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第百十話 俺を知った気になってんじゃねえ! 投稿者:兄貴 投稿日:10/04/11-09 17 No.4324 シモンが突然居なくなった。 最初は少し気にする程度だったが、まったく現れる様子のないシモンに、ネギたちは僅かな不安がこみ上げてきた。 先ほどまでは、シモンの居ない間にハルナに唆されて、ネギは少女たちと仮契約大会などを繰り広げていた。 当然、木乃香のようにシモン狙いは、シモンを探していたのだが、パーティー会場にはシモンは影も形も無く、ただ不安だけが残っていた。 「美空さん・・・・・シモンさんは本当にどこへ行ったんですか!?」 「う~ん、ちょっと体調が悪そうで休んでくるって言ってたけど・・・・な~んか心配になってきたっすね~」 「ちょっと~、もう直ぐあの変態総督と会うんでしょ? せっかくシモンさんが一緒だと思ったのに~」 姿を消したシモンに、グレン団やアスナたちも表情に不安が見える。 (これだけ待っても来ない・・・・ラカンさん・・・・シモンさん・・・・僕は・・・・) これから何が起こるか分からない。 しかしラカンとシモン、存在だけで頼もしい二人が、結局肝心なときに姿を見せないことに、先ほどまでの楽観的な雰囲気から徐々に緊張感が漂っていた。 何故なら彼女たちの一見楽観した様子も、ネギを含めたシモンやラカンが居てこそのものであり、だからこそ安心してパーティーを楽しんでいたのだ。 だが、そんな状態でいよいよ・・・・ 「ナギ様」 時間がやってきてしまった。 「クルト・ゲーテル総督が特別室でお待ちです。同行者は3名まで許可されています」 クルトの付き人の少年がネギたちの前に現れたのだった。 ついにこの時が来てしまったのかという雰囲気で息をのみこむ少女たち。 シモンが居ないことに不安に思う少女たち。 「そ・・・そんな・・・まだラカンさんとシモンさんが来てないのに・・・」 「・・・ネギ先生・・・・」 今の状態でどうするべきなのか? (シモンさん・・・・ラカンさん・・・・僕は・・・・) これだけ人数が居ても、たった二人が居ないだけで少女たちは浮かない顔をしている。 それだけ彼女たちにとって、二人のウエイトは大きかったということだ。 それはネギにとっても同じことだった。 しかし・・・ (・・・・・・・・・僕に出来ることをやります・・・・) そんなネギは、少女たちが戸惑ったほんの数秒で・・・ 「・・・・分かりました」 少し返答に間をおいて、ネギは小さく頷いたのだった。 「ちょっ、ネギ!? ラカンさんやシモンさんを待たないでいいの?」 「ネギ先生・・・よろしいのですか?」 帰らぬ二人を置いて、クルトとの面会を果たそうとするネギをアスナが止めようとするが、ネギは首を横に振った。 何かを確信したかのように・・・ 「これだけ待っても現れないということは・・・シモンさんとラカンさん・・・きっと何かあったんでしょうね・・・・」 「「「「ッ!?」」」」 少し考えながら口にしたネギの言葉に、アスナたちは一斉に身を乗り出した。 「ちょっ、どういうことよ!?」 「兄貴たちに何かあったってどういうこと!?」 だが、確かにネギの言うとおり、何かがなければこの状況に説明はつかない。 むしろ驚いたのは、そんな二人を放っておこうとするネギの態度だった。 だが、ネギは首を横に振る。 「何かがあった・・・しかしそれでも二人は何も言わずに行かれました・・・それは・・・・心配するな・・・・任せろ・・・そういう意味なんだと思います。そして二人はここを僕に任せた・・・そういうことなんだと思います」 それは決して薄情な思いではない。 二人よりも総督の話が気になるということでもない。 何も言わずに消えた二人は、無言でこの場を自分に託したのだとネギは判断した。 総督の話を聞かずに二人を捜しに行くのは簡単だ。しかし、消えた二人はそれを絶対に望まないだろう。 「だからここに居る僕は・・・ここで僕のやるべきことをやりたいと思います。それに・・・あの二人を心配だなんて言ったら、それこそ殴られちゃいますよ。俺を誰だと思っているんだ? って言われて」 そう言ってネギは笑った。 自分だって心配だろう。 しかしそれを表情に出さないよう、そして二人を信じて笑った。 「会います。クルトさんと会わせてください」 ネギのその想いにアスナたちも少し互いに顔を見合った後頷いた。 たしかにあの二人に自分たちが心配するというのもおかしな話だった。 心配なのはむしろ自分たちの方だ。 だが、それでもシモンとラカンは自分たちを置いてそれぞれの場所へと向かったのだ。 「ったく、あんたってば本当に仕方ないわね~」 ネギの言うとおり、それは信頼されているということなのかもしれない。 「たしかに、あの二人なら大丈夫でしょう」 「そだね~、兄貴ならきっとそう言うかもね」 「じゃあ、決まりだな子供先生」 「ン」 ネギの言葉に、シモンに置いて行かれたグレン団たちも納得した。 そしてシモンが何も言わずに消えたのは、何かあった時には自分たちグレン団はネギたちに力を貸してやれということだろう。 ならば自分たちもここに残ろうと、彼らも決めた。 「では・・・行きましょう。案内してください」 力強く、そして自分を信じきった瞳で押し通され、その表情に少年は小さく微笑んだ。 「・・・・面白いですね、あなた方」 「えっ?」 「いえ、あの悲劇の出来事から、ここまで自信に満ち溢れた者へと成長できるとは、よほどいい出会いがあったのですね」 そうだ、出会った。 ネギは出会ったのだ。 たとえ過去がどうであれ、その悲劇に飲み込まれないぐらいの力強い絆を結べるものたちと出会い、ここまで来た。 そんなこと言われるまでもない。 あのシモンだって、カミナやヨーコと出会わなければと思うと、出会いというものがどれほど重要なのかと思い知らされる。 だが・・・忘れてはいけない。 出会いというのは良いものばかりではない。 出会ったのが後悔したくなるほどの最悪の出会いだってこの世にはあるのだ。 たとえそれが運命により決められた出会いだったとしてもだ・・・・ 「ひははははははははははは!」 先手必勝。 どんな相手にもシモンは先に仕掛けてきた。 だが、シモンも人間だ。 自分の意志や体がそう告げても、無意識の細胞レベルの反応までは制御できない。 「くっくっく、場所を変えさせてもらうぜ」 「!?」 全身の細胞が警戒心を鳴らしていたため、戦いの反応に一瞬遅れた。 「空間妖術・無限地獄!!」 「なっ!?」 まったくの予想外だった。シモンが先手を取られた。 いや、警戒心をしていたにも関わらず、ユウサの不気味さが気になって、一瞬反応が遅れてしまった。 そして遅れた反応が全てを決した。 ユウサが発した光がシモンを、ユウサを、そしてあたり一面を埋め尽くし、美しい夜景が広がるオスティアの景色が変わった。 「な、・・・なんだ・・・ここは・・・・」 それはどこまでも殺風景で何も無い世界。 空も、大地も、右も左も前も後ろも、ただ真っ白な世界が広がるだけの世界。 「亜空間さ」 「何?」 「入ったが最後。俺の意思以外では出られない・・・・・まあ、常人レベルならの話だがな」 先ほどまでの祭りの世界とは一変した世界。 「な、・・・何も無い・・・右も左も上も下も・・・真っ白・・・・これが地獄?」 「くっくっくっく、もっとドロドロしたものを想像したかい? だがな、何も無い世界だけが広がる無限の空間と時間は、それほど甘いものじゃないぜ?」 まるでフェイトの従者の女の子が使っていたアーティファクトに似ている。しかしこうまで殺風景だとこちらの方がタチが悪い。 「無の世界。色もなく、音もなく、変化もなく、時間の流れも分からねえ世界。そんな世界に閉じ込められたら常人は何十時間かで精神崩壊を引き起こす。因みにシモン君のレベルなら足掻けば数時間でこの結界から脱出できるだろうが、それすら出来ない奴は半永久的に閉じ込めておける」 タチの悪い世界をシモンも珍しそうにまだ見渡している。すると、辺りをキョロキョロ見渡したら、シモンは少し離れた場所に落ちている何かを見つけた。 「何も無い・・・ん? なんだ・・・・あれは?」 「おっ、・・・ひはははは・・・何も無い世界では無かったな。出し忘れが転がってるからな」 シモンが目を凝らしながら近づくと、それは・・・・ 「ッ!?」 「ひゃははは、気をつけな。その辺には俺が閉じ込めておいて出してやるのを忘れた奴らがゴロゴロ眠っているぜ!」 シモンが見つけたもの。それは骨だった。 人の屍が、所々に落ちていた。 「こ・・・これは・・・・」 「ひはははは、片付けるの忘れてたんだよ。でも、その方が面白いんだぜ? 脱出できなくなった奴らはとにかく精神崩壊したら何をするかも分からねえ。ある奴は何も言い返せねえ骨に話しかけ、誰かも分からねえ骨を抱きしめて温もりを得ようとしたり・・・くくく、一番の傑作は・・・・ひはははは、腹が減って骨にかぶり付く奴が居たっけな! 同じ人間なのに!」 「ッ!?」 孤独や空腹、錯乱した精神がこの世界では永劫に付きまとう。無限地獄とはよく言ったものだ。 「ふざけるな・・・・」 「あん?」 だが、シモンは抑えることが出来なかった。 震える手で白骨化した遺体を優しく置き、胸の奥から感じる吐き気を飲み込みながら口を開く。 「何故・・・」 「ん~?」 「何故ここまで酷い事を・・・・笑いながら出来るんだよ!!」 駆け出したシモンは、フェイントも何も入れず、ただ怒りに任せて正面からつっこんでしまった。 「ひはは、お気に召さないか、この偽善者め!」 「ふざけんじゃねェ!!」 そんな攻撃がユウサに当たるはずもない。 ユウサはケラケラ笑いながらシモンの槍をヒラリと回避し、シモンの心を抉る。 「ひはははは、おいおいおいおい、そのセリフは自分の人生に対しても言えるんじゃねえか?」 「な、なんだとォ!?」 ユウサの発言に、シモンは目の色を変える。 「こんな話をしよう。ある売り物の前にAさんとBさんが居ました。Aさんは迷わずその売り物を盗みました。一方Bさんは散々迷った挙句、売り物を盗みました。さて、悪いのはどっちだ?」 「な、何の話だ?」 「いいから答えろよ」 訳の分からぬユウサの問い。 顔を不快に歪ませながらも、大して考えずにシモンは思ったことを口にする。 「そんなの・・・結局盗んでいるんだから両方じゃないのか? でも、だからなんだっていうんだよ!」 だが、その答えにユウサは待っていたかのように、更に上機嫌になった。 「ひはははははは、その通り! 正解だ! 重要なのは過程でどうだったとか、迷ったとか関係ない。結果だ! 結果が同じなら過程なんざ意味がねえ。そしてそれは俺たちにも言えるんじゃねえか?」 「何?」 「結果が同じなら、楽しんで殺そうと、戦争で仕方なく殺そうと、殺したことには変わりねえ。お前はどうよ? 命がけの戦いという言葉で誤魔化して、どれだけの生命を死なせた? 所詮命の価値なんてそんなもん! 状況や人の精神状態でいくらでも塗り替えることが出来る!」 「!?」 下種の唇から漏れるその言葉、しかしその言葉はシモンの心臓を捉えた。 「全部知ってるぜ? 例えば獣人の連中、四天王のチミルフ、アディーネ、シトマンドラ、グアーム、螺旋王。そういや~、お前がちゃんとしいてれば、カミナは死ななかった」 「な、なに!?」 「獣人のガンメンを強奪して、やりたい放題したテメエは何だ~? 悪気もなく開き直ってるテメエのほうがよっぽど悪じゃねえか?」 「だ、・・・・黙れ!!」 「アンチスパイラルが襲来したとき、ロシウの言葉を無視して突っ込んで市民に多大な被害を与えたのは誰だ? お前が外の世界を開放した所為で死んだグレン団は? キタン、ゾーシィ、キッド、アイラック、マッケン、ジョーガン、バリンボー、皆お前という希望に酔って命を落とした!」 「・・・・・・え?」 「ん? ニアは違うか? どのみち崖に捨てられていたときに死ぬはずだった。ひゃはは、お前が見つけようと見つけまいと、どちらにせよ死ぬ運命だったか!」 「テメエ!? 何で・・・何でアンチスパイラルやニアのことを!?」 それはありえないことだった。 何故ならこの世界ではテッペリン攻略までしかシモンたちの物語は放映されなかった。 だからニアの死、そしてアンチスパイラルに関してはネギたちだって知らない。 この世界で知っているものなど居るはずがない。 居るとすれば・・・・ 「ひははははは、間抜けだぜシモン君。そして、この世界には骨になったカスよりも、もっと魅力的なものがあるのに気づかないのかい?」 「・・・・な、なんだと・・・・」 「あれを見な!」 ユウサはある方角を指差した。その先には確かに遺体とは違う何かが落ちていた。丸く、大きい、そして赤い色の物体だ。 「えっ?」 その瞬間、シモンはゾクリとなった。 少し遠いが見間違うはずもない。だが、それでも考えられない。シモンは無我夢中でその物体へ走った。 「う、・・・・・うそ・・・・だろ・・・」 そして見た。 「・・・・ラガン・・・・何で・・・・」 ボロボロで草臥れたラガンがそこに居た。 ありえない物体にシモンが動揺するが、シモンは即座にその意味を理解した。 「ひははははははは、恐れ入ったぜ螺旋族! 人様の宇宙にまでズカズカと上がりこむなよな! テメエらはテメエらの宇宙のちっぽけな星の地下の世界で生きてりゃあ良かったんだよ!」 「ッ!? お前、顔神遺跡にあったラガンを盗んだな!!」 「くっくっく・・・・・ひははははははははははは!!」 瀬田達と行った顔神遺跡。 あの時は気づかなかったが、はるか大昔に自分と同じように異なる宇宙へ来訪した螺旋族が居た。 そのラガンが、今目の前にあるのだ。 「答えやがれ!!」 「ふふふふ、正解! ならば、俺の要求は分かっているな?」 「な、・・・なんだと?」 「かつてラガンを掘り起こしたシモン君・・・・君はこれをどうしたのかな?」 無の世界に唯一響き渡る鬼の笑い声。シモンはその言葉に小さく頷いた。 「・・・・お前・・・・まさか・・・・・・」 「ひはっ!」 そうか・・・・そういうことか・・・・ この男が自分を呼んだ理由・・・ 「・・・・お前、盗んだはいいけど・・・・動かせないんだろ?」 その言葉にユウサはニカッと笑って頷いた。 「その通りだ! コアドリルが無いからか、もしくは螺旋力とやらが俺にはないからか、どちらにせよ持って来たはいいがウンともスンとも言わねえ。まあ、この空間に置いておけば持ち運びにも便利なんでな。それにお前さんと話をするならここの方が周りを気にせず都合がいいと思ったんだよ」 「待て、何でお前が螺旋力のことまで!? それにさっきは、ニアとアンチスパイラルのことも・・・・・・・・まさかお前・・・・」 「ひひ・・・ひはははははははははは!! その通り! ファイナルアンサーなんて、必要ない! 今すぐ言ってやる! 正解だァ! これなーんだ?」 服の中をゴソゴソあさり、ユウサは自慢げに懐から一本のフィルムを取り出した。 それこそが、盗まれたシモンの物語。 「お前・・・・お前がそれを盗んだのか!?」 「その通りだ。そして俺は全てを知っている。お前がこの世界で記憶喪失になったのも、超鈴音、武道大会、学園祭、可愛いエヴァちゃん、ヨーコの出現、悪魔の襲来、詠春の娘からの告白、京都でのスクナや天ヶ崎家の娘、アーウェルンクスとの戦い、坊やたちとの出会い、家族との出会い、そして・・・ニアや大グレン団のメンバーの死! そしてアンチスパイラルのこともな!!」 「!?」 「ふふふふふ、いや~、中々面白かったぜ。まさか異なる宇宙の来訪者とはな。ワープの力とやらもスゲ~な~」 自分の全てをこの男は知ってしまった。 ネギたちでも美空たちでもない。 自分のこれまでの進んできた道の全てを知ったのは、何とこの男だったのだ。 「・・・・・・・お前は何を企んでいるんだ・・・・」 「企む? 心外な。面白いことをしようとしているだけさ。シモン君、君の力やラガンの力、そして影響力。分かるか?」 「・・・・何をだ?」 「それは世界を巻き込む力だ! それは超鈴音とかいうガキが言っている通りだ。君とラガンとこの記憶映像の三つで星の行く末を左右できる。おもしれ~だろ~? たった一人の異邦人により、世界の未来が委ねられている! 傑作じゃねえか! そしてその鍵を、この俺が手に握っている!」 「・・・・・ふざけるな・・・」 「ひはははは、だからこそ言おう! シモン君、俺の仲間になれ! 既に計画は大まかに出来ている! 時代にうねりをあげてみねえか?」 「ふざけるんじゃねえ! そんなもんに俺が手を貸すと思ってんのか!?」 「ふっ、そうか? だが、俺は超鈴音とかいう娘の言葉を聞いて未来を確信した。君の物語が歪むかどうかは知ったことじゃねーがな」 「ッ!?」 「魔法の時代はもう終わりだ! 今こそ新時代だァ!!」 その瞬間、シモンは脳裏に思い出す。 素直になれず、意地ばかり張っていた少女。 未来から来たその少女は、小さな背中で涙を堪えながら、歪んだ物語と決別するために命を賭けた。 その少女が流した涙と本音を今でも覚えている。 ―――それが・・・アナタがこの世界で広めたグレン団の姿が・・・時を経て捻じ曲がるとは思わないカ? ・・・明日・・・アナタが仮に勝ったとしても・・・魔法使いではないのにそれ以上の力を振るうシモンさんたちの物語が・・・・世界に影響を及ぼすとは思わないのカ? あの涙と失望を変えるために自分は戦った。 「ッ、この野郎!!」 まさか・・・・ そう思わずには居られない。 「お、・・・・お前の仕業だったのかッ!?」 気づいたら駆け出していた。 「ひはははは、知るかよ! 未来がどうなるかなんざ分からねえ。仮に捻じ曲がったとしても、そりゃあお前さんたちの問題だろ?」 「黙りやがれ! お前の・・・・お前の好きにさせてたまるかよッ!!」 それ以上は言わせてなるものかと、シモンは激昂してユウサに怒りの槍の突きを何度も放つ。 「ひはははははは、どうやら嫌われちまったようだな。人に好かれようと思ったことがねえから、コミュニケーションってのは難しいね~。それに俺をどうしようと暴走する時代は止まらない。そろそろ・・・・他の奴らも動き出すころかもしれないからな」 「何を言ってるのかは分からねえが、それは俺の記憶だ! 返してもらうぞ! そしてラガンもだ! それはお前なんかが手にしていいものじゃない! それは俺たちの宇宙の希望の証! 時代を創ったシンボルだ!」 「ひはははは、嫌だと言ったら?」 「奪い返す!」 「出来るのか? グレンラガンもねえ君ごときにな!」 「ごときかどうかなんて関係ない!」 「ふふふ、君には交渉したいだけなんだが、意外と好戦的だな。だが、まあいいだろう」 決裂した。 いや、交渉など最初から無い。この二人が交わることなどありえない。 これもまた必然・・・・ 「ひはははははは、宇宙はもう飽きただろ? なら特別に、テメエの知らねえ地獄巡りの旅に連れて行ってやる!」 「地獄の底なんざ、貫いてやる!!」 世界を貫く力と世界を左右させる力。 シモンの輝くソルバーニアとユウサの拳が強烈な衝撃波を巻き起こしながら交錯する。 「くっくっく・・・・・」 「散々ヘラヘラ笑いやがって、テメエのニヤケ面、今ぶち壊してやる!!」 「やってみなァ!!」 あくまで笑みを絶やさぬユウサ。 その表情を一秒でも見たくなく、シモンはソルバーニアと螺旋力を最初から全力解放し、ユウサを消滅させることすら厭わぬほどの力を振るう。 「いくぜ、ソルバーニア・ギガドリル!!」 いきなり大技。ソルバーニアの先端の槍がギガドリルと化した。 「ひはーーっ、いきなりギガドリルか! うれしいねーッ!」 だが、それを恐れるどころか、ユウサはますます機嫌良さそうにハシャイだ。 だが、構うものか。とにかくやるべきことはぶち込むだけ。 「ブレイクゥゥーーーーッ!!」 「くっくっく、だが・・・・冷静じゃないな! 頭を冷やしな!」 うねりを上げて向かってくるシモンに対して、ユウサは手元で印を結び、地獄の吹雪を放出させる。 「極寒地獄!!」 「ッ!!」 「地獄の吹雪に身を冷ませ!」 荒れ狂う猛吹雪が、ドリルの回転を鈍らせていく。回転が軋み、想像を超える寒さが手を振るわせる。 だが・・・それがどうした! 「こんな寒さ・・・あの暗く孤独な銀河螺旋海溝に比べれば・・・・・なんてことねえ!」 それで止まるほど利口なドリルではない。 「へっ、・・・・みたいだなッ!」 吹雪を突破したシモンはそのまま突進する。だが、ユウサは既にそこには居ない。 突進するシモンのドリルを軽々と交わした。 だが、シモンも見逃さない。ギガドリルを解除して、ソルバーニアの力を使ってユウサに迫る。 「逃がさねえ!」 「ふっ、な~るほど~、たしかに速いな。それがニアの魂との合体により得た力か?」 シモンの巨大な螺旋力を全て細い槍に凝縮したことにより、今のシモンはネギですら驚くほどの超速戦闘を可能としている。 それはユウサ相手にも例外ではない。 「速い・・・・・俺の鬼脚についてくるか・・・・・速さは中々だな・・・次は・・・これはどうかな?」 そんなシモンを観察するように、ユウサは余裕の笑みを絶やさぬまま次々とシモンを試していく。 自分の親指を噛み、流れる血で懐から取り出した一枚の札に何かを描き、それを放り投げた。 「式神! 大鬼蜘蛛!!」 「なっ、・・・・蜘蛛!?」 「気をつけな! 地獄の蜘蛛は気性が荒いぜ!」 投げた札が大きな煙を発し、次の瞬間煙の中から巨大な蜘蛛の式神が召喚された。 「・・・・こいつ・・・・京都にいた奴に似ている・・・・」 「ふっふっふっ、テメエが京都で戦った三流陰陽術士と一緒にするなよな! 地獄の瘴気と妖気を孕んで研ぎ澄まされた力だ!」 ユウサの合図と共に巨大な蜘蛛がシモンの前に立ちはだかり、そして蜘蛛の糸を吐き出した。 ―――鬼蜘蛛縛り!! 「ひははは、地獄に垂れ流された蜘蛛の糸は救いの糸? そんなんあるわけねえだろーが!」 蜘蛛から吐き出された糸がシモン目掛けて襲い掛かる。だが、シモンはすぐに反応して、ソルバーニアでその糸をなぎ払おうとする。 「そんなもん効くか!」 そう、なんでもないと思い、シモンは躊躇わずにソルバーニアで蜘蛛の糸をなぎ払おうとした。 だが・・・ 「なッ!?」 「甘え! 伸縮性・粘着性抜群の糸だ! どこまでも伸びて、余計に絡みつくだけよ!」 出来なかった。 簡単になぎ払えると思った糸はソルバーニアに絡みつき、そして粘着性があり、どれだけ力を込めても払うことも引きちぎることも出来ない。 「し、しまッ!?」 「飲み込まれちまいなァ!!」 その間にも蜘蛛はシモンに向けて糸を吐き続け、それがシモンの手足に、そして胴体に、次々とシモンに絡みつく。 ―――鬼蜘蛛繭!! 蜘蛛の糸がシモンの全身を包み込み、人の大きさの繭が出来上がり、シモンが完全に封じ込められてしまった。 「な、なんだこれは!? み、身動きがとれない!?」 「ひはははは、意外に呆気なかったな!」 繭の外からユウサの高笑いが聞こえてくる。 だが、ユウサの言うとおり、身じろぎしようにも絡まった糸がシモンの動きを封じている。 そして、この状況下でユウサは右手に黒い炎を放出し、それをシモンに向ける。 繭の中に居ても感じる灼熱の炎。たとえ相手が見えなくてもシモンは自身に感じる命の危機に汗を流す。 「ひはははは、だが・・・最後まで分からない。それが君だ。くっくっく・・・・本当にそうかァ? 炎熱地獄!!」
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1 2 3 4 5 唯和紬・梓憂・律澪 ※一時的に唯男体化 2009/12/15 http //yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1260855755/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る ムギュウの健気さに… みんなが幸せになってよかった。 -- (名無しさん) 2012-08-04 13 55 57 いいよーいいよー -- (名無しさん) 2011-06-04 01 57 10 クレイジー -- (名無しさん) 2011-05-10 01 37 28 なんか唯の男想像してたら、メガネのハゲデブ のおっさんがでてきて、気持ち悪くなったww -- (ぴ) 2011-05-10 01 16 53 ムギさわに期待 なんだかんだ言ってムギさわは失敗してケースがないもんなーw よく失敗するケース(結局くっつく) ・唯梓 ・澪律 だよね -- (ねむねむ) 2011-04-01 23 04 14 ムギが素敵すぎる -- (名無しさん) 2011-02-19 00 36 40 たしかこれ乗っ取り即興だよね。変にふたなりとかじゃなくて良かった -- (名無しさん) 2011-02-18 23 52 46 男体化させる必要なかっただろこれ。 -- (名無しさん) 2011-01-07 04 15 33 単なる男唯×和かと思いきや。やっぱりムギちゃん天使です -- (ムギビジョン) 2010-12-04 08 38 16 解決したあとの甘甘話も欲しかったかも でもなかなかよかった -- (名無しさん) 2010-11-17 15 14 49
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まさかの第2弾。内容が被っていることはキニシナイ 真剣スレの住人が天界でまったりゲームの話をするスレ48より 381 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 17 51 ID TsRVL3H7 ちょっとネタふり みんないままでプレイした中で一番怖かったゲームって何? 僕はPC-Eのサイレントデバッガーズが一番怖かった ビジュアル的にはエターナルダークネスなんだけど 382 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 19 08 ID FKf8/byu バイオハザードの犬が出てくるシーンで投げ出してからそういったゲームには手を出して無いぜ `,、( ∀`) `,、 383 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 19 22 ID co7hUGIE 381 ファミコン探偵倶楽部・後ろに立つ少女 384 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 20 03 ID HqMInlde ゼルダの伝説~夢を見る島~ 悲しいのと怖いのと…… 387 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 22 07 ID LFAlB8Ez トワイライトシンドローム。 あと零。 おしっこちびったゲームはこの3作だけ。 389 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 28 56 ID KsagEJEy 消えた後継者とスィートホームが同率。 スィートホームはあの「死んだら復活しませんよ」ってのが たまんなく怖かった。 390 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 38 10 ID pnKbw0Y2 怖かったゲームといえば 昔のなら、かまいたちの夜 最近だと零紅い蝶かな 紅い蝶はお化け屋敷を楽しむ感じで怖くて面白かった でも、このゲームで一番怖いと感じたのは難易度ハードにしたときのラスボス戦 ラスボスが戦いながらも主人公に話し掛けてくるんだけど、その内容がぁ・・・ 394 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 42 35 ID 4Cxeyh6d 390 Wiiで射影機コントローラ付きで出さないかねぇ>零シリーズ 未体験の方はプレイすることをおすすめ。 ヘッドホン+電気OFFすると最恐かとおもわれます。 391 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 40 18 ID DhQ1s/Ni 381 サイレントヒル1。 まあ化け物より人間の方が怖かったけど… Wiiでリメイクだしてくれ、コナミ。 392 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 42 12 ID qXyvbgAs 381 んなもんドラクエ3に勝てるゲームなんて無い。いつも電源入れる時耳ふさいでたぜ 393 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 42 20 ID AeOjqkMH クロックタワーが心底苦手な俺 3はギャグだが 395 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 42 44 ID EjHCtMSm 381 影牢 連続罠にかけていたぶってる時に、自分の笑顔がTV画面に映りこんでた… まぁ、ゲーム自体では零になるな 396 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 44 05 ID LFAlB8Ez 零は11~12月くらいの深夜に電気を消してヘッドフォンでやるのが一番いいと思うよ。 もちろん暖房はつけちゃダメ。 397 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 46 46 ID wwX+iwMj ポートピアかな BGMナシが小学生当時スゲエ怖かった 398 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 48 25 ID TsRVL3H7 ファミ探があったか あれは怖かった ゼルダ夢島は、小さいながらになんか切なさを感じたな トワイライトシンドロームはやりたいと思いつつもきっかけを逃してしまった 零もそうだな スィートホームはちょっとやっただけだけど、かなり強い印象が残ってる かまいたちは僕はそんなでもなかったけど、プレイした友達がみんな 「怖い、怖い」言ってた サイレントヒルは、なんか知らんけど親父が 「サイレントヒルってゲームがエラい怖いらしいじゃないか」 と突然ネタふりしたのが、一番印象に残ってるw FF、DQぐらいしかゲームしない人なんだけど ファミ探の続編は出ないんだよね、現状では。。 「現実の事件がゲームを越えてしまったから」だっけ すごい世の中になったでしょう、でもそれが現実なんだよね 399 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 49 02 ID S43tUj6w PSのゲゲゲの鬼太郎肉人形館 主人公が一般ピーポーで鬼太郎が いなくちゃ逃げる隠れるしかできなくてヨカタ 401 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 51 10 ID 4lM5l0TK 381 SFC版かまいたちの夜。 最近プレイしたゲームでは沙耶の唄(18禁)なんかも怖かったけれどね。 (ビジュアルやテキストもさることながら、BGMに猛獣の咆哮やノイズなどが サンプリングされているあたりが拍車をかけていた。) せっかくだから聞いてみたいんだけれど、GBA版かまいたちの夜は天界住人的には オススメ?(ソフト自体めったに見ないけれど) 402 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 51 32 ID S/ecu/x7 半分ネタ化てるが、やっぱ魔王オディオは怖いぞ。 403 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 20 51 50 ID 1TgXQFQG 381 無論スウィートホーム。 ゲーム性と恐怖が、ものの見事にリンクしてたよな... 412 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 21 02 55 ID KPUCEMY0 381 零。 バイオとか静岡とか時計塔とかはある程度の物理法則が通じるからビックリはしても怖くなかった。 422 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 21 13 05 ID JrX9LHa9 怖さを感じたゲームは既に出まくっているけど ゲーム全体なら「スウィートホーム」、「かまいたち」 瞬間的なピークレベルでは「ファミ探、後ろに立つ少女」の例のシーンかな 兄弟や友達などにあのシーンをやらせては、そのリアクションを楽しんだものだ 428 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 21 21 17 ID MPocQQS8 381 母1とスイートホームは幼心に一生物のトラウマを与えた。 学生時代はサウンドノベルで夜怖くて眠れなかった。 個人的SFCのサウンドノベルお勧め 弟切草 かまいたちの夜 学校であった怖いはなし 晦 魔女たちの眠り ざくろの味 430 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 21 22 31 ID JrX9LHa9 あとわかりやすい恐怖ではないが、SFCのアウターワールドも クリア後、なんというか一抹の不安というか怖さを覚えた 一生懸命頑張った結果のあのENDだが、救いはあったのかな、 あの後、彼らはどうなってしまうんだろうという... 444 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 22 06 39 ID t/n/KuPD 381 あまりゲームしてないついでに怖いの苦手な人間なんで、皆が怖いと思うかは微妙ですが。 MOTHER2のムの修行とムーンサイド だったんですが、MOTHER3のポストもかなり…。 初見はふーんと思ったんだけど、一歩遅れて狂気に気づくというか。 453 :名無しさん必死だな :2006/05/17(水) 22 30 49 ID GcxCAZUj 444 俺もポストは恐かった… 「劣化ムーンサイド」なんて意見もあるけど、ムーンサイドより断然恐いと思った。 ぞっとする、冷たい怖さと違って、生暖かい、今までにない恐さ。 めまいがしそうだった。
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平沢家 唯「ふう疲れちゃった… それにしてもムギちゃん、特盛全部食べちゃうなんてすごかったねえ」 憂「そうだね…ねえお姉ちゃん今日さ…」 唯「私やっぱりお風呂入って寝るね?アイス用意しといてね憂!」 憂「あ…うん…」 憂(お姉ちゃん…七夕の約束忘れちゃってる…) 憂「もういいや、私だけで書こう…」 憂(はあ…何書こうかな… それにしてもお姉ちゃん、最近軽音部のことばかりで私のことなんて全然…そうだ) 憂「お姉ちゃんが私をもっと好きになりますように…っと」 憂(はぁ…何やってんだろ私…バカみたい…) 翌日 唯「ういー…」 憂「あ、お姉ちゃんおは…」 唯「ういいいいいい!」ギュー 憂「きゃっ…ちょっとお姉ちゃん?包丁持ってるんだから危ないよ?」 唯「ういーなんで昨日一緒に寝てくれなかったのー?寂しかったよー」スリスリ 憂「ど、どうしたのお姉ちゃん…?」 憂「お姉ちゃん早く学校行かなきゃ遅れちゃうよ?」 唯「やだー!憂と一緒のお弁当がいい!」 憂「いつもお姉ちゃんパンでいいって…」 唯「憂と一緒じゃなきゃやなの!」 憂「わ、わかったから…ちょっと待ってて?」 唯「うん!」 憂(お姉ちゃん、どうしちゃったんだろ…) 憂「遅刻しちゃう…お姉ちゃん、ほら行くよ?」 唯「ういー手つないで学校行こう!」 憂「え?別にいいけど…」 憂(お姉ちゃん…急にどうしちゃったんだろ?うれしいけど…) 唯「ういー」 憂「な、なに?」 唯「ちゅー」 ズキュウウウン 憂「あ…お…おね…あ…あ…」 唯「へへー憂のくちびる柔らかーい♪」 憂(お…お姉ちゃんが…私にキス…!こ、これは夢…?) 唯「憂、なにほっぺたつねってるの?」」 憂「い、いや、何でも…」 唯「痛いの痛いの、飛んでけー!ちゅー!」 憂「ほ(っぺに)…お(姉ちゃんが)…き(すをした)…」 唯「ほうき?」 憂(も…もう…死んでもいいや…) 教室 梓「あ、おはよう憂遅かったね…ってなんで唯先輩が?」 唯「へへ、ギリギリまで憂と一緒にいるの!」 憂「おやほう梓ちゃん…えへへ…」 梓「う、憂…気を確かに!目がヤバいよ!憂!?」 唯「あー!あずにゃん私の憂に乱暴しちゃダメ!」 梓「ゆ、唯先輩?なんなんですかもう!」 憂「お姉ちゃんとキス…お姉ちゃんとキス…えへ、えへへへへ」 昼休み 梓「ねえ憂、大丈夫?朝からずっとそんな感じじゃない」 憂「あじさちゃん…私、今世界が滅亡しても一向に構わないよ…」 梓「あじさって誰よ…何言ってるか意味分かんないし!もうお昼にしよう?」 ガラガラ 唯「ういー!お弁当一緒に食べよう!?」 憂「お姉ちゃん…うん!どうぞ?」 唯「へへ、お邪魔しまーす」 梓「先輩、今日はどうしたんですか?なんか憂が変なんですよ」 唯「憂、あーん」 梓「聞いてないし…っていうかあーんて!?」 憂「そ、そんなお姉ちゃん…皆の前で恥ずかしいよ…」 唯「何言ってるの?私全然恥ずかしくないよ!はいあーん♪」 梓「いやその理屈はおかしいですよ!」 憂「あーん…パク」 唯「えへへ、おいしい?」 憂「うん!おいしいよ! 私が作ったけど、なんかお姉ちゃんが作ったような気がしてきたよ!」 梓「…もう付き合ってらんない…」 唯「あ、憂、口の周りにご飯つぶついてるよ?ペロリ」 憂「お…お姉ちゃ…またなめ…」 梓「なんなの一体…」 放課後 憂(結局…今日はずっとお姉ちゃんのこと考えたら一日終わっちゃったな…) 憂「えへ…えへへへへ…」 憂(お姉ちゃん…私のことだけ見ててくれてる…お姉ちゃんは私だけのものなんだ…) ガチャ 唯「ういー!一緒に帰ろー?」 憂「お姉ちゃん…うん!」 唯「今日は一緒に夕飯のお買い物していこ?」 憂「お菓子ならあまり買いすぎはダメだからね?…あ、お姉ちゃん、今日部活はいいの?」 唯「いいんだよー!憂と一緒にいる方が大事だもん!」 憂「お姉ちゃん…うれしい…!」 リリリリリリリリリリ 唯「あ、りっちゃんから電話だ…」 唯「もしもしー?」 律『もしもしじゃないだろ!今日部活どうしたんだよ?』 唯「ごめん、私憂と一緒にいたいから部活は行けないの!じゃあね!」 律『は?何言って…プッ』 憂「お姉ちゃん、いいの?」 唯「うん!それより早くお買い物!」 憂「う、うん…」 憂(今日は皆さんに迷惑だったかな…でも、たまにはいいよね?) 唯「ういー小枝買ってえ?」 憂「あ、お姉ちゃんさっきたけのこの里も入れたでしょ?だーめ!」 唯「ぶー!憂の意地悪!」 憂(こうやって買い物に来るなんて、久しぶりだな… そうだよ、こんな日があったってバチは当たんないよね…) 夜 唯「ういー」 憂「なに?さっき夕飯食べたばかりだからお菓子はダメだよ?」 唯「ううん、そうじゃなくてね?」 憂「なに?」 唯「お風呂、一緒に入らない?」 憂「ぬ…」 唯「最近一緒に入ってなかったし、たまには背中流してあげるよ!」 憂「ね…」 唯「じゃあ私先に入ってるから憂も後から来てね!」 憂「の…」 憂(お姉ちゃんと一緒に…お風呂…?私、心の準備が…) 風呂場 憂(…な、なに緊張してるんだろ、姉妹で一緒にお風呂入るなんて普通のことじゃない…) 唯「憂!早くおいでよ!」 憂「い、いまいきゅよ!」 憂(噛んだ…と、とにかく心を決めて…) 憂「は、入るよお姉ちゃん!」 唯「どーぞ!」 ガラガラ 憂「お、お邪魔しまーす…」 唯「いらっしゃいういー…どしたの?」 憂(お、お姉ちゃんの裸…最近全然見てなかったからし、刺激が…) 憂「な、何でもない!」 唯「……」 憂「ど、どうかした?」 唯「…憂、私より胸大きい…」 憂「へ!?」 唯「ずるい!」ムニッ 憂「っ…!」 憂(お姉ちゃんが私の胸をわしづかみにこれってそういうことじゃていうかそういうことってなんだ) 唯「うむむ…やっぱり私より大きいね…!ショックだなあ…」モミモミ 憂「おねえちゃ…は、はな…」 唯「いいなあ…なんでこんなおっきいの?」モミモミ 憂(①大人の対応で引き離す②私もお姉ちゃんの胸を揉む③押し倒す…さあどうしよう…) 憂(神様がくれた千載一遇のチャンス…やるしかない!③だ!) 唯「…ふう、そろそろ背中流してあげるね!」 憂「う…」 唯「どうしたの憂?」 憂「あ…じゃあお願いお姉ちゃん…」 唯「うん!任せて!」 憂(無理…こんなかわいいお姉ちゃんに私なんてことを…) 3
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戻る その他短編SS 何が書きたかったのかもうひとつ見えてきませんでした。 授業の説明が長く、羅列になっているので間延びしていてだんだん読むのが辛くなっていきました。 キャラクターがみな桜高の先生、という設定は面白いのに、授業の話しかしていないのでキャラクターが今ひとつ生きていないのが残念。 辛辣なようですが正直な感想です。 -- (名無しさん) 2014-07-15 12 22 03 下のコメに集約されてます。 テーマは悪くないと思うので、内容を整理して色んなエピを盛り込んでいけばいいと思います。 でも、そうすると短編では納まりませんね。 -- (名無しさん) 2014-07-15 16 42 19
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72 名前:1/2[sage] 投稿日:2012/09/16(日) 02 48 26.01 0 【ツンデレに思ったことを言ったら】 「あっ! 幼女と触れ合いたい!」 「…………」 思ったことを言っただけなのに、さっきまで普通に会話をしていたちなみが俺から明らかに距離を取った。 「どうして離れる」 「……タカシは日々成長するのだなあ、という事実をまざまざと見せつけられたので」 「どういうこと?」 「……言動が気持ち悪い」 「なるほど。ところでちなみ、ものは相談なのだが」 「嫌」 「俺に」 「嫌」 「ぺろぺろ」 「嫌」 「されることに抵抗はあるか?」 「……三連嫌をこれほど容易く無力化するとは。タカシにはほとほと脱帽だ」 「いやぁ。でへへぇ」 「……褒めていない。早く死ね」 「なんと」 「……そして質問の答えだが、死ね」 「なんと」 「……どうしてタカシなんかにぺろぺろされなければいけないのか。それならまだ硫酸の海に身を投じる方が遥かにマシだ」 「生きながら溶ける方がマシとは。どれほど俺は嫌われているのだ」 「……これくらい?」 ちなみは無表情なまま俺の頬に触れると、両手でむいむい引っ張った。 「痛い」 「……私に力があればこのまま引き千切れたものを。無力な自分が憎い」 「おや、知らず死に瀕していたようだ。世界は常に危険と隣り合わせと再確認できてよかったよ」 「……それはよかった。じゃあ死ね」 「嫌です」 「……死んで?」(こてりと小首を傾げながら) 73 名前:2/2[sage] 投稿日:2012/09/16(日) 02 48 56.79 0 「はいっ! ああしまった、罠にはまった!」 「……死ね、死ーね」 ちなみは嬉しそうに(と言っても無表情は崩していないが)腕をぱたぱたさせながら、俺を囃し立てた。 「うーん。分かった、俺のお願いを聞いてくれたら死ぬ」 「……嫌だ。何もできずに虫のように死ね」 「虫だけに俺のお願いを無視する。なんちて。うひゃひゃ」 「…………」 「……分かってる。分かってるんだ。だけど、言わずにはいられなかったんだ」 「……がんばれ、がんばれ」 ついさっき死ねと言ってきた奴に慰められたうえ、頭までなでられた。超泣きそう。 「……あまりに哀れなのでお願いを聞いてやる。なに?」 「自爆した甲斐があった。ええとだな、お前の顔をぺろぺろさせ」 「却下」 「なんと」 「……とても気持ちが悪いので」 「俺は気持ちよくなるよ?」 「……却下」 「なんと」 「……じゃあ、聞いたので、死ね」 「うーん、まあ、いっか。じゃあ数十年後に寿命で死ぬよ」 「がーん。騙された。……だが、死因を聞いてなかったのはこちらの落ち度か。仕方ない、今回は諦めるが、次はちゃんと死ぬように」 「はい」(なでなで) 「……なんでなでる」 ちなみは迷惑そうに顔をしかめた。 「ちなみの顔を舐められなかったので、その代償行為」 「……うーん、いつだって気持ち悪い。すごい才能だ」 「じゃ、なでるのは諦めてちなみをぺろぺろするよ。ああ残念無念」 「……却下」 「ままならぬ」 しょうがないので、ちなみをなでてました。 「……ん」 あと、ちなみが迷惑そうだったのは最初だけで、なでられてなんかちょっと嬉しそうになってることは、俺だけの秘密だ。
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※ご覧頂く前の注意書き※ 初SSです。宜しくお願いします。 「ぺにぺに」表現が1ヶ所ですがございます。 俺設定込みです。 原作キャラがほんの少しですが登場します。 注意書きは以上です。それでは、お楽しみ頂けると幸いです。 2/21 加筆しました。 by 作者 少し前に「サッカー」というスポーツが流行した幻想郷。最近は違うスポーツが流行り始めている。 名を「野球」。外から来た友人曰く、守備側がボールを持つ珍しいスポーツらしい。 必要な道具が少し多いのが難点ではあるが、面白さはサッカーに匹敵する。むしろ私は野球の方が気に入ってたりする。 この野球、「ボール」という丸い物体を多く使う。初めの頃は香霖堂で調達していたのだが、 だんだん在庫が少なくなってきたので、仕方なく代替案を考えることになった。 そこで出た案が幻想郷のどこにでもいる饅頭、ゆっくりを使うというものだ。 確かに数は多いし、タダで手に入る。皮を硬化させるスプレーを使えば強度も問題ない。 しかも硬くなっているとはいえ野球ボールより柔らかいし、女性や子供用の軽くて軟らかいバットも開発されたので安全に楽しめる。 まあ、主にやってるのは大人の男と子供たちが中心だ。意外と女性がやってるのも見るが。 ……そういえば子供達が野球をやってるのを見たことがあるが、稗田さん家の阿求ちゃんがものすごい打球かっ飛ばしてたなあ。 あの小さい体のどこにあんなパワーがあるんだろう。しかも女の子なのに。 そんな訳で、当初とは違った形で野球が浸透していったのである。 今日の営業を終了し、友人と飲みに行った。友人はいわゆる「虐待お兄さん」である。 ちなみに彼は私が所属する人里商店街チームの4番バッター。打席に入ると目の色が明らかに変わるのは私の気のせいか。 私はあまりゆっくりの虐待を好まない(野球用ゆっくりは悪事を働いたものが殆どなので、まあ仕方ないかと思っている)ので、 彼がする虐待の話は適当に流しているが、まあ良いやつだ。 今日も野球談議(と、友人のするゆっくりの話)に花を咲かせ、飲み終わって家に帰ることになった。 ……先週の試合は4の0だったからなー、しかも来週は強豪の加工所チームと対戦だし。帰ったら素振りでもしておこう。 そんなことを考えつつ家に帰り着くと、中で物音がしていた。 ――泥棒か? 慌てて扉を開けると、何かがいるようだった。明かりを点けてみると何てこった。部屋が荒らされているじゃないか! 大きいのが2つ、小さいのが8ついる。大きいのは香霖堂で見たバスケットボールとかいうやつと同じ大きさぐらいで、 小さいのは4つが野球ボールより一回りか二回り大きく、あとの4匹は野球ボールと同じぐらいの大きさ。 そう、ゆっくりである。 半分の5つが帽子をかぶり、あと半分はリボンを付けている。まりさ種とれいむ種だ。 私が呆然としていると全員がこっちを向いて「「「ゆっくりしていってね!!!」」」とか言ってきた。うるさい。 その言葉で我に返り、とりあえず部屋を見回していると帽子をかぶった大きな饅頭が口を開いた。 「ここはまりさたちがみつけたゆっくりプレイスだよ! あとからきたおにいさんはでていってね!」 「しょーだしょーだ!」 「きょきょはれいみゅたちのゆっきゅりぷれいちゅだよ!」 「おにいさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりできないならでていってね!」 「ごはんをくれたらいてもいいよ!」 「ゆえーん、おきゃーしゃんあんよいぢゃいよう……」 「ゆー、ゆー、ゆゆゆー……。れいみゅだいじょぶ?」 「ぺーろぺーろ……。ゆっ! こどもたちにごはんをちょーだいね! あとけがをしたこをなおしてね!」 帽子が口を開いた途端、リボン付きと小さな饅頭たちも口々に騒ぎ出した。 一方的に喋られるのもなー、と思ったのでこちらからも質問してみる。 「えーと、君たちはここで何をやってるのかな?」 すると大きな饅頭2匹が答えを返してきた。大きさから見て親だろう。 「ゆっ? まりさたちがみつけたゆっくりプレイスでゆっくりしてたんだよ!」 「でもごはんがあんまりなかったんだよ! こどもたちにごはんをあげてね! あとけがしたこをなおしてね!」 あー、今日は外で食べるつもりだったから食べ物があんまり無かったんだっけ、そういえば。明日買いに行こう。 「おにいさん! きいてるの?」とリボン付き饅頭。親れいむか。 「今日は食べ物がないんだよ、ごめんな。それよりどうやってここに入ったんだい?」 一応友好的に聞いてみる。 小さいが商店を経営しているので戸締りは欠かさない。今日も飲みに行く前に3回確認した。 明かりもちゃんと消している。となると……。 「これをつかってはいったんだよ!」と石を取り出す親まりさ。 やはりゆっくり達は石を使い、窓を割って入ってきたに違いない。窓割れてるし。 しかも明かりの無い部屋を荒らせるとは、こいつら多少なりとも夜目が利くようだ。 そういえばガラスの破片付近に1匹動きが悪いのがいて、何匹か周りで雑音を撒き散らしている。 友人から聞いたところによると歌で励ましているらしいが、私には雑音以外に聞こえない。 「れいむのけがしたかわいいあかちゃんをなおしてあげてね!」親れいむはさっきからこれしか言わないな。 もしくはガラスの破片で怪我した赤ちゃんれいむの底を舐めてるかどっちかだ。 「あーはいはい」自業自得なので適当に返事をしておく。 ゆっくり達とそんなやりとりをしているうちに、ある重要なことに気がついた。 ――店は大丈夫なのか? 迂闊だった。家は奥が居住スペース、道沿いが店になっている。 奥から入ってきたが、すぐ店の方に注意がいかないなんて商売人失格だ。 慌てて店に走り、見るとそこは瓦礫の山とでも言えばいいのだろうか。大切な商品が散乱していた。 取り扱っている割れ物は半分以上が割れたか欠けたかという状況だ。完全に酔いが醒めた。 明日の営業は休止にするか、良くて午後からである。相当な損害も受けた。完全復旧までには結構な時間と資金がかかるだろう。 あの饅頭ども……。土足で上がりこんで人の生活荒らしやがって……。しかも飯よこせたあいい根性してんじゃねえか……。 私はゆっくり虐待派では無い。だが人間に迷惑をかけるようなゆっくりを懲らしめるのには全く躊躇しない。 別に殺しても構わないと思う。 今回は人の家に土足で上がり込み、窓ガラスと大事な商品に損害を与えた。少ない額では無い。 損害額を弁償させるのが最も良いが、連中は金など持っていない。 ――だから、あのゆっくり親子には相応の罰を与えなければならない。 さて罰を与えるのは決まったが……どう与えよう? ゆっくりに危害を加えたことが無かったので方法がすぐに思いつかなかった。 しばらく思案していたら、あることに思い至った。私は家に入る前、帰ったら何をしようとしていただろうか? ……やることは決まった。道具はあるが、足りないものもある。足りないものを借りに行くついでに、友人も呼んでこよう。 放っておいてもゆっくり共にこれ以上部屋を荒らされることはないだろう。もう荒らすものが無いからだ。 家から走って1分のところに住んでいる友人にこれからやることを手伝ってほしいと言うと、二つ返事で来てくれた。 加工所製の透明な箱持参である。 あと紐が必要だが、家にあるので問題なし。家について扉を開けて中に入る。 するとまた「ゆっくりしていってね!!!」だとか「おじさんはでてけ」だとか言ってくる。 さっきはお兄さんだったのにおじさんに格下げですか。 怪我してるやつも死んではいないようだ。良かった。ゆっくり共は口々にわめいている。 さて……。 「ゆっくりしていってね!」 注目を集めるためにはこの台詞が一番だそうだ。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」と本能に従って返してくる。実に単純。 親まりさが「はやくごはんをもってきてね! そしたらまりさたちのおうちからでていってね!」とか言ってきたが無視。 今は私のターンなのだ。 「ご飯もいいんだけど、もっとゆっくり出来ることをしてあげるよ」と言うと、すぐに反応が返ってくる。 「ゆっ? ごはんよりもゆっくりできるの?」 「はやきゅまりしゃたちにちょうだいね!」とか何とか好き勝手わめいている。 「うん、物をあげるんじゃないんだけどね。いいところにお兄さん達が連れて行ってあげよう」 後ろでは友人がニヤニヤしている。 「この箱に入れば連れて行ってあげるよ。親はこっちの箱、子供はこっちの箱に入ってね」 そう言ったらもう入れ食い状態である。子ゆっくり共が我先にと透明な箱に入り込んできた。 「れーみゅがしゃきだよ!」 「ゆっ! れーみゅよりもきゃわいいまりしゃのほうがしゃきだよ!」 「おねーちゃんにゆずってね!」 「おねーちゃんこそかわいいれいむにさきにはいらせてね!」 軽い喧嘩になっている。親は「けんかはだめだよ!」とか「ゆっくりしてね!」とか言っている。 よし、全部入った。怪我した赤れいむは親の箱に入っているが、まああんまり関係無いので良しとする。 「それじゃあ皆が入ったから、どこに連れて行ってあげるか発表します」 子ゆっくり共の眼が輝いてる。「わくわく」とか言ってるがそれは言葉にすることなのだろうか。 「ぺーろぺーろ」とかの擬音も。 「えー今回は、君達をお月様とお星様の所に連れて行ってあげます!」 「しゅぎょーい!」 「おつきさまってまんまるでれいむたちみたいだよね!」 「今日は丸くないけどね。さあ外に出よう。外からじゃないと行けないんだ」 「おにーしゃんはまほーちゅかいしゃんだね!」 魔法使いか。使うのは黒魔法だがな。 外へ出てきた。箱を置いて物干し竿に紐を引っかける。子ゆっくり共は 「れーみゅはおちゅきさまのところにいきたいよ!」 「まりしゃはおほちちゃまがいいよ!」だとか 「まりさがさきにいくんだよ!」 「ゆっ! かわいいまりさのほうがさきにおつきさまのところにいくよ!」 「ぶちゃいくなおねーちゃんはだまっててね!」だとか言ってる。 親はなだめるのに必死だ。怪我した赤れいむは少し回復しているみたい。まあゆっくりはしばらく放っておこう。 まずは子ゆっくりと赤ゆっくり、8匹の処刑だ。 「じゃあ半分ずつにするか」と友人に言う。 すると「いや、お前の家荒らされたんだし俺は2匹でいいわ」と返ってきたので、ありがたく6匹貰うことにした。 準備運動として3、4回ほど素振りをする。よし、そろそろ始めよう。 ゆっくり共はまだ騒いでいる。静かにできないもんかね。 パンパン 「はいはい、皆聞いてねー。静かにしないとお月様もお星様も怒っていなくなっちゃうよー」 と言うと効果テキメン。一気に静かになった。 「では説明しまーす。これから一匹づつ」 「まりさたちは『ひき』じゃないよ! ちゃんと『にん』でかぞえてね!」 ――うっさいなあ。他のゆっくりはどうか知らんが店と家荒らした時点で俺の中じゃあてめーら動物以下なんだよ、ゴミども。 と思ったが顔には出さず、「ごめんねー。それじゃあ説明するよ」と営業スマイルで優しいお兄さんを演じる。 ……後ろでニヤニヤしてる男がいるが気にしない。 「これから君達をこのバットっていう棒を使って、一人ずつお兄さんの魔法でお月様かお星様に連れて行きます。 で、選ばれた子はこの紐を体に結び付けてもらいます」 紐とバットを取り出すと子ゆっくり共はこちらに寄ってきた。箱で遮られてはいるが。 「最初は誰がいいかな?」と立候補を募ると、 「れーみゅがいちばんしゃきだよ!」 「ゆっ! まりちゃがしゃきにきまってるでしょ!?」 「いちばんぷりちーなれいみゅをさきにおつきさまにゆっくりちゅれていってね!」 「ぶさいくないもーとはだまっててね! おおきいじゅんだよ!」 「「どぼぢでぞんなごというのおおおお?」」 「ゆっ! いもーとにそんなわるぐちをゆうわるいおねえちゃんはしね!」 「ちね! ちね!」 「おねーちゃんにそんなひどいことをいういもーとたちこそゆっくりしんでね!」 実力行使には至っていないが大喧嘩である。無事に解放されても今まで通りには暮らせないだろうなー。帰さないけど。 親は「げんがはやめでねええええええ」だとか 「どぼぢでながよぐでぎないのおおお? いままでながよじだっだでじょおおおお?」 とか言って何とか収めようとしている。もちろん涙目。 収拾がつかないので静かにさせることにする。 パンパン 「静かにしてねー。あんまり煩かったり喧嘩してたりする悪い子達はお月様のところに行けないよー?」 これで収まるはず。 すると子ゆっくり共は「ゆっ! いいこにするよ!」といった感じで静かになった。よろしい。 「君たちに任せるとなかなか決まらないから、お兄さんたちが決めさせてもらいます。皆行けるから安心してね!」 子ゆっくりは了承したようで静かにしている。不満顔のやつもいるが無視。 「じゃあ、最初は怪我をしてたれいむから連れて行ってあげよう! おめでとう!」2人で拍手。 一方の怪我赤れいむは戸惑っていたようだったが、親に「よかったね! いってらっしゃい!」と言われて行く気になったようだ。 怪我で死ななくて良かった。私が殺す楽しみが残っていて良かった。 つまんで箱から出してやり、紐に結びつけて吊るす。 「ゆゆっ! おちょらをとんでるみちゃい!」 そうかそうか。これから本当に飛んでもらうけどな。魂だけ。 「れいむは月と星、どっちに行きたい?」 「ゆっ? んーとにぇ、それじゃあね、れーみゅね、おほちちゃまにいきたいな!」 「分かりましたー。それじゃあ呪文を唱えるから皆静かにしてね! 煩いと魔法が利かなくなっちゃうからね」 「ゆっ! みんなしずかにするよ!」 「ゆっくりわかったよ! し〜ん……」 それも口に出すのかい。 「じゃあ行きます。アブラカタブラエコエコアザラクムニャムニャムニャユックリシテイッテネ……」 適当な事を言っているが、ゆっくり共は呪文だと思っているようで興味津々の顔をしている。 気合いを入れた後、ニコニコしていた赤れいむをフルスイング。飛び散る餡子と空飛ぶ皮。 顔だった部分を見ると笑顔に驚きが入ったような表情をしていた。れいむは星になった。おめでとう。 星に「いった」と星に「なった」、わずか3文字の違いである。大して変わらないだろう。 漢字だと「行った」と「逝った」の違いだな。れいむ良かったね! しばらくの静寂の後、親ゆっくりが騒ぎ出した。 「れいむのあかちゃんがあああああ!?」 「まりさのあかちゃんどこいったのおおおお!?」 子ゆっくり共はいきなり赤れいむが消えたので頭の上に「?」を浮かべたような顔をしている。 「ゆっ、おにーさん。れいむはどこいったの?」と聞いてきたので 「お星様のところに行ったんだよ。言ったでしょ?」と言うと、 「ゆゆっ! れいむよかったね! つぎはれいむをつれてってね!」と言ってきたのではいはいと適当に返しておいた。 子供は喜んでいるが親はどうやら月云々が嘘だと気付き始めたようで、必死に箱から出ようと体当たりを繰り返している。 「でいぶのあがぢゃんをがえぜええええ!!」 「どぼじでごんなごどずるのおおおおお!?」といった具合である。 無視して続けてもいいが、思いついたことがあるので子ゆっくり共に話しかけてみる。 「あのさあ、君たちのお父さんとお母さんがさっきから煩いでしょ?」 「うん! まりさたちおつきさまにいけるのにゆっくりしてないね!」 「さっきも言ったけど、周りが煩いとお月様やお星様の所に行けないんだ。君たちで親を静かにさせてくれないかな?」 「わかったよ! みんな、おかあさんたちをゆっくりしずかにさせようね!」 「「「はーい!」」」 よしよし。 「おかあさんたちがしずかにしてくれないとまりさたちがおつきさまにいけないよ!」 「おきゃーしゃんたちはちずかにちてね! ゆっくりできないよ!」 「まりしゃたちをおつきしゃまにいきゃせたきゅにゃいの? ばきゃなの?」 「さっきもごはんをくれなかったしこんどはゆっくりさせてくれないしむのうなおやだね!」 「むのうなおやはいらないよ! ゆっくりいなくなってね!」 うーむ。自分で言っておいて何だが、もう少し穏やかな言い方は無いのだろうか。 「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!?」」 親は滝のように涙を流している。 子供たちが浴びせる罵詈雑言の酷さに親たちは沈黙してしまった。 「じゃあ、2人目行きまーす。次は……2番目に大きいまりさ、行こうか」 「ゆっへん!」 選ばれて嬉しそうである。姉妹達も祝福している。しかし親は 「おぢびぢゃんだめえええええええ!!」 「おぢびぢゃんをはなぜええええええ!!」 と叫んだり箱に体当たり(効果 自分にダメージ)したりで忙しい。 「またれいむたちのじゃまするの? ばかなの?」 「「ばかなの? しぬの?」」 それを聞いて子ゆっくり共は親にまた罵詈雑言を浴びせている。放っておこう。 「はい注目ー。今度は君たちに呪文を唱えてもらいます」 「「「ゆっ?」」」 「お兄さんが合図をしたら、皆で『いち、に、さん!』って言ってほしいんだ」 「「ゆっくりわかったよ! いーち、」」 「ストーップ! お兄さんが合図をしてからって言ったでしょ? ……じゃあ行くよ、さんはい!」 「「「いーち、にーい、さぁん!」」」 「「だめええええええええええええええええええ!!!」」 スパァン! 「ゆぶっ」 うむ、良い感触。間違いなく芯で捕らえた。 外から来た友人が言ってた「コーシエン」って所でも長打コース、もしかしたらホームランだろう。 「ゆぎゃあああああああ!!」 「じじいはじねえええっ! じねええええっ!!」 おーおー好き勝手言いなさる。今度はじじいですか。意味の無い体当たり、御苦労様です。 「さて、どんどん行こうか。次は――」 「あー、ちょっと待った」傍で見ていた友人が声をかけてきた。 「あのさあ」 「ん? どした?」どうしたのだろうか。 「ちょっと思いついたことがあるんだよ。んでさ、必要な物があるからしばらく待っててくんない?」 「いいけど、何持ってくるんだ?」 「それは持ってきてから説明するわ。じゃ、ちょっと待っててな」 「おー。焦んなくていいぞー」友人は自分の家に何かを取りに行った。 ゆっくり共は……。 「「おぢびぢゃんがえぜえええええええ!!」」 「「「うるさいおやはしんでね! おほしさまにいけないよ!」」」 「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!?」」 大体こんな感じである。見ていて面白くなってきたので、そのままにしておくことにした。 2、3分で友人は戻ってきた。 「それは何だ?」 「防音仕様の透明な箱だよ。普通のよりちょっと高いんだ」 「ほー」 「蓋を閉めると外からの音を防ぐんだ。でも中の音は漏れてくるんだよ」 「不思議アイテムだな……。で、何に使うんだ?」 「とりあえず、子ゆっくりを移し替えてくれ」 「分かった」 ゆっくり共に目を戻すと、まだ子供が親を罵っていた。 パンパン 「皆聞いてねー。こっちのお兄さんが今より魔法が効きやすくなる特別製の箱を持ってきてくれましたー。皆感謝してね!」 「おにいさんありがとう!」 「おにいさんはゆっくりできるひとだね!」 「ゆっくりしていってね!」 子ゆっくり共は大喜びだ。友人は……一応ニコニコしている。 箱から子ゆっくり共を出して防音箱に移し替えようとすると、親ゆっくりが 「お゛ぢびぢゃんいまのうぢににげでええええ!!」とまた箱に意味の無い体当たり(笑)を繰り出している。 それを見た子ゆっくりは「うるさくてゆっくりできないよ!」とか 「れいみゅたちがおほちちゃまにいきゅじゃまちないでね!」とか、また罵っている。 このまま生きててもろくな大人にならないだろう。やはりここで始末するのが正しい。 詰め替えが終了した。さて。 「詰め替え終わったけど、この後どうするんだ?」 「今まで通り続けてくれ」 だったら今までの箱でも良かったんじゃないかと思ったが、何か思惑があるんだろう。続けることにした。 「おにいさんゆっくりしすぎだよ! はやくつれてってね!」 「まいちゃたちはかんぢゃいだけど、おにーしゃんがあんみゃりゆっきゅりちてるとぴゅんぴゅんしゅるよ!」 「待たせてごめんね。次は……一番小さいまりさにしよう」 「ゆっ! やっちゃね!」 「まりしゃおめでとー! さきにゆっきゅりちてね!」 赤まりさを箱から出し、紐に結び付けて吊るした。 「おちょらをとんでるみちゃい!」 これから好きなだけ飛べるからな。……永遠に降りられないが。 と、そこで友人が子ゆっくり共に近づいた。何かするのか。 「お兄さんが持ってきた魔法の箱は、この蓋を閉めると外からの音が聞こえなくなるんだ。 音を聞こえなくすると、魔法がかかりやすくなるんだよ」 「「おにいさんすごーい!」」 「じゃあ、閉めるよ」 「まりちゃゆっくりちてね!」 「さきにいったいもーととおねーちゃんによ……しく……」 おっ、声が小さくなった。こっちからの音は聞こえるのだろうか? 「おーい、ゆっくり達聞こえる?」 結構大きめの声で言ったが無反応である。本当に外からの音は聞こえなくなったようだ。 「待たせたな、そろそろ始めてくれ」 「分かった」 私は打つ準備に入る。するといきなり友人が 「おい、そこで吊るされてるゆっくりよ。お前本当に月になんて行けると思ってるのか?」 「ゆっ!?」 お? 「やっぱゆっくりは馬鹿で間抜けだな、バットなんかで月になんか行けるわけねーだろ。 馬ぁ鹿なのぉ? 死ぃぬのぉ? あっ、これからお前死ぬんだっけ、悪い悪い」 「おにーちゃんにゃにいっちぇるにょ? まりしゃはおちゅきちゃまにいきゅんだよ!」 「だから、それは嘘なの! 魔法使いってのも大嘘! お前の姉だか妹だかはこいつが持ってる棒で死 ん だ ん だ よ っ!! ハハッ!」 「ゆううううううっ?」 ……そう来たか。虐待お兄さんから見ると虐待分が足りなかったのだろうか。 親ゆっくりは「だがらいっだでじょおおおお!?」 「あ゛がぢゃんにげでええええええ!!!」 と、またも叫びながらの体当たり(爆笑)だ。だから無駄なんだって。 「親は気付いてたのになー。お前ら子供は耳も傾けもしないでなにやってたんだろうね」 「おぎゃーじゃんぎょめんなじゃいいいいい!」 「謝っても遅いぜ。お前は死ぬんだ。第一、親じゃなくてこいつに先に謝るべきだろうよ。 というわけで、俺の友の家を荒らした馬鹿でゲスなゆっくりは死んでね! さあっ! 殺れっ!」 よっしゃ行くぜい。 「ぎょめんなじゃいいいいい!」 「あ゛がぢゃんにげでえええええ!!」 「ゆるじでぐだざいいいいいい!!」 いいや駄目だねっ! ぶら下がってるまりさを強っ振ッ! ボンッ!! 「ゆぴっ」 「ゆぎゃあああああああ!!!」 「でいぶのあ゛がぢゃんんんんん!!!」 飛び散る餡子と宙を舞う皮。先ほどの2匹とは違い、苦悶の表情である。また新しい星が誕生した。 友人を見ると……とてもいい顔をしていた。 子ゆっくり共に目を向けると……皆楽しそうな顔をしている。 私は……あれ? 楽しい? 「さあ次だ! 早く早く早く早くっ!」 「んな急かすなって……」 友人のテンションの上がりっぷりにタジタジになりながらも、蓋を開ける。 「まりさよかったね! つぎはれいむをつれていってね!」 「まりさをつれていってね!」 「れいみゅだよ!」 「じゃあ今度は……真ん中ぐらいのれいむ! おめでとう!」 「ゆーっ! やったね!」 「おねーちゃんおめでちょー!」 「さきにゆっくりしてね!」 「みんなありがとうね!」 箱から出して蓋を閉めると、親ゆっくりの命乞い大合唱&体当たり祭だ。無視無視。 蓋を閉じると子ゆっくり共の声が小さくなった。 「れいむよかったね!」 「ちゅぎはまりしゃがいきちゃいな!」 蓋を閉じる前よりかなり声の大きさは小さくなったが、まだ聞こえる。 さて、殺ろう。れいむを紐に結び付けてぶら下げ、スイングの態勢に入る。 「なあれいむ。今から行くところがお月様じゃなくてあの世だってことが分かったらどう思う?」 「ゆっ? おにいさん、なにいってるの? おばかさんなの?」 「あー、親達があんな必死に教えようとしてたのに気づいてなかったんだね。 今からお前は死 ぬ ん だ よ。二度とゆっくりできないの! 魔法で月に行くなんてのはお お う そ な の!」 「ゆうううううううっ!?」 「ハハハハハッ! ねえねえ今まで月に行けると思って有頂天だったのに、 本当は殺されるって聞いてどんな気持ち? ねえねえっ、どぉんな気ぃ持ちぃ?」 「ゆえええええええん!! おとーさんたすけてえええええ!!」 さっきまで散々虚仮にしてきたのに助けてくれとは。どういう神経をしているのだろう。 しかし効果があったのか、親がさっきから箱にやっている体当たりの勢いが少し増しているように思える。 顔も今までより必死になっている。もちろん無駄ですよ? そういえば、もし箱の側面に棘が付いてたらこいつら体当たりするのかな。まあいいや。 「勝手に人間の家に入り込んだり大事な商品壊したり、お前は間違いなく地獄行きだな! 知ってる? 地獄ってのはそりゃあつらくて辛くてぜえーったいにゆっくりなんてできないんだぞ!」 「やぢゃあああああ!! おうぢがえるううううう!!」 「何言ってんだよ、てめーらコイツの家の窓割って勝手に入り込んで『おうち』って宣言したんだろ? お望み通り『おうち』のお庭でゆっくりしていけや」 「ゆわああああああん! ごめんなざあああああああいいいい!!!」 「ばりざのおぢびじゃんはなぜえええええ!!!」 「おねがいでずうううう!! ゆるじでぐだざああああいい!!!」 「貴様等饅頭の言うことなど聞く耳持たぬわっ! さあっ! レエエエエエッツ! キイイイイイル!!!」 待ってました。俺のターン! 今度は実際の試合でバッターボックスに立ってるときをイメージして打った。心なしか振りが鋭かった気がする。 そんな感じで、残り2匹も箱から出す→友人の罵詈雑言→フルスイング→星という順で片づけていった。 これで私の分は終了である。正直言ってスッキリした。 友人の番になるのでバットを渡し、同じように残った2匹のうち子れいむを星にした。 さすがは我がチームの主砲、私より振りが鋭かった。 そして箱から最後に残った赤まりさを取り出し、紐にぶら下げていく。親はまだ騒いでいるが、子供は幸せそうな顔をしている。 「なあそこの腐れ大福、お前姉妹が全部月とか星に行けたと思ってる?」 「ゆうっ? あちゃりまえでちょ? おにーちゃんのまほうでみんにゃゆっきゅりちてるよ! あとまいしゃはくちゃってないちだいぷきゅでもにゃいよ! ゆっきゅりあやまっちぇね! ぴゅんぴゅん!」 「あー、ゆっくりは馬鹿だから困るよ。何でさっきからお前の両親が箱に体当たりしたり叫んだりしてたか分からない?」 「ゆっ! まりしゃたちがしゃきにおちゅきしゃまにいけるからうらやまちいんだよ!」 「あがぢゃんぢがうううううう」 「おねがいにげでええええええ」 「うるちゃいね! ゆっきゅりできにゃいよ!」 「ブッブー、はっずれえー。答えは他の子供が殺されようとしてて、それを助けるためでしたー」 「なにいっちぇるの? おねーちゃんたちはしゃきにゆっくりちてるんだよ! ばきゃにゃの?」 「馬鹿なのはお前さんだよ。ただの人間に魔法なんて使えるわけねーだろ。みーんなこの棒で殺されたんだよ! なぁ?」 こっちに振ってきたので、肯定の頷きを返す。 「ゆっ? じゃあ、みんにゃおちゅきちゃまいけてにゃいにょ?」 「ピンポーン。正解でーっす。みーんな死んじゃいましたー。という訳でユーもこれから死にます。オーケー?」 「ゆうううううっ? やぢゃよ! まりしゃちにちゃくにゃいよ!!」 「喜んでよー。今のクイズに正解したご褒美なんだからさ」 「いやぢゃあああああ!! ごほうびじゃにゃいいいいいい!!!」 「まっ、本当は俺の友の家を荒らして暫く商売できなくしたからなんだけどね。 という訳で、正解不正解に関わらずお前は死ぬのでした。おめでとうっ! 拍手っ!」 ハチパチパチパチ。 「ぎょめんなじゃああああああああい!!!」 「饅頭の命乞いなんて聞くと思ったの? 馬鹿なの? 死ぬの? あ、これから死ぬんだっけ。ごめんごめん」 今までのように罵声を浴びせると、赤まりさは大泣き。親も大泣き。 さてスイングタイムかな、と思っていたら友人は赤まりさを半分食べてしまった。 すると顔がほころび、 「あー、やっぱ上げて落とした赤ゆっくりは旨いねー」と言い、 「お前も食べないか? 旨いぞ」と勧めてきた。 私は甘い物をあまり食べない。従ってゆっくりもほとんど食べたことが無い。 一度親ゆっくりを食べたことはある。甘いがパサパサしていて、あまり美味しいとは言えなかった。 ゆっくりは旨いのか? まあ勧められたんだし食べてみよう。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」とか言いながら痙攣してやがる。いただきます。 パクッ おお? 何だこれは? 甘くて旨いぞ! 甘いものはあまり食べないがこれは良いぞ! 私の様子を見た友人は嬉しそうに解説してくれた。 「ゆっくりの親は餡子がパサパサしててそんなに旨くないんだけど、子ゆっくりとか赤ゆっくりは親に比べてかなり甘いんだ。 それに、恐怖を与えるとより甘くなるんだよ。恐怖を与える前にゆっくりさせてるとさらに甘くなる。 打つ前にあれこれ言ってたのはそういう訳なのさ」 「へえーっ。初めて知った」 「前に話したはずなんだがなぁ……。まぁいいや。そうだ、親どうする?」 「そうだなぁ……。甘くなってるんだろうけど食う気にはならないしなあ」 「うーん……。そうだ。こいつらでゆっくり作って、しばらく経ったらまた打撃練習用の球にすればいいじゃん。 生きてる球の方がいいって言うしな」 いやあの、生きてる球の意味が違うんですが。 「どうする? 俺の言ったとおりにするんだったらこいつら預かってほしいんだけど」 「何で?」 「いやさあ、俺虐待趣味じゃん? 衝動的に潰しちゃったりするんだよ。 こいつらはお前の家荒らしたんだし、虐待好きじゃなくてもくたばる瞬間見たいだろ?」 「まあ……そりゃあ……」 「打撃練習以外にも赤ん坊産ませて食べられたりするからさ。どうよ? 飯はゴミでも食わせときゃいいんだし」 「分かった。そこまで言うなら引き取るよ」 「おっ、サンキュー」 「赤ん坊は何日ぐらいでボールぐらいに育つんだ?」 「赤ん坊がボールの大きさまで育つのは大体3日ってところだな。繁殖方法分かるか?」 「確か揺らすと発情して、放っておいたら子供が出来るんだろ」 「正解。植物型妊娠だと一回に10匹は出来るから、そっちの方がいいだろ。 そうだ、動物型の妊娠しないようにしてやるからちょっと待ってろ」 言うと友人は家の方へ走り、2、3分で戻ってきた。持ってきたのはペンチと大きめの透明な箱である。 友人は疲れた様子で 「じじいはじねえええ……。ぢびぢゃんがえぜえええ……」 「ぢびぢゃん……あがぢゃん……ごべんねえええ……」 とか言ってる親ゆっくりを箱から取り出し、顎の下をまさぐって突起物をペンチで切り取った。 「ゆぎゃあああああ!!」 「でいぶのべにべにがああああああ!!!」 おお、まだ叫ぶ元気があったとは。 「よし、これで動物型の妊娠はしない、っと。んじゃあ、こいつら宜しく。 家族ごと入るように大きめの箱やるからさ、ちゃんと入れとけよ」 「おお、悪いな。もう家荒らされるのは勘弁だからな、しっかり入れとくよ。またこれやる時に呼ぶよ」 「楽しみにしてるわ。じゃあ帰るな。お休みー」 「お休みー」 こうしてボール兼菓子生産用ゆっくりを手に入れたおかげで、素振りのみだった頃よりも効果のある練習ができるようになった。 練習の効果が出たのかは分からないが、週末の試合は4の4で2打点。 翌週の試合はホームランまで打ってしまい、チームの連勝に貢献することができた。 成績が良くなったのはゆっくりを打つことに対してためらいが無くなったこともあるのだろう。 飲みに行った際に友人のゆっくり虐待話も前よりは聞くようになっている。 打つ時に親を入れる箱は側面に棘が付いているタイプに変えた。 これだと親が体当たりを尻込みするので、助けようとしない親を子供が罵りまくってさらに楽しくなる。 子供にゲス気質がある時なんて爆笑ものだ。 友人に話したらその発想は無かった、と大笑いされた。 ……もしかしたら虐待お兄さんに近づいてたりするのだろうか。打ってるとき楽しいし。 今日は育てた赤ゆっくりを打つ日だ。 「はーい、皆聞いてねー。これから魔法使いのお兄さんがお月様やお星様に連れて行ってあげるからねー」 おしまい あとがきのようなもの お読み頂き、ありがとうございます。 少し前の話ですが、我らが魔将ガイエルの残留が決定しました。という訳で(でもないんですがw)、野球をネタにしたSSです。 書いているうちに去年SSを書いてた某超魔神スレを思い出しました。懐かしい。 ゆっくりの表記が変わっているのは(達→共)、主人公のゆっくりに対する心境の変化を表してるとお思いください。 幾つかネタはあるんですが、色々と忙しいのとドが付く遅筆なので、ゆっくり書いていきたいと思います。 就活こわい。
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/709.html
ほんじつ組織を 裏切りました 分かっていました 不利なこと だけども ぼくらは夢がある 自分の信じる 道歩みたいから チームの一人 理解できないと 階段を降りることせずに 抜けたりしたけれど 忘れません 忘れません 例えついて来なくても 忘れません 忘れません 大切な仲間だったから ぼくらの仲間が 死にました 分かっていました 不利だとは だけどもあの人 守るため 麻薬売るような 組織変えるために どんな時もずっと 共に歩んで 戦ってくれた 仲間だったから 忘れません 忘れません ギャングスターになったけど 忘れません 忘れません 心は共に歩みます 生きてみんなで帰れると 信じていたけれど 命さえ救える つもりでいたけれど ぼくらは組織を 裏切りました ぼくらの仲間が 死にました 忘れません 忘れません ギャングスターになったけど 忘れません 忘れません 心は共に歩みます 忘れません 忘れません ギャングスターになったって 忘れません 忘れません 継いだもの『先』へ 進めます 原曲【熊木杏里「新しい私になって」】 元動画URL【http //www.nicovideo.jp/watch/sm2341874】
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1. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 09 55 58.32 0 梨沙子の方がROCKだし 3. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 09 57 01.60 0 あれはブルース 4. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 09 57 24.70 0 梨沙子はロックすぎるから初期Buono!のコンセプトに合わなかった 6. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 09 57 53.84 0 声質や歌唱力的にはそうだな 7. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 09 58 03.68 0 声も歌い方も梨沙子が一番だけど1曲通して聴けない歌唱力って印象がある 8. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 09 58 28.09 0 あいりしゃみやだとただの仲良しグループになっちゃうじゃん 桃子がピリッと利いてるからバランスがいいんじゃね 12. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 00 44.27 0 州*‘ ー‘リ<・・・・・ピザーラ 15. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 01 19.59 0 イベントをドタキャンされたらシャレにならん 18. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 02 21.37 0 梨沙子と愛理は一緒のグループにできないキッズ界の鉄のおきて 22. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 03 34.72 0 りしゃ音痴だから無理 それにボノがロックとか言い出したのは途中からだしな 23. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 04 22.01 0 22 結成イベでゴスパンクやります言うてたやん 33. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 15 57.09 0 もうボーノは愛理ワントップ体制になっちゃったから おまけ扱いされるボーノなんかに入ってなくてよかったな 35. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 18 55.62 0 人気に沿っただけだろ 最初から愛理でいいものをおかしくしたから面倒になったんだ 38. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 21 35.46 0 セカンドに収録されたソロ曲の雰囲気が絶妙だから今更他の面子は考えられんわ 39. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 22 18.60 0 そのほうが良かったと思うよ ボーノは全員同じような歌い方だから桃子か夏焼が菅谷と変わってたほうが 変化があってよかっただろうね 41. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 23 06.16 0 安倍の影に隠れがちな石黒飯田の歌唱力を生かすために作られたタンポポみたいなもんだから 59. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 30 15.82 0 ピザーラの私物になったボーノに興味はない 62. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 31 59.78 0 梨沙子はロックだがボーノはなんちゃってロックだから合わないよ 71. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 43 06.68 0 梨沙子がソロでCD出したらボーノより売れるだろう 75. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 45 06.43 0 buonoはある意味一番ポップなユニットだろ 82. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 10 49 42.07 0 梨沙子が愛理と組む時は二人組だろ 余計なもんはいらねえよ 98. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 05 04.51 0 桃子の代わりに梨沙子が入ったユニットは相当見たいけど このユニットでCD出したりツアーやったりはやめた方がいいかな ハロコンとかでやってほしい 105. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 09 35.14 0 梨沙子はブルースよりシャンソン向き ブラックの細かいリズムに対応させるより情感をタメとツッコミで表現させたほうがあってる 本人もフランス好きだし興味持って取り組みそうだし 113. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 13 46.71 0 りさこに泣き虫少年やカタオモイ。を歌わせてみたい 132. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 25 57.37 0 雅はベリよりBuono!でのほうが生き生きしてるからなあ 134. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 26 29.30 0 愛理もBuono!のほうが生き生きしている 137. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 26 55.48 0 ももちもBuono!のほうが生き生きしている 138. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 27 28.75 0 梨沙子や熊井ちゃんはベリでもガー4でも大して変わらんな 139. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 27 34.74 0 雅と愛理の声質が似てる2人のユニゾンがいいんだよね そこに桃子が加わっていいアクセントになってる 162. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 38 13.71 0 この先桃子が学業優先とか やりたいことが有るってハローを脱退したときに ベリキューから一人選べと言われたら梨沙子が一番適任だとは思う 164. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 39 21.30 0 梨沙子より岡井の方が合ってるだろ 思い入れも相当凄いし 166. 名無し募集中。。。 2011/06/25(土) 11 40 37.69 0 ちっさーが好きなのはBuono!というよりみやびちゃん 名前 コメント
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※ご覧頂く前の注意書き※ 初SSです。宜しくお願いします。 「ぺにぺに」表現が1ヶ所ですがございます。 俺設定込みです。 原作キャラがほんの少しですが登場します。 注意書きは以上です。それでは、お楽しみ頂けると幸いです。 2/21 加筆しました。 by 作者 少し前に「サッカー」というスポーツが流行した幻想郷。最近は違うスポーツが流行り始めている。 名を「野球」。外から来た友人曰く、守備側がボールを持つ珍しいスポーツらしい。 必要な道具が少し多いのが難点ではあるが、面白さはサッカーに匹敵する。むしろ私は野球の方が気に入ってたりする。 この野球、「ボール」という丸い物体を多く使う。初めの頃は香霖堂で調達していたのだが、 だんだん在庫が少なくなってきたので、仕方なく代替案を考えることになった。 そこで出た案が幻想郷のどこにでもいる饅頭、ゆっくりを使うというものだ。 確かに数は多いし、タダで手に入る。皮を硬化させるスプレーを使えば強度も問題ない。 しかも硬くなっているとはいえ野球ボールより柔らかいし、女性や子供用の軽くて軟らかいバットも開発されたので安全に楽しめる。 まあ、主にやってるのは大人の男と子供たちが中心だ。意外と女性がやってるのも見るが。 ……そういえば子供達が野球をやってるのを見たことがあるが、稗田さん家の阿求ちゃんがものすごい打球かっ飛ばしてたなあ。 あの小さい体のどこにあんなパワーがあるんだろう。しかも女の子なのに。 そんな訳で、当初とは違った形で野球が浸透していったのである。 今日の営業を終了し、友人と飲みに行った。友人はいわゆる「虐待お兄さん」である。 ちなみに彼は私が所属する人里商店街チームの4番バッター。打席に入ると目の色が明らかに変わるのは私の気のせいか。 私はあまりゆっくりの虐待を好まない(野球用ゆっくりは悪事を働いたものが殆どなので、まあ仕方ないかと思っている)ので、 彼がする虐待の話は適当に流しているが、まあ良いやつだ。 今日も野球談議(と、友人のするゆっくりの話)に花を咲かせ、飲み終わって家に帰ることになった。 ……先週の試合は4の0だったからなー、しかも来週は強豪の加工所チームと対戦だし。帰ったら素振りでもしておこう。 そんなことを考えつつ家に帰り着くと、中で物音がしていた。 ――泥棒か? 慌てて扉を開けると、何かがいるようだった。明かりを点けてみると何てこった。部屋が荒らされているじゃないか! 大きいのが2つ、小さいのが8ついる。大きいのは香霖堂で見たバスケットボールとかいうやつと同じ大きさぐらいで、 小さいのは4つが野球ボールより一回りか二回り大きく、あとの4匹は野球ボールと同じぐらいの大きさ。 そう、ゆっくりである。 半分の5つが帽子をかぶり、あと半分はリボンを付けている。まりさ種とれいむ種だ。 私が呆然としていると全員がこっちを向いて「「「ゆっくりしていってね!!!」」」とか言ってきた。うるさい。 その言葉で我に返り、とりあえず部屋を見回していると帽子をかぶった大きな饅頭が口を開いた。 「ここはまりさたちがみつけたゆっくりプレイスだよ! あとからきたおにいさんはでていってね!」 「しょーだしょーだ!」 「きょきょはれいみゅたちのゆっきゅりぷれいちゅだよ!」 「おにいさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりできないならでていってね!」 「ごはんをくれたらいてもいいよ!」 「ゆえーん、おきゃーしゃんあんよいぢゃいよう……」 「ゆー、ゆー、ゆゆゆー……。れいみゅだいじょぶ?」 「ぺーろぺーろ……。ゆっ! こどもたちにごはんをちょーだいね! あとけがをしたこをなおしてね!」 帽子が口を開いた途端、リボン付きと小さな饅頭たちも口々に騒ぎ出した。 一方的に喋られるのもなー、と思ったのでこちらからも質問してみる。 「えーと、君たちはここで何をやってるのかな?」 すると大きな饅頭2匹が答えを返してきた。大きさから見て親だろう。 「ゆっ? まりさたちがみつけたゆっくりプレイスでゆっくりしてたんだよ!」 「でもごはんがあんまりなかったんだよ! こどもたちにごはんをあげてね! あとけがしたこをなおしてね!」 あー、今日は外で食べるつもりだったから食べ物があんまり無かったんだっけ、そういえば。明日買いに行こう。 「おにいさん! きいてるの?」とリボン付き饅頭。親れいむか。 「今日は食べ物がないんだよ、ごめんな。それよりどうやってここに入ったんだい?」 一応友好的に聞いてみる。 小さいが商店を経営しているので戸締りは欠かさない。今日も飲みに行く前に3回確認した。 明かりもちゃんと消している。となると……。 「これをつかってはいったんだよ!」と石を取り出す親まりさ。 やはりゆっくり達は石を使い、窓を割って入ってきたに違いない。窓割れてるし。 しかも明かりの無い部屋を荒らせるとは、こいつら多少なりとも夜目が利くようだ。 そういえばガラスの破片付近に1匹動きが悪いのがいて、何匹か周りで雑音を撒き散らしている。 友人から聞いたところによると歌で励ましているらしいが、私には雑音以外に聞こえない。 「れいむのけがしたかわいいあかちゃんをなおしてあげてね!」親れいむはさっきからこれしか言わないな。 もしくはガラスの破片で怪我した赤ちゃんれいむの底を舐めてるかどっちかだ。 「あーはいはい」自業自得なので適当に返事をしておく。 ゆっくり達とそんなやりとりをしているうちに、ある重要なことに気がついた。 ――店は大丈夫なのか? 迂闊だった。家は奥が居住スペース、道沿いが店になっている。 奥から入ってきたが、すぐ店の方に注意がいかないなんて商売人失格だ。 慌てて店に走り、見るとそこは瓦礫の山とでも言えばいいのだろうか。大切な商品が散乱していた。 取り扱っている割れ物は半分以上が割れたか欠けたかという状況だ。完全に酔いが醒めた。 明日の営業は休止にするか、良くて午後からである。相当な損害も受けた。完全復旧までには結構な時間と資金がかかるだろう。 あの饅頭ども……。土足で上がりこんで人の生活荒らしやがって……。しかも飯よこせたあいい根性してんじゃねえか……。 私はゆっくり虐待派では無い。だが人間に迷惑をかけるようなゆっくりを懲らしめるのには全く躊躇しない。 別に殺しても構わないと思う。 今回は人の家に土足で上がり込み、窓ガラスと大事な商品に損害を与えた。少ない額では無い。 損害額を弁償させるのが最も良いが、連中は金など持っていない。 ――だから、あのゆっくり親子には相応の罰を与えなければならない。 さて罰を与えるのは決まったが……どう与えよう? ゆっくりに危害を加えたことが無かったので方法がすぐに思いつかなかった。 しばらく思案していたら、あることに思い至った。私は家に入る前、帰ったら何をしようとしていただろうか? ……やることは決まった。道具はあるが、足りないものもある。足りないものを借りに行くついでに、友人も呼んでこよう。 放っておいてもゆっくり共にこれ以上部屋を荒らされることはないだろう。もう荒らすものが無いからだ。 家から走って1分のところに住んでいる友人にこれからやることを手伝ってほしいと言うと、二つ返事で来てくれた。 加工所製の透明な箱持参である。 あと紐が必要だが、家にあるので問題なし。家について扉を開けて中に入る。 するとまた「ゆっくりしていってね!!!」だとか「おじさんはでてけ」だとか言ってくる。 さっきはお兄さんだったのにおじさんに格下げですか。 怪我してるやつも死んではいないようだ。良かった。ゆっくり共は口々にわめいている。 さて……。 「ゆっくりしていってね!」 注目を集めるためにはこの台詞が一番だそうだ。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」と本能に従って返してくる。実に単純。 親まりさが「はやくごはんをもってきてね! そしたらまりさたちのおうちからでていってね!」とか言ってきたが無視。 今は私のターンなのだ。 「ご飯もいいんだけど、もっとゆっくり出来ることをしてあげるよ」と言うと、すぐに反応が返ってくる。 「ゆっ? ごはんよりもゆっくりできるの?」 「はやきゅまりしゃたちにちょうだいね!」とか何とか好き勝手わめいている。 「うん、物をあげるんじゃないんだけどね。いいところにお兄さん達が連れて行ってあげよう」 後ろでは友人がニヤニヤしている。 「この箱に入れば連れて行ってあげるよ。親はこっちの箱、子供はこっちの箱に入ってね」 そう言ったらもう入れ食い状態である。子ゆっくり共が我先にと透明な箱に入り込んできた。 「れーみゅがしゃきだよ!」 「ゆっ! れーみゅよりもきゃわいいまりしゃのほうがしゃきだよ!」 「おねーちゃんにゆずってね!」 「おねーちゃんこそかわいいれいむにさきにはいらせてね!」 軽い喧嘩になっている。親は「けんかはだめだよ!」とか「ゆっくりしてね!」とか言っている。 よし、全部入った。怪我した赤れいむは親の箱に入っているが、まああんまり関係無いので良しとする。 「それじゃあ皆が入ったから、どこに連れて行ってあげるか発表します」 子ゆっくり共の眼が輝いてる。「わくわく」とか言ってるがそれは言葉にすることなのだろうか。 「ぺーろぺーろ」とかの擬音も。 「えー今回は、君達をお月様とお星様の所に連れて行ってあげます!」 「しゅぎょーい!」 「おつきさまってまんまるでれいむたちみたいだよね!」 「今日は丸くないけどね。さあ外に出よう。外からじゃないと行けないんだ」 「おにーしゃんはまほーちゅかいしゃんだね!」 魔法使いか。使うのは黒魔法だがな。 外へ出てきた。箱を置いて物干し竿に紐を引っかける。子ゆっくり共は 「れーみゅはおちゅきさまのところにいきたいよ!」 「まりしゃはおほちちゃまがいいよ!」だとか 「まりさがさきにいくんだよ!」 「ゆっ! かわいいまりさのほうがさきにおつきさまのところにいくよ!」 「ぶちゃいくなおねーちゃんはだまっててね!」だとか言ってる。 親はなだめるのに必死だ。怪我した赤れいむは少し回復しているみたい。まあゆっくりはしばらく放っておこう。 まずは子ゆっくりと赤ゆっくり、8匹の処刑だ。 「じゃあ半分ずつにするか」と友人に言う。 すると「いや、お前の家荒らされたんだし俺は2匹でいいわ」と返ってきたので、ありがたく6匹貰うことにした。 準備運動として3、4回ほど素振りをする。よし、そろそろ始めよう。 ゆっくり共はまだ騒いでいる。静かにできないもんかね。 パンパン 「はいはい、皆聞いてねー。静かにしないとお月様もお星様も怒っていなくなっちゃうよー」 と言うと効果テキメン。一気に静かになった。 「では説明しまーす。これから一匹づつ」 「まりさたちは『ひき』じゃないよ! ちゃんと『にん』でかぞえてね!」 ――うっさいなあ。他のゆっくりはどうか知らんが店と家荒らした時点で俺の中じゃあてめーら動物以下なんだよ、ゴミども。 と思ったが顔には出さず、「ごめんねー。それじゃあ説明するよ」と営業スマイルで優しいお兄さんを演じる。 ……後ろでニヤニヤしてる男がいるが気にしない。 「これから君達をこのバットっていう棒を使って、一人ずつお兄さんの魔法でお月様かお星様に連れて行きます。 で、選ばれた子はこの紐を体に結び付けてもらいます」 紐とバットを取り出すと子ゆっくり共はこちらに寄ってきた。箱で遮られてはいるが。 「最初は誰がいいかな?」と立候補を募ると、 「れーみゅがいちばんしゃきだよ!」 「ゆっ! まりちゃがしゃきにきまってるでしょ!?」 「いちばんぷりちーなれいみゅをさきにおつきさまにゆっくりちゅれていってね!」 「ぶさいくないもーとはだまっててね! おおきいじゅんだよ!」 「「どぼぢでぞんなごというのおおおお?」」 「ゆっ! いもーとにそんなわるぐちをゆうわるいおねえちゃんはしね!」 「ちね! ちね!」 「おねーちゃんにそんなひどいことをいういもーとたちこそゆっくりしんでね!」 実力行使には至っていないが大喧嘩である。無事に解放されても今まで通りには暮らせないだろうなー。帰さないけど。 親は「げんがはやめでねええええええ」だとか 「どぼぢでながよぐでぎないのおおお? いままでながよじだっだでじょおおおお?」 とか言って何とか収めようとしている。もちろん涙目。 収拾がつかないので静かにさせることにする。 パンパン 「静かにしてねー。あんまり煩かったり喧嘩してたりする悪い子達はお月様のところに行けないよー?」 これで収まるはず。 すると子ゆっくり共は「ゆっ! いいこにするよ!」といった感じで静かになった。よろしい。 「君たちに任せるとなかなか決まらないから、お兄さんたちが決めさせてもらいます。皆行けるから安心してね!」 子ゆっくりは了承したようで静かにしている。不満顔のやつもいるが無視。 「じゃあ、最初は怪我をしてたれいむから連れて行ってあげよう! おめでとう!」2人で拍手。 一方の怪我赤れいむは戸惑っていたようだったが、親に「よかったね! いってらっしゃい!」と言われて行く気になったようだ。 怪我で死ななくて良かった。私が殺す楽しみが残っていて良かった。 つまんで箱から出してやり、紐に結びつけて吊るす。 「ゆゆっ! おちょらをとんでるみちゃい!」 そうかそうか。これから本当に飛んでもらうけどな。魂だけ。 「れいむは月と星、どっちに行きたい?」 「ゆっ? んーとにぇ、それじゃあね、れーみゅね、おほちちゃまにいきたいな!」 「分かりましたー。それじゃあ呪文を唱えるから皆静かにしてね! 煩いと魔法が利かなくなっちゃうからね」 「ゆっ! みんなしずかにするよ!」 「ゆっくりわかったよ! し〜ん……」 それも口に出すのかい。 「じゃあ行きます。アブラカタブラエコエコアザラクムニャムニャムニャユックリシテイッテネ……」 適当な事を言っているが、ゆっくり共は呪文だと思っているようで興味津々の顔をしている。 気合いを入れた後、ニコニコしていた赤れいむをフルスイング。飛び散る餡子と空飛ぶ皮。 顔だった部分を見ると笑顔に驚きが入ったような表情をしていた。れいむは星になった。おめでとう。 星に「いった」と星に「なった」、わずか3文字の違いである。大して変わらないだろう。 漢字だと「行った」と「逝った」の違いだな。れいむ良かったね! しばらくの静寂の後、親ゆっくりが騒ぎ出した。 「れいむのあかちゃんがあああああ!?」 「まりさのあかちゃんどこいったのおおおお!?」 子ゆっくり共はいきなり赤れいむが消えたので頭の上に「?」を浮かべたような顔をしている。 「ゆっ、おにーさん。れいむはどこいったの?」と聞いてきたので 「お星様のところに行ったんだよ。言ったでしょ?」と言うと、 「ゆゆっ! れいむよかったね! つぎはれいむをつれてってね!」と言ってきたのではいはいと適当に返しておいた。 子供は喜んでいるが親はどうやら月云々が嘘だと気付き始めたようで、必死に箱から出ようと体当たりを繰り返している。 「でいぶのあがぢゃんをがえぜええええ!!」 「どぼじでごんなごどずるのおおおおお!?」といった具合である。 無視して続けてもいいが、思いついたことがあるので子ゆっくり共に話しかけてみる。 「あのさあ、君たちのお父さんとお母さんがさっきから煩いでしょ?」 「うん! まりさたちおつきさまにいけるのにゆっくりしてないね!」 「さっきも言ったけど、周りが煩いとお月様やお星様の所に行けないんだ。君たちで親を静かにさせてくれないかな?」 「わかったよ! みんな、おかあさんたちをゆっくりしずかにさせようね!」 「「「はーい!」」」 よしよし。 「おかあさんたちがしずかにしてくれないとまりさたちがおつきさまにいけないよ!」 「おきゃーしゃんたちはちずかにちてね! ゆっくりできないよ!」 「まりしゃたちをおつきしゃまにいきゃせたきゅにゃいの? ばきゃなの?」 「さっきもごはんをくれなかったしこんどはゆっくりさせてくれないしむのうなおやだね!」 「むのうなおやはいらないよ! ゆっくりいなくなってね!」 うーむ。自分で言っておいて何だが、もう少し穏やかな言い方は無いのだろうか。 「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!?」」 親は滝のように涙を流している。 子供たちが浴びせる罵詈雑言の酷さに親たちは沈黙してしまった。 「じゃあ、2人目行きまーす。次は……2番目に大きいまりさ、行こうか」 「ゆっへん!」 選ばれて嬉しそうである。姉妹達も祝福している。しかし親は 「おぢびぢゃんだめえええええええ!!」 「おぢびぢゃんをはなぜええええええ!!」 と叫んだり箱に体当たり(効果 自分にダメージ)したりで忙しい。 「またれいむたちのじゃまするの? ばかなの?」 「「ばかなの? しぬの?」」 それを聞いて子ゆっくり共は親にまた罵詈雑言を浴びせている。放っておこう。 「はい注目ー。今度は君たちに呪文を唱えてもらいます」 「「「ゆっ?」」」 「お兄さんが合図をしたら、皆で『いち、に、さん!』って言ってほしいんだ」 「「ゆっくりわかったよ! いーち、」」 「ストーップ! お兄さんが合図をしてからって言ったでしょ? ……じゃあ行くよ、さんはい!」 「「「いーち、にーい、さぁん!」」」 「「だめええええええええええええええええええ!!!」」 スパァン! 「ゆぶっ」 うむ、良い感触。間違いなく芯で捕らえた。 外から来た友人が言ってた「コーシエン」って所でも長打コース、もしかしたらホームランだろう。 「ゆぎゃあああああああ!!」 「じじいはじねえええっ! じねええええっ!!」 おーおー好き勝手言いなさる。今度はじじいですか。意味の無い体当たり、御苦労様です。 「さて、どんどん行こうか。次は――」 「あー、ちょっと待った」傍で見ていた友人が声をかけてきた。 「あのさあ」 「ん? どした?」どうしたのだろうか。 「ちょっと思いついたことがあるんだよ。んでさ、必要な物があるからしばらく待っててくんない?」 「いいけど、何持ってくるんだ?」 「それは持ってきてから説明するわ。じゃ、ちょっと待っててな」 「おー。焦んなくていいぞー」友人は自分の家に何かを取りに行った。 ゆっくり共は……。 「「おぢびぢゃんがえぜえええええええ!!」」 「「「うるさいおやはしんでね! おほしさまにいけないよ!」」」 「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!?」」 大体こんな感じである。見ていて面白くなってきたので、そのままにしておくことにした。 2、3分で友人は戻ってきた。 「それは何だ?」 「防音仕様の透明な箱だよ。普通のよりちょっと高いんだ」 「ほー」 「蓋を閉めると外からの音を防ぐんだ。でも中の音は漏れてくるんだよ」 「不思議アイテムだな……。で、何に使うんだ?」 「とりあえず、子ゆっくりを移し替えてくれ」 「分かった」 ゆっくり共に目を戻すと、まだ子供が親を罵っていた。 パンパン 「皆聞いてねー。こっちのお兄さんが今より魔法が効きやすくなる特別製の箱を持ってきてくれましたー。皆感謝してね!」 「おにいさんありがとう!」 「おにいさんはゆっくりできるひとだね!」 「ゆっくりしていってね!」 子ゆっくり共は大喜びだ。友人は……一応ニコニコしている。 箱から子ゆっくり共を出して防音箱に移し替えようとすると、親ゆっくりが 「お゛ぢびぢゃんいまのうぢににげでええええ!!」とまた箱に意味の無い体当たり(笑)を繰り出している。 それを見た子ゆっくりは「うるさくてゆっくりできないよ!」とか 「れいみゅたちがおほちちゃまにいきゅじゃまちないでね!」とか、また罵っている。 このまま生きててもろくな大人にならないだろう。やはりここで始末するのが正しい。 詰め替えが終了した。さて。 「詰め替え終わったけど、この後どうするんだ?」 「今まで通り続けてくれ」 だったら今までの箱でも良かったんじゃないかと思ったが、何か思惑があるんだろう。続けることにした。 「おにいさんゆっくりしすぎだよ! はやくつれてってね!」 「まいちゃたちはかんぢゃいだけど、おにーしゃんがあんみゃりゆっきゅりちてるとぴゅんぴゅんしゅるよ!」 「待たせてごめんね。次は……一番小さいまりさにしよう」 「ゆっ! やっちゃね!」 「まりしゃおめでとー! さきにゆっきゅりちてね!」 赤まりさを箱から出し、紐に結び付けて吊るした。 「おちょらをとんでるみちゃい!」 これから好きなだけ飛べるからな。……永遠に降りられないが。 と、そこで友人が子ゆっくり共に近づいた。何かするのか。 「お兄さんが持ってきた魔法の箱は、この蓋を閉めると外からの音が聞こえなくなるんだ。 音を聞こえなくすると、魔法がかかりやすくなるんだよ」 「「おにいさんすごーい!」」 「じゃあ、閉めるよ」 「まりちゃゆっくりちてね!」 「さきにいったいもーととおねーちゃんによ……しく……」 おっ、声が小さくなった。こっちからの音は聞こえるのだろうか? 「おーい、ゆっくり達聞こえる?」 結構大きめの声で言ったが無反応である。本当に外からの音は聞こえなくなったようだ。 「待たせたな、そろそろ始めてくれ」 「分かった」 私は打つ準備に入る。するといきなり友人が 「おい、そこで吊るされてるゆっくりよ。お前本当に月になんて行けると思ってるのか?」 「ゆっ!?」 お? 「やっぱゆっくりは馬鹿で間抜けだな、バットなんかで月になんか行けるわけねーだろ。 馬ぁ鹿なのぉ? 死ぃぬのぉ? あっ、これからお前死ぬんだっけ、悪い悪い」 「おにーちゃんにゃにいっちぇるにょ? まりしゃはおちゅきちゃまにいきゅんだよ!」 「だから、それは嘘なの! 魔法使いってのも大嘘! お前の姉だか妹だかはこいつが持ってる棒で死 ん だ ん だ よ っ!! ハハッ!」 「ゆううううううっ?」 ……そう来たか。虐待お兄さんから見ると虐待分が足りなかったのだろうか。 親ゆっくりは「だがらいっだでじょおおおお!?」 「あ゛がぢゃんにげでええええええ!!!」 と、またも叫びながらの体当たり(爆笑)だ。だから無駄なんだって。 「親は気付いてたのになー。お前ら子供は耳も傾けもしないでなにやってたんだろうね」 「おぎゃーじゃんぎょめんなじゃいいいいい!」 「謝っても遅いぜ。お前は死ぬんだ。第一、親じゃなくてこいつに先に謝るべきだろうよ。 というわけで、俺の友の家を荒らした馬鹿でゲスなゆっくりは死んでね! さあっ! 殺れっ!」 よっしゃ行くぜい。 「ぎょめんなじゃいいいいい!」 「あ゛がぢゃんにげでえええええ!!」 「ゆるじでぐだざいいいいいい!!」 いいや駄目だねっ! ぶら下がってるまりさを強っ振ッ! ボンッ!! 「ゆぴっ」 「ゆぎゃあああああああ!!!」 「でいぶのあ゛がぢゃんんんんん!!!」 飛び散る餡子と宙を舞う皮。先ほどの2匹とは違い、苦悶の表情である。また新しい星が誕生した。 友人を見ると……とてもいい顔をしていた。 子ゆっくり共に目を向けると……皆楽しそうな顔をしている。 私は……あれ? 楽しい? 「さあ次だ! 早く早く早く早くっ!」 「んな急かすなって……」 友人のテンションの上がりっぷりにタジタジになりながらも、蓋を開ける。 「まりさよかったね! つぎはれいむをつれていってね!」 「まりさをつれていってね!」 「れいみゅだよ!」 「じゃあ今度は……真ん中ぐらいのれいむ! おめでとう!」 「ゆーっ! やったね!」 「おねーちゃんおめでちょー!」 「さきにゆっくりしてね!」 「みんなありがとうね!」 箱から出して蓋を閉めると、親ゆっくりの命乞い大合唱&体当たり祭だ。無視無視。 蓋を閉じると子ゆっくり共の声が小さくなった。 「れいむよかったね!」 「ちゅぎはまりしゃがいきちゃいな!」 蓋を閉じる前よりかなり声の大きさは小さくなったが、まだ聞こえる。 さて、殺ろう。れいむを紐に結び付けてぶら下げ、スイングの態勢に入る。 「なあれいむ。今から行くところがお月様じゃなくてあの世だってことが分かったらどう思う?」 「ゆっ? おにいさん、なにいってるの? おばかさんなの?」 「あー、親達があんな必死に教えようとしてたのに気づいてなかったんだね。 今からお前は死 ぬ ん だ よ。二度とゆっくりできないの! 魔法で月に行くなんてのはお お う そ な の!」 「ゆうううううううっ!?」 「ハハハハハッ! ねえねえ今まで月に行けると思って有頂天だったのに、 本当は殺されるって聞いてどんな気持ち? ねえねえっ、どぉんな気ぃ持ちぃ?」 「ゆえええええええん!! おとーさんたすけてえええええ!!」 さっきまで散々虚仮にしてきたのに助けてくれとは。どういう神経をしているのだろう。 しかし効果があったのか、親がさっきから箱にやっている体当たりの勢いが少し増しているように思える。 顔も今までより必死になっている。もちろん無駄ですよ? そういえば、もし箱の側面に棘が付いてたらこいつら体当たりするのかな。まあいいや。 「勝手に人間の家に入り込んだり大事な商品壊したり、お前は間違いなく地獄行きだな! 知ってる? 地獄ってのはそりゃあつらくて辛くてぜえーったいにゆっくりなんてできないんだぞ!」 「やぢゃあああああ!! おうぢがえるううううう!!」 「何言ってんだよ、てめーらコイツの家の窓割って勝手に入り込んで『おうち』って宣言したんだろ? お望み通り『おうち』のお庭でゆっくりしていけや」 「ゆわああああああん! ごめんなざあああああああいいいい!!!」 「ばりざのおぢびじゃんはなぜえええええ!!!」 「おねがいでずうううう!! ゆるじでぐだざああああいい!!!」 「貴様等饅頭の言うことなど聞く耳持たぬわっ! さあっ! レエエエエエッツ! キイイイイイル!!!」 待ってました。俺のターン! 今度は実際の試合でバッターボックスに立ってるときをイメージして打った。心なしか振りが鋭かった気がする。 そんな感じで、残り2匹も箱から出す→友人の罵詈雑言→フルスイング→星という順で片づけていった。 これで私の分は終了である。正直言ってスッキリした。 友人の番になるのでバットを渡し、同じように残った2匹のうち子れいむを星にした。 さすがは我がチームの主砲、私より振りが鋭かった。 そして箱から最後に残った赤まりさを取り出し、紐にぶら下げていく。親はまだ騒いでいるが、子供は幸せそうな顔をしている。 「なあそこの腐れ大福、お前姉妹が全部月とか星に行けたと思ってる?」 「ゆうっ? あちゃりまえでちょ? おにーちゃんのまほうでみんにゃゆっきゅりちてるよ! あとまいしゃはくちゃってないちだいぷきゅでもにゃいよ! ゆっきゅりあやまっちぇね! ぴゅんぴゅん!」 「あー、ゆっくりは馬鹿だから困るよ。何でさっきからお前の両親が箱に体当たりしたり叫んだりしてたか分からない?」 「ゆっ! まりしゃたちがしゃきにおちゅきしゃまにいけるからうらやまちいんだよ!」 「あがぢゃんぢがうううううう」 「おねがいにげでええええええ」 「うるちゃいね! ゆっきゅりできにゃいよ!」 「ブッブー、はっずれえー。答えは他の子供が殺されようとしてて、それを助けるためでしたー」 「なにいっちぇるの? おねーちゃんたちはしゃきにゆっくりちてるんだよ! ばきゃにゃの?」 「馬鹿なのはお前さんだよ。ただの人間に魔法なんて使えるわけねーだろ。みーんなこの棒で殺されたんだよ! なぁ?」 こっちに振ってきたので、肯定の頷きを返す。 「ゆっ? じゃあ、みんにゃおちゅきちゃまいけてにゃいにょ?」 「ピンポーン。正解でーっす。みーんな死んじゃいましたー。という訳でユーもこれから死にます。オーケー?」 「ゆうううううっ? やぢゃよ! まりしゃちにちゃくにゃいよ!!」 「喜んでよー。今のクイズに正解したご褒美なんだからさ」 「いやぢゃあああああ!! ごほうびじゃにゃいいいいいい!!!」 「まっ、本当は俺の友の家を荒らして暫く商売できなくしたからなんだけどね。 という訳で、正解不正解に関わらずお前は死ぬのでした。おめでとうっ! 拍手っ!」 ハチパチパチパチ。 「ぎょめんなじゃああああああああい!!!」 「饅頭の命乞いなんて聞くと思ったの? 馬鹿なの? 死ぬの? あ、これから死ぬんだっけ。ごめんごめん」 今までのように罵声を浴びせると、赤まりさは大泣き。親も大泣き。 さてスイングタイムかな、と思っていたら友人は赤まりさを半分食べてしまった。 すると顔がほころび、 「あー、やっぱ上げて落とした赤ゆっくりは旨いねー」と言い、 「お前も食べないか? 旨いぞ」と勧めてきた。 私は甘い物をあまり食べない。従ってゆっくりもほとんど食べたことが無い。 一度親ゆっくりを食べたことはある。甘いがパサパサしていて、あまり美味しいとは言えなかった。 ゆっくりは旨いのか? まあ勧められたんだし食べてみよう。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」とか言いながら痙攣してやがる。いただきます。 パクッ おお? 何だこれは? 甘くて旨いぞ! 甘いものはあまり食べないがこれは良いぞ! 私の様子を見た友人は嬉しそうに解説してくれた。 「ゆっくりの親は餡子がパサパサしててそんなに旨くないんだけど、子ゆっくりとか赤ゆっくりは親に比べてかなり甘いんだ。 それに、恐怖を与えるとより甘くなるんだよ。恐怖を与える前にゆっくりさせてるとさらに甘くなる。 打つ前にあれこれ言ってたのはそういう訳なのさ」 「へえーっ。初めて知った」 「前に話したはずなんだがなぁ……。まぁいいや。そうだ、親どうする?」 「そうだなぁ……。甘くなってるんだろうけど食う気にはならないしなあ」 「うーん……。そうだ。こいつらでゆっくり作って、しばらく経ったらまた打撃練習用の球にすればいいじゃん。 生きてる球の方がいいって言うしな」 いやあの、生きてる球の意味が違うんですが。 「どうする? 俺の言ったとおりにするんだったらこいつら預かってほしいんだけど」 「何で?」 「いやさあ、俺虐待趣味じゃん? 衝動的に潰しちゃったりするんだよ。 こいつらはお前の家荒らしたんだし、虐待好きじゃなくてもくたばる瞬間見たいだろ?」 「まあ……そりゃあ……」 「打撃練習以外にも赤ん坊産ませて食べられたりするからさ。どうよ? 飯はゴミでも食わせときゃいいんだし」 「分かった。そこまで言うなら引き取るよ」 「おっ、サンキュー」 「赤ん坊は何日ぐらいでボールぐらいに育つんだ?」 「赤ん坊がボールの大きさまで育つのは大体3日ってところだな。繁殖方法分かるか?」 「確か揺らすと発情して、放っておいたら子供が出来るんだろ」 「正解。植物型妊娠だと一回に10匹は出来るから、そっちの方がいいだろ。 そうだ、動物型の妊娠しないようにしてやるからちょっと待ってろ」 言うと友人は家の方へ走り、2、3分で戻ってきた。持ってきたのはペンチと大きめの透明な箱である。 友人は疲れた様子で 「じじいはじねえええ……。ぢびぢゃんがえぜえええ……」 「ぢびぢゃん……あがぢゃん……ごべんねえええ……」 とか言ってる親ゆっくりを箱から取り出し、顎の下をまさぐって突起物をペンチで切り取った。 「ゆぎゃあああああ!!」 「でいぶのべにべにがああああああ!!!」 おお、まだ叫ぶ元気があったとは。 「よし、これで動物型の妊娠はしない、っと。んじゃあ、こいつら宜しく。 家族ごと入るように大きめの箱やるからさ、ちゃんと入れとけよ」 「おお、悪いな。もう家荒らされるのは勘弁だからな、しっかり入れとくよ。またこれやる時に呼ぶよ」 「楽しみにしてるわ。じゃあ帰るな。お休みー」 「お休みー」 こうしてボール兼菓子生産用ゆっくりを手に入れたおかげで、素振りのみだった頃よりも効果のある練習ができるようになった。 練習の効果が出たのかは分からないが、週末の試合は4の4で2打点。 翌週の試合はホームランまで打ってしまい、チームの連勝に貢献することができた。 成績が良くなったのはゆっくりを打つことに対してためらいが無くなったこともあるのだろう。 飲みに行った際に友人のゆっくり虐待話も前よりは聞くようになっている。 打つ時に親を入れる箱は側面に棘が付いているタイプに変えた。 これだと親が体当たりを尻込みするので、助けようとしない親を子供が罵りまくってさらに楽しくなる。 子供にゲス気質がある時なんて爆笑ものだ。 友人に話したらその発想は無かった、と大笑いされた。 ……もしかしたら虐待お兄さんに近づいてたりするのだろうか。打ってるとき楽しいし。 今日は育てた赤ゆっくりを打つ日だ。 「はーい、皆聞いてねー。これから魔法使いのお兄さんがお月様やお星様に連れて行ってあげるからねー」 おしまい あとがきのようなもの お読み頂き、ありがとうございます。 少し前の話ですが、我らが魔将ガイエルの残留が決定しました。という訳で(でもないんですがw)、野球をネタにしたSSです。 書いているうちに去年SSを書いてた某超魔神スレを思い出しました。懐かしい。 ゆっくりの表記が変わっているのは(達→共)、主人公のゆっくりに対する心境の変化を表してるとお思いください。 幾つかネタはあるんですが、色々と忙しいのとドが付く遅筆なので、ゆっくり書いていきたいと思います。 就活こわい。