「いや、そう言われて出て行く馬鹿はいないでしょ?」 『でてきたらありすのぺにぺにでそっちのおおきのといっしょにすっきりさせてあげるわよ!』 おおきいの、は言うまでも無くゆっかりんのことだろう。 彼女とすっきりーするときのことを想像しているのか緩みきった見るに堪えない笑みを浮かべている。 “彼女”に見せたら本当に発狂してしまうんじゃないかと思えるほどに見苦しい表情だ。 「大きいの?ゆっかりんのことか・・・」 『そうよ!いなかもののおねーさんもとくべつにあり・・・』 「ゆっかりんのことかあああああああああああ!!」 どこぞの超野菜星人みたいなことを叫びながら、彼女は触手ありすを睨みつけた。 と同時に、触手ありすめがけて全力疾走。彼女にあわせて移動するゆっくり結界を利用して近くの樹木に触手ありすを叩きつけた。 彼女と一緒に中にいるゆっかりんとれいむも結界に移動に引きずられ、転げまわっている。 『ゆぎぃ!?』 「これは、ゆっかりんの触り心地抜群のほっぺたの分・・・!」 一瞬、バトル漫画チックにキャラが変わっていると思ったけどそんなことは無かった。 ゆっかりんの頬じゃなくて本人を心配してあげなさい。 と内心で突っ込んでいるうちに、今度は触手ありすに向かって右手を突き出す。 すると、ドスまりさの形をした結界が全身を使って柔らかそうな右頬を叩きつけた。 『ゆべしっ!?』 「これは・・・いきなりこんなところに連れてこられた私の分・・・!」 それ、ただの八つ当たり。 しかし、よっぽど根に持っていたらしい。更に問答無用で結界を叩きつけた。 右、左、右、左、右、左、右、左・・・と執拗に殴打を繰り返す。 「これは、脚の疲労感の分・・・!これは、さっき食べた茸が苦かった分・・・!」 『ゆびぃ!?ありずっ!?ぞんなのっ!?ぢらなっ!?』 気がつけば、もはや八つ当たりですらなくなっていた。 昨日目玉焼きが焦げた、節分の時にペットのゆっくりすいかが泣き叫んだせいで怒られた・・・ もはや腹いせ同然のやり場のない怒りを容赦なく触手ありすに叩きつける。 やや気の毒な気もするけど、面白そうだから放っておこう。 『ゆ゛っ・・・やべで、やべでぐだざいいいいいい!あやばりまず!あやばりまずうううううう!?』 「だが断る」 その言葉は相手の提案が自分にとって有利なものである時に使ってこそよ? それはさて置き、再開される理不尽な暴力。 結界ドスの頬でありすを叩き、跳躍して結界の顎で踏みつけ、体当たりをして弾き飛ばす。 『ゆびょ!?あ、ありずの・・・べにべにがぁ・・・!』 執拗な攻撃に耐えかねた触手ありすの触手、もといぺにぺにが1本もげた。 触手ありすは力なく地に落ちたぺにぺにへと這って行こうとするが、彼女の容赦ない攻撃のせいでそれすらも叶わない。 そうこうしている内に1本また1本と触手ありすのぺにぺにが引き千切られ、本体から離れてゆく。 『やべでええええええええ!?あ、あでぃずのどがいはなべにべにがあああああああ!?』 『おでがいでず!ぼうやべでぐだざいいいいいいいいい!?』 「やだ」 『ぞんなああああああああああ!?ごんなのどがいはじゃないわ゛あ゛あ゛ああああああ!?』 数分後、触手ありすのぺにぺにはもはや見る影も無くもがれ、今やただの大きいだけのありす種と化していた。 自分のアイデンティティを奪われた彼女は焦点の定まらない目であらぬ方向を見つめながら、『ゆひっ、ゆひぃ』と気味の悪い笑みを浮かべている。 これで、残るはきめら丸ただ一匹。 『ねえ、お姉さん?』 「なにかしら?」 『加勢しなくていいの?』 「危なくなってからで十分でしょ?」 『まりさはどうしたら良いの?』 「邪魔になるだけだから観戦してなさい」 『ゆっくり理解したよ!』 「でも、そうね・・・思いっきり戦えるようにはしてあげても良いかしら?」 ゆっくり結界の中にスキマを発生させ、ゆっかりんとゆっくりれいむをドスまりさの傍に呼び寄せた。 『まさかありすが敗れるとは・・・何者ですか、貴女は?』 「私は・・・やる気のないお姉さんが手前勝手な怒りによって目覚めた・・・・・・ん~、ドスお姉さんよ!!」 『今考えましたね?おお、適当適当』 ニヒルな笑みを浮かべつつ首を振るきめら丸。 一見するときめぇ丸種特有の人を馬鹿に仕切った態度にしか見えないが、彼女には全く油断がなかった。 四肢でがっちりと地を掴み、翼を広げ、僅かに身をかがめて角を突き出し、尾を持ち上げるその姿は間違いなく臨戦体勢。 対するドスお姉さん(仮)もゆっくり結界を展開したまま、じっときめら丸を睨みつけている。 「うりゃ!」 『おお、遅い遅い』 先に動いたのはドスお姉さん(仮)だった。 しかし、きめら丸は大きな翼を羽ばたかせて空へと飛び上がり、いとも容易くそれを凌いだ。 ゆっくり結界は10mを超える巨大なものだが、きめら丸はるか上空。 とてもじゃないがゆっくり結界による攻撃は届きそうにない。 『ここなら一応安全なようです・・・ね?』 一旦その場にとどまり、地に這いつくばっている私たちの様子を確認しようと下を向くきめら丸。 淡く輝く金色のオーラはいつの間にか消えていて、代わりに一点に収束された光がまばゆく輝いている。 その閃光の正体を知る彼女の瞳は驚愕によって見開かれた。 『こ、これは・・・!?』 『ゆゆっ!すごい!ドスパークだよ!』 ドスパーク。それは本来ドスまりさのみが使える必殺技。 あるキノコを食べる必要があったり、使用回数があったりとその性能には個体差があれど、いずれもゆっくりの希望。 襲い来る獣を焼き払い、時には人間さえも恫喝せしめるその力を人間が行使した。 それも、出力は10m超級のドスまりさが放つドスパークとほぼ同じ。 「発射口が小さい分射程と威力が随分増しているみたいだけど」 『しかしそれでは素早い標的には当たりませんよ?おお、無駄撃ち無駄撃ち』 そこにいたのは数瞬前まで上空にいたはずのきめら丸。 巨体を得てなお衰えることを知らない俊足を以って、一瞬にしてあの距離を詰めてきたらしい。 おお、速い速い。 などとやっている間にもきめら丸はドスお姉さん(仮)めがけて突進する。 「はい、隙あり」 『なん・・・ですと・・・?!』 2発目のドスパークが、それも今度は右手の掌から、ただ撃つのではなく薙ぎ払うように放たれた。 なるほど、これなら簡単にはかわせないだろう。少なくとも空を飛べる相手でなければ文字通り必殺の攻撃だ。 そう、空さえ飛べなければ。 『おお、怖い怖い』 手からドスパークを発射できたことも驚きだが、きめら丸の想像を絶する機動力は驚嘆に値する。 もっとも、流石にかわしきれなかったらしく、きめら丸の一部が転がっているが。 彼女の中身は黒糖饅頭のようで、その破片からは甘い匂いが立ち込めている。 『おや、前足を落としてしまったようですね?おお、痛い痛い』 「また空に逃げたか・・・もうそろそろ体力がもたないんだけどなぁ・・・」 『どうやらお互い限界のようなので、そろそろ逃げさせてもらいますよ』 そう言い残すと、翼を羽ばたかせて夜空の彼方へと飛び去っていった。 直後、ドスお姉さん(仮)は地面に突っ伏した。どうやらわりと真剣に体力の限界だったらしい。 『ゆゆっ!お姉さん、あのお姉さんを助けないと!』 「そうね・・・貴女に任せるわ」 そう言い終えるが早いか、私はスキマに潜り込んできめら丸の後を追った。 『まさか人間がドスパークを撃つとは…』 「おお、怖い怖い?」 声をかけられてようやく、背中の重みを認識したきめら丸は振り返った。 そして、彼女にしてみればいつの間にかそこに腰掛けている私を見て、驚愕する。 『・・・おお、いつの間に?!』 「知らなかったの?Phボスからは逃げられない」 実際はPhに限ったことではないけれど。 再びスキマに潜り込んできめら丸の尾による先制攻撃をかわし、今度は彼女の眼前に姿を現す。 空を歩く姿を目の当たりにして私が人外の何かであることを理解したらしく、『おお、怖い怖い』と激しく首を振った。 「今、貴女の前には逃げられない敵が立ちはだかっている」 『おお、大魔王大魔王・・・』 「もちろん、何の意味もなく立ちはだかっているわけじゃないわ」 『そう仰られても、私には貴女にお教えすることなどありませんよ』 シェイクを止め、先ほど見せた臨戦態勢(空中Ver.)になるきめら丸。 「だったら、私にも貴女を生かして帰す道理は・・・あら?」 しかし、きめら丸は私に突撃を仕掛けず、急降下して戦線離脱を図った。 どうやら自分の実力では絶対に勝てない相手であることも把握しているらしい。 本当に優秀な個体だ。 「もっとも・・・絶対に逃げられないことも把握しておくべきだったわね」 巨大ゆっくりの饗宴(後編)?
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べちん!! 「ゆっくりいたいよ!!おにいさんなにするの!!」 れいむは自分に害を為した張本人であるお兄さんを見上げた。 お兄さんの手によって下ろされたそこは、冷たい石作り、あたりを壁で囲まれたゆっくりできない場所。 今れいむが落とされてきたわずかな隙間から、もといた世界とお兄さんの目がのぞいているにすぎない。 「ここはせまくてぜんぜんゆっくりできないからゆっくりひきあげてね!」 「れいむ、話を聞きなさい。 ……そこはお兄さんが作った”ダンジョン”だ。 もう一度日の光が拝みたければ、ダンジョンを制覇して戻っておいで」 「なにいってるの!ぜんぜんりかいできないよ!!」 バタン。 お兄さんがそこに蓋をし、世界は闇に包まれた。 ゆっくりとだんじょん 「ゆびいいいいい!!!!どぼちでこんなことするのおおおおお!!!!!」 れいむは泣き叫んだ。その声は石の壁に反響して響いたあと、むなしく消えていくのみ。 ◎地下10階◎ ひとしきり泣いたあと、れいむはゆっくりと移動を開始した。 落とされてきた場所はまったくの暗闇だが、見回してみると明かりのついている場所があることに気づいたのだ。 せめて明るい場所で少しでもゆっくりしたいという思いで、れいむは進む。 「ゆっくりつかれたし、おなかもすいたよ! ぷんぷん!おにいさんがたすけてくれないなら、れいむはじぶんだけでゆっくりするからね!」 そうは言うものの、ゆっくりできるあてなどどこにもない。 人間でも踏破に時間のかかるであろう大規模のダンジョンを、ひたすら歩くしかないのだった。 「ゆゆ?」 しばらく進むうちに、れいむはなにやら見覚えのある箱を見つけた。 それはお兄さんがいつも食べ物などをしまうのに使っていた箱だ。 「きっとおにいさんのごはんがはいってるんだよ!れいむがたべてあげるね!!」 いつも勝手に開けては虐待の限りを尽くされているれいむだったが、ここにはお兄さんはいない。 重くて開けにくい箱を、必死の思いでこじ開けるれいむ。 れいむは たからばこをあけるのに せいこうした! 「……ゆゆ?」 宝箱のなかにはご飯は入っていなかった。そのかわりになにやら紙が入っている。 は ず れ ☆ ごはんがはいってなくてどうおもった?くやしい? まあでも、たまにはアイテムのはいっているはこもないとはいえないから、 そのつどがんばってあけるのがおにいさんてきにはおすすめ。 ゆっくりがんばってね! おにいさんより- 「ゆぎぎ……!!」 激しい怒りに駆られるれいむ。 「しょうがないから、ゆっくりすすむよ… ゆ?よくかんがえたら、このはこのなかでならゆっくりできるよ!!」 れいむは宝箱の中に充分なゆっくりぷれいすがあることに気づき驚喜する。 「ゆっくりよじのぼるよ!」 しかし、そうは問屋がおろさない。その背後に忍びよる影があった。 ブーン…… 「ゆっ!」 振り返るれいむの目に飛び込んできたのは、一匹の蜂だった。 通常のものより大きく、動きも活発で危険な空気をかもし出しているが、ゆっくりした頭では気づくはずもない。 いつもとおなじように、一方的に挨拶をかます。 「むしさん、ゆっくりしていってね……ゆ゛う゛う゛!!??」 蜂はれいむに飛び掛ってきた。れいむと同じように外から連れてこられて気が立っているのだ。 普段なら危険がないと放置しているゆっくり相手であっても、示威行動をするのは無理からぬところだろう。 というより、そのためにダンジョンに配置されているのだ。 「いだいよ!ゆっくりやめてね!!」 体当たりしてもかわされ、ところかまわず刺されまくるれいむ。 「もっとゆっぐりじたかったよぉぉぉ!!!」 「そこまでよ!!」 暗いダンジョンに光が満ちた。 「ゆゆっまぶしっ」 「むきゅーん!!」 どこからか現れたぱちゅりぃが松明を咥えて蜂へと突進する。ゆっくり随一ともいわれる緩慢な動きのぱちゅりぃだが、 松明の火の脅威を駆って、蜂を追い払うことに成功する。 「ゆゆっ!ありがとう!」 「むきゅん、どういたしまして」 長くからこの場所にいるというぱちゅりぃから、この場所についての説明を聞く。 「どうやらだんじょんというものらしいわね! だんじょんではぱーてぃーをくんでいきのこるものよ!ぱちゅりぃといっしょにだんじょんをこうりゃくしましょう!」 「ゆっくりりかいしたよ!ゆっくりぱーてぃーしていってね!」 「……」 ほんの少しだけ、心配なぱちゅりぃだった。 (かといってまりさはずるっこだし…ありすはどこでもかまわずすっきりしだすし… しょうがないわよね、むきゅ) ぱちゅりぃが仲間を求めたのはとても単純な理由からだった。 力のないぱちゅりぃには宝箱が開けられないのだ。 「こっちよ!」 ぱちゅりぃがダンジョンを案内し、今まで放置せざるを得なかった手付かずの宝箱を回収する。 「づがれたよ!!!ぞれなのにどぼちてはずればっかりなのぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」 「がんばってねれいむ!」 宝箱の内訳 ハズレ……5つ 食料……1つ(分け合ってその場で食べた) 赤ちゃんゆっくり……1体 最後の宝箱には、小さなゆっくりが入っていた。 あまりにちいさいので、何の種族かはわからない。 「ゆゆっ!ゆっくりしたあかちゃんだよ!」 「ここにいたらきっとひどいめにあうわ!つれていくしかないわね!」 ◎地下9階◎ スロープ状の階段を登り、上の階にたどり着く一行。 上がってすぐに宝箱を発見し、その中には剣が入っていた。 「これであぶないことがあってもみんなをまもれるね!」 れいむは けんをそうびした! ◎地下8階◎ 「ゆっくりしたとりさんだよ!ゆっくりしようね!」 「れいむ!きけんよ!」 「ゆ!」 襲い掛かってきたカラスを懸命に退治する。 「ゆーはー…ゆーはー…」 「いい?れいむ、ここでであうあいてはみんなあぶないのよ」 「ゆっくりわかったよ…」 れいむは”そんなのゆっくりできないよ”と思ったが、 ぱちゅりぃの言うことも正しいと思いうなずいた。 早くここを出たい。ただそう願うのみだった。 ◎地下5階◎ 凶暴な動物を剣で撃退し、一行はスムーズにここまで上ってきた。 「むきゅん!きっともうすこしでおそとにでられるわ!」 「おそとにでたらゆっくりできるね!!」 「ゆゆー!」 しかし、一行は知らなかった。識者のぱちゅりぃでさえも知らなかったのだ。 この手のダンジョンに付き物のあるルール――”階層を進むにつれて敵が強くなる”ということを。 「うー!うー!」 はっ、と一行は息を呑む。 出会ったことはなくても、語り継ぐ餡子の記憶が知っている天敵。 その声が、ダンジョンの壁に反響して聞こえてきているのだった。 「ゆっくいいっぱいたべるっどぅ~☆」 まだ幼いれみりゃ種だが、見つかれば被捕食種である一行はあっさりと全滅するだろう。 「(こえをたてちゃだめよ!ゆっくりにげるわよ!)」 「(わかったよ!ゆっくりにげるよ…)」 「(ゆゆゆ…)」 何とかやり過ごしたものの、その後一行は何度もれみりゃに遭遇した。 そんな折、一行の前に広い空間が広がった。 そこはダンジョンの中でも比較的快適そうな空間で、アイテムが並べ売りされている。 人間が座っており、一行を見かけると話しかけてきた。 「やあ!ここはゆっくり用品店『ゆ虐の友』ダンジョン店だよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆっくりしていってね!おにいさんはゆっくりできるひと?」 「個人的にはすごくゆっくりしてるよ」 「ゆ?」 「つまり、お兄さんは、君達が生きてるのを見てゆっくりしてるんだよ」 「それじゃあ、やっぱりゆっくりしてるんだね!」 「むきゅん、それならなっとくだわ!」 れいむは並べ売りされている商品の食べ物に跳ねていく。 「ゆっくりたべてあげるよ!あかちゃんもゆっくりたべてね!」 「これこれ」 その前に立ちふさがるお兄さん。 「これはお店の売り物だから、お金をはらわなくちゃあげられないよ」 「どぼぢてそんなこというの゛お゛お゛お゛!!!」 「ぱちゅりぃはおなかがすいてるのよ!ゆっくりゆずってね!!」 「ゆゆ~!!」 「やれやれ、ここにたどり着くゆっくりは稀だけれども、貨幣を理解して持ってくるゆっくりはもっと稀だ。 ……それじゃあ、物々交換でもいいよ。ここに来るまでに拾ったものと交換してあげよう」 一行は口の中に物資を保管してここまでやってきたので、めいめいに自分の持っているアイテムを吐き出す。 その多くは食べ物で、ほとんど価値はなかった。 「ぜんぶでこれだけになるね」 適正に計算した見積もりを提示するお兄さん。 「わかったよ!それでここにあるものぜんぶちょうだいね!!」 「(こいつら何にも判ってねえよ…)」 小半時かかってお金の価値を説明するお兄さんだった。 「それじゃあなんにもかえないじゃないぃぃぃ!!!」 「やっと理解したか」 実際には一個か二個ぐらいなら買えるはずだが、手持ちの食料を手放して別な食料を買うのはほとんど意味がない。 しかも、れいむ的には全部手に入るのでなければ気に入らないのだ。 「それにしても強欲な奴だな……おっと?」 お兄さんはゆっくりから商品を守りながら、とあることに気づいた。 「そこのちびっこ、そうだな…お前とだったらここの食べ物三つと交換してやってもいい」 「ゆゆ!?」 「ほんとう!?おにいさん!」 「ああ本当だ。それはなかなかの貴重品でね。それとだったら交換してやれる」 「ゆゆ!!」 だが赤ちゃんゆっくりはれいむの側を離れようとしない。しがみついてくる。 離れたくない。自分も地上に出たい。その瞳はそう言っていた。 れいむは溜息をついた。 「おにいさん、せっかくだけどこのあかちゃんはあげられないよ」 「むきゅん!そのとおりよ!あかちゃんといっしょにちじょうへでるのよ!」 「そんなら出て行きなさいな、素寒貧に用はないよ」 「ゆゆ!いいあいでぃあがうかんだよ!ここをれいむのおうちにすればいいんだよ!ゆっくりでき……」 「ゆっくりゃの餌にすんぞお前ら?」 お兄さんが目を剥いたのでれいむは黙った。 「……おにいさん」 ぱちゅりぃだった。口の中にあった食料全部と、眠るときに使う毛布のきれっぱしをすべて吐き出す。 「これで、そこにあるまるいのをちょうだい」 ぱちゅりぃが目をつけたのは、店の隅に置かれていた球体だった。 「ふかふかがなくなったらゆっくりできないよ!なんでそんなものかうの?ばかなの?しぬの?」 れいむが呆れる。 「むきゅん、これは”ぼむ”といって、れみりゃをおいはらってくれるものなのよ!」 「そ、そうだったの!」 「お目が高いね、毎度あり」 「これはあぶなくなったときのためにれいむがだいじにもっていてね」 「わ、わかったよ、ゆっくりだいじにするよ」 ◎地下2階◎ 階を登るなり、まりさ種の悲鳴に遭遇した。 「ゆぎゅううううう!!!!!どぼぢでゆっぐりざぜてぐれないの゛お゛お゛お゛!!! れ゛い゛む゛!ばぢゅ゛り゛ぃ!た゛す゛げでぇ゛!!」 まりさがれみりゃに捕らえられ、いたぶられている。 「あっちにもゆっくりいるどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~♪」 れみりゃはそういうが、実際には一行との間には格子状の仕切りがあり、視線は通るが通行はできない。 「やめてね!まりさをゆっくりたすけてね!!」 鉄格子越しに泣き叫ぶれいむと、 「むりよ…いまのうちにわたしたちはにげましょう。もうすぐちじょうだわ」 あくまで冷静なぱちゅりぃ。 「いやだよ!まりさをたすけるよ!」 れいむは感情のままに、口の中からアイテムを取り出した。 「!!だめよ!れいむ!!そんなのことをしてもあのまりさはたすからないわ!!」 それはよりにもよって、たった一つしかない貴重なアイテム、”ぼむ”だった。 れいむの口から射出された”ぼむ”はころころとれみりゃの足元まで転がり… 「そんなのでりしゃすじゃないんだっどぅ~♪ぷっでぃんよこすどぅ~☆ こんなの、ぽーい☆だっどぅ……」 ボン!!! それを踏んだれみりゃを、爆散させた。 「むきゅ!むきゅ!どうしてあんなことしたの!!」 「ゆ…ほっとけなかったんだよ……」 「ぼむはとってもきちょうなんだから、だいじにとっておいてっていったのに!」 いまや生命線を失った一行は途方に暮れる。 「ごめんねぱちゅりぃ…またがんばってたからばこあけて、おにいさんにうってもらうよ…」 「むきゅ。……わたしもいいすぎたわ。ごめんねれいむ。 たからばこはいいから、いそいでちじょうをめざすのよ、 いまのものおとでれみりゃがあつまってくるかもしれないわ」 ◎地下1階◎ ぱちゅりぃの洞察は哀しくも正鵠を射た。 「う~!!」 「こっちからおとがしたっどぅ~☆う?」 「うっう~!ゆっくりがさんびきだっどぅ~!!たーべちゃーうどぅ~!!」 ここまでは奇跡的に危険を避けてきた一行だったが、先ほどの物音を目指して 様々な方角から階段を目指してくるれみりゃと正面衝突してしまったのだ。 その数2匹。先ほどと違い、だだっ広い通路に仕切りはない。 後方からも、たった今逃れてきた別のれみりゃ集団の鳴き声がしている。 もうどこにも逃げ場はなかった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛…」 「む゛っ゛ぎゅ゛う゛う゛ん゛!!」 絶望するれいむとぱちゅりぃ。 れいむの口から、剣がカラリと音を立てて落ちた。 子ゆっくりが口を開いた。 「おとうたん、おきゃあたん、ここまでつれてきてくれてありがとう!! てんこはおとうたんとおきゃあさんにあえてしあわせだったよ……」 「ゆっ?」 「あかちゃんなにをゆってるの?」 迫り来るれみりゃ。 その前に、ゆっくりてんこはただ一匹その身を投じた。 「ゆっくりいじめてね!!ゆっくりぶってね!!」 「へんなゆっくりだっどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~☆」 ちいさなゆっくりは辛くもれみりゃの足の下をかいくぐり、前方の通路から脇道へと逃げ込む。 「ちっこいくせになまいきだっどぅ~!!」 「ぜったいつかまえるっどぅ~!!」 れみりゃ二匹はそれを追っていった。 「れいむ!いまのうちよ!!ゆっくりにげましょう!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!でいぶのあがぢゃああああんんんん!!!」 「ゆっぶ!ゆっぐり!ゆっぐりいじ!いじべちぇ!!いじっ!いじっ!!」 脇道から聞こえるゆっくりてんこの嬌声を聞きながら、二匹は走った。 もうてんこの声は聞こえない。けれども、階段はすぐそこだ。 ◎エピローグ◎ 風が吹いている。二匹のゆっくりはそれを体で感じると、思いのままゆっくりした。 それができるのは、石造りのダンジョンで出会った小さなゆっくりのおかげなのだ。 「あがちゃん……」 悲しい記憶が消えるのにはもう少しかかるけれども、それも風に吹かれていつか消えてゆくだろう。 「れいむは、おにいさんのところへもどるの?」 その言葉にこめられた意図に気づいたかどうか。れいむは首を横に振った。 「あんなひどいことをするおにいさんとはいっしょにいられないよ! べつなところでゆっくりするよ!!」 「そ、そそそそれなら、わ、わたしといっしょに……」 お兄さんは、ダンジョンの出口を遠くから眺めていた。 ”ゆっくりダンジョン”攻略は過去に例のない快挙だ。 「ってか、攻略するとは思わんかった……」 ゆっくりてんこ――よく希少なアイテムを引いたものだ。そして、それを手放さなかったとも報告されている。 「れいむか……」 品性に劣るまりさなら、それどころか頭のいいぱちゅりぃ単体であっても、その判断はできなかっただろう。 その判断が二匹を救ったのだ。 (俺のところへは……戻らないか) こちらから遠ざかっていく二匹を見て、お兄さんは笑んだ。 「おーい!! ゆっくりしていってねーーーーー!!!」 風に乗って、どこからか声が運ばれてきた。 二匹のゆっくりはそれに答えて、 「「ゆっくりしていってね!」」 と、声を返した。 それから三日後の夜、二匹はれみりゃの襲撃を受けた。 「うー☆うー☆うんまぁ~いどぅ~♪」 「ばちゅりぃ!!??ばぢゅりぃぃぃぃ!!!???」 ダンジョンでは、物陰で寝ていればれみりゃをやり過ごすことは簡単だった。 しかしここではそうではないのだ。ダンジョン用の飢餓感のないれみりゃと違い、 野生のゆっくりゃからはよほど巧妙に隠れないかぎり逃げられない。 それは、自然に生きるゆっくりがゆっくりぷれいすにこだわる理由でもある。 それを人間に育てられたれいむとぱちゅりぃは知らなかった。だから、ダンジョンとは勝手の違う餌取りに疲れ、 木の幹にもたれかかって寝ていたのだ。見つかって当然ともいえた。 お兄さんは思う。 「今頃あいつら、どうしてるかなあ……過酷な自然で、ゆっくりできるものならゆっくりしていってね!! さて次は何をダンジョンに放り込もうかな……れみりゃ沢山放って、ふらん無双とかもいいな……」 「むっぎゅむぎゅむぎゅ……」 「やめてね!!たいせつなぱちゅりぃをゆっくりはなしてね!!」 「つぎはおまえだっどぅ~!!おぜうさまにかんしゃしてたべられるんだっどぅ~☆ きょうはごちそうだっどぅ~☆」 おしまい。 □ ■ □ ■ 箱入りで育てられた結果がこれだよ!! ダンジョン→イージーモード 自然→ルナティック ってことで。 今までに書いたSSです。よかったら読んでくださいね 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり ゆっくりゆうぎ このSSに感想を付ける
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べちん!! 「ゆっくりいたいよ!!おにいさんなにするの!!」 れいむは自分に害を為した張本人であるお兄さんを見上げた。 お兄さんの手によって下ろされたそこは、冷たい石作り、あたりを壁で囲まれたゆっくりできない場所。 今れいむが落とされてきたわずかな隙間から、もといた世界とお兄さんの目がのぞいているにすぎない。 「ここはせまくてぜんぜんゆっくりできないからゆっくりひきあげてね!」 「れいむ、話を聞きなさい。 ……そこはお兄さんが作った”ダンジョン”だ。 もう一度日の光が拝みたければ、ダンジョンを制覇して戻っておいで」 「なにいってるの!ぜんぜんりかいできないよ!!」 バタン。 お兄さんがそこに蓋をし、世界は闇に包まれた。 ゆっくりとだんじょん 「ゆびいいいいい!!!!どぼちでこんなことするのおおおおお!!!!!」 れいむは泣き叫んだ。その声は石の壁に反響して響いたあと、むなしく消えていくのみ。 ◎地下10階◎ ひとしきり泣いたあと、れいむはゆっくりと移動を開始した。 落とされてきた場所はまったくの暗闇だが、見回してみると明かりのついている場所があることに気づいたのだ。 せめて明るい場所で少しでもゆっくりしたいという思いで、れいむは進む。 「ゆっくりつかれたし、おなかもすいたよ! ぷんぷん!おにいさんがたすけてくれないなら、れいむはじぶんだけでゆっくりするからね!」 そうは言うものの、ゆっくりできるあてなどどこにもない。 人間でも踏破に時間のかかるであろう大規模のダンジョンを、ひたすら歩くしかないのだった。 「ゆゆ?」 しばらく進むうちに、れいむはなにやら見覚えのある箱を見つけた。 それはお兄さんがいつも食べ物などをしまうのに使っていた箱だ。 「きっとおにいさんのごはんがはいってるんだよ!れいむがたべてあげるね!!」 いつも勝手に開けては虐待の限りを尽くされているれいむだったが、ここにはお兄さんはいない。 重くて開けにくい箱を、必死の思いでこじ開けるれいむ。 れいむは たからばこをあけるのに せいこうした! 「……ゆゆ?」 宝箱のなかにはご飯は入っていなかった。そのかわりになにやら紙が入っている。 は ず れ ☆ ごはんがはいってなくてどうおもった?くやしい? まあでも、たまにはアイテムのはいっているはこもないとはいえないから、 そのつどがんばってあけるのがおにいさんてきにはおすすめ。 ゆっくりがんばってね! おにいさんより- 「ゆぎぎ……!!」 激しい怒りに駆られるれいむ。 「しょうがないから、ゆっくりすすむよ… ゆ?よくかんがえたら、このはこのなかでならゆっくりできるよ!!」 れいむは宝箱の中に充分なゆっくりぷれいすがあることに気づき驚喜する。 「ゆっくりよじのぼるよ!」 しかし、そうは問屋がおろさない。その背後に忍びよる影があった。 ブーン…… 「ゆっ!」 振り返るれいむの目に飛び込んできたのは、一匹の蜂だった。 通常のものより大きく、動きも活発で危険な空気をかもし出しているが、ゆっくりした頭では気づくはずもない。 いつもとおなじように、一方的に挨拶をかます。 「むしさん、ゆっくりしていってね……ゆ゛う゛う゛!!??」 蜂はれいむに飛び掛ってきた。れいむと同じように外から連れてこられて気が立っているのだ。 普段なら危険がないと放置しているゆっくり相手であっても、示威行動をするのは無理からぬところだろう。 というより、そのためにダンジョンに配置されているのだ。 「いだいよ!ゆっくりやめてね!!」 体当たりしてもかわされ、ところかまわず刺されまくるれいむ。 「もっとゆっぐりじたかったよぉぉぉ!!!」 「そこまでよ!!」 暗いダンジョンに光が満ちた。 「ゆゆっまぶしっ」 「むきゅーん!!」 どこからか現れたぱちゅりぃが松明を咥えて蜂へと突進する。ゆっくり随一ともいわれる緩慢な動きのぱちゅりぃだが、 松明の火の脅威を駆って、蜂を追い払うことに成功する。 「ゆゆっ!ありがとう!」 「むきゅん、どういたしまして」 長くからこの場所にいるというぱちゅりぃから、この場所についての説明を聞く。 「どうやらだんじょんというものらしいわね! だんじょんではぱーてぃーをくんでいきのこるものよ!ぱちゅりぃといっしょにだんじょんをこうりゃくしましょう!」 「ゆっくりりかいしたよ!ゆっくりぱーてぃーしていってね!」 「……」 ほんの少しだけ、心配なぱちゅりぃだった。 (かといってまりさはずるっこだし…ありすはどこでもかまわずすっきりしだすし… しょうがないわよね、むきゅ) ぱちゅりぃが仲間を求めたのはとても単純な理由からだった。 力のないぱちゅりぃには宝箱が開けられないのだ。 「こっちよ!」 ぱちゅりぃがダンジョンを案内し、今まで放置せざるを得なかった手付かずの宝箱を回収する。 「づがれたよ!!!ぞれなのにどぼちてはずればっかりなのぉ゛ぉ゛ぉ゛!!」 「がんばってねれいむ!」 宝箱の内訳 ハズレ……5つ 食料……1つ(分け合ってその場で食べた) 赤ちゃんゆっくり……1体 最後の宝箱には、小さなゆっくりが入っていた。 あまりにちいさいので、何の種族かはわからない。 「ゆゆっ!ゆっくりしたあかちゃんだよ!」 「ここにいたらきっとひどいめにあうわ!つれていくしかないわね!」 ◎地下9階◎ スロープ状の階段を登り、上の階にたどり着く一行。 上がってすぐに宝箱を発見し、その中には剣が入っていた。 「これであぶないことがあってもみんなをまもれるね!」 れいむは けんをそうびした! ◎地下8階◎ 「ゆっくりしたとりさんだよ!ゆっくりしようね!」 「れいむ!きけんよ!」 「ゆ!」 襲い掛かってきたカラスを懸命に退治する。 「ゆーはー…ゆーはー…」 「いい?れいむ、ここでであうあいてはみんなあぶないのよ」 「ゆっくりわかったよ…」 れいむは”そんなのゆっくりできないよ”と思ったが、 ぱちゅりぃの言うことも正しいと思いうなずいた。 早くここを出たい。ただそう願うのみだった。 ◎地下5階◎ 凶暴な動物を剣で撃退し、一行はスムーズにここまで上ってきた。 「むきゅん!きっともうすこしでおそとにでられるわ!」 「おそとにでたらゆっくりできるね!!」 「ゆゆー!」 しかし、一行は知らなかった。識者のぱちゅりぃでさえも知らなかったのだ。 この手のダンジョンに付き物のあるルール――”階層を進むにつれて敵が強くなる”ということを。 「うー!うー!」 はっ、と一行は息を呑む。 出会ったことはなくても、語り継ぐ餡子の記憶が知っている天敵。 その声が、ダンジョンの壁に反響して聞こえてきているのだった。 「ゆっくいいっぱいたべるっどぅ~☆」 まだ幼いれみりゃ種だが、見つかれば被捕食種である一行はあっさりと全滅するだろう。 「(こえをたてちゃだめよ!ゆっくりにげるわよ!)」 「(わかったよ!ゆっくりにげるよ…)」 「(ゆゆゆ…)」 何とかやり過ごしたものの、その後一行は何度もれみりゃに遭遇した。 そんな折、一行の前に広い空間が広がった。 そこはダンジョンの中でも比較的快適そうな空間で、アイテムが並べ売りされている。 人間が座っており、一行を見かけると話しかけてきた。 「やあ!ここはゆっくり用品店『ゆ虐の友』ダンジョン店だよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆっくりしていってね!おにいさんはゆっくりできるひと?」 「個人的にはすごくゆっくりしてるよ」 「ゆ?」 「つまり、お兄さんは、君達が生きてるのを見てゆっくりしてるんだよ」 「それじゃあ、やっぱりゆっくりしてるんだね!」 「むきゅん、それならなっとくだわ!」 れいむは並べ売りされている商品の食べ物に跳ねていく。 「ゆっくりたべてあげるよ!あかちゃんもゆっくりたべてね!」 「これこれ」 その前に立ちふさがるお兄さん。 「これはお店の売り物だから、お金をはらわなくちゃあげられないよ」 「どぼぢてそんなこというの゛お゛お゛お゛!!!」 「ぱちゅりぃはおなかがすいてるのよ!ゆっくりゆずってね!!」 「ゆゆ~!!」 「やれやれ、ここにたどり着くゆっくりは稀だけれども、貨幣を理解して持ってくるゆっくりはもっと稀だ。 ……それじゃあ、物々交換でもいいよ。ここに来るまでに拾ったものと交換してあげよう」 一行は口の中に物資を保管してここまでやってきたので、めいめいに自分の持っているアイテムを吐き出す。 その多くは食べ物で、ほとんど価値はなかった。 「ぜんぶでこれだけになるね」 適正に計算した見積もりを提示するお兄さん。 「わかったよ!それでここにあるものぜんぶちょうだいね!!」 「(こいつら何にも判ってねえよ…)」 小半時かかってお金の価値を説明するお兄さんだった。 「それじゃあなんにもかえないじゃないぃぃぃ!!!」 「やっと理解したか」 実際には一個か二個ぐらいなら買えるはずだが、手持ちの食料を手放して別な食料を買うのはほとんど意味がない。 しかも、れいむ的には全部手に入るのでなければ気に入らないのだ。 「それにしても強欲な奴だな……おっと?」 お兄さんはゆっくりから商品を守りながら、とあることに気づいた。 「そこのちびっこ、そうだな…お前とだったらここの食べ物三つと交換してやってもいい」 「ゆゆ!?」 「ほんとう!?おにいさん!」 「ああ本当だ。それはなかなかの貴重品でね。それとだったら交換してやれる」 「ゆゆ!!」 だが赤ちゃんゆっくりはれいむの側を離れようとしない。しがみついてくる。 離れたくない。自分も地上に出たい。その瞳はそう言っていた。 れいむは溜息をついた。 「おにいさん、せっかくだけどこのあかちゃんはあげられないよ」 「むきゅん!そのとおりよ!あかちゃんといっしょにちじょうへでるのよ!」 「そんなら出て行きなさいな、素寒貧に用はないよ」 「ゆゆ!いいあいでぃあがうかんだよ!ここをれいむのおうちにすればいいんだよ!ゆっくりでき……」 「ゆっくりゃの餌にすんぞお前ら?」 お兄さんが目を剥いたのでれいむは黙った。 「……おにいさん」 ぱちゅりぃだった。口の中にあった食料全部と、眠るときに使う毛布のきれっぱしをすべて吐き出す。 「これで、そこにあるまるいのをちょうだい」 ぱちゅりぃが目をつけたのは、店の隅に置かれていた球体だった。 「ふかふかがなくなったらゆっくりできないよ!なんでそんなものかうの?ばかなの?しぬの?」 れいむが呆れる。 「むきゅん、これは”ぼむ”といって、れみりゃをおいはらってくれるものなのよ!」 「そ、そうだったの!」 「お目が高いね、毎度あり」 「これはあぶなくなったときのためにれいむがだいじにもっていてね」 「わ、わかったよ、ゆっくりだいじにするよ」 ◎地下2階◎ 階を登るなり、まりさ種の悲鳴に遭遇した。 「ゆぎゅううううう!!!!!どぼぢでゆっぐりざぜてぐれないの゛お゛お゛お゛!!! れ゛い゛む゛!ばぢゅ゛り゛ぃ!た゛す゛げでぇ゛!!」 まりさがれみりゃに捕らえられ、いたぶられている。 「あっちにもゆっくりいるどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~♪」 れみりゃはそういうが、実際には一行との間には格子状の仕切りがあり、視線は通るが通行はできない。 「やめてね!まりさをゆっくりたすけてね!!」 鉄格子越しに泣き叫ぶれいむと、 「むりよ…いまのうちにわたしたちはにげましょう。もうすぐちじょうだわ」 あくまで冷静なぱちゅりぃ。 「いやだよ!まりさをたすけるよ!」 れいむは感情のままに、口の中からアイテムを取り出した。 「!!だめよ!れいむ!!そんなのことをしてもあのまりさはたすからないわ!!」 それはよりにもよって、たった一つしかない貴重なアイテム、”ぼむ”だった。 れいむの口から射出された”ぼむ”はころころとれみりゃの足元まで転がり… 「そんなのでりしゃすじゃないんだっどぅ~♪ぷっでぃんよこすどぅ~☆ こんなの、ぽーい☆だっどぅ……」 ボン!!! それを踏んだれみりゃを、爆散させた。 「むきゅ!むきゅ!どうしてあんなことしたの!!」 「ゆ…ほっとけなかったんだよ……」 「ぼむはとってもきちょうなんだから、だいじにとっておいてっていったのに!」 いまや生命線を失った一行は途方に暮れる。 「ごめんねぱちゅりぃ…またがんばってたからばこあけて、おにいさんにうってもらうよ…」 「むきゅ。……わたしもいいすぎたわ。ごめんねれいむ。 たからばこはいいから、いそいでちじょうをめざすのよ、 いまのものおとでれみりゃがあつまってくるかもしれないわ」 ◎地下1階◎ ぱちゅりぃの洞察は哀しくも正鵠を射た。 「う~!!」 「こっちからおとがしたっどぅ~☆う?」 「うっう~!ゆっくりがさんびきだっどぅ~!!たーべちゃーうどぅ~!!」 ここまでは奇跡的に危険を避けてきた一行だったが、先ほどの物音を目指して 様々な方角から階段を目指してくるれみりゃと正面衝突してしまったのだ。 その数2匹。先ほどと違い、だだっ広い通路に仕切りはない。 後方からも、たった今逃れてきた別のれみりゃ集団の鳴き声がしている。 もうどこにも逃げ場はなかった。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛…」 「む゛っ゛ぎゅ゛う゛う゛ん゛!!」 絶望するれいむとぱちゅりぃ。 れいむの口から、剣がカラリと音を立てて落ちた。 子ゆっくりが口を開いた。 「おとうたん、おきゃあたん、ここまでつれてきてくれてありがとう!! てんこはおとうたんとおきゃあさんにあえてしあわせだったよ……」 「ゆっ?」 「あかちゃんなにをゆってるの?」 迫り来るれみりゃ。 その前に、ゆっくりてんこはただ一匹その身を投じた。 「ゆっくりいじめてね!!ゆっくりぶってね!!」 「へんなゆっくりだっどぅ~☆たーべちゃーうどぅ~☆」 ちいさなゆっくりは辛くもれみりゃの足の下をかいくぐり、前方の通路から脇道へと逃げ込む。 「ちっこいくせになまいきだっどぅ~!!」 「ぜったいつかまえるっどぅ~!!」 れみりゃ二匹はそれを追っていった。 「れいむ!いまのうちよ!!ゆっくりにげましょう!!」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!!でいぶのあがぢゃああああんんんん!!!」 「ゆっぶ!ゆっぐり!ゆっぐりいじ!いじべちぇ!!いじっ!いじっ!!」 脇道から聞こえるゆっくりてんこの嬌声を聞きながら、二匹は走った。 もうてんこの声は聞こえない。けれども、階段はすぐそこだ。 ◎エピローグ◎ 風が吹いている。二匹のゆっくりはそれを体で感じると、思いのままゆっくりした。 それができるのは、石造りのダンジョンで出会った小さなゆっくりのおかげなのだ。 「あがちゃん……」 悲しい記憶が消えるのにはもう少しかかるけれども、それも風に吹かれていつか消えてゆくだろう。 「れいむは、おにいさんのところへもどるの?」 その言葉にこめられた意図に気づいたかどうか。れいむは首を横に振った。 「あんなひどいことをするおにいさんとはいっしょにいられないよ! べつなところでゆっくりするよ!!」 「そ、そそそそれなら、わ、わたしといっしょに……」 お兄さんは、ダンジョンの出口を遠くから眺めていた。 ”ゆっくりダンジョン”攻略は過去に例のない快挙だ。 「ってか、攻略するとは思わんかった……」 ゆっくりてんこ――よく希少なアイテムを引いたものだ。そして、それを手放さなかったとも報告されている。 「れいむか……」 品性に劣るまりさなら、それどころか頭のいいぱちゅりぃ単体であっても、その判断はできなかっただろう。 その判断が二匹を救ったのだ。 (俺のところへは……戻らないか) こちらから遠ざかっていく二匹を見て、お兄さんは笑んだ。 「おーい!! ゆっくりしていってねーーーーー!!!」 風に乗って、どこからか声が運ばれてきた。 二匹のゆっくりはそれに答えて、 「「ゆっくりしていってね!」」 と、声を返した。 それから三日後の夜、二匹はれみりゃの襲撃を受けた。 「うー☆うー☆うんまぁ~いどぅ~♪」 「ばちゅりぃ!!??ばぢゅりぃぃぃぃ!!!???」 ダンジョンでは、物陰で寝ていればれみりゃをやり過ごすことは簡単だった。 しかしここではそうではないのだ。ダンジョン用の飢餓感のないれみりゃと違い、 野生のゆっくりゃからはよほど巧妙に隠れないかぎり逃げられない。 それは、自然に生きるゆっくりがゆっくりぷれいすにこだわる理由でもある。 それを人間に育てられたれいむとぱちゅりぃは知らなかった。だから、ダンジョンとは勝手の違う餌取りに疲れ、 木の幹にもたれかかって寝ていたのだ。見つかって当然ともいえた。 お兄さんは思う。 「今頃あいつら、どうしてるかなあ……過酷な自然で、ゆっくりできるものならゆっくりしていってね!! さて次は何をダンジョンに放り込もうかな……れみりゃ沢山放って、ふらん無双とかもいいな……」 「むっぎゅむぎゅむぎゅ……」 「やめてね!!たいせつなぱちゅりぃをゆっくりはなしてね!!」 「つぎはおまえだっどぅ~!!おぜうさまにかんしゃしてたべられるんだっどぅ~☆ きょうはごちそうだっどぅ~☆」 おしまい。 □ ■ □ ■ 箱入りで育てられた結果がこれだよ!! ダンジョン→イージーモード 自然→ルナティック ってことで。 今までに書いたSSです。よかったら読んでくださいね 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり ゆっくりゆうぎ このSSに感想を付ける