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あいさつ状 件名:Re あいさつ状 返信なし グルメ 件名:Re グルメ 返信:ベジタリアン 件名:Re ベジタリアン 返信:心配 件名:Re 心配 返信:母親 件名:Re 母親 返信なし ごきげん伺い 件名:Re ごきげん伺い 返信なし 座右の銘 件名:Re 座右の銘 返信なし フラワーギフト 件名:Re フラワーギフト 返信:花が好き? 件名:Re 花が好き 返信:お前が助けに 件名:Re お前が助けに 返信:これから 件名:Re これから 返信なし 趣味 件名:Re 趣味は何? 返信:どういう意味 件名:Re どういう意味 返信:あのー 件名:Re あのー 返信:俺は・・・・・・ 件名:Re 俺は・・・・・・ 返信なし 挑戦状 件名:Re お前には負けねえ! 返信なし ロマンスギフト 件名:Re 君をもっと知りたい 返信:年齢 件名:Re 年齢 返信:地元 件名:Re 地元 返信:リアル性別 件名:Re リアル性別 返信なし リーダー志願 件名:Re リーダー志願 返信なし ここだけの話 件名:Re ここだけの話 返信:うれしい 件名:Re うれしい 返信:つきあったこと 件名:Re つきあったこと 返信:『彼女』は 件名:Re 『彼女』は 返信なし 誓い 件名:Re 誓い 返信なし .hack//G.U. Vol.3 Topページへ
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夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下- ◆ANI3oprwOY 放送が終わると同時に風が吹いた。 髪を揺らすことさえない弱い風。 けれど、確かに吹いていた。 「なあ、コクトー」 呼ぶ。 屋上で一人、式は呼ぶ。 その声は、生きている人間には聞かれることなく風に溶けた。 「衛宮を殺したんだ。殺して……オレはたぶん、何かを失くした。 失くしたってことは、オレが殺したのはバケモノじゃなく、ヒトだったってことなのかな?」 事故防止というよりは自殺防止なのだろう。 屋上は、上部に有刺鉄線が取り付けられた3メートル近い高さのフェンスに囲まれている。 「アラヤも死んだ。浅上藤乃も死んだ。デュオの奴も、白井も死んだよ」 南側のフェンスに背中を預け、式は街を見下ろした。 どこにでもありそうな平凡な街並みと、平凡な日常では起こり得ない破壊の痕跡。 何が起こったのかは、わからないし知る術もない。 「この島で大勢死んだんだ。知ってる奴も知らない奴も、たくさん死んだ」 空を見上げる。 「……お前も、死んだ」 一面、青だった。 澄みきった、どこにでもある、とても綺麗で、ありきたりな、青。 見慣れた空と何も変わらない。 なのに、この空が彼と一緒にいた場所と、繋がっているとは思えなかった。 「けど、秋山は生きてる」 俯いて、瞼を下ろす。 瞼の裏に誰かの顔が映る、なんてことはなく。 視界は黒で覆われる。 風はいつの間にか止んでいた。 「阿良々木や枢木も生きてる。ルルーシュや平沢も、織田信長も生きてる」 完全な静寂ではない。 何かの音がする。 動いているものが存在している証の音。 「この島にはまだ、生きてる奴がいるんだ」 目を開けて、式は自分の右手を見た。 たくさんのモノを壊してきた手。 掌に、僅かに血管が浮かんでいる。そこに血が流れていることを、式は知っている。 「……オレも、生きてる」 フェンスから背を離し、自分の力だけで立つ。 深く、肺いっぱいに空気を吸って、吐き出す。 力を込めて拳を握れば、指先の当たっている部分に痛みが走った。 「生きてるんだよ」 息をしてる。 動ける。 感覚があって――――感情がある。 「オレは、生きてる」 その声は、自分の中へと溶けた。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 放送が終わると同時に衣は転んだ。 二階と一階の間の踊り場。 転ぶのがもう少し遅ければ、階段から転げ落ちていただろう。 「グラハム……」 呼ぶ。 倒れたまま一人、衣は呼ぶ。 汚れてボロボロになってしまったぬいぐるみを抱きしめる。 「次の放送では、衣の名も呼ばれるのだろうな……」 呟いたのは、予想される未来。 感情とは関係のない、事実に基づいた予測。 「……グラハム」 顔が見たい。声が聞きたい。触れたい。傍にいたい。 こんな感情は初めてで、けれど初めてなのだと意識することさえないほどに自然だった。 理由なんて、わからないし知る必要もない。 「グラハム」 立ち上がろうと、手をつく。 「…ぁ……」 起き上がれなかった。 起き上がるために床についた手が何も感じない。 そこにあるはずの感触が、掴めない。 「え……?」 感覚がない。 それは、世界を感じられないことと同義。 自分がここにいるのだということにさえ、自信が持てない。 何もかもが遠くなっていく。 「……衣は、そちら側か」 死んでいった人たちの顔が見える。 きっとそれは幻で。 けれど手が届きそうなくらいに近い。 「グラハ――――」 呼ぼうとして、やめた。 訪れるのは静寂。 何も聞こえない場所で、何も感じない身体をぬいぐるみごと抱きしめる。 「……衣は、まだ生きている」 採光用の窓から差し込む光に翳すように、衣は自分の右手を伸ばす。 小さな手。何もできない手。 貧血の所為かいつもより白い。まるで血の通わない人形のようだと、衣は思う。 「生きているんだ」 それでも。たとえもうじき終わってしまう命だとしても。 まだ、続いている。 もう一度、起き上がるために床に手をつき、力を込めた。 「衣は、生きている」 その声は、どこへも辿り着かない。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下- ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「今から約一時間半後に、天江衣の首輪は爆破されます」 ……さて。僕、阿良々木暦は、いったいどれくらい硬直していたのだろうか。 25日くらい経ったような気がする。さすがに気のせいだろうけど。 僕は馬鹿みたいに放心していた。何も考えられなくなっていた。 一応放送は聞いていたけれど、その内容についてあれこれ考えるなんて無理だった。 数分かけてようやく動きだした僕がしたのは、主催者の一味―――元・主催者の一人である インデックスの小さな肩に掴みかかることだった。 「何だよそれ、いったいどういうこと―――」 言おうとして、止まる。 一拍どころじゃなく遅れて言葉の意味を理解しだした僕の脳が、これに関連する出来事を追憶する。 それはずっと考えていたことではなかったか。 あの時、何故あの救済は行われたのか。 ……あらゆる線が結ばれていく。全てに納得がいくようになる。ふざけるほどに、辻褄が合ってしまう。 「……おい、まさかそれって」 「はい。薬局での白井黒子の治療の際、借金として彼女が肩代わりしたものです」 以上でも以下でもない、予想通りの答えだった。そして最も外れて欲しかった答えだった。 一人でも多く人が死ぬことを推奨するルールの中で、負傷者の傷を治すという行為。 白井の命を助ける代償に天江の命を担保にかける。そしてこの場で効率的かつ効果的な首輪による爆死。 最低の発想が、最悪のタイミングでやってきてしまった。 「天江衣の借金は1億ペリカ。12時間以内、7時32分までという返済期限でしたが、 定時放送毎に利子として借金を倍額していますので、現在負債は4億ペリカとなっています」 「そのことを……グラハムさん達は……」 「知り得ていません。本人が借用について他の参加者に話すことは違反行為として禁じられています。 また、特例的に知ったあなたが発言することも規則に抵触するため留意下さい」 「もし、誰かに話したら?」 「首輪が爆破されます」 「……」 傷を負った白井も、その代価を請け負った天江も、責める気はない。 こんな先のことまで考える余裕は天江にはなかった。いや与えられなかった。 彼女はただ助けたかっただけなのだ。 それだけが―――こんなにも。重くなってのしかかる。 全てはこうなるように仕組まれたこと。 その片棒を担いでいる目の前の少女に八つ当たりすることもまた違う。 けれど。 「それなら―――」 どうして、僕に話した? 僕一人が知ったところでどうなるわけでもないとタカをくくってるのか。否定できない自分が憎い。 けど、だったら言わなくても同じことだろう。 この場で、この状況で伝えたところで、いったい何が変わるというのか。 「……………………」 インデックスは、語らない。 答えられないのか。答えたくないのか。答えを知らないのか。 なんにせよ、今ここで打ち明けてくれる様子ではない。詰め寄っても求める答えは聞けなさそうだ。 理由を話せないのならばそれでいい。それを知ったところで僕が納得するだけでしかない。 だったら、聞くべきはその先。この事態の解決法だ。 「どうすればいい?」 ただ不安を煽るだけでこの話を持ちかけたわけではない、と思う。 その意図が悪意にしろ善意にしろ、打開の行動ができるだけのアテがあるはずだ。 主催の手から逃れたというのが本当であれば、ここは頼るしかない。 「…………黒の騎士団」 開いた口から出てきたのは、謎のネーミング。 「ルルーシュ・ランペルージが指揮する集団。彼らなら首輪を技術的に解体する情報を入手している可能性があります」 それだけ言うと、インデックスはもう用は済んだと言わんばかりに僕に背中を向け、天江が向かった方向へと歩き出す。 僕はただ、その後ろ姿を見ていた。 本当はすぐにでも追いかけるべきだったんだろう。 天江にしろインデックスにしろ、この状況で一人にするのは好ましくない。 けれど。この時の僕はそんな簡単なことさえ思いつかずにいた。 僕は考える。 黒の騎士団―――かなり、相当、僕だったらちょっと口に出すのを躊躇うくらい恥ずかしいネーミングだけれど、ツッコミは控えるとして。 7時32分までに彼等をみつけだすことはきっと不可能じゃない。 だけど、会えるかどうかと、合流し協力できるかは別の問題だ。 グラハムさんは、ルルーシュ達に思うところはあるみたいだけれど合流に関しては肯定的だ。 天江も異論は無いみたいだし、枢木はルルーシュとの合流が最優先事項。 式にしても、合流の邪魔はしないだろう。 問題は、僕だ。 僕たち5人の中で唯一ルルーシュや平沢と明確に対立した僕が―――― 「なにやってんだ?」 声がして、慌てて振り返る。 そこには式が立っていた。 もの凄くやる気無さそうに、式が…………式が…………………… 「なあ、式! おまえ、首輪外せないのか!?」 「できない」 いきなり質問をして、あっさりと一刀両断される男子高校生がそこにはいた。 ていうか、残念なことにそれも僕だった。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 並び立つガンダムエピオンとランスロット・アルビオン。 その足元では、二人の軍人が作戦会議を行っていた。 「首輪は解除できないか………」 試してみたものの、式には首輪を外すことはできなかった――― 放送前に式と会えたというスザクからの報告に、グラハムは落胆を隠せない。 思いつく限りの首輪解除の条件は整っているはずだ。それでも、首輪の解除には届かない。 ディートハルトに問い詰めても、首輪の製作は別部門で行われていたので一切知らないと言って憚らない。 「我々の推測は根本から間違っていたと考えるべきか」 「いえ。そう判断するのはまだ早いと思います。式は「"まだ"視えない」と言っていた。つまり―――」 「―――いつかは視える。そういうことか」 「その可能性はあります」 「待てるのか? 来るかどうかもわからない"いつか"を」 「待てません。だからこそ、情報を持っているかもしれないルルーシュ達との合流を急ぎたい」 スザクの言葉に、グラハムは同意を示す。 グラハムは、一刻も早く首輪を解除したかった。 首輪が爆破されるかもしれないという危惧は、今までに増して強くなっている。 参加者の残り人数。 インデックスと遠藤が行っているように見せかけることは可能だったはずなのに、変えられた放送の担当者。 主催が何らかの動きを見せてもおかしくない状況下で、自分達は『主催陣営の裏切り者』という爆弾を抱えているのだ。 「しかし……無事に彼らの元へ辿り着ける見込みは低い」 「わかっています。信長がこの付近まで来ている可能性は高い。放送を信じるならば、アリー・アル・サーシェスも生きている」 「そして、一方通行、か」 スザクは頷く。 「――如何にガンダムといえどもすべての攻撃を反射されたのでは勝ち目がないな」 「ええ。……ですが、彼の反射は完全ではありません」 第一に両儀式の存在。彼女の攻撃はどういうわけか一方通行の反射が通用しない。 反射を殺している、と彼女自身は言っていたが、理解の範疇外なので二人は深くは考えない。 ただ単純にここでは両儀式ならば攻撃を当てる事ができる、ということを理解していればいい。 第二に枢木スザク。両儀式ほどに完全な対応ができるというわけではないが、反射の法則を捉えた。 結果、肉弾攻撃ならば反射に捕まること無く攻撃をすることができるだろう。 第三に特別な武装。GN兵器の攻撃が通用したことから、どうやら彼の世界に存在しない物質による攻撃は透過するらしい。 そのような武装がどれだけ存在するかは分からないが、ひとつの手段として覚えておいて問題ないだろう。 第四に制限時間。あれほど強大な能力であるから、主催者によって制限がかけられているらしい。 能力の連続使用時間はさほど長くないことが分かっている。 その使用時間さえ使い切らせてしまえば、彼自身の身体能力は低い。さほど苦労せずに仕留められるだろう。 「……とはいえ、君や両儀式を単純に向かわせたのでは絶対に勝てるという保証はない」 「そうですね。彼の能力は最強の盾にして矛でもある。攻撃が届くだけで勝てる相手ではないでしょう。 ……何より、彼は頭が切れる。ただの能力だよりの狂戦士ではないでしょう。僕もそれで一度敗れた。 薬局であれだけの人数が生き残れたのはむしろ幸運だったと言えるかも知れません」 二人で情報を整理しながら作戦を立てる。 スザクは自らの目的、ゼロレクイエムへの障害のために。 グラハムは、今度こそ天江衣をしっかりとこの手で守るために。 たとえ最強であろうとも、一方通行を打ち倒すという信念を蒼く燃やす。 「……なるほどな。最強の矛と盾。ただし、制限時間付きか」 「――何か思いついたんですか?」 ふ、と口元を綻ばせるグラハムを見て、スザクは尋ねる。 「ああ……ならばこちらも用意してやればいい。矛と盾を、な」 勝機を見出し、悪魔の機体を見上げるグラハム・エーカー。 その耳に、微かに届いた声があった。 「…………天江、衣…?」 振り返る。 見えるのは校舎だけだ。そこに衣の姿はない。 声が聞こえるはずがない。 けれど、たしかに――― 「スザク。ここは君に任せる」 それだけ言って、スザクの返事を待つことなく、グラハムは走り出した。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 「まだ視えない」 式のこの言葉が、首輪解除についての現時点での結論だった。 モノを殺すという物騒な式の力と、魔術を解くという折れ曲がった短剣―――少なくともこれだけでは、首輪を外すことは叶わないらしい。 もともとあの短剣と式の力は殺し合い開始の最初から同じ場所にあったという、確かにそれで外れるというのはおかしな話ではあったけれど。 考えてみれば、今の僕らに首輪の解除が可能なら、インデックスは僕にあんな話はしなかっただろう。 彼女はできないと知っていたのだ。 そして今、全ての情報はただひとつの方向を向いている。 つまり、ルルーシュ・ランペルージ率いる黒の騎士団との合流は必須事項ということだ。 やるべきことはわかった。理解できた。 わかってしまえば簡単なことだった。 ルルーシュの元へ向かうのも、首輪の解除について考えるのも予め決まっていたことで、動きが変わることはない。 変わるとすれば、僕の心境。 天江が背負っているものを知らなければ楽だったかもしれない。 けれど、知っておかなくてはならなかった。 息が詰まり、心が絞めあげられるが、構いはしない。食いしばって耐えられる。 ……なんてことを僕が考えている間、式は職員室の中をただ見つめていた。 「なあ、式。インデックス達のことなんだけど」 「放送の前に枢木に会った」 僕が言いかけた台詞とは噛み合わない言葉が返ってくる。 少し考えて、枢木からインデックス達の件は話を聞いているということなんだろうと思い至った。 式との会話は難しい。 「その……いいのか?」 「なにが?」 「一緒に行くんだぞ、主催だった連中と。その……憎い、とか。そういうの、ないのか?」 「べつに」 本当に、なんとも思っていないようだった。 僕だって殺してやりたいくらい憎いとか思っているわけではないけれど。 だけど式みたいにあっさりと言ってのけることができるほど、割り切ってるわけでもない。 「殺したのは、浅上だ。主催(あいつら)じゃない」 唐突に、そう言われて。 僕は式の視線の先を見る。 そこにあるのは、かつて人だったモノ。加治木ゆみという名の少女の死体。 「殺し合えって言ったのはあいつらだけど、殺し合ったのはあいつらじゃない」 式は歩きだす。 躊躇いを感じさせない足取りで、職員室の中へと。 血痕を踏み、もしかしたらバラバラになった加治木ゆみの肉片さえ踏んで。 そして、顔の皮膚を剥がれた頭部のそばで足を止めた。 「なあ」 聞き違いかと思うほどに小さな声。 たった二文字の簡素な言葉は、だけどたしかに、式が僕へと発した声だった。 「こいつにも」 「え?」 「こいつにも、ユメはあったのかな」 ひどく、幻想的な問いだった。 夢―――目標、願い、望み、将来、未来、希望、欲望。言い方は数あれど、おおむねそういう意味だろう。 僕は加治木ゆみがどんな人間なのかを知らない。 だけど、きっと。 「……あったんじゃないかな、彼女にも夢が。たぶん他のみんなにも」 「おまえは?」 式の質問の意図はわからないままで、だけど、見るからに人付き合いが苦手、いや嫌いであろう式が 自分から誰かに話しかけるなんておそらく滅多にないことだろう。 式にちゃんと答えたい。たとえその答えが、声に出すだけで泣きたくなるようなものだったとしても。 僕にとっての夢は――― 「あったよ。とても小さいものだったけど」 羽川や火憐や月火や忍や忍野もいて。 神原や千石や八九寺もいて。 …………戦場ヶ原が、いて。 勉強したり遊んだり遊ばれたり、たまにちょっと面倒なことに巻き込まれたりする、有り触れた日常。 そんなささやかな未来を、僕は望んでいた。 「今は、もうないけどな。消えて…………死んだんだよ、僕の夢は」 全ての事象に終わりはある。出逢いは別れに、生は死に。 それでも、こんなにも不条理に破壊されてしまうことなんて、考えもしなかった。 煌びやかな日々は握り潰され、抱えられるだけの残骸もない。 「おまえは、これからどうなるんだ?」 僕のほうを見ることもなく、式はなんでもないことのように尋ねてくる。 どう動くかという行動ではなく、自分がどうなってしまうのかという状態を。 夢を失ったら、人はどうなってしまうのか。 「そう、だな……………………どうにもならないんじゃないか」 そう。きっと、どうにもならない。 失くしてしまったモノは戻らない。死んだモノは生き返らない。 代わりは無い。 僕は他の夢なんて、もう見れない。 ただ、決して埋まらない苦しみに。怒りに。悲しさに。心と身体を苛まれるだけだ。 だけどそれは夢を見ていた証だから、幸せだった証だから。 夢を失くしたことを不幸だと思うことはあっても、失くした夢に永遠に縛りつけられることを不幸だと思うことはない。 どんなに苦しくても。 ………こんなに苦しいのに。 それでも僕は、解放されたいと望むこともできやしない。 「けど、夢をなくした今でも、死にたいとは思えないし死ねない理由もある。 残ったものを見捨てて投げ捨ててしまうことはできない。僕の死が誰かの夢を奪うことになるってわかってるから。 それなら、生きる意義ってのもあるんじゃないのかな」 これが、僕にできる精一杯の答えだった。 「そうか」 それだけ言うと、式はもう加治木の死体にもそばにいる僕にも興味がないといった様子で、教室を出ていった。 話は終わり、ということらしい。 そろそろ出発だろうし、一緒にグラハムさん達のところまで行こうと誘おうと思ったけど、やめた。 式はそういうのは好まないだろう。 天江やインデックスが向かったのと同じ方向へ歩いていく式の後ろ姿を見送って、僕は反対側の階段へ向かうために踵を返す。 失くしてしまった夢だとか、平沢が犯した罪だとか、天江が背負っている運命だとか。 いろんなものが重くて苦しいことに変わりはないけれど。 やるべきことがわかった。 式と話ができた。 たったこれだけのことで何かを悟ったような気になって、なんとなく満足してしまっている馬鹿な男子高校生がそこにはいた。 ていうか、こういうのが僕だった。 時系列順で読む Back わたしとあなたは友達じゃないけど(後編) Next 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 投下順で読む Back わたしとあなたは友達じゃないけど(後編) Next 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- 阿良々木暦 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- 天江衣 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- 両儀式 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- グラハム・エーカー 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- 枢木スザク 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 294 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- ディートハルト・リート 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編) 294 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- インデックス 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(後編)
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SHORT MIDDLE LONG SHORT 属性 名称 射程 レア度 最大Lv 召喚コスト 初期能力 能力MAX 単位能力 成長傾向 秘技 転生素材 売却価格 備考 攻 防 攻 防 攻 防 攻 防 名称 効果 中世 ■ ブロードソード S N 20 1 100 100 590 340 590 340 早熟 早熟 - - - 150 中世 ■ ブロードソード【極】 S N+ 30 1 150 150 900 615 900 615 早熟 早熟 - - - 300 中世 ■ ルーンブレード S N 20 4 370 390 1190 1340 297 335 早熟 早熟 - - - 600 中世 ■ ルーンブレード【極】 S N+ 30 4 480 960 1800 2025 450 506 早熟 早熟 - - - 750 転生材料 中世 ■ カイザーナックル S N 20 7 1030 1060 3010 2010 430 287 早熟 早熟 - - - 1050 中世 ■ カイザーナックル【極】 S N+ 30 7 1260 960 4500 3000 642 428 平均 早熟 - - - 1300 中世 ■ 姫剣ナターシャ S R 40 12 1890 1840 4440 3070 370 255 早熟 平均 - - - 2100 【レアガチャ】第1弾 中世 ■ 聖審剣ジャッジメント S R 40 15 2650 2880 4790 4700 319 313 平均 早熟 - - - 2500 【イベント】勇者降臨 中世 ■ 竜業剣ファーヴニル S R 40 18 3060 3060 4690 4690 260 260 早熟 平均 ウルトラフェイス 中世防↑3 - 2700 【レアガチャ】第3弾 中世 ■ 神菓プディングンヌ S R 10 99 1 1 99 99 1 1 平均 平均 - - - 1 合成素材用、箱石片交換 中世 + フレイムエッジ S N 20 11 2130 1740 2700 3100 245 281 早熟 平均 - - ルーンブレード【極】 1650 【スタンプ】5、祈ガチャ 中世 └+ 炎剣フランヴェルジュ S R 40 11 2200 1840 3590 4860 326 441 早熟 平均 ウェポンクラッシュ 中世攻↓2 ルーンブレード【極】 1800 中世 └+ 焔剣フランヴェルジュ S R+ 50 11 2280 2050 4150 5850 377 531 平均 平均 ウェポンクラッシュ 中世攻↓2 ? 900 中世 └+ 蒼焔剣フランヴェルジュ【纏】 S R+ 50 13 3000 2180 5400 6830 ウェポンクラッシュ 中世攻↓2 蓮陣砲バナナストライク 900 中世 + 麗剣マタドール S R 40 15 2870 3120 5740 3540 382 236 - - ? 2550 【魔石コンプ】6 中世 + 伝世神刀マサムネ S R 40 16 3680 2500 5830 3540 364 221 晩成 平均 ブレイブ 中世攻↑1 降星射サジタリア 2700 【レアガチャ】第2弾 中世 └■ 月読天刀マサムネ【皇】 S R+ 50 18 4010 3320 8230 6370 457 353 平均 平均 ブレイブソング 中世攻↑2 - 900 中世 + 偽竜グラムコピー M R 40 17 3120 2920 3730 5690 219 334 平均 早熟 ウェポンクラッシュ 中世攻↓2 竜業剣ファーヴニル 2700 【レアガチャ】第3弾 中世 └+ 偽竜刃グラムレプリカ S R+ 50 18 4140 4880 5460 7540 303 418 早熟 平均 ウェポンブレイク 中世攻↓3 ? 900 バベルの魔砲&勇者降臨II 中世 ■ イビルブレイド S N 20 5 790 780 シールドアタック 中世防↓1 - 【イベント】バベルの魔砲 中世 ■ イビルブレイド【極】 S N+ 20 5 1210 1170 3010 2970 602 594 平均 平均 シールドアタック 中世防↓1 - 【イベント】バベルの魔砲【イベント】勇者降臨II 中世 ■ 逆説broad.X.sword S N+ 30 1 150 150 900 615 天罰―鎧― 中世防↑4 - 【イベント】バベルの魔砲 中世 ■ バベルの魔砲【朱】 S N+ 30 8 1320 930 4650 3120 580 390 獣王無尽 [B]一撃必殺 - 【イベント】バベルの魔砲100F 中世 + 新約ルーンブレード S N+ 30 4 480 960 1800 2025 450 506 早熟 早熟 聖なる炎 中世防↓5 (新約系) 【イベント】勇者降臨II 中世 └■ 新約実験【聖】ルーンブレイド S N+ 30 6 900 1440 2620 3130 436 521 早熟 早熟 聖なる炎 中世防↓5 - 中世 + 聖竜翼アロンダイト S R 40 17 2530 2520 5180 5020 304 295 平均 平均 聖なる炎 中世防↓5 (同属新約実験系) 3300 【イベント】勇者降臨II 中世 └■ 聖竜翼アロンダイト=コクレア S R+ 50 17 4030 4000 7780 7590 457 446 平均 平均 聖なる炎 中世防↓5 - 900 中世 ■ 金聖勇翼アロンダイト=ナル S R 40 15 2530 2520 5180 5020 345 334 早熟 早熟 聖なる炎 中世防↓5 - 【イベント】勇者降臨IIランキング報酬 中世 ■ 聖剣・勇旋翼アロンダイト=パーチェ S R+ 50 15 3280 3260 6480 6310 432 420 早熟 早熟 聖なる炎 中世防↓5 - 【イベント】勇者降臨IIランキング報酬 中世 ■ 聡明ナル聖勇ノ翼アロンダイト=パン【封隠】 S R+ 50 15 4030 4000 7780 7590 518 506 早熟 早熟 聖なる炎 中世防↓5 - 【イベント】勇者降臨IIランキング報酬 天空の煌河 中世 ■ パイレーツカトラス S N 20 7 750 720 2460 2500 351 357 平均 早熟 ブレイブ 中世攻↑1 - 1700 【イベント】天空の煌河 中世 ■ パイレーツカトラス【極】 S N+ 30 7 1200 1080 3690 3800 527 542 平均 早熟 ブレイブ 中世攻↑1 - 2550 【イベント】天空の煌河 中世 + 星屑カイザーナックル S N+ 30 7 1260 960 ヴィア=ラクテア 中世防↓5 (同属星屑系) 【イベント】天空の煌河 中世 └■ 綺羅星カイザーナックル S N+ 30 10 1890 1440 6750 4500 ヴィア=ラクテア 中世防↓5 - 【イベント】天空の煌河 中世 ■ 七夕奇跡・冥酒魔剣「陽」 S R 40 14 77 77 7777 777 555 55 早熟 晩成 アルテマブレイブ 中世攻↑4 - 【イベント】天空の煌河10000m 最終更新 2012/01/25 16 08 12 MIDDLE 属性 名称 射程 レア度 最大Lv 召喚コスト 初期能力 能力MAX 単位能力 成長傾向 秘技 転生素材 売却価格 備考 攻 防 攻 防 攻 防 攻 防 名称 効果 中世 ■ バトルアクス M N 20 3 250 250 1200 1640 400 546 早熟 晩成 - - - 300 中世 ■ バトルアクス【極】 M N+ 30 2 312 240 1650 1050 825 525 早熟 晩成 - - - 450 中世 ■ ソードチャクラム M N 20 5 700 700 1800 1690 360 338 平均 平均 - - - 750 中世 ■ ソードチャクラム【極】 M N+ 30 5 840 480 2700 2550 540 510 平均 晩成 - - - 900 中世 ■ ナイトランス M N 20 8 1080 1120 3000 1800 375 225 平均 晩成 - - - 1200 【スタンプ】1 中世 ■ ナイトランス【極】 M N+ 30 8 1320 1380 4500 2700 562 337 平均 晩成 - - - 1350 中世 ■ 陽槌カフヴァール M R 40 12 2040 2140 4840 4870 403 405 晩成 晩成 - - - 2100 【探索】10クリア無課金では防御高め 中世 ■ 蛇杖アスクレピオス M R 40 15 2670 2040 3870 3840 258 256 早熟 早熟 - - - 2550 【レアガチャ】第1弾【スタンプ】9 中世 ■ 黒虚シュバルツヴェイン M R 40 15 2820 2250 5240 3620 349 241 平均 早熟 ウェポンブレイク 中世攻↓3 - 2500 【レアガチャ】第2弾 中世 + 険槍ミストルテイン M R 40 12 2270 1470 3370 2970 280 247 早熟 早熟 - - 険槍ミストルテイン 2100 【レアガチャ】第1弾 中世 └■ 斬妖槍ミストルテイン【覇】 M R+ 50 12 2500 1800 5700 5550 475 462 平均 平均 シールドクラッシュ 中世防↓2 - 中世 + 閃歌=散華扇 M R 40 12 2040 1470 2870 4670 239 389 晩成 平均 - - ? 2100 【レアガチャ】第1弾 中世 └■ 煌響葬歌=散華扇【舞】 M R+ 50 4430 6360 - 中世 + 龍魔槍ゲイ・ボルグ M R 40 13 2540 1640 3970 3070 305 236 平均 平均 - - 竜業剣ファーヴニル 【魔石コンプ】4 中世 └+ 魔天龍槍ゲイ・ボルグ M R+ 50 13 3540 5370 6670 5370 513 413 平均 早熟 ウルトラブレイブ 中世攻↑3 ? バベルの魔砲&勇者降臨II 中世 ■ クレセントランス M N 20 6 650 880 - - - 【イベント】バベルの魔砲 中世 ■ クレセントランス【極】 M N+ 20 6 980 1350 3010 3660 - - - 【イベント】バベルの魔砲【イベント】勇者降臨II 中世 ■ 逆説rev.X.battleaxe M N+ 30 2 312 240 天罰―滅― 中世攻↑4 - 【イベント】バベルの魔砲 中世 + 新約ナイトランス M N+ 30 8 1320 1380 4500 2700 562 337 平均 晩成 聖なる炎 中世防↓5 (新約系) 【イベント】勇者降臨II 中世 └■ 新約実験【聖】ナイトランス M N+ 30 10 1980 2070 6700 4120 670 412 平均 晩成 聖なる炎 中世防↓5 - 天空の煌河 中世 ■ ウィングダガー M N 20 8 1200 630 3000 2520 375 315 平均 早熟 - - - 1700 【イベント】天空の煌河 中世 ■ ウィングダガー【極】 M N+ 30 8 1820 1000 4500 3780 562 472 平均 早熟 - - - 2550 【イベント】天空の煌河 中世 + 星屑ソードチャクラム M N+ 30 5 840 480 2700 2540 540 508 平均 晩成 ササノハプリエール 中世攻↓4 (同属星屑系) 【イベント】天空の煌河 中世 └■ 綺羅星ソードチャクラム M N+ 30 7 1260 720 4050 3839 578 548 ササノハプリエール 中世攻↓4 - 【イベント】天空の煌河 中世 ■ 煌牙番犬ケルベロス=グラウ M R 40 16 2600 1640 6640 3800 415 237 平均 晩成 ヴィア=ラクテア 中世防↓5 - 3500 【イベント】天空の煌河煌く新星 中世 + 煌牙冥装ケルベロス【魔犬】 M R 40 21 3180 3220 7020 6920 334 329 晩成 平均 ササノハプリエール 中世攻↓4 ? 4500 【イベント】天空の煌河煌く愛星 中世 ■ 瞑守ナル煌牙ケルベロスNaberus M R+ 50 25 3200 4120 6460 9320 258 372 平均 平均 ヴィア=ラクテア 中世防↓5 - 【イベント】天空の煌河煌く将星 最終更新 2011/11/18 11 59 47 LONG 属性 名称 射程 レア度 最大Lv 召喚コスト 初期能力 能力MAX 単位能力 成長傾向 秘技 転生素材 売却価格 備考 攻 防 攻 防 攻 防 攻 防 名称 効果 中世 ■ イーグルフロウ L N 20 2 95 95 1110 700 555 350 早熟 早熟 - - - 450 中世 ■ イーグルフロウ【極】 L N+ 30 3 318 300 1800 2475 600 825 早熟 早熟 - - - 600 中世 ■ アンタレス L N 20 6 900 900 1700 1790 283 298 早熟 早熟 - - - 900 中世 ■ アンタレス【極】 L N+ 30 6 1080 960 2950 2700 491 450 早熟 早熟 - - - 1050 中世 ■ 烈牙 L N 20 9 1600 1610 2690 2390 298 265 早熟 早熟 - - - 1350 中世 ■ 烈牙【極】 L N+ 30 9 1920 960 4050 3600 450 400 早熟 早熟 - - - 1500 中世 ■ 百中弓アキヌフォート L R 40 13 1640 2240 3040 4740 233 364 晩成 平均 - - - 2250 【レアガチャ】第1弾 中世 ■ 黄帝弓ウゴウ L R 40 13 2140 1870 4140 4040 318 310 早熟 平均 - - - 2250 【レアガチャ】第1弾 中世 ■ 征鋲ルールメイカー L R 40 15 2650 3030 4530 4820 302 321 平均 早熟 - - - 2600 【レアガチャ】第2弾 中世 + 斬勇ガーンディーヴァ L R 40 10 1570 670 2040 3840 204 384 平均 平均 - - 姫剣ナターシャ 1800 【友達紹介】第1弾 中世 └■ 斬勇女神ガーンディーヴァ【皇】 L R+ 50 10 1800 1200 3900 5230 390 523 平均 平均 ウルトラフェイス 中世防↑3 - 900 中世 + 星射弓サジタリア L R 40 14 2370 1970 5040 3540 360 252 平均 晩成 - - 百中弓アキヌフォート 2400 【レアガチャ】第1弾 中世 └+ 降星射サジタリア L R+ 50 14 2850 2350 6890 5990 492 427 平均 平均 ブレイブソング 中世攻↑2 ? 900 中世 + 聖骸杖ヴァルプルギス L R 40 16 2800 2730 4920 4700 307 293 早熟 平均 ブレイブソング 中世攻↑2 ? 2600 【イベント】勇者降臨 中世 + 剛竜弓ライドウ L R 40 17 3290 2830 5630 4020 331 236 平均 平均 ブレイブソング 中世攻↑2 黄帝弓ウゴウ【極】 2700 【レアガチャ】第3弾 中世 + 神馬疾駆アンノウンレース M R 40 17 3870 3790 5090 4910 299 288 早熟 平均 天衣無縫 [B]1ターン停止 伝世神刀マサムネ 2700 【友達紹介】第2弾 中世 └■ 斬駆天馬アンノウンレース【翔】 L R+ 50 18 4540 4210 6600 6400 366 355 平均 平均 天衣無縫 [B]1ターン停止 - バベルの魔砲&勇者降臨II 中世 + 蒲公英 L N 20 8 660 980 2330 3000 291 375 平均 平均 - - イビルブレイド【極】 【イベント】バベルの魔砲 中世 └■ 華翼・向日葵 L N+ 30 8 990 1380 3330 4500 416 562 平均 平均 起死回生 [B]1名回復 - 900 【イベント】バベルの魔砲 中世 + 蒲公英【極】 L N+ 20 8 1000 1520 3570 4550 446 568 平均 平均 - - 新約実験【聖】イーグルフロウ 【イベント】バベルの魔砲【イベント】勇者降臨II 中世 └■ 聖賢華翼ゾンネンブルーメ L R 40 - - - 中世 ■ 神砲ミョルニル=フォルト L R 40 15 2930 3200 4150 6200 276 413 平均 晩成 天罰―鎧― 中世防↑4 - 【イベント】バベルの魔砲怒の珠 中世 + 業神王砲ミョルニル L SR 60 20 3550 3510 6710 6690 335 334 平均 晩成 天罰―鎧― 中世防↑4 ? 【イベント】バベルの魔砲楽の珠 中世 ■ 輝冥ナル天罰ミョルニル SG L SR 60 25 4660 3350 9420 6300 376 252 平均 晩成 天罰―滅― 中世攻↑4 - 3800 【イベント】バベルの魔砲望の珠 中世 ■ 神砲円環ミョルニル=ルイーズ L SR 60 16 3330 3600 4330 6480 270 405 平均 平均 魔砲 円環の蒼姫 中世防↑5 - 【イベント】バベルの魔砲ランキング報酬 中世 ■ 業神災厄ミョルニル=ヘンリエッタ L SR 60 21 3850 3810 6990 7010 332 333 平均 平均 魔砲 災厄の魔姫 中世攻↑5 - 【イベント】バベルの魔砲ランキング報酬 中世 + 新約イーグルフロウ L N+ 30 3 318 300 1800 2480 600 826 早熟 早熟 聖なる炎 中世防↓5 (新約系) 【イベント】勇者降臨II 中世 └■ 新約実験【聖】イーグルフロウ L N+ 30 5 477 450 2700 3713 540 742 早熟 早熟 聖なる炎 中世防↓5 - 中世 + 聖骸杖ヴァルプルギス L R 40 16 2800 2730 4920 4700 307 293 早熟 平均 ブレイブソング 中世攻↑2 (同属新約実験系) 2600 【イベント】勇者降臨 中世 └■ 冥聖骸杖ヴァルプルギス=オウガ L R+ 50 16 3530 3360 6240 6440 390 402 早熟 平均 ブレイブソング 中世攻↑2 - 900 天空の煌河 中世 ■ クレセントマーチ L N 20 7 530 1060 1800 2960 257 422 平均 晩成 フェイス 中世防↑1 - 1700 【イベント】天空の煌河 中世 ■ クレセントマーチ【極】 L N+ 30 7 800 1600 2700 4440 385 634 平均 晩成 フェイス 中世防↑1 - 2550 【イベント】天空の煌河 中世 + 星屑アンタレス L N+ 30 6 1080 960 2550 2700 425 450 早熟 早熟 ヴィア=ラクテア 中世防↓5 (同属星屑系) 【イベント】天空の煌河 中世 └■ 綺羅星アンタレス L N+ 30 9 1620 1440 ヴィア=ラクテア 中世防↓5 - 【イベント】天空の煌河 最終更新 2011/11/18 12 01 33
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両手剣 入手場所 クレイモア 帝都アルケイディスのヴェント武器・防具店 ディフェンダー 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具ショップ セーブザクィーン ゴリアテ討伐報酬,港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具ショップ ラグナロク イクシオン討伐後 アルテマブレイド 交易品(ノーマ+デスパウダー×2+アダマンタイト×3),リドルアナ大灯台(地下層の闇昏の層)のトレジャー エクスカリバー クリスタル・グランデ(シルル・ザイレム・ウェサ)のトレジャー トウルヌソル 交易品(サーペンタリウス×3+霊帝の魂×3+玉鋼×3) トロの剣 交易品(神殺しの紋章+オメガの紋章+タイコウの紋章) 覇王の剣 レイスウォール王墓のイベント 契約の剣 古代都市ギルヴェガンのイベント 両手槍 入手場所 ジャベリン 王都ラバナスタのアマルの武具ショップ スピアー レイスウォール王墓の旅の商人ダイス パルチザン ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 ヘビーランス ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 雷の槍 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 オベリスク モスフォーラ山地の商人ルシオ ハルバード フォーン海岸の何でも屋 トライデント 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 ホーリーランス 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 グングニル 西ダルマスカ砂漠のローエン 竜の髭 リドルアナ大灯台(上層/至頂の旋回廊1)のトレジャー 最強の矛 死都ナブディス(気高き者たちの間)の小部屋のトレジャー,ヘネ魔石鉱(第2期採掘現場)のトレジャー 両手刀 入手場所 虎徹 ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 備前長船 ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 小鳥丸 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 孫六兼元 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 村雨 フォーン海岸の何でも屋 菊一文字 帝都アルケイディスのヴェント武器・防具店 邪迎八景 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 雨のむら雲 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 ムラマサ リドルアナ大灯台(中層の幻惑の層)のトレジャー マサムネ 交易品(とんかち+オリハルク+玉鋼×3),ギルガメッシュ討伐報酬 両手忍刀 入手場所 阿修羅 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 桜囀り モスフォーラ山地の商人ルシオ 影縫い フォーン海岸の何でも屋 甲賀忍刀 サブイベント(コッカトリス)の報酬,ソーヘン地下宮殿(巡礼の間)のトレジャー 伊賀忍刀 ゼルテニアン洞窟(ふりそそぐ空)のボギーがドロップ おろち 交易品(セーブルサイズ×2,クァールのヒゲ×2,キャンサー×3) 柳生の漆黒 ルース魔石鉱(タッシェ橋)のブリットがドロップ 両手弓 入手場所 ショートボウ フラン初期装備,王都ラバナスタのアマル武具ショップ 銀の弓 王都ラバナスタのアマル武具ショップ エイビスキラー 空中都市ビュエルバのタージ武器店 キラーボウ 大砂海ナム・エンサの旅の商人ダイス ロングボウ レイスウォール王墓の旅の商人ダイス エルフィンボウ ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 ロクスリーの弓 ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 石の弓 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 バーニングボウ モスフォーラ山地の商人ルシオ 裏切りの弓 フォーン海岸の何でも屋 与一の弓 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 ペルセウスの弓 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 アルテミスの弓 交易品(シルフス+大蛇の牙×2+月の砂×2) 宿命のサジタリア 交易品(サジタリウス×4+円月輪×3+獣王の角×3) 両手ボウガン 入手場所 ボウガン ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 クロスボウ ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 パラミナボウ 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 クロスリカーブ 交易品(氷の魔石×5+ただれた死肉+千本針),フォーン海岸の何でも屋 ハンティングボウ 交易品(闇の魔石+大牙+銀色の液体),港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 ベネトレイター 交易品(聖の魔晶石×9+盤古の骨+飛竜の牙),港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 ガストラフェテス リドルアナ大瀑布(遠き日の都)のバルから盗む 両手銃 入手場所 アルタイル バルフレア初期装備,王都ラバナスタのアマル武具ショップ カペラ 王都ラバナスタのアマル武具ショップ ヴェガ レイスウォール王墓の旅の商人ダイス シリウス ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 ベテルギウス 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 ラス・アルゲテイ モスフォーラ山地の商人ルシオ アルデバラン 交易品(銀色の液体×3+土の魔晶石+怪魚のウロコ),フォーン海岸の何でも屋 スピカ 交易品(銀色の液体×5+風の魔昌石+輪竜のウロコ),港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 アンタレス 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 アルクトゥース 交易品(サラマンド+エンサのヒレ×2+飛竜の翼×2) フォーマルハウト ルース魔石鉱(第9鉱区採掘場)のトレジャー 両手ハンディボム 入手場所 ブリニートロイデ 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 ベジオニーテ 交易品(火の魔晶石×3+ボムの抜け殻+狼の毛皮),フォーン海岸の何でも屋 アスピーテ 帝都アルケイディスのヴェント武器・防具店 マールコニーデ 交易品(百のオルギン×3+ボムの抜け殻+火の魔晶石),港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 ブルカノ式 カトブレパス討伐報酬 両手杖 入手場所 オークスタッフ 王都ラバナスタのアマル武具ショップ サクラの杖 空中都市ビュエルバのタージ武器店 魔法使いの杖 レイスウォール王墓の旅の商人ダイス 炎の杖 ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 雷の杖 ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 氷の杖 ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 ゴールドスタッフ ナルビナ城塞の兵士御用達武器屋 裁きの杖 帝都アルケイディスのヴェント武器・防具店 賢者の杖 リドルアナ大灯台(地下層の闇昏の層)のライトオブライトから盗む 雲の杖 交易品(雷の魔晶石+良質の木材+悪魔の羽根),港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 両手ロッド 入手場所 ロッド レイスウォール王墓の旅の商人ダイス 蛇のロッド ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 癒しのロッド 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 大地のロッド 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 パワーロッド フォーン海岸の何でも屋 天空のロッド 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 ホーリーロッド リドルアナ大灯台(下層の始原の旋回廊2)のトレジャー フェイスロッド キングベヒーモス討伐後,神都の竜の鼻を素手状態で調べる 両手棒 入手場所 樫の棒 王都ラバナスタのアマル武具ショップ サイプレスパイル レイスウォール王墓の旅の商人ダイス バトルバンブー ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 麝香勺 ガリフの地ジャハラのガリフ族の商人 鉄棒 神都ブルオミシェイスの旅の行商人 六角棒 モスフォーラ山地の商人ルシオ ゴクウの棒 フォーン海岸の何でも屋 エアリアル 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 象牙の棒 港町バーフォンハイムのベルニ武器・防具店 櫂棒 空中都市ビュエルバの路上の商人 八角棒 リドルアナ大灯台(地下層の陰裏の層)のソウルオブカオスから盗む 鯨の髭 交易品(アクエリアス×4+死虫×3+ミスリル×3) 矢 入手場所 オニオンアロー フラン初期装備,ナルビナ城塞の涙目の道具売り パラレルアロー 交易品(闇の石×2+ネズミの皮×2+コウモリの牙×1) 炎の矢 交易品(火の石×4+曲がった牙×2) バンブーアロー 交易品(水の魔石×3+黄色の液体×1+コウモリの牙) 雷の矢 ポーパルバニー討伐報酬 一撃の矢 ファーブニル討伐報酬 凍て雲の矢 交易品(大牙×4+南極の風×2) アルテミスの矢 交易品(ジェミニ×3+吸血の牙×2+フカヒレ×2) ボウガンの矢 入手場所 オニオンシャフト ナルビナ城塞の涙目の道具売り ストーンシャフト 交易品(氷の魔石×5+ただれた死肉+千本針) 鉛のクォーラル ダークスティール討伐報酬 ブラックシャフト 交易品(闇の魔晶石+大牙+銀色の液体) タイムシャフト 交易品(聖の魔晶石×9+盤古の骨+飛竜の牙) アガザイ イクシオン討伐報酬 グランドボルト 交易品(ウール+神々の怒り×2+輪竜のキモ×3) 弾 入手場所 オニオンバレット バルフレア初期装備,ナルビナ城塞の涙目の道具売り サイレント弾 交易品(闇の石×3+緑色の液体×1+魚のウロコ×2) アクアバレット 交易品(水の石×5+エンサの鱗×2+緑色の液体×2) ナパームショット バルハイムのカギイベント途中の報酬 ソイルショット 交易品(土の魔晶石+怪魚のウロコ+銀色の液体×3) 風のペネトラテ 交易品(風の魔晶石+輪竜のウロコ+銀色の液体×5) ダークショット ピスコディーモン討伐報酬 石化弾 交易品(リーブラ×3+地竜の骨×2+鏡のウロコ×2) ボム 入手場所 オニオンボム ナルビナ城塞の涙目の道具売り ポイズンボム 交易品(火の魔晶石×3+ボムの抜け殻+狼の毛皮) スタンボム ブラッディ討伐報酬 オイルボム 交易品(火の魔晶石×3+ボムの灰×3+オルギン×2) 混乱玉 交易品 悪臭ボム キャロット討伐報酬 ウォーターボム 交易品(水の魔晶石×9+オルギン×3+とてもくさい液×3) キャステラノース 交易品(カエルの油×4+ボムの抜け殻×3+ボムの欠片×3) FFXII Topページへ
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夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- ◆ANI3oprwOY これから語られるのは、物語の裏で密やかに進んでいた挿話。 舞台は、『死に接触して快楽する存在不適合者』と呼ばれた少女が惨劇を起こした地。 始まりは、大地が崩落し、紅蓮が上がる。 征天魔王が暴威を振るい、根源を目指す魔術師が因縁の悲願を砕かれ砂に散っていく、その最中――― ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 三階の教室で、彼は独り、左腕を失くした身体を教室の後ろの壁に預け、窓の外を眺めていた。 人影は無い。敵のものも、味方のものも。 視線を壁に掛けられた時計へと移す。 時計の針は、ちょうど五時をさしていた。 五回目の放送まであと一時間。グラハム達が姿を見せる気配は未だ無い。 合流できなかった時のことを、彼は冷静に考える。 ルルーシュに敵意を持つ暦を放置するわけにはいかず、衣を見捨てることを暦が認めないことは容易に想像できる。 となれば、一人で暦と衣というお荷物を連れてルルーシュとの合流を目指さなければならないだろう。 そのためには、何が必要か――― 彼は時計から視線を外し、そばにある机を足で乱雑にどかしてスペースを作ると 肩にかけていたデイパックを床へ落とした。 そばにいた三匹の猫たちが音に驚いて教室の隅へと逃げたことを気に留めることもなく、彼はデイパックの口を開ける。 そして僅かに。 たとえここに誰かがいたとしても気づかれないくらい、本当に僅かに。 彼の表情が歪む。 だがそれは刹那のこと。 次の瞬間にはその歪みを――表情そのものを消し去って。 彼はデイパックの中から毛布に包まれた物を引き摺り出した。 毛布を捲って現れるのは、二度と目を開かない桃色の髪の少女。 「…………」 そっと、少女の頬に触れる。 生きている人間の温もりは無い。 死体の感触があるだけだ。 何の感慨も湧かない。湧くはずがないのだ、と彼は思う。決めつける。 現時点で、自分の義手の購入に必要なペリカは手元に無い。 それ以外にもこの先、販売機から道具を入手することが必要になる場面があるかもしれない。 販売機から道具を入手するためにはペリカが必要になり、ペリカを手に入れる方法は首輪を換金することだけ。 首輪を手に入れるには死体の首を切り落とさねばならず、 死体の首を切断するだけの時間の余裕はいつでも確保できるわけではない。 だから今ここでユーフェミアの首を斬り、彼女の首輪を入手しておく。 これが、彼の出した結論だった。 右手をデイパックに突っ込んで鉈を取り出し、刃を彼女の首筋に当てる。 「―――っ」 血が滲み出る。 皮膚が薄く裂けただけだ。首の切断には程遠い。 「……ぁ……っ…………」 教室に、彼の呼吸する音だけが響く。 明らかに乱れ、時として止まる音。 息の仕方が、わからなかった。 上手く呼吸ができず、だが彼は、それを苦痛とは感じない。 首を切断することにだけ意識を向ける。 しかし彼の右手は、彼女の皮膚を僅かに傷つけたきり、動かない。 迷いなど、無いはずなのに。 「…は、……っ……っ…………」 もう、要らなかった。 躊躇っているという事実が、要らなかった。 「……はっ、ははっ…………」 彼は嗤う。 死体の首を斬ることさえできない自分を。 そして思う。 "枢木スザク"が殺せなかった真田幸村は死んだ。 "枢木スザク"が生きろと命じたレイ・ラングレンは死んだ。 "枢木スザク"が会いたいと願ったユーフェミア・リ・ブリタニアは死んだ。 だからもう、"枢木スザク"も死んでよかった。 いや、違う。 死んでもいいんじゃない。 死ななければならない。 遅いくらいだ。 ルルーシュを殺し、ゼロになる時じゃない。 ナイトオブゼロになることを決めた時点で、"枢木スザク"は消えるべきだった。 彼女の笑顔の記憶も、彼女の温もりの記憶も、もう要らない。 「生きて」と願われた。 それだけを覚えていれば、十分だ。 「…………」 乱れていた呼吸が、一気に落ち着く。 彼女への想いは、"枢木スザク"と一緒に、ここに置いて行く。 この身体は、ゼロレクイエムを遂行し、ゼロとなるためだけにあればいい。 全身が冷えていくような感覚を味わいながら、彼は"枢木スザク"を殺す。 ――――鉈を握る手に、力を込めた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 上- ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 部屋の中は静寂でいっぱいになっている。 保健室には僕、阿良々木暦と、チーズくんというキャラクターのぬいぐるみを抱いて眠る天江の二人だけ。 この学校という施設にはもう一人、枢木が居るが、校舎内を見回ってくると言って出ていったきり、まだ戻らない。 息を吐き、僕は壁に掛かった時計を見上げた。 「……五時ちょっと、か」 放送はいずれ必ず聞こえるし、グラハムさんは、ここに彼女がいる限り必ず帰ってくる。 式と白井をつれて帰ってくるはずだ。 たとえその帰還が、どのような形になろうとも。 「……っ」 嫌な想像を振り払うようにかぶりをふる。 ここで待つことしかできない僕が考えたって、どうしようもないことなのだ。 言い聞かせるようにして、ベッドの上で眠る少女の寝顔を見つめた。 天江の顔色は酷く悪い。失血と頭のケガ、蓄積された疲労のせいだろう。 「ったく、頑張りすぎなんだよ」 呆れも半分に、見下ろす寝顔に言った。 そして僕は、傍に置いていたデイパックを引き寄せる。 道具の確認をするためだ。 今の僕の役割は、天江の看病。そして、いざという時に、天江を守ること。 優先すべきは戦闘での勝利ではなく、僕たちの生存。 となれば、必要なのは武器よりも、逃走のための道具だ。 何か無いかと、デイパックの中を漁る。 いくらでも物が入るのをいいことに、よく考えもせず何もかもを詰め込んだ僕のデイパックの中はぐちゃぐちゃだ。 とりあえず、すぐに使えるようにとマウンテンバイクを取り出す。 枢木から聞いたサーシェスって人ならともかく、人間かどうかも疑わしい、というかおそらく人間じゃない 一方通行や織田信長から自転車で逃げられるとは思えないけど、まあ、一応。 他に何か……そう思いながら荷物を掻き分けていた手が、ギターに触れた。 たしか、ぎー太とかいう名前だったと思う。 とある少女の面影が浮かび、僕はギターを引っぱり出した。 ――平沢憂。 僕を殺すと言った少女。 蟹に行き当たった、重い(思い)のない少女。 彼女もまだ、生きている。 彼女は少なくとも、二人の人間の命を奪った。 そしてそれは、間違いなく僕も責任を負わなければならないことなのだ。 グラハムさん達と合流できれば、次に僕等が目指すのはルルーシュだ。 そこにはきっと、平沢もいる。 僕に会ったら、平沢はどうするのだろうか。 平沢に会ったら、僕はどうするのだろうか。 僕は何故、未だにこのギターを持ち続けているのだろうか――― ぬいぐるみを抱えて眠る少女の傍らで、答えの出ない自問自答を繰り返す男子高校生がそこにはいた。 ていうか、僕だった。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 意識は此処に在り、身体は無い。 これは泡沫の夢か。黄泉路へ逝く者が見つめる景況か。 真っ赤に染まった水面の上に、衣は今、立っている。 どれほど大切に思っていても、どれほど側にいて欲しいと願っても、 人は容易く黄壌に去っていく。 ……そのようなこと、衣は此の冥府へと堕とされる前より知悉していた。 父君も母君もそうだったように。 衣を置いて、皆寂滅するのではないかと、そう恐れていた。 ――智見していた、つもりだったのだ。 いつからだろう。 衣は甘受していた筈の重荷を捨てていた。 あまりにも日々が幸福だったから。 与えられた幸せが、甘美で有り過ぎて。 遺却してしまったのだ……そのような、章々たることを。 衣が清福を得ようなど、成就することのない冀望だったというのに。 衣のせいで、色々な人に煩労をさせた。 恩義には深く感謝しているが、何一つ返すことが出来なかった。 返すことのないままに、天津国へと下ってしまった。 ……済まない。 深い後悔と――諦念。 きっと、そう遠くもないうちに衣もそちらへと参るだろう。 ……そのときは、思う存分に怨嗟を聞かせて欲しい。 同じところに行くことが、衣に許されるというのなら。 …………。 そんな悟ったような気持ちは。 咬み殺すような横暴は。 避け得ぬ現実の前にはあまりにも、無力だった。 心安らかに、諦めて、運命を享受しようなど、なんと思い上がった考えだったのだろう。 燃え上がる言葉はただひとつ。 「死にたくない」 なぜ。 涙が。涙が。涙が。 止まらない。 死ぬのだ。 避けられないのだ。 もはやそれは、どうすることも、できない。 未来は、覆ることはない。 なぜ。 叫びだしたくなる心を抑える。 震える身体を抱きしめる。 あんまりだ。 首に手をやる。 硬くて冷たい拘束具に、触れる。 確かな手触りが、衣の生命を雁字搦めにしていた。 息が止まりそうなほどに、胸が苦しい。 ――なぜ、なぜ、衣が死ななければならないのだろう。 衣はそれほどに悪い子だっただろうか。 誰かに泣きつくことすら許されはしない。 衣は何も、何一つ分かっていなかった。 死ぬのはこんなにも怖い。 目の前に迫るまで分かっていなかった。 死ぬということがどういう事なのか。 それは何よりも、怖い。 目の前で人が死んだ時よりも。 命がけで戦った時よりも。 大切な人を失った時よりも。 ――そんなものは、比ではないほどの恐怖。 心臓を鷲掴みにされているような――そんな比喩ですらまだ軽い。 どうして――こんな目に、衣が。 否定できるのならば全てを否定してしまいたい。 ……全てを? 嗚呼。 衣にはそれもできない。 この地で衣には友ができた。 衣はたしかに、笑っていたのだ。 死はこれほどまでに恐ろしいのに、衣には死よりもなお恐ろしいものがある。 己の命よりも失えない物が、衣にはあるのだ。 だから。 衣は、何かを返したい。 今までの衣は、享受するばかりだった。 ずっとずっと。 どこだって、いつだって、誰からも。 だから。 受け取ったものと同じだけは無理でもせめて、何かを返したい。 共に戦いたい。 衣は死するその瞬間まで、友と、大切な人と、一緒に――――いきたい。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 「お、起きたか天江」 いつの間にか目を開けていた天江に気づいて、僕は慌ててギターをデイパックに仕舞い込む。 「……ありゃりゃぎ……?」 天江は僕を認識すると、ゆっくりと起き上がり、立ち上がる。 顔色はいいとは言えないけれど、さっきまでに比べれば幾分ましになっている。意識もはっきりしてるみたいだ。 「ここは大丈夫だからさ、もう少し寝ててもいいぞ?」 「いや、それには及ばない。……衣はみんなに迷惑をかけてしまったのだな」 「気にするなよ、友達ってのは助けあってのものだろう」 僕が何気なく言った言葉に、天江が僅かに笑みを浮かべる。 だけどその笑顔は、すぐに消えてしまった。 「阿良々々木……今、何時だ?」 「六時、もうすぐ放送だけど……らが一個多いぞ」 今度は僕の言葉にうなだれる天江に、僕はどうすればいいのかわからない。 もしも、グラハムさんだったら……… その時、窓の外で音がした。 走りだそうとした天江がふらついて倒れそうになったところを支え、ここで待っていようと声をかける。 素直に頷いた天江は、ドアが開かれた瞬間、僕の腕から離れていた。 「グラハム………ッ!」 「……ただいま帰還したぞ、天江衣」 天江がグラハムさんの胸に飛び込み、グラハムさんは天江をしっかりと受け止める。 天江の頭を撫でる、それだけの仕草にも、グラハムさんの優しさが込められている。 両儀と白井はどうしたのか。 信長はどうなったのか。 聞きたいことはあったけれど、グラハムさんの様子を見る限り、早急にここを離れなければならないという状況ではないらしいと 判断した僕は、トイレに行ってきますとだけ言って保健室の外に出た。 僕は、二人の邪魔をするほど野暮ではない。 グラハムさんと天江じゃ、あんなことやこんなことをする展開にはならないだろうから、五分くらい席を外せば十分だろう。 部屋を出る言い訳だったけれど、本当にトイレに行こう。 ……場所はわからないけれど。 けどまあ、学校のトイレというのはだいたい、その階の真ん中か端っこかのどちらかだろう。 少なくとも、この階を端から端まで歩けばみつかるはずだ。 そんないい加減な当たりをつけて、廊下を歩き、角を曲がり、もう一度角を曲がる。 そこで僕は、酷く現実感に乏しい光景を目の当たりにした。 「……き」 言葉につまる。 目の前に在るものが危険か、いや現実かそうでないかを断じられない。 「ふむ」 だけど僕の立場、いや僕達の立場から見れば、目前のものはあまりに剣呑だったのだ。 「最初に出会ったのは貴方ですか」 その、妙に重厚な声。 目前に立つ二人の男女。 慇懃に話しかけてきた、首輪の無い、初対面の男は勿論のこと。 「お前……!?」 その男の隣で、無機質な視線を向けてくるあいつは忘れもしない。 インデックスと名乗った。あの少女。 主催者が、目の前にいる。 正直言って、一介の男子高校生にすぎない僕の頭では処理仕切れないくらい、唐突過ぎる展開だった。 「お前ら、なんだ? 主催者連中が……いったい何の用だ?」 じり、と。 一歩を引きながら険悪を隠さず言い放つ。 実際にこの目で見ているのだからこれは現実だろうし、そして経験上、こいつらが出張ってきた時にはロクなことにならない。 そもそもこいつら、いったいいつ、どうやって入ってきたんだ。 というか、枢木は何をやってるんだ。 枢木一人でこの学校全体をカバーできないことくらいわかっているけれど、それでも思わずにいられない。 この状況、僕一人でなんとかしろって、それは無理だろ…… 「申し遅れました。私の名はディートハルト・リート。 こちらの少女は……今さら説明の必要はありませんね」 やはり慇懃に名乗る男を見ても、僕の警戒心は緩まない。 むしろ強まるばかりだった。 男だけが一歩、こちらに進み出てくる。 「阿良々木暦」 僕も同時に一歩引きかけて、踏みとどまった。 自覚しろ。 いま僕は、対応を迫られている。 きっと、間違えてはならない選択肢が目の前に在るのだ。 「く、そっ」 何を考えてるかは知らないが、「何か」をさせるわけにはいかない。 こうなったら先手必勝か、と。 攻勢を即断し。 決めた僕が引きそうになった足を戻し一歩、前に出た。 「単刀直入に言う」 その時、だった。 男の行為と言葉によって、僕は出鼻を挫かれることになる。 「ここに我々は――」 「へ?」 なぜならそれは、深く低く、瞬く間もない速度の、 「君たちへの亡命を申し込む……!」 土下座だった。 この僕をして、見惚れてしまいそうなくらい、見事な土下座だった。 ビジネスとか、キャリアとか、ハードな世界を生き抜いてきた貫禄を放つ。 King of DOGEZAを名乗るに相応しい土下座だった。 とか、そんな事は心の底からどうでもよくて。 「は、はぁ!?」 すっとんきょうな声を上げてしまった僕に、ディートハルトと名乗った男は畳み掛けてくる。 「我々の立場を思えば、君たちにこんなことを言うのはあまりに恥知らず……! 承知している。だが君たちしか頼める者はいないのだ! どうか我々を助けてほしい。代わりに我々は、君たちを全力で支援しよう!」 「い、いや、ちょ、ちょっと待てよ、おい!」 突然の申し出に、僕は怒っていいのか、喜べばいいのかも分からずに、ただ困惑した。 事のベクトルは変わったが、なんにせよ僕一人で対応しにくいのは変わらない。 こいつはいったいなんなんだ? 「頼む……頼む!!」 「いや、だから、ああもう!」 何の答えも結論も見出せないまま、ただただ困惑する男子高校生がそこにはいた。 ていうか、それも僕だった。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 黒いスーツを着た男、 ディートハルト・リートは突き刺さる視線を受けとめながら、重たい声で本題を切り出した。 「交渉材料は二つ」 この場に立つ三者の視線、それぞれ微妙に異なる険悪がある。 「まず、我々が所持する物資。全て無償で譲渡します」 憤怒、 不快、 不信、 三様の刺がディートハルトに突き刺さる。 「次に情報。私の知る限りのすべてを話しましょう」 阿良々木暦、枢木スザク、そして激戦から帰ったばかりのグラハム・エーカー。 未だ枷に囚われし者達の憤怒を込めた、眼光。 「後は、あなた方の心情面。我々を受け容れられるか、それ一つだ」 それに焼かれることを、恐れぬように。 「――さあ、答えを聞かせて頂きたい」 神の域から逃れ降りた男は、地で留まる者達へと、選択を委ねていた。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 「さて、どうするか。いや、どうするかなど、考える事も無いのだろうな……」 「……ええ確かに。彼の語った情報と、物資、そして条件すらも、破格の物です。 この状況では、一見して迷う余地の無い根拠を持っている」 ディートハルトとインデックス、そして阿良々木暦の姿が消えた教室の中で、 二人残ったスザクとグラハムは決断を下そうとしていた。 「僕は彼を知っている。ディートハルト・リートは確かに、ルルーシュの部下だった男だ。 ルルーシュから聞いた彼の経緯と、そして彼自身が語った事柄の推移を合わせれば、 少なくとも彼はルルーシュが危険に晒される真似はしない。 彼と自身の生還を求めるならば、ディートハルトにとって僕等への協力は、十分に考えられる選択肢だ」 スザクは目の前に集められた物、ペリカと呼ばれる紙幣の束と、グラハムが式から預かったペリカードを見つめながら言った。 「彼が持ってきた三千万と、僕らが元々所持していた約八千万を合わせて、全部で約一億一千ペリカ。 両儀式の情報通りなら、これだけあれば僕は『腕』を手に入れることが可能です」 その口調は、しかし安堵を込めたものではなく、グラハムはスザクの態度に僅かな違和感を覚えた。 「……きっと僕達に奮戦を望むと、主催者であるリボンズ・アルマークの破滅を願うという彼の言葉は、嘘ではない。 嘘であったところで、僕たちに選択権は無い」 先程、あの男が語ったことの意味。 頭の低い姿勢であったディートハルトであったが、結局のところイニシアチブは終始一貫してあちらにあった。 情報を持っているか、持っていないかの差。 欲しいものを持っているか、持っていないかの差。 信用できなくとも、要求を呑まざるをえない、状況。 つまりはそういうことなのだ。 今この時、この圧倒的劣勢たる状況で、グラハム達はディートハルトの協力を拒否する手など、打てない。 いくら機械の兵器を手にしようと、純然たる戦力差は覆らない。 参加者同士の戦いであってすら未だに優位に立てない現状で、どうやって主催を滅ぼすのか。 戦う手段を得たところで、勝ちは拾えない。 抵抗は抵抗に過ぎないのだ。 故に、気に食わないからと、胡散臭いからと、差し伸べられた手を払うことはできないのだ。 僅かに見える希望の光があるならば、いかに不穏な糸でも手繰るに決まっている。 しかも今回は、相手はスザクの既知の人物。 その上、実際に無償の支援は行われている。これは今までの主催の悪辣な罠とは一線を画していた。 「ですが……やはり、どこか解せない」 「そうだな」 声の苦い響きは、グラハムの口調にも共通した事柄だった。 「奴には裏がある。……いや、裏とは少し違うな。奴は確かに嘘を言ってはいないだろう。 だが全てを語ってはいない。と、私は見ている。 何故なら、我々を支援する意志が本当であろうと、主催を滅する意志が本物であろうと、 奴はまだ……奴自身の狙いを正確に語っていない」 提出された品々を見、彼らは共通の思いを抱いていた。 破格、だが同時に、キナ臭い話だ、と。 ディートハルトが語ったことは主催の枠組みの解説であり、正体の見えない敵を型にはめることを意味する。 あちら側と、こちら側。階層に分かれた組織体系。 シスターズという端末。 数ある並行世界の召集。 そしてなによりも、『リボンズ・アルマーク』という、名前。 この情報が齎した効果は絶大だった。 この時、この瞬間より、敵は『主催』などと言った漠然なものでなく、『リボンズ・アルマーク』という確固たる存在に定められたのだ。 倒すべき敵。 破壊するべき目標。 これを型にはめた今、途方も無い存在という絶望は、限りなく薄まる。 そして同時に、ディートハルトにもまた主催ではなく、ディートハルトという個人の解釈が行われる。 総合的に論理的に、事は進められるのだ。 だから今や『主催者』という漠然かつ強大な存在ではなく、あくまでディートハルトという存在を図る上で、 やはり信用は出来ないと、二人は断じた。 これはおそらく、反対も賛成も論じずにディートハルトの見張りを買って出た阿良々木暦も感じていた違和であろう。 「ええ、彼は、きっと純粋な味方などではありえない。 たとえ主催者を倒すことが共通の認識だろうと、僕達がどうなるのかまでは、範疇じゃない。 彼は命を狙われたから、死にたくないから逃げてきたと言う。 だけど彼はきっとそれだけじゃない。そんな俗なタイプじゃないと、僕は聞いている」 「奴には奴なりの目的があると?」 「おそらく、ルルーシュが絡んでいる可能性が高いですが……僕達は利用されているだけかもしれません」 「そうだな」 グラハムは諦めたように言って、立ち上がった。 「とはいえ結局は、進むしかない」 スザクも立ち上がる。 「ええ。僕には守らなければならない約束がある。ここで立ち止まるわけにはいきません」 彼等はその手に、前進の為の糧を一つ、掴んでいた。 正体の見えない希望、それでも進むために。 「我々の最終目標が違うことは前に話した通りだ。 私は私が守ると決めたものを守る。他の者達も、それぞれに戦う理由を持っている。 君はあくまで、君が守るべき者を守る為に戦えばいい。 君に、我々のために死ねなど言わない。私も、君のために死ぬつもりはない」 「僕は僕の戦いを。貴方は貴方の戦いを」 「そういうことだ。君は君の守るべきものを守る為に戦い、生きればいい」 教室を出る、スザクとグラハムは共に決めていた。 希望の形がこちらを利用しようとするならば、こちらも利用するまでだ。 決して、食い物にはされない。 今はただ前に進むこと、それを憶えていればいい。 「ただ、そのために生き延びる。 生きて倒すべき敵を倒すこと。我々に共通する一点だ」 「だから、『そのときが来るまでは』、僕達は協力できる。――異論はありません」 いつか、近い将来において、互いの優先順位の違いが現れる事もあるだろう。 その時は後腐れなく、互いの第一目標を優先しよう、と。 既にその協定は結ばれている。 故に、二人の言葉に淀みは既にない。 行くと決めた以上、立ち上がった瞬間から迷いはない。 「それでは、僕は校内の見回りを。式をみつけたら声をかけておきます。貴方は?」 「放送後すぐに出発できるよう、エピオンの整備に向かう」 各々、次の一歩に向けて動き出す。 しかし彼らには一つだけ、知りえていない事実があった。 グラハム・エーカーの言葉は概ね正しい。 彼がどれほどの意識をもって発言したのかは定かではないが。 グラハムの読みの通り、ディートハルトがあえて言わなかった幾つかの事柄の中で最も重大な一点がある。 それは時間が無い、ということだ。 しかしここで言う残り時間とは、如何なる意味での猶予なのか。 戦いを続ける上で、もうじき戻れないところに差し掛かっているという意味か。 天江衣の命が、残り僅かしかないという意味か。 それとも、真なる脅威の到来が、参加者の誰にとっても間近に迫っていると。 いずれにせよ今の彼らに、答えを出すことは叶わない。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ グラハムさんと枢木が話し合いをしている間、僕はディートハルトとインデックスの見張りをしつつ 天江から、あの場で起こった出来事の顛末を聞いていた。 二人の再会の邪魔にならないようにと気を利かせたつもりが、天江一人にグラハムさんから辛い話を聞き、 それを僕に話すという役割を担わせることになっているのだから、裏目もいいところだ。 しかも天江は、涙ひとつ僕には見せない。 白井が死んだという話の内容もだけれどそれ以上に、僕は自分の不甲斐なさに泣きたくなった。 「それで、式は?」 「校舎内のどこかにいるそうだ。あんなデカい物が動けばわかるから出発の時に合流すると言っていた、とグラハムが言っていた」 僕等が話している間にグラハムさん達の話し合いも終わる。 二人の出した結論は、インデックスとディートハルト・リートの提案を飲み、彼等を同行させるというものだった。 僕はひとことの異論も挟まず、その決断を受け入れた。 そして、今。 僕は、天江とインデックス、それから枢木から離れてくっついてきた猫二匹と一緒に校舎の三階にいた。 放送まで校舎内の見回りをしながら式を探すと言う枢木に、天江が自分も見回りをすると言いだしたからだ。 勿論、僕もグラハムさんも出発まで休んでいろと止めたのだけれど、天江は聞かなかった。 「衣にも、それくらいはできるぞ!」 そう言った天江は、何故か追い詰められたような顔をしていて、結局僕等は天江を止め切れずに今に至る。 三階が天江の担当として振り分けられたのは、校舎内では比較的危険が少ない部類だと枢木が判断したからだ。 職員室の中には入らないように、と枢木に言われた時点で、 天江が、ここが既に枢木が点検済みだと気づいたかどうかはわからないが、気づいていたとしても触れるつもりはないらしかった。 それにしたって、この組み合わせはなんなんだろう。 校舎の見回りをする天江と、その横を歩くインデックス。 天江が強引にインデックスを引っ張っているように見えなくもない。というか、強引に引っ張っていた。 その少し後ろを歩く僕がしていることと言えば、見回りというよりも、天江の保護者兼インデックスの監視役だ。 ちなみに、枢木はディートハルトと一緒に別の場所を見回り中、グラハムさんはエピオンの整備にあたっている。 「ここも誰もいないようだな」 「そのようですね」 「……何も無いな」 「そのようです」 インデックスと、成立しているのかどうかよくわからない会話をしながら歩いていた天江の足が不意に止まる。 彼女の見つめる先には一枚の扉。その上に取り付けられた『職員室』のプレート。 そこは駄目だって枢木が言ってただろ―――僕がそう言うよりも先に、天江は扉を開けていた。 「おい、天江……!?」 考えてみれば、わかることだったろう。 冷えきった空気から気づきにくいが、ここには過去に起きた戦闘の跡が各所に見られる。 戦闘があったのなら、その結果として残るものがあるはずだ。 そして、地面にこびりついたような―――厭な臭い。 その部屋に何があるかなど、一考で瞭然だというのに。 散乱した室内。 破壊された教室。 ばらばらの手足。 ばらばらの胴体。 ばらばらの内臓。 ばらばらの頭。 もう人間とはいえない、けれど間違いなく人間だったもの。 硬く固まったボロ雑巾を無理やり絞った結果、捩じ切れてしまった残骸。 浅上藤乃という少女の、罪のカタチがそこにはあった。 「……鶴賀の大将だ。名を加治木ゆみという」 呟いた天江を、僕は見る。 悲鳴をあげるでもなく、天江はまっすぐに加治木の死体を見つめていた。 天江はたぶん、ここに何があるのか予想していたのだろう。そんな気がした。 「知ってるのか?」 「共に卓を囲み、麻雀をした」 「そうか」 「阿良々木は東横に会ったことがあるのだろう?」 「ああ、あるよ」 「彼女は東横の先輩にあたる人物だ」 「うん」 「……阿良々木」 「なんだ?」 天江が僕を見る。 それは僕が今まで見たことのない、天江衣だった。 「東横は、ここに来たのだろうか?」 天江の問いに、僕は答えられなかった。 おそらく、東横はルルーシュ達と一緒にこの学校に来たんだろう。 もしかしたら、加治木の死が告げられた最初の放送よりも前にここを訪れ、この死体を見たかもしれない。 人を殺してもいいと思えるほどの存在の死を、しかもこんな残虐で不自然な死を目の当たりにして、東横は何を思ったのか。 それを考えると、言葉は出てこなかった。 「……阿良々木に訊いてわかることではないな。忘れてほしい」 それだけ言って一人で歩きだした天江を、僕はあわてて呼び止める。 「衣はグラハムの所へ行く。……一人でも、大丈夫だ」 僕の方を振り返ることさえせずに言うだけ言って、天江は走りだした。猫達が後を追う。 知人の惨殺死体を目にした、それは、予め覚悟をしていたことだとしてもショッキングに違いない。 この場から逃げ出したところで咎められるいわれもない。 だがこの感じはなんだ? 何かが腑に落ちない。僕の中で構築されていた天江衣というキャラクターにズレが生じている。 いや、今はそんなことよりも、早く天江を追いかけないと。 「待ってください」 一歩踏み出した僕の背後から声がかかる。 振り返るとインデックスが僕を見ていた。 そういや、こいつが自分から誰かに話しかけるのって、これが初めてじゃないか? 「なんだよ、今は天江を追わないと」 「―――今しか機会はないので、あなたに伝えておきます」 「え?」 唐突だった。 亡命宣言から終始無言だったインデックスが唐突に話しかけてきた。 このタイミングでしかない会話とはいったいなにか。 校舎の廊下。 二人きり。 男と女。 澄み切った空気。 静寂が包み込む。 息を呑む。 楽器のように声は上がる。 「今から約一時間半後に、天江衣の首輪は爆破されます」 刹那の沈黙の後、五回目の放送が始まる。 原村和の声が響く中、呆然と立ち尽くすことしかできない愚かで無力な男子高校生がそこにはいた。 ていうか、それが僕だった。 【天江衣の借金返済期限まで――残り 01 31 28】 【E-2/学校/二日目/朝】 【阿良々木暦@化物語】 [状態]:疲労(小) 、手足に火傷のようなダメージ(治療中) [服装]:直江津高校男子制服(破損:大) [装備]:ベレッタM1934(5/8) [道具]:基本支給品一式、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、マウンテンバイク@現実、拡声器@現実 ギー太@けいおん!、ピザ@現実×10、RPG-7(グレネード弾×2、煙幕玉×2付属)、衛宮邸土蔵で集めた品多数 軍用ゴーグル@とある魔術の禁書目録、沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki、レイのレシーバー@ガン×ソード [思考] 基本:個人の意思としてこのゲームから生きて脱出。 1:天江の首輪が爆発する……? 2:ルルーシュ達との確執は最大限妥協。憂の事は……。 【天江衣@咲-saki-】 [状態]:首輪爆発まであと1時間31分(現在の負債:4億ペリカ)、頭部に負傷(応急手当済)、血液300ccマイナス [服装]:いつもの私服 [装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス、スフィンクス@とある魔術の禁書目録、あずにゃん2号@けいおん! [道具]:麻雀牌セット、エトペン@咲-Saki-、水着セット@現実、サンドイッチ@現実×10、ミネラルウォーター@現実×20 ペリカード、血液300cc [思考] 基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る。 1:みんなに何かを返したい 2:インデックスと友達になりたい 3:東横を止めたい [備考] ※7時32分までに借金を返済出来ない場合、首輪が爆破されます。 【両儀式@空の境界】 [状態]:疲労(小)、切り傷多数(処置済み) [服装]:白い和服(損傷:中) [装備]:ペーパーナイフ×3、鬼神丸国重@現実 [道具]:基本支給品一式×7(水1本消費)、首輪、ランダム支給品0~1 、ルールブレイカー@Fate/stay night 陸奥守吉行@現実、鬼神丸国重@現実、USBメモリ@現実、ティーセット@けいおん! ルイスの薬剤@ガンダムOO、特上寿司×37@現実、空のワインボトル×2@現実 ピザ×8@現実、シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×25@現実、麻酔注射器、痛み止め、 落下杖(故障)、伊達政宗の眼帯、基本支給品外の薬数種類@現地調達 [思考] 基本:識の夢を守りたい。 1:いまはこの集団についていく。 2:澪との約束は……。 3:首輪は出来るなら外したい。 【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】 [状態]:疲労(小)、全身にガラスによる刺し傷(処置済み) [服装]:ユニオンの制服(破損:小) [装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、予備弾×30 、 レイのレシーバー@ガン×ソード [道具]:基本支給品一式、サザーランドのキー、SIG SG552(30/30)@現実(予備弾30×3)、軍用ジープ@現実、 ゼクスの手紙、RPG-7(グレネード弾×3、煙幕玉×2付属)、双眼鏡、手術用の針、手術用の糸、消毒用エタノール、 ヴァンのテンガロンハット、水着セット@現実、ミネラルウォーター@現実×15 ギャンブル船商品カタログ(機動兵器一覧)第3回放送分@オリジナル、包帯(20m)×3、 『ガンダムVSガンダムVSヨロイVSナイトメアフレーム~戦場の絆~』解説冊子、治療に使えそうなもの(1万ペリカ分) [機動兵器] OZ-13MS ガンダムエピオン [思考] 基本:断固として殺し合いには乗らない。主催の思惑を潰す。 1:放送後、ルルーシュの集団へ向かう。 2:ルルーシュ(とスザク)には最大限の譲歩を。 3:天江衣をゲームから脱出させる。 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:疲労(小)、左腕切断(処置済) [服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し) [装備]:GN拳銃(E残量:小)、アゾット剣@Fate/stay night 、アーサー@コードギアスR2 [道具]:基本支給品一式×2、鉈@現実、イングラムM10(9mmパラベラム弾32/32)イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×4 シグザウアーP226の予備弾倉×3@現実、M67破片手榴弾×2@現実、シャベル@現実 軽音部のラジカセ@けいおん、お宝ディスク、Blu-ray Discドライブ搭載ノートパソコン、水着セット@現実 サンドイッチ@現実×10、ピザ@現実×10、ミネラルウォーター@現実×20)、5757万ペリカ、ペリカード(残金5100万ペリカ) [機動兵器]Z-01Zランスロット・アルビオン [思考] 基本:ナイトオブゼロとして、ゼロレクイエムを完遂する 1:ルルーシュとの合流を急ぐ。 2:対立が決定的ならルルーシュに付く。 3:ショッピングセンターで義手をとりつけたい。 4:ディートハルトの動向と思惑に注意。 5:ユフィの願いは忘れない。 【ディートハルト・リート@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [状態]:健康 [服装]:スーツ [装備]:FN P90 [道具]:ノートPC [思考] 基本:ゼロを勝者とする。 1:この集団を利用してルルーシュを援護する。 [備考] ※所有していた三千万ペリカを譲渡しました。 【インデックス@とある魔術の禁書目録】 [状態]:ペンデックス? [服装]:歩く教会 [思考] 基本:??? 1:??? 時系列順で読む Back プロローグ/モノローグ Next 優&愛(前編) 投下順で読む Back プロローグ/モノローグ Next 優&愛(前編) 291 BRAVE SAGA『希望』 阿良々木暦 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 291 BRAVE SAGA『希望』 天江衣 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 291 BRAVE SAGA『希望』 両儀式 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 291 BRAVE SAGA『希望』 グラハム・エーカー 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 291 BRAVE SAGA『希望』 枢木スザク 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 294 プロローグ/モノローグ ディートハルト・リート 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 294 プロローグ/モノローグ インデックス 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編)
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夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下- ◆ANI3oprwOY ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 衣は、自分の目が信じられなかった。 放送の前、グラハムはエピオンの整備をすると言っていた。衣はグラハムに、見回りを終えたらエピオンの所へ行くと言って別れた。 だからグラハムがこんな場所にいるはずがない。 それなのに。 「天江衣」 もう一度、名前を呼ばれる。 幻じゃない。 衣はグラハムへとその手を伸ばす。 けれど、グラハムを呼ぼうとした声は音にならず、駆け寄ろうとした足は碌に動かない。 もがくように無理矢理動かそうとして倒れそうになった身体を、グラハムが抱きとめられる。 「ぐら、はむ……」 落ち着いて、呼吸を整えて声を出す。 グラハムの表情には、明らかに心配と不安の色があった。 「グラハム。衣は大丈夫だ」 自分で言って笑いそうになるほど、無意味な嘘だった。 それでも言わずにはいられなかった。 グラハムにこんな顔をさせたくない。その一心で、衣は大丈夫だと繰り返す。 「天江衣」 また、呼ばれる。 グラハムの声に怒りが含まれているような気がして、衣は身を竦ませる。 「私の前で、そんな無理はするな」 それはまるで、叱るように。 「……いや、違うな。言い直そう。 私は君に、そんな無理はしないでほしい。私は君が無理する姿を見たくはない」 それはまるで、懇願するように。 怒っていたわけではないのだと。自分のことを本当に案じてくれているのだと理解して。 溢れそうになった涙を衣は唇を噛んで耐えた。 泣いたらまた迷惑をかけてしまう。それは絶対に嫌だった。 「衣は無理なんか」 「しているだろう。顔色が悪い。……何かあったのか」 「何もない。大丈夫だ」 「しかし」 「本当だ。……ちょっと気分が悪いから、先に戻ってきたのだ。たいしたことはないんだ。大丈夫だから心配しないでくれ」 衣がどんなに言葉を尽くしても、グラハムの表情は晴れない。 それどころか、大丈夫だと言う度に、グラハムの顔は険しくなっていく。 「……己を殺す必要はない」 グラハムの言葉の意味を一瞬理解できず、衣は無意識に首を傾げた。 「自分を殺して感情を隠す必要はない。泣きたければ泣いていい。苦しいときは弱音を吐いても構わない。 どんな天江衣でも、このグラハム・エーカーが受けとめる」 堪え切れなかった涙が一筋だけ、衣の頬を伝った。 暖かくて、切なくて、苦しくて、嬉しくて。 けれど衣はこんな時、どうすればいいのかがわからない。 グラハムの重荷になりたくないという気持ちが強すぎて、何もできない。 そして、伝えなければならないと思い至ったのはひとつの事実。 グラハムは、勘違いをしている。 「グラハム。衣は、自分を殺してなんかいない」 はっきりと、言った。 グラハムの腕は、さっき倒れそうになった時のまま、今も衣の身体を支えている。 衣はその体温を、たしかに感じていた。 何も感じなかった身体が、温かさに包まれる。 だから、今なら自信をもって言える。 「これが―――今、グラハム・エーカーの前にいるのが、天江衣だ」 弱くて、無力で、何もできない。誰も守れない。 そんな自分を認めたくはないけれど。 でも、グラハムが受けとめると言ってくれたのは、そんな弱い自分だから。 衣は、自分を受け入れる。 「……そうだな。たしかに衣は無理をしている。だけど、やめないぞ。これは衣がしたくてしている無理だからな」 そして衣は笑う。 「グラハム、知っているか? 衣は、我侭なのだ」 こうありたいと願う自分に近づこうと必死でもがきながら、グラハム達と共に行く。 最期の瞬間まで、一緒に生きたい。 これがきっと、天江衣の最後の我侭。 「……そうか。ならばその我侭も受けとめよう」 「そんなことを言っていいのか?」 「構わんさ。私達は命が尽きるまで共に在るのだからな」 「命が、尽きるまで………」 「そうだ。不満か?」 「そんなことはない! ………だがグラハム。衣とグラハムは、ずっと一緒にはいられない」 衣はもうすぐ死んでしまうだろうから。 声に出せない言葉を飲み込んで、衣はそっと、グラハムの服の裾を掴む。 衣が隠す事実を知る由もないグラハムは、衣の言葉の意味を取り違える。 「たとえ住む世界が違っても、天江衣とグラハム・エーカーは一心同体だ」 グラハムの手が、衣の手に触れる。 衣は服の裾から手を離し、グラハムの手を握り締める。 「それにしても、"自分を殺す"というのはおかしな言葉だな」 衣の言葉の意図がわからず、グラハムは視線で続きを促した。 「グラハムが言ったのは、感情を隠すとか自制するとか、そういう意味なのだろう?」 「その通りだが」 「隠すのも自制するのも自分の意思ですることだ。 たとえば身体から心を切り離してしまうということだとしても、切り離そうとしているのはやっぱり自分の意思だ。 自分を殺すのは自分なのだから、自分を殺した後には、自分を殺した自分が残る」 「たしかに言われてみれば酷い矛盾だ」 納得した様子でグラハムは頷く。 衣の言っていることは、ただの言葉遊びのようなものだ。 けれど―――自分の心は殺せない。きっとそれは真実なのだろう。 「衣は衣だ。グラハムはグラハムで、阿良々木は阿良々木で、式は式だ。そうだろう?」 「ああ。そうだな」 「グラハムっ!?」 突然のことに、衣が驚きの声を上げる。 グラハムが衣の身体を抱き上げ、歩き出したのだ。 「グラハム、おろして」 「断る」 「グラハム」 「覚えておくといい」 「なにをだ?」 「グラハム・エーカーもまた、我侭だということをだ」 「言っている意味がわからないぞ」 グラハムは足を止め、降ろして欲しいと腕の中で暴れる衣の顔を見た。 笑顔で見つめられ、衣は暴れるのをやめる。 「私は君に無理をさせたくない。だから私にできることをする。ここで君を抱いて運ぶのがグラハム・エーカーという人間だ」 言うだけ言って、グラハムは再び歩き出す。 めちゃくちゃだった。 だけど、それが嬉しくて。 衣はおとなしくグラハムの腕の中に収まり、その胸に顔を埋め、小さな声でありがとうと呟いた。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 部屋に入れば、既にディートハルト含めた全員が集まっていた。 道具を纏め、装備を整え、各々に出撃の準備を始めている。 「帰ったか。君の分だ。全員で幾つか荷物の交換をしているから確認しといてくれ」 「ん……」 「……どうした?」 「あ、いや、なんでもない」 つい生返事をした僕に枢木が訝しんで問いかけてくる。 「呆けてもらっては困る。今後の趨勢は君の決断によって大きく変わることになる。 圧力をかけるわけではないけど、気を抜く余裕はないものと思ったほうがいい」 「ああ、それは分かってる……分かってるさ」 そう。枢木にとって、いや、ここにいる全員にとって、ルルーシュ達との合流は最優先事項だ。 僕も、さっきまではそうだったはずなのに。 こんな心あらずではどこかで必ずヘマをやらかす。気合を入れ直さなければならない。 けれど自然と、僕の目線は二人の姿を追っていた。 「そろそろ出発となるが、準備はいいか天江衣」 「無論だ。既に準備は万端、進軍の構えはできている」 「そうか。編成上、君は私と一緒に機体に乗り込むことになるが構わないね?」 「むしろ重畳だとも。グラハムと共に見る空の景色、今から衣は楽しみでならないぞ!」 「フッ、そうも期待されては応えないわけにもいかないな」 仲良き睦まじいはずの遣り取りが、色褪せて見える。 舞台の裏側から人形劇を眺めてるような、タネが割れた手品を見てるような、滑稽な茶番劇。 今まで見てきたのと同じ、明朗快活にして天真爛漫な笑顔。 それが、たったひとつの事実を知らされただけで、今にも壊れそうな脆い硝子のようにしか見えなくなっていた。 それでも天江は笑顔を崩さない。必死に虚勢を張り続けている。 まるで自分に出来ることは彼に笑顔を向けて負担にならないようにする、それだけなのだと言う様に。 「……っ!」 堪えた。 吐き出しそうだった叫びを喉で塞いだ。 熱くなった目頭を顔の筋肉で押さえつけた。 あの子はずっと戦っていた。何よりも過酷で、誰よりも孤独な戦いを続けていた。 それは、どんな恐怖だっただろう。 自分一人で命を懸ける行い。誰にも知られないように振舞わなければいけない状況。死が近づく度に迫る遅効性の劇物。 誰かが自分に優しくするほど、その分の反動が自身に返り締め付けてくる。 そして自分が死ぬ様を、大切な人に見せつけてしまうかもしれないという恐怖。 そんな二重三重の責め苦に、これまでずっと耐え続けてきた。 ああ、駄目だ、これは。 これだけは看過できないな、と。 頭の中で鳴り響く。 それはどういう意図の声なんだろう? 分らない。ああだけど僕はこのとき強く、そして確かに思ったんだ。 ――死なせてはいけない。 恐らくは生きてる中で最も弱い、けれど最も強く振舞うこの少女を死なせることだけは、してはいけない。 そんな何一つ報われない結末にだけは、してはいけないんだ。 義務でも使命でも願いでも愛でもなんでもいい。 これはそのどれでもなくて、どんな言葉にも置き換えられることなんだ。 ただの、普通の人間ならば誰だって持っている。 至極当然の感情。 だけどそれは、単純故に強烈で、心と体を奮い立たせるに十全な理由だったから。 決意が、戦う意味が、充填されていく。 このとき、僕は決意した。 全てが無駄に思えるほどに少なすぎる時間と、厳しすぎる条件を前にして。 それでも、阿良々木暦は、天江衣を救わなければならないのだ、と。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 「インデックス……どこか怪我はしてないか?」 「身体に問題はありません」 他の人間が各自のペースで歩き出して隣り合う二人。 小さな雀士と魔道書は向かい合い会話を交わしていた。 「でも服は汚れて……」 「肉体上の損傷は皆無です」 会話といっても、衣の問いにインデックスが返答するという一方的な形式である。 話題の種はとりとめのない、今後に少し触れるものもあれば他愛もない雑談もある。 意識と無意識の差はあれ再会を望んでいた同士であり、交流を深めるという意味では意味のある時間だろう。 「そうか。丈夫、なのだな……」 「はい」 だが、やはりそこまでだ。 天江衣はそこから先に進めない。 インデックスの行動に変わりはない。 「ならば安心だ!」 「はい」 天江衣の心の機敏を察知できる状態でもなく、インデックスは衣からの問いかけを適当に相槌を打つだけだ。 「ところでインデックス、聞いてくれ。衣は――」 衣も話を聞かせるだけで満足しているし、 これ以上行動する意味も理由もないはずだった。 「なぜ、あなたは、そのままでいられるのですか?」 だから、口をついて出た言葉は、インデックス自身にすら出処がわからなかった。 なぜ自分はこんな質問をしたのか。何の意味があるのか。 理由はいくらでもつけられるかもしれない。しかし、それらは全て後付けだった。 「……」 本人すら疑問に思う疑問に、衣は顔を曇らせる。 陽射しの恩恵を受けられない向日葵のようにしおれていく。 彼女自身もわかっているのだ。 最早脇道に逸れる暇はないのだと。生きたいと願うのなら遮二無二動かなくてはならないということを。 だが、そのための時間がどうしようもなく欠けているということもまた、理解できてしまっていた。 限りなく詰みに近い、絶望と呼んで差支えのない状況なのだと。 「……衣には、これしかないからな」 機体に乗り込み運用のチェックを確かめるグラハムやスザクはともかく、まだ知覚にいる阿良々木達には聞こえてしまう可能性はある。 それを考慮したのか、それとも声を張れない程の怯えなのか、インデックスのみに聞こえる小声で衣は囁く。 「もう衣には何も残されていない。家族も。望んだ夢も。力は始めから無く、命も消えようとしている。 だから……最後に残ったものだけは、何としても保ちたい。 信じられる者の顔を、曇らせたくないのだ。」 その言葉には悲観があり、諦観があった。 自分の命が助かる望みがないことを認めた死病末期の患者のそれだった。 自らの命運をあるがままに受け入れて、それでもなお納得などできず、なのに享受するしかない運命を前にした瞳だった。 しかし、その瞳は決して、目の前の現実から、己の意思と希望から、逸らされることはない。 「このままグラハムと今生の別れが来るとしても、その時まで衣はグラハムの重荷になりたくはない。 衣が敗滅しても、諸共に墜ちることなく空を翔んでいて欲しい。 そう願って、衣のままで在ることしか……」 せめて彼の負担になり足枷にならないように振舞おうと。 ずっと守ってくれていた。ずっと傍にいてくれた。 絶えず、非力な、一人では生きられない自分のことを思い続けていてくれた。 そんな彼の前で涙を見せることは出来ない。 「衣には……それしか、そんなことしか……出来ないから……」 優しい彼が、自分の死を背負い過ぎて翼をもがれてしまうことのないように。 悲しませることになってしまっても、立ち止まらず前に進んでくれるように。 「すまぬな……こんなこと、お前に言っても詮方なきことだというのに。 インデックスは……帝愛らの傀儡となっていたのだからな……」 だから、首輪の解除法など知りはしないのだろう。言外にそんな意味がこもっていた。 首輪の解除に関わる力があるのならこうも簡単に脱出できはしないと衣は考えている。 とても無知な、勘違い。 「……方法は、あります」 今度は、確かな意図をもってそう告げた。 「……え?」 眠られていた命令(コード)が動き出す。 主催から離れようが、裏切られようが、命を狙われようが、禁書目録の役割は変わらない。 バトルロワイヤルを、続行せよ。 それは本心ではなく、脳の表から裏まで刻まれた命令系統からの指令。 「首輪の解除方法。それは確かにこの島に存在します」 天江衣を絶望させてその生存意欲を削ぐことは、この集団の行動の妨げとなる可能性あり。 停止は状況の停滞を生む。 限られた時間で状況を動かすためには、人に危険を冒させるに足る、確固たる材料が必要となる。 特に首輪解除についての情報は、天江衣ならずとも誰もが必須とするもの。 「ですから、貴方の死が確定したわけではありません」 よって、行動を促す。 虚偽を混ぜず、真実を語らず、希望を懐かせ絶望を育ませる。 「……そ、そう、だな。 ありがとうインデックス。皆が希望を抱いて生きてるというのに、衣だけが先に絶望するわけにはいかない。 この命が散華する刹那まで、衣は足掻いてみよう」 安堵するような、強がるような衣を見て、 インデックスであり、そうでない機械的な思考は空虚に回っていた。 からからと、風車のように、そこに意志は無く、意図だけが、廻り廻る。 「それなら、インデックス。もう一つだけいいか?」 「なんでしょうか?」 これで――第一段階は成功。 「……衣はもう一度、改めて問いたい」 だから。 これより先は、指令とはなんの関係もない些事だった。 「衣と……友達になってくれるか?」 「―――――――――」 ばちん。 破壊音が、どこかから聞こえる。 彼女にしか感知できない自己破壊音。 「…………………………考慮事項には、入れておきます」 端末は曖昧に答えを返す。 要らぬ負担をかけてでも答えようとしたその理由に気づかぬままで。 「そうか。出来れば早めに返答が欲しいな。……あまり、時間はないから」 自虐ともいえる今にも消えそうな儚い笑顔。 その顔を見て、なぜか、再び脳の記憶にノイズが走り。 「――何を、望みますか?」 だから、勝手に口から漏れた呟きも、私からも一つだけと、返した問いも。 「自己の消滅を前にして、あなたは」 きっとただの、ノイズだったのだろう。 無論、返される答えもまた膨大な。 「……せめて、戦いたいな、衣も。 それは無理だって、止められるだろうって、分っているけれど」 雑音。 「終わる前に、衣も最後に……力になれたなら」 戦場で傷つく彼を助けられるなら、いったいどれだけ、救われるだろう、と。 それはいったい、誰の願いだったのだろうか。 ――傍にいたい、私はあなたと共にいたい。 あなたの背負うものを全て受け止められなくても、私もせめて隣で戦いたい。 なのにあなたは、いつも私に何も話してくれず、関らせてくれず、私を置いて行ってしまう。 私は守られていることしかできなくて、何もできなくて、傷つくあなたを知ることすらできなくて。 だからいつも、ボロボロになって帰ってきたあなたに、微笑しか渡せない自分が悔しい。 わたしだって本当は、あなたを守ってあげたいのに、戦いたいのに。 そんな苦くて淡い思いを、ずっと耐えてきたような記憶を。 インデックスという傀儡は、何故か知っているような気がしていた。 ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ 機械の兵に動力が供給される。 焔が燃え上がり、大気を溶かす。 轟音と共に、校庭の砂が巻き上がった。 赤の巨人と白の騎士。 巨大な人型の戦兵が二機、これより拠点から出撃する。 ここに動き出す。 正道を行き、世界に仇名す最後の小隊が動き出す。 世界に囚われたままの彼らは、 明けの空の下、抵抗を開始する。 それは天に居座る者から見れば、虫の這うようなものかもしれない。 滑稽極まりない、無駄な足掻きに見えるかもしれない。 しかし彼らは信じていた。 一人の男は少女を守り、市民を守り、この戦いに終止符を打つために。 一人の青年は己に託された役を果たし、新たな世界を作る為に。 一人の少年は終わった物語を続け、目の前にある散り行く命を救うために。 いつか届く、届かせると。 決意を胸にして。 違うものを見据えながら、それでも今は同じ方向へと、踏み出した。 ――出撃。 ビル街の低空を飛ぶ赤と金緑色の閃光――ガンダムエピオン。 コンクリートの道路地を駆ける白の騎士――ランスロットアルビオン。 制限時間は一時間。 目指すは北西。 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが率いる、もう一つの抵抗勢力。 敗残の兵達はここに、何度目かの進軍を開始した。 【E-2/学校/二日目/朝】 【阿良々木暦@化物語】 [状態]:疲労(小) [服装]:直江津高校男子制服(破損:大) [装備]:ベレッタM1934(5/8)、 [道具]:基本支給品一式、ゲイボルグ@Fate/stay night 軍用ゴーグル@とある魔術の禁書目録、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、拡声器@現実 ギー太@けいおん!、沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki、衛宮邸土蔵で集めた品多数 、 スフィンクス@とある魔術の禁書目録、あずにゃん2号@けいおん!、アーサー@コードギアスR2 [思考] 基本:個人の意思としてこのゲームから生きて脱出。 1:ルルーシュの元へ向かう。 2:なにがなんでも衣を救う。 3:ルルーシュ達との確執は最大限妥協。憂の事は……。 [備考] ※衣の状況(首輪爆破の借金)について知りました。 【天江衣@咲-saki-】 [状態]:首輪爆発まであと1時間(現在の負債:4億ペリカ) 、恐怖 [服装]:いつもの私服 [装備]:チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス [道具]:基本支給品一式、麻雀牌セット、エトペン@咲-Saki- [思考] 基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る。 1:グラハムに負担をかけたくない 2:インデックスと友達になりたい 3:東横を止めたい [備考] ※7時32分までに借金を返済出来ない場合、首輪が爆破されます。 【両儀式@空の境界】 [状態]:切り傷多数 [服装]:白い和服(損傷:中) [装備]:ペーパーナイフ×3、鬼神丸国重@現実 [道具]:基本支給品一式×6、陸奥守吉行@現実、ルールブレイカー@Fate/stay night 、 USBメモリ@現実、伊達政宗の眼帯、薬数種類@現地調達、 [思考] 基本:織の夢を守りたい。 1:いまはこの集団についていく。 2:澪との約束は……。 3:首輪は出来るなら外したい。 【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】 [状態]:全身にガラスによる刺し傷(処置済み) [服装]:ユニオンの制服(破損:小) [装備]:コルト・パイソン@現実 6/6、予備弾×30 、 レイのレシーバー@ガン×ソード [道具]:基本支給品一式、SIG SG552(30/30)@現実(予備×3)、RPG-7、軍用ジープ@現実、 双眼鏡、包帯薬品諸々 [機動兵器] OZ-13MS ガンダムエピオン [思考] 基本:断固として殺し合いには乗らない。主催の思惑を潰す。 1:ルルーシュの集団へ向かう。 2:ルルーシュ(とスザク)には最大限の譲歩を。 3:天江衣をゲームから脱出させる。 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:左腕切断(処置済) [服装]:ナイトオブゼロの服(マント無し) [装備]:GN拳銃(E残量:小)、アゾット剣@Fate/stay night [道具]:基本支給品一式×2、レイのレシーバー@ガン×ソード、 イングラムM10(32/32)マガジン×4 M67破片手榴弾×2@現実、鉈@現実、ペリカード(一億一千) ラジカセ@けいおん、Blu-ray Discドライブ搭載ノートパソコン [機動兵器]Z-01Zランスロット・アルビオン [思考] 基本:生きて、ユーフェミアの約束(命令)を果たす。 1:ルルーシュとの合流を急ぐ。 2:対立が決定的ならルルーシュに付く。 3:ショッピングセンターで義手をとりつけたい。 4:ディートハルトの動向と思惑に注意。 【ディートハルト・リート@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [状態]:健康 [服装]:スーツ [装備]:FN P90 [道具]:ノートPC [思考] 基本:ゼロを勝者とする。 1:??? [備考] ※所有していた三千万ペリカを譲渡しました。 【インデックス@とある魔術の禁書目録】 [状態]:ペンデックス? [服装]:歩く教会 [思考] 基本:??? 1:??? 時系列順で読む Back 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) Next ゲーム・スタート 投下順で読む Back 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) Next ゲーム・スタート 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 阿良々木暦 301 ゲーム・スタート 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 天江衣 301 ゲーム・スタート 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 両儀式 301 ゲーム・スタート 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) グラハム・エーカー 301 ゲーム・スタート 291 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) 枢木スザク 301 ゲーム・スタート 294 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) ディートハルト・リート 301 ゲーム・スタート 294 夢 ユメモノ 物 ガタリ 語 -ころもリミット 下-(前編) インデックス 301 ゲーム・スタート
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絆キズナ語ガタリ 半端者・阿良々木暦 ◆mist32RAEs 風が吹いている。 中央の闘技場を囲むすり鉢状の観客席、その最上段を並足で進む悍馬にまたがる漆黒の鎧武者が一騎。 蹄が石畳に突き刺さる鋭い音、鎧がこすれる金属の音が混ざりあっている。 さて、ここから北の山を見れば、白みがかった薄闇空の下で炎が輝き、黒い煙が立ち上っていた。 だが武者はそれを一目見るだけで、背を向け逆方向――すなわち南側の席へと馬を向かわせる。 鎧武者の名は織田信長。 わずか一代で戦国百年の世に覇を唱えんとした傑物の眼に、その火は価値なしと写ったのだ。 荒耶宗蓮と名乗るあやかしの者曰く、西に戦機あり。 それを完全に信じているわけではないが、地図を見るに、今からそこへ向かうことによる利はほぼ皆無である。 北には火山と城。立て篭もるならば要害の地に陣を構えるは必然の理だが、攻めるはこちら。故に不要。 東から逃げた者共がそちらに向かったとしよう。 とすると、さらにそこで戦が起こり、火が燃え盛っていると考えるべきだ。 そこでさらに逃れるとして南はすでに封鎖されている。ならば西か、北か。 どちらにしろここから追撃するは難し。故に結論は――利はなし――である。 むしろつい先刻、轟音をとどろかせた薬局なる場所のあたりからさらに西へと追撃をかける方が理にかなっている。 これは追撃戦である。信長は追う側だ。 たった一騎ではあるが、その一騎は万夫不当の古強者である。 真っ向からぶつかれば、あらゆる敵を粉砕せんとする気概と自負、なによりそれを可能にする剛力がある。 さりとて敵も侮りがたし。これまで戦った中でもいわゆる弱卒はいなかった。 信長よりも力が弱いことは問題ではない。臆病風に吹かれ、腰が引けたものがいないという点が何よりも手強い。 臆病風というものはいかなる強者が集った軍といえども、たちどころにヒビを撃ちこむ。 一人が勝手に逃げようとすれば、そこに穴が開き、さらにつけ込まれれば小さな一穴から大きく割れる。 鉄と木材では前者のほうが硬いが、ひび割れた鉄ならば木の棒ですら砕くことは不可能ではないということだ。 だがそれは通じない。 今までも信長の前に死兵となって立ちふさがった敵はことごとく打ち砕いてきたが、それと引換に大勢の退却をことごとく許してきた。 そしてその死兵共によって受けた傷も決して浅くはないのだ。 「敵は寡兵。しかし、寡兵よく大軍を破る也……か」 よくも云うたものよ、と信長は魔王と呼ばれる凶悪な面相に笑みを浮かべた。 アーニャと名乗る娘やこの駄馬は、信長という一個にして大軍に匹敵する強大な力の傘に入らんとする弱卒であった。 手こずるは道理ということか。古来より幾度となく示されてきた兵法の理というわけだ。 ならばこちらも寡兵となればよい。駄馬は少しでも逆らうならば即座に斬る。 信長独り、天下に一騎で覇を唱えんとす。 六天魔王ではなく、何も持たぬ尾張のうつけとなればよい。 いや、そうでなくては勝てなどしないだろう。 「まさに……是非もなし、かよ」 自らの手で治療した傷を、身に纏った鎧の上から撫でた。 その目は獣のように爛々と輝いている。 戦国乱世を生きるいくさびとの本能が高ぶってきていることを自覚する。 切り刻まれる兵士の悲鳴。 焼かれて悶える愚民どもの絶叫。 怯え、泣き、媚びへつらうネズミの如き者共の呻き。 なにより命をゴミのように散らす戦場の地獄。 これらを悦しまずして何の戦国か。何の乱世か。 「さて、参ろうぞ……往けィ」 馬のたてがみを掴んで促すと、並足から歩調を速めて駈け出した。 魔王をまたがらせた軍馬の蹄が地面を打ち鳴らし、重い音を響かせる。 闘技場の急な角度の階段を一気に駆け下りて外へ出る。 往くは南、そこから回って西へ。 東から逃げていった者はどこへ向かうか。北は可能性が薄い。南に逃げれば袋小路である。 ゆえに重要なのはE-2にある、西へ抜ける唯一の橋だ。そこに到るまでにめぼしい場所を回りながら追い詰めていけばよい。 信長が進む先はちょうど一日前に戦国最強と矛を交えた場所に近いが、遠くから見てもわかるほどに様変わりしていた。 その荒れようは以前とは比べ物にならない。 石や鉄でできた建物はことごとくが瓦礫と化しており、戦場跡が生ぬるく感じるほど。 これは地獄がこの世に顕現したとでもいうのか。 だが眼下に広がる風景はまさにそれであった。 信長は何も言わずに馬を走らせる。しかしその表情が物語っていた――良き眺めである、と。 南方面の辺り一帯は滅びと死で埋め尽くされたような光景だが、しかしそれによって余計な障害物が除去され、かなり遠くまで見晴らすことができるようになっている。 ゆえに見つけたのだ。巨大なる船を。 そして立ち上る黒煙、つまり戦の爪痕も。 もしそこにまだ戦を起こした何者かがいるならば、黒煙はこの悪騎の手によって新たなる戦の狼煙と変わるだろう。 猛烈な勢いで軍馬の蹄が大地を叩く。 みるみるうちに船の姿が大きく近づいてくる。 魔王襲来まで、あとわずか。 ◇◇◇ 海風が通り過ぎる船のデッキ上で、呆れたような、つっけんどんなその言葉はまっすぐ浅上藤乃へと突き刺さった。 「――まったく、何なんだ。お前は」 再会した両儀式の第一声である。 豪華客船エスポワールのデッキの上で、浅上藤乃、グラハム・エーカー、両儀式、白井黒子、枢木スザク、阿良々木暦は合流を果たした。 サザーランドは何か緊急の事態が起こればすぐさま起動できるように船着場に待機させてある。 見張りは双眼鏡を使って交代で行いながら、まずは集まり話しあおうということになった。 ちなみに天江衣は船に備え付けの長椅子で作った寝台で気絶中である。 輸血に必要な金額は1000ccで一億。それをグラハムは迷わず選択した。 もともと衣自身がそのほとんどを稼ぎ出したようなものである。反対意見など出るはずもなかった。 早速、必要な器具も揃えて輸血を開始する。今すぐ命に関わる容態ではないということがわかったのは不幸中の幸いだった。 あまりゆっくりしている暇はないが、一気に血を入れると心臓に負担がかかり、心不全を起こす可能性があるからだ。 とりあえず黒子、藤乃の両名が代わる代わるに様子を見ることにしている。 他には残ったペリカでRPG-7を二つ購入し、グラハムと暦が持つことにした。 「両儀……式、さん」 「真田幸村を殺したんだろ……お前に会ったら殺してやろうと思ってた」 低くハスキーな声だった。 殺す――という物騒な単語が飛び出たことでまず動いたのは阿良々木暦。 「待ってくれ、両儀……じゃない式。浅上はもう人を殺さない、僕が殺させないし、それに――」 暦が両儀と呼ぼうとしたら、物凄い眼で睨まれる。 なんだか知らないが苗字で呼ばれるのをやたら嫌がっているのだ。駅ではじめて会った時のことを思い出す。 昨日のことだってのに、なんだかえらく昔のことのように思えるのは、きっと気のせいだ。 あの時はとりあえず分散して行動しようというだけで、ちゃんと会話したことはなかったろうか。 「……殺したんだろ。必然の理由もなく殺そうとして――殺した」 「……はい」 浅上は、そんなおっかない式の顔をまっすぐに見つめ返して静かに、強く頷いた。 暦はそれを見て思う。 自分は浅上を救えたのか。いや、そんなに自分が大層なことをやれると思える根拠はこれっぽっちも持っちゃいない。 一番救いたいヒトも救えなかった、どうしようもない優柔不断の半端者だ。 それでも、浅上は前を向いている。その助けに、ほんの少しでもなれただろうか。 幸村はいい奴だった。 単純で、暑っ苦しくて、お人好しで、何よりも真っ直ぐで。 決して死んでいい奴なんかじゃあない。 いや、死んでいい奴なんかいないと、そう思う。 誰かの同意を得ようとは思わないけど、そう思う。 とにかくそれでもあいつはきっと皆に好かれる奴だったろう。 死んだら、居なくなったら悲しむ奴はきっと大勢いるはずだ。真田幸村とはそう思わせる人間だった。 それだけじゃなく加治木ゆみをはじめとする、暦に面識がない人間だってきっと死ねば誰か悲しむ人間がいる。 阿良々木暦が戦場ヶ原ひたぎを奪われて絶望に沈んだように、だ。 そんな人間の命を浅上は奪ったのだ。それは消せないし、消してはいけない事実。 「駅の近くでお前の声を聞いたよ、浅上藤乃。あの雨の夜に聞いた時と同じ、誰かを殺したくて殺したくてたまらない声だ……凶がれ、ってな。 なのに、お前はどうして……ああ、くそっ。何で境界の外にはみ出したお前にそんな眼ができるんだ……?」 式は浅上を問い詰めるというよりも、自分の中にある何か――暦に分かるはずもないが――を持て余しているように見えた。 衛宮を殺したのは式だということは聞いた。 だけど、それは荒耶宗蓮とかいう主催側の人間に操られていたから仕方ないことであるとも。 ここに来てから、この中で衛宮と付き合いが深い方であろうグラハムや白井が何も言わないのだから暦が何を言うまでもない。 「私は――」 そんなことを暦が考えていると、浅上が意を決したように言葉を切り出した。 誰もが視線を集める。いや、天江衣だけは皆が座っている直ぐ側で青ざめた顔のまま、横たわっているが。 「私は、生きていたい」 はっきりとそういった。 デッキに海風が吹きすさぶ中で、誰の耳にもはっきりと聞こえるように言い放った。 「誰かを殺して、誰かから恨まれても、なら私はその罪を償いたい、謝りたい。 それで許されなくて傷つけられたとしても、それで辛くて、苦しくて、痛い思いをしても、どうしようもなく無様でも」 自らの胸を抉る重い何かを握りつぶすように、浅上は胸に当てた両手を組んでぎゅっと握り締めながら、震える声を絞り尽くす。 大声ではない。それでも浅上の声は皆に響いた。いつの間にか海風は止んでいた。 だが誰もそれを気に止めることなく、その淡紅色の儚げな唇から紡ぎだされる言葉をただ待っていた。 「死にたくない、もっと、生きていたい。消えたくない、もっと、話していたい。終わりたくない、もっと、想っていたい……!」 辛い。 苦しい。 痛い。 惨めで、虚しくて、心が痛くてたまらない。 痛くて、痛くて、その痛みにいつしか負けてしまいそうになる。 その先にバッドエンドしか待っていないと分かっている。 大切なものを守れない、救えない。 そんな自分の不甲斐なさと情け無さで涙が出る。 それでも。 それでも、まだ渇望する。 ――生きている。 「――まだ、ここに、いたい」 ――僕も同じだ、浅上。 そんな思いが阿良々木暦の胸中を満たす。 目の下が痺れるように熱くなって、涙が溢れそうになる。 それをどうにか堪えながら、両の拳をいつのまにか力いっぱい握りしめていた。 「……そうか」 両儀式はそれを受けて、軽くため息をついてから素っ気無く言い放った。 初対面から愛想の欠片もないキャラクターだったがゆえに暦にその胸中は測れない。 ただ、そういって自分の椅子に深く座りなおした時の表情からは、とにかく面白くないとかそういった類の感情が溢れ出していた。 とはいっても、付き合いが浅いにも程があるのでそれが正確とは言えないだろうけど。 「……本当に、どこまでも、無様なとこまで俺たちは似たもの同士だな」 それだけ呟いて、あとはもう何も言わずに黙りこんでしまった。 同類? 浅上と、式が? わからない。 事情の分からない暦には入り込めない領域の話なのかもしれない。 言われた方の浅上は少しだけ式のほうを見つめてから、静かな仕草で俯いて押し黙る。 誰も何も言わず、僅かな間だけ沈黙が場を支配した。 ◇◇◇ 「では当面の問題を整理しよう」 グラハムが新たな議題を切り出した。 衣の容態は今まで黒子が見ていたが、交代して藤乃に替わっている。 まず最初に対処すべき問題は何か。 筆記用具を使って要点を書き出した。 ①天江衣、白井黒子を始めとする各メンバーの治療 ②西にいるルルーシュたちとの穏便な合流 ③一方通行や織田信長、荒耶宗蓮などへの対処法の準備 ④ルールブレイカーを使った首輪の解除・解析 「……こんなところですわね」 衣の看病を藤乃と交代して論議に加わった黒子が簡潔に議題をまとめる。 それに反対意見はない。 とりあえず④は後回しでも問題ない。 まずは確実にここいら近辺に潜んでいるであろう一方通行や荒耶宗蓮への対処をどうすべきかだ。 今、また戦闘となれば全滅となる可能性はかなり高い。 完全なセーフティなどこの地には存在しないが、明確な危機からは一刻も早く遠ざかって安全を確保しなくてはならない。 そして黒子や衣はもちろんのこと、その他のメンバーもほぼ満身創痍だ。 ならばまずやるべきは①と③であるという結論になる。 「ルルーシュとの合流を急ぎましょう」 そこで枢木スザクが意見を申し出た。 これは彼自身の目的と一致する。 だが、もちろんそれだけで言っているのではない。 「式さんの話を聞く限り、ルルーシュは強力な武装と多くの人数を纏め上げながら、西で主催を倒すための調査をしているらしいです。 ④だって、僕らだけじゃどうしようもなかった。式――彼女が来てくれたからこそ生まれた手がかりです。 合流できればもっと新しい情報を得ることができるかもしれないし、西というのも好都合だ。一方通行からはひとまず遠ざかることができる。 人数がいるというのもいい。そのぶんだけ支給品と情報を揃えていると見ていいし、他の治療設備の情報も手に入るかもしれない」 支給品はイコール強力な武装である。衣の輸血でペリカの大半を使ってしまった以上、ここで強力な武装を買うことはできない。 となれば合流が第一の選択肢となるのは当然のことだ。 式の話によれば、少なくとも数億のストックが向こうにはあるらしい。 ならばこちらを遥かに上回る強力な戦力となっていることは想像に難くない。 「ああ、そういえばショッピングセンターだっけかな……一億だか二億で義手売ってるぜ。 どうやって取り付けるかは知らないけど、もしそれが本物なら性能は保証する。支払いは合流すればこっちでなんとかできるしな」 両儀式がスザクの片腕に気づいてそんな情報も教えてくれた。 本物にしか見えない彼女の左腕は、その義手だと言う。 半信半疑といった反応を皆が見せると、着物の袖をまくってその左腕を晒し、なんと手首のやや上あたりがパッキリと折れて開いた。 そこにナイフを仕込んでおくためのギミックだという。 さすがにこんなものを見せつけられては信じざるを得ない。 彼女曰く、お前に潰された腕さ、結構立派なもんだろ――とのことだ。 そう言われた浅上藤乃は困ったように俯いてしまったのだが。 ともかくスザクの義手購入という項目もやるべきこととして追加されることになった。 「確認しました。ルルーシュ・ランペルージの位置はD-1だそうです」 「すまない、阿良々木少年。ご苦労だった」 3000万支払って向こうの現在位置確認を済ませ、改めて話をルルーシュとの合流に戻すとする。 他のメンツ――例えば暦などにとってはルルーシュは極めて信用ならない男だろう。 だがこちらにはスザクがいる。 式が相も変わらず極めてぶっきらぼうに述べるには、ルルーシュのほうでもスザクを探していると言っていたらしい。 例えばユフィが生きていたように、スザクとは違う世界――ルルーシュとスザクが決定的に決裂していた時間から呼び出されたとしたら、わざわざそんな真似はしないだろう。 ならばこの条件がある限り、少なくとも問答無用でこちらを排除しようとは考えないはずだ。 危険地帯からの脱出、戦力アップ、情報入手、あわよくば治療手段まで手に入るのだ。 薬局で何らかのリスクを背負い、おまけに再び最強の能力者に遭遇するリスクと比較すれば、迷うなどあり得ないほどの選択肢。 だが、そこに到るまでには一つの懸念が高い壁となって彼らの前にそそり立つ。 「……穏便に合流できればの話だな、それは」 「ええ、問題はそこですわ」 グラハムと黒子の意見はもっともだ。 ルルーシュの側には阿良々木暦を殺そうとする平沢憂という女の子もいる。 これも式からの情報だ。そんな人物を仲間に引き入れているルルーシュは穏やかな合流という選択を選ぶかどうか。 「それは僕がなんとかすればいいだけでしょ。いいさ……やってやる」 「阿良々木さん……」 「だが、いきなり名乗って向こうに無駄に警戒されることもあるまい。最初は枢木スザク、あなたが彼らと接触すべきだ」 「わかりました」 次は移動だ。 モタモタしている暇はないので迅速に行きたいところだが、ケガ人を抱えて最速の行軍というわけにはいかない。 それにまずは順調な合流を行うためにも、ファーストコンタクトの人選は慎重に行うに越したことはないだろうということになった。 まず最初にスザクと式に馬に乗って西へ向かってもらおう、とグラハムが提案する。 集団のリーダーとなっているルルーシュに面識のあるスザクと再度合流のために戻ってきた式の二人ならば、滅多なことでは争いにはなるまいとの判断だ。 後発の五人は藤乃の千里眼で周りを警戒し、グラハムのサザーランドが守りながらケガ人に極力負担を与えないようにして後を追う。 とくに反対意見は出ず、議論はひとまずまとまった。 「現状ではこれがベスト……のはずですわ……ぐぅっ」 「あまり無理をするな白井黒子」 早速船を降りようとする黒子が肩を抑えて歩みを止める。 グラハムが気遣うが、彼女はそれを不要と断り、気丈な笑顔を返した。 「心配ご無用ですの……そういえば……グラハムさんは衣さんのお友達でしたわね」 「? あ、ああ」 「でしたら私も衣さんのお友達でしてよ。友達の友達もまた友達――ですわ。私のことは黒子で結構ですの」 「君は……強いな。そうか、ならば浅上藤乃。いきなりで失礼だが貴女も我々の友になってくれないか」 精悍で凛々しい、いかにも軍人らしい顔に苦笑いを浮かべながらもグラハムは、はっきりと告げる。 言われた方の浅上藤乃は突然のことに戸惑いながらも、まんざらではないと言った風だった。 そしてそれを受けて、迷いなき両眼に力強い意思の輝きを宿し、勇敢な軍人は高らかに告げる。 「フッ……ならば私も天江衣の友として、あえてここに告げよう。君たちは皆、私の友であると。 浅上藤乃、阿良々木暦、そして枢木卿に両儀式! 君たち全てはこのグラハム・エーカーの同志、そして戦友だ!」 少し離れた場所で見守っていたスザクは、年長のまとめ役として見ていたグラハムの突然の奇行に内心あっけに取られていた。 その近くに佇んでいた式などは、おいおい……とかろうじて聞こえる程度の呆れた声を漏らして視線を逸らしたほどだ。 黒子や阿良々木たちも見れば似たり寄ったりの反応だ。だがグラハムはお構いなしに横たわっていた衣を優しく抱き上げながら、皆に出発の準備を促す。 天江衣の輸血は時間が足りず完全ではないが、だいぶ顔色はよくなっているようだった。 「――あれ、あの馬がいなくなってるぞ!?」 「無理もありませんわね……危機を察知して逃げたのでしょう」 「……馬ならここにある。使うか?」 「式、さん。あ、あの……ありがとうございます」 先に船から降りて準備を進める彼らを上から眺めながら、スザクはゆっくりとタラップを降りる。 決裂することがあればルルーシュにつくと断言した身だ。 グラハムがどういったところで自分は同志、ましてや友などにはなりえない。 歩みを進めながら、そんな冷めた視点で思考している最中に、背後から声をかけられた。 「スザク。失礼だがそう呼ばせてもらおう」 「ええ……そうですね」 「フッ、失礼だといった」 「要件は、何です」 彼らを好むと好まざるとに関わらず、スザクにはどんな犠牲を払ってでも必ず守るべきものがある。 そのためには彼らを切り捨てかねないというのに、わざわざ親しくなろうとは思えない。 だがらあえて冷たい声色で返答する。 「君は勝利の味というものを知っているかな」 「なんですか……それは」 「勝利の栄光というやつさ。何かを勝ち取った時の喩えようもない高揚、興奮というものは美女や美酒よりも代えがたいものだ」 「……僕には」 枢木スザクという青年の短い人生にそんなものは存在しない。 逆に負け続けの生涯。年端のいかぬ子供の時分に父親を殺した時から、その巨大すぎる敗北の負債を支払うために生きてきた。 それは決してスザクのせいではない。だが、そんな辛い道を他の誰かに歩ませたくはないと、だから背負い、そうやって歩み続けてきた。 その道の途中、過程でこぼれ落とした更なる犠牲。そして生まれた罪。 さらにそれを償い続けるための無限地獄が枢木スザクという男の人生だった。 「僕は――」 「背負いこみすぎだ。君はそういう顔をしている」 「え」 その言葉に振り向いていれば、そこにいるのはニヤついた笑みを浮かべる腑抜けなどでは、断じてない。 気絶した少女を背負いながらも、双眸に燃え盛る炎を宿したまごうことなき戦士の貌だった。 「死んだものの想いを背負うのを悪いとは言わん。だがそれには所詮たったひとり……おのずと限界がある。 私とて此処に来る前は、先に逝った部下たちの死を背負うので精一杯だった」 「僕がそうだと……」 「君に限った話ではない。例えば阿良々木少年も君と同じだ。いや、きっと皆そうだろう」 ――戦場ヶ原ひたぎ。 ――ユーフェミア・リ・ブリタニア。 「十分に背負ったのならそれ以上無理をすることはない。もっと別の、やれるべきことがあるはずだ。 もっとも大事な自分だけの特別なもののみ背負っていけばいい。私はその答えをここに来てから皆に教えられた」 「グラハムさん……それは――」 「導くことだ。自ら先頭を切って歩み、道なき道に標をつける。その道が正しいならきっと皆が、君が背負わずともついてくる」 「どうして――」 ――そんな話を? 表情だけでスザクがそう問うと、グラハムはただ笑った。 「もはや負けるわけにはいかん。死亡者を放送発表と照らし合わせた数を考えてみろ。 殺し合いに加わらないのは、もうこのグループとルルーシュという人物の集団しか残っていない可能性が高いからだ」 「……はい」 残り二十二人から死亡を確認した人数を引き、そこから自分たちとルルーシュの集団、一方通行や織田信長のような危険人物をさらに引く。 グラハムの言うとおりだ。神原駿河、アーチャー、レイ・ラングレン、そして一方通行の手にかかった者たち……彼らを犠牲にして大勢が生き延びた。 その結果がこれだ。 「ゆえに背負うな。もはや敗北を取り繕うための犠牲は意味が無い。 我々は勝つしかない。そのために――」 「わかっています。大丈夫ですよ、グラハムさん」 「スザク……」 「彼女はこう言ったんです。ユフィは……僕に、『生きて』と」 ◇◇◇ 「両儀式……信長とまみえるか」 電車からF-5の駅に降りたった赤毛の女性は何も無い虚空を見つめ、つぶやいた。 ――聖杯戦争。 明確に実現する願いは、 世界にただ一つしか許されない。 各々(ひとびと)の願いは、 たとえ同じ思想で出来たものでも、 食い違うものであるからだ。 故に、彼らは競い合い、奪い合い、殺し合う。 万能の願望機は、ただ一人の勝者にのみ与えられる。 サーヴァントという超常の力はそのために聖杯より分け与えられる。 とある世界で、この世全ての悪にまみれた汚濁の力。 とある英霊はそれを浴びて受肉を果たし、とある求道者はそれを浴びて死より蘇った。 この世全ての悪――アンリ・マユ。 起源は中東のゾロアスターにあり、遠く離れた日本の戦国時代とは縁もゆかりもない。 だがそれに酷似した能力を、このバトルロワイアルの途中から制限を振りほどいて振るう者がいる。 言うまでもなくそれは第六天魔王、織田信長。 荒耶宗蓮は考える。 まがりなりにも聖杯の力を振るう者、すなわち根源へと通ずるものではないのか。 力を使い出したのは第二放送後、つまり最初に脱落したサーヴァントであるキャスター、そしてセイバーが死んだ直後。 それからアーチャーを撃破し、バーサーカーが脱落、ライダーに致命的な傷を負わせるなど、もはや災害と言っていい猛威を振るい続けている。 死んだサーヴァントが聖杯へと還り、そしてその力を増すのであれば。 聖杯の力を振るうのだとすれば、その聖杯に力が満ちるに従って、振るわれる暴威も強力となる理屈だ。 「同じ戦国武将としても、奴だけがあまりに規格外すぎる……」 この仮説はあまりに常識外だ。 だがそう考えればつじつまが合う点がある。 どれだけ突拍子がなくとも、それしか答えがないのならば、真実はそこにあるのではないか――。 「織田信長……奴はサーヴァントだ」 聖杯に何を願ったのかは分からない。 だがそれと引換にして、鬼すら食らう羅刹どもが跋扈する戦国婆裟羅の世に覇を唱える力を手に入れたとするなら。 もしそうであるならば間違いなく属性は反英霊であろう。 そんな怪物が両儀の女と激突する。 もしや、そこに道が拓けるかもしれない。 荒耶宗蓮が願ってやまない根源への道が。 「往くか……?」 無感情な女の声だけが無人の駅に響いて消えた。 【F-5/駅構内/二日目/早朝】 【荒耶宗蓮@空の境界】 [状態]:身体適合率(大)、身体損傷(中)、格闘戦闘力多少低下、蒼崎橙子に転身 [服装]:白のワイシャツに黒いズボン(ボロボロで埃まみれ) [装備]:オレンジ色のコート [道具]:凛のペンダント(魔力残量:極小)@Fate/stay night [思考] 基本:式を手に入れ根源へ到る。 0:行くか……? 1:体を完全に適合させる事に専念する。 2:信長を利用し、参加者の始末をしてもらう。 3:必要最小限の範囲で障害を排除する。 4:利用できそうなものは利用する。 [備考] ※B-3の安土城跡にある「荒耶宗蓮の工房」に続く道がなくなりました。扉だけが残っており先には進めません。 ※D-5の政庁に「荒耶宗蓮の工房」へと続く隠し扉がありますが崩壊と共に使用不可能になりました。 ※エリア間の瞬間移動も不可能となりました。 ※時間の経過でも少しは力が戻ります。今現在、体は蒼崎橙子そのものですが、完全適合した場合に外見が元に戻るかは後の書き手にお任せします。 ※海原光貴(エツァリ)と情報を交換しました。 ※A-7の櫓に、何かしらの異常が起きた事を察知しました。 ※バーサーカーを倒したのは、ルルーシュであると確信をしています。 ※何か強力な武器が手に入ったら、信長に渡す約束をしています。 ※一方通行の異常に気付きました。 ※イリヤが黒幕である事を知っています。 ※信長が』サーヴァントであるという推測を立てています。 ※この後の選択はあとの書き手さんにお任せです。 ◇◇◇ 風を切って疾走する騎馬は廃墟のど真ん中を突き抜けて、全てを蹴散らすような勢いで船を目指し突撃する。 瓦礫を飛び越え、目指す敵へと一直線だ。阻めるものなど何もない。 船着場らしい開けた場所へたどり着けば、そこには読み通りに倒すべき敵がいた。 人数を数えることはしない。ただ、目の端に大仰なカラクリ人形が鎮座する様が写った。 織田信長の脳裏によみがえる屈辱の光景。 年端もいかぬ小童にその生命を引換とはいえ一杯食わされた。 同じ轍は二度と踏まぬ。 機先を制したはこちら。だが、それだけだ。 立て直されれば、数に置いて勝る敵に手こずるは必定。 「ならばその機先によって、一撃で仕留めてくれるわ!!!!」 波が生まれた。 黒くおぞましい、液体とも個体ともつかぬ曖昧な何かが信長の元より、ぞわりと沸き起こる。 それは広がり寄り集まって、疾走する騎馬の後ろに付くようにしてその規模を巨大化させていく。 まるで魔王の元に従う地獄の軍勢のよう。ざわざわとのたうち回り、それによってか、薄気味の悪い呻きの如き音を撒き散らす。 廃墟の瓦礫はたちどころに飲まれて、残骸すら残らない。 「くくくくくく……」 見れば向こうも気づいたか、それぞれカラクリ人形や馬に乗り込み、体制を整えようとしている。 だが遅すぎる。 初撃はとった。 そしてこれで終わりとなる。 「闇に滅せよ!!!!」 その大音声が響くと、黒い波は津波に変わった。 空を覆わんばかりに猛り、そして全てを焼き尽くして飲み込もうと襲いかかる。 虫けらに何も出来はしない。まさに災害。 大軍に押しつぶされる寡兵の如し。 いかに寡兵がよく大軍を破るといえど、真っ向からぶつかり合えば小さきものが押しつぶされるは道理。 全て滅びよ、と魔王の力のすべてを以て瘴気の津波を叩きつけた。 ◇◇◇ ――なんだこれは。 両儀式は驚きとともに目の前にできた黒い壁を見上げる。 騎馬でこちらに向かってきた相手は織田信長。 以前、戦ったことがあるが、あの時はこんなものを使ってはこなかった。 魔眼を使っても直死の線は見えない。 かつて浅上藤乃の魔眼を見切ったのと同じように、おそらく回数を重ねればどうにかなるだろう。 だが、初見では無理だ。グラハムが怒鳴りつけるように逃げろと指示をだしているが、逃げ場なんてないと悟るのに時間はかからなかった。 「式さん!」 白井黒子だった。 衛宮士郎から守ってくれと頼まれた女は、こちらに向かって手を差し出す。 グラハムから預けられたのか、逆の手には気絶した子供を抱いて。 「テレポートします! 早く手をとって!」 テレポート……瞬間移動か。 ああ、なら逃げられるかもな。 でも――、 「他の奴らは?」 そう言うと白井は悔しそうに、いやむしろ泣きそうな顔でこう言った。 式にはむしろ予想はついていたのだが。 「130kgの重さまでしか持っていけませんの! 衣さんと私を含めると貴女が限界ですのよ!」 そう。 そんな理由でもなければ衛宮士郎を殺した自分をわざわざ助ける義理はない。 無論死にたくはない。死にたくはないが――、 「浅上を連れてけ。あいつなら俺と大差ないだろ」 そう言って少し離れたところにいる浅上藤乃を指さした。 ちなみに側には阿良々木暦もいる。 「そんな……」 「あいつははっきり言ったんだ。ここにいたい、って。なら……生きたいって強く想える奴が生きればいい」 「そんな!」 「おれだって死にたくないけど仕方ないだろ……早く行け!」 ああくそ――時間が、ない。 時系列順で読む Back GEASS;HEAD END 『再開』 Next 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 投下順で読む Back GEASS;HEAD END 『再開』 Next 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 284 理想の果て(後編) 荒耶宗蓮 291 BRAVE SAGA『絶望』 285 正義の味方 白井黒子 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 285 正義の味方 阿良々木暦 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 285 正義の味方 グラハム・エーカー 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 285 正義の味方 枢木スザク 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 285 正義の味方 浅上藤乃 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 285 正義の味方 天江衣 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 285 正義の味方 両儀式 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 287 裏切り者、二人と一匹 織田信長 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 287 裏切り者、二人と一匹 伊達軍の馬 289 傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃
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ID スキル名 ★ AP 属性 追加効果 習得熟練度 161 ラピッドショット 1 ● 無 1 162 ダブルショット 1 ● 無 2回攻撃 1 163 ヘラクレスアロー 2 ● 無 毒 5 164 パワーショット 2 ● 無 9 165 バーストアロー 3 ●● 火 14 166 コンセントレート 3 ●● 無 18 167 スコーピオンニードル 3 ●● 無 麻痺 22 168 ライトニングアロー 4 ●● 雷 26 169 スプラッシュアロー 4 ●● 水 30 170 レイニーアロー 4 ●● 無 35 171 ピアースショット 5 ●● 無 40 172 サジタリウスアロー 5 ●● 雷 43 173 トリスタンアロー 6 ●● 無 47 174 シャドウアロー 6 ●●● 無 即死 52 175 アルテミスアロー 7 ●●●●● 無 3回攻撃(*1) 70 176 電光石火 7 ●●● 無 弓の秘伝 初期AP3 Lv20でAP4 Lv40でAP5
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開催期間:2011年3月19日9:00~3月26日1 00まで イベントの簡単なルール等はイベントについてをご覧下さい。 イベント参加でレシピ(新ジャガバター)GET!! 黒×青ゴシックガチャのレアレシピ、カカオのタリアテッレ ホロホロ鶏のラグーが対象カテゴリでボーナス4倍!!更にクロスゴシックレストランの衣装でSPが2倍に★ イベント参加でGET★ 必要SPとご褒美レシピ 必要SPとご褒美(上記7カテゴリ達成後) イベント参加でGET★ 新ジャガバター 必要SPとご褒美レシピ 対象カテゴリ 必要SP 画像 レシピ名 洋食 100 春の新じゃがカレー 韓国料理 700 春野菜のジョン 中華料理 2000 牛肉とアスパラのオイスター炒め 和食 3000 鰆西京焼 朝取り筍とアスパラ添え イタリア料理 5000 春野菜のスープパスタ フランス料理 7000 スズキのポアレ春野菜添え カフェ 10000 春野菜のスフレオムレツ 必要SPとご褒美(上記7カテゴリ達成後) 対象料理 イベント参加で貰えるレシピ(新ジャガバター)と7カテゴリ達成で貰えるレシピカカオのタリアテッレ ホロホロ鶏のラグー(黒×青ゴシックガチャレシピ)SP×4倍アメリカの地ビール・アボガドバーバープレート(カントリーレストランガチャレシピ&コンプレシピ)SP×6倍 必要SP数はトータルSPです。(13000SP貯めてキャベツの帽子を手に入れたら次は+17000SP(計30000SP)で着ぐるみGET) 必要SP 画像 レシピ名 13000 キャベツの帽子 30000 キャベツの着ぐるみ(胴体) 53000 ホロホロ鳥のフォアグラ詰めロースト 春野菜添え
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傀 コヨミモノ 物 ガタリ 語(下) こたえあわせ編 ◆xR8DbSLW.w 傀 コヨミモノ 物 ガタリ 語(上) かんにんぐ編 004 数分後。 ……守り切れなかったな。 まさかあそこまで見抜いているなんて思ってもみなかった。 ………クソッ。 心の中で自分に悪態づくも意味のない事に気づき直ぐ様止めた。 だけど何だろうな、この敗北感。 本当に、悔しいぜ。 当の本人は冷静を保っていて。 ……あんな状態なら別に言い訳する必要もなかったんだけどな。 なんかしちまったよ。―――――ハァ。 俺、人吉善吉は、死体現場からほんの。ほんの少しばかり離れた場所でもの耽っていた。 戦場ヶ原さんの声も微かに聞こえるが、今それを咎めるほど考えなしではない。 というよりも、俺は自分のことでいっぱいいっぱいである。 情けねぇな。――――――――ホント。 「…………阿久根先輩」 ふと。 思い出したように。 死んでしまった、先輩を思う。 変わっていった、先輩を思う。 「…………クソッ」 阿久根先輩は、どんなふうにして、死んだのだろうか。 自殺。他殺。惨殺。刺殺。斬殺。絞殺。 暗殺。銃殺。圧殺。殴殺。活殺。虐殺。 故殺。射殺。磔殺。毒殺。爆殺。焚殺。 とある友達により無駄に知識として増えた殺人方法の内のどれかで死んだのだろう。 グチャグチャに。 ハチャメチャに。 そんな風に。 途方もないほど、阿久根先輩は既に死んでいたのだ。 変えようと決意したのに。 どうしようもできなくなった。 どうにもできそうになかった。 「―――――カッ」 昨日までの過負荷により巻き込まされた生徒会戦挙。 破壊臣の出る幕なく壊された日常は、破壊臣を破壊して破れ去っていった。 ハッピーエンドなんか舞台袖で待っていたのに。 そこから地獄へ連行されていった。 途中もなくテールエンドで。 途轍もなくバッドエンドで。 途方もなくデッドエンドで。 戻ることもなく、起こすこともなく。 終わってしまった。 そんな。 そんなくだらない冗談の様な現実に。 俺は、今のどうしようもない現実にただ呆然としていた。 阿久根先輩は、死んだ。 真黒さんは、分からない。 宗像は、分からない。 球磨川は、分からない。 江迎は、分からない。 じゃあ。 ならば。 そうなら。 「めだかちゃんは―――――――――?」 写真に映る、おかしなめだかちゃん。 話に聞いた、変わっためだかちゃん。 金髪美女の心臓を。 黒髪アホ毛、―――――阿良々木暦の心臓を打ち抜いた瞬間。 家々を破壊する、蹂躙する瞬間。 想像するに容易い。 だからこそ、辛い。 脳裏に映るのは、そんなめだかちゃん。 何故か、いつもの凛ッ! としためだかちゃんの輪郭が思いだせない。 どうしてだ。 信じたいのに……。 なんでなんでなんで! 「……………クソッ」 俺は再び歩き出す。 そして、選択する。 振り返るは、数分前のこと。 彼女、戦場ヶ原ひたぎさんは一つの死体を抱えている。 当たり前の話だが、阿良々木暦さんだ。 そんな中、戦場ヶ原さんは一つ彼に問いかけた。 「貴方は、これからどうするつもりかしら」 「………まずはめだかちゃんでも探すよ」 「あら、奇遇ね。私もそれは同じなのよ。―――貴方とは正反対の意味でしょうけどね」 信じようとする者、つまり俺 疑うしかない者、つまり戦場ヶ原さん。 その二人が今まで同行していたのだから、それこそ奇跡だろう。 軌跡の奇跡。――――言葉遊びレベル2。 というよりもはやオヤジギャクの領域。 といつまでも答えを詰まらすのも悪いからいい加減返答を返す。 「………だから、どうした」 「いえ、ただ阿良々木君を殺すほどの相手ともなると私もそれなりに苦労するでしょうからね」 「……だから」 何が言いたいんだ? 戦場ヶ原さんは。 まさか、俺と行動しないかなんて――――――。 「一緒に行動しないか、と聞いてるの。察し悪いわね」 ―――――――だそうです。 ……ってオイ! 「一緒にいたくないんじゃないのかよ」 「そうよ、けれど時と場合でしょ。それに一応命の恩人でもあるし無下に扱うほど私は腐ってないわよ」 「良く言うぜ」 「言うわよ。けれど貴方の都合もあるでしょう。嫌いと言ったも同然と相手。 それも探し人を殺そうとする相手と同行したくはないでしょう」 「…………」 「だから時間を挙げるわ。5分ほど」 「…………」 「別に私は貴方にはもう怒ってないわよ、怒るべき相手に怒っているだけ」 「…………」 「土下座をして私と付いていきたい、と願うのなら私は快く受け入れてあげるわ」 「…………」 今までの沈黙とは違う意味で沈黙。 何で俺は下手に出てるんだ? 命の恩人じゃなかったのかよ。 ……いや、これはどう考えても俺がわりぃな。 何せ、あんなことやっちまったからな……。 「それじゃあ、またいつか」 そうして、強制的に別れる羽目となった。 これが一連の流れである。 そして、俺は心の拠り所を求め、歩きだしていく。 壊れた心に、いくら問いかけたところで返答はなかった。 ただただ、本能で動いていた。 005 そうして、ここには土下座をする高校生の姿があった。 上から見ると綺麗な五角形を描くそれはそれは素晴らしい土下座であった。 かの、阿良々木兄妹の土下座に負けずとも劣らずの土下座を堂々と見せていた。 「………まさか来るとは思わなかったわ。どう考えてもただ社交辞令でしたでしょ………」 呆れ半分、苛立ち半分。 彼女は驚愕を素直に彼に伝えた。 ちなみに彼女の傍らには既に阿良々木暦の死体はない。 まだハードアンダーブレードの死体と共に、寝そべっている。 「………俺は、今どうすればいいんだろう」 頭を下げたまま、少しばかり前に聞いた言葉を再び繰り返す。 そうして返ってきた答えは。 「それは、貴方が決める事よ……人に聞く事ではないわ」 やはり以前となんら変わらない返答だった。 けれど、今回はここでは終わらなかった。 「それでも、俺は、戦場ヶ原さんに、聞きたいんだ」 今回ばかりは、壊れそうだった。 押せば落ちそうな。 引けば崩れそうな。 そんな心内環境の中。 彼は今こうして生きている。 グダグダだ。 ボロボロだ。 グラグラだ。 寂寥する荒んだ心には何かが必要だった。 阿久根高貴。死亡した。 黒神真黒。行方知らず。 宗像形。彼がどう動いているか正直不安だ。 過負荷。彼にはどうしようにも、どうにもできなかった。 黒神めだかは――――? 嗚呼、心に支柱が欲しい。 嗚呼、心に主柱が欲しい。 埋め合わせを。 こんな中、一人でいたら自分自身で考えても良い結果には繋がらない。 分かり切っていた。 知り切っています。 だからこそ、彼は、恐怖する。 誰の言葉が真実なのか。 誰の行動が虚像なのか。 分かりません。 分かりません。 分かりません。 「俺は、自分が分からないんだよッ!」 「怒鳴らないでよ……」 「………なぁ、教えてくれよ。戦場ヶ原さん」 「言っておくけど、私は教祖でもなければ、神でもなければはたまた閻魔大王になっているつもりはないわ」 「………」 「だから、私が貴方が進むべき道を説くことは不可能なのよ」 あくまで、彼女の言葉は辛辣だ。 救おうともしなければ、離そうともしない。 もしかしたら彼女自身が引いた一線を気にしているのかもしれないし、していないのかもしれない。 「………そう、かよ」 彼にも。 もしかしたら彼女自身でも気付いていないのかもしれないけれど。 「そうよ。だからいい加減目を覚ましなさい」 「…………」 それでも彼は頭をあげない。 上げない。 只管上げない。 「………」 「………」 そろそろうざったく感じた彼女はしょうがなしに、面倒臭そうに。 語り………いや語りなんて大層なものではない。ただ、喋り始める。 「ねぇ、人吉君。正直に言うと私は貴方の気持ちなんて分からないわ」 「貴方の表情が異様までに分かりやすいだけで、勿論私が鋭いというのもあるでしょうけど けれど、そうだとしてもそれまでだわ。私には、貴方の気持ちなんて分かるはずもない」 「私には、私の。貴方には貴方の。それぞれの物語があるわ。 その物語の作者は貴方の一人称小説よ。それに、私の物語も存在する。 そこの地の文に貴方の心情描写なんてあるわけないし、ただ流れていくだけ」 「もっと言うと私の物語において貴方は何にも値しないわ。 主人公はもってのほか。そこには阿良々木君しか君臨しえない。 ヒロインは私よ。いくらヒドインだろうが私がヒロイン。 そんな物語。貴方の介入の余地なんて無いわ。どこにもね」 「だから、私に貴方の気持ちも理解できるはずもないし、 さっきの口撃だって、貴方の気持ちだなんてこれっぽちも考えていない。 悪く言えば自己中心的な行動よ。私のとって貴方は特別ではない」 「そう、だから、私は悪いけれど貴方に助言の一つもできないわ。 けれど。ごめんなさい、とは言わないわよ。……それは貴方の問題だから」 「貴方の問題は、貴方が解決すべきなのよ。救いの手を求めても、物哀しいだけよ」 一旦そこで一息置いて。 最後に、簡単に一言。 「甘えたこと言ってんじゃないわ」 鉄血にして熱血にして冷血の彼女である。 対して、彼はというと。 「うん」 と。 一拍、間を持たす。 考える。 自分のすべきことを。 自分にできることを。 自分のはたすことを。 かれこれ、五秒。 彼の返答は――――――――。 「うん―――――――――――そうだなッ!」 嬉々とした笑顔を浮かべながら、土下座から勢いよく立ちあがる。 立ち直りが早いかというと、そうではない。 これは、――――虚勢だ。 でも、それでも。 先ほどまでの心の持ちようは少しばかり違ったようだ。 「………そうだな、俺はめだかちゃんのそばにいる為にはこれじゃいけねぇよな!」 めだかの傍に居たいが為に、彼は今までだって頑張ってきたのだ。 だから、甘えてはいけなかった。 だから、準じてはいけなかった。 どんな時だていつだって、凛ッ!としてなければいけなかった。 怯えてはいけない。 怯んではいけない。 前向きに、後ろめたいものなどなく。 全身全霊に、頑張っていかなければいけないのだ。 「……はぁ」 そんな急な心境の変化に溜息を深く吐きながら、彼女は彼に問いかける。 「……それで、立ち直っても、私についていくの?」 「ああっ!」 「………」 余りの即答ぶりに再び黙らざる負えなくなった。 そして数秒、静かな(白けた)空気の余韻に浸りながら、彼女は理由を問う。 「何でって、戦場ヶ原さんはめだかちゃんを殺そうとしている。それをみすみす見逃すわけねぇだろ」 「………じゃあ、今すぐ私を殺せば」 その問いに彼は嗤い、意気揚々に高らかにここをもって宣言する。 「いや、それはないな。ゼッテーに。俺は誰も殺したくないからな、 ここだけは甘えでもいいさ。弱さでもいいさ。何だっていいさ。でも、人は殺さない」 ただ、それだけの為に、彼は彼女を殺さない。 その行為を人は、お人好しという。 ただ、少しばかり彼女の方も馴れが現れてきたのか、静かに確認を取る。 「そう、じゃあとりあえずは私と一緒に行動ってことでいいわね」 一応、そう言う約束もあったのだ。 今では当初の目的はどこへやらへと消えていってしまったが。 そんな中に、彼は一つの疑問が浮かぶ、 というより前々から思っていた疑問を思いだした。というのが適切でこそあるが。 「……なぁ思ってたんだが。戦場ヶ原さんに俺と行動する理由はないだろ。どうして俺と行動するんだ」 特別迷うこともなく切り込む。 それはそれは単純に、彼女に問いかけた。 そして、同じく簡単に彼女は返す。 「………それはね、私一人じゃどうしようもできないからよ。 あくまで私の使命は《阿良々木暦を殺した者の殺害》であることを忘れちゃいけないわ」 「で」 「で、そいつは少なくとも阿良々木君を殺す者。一応は不死身なんてものを軽く無視する次元の違う相手。 けれど私に特殊能力がある訳でもないの。だから、駒はぐらいはたくさんいたほうがいいでしょう? それに貴方は」 「………」 「―――――――――黒神めだかの良き知人なのでしょう? 使わない手はないわ」 「そう、かよ。――――ただめだかちゃんを疑うのは勝手だがゼッテー殺人なんか起こしてないからな」 そんな理由を聞いても、不思議と彼からは憤怒というものは湧かなかった。 かつて、鹿屋という彼にとって先輩あたる人物ががめだかに下剋上を行使した時、 彼は誠心誠意をもって鹿屋は実力行使で叩きつぶした。 けれど、今は違う。 彼女を殺す、と言った彼女に、何故か、いや理由こそ分かり切っているが、悪意は湧かなかった。 (………あぁ、成程な) そう、彼も自覚していた。 彼が、彼女に抱いていた感情。 ――――――それは。 (憧れ、ってっか。……『普通』の戦場ヶ原さんに俺は憧れているんだ) そう、憧れ。 (『普通』にしながら、あの才能を有する戦場ヶ原さんに。 ……そう、『普通』にして、あんな風に立ち振る舞いが出来る戦場ヶ原さんを。 恋人を失ったことを感じさせない、冷静で有れる健気な姿に俺は憧れていたんだ。 周りを見配り、支配するカリスマとそれに見合う能力に憧れていたんだ。 俺なんかとは違い、良い意味で良くいられる戦場ヶ原さんが眩しかった) ふと彼が彼女の顔見れば、頬には軽い涙の痕。 今の今まで泣いていた証である。 しかし、今ではこうしていつも通りに会話を続けていた。 そう、人は自分の持っていない才能を有するものに憧れる。 少し行き過ぎれば、嫉妬する。 「……じゃあ、まずはこの二人を埋めるか」 「穴はもう少し深く掘ってあげてね」 「分かってる…」 この場合、彼、人吉善吉は、彼女、戦場ヶ原ひたぎの才能に憧れていた。 何者にも屈しない、何事にも屈しない、不屈の心を。 『普通』でも簡単に有することのできる、簡単にして単純な才能に。 (あんな才能があったらな、俺はめだかちゃんをどう思っていたんだろうな) 善吉は、希望をもって穴を掘る。 ―――深く。 ――――深く。 ―――――深く。 【1日目/朝/B-2】 【人吉善吉@めだかボックス】 [状態]球磨川に対する恐怖(抑えている)、身体的疲労(小)、精神的疲労(中) [装備]シャベル@現実、アンモニア一瓶@現実 [道具]支給品一式、ランダム支給品(0~2) [思考] 基本:不知火理事長を止める。 1:埋葬する。 2:戦場ヶ原とともに行動。 3:箱庭学園にも行ってみたいけどしばらくは我慢する。 4:もしまた球磨川に会ったら…? 5:阿久根先輩……。 [備考] ※庶務戦終了後からの参戦です。 ※「欲視力」は規制されてないようです。 ※B-2の死体は少なくとも黒神めだかが殺したとは考えないようにしています。 【戦場ヶ原ひたぎ@物語シリーズ】 [状態]右足に包帯を巻いている、嗅覚麻痺 [装備] [道具]支給品一式、ランダム支給品(0~2) [思考] 基本:阿良々木君を殺した人は殺す。 1:人吉君を待つ。 2:人吉君と行動。 3:阿良々木君を殺した人物を探す。 4:使える人がいそうなのであれば仲間にしたい。 [備考] ※つばさキャット終了後からの参戦です。 ※嗅覚麻痺がどの程度続くかは後の作者さんにおまかせします。 ※名簿にある程度の疑問を抱いています。 時は遡り、彼女は一つの死体を抱いている。 まだ善吉は受け入れがたい現実に哀哭している頃のお話。 「………全く、恋人を置いて死ぬなんて彼氏失格だわ」 血塗れ、しかし彼女に血は付着しない。既に乾いているからだ。 それほどまで前に暦は殺されて、こうして静かに彼女との再会を果たした。 暦には、既に蠅は集り、ウジ虫は集う。 しかしそれでも、彼女は気にもしない。 ただ、一つの死体をこれでもかとばかりに見つめていた。 「……それにしても、言っていなかったかしら。 私は貴方のことを愛しているのよ、阿良々木君。例え貴方が全身汚物に塗れていようとも 躊躇なく抱擁できるくらい。呼吸から排泄に至るまで、私が貴方の全身を脳まで含めて隈なく管理するつもりだったのよ? なのに壊してどうするのよ、全くもって阿良々木君ねぇ。――――――ツッコミがないといくら私でも淋しいわよ」 今の彼女の心境を一言で言うのであれば。 悲しい。 その言葉以外にはあり得ないだろう。 彼女の胸の内では、これ以上なく言葉に溢れている。 普段なら平気で言える毒舌だって。 言葉を詰まらすような軽口だって。 けれど言えない。 こうも無残になっていると、口は自然と閉ざされていく。 彼女自身も分かっている。 普段通りの方が、普段のキャラの方が、この場合阿良々木暦をまだ救えるだろうと。 それでもだ。 できないものはできなかった。 彼女は本当に彼を愛していた。 愛していたからこそ、彼女は死体を見るべく動かなければいけなかった。 泣きたいのも我慢して。 冷静を保って。 自らすらも偽って。 冷徹に。 冷静に。 冷血に。 冷淡に。 冷然に。 その術を行使し、駆使し、酷使する。 見事に善吉は気付けなかったし。 誰にもどうにもできなかったことだろう。 「…あと私は貴方殺した人物を殺すつもりなのよ。 けれど安心して。これは私の自己満足だから」 今だって。 感情を押し殺している。 殺し、消えて、無となる気持ち。 誰にも気付かれなかったこの感情。 彼女は、まだ、まだ隠し続ける。 自己満足。 彼女の自己満足は利己的だ。 ただし、いつだって。 どこかしらに、阿良々木暦の陰が落ちていた。 それほどまでに好きであったし、大好きだし、愛していた。 「……私、ツンデレじゃなくてツンドロでもなくて――ヤンデレになってあげるわ」 愛情の裏返しと言ったら聞こえはいいんだろうか。 聞こえは良くなかったとしてもそれが的を得ている以上、仕方がないだろう。 最後に、彼女は言葉を紡ごうとした。 誰の為でもなく、彼女自身の為に。 「……そうならば最後に一ついっておくわ」 呼吸を整える。 酸素を補給する。 息を浅く吐いた後に、彼女は一言発する。 これは、いつだったか。 聞いたことがあるそんな言葉。 いまでは、もうこれから先二度と聞けない言葉になるかもしれない言葉。 ……それは。 「阿良々木君」 「I love you」 ―――――――――告白の言葉。 ただ、口調は平坦とは程遠い。 さながら、碌に友達のいない、恥ずかしがり屋による、初めての告白の如く、 涙声で、諦めたかのような、悲しさも交じっていた。 そこから、彼女の心は崩れていった。 壊れてこそ、いないけれど。 彼女の心の鍍金が、数分ばかり捲れていく………。 悲痛な涙声が、この場を支配する。 時は戻り、善吉も穴を掘り始めた時。 彼女は何気なしに阿良々木暦の死体に近づいた。 既に彼は穴に潜っているので姿は表さない。 彼女がこうして彼に近寄ったのは、一つの言い忘れがあったからだ。 「……なんだかグダグダな展開で申し訳ないわね。阿良々木君」 こちらに関しては、彼女自身も理解していたようで。 しかし、彼女にとっては、どうでもいいことではなかったので、どうしても言いたかったのだ。 「これ、流行ると良いわね。むしろ流行らすわよ」 「楽しみにしていなさい」 手を。 阿良々木暦の冷たい手を握る。 同時に蠅も、ウジ虫も寄ってくるが。 その全てを無視して、ただ一言だけ言った。 温かい。 普段の彼女の物とは思えないほど温かい口調でそう言う。 今後の流行語に選ばれる最先端語。 「阿良々木君、蕩れー」 そのまま、静かにキスをした。 一秒と―――――。 二秒と―――――。 三秒と―――――。 短い時間だったけれど、彼女は。 彼女達はキスをした。 とても甘酸っぱいものではなかったけれど。 もはや辛い想い出となりえるものだけど。 彼女達はキスをした。 互いの唇を離すとき、そこに橋は掛からない。 それほどまでに幼稚で、それ故に素晴らしいキスを、したのだ。 もう思い残すことはない。 もう後悔なんてできない。 ひたすらに生きて。 どこまでも殺す。 我武者羅に、どうにかしたかった。 それは絶望ではない。 これは希望ではない。 絶頂でもなければ貴重でもない。 けれど、とても大事にしたい気持ち。 今となっては、ありふれているからこそ、忘れかけたこの感情。 こんな稚拙な言葉で表現しきれてこそいないけれど。 彼女は確かに、この気持ちを噛みしめていた。 彼女の胸には―――幸せという感情に満ち溢れていた。 走る走るおれたち 時系列順 何に狂うか何に病むか 第一回放送 投下順 何に狂うか何に病むか オオウソツキ 人吉善吉 僐物語-ヒトモノガタリ- オオウソツキ 戦場ヶ原ひたぎ 僐物語-ヒトモノガタリ-