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【種別】 人名 【解説】 ティファニアの父の名前。 ジェームズ一世の弟でもあり、現トリステイン国王のヘンリーの弟。
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フィンランド大公国 英 Grand Duchy of Finland 読み ふぃんらんどたいこうこく 国旗 国章 公用語 フィンランド語、日本語 首都 ヘルシンキ 大公 GY_koroKOronya 国土 773チャンク 人口 38人 建国 2023/9/12 政体 立憲君主制 - 概要 概要 大フィンランド主義を掲げる立憲君主制国家。立憲君主制ではあるが、実質的には大公の君主制は憲法によって制限されない、いわゆるドイツ型の立憲君主制といえる。 首都はヘルシンキで、世界初のボートレース場や地下のショップなど様々な建築がヘルシンキとその郊外に密集している。 第2の都市はフィンランド湾にかかる橋の向こう側、エストニアのタリンである。こちらは本土とは別に自由建築区画となっており、民による多種多様な建築がみられる。 爵位が存在しており、元首である大公爵(大公)と、その大公に仕える公爵、その下に伯爵がある。最も下の階級は市民である。 また、爵位の他にも勲章があり、これらはまとめて栄典と呼ばれる。 かつては急成長を見せ国民が湯が湧くように増えていたが、当時の国王paa_san029の撤退が表明されたことで国民が抜け、40人を割った。 その後国名が暴走フィンランドに変更されるが、集団安全保障条約機構(未作成)に侵略を受けた。 - 国名 国名 現在は暴走フィンランドという国名だったが、かつてはフィンランド大公国という名前だった。フィンランド大公国という国名は、史実ではロシアの統治下での国名であるが、ららEarth内のフィンランド大公国は独立国である。国名の決定は大公が独断で行ったものであり、この国名にした理由について大公は、 「単に気に入ったのと、大公という称号を使いたかった。ただ、フィンランドにとって大公国という名前は独立を表すものでは無いし、これを見て不快になるフィンランドの方もいるかもしれないので近いうちに王国に変えるかもしれない」と語っている。 - 歴史 歴史 2023/9/12 建国 2023/9/15 大公国憲法施行 2023/9/24 大フィンランド帝国(未作成)と敵対 南北フィンランド敵対時代 2023/10/02 ワルシャワ条約機構のほぼ全ての国と敵対 2023/10/08 南北フィンランド融和 和平条約の締結 2023/10/25 大公が憲法の改正を発表 2023/10/26 改正憲法が施行される。 2023/11/01 9月16日より施行されていた国力30万を目指す計画「3ヶ月計画」の達成 2023/11/04 和ノ國およびアイスランド王国に侵攻される。現在は和解済み 2023/11/12 北フィンランド併合 2023/11/16 国民40人突破 2023/11/23 当時のフィンランド国王が撤退を表明 2023/12/5頃 集団安全保障条約機構(未作成)に侵略される - 政治 政治 概要に記載してある通りドイツ型立憲君主制である。 しかし、公爵の中には各省庁の長として大臣に任命されるものもあり、公爵は大公の統治の補佐の役割も果たしているため、「大公と公爵による統治」とも捉えることができる。 ただ、内政(国力の確保、建築、鉱石の確保、SHOPなどによる経済の活性化)などはほとんど内務省が行っている。 現在設置されている省庁は以下の通りである 内務省 .Sayarya38大臣 防衛省 .MochaMars153791大臣 - 外交 外交 フィンランド大公国の外交のほとんどは大公が行っている。 以下は同盟国と敵対国の一覧である 同盟国 東方帝国(未作成) 雪の国 廈門 南ドバイ(未作成) オーランド諸島(未作成) スウェーデン王国 ウルジクスタン(未作成) 神聖ローマ帝国 敵対 TachiDivision(未作成) キエフ大公国 属国 パラメルジナ王国 加盟組織 北欧理事会 外部リンク Discordサーバー https //discord.gg/Q9pt5Ssd98
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浮遊大陸アルビオン。 一定のコースで周回浮遊し、2つの月が重なる夜にトリステインの港町、ラ・ロシェールに最接近する。 ラ・ロシェールから見える下半分を常に白い雲に覆われた姿は美しく同じ名を持つ国家『アルビオン』は『白の国』と呼ばれ親しまれてきた。 始祖ブリミルの子供の1人が興したこの国は聖地奪還という大儀を掲げる貴族達の反乱により長い内乱状態にとなり、外見はそのままに国土は荒れ果てた。 国王を失いながらも勝利したアルビオン王家は内乱で荒廃が進んだ国内を立て直すために、新国王ウェールズは精力的に活動しようとしていた。 王女として認められ、父親の領地を回復したティファニア王女もそれを手伝おうとしている。 その水面下で…空を永遠に漂う白い国に隠された暗い闇は、二つに分かれようとしていた。 「アンタらはここで何をやってんだい!! 今がティファニア様のお手伝いをするべきじゃあないのかい!?」 王都ロンディニウムの片隅にある古い酒場に怒声が響いた。 アルビオン建国と同時期に開店したという店内には様々な服装の百近い人間が肩を寄せ合い、千年以上も昔から残る固定化を掛けられたアンティークが並べられている。 ここ百年程度に作られた椅子やテーブルに混じって並ぶそれらのせいで、目の利く者が見れば余りの年代のばらつきから気持ち悪さを感じる店のカウンターの真ん中で、妙齢の女性が張り上げた声だった。 コートで体をすっぽりと覆った女性の名はマチルダ・オブ・サウスゴータ。 王が変わると同時に表舞台に立ったテファニア王女を先王から匿い続けてきた女性は、サウスゴータの町の太守に戻ることは未だ出来ていない。 今はモード大公となったテファニアの最も信頼厚き家臣としてモード大公家に、アルビオン王家に仕えていた。 「だが断る。わしはアルビオン王家の為に働く気は一切ない」 彼女から少し離れた店の隅から、随分と草臥れた服の老人が言葉を返す。 老人を鋭く睨みつけるマチルダの口からは舌打ちが漏れた。 上等の生地を使い仕立てられた服を数十年に渡り着続けるその老人のことは、今店内にいる者は誰もが知っていた。 エルフの愛人を作り、その間に娘を作った末に兄に処刑されたモード大公。 その大公に直接仕えていた者たちの中で最も年長でモード大公の信頼厚い人物がその老人だったからだ。 老人の言葉に店内の2割以上の人間が頷いた。 彼や彼と意見を同じくする者には、アルビオン王家への恨みを捨てる事は納得できない事だった。 「わしが今更貴族と呼ばれ、平民共に嫌々へーこらされる為にティファニア様を匿ってきたと思っているのか!? わしはモード大公に受けたご恩を返す為に生き恥を晒しながらティファニア様を匿い続けてきた! 単純だがただそれだけの理由だッ!」 老人は立ち上がり、店の客達の中でも老人のような一部の人間にだけ許されたアルビオン建国当時に作られたと言うこれまたみすぼらしい木のジョッキをテーブルに叩きつけた。 「そのわしがモード大公を殺し、奥方までも…更には、ティファニア様まで殺害しようとしたアルビオン王家に尻尾を振れるものかッ!!」 「気持ちは痛いほどわかる。しかしティファニア様はアルビオン貴族の、いや…王家の一員となられた。ウェールズの王党派しかおらぬハヴィランド宮殿にお一人で行かせるわけには行くまい」 マチルダの隣に座るアルビオン王国の魔法衛士隊の制服…翼を広げた竜の意匠が施されたマントを身に着けた壮年の男が言う。 熱くなろうとする老人を冷ややかに見つめ、諭すような口調で言うその男もモード大公縁の者には違いはない。 だがその男はマチルダと同じくモード大公が存命していた頃はまだ若く、その分モード大公への気持ちよりティファニアを案ずる気持ちが強かった。 「荒廃した国を立て直すことをティファニア様も望んでおられるのだろう。我々はそれに従うべきではないのか!?」 先ほど頷かなかった残りの人間達が皆一様にその言葉に賛同し、非難がましい眼を向ける。 この店内にいるのは全て彼らの同志であり、居合わせる者達の六割の意思はアルビオン王家に忠誠を誓うか否かのどちらかに定まっていた。 残りの四割、若手を中心とした層や優秀な者達は賛成とも反対とも付かない態度を示している。 今この店にはモード大公家縁の者達が一堂に会していた。 彼らは今日この日、この場で話し合うことで、王族の一員となったティファニアを助ける為にアルビオン王家に心底から仕えるべきか否かを決断しようとしていた。 「荒廃した国を立て直すことと王家を後押しするかは別の話しだ! 内乱を防ぐ事が出来なかった王家に実権を握らせる必要はない」 「フン、だがティファニア様はその王家の一員となられ、ハーフエルフであることも暴露してしまった。お守りするにはウェールズ陛下を立てる方が都合がよいのではないか?」 「それは…ウェールズ陛下がティファニア様を利用する気がなければの話しだ!」 「貴族派が消えたとはいえ、王権が弱まったのは確かなのだ。今これ以上弱まればどうなるかわからないのか? 枢機卿閣下や聖女様がいつまでも頼れるかはわからんのだ。 もうハーフエルフであることは暴露してしまったのだ。諸侯は、動揺している。これ以上の王家の衰退はティファニア様の身を危うくするぞ」 王家にエルフの血が混ざったことを聖女が肯定している。 教会上層部の意見もプッチ枢機卿の手によって肯定することで満場一致となっており目立った批判は出ていない。 だが今まで逆の教えを受けてきた貴族や平民達の間には反対する声も確かにあるのだった。 しかもそれは、国外だけの話ではなかった。 「王党派もティファニア様に対しては一枚岩ではない。支えられるのは我等だけなのだ。たとえ軽んじられようともな」 付け加える声がどこかから上がった。 ウェールズを主と仰ぐ王党派の貴族は、貴族派の裏切りに始まり、滅びる寸前の逆転、他国の駐屯を許す現状に、王党派の中には内乱を共にくぐり抜けた者しか信用しないという風潮があった。 そんな彼らにとって異分子でしかない王弟でありながら王家に逆らい処刑されたモード大公を父に、これまでのブリミル教の教えやハルケギニアの歴史からすれば宿敵であるエルフを母に持つティファニア。 そのテファにモード大公からの忠誠を尽くすモード大公家縁の者は軽んじられていた。 「幸いにしてウェールズ陛下はテファニア様の味方と見ていい。あの方を立ててゆけば大公家はアルビオンの重臣となる。 我等にはパッショーネで学んだ地球の学問がある。ネアポリス伯爵家がどのようにして発展したかも知っている。当然だ…我々がボスを影で支え、組織の政務を担ってきたのだからな」 自分こそがネアポリス伯爵家を、伯爵家と一体となったパッショーネをのし上がらせたと言う自負に満ちた言葉に店にいた者達の殆どが頷いた。 モード大公家縁の者達の中でも若者達が集まる店の奥のボックス席。杖で決着を付けねばならぬ状況に陥った際の為に保険として呼ばれた牛男もこれには頷かざるを得なかった。 彼らモード大公縁の者達はパッショーネに早くから参加し、そこで地球の学問に触れた。 代々下級役人や官僚、軍人を勤める貴族の血統。 父祖の姿を見て育てられた彼らの身体、精神の下地が知識の吸収を早めた上、実行にあってはハルケギニアの実情に合う手法を選ばせていた。 ガリア、ゲルマニア、トリスティン等の国から得た人材も加わったが、麻薬以上の利益を齎す真っ当な収入源を作り上げた功績は無視できない。 例え画期的で非常に合理的な手法を取ろうとしても、ハルケギニアで受け入れられるとは限らない。 大きな利益を上げられるだろうとと内乱中のアルビオンで貴族派、王党派の双方と商いを行うことを決めた際も 他の商人達を抑え、貴族派と王党派双方から大きな利益を上げられたのは、彼らが商船の乗組員としてアルビオンからの亡命者達を説得したお陰であった。 亡命者達がいなければ他の商人達がもっと利益を挙げていたであろう。 同時に貴族であった頃に培われた矜持に突き動かされ、民衆と共に残った者達は民衆に施しを与え結果的に民衆から人気を得ている。 更に内乱に乗じアルビオンの主要な産業である毛織物や木綿などに携わる職人、王家の庇護にあった畜産農家と彼らの所有する希少な品種。 ハルケギニア一の産出量を誇る風石の採掘に関わって来た労働者、利用法を研究開発する技術者やレキシントン号の設計者等を流出させ、保護したのも彼らの案であった。 特にその中でも確保された職人達は、ジョルノのゴールド・エクスペリエンスによって増やされた家畜やより品種改良された綿を使い良質で、 これまでハルケギニアには存在していなかった地球のファッションを取り入れた服飾を作り上げてネアポリス伯爵家に多大な貢献をしている。 風石に携わってきた者やレキシントン号の設計者も最近合流したコルベールと共に新技術を多数盛り込んだ船『オストラント号』を作り上げようとしているという。 「今は耐える時なのだ! 我らが尽力すれば、王党派とて我らを重臣として扱わざるを得なくなる! それがモード大公家の取るべき道だ!」 カウンターの上に立ち上がらんばかりの勢いで熱弁を振るう賛成派の男に先王への恨みから反対していた者達は、旗色悪しとみてそれまで黙りこくっていた一団に顔を向けた。 ボックス席に陣取る彼ら。縁の者達の若手を中心としたその一団は意見を求められているのを悟り、代表格の男…というか牛の顔色を伺った。 注目を集めながら牛がもったいぶる様に殊更ゆっくりに席から立ち上がる。 彼らの参加するギャング、パッショーネのボスの信頼厚きと思われている牛、ラルカスはボスを真似して冷めた声で言う。 「私から意見を言う前に2、3聞かせてもらおう」 「ん?」 「貴公等は何者だ?」 尋ねられた者達は怪訝そうな表情を見せた。 名を聞かれたのではなさそうだが…一人が答える。 「私はトーマス・イーストウッド。アルビオン王国モード…」 牛はもういいと不機嫌さを隠そうともせず首を横に振った。 トーマスと名乗ったアルビオン王家を支えるべきだとの意見を持つ男は、ラルカスの仕草の中に呆れたものを見て取り不愉快そうな顔をした。 ラルカスはそれを無視して意見を表明していない若手の一人を指差す。指された青年は立ち上がり…一点非の打ち所もないジョジョ立ちを決めた。 「私はトレス。ボスの命令でティファニア様を護衛するチームを率いている」 満足げに牛は頷いた。 牛だけではなく、その周囲に座る若者達と少数の議論の参加に消極的だった様々な年代の者達も力強く頷いていた。 モード大公の生きていた時代幼かった彼らや能力があっても大公に重く用いられなかった者、何よりジョルノ・ジョバァーナに忠誠心を持つようになった者にとっては、既にモード大公家やアルビオン王家は忠誠を尽くす相手ではなくなっていた。 そうした者達の筆頭であるミノタウロスの体にトリスティン貴族であった脳を持つラルカスは冷たい鉄のような硬い声で尋ねた。 2mを超える体格と牛の頭が凄みをより強め、今更パッショーネを踏み台にしてアルビオンがどうこうと言う貴族らに対し湧き上がる怒りが魔力のオーラとなって体から吹き上がっていた。 「もう一度聞こう。貴公等は何者だ? 返答次第では我々とは手を切らなければならないだろう。勿論我々からは傷つけないし監視したりもしないことは約束する」 「…私は」 返答に悩み、視線を避けるモード大公縁の者達をラルカスは見渡していく。 睥睨するラルカスの姿に彼らは要らぬ覚悟を強いられた… 牛や若者らの無言の圧力に圧されながらモード大公縁の者達の二割がアルビオン人である、大公家に仕える人間である、ティファニアに…と応えた。 だが多くの者達が、考えに考えた末に今はパッショーネだと結論をだした。 パッショーネと答える事ができなかた一部の者達と嘘っぽい者達と牛達は話し合い、手を切る決断をした。 その十数名は牛と組織から離れる際の契約を交わす。 パッショーネについては忘れることを条件に、ジョルノが指示していた額の恩給を貰うことが粛々と決められた。 恩給はこの場で…密会の為に奥に用意された個室で渡される事が決まり、彼らは道を別つことを決めたパッショーネの構成員達の様々な感情の浮かんだ視線の中を抜けて、個室へと入っていった。 個室には、既にラルカスに金の管理を任されている者がいた。 牛と同じく、縁の者ではないと紹介された人物で、コートと帽子を目深に被り人相を隠した者をこの場に集まった者は信用していなかったがそれを口にする者はいなかった。 予定が大幅に変えられ、組織から離れる事になった彼らは大恩あるモード大公より、貴族としてよりも犯罪組織に過ぎないパッショーネを選んだ彼らの気持ちがわからずにいた。 そんな彼らに彼女は杖を抜き、震える体を叱咤してあらかじめ唱えておいた魔法を使った。 その声を聞き、気持ちを沈めていた彼らは驚愕し叫ぶように彼女の名を呼んだ。 「ティファニア様!?」 「ご、…う、ううん。皆、今までありがとう…でも、たとえ貴方達でもジョルノの敵になるのは…ゆ、許せないの!」 微笑み、そして怒ったような顔でティファニアは内側の激情を現すように力いっぱい杖を振り下ろす。 かげろうのように、空気がそよぎ、室内の空気が歪む… それがおさまった直後、個室の扉が外から開かれた。 扉を開き、慌しく個室の中へ入ってきたのはティファニアにとっては家臣の枠を超えた、姉でもあり母親でもあるようなマチルダだった。 ティファニアは入ってきた家族に笑顔を向ける。若干の疲れが滲むテファの表情に、マチルダは眉根を寄せた。 「この人達のパッショーネに関する記憶は全部消したわ」 「ティファニア。アンタ…」 「姉さん…ごめんなさい。わ、私。大公家の名誉とかはあんまりよくわからない。お母さん達のことを知っていた陛下は、し、死んじゃったし」 自分の叔父に当たる人物であり、ウェールズの父でもある先王のことを口に出すテファは、不安や悲しみや…恐怖で震えていた。 数日中にも死にそうだった先王が死んでしまった時の事。 自分を見て怒りを漲らせ、そのまま死んでしまった際の王の顔を思い出したのか杖を指が白くなるほど強く握り締めていた。 だがティファニアは驚愕するマチルダの視線を受け止め、目を逸らさず真っ直ぐに見つめ返していた。 言葉にし難い何かを感じ取り個室に駆け込んできたマチルダは諦めたようにため息をついた。 「こんなことをさせるために守って来たんじゃあないんだけどねぇ…」 「でも私が今出来ることって、これくらいだから……ジョルノの為にも頑張らないと」 ニヤリと、マチルダの背後で牛が笑った。 身に着けた短剣がそれを見られないように意識を奪い去り、直立不動の姿勢をとる。 インテリジェンスソードである短剣…『地下水』もラルカスの行動には賛成していた。 パッショーネは内乱に陥ったアルビオンを食い物にしてハルケギニアで大きく発展した。 これからはアルビオンが復興した際にパッショーネの息のかかった店舗が大通りに立ち並び、仲間の貴族を増やしていくことだろう。 その為にはこの店に集まるモード大公家縁の者達の力が必要だった。 モード大公家縁の者達の中にはテファが表舞台に立ったことで動揺が広がっているのは都合が悪い。 そう考えたラルカス達はティファニアに多少悪い方向に誇張した事情を説明して来て貰い、パッショーネに参加しながら未だに国家や王家に忠誠を誓う者達の姿を見せて、 テファの虚無、記憶を消す魔法を使わせた。 ティファニア達に組織への忠誠心を再教育する為の第一歩としては上々だ。 ジョルノの耳に入った後のことを考えると、嫌な汗が湧き上がってくるが…必要なのだとラルカスらは信じていた。 「テファが牛にたき付けられてこんなことをしてるってこと、ジョルノの奴知ってるのかねぇ?」 マチルダはその日、他の者達と朝方まで飲んだくれた。 モード大公家縁の者達が集会を開いている頃トリスティンに戻ったジョルノ・ジョバァーナは倒れたと言うカトレアに会いに彼女の領地に到着していた。 カトレア自身は直ぐに起き上がろうとしたらしいのだが、彼女がずっと病弱で床に伏せってばかりいたことを知る周囲の人間が大事をとらせて領地に帰らせたのだった。 領地であるラ・フォンティーヌ領の小さな屋敷を訪ねたジョルノは、野手溢れる庭園に通され…少し厳しい目をしたカトレアと面会していた。 重い空気を嫌ってか庭や屋敷のあちらこちらにいるカトレアに拾われた動物達も今は姿を隠している。 共にアルビオンに渡った者達の中では唯一ジョルノと共に戻ってきたペットショップがいつでもジョルノを守る事が出来、邪魔にならない位置で羽を休めていた。 カトレアが庭園に姿を見せた時、ジョルノはカトレアの体が大事無い事を知ってか届けさせた書類の処理を始めていた。 以前学園で会った時と同じように書類を処理していくジョルノを見ながら、テーブルにティーセットを載せた盆を置いてカトレアは対面の席に座る。 すぐに話しださずにカトレアはジョルノの仕事が一区切り付くのを待った。 学園の時もそうだったが、彼女にはなんとなく雰囲気でその瞬間がわかるのだった。 ジョルノの方もカトレアが待ってくれている事に感謝しながら、書類を流し読みしていった。 アルビオンに行き、少し滞在しただけだったがジョルノの判断を必要とする書類は溜まっていた。 組織をより強固にする為に仕事を細分化したり平民や貴族を教育し、事務担当にしようとしているがまだまだ十分ではないせいだ。 その上全く関わりがない他国の内乱で荒稼ぎするのももう終わり。 アルビオンの内乱が終結したことを受けて、パッショーネはアルビオンへ人材を向ける必要に迫られている。 それはパッショーネを他国内に浸透させる為に尽力していたアルビオンの元貴族達をテファニアの元へと向かわせて対応した。 荒れたアルビオンを建て直すのは困難らしく、それでもまだ足りていないようであるし、他の国も…特にトリスティンの戦力が不足していた。 にも関わらず、ジョルノは王都で仕事を任せていた男を一人、次はないと釘を刺して左遷することを決めた。 トリスティン国内でも長い歴史を持つ居酒屋の一つである『魅惑の妖精亭』をやりすぎて閉店に追い込んだというその男の後任にはその男を止めようとした女を抜擢し、今後の動きを考える。 トリスティン内のレコンキスタに賛同していた貴族を取り込む。 あるいは、マザリーニに売りその後釜にパッショーネの息のかかった者を配置するか、そうした人物達の部下に潜り込ませておきたいと言うのが現在トリスティンにおけるパッショーネの思惑だ。 だがネアポリス伯爵家と親交のある家のリストを思い起こしても、空く役職に就任するのに適した人物の数は少なかったし、彼らの所に潜り込ませる人材も心許ない。 人材不足に対処するために平民へ学問を学ばせていたが、一定の成果が挙がるにはもう少し時間がかかる。 報告通り、予定より苦しいが元々その家に仕えている者達の中にいる部下達に負担をかけるしかないらしい。 人手不足で悲鳴が上がる反面、各国から届く報告には以前直接会い金を渡した者達を中心に良い報告も上がっていた。 実験的に全国の貴族出身の者を集め父や祖父に持つハーフやクオーターの平民に魔法を教えゲルマニアで狂ったように研究に没頭しているコルベールの部下に回しているらしく、彼らが何を生み出してくれるか楽しみだった。 そのコルベールが、20年前にロマリアとトリスティンの密約の下で行われた大規模な異教徒狩り…『ダングルテールの虐殺』に関わっておりその生き残りから復讐の嘆願が届いているのは悩ましいことだが。 組織を頼ってきた女傭兵…今はワルドの裏切りを聞き、メイジへの不信感を持ったアンリエッタが結成させようとしている銃士隊の隊長に内定が決まった女性への対応を指示してジョルノは手を止めた。 「倒れたと聞いた時はまた病が再発したのかと思いました」 「心配させちゃったかしら…」 書類整理が一段落し、口を開いたジョルノに謝ったカトレアは視線を落とした。 細い声で少し恨みがましくカトレアは言う。 「ルイズやテファのことを聞いたわ」 「スマン」 数万人にも及ぶ貴族派のメイジと傭兵を消し飛ばし聖女になったルイズ。 全く別の世界でこれまで生きてきたのに王女になってしまったテファのことを言われたジョルノはあっさりと頭を下げた。 頭を下げた相手にカトレアは驚き、困りきった表情で首を横に振った。 「ごめんなさい。私ったら…ジョナサンを見て、なんとなく、貴方にとっても予想外だったって言うのはわかったのにね」 「相変わらず貴方は勘が鋭いですね。今回の件については、僕が甘かった」 苦笑するジョルノに疲労の色を見て取ったカトレアは心配そうに言う。 「少し疲れてる見たいだわ。休めないの?」 「まだラルカス達がこそこそしてますからね。ガリアとゲルマニアに行って早めにアルビオンに戻らなければいけません」 言葉の端々に、静かな怒りを覗かせるジョルノを恐れてカトレアは膝に置いた手を強く握り締めた。 カトレアがテファを養女に迎える話が、ウェールズやマザリーニ達によって二国の関係を強める為のものとして使われたことに引け目を感じていた。 それを察したジョルノは微笑んで安心していいと軽い調子で言う。 「ルイズにはポルナレフさんを付けてきました。それにサイトもいる。あの二人ならそう悪い事にはならないでしょう」 「あらあら、信頼しているのね。少し妬けちゃうわ」 重い空気を吹き払おうと言うかのように、カトレアの明るい笑い声があがった。 笑い声を聞いて彼女が飼っている動物達が何匹か顔を出す。 近くの木の陰から、熊が顔を出したのにはジョルノも驚いたようで呆気に取られた顔で熊を見る。 「可愛いらしいでしょ? 皆、もう出てきても大丈夫よ」 「そうですか…?」 然程興味なさそうに言うジョルノに、カトレアはちょっぴり残念そうにして擦り寄ってきた熊の頭を抱えた。 何処か得意げな顔でカトレアに擦り寄る熊や鳥を小突きながら、ジョルノは仕事をする手を止めて暫くゆっくりと時間を過ごそうとした。 それを邪魔するようにペットショップが二人の間を飛び、ジョルノに警戒を促した。 ジョルノも見上げ、近づいてくる小さな点…見覚えのある人物を乗せた老いたマンティコアの姿を視界に入れた。 蝙蝠の翼を持つ赤い毛皮をした人面のライオンに動物達が本能的に恐れ、カトレアの背に隠れた。 尻尾に生えたサソリのような毒針が、そして人面の口に3列に並ぶ鋭い牙が日の光で光っていた。 いっそう動物達を恐れさせながら、砂埃を巻き上げてマンティコアが二人の傍に降りる。 巻き上がった砂埃が突然吹いた突風によって吹き飛ばされるとトリステイン魔法衛士隊の制服に身を包んだ小柄な人物、 カトレアの母親であり現在魔法衛士隊の一つマンティコア隊に復帰したカリーヌ・デジレにジョルノは立ち上がりカトレアから一歩下がった位置で会釈をした。 カリーヌも会釈を返す。 「ありがとう伯爵。貴方が来て下さってカトレアも喜んでるわ。一緒にお迎えできなくってごめんなさいね」 「いいえ。貴方のご活躍は私の耳にも届いております。お忙しいようですね」 「貴方こそ、(アルビオンの)ゲルマニア領の重要な所領を一つ戴いてお忙しいのではなくて?」 「もう知ってらっしゃいましたか」 カトレアと揃って苦笑するジョルノ。 カリーヌはそれに白々しさを感じて微かに眉を動かした。 「アルビオンに残した遍在二人が今朝聞いた話よ」 アルビオンに居座るゲルマニアとガリアは早速アルビオンの領地を自分の物として貴族に分け始めていた。 カリーヌはその行動とそれに対しても大きく出られないトリスティンに義憤を感じていた。 仮面と帽子に隠れ多少わかりづらい怒りを感じられたが、ジョルノは薄く微笑んだままだった。 皇帝がレコンキスタの首領を討ったネアポリス伯爵に与えた領地は風石の鉱山や森林を有する土地だが、アルビオン領と接していたりと問題も多い。 逆に考えるならだからこそネアポリス伯爵に与えられたのだと言う事もできるのだろう。 「ゲルマニアに二人、トリスティンに三人…年は取りたくないわね。昔程精神力が続かなくって困ってるわ」 顔の下半分を覆う鉄の仮面をつけた母親がため息混じりに言うのを見てカトレアが笑った。 予定が詰まっているのか、カリーヌは席に着こうとはせず幾分強い口調でジョルノに言う。 「伯爵、貴方に二つお願いがあるのだけどよろしいかしら?」 「…それはもしや」 ジョルノはそれに何か思い出すように少し間を置いて返事を返す。 「エレオノール嬢と婚約者のバーガンディ公爵とのことでしょうか?」 外国人に過ぎないジョルノがもう知っていたことに然程驚いた風も無くカリンは頷いた。 「お姉さまがどうかしたの?」 「それは…」 療養中の為か、まだ知らされていなかったらしいカトレアが首を傾げる。 カリーヌが仮面越しにもわかる苦りきった表情で言う。 「バーガンディ公爵から婚約を破棄したいという話が来ているのよ」 「え……お母様、あ、あんなに頻繁に手紙のやり取りをされるくらい仲がよろしかったのにですか?」 「ええ、本当にどうなさったのかしら」 「ジョナサン、貴方何か知ってらっしゃいます?」 わざわざ傍に来て尋ねられたジョルノは頭を振った。 三人とも困惑した表情を見せていた。 一人だけは気付いていないのか分かっていて言っているのか分からないといった意味でだったが。 「…見当がつきませんね。彼と少し話して可能なら考え直させましょう。(無理強いしても離婚するのが落ちですから)それでよろしいですか?」 「ええ、ええ伯爵、ありがとう」 「もう一つをお伺いしましょうか」 「ルイズのことよ……ロマリアから私宛にアンリエッタ王女とゲルマニア国王の結婚を支持するよう打診があったわ。聖女様のことは我々にお任せを、という一文付でね」 「まぁ…!」 「貴方なら何か彼らとの窓口があるのではなくて?」 ルイズやカトレアと良く似た、だが凄みのある眼差しを向けられるジョルノには、公爵夫人が言うとおり幾つか伝手がある。 一つは言うまでも無い相手、ルイズにレコンキスタへ虚無を使わせ聖女に仕立て上げたエンリコ・プッチ枢機卿。 二つ目はロマリアのパッショーネが懇意にしている有象無象の聖職者達。部下達の伝手でもあるため少数のまともな聖職者から俗に塗れた者まで様々だ。 三つ目は、テファの孤児院にいた少年達が何名かロマリアにいる。本人の優秀さに加え、ジョルノが援助した為貴族や聖職者の師弟を押し退けようとしている。 反発も受けているようだが、最後には孤児達が勝つものだとジョルノは信じていた。 「これに関しては余りお役に立てません。ネアポリス伯爵家が懇意にさせていただいている聖職者の方々ならご紹介できますが、ラ・ヴァリエール公爵家程…ましてやマザリーニ枢機卿程のものではありません」 二つ目を選んだジョルノを見つめながら、カリーヌは黙したままだった。 カトレアの疑うような視線がジョルノの頬を撫でたが、最近富に真っ黒になっているような気がする髪が風に揺れるだけであった。 「戦勝パーティ会場でルイズさんを聖女にしたグロスター枢機卿はマザリーニ枢機卿とは十年来の仲だそうですよ」 「……プッチ枢機卿との会談を用意していただけるかしら」 首を横に振って言うカリーヌにジョルノは動揺を見せずに怪訝そうな顔を作った。 「最近枢機卿になったばかりの? あの方に然程の権限はありません。ルイズさんのことをお願いするには適当な方とは思えませんが」 「そうね。でも、閣下は法皇様の信頼も厚くガリア王とも懇意にされているそうだわ。そんな閣下なら説得できると思わない?」 少しずつ迫りながら言う伯爵夫人から凄みを感じてカトレアが喉を鳴らした。 感情の昂ぶりに、カリーヌは魔力のオーラを身に帯びていたが、ジョルノは目も逸らさなかった。 「申し訳ありません。私はプッチ枢機卿とは非公式に一度お会いしたに過ぎません。余り懇意にさせていただこうとは思いませんしね」 「というと?」 末の娘ルイズよりも一つ下だったはずだが…汗一つかかない若造に内心感心しながらカリーヌは聞き返した。 「黒い噂を耳にしましてね。顔が広いようですが、その中には盗賊達の姿も見受けられます」 「それでも構わないわ」 マンティコア隊の隊長に復帰した事により往年の凄みを取り戻しているのか、ジョルノの目にはカリーヌの態度は何時に無く迷いが無いように見えた。 その盗賊がジョルノだという事に気付いているのかは判断が付かなかった。根負けしたような素振りでジョルノはため息をつく。 「…わかりました。微力ながら協力しましょう」 「……ありがとう伯爵」 礼を言うカリーヌは瞬きもせずジョルノの挙動を見つめていた。 二人の間に走るただならぬ雰囲気を感じ取ったカトレアは胃の辺りを押さえた。 To Be Continued...
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マジックアイテム マチルダ 魔法 メイジ モートソグニル モード大公
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このカードゲームについて vipの「カードゲーム作ってVIPで流行らせようぜ」スレから派生したゲームです。 萌重視! 避難所 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1324314049/ 現行スレ http //engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324380650/ 過去スレ http //engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324293073/
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【種別】 人名 【解説】 フルネームは『ティファニア・ウエストウッド』で、本来の名前は不明。 元サウスゴータ地方を納めていたモード大公の娘で。母はその妾。 母がエルフ故にその血を引いて、耳が尖っている。 その耳がコンプレックスになっていて、人前にでるときは深い帽子をかぶっている。 アルビオン王家の血を引いているため、虚無に目覚めている。
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02 エルフと吸血鬼(1) アベルという男について、エルザは彼の性格と思考を明確に捉えることができない。 善人でお人好し、という面も強いが、それ以上に彼は変人であり奇人であった。いや、そもそも純粋な“人”ではないのだから、そう見えるのも当然なのかもしれないが。 彼の生い立ちは、詳しくは知らない。だが彼自身から聞いた話をまとめると、ある程度の彼の歩んできた道筋が見えてくる。 ガリアの辺境の森、その奥深くでは、かつて、魔獣、幻獣、そして亜人などを対象にした研究が行なわれていた。なぜそんな場所で? という疑問の答えは簡単だ。とても他人に軽々しく言えないような、非道徳的で残虐極まる生体実験が繰り返されていたからだ。 アベルという男は、そこで生まれた。 いや、“生み出された”と言うべきなのかもしれない。 吸血鬼とメイジの特質を備えた、強靭で強力な生命体。 吸血鬼、と言えばハルケギニアにおいて、人間から恐れられている妖魔として名高い。寿命と生命力は人間を軽く越え、そして吸血鬼の“餌”は人間なのである。彼らからしてみれば、エルザのような吸血鬼は悪夢のような存在だろう。 とはいえ、万能、というわけではない。太陽の光が苦手で昼に出歩くことはむずかしいし、生存に必要な“食糧”は限定的で、人間を襲わざるを得ない。しかし、その時には吸血鬼側にも危険がある。 貴族――メイジである。平民と違って、彼ら貴族は“系統魔法”を使える。その魔法は、吸血鬼の使える“先住魔法”と違って、基本的には強力だ。精霊に働きかけやすい森の中でもなければ、正面からやりあったのならメイジのほうが有利だろう。したがって、気を抜いて平民を食らおうものならば、貴族に目をつけられ討伐される可能性が高くなる。 そんなわけで、吸血鬼には長所と短所があるし、人間――メイジもまた同様である。 そこで研究されたのが、人に近しい容姿や知性を持った吸血鬼を利用し、その長所だけを受け継いだメイジを作り出す、ということだった。 長い寿命、優れた身体能力、高い生命力。それらを持ちながら、人間と変わらず昼に出歩け、“血”以外の食べ物で栄養を摂取でき、そして――メイジのみに許された系統魔法を使うことができる。 そんな夢のような、新しい人種を創り出せた研究員たちは、どんなに喜んだことだろうか。だが、その苦労はすぐに水泡に帰すことになった。 『いやあ、あの時は大変だったぜ。オレもまだ魔法自体はライン程度の実力しかなかったからな。幻獣やら、よくわからん合成獣(キメラ)やらは見境なく暴れまくるし、研究員どもは本気でオレを殺しにかかってきたからな』 あっけらかんと言うアベルの話を、エルザは胡散臭げに聞いていたこと思い出す。 生地であるその研究所で、ある程度、成長して力をつけたアベルは、研究員たちに反旗を翻した。捕獲されていた獣や、実験によって作り出された合成獣を解き放ち、研究のために囚われていた亜人たちを連れて森から脱出したのだ。 その後、派遣された騎士たちによって逃げ出した合成獣は駆除されたものの、研究所の施設と人員の被害が大きすぎて研究は破棄されたらしい。唯一の成功例たるアベルの研究内容も、脱出時の彼の工作によって資料がすべて焼き払われた。つまり、人間と吸血鬼を理想的に組み合わせた亜人の存在は、もはやこのアベルひとり以外にありえなくなったわけである。 その後、アベルはハルケギニアを流浪するうちに、身寄りのない吸血鬼や獣人などの亜人を拾って伴うようになった。それらは規模を広げ、やがて未開の土地を探して出して、人間たちに隠れて暮らせる“村”を作った。 エルザも、ガリアとゲルマニアの間にあるアルデラ地方の広大な森の奥に存在する、その村で生まれた吸血鬼だ。父と母は旅をするうちにアベルと出逢い、勧誘されて村に移り住んだとのことだった。 ところで吸血鬼と言えば、その食事は人間の血液である。人間のいない村で、どうやって血液を供給するのか? ――簡単だ。作り出せばいいのだ。つまり……“錬金”という、メイジの業である。 土系統の、メイジで言うところのスクウェアクラスの力を持ったアベルは、その強力な錬金魔法で水を血液に変えることに成功したのだ。そのおかげもあって村は安寧を守りつづけ、今も皆が平和に暮らしている。 アベルの過去についてエルザが知っているのは、それくらいだ。おそらく彼は、村のなかでもかなりの年数を生きた人物に数えられるが、個人的な出来事についてはそれ以上を語ろうとしない。あるいは、長く生きすぎて忘れているのかもしれないが。 さて、そんなアベルだが――今、彼はタクト型の杖を持って砂いじりをしていた。 曇天の夜で真っ暗闇だが、夜目の利くエルザにとってはその顔を認識できる。人間における20歳に達するかというくらいの顔立ちは、どこか楽しそうな表情をしていた。これから“とんでもないこと”を行なうというのに、この余裕はなんなのだろうか。 アベルの後ろ、バカでかい背嚢は時折、もぞもぞと動いたりする。……“中の人”も大変だなぁ、とエルザは感じた。 「うっし、準備完了」 やがて、そう言って立ち上がったアベルは、ルーンを唱えて杖を振り下ろした。と同時に、地面の土が盛り上がり、徐々に形が作られる。クリエイト・ゴーレム――意のままに操れる人形を作り出す魔法だ。 ただし、アベルのゴーレムは明らかに通常のものとは違った。ゴーレムと言えば、土や岩、あるいは鋼鉄などの身体を持たせた人形というイメージが強い。しかし、今ここに現れたゴーレムは……等身大で、風貌、外見がまったく人間と同じものだった。 むろん、並みの土メイジではここまで精緻で複雑なゴーレムは作り出せない。もはやここまでくると「ゴーレム」というよりは「ガーゴイル」であるが、そんな代物をいとも簡単に創造するあたり、アベルのずば抜けた能力が窺える。 アベルは同じようなゴーレムを数体作り出すと、それらの下僕を街のほうへ向かわせた。市街に紛れ込ませ、いざと言う時に働かせえるつもりなのだろう。 「さて……オレたちも行くか」 しばらくして、アベルは街――王都ロンディニウムを見据えて言った。暗闇に包まれた郊外のこの場所と違って、深夜とはいえ、あちらは生活の光がそれなりに灯っている。 自分たちの目的地は、ロンディニウムの街? いや、違う。 正確には……その先にある王宮――ハヴィランド宮殿だ。 現アルビオン王国の君主、ジェームズ一世の住まう地へ。 ◇ 事前に王宮の警備ルートを把握していたことと、信頼できる内通者が複数いたことで、王宮には予想以上に簡単に侵入することができた。 いま、アベルとエルザがいるのは、王宮最上階にある雑用具を保管しておくための倉庫だった。この部屋の入り口には、重要度が低いこともあって、警備がいなかった。つまり、王の居室へ侵入する足がかりとしては最適というわけだ。 アベルは腕を組みながら、うろうろと倉庫内を歩きまわっている。もちろん、考えなしの無意味な行動ではない。足から伝わる床の感触で、下の階の情報を読み取っているのだ。吸血鬼の優れた五感と、土メイジとしての超感覚を持っているからこそ、可能な芸当だった。 「……よし、始めるぞ」 小さく呟いたアベルに頷き、エルザは彼のそばに近寄った。 それを確認したアベルは、杖を取り出してルーンを唱えた。 そして行使されたのは、錬金の魔法。 アベルの目前の床、そこの直径1メイルほどの円形に、淡い光が浮かび上がった。 一瞬後、光が消え去ると、その部分にあったはずの床も消え失せていた。 ……正確には違う。床に開けられた“穴”の先を見れば、砂が積み重なっていた。つまり、床部分を砂に錬金したのだ。 だが、これを王宮の人間が知ったら卒倒しかねないだろう。ふつう、このような王宮にはほとんど全ての場所に“固定化”がかけられている。しかもそれは、スクウェアの土メイジが処置することが大抵だ。 どういうことかと言うと、アベルは、スクウェアの土メイジの仕掛けたであろう“固定化”をいとも簡単に崩した、ということだ。末恐ろしい才能である。 「ん、どうした?」 「……凄いなって呆れてたの」 「褒めても何もやらんぜ? ま、ただの人間と違って魔法を練習する時間だけは大量にあったからな。……それでも、“アイツ”のインチキっぷりに比べたら、オレもまだ尋常だがな」 肩をすくめて言ったアベルに、エルザは内心で愕然としていた。 このアベルよりインチキなひと? ……本気で、想像できない。 アベルの交友関係が異常に広いということは知っていたが、まさか彼がそこまで言うような人物がいるとは思わなかった。 今度、その人のことを聞いてみよう。などと戦慄とともに思いながら、エルザはアベルに抱えられた。 「フル・ソル・ウィンデ……」 レビテーション。その魔法で、ゆっくりと開けた穴から下の階へ。 砂にまみれた床に着地したところで、エルザはアベルの腕の中から降りた。 この部屋は、窓際に執務机、中央に高級なソファーとテーブルが置かれていた。執務室兼応接室のようなものだろうか? アベルは今までしょっていた背嚢を床に置くと、手の動きでエルザに合図した。 (これ、任せた) エルザは了解し、背嚢を慎重に優しく抱きかかえた。“中身”がアレなのでちょっと重いが、吸血鬼であるエルザからすれば大きな問題はない。……人間で言うと外見5歳児くらいの少女が、自分以上のデカい荷物を持っている光景は少しシュールであるが。 ふたたび、アベルはゆっくりと部屋をうろつきはじめた。今度は時折、壁に手を当てている。およそ一分ほど、周囲の索敵を行ないおえると、東側の壁の前に立って杖を持ち上げた。 (作戦どおりに、な) アベルのささやきに頷く。 その次の瞬間、小声で唱えられた錬金が、壁を土に変えた。 大量の砂が流れるなか、アベルは瞬時にべつの魔法を唱える。 サイレント――音を消す風魔法だ。アベルはその魔法を器用に使い、外の衛兵へと音が漏れぬよう、居室の外周だけに沿って展開させた。 そして、堂々と部屋へと侵入するアベル。その気配に気づいたのか、向こうに見える天蓋付きの豪華なベッドの中で眠っていた男が、もぞもぞと身体を起こしはじめた。 「ん……な、なんじゃ……?」 「こんばんは、陛下」 にっこりと笑ったアベルは、腰からナイフを引き抜いた。刃渡り20サントほどの凶器が、薄く光を放つ。 それを見て事態を察したジェームズ王が、恐慌したように叫ぶ。 「衛兵ッ! 侵入者じゃッ! 誰か……ッ!?」 一瞬で距離を詰めたアベルが、か細い王の腕を掴み、その首に銀光の刃を擬した。 「無駄な抵抗はおやめください。ここの声は、向こうには届きません。それより……今日は、お願いがあって来たのです」 絶望を悟ったのか、ジェームズは大きく深呼吸すると、アベルを厳しく睨めつけて口を開いた。 「お願い? ただの脅迫じゃろうに」 「ま、どちらでも構いません。さて、肝心の内容についてですが……。陛下、モード大公のうわさはご存知ですか?」 その言葉を聞いて、ジェームズは顔を赤らめた。 ジェームズ王の弟、モード大公のうわさ。それは、彼がエルフの愛人を匿っているのではないかということだった。エルフはハルケギニアの人間から“敵”として認識されており、王家の血筋を引く貴族がエルフと交際しているなど、あってはならぬことだった。 ジェームズは、怒りを抑えきれない様子で叫んだ。 「おぬし……あやつの差し金か! エルフの女などのために、このわしの命を狙うとは……!」 「命を狙う? ご冗談を! 私は陛下に、改心していただくために来たのです」 「……なんじゃと?」 訝しむジェームズを尻目に、アベルはエルザに目配せをした。それを受けて、エルザは隣に置いていた背嚢の口を開ける。 もぞもぞ、と背嚢がうごめいたあと、ぷはっ、とその口から頭が飛び出てきた。 「……だいじょうぶ?」 「う、うん」 エルザの問いかけに首を縦に振った少女は、背嚢から全身を這い出した。 ずっと狭い中に隠れていたせいで疲労が溜まっているのか、ふらふらとしながらも、ようやく彼女は立ち上がった。そして頭をすっぽりと覆うようなフードを外す。 ――流れるような美しい金髪。吸いこまれそうな翠緑の瞳に、整った顔の輪郭。まだ幼いながらも発育はよいらしく、ふくよかな胸が目立っている。 それだけならただの美少女、なのだが、一つだけ決定的な違いがあった。 なぜなら、その耳が……。 「――エルフッ!」 青ざめた顔で、ジェームズは叫んだ。びくり、とエルフの特徴である長くとがった耳を持つ少女は震えた。 「……正しくは、ハーフエルフですな。陛下の姪である、ティファニアさまでございます」 「知らぬ! そんな姪を持ったことなど認めぬ! おのれ……あの愚かな弟め……!」 「……やれやれ」 どこか悲しそうな声で呟くと、アベルはティファニアを呼び寄せた。 ゆっくりと、恐る恐る、ハーフエルフの少女は伯父のジェームズ王のもとへ近づく。 「ティファニア、例の魔法を頼む」 「…………」 「きみと、きみのご両親のためだ。それに、陛下を殺すわけでもないさ。頼むよ」 「……うん、わかった」 意を決したティファニアは、顔を強張らせながらも、懐から細い杖を取りだした。 王家の血を引く彼女も、魔法を使うことができる。だが、それは一般的なメイジの使う四系統とは少し違っていた。 失われたとされる、伝説の系統――虚無。 「ナウシド・イサ・エイワーズ……」 透き通るような声がルーンを詠唱する。 「……ニード・イス・アルジーズ……」 紡がれる調べは、まるで歌のようだ。 「……ベルカナ・マン・ラグーズ……」 ……詠唱が完了した。室内を沈黙が支配する。 ジェームズはこれから起こることに恐怖し、顔色を失っている。アベルとエルザは、ただティファニアが虚無の魔法を解放するのを待っている。 「……ごめんなさい」 気兼ねのためかそんなことを口にしながらも、ティファニアはついに杖を振り下ろした。 その瞬間、ジェームズのいた空間が歪んだように見えた。数秒後、歪みがもとに戻ると、そこには呆けた姿で宙を見上げるジェームズがいた。 “忘却”の呪文。 その虚無は、相手の記憶を奪い、改竄することも可能とする強力な魔法だ。 だが、それだけでは充分ではない。記憶を奪ったところで、またモード大公の周辺の事実に気づかれたら、それで終わりである。 だから、そうさせないための方法をアベルは計画していた。 ぼうっとしているジェームズの顔を、アベルは自分のほうに向かせた。 そしてルーンを唱え、ジェームズに魔法をかける。 「……陛下。モード大公のエルフの妾と、その娘について、かならずその身を守っていただきたい。お願い申し上げます」 「あ……あ、ああ……」 呆然と頷くジェームズの瞳には、怪しげな魔法の光が宿っていた。 制約(ギアス)。対象に制約を課し、思考や行動を操る凶悪な水系統の魔法だ。もちろん、いくらスクウェアとはいえ土メイジであるアベルが使っても、普通はそこまで高い効果はもたらせない。 だが――虚無と組み合わせるとなると、話は別だ。忘却によって記憶を不確かにさせられている状態の相手ならば、いともたやすく、強力な制約がかかる。そうして今、アベルはモード大公と彼の愛人であるエルフのシャジャル、そして二人の間の娘であるティファニアに危険が及ばぬよう、ジェームズに魔法をかけたのである。 最後に、アベルは“眠りの雲”でジェームズの意識を落とし、ベッドに横たわらせた。 「完了だ。あとは戻るだけだな」 そう言って、アベルは懐から一枚のカードを取りだすと、目立つようにテーブルの上に置いた。 エルザがそのカードを覗くと、書かれている内容が見てとれた。 『もっと優秀な土メイジを雇っておくことをオススメする。 土くれのフーケ』 ……よくわからないが、アベルが偽名を使う時はどうもこの「フーケ」という名前を好んで用いているようだ。 その由来について尋ねたみたことはあるのだが、一言だけ「個人的な趣味」と答えられただけだった。さっぱり意味がわからない。まあ、その辺が彼らしいと言えば彼らしいのだが。 「さて、面倒が起こらなうちに、さっさと……エルザッ!」 突然、激しい剣幕でアベルは叫んだ。その視線は、自分たちが侵入してきた壁の穴に向けられている。 そちらのほうを見ると……杖を構えた衛兵らしきメイジが、こちらに敵意を発していた。 おそらく、なんらかの理由で入り口に使った倉庫の異変に気づいたのだろう。そして、そこに開けられた穴を降り、今ここにいるアベルやエルザを見つけたというわけだ。 メイジは、ルーンを唱えながらこちらの居室に入ってこようとしていた。彼が向こうの部屋とこの部屋をつなぐ壁の穴を通り抜けようとした時――その下にあった砂が盛り上がり、一瞬で穴をふさいだ。 アベルが魔法を使ったのだ。しかし即席の対処のため、すぐに破られるだろう。それにサイレントの魔法がすでに解除されているため、今の騒ぎを聞いた外にいる衛兵が、早々に駆けつけてくるに違いない。 そうなると、脱出経路は限られる。アベルとエルザは、どうすべきかを即時に理解した。あとは、わけがわからずおろおろとしているティファニアをどうするか、だが。 「テファ、フードをつけてオレにしっかりと掴まれ! エルザ、お前は背中に」 そう言いながら、アベルは“エア・ハンマー”の魔法で近くにあった窓を吹き飛ばした。 ガラスが割れ、窓枠ごと外に飛び散るなか、居室の扉が開かれる音を耳にする。衛兵が来たのだろう。 エルザはアベルの背中に飛び乗った。彼の腕には、フードを被ったティファニアがしっかりと抱かれている。 ルーンが聞こえた。そして、杖を振り下ろす音。次いで来るのは、侵入者たる三人を殺そうとする魔法。 それが届く前に、アベルが窓から飛び出した。 独自の浮遊感。ティファニアが声にならない悲鳴を上げる。地面が迫りくる途中で、アベルは杖を振った。 同時に、風の流れが変わった。飛行の魔法――フライによって、三人は空を翔けていた。 「すぐに降りて、街に紛れるぞ」 しんどそうな声色でアベルが言った。どちらも子供の体躯とはいえ、エルザとティファニアの二人を連れて飛行するのは負担がかかるのだろう。それに、このまま飛行していてもすぐに追っ手に見つかってしまう。 しばらくして、王都ロンディニウムの石造りの街に降り立った三人は、郊外へ向けて駆け出した。エルザは自分の足で走ることになるが、身体能力の劣るティファニアは依然としてアベルの胸のうちだ。こうなるとどうしても目立つわけで、この奇妙な三人組を見るたびに、街の道行く人々が何ごとかと驚くのも無理からぬことだった。 「チッ、来たか」 後ろからメイジの追っ手が来ている。距離はかなり近い。街の通りを走りながら、杖を振り上げてルーンを唱えているのが見えた。 どこか路地にでも逃げ込めればよいのだが、生憎と確認できるかぎりではそのようなところはない。そうこうしているうちに、追っ手に追い付かれてしまう。そして、射程圏内に辿り着いたメイジは、魔法を放とうとして……。 「出番がないのが一番だったんだが、まあ仕方ねえな」 呑気に言ったのはアベルだ。 魔法は放たれていなかった。なぜなら、その追っ手へと人影が、突如としてタックルをかましたからである。人影、といっても人の形をしているだけで、正確には別物だ。それはゴーレム――アベルが事前に、ロンディニウムの街に潜ませていた人形だった。 「さあて、こうなると屋敷に帰るには手間をかけなきゃならんぞ。覚悟しておいてくれ」 モード大公の屋敷に戻るにしても、この騒ぎがいったん収まって、情報を収集してからでなければならない。そうなると、ひとまずサウスゴータの街で時間を待つことになるだろう。 サウスゴータの街の太守は、こちらの事情を知っているモード大公側の人間だ。彼に接触できれば、いろいろと融通してもらえるはずだ。 とはいえ……そのサウスゴータの街へ行くにしても、ロンディニウムから追っ手である捜索隊が出されるだろうから、そいつらに足跡を見つけられないようなルートで迂回する必要がある。 「……はあ」 先行きの暗さに、エルザはため息をついた。 ◇ 結局のところ、モード大公の屋敷に戻るのに一週間近くもかかってしまった。 サウスゴータの街に着くのに三日、そこで太守に保護してもらい王宮の状況を把握するのに三日、そしてようやく安全を確認して、今、モード大公の屋敷に来たというわけだ。 王都ではいまだに“土くれのフーケ”のうわさで持ちきりらしい。なにせ王宮のなかでも王の居室に侵入し、しかもそこから無事逃げおおせたのだから、人々の話題に上らぬわけがない。 曰く、侵入者は三人。黒髪で中肉中背の青年がリーダーのフーケであり、黒髪の幼女と金髪の少女を連れている。なんでも王から特別な財宝を盗み取ったのだとか。 民衆のうわさはそれほど間違ってはいない。少なくとも三人の容姿については、そのとおりだ。しかし侵入時のアベルとエルザは髪の色を染料で変えていただけなので、実際の今の髪色は、アベルが栗色でエルザは金髪である。ついでに財宝を盗んだというのはまっぴらなデタラメであるが、こういう尾ひれがつくのは仕方のないことだろう。 それより重要なのは、王宮が事件をどのように把握し、どのような対処をすると決めたのかだ。だが、これはかなり僥倖な結果となった。太守とモード大公に頼んで念入りに確認してもらったのだが、侵入者のなかにエルフの少女がいたという情報は一つもなかった。おそらく、曇天の夜中だったのでティファニアの耳の形に気づく者がいなかったのだろう。 ジェームズ王も忘却の効果があったようで、侵入者についてはまったく知らず、自分への危害もなかったと述べている。 王宮のなかから盗まれたもがなかったことと、王の居室に残された“フーケ”の書き置きもあってか、結局、「実力を誇示したいだけの変人による仕業」ということになったようだ。 ……エルザとしては、「変人による仕業」というのはとても正解だと思った。 「おい、今なんか変なこと考えただろ」 隣に座るアベルが、じとりとエルザに目を向けた。こういうところが、やたらと鋭いのだ。エルザは「……気のせいだよ」と明後日のほうを見て言った。 そんなくだらないやり取りをしているうちに、やっと屋敷の主人がこの客室に姿を現した。……と、いうか、飛び込んできた。いくらなんでも焦りすぎである。 「お、おお、アベル殿! ご無事で何よりです! ところで……テファは?」 「今、ここに参ったのは私とエルザだけです。ティファニアお嬢さまは、本日の夜半に紛れて、サウスゴータの街からこの屋敷までお連れする予定です。彼女は現在、太守殿にお預かりいただいておりますので、ご安心を」 たぶん、今頃は太守の娘であるマチルダという女性が遊び相手になっているのだろう。彼女は幼い頃からティファニアと接しており、二人は姉妹のような関係だった。 アベルの返答を聞いて、落ち着きを取り戻したモード大公――だったのだが、またすぐに興奮した様子で言葉を捲し立てた。 「そ、そうだ! アベル殿に伝えておかねばならぬことがありまして。じつは……べつの来客の方が、この屋敷に来ていらっしゃるのです」 「……来客、でございますか?」 「うむ、そうです。少々、お待ちください」 モード大公は使用人に、“彼ら”をお呼びしろと告げた。 使用人が客室から出て行ったのを見届けてから、アベルはモード大公に尋ねた。 「その方々は、どのような人なのでしょうか?」 「む、それは……いや、なんと言えばよろしいか」 モード大公は困ったように、言葉を濁した。 「その、まあ、私が説明するより、彼らから説明を聞いたほうが早いかと」 「……ふむ。わかりました」 怪訝そうに眉をひそめながら、アベルはテーブルに出されていたお茶に口をつけた。 その直後、客室の扉が開いた。そこから二人の若い男女が部屋に入ってくる。 どちらも美しい金髪を持ち、容姿も目を奪われるほどに端麗だった。 年上らしい男のほうは15歳を過ぎたくらいの外見だが、線の細い顔立ちは中性的な色合いが強い。長く美しい金髪は首筋辺りで紐で縛られ、首元には新緑色のスカーフが巻かれている。 彼よりも少し年下と思われる少女のほうも、赤いスカーフをお揃いで首に巻いていた。一緒に立ち並ぶ姿は、まるで兄妹のようだ。 ……うん? とエルザは首を傾げた。少女のほうが、どこかで見たことのあるような容姿をしていたからだ。絹のように細く艶やかな金髪、それにその碧眼の瞳の形は―― モード大公は、新しく登場した二人の名前を口にした。 「ご紹介します。“東方”からいらっしゃった、アーディドさまとファーティマさまです」 なぜかアベルが、口に含んだお茶を盛大に噴き出した。 NEXT 名前
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クリスタル・ルナの第一の大陸にして冬が永遠に続く大陸 ブリザード大陸には魔鉱石の世界で有名の学園「妖怪貴族アカデミー」がある(大学学校) ブリザード大陸一の大金持ち「刃無家」がある事も有名(雪崩、極連、御雪がその家族) 氷のクリスタルがある場所はアイスサンクチュアリ、迷宮の様に入り組んだ神殿の奥にクリスタルはある この大陸に住んでいる者達は寒さに凄い慣れている 氷雪系を統べる妖怪、多種族が強化される 特に霰が発生している間が脅威的な強さを誇る ブリザード大陸の首都はアイスクランと言う大都会の町 魔鉱石の世界で1,2を競う寒い大陸である この大陸に住むモンスターは食料が不足していると凶暴になって種族を襲って食べようとするが、 大体が返り討ちに逢う 主にこの大陸に住むモンスターが拠点とするのは氷上闘技場だ
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学生証うpスレにて貼られたハーバード大学学生証。盗用防止加工済み。 ハーバード大学とは、アメリカにある頭の良い大学である。 概要 関連リンク コメント欄 概要 アメリカ合衆国大統領や、ノーベル賞受賞者を多数輩出している。 また億万長者(資産10億ドル以上)のうち62人はハーバードの卒業生である。 授業は基本的に英語オンリーで進行しており、学食のハーバー丼が人気となっている。 意識の高いおんJでは、人様に自慢できる最低ラインの学歴はハーバード大学であると考えられている。 一説によると、おんJ民の9割はハーバード大学主席卒または現役主席だと言われている。 ただし、リベラルだと言われているハーバード大学生の割には 大統領選においてトランプ候補を熱烈に支持していたり、 定職に就かず「研究」と称して野球観戦に明け暮れる者も多く、 ハーバード大学の中でもイレギュラーな者達が集まっているようだ。 残り1割もマサチューセッツ工科大学やバークレー校といった世界の名だたる名門大学、 また東京カスカビアン産業大学(TIT)や放送大学など、日本の最高学府出身者で占められている。 おんJ民はほぼ全員が同じ大学出身であるため、 マーチだの宮廷だのというそこらの掲示板で繰り広げられるような不毛な学歴争いは滅多に発生しない。 大学関係のスレが建つとハーバード出身者が集まり、スレは一種の同窓会と化す。 世界最高峰の頭脳を持つおんJ民は議論をこよなく愛しており、 至る所で白熱教室も顔負けの質の高いレスバトルが展開されている。 関連リンク おんj民の平均学歴はハーバード卒って聞いたけど ハーバード大学の学食について語るスレ コメント欄 STUDENT君の学生証もハラデイ http //hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/livejupiter/1479287928/ -- (名無しさん) 2016-12-06 22 35 21 信じかけたわ -- (名無しさん) 2016-12-10 03 02 56 STUDENT君やなくてPut Your Name Here君やわ、すまんな あとvalid thruやから有効期限かと -- (名無しさん) 2016-12-10 20 52 40 まぁおんj民はハーバード大卒身長6フィート4インチがデフォやから -- (名無しさん) 2018-01-23 03 01 53 ハーバー丼すこ -- (名無しさん) 2018-05-05 02 23 05 ハーバード大学ひまわり学級主席やぞ -- (名無しさん) 2018-05-15 00 42 03 これアホすぎてすき -- (名無しさん) 2021-08-24 09 54 19 名前 コメント すべてのコメントを見る ▽タグ一覧 学校 流行語 用語
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ハードモード攻略 ハードモードのきつい所 1回死んだらそこでゲームオーバー 街に戻れないから店が使えず餓死しやすい 同じ理由でレベルアップの能力の上がりが固定しにくい 同じ理由で交代して回復が使えない 同じ理由で鍛冶屋で修理してもらえない 同じ理由で店で要らない物を売ってそのお金でセーブが出来ない セーブの時のお金を持ち歩かなければならないもしくは置いてあるところまで行かないとセーブできない まとめ 街はすごい便利 クレア編 クレアでハードモードをプレイした際のメモです。 1F→緑の人型注意。フリーズ中心に攻める。 草畑→アレスにささげる<おもちゃの盾> たんぱく質強化。レベル上げすぎないように、補給はここで。 2F→イチゴ畑→ささげる <サンダー入手> 3F→しいたけ畑→食べる ~↑なるべく隠し部屋を探す 4F→割と鬼畜。次へ急ぐ。 5F→割と鬼畜。カボチャ畑。 6F→鬼畜。がんばるしかない。 ~ここまでにブロードソードを入手しておきたい 7F→楽。Lv上げを。食べ物優秀(攻撃系)。 8F→楽。 9F→超絶鬼畜。ポーション切れること必死。猿っぽい敵のメテオが超凶悪。 10F→割と楽。補給が先にあるのでさっさと抜けたい。 11F→割と楽。ポーションと食べ物補給のため、次へ急ぐ。 12F→カボチャ畑。ペンギンが1000G。魔法で倒す。敵の能力が強くなってくる。 13F→戦士に注意。後は楽。 隠し部屋神。爆弾 魔法石部屋、ポーション部屋が存在。 ドラゴンの敵の落とすアイテムが神。ドラゴンミート、ポーションなど。 シャッターで出やすい組み合わせなので、狩りまくるとよい。 14F→魔法石部屋有り。 15F→呪いの武器部屋、マンプクアーマ落とす敵の部屋?あり。爆弾も。<プラチナソード入手> 16F→多少鬼畜。 17F→鬼畜。黄色戦士の魔法に注意。爆弾アイテム部屋あり。 18F→ミノタウロスの攻撃力は怖い。しかも魔法無効。 戦士とのタッグ性能が異常。<ホーリー入手> ~16~18 に ポーション部屋があったような気が。 19F→楽勝。辛いときはホーリーで。 20F→ラミアが多少強いが、ホーリー超魔法 ロッドがあれば楽勝。 21F→ラスボス。ここまで来れたのなら余裕かと。 ハードモード簡単クリア まとめ 結論から言うと開始と同時に19階までいってレベルを上げるだけ。 まず基本。19階につくまでは敵を倒さない事。このゲームはリロードすると体力と満腹度が回復するのだがレベル1なら10ギルでセーブできるのでレベル1でいるかぎり餓死しない。 戦闘はすべてガードアタックで逃げよう 次に19階につくまでは蛋白質以外をとらない。 この攻略では攻撃力がすべてなので他は上がらないほうがいい。 レベル1だと栄養素の影響を受けやすくしかもビタミンに偏る確率が極めて高いからだ。 蛋白質のみをとり攻撃力に偏らせておこう。 拾うアイテムは食料(食べずにとっておく)とお金(200ギルで充分)とエクスポーションのみ。あとは無視。 セーブする時は必ず次の部屋に行く下り階段の部屋で行う。この攻略では敵を倒さずに進むため通路に敵が現れると困るからだ 1、2階では隠し部屋を探すといい。50ギルと60ギルがあるからだ。 守護神は全無視でいいが、この攻略ではセーブが自由にできアイテムも大量に あまるので信仰してみてもいい。多少楽になる。ただし危険もある。 祭壇の部屋でセーブした場合、祭壇から下り階段までの通路に敵があらわれるとかなり困る。ジャンプで飛び越えられる場合もあるがタロスやラミアは無理。 5階にはかぼちゃ部屋がある。できるだけたくさん拾っておこう。 しかし19階につくまでは食べてはいけない。レベルがあがって栄養素の影響を受けにくくなってから食べよう。 10、12階には1000ギル落とす敵がいるが無視してもいい。どうしてもレベルがあがってからセーブしたいなら倒そう(ほぼ確実にアイテム消失が発生するためあとでとりに来ることはできない) 15階あたりから武器を拾おう。アックスやスピアなど長い武器がいい 2個くらいでいいはず 19階についたらレベル上げを開始。餓死が怖いので少しでも腹を減らさないために鎧や盾はつけない。 攻撃を受けるとあっさり死ぬので攻撃を受けないように北へ行く通路の中にこもりリーチのある武器のジャンプ攻撃で敵をたおそう レベルは30あれば充分だろう ボス三体は重装備してガード⇒反撃の正攻法でもいいがそれよりエクスポーション4つを入れ武器だけを装備して(腹減りによるHP減少を軽減するため)ガードアタック⇒ジャンプ攻撃⇒ガードアタックの繰り返しがいい 確実に途中で満腹度が0になるが餓死するまえに勝負がつくので気にしなくていい 空腹でHPが減ってきたらポーションを使おう ハードモードレベル1クリア ある意味こっちのほうが楽かも 上記のクリア方法とほとんどかわらないがこの場合はレベルを上げないので栄養素は気にしなくていい 食料は拾わなくてもいいが(拾っておいて腹が減ったらたべてもいい)かわりにエクスポーションが最低4つは欲しい。できれば8個 18階の出口についたらいったんセーブしていい武器がでるまで粘ろう 理想は増田ならクリスタルスピア(キングかエース)かクリスタルアックス クレアならクリスタルロッド(同じくキングかエース) なお武器そのものの攻撃力よりキングなどの称号のほうが重要なのでいい称号のついた武器を拾ったらそれで ボス攻略。まず戦闘前にセーブしよう自由にセーブできるのがレベル1の強みだ ガーディアンドラゴンはポーション4つを入れガードアタック⇒ジャンプ攻撃⇒ガードアタックの繰り返し。敵に行動させないように。 ジャンプ攻撃を使わないとまず武器がもたないだろう ジャンプ中に方向キーをいれなるべく正面にたたないようにすると安全だ 慣れと運(クリティカル)で一つもポーションを消費せずにたおせるだろう 倒してもレベルはあがらない 倒したら妖精に武器耐久を回復してもらいセーブ。 アークドラゴンも同じ方法で倒せるが面白い倒し方がある アークドラゴンがはいってこれない通路にこもってスピア系のジャンプ攻撃で倒すというものだ しかしまれに敵の攻撃がとどく(攻撃に当たると前の部屋に弾き飛ばされる) ため確実とは言えない フェニックスは失神するほど弱いので割愛 ラスト三体が経験値0であることを考えると四角社は最初からレベル1でクリアできるようにしていたんじゃないかと思える