約 586,289 件
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/7993.html
DQⅨ 混乱、幻、毒や死の呪文に強い神々の兜。守備力は50。 装備できるのは戦士、僧侶、旅芸人、バトルマスター、パラディン、魔法戦士、スーパースター。 入手方法は【しゅくふくのかぶと】+【しんかのひせき】×3+【パープルオーブ】×3の錬金で、大成功した時のみ。 ちなみに、大成功しなかった時はきせきのかぶとになる。 下位3種は赤っぽい配色だが、これは金色となっている。 能力値も頭部防具最高の守備力を誇り、異常を防ぐ確率も更に上がっており、即死耐性も追加されている。 大成功の確率はみのまもりの値に左右されるが、その値が一番高いLv99の戦士で、みのまもりアップのスキルを全部獲得しても20%にしかならない。
https://w.atwiki.jp/dactiltoeb/pages/428.html
ヴァルキリー 補正…攻撃+2 防御-2 回避-2 命中+1 HP+600 ALI…L/N STR…D以上 肉弾・魔法の2種類の攻撃をこなし、オールラウンドに力を発揮する魔法戦士 ナイトに比べ、やや非力さが目立つ STR EでもEの高いほうなら大丈夫なようだ 安心して序盤に総帥に攻撃できるか? (名無し) 回避-2というのが致命的。 急いでランクアップしようとすると、 ファイターソルジャーアマゾネスから先手が取れずに狩るときもジリ貧になる。 自分は回避↑武器を使っていたが、それでもF相手になかなか先手をとれなかった。 (名無し) 修正前(3/30) 補正…攻撃+2 防御-2 回避-1 命中+1 ALI…L/N STR…D以上
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/6632.html
DQⅨ 守備力37の上半身装備。アルマの塔6階の宝箱から入手可能。 通常の冒険ではそこでしか手に入らない一品物であるが、Wi-Fiショッピングにて19000Gで売り出されることもある。 装備できるのは僧侶、魔法使い、旅芸人、魔法戦士、レンジャー、賢者、スーパースター。 法衣としてはかなり優秀な守備力だが、呪われているため眠り、混乱、幻惑、マヒ、即死に弱くなる。 いずれも致命的なので、あまり装備したくない。 聖者の灰を3つ使って浄化することにより、【セレシアのころも】へと生まれ変わる。 ちなみに他の類似する装備品と違って、うらみのほうじゅでコレに戻すことはできない。
https://w.atwiki.jp/deyuu/pages/18.html
アップデート実施日:2012年12月26日 時系列ふるい順 結晶システム アクセ合成 迷宮 タコメット健在(多彩な狩り方が登場) ガルゴルが話題に 同時にイーターも話題に バザックス健在 キメラで金策 盗賊50クエで経験値の古文書回収周回 特訓おすすめ(1.4で仕様変更) マラソン情報を今更記載 公式情報 新職業、魔法戦士、スーパースターの追加 レベル制限Lv55→60 魔法の迷宮(繰り返しダンジョン) スキルポイントが入手可能な「特訓モード」の実装 アクセサリー合成屋 ふくびき 美容院 ドレスアップ屋の実装 家キット、スライムハウスやスモールタワーの追加 職人による家具の生産、職人レベル30→35、職人レシピの追加 ベッドやイスに寝たり座れる
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/301.html
Chapter21「人と竜をつなぐ架け橋」 フレイは人間ではない。竜人族だった。 驚愕の事実をつきつけられて、フレイはパニックを起こしていた。 今まで信じてきたものがすべて音を立てて崩れ去っていくようで、自分が自分でなくなってしまったような気がして、心が叫び声を上げて落ち着かなかった。 一人で大神殿を飛び出したフレイは、ただ闇雲にアルヴの地を走り回った。頭をからっぽにして、この言いようのない不安を断ち切りたかった。 しかし、いくら走っても気持ちが落ち着くようなことはなかった。 (僕は……竜人族なのか。人からも竜からも忌み嫌われる存在……) 走り疲れて立ち止まったフレイは、失意のままにその場に座り込んだ。 そして自分の両手をじっと見つめた。 見慣れた手だ。指の数はちゃんと五本あるし、鉤爪があったり水かきがついていたりするようなことはない。もちろん鱗もない。至って普通の人間の手だ。 そのまま両手を頭にやって自分の後頭部に触れる。髪をかきわけてみても、そこにツノが生えていたりするようなことはない。背中や腰に触れても、翼はついていないし、しっぽも生えてはいない。 外見上は普通の人間とまったく変わりない。 アルバスに「そなたは竜人族だ」と言われたのは、ただの聞き間違いだったのではないか。あるいは嘘だったのかもしれない。そうに違いない。いや、そうだと信じたい。 顔を上げて周囲を見渡すと、何人かの竜人の姿が見える。 人の姿によく似ているが、ツノと翼が生えている者。翼はないが、顔は竜でしっぽが生えている者。ほとんど竜の姿だが翼としっぽがない者。 このへんはまだいい。クルスやクエリアが人間の姿を取っているときと似た雰囲気があるので、ある意味よく見慣れている姿だ。 一方で中途半端に肌と鱗が入り混じっていたり、片方の手は人でもう片方が竜だったり、両手の指が二本ずつしかなかったり、手がそもそもヒレ状になっていて物をつかめなさそうだったりと、いかにも異形の姿の者も目に入る。 あれだって竜人族だ。すごく異質な感じがして、少し気味が悪い。 (僕があれと同じだっていうのか? 僕も化け物だと?) そう考えると少し気分が悪くなってきた。 めまいを感じて膝をつき地面に両手をつくとフレイはぜえぜえと肩で息をする。 そのときふと自分の左手の甲に目をやると、小さな擦り傷があった。いつの間にこんなところを擦りむいたのだろう、と爪でその小さな傷を軽く引っかくと、なんと左手の甲の皮がべろんとめくれてしまった。 それだけでも驚くことなのに、めくれた皮の下には褐色に輝く鱗がびっしりと生えているではないか。 慌ててその鱗を引っかくと確かに痛みを感じた。それは間違いなく自分の身体の一部だった。 半狂乱になりながらその鱗を何とか取り除こうとしているうちに、もう一方の手がいつの間にか竜の手に変わっているのに気がついた。指先には鋭い鉤爪があり、指の数も四本になっている。指の間にはわずかに水かきのようなものも見えた。 衝撃を受けていると、こんどは背筋に電撃が走った。激しい痛みは肩甲骨のあたりから背中、腰へとしだいに降下していき、臀部を過ぎるとさらに下へと進む。慣れない感覚の場所が痛んでいるなと振り返ってみると、ズボンを突き破って長い尾が伸びており、痛みを感じているのはまさにその尾だった。 痛みがあることから、それも紛れもなく自分の身体であることがわかり、しかもそれは自分の意思で自由に動かすことができる。 驚いて尻餅ついた姿勢になると、靴が脱げて足先が変化していくのが目に入る。膝から足首までの間隔が短くなり、代わりにかかとからつま先までの距離が長くなっていく。足の指は三本に変わっていて、その先端にも鋭い鉤爪がある。 なんとか立ち上がろうとしたが、どうしてもかかとが地面につかず、つま先立ちのような格好になってしまう。そしてバランスを崩して前のめりに倒れてしまい、再び四つんばいの体勢になってしまうと、こんどは首が長く伸び始めた。 動いていないのに視界がぐんぐん前へと突き出ていく。同時に鼻先も長く伸びているようで、自分の鼻が視界の真ん中にまで見えている。助けを求めようとして声を出そうとするも、口から出たのは獣の咆哮のような音だけ。とうとう言葉を話すことさえもできなくなってしまった。 もはや立ち上がろうとしても、骨格が変化してしまったのか二本の足で立ち上がることができなくなっていた。頭からはツノが生え、口には鋭い牙が並び、背中には大きな翼が姿を現す。 そして一匹の竜と化したフレイは悲しそうに一声鳴くと、翼を羽ばたかせて飛び上がり、独り虚空の向こうへと姿を消していくのだった―― 「うわぁぁああぁっ!!」 飛び跳ねるように上体を起こすと、慌ててフレイは立ち上がり自分の身体をまんべんなく確認した。 全身が冷や汗でびっしょりになっていたが、間違いなく人間の姿だった。 両手を掲げて太陽にかざす。大丈夫、見慣れた自分の手だ。 (ゆ、夢……か。お、恐ろしい夢だった) 気分が悪くなったフレイは、どうやら身体を休ませるために横になって、そのまま眠ってしまっていたらしい。今のはそのときに見た夢のようだ。 おまえは竜人族だといきなり告げられて、落ち着かない気持ちと不安があのような夢を見させたのだろう。フレイはどっと疲れたような気分だった。 「はあ……。やけにリアリティのある夢だったなぁ」 まだ心臓が早鐘のように脈打っている。 座り込んでがくりとうなだれていると、足音が近寄ってきて声をかけた。 「……あの。大丈夫? ずいぶんと気分が悪そうだけど」 顔を上げると、そこに一人の竜人がいた。 薄紫色の鱗に長い尾があるが翼はない。竜に近い顔立ちをしているので、竜の血が濃いほうの竜人族だろう。 「わたしはゲルダ。あなたは?」 そう言ってゲルダは手を差し出す。 「フレイ。僕はフレイだ」 手を取って、ゆっくりとフレイは立ち上がった。二人の背丈はだいたい同じぐらいだが、並んで立つとわずかにフレイのほうが高い。 「心配してくれてありがとう。少しめまいがしただけなんだ。もう大丈夫だ」 「そう。ならいいんだけど」 ゲルダは頬に手を当てて首を傾げている。 人の尺度でいうとゲルダはなかなか良いスタイルをしており、気にしないようにしてもくびれた身体のラインについ視線がいってしまう。というのもゲルダを始めとして竜人族は服を着ていなかったからだ。そういう文化がないからなのかもしれないが、フレイは目のやり場に困っていた。 思わず照れたように少しうつむくフレイに、ゲルダから言葉を投げかけた。 「見かけない顔だね。外から来たの?」 「ま、まあ、そんなところだ」 「へぇ~。だから変わったものを身に着けてるんだね。フレイって人間?」 よほど外から来た者が珍しいのか、純真無垢な顔を近づけてゲルダは熱心に聞いてくる。少し悩んだが、フレイは正直に答えることにした。 「そうだと思ってたけど違った。僕も竜人族らしいんだ」 それを聞いてゲルダはフレイの周囲を回りながら、その姿をぐるっと見回すと、 「そうなんだ。じゃあわたしと同じだね」 と純粋な笑顔をみせるのだった。 「ねえねえ、外ってどんなところ?」 「どんなって……そうだな。僕の育ったところは大樹の上に街があって」 「タイジュって何?」 「あ、ああ。大樹っていうのはすごく大きな木で、正式な名前はユグドラシルというんだ。まるで島みたいに広くて、枝は何人乗っても大丈夫な道みたいなもので、葉っぱも人より大きいし……」 ゲルダは興味津々に外の世界のことをフレイに聞いてきたので、フレイはこれまでに行ったムスペルスやニヴルヘイムなどの様子を語って聞かせた。その話にゲルダは食い入るように耳を傾けた。 話を聞き終えるとゲルダは軽くため息をつきながら、まだ見ぬ外の世界について思いを馳せるのだった。 「はぁ~あ、いいなぁ。外の世界かぁ。わたしも見てみたいな」 「君はアルヴから出たことがないのか?」 「うん。わたしはここで生まれて、ここで育って、ずっとここで暮らしてきたの」 「そうなんだ。でも気になるなら、外に出たらいいんじゃないの?」 「そうだよね。でもわたしには羽がないから……」 なるほど、たしかにゲルダには翼は生えていない。竜というのは飛ぶものだという固定観念みたいなものがフレイにはあったが、竜人の場合はそのすべてが必ずしも翼をもっているとは限らない。自分もそうであるように。 見たところ、アルヴには魔導船のような移動手段も存在していないようなので、翼も船もなければたしかにここから出ることは難しい。 (そういえば、フリードは転移魔法で送ってもらったと言ってたもんな) そんなことを考えていると、ゲルダは再びフレイの姿をじっと見つめた。 「何?」 「ううん。フレイにも翼ないなぁって。どうやってここに来たのかなって」 ごもっともな質問だ。こんどは魔導船のこと、それに乗って旅をしてきたことを話すと、ゲルダは目を丸くして驚いてみせた。 「フネ! そんな大きな乗り物があるんだ!」 「ああ……。そうか、そこからか」 「やっぱり外の世界ってすごいなぁ。わたしもいつかアルヴを出て、フレイみたいに外の世界を旅して回ってみたいな。外にはアルヴ以外にもいろんな国があって、いろんな文化があって、竜人の他にもいろんな種族がいるんでしょ。そんないろんなもの、いっぱい知りたい。いっぱい見てみたい。いっぱい体験したい!」 純粋に外の世界への憧れを語ってみせるゲルダの姿は、まるで世界に憬れる人間の女の子となんら変わりはない様子だった。 (そうか……。僕は誤解していた。姿が少し違っていても、心は同じなんだ。人も竜も、そして竜人族も。多少の考え方の違いはあっても、それは文化の違いによるものであって、何をどう感じるかというのはみんな同じだったんだ) これまでフレイは、人と竜はまったく別の生き物だと思っていた。たしかに姿形も能力も暮らし方も全然違う。しかしそれは文化が違うだけ。同じ空に生きるものとして、人も竜も根本的には同じなのだ。そしてもちろん、竜人も。 初めて出会った竜人が竜くずれのヴェンだったこともあって、竜人というのは卑屈で不気味で人とはまったく別種の生き物だと思っていたところもあった。 「でもそうじゃなかった。(ヴェンには悪いけど)あれはあくまでヴェン個人がああいう性格なだけで、竜人族のすべてがそうだというわけじゃないんだ」 そう思うと、今まで不安を感じていた自分がばかばかしくなった。今まで自分は一体何を怖がっていたのだろう。ただ少し姿が違うだけで、中身はみんなそれほど大きな違いはなかったのに。 ただ知らないだけで、知ろうともせずに怖がっていた。知らないからこそ怖がっていた。ずっと誤解をしていた。そう気がついてフレイは反省した。 ずっと心のどこかで竜人族のことをバケモノか何かだと思い込んでいた。しかしそうではないということは、目の前で純粋に笑ってみせるゲルダを見ていればよくわかる。 竜人族は人からも竜からも差別されていると聞いてフレイは育った。だから竜人族とは悪いものなのだと勝手に決め付けていた。 そして自分がその竜人族だと知らされて、自分も差別されるのではないかとフレイは思った。いや、その事実を隠されていたこと自体を差別されたと感じた。 しかしそれは違った。なぜなら人も竜も竜人もみんな同じだからだ。 外見上、人とまったく同じ姿なのだから、それをわざわざ竜人だと区別する必要なんてない。異なる存在なのだと区別してしまうことそれ自体が差別になる。 (なんてことだ。無意識のうちに僕自身も竜人族のことを差別していたんだ。なぜなら僕は竜人族のことを何も知らなかったから。勝手に誤解して、勝手に恐れて) きっと誰もがそういう誤解をしている。 いや、竜人族だけに限った話ではない。人と竜も同様だ。 人も竜も、互いをまったく別の生き物だと思っている。自分とは違うのだと心のどこかで勝手に決め付けて、勝手に恐れているのだ。 だから互いのことを理解し合おうとはしないし、互いのことを認め合おうとしてこなかった。だから人と竜は解り合えなかった。 それは違う。 人と竜は解かり合える。 互いをよく知れば、きっと共存することができる。 竜人族という存在は、そのことを教えてくれた。竜人族はバケモノなんかじゃない。人と竜の間に位置する存在。つまり人と竜をつなぐ架け橋になる存在だ。 (僕は竜人族だ。だから人のことも竜のことも、きっとどちらも理解することができる。竜人族だからこそ、人と竜をつなぐ架け橋になることができる!) フレイは理解し、そして決意した。自分が架け橋になると。 竜人族のことが理解されれば、きっとみんな同じなのだと理解されるはず。そうすれば人も竜も、そして竜人も共存することができる。 「そういう共存の形もあるのか……!」 ずっと一人で何やらつぶやいていたフレイの様子を、ゲルダは不思議そうな顔をして眺めていた。そして急に頷きながら大きな声を出したフレイに驚いた。 「えっ。何の話?」 「なんでもない。でも君に会えたおかげで、僕は大事なことに気がつくことができたんだ。だから言わせて欲しい。ありがとう」 突然わけもわからずお礼を言われて、ゲルダはさらに不思議そうな顔になった。 「なんだかよくわからないけど……。でも元気になったのならよかった」 「ああ、君のおかげだ。でもそうとわかったら、僕にはやらなければならないことがある。君にはいくらお礼を言っても足りないぐらいだけど、もう行かないと」 「そうなんだ……。もう行っちゃうんだね。わたしも色々お話を聞かせてもらえて楽しかったよ。わたしのほうこそ、ありがとう」 「そんな大したことじゃないよ。じゃあ僕はもう行くね」 別れを告げて背中を向けたフレイに向かって、ゲルダは最後に問いかけた。 「ねぇフレイ! いつかまた、会えるかな?」 振り返ってフレイは頷いた。 「ああ、きっとね。そうできるようにするために僕は行くんだ」 そしてまっすぐとアルバスの待つ大神殿のほうへと歩き出した。 行く先を見つめるフレイの目にはもう不安も迷いもなかった。 大神殿に戻ると、仲間たちが心配そうな顔でフレイを出迎えた。 「フレイよ。さっきはお主の気持ちも考えずにすまなかった。しかし私は決してお主を騙すようなつもりで黙っていたわけじゃない、ということはわかってほしい」 「おれはいつでもフレイ様についていくっすよ。フレイ様はフレイ様だ。竜人族がどうとかそういうのは関係ないっすからね!」 「王子、あまり無理はなさらないでください。たしかに私なんかには王子の気持ちは完全にはわからないのかもしれまん。ですが、王子の力になりたいと思っていることに偽りはありません。セッテ共々、我々はいつでも王子の従者ですから」 それぞれがフレイを心配したり、励ましたり、謝ったりと一言ずつ声をかけた。 すべてを黙って聞き届けると、フレイは立ち並ぶ仲間たちの前を通り抜けて、背中を向けたまま言った。 「みんな心配かけてすまない。僕のことならもう大丈夫だ。それにわかったんだ。竜人族は人と竜の間に立つ存在だ。その位置にいるからこそ、できることがある。それは人と竜をつなぐ架け橋になることだ」 フレイは心に決意を抱いた。 そしてそのまま白竜の前に歩み出ると、その決意を述べた。 「神竜アルバス様。あなたのご依頼、受けさせていただきます。僕はアルヴの竜人たちを導き、トロウの暴走を止めてみせましょう。ユミル国の代表として、人間の代表として、そして竜人族の代表として!」 すると白竜は安心したような笑みをみせた。 「よくぞ決心してくれた。私は竜の代表としてそなたに感謝の意を表させてもらおう。ありがとう、フレイ王子。これより我々は同志だ」 白竜は大きな手をフレイの前に差し出した。どうやら握手のつもりらしい。 フレイはその指先を両手でしっかりと握った。 こうしてフレイはアルヴの竜人族を率いることになったが、ほとんどの者がフレイとは初対面であり、そんな状態で指揮を執るというのも無理な話だった。 そこでアルバスはフレイにしばらくこのアルヴで生活することを提案した。 「トロウを止めるにしても、今のそなたらでは戦力不足は否めない。それにアルヴの民たちは戦い方を知らない者も多い。だから交流も兼ねて、ここの民の中から戦えそうな者を選び、そして彼らに稽古をつけてやってほしい」 「しかし、その間にトロウが黙っているでしょうか。もし襲撃を受けたら?」 「それなら心配には及ばない。ヴォルヴァよ、こちらへ」 呼ばれて現れたのは、巫女装束に身を包んだ女性。一見すると人間のようだが、よく見ると頭に小さなツノが生えているので竜人族であることがわかる。アルバスは彼女を予知の巫女であると紹介した。 予知の巫女ヴォルヴァはこのアルヴを護る防衛魔法を司る巫女の一人でもあり、彼女の魔法に干渉する力を観測したのだという。 「あなたたちの船……アルヴに向かう道中……何者かがそれを監視しようとしていた……。外からの力……場所はここから遠い……すごく大きな大地の力を感じた……。まるで巨大な植物のよう……」 「巨大な植物とはもしやユグドラシル? ユミルの方角か。ということは……やはりトロウは僕たちを何らかの方法で監視していたのか。行く先々で敵に遭遇するものだから、おかしいとは思っていたんだ」 「その力は今はもう感じない……私の魔法がそれを遮ったから……。アルヴにいる限り、あなたは決してトロウには見つからない……」 神竜アルバスと巫女たちの魔法によって、隠れ里アルヴの位置は知らない者には絶対にわからないようになっている。だからこそトロウもアルヴには手が出せず、フレイがここにいる限りは時間を稼ぐことができるという。 加えてヴォルヴァはその予知の力によって、万が一にもトロウがこのアルヴに攻め込んでくるような未来は観測できないと保障してくれた。 そういうことなら、とフレイはアルヴに残って竜人たちを訓練することを受け入れた。 「それからフレイ王子の仲間の方々。そなたらも望むなら、このアルヴで好きなように過ごしてもらってかまわない。フレイ王子を手伝うも良し、やるべきことがあればここを拠点として使うも良し。行くべき所があれば、私が転移魔法で送り届けてやることもできる」 それならば、と仲間たちはそれぞれの考えを述べた。 もともとこのアルヴへ来たのも、ムスペルスやニヴルヘイムの協力を得ることができず、他に味方になってくれそうな者を求めてのことだった。 アルヴの竜人族が味方になってくれるのは戦力的にプラスになるが、これから訓練をすることを考慮すると即戦力とは言いがたいし、それだけでトロウに立ち向かうのは不十分だ。 だから各々が各地に散って、手分けして力になってくれる者を捜すのがいいだろうということで意見が一致した。 ある者は知り合いにあたってみるといい、ある者は魔法を極めた偉人である賢者を捜して相談してみるといい、またある者は特定の分野に特化し独自の魔法を操るという魔女に会ってみるのもひとつの手だと提案した。 まだこの世界には事情を話せば協力してくれる者がいるかもしれない。 フレイたちの他にもトロウに対抗しようとしている勢力があるかもしれない。 それにもしかしたら、仕方なくトロウに従わされている者もいるかもしれない。 そういった者たちを味方につけるのもひとつの手だった。 こうして他の面々は、それぞれの思う方法で自分たちの力になってくれる味方を増やすために各地へと散っていった。 来るべき決戦の時、いつの日かトロウを打ち倒すその時に備えて―― Chapter21 END 魔法戦争22
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/6924.html
DQⅨ 下半身防具の一種。 守備力は12で、戦士、僧侶、盗賊、旅芸人、バトルマスター、パラディン、魔法戦士、スーパースターが装備できる。 【てつのひざあて】+【てっこうせき】+【まりょくの土】の錬金で強化することで手に入る。 見た目は変わらないが、錬金で強化されようやく【ブルージーンズ】並みの守備力になった。 とはいえ、てつのひざあてと比べて守備力が3しか増えないため、おなじ錬金素材を使う【はがねのよろい】などが優先されがちなのだが。 はがねのひざあて+てっこうせき×2+【ヘパイトスのひだね】の錬金で【たまはがねひざあて】に強化できる。
https://w.atwiki.jp/larklein/pages/32.html
Witchスレなどに出たキャラたちです。キャラメイクの参考などにしてください。 現在、ダークエルフが人気のようです。 ウェアウルフ はち(犬歯)/ミー(剣士さん) ダークエルフ ヘリオトロープ(女性・魔剣士)/ラウ(低血圧(陰陽師))/アズミ(黒巫女(魔女)) ルノワ(首狩り族(夜騎士)) オーク ウォール(分厚い面の皮) 人間 ライナス(男性・超人(スタイラー)) 龍人 ネツァク(聖騎士(魔法戦士)) 管理人作 セミキャッツ ラーク(魔法剣士)/フレイア・レイミィ・エレミー(魔法術士) 三色対応型 魔法術士型@炎or氷or雷 育成済サンプル: クロス スレイヤー クロス・スレイヤーは高レベルキャラになっています NPCでもあるのでシナリオ中に必要ならどうぞ メニュー
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/317.html
Chapter37「風竜は舞戻る1:ここで会ったが百年目」 翌朝、わたしたちはグリンブルスティで三度目の目覚めを迎えた。 サーモスとかいう蛇っぽい種族の女は自分の家に帰っていったので、今朝もまだ起きてこないフレイの寝顔を独り占めすることができる。 最初はただ外から来たフレイのことが珍しくて、その後をつきまとっているだけだった。火事でコゲちゃってボロボロにはなっちゃったけど、ローブをプレゼントしてくれたし、その火事でなくなっちゃったけど、わたしの家にも遊びに来てくれたし、それにわたしの夢にも賛同してくれたので、フレイのことはちょっと気に入っていた。本当はただそれだけだった。 でも昨日の出来事が、わたしのフレイに対する気持ちを変えてしまった。 一度はフレイのことが嫌いになった。外の世界の本当の姿を教えてくれなかったから。そのせいでわたしはフレイに冷たい態度をとってしまった。 それなのに、フレイはわたしのことを嫌わずにいてくれた。それどころか、自分が外の世界をわたしの夢見る理想の世界に変えてみせるから、いっしょにその世界を旅して回ろうとさそってくれた。 そのせいで、わたしは前よりもフレイのことが好きになった。 人と竜が手を取り合い、竜人の存在が認められた世界。あらゆる種族が共存し、平和に暮らせる世界。いつかそんな世界を見て回れたら。 わたしの夢はもう、わたしだけの夢ではなくなってしまった。 それはわたしとフレイの夢。二人で叶える、わたしたちの夢。 フレイの故郷はトロウとかいう悪いやつに荒らされているらしい。そいつから故郷を取り戻すためにフレイは旅を続けていると話していた。わたしもその旅の仲間に入れてもらったからには、わたしなりにできることをやりたいと思う。 といっても、わたしには戦いなんてできないし、不器用だから魔法とかもあまりうまく使えるわけじゃない。わたしはどうしたらいいんだろう。 そんなことを考えながら数日が過ぎた。 この数日は相変わらず、フレイはアルヴの竜人たちとの交流を進めていた。 こんどはウェイヴと喧嘩したりするような邪魔も入らなかったので、ちゃんとフレイは竜人たちと親交を深めることができた。 せめてわたしにも協力できることをと思って、わたしも自分なりにフレイの良さを知り合いにできる限り広めたつもりだった。これがフレイの助けになってるといいんだけど。 「ねぇ、ゲルダ」 考え事をしていると、ふいにフレイが声をかけてきた。 「あ、うん。何?」 「なんか最近、竜人のみんなが僕のこと見て噂してるみたいなんだけど」 フレイがみんなの噂の的になってる! きっとこれは、わたしが頑張ってフレイの良さを広めた結果が出てきたに違いない。努力は報われるものなんだ。 「それによると、僕はゲルダのフィアンセになったみたいなんだけど……。そ、そうだったの?」 あれ。たしかにわたしはフレイの良さをみんなに話して回ったけど、どうしてそういうことになってるんだろう。まあ、この数日間ずっとフレイといっしょにいたことは否定しないけど。 「うーん。最近いつも二人で行動してたから、誰かがそうだと勘違いしたのかも」 「そ、そういうことなのかな。さすがにちょっとびっくりしたよ」 「なになに? もしかしてわたしじゃ不満~?」 「い、いやその。全然不満とかそんなんじゃないけど。心の……準備とか……」 小さな声で何かつぶやきながら、フレイは赤くなっている。 フレイ本人は自分は限りなく人間に近い竜人らしいと言っていたけど、どうやら人間という種族はときどき身体の色が変わるみたいだ。ちょっと面白い。 『――――――――――』 すると突然フレイがいつもの色に戻って、わたしのほうを見た。 「えっ。今、ゲルダ何か言った?」 「うん? 何も言ってないけど」 『―――――――かい?』 「まただ。何か声のような……。なんか気味が悪いな」 こんどはフレイが蒼くなっている。 身体の色を変えられるなんて、ちょっとうらやましい。できることなら、わたしだってオレンジとかピンクになってみたい。 『フレイ王子いるかい?』 「うわっ! 僕のこと呼んでる。他に誰もいないのに……怖くなってきた」 「あっ、今のはわたしにも聞こえた。ところで人間って透明にもなれたりする?」 『よかった、繋がった。ハローハロー! ミーはシャノワール。突然ですがフレイ王子。ユーのおともだちから伝言があるよ!』 姿のない声は、これからフレイの仲間たちがアルヴに帰ってくるということを伝えた。どうやらシャノワールという声の主は、テレパシーの魔法で言葉をわたしたちに送っているらしい。離れてる相手とも話せるなんて便利! そのテレパシーとかいうのは、わたしもちょっとほしい。 「――うん。うん、わかった。グリンブルスティのところで待ち合わせで。昼頃に着くんだね、了解。それじゃあ待ってるよ。ああ。うん、それじゃ、またあとで」 『ガチャン。ツーツーツー』 そこでテレパシーは途切れた。なに? 最後のツーツーって。 とにかくこれからフレイの旅の仲間が戻ってくる。わたしはその仲間たちとは初対面だから、そそうのないようにしなくちゃ。 ちょっと練習しておこう。わたしはゲルダと言います。ふつちゅ……ふちゅつか……ふちつかものですが……。ふぢゅっ……! ああああ、舌噛んだ!! そうこうしている間に、あっという間にお昼時になった。 集まってくるフレイの仲間に紹介するために、サーモスとウェイヴも呼んでおいたけど、ウェイヴはすぐに待ちくたびれてどこかへ行ってしまった。 やがて上空に巨大な船が飛んできた。なにあれ、グリンブルスティよりもずっと大きい。あれだけ大きいと、乗っている人もきっとすごく大きいに違いない。 船がグリンブルスティの隣に降りると、その中からぞろぞろとフレイの仲間たちが降りてきた。人間がたくさん。竜もいる。それに黒い猫とか、羽の生えた馬までいる。さすが共存を願うフレイの仲間たち! 種族も多種多様みたいだ。 お互いに初対面の人たちが多数。ずらりと横一列に並んで、それぞれ自己紹介が始まった。 人間のセッテとオットーはフレイとすごく親しい感じ。 同じく人間のフレイヤ、ブリュンヒルデ、レギンレイヴはわたしと同じ女性。 竜のクルスとクエリアは人間に変身する魔法が使えて、セルシウスとファフニールは大きくて強そう。 プラッシュは小さいけど魔女という種族で、見た目より雰囲気が大人っぽい。 黒猫のシャノワールはさっきテレパシーを送ってきたあの声の主。 羽の生えた馬はしゃべったりテレパシーはしないのか、名乗らなかった。 続いてサーモスが名乗り、そしてわたしの番が回ってくる。 「わたしはゲルダ。わけあってフレイのお世話になっています。ふつつかものですが、よろしくお願いします」 やった。練習のかいあって、こんどは噛まずに言えた。 「おう。俺は蒼き勇者、双剣の覇者、それから――(中略)――フリードと呼ばれてる。まあ、好きな名前で呼んでくれ」 最後にフリードが長すぎる自己紹介を終えて、全員が一通り名乗り終えた。 あれ。というか、わたしあの人知ってる。 「勇者さんもフレイの仲間だったの!?」 「それは俺の台詞さ。まさかゲルダがフレイとくっついていたとは。いやぁー、これは惜しいことをしたね。俺がちょっと出かけている間に、おまえたちそんな関係になっていたとは」 「えっ? そんな関係ってなに?」 「だってさっき、ふつつか者ですが……って言ってたじゃないか。つまり、おまえらそういうことだろ? まったくオットーとフレイヤ王女といい、フレイとゲルダといい、みんなお熱いこって! あーあ、俺は寂しいぜ」 そういうことって言われてもどういうことかわからなかったけど、フレイはまた赤くなって両手を前に突き出しながら首をぶんぶんと振っていた。 そしてフレイはフレイヤのほうへふり向くと、あからさまに話題を変えた。 「そ、それよりも……。姉上、よくぞご無事で! 姉上も父上のようにトロウに何かされたのではないかと、ずっと心配していました」 「フレイも無事で何よりです。トロウからあなたが死んだと聞かされていて、ずっと心を痛めていたのよ。ああ、フレイ! 本当に無事でよかった……」 フレイとフレイヤは姉弟(きょうだい)で、ずっと離れ離れになっていてお互いにすごく心配していたらしい。フレイはそういうのは苦手と言ってたくせに、今では二人でお互いに抱きしめ合っている。 姉弟だから許すけど、なんだかちょっとジェラシーを感じる。 長い。長いから。ほら、早くはなれてはなれて。 「それにしてもオットー。本当によくやったな! まさかトロウの手から姉上を救い出してくれるなんて。一番の成果じゃないか」 「ありがとうございます、フレイ様。でも俺だけの手柄ではありません。セッテやプラッシュたちの助けが無かったら、今ごろは俺のトロウの手に堕ちていたかもしれませんからね。これは俺たちみんなの成果です」 「そうか。それじゃあみんなに礼を言わせてもらうよ。本当にありがとう。……ところでオットー、何か雰囲気変わった? というかちょっと懐かしい感じだ」 「ええ、いろいろありまして。俺は自分に嘘をつくのはやめたんです。もしかしてご迷惑でしたか? もしお望みならば、以前のように王子とお呼びしますが」 「いや、いいと思うよ。今のほうがオットーらしい」 そしてフレイとオットーは固く握手を交わした。 よかった、こんどは抱き合わないみたい。なぜかわたしはほっとしていた。 「ところでフレイ様、ヴェンさんとフィンブルはどこ行ったっすか?」 こんどはセッテがフレイに声をかけた。 ヴェンさんとフィンブル? 今ここにはいないけどまだフレイには仲間がいて、どうやら全員がそろったわけではないみたいだ。まぁ、ウェイヴもいないしね。 「ヴェンならアルヴの街に落ち着くみたいで、ここ数日はずっと街の外円部の様子を見に行ったきりだな。フィンブルはみんなが出発したあと、どうしてもクエリアが心配だと言ってあとを追っていったんだけど……。いっしょじゃなかったのか」 すると竜のおちびちゃんが驚いた声でそれに反応した。 「ええーっ!? おい、フレイ。フィンブルを一人で行かせたのか。あいつはすごく方向オンチなんだぞ! むぅぅ……ちゃんと帰って来れればいいけど」 「ま、まあ心配はいらないよ。フィンブルだって子どもじゃないんだから、きっと自分のことぐらいは自分でどうにかするさ」 「それもそうか。でもずっとわたしを捜してると思うと、さすがに気の毒だなぁ。あ、そうだ。シャノにテレパシーで呼んでもらおっと」 よく知らないけど、こんな小さな子にも心配されるなんて、そのフィンブルっていう人? は、なんだか本当に気の毒だ。 クエリアはさっそくシャノワールのところへと駆けていくと、テレパシーを送ってもらって、フィンブルにすぐにアルヴへ戻ってくるように伝えていた。 『ちゃんと伝えたからね! それじゃあグッバイ! ガチャン、ツーツーツー』 出た! またあのツーツーだ。 なんだろあれ。流行ってるのかな。 しばらくして、空から一頭の蒼い竜が飛んできた。 どうやらあれがフィンブルらしい。 「す、すみませ~ん! アクエリアス様ぁ~っ!!」 竜という種族はどれも大きくて強そうに見えるけど、あのフィンブルというのはそうじゃないらしい。セルシウスやファフニールに比べると身体は細くて小さい。フィンブルは戻ってくるなり、クエリアに頭を下げて平謝りした。 「しょうがないやつだなぁ。まぁ、わたしを心配してのことだし、今回は水に流してやる。でも次からは気をつけるんだぞ」 「はい……。ごめんなさい、アクエリアス様」 ううん。あんな小さい子にも頭が上がらないなんて、やっぱり気の毒だ。 うなだれるフィンブルは、背伸びしたクエリアに頭をなでてもらっている。 端から見ている分にはちょっと微笑ましい。気の毒なことには変わりないけど。 するとそのとき、頭上を何かの影が通り過ぎた。 見上げると、翼を広げた竜が旋回しながらこちらに向かってくるのが見える。 さっき飛んできたフィンブルの姿に比べるとずっと大きい。あれがさっき言ってたもう一人の仲間のヴェンかな? と眺めているとクエリアが大きな声を上げた。 「あれは……あのときの騒がしい風竜じゃないか! ここは絶対に見つからない場所じゃなかったのか!? さてはフィンブル、おまえ後をつけられてたな!」 「はわわわ! わ、私のせいですか!? ど、どうしましょう」 「どーしようもこーしようもない。しょーがない。またわたしの大活躍を見せてやるときがきたようだなぁ! 凍らせて、こんどはカキ氷にしてやる」 「だ、だめですよアクエリアス様! あ、危ないですからっ! あなたに何かあったら私は、女王さまに殺されちゃいます!!」 「うるさいなー。これはおまえの失態なんだぞ。その尻拭いをわたしがしてやると言ってるんだ。おまえは口出しできる立場なんかじゃないんだからな」 「し、尻拭いなんて! そんな下品な言葉どこで覚えてきたんですか、もうっ! さてはあの蒼いニンゲンの男ですねっ! まったくなんてことを……」 騒がしい氷竜たちの頭上を飛び越えて、激しく風圧を巻き起こしながらクエリアが風竜と言った大きな竜はわたしたちの前に舞い降りた。 アルヴから出たことのないわたしは、フレイの仲間として合流してきたセルシウスたちが初めて見る神竜さま以外の竜だった。だからわたしは竜というものを、話には聞いたことはあっても、実際にどういうものかはよく知らない。 新たに現れた風竜をもっとよく見ようと近づこうとすると、フレイが飛び出してきてそれをさえぎった。 「ゲルダ、下がって! こいつはヴァルト。トロウの手下で僕たちの敵だ!」 「悪いやつなの? 同じ竜なのにセルシウスたちとは違うの?」 「以前あいつに攻撃されたことがある。しかも二度にわたってだ。それにしても、アルヴにまで乗り込んでくるなんて。まさかもうトロウにこの場所のことを……」 フレイの仲間たちも攻撃態勢を取ってヴァルトに敵対する態度を見せた。 でもわたしには、このヴァルトという竜に敵意があるようには見えなかった。 なぜならわたしにはヴァルトの目が何かに悩んでいるような色に見えたからだ。 あれは悪いやつの目じゃない。わたしの直感がそう告げている。 ヴァルトは舞い降りるなり、じっとフレイを見つめていた。どうやら何かを言いたそうにしている様子だけど、フレイはそれには気がついていないみたいだ。 「こんなところまで追ってくるなんてね。だが今回はお供はいないと見える。対して僕らはこの人数だ。諦めて帰ったほうがいいんじゃないかな?」 「待て、こやつを逃がすわけにはいかん。まだアルヴのことがトロウに知られたとは限らんぞ。だがこやつを見逃せば、アルヴの情報はトロウに流れる。だから絶対にこやつを見逃すわけにはいかぬ。必ず今この場で倒すべきじゃ!」 「なるほど、たしかにそうだ。多勢に無勢で少しずるい気はするけど、これは国の命運をかけた闘いなんだ。だから卑怯だとは言わせない。みんな、いくぞ!」 フレイの号令で仲間たちはそれぞれヴァルトに向かっていったり、呪文を唱え始めたりしている。それでもヴァルトは敵意を見せずに反撃しようともしなかった。 やはりわたしには、どうしてもあの風竜が敵には思えない。 過去にフレイたちとの間にどういうことがあったのかは知らない。でも、無抵抗の相手に一方的に攻撃をするようなことは間違っているとわたしは思う。 なにより、あの風竜の目だ。 あの憂いを帯びた、ある種の後悔や悲しみとも取れるようなその目を、わたしは見て見ぬふりをすることができなかった。 絶対に何か事情がある。 この風竜と戦うのは間違っている気がする。 ここでヴァルトを倒してしまったら、きっと後悔するような気がする。 だから、わたしは―― 「待って!!」 考えるよりも先に身体が動いた。 わたしはとっさに両手を広げて、ヴァルトの前に飛び出していた。 Chapter37 END 魔法戦争38
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/303.html
Chapter23「フリード遠征2:黄金大好きファフニールさん」 最強の槍グングニルと最強に美人なヴァルキュリアのお姉さんを手に入れた俺たちは、グニタヘイズをあとにして一度、拠点のアルヴに向かうことに決めた。 お姉さんとの戦いで大事な剣が折れてしまったので、今の俺は丸腰だ。もちろんグングニルはあるがこれは投擲槍、つまり投げるための槍(ジャベリン)だ。 突いたり斬ったりできる槍(スピア)の扱いには心得があるが、こういう投げ槍には慣れていない。それこそ投げやりな戦い方になっちまうかもな。なんつって。 「拠点に戻るまでに敵に遭わないとも限らないもんなぁ。まあ、いざとなったらこんどはクルスに戦ってもらうか。さっきは完全に観戦決め込んでたし」 「なんじゃ。もしかして武器を失ったことを気にしておるのか」 「俺は魔法はからっきしだからな。こういう槍にも慣れてない」 もともと俺は二刀流の剣士なのだ。槍はちゃんと訓練したわけじゃない。 折れた剣グラムとは別にもう一本ノートゥングという剣をもっていたが、そういえば前に魔剣と戦ったときにフレイに貸したままだった。 グラムをじっと見つめていると、クルスがこう提案した。 「だったらファフニールのところにある剣をもらっていけばいい」 あん、なんだって? 「あやつは金銀財宝に目がなくての。ここはファフニールの家でもあるが、むしろあやつがどこかから集めてきたお宝を溜め込んでいる宝物庫である役割が大きい。剣の一本や二本ぐらい探せばすぐに見つかるじゃろう」 なるほど、暗くて最初は気がつかなかったが、洞窟の奥を覗き込んでみるとそこには大量の金貨やら宝箱やら、いかにも絵に描いたような宝の山があった。 「だけど、それ勝手に俺がもってっちゃっていいわけ?」 「これだけたくさんあるんじゃ。二、三本ぐらい剣がなくなっていてもわかりはせんじゃろ。構わん、私が許す。好きなのを選んでもっていけ」 あの、それ泥棒って言うんじゃないですか。 しかしクルスは、ファフニールは宝そのものよりも宝を集めることのほうに興味があるので、少しぐらいもらっても問題はないという。集めた財宝を使うでもなく無意味に溜め込んでいるのが何よりの証拠であるとも。 「せっかくの財宝をこんな辺境の洞窟に眠らせておくのはもったないじゃろう? どんなに価値があるものでも、こうして腐らせていては無駄の極みじゃ」 それはごもっともだ。こういうのは溜め込めすぎずに適度に使ってやらないと、世の中の経済っていうのは回っていかないものだからな。 というか竜の社会にお金って概念は存在するんだろうか。……いや、たぶん存在しないんだろうな。竜の考え方だと力ずくで奪えって感じあるし、ファフニールも財宝そのものよりも集めることに関心があるのだから、守銭奴というよりはむしろコレクターに近いのかもしれない。 「じゃあお言葉に甘えて力ずくで奪わせてもらおうかね」 納得したところで俺は宝の山に手を伸ばした。 これはクルスがいいって言ったんだからな。俺は別に悪いことはしてない。盗むとかそんなんじゃない。竜の文化っていうのはこれが普通なんだ、うん。 背中に這い登る罪悪感を振り払い、金貨の山をかき分けて剣を探す。 それにしても、こういう宝の山の図ってやけに金貨ばっかりだよな。世の中こんなにコインだらけなのか。もっとあるだろ、価値のあるお宝って。古代の壷とか、貴重な化石とか、歴史ある絵画とかさ。それじゃ地味で絵にならないってか? しばらく黄金の波をかき分けて、なんとかその中から数本の剣を発見した。 刀身が金や宝石でできている芸術品としての剣や、装飾の豪華な儀式用の剣がほとんどで、武器としてはまったく役に立たないようなものが多かったが、その中で二本だけ武器として使えそうな剣を発見できた。 「これには派手すぎる装飾もないし、長さも重さも申し分ないな。どれ、鞘から抜いて刃もよく見てみよう」 ふたつあった剣のうち片方に手をかけたそのとき、洞窟内に大声が響いた。 「貴様、何者だッ! オレの宝を盗もうとはいい度胸だな」 振り返ると洞窟の入口に怒り狂った地竜が立っている。あれがファフニールか。 どうやらお帰りらしい、それも最悪のタイミングで。 「待て待て、これには深ぁーいワケが……。おい、クルス。なんとか言ってくれ」 事情を説明してもらおうとクルスの姿を捜したが、さっきまでそこにいたはずのクルスの姿がそこにはなかった。 え、ちょ、まじかよ。なんで肝心なときにおまえはいないんだ!? 「えーっと。俺はクルスの知り合いで……。知ってるよな? 地竜のジオクルス」 「それがどうした。あいつの名を出せば許されるとでも思ったか。あいつの知り合いだろうが、そうでなかろうが泥棒は泥棒だ。この卑しいニンゲンの盗賊め!」 まずい。この状況はどうみても俺が悪者にしかみえない。 あいつニンゲンとか言ってるよ。人間じゃなくてニンゲン。それが意味するとことはひとつ。敵意満々だ。 「な、なんでもないです。見てただけです。んじゃ、俺は帰りますんで……」 そっと剣を戻して去ろうとすると、ファフニールは予想外なことを言った。 「待て。その剣が欲しいのか? だったらくれてやる。持っていけ」 あれ、意外と話がわかるやつなのか。さっすがクルスの友達。身体も器も大きいってわけだな。いよっ、社長! 太っ腹! 「そうおっしゃるなら、それじゃあお言葉に甘えて……」 「ただし条件がある」 出た、ただし条件がある。 ああそうだろうな。世の中そんなに甘くないよな。 ファフニールは戦って俺が勝てればその剣はくれてやると続けた。まあ、そうなるような気はしていたさ。ぶっちゃけ、よくある展開ってやつだ。 「ははーん。さてはあれだろ? ただ宝を溜め込むだけではつまらない。刺激が欲しい。だから自分を楽しませろ、とかそんなんだろ。俺にはわかってんだぜ」 「何を寝ぼけたことを。そんなものどうでもいい。ただオレの宝に勝手に触れたニンゲンを八つ裂きにしたいだけだ。どうせニンゲン如きが勝てるとは思ってない」 なんてこったい。こいつ血も涙もない鬼だ。いや、竜か。 どうやら本当に力ずくで奪うことになりそうだ。 「墓ぐらいは作ってやる。オレは優しいからな。だから安心して死ぬがいい!」 ファフニールはこちらへと走ってくると、鉤爪のある大きな腕を振り回した。 とっさに剣をひとつ取り身を屈めてそれをかわすと、背後で金貨がさらわれて宙を舞う。 金貨の雨に身を隠しながらファフニールの背後へと回り込むと、鞘を抜き捨ててその背中に斬りかかった。 しかしファフニールの黄金の鱗は、いともたやすく剣を弾いた。 なんて硬さだ。金属の金は柔らかく、金の剣なんてものは鉄の剣相手でも簡単に曲がってしまう。だからそんな剣は観賞用の芸術品にしかならない。しかし、この金の鱗は鍛えた鋼すら用意に跳ね返してしまうようだ。 それにしても全身金ピカとは、なんて派手な竜なんだ。 あの鱗を持ち帰って売れば、なかなかいいお金になりそうだ。 なんて妄想しても、傷ひとつつけられないんじゃ考えるだけ無駄か。 「それで終わりか? 所詮ニンゲンの力なんてその程度だな。貴様はオレには絶対に勝てないぞ。どんな強い武器を手にして、どんな頑丈な鎧をまとおうと無駄だ」 たしかにこの剣ではあの金竜を斬ることはできない。 だがどんなに硬い鱗を持つ竜にも弱点があることを俺は知っている。 「くっ。おまえの言う通りだな。どうやらさすがの俺も一人で竜を倒すのはキツいみたいだ。降参だぜ……。俺の負けだ」 「ふん。やけに諦めがいいんだな」 「俺も覚悟はできてるぜ。でもせめて苦しまないように死なせてほしい。例えばそうだなぁ。丸呑みにでもしてくれれば助かる」 「馬鹿め。そんなことを言っておいて、おおかた貴様は腹の中から剣で切り裂こうとでも考えているのだろう。その手には乗らんぞ」 ばれたか。だが俺の狙っている弱点はそっちじゃない。 「丸呑みになどしてやるものか。まずはその頭を粉々に噛み砕いてやる」 ファフニールが頭を下げてきたのを確認。そうだ、俺はこれを待っていた。 跳躍。そして金竜の大きな顎を飛び越えて頭の上に乗る。 「なにっ! 貴様、何をしている!?」 「いやー。俺、一度でいいから竜の頭の上に乗ってみたくてね」 そのまま後頭部を駆け上がり、下がった首の上に立つ。 竜には首筋に逆鱗というものがあるらしい。「逆鱗に触れる」という言葉もあるが、それは竜がこの逆鱗に触れられると怒り狂うという逸話からきている。 ではなぜ竜は逆鱗に触れられると怒るのか? それは逆鱗が触れられたくないものだからだ。それを触れられるのを嫌い、それゆえに竜は怒り狂う。 ではなぜ触れられなくないものなのか? 考えるまでもない。 「それは逆鱗こそが、竜の最大の弱点だからだぜ!」 首の上にうつ伏せになって、手で逆鱗の位置を探る。場所がわかればあとはこの剣でひと突き。これは効果的なはずだ。誰だって喉は急所だからな。 しかし、いくら探しても逆鱗は見つからなかった。 あ、あれぇ? おかしいな。俺の読んだ文献が間違っていたのか。 「何を遊んでいるのだ? もしやオレを猫か何かと勘違いしてはいないだろうな。喉をなでたところでオレの機嫌は取れんぞ」 そしてファフニールは首を大きくひと振り。振り飛ばされた俺は金貨の山の上に落ちた。ここに尖った王冠とかがなくてよかったぜ。 しかし逆鱗がないとは、さてはガセ情報だったか。おのれ許せん、いつかあの文献の著者を訴えてやる。 それはともかく、こうなったら別の弱点を攻めるしかない。プランBだ。 どんなに硬い鱗を持っていても、全身ガチガチじゃ動けなくなってしまう。だから鱗というのは、部位によってその大きさや密度を変えることで硬さを調節している。つまり、関節部分や腹部は比較的柔らかいのだ。そこを突く。 金貨の山の上に飛ばされたのは幸いだった。この黄金の海の中に隠れて、やつの不意を突くことができる。 ついでに取り損ねたもう一本の剣も回収できるぜ。さっきは突然攻撃されて、片方しか拾えなかったからな。 身を隠しながら、もう一本の剣を手にして抜刀。すると黒い刀身は鞘から自由になった途端、禍々しい紅のオーラをまとい始めた。 ――チカラガ欲シイカ ――竜ヲモ圧倒スル、絶対ナルチカラガ欲シイカ 突如、脳内に声が響いた。 「げっ、まずい。まさか魔剣か!?」 ――我ガ名ハ、魔剣ダーインスレイヴ。我ガ主トナレ そのまま、俺の、意識は、遠、のい、て、いっ…………。 「馬鹿者どもが! お主ら、なぜいきなり殺し合いを始めとるんじゃ!!」 クルスの怒鳴り声が聞こえて、はっと我に返った。 どうやらツタの魔法で俺やファフニールの動きを封じたようだ。その際に手から剣を落としたので、意識が魔剣の呪縛から解放されたらしい。 隣を見ると傷だらけのファフニールがふてくされた顔をしている。魔剣の威力のなせる業か多少の出血はしているようだが、それでもかすり傷程度でファフニールはピンピンしているように見える。どんだけ硬いんだよ。 一方、俺はというとその返り血を浴びて服や鎧が赤くなっている。嘘だろおい。俺は赤より蒼が好きなんだ。洗濯したらちゃんと落ちるよな? あとは足に鈍い痛みが。しばらく魔剣に操られて戦っていたようだが、どうやらこの魔剣は俺より戦いのセンスがなかったらしい。借りた身体を傷物にしてくれやがって、この責任は取ってもらうからな! まあ、かすり傷なんだが。 「おい、クルス。どこ行ってたんだよ。おまえがいなかったせいで、俺はあらぬ疑いをかけられるはめになっちまったんだぜ」 「まあ、ちょっと……花を摘みにな」 「トイレかよ」 「ええい、デリカシーのないやつじゃのう……。それで一体何があった?」 聞かれて俺は事の経緯を説明した。 要はファフニールのほうからいきなり襲ってきたのであって、俺はただ応戦しただけだ。いくら言っても話を聞かないあいつが悪い。 対してファフニールの言い分は次の通りだ。 「こいつが悪いのだ。オレのコレクションに勝手に触るから制裁を加えたまでだ」 「はあぁ。まったく相変わらず小さいやつじゃの。どうせ使っとらんじゃないか」 「それは違う! いいか、コレクションというのは使うためのものではない。新品だからこそ価値があるのだ。未使用だからこそいいのだ。触れれば汚れる! 垢がつく! それでは価値が下がってしまう」 「お主は馬鹿じゃな。洞窟の奥に積んでおくだけのものに価値も意味もあるか」 そして地竜たちは口喧嘩を始めた。ははあ、喧嘩するほど仲がいいってやつか。 「やはりおまえとは気が合わんな。なぜオレの価値観が理解できない」 「理解するつもりもないし興味もない。はっきり言わせてもらうと、くだらんな」 ……あれ? 「もう限界だ。今日こそは白黒つけてやる。オレのほうが正しいとな!」 「忘れたのか? 今のお主は私に拘束されておるのじゃ。なんなら、そのまま絞め殺してやってもよいのじゃぞ?」 「抜かせ! この程度のツタ、へでもないわ! 返り討ちにしてやる!!」 「よかろう……来い! 馬鹿は一度死なねば治らんようじゃからのう!!」 ちょっと待てちょっと待て。なんでそうなるんだ。 ファフニールはあっさりとツタの拘束から脱すると、牙を剥いてクルスに飛びかかった。対してクルスはうごめく触手の如く大量のツタを出現させて、向かい来るファフニールを受け止めて動きを封じる。 再び身動きが取れなくなったファフニールだが、ならばと大地のブレスをクルスに向けて発射。硫黄のような香りとともに濁った霧が噴出され、少し遅れて連続的な爆発が起こる。 正面からもろに爆発を受けたクルスはしかし平気な顔をしていて、反撃にツタをきつく締め上げた。 「ぐああぁぁっ! や、やめろ! 俺も拘束してることを忘れるな、死ぬッ!!」 拘束に締め上げだと。俺は攻めるほうが好きなんだ。マゾ属性はない。 これじゃ俺の二枚目キャラが台無しじゃないか。 ああ、再び俺の意識は遠のいていく……。 「おっと、忘れていた。すまんの」 クルスが指を鳴らすと、洞窟内を埋め尽くしていたツタが一瞬にして消えた。 同時に俺の脳内に浮かんでいたお花畑も消えた。あ、危ないところだった……。 「最初のおまえの言葉をそのまま返してやる……。なんでいきなり殺し合いを始めてるんだ。おまえら知り合いじゃなかったのか?」 「もちろん知り合いじゃぞ。ずいぶん長いつきあいになるのう」 「うむ。オレとジオクルスはもう何度も殺し合った仲だからな」 「どんな仲だよ……」 よく殺し合うほど仲がいいと言うだろう、とクルスは笑ってみせた。 いやいや、そんな格言聞いたことないからな! それ仲いいって言わねえよ! ともあれ、ようやくクルスが事情を説明してくれたので、晴れて盗賊の疑いはなくなった。 「ジオクルスの知り合いだったか。ならばそう言ってくれればよかったものを」 いや、言ったんですが、それは……。 そのまま続けてクルスはトロウと共に戦う仲間としてファフニールを勧誘した。そもそもこんな辺境へ来た当初の目的はそれだったのだ。忘れてたけど。 ファフニールは黙って話を聞いていたが、あっさりとそれを断った。 「悪いがトロウとは戦えない」 「何? なんか理由でもあるのか」 「それは――オレが第四竜将ファフニール様だからだ!」 「な、なんだってー!?」 竜将の肩書き、つまり奴はトロウの手下だったのだ。 この展開、まさかもう一度こいつと戦えって? ただの剣じゃこいつには歯が立たない。かといって魔剣に操られるのはもうごめんだ。こうなったら竜に対抗できるのは竜しかない。 そこで期待の念を込めてクルスの顔をじっと見つめた。 クルスは少し面倒くさそうな顔をしながらもファフニールに尋ねた。 「……あー。まあ、お主のことだからなんとなく予想はついておるが……。ファフニールよ。お主、トロウとはどういう関係なんじゃ?」 するとファフニールは嬉々とした表情で答えた。 「全然知らん。だが力を貸せば財宝をくれるという話でな。前金にそこの金貨をひと山もらったんだ! 残りの財宝をもらうまではトロウを裏切るわけにはいかん」 ああなるほど、そういうことね。世の中、竜も傭兵をやる時代になったのか。 なんだ、そういうことなら安心したぜ。しょせん金で雇われているだけなんだ。だからあいつは別にトロウに忠誠を誓ってるわけじゃない。ならば手はある。 「だったら俺があんたを雇うってのはどうだ? ちょうどいいものがあってな」 そう言って、俺は腕にはめている金の腕輪を掲げた。 これはドローミのところで手に入れたあの無限増殖する腕輪だ。たしかドローミのやつはこれをドラウプニルとか呼んでいたか。こいつに刺激を与えると、どんな魔法がかかっているのかは知らないが、しばらくこの腕輪は分裂し続けるのだ。 腕にはめている間は分裂しないようだが、外して床に叩きつけてみると、すぐにひとつがふたつ、ふたつがよっつ、と爆発的に金の腕輪が増え始めた。 そんなドラウプニルの腕輪を見るなりファフニールは目の色を変えた。 「ふぁッ!? お、黄金が! 次から次へとあふれてくる! ま、まさかおまえ、いや、あなたは……神か? 黄金の神なのか!!」 おっと、思った以上の喰い付き。金銀財宝に目がないと聞いたときから、これはもしやと思っていたのだ。持つべきものはお宝だな。ちょろいもんだぜ。 「俺か? 俺は蒼き勇者フリードだ。この無限の黄金をくれてやる。だからトロウなんかより俺たちの仲間になれ。絶対にあっちよりいい条件だと思うぜ?」 「無限の……黄金……!! こ、これはたしかに……見逃すわけにはいかんな! 黄金神様! ほ、本当に仲間になれば、これをオレにくれるのか?」 「ああ、もちろんだ。だが断る、なんて言ったりするなよ」 現金なやつめ。しかし黄金の神と呼ばれるのもなかなか悪い気分ではない。やれやれ、また俺の呼び名がひとつ増えてしまったな。俺ついに神になったよ! 「だが迷うな」 「ナニッ!?」 なるほど、そういうパターンできたか。 この俺が最も嫌いなことのひとつは、売れそうになった商品を客がベタ褒めしていたにも関わらず、やっぱりNOと言われることだ。 この欲張りめ。これ以上、こいつは一体何を望むというんだ。 「無限の黄金は欲しい。だがトロウとの約束の財宝も欲しい。オレは一度目をつけたものは絶対に諦めないのだ。たとえどんなに時間がかかろうとも、たとえどんな手段をつかったとしてもな」 さっきまで泥棒泥棒とか言ってたやつが何か言ってやがる。 しかしトロウに対して忠誠心が欠片もないことには変わりない。なんとか説得して味方につけられればこいつは役に立つはずだ。 さて、どうやってうまいこと言い包めたものか……と考えていると、答えが出るよりも先にクルスがひとつ提案をした。 「ならばこうするがよい。まず、お主は私たちに協力してドラウプニルの腕輪を手に入れる。それからトロウの手下のふりを続けて奴からの報酬も手に入れる。そのついでに私たちには奴の情報を流せ。その情報をもとに私たちはトロウを倒しに行くので、お主もそれを手伝え。そして最後に奴を殺して、奴の持つ財宝は全部お主のものにすればいい。どうじゃ、悪い話ではなかろう?」 こっちはこっちで、さらっとひどいことを言ってやがる。 しかしスパイに使うのは、たしかにいい作戦かもしれない。なんせ俺たちはトロウのことをよく知らない。せいぜいフレイから並みの人間じゃ手も足も出ないほどやばい魔法を使うと聞かされた程度だ。 正直なところ、俺はさっさと攻め込めばいいのにと思ってるぐらいだが、敵の戦力がわからないまま突っ込むのは馬鹿のやることだ。だからこそ情報が欲しい。 「なるほど、いい条件じゃないか。もし俺だったらクルスの話に乗るね。そこんとこどうだい、ファフニールさんよ」 「うむ。非情に魅力的だ。しかし、おまえらでトロウに勝てるのか? オレは直接見たから知ってるが、あいつは確かに魔力だけは化け物級だと思うぞ」 トロウが倒せなければ財宝が手に入らないし、スパイがばれれば報酬ももらえない。全部欲しいファフニールはまだ迷っている様子だった。 ええい、どこまでも欲張りなやつめ。だったらダメ押しだ。 「わかった。それならトロウの情報は買ってやることにしよう。何か情報をひとつ持ってくるたびに、こちらからも報酬を出すぜ(たぶんフレイの懐から)」 「ドラウプニルの腕輪。トロウからの報酬。おまえらからの報酬。そして最後にトロウの財宝を根こそぎか……!」 「さらに、もしあんたがトロウにトドメを刺したのなら追加報酬を上乗せする」 「よし、乗った!!」 ふっ、落ちたな。 こうして金に目が眩んだ黄金大好きファフニールさんは、まんまとトロウを裏切って俺たちの側についたのだった。やっぱりこいつ守銭奴じゃねーか。 まだ増え続けていたドラウプニルの腕輪が洞窟を埋め尽くしそうになったので、それから俺たちは追い出される形でファフニールの洞窟を後にした。 すでに洞窟の入口は黄金の壁でみっちりと埋まっている。これ以上、溜めておく場所もないのにどうするつもりなんだと聞いてみると、ファフニールは大地を隆起させて新しい洞窟をすぐ隣に作り出した。 「なければ作ればいい」 「便利だな、大地の魔法。いっそ黄金も魔法で作っちまえばいいのに」 「それはだめだ。自分で簡単に作れてしまったら価値がなくなるだろう」 「じゃあ簡単に分裂する黄金はいいのかよ……」 ともあれ、これでようやくひと仕事終わった。天馬のお姉さんと黄金の竜と立て続けに戦ったせいか、気が抜けるとどっと身体が重く感じた。たとえ勇者だって疲れるのさ。 まずは拠点に戻ってひと息つこう。捕虜にしたお姉さんと天馬の治療もしなければならないし、スパイをさせる前に一度ファフニールを仲間に紹介しておく必要もある。さあ、クルスに乗せてもらって一時帰還だ。 そう思って一歩踏み出そうとしたが足が動かない。 ……あれ? そんなに疲れてんのかな。 再び足を動かそうとするが、やはり動かない。というか感覚がない。 そういえば、魔剣に操られて戦っていた間に足を負傷していたんだった。かすり傷だったはずだが、もしかして思ったより傷が深かったのか。 嫌な予感が頭に浮かぶ。ま、まさか神経をやられて……? 一生歩けないなんて俺は嫌だぜ!? 片足の勇者だなんて終わってる。剣士としては絶望的だ。 顔面蒼白になりながらうろたえていると、感覚がない感覚が徐々に足から上へと上がってきているような気がしてきた。感覚がない感覚? なんかややこしいな。 その感覚のない感覚は、足からふくらはぎへ。そして太腿へと昇っていく。おい待て。まだ上がるのか。このままいくとつまり……こ、股間も? やめてくれ! 俺からそっちの剣まで奪わないでくれ! じたばたしながら慌てていると、冷めた目でクルスがこっちを見ている。 見るなっ! そんな可哀想なものを見るような目で俺を見るんじゃない! 「……何やっとるんじゃ、お主」 「これからの人生に絶望していた」 「そうか。足元は明るそうに見えるがな」 そう言ってクルスが指差す俺の足元は……いや、俺は脚は黄金色に輝いていた。まじかよ、俺の未来は黄金色? じゃない。よく見ると俺の脚そのものが黄金になっている。 「ああ、そういえばオレの触れたものは徐々に黄金になるのだ。オレはこの魔法が好きでな。おまえが死んだら、黄金像として洞窟に飾るつもりだった」 そう笑いつつファフニールが呪文を唱えると、すぐに脚は元通りに戻った。 金ピカ好きだけあって悪趣味なやつだ。まあ、俺のようないい男を飾りたくなる気持ちもわからんでもないが。 「俺の絶望を返してくれ……。ああ、いや、絶望はいらんな。絶望した時間をか」 「ほれ、茶番は仕舞いじゃ。さっさと拠点に戻るぞ」 グニタヘイズ上空の罠の魔法をファフニールが解除して飛行準備完了。 俺はクルスの背中に乗って出発準備完了。っと、そのまえに捕虜にしたお姉ちゃんもクルスに乗せて連れて行かないと。 洞窟の外にレギンレイヴの姿が見えなかったので、俺はどうしたのかとクルスに聞いた。 「はて。ツタで拘束して、そのへんに転がしておいたはずじゃが……」 放っておいたので逃げ出してしまったのだろうか。いや、彼女は足をくじいて歩けないはずだ。それに天馬もひどい怪我をしているので飛んで逃げるはずもない。 まだ近くにいるはずだ、と周囲を捜索すると馬も彼女もすぐに見つかった。 ……変わり果てた姿で。 まるで縄で緊縛されたかのような痕が身体中に残っている。こ、これは……一体どこのどいつが、どういったお楽しみをやっていたんだ。実にけしからん。 だが俺には心当たりがあった。 そういえば洞窟の中でクルスとファフニールが喧嘩をしていたときに、クルスのやつはツタを思いっきり締め上げていた。 で、こいつらを拘束していたのもクルスのツタだ。ということは犯人は……。 犯人(クルス)の姿を見るなり、ぐったりした状態のレギンレイヴは呻き声を上げた。 「お、おのれ地竜め……! 捕虜にすると言っておきながら殺しにかかってくるとは、やはり竜は信用できない……。お、覚えておけ……」 よかった生きてた。しかしなるほど、こういうところから誤解が生まれて種族間対立が深まるんだな、と思わずにはいられない俺であった。 地竜の相手はもう疲れた。俺には水竜のお譲ちゃんぐらいがちょうどいい。 Chapter23 END 魔法戦争24
https://w.atwiki.jp/syougunmk-9/pages/163.html
クラス分けサンプル クラス0 クラス1 クラス2 クラス3 クラス4 クラス5 パンピー ワイルドランナーケイブガード レイダー フュンサー マジックフュンサー ソルジャー アタッカー メカニック シューター ※汎用・ザコとして出てくるタイプの一覧です 汎用系 パンピー(ザコ) アタッカー(ザコ) 戦士系 ワイルドランナー(ザコ) ケイブガード(ザコ) ファイター フュンサー グラディエーター 重装兵 ソルジャー 銃士系 シューター(ザコ) レイダー(ザコ) ガンナー グレネード バーナー ライフル ミサイル 対空兵 護衛兵系 ガード シールダー 技士系 メカニック(ザコ) サッパー アルケミスト 騎兵系 マシンライダー テイマー 魔術系 マジシャン ウィザード 魔法戦士系 マジックフュンサー 隠密系 シーフ ニンジャ 回復系 メイジ メディック 海戦系 マリナー パイレーツ 指揮官系 コマンダー ジェネラル 母艦系 エアシップ