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685 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/01/27(木) 05 53 44 ID ??? ガンダム家の15歳 ヒイロ「ガンダムは自爆させたり乗リ捨てるもの」 ガロード「ガンダムは売るもの」 アムロ「…………」 686 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/01/27(木) 06 29 27 ID ??? デュオ「ガンダムは相棒」 トロワ「ガンダムは気に入っている」 カトル「僕のサンドロック」 五飛「ガンダムは嫁」 ジャミル「ガンダムは亡霊」 ウィッツ「ガンダムは形見」 ロアビィ「ガンダムは賭けの質」 こういうのが周りに居た結果である
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契約! クールでタフな使い魔! その① 「あんた誰?」 日本とは思えないほど澄んだ青空の下、 染めたものとは思えない鮮やかなピンクの髪の少女が彼を覗き込んでいた。 黒いマントをまとい手には杖。まるで魔法使いのような格好だ。 いぶかしげに自分を見つめるその表情に敵意の色はない。 だから、とりあえず周囲を見回した。 ピンクの髪の女と同じ服装をした若者達が囲むように立っていた。 共通する事は全員日本人ではない事。欧米人が多いようだ。 するとここは…………ヨーロッパのどこかだろうか? なぜ、自分はこんな所にいる。 そう疑問に思ってから、ようやく自分が草原の中に仰向けに倒れていると気づいた。 ヨーロッパを舞台にした映画に出てくるようなお城まで遠くに建っている。 「…………」 事態がいまいち飲み込めず、しかし警戒心を強めながら彼はゆっくりと起き上がった。 少女は、男が自分よりうんと背が高く肩幅も広い事でわずかにたじろぐ。 「……ちょ、ちょっと! あんたは誰かって訊いてるのよ! 名乗りなさい!」 「やれやれ……人に名前を訊ねる時は、まず自分から名乗るもんだぜ」 「へ、平民の分際で……ななな、何て口の利き方!?」 少女が顔を赤くして怒り出すのとほぼ同時に、周囲に群がっている連中は笑い出した。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 誰かが言う。笑いがいっそう沸き立ち、少女は鈴のようによく通る声で怒鳴った。 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 どうやら、この少女の名前はルイズというらしい。 ルイズ……名前から察するにフランス人だろうか。という事はここはフランス? となると、この訳の解らない状況にも説明がつくような気がしてきた。 あのトラブルメーカーの友人が関係しているかもしれない。それはさすがに被害妄想か。 (しかし……スタンド攻撃にしては妙だ。 俺をここに瞬間移動させたのはこのルイズという女らしい……。 だが周りにいる奴等の言動を見ると、どうにもスッキリしねぇ) とりあえず彼は、一番近くにいるルイズを見下ろして訊ねた。 「おい、ここはどこだ。フランスか?」 「フランス? どこの田舎よ。それに使い魔の分際で何よその態度は」 「使い魔……?」 先程聞いた『サモン・サーヴァント』という単語を思い出す。 そして、見渡してみれば黒いマントの少年少女達の近くには、様々な動物の姿があった。 モグラであったり、カエルであったり、巨大なトカゲであったり、青いドラゴンであったり。 「………………」 ドラゴン? 集団から少し離れた所で、髪が青く一際年齢の低そうな少女がドラゴンの身体を背もたれに読書をしている。 ファンタジーやメルヘンでなければありえない光景だ。 もし、これが夢や幻でないとしたら、つまり……現実に存在するファンタジーといったところか? 約五十日ほどの旅でつちかった奇妙な冒険のおかげで、非現実的な事に対する耐性ができたというか、 そういうものを柔軟に受け入れ理解し対処する能力を磨いた彼は、 持ち前の冷静さと優れた判断力のおかげもあって取り乱すような事はなかった。 周囲をキョロキョロ見回している平民の姿に腹を立てたルイズはというと、 教師のコルベールに召喚のやり直しを要求していた。しかしあえなく却下される。 「どうしてですか!」 「二年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。 それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、専門課程へ進むんだ。 一度呼び出した『使い魔』は変更する事はできない。 何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いた事がありません!」 ルイズとコルベールの会話をしっかり聞いていた彼は、ある仮説を立てる。 つまり自分はルイズの能力によって、元いた場所からここに『召喚』された。 そしてそれは周囲にいる全員が行っているようであり、スタンド能力ではなさそうだという事。 さらにここはドラゴンがいる事からヨーロッパどころではなく、 ファンタジーやメルヘンの世界だという……突飛で奇抜で冗談のような話。 『召喚』されるのは本来――動物やあのドラゴンのような神話の生物等であり、人間ではない。 しかし彼女ルイズは人間を『召喚』してしまった。 『召喚』された生物は、『召喚』した人間の『使い魔』であるらしい。 『使い魔』という単語からだいたいどのようなものかは想像できる。 (俺が……この女の使い魔だと? やれやれ、冗談きついぜ) とにかく、彼にとって今必要なのは現状把握をするための情報だ。 話をするのに一番適しているのは……少年少女達を指導しているらしいハゲ頭の中年。 さっそく彼に声をかけようとしたところで、彼と話をしていたルイズがこちらを向いた。 ルイズは自分が召喚した平民を見た。 身長は190サントはあろうか、黒いコートに黒い帽子をかぶっている。 顔は……なかなか男前だが、それ以上にとてつもない威圧感があって、怖い。 でも、自分が召喚したんだから。自分の使い魔なんだから。 だから、しなくちゃ。 「ね、ねえ。あんた、名前は?」 恐る恐るもう一度訊ねてみる。まただんまりかと思った矢先、男は帽子のつばに指を当てて答える。 「承太郎。空条承太郎だ」 「ジョー……クージョージョータロー? 変な名前ね」 本当に変な名前だった。聞いた事のない発音をする名前だ。 ルイズは彼の奇妙な名前を頭の中で暗唱しながら、彼に歩み寄り、眼前に立つ。 そして彼の顔を見上げて、届かないと思った。承太郎は鋭い双眸で自分を見下ろしている。 やる、やってやる。こうなったらもうヤケだ。 ルイズは、ピョンとジャンプして承太郎の両肩に手をかけて自分の身体を引っ張り上げ――。 CHU! 一瞬だけ、ついばむようなキス。 さっきから鉄面皮を崩さない承太郎もこの行動には驚いたようで、目を丸くしている。 ストン、とルイズは着地した。ほんの一秒かそこらの出来事。 心臓がバクバクする。だだだだって、今のはファーストキスだったから。 頬が熱くなる。周囲の視線が気になる。 承太郎はどんな顔をしてるんだろうと思って、見上げて、ヒッと息を呑んだ。 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ なんだろう、これ。承太郎はただ立っているだけなのに、地響きが起きているような錯覚。 あまりのプレッシャーに、ルイズは思わず一歩後ずさり。 その瞬間、承太郎が叫んだ。 「いきなり何しやがる、このアマッ!」 「キャッ!」 重低音の怒鳴り声のあまりの迫力にルイズは尻餅をついた。 続いて、承太郎も膝をつく。左手の甲を右手で覆い隠しながら。 「グッ……ウゥ!? こ、これは……」 使い魔のルーン。 承太郎の左手に刻まれたものの正体を、ルイズは恐る恐る教えた。 こうして――ルイズは奇妙な服装をした奇妙な平民を己の使い魔としたのだった。 今日召喚された使い魔の中で一番クールでタフな使い魔がこの承太郎だとも知らずに。 目次 続く
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絶頂の使い魔-1 絶頂の使い魔-2 絶頂の使い魔-3 絶頂の使い魔-4 絶頂の使い魔-5 絶頂の使い魔-6 絶頂の使い魔-7 絶頂の使い魔-8 絶頂の使い魔-9 絶頂の使い魔-10 絶頂の使い魔-11 絶頂の使い魔-12 絶頂の使い魔-13 絶頂の使い魔-14 絶頂の使い魔-15 絶頂の使い魔-16 絶頂の使い魔-17 絶頂の使い魔-18
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ドロの使い魔-1 ドロの使い魔-2 ドロの使い魔-3 ドロの使い魔-4 ドロの使い魔-5 ドロの使い魔-6 ドロの使い魔-7 ドロの使い魔-8 ドロの使い魔-9 ドロの使い魔-10 ドロの使い魔-11 ドロの使い魔-12 ドロの使い魔-13 ドロの使い魔-14 ドロの使い魔-15 ドロの使い魔-16 ドロの使い魔-17 ドロの使い魔-18 ドロの使い魔-19 ドロの使い魔-20 ドロの使い魔-21
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第一章 使い魔は暗殺者 前編 リゾットは怒っていた。心の底から。頭のてっぺんを突き抜けるような怒りを、不甲斐ない自分に感じていた。 ――オレは…何一つとしてっ、仲間と交わした誓いを果たすことが出来なかったっ!! それが、リゾットの怒りの原因だった。 ボスを殺すこと。 栄光を掴むこと。 仲間たちと約束したことを、リゾットは何一つとして叶えることが出来ず、無様に死んでいく自分が、リゾットはこの世で一番許せなかった。 誇りを傷つけられ、栄光を掴もうと誓った。 けれど、全ては無駄に終わってしまったのだ。自分たちの反乱は、挫折した。 誰が悪いのではないだろう。強いて言うのならば、運が無かったとしか言えない。 戦いに勝つには天の時と地の利と人の和が必要だと言われている。 地の利と人の和は同等だった。けれど、天の時はブチャラティたちに味方した――そういうことだ。 しかし、リゾットはそれだけに全てを委ねる事はできなかった。 リーダーである自分がもっと上手くチームを指揮していれば勝てたのではないか。そう考えてしまうのだ。 すでに起きてしまった出来事にもしもはない――。そう分かっていても、リゾットの頭の片隅で声は囁く。 ――お前の采配が悪かったから仲間たちは無駄死にしたのだ…………。 と。 だからこそリゾットは相打ちを覚悟でボスを殺したかった。 相打ちでボスを殺してもどうしようもないことは分かっていたけれども。仲間はもう一人も残っていないし、ボスを殺しても自分が死んでしまっては、それで終わりだ。 それに、リゾット以外の仲間が死に絶えたとき、ボスを殺す理由は無くなっていた。“仲間と”栄光と掴むためにボスを殺そうと決意したのだから。 それでもリゾットがボスを殺そうとしたのは、死んだ仲間たちに少しでも報いたかったからだ。 死んだ後、あの世で仲間たちと再会したとき、胸を張っていられるように。そう思って、リゾットはボスを殺しに行った。 が、最後の最後、後一歩が及ばなかった。結局、天の時は最後までリゾットの味方をすることはなかったのだ。 ――オレたちは……決して栄光を掴む事が出来ないと言う事なのか?! 神を裏切ったオレたちには祝福を受ける資格がないと言うのか?! そんなことは……そんなことは認めないッ! 絶対に認めるものかァッ! オレは……いや、オレたちは! 使い捨てられて、踏み台にされるために生きていたのではないッ!!!! リゾットは怒っていた。心の底から。頭のてっぺんを突き抜けるような怒りを、無慈悲な神に向かって感じていた。 ――オレたちは……栄光を掴むんだ!!! 「あんたたち誰?」 雲ひとつ無い晴天の空を背景に、誰かがリゾットの顔を覗き込んでいた。 急激に意識が上昇して目が覚めたため、視界はあまりよくなかったが、リゾットを真上から見下ろしている人物が桃色に近いブロンドの少女だという事は分かった。 そうして、その少女が白いブラウスとプリーツスカートを身に纏い、その上に黒のマントを羽織っている事も。 (コス……、プレとかいうやつか?) 少女の姿を見たリゾットの最初の感想は、正直どこかずれていた。しかし、これは彼にとっては致し方ないことでもあった。 少女の格好からリゾットが連想したものは、チーム仲間のメローネが(自分の)食費を削ってまで購入していたジャッポネーゼアニメやジャッポネーゼマンガに描かれていた、いわゆる魔女っ子と呼ばれるものだったからだ。 メローネや歳若い仲間が楽しそうに読んでいるのを見て、一度だけリゾットも読んだ事があるが、あまりの展開の破天荒さに5ページほどで挫折した。 けれども、メローネたちにはそこがいいらしく、同じく面白さが分からなかったプロシュートやギアッチョとともに肩身の狭い思いをしながら、 『あれが若さか』 などという発言をしてちびちびとワインを啜った記憶が懐かしい。あの時はまだ、ソルベとジェラートも居て、ボスに反感を持つ前だった。 あれから、そう、色んなことがあった。 身を粉にして組織を大きくしたというのに、与えられた対価はそれに見合うことは無く。ボスはリゾットが嫌っている麻薬を金のために、裏の人間だけではなく一般市民にまで売り出した。 それがリゾットには気に食わなかった。元々リゾットは裏の人間が必要以上に表の人間と関わる事を良いとは思っていなかったし、麻薬は人をボロボロにする。短い目で見れば金になる商売かもしれないが、長い目で見れば害にしかならない。 そうこうしている内に、待遇に不満を抱いたソルベとジェラートがボスのことを調べ始めて、殺された。 そんな様々な要因が重なって、トリッシュというボスの娘の噂が切っ掛けとなり、リゾットたちは組織を裏切った。ボスを倒すために。 そして、昔夢見た理想を現実にするために。 しかし、現実は非情で、リゾットの仲間たちはボスの娘を護衛するブチャラティチームたちと戦い、死んでいった。 リゾットも一人ボスと対峙し、負けた。そう、ボスのスタンド能力の前にリゾットは敗北したのだ。裏の世界では負けはそのまま死に繋がる。つまり、リゾットは死んだ――はずだった。 (そうだ。俺はエアロスミスの銃弾を受けて死んだはずだ) 未だ上手く働かない思考をフル回転させてリゾットはこの状況を理解しようとした。何故、イタリアのサルディニア島でボスに敗れた自分がこんな城の見える平原に居るのか。しかも―― (この女、あんたたち……複数形で訊いた?) そのことに疑問を持ったリゾットは、目の前にいる少女を警戒しながらゆっくりと上体を起こし、体を捻って後方に視線を動かした。 「!!?」 その瞬間、リゾットはこれまで味わった事の無いほどの混乱に襲われた。 メタリカを体内に宿しているせいで白目の部分が充血している、他人とは違う目を大きく見開いて自分の後ろに広がっている光景を呆然とした表情で見つめる事しかできない。 (馬鹿な……っ、これは、どういうことだ?!) サルディニア島に居たはずなのに、こんな観光地のような場所に居る事も不可思議な事だが、それ以上に不可解なことが目の前に広がっている。 「ホルマジオ……、イルーゾォ……、プロシュート……、ペッシ……、メローネ……、ギアッチョ……。馬鹿な……、死んだはずだ……ッ」 そう、リゾットの背後には死んだはずの彼の仲間たちが倒れていたのだ。 暗殺チームのリーダーとして普段から滅多に感情を揺らす事の無いリゾットだが、この状況にはただ心の底から驚愕するしかなかった。 (天国とでも言うのか?) イタリア生まれのイタリア育ちであるリゾットはギャングに入って後も基本的な思考はローマ・カトリックに由来していた。 そのため、この異常な状態を天国と思ったわけだが――、それにしてはどうも様子がおかしい。 混乱しながらも、仲間たちは全員気絶しているだけだと確認したリゾットは、次に周りの様子を慎重に観察し始めた。 目の前には未だに少女が憤然とした面持ちで仁王立ちしている。 その遥か後ろには平地用の――つまりは守りに向いてない移住性を重視した――城が聳え立っていた。 そして、その城と少女の間に、十数人ほどの人間が、全員同じような黒いマントを羽織ってまるでファンタジーに出てくる魔法使いの持つ杖のようなものを手にして、リゾットたちを物珍しそうな顔で眺めている。 「あんたたち、誰?」 もう一度少女は聞いてきた。瞳には苛立ちの色がはっきりと見える。それ以外には、焦りと、少しばかりの恐怖。 期待通りに行かなかった事に対する拍子抜けしたような感情。それと、大きな疑問だろうか。この事態に戸惑っているようにも思えた。 「……オレは……、リゾットだ」 とりあえずリゾットはそれだけ答えた。頭の中では未だに黄色いヒヨコが踊っている。 (とにかく、ここがどこか分かるまではこちらの情報は最低限隠さなければいけないな……) 「どこの平民?」 平民? この問いにリゾットは一瞬詰まった。身分社会が崩壊して久しいこの時代、ヨーロッパにも貴族と呼ばれる人種は居るが、こういった物言いをすることはない。 つまり、導き出される結論は、ここはヨーロッパ以外の身分社会がまだ残っている土地か――、はたまた、地球ではないどこかだ。 (本当に異世界だとすると――ナルニア国年代記のようなものか) リゾットは幼い頃に読んだヨーロッパで有名なファンタジーシリーズの名前を挙げて秘かに笑った。 従兄弟が憧れていたファンタジーの世界に――もしかしてだが――自分が足を踏み入れているのかと思うと、なんとも言いがたい気分になってくる。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 と、リゾットが物思いに耽っている間に、周囲の時間はどんどん進んでいたようだ。 驚きが終わった野次馬たちが、馬鹿にしたような色を浮かべながら声を掛けてくる。げらげらという爆笑をバックコーラスにして。 「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」 「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん」 「さすがはゼロのルイズだ!」 ルイズ――どうやらこの桃色掛かった金髪の少女の名前らしい――の拙い反論に、他の子供たちは一斉に笑い声を上げ、馬鹿にする。 そんな子供たちの幼稚な行為に、リゾットは眉を顰めた。 他人を嘲笑うという行動は大きく分けて、自分に絶対の自信があるために相手を軽く見るというものと、相手を軽んじる事で自分が優れていると錯覚したいというものがある。 しかし、どちらの場合も相手の実力を過小評価し、自分の実力を過大評価する傾向にある。そして、それは殺し合いの世界に身を置く者としては非常に不味い事であった。 自分を強いと思うことは油断を招くし、相手を弱いと思うことは隙を生む。過去、その結果として自分に殺された要人やギャングなどの構成員たちを思い出しつつ、リゾットは緩やかに警戒レベルを戦闘時から常時に戻した。 どうやらそこに居る人間たちが結託してリゾットたちを攻撃するような状況にはならないらしい。 けれども、疑問は何一つとして解消されて無い。リゾットは慎重に彼らの出方を待った。 「ミスタ・コルベール!」 少女がまた叫ぶ。誰か――リゾットが推測するに引率者――を呼んだようで、その声に反応して人垣の中から中年の男性が進み出た。 丸い眼鏡をかけた、額から頭のてっぺんまで禿げている温厚そうな男である。この男も真っ黒なローブを身に纏い、大きな木の杖を手にしていた。 絵本や映画などに出てくる魔法使いそのものの姿だ。街でこんな格好をしていたら、道行く人たちに白い目で見られることは確実である。 が、その男――ミスタ・コルベールと呼ばれていた――を見て、リゾットの暗殺者としての感覚が盛大に反応した。 一気に警戒レベルが跳ね上がり、ドッドッドッと心臓が血液を全身に送り出そうと動き出す。酸素が体中を駆け巡り、思考が活性化する。 (この男……、強い! そして、戦い慣れしている!) 男の表情や足運びなどから彼の実力を推測したリゾットは、全身の筋肉を強張らせた。 しかし、そんなリゾットの考えとは裏腹に、男は昼行灯という言葉が似合うほど害意の無い顔でルイズという少女に対して返事をする。 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 「あの! もう一回召喚させてください!」 そうして、のんびりとした男とは対象的に、身振り手振りで気を引き必死になって何事かを頼み込んでいるルイズの台詞に、リゾットは思い切り困惑した。 (召喚だと?) その単語を聞いて真っ先に思い出したのは、やはりチーム仲間の一人、ジャッポネーゼマニアのメローネがやっていた(ジャッポネーゼ言葉ではプレイするというらしいが)ファイナル○ァンタジーとかいう、指輪物語の設定を下地にしているRPGとかいうTVゲームだった。 頭に角を生やして杖を持った幼女が脳裏に浮かぶ。そういえば目の前にいる少女も幼い。角は生えてないようだが、杖は持っていた。 「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」 「どうしてですか!」 「決まりだよ。二年生に進級する際、君たちは『使い魔』を召喚する。今、やっているとおりだ」 半ば涙目になりながらルイズは尚も言い募るが、コルベールは素っ気無く首を振るだけだ。 周りの生徒たちはコルベールとルイズの会話を邪魔しないように大声で笑う事は止めていたが、ルイズに対してニヤニヤと歪んだ笑みを向けている。 (召喚……使い魔……。この二人の言葉をそのまま信じるのなら、オレは……いや、オレたちは地球から別の世界に呼び出されたということか!) コルベールの登場で脳に充分な酸素が行き渡ったリゾットは、先入観を棄ててこの事態を正確に把握する事に専念する。 この状況が理解できなければ、どういった行動が最適になるのかも分からない。 リゾットの能力ならばここにいる全員を一気に殺すことも可能だが、それをして仲間が危険になるような事になってしまっては困る。 「それによって現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。一度呼び出した『使い魔』は変更することはできない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。好むと好まざるにかかわらず、彼らのうちの誰かを使い魔にするしかない」 「でも! 平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」 ルイズが屈辱と怒りで頬に朱を散らせて大声を張り上げると、また子供たちが一斉に笑った。 それをルイズが悔しそうな瞳で睨みつけるが、それでも笑い声の大合唱は止まらない。 リゾットはあまりに幼稚すぎる子供たちの反応に、呆れたような視線を向けた。 あまりに呑気すぎる。イタリアの小学生より程度が低いかもしれない。 (それにしてもオレたちはこのルイズとかいう女に呼び出されたのか……。使い魔…………というとあれか、黒猫のような扱いを受けるのか) 生粋のイタリア育ちのリゾットが想像する使い魔と言えば、ローマ・カトリックの魔女狩りでイメージが固定化された黒猫である。 ちなみにリゾットの脳内では、箒に乗った鉤鼻の魔女が黒猫を従えて満月をバックに飛んでいる姿が浮かんでいた。 (それは……少し、いや、かなり嫌だな。というよりこの傲慢で駄々っ子なマンモーニの下につくなど真っ平ゴメンだ。逃げるのが得策だと思うが……、仲間を見捨てるわけにはいかない。どうするべきか……) リゾットはこの短い時間でルイズの性格を端的にだがきちんと把握していた。ルイズには悪いが、このような人間は雇い主としては最低の部類に入る。きっと食事すらまともに与えてはくれないだろう。 「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない。彼らは……」 リゾットが本気で対策を考え始めた頃、コルベールの説教も終わりに掛かっていた。 「ただの平民かもしれないが、呼び出された以上、君の『使い魔』にならなければいけない。古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。彼らのうち誰か一人には君の使い魔になってもらわなくてはな」 「そんな……」 (どうやら使い魔とやらは一人しかなれないらしいな。しかし……、仲間にそれを押し付けることはリーダーとしてあってはならない行為だ……) がっくりと肩を落として溜め息を吐くルイズに少しむっとしながら、リゾットは冷静に情報を処理していく。 今までの会話や様子から推測できる事をまとめると、こんな感じだ。 一、ここは魔法使いが存在する異世界である。 二、リゾットたちはルイズと呼ばれる少女の使い魔として呼ばれた。 三、何故か知らないが、仲間たちは全員生き返っている。 四、彼らは学校に所属している。コルベールと呼ばれる男が教師らしい。 五、彼女らは二年生になったばかり。 六、現在、ここの季節は春だ。 七、ルイズと呼ばれる少女はクラスメイトから軽んじられていると思われる。 八、使い魔は一人一体が原則。 九、この国は平和である。 十、彼らは全員中流以上の家庭の生まれ。 ほかにも細々としたところが推測できたが、彼らと関わる上で重要になってくるところと言えばこれくらいだろう。 「さて、では、儀式を続けなさい」 「えー、彼らのうち、誰かと?」 「そうだ。早く。次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚にどれだけ時間をかけたと思ってるんだね? 何回も何回も失敗して、やっと呼び出せたんだ。いいから早く一人を選んで契約したまえ」 コルベールがそう厳しく言うと、途端に周りから、そうだそうだ、早くしろよ、どれも一緒だからさっさと選べよ、などといった野次が飛ぶ。 あまりのウザさにリゾットは一瞬メタリカを使い全員の口をホッチキスの針で縫い止めようかと思ったが、止めておいた。そんなことより仲間の事が気に掛かる。 何故選ばれたのかは不明だが、この召喚によって――ソルベとジェラートは除くが――全員が生き返っている事は、リゾットにとって幸運だった。 暗殺チームに身を置き、それを率いる事になったリゾットにはチーム以外に信頼できる人間がいない。チームが家族と言っても過言では無いくらい互いを大切に感じてもいる。 (――つまり、これは恩か?) ルイズの召喚の儀式がなければ自分も仲間たちも死んだままだった。そう考えると、リゾットはルイズにかなりの恩を受けたことになる。 「ねえ」 新たな発見に脳をフル回転させていたリゾットに、空気をまったく読まずにルイズが声を掛けてくる。 リゾットが顔を上げるとそこには何かを決意して唇を真一文字に結んだルイズが立っていた。 「なんだ?」 「起きているのがあんただけだし、まあ、顔もそこそこイケてるし……。とにかく、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」 リゾットが返事をすると、瞳にあった決意はあっさりと霧散し、ルイズはブツブツと言い訳を口にする。 そのマンモーニぶりにリゾットはメタリカで説教したくなったが、いきなり目を閉じたルイズに虚を突かれた。 はて、何をするつもりなのだろう。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 疑問を感じているリゾットの前でルイズは杖を振ると、朗々とした声で呪文と思しき言葉を唱えた。 そうして、リゾットが反応するより先に、杖をリゾットの額に置く。 (何だ?! 体が動かないだと?!) とっさに避けようとしたリゾットは、そこに来て自分の体の自由が利かないことに気付いた。 上体を起こして膝立ちになった格好から、全身が彫像になったかのように身動きが取れない。そうして、そのことに戸惑っている間に、どんどんルイズの顔は近づいてくる。 一体なにが起こるんだ? そう思ったとき、ルイズの唇がリゾットの唇に重なった。柔らかい感触がする。 目を閉じたルイズは何故か頬を染めているが、リゾットにとっては蚊に刺された事と同レベルだ。 と、無感動にルイズを見つめているうちに(何しろ体が動かないのでそれ以外出来ない)キスは終わり、ルイズは唇を離した。 「終わりました」 少し恥らいながらコルベールに向かって報告するルイズを、リゾットは冷めた表情で眺める。 「『サモン・サーヴァントは』何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」 やっと厄介ごとが終わったというように晴れ晴れとした顔でコルベールが言った。 その言葉にリゾットは心の中だけで盛大に舌打ちする。やはり今のは使い魔とやらの契約の儀式だったらしい。 面倒な事になったと、頭を抱えたくなった。ルイズの唇が離れたせいか、体は元通り動くようになっていた。 後ろをもう一度覗くが、仲間たちはまだ目を覚まさない。普段の彼らならすぐに起きるのだが、一回死んでいるので勝手が違うのだろうか。 殴って起こそうかとも考えたが、スタンド攻撃が飛んできそうなので遠慮しておいた。 ここでザ・グレイトフル・デッドやホワイト・アルバムなんぞを発生させたら大変な事になる。 「相手がただの平民だから『契約』できたんだよ」 「そいつが高位の幻獣だったら、『契約』なんかできないって」 リゾットの注意が逸れている間も彼らの会話は進んでいく。それにしても平民平民と煩いものだ。リゾットは真剣にメタリカで口を塞ごうかと考える。 「バカにしないで! わたしだってたまにはうまくいくわよ!」 「ほんとにたまによね。ゼロのルイズ」 おほほほ、と今にもお嬢様笑いが聞こえてきそうな声音で、見事な巻き毛を持つブロンドの少女が言う。 顔にはそばかすが散っていて、まだまだガキといった容貌だ。外見と中身が比例している良い例である。 「ミスタ・コルベール! 『洪水』のモンモランシーがわたしを侮辱しました!」 「誰が『洪水』ですって! わたしは『香水』のモンモランシーよ!」 「あんた小さい頃、洪水みたいなおねしょしてたって話じゃない。『洪水』の方がお似合いよ!」 「よくも言ってくれたわね! ゼロのルイズ! ゼロのくせになによ!」 「こらこら。貴族はお互いを尊重しあうものだ」 ルイズとモンモランシーとかいう女の聞くに堪えない低レベルな口喧嘩(少なくともリゾットは耳栓がほしくなった)を、穏やかな声でコルベールが宥める。 この男、この集団と一人で相対しても勝てるほど飛び抜けた強さを持っているが、あまり畏怖されていないようだ。その事に僅かに首を傾げた瞬間、リゾットの体が熱くなった。 「なんだ、これはッ?!」 熱の発信源はどうやら左腕のようだ。見れば左手の甲に見知らぬ文様が刻まれていっている。熱い。 我慢出来ないほどではないが、脂汗が滲むのを感じた。 「『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ。すぐ終わるわよ」 やはりさっきのキスが契約履行の条件だったらしく、ルイズは苛立った声で説明してくれた。 どうやら契約のキスがよっぽどおきに召さなかったと思われる。しかし、激痛に襲われるリゾットにはそこまでルイズを観察する余裕は無い。 ぐっと唇を噛み締めて痛みに耐える。そして、その数瞬後、熱と痛みはあっさりと退いた。 「……使い魔のルーンか……。本格的だな……」 異常が終わった事に安堵の息を吐いたリゾットは、左手の甲に浮かび上がった文様を見てそう零した。 すると、コルベールが近づいてきて、リゾットの左手を持ち上げた。リゾットは反射的に攻撃に転じようとして、意識的にそれを抑えた。 コルベールにはリゾットに危害を加えようとする意志は無い。ただ、リゾットに刻まれたルーンを確認しようとしているだけだ。 相手に完全に敵意が無いことを理解し、リゾットはそれまで無意識に行っていた警戒を解いた。 この男はリゾットが敵になろうと思わない限り攻撃してこないだろう。 「ふむ……。珍しいルーンだな」 何か突っ込まれるかと思ったが、感想はそれだけのようだった。 もしかしたら自分が普通の人間ではないことがばれるかもしれないと思っていたリゾットは、この台詞に安心する。 「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」 「ちょっと待ってくれ」 くるりと踵を返して生徒たちに指示を出すコルベールを、リゾットは呼び止めた。平民の事を侮っている者たちなので無視されるかもしれないと案じていたが、リゾットが初めて自主的に声を掛けたからか、コルベールは興味深げな顔をして振り返ってくれた。 「何かね、――……ええと……」 声を掛けたコルベールはそこで自分がこの使い魔の名前を知らないことに気付いたようで、視線で名前を尋ねる。 リゾットはここで反抗的な態度を取る事のデメリットを理解していたので、出来るだけ丁重な口調で話すことにした。 「リゾット。リゾット・ネエロという。不躾で悪いのだが、気絶している彼らを運ぶのを手伝ってもらいたいのだが、お願いできるだろうか?」 その言葉にコルベールは、ああ、と軽く頷いた。別に了承したのではなく、失念していたことを思い出した、という様子だ。 複数形で話してはいたが、リゾットの仲間の事はすっかり忘れ去られていたらしい。 「そうだな、六人もの人間を学院まで運ぶのは難しいだろう。分かった。彼らはわたしが責任をもって学院に送り届けよう。君はミス・ヴァリエールと共に来たまえ」 そう言って今度こそコルベールは生徒たちに向き直り、宙に浮かんだ。 魔法使いと思わしき格好をしていることから、リゾットはこの可能性を頭のどこかで肯定していたが、想像と実際に見てみるとは大違いだという事を知る。 思わずぽかんとした間抜けな表情で、すうっと空中に飛び上がって静止するコルベールの後ろ姿を見上げる。さらに生徒たちも一斉に空へと浮かんだ。 およそ十メートルの高度で留まっている。ある意味でとても衝撃が強い光景だ。メローネなんかは飛び跳ねて喜びそうだが、あいにくとリゾットにそんな余裕は無い。 生まれて初めて見る魔法にひたすら唖然としていた。そうしているうちに、まずはコルベールが気絶しているリゾットの仲間たちを背後に浮かべて地平線の少し手前に位置している城へ向かって飛び出す。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ『フライ』はおろか『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」 次に生徒たちが口々にルイズをからかう言葉を残して去っていった。 これにはさすがのリゾットも、人間が宙を飛んでいくという画期的なシーンを目撃した興奮に砂をかけられた気分になった。 ある意味心沸き立つ光景であったため余韻に浸りたかったのだが、台無しである。が、そのおかげで現実に立ち戻ったリゾットは、横に居るルイズを見やった。 ルイズは先ほどの生徒たちの哄笑に怒りを感じているらしく、苛立ちを込めた視線で去っていく生徒たちの後ろ姿を睨みつけていた。 「あんた、なんなのよ!」 しかし、リゾットが自分を見ていることに気付くと、いきなりキレてきた。リゾットは一瞬この展開の速さについて行けずに目を見張る。 もっとも感情豊かなルイズに比べたら微々たる変化なので、相対するルイズは無反応だと感じたようで、さらに言葉を重ねるために息を吸った。 「なんで『サモン・サーヴァント』であんたみたいな平民を呼び出しちゃうのよ! ああ、ドラゴンとかグリフォンとかマンティコアとか……カッコいいのがよかったのに。それがダメだったらせめてフクロウとかワシとかそんな有能な使い魔を望んでたのに!」 どうやら癇癪玉が爆発してしまったらしい。地団太を踏んで悔しがっている。 リゾットはそんなルイズに向かってメタリカを発動させたかったが、仲間を全員生き返らせてもらった恩があるので何とか堪える。 ギアッチョだったら即行ブチギレて殴りかかるだろうな、プロシュートなら説教タイムに突入するだろう。と、苛々を紛らわせるために別のことを考えながら。 「…………それなのに、それなのに! なんであんたみたいな平民がのこのこ召喚されちゃうの?! 由緒正しい古い家柄を誇るヴァリエール家の三女であるこのわたしがなんであんたみたいな平民を使い魔にしないといけないの? ああ、わたしの人生お先真っ暗だわ!」 「………………それはすまないな。ところでミス・ヴァリエール」 全然申し訳ないと思ってない表情と声でリゾットは謝ってみせる。 ルイズはそれに対して、誠意が篭ってない! と怒鳴ったが、一応話を聞くつもりはあるらしい。じっとリゾットの目を見つめた。 「ここはどこなのか教えてもらえないか?」 「は? あんたそんな田舎から来たの? ここはトリステインよ。そして、あそこに見える城がトリステイン魔法学院! ちなみにわたしは二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエールよ。今日からあんたのご主人様だからね。ちゃんと覚えておきなさいよ」 だが断る。と、リゾットは返そうと思ったが、話がややこしくなるので止めておく。 その代わり新たに入った知識で推測を補強することにした。 (この国の名前はトリステイン。地球上には存在しない国だな。先ほどの魔法の件もあるから、ここは本当に正真正銘の異世界なのだろう。 そして、トリステイン魔法学院とか言ったな。ならばそこは国立校だと分かる。 その学校に通っているという事は、このルイズとか言う女はかなり身分の高い貴族だという事になる。そうして、貴族は平民を見下している。それもかなり徹底的にな) ルイズはその隣で、トリステイン魔法学院も知らない田舎者の平民を使い魔にするなんて。しかも、ファーストキスだったのに。 と、さらに嘆いていたが、自分の思考に没頭していたリゾットは余裕で無視した。 (とりあえず今はこの世界の情報を手に入れる事を優先しなくてはいけないな。ボスへの反逆でここしばらく緊迫した状態が続いていたからな……、少しは休息も必要だろう。それに……この女には恩もある) リゾットは飽く迄仲間たちのことを考えていた。成り行きで使い魔になってしまったが、人の実力を見極める事もできずに喚き散らすだけしか出来ない主人に忠誠を誓う気はまったく持ってない。 ――つまり、真面目に使い魔をやる気などこれっぽっちもないのである。しかし、ルイズに恩があることも事実。それを返さないことはリゾットの生き様にも関わる不祥事だ。 (恩を返すまでは使い魔として仕えるが、それ以後は………………この女次第だな) ちらりと横目でリゾットはルイズを見下ろす。彼女はまだリゾットたちを召喚してしまった事を嘆いていた。始祖ブリミルがどうとかこうとかと呟いている。 しかし、リゾットはこの我侭な少女が、まだ研磨する前の宝石のような存在である事を見抜いていた。
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(じょせいのまほうつかい)※作中では言及されていません【Lady Wizard】 『戦え!魔法使い大会』に出場しようとした女性の魔法使いの二人。 ※注意※作品内容に関するネタバレ記述あり 大会優勝者の褒賞が「プリンセス・バブルガムのキス」だったため、不満を漏らして離脱しようとした。魔法使いの長老の怒りを買い、魔法でネコ化させられた。(#31-B) タグ:キャラクター・敵キャラクター
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┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━━┓ 【名前】:ルナスヴェート・バーバチカ 【属性】:中立・悪 【残令呪数】:???┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━╋━━━━━━━━━━━┫ 【特徴】:死徒(魔術師上がり) 【家系・才能】:2・8 【特性】:吸収┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━┛ / .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. \ . .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. . .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. ... /.. .. .. .. .. .. . .. .. .. . . .. . ハ iト .. .. .. .. .. .. .. . .. ′.. .. .. .. .. . | | i i|_| ハ i ... . . | | | リ リ } |^ヽ ..| ト ハ i|リ.r匕} / _,.ィ | ,__ }!| | ゚ |斗 N \ /ィ圻i炒 , ハ .| | ゚, イ| ゝ-{ 宀^~/ { /. / . ト、 | ゚。 .l」 灯莢ミ イ / ̄___,ノ .. .| 。 乂 } . ^宀^´ | 厂 }│ .j ..| ゚ , |ハ .. } _ / | .. .i ..| 。 リ } 八 .、 ヽ / .. ./. .{ ゚ , リ }ル' 人 ー__ ´ / / ... ハ .. .。 ゚。 / . 丶 / . ../ |__..゚。 ! // > __ ィ / .. .. .′ィ } ..\ i! /ィ /~} / .. / \ }___j{ ___,,,...... --===彡' -=彳/. -=彡 彡 -=≦ア> ,. '"´... ィi´}... ==- / // -=≦ニニ\/ /.. / /ニj/ ィ⌒丶 / ///二ニニニニニニニヽ /.. ィ / / {ニニ/ / { 、ソ ァ′ ///ニニニニニニニニ|┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【スキル】 ◆魔術特性:吸収(種別:魔術 タイプ:?? ランク:?) 効果:【蟲使い】を習得 束縛:敵撤退判定を-1 ◆蟲使い(種別:?? タイプ:?? ランク:?) 効果:索敵用のトンボ、索敵判定+1 戦闘用の女郎蜘蛛、戦闘判定+1 止め用の蠍:連続成功時、補正+1 ◆死徒(種別:?? タイプ:?? ランク:?) 効果:『固有結界』を取得 連続成功により補正:+2 固有結界【忘却渓谷『赫映』】 大空は穴が開き、穴を満たすように黒い竜巻は空をうねる 樹齢千年を越す竹林しか生えない渓谷に飛ぶ全てを惑わす月光蝶の群れ 効果:????┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ / \ / _ . _\ 夂フ二㍉/ .. .ヘ / ○ 0 / / ヘ /0 ./ / ` . ハ二二シ ./. .l l l . . . . . . . / /| | . | | | | | | | . . . l /ノ-‐´ 〃l |从r=ミ、 lヘ. . .| | | 从 彡 | | 《 ト、 l 廴 少゛ ヾ. . . .人 .ノ l ノ /| / 》 | ヾl 乂ミ、 `¨´ ー=彡ク勹ヘ彡´// / / __ / __/ ○ .l l∧ `ー´ イ彡"(. / / \ ヽ __/ / / | . .|. | ∧ ' ∧/ ( 、 / 〈 \ \ | / / / / .l . lノ \ `゙ / .| | | >/ / ̄ / | ̄\\ ̄ フ / / / .l \ _ .< .| | | ̄´./ l / ヽ \\ / / . . . .| `〔l | .| |ノ / / / l | \ / / ノ `ヽ . | .| |/ /__/ ̄ ヽ_ 〉、 \ \ / / / >、 | 〔< ̄ ̄´ `ー─- 、 / .\ `ー 、\ ノ/ / _, ∧ l |__へ /l / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / / ー- " ,ノ ノ ∧ ト、 _// / / /へ/ ___,,=‐く‐┬ク\ l ヽー、___/ \ / / /二] 》、_____,,,,-‐--伝三三ミミ,,,/\ >┘ ∧ ヽ ヽ / _/ ∨二]/⌒辷ノ气辷ノ气辷ノ辷彡}三三三三==、 ∧  ̄\ |/ / / | /{ ノ三ミ彡ミl 0 ○ /0 /≦ ̄ ̄ ̄ ̄´ ヽ ヽ \ | / / `´ 彡三=´`ヽ、∨ }‐┬‐┘ /彡´ ∧ | \ | ─────‐<〃 / 丶} ○| ○ /〃 } ∧ \ \_ / / / ∨ ∨ | / ハ ∨ \ { / / ∧ ∨ ./ヘ / ∧\ ト、 \ | / / 〃ハ /ヾ/ ≧,,_ /ヽ へ \ l |\ \ | / / | / / /` 、____/∨ √`ー──彡三三}} \\| |. \ \ y / l / / / /圭圭圭圭圭| 寺圭圭圭圭圭圭{{. 、 | \ \ / .| ` / / )圭圭圭圭シ `寺圭圭圭圭圭}}  ̄\ \_______゙\ / l / / /圭圭圭圭シ `寺圭圭圭圭} \ __________∨ / // ノ 寺圭圭圭シ / \┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 【来歴】 「未記載・追記修正求む」 【性格】 「未記載・追記修正求む」 【聖杯への願い】 「未記載・追記修正求む」┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
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概要 取得可能クラスは秘術呪文使いだけ! 誰が前衛をやるんだ?『俺俺』byウォーメイジ
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<Get set ...> 意識の再起動。そのキーは、強い思いだった。 氷の霧が晴れていくのを、再起動した体の目が映す。晴れたその先にあるのは、金の髪を振り乱して笑う侵魔。 これはお前にしかできないことだ、とあいつは言った。 それぞれの役割を語ったあいつの目は真剣そのもので、それを信じさせるには十分だった。 なによりあいつが一番危険な目にあうはずなのに、そのことに気負い一つ見せなかったことが自分にそれを信じさせた。 力が戻る。 まだやれる。 たとえ腹に大穴が空いてようと、体の損傷などいくらでも暴走気味のウィルスが癒してしまう。 だから、こうなった時にむしろ大切なのは心のほう。 暴走気味の同居人に流されることなく、苦痛に悲鳴をあげたい肉体に流されることなく、いつまで『戦うための思い』を保てるかどうか。 倒れない。 こんなところで倒れる気はないし、バケモノになるつもりもない。 ここまできたんだ、後は――― 視界に再び金髪の侵魔が映る。 ―――あいつを倒すだけで、ハッピーエンドに手が届く! 愉快な気分で、獣のように犬歯をむき出しに盛大な笑みを刻み。彼はしっかりと、人としての意識を取り戻す。 仲間に任されたのは、たったひとつのわかりやすくてシンプルなこと。 任された役目をまっとうするために―――勝利をその手に掴むために。 今は手の中の感触をしっかりと握り締めて。ただ、時を待つ。 <紅に染まる戦場・後> ほう、と侵魔はノーチェのとった行動を虚をつかれた思いで見ていた。 あの状況で司をかばう、という行動をとるとは思わなかったのだ。そもそもノーチェはスペルマスター系のクラス、けして体力のあるほうではない。 司もそう体力があるとはいえず、平均的なものだ。となれば、あの光の雨を防御魔法一枚程度で生き残ることは不可能。 これで全滅に陥らせることができるはずだった。 その予測を、ノーチェは覆してみせたのだ。しかし侵魔は笑みを崩さない。その功績は、ノーチェの命をもったものであるからだ。 支援能力のあるノーチェが生き残るよりも、司の一人の方がよりくみしやすい。遠距離攻撃能力者が一人残ったところで、できることなどほとんどない。 賞賛と哀れみと優越感をもって、彼女は煙の向こうを一瞥する。 まったく、哀れだ。そう呟いたその時だった。 さくん、と軽い音。 同時に彼女の体のバランスが崩れた。あわてて倒れないよう足を踏ん張る。 倒れることだけは免れたものの、バランスのおかしさは変わらない。何かの攻撃を受けているのかとも思ったが、そういった効果は見当たらない。 そして彼女は気づく。 先の軽い音と時を同じくして、ひゅんひゅん、と何かが旋回している音がすることに。 その音は彼女の背後から。やがて風を切る旋回音は遠くなりゆき、ぼと、とやけに生々しい、なにかが落ちる音がした。 彼女がその落下音の方を振り向く。そこには――― 白い腕が、あった。 先の隼人の斬撃によって切り裂かれ、その傷痕にそってもとの白い色そのままに、断面の一部が乳白色の結晶に変化している、左腕。 そしてその結晶は彼女の左腕―――その断面にも付着している。つまりそれは、まごうことなき彼女の腕であった。 絶句する。 頭に冷や水をぶっかけられた感覚。空白地帯が頭の中を一瞬にして埋め尽くす。 確かに隼人の一撃を受けはした。傷口が結晶化させられかけていたのも認めよう。 しかし、あれは確かに深手ではあっても問題のないダメージだったはずだ。 半ばまで結晶化させられた後も魔力伝導率も落ちた様子はない、それは先のジャッジメントレイの威力からしてもわかる。 それがなぜ、こんな時間差で腕が―――っ? 「ば……っかなっ!?」 「―――事実でありますよ。受け入れるであります。 わたくしの即時展開魔装も、半ば切り絶たれたものを切れないほど非力ではないでありますよ」 その特徴的なしゃべり方に、侵魔の体がぎくりと震えた。 そろそろとそちらを見ると、すでに砂煙が降りた中で、いまだ荒れる風にばさりと翻る長い銀の髪。 銀糸のごときそれは、風に巻かれて、一匹の竜のごとくにも見える。 そこには、今穴だらけになったゴシックロリータの服をひらひらと風になぶられながら、口元の血を拭い、赤い大きな瞳をゆがめた、侵魔を見つめる少女の姿。 いつもある愛嬌のある笑顔はそこにはなく、にやりと不敵な表情で笑っている―――ノーチェが立っていた。 「なぜだっ!?なぜ貴様が―――っ!」 「死んだはずだろう、でありますか? 仮にも世界を敵に回した侵魔が、敵にまわしたのは人間だけなんて、そんな都合のいいことが本気であるとでも思っていたのでありますか? あそこにはもっと他にも仲間がたくさん住んでるであります。 人間とも、まぎれていけば暮らせるはずだったのでありますのに―――侵魔なんてものが入ってきたせいで、『妖怪』は悪であるという考え方も生まれた。 それのせいで、どれだけの人外が迷惑してると思ってるでありますか?」 怒りの混じった言葉。彼女は人外であっても人間と共に生きることを肯定する珍しいタイプの吸血鬼だ。 そして人間よりも魔に近い人外が、侵魔によって利用され起きた悲劇を知っている。だからこそ、たとえケンカが嫌いでも、自分のために、仲間のために彼女は戦うのだ。 その言葉に、鈍感だった侵魔も感づいた。 この娘は人間ではない。魔法をあれだけ自在に操っていたことも勘定に入れれば、当然不死者の王であろう。 あれだけの光の渦の中再び立ち上がるのは深紅の夜に立ち向かい続ける矜持と生命力ゆえ、身体的な急激な変化は彼女の髪を結んでいた拘束術式を開放したため。 吸血鬼、と呼ばれる人外の死ににくさはウィザードの中でもトップクラス。あれだけの光の雨とて、一度の直撃程度ではそうそう死にはしない。 それ以上に、侵魔は戦慄する。 いや。そんなことよりも、左腕がないと私は――― その先を考えようとするのを必死に押し込めたその時。 びちゃびちゃっ、と大量の液体が地面に落ちる音がした。 侵魔はおそるおそるそちらに目をやる。彼女はそこにあるものを理解している。 ありえない。『あれ』が今更動くことなどはありえてはならない。それは彼女自身が一番よく知っている。あれだけのことをされて、動けるはずはないのだから。 ノーチェが表情を変えずに、音のもとに向けて声をかける。 「頼まれたことはやったでありますよ―――蓮司」 「おう……上等だ。ノーチェ、司」 水音は口の中にたまった血の塊を吐き出した音。 今まで力なく閉じられていた瞳が、いつもの半眼に開かれる。 傷が癒えたわけではない。串刺しの状態が終わったわけでも当然ない。 痛くないはずなど当然ない。体中の痛みにさいなまれ続け、体はまともに動かせない。 脂汗と血はいまだに流れ続けている。この状態では痛みだけで意識を失ってもおかしくはない。 それでも―――柊蓮司は、目を覚ました。 胸元から淡い光が漏れていた。 光の元は、彼の懐にある夜色の石から。ウィザードならば誰もが知っている、最近開発された魔導具―――死活の石だ。 死に瀕したものに対し、強い生への執着を持たせて意識を保たせる魔法の石。 しかし、これが効果を発揮するには多少時間がかかる。 その間に<ジャッジメントレイ>なんて広域殺傷魔法でもぶち込まれて塵も残らなくなれば、さすがにどんな手を使っても復活は叶わない。 だからこその一手。それが司の一撃であり、注意を他にそらし彼の生存確率を0にしないための策。 とどめを刺されるのを待つだけのはずの柊が息を吹き返したことに怖気立つ侵魔。しかし彼女はすぐに死活の石のことを思い出し、舌打ちして平静を取り戻す。 「柊蓮司……っ!相変わらず、往生際の悪いっ……!」 「しつこさだけ、は……自信があって、…っな」 とぎれとぎれに言葉をつむぐ柊。その言葉には、空気の漏れるような呼吸音がついてまわる。 彼は目を覚ましたが、逆に言うのならそれだけだ。体中の傷が消えたわけでも、それどころか自由に動けるようになったわけでもない。 体のどこが痛いのかさえわからないほどの苦痛が常に頭に信号として送られていて、麻痺した頭は痛覚の活動を凍結させるほど。 今の彼にあるのは、奇跡とも言えるほどにかすかに残った、あるかなしかの意識だけだ。 呼吸をするのすら困難なその様子を見て、侵魔が自分の絶対的優位を誇るように笑った。 「はは……はははっ!柊蓮司、ずいぶんと苦しそうじゃないか? お前の命が私に握られているということを、忘れたわけではないだろうなっ!?」 ずぐり、と侵魔は、彼女の手の先から地中にもぐり、分裂し地上に出て伸びた肉の槍を意図的に軽く揺らす。 それにより一部の傷口を広げられ、ばたばたばたっとあらゆるところからに池にしたたり落ちる血。柊が苦痛に顔を歪めるが、悲鳴は上がらない。 口に血が溜まり声を上げることもかなわない、と言った方が正解なのだが。 その様子を見て笑い声を上げる侵魔。 柊は再び口の中の血の塊を吐き出すと―――実質的に自分の命を握られている状況下でなお、再び不敵に笑った。 2、3度咳をすると、ある程度呼吸を整え彼は侵魔に向けて告げる。 「お前、こそ。どうなんだよ。左腕……飛んでっちまったぞ?」 ぎくり、と。侵魔の背筋がその言葉に凍る。表情が一気に強ばる。息を忘れる。 エミュレイターと呼ばれるものたちにとって、特に彼女のように実体化できる侵魔・シェイプドライフであり、その上完全に人間と同じ形を持てる程の力を持つものが、 腕の一つ二つ失ったくらいで特に戦いは不利になることはない。先ほど柊に腰を半ば斬り絶たれかけた傷もすでにないし、司によってつけられた傷もすでに消えている。 侵魔にとって体とは容れものであり、血などは流れない。その容れものも、精神体たる彼らはプラーナをそちらに傾けるだけで修復される。 確かにそれが腕一本となれば力と時間は必要になるが、逆に言えばそれだけだ。ジャームとしての力と魔法を同時に使える彼女の圧倒的優位が崩されるはずもない。 それでも、侵魔は柊のその言葉に恐怖した。 「貴様……まさか。気づいて、いるのか?」 その、心底の恐怖の声に。彼は笑みを崩さず聞き返した。 「お前、が。左手……でしか、魔法が使えないって。ことか?」 全身を絶え間なくさいなむ、地獄のような苦痛の中で、己の血にまみれながら。 それでもなお自分達の勝利を信じて敵を睨む柊。 今にも途切れそうな彼の意識を繋ぎとめているのは、強靭な意志ゆえ。絶対に負けない、という、絶対にみんなで生きて帰る、という強い意志ゆえに。 めげない、曲げない、諦めない。強くゆらがぬ意思。 それこそが柊蓮司の本質だと。それは―――侵魔自身も知っていたことではなかったか。 そんな姿を、侵魔は底知れないものと相対したような悪寒に襲われながら見ていた。 なんだ。なんなんだこの男は、と今にも叫びだしそうな震える心を押えながら、彼女は柊を見続ける。 今になって思えば、おかしい点はいくつもあった。 隼人の氷霧の中の突貫は、結晶化能力を使用していなかったこと。あれがあれば少しくらいはダメージが通っていたはずだ。隼人に彼女の意識を集めることにも繋がる。 柊をなぶる中、彼が一度もプラーナを開放しなかったこと。指に貫かれ、髪に削り抉られ、そんな苛烈で過激な猛攻の中、柊は悪あがきをしない人間ではない。 彼にとどめをさすのを、司ががむしゃらに止めたこと。仲間を傷つけられることに対しては慣れている彼が、あんなに必死になるようにはやはり見えない。 柊は、口の中に残った鉄錆味の欠片を吐き出して、言葉を続けた。 「……でなきゃ。こんなに体張って、この手を止めるかよ」 きっかけは一度戦った時のこと。柊が剣で右手を受け止めた時点で、右手で魔法を発動すればそこで詰んでいたはずだ。 もちろんただの性癖、という場合もなきにしもあらず。だから、ノーチェの水晶球に映し出される司との戦いの映像を見てその想像を補強した。 この侵魔はどういう理由かまではわからないが、右手でしかエフェクトを使えず、左手でしか魔法を使えない。 それをノーチェに告げると、彼女と結希はおそらくは異なる能力の放出口を同じにするとどんな干渉が起こるかわからないので能力を出す場所を変えたのでは、と推測した。 まぁ、難しい話はどうでもいい。敵の特徴が分かって、その上攻めるべき場所も把握できた。 その後、身をもって左手でしか魔法は使えないが、右手が一番上手く使えるだけで、それ以外もある程度エフェクトを使用できる、が正解だと気づくが作戦自体は変更なし。 防御も範囲攻撃もできる魔法が使える厄介な左手を失わせるためには、ダメージを軽減できる右手を何かに集中させておく必要があった、ということ。 彼は、侵魔に告げた。 彼女にとっての恐怖の言葉を。 「囮ってのは、狙われてる奴、が。やらなきゃ……効果薄い、だろーが」 ぞくりと総毛立つ言葉と視線。 彼女は激昂を持ってその悪寒を吹き飛ばそうとする。 「なにを……バカなことを、言っているっ!?貴様が私に命を握られているのは変わらんっ!」 侵魔の噛み付かんばかりの絶叫。それに。 柊は不敵に笑ったまま答えた。その声にあるのは、変わらない不屈の意思と信念。 「……まーな。けどな、一つ言わせろ、よ。 お前、こそ。……俺が、ここまでやられて、黙ってられるような…温和な奴だとでも思ってんのか?」 なに?と眉をひそめる。 柊は、どこにそんな力があるのかわからないほどぼろぼろの状態だというのに、唯一串刺しになっていない剣を握った手を、ゆっくりと持ち上げる。 全身に残る力を振り絞るように。剣を握る腕は力が入らないのだろう、細かく震えてすらいる。それでも。何の意味もないその行為に、残る力を振り絞る。 それをふり回す力などどこにも残ってないはずなのだ。それどころか、剣をこの状態から振り下ろしたところで腕一本の力では柔らかい彼女の体を斬ることなど不可能。 なのに。 金髪の侵魔には、高々と掲げられたその刃が、魔を斬り殺す斬魔の断頭の刃のように見えた。 内心の恐怖を覆い隠し、腕に力を込めて、叫ぶ。 「黙れっ!今すぐこのままくびり殺してくれる!」 「慌てん、なよ。余裕がなくなってきてるぜ? 俺は囮だって言っただろ、なぁ―――『隼人』っ!」 全幅にして絶対の信頼をもった、叫び声が吐き出される。 その声に応えるように、同時。 『なにか』によって、侵魔は深く切りつけられていた。伝わる衝撃によって一瞬にして意識を刈り取られる。 彼女が切り付けたものを『なにか』としか理解できなかったのは単純な理由だ。 それは彼女の目に映らないほどの高速で、音も風の流れも気配すらも置き去りに、閃光のごときスピードで彼女に接敵、無言で斬りつけたからだった。 もちろん―――斬ったのは隼人だ。 彼の中のレネゲイドは、半ば彼自身の意思を無視して傷を癒し、あらゆるものを壊せ、と精神(こころ)を蝕む。 隼人はその内なる声に心をゆだねず、それ以上の意思をもって体に染み付いた力の使い方で、ただ敵を斬るために走った。 それが彼の役目。ただ敵を斬ることが、彼自身に与えられ、また彼のできる唯一のこと。 月匣突入前。さまざまな役目を与えられた残りの二人に対し、隼人が柊に言われたのはたったの一言。 『とりあえず全力であいつをぶった斬れ』 どうしようもなく単純なその役目に、少し不満を口にすると、そいつは苦笑して言ったのだ。 『俺らみたいなとにかく前に出て、体張って殴るしか能のない連中に、それ以外のことができるとでも思ってんのか?』 それはつまり。前に出て敵にダメージを与える、という一点に関しては柊が隼人を信頼しているということだ。そしてその言葉は、隼人にとっては何よりの力になる。 任された役目であるその斬撃は。これまでで最速の、彼自身を黒き閃光に見まごうほどの一撃。 それは、腕を失い幾度も凍らされ斬りつけられた侵魔の意識を一撃のもとに飛ばすほどの超音速の切り上げ。 ただただ速いだけではない。その動きは、まさに人とは思えないほどの力強さ。 オーヴァードで、ハヌマーンであるからこそできる斬撃だった。 けれど、侵魔もただでは転ばない。 一瞬の後に意識を取り戻し、いまだ体にくすぶる衝撃を、体をそのまま裂いて流し、もう一度くっつける。 その程度のことならば精神生命体のエミュレイターであり、その上エグザイルの能力を使用できる彼女ならばこともない。 何が起きたのかはわからないが、この場では彼女の敵は彼女以外の全員だ。 ぎり、と歯噛み。視覚はつながったまま。ならば敵を目に映して打倒するだけ。 後ろにのめりかけた体を強引に引き戻そうと足を踏ん張り、体を戻そうとして――― 空に異質を見た。 空はいまだ赤いまま。そこに変化はない。 しかし。 その先に輝くものがあった。 色はない。色を透けとおす大量の『もの』が空に浮かんでいた。 それは、武器の群れだった。 短剣が。長槍が。箒が。句内が。鎌が。突撃槍が。長柄が。峨嵋刺が。斧が。手甲が。打撃棍が。鉄鎚が。刀が。薙刀が。細剣が。曲刀が。駆動鋸が。手裏剣が。長剣が。 弓矢が。銃が。機関銃が。狙撃銃が。投矢が。小銃が。銃剣が。榴弾が。拳銃が。機械弓が。砲撃用箒が。鞭が。魔法杖が。 3Dフレームで作った水晶やガラスのような、形だけはそこにある、さまざまな武器がそこにあった。 形も違えば攻撃方法も違う、まったく統一感のない武器の群れ。 いや、全ての武器に統一されて存在する特徴があった。 ―――そこだけ色のついた、赤い月などよりもなお強く深い、臙脂に近いまでの真紅の宝玉。 ぱっと見ただけでは赤い空に変化がないのは、その宝玉も色彩は違えど赤であるゆえに。 赤い紅い夕焼け色の宝玉の武器群が、切っ先を下にし、そこにある。 侵魔はその宝玉を、幾度も目にしていた。それを突きつけられ、命からがら逃げ出せたこともあった。 それは、神殺しの名を冠す刃。 名を持たず、それゆえに下級侵魔の間では嘲りと侮蔑を込めて『名無し』『無銘』と呼ばれ、畏怖と恐怖をもって『黄昏の剣』とも呼ばれる、魔の企みの終焉を告げるもの。 今彼女の頭上にあるものは、その剣の平行世界存在群。 魔剣とはいえただの剣に世界を超える力はない。ゆえに、自身の平行世界存在の形だけしか存在できない幻。それでもそれらは、『己の担い手』の号令を待つ。 武器とは『害なすものを止める器』という意味を持つ。 つまり『守るもの』という意味を持っており、それが第一に守るものは己を担う主である。己の主の命令は、身命にかけて守るもの。それが武器の意義だ。 それは多にして一。個にして全。無数に存在しながら一人でしかない『担い手』の、声を待つように整然と中空に整列する。 侵魔は目を最大限に見開き、向かい来る滅びに抗うことも忘れ、その光景をただ目にする。 口の端から血の筋を走らせながら、魔剣を高く掲げた柊は、封印開放、と唇を動かす。音にならぬその言葉は、確かにその意思を聞き届けた武器群により即座に実行される。 きぃん、と高い音が空中に響き、一つ一つの武器の宝玉が真の輝きを開放。赤い空をより強く赤く、燃えるような空色へと染めかえる。 残したわずかなプラーナを開放し、力に変換。それは清涼な風のように舞い上がり、武器の群れに纏われる。 そして。彼は。 すでに大量に己の血を吸った、届かぬ刃を―――振り下ろす。 それはまるでオーケストラの指揮者の指揮棒のごとく。戦場の隊司令官の軍刀のごとく。動かぬ体で、残る全ての力を搾り出すように―――叫ぶ。 「いっ……けええええぇぇぇぇっ!!」 体中から無理をした代償として血煙を撒き散らしながら。放たれたその言葉を待っていたかのように、敵めがけ降り注ぐ武器の雨。 侵魔はその場から逃げ切るのは不可能と判断しつつも、背を向けて逃げようとする。 しかしそれは叶わない。司が先ほど彼女を食らった氷の塔は、破砕されながらも足を凍りつかせ地面とつなぎとめられていて、その場から動くことはできなくなっていた。 だから、彼女にはその武器の群れを見ていることしかできなかった。 「が、あああああぁっ!」 降り注ぐ刃の雨。 剣が裂き、槍が突き、斧が断ち、鋸が斬り、矢が穿ち、弾が貫き、棍が砕き。 次々と容赦なく動けぬ侵魔を貫いていく幻の刃。魔を貫いては砕けていく、儚くされど強い意志により統制された忠実なる軍勢。 痛みとともに近くなっていく自身の底。それに恐怖しながら、それでも彼女には次々と自身に向けて降り注ぐ刃の軍勢を見ていることしかできはしない。 そんな、生きるもの全ての生存を許さぬ雨の中で動けるものなどいるはずもない。しかし侵魔は、その透明な刃の雨の中を猛然と突き進む黒い閃光を見た。 「これで―――終わりだぁぁっ!」 斬撃で生まれた勢いをさらに利用し、刃の雨の中視線は侵魔に据えたまま、降る場所がわかっているようにかわし、足元に突き刺さった短剣を蹴り、跳ぶ。砕ける幻の剣。 その勢いのまま。速度を殺さず、むしろそれ以上に速く、両手で握った刃を、振りぬく。 斬った部分が結晶化。その上斬撃の衝撃によりその場所から次々と結晶が吹き飛ばされていく。 結晶化したままの部分を降り来る透明な刃が貫き、自身の破砕とともに砕け散らせる。 両腕を失い、右半身を失い、体中を大穴だらけにして。滅びに向かう自分を受け入れられない侵魔は、なお叫ぶ。 「いやだ、私の計画が、この世界を食らう私の計画がっ……こんな、ところでっ!?」 「俺たちが必死になって守ってきたからこの町の日常があるんだぜ?お前なんかにここをやれるかよ。 それから―――柊(あいつ)から伝言だ。『そもそも知恵ってのは、力で劣る人間が使うもんだ。付け焼刃の策略なんぞでそこをお前らが超えられると思うなよ』だとさ」 隼人が黒い剣を肩に乗せ、人間ナメんな、と呟いて。砕けていく侵魔に肩をすくめる。 侵魔はもう一度何かを叫ぼうとし―――その前に顔までぱきりと結晶化し、砕けた。 時を同じくし、粉状の結晶が赤い空に舞い、いまだに宙ぶらりんの状態だった柊が抵抗ひとつすることなく地面に落ち、自分の血の池に沈む。 ばちゃり、という水音とともに赤い空から赤さが抜けていく。 黒い夜闇が取り戻され秋葉原はこの瞬間、平穏を取り戻した。 街にかけられていたワーディングが解除され―――街のあちこちに、一拍の間をおいて歓声が上がった。 <戦い終わって日が暮れる> 「えーと、とりあえずは毛針はほっといて他の治療いくでありますね。このなんか大穴空きまくりのとこは特に危ないと思うでありますよー。 もう、こう、なんていうか……ひっくり返す直前のホットケーキみたいな?」 髪の毛を適当に黒いリボンでくくりなおし、ポニーテール状にしたノーチェが応急処置の回復魔法を行う。 柊が彼女のやけに具体的な説明台詞にうんざりしたように目を閉じたまま呟く。 「……頼むノーチェ、もうちょっと静かにやってくんねーか。想像して気持ち悪くなるから」 「え?ですから、ケガするのに麻痺した人間っていうのはすぐ特攻したがるからちょっとくらい痛い目見せろと研修時に言われてるでありましてな? あ、隼人も逃げちゃダメでありますよ。いくら自動修復してくれるからってきちんと治療した方がいいことには変わりないのでありますから」 「遠慮するっ!そんなドS直伝の治療受けたくねぇよっ!?」 もっともである。 そんな隼人を横目で見て、司がそういえば、と呟く。 「あー、でもこれもファンタジー世界独特だよな。めったに受けらんねぇと思うんだが」 「ぜひよろしくお願いしますノーチェ先生」 「……ミーハーめ」 閑話休題。 MPポーションを月衣から取り出し、一気飲みした後腕まくりしたノーチェは、唯一の回復手段を持つ貴重な人材だ。 彼女は容態を見ながらうーん、とうなると柊に問う。 「蓮司蓮司、一気に回復するけど困ったことが起きるかもしれない方法と、ちょっと長い間苦しいけど安全な方法、どっちがいいでありますか?」 「……その心は?」 「わたくしの血を飲むか普通に回復魔法繰り返すか」 「後者でっ。むしろ後者じゃなけりゃ嫌だよっ!?」 コンマ1秒で即答。穴だらけ(ほっとけーき)のどこにそんな力が残っているのかは分からないが、さすがに吸血鬼になるリスクはちょっと負いたくなかったらしい。 こくんと頷き、ノーチェはいくでありますよーと間の抜けた声を告げ、手のひらを上に掲げた。 すると彼女を中心として虹色に輝く煌く魔法陣が現れて煌きがそのまま彼らを覆っていく。舞い上がる光。 光は傷口を覆い、内側から修復を行っていく。 その光が止むのを待ち、隼人が自分の体を見る。半分以上はレネゲイドの力でふさがっていたものの、ずいぶんと体が軽くなるのを自覚した。 血は完全に止まり、皮のつっぱる感覚もない。感心しながら言う。 「すっげぇな魔法。さすがファンタジー」 「魔法自体は一応法則性があるものでありますよ。わたくしから見れば隼人のあの移動速度とか司の氷を出す力とかの方がずっと不思議でありますが」 そう告げながら、まだ立ち上がる気力もない様子の柊に対して手を掲げひーるー、と緊張感のない声で魔法を発動している。 隼人もそんなもんかね、と呟いて、司を見た。面白そうに彼はからかう。 「それより、司。お前あの時普通にキレてただろ」 「……なんのことだか、さっぱりだな」 隼人のからかいにそっぽを向いてそう答える司。 そんな司の様子に、にやにやしつつさらに踏み込む隼人。 「とぼけんなよ。柊が囮になった後お前とノーチェでなんとか注意そらすっていう話だったのに、注意逸らすだけにしちゃ派手すぎるだろアレ。 うっかりこっちも巻き込まれかけたんだぞ」 「巻き込まれたらお前がマヌケだっつーだけの話だな」 「巻き込んだらお前のコントロールがド下手だっつーだけの話だぞ?」 笑う隼人にうるせぇ、と呟く司。 そもそもがクールなように見えるよう動いたり、どちらかというと斜に構えた考え方をした本人が熱くなったのを照れたらしい。難儀なツンデレである。 司はその隼人の視線から逃れるように、傍らに落ちていた大きな赤い石を見つけ、拾う。 「おいノーチェ、欲しいのってこれでいいのかよ?」 「お。ありがとうでありますよ司っ!それだけあれば蓮司も一緒に向こうに帰れるでありますっ!」 笑顔のノーチェの放った帰る、の言葉に少しだけ重くなる雰囲気。 その空気を壊したのは、数度目のヒールによってなんとか苦痛なくしゃべれるようになった柊だった。 「別にすぐ帰るわけじゃねぇよ。8月の終わりまでは働いてほしいって支部長さんに言われてるし、それまではこっちでゆっくり羽根伸ばすさ」 その言葉になんだ、と呟く二人。 なんだってなんだよ、と不機嫌そうに呟きながら、ほら、と柊はぼろぼろの右腕を拳を固めてふらふらと揺らしながらも突き出す。 その意図をくみ取り、ノーチェは右手で回復魔法をかけながら左手の拳を固め。司は軽く握った拳を裏拳気味に。隼人は笑って拳を握って。 ―――ごつん、と四つの拳が打ち合った。 つぎでおしまい。 ← Prev Next →
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風の使い魔-1