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犬の散歩中に雨に降られた汚いみなみを、虐待することにした。 虐待を目撃されると色々とまずいので、嫌がるみなみを無理やり家の中に引きずり込む。 シン「あーあ、こんなに濡れちゃって……そうじろうさん! ……は、取材旅行か。 こなた! 風呂の準備頼む!」 みなみ「あ、あの……いいですから……」 シン「いいわけないだろ。唇紫色じゃないか……風邪引くぞ」 みなみ「あ、う……(せ、先輩の指が、唇に……)」 みなみから愛犬を没収し、目の前でで虐待。 嫌がって暴れるその体を拘束してやる。 チェリー「バウバウッ!」 シン「うわぁっ!? あ、暴れるな、コラ!」 みなみ「あ、あの……私がやりますから……」 シン「いいって! みなみは先にシャワー浴びてきてくれ!」 みなみ「け、けど……」 シン「こんな時まで遠慮するなってば……ゆたか、悪いけどみなみを風呂に入れてくれ!」 小さくなっているみなみを風呂に追い立て、お湯攻め。 実行者はゆたかだ。親友に虐待される屈辱に震えるがいい。 みなみ「……ごめん。ゆたか」 ゆたか「そんな事いわないでよ……私達、友達でしょ? 当たり前だよ」 みなみ「うん……」 ゆたか「シンお兄ちゃんも言ってたでしょ? 遠慮なんかする事ないって……お兄ちゃんだって、みなみちゃんの事が心配なんだよ?」 みなみ「シン先輩が……?」 ゆたか「うん」 みなみ「……そう」 愛犬の虐待音声を浴室内に響かせて、 尚早に駆られるみなみを無理やり湯船に沈めて、紫色の唇がピンク色になるまで茹でてやる。 みなみ「あ、あの……そろそろ」 ゆたか「だめだよみなみちゃん! まだ唇が……」 みなみ「だ、だけど」 チェリー「ばうばうーっ!!!!」 シン「ちょw おまw ぎゃーーーーーーーーっ!?」 みなみ「(せ、先輩……大丈夫かな)」 ゆたか「(お、お兄ちゃん……大丈夫かな)」 唇の色が変わってようやく浴室から脱出できるという時に、コンプレックスである体を凝視して、屈辱を与える事を忘れない。 そして服は男物のワイシャツと、こなたのスポーツブラだ。 ゆたか「…………(ジーッ)」 みなみ「……ゆたか?」 ゆたか「え? あ、ご、ごめんなさい……」 みなみ「どうしたの?」 ゆたか「……そのワイシャツ、お兄ちゃんの何だけど、みなみちゃんぴったりだね! かっこいいなぁ」 みなみ「……(凄く、幸せな事なんだろうけど、素直に喜べない……無いと言われている様で……)」 二人が出たのを見計らって、犬を浴室に放り込んで、虐待する。 充分お湯をかけた後は薬品を体中に塗りたくり、ゴシゴシする。 薬品で体中が汚染された事を確認し、再びお湯攻め。 その際に発生するけたたましい雄叫びや悲鳴を聞かせ、みなみのハートを痛めつける。 チェリー「ばうばうーっ!!!!」 シン「だからじっとしてろつってんだろーが!!!!」 ばしゃばしゃばうぎゃーばしゃばうくそがー! みなみ「(オロオロ)」 ゆたか「し、シンおにいちゃんなら大丈夫だよ……多分」 風呂場での攻めの後は、全身をタオルで摩擦攻めに処したあと、 疲弊した姿を見せてみなみの精神に(罪悪感的な意味で)止めを刺す。 チェリー「ばうーw」 シン「…………」(ボロボロ) みなみ「ご、ごめんなさい……」 シン「い、いや……いいって」 原形をとどめなくなるまでぐちょぐちょに煮込んだライスを食わせる事にする。 シン「ほら。おかゆが出来たぞ」 みなみ「あ、ありがとうございます……」 シン「後、梅干とおかか、昆布……好きなもの入れてくれ」 こなた「(お父さん、このイベントの事知ったら悔しがるんだろうなー)」 食事が終わった後、やっと我が家に帰れると一息ついていたみなみに、帰る場所などない事を通告。まさに外道。 みなみ「……すいません、色々お世話になって」 シン「いや、だから。そんな風に遠慮すんなって……そんな事じゃ今から持たないぞ」 みなみ「……今から?」 シン「ああ……まさか、この滝みたいな大雨の中帰るつもりかよ」 みなみ「……!(せ、先輩と……一つ屋根の下!?)」 シン「しかも、一寸熱あるみたいだし」 みなみ「……!??!(せ、先輩の手が額に!)」 シン「そういうわけだから……おーい、聞いてるか?」 度重なる虐待で顔色の悪いみなみに、刺激物の摩り下ろし汁入り砂糖水を飲ませる。 みなみ「くしゅっ」 ゆたか「!? み、みなみちゃん! 大丈夫!?」 シン「……ほら、みなみ」 みなみ「……?」 ゆたか「あ、お兄ちゃん、それ……」 シン「生姜湯だ。暖まるぞ」 ゆたか「シンお兄ちゃんの生姜湯、美味しいんだよ♪」 みなみ「……あ、ありがとうございます」 そして専用の寝床など与えはしない。つい昨日まで男の使っていた寝具に放り込む。 むせ返るような男臭さに眠れぬ夜を過ごすがいい。 こなた「シンー。ご免けど、客用布団全滅ー」 シン「はぁっ!? ……って、そう言えばおととい、かがみ達が泊まりに来てた時に……」 こなた「コーヒーこぼして全部クリーニング屋さんだよ」 シン「やれやれ……ゆたかやこなたのベッドは二人で寝るには小さいしな。 みなみ、悪いけど今夜は俺のベッドで寝てくれないか?」 みなみ「!?!!!!?!?!!?!」 こなた(よしキターーーーーーーーッ! シンがベッドで寝ないのなら、私のベッドに二人で……) シン「俺、居間のソファで寝るからさ」 こなた「(人生コナタ\(〓ω〓.)/)」 嫌がるみなみをベッドに押し込み、 みなみ「せ、先輩……私がソファでいいですから」 シン「それこそ無茶だろ。風邪こじらせたらどうするんだよ……そりゃあ、男のベッドは嫌だろうけど」 みなみ「……嫌じゃあ、ないですけど」 シン「それならよかった」 みなみ「…………(////)」 脱走しないように寝るまで監視した後に、ソファーで就寝。 みなみ「すぅ……すぅ……」 シン「ようやく寝たか……それじゃ、俺も寝るか」 こなた「……あれ? 今回のイベントで一番得したのって、ひょっとしなくても……」 マユ『みなみちゃん、よねえ』 ゆたか「……なんだろう。胸がもやもやする……」 前 戻る 次
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61.やっちまった みなみ「……」←あいねをじとっと見ている あいね「……」←ひたすら目を逸らす みさ「……」←なにやら痙攣している みなみ「やばくね?」←あいねの作ったカレーを食べて気絶したみさを指差している #元ネタはミサ○カレー 62.くろがねの… みなみ「タイトル通りいけば、あれが一番正しいんだろうが」 しば「やっぱり正道は面白くないよねぇ」 あいね「少し外していきたいよね」 どな「けどすこしむずかしい」 みさ「くろがねのつるぎ」 みなみ「ミスティック・アークか!?」 #前enixの作品のひとつ、ミスティック・アークより 63.ひやし… みなみ「ひやしもっこしとか、そんなんにあやかるのはいいけどよ」 あいね「い、いいじゃん!」 しば「流石にこれはだめだと思うよ~」 どな「たべれない」 あいね「……」 みなみ「抱いてよし食ってよしの元祖ひやししょごうき――って食えるかぁっ!!」←冷凍されたしょごうきを投げつける あいね「痛い!痛い痛い痛い!」 64.新世紀スタゲリオン みなみ「……配役は?」 しば「あまりにも人が少ないよねぇ~」 あいね「けど確実に二人ははっきりしてるよ」 みなみ「は?……ってそりゃそうだな」 みなみ(みさ(綾波)としば(カヲル)以外ありえねぇよな) あいね(でしょ) 65.迫る みなみ「しろいわにってさぁ」 あいね「ん?」 みなみ「強いか?」 あいね・しば・みさ「……」 あいね(ど、どーする!?) しば(み、みなみは全部避けちゃうからねぇ~) みさ「弱いわ」 みなみ「だよなぁ」 しば(みさって・シールド・張るからダメージ受けないんだよねぇ~) あいね(酷い!二人とも酷いよ!!) 66.倒せないことない みなみ「俺達、アクションに適応されたらかなりやばい能力してるよな」 しば「例えば?」 みなみ「エ○ーマンの竜巻を○たつまきで無効化とか」 しば「えげつな!」 みなみ「ウ○ドマンのジャンプを・ジャンプ・でかわすとか」 しば「酷い…」 みなみ「つーか主人公がみさなら全部・シールド・張れば問題ないけどな」 しば「足場踏み外す以外の死に要素がない…」 #スタゲACTとかあったら面白そうだなぁ 67.絶対成功 みなみ「2d6の12か」 しば「それ分かる人少ないよね」 みさ「10d10の00もあるわ」 しば「ロー○ス?!」 あいね「1/20」 みなみ・しば「El○na!?」 #あまり面白くない。つかelonaの回避命中判定式はちょっち謎。 68.ほしみるくえすと いるか「オカエリナサイオカアサンダーヨ」 みなみ「俺は確かに記憶喪失だが、半角カタカナで話す母親からは生まれてないと思う」 いるか「オカエリナサイオカアサンダーヨ」 みなみ「いやまぁ、全角になってもカタカナじゃ…」 いるか「おかえりなさいおかあさんだーよ」 みなみ「そもそもお前人間じゃねぇだろが」 いるか「貴方のおk みなみ「OK、全部言う前に黙れ」←きんごくさつ発動 #みちばたくえすとより。宣伝効果が出るほどこのサイト人来ないから問題あるかも… 69.流石だよな俺ら・2 みなみ「なぁしばー」 しば「ん、なんだいみなみ~」 みなみ「俺たちって理論上は全パラメータ999いけるんだよな」 しば「時間がどれくらいかかるか謎だけどね」 みなみ「まぁどっちにしろラスボスの海豚より能力高いのは事実だよな」 しば「まぁ、ボスの特徴はPCよりHP高いことだからねぇ」 みなみ「HPとか除いたらラスボスより強いって流石だよな、俺ら」 しば「どう流石なのかよく分かんないけど流石だよねー」 #つーかすばやさ400前後の時点でとんでもねぇです 70.ちゅ みなみ「なぁ、あいね」 あいね「ん?どうしたのみなみ」 みなみ「サイコボンバーだけなんであれなんだ?」 あいね「みなみのバカァ!」←みなみを殴る みなみ「またかっ!」←お約束なので大人しく殴られる あいね「いい!?こーゆーのは雰囲気なのよ!勢いなのよ!ノリなのよ!! 演出に一一突っ込んでちゃ駄目よ! そんなこと言ったら、某F○Tの最高がなんでジャなんだって突っ込むのと一緒だよ!」 みなみ「御免、あいね。俺が悪かったよ!」 あいね「うんうん」 しば「前と一緒の展開…」
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「どうして…どうして…」 式場にある棺の前で岩崎みなみは泣き崩れていた。 今のみなみからはいつもの冷静さは微塵も感じられない。 「ごめんなさい…ごめんなさい…ゆたか…」 棺の中のゆたかはとても安らかな顔をしていた。 対称に遺影の中にいる親友は可愛らしい笑顔を振り撒いていた。 みなみは目の前の棺に入っているゆたかに何度も謝っている。周りにいる友達は今のみなみには声をかけることができない。 泣き続けるみなみは、ふと肩に手が置かれたのを感じた。 「みなみのせいではないわよ…」 みなみは声のする後ろの方へ振り返った。 後ろにいたのは自分の母と、隣に住んでいる高翌良みゆきであった。 「あまり気に病まないで下さい。小早川さんが亡くなってしまったのは不慮の事故が原因です。みなみさんのせいではありませんよ。」 二人ともみなみのことを考えて声をかけているが、その声はみなみには届かない。 声どころか姿すら認識していないようである。 今、みなみの網膜に写っているのは、母とみゆきの後ろにいる他の参列者だった。 雨の中、皆ゆたかのために大勢の人が来ている。 その中にはゆたかの従姉妹の泉こなたやその父、そうじろう。また一緒に文化祭でチアをやったメンバーがいた。 こなたとそうじろうはわんわん泣いていて、それをなだめるかがみやつかさも、目に涙を溜めている。 ひよりやパティも涙を流して悲しんでいる。特にパティからはいつもの元気が微塵も感じられず、ただむせび泣いている。 それらを目にしたみなみは、ここにいるのが辛くなってきた。 (ごめんなさい…みんな…ごめんなさい) 自分のせいでゆたかは死んだ、そう思い。もうこの式場にいるのが辛くて、胸が張り裂けそうだった。 「みなみっ!」 「みなみさん!」 みなみは走って式場から、皆から逃げ出した。 みなみは自分の部屋のベットの上でうずくまって泣いていた。 「どうして…こんなことに…」 昨日のことを考えると涙が止まらない。 「ゆたか…」 みなみは昨日のことを思い出した。 「それでね、みなみちゃん」 ここは岩崎みなみの家、二人はみなみの部屋でおしゃべりをしていた。 おしゃべりと言っても、ゆたかが話す方がみなみのそれよりもかなり多い。 「あ、そろそろ帰らなくちゃ。私今日お姉ちゃん達と晩御飯食べに行くから。」 「…そう、駅まで一緒に行こうか?」 「別にいいよ、みなみちゃん。それに急がないと遅れちゃいそうだし。」 「でも…」 「大丈夫だよ、みなみちゃん。それにせっかく今日はプレゼントまで貰ったのになんか申し訳ないよ。」 みなみは今日、ゆたかに先日買ったばかりのかわいらしいリボンをプレゼントしていた。 みなみが買い物中に見つけた物で、ゆたかに似合うと思い買ったのだった。 そして、ゆたかは一人で帰った。 その約一時間後、みなみの家の電話が鳴り響いた。 「はい、岩崎です。」 いつも通りに電話に出たみなみには、この電話が自分を奈落の底に突き落とすような事を告げるとは思ってもいなかった。 「…そんな…」 「とにかく早く病院に来て!」 「わ、わかりました。」 電話の相手はこなただった。話によると、ゆたかはみなみの家から駅に向かう途中にトラックにはねられてしまったらしい。 現在病院に運ばれて緊急手術をうけているようだが、かなり危険な状態らしい。 みなみは急いで病院へと向かった。 病院についたみなみを待っていたのはみゆきだった。みなみはみゆきの後についてゆたかのところに向かった。 その間の二人に会話は無かった。 みなみが着く前にすでにゆたかの手術は終わっていた。 病室に入ったみなみを待っていたのは、こなたと柊姉妹、そしてこなたの父そうじろうだった。 しかしみなみの目にまず入ったのはベットの上で横たわり、顔に布をかけられている少女だった。 みなみは震える手で布を取った。 「そんな…ゆたか…」 「みなみちゃんが来る少し前に…ゆーちゃんは…うっうううう」 こなたは泣き出してしまった。そうじろうやかがみ、つかさ、みゆき達がこなたをなだめているがほとんど効果はない。 「わたしの…せいだ…わたしが…あの時一緒に帰っていれば…ゆたか…ごめん…ゆたか…」 みなみはついに我慢できずに泣き出した。 「ゆたか…」 みなみは少しだけ落ち着きを取り戻してきた。みなみが式場から飛び出してきてから数時間が経過していた。 「…どうすれば…」 ふとみなみはベット置いていた手に何かが触れているのに気がついた。 「リボン…これは…私があげた…どうして……!」 みなみがリボンを持ち上げた時…世界が歪んだ。みなみは目を開けていられなくなった。 「それでね、みなみちゃん」 耳に懐かしい声が聞こえた気がした 「どうしたの?みなみちゃん?」 目を開けたみなみが見たのは、死んだはずのゆたかだった。 「みなみちゃん?」 みなみは驚きで声が出なかった。しかし目からは大粒の涙がこぼれていた。 「みなみちゃん、泣いてるの?どうしたの、何かあったの?私変なこと言っちゃった?」 「…ゆたか」 「ど、どうしたのみなみちゃ…ひゃあ!」 突然抱きついてきたみなみにゆたかは小さな悲鳴とともに驚いた。 「み、みなみちゃん…」 ゆたかはどうすればいいのかわからなかったが、みなみの尋常じゃない様子を見て、みなみを抱き返した。 「ゆたか…よかった…」 「…何があったの、みなみちゃん?わたし、相談に乗るよ。」 ゆたかはみなみが何か大変なことを抱え込んでいると思った。 「ううん、違うよ…ちょっと怖い夢を見ただけだから」 「…大丈夫だよ、みなみちゃん」 それから数分の間この状態が続いた。その間に、みゆきの母であるゆかりに密かに写真を取られていたのを二人は知らない。 ゆたかに慰められ、みなみ冷静さを少しづつ取り戻してきた。 「みなみちゃん、もう大丈夫?」 「うん…ごめんゆたか、迷惑かけちゃって。」 「いいよ、いつもみなみちゃんに助けてもらってるし。」 ゆたかは明るい笑顔でみなみに言った。 「…ありがとう、ゆたか。」 もう二度と見ることができないと思った親友の笑顔を見れて、みなみは心が透き通っていくのを感じた。 しかし、その心は次の瞬間から少しづつ陰りを見せ始めることになる。 「あ、そろそろ帰らなくちゃ。私今日お姉ちゃん達と晩御飯食べに行くから。」 「え?今なんて…」 「ごめんね、みなみちゃん。」 このときみなみは思った。 (一緒だ…あのときと) 「どうしたの?」 「ゆたか!」 「は、はい!」 いつもとは違う声の大きさと気迫にゆたかは驚いた。 「あ、ごめん、ゆたか、大きい声出して。」 「い、いいけど…どうしたの?」 「な、なんでもない。」 みなみはこのままゆたかを一人で帰してはいけないと思った。 「駅まで一緒に行くよ」 「別にいいよ、みなみちゃん。」 (この受け答えも同じ…、もしかしたら、このままじゃゆたかは…) 「一緒に行かせて!」 「え、は、はいぃ」 ゆたかは少し驚いた様子で、みなみの願いを承諾した。 (どういうことだろう、私、タイムスリップしたってこと?……とにかくゆたかを守らないと) (みなみちゃん、今日どうしたんだろう…) 駅までの道のりに二人の会話はいつもとは段違いに少なかった。 (確か泉先輩の話ではトラックにひかれて…。じゃあとにかく周りに気をつけないと) みなみは自分にそう言い聞かせ、周りを見渡している。 (みなみちゃん、さっきからきょろきょろしてどうしたんだろう。落ち着かないのかな…) いつものみなみが見せない挙動不審な姿にゆたかは少しだけ不安を感じていた。 二人とも会話の無い分、歩く早さも少し遅くなっていた。 目の前の曲がり角を曲がった瞬間、ゆたかが何かに気づいた。 「みなみちゃん、あれ!」 ゆたかが指をさした方を見ると、遠くの大通りで大型のトラックが電信柱に衝突し、大破していた。 「まさか…これがゆたかを。」 みなみは、これがゆたかをひいたトラックだと直感した。 「これが…私?どういうこと?」 みなみの独り言がゆたかの耳に届いていたらしい。ゆたかが聞いてきた。 「…なんでもない」 「そう、でもすごい状態だね…」 「そうだね。」 「誰も怪我してないといいけど…」 「!」 今の言葉でみなみは事故の起こった方へ走り出した。 「みなみちゃん!」 「怪我をしてる人を助けないと。」 「待ってよ、みなみちゃん。」 ゆたかはみなみを追いかけて行った。 「誰も怪我してなくてよかったね、みなみちゃん。」 「そうだね…本当によかった。」 事故現場についたみなみとゆたかはまずトラックの運転席を見たが誰ものっておらず、 みなみが運転席をよく見ようとトラックに乗ろうとしたとき、下から声をかけられた。 声の主はそのトラックの運転手だった。運転手は擦り傷ひとつ無く元気そうだった。 事故の原因は運転手によると、過労がたたったのが原因らしい。 極度の睡眠不足でウトウトしていてハンドル操作を間違えてしまったようだ。 「警察も来たし、一安心だね。」 ゆたかの純粋な笑顔を見て、みなみの不安は消え去っていた。何よりゆたかの死を未然に回避出来たことがなによりも嬉しかった。 「もしかしたら、私が事故に巻き込まれてたかもね。」 (確かに、ゆたかを一人で行かせていれば、歩く早さも違ったかもしれない。確かゆたかはあのとき晩御飯に間に合ために急いでいた。 やっぱりあのトラックがゆたかを…) 今度は冷静になったぶん、声に出すような真似はせず、心の中で分析した。 「本当によかった…」 「そうだね、みなみちゃん。あ、ここまででいいよ。」 みなみが前を見ると少し先に駅が見えてきた。 「じゃあね、みなみちゃん。」 「ゆたか、気をつけて。」 家の門をくぐったみなみを出迎えたのは愛犬チェリーだった。 チェリーはみなみにじゃれついてきた。 「今日は暗いし散歩はまた明日ね、チェリー。」 そう言って家の中に入ったみなみの耳に入ったのは電話の呼び出し音だった。 おそるおそる電話を取ったみなみは、奈落の底に再び落とされた。 「…泉先輩、どうしてゆたかは…」 「駅前でバイクにはねられて…打ち所が悪かったみたい。」 ゆたかの病室でみなみは物言わぬ状態となったゆたかの横にいた。あの電話は再びこなたからだった。 内容もほとんど同じ。違ったのはゆたかが死んだ原因だった。 「そんな…そんな…うあああああああああああああああああああ!」 次の日、みなみは以前と同じく式場を抜け出し再び自分の家に帰った。 今、みなみはベットの上で座り、うつむいている。 (もしかしたら、昨日のように…) そう思い、みなみは家に帰ると、早速ベットの周りをくまなく調べたが、あのリボンは見つからなかったのだ。 家に帰ってから数時間が経過した。 「!」 手に布の感触があった。ふと自分の手を見るとそれは前回に自分が掴んだゆたかのリボンだった。 (お願い…もう一度だけ…) みなみがリボンを持ち上げた時…世界が歪んだ。みなみは目を開けていられなくなった。 「それでね、みなみちゃん」 (また戻ってきた…) 「みなみちゃん?」 「あ、ごめん、なんだっけ?」 目を開けたみなみが見たのはやはり死んだはずのゆたかだった。場所も時間も全てが同じ、みなみは少し気が遠くなった。 (どういうこと…また私は戻ったの…この時に…) 「どうしたの、みなみちゃん?」 (会話も全て同じ…、やっぱり昨日に再び戻ったとしか思えない。だったら…) 「ゆたか…、時間は大丈夫?」 ここでもしゆたかが帰ろうとすれば確実に昨日に戻ったということになる。 それを確かめる為にみなみはゆたかに聞いた。 「あ…そういえばもう帰らないといけない時間だ。」 みなみは自分の仮説が当たっていると確信した。 (やっぱり…じゃあこれからゆたかはまた…、今度こそ私はゆたかを守る) みなみは心に中で強く誓った。 「あ、みなみちゃん、ここまででいいよ。」 今二人は駅の少し手前のところまで来ていた。途中のトラックの事故は同じように起こっていたが、 今回は何もせずに通り過ぎるだけにしておいた。 「…もう少しだけ…」 今回はトラックにかけた時間がないため、ゆたかは前回と同じようにバイクにひかれることはないとは思ったが、 みなみは念のためもう少しついて行くことにした。 改札の前まで二人は並んで歩いていた。周りの人が見れば仲の良い姉妹に見えたかもしれない。 「じゃあね、みなみちゃん。また明日」 「……」 みなみは黙ってゆたかを見送った、否、見送るつもりだった。 「え?みなみちゃん?」 改札を通り抜けたゆたかの横にはみなみが立っていた。 「少し暗くなってきたし、家まで送るよ。」 「い、いいよ、みなみちゃん、遠いし一人でも大丈夫だよ。」 「もし何かあったら大変。」 ゆたかはこの言葉は自分を子ども扱いしていると思ったが、親友が心配してくれているのだから文句は言わないで二人で帰ることにした。 「遅いよー、ゆーちゃん。」 「ごめんね、お姉ちゃん。ちょっとみなみちゃんの家を出るのが遅くなっちゃって。」 「ま、ゆたかも帰ってきたんだし、そろそろ出発しようか!」 「そうだね、ゆい姉さん。」 家に着いた二人を待っていたのは、こなたとゆいだった。二人ともゆたかが遅いので心配して家の外で待っていたようだ。 「お~、みなみちゃん久しぶり~。」 こなたが能天気な声で言った。 「ありがとね、みなみちゃん、ゆたかを送ってくれて。遠かったのに悪いね、大変だったでしょ?」 「いえ、そんなことは…」 「そだね、ありがとみなみちゃん。」 ゆいとこなたに礼を言われて、みなみの顔が赤くなった。 「じゃ、みんな車に乗ってー。」 ゆいの号令にゆたかとこなたは車に乗り込んだ。 「みなみちゃんも一緒に行く?」 ゆいは軽くみなみに聞いてきたがみなみはこの質問に少し悩んだ。 (もしかしたらまたゆたかに何かあるかもしれない。…でも今回は泉先輩と成美さんが着いているし…) 悩んで末にみなみは遠慮することにした。 「またね、みなみちゃん。」 「うん、またね。」 みなみはゆたかを乗せた車が見えなくなるまで見送った。 家に帰ったみなみはまず電話の前に行った。 (今度こそ大丈夫…大丈夫。) みなみは祈るような気持ちだった。しかし今回はゆたかの周りのは二人の姉がいる、それがみなみの心の支えになっていた。 みなみは気を紛らわそうとテレビをつけた。画面に出ていた時間を見ると零時十分前を示していた。 丁度テレビではニュースを放送していた。今全国のニュースが終わり地方のニュースが始まった。 普段ならこんな時間にテレビなど見ないで眠っているのだが、今の精神状態では眠ることなどおそらく不可能だろう。 (ゆたか…、大丈夫、きっと大丈夫) みなみは自分に言い聞かせるようにして、どうにか安心しようとしている。 『次のニュースです。』 ふとみなみはテレビのニュースに耳を澄ました。 『今日、夜八時ごろ、普通乗用車同士の正面衝突事故があり、車に乗っていた三人の女性が死亡、一人が軽い怪我をしました……』 「え…」 みなみはこのニュースに言い知れぬ不安感を抱いた。 『……死亡したのは○○○さんとその娘の○○ちゃんと○○ちゃんです……』 「よかった…」 みなみはようやくほっとすることができた。少しだけ心の中で喜んだ。 (……こうやって喜んでいる人もいれば、さっきの事故で悲しんでいる人もいるかもしれない) そう思い、みなみは心の中の喜びをかき消した。少しだけ自己嫌悪に陥った。 『次のニュースです。』 テレビに目をやると、次のニュースが始まっていた。 『今日、夜九時半ごろ、停止していた普通乗車の側面にハンドル操作を誤った車が追突。 追突された車に乗っていた女性三人が負傷、病院に運ばれましたが三人ともまもなく死亡しました。』 「…まさか…」 みなみの心をまたしても不安が襲う。 『……死亡したのは』 みなみは息を呑んだ。 『運転席にいた警察官、成美ゆいさんと後部座席に乗っていた小早川ゆたかさんと泉こなたさんです。 警察の調べによると今日午後九時半ごろ○○交差点付近で信号待ちをしていた成美さんの車に、 飲酒運転の車がハンドルを誤り側面から衝突しました。衝突された車は大破しましが、 衝突した車に乗っていた、無職○○○容疑者で、警察はこの男を危険運転過失致死傷罪で現行犯逮捕しました。調べによると……』 「そんな…」 みなみは茫然自失に陥った。 次の日、ゆたか達の通夜が今までと同じように執り行われた。 今までと違うのは、遺影と棺が三つになっていることと、式に来た人数だった。 もうここにはゆたかの死を悲しんでいたこなたやゆいはいない。今こなたの棺の前では柊姉妹とみゆきが泣き叫んでいた。 いつもは冷静なみゆきも、親友が死んだとあってはいつもの落ち着いている面影は無い。 一回目の通夜の時より確実にここで流れている涙の量は増えていた。 みなみはまた通夜から抜け出した。 (どうすればいい…どうすれば…) みなみは自分の部屋で悩んだ、一体どうすれば自分はゆたかを救えるのかを。 (もうこうなったら一日中ゆたかの傍にいるしかない!) みなみの手にリボンの感触があった。 (今度こそ!) みなみがリボンを持ち上げた時…世界が歪んだ。みなみは目を開けていられなくなった。 「それでね、みなみちゃん」 目を開けたみなみの前にいたのはやはり死んだはずのゆたかだった。 今回もゆたかの言うことは全て同じだった (…ゆたかは私が守る!) みなみは再び自分に言い聞かせ、行動に出た。 「遅いよー、ゆーちゃん。」 「ごめんね、お姉ちゃん。ちょっとみなみちゃんの家を出るのが遅くなっちゃって。」 「ま、ゆたかも帰ってきたんだし、そろそろ出発しようか!」 「そうだね、ゆい姉さん。」 帰ってきた二人を迎えたゆいとこなた、そしてゆたかの行っている事は前回と全て同じだった。 「ありがとね、みなみちゃん、ゆたかを送ってくれて。遠かったのに悪いね、大変だったでしょ?」 「そだね、ありがとみなみちゃん。」 前回と同じくお礼の言葉を言う二人に、みなみは適当に答えた。 「じゃ、みんな車に乗ってー。」 ゆいの号令にゆたかとこなたは前回と車の席に乗り込んだ。 「みなみちゃんも一緒に行く?」 ゆいは軽くみなみに聞いてきた。 (ここだ、ここが分岐点、運命の別れ道…、ゆたかを救うには…) 「迷惑でなければ一緒に行かせてください。」 普段ならここでは遠慮するみなみだったが今回は違った。 事故が起こらないようにするには自分が同行し、行き先をできるだけ近くに変更してもらえばいいとみなみは考えたからだ。 「いいよいいよ、んじゃ乗って~。」 「…すみません、ご迷惑をおかけして。」 「みなみちゃん一緒に来てくれるんだ。ありがとうね、みなみちゃん。」 ゆたかの明るい笑顔が薄暗くなってきた辺りを照らした、みなみはそんな気がした。 みなみは少しだけ希望を取り戻した。 「何を食べに行くのですか?」 みなみはゆいに尋ねた。 「今日はお寿司だよ~。」 「…そうですか。」 「みなみちゃんお寿司嫌いだったっけ?」 「いえ、そんなことわ。」 「それはよかった。」 車は今、ゆいオススメのお寿司屋に向かっている。 ちなみに運転席にはゆい、その後ろにみなみ、その横にゆたか、そして助手席にこなたがそれぞれ座っている。 こなたが車に乗る際にみなみにゆたかの横の席を譲ってくれたのだった。 「あとどのくらい?」 助手席のこなたがゆいに尋ねている。その会話はみなみの耳には届いていない。 (この今が前と同じならば、前のニュースが言っていた通りの時間に事故が起こる…。確かニュースでは九時半だったはず。 今の時間から考えてもお寿司を食べた帰りに恐らく事故は起こった。…それを回避するには…。 店を出る時間を調整すれば事故は避けられるはず。…でも確実に避ける為には…) 「あの、すみません成美さん。」 「ん~、何かなみなみちゃん。」 「…実は私お寿司苦手なんです。」 「えっ!そうなんだ!お姉さんびっくりだ!」 ゆいが驚いている。するとこなたとゆたかが尋ねた。 「でもさっきはお寿司は大丈夫って言ってなかったっけ?」 「…確かにそう言ってたよね。みなみちゃん、急にどうしたの?」 「まあまあ、それじゃお姉さんオススメのお好み焼き屋に変更だあ。…お好み焼きは好きだよね?」 「…はい、大丈夫です。」 (…あんまり好きじゃないんだけど……仕方が無い。) みなみは少ししょんぼりした。助手席ではこなたがゆいに何やら文句を言っているようだ。 「あの、すいません泉先輩。私の勝手で。」 「いやいや違うよみなみちゃん。お寿司はしょうがないけどお好み焼きはちょっと…。」 「泉先輩、お好み焼き苦手なんですか?」 「いや、そうじゃなくて昨日お好み焼き食べたばかりでさ、さすがにまた食べるのはちょっとね…。」 「…すいません。」 「謝ることないよ。というわけでゆい姉さん、お好み焼き屋はパス。」 結局この後車を止めて話し合った末に、焼肉食べ放題で決定した。 「ふ~、食った食った。」 「お姉ちゃん…なんかオヤジくさいよ…」 「うおっ!妹に言われるとさすがにきくね…」 食べ終えて店から出たこなたとゆたかは二人でおしゃべりしている。みなみは時計を気にしていた。ちなみにゆいは会計中である。 「それにしてもみなみちゃん、今日はどうしたの?さっきから時計ばかり気にしてるみたいだけど。」 ゆたかがみなみに尋ねた。確かにゆたかの言う通り、食事の中みなみは時計をずっと気にしていてろくに食べていなかったのであった。 「ゆーちゃん、みなみちゃんは見たいアニメに間に合うか心配なんだよ。」 「それはお姉ちゃんじゃ…」 「ま、ともかくみなみちゃんは何でそんなに時間を気にしてるのかな?」 「……」 この質問にみなみは答えることが出来なかった。 「またね、みなみちゃん。」 「じゃね~。」 「また遊びにおいでね、みなみちゃん。」 泉家についたみなみは三人に別れを告げて、そのまま帰宅の戸についた。 と見せかけた。みなみは一旦泉家から離れた後に、再び泉家に戻って来たのだった。 ゆたかを守る為にはゆたかの近くにいる、それがみなみがゆたかを守る為に自分に下した決断だった。 みなみは家を見張れるところにずっと立っていることにした。時間は現在午後十時半。 普段のみなみならもう寝ていてもおかしくわない時間だ。 ちなみに今日、みなみの両親は共に用事で明日まで帰ってこない予定なので両親がみなみを心配して探し回ることもない。 よってみなみは落ち着いて家を見張ることが出来るのだった。 「…寒い」 今の時期の深夜になると気温は五度ぐらいとなる。 しかも今日はいつもより風が強く体感温度は氷点下に達していてもおかしくはなかった。 ふとみなみは携帯を取り出し画面をのぞいた。 (十時三十五分…せめて今日が終わるまではここにいよう。) その時だった。 ドォーン 「きゃあ!」 突如ものすごい音と風がみなみを襲った。 それらが来た方角を見て、みなみは全身から力が抜けるような感触を味わった。 「…そんな、家が…」 みなみは泉家が紅蓮の業火に焼かれていくのをただひたすらに見ていることしか出来なかった。 翌日、みなみは泉家の爆発及び火災はガス管のひびから漏れたガスに火が引火しておこったものだと聞いた。 (…そんなの、避けようがない…どうすれば…いい…) しかし考えてもさっぱりいい案が思いつかない。それどころか考えはどんどんマイナスに向かってしまう。 (それに犠牲者が…最初はゆたかだけだったのに今回は四人も…) 今回亡くなったのは、ゆたか、こなた、ゆいにそうじろうだった。 ゆいはその日の内に家に帰らずに、泉家に一泊していくと車の中でこなたと話しているのをみなみは聞いていた。 確かにゆたかを助けようとすればするほど犠牲者は増えていた。 (…もうどうすればいいか…わからない。) みなみはベットの上でじっと考えている。すると手にあの感触があった。 みなみは目線を下に落とした。 (…リボン…また…。これを取ればゆたかを救えるかもしれない。でも…どうすれば…。また犠牲者が増えるかもしれない…。 それに今度こそリボンが現れないかもしれない…。…こんな時、ゆたかならどうするかな…。) みなみは考えた後、再びリボンを手に取った。 みなみがリボンを持ち上げた時…世界が歪んだ。みなみは目を開けていられなくなった。 「それでね、みなみちゃん」 (…よかった。戻ってこれた…。) 「…ねえ、ゆたか。」 「何?みなみちゃん。」 「もしゆたかの大事な人死んじゃったけど、その人を助けるチャンスがあったらどうする?」 「もちろん助けに行くよ。」 「でも助けるたびに自分の大事な人たちが次々と死んじゃうことになったら?」 「…う~ん、難しいな~。でも助けるチャンスがあるのにそれを見過ごしたくないな。」 「…そう。」 「そういえばもう帰らないと。今日お姉ちゃん達と一緒に外に食べに行くんだ。ちょっと急がなきゃ。それじゃあね、みなみちゃ!」 みなみはゆたかに抱きついた。 「どうしたのみなみちゃん、苦しいよ…」 最初は少し抵抗したが、みなみが泣いているのに気がつき、みなみを抱き返した。 「ごめんね、ごめんねゆたか。助けられなくてごめんなさい。」 ゆたかにはその言葉が意味することはわからない。 みなみはその後、ゆたかを開放し、玄関まで見送った。 (…もうどうしようもない。ゆたかを助けようとすれば他の人たちまで巻き込んでしまう。) ゆたかを見送った後、みなみは部屋の中でうずくまって泣いた。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ゆたか…、ごめん…」 泣いているみなみの脳裏にゆたかの言葉が響きだした。 (「助けるチャンスがあるのにそれを見過ごしたくないな」) みなみはゆたかの言葉を思い出し、家をとび出した。 (私はなんてばかなんだ。ゆたかを見殺しにしようなんて!) みなみは走っていた。息は絶え絶えだがスピードはまったく落ちていない。 (ゆたかに追いつかないと。) みなみの足は限界に達していたが、今のみなみにはそれを感じている余裕も時間もなかった。 みなみはただ走った、親友の為に。 (見えた!ゆたか!) 曲がり角を曲がった時、遠くにゆたかの姿が映った。どうやら信号待ちのようだ。 しかし声を張り上げても届く範囲ではない。その時みなみは気づいた。 (あの交差点、確かトラックの…、ゆたかの横にある電柱は…確かトラックがぶつかった場所…このままゆたかがあの場所にいたら…) 恐らくゆたかはトラックに轢かれて帰らぬ人となるだろう、みなみは瞬時にそう悟った。 「ゆたか!」 みなみはゆたか越えをにそこから離れるように伝えようとしたが、ゆたかには声がとどいていないようである。 「ゆたか!」 みなみは走りながらもう一度声を出した。ゆたかまでの距離は十メートル前後だった。 あっちもみなみに気づいたようでこちらを振り向いた。 しかし安心しようとしたみなみの視界にゆたかに向かってくるトラックに気が付いた。 「ゆたか、危ない!」 みなみの声が夕方の町に響き渡った。 緋色の空に、一人の少女の体が、宙を舞った。 「ごめんなさい、ごめんなさい。」 一人の少女が眠る棺の前で、その少女の親友が涙を流して謝り続けている。その少女の肩に手が置かれた。 「仕方がなかったのよ、あなたのせいじゃないわ。」 声をかけたのはその少女の母だった。 「でも……でも。」 「これは不運な事故だったのよ。」 「でも……みなみちゃんは私をかばって!」 「だからこそゆたかがそんな顔してちゃ、天国にいるみなみさんも悲しむことになるのよ。」 「…みなみちゃん」 今日は岩崎みなみの通夜がいとなわれていた。参列者にはみなみの家族やチアをやったメンバー、 みなみの中学のころの友達など多くに人々がみなみのために足を運んでくれていた。 「ゆーちゃん、泣いてちゃだめだよ。みなみちゃんが心配しちゃうよ。」 「お姉ちゃん…ヒック…ヒック…うええええええええええええええん…」 「…ゆーちゃん。」 予定時刻通りにみなみの通夜がいとなわれた。 「みなみちゃん!みなみちゃん!目を開けてよ!みなみちゃんてば!」 ゆたかは自分をかばって宙を舞い、地面に叩きつけられた親友に向かって必死に声をかけていた。 (…何か声が聞こえる。…私を…呼んでる…) 「……」 みなみは目を開けた。まず見えたのはゆたかの泣き叫ぶ顔、そしてゆたかが握っていた自分の血まみれの手だった。 「みなみちゃん!よかった、よかったよう。」 「…ゆ…た…か…。」 薄れ行く意識の中、みなみは親友の名を呼んだ。 「みなみちゃん、しゃべっちゃだめだよう!」 「け…がは…な…い?」 かろうじて聞き取れた声に、ゆたかは答えた。 「わ、私は大丈夫だからしゃべっちゃだめだよ。」 みなみはその言葉に安心し、そして皆にはっきりと分かるような笑顔を浮かべた。 「…よ…かっ…た。」 「みなみちゃん…?」 ゆたかは自分が握っている手から力が抜けたのを感じた。 「みなみちゃん……そんな…、みなみちゃん!」 その声がみなみに聞こえることはなかった。 昨日の事を思い出してゆたかは再び親友の名前を声に出していた。 「…みなみちゃん…みなみちゃん…。」 ゆたかはベットの上で泣き続けていた。ゆたかは通夜終了後、みなみの部屋に入れてもらった。 ゆたかにとってはこの部屋がゆたかがみなみを最後に見た場所だった。 みなみの両親もゆたかを責めずに優しく接してくれたが、ゆたかにはそれすらもつらく感じていた。 ふいにドアの開く音がした。 「ゆたかちゃん…大丈夫?」 入ってきたのはみなみの母だった。ゆたかの事が心配なようだ。 「ごめんなさい…おばさん…。」 「謝ることないわよ。みなみだってゆたかちゃんにそんな事してほしいなんて望んでないわよ。」 ゆたかはみなみの母に抱きつき、泣き続けた。 ゆたかが目を開けると、そこにあったのは天井、辺りは暗い。 (私眠っちゃったんだ…。) 自分の体には布団がかけられていた。みなみの母がかけてくれたのだろうとゆたかは思った。 ゆたかはおもむろに体を起こした。 「…みなみちゃん。」 もう今日で何度この名前を口に出しただろうか。今のゆたかには後悔しかない。 (あの時、みなみちゃんは私に伝えようとしてた。危ないって…。どうして私は気づかなかったんだろう…。親友なのに…。) ふと手をベットに下ろすと何かの感触があった。 「あれ?これって、確かみなみちゃんが私にくれたリボン…、私あの時もって帰ったはずなのに…どうして……!」 ゆたかがリボンを持ち上げた時…世界が歪んだ。ゆたかは目を開けていられなくなった。
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第3話 ウィキペディアと呼ばれる女 前回までのあらすじ! 楽しくピクニックに来ていた3人の前に突如現れた『orz』の幹部、かがみに みなみがさらわれてしまった。残された二人はみなみを救出するべく動くが果たして・・・。 ここは月面基地。 かがみ「さぁ。あなたの力を見せてみなさい」 みなみ「・・・」 かがみ「何で黙ってるのよ」 みなみ「見せてみなさい、と言われても・・・何をすれば・・・」 かがみ「何って・・・何かあるでしょ?」 みなみ「よく・・・わかりません」 かがみ「( ゚Д゚)」 ――一方こちらはこなたたち。 こなた「月面基地に着いたよー」 ゆたか「待っててね、みなみちゃん!」 orz団員「うわー! 不法侵入者だぁー! orz」 orz団員「もう駄目だ―orz」 orz団員「しかもぺったんこだぁーorz」 こなた「なに・・・この人達は・・・」 ゆたか「酷いよぉー><」 こなた「とりあえず、ぺたんこパンチ!」 ( =ω=)つ)Д゚) orz団員たち 「ぬうぇあーーーーーーーーー!!」 ???(あれ!? こんな展開聞いてませんよ!?) ――みなみサイド。 かがみ「とりあえず、いろいろ準備するからこの部屋で待っててくれる?」 そう言われたみなみは客間と書かれた部屋に入る事にした。 みなみ「牢屋だと思ってた・・・ホッ」 みなみ(それにしても・・・これからどうしようか。何とか逃げださないといけないんだけど) ???「あら? 誰かいるの?」 みなみ「え?」 あやの「こんにちわ」 みなみ「あ、こんにちわ」 客間の奥から出てきたのはカチューシャで前髪を上げている少女、あやのだった。 あやの「あなたも捕まったの?」 みなみ「あなたもって事はあなたも?」 あやの「ふふ、そうよ。私はあやの。あなたは?」 みなみ「・・・みなみです」 あやの「みなみちゃんね。みなみちゃんはどうして捕まっちゃったのかしら?」 みなみ「えーと・・・(胸がないからなんて言いたくない)」 あやの「あ、言いたくないんだったらいいのよ? 辛いこと思い出させちゃってごめんね」 みなみ「いぇ・・・」 ――こなたサイド。 こなた「敵はあらかたやっつけちゃったね」フフン ゆたか「やっぱりお姉ちゃんはすごいなぁー」 ゆたか「あ、あんなところにお部屋があるよ?」 こなた「ホントだ。入ってみよっか」 かがみ「させないわよ!」 ド ン ! こなた「なんだかがみか」 かがみ「な、ちょ! なんだは無いでしょ!?」 ゆたか「みなみちゃんを返してください!」 かがみ「お断りよ。飛んで火に入るなんとやらってね。あんたら二人も捕まえてあげ、」 こなた「ぺたんこパンチ!」 ( =ω=)つ)Д´)グェ かがみ「きゅう・・・」バタッ ???(えぇぇえぇぇー!?) こなた「これがぺたんこの力だよ。身をもって味わってね」 ゆたか「わーい、勝ったんだね」 ???(予告では私が助けたりする話って聞いてたんですけど。おかしいですねー・・・) こなた「客間・・・とりあえず開けてみよっか」ガチャ みなみ「? あ、先輩。ゆたか!」 あやの「あら? お迎え?」 客間ではみなみとあやのが、こたつでお茶を飲んでいた。ぬくぬくだ! こなた「やっほー、みなみん。どうやら無事みたいだね」 みなみ「はい。ご心配おかけしました」 ゆたか「みなみちゃんホントに大丈夫なの?」 みなみ「うん・・・大丈夫。ゆたかの方こそ怪我とかはしてない?」 ゆたか「私も大丈夫だよ。お姉ちゃんが守ってくれたし」 こなた「いやいや~」ニマニマ あやの「お別れね。少しの間だったけど話せて楽しかったよ」 みなみ「あやのさんも一緒に・・・」 あやの「ううん。私はまだ良いの」 みなみ「何故?」 あやの「待ってる人がいるから。みなみちゃんに迎えに来てくれる人がいるように、私にも助けに来てくれる人がいるの。 私はその人を待ちたい」 こなた「あの人、誰だろ?」 ゆたか「看守さんかなぁ?」 みなみ「・・・分かりました。じゃあ」 あやの「うん。またね」ノシ みなみ「お待たせしました」 こなた「うん、じゃあ行こっか」 みなみ「・・・そういえば。どうやって月に来たんですか?」 こなた「・・・知らない」 みなみ「え?」 こなた「気づいたらここに・・・」 ゆたか「ふぇ~~ん、どうやって地球に帰るの~><」 ???(ここですね!?) ???「その件につ――みなみ「・・・ここが月基地なら。地球に帰る宇宙船か何かがあるはずです」 こなた「おぉーそっかー! さっすがみなみん!」 みなみ「いえ・・・」 ???「あ――こなた「よーしじゃあ宇宙船で帰ろー」 ゆたか・みなみ 「おぉー」 三人は格納庫へと向かっていった。 ???「・・・」 みなみ(それにしても・・・) ☆☆☆ ゆたか「私も大丈夫だよ。お姉ちゃんが守ってくれたし」 こなた「いやいや~」ニマニマ ☆☆☆ みなみ(私にも・・・頭脳だけじゃなく、ゆたかを守れる力が欲しいな・・・) みなみの悩みの種が、またひとつ増えた。因みに一つ目の悩みは言うまでもない。 ーー一方そのころ。 かがみ「いたたた・・・も~。いきなりパンチなんてひきょ、」 ???「てい!」パァン かがみ「ぐぇ」 みゆき「私はウィキペディアと呼ばれる女、みゆき! よく覚えておいてくださいね!」プンスカプン! かがみ「な・・・なんなのよ・・・」ガクッ -次回予告- みき「ぺたんこファンタジー:アンリミテッド。 予言します。 こなた。ゆたか。みなみ。むねぺったんガールズを追い求める冷酷なる者に、愛の光が炸裂する。 『みなみー思い出のオルゴールー』 次回もアンリミテッドな導きを・・・」 コメント・感想フォーム 名前 コメント
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11.青、蒼、藍 みなみ「俺のイメージカラーって青なんだよな」 しば「どうしたのさ~、青じゃ嫌なのかい?」 みなみ「そうじゃなくて、だからって○○○○にすることは無いんじゃないかと思って」 しば「確かにね~。風の谷のお姫様は……」 みなみ「そこで、俺はこれなら良いんじゃないかというものを考えた」 しば「へぇ~、何?」 みなみ「マスク騎手黒アレックス!」 しば「それは色じゃなくて苗字繋がりだよ!?っていうか今はっきり黒って!」 みなみ「いや、バイオに変身すれば青に!」 しば「駄目だって!」 12.刺し穿つ… みなみ「青という事で!今日から槍を持つことにした!」 しば「ちょ、ちょっと!それは俺のユニコーンじゃないか~!」 みなみ「いぃや!こいつは今日からゲイ・ボルクだ!」 しば「……青と、ゲイ・ボルク?」 みなみ「そうだ!これなら文句ないだろ!」 みさ「いいえ、あるわ」 みなみ「な、何だよ」 みさ「私に服従を誓いなさい、狗」 みなみ「そういやぁそうなるんだぁっ!!」 しば「これも、駄目みたいだねぇ~」 13.青=不幸? みなみ「俺、他キャラに例えようとすると駄目みたいだ」 しば「だねぇ~。みなみの場合は、そうすると必ず何か地雷踏んじゃうからねぇ~」 みなみ「青色の奴って、不幸なのかな」 しば「さぁ、どうなんだろうねぇ~」 みさ「いいえ、不幸なのはみなみ限定よ」 みなみ「な、何でだよ」 みさ「そんなに知りたいの?」 みなみ「お、おう」 みさ「ふふふ、私がそうしたいからよ」 みなみ「俺何かしたか!?なぁ!俺何か悪い事したか!?」 しば(好きな子に悪戯したくなる、とは違うみたいだけど、ねぇ) 14.カレーなる華麗な戦争 みなみ「おーい、ご飯出来たぞー」 あいね「わーい!今日のご飯は何かなー?」 みなみ「ん?香りで分からないか?カレーだぞ?」 しば「……あれ?みなみー、今誰が鍋を見張ってるの?」 みなみ「え?見張り?」 みなみの脳内で鍋を誰も見張っていない時の様子がイメージされる。 それはみさとどなのESP宇宙大戦争。 それと同時に背景ではガラガラガッシャンと何やら不穏な音が… みなみ「……」 しば「今日は、ご飯無しかな」 あいね「かもね」 15.ぷろみすとべーすん みなみ「んー、これってどんな構造してんだろうなぁ」 どな「どうしたの、みなみ」 みなみ「あぁ、この武器、プロミストベースンっていうんだけどな。 これで攻撃すると、何故か空から盥(タライ)が降って来るんだよ。どうしてだろうな」 どな「不思議ね」 どなの頭の中で想像が行われる。 それは小さなみなみたちがサイコキネシスで盥を浮かせ、力尽きたら落ちてくると言うもの。 どな「くすくす」 みなみ「?」 16.恐怖!留置場の拳…もとい剣王!! みなみ「しば、話があるんだ」 しば「何だいみなみ~」 みなみ「みさってさぁ、助けた時に刀持ってたよな」 しば「うん、持ってたねぇ~」 みなみ「あの留置場って、染みがあったよな」 しば「……あったかもねぇ~」 みなみ「……惨殺?」 しば「撲殺かもよぉ~?」 みさ「斬○」 みなみ・しば「――!!」 17.最後の最後で交わされたかもしれない彼らの会話 いるか「何故、何故君達が勝つのだ――?我々は、君達よりも優れているはず――!」 みなみ「あぁ、確かにお前の肉体もESPも強かった。ここまで来る途中の敵も嫌って程、挫折しそうなほど強かった! けどな!うつぼかずらやら蟹やら犬やら!蝶やら化けもんやら試験管に入ってるような海豚や鯱やら! 挙句サークレットして、時には猫耳生やすような海豚に!人間が負けるなんて意地でも出来ねぇだろうが!!」 いるか「うっ、は、反論できない!?」 18.めそぽたみあ みなみ「メソポタミアって中々手に入らねぇ割に、安いって噂だぜ」 しば「そうみたいだねぇ~。あれだけ強くても、市場に出回らなくて逆に安くなってるのかもねぇ~」 みさ「みなみを甚振るのに使いたいけど、手に入らなくて困るわ」 みなみ「オイ」 あいね「え~っと、確かル○ン○世がバビロンの塔を浮かすんだよね」 みなみ「そりゃバビロニア帝国だ!最後の一文字しか合ってねぇじゃねぇか!」 19.13日の… みなみ「しば。何ムーランルージュ振り回してんだ?」 しば「だってさぁ~、今日は13日なんだよぉ~」 みなみ「ジェイソンか?けど今日は……あれ?」 しば「だろ~?どうせ曜日なんて無いんだから良いのさ~」 みなみ「いやまぁそうだろうけどよ」 しば「なら良いじゃないか~。みなみもやろうよ~」 みなみ「そもそも今日が何日か知る手段もないぞ?」 しば「何のことかな~。俺日本語分からないよ~」 20.赤い水 みなみ「あの海、まだ赤いんだな」 しば「一体、どうやって赤くしたんだろうねぇ~」 あいね「え~っと、赤いイカ墨でも撒いたとか?」 しば「う~ん、そしたら周りまで赤くなっちゃうよ」 どな「プランクトンの異常発生」 しば「赤潮かぁ~。無いとは言えないなぁ~」 みさ「ふふふ。決まってるわ、妖刀が血を欲しているのよ」 みなみ・しば・あいね・どな(怖っ!)
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目次 【時事】ニュースミユキ みなみけ RSSミユキ みなみけ 口コミミユキ みなみけ 【参考】関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース ミユキ みなみけ gnewプラグインエラー「ミユキ みなみけ」は見つからないか、接続エラーです。 RSS ミユキ みなみけ gnewプラグインエラー「ミユキ みなみけ」は見つからないか、接続エラーです。 口コミ ミユキ みなみけ #bf 【参考】 関連項目 項目名 関連度 備考 参考/みなみけ ★★★★ 登場作品 参考/南條愛乃 ★★★ キャスト タグ キャラクター 最終更新日時 2013-09-27 冒頭へ
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91.酸素 しば「00の主人公って刹那っていうらしいねぇ」 あいね「んじゃぁ口癖はタコなのかな」 みなみ「いや、名前一緒だけどそもそも作品違うだろ」 みさ「早死にするのね」 みなみ「刹那って確かに一瞬とかって意味があるが、縁起でもねぇこと言うなよ」 あいね「けど、歴代では主人公以外死ぬって話あるけど、主人公が死ぬってないから案外あるかもよ」 みなみ「……マジであり得そうなのが嫌だな」 #なお、この話はテレビ版限定なので劇場版である逆シャアとマイナーな閃ハサは除いてます。 #もしかしたらテレビ版で主人公が死んじゃったガンダム作品あるかもしれないけど……一応優しくスルーしてください。 92.しょごうき・にごうき しば「そういえば、しょごうきって青かったよねぇ」 みさ「そうね。けど本当に初号機なら紫であるべきね」 みなみ(作品ちげぇ) しば「うんうん、青は零号機だよね」 みさ「みなみが乗るのね」 みなみ(俺、死亡フラグ立ってるの!?) しば「じゃぁ誰が初号機に乗るの?弐号機は赤いからみさだろうし」 みさ「いいえ、初号機には私が乗るの」 みなみ(まぁ、うん、なんか別の意味で似合うよ) しば「……弐号機には誰が?」 みさ「あいね」 みなみ(即答しやがった!ってかなんかこいつらマジでやりそうだし!) 93.役に立たない武器 みなみ「レイガン」 しば「ファイナルランサー」 あいね「ダーツ」 みさ「ぶんかぼうちょう」 みなみ「おい、それって結構強いだろう」 みさ「けど実際調理する際には役に立たないわ」 みなみ(そりゃ、クリーチャーとかの血が付いた包丁で調理したくないよな) しば「武器としては?」 みさ「私はマムスセーバーがあるから。ふふふふふふ」 みなみ(使用制限0の武器使うんじゃそもそも他の武器いらねぇよな) 94.フォーク みなみ「落ちる球」 しば「食器」 あいね「ダンス」 みさ「歌」 どな「みんぞくがく」 みなみ・しば・あいね・みさ「え?」 どな「みんぞくがくはえいごでふぉーくろあというの」 みなみ・しば・あいね・みさ(知らねぇよそんなこと!) 95.禁句 みさ「落ちる」 しば「うあーーーーーっ!!」 みなみ「何やってんだあいつら?」 あいね「あぁ、前にしばが・ジャンプ・の着地しくじっちゃってね」 みさ「落下」 しば「ああああああっ!!」 あいね「それで、しばが落ちるとかなんかそんな言葉がダメになったんだよ」 みなみ「あいつは受験生か」 あいね「ううん、受験生より言葉に気をつけないといけないんだよ」 みなみ「は?」 みさ「飛ぶ」 しば「止めてくれーーーーーーーっ!!」 あいね「・ジャンプ・に関係する言葉自体ダメになったから」 みなみ「どこをどう突っ込んでいいのやら……」 96.禁句・2 みなみ「どうした、あいね」 あいね「あぁ、みなみ……私、最近・テレパシー・使いたくないんだ」 みなみ「はぁ……しばに続いてお前も……一体どうしたんだよ」 あいね「詳しくは言いたくないけど、・テレパシー・使った時に嫌なもの聞いてね」 みなみ「……まぁ、俺の場合、どこまでドジっても瓦礫の下敷きだし、主人公特権みたいなもので死なないしなぁ」 あいね「死ぬとか言うなぁ!!」 みなみ「うぉっ!急に大声出すなよ」 あいね「お願い、けど言わないで。マジで。お願いだから」 みなみ「あぁ、うん。分かった」 みなみ(ホントに何があったんだ?) 97.禁句・3 どな「……」 みなみ「今度はどなか。どうした?」 どな「くわしいことはいえないの。けどよのしゅうまつをみたきがするわ」 みなみ「また大げさな。世界の終末とかあるわけ……」 みなみ(待てよ?あいねも何か詳しいこと言いたくないとか言ってたよな) どな「あまりくびをつっこまないほうがいいわ。こうきしんねこをころすというもの」 みなみ「……まぁ、もう突っ込む気力もねぇよ。大体誰が元凶か分かったし」 どな「そう」 みなみ(首はつっこまねぇが、口は突っ込むぞ) 98.禁句・完結編 みなみ「と、いうわけでみさ。お前大概にしろよ」 みさ「根拠もないのに私が元凶なんて、良く言えるわ。貴方が元凶かもしれないでしょう」 みなみ「……なぁみさ」 みさ「何?」 みなみ「剣を振り回して恐ろしい妄想しながら歩くのは十分駄目だと思うぞ?」 みさ「何故分かったの!?」 みなみ(しばが着地ミスるわ、あいねとどなが・テレパシー・で怖がるって言ったらそれしかねぇよ) 99.かいだん みさ「その女の子が暗い夜道で振り向くと、そこには剣を振りかぶった像が」 あいね「う、うぅぅぅぅ」 みさ「女の子が逃げても、逃げても、後ろを見るたびにその像は遠ざからない」 どな「……」 みさ「女の子は転んでしまい、後ろを見た」 しば「……」 みさ「そこには……距離を保ったままの剣を振りかぶったままの像」 みなみ「……」 みさ「そして、彼女は最後にこう言ったの」 全員「……」 みさ「終劇」 みなみ「劇かよ!」 100.反動 みなみ「なぁ、あいねー」 あいね「何?」 みなみ「俺たちって、PPが足りないとESP使えないけど、無理矢理使うとどうなるのか知ってるか?」 あいね「知るわけないじゃん。試したことないし、試したくないし」 みなみ「そりゃそうだよなー」 みさ「私は知ってるわ」 みなみ「ん?どうなるんだ?」 みさ「反動で消滅するの」 みなみ「ゲームが違うだろうが……」
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ジリリリリリリリリ… 「う~ん、…あ、あれ?ここは……私の部屋……どうして?」 私はさっきまであの道路で倒れていたはずだった。それがなぜか自分の部屋にいた。 「…も、もしかしたら…」 私は今がいつなのか携帯で確かめてみた。 「そんな…これって…」 携帯の無機質なディスプレイが映し出した日付は未来ではなく… 「この日って……確か、初めてあの夢を…未来を体験した日……」 私の全身の細胞が凍りついた気がした。 私は急いで学校へ行った。いつもよりかなり早い時間だった。 そして教室の前までたどり着いた。中からは数人の声が聞こえる。もう何人かが登校しているようだった。 私は震える手でドアを開けた。 「…ゆたか…、おはよう…。早いんだね」 「みなみ…ちゃん」 私はみなみちゃんのそばにより顔を胸にうずめて泣いた。 みなみちゃんは驚いた様子だったが何も言わずに抱き返してくれた。 その後もいつも通りに学校は始まりそして終わりを告げた。 ちなみに学校は全てが前回と同じというわけではなかった。 前回は数学の時間に体験していた予知夢が、今回は一時間目だったりした。 それでも私には未来を夢で体験する力が残っていた。 確かみなみちゃんが車に轢かれたのは今から数日後、今回は絶対に… そしてその数日後、みなみちゃんはまた死んでしまった。 私は助けようとした、意識が戻ったと同時にみなみちゃんへと走った。 でも助けられなかった。助ける直前でなぜか体勢を崩してしまう。 今回みなみちゃんを殺したのは大型のバスだった… そしてまた私の視界はブラックアウトした。 起きれば予知夢に目覚めたあの日の朝。 それを何度も繰り返す、でも一度もみなみちゃんを助けることが出来なかった。 助ける直前になぜか体勢をくずしたり、はたまたみなみちゃんを見失うことさえもあった。 そして私は今に至る。この今だって暦上では何度も体験した。 親友の死の時と未来が体験できるようになったあの日とのループの狭間で…何度も…何度も… 目の前には親友だったものが…動くことなく横たわっている。 何も見えない。私の目は涙で覆われている。その涙も…もはや意味を持たないのかもしれない。 聞こえるのは近くの人の悲鳴…悲鳴…悲鳴… その波に飲まれ、私の意識はブラックアウトした… ジリリリリリリリリ… なんだか眠った気がしない…、でもどれだけ寝ようときっと睡眠はたりないんだろうなぁ…。 私は携帯を開き日付を確認した。 日付はまた戻っていた、私が未来を体験できるようになったあの日に… 私の気分は嬉しさ半分、残りの半分は…私にはわからない… まだループも最初の頃はみなみちゃんを助けることが出来るかもしれないと喜んでいたが、今はあまりわからない。 何度も何度も親友の死の瞬間を見てきた私には、昔のような繊細な感情は消えちゃったのかもしれない。 ある時は車に轢かれ、ある時は電車に…、そしてある時は落ちて… どれも助けることが出来なかった…。 今度こそ…、この決意も何度目になるのかなぁ…。 …そうだ、思い出した、確か今回で… 私の学校生活は特に普段と変わらない。 朝学校でいの一番にみなみちゃんの無事を確認しその後はいつも通りにクラスで過ごしている。 ただ最近はよく「なんだか暗いよ」とか言われるようになった。 ここ最近のループではこなたお姉ちゃんも、そうじろうおじさんも少し心配している。 私も努めて明るく振舞っているつもりだけど、なんだか余計に不振がられてるみたい。 …もうどうすればいいんだろう。 そしてついにあの日が来た、みなみちゃんが死ぬ日。…それが鎌首をもたげやって来た…。 私はまた夢を見た、あの未来を体験する予知夢を… どうやら今回は車のようだ、後ろからいきなりみなみちゃんに向かって… 私の夢はそこで覚めた。 目覚めると自分の部屋、自分のベット。 そして私は日課となった日付確認をした。 どうやらみなみちゃんの死ぬ日と私がこの予知夢も能力を得る日にちは毎回同じらしかった。 私はみなみちゃんとの待ち合わせ場所に向かった。 その日は二人で買い物をする約束をしていた。 二人で適当に町をぶらつき色々な店を回ることが目的だった。 そしてその時間は来た。 私の視界が急にブラックアウトする、そして目を開けるとそこは夢で経験した未来の場所、そして時刻は夢の終わったその直後。 すべていつもどおり、そして後ろを見ると向かってくる車が一台私はみなみちゃんへ向かって走った。 まだ車とみなみちゃんとの間には距離がある。 もう少し!もう少し!今度こそ親友をみなみちゃんを助ける! そして私はみなみちゃんのすぐ近くまで来た。間に合った…? しかし私の体はバランス崩した…。 その瞬間私は見た、そしてやっとわかった。 私の体を倒した…、ううん、押し返した… みなみちゃんを… 目が覚めるとそこは私の部屋…、見慣れた天井、見慣れた家具達。 また戻ってきた。 例によって携帯の時間を確かめると、やっぱり戻ってきたみたいだった。 私は今までのループの記憶の中からついさっきの記憶を掘り起こした。 そう…、私が今までみなみちゃんを助けられなかったのは、突然妨害されたり、みなみちゃんを見失ったりしたからだ。 考えれば分かることだったのかもしれない。 私はさっきの記憶のみなみちゃんを思い返し、一つの結論を出した。 私が今までみなみちゃんを助けることが出来なかったのは…みなみちゃん自身が私を妨害したから… 思えば最初のループの時から腑に落ちなかったことがあった。 私が幾度未来を見て、そしてその後に降りかかる災難からみなみちゃんを守っても、私は満足できなかった。 …それは同じくらい助けてもらったからだ。しかもよく考えれば簡単に出来ることではなかった。 私が倒れそうになった時、みなみちゃんは支えてくれた。 あれだっておかしい。みなみちゃんはその時私の方をほとんど見ていなかった。 にもかかわらずみなみちゃんはすごい速さで私が倒れるのを止めてくれた。そう…まるで… 私が倒れるのを知っていたかのように… まさか…、まさかね…、みなみちゃんが私と同じ予知夢を…、未来を…経験してた…とか……、まさかね。 「ゆーちゃーん!朝ごはんできたよー!」 下からお姉ちゃんの声が聞こえた。 私はとりあえず制服に着替えて台所へと向かった。 私はその後朝食をとり学校へと向かった。 教室にはすでにみなみちゃんがいた。 よく考えればこれも毎回変わらない。ループした最初の日は必ず私より先に教室にいる。 私のこと心配してくれてるのかな? 少し聞いてみることにした。 「おはよう、みなみちゃん。早いんだね」 「うん…、少し目が覚めたから…」 「何か怖い夢でも見たの?」 「そう…」 「どんな夢?」 「………覚えてない」 やっぱりはぐらかしてきた。 とりあえず私は予知夢のことやループのことを深く追求するのはやめた。 それはループの終わりの日まで続いた。 最終日、私はまた未来を見た、今度もみなみちゃんに乗用車が向かってくるというものだった。 今回は喫茶店で会計をして店から出てきて車に気づくまでの未来を体験した。 …それにしてもなんだかみなみちゃん、今までと少し様子が違う様な気が… この日はみなみちゃんと二人でお買い物をすることにした。 最近は二人で出かけることが多い。その方がうまく動けるから。 それに前にでかけずに家で最終日を過ごしたらたくさんの人が死ぬ結果となった。 さすがに未来を経験していたとしてもかなりつらかった。 だから最終日は必ずどこかに出かけることにしている。 朝に喫茶店で待ち合わせをしていた私達はさっそくお目当ての店に行く……はずだった、予定ではね。 「ねえ、みなみちゃん」 「…なに?」 私は今日まで溜め込んできた疑問を全てぶつけることにした。 「みなみちゃんってわかってるの?」 「…何が?」 「未来が…」 「…そんなわけない、どうしたの、急に?」 「ここ最近みなみちゃんが私を助けてくれる時、 みなみちゃんはまるで私がこうなるってわかっているような感じで助けてくれるからね」 「ただ単に気づくのが早かっただ…」 「みなみちゃん、もういいよ」 私はみなみちゃんの言葉を無理矢理さえぎった。 「わかってるんだよ、みなみちゃんが私と同じように夢の中で未来を体験できるってね」 「……ゆたか……」 私はやっと話してくれると思った。 「何を言ってるの?」 私の期待は砕かれた。 「ゆたか…本当にどうしたの?私未来なんてわからないよ。それにゆたかは見えてるの? …その未来が…夢の中で…」 「……」 私はみなみちゃんの顔を見た、そこには親友を本気で気遣っている心優しい岩崎みなみの顔があった。 「…ゆたか…」 「…みなみちゃん、これから話す事は全部本当だから」 私は深く深呼吸し今までのことを全て打ち明けた。 「…そんな…私が…今日…」 「うん…ごめん…」 「…ゆたかが謝ることじゃない、それにゆたかはいつも私を守ってくれた。謝る必要なんてない」 「うん…うん……みなみちゃん…みなみ…ちゃん…」 「ゆたか…、今までありがとう…」 私達は人目もはばからずに抱き合い泣いた。 おかしいな…、今まで何回も何回も流してきた涙が…、なんだか違うものに感じるよう… そっか…、私つらかったんだ。どれだけ頑張っても親友一人救えない。 それでも一人でやらなくちゃいけない。そう決め付けてた。 最初から打ち明けるべきだったんだ。私ってばかだなぁ…。 「ゆたか、大丈夫?」 「うん、もう平気だよ」 私はそう言い、みなみちゃんに微笑んで返した。 みなみちゃん顔が真っ赤だよ。 「…一つ聞きたいんだけど、これでゆたかは何回やり直したの?このループを…」 「……」 私は一つ一つのループを思い出した。どれも決していい思い出ではないけど、全部が全部悪い思い出でもないのかもしれない。 …そんなこともわからなかったんだ、でも今なら分かるよ。 みなみちゃんと一緒にいられて楽しかったから。 「…今回で103回目だよ」 「そ、そんなに…」 「大丈夫だよ…もう…大丈夫。過去102回では救えなかったけど今回は…今回こそは…」 「…ゆたか…」 「みなみちゃん、泣かないで」 「…うん…うん…ありがとう…今まで…本当に…………ありがとう」 その後落ち着いた私達はいったん店を出ることにした。 …そろそろ周りの人たちの視線が痛かったしね… そして私は会計を払うためにレジへ向かう。 視界が一気に黒く…黒く…染まった… 目を開けたその時見えたのはこっちを見ているみなみちゃん、そして迫る自動車。 今朝見た未来の続きだった。 「みなみちゃん!」 私は走った、今までのどんな時よりも早く、力強く駆けた。 私は馬鹿だ、なんで喫茶店で私が今朝見た夢の…未来の内容を伝えなかったんだろう…。 もういちいち自動車がどこまで迫ってるかなんて気にしない。 みなみちゃんだけを見据えて私は走った。 今度こそ!今度こそ! その時みなみちゃんも自動車に気づいた。 みなみちゃんまでもう少し。私は手を伸ばした。せめてその場から突き飛ばせれば…。 するとみなみちゃんが私を後ろへ飛ばそうと手を伸ばした、これが今までみなみちゃんを救えなかった理由。 みなみちゃんは今までずっと私をかばってくれてたんだね。 私はその手をかわしてみなみちゃんに触った、このまま突き飛ばせば…………! そこから先はわからない、わかるのは自分が地面に倒れてること。 それとその横でみなみちゃんが倒れていること。 みなみちゃんは息も絶え絶えだった。私もなんだか体が熱いしくらくらしてきた。 私はそこでようやくなにがあったか理解した。 あの時私はみなみちゃんを突き飛ばした。 …でもすでに遅かった。 もう車はすぐそこまで近づいていた。 それがわかっていたからこそ、助からないと思ったからこそ、せめて私だけでも助けようと、 みなみちゃんは私反対に押そうとしたんだ。さっきも、そして今までも… 今更になって理解した。私はただ単に足を引っ張っただけ。 私が何のアクションも起こさなければ、あるいはみなみちゃんは助かったかもしれない。 「…ゆたか…」 みなみちゃんがこちらへ首を向けて話しかけた。 「みなみ…ちゃん…、ごめんね、ごめんね」 体中から大量の血液が流れているのにもかかわらず私は涙を流していた。 「謝る…必要は…ない…よ…」 「みなみちゃん…」 私はみなみちゃんの手をにぎった、でも私の手にはもうほとんど感触がない。 目もどんどん霞んできた。 「助けようとしてくれて…ありがとう、ゆたか。ずっと…親友だからね…」 みなみちゃんはそっと目を閉じた。 「もちろん…だよ…、みなみ…ちゃん、…ありが…とう」 私も目を閉じた。 頭の中を今までの記憶が駆け抜けていく。 よく考えればみなみちゃんはどんな時でも私を助けようとしてくれたなぁ。 元はそんなみなみちゃんに恩返しがしたかった。 そんな時にこの予知夢で未来を経験し、それを元にみなみちゃんを助けてきた。 もしかしたらこれは私が望んだから持ってしまった力だったのかもしれない。 そう考えれば、みなみちゃんが危険な時の一瞬手前の未来しか見なかったのも納得がいく。 …全ては私のせいだったんだね。 こんな私でもみなみちゃんはまだ友達でいてくれるかなぁ… 私はかすかに動く口を開いた。 もはや声になるかすらもわからないけど、私はみなみちゃんに向かって言った。 もしまた夢が見れたなら 二人で笑いあってる夢が見たいなぁ コメント・感想フォーム 名前 コメント
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part39-362に投下されたパイン飴◆4Z3SPBo0bM氏の作品です 最近みなみちゃんのキョン先輩に対する態度が変わったように思う。 前までは私やキョン先輩の話している内容に相槌を打っているだけのような話し方だったけれど、最近はみなみちゃんから積極的にキョン先輩に 話をしようとしている。 みなみちゃんはどちらかといえば無口なほうだから、きっとキョン先輩と話をしようと一生懸命なんだ。 そういえばこの前、みなみちゃんが珍しくキョン先輩と帰っているところを田村さんが見たと言っていた。 夕方から短い時間だけれど強い雨が降った日で、どちらかが傘を忘れたのか相合傘で帰っていたと田村さんは言っていた。 みなみちゃんのキョン先輩への接し方が変わったのは、もしかするとその日からなのかもしれない。 けれど私にはその日何があったのか、なんてみなみちゃんに聞く勇気は無い。 もしみなみちゃんがキョン先輩のことが好きだと聞いてしまったら私はこれからどうみなみちゃんに接すればいいのか分からなくなってしまう。 学校を休みがちな私は昔から仲の良い友達が少なかったけれど、みなみちゃんは高校に入って初めて出来た仲の良い友達。 キョン先輩のことは好きだけれど、そのことでみなみちゃんとの関係がなくなってしまうなんて私には耐えられない。 けどもしみなみちゃんと恋のライバルになってしまったらどうしよう。 みなみちゃんは美人だし、スタイルもいいし、性格だってすごく優しい。 あんまり喋るのが得意なほうじゃないから人には誤解されやすいけど、キョン先輩はみなみちゃんのことを悪く思ったりするような人じゃない。 それに比べて私なんか背は小っちゃくて子供っぽいし、体が弱いからすぐに皆に迷惑をかけたりする。 みなみちゃんと私とじゃ、魅力が違いすぎるよね… 私は帰ってから思いっきり泣いた。 みなみちゃんと私じゃ、比べるべくもない。 私は一歩下がって、みなみちゃんの応援をするのがきっと一番いい。 ゆたか「けど、それでも…キョン先輩のことが好きだよ…!」 夕飯時、伏せがちな私をこなたお姉ちゃんもそうじろう叔父さんも心配していたけれど、私はなんでもないから、と言い張った。 二人とも、心配をかけてごめんなさい… 次の日から、私とみなみちゃんの関係は少しギクシャクし始めた。 キョン先輩と会っても、私は一歩離れてみなみちゃんとキョン先輩がもっと会話できるようにする。 それを見てるのはすごく辛かったけど、みなみちゃんのためだと思って我慢した。 けれど、みなみちゃんもそんな私の態度に気付いたみたいで「どうしたの…?」って声を掛けてくれた。 みなみちゃんはやっぱり優しいけれど、その優しさが今は辛かった。 お昼休みはいつも通りみなみちゃん、田村さん、パティ、私の四人で食べたけど、私はみなみちゃんと顔を会わせ辛くてなんだか気まずい雰囲気 になってしまった。 田村さんたちにも迷惑を掛けてしまってすごく申し訳なく思って余計落ち込んでしまった。 そんな私に二人は小声で「みなみちゃんと何かあったの?」と心配して聞いてくれたけど、私は答えようもないから「なんでもないよ」とだけ言 った。 帰りもSOS団で連れて行かれたり、委員会の会議が無い限りいつも私とみなみちゃんは一緒に帰っていたけれど、今は一緒に帰ろうと言えるだ けの勇気が無かった。 だからホームルームが終わったら急いで帰る準備をして、声を掛けてもらう前に帰ってしまった。 みなみちゃんが私のほうを見て悲しそうな目をしていたから余計に辛かった。 ごめんなさい、みなみちゃん… その日も帰って、枕に顔を埋めて泣いた。 そんな状態が数日続いた日、キョン先輩が一年の昇降口のところで所在なさげにしていた。 先輩に会えて嬉しい反面、みなみちゃんに悪いと思って挨拶だけして帰ろうと思ったら先輩のほうから声を掛けてきてくれた。 キョン「よう、ゆたか。一緒に帰らないか?」 その時私は、現金だけれど一瞬すごく嬉しく思ってしまい、そのことに気付いてまた余計に落ち込んでしまった。 そんな私を気にしてか、先輩は「あ、嫌ならいいんだが…」とバツの悪そうな顔をしていたけれど、先輩のお誘いを断るわけにもいかずに一緒に 帰ることになった。 帰路に着いてしばらくの間、先輩と私との間では無言が続いていた。 こんなのじゃ、先輩に悪いな…と思いながらも、今は先輩になんて喋ればいいのか分からない。 そんな中、唐突に先輩が私の顔を見て言った。 キョン「最近なんだか元気がないみたいだが…何かあったのか? 俺でも良かったら相談ぐらいには乗れると思うが…」 急な先輩の質問に言うべきか言わないべきか戸惑ったけど、先輩ならきっと本当の思いで答えてくれると思って、私は先輩に打ち明けることにし た。 ゆたか「あの…もしキョン先輩が一番の友達と同じ人を好きになっちゃったりしたら、どうしますか?」 キョン先輩は予想外の質問だったのか少しビックリしたみたいだけど、私が真面目に聞いていることを察して私のほうを真摯な眼差しで見つめて 言った。 キョン「そうだな…どうもしないさ」 キョン先輩の言葉は私にとって完全に予想外のものだった。 どうもしない、って… キョン先輩には私の気持ちは分かってもらえないんだろうか。 恋をすると嬉しくて、楽しくて、けどとても辛い。 それが友達と一緒の人を好きになってしまったというなら、その辛さはもっと大きいものになってしまう。 けど先輩は私の方を見ながら続けて言った。 キョン「相手に譲ろう、なんてことを二人とも考えてそれで関係がギクシャクしても嫌だからな。 その友達にはっきりと同じ相手が好きだ、って伝えて正々堂々と争えばいい。 それで関係が悪くなるようなら、言葉は悪いがそいつは本当の友達とは言えないと思うぞ。 少なくとも、その女の子とその子の友達の関係なら心配ないと思うけどな。」 はっきりと相手に伝える…かぁ。 けど確かに、今みたいに相手のことを考えすぎて関係がギクシャクしちゃってるのは嫌だ。 みなみちゃんにはっきりとキョン先輩のことが好きだって伝えて、正々堂々と勝負して、精一杯頑張ったんなら結果キョン先輩が誰を選んでも恨 みっこなし、ってことなのかな。 そうだ。今みたいな関係が続いちゃったらきっと私とみなみちゃんは離れてしまう。 そんなことになるぐらいなら、キョン先輩の言うとおり私が先輩のことが好きだってみなみちゃんに伝えて、みなみちゃんからも先輩のことをど う思ってるのか聞けば良い。 きっとみなみちゃんなら答えてくれる。 ゆたか「あの、キョン先輩。いきなりの相談に乗ってもらってありがとうございます!」 キョン「あぁ、気にするな。俺でよければいつでも相談に乗るさ。その女の子にも良かったら俺の言ったことを伝えておいてくれ」 ゆたか「はい!」 先輩はやっぱり、私とみなみちゃんとの関係のことだと気付いてたみたい。 それでも私たちのことだろ、って言わないのは先輩なりの優しさなんだと思う。 その優しさが、すごく心地良い。 ぶっきらぼうな物言いだけど、先輩は私たちのことを本当に考えていてくれている。 私、やっぱりキョン先輩のことが好きで良かった… あ、けど…好きな人が先輩だっていうのは、ばれてない…よね? 次の日、私は久しぶりに(と言っても一週間も経ってないけれど)みなみちゃんを帰りに誘った。 私もみなみちゃんも、相手のことを考えて上手くいってなかったんだ。 同じ思いをぶつければ、きっと元の関係に戻れるはず! 私はみなみちゃんを商店街のマク○ナルドに有無を言わさず連れて入った。 ゆたか「えへへ、無理に連れてきちゃってごめんね。予定とか無かった?」 そう聞くと、みなみちゃんはいつも通り言葉少なに「ううん…大丈夫…」とだけ言った。 しばらく無言で二人でポテトを食べて、少し気まずい雰囲気だったけど勇気を出して言いたかったことを口にすることにした。 ゆたか「あ、あの!みなみちゃんは好きな人っている?」 みなみちゃんは私の言いたいことを察したのか、少し曇った表情でコクリと首を縦に振った。 これを言ったらみなみちゃんとの関係が崩れるかもしれない。 それでも、このままみなみちゃんと離れていくのは嫌だ。 自分に出来ることはしっかりとやっておきたい! ゆたか「私は…私はキョン先輩のことが好き!みなみちゃんは、キョン先輩のことどう思ってる?」 数秒の間が何時間にも思える。 きっとみなみちゃんの答えは決まっている。 けど、それでも私はみなみちゃんと友達でいたい。 みなみ「私も…キョン先輩のことが、好き…ごめん、ゆたか…」 みなみちゃんの曇った表情は相変わらず。 でも、好きっていう言葉を聞けてよかった。 私は私に出来る限りの笑顔で、こう答えた。 ゆたか「謝ることなんて無いよ。私もみなみちゃんもキョン先輩のことが好き。恋敵で、仲間だね!」 みなみ「ゆたか…うん、そうだね…仲間だね」 ゆたか「そうだよ、仲間だよ!一緒に頑張ろうね!」 みなみちゃんはやっと私の目を見て笑ってくれた。 なんだか嬉しくて少し涙目になってしまう。 みなみちゃんの目も少し潤んでいるみたい。 私たちはやっと、本当の友達になれたんだ。 そうして、私とみなみちゃんとの関係は元に戻って、ううん、前よりももっと仲良くなった。 先輩とは学年が違うからあんまり会う機会はないけど、今日も先輩に会えるかな、なんて二人で笑って話せる。 今度二人で両方から腕を組んで困らせちゃおうか、なんてちょっとした悪戯も二人で考えてみた。 そのときの先輩の反応が楽しみだね、なんてね。 ちなみにあの日、私たち二人のわだかまりが解けたあと、キョン先輩が鈍感すぎる、っていう話題で盛り上がった。 先輩が卒業してしまうまでもう一年も無い。 それまでに、私たち二人とも先輩に告白できればいいね、みなみちゃん。 P.S. 先輩が私のことを待っててくれていたあの日、実はみなみちゃんが先輩に頼んでいたみたい。 『ゆたか、きっと大きな悩みを抱えています…けど…私じゃ力になれないから…先輩、ゆたかの悩みを聞いてあげてください』って。 きっと何のことで悩んでたか、みなみちゃんは知っていたはず。 だからこそ関係が少しおかしくなっていた。 それでも私のことを思いやってくれるみなみちゃんのことを考えたら、少し涙が出そうになった。 みなみちゃん、私の友達でいてくれてありがとう。
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入学からの付き合いである親友三人が開いてくれた誕生会は笑顔と共に終わり、 みなみ達は二組に分かれて別々の部屋で眠ることとなった。 隣の部屋にいるのはひよりとパティ、そして今みなみの隣で布団に入っているのは、 「今日は楽しかったね、みなみちゃん」 そう言って惜しげもなくみなみに笑顔を向けてくれるゆたか。 「なんだか私達のほうが盛り上がっちゃったみたいで」 「ううん、私も楽しかった」 プレゼントを貰ったり、みんなでゲームをしたり。 それは嬉しくて、楽しくて、けれどあっという間に過ぎてしまったひと時だった。 「今までで一番の誕生日だったかもしれない」 「本当?」 「うん、だって」 お父さん、お母さん、そしてひよりやパティには悪いけれど、 「ゆたかがお祝いしてくれたから」 「ええっ、な、なんだか照れるよう」 「でも、本当のことだから」 今日何度も見たゆたかの笑顔。 それを見る度にみなみの胸は大きく高鳴ってしまって。 それはゆたかにお祝いされて嬉しいんだなと思わせるには充分だった。 「えへへ……そう言ってもらえると嬉しいな。あのね、みなみちゃん」 「なぁに、ゆたか」 「大好きだよ」 ドクン。 まただ。胸がきゅうっとなる、この感じ。 みなみがゆたかの笑顔を見たときに起こる、不思議な症状。 けれど今のこれは、それまでのものとは比べ物にならないくらいの大きさだった。 「私、みなみちゃんに会えてよかった。みなみちゃんにいろんなことを教えてもらった。 だから私、みなみちゃんに感謝してるんだ」 ゆたかが言葉を紡ぐごとにみなみの胸の高鳴りは大きさを増していく。 決壊したダムのように血が心臓に流れ込んできて、 忙しなく動くそれは一向に止まってくれそうになかった。 「みなみちゃんに喜んでもらえたっていうことは、私の気持ちがみなみちゃんに届いたってことだよね。 良かった。それは、私のみなみちゃんへの気持ちだよ。 来年も、再来年も、そのまた次の年も、それから先何年も何十年も……。 こうやって、みなみちゃんのそばで私の気持ちを伝えられたらいいな」 「ゆたかっ……!」 ゆたかの言葉が終わると同時に、 みなみは愛しさのあまり胸が張り裂けそうになっている親友の名を呼んだ。 「ど、どうしたの、みなみちゃ……わわっ!」 そして側で寝ているその親友の腕を取り、 そのまま勢いに任せてその小さな体を自分のほうへと引き寄せた。 「ごめん、ゆたか……なんだか急に、胸がドキドキしちゃって。 それで、ゆたかの言葉を聞いていたら、ゆたかを抱きしめたくなって、それで」 みなみは衝動的にゆたかを抱き寄せてしまったが、 その衝動が治まった後も尚、ゆたかの体を離そうとはしなかった。 今ここでゆたかの体を離してしまうことは、みなみにとってひどく不安なことだったのだ。 「みなみちゃん、すごくドキドキしてる……」 心臓は相変わらずみなみを内側から激しく打ちつけ、 このままみなみの体を破いて外に飛び出してしまいそうだった。 「ごめん、変だよね、私……」 「ううん。気にしないで……でも、どうしよう、なんだか私までドキドキしてきちゃった」 体全体に伝わるドクドクという鼓動。 それに付随するかのように、密着したゆたかの体からもかすかな鼓動が伝わってくる。 「ゆたか……」 「みなみちゃん……」 追いつき、追い越し、一緒になって。 みなみはゆたかの鼓動を感じるにつれ、ゆたかが自分の中に入り込んでいるような気になった。 そんなことを考えると、どういうわけか体が熱くなっていった。 呼吸は次第に感覚を狭め、自分の耳ではっきり聞けるほどに荒く、深くなっていく。 それはゆたかも同じようだった。 耳元にゆたかの深い息がかかるとまた体が熱くなった。 熱くてどうしようもなくて、体をもぞもぞと動かすと、 ゆたかの肌の感触がパジャマ越しに伝わった。 頭がどうにかなってしまいそうだった。 自分とゆたかの息の音が耳を支配する。 それは部屋全体に響いているのではないかと思うくらい大きかった。 苦しいけれど、こうしていたい。 矛盾したおかしな頭は、そのうちもっとおかしな願望を抱いていた。 ――ゆたかに、キスがしたい。 みなみの頭は次第にそのことしか考えられなくなっていった。 でも、ゆたかにキスだなんて。 出来るわけがない。何を考えているのだろう。 ゆたかは友達で、しかも女の子なのに。 けれど、この抑えようのない気持ちはどうしたらいいのだろう。 キスしたい。 キスがしたい。 ゆたかにキスがしたい。 きっと次にゆたかの顔を見てしまえば、 みなみはこの思いをもう引っ込めることが出来なくなってしまうだろう。 しかしだからと言って、いつまでもこうしていられるわけではない。 いっそこのまま眠ってしまえればいいのだが、 こののぼせた頭を抑えて眠りにつくなど、今のみなみには出来ようはずもなかった。 一体、どうすれば――、 「み、みなみちゃん、苦しいよぅ」 思考の螺旋に陥りかけていたみなみはゆたかのその言葉を聞き、 いつのまにか腕に力が入ってしまっていたことに気がついた。 「ごめん、ゆたかっ……!」 みなみは慌てて体を離したが、 それによって今まで見えなかったゆたかの顔を見てしまうことになり――、 「……っ!!」 みなみの体はその場で硬直してしまった。 ほのかに上気したゆたかの顔は、 みなみの記憶していたゆたかのそれよりもずっと可愛く、艶っぽいものだった。 ゆたかはやや苦しそうに息をつき、みなみのほうを見つめている。 みなみの視線はもうほとんどゆたかの唇へと注がれていた。 今すぐにでもそれを奪ってしまいたかったが、 それをしなかったのは、みなみをかすかな理性が繋ぎとめていたからだった。 しかしその理性の糸はあまりに細く、何かの拍子にぷつりと切れてしまいそうだった。 心臓の音はいつからかドクドクからバクバクへと変わっていた。 唇からゆたかの目へと視線を移すとぱちりとゆたかと目が合い、 そしてまたみなみの胸は切なくきゅうと締め付けられていく。 もう、限界だった。 心の中でゆたかに謝りながら、みなみがその唇を近づけようとしたその時、 「どう、する……?」 ゆたかが不意に口を開いた。 みなみはそれによってすんでのところでキスを思いとどまった。 そしてかすかに回る頭の中で、ゆたかの言葉が反復していった。 (どう、する……?) ゆたかは確かにそう聞いた。 その問いかけは何かの判断をみなみに仰いでいるということは分かるのだが、 その何かがみなみには分からなかった。 いや、本当はもうほとんど見当はついているのだ。 ゆたかは、みなみにキスするかどうかを聞いている。 ゆたかの目は相変わらずみなみを見つめているが、 言葉の真意はその目からは読み取れそうになかった。 しかし、この状況を考えると、みなみはそれしか思い当たる節はなかった。 みなみはそう期待する一方で、 まさかそんなことはあるはずない、とそれを信じられずにいた。 そんな都合のいい話、どこに転がっているだろうか。 みなみは一瞬こそ期待したものの、考えるほどにそれを否定する気持ちのほうが強くなっていった。 しかしその胸中は、ゆたかの次の一言で完全に覆されることとなった。 「私は……いいよ。だって、」 この場合の"いい"、には二種類の取り方があるが、今回に限ってはそうではなかった。 なぜならゆたかのその顔は優しい笑みをたたえており、 "OK"以外の意味は一切そこから読み取れそうになかったからだ。 (だって……だっての先は何があるの、ゆたか) みなみはゆたかの言葉の先を恐れていた。 それは拒絶の言葉が出ることを恐れていたのではない。 ゆたかの次の言葉によって、自分の歯止めがきかなくなるような予感がしていたからだった。 果たして、みなみの予感は的中することとなる。 「だって、みなみちゃんだもん」 ぷつん、がらがら。 みなみは頭の中でそんな音を聞いた気がした。 その瞬間、みなみはゆたかの唇を塞いでいて―― 止まらなかった。止められなかった。 みなみはキスの経験などなかったので、 自分の体の求めるまま、無我夢中でゆたかに口付けていた。 触れるだけでは自制できず、貪るように唇を沿わせ、 ゆたかの唇を吸ったり、舌で愛撫したりした。 ゆたかは最初こそ少し体を強張らせていたものの、 徐々に弛緩していき、次第にみなみに身を任せるようになっていった。 ゆたかの唇から漏れる切なげな声はみなみの情欲を一層かきたて、 呼吸をするのも忘れるほどゆたかに夢中にさせた。 ゆたかが欲しい。もっと、もっとゆたかを愛したい。 ああ、自分はゆたかのことをこんなにも愛おしく思っていたんだ。 みなみは思考の混沌の最中、ゆたかへの思いに気付く。 するとみなみはえも言われぬ感情の昂りに襲われ、 いてもたってもいられなくなり、ずっと触れ合っていたその唇を離した。 そして先ほどのようにぎゅっとゆたかを抱きしめ、ありったけの自分の感情を吐き出した。 「大好きっ…! 大好き、大好き、大好きっ!!」 ゆたかだけが聞くことを許されたその思いは、何度も何度も言の葉となった。 みなみがこんなにも誰かに感情を吐露するのは初めてだった。 それはみっともない光景だったかもしれない。 しかし、それでもみなみは伝え続けた。 こんなにも誰かを愛したいと思ったことはないから。 だから、伝えられるだけみなみはその思いを、愛しき親友に向けようと思ったのだ。 「ゆたか……離したくない。今だけは、私のわがままを聞いて」 みなみはゆたかが頬を染めた顔で小さく頷いたのを見止めると、再びゆたかに口付けた。 胸の内を吐露したことにより今度は少し落ち着いた頭でキスすることが出来たが、 唇の感触を味わっているうちに体が熱くなり、 段々と思考に自制がきかなくなってくるのをみなみは感じていた。 口を割ってみなみの熱を帯びた舌が入り込むとゆたかは体を震わせ、 みなみの口にくぐもったよがり声を大きく響かせた。 みなみの舌が口内で動くたびに、ゆたかはまだ幼さの残る可愛らしい声で、 しかし非常に官能的な声でそれに応えた。 あのゆたかが、自分のキスでこんなにも艶めかしい声を出している。 そのことはみなみをひどく興奮させていた。 いつしかゆたかも自分から舌を動かしており、 二人のどちらともつかない場所でみなみ達はいっそう激しく絡み合っていた。 みなみはゆたかとのキスに悦びを感じていたが、その一方で不安も感じていた。 ゆたかを欲しいと思う気持ちが、いつまでたっても治まらない。 それどころか、ゆたかと唇を重ねているとどんどんそれが増幅していく。 みなみはその不安を振り切ろうとするかのようにひと際大きくゆたかをよがらせた後、 唇を離し、ゆたかの肩のあたりに額をぎゅっと埋めた。 「ゆたか……どうしよう、私、自分が止めれらない。 これ以上したら、絶対にゆたかを傷つけてしまう。 でも、止めたくない、もっとしていたい…!! ゆたか…、私はどうすればいいの……?」 ゆたかを想う気持ちと、ゆたかを思いやる気持ちが交差し、ぐしゃぐしゃになる。 ゆたかはこんな自分を、情欲を抑えることが出来ない自分をどう思うだろうか。 いっそ嫌ってくれたら。そうすればゆたかを傷つけなくて済むのに。 みなみがそんなことまで考えていると、突然ゆたかの手がみなみの頭にふわりと触れた。 驚いて顔を上げると、ゆたかは「安心して」と書かれているような、優しい顔をしていた。 そして軽く口付けたかと思うと、体勢を変え、みなみの上に覆いかぶさった。 「心配しないで、みなみちゃん。私が落ち着けてあげる……」 ゆたかはそう言ったかと思うとみなみのパジャマのズボンに手をかけ、静かに下ろし始めた。 「ゆ、ゆたか……?」 「そのままでいて、みなみちゃん」 ゆたかはそのまま、みなみの下半身を露出させていく。 みなみはゆたかの手が足に触れるたびに押し倒してしまいたい衝動に駆られていたが、 ゆたかの言ったことを心の中で反復し、必死に堪えていた。 「ふ、あっ!」 突然、体中に今まで感じたことのない感覚が走ったのは、 ゆたかの手がみなみの下着に触れたときだった。 「ゆたか、何してっ……」 「大丈夫、大丈夫だから……」 ゆたかはそう言うが、みなみは初めての感覚に戸惑いを隠せなかった。 不意にゆたかに触れられたかと思えば、一瞬声が勝手に出るほどの何かに襲われた。 その何かはよく分からなかったが、みなみにはそれは一瞬だけでもとても気持ちの良いものに感じられた。 「みなみちゃん、ぐしょぐしょだね……、脱がしちゃっても、いい……?」 ゆたかにそう言われ、みなみは下着周りが濡れたように冷たくなっていることに気がついた。 少し恥ずかしかったが、そのままだと少し気持ちが悪そうだったので、みなみは小さく頷いた。 ゆたかに脱がされているとき、みなみは羞恥とともにかすかな期待を抱いていた。 もし、さっきのあの感覚が何度も続くのなら。 それは今からゆたかによってもたらされるのではないか、と。 ゆたかは下着を下ろし終わるとみなみの露になったそこに手を差しやった。 「痛かったりしたら、言ってね……」 そしてゆっくりとその小さな指を動かし始めた。 「あっ、ん……」 ゆたかに触られているところを中心に、またあの感覚が駆け抜けていく。 どんな風に触っているのかは分からないが、とても気持ちが良かった。 それはキスの気持ちよさとは全く違うもので。 「やっ、あっ、ゆたか、だめっ……、変になりそうっ……」 それはときに、不安さえも感じるものだった。 このままこの快感を受け続けたら自分はどうなってしまうのだろう。 何も考えられなくなって、体も動かせないようになってしまうのではないか。 そう思ってしまうほどにこの感覚はみなみの全身を支配していた。 「みなみちゃん、声、大きいかも……」 「ごめっ、ゆたか……ぁっ、んんっ……」 ゆたかに言われて片手で口を押さえても、 もう片方の手でシーツをぎゅっとつかんで堪えても。 我慢しているつもりなのに、勝手に声が出てしまう。 艶っぽさとは無縁の自分が、こんな声を出しているのは少し恥ずかしかった。 「ゆ、ゆたかっ、駄目、ぞくぞくして……変な感じ……」 ゆたかに撫でられている内にみなみは、 体の奥底からえも言われぬ何かが押し寄せてくる感覚に見舞われた。 それこそ、先ほどから感じていた不安の正体であると言ってよかった。 「心配しないで、みなみちゃん。そのまま楽にしていて」 ゆたかはそう言って、シーツを握りしめていたみなみの手を取った。 それだけのことだったのにみなみは何だか安心してしまい、 すると今度はどうしようもなくゆたかのことが愛しくなってしまって、 「ゆたかっ、キス、したい……」 ゆたかは愛撫を続けたまま、ゆっくりとみなみに近づいた。 そして唇が重なると、ゆたかは口を開けてみなみの口内へ舌を滑り込ませた。 その瞬間、みなみは自分の体が強い快感に飲み込まれていくのを感じた。 ゆたかの口の中へと嬌声を響かせ、体を仰け反らせた後、 みなみは全身どこも力が入らなくなり、ベッドの上に身を落とした。 「はぁっ、はぁっ……」 喋ろうにも息が乱れて声が出ず、また、頭もはっきりとしないせいで何も考えられなかった。 「みなみちゃん、大丈夫……?」 ゆたかの問いに辛うじて頷く力は残っていたらしく、みなみは小さく頭を縦に動かした。 「どう……? 少し落ち着いた、かな」 そういえば、ゆたかに触ってもらう前のあの胸が押しつぶされるような苦しみはもうなかった。 というか、途中からそれどころではなくなっていたのだが。 みなみがまた頷くと、ゆたかは安心した表情を浮かべた。 「良かった。お姉ちゃんのゲームが役に立ったかな……」 「?」 「え、ううん、な、なんでもないよっ、あは、あははっ……」 みなみは絶頂からややあって体も少し自由がきくようになったので、 ゆたかをまた抱き寄せるために体を起こそうと足を動かした。 すると山になったひざが丁度ゆたかの足の間に入ってしまったようで、 ゆたかは突然の刺激に「ひゃっ」と可愛らしい声をあげた。 みなみはその様子に悪戯心のようなものを芽生えさせ、 そのまま膝をぐりぐりとゆたかの秘所に押し付けた。 「やっ、あうぅ……駄目っ、みなみちゃんっ」 ゆたかはみなみの膝の上で上手くバランス取れず、 そこから抜けようとしてもなかなか抜けられないようだった。 それをいいことにみなみはさらに膝を動かし、ゆたかのそこを刺激し続けた。 すると最初こそゆたかは抵抗していたものの、徐々にその抵抗も弱まり、 ついには完全にみなみのおもちゃのようになってしまった。 「はぁっ、はぅぅ……気持ちいいよぅ……」 みなみは下着とパジャマ越しにもゆたかのそこがひどく濡れてきていることが分かった。 「ゆたかも、ぐしょぐしょ……」 「い、言わないでよぉ~……あうぅ……」 ゆたかは恥じらいながらもみなみに抗おうとせず、 完全に快楽の虜になってしまったようだった。 そのうちみなみの愛撫だけでは物足りなくなったのか、 自分からみなみの膝の上で腰を振って快楽を求めていた。 「あっ、あっ、はぁぁっ……や、止まんないよぅ……」 虚ろな瞳で口を半開きにしながら喘ぐ様は、 いつもの無垢なゆたかからは想像も出来ないほど官能的だった。 みなみはその様子に一旦は治まっていた情欲がまた自分の中から湧き出てくるのを感じ、 ゆたかが喘ぐことに不思議な悦びを覚えていた。 「ん、ん、あっ、あっ、も、駄目っ……気持ち良いぃ……」 ゆたかはよがった声でそう言った後、前後に激しく腰を振り始め、 そしてびくんと大きく跳ねたあと、小さく体を震わせながらみなみの上へと崩れていった。 「みなみちゃん、おはよぅ~……」 「ゆたか……、うん、おはよう……」 明けて十三日。 みなみ達は昨夜の疲れがまだ残っているのか、少々だるそうに朝の挨拶をした。 結局あの後みなみ達はすっかり盛りがついてしまい、二回、三回と体を重ねてしまったのだ。 おかげでパジャマ、下着はすっかりびしょ濡れ、シーツも乱れ放題で、 後で気付かれないうちに洗濯機に放り込むしかないようだった。 しかしそんな憂いも、今日からみなみはゆたかの顔を見れば吹き飛んでしまうのだ。 「あのね、みなみちゃん」 「なぁに、ゆたか」 「大好き。何か順番が前後しちゃったみたいだけど、私、みなみちゃんのこと大好きだからね」 「ふふっ、その言葉なら、もうとっくにもらったよ、ゆたか」 「ええっ、あ、あのときのはほら、その、そういう意味じゃないっていうか、その」 「ううん、一緒。どんな意味でも、"好き"ならそれで良い。 私達が一緒にいるのに、"好き"以上の理由も、それ以下の理由も必要ないよ」 そう、そんなことはどうだっていい。 お互いのことを好きでいる限り、みなみ達はいつまでも一緒なのだから。 「みなみちゃん……うん、そうだね! ふふっ、みなみちゃん、大好きだよ」 「うん、私も、ゆたかのことが大好き。田村さん達が待っているかも……、急ごっか」 「うんっ」 二人の歩む道は、先が見えないほどにずっとまっすぐ続いている。 今日もその一歩を踏みだすために、その先にどんな障害があろうとも二人で乗り越えていけるように、 みなみ達は手に手をとって、一緒にドアを引く。 おまけ 「あ、パティちゃん、おはよう~」 「おはよう、パティ……」 「Good morning、ミナミ、ユタカ♪」 「あれ、田村さんは?」 「(ガチャッ) おはよ~……、小早川さん……、岩崎さん……」 「ど、どうしたの、田村さん、なんだか、やつれてるみたいだけど……」 「いやーね~……、昨日の夜ちょーっとどーもーな獣に襲われたというかー、なんというかー……川*´ ヮ`)」 コメントフォーム 名前 コメント