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作者名 代表作 備考 イプシロン イプの日常 日々日常を徒然と?
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303 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 19 00 53.02 ID pUoBKqBc0 例の柔道部騒動から数日後、何事もなく過ごしていた面々ではあるが、ちょっとした騒動が起こる。 それは翔が用を足そうとしてトイレに入って行こうとしたのこと、トイレの外からは荒々しい声と弱々しい声が絶えず 響き渡り声と状況から判断して不良たちが弱い生徒にカツアゲをしていると翔は判断する。 しかし自分にこの学校たちの不良が歯向かうはずがないので用を足そうとトイレの中に入って行くとそこには 此間の柔道部員数名がドスの利いた声で1人の男子生徒を脅している姿が見受けられる。 しかも驚くべき事に脅している柔道部員の背後に部長である務が悠々とその光景をだんまりしながら見つめて いたのである、取り巻き数人は翔が入って行くと行為をやめて驚きの形相で翔を見つめていた。 「あっ・・」 「中野ッ!!」 「お前・・なんでここに!!!」 取り巻き達は様々な表情を見せながら思いがけない翔の来訪に驚愕するのだが、翔はそれらを一切無視すると いつもの調子を保ちつつ務に歩み寄る。 「ダメじゃない部長さん。風紀委員長で人気者のあんたが率先してこういった行為をしてるなんてね」 「・・ッ」 皮肉のこもった翔の言葉に務は少し顔を歪めながらも何も言わず冷静に翔の言葉を受け止める。 304 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 19 01 16.04 ID pUoBKqBc0 「俺にあんなご大層なこと言いながら結局てめぇはそれか」 「フン、行くぞ」 「し、しかし・・」 「いいから行くぞ!!」 「「「「「は、はいっっっ!!!!」」」」」 務の言葉に取り巻きは敏感に反応するとそそくさと立ち去る、全員が立ち去った後で務も立ち去ろうとするが 掛けるとすれ違った時に小声で一言だけ発する。 “これでお前も終わりだよ・・・” 「なんだとッ!!!!」 翔が振り返ったときには務の姿はなく、異様な不気味さが翔を包み込んだ。 307 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 19 13 46.01 ID pUoBKqBc0 用を足して教室に戻った翔ではあるがさっきの光景が頭を過ぎり、嫌な予感さえしてくる。それに務の態度が 不気味でもあるし・・そんな翔をどつく存在が一人、こいつしかいない。 「何しけた面してんだよ!!」 「ちょっとな・・」 「全くらしくねぇな!!」 「ハハハッ、違いねぇ」 苦笑するしかない翔は彼女に曖昧な態度を取っている自分が無性に憤りを感じてしまう。 しかし真相を話してしまえば聖のことだ、何をしでかすか解ったもんじゃない騒ぎを起こして駆けつけた 応援団の数人を見せしめとしてやってしまいそうだ。 「まぁ、心配するな。これでもてめぇの事はてめぇで判断するさ」 「お前らしいと言えばお前らしいな。ちゃんと授業出ろよ」 「お前には一番言われたくねぇよ!!」 「ま、元気なようで安心したわ」 聖と一緒に話して少しだけ不気味さが緩和されいつもの調子でいけれると実感して教室に入り授業を受けるが この時は何事もなく穏やかに事は進んでいたのだが、授業終了後の放送でそれは起きる。 308 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 19 14 44.14 ID pUoBKqBc0 “中野 翔・・今すぐ生徒指導室に来なさい” 「はぁ? 何で今更・・」 突然の放送に翔は驚きを隠せない、しかしここで行かないと後々厄介なことになるのは目に見えているので 溜息をつきながら生徒指導室へと向かう。しかし翔は生徒指導室でお世話になるような事はしてはいないし 大人しく過ごしていたつもりだ、一体何の用があるのだろうと模索しながら生徒指導室へと入って行く。 「失礼します~。何の用ですか?」 「中野、単刀直入に聞こう・・お前さっきの授業の前にカツアゲをしてたな?」 「はぁ?」 教師の言葉に翔は頭をかしげる、第一自分はそう言った趣味もないしカツアゲなどしたって得られるものはたかが 知れているし、それにカツアゲ自体が翔にとってアホらしくてしょうもない行為としか思っていない。 「おいおい、俺がそんなアホな事するわけねぇだろ。それに俺はした方じゃなくて見たほうなんだ、柔道部員が やってるのをこの目で見たし、それに部長である五十嵐がそこにいた」 「その柔道部員が証言してくれているし、被害にあった本人もお前がやったと証言している。 これでもまだ惚けるつもりか?」 この言葉に翔は驚くしか他ならない、あの時自分はただトイレで用を足していただけなので何もしていないし 現場に居合わせただけだ。 309 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 19 15 35.27 ID pUoBKqBc0 「ちょっと待ってくれ! 今までの話を整理しても全部状況証拠で俺がやったと言う確かな証拠はねぇだろ!!」 「確かな証拠だと・・いいか! お前はこんな最低な行為をしてまだ認めないつもりか!? それに五十嵐もお前がやってそれを止めたと証言したぞ」 「なんだって・・」 翔は頭を抱えながら今までの状況を整理するが何せやってもいないことなのにこうまででっち上げられたとなると 怒りが無性に込み上げてくる。 「でも俺はやっちゃいねぇ!!!」 「あの五十嵐さえそう言ったんだぞ!! お前と五十嵐は人望が違うんだ、わかったな!!! お前は2日の停学、本来なら一ヶ月だが五十嵐が減軽を嘆願してくれたんだぞ。これに懲りたら少しは反省するんだな!!!」 「クソッ――!!!」 力いっぱい拳を握り締めながら翔は黙って生徒指導室から立ち去る。教師は一息つきながらホッとすると物影の ほうに視線をやるとぼんやりと一言次げる。 310 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 19 17 47.42 ID pUoBKqBc0 「これでいいんだろう・・?」 「ええ、ご苦労様でした。迫真の演技でしたよ」 軽く拍手をしながら物影からスッと姿を現す人物、それは話の中核に出てきた五十嵐 務その人であった。 教師の方は務の姿を見るや否やさっきの強気の姿勢とは打って変わって、身体が震え口調の方もどこか 落ち着きが感じられず務の様子を伺ってばかりだ。 「じゃ、じゃあ・・例のあれを」 「これですか?」 務が懐から取り出したのは数枚の写真、写っているのはこの教師と女子高生がホテルへと向かう姿。 制服からして女子高生は別の学校のものだが写真の方は合成写真ではなくまじりっけなしの本物・・つまりは そういうことだ、教師の方は固唾を呑んで無言で務に写真の提示を求めるが務の方は写真の手を握ったまま 離そうとはしない。 311 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 19 18 57.02 ID pUoBKqBc0 「自分は事前にあなたに言った筈ですよね、台本どおりの演技をしてくれると」 「あ、ああ・・だから俺はお前が提示した通りの約束を守った。筋書きは完璧のはずだ!」 「・・あれは台本とは違うセリフだ! あそこまで俺の名前を出さんでもいい!!」 「ヒィィィィィィィィ~!!!!!!!!」 突然の務の豹変に教師もただただ怯える事しか出来ない、これが務の本性・・表面上は人のいい人物を演じては いるが内面は露骨で気性が荒い。彼は自分の計画した事は何が何でも実行して思った通りの結果が出ないと 納得しないと言う性質の悪い部類に入る。 今回の事も予め務が台本を設定して演じさせたのだが教師の些細なアドリブによって自分の筋書きした シナリオの結末とは違っていた。結果は同じなのだがその過程が本当に些細なことだったのが、完璧主義の 務には到底納得がいかないもので怒りが露になる。 しかし約束は約束なので一応持っていた写真数枚を教師に手渡す、教師の方は肝心の写真が手に入った事で 顔を綻ばせようやく安堵の吐息をつく、怯えたり安心したりと感情豊かな男だ。 318 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 20 00 09.63 ID pUoBKqBc0 「ふぅ・・」 「それを持ったら早く消えろ。それとこの事を誰かに話したらその写真の事をぶちまけるぞ、お前の言う事と 俺の言う事・・周りはどちらを信用するか解らんお前でもない」 「わわわ、わかったっ!!!」 まるで脱兎の如く・・教師は写真を大事そうに抱えるとそそくさと教室から立ち去るが、それを確認した務の懐から 取り出されたデジタルカメラ、その写真の中身は先ほどの教師の写真・・務は写真のデータを複製していつでも 利用できるように綱を握っている状態だ。 「フンッ、小物が・・俺が写真を持っていないとでも思ったのか・・さて中野はこれで大人しくするが、効果は少ないな。 まぁ、時間稼ぎにはもってこいだ・・次は相良だな。奴の場合は外堀から攻めるのが効果的だな、周りの奴で 丁度いいのがいるから利用させて貰うか。 フフフッ!! 貴様達から受けたこの恨み・・たっぷりと晴らして貰うぞ!!! フフフ・・フハハハハハハハッ!!!!!!!!!!!」 務の不気味な笑い声と共にシナリオは動き出す。 320 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 20 23 44.34 ID pUoBKqBc0 怒りを纏った翔が向かったのは職員室でも自分の教室でもなく保健室、ここなら落ち着けるし何よりも信頼できる 人間がいる・・突然の翔の来訪にこの保健室の実質上の支配者である礼子は驚きを隠せないでいつつも一応迎え 入れる。礼子は翔の瞳を見ると明らかな怒りを感じ取り話を聞いてやる、いつもの翔なら聖の後に来るのが 通例なのだが今回は真っ先に自分のとこへとやってきている、それに普段と様子が明らかに違っていたので礼子も 何かあったのかと予測しつつ部屋の換気状況を確かめるといつものようにタバコを吸いながら口火を切る。 「珍しいな、相良よりも先に来るなんて・・」 「ちょっとな」 「・・・ま、話してみろ。何かあったんだろ?」 「ありがてぇ・・」 礼子の対応に少し安堵しながら翔は先ほどの一件を話し始める。タバコを吸いながら暫くだんまりと聞いていた 礼子だが翔の話に少しばかりの憤りを覚えるが感情には出さずにじっと冷静に聞き役に徹する・・ 全ての話が終わった後、礼子はタバコを灰皿に移して火をもみ消すとそのまま再びタバコを吸い始める、頭の中で 全ての話を統合して導き出された答えはただ一つしかない。 321 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 20 25 18.33 ID pUoBKqBc0 「お前・・五十嵐に嵌められたな」 「ああ、情けない話だがな・・それに奴が俺を嵌めた証拠もないときた、どうこうしようにもお手上げ状態だよ。 しかし何で礼子先生は五十嵐の件について驚かないんだ?」 「あのなぁ、俺はこれでもお前よりいろんな奴を見ている。五十嵐については最初見た時から演技だってのは 解ってたよ、それにな多分あいつの本性は完璧主義だ。自分の計画どおりに事と結果が成り立たないと 納得しない・・厄介な奴だ」 再びタバコを吸いながら礼子は務の人物像を冷静に分析する、翔は務を一目見た時から演技だと言うのは 看破していたのだが肝心の本性については闇の中・・だから相手の本性までずばりと言い当てる礼子に感心してしまう。 「それに話を聞くと事前にお前を嵌めるためだけに計画を考えていたことは間違いないな」 「ちくしょぉ!!! 下手に動くことも出来ねぇしはこのまま黙っていることも許されねぇ・・考えるだけでイライラする!!!」 「・・お前の気持ちは分かる、だけどもああいった奴を潰すのは骨が折れるのも確かだ」 礼子も出来れば何かして上げたいのは山々なのだが、自分の立場では出来る事はたかが知れている。 余計に行動してしまえばこの問題は更にこじれてややこしくなるのは必然だろう、かといって手がないわけでもないが 今は大人しく待つしかない・・こんな自分が少しだけ口惜しい礼子である。 322 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 20 26 00.82 ID pUoBKqBc0 「少し落ち着いてもいいんじゃないか・・お前も少し疲れてるだろう」 「・・すまない」 「ッたく、少しはしゃきっとしろ!! まだお前には手がある」 礼子の言葉に翔は瞳を輝かせる。この状況でまだ打つ手があるとは少しばかり思えない、いくら巻き返すといっても 相手は務・・生半可な策では却って返り討ちにされるのが落ちだ。 「手があるって・・なんだよ!?」 「喧嘩してるときを思い出して見ろ、てめぇより強い相手に出くわして散々叩きのめされたら・・お前の場合はどうしてた?」 「そりゃ・・あっ!! そうか!!! でも今の俺じゃあ少しばかり足りねぇよ」 「お前には確かなものがあるはずだ! ・・補えなきゃぶんどりゃ良いんだよ」 「なんかあいつみたいだが・・ま、それしかねぇな!」 礼子の言葉の意味をすぐに理解する翔、そして翔の中では打倒務のビジョンが浮かび確信を得る。 そしてまずは布石を起こすためにどのようにすれば良いのかを瞬時に思いつき行動に移す、周りを抱きかかえて いる務に対抗するにはこれしかないという確実な保障を自信に変えて翔は動き保健室へと消える。 「全く、手のかかる奴だ・・こっちもバックアップぐらいはしてやるか」 風のように消えた翔の後を礼子はタバコを吸いながらしみじみと見つめつつ業務を再開するのだった。 323 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 20 28 02.11 ID pUoBKqBc0 翔の停学の事実はウイルスのようにすぐさま広がり、全学校の生徒が嫌でもその事実を確認している。 辰哉は話を聞いた後その事実を確認するために携帯で連絡をすると決めた待ち合わせ場所へと向かい翔の元へと 直行する、待ち合わせ場所である体育館の裏に向かうとだんまりしたままの翔が辰哉を待っていた。 「先輩、停学になったって・・本当ですか?」 「ああ・・」 「でも先輩がカツアゲしたなんてあり得ませんよ!!」 辰哉は停学の詳細がどうも信じられない、翔の性格からしてもそのような事は絶対にあり得ないし無実だと確信している。 「まぁな・・でも奴らがでっち上げて」 「でも! 無実なら――ッ」 「やめろ、お前まで無茶したら本当に奴らの思うつぼだ。自分の事は俺が何とかする・・ それまで今は自分を抑えて俺やこの件には絶対に近づくな!! ・・いいな」 「・・はい」 拳を抑えながら黙って辰哉はその場から立ち去る、ここまでは予定通り・・辰哉には少し申し訳ない気分がするが 今はそんな悠長な事を考えている暇はない。翔は辰哉が去ったのを確認すると次に予め読んでおいた人物を 呼び寄せる、現れたのは1人の女の子で辰哉と狼子の共通の友人である・・名を長谷川 友といった。 324 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 20 29 03.45 ID pUoBKqBc0 「終わりました?」 「ああ、隠れてもらってすまないな」 「別にいいですよ、それで私に話ってなんですか?」 翔は少し目を瞑るとゆっくりとした口調で友に話し始める。ここからが翔にとっての正念場、ここから友がどのような 判断するかによって翔の計画は大きく変わる・・ 「事情はさっき辰哉に話した通りだ。多分辰哉は俺の仇を取るために行動すると思う・・ そして辰哉を通じて狼子も事実を知って行動を起こすだろうな。そこで友ちゃんに頼みがある!」 「は、はい!!」 「あいつらを4日・・いや2日でもいい!! できるだけ2人を可能な限り長く引き止めて欲しい、こんな事は友ちゃん しか頼めないんだ!!!」 あの2人が大人しくするとは思えない、今行動してしまえば2人はやられてその先は・・あまり想像したくはない。 だから翔は2人を出来るだけ長く引き止めるために友に頼み込んだのだ、あの2人の行動を少しだけ遅らせる事が 出来たらこっちも色々と策を練り易い・・翔の必死の願いに友は少し考えて笑顔で一言。 「わかりました。私じゃ少し不安ですけど」 「ありがとう・・すまないなこんな事を頼むなんて」 「大丈夫ですよ。あの2人を巻き込みたくないのはこっちだって一緒ですから」 「ハハハ・・」 友の言葉に喜びつつもやはり少し苦笑を隠せない・・でもとりあえずは時間稼ぎは出来たので心から安堵する翔であった。 325 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 20 29 46.83 ID pUoBKqBc0 放課後、聖は今日は珍しく狼子たちと帰宅をする。帰る方向は一緒なのだがお互いに一緒に帰った機会など あまりなかったので気分転換のために実行している、先のシリアスな雰囲気をぶっ飛ばすほどに穏やかで 温和な刻がゆっくりと広がっていく。 「聖さんと帰るなんて初めてのような感じがしますね」 「まぁな、考えて見れば互いにあれだから一緒に帰ったりしてなかったよな」 聖の言っている事はほぼ事実、互いに付き合っている人物がいたとなったらそちらを優先するのは当たり前 のこと・・いくら元男であろうとも女になった今ではその性には逆らえない。かといって友情の有難みを今更自覚して いるのもまた事実なのでアンバランスな周囲の関係を今は普通に愉しむ。 「♪♪」 「まぁ、俺らに懐いてくれるのもいいんだけど何だか変な感覚だよ」 「でもここまで刹那が懐くなんて驚きですよ。最初の頃なんてもう・・」 「まぁ、ただ口が悪いだけだしな。俺みたいに徹底的にドスも利かせないとな」 「ハハハ・・」 擦り寄ってくる刹那をいつものようにあやしながら聖はのんびりと歩く、流石に女1人にブロックされてもいつもの ようにしなやかに体を動かす聖を見て狼子は体力の違いを嫌でも見せつけられてしまう。 333 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 21 01 30.93 ID pUoBKqBc0 「そういえば先輩が停学になったようですけど・・」 「そのようだな。まぁ、大方なんかやったんだろ・・って思うけど今回はなんか引っかかるな」 「やっぱり。俺もなんか気になってるんですよね、あの先輩がカツアゲなんてするとは到底思えないし」 「確かにあいつはあんなチンケなことするような奴じゃないな」 聖とて翔の停学の事実をすんなりと受け入れているわけではない、何かしらの陰謀を昔の経験から肌で 感じ取っていた。しかしながら深く首を突っ込もうとは思っていない、翔の性格や色々な事は誰よりもよく 解っている・・今回の事だって自分で解決するに決まっているだろう。 「まぁ・・今の所は何にもないんだからそれでよしだ」 「聖さんにしては穏便な意見ですね」 「こう見えても俺は余計なことには関わらねぇんだよ。どうせ火の粉は自然に消えるもんだしな」 そう言って聖はくっついている刹那をいじりながら翔の出来事を自分なりに判断して踏み留めている。 なんだかんだ言っても男時代から翔を殺るのは自分だと自負している、自分以下のチンケな存在に翔を 取られてしまったら腹立たしいもので昔からのプライドが許さない、しかし横にいる狼子は別の事を懸念していた。 334 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 21 01 55.67 ID pUoBKqBc0 「辰哉は何かするんでしょうか?」 「そうだな・・あいつが何か言っているとは思うけどそういったのは抑えられないものだからな。 そうなった場合はお前はどうするんだ?」 「・・解らないけど、ついて行くと思います。付き合い長いですから」 「ま、好きにしたらいいさ。俺はあいつ見たくとやかく言うのは性に会わねぇからな」 「はい」 聖の一言で狼子の懸念は見事に払拭される、こうして美女3人は今の平穏を有難く思うのだった。 335 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 21 03 40.20 ID pUoBKqBc0 翔の停学から翌日、辰哉は納得できるはずもなく知り合いの伝から慎重に事の実態を探り出す。 「そうか・・」 「まぁ、気持ちは分かるけどそのうち火傷するぞ。気をつけろよ」 「おいおい、俺はまだそんな歳じゃねぇよ。ま、ありがとな」 友人と別れて辰哉はこれまでの情報を整理して統合するのだが、まともな情報は皆無だ。 しかしながらこれでめげる辰哉ではなく今までどおりにひっそりと情報を集める・・なんだかんだ言っても 辰哉自身は翔にはかなり世話になっているし恩義も感じているので是が非でも翔の汚名を晴らしたいと言う 気持ちが強くなるのだ。 「先輩はああ言っていたけど・・やっぱり納得できないな。先輩があんな事する人じゃないってのは俺がよく知っている・・」 2人の間に何があったのかはよく解らないが、辰哉は必死で情報を集めて翔の無罪を主張するための証拠を探す。 そんな辰哉にタイミング良く翔の指名を帯びた友が辰哉の元へと現れる・・突然の友の来訪に辰哉は少し 驚きつつもいつものように対応する。 「やっほ~、元気してる?」 「ゆ、友ちゃん!! 1人で珍しいね、どうしたの?」 「なんか無茶起こしそうな気がしてさ」 友の言葉に辰哉は驚きを隠せないが必死で動揺を抑えて何とか平静を保つ、とはいっても友自身は予め翔から 辰哉がどのような行動を聞いているので解ってはいたのだが本当に行動を起こすとは少しばかり内心苦笑してしまう。 336 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 21 04 36.28 ID pUoBKqBc0 「そんな事ないよ。俺だって将来があるからね」 「まぁ、分かってるならいいけどさ。余り人の事にクビ突っ込まない方がいい時もあるんだよ」 「そんなことわかってるよ」 「ならいいんだけどね。頑張れよ、少年・・自分を見失うなよ~」 「わかってるよ」 辰哉の肩をポンッと叩きながら友は軽やかにその場から立ち去る。 内心、友の言葉にヒヤッとしながら少し一息ついてさっきの友の言葉をゆっくり考える、確かに翔の無実も 大切だけど今の自分は双務茶が出来ない事は解っているし何かあって対処できるといえばどちらかと言うと 不安だ。 自分は翔みたく腕っ節も強くなければ経験も乏しい、それにもし何かあれば彼女である狼子にも何らかの 危険が及ぶ可能性も否定できない。翔も大事な存在だが狼子もそれと同じぐらい大事だ・・それらを天秤に 掛けたらどちらに傾くのかは容易に分からない、立ち止まって周りを見るのもいいのかも知れないと感じる 辰哉であった。 337 名前: ◆Zsc8I5zA3U 投稿日: 2008/08/05(火) 21 06 54.09 ID pUoBKqBc0 舞台は変わって柔道部の一室・・誰も居ないこの空間に務は正座をしながらゆっくりと瞑想をする。 そんな務の前に1人の柔道部員が静かに入り務にそっと耳打ちをする、彼の言葉を聞いた務は思わず顔が綻ぶ。 「そうか・・木村が動いたか。思ったよりも早かったな」 「はい、ですがそれ以降は行動を止めています。感心が退けたのでは?」 「動いたのならそれでいい・・ならば引き込ませるだけよ、そしたら相良は必ず動くはずだ」 シナリオの筋書き通りに周りの人間が動いてくれるのを思うと務にとってはそれ相応にやり易くなる。 「ですが、木村が最後に行動した時に木村の友人が奴を退き止めたとを他の人間が見ています。少し厄介なのでは?」 「フフフ・・中野が依頼したんだろう。その目的は時間稼ぎだな、ますます計算どおりに事が運ぶ」 「では・・」 その言葉を受けた務は自分が描いてた台本どおりの手筈を実行に移す。 「ああ、そろそろあれを行う。木村の方は俺が何とかしよう・・女の方は打ち合わせどおりにしとけ、ただし」 「わかってます。女の方は打ち合わせ通り一切手は出させません」 「そうだ。手を出さない方が効果はてきめんだからな。舞台も大詰めだ・・」 シナリオはゆっくりと務の掌で進み始める。
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ZAZEN BOYSの4thアルバム。 デイブ・フリッドマンプロデュース。レコーディングスタジオはタルボックスロードスタジオ。 2008年9月16日発売。MATSURI STUDIO。 収録曲 1. Asobi 2. Honnnoji 3. Weekend 4. Idiot Funk 5. Memories 6. Fureai 7. Taratine 8. The Drifting/I Don’t Wanna Be With You 9. Sabaku 向井秀徳とデイブ・フリッドマンは実に6年ぶりの共同作業である。 各レコード店がTOWER RECORDSはMATSURI SESSION BASEMENT TAPES ディスクユニオンはLive at BJ s。 NUM-ZAZEN@wiki トップページへ
https://w.atwiki.jp/num-zazen/pages/49.html
ZAZEN BOYSの3rdアルバム。2006年1月18日発売。 発売元は「MASTURI STUDIO」 収録曲 1. SUGAR MAN 2. Take Off 3. Friday Night 4. Tombo Game 5. Pink Heart 6. RIFF MAN 7. This is NORANEKO 8. METAL FICTION 9. Don t Beat 10. Lemon Heart 11. Water Front 12. Good Taste NUM-ZAZEN@wiki トップページへ