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おちびちゃん用のドア 17KB 虐待-普通 悲劇 自業自得 自滅 野良ゆ 赤子・子供 現代 口は災いの元 「おなかへったよぉ……」 「ゆぅ……ゆぅ……」 「ちゅかれたよぉ……」 「ゆひぃ……ゆひぃ……」 「おちびちゃん、がんばってね! もう少しだよ!」 子まりさと子れいむ、それより小さな赤まりさと赤れいむ、そして大きな親れいむの五 匹のゆっくり一家が街中を這っていた。 野良ゆっくりであるこの一家は、狩りの最中だ。そして子供たちの様子から容易に察す ることができようが、不調も不調、まったく獲物を得ることができていなかった。 親れいむも、もう少し、と励ますものの、もちろんなにかアテがあるわけではない。そ れどころか、アテにしていた二つのゴミ捨て場が、一つは既に人間がゴミを回収してしま っており、もう一つは先に来ていた別の野良一家に占領されていて追い返されてしまって いた。 「ゆゆぅ……すこしぐらいわけてくれてもいいのに……」 親れいむは、先ほどの、たっぷりと生ゴミが積み上がった「狩場」と、そこで我が物顔 でむーしゃむーしゃする一家を思い出して恨めしげに言った。あの一家がお腹いっぱい食 べて持ち帰っても余ってしまうぐらいの量だった。それなのに、自分たちだけで独り占め して、ゆっくりしていない連中だった。 成体一匹、子供二匹のこちらと違って、あちらは成体二匹、子供五匹という戦力であり、 喧嘩をしても勝ち目は無かった。戦力にはならずにむしろ集中的に狙われて真っ先に殺さ れかねない赤ゆっくりが二匹いるのも不利だった。 しょんぼりとする親れいむだが、実はあの後すぐに人間がゴミ回収に現れてゆっくりた ちも「ゆっくりゴミ」として回収されてしまっていたのだから、むしろれいむ一家は運が 良かった。 「ゆぅぅぅ、しょうがないから、ここの草さんを食べようね」 とある民家の庭にやってきた一家は、そこで苦い草を食べることにする。 「むーしゃむーしゃ、にがにがー」 あまりの苦さに目に涙が浮かぶほどだ。それでも我慢して食べればゆっくりの持つ餡子 変換能力によって少しは足しになる。 「ゆぷっ」 「ゆっ、吐いたらだめだよ!」 「ゆっくちできないよ!」 「ゆぴぃ……」 嘔吐しそうになった赤まりさを姉二匹が嗜め励ます。 「ゆぅ……」 まったくもってゆっくりしていない食事風景に親れいむは心を痛めた。 「みんな、日向ぼっこしようね!」 殊更元気な声で子まりさが言った。 「ゆゆん、日向ぼっこはゆっくちできるね!」 すぐさま子れいむもそれに和す。 「ゆっきゅち!」 「ひなたぼっきょ!」 妹二匹も嬉しそうに言った。 まだ所々に赤ちゃん言葉が抜けていないのにお姉さんらしさを見せる子供に、親れいむ は感無量であった。 「ゆん! それじゃあここで日向ぼっこしようね!」 「「ゆわーい!」」 苦い草しか無いその庭だが、日照には恵まれていた。 ゆっくり一家は思い思いに陽光を浴びてゆっくりした。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆぅ……」 四匹の子供を抱えたしんぐるまざーれいむは日頃の疲労が一辺に出てしまったのか、す やすやと眠り始めた。 一方、遊びたい盛りの子供たちは、しばらくするとじっとしていられなくなった。 すーりすーりしたり、こーろこーろしたり、追いかけっこをしたり、ゆっくり遊び始め た。 「ゆゆ!?」 やがて、大きなおうちを探検(と言っても外壁を見ているだけだが)していた子まりさ が上を見つつ声を上げた。 「みんな、来ちぇ!」 「「「ゆゆっ?」」」 呼びかけに他の三匹がやってくる。 「あれ見ちぇ、ちいさなドアさんがあるよ」 「ゆゆ、ほんとだ!」 「ちいちゃいね」 壁に、小さなドアらしきものがついていた。その前に同じ高さの台が置いてある。 「ゆわあ、おうちはおおきいのにドアはちいちゃいにぇ」 「ゆ!」 何気無く口にしたであろう赤れいむの言葉に、子まりさが反応する。 「ゆゆゆゆゆ」 「ゆ? どうしたの?」 「おかしいよ、ここはにんげんさんのおうちだよ!」 「ゆん」 それは、親れいむによって教えられて承知していた。 「にんげんさんはおおきいのに、なんでこんなにちいさいドアがおうちについてるにょ?」 「「「ゆゆゆゆゆ!?」」」 言われて気付いた。この小さなドアでは人間さんの赤ちゃんですら通り抜けられないだ ろう。 「ゆぅ、なんだろうにぇ?」 「おちびちゃんたち、どうしたの?」 そこへ、目を覚ました親れいむがやってきた。 説明すると、親れいむも疑問に思ったらしく、ゆゆぅ、と唸った。 「ゆっ! まりさが行ってみるよ! おかあさん、あたまのうえに乗せちぇね!」 「ゆぅ……気をつけてね」 心配しつつも、気になるのは事実であったので、親れいむは子まりさを頭に乗せた。そ こから子まりさはドアの前に置いてあった台に飛び乗った。 「ゆぅぅぅ……ゆっ!」 とりあえず押してみると、ドアは上の方にと開いた。 「このドアさん、あくよ!」 「ゆゆゆっ」 「ゆっ、わかっちゃよ!」 赤れいむが叫んだ。 「きっと、これはれいみゅたち用のドアらよ!」 「「「ゆゆゆっ?」」」 赤れいむ曰く、こんな小さなドアは人間さんは出入りできない、ということはこれは自 分たちのような小さくて可愛い子ゆっくり用のドアに違いない。 そして、そこから導き出される結論は、このおうちに住んでいる人間はおちびちゃんが 大好きなとてもゆっくりできる人ということになる。 餡子脳ゆえの楽観過ぎる観測だが、この一家はゆっくりをゴミのように扱うひどい人間 を見たことがある一方で、あまあまを人間に貰ったこともあった。 「ゆっくちできりゅにんげんしゃんなら、あまあまくれりゅよね!」 「あまあまたべちゃいよ!」 「ゆっ、まりさたちが中に入ってみるよ」 「ゆっ、ゆっ、でもドアさんが」 期待に目を輝かす妹二匹に、意気込む子まりさだったが、子れいむが困った声を出した。 押すと、確かにドアは上に開く。しかし、少し油断すると戻ってきてしまう。 「ゆっ、二人で一緒に押せば大丈夫だよ!」 「ゆゆっ、そうだね!」 かくして…… 「「ゆーしょ、ゆーしょ」」 「がんばっちぇ、おねえしゃん」 「がんばりぇ! がんばりぇ!」 「無理しないでね、気をつけてね」 悪戦苦闘しつつも、姉二匹は、なんとかドアを上に押し開けて、生じた隙間を通り抜け ることができた。 バタン、とその瞬間、ドアが背中をこするようにして元に戻る。 「ゆ゛びっ!」 「いぢゃい!」 それに悲鳴を上げたものの、それにもめげずに前に進む。 「「ゆーしょ、ゆーしょ」」 前には、また同じドアがあった。 二度目なので要領はわかっている。二匹はドアに押し潰されそうになりながらもなんと かおうちの中に入ることができた。そこにあまあまが待っていることを疑いもしておらず、 それが原動力になっていた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「あまあまはどこかにゃ?」 子まりさと子れいむはそれぞれ別の方向に跳ねて行く。 「ゆっ、ねこさんがいるよ!」 やがて、子れいむが丸くなって眠る一匹の猫を発見した。 「ゆっ、ねこさん、あまあまはどこにあるの?」 普段は、子れいむもここまで無防備に猫には近付かない。カラスや鼠と同様、猫は野良 ゆっくりにとっては恐ろしい生物だ。 しかし、ここのおうちはなんといってもおちびちゃんが大好きなゆっくりできる人間さ んのおうちであり、そこに住んでいるらしき猫もそうであろうと勝手に思い込んでいた。 もちろん、そんなわけはねえのである。 あまあまが食べられると感極まって、子れいむがもみ上げをぴこぴこと上下に激しく揺 すっているのもまずかった。 「にゃっ!」 動くものを見れば「狩り」をする。 それが猫の習性である。ゆっくりに対する悪意の有無の問題ではないのだ。 「ゆぴっ!」 子れいむは、思い切り猫の前足で叩かれた。 「ゆ゛ああああ、いぢゃいよぉぉぉぉ!」 甲高い大声を上げる。それに一瞬猫は怯んだものの、一瞬だけのことで、すぐに激痛に よって先ほどよりも早く激しくぴこぴこする子れいむのもみ上げに刺すような視線を注い だ。 「れいむ、どうしちゃの!?」 子まりさが悲鳴を聞きつけて跳ねてきた時には、子れいむは猫の前足によって完全に押 さえつけられていた。 「ゆゆ!? ね、ねこさん、やめちぇね! 痛がってるよ!」 必死に制止しようとする子まりさなど、完全に猫の意識の外である。 「ゆぎぃ!」 子れいむが一際大きな悲鳴を上げた。 猫が噛み付いた。そして、その牙が子れいむの右目に深々と突き刺さったのだ。 「ゆっぎゃあああああ! れいびゅの、おめめぎゃああああ! やめぢぇぇぇぇ!」 猫が頭を振る。 「ゆぎ、やべ、やべちぇ……ゆ゛っ……」 子れいむは精神が耐えられる限度を超えた激痛によって気を失った。反応が無くなると、 猫は狩りを終えた。 「ゆ゛……ゆ゛……れ、れいびゅが……ひぢょいよぉぉぉぉ! どぼちでごんなごとすり ゅのぉぉぉ!」 全く予想だにしていなかった仕打ちに、子まりさが泣き叫ぶ。 「……」 「ゆぴ」 そして、そんな子まりさを猫が興味津々といった感じに見つめているのに、ようやく気 付いた。 「や、やじゃあ、ごっち来ないでぇ」 ガタガタと震える子まりさは、猫を誘っているようなものだ。 「おい、どうした」 そこへ、一人の青年が現れた。子れいむの悲鳴を耳にして別室からやってきたらしい。 「ゆ゛わああああ、にんげんしゃん、だすげでえええ!」 未だに「ここの人間さんはゆっくりできる人」と思っている子まりさは、必死に助けを 求めた。 「え? ゆっくり? なんだなんだ。なにがあった」 「ゆひぃ、ゆひぃ、ねこさんがれいびゅを、ゆ゛あああああ」 「ん? あ、こっちにも一匹いるな」 青年は、ぴくりとも動かなくなっている子れいむに気付いた。 「で? なにがあった」 青年は、子まりさに話を聞いた。その間、猫はもう興味を失ったようで、子まりさのこ となど完全無視して毛づくろいをしていた。 「あー、そっから入ってきたのか……それにしても、ゆっくりのおちびちゃん用のドア、 ねえ」 青年はそう言って苦笑して、もはや我関せずと昼寝している猫を見た。 「あれは、あいつ用の出入口だよ」 「ゆゆ?」 それから、青年は説明したが、ただでさえ動転している子まりさが理解できたとは言い 難い。 「まあいいや、さっさと帰れ。二度と来るなよ」 ゆっくりに対して、感情と呼べるようなものを抱いていない青年は、勝手な思い込みで 家に侵入してきて飼い猫にこっぴどく痛めつけられたのに同情もしない代わりに、駆除し たりしようともしなかった。 「ほれ、こっち開けてやるから」 子ゆっくりの小さな体で必死にドアを開けて入ってきたのであろうことを察した青年は、 その猫用ドアの横にあるテラスタイプの窓を開けようとした。 縦長の窓で床についているが、地面までは距離があるので手に乗せて外に出してやろう と思っていた。 「ん?」 と、子まりさに手を差し伸べようとしたところで、庭に大きなれいむがいるのに気付い た。 「親か」 青年は、窓を開けた。 「ゆっ、お兄さん! ゆっくりしていってね!」 「はいはい、ゆっくり」 「れいむのおちびちゃんが遊びに行ってるはずなんだけど、知らない?」 「おにいしゃんはゆっきゅちできりゅ人らよにぇ!」 「あまあまちょうらい!」 「お、もっと小さいのもいたのか……で、おちびは……確かにいるんだけど」 そう言って、青年は屈んでから、両手を親れいむに向けて差し出した。 「ゆっ、おちびちゃん!」 「ゆひぃ……お、おかあしゃぁぁぁぁん!」 「ゆ!? ど、どうしたの? ゆっくりしてね!」 青年の手に乗った子まりさに嬉しそうな笑顔を向けた親れいむだが、子まりさが泣いて いるのを見て困惑する。 「ゆぴゃあああああん、れいびゅが、れいびゅがぁぁぁ!」 「ゆゆゆ? れ、れいむがどうしたの? ゆっくりしてね! ゆっくりしてねえええ!」 「まりしゃおねーしゃん、なかにゃいでえ!」 「れいみゅおねーしゃんはどうちたの?」 「あー、そのな」 ゆっくりたちの様子を見て、さすがにバツが悪そうに青年が部屋の奥に入ってすぐに戻 ってきた。 その手の上には、全身傷だらけで息も絶え絶えな子れいむがいた。 「お、おちびぢゃんがあああああ! どぼじだの? なにがあっだのぉ!」 「どうも、うちの猫にやられたみたいだな」 と、青年が親れいむの前に子れいむを置く。 「おちびぢゃん、おちびぢゃぁぁぁん!」 「ゆ゛……おがあ、じゃん……ゆっぐち、できないぃぃぃ」 「ゆっぐちぢでえ! おちびぢゃん! ゆっぐちぃぃぃぃ」 「まあ、死にゃしないだろ、たぶん」 最も深い傷は右目のそれであるが、その他は全て浅く表面を傷つけているだけだ。痛い ことは痛いだろうが、中枢餡は無事だろう。 「これに懲りたらもう来るなよ」 「ゆびぃぃぃ、れいびゅぅぅぅ、まりざが、まりざがちいざなドアさんを見つけなければ ごんなごとにはならながっぢゃのにぃぃぃ!」 「おねえじゃん、ゆっぎゅち、ゆっぎゅちちでえええ!」 「ぺーろぺーろすりゅよ! ぺーろぺーろ」 「おねがいだがら、おめめをあげでええええ」 「……」 嘆き悲しむゆっくり一家に、さすがに哀れさを催した青年は何か菓子でもくれてやろう と思った。 「おい、ちょっと待ってろ」 と言って、台所に行こうとした時、その背中に、憎悪に凝り固まった親れいむの声がぶ つかってきた。 「ゆるざないぃぃぃ、仕返じじでやるぅぅぅ!」 「へ?」 言うちゃ悪いが、そんな身の程知らずな言葉が飛び出すとは思っていなかった青年は、 呆けた顔をれいむたちに向ける。 「ま、まりざもや゛るよ!」 「ゆ゛、それにゃら、れいびゅも!」 「ま、まりじゃも、ちがえちすりゅよ!」 「いやいやいや、お前ら、俺に仕返しって……」 そんなことできると思ってんのか? と言おうとするのを、親れいむが遮る。 「人間さんには勝てないよ」 「……なんだ、わかってんのか」 それならば、まあ、怒りの持って行き場が無くてできもしない仕返しなどと叫び散らし ているだけか。 「仕返しずるのは、ねごだよ!」 「ん?」 「れいびゅをごんなにじだのは、ねごだがら、ねごに仕返しじでやる!」 「……あ?」 「ねごなら、れいぶだぢが力を合わせれば勝でるよ!」 「ゆん! そうだよ!」 「ねこしゃんをせいっさいっ、すりゅよ!」 「れいみゅおねーじゃんとおなじにじでやりゅ!」 「……なんだと」 いや、無理だろ、と思っていた青年だったが、あまりにも凄まじいゆっくり一家の怨嗟 に顔を強張らせた。 青年は飼っている猫のことを溺愛しており、傷一つつけられるのもゾッとする事態であ った。 そして、青年の思考は深みにはまっていった。普通ならば、ゆっくりごときに子猫なら ともかく大人の猫がやられるはずなどないと思うだろうが、しかし、ゆっくりはなんとい っても知恵がある。餡子脳といえど、知恵はあるのだ。そして、群れることもある。 あのれいむたちが野良ゆっくり仲間に呼びかけて数を集めて、その上に作戦を立ててき た場合、彼の愛する猫が無傷でいられる可能性は100%ではない。 青年もふと我に返って、ただでさえその日々の暮らしに追われる野良ゆっくりが、猫、 しかも人間に飼われているそれを襲撃するのに手を貸すはずはないなと思ったりもしたが、 それでも100%ではない。 脳天気にゆっくり生きている饅頭といった認識を覆すれいむたちの思わぬ怨念に、青年 も当てられていた。危機に瀕しているのが愛猫だというのもそれに拍車をかけていた。 「みんな、きょうは帰るよ! 仕返しはまた今度だよ!」 「ゆっ、ゆっぐちりがいじだよ!」 「ちかえちちようにぇ!」 「ぜったいちようにぇ!」 傷付いた子れいむがいるので、とりあえずは引き上げるようだ。親れいむが、そっと子 れいむを口に入れようと舌を伸ばした時、青年が言った。 「ちょっと待て」 「ゆ? 今更謝っても遅いよ!」 「そうだよ! もうゆるさないよ!」 「まりしゃたちちかえちすりゅよ!」 「ちかえち! ちかえち!」 「あまあまやるから、ちょっと待ってろ」 青年は急いで家の奥にと小走りしていった。 「そんなのでゆるじであげるわけないでじょおおおお! でもあまあまは貰うよ! 」 「そうだよ! ゆるざないよ! でもあまあまは貰うよ!」 「あまあまたべちゃいよ!」 「ゆわーい、あまあまらぁ!」 青年はビニール袋を持って戻ってきた。 「ゆっ、はやくあまあまちょうだいね! でも仕返しは止めないよ!」 そう言った親れいむを、青年は掴み上げてビニール袋に入れる。 「ゆべっ!」 「ゆわ、おかあしゃん、だいじょうぶ?」 と言った子まりさも同じくビニール袋へ。 「ゆわー、おしょらをとんでるみちゃい~」 「ゆっきゅちできりゅよ!」 赤れいむと赤まりさも同様の経緯を辿り、子れいむを除くゆっくり一家はビニール袋の 中におさまった。 「ゆ? どこにもあまあまなんてないよ!」 「そうらよ! あまあまはどきょなにょ!」 当然である。あまあまをやる、というのはこいつらを足止めするための嘘だったのだ。 「れいみゅ、おこりゅよ! ぷきゅーすりゅよ!」 赤れいむが、ぷくーと膨らんだ。 ぐしゃ。 目一杯膨らんだ赤れいむが上からの衝撃によって潰された。即死であった。 「ゆ゛ああああああ、おちびぢゃんがあああああ!」 「い、いぼうどがあああああ!」 「れいびゅぅぅぅぅ!」 ぐしゃ、ぐしゃ、ぐしゃ。 叫んだれいむたちに、次々に衝撃が襲い掛かる。 「ゆべ! やめでえええ!」 「いぢゃいぃぃぃ」 「きょわいよぉぉぉぉ!」 ビニール袋に入れられて行動の自由が制限されているために一方的に攻撃にさらされて しまう。 衝撃の正体は、もちろん青年の踏みつけだ。 彼は、このれいむたちに猫が仕返しされるのを防ぐ最も確実な方法を選択したのだ。 この場で殺してしまえばいい。 そうすれば、彼の愛する猫がこいつらに危害を加えられる可能性はゼロになる。 「やべでえええええ、あやばります、あやばりますがらああああ!」 先ほどまでの怨念はどこへやら、親れいむは必死に懇願した。もともと恨みのような感 情を長く抱き続けるのには適していない饅頭である。 「おちびぢゃんだけは、おぢびぢゃんだけはゆるじでええええ!」 「ゆべ! ゆひぃぃぃ、まりじゃじにだくないよぉぉぉ!」 「ゆ! おねえしゃんがぺーろぺーろしてあげるよ! ぺーろぺ……ゆびゃっ」 妹が痛がるのをぺーろぺーろしようと差し出した舌を思い切り踏み潰されて、子まりさ は激痛に叫ぶこともできずに涙を流す。 「やめまず、仕返じなんでやめばずぅぅぅ、だからゆるじでえええ、おちびぢゃんだげで もゆるじでえええ!」 「ゆ゛ぴゃあああん、おねえじゃん、ゆっぎゅちぢでえ!」 「ゆひぃー……ゆひぃー……」 舌に続いて、体の半分を踏み潰された子まりさは微動だにせず、か細い呼吸をするだけ になっていた。死ぬのは時間の問題であろうが、最後の幸福が訪れた。すぐに次の一撃が 来て、死ねたのだ。 「……しぶといな」 袋の口を開けて中を確認した青年に向けて、親れいむと赤まりさは滂沱の涙に顔中をふ やけさせながら命乞いをする。 「だずげでえええ、おぢびぢゃんだけでもだずげでええええ!」 「ころしゃにゃいでぇ、まりじゃ、もっちょゆっぎゅ」 ぺしゃ、と赤まりさが潰された。中を見て、位置を確認した上で狙ったためだ。 「ゆ゛あ……あ、ああ……れいぶのおぢびぢゃんが……とっでもゆっぐりじたおちびぢゃ んが……ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛」 空ろなれいむの顔も、それから次々に落ちてくる青年の足によって潰れていき、やがて 中枢餡が二つに割られて絶命した。 「……ふぅ」 青年は一息ついた。 「ゆ゛ひぃぃぃぃ」 小さなその声の方を見れば、子れいむが左目を見開いて一連の惨劇を眺めていた。 「お前で最後か」 「や、やめで……もう、もうおうぢにはいっだりじまぜん。もう、もう来ませんがら」 青年は子れいむをビニール袋に入れた。 「ゆ゛っぎゃあああああ! おがあじゃんがあああ! まりじゃがあああ! いぼうどだ ぢがあああ!」 「うっさい」 ぺしゃ。 「ふう……ゆっくりゴミって次いつだっけか」 「にゃお」 「おう、出かけるのか」 「にゃお」 「気をつけて行けよ、野良ゆっくりが多いからな」 飼い主のその声に、猫はにゃふんとしたように見えた。 あんな饅頭どもに自分が不覚をとるわけがないだろう、とでも言っているのだろうか。 青年は、苦笑した。 終わり おちびちゃん用のドア! んなわけねーだろ、このボケ 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 340 ゆっくりほいくえん ふたば系ゆっくりいじめ 396 つむりとおねえさん ふたば系ゆっくりいじめ 444 ドスハンター ふたば系ゆっくりいじめ 479 やさしいまち ふたば系ゆっくりいじめ 512 恐怖! ゆっくり怪人 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 死んでよ -- 2014-09-04 16 00 27 にゃーん! -- 2013-07-30 20 29 05 ちょっとこわかったナー -- 2013-05-06 01 47 16 ぶっちゃけゆっくりが酷い目にあって死ぬなら何でもいいですネー 理由なんて問題じゃないですネー -- 2013-03-22 21 12 49 このゆっくり親子はゲスじゃないしもちろん人間もゲスじゃない このゆっくり親子にふりかかった悲劇(笑)の原因はこの親子にあまあまをやった人間だな 野良ゆっくりに限って言えば人間へ近づく=死亡フラグだからな 気まぐれであまあまをやって人間への警戒心を薄れさせたのが元々の原因 でもゆっくりごときどうなってもいいから気まぐれでやりたいようにすればいいけどねw -- 2011-06-21 20 11 19 ゴミ捨て場でゆっくりゴミとして回収されずに済んだり 人間の家に侵入したのに見逃して貰えた所かあまあますら貰えそうだったりと 割と運の良い一家だったのに身の程知らずな発言の所為で一瞬にして死亡エンドルートまっしぐらか。 流石死ぬために生まれてきたナマモノだな。 -- 2011-02-11 22 13 29 飼い主さん、身の程知らずな発言したようなボケ饅頭には、もっと苦痛と恐怖を与えさせないと… 虐待鬼意山とかいんじゃないかな -- 2010-12-12 17 17 13 飼い主の目の前で「猫に復讐してやる」って宣言しても その飼い主に妨害、ないし駆除される可能性を 微塵も考えない辺りがゆっくりクオリティなんだろうな。 -- 2010-11-29 23 20 44 オチがつまらなすぎる -- 2010-11-03 00 49 55 お前ら・・・ -- 2010-11-02 19 49 32 ↓↓↓↓>「お前の家に末代まで出現してやる!群れで現れてやる!」 うわ!怖! めっちゃ怖!! 夜もおちおち寝てられなくなるわ・・・。 -- 2010-10-29 21 48 04 コメントが凄いなw ふむ…猫を飼ってる身としては、お兄さんのやった事は、同じ立場になったらたぶん私もやるな。 勝手に不法侵入して、危険とわかってる猫に近付いて子供を殺されて、飼い主の目の前で仲間を集めて復讐すると言う。 前半部分でも迷惑なのに、害獣として駆除されてる立場の生物がペットに危害を加えるとなれば、駆除するのも当然だと思うなぁ。 ゆっくりが害獣扱いされてなくて、猫が散歩中に酷い事をしたのなら、同情はするけどもね。 猫の役目は、古来から鼠退治にゴキ退治さ。古来より続く己の職分を本能で果たしたのなら寧ろ褒める。 …でもゴキの屍骸見せに来るのは簡便してください(;; -- 2010-10-26 21 57 19 人間だって子供を~って言ってるやつは頭おかしいのか? ここそういうところじゃねーから そういう意見を言いたかったら、まず畜産関係者とかその辺で虫を潰してる小学生にでも言ってろよ 人間だったら~って仮定がおかしい事も気づかない餡子脳じゃしょうがないんだろうけど -- 2010-09-15 20 43 45 ゆっくりは潰すものだよ。ゆっくりの都合なんて知ったことじゃないよ。ゆっくりは不幸せになるために生まれてくるんだよ。ゆっくりは無様に死ね。 -- 2010-09-04 11 00 28 餡子脳の捕らえ方が個人で違うんだろ 言えばわかる、基本欲望に忠実で我侭なだけで、心や言葉が通じるとこは人と同じなんだ ってレベルもあれば もはや状況にあわせた鳴き声、殺意も謝罪も心からじゃなくてもはや言葉はただの反射 ってレベルもある 今回の作中人間はゆっくりを知恵があり言葉を話す能天気な饅頭って捕らえてる 知恵を持ってる(と思ってる)相手が殺意を露にしたらそりゃ危険を排除したがるのは普通だ 俺らは意思表示できないゴキブリにだってホイホイやバルサンで排除しようとするのに もしゴキ様が意思表示して「お前の家に末代まで出現してやる!群れで現れてやる!」なんて言われたらたぶん専門の業者呼ぶ 自分から見て作中人物やゆっくりがどうだこうだでぶつかるだけじゃなくて 作中の世界観でゆっくりの能力や人間からゆっくりがどの程度のレベルで認識されてるかってのも考慮すれば荒れずに済むんじゃね -- 2010-08-25 20 37 24 ゲスゆじゃぁない気がするなぁ 自分の所有物に危害を加える恐れが出た時点で害ゆは確定だけど -- 2010-08-24 02 33 53 「もちろん、そんなわけはねえのである。」で笑った -- 2010-08-13 01 40 32 長いコメント多すぎ。 面白かったか、面白くなかったかでいいじゃない?で、これは面白かったww -- 2010-08-12 22 15 04 まとめるのが下手でごめんよ…あと説教臭くてごめんよ… そんなことないっスよ、言いたい事は大体わかったし、どうしても意見が違う時は説教くさくなるものさ まあ、確かに架空の人物とはいえ、自分とは違うからと言ってクズと呼ぶのはやりすぎたなあ その点は確かに反省します、相手が実在の人間じゃないと思ったら強きに出てしまってね 私は別にゆっくり愛好家でもないんだけれども、それにあまり敬意を払ったつもりもないんだけれど ゆっくりだろうがゴキブリだろうが自分や家族に害がないのにいきなり殺すのは嫌いなだけだわ 相手を傷つけずに被害を回避する手段があるならそっちを選択するほうが楽だしね まったく関係ないことだが、猫愛好家として一言 外に自由にでれるように放し飼いにしてるんなら人間外の生物との喧嘩や闘争に飼い主が手を出すなよなー そんな大切なら室内飼いしてろって事よ、ただでさえ猫は野良猫や鴉、蛇と喧嘩したりするんだからさ 飼い主が手を出していいのは、自分の猫が他の生物を傷つけた時の謝罪くらいだろうよ 虐スレ住人のセリフとは思えないな ほんとだなっ 自分でも不思議なくらいだっ このSSを読んだ時、素直に感じた感想だからそのまま書いたんだが正直ここまで反応があるとは思わなかった… -- 2010-07-28 18 11 23 >仕返しすると言ったこの程度のことでゲスゆや害ゆ扱いするのはどうかと思う いやいや、既に家に侵入しあまつさえ飼い猫に危害を加える旨の発言をした時点で(少なくとも猫の飼い主からすれば)害ゆ決定だろ。 そもそも野良ゆが善良か害ゆかをじっくり見極めた上で善良なら温情ある措置をとる…なんて手間のかかることまずやらねえよな。愛好家でもない限りは、さ。だからそれをしないというこの程度のことで人を頭が賢くないクズ扱いするのはどうかと思う。 要は、野良ゆの人格(ゆん格?)にそこまでの敬意を払ってやらなくてもいいんじゃないか?そうでなくとも払う敬意の量は人それぞれでいいんじゃないか?みんながみんなあんたと同じように野良ゆに多大な敬意を払えるわけではないんじゃないか?自分のゆっくりにおける基準を人に押し付けてそれから逸脱する人を中傷するのは愚かなことなんじゃないか?ということ。 そして、人間の行動原理はみんな違うんだから自分が理解しがたい行動をしたくらいで頭が賢くないクズとか言うべきじゃない、ということ。 まとめるのが下手でごめんよ…あと説教臭くてごめんよ… -- 2010-07-28 13 18 08
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『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!(続々・後編)』 26KB いじめ 虐待 制裁 自業自得 育児 子ゆ 現代 愛護人間 虐待人間 遅れてホントすいません オツカレサマデシタ 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 anko2889『いっしょにゆっくりしていってね!』 anko3521『ゆっくりつかいすてていってね!』 anko3542(前)/3549.3563-4(中)/3578-9(後) 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』(続々・後編) 「僕の好きなジャンルは『家族崩壊』モノでね。仲のいい家族をさらってきて、 あまあまを奪い合わせたり疑心暗鬼に陥らせたりして家族同士でいがみ合うのを見るのが好きなんだ」 珍しく手ぶらで現れたお兄さんは、れいむ達の前に座り込んで話していた。 「ゆっくりなんて単純なもの、とは言うけど、 実際に何十組の家族と付き合ってみると、いろんなパターンがあるよ。 親が子をあっさり見捨てたり、逆に子が親をあっさり裏切ったり。 力の強い一匹が他を支配したり、子供のために親が犠牲になったり。 全員死ぬまで信頼し続けるケースも少ないけどある。 でも、君達みたいなのは初めてかな?」 「「………………………………………………………………………………………………………………ゆ゛っ」」 「「あみゃあみゃー!!あみゃあみゃちょーだーい!!ねぇねぇねぇねぇあみゃあみゃー!!」」 それを聞いているれいむとありすの姿に、かつての面影はない。 お飾りを切り刻まれてぞんざいに縫いつけられ、髪を全て皮膚に溶かしこまれ、 片方の眼窩を含めて全身に穴を開けては小麦粉で塞ぎ、を繰り返された結果、 もとは球状だったことがかろうじてうかがい知れるという体の、いびつに歪んだオブジェになっていた。 割かれてずたずたになった唇の間からだらりとこぼれている長い舌には、無数のボルトがナットできつく留められている。 一方、お兄さんにまとわりつくおちびちゃん達は連日のあまあま生活ででっぷりと太っていた。 身長は成体の半分程度だったが、横幅は成体に近い。 下膨れの身体がだらんと床に広がり、頭部だけがちょこんと飛び出しているはぐれメタルのような形状になっており、 本人たちはぴょんぴょん飛び跳ねているつもりだったが、頭部だけがのーびのーびを繰り返すだけだった。 それらを見回してから、お兄さんは言葉を続ける。 「なんなんだろうね、このおちびちゃん達は。 ゲスじゃないね。ゲスなら、「ゆっくりさせないくそおやはしね!」とか言うよ。 邪魔なものは憎み、排除する。憎い相手が不幸になることを望み、喜ぶ。 でもこの子たちは、まっっっったく他人に興味がないんだな。 ゆっくりさせてくれるなら寄っていく。ゆっくりできないならいらない、どうでもいい。 想像力の欠如。生物として、いやゆっくりとしてどうなんだろうね? 君達が言っていたとおり、ゆっくりするという意味ではゆっくりとして完成された性格なのか、それとも欠陥品なのか」 れいむ達は答えない。 どんよりと濁った片方の目を、ぼんやりとおちびちゃん達に向けているだけだった。 「ま、とにかく、今日でお別れだよ。それを言いに来たんだ。 君達はたっぷり楽しませてくれたよ。あれだけ可愛がっていたおちびちゃんを、一転して憎み、罵声を浴びせる。 ゆっくりのそういう姿が大好きな僕にとっては素晴らしい御馳走だった。 でも、こっちはねえ……」 「ゆーっ!!あみゃみゃーっ!!」 汚らしいものを触るように、お兄さんは指先でおちびちゃんをつまみ上げる。 頬をつままれてだらんとだらしなく伸びながら、なお底部は床と離れない。 身体に対して小さすぎる顔がゆきゃゆきゃとはしゃぎ、小さなもみあげがぱたぱたとせわしなく動く。 「どうも食指が動かないんだなあ。 家族を憎ませようと思っても、他人に興味がない以上憎むとも思えないし。 虐めてみてもゆぎゃーゆぎゃー単調に泣きわめくだけだろうし、全然面白そうじゃないんだよね。 ゆっくりのゆっくりらしさって、他者との関係で培われるんだって再認識しちゃったよ。 これ、ゆっくりなの?」 「「………………」」 かつては「世界一ゆっくりしたゆっくり」と信じたおちびちゃんの、ゆっくりとしての存在意義そのものが否定されるに至っても、 れいむとありすは黙り込んだままで反応を返さなかった。 「………君達もすっかり反応が鈍くなっちゃったね。 僕も飽き飽きしていた頃だし、これで解放するよ。どこへでも好きなところへ行っておいで。 楽しい時間をありがとう!」 れいむ達は、再び元の路地裏に佇んでいた。 ダンボール箱に載せてここまでれいむ達を運んできたお兄さんは、一声挨拶すると、そのまま立ち去ってしまった。 れいむとありすは、ただその背中を呆然と見つめていた。 「ゆーっ!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!ゆきゃーっ!!」 その側で、おちびちゃん二人はいつもと同じようにはしゃぎ声を上げていた。 状況をまったく理解しておらず、そのへんをずーりずーりと這い回り、きょときょとと周囲を見回す。 つくづく何がおかしいのか、「ゆきゃきゃきゃっ」とひとしきり笑い転げたあと、 二匹は変わり果てた姿の両親の前に回りこんで叫んだ。 「「ゆーっ!!おきゃーしゃんおにゃかしゅいちゃー!!あみゃあみゃー!!」」 ―――――――― 休日の買い物帰りに、私はれいむ達と再び会った。 近くのスーパーで惣菜を買ってきた帰りのことだった。 私の家の前の道路に、それはいた。 それが何なのか、すぐにはわからなかった。ゆっくりだということすら。 遠目にも汚らしい生ゴミのような、しかし蠢いているそれが何かわからず、 5メートル手前で私はしばし立ちつくした。 しかし、やがて、それが発した声で、それが何なのか私は理解してしまった。 「ゆっ!!おねえさんっ!!ゆっくりおかえり!!」 「ゆっくりひさしぶりねっ!!おねえさん、やっぱりとかいはねっ!!」 「…………………え?」 れいむ達は変わり果てていた。 全身がでこぼこになり、頭部は禿げているのかカビでも生えているのか、まだらな色でぬめぬめと光り、 二匹とも左目がなくなって、ボルトだらけの舌をしまう事もできずにこぼれ出させていた。 一体何をどうやったのか見当もつかない。ただ、圧倒的な人間の悪意が全身から滲み出ていた。 最悪の、ケースになってしまったのか。 私が飼っていたゆっくりが、そういう末路を辿ったのか。 「ゆーっ!!おねえさん、ずっとずーっとごめんねっ!!れいむたちがわるかったんだよっ!!」 「ええ、ほんとうに!!ありすたちがいなかものだったわ!!ごめんなさい!!」 声だけは明るく、元気にはり上げながら、れいむ達は私のほうに這いずってきた。 私は動かなかった。足がすくんでいた、という方が正しい。 「やっぱりおちびちゃんはちゃんとしつけないといけないよねっ!!れいむたち、あまあまだったよ!!」 「ありすたち、はんっせいしたの!!ね、ありすたちのじまんのおちびちゃんをみてちょうだいっ!!」 「「ゆげぇっ!!」」 「!?」 れいむ達はそう言いながら、私のほうに何か放ってよこした。 れいむ達と同じように汚れはてたそれらは、しなびたような妙な形で、しかしやはり蠢いていた。 それらは恐ろしいことに、同じく私のほうを目指して這いずっていた。 「ゆ゛ぇええええええ!!ゆ゛びぇぇえ゛え゛え゛え゛え゛!!!おでえざっ、だじゅげでえええぇぇ!!」 「どぎゃっ、どぎゃいばじゃだいいいぃぃ………ゆげぇっ………ぎぼぢっ、わづ……だじゅ………」 亀が這うよりものろい速度でずるずると蠢くそれらに、私は思わず後ずさる。 大部分の歯が砕け、髪がまだらになるまでぞんざいに引き抜かれ、全身に打ち身や切り傷を作り、 片目も抉られ、あにゃるとまむまむに小石を突っ込まれているそれは、 驚くべきことに、れいむ達が溺愛していたあの子供たちらしかった。 「……………な………………」 「いぢべるどおおおお!!おがあじゃっ、がっ、れいみゅをいぢべるのおおおおおお!!! だじゅげで!!だじゅげじぇえええぇ!!おでえざああぁぁぁあん!!」 「おで、が…………ありじゅ………ゆっぐ、ゆっぐじ……ざじぇ…………ざぜでぐだじゃ、いいいぃぃ………」 「ゆふふっ、おちびちゃんたちはあわてんぼうだね!!」 歪んだ顔をさらに歪め(笑っているらしかった)、れいむとありすがぽんぽんと飛び跳ねてくると、 子供達の背後に立った。 「ゆっ!!おちびちゃんたち、もういーい?」 「「ゆ゛っ!!ゆひいいいぃぃぃぃ!!!」」 「ままのいうことをちゃんときかないとゆっくりできないわよ?ゆふふ」 そう言うと、ありすが子ありすの抉られた眼窩にボルトだらけの舌を突き入れた。 「ゆぎっ!!ゆぎぎぎぎぎいいぃぃぃ!!!がああぁぁ!!」 舌に刺さったボルトが眼窩の中で引っ掛かっているらしく、子ありすが吊るし上げられる。 「ままのいうことをきかないこまったおちびちゃんは………めっ!!」 そのまま、舌を振って子ありすをすぐ側の電柱に叩きつけた。 「ゆげばぁっ!!」 「ままの!!いうことを!!よくきいて!!ゆっくりした!!いいこに!!なりましょうね!!」 「がぁっ!!ゆごぉっ、ぼぉっ!!やべっ!!ごべ、なざっ!!ゆるじっ!!」 笑顔を崩さず、何度も何度もありすは子ありすを電柱に叩きつける。 れいむの方も、子れいむの髪を舌で掴み、地面にぐりぐりと押しつけていた。 「ゆふふ。おかあさんたちのしつけにがまんできなくって、やさしいおねえさんにたすけてもらおうとしたんだね。 でも、おちびちゃん、わかるかな? おねえさんはねっ、おとなのいうことをきけないおちびちゃんはきらいなんだよ!! ききわけのないゆっくりしたおちびちゃんを、おねえさんがたすけるはずないんだよっ!!ゆっくりりかいしてねぇ!!」 「ゆ゛ぎいいいいぃぃぃ!!ががばばばばば!!やべ!!ごべ!!ゆぐじでぐだざいいいいぁああああ!!」 ごりごりと顔面を削られ、がんがんと地面に叩きつけられ、子れいむは必死に謝っていた。 ずたぼろに傷ついた子供たちの後頭部を乱暴に掴み、れいむ達は私に突き出してきた。 「ねっ!!おねえさん!!おちびちゃんたち、わるいことをしたらゆっくりあやまれるようになったんだよっ!! さ、おちびちゃん!!おねえさんたちに、あのことをあやまろうね!!」 「さ、たくっさんれんしゅうしたわよね?ゆっくりおわびしましょうね!!はやくしましょうねっ!!」 「「ゆびぃ!!」」 ボルト混じりの舌で殴りつけられ、ゆひいゆひいと泣き声を上げながら子供たちは私のもとに這いずってきた。 「ゆ゛………お、おでえ…………ざん………わりゅい、ごで………ごべん、だざい………でじだ……」 「うん、うんじで……ごべんだざい………じーじーじで……じゅみま、じぇんでじだ………」 「ゆふふ、おちびちゃんがんばって!!」 「もっということがあったわよねっ?」 「にんげんざんを………ばがにじで、ぼうじわげ…………ありばじぇんでじだ………」 「ずびばぜんでじだ………ぼうじわげありばじぇん…………いうごど、ぎがなぐで…………いだがものでごべんだざい………」 「どうっ!?おねえさんっ!!」 れいむ達は誇らしげに胸を張り、私に叫んだ。 「れいむたち、ちゃんとしつけできたよっ!!いまのおちびちゃんたちなら、おねえさんのいうことをよくきくよっ!!」 「ね、みてちょうだい!!おといれさんもちゃんとできるようになったのよっ!!」 そう言うと、ありすは子ありすを仰向けにひっくり返し、その腹を舌でしたたかに殴りつけた。 「ゆ゛ぼぉっ!!!」 あにゃるを塞いでいた小石が勢いよく飛び出し、その奥からカスタードのうんうんが大量にひり出される。 また眼窩に舌を突っ込んで強引に引き起こし、ありすが子ありすに命令した。 「さ、おちびちゃん!!おといれさんしましょうね!!」 「………ゅ………わがじ、ばじ……だ………」 うんうんの上に放りだされた子ありすは、涙をぼたぼたこぼしながらうんうんを「むーじゃ、むーじゃ……」と咀嚼しはじめた。 「ゆゆっ!!れいむにのおちびちゃんもすごいんだよっ!!さ、おちびちゃん、おといれさんをしようねっ!!」 「ゆ゛びぃっ………!!」 「なにしてるのかな!?おといれさんだよ!!おちびちゃんはできるよねええ!!」 「ばいいいぃぃ!!」 強要された子れいむは、地面に仰向けに横たわり、出来る限りの大口を開いた。 その上にれいむが尻を突き出した。 「ゆーん、ゆーん………うんうんすっきりーっ!!」 「ゆごぼおおぉぉ!!」 口の中にうんうんを流しこまれ、子れいむが泣きむせびながらも必死に咀嚼した。 その様子を満足げに眺め、れいむ達が私のほうに再び向き直る。私はびくりと震えた。 「ねっ!!おちびちゃんすごいでしょっ!!いいこでしょ!!?」 「おねえさん!!これならおちびちゃんもかってくれるわよねっ!!ね!!」 「…………あ………………あ……………………」 あまりの光景に、私は震えながらさらに後ずさった。 「ねえ!!かってくれるよね!?かってくれないのっ!?」 「いまのおちびちゃんならおねえさんのいうことをきくわっ!! うんうんをむーしゃむーしゃするのよっ!!おそうじだって!!しずかにしてることだって!!なんだってきけるわっ!!」 「にんげんさんはそういうゆっくりがすきなんでしょ!? なんでもいうことをきくゆっくり!!なにをいわれてもさからわないゆっくり!! いくらゆっくりできなくっても、にんげんさんのいうことだけをきくゆっくり!! しぬまでにんげんさんだけをゆっくりさせて、じぶんはゆっくりしないゆっくり!! そういうゆっくりがすきなんだよねっ!!?だったらおちびちゃんもかってくれるはずだよおぉ!!」 「ね!!そうよね!!だからありすたち、がんばったわっ!!みたでしょう!? もう、おちびちゃんにはゆっくりさせないわ!!ぜったい、にどと、こんりんざいゆっくりさせないわっ!! ありすたちもゆっくりしないわ!!いっしょう、おねえさんのいうことだけきいてくらすわ!! ねえ!!それでいいんでしょう!?それでおねえさんはゆっくりしてくれるんでしょう!!?」 「むーじゃ、むーじゃ………ぶじっ、ぶじあわじぇええぇぇ…………」 「ゆ、っぐじ………ゆっぐじじじゃい……………むーじゃ、むーじゃぁ……」 「ひぃ…………っ」 私は無意識のうちに駆け出していた。 れいむ達の横をすり抜けて走る私の背中に、れいむ達は叫び続けていた。 自分の家の中に逃げ込み、玄関に鍵をかける。 そのままへたり込もうとしたが、すぐに強い嘔吐感がこみ上げ、トイレに駆け込んだ。 便器に向かってゲーゲー吐き、そのまま突っ伏して激しく嗚咽した。 私はそのまま長い間泣き続けていた。 トイレから出なかったのは、れいむ達の声を再び聞くのが怖かったからだ。 玄関やガラス戸に近づけば、あのおぞましい家族の声が響いてくるかもしれない。 それが怖く、私はいつまでもトイレから出られず、がたがたと震え続けていた。 これが、私とゆっくりの、最後の顛末だった。 私が最後に飼ったゆっくりの辿った末路、 私がゆっくりにしたすべての行為の結果、答えだった。 れいむ達が飼い生活よりも子供を選び、私の元を立ち去った時点で、すでにゆっくりを飼う気はもうなくなっていた。 しかし今、私はそれを通り越し、いまやゆっくりへの恐怖心でいっぱいだった。 れいむ達の復讐は、恐らく彼女たちの思惑通り、私の精神に深い傷を刻みつけていった。 私が異常だったのか、れいむ達が異常なのかという問題じゃない。 とにかく私の行為が招いた結果なのは間違いなかった。 私に向けられたとてつもない負の感情。 私がゆっくりに強いた要求、それに応えようとしたゆっくりの姿は、もう私の脳裏を一生離れることはないだろう。 もはや私にとって、ゆっくりはペットとして飼えるような存在ではなかった。 夜が更けるまで、私は泣き続けた。 ―――――――― 「うるさいのぜっ!!でていくんだぜぇぇ!!」 「ゆぶっ……!!」 公園の入り口で騒ぎが起こっている。 遠目に見て、ゆっくりの群れの中心で怒鳴っているのは串まりさだった。 ゲスでもやってきたのか?それにしても集まっているゆっくりの数が多い。 ぱちゅりーはその場に近づいていった。 「むきゅ、とおしてちょうだい。むきゅ」 「ゆゆっ、おさ………」 「おさ!!くるんじゃないんだぜぇぇ!!」 「ま、まりさ?」 すごい剣幕で、串まりさがぱちゅりーを制する。 しかし、ぱちゅりーはすでにその闖入者を視界に捉えていた。 目を疑ったが、頭部にへばりついているお飾りの欠片で、あのれいむとありすの一家であることがわかった。 「「ゆゆっ!!おさあぁ!!」」 ゴミのような姿で、二匹はぱちゅりーの姿を認めて叫んだ。 「ひっ」と、思わず恐怖が声になって漏れる。 「おさあぁ!!おちびちゃんしつけたよおぉお!!もうだいじょうぶだよおぉ!!」 「おちびちゃんとってもいいこになったわぁぁ!!みてえぇ!!」 「ごべんなじゃい!!ごべんなじゃい!!ごべんなじゃい!!ごべんなじゃい!!」 「ぼうじわげありばぜんでじだ!!ずびばじぇんでじだ!!ごべんなじゃい!!ゆぐじでぐだじゃい!!」 ずたぼろの二人のおちびちゃんが、がんがんと頭を地面に打ち付けるようにして、誰にともなく謝っていた。 いったい何を謝っているのか、両親の命令を受けてから狂ったようにただ詫び続けている。 「ねっ!!いいこでしょおお!?ね!!もうめいっわくかけないわあぁ!!」 「またむれにいれてねっ!!ねぇ!!いいでしょ!!いいでしょおお!!」 「やかましいのぜえぇ!!」 串まりさがまた、二人を跳ね飛ばす。 ぜえぜえと息をつきながら、苛立たしげにまりさは串を鳴らした。 「ちっちっちっちっ…………いっかいついっほうされたら、もうとりけしはないのぜ!! おまえら、ころされたってもんくはいえないんだぜ!!それがいやなら……」 「ゆっ!!じゃあころしてねっ!!いいよ!!えいえんにゆっくりさせていいよおぉ!!」 「おちびちゃんといっしょならかまわないわあぁ!!さあ!!やってちょうだいいぃ!!」 れいむ達の迫力に、ずず……と串まりさが後ずさる。 「ありすたちをころすまえにこたえてちょうだい!! ねえ!!ゆっくりできるでしょう!?おちびちゃんっ!!ゆっくりできるでしょう!!」 「れいむたちちゃんとしつけたよっ!!おといれさんもできるよ!!みんなにもめいわくかけないよっ!! みんなのいうことをきくよ!!どれいにしてもいいよぉ!!ねぇ!!ゆっくりできるっていってよおぉ!!」 叫び続けるれいむ達に、ぱちゅりーが歩み寄ろうとしたが、串まりさが串でそれを強く遮った。 「やめるんだぜ!!おさはさっさとかえるんだぜ!!」 「むきゅ、でも………」 「あいつらはこわれたゆっくりなのぜ!!あんなやつらのはなしなんかきくんじゃないんだぜ!!」 「ねえ!!なんで!?なんでみんなゆっくりしてくれないの!? しつけたよっ!!いうこときくよっ!!めいっわくかけないよっ!!まだなにがたりないのおぉ!!?」 眉をひそめる群れのゆっくり達に、れいむ達は叫び続ける。 「かいゆっくりはゆっくりできなかったよっ!! のらゆっくりもゆっくりできなかったよっ!! おちびちゃんをしつけて!!ゆっくりをがまんさせて!!そのさきになにがあるのっ!? がまん!!がまん!!がまんして!!それでいったいどんなゆっくりがまってるのぉぉ!!? おちびちゃんしつけたよっ!!いまならなんでもがまんできるよっ!! かぞくをつくるのもがまんできるよっ!!こえをだすのもがまんできるよっ!!にんげんさんのどれいになれるよっ!! あまあまもがまんできるよっ!!ゆっくりできないかりもがまんできるよっ!!むれのおきてさんもぜったいやぶらないよっ!! ぜんぶがまんできるよ!!でも!!がまんして、がまんして!!それで!!どんなごほうびがあるのおぉぉ!!? いっしょう、がまんしつづけて、しぬだけじゃないのおぉぉ!!?」 「うるさいのぜええぇ!!!」 串まりさがついに爆発し、本気の体当たりをれいむ達に喰らわせた。 「「ゆげべぇっ!!」」 「こんなところでしなれてもめいわくなんだぜ!!よそへいってかってにしぬんだぜ!!」 「ゆっくりしてるのっ!?みんな、ほんとうにゆっくりしてるのおぉ!!?」 れいむの狂乱は止まらない。泣きながらわめき続ける。 「ああ、ゆっくりしてるのぜ!!おまえたちなんかよりずっとゆっくりしてるんだぜ!!」 「おちびちゃんをそだてても、すぐににんげんさんにつぶされるかもしれない!! いっせいくじょがこわくて、にんげんさんたちにびくびくしながらこそこそかくれていきるだけ!! みんなはほんとうにゆっくりできるのおぉ!!? れいむたちはこそだてにしっぱいしたよっ!!ばかで、むのうな、げすだったよっ!! でも、じゃあどうすればよかったのっ!!?ふつうに、ちゃんとしつけてそだてればよかったの!!? みんなは、こそだてのとくいなみんなは、ほんとにほんとにゆっくりできてるのおおぉ!!?」 「やっ………かましいんだぜええええぇぇぇ!!!」 せいっさい用の太い枝で、串まりさがれいむ達をしたたかに殴りつける。 何度も何度も殴りつけながら、強引にれいむ一家を公園の外に放り出した。 「「ゆっ……げべぇっ!!」」 「おちびもそだてられないむのうが、たゆんのゆんせいにけちをつけるなんておこがましいんだぜ!! にどとこのこうえんにちかづくんじゃないのぜ!!むなくそわるいんだぜぇ!!」 その後、何か口を開こうとするたびに串まりさにしたたかに殴られ、 ようやくのことでれいむ達は公園から立ち去っていった。 ゆぜぇ、ゆぜぇ、と体を上下させながら、串まりさが群れのもとに戻ってくる。 群れの全員が、いたたまれない表情で一部始終を見届けていた。 ちっ、と苛立たしげに串を鳴らし、串まりさが怒鳴る。 「なんなんだぜそのめはぁぁ!!みんな、あんなくずどものいうことをまにうけてるのぜぇぇ!!? おちびをあまやかしてこそだてにしっぱいして、ぎゃくたいにんげんにつかまるへまをやらかしたむのうが、 たゆんのいきかたにけちをつけてじぶんをなぐさめてるだけなのぜ!! まりさがほしょうするのぜ!!みんなはとってもゆっくりしたむれなのぜ、みんなゆっくりできてるのぜぇ!!」 「………ゆぅ………」 「……ゆ、ゆん…………」 煮え切らない群れの態度に苛立ち、串まりさは一際大きな声で怒鳴った。 「いいからさっさとちるのぜぇ!!まだきょうのぶんのおそうじさんはおわってないのぜ!! のるまさんをくりあできないゆっくりはせいっさいするのぜ、きょうのまりさはきげんがわるいのぜぇぇ!!!」 恫喝され、群れの仲間たちはそそくさと持ち場へ戻ってゆく。 ただ一匹、長のぱちゅりーだけがその場に残って串まりさを見つめていた。 「………なにやってるんだぜ。もどって、すけじゅーるさんのちょうせいでもするのぜ」 「…………わたしたちは、どうしたらゆっくりできるんでしょうね………」 「ちぃ!!」 ぱちゅりーの頬を、串まりさがもみあげで音高く打った。 「むぎゅっ!!」 「そんなのしるかぜぇぇ!!だったらあのれいむみたいに、おちびをあまやかしてみたらいいのぜぇ!!」 「そ、そんなこと……」 「むれのおさが!!そんなことかんがえて、むれのみんなをゆっくりさせられるのぜぇ!!? そうだぜ!!ゆっくりなんて、いきてて、たくっさんっのゆっくりできないことだらけなのぜ!! ゆっくりできることなんて、ほんのひとつまみなのぜ!! でも、あきらめてなげやりになったら、そのひとつまみさえにげていくんだぜぇぇ!!」 「……………」 「ちっちっちっ………そんなにかんっぺきな、ゆっくりできないことなんかなにもないゆっくりぷれいすがほしけりゃ、 かってについきゅうするんだぜ。ただし、そんなやつにむれのおさはまかせられないのぜ。 おさは、まりさがやるのぜ。ぱちゅりーみたいにはできないけど、しかたないんだぜ」 「むきゅ…………いえ……いいえ、ごめんなさい。もう、いわないわ。 だからまりさ、そんなにおこらないで」 「べつにおこっちゃないのぜ。………じゃ、いくんだぜ」 「ええ……………」 串まりさとぱちゅりーは並んで歩き出した。 最後に、ぱちゅりーはもう一度後ろを振り返った。 れいむ達の姿は、もう見えなかった。 ―――――――― 「「ゆっくりしていってねっ!!」」 「「ごべんなじゃい………ごべんなじゃい………」」 「…………………………」 青年は呆れたように一家を見下ろしていた。 あの電柱の下で、自分が虐待したゆっくり一家が自分を見上げていた。 かつて溺愛され、虐待を通して憎悪されるようになったあの子供たちは、 ずたぼろになって壊れたオモチャのように頭を上下させ、何をだか知らないが詫び続けている。 青年が呆れているのは、あれほど虐待した自分をまるで慕うかのように、れいむとありすが見つめていることだった。 「…………なんだよ?」 「ゆっ!!おにいさんっ!!れいむたちをぎゃくったいっするのっ!?」 「ゆ!!ゆっくりぎゃくったいしていってねっ!!」 「なんだそりゃ……………」 「おにいさんはれいむたちをぎゃくったいっするとゆっくりできるんでしょう!?」 「だれもありすとおちびちゃんたちでゆっくりしてくれないのっ!! おねえさんも!!むれのみんなも!!ありすたちでゆっくりしてくれないの!! ありす、がんばってしつけたのに!!おちびちゃんがんばったのに!! ねえ!!おにいさんなら、ありすたちでゆっくりしてくれるんでしょう!?」 「れいむ、だれかをゆっくりさせたいんだよっ!!ねぇ!!ねえぇ!!」 「やれやれ…………」 お兄さんの家で、れいむとありす、子れいむと子ありすはそれぞれ器具にくくりつけられていた。 れいむとありすは楽しげに歌を歌い、子供のほうはぶつぶつと何か呟いているだけだ。 ぼりぼりと頭を掻きながら、お兄さんはれいむ達に言う。 「わかってんのか?死ぬんだぞ、お前ら。これから」 「ゆっ!!ゆっくりりかいしたよっ!!」 「ありすたちはいきてるかちなんかないわっ!!ゆっくりころしてちょうだい!!」 ふーむ、と顎に手を当て、お兄さんばにやりと笑う。 「よくわからんケースだが、ま、こういうのもちょっと面白いかもな。 じゃ、説明するぞー。れいむとありす、お前たちを固定してるのは万力ね。 まだ締めてないけど、これでおつむとあんよをそれぞれギュッと締めて、棒を通して固定して。 そのまま下の万力を回転させて、少しずつ少しずつねじっていくんだよ。 すぐに絞ればゆっくりなんてすぐ千切れるけど、ゆっくりやればまあ、三十分はかけられる。 苦しいぞ~」 「「ゆっくりりかいしたよっ!!」」 「ありすたちをぎゃくったいっしてゆっくりしていってねっ!!」 「子供たちのほうは、シンプルにミキサーだ。 ある程度動きやすい蟻地獄状の容器にしてあって逃げられないし、 ミキサーの回転は最初はゆっくり、徐々に速くなっていくから必死に逃げ回るゆっくりの姿が堪能できる。 たっぷり時間をかけるようにしてあるから、存分にお互いの死に様を堪能してくれ。 いいかい、わかった?」 「「ゆっくりりかいしたよっ!!」」 「はーい、スタートー」 お兄さんは装置のスイッチを入れた。 「「ゆ゛ぎぃっ!!!」」 れいむとありすの底部と頭部を挟む万力が、それぞれ強く締め付け、身体がひしゃげる。 同時に、底部の万力がゆっくりゆっくりと回転しはじめた。 動きはじめたばかりの今、ほとんど動きは見られなかったが、それでも確かに動いている。 「「ゆ゛ぁっ!!びゃいいぃっ!!?」」 子ゆっくり達のミキサーも作動し始めた。 蟻地獄のような形状になっている容器の中心部に、丁度子ゆっくりより少し幅が狭い程度の刃がゆっくりと回転する。 底部を引っ掻かれ、恐慌をきたした子ゆっくりがそれぞれもるんもるんと蠢いて這い上ろうともがき始めた。 「ゆふ………ゆふふ…………おちびちゃん………ゆっくり………」 「いっしょ……いっしょよ…………ゆふ、ゆふふふ……………」 「ああ、〝壊れたふり〟はもういいよ。お前ら、ずっと泣いてるし」 頭部と底部を締め付けられながら、まだまだれいむ達には余裕がある。 両手を上げて、お兄さんはれいむ達をたしなめる。 「ヤケクソになってんだろ? 開き直って、子供をそんなふうにしてよ、それで誰もゆっくりしないのはわかってんだろ。 結局他人のせいにして、皮肉で責めたいだけじゃないか。「お前らが言ってるのはこういうことなんだぞ」って、誇張してさ」 「………ゆぐっ…………ゆっ…………」 「おに、おにい………さん………」 「何?」 「あり、ありすたち………どうすれば……………よかったのかしら………」 「みんなにさんざん言われてきたんだろ。フツーに育てて、フツーにゆっくりすればよかったんじゃないの」 「ゆふ……………ゆふ、ゆふふ……………」 「壊れたフリはもういいって。 めんどくさいからさっさとまとめるけど、お前らが馬鹿だったの。それだけの話なの。 可哀想なのはあの子たちなんじゃないの? 今見たけどさ、まあお前らが虐待した結果だけど、少しはましになってたみたいだぞ。ゆっくりとしてまともな反応に近かった。 まともに育ててれば、まともに育ってたぞあれ、確実に」 「……………れいむ、たちの………せい、だね………」 「あーうん、だなー。まあもう手遅れっぽいから処分してあげてんだけど。 馬鹿親のせいで性格悪くなってみんなに嫌われて、その馬鹿親に虐待されて、あげくに今こうして殺されるんだから。 こりゃ生まれてこないほうがよかったね確実に。お前らの元に生まれたばっかりにねえ。 誰か止めるやつはいなかったのかい?」 「ゆ゛…………いだ、よ………………」 「ああ、そうそう、元飼い主がいたな。言うとおりにしてあきらめりゃよかったのに。馬鹿だねえ、お前たち」 万力の角度がどんどん強くなっていく。 れいむとありすの体はぎりぎりと締めあげられ、くっきりと螺旋を描きはじめていた。 「ゆぢっ!!ぢぃ!!だじゅっ!!いぢゃああ!!」 「じにっ!!じにだぎゅにゃいっ!!おでが!!だじゅげぢぇえええ!!」 ミキサーの中で子ゆっくり達が叫んでいる。 もるんもるんと振る底部は少しずつがりがりと削られ、回転する刃に接触する度に赤黒い餡子を撒き散らしていた。 「れ………れい、む…………たち………ゆっ、くり………した、かった……よ………」 「みんなそうですよ」 「かいゆっ、くり……も…………ゆっく、できな、かった………………おぢび、ちゃ……つくれな……… のらも……ゆっくり……でぎっ……な…………」 「根が贅沢なんじゃない?人生哲学みたいに喋り出しちゃってるけど」 れいむ達の体は、いまや180度を超えて回転している。 片方だけ残った目玉は飛び出し、中枢餡ごと締め付けられる激痛に視界が赤く染まる。 「ゆっ、ぐじ………じだ、がっ…………… ゆっぐ、りが………いっぱい………………すきな、だけ………ゆっくり、する、のは………どう、したら………」 「こっちが聞きたいよ。 お前らが恐れてる人間だって、そんな好きなだけゆっくりしてないよ。 そんなことを本気で望んでる時点で、お前たちこの世界に向いてなかったんじゃない? 無能は無能らしく、苦しんで死ね、それだけさ。なっ」 ぽん、と青年がれいむの頭を叩く。 おちびちゃん達は、身体の半分近くを削られ、刃の上でびくんびくんと痙攣していた。 うつろな目玉が空中を泳ぎ、飛び出したれいむ達の目と合う。 (…………おち、び……………ちゃ…………) もう声は出なかった。 激痛のみがれいむ達の世界を占めた。 限界を超えた苦痛が、じっくりじっくりと時間をかけてれいむ達を苛む。 口から餡子を漏らそうにも、ねじられて螺旋状に圧迫された皮膚が口をふさいで即死を許さない。 意識が朦朧とするほどの激痛に達してから、れいむ達が絶命するまで、たっぷり二十分はかかった。 〈 ゆっ おちびちゃん あんまりとおくへいっちゃだめだよ ゆっ ゆっ ゆっくちー ときゃいは ときゃいは もう おちびちゃんったら やんちゃなんだから おちついてねおちびちゃん ほら すーりすーり ゆゆっ おきゃあしゃん しゅーり しゅーり ゆー みゃみゃ だいしゅきー あらあら おちびちゃん ゆっくりうれしいわ おかあさんたちも おちびちゃんのことが だいすきだよ ゆっくちー 〉 〔終〕
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ちびちゃと常連 説明 ちびちゃと常連では、ちびちゃとによくいる『常連者』を紹介していくものです。
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『笑ゆせぇるすまん 「おちびちゃんのいる風景」』 9KB いじめ 小ネタ 妊娠 家族崩壊 番い 都会 幻想郷 現代 ぺにまむ お目汚しです。誤字があったので訂正しました。ごめんなさい。 ・前作「anko3525 笑ゆせぇるすまん」と設定を被せています。 ・劇中のみょんの口調が一定しません。みょんにするんじゃなかった、難しい。 ・描写力と文章力が残念です。 ・子作り表現とぺにまむ表現があります。 ・暇つぶしにどうぞ。 私の名は「紫さまー?また、スキマつながりファッションですか?」うっさいわね 人呼んで割と困ったちゃん…じゃなかった、"笑ゆせぇるすまん" ただのせぇるすまんじゃございません 私の取り扱う品物は、ココロ ゆっくりのココロでございます この世は老いも若きも男も女も心の寂しい人ばかり そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします いえ、お金は一銭もいただきません お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます さて、今日のお客さまは… 笑ゆせぇるすまん 「おちびちゃんのいる風景」 「「すっきりー!」」 「こんどこそなかだしはらませ!」 「ゆぅ…ざんねんだけどおちびちゃんはできてないみたい…」 「どぼじでできてないみょおおおん!?」 「なんどもいうけど、みょんがいなかもののたねなしかぼちゃさんだからよ…」 「でんま!まぐろ!ろりこーん!」 みょんは、しりとりしつつ、愛の巣(笑)を泣きながら飛び出した。 ちょっと珍しいが、この番はありすとみょんである。 でも、野良のありすに一目惚れして、飼い主に捨ててくれるよう頼み込み、ようやくありすと一緒になったのだ。 だが、二人の間にはどうしても子どもが生まれなかった。 実は、みょんは生まれたときに種なしにされている。 だから、逆立ちしたっておちびちゃんは生まれない。 ちなみに、去勢をすると、去勢のショックでずっとゆっくりしてしまう赤ゆもいるので、 餡統の良いゆっくりについては種なしにするような注射を打つペットショップが出始めたのだそうだ。 そして、その処理をされたことを、みょん自身は知らずにいた。 みょんは、飼いゆ用としてペットショップで生まれた割には、みょんに野良適性の高い優秀な個体であった。 ただ唯一の欠点が、種なし。しかし、年がら年中卑猥な言語を操るみょんが種なしというのも笑えない話である。 みょんは公園の噴水でたそがれていた。 「どうしてはらませができないちーんぽ!みょんはわるくないのに…まむまむ」 「ゆっくりできていないようですなあ…」 みょんの隣に、黒尽くめの服でずんぐりむっくりした体型の人間が座っていた。 目は大きなタレ目、口は大きく笑っている、まるでマスクでも被っているかのような顔だ。 「ゆっくりしていってください」 「ゆっくりするちーんぽ!」 「あなたはおちびちゃんが生まれないので、嘆いておられるのでしょう?」 「どうしてそのひみつのはなぞの!ゆぅ…みょんはたねなしかぼちゃさんらしいちーんぽ…」 「種なしカボチャでは、いくらすっきりー!してもおちびちゃんは生まれませんなあ」 「おちびちゃんがいればもっとゆっくりできるまむまむ…」 しかし、現実には子供は一切生まれないのだ。 「よろしい。力を貸してあげましょう」 「ゆ?」 すると、黒尽くめは、みょんを発情させぺにぺにを起たせると、ペにぺににフィットするような小麦粉製のカバーを被せ、溶かした小麦粉で固定した。 「ゆゆゆ…なにかぺにぺにのあたりがむずむずするちーんぽ!」 「さあ、これであなたは子供を産ませることができますよ。すぐに子作りするのです」 「わかったちーんぽ!あかひげ!ぜつりん!」 みょんは、ありすの待つ愛の巣へ戻っていった。 「ありすー!すっきりするみょおん!れいぽぉれいぽぉ!」 「ゆう…だから、すっきりしてもこどもはうまれないの。ゆっくりりかいしてね」 「こどもができるおまじないをしてもらったみょん!」 「「すすすっきりー!!」」 すると、今までどんなにすっきりー!しても子どもができなかったのが、 ありすの額から蔓が伸び、数はわずかに2匹だが、みょんとありすの実ゆがついている。 正真正銘、二匹のおちびちゃんの誕生である。 「ああ…なんてとかいはなおちびちゃんなの…!」 「ゆっくりうまれるちーんぽ!」 …二人のはじめてのおちびちゃんはすくすく育ち、順調に子ゆっくりとなった。 「おとーさん、おかーさん、おはようだみょん!」 「きょうもとかいはなあさね!」 「「ゆゆゆ!ゆっくりしてるわああ(ちーんぽ)!」」 こどものために狩りをすることは決して大変とは思わない。みょんは実にゆっくり出来ていた。 ある日、みょんが狩りに出掛けると、あの黒尽くめと出会った。 「ずいぶんとゆっくりしているようですなあ…」 「ゆ!ゆっくりするちーんぽ!」 「ゆっくりしてください」 「おかげでおちびちゃんがふたりもできたちーんぽ! じゅんちょうにそだっているちーんぽ! こんど、おちびちゃんのいもうとさんをつくろうとおもうちーんぽ!」 早くも3人目以降の子作りに燃えるみょん。しかし、黒尽くめは首を横に振った。 「その子作りはやめておいたほうがいいと思いますよ?」 「ゆ? どうしてだちーんぽ?」 「元々、一人もできない筈だったのに、二人も出来たじゃありませんか。これを幸運と思って、もうやめるべきなのです」 「いやだちーんぽ! ありすとのおちびちゃんはつくればつくるほどゆっくりできるちーんぽ! こんばんすっきりー!しておちびちゃんをたくさんつくるちーんぽ!」 「これ以降、子作りしたら、大変な災いが起きますよ?それでも子作りするというなら…」 すると、黒尽くめはみょんに指をさし、顔を近づけ、怒号を発した。 「ドーーーーーーン!」 「ゆわああああああ!」 「「すすすすっきりー!」」 みょんは宣言通り、黒尽くめの言うことなんか忘れて、子作りをしたのだ。 「ゆわあああ!こんどは3にんもおちびちゃんだよおお!」 「ゆっくりうまれるちーんぽ!」 しかし、実ゆをよくみると赤いリボン、黒いとんがり帽子、紫のナイトキャップの3匹であった。 「いなかもののおちびちゃんよおおおお!」 「ななななんでだちーんぽ!ありすはうわきさんをしたちーんぽ?」 「うわきなんてそんなとかいはじゃないことするわけないでしょおおおおお!」 「こんなゆっくりできないおちびちゃんはまびきするみょおおおん!」 「ありすのだいじなおちびちゃんでしょお!どぼじでそんなことするのおおお?」 結局、おちびはおちび。みょん似でもありす似でもないのは残念だが、ありすの意見を通して、この子たちを育てることにした。 だが…、 「じじいははやきゅあみゃあみゃもっちぇくるのじぇ!」 「たきゅさんでいいよ!れいみゅきゃわいいでしょお?きゃわいいむちゅめのためにゃらもっちぇくるよにぇえ?」 「むっきゃっきゃ!ぱちぇはてんしゃいよお!」 「ぱちぇよりもありすのほうがとかいはなのよ!んっほぉぉおおおお!」 「ちーんぽ!こだねすぷりんくらー!」 揃いも揃ってゲスだった。最初に生まれた姉二人まで悪影響を受けたのか、すっかりグレてしまっていた。 だが、ゲスな子供でも、みょんにとっては可愛いありすとのおちびちゃんである。 みょんは今まで以上に一生懸命狩りをしたが、5匹もの食べ盛りの子供を食べさせていくほどの餌は取れない。 そこで、みょんは一計を案じ、ありすに美人局をさせ、毎日毎日「ケーキ」なるあまあまを食べてるまりさから、餌の一部を献上させようとしたのだが、まりさは行方不明になってしまった。 その内、餌が足りないおちびたちの文句と暴力に耐えかね、ありすが「さあ、おたべなさい」をした。 それも一瞬で喰らい尽くしたおちびたちの増長はとどまるところを知らない。 「やきゅたたじゅのくそじじいははやきゅあみゃあみゃよこすのじぇ!」 「くそびゃびゃあはまあまあのあじだったね!ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」 「こうえんのけんじゃになりゅにはあみゃあみゃがひつようにゃのよ!」 「んっほぉぉおおおお!」「せーし!らーんし!」 「ゆう…なんでこんなことになったちーんぽ…。それでも、それでも、ありすとのあいだにつくったおちびちゃんはゆっくりできるちーんぽ!」 「「「おにいさんはゆっくりできないいいい!」」」 「おにいさん!?」 みょんが公園の噴水の下でたそがれていると、群れが急に騒がしくなった。 それもそのはず、鬼意惨による公園ゆっくり一斉虐待が行われていたのだ。 みょんが急いで巣に戻ると、鬼意惨が子供たちをすべて潰していた。 「もっど、ゆっくじじだがっだ…」 「おぢびぢゃあああああん!?」 今は亡きありすとの愛の結晶(笑)を潰され、みょんは逆上して、鬼意惨に体当たりをしていた。 「ゆっくりごろしはずっとゆっくりするみょおん!ありすとのおちびちゃんをぉぉぉおお!」 「んん? みょんはありすと番だったのか?」 「そうだみょおおん!よくも、よくもおおおお!」 「そうか、それは悪いことをしたな…なあ、おまえだけは特別に助けてやるよ」 「まら?!」 「それより、俺らの飼いゆっくりになって、新しいありすとの間にたくさんおちびを作らないか?うちのありすはすっごい美ゆっくりぞろいだぞ」 「かいゆっくり!? びゆっくりのありす?! おちびちゃんつくるよおおおお! ありすとのおちびちゃんはゆっくりできるよおおおお!」 「よし、じゃあ行こう」 ありすとの間に出来たおちび達は全滅してしまったが、おちびはまた作ればいい。 みょんは、永遠にゆっくりしたありすの分まで、ゆっくりしたおちびを作ろうと決意した。 それにやっぱり野良はゆっくりできない。飼いゆっくりに戻れるのならそれはそれでいいことだ。 みょんは鬼意惨たちの乗ってきたワゴン車に乗り込んだ。 ワゴンには「鬼意加工所」と書かれていた。 加工所で、みょんは、れみりゃなどの捕食種用の生餌の饅頭製造機として働かされていた。 野良や野生のゆっくりは、れいぱーになるありすとのすっきりー!を忌避する傾向にある。 その点、ありすを番に持っていたみょんは、ありすとのすっきりー!耐性を持っており、まさに適任だった。 「ごろじで、もうごろじでええええ!もうおぢびなんかうびだぐないみょおおおん!」 「んっほぉぉおおおお!こんなにいいのにいやがるなんて、つんでれなのねええええ!」 「ありすのとかいはなあいをうけとってねええええ!」 「んっほぉぉおおおお!」 「「「「すすすすすす、すっきりー!」」」」 過ぎたるは及ばざるが如し。みょんは、おちびちゃんを作りすぎて全員を失いました。 もっとも、みょんは、ありすとのおちびちゃんは作れば作るほど良いと言ってましたから、一生幸せなんでしょう。 うらやましいハ・ナ・シ。 ホーッホッホッホッホッホッ! 完 以下、言い訳 ・感想を沢山ありがとうございます。精進します。 ・前作、最後に紫がまりさを踏みつぶしエンドだったのは、元ネタで喪黒が歩いて去っていく、あれにまりさが巻き込まれるイメージだったのですが、失敗でした。 ・スレで「チェンジリングがれいむだったら」というレスがあったので、それを拝借しました。 ・オチの、紫のスキマつながりというネタを書きたかっただけですが、紫なら能力でハッピーエンドとバッドエンドの境界を弄れるという意味で使っています。たった今思いつきました。
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ここは管理人が投稿した、ちびちゃとでの動画を紹介するページです。 【ちびちゃと】シャースvsしろくま【●ニョロにょろ~】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm12886928 タイピングに見とれてつい・・・。 え?最初?ミスってる? ま、まあスルーで。 何となくコメ。 -- しろくま (2010-11-30 09 22 10) 同じくなんとなく コメ。 -- £ローズ£ (2010-11-30 14 29 09) 名前 コメント クーちゃん 怖獄とちびちゃとやってみた@ニョロにょろ~●REC 再うp希望があったので再うpしました。 雑談動画です。 ちびちゃとと画質が平和だったあの頃。 名前 コメント test ちびちゃと動画 test@ニョロにょろ~ http //www.nicovideo.jp/watch/sm12722207 何故だか自分で投稿したのにこの動画が見れません。 動画の読み込みに失敗しました。 問題解消に向けて努力しております。 しばらく時間をおいて再度アクセスしてみて下さい。 ※クッキーの制限をされている場合、 nicovideo.jpを許可願います。(www.nicovideo.jpではありません) と表示されます。 解る人が居たら誰か教えて頂きたいです・・・。 画質が向上しているのかすら分からない・・・ 画質が!!!とても良いぞ!!! -- さっちゃん (2010-11-12 22 37 39) おつかれーい 画質いいんじゃね? -- suji (2010-11-13 22 51 13) 見れたお。この動画ソフト無料なの? -- 焼きクマ (2011-02-26 21 28 09) 名前 コメント 【ちびちゃと】夜の徘徊【ニョロにょろ~】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm12698441 ははは ・・・ハァ。 画質どうにかなんねーかな・・・ほんと・・・ ちょっとは改善されたと思ったのになぁ・・・。 まったくじゃねーか!テメゴラ。 ってことでどうぞorz 名前 コメント 喧嘩動画~ぴゃっは~8倍速 http //www.nicovideo.jp/watch/sm12663275 どうもどうもの画質乙なニョロにょろ~です 何でこんなに画質悪いのかは聞かないでください。なれてください。 今回は45分という長時間の録画になったので、 とりあえず短くする為に8倍速にしました。 見づらいところは一時停止でもして見てください。 雑魚喧嘩師(龍星)のタイピングの速さが、8倍速によって悲惨なことにwww ぴゃっは~自重 名前 コメント 喧嘩師喧嘩師けんかっか@にょろにょろ(仮) http //www.nicovideo.jp/watch/sm12555970 毎度お馴染み画質乙。 んにしてもまたどうでもいい動画を撮ってしまった・・・。 とりあえずうp(´・ω・`)b 動画名は ほんとーーーーーーーーーーに適当です。 適当すぎてわろたわ。 名前 コメント 喧嘩と雑談 http //www.nicovideo.jp/watch/sm12418035 画質の悪さはいつも通りです。 選曲のセンスもいつも通りです。 タイピング速度や誤字脱字もいつも通りです。 変わったのは俺の熱い心だったんだ・・・。 って感じで うp。 BGMいいなWWWWWW死ねばいいのにWWWW -- 白銀☆ (2010-10-21 18 39 24) 名前 コメント 喧嘩師ムービー@ニョロにょろ~ver すみません。画質しんでる。 なんでだろうな。原因が全く分からない。 まあとりまこれで。 おもろかった。最後の解説が。ありがとう。そしてぷるぷる喧嘩師はたぶん「かのん」 -- 仙人 (2010-07-10 22 21 57) 最後の・・・か。そうか、ありがとう。 かのんか。把握把握。 -- 管理人 (2010-07-10 23 29 21) 名前 コメント
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ちびちゃとニュース +説明 ちびちゃとニュースの説明 ちびちゃとニュースでは、ちびちゃとで起きたことなど クライアントなどの最新情報などを提供するページです。
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ここではちびちゃとの日々を書いていきます 4月1日 はあ、今日はちびちゃとでうそつきまくったわ 4月3日 うっわ、なんだか前からやってたサイト発見、俺のと間違えないように 名前 コメント
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『母性の果てに』 11KB 観察 愛情 育児 共食い 番い 自然界 ある意味ホラー……かも? タイトル:母性の果てに 作 者:ぎふあき ※いつもの地主お兄さんクオリティ ※観察系虐待に挑戦 ※想像し過ぎると気分が悪くなる……かも? おちびちゃん。 ゆっくりにとって、むしゃむしゃやすりすりに次いでゆっくりできるらしい存在。 特にれいむ種はこの傾向が強く、同じれいむ種のおちびちゃんに傾向した愛情を注ぐ。 以下、省略……。 ◆~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 『というわけで……ぼくはいま山に来ています』 『だれにいってるんだぜ?』 『気にするなよ、まりさ。 それより、今日は君にたっぷりと働いてもらうからよろしく』 『わかってるんだぜ。 そのかわり、やくそくはまもってほしいんだぜ』 このまりさ、一週間ほど前に畑の春菜をむしゃむしゃさせろと山を下りてきた野良ゆっくりである。 野良にしては頭が良く、人質……否、ゆん質を取って脅は……コホン。 お願いしたらすんなり云う事を聞いたので今回の計画に参加してもらうことにした。 『分かってるよ、君がぼくに云う通りに行動してくれれば君の愛しいれいむも君のおちびちゃんも無事に解放しよう。 勿論、君も含めて……ね』 こくりと頷いてみせるまりさ。 『……さっさとれいむとまりさのおちびちゃんをたすけて、このくそにんげんをせいっさいしてやるのぜ』 ぎりり……。 と、まりさの歯が軋むのが聞こえる。 ゆん質を取られたとはいえ、自分よりも劣ると考えている人間の言いなりになっているのが相当悔しいのだろう。 『まりさ、れいむたちを助けた後でぼくを制裁しようなんて考えているんじゃない?』 『ゆぐっ!?どうじっ……そんなこと、ないんだぜ』 図星を突かれ、焦るまりさ。 正直、ゆっくりのこういう馬鹿さ加減がたまらなく好きなのだ。 『そうかい。 じゃ、これを君の身体に付けさせてもらうよ』 『なんなんだぜ?』 かげあきが取り出したのは、骨伝導イヤホンを仕込んだ小型通信機。 それを、まりさのおさげの付け根あたりに装着する。 『動かし難いのぜ』 『我慢してくれ、狩りの達ゆんの君ならすぐに慣れるよ』 そういって、通信機の電源を入れる。 『ゆ……?』 【聞こえるかな?】 『あ、あたまのなかでくそにんげんのこえがぁぁああああああ!!?』 あ、目の前ではっきりと云いやがった。 【良好、良好♪】 混乱するまりさだったが、通信機の電源を切ったら落ち着いた。 『これで、まりさはぼくと離れていても話ができるようになった。 じゃ、これから君にやって欲しいことを話すからゆっくり理解してね』 1.まりさは何処かの群れに入れてもらう。 2.適当なれいむ(まりさの自由)と番になる。 3.おちびちゃんを作る(すりすりに限る)。 4.以降、普通の父親として行動。 『それだけなのぜ……?』 『それだけだよ。 番はれいむだけってことを守ってくれれば君は普段通りに生活してくれればいい』 まりさに望むのは、れいむとの番を作ること。 それ以外は求めない。 『ゆふん、そんなのらくっしょうなのぜ!』 そういって、ぽよんぽよんと山の中を跳ねていくまりさ。 きっとまりさはうまくやってくれるだろう。 やってくれなくては困るのだ……。 ◆~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ では、改めて今回の計画を説明しよう。 まず、まりさにはれいむ種との間に植物性妊娠でおちびちゃんを作ってもらう。 『れ、れいむ……』 『ゆふ、まりさぁ』 『『す~りす~り・・・・・・・すっきりー!!』』 まりさの額の部分に埋め込んだ小型カメラで実ゆっくりが生まれるタイミングを見計らい、ぼくがまりさたちの巣にラムネガスを噴射。 『ゆ、なんなんだ…ぜ…?』 取り出したれいむの額から伸びる実ゆっくりの生った蔓を切り取り、事前に用意した別の番(まりさ×ありす)の蔓を移植する。 『ゆぴっ……!』 次に、切り取っておいた実ゆっくりに中かられいむ種だけを無事に蔓から落とし、中枢餡に傷をつけることで足りないゆっくり化(二匹ほど失敗)。 『おきゃぁちゃたすきゅぴっ……ゆっきゅ、ゆきゅっ♪』 仕上げに、もう一度ラムネガスを吹きかけて巣に戻す。 『おちびちゃ……すーやすーや』 以上の工程を終わらせ、いま巣の中には 父まりさ 母れいむ 足りない赤れいむ 実ゆっくり(まりさ種×2、ありす種×1) という状況が出来上がった。 ◆~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 『ゆ…ゆぅ~ん、あささんだね。 おちびちゃん、きょうもゆっくりおはy……』 母れいむは絶句した。 額に実ったおちびちゃんはとてもゆっくりした表情で眠っている。 が、母れいむはそのおちびちゃんを見ても全然ゆっくりできないでいた。 『どうじでれいむにのたおちびちゃんがいないのぉぉおおおおおおお!!』 ありえない、ありえない、ありえるはずがない。 ゆっくりできない、ゆっくりできない、ゆっくりできるわけがない。 自分によく似たおちびちゃんが三ゆんもいたはずなのに、何故か額の蔓には一ゆんもいないのだ。 それどころか、あの嫌味な隣のありすに似たおちびちゃんがいる。 これでは自分がゆっくりできないではないか。 『おちびちゃん、おちびちゃんゆっくりしてないででてきてね。 れいむにのおちびちゃん、ゆっくりしてないでででぎでねぇぇええええ!』 半泣きで巣の中を探しまわる母れいむ。 額に実ったおちびちゃんが危険に晒されているにも関わらず、狂ったように自分似のおちびちゃんの姿を探す。 『ゆっきゅ、ゆっきゅりゅ……』 『おちびちゃん!?そこにいるのはれいむにのおちびちゃんなのぉおおお!!?』 ぐるりと声のする方を向く母れいむ。 巣の隅っこで蠢く小さな塊に、見覚えのある紅白のりぼんが見えた。 『おちびちゃぁぁああああん! よがっだよぉぉおおお、よかっ…た…?』 『ゆっきゅ、ゆっきゅりゅ、ゆきゃっきゃ♪』 変わり果てたおちびちゃんがいた。 お口を半開きにして涎を垂らし、宝石の様なおめめは焦点が合わず、ただのゆっくりとすらも言えない生物。 これがあのおちびちゃんだろうか? この群れ一番の美ゆんであるれいむと、一目惚れしたまりさとの間に儲けたさいっこうの餡等を授かったおちびちゃん。 そのおちびちゃんが、こんなゆっくりできない姿になってしまった。 『ゆぅぅ…れいむ、うるさいんだぜ。 ゆっくりできないんだぜ』 『まりざぁああ、おちびちゃんが…おちびちゃんがぁぁああああああ!!』 『あわてちゃだめなんだぜ。 そんなことより、あたまのおちびがそろそろうまれそうなんだぜ』 気怠そうに眼を開けたまりさは淡々と父親の職務を全うする。 まりさは、昨日の間にあのくそにんげんが来ることを事前に聞かされていたので、別段慌てることはなかった。 全ては愛するれいむのため。 目の前にいるれいむに対してどうという感情は抱いていなかった。 『ゆぅぅ……そうだね。 れいむのおちびちゃんは、れいむたちがゆっくりさせるよ!』 まりさになだめられ、れいむは落ち着いて考えることにする。 いまはゆっくりできていないれいむ似のおちびちゃんも、ちゃんと育ててあげればきっとゆっくりできる美ゆっくりになるはず。 そんな自分に優しい未来を想像してゆっくりを得たれいむ。 そうこうしているうちに、頭の生っていたおちびちゃんたちが産まれた。 『『『ゆっきゅりしちぇいっちぇねぇ!!』』』 『ゆっくりしていってね、おちびちゃん』 『ゆっくりしていってね、おちび』 そう……きっと、何もかもうまくいくはずだ。 れいむの未来は希望で満ち溢れている。 ◆~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ま、そんなことがあるはずがないのだが……。 『おちびちゃんんん!?なにしてるのぉぉおおおお!!』 『にゃにって、いにゃかもののまりゅだしのおうちにときゃいはにゃこーでねーとしちぇりゅのよ? みゃみゃはじゃましにゃいでにぇ、ときゃいはじゃにゃいわ』 赤ありすは、少し目を離した隙にお家に枯葉や枝を持ち込んでは意味の分からない『こーでねーと』をし、 『ゆっきゅ、きゃっきゃっきゃっ♪』 『ゆぴゅぴゅ、まっちゃきゅゆっくりしちぇないんだじぇ。 うりうり、なんだじぇ』 『ほーりゃ、えだしゃんなのじぇ? こわいのじぇ? きょわきゃったりゃにげりゅのじぇ』 『ゆぴっ!?ゆぴぃいい!!』 『なにじでるのぉぉおおおお! ながよぐじなきゃだめでじょぉぉおおおおおおお!!』 赤まりさたちはお姉ちゃんであるれいむをゆっくりできないとちょっかいを出し、 『ゆぴっ?ゆぴ、しゅきゅり~♪』 『どうじでぞんなどごろでうんうんしちゃうのぉぉおおおお!!?』 足りないゆっくりである赤れいむはそこらかしこでうんうんやしーしーを巻き散らしてはゆっくりできなくさせられる。 『まりさぁ、れいむいくじきゅうかさんがほしいよ。 このままじゃ、れいむぜんぜんゆっくりできないよぉ』 『れいむ、まりさもまいにちかりにでかけてつかれてるんだぜ? れいむもたいっへんだとおもうけど、おちびちゃんのねがおをみてゆっくりするんだぜ』 夫であるはずのまりさも最近はすりすりすらまともにしてくれず、狩りから帰ってきたと思えばすぐにすーやすーやしてしまう。 誰もれいむをゆっくりさせてくれない。 夫も、おちびちゃんも……小さなれいむ似のおちびちゃんも。 『ゆぅぅ、ゆっくりできない……できないよぉぉおおお』 次第に追い詰められていくれいむ。 何故、自分がこんな目に合わなければいけないのか。 何故、れいむ似のおちびちゃんだけがゆっくりできなくなってしまったのか。 何故、何故、何故……。 ゆっくりできない考えだけが餡子の頭の中を満たし、余計にゆっくりできなくなっていく。 ――――にげだしたい。でも……。 こんなにゆっくりできないのならおちびちゃんなんて作らなかった。 そもそも、おちびちゃんはゆっくりできるなどと云っていたのは誰だったであろうか。 親だろうか、まりさだろうか……それとも、れいむ自身だろうか。 ――――にげたら、おちびちゃんはゆっくりできないよ。 『ゆひっ、ゆひひひひひ……』 気付けば、れいむはおちびちゃんたちが眠る貴重なふかふかさんで作ったベッドの前に立っていた。 このベッドを作る為に、どれほど苦労しただろうか。 苦手だったお隣のありすに頭を下げてまで作り方を教えてもらい、なんどもなんども失敗を繰り返して作り上げた一品。 ――――それも、いいおもいでっだね。 『おちびちゃん、おかーさんといっしょに――――』 口を開け、器用に舌を使っておちびちゃんたちをお口の中に入れていく。 昔、れいむのおかあさんがれみりゃから守るときにそうしてくれたように、やさしく、静かに。 ――――ゆっくりしよう、ね? 『ゆぴぃ?ゆっきゅりゅ、ゆきゅ――――ぴぇっ』 『むーしゃ、むーしゃ……ししししあわせぇえええええ!!』 口の中でぷちぷちと潰れていくおちびちゃんたち。 口一杯に広がる甘みが、これまでにないほどのゆっくりをれいむに与え、れいむの口から出る『しあわせ』の言葉。 寒天の目から溢れる砂糖水の涙は、おちびちゃんを噛み砕いた悲しみか、それとも口に広がる甘味からくるゆっくりからか。 『ゆひひ、おちびちゃん……おかあさんのおなかのなかで――――ゆっくりしていってね!』 ◆~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 『うっわぁ、凄いのが撮れちゃったよ』 と、かげあきはまりさ内臓のカメラから送られてくるパソコンの映像を覗き込む。 れいむ種の母性が強いのは、ゆっくり科の教科書にも載っている知識だ。 かげあきが予想していたのは、ゆっくりを求めたれいむが育児放棄をするという光景だったのだが……。 『まさか食べるなんてね……。 そうは思わないかい、れいむ』 かげあきは椅子をくるりと回転し、透明な箱に入った成体れいむと子れいむと子まりさ。 三匹とも砂糖水の涙を流し、大口を開けてこちらを睨みつけている。 『くっは、どうせ聞こえないか』 この三匹には、まりさから送られてくる映像を一緒に見てもらった。 番を作り、他ゆんとすっきりをし、最後の惨劇まですべて。 『さて、朝になる前にまりさを迎えにいかないと。 れいむに食べられたら大変だ』 まりさを回収したら、約束通り親子揃って解放してあげよう。 その後は……何が起こるだろうか。 逃げるだろうか、挑みかかってくるだろうか、それとも今回の様に予想外の行動をしてくれるだろうか。 そう考えると、笑いが止まらなくなってくる。 『欲望に素直なゆっくり……ぼくも大して変わらないなぁ』 あとがき~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 此処まで読んでくださってありがとうございます、ぎふあきです。 いやはや、此処まで長い(?)のSS書くのは集中力をがりがり削られますね。 私のSAN値は常時一桁ですがw あと、最近私の口調がおかしいです。 たぶん、BA〇〇RAの松永さんの所為です。 弾正あきに改名しようかと悩んでます。 おかげで地主お兄さんが若干松永化しています。 そのうち『卿からは……ゆっくりを貰おう』とか言い出しそうですww 悪くないですね ← おいw それでは皆さん、また次の作品でお会いしましょう。 ~これまでに書いた物~ anko4143 地主お兄さんの日常 anko4145 地主お兄さんの通勤~電車の中のれいむ~ anko4155 暴風警報につき
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『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!(中編)』 39KB 愛で 制裁 観察 自業自得 育児 飼いゆ 野良ゆ 子ゆ 愛護人間 うんしー まだ半分ぐらい。全四回ぐらいになりそうな…… 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 anko2889『いっしょにゆっくりしていってね!』 anko3521『ゆっくりつかいすてていってね!』 anko3542『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』1 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』2 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆゆ~ん!!きょうもおちびちゃんたちはゆっくりしてるよぉ~~!!」 ゆっくり達の間の抜けた声が家中に響く。 それぞれ「ゆっくち」と「ときゃいは」を壊れたラジオのようにひたすら連呼しながら、 赤れいむと赤ありすはそこらじゅうをずりずりと這い回る。 まだぴょんぴょんと飛び跳ねられるほど成長はしていない。 身体の大きさに反比例するのかどうか、ゆっくりは子供になるほど声が大きく、キンキン甲高い。 声も耳触りだが、それ以上に辟易するのはその汚さだ。 前述したように赤ゆっくりは顔中を涎まみれにし、這い回りながら平気でしーしーとうんうんを垂れ流す。 そのおかげで赤ゆっくりの通った床はべたべたして不快極まりない。 タオルを敷き詰めたゆっくりハウス近辺ならまだいいが、 身体が弱いくせに好奇心は人間以上の赤ゆっくり共は部屋中を回ろうという勢いで動き回る。 当てずっぽうに這いまわっているようでいながら、その這う方向は常に外側へ外側へと向かい、 明確に行動範囲を広げる意思が見てとれた。 そんな物体を眺めながら、れいむとありすは「ゆゆぅぅ~~~ん」と目を細めている。 可愛くて可愛くてしょうがないらしい。 「ちょっと!!」 私の怒鳴り声にびくっと身をすくめる両親。 おずおずと私のほうを見上げてくるが、その目には怯えとともに「またか」といううんざりした色が混じっている。 うんざりしているのはこちらだ、思わず声を荒げる。 「子供を好き勝手に動き回らせるなって言ってるでしょ!?べたべたべったべた汚いのよ!!」 「ゆゆぅ、ごめんなさい、おねえさん……」 「何回も言ってるわよね?そのたびにあなたたち謝ってるけど、ちっとも努力してるように見えないんだけど!」 「ごめんなさい、ありすがよくいってきかせるから……」 「だから毎回それ言ってるけど、何をどう言って聞かせてるのよ。ちょっとやってみせてよ、今すぐ」 「ゆぅ……」 互いに視線を交わしてから、不貞腐れたようにずーりずーりと子供の元へ這ってゆくれいむ達。 「ゆゆ、おちびちゃんたち、おかあさんのところへきてね!!」 「ままのそばでゆっくりしましょうね!!」 「ゆわーい!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!」 両親の呼びかけに目を輝かせ、もみあげや髪をわさわさと波打たせる赤ゆっくり達。 はずみでしーしーが漏れた。なにかに反応するたびに小便を垂れ流す。 「さ、ぺーろぺーろしてあげるわ。じっとしてて」 「みゃみゃ、ぺーろぺーろ!!ときゃいは!!ゆきゃきゃきゃっ!!」 「おきゃーしゃんゆっくちー!!しゅーりしゅーりちてー!!」 「ゆゆ~ん!!おちびちゃん、すーりすーり!!かわいいよぉぉ~~!!」 いちゃいちゃと乳繰り合うばかりでいつまでたっても注意しようとしない。 いらいらしながら例の脅し文句を出す。 「家の中を汚すようなゆっくりは処分するわよ?」 「ゆー………ね、おちびちゃんたち、あんまりうごきまわっちゃだめよ?おねえさんがこまっちゃうからね」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「おかあさんのそばからはなれないでね!!ずっといっしょにゆっくりしようね!!」 「ゆっくちりきゃいちたよ!!ゆっくちーっ!!」 「ゆゆぅぅぅ~~~ん!!とってもすなおでききわけがいいこだよおおぉぉ~~~~!!」 「あなたたちならとってもとかいはなれでぃになれるわよぉ!!」 「ゆーっ!!ときゃいは!!れでぃ!!ときゃいは!!」 相好を崩す両親だったが、傍から見れば全く叱っていないし、子供もまるでわかっていない。 ただ自分が褒められているらしい言葉や自分をゆっくりさせる言葉にだけ敏感に反応しているだけだ。 ことに赤ありすの反応はひどい。ただときゃいはときゃいは連呼してるだけにしか見えないが、足りないのだろうか? 私のほうは、もうなんかいろいろと後悔していた。 ともかく、「処分する」という脅し文句を気軽に使いすぎた。 この子育て体験学習が始まってから私はひっきりなしに迷惑をかけられ通しで、 そのたびに「きちんと育てられないなら処分する」と言い続けてきたのだが、 何回も繰り返した結果、「本気で言ってるわけじゃない」と思われたようだ。 すっかり当初の危機感は薄れ、私の怒りは適当にあしらってすませようという腹の底がありありと見えた。 「とにかく汚れた床は掃除しときなさいよ!」 濡れ雑巾を床に投げつけ、私はソファに身を投げ出した。 それを舌で取り、こちらをちらりと一瞥してからありすが「ごーし、ごーし」と床を拭き始める。 ゆっくりにとっての掃除といったら舌でぺーろぺーろと舐めることだが、砂糖水をさらに塗りたくられても困る。 だから雑巾の使い方は教えてある。 とはいえゆっくりの掃除などたかが知れたもので、あとで私が仕上げしなければならないのが腹立たしい。 一方、れいむの方は赤ゆっくり二匹を頭に載せてゆっくりハウスに引っ込んでしまった。 「おしょらをとんでりゅみちゃい!!」「ゆきゃーっ、ゆーっ!!」「ときゃいは!!」などと叫び声は絶えなかった。 子育て体験学習を始めてから四日が過ぎた。 そして今れいむたちはといえば、まったく育てていなかった。ただ一緒になって遊んでいるだけだ。 限界だ、と思った。 この二匹が、飼いゆっくりとしてまともにやっていけるように子供を育てられる目算はゼロだ。 そのため処分しなければならないが、二匹が自分の無能さを納得できるように、最後のチャンスを与えなければならない。 ―――――――― 子供が生まれてから二日と少しの間は、ひっきりなしに食事を求めて泣きわめく赤ゆっくりの世話に追われ、 両親はげっそりと疲れていた。 自分たち親を無視して、ただ出される食事とだけ向かい合う赤ゆっくりに対し、 愛情と意欲を保てるかどうかが最初の瀬戸際だったと言っていい。 凡百のゆっくりなら「おやをゆっくりさせないげす」ということで潰しているケースだろう。 その点については、結果から言うと難なくクリアできた。 飼いゆっくりとしての素養が下地にあったからだろうが、 赤ゆっくりがわずかずつ成長し、両親との対話をするようになる段階まで、れいむとありすは子供を潰さずに堪えきった。 れいむとありすの、子を思う愛情は本物だったわけである。 しかし、愛情だけがあっても分別がなければ教育は成立しない。その分別が、れいむとありすには欠けていた。 それはつまり、最悪のケースだということであった。 「しゅーりしゅーり!!しゅーりしゅーり!!」 「ゆうううぅぅおちびちゃんっ!!すーり、すーり!!すーりすーりいぃぃ!!かわいいよおおぉぉぉぉ!!!」 「さ、おちびちゃん、とかいはなれでぃとしてみだしなみをととのえましょうね!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!ゆっくちー!!」 二日と半日を過ぎたあたりで、少し成長した結果親と対話をする余裕ができ、 赤ゆっくり達は積極的に親にすり寄り、すーりすーりをねだるようになった。 一転して可愛げを見せてきた子供たちに、れいむとありすの理性のタガはあっさりと外れた。 可愛い可愛いとわめきながら一日中いちゃいちゃと頬ずりし合っている。 仲睦まじいのは大変結構だが、問題は飼い主の自分に面倒をかけないかどうかなのだ。 その点においては、二匹の子育ては壊滅的だった。 一応、始めの頃はしつけらしき行動を見せることもあったのだ。 「ゆっ、おちびちゃん、むーしゃむーしゃのときにこぼさないようにしようね!!」 「「むーちゃむーちゃ!!むーちゃむーちゃ!!ぱにぇっ!!しゅっげ!!」」 「ゆー、おちびちゃん!おかあさんのおはなしをききましょうね?」 親の話に全く耳を貸さない子供たちに手を焼き、ありすが舌で食事を一旦退けたことがあった。 「ゆ?」「ときゃいは?」 一心不乱に貪っていたゆっくりフードが目の前から消え、赤ゆっくり達は一瞬きょとんと呆けた。 そして、ありすがフードを舌で退けているのに気付くと、ずりずりとそっちの方に這いはじめた。 「ゆっ、おかあさんのおはなしをきいてからたべようね!!」 そう言ってれいむが二匹のゆく手を舌で遮る。 再びきょとんと眼をしばたたかせ、彼方のゆっくりフードと、そこまでの道を遮る二本の舌と両親の顔を交互に見やると、 赤ゆっくりたちはぶるぶるぶるぶると震えだし、そして爆発した。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!!」 「どがいばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーー!!」 ありすもれいむも、見ていた私もぎょっとした。 生まれて初めて、自分の欲しいものが手に入らないという状況にぶつかった赤ゆっくり達の癇癪はすさまじかった。 顔中をぐしゃぐしゃにし、歯茎を剥き出し、涙と涎としーしーを撒き散らし、もみあげや髪をばたばた振り回して床を叩いた。 「いじべりゅうううううう!!おがあじゃんがいじべりゅうううううう!!!ゆ゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「おじゃがじゅいじゃあああああ!!!だべりゅ!!らんぢじゃんだべりゅううううう!!!どぎゃいばああああ!!」 激しくびたんびたんと床の上を跳ねる二匹に、れいむ達と私はしばらく呆然としていたが、 ありすがようやく二匹をなだめにかかった。 「ち、ちがうの!おちびちゃん!!いじめてるんじゃないのよ!! た、ただ、むーしゃむーしゃのまえにままたちのおはなしを………」 「ゆ゛じゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぶう゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃああああん!!!」 体中をぐんにゃりと歪ませてこの世の終わりのような唸り声を漏らす赤ありす。 狂ったように食事を催促してもみあげをぴこぴこぴこぴこ振り回しキーキー声をはりあげる赤れいむ。 子供たちの狂態に完全に圧倒されてしまった両親は、慌ててゆっくりフードを子供たちの前に押しやった。 「ご、ごめんなさい!!ほら、らんちさんよ、むーしゃむーしゃしてねっ!!」 「「ゆゆっ!!」」 赤ゆっくり達は憑き物が落ちたかのようにぴたりと止まり、すぐに顔中を笑顔にしてがつがつと食事を貪りだした。 両親はそこでふうと息をつき、胸をなでおろしていたが、私の中の不安は募るばかりだった。 赤ゆっくりの反応自体はこれが一番ひどかったのだが、 より決定的だったのが次の一件だった。 そこらをずりずり這い回るようになった赤ゆっくりは、ことのほかティッシュが気に入ったようだった。 床に置いていた私が迂闊だったのだが、二匹の赤ゆっくりはティッシュを見つけると、すぐに引っ張り出して遊びだした。 赤れいむはティッシュが抜けていく感触が面白いらしく、口に咥えて引っ張り出してはそこらに放りだし、すぐに次を咥える。 放りだされたティッシュを赤ありすがかき集め、 「ときゃいは!!こーでぃねーちょ!!」とわめきながらぐしゃぐしゃにしたり破いたりしていた。 始めのうちこそ、両親は「ゆううぅ~~……おちびちゃんゆっくりしてるよおおぉぉ~~……」と喜んでいたが、 私が床をドンと踏みつけると、不承不承動きだした。 どうも私がおちびちゃんの可愛さにやられるのを期待しているふしがあり、私がせかすまで動かない。 ともかく両親は、おちびちゃんを抑えてやめさせようと試みた。 「ゆゆっ、おちびちゃん、ちらかしちゃめっ!だよ!!」 「とかいはなれでぃならこんなことはしないわよね?」 子供の体を押さえ、微笑を浮かべて諭す親に向かって、子供たちはまた爆発した。 食事ほど切迫してはいないようで、前回ほど大声で泣きわめくことはしなかったが、 今回子供たちが見せたのは敵意と害意だった。 「れいみゅをじゃましゅるおきゃーしゃんにぷきゅーしゅるよ!!ぷきゅーっ!!」 「ゆぅううううううぅ!!?」 両親は狼狽した。 ゆっくりの威嚇行動である『ぷくー』は、ゆっくり当人にとっては威嚇行動以上の意味がある。 経験のない赤ゆっくりや妄想の激しいゲスが「まりささまのぷくーでゆっくりしぬんだぜ!!」などと叫ぶケースがあるが、 ぷくーで相手が死ぬか、ないしはダメージを受けると本気で思っているのは珍しいことではないのだ。 そんな赤ゆっくりにぷくーをされるということは、可愛いわが子が自分を殺そうとしているということである。 れいむ達は焦った。 「やべでっ!!やべでねええぇ!!ぞんなごどじだいでええぇぇ!!」 「なんでえええええ!?あんなにながよじがぞくだっだでじょおおおぉぉ!!?」 「ときゃいはにゃこーでぃねーちょをじゃましゅるみゃみゃにゃんかきりゃいだよっ!!」 「「ゆっがーーん!!!」」 わざわざ大声で宣言するほど、両親のショックは大きかった。 赤ありすからもぷくーをされ、そのうえ嫌いとまで言われた。 ぴこぴこをわさわさと震わせ、れいむは泣きながらわが子に詫びた。 「ゆぇええええん!!ごべんで!!ごべんでおぢびぢゃあああん!!」 「おでがいだがらままにぞんなごどいわだいでえええええ!!」 「ゆゆっ!!あそぼうね!!おかあさんといっしょにあそぼうねええ!!」 「ままもいっしょにあそぶわっ!!ままもなかまにいれてちょうだいっ!!」 「「ゆわーいっ!!」」 さっきまで殺そうとしていた両親にそう言われた途端、一転して子供たちはぱぁっと笑顔になって喜び、 家族ぐるみでティッシュを散らかしはじめた。 どうやら、この子供たちは、根っからのゲスというのとは違うらしい。 よくはわからないが、たぶん……さらに厄介な何かだ。 だが、もっと厄介なのは、このれいむとありすだ。 わが子に嫌われているとわかると焦っておたおたし、子供の意を通してしまう。 人の親として、いや違った、ゆっくりの親として最悪に近い性格だった。 その時は、子供たちが眠ってしまってかられいむ達が必死にティッシュを片付け、 私に向かってびたんびたんと土下座で詫びてきた。 そこまではまだ可愛げはあったわけである。 しかし、その件をきっかけに、れいむとありすは実質子供たちの奴隷と化した。 子供たちに嫌われるのを怖れ、その癇癪に怯え、甘い言葉と態度ばかりで接し、ひたすらゆっくりしていると誉めそやす。 子供たちもその気になり、生まれてからずっと自由奔放に振舞っていた。 部屋は散らかり、夜中までわめき声が響き、私のストレスは高まるばかりだったが、 私に促されても、二匹は子供たちに強く出ようとはしなかった。 自由勝手に遊び回る子供たち、それを見ているだけでゆっくりできるれいむとありす。 我慢しているのは私だけだった。 当初の約束などどこ吹く風、れいむとありすは日を追うごとに真剣味を薄めていき、 飼い主の私は適当になだめておけば済むと思っているようだった。 そう、限界だった。 躾け直さなければならない。私はれいむ達の尻を叩くことにした。 ―――――――― 「もう、いいかげんにしなさい!!」 「「ゆゆっ?」」」 床を踏み鳴らして怒鳴りつける。 うんうんとしーしーまみれの汚いタオルをずるずると引きずりながら台所にまで這い出てきた赤ゆっくり達。 仁王立ちの私を見上げ、きょとんと呆けている。 二匹に向かって私はさらに怒鳴った。 「こんなとこまで出てきちゃ駄目でしょ!ハウスに戻って!!」 「ゆっくちぃ~?」 「ときゃいは?」 赤ゆっくり達は言われても全く理解しておらず、首をかしげてゆんゆん揺れている。 「戻りなさい!!」 床を踏み鳴らしてさらに大声を張り上げると、ようやくゆっくりできない雰囲気だけは伝わったようで、 涙目になってぶるぶる震えてから「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」と喚き出した。 「ゆゆっ!!おちびちゃん、だいじょうぶ!?」 そこでありすが駆け寄ってきた。 父親が到着したのを見て、赤ゆっくりはぱっと笑顔を浮かべ、「ゆっくり!!ゆっくり!!」ともみあげを振る。 「あんたたち、ぜんっぜん躾け出来てないじゃないの!!」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!れいむ、おちびちゃんをおねがい!!」 「ゆっ!!おかあさんといっしょにゆっくりしようね、おちびちゃん!!」 怒声を上げる私とゆんゆんはしゃぐ赤ゆっくりの間に割って入り、横目でれいむに指示を送るありす。 れいむがもみあげで子供二匹を引きよせ、そそくさとハウスの方に向かっていく。 もみあげを振りながらスタンバイし、母親に運ばれてゆきゃゆきゃ喜んでいる赤ゆっくりが腹立たしい。 父親が取り残されている剣呑な空気に、まったく興味もわかないのだろうか。 「ちょっと、その子たちこっちに戻しなさい!!」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!あとでありすがいってきかせるわ!!ごめんなさい!!」 毎回この調子だ。 私が怒れば、両親はとにかくその場から子供たちを引き離し、 片方が私をなだめすかし、片方がゆっくりハウスで子供をあやすという形が完成されていた。 徹頭徹尾、ゆっくりできないもの、剣呑な雰囲気には子供を近づけない。 赤ゆっくり達にこれ以上ないほど苛立ってはいたが、同時に哀れだった。 こんな育てられ方をしたゆっくりがどんな一生を送るのか、他人事ながら想像するだけでぞっとする。 この場で殺してしまったほうが慈悲だとさえ思えた。 「もういいわ。処分します」 「ゆーっ!!ごめんなさい!!ありすたちがんばるわ!!ごめんなさい!!」 ありすの謝罪にも、もはや逼迫感は薄い。今回もなだめれば済むと思っているようだ。 しかし今回は違う、私はずかずか歩き出した。 「ゆ~ゆ~ゆっくり~♪……ゆゆっ?」「ゆっ?」「ときゃいは?」 れいむと子供たちが立てこもっているゆっくりハウスの屋根を引き剥がす。ワンタッチで取り外し可。 子供たちに歌を歌っていたれいむが、きょとんと私を見上げる。 私は一切構わず、二匹の赤ゆっくりをひょいと取り上げて、三角コーナー用の小さなビニール袋に詰め込んだ。 「おしょらをとんでりゅみちゃい!!ゆっ!!こーりょ、こーりょ!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!こーりょ、こーりょ!!」 状況がわかっていない赤ゆっくりは、ぶら下げられて揺れるビニール袋の中でゆきゃゆきゃはしゃいでいる。 一方、両親は悲鳴をあげていた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ーーーーーーーーーっ!!!?」 「どぼじでえええええ!!?がえじで!!おぢびぢゃんがえじでええええええ!!!!」 「処分します。この子たちは加工所に送るわ、こんなんじゃ貰い手もつかないでしょうし」 「がごうじょいや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!?」 どばどば涙を流し、二匹は私の足にぽむぽむ体当たりを繰り返した。 「どぼじで!?どぼじで!?どぼじでがわいいおぢびぢゃんにぞんなごどでぎるどおおおぉ!!? おねえざんはゆっぐじじでだいよ!!おにだよっ!!びどずぎるよおおおお!!!」 「じんじられないっ!!なんで!?おぢびぢゃんががわいずぎるがらじっどじでるのおおお!!? ぎぎわげのないごどいわないでがえじなざいっ!!いながもの!!いながもの!!いながものおおおお!!!」 「約束!!!」 「「ゆ゛っ……!!」」 ぎゃあぎゃあ抗議してくる二匹に向かって、私はぴしゃりと言い放った。 「この子たちを生んで、育てる。それを許すために条件があったわよね? 私とした約束、覚えてるんならここで言ってごらん」 「ゆ…………」 「……お、お、おねえさんが………ゆっくり………」 「大きな声で!」 「!!………お、おねえさんがゆっくりできなくなったら、おちびちゃんを、すてる………」 「わかってるじゃないの。約束通りじゃない、何もおかしくないでしょ。 まさか、おちびちゃんが私をゆっくりさせてたなんて言わないわよねえ?」 「………!!………!!ぞんなっ………ぞんなあああ!!」 「ぼんどうにずでるなんでおぼわないでじょおおおおお!!?」 「信じなかったのはあんたたちの勝手。約束通り捨てるのは私の勝手。 これに懲りたら、次から飼い主との約束は真面目に受け取ることね」 ビニール袋の口をきゅっとねじり、こま結びに固く結わえてしまうと、台所の上に無造作に放り出した。 ゆべっ、と台所に叩きつけられた赤ゆっくりはゆぎゃあゆぎゃあと泣きわめきはじめた。 「ゆああ゛あ゛あ゛!!ないでる!!おぢびぢゃんないでるうううぅうぅ!!」 「泣こうが笑おうがどっちでもいいでしょ、どうせ死ぬんだから」 「びどいいいぃぃ!!おねえざんにはごごろってものがないのおおお!!?」 「それはあんたたちの方でしょ。可哀想だと思わなかったの?この子たち」 「「だんでえええええええ!!!?」」 「こうならないようにする方法はわかってたでしょうが!!」 座り込み、床をばぁんと叩く。びくんと萎縮する二匹に私はたたみかける。 「いい!?飼い主の私に迷惑をかけない、ゆっくりしたゆっくりに育てる。それが条件だったはずよ。 そうならなければ処分される。さあ、処分されないようにするにはどうしたらよかったの!?」 「ゆ………ゆ…………」 「それは…………」 「私がゆっくりできるように躾けることでしょ!?あなたたちがそれをしなかったから駄ゆっくりになった。 あの子たちが駄目になったのも、これから処分されるのも、あなたたちが躾けなかったからよ! なんで躾けようと思わなかったの!?これから死ぬのよ、あの子たち、あなたたちのせいで!!あなたたちが選んだことよ!!」 「ゆ………ゆぅ……ゆぐううぅぅ………だって………ゆううぅ」 「……でも……でも………ゆぅ……でもおおぉぉ………」 目をそらし、言葉を濁している。その表情から、考えていることは手にとるようにわかった。 「おちびちゃんを見せれば飼い主も考えを変える」という楽観的予測は、子供を勝手に作ったときから変わっていなかった。 とにかく、ただ子供をゆっくりさせていれば、その可愛いゆっくりぶりに飼い主もほだされ、処分する気を失うだろう。 頭からそうあてこんで、ゆっくりできない躾なんかやらないでいたのだ。 まあ、それならそれでいい。 毅然として処分すれば、この二匹にもいい勉強になるというものだ。この体験学習に意味はあった。 哀れなのは赤ゆっくりなのだが、 残酷なようだが、スーパーに行けばひと山いくらで食用が売られ、 街中ではあちこちで死体をさらし、毎日のように駆除されているゆっくりである。 ぶっちゃけ、ある程度ドライにならなければゆっくり飼いなどやっていられない。 もともと処分するはずだったものを、れいむ達の躾のために利用し、用が済んだから予定通り捨てるというだけだ。 善行を施してやっている気などなく、ゆっくりを私の癒しのために利用しているのは自覚している。 しかし、街中で卑屈に物乞いをし、飼いゆっくりにしてくれと叫ぶ野良ゆっくりを見ていると、 ゆっくりにとって一生を自由な野良として過ごすほうがいいのか、 それとも飼いゆっくりとして人間に利用されるほうがいいのか判断はつかず、 ゆっくりを利用することに罪悪感はあまり湧かないのが正直なところだ。 そういうわけで、利用価値のない赤ゆっくりはポイさせてもらう。 しかし当然、れいむとありすはしつこく食い下がり、無視する私に向かって慈悲を乞い、無慈悲さを糾弾してきた。 二十分ほどもわめかせたところで、私は最後のニンジンをぶら下げてやった。 「じゃあ、もう一度だけチャンスを与えます」 「「ゆゆっ!!?」」 台所からビニール袋を持ってきて、鋏で口を切り開き、中の赤ゆっくりを二匹の前に転がしてやる。 涙と涎としーしーとうんうんがビニール袋の底の角にたっぷりと溜まっており、思わず「うぇっ」と呻いてしまった。 そんな密封された袋の中でさんざん転げ回ったらしく、赤ゆっくりも全身がびっしょりである。 そんな赤ゆっくりに舌を伸ばし、泣きわめく子供たちを涙目になってぺーろぺーろと舐める両親。 「ゆぅぅうぅうぅんん!!ゆうううううぅぅん!!よがっだ!!よがっだよがっだよがっだよおおぉぉぉ!!」 「べーろべーろ!!べーろべーろ!!いっじょよ!!ずっどずっどずーっどままどいっじょよおおぉぉ!!」 「ゆぎゃあああああああ!!ゆっぎゃあああああああん!!」 「ゆびいいぃい!!ゆびぇええええーーーーっっ!!」 ばぁん、とまた床を叩き、こちらに注目を向けさせる。 「五日後に、銅バッジ試験を受けさせます」 「ゆっ…………」 行きつけのゆっくりショップで、銅バッジ認定試験を受けつけていた。 バッジ試験といってもいろいろあり、銅、銀、金、プラチナとランクが分かれている。 銀や金といったバッジは、正式なゆっくり関連施設で試験が行われ、 ほぼ人間に準ずる権利と責任が与えられるプラチナ試験ともなれば、国立の最高機関主催のもとで年に一回行われるだけだ。 だが、単に「飼いゆっくりです」という印程度の意味しかない銅バッジなら、 マニュアルに従って試験を受けさせたうえで、市井のゆっくりショップ店員が自由に認定していいのだ。 だから、主に飼いゆっくりが生んだ子供を対象に、料金をとって銅バッジ試験を行っているショップは多いのである。 「そこでバッジがもらえるように躾けなさい。 その試験で、銅バッジがもらえなければ、その子たちはアウト。今度こそ処分します。 そうしたくなかったら、死に物狂いで育てることね」 「ゆゆっ!!ゆっくりわかったよ、おねえさん!!」 「ありすたちがぜったいとかいはなれでぃにそだててみせるわっ!!」 「ゆびぇえええぇん!!しゅーりしゅーりちてよおぉぉ!!」 「どぎゃいば!!どびゃいびゃああぁ!!ぺーりょぺーりょちてええぇ!!」 声は威勢がいいが、1ミリも信用できない。 私たちの会話に全く関心を抱かず、ただすーりすーりしろだのぺーろぺーろしろだのとわめく子供たちに応えてやり、 私の話に半分程度しか意識を向けていないれいむとありす。 また床を叩き、こちらに集中させて念を押す。 「わかってる!?その子たちがこれからもゆっくりするか、処分されるか、あなたたち次第なのよ! あなたたちがちゃんと育てればその子たちはゆっくりできる。あなたたちがやらなければ殺される! その子たちを生かすか殺すか、決めるのはあなたたちなのよ!!いいわね!?」 「「ゆっくりりかいしたよっ!!!」」 うん、無理だな。 もちろん、できるわけがないのは十二分に承知なのだ。 しかし今の時点で、こいつらの中では「まだ本気出してない」なのである。 お姉さんが子供を見逃すと思って躾をサボっていた。これでは、「本気でやれば育てられる」という思考の逃げ道を残してしまう。 すでに私の中では、子供を処分した上に去勢を施すことまで決定していた。 それを納得させるためには、「子育て能力が自分たちにはない」ということをつくづく身に染みさせなければならないのだ。 だから真面目にやってもらわねばならない。 本当に、これが最後のチャンスである。 ―――――――― 「それでは、こちらへどうぞ」 「はい」 ゆっくりショップ店員の青年に導かれ、ショップの奥の扉を開ける。 四畳半ほどの部屋には、中心にテーブルと椅子が置かれているほかにはほとんど物はなかったが、 壁には青空と雲、木々や川やゆっくりが描かれ、ゆっくりがリラックスできるような内装になっていた。 「ゆわーい!!ゆっくちできりゅおへやしゃんだよ!!ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいはなこーでぃにぇーちょしゃんだあぁ!!ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆふふ、おちびちゃんったら」 赤ゆっくり期を抜け、身体ばかりがテニスボール大の子ゆっくりになった二匹がぴょんぴょん跳ねて部屋に入る。 赤ゆっくり特有の舌足らずな発音は全く改善されていない。 両親がゆふふと笑いながらその後についていく。 「えーと……その、おちびちゃん達……ですよね?」 「はい……すみません」 確認してくる店員に、私は顔を赤らめた。 「ゆっ!!おにいさん、おちびちゃんたちをよろしくねっ!!」 「ゆっくりよろしくおねがいしますわ」 「うん、じゃあこっちに来てね」 「「おそらをとんでるみたい!!」」 店員の手に運ばれ、テーブルの上に導かれるれいむ一家。 ゆきゃゆきゃ言いながら跳ね回る子供たちを、両親がテーブルから落ちないように巧みに先回りして動き回るのでせわしない。 「それでは、これから銅バッジ認定試験を始めます。 お兄さんがこれからいくつか質問するから答えてね。いいかい?」 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 子供たちはお兄さんの言葉などまったく耳に入れようともしない。 人間の応対は親の仕事なのであった。 「ゆっくりわかったよ!!」 「わかったわ、おにいさん」 「いや、君たちじゃなくて、おちびちゃんに答えてほしいんだよ」 「れいむたちがかわりにこたえるよっ!!」 「それじゃ、おちびちゃんの試験にならないじゃないか」 「あんたたちは黙ってなさい!」 私にぴしゃりと言われ、不満げに口をつぐむれいむ達。 「それじゃ、試験を始めるよ。いいね?」 「ゆっくちちーちーしゅるよっ!!ゆっくちー!!」 子れいむがテーブルの上で粗相をしてしまった。 顔を真っ赤にして「すみません」とテーブルを拭こうとする私を制し、店員は笑って言った。 「大丈夫、大丈夫です。よくあることですから。じゃ、始めます」 その後、店員からいくつか質問が行われた。 「君のお姉さんは飼い主かな?それとも奴隷かな?」 「人間さんはゆっくりしているかな?」 「野良のゆっくりが「ずっといっしょにゆっくりしてほしいよ」と言ってきたらどうする?」 「(ゲスと金バッジの写真を見せて)どっちがゆっくりしたゆっくりだと思う?」 ごくごく基本的な質問が繰り返される。 ゆっくりが答えるたびにマニュアルと照らし合わせ、加点式で採点され、一定以上の点数で合格するしくみだ。 至極簡単なうえに、全問正解する必要さえない、実にぬるい試験である。 しかし、事務的に質問を繰り返す青年に対して、子ゆっくり達はほとんど無視を決め込んでいた。 一度など、質問してきた青年に反応して子れいむがじーっと見つめ返したことがあったが、 何が面白いのか「ゆきゃきゃきゃきゃっ!!」と笑いこけ、おまけにうんうんまでひり出した。 「それでは、これで銅バッジ認定試験を終わります」 認定試験は終わってしまった。 ついに、子ゆっくり達はただの一度も答えられなかった。 しまいには、子れいむがテーブルの上に伸びをして起き上がり、 「きょきょをれいみゅのゆっくちぷれいしゅにしゅるよっ!!」と叫んだ。 バッジ認定試験中のおうち宣言。論外もいいところである。 こうなることはわかりきっていたのだ。 「五日後にバッジ試験を受けさせる」との宣言を受けてからも、れいむとありすはなぜか子供たちを躾けようとしなかった。 まったく叱らず、自由放埓に振る舞わせ、部屋を汚すに任せていた。 完全に諦めて、最後の日々を噛みしめることにしたのだろうか? それともあくまで私が本気ではないと考えているのか? 何を考えていたのか、それがここで明かされることになる。 「試験結果ですが、残念ながらこの子たちは………」 「ゆっ!!おにいさん、ゆっくりまってねっ!!」 「あせってこたえをだすのはいなかものよっ!!」 店員の言葉を遮り、れいむとありすが声をあげた。 子供たちの側に駆け寄り、私と店員の顔をゆっくりと見渡すと、子供たちの上でもみあげを広げてれいむが言った。 「ゆっくりおちびちゃんをみてみてねっ!!」 「え、さっきから見てるけど……」 「ううん、よけいなことをかんがえないで。すなおになって、ゆっくりしたまっさらなきもちで、よくみるのよ」 れいむとありすが指し示す中、子ゆっくり達は自分で宣言したゆっくりプレイスで「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」と眠りこけ、 相も変わらず涎としーしーを垂れ流している。 全員でその子ゆっくりを見つめたまま、しばらくの間沈黙が流れた。よく見るとれいむとありすがぷるぷると震えていた。 やがて、目に涙さえ浮かべたありすが、私と店員の顔をたっぷり時間をかけながら見渡して、こう言った。 「……………ゆっくりしてるでしょう?」 あっ、と思った。 こいつら、ポンコツになってしまっている。 「ゆゆーっ!!そうだよっ!!れいむとありすのおちびちゃんは、とってもゆっくりしてるんだよおぉ!!」 ポンコツれいむが、やはり感極まって涙を流しながら叫んだ。 「れいむ、わかったんだよ!! おちびちゃんをみてるうちに、ほんとうのゆっくりがなにかをわすれていたことにきがついたんだよっ!! むーしゃむーしゃでこぼさないとか、うんうんさんをきまったばしょでするとか、よるさんはおおきなこえをださないとか…… そんなことより、もっともっとたいせつなことがあるのをわすれていたよっ!!」 「たしかに、とかいはなおぎょうぎもたいせつなことよ。 でも……でも、それをみがくために、ほんとうにゆっくりしたことがなにか、みんなわすれていってしまう。 じゆうにふるまうおちびちゃんたちは、たしかに、おぎょうぎがわるいかもしれない。 でも………でも!!おとなたちに、にんげんさんに、こんなにゆっくりしたおかおができる!? こんなにゆっくりしたこえで、ゆっくりとふるまうことができる!? これこそ、ほんとうのゆっくりだわ!!ありすたちは、しんじつのゆっくりをみうしなっていたのよ!!」 「……どうばっじさんはらくっだいっかもしれないね。おちびちゃんたち、おぎょうぎがわるかったもんね。 でも、でも!!れいむたちのおちびちゃんはとってもゆっくりしてるよっ!!それだけでじゅうぶんだよっ!! ばっじさんなんかなくても、れいむたちのおちびちゃんはせかいいちゆっくりしたおちびちゃんなんだよおおおぉ!!」 王様は裸だとでも暴いたつもりでいるらしく、真実に到達した昂揚感を顔中にたたえて、 れいむ達は両のもみあげを大きく広げながらぷるぷるぷるぷるいつまでも震え続けていた。 ―――――――― 「ゆっくち!!ゆっくち!!」「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆふふ、ゆっくり!!ゆっくり!!」「みんなとかいはねっ!!」 ゆっくり達の鳴き声が車内にやかましく響いている。 ゆっくりショップを後にして、私のれいむ達はいよいよテンションを上げていた。 バッジ試験は当然落第である。 ショップを出てから、私は一言も喋らなかった。 そのことにも関心を抱かず、一家は家族でゆきゃゆきゃ盛り上がっている。 「ゆぅーん!!おにゃかしゅいちゃぁ!!」 「ときゃいは!!らんちしゃんたべりゅ!!」 「ゆゆっ、そうだね。しけんさんたいへんだったもんね!!おちびちゃんたち、よくがんばったね!!」 「おねえさん、ごはんさんにしましょう!! きょうはゆっくりできるきねんびさんだから、ごうかならんちさんがいいんじゃないかしら?」 なんの記念日だバカ。 「ゆゆっ!!そうだね!!とってもだいじなことがわかった、たいっせつっなきねんびさんだからね!! たくっさんっのごちそうさんでおいわいしようね!!ね、おねえさん!!」 「いいわよ。おちびちゃんにとっては最後のごはんさんだしね」 「「ゆぇっ?」」 後部座席で頓狂な声をあげるれいむとありすに、私は前方を見据えたまま淡々と告げた。 「おちびちゃんはこれから約束通り処分します。 躾けなかったんだから、あなたたちも文句ないわよね。おちびちゃんが殺されるほうを選んだんだもんね」 「「ゆ゛っえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!?」」 悲鳴をあげる二匹。もはやどうでもいい。 「なんでえええええええ!!?わかってくれたんじゃないのおおおおおお!!?」 「誰がいつわかったって言ったのよ……」 「おちびちゃんはこんなにゆっくりしてるのよおおおおおおお!!!?」 「私は?」 「「ゆっ?」」 「私がゆっくりしてないのはなんで?ゆっくりできるおちびちゃんのはずでしょう」 「おねえざんがずなおにおぢびぢゃんをみようどじないがらでじょおおおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 それが本心か。 こうなっては宗教と同じである。 互いに信仰が違う同士でぶつかり合うなら、議論は成立しない。戦争しかない。歴史が証明する真理だ。 結局、私が飼い主として未熟だったということになるようだ。 子供を作った時点で、まだ取り返しがつくと思ってしまった。 しかし、愛しいおちびちゃんを見ているうちに、れいむ達の中で、 それまでの躾で植え付けてきた飼いゆっくりとしての教養はすべて排斥されてしまった。 「飼いゆっくりにうかつに子供を作らせるな」の定石を、理屈はわかっていながら、私は遵守できなかったわけである。 つくづく買いかぶっていた。 銀バッジも取れ、聞き分けのいいゆっくりだと思っていたが、「おちびちゃん」がれいむとありすのスイッチだったようだ。 考えなしの従順さを賢さと取り違えてしまうという初歩的なミスを侵してしまったようだ。 最初から去勢済みを選んでおかなかったのも敗因か。 れいむとありすは、飼いゆっくりとしてはポンコツになってしまった。 ゆっくりとしての価値観のみですべてを計り、飼いゆっくりとしての処世術はかなぐり捨てられた。 飼いゆっくりでなく、本能で動く「まともなゆっくり」として生きるなら、 それはつまり人間の立場から言えば「害獣になる」という選択である。 であれば、れいむ達がこの結論に達した時点で子供もろともすべて潰すのが筋だろう。 だが、れいむ達への愛情は薄れかけていたが、それでもまだたしかに私の中に情はあった。 そして、躾に失敗したからといって、まがりなりにも飼った生き物を殺すという短絡的な選択を自分に許したくはなかった。 れいむ達はこれからも飼い続ける。去勢はする。 適度にあまあまと鞭を段階的に使い分ければ、再びなつかせられる可能性も決して低くはない。 今回のことは、結局私自身の経験として受け止めなければいけないだろう。 しかしともかく、子ゆっくり共は潰す。この二匹は私が飼ったわけではなく、れいむとありすが条件つきで飼ったペットだからだ。 胸に苦いものは残るが、やはり四匹も飼う余裕はない。最近寝不足なのだ。 「やべで!!やべでええええ!!ずでだいでえええええぇぇ!!!」 「ゆっぐりがんがえなおじでよおおおぉぉ!!どうじでぞんなにわがらずやなのおおおぉぉ!!?」 「ゆびぇええええええん!!おにゃがじゅいぢゃああああ!!!」 「らんぢじゃあああああぁん!!どぎゃいば!!どぎゃいばあああぁぁ!!」 ゆぎゃあゆぎゃあ騒ぎ立てるゆっくり達の声を聞き流し、私はスーパーの前で車を停めた。 「それじゃ、最後のごはんを買ってくるから。豪華なのを食べさせてあげるわよ」 「「ざいごのごばんざんじゃないでじょおおおおぉぉ!!?」」 わめくゆっくりを車の中に残し、私はスーパーの中に入った。 買い物を済ませて帰ってきた時には、車の中にゆっくり達の姿はなかった。 後部座席に残っていたのは、むしり取られたれいむとありすの銀バッジ、そして子ゆっくりのうんうんとしーしーの跡だけだった。 他のペットと同じく、夏場に密閉された車内にゆっくりを放置するのは脱水症状の危険がある。 そのために窓を少し開けていたのだが、その隙間によじ登り、身体を潜り込ませて脱出したらしい。 鍵はかけてあったので盗難の線は薄い。 「れいむ!!ありす!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 人目もあって恥ずかしかったが、大声で呼ばわり、探し回った。 むしゃくしゃした気分を発散させたかったこともあり、買い物には三十分以上もかけてしまった。 いつ脱出し、どこまで行ったものか。 二十分ほどかけて探した時点で、ようやく「ゆっくりしていってね!!」の反応が聞こえてきた。 意外なところにいた。 高台にあるスーパーを囲む金網に遮られた向こう、草生の広がる斜面のはるか下に、れいむ達一家の姿があった。 動きの遅いゆっくりがあそこまで回りこむにはそうとうな時間が必要に思われたが、 どうやら斜面に沿って通る排水溝の中に潜り込んで金網のこちら側から向こう側に抜けていったようだ。 私は大声を張り上げて呼びかけた。 「何してるの!?れいむ、ありす!!戻ってきなさい!!」 「いやだよっ!!おちびちゃんをころそうとするげすなおねえさんのところにはかえらないよっ!!」 「ありすたちはかいゆっくりをやめることにしたのっ!!」 キンキンよく通る声で、れいむ達が返答を返してきた。やはり家出か。 「れいむはかわいいおちびちゃんたちがだいじだよっ!! おねえさんもすきだったけど、おちびちゃんのことはもっともっとだいすきなんだよっ!!れいむはおかあさんなんだよ!!」 「おねえさんっ!!おねえさんとわかりあえなかったこと、とってもざんねんだわ!! おねえさんがすなおになって、おちびちゃんをただしくあいすることができるようになったら、きっとまたあいましょう!! いまは、だめよ!!いまのおねえさんははなしがつうじるじょうったいっじゃないわ!!しかたがないことなの、わかって!!」 「あんたたち、飼いゆっくりをやめて野良になるのがどういうことかわかってるの!? 野良ゆっくりは今までも沢山見てきたでしょう!!あんなふうになりたいの!?」 「ゆっ!!かくごさんはできてるよっ!!のらゆっくりはとってもたいへんなんだよ!! でも、かわいいおちびちゃんたちがいるから、れいむたちはいくらでもがんばれるよっ!!」 「しんじつのゆっくりをみつけたわたしたちなら、なにもこわくないわ!! しんぱいしないで、おねえさん!!ほんとうにゆっくりしたゆっくりのつよさをみせてあげる!! それじゃ、またいつかあいましょう!!そのときは、おねえさんもおちびちゃんをかわいがってあげてねっ!!」 「「ゆっくりしていってねっ!!おねえさん!!」」 それを最後に跳ねてゆき、すぐにれいむ達は家々の隙間に潜り込んで見えなくなった。 私はいろいろと脱力してしまい、その場にゆっくりとへたり込んでしまった。 ―――――――― 「あのれいむが?」 「ゆっ、『ぷれいすおち』してきたのぜ」 やや意外な報告に、ぱちゅりーは片方の眉を上げた。 やれやれといった風情で、報告してきたまりさはちっちっと口に咥えた串を鳴らす。 『ぷれいすおち』とは、飼いゆっくりが野良になることを示す、野良ゆっくり内の俗語である。 人間の庇護=ゆっくりプレイスを追われて野良になったゆっくりは、まず、居心地のよさそうなこの公園に寄ってくるのが普通だ。 「むきゅう、ちょっといがいね。あのれいむはかいぬしとなかがよさそうにみえたけど。 あのかいぬしも、そうそうゆっくりをすてるてあいにはみえなかったけどね」 「じぶんでおちてきたのぜ」 「むきゅ……ああ、そう……」 飼い主に追い出されるか、自分で出てきたかでは、『ぷれいすおち』に対する野良の印象は違う。 飼い主の心証を害するのは飼いゆっくりとしてのルールに抵触するということであり、野良にとっては関係のない問題だ。 しかし、自分から飼いゆっくりよりも野良になることを望むということは、 気ままな野良生活に憧れを抱き、美化してしまっているということである。そういう手合いは面倒なのだ。 「で、このむれにいれてほしいっていってきたのぜ。どうするのぜ?」 「まあ、ことわるりゆうもないけど……きがおもいわね。あのれいむを、のらとしてむかえいれるのは」 ここは、大きな公園に作られたゆっくりの群れであった。 ぱちゅりーは群れの長であり、木串を口に咥えた傷だらけのまりさは副長のような位置にいる。 この公園は、件のれいむが飼い主との散歩でよく通り道にしていた場所だった。 寂しがりらしく、れいむはここにたむろする野良と話をしたがり、 飼い主に隠れて口に隠してきたあまあまを分けてくれることもあった。 もともと群れを作るくらいで統制はとれており、人間に飼われたゆっくりに手を出さない分別はあった。 ましてあまあまを持ってくるならVIP待遇である。 飼いゆっくりの施しに反感を持つ者、あまあまが欲しいだけの者、単純にれいむと友好を深めたい者、別にどうでもいい者、 思惑はいろいろだったが、ともかくそれぞれ、れいむに対し適当に応対できていた。 世間知らずな子供だとは思っていたが、ぱちゅりー個人としてはれいむは嫌いではなかった。 そのれいむが、野良の世界に入ってくる。 あまあま供給者として手厚く遇されてきた過去から、歓迎されるだろうとあてこんでいるのは想像できた。 気の重い新入りなのだった。 「ゆ、つがいのありすとおちびちゃんもぶらさげてきたのぜ。まりさはまだおちびちゃんはみてないけど」 「ああ~、そう……」 重い腰を上げ、ぱちゅりーはブルーシートの覆いをかき分けながら、ダンボールの家から出た。 「ゆ、おさ、ちょうしはだいじょうぶ?」 「ゆっ、おさ、こっちだよ」 「むきゅ、ありがとう」 串まりさを従え、広場に集まっている群れ仲間に案内されて、ぱちゅりーは公園の入り口に着いた。 「ゆっ!!おさ、ゆっくりしていってねっ!!げんきにしてた!?」 「むきゅ。ゆっくりしていってね」 ぱちゅりーは挨拶を返すと、もみあげをぴこぴこと振りながら満面の笑顔を向けてくるれいむから目をそらし、 その傍らにいるありすに声をかけた。 「そちらは、れいむのおよめさん?」 「ありすよ。どうぞ、ゆっくりよろしくね」 「ゆーっ!ありすはおよめさんじゃなくておむこさんだよっ!!ぷんぷん!!」 「ああそう、ごめんなさいね」 「ゆっくりゆるしてあげるよっ!!これからよろしくね、おさ!!」 完全に群れに入った気になっているれいむに、ぱちゅりーは質問を重ねた。 「まず、かぞくこうっせいをかくにんさせてちょうだい。おちびちゃんがいるんでしょう?」 「ゆゆっ!そうだね!!おさがきたから、みんなにしょうかいするよっ!! れいむのじまんのおちびちゃんをみてみんなでゆっくりしていってねっ!!」 それまで背後に隠していた子供を、れいむはもみあげで持ち上げ、群れの前に差し出してきた。 「「おしょらをとんでりゅみちゃい!!」」 その子れいむと子まりさは、身体はむしろ子ゆっくりとしては大きめだったが、 その叫び声は完全に生まれた直後の赤ゆっくりそのものだった。 れいむのもみあげに支えられながら、自分たちを取り囲む群れの視線を見渡し、 子ゆっくり達は「ゆぅ?ゆぅー」「ときゃいは!!ときゃいは!!」と落ち着きなくもみあげをぱたぱた動かしている。 その口からは涎が、まむまむからはしーしーがだらしなく垂れ流されていた。 ぱちゅりーの背後で、串まりさが咥えていた木串をぱたりと取り落とす音が聞こえた。 「………なに、これ……」 「れいむとありすの、かわいいかわいいたからものだよぉっ!!」 思わず漏らしたぱちゅりーの声に、れいむが胸を張って応える。 「ゆゆっ!!きゃわいいれいみゅがしゅーぱーうんうんしゅるよっ!!ちゅっきりー!!」 「ときゃいはちゅっきりーっ!!」 衆目の中で、二匹の宝物は、ぶりんぶりんと尻を振りながらうんうんをひりだした。 ずりずり、と群れのゆっくりが後ずさる音が響く。 わざわざ撒き散らすかのようにあちこちに飛び散るうんうんを見ながら、 ぱちゅりーの眉に刻まれた皺はマリアナ海溝のように深くなっていくのだった。 〔続〕 挿絵: