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※人間がゆっくりに感謝してます。 ※一部愛でられているゆっくりがいます。 「今日は記念すべき、10年目を迎えたゆっくりの日です。 ここに、我らを窮地より救ったゆっくりの銅像を立てました!」 都立ゆっくり公園。 10年目を迎えたこの記念式典。 拍手と共に白幕が剥がされる。 そこにはみるからにゆっくりしているれいむの銅像が立てられていた― 環境問題・飢餓問題・エネルギー問題。 幾多の問題を救った存在がある。 どこからともなく現れた人の頭だけのような存在。 しかも呼んで字の如く饅頭な存在―そう、ゆっくりである。 「んほぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」 ゆっくりはたちどころに数を増やした。 その結果、世界に餡子―食料が溢れ人類は食べ物に事欠かなくなった。 「We have many food!!! Ya-ha-!!!!!!」 「どぼじででい゛ぶの゛あがぢゃ゛ん゛だべる゛の゛ぉ゛ぉ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 それだけではない。 「むーしゃ、むーしゃ、ここはたべものさんがたくさんおちてくるね!!!」 「ここはまりさのさいこうのゆっくりぷれいすだよ!!!」 ゆっくりは何でも食べた。 その結果、ゴミ問題が一気に解決した。 その上多くのゴミを燃やさなくて済むようになり、CO2の大幅な削減に繋がった。 また、そこで大量に増えたゆっくりはバイオ燃料に最適だった。 いつ切れるとも知れぬ化石燃料の代替の役目を十二分に果たしてくれたのだ。 「ばでぃ゛ざの゛お゛がぁ゛ざん゛がづぶざれじゃ゛っ゛だよ゛ぉ゛ぉ゛お゛おぉ゛ぉ゛」 ゆっくりの恩恵は留まる事を知らない。 「すっきりー!すっきりー!!すっきりー!!!」 「も゛っ゛ど……ゆ゛っ゛ぐり゛…じだがっ゛だ・・・・・・」 子供を作りきれずに黒ずんだゆっくりはかなりの保水力を持った。 それを元に草木が育ち、砂漠化の問題が解決された。 「あ゛り゛ずばずっ゛ぎり゛じだぐな゛い゛の゛に゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛・・・・・・」 更にはこんなこともやってのけた。 「ゆっくりちーちーするにぇ!!!」 ゆっくりはどんな汚水でさえ砂糖水に変えてしまうのだ。 これによって水質汚濁の問題があっさり解決されたのだ。 「にゃんでちーちーとみゃらないのぉぉぉぉ!!!」 ゆっくりの貢献は何も環境や食料、燃料だけでは無い。 「わからない、わからないよー」 ゆっくりはイライラのぶつけ先に最適だった。 そのお陰でストレスを溜め込んだ末の犯罪行為の件数が大幅に縮小された。 「ひゃっはー!もっと泣き叫べー!!!」 「わからな…ゆびぇっ!!!?」 勿論、ストレス発散だけではない。 「このゆっくりのトレンドポイントは…」 ゆっくりはペットとして飼い易く、一種のステータスになった。 近所話から芸能人の真似まで、よい交流や商売のネタとなった。 「あら、そちらのみまちゃんは可愛いわねぇ」 「お宅のゆめみちゃんだって大切にされてますわね」 何も若い人達だけがゆっくりの恩恵に預かっている訳ではない。 「むきゅ、おばーちゃんだいじょうぶ?」 ゆっくりは人と会話を交わすことができた。 そのため、老人の相手をする存在にもなった。 「ええ、ええ、げんきですよ。またごほんをよんであげるからね」 「むきゅぅん、ありがとね」 勿論、その存在に救われているのは人間だけではない。 「このもりはとってもゆっくりできるね!!!」 「ちーんぽ!!!」 ゆっくりは森に山に、自然の色々な所に住み着いた。 そのため、沢山の野生動物が餓えなくなり、生態系の修復にも繋がった。 「がま゛ぎり゛ざん゛や゛め゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」 「ゆ゛っ゛ぐり゛でぎな゛い゛ぃ゛ぃ゛い゛ぃ゛い゛ぃ゛」 そう、この世界はゆっくりによって成り立つようになったのだ。 まさに救世主である。 そしてこれからもゆっくりはその全てを余す事なく世界の為に使うだろう。 人間はそのことを忘れないよう、年に1度ゆっくりの日があり、式典を開くに違いない。 ・・・ゆっくりがゆっくりする?そんな事ができるはずがない。 何故なら世界を支える為にゆっくりは存在するのだから。 ※最近の食料事情のニュースを聞いててピンときました。 世界をいいように作り変えてきた人間です。これ位は何ということ無いでしょう。多分。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/733.html
ゆっくりゆうぎ ある日、俺はゆっくりを放し飼いにしている庭で奇妙なゆっくりを見つけた。 「ゆっくりちからくらべしようね!そぉーれゆっくり!ゆっくり!」 そのゆっくりは額に角が生えていた。他のゆっくりを追いかけまわしている。 「ゆゆ!もっとゆっくりしてね!それじゃゆっくりできないよ!」 「なにいってるの!ちからくらべ!ちからくらべしよう!」 逃げ回るれいむに素早い動きで追いつき、激しくすーりすーりしようとする。 すりすりというよりはずりずりという感じだ。 「ゆぶっ!もっと……ゆっくり……」 「れいむはよわいね!ほらもっとゆっくりがんばってね!!」 「もうやめでええええ!!!」 「それそれ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 何この新種。 「ゆぎゅぎゅぎゅぎゅぅぅぅぅ!!!」 「はーい、そこまでー」 俺は阿鼻叫喚のるつぼと化した庭へと踏み入った。 新種は今まで絡んでいたれいむを放り出しこちらを振り向く。 「ゆっ!ほねのありそうなにんげんがきたよ!ゆうぎとちからくらべしようね!」 新種は俺の足元へ跳ねてくると、足に対して攻撃してきた。 「ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 「………」 やはり所詮はゆっくり。口で言うほどの力はないのだった。 「ていっ」 足を軽く振っただけで「ゆべふっ!!」と吹き飛ぶ新種。 「なかなかやるね!おもしろくなってきたよ!ゆっくりぃぃぃ!!!」 再度飛び掛ってくる。 「なんつうか……暑苦しい奴だな……」 * * * * 「ゆうぎのなまえはゆうぎだよ!ゆっくりちからくらべするよ!」 さっきからずっとこれだ…庭のゆっくり達はおびえて物陰に隠れてしまっている。 「おにいさん!そいつをゆっくりおいだしてね!」 「ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりひとのはなしをきいてね!!」 それはお前らもだけどな。 「まあまあ、そんな事いわずに仲良くしてあげなさいよ」 俺は飛び掛ってきたゆうぎを手で掴むと、物陰で口を尖らせるゆっくりどもの方へ投げる。 「しょうぶ!しょうぶ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 「ゆあああんん!!!」 半刻ほども暴れた後、ようやくゆうぎは沈静化した。 「ゆゆゆゆゆ……」 「どぼちてゆっくりざぜてくれないのぉぉぉ……」 あたりは死屍累々たる有様だ。 「いいしょうぶして、すっきりー!!」 そりゃあお前はそうだろうがね。 「まずは、ゆうぎの鼻っ柱を折ってやることが第一と考えました」 誰に説明してるんだ?俺… ともかく、ゆっくりれみりゃを檻から出し、ゆうぎと対面させてみた。 「うー☆めずらしいゆっくりだどぅ~♪たっべちゃうどぅ~♪」 ぎゃお~☆と威嚇するれみりゃ。しかし、相手の反応はいつもと違うのだった。 「ゆゆ!あいてにとってふそくはないよ!わくわくしてきたよ!! ゆっくりぃぃぃぃ!!!!」 天敵であるはずの、自分より何倍も大きい体付きのれみりゃへ突進するゆうぎ。 「あう~?おちびちゃんのぶんざいでぐれいとなおぜうさまにたてつくなんておろかだっどぅぅ~☆ おもいしらせて……うぁ?」 あ、角が刺さった。 「う゛あ゛~!!いだいどぅ~!!」 「そぉれゆっくり!ゆっくり!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 れみりゃはじたばたと逃げ惑う。 「い゛だい゛の゛やぁだどぅぅーー!!」 実際の痛みはそれほどでもないのだろうが、想定外の反攻に恐慌を起こし、 まるでふらんにいじめられている時のように縮こまってしまうれみりゃ。逆にゆうぎの方は気迫充分だ。 「おっきいくせにだらしないよ!もっとゆっくりちからくらべしようね!!」 「や゛へ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛~!!」 勝負はあっけなく決した。 「う゛う゛う゛…」 「ゆうぎのかちだね!!」 「つ゛の゛つ゛の゛こ゛あ゛い゛どぅ゛……」 通常種に続いてれみりゃまでも心的外傷を負ってしまったらしい。 知り合いにはゆふらん持ちもいるが、この調子ではうっかり勝ちかねない。対面させるのはやめておこう。 「うーむ、与えられた特権的地位に安住するだけではいかんということさなぁ…」 憐れを誘うれみりゃの姿を見て、俺は無意味にそう思ったのだった。 それからどうなったのかというと。 「しょうぶ!しょうぶ!」 ゆうぎはそのまま家に定着した。 「やめてね!!ゆっくりできないよ!!」 大抵は一方的に勝負を持ちかけては周囲のゆっくりを困らせているが、 俺が相手をしてやって程よく勝負欲を発散したあとでなら、他のゆっくりとゆっくりすることもある。 俺は今まで隔離していたれみりゃも庭に放つことにした。 ゆうぎは俺に次ぐ実力者としてれみりゃを認識しているため、好んで勝負をもちかける。 そのため他のゆっくりの被害軽減に役立つのだ。 「ゆゆっ!れみりゃだ!!れみりゃしょうぶだよ!!」 「おぜうさまはいないいないだどぅぅぅ~!!」 頭をかかえて丸まり、いないふりをするれみりゃだがそんなことをしても無駄だ。 「ゆっくり!ゆっくり!」 なすすべもなくゆうぎの猛攻にさらされるれみりゃ。 「あ゛う゛ぅ゛~!!!」 「れ゛い゛む゛!!ま゛り゛さ゛ぁ゛!!た゛す゛け゛て゛ほ゛し゛い゛ん゛だどぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 通常種とれみりゃの間には、反ゆうぎ同盟とでも呼ぶべき協調体制が生まれていた。 「れいむのかわりにゆっくりあいてしてあげてね!!」 「まりさよりつよくておおきいれみりゃならだいじょうぶなのぜ!! めいしょうぶをきたいしてるのぜ!!」 この程度のものだが。っていうかまりさ煽ってんじゃねえ。 「そうだどぅ!とんでにげるっどぅ~!!れみりゃあたまいいどぅ~♪」 おお、よく気づいたぞれみりゃ。かれこれ三日も前から気づくのに期待してたんだが。 「ゆゆっ!!にげるとはひきょうだよ!!ゆっくりおりてきてね!!」 しかし心配はいらない。れみりゃを放すにあたり、敷地を覆うように網を張ってある。 いつまでも逃げ続けることはかなわないのだ。 いくらもしないうちに滞空能力の限界を迎えるれみりゃ。 「う゛ぁぁ~!う゛ぁぁ~!つかれたどぅぅぅぅ~!!」 「はやくおりてきてしょうぶしようね!!ゆっくりまってるよ!!」 泣き叫びながら懸命に翼を動かすれみりゃ。ヒャァ!たまんねぇ!これが見たくて三日も仕事休んだ甲斐があったぜ! 「や゛だどぅ!や゛た゛どぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!」 だんだん高度が落ちてくる…あ、落ちた。すかさず突進するゆうぎ。 「もうやだどぅぅぅぅーーー!!!たずげでじゃぐやぁぁ~!!!!!」 「ゆっくりぃぃぃぃぃ!!!!!」 ゆうぎの勝ち鬨が、庭に響いたのだった。 おしまい。 □ ■ □ ■ このお兄さんは虐待にも飽きてしまった”観察”お兄さんです。 あまり自分では手を下さず、勝手に面白行動を取るゆっくりを眺めて楽しむ的な。 俺も庭にゆっくり飼って隠棲したいよ… 読了ありがとうございました。 今までに書いたSSです。よかったらどうぞ 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2730.html
前 *注意 ゆっくりいじめ描写無し。人間いじめ含む。 「こんにちは」 「………………」 「こんにちは」 「………………」 「ハロー・ニーハオ・ボンジュール」 「………………」 「さて、どうする、参謀? ワット・ドゥ・ユー・ドゥ?」 「言い直さなくていいです。私としてはちょうど良かったように思いますが、時期的に」 「クリスマスプレゼントか。天に召されるにしてもいい日ではあるな」 「観点が違いますよ、わざとでしょうけど」 「いや、そういう見方もできるということだよ。そう悪意でばかり捉えられると困るな」 「これまでの行いを省みることですね。ともかく調理班を呼ぶのが適当かと」 「うん、妥当だな。まあ、そうだ」 「長には、何か懸念でも?」 「いや、確かにこれは据え膳だろう。他の動物や妖怪に横取りされる前に、とどめを刺して解体するのが当然だろうな。ゆっくりは動物であり妖怪でもある存在だ」 「当然というより自然ですね。摂理に合ってます」 「それに、この衰弱具合では胃にも腸にも入っているものは何一つないだろう。臭みが取れていて美味いだろうな」 「そうですね。では、何が問題なんです?」 「意地が悪いな。本当はわかって聞いているんだろう」 「わかってはいますが、理解できないだけです」 「殺す人間を選り好みするのは、逆に生命を冒涜している……ということかな?」 「言いたいことの一つはそうですね」 「残りの理由は?」 「意地が悪いですね。本当はわかって聞いているんでしょう?」 「おぉ、言葉を返されるとは思わなかったな。というより、」 「『自分の意見を最小限にとどめて、相手の言葉を引き出す会話法を使っているね、さっきから』、ですか?」 「ハハッ、素晴らしい、その通り。いやいや、ますます可愛くなくなるね。売れ残りのクリスマスケーキも幾星霜を経れば、逆に価値が出るものなのかい?」 「それはお互い様ですから、ご自分の胸に聞くのが一番早いでしょう」 「本当に芯が強くなったなあ。もういっそお前さんが長をやったらどうかな。代わりに俺が参謀になろう。通り名はチビ黒参謀」 「そうですね。では引き継ぎを行いたいので、とりあえずどこかのお寺にこもってください。焼き討ちに行きますから」 「下剋上か。是非も無し。しかし、それではたった三日の天下だぞ」 「『鳴かぬならどうでもいいやホトトギス』」 「投げやりだな」 「では長もやり逃げはしないでください」 「責任は取れ、ということか。OK、認知しよう」 「ええ」 「俺の責任の下に、俺が命じよう」 「ではお考えをお聞かせ願いたく」 「まず、食糧に困ってない」 「困ってますよ」 「確実に餓死するほどではないだろう。備蓄にやや不安があるだけだ」 「流入してきたゆっくりが多すぎます。そのほとんどが冬眠もできず、食域も狭いです」「外部からの移民は晩秋初冬の風物詩だろう。予測した上で食糧は溜めておいた」 「それでも何かしらトラブルがあれば厳しいことになります。少しでも余裕があった方がいいでしょう」 「そう、それは認める。だが、絶対的に必要というわけでないのも事実だ」 「まあ……それは、その通りです、確かに。しかし、外部活動をする者たちからは不満も漏れ始めていますよ。『働かざる者が食うなんて』という旨のことです」 「それについては、食糧を前借りするのは正当な権利だと伝えておくことだな。それに流入者が下手に外部活動できるのでなくて、却って良かったのじゃないか? 外での活動が結局は一番糧秣を食うわけだしな」 「……ええ。少し話がずれてしまいましたね。苦しいところはあれど食糧は足りているという点で、長と私の意見は一致します」 「うん。それで、後の理由だが、お前さんの言う通り『選り好み』だよ」 「基準がわかりません。一体何ですか?」 「俺は面食いだ。彼は好みのタイプだ」 「なるほど」 「納得したか」 「はい」 「そうか」 「はい」 「………………」 「………………」 「すまない。俺が悪かった」 「早く話を進めてください」 「ん、基準の話だったな。上級の妖怪と同じ基準でこちらもやりたい」 「は? それは、ええと、確か」 「うん、生きるに値しない人間を選んで食べるということさ」 「『生きるに値しない』……というのはどういうことですか?」 「その辺りはまた話が長くなるな」 「しかしはっきりさせてくれないと困ります。ごく稀に私はそのことで酷く混乱するんですから」 「俺が不在の時は参謀の基準で行ってくれればいい。さっきの俺の基準は、群れにとっては最優先事項でないからな」 「確かにこれまでは問題なく処理できています。群れにおいても疑問視する声は聞かれません。けれど、曖昧にはしておきたくないんです。明確な基準とその意味をはっきりさせておきたいです」 「言い分はわかる。当然と言えば当然だ。わざわざ人里に入って人間を食い殺したと思ったら、今度は山で行き倒れた人間を助けたりするなんて、矛盾を感じてもおかしくはないな」 「え……? ……っ! 助けるつもりなんですか!?」 「そのつもりだ」 「信じられません。突発的かつ手前勝手な慈愛の精神に目覚めたのですか? このまま凍死にせよ、餓死にせよ、死ぬに任せておいてから解体するつもりだと思ってました。これなら殺さずに食糧を確保できます。でも、それでさえ理解できないというのに……」 「いやいや、理解できなくていいよ、そっちのつもりはないから。それに、通常なら殺してしまって問題ないというのはさっき言った通りさ。ただ、条件が揃っているなら、何かしら施してやってもいいだろうとは考えている」 「条件?」 「そう、彼我のね。さて、殺さない理由と生かす理由の有無を検証してみようか」 「…………………っ……」 「おや、ナイスタイミングかな? では、彼我の彼を確認してみよう。あー、アンニョンハセヨ?」 「普通に言ってください」 「…………だ、……ぇ」 「この界隈に群れを形成しているゆっくり、その長だ。初めまして。聞こえているかな?」 「…………ぅ……」 「そうか。では早速で悪いのだが、この縄張りから出て行ってもらえるかな。お前さんの存在は何かと物議を醸しているんだ」 「……べ…ぉの…」 「食べ物か。確かにその衰弱ぶりでは、自力で出て行けはしないな。しかし、こちらの台所事情も逼迫気味でね、その要求を満たすのはやや難があるかな。まあ、横にいる健啖な参謀は、是非とももてなしたいと言っているんだけどね。クリームと酢と塩を擦り込んだ上で」 「宮沢賢治じゃありませんよ」 「化け猫でなくて、化け饅頭だしな。──さて、人間、今のやり取りでお前さんを助けることが決定された。しばらく待っていてくれ」 「長、ちょっと待ってください」 「うん、手短にな、あの男が事切れる前に」 「私はまだ完全には理解できていないのですが」 「理解できたところまで話してくれ」 「人間の存在が問題になるのはわかります。何もせずに放置するのはありえません。特に群れの中でのことですから」 「そう、殺しもせずに死ぬのを待つのでは、虐待と変わらない。群れの教育上よろしくないな」 「しかし、そこから先がわかりません。助けられないならひと思いに介錯してあげるべきです。しかし、長は『助ける』と言った。『人間に渡せる食べ物はない』という台詞と共にです。矛盾していませんか」 「二点見落としているな」 「はい?」 「『彼我の彼の条件』は何かな」 「え、と、その話ですか。ええと」 「彼は殺されてしかるべき人間ではないようだ。よだれを垂らして飛びかかってくるようなら、むしろ話が早くて良かったのだけどね」 「正当防衛は使えない、そして彼の人柄は……。『彼我の彼における殺さない理由』はわかりました。私の目には、ただのお人好しにも映りますが」 「生命の危機に際しても、手軽に食えるゆっくりに手を出さないからな。特に参謀は食い出があるのに」 「長は煮ても焼いても食えませんけれどね。ともかく、彼は少なくとも生を弄ぶような人間ではない」 「そう、俺の基準で言えば、彼は殺したくない部類の人間だ」 「一つは片付きました。そして後一点、私が見落としているのは、『彼我の我における生かす理由』です。これがなくては、どんなに長が殺したくなくても、殺さざるをえなくなる」 「いや、何が何でも助けたいわけではないよ。助けられるから助けるのであって、そうでなければためらいなく殺すさ」 「やはり、見落としているのは食糧のことですね。それこそが彼を助けるものですから。しかし、だからこそわかりません。私の疑問符はどう外されるのですか?」 「単純なことだよ。まず参謀は俺の台詞を誤解している。俺は『難がある』と言ったのであって、『できない』とは言ってない」 「同じ事では? ギリギリの状態なのに、外部の者に譲渡する義理はありませんよ」 「非常時でもなければ食べない物があるだろう。与えるのはそれだ」 「……え? いえいえ、まさか。人間の食域はゆっくりのそれに比べて、格段に狭いはずです、少なくとも私たちの群れにおいては」 「今やそうなっているね。古参のゆっくりはみんな悪食のプロフェッショナルだからな」 「長がそう仕向けたんでしょうが、まったく。とにかく、群れの誰にも食べられないものが人間に食べられるはずがありません」 「それは事実だ。ただ何事にも例外があってな」 「例外、ですか?」 「さて、参謀。俺とくじ引きをしよう」 「本当に何とお礼を言ったらいいか」 「何度も言うが、気にしなくていい。成り行きでしたことだからな」 「そんなことはない。君たちは命の恩人だ。必ず借りは返すよ」 「いや、こちらとしてはお前さんが『何もしない』のが最善なんだ。気持ちだけ受け取っておく、とさえも言えない。ともかく、お前さんには早くここから出て行ってもらいたい」 「ああ、わかった。それからもう二度と群れには近づかないでおくんだね」 「そう願う」 「約束するよ。本当にすまないね、群れには食糧が無かったのに分けてもらって」 「本来は捨てるはずのものだ。そんなものを食べさせたんだが」 「だけど、そのお陰でこうして生きていられる。感謝するよ。わざわざ温めてもらって、暖も取れた」 「それは勘違いだな。加工したてだから温かかったんだ。いつもは廃棄するものだから、備蓄はない」 「あれは加工品の廃棄物なのか。なかなか美味しかったよ、素朴な味わいで。何て言う物なのかな」 「お前さんは丼物を知っているかな」 「ああ、鰻丼とか親子丼とか」 「では、鉄火丼も知っているね」 「『てっか』……? いや、初耳だよ。あれが?」 「まあ、具だけだがな。それもいらない部分を寄せ集めたものだ」 「そうか、あれが……。作り方を聞いてもいいかな。村に帰ったらもう一度食べてみたいんだ」 「残念だがそれは無理だ。人間と食料を争奪することになりかねない。だから、今回のことは他言無用とお願いしているわけだよ。察してもらいたいな」 「ああ、わかった。約束するよ。……貴重な食材なんだね」 「最寄りの村はこの先にある。お前さんが来た村とは別だが、冬が開けるまで世話になるといい。案内はできない。最近村人が妖怪に食い殺されてね、ゆっくりに対しても絶賛警戒中なんだ」 「ありがとう。お礼しか言えない自分が恥ずかしいが、心から感謝するよ。ありがとう」 「さあ、早く行ってくれ。『ここでは何もなかった』。いいな?」 「これにて一件落着と。さて、俺たちも昼食にしようか」 「………………」 「ん、どうした? 何か心配なのかな。大丈夫だろうさ、あの人間は。身体に差し障りがあるはずがない。栄養価も悪くないし、毒性なんてあるはずもないのは検証済みだ。現にあれだけ回復していたじゃないか」 「………………」 「味も香りも不快なものではなかったろう。感謝していたわけだしな、家畜人ヤプーほどじゃないにせよ」 「………………」 「それとも、彼が事実を知ることを畏れているのか? 鉄火丼を知らなかったんだ、幻想郷には海がないから、普通に生きている限りは一生知ることはないさ。だから、海亀のスープみたいなことにはなりえないよ」 「………………」 「それにしても、我々にとってはトラブルでも、彼にとっては運が良かったな。いや、運だけでは命を繋ぐことは不可能だったろう。最後まであきらめない根気、そしてくよくよと細かいことに囚われない良い意味での鈍さ。すなわち『運根鈍』が彼を救ったんだ。そして、彼が食べたのは──」 「それ以上は黙ってください」 「何だ、せっかくオチを付けようと思ったのに」 「冗談じゃないです! 何で私があんなこと!」 「おいおい、厳正なるクジ引きの結果じゃないか。正規の業務の外なのだから、俺と参謀にしかできないことだったわけだしな」 「一軒一軒回って、あんな、あんなお願い……っ」 「涙目になる程のことかな。ちょっと変な目で見られたくらいだろう」 「くらいじゃないですよ! くらいじゃ! あぁ、もう私どんな顔してみんなに会えばいいの……」 「明日から子供たちのヒーローだな」 「長っ!」 「じゃあオチを付けるぞ。彼が食べたのは」 「長ァッ!」 「駄目か? じゃあウンコ丼は止めて、ホカ便にしようか」 「いい加減にしてください!!」 「参謀だったらどっちがいい? アンコ味のウンコか、ウンコ味のアンコか」 「ッ! 失礼しますっ!!」 「あ、参謀! ちょっと待ってくれ! 参謀! おい! …………参ったな……」 「……最後はクソクラエと罵倒してほしかったんだが」 黒ゆっくり4 過去作 fuku2894.txt黒ゆっくり1 fuku3225.txt黒ゆっくり2 fuku4178.txt黒ゆっくり3 このSSに感想を付ける
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人間じゃない生き物が主人公です。 そいつの独白とかはありませんが、それでも難点があるでしょう。 「ハチにそんな知能あるのかよwwww」とか「成長はええwwwwww」とか「毒は?wwww」とかですね……。 気になる方は多いと思われます。若干胸を悪くするような描写もあります。 また昆虫嫌いの方にはお勧めいたしません。それでもよろしければ、 色々と見逃しつつお楽しみください。 そのハチは困惑していた。そろそろ産卵しようと決めていたが、 未来の子供達のための、あたたかな寝床を見つけあぐねていたのだ。 ようやくしつこい雨があがって、涼やかな秋の風が吹き始めたため、 『彼女』はようやく、ねぐらを抜け出したのだった。 幻想郷の森にも、多様なハチが生息している。 大きなクマンバチから、猛毒を持つスズメバチまで。 一般にハチの巣というと、見慣れたあの形を思い起こすだろう。 人家や、樹木にぶら下がるようにしてある、球形のアレである。 しかし、このハチの場合は少し違っていた。 壮大な巣を地道につくりあげていくのではなく、 自らより弱い生き物をとらえ、毒を注射し、そこに産卵するのだ。 犠牲者はすなわち、幼虫達の寝床であり、食料でもあるのだった。 神経毒によって麻痺した獲物は、ハチの住処に引き摺りこまれ、 じわじわと、生殺しにされるというわけである。 体長2cmほどの小さなハチではあったが、捕食者としての能力には、 並外れたものがあると言ってよいだろう。 そして、そのハチ――ジガバチは、どこからともなく漏れ聞こえてくる、 ハチにとっても「間抜け」に思われる、珍妙なリズムを感じ取った。 「ゆっゆっゆ~♪ゆっゆゆ ゆっゆ ゆっゆ~♪」 「「「わぁおかあさん、おうたがじょうず!!!」」」 それはどうやら、巷で噂の「ゆっくり」の家族であるらしい。 『彼女』はたぐるようにして、いびつな調べの発生源へと向ってゆく。 あくまで静かなその様子は、まるでステルス戦闘機のようである。 「ゆっ!そろそろおゆうはんのじかんだね! ゆっくりごはんにしようね!!」 「「「ゆっ! おゆうはん!おゆうはん!」」」 『彼女』がたどりついたのは、大樹の根元にかまえられた、ゆっくり一家のねぐらである。 遠巻きに、一家団欒の様子をながめ、家族構成を調べる。 親れいむとまりさが一匹ずつ、子れいむとまりさがそれぞれ三匹ずつ。 計八匹の、中規模のゆっくり家族であることがわかる。 「きょうのごはんは そとにころがってた むしさんだよ! まるまるふとっておいしそうだね! ゆっくりあじわってね!!」 「「「ゆ~っ!おいしそう!!!」」」 「うっめ!これメッチャうっめ!」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~~~!!」 ゆっくりたちの晩餐がはじまる。あたりかまわず、食いかすをまき散らし、げっぷを連発。 小さな子供たちはまだしも、親である二匹まで、この有様である。しかし。 何より『彼女』の神経を逆撫でしたのは、昆虫にとってもクズに等しい「ゆっくり」どもに、 『彼女』の眷属たる、ハチや、たっぷりミツを湛えたミツアリたちが、既に絶命しているとは言え、 むさぼり食われ、はずかしめられているという事実であった。 にわかに『彼女』の心の中に、「こいつらに産み付ければ一石二鳥」という名案が浮かぶ。 普段狙いをつける動物よりも、その図体は何倍も大きいというリスクこそあったが、 連中は何より、理想的な栄養源たる、餡子のかたまりなのである。 動きは極めて鈍く、昆虫に対する警戒心も果てしなく薄い。思考力も乏しい。 むしろ、いつもより「ゆっくりとした」狩りになるのではないか。 『彼女』は、見苦しい食事を続ける一家の巣穴へ、ふわりと舞い込んでいった。 「ゆっ!? おかあさん、はちさんがはいってきたよ!!」 「ゆゆゆっ、ほんとう!こんなおそくに、まよっちゃったのかな?」 「はちさん、ゆっくりしていってね!!」 『彼女』の侵入に気付いた子まりさが、驚きの叫び声をあげる。 しかしながら、そこはゆっくりブレインである。まずはお決まりの文句をぶつけた。 「ゆぅ~っ、おうちをまちがえてるね!!」 暢気なゆっくりたちは、どうやら揃って満腹したようで、『彼女』を捕らえるつもりはないらしい。 むしろ、一人合点して、心配する素振りをさえ見せ始める。 「はちさん、こんやはまりさたちのおうちでゆっくりしてもいいんだぜ!」 「ゆっ、そうだね!ここはれいむたちのじまんのおうちだからね!!」 「「ゆっ!おきゃくさん!まりさたちのおうちにゆっくりとまっていってね!!」」 一日精一杯ゆっくりして、あたたかい巣に帰り、腹もふくれ、すっかり安心しきっているのだろう。 連中の言葉でいえば、まさしく「ゆっくりしている」状態だった。この状況を『彼女』は冷静に分析する。 「油断しきっているな」と。 「ゆっ、そろそろねるじかんだね!こどもたちはゆっくりおへやにもどってね!」 「ゆ~~っ、もっとはちさんとあそびたいよ!!」 だだをこねる子ゆっくりたち。しかし、遊び疲れた様子で、渋々自室へかえってゆく。 部屋といっても、扉などない、わずかなくぼみに過ぎないものではあった。 「ゆぅぅ~っ、すりすり♪れいむのほっぺはあったかいね!!とてもゆっくりできるよ!!」 「まりさだってとってもゆっくりしてるよ!!いっしょにゆっくりできるね!!」 そんな、あたたかいお部屋のなかで、ほっぺたをすり合わせ、今日一日の楽しかったできごとを反芻する。 こうしたスキンシップや回想も、ゆっくりたちにとって重要な作業なのである。 次第に夜はふけてゆき、まどろみ始めるゆっくり一家。 空高くにきらめく星たちが、一層輝きを増す頃、一家は完全なるノンレム睡眠のさなかにあった。 そして、狩人の時間が代わりに訪れる。積まれた枯れ枝の陰に息を潜めていた『彼女』が、静かに舞い上がる。 翌朝。小鳥たちの騒ぐ声で、いつものように、一番最初に目覚めたのは、母れいむだった。 数日前の悪天候もどこへやら、外はすっかり、爽やかな秋のムードに包まれているようだ。 ――だが。同時に母れいむは、自らの後頭部(?)に、言いようのない異物感をも感じていた。 「ゆっ!みんな、ゆっくりおきてね!きょうもはれたから、ぴくにっくにいくよ!!」 「…ゆぅ~っ」 「…ゆっ!ぴくにっく!」 「ゆゆっ、まだゆっくりねてたいよ…」 奇妙な感覚を忘れ去ろうとするかのように、母れいむは夫と子供たちを起こしにかかる。 その反応は様々だったが、「ぴくにっく」という、とてもゆっくりした単語を耳にし、むくり、むくりと起きはじめる。 母れいむが、夢心地の子供たちを引率し、おうちの外に連れ出していく。 しかし、「おへや」の隅にむこうを向いて寝転がったまま、ぴくりとも動かない、末っ子れいむに気付く。 「ゆっ?れいむ、どうしたの?ゆっくりおきてね!おいていっちゃうよ!!」 親まりさの呼び掛けにも、微動だにせず、眠りこける子れいむ。その後も、親の呼び掛けは続いたが、 一向に目覚める気配がない。痺れを切らせた親まりさが、子れいむに近付き、リボンをぐいぐいとひっぱり始めた。 「ふぇいふ!ふゃっふゃひょほひはいほほいへふほ!(れいむ!さっさとおきないとおいてくよ!) 親まりさが子れいむのリボンを引っ張った為、自然、ぐるりと体の向きが入れ替わる。 しあわせな夢を見て、実にゆっくりとした表情で眠っているのであろう。 いくばくかの微笑みを湛えて、わが子の安らかな寝顔を想像していた親まりさ。――しかし。 「れいむ、はやくおきな―――ゆ゛っっ゛!?れいむ゛?れ゛いぶっっ!??」 ごろん、と、力なく転がり、こちらを向いた子れいむの表情は、「安らかさ」とはかけ離れたものだった。 白目をむき、その目を見開き、歯茎をむきだしにしつつ、歯を食いしばっている。 よく見れば、その歯と歯のすきまからは、餡子色をした泡をさえ吹き出し、にじませているではないか。 いくら知能が低く、状況を認識・把握する能力を欠いたゆっくりでさえ、この、常識外れの苦しみを味わい尽くし、 地獄の大鍋の鍋底をさえ舐め尽したとでもいうような、苦悶の表情をうかべるわが子の様子からは、 異変を感じ取らざるを得なかった。 「でい゛ぶ!!!でい゛ぶぅぅぅぅっ゛!!!どぼぢだの゛おぉぉぉおっっっ゛!!!べんじじでよ゛ぼぉぉぉ゛っっ゛!!」 巣穴の奥からの、けたたましい悲鳴に驚いたのは、ピクニックの準備をすませ、 おうちの前で、ゆっくりと母と姉妹を待っていた、残りのゆっくり家族たちだった。 「ゆっ!?おかあさんのこえだよ!!」 「ゆぅっ、ふつうのこえじゃないよ!!なにかあったの!?」 にわかに、騒ぎ始める子ゆっくりたち。それを制する母れいむ。 「ゆっ、みんな、おかあさんはなかのようすをみてくるよ!おうちのいりぐちで、ゆっくりじっとしててね!!」 「「「ゆっくりみてきてね!!!」」」 いったい、何があったというのだろう。まりさは普段、とても温厚で、声を荒げたことなど一度もなかった。 「これからもずっと、ゆっくりとして生きていきたい」という思いに、影を落とすような不安を振り払うかのように、 母れいむは懸命に跳ね飛び、大きな、立派なおうちの奥、こどもべやを目指して駆けた。 そこで繰り広げられていたのは、想像を絶する惨状だった。 大切な、大切な子供たちの、ちょっと手狭で、寄り集まってゆっくりするには最高のおへやのなかでは、 同じくらい大切な、配偶者のまりさが、見たこともない泣き顔で、喉も裂けよと言わんばかりの声を張り上げ、 わんわん泣いていた。そのかたわらに転がっていたのは、すっかり冷たくなった、わが子の亡き骸であった。 見れば、尋常ではない表情を浮かべているではないか。急速に、母れいむのゆっくりブレインに、 「泣きわめきたい」という衝動がわきあがってくるが、家族のためを思い、必死にそれを制する。 「ばり゛ざ!!どう゛じだの゛!どう゛じでれい゛むのこどもがじんじゃったの!!!ゆ゛っぐり゛せつめ゛いじでね!!!」 「ゆっ…ゆ゛っ…ば…ばがら゛な゛びよおお゛ぉほぉぉっ!!!!い゛づまでもねてるから゛、ゆっぐりおごじだだげなぼびぃぃいっ!!!」 駄目だ、とても会話ができる状況ではない。母れいむは、こみ上げる涙に潤んだ瞳で、わが子を見つめる。 つい昨日までは、みんなで仲良く飛び跳ねて、とてもゆっくりと暮らしていたはずだったのに。どうして。どうして。 母れいむの頭のなかにぎっしり詰まった餡子の分だけ、この末っ子との思い出も詰まっている。 ゆっくりという種族は、記憶力が乏しいとは言え、家族間の絆は、極めて強固なのである。 母れいむの餡子脳が、楽しかった思い出を求めて、ぐるぐると回り始める。どうして。どうして…! 「ゆ゛うぅ゛っ……!!…………ゆ゛っ??」 泣きわめいていた母まりさが、しゃくり上げると同時に、ぴたりと泣き止んだ。死んでしまったとばかり思っていた、 子れいむの体が、ぴくりぴくり、とうごめきだしたからである。母れいむのほうも、空想に耽るのをやめて、 わが子に駆け寄った。 「れいむ!れいむ!!まだいきてたのね゛!!!よがっだ!!!」 「よ゛がっだあああぁぁあぁ!!でい゛ぶううっっ゛っ!!!」 助かった。子れいむは助かったんだ。二匹の心やさしい親ゆっくりは、ない胸を撫で下ろしたい気持だった。ところが、である。 ぴくぴくと、子れいむは、確かに動いているようである。しかし、おかしいのは、浮かべた苦しみの表情にまるで変化がなく、 自発的に「動いている」というよりは、むしろ誰かに「動かされている」という感じなのだ。訝しげな両親。 「ゆぅぅっ…れいむ、どうしちゃったの……」 もっと近くで、と母まりさが子れいむに近づいた、その時。母まりさは、わが子の皮膚の下でうごめく「何か」を見て取った。 「ゆ゛っ゛っっ!!?」 「ど、どうしたの、まりさ!!!ゆっくりれいむにもみせてね!!」 母れいむが飛び跳ねて、近寄り、うごめく「何か」凝視する。それは―― まさしく、子れいむの中に詰まった、餡子をむさぼるっていた。しきりに、もぞもぞと動いていた。 「ゆっぎゃぎゃああああああ゛あ゛あ゛ああああああああああああ゛ああああ゛!!?」 奇声ともいえる、珍奇な悲鳴を、大音声をあげる両親の目の前で、子れいむは何かに「食われて」いた。 それがいる部分の皮膚が大きく盛り上がって、そこから、音がしそうなほどの勢いで、ベコン、ベコンと、 愛しい娘の餡子が吸い取られ、むさぼられていた。丸々と肥えて、元気なゆっくりに育ちつつあった愛娘は、 見る見るうちに、皮とリボンと、つやのない髪を残して、その存在を消し去られてしまった。 「でい゛ぶの゛ごどぼ!!!!だびじな゛ごども゛があ゛あ゛ああああ゛あ!!がら゛っぼに゛な゛っじゃっだあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「でい゛ぶ!でびぶぶぶっっぽおおおお゛おお゛がががあががががが!!!」 堰を切ったように、両親の目から涙があふれ出した。さながら滝のようである。こどもべやをマイナスイオンが満たしてゆく。 「ゆ゛っぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でびぶぼごどぼ!!!でびぶのあ゛がじゃ゛ん゛!!!」 「ばびざぼごどぼ!!!!ゆ゛がががああがががが!!!!どぼじでええええぇぇえ!!!」 泣き叫ぶゆっくりたちを尻目に、成果を見届けた『彼女』は子供部屋を後にする。 そう、『彼女』は、油断しきったゆっくりたちが爆睡していた真夜中に、一匹一匹、ゆっくりと、麻酔を注射し、産卵していったのだ。 そうした卵は、遅かれ早かれ、数日と経たぬうち、孵化して、中から獲物を食い破ってゆくのである。 今回は、一晩で、一匹だけが犠牲となった。若干のタイムラグは、致し方ない。――そうこうしているうちに。 「おかあさんたちおそいね!ゆっくりしすぎだよ!!」 「ほんとだね!!まりさたちまちくたびれちゃったよ!!」 「…ゆぅっ…ゆぅっ……」 「おうちのいりぐち」で、待ちぼうけを食らっていた子供たち。中には、退屈してしまい、先刻の夢の中へ舞い戻っているものもある。 そんな子ゆっくりたちにも、むろん、分け隔てなく、卵は産み付けられているわけである。現在進行形で、卵は孵化しつつあるのだ。 「おうたでもうたおうね!!!」 「ゆっくりうたおう!!」 「「「ゆ~ゆ~ゆ~♪ゆっゆ~ゆっゆゆっゆ♪」」」 「ゆ~ゆ~……ゆごぺっ!!?」 突如、一匹の子まりさが、ゆっくりの生命にも等しい餡子を、もりもりと吐き戻しはじめた。顔面蒼白、餡子色の涙を流して。 「ゆっ!?お゛ねえぢゃん、あ゛んごはいじぢゃだめ゛えええ゛ぇぇ゛っ゛!!!!」 「ゆぅぅっ!?どうぢだの゛!!!!!????」 「ゆ゛ぎっ!!ごわい゛よ゛おぉぉおおっ゛!!!!」 泣き叫ぶ姉妹をよそに、子まりさは痙攣しながら餡子を吐き出し続ける。僅かだった体内の異物感が、ある瞬間を境目に、 爆発的に膨れ上がる、おぞましい感覚。猛スピードで、体内の餡子を食い荒らされて、ものの数分で、子まりさは息絶えた。 「ゆ゛あ゛っ゛!!ぼね゛い゛ぢゃん゛がじんじゃっだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 「ゆぐぐっ゛!!!ごわ゛いごわ゛いごわ゛いごわ゛いいいい゛いいい゛!!!」 当然のように姉妹たちは泣き叫ぶが、既に、それぞれの体にも、致命的な変化が起こり始めていた。 「ゆ゛ぎゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!ぼね゛え゛ぢゃ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!…ゆ゛!!ぶっ゛!???」 「ゆぎゃぴゆぴぃ゛ぃゅ゛ぃぃ゛!!!!!ぎゃ゛い゛い゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!…ゆっく ぶびびるっ!!!!??」 「ゆ゛ぴっ!?ぶべるびばぼごぺっっっっっ!!!!!!ぶり゛ゅりゃ゛っ゛!!!!」 「おうちのいりぐち」は、もはや阿鼻地獄、叫喚地獄の様相を呈していた。子ゆっくりたちは皆、餡子を噴き出して、 滝のような涙を流し、思い思いに泣き叫び、両親の名前を呼び続けた。無慈悲に、ジガバチの幼虫たちが、 子ゆっくりたちを食べ尽くし、いりぐちは静まり返っていた。 「ゆ゛っ゛…ゆ゛っ゛…ゆ゛…お゛があ゛ざん、でい゛ぶを゛ゆ゛っぐり゛だずげで…!!!」 虫の息の子れいむが、両親のいるはずの、こどもべやへと這いずっていた。 どうやら、体内の幼虫の数が少なく、致命傷には至っていない様子である。その懸命さは、ゆっくりにあるまじきものだった。 こどもべやについたら、おかあさんたちに、きもちわるい虫を取って貰おう。 そして、おいしいごはんを沢山もらって、いっぱいほおずりをしてもらって、傷がなおるまで、 ずっとずっと、ずっとゆっくりしていよう。 子れいむの餡子脳の奥に、母と言う名の希望の光が燃えていた。 その輝きを原動力に、満身創痍で、ボロ雑巾のような体で這いずってゆく。 おへやの直前の角を曲がった、子れいむの目に飛び込んできた光景は―― 餡子脳が凍りつく、恐ろしいものを見たかのような、驚愕の表情を浮かべた、姉れいむの残骸と、 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!……」と、餡子のつまった頭部をむき出しにし、 うわごとのように、意味をなさない言葉を繰り返し続ける、母まりさの姿。 床には、餡子の海が広がっており、その中央には、既に絶命し、苦痛に歪んだ顔をした、母れいむの死骸が転がっていた。 あまりの惨状に、言葉を失った子れいむ。 小刻みに震え、白目を剥いてうわ言を繰り返す、母まりさの頭頂部から、すぽん、と音を立てて、丸々と肥えた、 『彼女』のいとし子が、勢いよく顔をだした。 ある意味滑稽なその音は、絶望の淵にいた子れいむを一押しして、地獄の底へと転げ落ちさせるのには、十分すぎるものだった。 母まりさのうわ言が断絶し、完全な沈黙が、幸福だったゆっくり一家の「おうち」の支配者になり代わる。 『彼女』は満足げな羽音を立てて、最良の繁殖法を見出したことを、喜ばしく思った。 若干、ゆっくりどものせりふが少なかったと後悔しています。 至らないことばかりで、申し訳ありません。 お読みいただいて、ありがとうございました。 このSSに感想を付ける
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※現代にゆっくりがいたら、という話です。 ※某ゆっくりの飼い方のマンガに影響を受けてます。 ※虐め分はいつも通り軽いです。 『ゆっくりペットショップ』 ゆっくりペットショップの朝は早い。 部屋の明かりをつけ、窓のブラインドを上げる。 そして店内に並んでいるゆっくりの入ったケースに掛った暗幕を外していく。 「ゅ…ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 光に反応してケースの中のゆっくり達が目を覚まして鳴き声を上げた。 れいむ種とまりさ種がほとんどだが、他のゆっくり種も大抵取り揃えている。 レティ種やゆゆこ種、もこう種などのレア種はさすがに高価なので入荷できてない。 成体のゆっくりは基本二匹組でケースに入れ、子ゆっくりは最低でも5匹以上セットでケースに入れてある。 赤ちゃんゆっくりはある程度育つまで親ゆっくりと一緒に倉庫の飼育用ケースの中だ。 ゆっくりはさびしがり屋なので一匹だけではゆっくり出来ないし、 赤ちゃんゆっくりに至っては親がいないと食事もままならなず死んでしまうのだ。 「ゆっゆっゆっゆ」 「ゆっゆ~」 「ゅ~」 「ゆゆゆーっ」 ケースの中のゆっくり達は鳴きながらケースの中を自由に飛び跳ねている。 中に入れてあるボールで遊んでいるゆっくりもいる。 「ゆっくりしていってね!!」という定番の挨拶は感情が高ぶった時や挨拶時にしか言わない。 普段は「ゆっ、ゆっ」と鳴く。 インコみたいに簡単な言葉なら覚えるのだが記憶力の良い生物ではないので数日で忘れてしまう。 餌を持った皿をケースの中に入れてあげると中のゆっくり達は皿に殺到して餌を食べていく。 満腹になると幸せそうな表情を浮かべ、体を震わせて喜びを表現する。 この時に食べカスが散らかるが、放っておけばゆっくり達が舐めとるので掃除する必要がなくて楽だ。 後は給水器の水を取り換えて店内のゆっくり達の準備は完了だ。 次は倉庫の飼育ケースへ向かう。 倉庫の飼育ケースにはゆっくり家族のケースと子ゆっくりだけを集めたケースが複数あってこちらも皆ゆっくりとしている。 私がケースに近づくと親ゆっくりはこちらを向いて鳴いてくる。 「ゆっくりしていってね!!!」 それに続いて赤ちゃんゆっくり達も親を真似て鳴く。 「「「「「「ゆっくりちていっちぇね!!」」」」」」 まだ舌足らずな鳴き声だが、何度か繰り返すうちにちゃんと鳴けるようになる。 赤ちゃんのいる方のケースに餌を持ったお皿を入れると、お皿へは親ゆっくりだけが近づいてくる。 赤ちゃんゆっくり達はまだ親ゆっくりが咀嚼して柔らかくなった餌しか食べられないのだ。 「ゆむゆむゆむ…ゆぺっ」 親ゆっくりがお皿に柔らかくなった餌を吐き出すと今度は赤ちゃんゆっくりがお皿の周りに集まって食事しだした。 赤ちゃんゆっくりが食事する様子を親ゆっくりは優しい笑みを浮かべて見ていたのでこの時に親ゆっくりにも餌を手渡しで食べさせてあげる。 何せ親ゆっくりがいないことにはこの商売が成り立たなくなるので特に大事にしている。 まずゆっくりを大量生産出来ないし、赤ちゃんゆっくりを育てるのも親ゆっくりが一番上手い。 その調子で他のゆっくり家族にも餌を与え、水を取り換えてあげる。 次は親離れさせたばかりの子ゆっくりだけを集めたケースの世話する時間。 ゆっくりをペットとして売り出す以上、気性の荒いものや傷モノは店に出すわけにはいかない。 なので店に出す前に子ゆっくりだけのケースを作って生活させ、『選別』を行う。 この時間が何よりの楽しみである。 最初にれいむ種とまりさ種の入ったケースを見ると隅の方で震えているゆっくりれいむがいた。 特に外傷は見当たらない。親と離れたばかりで寂しいのだろう。もう数日待ってもこの調子なら処理が必要になる。 他を見ると複数のまりさが一人のれいむに飲み水を吹きかけて虐めていた。 ゆっくりは水に弱い。飲むのならば良いが体に長く吹きつけられると皮がふやけ、最終的に皮が破れて中身の餡子が漏れて死に至る。 水をかけられたれいむはというと起きてからずっと水を吹きかけられたのか皮がぶよぶよになって今にも千切れそうだ。 「ゅ…ゅ…」 体を小さく震わせて声にも元気がなくなっている。餡子が外に漏れ出してないが放っておけば死ぬだろう。 「ゆー!」 「ゆっゆ~」 対してまりさ達は弱い者いじめをして楽しんでいる。 ゆっくりは大抵親から離れたストレスからこうして他のゆっくりにストレスを発散することがある。 しかし周りのゆっくりもその様子を見て怯えているし、許せるレベル悪戯でもないのでまりさ達と死にかけのれいむをケースから取り出した。 小型のケースにまりさ達とれいむを分けて入れておいてまずはこのケースの餌と水を取り換えておく。 「ゆっゆっゆ」 「ゆむゆむゆむ…」 怯えていたゆっくり達もその原因のゆっくりがいなくなったので元気に食事を始めた。 小型のケースに入れたゆっくり達だが、残念ながらここまでだ。 悪戯するまりさ達はこのまま育っても気質は変わらないだろうし時間を割いてまで更生させるつもりもない。 れいむも同じでわざわざ治療する時間も勿体ないので『ミキサー』と書いてある箱の中に放り込んでおく。このれいむが死んでも代わりは居るもの。 まりさ達はミキサーする前にすることがある。 まりさ達を倉庫の水道近くへ運んでいく。 そこには子ゆっくりが入るぐらい直径のあるメスシリンダーを複数置いてある。 これは水を使って他のゆっくりを虐め、商品価値を無くさせた悪いゆっくりを処刑するための道具だ。 いくつかのメスシリンダーには水が満杯で、底には生気のない瞳をしたゆっくり達が沈んでいた。 棒でも差し込めばゆっくりの体は抵抗なく棒を通すことだろう。 試しにパチンコ玉を落としてみたらメスシリンダーの中が茶色に染まった。 このメスシリンダーの中に悪戯したまりさ達を一匹ずつ別々に入れる。 「ゆっ! ゆっ!!」 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆゆゆっ!!」 十分に動くことのできない場所に入れられてご立腹のようなので早速頭を冷やしてあげよう。 メスシリンダー上部にある蛇口の栓を少しだけ緩める。水滴が一滴ずつゆっくりと滴るように緩める。 ポツン 「ゅ?」 ポツン 「ゆー?」 水滴が帽子にかかって不思議そうにするまりさ達。 まりさ種にとって幸せなのはメスシリンダーの底に水が溜まり始めるまで自分の危機に気付かないことか。 しかし最後には例外なく同じ結末を辿る。 まりさの帽子に落ちた水滴は帽子の傾斜に従ってまりさの背中側へ流れていく。 「ゅ?」 背中に冷たい何かが当たってまりさはきょろきょろし始めた。 また水滴が落ちる。また背中側へ流れる。 まりさ達がその正体に気が付いたのはメスシリンダーの底に水が薄く張ってようやくだった。 「ゅゅ…? ゆゅーっ」 「ゆー! ゆー!」 ゆっくりにとっての足である体の底が濡れて危機感を覚えたらしく いつも餌をあげている私に向かって激しく鳴いてくる。 瞳には涙が浮かび、足元をひどく気にしている。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ」 一匹のまりさがジャンプし始めた。 ジャンプすることで少しでも水に浸り続けるのを避けようとしたのだろう。 だがそれは時間稼ぎにすらならない。そうしている間にも水滴が天から落ちてきて徐々に水かさは増していく。 時間さえあればずっと眺め続けていたいものだが、他の子ゆっくりの世話もあるのでこの場は放置しておく。 後でまた見にくることとする。 次はぱちゅりー種のケースを見る。 数匹中身を吐いて死んでた。 しかし体の弱いぱちゅりーにはよくあること。これ以上他のぱちゅりーにストレスを与えないためにも手際よく死体をミキサーの箱に放り込んだ。 ぱちゅりーはペットに申し分ない性格をしてるが体の弱さが玉に瑕(きず)だ。 ありす種のケースは安全だった。今日は、何事もないようだ。 というのもありす種は基本的に大人しい性格なのに荒れるときは激しく荒れる。 ひどいときはケース内のありす種が全滅していたこともあった。 なのでデリケートな飼育が必要だ。 れみりゃ種のケースには体無しのれみりゃが数匹いる。体ありのれみりゃは希少なので個人経営のこの店にはおいてない。 「うー、うー」 と上機嫌なれみりゃ達の中、一匹のれみりゃが他のれみりゃに噛みつかれていた。 牙は危ないので幼少のときに抜いているのだが、そうとう強く噛まれたようで中身が流れ出ている。 「う"ー、う"あー」 噛まれた方は顔をゆがませ、涙を流しながら逃げようと必死だ。 だが逃げるにはこのケースは狭すぎて逃げられずに何度も噛まれて体中至る所に噛み傷があった。 再生力の高いれみりゃ種なのでこの程度の傷は放っておいても治る。 噛まれた方は放っておいても良いとして、噛んだ方の悪いれみりゃをケースから取り出す。 「うー! うー!」 楽しんでいる所を邪魔されて不機嫌そうに唸り声を上げる。 そんなれみりゃを店の裏へと運んでいく。 店の裏にはすでにカラスが獲物を狙って待っていた。 他のゆっくりを噛む悪いゆっくりは啄まれて死んでもらう。 店の裏にある柵に囲まれた中にはリボンや帽子の残骸が散らばっている。ここがれみりゃの最後のおうちとなるのは言うまでもない。 「うー、うー♪」 柵の中に放たれたれみりゃは初めて味わう外の気持ちよさに機嫌が直っていた。 朝の暖かな日差しとケースの中では味わえない自然の風。そして見たことのない生き物。 「うー、うー、うあうあ♪」 これがれみりゃ式の挨拶だ。れみりゃは満面の笑みを浮かべて柵の中に降り立ったカラスへ飛び跳ねて近づいていく。羽は飾りなので飛べないのだ。 「うーう"っ!?」 再び楽しそうに鳴き声を上げたれみりゃの頭にカラスの鋭い嘴が刺さった。 二羽目のカラスが後頭部をつつく。三羽目は頬だ。 「う"っ、う"あ"っ!? ぅ"……ぁ"っ…」 瞬く間にれみりゃはカラスたちの波に飲み込まれた。苦しそうな鳴き声も徐々に聞こえなくなる。 たまに帽子の切れ端や髪の毛が辺りに散らばる。 5分もしないうちにれみりゃの生きていた証は帽子の切れ端と少しの髪の毛だけしか無くなっていた。 そんな調子で倉庫のゆっくり達の世話と処理を終えた。 後は店の出入り口の鍵を開けて扉にかかった看板を裏返し、『営業中』を表にして開店だ。 開店後しばらくするとお客さんがバラバラと来客してくる。 買いに来たもの3割。見に来ただけのもの5割。残りの1割は「うちのゆっくりが~なんですけど」と飼育方法を聞きにくる人だ。 誰もお客のいない時間はゆっくりを苛めていたいけどそんな所を見られたらイメージダウンもいいところ。 外ではゆっくり好きの店長さんで通っているのだ。 いや、内でもゆっくりは大好きだ。ただゆっくりのいろんな顔を見たいだけ。 愛なのだから仕方がない。 「ゆーっ! ゆーっ!」 「ゆっゆっゆ~」 「ゆゆゆ~」 昼時になると店内のゆっくり達が騒がしくなる。 飯はまだかと俺の方を向いて飛び跳ねるゆっくり達の元へ餌を持っていく。 後は朝と同じように餌を分け与えていくがここでもゆっくり達は悪さを行う。 「ゆー! ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!」 「ゆゆゆゆ~♪ ゆっくりしていってね!!!!」 れいむ種がまりさ種の分まで餌を食べてしまったので涙ながらに抗議するまりさ。 そんなまりさに対してれいむは見せつけるように食べカスも舐めとっていた。 「ゆ"~! ゆ"~!」 悔しそうに泣くまりさとは対照的にれいむは勝ち誇って胸、いや顎を張っていた。 このケースのれいむとまりさのペアは、ここ数日いつもれいむがまりさを押しのけて餌を奪っていた。 ゆっくり種の食事の取り合いは珍しいことではないので一々処罰してもキリがない。しかし何度も餌を奪うようなら処罰せざるを得ない。 れいむをケースから取り出し、残ったまりさには餌を与える。 食事を奪ったれいむは倉庫へ連れていく。 ちょうど見ていたお客さんに「そのゆっくりをどうするの?」と聞かれたので、 「悪い子は躾をやりなおすんですよ。明日にはケースに戻ります」とだけ言っておく。 だが明日ケースに入るのは別のれいむだったりする。 倉庫の隅、仕切りで囲まれた中に大きめの机がある。 机の上には釘を脳天から貫かれて机に固定された数匹のゆっくりがいた。 「ゆ"っ…」 「ゅっゅっ……」 「ゅ"、ゅ"、ゅ"」 体を貫かれた痛みに苦しんで涙を流すもの、体をなんとか動かそうともがき続けるもの、焦点の合わない瞳で空を見ているだけのもの。 この机にいるゆっくりはどれも餌を奪った悪いゆっくりだ。餌を与えず運動も出来ない状態にしてゆっくりと餓死させている。 釘で刺して机に張り付けなくても透明な箱に閉じ込めれば済む話だが、釘で貫いたのは単なる趣味だ。 「ゆ、ゆゆ…ゆっくりしていってね!!」 れいむは腕の中で恐怖で震えながら鳴き声を上げた。仲間の苦しそうな姿が怖いようだ。 そんなれいむを机に設置させて釘を頭に打ち込む。柔らかい体なので釘は簡単に貫通する。 「ゅゅーっ!? ゆっゅゅぃ!」 突然の痛みに暴れだすれいむを押さえつけ、金槌で釘を打ちつけてれいむを机に固定した。 「ゆぅぅ…ゆっぐりじでいっでね…!」 泣きながら脱出しようと体をよじる。 「ゆ"っ!?」 動こうとすると貫かれた部分を中心に激痛が走り、悲鳴をあげる。 ここでれいむは痛みをかき消そうとしたのか体をさらに激しく動かした。 「ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"ゆ"!! ゆ"ゆ"っ、ゆ"ゆ"っ!!!?」 少し動いただけでも激痛が走るのに激しく動けばどうなるのかは想像に難くない。 ここでれいむはやっと大人しくなった。 それでも断続的な痛みに苦しそうな顔をしてプルプルと震えてはいたが。 後はこれを放っておけば周りのゆっくりのように体の痛みよりも空腹感の方が苦しくなっていくのだ。 店を長く開けるのも良くないのでそろそろ店に戻ろうとしたが、空腹のゆっくり達が物欲しそうな顔でこちらを見ていることに気が付いた。 そう言えば自分の昼飯を食べていなかった。 せっかくなのでこのゆっくり達の目の前でおにぎりを食べることにした。 「ゆ、ゅ…」 「ゅっぐりじで、いっでね…」 「………」 「ゆぎ、ゆぎぃっ! ゆゅ」 ゆっくり達の反応は様々だ。 痛みで目の前のおにぎりどころではないゆっくり。 羨ましそうにおにぎりを見つめて涎を垂らすゆっくり。 おにぎりを見ているものの声も出せないほど衰弱したゆっくり。 そんなゆっくり達を見ながらの食事はなかなか乙なものだった。 お礼に動けないゆっくり達の目の前にご飯粒を置いてからその場を離れた。 最後に振り返ると、舌を必死に伸ばしてご飯粒を食べようと無駄な努力をしていたのでつい微笑ましくて笑ってしまった。 店に戻る前に、朝にメスシリンダーへ入れておいたまりさ達の様子を見ることにした。 「ゅ"…ゅぶぷ…!」 「ゆっぷっ! ゆっ…ぶくぶく」 「ゆっ……ゆっ……ゅっ…」 メスシリンダーに溜まる水はまりさの下半身ほどの高さまでになっていた。 ゆっくりの体型上そのままでは口が水の中に沈んでしまうので、まりさ達は必死に跳ねていた。 しかしその跳ねる高さは低い。 足代わりでもあるゆっくりの底がふやけたのも一因だし、そもそも水の中で飛び跳ねるのは相当体力を使うので子まりさには飛び跳ね続けるのは辛いだろう。 まりさ達のうち一匹なんかは跳ねて息を吸い込もうとして水も一緒に飲み込んでしまったらしい。 跳ねることが出来なくなり暗い瞳で宙を見ていた。 水滴が帽子に当たるとピクリと反応するからまだ生きているみたいだが、こんな状態ならもう沈めてやってもいいだろう。 そのゆっくりの上にある蛇口を緩めて一気に沈めてやることにした。 数秒もしないうちにそのまりさの入ったメスシリンダーは満杯になり、底には完全に光を失った瞳でこちらを見続けるまりさの姿があった。 そんな仲間の様子を見て隣のまりさ二匹は泣きながらジャンプしつづけていた。 しかしそんなまりさ達の努力は報われる訳もなく、一分もしないうちにまりさ達は水の底の住人となった。 店に戻るとちょうどゆっくりが喧嘩していた。喧嘩と言っても一方的なものだ。 子ゆっくり達の入っているケースでちぇん種がありす種に体当たりしている。 「わかるよー。わかるよー!」 「ゆっ、ゆ"っ! ゆ"ゆ"っ」 ちぇん種は他のゆっくり種とは違って「わかるよ」「わからないよ」の二通りの鳴き声を発する。 快適なら「わかるよー」と鳴き、不快なら「わからないよー」と鳴くだけで実際には何も分かってない。 ありすは涙をこらえながらちぇんの体当たりを受け続けている。 見るとちぇんの尻尾が荒れていて、床には尻尾の毛がハラハラと散らばっていた。 どうもありすがちぇんの尻尾を噛んだのが原因らしい。しかしひどいことをする。 尻尾が汚いちぇんはそれだけでも価値が下がる。このちぇんは尻尾の一部が禿げているのでもはや価値は無いに等しい。 よって処分だ。 体当たりしているちぇんを取り出してまたも倉庫へ連れていく。 ありすも処分しようかと思ったが今はありすの在庫が少ないので我慢する。 ちょうど来客したがきっと冷やかしだろうと決めつけてイソイソと奥へ。 過剰な暴力をしていたちぇんには体罰こそふさわしいだろう。 「わからないよー! わからないよー!!」 ちぇんは私の手に捕まえられて不満そうな声をあげてジタバタする。 尻尾をパタパタさせながら私の手の中でもがくちぇんが可愛いのでデコピンで顔を打つ。 「わか……わからないよ! わからないよぉぉぉ!!!」 デコピンされて一瞬何をされたのか分からず固まったちぇんだが、すぐに顔に響く痛みに泣き出してしまった。 二本の尻尾をピーンと立たせて泣きわめくちぇんの姿にに苛めたい感情が刺激され、さらにデコピンを続ける。 「わからな、に"ゃ!? わがらないに"ゃ!? わ"がっ!? に"ゃっ」 ちぇんが泣く暇もないほどのデコピンの連続。泣く隙はなくとも猫のような悲鳴で鳴いてくれる。 なおもデコピンを続けるととうとう人間で言う鼻の辺りから餡子が漏れ始めた。 「わ"がら"っ、な"い"…っ!!」 デコピンにも飽きたので今度は尻尾を握る。 尻尾の感触をいくらか楽しんだあと、二本ある尻尾のうち一本を引きちぎった。 「わ"、わ"がら"な"い"よ"!?」 大事な尻尾を千切られて、デコピンで潰れかけた顔をさらにゆがませて苦しそうな鳴き声をあげた。 もう一本の尻尾も引きちぎる。再び悲鳴が響く。 ちぇんの尻尾の生えていた部分からは中身が少しずつ流れ出てしまっている。 「わがら、わがらない…よ……」 尻尾が無くなって途端に元気、というよりも生気を失っていくちぇん。 そろそろ終わりにしようか。 左右の手の平でちぇんを潰していく。 「わ"っ、がっ、ら"っ、な"い"ぃぃぃ!!」 おてての皺と皺を合わせて幸せとはまさにこのこと。 手の平で押し潰したちぇんはもうわかることもわからないことも無くなった。 ちぇんの処理の終わり、もう用はないのでミキサーの箱に放り込んだ。 夕方の六時にゆっくりペットショップは閉店する。 店の出入り口を施錠して窓のブラインドを下げてゆっくり達の餌を替える。 この時にも喧嘩したり他のゆっくりの分まで餌を食べるゆっくりは処分する。 例えば他のゆっくりを押しつぶそうとしたありすは万力で押しつぶし、 ゆっくり苛めに参加した冷たい性格のゆっくりは冷凍庫に入れたりと色々だ。 ケースの中のゆっくりがゆっくりし始めたらケースに暗幕をかける。 「ゅ…」 「ゆっくりしていってね…」 「ゆー…ゅー…」 ゆっくり達は暗くなればすぐに眠りだす。暗幕をはずせばすぐに目を覚ますだろうけどゆっくりのストレスになるのでやめておく。 倉庫のゆっくり達も同じように寝かしつける。 ゆっくり親子のケースでは、私を見て寝る時間だと気づいた親ゆっくりが赤ちゃんゆっくりを自分の傍へと呼びよせる。 赤ちゃんゆっくりが集まると私の方を向くと合図の鳴き声を発する。 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「ゆっくりちていってね!!!」」」」」 暗幕をかけると中からは早速寝息が聞こえる。 そんな感じで他のゆっくり親子も寝かしつけると倉庫には幸せそうな寝息と、苦しそうなゆっくりのうめき声だけが響いた。 ゆっくり達を寝かしつけたが私の仕事はまだ残っている。 明日のゆっくり達の餌を寝る前に準備するのだ。 ミキサーと書かれた箱の中には数匹のゆっくり達が詰まっていた。 大半は死んでいるが何匹かは力の無い鳴き声を上げて何とか生きている。 言うまでもないが、この箱に入ったゆっくりの結末はミキサーで刻まれることだ。 タイ焼き屋や工場なんかで見られる巨大なミキサーに箱のゆっくり達を放り込んでいく。 中に放り込まれたゆっくり達は明日の朝までゆっくりとかき混ぜられて他のゆっくりの餌になる。 一説には遺伝子が取り込まれるとかなんとか。 少なくとも恐怖を味わわせただけあって美味しい餌になるのでゆっくり達は残さず食べてくれている。 とにかくこれで今日の業務は全ておしまい。 自分の時間を過ごしたらもう寝よう。 何せゆっくりペットショップの朝は早い。 明日も問題を起こすゆっくりが出ることを願いつつ、私は眠りについた。 終 by ゆっくりしたい人 キャラに個性を出さないように虐めようかと思ったけど難しいものですね。 個人的には机に刺したゆっくりを一日中ゆっくりと眺めたいなぁと自分で書いてて思ったり。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2800.html
■注意事項 大半のゆっくりが生き残ります ゆっくりが人間に勝ち(?)ます ゲスまりさは死にます ■正義の味方のゆっくり 悪い人間からゆっくりを助ける「正義の味方のゆっくり」が居るらしい。 ゆっくりが虐められている畑に颯爽と現れて、 人間を倒してゆっくりを助けるのだと言う。 「む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~!!」 「ゆっくりおやさいおいしいね!」 「まだあるからね!ゆっくりたべていってね!!」 本来であれば、瞬殺、全滅モノの光景が広がっている。 しかし、ここはゆっくり選ばなければ成らない。 どのゆっくりを潰すか、どのゆっくりを逃がすか、どのゆっくりを痛めつけるか。 「ゆっ?にんげんさん?ここはれいむのゆっくりぷっぷぴゅぷぷぷぷぷぶぷぶぶべぇ」 比較的身体の大きな成長したれいむを足で踏みつけて圧力をかける。 口や目や、何の為の器官なのか余り想像したくない穴っぽい部分から 餡子がムニュ~っと押し出される。 一気に踏むと皮が破れて汚くなるが、圧力を徐々に掛ける事で中身が穴から流れ出し、 皮の部分の損傷を抑える事が出来る。 「ゆぅぅ!!れいむがぁぁぁっぁ!!!」 「にんげんはしね!ゆっくりしないでじね!!」 その恩恵は大きく、ゆっくりはれいむが殺された事を正しく一瞬で理解した。 以前一気に踏み潰したり、叩き飛ばして爆裂飛散させた際には、 「ゆっ?れいむがいなくなったよ?」 とか 「ゆゆっ!こんなところにあまあまさんがあるよ!」 「ゆっきゅりたべりゅよぉ~!!」 「ぺ~ろぺろ!ちあわちぇー!」 とか言い出したので非常に計画が困った。 「れいむはしねばいいんだぜ!まりささまはにげげげげぇぇぇぇ!?」 「コレは駄目だな。さっさと潰すか」 「どうじでまりざのほうにくるんだぜ!?!?・・・ゆべぇぇ!!」 周囲をゆっくり観察し、ゆっくり選ぶ。 真っ先に仲間を見捨てて逃げ出した大きい固体から叩き潰す。 あの大きさまで育っていると今後も考え方は変わらないだろうし、 畑荒らしを繰り返す可能性も高い。 何より仲間より大きいくせに、見捨てて真っ先に逃げる所が気に入らない。 「ゆぅ~!!ちにちゃくにゃいよぉ~!!」 「れいむ・・・ごめんね!ゆるしてね!」 「まっててね!たすけをよんでくるからね!!」 小さいヤツや、仲間を気にしながらも恐怖で離れていくゆっくりは 今はまだ見逃してやる。まだ役目が残ってるからな。 「ゆっくりたいへんだよ!!」 「れいむたちがにんげんにいじめられてるんだよ!!」 「ゆっくりしないでたすけにいくんだねー!わかるよー!!」 命からがら逃げ果せたゆっくりは、群に戻って仲間の救出を訴えた。 ゆっくり達はこの期に及んで仲間の救出を諦めては居ない。 普通に考えれば、ゆっくりが人間に勝つのは無理であるし、 畑から群の住処までゆっくり移動する間に皆殺しである。 だが、このゆっくり達は希望を捨てていなかった。 「ゆっくり助けてね!ドス!!」 畑では既に潰されて息絶えたゆっくりが散見されたが、 意外な程に死んでいる者は少なかった。 「ゆぐぐぅぅ・・・いだいよぅ」 「だずげて・・・だずげてくだざい」 「おきゃ~さ~ん!いちゃいよぉ~!!」 しかしゆっくり達は、自力では逃げられぬ程に痛めつけられ、 しかし瀕死と言う程のダメージは負わず致命傷も与えられず、 そして心地よい悲鳴が良く聞こえる程度に元気良く弱っていた。 「まりさ・・・もうたすからないのかな?」 一匹のまりさが弱気な台詞を吐く。 「しっかりして!あきらめるなんてとかいてきじゃないわ!」 「でも、もうだめだよ・・・」 何とか仲間を励まそうとするが、言葉が浮かばない。 それ程絶望的なまでに人間は強かった。 「だれか・・・だれかたすけて・・・」 もう駄目かと諦めかけたその時。 「ゆっ!ソコまでだよ!!」 何処からともなく声が響く。森の中からゆっくりの援軍が現れた!! 「ゆっくりを虐める悪い人間さんは絶対に許さないよ!」 「みんな!今助けるから待っててね!!」 勿論助かる訳はない。 威勢の良いゆっくりが数匹人間に襲い掛かるが、返り討ちにあう。 苦しむ仲間、殺されたゆっくりの死体。返り討ちにあう、腕自慢のゆっくり達の姿。 援軍として現れた筈の、群のゆっくり達は恐怖の震える。 飛び出した最初の数匹に続くものは居ない。 「ゆっ!ソコまでだよ!!」 再び声が響く。皆一斉に声の方を振り返ると、ソコには額に正義の味方と書かれた ゆっくり達が居た。 良く見るとヒーローマスクっぽい意匠や、眼帯風やら、何がしかのラクガキが顔に 描いてある。 「やっぱり助けにきてくれたんだね!!」 「せいぎのゆっくりがたすけにきたよ!!」 「なかまたちのかたきはとるよ!!」 「何だお前ら?人間に勝てると思ってるのか俺は一回刺されただけでしぬぞうわー!!」 現れた正義のゆっくりの活躍によって、人間は倒された。 しかし犠牲も大きい。中間達の多くは傷つき、殺された者もいる。 その光景を間近で見ていたゆっくり達のショックは大きい。 「ゆ!人間は危険だから近づいちゃいけないと教えた筈だよ!!」 群のゆっくりに話しかけているのはドスまりさである。 額に肉と書かれているが、幸いな事に笑うものは居ない。 昔ドスが、人間と戦って付いた傷である為、皆ドスを信頼していた。 正義のゆっくり達の顔に油性マジックで刻まれた傷跡も、多くの戦いを潜り抜けてきた 証である。 「今回はコレだけの犠牲で済んだけど、助けに来るのがもう少し遅かったら」 「皆殺しにされてたんだねー!判るよねー!?」 「ゆ、ゆぅ・・・」 畑に来て殺されかけて傷を負ったゆっくり達は皆うな垂れている。 助けに来た森のゆっくり達も、人間に敵わなかった事や、目の前でゆっくりが 殺されている事を見ている為、ドスには逆らえない。 「他の人間が来る前に早く森へ戻るよ!!」 「ドスが人間からお野菜を手に入れたわ!運ぶの手伝って!!」 「動けるゆっくりは怪我をしたゆっくりに手を貸してね!!」 ドスと、正義のゆっくりの指揮の元で迅速に撤退作業が開始される。 ドスは皆から信頼されていた。 群の危機を何度も救っている実績がある。人間とも戦った。 人間を倒して野菜を手に入れた事もあるし、冬に備えて食糧の備蓄が必要だからと その大事な野菜を自分は食べずに群の皆に分けてくれる。 普通のドスと言えば、人間に逆らうな!だの、畑に行くな!だの、命令ばかり。 畑に行った仲間を助ける事もせずに、逆にルールを破ったからと制裁したりする屑だ。 群の集めた食料を、備蓄と称して自分だけで独占したりもする。 ドスが居るとゆっくり出来ないが、この群のドスは格が違う。 今回だって人間に殺されそうな仲間を助けてくれた。 群のゆっくりは皆、肉ドスの事を心から信頼していた。 だが、そうは考えないゆっくりも居た。 ゲスまりさである。 このまりさは、こう考えていた。 「ドスがにんげんに勝てたのは、にんげんがよわいからだぜ!!」 まりさは一匹のゆっくりぱちゅりーと対峙していた。 「むきゅ!まりさ、なんのつもりなの?」 「もうおまえたちのいうことはきかないんだぜ!!」 ぱちゅりーの顔には眼帯のラクガキがある。 群の中では正義の味方のゆっくりとして慕われているゆっくりだ。 「むきゅ!群のルールは守って貰わないと困るわ!」 「そんなひつようはないんだぜ!まりささまはつよいんだぜ!!」 突然まりさが飛び掛り、ぱりゅりーを突き飛ばす。 人間と戦った勇者である正義のぱちゅりだったが、まりさは一撃で倒してしまった。 「やっぱりまりささまのほうがつよいんだぜ!!」 まりさ種がぱちゅりー種を倒す事など珍しい事ではないが、 顔にラクガキのある正義のゆっくりを倒したと成れば話は別だ。 まりさの実力は周囲の認める所となり、群でも一目置かれるだろう。 群のルールに不満を持っていた一部のヤンチャ者達は、増長したまりさに率いられて 人間を討伐に畑へ出かけていった。 「ゆへへ!にんげんをたおせばドスにでかい顔はさせないんだぜ!!」 自分も人間を倒して力を誇示し、野菜を奪って食料を握れば 群のゆっくりを掌握できる権力の座に就ける。 もう誰かに従う必要も無い。森で一番偉い存在になれるのだ。 「たいへんなんだよー!わからないよー!!」 「むきゅ~ドス・・・ごめんなのだわ」 この異変は直ぐにドスの耳にも入る。 (ドスとは勿論、額に肉の文字がある哀れなアレである) 正義にゆっくりに手を出したまりさが、群のルールを破って人間の畑へ行った。 「大変だね!何匹付いていったの?」 「むきゅ・・・3匹よ。前から問題のあった子だわ」 「この前助けてあげた畑を襲ったゆっくりだよー!」 「仕方ないね・・・群の皆を集めてね」 「“助け”に行くんだねー?わかったよー!」 「ゆぐぅっ・・・こんなはずがないんだぜ!?」 畑に横たわる三体のゆっくりは既に動く力も残っておらず、 うめき声を上げるばかりである。 まりさだけはまだ闘争心を捨てずに挑みかかるが、自惚れの激しいまりさでも それが遊ばれて居る事ははっきりと感じていた。 だが、敵わないと悟ったとしても、頭に血の上ったまりさには逃げ出す事も、 諦めて命乞いする事も選択肢には無かった。 「今回はスパンが短かったな。まぁ数が少ないし離反者か?」 「まりささまがさいきょうなんだぁー!!」 「ほれ!」 飛び掛ったまりさをボレーシュートした所で、声が聞こえた。 「ゆっ!ソコまでだよ!!」 声のした方を振り返ると、ソコには額に肉と書かれたドス達が居た。 「ふっバカな奴等だ!勝てると思ってるみたいだな」 「ゆっ、群の仲間を虐めるお兄さんは絶対に許さないよ!!」 「いけぇぇー!ドスゥゥ!!」 「ドスバックブリーカーだぁ!!」 「さぁ来い!ドス!実は俺は一回さされただけでしぬぞうわぁぁぁっぁぁぁっぁ!?」 「そこだよ!いまだよ!」 「ジャイアントドスバスターを出すんだ!!」 「くそっ!危なかった・・・直撃なら死んでた、ってうわぁぁぁっぁぁ!?」 「とどめよ!あいてはむしのいきだわ!!」 「でるよ!ドスのキメワザ!空中真空ドスチョップが!!」 「ヘルメットが無かったら即死だった・・・まだ死ぬわけにうぎゃあぁぁぁっぁぁ!!」 「ありえないんだぜぇぇぇぇーーー!?!?!?」 自分は正義のゆっくりよりも強い筈だ。ドスや人間にだって負ける筈は無い。 でも人間には敵わなかった。人間はケタ外れに強かった。 自分が勝てなかった事は悔しかったが、だが、ドスも死ぬ。 人間より強いと自惚れ、本当は強くないくせに群のボスとしてイイ思いをして 今までまりさ達を騙して来た報いに、この超強すぎる人間に殺されて思い知るがいい。 そう思っていたのに、目の前の光景は理解を超えていた。 「なぜなんだぜ?」 本当を言えば、今現在自分が人間に負けて死にかけてる事実でさえ、理解したくは無い。 しかし目の前で自分が勝てない人間が、ドスに負ける光景など、 今のまりさの餡子脳をフル回転しても到底判らない事であった。 「うぐっ!!こんな筈ではぁぁぁー!!ドサッ!バタン!キュゥー!」 人間はまりさの直ぐそばに倒れてしまった。最早虫の息である。 「なぜ・・・どうして・・・なぜ・・・」 「ん?知りたいのか?まぁいい。明度の土産だ」 幾ら人間がゆっくりを殺して、怖いと思い知らせても、ゆっくりは直ぐに忘れる。 それに、畑で仲間が殺された事を見ていない、森のゆっくりは 人間の怖さなど直接見ていないから知らないのだ。 命からがら逃げ延びたゆっくりは、野菜の美味しさと、生き延びた自信だけを学習する。 そこで、八百長を演じるのである。 ゆっくりに畑を襲われた場合に、ワザと殺さない程度に痛めつけ、数匹は逃がす。 逃がすのは、ゲスではなく出来るだけ賢く仲間思いのヤツが良い。 森に逃げたゆっくりが、群に緊急事態を知らせる。 畑で人間に虐められていると。 そうしてドスや、正義のヒーローゆっくり達が助けに来るのだ。 群のゆっくり達も、仲間の危機に畑まで駆けつけて、その惨状を目にする。 目の前でゆっくりを殺して人間がとても怖く危険な存在である事を見せつけるのだ。 その後でドスや正義のゆっくりにワザと負けて、生ゴミや屑野菜を渡す。 冬篭り用の貴重な食料だが、人間が直接渡すとゆっくりは増長するし、 食べ尽くしてもまた人間から貰えば良いと考えるようになる。 人間を倒した強いドスと正義のゆっくりの功績を、判り易い形で見せる事で、 群のゆっくり達に、ドスに従う気持ちを起こさせるのだ。 畑を襲ったゆっくりを、ドスが制裁しては群のゆっくりの心象も悪くなる。 野菜が食べたいのに畑は駄目だと意地悪するドスの命令も聴かなくなる。 理解出来るゆっくりも居るが、知能の低いゆっくりも多いのだ。 畑に行っては行けないと言う理屈を、仲間を目の前で殺される所を見て学習させる。 ドスが制裁するのではなく、人間に殺される所を実際に見せる事の意味は大きい。 そしてソレをドスが助ける事で、畑は危険であるので近付いては駄目だと言う事と ドスはゆっくりを守っている事を、バカでも判り易く教育する。 駄目だと叱ったり、○○するなと教えたり、暴力で制裁しても 奴等は逆恨みする上に教えた事は直ぐに忘れる。だからドスの群の教育は大抵失敗する。 ドスは叱る役ではなく、助ける役に徹する事で、群の信頼を得るのだ。 実際、ドスと言えど人間に敵わなかったり、冬篭りの食料管理を、 「群が集めた食料を独占してる」と勘違いしたり、群の維持は楽ではない。 ドスの力を判りやすく誇示し、ドスのお陰で手に入った食料だと認識させる事で 群のゆっくり達に、ドスや正義のゆっくりに従う事が正しいのだと教育するのだ。 正義のゆっくりを演じているのはドスと人間が選んだ幹部ゆっくりで、 比較的知能の高い個体を宛がっている。 幹部ゆっくりは、通常は群の為に高い知能を生かして助言などをするのだが、 知能の低い一般のゆっくりの中には、目先の事しか考えない余りに 言う事を聞かない者も居る。 「すっきりするな」「食べたいだけ食べるな」など、ゆっくりに反する教えを 敵意と誤解し攻撃するケースさえある為、幹部ゆっくりが弱いと群の規則が 維持できない。正しい助言を暴力で返り討ちにされるぱちゅりー種などがその良い例だ。 全てを悟り、己の浅はかさと無力さを知ったまりさは怒っている。 「なぜなんだぜ!?なぜこんなことするんだぜ?」 人間が強いのは判った。でも何故こんな真似を!? あのドスや正義のゆっくりに勝たせてやって、あいつ等は良い思いをしてるのに! 何故自分はこれ程苦しめられて、殺されるのだ?まりさの怒りも最もである。 「まりさを騙して・・・こんな目に合わせて!!」 まりさはゲスだが、バカではなかった。自分より強い相手には逆らわず、 命の危険は回避して生きてきた。 そしてゆっくりの中では比較的上位の強さを持っていた。 人間がこれ程強い事を知っていれば、迂闊に戦いを挑んだりはしなかっただろう。 故に、群のドスや正義のゆっくりが理不尽な理屈をかざして自分達に圧政を強いて 良い思いをするのが納得行かない。 事実、連中は人間より弱い筈だ。今、人間に殺されかけている自分よりも弱かった。 森のゆっくりを騙して人間より強いと思わせ、訳の判らない規則を作って自由を奪い、 奴等の性で人間が弱いと勘違いして死に掛けてるのだ! 「どぼぢで・・・ごだえろぉぉ・・・!!」 「強いて言えば、そうだなぁ~・・・お前がゲス、だからかな?」 ゆっくりは人間の近くに住むとゲス率が高く成ると言う統計がある。 情報の信憑性や精確性に疑問もあるが、一説によると人間に接する事で 本来のユックリズムに変調をきたしてしまう可能性があるらしい。 他にも、人間の浅ましさや他者を出し抜こうとする汚さを学だとか、 人間の良い生活を知って森の生活に満足出来なくなるとか、 森の自然が人間に破壊されている影響だとか、諸説ある。 とにかく、森のゆっくりのゲス率を下げて、無害化する方法もあるかもしれない。 その調査の一環として、ゲスを駆除し、賢いゆっくりに群を統率させ、 人間の怖さを学習させる実験をしているのだ。個人的に。 普通に潰しているとゲスは大抵逃げて生き延びるし、 賢いヤツもゲスに潰されたり、周りに流されるだけの無知なゆっくりに殺されたりで 悪循環していくと予想している。 今回のまりさのような強いゲスは人間が殺して、周りに流されるゆっくりは群に管理させ 賢いヤツを選んで八百長で権力を持たせて群のトップにおいた場合、果たして森の ゆっくり達がどう変化するのか見てみたかった。 「ぐあぁぁっぁ!!まさかこんな強いドスが居るなんてぇぇぇ!!!」 「ゆっ!?」 説明を終えて突然大声を上げる男にまりさは一瞬驚く。 「だがタダでは死なんぞ!!畑を荒らしたまりさも道連れだぁぁぁぁ!!!」 「ゆ!?ゆゆゅっ!?ゆっ!!ゆー!!」 男の手がゆっくりとまりさの方に伸び、その口を塞ぐ。 最早叫び声も、真実を語る事も出来ない! 天高く掲げられたまりさは、群のゆっくり達の眼前で握り潰された。 「ゆっ!人間さん、いつもありがとうね!!」 結果としては、ドスの話では群の統率力は格段に良くなって、群のゆっくりも ドスや幹部の言う事を聞くように成ったらしい。 すっきり制限も冬の食料も、以前よりは管理しやすくなったそうだ。 一方で今回クーデターを起こそうとしたまりさの様なゆっくりも定期的に現れるし、 ゲスも少なくなりつつあるとはいえ、その数が一定数以下には成らない。 ゲスがゲス化するのは、ゆっくりが全滅しない為の、種としての多様性の確保ナンタラ なのかもしれない。 まぁ群の管理体制が崩壊して、畑にゆっくり波状お食事されてはコッチも堪らないので ドスには今後も頑張ってもらいたい。 肉に対する負い目もあるし、出来るだけ協力するつもりだ。 どうせ新陳代謝で消えるだろうと安易な気持ちで書いた額の肉は 時間が経っても一向に消えることは無かった。 「額の肉、似合ってるぞ」 「ゆへへ~ん!」 最初遊びで描いてやった時は子供みたいに一日中凄い泣き喚いて困ったものだ。 八百長で一回勝たせてやると言って何とか宥めたが、結果的にはこの演出も ドスが群れを纏めるのに役立っているのだから無駄ではなかったのだろう。 別に群の幹部の連中にまでラクガキする必要は無いんだが、ドスを気遣って 人間と戦った時の傷設定を吹聴したら、なんか顔にラクガキされたがる様になった。 しかし、まぁ、いい加減毎回死んだ人間が生き返って畑で八百長試合してるんだから バレそうなモノだが・・・ いや、冬篭りの餌の備蓄も出来ない連中にそのレベルの知能は無いか。 それに気付く位賢いヤツはドスの真意も判ってるって事なのかね・・・? 「じゃ、ドスたちは森に帰るね」 「ん?あぁ・・・って、ゲスに付いてきた奴等まだ生きてるけど良いのか?」 ゲスまりさに唆されて畑に来たゆっくりが三匹ほど居たが、 皆そそくさと帰り始めている。 気が付くと、ドスと数匹の幹部しか残っては居ない。 「そのこ達は再犯だから仕方ないよ。良かったら食べてあげてね!」 「あぁ、じゃ、非常食にでもするか」 ドスが駄目なゲスを見捨てるのは珍しい事ではないだろう。 八百長の正義の味方ゴッコも、畑の危険性を教えるのが本来の狙いなので、 畑を襲ったバカなゆっくりを無傷で帰すつもりも無いのだが。 しかし群のゆっくり達は仲間を助ける為にドスを呼びに行ってココに駆けつけた筈では? なんかドスの活躍見て屑野菜貰って満足して帰って良いのか? 本当に忘れてるのか?もしかして最初から助ける気ねーだろ・・・ 「ドス・・・タイガーマスクって知ってるか?」 「ゆ?お兄さん、そのマジックで何する気なの?」 「キイロとクロだからまりさにはよく似合うと思うんだ」 「や、やめてね!!考え直してね!!」 人間からゆっくりを守る英雄「タイガーまりさ」の試合は大人気で 噂を聞きつけ一目見ようと遠くから訪れるゆっくりも増えた。 ドスまりさの群れは見物料の興行収益で大層潤ったそうな。 作者当てシリーズ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11995/1227272050/ このSSに感想を付ける
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冬の足音が聞こえてきた秋の昼時、枯れ木の根元に出来た穴から小さな影が4つ現れました。 「きょうはなにちてあしょぼーか!」 「おいかけっこ!」 「ゆ~それじゃゆっくちできないよ!」 「じゃあかくれんぼ!」 仲良く遊び始めたのはゆっくりれいむと呼ばれる最近になってあらわれたナマモノです。 ゆっくりれいむは紅いリボンと黒髪がトレードマークのもっとも多くいるゆっくりでした。 遊んでいるれいむたちは人間で言う子供で大きさは野球ボールぐらいでした。 まだ生まれて1年も経ってない4匹は仲良くかくれんぼを始めます。 最初ということで一番大きいおねーちゃんれいむがオニになりました。 残りの3匹は思い思いに隠れ場所を探しに行きます。 「も~い~かい!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ~・・・いーち!にー!さーん!だー!らーぶ!・・・」 「ゆゆっ、ここはれいむがかくれちぇるよ!べつのところにいってね!」 「ゆ!わかっちゃよ!」 「れいみゅはこっちにいくよ!」 「じゃあれーむはむこうにいくね!」 一匹のれいむは石の影にかくれました。 もう一匹は枯葉の下に。 「もーいーかい!」 「ゆっくりできたよ!」 「じゃあいくよー!」 石に隠れたれいむも枯葉にかくれたれいむはすぐに見つかってしまいます。 「次はれいみゅのばんだよ!」 「ゆゆ・・・まだれぃむがのこっちぇるよ!」 「みゅ~さっさとみちゅけるよ!」 しかし、残り一匹はなかなか見つかりません。 それもそのはず、最後の一匹はかくれる場所を探して今も移動していたのです。 「ゆ~、なかなかみちゅからない・・・」 この子れいむは遊びということも忘れてゆっくり出来そうな場所を探していました。 やがて、今まで来たこともない遠い場所に来てしまいます。 「ゆー・・・ゆっ!ここどきょ!」 れいむは知らない場所でいることに不安を感じます。 「おねーちゃああああ!れぃむはここだよおおおおおお!」 しかし、叫んでも叫んでも返事は返ってきません。 姉れいむとは子れいむが思っていたよりも離れていました。 子れいむはもときた道を思い出して戻ろうとします。 しかし、隠れ場所を探しながら来たのでどこを通ったか覚えていませんでした。 もう少し大きくなっていれば巣に戻るための方法を親れいむから教えてもらっていたはずでした。 もう少ししたら、きっとお姉ちゃん達が来てくれる。 そう信じて子れいむは木の近くで姉達をじっと待つことにしました。 子れいむが木に寄り添うようにゆっくりし始めると、美味しそうな匂いがどこからか漂ってきます。 「ゆゆ!おいしそうなにおひ!」 子れいむは匂いに引き寄せられます。 匂いの元はある木の根元に生えているたくさんのキノコでした。 「ゆ~!おいしそうなきにょこ!」 子れいむはキノコに飛び込んでいきました。 姉れいむたちは探しても探しても見つからないれぃむを心配になり、巣にいた母れいむを呼びに戻りました。 子の訴えを聞いた母れいむはすぐに巣の周りを探し始めました。 姉れいむ達は危ないからと巣でお留守番です。 母れいむは危険そうな場所を一つずつ調べていきます。 しかし、れぃむはどこにもいません。 母れいむはあきらめずに探し回りました。 やがて、普段は来ない森の奥に足を踏み入れます。 「れいむのかわいいれぃむー!どこにいるのー!」 母れいむは懸命に叫びました。 「ゆっ?」 子れいむがお腹を膨らませてゆっくりしていたころ、どこからか母親の声が聞こえました。 「おかーしゃああああああああん!」 先ほどまでキノコを食べることに夢中で自分が迷っていることを忘れていたれぃむは母親の声で自分のおかれている状況を思い出しました。 そして、母親に見つけてもらおうと声を張り上げます。 先ほど食べたキノコのおかげで大分大きな声が出せました。 大きな声は森に響き、とうとう母親の耳に入ります。 「ゆゆ!れぃむのこえだよ!」 「おかああさああああぁぁぁぁあぁん・・・」 「いまいくよ!そこでゆっくりしててね!」 母れいむは子れいむの声に耳を澄まして位置を探ります。 森の中では声が反射し場所がわかりにくかったですが、子への愛なのか母れいむは迷わずに足を進めていきました。 やがて、一つの木の下で泣き叫んでいる子れいむを見つけました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていっちぇね!・・・おかーしゃん!」 「だいじょうぶだった?けがしてない?」 「れぃむはごたいまんぞくだよ!」 母れいむは子れいむの声を聞き、自分の目で確かめて子の無事を確認します。 「だいじょうぶそうだね!」 「おかーしゃんごわがっだよおおおおおおおお!」 「もうひとりでこんなとおくまできちゃだめだよ!」 「ゆぅうううう、おかーしゃんごめんなさい・・・」 「わかればいいよ!もうくらくなるからはやくかえろうね!」 「ゆっ!そうだ!おかーしゃん!れいむきのこみちゅけたよ!」 「ゆゆっ!きのこ!?」 「しょーだよ!このうらにいっぱいはえちぇるよ!」 子れいむはそういって木の裏へと跳ねていきます。母れいむは道に迷わないように確認してから子れいむの後を追いました。 「このさきにきのこあるよ!!」 「ゆっゆ!・・・しゅご~い!」 「いっぱいあるからおねーちゃんたちにもあげりぇるよ!」 「そうだね!ぜんぶもってかえろうね!」 いそいそと口にキノコを含んでいく母れいむ。 子れいむはどんどん口に入っていくキノコを見て目をきらきらと輝かせました。 「おかーしゃんのいぶくろはうちゅうだね!」 「ゆふん!」 子れいむの声援に答えるように母れいむはキノコを口に含みます。 やがていっぱいになると母れいむは子れいむと共に巣に戻りました。 巣では帰りの遅い母れいむを残った子れいむが心配していました。 「おかーしゃんおかえりなさい!」 「ゆゆっ!おかーしゃんおおきくなっちぇる!」 子れいむが驚いていると母れいむは口から大量のキノコを吐き出しました。 「ゆゆゆ!おいしそう!」 「おかーしゃんどうしたの!」 「れぃむがみちゅけたんだよ!」 そういって母れいむの腋から現れた妹れいむに子供達はさらに驚きます。 「さすがれーむのいもうとだね!」 「でもしんぱいしたんだよ!」 「そうだよ!おかーさんがいないのにとおくにいかないでね!」 「うん、もうひちょりでそとにはいかにゃいよ!」 「れーむたちもきをつけるよ!」 母親と一番上の姉れいむに注意され、もう二度と勝手に遠くに行かないと子れいむ達は誓いました。 そんな子供達への説教が終わると、眼の前のキノコに話が移ります。 「これならしばらくだいじょうぶだね!」 「おかーしゃんがとりにいかなくてもへいきだね!」 「ゆ!そうだね!しばらくは巣でいっしょにゆっくりできるよ!」 「やっちゃね!」 「れぃむといっちょにいようね!」 突然降って湧いた幸運にれいむ達はうれしくてたまりませんでした。 それからしばらく、このれいむ家族は一度も巣から出ることなく、巣の中でゆっくりとしていました。 食べ物が無くなったらまたキノコを採りに行けば良い。母れいむは久しぶりにゆっくり出来たので上機嫌です。 子供達もそんな母親の様子を見てうれしくなり、母親に擦り寄って遊びました。 れいむ家族はずっとゆっくり出来ると思っていました。 しかし、四季の変わり目はもうすぐそこまで来ています。 巣からあまり出なくなったれいむ家族にはそれが分かりませんでした。 「まったく、れいむたちはなにをやってるのかしら!」 風が冷たく感じ始めたころ、一匹のゆっくりありすがれいむの巣に向かっていました。 このゆっくりありすは母れいむの友達で冬篭りの準備が出来てもやってこない母れいむに痺れを切らしてやってきたのでした。 巣の前までやってくるとありすは中にいるであろうれいむ達に声をかけます。 「ゆっくりしていってね!」 しかし、待てども待てども返事が返ってきません。 このまま待っていても埒が明かないので、ありすは巣に入りました。 中ではれいむ達がキノコを食べてとてもゆっくりしていました。 「ゆっ!おいしそうなきのこね!」 「ゆゆっ!ありす!」 いきなり現れたありすに子供達は母れいむの後ろにかくれました。 「こわがらなくていいよ!このありすはれいむのともだちだよ!」 「そうよ!さっきからよんだのにへんじがなかったわ!だからとかいてきじゃないけどあがらせてもらったわ!」 「ゆ~ありすごめんね!」 ありすの声に気付かずゆっくりしていたれいむはありすに申し訳無さそうに謝りました。 ありすはそれで少しだけ悪かった機嫌を直して笑顔を見せます。 「ありすはきにしてないわよ!・・・ってそうじゃないわ!」 「ゆゆっ、どうしたのありす!」 「れいむたちがふゆごもりにこないからよびにきたのよ!」 「ふゆごもり?」 聞いたことのない単語に子れいむが不思議がります。 母れいむは子れいむに教えようとしましたが、時間がないのかありすが急かしました。 「いまはじかんがないわ!すぐにじゅんびしてゆっくりすぽっとにむかってね!」 「ゆ!わかったよ!」 「じゃあありすはもういくわ!れいむもゆっくりしないでね!」 ありすは言いたいことを言うとすぐにれいむの巣を離れました。 れいむ達が住む地域は冬にはかなり冷え込み、ゆっくり家族だけでは越冬できませんでした。 なので、ゆっくりスポットと呼ばれる大きな洞窟などに集まって身を寄せ合って眠り春を待つようになっていました。 ゆっくりスポットにはゆっくり制限があり、主にぱちゅりーの判断で入れるゆっくりの数を制限していました。 ありすが急いでいたのはゆっくり制限で入れなくなってしまうのを恐れたからです。 母れいむも一度ゆっくりスポットで越冬を経験していたのですぐに準備を始めようとします。 「おかーしゃんふゆごもりってなーに?」 「ゆーっとね、もうすぐここじゃゆっくりできなくなるんだよ」 「ゆゆゆゆ!?」 「だから、みんなのいるばしょにあつまらないといけないの!」 「そーなのかー!」 「れーむたちもじゅんびしてね!すぐここをでるよ!」 母れいむはすぐにゆっくりスポットに行く準備を始めました。 母れいむは子れいむもすぐに準備してくれると思っていました。 なので、れぃむが反対したのに驚きました。 「やだ!れぃむはまだうごきたきゅないよ!」 「どおおおしてええええ!はやくうごかないとゆっくりできなくなるよ!」 「でもきのこしゃんまだいっぱいあるよ!」 「ゆゆゆ・・・」 冬篭りには食料は必要ありません。 だから巣に残っている食料はすべて捨てる必要がありました。 れぃむは自分が見つけた食べ物を残していくことが不満だったのです。 「まだあっちゃかいよ!きのこたべてからでもまにあうよ!」 「ゆゆゆ・・・」 れぃむの発言に母れいむは困ってしまいます。 これを見た他の子れいむは相談してれぃむの方に回ります。 この子れいむ達もキノコに不思議な魅力を感じていたのでした。 「きのこちゃべちぇからいこうよ!」 「そうだよ!」 「もっちょゆっくりしちゃいよ!」 「ゆっくち!ゆっくちぇ!ゆっくりょ!」 母れいむは子れいむの反論に去年の冬篭りの記憶を思い出そうとしました。 母れいむが入ったゆっくりスポットはまだ時期が早かったので洞窟の中はすかすかでした。 母れいむは仲間が集まる間スポットの周りの食べ物を食べたり、他のゆっくりと話したりして冬眠まで過ごしたのを思い出します。 今回もまだまだ空きがあるだろう。母れいむはそう結論付けました。 「わかったよ!きのこがなくなるまでここでゆっくりしようね!」 「おかーしゃんだいちゅきー!」 「ゆっくりしようね!」 母れいむが賛成してくれて子供達は大喜びです。 そんな姿を見て母れいむも反対しなければ良かったと思いました。 こうして、ありすの忠告も無視して母れいむは巣でゆっくりし続けました。 今は友達よりも子供達のほうが大事でした。 母れいむはしばらく巣から出てないことも忘れて、巣で子供達と仲良くゆっくりとしていました。 「ゆ~、とうとうさいごのきのこだね!」 「これをたべたらゆっくりすぽっとにむかおうね!」 「とうみんたのちみ!」 「しゅっごいゆっくりできそうだよ!」 「ゆっくちできりゅといいね!」 あれからもキノコを食べ続けて3日後、とうとうキノコがなくなりました。 キノコ以外の食べ物も残っていたので残さず食べました。 もう巣には食べ物は残っていません。 れいむ達は巣を枯葉と枝で上手に隠して外に出ました。 「ゆ~、しゃ、しゃぶいいいいいいいい!」 「ゆっくりできないいいいいいいい!」 「ゆぐぐぐぐぐぐう!」 「ぐるじお・・・」 保温効果のあった土の中からみて外の世界は極寒です。 震えてる子れいむに母れいむは用意していた白いもこもことした綿を被せました。 「これでさむくないよ!」 「ゆ・・・ほんちょだ!さみゅくないよ!」 「ぽかぽかー!」 「これならゆっくりできるよ!」 「ゆぅ~ん」 母れいむの用意していた綿は子れいむ達をすっぽり覆いました。 上手に穴を開けているので動きを妨げることもありません。 元気になった子供達を連れて母れいむは記憶の中で一番近いぱちゅりーの巣に向かいました。 ゆっくりスポットはぱちゅりーが管理してることがほとんどです。 ぱちゅりーの巣の近くには必ずと言っていいほどゆっくりスポットがありました。 れいむ達がゆっくりスポットにつくと、スポットは冬眠のために入り口を閉じている最中でした。 れいむ達は急いで中に入れてもらおうと指揮をとっているパチュリーのところに向かいます。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ぱちゅりー!れいむたちもなかにいれてね!」 「「「「いれちぇね!」」」」 れいむ達はすぐに中に入れてもらえると思い巣の入り口に向かいました。 しかし、ぱちゅりーが行く手を塞ぎます。 「ゆゆっ、ぱちゅりーじゃましないでね!」 「れいみゅたちはさむさでこごえしょうだよ!」 「はやくいれちぇね!」 母れいむの抗議に子れいむも声を重ねます。 それでもぱちゅりーは動きません。 ぱちゅりーは言い聞かせるようにれいむ達に話しました。 「ざんねんだけどもうゆっくりせいげんよ」 「ゆ!?」 母れいむは驚きます。 「そんなわけないよ!まだいっぱいあきがあるはずだよ!」 「あなたたちはくるのがおそすぎたのよ!こんなじきじゃあいてるわけないわ!」 「ゆぐぐぐぐ・・・」 何とか入ろうと穴の辺りを見ましたがこちらをまりさとみょんが見ていました。 ぱちゅりーだけならどうにでもできましたが、まりさとみょんが一緒では勝てません。 「もういいよ!いじわるなぱちゅりーのとこなんかいかないよ!やさしいぱちゅりーをさがすよ!」 「いじわるー!」 「ゆっくりちね!ゆっくりちね!」 れいむ達は別のゆっくりスポットに向かいます。 罵声を受けたぱちゅりーは怒るわけでもなく、どうしようもなかったのだと自分に言い聞かせ、スポットの入り口を防ぎに戻りました。 「どおしてどこもあいてないのおおおおおおおお!」 「「「「ゆわああああああああん!」」」」 あれからいくつかのゆっくりスポットを巡りましたがどこも入れてもらえませんでした。 思いつく限りの場所に向かいますが、制限になっていたり、もう既に冬眠していたりしていました。 最初は強気であったれいむ達も辺りが暗くなるころにはこのまま入れないのではないかと不安げな表情を隠せなくなっていました。 「おかーしゃん・・・」 「ゆっ、だいじょうぶだよ!きっとはいれるところがあるよ!」 「しょ、しょうだね!」 「ゆうううう・・・」 子れいむの不安を母れいむは必死に宥めます。 そんな中キノコを見つけたれぃむがみんなに向かいました。 目には涙が溜まっています。 「おかーしゃん、おねーしゃんごめんにゃさい!」 「ゆゆゆ、どーしたの!?」 「れぃむのせいでこんなことになっちゃから・・・」 「れぃむ・・・」 子れいむは自分のせいだと責任を感じていました。 母れいむも姉れいむも何も言えません。キノコのとき一緒に賛成したことを忘れていませんでした。 母れいむはそんな子れいむににっこりと微笑みました。 「つぎのすぽっとはぜったいあいてるからだいじょうぶだよ!」 「おかーさんほんとう?」 「ほんとうだよ!あそこはいちばんおおきいからね!」 母れいむの自身に満ちた顔に子れいむは涙を止めました。 他の子れいむにも元気が戻ります。 母れいむは嘘を付いていました。 しかし、今は元気であってほしいと母れいむはばれない様に懸命に演技しました。 次のスポットが母れいむの知る最後のスポットです。 ここに入れなかったられいむ達は死ぬしかありませんでした。 「ゆゆっ、ここだよ!」 「ゆ~、おおきいね!」 れいむ達は大きそうに見える洞窟の前にいました。 幸い、入り口にぱちゅりーが見えました。 まだ冬眠してはいないようです。 れいむは今度こそと自分に気合をいれ、ぱちゅりーに向かいました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「れいむたちをいれてください!」 頭を下げてぱちゅりーに頼み込みます。 子れいむはその様子を心配そうに見つめていました。 「ゆぅ・・・もういっぱいだったかしら・・・」 「だいじょうぶだよ!れいむたちはいれるよ!」 制限に来ているか考えるぱちゅりーをみてれいむは入れてもらおうと必死に食らい尽きます。 ぱちゅりーが難しい顔をしているとれいむ達のしった顔が現れました。 「あら!れいむたちじゃないの!?」 「ありす!」 友達の顔を見てれいむは笑顔を取り戻します。 「あなたたちどこもはいれなかったの!?」 「ゆぅ・・・」 「だからゆっくりしないでっていったのよ・・・」 ありすでも制限はどうしようもありません。 れいむが再び不安な顔になろうとした時、奥から二匹のゆっくりが現れました。 「わかるよー、はいりたいんだねー」 「そこのおおきいれいむだけならはいれるんだぜ!」 奥からやってきたのはゆっくりちぇんとゆっくりまりさでした。 ちぇんが入り口の騒ぎに気付き、まりさと一緒に数を調べてくれていたのです。 やっと掴んだ一匹の空き。しかし、れいむ達は4匹。 「おかーしゃんれーむたちははいりぇないの?」 「おかーしゃん・・・」 「ゆぐぅ・・・」 母れいむに置いていかれるのではないかと子れいむは急に不安になりました。 母れいむよりそって離れたくないと頬をむにゅっと引っ付けます。 困った母れいむにまりさは提案しました。 「いっぴきぶんのあきだけどちびたちなら4ひきいけるんだぜ!」 「かなしいのはわかるよー、でもどっちかしかはいれないよー」 「れいむ・・・」 母れいむは決断を迫られました。 答えはもう決まっていましたが。 「じゃあこどもたちをおねがいするよ!」 「わかるよー、かなしいけつだんだねー」 「わかったんだぜ!こどもたちはまりさがかならずせわするぜ!」 「れいむ、ほかにあてはあるの? れいむの決断にちぇんが同情し、まりさが子供を置いていくれいむに心配させないように話しかけ、ありすはれいむの心配をしました。 「だいじょうぶだよ!まだすぽっとはあるよ!」 「そう、ならいいわ!いそいでむかったほうがいいわよ!」 れいむの自信満々な顔にありすも納得し、れいむに激励を送りました。 「むきゅー。きまったようね」 「こどもたちをおねがいね!」 「わかったわ。じゃあここもしめるわね。」 母れいむを置いてゆっくりスポットの入り口が閉まりだします。 子れいむは徐々に見えなくなる母れいむに向かって飛び跳ねていきます。 母れいむは心配そうな子れいむを安心させるように微笑みました。 「ニヤ・・・」 「ユッ!?」 その母れいむの表情は子れいむ達の動きを止めました。 とうとう入り口が完全に閉まってしまいます。 もう子れいむではどうすることも出来ませんでした。 「おかーしゃん・・・」 「だいじょうぶだぜ!ほかのばしょにきっといけるんだぜ!」 「そうよ!それよりはるにおかーさんにあえるようにとうみんするのよ!」 子れいむ達はスポットの奥に向かいます。 初めて入ったゆっくりスポットには様々なゆっくりが犇めいていました。 「ゆ~、なんだかあかるいね!」 「ほんちょだ!おうちはこんにゃにあかるくなかっちゃよ!」 「どこかあいてるのかな?」 「ゆぅぅうん・・・」 子れいむ達はみょんに明るいスポットを不思議そうに思い、辺りを見回します。 やがて空中に浮いている白い物体を見つけました。 「あれだよ!あれがあかりゅいんだよ!」 「あれなんだろ?」 れいむの質問にまりさが答えます。 「あれはみょんのはんれいってやつだぜ!」 「はんれい?」 「よくわからないんだぜ!でもだいじなものらしいぜ!」 「ゆゆっ!」 だいじなものと聞いてれいむは自分のリボンを思い浮かべます。 「あいつがみょんだぜ!」 「ちーんぽ!」 「ゆっくりしていってね!」 初めて会ったみょんは変な泣き声でしたが子れいむ達は不思議と挨拶していました。 他にも様々なゆっくりと会った後、まりさの言っていた空きにつきました。 「ここだぜ!ちょっとまわりにうごいてもらってありすとちぇんもはいれるようにしたんだぜ!」 「さすがまりさね!」 そこには藁が敷かれていました。 これなら暖かそうです。 「わかるよー、ちょっとすくないよねー」 「さすがちぇんだぜ!」 いつの間にかいなくなっていたちぇんが戻ってきました。 子れいむ達からはまりさに隠れて見えませんでしたが、すぐに口に藁を咥えたちぇんが見えました。 「きみたちはそれじゃたりないよー」 ちぇんはそういい、子れいむ達の周りに藁を積んでいきます。 「ぽかぽか~」 「ちあわちぇ~」 子れいむは母れいむとちぇんの用意してくれた藁と綿でぬくぬくです。 しかし、まりさたちの顔はまだ晴れていませんでした。 「ゆぅぅ、これじゃたりないんだぜ・・・」 「こまったわ・・・」 「もうわらはなかったよー・・・」 悩んだ結果、まりさが防止を脱ぎだしました。 「まりさどうしたの!?」 「このぼうしをかぶせばあったかくなるんだぜ!」 「わかるよー!それならじゅうぶんだよー!」 まりさは子れいむの上に帽子を置きます。 「ゆ~、なんだかねみゅくなっちぇきた・・・」 「れーむも・・・」 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ゆゆゆゆ・・・」 子れいむ達は冬眠のための眠気で船を漕いでいました。 「もうだいじょうぶだぜ、まりさたちもいっしょにねるんだぜ」 「またはるにあいましょうね」 「わかるよー、ぜったいだよー」 既に眠っている子れいむを見ながら3匹はゆっくりと眠りにつきました。 「ざ、ざぶいいいいいいいいいい!」 木枯らし吹き荒れる森に母れいむの悲鳴が響きます。 母れいむは必死にスポットを探しました。 しかし、開いている場所を見つけれず、辺りは暗くなっていました。 さらに追い討ちをかける物が空から降り始めます。 「ゆゆっ!?ゆきだあああああああ!」 母れいむには死の雪でした。 たまらずれいむは近くにあった木の根元の穴に逃げ込みます。 雪は降り止む気配を見せませんでした。 「ゆ~、もうつかれたからあしたさがすよ!」 れいむは独り言を呟いて眠り始めました。 一日中飛び跳ねていたれいむはぐっすりと眠ってしまいます。 雪はれいむのことなど気付かないかのように世界を白く変えていきました・・・ 「ゆゆっ・・・すっきりー!」 母れいむは十分な睡眠を取り、元気に目を覚ましました。 そして穴から外に元気よく飛び跳ねます。 そんなれいむの飛込みを白い地面はしっかりと受け止めました。 「ゆ?ゆゆゆゆううううう!」 森は姿を変えていました。 白くなった地面はれいむのとんだあとを綺麗に残していました。 れいむは気付いてしまいました。 もう開いているゆっくりスポットはないのだと。 それでもれいむは探すしかありませんでした。 ちっぽけなれいむなど白い世界では唯の点です。 「ゆーしょ!ゆーしょ!」 「ゆ~、しろくてどこかわがらないいいいいいいい!」 「ゆぅ、なんだかちからがはいらないよ・・・」 「れいむのあかちゃんたちだいじょうぶかな・・・」 「ゆっ、れいむもがんばりゃないt・・・」 ちっぽけな点はやがて見えなくなってしまいました。 「おきるんだぜ!はるがきたんだぜ!」 まりさがまわりのゆっくりを起こし始めます。 その声で周りのゆっくりが目を覚まし始めました。 あれからなにも起きず、スポットの住人は無事春を迎えることが出来ました。 「「「「ゆ~、しゅっきりー!」」」」 子れいむ達4匹も初めての越冬を無事乗り越えれたようでした。 「まりしゃおねーちゃんありがと!」 「しゅっごいあたたかかっちゃよ!」 「それはよかったんだぜ!まりさもうれしいぜ!」 まりさは帽子を被りなおしました。 そこに入り口を開けにいっていたありすとちぇんが戻ってきます。 「いりぐちがあいたわよ!」 「そとははるだよー」 「わかったんだぜ!」 三匹は子れいむに向かい問いかけます。 「れいむたちはどうするんだぜ?」 「れいむはまだきてないみたいね・・・」 「わかるよー、まだおきてないんだよー」 子れいむの返事は決まっていました。 「「「「おうちでゆっくりまちゅよ!」」」」 「わかったよー!ならこれもっていってねー」 「それがあればしばらくもつんだぜ!」 「れいむがもどったらもっとおいしいものをもらいなさい!」 三匹が渡したのは巣の近くで取った植物や虫をまとめたものでした。 「ありがちょー!」 「おいししょー!」 「ちょっとたべちゃいよ!」 「だめだよ!おかーしゃんがかえるまでゆっくちたべるよ!」 それぞれ食べ物を抱えたれいむ達は3匹とぱちゅりーに見送られてこれまで暮らしていた巣に戻りました。 「ひしゃしぶり~!」 「やっぱりここはゆっくちできるね!」 「おねーちゃんゆっくちちていっちぇね!」 「れぃむもゆっくちしていってね!」 巣には食べるものは何もありませんでしたが、それ以外は何も代わりがありませんでした 貰った食べ物を置き、4匹の子れいむは母れいむの帰ってくるのを待ちました。 いつまでもいつまでも待ちました。 それでも母れいむは帰ってきません。 もう貰った食べ物は食べ尽くしてしまいました。 「おねーしゃん、おにゃかすいた・・・」 「もうすぐおかーしゃんがもどってくるからゆっくちまとうね・・・」 子れいむ達はもう食べ物をとりにいく元気は残っていませんでした。 話しているのも二匹だけで、もう二匹は既にうつろな目で上を見つめています。 それでも子れいむ達は母れいむの帰りを信じていました。 子れいむ達の巣の外では、冬を乗り越えた生き物が元気よく動き回っていました。 このSSに感想を付ける
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「ゆっくりサドンデス」 家に帰り、鍵を開けようとすると…何故か、鍵は開いたままだった。おかしい。朝、家を出ると きは確かに鍵をかけたのに。何より、蝶番に挟んでおいたシャープペンの芯が折れて、落ちている のだ。嫌な予感がする… 「なんだこれは?」 中に入ってみると、そこには無数の足跡のようなものがあった。しかし、普通の足跡とは違う。 少なくとも、人間の足跡ではない。形は…綺麗な円形だ。僕はこの足跡の主がどんな生き物か知っ ている。この数からすると…30匹ぐらいか。かなり多いな。 足跡はリビングまで続いている。ああ、おそらく僕の嫌な予感は的中するだろう。リビングに至 る廊下を歩き、ドアを恐る恐る開くと… 「これっ…はっ…!?」 言葉が喉に詰まった。大型液晶テレビ、高級ソファー、イタリア直輸入のガラス細工…他、部屋 中全体が荒らされていた。テーブルの上に用意しておいた夕食も、食べかすだけしか残っていない。 そして… 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 総勢30匹のゆっくりたちが、神経を逆撫でする台詞で僕を出迎えた。僕はこぶしを強く握り締め る。いったい何がどうなってるって言うんだ!?こいつらはどうやって家の中に!? そんな中、一匹のゆっくりれいむがゆっくり3匹分だけ前に出た。 「おかえりなさい!!ゆっくりしていってね!!」 「……!!」 全国模試一位の応用力がある僕は、すぐに理解した。 このゆっくりれいむは、僕が愛玩動物…兼虐待動物として3日前から飼っているやつだ。多少虐待 しても30分もすればケロリと忘れてしまうから、ストレス発散の対象として重宝している。 家を出るときは、あらかじめ用意した夕食にガラスケースを被せて辞書を2冊ほど載せておいた。 だから、ゆっくり1匹ごときの力では夕食に口をつけることなどできる訳がないのだ。毎日そうする ことで、食べ物が見えるところにあるのに食べられないという苦しみを味わわせ続けてきた。 そして今日。ゆっくりれいむは部屋を跳ね回って遊んでいるうちに、玄関の扉を開けたのだろう。 外に出たゆっくりは仲間を呼び寄せ帰って来た。30匹もいれば辞書2冊の重さなど問題にならない。 僕の夕食を食べつくした後は、30匹が思い思いに跳ね回ってゆっくりしたのだろう… 「くそっ、やられた!!」 床を思いっきり殴りつける。その大きな音に、30匹のゆっくり達はびっくりして跳ね上がる。 「おにいさん、どうしたの!?」 「びっくりしたよ!!ゆっくりできなかったよ!!」 「びっくりさせないでね!!ゆっくりさせてね!!」 ゆっくりめ…こんな屈辱は生まれて初めてだ!! 「おにいさん!!れいむのなかまだよ!!かわいいでしょ!!」 「かわいいでしょ!!かわいくてごめんね!!」 「それよりおなかがすいたよ!!ゆっくりごはんをもってきてね!!」 一匹でもウザったい害獣を30倍に増やしておいて、「かわいいでしょ」などとほざくゆっくりたち。 暴れまわったゆっくりたちは、空腹を訴え始めた。そして、この流れだと… 「れいむはここでずっとゆっくりするよ!!」 「ここはまりさたちのおうちだよ!!れいむもゆっくりしていってね!!」 「おにいさんはゆっくりできるひと?できないならでていってね!!」 ゆっくりたちの生態は知っている。都合のよい住処を見つけたら、まず食事を要求し…最終的に は“自分の家”宣言をするのだ。今すぐにでもバラバラにブチまけてやりたいが、それでは僕の 溜飲が下がらない。もっと……もっと苦しめて……!! 「おにいさん!!れいむの連れてきたともだちかわいいでしょ!!ゆっくり感謝してね!!」 「………」 3日間飼っていたゆっくりれいむが、僕の目の前で胸を張る。平手でぶっ飛ばしそうになったが、 歯を食いしばって何とか耐えた。 「れいむのともだちいっぱいいるから、おにいさんもさみしくないよ!!ゆっくりうれしいでしょ!!」 「…あぁ、うれしいさ」 僕のストレス発散の道具を、30倍に増やしてくれたんだからな… 「さて、ゆっくりしているところ悪いけど、別の場所に移動しようか」 「そこはゆっくりできるところ?」 「あぁ、こんなところよりずっと綺麗で、たくさんゆっくり出来るところだよ」 「やったあ!!みんなでゆっくりしていこうね!!」 「ゆっくりー!!たくさんゆっくりするよ!!」 「計画通り…」 僕の声が聞こえなかったのか、聞こえても気にならなかったのか、ゆっくりたちは反応しない。 そんなゆっくりたちは、列を成して空室に入っていく。 部屋の真ん中にゆっくりたちを集めて、周りを柵で囲む。見たところ、このゆっくりたちはまだ小さい らしいから、この程度の高さでも飛び越えることはできないだろう。 「どうしてとじこめるの!!ゆっくりできないよ!!」 「これから食べ物を持ってくるよ。それまではその中でゆっくり待っててくれ」 「わかった!!ゆっくりまってるよ!!」 多少窮屈でも、食べ物のためなら我慢する。そんなゆっくりの生態も、僕はよく知っている。だが、 僕が用意するのは食べ物ではない。食べ物の代わりに僕は五寸釘と金槌を持ってきた。 食べ物を持ってくるものと思っていたゆっくりたちは、僕が手にしているものを見て不平不満を口にする。 「おにいさん!!たべものはどうしたの?」 「おなかすいたよ!!ゆっくりできないよ!!」 「あー、もう少し待っててくれ」 「もうまてないよ!!はやくゆっくりもってきてね!!」 「おなかすいた!!おなかすいてゆっくりできないよ!!」 言っても分からぬ馬鹿ばかり… まあ、そんな馬鹿とももうすぐさよならだ。そして、僕はゆっくりを“かわいがりはじめた”。 「あーお腹すいたなー。お、ちょうどいいところにゆっくりがいるじゃないか」 「ゆっ!?ゆゆっ!!?」 「ゆっくりは甘くておいしいんだよなー。じゃあ今日の夕飯はゆっくりだ!」 僕の言葉を聞いて、うろたえ始める30匹のゆっくり。もう空腹などどこかへ飛んでいってしまったようだ。 「れいむはおいしくないよ!!ゆっくりたべないでね!!」 「まりさもおいしくないよ!!たべるなられいむをたべていってね!!」 「ゆーっ!!もうやだ!!おうちかえる!!おにいさんとはゆっくりできないよ!!」 「おにいさんあっちいって!!れいむをたべようとするおにいさんはでてって!!」 柵を越えて逃げようとするが、そんなことは無理だ。こいつらの体格でこの柵を乗り越えることはできない。 「お前達、食べられたくないか?」 「うん!!ゆっくりたべないでね!!」 「お兄さんはお腹が空いてるんだ…でもお前達が食べられたくないなら、しょうがないな」 「ゆっ!?」 期待に目を輝かせるゆっくりたち。このまま開放されるとでも思っているのだろうか。だが、そんなことは しない。全員食べるよりも酷い…地獄絵図をお前達に見せてやる。 「お前達、食べられたくなかったら他のゆっくりを食べろ。最後に残った一匹は食べないでやる」 「ゆっ………?」 足りない頭で何を言われたのか必死に考えている、という顔だ。中身が餡子じゃ無理もないか。 「へちゃむくれの饅頭にも分かるように言ってやる。生き残りたかったら、他のゆっくりを食い尽くせ!!」 「ゆ゛ーーーーーーっ!!!」 それがスタートの合図となった。一匹のゆっくりまりさが他のゆっくりに襲い掛かる。他のゆっくりに比べて ゆっくりまりさは生きるためなら手段を選ばない、一言で言うと悪い性格のゆっくりだ。 「いだいーーー!!!だべないでええええ!!!」 「うっ…うまっ…これうまっ!」 隣のゆっくりれいむをむしゃむしゃと食べるまりさ。それを見て他のゆっくり達も共食いを始めた。 「びゃああえがあああ!!どおじでえ゛え゛え゛え゛!!」 「ゆっぐりできな゛い゛よ゛お゛お゛お!!」 ここまでは普通の虐待。ゆっくり虐待においてセオリーとされている方法だ。 そして…今、最初のゆっくりまりさが一匹目を食い終えたところだ。 「ふむ、あいつが今のところ優勢だな」 僕は次の計画に移ることにする。 「すうっ……ゆっくりしていってね!!!!!」 「ゆっ!!??」 可能な限りの大声で、お決まりのフレーズで呼びかける。それに反応したゆっくりたちは皆、びっくりして 食い合いを止めてしまう。何が起こったのか数秒遅れで把握すると、僕の方を向き… 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 今まで醜い争いを繰り広げていたことも忘れ、僕に笑顔で応じる。こればかりは本能だから逆らいようが ないのだろう。つくづく馬鹿なやつらだ。馬鹿すぎてかわいそうになってくる。だが、これでゆっくりたちの 動きは止まった。やるなら今だ。 僕は柵に入って、先ほどのゆっくりまりさを見つけると、そこから動かないように手で固定する。 「ゆ!?ゆっくりだしてくれるの!?」 おそらく、一番がんばった自分は特別だから、特別に出してもらえると思ったのだろう。 餡子でものを考えるから、すべてを前向きにしか捉えられないらしい。確かに、特別であることにかわりはない。 …お前の考えてる“特別”とは、まったく逆だけどな。 「そおおぉいっ!!」 「うゆぎゅう゛う゛う゛う゛う゛!!」 ゆっくりまりさの頭上から、真っ直ぐ五寸釘を打ち下ろしてやった。ガンガンと打ち込んでいくたびに、 まりさはビクビクと痙攣したように震える。今、30匹のゆっくりたちの中で一番優勢だったゆっくりが、床に しっかりと固定されてしまったのだ。 「どおじでえええ!!ゆっぐりざぜでぐれ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛!!!」 痛みに暴れ狂うが、床に打ち込まれた五寸釘にど真ん中を貫かれているのだ…逃げられるわけがない。 そして、僕は他のゆっくりたちに呼びかける。 「おい、お前達、どうしたんだ?」 「ゆ゛ゆ゛っ!!?」 「早く食っちまわないと、お前達を食べるよ?」 「ゆ゛ゆ゛ーーーーーっ!!!」 捕食対象となるのは…当然、五寸釘に貫かれて動けないゆっくりまりさ。低脳なゆっくりたちも、 最小の労力で生き延びるにはどうしたいいか…それくらいはわかっているらしい。すべてのゆっくりが 一匹のゆっくりまりさに群がり、食い漁る。 「ぎゅあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!はずしでえ゛え゛え゛え゛!!」 「まりさはゆっくりしんでね!!うまっ…これうまっ!!」 「まりざがああ!!まりざがだべるのお゛お゛bっぼばあ゛お゛!!!」 五寸釘に打ち抜かれさえしなければ、お前の勝ちだったのにな。あぁかわいそうかわいそう。 そのうちゆっくりまりさが食べつくされると、先ほどと同じように争いが始まった。一匹が他のゆっくりを 圧倒しているのを見ると、また先ほどのゆっくりまりさと同じように五寸釘で打ちつけ、 他のゆっくりたちをけしかける。 「うめ…これめっちゃうっm!みぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「その下品な言葉遣いは止めろ。食べるときは『サイン、コサイン、タンジェント』だ」 ぐりぐりと五寸釘をねじ込みながら、他のゆっくりたちをにらみつけて“教育”する。 僕だったら恥ずかしくてこんなこと言えないけどな。それ以降、他のゆっくりたちは口汚い言葉を吐かなくなり、 『サイン、コサイン、タンジェント』と優雅な言葉遣いをするようになった。恐怖を与えれば、ゆっくりたちは 一発でモノを覚える。 でも、食事のスピードで抜きん出るゆっくり…そいつらに五寸釘を叩き込む僕の手は緩まない。 「どおじでごんなごとずるの゛お゛お゛お゛お゛!!!」 と抗議の声が、まわりのゆっくりたちからも上がる。 「お前達が食われないように、強いゆっくりを懲らしめてやったんだ。やさしいだろう?」 同じことをしばらく繰り返す。そのうち、馬鹿なゆっくりたちも理解し始めた。 他のやつらを食べなければ、自分が食べられる。しかし、あまりに相手を圧倒してしまうと自分が五寸釘で 貫かれる。僕の“弱きを助け、強きを挫く”作戦に、ゆっくりたちはどうしたらいいのか分からなくなっていた。 「ゆっ…えぐっ……ゆっぐりざぜでよ゛お゛お゛!!」 食わなければ食われる。食いすぎても痛い目にあう。混乱のあまり泣き出すゆっくりもいた。そんなゆっくりも 僕は五寸釘でゴスンと打ち付ける。 「ゆぎゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「あんまりゆっくりしてるとおしおきだ。言っただろう?僕は“お腹が空いてる”って」 「どおじでえええ!!どおじだらい゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛!!??」 ゆっくりしすぎても、食べ過ぎても…五寸釘の餌食になる。でも、食べなければ生き残れない。 そんな挟みうちの状況は、ゆっくりたちの精神を確実に蝕んでいた。そうだ、これが見たかったんだ!! 皆が僕の作ったルールに従い、そして苦しむ。ただ潰すだけじゃない。精神的に苦しめなければ意味がない! 数十分後、生き残りは2匹のゆっくり―――まりさとれいむだけになっていた。そのうちれいむの方は 偶然にも僕が今まで飼っていた、あのゆっくりれいむだ。 2匹だけになると、本当にどうしたらいいのかわからなくなるのだろう。 ゆっくりした方が打ち抜かれるのか、食べたほうが打ち抜かれるのか。そんなことを空っぽの頭で考えるから、 2匹は混乱してしまってその場をうろうろし始めた。 「よし、もういいだろう」 「ゆっ!?ゆっくりだしてくれる?」 「ゆっくりたすけてくれるの!?」 僕は2匹のゆっくりを持ち上げて、柵から出る。もうあのまま放っておいても面白くなさそうなので、 別の方法をとることにする。 一本の紐を用意し、両端を2匹のゆっくりにくくりつけて、ぴんと真っ直ぐ伸ばして床に置く。 ちょうど、綱引きと同じ状態だ。そして紐の真ん中に僕は顔を近づける。 「僕は目の前に来たほうのゆっくりを食べることにしよう。 食べられたくなかったら、その紐を思い切り引っ張るんだ」 僕が大きく口を開けると、その意味を理解した2匹は正反対の方向に逃げ出す。しかし、紐に引っ張られて 離れることができない。2匹の力が拮抗しているから、ぴくりとも動かないのだ。 「ゆっ…ゆっ…まりさはゆっぐりしてね!!」 「ゆっ…ゆっ…れいむがゆっくりじてね!!」 自分が逃げ延びるために、ぴょんぴょん跳ねながら相手にゆっくりすることを要求する2匹。 横に逃げることも思いつかない馬鹿だから、きっと力尽きるまで紐を引っ張り続けるのだろうな。 僕はちょっと手を加えることにした。 「そーれ、お前のほうが美味しそうだな」 僅かに優勢だったまりさの方をひっぱる。それに伴って、れいむは同じ距離だけ離れていった。 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!まりざばおいじぐな゛い゛よ゛お゛お゛お゛!!」 「ゆっ…ゆっ…おにいさんありがとう!!ゆっくりしていってね!!」 ダメだこいつ…早く何とかしないと… 僕に助けられたと思ったれいむは、僕に感謝の言葉を告げる。3日間やさしくしてくれたおにいさんが 今回も自分の味方をしてくれたと思っているのだろう。本当に自分に都合のいい考えしか浮かばないやつだ。 そんなことをしているうちに、今度はれいむが優勢になり、まりさが僕の口に近づいてくる。すると… 「うーん、やっぱりれいむの方が美味しそうだな」 「ゆゆっーーー!!い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 れいむを自分のほうに引っ張り、まりさを遠ざけてやる。自分の努力が一瞬で水の泡になったれいむは、 絶望した表情を見せるがそれでも諦めずに跳ね続ける。 「おにいさん!!れいむをたべてゆっくりしていってね!!」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!だべないでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 数分の戦いの末、れいむが僕の口まであと数センチというところまで迫ってきた。 「おー、美味しそうな饅頭だな。いただきまーす」 「なんでええええええ!!!れいむおいじぐないよばお゛お゛あ゛お゛お゛!!!」 「おにいさん!!まりさといっしょにゆっくりしようね!!」 もう勝ちを確信したゆっくりまりさ。息も絶え絶えになり、愕然とした表情のゆっくりれいむ。そして… 僕は振り上げた拳を… 「ゆぎゅうううううあああああああお゛あ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 優勢だったゆっくりまりさに振り下ろした。ふてぶてしい表情が一瞬で歪む。 一気に押しつぶされたまりさは、体中至る所から饅頭をぶちまけながら…絶命した。 「おにいさん!!たすけてくれてありがとう!!ゆっくりしていってね!!」 残った最後の一匹。ゆっくりれいむが飛び跳ねながら僕に近づいてくる。僕の計画も、残り僅かだ。 生意気にも寄り添ってきたれいむを、僕はデコピンで弾き飛ばす。 「ゆゆっ!?なにするの!!ゆっくりあやまってね!!」 「…おい」 「ゆっ…!」 ドスの聞いた僕の声に、れいむは震え上がる。 「これ、食べろ」 指差したのは、ゆっくりまりさの残骸だ。それをみたれいむは、ガクガク震えながら… 「むりだよ!!そんなのたべられないよ!!」 「どうしてだ?お腹すいてるんだろう?」 「たべられないよ!!それはまりさだもん!!たべないよ!!」 こいつ…ついさっきまで30匹の共食い競争をしてたのを忘れたのか? その口についてる餡子は、いったい何だって言うんだ? 「いいから食べろ。10秒以内に食べないと……お前も食べちゃうよ♪」 「ゆゆーーーっ!!!??」 「数えるぞー。10…9…」 「ゆっ!!たべる!!たべるよ!!だかられいむをたべないでね!!」 10秒以内と言っても、ゆっくりの頭じゃ分かるまい。しかし、早く食べないと自分が食べられることは わかったらしい。 「むしゃ…むしゃ…さいんっ…こさ…いんっ」 餡子の脳みそで、さっきのルールを覚えてたのか。思わず笑いそうになった。 あー、腹筋に来る笑いだね、これは。でも残念、そんなれいむとももうお別れだ。 「7…6…5…」 「たんっ…じぇんとぅ…さいっ…ん…こさいんっ…たん…」 「……4321ゼロー!!はい時間切れー♪」 「ゆゆゆっーーーー!!?ぎゃああらお゛い゛お゛い゛あ゛え゛お゛り゛な゛お゛ろ゛い゛がじょれ!!!!」 3日間一緒にいた仲だからな、最後は一思いにぶちまけてやった。僕って優しいな。 こうして悪いゆっくりを虐待し続ければ、いつしか馬鹿なゆっくりたちも気づくだろう。 “悪いゆっくりだけが酷い目にあっている”と。ゆっくりたちに僕の存在を知らしめるんだ。そして… 「僕は新世界の神となる!」 …なーんちゃって。
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オレ設定に注意 ゆっくりゆうかの一生 人里より少し離れた場所には小さな花畑が存在している どれも色とりどりの花を咲かせ、それには精一杯生きようとする意志が感じられる そんな花畑にゆっくりが一匹、ひょこひょこと動いてる 緑髪をしたゆっくりゆうかだ ゆうかは花を育てて愛でる事で「ゆっくり」できる そのためかゆうか種は生まれて子ゆっくりまで育つと自分から土を弄り、花を育てようとする 彼女の父も母も姉もそうであった ゆうか種は基本的に単独でいる事を好み、群れになることを嫌うゆっくりだ 他のゆっくりはせっかく育てた花を食べてしまう上に 花も野菜も食べられるものはなんでも生えていると思っているためかゆうかはゆっくりが大嫌いであった 「ゆゆ!はながたくさんはえてるんだぜ!」「なかなかいいところなんだぜ!」「まりささまのゆっくりプレイスにするんだぜ!」 そして花畑にやってきたのはゆうかの大嫌いなゆっくり それもゲスまりさと呼ばれるまりさ種だ 本来まりさ種はスタンダートタイプを初めとしたれいむ種と同じく数多くの変種が存在する その中でも最も嫌われ、ドスすら手を焼くのがゲスまりさだ 自分が危なくなると裏切りは当たり前 家や食料を奪い、自分のものにしようとする窃盗 快楽を求めて無垢なゆっくりの強姦 自分が最も楽にゆっくりできるのようにする他のゆっくりにはない悪知恵 根拠無き自信で人間に立ち向かう無謀さ そして彼らは例外無く、その自信で自滅を繰り返し、何処かで新たなゲスが生まれていく まるで世界がそれを必要にしているように生まれるのだ 「ゆっくりおはなをたべるんだz「ゆっくりしね!!」ゆぷぁ!?」 元気よく咲いた花に近づき大きな口を開いて食べようとする しかしそれを邪魔したのはゆうかだ 基本的のゆっくりの中では身体能力に優れていても隙だらけになっているまりさを攻撃するのは簡単だ まともにゆうかのたいあたりを喰らったまりさは二回三回と引っくり返る 「ゆ゛ゆ゛!なんでまりささまのおしょくじをじゃまするんだぜ!」「くうきのよめないゆうかなんだぜ!」「おしおきがひつようなんだぜ!」 三匹のまりさは自分の食事を邪魔されて大変ご立腹のようだ しかし腹の中が煮え返っているのはまりさではなくゆうかでないことに気づかない 「いっかいはみのがしてやる…ゆっくりでてけ」 「なにいってるんだせ!ここはまりささまがみつけたゆっくれプレイスなんだせ!」 「はなをひとりじめするなんてゆっくりできないゆうかなんだせ!」 「ゆ!ゆ!ゆ!このゆうかはひとりでまりさたちにいどむきなの?ばかなの?しぬの?」 まったくの聞き耳持たず しかしそれを予測しているゆうかは驚きなど無い。むしろ自分勝手のゆっくりとして当然の反応だ 危機感能力を持つある程度賢いゆっくりならばすぐに謝って逃げていただろう しかしゲスまりさを初めとした能天気のゆっくりにはゆうかの怒りが気づかない 「…そう。ならゆっくりしね」 一匹のまりさの頬が噛み千切られた 「ゆ………?」 皮という壁を失ったまりさは内臓であり、血液であり、脳である餡子が漏れる 「ゆゆゆ…?」 それは一瞬の事。ゆっくりであるまりさにはそれは気づけない 「ゆ゛、あ゛ああ゛あ゛あ゛?!ばりさ゛さ゛まのぼっぺがあ゛あぁ゛ぁ゛?!!」 ようやく気づいた。痛みと餡子の漏れる恐怖にまりさは震えた 「い゛ばい゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!ばん゛ござんがも゛れ゛る゛ぅ゛!!」 頬の千切れる痛みと餡子の漏れる恐怖にのたうち回る その結果、傷を広げる状態になり、餡子は更に漏れる形になった 「ゆ゛びぃ゛、ゆびぃ゛…ぼぐも゛や゛っだな゛ぁ゛!」 すでにだぜ口調ではないまりさ。それはゲスまりさが余裕ではなく命の危険を示す証だ それを見逃すゆうかではない 「ゆっくりつぶれろ」 「ゆ゛ぶしっ!」 重量の乗せたゆうかの押しつぶしでまりさは原型を留めず潰れた 残るは二匹。しかしそれらはすでに逃げる準備を始めてる 「ゆっくりにげるんだぜ!」「ドスにたすけてもらうんだせ!」 自分の力では適わずと判断したまりさはドスに頼んでゆうかを殺してもらおうと考える ドスは優しい。人間の里で畑を荒らしても少々怒られるだけですぐに許してくれる 言い換えれば上に立つものとして優しすぎる馬鹿とも言えるがだからこそ利用しやすい 自分を被害者として伝えれば簡単にドスは信用し、ゆうかを殺しにかかるだろう だが、それはゆうかから逃げればの話である 「ゆっくりにがさない」 ゆうかは口内にあるキノコを噛み始め、力を収束させる そして口を大きく開くと一気に解き放つ! ゆうかの口から光線が発射されたそれは本来はドスのみが使えるドスパークだ しかし威力は人間でも黒炭にしかねないがゆうかのドスパークは火傷をする程度 それでも饅頭であるゆっくりに対しては十分の威力がある 「ゆ゛ぎあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?ま゛り゛ざざまの゛あ゛んよ゛があ゛ぁぁ゛ぁ゛」 「いたい゛ん゛だぜえ゛ぇ゛!あ゛る゛げな゛い゛ん゛だぜぇ゛ぇ゛ぇ゛!」 元々ゆうか種は足が遅いのが多い そこでゆうかは離れている敵に攻撃する手段が必要であった のうかりんの猟銃があるように、ゆうかの離れた敵に攻撃する手段はドスパークとなったのだ しかしこれには色々な説がある ドスの使うドスパークのオリジナルは本来、ゆうかの技である説があるのだがことの真相は不明である まりさの底部は火で焼かれたように黒焦げになっている ゆうかのドスパークは正確にまりさの足を狙い打ったのだ 底部を焼かれたゆっくりは二度と跳ねたり歩いたりすることが出来ない 野生のゆっくりだとそれは一生ゆっくりできないと言っていい 何せ天敵が多く、ちょっとした天候ですら簡単に死んでしまう。最悪群れごと全滅という脆弱さだ 足を焼かれる=死ぬという図式がゆっくりの中では常識なのだ 「ゆ゛っぐり゛み゛のみじでぼじいん゛たぜ!ま゛り゛さ゛はびっし゛にあ゛やばるん゛だぜ!」 「だずげでぐれ゛だらずっぎりもじであ゛げるんだぜ!お゛はな゛さ゛んも゛だぐざん゛たべでぶげるんだぜ!」 この期に及んで命乞いである。おお、ぶざまぶざま さり気無く厚かましいお願いをしているのはゲスたる由縁か ゆうかはゆっくりと底部を焼かれたまりさ達に近づく ニッコリと可愛らしい笑顔をまりさに向けるとまりさはほっとした 助けてくれると思ったのだろう。そんなわけない 「いいひめいをあげてゆっくりしね」 ゆうかは花を育て、他のゆっくりに敵対する習性を持つ そしてそれ以外にも捕らえたゆっくりを生かさず殺さず拷問して楽しむ習性がある ゆっくりふらんは獲物を嬲り殺すに似ているが、ゆうかの拷問はそれこそ死ぬ事が許されない 全ては己の快楽のために自分のつがいとなったゆうか以外のゆっくりですら虐めるのだ そこからまりさ達の地獄が始まった 皮を餡子が出ない範囲に齧り取られ、帽子をばらばらに噛み千切り、汚物塗れにされて捨てられ 眼球を抉られ空洞となった目に枝を突っ込まれて餡子をかき混ぜられ、金色の髪の毛の一本一本を抜き取られ 丁寧に、ちまちまと、それでいて永遠に続くであろう痛みは続き、まりさが苦しむ度にゆうかの笑い声が花畑に響いた ゆうかの拷問は長くて一週間は続く それはゆっくりの体力と精神が一週間しか持たないからだ まりさは三週間も続いた 三週間も続く拷問はもはやまりさとしての姿を留めていない もちもちとした皮は既にぼろぼろで所々餡子が洩れ、眼球のない目は何も映さず奥の餡子が見えるだけ さらさらとした髪の毛も既に数本しか生えていない。側から見れば波兵頭に見える 精神も完全に破壊されている 一匹のまりさは言葉がはっきりと喋れていない。「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ」と呻くだけである もう一匹は「ゆっくりしていってね!」としか言わなくなった ゆうかはこの二匹に飽きてきた ある程度の拷問をし、精神が壊れて反応を示さなくなったからだ ゆうかはこの二匹を花畑の近くに埋めた 埋葬ではない。花の肥料として使うからである 風が吹いた。花が風で揺れると同時に花の生えた地面が見える 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆ?」「わかわかわかわかわかるよよーよー??!」「ちんぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽう」「ゆ゛ぐりゆぐりゆぐり」 「くぎゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅゅ」「ととゆかいゆいはぁぁぁ??」「おはおはおはおななななさん」「ゆひひひひひ」 数多くのゆっくりが埋められていた これはゆうかの花畑を襲いゆっくりプレイスにしようとした群れの末路だ みな、ゆうかに拷問を受け、精神が壊された後に埋められ、そのままになっているのだ 中には既に物言わずの饅頭になっているゆっくりもいるがそれは幸せなほうだろう 拷問を受けず、精神も異常のない状態で埋められ、だんだんと生きたまま花の肥料になり、精神が壊されたものもいるのだ 花も育てられてゆっくりも虐められる ゆうかは「ゆっくり」していた とても「ゆっくり」していた 大嫌いなゆっくりを苦しめる事が出来てとても満足していた 再びこの花畑を求めて馬鹿なゆっくりはやってくるだろう そしてその度に虐め、嬲り、蔑む ゆうかは笑っていた とてもいい笑顔で それはゆっくりが「ゆっくり」をしている証拠であった 森にある洞窟 そこにはゆっくりの群れが住んでいる ただの群れではない。巨大饅頭であるドスが管理する群れだ ドスは悩んでいた 食料が足りないのだ 普通の群れなら足りるだろうがドスの管理下におかれた群れは爆発的にゆっくりの数が増えてしまう 命の危険が極端に減ってしまい、ドスが群れの数を管理しようとしても自分勝手のゆっくりは聞き耳持たず 勝手にすっきりをして大量の赤ゆっくりを実らせ産んでしまうのだ それを殺して数を揃えようにもドスは優しすぎた。むしろ群れが増えた事で喜んだ その結果、群れの数は増える一方で食料が森の食べ物だけでは足りないのだ 人間さんに頼んで食料を貰うべきか… しかしその考えは最後の手段だ 人間はゆっくりに険悪している 一部は愛で派もいるらしいがそれでも畑に被害を与え、 自己中心的の害虫であるゆっくりは人里にいるだけで殺されてしまうほどだ ドスなら人間に勝てるかもしれない しかしそれは一対一の条件でだ 数、知恵、力 人間に敵対するとゆっくりはゆっくりできなくなってしまう なぜなら人間はゆっくりにはない力を持っている。知恵も持っている 下手に刺激しては群れを壊滅させられる危険性もある どうしようか… ドスは悩んでいた。いっその事増えすぎたゆっくりを潰せばいいのにドスにはそれが出来なかった 以前、それを進言してきたゆっくりできないぱちゅりーを永遠にゆっくりできなくしてやった 仕方ない、ゆっくり食料を探すよ 考え付いたのは少し離れたところまでの食料探しだ 食料を探すチームと共にゆっくりと洞窟から出る ドスは洞窟の奥から指示を出したり巣に進入した外敵から群れのゆっくりを守ったりとする しかし今回は食料がチームだけでは集まらないのだ ドスの大きい体を生かした距離稼ぎとたくさんの食料を運ぶためにドス自ら食料集めに出たのだ ドスと食料チームは食べ物があるであろう道に進んだ そしてその行き先はゆうかの花畑であった 『すごい!たくさんお花さんがはえてるよ!!』「ゆっくりできるね、ドス!」「これでおちびちゃんのごはんがとれるんだぜ!」 ドスの辿り着いたのはたくさんの花が生えた花畑だ 美味しそうな花がたくさん生えている事にドスはとても喜んだ よかった。これでみんなとゆっくりできるよ 全ての花を集めても三日で消え去るだろうが餡子脳は目先の感動で気づかない 『みんな!ゆっくりお花さんを取って巣に運ぶよ!』 「わかったんだぜ、ドス」 「ゆっくりはやくすにはこぶよ!」 食料チームはドスの帽子から飛び降りると頬にたくさんの空気を詰める そうすると地面に落ちたとき、痛みがなく、ゆっくりと地面に付く事が出来る 「ゆっくりでてけ!」 ゆうかだ。おそらく花目当てのゆっくりがいる事を察したゆうかは土いじりをやめて急いで駆けつけたのだろう 『ゆ!ゆうかだね!ゆっくりしていってね!!』 「うるさい、ゆっくりはゆっくりでてけ!」 『ゆゆ!?ゆっくりできないゆうかだね!』 話が噛み合っていない ゆうかは早く帰って欲しかった ドスとの体格差の分、勝てないと判断したのだろう 『実はね、ドスの群れのご飯が少ないからお花さんを取ろうと思ってるの!』 「!はなはゆうかがそだてたんだ!ゆっくりにあげるはなはない!」 ドスの発言に怒りが支配する これは敵だ。花を害する敵だ 「ゆっくりはこぶんだぜ!」 「おはなさん、ゆっくりたべられてね!むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「だめだよ、れいむ!かってにたべちゃ!」 ドスとの口論の間にゆっくりと花が抜き取られ、食べれていく ゆうかはそれに気づくと口内のキノコを齧るとドスパークの準備に入る 「ゆっくりし『ゆっくり我慢してね!』ゆぶぅ!?」 ドスがゆうかの体を押しとめた 言っても聞かないゆうかがめんどくさくなり、このような強攻策に出たのだろう 「ゆ゛ゆ゛う゛!」 体が動かない。大きく重いドスの重量でゆうかの体はまったく身動きが取れなかった 口内にはドスパークのエネルギーが残っている 「ゆっくりしね!」 自分の乗っかかるドスに向けて発射した 『ゆゆ!ちょっと熱いよ!』 まりさの底部を黒焦げにしたゆうかのドスパーク しかしドスにはちょっと焦げ目を作る程度で終わったのだ 『本当にゆっくりできない子だね!お仕置きだよ!』 ドスはゆうかから離れると威力を抑えたたいあたりをゆうかにぶつける 体格の差があるゆうかとドスでは威力を抑えてもまるで人間に蹴られたようにぶっ飛んでいく 「ドスにさからうなんて…おお、おろかおろか」 「おはなさんをひとりじめするゆうかにはいいきみなんだぜ!」 「さすがドス!れいむにできないことをへいきにやってのける!そこにしびれるあこがれるぅ!」 数十分程時間が経っただろうか ドスはその間にゆうかに「お仕置き」を、チームは花を取っていく 花の下にいる埋もれたゆっくりはゆっくりに気づかないようだ 「ドス!おはなさんをぜんぶとったよ」 「ゆっくりすにもどるんだぜ!」 『ご苦労様!じゃあ、みんなでゆっくり帰ろうね!それとゆうかはちゃんと反省してね!』 ドスは大量の花とゆっくりを帽子に乗せるとゆっくりと洞窟に帰ろうとする 後に残されたのはぼろぼろになったゆうかとゆっくり達に荒らされた元花畑であった ゆうかの目には涙が浮かんでいた なんでこんな事になったんだろう 自分勝手に荒らすゆっくりを倒せず無様に返り討ちにされた その結果、大事に育てていた花は全て取られてしまった ゆうかの父も母もそうであった まだゆうかが幼い頃、ゆっくりの群れに両親の育てた花を荒らされ、数の暴力で強かった両親は殺されてしまった それからだ。ゆうかが極度にゆっくり嫌いになったのは ゆっくりをゆっくりできなくしてやる拷問に磨き上げ、ゆうかはその快楽に酔っていた 自分と両親をゆっくりできなくしてやったゆっくりをこの手でゆっくりできなくする ゆうかはだんだんと意識が薄れていった 脳裏に廻るは大好きな両親と生き別れになった姉 ゆうかの最後は「ゆっくり」する事無く、この世を去っていった (おわり) 今まで書いたもの のうかりんランド①、② ぺにぺに饅頭 あとがき 肉まんあんまん姉妹を書くと言いながらなに別のを書いてるの?馬鹿なの?死ぬの?作者は ごめんね、まじでごめんね 次回こそ書いてみせるよ! ここから↓は「ドスの行いにストレスでマッハ」な方のおまけです ゆうかが息を引き取って数分後、黒い翼を持つゆっくりがそれに近づいた 「…!なるほど、これは…」 そのゆっくりはゆっくり嫌いで有名な体つきのきめぇ丸だ 小ばかした顔にシェイクをしてゆっくりをゆっくりしてやらないきめぇ丸だがその顔は怒りに燃えていた きめぇ丸はゆうかが好きだった。それは愛しているという感情ではなく、友達という感覚に近いだろう ゆっくりをゆっくりできなくさせるその巧みにきめぇ丸はゆうかを尊敬してる部分があった 「いったい誰が…」 きめぇ丸は辺りを見回す 犯人は害虫饅頭であるゆっくりで確定してるきめぇ丸 だがゆっくりはそこらにいて犯人の特定は難しい しかし 「おお、ぶようじんぶようじん」 それは足跡だ 大きな袋で地面を擦りながら移動したそれはドスサイズだと判る 「おお、かたきうちかたきうち」 きめぇ丸はゆうかを抱きかかえると空高く飛ぶ 全ては友のため、害虫駆除をしなければ満足に逝けないだろう きめぇ丸の翼が羽ばたくとドスのいる住処に飛んでいった ゆうかがドスに襲撃されて三日の日が流れた ドスの群れでは食料不足になっていた ゆうかの花を食いつぶした挙句、またもや赤ちゃんを増やしたのだ 『ゆぅ…もう足りないよ』 「ドス!ごはんがないちちびちゃんがげんきでないんだぜ!」 「ごはんがほしいよ!れいむのおなかがぺこぺこだよ!」 もうドスの群れの周辺には食べられそうなのはほとんどない 増やして食べて増やして食べての結果である 全てはドスの決断力の無さが起きたことであった 『ゅぅ…人間さんに食料を分けてもらいにいくよ』 群れに衝撃が走る あれだけ人間は関わるべきでないと教えていたドスが人間に食料を分けてくると言ったのだ 「ドス!ドスはにんげんさんがゆっくりできないっていったよ!」 「そうだぜ!わざわざきけんをおかすひつようはないぜ!」 『でも、このままじゃ食べ物が足りないよ。大丈夫!人間さんも分かってくれるよ!!』 「ほう、ナニが分かってくれるんだ、糞饅頭」 自信たっぷりの答えに質問する声がした ゆっくり達は声のしたほうに振り向く そこには… 「に、に、にんげんだあぁぁぁ!」 人間がいた。しかし、それは唯の人間ではない ゆっくりを虐待し、それを生きがいとする男 その名も「虐待お兄さん」であった 「おにーしゃん、ゆっきゅりできゅりゅ?」 「おにーさん、ゆっくりしていってね!」 そして人間の怖さを知らぬ赤ゆっくりと子ゆっくりが近づいていく 人間が巣に来るのは予想外だったが子供達の可愛さに人間もメロメロだ 親ゆっくりは真剣にそう思っている。しかし、ドスは違った 『赤ちゃん、ゆっくりにげ』 「おらぁ!」ぶちゅべちゃぐちゅ お兄さんは踏み潰した。躊躇いも無く、踏み潰されたそれはただの饅頭となった 「ゆ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あかちゃんがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「ゆ゛ヴぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!な゛んでづぶぢじゃんの゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」 「んー、いい叫びだ。だがまだ足りないなぁ…」 お兄さんはいい感触のする赤ちゃんを踏み潰し、それを叫び、悲しむゆっくりに大変すっきりとしている しかしまだ足りない。極限まで虐待してからこそ満足できるのだ 『ゆ゛ゆ゛ゆ゛!お兄さん!赤ちゃんを殺した罪は重いよ!一人で来たのが間違いだったね!!ゆっくりし「別に一人じゃねーぞ」』 言葉を遮るお兄さん 広いドスの部屋から続々と人間が入ってくる そう、それはきめぇ丸はドスのいる地図が書かれた手紙をゆっくり虐待をする者に適当にばら撒きまくったのだ 何の因果から「ドスを虐められると聞いてやってきました」と外の世界からやってきたお兄さんもいる 村一番の虐待お兄さんがいた 初心者の虐待お兄さんがいた 虐待の真髄を極めた虐待お兄さんがいた 外の世界からやってきた虐待お兄さんがいた ゆっくり虐めに目覚めた虐待妖怪がいた 虐待する事で快感を覚える虐待お姉さんがいた 傷だらけの虐待お兄さんがいた 服を着ていないHENTAIお兄さんがいた 足技で虐待する虐待お兄さんがいた そして─── ゆっくりを虐待する事を日常とする虐待お兄さんがいた 「「「「「「「「「「「ヒャア!虐待だぁ!!」」」」」」」」」」」 世界から集う虐待お兄さんの虐待 ドスを含むゆっくりの悲鳴はすぐに上がり、それが止まる事はなかった 「おぉ、ゆっくりゆっくり」 きめぇ丸はゆっくりの来ない眺めのいい場所でゆうかを埋葬した そこには一輪の花が咲かせている 「おぉ、きれいきれい」 それはとても綺麗だった きめぇ丸は細い目で花を見つめると顔を上げ、空に飛び上がる。何処かに飛んでいった 姿がだんだん見えなくなるきめぇ丸に花は静かにきめぇ丸を見守っているように見えた (おわり) このSSに感想を付ける
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「…せッ!…せッ!…せッ!」 暗闇の中円周上に配置された篝火の光の中心には四方を杭に結わえ付けられたロープで囲まれた空間だけが浮かぶ 周囲をぼうっと篝火に照らされる空間を熱狂しながら凝視する人間の顔だけが浮き上がらっせ、その光景は太古の神を祀る儀式を思わせる 「殺せッ!殺せッ!殺せッ!」 老いも若きも男も女もが狂ったように同じ言葉を繰り返す 人々の視線の先には互いの肉を食み、血を啜り合いながら殺しあう2匹の獣 …ならぬゆっくりの姿があった 里の野外に特設された即席のリングの中には1匹のゆっくりまりさとゆっくりフランが向かい合っている ゆっくりまりさは目と口の部分に穴が開いた底部以外顔全体を覆う派手なマスクを被っており、 そのマスクのそこらかしこはフランに切り裂かれたのか無残にも体までにもその裂傷は達して致命傷ではない物の餡がポタリポタリと垂れて 大きくその体を伸縮させて息をついている 方やゆっくりフランは素顔で、顔に自分の傷から漏れた餡とまりさの餡で汚れながらも、 その目には狂気の色が宿り口を大きく開いてこびりつく餡をなめると笑みを浮かべた ルチャゆっくり 最近考案されたゆっくりを使った娯楽のひとつ、早い話がゆっくりを使った賭け格闘技である。 リングで戦うゆっくりはゆっくりドールと呼ばれ相手が戦意を失うか・気絶するまで行われる… しかしゆっくりは本来温厚で臆病な性格なので捕食種を除け自発的に戦うことはない だが、彼らやその親しい者の危機には勇敢に立ち向かうケースもある その事から人間が野生の比較的体格がいいゆっくりを見つけると家族や親友を攫いそれを人質として戦いに赴かせるのである 場合によっては無理やり子供を孕ませてそれを利用する 負けたり・無様な試合をすれば人質の命は主人の気分ひとつ次第 故に戦うゆっくり達に躊躇いはない ……常にガチ勝負且つゆっくり特有の肉体の脆弱さもあいまって死者は耐える事はない 死の恐怖に抗い勝ち続けるゆっくりにはマスクが与えられ、そして更に勝ちぬいたマスクゆっくりは自由を勝ち取る事ができる マスクは数多の同族の屍を踏み越えた強者の証、それを脱ぐ時は敗北を意味する マスクを剥がれたゆっくりはそのマスクを捨て新たにマスクを得るまで再び戦いを続けなくてはならない ゆっくりドールにとってマスクは頭の飾りや帽子以上の価値、命そのもの ゆっくり達にとっては語源のルチャリブレよろしく自由を勝ち取るための戦いであるのだ このまりさはルチャゆっくりでは現在一番人気の花形ゆっくりドール。 デビュー以来負け知らずで特に華麗な空中技に定評がある ルチャゆっくりの中では殿堂入り確実の生ける伝説ゆっくりドールである かたやフランのほうは中堅クラスであるものの高い戦闘力と凶暴性で最近のし上がって来た実力派、決して楽勝な相手とは言い難い 今現在餡子が漏れているマスクまりさは体力的にも長期戦は不利、しかしフランは警戒を奇襲し徐々にコーナーへ追い詰めて行く いくら手負いとてマスク持ちは百戦錬磨の猛者、迂闊な攻撃は仕掛けない辺りフランも並みのゆっくりドールではない マスクまりさがコーナーポストに背をつきの呼吸が乱れかと思うとと体を僅かに傾けるのを見るや雷のごとく飛び掛った 「ますくとられてゆっくりしね――ッ!」 だがマスクまりさは睨み付けたまま動かない。 コーナーに居る以上フランの突進を下手に回避しようとしても逃げれず、リング外に逃げようとしてもその隙に無防備な部分を晒すだけという事を知っている。 そしてコンマ一秒の世界のタイミングで避ける事を決意した マスクまりさは息一つすると極限まで集中する。 一つ息を吐くと空気を震わす観客の歓声がフッと消え、今まで気にならなかった生暖かい風の張り付く感触を感じ、 目の前に向けられたフランの鋭い牙がスローモーションビデオを見てるかのごとくゆっくりと近づく 5センチ... 3センチ... 2センチ... 1センチ... フランは勝利を確信していた 牙は確実に柔らかい皮膚を突き破り餡を抉った後奴は豚のような悲鳴を上げるだろうと カチン!! だがフラン確信とは裏腹に牙のぶつかる音だけが響いた 「うっ!?うーっ!?」 いつの間にか眼前のまりさは霞のごとく消えていた まりさの見せた隙はフェイクだったのだ 後悔したところでもう遅い 次の瞬間頭部に強烈な衝撃が走り地面に叩きつけられると目の前が餡で真っ黒に染まり何がおきたか理解できぬまま事切れた フランだったものから飛び出した餡子の山からムクりとマスクまりさが立ち上がる お互いの鎬を極限まで削る我慢比べにまりさは勝ったのだ ――すたーだすとればりぇ マスクまりさの得意技の一つ 敵の攻撃を極限までひきつけてコンマ一秒のタイミングで敵の頭上に飛び上がりそのまま全体重をかけて敵を地面に叩きつける その一連の動作は流星の如く華麗でそれ見た誰もが魅了される程の高難度の空中技 「ウィナーッ!エルゥ――ッマリィーサァ――!!」 審判が勝者の名前を告げると観客席からは悲鳴のような歓声と怒声が起き周囲に紙吹雪が舞った 「まりさー!よくやったぞ!」 一人の若い男がロープを潜りリングにうつ伏せに寝転がっているまりさの元へ駆け寄る 「おにー…さん…まりさ…がんば…たよ」 ずり落ちた帽子を力なく少しだけ挙げて顔半分をセコンドの男のほうに向けるとにこりと微笑んだ 「ああ…頑張ったとも!後10勝だ!!後10勝てばお前は自由になれるんだぞ」 「うん…でも…まり…さだめ…かも…」 「何言ってんだ怪我はたいした事ないぞ!休めばすぐ治るからな!」 男がまりさを優しく抱きかかえて顔を見るとハッとしたと表情を見せると途端に真っ青になった 何とまりさの左目を両瞼が縦にぱっくり切れ眼球から透明な液が漏れている すたーだすとればりぇを決める為に跳躍した際、満身創痍のまりさはタイミングが少し遅れたため運悪くフランの牙が目を掠ってしまったのだ 「もう…まりさは…あかちゃんのために…たたかえないの…?」 後10回とはいえ戦う相手はどれも強敵ぞろい、片目で戦うには余りにも手に負えなさ過ぎる さりとて傷が癒えても片目に慣れるまでまでじっくり休養する時間などまりさには与えられない 「あ…今すぐ治療するからな!だからじっとしてろ!!」 男はまりさをマスクを丁寧に脱がし、しっかりとまりさを抱えると揺れぬ様急ぎ足で幕舎の中へ入るとベッドにおろして くすり箱をひっくり返すと治療を施したが潰れた目はどうにもならなかった 「畜生…なんてことだ…」 男がまりさを見下ろして項垂れていると幕舎の中に恰幅のいい中年の男が不機嫌な顔をしながら入ってきた 「全く何てことだ!あれだけ投資してやったのにこれからって時にしくじるとはなぁ!!」 どうやらまりさの主人はこの人物らしい 「お…御館様、こいつは片目をやられだけです再起不能になった訳じゃないんです!あと十勝なんです!!どうか見捨てないでやってください!!!」 「饅頭ごときに情が移ったのか?動ける動けねぇじゃねぇよ!確実に勝てるようなじゃなきゃ駄目に決まってんだろうが! 怪我をしてもう使い物にならんなんて知れたら商品価値は無いも同然なんだよ!」 中年男は腕を組むと幕の中を言ったりきたりしながらブツブツと何かをつぶやている 「そうだ…コイツとかなことの試合を組もう。目は形だけ直しとけ、眼帯とか包帯はつけるな。 伝説の終焉って売り込みでコイツには華々しく最後の花道を飾らせてやろう!次の試合だ!わかったな!」 そう捲くし立てると中年男は近くにあった水瓶をけり倒してがっくりと崩れ落ちる若い男を尻目に出て行った ふかんぜんねんしょー 複数の重賞を勝利した競走馬達もその最後は決して安らかじゃないんだってね byおれまりさとかイワレタ人 このSSに感想を付ける