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ゲームに必要なもの 6面体ダイス2つ以上 普通のサイコロを最低2つ用意してください アバター(駒)になるミニフィギア6個 鑑別ができればメダルやおはじきなどでも大丈夫ですが、 メタルフィギアや使用するTCGに合わせたフィギア、アクリルスタンドを用意できるとより盛り上がるでしょう。 アバターの行動値を記録するカウンター6個 10面体ダイス6つがおすすめです ベースライフを管理する30以上を刻めるカウンター2つ 一般的なライフカウンターやスマホアプリがおすすめです TMC sysが用意したフィールドMAP そして何より、コアゲームに必要なTCGやボードゲーム1式を6人分! 本来のゲームに必要なデッキ、サイドボード、カウンターやサプライを用意してください。
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■空気のような女 作るスキルはないけどくだらない妄想だけしてみた ヒロイン:20代後半。事務OL。会社では好かれてもいないが嫌われてもいない。 趣味は寝る事と散歩と読書とゲーム。暗くはないが明るさもない。口数の少ない地味な女。 当然彼氏いない暦=年齢。特に思考に偏りもなくあまり存在感もない、空気のような女。 ライバル:主人公の数少ない学生時代からの友人。友達は多いが少し毒舌なので敵も多い。 主人公と同じく喪女だが明るさがあり、男友達もいっぱいいる。 多趣味で活動的だがそのキャラクターから男性に女の子扱いされていない。 男1:幼なじみ。同い年。10年ぶりに再会。黒髪長身。趣味は読書とゲーム。 穏やかで親切だけどちょっと天然キャラ。しばらく会わない間に売れっ子小説家になってた。 男2:会社の同僚。同い年。上昇志向があり自信満々風のキャラ。さわやかだが女慣れしている。 男3:図書館司書のアルバイト。眼鏡。2つ年上。常にエプロン姿。いつも笑顔のキャラ。 男4:近所の高校に通う男子高校生。スポーツが趣味。ガクラン。頭が悪くて成績はいつも赤点。 男5:男4の親友。美術部。金持ちのボンボン。 男6:近所の喫茶店のマスター。ガンダム00のロックオンみたいな容姿。5つ年上。 既婚者だけど奥さんとは3年前に死別。 男7:ライバルの参加している社会人趣味サークルの会長であり男友達。5つ年上。 会社を経営していて、ライバルが実はちょっと狙っている男。明るく行動的なリーダータイプ。 男6とは学生時代からの親友。 ペット:猫
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autolink DC/WE20-17 カード名:夢のような景色 カテゴリ:クライマックス 色:黄 トリガー:2 【自】 このカードが手札からクライマックス置場に置かれた時、あなたは自分の控え室の黄のカードを1枚まで選び、ストック置場に置き、自分のキャラすべてに、そのターン中、ソウルを+1。 うん、ただいま。義之くん レアリティ:C illust. CIRCUS 14/08/28 今日のカード ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 帰ってきた学園長 さくら 1/0 5000/1/0 黄
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必要なもの 最低限必要なもの それなりの処理能力のあるWindowsパソコン DualCoreは最低あったほうがいいかも マルチスレッド処理しますので、4 Core以上あると効果的かも。(未確認) WindowsXP SP2以降のWindows OS + Microsoft .NET Framework 2.0 Windows2000は動作可能とは思われますが未確認 64 bit OSでもおそらく動作します。(Windows 7 64bitはOK) 対象のゲームソフト(及び対応バージョンのアップデータ) 信長の野望 革新PK Ver.1.0.0(制限有), Ver.1.0.2 信長の野望 天道 Ver.1.0.0, Ver.1.0.1, Ver.1.0.2 未コンパイル品を使う場合 Visual C# 2010 Express Edition 覚醒支援システム【カギヤマキナ】プログラムソース一括 使い方 コンパイル品の場合 コンパイルされたプログラムを適当なところに置く。設定ファイルやセーブデータ等が生成されるので、専用のフォルダを用意して使用すると吉。 プログラムをダブルクリックして起動する。 未コンパイル品の場合 Visual C#をダウンロード(VC#2010)し、インストールする。 Windows UpdateでVisual C#およびMicrosoft .NET Framework 2.0を最新版にしておく。 ダウンロードしたシステムのソースを適当なところに解凍する。 個別に入手したProgramListなどを該当部分に上書き保存する。 ソリューションファイル"Nobu12LimitOverSystem.sln"(革新PKの場合)をダブルクリックして起動する。 Visual C# 2010であればアップデータが開くので適当に進めて完了させる。 画面右側にあるソリューションエクスプローラから、ProgramListフォルダを選択する。 右クリックして追加→既存の項目を選択する。 ProgramListフォルダ内のファイルをすべて選択して開き直す。 コンパイル(デバッグ開始=F5キー)してみて通れば完了。リンクさせたファイルが足りなければエラーが出ます。(『型または名前空間名"(名前)"が見つかりませんでした。』というエラーはリンクさせているファイルが足りていない証拠) デバッグする場合はデバッグ開始(F5)を押して起動。特にこのまま使う場合は保存先→bin/Debugフォルダ内にコンパイルされたプログラムが出来ているので以後そのファイルを好きなところにコピーなりして起動する。(周囲に出来るファイルはデバッグ用なので不要)
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ゲームに必要なもの プレイヤー2名 ガンダムウォーは2人対戦用カードゲームです。 デッキ プレイヤーごとに以下のルールに従って作ったカードの組を用意します。このカードの組を「デッキ」と呼びます。 デッキを作る際のルール カード50枚ちょうどで作ります、49枚以下や、51枚以上ではいけません。 G以外のカードは同名のカードをそれぞれ3枚までしか入れる事ができません。(ユニットは「型番を含む名称」を使用します) 基本Gは何枚でも入れる事ができます。 特殊Gは全部で6枚までしか入れる事ができません。 プレイシート 専用のプレイシートを使用すると、スムーズなゲーム進行ができます。無い場合は、場の配置の図をイメージしながらゲームをしましょう。 コイン コインが必要なカードを使うプレイヤーは、自分が使うコインを必要な枚数だけ用意します。コインは、数が数えられるものであれば何でも構いませんが、通貨の使用は避けて下さい。
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フィールドボス ファナ、インクのノーダメソロ狩り(プリースト) 装備レベル緩和 プランの声を別の性格の声に変える。 マーキング スクロール節約術 飽和状態chへ移動 フィールドボス http //www.sgame.jp/newsinfo.php?datacd=2166&catecd=3&pageno=1&newsfrom= ファナ、インクのノーダメソロ狩り(プリースト) 何かとPT募集するのが面倒なファナ、インク狩り。 プリーストの場合は、ジャッジメントですのがあれば一人でノーダメで狩れます。 遠く離れて、レイとジャッジメントですのを判定ぎりぎりで当ててMCで、2、3歩離れます。 コレを繰り返すだけです。以上。 MOB引っ張って、元の位置に戻るとリセットされるので、人の通りにくい時間帯、chでやるのがいいよ。 他職?白茄子。 他にも、スカンタはジャッジのみで。 装備レベル緩和 ノーマルよりもスーペリア装備の方が、緩和料金は安い。 3lv緩和から失敗報告。 失敗の場合、lv1上昇。もしくは、変化なし。 今のところ、失敗による破壊はない模様。あちらの国の方では破壊あるらし。 確率の変動はない?お金さえ厭わなければ、20lv近く下げることが可能。 参考:48ノーマル26kスーペリア20k プランの声を別の性格の声に変える。 音声の音源ファイル名の変更による、簡単なただの差し替えです。 インストールフォルダ内の「Sound」フォルダの中にあります。 Windows Media Player などで普通に再生可。 ファイル名 プラン種類 CuBaby~ 幼女 SxTeen~ セクシー TfTeen~ タフ CoTeen~ 堕落 InTeen~ 知的 CuTeen~ かわいい AtTeen~ 活発 ※バックアップを忘れずに。 例: セクシーなプランだけど活発なプランの声が聞きたいーってときは、 AtTeen~.bin を SxTeen~.bin にファイル名を変えるだけでおk。 幼女時代の声がよかったよおって嘆く、危ないエルタさんの要望にもお応えできます。 他の音声ファイルと差し替えることも… いろいろな声を組み合わせて、君も自分だけのオリジナルのプランを育てようっ!m9(キリッ ファイル数の割に喋ってくれるパターンが少ない気がする。 もしかしたら、使われてない声を喋ってくれるようにできるかも? 追記: BFで堕落プランの死亡台詞はM向け。 あと、モーションは変わらないからね。だから…、堕落でセクシー声にすると コマネチしながら「たすけてぇ、あげよぉかなあ?」 …(^ω^#) マーキング PTのリーダーは、タゲってALT+1~8でA~Hのマークを付けることが出来る。 PT内限定。一度付けると、離れるまで解除不可w スクロール節約術 BFに入って、サーバー選択から入り直すと保存位置に飛べる。 裸でデスルーラ。 飽和状態chへ移動 戦争chへの移動が飽和状態で出来ないときは、レゲン帰還点近くの同盟国移動NPCへ。 同盟国移動してからゲートいくなり、自国に戻るなりすれば飽和でもだいたい入れます。 ch選択の画面でchをダブルクリックではなく、選択して「移動」をクリックする方が入りやすいとか。
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ここでは、G狩りやGでの出来事を書いてみようかなぁと・・・ って思ったけど、記録も書いちゃいますw G狩り2008/06/07 2008/05/30 日記
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モグプウの苦手なもの 依頼主 :モグプウ(ドラヴァニア雲海 X29-Y36) 受注条件:レベル54~ 概要 :モグモグホームのモグプウは、水場を気にしているようだ。 モグプウ 「北東にある水場に行ったことがあるくぽ? あそこにいる魔物のおかげで近づけなくて困ってるくぽ・・・・・・。 「ロプケン」を3匹くらい懲らしめてほしいくぽ!」 ロプケンを討伐 モグプウに報告 モグプウ 「ありがとうくぽ! おかげで水場に行けるくぽ! あいつら、ものすごく魚臭いくぽ! モグは近づくのも嫌だったくぽ!」
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‐0‐ 「わたしの初恋は、和ちゃんだったんだ」 ‐4‐ 上から聞こえるやかましい音が、わたしの意識を現実世界に引き戻す。 ガチャガチャ言ってる目覚まし時計の頭を思いきり叩く。 鳴りやんだ時計の短針は「8」を指していた。 枕元に置いてあるスマホを確認する。 11月26日の予定、特になし。会社は休み。 これならもう一眠りできると思い、布団の中に潜り込んでみる。 しかし、頭の隅でなにかが引っかかっていて、それが睡眠をしつこく妨げていた。 わずらわしい。 原因はよくわかっていた。先程まで見ていた夢だろう。 それについては、今更なにを見せてくれたのやらと呆れる反面、 結局今でも確認できていないことを、まざまざと教えられているわけで、 どうにも気持ちよく横になることはできない。 この日付も原因だ。 仕方ない。今日はもう起きてしまおう。 ささっと用意したトーストとバターと目玉焼きとをテーブルに並べ、 軽く朝ご飯を済ませる。窓の外は明るい。おでかけ日和だ。 なにも予定はなかったけれど、せっかくなので作ってしまおうかと考えた。 壁に掛けられたコルクボードをぼんやり眺める。 沢山の写真が、隙間なく留められていた。 昔通っていた学校、車窓から見えた山、大きな時計塔、夜のビル群。 懐かしい笑顔の人たち。 でもその笑顔は、わたしからそっぽを向いているように見えていた。 ‐5‐ 適当に映画鑑賞でもしようかと、電車を乗り継いで町に出る。 スーツを着込んだ仕事真っ最中の人たちとすれ違いながら、 ぶらぶらと道を歩いていく。 「あれ、和さん?」 声をかけられた。振り向くと、同じ会社で働く後輩が立っていた。 後輩も休みのため、ラフな格好をしている。 「こんなところで会うなんて偶然ですね」 「そうね。あなたは、なにか用事?」 「いえいえ暇つぶしです。どうしよーもないくらい暇だったんで」 せっかくなので、わたしたちは行動を共にすることにした。 この後輩は、わたしの一年後に入社してきた。 非常に人懐っこい性格で、同期は勿論のこと、 一通りの先輩とも入社一年目から仲良くなってしまった強者だ。 仕事については、やる気はあるが、どうも空回りしがち。 しかし人間関係は上手く構築できているため、 よく周りから手を貸してもらうことができている。 わたしも幾度となく彼女の手助けをしてきて、その度に懐かれてきた。 「そういえば先輩の私服って初めて見ます」 少しどきっとした。 「わたしも、あなたに同じこと思ってたわ」 「まあ、休日会うような機会もなかったですしねー。 じゃあ今日は記念日ですね?」 「そこまでのものじゃないわよ」 わたしは肩を竦めて、くすりと笑った。 後輩の顔にはそれ以上の笑顔が浮かんでいた。 「じゃあじゃあ、適当に服見ていきましょうよ」 「お金あるの?」 「無いので見るだけです!」 こういった潔いところも、後輩の長所。 少し遠慮が足りないといえるかもしれないけれど、 これといって嫌悪感を持つことはなかった。―― ‐2‐ ――二十歳という区切りを越えたわたしは、バスに揺られながら、 市内の多目的ホールに向かっていた。 鞄の中に入っているのは、成人式の招待状。 車内には同じ目的地なのだろうなと思しき人がちらほら見られる。 スーツに身を包んだ若い男性に、華やかな振袖の女性。 一方でわたしは黒い、パンツスタイルのスーツを着ていた。 せっかくの機会だから振袖を着てみないかと両親には言われたものの、 自分はこのスタイルが一番しっくりくる上に、 振袖は色々手間がかかるということで、今の服装になった。 若いうちにやっておかなくちゃ後悔するかもしれないと、 誰かが言っていたかもしれないけれど、 やりたくないことをやって後悔することだってある。 前の女性が歩きにくそうにしながらも、なんとかバスから降りた。 その後ろについて行って、さっと降車する。 後ろはまた振袖を着た女性が降りようとしていた。 ホール前は市内の二十歳で溢れていて、そこかしこから歓声が上がっていた。 久しぶりの再会だ、嬉しくないわけがない。 ホールの入り口に向かって歩いていると、 わたしもすぐ同じ体験をすることになった。 「おっ、和!」 走り寄ってくる女性。 その姿は、多少違う点が見られるものの、概ね変化がない。 時を重ねてもイメージ通りの彼女が目の前に現れて、 わたしは何故だか急に吹き出してしまった。 「ふふっ」 「なんで笑う!?」 「ごめんごめん、あまりに律のままだったから」 「くっそー、わたしだって成長してんだぞー!」 律は案の定スーツ姿だったけれど、 カチューシャを外し、髪は下ろされていた。 「律がいるってことは、澪も一緒に来てるでしょ?」 「ああ。ほら、あそこに」 指された方向を見ると、華やかな振袖によく似合う、 落ち着いた雰囲気をもった澪が、わたしの知らない人となにか話している。 中学時代の友人だと、律は話した。 成人式は自分の住所を基準にして会場を振り分けられる。 つまり、高校時代の友人とはあまり会うことがなく、 小中学校の友人との再会が自然と多くなる。 小中学校の友人は、高校に入ってめっきり会わなくなった人も多く、 懐かしさもひとしおだろう。 一方で律や澪とは高校で会った友人のため、懐かしさはそう大きくない。 大学に入っても一緒のお互いにとっては、尚更のことだと思う。 そして、わたしにも恐らく大きな懐かしさは感じないだろう友人が、 ここに来ていることも推測できていた。 「あぁ! 和ちゃんにりっちゃん!」 ほら来た。抱き付かれる直前に、頭を押さえて制止させた。 「はいはい、せっかくの晴れ着が崩れるでしょう」 「ぐむむむ……」 「はは、この扱い方も変わってないな。そういえば和は留学したんだって?」 「ええ、半年だけね」 「酷いんだよー、わたしに相談の一つもなしに行っちゃうんだもんー」 この子の家を訪れた、あの日を思い出す。 留学をするか決断しきれず、心の中を右往左往していた時期だった。 そんな時、ふとしたことでこの子のお母さんに家へ呼ばれ、 この子に久しぶりに会って、勇気づけられた。 本人に自覚はないみたいだけれど、本当に助けられたと思ってる。 ただ、その悩みがとても大きかったことと、 まさかこの子と二人きりで対面することになるなんて思わなかったこととで、 あの時のことを聞き出すことは出来なかったのだ。 口を尖らせているこの子――唯を見る。 今、唯は隣にいる。 いつも通りの唯が。―― ‐6‐ ――服以外にも色々見ていこうと、デパートに入る。 お金がないと言ったばかりのはずだったこの後輩は、 遠慮一つしないでそこかしこを次々と見て回る。 見たことのあるような英語の文字列を視界の隅に捉えながら、 ここ割とお値段高めのブランドよね、などとモヤモヤ考えていた。 「いつかこんなの来て、街中を歩いてみたいですー!」 「したり顔してるあなたの顔が思い浮かぶわ」 「あ、わかります」 「本人が言ってどうするの」 後輩は照れ笑いを浮かべ、頭の後ろを掻いた。 「あ、これ和さんに似合ってるかも」 「……そうかしら」 「普段の和さんとはイメージ変わりますけど、似合いますよー。 もう少し髪伸ばしたら、さらに似合うと思いますけど」 わたしは肩にも届かない自分の髪に指を通した。 無抵抗に指が髪の間を通り、そしてすぐにするりと抜けた。 少しずれてしまった眼鏡の位置を直した。 「髪は伸ばさないんですか?」 「そうね。この長さだと楽だし、それに」 「それに?」 「ずっと昔からこういう髪型だったから」 なら、余計に変えてみるのもいいと思います。 後輩はわたしと、その服とを並べてまじまじ見ながら、そう言った。 ‐7‐ 特に理由もなくインテリアショップに入っていった。 入るや否や商品に手を伸ばす後輩は、 こんな柔らかいソファがあれば、ベッドがあれば、 もう贅沢は言わないからクッションでもあれば、 すぐに暮らしは変わるんだと、しきりに熱弁していた。 買えばいいのに、と言うとお金がないと言う。 わたしの部屋には座椅子が一つある。 実家から持ってきたもので、それだけ長い年数使っているのだから、 当然のようにオンボロである。 「買い替えればいいじゃないですか」 「物は大切にするものよ。使えるうちは使っておくの」 「これはこれ、それはそれです。変えた方が結果的に経済的だった、なんてこともありますし」 「それ実体験?」 「……つい一ヶ月前に修理に出した掃除機が、再び故障しました」 「なるほどね」 買い替えの時期を見極める。それは少し苦手かもしれない。 後輩が、なら小さなものから新しくするのはどうでしょう、と言ってきたので、 小物売り場を見ることにした。 部屋の中に緑を増やす模造の草花。 適当なものをしまうのに丁度いい小柄で可愛らしいカゴ。 落ち着きのある橙色を含んだランプ。 心安らぐ香りのアロマオイルと、ディフューザー。 「へえ……」 意外なことに、初めは小さなことから始めようと思っていたそれは、 いつの間にやら部屋全体の雰囲気を変えようという段階まで進んでいた。 「ノリノリになってきましたね?」 「見るだけだから」 そうは言っても、頭の中の想像を止めることは出来ない。 本当に実行してしまおうかしら、と考えるぐらいには進んでいた。 お金に余裕が出来たら、あるいは実現できるかもしれない、 そんなことを思っていたところに、あるものがわたしの目を引きつけた。 「でも、そうね。これ買おうかしら」 「コルクボードですか?」 「家にあるのは一杯になっちゃったから」 「ははあ、なるほど……で、その家にあるものには、 どんな写真を貼ってあるんです?」 「学生時代の写真がほとんどね。風景とか、友達との写真とか」 「えー、彼氏とかの写真じゃないんですかー?」 「いないわよ、そんなの。できたこともないし」 会話が途切れる。首を回すと、後輩は目を丸くしていた。 「い、意外です。和さんって、こんなに綺麗で、仕事もできるのに」 「ありがと」 「これだけ揃っていると、高嶺の花ってことで手を出しにくいとか……?」 「勝手に想像膨らまされると困るんだけど」 「あ、和さんって女子高だったんですよね。 あれですか、和さんってボーイッシュでしたし、モテました?」 「モテちゃいないわ。友達に、そういうのが一人いたけれど」 「うはぁ~、やっぱいるとこにはいるんですね~。 でもその人がいなければ、和さんがそのポジションだったのかもしれませんね!」 わたしは苦笑いをすることしかできなかった。 つくづく遠慮のない子ね、と心の中で呟いた。―― ‐3‐ ――唯たちの大学では今日、学園祭が行われている。 大学の学園祭は、高校までのものとは比べ物にならないほどの規模で、 一つ一つの質も非常に高い。 三年生となったわたしや唯たちは、来年就職活動であくせくすることになる。 となれば今年に一番力が入っているわけで、わたしはそんな唯たちの演奏が聴きたく、 本人たちには伝えずここに来たのだった。 演奏までの時間はまだ少しある。 しばらく他の催し物を見て回ろうと思ったが、その矢先のことだった。 唯の姿を見つけた。 唯は誰かと一緒に歩いていた。 ショートカットで、後ろ姿は男性に見えなくもないが、 ちらりと見えた整った綺麗な顔立ちから、女性だとわかる。 その女性の腕に、唯が自分の腕を絡めた。 女性は迷惑そうに振り払おうとするものの、唯もなかなかしぶとい。 大学でも、唯は誰かに懐いていた。 わたしは、唯たちの圧倒的な演奏を客席から聴いて、それから、帰宅した。 唯がお父さんと同じような、海外出張の多い仕事に就いたと知ったのは、 もう唯が日本から出て行ったあとのことだった。―― ‐8‐ ――ウィンドウショッピングもそこそこに、 デパート近くにあったレストランへ足を運ぶ。 周りを見ると家族連れの人も多く、値段設定もやさしいお店だった。 向かい側の席では、後輩がメニューを広げて唸っている。 「目玉焼きとハンバーグの組み合わせって半端ないと思うんですよ。 誰なんでしょう、この組み合わせを考案した天才は……」 「そう。じゃあわたしペペロンチーノにするね」 後輩はハンバーグにすることまで決めたものの、 上にチーズを乗せるか目玉焼きを乗せるかで逡巡していた。 そういえば今朝の目玉焼き、トーストに乗せて食べるのも良かったかもしれない。 後輩は首をあっちへ捻り、こっちへ捻りを繰り返し、 また随分と時間をかけてから、メニューの一ヶ所を勢いよく指さした。 「決めました、目玉焼きにします!」 「店員呼ぶわね」 注文を店員に伝えてから、新しいお冷も一緒に頼む。 既にグラスの水は半分以下になっていた。 「和さんはそのコルクボードに、なに貼るんですか?」 「そうね……これから写真を撮る機会があれば、それを貼るでしょうね」 「じゃあここで一枚撮っときます?」 「そんな程度のことで貼ってたら、あっという間に埋まっちゃうわよ」 「地味にキツイこと言いますよね、和さんって……」 自覚はないのだけれど。 「それにしてもここから始まるんですね」 「なにが?」 「和さんの部屋、劇的ビフォーアフターがですよ」 頭の中で、例の曲が流れ始める。 「そこまでのものじゃないけれど、そうね。ちょっとずつ変えなくちゃね」 「和さんって、髪型はそうですけど、私服もあんまり変えない人ですか?」 「さすがに高校時代のものは着ていないけれど、趣味はそう変わってないわ」 「ほうほう。眼鏡も変わってないですしねー」 「一応いくつか持ってるのよ。これをメインで使ってるだけで」 「失礼いたします」 そこにピッチャーを持った店員が現れた。わたしのグラスに水が注がれる。 まだ半分以上残っていた後輩のグラスにも、同じように水が満たされる。 グラスを傾ける。中の氷がかちゃりと鳴いた。 冬本番間近とはいえ、ぬるい水よりは冷たい水がおいしい。 静かにそれを口に近づけ、喉を潤した。 喉をすっと通り抜ける冷たさが心地よい。 頭もじわりと冷えていくようだ。 その頭で、ふと先程の会話を思い出す。 「……待って。あなた、わたしの高校時代をどうして知ってるの?」 「あっ」 「眼鏡のことは一つも話してないはずだけど?」 「……あちゃー」 後輩は頭を掻きながら、困ったような笑みを作っていた。 私服のこと、髪型のことは言ったものの、眼鏡のことは一つも言っていない。 「いやまあ最後まで隠すつもりはなかったんですよ。 ほんと、どこまでバレないかなーって遊んでたっていうか」 「あなたも桜高の生徒だったってこと?」 「はい。和さんの、一つ下の学年でした」 初耳のことだった。 「今まで知らないフリをずっとしてたのね……」 「いえでも、私服とかは知りませんよ。 あと、会社に入りたての頃は全然気づきませんでしたし」 しばらく一緒に働いていて、わたしが桜高に通っていたことを知り、 最後はこの眼鏡と髪型で気がついたのだという。 「まあ、だからどうってわけじゃないけど。 よく今まで隠し通せたものね」 「ですねえ。まあわたしも、なんかの式とかで、前に立っていた和さんを見たぐらいです。 気づかれなくても無理はないですね」 しばらくして、それぞれ注文した料理がテーブルに運ばれる。 後輩はこういう性格をしていながらも、 意外とナイフとフォークを器用に扱い、ハンバーグを切っていた。 「そういえば和さんって、軽音部のあの方と仲がいいんですか?」 「軽音部の子たちとは友達だったけど、誰のこと?」 「ほら、演奏の合間のトークで無茶ぶりしまくってた人ですよ」 唯のことだ。 「ああ……そうね、結構仲良かったわよ」 「ですよね。なんか、たまにあの人が和さんに引っ付いてるとこ見ましたもん」 「あの子は誰にでも引っ付く子よ」 「なるほど。わたしもよく引っ付いてた人だったんですよー」 「あなたが?」 「特定の先輩だけでしたけど」 一口大に切ったハンバーグを、 とろっと流れ出ている目玉焼きの黄身につけて、口に運ぶ。 後輩は目を瞑り、しきりに頷いた。 「やはりエッグハンバーグにして正解でした」 「それで、その先輩とは今も会ってるの?」 「あ、はい。今でも仲良くしてもらってます。 初めは随分と迷惑がられましたが、先輩が三年生のときの学祭で、 思い切って気持ちを全部ぶつけてみたんです」 「それで上手くいった、ってことね」 「そういうことですね」 この子は上手くいった。でも、わたしはわからない。 不意にそんな言葉がわたしの脳裏に浮かび、ぐるぐると渦を巻き始めた。 わたしはわからない、とはなんだ。 上手くいかないかもしれない、ということだ。 なにが上手くいかない、というのか。 それは、あの日を境に知ろうとしたことだ。 機会なら何度もあった。それが全て流れてしまった。 だからわたしはあの日のままでいながら、 実は少しだけでも変わってしまったソレに接しながら、 そのズレに長い年月悩まされていた。 悩みは年月で薄くなり、溶けてなくなる。 しかし不意の出来事でまた凝固し、こうして眼前に表出する。 目の前の後輩を見る。珍しく、ちょっと自己嫌悪の感情を覚えた。 「でもね、唯はもう日本にいないの」 「あ、唯っていうんですか、あの人。ライブの紹介で言ってましたっけ。 でも日本にいないっていうのは、どういう……?」 「海外出張の多い仕事に就いたみたいでね。 あの子、親もそうだったから、影響されたのかしら」 「へえ。なんだかカッコいいですね。できる大人、ってやつでしょうか!」 胸の奥が、軋む音が聞こえる。 少しのズレは、もう、決定的なズレだった。―― 2
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49 :タカシくんの好きなもの! [sage] :2007/12/10(月) 20 13 24 ID Gq+nQ0PF すんすん鼻を啜り上げる音が、すぐ隣から聞こえてくる。 「タカシくん、タカシくん」 恋人の名前を呼びながら泣いているのは、親友の愛美だった。長く艶やかな黒髪に包まれた穏やか な美貌が、今は涙と鼻水で台無しになっている。 「いい加減泣きやめよなー」 あんまり陳腐な言葉だとは思ったが、今まで散々慰めの言葉をかけてもなお泣き止まないので、も はやこうでも言うしかない。 案の定、愛美は「でも、でも」とぐずって、またわっと泣き出した。 (いつかはこうなると思ってたけど) 愛美の泣き声を成す術もなく聞きながら、わたしはぬるくなった缶コーヒーをちびちび啜る。コー ヒーは苦いからあまり好きじゃないが、こうでもしないと間が持たない。 件のタカシくんと愛美が付き合いだしたのは、およそ三ヶ月ほど前のことである。 タカシくんと言ったら、わたしの学年でも有名な遊び人だ。程よく染めた茶髪とそこそこ整った顔 立ち、ノリがよくて話題が豊富で、笑うと口元から覗く白い歯がチャームポイント……という、まあ 結構典型的なモテ男である。 そんなモテ男が、何を思ったのか唐突に愛美に告白したらしい。理由なんて「たまには初心な子を 食ってみてえなあ」程度のもんだろう。で、男に全く耐性のなかった夢見るお嬢さんは、あっさりと 彼の求愛を受け入れてしまったわけで。 「あのねきゅーちゃん、タカシくんがね、タカシくんがね」 そんな風に、愛美が無闇に嬉しそうな顔でタカシくんとの甘い一時をわたしに報告してきたのは、 大体一週間ぐらい前までだっただろうか。 その辺りから急に雲行きが怪しくなった。なんとなく表情が暗いなあと思っていたら、三日前ぐら いに沈んだ声で、 「あのねきゅーちゃん、タカシくん、浮気してるかもしれない……」 と打ち明けてきたのである。どうやらそれは真実だったらしく、わたしは今朝校門をくぐるなり愛 美に捕まって、人気のない体育館裏で泣き言を聞かされているのだ。 「だからあいつはやめとけって言ったじゃん。タカシくんは遊び人だって有名だったんだからさー」 「違うもん、タカシくん真面目だしとっても優しいもん、遊び人じゃないもん」 泣きじゃくりながらタカシくんを庇う辺り、これは相当重傷だなあと頭が痛くなった。 元々思い込みの強い愛美のこと、タカシくんの表面上の態度に騙されて、「真面目で優しいタカシ くん」像を勝手に作り上げてしまったんだろう。実際、愛美の口からタカシ君の悪口を聞いたことは ない。今でもそうだ。 「きっと、わたしの愛情が足りなかったんだよ」 「そりゃどうかなあ」 口ではそう言いつつも、内心では「そりゃ逆だよ」と呟いていた。 愛情は足りないどころではなく、むしろ足りすぎていた。はっきり言って過剰だった。愛美が惚気 ながら言っていたのだ。 「あのねー、わたしねー、タカシくん一人暮らしで大変だと思ってねー、毎朝起こしに行って毎朝ご 飯作ってあげて、毎朝……」 要するに一日中休むことなく甲斐甲斐しくタカシくんのお世話をしてあげたわけである。いかに愛 美が大和撫子的な奥ゆかしい魅力を持った美少女だと言っても、これでは鬱陶しくなってもしかたが ない。それに、ちょっとでも迷惑そうな素振りを見せれば、 「ごめんね、わたし、タカシくんのこと何も考えないで……」 とか何とか言って、涙ぐんでいたに違いない。長い付き合いだからこそ分かる。愛美はそういう女だ。 (あんたの愛情は重いんだよなー。多分、タカシくんが他の女に走ったのもそれが原因だろ) わたしはそう睨んでいる。無論、遊び人タカシくんのことだからいつかはこうなっただろうが、こ こまで早いのは愛美の愛情の重さにうんざりしたからだろう、と。 (だからって、本人に直接言うのもなー。親友は辛いぜ) そもそも恋人にタカシくんなんてのを選ぶのが間違いなのだ。ドラマや恋愛小説を見てみるがいい。 「恋人のタカシくん」なんて大抵ロクな男じゃないだろうが。つまり、恋人にタカシくんを選んでは いけないのは日本人全体の共通認識なのである――。 などとわたしが一人現実逃避していると、不意に愛美がぽつりと言った。 50 :タカシくんの好きなもの! [sage] :2007/12/10(月) 20 14 29 ID Gq+nQ0PF 「やっぱりタカシくん、ああいう子の方が好きなのかな」 「あん? どういうこった、『ああいう子』って」 涙の痕が残る愛美の横顔が、思いつめたように硬くなっていた。 「あのね、昨日、タカシくんが本当に浮気してるかどうか確かめようと思って、後をついていったの ……あ、それで本当に浮気してるってことが分かったんだけど」 「はぁ。直接確かめるとは、やるねえあんたも。ってか、やっぱあんたもタカシくんは遊び人なん じゃないかって疑ってたわけね」 「違うよ!」 愛美は勢いよく首を振った。 「タカシくんは真面目で優しいもん。浮気なんかしちゃったのは、きっとわたしが、わたしが……」 また愛美の目に涙が滲んでくる。せっかく収まったのにまた爆発しては大変だ、と思って、わたし は慌てて話題を戻す。 「で、その『ああいう子』ってのはどんなだったんだよ?」 「えっとね」 愛美は泣くのをやめて、少し考え込んだ。 「髪の毛が茶色くてね、お化粧が上手でね、すっごく短いジーパン履いてて、耳に大きなわっかつけ てて、元気で明るくて」 わたしの頭に、茶髪、ギャルメイク、ショーパン、キャミソール、ロングブーツ……という、いか にも遊んでそうな外見の女がギャーギャー喚きながらクチャクチャガムを噛んでいる姿が浮かぶ。 (うっわー、見事に正反対の女選んだな、タカシくん) よほど愛美のことがうざかったんだろうなあ、としみじみ考えてしまう。愛美もある種似たような 結論に達したようで、また涙ぐんでいた。 「やっぱり、わたしなんかじゃダメだったんだ。ああいう明るい子の方が好きだったんだ、タカシくん」 で、また「タカシくん、タカシくん」とすんすん泣き出してしまう。その様子があんまり悲しそう だったので、さすがにちょっと可哀想になってしまった。 (……わたしがもっと強く止めてれば、っていうのも、ないワケじゃないしなあ) わたしはボリボリと頭を掻いた。ちょうど缶コーヒーを飲み終わってタイミングも良かったので、 ため息を吐きながら立ち上がる。 「よし、じゃ、アドバイスしてあげるよ」 振り向きながら言うと、愛美が「え?」ときょとんとした顔でこちらを見上げてくる。 「え? じゃないよ。アドバイスだよアドバイス。タカシくんの心を愛美に戻すためのアドバイス」 「でも」 愛美は暗い顔で俯いた。 「タカシくん、わたしのことなんて……」 「それがよくないっての。いい? そもそも告白してきたのはタカシくんだったんだから、何かしら 好かれる要素があったのは確かなのよ。そうでしょ?」 「う、うん、そうかも……」 「だったら、あんた自身の魅力で勝負しなくちゃ。ね、タカシくん、何をしたとき一番喜んでくれた?」 「えっと」 愛美はもじもじと指をすり合わせた。何かを思い出したのか、少し頬を染めながら躊躇いがちに言う。 「お料理作ってあげたとき、かな」 「お料理。そっかー、あんた、メシ作るのうまいもんなー」 「それほどでもないけど」 愛美は謙遜したが、これは実際大きなアドバンテージだろう。偏見ではあるが、チャラチャラ遊ん でる女に、愛美ほど旨い料理が作れるとは思えない。 (とは言え、タカシくんは愛美にうんざりしてるわけだからなー。今更普通に料理作ったって、新鮮 味が薄いだろうし……) わたしは少し頭の中で戦略を練った。 「よっし、愛美、あんた、タカシくんとしばらく距離を置きな」 「え? どういうこと?」 「いいからわたしの言う通りにする。しばらく会わずにおいて、愛美のことを忘れかけた頃に、メ チャクチャうまい料理をご馳走してやんのさ。そうすりゃ『ああ、この子はこんな素晴らしい子だっ たんだなあ。忘れていたよ!』みたいに感動するはずさ!」 多少大袈裟に言ったが、こうでもしないと今の愛美は動かないだろう。案の定、 「そ、そうかなあ……」 と戸惑うように呟きつつも、その顔には希望と期待が戻りつつあるように見える。 51 :タカシくんの好きなもの! [sage] :2007/12/10(月) 20 15 32 ID Gq+nQ0PF (よっし、ひとまずは安心だな) わたしは心の中でガッツポーズを作りながら、具体的な作戦を愛美に告げる。 「じゃ、勝負は一ヵ月後だ。それまでは、タカシくんとはなるべく話をしないこと。あっちだって浮 気してるぐらいなんだ、愛美が静かなのはむしろ好都合だと思うだろ。で、その間にあんたはタカシ くんにご馳走するものを考えて、準備しておく、と」 「うん。でも、何を作ってあげたらいいのかなあ」 「そんなん、タカシくんの好きなものでいいじゃん」 「それはそうだけど、そういうのは大体作ってあげちゃったし……新鮮味がないんじゃないかな?」 「あー、そっか。確かにそうだな……じゃ、材料を豪華にするとかさ」 「材料……タカシくんの好きなもの、豪華な材料……」 愛美は口元に手をやってブツブツ呟いていたが、やがてぱっと顔を輝かせた。 「そうだ、これならきっと喜んでもらえる!」 「おお、何作ることにしたん?」 「えへ、秘密。あのね、豪華な材料っていうの、思いついたの。絶対絶対、ぜーったい、大丈夫だよ」 普段控え目な愛美に似合わず、えらく自信満々な様子である。わたしは意外に思いつつも、同時に 頼もしさも感じた。 「よっし、それならきっとうまくいくね。ところで、その材料ってのは、普通に手に入るもんなの? 豪華だって言ってたけど」 「うーん……どうかな。多分、一ヶ月もあれば十分、だと思うけど」 「なんだか、不安そうだね」 「わたしも、今まで扱ったことない材料だから……でも大丈夫、タカシくんのためだもの! 絶対成 功させてみせる!」 ぐっと拳を握りしめながら、愛美が立ち上がる。その背に炎が見えるような気がした。 (これなら大丈夫だろう) 自分の案のおかげでこうなったのだから、わたしは実にいい気分だった。 その日以降、愛美はあまり授業に出なくなった。 「あんな真面目な子に何が」と周囲が騒ぐ中、わたしは一人落ち着いていた。 愛美が一生懸命「豪華な材料」を用意しようとしている姿が、目に浮かんだからである。 そして一ヵ月後。 「上手くいったよ、きゅーちゃん!」 わたしの部屋の真ん中でVサインを決めてみせる愛美に、わたしは苦笑いしか返せなかった。 興奮して我が家に飛び込んできた愛美をどうどうとなだめながら、自室につれてきたところである。 「テンションたけーな、あんた」 呆れて言うと、愛美は両手を組んでうっとりと目を閉じた。 「だってね、タカシくん、震えるぐらい喜んでくれたんだよ!」 「震えるって……そんなに?」 「うん。震えながら、おいしいおいしいって涙流して笑ってた」 「どこの料理漫画だよそりゃ」 さすがに呆れてしまう。だが、愛美のはちきれんばかりの喜びオーラを見る限り、少なくとも嘘で はないようだ。 (あの遊び人タカシくんが、震えながら涙流して、ねえ) ちょっと想像できない光景だが、そうなってしまうぐらい愛美の料理が旨かったということなのだろう。 そう思うと、俄然興味が沸いてきた。 52 :タカシくんの好きなもの! [sage] :2007/12/10(月) 20 16 50 ID Gq+nQ0PF 「ねえ愛美。あんた、一体なに作ってあげたの?」 「ん? いろいろだよ。タカシくんの好きなものは、大体作ってあげたかなあ」 「それだけ? ああ、そういや、なんか豪華な材料を使ったんだっけ?」 「うん」 愛美がにっこり笑う。 「ありがとねきゅーちゃん、きゅーちゃんのアドバイスのおかげで、その材料使おうって思いついたんだ」 「そりゃどうも。で、実際なんだったんだよ、その豪華な材料っていうのは」 「それはひみつー」 愛美が人差し指を唇に当てて片目を閉じる。 「あー、ずるいぞあんた。わたしのおかげで上手くいったのにさー」 「えへへ、ごめんね。でもね、それはわたしとタカシくんだけの秘密なのよ」 「へん、そうかいそうかい。せいぜい二人の世界に浸ってろよバカ」 そっぽ向いてしっし、と手を振ってやると、愛美は困ったように笑った。 「拗ねないでよー。じゃあね、ヒントあげるね」 「おう、くれくれ」 「えっとねー、その材料はねー」 愛美は指を折って何かを数え始めた。 「切ってもいいし焼いてもいいし炒めてもいいし煮てもいいし……あ、あとね、ミキサーにかけて ジュースにしてもいいんだよ。でも、凄く臭いから、それをどうするかが調理のポイントかなあ。ち なみに、わたしは今挙げた調理法を、今回全部使いました!」 「なんだそりゃ」 ミキサーにかけてジュースにしてもいいって辺りは野菜や果物を連想させるが、凄く臭いっていう のはどういうことだろう。 (大体、あのチャラチャラしたタカシくんがそんなもん好きだとは思えないんだけど) 悩むわたしの前で、愛美は少し眉をくもらせた。 「でもね、ちょっと心配なんだけど」 「なにが?」 「タカシくんね、途中で吐いちゃったの」 「吐いたって、……え、なに、ゲロッたのあいつ?」 「うん」 「うわー、きったねー! っつーか恋人の料理吐くとか最悪じゃん」 「仕方ないよ」 愛美は穏やかに笑った。 「それにね、吐いちゃったタカシくんに駆け寄って、『大丈夫?』って声かけたら、必死に『大丈夫、 ごめん、許してくれ』って謝ってくれたんだよ」 許してくれ、というのは、つまり『折角作ってくれたものゲロっちゃってごめん』ということだろう。 「はー、あのタカシくんがねー。ずいぶん愛美に惚れ直したもんだ」 わたしは感心すると同時に安心した。これなら愛美とタカシくんも上手くいくだろう。自然と楽し い気分になって、冗談の一つも飛ばしたくなった。 「そのゲロッたってのも、案外『好きなものだからいっぱい食べ過ぎちゃった!』なんて、幸せな理 由なんじゃねーの?」 「そうかも」 愛美は嬉しそうに笑った。 「だってね、タカシくんが、とっても、とっても、とーっても、好きなものを使って作ってあげたから」 「へー、そんなにねー……まだ余ってんの、それ?」 「うん。あ、そうだ、きゅーちゃん」 「なんだ?」 「あのね」 愛美は首を傾げた。 53 :タカシくんの好きなもの! [sage] :2007/12/10(月) 20 17 59 ID Gq+nQ0PF 「目玉って、どう調理したらいいと思う?」 一瞬何を言われているのか分からず、わたしは間抜けにもポカンと口を開けてしまった。 「なにを、調理するって?」 「だから、目玉。ああ、あと、脳味噌も残ってたかな。どうしたらおいしくなるかなあ」 何の話をしているんだか、分からなくなった。 (目玉? 脳味噌? 調理? えーと、どういうことだ……?) 必死に考えて、わたしはある結論に思い至った。 「分かったぞ、愛美!」 「え、なにが?」 驚く愛美に、指を一つ立てて言ってやる。 「お前が使った材料って、マグロだろ!」 「……マグロ?」 訝しげに鸚鵡返しする愛美に、頷いてやる。 「そう、魚の。目玉とか脳味噌とか使えるって言うし、魚だから多分臭みもあんだろ? 切っても焼 いても食えるし……まあジュースにするってのは気持ち悪いけど」 タカシくんはひょっとしたらゲテモノ好きなのかもしれない。もしくは、吐いたのはそんな気色悪 いジュースを無理して飲んだせいだろうか。 少し考え込むわたしの前で、愛美は首を傾げた。 「うーん、マグロ、マグロ……ちょっと、いやかなり違うけど……」 呟いたあと、軽く首を振る。 「まあ、どうでもいいか。食材になっちゃえば大体みんな一緒だって分かったし」 「あ? なんか言ったか?」 「ううん、なんでもないよ。それでねきゅーちゃん、タカシくんがねー」 愛美は床にぺたんと座り、楽しげにタカシくんのことを話し始める。わたしも背もたれを前にして 椅子に座って、呆れ半分にのろけ話を聞く。 「タカシくんね、『俺が悪かった、許してくれ、もうお前以外の女は見ないから』って言ってくれた んだよ」 「へえ。調子いいこと言うねえ。そんなこと言って、また浮気すんじゃないの?」 「そんなことないよー。だってタカシくん、もう外に出ないって言ってたもん」 「外に出ない? どうして」 「外に出ると他の女の人見ちゃって、迷惑かけるからだって」 「うひゃー、驚いた。あのタカシくんがね。こりゃあんたにぞっこんほれ込んじまったんだね」 「えへへ、そうかなあ?」 まあさすがに外に出ないというのは冗談だろうが、幸せそうに笑う愛美を見ていると、茶化す気に はなれなかった。 (何にせよ、これにて一件落着ですかねえ) 深く息を吐きつつ、わたしはふと、窓に目を向ける。 狭い家の外は、春らしい暖かな日差しで柔らかく輝いている。 (外に出ない、なんて、勿体無いと思うけどねえ、タカシくん?) 肩をすくめるわたしを見て、愛美が文句を言った。 「ねー、きゅーちゃん、聞いてるー?」 「はいはい聞いてますよ」 「そう? あ、でねでね、きゅーちゃん、タカシくんがねー」 際限なく続く愛美の惚気話を聞きながら、わたしはようやく訪れた平和を一人噛み締めるのだった。 HAPPY END!