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効率良くゆっくり達の関係を悪くさせる方法はないだろうか? 効率良くゆっくりの駆除をする方法はないだろうか? 効率良くゆっくり達を服従させていく方法はないだろうか? これらのテーマを元に考え出されたのが「色仕掛けをするゆっくり」であった。 そもそも、人間ですらデート商法・接待などの異性を利用した人心操作が行われている。 ならば、人間よりも馬鹿で単純な生き物であるゆっくりにこれを応用することが考え出されたのは、必然と言えよう。 誰が言い出したかは分からないが、ゆっくりを色欲で操作するプロジェクトは加工所の中で密かに進められていた。 このような色事に縁の深いゆっくりといえば、そう、あいつしかいない! 「ばでぃざったら、ありずのでぐにめろめろね゛えええええぇぇ!」 「い゛やああああああああ!!」 「すっきりぃいいいいいいい!!!」 「すっきりぃ…もうありすとはゆっくりできないよ…」 「また駄目だったか…」 「やっぱり無理ですよ、こんなの。すっきり好きのありすとはいえ、れいぱーの行為はゆっくり達には忌み嫌われてるんですから…」 実験は難航していた。餌・生活環境を整え、美ありすを作り出すところまでは簡単だった。 お相手のいないゆっくりは高い確率でこのありすと生活を共にすることを望んだ。 しかし、既にお相手がいるゆっくりの仲を引き裂くほどの効力はなかった。 さらに、カップルになっても、いざすっきりする段になるとありすの本性を垣間見て 一気にありすへの愛が冷めていくゆっくりがほとんどだった。 「どうにか強制的にゆっくりさせるような方法があればいんですけどね…」 「!、それだ!」 連れてこられたのはドスまりさ。 ドスのゆっくりオーラは、どんな生き物でもゆっくりさせてしまう効果があるという。 問題は、どうやってありすにこの効果を持たせるかだ。 物は試しである。ドスまりさから抽出した餡子をありすに注入する。 入れられた瞬間はびくびくとして、「いなかものおおおおお!」等と叫んでいたありすだったが、しばらくすると大人しくなった。 外見は全く変化がない。 試しにちかくにゆっくりまりさとれいむのカップルを置いてみる。れいむは頭に茎が生えた出産間近のものだ。 そこに、ブルブルと振動を与えた実験体ありすを放つ。 「ばでぃざあああああああああああ!!!すっきりしよおおおお!!!」 「い゛やああああああああ!!」 やはり嫌がるまりさ。おろおろするれいむ。子供がいるからか、身の危険を感じてか、何もできずにいる。 肌をこすり合わせるうちに、すりすり型のすっきりの特徴である粘液がありすから分泌され始める。 それに乗じて、まりさも次第に顔に赤みを増していく。 すりすり… すりすり… 「まりさ!いっしょにすっきりしようねええええ!!」 「うん、ありす!すっきりしよう!」 「「すっきりー!」」 すっきりを終えた2匹。まりさの頭にはもちろん茎が生え始めている。 そこでようやく、今まで蚊帳の外だったれいむがまりさを連れ、ありすから逃げようとする。 「まりさ!ゆっくりできないありすだよ!いまのうちににげよおお!」 「ゆ…まりさにげないよ。ありすとずっとゆっくりしたいよ…」 「どぼじでぞんなごというのおおおおおおおお!!!!」 「れいむはひとりであかちゃんそだてていってね…」 「どぼじで(ry」 出来てしまった。かくして、ここに「色仕掛けありす」が誕生したのである。 その概略はこうだ。 ありすがすっきり行為をする時に分泌される液体にはどうやらドスの持つゆっくり成分が凝縮されて含まれているらしい。 この成分はすっきりのお相手であるゆっくりにのみ吸収されるので、人間への影響はない。 そして、その成分を含んだ液体や精子あんこを吸収したゆっくりは、このありすといればゆっくりできるという思いと、 またあのような最高のすっきりが出来る、という思いからありすについていこうとする。 さらに、研究を重ねることで、何回もすっきりを繰り返すことで段々とありすへの依存が強まり、 ありすの言いなりになってしまうことが分かった。 これを世に出せば、ありすを中心とした効率の良いゆっくりの統制が行えることだろう。 しかし、これを世に出す前にテストとして一般人に引き取ってもらう必要がある。 なるべく色々な使い方を模索してくれる人がいいのだが… ゆっくり関連製品購入者リストをめくっていく。 じゃあ…彼にしようか。 「お菓子の柚栗堂 店員 ○○○○」 ある晴れた休日のことだった。 「ピンポーン」 滅多にならないドアのチャイムが鳴った。 俺にアポなしの訪問などあるはずがない。どうせセールスか何かだろうと思った。 「ゆっくり加工所の物ですがー」 「はい?今開けます」 加工所?加工所には虐待用のゆっくりを買ったり、怪しげなマシーン等を買ったりしてお世話になっている。 しかし、わざわざ向こうから来るとは、いったいなんなのだろうか? 「いやー、ご在宅で良かった。今回貴方には新作ゆっくりのモニターを行っていただきたいのですが…」 かくかくしかじかと説明をする加工所職員。手には段ボール箱。 「それで、お今回の話、お受けしていただけますか?」 しばらく考えに耽っていた俺は、はっと気がついて、 「もちろんですよ!」と返した。 はやる気持ちで段ボール箱を開けた。 段ボール箱を開けると、そいつは普通のありすと変わらない姿・口調で、 「なかなかとかいはのおうちね!ここをありすのゆっくりぷれいすにしてあげてもいいわよ!」とほざいた。 それからの一週間の自由時間は全てこのありすの調教に当てた。 貴重なありすである。殺さないように、しかし体罰を与えることは厭わなかった。 そして、苦労の末、プライドの高いありすは俺の命令をきくようになっていた。 その時には既に、ありすの歯は全て無くなっていたが。もちろん、調教後に修復しておいたのは言うまでもない。 俺はまず、ありすの性能をテストすることにした。 「おにいさんありがとう。とかいはのらんちたいむだったわ」 「ありす、君にやってほしいことがあるんだ」 「なに?おにいさん」 「外からにんっしんっ!したまりさを一匹、家に連れてきてほしい。いいね?あと、その時にすっきりしちゃってもいいからね!」 「ゆっくりりかいしたわ」 二時間後、ありすは望み通り通常よりも膨らんだ胎生にんっしんっ!まりさを連れて来た。 思ったよりも早かった。きっとすっきりが自分の武器になることを熟知しているのだろう。 教育した甲斐もあって、必要最低限のすっきりしかしなかったようである。生えている茎は一本だけだった。 まあもう一つの仕掛けとして、れいぱー化しないよう、性欲を抑える薬を先ほどの食事に混ぜておいたのだが。 「ようこそ!、僕の家へ。歓迎するよ!」 「ゆっくりしていってねぇ…」 まりさは未だ夢見心地である。目がとろんとした状態のままありすの方ばかり見ている。 「ありす、ありす、ちょっと来て」 「ゆ?」 「このまりさ、誰とのこどもが中にいるの?」 「れいむよ!」 「ありすは自分の子供と、れいむの子供、どっちが欲しい?」 「もちろんありすのあかちゃんにきまってるじゃない」 「それじゃ、中の子供は殺しちゃおうか」 後は簡単であった。ありすに何回かすっきりをさせる。 回数を重ねる毎にまりさはありすへの愛を深めていく。 体力は残しておいてもらわないとこまるので、まりさに疲れの色が見え始めたところで中止するように言った。 すっきりが一通り終わったところで、ありすからこの家の主は俺であること、俺の命令は絶対であること そして、俺の命令に従わない場合はまりさを嫌いになる、という主旨のことを伝えさせる。 「やべでよぉお?ありすがいないど、ばでぃざゆっくりできないゆぅうう!!」 「じゃあ僕の言うことを聞いてね!」 「おにーさんのいふこときくよおおおお?ありすがすきだがらぎぐお!」 「ありすも僕も、君のお腹の中の子供…要らないと思うんだ! ゆっくりできないれいむとの子供だろ?そんな奴がいたらありすとゆっくりできなくなるぞお?」 「やべでねぇええ…ありす、きらいにならないでねえええ…ゆんしょ!ゆ゛ぅうううううううう!」 まりさが力み始めた。お腹の中の未成熟な子供を無理やり押し出して堕胎するつもりなんだろう。 「ゆ゛ううううううう!!!!ゆ゛うううううう!!!」 「頑張れ、まりさ!」 「がんばってね、まりさ!」 ありすの黄色い声援を受けて、一層力を込めるまりさ。 「ゆ゛っ!!!」 すぽっ! 少し拍子抜けするような音を出して、中から黒っぽい塊が飛び出してくる。 餡子の周りには薄く肌色の膜が纏わりついているが、形を保つには不十分なものだった。 髪ももみあげの部分しか生えておらず、リボンはその髪にかろうじて繋がっている。 見るからにひ弱、今すぐにでも命の灯が消えそうな赤れいむ。 「潰せよ」 特に躊躇いもせず、まりさはそれに飛び乗った。 ぐちゃっと潰れる際、それは「もっちょゆっきゅりしたきゃったよ…」とか言ったような言わなかったような。 「ありすのとかいはのおうちが、いなかもののれいむでけがれたわ!ゆっくりそうじしていってね!!」 「そうだね、後始末も頼んだよ。さあ、ありすはこっちに来てご飯の準備しようね!」 一人取り残されたまりさはありすのために我が子の残骸をひたすら舐め取るのだった。 次の日、まりさは随分とすっきりの疲労から回復して、元気になっていた。もちろん、お腹の子供が居なくなったのもその一因である。 元気に頭の茎をゆさゆさ揺らしながらありすに擦り寄る。 ありすもそれに答える。 朝から元気なことだ。 俺はただ一言、「殺すなよ」と言って、仕事に出かけた。 帰ってくると、まりさの頭の茎は三倍以上に増えていた。こうなるとどっちが本体か分からない。 一応、本体の方はかろうじて生きていた。既に虫の息だったが、それでも 「ありすぅううう…あかちゃんたくさんできてうれしいよぉ…」 とか言ってるのが微笑ましい。 ありすは俺がいない間、上手く調節してすっきりしてくれていたようだ。 そもそも、野生のありす種が見境のないれいぱー化しやすいのは、その性格による欲求不満からであり、 満足に相手とすっきりできる今となってはその欲求が暴発することもないのだろう。 あまり長引かせるのも何なので、食事後には始めるとするか。 まりさが外で雑草を食べている最中、俺はありすと食事をする。 「ありす、一日暮らしてみて、このまりさのこと、どう思う?」 「なかなかとかいはのまりさよ!それでもわたしのとかいはっぷりにはかなわないわね!」 ハハッ、違いねぇ。 「ありす、僕はこのまりさは君に合ってないと思うんだけれど…」 「そ、そんなことないわよ!まりさとゆっくりしたいわ!」 「ありす…歯がないとご飯もおいしいくないね?」 「ゆ…あれは…もう、やべで…そうね!まりさはゆっくりできないまりさよ!」 「じゃあポイしようか」 「そうよ!ポイ、よ!」 「そうだよな!ごちそうさま。ありすもこっちに来てね!」 ありすを呼ぶ。外で雑草掃除をしていたまりさも呼ぶ。 「いま話をしていたんだけど、ありすは君のことが嫌いになっちゃったらしいんだ。 もう君とはゆっくりできないんだって…」 「どぼじでええええええ!!??ありずがいない゛どまりさ、まりさは…」 「まりさはどうなるんだ?」 「いぎでいげないいいいいいい!!!!」 「じゃあ死ぬ?最後にありすに良いところみせて死ぬ気はない? ありすのために生きてきたんだろう?ありすのために死ぬ気はないかい?」 ありすが黙ったままなので、発言を促す。 「しんでね」 「ゆ゛」 「ありすのまえからきえてね!」 「ゆ゛ううううううううううう?????」 「と、いうことだ。サクッと、ね」 心身ともに疲弊したまりさでは自殺は難しいと考えたので、台所に持って行って、鍋に熱湯をはる。 「飛びこめば終わりなんだけど…そうだ、最後にいい思い出作りをしよう。ありす、すっきりしてあげてね!」 「ゆっ!?」 突然の事に動揺するありす。 しかし、逆らえばどうされるか分かっている。 相手ならまた作ればいい。自分はどんなゆっくりにも負けないくらい、とかいはなのだから… 「まりさ、すっきりしよおおおおお!」 「ありすううううううう!!!!!!」 「「すっきりするよおおおおおお!!!」」 激しく身をこすり合わせる2匹。まりさは限界に達しようとしているが、ありすは暗い表情のままである。 「すっきりー!」 「ゆっくりおゆにとびこんでね」 すっきり直後で酩酊するまりさ。ありすのためなら、ありすのためなら…もうゆっくりしてもいいよね? まりさはゆっくりと鍋に沈んでいった。 沸騰した湯だ。もう手遅れだろう。 ありすは泣いているのかよくわからない表情をしていた。 俺は性能を確認し終え、これからを期待してはっきりと笑っていた。 続け 【あとがき】 出来る限り続けたいです。もうちょっと無機質な虐待を目指して。 ターゲットにされるゆっくりは、精神的には幸せなので、精神的な虐待のがお好きな人はお気に召さなかったかもしれません。 そもそも虐待なのか? 登場する男は一応他の作品とリンクしてますが、特に読み進める上では問題ないかと思います。不快ならばご指摘ください。
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冬が近づいてきていた。 ゆっくりできない季節の到来を前にして、ゆっくり達は巣作りに腐心する。 「ゆっ!おかーさん!れいむむしさんとったよ!」 「たべちゃだめだよおちびちゃん!ゆっくりすへとはこんでね!」 褒めて貰えると思った子れいむは膨れっ面になる。 「ゆ〜……」 「がまんしてね、おかーさんとゆっくりえさとりしようね」 ゆっくりとふかふか by ”ゆ虐の友”従業員 ある日、れいむのおうちにお隣のおうちのまりさがやってきた。 「れいむ!これをみるんだぜ!」 「ゆゆっ?どうしたのまりさ?」 まりさは後背部から頬のあたりまでを、何やらふかふかしたもので覆っている。 見るからに暖かそうな、とてもゆっくりしたふかふかだった。 「ゆっ!」 ためしにすーりすーりしてみた。とても暖かい。 なめらかな肌触りに、れいむはすぐにふかふかの虜になった。 「すっごくゆっくりしてるよぉぉぉぉぉ!!」 「ゆっへん!」 「どこでひろったの?れいむもほしいよ!ゆっくりおしえてね!」 自分もふかふかが欲しいと、れいむはまりさに詰め寄る。 しかしまりさは拒否した。 「それはいえないんだぜ」 「どうじてそんないじわるいうのぉぉぉ!!??」 「だめだぜ!ひっぱるなだぜ! これはまりさにぴったりの、とってもゆっくりしたふかふかなんだぜ! れいむみたいなゆっくりできないゆっくりのじゃないのぜ!」 結局、ふかふかを見せびらかすだけ見せびらかして、まりさは自分のおうちへ帰っていった。 「ゆぅ……れいむもふかふかほしいよ……」 あんなにゆっくりしたふかふかがあれば、この冬を越すのもとても楽になるに違いないのだ。 その日れいむはずっとふかふかのことを考えて過ごした。 * * * * 背中に当たる風で、れいむは朝の目覚めを迎える。 ここ最近はずっとこうだ。本格的な冬が始まれば、子供達を狩りに伴わせることさえできなくなる。 「ちべたい……かぜさんゆっくりしていってね……」 れいむは岩の隙間に家を持っていた。 これはこれでかなりの”すてーたす”なのだが、 吹き込んでくる木枯らしの寒さ、岩肌のゆっくりできない冷たさを感じるたび不満は募るばかりだ。 思い出すのは、昨日の出来事。 「ゆゆーん……れいむもあのふかふかがほしいよ……」 二匹の子供が目を醒ました。 「おかーしゃん?」 「ゆっくちちていってね!!」 「おはよう、おちびちゃん。ゆっくりしていってね!!」 狩りに行きたくない。 「………」 ふかふかも無しにゆっくりできないおそとに出て行きたくない。 おそとは今日も、寒風荒れる吹きさらし。 どうしていままで、こんなゆっくりできないおそとに出て行くことが出来たのだろう。 「れいむさむいのやだよ……」 ふかふかでゆっくりするまりさを見てしまったことが、れいむの餡子に深い影を落としていた。 「おかーしゃん!おなかすいたよ!」 「ゆっくちごはんとってきてね!!」 「ゆ……いってくるよ……」 れいむは足取りも重く家を出た。 森の広場に着く。この辺りのゆっくりが集まる餌場だ。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 周りのゆっくりと挨拶しながら、餌を探す。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていっ……」 その時、れいむの目は一匹のぱちゅりぃに釘付けになった。 「むっきゅ、ゆっくりしていってね」 「ぱちゅりぃ!?ぱちゅりぃもふかふかもってるの!? れいむもふかふかほしいよ!ふかふかのあるところおしえてね!」 しかし、ぱちゅりぃもまた、れいむの頼みを却下する。 「むきゅん、だめよ」 「どぼじでぇぇぇぇぇぇ!!??れいむもあったかふかふかしたいよぉぉぉぉぉぉ!!!!」 おうちに帰ると、子れいむが言う。 「ゆっ!ゆっ!おかーさん!れいむもふかふかほしいよ!」 「れいむにも!れいむにもふかふかちょうだい!!」 きっとお隣のまりさを見たか、または聞いたのだろう。 「おかーしゃん、どうしておうちにはふかふかないの?」 「さむくてゆっくりできないよ!ばかなの?しぬの?」 「そん……………っ!」 ”そんなこというのはうちのこじゃないよ!ゆっくりでていってね!!”という言葉を すんでのところで言いとどまる親れいむ。 ぴちっ。 「いだっ!!??」 ゆっくりにとってはかなりの我慢をしたために、側頭部が裂けて餡子がはみ出てしまった。 「ゆゆゆっ!」 「おかーしゃん、あんこがでてるよぉぉぉ!!!」 「だ、だいじょうぶだよおちびちゃん……ふかふかあげられなくてごめんね…… かわりにおかーさんとすーりすーりしようね」 「ごめんねおかーしゃん……」 「あんこぺーろぺーろしてあげゆよ……」 親子は身を寄せ合って、隙間風からお互いをかばうのだった。 * * * * ゆゆ?れいむもふかふかひろったよ? 「ゆゆっ!これでれいむもゆっくりできるね!ゆっくりあったかいよ!」 かぜさんはゆっくりしてないけど、これさえあればれいむはゆっくりできるよ! 「ゆっ!ゆっ!あったかいよ!!」 おそとをはねまわってふゆごもりのえさをとるのはつらいけど、 れいむにぴったりのこのふかふかがあればぜんぜんへいきだよ! 「ふーか♪ふーか♪しあわしぇぇぇぇ〜〜♪」 「…………」 幸せな気分で目を覚ますと、もちろんふかふかは無かった。 「やっぱりちべたいよ……」 今日も気乗りしないままに餌場へ向かう。 「ゆ?ゆゆゆ!!??」 餌場に着いたれいむは驚愕した。 まりさ、ぱちゅりぃだけでなく、他の全てのゆっくりがあの”ふかふか”を付けて、 暖かそうに餌を漁っているではないか。 「どぼじでぇぇぇぇぇぇ!!??」 あまりの理不尽。れいむは感情の赴くままに暴れまわる。 「どぼじでれいむだけふかふかないのぉぉぉぉぉ!!!??? まりざ!!」 「いやだぜ!これはまりさのだぜ!!」 「ばぢゅりぃ!!」 「むきゅん!!ひっぱったってとれないわよ!!」 「ちぇぇぇぇんん!!」 「これはちぇんのなんだねー、わかるよー」 「ゆぅ……ゆぅ……どぼじで……?」 息を切らせてその場に倒れるれいむ。 それを遠巻きに見るゆっくり達からは哀れみの視線が突き刺さる。 「れいむ……ことしはあったかいから、そんなにゆっくりできなくないんだぜ?」 「むきゅ、そうよ。しんとうめっきゃくすればひもまたすずしいのよ」 「ゆぅ……」 「れいむがふかふかなくたって、なかまはずれにしたりはしないであげるのぜ」 「そうよ。それにれいむにはりっぱなおうちがあるんだからだいじょうぶだわ」 「ゆゆゆ……」 聞こえはいいが、それらはすべて親身な言葉ではなかった。 周囲のゆっくりの視線が、言葉が、まったく別なものを語っているようにれいむは感じた。 (おお、みじめみじめ) (ぱちゅりぃがあんなめにあわなくてよかったわ!) (かわいそうなんだね、わかるよー) 「ゆ……ゆ……ゆぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」 れいむはその場から逃げ出した。 「ゆぐっ、ゆぐっ……どぼじで!?どぼじで!? どぼじででいぶだけぇぇぇぇぇ!!??」 跳ねれば跳ねるほど、風は冷たくれいむを打つ。 「ゆっぐりでぎないよぉぉぉぉぉ!!!」 * * * * もちろん、この小さな異変の仕掛け人は虐待お兄さんである。 ゆっくりの集落を調べ、獲物と定めた家族以外すべてのゆっくりに、暖かな”ふかふか”を与えたのだ。 その際、「れいむには決してなにも知らせないこと」との条件を与える。 どうしても口を割りそうな愚かなゆっくりは潰した。 「れいむったらいいきみだぜ!ちょっとりっぱなおうちにすんでるからって、 おたかくとまってゆっくりできなかったんだぜ!」 「むきゅん!おにーさんのおかげで、ことしはゆっくりあたたかいわ!」 「れいむだけなかまはずれなんだねー、ちぇんはだいじょうぶなんだねー、わかるよー」 「今年の冬は暖かいからな……」 お兄さんは呟いた。 たとえ自然が慈悲を恵もうとも、俺はお前達をゆっくりさせはしない。 一匹たりともだ。 「とはいえ、あれだけの数の”ふかふか”はちょっと高価かったな…… 俺まで冬を越せなくならなきゃいいが」 お兄さんは、ちょっと馬鹿なのだ。 * * * * 「ぷんぷん!おかーしゃん!さむいよ!」 「こんなつめたいおうちじゃゆっくちできにゃいよ!」 「どぼじでぞんなこというのぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! きっとおまえだぢがわるいこだから、みんながふかふかのことをおしえてくれないんだよ!! ゆっくりりかいしてね!!」 「そんなことないよ!れいむはいいこだよ!!おかーしゃんがぐずでのろまなのがわるいんだよ!!!」 「ゆっくちちたいよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 「うるさいよ!ゆっくりだまってね!!」 仲間はずれにされたれいむ一家は、毎日いがみ合ってばかりいる。 お兄さんは時たまその様子を覗き見てはほくそ笑む。 「ゆぅ……ゆぅ……さむいよ……ゆっくりできないよ……」 嫌々ながら外へ狩りに出ても、れいむの動きは鈍い。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 「むっきゅ、むきゅ」 「むしさんゆっくりつかまってねー」 周囲の暖かそうな様子を見て、実際の寒さ以上に身も心も凍えているのだろう。 「みんなずるいよ……」 「ゆっゆー!」 「むっきゅん!」 「わかるよぉーー!」 「れいむもゆっくりじだい……」 れいむは信じて待ち続けた。 「ちびちゃんたちはどうだかしらないけど、れいむはとってもかわいくてゆっくりしたゆっくりだよ… きっとすぐにれいむにぴったりのふかふかみつかるよ…」 実際には、このれいむがふかふかを身につけるのはずっとずっと後のことだ。 * * * * 「むきゅ!おにいさん!このまえはありがとうね!」 ぱちゅりぃは男を見覚えているようで、男が姿を現すと向こうから擦り寄ってきた。 「みて!おにいさんにもらったりっぱなふかふか、ちゃんと……」 「ああ、それなんだがね、返して貰うことにした」 男はぱちゅりぃの背中に付けた”ふかふか”を留めていた帯を外した。 ふかふかはするりと抜け、地面に落ちる。 「む、むっぎゅん!やめてね!ぱっちぇはからだがよわいのよ!だいじなふかふか、ゆっくりかえしてね!」 一度ふかふかに慣れた体には、冬の風は余計に冷たく感じる。 しかも、ぱちゅりぃはこれからもっともっと寒さが厳しくなることを知っているのだ。 柄にも無く、緩慢ながらも必死な動作で男にとびかかる。 「ふかふかはどうだった?あったかかったかい?」 男は問いかけた。 「むきゅ!さいこうだったわ! あったかくて、ふかふかしてて、よるもぐっすりねむれたわ! だからおねがい、ぱっちぇにもういちどふかふかつけてね!」 「と言うことは」 男は確認の言葉を投げかける。 「もうこれからは、最高じゃなくなるわけだな。あったかくもなく、ふかふかもしてなく、 夜は寒さにおびえて仕方なく眠るんだな? それでいい、ゆっくりってのはそういうものだぜ」 「どうじでぞんなこというのぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 男は地面に落ちたふかふかを拾い上げる。ぱちゅりぃはそれに追いすがる。 「ぱちゅりぃのふかふか!」 ひょい。男はふかふかを急に持ち上げ、くわえて奪い取ろうとするぱちゅりぃの試みは失敗に終わる。 「かえして!」 ひょい。 「むきゅぅぅぅん!!」 ひょい。 「ぱっちぇのぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 ひとしきり遊んだあとで、男はふかふかを回収して立ち去った。 後には、疲れ切り、寒さに震えるぱちゅりぃだけが残された。 ぱちゅりぃだけに時間をかけるわけにはいかない。これから、まりさからもちぇんからも、 ありすからもれみりゃからもふかふかを剥ぎ取らなくてはならないのだから。 「むっきゅぅぅぅぅん!!ざむいわぁぁぁぁぁ!!!ふかふかがえじてぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「ゆっくり冬を越していってね!」 その晩のうちに、すべてのふかふかゆっくりはふかふかを剥がれてゆっくりできなくなった。 「ざむいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」 「ゆっぐりでぎないぃぃぃぃぃ!!!!」 「こーまがんがざむいどぉーーー!!!ざぐやぁぁぁ!ざぐやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 森にはゆっくりの悲鳴がこだまする。 「これだと相対的にれいむが幸せになってしまうな。よし、バールのようなもので……」 「でいぶのおうぢがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! でいぶほーむれすはいやだよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 エピローグ -それからずっと後- 「やあ、れいむ」 「ゆゆ?おにーさんはゆっくりできるひと?」 「その通りさ。れいむが前に欲しがってたものをあげよう」 「ゆゆ?よくわかんないけど、ありがとうおにーさん!!」 男はれいむにふかふかを取り付ける。 「ゆゆ!やめてね!ゆっくりできないよ!」 「またまた。れいむはこれが欲しくて冬じゅう泣いてたんじゃないか。 せっかく持って来てあげたんだから、ゆっくり付けて行ってね!」 「あづいよぉぉぉぉぉ!!!!むしむしするよぉぉぉぉぉ!!! ふかふかさん!!ゆっくりれいむからはなれてね!」 れいむはゆっくりできないふかふかから逃れようと身をよじる。 しかし、帯で体に巻かれたふかふかはれいむの体に密着し、決して離れようとはしない。 「どぼじではなれてくれないのぉぉぉぉぉぉ!!??ばがなの!?じぬの!? あづいよ!あづいのいやだよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 跳ね回るれいむを、通りすがりの親子がいぶかしんだ。 「おかーしゃん?へんなゆっくちがいるよ?ゆっくちちてないよ?」 「みちゃいけないよ!あれはばかなゆっくりにちがいないよ!」 「みてないでだすげてよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」 跳ねれば暑く、動かずに居ても蒸し暑い。その上水浴びをすることもできない。 れいむの長い夏は、始まったばかりだった。 おしまい。
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※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。二十回はいかないと思う。 ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※ここから虐待パートは小休止になります。あとで本気出す。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』12 気がつくと、私はその男の頬を打っていた。 「恥を知りなさい!!」 ふつふつと沸き上がる怒りが体の中で渦を巻いていた。 怒りにかられながら、頭の中で繰り返す。「この男は人間じゃない」 「ゆっくりできないよ!ゆっくりできないよ!」 れいむが飛び跳ねながら叫んでいる。 長浜圭一は、頬を打たれても、 眉を少々ひそめただけで平然としてこちらを眺めていた。 その無感動な視線が私の怒りをさらに掻き立てる。 「恥を知りなさい」 私は繰り返した。 「こんな事をしてて恥ずかしいと思わないの!?」 「思いません」 長浜圭一は感情のこもらない声で答えた。 「コーヒーでも飲みますか?紅茶もありますが」 「いらないわ。すぐにお暇します」 「お子さんにはジュースがいいですか?オレンジジュースならいくらでもありますよ」 「コーラある?」 私の娘、春奈が男の質問に答えた。 「いりません!!」 私が叫ぶと、春奈は首をすくめて黙ってしまう。 十一歳になる、このごろなにを考えているかよくわからない娘だったが、 この男にだけは近づけるわけにはいかない。 「とにかく座ってくれませんか?」 長浜圭一が椅子を薦めてきたが、一蹴する。 「あなたたちと話すことなんかありません。帰ります! 春奈、れいむ、行くわよ!」 娘の手を引き、れいむを抱え上げて出ようとしたが、 応接室の戸口のところに男どもが回り込んで道を塞いだ。 「どきなさい!」 「奥さん、どうか落ち着いてください」 「なにが落ち着いてよ! あなたたちはこんなことをしてなんで平気でいられるの?!」 「須藤君。どうか話を聞いてくれまいか」 声をかけてきた長浜吉隆先生に向きなおり、私は怒鳴った。 「長浜先生、見損ないましたわ。 こんなことが許されると思ってらっしゃるの!?」 「須藤君、君は一面的に物事を見過ぎている。 私を軽蔑してくれて構わない。だがこの計画は」 「軽蔑しますわ!」 「コーラの用意ができましたよ」 涼しい顔で、長浜圭一が口をはさんできた。 「春奈さん。こちらへ」 母親の私を完全に無視し、娘の方へ声をかけている。 怒りでかっとなった。 私の顔色を伺って、行きたそうにしている娘がますます腹立たしい。 「いらないと言ったでしょ!?」 「あなたに用はありませんよ。僕がお呼びしたのは娘さんのほうです。 気に入らなければ帰ってくださって構いません。送らせましょう」 話にならない。 無視して娘の手を引いて帰ろうとしたが、男どもは戸口からどこうとしない。 「もう君の一存でどうこうできる話ではないのだ」 長浜先生が言った。 「これはもはや国家単位のプロジェクトなのだ。 確かにわれわれの私怨から始まった計画だが、 もはや個人の人間性を問題にして難癖をつける段階はとうに過ぎている。 すでに多くの人間と金が動き過ぎた。 君がどう言おうと、もう覆らんよ」 「長浜先生!!」 私は詰め寄った。 「一体先生はどうされてしまったんですか!? 昔はあんなに、あんなに心からゆっくり達の幸福を考えていらしたのに……」 「……事情は知っているはずだ、須藤君」 「知っていますわ。私も娘のいる身ですから十分にお察ししますし、 先生が会を脱退されたときも、だからお止めしませんでした。 ですが……あまりにも、これはあまりにもひどすぎます!」 「選択肢はありませんよ」 長浜圭一が言い、腕を振った。 それを合図に、男どもが私の腕を取った。 「離しなさいっ、離してよ!!」 抵抗も空しく、強引に椅子に座らされた。 娘はそれを見届けてから、薦められるままにれいむを抱えて自主的にテーブルについた。 怒りもあったが、それ以上に悔しかった。 この異常者どもに囲まれて、私ひとりがだだをこねているのか。 かつて、大きなゆっくり愛護団体の会長を務めていた長浜吉隆先生が、 不幸な事故にあい、団体を脱退したときは胸が痛んだ。 団体の幹部を務めていた私も、その時はかける言葉がなかった。 しかしその後、ハーバード大学に在籍していた娘が長浜氏から連絡を受け取った。 帰国した娘を伴い、保護者として案内された建物に入ったとき、 私は、今度は別の理由で言葉を失った。 あの事故の原因となった十三匹のゆっくり達が苦しめられていた。 その手法は想像を絶するもので、それはまさに地獄だった。 人間とはここまで残酷になれるものなのか。 「春奈さんとは、すでに数か月前から連絡を取っていました。 ゆっくり研究の第一人者である春奈さんのご意見を仰ぎたかったのです」 長浜圭一が喋っている。 長浜先生の孫娘と結婚した、長浜家の婿養子。 そしてこの計画の発案者だった。 「私の計画に、春奈さんは興味を持ってくださり、 そして、ここに来て計画に尽力してくださると申し出てくださいました。 すでに新薬の構想は出来ており、あとは材料と実験期間だけとのことです」 「春奈」 初めて聞く話に、私は耳を疑った。 娘に聞く。 「まさか、嘘よね? 本当に……こんな計画に協力するわけじゃないわよね!?」 春奈はそっぽを向いて、ストローでコーラをすすっていた。 私はその肩を掴んで引き寄せた。 「答えなさい!本当なの!?嘘でしょ!?」 「痛いっ、ママ、痛いよ!」 男どもに取り押さえられたが、私は叫び続けた。 「嘘でしょ!春奈!!嘘だって言ってよ!!」 春奈。 小学校の教師の仕事をしながら、苦労して育てたたったひとりの娘。 私は夫と離婚し、仕事に追われ、家に残した娘の寂しさを紛らわせるために、 愛するゆっくり達と一緒に育てた。 娘が天才だと知ったときは、初めは舞い上がった。 五歳の時には、すでに小学校高学年の算数の問題を解き、 八歳のときにはゆっくりの生態研究における新発見を論文にして学会に発表し、 あれよあれよと思っているうちに十歳で渡米し、ハーバード大学に在籍していた。 春奈は神童として、日本中、世界中から持ち上げられたが、 母親の私は、年を重ねるごとに娘が自分から離れていくようでさびしかった。 小さいころは、家にいるゆっくり達と一緒に楽しそうに遊んでいたが、 大きくなっていくにつれて、娘とゆっくりとの距離感を感じるようになった。 どこか距離を置いた接し方をしていたように見えた。 しかし、春奈がゆっくりを研究したいと言ってきたときは、 ゆっくりが嫌いになったわけではなかったのだと思って嬉しかった。 春奈はゆっくりの生態系を研究し、ゆっくりにとって効率のいい栄養になる食べ物を見つけ、 飼い野性を問わず、ゆっくり達の知られていなかった特性をいくつも発見して、 それらの発見はゆっくりを飼う人々の役に立った。 その功績と学力が評価され、春奈は渡米し、ハーバード大学に籍を置いた。 在学中にもゆっくり研究の分野で目覚ましい功績をあげ、博士号まで取ってしまった。 我が子ながら恐ろしくなるほどの才能だ。 その才能を、ゆっくり達のために使ってくれることがうれしかった。 ゆっくりが好きで仕方がない私。 その娘も、ゆっくりが好きで。 ゆっくり達の幸せを願っている、それが何よりうれしかった。 それなのに。 「周知のように、ゆっくりの餡子はゆっくりが苦しむことで糖度が上がり、甘味を増します。 そればかりか苦しみの種類によっても、甘味の種類が違ってきます。 その糖度は、本来ならば不可能であると思われていた密度をはるかに超えることが確認されています」 長浜圭一はボードに何か書きつけながら説明している。 「生きている饅頭であるゆっくりは、存在そのものがこの世界の物理法則を覆すものでした。 世界中の学者たちがゆっくりの構造を解明しようとしましたが、 須藤春奈さんの力で、その複雑かつ不可思議な構造がもうすぐ整理され解明されようとしています。 それに合わせ、私たちは提案をさせていただきました」 「複雑じゃないよ」 春奈が妙なところで口をはさんでいた。 「単純。すっごく単純。他の生き物とルールが違うだけ」 「なるほど、後で教えてもらうよ。 さて、ゆっくりの体内で極限まで圧縮された糖度が、なんらかの形で有効に活用できるのではないか。 素人の思いつきではありましたが、春奈さんと書簡を交わすうちに現実味が出てきたのです。 たかが糖とお思いかもしれませんが、水素爆弾などの例を見てもわかるとおり、 凝縮された物質をエネルギーに変換することで生まれる力は測り知れません。 糖分をエネルギーに変換する方法がまた難しいのですが、これも春奈さんが解決してくれそうです。 ゆっくりを使うことで……」 「春奈!!」 叫んではみたが、すぐには言葉が続かなかった。 ゆっくりを極限まで苦しめ、その糖度を利用する。 そんな計画の首謀者として、娘が関わっていることが信じられなかった。 「こんなことはすぐにやめなさい、あなたは騙されてるのよ!!」 「ママ、ちょっと落ち着いてよ」 「本気なの!? あの子たちを苦しめるなんてことに、あなた本気で協力するつもりなの!? 春奈、あなたは自分が何をしてるかわかってないのよ!!」 また男どもに取り押さえられ、娘が複雑な視線を向けてきた。 一人前に気遣っているつもりなのか。 怒りと焦りが交錯する。 やはり、私がきちんと向き合っていなかったのがいけなかったのだ。 「どうかな?」 長浜圭一に差し出された餡子を、春奈が指ですくい取ってまじまじと見つめる。 それは、ここで苦しめられ続けているあのゆっくり達から採取した餡子だった。 指でなめ取り、春奈が答えた。 「うん。全然、ダメ」 「やはりそうか」 「素人さんにしてはすごく頑張ってると思うよ。ちょっと驚いちゃった。 でも、この程度じゃ計画は進まないね」 「ゆっくりを死なせずに苦しめるのは難しいな。 方法だけはいくらでも思いつくんだが、どれもこれも殺してしまいそうで実行に移せない」 「結局、そこがネックだよね。もろすぎるんだ。 だからあたしが呼ばれたんだと思うけど、いろいろ手はあるよ、硬化剤とかね」 「ふむ」 「というか、問題はそこじゃないんだな。 ゆっくりを苦しめるのに一番大事なことが、全然なってない」 「どういうこと?」 自分の頭を指で叩きながら、春奈が言う。 「精神面からのアプローチがほとんどできてないよね。ただ事務的にえんえんと痛めつけてるだけ」 「れいむ種に関しては、精神を痛めつけたつもりだったが」 「あたしの言ってる意味はそういうことじゃないの。あのれいむ達にやってることは、せいぜい嫌がらせ。 本当にゆっくりを苦しめるなら、プライドと希望、この二つを徹底的にやるのが一番よ」 「精神的な苦痛を受けるにも、それなりの知性が必要だろう。 ゆっくりは、単純に痛い苦しいを繰り返すだけかと思ってたが」 「違うんだなあ。プライドにかけては、ゆっくりは人間以上って言っていいぐらいなのよ。 侮辱や悪意に敏感に反応する。そこを利用しない手はないよ」 「俺としても、そのあたりを君にご教授願うつもりで、あえて深追いはしなかった」 「オッケー」 春奈はいきいきとホワイトボードに何事か書きつけ、講義を始めた。 部屋の隅で、私はそれを呆然と聞いていた。 これが本当に私の娘なのか。 れいむを別室で預かってもらってよかった。 こんな話をあの子に聞かせるわけにはいかない。 ひとしきり講義をぶった後、春奈はひとまず打ち切った。 「とりあえず、何はなくとも、罪を自覚させないとね」 「罪なんてないわ」 口をはさまずにはいられなかった。 長浜圭一がこちらを向く。 「あの子達に罪なんかないわ」 「ママ、あのね」 「罪があるのはあなたたちよ」 長浜圭一、そして長浜吉隆氏に向かって言い放つ。 「あの子達を怨んでいるの? あの子があなたの子供を殺し、あなたの妻を全身不随に追い込んだ? そう思ってるなら全然筋違いよ。 妻と子供を事故に追いやったのはあなたたちよ、長浜さん」 長浜圭一が答えた。 「これは国家レベルの計画だと、はじめに聞かれたはずですが。 今更、そのレベルの問答はしたくないですね」 「あなたたちがあの子たちを人殺しに追いやったのよ!」 怒りにまかせて叫ぶ。 「責任がないとでも思ってるの!? 甘やかされきった子供に、やっていいことと悪いことの区別がつくわけがないわ。 それは人間だってゆっくりだって同じことよ!」 「おっしゃる通り。全て僕のせいです」 両手を上げ、長浜圭一は認めた。 「妻も娘も、僕が死なせました。ゆっくりにはなんの責任もありません。 以上です。それはそれとして、計画の話に戻っても?」 挑発的な言葉にかっとなる。 「わかってるならこんな事はいますぐやめなさい!! 逆恨みでここまでやるなんて、いい大人が恥ずかしくないの!?」 「この計画は、一見非人道的なものです。 生物を苦しませつづけることで利益を得るなど、仮にも生き物を相手にやっていいことじゃない。 世間の反発は大きいでしょう」 長浜圭一がとうとうとご高説を垂れた。 「だから、このゆっくりなんです。 これらが起こした事件は世界中を震撼させました。 人を殺して悪びれず、それどころか悪意からの喜びさえ感じているゆっくり共。 これらを使うのであれば、世間の反発もだいぶ緩和できるでしょう。 あなたのように割り切れない人もいるでしょうがね………要するに、それだけの話ですよ」 「悪いのはあの子たちじゃない、適切な教育を施されなかったからよ!!」 「では、適切な躾をしていれば?」 「人間とゆっくりは、本来共存できるはずよ。 同じ言葉を使う相手と、どうして仲良くできないわけがあるの? まっとうに向き合ってさえいれば、あの子たちは……!」 「仮にそうだとしても、悪を演じてもらいます。 計画のためにはそのキャンペーンが必要ですから」 「悪はあなたよ!!」 叫ぶ私に対し、長浜圭一は涼しい顔で答えた。 「人類の発展のためです。 ノーベルが発明したダイナマイトも、アインシュタインの理論を下地にして開発された核爆弾も、 ともに多大な犠牲を出しながら、人類の発展に大きく貢献しました。 科学を発展させてきたのはいつも戦争だったと言っていいぐらいです。 それに比べれば、十数匹のゆっくりなど犠牲としては数にも入らないと思いますがね」 私は吐き捨てた。 「あなたは悪魔よ」 「人類を発展させてきたのは悪魔ですよ、須藤さん。 あなたが利用しているテレビも飛行機も、悪魔が発明したものです」 この異常者どもは、全く聞く耳を持たなかった。 ゆっくりという生物を食い物にし、苦しめて、まるで悪びれる様子もない。 鬼畜だった。 春奈は、そんな鬼畜生と同じだというのか。 そうは思いたくなかった。 どんなに天才でも、あの子はまだ子供なのだ。 まだやり直せるはずだ。 母親として、あの子を見捨てるわけにはいかなかった。 私は名目上は、春奈の保護者として付き添いにやってきた。 そして今、ここの連中は私を煙たがっているようだが、追い出すつもりはないようだ。 半ば監禁状態におきながら、妙に機嫌を取ってくる。割り当てられた部屋も豪華なものだ。 私が今の印象を抱いたまま外に出れば、ゆっくり愛護団体に訴えて計画の邪魔をしかねないと考え、 なんとか説得し懐柔し、神童の母親として宣伝に協力させようというつもりなのだろう。 いまいましいが、チャンスでもあった。 あの子たちの苦しむ姿を見たときから、私はすでに決心を固めていた。 あの子達を救うのだ。 そして娘も。 「ゆぅぅ……ゆっくりできないよ……」 私の可愛いれいむは、すっかり怯えてしまっていた。 十年間苦楽をともにしてきた、自慢のゆっくりれいむ。 そのリボンには年季の入ったゴールドバッジが輝いている。 両親も祖父母も私の家で育ち、代々ゴールドバッジを受け継いできた優秀な家系だ。 生まれたときから愛情を注ぎ、躾も栄養状態も行き届いている。 十年という、ゆっくりとしては驚異的な長さのゆん生を生きながら、 そのサイズは30cm大に抑えられ、肌のつやも年を感じさせない。 長年の経験に即した健康管理のたまものだ。 人とともに共存することを学び、人とゆっくりが一緒にゆっくりすることを心から望む、 心やさしいれいむ。 そのれいむも、ここで行われている所業を見て胸を痛めていた。 「おねえさん、あのれいむたちはそんなにわるいことをしたの…? だからおしおきされてるの?」 「違うのよ、れいむ。悪いのは人間さんたちなの。 あの子たちは悪くないの。なにも知らないだけよ」 「あのれいむたちををたすけてあげてね……ゆっくりできないよ」 「もちろんよ。れいむも手伝ってくれるわよね?」 「ゆっくりてつだうよ!なんでもいってね、おねえさん!!」 れいむは力強く頷き、ぴょんととび跳ねた。 春奈はいつも、男どもと何事か相談していた。 そのため手間取ったが、夜にはようやく二人きりになれた。 仮眠室に踏み込み、寝ようとしていた春奈の頬を叩く。 「ママ」 頬を抑えながら声を震わせ、潤んだ瞳で春奈は見上げてきた。 とてもあの男どもを相手に一歩も引かず講義をしていた少女とは思えない。 やはりまだまだ子供なのだと私は確信し、少し安心した。 「くどくどお説教はしないわ、考えなくたってわかることですものね。 春奈。 あなたは大人たちにもてはやされるのがうれしかったのよね」 春奈は答えない。 「だから、周りの大人たちに言われるままに結果を出してきた。 ゆっくりを苦しめろと言われれば苦しめた。 でも、そんなのは間違っているわ。頭を冷やして目を覚ましなさい」 「ママ……でも……」 娘の頭に手を置き、私は優しく言葉をかけた。 「いいのよ、春奈。ママは怒ってない。 春奈は優しい子だもの。それはママがよく知ってるわ。 とっても単純なこと。生き物をいじめるなんてよくない、そうよね?」 しばらくためらっていたが、やがて春奈は小さくうなずいた。 「いい子ね」 私は娘を抱きしめた。 「全部やり直しましょう、春奈。あの子たちを助けるのよ」 「うん」 春奈は小さな声で答えた。 春奈はやっぱり春奈だった。 あの、やさしい私の春奈だった。 私は安堵していた。 春奈に案内された先に、あの子たちはいた。 暗い部屋の壁にしつらえられたケージの中に、一匹ずつ押し込まれている。 ちょうどペットショップの店先のようだ。 この子たちは器具に縛られて苦しめられていたはずだったが、 春奈の提言で、苦痛は中断されてここに安置されていたのだった。 あの単調な苦痛を繰り返してももうあまり意味がないから、 オレンジジュースや薬品を節約するためにも一旦中断したほうがいいと判断した、と春奈は言った。 私たちが部屋に入ると、ゆっくり達が視線を向けてくる。 どれもひどい有様だった。 まりさ達はすべての歯を抜かれ、涙を流してふがふがと食料を懇願していた。 「ゆっ、まり……まりふぁに…ごはんんひゃべひゃひぇてくだびゃいぃ……」 「おなかひゅいひゃんひゃへ……」 れいむ達は憎悪に染まった視線を向けながら罵倒してくる。 「かわいいれいむをさっさとここからだせぇぇ!!」 「にんげんさんはゆっくりするなぁぁ!!ゆがああああ!!」 ありす達はぐったりと横になって動かなかった。 子ありす達はあまりに何度もすっきりと出産を繰り返したせいで、 全身の皮が胎生で引き伸ばされ、まむまむがだらしなく広がっている。 親ありすは、処置を施されて変わり果てたぺにぺにを垂れさがらせていた。 「ひどい」 私は呻いた。 「ゆっくりしていってね!!」 連れてきたれいむをみんなの前に座らせ、挨拶をさせると、 弱々しい挨拶が返ってきた。 「ゆっくりしていってね……」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり、して、いってねえ……」 警戒する者、体力のない者もいたが、 なかには同族の姿を見て喜ぶ者もいるようだった。 「ゆゆぅ、みんなゆっくりしてないよ……」 「今、元気の出るごはんをあげるわ」 持ってきたゆっくりフードを取り出すと、それぞれのケージの中に取り分ける。 「ゆっ!!ゆっゆっゆっゆっ!!!」 まりさ達はわき目も振らずにがっついた。 柔らかいペースト状のゆっくりフードなので、歯がなくてもなんとか食べられるはずだ。 「むーひゃ、むーひゃ!!ゆふぅぅぅひあわひぇええええええ!!」 あまりのおいしさに涙を流している。 れいむ達はしばらく警戒していたが、やがて舌を伸ばした。 咀嚼しながらも「しあわせ~」とは言わず、憎しみの視線をこちらに向けている。 ありす達はぐったり横たわっていたが、舌だけは伸ばしてなんとか口に運んでいた。 「外に放すの?」 一旦仮眠室に戻ったところで、春奈が聞いてきた。 あのゆっくりフードは特別なもので、 効率よく栄養を摂取できるうえ、極力野草の味に近づけてある。 ゆっくりの舌が肥えて野生で生きていけなくなるようなことがないように、 ゆっくりの頭数調整の一環として、愛護団体やゆっくりショップで愛用されているものだ。 かつて舌の肥えきったこの子たちが食べてくれるか不安だったが、 ずっとまともな食事ができなかったために喜んで食べてくれたようだ。 「そうよ。 これだけ人間を憎んでしまったゆっくりが、 人間社会の中で生きることはもう絶望的だわ。 私たちにできることは、せめて責任をもって治療してから、森に帰すことぐらいだと思う。 春奈、あなたなら治せるわよね?」 「簡単に治療できるよ。れいむ達は外傷はないし、 まりさ達には飴で作った差し歯を入れて、ありす達はぺにぺにをちょっと手術というか取り換えて、 栄養のあるものを食べさせるだけで済むと思う。 素人でもできるよ」 「お願い。あの人たちにはなんとか治療の必要があると思わせて、治療しておいてね。 それかられいむ、手伝ってもらえるかしら?」 「ゆっくりなんでもいってね!!れいむがんばるよ!!」 「準備ができるまでは、あの子たちの話し相手になってあげてね。 あの子たちが口をすべらせたら大変だから、逃がすという計画は秘密にしておいて。 でも、また元気を出してもらえるようなお話をしてあげて」 私はそこで、改めて春奈に協力を約束させた。 「あなたの言うことなら、みんな耳を傾けると思うわ。 なるべくごまかして、逃げ出しやすいようにお膳立てを整えてちょうだい。 みんなが回復したらすぐに決行するわよ」 その日から、あの子達の治療が始まった。 次のステップに進むうえで、健康状態にあったほうが都合がいい。 春奈がそう言っただけで連中は簡単に納得し、手早く治療が進められた。 まりさ達の体の傷跡は治療され、口には飴細工の差し歯が差し込まれ、 ありす達のぺにぺに兼まむまむは、小麦粉とカスタードで作られた精巧なものと取り換えられた。 栄養剤の混ざった食餌療法で、皮にも張りが戻ってきたようだ。 「ゆっくりしていってね!!」 毎晩、監視の目を盗んでゆっくり達の部屋に入り込み、 れいむがみんなの話し相手を務めた。 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくり達の返答も、日を追うごとに明るくなっていった。 どれも表面上の傷跡はすっかりなくなり、健康体そのものだ。 「そのにんげんさんはれいむのどれいなの?!」 「ゆゆっ!!おねえさんはどれいじゃないよ!!れいむのかいぬしさんだよ!!」 「にんげんにかわれているなんてれいむはむのうなんだね!!ゆっくりできないよ!!」 「れいむはむのうじゃないよ!!にんげんさんはゆっくりできるんだよ!!」 「ゆっくりできないよ!!にんげんはぜんぶごみくずなんだよ!! くそじじいがれいむのあかちゃんをころしたんだよおぉ!!!」 すぐに仲良く、というわけにはいかなかったようで、 人間とゆっくりの接し方に関する思想の違いで、しばしば口喧嘩が起こった。 生まれたときから由緒正しい飼いゆっくりで、 心から人間を信頼している私のれいむは、 人間を奴隷呼ばわりし、憎しみを向けるこのゆっくり達に戸惑いを見せていた。 「ゆぅぅ……みんなゆっくりしてよぉ……」 無理もないことだった。 あれほどひどい目に逢わされたこのゆっくり達に、人間を信頼しろというほうがむちゃだ。 私はれいむをなだめ、その件についてはそっとしておくように言った。 「この子たちは森に帰るのよ。もう私たち人間とは関わらないわ。 そのことについてはそっとしておいてあげて?」 「ゆっくりわかったよ……ゆぅぅ、にんげんさんはゆっくりできるのに……」 不満げだったが、れいむは納得したようだ。 その後は森の話をした。 ゆっくりできる群れ、温かい巣、すてきな家族、頼もしいドス。 飼いゆっくりとはいえしばしば森に遊びに行くれいむが、思いつくかぎりの森の魅力を伝えた。 かつては森にいたらしいゆっくり達はすぐに目を輝かせ、森での生活に思いをはせた。 「ゆゆぅぅ……あかちゃんといっしょに、もりでゆっくりしたいよ……」 「やくたたずでひきょうなにんげんなんかもういらないのぜ!」 「とかいはなもり……せれぶせいかつねぇ……」 会話の得意なれいむの巧みな誘導で、すっかり森に憧れを抱いたようだ。 これなら移送はスムーズだろう。 一週間ほど期間を見た後、私はついに計画を実行に移した。 人間は今、償いようもない罪を犯そうとしている。 どんな犠牲を払っても、なんとしても止めなければならなかった。 続く
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※既出ネタでごめんなさい パァン、と乾いた音が響き、一匹の成体ゆっくりれいむの体が吹き飛んだ。 低空を飛んだ後ゴロゴロと体が転がっていき、勢いよく柵に叩きつけられる。 飛ばされたれいむは痛みを堪えて呻きながら起き上がると、ずりずりと這うように元の場所へと戻ろうとした。 そんな鈍い動きのれいむの真横に、バァン、と一つの光弾が勢いよく着弾。その速度は弓で飛ばした矢の如し。 自分の間近で炸裂した圧倒的な暴力にれいむはビクゥ、と跳ね上がると這う移動から即座に死力を尽くした跳躍移動へと移行した。 そうして飛ばされる前の場所へと舞い戻ったれいむは、再び当初の行動に戻り、目の前の物を口に含んで、はもはもとそれを食む。 れいむが食しているのは、雑草だった。とある庭に鬱蒼と生い茂った多量の雑草である。 れいむは苦くて不味いそれを涙と嗚咽を堪えて無理矢理口に押し込んでいきながら、顔はそのままチラリと視線を横に向けた。 その先に居るのは、二人の男。 二人の男は今、家の縁側でのんびりと酒を飲みながら、碁を嗜んでいる。片方は家の主で、もう片方はその友人だ。 今は家の主の方が長考しているようで、うーむ、と手を顎にあてて考え込んでいる。相手の男はその様をのんびりと酒を飲んで待っていた。 この二人こそが、今れいむに雑草を食べる事を強要している者達だった。いや、れいむだけではなく、れいむの家族にだ。 友人の男の方は人間ではなく妖怪だった。妖怪は人間を襲う者ではあるが、中には人間と仲の良い者もいる。 しかしながら、れいむにはその判別はつかない。どちらも恐ろしい人間と映っている。 その恐ろしい人間──妖怪の友人の方が、チラリと視線を庭にいるれいむに寄越した。交錯する視線。 れいむはしまった、と思い、直後ぞっとするようなドス黒い恐怖がせり上がって来て、れいむの全身を支配した。すぐさま視線を前に戻し、雑草喰いをしようとする。 だが、遅い。パァン、と再び乾いた音がすると同時にれいむは再度吹っ飛び、柵にまた叩きつけられた。 れいむが吹っ飛んだ原因は、妖怪の男が放った光弾だった。ノーモーションで放たれた高速の弾丸がれいむの頬を直撃し、れいむに激痛と恐怖を刻み込んだのだ。 相変わらず見事な技といい音だ。人間の方の男がそう言って、パチリと黒石を碁盤に置いた。 その後すぐさま妖怪の男の方は白石を置いた。人間の男が長考している間に打って来る手とそれの反撃手を既に頭の中で展開させており、予想通りの手が来たようだ。 人間と妖怪では寿命が違う。年季が違う。その事を再び痛感しながら人間の男はまた長考に入った。 その一連のやり取りを気に掛ける余裕はれいむには無かった。全身に走る痛みと全身を支配する恐怖を振り払いながら、必死で元の場所に戻ろうとしている。 だが妖怪の男が白石を置いて再び視線を庭に戻す前に辿り着く事は出来なかった。またもや合う視線。 直後、れいむの両脇に高速で弾丸が着弾した。先ほどの痛みと恐怖を呼び起こすそれにれいむは口元まで出かかった悲鳴を堪えた。 堪えて、涙を零しながら跳ねる。 再び元の場所に戻って、雑草喰いを再開する。 この雑草掃除をしているのはれいむだけでは無かった。ラインを割り振られたかのようにれいむの両隣には子ゆっくり達がそれぞれ配置されていた。 子れいむと子まりさ、合わせて五匹。れいむと合わせて計六匹が、この家の庭の草抜きに従事していた。 そのどれもが悲壮感に顔を歪ませており、ボロボロと砂糖水を地面に零している。 声をあげることは許されない。あの弾丸によって制裁を受ける。 手を休めることは許されない。暴力によってそれを理解させられる。 常に全力でなければならない。有無を言わさずに撃たれる。 それはこの仕事を始めた当初に嫌という程妖怪の男に教えられた。 あんな痛い思いはもう嫌だ。そう餡の芯まで叩き込まれた。 なんで、なんでこんな事をしなければならないのか。ゆっくり達はそんな思いで一杯だった。 だが、口答えをすれば痛めつけられる。決して殺されることなく、口を噤んで再び仕事を再開するまで痛めつけられる。 男はゆっくりにそんな苦しみを与えることを、片手間に、楽にやってのける。 そんなゆっくり出来ない思いに満たされたゆっくりとは対照的に、縁側の男たちは実にのんびりとしている。 人間の男がパチリと黒石を碁盤に置いた後、その手を膝に置くことなく、ある物を手にとってそれで何かを食した。 それは餡子だった。しかしただの餡子ではない。れいむの伴侶のまりさの餡子だった。 れいむが子供の頃からずっと一緒だった愛するまりさは今、人間の男の傍らに置かれている。 髪は全て一本も余すことなく抜かれ、頭頂部は丸くくりぬかれて中身の餡子を曝け出している。 底部は二度と動かせぬようにずたずたに破壊されており、雑音を発せぬように口は縫い付けてある。 帽子はとっくに本人の前で燃やして目は砂糖水で床を汚さないようにこれもまた縫い付けてあった。 人間の男は、そんな状態のまりさの頭にスプーンを突っ込んで、グチャグチャとかき回した後一掬いして口に運んだ。 まりさはまだ生きている。生きている証を、動きを表すことは無いが、まだ意識は残っている。 意識を残しつつ痛みを与えることによって、ゆっくりの餡子は美味になることを、この男達はよく知っていた。 妖怪の男はまたもやノータイムで白石を碁盤に置く。人間の男はまたそれに苦笑しつつ、長考に入った。 手に持っていたスプーンをまりさの餡子に突き立つように刺し、手を顎に当てる。スプーンを突き刺した際まりさの体がわずかように妖怪の男には見えた。 本当、丁度良かった。 人間の男が視線を碁盤に注いだまま、嬉しそうにそう言った。ゆっくり一家の事を言っているのだと、友人の男にはすぐに分かった。 今日は酒を飲みながら碁を打つ約束をしていた二人は、一緒にこの家に来た。家の主は酒を買いに行った際に妖怪の男とばったり会って共に来たのだ。 その道すがら、人間の男は庭の雑草が生えすぎで、そろそろ草抜きをしなくてはと愚痴を零していた。 そうして談笑しながら家に着くと、そこには柵を乗り越えて男の家に侵入しようとしていたゆっくりの一家がいたのだった。 野生のゆっくり一家だった。魔法の森に住んでいた一家は、子供が増えて家が手狭になってきたので新居を探していた。 そうして目的地も無く彷徨った末に、ちょうどよく人里の離れにあった男の家を見つけたのだった。 その家の持ち主も、?ちょうどよく?その一家を見つけた。いや、人間の男の方は最初鬱陶しいといった感情を持ったのだが、妖怪の男の方がそれを見て「丁度良いじゃないか」と言ったのだ。 妖怪の男は人間の男に説明する前に、ゆっくり一家を自身の弾幕で痛めつけた。 決して殺すことなく、傷を負って作業効率が落ちる事無きように。 一家を痛めつけた男は親まりさを人間の男に手渡して、残りの一家を庭に放り込んだ。 そして二人揃って玄関から家に入り、縁側に出たところで、男二人を見て威嚇した親れいむとその子供を再び弾幕で痛めつけた。 妖怪の男は痛めつけながら、庭の雑草を食べること。口答えは一切許さぬこと。無駄口、手抜きは絶対許さぬこと。 碁が終えるまでに終わらせることを言いつけて、親まりさに食べるための処置を施した。 他の家族が泣き喚き、許しを乞う目の前で、帽子を燃やして髪を抜き、目と口を縫い付けて底部をボロボロに頭をくりぬいた。 それを人間の男に手渡した後、仕事を始めていない一家を弾幕で叩きのめした。 そうして親れいむがようやく理解し、子ゆっくり達に草を食べるように命じて仕事を始めた。 しばらくは子ゆっくり達は嫌だと言ったり泣いて仕事を放棄したが、その度に男の弾丸がその小さな体を殺すことなく猛威を振るった。 そうする事によって子ゆっくり達もようやく理解して、黙々と雑草を食べる仕事についた。 その後はたまに手を抜いたり手を休めた者を男が片手間に撃つ程度だった。 そうしてゆっくり一家の仕事が安定したのが一時間前。ゆっくり一家はその間ずっと草を食べていた。 そして、そろそろ限界が訪れようとしていた。いや、とっくに限界は超えていた。限界を超えた更なる限界に到達しようとしていたのだった。 子まりさがうぷっ、と草を食べる手を詰まらせた。子ゆっくりの小さい体では、この大量の草を食べることは無理だ。 それにも関わらず、恐怖に怯えて無理矢理詰め込んだ。既に子まりさの体はパンパンに膨らんでおり、いつ皮が破けぬとも分からない。 それでもまだ詰め込むものだから、子まりさはつい吐きそうになった。だが吐いたらまた痛い。 そう思い吐くのを堪えた子まりさだったが、我慢できるわけもなく、エレエレと餡子を庭に吐いてしまった。 エレエレ、と口に出して吐いたことにより、家族も妖怪の男もそれに気付いた。 一通り餡子を吐いた後、子まりさは青ざめた。ガタガタと震え、大粒の涙が目から溢れる。 その子まりさの前に、バッと親れいむが出てきた。男との間に割ってはいるように。 親れいむは額を地面にこすりつけ、子まりさと同じように大粒の涙を零しながら、男に懇願した。 許してくれ。子供には酷いことをしないでくれ。餡子は自分が片付けるから、どうか許して欲しい。 そう言った旨の嘆願を、濁った涙声で喚き散らした。 妖怪の男はそれを聞き、大声を出した事と手を休めた事の二つの罰のため、二発の光弾を撃った。 一発目で土下座のように頭を下げたれいむの体が吹き飛び、二発目が空中にいたれいむの体を更にぶっ飛ばした。 先ほどの比ではない勢いで親れいむが柵に叩きつけられる。地面に落ちたれいむは呻き声をあげて痙攣しだしたが、手加減したのでじきに回復するだろう。 親れいむが痛めつけられた様を目の当たりにした子まりさは自制心と理性などどこかへ吹き飛んでいた。 嫌だ。 その意思を親れいむ以上に濁った声を舌ったらずな口調で喚く。 その直後に子まりさは顔面に弾丸を受けて宙を飛んだ。 体の弱い子ゆっくりに合わせて手加減されたそれは、人間で言うならば思いっきり内臓が潰れかねない勢いで腹を殴られたに等しい。 人間なら内臓が潰れれば酷い負傷だが、衝撃に強い球形で皮も弾力に富み、内臓の無いゆっくりにとっては痛いだけでケガではない。 皮も破れていないし、どこも損壊していない。痛みを堪えれば充分に仕事は可能だ。 親れいむの傍らに落ちた子まりさ。その落ちる音で痙攣から目覚めた親れいむは、酷く怯えた様子で子まりさを咥えると元の仕事位置に戻った。 子まりさに草を食べるように言いつけて、自分は子まりさが吐いた餡を口に詰め込む。 他の子ゆっくり達はそんな様子をガタガタ涙目で見ていたが、恐怖から口は止めてはいなかったので罰は無かった。 碁が終わるまでに仕事を終わらせなければ、全員殺す。 妖怪の男が言ったその言葉を思い返し、親れいむは草と一緒に餡子を体に詰め込んだ。甘い餡子と一緒ならば苦い草も食べられると考えたのだ。 妖怪の男は一家が再び黙って仕事を再開したのを確認すると視線を碁盤に戻した。 戻した時に、人間の男が再び餡子を食していたスプーンをまりさの体内に突き立て、パチリを黒石を置いた。 局面は既にヨセ。庭の雑草掃除はまだ半分も終わっていなかった。 おわり ──────────────── あとがきのようなもの どうやら前回の後書きが迂遠かつ紛らわしく、しかもネタのような文書のために皆様に勘違いを起こさせてしまったようなので、 自分も一度やりたかったネタと共にもう一度言い直しておきます 私はこのSSをもってゆっくり虐待SSを書くのをやめようと思います 理由としましては、リアルの事情、ネタ切れ、それに前ほど面白いと感じなくなってしまったことがあります こういうSS発表と言うのは、つまるところ「ちょっとこれ書いてみたんだけどさ、これ面白くね? 面白くね?」といった感じであると思っています それに他の人たちに「面白いな」「やるじゃん」「こうすればもっと面白くならね?」等といった反応をもらって愉しむ 他の人たちは分かりませんが、少なくとも私はそういう愉しみ方でした なんでわざわざ宣言をするのかと言うと、こうして言わないと自制が効かずにリアルをホッポリ出してまた再開しかねないからです 言いふらしておけばある程度の抑制が効くと思ったのです それでも読む側、見る側としては今後もゆっくり虐待界隈を覗こうと思っています 皆様が愉しんでいる様を見て、私も愉しんでいきます それでは皆様方、これまで私のような素人の拙作を見て頂きまして、その上感想まで頂いて、本当に有難うございました これまでに書いたもの ゆっくり合戦 ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2〜以下無限ループ〜 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 まりさの浮気物! ゆっくりべりおん 家庭餡園 ありふれた喜劇と惨劇 あるクリスマスの出来事とオマケ 踏みにじられたシアワセ 都会派ありすの驚愕 都会派ありす トゥルーエンド 都会派ありす ノーマルエンド 大蛇 それでも いつもより長い冬 おかーさんと一緒 魔理沙とドスまりさと弾幕ごっこ byキノコ馬 このSSに感想を付ける
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※この作品は1639.txt,1641.txt,1649.txtの続きです。 ※何の罪も無いゆっくりがナニでアレされます。そういうのが苦手な人は回れ右。 やあ、みんな!元気かな?俺はいつも元気いっぱいのおっ勃てボッキッキーズだよ! 今は帰り道で出会った魅惑的なモテカワスリム・・・否、餅皮ぱちゅりなゆっくりぱちゅりぃを連れて図書館に来ているんだ。 「ぱちゅりー、この図書館はどうだい?」 「ぱちゅりぃほどのけんじゃがつかうにはちょっとせまいけど、わるくないわね!」 そんな強気な発言が俺の獣欲を激しく掻き立てる。もうズボンの中は臨戦態勢だ。 「そうか、気に入っていただいて何よりだよ!それじゃ、一緒に入ろうか?」 そう言って入館するように促すが、驚くべきことに扉を開ける力が無いらしく、扉を開けようと必死になっている。 「むきゅ~~~~!」と唸りながら死にそうな表情で頑張るぱちゅりぃ。しかし扉は一向に開く気配を見せない。 「・・・・・・ほほう」 そう呟きながら何の予告もなしに扉を開けてあげる。 するとどうなるかはするぐ分かるだろ?そう、勢いあまってつんのめって、ずっこける。 「むきゅん!?」 勢い良く地べたにキスするぱちゅりぃ。のろのろと起き上がると、少し間をおいて泣き始めた。 「むっぎゅーーーー!!いだいよーーーー!!」 ぼろぼろと流れる大粒の涙。く、美少女の涙は反則だろ、常識的に考えて・・・。少し先走り汁が出て来ちゃったぜ! そんなわけで、俺はぱちゅりぃをいわゆるお姫様抱っこで抱きかかえるとこう言ってやった。 「ぱちゅりぃ程の賢者がそんなに簡単に泣いたらおかしいだろ?」 ゆっくりには無駄に高いプライドを逆手に取る形で行動を促してやると上手く行く。 「む・・・むきゅう。なにをいっているの?けんじゃのぱちゅりーがなくわけないじゃない」 凡百どもならここでぱちゅりぃを叩き落すのだろう。が、俺にとってはツンデレ的魅力に他ならない。 そして、俺はお姫様だっこしたまま受付のほうへ向かっていった。 「例の場所、使わせてもらいますよ?」 俺がゆっくりを連れていることにしかめっ面をした受付の女性だったが、その言葉を聞くとにこやかな笑顔になり、すぐにある部屋に案内してくれた。 その部屋はゆっくりの虐待・奇形・ポルノ関係の資料が大量に収集されている。 「むっきゅ~♪ここはぱちゅりぃのとしょかんよ!」 しかし、そんなこととは露知らず、パチュリーは大量の書籍を前に大はしゃぎ。ああ、可愛いなぁ~。 「むっきゅー!おじさんはゆっくりでてってね!」 同時に調子に乗り始めて、お約束の「出て行け」発言を始めるが、俺はそんなものに取り合うほど馬鹿ではない! すぐに適当な本棚にある一冊を指差して「あの本が凄いよ!」と言ってあげた。 すると、俺を追い出すことも忘れてその本に一目散!本を取ろうと手を伸ばす。が・・・ 「むぎゅう~~。とどがない・・・」 そりゃそうだ。この部屋はゆっくりぱちゅりぃに対するお仕置き用の部屋で、手を伸ばしても1mほどの高さまでしか届かないぱちゅりぃにはぎりぎり取れないような高さのところに1段目があるのだから。 「むきゅ!おじさん、ぱちゅりぃのごほんとっ・・・で!?」 さっき出て行けと言ったのも忘れて俺に命令しようとしたぱちゅりぃはふっリ帰った瞬間に驚愕した。 まあ、当然だろう。 振り返ったそのとき、俺は全ての服を脱ぎ捨てた格好でえらそうに両腕を組んだまま、力強く反り返ったイチモツを天高く掲げていたのだから。 しかも、そのイチモツの先端部の玄爺を何故か小さなゆっくりれいむが咥えている。が、今は邪魔なので尾トン四句しているように言い聞かせてから外して、適当な場所に置いた。 「む、むぎゅ~~~~!ぱちゅりぃのとしょかんでなにしてるの!?」 「ははは、ご本を取りたいんだろう?だったら取らせてあげよう!」 そう言うが早いか、混乱に最中にあるぱちゅりぃの股下にMy白楼剣を通すと、珍力を最大限に生かして彼女を持ち上げた! 「そうそう、落ちると危ないから竿をしっかり握っておくんだよ!」 「む、むきゅ?」 ぱちゅりぃは状況を飲み込めないながらも言われるがままに竿を握る。 「ふおわっ?!」 非力さゆえの柔らかなタッチが俺のブツの玄爺の口辺りになんともいえない心地よい刺激を与えて来る。 思わずもっと強烈な快感を得るための作業に移行したくなるが、ここはぐっとこらえて、ぱちゅりぃを持ち上げた格好のまま本棚に近づく。 「ほぅら。これでご本が取れるだろ?」 そう言うと、当初の目的を思い出したぱちゅりぃはおもむろに本棚から1冊の本を取り出す。 「むきゅ!おじさん、おろしてね!」 言われなくてもそのつもりさ。ぱちゅりぃを下ろした僕は彼女の視界の外に移動し、様子を見守ることにした。 「むきゅ~♪ぱちゅりぃのごほん~♪」 ゴキゲンな様子で鼻歌交じりに本を開くぱちゅりぃ。しかし、一番最初のページを見た瞬間、その手が止まった。 そのページにあったのは1枚の写真。その写真には全裸の俺が体中に塗りたくった蜂蜜に群がる30匹以上のゆっくりの中で極上のスマイルを浮かべる姿が映っていた。 「む、むきゅ~・・・」 呆然とその写真を見つめるぱちゅりぃの表情は少し赤みを帯びている。どうやらそれがいやらしいものだと言うことは理解できるようだ。 そのまま、ぎこちない仕草でページをめくるぱちゅりぃは次のページを見た瞬間に完全に硬直してしまった。 今度の写真はじぶんとおなじ体つきのゆっくりぱちゅりぃが陰部を俺のグングニルに刺し貫かれたまま、珍力だけで駅弁の体勢を取らされている写真だった。 「おい、ぱちゅりぃ!」 元も動揺していたこともあってその声を聞いた瞬間、ゆっくりらしからぬ速さでこちらに振り向いた。 そして俺はその瞬間を見逃すことなく、口内強制挿入(スペルカード発動)した。 「!?!?!!?!?」 あまりに突拍子も無い事態に混乱の境地に達したぱちゅりぃは抵抗することも無くただ、ばたばたと手を動かす。 その様子をしばし観察するのも面白そうだが、今はまず逃がさないことを最優先して、ぱちゅりぃの顔を両手でむんずと掴み・・・いつも通り腰を振り始めた。 「うぎゅーーーーー!!!!」 直後、顔を真っ赤にして抵抗し始めた。しかも苦しそうと言うより痛そうな表情をしている。 理由は到って簡単。今回は人間の図書館に侵入したお仕置きもかねているのでブツには蜂蜜ではなく、ジョロキアを大量に振りかけているのだ。 え、お前が案内したんじゃないかって?それはそれ、これはこれ! ジョロキアってのは世界で最も辛い唐辛子と言われる代物。そんなものを振りかけた俺のぺにぺにもなかなかにデンジャラスな状態だ! しかし、俺ほどの漢になればその痛みさえも快感に変えることが出来るのさ。 と言うわけで、辛さを超越して激痛の域に達した唐辛子の味に悶絶するぱちゅりぃ。 しかし、顔が真っ赤なのは何も辛さのせいだけではない! 実は図書館の入り口でお姫様抱っこしたときや、イチモツの上にぱちゅりぃを乗っけた時、本人には気付かれない程度の微細な振動を与え続けていたのだ。 そうやって知らないうちに蓄積されていた快感が・・・今、口姦や両手の振動をきっかけに解き放たれるッ! 「うぎゅーーーー!んぶーーーー!!きゅきゅ・・・きゅぅ~・・・」 必死で辛さから逃れたいのに、解き放たれた快感がそれを許さない。辛さを感じては悲鳴を上げ、悲鳴を上げながらも切なげに喘ぐ。 信じられないって?でも実際、つたない舌使いで俺のあまあまとは程遠いぺにぺにに必死にご奉仕しているんだぜ? 「さあ、ぱちゅりぃ君。辛いならやめても良いんだよ?」 「・・・うきゅ?きゅっ・・・うぎゅう・・・」 やめたい、でもすっきりしたい。その葛藤で舌の動きが止まるぱちゅりぃ。 そこですかさず更に激しく腰を振る。勿論、両手の振動も今までより更に強力なものへとギアをあげていく。 「ぎゅぅぅぅうううう!?むきゅ・・・きゅきゅきゅきゅきゅ・・・」 こうして、ぱちゅりぃは実にたやすく欲望に屈した。 まさか、ぱちゅりぃは気付くまい。この常軌を逸した辛さにこそ俺の罠があったとは。 つり橋効果ってあるだろ?女性がつり橋の上で男性に会うと心臓がバクバク言ってるのはときめいているからだ、って錯覚するやつ。 辛いものを喰うと体が火照るな?でも、辛いよな?そこに性的快感を加えるだろ? すると体が火照るのは感じているからだと認識することで辛さから意識を遠ざけようとするわけさ。 「むきゅ・・・きゅきゅきゅきゅきゅ・・・」 そういう理由で自分でも理解できない理由でMy白楼剣の虜になったぱちゅりぃは辛さを忘れてしまったかのように一生懸命むしゃぶりついている。 「よし、良い子だ。そろそろご褒美をあげよう!」 更にピストン運動と手の振動のペースを上げていく。それに従ってさらに呼吸が荒くなるぱちゅりぃ。 「きゅ・・・きゅきゅきゅ・・・むきゅ・・・!」 「ぬぅん!!」 そして、献身的な舌遣いと愛らしい小さな唇のもたらす快感は俺を絶頂へと昇り詰めさせた。 「むきゅううううううううううううううう!!すっきりいいいいいいっゴホンゴホン・・・!?」 そして、同時にぱちゅりぃも俺のビッグサンと神の手によって絶頂に達した。 しかし、体つきには下半身の天の岩戸もあることを・・・俺が忘れるはずも無い。 クリトリスって、アマテラスと響きが似ているよな。お兄さんの息子はタヂカラオ!! ---あとがき?--- またしても変態お兄さんシリーズです。 ゆっくりボール6とかゆっくりさくやとかも書きたいんだけど時間が無いぜ。 今回は変態分控えめ。次回はもう少しはっちゃけたいと思います。 ちなみに、扉を開ける力も無いことを知らなかったお兄さんにぱちゅりぃとの性交経験があるのは 「昔、人里の通りで見かけた可愛いぱちゅりぃをその場で抱いて、たまたま通りかかった烏天狗に撮影してもらった」 からですのであしからず。 byゆっくりボールマン 作品一覧 ゆっくりボール1~5 ゆっくりみだら1~3 びりゃーど ゆっちぇす ディスコミュニケーション このSSに感想を付ける
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「れいむのあかちゃんが生まれるよ!ゆっくり産まれてきてね!!」 「ゆゆ~ん!まりさとれいむのあかちゃん凄くゆっくりしてるね!」 実ゆっくりが震える。 ついに出産の時が来たのだ。 「生まれるよ!れいむの可愛い赤ちゃんがうまれるよ!」 「まりさの赤ちゃん!ゆっくりしてね!」 ポト。 最初に茎から落ちたのはれいむ種の赤ゆっくりだった。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」 パチっと目を開き大きな声で第一声を上げる赤れいむ。 そのゆっくりした姿に親れいむと親まりさは感動した。 「ゆゅーん!!れーみゅ ゆっくちうまりぇちぇ しゅごーくゆっきゅりしてるよ!」 楽しそうに跳ねる赤れいむ。 産まれてきた喜びを全身で表現しているのだ。 「ゆっくちちたら うんうんしゅるよ!ちゅっきりちゅるよ!」 ブリブリ。 ビチビチ。 ブショワー。 赤れいむからこんもりと山のように餡子が垂れる。 ついでに砂糖水も噴き出す。 「ゆがああああああ!?れいむのおチビちゃんが餡子を出しちゃったよ!?」 「餡子が出るとゆっくりできなくなるよ!おチビちゃんゆっくりしていってね!!」 その行動に親れいむと親まりさは大慌てになる。 しかし当の赤れいむは全く気にしていなかった。 「ちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅちゅっきりいいいいい!!!!もっちょ うんうんと ちーちーちて ちゅっきりちて ゆっきゅりだよ!!!」 ブリブリブリブリ………。 ブショー。 赤れいむは更に糞と尿をひねり出す。 「ゆあああ!!れいむの貴重なおチビちゃんがあああああ!!!」 「どぼじでぞんなごどじでるのおおおお!?」 「ちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっきりいいいい!!!」 ブリブリとシーシーは止まらない。 ついに赤れいむは皮だけになってしまった。 「もっちょ…………ちゅっき…り……ちちゃかっ………た……………」 それが赤れいむの最期の言葉だった。 その後生まれてきた赤ゆっくり達もみな糞尿を撒き散らして死んでいった。 「どぼじでれいむのおチビちゃんがああああ!!!?」 「なんでゆっぐりじでぐれないのおおおお!?」 皮だけになった10匹の赤ゆっくりを見ながら2匹の親ゆっくりは絶望した。 だが絶望はこの2匹で終わることはなかった。 世界中のゆっくりがその日を境に究極の進化を遂げたのだ。 汚物ゆっくりとしての最終進化だ。 産まれた瞬間から糞尿を撒き散らす究極の生命。 それから間もなくゆっくり種は絶滅した。 このSSに感想をつける
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愛犬家とゆっくり 糞描写あり ぬるいじめ? 作者はペットを飼った事が無いので実際のものと異なる場合があるかもしれませんが、 妄想SSなのでご容赦ください 犬の糞は現実では飼い主がきちんと処理しましょう。 ある所に愛犬家のお兄さんがいた。いつもの様に犬の散歩をする訳だが、 今日はたまたま別のルートを散歩した。その帰り 「ゆっくりしていってね!!」 「あ~、ゆっくりしていってね」 お兄さんの前にゆっくりが現れたのだ。 この辺りは普段の散歩コースとは違いゆっくりの巣が多い為、ゆっくりに遭遇する確率も高いのだ。 「おにいさんはゆっくりしないでたべものをよこすんだぜ!!」 「特に食い物なんて持ってないんだがなぁ」 「うそはいけないぜ!!そのちいさいふくろのなかみをはやくよこすんだぜ!!」 「ちいさいふくろ」とは犬の散歩の際に飼い主が持っている小袋の事である。中身は言うまでもない。 「え゙っ!?これが欲しいのか!?てか食うのか・・・?」 「そのなかのたべものをさっさとよこすんだぜ!!」 「あ~・・・まぁいいけどよ・・・口を開けな。食わせてやる。」 「ゆっ!!はなしのわかるおにいさんだぜ!!あ~~~~ん!!」 そういってゆっくりは大口を開けた。お兄さんは望み通り小袋の中身をゆっくりの口に放り込んだ。 吐き出せない様にのどの奥にである。 「な゙に゙ごれ゙ぇ゙ぇ゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙っぇ゙ぇえぇぇ!?!?!?!?!?」 「何って犬のうんうんだぞ?お前が食いたいって言ったから食わせた訳だが?」 「どぼじでおじえでぐれながったのぉぉぉぉおお!?!?」 「食い物は無いと言っただろう。別に俺のせいではないぞ。」 「うぅ!!エレエレエレエレエレエレエレ・・・・・」 野生で生きる割には人間並みの衛生観念を持つゆっくりにとって、犬の糞を食わされるのは相当にきつい様だ。 ひとしきり餡子を吐いてゆっくりは死んだ。 お兄さんは気にせず村に戻った。村で同じく愛犬家の友人達にその事を話したら、 皆散歩コースを変えてみる様だ。 お兄さんの住む村は、全部で100世帯ほどの集落のある大きめな村だった。 その中で犬を飼っている世帯は50世帯あった。全員がゆっくりの巣の近くのルートに変える様である。 その日からゆっくり達のゆっくり出来ない日々は始まった。 「たべものをよこすんだぜ(中略)エレエレエレ・・・・」 「おかしをくれるの!?(中略)ゆげぇえぇぇぇ・・・・」 ゆっくり達は最初人間の持っている小袋に食べ物が入っていると思い込んでいた。 その為犬の糞を食わされて死ぬゆっくりが後を絶たなかった。 また、犬の糞をゆっくりの巣に放り込んだりする人間も多くなった。 そして中にはゆっくりの巣穴で糞をする様に犬を躾けた者も出てきた。 それが広まるのはあっという間だった。 今ではゆっくり達は人間を見ると即座に逃げ出す。犬の糞を無理やり食わせて殺される存在と認識したからだ。 以前は畑を荒らしにきたゆっくり達も、糞を食わされては堪らないと人里に近づく事すらなくなった。 そして巣に糞をされる様になってからは、ゆっくり達は次々と住処であった山を捨てて逃げ出していった。 ゆっくりにとって殺されたり食われたりといった事は、野生で生きている為ある意味当然の事であるが、 糞を食わされるというのはある意味では死ぬよりきつい事らしい。(実際餡子を吐いて死ぬが) その結果ゆっくりの畑荒らしが無くなり、村は平和になった。 ちなみに犬の糞による攻撃が簡単に行えた理由としては、村ではゆっくりを肥料にする事はあっても ゆっくりを食うという事は全く無かった為である。 もちろん食えるのは知っていたが、食う気がしないという考えの者ばかりだったからだ。 「ゆっくりしていってね!!」 たまたま別の山から来たゆっくりが散歩コースにいた。 「ゆっ!!そのふくろのなかのたべものを(中略)ゆげあぁぁぁぁああぁ!!」 村は今日も平和である。 終 このSSに感想を付ける
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*警告* ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。 ↓以下本文 れいむはとてもゆっくりしていた。大好きなまりさと力を合わせれば、おなかいっぱい ゆっくりできるごはんが集まった。ゆっくり育てた十匹の可愛い子ゆっくりはみんな良い 子で、お姉ちゃんゆっくりはもう一緒にごはんを取りに行くこともできる。妹ゆっくりは おうちでゆっくりお留守番ができる。みんなゆっくり、けんかなんてすることはない。 雨の日も風の日もゆっくりできない日も、家族みんなでゆっくりしてきた。一匹も欠け ることなく育てあげた家族は、れいむの自慢だった。 「ゆ゙ぴぃ!」 その子れいむが弾け飛んだ。ゆっくり一匹分の枠のなかに、照り返しも艶やかなこしあ んの餡子が飛び散っている。ぷにぷにですりすりすればとってもゆっくりできた皮も、す てきなおりぼんも今はあんこにまみれた残骸でしかない。 「お゙ぢびぢゃんどぼじだの゙お゙お゙!?」 れいむは叫ぶ。寒天の目玉をひん剥いて叫ぶしかなかった。叶うならば、今すぐ子れい むの側に跳ね寄りたかった。しかし、どれほど動こうとしても、黒焦げになるまで焼かれ たあんよは言うことを聞かない。 「あ゙ん゙よ゙ざん゙! ゆっくりうごいてね! おぢびぢゃんがたいへんだよ!」 れいむは柔らかいおまんじゅうの身体を必死によじり、跳ねようと身をたわめる。しか しその場でもにもにするばかりで、あんよは決して動くことはない。 「お゙でえ゙ぢゃ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!」 一番近くにいた一匹の子れいむが大声で泣き叫ぶ。その子れいむもまた、あんよが炭に なるまで焼かれており、決して近寄ることはできない。そして、子れいむは泣き顔のまま、 一瞬で中身をぶちまけた。跡にはあんこと破れた皮、ボロボロの飾りが残るばかり。 「ゔわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」 わけもわからず、あんよも動かない。一斉に泣き叫ぶ子れいむたち。ゆんゆん絶叫が響 くなか、少し離れた場所が爆発した。 「ゆっぐりでぎないよ゙ぉ゙! も゙お゙お゙うぢがえる゙!」 爆発をきっかけに、一番小さいれいむが大泣きに泣きはじめた。そして、爆発は次第に 子れいむに近づき、二回目の爆発のあと、子れいむは泣き顔の皮をあんこの中に撒き散ら し、生ゴミとなり果てた。親れいむはそれをゆっくり見ていることしかできなかった。 そして再び、少し離れた別の場所が爆発した。 「ゆっ……! みんな! ゆっくりきいてね!」 「ゆ゙ぁ゙……?」 「おがあぢゃあ゙あ゙……?」 「どっかーん、はゆっくりできないよ! でもゆっくりしずかにしてね! ゆっくりしてな いと、おちびちゃんみたいにどっかーんしちゃうよ! ちかくでどっかーんしても、ない たらゆっくりできなくなるよ!」 親れいむの考えは、こうだ。自分たちは白くて広いお部屋にいる。お部屋の床には四角 い模様が書かれていて、その枠はどれもゆっくりひとりぶん。地面の四角い枠からは出ら れない。時々、地面が爆発してゆっくりできない。もし爆発した枠のなかにいたら、永遠 にゆっくりしてしまう。お部屋には他に誰もいないから、爆発する模様はでたらめなのだ。 でも爆発の近くにいて大きな声を出した子には爆発が近づいてきて、最後には永遠にゆっ くりしてしまった。 「やだやだやだあああ! ゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりしずかにしていれば、ちかくでどっかーんしてもだいじょうぶだよ! みんな おかあさんのいうとおりにしてね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 まりさと一緒にゆっくり育てた自慢の子ゆっくりでも、近くで爆発したら大声で泣き叫 び、爆発を呼び寄せてしまうかもしれない。それでもあんよを焼かれたれいむには、子 ゆっくりを信じるしかない。 部屋に残っているゆっくりは、親れいむと子れいむが三匹。二匹は既に永遠にゆっくり してしまっている。床の枠が火を噴く。轟音にどの子ゆっくりも恐怖の表情を張りつけて 身動きのとれない身体を震わせる。親れいむの言うとおりに、ゆっくりできないのを必死 に我慢してガタガタ震えていると、先ほどの一番小さいれいむの時とは違い、爆発は誰か に近づいてくることはなかった。でたらめな場所が爆発し、親れいむはゆふぅ、と大きく ためいきをついた。これで爆発しなくなるまでゆっくりできるかもしれない、と。 「おかーしゃんすごいね! どっかーんさんこっちにこないよ!」 それもその次に小さい子れいむがきゃいきゃいと幸せそうな顔で叫ぶまでのことだった。 子れいむの幸せそうな大声に、爆発は一枠一枠、確実に近づいてくる。 「い゙や゙ぢゃ゙あ゙あ゙あ゙! こっちこないでね! れいむ゙はここぢゃないよ゙!」 近づく爆発。動かないあんよ。ゆっくりできない恐怖に、親れいむの言葉も忘れ、子れ いむは涙を激しく流し、金切り声をあげる。そして、子れいむは盛大に爆ぜ飛んだ。周囲 の枠に、あんこが飛び散る。声もなく見つめる親れいむとれいむ姉妹。 怖くて泣かなくても、しゃべったら永遠にゆっくりさせられてしまうのだ。怖くても泣 けず、永遠にゆっくりしてしまった子れいむのためにゆっくりすることもできない。親れ いむは涙を静かにこぼし、声を絞り出した。 「こわくても、ゆっくりしずかにしていてね……おはなしするとゆっくりできないよ」 「ゆ、ゆっくりぃ」 残るは大きめの子れいむが二匹と、親れいむが一匹だけ。爆音と共に、近くの枠が火を 噴いた。恐怖の表情で固まり、ガタガタ震える子れいむ。どんなに怖くても、親れいむの 言いつけを守り、お口をぎゅっとつぐんでしずかにゆっくりしている子れいむを心配そう に見つめながら、れいむは唯一の希望をひたすら待っていた。れいむのすてきなまりさが 助けに来てくれることを。まりさは狩りも上手でかけっこもはやい。れいむたちが動けな くても、必ずゆっくりさせてくれるはずだった。 「ぴゃ゙ぎゅ゙!?」 遠くの爆発に目をぎゅっと瞑って悲鳴を押し殺していた一匹の子れいむが吹き飛んだ。 爆発は遠かったのに。親れいむは信じられない表情で子れいむだった残骸を見つめる。 そして、気付いた。一度爆発した場所は、黒く焦げていることを。そして、まだ焦げてい ない場所は、ほとんど残されていないことを。 「ゆっくりしたいよ! ゆっくりさせてね! ゆっくりしていってねー!」 姉妹が全て吹き飛んで、とうとう恐怖に耐えられなくなった最後の子れいむが泣き叫び はじめた。あんよは動かず、まりさは来ない。親れいむにできることは、もう一つしかな かった。 「でいぶはごごでず! ぢびぢゃんのかわりに! でい゙ぶをどっがーんぢでね゙!」 子れいむの金切り声よりも、もっと大きな声でありますように。声をかぎりに親れいむ は叫ぶ。二匹からだいぶ離れた場所が爆発した直後、子れいむは跡形もなく吹き飛んだ。 「ゆ゙あ゙あ゙あ゙……ゆっくりしたけっかがこれだよ……」 不意に、親れいむの正面の壁が開いた。壁の向こうはれいむのいる部屋と全く同じで、 床に格子の模様が描かれ、どれも黒く焦げている。そして、いくつかの格子にはボロクズ になっても見間違えるはずもない、黒い煤けたとんがり帽子の残骸と、つぶあんだったゴ ミが飛び散っていた。 「ば、ばでぃざあ゙あ゙あ゙?! ゆっくりしていってね!? ゆっくりしていってね?!」 答える者は誰もいない。朝まではみんな仲良くゆっくりしていたれいむの家族は、今や 一匹残らず物言わぬゴミ。あんよの動かないれいむが一匹、家族の残骸を見つめていた。 「おみずざんはゆっくりでぎないよ! がぼっ、やべでね゙! ゆっくりじでね!」 壁の穴から勢いよく流れこむ水が、床にこびりついたしあわせ家族を押し流し、排水口 に消えていく。奇麗に流れたあとは、爆煙とあんこで汚れた床も元通り。遊技場にゆっく り一家がいたことを示す物は、スコア表だけだった。 れいむ:1 まりさ:0 [1P WIN] 森に魚を求める とか書きました。 09/07/20 書き直し このSSに感想を付ける
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※嘔吐描写注意 「ゆっくり食べてね!」 どこかの場所、いつかの時間。 一匹のゆっくりが、一心不乱に大量の何かを食べ続けている。 その様子を、イスに腰掛けてじっと見つめる男が一人。 「はぐはぐはぐはぐがふがふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 汚らしい食べ方のためにゆっくりの周りはぐちゃぐちゃになっていたが、そんな事は気にもせず、延々と食べ続けるゆっくり。 男もその様を叱る事もなく、ただじっと眺めていた。 「がふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげふ! ゆげぇぇぇ……」 不意に、ゆげゆげとアンコと何かの混じったものを吐き出すゆっくり。 びちゃびちゃと先ほど食べていたものを汚していくその音は、人間のするそれと全く同じものである。 違うのは、吐き出すものの色が黒い事と、発するのが甘い臭いだという事だけだ。 「ゆげぇぇぇ……え”ふっ! ゆ、ぜびぃ……ぜびぃ……ゆぅ……がふがふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 ある程度吐いて落ち着いたゆっくりは、また山を崩す作業に戻った。 食べすぎで吐いたというのに何故か更に食べるゆっくりをこのまま放置しておけば、吐き戻しすぎて死ぬだろう。 だが、死へ確実に近づいているゆっくりを止める事もなく、男はじっと見続けている。 「がふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげぇ! え”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”……」 案の定、もう限界を超えているゆっくりは、それほど食べない内にまた吐き戻してしまった。 パンパンに膨らんでいた顔が、みるみるうちにしぼんで元の下膨れ饅頭へと戻っていく。 その目にはうっすらと涙が浮かび、顔色は真っ青になっている。 「げほっ、がぼっ! ゆ”……ゆげぇ……」 荒い息をついて、ぐったりとその場に潰れるゆっくり。 それを見て、これまでじっと見つめていた男が靴音高く近づいてきた。 「んげほっ、え”ほっ……ゆ、ゆっぐりだべるよ……だから、ごっち、ごないでね……」 青い顔に恐怖の色を浮かべて、男から少しでも離れようと試みるゆっくり。 その様子を見て何か思ったのか、男はその場に座り込んだ。 ゆっくりの顔から恐怖の色が消え、僅かに血色を取り戻すと、そのまま山に近づいていった。 「ゆっぐりだべるよ……だべるよ……」 必死の形相でじりじりと山に近づいていくゆっくり。 僅かに動くだけで戻しそうになりながらも、近づく事はやめない。 「だべるよ……だべっ! ……え”ろろろろろろろ……」 長い時間をかけて山のふもとまで来たゆっくりは、食べる直前に自分で吐き出したものの臭いに負け、その場にアンコをぶちまけ始めた。 「んげろろろろろろ……おげぇぇぇ! げふっ! え”ふっ! ゆべぇぇぇぇぇ……」 吐き過ぎて子ゆっくり並の大きさになっているが、それでも流れ出てくるアンコ。 壊れた蛇口の様に流れ出る黒とは対照的に顔色は紙の様に白くなり、顔には何の表情も浮かんではいない。 後数分で、顔中のアンコを吐き出してしまうだろう。 ここはゆっくりの処理場。 ここに連れて来られたゆっくりは、ここにある仲間の死がいを全て食い尽くすか、即座に殺されるかのどちらかを選ぶ事となる。 ほとんどのゆっくりは死がいを食べる方を選ぶが、どれもが食べきれずに終わる事となる。 数百匹分のゆっくりの死がいは、一人や二人では食べきれないほどに多量にあるのだから、元から不可能な事だ。 それでも挑戦をやめないのは、ゆっくりが間抜けだからなのか。生きたいという想いが強いからなのか。 それは人間には分からない。 男は『それ』をつまみあげて山に投げ置いた。 てっぺん辺りに落ちた顔は、周囲と同じく苦悶の末に死んだ事を物語っている。 そこまでの苦しみを味わっても、決して自分から死にたいと言うゆっくりがいない事が、男には不思議でたまらなかった。 ――次のゆっくりに、ちょっと聞いてみようか。苦しんだ末の死と、苦しむ事ない一撃の死と、どっちが良いのかを。 そう考えつつ、男はゆっくりと部屋を出て行った。 おしまい ゲロ吐くゆっくりいじめものを短くまとめてみようと思ったら、こんなんが出来ました。 なんだこれ。 by cyc=めて男 このSSに感想を付ける
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その3より こんな感じで、れいむの虐待は毎日のように行われていった。 過ぎてしまえば、長いようで短かった一か月。 れいむは何度心が折れてしまいそうになったか分からない。実際、折れた方がどれだけ楽だっただろうか。 しかし、その度にれいむの心を救ってくれたのは、同じく男に虐待を受けるまりさとありすの存在であった。 男は初日の説明通り、一日一時間の虐待を済ませると、きっちりと虐待を止めて、れいむを元の部屋に帰してくれた。 本当に虐待以外に興味がないのか、虐待時間以外は決してれいむたちに干渉してこなかった。 そのため、残りの23時間は、部屋から出れないことを除けば、自由に過ごすことが出来た。 れいむは一日の大半を、寝て過ごす。 虐待時間は一時間とは言え、あまりに過密な内容に、十分な休息を取らなければ、それこそいつ死んでもおかしくないからだ。 まりさやありすも同様に、大半を休息で過ごしているそうだ。 その後、起きたら食事の時間である。 部屋にはドッグフードと水が毎日欠かさず用意されており、その点に関してだけ言えば、森での生活より遥かにゴージャスであった。 とは言え、初日のように体が受け付けないことも多く、楽しい食事とはそうそういかない。 それでも、体力回復には食事を取らなければならないこともあり、れいむはどんなに苦しくても、毎日食事を取り続けた。 その後はまりさ・ありすを交えての意見交換会。 三匹で集まれる時間はあまり長いものではないが、これがれいむの一日の中で最大の楽しみであった。 内容は、今日はどんな虐待をされたのかとか、これこれこうすればあんまり痛くないだとか、明日はきっとこんなことをされるに違いないといった虐待に関することが半分。 そしてもう半分は、ただただ無駄話の駄弁りである。 大抵は男の悪口であったり、自分はどこどこの森で暮らしていただとか、昔こんなことをしたことがあるとかいった世間話だ。 もしこの時間がなくなれば、それこそれいむの心は早々に折れていたことだろう。 まりさとありすが居るからこそ、れいむは心を保ち続けることが出来、未だ信じるに足らないが、「飽きたら森に帰す」という男の言葉を微かな希望として生き続けている。 どれか一つ欠けても、先はないのだ。 まりさとありすと言えば、この一か月の間に二匹に対する感情も変化していった。 まずはまりさ。 出会ったときから美ゆっくりであったまりさへの親愛度は高かったが、今では以前に輪をかけて大きなものになっている。 最初は単なる一目惚れであったが、今では間違いなく、れいむはまりさに惚れ込んでいた。 会話を交わしていて分かったのだが、まずまりさは頭がいいのだ。 無論、所詮はゆっくりの中でのことであり、人間や妖怪とは比べられないが、それでも母ぱちゅりーに匹敵するのではというほどの知識を溜めこんでいる。 聞けば、まりさの片親もぱちゅりーであり、幼い頃から様々なことを教え込まれてきたらしい。 今後使う機会があればよいが、丈夫な家の作り方や安全なキノコの見分け方など生活の知恵からちょっとした雑学まで、れいむとありすに懇切丁寧に教えてくれる。 また、リーダーシップにも長けていた。 まりさは三匹の中で一番年長であり、自然とまとめ役をこなすことが多い。まりさ種特有の気質も無関係ではないだろう。 れいむとありすが喧嘩した時もうまく収めてくれたし、三匹の意見が食い違うことがあっても、常に一歩引いて二匹を立ててくれる。 こういうさり気なさがまりさの魅力を引き出しており、結果、れいむのまりさへの好意は急上昇していったのである。 続いてありすであるが、最初はれいむにとって、あまりいい印象を持つゆっくりではなかった。 しかし、今ではれいむの親友であると、はっきりと断言できる存在となっていた。 ありすについて真っ先にいうなら、とても優しいゆっくりだということである。 自身も辛い目に遭わされているにも関わらず、常にれいむとまりさの心配を優先し、自分は二の次に置いていた。 以前、れいむが寝れなかった時など、ありす自身も辛いはずなのに、一晩中、れいむの話し相手をしてくれたことがあった。 都会派を気取るところは最初から変わりないが、それはありす特有の照れ隠しの場合が多く、付き合いが続けば自然とそれが理解出来るようになっていた。 そんなありすであるが、小さい頃から親まりさ一匹に育てられたらしい。 れいむがうっかりと「おとうさんはどうしたの?」と聞いてしまったことがあって、すぐに失敗したと思った。 こういう場合、大抵れみりゃや野生動物に食べられたか、人間に捕まったかのどちらかであるからだ。 しかし、ありすから返ってきたのはそのどちらでもなかった。 ありすの親ありすは、なんとレイパーだというのだ!! これには、れいむばかりかまりさも驚愕した。 レイパーありすは、無理やり親まりさをすっきりさせると、親まりさを置いてどこかに行ってしまったらしい。 その後、ありすは親まりさ一匹で育てられたそうだ。 レイパーから生まれたありすは、高確率でレイパーになることが多い。 先天的にレイパーの因子を持つことと、望まれないで生まれてきたことによる親からの愛情不足、生活環境の乱れが、レイパーへと成長させる主な原因である。 しかし、このありすはレイパーの子供でありながら、とてもレイパーを憎んでいた。 望まれて生まれて来たわけではなく、周りのゆっくりたちはそんなありすをレイパーの子と蔑んだが、親まりさはありすを憎むどころか、自分の子供としてしっかりと育ててくれた。 その過程を見て育ったありすは、親まりさを心の底から尊敬し、愛し、レイパーを憎んだ。 自分は決してレイパーなどという下品で下等なゆっくりにはならないと心に誓い、常に他者を思いやる心を持ち続けようと、今日まで頑張ってきたのだという。 それが、この慈愛に満ちたありすなのだろう。 れいむは、見もせず伝聞だけでありす種すべてを嫌っていたことを恥じ、ありすに謝罪した。 ありすは、そんなれいむに怒ることはなく、「仕方がないわ」と笑って許してくれた。 それ以来、二匹は親友と呼べるようになった。 二匹の年齢がほぼ同じくらいなのも、それに輪をかける結果となったのだろう。 これが現在のれいむの二匹に対する感情である。 男の虐待がなければ、三匹仲良くいつまでもゆっくり出来たことだろう。 男に連れてこられなければ出会うこともなかったのだが、例えそうだとしてもれいむはそれが悔しくて仕方がなかった。 しかし、男の虐待は、ここにきてようやくターニングポイントを通過したことを、この時のれいむは知る由もなかったのである。 翌日、今日も一日が始まる。 男が三匹に虐待する時間はほぼ決まっており、今日もその時間がやってきた。 虐待の順番は、まりさ→ありす→れいむ→まりさ→ありす→れいむ→まりさ→……とサイクルが決められており、昨日はありすが一番だったので、今日はれいむが最初である。 ところが、男はれいむの部屋になかなか入って来ることはなかった。 いつもなら入ってくるや、れいむを木箱に詰めて虐待部屋に連れていくのだが、いったいどうしたのだろう。 男が居ないわけではない。 現にここまでの足音はしっかりと聞こえているので、扉のすぐ前に男は居るはずなのだ。 順番を忘れたのだろうか? もしかしたら今日は虐待されないんじゃ…… れいむがそんなあり得ないことを考えていると、男がようやくリアクションを見せた。 れいむの部屋を開けることなく、壁越しに大きな声で言葉をかけてくる。 れいむだけでなく、まりさとありすにも聞こえるように、そこから話しているのだろう。 「お前たち、よく聞け。今日から虐待の一部を変更する」 「ゆっ!?」 虐待の一部変更? 一体今さら何を変更するというのだ? まさか時間を延ばすのだろうか? それとも更なる痛みに耐えなければならないとか? まさか、虐待に飽きたから殺されるんじゃ!! れいむは焦った。 何しろ今日の虐待はれいむが最初なのだ。 全く心構えが出来ていない。 しかし、男はそんなれいむの心情を知ってか、「怯えているようだな」と前置きをして、説明を続けた。 「心配することはない。虐待方法は、前と変わりはない。時間はきっちり一時間だし、決して殺すまで傷めつけたりはしない。 他の時間は何をしても構わない。寝るのも食べるのも三匹で語り合うのも、お前たちの自由だ」 「ゆっ……それじゃあ……」 「変えることはただ一つ。今日から、お前たちの中の一匹だけを虐待することにする」 「ゆゆっ!!」 一匹だけ? ってことは、残された二匹は虐待されずに済むってこと? でもそんな都合のいい話があるだろうか? かつては疑うことを知らなかったれいむも、今ではすっかり俗世の垢にまみれ、あらゆることに考えを向けるようになっていた。 あれだけ虐待の好きな男が、一匹だけを虐待し、他の二匹を虐待しないなんてそんな甘いことをするだろうか? れいむがその旨を男にそれを問いただす。 男も予め予想が付いていたのだろう。れいむの質問に、淀みなく返事を返してくれた。 「その通り。今日からは一匹だけを虐待し、他の二匹は虐待しない」 「ゆゆっ!!」 れいむはその言葉に、あんぐりと口を開けた。 あり得ない。あり得るわけがなかった。 余りにも自分達に都合がよすぎる。なぜ今頃になって、男がそんなことを言ってくるのか、全く理解が出来なかった。 何か裏があることは間違いないだろう。 男はまたしてもれいむの心を悟ったように、続けてくる。 「どうやら、何か裏があるんじゃないかって疑っているようだな? まあ、今までの経緯を見れば、お前らが俺を疑うのは当たり前だな。 だが、この話に裏はない。一日の虐待は一匹のみ、他の二匹は今日から虐待をされなくなる。この話は真実だ。ただし、裏ではないが一つだけ条件がある」 れいむはほら来たと思いつつも、言葉に出さずに男のいう条件に耳を傾けた。 「虐待されるゆっくりは、俺が決めるのではなく、お前らが選出する。これが条件だ」 「ゆっ!! れいむたちがえらぶの?」 「その通り。相談して誰が虐待されるかを選び、選ばれたゆっくりだけが虐待され、他の二匹はその日は解放される。次の日は誰、次の日は誰と、毎日決めるんだ。 自分で立候補してもいいし、多数決で決めても構わない。毎日、同じ奴が虐待されても構わないし、三匹仲良く順番に虐待されてもいい。決めるのはお前らだ。 ただ、お前らが虐待される一匹を選出できなかった場合、その日は今まで通り三匹全員を虐待する。無論、それでも俺は構わないが」 「ゆぅぅぅ……」 男の言葉に、れいむは悩んだ。 未だ完全に男の話を鵜呑みには出来ないものの、もし話が本当だとするなら、自分たちにとってこれほど都合のいいことはない。 しかし、自分たちが選ばなくてはならないというのが一番の問題だ。 誰か一匹を選ぶということは、その日の生贄を選ぶということである。 れいむは二匹を親友だと思っている。 向こうもれいむを親友であると思ってくれているという自負がある。 たかが一か月の付き合いだが、今や二匹は自身の一生をかけても惜しくない存在になっている。 本心である。 嘘ではない、嘘ではない、が…… あの虐待と友情を天秤にかけると、それが揺らいでしまう自分がいることに、れいむは気付き愕然とした。 それだけ男の提案は魅力的なのだ。 もし生贄に選ばれさえしなければ、森に解放されるその日まで、ずっと虐待されなくなる可能性があるのだ。 あの地獄の苦しみにも匹敵するほどの暴力を、その身に受ける必要がなくなるかもしれないのだ。 忘れかけていたゆっくりした日々を、再びおくることが出来るかもしれないのだ。 どうして簡単に結論を出せるだろう。 虐待される者を選ばないという選択肢は、初めから却下だ。 せっかくのチャンスを不意にするような馬鹿者はここにはいない。 これをするくらいなら、三匹でサイクルで回すほうが効率的だ、というかサイクル回しこそが、この場合最もベストな案であろう。 これなら全員等しく虐待されるので、友情面は何ら変わらない。 しかし、虐待時間は三日に一度、今までの1/3で済むことになるのだ。 もし、今日虐待されるのが誰かで揉めるようなことがあれば、そこはれいむが立候補すればいい。 元々今日最初に虐待されるはずだったのはれいむなのだ。 それに今日虐待されてしまえば、明日明後日は平穏に過ごすことが出来る。 早いか遅いかの違いである。 と、ここまで考えたが、れいむはそれをまりさとありすに言い出しきれなかった。 確かに三匹を平等に考えれば、これがベストな案なのは間違いない。 しかしながら、自身だけに重きを置けば、永遠にゆっくりすることすら可能な選択がある。 二匹との友情は壊したくない。 けれども、相談次第では虐待されないかもしれないチャンスがあるのを、みすみす逃したくはない。 虐待は怖い、痛い、辛い。二度と受けたくはない。 でもまりさとありすに、れいむの代わりに虐待されろとは言えるはずがない。 このジレンマが、れいむの心に重くのしかかる。 そんなれいむの葛藤を余所に、男は言葉をドア越しに言葉をかけてくる。 「まあ、いきなり決めろって言ったって、すぐには思いつかんだろう。一時間後また来る。その時まで、今日誰が虐待されるか考えておけ。決まらなかったら、全員を虐待するからな」 そう言って、男の足音は遠ざかっていく。 が、次の瞬間、沈黙を続けていたまりさが、いきなり声を上げた。 「おにいさん、ちょっとまってね!!」 「ん? なんだ、まりさ?」 男の足音が止まり、再びこちらに近づいてくる。 れいむは、まりさが何を言うのか分からなかった。 まだ三匹で相談はしていない。誰が生贄になるか決まっていない。 何か聞き洩らしたことでもあったのだろうか? すると、まりさはれいむの予想に反して、とんでもないことを言い出してきた。 「おにいさん!! まりさがぎゃくたいされるよ!! だから、れいむとありすにはぜったいになにもしないでね!!」 これにはれいむも唖然とさせられた。 隣にいるであろうありすもそう思ったのだろう。 黙っていられなかったのか、声を出してくる。 「ま、まりさ!! まだそうだんしていないのよ!! それなのに、じぶんからすすんでいじめられるなんて!!」 「わかってるよ、ありす!!」 「ほんとうにわかってるの!! いじめられるのよ!! いたいのよ!! それをじぶんからうけるなんて!!」 ありすは、信じられないといった声色で、まりさに問いかける。 そんなありすの言葉に続いて、男も質問を返してくる。 男にとっても、予想外の展開だったのだろう。 しかし、まりさの返答は変わりはしなかった。 「……本当にいいのか、まりさ?」 「いいんだよ!! まりさがぎゃくたいされるよ!!」 「本当に分かっているのか? ありすのセリフではないが、虐待されるんだぞ。あの痛みを忘れたのか? あの苦しさを再び味わいたいのか? それを自分から進んで買って出るなんて正気か?」 全くもってありすと男の言う通りである。二人はれいむのセリフをすべて代弁してくれた。 賢いまりさのことだ。 れいむと同じ考えに行きついていないはずはないだろう。 それなのに、自分から進んで地獄に飛び込むなんて、まりさはいったい如何してしまったのだ!! 「……ぎゃくたいはまりさもこわいよ」 「だろうな」 「できるなられいむとありすといっしょにいつまでもゆっくりしていたいよ!!」 「ならなぜ自分から進んで虐待されようとする?」 まりさは、男の問いに少し間を置いた後、おもむろに語りだした。 「ぎゃくたいはされたくないよ!! でも、れいむとありすがぎゃくたいされるのは、もっといやだよ!!」 この言葉には、男ばかりかれいむも言葉を失った。 まりさが、自分から進んで志願した理由。 それは、れいむとありすを守るためだというのだ!! れいむは心を叩きつけられるような衝撃を受けた。 れいむにとって、まりさとありすは大切な存在だ。しかし、一方で虐待は受けたくない。 れいむは友情と虐待を天秤にかけて選びきれなかった。 精々譲れない妥協点として、三匹でサイクル回しをすることを考え付いただけ。 自分の被る被害をなんとか最小限にしようということばかり考えていた。 このれいむ考えを非難することなど、誰にも出来はしないだろう。 人間や妖怪ですら、心を強く持つことはとても難しいことなのだ。 増してや、幻想郷におけるヒエラルキーの下層に位置するゆっくりだ。 自分のことを第一に考えても、それは決して責められるべきことではない。 しかし、まりさは違った。 弱いゆっくりという身でありながら、自分よりれいむとありすを優先させた。 自分が被る被害など、初めから頭になかったのだ。 「……それじゃあ何か、お前は二匹の為に進んで虐待を受けるというのか?」 「そうだよ!! ゆっくりまりさだけにぎゃくたいしてね!!」 「二匹の為ってことは、今日だけじゃなく、明日も明後日もお前が虐待を受けるのか?」 「そうだよ!! まりさがゆっくりまいにちぎゃくたいされるよ!!」 「やはり正気の沙汰じゃないな……そんなことをして何になる。自分だけが虐待されるなんて、不公平だとは思わないのか? お前が俺に酷い虐待されている時、他の二匹は悠々とゆっくりを満喫しているんだぞ。妬ましいと思わないのか? 毎日三匹交替で虐待されていけば、全員公平なんだぞ。それが分からないのか?」 「おにいさんおいうことはわかるよ!! でもまりさは、このなかでいちばんおねえさんなんだよ!! だから、がんばらなくちゃいけないんだよ!! それに、まりさのおかあさんがむかしいってたよ!! だいすきなゆっくりは、じぶんをぎせいにしても、まもらなくちゃならないって!! まりさもそうおもうよ!! だから、だいすきなれいむとありすのぶんまで、まりさががんばらなくちゃならないんだよ!!」 「……いいだろう。そこまでいうなら、お前の意地を見せてもらおうか。今日の生贄はお前で決まりだが、明日は明日でもう一度決めるチャンスをやろう。 いつでも今の言葉を撤回して構わない。あまり意固地にはならないことだ」 そう言って、男は隣でゴソゴソ物音を立てる。 まりさを連れていこうとしているのだろう。 「まりさっ!!」 れいむは、そんなまりさに言葉をかけた。 何か言いたいことがあったわけではない。 いや、違う。言いたいことはたくさんあったが、いったい何から伝えればいいのか、考えを纏められないでいたのだ。 まりさの自己犠牲をもいとわない尊い精神と、れいむたちへの深い愛情に対し、いったいどんな言葉で返せばいいのか分からなかった。 自分が何か言ったところで、陳腐な言葉しか掛けられないだろう。 それでも、何か言わなければならない。言わずにいられない。 強迫観念にも似た思いで、まりさの名だけ口にする。 そして壁越しに聞こえてくるまりさの声。 「だいじょうぶだよ、れいむ!! ありす!! まりさはへいきだよ!! どうせいつもとおんなじだよ!! すぐにもどってくるから、ゆっくりまっててね!!」 それだけ言って、男の足音は徐々に遠ざかっていった。 「まりさ……」 再度れいむの口から出てくるまりさの名前。 れいむは、ただただまりさが無事に帰ってきますようにと、必死で願い続けた。 「れいむ……まりさ、つれていかれちゃったね」 ありすが壁越しに言葉をかけてくる。 それに対し、れいむは一言、「そうだね……」と返しただけであった。 何を話せばいいのか分からなかったのだ。 まりさのおかげで、自分たちは今日は虐待されないだろう。 それは、れいむの然程長くない人生の中で、最も嬉しい瞬間であった。 それと同時に、れいむの人生の中で、とても悔しい瞬間でもあった。 まりさの無事を願う反面、虐待されなくて良かったなんて思っている自分がいる。 なんて醜いのだろう。 まりさを助けたい。まりさの役に立ちたい。 もし自分から名乗り出れば、明日はまりさは虐待されないだろう。男も続けてまりさを虐待するくらいなら、きっとれいむを選ぶだろう。 まりさに対して胸を張れるだろう。 しかし、れいむには自分を虐待しろなんて男に言えない。言い出せない。言いだす勇気が持てない。 虐待はされたくない。虐待は怖い。 でも、まりさは助けたい。 れいむの葛藤は計り知れなかった。 おそらくありすもれいむと同じ気持ちなのだろう。 最初の言葉以外、れいむに話しかけてこなかった。 ここに来て以来、初めて味わうゆっくりした一日だというのに、何でこんなに気が晴れないのだろう。 モヤモヤした気持ちは一時間後、虐待を終えた男がまりさを連れてくるまで続いた。 「明日の虐待は今日とは比べ物にならないほどキツイ。安易に自分がなんて、言わない方が身のためだ」 まりさを部屋に戻し、男が挑発してくる。 しかし、まりさの意志は変わらなかった。 「ゆぅゆぅ……ゆぅ………あ、あしたも……まりさがぎゃくた…い……されるよ……れいむとあり……すはいじめ………ない……で…ね……」 苦しそうな声で、しかし、きっぱりと男の言葉を否定するまりさ。 男はそんなまりさを苦々しく思ったのか、「ちっ!」と舌打ちをして、去って行った。 男が行った後も、まりさは荒い息を吐いている。 相当きつい虐待を受けたことが、姿を見ずとも容易に感じられた。 「まりさ……だいじょうぶ?」 なんて声をかければよいのか分からず、れいむは在り来たりな言葉を口にする。 対して、まりさは「ゆっ!! へいき…だよ!! ぜんぜん……へっちゃら…だよ!!」と、不安を見せまいと虚勢を張ってきた。 それが一層れいむの心をかき乱す。 とにかくなんか言葉をかけなければ!! 焦るれいむは、思ったことを適当につなげ、言葉を紡ぐ。 「まりさ、ゆっくりありがとう!! まりさはすごいよ!! やっぱりえらいね!! まりさのおかげで、れいむとありすは、ぎゃくたいされなかったよ!! ゆっくりかっこいいね!! きょうはゆっくりやすんでね!!」 「そうだよ、まりさ!! ゆっくりねむってね!!」 れいむに続いて、ありすも言葉を投げかける。 ありすもどうやら何を言えばよいか分からなかったと見える。 他人を特に気遣うありすだ。 れいむ同様、まりさを頼り切った状況に、悔しく思っているに違いない。 「ありが…とう、れいむ、ありす!! まりさ、ゆっく……りおひるねす……るね……」 まりさはそう返すと、その後、何も言ってこなくなった。 おそらく毛布に包まって、寝入ったのだろう。 今までの日課のパターンと同じである。 れいむとありすは、まりさを起こさないように、「しずかにしようね!」と口裏を合わせ、その後一切の会話をしなかった。 れいむは、まりさの心意気を無駄にしないためにも、精一杯ゆっくりさせてもらうことにした。 この日、れいむの体は久しぶりにゆっくりを味わった。 この日、れいむの心は、一日中ゆっくり出来なかった。 その5へ