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ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ -- (クリスティア) 2010-12-30 13 23 06
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【登録タグ GUMI さと★しみ ゆ 曲】 作詞:真屑 作曲:さと★しみ 編曲:さと★しみ 唄:GUMI 曲紹介 さと★しみ氏3作目 明るく可愛らしいメロディに真屑氏の切ない歌詞が印象的な作品 歌詞 (真屑氏ピアプロより転載) まどろみ覚めたような、 でもまだ ふわり 足元浮いた ひだまり呼んだ さえずる残響が ほころぶ恋の帆 それでも何か あたしをどうか、 呟くまぶたが 消し去る幸せ。 色のついた夢を見せて 隠す視線はまた刹那 白の国 午後11時 抜ける靴底 まどろみ覚めたような、 でもまだ ふわり どこか きらめく空彼方 もう走れないの。 摘んだ果実は 砂となり 空気染めた あなた虹色薫るから 世界がくらり コメント いい曲だよね -- 名無しさん (2011-04-14 22 10 27) 名前 コメント
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遊び方攻略特別効果付きドール 得られるやかん イベント報酬一覧 特効 新カード 同時開催!!キズナランキング!! ヒント特効倍率について ステージ毎の収拾効率について ステージステージボスエピソード1 エピソード2 エピソード3 コメント 開催期間:5/29 - 6/13 遊び方 イベント限定ステージのライバルマスターを倒すと やかんが手に入ります。 集めたやかんの数に応じて報酬がもらえます。 攻略 特別効果付きドール メインデッキに特効付きドールがいる場合、ライバルマスター勝利時に 獲得できるやかんの獲得数が増加します。 特効ドールが複数デッキ内にいる場合、増加率は加算されます。 増加後の端数は切り捨てられます。 例)倍率2倍のドールと倍率1.2倍のドールがいる場合 倍率2倍 = 増加率1倍 倍率1.2倍 = 増加率0.2倍 合計増加率 = 1.2倍 = 倍率2.2倍 1個 → 2.2個 → 2個(0.2 は切り捨て) 2個 → 4.4個 → 4個(0.4 は切り捨て) 3個 → 6.6個 → 6個(0.6 は切り捨て) 5個 → 11個(切り捨てなし) 10個 → 22個(切り捨てなし) 数値誤差のせいなのか、 たまに1個少ないこともあるようです。 得られるやかん ライバルマスター勝利時に 1, 2, 3, 5, 10個のいずれかが獲得できる。 イベントお出かけマップ上でも取得できることもある。 獲得数の確率分布は面によって異なる模様。 イベント報酬一覧 やかん獲得数 報酬 個数 9 スタミナチャージmini 1 24 エナジーキャンディmini 1 39 [げんきな妖精]エルフィ(赤) 1 60 [げんきな妖精]エルフィ(緑) 1 90 [げんきな妖精]エルフィ(青) 1 120 目覚めの翼 1 165 プレミアムガチャ券 1 210 [げんきな妖精]エルフィ(赤) 2 255 [げんきな妖精]エルフィ(緑) 2 300 [げんきな妖精]エルフィ(青) 2 360 スタミナチャージhalf 1 420 プレミアムガチャ券 1 480 [神秘の妖精]エルフィ(赤) 1 570 [神秘の妖精]エルフィ(緑) 1 660 [神秘の妖精]エルフィ(青) 1 750 [アルティメット]エルフィ 1 870 目覚めの翼 1 990 プレミアムガチャ券 1 1100 SR100%ガチャ券 1 1230 プレミアムガチャ券 1 1350 エナジーキャンディmini 2 1470 プレミアムガチャ券 1 1590 目覚めの翼 1 1710 プレミアムガチャ券 1 1830 スタミナチャージhalf 1 1950 プレミアムガチャ券 1 2070 エナジーキャンディhalf 1 2190 プレミアムガチャ券 1 2310 目覚めの翼 1 2430 プレミアムガチャ券 1 2550 スタミナチャージhalf 2 2700 プレミアムガチャ券 1 3000 [あの空の向こう側へ]キョウ子 1 3300 [神秘の妖精]エルフィ(赤) 3 3600 [神秘の妖精]エルフィ(緑) 3 3900 [神秘の妖精]エルフィ(青) 3 4200 SR100%ガチャ券 1 4500 目覚めの翼 3 4800 [神秘の妖精]エルフィ(赤) 3 5100 [神秘の妖精]エルフィ(緑) 3 5400 [神秘の妖精]エルフィ(青) 3 5700 プレミアムガチャ券 1 6000 SSR100%ガチャ券 1 6300,6900,7500,8100 プレミアムガチャ券 1 8700 [アルティメット]エルフィ 1 9300,9900,10500 プレミアムガチャ券 1 11100 [あの空の向こう側へ]キョウ子 1 11700,12300,12900,13500,14100 プレミアムガチャ券 1 14700 SSR100%ガチャ券 1 15300,15900,16500 プレミアムガチャ券 1 17100 SR100%ガチャ券 1 17700,18300,18900,19500 プレミアムガチャ券 1 20100 SSR100%ガチャ券 1 20700,21300,21900,22500 プレミアムガチャ券 1 23100 [アルティメット]エルフィ 1 23700,24300,24900,25500 プレミアムガチャ券 1 26100 [アルティメット]エルフィ 1 26700,27300,27900,28500 プレミアムガチャ券 1 29100 SR100%ガチャ券 1 29700,30300,30900,31500 プレミアムガチャ券 1 32100 [アルティメット]エルフィ 1 32700,33300,33900,34500 プレミアムガチャ券 1 35100 [アルティメット]エルフィ 1 35700,36300,36900,37500 プレミアムガチャ券 1 38100 SR100%ガチャ券 1 38700,39300,39900,40500 プレミアムガチャ券 1 41100 [アルティメット]エルフィ 1 41700,42300,42900,43500 プレミアムガチャ券 1 44100 [アルティメット]エルフィ 1 44700,45300,45900,46500 プレミアムガチャ券 1 47100 [アルティメット]エルフィ 1 47700,48300,48900,49500,50100 プレミアムガチャ券 1 50700 SSR100%ガチャ券 1 特効 やかん獲得数補正 通常 限突1 限突2 限突3 [あの空の向こう側へ]キョウコ 1.5倍 2倍 2.5倍 3倍 [びしょ濡れですわ]オフィーリア 1.5倍 2倍 2.5倍 3倍 [ツッコミ伝授します]冥幻 1.05倍 1.1倍 1.2倍 - 新カード ドール名 レアリティ コスト 攻撃 HP MAX攻撃 MAXHP リーダー効果 秘技 スキル [あの空の向こう側へ]キョウ子 SSR 28 5800 5700 9800 9700 迅速王の結界スピード属性の被ダメージを25%ダウン 疾風のキョウ子伝説スピード属性の攻撃を2ターン90%アップ(5ターン目に発動可能) スーパー・スピードバースト改スピード属性の攻撃とHPを大アップ SSRMAX 13000 12800 [びしょ濡れですわ]オフィーリア SSR 31 5600 8100 9500 13600 無双の心得パワー属性のHPを28%アップ レイニーディオール相手スピード属性の攻撃2ターン65%ダウン(3ターン目に発動可能) スーパー・パワーシールド改パワー属性の被ダメージを大軽減 SSRMAX 12500 18000 [ツッコミ伝授します]冥幻 HR 15 3600 3100 6500 5600 技巧怪力の構えテクニックパワーの攻撃を10%アップ スピードノリツッコミ相手スピード属性の攻撃1ターン25%ダウン(2ターン目に発動可能) プチ・テクニックパワーシールド改テクニックパワーの被ダメージを小軽減 HRMAX 8200 7000 同時開催!!キズナランキング!! イベント「ラフレシアからの挑戦状!!」の開催期間中にアップしたキズナによって決まるドールの人気ランキングです!! キズナはおでかけやお風呂、限界突破などでアップします!! キズナランキングTOP20に入ったドールの1番のお気に入りのマスターにはドールからのプレゼントがあるかも…!? ヒント 特効倍率について 特効倍率のキリが良くなると切り捨てがなくなるので、 その直前の倍率よりも収拾効率が格段に上がります。 逆に、キリが悪いところではほんの少し特効倍率が上がっても 大きな効果は望めません。 例えば1.9倍を1.95倍にしても得られるやかんの数は変わりませんが、 1.95倍から2.0倍にすると1回の戦闘で得られるやかんの期待値が1上がります。 具体的には、小数点以下が 効率高 ↑ 0.95→1.00(切り捨てがなくなる) | 0.45→0.50(2, 10 の時に切り捨てがなくなる) | 0.65→0.70(3, 10 の時に切り捨てがなくなる) | 0.30→0.35(3 の時に切り捨てがなくなる。5 と 10 より 3 が十分出やすい場合、以下より効率上昇は大きくなります) | 0.15→0.20(5, 10 の時に切り捨てがなくなる) | 0.35→0.40(5, 10 の時に切り捨てがなくなる) | 0.55→0.60(5, 10 の時に切り捨てがなくなる) | 0.75→0.80(5, 10 の時に切り捨てがなくなる) | 0.75→0.80(5, 10 の時に切り捨てがなくなる) と変わるタイミングで収拾効率が比較的大きく上がります。 (あとは10の時に切り捨てがなくなるだけか、あるいは得られる数に変化がない) この倍率を超える手前にいる場合は、 なるべく効率のいい倍率まで上げることをおすすめします。 ステージ毎の収拾効率について やかんを何個拾えるかの確率は面によって異なるようです。 1-裏、3-5、3-裏が比較的効率が良いという情報があり、なかでも3-5が良いという報告が多いようですが、不確定情報です。 3-5の場合は左右右右右のルートが最長で、4〜5戦することができます。 ステージ エピソード ステージ 体力消費 アナザーエピソード1 雨やどり(1) -18 雨やどり(2) -20 雨やどり(3) -20 秘密のラフレシア(1) -22 アナザーエピソード2 あじさいの花言葉(1) -24 あじさいの花言葉(2) -26 あじさいの花言葉(3) -28 アジサイの花言葉(4) -32 秘密のラフレシア(2) -34 アナザーエピソード3 雨あがりの虹(1) -34 雨あがりの虹(2) -36 雨あがりの虹(3) -36 雨あがりの虹(4) -38 雨あがりの虹(5) -34 秘密のラフレシア(3) -38 ステージボス 向かって右から左の順で書いてあります(秘技発動順) エピソード1 レベル 20 スキルレベル 5 デッキ LINE1 緑青 [温泉って最高ね♪]エミ 緑 [華やかなドレス]のほほん (デッキリーダー) 青 [一緒に初雪デート]コノ・シー LINE2 青青 [我は黄泉の女王!]ユウコゥ 青 [ハッピーコノシーニューイヤー]コノ・シー (サブリーダー) 緑 [お買い物なのだ]カナン LINE3 緑赤 [カナンは大人なのだ]カナン 緑 [我ハ放ツ白キ獣]ユウコゥ (サブリーダー) 赤 [あんさんぶる]コノ・シー エピソード2 レベル 40 スキルレベル 8 デッキ LINE1 青赤 [闘いの零 強襲 ]プロトゼロ 青 [売れっ子作家]デッドライン (デッキリーダー) 緑 [うっさうさアニマル]うきわ LINE2 緑緑 [マスターと書き初め]すずり 緑 [聖夜の零 イヴ ]プロトゼロ (サブリーダー) 赤 [赤天使のいたずら]マアルス LINE3 緑緑 [みんなのアイドル]ルチェッタ 緑 [はじめてのカティア]カティア (サブリーダー) 青 [はじまりの零 無 ]プロトゼロ エピソード3 レベル 50 スキルレベル 8 デッキ LINE1 緑青 [あの空の向こう側へ]キョウ子 緑 [きぐるみパジャマ]しいの実 (デッキリーダー) 青 [出発進行致します♪]ヨウ子 LINE2 緑赤 [びしょ濡れですわ]オフィーリア 緑 [みゃすたぁと…Zzz]小明 (サブリーダー) 青 [舞い降りた桜の妖精]オフィーリア LINE3 赤緑 [野生なる女豹の力]ゆがけ 赤 [ふたりで愛の逃避行]アロエ (サブリーダー) 緑 [ほんのりささらいろ]ささら コメント
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§5 ―――――――――――――――――――――― 彼女の家に行く機会は、割と多い。講義で出された課題なんかの存在に気付 かないことがままある私が、助けを求めにいくのだ。 そういった勉学の場にお酒を持っていくと彼女は怒るので、終始しらふで勉 強し、話をしたりしている。女は三人そろえばかしましいが、二人であればぎ りぎり大丈夫のようで。 彼女の家で勉強をすると、非常に効率があがる。逆に私の家には、お酒のス トックが多くあるせいか、勉学の場としてはあまり向いていない。 高校時代は、実家の方によく遊びに行っていたけど。普段のキャラは冷静沈 着で通っている彼女(たまに爆発するが)の部屋が、結構ファンシーなもので飾 り立てられていたのが最初は以外だった。 だが、長く付き合っていると。彼女はなかなかどうして、かわいい性格をし ていることがわかる。本人に言うと怒られそうなので、あえて言うことも無い。 進学する際、彼女とならルームシェアしても良いだろうか? などと考えた こともあったが、結局それは提案することは無かった。何かが気を咎めた訳で もなく、ただなんとなくそうしなかっただけ。 「さて、着いた、っと……」 私はアパートの階段を上る。両手には手提げ袋。中身は勿論お酒とおつまみ。 「今日は勉強じゃないから良いわよねぇ?」 今日、真紅は大学へこなかった。珍しいこともあるものだ。彼女が居ない状 況で、私が授業に出席しているだなんて。 そして、午後に唐突に送られてきたメール。彼女は携帯電話は持っているも のの、殆ど使っているところを見たことが無い。珍しいことは重なるものだと 思う。 ドアの前に立ち、インターフォンを押した。ガチャリ、と扉が開く。 「いらっしゃい。どうぞ」 「お邪魔しまぁす」 「適当に座ってて頂戴。今飲み物を……」 彼女が言うを遮り、私はにんまりとしながら手提げ袋を彼女に示した。 「心配はご無用よぉ? 真紅」 「わざわざありがとう、……呑みすぎは身体に毒よ?」 苦笑しながら、何処かで聞いた台詞を私に投げかけてくる真紅だった。 「「乾杯」」 チン、とグラスをぶつけながら、私達はお酒を呑み始める。サザンカムフォー トをソーダで割って、少しレモンを絞ってみた。家で呑む分には少しばかり小 洒落ているかもしれないが、私のお気に入りである。ほのかに甘く、さっぱり とした後味が鼻を抜ける感じ。 暫くはそうやって呑んでいたのだが、私は少し気になっていたことを尋ねる。 「それにしても、今日はどうしたのぉ? 休んでたみたいだったけど」 ちょっと、色々あったのだわ。そんなことを言う彼女は微笑んでいたけど、少 し寂しそうだった。 「……何か、悩みごと?」 こんな表情を彼女が浮かべるのは、こころに何か抱え込んでいるときであるこ とを私は何となく知っている。 彼女は気丈で、己の弱さを曝け出すことを良しとしない。たまにぽろりと零 す位ならたまにあるが、基本的に私は彼女の傍にいて、見守る役目になっている。 だが、今日。彼女は私を家に招いた。きっと、何かある。 「いえ、悩んでいるわけではないの」 「本当にぃ?」 「本当よ。……でも、何かいろいろ話したかったのだわ。そう、本当はもっと 早く、話さなければならなかった。 私は、逃げていたの。居心地の良い環境に、逃げていたの。私はあなたのこ とを、本当に親友だと思っている。その仲が壊れるの怖かったのだわ」 「……真紅」 私は、悟る。彼女が今、私に曝け出そうとしていること。 「水銀燈。あなたは、今でもジュンが好――」 「待って」 言葉を、遮った。彼女は押し黙る。これは、違う。彼女は私に、自分のこころ の内を伝えようとしている。だからこそ。まずは彼女が――彼女の気持ちを、 ここで先に、かたちにしなければならないと思った。 「私が先に聞くわぁ、真紅。あなたは――ジュンが、好き?」 私は答えを知っている。それを隠し、私を応援しようとしてくれたことも。 その彼女の気持ちは、いつだって上辺などでは無い筈で。 やさしい、とてもやさしい真紅。けれど。あなたはあの時からずっと。 ――泣いて、いたんでしょう? 「私は。わたしは――ジュンが、すき」 涙を零しながら、真紅は、言った。 「ごめんなさい、ごめんなさい、水銀燈――私は。私は、卑怯なのだわ…… あなたが気付いて居ることと、また別にして―― 私はそれを、あなたに伝えなかった。私は逃げた、逃げたのだわ!」 謝っている。きっと、私が止めたところで、彼女は謝ることをやめはしない だろう。こころに微かに燻っていた、彼女の想い。それが今、嗚咽とともに溢 れ出しているのだと思った。 私は彼女のすぐ隣に座って、抱き寄せて頭を撫でてあげた。いつも聡明で、 気丈で、誇り高かった真紅。その彼女が、私の隣で身体を小さく震わせ、泣い ている。 「やっと聞けたぁ……確かに、それくらい知ってたわよぉ。あなた、隠すの下 手なんだもの」 だがそれは、今の今までかたちにされることは無かった。彼女の声は、深い深 いところへ押し込められてしまって。こころに小さく、引っかかっていたのだ。 言葉にするという行為そのものは、ささいなことなのかもしれない。けれど、 今は。それはとても大事な、かけがえの無いことに思えた。 「……ごめんなさい、っ、! ……」 包み込むように抱きしめてみて、彼女の謝罪の声が止まる。 「謝ることなんて、無いでしょお? それがあなたの気持ちなんだから、真紅。 あなたは何も悪くない――悪くないの」 そうして暫くそのままの体勢で。私の胸元に零れる彼女の涙は、温かかった。 ―――――――― 「……落ち着いた?」 向かい合うかたちになって座り。彼女の涙が止まる頃、私は話しかけてみた。 こくんと、彼女は無言で頷く。 「さっきのあなたの質問、答えてなかったわねぇ…… 私も、ジュンが好き。今でもそれは変わらないわぁ」 ちゃんと言葉にする。けど、私は涙を流さない。 「こんなことを言うのに、随分長くかかったものよねぇ」 「ええ、まったくだわ」 二人して、笑った。不器用なのは、お互い様かもね……私は、三人で楽しく 笑い合っていたあの頃を、思い出す。 「なんでいきなり、今日話そうと思ったのお?」 当然の疑問を口に出してみた。そこで私は、聞かされるのだ。 真紅が昔、ジュンに告白していたこと。 ジュンが海外で勉強したいと思った理由のひとつ。 彼もまた、悩み、そして強くなっていったこと。 "やさしい嘘"のこと。 そして彼が、私達に――感謝していたのだ、ということ。 他にもいろいろと話をして。聞いて、勿論驚いてしまう内容もあった。けれど、 そのひとつひとつが私の胸に染みとおっていくような、そんな気がした。 私は思う。二人で同じひとを好きになって。恋は先着順という訳ではないけ れど、結局のところ想いが通るのはひとりだけ。私こそが、甘えていたのだ。 真紅の『応援する』という、その言葉に。 彼女がもっと自分の気持ちに素直になり。または……あの時私が感付いてい た彼女の気持ちを、ちゃんと聞いてあげられていたとしたら。私達は、良き恋 のライバルに、なれていただろうか? 以前も考えていたこと。私がジュンと付き合えたら、きっと幸せで。真紅が 彼と付き合ったなら、私は少し寂しいけど――二人の幸せを、きっと祝福する ことが出来るのではないかと……そう、ぼんやりと思っていたことを。私は今、 またはっきりと。こころの中に思い描いてしまった。 『今は、そういうことを考えられない』。彼が真紅の想いを拒絶したときに 言ったらしい言葉。その『今』からは、大分時間が経った。……"今"の彼なら、 どんな答えを出すだろう。 いじらしい真紅。私のジュンに対する想いが、彼女に負けるとは思わない。 それは、彼女の想いを聞いた今でも変わらない。 けれど。これは彼女に対する同情でもなんでもなく、彼女がこころから笑っ いる表情を。いつまでも、見ていたいと思った。 ずっと幼馴染で、私よりも昔から知り合いだった彼ら。そんな二人が結ばれ たら、きっと素敵なことだろう――ちょっと、ずるいわねぇ? だから私は。また、気持ちを言葉にしよう…… 「えっと……連絡先、わかってるのよねぇ?」 「え、えぇ」 机の引き出しの二番目から、彼女は小さなメモを取り出した。 「真紅はこれから、手紙を書きなさい。……あなたの気持ちを、言葉にして かたちにするの。 あなたはずっと、待っていたのよ……だけど、待つだけじゃ相手は振り向か ないわぁ。だからもう一度、勇気を出して」 「水銀燈、あなたは――」 「勘違いしないで。同情でこんなこと言いはしないわよぉ……そろそろ付き合 いも長いんだから、私達。 だからそれ以上――言わないで」 そう言って、私は笑った。これでうまくいくかはわからないけど、あとは彼女 次第。 それで。このまま帰っても、ちょっといいひとすぎて私らしくない。そんな 風に私は考えるのだ。 「それにしても、真紅ぅ」 手をわきわきさせながら彼女に近づく。 がしっ。 「ちょ、ちょっと!?」 「そんなに想いが詰まってるんだから、もうちょっと育ってもいいんじゃなぁい?」 そう言いながら彼女の胸を揉んでいる私は、……うん。ただのセクハラ親父ねぇ。 「すっ、水銀燈ーーー!!」 あら、怖い。暫く部屋の中で鬼ごっこ。どたばたしちゃってごめんなさぁい? ご近所の皆さん。真面目な話もいいけど、この位馬鹿なことやってるのも、 やっぱり楽しい。 "良き友"ならば、何をしても"良い"。そうよね? 白崎さん。 まあ。これはちょっと違うだろうってこと位は、わかってるんだけどねぇ。 「さて、私はそろそろ帰るわぁ。じゃあ、また大学で」 良い報告、待ってるわよぉ? と言いながら、私は玄関のドアを開けて外へ出 た。扉越しに小さな声で、『ありがとう、水銀燈』と言う声が聞こえた。多分、 また泣いてるんだろうなあ。 お礼を言うのは、こちらの方よ。 私は私で、気持ちを確かめることが出来たから。 ありがとう、真紅。 ―――――――――――― 真紅の家を去ったあと。私はその足で、『トロイメント』へ向かった。家に 帰ってもすることは無いし、もうちょっとお酒を呑みたい気分だったから。 「おや、水銀燈さん。いらっしゃいませ」 「いらっしゃったわよぉ。詩人の白崎さん」 む? と。訝しげな表情を見せた彼(ちょっと珍しい)は、少しすると私が何を 言っているのか勘付いたようだった。 「色々語ったみたいじゃない。私とはあんまり話さないくせにぃ」 「バーテンダーは、自分からは語らないのがマナーで御座います」 そんなこと、前も言ってたな。それにしては、少々饒舌な気もするけど。 「さて、本日もいつもので宜しかったですか?」 「いえ、今日は違うのにするわぁ。えっと」 もう真紅の家で、呑んできてるしね。気分を変えよう。気分を…… 気分、という言葉に。私はさっきまでのことを思い出す。なんだか、今日は 一気に色々なことを聞いて。自分の中では、かなりの密度だったような気がする。 カウンターを見やる。ここで、ジュンは働いていた。彼がここで淹れた紅茶 を、私も飲んでみたかったな。 私の想いを、真紅に託し。それでもこの気持ちが消えることは、無いのかも しれない。 私は彼女達の幸せを願った。けど、今日、今日だけは。ジュンが好きだとい う感情を、はっきりと持っていても良いだろうか。 結局――私の想いは、かたちにすることが出来なかったなあ。 「ねぇ、白崎さん」 「何でしょう」 「ちょっとだけ――泣いてもいい?」 無言だったが、暫くして。すっ、と。グラスが差し出された。 「おごりですよ」 紅茶の香り漂う、ベルモット・ティー。 お酒を呑みながら泣くのは、タチが悪い。だから私は、極力陽気な気分で呑 むようにしている。 けれど、今は。真紅の前で泣くわけにはいかなかったから、たまには良いか と思って。 声も出さずに――私は、涙を流した。 ―――――――――――――――――――――――― 水銀燈が帰った後、暫く独りで私は泣いていた。私はやはり、卑怯なのだろ うか。けれど、それを彼女に言ったら。いよいよ以て怒られてしまうだろう。 『同情ではない』と――私の眼を見据えて言った、彼女の姿を思い浮かべた。 机に座って、薄紅色の便箋を取り出す。 思った。 遠く日本から離れて、頑張っているあなたのこと。 思った。 私と同じようにあなたが好きで。それでも友達で居たい、水銀燈のこと。 そして思った。 今まで、ずっと変わっていない、私の気持ちのことを。 私は、ペンを手にとって。一文字一文字、繋いでいくのだ。文字は、かたち に残るから。そうやって、少しずつ……少しずつ、紡ぐ。 あなたに、私の気持ちが伝わるとは限らない。いやむしろ、今度また拒絶さ れたらと思うと、すごく怖い。 『今は今、昔は昔』。時の概念に対して、私はそんなことを思っていた。け ど、ひょっとしたら、想いは積み重なっていくものなのかもしれないと――そ んなことを、ふと考える。 ―――――――――――――――― そちらの調子は如何? 身体を壊したりはしていない? あなたは丈夫な方じゃ無いから、それが少し心配。 宛先は白崎さんから教えてもらったのだわ。 驚いたでしょう。私も水銀燈も、今は『トロイメント』の常連なの。 彼はちょっと言動が芝居がかってて、癖のありそうな感じだけど、 良いひとね。紅茶も美味しいし。 久しぶりに、あなたの淹れた紅茶も飲みたいものね。 あなたが日本を出て、一年と半分くらい。 こちらは、相変わらずの毎日を送っているのだわ。 大学もそれなりに楽しいし、私が水銀燈と一緒に居るのも相変わらず。 改めて考えると、あなたがそちらへ行ってしまったのは、少し寂しい。 あなたはどうだったのかしら。 出発するときは、寂しかった? 独りで旅立つ決意をしたあなたは―― やっぱり強い意志の持ち主だと思うの。 それは、あなた自身が思っている以上に。本当よ? あなたは私達三人の中で、誰よりも大人だったのかも…… とても苦労しているかもしれないけど。 あなたは海外へ出て、何か思うところはあったのかしら。 何かを、掴むことは出来た? 何かを、自分の中で納得させることは出来た? そして自分を――見つめ直すことは、出来た? きっとあなたは、私や水銀燈が傍に居なくても。 そう、やっていけてる筈。 でもね。あなたは、独りではない。 独りで居ることが悪いんじゃなくて、 いつでもあなたのことを忘れていない人が居るということ。 私も。水銀燈だってそう。 高校の三年間。三人一緒に過ごしていたのは、 夢を見ているように楽しかった。 その夢は、きっと偽物なんかじゃないって、私は思うの。 あなたは、どう? …… 私は。あなたにどうしても伝えたいことがあるんだけど…… やっぱりここでは書かないのだわ。 あなたが帰ってきたときに、直接言いたいから。 今はそのことだけ、覚えていて頂戴。 一回り成長して、大きくなったあなたが帰ってくるのを待ってる。 ずっと、待ってるから。だから――頑張って。 あと―― 昔からいつも一緒に居てくれて、ありがとう。 あなたには、いくら感謝してもしきれないの。 本当に、ありがとう。 真紅 ――――――――――――――――――――――
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「いらっしゃいませ」 扉を開けると。古びたドアベルの音と共に、まずは来店御挨拶の歓迎であった。 客は私一人だけの様子。外に比べて店内は明るくはなかったが、それほど陰気 という印象は受けない。まず眼についたのは、設けられていたカウンター席。 巷でよく見かけるカフェと言ったら、通常オープンテラスでゆったり過ごせる スペースがあるもの。ここにはそれが無い。看板には『カフェ』と銘打ってあ るものの、この造りはどちらかと言うとバーに近いものを感じさせる。 お世辞にも広いとは言いがたい店内は。アンティーク調、と言えば良いだろ うか。よくよく見ると装飾は結構凝っているようで、店内の隅に置かれている 本棚には洋書らしきものが収められているのが見える。 一応テーブル席もあったけれど、とりあえずはカウンターに落ち着くことに した。 「メニューはこちらになります」 受け取って、軽く眺めてみる。……ん。どうやら、紅茶の種類が随分多いみた い。なかなかどうして、これは良い店を見つけてしまっただろうか。 「では、ローズティーを」 フラワーティーは家にも置いてあったが、店で飲むとなるとそうそうお眼にか かれるものでは無かった。本格的だな、となんとなく思う。 畏まりました、と。後ろを向いて、コンロに火をかける。洒落た形のやかん の中身は、すぐに沸き立ったようだ。既にある程度温めてあったのだろう。 慣れた手つきで、カップとポットにお湯を注ぎ、温める。どうやら、紅茶の 淹れ方をよくわかっているようだ。 ―――――――――――――――――――― 『淹れ方ひとつで、相手への思いやりがわかるものよ』 最初に淹れて貰ったときは、全く以てなってなかった。 『そう……カップとポットにはお湯を注いでおいて、温めておくの。 紅茶は温度に敏感なのだから』 そんな私の講釈を、少し苦笑混じりで彼は聞く。結局、薀蓄をたれる私よりも。 最終的には、彼の方が淹れ方が上手になってしまった。 『美味しいわ、ありがとう』 私がそう言った時、彼は少しだけ嬉しそうに返すのだ。 『どういたしまして、真紅』 ―――――――――――――――――――― 「お待ちどうさまでした」 眼の前に差し出されるティーカップ。水分を吸って潤っている薔薇の花びらが、 何枚か浮いていた。 花の香りが、芳しい。しばらくその香りを楽しんだ後、カップに口を付ける。 「美味しい……」 思わず声が出た。本当、良い仕事をしていると思う。 「それはそれは……光栄の極みですねえ、お嬢さん」 一礼されてしまった。改めて見ると、結構若い感じ。切れ長の眼には、小さめ のふちの無い眼鏡を合わせていて。何処か知的な印象を抱かせる。 「もうそろそろお昼ですが、お嬢さん。ランチなども如何ですか? 簡単なものならメニューを取り揃えておりますよ」 時計を見る。正午を丁度過ぎたところだった。 「いえ、結構よ。昼食は別なところで摂りますから……」 そろそろ店を出ないと、まずいだろうか。もう少しだけゆっくりして、学校へ 向かうことにしよう。 「そうですか。それは、残念なことです」 肩を竦めている……なんだろう。このひとは多分悪いひとではないんだろうけ ど(その考え自体かなり失礼なのかもしれないが)、言う台詞が、なんと言うか。 いちいち役者っぽい。 「またのご来店を、お待ちしております」 店を出る際、更に一礼。 「ええ、ご馳走様。……また、来ます」 外へ出る。眼に入り込んでくる光が眩しくて、思わず眼を細めた。 改めて、店を眺める。美味しい紅茶が飲めるお店が見つけて、少し上機嫌に なっていた私は。自分の言葉に偽り無く、またここへ来ようと思うのだった。 ―――――――――――――――――― 午後の二つの講義が終わった。今日はこれで、あとの予定は無い。心は軽く なる……筈だったが。 まったく、あの教授は。いくら必修の授業だからって、学生に無理をかけす ぎなのではないか? 今日は大きめの課題一つが課され、おまけに来週はテス トをするときたものだ。それが告げられた時の学生の反応はと言うと、当然な がら軒並み不評。普段は午後の授業をちぎってしまう"友人"も、今日は殊勝に も出席していたのだけれど。不満たらたらである。 「あの教授……ちょっと厳しいわよねぇ? 真紅」 「あら、水銀燈。普通にこなしていれば問題ないのだわ」 「それはあなたが真面目だからでしょお……」 「おだてても何も出ないのだわ。課題は一人でやらなくては駄目よ?」 「うっ、そんな事言わないでよぉ。頼りにしてるんだから」 「はいはい」 表面的には軽口叩きあうような彼女とは、その実かなり仲が良い。もともと 彼女はかなり優秀で、真面目に出席してさえいれば私の数倍の理解力を示すこ とになるだろう。 しかし。講義を『退屈だ』と感じてしまう彼女は、いつもふらりと何処かへ 行ってしまう。行き先は知らないけれど、本人曰く『暇つぶし』だそうで。 結局二人で課題やテスト勉強をすることも多いのだが、ある程度内容を把握 したあとの彼女の仕事はとても早い。私の方が逆にものを教えてもらう様なこ とも、しばしばあった。 『入る学科、間違えたかもねえ』 そんな事を嘯く彼女との縁は、まだまだ切れそうにないし。色々な――そう、 本当に色々な所で――競い、助け合ってきた親友として。いつまでも一緒に居 らたらと思う。 「じゃあ、これからちょっと出掛けましょうかぁ」 街の店を冷やかしに、と言ったところか。家に帰るくらいしか予定も無かった し、たまには良いと思った。 「そうね。悪くないのだわ」 仲が良いと言っても、いつでもべったりという関係ではない。昔は……特に高 校時代などは、いつも一緒だったのだけれど。私と、水銀燈。そしてもう一人 を加えた、三人で。 「さ、いきましょお」 「ちょ、ちょっと! 引っ張らないで頂戴!」 水銀燈に手を引かれ、夕方の街へ繰り出す。陽は、随分と長くなってきていて。 完全にその戸張が落ちるまでの幕間の時間が、私達を紅く照らしている。 紅は通常、情熱を表すものだと言うけれど。朱色を帯びたこの紅は、やさし さを含む。この景色を見ると、私は何だか……少しだけ、切なくなってしまう。 だって、『やさしさ』というものは。時にその内側に秘められた痛みを覆っ ているヴェールに過ぎないことだって、あるのだから。 どれほど柔らかく包み込んでも。痛みは消えず、残るもの。 水銀燈。あなたは――どう、なのかしらね。あなたは、『やさしい』から。 この私と、友達を続けてくれているけど―― 不意に、彼女が振り返る。 「とりあえずその辺ぶらついてぇ。夜は久しぶりに呑みにいきましょうかあ」 明日、講義ないでしょ? と。笑顔で私に確認してくる。……参った。私は、 彼女のこの表情に弱い。街に連れ出された時点で、私に拒否権などないのだ。 「しょうがないのだわ……軽くなら付き合いましょう」 「ふふっ、よかったぁ。良さげなお店、見つけたのよぉ」 水銀燈は上機嫌だ。そんな彼女は結構――というか、相当お酒が好きで。しか も強い。 思えば、大学に入りたての頃。サークル勧誘の呑み会に誘われて、私達二人 で酒の席についたことがあった。大学に入ってしまうと、未成年であろうが何 だろうが、やたら呑みの機会が増えてしまう。 彼女はその容姿から、サークルの先輩とやらに眼を付けられたらしく。酔わ せて何をしようとしたのかはわからないが(まあ大方、良からぬことでも考え てたんだろう)、やたらとお酒を勧められていた。 私も勧められてはいたものの。かなりの下戸を自覚していた為、のらりくら りとかわしていた。ちょびっと呑んで、相手の杯へ並々とお酒を注ぎ。そして 私は、つとめて笑顔で一言返す。 『あら、勿論呑めるのよね? 先輩』 はい。頼んでも無いのに、一気。別に一気呑みを強要している訳でも無かっ たのだが……彼ら曰く、『ここで呑まなければ男じゃない』と。よくわからない。 水銀燈はと言うと、彼女は彼女でノリが良い。いつの間にか、彼女一人で大 の男五人を相手していた。 私はそれを、半ばぼんやりとした頭で眺めていたけれど。時間の経過と共に、 ぱたぱたと倒れていった先輩達の姿だけは妙に記憶に残っている。私の前にも、 倒れてるのが三人ほど居たが。 『特攻後は、やっぱり前のめりなのね』などと、下らないことを考えていた。 結局、そのサークルに入ることも無く。その後も、呑み会を二人で(と言う か、水銀燈に連れられて)渡り歩いて。その先々で彼女は伝説的な呑みっぷ りを披露していたために、一緒に居る私までがその伝説の一部に加えられてし まった。不本意な話なのだわ。 そんな私の不平を知ってか知らずか、彼女は言う。 『お酒の席じゃあ。私なんかより、あなたの方がよっぽど凶悪よお』 ええ。全く以て不本意、なのだわ。 「こっちよお」 街でウィンドショッピングに暫く時間を潰し、適当に食事も済ませておいた。 辺りも大分暗くなっている。時計をちらりと見やれば、午後七時。お酒を呑む には、少し早い時間だろうか。 ……それにしても、随分と見覚えのある小道ね。 「はい、到着。結構良い雰囲気の店なのよお? 流行ってる感じはしないけど」 予感的中。水銀燈に連れられて辿り着いた場所は、『カフェ・トロイメント』 そのものだった。 「いらっしゃいませ……と、水銀燈さん。今日もいらして頂けましたか」 歓迎の言葉と一緒に、『呑み過ぎは身体に毒ですよ』と嘯かれて。 「あらぁ。随分な言い草ねえ、白崎さん。ただでさえお客が少ないんだから、 常連は大事にしないと駄目よお?」 笑って返す水銀燈だった。 「ふふ、これは手厳しい……おや、あなたは」 「こんばんは」 同日、二度目の邂逅。『え? このお店知ってたの?』と。少し驚いている彼 女に、午前中の経緯を説明する。 「それは奇遇ねぇ……場所のせいだと思うけど。ここってあんまりお客入らな いから、知ってるひとって少ないと思うの」 けど、良いお店でしょ? と、フォローも忘れない彼女だったが。"白崎"とい う名前らしい彼は、苦笑いだ。 「水銀燈さんは……最初の一杯は、いつもので宜しかったですか?」 「お願いするわぁ」 『いつもの』で通じると言うことは、彼女は結構ここへ通っているということ だろうか。何かこう……大人の雰囲気なのだわ。 昼間はカフェの体裁をもつ『トロイメント』は。午前中の私の印象通り、夜 はバーの顔になる。お客と言えば、私と水銀燈の二人だけだったけど。本当に 流行ってないのだろうか、ここは? 「えぇと、そちらのお嬢さんは如何しましょう」 「……真紅、で良いわ。白崎さん」 友人の前で『お嬢さん』と呼ばれるのも、何やら気恥ずかしいものがある。 「これは失礼致しました、真紅さん。それでは……カクテルでも何でも、ある 程度のものはお作り出来ますけれども」 「そうね……それじゃあ。あまり甘くない感じのものを、お願い出来るかしら」 「畏まりました。それでは、真紅さんのお好みに合わせて一つ」 くるり、と彼が後ろを向く。小さめの冷蔵庫から取り出したのは、レモン一個 とソーダの瓶。あとは……ペットボトル? 彼が棚から、酒瓶を選び出す。英字で書かれているからと言って、英語だと は限らなかったが…… 「あらぁ、ノイリー・プラット。……一応、食事は済ませてるわよぉ?」 「ちなみにマティーニではありませんよ。その辺りはお楽しみです、水銀燈さん」 む。『マティーニ』という名前位は聞いたことがあったけれど、その実内容ま ではよくわからない。この辺りは、やはり彼女には敵わない。 砕いた氷を、グラスに敷き詰めて。『ノイリー・プラット』とか呼ばれていた お酒をついでから、そのあとにペットボトルの中身を注いでいった。 「お待たせ致しました」 眼の前に差しだされたグラス。中身はと言うと、それはいつも見慣れた色をし ていて。水銀燈のグラスも、程なく用意された。 「「乾杯」」 グラスを少し重ねてから。ゆるゆるとグラスの中で揺れている色を暫く見つめて、 それを口にする。 「これは……紅茶?」 「左様で御座います。『ベルモット・ティー』。紅茶が好きだとお見受けしま したが……お気に召して頂けたでしょうか?」 さっぱりとした口当たり。そこに紅茶の香りがほのかに漂う。うん、これは美 味しいと思う。ペットボトルの紅茶を入れていたが、ラベルが貼られていなかっ たし。恐らくこの店特製のものなのだろうと考える。 「光栄の極みで御座います」 一礼の後、昼間と変わらぬ、返しの言葉。 「妙に芝居がかってるのよねぇ、あなたは」 グラスの中の琥珀を傾けながら、水銀燈が言う。確かにそれは私も思った。 「いやぁ……お客様の前ですと、どうしてもこんな感じになってしまうのです」 頭を掻きながら、彼は言うのだった。 暫くは三人で談笑しつつ。お酒の美味しさも手伝って、結構するすると呑ん でしまっていた。時計の針は、十時を示している。……顔が、熱い。 「……ねぇ、真紅。ジュンは、元気かしらねぇ」 不意に聞かれる。 え? ……ええ。彼は、元気。元気な筈、なのだわ…… 「そう。……きっと、そうよねぇ」 くい、と。言い終えてから、グラスを煽る。 水銀燈。あなたは、まだ……? ? …… 頭がぼんやりして、きた。 えぇと。水銀燈が呑んでたのが、サザンカム……フォートの、ソーダ割り、 割った、やつ、だったっけ。いや、それって最初の一杯? 『いつもの』? 結構、美味しかったような、……あれ。えぇと。おかしい、のだわ…… 『お酒弱いのに無理するからだよ、真紅』 え…… 『真紅……』 ――……―― 「……」 「……! ……く! 」 え? …… 「真紅!」 ……水銀、燈? 「真紅、起きなさぁい! そろそろ帰るわよぉ?」 眠ってしまったらしい。やはり、調子にのって呑みすぎただろうか。 「ごめんなさい……ちょっとまだ、ふらふらするのだわ」 「おやおや。大丈夫ですか? タクシーを呼びましょうか」 「大丈夫よぉ。私の家が結構近いから。酔い醒ましがてらに、歩いていくわぁ」 水銀燈の家、か。暫く行ってない。久しぶりだった。 「それじゃ、白崎さん。また来るわねぇ」 水銀燈の肩に掴まり、ふらふらと歩く。家は近いと彼女は言っていたけど、歩 いている時間は途方もなく長く感じられる。 夜の風が、少し冷たい。『酔い醒ましがてら』という彼女の言はきっと正し くて、幾分は楽になってきていた。それでも、時々掛けられる声に対して、上 手く受け応えられていたかどうかはわからない。 気付くと、私は柔らかいベッドの上で。迫り来る睡魔に勝てず、私は眠りに 落ちていく。 『真紅……』 あなたの声が、聴こえたような気がして。 『ああ、私は夢を見ているんだな』と。 そんなことを、考えたりしていた。
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―――――――――――――――――― 「ええ。彼は元気、元気な筈……なのだわ」 そう。きっとそうよねぇ。素っ気なく応えて、私はグラスの中身を煽る。 「白崎さん。同じの、もう一杯ちょうだぁい」 「畏まりました。……が、良いんですか? 真紅さんは」 見れば、本格的に寝てしまっているであろう彼女の姿。顔をこちらに向けて、 すぅすぅと穏やかな寝息を立てている。紅く染まっている頬が、見ていて微笑 ましい。 普段の彼女はと言うと、所謂『隙の無い』性格をしている。こういう風に無 防備に眠ってしまっているところを男が見たら、ころりとやられてしまいそう な感じもする。 まあ。そういうことが起こっても困るか、彼女の場合は。 「大丈夫よぉ。帰るときになったら起こすわぁ」 そう言って私は、グラスに改めて注がれた中身を見つめる。 今日彼女をバーに誘ったのは、ジュンについて久しぶりに色々と話したかっ たからだけど。この調子じゃあ、どうやら無理そうだ。 静かな空気。 白崎は、グラスを磨いている。 「……気にならないのぉ? さっきの私達の会話」 ちょっと雰囲気を変えたくなって、話を振ってみる。 「いえ。気にならないと言えば、嘘になりますが。まぁ、僕は口数は多い方で すけれど」 余計な詮索をしないのがバーテンダーのマナーですよ、と。そんな事を、彼は 言うのだった。 「じゃあ、私から話すわぁ。それなら良いでしょう?」 構いませんとも、お話して頂けるならば――そう、何やら仰々しく返される。 私や真紅なら大丈夫だけど。ひとによっては、少しながら敬遠されてしまいそ うな態度ではないだろうか。お客が少ない要因のひとつなのかしら……悪いひ とでは、ないのよねぇ。 「ま、いいわぁ。さっきの、ジュンっていうのは……」 私と、真紅と。いつも一緒に居た、友達だったの」 ジュンは、勿論男の子で。女二人に挟まれてる心境は伺い知れなかったが、と にかく楽しかった。 懐かしいなあ。……そう、確かに懐かしいのだ。 ぽつり、ぽつりと。私は話し始める。 ―――――――――――――――――――――――― 「おい、水銀燈。そんな眼をしても、ノートは見せてやらないぞ」 ぴしゃりと言い放たれる言葉。えぇ、そんなぁ。 「……まったく、私も同感よ。あなた昨日何時に寝たの? 今の授業、まるまる睡眠時間になってたじゃない」 それは、もともと私が夜型なせい。明るい時間に活動するのは、ひととしては 健康的なことなのだろうけど。私にとっては、どうも具合良からずなのだ。 「先生、額に血管浮き出てたぞ? ……なんでこんな感じなのに、学年で十番 以内に食い込めるかな」 苦笑混じりで呟いているのは、ジュン。あら、別にカンニングなんてしてない わよ? 現にテスト勉強は、三人一緒にしてるじゃない。 教科書通りに進めているのなら、授業そのもののレベルなんてたかが知れて いる。別にサボってしまっても良かったのだろうが、出席日数がいざ足りなく なっても困る。 そんな私が、何より私が学校へ毎日行こうと思えたのは。ひとえに、彼らが 私の傍に居てくれるからであった。 中学校の時の私は、友達と群れるのを嫌う……所謂、クラスで孤立するタイ プだった。影で色々と、あまりよくない噂を囁かれていたのも知っている。 まあ、いじめだなんていう暗い手段に訴えてくる輩も居なかったので。一人 で居ることが好きだった私は、割と快適な生活を送っていたのだ。 今の私しか知らないひとは。当時の"水銀燈"を、多分同一人物だとは思わな いのではないだろうか。 それが、高校時代では一変する。 一応『特進科』と銘打たれたクラスで、真紅やジュンと一緒になって。彼ら のほうはもともと、昔からの知り合いのようだったけれど。 一学期の間は、私も大人しめに(まあ、中学時代と相変わることなく)過ごし ていた。席替えをしたとき、窓際最後尾のもっとも良い位置につけたことを喜 んでいて。丁度私の前の席に座っていたのが、ジュンである。 「よぉ。水銀燈、だっけ? いいなあ、僕も一番後ろになりたかったよ」 へらっとした感じに話しかけられて、『そう』と一言。味気なく返した。 意識的にそう返してしまうきらいも、私にはあるにはあった。通常ここで、 ひとによっては私に話しかけるのをやめてしまう。とっつき辛いということな のだろう。 しかしながら。彼に限って、そんなことは無かったのである。彼の話し方は、 良い意味で「裏が無い」から。 一見すると優男な印象を受ける彼。そして彼といつも一緒に居た真紅。最初 のうち、二人は付き合っているのだろうかなどと考えたりもしたけれど、どう もそんな感じでは無い。 そこに私が加わって、めでたく三人組の誕生と相成った。 『友達』と呼べる関係も、それほど悪いものでもないのかしら。そんなこと を考えながら、ゆるゆると日常は流れていく。 どんなきっかけかは忘れてしまったが、真紅と二人きりになったときに。私 の中学時代のことを、彼女にぽつりと零す場面があった。 「そう……でも、水銀燈。結局のところ、今は今。昔は昔なのだわ」 時は流れて、昔の出来事が今に影響を及ぼすことがあっても。それは、積み重 なっているものではない。『今』という自分自身の存在は、確かにここにある ものだから……と。そんな風に返された。 「それは、とても。とても幸せなことかも、しれないのだわ……」 こうやって、時々二人でする観念的な話が好きだった。 そこで私は聞いたのだ、ジュンの中学校時代の話も。彼はその当時所謂『引 き篭もり』で、全く学校へ行かない時期があったと言う。 「でも、それも昔の話。今のジュンが、ジュンらしくあるのならば…… それで良いのだわ。この魂は、こうやってこれからも続いていくのだから」 その時は言わなかったけれど、この点については私と彼女の意見は食い違っ ていると思う。確かに、彼を見るにつけて。とても家に引き篭もり、他を拒絶 するような性格だったとは考え難い。 しかしながら。そういった過去を乗り越えた先に、今のジュンが居る。それ は確実に、何かが『積み重なった』ものの結果だ。 魂の質が変わった、というと少し大袈裟なのだろうけど。いずれにせよ、何 かを乗り越えるためには、強さが必要。……そう。彼は、とても強いのかもし れない。そして、それを密かに支えてきたのは真紅なのだろうと。なんとなく 思った。 それから多くの時間を、三人で過ごしていって。勉強で競うこともあった し、時には下らなく絡み……時には喧嘩もして(仲裁役は、専らジュンの役目 だった)。そうやって触れ合いを重ねていくうちに、私がジュンに惹かれたの も。今考えれば、道理であっただろうか。 ―――――――――――――――――――――――― 「ほほぅ、それは良き青春時代ですねぇ…… おや。また何かお呑みになられますか?」 「そうねぇ……ちょっと強いの貰おうかしら。 メーカーズをロックでお願いできる?」 「畏まりました。シングルで宜しかったですか?」 えぇ、と返しておく。カクテルのあとにバーボンに走るのもどうかと思った けど。少しでも酔っ払おうかとの心意気だったが、生憎全くそんな気配が無 い。酒に強いってのも、考え物かしらねぇ。 慣れた手つきで、氷が丸く削られていく。その様子を眺めているのは、割 と好きだ。 「お待たせ致しました」 差し出されるグラス。体よくチェイサーも準備してくれたので、とりあえず は口の中を落ち着かせることにした。 そして、少しずつ。グラスの中にある琥珀色を、喉に通していく。香りに 癖がある感じだけど、私には好みの風味だ。スコッチにはまりだすといよい よ飲兵衛になってしまいそうなので、これくらいが丁度良い。 「……ふぅ」 お腹のあたりが、熱い。またお水を一口含む。 「それで。恋心を抱いていた女性は、その後どうなったのでしょう?」 興味があるのかないのかよくわからない塩梅で、白崎が言う。おや、随分と 饒舌ではないか。余計な詮索をしないのが、バーテンダーの心意気とか言っ てなかったかしら? ……と。意地悪く考えるのは、やめておこう。 独り言の呟きにしか済まなそうな話を聞いてくれるだけで、こちらとして は有難いことなのだから。 「勿体ぶる話でもないわねぇ。ま、端的に言うと――」 ―――――――――――――――――――――――― ――私の恋は、実らなかったのだ。 自分の気持ちに気付き始めてからというもの、ちょっとずつ彼に対する 態度が微妙になっていって。表面上はいつもの馴れ合いなのだけど、そう いったことに関する女の勘は鋭い。 「あなた、ひょっとしてジュンの事を――」 真紅と二人の帰り道。ジュンは、バイトだとか言って先に行ってしまった。 「……やっぱりわかるぅ? そう……私はジュンが好きよぉ」 好き、と言うのは。勿論、友達とかそういう概念を超えたところの気持ちで。 今以上の関係を、望むという事。 その時。真紅の表情に、一瞬の翳りを見つけた気がした。 「そう……じゃあ、あなたの友達の私としては。応援させて頂くのだわ」 笑顔。だけど、眼の中で漂っている色が、何処か儚い。 違う。きっと彼女が私に言いたいことは、応援の言葉では無い筈なのに。 胸が締め付けられた。いつだって本音で話し合ってきた私達なのに。今 はあなたのこころを、私に見せてはくれないの? ねぇ、真紅…… もし、真紅とジュンが付き合うのなら。私はそれを、祝福することが出 来るかな。いや、確かにちょっと……哀しいかもしれないけれど。それに、 もういつでも三人一緒、と言う訳にもいかなくなるかもしれない。 私が、ジュンと付き合ったなら。真紅はどうするだろう……? 私が見る限り、ジュンの恋愛に対する感覚は、果てしなく鈍い。要は、 微妙なアプローチでは駄目だということ。まさしく、当たって通るか、砕 けるか。その決断を下すのは、当時の私には――重すぎた。 高校生活も、残り一年となったところで。私達三人組から、ジュンが一 人抜けることが多くなった。これから受験シーズンだと言うのに、彼はバ イトを精力的に入れていたのだ。授業中など、私よりも寝ている時間が長 くなっていた。 「うん……やりたいことが、あるから。高校は親を納得させるために入ったけど。 僕は、デザイナーになりたいんだ」 大学には行かず、高校が終わったら海外へ留学し、デザインの勉強をするの だと。その為のお金を、今バイトによって貯めていると言った。 私達にとっては、まさにそれは晴天の霹靂であって。てっきり一緒に進学 するものだと思っていたものだから、酷く慌ててしまった。 「裁縫は得意だけど。それだけじゃまだまだだからね」 確かに彼は、男の子の割に服飾製作が得意だ。二年次文化祭で、私達のク ラスででは劇が催されたけど。その時の衣装が全て彼の手作りだということ を、実際に見ていないひとが信じられるものだろうか。 どうにもこうにも、彼の意志は固いらしい。こんな決断を下せる彼は、や はり強い心の持ち主なのだろうと思った。 三年生。一緒に居られる時間も、残り少ない。 ――私は。ジュンに告白すること自体を、やめた。 貴重な一年間を、変にぎくしゃくさせるのは。無論望むところではないから。 楽しい楽しい、毎日を。過ごせればそれで良い―― そして、三月。恙無く入試を終え、一緒の大学合格を決めた私と真紅は。 彼の旅立ちの日、空港まで見送りに行く。 「大丈夫。あなたなら……やれるのだわ」 「いってらっしゃぁい。挫けちゃ駄目よぉ?」 私達は、笑顔。そして、それは彼も。 「ありがとう。――じゃあ、行ってきます」 手を振ってから、彼はくるりと背を向けて。私達はずっとその姿を見ていた。 「ちょっと真紅ぅ。……酷い顔に、なってるわよぉ?」 見送りは、つとめて笑顔で。湿っぽい旅立ちを嫌った上の結論だった。 「っ……あなた、だって……ひとのこと……うっ、言えない、のだわ」 そりゃ、まあ。私も今はちょっと、他人にみせられない顔をしてるんだろうな。 自分の涙の出所が。想いを伝えられなかった後悔なのか、単なる寂しさだっ たのか。そういうことはよくわからなかった。ただ自然に……溢れてきたから。 「「……ふふっ」」 二人して笑ってしまった。だって、あんまりな顔なんだもの。 その日は結局、そのまま帰った。……お酒呑みにいこっか? という私の案 は却下されてしまったので。 家についてから、一息つく。 真紅。あなたは――あなた『も』。ジュンが、好きなのでしょう? もっと上手く隠せたら良いのだろうけど、あなたはそういった所は割と不器 用だと思うの。そうやって隠し続けたのは、多分。私に対する、やさしさだっ たのかもしれない。けれど、そのやさしさのヴェールに包んだ。あなたの中に ある『痛み』は、どうすればいいのかしら、……ね? …… ―――――――――――――――――――――――――― 「……という感じな訳。こんなところかしらぁ?」 ちらりと、真紅の方を見た。相変わらず、すやすやと眠っている。 全く以ていじらしいと言ったら、無い。私にも気を使いつつ、きっと今も彼 への想いは消えていないだろう。 私はジュンが好きで。一緒に居られるというのならば、それはそれは幸せな 事に違いない。だけど。隣で眠っている、いじらしい彼女と……そして彼の。 その幸せを願いたいような。そんな気持ちを抱く自分も、確かに居るのだった。 「僕は聞き役ですからね。貴重なお話、有難う御座います。 興味深く聞かせていただきました」 そう言って、彼はにこりと微笑んだ。 「どういたしましてぇ。……ただ。聞き役で終わるって言うのもなんだし。 ちょっとした感想なんか頂いてみたいかしら」 この話は、今まで他人にしたことは無い。細かい気持ちの内容までいくと、 真紅にすら。今日の私はちょっとしたストーリーテラーとなった訳だが。観 客から見て、"私達"はどう映るのだろうか。 「そうですねぇ……ふむ」 少し、考えるような素振りを見せる。 「あなた達二人のような、美女に想われる"彼"も。相当羨ましいお話ですが……」 「あらぁ。褒めても何にも出ないわよぉ」 まあ。それでも悪い気はしない。そして彼は続ける。 「あなた達二人は、あまりにもやさしい。やさしいが故に、切ない。 ……やさしさは、時に何かを『誤魔化す』ことになり。事の本質が隠れてし まうことだって、あるのですよ」 ん。……結構、痛いところを突いてくるではないか。私はとりあえず、何も返 さないでおく。 「お話を聞く限りでは。きっとあなた方は、とても仲が良いのでしょう。互い の気持ちを、思いやれる程に。 しかしながら。"良き友"とは、『何をしても"良い"』仲であると、思うのです」 「何をしても……良い?」 「そう、何をしても。例え絶交してしまっても、良い」 無難な感想が聞けるかと思っていたら、予想しない方向へと話が飛んできてい る様だ。カウンターに肘をついて、手に顎をのせる形にする。本格的に聞いて みるのも、面白いかもしれない。 「絶交って……縁が切れるってことでしょお? それじゃあ繋がりが無くなる んじゃない?」 この私の意見は、至極真っ当なものの筈。そう、私は。三人の関係の居心地の 良さを壊したくなくて、自分の気持ちをあらわすのを、諦めた。 「まぁ……少し語弊があるでしょうかね。私が言いたいのは、所謂"良き友" の関係であるならば、絶縁してもまた引かれあうということですよ。あるい は……もともと、そう簡単に切れる縁では無いと。 逆に言うと。"つまらない友"の関係であるならば……『何をしても"悪い"』 のです。どんなに事を成そうとして、ついにそれが成る事は無い。 ……あなた方は、如何でしょうか?」 文人の言葉を拝借させて頂きました、という締めの言葉。深い一礼の後、どう やら感想は終了である。 「……」 私達は……どうだろうか。なんだか、言いくるめられてしまった感じではある けれど。どうやら彼の話は『親しき仲にも礼儀あり』だとか、そういうところ を超えた所で論を成しているような気がする。……うん。それなりに、楽しめ た。ひとに話すと、やはり色々な意見が出るものだ。 「お時間は大丈夫ですか? 水銀燈さん」 おや。気付けば、日付も変わろうというところ。 「じゃ、そろそろ起こしましょうかねぇ……その前にチェックお願いするわぁ。 二人分纏めちゃっていいから」 「畏まりました。有難う御座います」 「こちらこそ、ありがとぉ。さっきの話は……とりあえず、この娘には内緒に しといてねぇ?」 言いながら、ウィンクを。『承知いたしました』と、仰々しく返してくれる。 料金の書かれた紙の乗ったプレートを手渡される。良かった。どうやら大枚一 枚以内で済みそうな感じ。もっとも、この金額の八割は私の呑み分だけれども。 さて、それでは。そろそろ、眠っているお姫様を起こして。 今日は私の家辺りにでも、泊めておくこととしよう。
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忍び、恋うつつ 忍び、恋うつつ 忍び、恋うつつ シチュエーションCD 巻の壱 ~猿飛咲助&霧隠蔵人~ 巻の弐 ~由利鎌清 穴山大介~ 巻の参 ~我来也&真田幸影~ 「忍術がうまくできなかった貴女を励ましてくれるシチュエーションCD」 全巻連動購入オフィシャル特典 恋人同士シチュエーションCD 限定版特典 まくら投げ大決戦 ~あいつの好きな人もあいつ~ 予約特典 補習という名の妄想 ~二人きりの教室~ アニメイト特典 悪夢の家庭訪問 アリスNET特典 我来也の闇日記事件簿 いまじん特典 恋愛上級者への道のり ステラワース特典 放課後メロメロ合戦の巻 誰があいつにふさわしいか大決戦!! ドラマCD
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【タイトル一覧】 忍び、恋うつつ (本編) 忍び、恋うつつ ― 甘蜜花絵巻 ― (FD) 忍び、恋うつつ 忍び、恋うつつ ― 雪月花恋絵巻 ― (Vita版タイトル) 忍び、恋うつつ ― 万花彩絵巻 ― (PS4版タイトル/本編+甘蜜花絵巻) 簡易紹介 忍術道場に通い、忍者を目指している主人公。 ある日、男性をメロメロにする不思議な術を発動してしまう。 PSP版→Vita版の変更点 新規シナリオ、大ハーレムENDの追加 攻略対象に「豊臣秀虎」「服部半蔵」「宇喜多義家」「霧隠忠人」が追加 データ 公式サイト PSP版、Vita版、PS4版 発売・開発元 アイディアファクトリー ジャンル 忍者メロメロアドベンチャー 対応機種 PSP、PSVita、PS4 発売日 2014年1月30日:PSP版2015年6月25日:Vita版2018年2月15日:PS4版 価格(税込) PSP通常版:6,090円、PSP限定版:8,190円Vita通常版:6,264円、Vita限定版:8,424円、VitaDL版:5,452円PS4通常版:7,776円、PS4限定版:9,936円、PS4DL版:6,912円 廉価版 なし キャラクターデザイン 中村龍徳 シナリオライター カナエアリス、ムネオカミエ、狐塚冬里 音声量 主人公以外フルボイス 主人公 片桐かえで(声:なし) ※名前変更可能 攻略対象 猿飛咲助(声:寺島拓篤)霧隠蔵人(声:櫻井孝宏)由利鎌清(声:小野友樹)我来也(声:下野紘)穴山大介(声:鈴木達央)真田幸影(声:鳥海浩輔)豊臣秀虎(声:杉田智和)※Vita版・PS4版のみ服部半蔵(声:石川界人)※Vita版・PS4版のみ宇喜多義家(声:梶裕貴)※Vita版・PS4版のみ霧隠忠人(声:江口拓也)※Vita版・PS4版のみ 備考 CERO:C 該当するキーワード 和風世界が舞台、ファンタジー要素、ノベルゲームデフォ名呼びあり、ルート制限あり、序盤キャラ選択型コミカル、初心者向け、手軽、甘々、女性ライバル会話文主体 忍び、恋うつつ ― 甘蜜花絵巻 ― 忍び、恋うつつ ― 万花彩絵巻 ― (PS4版タイトル/本編+甘蜜花絵巻) 簡易紹介 『忍び、恋うつつ』のファンディスク。 データ 公式サイト Vita版、PS4版 発売・開発元 アイディアファクトリー ジャンル 忍者過剰メロメロアドベンチャー 対応機種 PSVita、PS4 発売日 2017年9月28日:Vita版2018年2月15日:PS4版 価格(税込) 通常版:6,804円、限定版:8,964円DL版:6,264円、ツインパック:11,448円PS4通常版:7,776円、PS4限定版:9,936円、PS4DL版:6,912円 廉価版 なし キャラクターデザイン シナリオライター 音声量 主人公 片桐かえで(声:なし) ※名前変更可能 攻略対象 猿飛咲助(声:寺島拓篤)霧隠蔵人(声:櫻井孝宏)由利鎌清(声:小野友樹)我来也(声:下野紘)穴山大介(声:鈴木達央)真田幸影(声:鳥海浩輔)豊臣秀虎(声:杉田智和)服部半蔵(声:石川界人)宇喜多義家(声:梶裕貴)霧隠忠人(声:江口拓也) 備考 CERO:C 該当するキーワード 乙女@忍び、恋うつつ攻略ネタバレスレ 2 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2014/01/29(水) 23 53 50.40 ID sfmRavNk 〈略〉 スチル各何枚くらいでしょうか? あとフラゲさんは誰から行く予定? 3 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2014/01/30(木) 00 01 14.88 ID XSQmdeA2 2 各13枚だったよ 我来也から行こうかと思ったけど制限かかってたから霧隠から 5 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2014/01/30(木) 00 17 27.34 ID 32S9XuSD [1/2] 〈略〉 メロメロ鍛錬モードと多分みんなが期待してるであろう お馬鹿ゲー度はどんなもんでしょう? 6 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2014/01/30(木) 00 20 23.78 ID 0hIMdH6d 5 自分はお馬鹿っていうかハイテンションって感じたな キャラが本当にかわいい ストーリーなくても許すレベル 13 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2014/01/30(木) 10 37 33.26 ID kA0nWOs8 最初は3人からしか選べないんだな プロローグが音声飛ばしつつ大体1時間くらいだった あと限定版小冊子は結構大き目のネタバレあるので嫌な人は見ない方がいいと思う まぁ想像ついちゃうと言えばそうかもだけど 151 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 18 14 37.27 ID YtD4bo6s 個人ルート入ってからも女子のいじめってあるの? 最大の地雷だから買ったけどまだやらずに置いてある…良かったら教えてもらえたら嬉しいです 152 名前:名無しって呼んでいいか?[sage] 投稿日:2014/02/05(水) 19 24 03.47 ID ZMpspRvD [2/2] 151 あるよー全員のルートにある まぁ、それも解決するっちゃするよ 我来也ルートは少なめかな? モブ女子がウザイなら設定から声オフもできるからどうぞ