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「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「ゆ、あっちにおいしそうなたべものがあるよ!」 「たべようたべよう! まりさたちがみつけたんだからまりさたちのものだよ!」 「ちちちーーーーーんぽぉ!」 「わかるよ、みんなでたらふくたべるよー!」 ある暑い日の事。 4匹のゆっくり達が、近くに畑を見つけた。 ぴょんぴょんと飛び跳ねるその口元にはよだれが流れ、浅ましい表情を隠そうともしない。 彼らは、ゆっくり本人だけでしか理解出来ないだろう好き勝手な事を言い合い、人間が丹精込めて作った農作物を食い荒らそうとしていた。 害獣ゆっくりによる、いつも通りの光景。 このままだと、作物は全滅してしまうだろう。 だが、今回は少し様子が違っていた。 「ゆ!?」 「ゆゆゆっ!!?」 「ぢんぼ?」 「わがる!?」 いつも通りに畑に入り込み、勝手に作物を食い荒らそうとしていたゆっくり達。 だが、近くに置いてある、煙を出す小さな箱のそばを通り抜けようとした途端、白目を剥いて動きが止まる。 数分後。 「「「ゆっくりできないよぉぉぉぉ!!!」」」 プルプルと震えていたゆっくり達が、突然泣き叫びながら走り去っていった。 食欲旺盛なゆっくり達が、せっかくの『おいしいもの』を放置してまで逃げる光景は、極めて珍しいものだ。 では、ゆっくり達は、何故逃げ出したのか? 『ゆとり線香』 ――人里の某新聞、某季某月某日より抜粋 最近、ゆっくり駆除業者の手により『ゆとり線香』なるものが発明された。 名前の通りにゆっくりを撃退するための線香で、その煙は人間には無害であるがゆっくりにとっては恐ろしいほどの威力を誇る。 内容物については企業秘密との事だが、害獣が安全に退治出来るとなれば、極めて価値のあるものとして、今後、使用する農家は増えていくだろう。 また、無味無臭、無駄にゆっくりを殺害する事もなく、ただ追い払う事が出来るという点において、ゆっくり愛好家を含めた人里の住民から高い評価を得る事となった。 『ゆとり線香』は、ゆっくり退治の主役に躍り出たのである。 安全でクリーンなゆっくり退治の定番として、今後の『ゆとり線香』の発展を大いに期待したい。 「ゆ……ゆ……ゆ……」 「ゆぅ……ゆゆゆ……ゆ……」 「ぢんぼ……ぢ、ぢんぼぉ……」 「わからない……わからないよ……」 先ほど逃げ出したゆっくり達は、近くにあった洞窟でようやくゆっくり出来ていた。 全速力で走り続けたため、息も絶え絶え、汗がだらだらと流れ出てきている。 彼らは、あの後いくつかの『おいしいもの』があるゆっくりポイントを見て回ったが、まったくゆっくりする事もできず『いやなもの』から逃げ続けていた。 「どうしてゆっくりできないの……」 「あんな『いやなもの』ばっかりじゃ、どこでもゆっくりできないよ……」 「ちっちんぽ! さがすさがす! もっと『おいしいもの』さがす!」 「わからないよ、どこに『いやなもの』があるかわからないよー!」 洞窟の中にあったエサを食べて落ち着いた後、相談するゆっくり達。 どうやら、他のゆっくりの巣らしい。 この有り様を戻ってきたゆっくり達に見られたらケンカになる事は確実だが、そんな事はゆっくりの頭では想像できない様だ。 元々いたゆっくりの宝物と思われる物を噛み千切ったり引き裂いたりと、好き勝手に遊びながら、ロクに話しが進まない相談を続けていた。 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていっぺぇっ!?」」」 相談していたゆっくり達の後ろから、突然声が聞こえてきた。 彼らは相談を中断し、本能に従って挨拶を返す……と同時に、網が被せられた。 「おじさんたちだれ? これじゃゆっくりできないよ!」 「さっさとはなしてね!」 「ちっちちーんぽ!」 「わからない、わからないよー!」 網の中で暴れながら、口々に文句を言うゆっくり達。 だが、当たり前の様にゆっくりの言う事など男達は聞き入れない。 「4匹か……もうちょっと欲しい所だな」 「先輩、近くに5匹見つけましたー」 「よし、9匹いれば良いだろ。じゃあ帰るぞー」 網に入れられたゆっくり家族は「おうちにかえしてー!」「ゆっくりさせてー!」などと暴れているが、そんな事では網は破れない。 男達は、ゆっくり達の非難の声を完全に無視し、談笑しながらのんびりと歩いていった。 「ほれ、ついたぞー」 「ここならゆっくりして良いぞー」 「「「ゆぎゅっっっ!?」」」 とある工場の中に入った男達は、網を乱暴に投げ置いた。 柔らかいものが潰れるべちょっという音と同時にゆっくり達が悲鳴をあげたが、全員無事らしい。 すぐに立ち直ったゆっくり達は口々に文句を言い始め、一緒に連れて来られていたゆっくり一家は膨らんで怒りをあらわにした。 「おじさん! ゆっくりここからだしてよ!」 「ゆっくりできないひとはここからだしてからどっかいってね!」 「ちちちんぽー!」 「わからないよ! だしてよ!」 「「「ゆゆゆっ!」」」 「元気良いなーこいつら」 「これだけ元気なら、前のより少しはもつかもしれないな」 ゆっくりの怒りなど気にも留めず、何か話し合う男達。 その時、別の部屋から男がゆっくり一匹には少々大きい程度の箱を持ってきた。 「まぁ、落ち着いてこれでも見てみろや」 「ゆ? なにそれ、おいしいもの?」 「おいしいものはもらうけど、おじさんたちはゆっくりどっかいってね!」 「ちっちちんぽー!」 「わかるよ、わかるよー」 楽しそうに箱を眺めるゆっくり達。 だが、その箱の中身……『いやなもの』が判別できる様になった途端、ゆっくりとは思えない速さで飛び退り、悲鳴をあげた。 「「「やべでー!!! ぞれどっがやっでー!!!」」」 「だずげでー! まりざだげでもだずげでよぉぉぉ!!!」 「れいむも! れいむもにがじでー!!! ゆっぐりざぜであげるがら、おねがいぃぃぃ!!!」 「ぢぢぢぢんぼ! ぢんぼぉぉぉぉ!!!」 「わがらだい、わがらだいぃぃぃぃ!!!」 網の中で助けを求めつつも、僅かでも『いやなもの』から離れようとするゆっくり達。 盾にでもするつもりなのか、可能な限り縮んで他のゆっくりの後ろに隠れようとしている。 「まぁ、そう怯えるなよ……」 「ゆっ!? たすけてくれるの!? おにいさんありがとー! ゆっくりしていってね!!!」 「れいむだげずるい!!! まりざも、まりざもだずげで!!!」 「ぢぢぢんぼ! みょみょみょみょん!!!」 「わがらだい! れいむだげだずがるなんでわがらだいぃぃぃ!」 恐慌状態に陥っている網から、ちょうど前にいたゆっくりれいむを取り出す男。 れいむは助けられると思って無邪気に喜んでいるが、無論、男達にそんなつもりはなかった。 「ゆ♪ゆ♪おにいさんたち、ゆっくり……」 「ほれ」 「じで!?……ゆ、ゆ、ゆ……ゆぎゃあぁぁあ”あ”ぁぁぁあ”あ”ぁおげろろろろろ」 網から出されたと同時に男達に媚を売っていたゆっくりれいむだったが、箱に入れられた途端、凄まじい悲鳴をあげてアンコを吐き出し始めた。 他のゆっくり達は、自分じゃなくて良かったと安心しつつも、仲間の断末魔に怯えて何も言えずにガタガタと震えていた。 「ゆ……ゆ、ゆ……ゆぐ……」 「ゆ~♪ゆ、ゆゆ~♪」 ゆっくりれいむが箱に入れられてから10分ほど経った。 恐怖の10分を過ごしたゆっくり達の中には、恐怖のあまりおかしくなってしまったゆっくりや、体中のアンコを吐き出しきってしまったゆっくりなどもいて、数匹が減っていた。 アンコはおかしくなったゆっくりが食べてしまったが、もはやそれをとがめる気力はどのゆっくりにも残されていなかった。 当事者とも言うべきれいむは、体内のアンコを吐き出しきったのだろう。見る影もなく縮んでいた。 体中の不純物を吐き出しきっただろうれいむは、とても美味そうに見える。 だが、美味しく食べる事が目的ではない男達はため息をついた。 「まだ生きてるのか……結構もつな」 「線香は燃え尽きたみたいですね、これはダメみたいです」 「そうだな……じゃあ、今度はゆっくりれいむので試してみるか」 一人の男が、ゆっくりれいむを箱に押し潰す。 ぐちゃっと音がして、ゆっくりれいむはその生涯を終えた。 ゆっくり達は、仲間が目の前で殺されたというのに無反応である。先ほどまでの恐怖で、すでに精神がマヒしてしまった様だ。 うつろな目で、男達を眺めやっている。 そんなゆっくり達を尻目に、男達は箱に飛び散ったアンコをスプーンの様なものでかき集めていく。 大体集め終わったと思うと、今度は皮も潰し、細い、棒の様な形へとぐにぐにとアンコを固めていった。 その様子を見ていた3匹のゆっくり達の目から、涙が流れ出した。 先ほどまで共に行動していたれいむの末路に、体が勝手に反応しているのだろう。無言で、ただはらはらと涙を流し続けている。 大体固め終わったら、渦巻き型に形を整えていき、アンコまみれのリボンを端に置く。 これで準備は完了。 男達は、うつろな表情を浮かべているゆっくり達を、品定めする様な目で見つめた。 ――次はお前だ。 それぞれがそう言われた様な気がして、どうにか抵抗をしようとした3匹になったゆっくり達だったが、もう体に力が入らない。 「よし、じゃあ今度はゆっくりちぇんで試してみるか」 「…………」 「動かないな、こいつ……大丈夫なのか?」 「大丈夫っすよ、コレの威力は凄いですからね……火付けましたー」 「わがががががが!!! あ”がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 全くの無抵抗のまま引きずり上げられたちぇん。 箱に入れても全くの無反応で虚空を眺めていたが、リボンに火をつけた途端、ゆっくりれいむの様に絶叫とアンコを箱の中に撒き散らし始めた。 「……うふふふふふふふふふふふ」 「……みょみょみょみょみょみょん」 「あれ、なんかこいつら笑い出しましたぞ」 「別に良いんじゃないっすか? 線香の効果に変わりはないワケですし……」 「そうだな」 ――もういい、もうゆっくりしたい。 4匹だったゆっくり達は、同時に意識を手放した。 『ゆとり線香』が、ゆっくりの死がいと飾りで作られている事を知っているのは、実際に加工に携わっている者と、ゆっくりだけである。 口の滑る人がいない限り、今後もずっと、その秘密は守られるだろう。 ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。 何となく、収拾が付かなくなると飾りに頼る傾向が出てきた気がします……精進せねば。 by319 PS.拙作『頭と普通の魔法使い』ですが『普通の饅頭と普通の魔法使い』が正式なタイトルです。 お暇な方、よろしければ直していただけませんか?
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※ゆっくりが普通に現代社会にいる変な世界観です。 ※同作者の現代社会ものとは大体世界観を共有していますが時々矛盾が生じています。 ※作中で矛盾していることも多々あるので細かいことは気にしないでください。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、社会にある程度浸透した以上、人間の真似事をさせて間違った可愛がり方をする輩がいるのもある意味では必然であった。 ~ゆっくりのことはゆっくりに~ そんな信念の下に設立されたのがこのゆっくりのためだけの学校だ。 学校とは言うものの、寿命も能力も根本的に異なる以上、人間のように何年も通い続けるわけには行かない。 だから、1週間ほど施設に泊り込んで飼いゆっくりにゆっくりとしての教育を施すことがこの学校の目的となっている。 今回のカリキュラムは記念すべき第1回目。 それだけに教師陣のゆっくり達も気合十分。きらきらと瞳を輝かせて生徒達がやってくるのを心待ちにしていた。 「れいむぅ!どんなこたちがくるのかな?」 「ゆっ!きっとみんなゆっくりできるかわいいこだよ!」 小さな、とは言ってもゆっくりには十分すぎるほど大きな学校のグラウンドで人目もはばからずにいちゃいちゃする2匹。 一方は平均的な大きさのゆっくりまりさで、もう一方もこれまた平均的な大きさのゆっくりれいむだ。 「ひ、ひるまからあおかんだなんて・・・いなかものね!?」 「むきゅ~・・・なにもしてないのにあおかんとかいうのはとかいはなの?」 「ありすはへんたいなんだねー、わかるよー」 「ゆゆっ!あ、ありすはゆっくりしたとかいはなれでぃーよ!」 人目をはばからないれいむ達の横でそんなやり取りをしているのはありすにぱちゅりーにちぇん。 ここにいる5匹のゆっくりが子ども達を見守るゆっくりの学校の教師達だった。 午前9時、カリキュラムの最初のイベント『校長先生のお話』の時間。 運動場には飼い主や親に連れられてやって来た30匹あまりの子ゆっくりと先ほどの教師達。 壇上では校長先生ことゆっくりゆかり、通称ゆっかりんがふんぞり返っていた。 「いまからこうちょうせんせいのおはなしだよ!」 「みんな、ゆっくりしずかにきいてね!」 先生達は運動場で沢山の同年代に囲まれて浮かれている子ども達を諭すが、子ども達の耳には全く届いていない。 あるものは近くにいた子とおしゃべりを始め、またあるものは運動場で仲間と遊び始めてしまった。 先生達がその場を何とか収めようにも流石に子ども相手でも30匹も居るとなると一苦労。 どれだけ「ゆっくりおはなしをきいてね!」と叫んだところで一向に事態が終息する気配を見せない。 そうこうしているうちに子ども達の世話をするはずのれいむが「どほぢでいうごどぎいでぐれないのおおおお!?」と泣き出してしまった。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 運動場に響き渡るひときわ大きな声の主は校長先生。 児童達や他の先生達もゆっくりの本能に従って「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」と返す。 返事が返ってきたのを確認したところでゆっかりん校長は話を始めた。 「ここはゆっくりするばしょじゃないよ!ゆっくりしたゆっくりにゆっくりなるためのばしょだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「「「「そうだよ!ゆっくりりかいしてね!」」」」」 「「「「「「「「「「ゆゆっ!ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 本当に理解できたのかいささか怪しいところだが、とにかくこうして1週間の学校生活が始まった。 1日目はれいむ先生によるお歌の練習の日。 「みんな、おうたさんはみんながゆっくりするのにとってもだいじなんだよ!」 「だかられいむといっしょにゆっくりおうたのれんしゅうをしようね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちれんしゅうしゅるよ!」」」」」」」」」」 子ゆっくり達の元気の良い返事を聞いたれいむ先生は早速自慢の歌声を披露し始める。 人間にしてみればリズムも音程もあったものではないような歌声なのだが、子ゆっくり達はその歌声に聴き惚れていた。 「ゆ~♪ゆ~ん、ゆ~~ゆぅ~♪ゆん~~~ぅゆ~ゆ~♪」 「ゆゆっ!せんせー、すごくゆっくちしたおうただよ!」 「ゆぅ~♪ゆ~ん・・・ゆっ!みんなもいっしょにうたってね!」 不思議なものでこの場に居るゆっくりの大半は人間に飼われており、大抵のものはゆっくりよりも人間の歌のほうが優れていることを認めている。 つまりは人間と同じ評価基準を持っていることは紛れもない事実なのだが、どうやら「ゆっくりとしての上手さ」というまったく別の評価基準を持っているらしく、 1匹たりとも「おねーさんのほうがじょうずだよ!」などと言い出すものは居なかった。もちろん、空気を読んだわけでは断じてない。 「「ゆ~ゅ~ゆぅぅぅうう~ん♪」」 「ゆ~~~~~ゆぁ~~~~~~ゆぅ~~~~♪」 「ゆっ♪ゆ~♪ゆゆゆゆゆゆゆ~♪」 「「ゆ~~♪ゆゆゆ~♪ゆ~ゆゆ~♪ゆ~ゆゆ~ゆ~♪」」 「ゆゆゆ~♪ゆゆゆ~♪ゆゆゆっゆ~♪ゆゆゆっゆ~♪ゆゆゆゆ~♪」 先生に促された子ども達も一緒に歌い始める。 一緒に、と言っても自分たちの思い思いの歌を好き勝手に謳っているだけなのだが当人らは楽しそうだ。 そうして、思い思いのメロディーを口ずさんだゆっくり達は歌い終えると満足げな笑みを浮かべた。 何かをやり遂げたもの特有のどこか誇らしげで、非常に輝かしい表情だ。 「ゆ~っ!とってもゆっくちできたよ!」 「「「ゆっくちできたよ!」」」 「もっとゆっくちおうたうたうよ!」 皆で歌ったのがよほど楽しかったのか、子ゆっくり達はもっと歌いたいと主張しながら飛び跳ねている。 が、れいむ先生は「おうたはあとでもっとゆっくりうたうから、せんせーのはなしをゆっくりきいてね!」と言って子ども達を静かにさせる。 それから、ゆっくりにしては真剣な面持ちで子ども達に語りかける。 「れいむたちのゆっくりしたうたごえはね・・・てんしさんのうたごえなんだよ!」 「ゆぅ、てんししゃんの?てんししゃんってなに?ゆっくちできるもの?」 「てんしさんはね、いいこをゆっくりできるばしょにつれていってくれるゆっくりしたものだよ!」 「「とってもゆっくちできるんだね!」」 「れいむたちはね、にんげんさんのてんしなんだよ!いつもゆっくりしていないにんげんさんをゆっくりさせてあげられるんだよ!」 「ゆゆーっ!れいむたちはしゅごいんだね!」 「すごくゆっくちちてるんだね!」 妙に自信満々に「自分たちは人間をゆっくりさせてあげるために舞い降り天使だ」と力説するれいむ先生。 その意味をどれほど理解できているかは怪しいところだが、ここに居る子ゆっくりの大半は飼い主が大好きな飼いゆっくりだ。 みんな、自分が飼い主をゆっくりさせてあげられると思うと嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねながら微笑んでいる。 そんな子ども達を諌めながられいむ先生は更に続ける。 「でもね、にんげんさんたちだけがゆっくりするのはずるいよね?」 「ゆゆっ!まりしゃたちもゆっくちちたいよ!」 「だからね、にんげんさんにたべものかおかねさんをおねだりするんだよ!」 「おかねってなに?ゆっくちできるもの?」 「おかねさんはね、おいしいおかしをたくさんかえるんだよ!」 「ゆーっ!おかし!おかしっ!」 「れいむたちにゆっくりさせてもらったにんげんさんからはたべものかおかねをもらうんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「「「「「「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」」」」」」」 虐待界隈の人たちが聞いたら「ひゃあ、我慢できねェ!」を通り越して発狂しそうなれいむ先生の言葉をしっかりと心に刻む子ども達。 それから2,3度「お歌でゆっくりさせてあげたにんげんさんからおかねをもらおうね!」と復唱し、また皆で楽しくお歌を歌った。 お歌の授業は約2時間ほど続き、それが終ったところで今日の授業は終了。子ども達は仲良くなった子と一緒に遊び始めた。 昼食を食べ、遊い、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べ、夜更かしし、眠くなったら寝て・・・1日目が無事終了した。 2日目は朝の9時からまりさ先生によるご挨拶の練習の日。 「みんなごあいさつのしかたはしってるかな?」 「「「ゆゆっ!とうぜんだよ!」」」 「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」 「「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」」 まりさ先生の簡単すぎる質問にみんなで声を揃えて答える子ゆっくり。 元気いっぱいの子ども達の様子にまりさ先生はうんうんと頷くき、それからまじめな表情で語りだした。 「そうだね!ゆっくりしていってね、だよ!でも、みんなのそれじゃまだまだだよ!」 「ゆっ!まりさのゆっくりしていってねのどこがだめなんだぜ?」 「そーよ!ありすのゆっくりしていってねはすごくとかいはよ!」 「じゃあ、そこのありすとまりさ、まえにでてゆっくりしていってねっていってみてね!」 「「ゆっくりりかいしたよ!」」 2匹は意気揚々と子ゆっくり達の前、まりさ先生の隣に行くと思いっきり息を吸い・・・ 「「ゆっ・・・「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」」」」 元気いっぱいに「ゆっくりしていってね!」と挨拶をしたが、まりさ先生の挨拶によってかき消されてしまった。 それだけじゃない。まりさ先生は挨拶するときに満面の笑みを浮かべて可愛らしくぴょ~ん!と跳躍した。 隣にいた子ありすと子まりさはたった1回の実演で圧倒的な実力差を思い知らされた。 子まりさも子ありすも大きな声で挨拶する事にこだわり過ぎた為に、そのときの表情がゆっくりしていなかったのだ。 それに比べてまりさ先生のはどうだろうか? とても聞き取りやすい元気な声に、ゆっくりした表情、とても活力に満ち溢れてゆっくりした跳躍・・・全てが完璧だった。 「ゆゆっ!せんせーしゅごいぜ!」 「とってもとかいはだわ!」 「ゆっへん!みんなもがんばればすぐにまりさみたいになれるよ!」 「「「「「ゆっくちがんばりゅよ!」」」」」 まりさ先生の言葉に元気良く返事する子ゆっくり達。 とってもゆっくりした挨拶をするかっこいいまりさ先生に皆メロメロだった。 そこにいる誰もが同じことを思っていた・・・先生みたいになりたい、と。 「まずはぴょ~んぴょ~ん、だよ!まりさといっしょにゆっくりはねてね!」 「「「「ぴょ~んぴょ~ん!」」」」 「「「ぴよ~んぴよ~ん!」」」 「「「ぴょんぴょん、だよ!」」」 先生に倣ってぽよんぽよんと跳ね回る子ゆっくり達。 その真剣な姿につられて先生の指導にも熱が入る。 「さあ、もっとだよ!ぴょ~んぴょ~んぴょ~ん!」 「「「「ぴょ~んぴょ~んぴょ~ん!」」」」 「「「ぴよ~んぴよ~んぴよ~ん!」」」 「「ぴょんぴょんぴょん、だよ!」」 「つかれたよ!ゆっくちやしゅむよ!」 ちょっと疲れた子どもは休憩したりするが、まりさ先生は自主性を尊重しているらしく何も言わない。 そうこうしているうちにまりさ先生にも疲れの色が見えてきて、彼女が飽きたタイミングで跳躍の練習が終った。 「つぎはえがおであいさつするれんしゅうだよ!みんな、ゆっくりがんばってね!」 「「「「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」」」」 子ゆっくりの元気の良い返事を聞いたまりさ先生はにっこりと微笑むと、元気良く声を張り上げた。 「ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「「ゆ っ く ち ち て い っ て ね !!」」」」」」 「ゆ、ゆっくちちていってね・・・」 「ゆゆっ!ぱちゅりー、おこえがちいさいよ!」 まりさ先生の言うことを聞かずに小さな声で挨拶をする子が1匹。 その子はゆっくりぱちゅりーで、注意された途端「むきゅ~~~ん」と泣き出してしまった。 「どうしておおきなこえをださないの?せんせーにゆっくりおしえてね!」 だが、まりさ先生は優しい先生だ。 言うことを聞かないからと、頭ごなしに怒鳴りつけたりはしない。 先生の優しさに触れたぱちゅりーはもそもそと話し始めた。 「おねーさんのおうち・・・あぱーとなの。だからね、おおきなこえをだしゅとおこられちゃうの・・・むきゅぅ」 「ゆゆっ!それはおねーさんのかんちがいだよ!」 「むきゅぅ、しょうなの?」 「きのうれいむにきいたでしょ?まりさたたいはねぇ・・・にんげんさんたちをゆっくりさせてあげるてんしさんなんだよ!」 「むきゅ~?」 「だったらまりさたちがげんきじゃなかったらぱちゅりーのおねーさんはゆっくりできないでしょ!」 「むきゅ!さすがせんせいだわ!」 「ゆっくりりかいしたら、おねーさんのためにもいっしょにごあいさつのれんしゅうだよ!ゆ っ く り し て い っ て ね !!」 「「「「「ゆ っ く ち ち て い っ て ね !!」」」」」」 まりさの言葉のおかげで元気になったぱちゅりーは皆と一緒に笑顔でご挨拶の練習を続けた。 それからもまりさ先生の授業は続き12時くらいに終了した。 それから、子ゆっくり達は昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べ、疲れていたので早めに寝た。 3日目はぱちゅりー先生と一緒にお勉強する日。 「むきゅ~、きょうはみんなでおべんきょうよ!」 「おべんきょうなんてゆっくちできないんだぜ!」 「「「「ゆっくちできないよ!」」」」 「む、むきゅ~・・・」 マッハで出鼻をくじかれたぱちゅりー先生、しょんぼり。 彼女の話を聞こうとしているのは最前列に陣取った同じぱちゅりー種だけで、他の子ゆっくり達は近くの仲間と遊び始めてしまった。 が、まがりなりにも彼女だって先生だ。こんなことでへこたれては居られない。 「むっきゅ~!おべんきょうしないとゆっくりできなくなっちゃうわ!」 「「「ゆゆっ!?」」」 「「ゆっくちできないの!?」」 「「「ゆっぐちぢだいよぉ・・・?!」」」 機転を利かせての「ゆっくり出来なくなる」発言は子ども達の心を十分以上に捕えたらしい。 友達と遊んでいた他のゆっくり達もすぐさまぱちゅりーのほうに向き直り、話を聞く体勢になった。 「むきゅ~・・・だいじょうぶよ!せんせいのおはなしをきくこはゆっくりできるわ!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりおはなちをきくよ」」」」」 「みんなとってもゆっくりしてるわ!ぱちゅりーがおしえるのはかずのかぞえかたよ!」 「ゆゆっ!かずなんてかんたんだよ!いち、にー、しゃん、たくしゃんだよ!」 別にお約束のボケをかましたわけではない。ゆっくりの知能はせいぜいこんなものなのだ。 「むきゅ~・・・もりのなかでゆっくりするならそれでもいいけど、にんげんといっしょにくらすのにそれじゃだめよ!」 「「ゆぅ?どうちて、ダメなの?」」 「「「「かずなんてかじょえなくてもゆっくちできるよ?」」」」 「むきゅ!かずをかぞえられないとおしごとやこそだてでこまるのよ!おおきくなってからゆっくりできないのよ!」 「ゆぅ、どういうことなの?ゆっくちおちえてね!」 「にんげんのなかにはゆっくりできないひとがいるから、かずをかぞえられないとだまされてゆっくりできないのよ!」 最も数を数えられたところで時蕎麦程度の引っ掛けで簡単に騙されてしまうのだが、そこまでは頭が回らないらしい。 それに数を数えられる程度では大した効果もないのだが、その辺にも頭が回っていない・・・というか人間の知能をきちんと理解出来ていないようだ。 それでもぱちゅりー先生は妙に自信満々といった風な笑みを浮かべて、ふふんと偉そうに胸を張って話を続ける。 「せんせーもだまされそうになったことがあるのよ!おかしさんをごまいくれるっていったのによんまいしかくれなかったのよ!」 「「「ゆぅ、ごまいとよんまいってどっちがおおいの?」」」 「ごまいよ!」 「「ゆゆっ!ちょっとしかくれないなんてひどいよ!?ゆっくちできないね、ぷんぷん!」」 「「かわいいまりしゃたちをだますだなんて、ちんじられないぜ!」」 「でもぱちゅりーはかずをかぞえられたからだまされなかったわ!」 おおっー!と子ゆっくり達から歓声が上がる。彼女達の目には強くて大きくて賢い人間相手に対等以上に渡り合ったぱちゅりー先生への敬意が宿っていた。 もっとも、実際のところは相手が飼い主で、たまたまぱちゅりーに数の大小が理解できるのかを調べていただけなのだが。 が、そんなことは露ほども知らない子ゆっくりとぱちゅりー先生は上機嫌で授業を続ける。 「せんせいにつづいてじゅうまでのかずをかぞえるよ!」 「「「「ゆっくちりかいちたよ!」」」」 その後、1から10までの数字の発音の練習をし、何度か暗唱して、とりあえず全員が5まで数えられるようになったところで終業の時間になった。 子ゆっくり達は昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝をし、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、眠くなったら眠り、3日目も無事終了した。 4日目はゆっかりん校長と一旦お休みしてゆっくりする日。 事実上、寝泊りするための場所でしかない校舎に集まった子ゆっくりと先生たちは皆ゆっくりとしていた。 「ゆぅ~ん、ゆっかりしてるわぁ~・・・」 「まりさぁ~、きょうはいっしょにゆっくりしようね!」 「ゆっくりしようね~♪」 「せっそうなくいちゃいちゃして・・・いなかものね!?」 「しっとだねー、わかるよー」 「むきゅ~・・・こどもたちもゆっくりしてるわ~」 校舎の隅っこに待機して、いつでもどこでも子ども達を見守っている先生達。 一方、先生に見守られている子ども達は非常にゆっくりとした様子で仲間達とじゃれあっている。 「ゆゆっ!つぎはれいむがおにしゃんだよ!」 「ゆぅ~!ゆっくちつかまえるよ!」 「「ゆっくちにげるよ!」」 一番やんちゃで、活発なグループは鬼ごっこをしていた。 そのグループのリーダー格のまりさにタッチされたれいむが鬼になり、今度は仲間達を追い掛け回す。 「ゆーっ!きれいなおはなさんだ!」 「ゆふふっ!さっきおそとでみつけてきたのよ!」 「すごくとかいはね!」 「むきゅ~、とってもゆっくりできるわ!」 「ち~っんぽ!」 こっちのグループのリーダー格はありすで、皆して彼女の持ってきたお花を眺めていた。 どうやらこの集団には共通して女性的とされる気質があるらしく、子ども達の目はきらきらと輝いている。 やがて、誰とはなしに「おっはなさん♪お~は~なさんっ♪」と歌い始め、気がつけば皆で合唱していた。 「むきゅ~・・・せんせー、ぱちゅりーもっとべんきょうちたいわ」 「ちぇんもべんきょうちたいんだよー」 「ありすももっととかいはになりたいわ!」 「むきゅ~、せんせーゆっくちおべんきょうをおしえてね!」 そんな事を言いながらぱちゅりー先生に群がっているのはぱちゅりーを筆頭にしたお勉強好きのグループ。 しかし、先生は彼女達をなだめると、にっこり微笑んで諭した。 「むきゅ、ゆっくりするのもだいじなおべんきょうよ!」 「「「ゆぅ?」」」 「かしこくないとわるいにんげんさんにだまされるわ!でも、ゆっくりしてないといいにんげんさんをゆっくりさせてあげられないでしょ?」 「「ゆゆっ!」」 何も大した事は言っていないのだが、子ゆっくり達は感銘を受けたといわんばかりの表情を浮かべる。 口々に「せんせーはとってもゆっくちちてるね!」と彼女を褒め称え、それから「ゆっくりゆっくりのおべんきょうするよ」と言って仲間同士で遊び始めた。 「みんな、ゆっくりしてるかしら?」 「「「「「「「「「「とってもゆっくりしてるよ!」」」」」」」」」 「「「「「「せんせーたちもゆっくりしていってね!」」」」」」 そんな風にゆっくりしている子ども達を眺めているだけでゆっかりん校長や先生たちは幸せな気分になった。 子ども達も優しい先生たちに見守られながら思いっきり仲間達と遊んだ。 それからお菓子を食べ、遊び、昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 5日目はありす先生からお食事のマナーを学ぶ日。 「きょうはありすせんせいがとかいはのたべかたをおしえてあげるわ!」 「ゆゆっ!ありすはとっくにとかいはよ!」 「ゆふんっ、じゃあここでこのおかしをたべてみてね!」 先生の指示に従って、1匹のありすが他の子ゆっくり達の前で都会派の食事を実演する。 食事中は喋らないように、食べ物を撒き散らさないように、決してがっつかず落ち着いて一口一口咀嚼する。 彼女の食べ方は床を汚さない理想的な食べ方だった。が・・・ 「ちがうわ!そんなのとかいはのたべかたじゃないわ!」 「ゆゆっ!?そんなことないよ!おねーしゃんがとかいはだっでいっでだもん!」 いきなり自分の食べ方を全否定されて涙目になる子ありす。 ありす先生はそんな彼女ににっこりと微笑みながら、慰めるように頬ずりをし、それから話を始めた。 「きっとみんなもこんなふうにたべろっていわれてるとおもうわ!」 「ゆかをよごすからきりぇーにたべなさいっておにーさんがいってたよ!」 「そんなんじゃだめなのよ!そんなのゆっくりしていなくていなかものなのよ!」 「「「ゆゆっ!?」」」 今までの常識を覆すような発言に驚愕する子ゆっくり達。 ありす先生は彼女達の驚きの表情を伺いながら少し得意げに話を続ける。 「だってそうでしょ?にんげんがたべものをこぼさないのはてがあるからなのよ!」 「で、でもれいむたちもこぼさずにゆっくちたべられるよ!」 「だけど、それはほんとにゆっくりしているのかしら?」 「「「ゆゆっ!?」」」 思い当たる節があったのだろう。またしても子ども達は驚愕の表情を浮かべる。 「それにむーしゃむーしゃ、しあわせ~っていわないようにたべてしあわせなの?」 「「「「ゆゆゆっ!?」」」」 「ゆぅ・・・まりしゃほんとうはうめぇ、めっちゃうめぇっていいながらたべたいよおおおお!ゆええええん!」 「「れいむもちあわせ~したいよおおおおおお!」」 「「ありすもとかいはなちあわせ~がちたいわ!」」 今まで我慢してきた気持ちが溢れ出し、子ども達は泣き出してしまう。 そしてアリス先生は子ども達が泣き止むまで笑みをたたえながら、その様子を見守っていた。 「「「「「「ゆっぐ・・・ゆっぐ」」」」」」 「みんな、もうなきやんだね?じゃあ、せんせいといっしょにむーしゃむーしゃ、しあわせ~しようね!」 そう言いながらありす先生は子ども達にビスケットを配ってゆく。 途中、1匹のぱちゅりーが「でも、おうちじゃちあわせ~できないよぉ」というのを聞くと、子ども達にこう言ってのけた。 「にんげんさんはたべちらかすなっていうけど、そんなのむしすればいいんだよ!」 「「「「「ゆゆっ!」」」」」 「で、でもぉ・・・そんなことしたらおこられるよ!ゆっくちできないよ!?」 「ゆふふっ、だいじょうぶよ!ありすたちはとってもかわいいんだよ!」 「ゆぅ?」 「しあわせ~してるありすたちのゆっくりしたかわいいすがたをみたらにんげんさんはめろめろなんだよ!」 「「「「ゆゆっ!?」」」」 「だからおかたづけくらいよろこんでしてくれるよ!だって、にんげんさんはありすたちをゆっくりさせるためにいるんだよ!」 「「「「ゆゆゆゆゆっ!?」」」」 その言葉を聞いた子ゆっくりはにこにこと笑みを浮かべるようになり、「じゃあ、おうちでもたいわせ~できるんだね!」と大喜び。 あるものはぴょんぴょん飛び跳ね、中には「ちあわせ~できるなんてちあわせ~」と泣き出すものまでいた。 「それじゃあ、みんな!いっしょにしあわせ~しようね!・・・むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「「「「「むーしゃむーしゃ、ちあわせ~!」」」」」 「「「「うっめ、これめっちゃうめぇ!」」」」 くちゃくちゃ、がつがつと音を立てながらありす先生と子ゆっくり達はゆっくりビスケットを食べた。 そうして、皆がしあわせ~な食べ方をきちんと習得した頃にちょうど就業のベルが鳴った。 それから遊び、昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 6日目はちぇん先生と一緒に狩りの練習をする日。 「みんなー、だんごむしさんをうんどうじょうにまいたからさがしてつかまえてみてね!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 ちぇん先生の指示に従って元気良く運動場に飛び出す子ゆっくり達。 石をのけたり、木の裏側に回り込んだり、雑草を引き抜いたりしながら必死になってダンゴ虫を探している。 運動神経の良いまりさ種とちぇん種はあっという間にダンゴ虫を見つけては、先生に見せにやってくる。 続いてやや鈍いれいむ種と都会派意識のせいか汚れるのを嫌がるありす種がちらほら成果の報告にやってきた。 が、非常に体の弱いぱちゅりー種は途中で力尽きてしまい、先生の傍で休んでいた。 今のところダンゴ虫を捕まえたぱちゅりー種は1匹もいない。 「どうしてだれもつかまえられないの、わからないよー」 「む、むぎゅぅ・・・だんごむしさんをみつけるまでにつかれちゃうのぉ・・・」 「だんごむしさんがはやくておいつけないよぉ・・・」 「だったらおともだちにきょうりょくしてもらえばいいんだよー」 「「むきゅ!?」」 その発想はなかったわといわんばかりに目を見開いたぱちゅりー達は早速友達に声をかけてダンゴ虫狩りに再出発した。 そして、友達の協力のによってあっという間にダンゴ虫を捕まえてみせた。 それどころか、ぱちゅりーがダンゴ虫のいそうな場所を教え、あらかじめ逃げ道を塞ぐことで他の子ゆっくりも効率よくダンゴ虫を集めることが出来た。 「ゆゆっ!せんせー!いっぱいとれたよ!」 「「「ゆっくちいっぱいあつめたよ!」」」 「むきゅ~・・・みんなのおかげでむしさんをとれたわ!」 「ゆっくりありがと~」 「まりさもぱちゅりーのおかげでいっぱいとれたんだぜ!」 それからも先生の指導を受けながらダンゴ虫を集めた子ども達は達成感に包まれながら満足げな笑みを浮かべている。 予想以上の成果を上げた子ども達の笑顔を見守るちぇん先生もまた満足げな笑みを浮かべ、彼女達の話しかけた。 「おうちにかえってもむしさんをみつけたらちゃんとつかまえるんだよ!」 「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」 「にんげんさんはむしさんがきらいだからむしさんをつかまえてあげたらよろこぶよー!」 「「「「ゆゆっ!よろこぶの?ごほうびもらえるの!?」」」」 「ごほうびじゃないよー!みつぎものだよー!」 「「「「みつぎものぉ?」」」」 「ごほうびよりずっとゆっくりできるものだよー!」 「「「「「ゆゆっ!ごほーびーほしいよ!」」」」」 「にんげんさんがわすれないようにちゃんといってあげるんだよー!」 「「「「「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」」」」」 そう言って帰宅後にご褒美を沢山貰う自分の姿を想像して嬉しそうに跳ねる子ども達はきっと今の言葉を忘れないだろう。 教えるべきことは教えた。しかし終業のベルまでまだ結構な時間があり、流石に今終るわけには行かない。 そこで、ちぇん先生は子ども達にこんな提案をした。 「みんなー、おにごっこをするよー!せんせーがおにだよー!」 「「「「「「「ゆっくりりかいしたよ!」」」」」」」 子ども達は返事をすると元気良く運動場に散らばって行く。 終業のベルが鳴るまで、子ゆっくりとちぇん先生は時間を忘れて駆け回った。 それから昼食を食べ、遊び、お菓子を食べ、お昼寝し、お菓子を食べ、遊び、夕食を食べ、遊び、お菓子を食べてから眠りについた。 7日目はゆかりん校長のおうちを確保と防衛の練習の日。 「きょうはゆっかりんがとくべつにせんせいをしてあげるわ!」 「「「「「ゆっくちちていってね!」」」」 「ゆっくりしていってね!」 「きょうはゆっかりんがとくべつにおうちをじゅんびするほうほうをおしえてあげるわ!」 「「「ゆぅ?おうちならあるよ?」」」 「それはまだにんげんさんたちのおうちよ!ゆっくりしてないにんげんのおうちじゃゆっくりできないわ!」 「「「「「ゆーっ!ゆっくちできないのはいやだよ!?」」」」」 「だったらゆっかりんのおしえをちゃんときいてね!」 「「「「「「「ゆっくちがんばるよ!」」」」」」」 元気に飛び跳ねながら返事をする子ども達の様子に満足したゆっかりんはおもむろに近くにあった木の棒を咥えた。 そして、その場でくるりと円を描くように這いずって移動し、棒で運動場に小さな円を描いた。 「みんなもえんをかいてね!」 「「「「「「「ゆっくちかくよ!」」」」」」」 ゆっかりん校長の指示に従って小さな円を描く子ども達。 皆がんばっているものの、その円はいびつで四角に近い形になっているものまであった。 が、重要なのはサークルを描くことなので、ゆっかりんは皆がサークルを描き終えるのを待った。 「「「「「「「ゆっくちかいたよ!」」」」」」」 「それじゃあ、みんなえんのなかにはいってね!」 「「「「「「「ゆっくちはいったよ!」」」」」」」 「それじゃあ、ゆっかりんのまねをしてね!」 ゆっかりんは軽く深呼吸をしてから、元気良く大声を出した。 それに倣って子ども達も深呼吸をしてから、元気良く大声を出す。 「ゆっくりしていってね!ここはゆっかりんのおうちよ!ゆっかりんがみつけたおうちだよ!」 「「「ゆっくちしていってね!ここはれいむのおうちだよ!れいむがみつけたおうちだよ!」」」 「「「ゆっくちしていってね!ここはまりさのおうちだぜ!まりさがみtけたおうちだぜ!」」」 「「ゆっくちしていってね!ここはありすのとかいはなおうちよ!ありすがみつけたおうちよ!」」 「ゆっくちしていってね!ここはぱちゅりーのとしょかんよ!ぱちゅりーがみつけたとしょかんよ!」 「ゆっくちしていってね!ここはちぇんのおうちだよー!ちぇんがみつけたおうちだよー!」 「ちーんっぽ!!」 更に深呼吸をしたゆっかりんは再び大声で叫ぶ。 そして、子ども達もゆっかりんに倣って元気良く叫んだ。 「ゆっくりしたかったらおかしをもってきてね!ゆっくりできないおにーさんはゆっくりでていってね!」 「「「ゆっくちしたかったらおかちをもってきてね!ゆっくちできないおにーさんはゆっくちでてってね!」」」 「「「ゆっくちちたかったらおかちをもってくうんだぜ!ゆっくちできないおにーさんはゆっくちでてってね!」」」 「「ゆっくちちたかったらとかいはなおかちをもってきてね!ゆっくちできないいなかもののおにーさんはゆっくちでてってね!」」 「ゆっくちちたいならごほんをもってきて!ゆっくちできないおにーさんはとしょかんからでてってね!」 「ゆっくちしたいならおかちをもってきてねー!ゆっくちできないおにーさんはでてってねー!」 「ちーんっぽ!ちんぽーっ!」 もう一度、ゆっかりんは深呼吸をしてから大声を上げてから空気を吸って膨らむ。 子ども達もそれに合わせて大声を上げてから空気をふって膨らんだ。 「でていかないとゆっかりんおこるわよ!ぷんぷん!」 「「「でていかないとれいむおこるよ!ぷんぷん!」」」 「「「でていかないとまりさおこるぜ!ぷんぷん!」」」 「「でていかないとありすおこるわよ!ぷくぅ!」」 「「でていかないとぱちゅりーおこるわよ!ぷく・・・ゲフゲフ!?」」 「でていかないとおこるよー!ぷくぅ~!」 「ちーんっぽー!ちんちん!」 止めとばかりにすぅ~っと息を吸い込むと最後の言葉を口にした。 勿論、子ども達も彼女に続く。 「ゆっくりできるならおにーさんをおうちにおいてあげるわ!だからゆっくりしないでおかしをもってきてね!」 「「「ゆっくちできるならおにーさんをおうちにおいてあげるよ!だからゆっくちちないでおかちをもってきてね!」」」 「「「ゆっくちできるならおうちにおいてあげるぜ!だからゆっくちちないでおかぢをもってきてね!」」」 「「ゆっくちできるならおにーさんをとかいはなおうちにすませてあげるわ!だからゆっくちちないでおかちをもってきてね!」」 「「ゆっくちできるならおにーさんもとしょかんにいてもいいわ!だからゆっくちちないでごほんをもってきてね!」」 「ゆっくちできるんだねー!ならおかちをもってきてねー!」 「ちーんっぽ!ちっーんぽ!」 激しい授業だったが、やり遂げた・・・そんな満足感に浸りながら、ゆっかりんは微笑を浮かべた。 子ども達も厳しい授業に耐え切ったことで自信に満ち溢れた力強い笑みを浮かべている。 呼吸を整えたゆっかりんはそんな彼女達に優しく語りかけた。 「がっこうはきょうでおわりだけど、ここでまなんだことをいかしてゆっくりしてね!」 「「「「「「「「「ゆっくりがんばるよ!」」」」」」」」 こうして子ども達の学校生活は無事終わりを迎え、子ども達は親や飼い主に連れられて家路に着く。 1週間を共に過ごした先生たちは少し寂しそうに、しかしそれ以上に嬉しそうな笑みを浮かべて子ども達を見送っていた。 ゆっくりのがっこう・後編
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C子「Y岡さん、ここは…?」 Y岡「ゆっくり加工場さ」 「KYし…もとい文々○新聞の方ですね、お待ちしておりました。ゆっくり製菓加工工場長です」 Y岡「やあ、今日はよろしくお願いします」 工場の中に案内される2人。奥に進むにつれ、何かざわめくような音がする。 C子「この音は一体…?」 …………っ゙………………゙ι゙ぃ…………ぃ゙ゃ……………………………ペ…… Y岡「ゆっくりの鳴き声さ」 工場長「ここが当社の人気製品『揚げゆっくり一口』の加工現場です」 通された大部屋の中にはさらに、シャワールームのように仕切られた小さな部屋が並んでいる。 その一つの前で立ち止まる。耐熱ガラス製のドア越しに、その中にいる加工員が会釈する。 「や゙め゙ぢぇ゙ぇ゙ぇぇ」「ゆ゙っぎゅ゙りざぜぢぇ゙ぇ゛ぇぇぇ」「だぢゅげでぇぇぇ」「じに゙だぐだにぃ゙ー」 その部屋の床にはコンロと油鍋が置かれている。鍋の上には滑車があり、そこから一本のロープが伸びている。 さらにそのロープの先には5匹ほどのちびゆっくりがまとめて錘のようにくくりつけられており、油の輻射熱と 目前に迫った未来に喘いでいる。 「ゆ゙ーっ、ゆ゙ーーっっ゙!!ゆっぐぐぅっゔゔぅ」 親まりさが鍋の横で、滑車に掛かったロープの端をくわえ必死にちびゆっくりを支えている。口を離せば子はドボン。 あまりにもテンプレート通りだが、それだけに精度の高い“加工”法の一つだ。 「ゅっぐ、ι゛ヵ゛ぅ゙、ぇぇ゙」 油は普通の揚げ物を作る温度としては低すぎる温度に保たれている為、“加工”の触媒として先に放り込んで おいた一匹のちびれいむは未だに絶命せず、油の中でうめき声を挙げている。 C子「おや? 滑車が鍋の上だけでなく、鍋の真横にもありますね」 工場長「ええ、いいところに気が付いてくれました。ロープを鍋の真横の滑車を経由させることで、ロープを 引っ張るために動くと、自身が火元に近づくことになります。つまり引き上げられず落とさずの状態が 続くことになります。以前のタイプではこの状態を適当に長引かせるのが難しかったのですが―」 構造がいま一つ想像しがたいという方は、三角定規を思い浮かべてください。直角の部分が鍋の底・火元です。 残りの角が滑車です。ちびゆっくり達は高さ部分にぶら下げられています。そして親まりさが底辺でロープを 引っ張っているわけです。 しばらく経ち、進むも引くも適わないことをようやく理解した親まりさは、動くのをやめてロープを支える ことに専念するようになった。 Y岡「膠着状態ですね…、こういう場合はどうするんですか?」 工場長「ええ、ですがこれも“加工”のうちの一過程です。このような状態になったら…ホラ!」 部屋の中の加工員が何かのリモコンをいじくると、壁に埋め込まれたブラウン管が起動した。 それに映し出されるは棚の上辺の端から紐でぶら下げられたちびゆっくり達。そして親まりさが それを見つけ、紐を口で巧みに手繰り寄せ、ちびゆっくりたちを棚の上に救出した。 加工員は明るい声で親まりさに呼びかける。 工員「おやぁ?まりさなら簡単に子供たちを引き上げられるみたいだね。さぁ、ゆっくりがんばってね!!」 ちびゆっくりにも映像とそれによって引き出された記憶、それと工員の言葉を組み合わせて理解できるほどの 知能は持ち合わせていた。しかしそこまでがゆっくりブレインの限界である。 「おかーしゃん、はやくゆっくりさしぇてね!!」「はやくーはやくー」「わかるよーかんたんだよー」 親まりさはふひゅるぶふゅると抗議のような息を漏らすが、ロープを咥えた状態で喋ることなどかなわないし たとえ喋れたとしても反論など思いつきようもないだろう。 「お゙がーじゃん、ゆっぐり゙はやぐだずげでね!」「どじでひぎあげでぐれないのぉ゙?」「わがらないよぉ!!」 一向に動かない、いや動けない親に、鍋からの輻射熱に耐えかねたちびゆっくりたちが抗議の声を投げつけ始める。 C子「すごいわ!こうやって親に子を、子に親を“加工”させるのね!」 そしてダメ押しとばかりに工員がさらなる“加工”を促す。 工員「そっかー、まりさゆっくりできてないね、こんなに息切らしちゃって。重いもんね、きみの赤ちゃん」 親まりさとちびゆっくりのゆっくりブレインに工員の言葉が染み渡ってゆく。 工員「まりさがゆっくりする邪魔にしかなってないね。こいつらのせいでゆっくりできないね」 親まりさはロープを噛み締めた歯の間から息を必死に吐き出す。否定の意を表そうとしているのだろう。 工員「でも、ロープをゆっくりすぐにはなせばすぐにゆっくりできるよね。どうしてそうしないのかなぁ?」 一度持ち上げて叩き落す、これぞ基本であり王道である。 工員「そうか! まりさをゆっくりさせないやつにはゆっくりしんでもらうんだね! すぐにおとしたら ゆっくりしなないもんね! ゆっくり熱であぶってゆっくりくるしんでからゆっくりしんでもらうんだ!」 一瞬の静寂のち、湧き上がるちびゆっくりたちの怒号と罵声と、 「こんなおがーちゃんじゃゆ゙っぎゅりでぎなぃよぼお゙ぉぉぉ」「゙おがーじゃんな゙んがい゙や゙あ゙ぁぁぁあ゙ぁぁ゙ぁ゙」 「わ゙がっだよー、おがーじゃんはおがーじゃんじゃないよぉぉぉぉ」「ゆ゙っ゙ぐりじだぃい゙ぃぃ゙ぃ」 親れいむは必死に、息だけでなく体を震わせ小さく跳ねて抗議するが、子供に伝わるはずもなし。 「お゙じじゃんだずげでぇぇぇえ゙え゙ぇぇえ゙ぇ゙ぇ゙」「わがるよーだずげでも゙らぅ゙んだよー゙」 「れ゙い゙むだじをゆっぐりざぜでぇぇ゙え゙ぇぇぇ゙えぇ」「ゆ゙っ゙ぐりぃい゙いい゙いぃぃ゙ぃぃいい゙ぃ゙ぃいぃいいいい゙ぃ」 唯一すがることができそうな相手を見つけ、哀願する声が響く。 工員「いやーでも、きみたちはこいつの赤ちゃんだしねぇー」 愛し守る対象の変心と罵声、肉体の限界、無力感と絶望、終わりの予感、もはや時間の問題であろう。 C子「鮮やか!これぞ熟練の職人技ね!」 Y岡「いやー実に見事だったね。――ところでさっきから気になっていたんですが、あの上の方の滑車、なんか 皿のようなものがぶらさがっていますね。あれは何の意味があるんですか?」 工場長「ああ、それはですね―」 突如チリンチリンと、ベルのような音が響く。右手を見やると、なにやら別室のドア上の緑色のランプが点灯している。 工場長「おや、向こうの部屋で加工が終わったようですね。行ってみましょう」 促されるままにその部屋の前へ移動する。中を見やると、同じような滑車の仕掛けはあるが、そこに掛かって いるはずのロープ、そしてそれにぶら下がっているちびゆっくり達が見当たらない。ただ、小気味よく油の 中で水分がはじける音と 「いぃ゙い゙い゙や゙あ゙あ゙あ゙ぁぁ゙ぁ゙ぁがぁ゙ぁうぅ゙あ゙あああうぶぐでいぶどあ゙がぢゃぁあ゙あ゙あぁぁん゙んんんんぐぶぇ゙え゙ええ゙え゙ぇぇ」 この部屋の“親”と思しき大きなゆっくりれいむの絶叫、 「ぶぐぎゃばぁあおげぇうっ゙ぶぁあ゙あああ゙ぁ゙ぁ゙ぁ」「ぶぅおぐぁあ゙ぢゃぶぁあ゙あ゙んんじゅぶうぁあ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ」 「ぢーっ、でぃーっ、でぃ゙んぼー、ぉー、ぉ゙おー」「どぶぇらでぶぐふぅぅ゙ぅぅぐ」「ぐひぃ゙ーびひぃ゙ぅ゙ぐぶゔ」 低温でじっくりと揚げられているちびゆっくりたちの長い長い断末魔 工場長「さあ、ここからが腕の見せ所です。お静かに」 Y岡「へぇ、こりゃ見ものだ」 「おじざん、どぼじでだずげでぐれながっだのれ゙いむ゙のあがぢゃあ゙ぁぁ゙ぁぁんんん」 工員「えーだって、れいむがその気になればゆっくりすぐにたすけられたじゃないか」 「でぎないよぼぉおお」「どうして?」「だっで、だっで、ひがぁあぁ」「火が?」 「ひがれーむ゙のまえ゙にあっだがらぁ゙あ゙あ゙」「あるとどうなるの?」「れいむ゙がやげじゃうぅ゙ぅゔ」 「つまりれいむは、自分が火で焼けるのが嫌だったから、代わりに赤ちゃんを揚げ饅頭にしちゃったんだね?」 静かにはなったが、鍋の中の断末魔は小さいながらもまだ響いている。息のあるやつらにはおそらく聴覚が まだ残っているだろう。 「ぢがぶぅづゔぅうう」「何が?」「だっ゙で、れ゙ーむや゙げじゃっだら、ぴも゙、ばなじ゙ぢゃゔぅゔ」 「我慢すればいいじゃない」「ぞんな、ぞんな゙、でぎない゙ぃ゙いい゙じんじゃゔぅ゙」 「じゃあ、何が悪かったのかな?」「びもが、びもがながずぎだぜい!!ながずぎで、あがじゃんをゔえにびっぱれなかっだぜい!」 いかにもわざとらしく、仕方ないなぁといった風情で工員は床に落ちたロープを手繰り寄せ、再度滑車に引っ掛け、 揚げ饅頭から鋏で切って離す。念には念を入れて、鋏は体で隠し親れいむに見られないようにする。 工員「じゃあ、試してみようか? 本当にひもが長すぎたかどうか」 「ゆ゙!?」 親れいむが暴れだすより早くその体をふん捕まえ、ロープの一方を髪と髪飾りに結わえ、部屋の隅に 備え付けてあった油まみれの透明の箱の中に投げ入れる。 ここで揚げ饅頭を仕上げる。鍋の火力を一気に強め、ザルですくってバットに置く。 工員「さあ、れいむの赤ちゃんにも本当かどうか見てもらおうか?」 火力最高の鍋の上に親れいむをぶらさげる。バットの饅頭は顔がすべて部屋中央にぶら下げられたれいむに 向くよう置いてあるご丁寧っぷりである。 「い゙やぁああ゙あ゙ぁぁぁ゙あずぃびぶぃいいぐぇえええぇ゙」 親れいむは沸騰した油の霧に焼かれ絶叫する。 工員「熱いよねぇ。そんなところにれいむの赤ちゃんたちはゆーーーーーーーっくりぶらさげられてたんだねぇ」 聞こえているのか聞こえていないのか、親れいむは痙攣でその言葉に答える。 工員「じゃあゆっくり長さをはかってみようね!」 「あげぶぁ゙ああ゙あ゙あ゙!!!!!」 工員は手元に手繰り寄せていたロープを放す。親れいむは一気に鍋の近く10cmほどの高さに落とされ、 激増した熱さに反応しひときわ高い鳴き声を上げる。 工員「ゆっくり確かめてね!!!」 工員はゆっくりと、ロープを鍋の横側にある滑車に掛け、改めてすこしずつ手元に手繰り寄せていく。 親れいむはロープに引き上げられ、少しずつ熱源から遠ざかり、やがて、吊り下げられている感覚が無くなった。 C子「あ、あれは山岡さんが気にした皿!」 親れいむは件の滑車にくくりつけられた皿に乗っかったのだ。 工員は、ロープの片端を、親れいむに見えるようしっかり握っている。 工員「紐が短ければ、れいむは引っ張って赤ちゃんを持ち上げられて、この皿に乗せられたんだよね?」 「そ、そうだよ!わるいのはこのひもだよ!」 最後の希望を見つけたかのように、勝ち誇ったような顔で叫ぶ。 工員は皿から親れいむを一度下ろし、また少し下に下ろす。 「あづ、あづいよ゙ぉおお゙」 親れいむは再び油の蒸気に焼かれ空中でのたうち回る。 すると工員は突如親れいむの髪をひっつかみ一気に引きちぎった。このときに髪飾りを完全に引きちぎって しまうと繁殖に回すのが難しくなってしまうので、ギリギリ取れそうで取れない程度に止める。職人の技である。 「ぎゃぶらぁ゙ばら゙ぁ゙!!!」 工員「見ろ」 取れそうな髪飾りをつかみながら、苛立ちも怒りも嫌悪感も何も無い、本当に無感情な声で命令する。 「わ゙、わがりま゙じだぁ、み゙ま゙ずぅ」 この期に及んでもなお、髪飾りは命より子供より大事らしい。 親れいむは今度は一気に引き上げられ、再び皿の上に載る。 工員「つまり、れいむがひもをここまで引っ張れれば赤ちゃんは助かったんだよね?」 工員の声が、猫なで声に戻った。 熱さからの開放と声色の変化で安堵した親れいむは自慢げに答える。 「そーだよ!ながすぎでひっぱれなかったんだよ!そこまでひっぱれれれば」 工員「ここまで?」 工員の片手はロープの端を掴んでいる。そしてその手は滑車と火元とのちょうど中間くらいにある。 工員「そっかー、ここまで引っ張れれば助けられたんだ」 親れいむが固まる。すかさず工員は親れいむを抱き上げる。 工員「ゆっくり見てみようか?」 工員は親れいむを、自分の片手を置いてあった場所に降ろす。 工員「そっかー、ここまで引っ張れれば助けられたんだ」 火は、遠い。親れいむは気付いているか分からないが、火力は最低に下げられている。 この箇所には何の危険も無い。その意味を理解するのには、ゆっくりと、ゆっくりとする必要があった。 工員「そんなに火が怖かったんだね。赤ちゃんを揚げ饅頭にしちゃうほど」 ぐいと引っつかみ、バットの中身を見せ付ける。苦しそうな、恨めしそうな顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔 顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔 顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔 「ぱぴぷぺぽろぐぉぉ!!!??」 全てを理解した親れいむは餡を吐き出しショックで絶命しようとするが、工員は人にあるまじき速さで 巨大なステープラーを掴み、親れいむの口蓋を封印する。 工員「今回の赤ちゃんは揚げ饅頭になっちゃったけど」 親れいむは白目をむき、なんとも付かない粘液物を垂れ流している。 工員「また、ゆっくり赤ちゃんを産んできてね!!!」 部屋の外の緑ランプは消え、代わりに青のランプが点灯した。 工員はこれといった感情が無いが、無感情でもないごく普通の表情を浮かべてドアを開ける。 「「お疲れ様でーす」」 工場長と工員は同時に帽子を取り、挨拶を唱和させる。 工員はワゴンに手際よく、失神したゆっくりをワゴンに備え付けの透明な箱に放り込み、バットの中身を より大きなバットに移す。 工員「おや、見学ですか?」 C子「ええ、そんなところです…ってY岡さん!!」 Y岡の目はワゴンに乗せられたブツに釘付けである。 これには工員と工場長は大笑い。 工員「はっはっは、あれだけ美味しそうな鳴き声を聞いていれば無理も無い。私だって…」 と慌てて口を塞ぐ。 Y岡「アヒャー、ところでこの大きなほうのゆっくり、“加工”は終わったようですが、どういう製品になるんですか?」 工場長「通常なら繁殖に回すところですが…、こいつの味に興味がありますか?」Y岡「ええそりゃもうもろちん!」 C子「Y岡さん!んもぉ~」 C子も、恥ずかしさと呆れと興味が三分の一づつのようだ。 Y岡「うんめこりゃうんめ!」 食堂のテーブルの上には、件のゆっくりが透明な箱に入れられている。ただ、今度の箱には直径5cmほどの穴が 開いている。ここからゆっくりのこめかみに穴を開け、餡を取り出すのだ。 C子「すごいわ…このお汁粉。成熟したゆっくりの餡はだらしない甘さって聞いてたけど、これはただ甘いだけ じゃなくてとても深いお味。コクがあって舌触りが滑らかで、シャッキリポンと(ry 工場長「どうです、美味しいでしょう」 Y岡「うん美味しい美味しい!」 C子「Y岡さんったらもう…」 工場長「でも成熟ゆっくりの餡には独特のクセがありますからね、やはり市場ではちびゆっくりのほうが 喜ばれるんですよ。甘みが弱いのが逆に製菓材料として尊ばれまして…」 びくりびくりとゆっくりが痙攣するが、それに注目するものはいない。 餡はその中の一割ほどしか取り出していないので、命に関わることはありえないからだ。 C子「驚いたわ…ゆっくりの加工場なんて聞いたからもっと無機質で冷たい印象を抱いていたけれど、 あそこはとてもゆっくりらしい温もりに満ちていたわ」 Y岡「あそこにはゆっくりの生と死、喜びと悲しみとゆっくり、すべてがあるのさ。 それを美味しくいただくのが、俺たち人間がゆっくりに送れる最大の賛辞なのさ」
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ゆっくり脳外科手術 俺が職場から帰ろうとしている途中で、ケータイが鳴り響いた。 エレベーターに乗り込むと同時に通話ボタンを押す。 「オイ、お前の部屋からなんかドタンバタンいってんだけどお前今仕事中だろ?」 社員寮の隣の部屋に住む友人からだった。そういやコイツは今日半休だったか。 「ああ、今から帰るとこだよ・・・カギは閉めてたと思うんだが、空き巣かもしれん。気をつけてくれ」 「ボコるか?」 学生柔道チャンプは言うことがものものしいね。 「いや、刃物でも持っていたら面倒だ。すぐに戻る」 実力あるヤツほど怪我しやすいんだよな・・・と通話を切ろうと思ったとたん、友人が言う。 「あちょっと待て、俺一人でも大丈夫そうだ・・・多分あれ、ゆっくりだし」 …声でも聞き分けたのだろう、全身を包む途方もない脱力感。どうしてくれよう。 「…即取り押さえ頼む」 「承った」 頼もしい友人で助かった、と思いながらも家の被害を想像し、俺は暗鬱とした気持ちで家への足を速めた。 ゆっくりに関する研究は遅々として進んでいない。進化樹から完全にぶっとんだところに存在する生物史の迷子。 これまでおこなわれてきたゆっくりを使った動物実験でわかったことは、どうやら中身の餡子が脳や内臓の役割を 果たすこと、多少の学習能力を持つこと、運動能力は低いこと、寿命は数年程度であること。この程度だった。 多数の亜種を持つが、中身が餡子・肉・カスタードなどと全く別なのにも関わらず交接が可能だったり、どちらとも いえない混合種が生まれることもあったりと、出鱈目きわまるその生態に、生物学会はてんやわんやである。 っていうか肉と餡子混ぜた饅頭ってどんな味だよ。オエ。 「ただいま、どうなってる」 「ゆぎぎぎぎ…どいて!ゆっくりはなしてね!!」 家のドアを開けてすぐ、屈強な友人が饅頭の群れを取り押さえているのが目に入る。 ひのふの、腕足腹の下と三匹か。紅白が一に黒白が二。どれも大きめだな。 「おう、やっぱカギ開いてたぞ。家の中の被害はほとんど無いが、こないだ買って来てやった酒瓶が割れたな」 「あちゃー…」 見ると、旅行の土産として渡された特撰大吟醸のボトルが一本、無残にも割れている…これ、プレミアつきゃ二万するのに! 「ま、重罪だな」 「言い訳しようがないな…お約束のおうち宣言までキッチリ決めてくれやがった」 「ゆっ?おにいさん!このじゃまなじじいをさっさとどけてね!」 確かにコイツ老け顔だけど、じじいとか言ってやるなよ。ちょっと青筋立ててさらに力をこめる友人。大人げねえ。 「で、どう殺す」 殺す、という単語にびくっと反応し、見る見る目に涙を溢れさせるどまんじゅう。 「ゆゆゆゆゆゆ…」 涙目で震えても駄目。饅頭三個に二万はどう見ても釣りあわない。 「そうだな、ちょっとやってみたかったことがある。一匹寄越せ」 友人は足で抑えていた黒白を蹴って寄越す。 「ゆーっ!!まわるよーっ!」 暢気な声(ちょっと楽しそうだ)をあげる饅頭を足の甲でナイスキャッチ、そのまま蹴り上げて両手で掴む。 「おにいさん、たすかったよ!れいむとまりさもたすけてね!!ついでにお詫びにおかしも持ってきてね!」 「はいはいゆっくりゆっくり(笑)」 相変わらず傲慢な饅頭の言い分を無視しつつ、新聞紙を敷き、その上に黒白饅頭をガムテープで固定する。 ただしこの時、帽子の周りにはガムテープを接着しないでおく。 「何やってんだ?」 「いや、職場で読んだ本に面白いことがな」 「べたべたするよ!まりさのきれいな髪にべたべたつけないで!」 固定が完了したら、部屋の隅から往診バッグを取ってきて、メスと鉗子、注射器などの手術器具を取り出す。 饅頭に本格的な仕事道具を使うとは、前衛的なTVコントみたいだな。 そんなことをつらつらと考えつつ注射器にオレンジジュースを詰めてゆく。 その間に友人は残りの饅頭二匹を雑誌を縛るビニールテープで縛り、持ち運びやすく逃げられないようにしていた。 「何、解剖でもすんの?」 「手術かな。こいつらの餡って一つだろ?俺らの脳はいくつかのパーツから出来てる。今日読んだ医学誌には こいつらの餡子のどのあたりが人間のどのパーツに相当するのかが大まかに書いてあった。ので、ためしに実践だ」 友人の手の中で饅頭二匹はじたばたゆーゆーとやかましいことこの上ないが、こいつらの使い道も思いついた。 「さて、準備完了だ。まずは患部を露出する」 固定された黒白の帽子を取り、バリカンで頭頂部の髪を切断。カミソリでつるつるにしてしまう。 「まりざのおぼうしとらな…ぎゃあああああ!!ま゛り゛ざの゛ぎれいな゛がみがあああ゛あ゛!!」 即座にわめきだす饅頭。喧しいな、モル少し打つか。分量がわからんが、この体積ならこれくらいだろ。 「いだっ…ゆ?…ゆっぐり…ゆぅー…」 本当に適当な生き物だなオイ。 てっぺんハゲでよだれを垂らし眠りこける黒白を見て、縛られた二匹は笑いを堪えられないようだ。 プークスクスと笑っている。仲間想いの足りない奴らだな…あとでどうしてくれよう。 友人は黙って茶を居れ、勝手に飲んでいる。 「次に切除。オイメス取ってくれ」 「はいよ」 円形にペンで線を引き、手渡されたメスですーっと浅くなぞってゆく。 ぺりぺりという小気味よい感触と共に皮がはがれ、餡子が露出する。 次に内部にある餡子の重要な器官を避けて固定し、目的の部分を露出させる。 「見てみ。ここが運動野、こっちが辺縁系な。で目的のここが脳梁」 「脳梁?これが?っていうかどれも餡子にしか見えないぞ」 「そりゃまあ、実際餡子だし。で、これから脳梁を切断してから戻すよ」 「何お前分離脳作ろうとしてたの?右脳と左脳の区別のないコイツラじゃ意味ないだろ」 「まあまあ、試してみたかったんだって、俺脳外科の知識ほとんど無いし」 「そりゃゆっくり脳外科の知識なんてほとんどの人が持ってねーよ…」 駄弁りながらも手は正確にその脳梁にあたる部分をカットし、消化されないよう (脳で消化するって本当に謎の生物だ)プラスチック片を挿入して再生を阻害すると、元に戻していった。 皮の縫合が終わると、てっぺんハゲで糸が残っている以外には特に変わったところもない黒白が出来上がる。 「さて、準備完了だ。お前ら、今までの手術を見ていたな?」 手術の経過を見て目と口をカッと見開き、ぶるぶると震えていた残りの二匹が、その顔のまま答えてくる。 「「見でいま゛じだあああああだずげでえええ!!」」 怖い。 「お前ら、ハゲのコイツはどう見える?」 「ゆっ…ぜんぜんゆっくりしてないね!ばかなの?しぬの?」 「おお、アルシンドアルシンド…そんなことよりはやくまりさたちを離してね!」 あっという間に人を小馬鹿にした顔になり、泥棒仲間をけなし始める。 何故お前がそんな選手を知っている。釈然としないがともかく仲間の間で差別意識は生まれたようだ。 「分離脳作ったってことは、あーなるほどね」 さすが同職、物分りがよろしい。テーブルの前に縛ったままの残り二匹を、左右等間隔にならべておいてくれた。 そして眠りこける帽子なしハゲ饅頭の前についたてを立て、右目と左目の間を遮る。図にするとこうだ。 ● ○ | ● 黒はまりさ種 白はれいむ種を示す。 そして黒白のほうにこう言う。 「いいかお前。これからちょっとしたゲームをする。カンタンなクイズだ。俺が問題を出し、このハゲが答える。 お前たちは助手だ。上手くこのハゲが答えられたら三匹とも離してやる」 「なんでそんなことしなきゃならないの?ばかなの?まりさたちをはやくはなしてね!ごはんもちょうだ」 ドスッ 「死ぬか?」 目の前にメスを突き立ててやると大口を開けて思考停止した。だから怖いって。 「や゛り゛まずうううううう!!」 さて、では実験開始だ。まずはハゲを起こそう。すぅ… 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆゆっ?「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 三匹とも律儀にお返事。ハゲまりさはガムテで固定されているため視界が動かせず、声の主がわからないようだ。 「ゆっ?いまのはまりさ?れいむ?なんでしばられてるの?まりさうごけないよ?」 すっかり先ほどからの流れを忘れている。餡子脳め。前に回りこんで話しかける。 「さて、まりさ。これからお前に3問のクイズを出す。ゆっくりでも答えられる簡単なものだ。 ひっかけはない。お前が一つでも正解したら、三匹とも返してやる。 ただし全問不正解なら、三匹とも一生ゆっくり出来ない目に遭わせてやる」 「ゆ゛っ!そんなことよりおぼうし返し」 ドスッ 「死ぬのか?」 「っ!!や゛り゛ま゛ずううううう!!」 こいつら本当に単純だな…釣られて残り二匹もプルプルと震えてるし。 「さて、第一問目だ。おい、そっちの赤いの」 「ゆっ?なに、あいのこくはく?」 「…ホントムカツくなお前…まあいいや、そっちの帽子なしを思い切りバカにしろ」 「ゆー、いやだよ、おともだちの悪口いっちゃいけないんだよ」 お前さっきアルシンドとか言ってたろうが… 「しなきゃ即潰す」 「ゆ゛っ!!わがりまじだっ!…ごめんねまりさ。…ばーかばーか、ゆっくりしてないはげまりさー」 しぶしぶといった感じでけなし始めるれいむ。ハゲはそれを見て、顔を真っ赤にして耐えている。 イヤイヤながらの中傷とはいえ、自分の自慢の髪がなくなったのは事実。自慢のおぼうしがなければ 仲間の目に自分はさぞや滑稽に写るだろう。それを想像して苦しんでいるのだ。 「…よし、良いぞ。さて。ハゲ」 「はげっでいうだああああ!!」 「うるさいハゲ。今お前をけなしたヤツの名前を言ってみろ」 「げな゛じだのはまり゛ざだよ゛おおおおお……ゆ゛ゆっ!?」 それを聞いて俺ニンマリ。友人も関心したような顔で眺めている。 「ゆ!?まりさなにもいってないよ!!けなしたのはれいむだよ!」 帽子有りまりさはぷんぷん憤慨している。当のハゲまりさは自分の口にした言葉を信じられないようだ。 「げっ、けなじだのは、まり…さ?ちがう、まりざじゃなぐで、まり…ゆ゛うううう!?」 「ハイ不正解ー」 「「ま゛り゛ざのばがああああ!!」」 まりさは混乱していた。左目で見たれいむが自分をけなした。 そしてそのことを口にした瞬間、なぜか自分の口がまりさと言っていた。 まりさは右目側にいる。ちゃんと判っている。 頭ではわかっているはずだ。だが、なぜか口にできない。 まりさは、自分の口が自分のものでなくなってしまったような、強烈な混乱に突き落とされた。 「じゃあ残りの二問いってみようか。かんたんな問題だろう?ゆっくりの赤ちゃんでもわかる」 「ぞうだよ゛!!なんでばがらな゛い゛の゛おおおお!!」 「ま゛りざのばがあああ!!」 「ゆっ!!ばかじゃないよ!!まりさわかってるよ!わかってるけどまりさのおくちさんがああ!」 二匹に責められ、ハゲまりさはさらなる混乱に叩き落される。自分はわかっているのに! 「はいはいバカハゲ。2問目、お前と似た見た目なのはどっちだ?」 あまりにも簡単な問題に、一瞬バカにしたような顔を取り戻すハゲまりさ。しかし… 「ゆっ!かんたんだよ!!れい…ちがっ、れい…ちがうのおおお!!」 「何がちがうんだよバカハゲ。さっさと答えろ。れい、続きは?」 「ゆうっ!バガじゃないいい!れい…じゃない゛いいい!!でいいいい!ちがううう!!!」 さすがに異常に気づいたのか、縛られた二匹がハゲを心配そうに見ている。 「まりさ、どうしたの?ばかになっちゃったの?」 「ぢがううう!!わがっでるのにぐぢざんがいうごどぎいでぐれないの゛おおお!!」 これほど上手く行くとは思っていなかった俺は、笑いを堪えるのに必死だった。ここで笑えば 俺が原因だということが餡子脳たちにも判ってしまう。友人は既に部屋の隅で笑いにのた打ち回っている。 「れ、れい、ってことはれいむだな?」 「ぢがううううでいぶじゃなぐででい…ちがううう!!!」 何度も何度も同じことを繰り返すハゲ。その様をじっくりと楽しんだ俺は、疲れきったハゲに宣告する。 「時間切れだ。こんな簡単な問題にこれほど時間がかかるわけがない。よって、やる気なしと判断し不正解」 「ぢぎゃううううう!!!」 悲鳴のように否定を続けるハゲに、残りの二匹は怒り心頭といった様子だ。 「バカハゲまりさ!!おにいさんの言うとおり、赤ちゃんでもわかるよ!」 「まりさに似てるなんて言われなくてよかったよ!こんなバカハゲといっしょにしないでね!」 「ゆっくりしね!」「ゆっくりしね!」 ここまで見れば判るだろうが、脳梁を切断すると、右脳と左脳の情報伝達に異常が発生する。 餡子脳に右脳左脳があるかは判らないが、それに相応する機能はどうやらあるようだ。 まあ、原生生物でもない歴とした知的生物として生まれた以上、左右の区別があるのは当たり前。 通常、左目で見た情報が右脳(右でなくとも、ともかく左目からの情報が伝わる部分)に伝達される。 次に左脳(でなくとも、言語をつかさどる部分)によって言語化される。 しかしその連携が手術によって切断されたため、情報を伝達、理解は出来ても別部位での言語化が出来ない。 結果として混乱が生じているのである。 「では、最後の問題だ」 二枚の紙に黒のマジックで文字を書き、3匹から良く見える位置に並べて立てる。 『たすかりたい』『たすかりたくない』 「右か左かで答えろ。それ以外なら殺す」 「がんばってまりさ!!まちがえたらぜったいにゆるさないよ!」 「みつあみのないほうってならったでしょ!!まちがえたらあかちゃんいかだよ!!」 「ゆっ、みっ、ちがっ、みいっ!ちがうっ!!なんでくちさんいうごどぎいでぐれないの!!」 二匹は絶望と侮蔑の入り混じった表情で、ハゲの珍回答を待つしかない。 「ゆ゛っ、みっ、ゆがっ、みっ…!!ゆぐいいいががががが…」 プレッシャーと、自尊心を砕かれた痛み、そして自分の体を信用できない不安から、口から泡を吹いている。 10分ほどハゲまりさの笑える奮闘を堪能してから、二人は後始末に入った。 「お前、あの時アイツが知恵を回して『あべこべ』に回答しないって、信じてたのか?」 「うん。だってゆっくりだし、パニクって、あれだけプレッシャーかけられてちゃムリでしょ。 人間ならよく、プライドを守るために作話…つまり思ってることと違う答えを言って、辻褄合わせるんだけどね」 「所詮ゆっくりはゆっくりか…嘘つきで有名な黒白なのにな」 餡子まみれの手術器具を洗いながら、二人の医師は、ゆっくり脳外科の発展の可能性をその場で諦めた。 あとがき:脳梁切断の手術はどうやら今現在なお行われているようです。 非常に重いてんかんの発作をほぼ根治できるとかできないとか。 なお、その手術による後遺症を負った人に対する差別意識を増長する目的で書いたわけではありません。 ゆっくりにロボトミーかましたかっただけです。初SSゆえ拙作をお赦しください。 それと。アク禁で投下報告できなかったお詫びと、wikiへの追加をしてくれた方に感謝を。
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「ゆっくりしていってね!」 俺は家へ帰る途中に突然飛び出してきたゆっくりまりさを避けた結果、俺は自転車もろともお空へダイブした。 キラキラと太陽の光を受けて輝く自転車と川を見て世界全てがこんな風にキラキラしてたらきっと素敵だと俺は思った。 「わ~おそらをとんでる~♪」 こちらを見上げてそんなことをほざいてるゆっくりまりさに心中でやかましいわと悪態を突きつつ 俺は自転車から離脱して受身を取った、この間約2秒。 「ぐぅっ、は、速鷹号おおおおおお!!!」 俺は無傷だったものの我が愛機は突然増水した川に落ちてポロロッカしていった。 「ゆ~おにいさんよかったね!」 「な、何故にホワイ!?」 人の愛機が河童の川流れされたというのにこのド饅頭は何をほざいていらっしゃるのだろうかと俺は驚愕した。 「あんなゆっくりできないのりものにのってたらゆっくりできなくなるところだったよ! これからはゆっくりしていってね!」 俺はかなり豪快なスピードで堪忍袋の尾が切れた。 後悔させてやる。 お前は全てのこよなくスピードを愛する自転車乗り達を敵に回したのだ。 とりあえず俺はゆっくりまりさをマイハウスへと導いたのだった。 「ゆ♪まりさをおにいさんのおうちにつれてきてくれてありがとう! おれいにずーっといっしょにゆっくりしいってあげるね♪」 ゆっくりまりさは俺の家に入るや否や満開のスマイルでお礼を述べた。 この笑顔がこれから苦痛に歪むと思うとドキドキして愉快でたまらない。 「ああ、ゆっくりしていってくれ…できるものならな!」 そう言うと俺はゆっくりまりさの目の前でシババババっと高速で反復横とびを開始した。 「ゆ?!おにいさんゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 俺の余りに素早い挙動にゆっくりまりさは目を白黒させている。 ゆっくりすることを信条とする貴様にはゆっくりしているどころか 全開ギリギリのスピードで動き続ける俺の姿を見るのはさぞかし苦痛だろう。 「ゆぅ~!ゆっくりできないおにいさんとはいっしょにいられないよ! もうおうちかえる!」 そう言うとゆっくりまりさは俺に背を向けて外へ出ようとした。 「おっとそうはイカのコンコンチキ!」 俺はシュッパーンとゆっくりまりさの前に回り込むと今度はゆっくりまりさを中心に体はゆっくりまりさに向けながらぐるぐると回転を始めた。 「ゆぅぅぅぅぅうぅぅぅ~!?やべでよおおおおお!おうちかえしてええええええ!!」 さて、こんな感じで10分ほどまわっていたが自転車で鍛えた俺の足腰も流石にきつくなってきた。 限界をオーバーしてしまうのも時間の問題だろう。 「ゆ?ちょっとゆっくりしてきて…」 「記憶を失え!」 そう言って俺はゆっくりまりさの背後に回り後頭部に水平チョップをかますとゆっくりまりさは気絶した。 「ふぅ…」 俺は脚や疲れた箇所をアイシングしスポーツドリンクを一本のみストレッチを済ませた。 そろそろゆっくりまりさが起きそうになり、俺はまたその目の前で反復横とびをはじめた。 「ゆゅ~……ゆ!?どうしておにいさんがゆっくりしてないの!?」 ゆっくりまりさがぽやぽやとまぶたを上げて目を覚ました。 「くくく…やっとおきたか、俺の余りにもゆっくりしてなさに気絶してしまったお前は気付いて無いだろうが お前が寝てる間ずっとこうやってゆっくりしてないところを見せ続けてたんだぜ…?」 俺はにやりと笑いながら寝起きのゆっくりまりさに言い放った。 「ひぃ!?いやあああああああ!ゆっぐりでぎなよおおおお!おうぢがえる!おうぢがえるうううう!!!」 余りのゆっくりしていない事態にゆっくりまりさは悲鳴を上げた。 「ほう、もうおうちに帰るのかい?随分とゆっくりしてないじゃないか こりゃ俺のゆっくりしてなさがまりさに移ってきたようだな」 「!?まりさはゆっくりしてるよ!ゆっくりしていってね!」 ヒステリーを起こすゆっくりまりさにさらなる追い討ちをかけるとゆっくりまりさはガクガクと震えながらゆっくりを主張し始めた。 「その焦りっぷりがゆっくりしてないのさ!」 俺はさらに反復横とびのスピードを加速した。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛いいいいいいいい!?」 ゆっくりまりさは遂に耐え切れなくなり餡子を口からぶくぶくと吐いて果てた。 このSSに感想を付ける
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「おにーさんこんにちは!きょうもいいてんきだね!」 「こんなひはゆっくりできるよ!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 「こんにちは。おいしいものが手に入ったんだけど一緒に食べないかい?」 「ゆゆっ!おいしいものたべたい!」 「おにーさんありがとう!」 「じゃあ家までついてきてね!」 ある目的のためにゆっくりまりさを探していた俺は、自分の幸運に感謝しながらゆっくりまりさを丸め込んだ。 家にやってきたまりさたちは縁側の前で止まった。俺がゆっくりの方を向くと、 「おにーさんなかにはいってもいい?」 「あぁ、いいよ。」 「ゆっ!ありがとう!」 「ゆっくりおじゃまします!」 「ゆっくりちていっちぇね!」 「おにーさんのいえにはいるまえによごれをおとしてね!」 「ゆっゆっ!」 ずいぶん入り慣れているな。どこで覚えたんだろう。 「まりさたちははたけしごとてつだってるんだよ!」 「おじーさんからはだいにんきなんだよ!」 「でもおじーさんはきびしいからちょっとこわいんだよ!」 「ゆ~!」 どうやら年寄りの畑仕事を手伝って餌をもらっているらしい。そのときに覚えさせられたのか。 「じゃあ今日は畑仕事の帰りかい?」 「ちょっとちがうよ!そろそろふゆごもりじきだからえさをもっとあつめにいこうとしてたんだよ!」 「ちゃんと準備してるんだね。えらいえらい。」 「えっへん!」 たわいもない雑談をしながら、お菓子をゆっくりと食す。赤ちゃんたちはまだまだ汚い食べ方だったが、親ゆっくりの一人がなめて綺麗にしてあげていた。 「おにーさんありがとう!えさをあつめないといけないからもういくね!」 ゆっくり全員が食べ終わった後、親まりさは俺にお礼を言ってきた。しかし、このまま逃がすわけにはいかない。 「あ、ちょっといいかな?」 「どうしたの?」 「まりさたちは帽子で水の上を動けるんだよね?」 「そうだよ!まりさたちのぼうしはすごいんだよ!」 「実はまだ見たことなくてね。ちょっと見せてくれないかい?」 「おやすいごようだよ!こどもたちはまだちょっとへただけどまりさたちはじょうずだよ!」 餌付けの甲斐あってかすんなりと聞いてくれた。後は誘導するだけだ。 「じゃああっちに水を溜めてるからそこでやってみてくれないかな?」 「すいそう?まりさたちはかわでやってるよ!」 「川は今寒いだろう。ちゃんと暖かい場所を用意したからそこでやってくれないかな?」 「さむいのはいやだからすいそうでやるよ!おにーさんあんないしてね!」 「おかーちゃんたちにまけないんだから!」 「ゆゆゆ!」 先ほどの親まりさの言葉に闘志を燃やしている子供たち。 はやくはやくと周りを跳ねだしたので踏まないように倉庫近くに作った部屋に連れて行ってあげた。 「ここならあたたかくてゆっくりできるだろう?」 「ここならゆっくりできるよ!」 「じゃあ見せてくれるよね?」 「まかせてよ!でも・・・たかくてとどかないよ!」 確かにこの水槽の高さはは1m近くある。今は水を張っているが酒造りなどにも使える大型の水槽だ。 その高さの半分ぐらい水を入れてあるから、水面はまりさたちのいる水槽の上からは遠く見えたのだろう。 「水にはいるには高いとダメなのかい?」 「そうだよ!まりさたちはさきにぼうしをうかべるから、こんなにたかいとぼうしがながれちゃうよ!」 「なるほど、じゃあこうしよう。」 そういって親まりさから帽子をとる。いきなり取られて驚いたまりさを素早く持ち上げて帽子の中に入れてあげる。 「これで俺が水に入れてあげれば大丈夫かな?」 「ゆっ!これならだいじょうぶだよ!」 「じゃあ順番にいくよ。」 「まって!ぼうしのなかにきがあるからそれがいるよ!それがないとおよげないよ!」 「あぁ、ごめんごめん。」 親まりさをそっと水面に浮かべる。正直浮くとは思ってなかったんだが本当に浮きやがった。 親まりさは口に咥えた木の棒で器用に泳いでいた。他のまりさたちが急かすので順番に入れてやる。 まだ小さいまりさはうまく泳げていないようだったが親ゆっくりの手助けで何とか浮いているようだった。 「気に入ったかい?」 「ゆっ!おにーさんここひろいね!」 「ゆっくちできるね!」 「あ!おさかなさんだ!」 「ゆゆっ!くさもはえてるよ!」 「おそととおんなじー」 どうやら気に入ってくれたようだ。近くの川のものをここまで持ってきたのだからゆっくりたちも見覚えがあったのだろう。 苦労はしたが、ゆっくりがよろこんでいるのでよかった。 「じゃあ今日からそこに住んでね。」 「ここでゆっくりするね!・・・なんでええええええええ!」 俺が言ったことに素直にうなずいた後、いきなり驚き叫びだした。どうしたと言うんだ。 「聞こえなかったかい?今日からここに住んでね!」 「まりさたちはすにかえるよ!ここじゃゆっくりできないよ!」 「ここでもゆっくり出来るようになって貰うから安心していいよ。」 「ここじゃゆっくりできないいいいいいいいいいい!」 「ここじゃはねれないよ!ゆっくちちたいよ!」 「ゆ゙ゔううううううううう!」 いきなりここに住んでねと言われて、まりさたちは戸惑っているようだ。子まりさは泣き叫んだり、親ゆっくりの方を心配そうに見ている。 親まりさはそんな子供達を慰めながらもう一度話しかけてきた。 「ここにはつちがないからゆっくりできないよ!みずにはいるととけちゃうんだよ!」 「溶けちゃうのか。じゃあ、落ちないように気をつけてね!」 「おにーさんまりさたちなにかわるいことしたの?」 「わるいことしたならあやまるよ!だからたすけてね!」 どうやら自分達が悪いことをしたからお仕置きされていると思ったらしい。二匹の親まりさが俺に謝ってきた。 その様子に子まりさたちも親の後ろで謝りだす。ちょっとうるさいかな。 「勘違いしてるよ。まりさたちは何も悪くない。」 「じゃあなんでごん゙な゙ごどずる゙の゙おおおおおお!」 どうやら理由を話したら分かってくれるらしい。 「おにーさんのところにね、依頼がきたんだよ。水上で生活するゆっくりまりさがほしいって。」 「な゙に゙ぞれ゙ええええええええええ!」 「いやぁ、必死に頼んでくるもんだからさ。断りきれなくて。だからまりさたちはがんばってなれてね!」 「ゆ゙っ!じゃあこどもたちだけでもたすけてよおおおおお!」 「お゙があ゙ぢゃああああああああああああああん゙!」 どうやら自分達が犠牲になれば子供達は助かると思ったらしい。 「そうしたいんだけどね、その人は子ゆっくりがいいらしいんだ。だから逆はできるよ。」 「ぞれ゙ばだめ゙ええええええええええ!」 「まぁその人はちゃんと飼うっていってたからここで水上で生活できるようになってれば命まではとられないよ(タブン)だから親まりさはがんばって子供達をそだててね!」 そうやって話を切り上げた俺は、餌は決まった時間に持ってくるよと言ってから泣き声のする部屋を出た。 これからしばらく、やったこともないまりさの水上生活支援をしなければならない。 まりさたちが立派な水上ゆっくりになることを期待しながら初日が終わった。 何事も初めてだと失敗するものだ。 朝起きてまりさたちの確認に行くとまりさたちは寝てないようだった。 「ちゃんと寝ないとダメじゃないか。これじゃ病気になっちゃうよ。」 「ゆっ!だって、ねるとみずにおちちゃうよ!」 「なみがくるとあぶないんだよ!」 「ゆっくちちたいよ!」 「あかちゃんたちがねれないよ!はやくりくにあげてね!」 困ったな。水上で寝るのを怖がって寝れないのか。確かに、ゆっくり一匹だと波が来れば流されたり、溺れたりするだろう。 一匹じゃ無理となると・・・ 「よし、お前達もっと固まってみろ。」 「ゆゆっ?かたまってどうするの?!」 「いいからいいから。」 そういってまりさたちを一箇所に集める。 まず、親二匹を皮がくっつくぐらいに近づけ、その周りに同じく皮がくっつくぐらい子まりさを近づけてやった。 遠くから見たら大きい帽子にまりさたちが詰まってるように見える。 これならば波にも耐えられるのではないか。 「よーし、いくぞー。」 「やめてね!なみをたてないでね!」 「ゆっくちできないいいいい!!」 怖がるまりさたちを気にせず、水面を叩いて波を作る。 結果、水槽から水が出るぐらいまで揺らしてもまりさたちは沈まず水上に居続けた。 「ゆゆっ!どうしてー?」 「水面に接する面積が増えてひっくり返りにくくなったからかな。」 「?」 「まぁこれで寝れるんじゃないかな?」 「ゆゆっ!これでねれるよ!おにーさんありがとう!」 昨日のことも忘れて俺に感謝してくるゆっくりまりさ。朝食を上げる予定だったがすやすやと家族で寝てしまったので止めにした。 昼にやってくるとまりさたちは起きて水面を泳いでいた。 水上で生活しなければいけなくなったので、泳げないのは死に関わる。 親まりさは子供達が少しでも上手くなる様にと、俺に気づきもせず子供達をしごいていた。 先に気づいた子まりさはこれでゆっくりできると思ったのか目を輝かしながらこっちによってきた。 「おにーさんおとーさんがまりさたちをいじめるよ!」 「いじめてないよ!まりさたちがおよげるようにしてあげてるんだよ!」 「そうだよ!でたらめいわないでね!」 「ゆゆぅ・・・ごめんなさい!」 「昼ごはんを持ってきたんだけどいらないかな?」 「ゆっ!まりさたちはおなかぺこぺこだよ!はやくたべさせてね!」 「ごはん!ごはん!」 他のゆっくりたちもご飯と言う言葉に反応してこっちに近づいてきた。 俺は持ってきた野菜にテープで糸を取り付け水槽の上に吊るしていく。 「はい、昼食だよ。」 「これじゃとどかないよ!」 「舌を伸ばしても届かないかい?」 「ゆっ!・・・ゆ゙ううううう!とどかないよー!」 懸命に舌を伸ばして餌を取ろうとするまりさたち。しかし餌は親まりさの舌よりすこし高い位置にあり、もう少しで届きそうだった。 「もうすこしでとどきそうだね。がんば!」 「ゆ゙うううううううううう!」 必死に舌を伸ばす親まりさ。舌の先がぷるぷる震えてる。 親まりさが届かないのに子が届くはずはなく。子まりさ達は親まりさを応援して少しでも役に立ったつもりになろうとしていた。 俺も応援モードになって子まりさと一緒に応援する。 一時間ほど延ばし続けるとなんと餌に舌が届いた。 「ゆっ!むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!」 「おかーさんとおとーさんだけずるいよ!」 「まりさたちにもたべさせてね!」 文句を言う子供達に舌を伸ばして餌を与える親まりさ。 前に薬を売りにきた兎に頼んで作ってもらったゆっくり用の成長剤が効いたのだろう。 お菓子に仕込んでおいてよかった。しかし、これでは子供達の舌が伸びない。 「次から子供達と別々にして餌やりだな。」 そんな独り言も餌に夢中なまりさたちは気づかない。 餌を全部食べ終わるとまた子供に泳ぎ方を教えだしたので俺は部屋を出て行った。 それからしばらくゆっくりまりさの観察と躾は続いた。 ずっと帽子に乗ったままで運動不足にならないのかと思ったが、ゆっくりは動かなくても平気らしい。ゆっくりらしいと言えばらしいな。 帽子も腐ったり穴が開いたりせずに最初の形を保っている。命より大事な一つの帽子はそれだけの強度があるのか。ゆっくりの神秘。餌取りもだいぶ慣れたようで、別の場所で育てた茎についた野菜や枝についたままの果物を舌で上手に取って食べれるようになった。今日もゆっくりは慣れたように泳ぎ回っていたり、餌を取ったり、ぷかぷかと浮いている。 ムカついたので水槽を揺らすとゆっくりたちは慌て出す。 面白いのでもっと揺らすと、まりさたちは近くのまりさとくっつき始める。 やがて2ペア、4ペア、8ペアと増えていき、最後には一つの固まりになるのだ。 最初に教えたゆっくりできる方法をゆっくりなりに進化させたのだろう。 ゆっくりの行動に感動しながらもっと激しく揺らす。 「や゙め゙でええええええええええ!!」 「ゆ゙っぐり゙ざぜでえええええええええ!!」 「ゆ゙うううううううう!」 すばらしい。これなら依頼者も満足するだろう。 俺は電話をしに別の部屋へ向かった。明日には渡せるだろう。 その夜。餌を食べてゆっくりしてるまりさたちの元に網を持って向かう。 「ゆっくりしていってね!」 「今日はゆっくりしに来たんじゃないんだよ。」 「ゆっ?」 「明日依頼者にまりさたちを渡すことになってね。今から別の水槽に移すことにしたんだ。」 「ゆゆゆっ!?」 どうやら最初に言ったことを忘れていたらしい。 親まりさは子供達を庇うようにして俺の前に浮かぶ。 「こどもたちをつれていかないでね!」 「まりさがいくからこどもたちはおいてあげてね!」 「おとーさああああん!」 「残念だけどほしがってるのは子まりさ4匹なんだ。」 親まりさを棒でつつく。水の上では抵抗できず、子供達から離れていく親まりさ。 子供たちは親がいきなりいなくなって驚き顔だ。 「ゆゆ!こないでね!ゆっくりさせてね!」 「みんなにげるよ!」 「おにーさんはそこでゆっくりしててね!」 蜘蛛の子を散らすように逃げ出す子まりさ。 俺は用意していた網で子まりさを4匹捕まえた。 やっとも戻ってきた親まりさと子まりさが俺に文句をいう。 「こどもたちをかえしてえええええええええ!」 「おねえええちゃあああああん!」 「おねーちゃんとゆっくりしたいよおおおおおお!」 「大丈夫だよ。」 「ゆ?」 「この4匹は依頼者がちゃんと育てるって言ってたからね!」 「ゆ゙うううううううううう!」 まだ叫ぶ家族を残して俺は用意した水槽に子まりさを入れる。 「お゙がああああああああざあああああん!」 「お゙どおおおおおおざあああああああん!」 「ゆっくりできないいいいいいいいい!」 「おにーさんのばがあ゙あああああああああ!」 泣き喚く子まりさを沈めたくなったが、依頼者のことを思い出し我慢。 別にまだ子供達がいるから沈めてもいいのだが、戻るとまだうるさいだろうし。 2日分の餌を入れてから蓋を閉め、空気穴がちゃんと開いているかを確認してから水槽を一度叩く。 叩いた衝撃でまりさたちが固まって泣き叫ぶのを確認した俺は子まりさの水槽から離れた。 次の日、依頼者がやってきたので昨日準備した水槽を渡す。 依頼者は水槽のなかのゆっくりを初めて見てから水槽を突っついたりして中のまりさたちと遊んであげている。 このままではずっとそうしていそうなので声をかける。 俺に気づいた依頼者は報酬のお金を払った後スキップしながら家へと戻っていった。 あれぐらいの揺れでも固まってやり過ごせるだろう。やはり教えといてよかった。 依頼者が見えなくなると、俺はまりさの家族がいる部屋へと向かった。 あの部屋には子まりさを捕まえてから言ってなかったから少し心配だったが、どうやらちゃんと生きているらしい。 まだ親まりさは落ち込んでいたが子まりさたちが励ましている。直に元気になるだろう。 「おーい、餌を持ってきたぞ。」 「おにーさんなんかきらいだよ!」 「ずいぶん嫌われちゃったな。」 「まりさのこどもをかえしてね!」 「あいつらはもう依頼者が持っていっちゃったよ。」 「ぞん゙な゙あ゙ああああああああ!」 「まぁ元気にやってるだろうさ。じゃあこれからもそこで生活してね!」 「ゆっ!もういらいしゃにあげたんでしょ!りくにもどしてよ!」 「じつはあかちゃんまりさがいいっていう人もいるんだよね。だから何世代か育てて水上に適応した赤ちゃんまりさをつくるんだ。」「なにいってるかわからないよ!はやくそとにだしてね!」 「ダメだよ!死ぬまでそこでゆっくりしていってね!」 「ゆ゙っぐり゙でぎな゙い゙いいいいいいいいい!」 親まりさは今にも狂いだしそうだ。これはまずいか。そのとき、 「ゆっ!おかーちゃん!まりさはここでもゆっくちできるよ!」 「そうだよ!ここなられみりゃもこないしあんぜんだよ!」 「えさもずっとあるし、ふゆもないしここがいいよ!」 子まりさは陸にいた日が親より少ないからあまり気にならないのか慣れたのか、親まりさをなだめる。 親まりさも残った子供達が減るのを良しとしないのかここに残ると言い出した。 その言葉に安心した俺はいつもより多めに餌をやって部屋をでた。これなら今日の夜には大丈夫だろう。 夜になってまりさたちが寝たのを確認した後、俺はゆっくりの水槽に近づいた。 水槽の中では子まりさが減って若干小さくなった塊がすやすやと寝息を立てていた。 その中から親まりさを慎重に取り出す。そのままでは子まりさが死んでしまうので変わりにブイを入れるのも忘れない。 水槽から出された親まりさはまだちゃんと起きてはいない。完全に起きるとうるさくなって子まりさも起きてしまう。 俺は二匹をくっ付けて揺すりながら別の部屋に向かう。ここならば水槽の子供達に聞こえまい。 親まりさを離すと親まりさは発情していた。 すぐに重なって交尾を始めるまりさを見届けた後、俺は元のように水槽にもどして部屋を出た。 翌朝、水槽に向かうとなにやら騒がしい。 「どうしたんだい?」 「おにーさんまりさにあかちゃんができたよ!」 「まりさのいもうとー!」 「はやくみちゃい!みちゃい!」 昨日の交尾ですぐに芽が出たのか。多少驚きながらも成長剤のことを思い出して一人納得する。 子まりさがいなくなったことも忘れてしまったのだろう、親まりさと子まりさはとてもうれしそうだった。 「じゃあゆっくり子供を産むんだよ。」 「ゆっくりがんばるよ!・・・でもあかちゃんがこのままだとみずにおちちゃうよ!」 「産まれてすぐには帽子に乗れないか。」 「そうだよ!あるていどおおきくならないとむりだよ!だからりくにあげてね!」 「それはダメ。」 「じゃあどうするのおおおおお!」 このままでは産まれてすぐ死んでしまうか・・・ 野生にあるもので水に浮いているものが必要だな。 「よし、ちょっとまってな。」 そういって俺は枯葉や小さな枝を水槽に浮かべていく。 ゆっくりは不思議そうに俺の行動を見ていた。これなら覚えてくれるかな。 俺は浮いた木の枝や枯葉をまとめる。すると小さな浮島になった。 これなら赤ちゃんゆっくりぐらいなら乗れるだろう。 「どうだい?こうすれば赤ちゃん達もゆっくりできるよ!」 「そうだね!おにーさんありがと!」 「まだ足りないかもしれないけど、後は自分で大きくしてね。やり方は分かったね?」 「だいじょうぶだよ!ゆっくり大きくするよ!」 「じゃあがんばってね!」 まりさたちは大きくしようと枝や水に浮かぶ枯葉などを捜しに散っていった。 これで赤ちゃんも育てられるだろう。 ゆっくりの交尾だけは水上でさせる方法が思いつかず陸上に上げたが、勝手に交尾して増えないのはありがたいので次もこの方法でいこう。 だいぶ浮島が大きくなった頃、とうとう赤ちゃんが生まれる瞬間になった。 俺は子まりさととともに親まりさを見守る。手助けしてしまうと次からの子育てに支障をきたす。 やがて芽が出た方のまりさの表情が変わった。 「もうすぐうまれるよ!」 「ゆっ!がんばってうけとめるよ!」 もう一方の親まりさが浮島を動かして赤ちゃんの実を受け止めるのだ。一匹でも出来そうだが二匹の方がより安全だと思ったのだろう。 口に浮島を含んだまりさも自分に生った実を見つめるまりさも真剣だ。 やがて最初の実が落ちる。 「そこだよ!」 「ゆっ!」 なんというコンビネーション!二匹の親まりさの連携で浮島の上に実が溜まっていく。 結局水に落ちた実は3個。残りは浮島の上に無事落ちた。 水に落ちた実を見た親まりさはショックを受けていたがそれも最初だけ。 すぐに落ちる次の実を受けとないと水に落ちると二個目を水に沈めて気づいたまりさは三個目に落ちた実を気にせず次の実に向かっていく。 落ちた実には興味もないのか浮島の上にある実をみて喜ぶ親子まりさ。 だが、俺は落ちた実の方に興味を持った。水中カメラを用いて落ちた実を観察する。 中に水が入っているかと思ったが中に水は漏れてないらしい。中の赤ちゃんまりさが動いているのがかすかに分かった。 実を食い破って外にでようというのだろう。外は水で満たされているとも知らずに。 だんだんと皮が薄くなる。もうすぐ出てくる。俺はじっと目を凝らした。 そして、 「ゆkkぐぼおおおおおおお!」 確かにそんな声を聞いた。 生まれてすぐ死んでしまう赤ちゃんはどんなことを思っていたのだろう。 生まれて初めて見たのは母親じゃなくて魚だったときどんな事を思ったのだろう。 ふと、溺れている赤ちゃんまりさがカメラを通してこちらを向いた気がした。 たすけて そんな風な目だった。俺はにっこり笑うと口だけを動かした。 ゆっくりしね 口の動きでなんて言ったか赤ちゃんに分かっただろうか? 確認はすぐに魚に齧られて痛がるまりさからは出来なかった。 そんな赤ん坊を3回見てからカメラを置く。 陸上では運よく生き残った赤まりさがげんきよく飛び跳ねようとして親まりさにしかられていた。 飛び跳ねると浮島が沈んじゃうかもしれないしね。 こいつらはゆっくり飛び跳ねたりしないままいき続けていく。 まだ陸の記憶があるのだろう。すこし不満げな赤ちゃんまりさを子まりさが慰める。 後何世代か必要か。 俺は依頼者に赤ちゃんまりさを渡すのはいつごろになるのかと頭の中で予想しながら餡子に水上生活をしみこませる方法を考えていた。 このSSに感想を付ける
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※妄想シーンがあります ※お兄さんがキモく、ウザくなります ※ゆっくりが木から生えます 「ゆっくりが実る木」 ある家の玄関に種が入っている袋が落ちていた。 「うん?」 何じゃこりゃと袋を拾い上げるお兄さん。 すると種のほかに紙が置いてあった。 「この種を植えてください 追伸 おなかがすいているのであればこの木から育った実を食べてください」 それしか書いてなかった。 「へぇ・・・ なんかの果物か? ちょうどいい、腹も減ってるし、金もないから、植えてみるか。」 早速中庭に種を植える。 水とか肥料はバッチリだ。 「へへ、そう簡単にならないのは知ってんだよ。 ま、気長に待ちますか。」 実はこの男、前に木を育てたのだが一ヶ月足らずで駄目になってしまった経験がある。 そんなことは関係ないか。と思い家の中に入る。 そして夜。 何か変な音がした。 「何だ?ゆっくりが忍び込んできたか? いや、違う。ゆっくりがこんな時間帯にくるはずがない。」 なんだってんだよー、ったく と思った後、外を見つめた。 すると植えたはずの木があっという間に育っているではないか! 「な・・・なんじゃこりゃアアアアあアアアアあアアアアアアアアアアアアアアあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 しかも立派に育っている。 「やばいってこれ。夢だよ、夢だって、そうさ!いつだってッ!!」 とあわてて家の中に戻り 布団に飛び込む 「だからお休みー」 布団を再びかぶり眠りにつく。 で、翌日。 ぱっと目を覚ました俺は中庭を覗いた。 すると目の前にあったのは・・・ やはり立派な木だった。 「何で夢じゃないのおおおおおおおおお!!!」 ゆっくりのような悲鳴を上げたお兄さん。 さらによく見るともう実がなっている。 「はぇぇ・・・はぇぇよぉ・・・」 この木の成長振りにびびるお兄さん。 よく見ると、その実はどこかで見たような気がする形だった。 「なんかこうウザい感じがするな・・・」 はぁーと、溜め息をした次の瞬間。ぷちりという音がした。 「ん?何の音だ?木の裏側っぽいな、見てみるか。」 と覗くと、黒い髪に赤色リボン。これってまさか・・・ 「ゆっきゅりちていっちぇにぇ!」 一口サイズの小さなゆっくりれいむだ。 「さっきまでいなかったはずのれいむがなぜここに・・・ まさか!」 お兄さんは木の実を見る。 よく見ると、ほかの木の実には黒い帽子、カチューシャ、猫耳帽子、ナイトキャップなどがついている。 これでもう明らかになった。 この木はゆっくりが実る木。 「なんてこった。 俺は大変なものを・・・ あ。」 お兄さんは懐に合った紙を取り出した。 『この種を植えてください 追伸 おなかがすいているのであればこの木から育った実を食べてください』 と書いてあった。 食っていいから大丈夫だよなと思った俺はまりさと思われる実に手を伸ばす。 「よし・・・」 と実をくいっと引っ張った。 すると実は簡単に取れた。 まりさは悲鳴を上げることもなく絶命した。 次に帽子をぽいっと捨てる。 「ゆぅ~にゃにしょれぇ?おいちいにょ?」 と木の実から生まれたれいむがたずねてくる。(以下実れいむ 実まりさなど) 「ん~どだろ。」 ぽいっと口の中へ放り込む。 味はいまいち まだ成長が未発達のせいかそんなにおいしくなかった。 「これ以上増えてもらってはこまるな・・・ 何かいい策はないもんか・・・」 と頭を抱え悩みこむ。 するとお兄さんの家の近くから声がした。 よく見ると一人のお兄さんがれいむとまりさを籠につめ歩いているところだった。 「何してるんですか?」 と問いかけると、お兄さんは苦笑し。 「お前知らないのか。 こいつらを加工所に売り飛ばすんだよ。 そうすりゃ金になる。」 「かごうじょいやあああああああああああああああああ!!」 加工所という単語を聞き暴れるれいむとまりさ 「るっせーな、今楽にしてやるから覚悟しとけ。」 なんてやり取りの後お兄さんはすたこらさっさと逃げていった。 サイドビジネスの予感。 お兄さんは将来の自分を想像した後、とんでもないことを考えてしまった。 「いや、待てよ。 ぽんぽーんと連れて行ったら怪しいって思われて家宅捜索されるんじゃ!?」 創造というよりモロ妄想である サイドビジネスはあきらめた。 金を渡す加工所の気持ちも少しわかった気がする。 「そうだ!木!」 俺はあわてて庭の中へ。 すると実がぽろぽろ落ちてきている。 そしてお兄さんのほうを向いて 「「「「「「「「「「ゆっきゅりちていっちぇにぇ!」」」」」」」」」」 オウ、ノーもう生まれてる。 しかも十匹近く。 でも、こいつらを飼うわけにはいかない 野生に離してもれみりゃが現れるだけ。 どーすんのよ。 殺しまくってストレスを処理しても ぽんぽん増えるやつだから飽き飽きになるだろう。 なので。 数週間後。どこかのマンション トントンとドアのノック音がする。 「うるせーなぁー朝から。つーかチャイムがあるからそれ押せよ。 どんだけレトロな人間だ?お前。」 「すまないなぁ・・・お前が一流の虐待お兄さんとして折り入って頼みがあるんだ。」 「はぁ?」 「友達のよしみってことで・・・ こいつら全部殺してもかまわないぞ」 と差し出されたのは大型サイズの籠にゆっくりたちが無造作に押し込まれている。 「んな!何匹いるんだよ!こいつら」 「んー、50匹くらいかな。」 「キャッホオオオオオオオオオオオオオオオオオオウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!」 友達が歓喜の声を上げる。 「まさかこんなにゆっくりを大虐殺する日が来るとは!!」・・・と。 「あ、こいつら5000円な。 あと前に貸した10000円返せ。 それとこのことは誰にも言うな。」 すると友達はマッハの速さで財布を持ってきて。 15000円を渡した後、強くドアを閉めた。 「・・・いよっし!」 とお兄さんはルンルンと笑顔で帰った。 つまり加工所ではなく友達に売り飛ばせばいい。 秘密にさせておけば家宅捜索なんてないんだぜ!(モロ妄想です) そんな簡単なことに早く気づかなかったんだろ。 なんて思いお兄さんは家に帰る。 そして家に帰り木の本へ戻るお兄さん。 実ゆっくりたちのお帰りコールがあったので適当に返事をし木の本へ行く 「やっほ~ぅ。わがいとしのきよぉ~ かえったぞぉ~」 とでれでれと戻ってみると新しい実が実りつつあった。 「おお、金が実る。金が実る。」 お兄さんは次から次へと実を確認しました。 「おお、今日はちぇん・・・みょん・・・ おお、れみりゃだ。 フランまで。 むふふ・・・ お兄さんはうれしいどぉ~♪」 思わずれみりゃの真似をしたお兄さん さらには踊りまで真似する始末。 「うっうー♪うあ♪う・・・うん?」 お兄さんが何かに気がついた。 見たこともない実がはえていたのだ。 すると近くにいた実ちぇんが現れ実を見るなり 「ら・・・らんしゃまあああああああああああああああ!!」 「・・・は?」 「らんしゃまだ!まちがいないよ-わかるよー」 「なにいってんだここにらんがいるわけ・・・」 といい木の実を見ると 確かにいた。 らんがいた。 他にもゆゆことか、えーりん、ゆかりとかも生えていた。 「てかえーりんがここから生まれてもいいのか!?」 なんてお兄さんは思っていたがそれはどうでもいいとして。 まさに希少種のラッシュ。 売れば相当の金額になるだろう。 あと、どうでもいいができればゆゆこは早く生まれてきてほしい お兄さんのほしいゆっくりランキングナンバーワンだからだ。 お兄さんはルンルンとしていた。 まさかあの木からゆゆこが生まれてくるとはと。 翌日には生まれてくるんだ。 楽しみだな・・・ そして翌日。 お兄さんはウキウキしていた。 早くゆゆこうまれねーかな。 その隣にはちぇんがいた。 早くらんしゃま生まれないかな。 お互いはそんなことを考えていた。 すると実がゆれる。 ついに・・・ついに・・・ ゆゆこが(らんしゃま)が生まれるんだ! 実がぽとりと落ちる。 生まれてきたのは・・・ 「どうも、ゆっくりしていってください わたしはきよくただしい きめぇまるです」 きめぇ丸だった。 場の空気が凍りつく。 ついでにきめぇまるは生まれてきてから言語能力が発達しており生まれたにもかかわらず成体ゆっくりに近いような話方をする。 「なんでらんしゃまがうまれないのおおおおおおおお!?わからないよおおおおおおおおお!?」 ちぇんが半狂乱になっている。 「大丈夫だ!落ち着けちぇん!次こそはらんが生まれるって!多分!!」 「ゆ・・・そうだねーおちつくよー」 (さぁこい!ゆゆこ!!生まれたらお兄さんとゆっくりしようね!) お兄さんはそう思い妄想を開始した。 それはお花畑じゃなくてゆっくりたちのゆっくりプレイス 俺はゆゆこと手(?)を取りながら嬉しく虐待をしていた。 「あはははははははは・・・」 「こぼねー」 ゆっくりたちを踏みつけ、蹴飛ばす俺。 ゆっくりたちを容赦なく食らいまくるゆゆこ まさに俺の人生薔薇色! かもぉーん!ゆゆこ!! しかし、木に変化が起きた。 木が見る見ると枯れ、木が朽ち果ててしまったのだ。 当然実は栄養を受け取ることができなくなり黒ずんでしまった。 らんも、ゆゆこも。 「「うっ、うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 すると玄関近くにチャイムの音が 「はい・・・」 それは郵便局の人だった。 「いたいた。実はあなたにこれを渡すように頼まれまして。では。」 一通の手紙を渡した後、郵便局の人はバイクにまたがり去っていった。 その手紙には 「遅れてすいませんでした。 この木はゆっくりを実らす木ですが 一ヶ月たつとかれてしまいます。 お手数をかけすみませんでした。」 と書いてあった。 それを見たお兄さんは 「なんてこったい。俺のゆゆこがあああああああああああああああああああああああ!!」 ちぇんはもう息もしていないらんに泣き縋る。 「うわああああああああん!らんしゃまあああああああああああ!ゆっくりしてええええええええ!わからないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 お兄さんはその後怒りに身を任せ手紙を力いっぱいに破り捨てた後 、枯れ木などに八つ当たりをはじめ。 最後、暴れすぎたせいか意識がブラックアウトする。 「・・・はぁっ!!」 俺はがばりと起き上がった。 「な、・・・なんだ。」 お兄さんは起き上がり庭を覗く。 気はない、ゆっくりたちの死体もないし、ちぇんもいない。 まさか・・・これは 「夢オチかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 あとがき 最後は夢オチでした。 ゆっくりの出産方法に茎による植物性出産を考え 木からから生まれたらどうなるだろうかと考え作りました。 夢じゃなかったらどうなることかと俺は思う。 byさすらいの名無し 過去作品 いじめ系2850 ゆっくり油火踊り祭 いじめ系2889 ゆっくりべんじゃー いじめ系2932 すぃー吶喊 いじめ小ネタ542 ゆっくりジェットコースター いじめ小ネタ545 ゆっくりボール いじめ小ネタ546 ゆっくり太郎 いじめ小ネタ553 ゆっくりできない川さん いじめ小ネタ562 ゆっくり草野球 いじめ小ネタ567 ゆっくり瞬殺されるよ! いじめ小ネタ573 金バッチがほしいよ! このSSに感想をつける
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ある所に、とてもみじめなゆっくりまりさがいました。 ごはんをたくさん食べて、寝て……まだ小さいので子供はいませんし、家族ともずっと昔に別れてしまいましたが、普通のゆっくりとほとんど変わらないゆっくりライフを営んでいました。 周りのゆっくりとほとんど変わらない生活をすごしているのに、なぜこのゆっくりまりさはみじめなのでしょうか? それは、帽子をなくしてしまったからです。 ゆっくりは、生まれた時から帽子やリボンなど、何らかの飾りを身に付けています。 れいむなら赤いリボン、ちぇんならキャベツ……もとい帽子、みょんならキクラゲ……いや黒いリボン、ゆかりならドアノブ……違う。帽子、そして、まりさならとんがり帽子。 種族によって違いはありますが、必ず何かを付けています。 極めて稀な例で、とんがり帽子をかぶったれいむ等といった奇形も誕生しますが、それにしても飾りを身に付けているのには変わりありません。 ですが、みじめなゆっくりまりさにはリボンや別種の帽子すらありませんでした。 飾りは、ゆっくりが生きていくのに必要な器官ではありませんが、だからと言って必要ないものでもありません。 飾りを身に付けている事で、ゆっくりはゆっくりとして、ゆっくりできるのです。 もちろん、みじめなゆっくりまりさは、本当の意味でゆっくりする事はできませんでした。 そのため、飾りをなくしたゆっくりは、代わりの飾りを探します。 ――飾りさえ持っていれば、もうこんなみじめな思いをしなくて良い。ゆっくりできる。 その思いから、ゆっくりなりに必死になります。 探した結果、自分の飾りが見つかれば良いですが、どうしてもない時は別のゆっくりの飾りを奪ってでも手に入れようとします。 ですが、奪われた方のゆっくりにとっては、たまったものではありません。次にみじめな思いをするのは、奪われたゆっくりなのですから。 奪おうとするゆっくりと、奪われまいと警戒するゆっくり。 本来ならば一緒にゆっくりできる仲間と、そんなゆっくりできない関係になってしまうため、飾りのないゆっくりはみじめなゆっくりなのです。 みじめなゆっくりは、他のゆっくりよりもほんの少しだけ早く起きます。 近くに寝ているゆっくりがいたら、その飾りを奪うためです。 みじめなゆっくりが、洞窟に入っていきました。 どうやら、まだ寝ているゆっくりを見つけたのでしょう。ゆっくりとは思えないほど慎重に、音を立てない様に注意して入っていきます。 「ゆっ……! ゆっ、ゆー!!!」 「ゆっくりしね!!!」「しね!!!」「ゆっくりでていけ!!!」 どうやら見つかったみたいですね。 激怒したゆっくりれいむ一家に追い立てられて、ほうほうの体で逃げていきました。 母ゆっくりは限界までふくらんで、威嚇しています。石を口にくわえて投げつける子ゆっくりもいます。 目の前で子供を殺された時ですら、ここまでの攻撃はしないでしょう。 ゆっくりの飾りを盗むという事が、どれほど重大な問題なのかをうかがわせる光景です。 みじめなゆっくりは、他のゆっくりよりもほんの少しだけ早く食事を終えます。 近くに飾りが落ちてないかどうか探すためです。 先ほど追いかけられたみじめなゆっくりは、へとへとになりつつも食事を探しだしました。 この辺りは、捕食種であるゆっくりれみりゃもゆっくりフランもおらず、エサの量が多いため、みじめなゆっくりでもたらふく食べる事ができます。 「うめっ! めっさうめぇこれ!」 普通のゆっくりまりさと変わらない下品な言葉を発しつつ、たくさんの草や虫を食べていきます。 あらかた食べ終わったみじめなゆっくりは、それほど休まずに動き出しました。 食後の散歩でしょうか? 違います。どこかに飾りが落ちていないか、探しているのです。 みじめなゆっくりは、なめるように周囲を探していきます。 時には、遠出をしてでも見つけ出そうとします。とはいえ、ゆっくりなのでそれほどの距離を移動する事はできません。 みじめなゆっくりが、ゆっくりと戻ってきました。 どうやら飾りは見つからなかったらしいですね。寂しそうにうつむいています。 そんな、落ち込んでいるゆっくりの耳(あるのかは不明ですが)に、別のゆっくりたちの声が飛び込んできました。 ゆっくりまりさとれいむの集団です。このゆっくりたちは、全員帽子とリボンを付けています。 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくり……していってね!!!」」」 嬉しそうにあいさつするみじめなゆっくりに対し、姿が見えた瞬間、少し距離を置いてあいさつを返すゆっくりたち。 あいさつをした相手と遊んだ上、そのまま家におじゃまして一緒に寝る事もあるほどに種族仲の良いゆっくりにしては、珍しい光景です。 それもこれも、みじめなゆっくりが飾りを身に付けていないからです。 「ゆっくりあそぶよ!」 「なにしてゆっくりあそぶ?」 「ちょうちょさんとおっかけっこしよう!」 「「「ゆっくりあそぼうね!!!」」」 楽しそうに遊ぶ内容を話し合い、近くに来たちょうちょを追いかけて遊んでいます。 みじめなゆっくりと、普通のゆっくり。 一見仲良く遊んでいますが、実はお互いに非常に警戒し合っています。 「ゆ”っ!?」 「まりさ!」 「……ゆっくりころんだ!」 「だいじょうぶ? ゆっくりおきあがってね!」 「ゆっくり……ゆぎゅぅぅぅ!」 「……ゆっくりおきあがるのてつだうよ!」 「ゆっぐ、いらないから……ゆっぐり、はなれてね!!!」 起き上がるのを手伝おうとしたみじめなゆっくりを、全力で振り払おうとするゆっくりまりさ。 当然です。みじめなゆっくりは、助ける事にかこつけてまりさの帽子を奪おうとしていたのですから。 ちなみに、この時他のゆっくり達はただ眺めているだけです。 どちらのゆっくりが帽子を被るかによって相手への対応が変わるため、うかつに動く様な事はできないのです。 元々のみじめなゆっくりが弾き飛ばされ、木にぶつかって止まったのを見届けてから、また皆で一緒に遊びます。 心配して近づくゆっくりはいません。近づいたら最後、飾りが奪われる可能性があるからです。 ゆっくり達は、遠くから声をかけます。 「ゆっくりだいじょうぶ?」 「ゆっくりこっちにきてね!」 「いたかったら、そこでゆっくりやすんでね!」 「……ありがとう、でもだいじょうぶだからいっしょにゆっくりあそぼうね」 みじめなゆっくりは、優しく問いかける仲間に対してにこやかに返事をしつつ、元気に飛び跳ねながら仲間達の元に行きました。 「ゆっ! おひさまがかくれちゃうよ!」 「たいへん! ゆっくりかえらなきゃ!」 「みんなでゆっくりかえろうね!」 西日が傾いてくると、ゆっくり達は帰宅します。 夜になると、ゆっくりれみりゃやゆっくりフランといった、捕食種が現れるからです。 「ま、まって! もっとゆっくりあそぼうよ!!!」 そんな中、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら皆を引き止めるみじめなゆっくり。 遊んでいる最中はスキを見つけられなかったらしく、飾りはありません。 「ごめんね! でもゆっくりかえらないとれいむがおかあさんにおこられるの!」 「まりさもおこられるから、みんなでゆっくりかえろうね!」 ねー、と声をかけ合うゆっくり達。 みじめなゆっくりが何と言おうとも、普通のゆっくり達は聞き入れず、仲良く帰っていってしまいました。 「まっでー! もっどゆっぐりじようよー!!!」 最後には泣き叫びながら引き留めようとするみじめなゆっくりですが、皆でがっちりと固まって帰ってしまいました。 これでは、帰ろうとするゆっくりの背後から奪い取る事もできません。 結局、みじめなゆっくりは飾りを奪う事はできませんでした。 みじめなゆっくりは、他のゆっくりよりもほんの少しだけ遅く眠ります。 近くにゆっくりが寝ていたら、その飾りを奪うためです。 皆が帰るのを眺めていたみじめなゆっくりも、気を取り直して巣に戻りました。 いつまでもゆっくりしていると、捕食種の餌食になるからです。 ゆっくりと巣に戻り、巣に戻ったらゆっくりして、そのまま眠りに付きます。 「ゆぅ……ゆ……ふぅ……ゆー……ゆっ!」 完全に眠ったと思った瞬間、飛び起きてゆっくり外へと出て行きました。 みじめなゆっくりは、そのまま朝とは別の洞窟に入っていき、何も被らずに出てきました。 自分に合う飾りがなかった様です。 自分と同じサイズのものでなければ、周りから飾りとして認められません。 それでは、奪い取っても意味がありません。 とぼとぼと、みじめなゆっくりが自分の巣に帰ろうとしている最中、話し声が聞こえてきました。 「……よ、ほんとうに……」 「……ね、ゆっくり……」 何事かと恐る恐る覗いてみると、先ほどまで遊んでいたゆっくり達のうち、2匹が楽しそうに談笑していました。 どうやら巣が近くにあった様です。体をくっつけて「ゆぅ~♪ゆっ♪」と歌ったりもしています。 みじめなゆっくりが声をかけようと近づくと、話の内容が聞こえてきました。 「ぼうしないこ、ずっとれいむたちのりぼんみてたよね」 「まりさのぼうしをとろうとしてたよ」 「ぼうしなくてかわいそうだとおもったからゆっくりしてあげたのに、だめなこだよね」 「だめなこだよね、ゆっくりできないこなんだよ、あのこ」 「いやだよね、ぼうしないこはゆっくりしてなくて」 「ほんと、ぼうしないとゆっくりできなくなるんだね」 「きっと、ちかづいたら『ぼうしとるぞー!』っておいかけてくるよ」 「おお、こわいこわい」 みじめなゆっくりは、そのまま動けなくなってしまいました。 昼間に遊んだゆっくり達が、同情のみで遊んでいた事を知ってしまったからです。 その日以来、みじめなゆっくりを見る事はありませんでした。 ――いかがだったでしょうか。 帽子やリボンがないだけで、ゆっくりはこれほど惨めな思いをする事になるのです。 何としても飾りが欲しいと思うゆっくりの思いを理解していただけたでしょうか。 ただ、ここまで見てきて疑問に思われた事があるでしょう。 生きているのじゃなくて、死体から帽子なりリボンを奪えば良いんじゃないか? という疑問が。 確かにその通りです。 ですが、ゆっくりは、どれだけ惨めな思いをしても仲間の死体から飾りを奪う事は決してしません。 それをしてしまえば、皆に殺されてしまうからです。 バレない様にこっそり奪えば良いという意見もあるかもしれませんが、死体の飾りには死臭が付いているため、どれだけこっそりしていても絶対にバレてしまいます。 頭の良いゆっくりが、死臭を消すために肥溜めに落としたりした事がありましたが、そこまでしても死臭を消す事はできませんでした。 ちなみに、そのゆっくりは制裁として肥溜めに落とされ、フタをした上に重石を乗せられました。 ゆっくりにとって、飾りはそこまで重要なものなのです。 だから、ゆっくりにどれだけ腹を立て、殺したいほど憎くても、また、殺したとしても、決して飾りだけは取ってはいけません。 飾りを取った人間に対し、ゆっくりがどれほどの憎しみを抱くか……考えただけで恐ろしくなります。 ゆっくりだから大した事はないと思ってはいけません。 奴らは、飾りを取られた恨みを決して忘れず、どこまでも追いかけてくるからです。 ……なぜ私がここまで怯えるのか、不思議だったり情けなく思ったりする方がいるでしょう。 ですが、これは全て事実なのです。 奴らは、普段は鈍重でボンクラで一匹位いなくなっても気にしない間抜けどもの癖に、飾りを壊した奴の事は決して忘れません。 何が出来る訳じゃない、ただただ攻撃を仕掛けてきて殺されるだけなのに、死体の山を築き上げたとしても諦めずにずっと付いてくるのです。 私は、恐ろしい。 ……あんた、笑ったか? 出来の悪いホラーを見るような態度で笑っただろう。 いや、笑うのも分かるさ。私だって、ゆっくり程度に怯える奴がいたら、笑うさ。 でも、この音を聞いてみろよ。後ろからずっと、返せ返せって呟きながら、べちゃべちゃとついてくる饅頭どもの音をさぁ! 殺すのは簡単だよ、こんな奴ら。無抵抗に近いんだからな。ぶつかってきても痛くも何ともない。 ナイフとかのこぎりとか物騒な器具がなくても、ただぶん殴れば終わるさ。 でも、ずっとついてくるんだよ。返せ、べちゃ、返せ、べちゃ、返せ、べちゃって、ついてくるんだよぉ! 職場でも家でも風呂でもトイレでも、ずっとついてくるんだよぉ!!! ……ほら、今も聞こえるだろう? 奴らの声が。足音が! べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ ――ゆっくりを虐待している皆さん。 ――くれぐれも、奴らの飾りだけは盗られないよう、お気をつけ下さい。 ――さもなくば、彼のようになりますよ。 この話の骨子は、 316のレスを見て思いつきました。多謝。 でもなんで、こんな話になったんでしょうか……自分でも分からないです。 ところで、 863……本当に、怖くないですか?
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(*)お兄さんがゲスです。 「おにいさんおかえりなさい!れいむのゆっくりぷれいすへようこそ!」 男がくたくたになって家に帰り着き、後ろ手で扉を閉めると男の前にゆっくりれいむがすりすりと靴箱から出てきた。 男に喋る饅頭を飼う趣味はない、つまりれいむはこの男の住居に無断で入り込み、おうち宣言をしたことになる。 しかし男はなぜれいむがここにいるのか不思議がるでも追い出すでもなく、目の前のれいむにゆっくりと近づくと、やさしく頭をなでた。 「ゆっゆー!もっとなでてね!」 れいむはバスケットボールサイズの健康な成ゆっくりのようだ、髪の毛の色つやは申し分ないし 目も透き通っている、男はれいむの脇に腰掛けると、身ごもっているのかを聞いた。 「そうだよ!れいむのなかにはかわいいあかちゃんがいるよ!」 胎生型にんっしんをしているようだ、男はなんとなくれいむに気づかれぬよう 廊下の奥のパソコンのおいてある部屋を盗み見た、れいむ以外のゆっくりが居る形跡はない、旦那役が居ないのだ。 饅頭の機嫌を取っても空しいだけだ、男は旦那の所在を聞いた。 れいむの夫であるゆっくりまりさはゆっくりの中でも賢かった、しかしれいむがにんっしんしたすぐ後 人間のおこぼれに預かろうと焼却炉の中の生ゴミをあさっていたところ、炉の扉が閉められかえらぬゆっくりとなったのだ まりさが最後に思った事、それは「何故、人間に迷惑を掛けていない自分が焼かれなければならないのか」という事だった 所詮ゆっくりの浅知恵などその程度の物なのだろう。 まりさは自身の体が炎に包まれ、永遠にゆっくりできなくなってなお、焼却炉が一体何のための装置なのかを理解する事はなかった。 そんなことはれいむはもちろん、男も知るよしがない。 「かりにいったらかえってこなくなっちゃったよ・・・。」 あらかた予想される社交辞令を述べて男はパソコンのある部屋へ入っていった 後に残されたれいむの頭の上にはエクスクラメーションマークが浮かぶ。 何故だ、こんなかわいそうでかわいいゆっくりには おにいさんはおいしい食べ物をたくさんくれてしかるべきだというのに、れいむはてんてんとお兄さんの部屋へと跳ねていった。 「おにいさん!れいむはおなかがすいたよ!はやくごはんもってきてね!」 男はふすまの隙間からこちらを見上げるれいむを一瞥すると 机の上にもう半年ほど転がっていたサラダせんべいを3枚れいむの前に置く。 といっても、これは一枚づつラップされているので、このままではゆっくりは食べる事ができない 体つきれみりゃがポテトチップスをパーティー開けした事があると、ゆっくりを飼っている同僚が言っていたのを思い出すと 男はれいむの前のサラダせんべいをそのままにしてみることにした。 「ゆゆ~、お兄さんはとってもゆっくりできるね!ほんとうはもっとはやくもってくるべきだったけど、れいむはかんだいだからゆるしてあげるね!」 饅頭が何と喋ろうとどうという事はない、どうせ猫や犬が喋れるようになったとしたら、年がら年中こんなことを喋っているはずだ その点で男は動物を飼っている人間が何を考えているのかよく解らないと、常々思っているのだ。 とはいえボウフラではないこの男には、もちろん純粋な青少年期があった その当時野良犬を拾い飼っていた男は「お手」や「お座り」を「原爆」「ぽん酢」と言った具合に言い換えてその犬に教えていたが。 それでもなお犬がこちらの意のままの動きをするのを見て 犬が人間の言葉を介して意志を理解する動物の優良児がごとき扱いを受けているのに無性に腹がたったものだ。 ―思えばあの頃から、俺は頭の使いどころをかなり間違えていたのかもしれないな。 男はため息をつくとテキスト編集をやめてれいむに向き直った。 れいむは文句一つ言うことなく一生懸命にパックと格闘している、ゆっくりにしては謙虚な性格だ もっとも腹が減ったので文句を言う事すら忘れているだけなのかもしれないが、にんっしんしたゆっくりは普段以上に燃費が悪いのだ。 男はれいむがまだ手をつけていないパックを開いてやると、れいむに咥えさせて、風呂ガマに火を入れた。 「おにいさん、れいむはもうねむいよ。」 ならそうすればいいじゃないか、言うまでもなく男はれいむを見おろした。 「こんなところじゃねむれないよ!ゆっくりべっどをよういしてね!」 男はため息をついてからロフトベッドに登り、れいむの脇に枕を投げつけた。 「このおふとんさんはあんまりゆっくりしてないよ!でもれいむがまんするよ!」 男は、胸くそが悪くなってしまう前に風呂に入った。 翌朝のこと。 「う゛、うまでる゛うぅぅぅぅぅ!」 男は不快な音で目を覚ました、れいむが産気づいたのだ。 案外速かったな。 男は、初めてれいむを見たときから予定していた行動に移った、会社にはメールで休む旨伝えてある。 男は、もちろんゆっくりを愛護する人間ではない。 しかし彼の今までの行動は、多少の不足はあってもれいむを少なくともそれなりにゆっくりさせている。 彼にとってはこれも、長い長い虐待の一環に過ぎないのだ。 男はれいむの裏に回って、ここのところよく使うようになった引き出しの、一番上の段を開いた。 「おにいざ゛ん、なにじでるの?でいぶぐるじいんだよ?はやぐずーりずーりじでね!」 野生のゆっくりは出産の際夫役のゆっくりが奥さんにすーりすーりして苦痛を和らげてやる 頭の回らないれいむでもそのことは遺伝子が覚えているのだろう、しかしこの期に及んで男にとってそんなものは加虐心をかき立てられる音楽に過ぎない これから幕を開けようとしてる甘美な時間、その訪れを告げるファンファーレのなのだ。 引き出しの一番上、今まで男の理性によって抑圧されてきた悪意たちが、次々と牙を剥く ピンセット、包丁、アルコールランプ、そして手動の泡立て器。 どれもこれも一見すればただの便利な文明の利器、しかし男の悪意がそれらに憑依したとなればそれは別の話だ。 「ゆ゛っ!」 男は、れいむの前に仁王立ちになった。 男が身を固めたのは白衣、そう、十匹のゆっくりが居ればその十匹全部が怨嗟の念を込めて「かこうじょ」と呼ぶ施設の職員たちの装備だ。 「おにいざん!ぞんながっごうでなにじでるの!?」 「よくもまあこんな危機感のない生き物がこの世の中を生きてゆけるもんだよな、本当に頭にくる生き物だ。」 「なにいっでるの?ばが」 「人間ってのはな、相手に合わせるって事ができる生き物なんだよ、それを仲間が何匹も何匹も何匹も殺されたってのに 一向に学習しねーでおうち宣言、飯持ってこい、ゴキブリでももっと慎ましやかに生きてるってんだよ、穀潰しが。」 れいむの顔がみるみる青ざめる、そうだ、これは罠だったのだ、安心してこんなところに飛び込んだ自分が馬鹿だった。 れいむは、何百回目かの「生まれて初めての後悔」をした。 「聞いてんのかよ、舐めやがって。」 「やべでえええええ!あがぢゃんう゛まれでぎじゃだめだよ、ごのじじいはゆっぐりでぎだいよ!」 「俺がゆっくりできなきゃどうすんだよ。」 「ゆ゛っぐりじないでにげるよ!くそじじいはぞのままじ、ゆ゛!なにずるの!?」 男はれいむを持ち上げると、手元のアルコールランプに火を点け 石綿あみを乗せた三脚の上にれいむを移した、すでに網は手では触れない温度になっている。 「おにいざん、おろじで!」 男は表情を変えることなく次の作業に移る、包丁を持つとれいむの後ろに回りこみ、後頭部にその切っ先を差し込む。 「ああああああああああああ!やべでぇええ!」 「黙れ屑が、お前がどれほど生きる価値もない生物か、今から教えてやるんだ。」 「れいぶが何かわるいごどじだならあだまりまず、おでがいだがらあがぢゃんだげは!あがぢゃん」 体に手をつけられた事で、それが体内の子供をねらった物だと思ったのだろう、しかし損な生ぬるい男ではない。 「黙れってのが解んねえのか?言ったことを理解できてねえようだな、おまえらが生きてるってだけでこちとらものすげえストレスなんだよ。」 「うぎいいい!」 れいむの頭に直径5センチほどの穴が開いた、男はそこから、先ほど取り出した泡立て器の先端を差し入れる。 「あががががあ、いだあぁ!いぎぎゃああぁ!」 妊娠のために大量のあんこをため込んだ体はれいむの意に反して非常に打たれ強い 普通のゆっくりならばショック死してしまうようなこの刺激にも、母としての体が抵抗しているのだ。 「やべでぐだざいぃぃいい、あがぢゃんだげ・・・あがぢゃんだげげげげげ」 中枢餡に達したようだ、男は口角だけをあげて笑うと、れいむのつむじの部分にピンセットの尻の部分を突き立てる、ゆっくりの出産を促すツボである。 「あがああ!だべぇえ、あがぢゃんっででぐるなあああ!」 そんなれいむの叫びも空しくれいむの産道はみるみる広がり、何も知らない赤ん坊が無垢な笑顔を浮かべながら、待望のおんもへ飛び出した、一人っ子である。 親二人子一人、幸せを甘受するにはこれ以上に似合った器はない、が、残念ながらゆっくりにそんな資格はない。 「ゆっきゅりしていっちぇね!」 「あああ・・・あがぢゃん・・・でいぶがおかあざんだよゆっぐりぢでいっでねぇ!」 愛する伴侶との待望の子供、足の焼ける痛みも頭に刺さった異物も忘れ、れいむは笑顔を浮かべた。 悪い景色ではない、あまねく生き物の母と子の交流は見ていて心が和むものだ、男はため息をついた、当然ゆっくりだって例外ではない。 しかし、ゆっくりはその普段の素行が問題なのだ、人間同士でも自分の憎む相手の幸せを破壊してやりたいという感情が沸くようなシチュエーションなど このすさんだ世の中には掃いて捨てるほど存在するが、罪に問われるためそれを実行するようなことはそうそうない。 しかし、ゆっくりをどうしようとそのような事はない、男の行動は得てしてまっとうな行動に過ぎないのだ。 「りぇいむのおきゃーしゃん、しゅーりしゅーりちようにぇ!」 「だめだよ!はやぐごごがらにげで!ごごはあっづぐでゆっぐりでぎないよ!」 「お母さんは今にんっしんの痛みで疲れているからね、そっとしておいてあげてね。」 男は口添えした。 「このじじいのいうごどなんてきかないで、さっさとにげてね!」 多少傷が回復してきたのか、濁点が少なくなってきたようだ、親れいむの言葉にうろたえる子れいむ。 そういえばお母さんは何か変だ、変な台の上に置かれている、焦げ臭いにおいもする それでも母れいむ以外を目にしたことのない子れいむに取って、それが最愛のゆっくりである事には変わりなかった。 親が足を焼かれ、おろおろとするばかりの子れいむ 「どうしてこんなことするの?」と泣き叫んでくれるのを期待していた男にとって、目の前の押し問答は退屈なものでしかなかった。 男は、ここから一気にたたみかけることに決めた。 「おいれいむ、生きて帰りたいか?」 「じねぇええ」 「おい!」 れいむの頬を叩く、子供が騒ぎ始めたがうっとうしいので気にしない。 「おうぢがえるう゛ううう!はなぜえええ!」 「わかった、そうしようか、その代わり条件がある。」 男は三脚からアルコールランプを外した、直接足を焼けばもう二度と歩き回ることはできないが こうして石綿あみを使えば、地面をすりすりとはいずって歩く程度の事はできる。 最後の最後まで望みを捨てさせないこと、それが男がゆっくりを虐待する上での信条なのだ。 「じょうけんってなに!はやくしてね!れいむはあかちゃんといっしょにかえるよ!」 「生きて帰るなら、お前のあんこを少し頂く。」 「そのぐらいだったらぜんぜんかまわないよ、ちょっとのあんこのためにしぬとおもったの?やっぱりじじいはばかだね!」 さっきまで痛みにのたうち回っていたというのにもう性根の悪い笑みを浮かべている。 これ以上なく馬鹿で救いようのない饅頭だ。 男はほくそ笑んだ、自分の頭に刺さっている物が何のための物なのか、類推解釈することすらできないらしい。 「よし、なら約束通り、後であんこを貰うぞ?」 「いいからさっさとしてね!あかちゃん!おくちのなかにはいってね、こんなゆっくりできないところからひなんするよ!」 ぺろりと舌を出して子れいむを招き入れるれいむ 怖くなったのか子れいむは「ゆーん!」と癪に障る鳴き声を上げながら母親の口の中に入ってゆく。 予想外の行動だったが、男の悪魔的な思考はここでさらなる虐待法を思いつくに至った。 「さあ!さっさとあんこをとってね!いたくしたらころすよ!」 「ああ、わかった、赤ちゃんにさよならを言っておけ。」 「ゆっ?何言ってるの?」 そして、男は実にゆっくりと泡立て器のハンドルに手を掛けた。 中枢神経が破壊されると、生物はてんかんに似た症状を発言する、意識障害、不随意運動などがそれだ、つまりけいれんである。 ゆっくりはその発現が顕著で、強い衝撃を与えられると白目を剥いて痙攣するというのはあまりに有名だ 今回男は、そんな衝撃の中でも、最強の物を、今からこのれいむに与えようとしているのだ。 「あかちゃん!おかあさんのおくちからはやくでてね!はぎぃ!きゅっ!きゅゆゆゆ、ゆいいいい!」 突如、れいむが歯を食いしばって、耳をつんざくような金切り声をあげた。 男はゆっくりとハンドルを回していた手を休め、泡立て器を引き抜いた。 母れいむの脳に当たる部分はまだ多少機能しているのか、こちらを向いて何かを訴えるように飛び跳ねている しかしすでに平衡感覚がすでに狂っているのか、飛び跳ねる方向はめちゃくちゃで、食いしばったまま開かない口の中の子供が助けを求めるくぐもった声が聞こえてくる。 「いぢゃいよぉおおお!おかーしゃん!おくちをあけちぇ!りぇいむのおめめ!みえないよぉ!!」 「いぎいっ!ぎぎっ!きゅきいぃい!」 表情を司る神経もズタズタになってしまったのだろう、普段のれいむの表情からはおおよそ予想もつかない 物理的になんらかの転換が起ように変貌してしまったれいむの表情に、男は鼻でため息をつきながら言い放った、相手にそれが聞こえているという保証はない。 それは既に男の自慰行為の範疇の出来事であった。 「俺はよく混ざったあんこが大好きでね。あばよ屑共、世の中そう甘いことばっかりじゃねえんだ、せいぜい甘くなってくれよ。」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ、ゆいっ!ゆききききっ!きゅいいいい!いいいいいい゛!!!」 男は再び、思いきり泡立て器のハンドルを回し始める。 「いーっ!いいーーっ!いぎいいい!ぎいいいいい!!」 れいむの伴侶であるまりさを焼き殺したのは、誰でもないこの男だった 二、三日前からゴミ捨て場の焼却炉の周りをうろついているまりさに目をつけていたのだった。 ゆっくりは普通単独では狩りをしない、まりさに男が訪ねたところ 家には身重の妻が居るという、そう、事は最初から男の手のひらの上で回っていたのだ。 男は、二度と開くことのない母親の口の中で泣き声をあげ続ける赤ん坊の声に耳を澄ましながら まりさの幸せそうな表情を思い出していた、母親の口の中で、器用に目の部分だけを母に噛みちぎられ泣き続ける「しあわせ」を眺めながら。 男の家の扉、犬用の出入り口のようなゆっくりサイズの扉の上に、かわいいゆっくりの挿絵の入った、こんな表札がかかっている。 「ゆっくりみぼうじんきゅうさいじょ ゆっくりしていってね!」 こんにちは、初めて書いてみました。 かわいいからこそ、殺したくなる、ぶちこわしたくなるんです。 By お前の母親
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※使い古されたテンプレを用いています。 「ゆっくりしていってね!」 家に帰ると下膨れの生首がいた。黒い帽子をかぶり、金色の髪をした全長が三十センチほどのそれは跳ねながら私の方 へと寄ってきた。生首が跳ねながら寄ってくるのは出来の悪いホラー映画のようで、滑稽でもあり恐ろしくもあった。 「おにいさんはゆっくりできるひと?まりさはおなかがすいたよ。ゆっくりごはんをよういしてね!」 生首が何かを言っていたが、私はドアを閉めてその場を立ち去った。 「そりゃゆっくりだな。間違いない。」 友人は私が持参した安い酒を注ぎながら自信ありげに言った。あの後私は謎の生命体がいる部屋に入る気になれず に友人宅を訪れた。 「知っているのかい。」 「今の時代にまだ知らない奴がいる方が驚きだ。新聞でもゆっくりの被害について散々取り上げている。ほら。」 渡された新聞には確かに生首らしき生き物の写真が載っていた。悪夢は現実だということに戸惑う私をあざ笑うかのよう に彼は続けた。 「ゆっくりというのはなぜか生きている饅頭だ。見た目は人の生首だが中身は餡子が詰まっていて、 人間の言葉を話す。時々食料や住処を求めて人里に出没するそうだ。新聞も読んでいないようだし、 お前もゆっくり対策をしていないんだろう。」 「どうすればいいと思う。」 「普通の人なら踏み潰して黙らせてからゴミに出すな。」 あっけらかんと友人は言った。確かにセイブツではなくナマモノであるならばそれは正しい判断だろう。説明が本当である ならば外から入ってきたそれらは落ちた饅頭に等しい。食べようと思えば食べれるだろうが、無理して食べるほどのものでも ない。でもあれを踏み潰すとなると気が引ける。口をふさいでもゴミ捨て場で暴れられては困る。殺すのは別にかまわない が衛生的で安全なゴミへの出し方はないだろうか。 私の考えがゆっくりの殺害方法へシフトしていったとき、再び友人が喋り出した。 「そういえばゆっくり処理機でもう使わないのがあったな。お前にやるよ。」 友人は手にしたお猪口に酒を注いだ。口元が邪悪に歪んでいる。おそらく、笑っているのだろう。正直、彼の こんな表情を見たのは初めてだった。 「………サンキュ。持つべきものは友達だな。」 友人からゆっくり処理機を受け取った後、家路をたどりながら思った。あれはお猪口ではなく口を針金で固定された ゆっくりだったと。今頃あれはアルコールで混濁した意識の中彼に何をされているのだろうか。 家の戸を開ける。 「ここはまりさのおうちだよ!しらないおにいさんはゆっくりでていってね!」 やはり夢ではなかった。部屋の中には生首の饅頭がいた。最初は不気味に思えた生首も今となっては処分に手間の かかるゴミとしか思えない。 「ここでゆっくりするならたべるものをもってきてね!まりさはかんだいだけどゆっくりしてたらおこるよ!」 無視して部屋の中を調べる。本棚から本がこぼれていたりゴミ箱が倒されたりしていたので、片づけておく。 「おそうじしてくれているんだね。でもはやくたべるものをもってきてね!そうしたらまりさのめしつかいにしてあげるよ! こうえいにおもってね!」 元々物が少ないせいかゆっくりの被害はあまりなかった。ゆっくりの届くところには缶詰しかなかったため、食料も 無事だった。窓から逃がしてもよかったが、他の人に迷惑をかけたらいい気分はしないのでここで処分することにする。 友人からもらったゆっくり処理機は透明な箱だった。ただし、上の面だけは鉄でできており、ハンドルの付いたネジが 飛び出している。使い方は一目見て理解した。 ゆっくりを捕まえて箱の中に入れる。 「ゆ?せまいよ!ここじゃゆっくりできないよ!はやくだしてね!」 ゆっくりがわめく。五月蠅い。私はハンドルを回していく。天板がゆっくりと降りてくる。 「はやくだしてっていってるでしょ?わかんないの?ばかなの?」 まだ自分の立場が分かっていない。はやる気持ちを抑えながらゆっくりとハンドルを回す。 「ゆっ?おかしいよ?てんじょうがおちてくるよ!ゆっくりさせてね!ここからだしてね!」 やっと気づいたようだ。大丈夫、すぐに殺したりはしないよ。そこで好きなだけゆっくりさせてあげるよ。死ぬまで。 心臓の鼓動が高ぶり、熱い血が体中を巡っていることが分かる。 「ゆぐーっ!ゆぐーっ!」 体を膨らませて必死で抵抗している。どれだけ膨らんでも押し返せるわけないのに。ああ、なんて可愛いんだ。 「うううぅぅぐるじいいいいぃぃだずげでぇぇ」 だんだんとゆっくりの形が歪んでいく。箱を倒して表情を見る。ゆっくりは涙を流しながら助けを求めるような眼をしていた。 ところどころ皮が裂けて、中身の餡子が見えている。そんな眼で見るなよ。もっと苦しめたくなっちゃうだろ。 「いばならゆぐじであげるよ………ゆっぐじだずげでね………」 この状況で助かると思っているんだ。あっけなくちゃつまらないからね。ゆっくり、ゆっくりといじめてあげるよ。 私はゆっくりを放置して戸棚へ向かうと、マッチを手に戻ってきた。 「ぐひゅー………ぐひゅー………」 もはや息も絶え絶えといったところだ。私は火をつけたマッチをゆっくりを潰している鉄板の上に落した。 「ぐぎいいいぃぃぃぃぃぃ」 ゆっくりの絶叫が響く。まだまだ元気いっぱいだね。ゆっくりしていってね。 「ぐぐぐ………げぶっ………ごぼっ…どぼじで…ごんな………」 餡子を吐き尽してゆっくりは動かなくなった。そろそろ夜が明けようとしていた。当初の目的を忘れ一晩中ゆっくりの相手 をしていたようだ。 「どうしてこんなことするかって?」 私はゴミになったゆっくりに向かって言った。 「予想以上に君が可愛らしすぎたんだ。」 朝の陽射しの中、私は友人の笑みの意味が分かった気がした。 終 後書き 「万能お兄さん」の人に憧れて書いてみた。 SS書くのって難しいと痛感した。 お目汚し失礼いたしました。 このSSに感想を付ける