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ちびちゃとでチームを作ります! チーム TKB なぜTKBかというと、「ちびちゃと くら ぶ」 だからです。もう、メチャクチャだね★ 特に、活動内容はないです。入りたい人、いないの~?? マジ大募集中! TKB No1.白銀 白銀ムービー ◆湾岸馬鹿な白銀君。メンバー一人目です! TKB No2.左京 ◆TKBの用心棒。なかなかいい人。喧嘩となったら、結構な戦力!頼んだぞぉ(・Д・)ウォォォ TKB 番外.アレックス ◆とても、このチームに入りたかったようだ。雑用などは、すべてやるようだ、ようするに「奴隷」だ TKB No3.によろ ◆ホームページも作っており、パソコンになかなか強い。PC関係はおまかせ! 俺 まだ15のガキだし、こういうの好きだぞ。入りたいお。 -- 左京 (2010-10-22 15 44 39) いやっふー! 追加 -- 仙人 (2010-10-22 15 45 36) へぃ! 俺も入りたいぞ! 14の餓鬼やけどw -- 刺激 (2010-10-22 15 55 56) 暇だから入部(´・ω・`)b -- にょろ (2010-10-22 23 36 00) あ、のってる(´・ω・`)ktkr PC詳しくない・・・(´・ω・`) -- にょろ (2010-10-24 03 13 18) 仙人‐(´・ω・`) トリプ変更したからまたとってね(´・ω・`)bb ごめそー -- 白銀☆ (2010-10-29 20 25 01) こn -- 青りんご (2010-10-30 13 53 44) 白銀の画像消えてたから治しておいたよ^-^勝手に・・・。っていうか画像URLからやると、もとの画像が変わったりすると見れないからさ、ちゃんとアップロードした方がいいぉ。 -- ニョロにょろ~ (2010-11-03 22 12 50) 増えなさすぎWWWWWWWW -- 左京 (2010-11-05 22 34 29) ようするに「奴隷」だ ←くそワロタwwwww -- 焼きクマ (2010-11-17 17 00 13) 仙人に入れてもらいました -- AAA (2010-11-28 20 41 04) 仙人に入れさせてもらいました。 -- 北朝鮮からやってきた喧嘩師 (2010-11-28 20 42 57) アクセス禁止とけちゃったぜえええ -- 仙人 (2010-11-30 20 19 08) とけたのか、そりゃよかった -- AAA (2010-12-01 16 14 02) 禁止くらってたのか(´゚д゚`;) -- 巧海 (2010-12-16 04 44 44) 名前 コメント
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ちびちゃとの住人どもを紹介するページ★ 【ぉ沿】 1906780_w450.jpg 昔からいる人 常連と非常に仲がよい。そこらへんの喧嘩師なんかより圧倒的に頭がよい。 死死死死死死死死死死死死 -- 死神 (2011-04-01 09 47 44) 名前 コメント 【カム】 1906784_w450.jpg 俺のライバル。いつまでたっても決着がつかない。 ぶひぶひ★ -- kamu (2010-08-24 15 19 11) ぴぐやろうぜー -- 仙人 (2010-11-30 21 06 51) 名前 コメント 【にょろ】 とても面白く、頼りになる存在 ふひひ(・∀・) -- にょろ (2010-08-24 18 17 54) 画像ナっくなっちまったぜ☆gひょ師 -- 仙人 (2010-10-21 13 10 11) 勝手に変えちゃった└(^o^)┐酒wikiから拾ってきたけど(笑) -- ニョロにょろ~ (2010-10-31 11 13 36) 名前 コメント 【あきお】 1906786_w450.jpg 昔は喧嘩師だったが、今は雑談目的で訪れている。 あきおおおおおおおおおおお! -- イクタ (2010-10-21 13 10 25) あきおさん/// -- 左京 (2010-10-23 18 47 00) 名前 コメント 【りな】 1906760_w450.jpg りなたんなにもなし?!wwwwwwww -- しょこ (2011-01-23 10 51 26) 名前 コメント 【さっちゃん】 夜中の常連 さっちゃんララララブ・∀・! -- 廼 (2010-12-20 18 55 37) 名前 コメント 【えま】 会話ができない人。タイピングは龍星よりも早い。 会話したら可愛いだろうな -- 左京 (2010-10-23 18 47 32) 声はね。 -- 仙人 (2010-10-23 23 34 10) 名前 コメント 【フルポン】 今は死んだが、いつも公園にいる、リア友同士で盛り上がってる。 名前 コメント 【左京】 ちびちゃと1番の嫌われ者。喧嘩師でもあるが、なかなかいい人だ。イケメンらしい。 【刹那】 ?plugin=ref serial=334 昔喧嘩師だった、ちびちゃとの常連。知名度がとても高い。 【焼き熊】 刹那と一緒にホームページを作っている。とても面白い。 【リペイ】 とても人がよく、最強に面白い雑談をしている。喧嘩を売られたら人が変わる。実力は上層喧嘩師に匹敵するのものだ。 【ACE】 ?plugin=ref serial=138 最近はあまり見ない、空き地の住人。タイピングが早い、友達が多い。 【のあ】 ?plugin=ref serial=129 常連と仲がよく、絵がうまい。管理人が頼りにしている人だ。 左京イケメソだYO( ゜∀゜) -- 白銀☆ (2010-10-23 20 48 43) イケメンって言うか、ヤンキーっていうか、いかついYO! -- 仙人 (2010-10-23 23 33 16) 俺も見たい(´・ω・`) -- 名無しさん (2010-10-24 03 12 36) 誰だよ -- ↑誰 (2010-11-01 07 02 33) 誰だよ -- ニョロにょろ~ (2010-12-19 17 42 15) リペイは有名だなぁ -- ERISU (2011-01-10 17 39 43) リペイの究極奥義「キンタマタプタプ」wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- rose (2011-01-12 09 38 55) 常連リストにも入れていただけますか? -- 誤字 (2011-02-05 16 44 30) おれは、、、? -- 刺激 (2011-08-18 20 02 02) 名前 コメント
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ちびちゃとあるあるとは、ちびちゃとでよくある出来事のことである 出会い厨が必ず最初にいうことば こん→何歳?→何処出身?→へえ→etc 出会い厨は毎回同じようなことしてるけど あれってたのしいのか・・・? ちゃH厨が必ず最初にいうことば こん→何歳?→何処出身?→Hすき?→移動しよ おい、出会い厨と対して変わらねえよ。 喧嘩師が煽りでいう言葉 死ねばいいんですがねえ 雑魚は黙ってろよ うるせーんだけど、しゃべらないで欲しいなあ 俺は最強喧嘩師なんですけど(キチガイ専門) 出会い厨が大抵、「何部?」と聞かれたときにあるあるの返答 サッカー部 バスケ部 本当は卓球なんだろ・・涙ふけよ ビッチな女が纏わりつくフラグだなこりゃ ちびちゃとしよう -- 名無しさん (2013-07-13 09 04 48) あたしは女えろいんだよ -- にしじまさきね (2013-07-15 16 11 44) 名前 コメント
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『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!(続・中編)』 27KB 制裁 観察 考証 自業自得 育児 家出 飼いゆ 野良ゆ 子ゆ 愛護人間 うんしー 長い長い 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 anko2889『いっしょにゆっくりしていってね!』 anko3521『ゆっくりつかいすてていってね!』 anko3542(前)/anko3549(中) 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』(続・中編) 「おさぁ!ちょっときてほしいんだよー!!おさぁぁ!!」 「むきゅう……またあのおちびちゃん……?」 うんざりした表情でぱちゅりーは顔を上げる。傍らの串まりさがちっちっと串を鳴らした。 駆け込んできたちぇんはぜいぜい息をつきながらぱちゅりーに訴える。 「あのおちびちゃんたちが、にんげんさんにあまあまをおねだりしてるんだよー!!」 「むきゅうぅ!!れいむとありすはなにをやってるのっ!?」 「なにもしないでみてるよー!!」 「……っとにもうっ!いまいくわ。まりさ、おねがい!」 「やれやれなのぜ」 公園掃除のスケジュール調整の会合は中断され、長のぱちゅりーと副長格の串まりさは家を出た。 あの一家が公園に来てから三日になるが、彼らのためにぱちゅりーが駆り出される事態はすでに十回を超えていた。 しかもそのすべてがおちびちゃん絡みである。 見ると、確かに公園の中心にある噴水のそばにれいむ一家はいた。 ベンチに腰掛けているサラリーマン風の青年が頬張っている菓子パンを見て、二匹の子供がぴょんぴょん跳ねてわめいている。 「ちょうだいにぇ!!ちょうだいにぇ!!きゃわいいれいみゅにあみゃあみゃちょうだいにぇ!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!ほちい!!ほちい!!しょれほちいいぃ!!」 「ちょうだい!!ちょうだい!!ねぇ!!ねぇ!!ちょうだいちょうだいちょうだいちょうだい!!」 体中に涎と泥をこびりつかせた子ゆっくり二匹が、あとからあとから流れる涎にぬらぬらと光沢を帯びて蠢く姿に、 青年はあきらかに顔をしかめ、今にも立ち上がらんばかりである。 親のれいむとありすはといえば、にこにこ微笑を浮かべて子供たちの姿を見守っているだけだった。 「なにやってるんだぜぇぇ!!」 「ゆべえぇぇ!!?」 駆け寄りざま、串まりさがれいむとありすの横っ面に体当たりを喰わした。 悲鳴を漏らして転がる二匹を尻目に、串まりさは舌を子ゆっくり二匹に添えてから、 勢いよく振り抜いて親のほうに放ってよこした。 「ゆびぇっ!!ゆっびぇええええええん!!」 「ゆばあああぁぁぁあ!!いっぢぁああいよおおぉぉぉぉ!!」 「ゆゆっ!!おちびちゃん!!おちびちゃあああぁん!!」 自分の痛みを忘れて子供たちにぺーろぺーろするれいむとありす。串まりさが「ちっ」と串を鳴らす。 そこでぱちゅりーが青年の前に歩み出て、深々と頭を下げて詫びた。 「ほんとうにごめんなさい、おにいさん。あのこたちはまだむれにはいったばかりなんです。 にどとしないようにいいきかせますから……」 「あーいいよ、別に……」 すっかり興を殺がれた風で青年は立ち上がると、さっさと立ち去ってしまった。 「ゆふううううぅぅぅぅ~~~~~~…………」 ぶわっと顔に噴き出た汗をもみあげでぬぐい、ぱちゅりーは深い深い吐息をつく。 虐待趣味の人間でなくて本当によかった。 しかし、目の前の危機は脱したとはいえ、こういうことが積み重なれば「公園のゆっくりは害獣だ」との評判が立ち、 恐ろしい一斉駆除を呼び込むきっかけにもなりかねない。 ゆっくりという生き物はいくら駆除してもすぐにわいてくるためにきりがないが、 その代わり死亡率も高いため、、放っておいても不思議と頭打ちになり頭数がほどほどで安定する傾向にある。 そのため、コストと人員を割いて駆除に乗り出すよりも、目に余らないかぎりは野良は黙認するのが人間社会での一般的な風潮だ。 人に迷惑をかけないように息をひそめ、目立ちさえしなければ、この公園はそれなりのゆっくりプレイスなのである。 しかるに、あの一家であった。 「びゃああああああ!!ゆ゛びゃああああああぁぁ!!おじぢゃんがいじべちゃあああ!!」 「あびゃあびゃぁぁ!!ありじゅのあびゃあびゃあああぁぁぁ!!がえじぢぇよおおおぉぉ!!」 「なんでおちびちゃんをいじべるのおおぉぉぉ!!?ひどすぎるよおおおぉぉ!!」 「ちいさいおちびちゃんにてをだしてはずかしくないのっ!!?ゆっくりあやまりなさいっ!!このいなかものっ!!」 「ちっちっちっちっ」 抗議をしてくる家族に冷めた視線を向け、串まりさはせわしく串を鳴らす。 「こたえてねっ!!おちびちゃんがなにをしたっていうのおおぉぉ!!」 「おさ、せつめいおねがいなんだぜ」 「むきゅ。ひとつ、じぶんからにんげんさんにちかづかない。 ひとつ、にんげんさんのものをねだらない。 ひとつ、おちびちゃんをかってにこうどうさせない。 とりあえず、すくなくともみっつのおきてさんをあなたたちはやぶっているわ。 まりさはゆっくりできないゆっくりをとめただけよ」 「おちびちゃんのやることでしょおおぉぉ!!?おとなげなさすぎるでしょおおぉぉ!!」 「こどものめんどうをちゃんとみられないいじょうにおとなげないことってのはそうそうないわよ」 「じゃ、おさ、せいっさいっするのぜ?」 「むきゅ。そうしてちょうだい」 群れの掟を破ったゆっくりできない仲間に『せいっさいっ』を加えるのは串まりさの仕事である。 群れの警察役として、串まりさは腕っ節を生かして働き、仲間たちに恐れられていた。 帽子の中から太く長い木の枝を取り出し、まりさはれいむとありすの前に立つ。 すでに群れの大半が集まってきてれいむ一家を取り囲んでおり、逃げ場はなかった。 「ほんとはおちびをせいっさいっしてやりたいけど、こどものふしまつはおやがせきにんをとるのがおきてなのぜ」 「ゆゆぅぅ!?やめてね!!やめてね!!」 「ありすたちをいじめてなにがたのしいのよおぉ!!?なんていなかものなむれなのおぉ!!」 「もうなんかいもせいさいされてるのに、まだじぶんたちのやってることがわかってないのぜ?」 「いっつもおちびちゃんのすることにけちをつけてえぇ!! おちびちゃんがおぎょうぎわるいのはあたりまえでしょおおぉ!?」 「だからしつけるのがおやのつとめなのぜ。あたりまえのしつけをなんでやらないのぜ?」 「ちゃんとやってるよっ!!おちびちゃんはかしこいけど、ちょっとおぼえるのにじかんがかかるだけだよっ!! おちびちゃんのことをしらないくせにかってにきめつけないでねぇぇ!!」 「しったこっちゃないのぜ。こっちはけっかだけではんだんするのぜ」 そう言い、串まりさは顎をしゃくる。 串まりさの部下にあたるちぇんとみょんがれいむとありすの後頭部をそれぞれ押さえ、底部をさらす格好にした。 その底部に、串まりさはしたたかにもみあげに握った木の枝を振り下ろした。 「「ゆぎゃああああぁぁっ!!」」 「ゆ゛ぁあああああん!!ゆ゛ぁああああ゛あ゛ん!!ぺーろぺーろぢでよおおぉぉ!!」 「あびゃあびゃたべちゃいよおおぉぉ!!あびゃあびゃ!!あびゃあびゃーーーー!!」 底部を打擲されて叫ぶ親にすり寄って泣き叫んでいる子供たちを、群れ仲間たちはおぞましいものを見る目で見ていた。 破られた掟一つにつき三つ、合計九回ずつ打たれたれいむとありすは、 地面に伏してゆぐゆぐと泣きじゃくりながらなお抗議の声をあげた。 「だんでぇぇ……?だんでなのぉぉ………?」 「どがいばじゃないいいぃぃ…………」 「なんかいもいっているじゃない。あなたたちがむれのおきてをまもらないからよ、むきゅ」 「まもってるよ………!!おきてはちゃんと………!!」 「ええ、おちびちゃんのことさえのぞけば、あなたたちはりっぱにむれになじんでるわ。 それなのに、おちびちゃんのことになると、なんでそんなにゆっくりできないことをするの?」 「おちびちゃんはゆっくりするのがしごとなんだよおぉ………!! おちびちゃんがゆっくりしているから、みんなゆっくりできるんでしょおおぉ……!?」 「そんなくそきったないなまごみをみてゆっくりするやつは、このこうっえんにはひとりもいないんだぜ」 「ゆ゛ぎぃっ………!!!」 れいむとありすが歯噛みをする。 言下に切り捨てる串まりさの言葉はさすがにゆっくりできない言い様だったが、 あまりにも的確に群れ一同の心情を言い表しているために、串まりさをたしなめる者はいなかった。 「この、まりさぁっ……おとなのしっとはみっともないわよぉぉ……!! おちびちゃんはなまごみなんかじゃないっ………ていっせいしなさいぃ!!」 「なまごみがきにいらなきゃうんうんなのぜ」 「ゆがああぁ!!おちびちゃんがかわいいからってしっとしてえぇ!!」 「だれがそんなのにしっとするのぜ。あかちゃんことばもぬけてない、しーしーとうんうんたれながし。 よくまあそんなおちびにそだてられたのぜ、ぎゃくにかんしんするのぜ。 なまごみをかわいがるのはそっちのかってだけど、むれにめいっわくをかけるならいつでもつぶしてやるのぜ」 そう言い捨て、串まりさは背を向けて群れの本部となるダンボールハウスに戻っていった。 ぱちゅりーもその後につき、遠巻きに見守っていた群れ仲間たちも三々五々散らばってゆく。 ただ一匹、頭のリボンにブローチを留めたれいむだけが泣きじゃくるれいむ達に近づいていって声をかけた。 「ゆっ………れいむ、だいじょうぶ……?」 「ゆ゛ぁあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!でいぶ、でいぶううぅぅ!! びんながおぢびぢゃんをいじべるんだよおおぉぉ!!」 「ゆ、でも、それはおきてさんをやぶったからだよ……おきてさんがだいじなのはわかってるでしょ?」 「おぢびぢゃんにぞんなむずがじいごどわがるわげだいでじょおおぉぉ!?」 「だからおとながみてなくちゃいけないし、そもそもそれくらいのおちびちゃんならふつうはわかるよ……。 ね、れいむのおうちでやすまない?」 「あじがどおおおおお」 ブローチれいむがれいむ一家を自分の家に誘い、一家はずりずりとその後についていった。 それを遠巻きに眺めながら、ぱちゅりーはふう、とまた息をついた。 振り返ると、やはり見ていた串まりさがちっちっと串を鳴らしている。 「いつもありがとう、まりさ」 「ゆん、これがまりさのしごとなのぜ。すけじゅーるのそうっだんをつづけるのぜ」 「ええ……」 先に本部に潜り込んでゆく串まりさ。 口は悪すぎるが、実際、気性の穏やかなぱちゅりーではあの一家にそう強くは出られなかっただろう。 こういう時はつくづく串まりさの存在がありがたかった。 腕っ節が強いのが串まりさの持ち味だったが、その実、頭のほうもそうとう回る。 こうして群れの行政を相談していても、その気配りや先見の明において決してぱちゅりーに劣るものではない。 ぱちゅりーは自分よりもむしろ串まりさのほうが長の器にふさわしいのではないかと思い、 そう持ちかけてみたことがあったが、串まりさは首を振って断った。 「まりさのしごとは、みんなにこわがられることなのぜ。こわがられなきゃ、けいっさつはできないのぜ。 でも、おさがみんなにこわがられてたらむれがまとまらないし、みんなゆっくりできないのぜ。 からだはよわいけどやさしくてあたまのいい、ぱちゅりーみたいなゆっくりがおさをやるのがいちばんなのぜ。 まりさはきらわれやくがしょうにあってるし、ぱちゅりーがおさでまんぞくしてるのぜ」 そういう事で、串まりさには劣る器と自分で思いながらもぱちゅりーが長を務めているのだった。 ―――――――― 「ゆっ、ゆっくりどうぞ、おちびちゃんたち」 「「ゆっくりいただきます!!」」 ブローチれいむの家で、一家はおやつに招かれていた。 ブローチれいむが育てている二匹の子まりさが噛み砕かれたどんぐりに口をつける。 「さ、おちびちゃんたちも……ゆゆっ」 「「むーちゃむーちゃ!!むーちゃむーちゃ!!ぱにぇっ!!うみぇっ!!」」 客の子れいむと子まりさにブローチれいむが促そうとしたが、言われる前に二匹はどんぐりに口を突っ込んでいた。 子まりさ達を押しのけんばかりに顔を突っ込み、はぐはぐくちゃくちゃと食べカスを撒き散らす。 飼いゆっくりと違い、食べカスを気にしない食べ方をするのが野良では普通だが、 それにしても子れいむ達の汚さは際立っていた。 一か所に落ち着いて食事をする子まりさ達に対し、 必要以上に涎を撒き散らし、尻をぶりんぶりんと振りながら食べる子れいむと子ありすはいかにも汚い。 外見的にも、よその子ゆっくりと並ぶことでその汚れはますます際立った。 「ゆふふ、れいむのおちびちゃんとぉ~ってもゆっくりしてるよぉ……」 「そ、そうだね……」 「ゆっ、とかいはなてぃーたいむにごしょうたいかんしゃするわ、れいむ」 「ゆん、どういたしまして」 大人たちは一歩引いて、おやつを貪る子供たちを眺めていた。 ブローチれいむも、飼いゆっくりから野良になった、いわゆる『ぷれいすおち』組である。 奇遇なことに、野良になった理由はれいむ達と同じであった。 飼われている間、帰りの遅い飼い主を待ちながら一日中ぽつねんと過ごす寂しさに耐えきれず、 飼いゆっくりが欲しいと飼い主に強くねだったのだ。 ありふれたケースだった。 ゆっくりが最も嫌うのは孤独である。 甘いお菓子も、ふかふかした寝床も、愉快なテレビも、 「しあわせー!」と楽しさを共有する仲間がいなければ、その喜びは半減以下なのだ。 これから死ぬまで一生一人ぼっちなのか、とある日想像したゆっくりが恐慌をきたし、番をねだるケースは多い。 最初に去勢を施しておかないかぎり、六割以上の確率でぶち当たる問題だと言っていい。 ブローチれいむの場合、ゆっくりの側も飼い主の側も頑として譲らなかった。 駄々をこね続けた結果、ブローチれいむはラムネで眠らされ、去勢された。 一生子供を作れない身体になったと知ったブローチれいむは深く絶望し、ほとんど廃ゆっくりになった。 不貞腐れているというレベルをはるかに越え、飼い主が話しかけてもほとんど反応せず、食事もほとんど摂らず、 いもしないおちびちゃんの幻影にぶつぶつと話しかけるだけの置物になり果てた。 「飼い主をゆっくりさせる」という行為は、通常のゆっくりにとっては見返りを期待しての仕事であり、 決してそれ自体が目的になるようなものではないのである。 母性が強く寂しがり屋だったブローチれいむにとって、子供を作り家族とゆっくりするという夢、生き甲斐が奪われた時点で、 飼い主に奉仕する動機は完全に失われたのだ。 死ぬまで永遠に人間に奉仕し続けるだけというゆん生は、彼女のゆん格を崩壊させるに充分な展望だった。 飼い主に媚びることをしなくなり、ただうんうんを垂れ流すだけのポンコツになったブローチれいむを飼い主は持て余し、 ほどなくバッジをむしり取られて道端に捨てられることになった。 殺すに忍びなかったのか、後始末を面倒くさがったのか、潰されなかったのは不幸中の幸いと言えた。 その後、野良生活の中で公園の群れに迎え入れられることで友達ができ、 子供を作れないブローチれいむと番になろうとする者こそいなかったが、 親が死んで孤児になった子ゆっくりの育て親を申し出ることで、念願の家族を手に入れることができたのだから。 おちびちゃん達と一緒に「しあわせー」と叫びながら食べる木の実は、飼い主の監視下で黙々とつつくケーキにはるかに勝った。 今になってみれば、なんで飼いゆっくりなんかやっていたんだろうと思うぐらいのものだった。 そんな彼女にとって、れいむとありすの番はとても他人事とは思えず、 群れでは疎んじられるこの一家と唯一積極的に接触していた。 「ゆーん、ねえ、れいむ、ありす……」 「なあに、れいむ?」 「そろそろ、おちびちゃんにおといれをおぼえさせたらどうかしら……?」 途端に番の表情が険しくなり、ブローチれいむはしまったと思った。 毎日群れの仲間に、おちびちゃんをなんとかしろ躾をちゃんとしろと責められている番は神経質になっていた。 「なにっ!?れいむまでおちびちゃんをいじめるのっ!?」 「とかいはじゃないわ!!れいむだけはおちびちゃんのみかただとおもっていたのに!!」 「ゆ……お、おちびちゃんのみかただからいうんだよっ!!」 しかし子供たちのことを思うと引き下がるわけにはいかなかった。 「おといれをおぼえさせるのが、なんでいじめなの? このままじゃ、いっしょうおといれのできないうんうんゆっくりになっちゃうよ」 「ゆっ!!れいむはしんぱいしょうだね!!いくらなんでも、いっしょうこのままなわけないでしょ?」 「おちびちゃんたちはたいきばんせいがたなのよ。 ありすたちおとながあせってせかしてもぎゃくこうかなの。ながいめでみてあげなきゃね」 「ながいめって……いくらなんでも、こんなにおおきくなっておといれできないのはへんでしょ?」 「れいむのおぢびぢゃんはべんなんがじゃだいいいいい!!!」 怒鳴るれいむに、ブローチれいむはたじろいでしまう。 おちびちゃんの話さえしなければ、本当に素直で話のできるゆっくりなのに。 「なんでっ!?なんでみんなみんな、おちびちゃんをいじめるのおおぉ!? おちびちゃんがいちばんゆっくりしてるのにっ!!みんなのほうがゆっくりしてないのにっ!!」 「しんじつのゆっくりをりかいするのはのらにはむずかしいのかしら……」 「「ゆっゆっちゅっきりーっ!!」」 「「ゆげぇっ!?」」 子れいむ達がさっさと食べ尽くし、まだ子まりさ達が食卓から離れないうちからうんうんをひり出した。 鼻先にうんうんを盛られた子まりさ達がぎょっとして飛びのく。 「「ゆふふ、ごめんね、まりさのおちびちゃんたち!!」」 「「おかーさん、れいむたち、きたないのぜー!!」」 「ゆ、おちびちゃんたち……ゆっくりゆるしてあげてね」 「「ゆうー……」」 (なんでこれがしんじつのゆっくりなんだろうね……) ブローチれいむは疑問である。 群れのおちびちゃんを見ても、れいむ達は全く焦る様子がない。 むしろ、自分のおちびちゃんは特別ゆっくりしているといよいよ自信を深めている節すらあった。 一体どうしたものか、ブローチれいむには見当がつかない。 ―――――――― 「で、どうするのぜ?」 「むきゅ?」 「あのいっかのことなのぜ」 群れの中での公園掃除の分担を決め終えたところで、串まりさは目下の大問題を持ち出した。 「むきゅう……」 「わかってるはずなのぜ。あのつがい、なんかいいってもおちびをしつけようとしないのぜ。 きょうみたいなことがこれからもつづくなら、むれがくじょされないともかぎらないのぜ」 「むきゅ、わかってるわ……」 「まったく、かいゆっくりのときはすなおなれいむかとおもってたけど、とんだやっかいものだったのぜ。 あのつがいはげすじゃないから、おさもなかなかふんぎりがつかないのはわかるのぜ。 そういうときはむれのみんなのかおをおもいうかべるのぜ」 「わかってるってばっ、むきゅっ」 串まりさを遮り、ぱちゅりーはもみあげを振る。 ゆっくりというものは、ほぼ例外なく親バカである。 自分のおちびちゃんが世界一かわいいと信じて疑わない。 しかしそれにしても、あの番は異常だった。 「べつにあたまのわるいふうふにはみえないけど……あのおちびちゃんをみてて、ふあんにならないのかしら? あれじゃ、ぜったいにじりつできないわ。いっしょうめんどうをみるきなのかしら」 「ちっちっ。はんっどうじゃないのかぜ?」 「はんっどう?」 「ことわっておくけど、まりさがかってにかんがえたことなんだぜ。 たぶん、あのつがいはもともとかいゆっくりにはむいてなかったのぜ。 かいゆっくりはたいへんなのぜ、むーしゃむーしゃしあわせーもできないし、ともだちもじゆうにつくれないし、 おちびもじゆうにつくらせてもらえないのぜ。 かいゆっくりにあこがれるのは、かりがへたでおなかをすかせてる、よゆうのないやつだけなんだぜ。 そりゃあのらもゆっくりできないけど、しあわせーきんし、ともだちきんし、おちびきんしのかいゆっくりなんて、 たべものさえとれていれば、うらやましがるゆっくりはいないのぜ。 にんげんなんかのごきげんをうかがいながら、あまあまだけでまんぞくしなきゃいけないゆんせいじゃ、わりにあわないのぜ」 「ええ……」 人間の目に映る野良ゆっくりとは、あまあまを求めて物乞いや恫喝をしてくる手合いばかりである。 そのために人間は、ゆっくりにはあまあまさえ与えていれば満足するという偏見を持っているが、 その実、ゆっくりにとっては、おちびちゃんや家族が作れず友達もいない人生(ゆん生)というものは、 想像しただけでぞっとする、死んだほうがましだ、と思えるようなものなのだ。 別に家族や友達などいらない、あまあまさえあればいい、という嗜好の個体や、 共同体からはじかれた厄介者で狩りをする能力もなく明日にも死にそうなほど逼迫した個体、 あとは人間を奴隷にしてあまあまを献上させようとする極端なゲスばかりが人間の目につくが、 飼いゆっくりの実情が知られた都会では、そうではないゆっくりが大部分なのである。 「そんなかいゆっくりせいかつをつづけてきたけど、あのとおり、ぼせいのつよすぎるれいむたちなのぜ。 〝おちびをつくるな〟とずっとかいぬしにいわれていたのを、かってにつくったのぜ」 「むきゅ、そういっていたわね」 「はんっどうなのぜ。 あれもするなこれもするな、ともだちをつくるなおちびをつくるな。 きゅうっくつでさびしいかいゆっくりのしめつけにずっとはんかんをかんじていたのぜ。 そのはんっどうで、おちびはしつけなんかしないでじゆうにふるまわせてる。 きゅうっくつなしつけなんかいらない、そんなものなくてもゆっくりできる、いや、むしろないほうがゆっくりできる。 じぶんでそうおもいこんでるから、あんなおちびでもゆっくりしてるようにみえるんじゃないのかぜ?」 「………なるほどねぇ、むきゅう……」 「いや、まりさがかってにかんがえたおくそくなんだぜ。 とにかく、あのつがいはきけんなのぜ。じきをみて、おいだしたほうがむれのためなのぜ」 「むきゅ、そう、そうだけど………」 ぱちゅりーの脳裏に、純真な瞳であまあまを持ってきてくれた飼いゆっくり時代のれいむの姿がちらつく。 「もうすこしじかんさんをちょうだい。なんとか、ぱちゅりーからもはなしてみるし……」 「ちっちっ、おさはぱちゅりーなのぜ。まりさは、おさのけっていにしたがうだけだぜ。 じゃ、みまわりにでもいってくるのぜ」 「いってらっしゃい」 串を鳴らしながら、串まりさは本部を出ていった。 ぱちゅりーはまた吐息をついた。 ―――――――― 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆゆっ、うんうんれいむがきたよ!!」 「ゆげーっ、みんなあっちでゆっくりするのぜ!!」 公園の砂場近く、ゆっくりの子供たちが遊んでいるところに、新入りの子れいむと子ありすが寄ってくる。 それまでどんぐりを転がして遊んでいた群れの子ゆっくりたちが露骨に不快感を現して離れていこうとした。 その前に子れいむ達の両親が立ちはだかる。 「ゆゆっ、おちびちゃんたち、れいむのおちびちゃんとあそんであげてねっ!!」 「ゆふふ、なかまはずれはとかいはじゃないわよ?」 「「「ゆええええぇぇ………」」」 子れいむと子ありすは、群れの子供達から全力で嫌われていた。 まず、まるで赤ゆっくりのように涎と糞便を撒き散らして汚い。 それでも最初は、大人たちの「なかはまずれはゆっくりできない」との苦言に従い、 素直な子ゆっくりがなんとか仲間に入れて遊ぼうと試みた。 しかし二人の子ゆっくりには周囲への気配りというものがまったくなく、 みんなで遊んでいたオモチャを独占してゆきゃゆきゃはしゃぎ、 他の子ゆっくりがそれに触ろうとしたらゆぎゃあゆぎゃあと泣き喚く。 子ゆっくり達がうんざりして遊ぼうとしなくなるのも当然だった。 そしてもう一つ、子れいむと子ありすが嫌われる大きな要因として、 この二人には常に両親がぴったりと寄り添っている事実があった。 この大きさの子ゆっくりなら、ひとまず遠目でも大人の目につく範囲であれば好きに動いていいのが群れの慣例だが、 この二人はいつも背後に両親がくっついている。 両親は子供たちの遊ぶ姿を微笑ましく見守っているつもりでゆふふと微笑を浮かべているが、 子供たちにしてみれば常に監視されているようでゆっくりできない。 実際に、自分たちの子供が少しでも爪弾きにされているとみれば、 「なかまはずれはゆっくりできないよ」という良識ただひとつを楯にして子供たちに説教をたれ、 自分の子供と遊ばせようとするのだ。 子供にも増して、この夫婦はもはや蛇蝎のごとく忌み嫌われていた。 「さ、みんなでなかよくあそぼうね!!」 「ゆううぅ………いやだよおぉ……」 「あのれいむとありすはゆっくりできないよおぉぉ……」 大人ゆっくりの言うことをよく聞く素直な子ゆっくりのグループではあったが、 そんな彼らでさえ、子れいむ達と遊ぶことに難色を示した。 「もうっ!!おとなのいうことをきいてねっ!!」 「ききわけがないのはとかいはじゃないわよ?すなおになってあそべば、とってもゆっくりできるこたちなのよ」 子供たちの冷めきってうんざりした視線にこたえる様子もなく、ぷりぷりと諭す夫婦。 「ゆ、れいむ、ありす……むりじいはゆっくりできないよ」 「「「ゆえええぇぇん!!おばちゃああぁん!!!」」」 その時、ブローチれいむがやってきて夫婦に苦言を呈した。 助けがきたことに安堵し、子供たちがブローチれいむの足元に駆け寄ってその背後に隠れる。 「ゆゆっ!!れいむ、おちびちゃんたちのおゆうぎをじゃましないでねっ!!」 「おゆうぎになってないよ。ねえ、おちびちゃんたちだって、せいっかくがあわないこともあるよ。 いやがるのをむりにあそばせるのはゆっくりできないよ」 「そーだ、そーだ!!」 「れいむおばちゃんにさんせいー!!」 ブローチれいむの尻馬に乗って声を上げる子ゆっくり達に「ゆぐぐぐぐ……」と歯軋りをするれいむ達。 「おとなにむかって、そんなはなしかたをするのはゆっくりできないよ!!おちびちゃん!!」 「まったく、おやはどんなそだてかたをしてるのかしら……」 お前たちだけには言われたくない、とれいむ一家以外の全員が思う。 子供たちが去っていってしまったあとで、ブローチれいむの養子の子まりさ二匹がおずおずと前に出てきた。 「ゆー、れいむ、ありす、いっしょにあそぶのぜ?」 「「ゆゆーっ!!」」 殊勝な子達なのであった。 育ての親のブローチれいむを深く慕う二匹は、普段から「あのこたちとできるだけあそんであげてね」と言われており、 大変とは思いつつも母親を喜ばせるために子れいむ達と遊ぶよう努力していた。 子供ながらにボランティア感覚である。 「ゆゆーっ、おちびちゃんたちはゆっくりしてるねっ!!」 「みんなでなかよくあそんでね!!とかいはよっ!!」 呑気に喜んでいる両親。 ブローチれいむは、他人の子供に無理強いしてはいけないと言った矢先に、 我慢しながら遊び相手を申し出る我が子たちに申し訳なく思いつつも感謝していた。 この両親のもとでは、この子たちはまともに育たない。 なんとか両親以外のゆっくりと接触させ、社会性を育む助けになればとブローチれいむは思っていた。 ブローチれいむが焦るのは、この両親に自分の姿を重ね合わせていたからである。 彼女から見てもれいむ達の育て方はひどすぎた、いや、育てているとさえ言えなかった。 しかし、飼いゆっくり時代に自分が子供を作れていたらどうなっていたのか、彼女にはわからなかった。 今なら、群れの別の子ゆっくりと比較して、あの子たちはひどいと思える。 だが他に比べる相手がいない状況下で子供を産んだらどうなっていただろう? 狩りを教える必要もない環境下で、子供可愛さにただむやみに甘やかしていたのだろうか? 自分がいま育てている子まりさ達を引き取ったのも、赤ゆっくりをとっくに脱したあとだった。 同じ元飼いとして、どうしてもこの両親を責める気にはなれなかった。他のことではまともなだけに。 「ゆっ、それじゃ、かけっこしてあそぶのぜ!!」 「まりさたちはしゅんっそくなんだぜ!!」 「ゆーっ!!ゆっくりおいかけっこ!!」 「ときゃいは!!ゆっくちー!!」 子供達は競争をして遊ぶことにしたようだ。 50センチほど離れた石を目印にして、誰が一番速く着けるかの競争である。 「おかーさん、あいずをおねがいなのぜ!!」 「ゆっ、わかったよ!!ゆーい……ゆゆっ?」 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 合図を待つことなく、子れいむと子ありすは先に駆け出していた。 「ゆゆ……ゆーい、どん!!」 戸惑い気味のブローチれいむの合図に合わせ、苦笑しながら子まりさたちが駆け出す。 れいむとありすはといえば、無邪気に「おちびちゃん、がんばってね!!」ともみあげをふりふり声援を送っている。 おなじ「駆け出す」とは言っても、子まりさ達はぴょんぴょん跳ねているのに対し、 子れいむと子ありすはずーりずーりと地面を這っている。人間でいえば、四つん這いで這っているのと同じだ。 フライングしたとはいえ当然速度の違いは歴然たるもので、半分もいかないうちに子まりさ達が追い抜いてしまった。 「ゆゆっ、おいぬいたのぜー」「まりさたちのかちなのぜー」 「ゆびいぃぃいっ!!」「ときゃいは!!ときゃいはぁぁ!!」 少し挑発すると、すぐに子れいむ達が半泣きでわめき始めた。 やれやれといった調子で子まりさ達がスピードを落とす。 一足ごとに1センチも進まないようなゆっくりした速度で跳ねる子まりさ達の横を、やがて子れいむ達が追い抜く。 その時にはもうゴール直前になっており、子れいむが一等でゴールした。 ちなみに子ありすは道半ばでしーしーをしていた。 「ゆーっ!!ゆゆーっ!!れいみゅがいちびゃん!!いちびゃーん!!」 「ゆゆー、まけちゃったのぜ~」 「れいむははやいのぜ~」 当然、負けたとたんに癇癪を起して泣き喚く子れいむのために、わざと負けてやったのだ。 しかし、れいむは石の上によじ登り、勝ち誇って叫び続けた。 「のりょまのまりちゃなんかよりれいみゅのほうがはやいんだよっ!!」 「「……!!」」 「れいみゅしゅんっそくっでごめんにぇ~♪きゃわいくってごめんにぇ~~♪さいっきょうっでごめんにぇ~~♪」 「………さ、さいっきょうっかはわからないのぜ……?」 「ゆ、まりさはけんかがつよいんだぜ!!」 劣ってもいない足を馬鹿にされた上に、まりさ種が敏感に反応する『さいっきょう』の単語を持ちだされ、 プライドを逆撫でされた子まりさ達はムキになって反撥した。しかし子れいむの態度は増長するばかり。 「ゆきゃきゃきゃきゃっ!!まけいにゅまりちゃ~~♪くやちいまりちゃ~~♪ゆんゆんゆ~~ん♪」 「「ゆぎぎぎぎぎぃ………!!」」 子供じみているように見えるが、この時点で跳びかからないだけ立派なものである。子まりさ達は耐えていた。 親れいむ達は「ゆーん、おちびちゃんったら!!ゆふふっ」などと呑気に微笑んでいる。 おろおろと見ていたブローチれいむがなんとか空気を変えようと口を挟もうとした矢先、信じられないことが起こった。 「れいみゅのさいっきょうっあたっくだよっ!!」 「ゆべえっ!!?」 「お、おにぇーしゃんっ!!?」 増長しきった子れいむが、最強を証明しようとしてか、石の上から子まりさの頭上に飛び降りたのである。 通常、子ゆっくり同士の喧嘩はぽふぽふと横から体当たりする程度で大怪我には至りにくい。 しかし、自重と同じ程度の(実際には子れいむの方が少し大きかった)相手が頭上から全体重を落としてきたら大怪我は必至だ。 普通に育った子ゆっくりの神経ならやらないような危険な行為であった。 「ゆっぶぶぶぶげげげげ………!!!」 「おにぇーしゃん!!おにぇーしゃあああん!!!」 子まりさはひしゃげ、口から餡子を漏らし、舌を半分近く噛み切り、右の目玉は飛び出して転がっていた。 「「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おぢびぢゃあああああん!!!」」」 親たちが我が子の元へ駆け寄った。 そう、親れいむ達が駆け寄ったのは自分の子供、子れいむの元であった。 子れいむは子まりさの頭上でバランスを崩して落ち、後頭部をしたたかに地面に打って泣き喚いていたのだった。 「ゆびぇえええーーん!!いぢゃいよおおおおぉぉ!!」 「おぢびぢゃんっ!!おぢびぢゃん!!ゆっぐりじでねっ!!ぺーろぺーろぉぉ!!」 「ゆっくりしてちょうだいっ!!とかいは!!どがいばあああ!!」 「……………!!!!」 目玉を飛び出させ、泣き叫ぶことすらできない子まりさを介抱しながら、ブローチれいむは涙を讃えた目で、 初めて憎しみをこめた視線をれいむ達に向けた。 〔続〕
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とにかくちびちゃとの情報を集めてます、なんでもよいので情報提供をお願いします。 もうき ?plugin=ref serial=72 知らない人が多いと思うが、4年前の最強喧嘩師らしい。彼の実力を知っているものは、今は少ない。 今は昔の面影はなく、常連と雑談をしている。 あきお 管理人が一番尊敬している人だ。この人も最近は雑談しかしない。とてもおっとりしている。 しかし、昔はかなり強い上層喧嘩師だった。今は喧嘩を全くしない。 邪神軍 2011年1月10日?かな・・・?一日限りの軍団。 さらば友よ 最近楽しいことがない なんかさ、聞いた話なんだけど。マカロンって逮捕されたんだって あーついさっき邪神フルぼっこにしたわw -- 焼きクマ (2011-01-10 21 59 03) この軍団でもふるぼっこにした。邪神軍団最高だったわw -- 仙人 (2011-01-10 22 09 46) なんで邪神こんなに嫌われてんのw -- リペイ (2011-01-12 00 57 19) 切ないざます・・・ -- rose (2011-01-12 09 44 06) だよね、復活ねがう! -- 仙人 (2011-01-12 18 41 11) 邪神ごっこめっちゃ楽しかった -- 左のサイドスロー㌰ (2011-01-13 14 12 10) もうきwwwwww -- しょこ (2011-01-28 15 02 19) 名前 コメント
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ちびちゃとの動画 ちびちゃと連合軍【もなちゃとへ初出陣】前編 ちびちゃと連合軍【もなちゃとへ初出陣】後編 ちびちゃと【喧嘩師癌 VS 変態喧嘩師】
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『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!(後編)』 29KB いじめ 虐待 制裁 自業自得 育児 子ゆ 現代 虐待人間 うんしー このシチュエーションでやりたいだけで考えた設定なのに前置きが長くなりすぎたのぜ。後編も当然のように三回分あります 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 anko2889『いっしょにゆっくりしていってね!』 anko3521『ゆっくりつかいすてていってね!』 anko3542(前)/3549.3563-3564(中) 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』(後編) 「さあ、ここが君たちのゆっくりプレイスだよ。ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!!おにいさん、ありがとおおぉ!!」」 「ごびゃんしゃん!!ごひゃんじゃああん!!」 「おにゃがじゅいだおにゃがじゅいだおにゃがじゅいだああぁ!!」 お兄さんの家に招き入れられたれいむとありす。 泣きながらびたんびたんと暴れる我が子たちに焦り、れいむは青年に催促した。 「ゆゆっ!!おにいさん、おちびちゃんにごはんさんをあげてねっ!!」 「ああ、今持ってくるから待っておいで」 「「ゆっくりありがとうっ!!」」 お兄さんはすぐに、奥からゆっくりフードを持ってきてくれた。 「さあ、みんなでお食べ。いっぱいあるからね」 「ありがとう、おにいさん!!」 「ゆっくりいただくわ!!」 「むーぢゃむーぢゃ!!むーぢゃむーぢゃ!!」「じばばぜーっ!!まじぱねぇ!!」 飼いゆっくりの舌が肥え過ぎないように甘味を抑えたゆっくりフードは、 かつてお姉さんの家で食べさせてもらっていた懐かしい味だった。 久しぶりにお腹いっぱいの食事を食べ散らかす子供たちに、れいむとありすは安堵する。 干し柿のようになっていた身体が再び球形に膨れるまで食べると、子供たちはゲップをして言った。 「ゆぷーっ!!きゃわいいれいみゅのしゅーぱーうんうんたいみゅだよっ!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!ちゅっきりーっ!!」 食べたその場でうんうんをしてしまう。汚れた身体で床を汚さないよう、新聞紙の上に座らされていたのが幸いした。 その場ですぐにうんうんを出せるほどたらふく食べさせられたのはいつ以来のことだろうか。 お兄さんは怒らずにこにこしている。 このお兄さんは、本当にこのおちびちゃん達の魅力を理解しているのだ。こんなにゆっくりしてくれているではないか。 自分たちの子育ては間違っていなかったのだ、そう確信してれいむとありすは視線を交わしてゆふふっと笑い合った。 「「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」」 うんうんをしたあと、すぐに寝息を立てはじめるおちびちゃん達。 そこでお兄さんが言った。 「さて、そんな汚れた身体でうろつかれちゃ困るからね。まずは洗ってあげるよ」 「ゆっくりりかいしたよっ!!」 「とかいはなえすこーとをおねがいするわっ!!」 風呂場に連れてゆかれ、丁寧に野良生活の汚れを落とされる。 ぬるめのお湯で濡らし、シャンプーと石鹸でこすって汚れを落とし、タオルで拭く。 すべては手早く行われ、水に弱い饅頭のゆっくりを扱い慣れているのがわかった。 眠っているおちびちゃん達も、起こすことなく素早く洗われた。 ぺーろぺーろでも落としきれないうんうんと泥まみれだったおちびちゃん達が、 再びもちもちすべすべのほっぺを取り戻すのを見るに至り、れいむ達はうるうると感動の涙を浮かべた。 「「ゆゆうううぅぅぅ~~~~ん………おちびちゃんたち、とぉ~~~~ってもゆっくりしてるよおおぉぉぉ~~~……!!」」 「君達は本当におちびちゃんが好きなんだね」 クッションのベッドで寝かしつけながら、お兄さんはれいむ達に言う。 れいむとありすは頷き、おちびちゃんがどれだけゆっくりしているか、 そして意地悪な人間さんとゆっくり達がどれだけおちびちゃんに嫉妬して意地悪してきたか、 これまでの経緯をお兄さんに訥々と語り始めた。 「それでね、みんなおちびちゃんをおうちにいれてくれないんだよ……」 「おちびちゃんがきたないのはあたりまえなのに、みんないじめるのよ……」 「おねえさんにはほんとうのゆっくりがわからなかったんだよ……」 「ゆっくりがわからないのにゆっくりをかおうとするなんて、とかいはじゃなかったわね……」 初めての理解者を得たれいむとありすの愚痴は、夜中まで延々と続いたのだった。 にこやかにうんうんと頷いて聞いてくれるお兄さんの表情を見るにつけ、れいむ達は、 ここがおちびちゃんを心ゆくまでゆっくりさせてくれる、終生のゆっくりプレイスだとの確信を新たにした。 (ゆ、ながかったね………ありす) (そうね、れいむ………いなかものなわからずやばかりだったけど、わかるひとにはわかるんだわ) (ここならおちびちゃんがゆっくりさせてもらえるよ。 おちびちゃんも、おかあさんたちやおにいさんをたっぷりゆっくりさせてくれるよ) (ええ。ほんとうに、しんじつはいつかむくわれるものなんだわ…………) おちびちゃん達と一緒に寝床の中で身を寄せ合いながら、れいむ達は穏やかな表情を浮かべて囁き合ったのだった。 ―――――――― 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……ゆ………ゆぅぅぅ~~ん」 「ゆぅぅん………とかいは………ゆっ」 眠りから覚め、れいむとありすは天井を視界にとらえて目をぱちくりさせる。 路地裏のかびくさい狭い隙間ではない、屋根も壁もある家の中で、二匹はふかふかのクッションに横たわっている。 その幸せに二匹は表情をほころばせ、ゆっゆっと身を揺らしていたが、すぐに表情が固まった。 「ゆ゛っ!!おちびちゃんっ!!?」 「どこっ!?」 傍らで一緒に寝ていたはずの子供たちがいない。 色をなして辺りを探すと、すぐにあのお兄さんの顔が見えた。 お兄さんはすぐ側に座り、にこにこと笑って自分たちを見つめている。 「ゆっ!!おにいさん!!おちびちゃんはどこぉ!?」 「ゆっくりおしえてねっ!!かくすのはいなかものよっ!!」 お兄さんは親指を立てて右側を指し示す。 見ると、やはりすぐそこにおちびちゃんはいた。 「おにゃかしゅいちゃあああぁぁ!!ゆぇええええん!!ゆびぇえええええん!!」 「ごびゃん!!ごびゃん!!ちょうだい!!ちょうだい!!ちょうだいちょうだいちょうだいいいぃ!!」 お腹をすかし、朝食を求めて泣き叫んでいる。 痛ましいその姿に、れいむとありすは駆け寄ろうとしたが、しかしもう一つ、昨夜まではなかったものが部屋にあった。 四畳半ほどの部屋を半分に区切るように、ペット用の柵が設置されていたのだ。 柵を構成するプラスチック製の格子は斜め十字に組み合わされ、 その隙間は大きく、向こう側もよく見えた。 しかし、親ゆっくり二人はもとより、よく育った子れいむと子ありすもぎりぎり通れない程度の障害になっている。 ぼすんぼすんと柵に突撃したが、柵はびくともしない。 にこにこ笑っているお兄さんに向きなおり、ありすが叫んだ。 「おにいさんっ!!これはなんなのっ!?」 「見てわかるだろう。柵だよ」 「これじゃおちびちゃんとすーりすーりできないでしょおおおぉぉ!!? さくさんをすぐにどかしてねっ!!あとおちびちゃんにごはんさんをあげてねっ!!」 「柵はどかさないが、ご飯はあげよう」 お兄さんが、背後から二つのものを取り出した。 一つは箱入りのゆっくりフード。もう一つは、先端に行くにつれて広がっている、長くて平たい棒だった。 「このご飯を、今すぐにおちびちゃんにあげよう。ただし、条件がある」 「なんなのそれええぇぇ!!?いいからはやくごはんさんをあげてねえぇぇ!!」 「おちびちゃんがないてるのがみえないのおおぉ!!?」 バシィン!! 「「ゆぎゃあっ!!?」」 激しい痛みが、二匹を襲った。 「熱い」と形容してもいいようなひりひりした苦痛。何が起こったのかわからぬままに身悶える。 お兄さんが手に持ち、振っているそれを見て、ようやく自分たちに起きたことを理解する。 「元飼いゆっくりならわかるだろう?飼いゆっくりは飼い主の言うことを聞くものだよ」 「「…………!!」」 ぶるぶると震えだす二匹に向かって、ヒュンと音を立てて素振りしながらお兄さんが念を押す。 「返事が聞こえないなぁ?」 「「ゆっぐじりがいじばじだ!!」」 「よしよし。元飼いは話が早くて助かるよ。 で、このご飯のことなんだが。条件があると言ったね? その条件というのは、本来別にわざわざ断るようなことでもない。 飼いゆっくりの仕事は、飼い主をゆっくりさせることだ。そうだね?違ったかな?」 「ぢがいばぜんん!!」 「がんばっでおにいざんをゆっぐりざぜばずうう!!」 「うん、いい返事だ。 つまり、僕をゆっくりさせてくれれば、見返りに君やおちびちゃんたちにご飯をあげる、ということだよ」 「ゆ、だ、だいじょうぶだよ!!れいむたちはおにいさんのいうことをきくよっ!!」 「それに、おちびちゃんをみればおにいさんもゆっくりできるはずよっ!!」 「ああ、違う違う。違うんだなあ……っと」 バシィン!! 「あびいぃっ!!?」 「れいむうぅう!!?」 「僕はね、『虐待お兄さん』なんだよ。 君達が苦しんで悲鳴をあげてのたうち回る様が、何よりもゆっくりできるんだ」 「「……………!!!」」 衝撃のカミングアウトを前に、れいむとありすはがたがたぶるぶる震えだした。 話には聞いている。世の中には、ゆっくりと見ればわざわざ苦しませて楽しむ虐待お兄さんなる人種がいるのだと。 そういう相手もいるから、むやみやたらに人と関わらないように、飼いゆっくりは飼い主から、野良は親から教わる。 そんな相手に、れいむ達はぶち当たってしまったのだ。 張りつめた空気の中で、おちびちゃん達の泣き声だけが響く。 「運が悪かった、みたいな顔をしているね。違うなあ、必然だよ。 ゆっくりが飼いたければ、みんなゆっくりショップに行くさ。 格安の銅バッジなら小学生のお小遣いでも飼えるくらいなのに、なにも汚い野良に触ろうとする人はいないよ。 拾うとしたら、ゆっくりは使い捨てぐらいにしか考えていない………そう、僕のような虐待お兄さんしかいないってことだ。 あんなところで飼ってくださいとわめき散らす時点で、駆除されるか、拾われて虐待されるかの二択しかない。 ゆっくり理解できたかな?」 「ゆ……ゆぐじでえええ!!おぢびぢゃんいじべだいでええええぇぇ!!」 「ありずだぢはどうなっでもいいでずっ!! おぢびぢゃんだげはっ!!おぢびぢゃんだげはあああああぁぁ!!!」 「それだ!!」 突然片膝を立てて身を起こし、お兄さんはおちびちゃん達を指さして言った。 「そこなんだよ。そう、おちびちゃんは君たちの言うとおりとってもゆっくりしている。 どんなゆっくりも笑顔でしばき倒す僕だが、このとっても可愛くてゆっくりしたおちびちゃんだけには、 とても虐めるなんてひどいことをする気にはなれないんだ。なんてゆっくりしたおちびちゃん達だろう!!」 「ゆ゛っ!!ぞうだよっ!!がわいいおぢびぢゃんにぞんなごどじぢゃいげないんだよおぉ!!」 「そうよっ!!そうなのよぉ!!おにいさん、とかいはよおおぉ!!」 「だから、僕は天地神明に誓って言うよ。 おちびちゃんには決して手を出さない。決して、決して痛い思いも、苦しい思いもさせない。存分にゆっくりさせよう。 その代わり………君達を虐めるよ!」 バシィン!! 「「ゆっぎょおおおぉ!!」」 「君達を叩いているこの棒は、『ゆ叩き』と言ってね。 内部に損傷を与えず、表面の皮膚だけに効率よく痛みを加えられるように設計された幅広の道具だ。 某格闘漫画にも描写されるように、皮膚の痛みはどれだけ鍛えても軽減できるものじゃない。 まして相手がゆっくりとなればなおさらだな。 本来は躾けのために販売される道具だが、素人でもゆっくりを壊さずに存分に痛めつけやすいということで、 虐待嗜好の客にも愛好されているロングセラーさ」 そう言いながら、お兄さんは右手にゆ叩きを握り、残った左手でゆっくりフードの箱を掴んで立ちあがる。 柵のそばまで歩いていくと、箱を傾け、柵の向こう側に少量のゆっくりフードをじゃらっと撒いた。 「さあ、可愛い可愛いおちびちゃん達。ごはんを食べてゆっくりしておいで」 「ゆっ!!ごひゃんしゃん!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!らんちしゃん!!ときゃいは!!」 じたじたと泣き喚いていたおちびちゃん達が、床に散らばったフードの粒に這い寄ってむーちゃむーちゃと咀嚼しはじめる。 「ゆ、ゆうぅ………」 「おちびちゃん………とかいは、よ………」 痛みに涙を流しながらも、子供たちの姿を見てれいむ達は安堵する。 しかし、撒かれたフードは十個もなく、あっという間に食べ尽くした子供たちはすぐにむずがりだした。 「もっちょ!!もっちょ!!もっちょたべりゅううぅぅ!!もっちょちょうだいいいぃ!!」 「たべちゃいたべちゃいたべちゃいたべちゃいもっちょたべちゃいいいぃぃ!!」 「ゆ、ゆううぅ………!お、おにいさん、もっとごはんさんを………」 「おにい、さ………」 「だいたいの雰囲気は伝わってるだろう? そう、僕に虐められるのが君達の仕事だ。そして、僕に虐められるたびに、おちびちゃん達にご飯をあげよう。 おちびちゃん達をゆっくりさせてあげたいなら…………そういう事だ。わかったかな?」 ヒュン、とゆ叩きが風を切る。 びくり、と身をすくませ、カチカチと歯を噛みならすれいむ達。 「おや、返事が聞こえないな? そんなに叩かれるのが嫌なら、僕はやめてもいいんだよ。 でも、それじゃおちびちゃんはお腹を空かせてしまうねえ」 「や……や、や、やるわあぁ!!」 「ゆ……れ、れいぶもがんばるよおおぉ!!がんばっで、いじべられるよおおぉぉ!!」 「ほほう」 「やくっそくっをわすれないでねっ!! おにいさんはゆっくりできないけど、おちびちゃんだけはぜったいにぜったいにゆっくりさせてねっ!!」 「そうよっ!!いなかもののいじめなんかにはぜったいにまけないわっ!! おちびちゃんのためならたえぬいてみせるわあぁ!!」 「そうだ!その言葉が聞きたかった。君達は素晴らしい。 お兄さんは嬉しいよ、それでは早速………ゆっくりさせてもらおうッ!」 バシッ、バシィン!! 「ゆぎいぃッ!!」 「あびゃあぁ!!?」 れいむとありすの身体にゆ叩きが叩きつけられる。 ひと叩きごとにお兄さんはフードの箱を傾け、おちびちゃん達の周りにフードを少しずつばら撒いていった。 「ゆっ!!むーちゃ、むーちゃ!!」 「ときゃいは!!むーちゃむーちゃ!!はぐっ、がつがつっ!!」 ばら撒かれるたびにあちこち這いずってゆっくりフードをかき集め、尻を振りながら一心不乱に貪るおちびちゃん達。 その姿を見つめながら、れいむ達はゆ叩きの打擲に必死に耐え続けていた。 痛みのあまりにぷしゃっ、としーしーが漏れ出し、ありすが羞恥に頬を赤らめる。 「ふう、だいぶん叩いたな。 お兄さんはそろそろすっきりしてきたからもうやめてもいいんだけど……」 汗をぬぐいながら漏らしたお兄さんの言葉に、れいむとありすは安堵する。 しかしすぐにおちびちゃん達の泣き声が響き渡った。 「もっちょもっちょもっちょもっちょ!!もっちょちょうだああああいいいいぃぃぃ!!」 「おにゃかしゅいちゃおにゃかしゅいちゃおにゃかしゅいちゃおにゃかしゅいちゃああぁぁ!!」 「「…………!!」」 「おやおや、ずいぶん食べざかりなんだな。 ゆっくりしたおちびちゃんだから人一倍、おっと、ゆっくり一倍食べるのも無理はないな! 僕も疲れてるんだけど、おちびちゃんがゆっくりするためには……君達が仕事しないとねえ?」 「ゆっ………ひっ……!!」 「そぅれ!!」 バシィン!! 「「ゆ゛びい゛………ゆ゛びい゛………」」 全身を赤く腫らし、息も絶え絶えで横たわるれいむとありす。 ついにうんうんまで漏らしてしまい、ありすは髪で顔を覆って嗚咽している。 その段階でようやくおちびちゃん達は満足し、げふうとゲップを吐いてうんうんをひり出していた。 「おやおや、このぶんじゃトイレを置いても無意味かな? フローリングだから問題ないさ、しーしーとうんうんはサービスで片付けてあげよう」 ゆぴぃゆぴぃと眠る子ゆっくり達を部屋の隅の小さなクッションに載せてから、 お兄さんが雑巾とティッシュで糞便を始末する。 親の糞便まで片付けてからふうっと息をつき、お兄さんは満面の笑顔でれいむ達に言った。 「いやあ、とっても充実した時間をありがとう! おちびちゃん達はかわいいし、君達を虐めてゆっくりできたし。 今日は夜遅いからこのままお休み。 明日から、ご飯の時間のたびにゆっくりさせてもらうよ」 突っ伏したまま聞いていたれいむ達が、「ご飯の時間のたびに」と聞いてびくんと震えた。 「おっと、忘れていた。君達のご飯だ」 ばらばらとれいむ達の周りにゆっくりフードをばら撒いていくと、お兄さんは部屋から出ていった。 それでも食欲はすぐには戻ってこず、れいむとありすは長い間そのまま泣きじゃくり続けていた。 ―――――――― 「ぺーろ、ぺーろ……」 「おちびちゃん、ゆっくりしてねぇ………」 「ゆーん、ぺーりょぺーりょ!!」 「ゆきゃっゆきゃっ!!ときゃいは!!ときゃいは!!」 柵の格子ごしに舌を長く伸ばし、おちびちゃん達の身体をぺーろぺーろと舐める。 ぺーろぺーろはできたが、すーりすーりができないのがもどかしい。 眠りから覚めたおちびちゃん達は、あちこち興味深げに見回していたが、 すぐにれいむ達とのスキンシップを望んで柵に這い寄ってきた。 とんだことになってしまった。 プライドを捨てて道端で飼ってくれと懇願した結果が、虐待人間に掴まったとは。 この先のことを思うと、れいむとありすは絶望的な気分になる。 しかし、一つだけ喜ばしいことがあった。 それは、おちびちゃん達が喜んでいるということだった。 本当に久しぶりの、お腹一杯のごはんさん。 久しぶりに見るおちびちゃんの笑顔に、れいむ達は本当にゆっくりできていた。 おちびちゃんには手を出さない。 一番肝心なそのことを、お兄さんは約束してくれていた。 それなら、お母さんたちは耐えよう。おちびちゃんのために耐えよう。 おちびちゃんがゆっくりするためなら、お母さんたちはどんなことだって耐えられるんだから。 「ゆーっ!!おきゃーしゃん!!しゅーりしゅーりちてぇぇ!!」 「しゅーりしゅーり!!しゅーりしゅーりいぃ!!」 「ゆゆっ、だめなんだよ、おちびちゃん……」 「ままもすーりすーりしたいけど、とどかないのよおおぉ……」 と、子供たちがすーりすーりを望んでいた。 すーりすーりは家族みんなが大好きなスキンシップである。 そうしたいのは山々ながら、残酷な柵の格子がそれを許さなかった。 互いに格子に身体を擦りつけるが、厚みのある柵に遮られて親子の体は触れ合えない。 子供たちが泣き喚きはじめたところに、ドアを開けてお兄さんがやってきた。 「おやおや、どうしたんだい」 「おにいさんっ!!すーりすーりさせてちょうだい!!」 「とどかないんだよおぉ!!おちびちゃんとすーりすーりしたいよおおぉ!!」 「おっといけない。今させてあげよう」 そう言い、お兄さんは両親のほうを両手で抱え、柵を乗り越えておちびちゃんの側に置いてくれた。 「ゆーっ!!しゅーりしゅーり!!おきゃーしゃんのおひゃだ、ゆっくちー!!」 「ゆうううぅぅ!!しゅーりしゅーり!!おちびちゃんしゅーりしゅーりいいぃぃ!!」 「とかいはっ!!おちびちゃんのおはだもとかいはよおおおぉ!!」 「ゆっくちー!!ときゃいは!!」 体中をすりすりと押し付けあいながら喜ぶ団欒を、お兄さんはにこにこと眺めていた。 やがて、子供たちがむずがりはじめた。 「ゆーっ!!おにゃかしゅいちゃ!!」 「ごひゃんしゃんたべちゃい!!」 「「ゆっ………」」 びくり、と両親の体が強張る。 聞きつけたお兄さんが身を起こした。 「おや、そろそろお仕事の時間かな?」 「「……ゆぅ…………」」 「さあ、お母さんたちはこっちに戻ろうね。おちびちゃんの傍でやったら危ないだろ?」 お兄さんが再び、柵の向こう側に両親を置く。 その後一旦廊下に戻ってから、両手にそれぞれ荷物を持って再び現れた。 「今日のご飯さんはこれ。ゆっくりできるクッキーさんだ。あまあまだよ」 「「ゆゆっ………!!」」 クッキーさん。 かつてお姉さんの家に飼われていたときでも、それほど高い頻度で食べられるものではなかった。 飼いゆっくりの舌が肥えて高価なフードしか受け付けられなくなるのを恐れ、 お姉さんは味の薄い健康志向のゆっくりフードばかりを与えていた。 クッキーのようなゆっくりできるあまあまは、 お姉さんの機嫌がいい時に振舞われたり、言うことをよく聞いたごほうびで与えられるもので、時たまの楽しみだった。 ことに勝手におちびちゃんを作って以降は、お姉さんはあまあまなどくれたことがなかった。 舌が肥えすぎた飼いゆっくりが捨てられて野良になり、生ゴミや木の実を食べられずに死ぬケースは多いが、 れいむ達がそうならずに野良生活に適応できたのも、そうした食生活の下地があったおかげだった。 おちびちゃんを作って以来、久しぶりに食べられるあまあまさん。 特におちびちゃんにとっては初めてのあまあまさんになる。 れいむとありすは顔をほころばせ、 おちびちゃんにあまあまを与えられるならと、ゆっくりできない仕事をむしろ喜びはじめていた。 「ゆっ!!おちびちゃんっ!!あまあまさんだよっ!!」 「ゆっ!?あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ゆっくちーっ!!」 「ときゃいは!!あみゃあみゃたべちゃい!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 「ままたちががんばってたべさせてあげるからね!!とかいはなあまあまでゆっくりしてね!!」 「おやおや、盛り上がってるようだね。 見てのとおり、ゆっくりしたおちびちゃん達のためにご飯さんをグレードアップさせたよ。 そして当然……虐待も、グレードアップだ」 「「ゆゆっ?」」 じゃらり。 れいむ達の前に、金色に光る小さな、なんとなくゆっくりできない形状のものが散らばった。 「ゆ………これって………」 「画鋲さんだよ。まずはお試しだ」 そう言い、お兄さんは一枚のクッキーを二つに割り、おちびちゃんの口に一つずつ運んだ。 「ゆっ!!ゆっくちちょうだいにぇ!!」 「ゆっくちたべりゅよっ!!」 即座にかぶりつくおちびちゃん。 直後、くわっと目を見開き、ぷるぷるぷると震え出す。まむまむからはしーしーがぷしっと漏れ出した。 「「ち、ち、ち、ち、ち………ちちちちちちちちあわしぇえええぇぇぇ~~~~~~~~~!!!!」」 生まれて初めて口にするあまあまに、おちびちゃん達はうれし涙とうれしーしーを吹き出し、 全身をのーびのーびさせて歓喜の叫びを吐いた。 「ゆっ、おちびちゃあああぁぁん………」 「よかったわねぇ………ほんとうによかったわああぁぁ……」 れいむとありすの方も嬉し涙を流していた。 おちびちゃん達の喜ぶ姿以上にゆっくりできるものはない。 「さあ、こっちもお試しだよ」 おちびちゃん達の方を見つめて震えているれいむとありすの頬に、鋭利な痛みが走る。 「「ゆぎゅっ!!!?」」 二人は飛び上がった。 自然界にはなかった痛み。頬を貫き、餡子を刺激する鋭く暴力的な感触に意識が熱を帯びる。 「ゆぎいいぃぃっ!!?いだいっ!!いだいいだいいだいいぃ!!」 「どっでっ!!どっでぇ!!ごれどっでええぇぇ!!いだいわあああぁぁ!!」 「オーケー、お試しだからね」 お兄さんはすぐに、れいむ達の頬に突き刺していたそれ――画鋲を取り除いてくれた。 激痛を伴う異物感が取り除かれ、二匹は大きい息をつく。 「ゆっ……おにいざんっ、いだずぎるよおおぉぉ!!」 「きのうとぎゃくったいっがちがうでしょおおぉ!!?」 「別に虐待方法を限定してはいないさ。 より痛いのも当然だよ、よりおいしいあまあまになったんだからね。 うん、別に昨日の虐待に戻してもいいんだけど、ごはんさんも昨日の味気ないフードに戻ることになるよ?」 「ゆっ………!!」 「そんなっ…………!!」 「どちらがいいか、おちびちゃんに決めてもらおう」 おちびちゃんの前に、ゆっくりフードの粒とクッキーの欠片を置いて、お兄さんが尋ねる。 「さあ、どっちがいいかな?」 「はぐっはぐっ!!はぐっ!!」 「むーちゃっ!!むーちゃあぁ!!」 即座に食べ尽くしてしまうおちびちゃん達。すぐに叫んだ。 「たりにゃいよおおぉ!!もっちょ!!もっちょちょうだいいぃ!!」 「あみゃあみゃたべちゃいいいぃい!!」 「うん、どっちをもっと食べたい?」 床に置いたら食べられてしまうので、両手にフードとクッキーを持って再び尋ねるお兄さん。 「「きょっち!!!」」 舌と身体を目一杯伸ばして、おちびちゃん達はクッキーを指し示した。 「……と、いうことだ、れいむちゃんにありすちゃん。 おちびちゃんは、〝画鋲〟を選んだよ」 「「………!!」」 あの鋭利な痛みを思い起こし、二人はぶるぶると震える。 しかし、勇を奮い起こし、れいむが叫んだ。 「ゆ、れ、れ………れいむはやるよっ!!がんばるよおぉ!!」 「!!…………そ、そうよ!!かわいいおちびちゃんのためだものっ!!ありすもがんばるわ!!」 「素晴らしい。君達は実に素晴らしい!その意思の強さはゆっくりしているよ! ただ一応念を押しておくけど………決めるのはおちびちゃん、だからね。君達じゃないんだ。 まあいいさ、じゃあ……お仕事を始めようか!」 放り出されたクッキーにおちびちゃん達がかぶり付き、 それを確認して、お兄さんは画鋲を一個ずつれいむとありすの頬に突き刺した。 「ゆっぎゃあああああぁぁぁ!!」 「いだっ!!いだっいだいだいだああああぁぁいいいぃ!!」 「はっはっは、いい声だ!ゆっくりできる悲鳴だよ! おちびちゃん達が食べるごとに一個ずつ、君達の体に画鋲を突き刺していくとしよう。 そうだな、れいむのおちびちゃんが食べればれいむに、ありすのおちびちゃんが食べればありすに刺そう。 おちびちゃんがもういらないと言えばそこで虐待も終わりだ。さあ、何個刺せるかな?」 「「むーちゃむーちゃむーちゃ!!うっみぇ!!まっじぱにぇぇ!!ちちちちちあわしぇ~~~~~!!! ちょうだい!!ちょうだい!!ちょうだいにぇ!!もっちょもっちょちょうだいぃ!!」」 「「ゆぎゃあああああああいだあああああああゆっぐじでぎだいいいいいいいぃぃぃ!!!」」 全く性質を異にした二種類の叫び声が、部屋中に長々と木霊しつづけた。 おちびちゃん達の身体が元の二倍近くにふくれ上がった頃に、ようやく催促の声はやみ、 二匹はゲップをして身を横たえた。 「ゆっぷううぅぅ~~~~……とっちぇもゆっくちしちゃあみゃあみゃしゃんだっちゃよ!!」 「ときゃいは!!うんうんちゅっきり~~~~!!」 恒例の食後のうんうんをするおちびちゃん達を見つめながら、れいむ達は精根尽き果てた表情でぐったりとうなだれた。 「ゆ゛………あ゛………お、おぢび……ぢゃ……………」 「いぢゃ……いぢゃいわあぁぁ………どっで、ごれ………どっでえええぇ…………」 二人の全身には何十個もの画鋲が突き刺さっている。 短い針は身体に深刻な損傷を与えることはないが、それでも全身を苛む激痛は耐え難い。 ほんの少し身じろぎするだけでも、突き刺さった無数の針が体内の餡子を引っ掻き、気が狂いそうな痛みを引き起こす。 「いやあ、予想以上に長かったね。おやおや、おちびちゃん達はおねむかい? さて、君たち親にもご飯をやらなきゃならないが、君たちのご飯はこれだ」 そう言いながら、お兄さんは味気ないゆっくりフードを二人の前にばら撒く。 「ゆ゛っ……くっきー、さん……」 「おいおい、君たちがゆっくりしちゃあ虐待にならないだろう。 虐待お兄さんの中にはうんうんを食べさせるやつもいるんだから、僕はやさしい方だよ?」 前回と同じく、おちびちゃん達のうんうんを掃除してから、 帰り際にお兄さんはれいむ達に言った。 「さて、画鋲は次のお仕事まで取らないでおくよ。 おちびちゃんのお腹の中のクッキーが全部消化された頃に取るのが筋ってものさ。じゃあ、次はお昼にね!」 「ゆ゛っ!!まっでっ!!ぢぐぢぐざんどっでええぇぇ!!」 「おでがいっ!!おでがいよおおぉぉ!!ゆっぐじでぎないわああぁ!!」 れいむ達が必死に引き止めたが、お兄さんはにこにこと笑いながら部屋を出ていってしまう。 「ゆ゛ぐっ………ゆ゛ぐっ…………」 「どぼじで…………どぼじでごんなごどに…………」 食事をかき集めるにも、わずかでも動けば画鋲が身体を責め苛む。 大量の涙を流しながら、やはり二人はただ泣きじゃくるしかなかった。 「ゆぴぃ………ゆぴぃ………」 「ゆぴぃ……ゆぷっ………あみゃあみゃ………ぴぃ」 ふと、柵の向こうのおちびちゃんを見やる。 なすび型に下膨れに大きくなって上下する腹をもみあげで抱えながら、 涎を垂らし、おちびちゃん達は幸せそうに眠っていた。 そうだ。 おちびちゃんはこんなにゆっくりしている。 自分達がお母さんなんだ、どんな目に遭おうとも、自分たちがおちびちゃんをゆっくりさせなければいけないんだ。 れいむとありすは唇を引き絞り、激痛の中で意志を新たにした。 れいむ達は自覚していない。 今、「おちびちゃんがゆっくりすれば自分たちもゆっくりできる」から、 「おちびちゃんはゆっくりさせなければいけない」に意識が変質していることを。 ―――――――― 「やあ、お昼のむーしゃむーしゃの時間だよ!」 「ゆゆっ!!ごひゃんしゃん!!」 「あみゃあみゃしゃんちょうだい!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 「「ゆ゛っ………」」 お兄さんが現れた。 眠りから起きて「しゅーりしゅーりちてぇ!!」と柵の向こうで泣き喚いていたおちびちゃん達が、 お兄さんの登場にぱぁっと顔を輝かせてずりずりと這い寄る。 親のれいむとありすは画鋲の痛みに動くこともできず、やはりお兄さんが現れるのを待ちわびていた。 「おにいざん……ごれ、どっでぇぇ……」 「おっといけない。まずは約束通りそれを取ってあげるよ」 お兄さんはれいむ達の前に屈み込み、一本ずつ画鋲を丁寧に取り除きはじめた。 「ゆ゛っ……!いぢっ……!びぃ!」 「ほらほら、我慢してくれよ。このままじゃ虐待もできないしね」 「ゆーっ!!おにいちゃん!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃちょうだいいぃ!!」 「おにゃかしゅいちゃよおぉ!!あみゃあみゃ!!はやきゅううう!!」 両親の画鋲を取り除いているお兄さんにぐいぐいと身体を押し付けてむずがるおちびちゃん達。 「おいおい、待ってくれよ………よし、取り除けた」 仕上げにオレンジジュースを染み込ませた脱脂綿でお兄さんが身体を拭くと、 高速度で無数の小さな傷口がふさがってゆき、れいむとありすの身体は元通りになる。 「さあ、準備オッケー。 じゃ、お昼のごはんと虐待といこうか!!」 「「ゆひいっ………!!」」 「お昼もおちびちゃんに選んでもらおうね。持ってきたのはこれさ」 お兄さんが持ってきたのは、やはりゆっくりフードにゆ叩きのセット。 そしてクッキーに画鋲のセットだった。 それぞれが盆に載せられ、おちびちゃんの前に並べられる。 れいむとありすは震え上がった。 ようやく何時間もの画鋲の痛みから解放されたのに、また刺されるかと思うと気が狂いそうだった。 思わず、れいむの口から言葉が漏れた。 「ゆ゛っ………ね、ねえ、おちびちゃ、ん………」 「ゆーっ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 「ちゃべりゅ!!あみゃあみゃちゃべりゅ!!」 「…………!!」 おちびちゃんはといえば、やはり一心不乱にクッキーの載った盆に向かおうとしている。 れいむとありすは焦り、柵の向こう側の子供に必死に声をあげた。 「ま、まってっ!!おちびちゃん、ままのおはなしをきいてぇ!!」 「だめっ、だめなんだよぉぉ!!おちびちゃんっ!!おかあさん、げんっかいなんだよおぉ!! ねぇっ、がまんしないっ!?つぎ!!あまあまさんはまたつぎのごはんさんにっ、ゆああぁぁまってええぇぇ!!」 「「あみゃあみゃ!!ゆーっ!!あみゃあみゃちゃべりゅー!!」」 「ちょっと待ってくれよ、おちびちゃん」 全く話を聞かずにクッキーの盆に這い寄るおちびちゃん達を、お兄さんが手で遮る。 れいむとありすはほぅ……と胸を撫で下ろした。 「ゆーっ!!ゆあーっ!!にゃんでじゃまちゅるにょおおぉぉ!!ぷきゅーっ!!」 「たべちゃい!!たべちゃい!!たべちゃいたべちゃいたべちゃいたべちゃいいぃぃ!!」 「まだ選んでねとは言っていないよ。まだ全部出してないんだからね」 そう言い、お兄さんは背中に隠していた盆をおちびちゃんの前に出した。 「今回からはこれも選択肢に追加するよ。おちびちゃん達にもっと喜んでほしいからね!」 新しい盆の上に載っていたのは、一口大のチョコレートの山だった。 そしてその隣に、金槌が置いてあった。 「前回と同じく、まずはお試しだ。おちびちゃんはどんな味か知らないだろうからね。 どうぞ、食べ比べてから決めてくれ」 フードとクッキーとチョコレートを一口ぶんずつ目の前に置かれ、おちびちゃんが殺到する。 目の前から順にかぶりつき、チョコレートを口に入れた段階でおちびちゃんが動きを止めた。 「ちちちちちちちちちちちちちちちあわしぇええええええええ~~~~~~~~~!!!!(プシャアッ)」 失禁するおちびちゃんを見届け、金槌を手にしたお兄さんがれいむ達の前に立ちはだかる。 「さあ、こちらもお試しだ」 呆然と見ていたれいむのあんよをめがけて、お兄さんは金槌を振り下ろした。 ガン! 「!!!?」 声にならなかった。 丁度斜め上から叩き潰すように、お兄さんの金槌はれいむの底部の端を打っていた。 部分的にひしゃげた底部は床に引き伸ばされ、金槌の打撃面の八角形の跡がくっきりと残っている。 「………!!かはっ、ひっ………!?がっ………!!?」 「れ………れいむぅ!!れいむうぅぅ!!?」 叫び声も上げられないほどの激痛。 れいむはぶるぶる震え、食いしばった歯の隙間からひゅうひゅうと息を漏らす。 「どうだい、これがあのあまあまに見合った虐待さ。 チョコレートさん一個につき、この金槌を一発お見舞いしてあげるよ」 「ゆ゛、っ………じんじゃうでじょおおおお!!?」 ようやく口がきけるようになった、と言うより聞いた言葉の衝撃に一瞬痛みを忘れたれいむが目を見開いて絶叫する。 これほどの激痛と破壊が、おちびちゃんが一個食べるごとに自分たちの体に与えられる。 おちびちゃんがどれだけ食べるかはわかりきっていた。 「いやいや、僕は手慣れている。殺さないように虐待するのもお手のものさ。 そう、殺さない。絶対に、何があろうと………殺してあげない☆」 「む゛り゛っ!!む゛り゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!ふーどざんにじでえええぇぇ!!」 「こらこら、そうじゃないだろ。選ぶのは……おちびちゃん達なんだからさ!」 そう言い、お兄さんはチョコレートとクッキーとフードを一つずつおちびちゃん達の前に並べる。 「ゆー!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ちゃべりゅ!!あみゃあみゃ~~!!」 「ま゛……まっで!!まっでまっでまっでえぇぇ!!おぢびぢゃんどおばなじをざぜでええぇぇ!!」 「さあ、食べたいものを選んでくれ!」 「「おぢびぢゃああああああああああん!!!」」 「「あみゃあみゃぁ~~~~~!!」」 おちびちゃん達は、一直線にチョコレートにかぶりついた。 〔続〕
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おちびちゃん用のドア 17KB 虐待-普通 悲劇 自業自得 自滅 野良ゆ 赤子・子供 現代 口は災いの元 「おなかへったよぉ……」 「ゆぅ……ゆぅ……」 「ちゅかれたよぉ……」 「ゆひぃ……ゆひぃ……」 「おちびちゃん、がんばってね! もう少しだよ!」 子まりさと子れいむ、それより小さな赤まりさと赤れいむ、そして大きな親れいむの五 匹のゆっくり一家が街中を這っていた。 野良ゆっくりであるこの一家は、狩りの最中だ。そして子供たちの様子から容易に察す ることができようが、不調も不調、まったく獲物を得ることができていなかった。 親れいむも、もう少し、と励ますものの、もちろんなにかアテがあるわけではない。そ れどころか、アテにしていた二つのゴミ捨て場が、一つは既に人間がゴミを回収してしま っており、もう一つは先に来ていた別の野良一家に占領されていて追い返されてしまって いた。 「ゆゆぅ……すこしぐらいわけてくれてもいいのに……」 親れいむは、先ほどの、たっぷりと生ゴミが積み上がった「狩場」と、そこで我が物顔 でむーしゃむーしゃする一家を思い出して恨めしげに言った。あの一家がお腹いっぱい食 べて持ち帰っても余ってしまうぐらいの量だった。それなのに、自分たちだけで独り占め して、ゆっくりしていない連中だった。 成体一匹、子供二匹のこちらと違って、あちらは成体二匹、子供五匹という戦力であり、 喧嘩をしても勝ち目は無かった。戦力にはならずにむしろ集中的に狙われて真っ先に殺さ れかねない赤ゆっくりが二匹いるのも不利だった。 しょんぼりとする親れいむだが、実はあの後すぐに人間がゴミ回収に現れてゆっくりた ちも「ゆっくりゴミ」として回収されてしまっていたのだから、むしろれいむ一家は運が 良かった。 「ゆぅぅぅ、しょうがないから、ここの草さんを食べようね」 とある民家の庭にやってきた一家は、そこで苦い草を食べることにする。 「むーしゃむーしゃ、にがにがー」 あまりの苦さに目に涙が浮かぶほどだ。それでも我慢して食べればゆっくりの持つ餡子 変換能力によって少しは足しになる。 「ゆぷっ」 「ゆっ、吐いたらだめだよ!」 「ゆっくちできないよ!」 「ゆぴぃ……」 嘔吐しそうになった赤まりさを姉二匹が嗜め励ます。 「ゆぅ……」 まったくもってゆっくりしていない食事風景に親れいむは心を痛めた。 「みんな、日向ぼっこしようね!」 殊更元気な声で子まりさが言った。 「ゆゆん、日向ぼっこはゆっくちできるね!」 すぐさま子れいむもそれに和す。 「ゆっきゅち!」 「ひなたぼっきょ!」 妹二匹も嬉しそうに言った。 まだ所々に赤ちゃん言葉が抜けていないのにお姉さんらしさを見せる子供に、親れいむ は感無量であった。 「ゆん! それじゃあここで日向ぼっこしようね!」 「「ゆわーい!」」 苦い草しか無いその庭だが、日照には恵まれていた。 ゆっくり一家は思い思いに陽光を浴びてゆっくりした。 「ゆぅ……ゆぅ……ゆぅ……」 四匹の子供を抱えたしんぐるまざーれいむは日頃の疲労が一辺に出てしまったのか、す やすやと眠り始めた。 一方、遊びたい盛りの子供たちは、しばらくするとじっとしていられなくなった。 すーりすーりしたり、こーろこーろしたり、追いかけっこをしたり、ゆっくり遊び始め た。 「ゆゆ!?」 やがて、大きなおうちを探検(と言っても外壁を見ているだけだが)していた子まりさ が上を見つつ声を上げた。 「みんな、来ちぇ!」 「「「ゆゆっ?」」」 呼びかけに他の三匹がやってくる。 「あれ見ちぇ、ちいさなドアさんがあるよ」 「ゆゆ、ほんとだ!」 「ちいちゃいね」 壁に、小さなドアらしきものがついていた。その前に同じ高さの台が置いてある。 「ゆわあ、おうちはおおきいのにドアはちいちゃいにぇ」 「ゆ!」 何気無く口にしたであろう赤れいむの言葉に、子まりさが反応する。 「ゆゆゆゆゆ」 「ゆ? どうしたの?」 「おかしいよ、ここはにんげんさんのおうちだよ!」 「ゆん」 それは、親れいむによって教えられて承知していた。 「にんげんさんはおおきいのに、なんでこんなにちいさいドアがおうちについてるにょ?」 「「「ゆゆゆゆゆ!?」」」 言われて気付いた。この小さなドアでは人間さんの赤ちゃんですら通り抜けられないだ ろう。 「ゆぅ、なんだろうにぇ?」 「おちびちゃんたち、どうしたの?」 そこへ、目を覚ました親れいむがやってきた。 説明すると、親れいむも疑問に思ったらしく、ゆゆぅ、と唸った。 「ゆっ! まりさが行ってみるよ! おかあさん、あたまのうえに乗せちぇね!」 「ゆぅ……気をつけてね」 心配しつつも、気になるのは事実であったので、親れいむは子まりさを頭に乗せた。そ こから子まりさはドアの前に置いてあった台に飛び乗った。 「ゆぅぅぅ……ゆっ!」 とりあえず押してみると、ドアは上の方にと開いた。 「このドアさん、あくよ!」 「ゆゆゆっ」 「ゆっ、わかっちゃよ!」 赤れいむが叫んだ。 「きっと、これはれいみゅたち用のドアらよ!」 「「「ゆゆゆっ?」」」 赤れいむ曰く、こんな小さなドアは人間さんは出入りできない、ということはこれは自 分たちのような小さくて可愛い子ゆっくり用のドアに違いない。 そして、そこから導き出される結論は、このおうちに住んでいる人間はおちびちゃんが 大好きなとてもゆっくりできる人ということになる。 餡子脳ゆえの楽観過ぎる観測だが、この一家はゆっくりをゴミのように扱うひどい人間 を見たことがある一方で、あまあまを人間に貰ったこともあった。 「ゆっくちできりゅにんげんしゃんなら、あまあまくれりゅよね!」 「あまあまたべちゃいよ!」 「ゆっ、まりさたちが中に入ってみるよ」 「ゆっ、ゆっ、でもドアさんが」 期待に目を輝かす妹二匹に、意気込む子まりさだったが、子れいむが困った声を出した。 押すと、確かにドアは上に開く。しかし、少し油断すると戻ってきてしまう。 「ゆっ、二人で一緒に押せば大丈夫だよ!」 「ゆゆっ、そうだね!」 かくして…… 「「ゆーしょ、ゆーしょ」」 「がんばっちぇ、おねえしゃん」 「がんばりぇ! がんばりぇ!」 「無理しないでね、気をつけてね」 悪戦苦闘しつつも、姉二匹は、なんとかドアを上に押し開けて、生じた隙間を通り抜け ることができた。 バタン、とその瞬間、ドアが背中をこするようにして元に戻る。 「ゆ゛びっ!」 「いぢゃい!」 それに悲鳴を上げたものの、それにもめげずに前に進む。 「「ゆーしょ、ゆーしょ」」 前には、また同じドアがあった。 二度目なので要領はわかっている。二匹はドアに押し潰されそうになりながらもなんと かおうちの中に入ることができた。そこにあまあまが待っていることを疑いもしておらず、 それが原動力になっていた。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「あまあまはどこかにゃ?」 子まりさと子れいむはそれぞれ別の方向に跳ねて行く。 「ゆっ、ねこさんがいるよ!」 やがて、子れいむが丸くなって眠る一匹の猫を発見した。 「ゆっ、ねこさん、あまあまはどこにあるの?」 普段は、子れいむもここまで無防備に猫には近付かない。カラスや鼠と同様、猫は野良 ゆっくりにとっては恐ろしい生物だ。 しかし、ここのおうちはなんといってもおちびちゃんが大好きなゆっくりできる人間さ んのおうちであり、そこに住んでいるらしき猫もそうであろうと勝手に思い込んでいた。 もちろん、そんなわけはねえのである。 あまあまが食べられると感極まって、子れいむがもみ上げをぴこぴこと上下に激しく揺 すっているのもまずかった。 「にゃっ!」 動くものを見れば「狩り」をする。 それが猫の習性である。ゆっくりに対する悪意の有無の問題ではないのだ。 「ゆぴっ!」 子れいむは、思い切り猫の前足で叩かれた。 「ゆ゛ああああ、いぢゃいよぉぉぉぉ!」 甲高い大声を上げる。それに一瞬猫は怯んだものの、一瞬だけのことで、すぐに激痛に よって先ほどよりも早く激しくぴこぴこする子れいむのもみ上げに刺すような視線を注い だ。 「れいむ、どうしちゃの!?」 子まりさが悲鳴を聞きつけて跳ねてきた時には、子れいむは猫の前足によって完全に押 さえつけられていた。 「ゆゆ!? ね、ねこさん、やめちぇね! 痛がってるよ!」 必死に制止しようとする子まりさなど、完全に猫の意識の外である。 「ゆぎぃ!」 子れいむが一際大きな悲鳴を上げた。 猫が噛み付いた。そして、その牙が子れいむの右目に深々と突き刺さったのだ。 「ゆっぎゃあああああ! れいびゅの、おめめぎゃああああ! やめぢぇぇぇぇ!」 猫が頭を振る。 「ゆぎ、やべ、やべちぇ……ゆ゛っ……」 子れいむは精神が耐えられる限度を超えた激痛によって気を失った。反応が無くなると、 猫は狩りを終えた。 「ゆ゛……ゆ゛……れ、れいびゅが……ひぢょいよぉぉぉぉ! どぼちでごんなごとすり ゅのぉぉぉ!」 全く予想だにしていなかった仕打ちに、子まりさが泣き叫ぶ。 「……」 「ゆぴ」 そして、そんな子まりさを猫が興味津々といった感じに見つめているのに、ようやく気 付いた。 「や、やじゃあ、ごっち来ないでぇ」 ガタガタと震える子まりさは、猫を誘っているようなものだ。 「おい、どうした」 そこへ、一人の青年が現れた。子れいむの悲鳴を耳にして別室からやってきたらしい。 「ゆ゛わああああ、にんげんしゃん、だすげでえええ!」 未だに「ここの人間さんはゆっくりできる人」と思っている子まりさは、必死に助けを 求めた。 「え? ゆっくり? なんだなんだ。なにがあった」 「ゆひぃ、ゆひぃ、ねこさんがれいびゅを、ゆ゛あああああ」 「ん? あ、こっちにも一匹いるな」 青年は、ぴくりとも動かなくなっている子れいむに気付いた。 「で? なにがあった」 青年は、子まりさに話を聞いた。その間、猫はもう興味を失ったようで、子まりさのこ となど完全無視して毛づくろいをしていた。 「あー、そっから入ってきたのか……それにしても、ゆっくりのおちびちゃん用のドア、 ねえ」 青年はそう言って苦笑して、もはや我関せずと昼寝している猫を見た。 「あれは、あいつ用の出入口だよ」 「ゆゆ?」 それから、青年は説明したが、ただでさえ動転している子まりさが理解できたとは言い 難い。 「まあいいや、さっさと帰れ。二度と来るなよ」 ゆっくりに対して、感情と呼べるようなものを抱いていない青年は、勝手な思い込みで 家に侵入してきて飼い猫にこっぴどく痛めつけられたのに同情もしない代わりに、駆除し たりしようともしなかった。 「ほれ、こっち開けてやるから」 子ゆっくりの小さな体で必死にドアを開けて入ってきたのであろうことを察した青年は、 その猫用ドアの横にあるテラスタイプの窓を開けようとした。 縦長の窓で床についているが、地面までは距離があるので手に乗せて外に出してやろう と思っていた。 「ん?」 と、子まりさに手を差し伸べようとしたところで、庭に大きなれいむがいるのに気付い た。 「親か」 青年は、窓を開けた。 「ゆっ、お兄さん! ゆっくりしていってね!」 「はいはい、ゆっくり」 「れいむのおちびちゃんが遊びに行ってるはずなんだけど、知らない?」 「おにいしゃんはゆっきゅちできりゅ人らよにぇ!」 「あまあまちょうらい!」 「お、もっと小さいのもいたのか……で、おちびは……確かにいるんだけど」 そう言って、青年は屈んでから、両手を親れいむに向けて差し出した。 「ゆっ、おちびちゃん!」 「ゆひぃ……お、おかあしゃぁぁぁぁん!」 「ゆ!? ど、どうしたの? ゆっくりしてね!」 青年の手に乗った子まりさに嬉しそうな笑顔を向けた親れいむだが、子まりさが泣いて いるのを見て困惑する。 「ゆぴゃあああああん、れいびゅが、れいびゅがぁぁぁ!」 「ゆゆゆ? れ、れいむがどうしたの? ゆっくりしてね! ゆっくりしてねえええ!」 「まりしゃおねーしゃん、なかにゃいでえ!」 「れいみゅおねーしゃんはどうちたの?」 「あー、そのな」 ゆっくりたちの様子を見て、さすがにバツが悪そうに青年が部屋の奥に入ってすぐに戻 ってきた。 その手の上には、全身傷だらけで息も絶え絶えな子れいむがいた。 「お、おちびぢゃんがあああああ! どぼじだの? なにがあっだのぉ!」 「どうも、うちの猫にやられたみたいだな」 と、青年が親れいむの前に子れいむを置く。 「おちびぢゃん、おちびぢゃぁぁぁん!」 「ゆ゛……おがあ、じゃん……ゆっぐち、できないぃぃぃ」 「ゆっぐちぢでえ! おちびぢゃん! ゆっぐちぃぃぃぃ」 「まあ、死にゃしないだろ、たぶん」 最も深い傷は右目のそれであるが、その他は全て浅く表面を傷つけているだけだ。痛い ことは痛いだろうが、中枢餡は無事だろう。 「これに懲りたらもう来るなよ」 「ゆびぃぃぃ、れいびゅぅぅぅ、まりざが、まりざがちいざなドアさんを見つけなければ ごんなごとにはならながっぢゃのにぃぃぃ!」 「おねえじゃん、ゆっぎゅち、ゆっぎゅちちでえええ!」 「ぺーろぺーろすりゅよ! ぺーろぺーろ」 「おねがいだがら、おめめをあげでええええ」 「……」 嘆き悲しむゆっくり一家に、さすがに哀れさを催した青年は何か菓子でもくれてやろう と思った。 「おい、ちょっと待ってろ」 と言って、台所に行こうとした時、その背中に、憎悪に凝り固まった親れいむの声がぶ つかってきた。 「ゆるざないぃぃぃ、仕返じじでやるぅぅぅ!」 「へ?」 言うちゃ悪いが、そんな身の程知らずな言葉が飛び出すとは思っていなかった青年は、 呆けた顔をれいむたちに向ける。 「ま、まりざもや゛るよ!」 「ゆ゛、それにゃら、れいびゅも!」 「ま、まりじゃも、ちがえちすりゅよ!」 「いやいやいや、お前ら、俺に仕返しって……」 そんなことできると思ってんのか? と言おうとするのを、親れいむが遮る。 「人間さんには勝てないよ」 「……なんだ、わかってんのか」 それならば、まあ、怒りの持って行き場が無くてできもしない仕返しなどと叫び散らし ているだけか。 「仕返しずるのは、ねごだよ!」 「ん?」 「れいびゅをごんなにじだのは、ねごだがら、ねごに仕返しじでやる!」 「……あ?」 「ねごなら、れいぶだぢが力を合わせれば勝でるよ!」 「ゆん! そうだよ!」 「ねこしゃんをせいっさいっ、すりゅよ!」 「れいみゅおねーじゃんとおなじにじでやりゅ!」 「……なんだと」 いや、無理だろ、と思っていた青年だったが、あまりにも凄まじいゆっくり一家の怨嗟 に顔を強張らせた。 青年は飼っている猫のことを溺愛しており、傷一つつけられるのもゾッとする事態であ った。 そして、青年の思考は深みにはまっていった。普通ならば、ゆっくりごときに子猫なら ともかく大人の猫がやられるはずなどないと思うだろうが、しかし、ゆっくりはなんとい っても知恵がある。餡子脳といえど、知恵はあるのだ。そして、群れることもある。 あのれいむたちが野良ゆっくり仲間に呼びかけて数を集めて、その上に作戦を立ててき た場合、彼の愛する猫が無傷でいられる可能性は100%ではない。 青年もふと我に返って、ただでさえその日々の暮らしに追われる野良ゆっくりが、猫、 しかも人間に飼われているそれを襲撃するのに手を貸すはずはないなと思ったりもしたが、 それでも100%ではない。 脳天気にゆっくり生きている饅頭といった認識を覆すれいむたちの思わぬ怨念に、青年 も当てられていた。危機に瀕しているのが愛猫だというのもそれに拍車をかけていた。 「みんな、きょうは帰るよ! 仕返しはまた今度だよ!」 「ゆっ、ゆっぐちりがいじだよ!」 「ちかえちちようにぇ!」 「ぜったいちようにぇ!」 傷付いた子れいむがいるので、とりあえずは引き上げるようだ。親れいむが、そっと子 れいむを口に入れようと舌を伸ばした時、青年が言った。 「ちょっと待て」 「ゆ? 今更謝っても遅いよ!」 「そうだよ! もうゆるさないよ!」 「まりしゃたちちかえちすりゅよ!」 「ちかえち! ちかえち!」 「あまあまやるから、ちょっと待ってろ」 青年は急いで家の奥にと小走りしていった。 「そんなのでゆるじであげるわけないでじょおおおお! でもあまあまは貰うよ! 」 「そうだよ! ゆるざないよ! でもあまあまは貰うよ!」 「あまあまたべちゃいよ!」 「ゆわーい、あまあまらぁ!」 青年はビニール袋を持って戻ってきた。 「ゆっ、はやくあまあまちょうだいね! でも仕返しは止めないよ!」 そう言った親れいむを、青年は掴み上げてビニール袋に入れる。 「ゆべっ!」 「ゆわ、おかあしゃん、だいじょうぶ?」 と言った子まりさも同じくビニール袋へ。 「ゆわー、おしょらをとんでるみちゃい~」 「ゆっきゅちできりゅよ!」 赤れいむと赤まりさも同様の経緯を辿り、子れいむを除くゆっくり一家はビニール袋の 中におさまった。 「ゆ? どこにもあまあまなんてないよ!」 「そうらよ! あまあまはどきょなにょ!」 当然である。あまあまをやる、というのはこいつらを足止めするための嘘だったのだ。 「れいみゅ、おこりゅよ! ぷきゅーすりゅよ!」 赤れいむが、ぷくーと膨らんだ。 ぐしゃ。 目一杯膨らんだ赤れいむが上からの衝撃によって潰された。即死であった。 「ゆ゛ああああああ、おちびぢゃんがあああああ!」 「い、いぼうどがあああああ!」 「れいびゅぅぅぅぅ!」 ぐしゃ、ぐしゃ、ぐしゃ。 叫んだれいむたちに、次々に衝撃が襲い掛かる。 「ゆべ! やめでえええ!」 「いぢゃいぃぃぃ」 「きょわいよぉぉぉぉ!」 ビニール袋に入れられて行動の自由が制限されているために一方的に攻撃にさらされて しまう。 衝撃の正体は、もちろん青年の踏みつけだ。 彼は、このれいむたちに猫が仕返しされるのを防ぐ最も確実な方法を選択したのだ。 この場で殺してしまえばいい。 そうすれば、彼の愛する猫がこいつらに危害を加えられる可能性はゼロになる。 「やべでえええええ、あやばります、あやばりますがらああああ!」 先ほどまでの怨念はどこへやら、親れいむは必死に懇願した。もともと恨みのような感 情を長く抱き続けるのには適していない饅頭である。 「おちびぢゃんだけは、おぢびぢゃんだけはゆるじでええええ!」 「ゆべ! ゆひぃぃぃ、まりじゃじにだくないよぉぉぉ!」 「ゆ! おねえしゃんがぺーろぺーろしてあげるよ! ぺーろぺ……ゆびゃっ」 妹が痛がるのをぺーろぺーろしようと差し出した舌を思い切り踏み潰されて、子まりさ は激痛に叫ぶこともできずに涙を流す。 「やめまず、仕返じなんでやめばずぅぅぅ、だからゆるじでえええ、おちびぢゃんだげで もゆるじでえええ!」 「ゆ゛ぴゃあああん、おねえじゃん、ゆっぎゅちぢでえ!」 「ゆひぃー……ゆひぃー……」 舌に続いて、体の半分を踏み潰された子まりさは微動だにせず、か細い呼吸をするだけ になっていた。死ぬのは時間の問題であろうが、最後の幸福が訪れた。すぐに次の一撃が 来て、死ねたのだ。 「……しぶといな」 袋の口を開けて中を確認した青年に向けて、親れいむと赤まりさは滂沱の涙に顔中をふ やけさせながら命乞いをする。 「だずげでえええ、おぢびぢゃんだけでもだずげでええええ!」 「ころしゃにゃいでぇ、まりじゃ、もっちょゆっぎゅ」 ぺしゃ、と赤まりさが潰された。中を見て、位置を確認した上で狙ったためだ。 「ゆ゛あ……あ、ああ……れいぶのおぢびぢゃんが……とっでもゆっぐりじたおちびぢゃ んが……ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛」 空ろなれいむの顔も、それから次々に落ちてくる青年の足によって潰れていき、やがて 中枢餡が二つに割られて絶命した。 「……ふぅ」 青年は一息ついた。 「ゆ゛ひぃぃぃぃ」 小さなその声の方を見れば、子れいむが左目を見開いて一連の惨劇を眺めていた。 「お前で最後か」 「や、やめで……もう、もうおうぢにはいっだりじまぜん。もう、もう来ませんがら」 青年は子れいむをビニール袋に入れた。 「ゆ゛っぎゃあああああ! おがあじゃんがあああ! まりじゃがあああ! いぼうどだ ぢがあああ!」 「うっさい」 ぺしゃ。 「ふう……ゆっくりゴミって次いつだっけか」 「にゃお」 「おう、出かけるのか」 「にゃお」 「気をつけて行けよ、野良ゆっくりが多いからな」 飼い主のその声に、猫はにゃふんとしたように見えた。 あんな饅頭どもに自分が不覚をとるわけがないだろう、とでも言っているのだろうか。 青年は、苦笑した。 終わり おちびちゃん用のドア! んなわけねーだろ、このボケ 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 340 ゆっくりほいくえん ふたば系ゆっくりいじめ 396 つむりとおねえさん ふたば系ゆっくりいじめ 444 ドスハンター ふたば系ゆっくりいじめ 479 やさしいまち ふたば系ゆっくりいじめ 512 恐怖! ゆっくり怪人 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 死んでよ -- 2014-09-04 16 00 27 にゃーん! -- 2013-07-30 20 29 05 ちょっとこわかったナー -- 2013-05-06 01 47 16 ぶっちゃけゆっくりが酷い目にあって死ぬなら何でもいいですネー 理由なんて問題じゃないですネー -- 2013-03-22 21 12 49 このゆっくり親子はゲスじゃないしもちろん人間もゲスじゃない このゆっくり親子にふりかかった悲劇(笑)の原因はこの親子にあまあまをやった人間だな 野良ゆっくりに限って言えば人間へ近づく=死亡フラグだからな 気まぐれであまあまをやって人間への警戒心を薄れさせたのが元々の原因 でもゆっくりごときどうなってもいいから気まぐれでやりたいようにすればいいけどねw -- 2011-06-21 20 11 19 ゴミ捨て場でゆっくりゴミとして回収されずに済んだり 人間の家に侵入したのに見逃して貰えた所かあまあますら貰えそうだったりと 割と運の良い一家だったのに身の程知らずな発言の所為で一瞬にして死亡エンドルートまっしぐらか。 流石死ぬために生まれてきたナマモノだな。 -- 2011-02-11 22 13 29 飼い主さん、身の程知らずな発言したようなボケ饅頭には、もっと苦痛と恐怖を与えさせないと… 虐待鬼意山とかいんじゃないかな -- 2010-12-12 17 17 13 飼い主の目の前で「猫に復讐してやる」って宣言しても その飼い主に妨害、ないし駆除される可能性を 微塵も考えない辺りがゆっくりクオリティなんだろうな。 -- 2010-11-29 23 20 44 オチがつまらなすぎる -- 2010-11-03 00 49 55 お前ら・・・ -- 2010-11-02 19 49 32 ↓↓↓↓>「お前の家に末代まで出現してやる!群れで現れてやる!」 うわ!怖! めっちゃ怖!! 夜もおちおち寝てられなくなるわ・・・。 -- 2010-10-29 21 48 04 コメントが凄いなw ふむ…猫を飼ってる身としては、お兄さんのやった事は、同じ立場になったらたぶん私もやるな。 勝手に不法侵入して、危険とわかってる猫に近付いて子供を殺されて、飼い主の目の前で仲間を集めて復讐すると言う。 前半部分でも迷惑なのに、害獣として駆除されてる立場の生物がペットに危害を加えるとなれば、駆除するのも当然だと思うなぁ。 ゆっくりが害獣扱いされてなくて、猫が散歩中に酷い事をしたのなら、同情はするけどもね。 猫の役目は、古来から鼠退治にゴキ退治さ。古来より続く己の職分を本能で果たしたのなら寧ろ褒める。 …でもゴキの屍骸見せに来るのは簡便してください(;; -- 2010-10-26 21 57 19 人間だって子供を~って言ってるやつは頭おかしいのか? ここそういうところじゃねーから そういう意見を言いたかったら、まず畜産関係者とかその辺で虫を潰してる小学生にでも言ってろよ 人間だったら~って仮定がおかしい事も気づかない餡子脳じゃしょうがないんだろうけど -- 2010-09-15 20 43 45 ゆっくりは潰すものだよ。ゆっくりの都合なんて知ったことじゃないよ。ゆっくりは不幸せになるために生まれてくるんだよ。ゆっくりは無様に死ね。 -- 2010-09-04 11 00 28 餡子脳の捕らえ方が個人で違うんだろ 言えばわかる、基本欲望に忠実で我侭なだけで、心や言葉が通じるとこは人と同じなんだ ってレベルもあれば もはや状況にあわせた鳴き声、殺意も謝罪も心からじゃなくてもはや言葉はただの反射 ってレベルもある 今回の作中人間はゆっくりを知恵があり言葉を話す能天気な饅頭って捕らえてる 知恵を持ってる(と思ってる)相手が殺意を露にしたらそりゃ危険を排除したがるのは普通だ 俺らは意思表示できないゴキブリにだってホイホイやバルサンで排除しようとするのに もしゴキ様が意思表示して「お前の家に末代まで出現してやる!群れで現れてやる!」なんて言われたらたぶん専門の業者呼ぶ 自分から見て作中人物やゆっくりがどうだこうだでぶつかるだけじゃなくて 作中の世界観でゆっくりの能力や人間からゆっくりがどの程度のレベルで認識されてるかってのも考慮すれば荒れずに済むんじゃね -- 2010-08-25 20 37 24 ゲスゆじゃぁない気がするなぁ 自分の所有物に危害を加える恐れが出た時点で害ゆは確定だけど -- 2010-08-24 02 33 53 「もちろん、そんなわけはねえのである。」で笑った -- 2010-08-13 01 40 32 長いコメント多すぎ。 面白かったか、面白くなかったかでいいじゃない?で、これは面白かったww -- 2010-08-12 22 15 04 まとめるのが下手でごめんよ…あと説教臭くてごめんよ… そんなことないっスよ、言いたい事は大体わかったし、どうしても意見が違う時は説教くさくなるものさ まあ、確かに架空の人物とはいえ、自分とは違うからと言ってクズと呼ぶのはやりすぎたなあ その点は確かに反省します、相手が実在の人間じゃないと思ったら強きに出てしまってね 私は別にゆっくり愛好家でもないんだけれども、それにあまり敬意を払ったつもりもないんだけれど ゆっくりだろうがゴキブリだろうが自分や家族に害がないのにいきなり殺すのは嫌いなだけだわ 相手を傷つけずに被害を回避する手段があるならそっちを選択するほうが楽だしね まったく関係ないことだが、猫愛好家として一言 外に自由にでれるように放し飼いにしてるんなら人間外の生物との喧嘩や闘争に飼い主が手を出すなよなー そんな大切なら室内飼いしてろって事よ、ただでさえ猫は野良猫や鴉、蛇と喧嘩したりするんだからさ 飼い主が手を出していいのは、自分の猫が他の生物を傷つけた時の謝罪くらいだろうよ 虐スレ住人のセリフとは思えないな ほんとだなっ 自分でも不思議なくらいだっ このSSを読んだ時、素直に感じた感想だからそのまま書いたんだが正直ここまで反応があるとは思わなかった… -- 2010-07-28 18 11 23 >仕返しすると言ったこの程度のことでゲスゆや害ゆ扱いするのはどうかと思う いやいや、既に家に侵入しあまつさえ飼い猫に危害を加える旨の発言をした時点で(少なくとも猫の飼い主からすれば)害ゆ決定だろ。 そもそも野良ゆが善良か害ゆかをじっくり見極めた上で善良なら温情ある措置をとる…なんて手間のかかることまずやらねえよな。愛好家でもない限りは、さ。だからそれをしないというこの程度のことで人を頭が賢くないクズ扱いするのはどうかと思う。 要は、野良ゆの人格(ゆん格?)にそこまでの敬意を払ってやらなくてもいいんじゃないか?そうでなくとも払う敬意の量は人それぞれでいいんじゃないか?みんながみんなあんたと同じように野良ゆに多大な敬意を払えるわけではないんじゃないか?自分のゆっくりにおける基準を人に押し付けてそれから逸脱する人を中傷するのは愚かなことなんじゃないか?ということ。 そして、人間の行動原理はみんな違うんだから自分が理解しがたい行動をしたくらいで頭が賢くないクズとか言うべきじゃない、ということ。 まとめるのが下手でごめんよ…あと説教臭くてごめんよ… -- 2010-07-28 13 18 08
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『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!(前編)』 35KB 制裁 観察 考証 自業自得 育児 飼いゆ 赤ゆ 現代 愛護人間 独自設定 うんしー ひさびさの長編。まだイライラパート、どうぞ気長に 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 anko2889『いっしょにゆっくりしていってね!』 anko3521『ゆっくりつかいすてていってね!』 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』前編 「駄目。絶対だめよ」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおぉぉ!?」 飼っている二匹のくどい要請を、私はにべもなくつっぱねた。 れいむは目に涙を浮かべて叫び、ありすは唇を噛んですがるような目で見上げてくる。 こんなやりとりがもう何日も続いている。 れいむの願いを聞き入れてありすを買ったことを、私は後悔するようになってきていた。 れいむは銀バッジ試験に合格している、比較的手のかからないいい子だった。 ゆっくりである以上、子ゆっくりの頃に飼い始めたころはだいぶ困らされたものだが、 成体になって半年が経ち、銀バッジ試験にも合格して一丁前のゆっくりになった。 私の言うことをよく聞き、気配りのできる、生活に癒しと笑いをもたらしてくれる可愛いやつ。 しかし、それは少々買いかぶりだったのかもしれない。 「れいむ、おむこさんがほしいよっ!!」 銀バッジ試験に合格したれいむに、ごほうびは何がいいと聞いたらそう言ってきた。 最初は拒否した。今の生活でこれ以上ペットは増やしたくない。 しかし、私がどれだけ拒否しても、代わりのおもちゃやあまあまを提案してみせても、 れいむは頑として聞かず、ひたすら番を求めて泣きわめいた。 「れいむ、さびしいんだよおぉ!! おねえさんはいつもいつも、おしごとさんでいないよっ!! れいむはずーっとひとりぼっちなんだよっ!! おねえさんのおかげでごはんさんもむーしゃむーしゃできるし、ゆっくりすーやすーやもできるけど、 ひとりぼっちじゃゆっくりできないよおおおぉぉ!!」 確かにそうだった。 私はウェブデザイナーとして会社勤めで、毎日朝から晩まで仕事詰め。 早朝に家を出て、戻ってくるのは深夜ということもざらだった。 帰ってくるなり、待ちかねていたれいむの出迎えにも挨拶すら返さず、 ベッドに倒れこんで泥のように眠る日もあった。 傍らでれいむが涙声を圧し殺していることを知りながら。 まして、ゆっくりは極端なほど孤独を嫌がる。 子供の頃から家族とは密着してスキンシップに精を出し、 成体になれば、まずは何をおいても番を探す。 美味しいあまあまや整った空調にクッションなど、どんなに恵まれた環境を取りそろえても、 ゆっくりをはじめ他の生き物との接触を断たれた、あるいは極端に少ない状態だと、 ゆっくりはストレスを感じてゆっくりできなくなり、活気がなくなるらしい。 だからゆっくりを飼う際には、最低でも他の飼いゆっくりとの交流を交わして友達を作ってあげることが強く推奨される。 当然、他にゆっくりを飼っている人を探して交流する暇もなく。 大体自分の場合、そんなに社交性があったらゆっくりなんか飼っていない。 とにかく、れいむの飼い方に問題があったことは確かに認めざるをえなかった。 これまでずっと寂しさを我慢して抑え込んでいたれいむが哀れでもあった。 ゆっくりショップで購入した、同じく銀バッジのありす。 私がいない間、れいむの相手をしてくれるなら望ましいことだった。 ただしその際、れいむとありすに私は強く言い含めた。 「おちびちゃんは絶対に作っちゃだめよ」 予想をはるかに超える猛反発に遭った。 「つくりたい、つくりたい、つくりたい、つくりたい、かわいいおちびちゃんつくりたいいいいぃぃ!!」とぐずるれいむ。 「おねえさん、おねがいよ、おちびちゃんがいないなんてとかいはじゃないわ………」上目遣いでしなを作るありす。 そう言われても認めるわけにはいかなかった。 一匹増えるだけでも手間が増えるのに、このうえあの聞き分けのない赤ゆっくりがぽろぽろ増えるなんて想像したくもない。 疲れた体を引きずって仕事から帰ってきたら部屋中砂糖水と餡子、 端的に言えばしーしーとうんうんまみれだったなんて御免だ。 それに、飼いゆっくりの注意点として、「うかつに子供を作らせるな」というのは常識だ。 孤独を癒してくれる伴侶だと思えばこそ、飼いゆっくりは飼い主の人間になつき、慕うのだが、 いざ自分が番と子供を作り、ゆっくりの家族を形成してしまうと、人間との結びつきが急速に薄れる傾向にある。 同種の妻や子供をばかりかまい、飼い主に対してぞんざいに振る舞うようになるばかりか、 悪くすると家族に餌を持ってくるだけの食事係としてあしらわれ、ゲスになると「くそどれい」呼ばわりしてくることさえある。 ゆっくりとの良好な関係を保ちたければ、適度に人間に依存させることが必要なのだ。 守るべきおちびちゃん(餌をやるのは飼い主なのだが)ができることで根拠のない自信が生まれ、 自分を立派な大人だと錯覚して飼い主と対等なつもりで振る舞ってしまう事態にもつながるようだ。 れいむの中では番ができた時点でおちびちゃん大勢の大家族を作るまでが確定だったらしく、 突然のストップをかけられてこれまでにないほど泣き喚いた。赤ゆっくりだった頃のほうがまだおとなしかった。 行儀のいいありすでさえ、れいむをたしなめるでもなく、すがるような目をこちらに向けてくる。 それでもそう簡単には認めてやるわけにはいかない。 仮に子作りを認めるにしても、段階を踏む必要がある。 子供の頭数、親との密着度、躾の手順などなど、 ゆっくり飼いのマニュアルでは、決まって飼いゆっくりの子作りの項目に多くのページが割かれている。 「おちびちゃんはとってもとってもとってもゆっくりできるんだよおぉ!! おねえさんも、ぜったいぜったいぜったいぜったいゆっくりできるよ!!ほんとだよっ!! いっかいでいいからおちびちゃんをつくらせてねっ!!ゆっくりおちびちゃんをみてみてね!! そしたらおねえさんも、きっときっとぜったいかんがえがかわるよっ!!いっかいみてみればわかるのにいいぃぃ!! れいむのおちびちゃんはとくべつだよっ!!おねえさんもゆっくりできるよ!!おねえさんにもゆっくりしてほしいよ!! だからおちびちゃんつくらせてねっ!!ゆっくりさせてね!!ゆっくりしようね!! おちびちゃんとゆっくりしたいよ!!おちびちゃんがいればみんなゆっくりできるのにいいぃぃ!! おちびちゃんおちびちゃんおちびちゃんおちびちゃん、おちびちゃんつくりたいよおおぉぉぉ!!!」 連日、家に帰ってくれば「おちびちゃんがつくりたい」の連呼。 せっかく銀バッジが取れて、つがいも買ってきてあげたのに、飼い主もゆっくりも全然ゆっくりできてない。 少々可哀想だとは思いつつも、私はぴしゃりと言いつけた。 「しつこい!!それ以上わがまま言うなら去勢するわよ」 「きょ、せい……?」 「ぺにぺにを切っちゃって、おちびちゃん作れないようにすることよ」 「ゆんやああああああぁぁぁぁ!!?」 「どがいばじゃないわああああああああああ!!?」 二匹ともこれには震えあがり、恨めしげにこちらを見やりながらも口をつぐむしかなかった。 「とにかく、おちびちゃんはあきらめなさい。 それよりも二人でゆっくりすることを考えなさい。私と二人だけだったときよりはずっといいでしょう?」 れいむは恨めしげに「おちびちゃんはゆっくりできるのにいいいぃぃ……………」と漏らしただけだった。 思えば、その時点でその後に来る事態を予測しておくべきだったのだ。 おちびちゃんは、時期がくれば認めるつもりだった。 去勢するぞと脅しつつも、実際に去勢をするつもりはなかった。 いつになるかわからないが、れいむとありすのつがいが安定し、 これなら聞き分けよく指示にも従ってくれると確信できたなら、おちびちゃんを作らせてあげるつもりだった。 もちろん、私の監督指導のもとでだ。 飼いゆっくりに子供を育てさせる場合は、うっとうしく思われようとも子育てにしつこく介入し、躾に参加し、 飼い主としての影響力を家族にしっかり及ばせておかなければならない。 そもそも、ゆっくり専門のブリーダーでさえ手を焼く赤ゆっくりの躾がゆっくり如きにできるわけがなく、 いくら善良な親だろうと、子育てを任せて放っておけば飼い主を奴隷扱いする見事なゲスを育て上げてくれるのが通例だ。 そして、子が親の影響を受けるのと同じほど、ゆっくりにおいて親は子の影響を受ける。 子供を育てさせたらゲスが育ち、そのゲス子供に影響されて親までがゲスになり、飼い主に向かってくそどれいの大合唱。 そんな例でさえ、ゆっくり飼いではありふれた話だ。 どれだけ慎重を期してもやりすぎではないのが、飼いゆっくりの子作りなのである。 「ゆ~ん♪ゆゆぅ~ん♪れいむのかわいいおちびちゃんゆっくりしていってねぇ~~♪」 「しあわせ~♪しあわせ~♪おちびちゃんのとかいはなほほえみでみんなしあわせよぉ~~♪」 それだけに、その夜、家に帰ってくるなりその声が聞こえてくると、私は思わずその場にへたり込んだ。 全身を強烈な脱力感が襲い、しばらく立つこともできなかった。 あれか。よく聞くあのパターンか。あの、馬鹿な飼いゆっくりが決まって陥る茶番か。 うちのれいむはもう少し上のゆっくりだと思っていたのだが、どうやら本気で買いかぶっていたようだ。 「ゆっ!!おかえり、おねえさん!!ゆっくりしていってね!!」 「おねえさん、おかえりなさい!!きょうもゆっくりおつかれさま!!」 床を這いずるようにして現れた私に向かって、二匹は自信たっぷりの満面の笑みで挨拶を放ってきた。 私は答えず、次の言葉を待った。 しかしれいむもありすも、それ以上喋らず、にこにこと私を見ているだけだった。 聞くまで答えないつもりか。弁解さえしない気か。それがそこにあるのは当然のことだってか。 あれほど強調した飼い主のいいつけを破ったという罪を、本気で、頭にぶらさがっているそれで帳消しにする気なのか。 声を出す気力もなく、私はそれを力なく指さした。 「ゆっ!!」 「ゆふふ」 キリリと自信満々に胸をはるれいむ、目を細めてほほ笑むありす。それが答えだった。 そうして笑顔を浮かべたまま私の反応を注視している。 いつもはうるさく話しかけてくる二匹が、私の反応を確認するべく黙ってじっと待っていた。 その表情から推して、二匹が想定している私の反応が、楽しみに心待ちにできるたぐいのものであることは明らかだった。 「ふざけるな!!!」 怒りと失望感にかられて、つい爆発してしまった。 自分でもびっくりするほどの大声とともに床に握り拳を打ちつける。 すぐに我に返り、二匹を見ると、おろおろと――私でなく――れいむの頭の上に実っている赤ゆっくりを見守っていた。 「おちびちゃん!!だいじょうぶだよっ!!ゆれないでねっ!!ゆっくりしてねぇ!!」 「おとうさんたちがついてるわ!!とかいは!!とかいはよっ!!ゆっくりしてね!!」 「ゆぅ………ゆぅ……」 「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 わずかに眉をしかめていた実ゆっくりの揺れが少しずつおさまってゆき、やがて元通りに落ち着いて寝息を立てはじめる。 実ゆっくりが実っているのはれいむの額。れいむ種が一匹、ありす種が一匹の二匹姉妹だった。 実ゆっくりが落ち着いたのを見届けてれいむとありすはふうっと大きく息をつき、 次に私に向かって非難を浴びせてきた。 「おねえさんなにしてるのおぉ!?おちびちゃんたちがゆっくりできなくなっちゃうでしょおおぉ!!?」 「おねえさん、おちびちゃんたちはゆっくりさせてあげなきゃだめなの……とかいはじゃないわ、ね?」 上から目線で諭してくるれいむ達。明らかに態度が大きくなっている。 飼い主といえども、これほど可愛いおちびちゃんの為とあれば文句を言わずに従うだろうとあてこんでいるのが見てとれた。 私の堪忍袋の緒は限界に近かった。 「………れいむ。ありす」 「ゆっくりあやまってねっ!!ぷんぷん!!」 「おちびちゃんは、作るな、と、言っておいたわよね?」 「ゆっ!!そんなことどうでもいいでしょ!?おちびちゃんがゆっくりできなくなるところだったんだよっ!!?」 バァン!! 床を、今度は平手で叩く。 「「ゆびぃっ!?」」 二匹がすくみ上がった。 私が叱りつけるときに、最上級の怒りを表すアクション。 二匹が動揺しはじめていた。 目を見合わせ、その表情に怯えが浮かびあがってきていたが、 すぐに気をとりなおし、私のほうをちらちら見ながら頭上のおちびちゃんを心配してみせる。 「おちびちゃんゆっくりしてねっ!?こわくないよっ!おかあさんがついてるからねっ!!かわいいかわいいだよっ!!」 「とかいは!とかいはよ!!ゆ~ゆ~ゆらゆら~、ゆっくりしていって~ね~♪」 そう言いながらちらちらと私の表情を窺い、ことさらおちびちゃんを見せつけるように角度を調整している。 そんなれいむとありすの頬を、私は掴みあげた。 「ゆ゛ぐぅっ!!?」 「どうでもいい、と言ったわね。 毎日あなたたちにご飯をあげて、ゆっくりできるお布団や玩具を買ってきてあげている…… 私のいいつけが、どうでもいいのね。そういうこと言っちゃうんだ………」 「ゆぎっ!!?いぢぃっ!!い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!?」 「いぢゃいっ!!いぢゃいわああぁぁ!?いぢゃあああいいいいいいいぃぃぃ!!!」 頬を掴みあげる手に、ぎりぎりと少しずつ力を加えていく。 「私のことはどうでもいい。そうなのね?本当に、それで……いいのね?」 「………!!…………どがい、ばっ…!!!?」 「ごべんだざあああいいいいいいぃぃぃ!!!」 れいむが音をあげた。 私が本気で怒ったときの恐怖が、さすがに刷り込まれている。 それでも、「こんなはずじゃなかったのに」という困惑が、その表情からありありと見てとれた。 「ゆっぐ、ゆぐっ………ゆううぅ………」 「とかいはじゃないわぁぁぁ………」 「で?」 頬の痛みにいつまでも泣きじゃくっている二匹に、説明を促す。 「なんでいいつけを破ったの?」 「ゆぐっ……ゆぅ…………おちびちゃんは、ゆっくりできるから………」 「私がゆっくり出来ないの。そう言ったわよね?」 「ゆ………で、でも………おちびちゃんをみれば、おねえさんもきっとゆっくりできるって……」 「ゆっくり出来てないんだけど!!」 また床を叩き、れいむとありすがびくっと萎縮する。 わかりきっていたことだった。 「可愛いおちびちゃんを見せれば、飼い主もきっと考えを変える」 そんな都合のいい希望的観測に期待をかけて、飼い主のすっきり禁止を破る。 駄目な飼いゆっくりが陥る、お定まりのパターンだ。 ゆっくりの、子供に対する愛情はもはや信仰の域に達している。 自分のおちびちゃんの可愛さは何にも勝り、人間を含め全ての者たちがおちびちゃんを愛すると信じて疑わない。 人間から見れば、その信仰は「親バカ」の一言で解釈される。 そうならないように、きちんと人間の都合も考えられるように躾けてきたつもりだったのだが、 やはりうちのれいむはそこらにいる凡百のゆっくりと変わらなかったようだ。 あるいは、少しは賢くても、その賢さでは補いきれないほどの盲目の母性を持って生まれついてしまったのかもしれない。 「処分します」 「「ゆ゛ぅっ!!?」」 怒りと苛立ちと失望に後押しされ、私は無情な決定を言い渡した。 「うちではそんなに面倒見切れません。その子たちは捨てるわ」 「ゆううううぅぅぅ!!?やべでっ!!やべでえええぇぇぇ!!!!おぢびぢゃんずでだいでえええええ!!!」 「ぞんなっ!!?どがいばじゃないわっ!!ごんなに!!ごんなにがわいいおぢびぢゃっ!!なんでええええええ!!?」 「その可愛いおちびちゃんたちにごはんをあげるのは誰?」 「ゆ゛っ………」 「おちびちゃんたちがうんうんでお部屋を汚したら、掃除するのは誰?」 「それは…………」 「私でしょう? あなたたち二匹の世話をするだけで、私すっごく大変なの。これ以上二匹も増やせないわ。 無理に増やしても、ご飯はあげられないし、うんうんも片付けられないし、遊んでもあげられない。 私も、あなたたち二匹も、おちびちゃんも、みんなゆっくりできなくなるの。 これからもゆっくりしたかったら、おちびちゃんはあきらめなさい」 「ゆううぅぅぅ………でも、でもぉ………おちびちゃん、かわいいよおぉ………?」 「自分の子供たちは可愛いんだから、お前はゆっくりするな。もっと働いて沢山のご飯を持ってきて一日中休まず世話をしろ」 れいむ達の言っていることを要約するとこうだ。 だからまず、大前提を崩す。 「可愛くありません」 「「どぼぢでぞんなごどいうのおおおぉぉ!!?」」 「可愛くないからです」 「「どぼぢでぞんなごどいうのおおおぉぉ!!?」」 「可愛くないからです」 「「どぼぢでぞんなっ………ゆ゛っ………ぐううぅ………」」 三回繰り返せばさすがに理解してくれたようだ。よし。 言っていることはわかっても、納得はできないようで、ありすが食ってかかる。 「おねえさん……すなおじゃないのはとかいはじゃないわ……」 「飼い主との約束が守れないあなたたちに、素直じゃないなんて言われたくないわね」 「ゆっ……でも、こんなにとかいはでかわいいおちびちゃんたちなのよ……?どうしてほめてくれないの……?」 「可愛くないからです」 結局四回言わされた。 「なんでっ………!!」 「理由なんかないわよ。なんと言われたって可愛いと思わないものはしょうがないわよ」 「そんなのおかしいよぉぉ!!こんなにかわいいおちびちゃんがかわいくないなんてへんだよおぉ!?」 「これ、可愛いでしょ?」 私は押し入れを探り、二匹の前に一個の古ぼけたぬいぐるみを放りだした。 「「ゆ゛ぇっ?」」 私がほんの子供だったころに可愛がっていたぬいぐるみである。 二十年ほども前のものなので汚れきってぼろぼろだし、デザインも古臭い。 しかし愛着がしみ込んだ、私にとっては大事な一品だ。 「可愛いでしょ?」 「ゆぅ………?かわいくないよ……」 「くさくてとかいはじゃないわ………」 「どうして?ねえ、どうして可愛くないの?理由を説明してよ」 「ゆ……かわいくないからだよ……」 「だから、どうして可愛いと思えないの?」 「ゆ?きたないし、おかおもへんだよ。ゆっくりしてないよ」 「あなたたちのおちびちゃんたちだって汚いし、変よ。うんうんやしーしーを撒き散らすでしょう?」 「ゆ゛ぅぅ!?おちびちゃんたちはそんなぬいぐるみさんとはちがうよっ!! うんうんやしーしーをするのはあたりまえでしょおおおぉぉ!!」 「ぬいぐるみが汚れるのも当たり前よ。あのね、そのおちびちゃんが可愛いと思うのはあなたたちが親だからなの。 他人にとっては、あなたたちの子供なんかこのぬいぐるみと同じ。どうでもいいし、汚くて面倒臭いものなの」 「ぞんなっ……うそだよおぉ!!おちびちゃんがかわいくないなんてぜったいおかしいよぉ!! ゆっくりかんがえなおしてよおおおぉ!!!」 どんな例をあげてみせても、自分たちの子供だけは特別なんだと言い張るだろう。 特別でもなんでもないことを証明するために、私はハサミを持ってきてれいむの額の茎をつかんだ。 「可愛くない。可愛かったら、私も喜んで飼うわ。捨てるなんて言わない。 でも可愛くないから捨てる。わかったらあきらめなさい」 「や゛!?や゛べでえええぇぇぇ!!!」 「おぢびぢゃっ!!おぢびぢゃん!!どがいばなおぢびぢゃんんん!!ぎらだいでえええぇぇ!!!」 れいむが涙を流して歯茎を剥き出し、ぐーねぐーねと身をよじる。 しーしーまで漏らして、着て(履いて?)いるゆっくり用の服にしみ込んでいる。 ありすも泣きながら、ぽふぽふと体当たりをしてきた。無駄である。 「さっきも言ったでしょう。面倒見られないし、みんながゆっくりできなくなるの」 「おぢびぢゃんはがわいいがらびんなゆっぐじでぎるうううぅぅ!!!」 「じゃあなんで私は今ゆっくりしてないの?」 「!?………ゆ゛っ………ゆ゛ぅぅぅ………!!」 「あきらめなさい」 「ごばんざんいりばぜええええん!!!」 鋏を持つ私の手に必死にすがりつきながら、ありすが叫んだ。 「おぢびぢゃんのぶんのごばんざんはいらないでずっ!!うんうんもぜんぶあでぃずだぢががだづげばずっ!! おぢびぢゃんはあでぃずだぢでぞだでばず!!おねえざんには、ぜっだい、ぜっだいめいわぐがげばぜえええん!!」 「ゆ゛っ!!ぞうだよっ!!でいぶだぢだげでおぢびぢゃんをぞだでるよおおぉ!! おねえざんにはだよらないよっ!!ゆっぐじじだいいごにぞだでるよっ!! だがら、だがら、だがらあああああぁぁぁぁ!!!」 「…………本当に?」 私は手を止めた。 「ゆ゛っ!!!ぼんどうでずっ!!ぼんどうにぼんどうでずううぅう!! ごばんざんも!!おぶどんざんもっ!!ぜんぶ、ぜんぶでいぶだぢでやりばずううぅ!!」 「あでぃずだぢがどがいばにぞだででみぜばずっ!! おでえざんをゆっぐじざぜられる、どがいばでゆっぐじじだゆっぐじにぞだでばず!! びんなゆっぐじでぎばずうううぅぅ!!!」 「おちびちゃんたちのご飯はどうするの?どこから取ってくるの? あなたたち、狩りなんかできないじゃない」 「ゆ゛っ………ぞれは…………で、でいぶだぢのごばんざんをわげであげばずっ!!」 「ほら、何もわかってない。 おちびちゃんがどれだけ食べるのかも知らないでしょ? 大人のあなたたちより倍も食べるのよ、赤ゆっくりってのは。 あなたたち二匹のご飯を全部あげたって足りないわよ」 「ゆ゛ぅっ………!!ゆ゛、ゆ゛、と、とにかくなんとかするよっ!!」 「なんとかって、どうするの?」 「なんとかするよっ!!なんとかあぁ!!おねえさんおでがいじばずうううぅぅ!!!」 「どうが、どうが、いっじょうのおでがいでずううぅぅ!! おもぢゃもいりばぜん!!とかいはなくっしょんさんもいりばぜん!!もうわがままいいばぜえええん!!! おぢびぢゃんだげは、おぢびぢゃんだげはあああああぁぁぁ!!!」 「わかった」 「ゆ゛ぅっ…………ゆ゛っ!?」 私は鋏をしまい、二匹に言った。 「その二匹だけは許してあげる。 もし本当に、私に一切面倒をかけないで育てられるんなら、育ててもいいわ」 「ゆっ……ゆっ……ゆわあああああぁぁぁぁ!!! やった!!やった!!やったやったやったよおおおぉぉぉお!!!」 「とかいはだわああああぁぁ!!おちびちゃんっ!!おちびちゃんゆっくりしていってねえええぇぇ!!」 「ただし!!」 「「ゆびっ!?」」 「ほんの少しでも、その可愛いおちびちゃんとやらが私に迷惑をかけたり、 私にゆっくりできない気分を味わわせたりしたら……その場で潰して捨てるから。 それと、約束通り、あんたたちももう我侭言わないこと。いいわね?」 「ゆっ!!だいじょうぶだよっ!!れいむはこそだてがじょうずなんだよ!!」 「ありすたちのそだてたおちびちゃんなら、おねえさんもぜったいゆっくりできるわっ!! みんなでゆっくりしましょうね!!ありがとう、おねえさん!!」 「そう。じゃあ、任せたからね。……私は寝るわ」 「「ゆっくりおやすみなさい!!」」 部屋の電気を消し、布団に潜り込む。 普段から、私が寝ているときは静かにしろと躾けてあるので、ゆっくりの声はそこでやむ。 それでも、おちびちゃんのために小さな声で子守唄を歌っているのが聞き取れた。 私は頭から布団をひっかぶる。 結局、子育てを許すことになった。 私は甘いのだろうか? れいむとありすが子育てをする? できるわけがない。絶対にできない。150%ムリだ。 それでも、このまま子供が生まれる前に間引けば、 ゆっくりできるはずの子供を奪った理解のない飼い主だと思われ、逆恨みされることになるだろう。 だから、実際に育てさせる。 ゆっくり育成の大変さ、それができない自分たちの無能さ、それをやっていた飼い主の有難みを身を持って教える。 それをじっくり身に染みさせたうえで、結局育てられなくなったところで子供を取り上げる。 子供は、出来にもよるが、まあよくても里子に出すしかないだろう。 今回のことは、この二匹を躾けるいい機会にしようと私は考えていた。 そのへんの野良と本質は変わらない、無分別なゆっくりだということがよくわかったから。 ―――――――― プルプルプル……… 「ゆんっ!!ゆんっ!!きゃわいいれいみゅがゆっくちうみゃれるよっ!!」 「ときゃいはにゃありちゅもゆっくちうみゃれるよっ!!ゆゆんっ!!ゆーんっ!!」 「ゆーっ!!がんばってねっ!!おちびちゃんゆっくりうまれてきてねぇ!!」 「ままたちがみまもってるわ!!あんっしんっしてゆっくりうまれてきていいのよ!!」 れいむの頭から生えている茎、その茎に生っている二つの実がぷるぷると震えだしていた。 眠るように閉じられていたその目はいまや見開かれ、ゆんゆんと身体を振って生まれ落ちようとしている。 赤れいむは涎を垂らし、もみあげをぱたたたと振り回しながら鳴いていた。赤ありすの髪もよく見るとぱさぱさ動いている。 そしてたった今、二つの赤ゆっくりは頭の茎を千切って落下していった。 「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!!」」 「ゆゆうううぅぅぅ~~~~~~ん!!おちびちゃんかわいいよおおおぉぉ~~~~っ!!!」 丁度私が見ている側で、赤ゆっくり達は生まれ落ちた。 犬小屋大の室内用ゆっくりハウスをれいむ達は自室兼寝床としており、 その中にはタオル、ゆっくり言うところのふかふかさんが何枚か敷き詰められている。 自分たちで床に敷いたそのふかふかさんで、茎から生まれ落ちる子供たちを受け止め、 れいむとありすは感極まって涙をこぼしながら歓声をあげていた。 生まれ落ちた直後の挨拶をすませた赤ゆっくり達は、涎を垂らしたまま目をぱちくりさせ、きょときょとと周囲を見渡す。 「ゆゆっ?おきゃーしゃん?おちょーしゃん?」 「ときゃいは?ありちゅのみゃみゃ?」 「ゆっ!れいむがおかあさんだよ!!おちびちゃんたち、ゆっくりしていってねっ!!」 「ありすがおとうさんよ!でも、とかいはなれでぃだからありすのことはままってよんでね!!」 「ゆっくちりきゃいしちゃよっ!!」 「おきゃーしゃん、みゃみゃ、ありちゅとゆっくちちてにぇ!!」 「ゆゆぅぅ~~~ん!!とってもききわけがよくてかわいいおちびちゃんたちだよおおぉぉ!!」 「なんてとかいはであいらしいおちびちゃんたちなのぉぉ!!うすよごれたせかいにおりたったさいごのてんしよおおぉぉ!!」 いまにも浮遊しはじめそうなほど浮かれきっているれいむとありす。 茎を生やして産み落としたのはれいむの方なのだから、れいむが母でありすが父ということになるのだが、 れいむは「おかあさん」、ありすは「まま」と呼ばせることにしたらしい。 どうも変だが、識者によれば、口ぶりから判断されるゆっくりの自意識というのはすべてメス的なものらしい。 だぜだぜ言っているまりさ種も例外ではないそうだ。 しばらくの間、れいむ達は子供達をぺーろぺーろと舐め回したりすーりすーりと頬ずりを繰り返していたが、 すぐに子供達がぐずりだした。 「ゆえええぇぇん!!おにゃかしゅいちゃよおおぉぉ!!」 「らんちしゃんがたべちゃいよおおぉぉ!!ときゃいはじゃにゃいいいぃ!!」 「ゆゆぅぅっ!?なかないでね!!なかないでね!!おちびちゃんなかないでねえぇ!!ゆっくりしてねええぇ!!」 れいむがおたおたと涙目で慌てる一方で、ありすはハウスに貯めておいたらしいゆっくりフードを口に入れて運んで持ってきた。 「さ、おちびちゃんたち、ゆっくりとかいはにむーしゃむーしゃしましょうね!」 「ゆっ!!ときゃいはならんちしゃんだあぁっ!!」 「ゆわーい!!きゃわいいれいみゅのすーぱーむーちゃむーちゃたいみゅ、はじまりゅよっ!!」 「「むーちゃむーちゃむーちゃ……かちゃいいいぃぃ!!」」 目の前に広げられたゆっくりフードに喜び勇んで口をつけたものの、 その硬さに歯が立たず、赤ゆっくり達は泣きだしてしまった。 「ゆうぅぅ!?かたいかたいなのっ!?ごめんねっ!おちびちゃんごめんねぇ!!」 「おねえさんっ!!もっとやわらかいゆっくりふーどをもってきてちょうだいっ!!」 ソファーの上に寝転がって見ていた私に向かって、ありすが叫んだ。 いつかは泣きついてくるだろうと確信はしていたが、いきなり初っ端からこちらに振ってくるとは思わず、私はさらに脱力した。 どうもこの二匹、まだまだ真剣に考えていない。 可愛い子供のゆっくりできない姿を見れば、お姉さんもさすがに助けるだろうと決めこんでいるらしい。 最初が肝心、私ははっきり言ってやった。 「知らないわよ、そんなの」 「どぼじでぞんなごどいうのおおぉ!?おちびちゃんがおなかぺーこぺーこなんだよっ!? このゆっくりふーどじゃかたいかたいでおちびちゃんがたべられないよっ!! ゆっくりりかいしてねっ!!はやくやわらかくてあまあまなふーどをよういしてねっ!!」 「自分たちで全部やるんでしょ?私に面倒をかけないで育てる、そういう約束だったわよね?」 「ゆっ!?でもっ……!!」 「でも、何?」 「こんなにかわいいんだよおおぉ!?かわいそうじゃないのおおぉぉ!!?」 「そう思うんならまずあなたたちが努力するべきね」 「「ゆうえええぇぇん!!おにゃかしゅいちゃあああぁぁぁ!!!」」」 顔中をゆがませ、涎としーしーまで撒き散らしてぱたたたとぐずる赤ゆっくり達。 赤ゆっくりに余計な動きを控えて体力を温存するという発想は、ない。 とはいえ人間の場合でもそれは同じことだから、ゆっくりの愚かさと責めるにはあたらない。 さて、私のれいむはといえば、ぐずる子供たちにうろたえた視線を、 私に非難がましい視線を交互に向けてもみあげをばたばた振り回しているだけだ。 この時点でわかってしまった。私のれいむに、母性はあっても子育て能力はない。 「ゆゆっ!!ありす、うっかりしていたわ。いなかものね。 おちびちゃんには、さいしょにこれをむーしゃむーしゃさせるのよ!」 一方、ありすはといえば閃くものがあったようで、 そう言ってかられいむの額に生えていた茎をむしり取った。 自分が生まれた時のことを覚えていたようだ。 最近までペットショップにいたありすの事だから、近くで子育てを見る機会も多かったのだろう。 折り取った茎をさらに半分に折り、半分ずつをれいむと分担して口に入れて咀嚼すると、 唾液にまみれて柔らかくなった茎をぺっと吐き出して子供の前に差し出した。 「さ、そのくきさんをむーしゃむーしゃするのよ!」 「ゆわああぁい!!ゆっくちむーちゃむーちゃしゅるよっ!!」 「「むーちゃむーちゃ!!むーちゃむーちゃ!!うっめ!こりぇうっみぇ!!まじぱにぇっ!!」」 ぺちゃぺちゃくちゃくちゃとひどい音を立てながらせわしく口を動かし、もるんもるんと尻を振り、 顔中を唾液と食べカスまみれにしながら一心不乱に食べる赤ゆっくり二匹を目を細めて眺めるれいむとありす。 「ゆっふうううぅぅ~~~~かわいいよ……かわいいよおおおぉぉ~~~~~………てんしさんだよおおぉぉ……」 「ゆふふ、おちびちゃんがゆっくりできてよかったわね…… ありす、このこたちのためならなんだってがんばれるわ。 おねえさんのたすけなんかかりなくても、このあふれるあいがあればこそだてなんてとかいはにのりこえられるはずよ!!」 「ゆっ!!そうだねっ!! れいむがぜったいぜったいぜったいおちびちゃんたちにゆっくりできないおもいなんかさせないよっ!! こそだてじょうずのおかあさんでごめんね~~☆」 そんな二匹のたわ言を、私は冷めきった頭で聞いていた。 さて、食事を摂った赤ゆっくりが次にとる行動は、周知の通り排便である。 茎を食べ尽くして腹を膨らませた赤ゆっくり二匹は、底部のあにゃるを差し上げて宣言した。 「「きゃわいいれいみゅ(ありちゅ)のしゅーぱーうんうんたいみゅだよっ!!」」 「ゆゆっ、おちびちゃん!!まってね!!うんうんさんはこっちでしてねっ!!」 れいむがそう言い、ゆっくりハウスの隅にある小さい箱、すなわち「おといれさん」を指し示す。 「「ゆーん!!ゆーん!!」」 子供のほうはガン無視で、全身を震わせて気張っている。 ありすが小さい箱を咥えて子供の目の前に引きずってこようとしたものの、ついに間に合わず、二匹のうんうんがひり出された。 「ゆわあああぁ!!やめてね!!やめてね!!ちょっとまってね!!まってええぇぇ!!」 「「うんうんちゅっきりー!!(もりゅんっ)」」 母の狼狽を意に介さず排出された便がタオルの上に転がる。 「ゆええぇぇ………きたないよおぉぉ……ふーかふーかさんよごしちゃだめなのにいぃ……」 「ゆっ、れいむ、あかちゃんだもの、しかたないわ。ゆっくりかたづけましょう!!」 「ゆっくりりかいしたよ!!」 一瞬私のほうをちらりと見たものの、れいむはかいがいしく子供たちのうんうんに舌を伸ばす。 何度か「ゆべぇっ」とえずきながら、どうにか指定の「おといれさん」に運ぶことができたようだ。 指定の場所に集めている限りにおいては、ゆっくりのうんうんは私が後で片付けてやることになる。 無能かもしれないが意欲はあるようだ。ありすの指示があれば意外とれいむでも頑張れるかもしれない。 ただしあくまで「頑張れるかどうか」の話であって、 「きちんと育てられるかどうか」については1ミリも楽観していないが。 「きゃわいいれいみゅはゆっくちしゅーやしゅーやしゅるよっ!!ゆぴぃ……ゆぴぃ……」 「ときゃいは……ときゃ……ゆぅ………」 れいむがうんうんの処理をしている一方、食事と排便を済ませた赤ゆっくりはさっさとその場で眠ってしまった。 「あらあら、すーやすーやはべっどさんでしましょうね」 子供たちのためにタオルを折りたたんで作った「べっどさん」の上に、ありすが二匹を優しく舌で運ぶ。 寝床で眠る二匹を見守りながら、れいむとありすはとてもゆっくりした表情を浮かべていた。 「ゆううぅ……かわいい………かわいい………かわいいよおおぉぉ………ゆっくりしすぎだよおおぉぉ」 「ありすのかわいいかわいいおちびちゃん………ずっといっしょにゆっくりしましょうね………」 両親は感極まっていたが、私のほうはとても共感はできなかった。 赤ゆっくりを飼う機会は意外と少なく、ゆえに知る人は少ないが、 生まれた直後の赤ゆっくりというのは一般人が想像するよりもはるかに汚い。 まず、常に涎を垂らしていると思っていい。やたらと勢いよく頻繁に喋るうえに、 口を閉じるということをまず全くしないので、砂糖水の唾液がひっきりなしに飛び散り垂れ流される。 乾いた砂糖水が全身にまぶされてべたべたして、歩いたはしから床の小さいごみや埃がへばりつき放題だ。 そのため、普通は親ゆっくりがぺーろぺーろと全身を舐めて綺麗にするのだが、その「綺麗」は野生での話。 そのぺーろぺーろで結局親の唾液がへばりつくので気休めにしかならない。 そして、下のしまりのゆるさが半端ではない。 自制心というものがほとんどないゆっくりのさらに赤ゆっくり、何かというとその場で大便小便を垂れ流す。 たった今眠っている赤れいむのまむまむから、ぴゅっぴゅっとおねしーしーが漏れだした。 赤ありすのあにゃるもひくひくとひくつき、黄色いカスタードをこんにちわさせながら盛り上がっている。 寝ながら数分間隔でしーしーとうんうんを漏らすのが赤ゆっくりなのだ。 とはいえ、やはり、人間だって同じことである。 問題は育てる親ゆっくりの方なのだ。きちんと管理、育成できるかどうか。見届けさせてもらおう。 ―――――――― 「「ゆえええぇぇん!!ゆぇええええええん!!」」 「ゆうぅぅ………またなの、おちびちゃん……?」 「ゆっくりすーやすーやさせてほしいわ………」 それはこっちの台詞だ。 深夜の二時過ぎ、赤ゆっくり達がぐずっている。 眠っていたれいむとありす、そして私は叩き起こされて目をこすっていた。 生まれた直後の赤ゆっくりは、元気に跳ね回るわけではない。 食べる、出す、眠る、をひたすら繰り返すのだ。身体の欲求を満たすためだけに全精力を傾け、他の世界には関心がない。 親とすーりすーりしたり兄弟と遊んだり、他者に意識を向ける余裕が出てくるまでに、おおよそ三日を待たねばならない。 他者と触れ合うまでは三日だが、赤ゆっくりの時期を脱するまでには速くとも一週間を見ることになる。 そして、赤ゆっくりの厄介なところは、やはり人間と共通している。 生活のサイクルが大人とは全く違い、深夜だろうが早朝だろうが腹が減れば泣きわめいて親を叩き起こすのだ。 むーしゃむーしゃやすーやすーやといったゆっくりできる活動を、 子供のためにひっきりなしに中断させられる親ゆっくりのストレスは想像に難くない。 半分涙目になりながらも、れいむとありすはかいがいしく世話をする。 ハウスの中に仕舞ってあるゆっくりフードを引っ張り出す。 食糧に関してだけは、私は譲歩した。赤ゆっくりの食べるぶんだけ増やしてやったのだ。 とにかく先立つものがなければ、この子育て体験学習そのものが成り立たないし、 成り立たなければれいむ達が納得せずに私が困る。この一点だけは譲歩せざるをえなかった。 ただ量を増やしただけで、いかに配分するかはれいむ達の仕事だ。 さて、まだまだ赤ゆっくりには固いそのゆっくりフードをくちゃくちゃと噛み、 赤れいむと赤ありすの前にそれを吐きだしてやる。 とたんに二匹はぴたりと泣きやみ、蛆虫か尺取り虫のようにもぞもぞと蠕動して餌に突進する。 「むーちゃむーちゃ!!むーちゃむーちゃ!!ぱにぇ!!しゅげ!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!むーちゃ!!むーちゃ!!」 さんざ食べ散らかしてから、ゆげーぷとゲップをかます赤ゆっくり二匹。 その後することといえば、うんうんとしーしーをひり出し、また眠る。これだけだ。 赤ゆっくりが起き出すたびに食事を噛み砕いて与え、あちこちに撒き散らされる大小便を舌ですくい便所に運び、 おねしーしーを垂れ流しながら眠りこける子供たちを寝床に運ぶだけ。 この単調な仕事を休みなく延々と続けさせられ、れいむとありすの表情はどうにか微笑を浮かべながらも早くもげっそりしている。 せめて子供とのすーりすーりでもできれば癒しになるのだろうが、当の子供たちには親への感謝や愛情のそぶりなどかけらもない。 かいがいしい仕事も力及ばず、ゆっくりハウスの中は早くも雑然と汚れてきていた。 辛いのは私も同じだった。赤ゆっくりが泣きわめくたびにこっちも叩き起こされるのだ。 ようやくまた寝かしつけたれいむに向かって、私は言いつけた。 「ちょっと、うるさくて眠れないんだけど」 「ゆっ………ごめんね、おねえさん………でも、おちびちゃんだから」 「おちびちゃんだから、何?」 「ゆ……うまれたばかりのおちびちゃんは、がまんができないから、ないたり、おもらししたりするのよ。 しかたがないことなの……ごめんなさい」 「知ってるんだけど、そんなこと」 「ゆ……?」 ベッドの上に起き上がり、れいむ達の前に顔を突きつけて言う。 「だから、赤ゆっくりがそういうものだって最初から知ってるの、私は。なに教えるみたいに喋ってるの? うるさいし、汚い。だからゆっくりできなくなる。だから子供は作るな、そう言ったわよね? でもあなたたちがちゃんと面倒見るから、私に迷惑かけないから、そういう約束で許したわよね? 私、さっきから何度も叩き起こされてるんだけど?」 「ゆっ………ゆぅ………」 返事を待ってみたものの、ゆーゆー呻いてうつむくだけで特に何も返ってこなかった。 要は、飼い主の怒りはその場をしおらしくしてなんとかやりすごそうという腹らしい。 苛立ちながら私は脅しをかける。 「じゃ、その子たち処分しようか」 「「ゆ゛うううぅぅぅっっ!!?」」 「私がゆっくりできないし、あなたたちもしっかり育てられないみたいだから約束通り処分します。 そしてあなたたちも去勢しましょうか、子供を育てる能力がないなら生む機能はないほうがいいわよね」 「ゆ゛んや゛あああああああっっ!!!やだっ!!やだやだやだやだよおおおぉぉぉ!!」 「ぞだでばずっ!!ぢゃんどどがいばにぞだでばず!!ぢゃんどやりばずううう!!!」 ゆぎゃーゆぎゃー泣きわめきそらぞらしい約束を並べたてる二匹に向かって、 私が手を振り「じゃあもう少し様子を見る」と伝えたところで、また赤ゆっくりが起きだしてむずがりだした。 二匹はことさら大急ぎで子供の元に向かって叫ぶ。 「「ゆええええええぇぇん!!ゆぅえええええええぇぇん!!」」 「ゆううぅぅっ!!しずかにしてね!!しずかにしてね!!おねえさんがゆっくりできなくなるよ!!しずかにしてね!!」 「らんちさんならいまあげるわ!!おねがいだからしずかにしてっ!!ゆっくりしてえええぇ!!」 「おにゃかしゅいちゃあああぁぁ!!おにゃかしゅいちゃああああああぁぁぁぁ!!!」 「ときゃいは!!ときゃいはああぁぁ!!ときゃいはあああぁぁ!!」 赤ゆっくりは親の言うことなどまったく耳に入っていないらしかった。 私は布団をひっかぶってなんとか寝る努力をする。 『私が少しでもゆっくりできなくなったら処分する』 すでに今、この時点でミッションは頓挫しているが、さすがに今結論を出しても効果は薄いだろう。 言い訳のエキスパートであるゆっくりの事、こんなに早く結論を出してしまっては、 「もう少し育てば子供がなついたのに飼い主が」「もう少し言い聞かせればいい子になったのに飼い主が」と、 なにかと理由をつけて私を逆恨みするはずだ。 「やるだけやったけど自分たちにはダメだった」と納得させるまで付き合う必要があった。 つくづく、ゆっくりを飼うというのはタフな行為である。 ―――――――― 人間でもノイローゼになる者が出てくるほど、子育てというのは本当にしんどいものなのだ。 それを、我慢のがの字も知らないようなゆっくりがどうしてやっていけるのか? 結論から言えば、やっていけない。 多産多死のゆっくりは、野生の中ではほとんどが成体になる前に死ぬが、 子育てに疲れた親に「おやをゆっくりさせないげすはしね!」などと言われて潰される、という死因は、 決して珍しいものではなく、むしろポピュラーな方なのだ。 食糧が豊富で統制のとれたゆっくりの群れでは、ゆっくり殺しを禁じて抑制するケースもあるようだが、 研究者によると、通常、親の子殺しは、子ゆっくりの死因の実に七割を超えるらしい。 その結果、ごくごく一部の「手のかからない子」が生き延びるわけだが、 年中発情期で一年を通して何度も何度も子作りをするゆっくりだから、そんな生存率でもしっかり増えていくのだ。 外に出ても外敵だらけで死因がごろごろころがっているゆっくりではあるが、 最初にして最大の壁が、自分を生んだ親なのである。 面倒なもの、無能なものは片端から殺してしまい、生き残るのは親が教えずとも自分でやっていけるような有能な個体。 つまるところゆっくりの子育てとは、「育てる」というよりも、「ふるい落とす」という表現が実情に即している。 それが、人間界では会話のできるペットとして愛好されるゆっくりの真実である。 さて、人間に飼われ世話された温室飼いの我がれいむとありす。 恐らく生む前は、親を慕う素直なわが子と、 一緒にすーりすーりしたりおうたでも歌っているところしか想像していなかっただろう。 子育ての真実と直面した今、どれだけもつか見ものである。 彼女たちの、あるいは私の堪忍袋の緒が切れるまで、一週間もてばたいしたものだろうか。 それ以上?ありえない。 〔続〕 挿絵: