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※何の罪も無いゆっくりがナニでアレされます。そういうのが苦手な人は回れ右。 森の中を歩いていると、ゆっくりれいむを見かけた。 その瞬間、勃起したのでとりあえずお決まりの挨拶をしてみた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!おじさんはゆっくりできるひと?」 主の本能に従ってお約束の返事をするゆっくりれいむ。 おじさんって年ではないのだけれど、そんなことをいちいち気にする性分でもないので軽く聞き流す。 「すごくゆっくりできるひとだよ!だかられいむのおうちにつれていってね!」 「うん!れいむのかぞくといっしょにゆっくりしようね!」 警戒心が無さ過ぎるぜ。しかしそのピュアハートが良いんだな!! というわけで、俺はゆっくりれいむの家族の待つ家へ向かうことになった。 「ただいま、みんな!れいむがゆっくりかえってきたよ!」 「「「「おかえり、おかあさん!れいむたちゆっくりおるすばんしていたよ!」」」」 「おかえり、れいむ!まりさもゆっくりあかちゃんをまもっていたよ!」 そのれいむの家はかつて人間が使っていたと思しき木造の小屋だが、ゆっくりの言えとしては破格の大きさだった。 そこにいたのは子れいむと子まりさが2匹とにんっしん中のゆっくりまりさが1匹。 「ゆ?おじさんはゆっくりできるひと?」 「そうだよ!ゆっくりできるひとだよ!」 そう言うと小屋に備え付けられた棚にあった釘と金槌とベニヤ板で、壊れてしまって押すだけで開いてしまう扉を即座に封印した。 「ゆゆっ?」 何をやっているのかよくわからないらしく、興味津々のゆっくりたち。 そんなゆっくりたちを尻目に作業を終えた俺はすぐさまズボンと下着をずり下ろしていきり勃ったイチモツの封印を解く。 「だから、おじさんとゆっくりシようね!」 そう叫ぶや否や、近くにいた子れいむを掴むとその可愛らしい口に俺の白楼剣を突き立てた! 「んぐっ!?」 「ゆゆっ!おじさん、なにするの!?」 すぐさま抗議する母れいむだったが、口にナニを入れられた子れいむの表情を見せてやるとすぐに黙りこくった。 そりゃそうだろうな。親だったら子どものこんな嬉しそうな表情を見せられたら文句なんて言えなくなる。しょせんゆっくりだし。 「どうだい、れいむ。お兄さんのぺにぺには甘くて美味しいだろう?」 「うん、おいひぃ~。あまあま~♪」 実はこんなこともあろうかと毎朝起きたらMy白楼剣に潤滑剤として蜂蜜を縫っているのだッ!! それはさて置き、その言葉を聞いたとたん、子ゆっくりたちが俺の下に殺到する。 「れいむもあまあまー!」 「「あまあまぺにぺにはまりさのものだぜ!」」 「おいおい、お兄さんのぺにぺには一つしかないんだぜ?」 と、俺が困っているのをお構いなしに子どもたちはぺにぺに争奪戦を始めてしまった。 しかし、こんなことで俺の憩いのひと時が邪魔される訳にはいかない。だから・・・ 「よ~し、しかたない!お兄さんが4匹全員いっぺんに相手してあげるよ!」 そう言うと、一匹の子まりさを空いているほうの手で掴んで、俺の顔に近づけ・・・ 「まりざああああ!!がわいいいよおおおおおおおおおお!!!」 と、アリスっぽく叫びながら子まりさの口に舌をねじ込んでやった。 「ゆ!?」っと驚き、またしても抗議しようとする母れいむにまた、子どもの表情を見せてやる。 「ゆ!・・・あまあまらぜ!」 口の中には飴が入っているので、こっちもあまあまだ。 さらに残りの2匹を足で押さえつけると、要石でも止められそうにない、激しく、荒々しく、それでいて慈愛に満ちた地震を発生させた。 「ゆぎゃ!おじさんなに・・・ゆぅ~ん、ゆっゆっゆ・・・」 「ゆ!?ゆぅぅぅぅぅううぅぅ・・・ゆっゆっゆっゆ・・・」 ゆっくりのそれとは違う、絶妙な緩急と多彩な振動、そして時には焦らしも交えたをテクニックの前に子どもたちはあっという間にヘブン状態! あっという間に子ゆっくりたちは何かよくわからない汁で体中をぬらぬらとてからせ、にちゃにちゃと淫靡な音を小屋中に響き渡らせる。 何度か親ゆっくり2匹が俺にこの行為をやめさせようとしていたが、その度に幸せそうな表情の子どもを見せつけられては押し黙ってしまうだけだった。 「ゆううううううう・・・きもぢいいいいいいい・・・・」 「いぐぅうぅぅぅぅ・・・いっぢゃうううううう・・・!」 「あまあま~、ゆっゆゆぅぅぅぅうう・・・ちゅぱ・・・」 「あまあまだぜ・・・にちゃ、ぷちゅ・・・ゆうううううう・・・」 イチモツと舌を咥えている子ゆっくりたちにも本人があまり意識しない程度に振動を与えているので、すでに発情モード、もうすぐオーガズムに達するだろう。 勿論、俺もナ☆ 続く、はず? ---あとがきっぽい何か--- 今回はゆっくりとせっくる。 多分この後は母ゆっくりを母まりさの前で自分のテクニックの虜にしたり、 口だけじゃ物足りなくなって子どもたちの体に穴を開けたり、 最終的に母まりさの産道を犯したりする予定、のようなそうでないような? byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
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ゆっくり一家がゆっくりすることなく跳ねていた。 れいむとまりさのつがい。 4匹のれいむ種、5匹のまりさ種の子供が後ろに続いている。どれもトマトほどだ。 赤ちゃんではないが、子供というほど大きくもない。 「もうすぐで、ぎゃくスレからでられるよ!」 「あとすこしでゆっくりプレイスだよ!こどもたち!」 「ゆっくりがんばりゅよ!」 「もうしゅこしでニコニコだよ!」 「ゆっくちがんばりょうね!」 このバカ11匹は、虐待スレからの逃亡を図っていた。 とあるゆっくりから、ゆっくりする世界はいくつもあることを教えてもらったとか。 虐スレにはゆっくりする場所はないのだという。 ゆっくりできてるようだが、それはゆっくりできなくするためのゆっくりであって本当のゆっくりは無いのだと。 そこで、このゆっくり一家は虐スレからニコニコへの移動を開始していた。 「ニコニコのゆっくりはすごくゆっくりしてるんだよ!れいむたちもいっしょにゆっくりしようね!」 本当は愛スレに行きたかったのだが、場所を知っているゆっくりが1匹もいなかった。 そこに行ったゆっくりはみんなそこでゆっくりしてしまって戻ってこないから。 「ぐぉらぁあああっ!糞ゆっくりども!ここから逃げ出すとは何事じゃああぁあぁあ!!!」 突如、背後から爆走してきたのは虐スレに住むお兄さん。 かなり数が多いことで有名だ。 もちろん、お兄さんが逃げようとするゆっくりを見逃すはずもない。 虐待どころか殺す勢いで迫ってくる。 「ゆげえええ!!!ぎゃくスレのおにいさんがきちゃったよおおぉお!!」 「どうずるのまりざあぁああ!!」 「おきゃーちゃん、れいみゅこわいよ!」 「だれかたちゅけちぇー!!」 きったない鼻水やらなんやらをまき散らしながら逃げる11匹。 すると目の前に虐スレの境界が見えてきた。 「ゆゆ!あれがぎゃくスレのでぐちだよ!ゆっくりしないででるよ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 跳ねる速度を上げ、どんどん進む。 だがお兄さんの走る速度は尋常ではなかった。 あっという間に、少し遅れていた子供のゆっくりに追いついた。 「ゆきっ!?たちゅけておかーしゃん!」 それに振り向くことなく、残り10匹ははね続けた。 虐スレ的に考えてアレはだめだろうなーと、10匹は思った。 「ゆぼっ!」 予想通り、その小さなまりさはめちゃくちゃに潰れて死んだ。 「こっから逃がすくらいなら皆殺しにしてやらぁあぁっ!!」 お兄さんの足が、次々と子供達を踏みつぶす。 まりさが潰され、れいむが潰され、またれいむが潰される。 虐スレの境界に来たときには、親2匹と子供のれいむ2匹、まりさが3匹の計7匹にまで減っていた。 「ゆっくりにげるよ!」 まず、虐スレの外に飛び出したのは親まりさ。 続いて親れいむが逃げ、子供達が続く。 「ゆー!あとちょっとでゆっくちなのにいぃいい!!」 まりさ種のガキが1匹、最後の最後で捕まった。 6匹は虐スレの外から、そのウスノロの最期を見届けた。 「ゆゆ!これでまりさたちはゆっくりできるね!」 「そうだね!」 虐スレ側の境界間近で、お兄さんが悔しそうな顔をしている。 「くっそ・・・!虐スレ以外では虐待できん・・・!」 お兄さんはちゃんとテンプレを守る人だった。 これがテンプレ読まないバカだったらすぐさま殺されただろう。 れいむとまりさはテンプレに感謝した。 「それじゃあニコニコを目指すよ!」 「ニコニコについたよ!」 たった空白3行で着いた。 ログインがどうのこうの言ってたが、がんばったら入れた。 たどり着いた6匹は初めて見る光景に感動していた。 「ゆっくりなかまをさがそうね!」 なんとなくゆっくりを感じる方向に跳ねる6匹。 すると、目の前にものすごく大きいゆっくり魔理沙が現れた。 人間の身長くらいあるまりさだ。 「ゆ!ニコニコのまりさはすごくおおきいね!」 親まりさは初めて見るニコニコのまりさの大きさに驚いた。 並ぶと、まるで大便と鼻くそくらい大きさが違う。 「ゆっくり死ね」 なんだか変な声、発音でそんなことを言われた。 親まりさはプンプンする。 「ゆ!いきなりそんなことをいうなんて、まりさたちおこるよ!」 「そうだよ!れいむたちはぎゃくスレからきたんだよ!おいしいごはんをよういしてね!」 無礼な言葉に、2匹と後ろのクソガキ4匹がぷりぷりと怒る。 まりさは空気をふくんで頭の悪さマックスの威嚇をした。 「大盛り魔理沙お待ち」 ニコまりさはそういうと、膨れる素振りすら見せることなく巨大化して突進してきた。 3倍くらいに大きくなったニコまりさは、そのまま親まりさとガキ3匹を轢いてそのまま何処かへ行ってしまった。 残ったのはペチャンコになった元まりさと元子供。 「ゆぅああああああ?!?!?ま、ま、ま、れいぶのまりざがぁああああっ!!!?」 生ゴミを前に泣き崩れるれいむ。 だが、さっきの声と似た不気味な声がれいむの耳に届いた。 「上から来るぞ 気をつけろ」 恐怖から、3匹は真上を見上げた。 するといきなり横から巨大な影が飛んできた。 「ゆぼっふぉお!!?」 「ゆびゅう!!」 さっきの再現だ。 生き残った2匹の子供がつぶれて死んだ。 「い・・・いぎのごっだれいぶのあがぢゃんがぁああっ!!!」 そして目の前には巨大なゆっくり霊夢が。 さっきのニコまりさくらい大きい。 「ゆ・・まけないよ・・・!れいむはおまえなんかにまけないよ!!」 「いでよ、我が眷属達」 どこからともなく、親れいむほどの大きさのれいむ達が何十匹も現れ、跳ねるでも這うでもなくものすごいスピードで突進してきた。 「ゆげ!?」 れいむはその波に飲み込まれ、そこから抜けるころにはズタボロになっていた。 「ゆ・・・なんなの・・・れいむはただ・・・・れいむはただ・・・・・ゆっくりしたかっただけ・・・なのに・・・」 それがれいむの最期の言葉になった。 終わり。 MUGENゆっくりに最初に会わなけりゃ生きていけたかな? 作:ユユー このSSに感想を付ける
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ドスまりさ、賢いゆっくりが出てきます。 また現時点では虐待描写はありません。 これはドスの群れと、人間がお互いに決まりごとを結び、何とかうまくやっている里のお話 ゆっくりが人間の家にホームステイする。この案をゆっくり側が出したと、里長が言った時集会所に集まっていた人たちは大いにうろたえた。 冗談じゃない!! あの糞饅頭どもを家に入れろって!? そんなの考えるだけでけがらわしいわ!! と、いきなり罵倒し始めた人間がほとんどだった、いくら皆が信頼する長の言だとしても頭のいい飼いゆっくりとは違いあんな人の畑を荒らし、売り物をかっさらっていく糞饅頭、 そんな連中と同じ屋根の下で暮らせるかという意見がほとんどだったのは当然だろう 「長、ひとつ質問が」 周りが喚き立てている中、ずっと黙っていた一人の若者が長に意見した。 「なぜゆっくり達はそんな事を言い出したんです?それが分らないのであればどんな案でも通りませんよ」 「うむ…」 村長はしばらく黙った後、皆に聞こえるように話し始めた。 この里は2年ほど前から近くの森にドスまりさをはじめとする100匹ほどの群れが住み始めた。 このドスまりさは里にあいさつをしに来ると同時に長にお互いの決まりごとを決めたいと言ってきた。 里というのはもともと人が住みやすいところにいつの間にか人間が集まって作られる。そのため人間の生活圏付近というのはゆっくりにとっても暮らしやすいからあまりここから離れたくない。 だが、このままだとゆっくりと人間の間にトラブルが起きることは避けられない。だからこそ、そのトラブルを回避するために決まりごとを結びたいというのがドスの主張だった。 この村は数か月前ドゲスの群れと条約を結び、結果争いがおきドゲスの群れを一掃したばかりだったため、長は条約を結ぶのに懐疑的だった。 しかしドスが「おちかづきのしるしに」と、帽子からこの付近では珍しい木の実や山菜を出してきた、そのため里はドススパークによる脅迫をしてこないこのドスと半分試しに条約を結んでみようという話になった。 きまりごと(条例とか条約ではあるがドスがあくまで約束だと言い張った)の内容は 人はゆっくりに危害を加えてはならない ゆっくりは人に危害を加えてはならない 危害を加えられたことに対する制裁はこの限りではない お互いの生活圏内への侵入はその生活の支障にならない限りは制限しない 人間は正当な理由があれば群れを現在のゆっくりプレイスから立ち退かせることができる。その場合群れに一週間の準備期間を与える。この決断には長と里の大人過半数の承認が必要 この条約は上記の決定がなされてから一週間が経過した時点を持ってゆっくり立ち退きの如何を問わず効力を失う この条例に反した人間と飼いゆっくりは人間が、ゆっくりはゆっくりがお互いの代表者立会いの下処罰する というものだった。 最期の文は人間にはゆっくりの処罰も人間の処罰もできるがゆっくりに人間の処罰を行うことは難しいと、ドスが主張したためこのような形になった。 まだ少数のゆっくりが畑を襲ったり、店先の売り物をかっさらったりすることはあったがそれでも被害件数は10分の1以下になりった事、加害ゆっくりの殆どは群れとは無関係のゆっくりだったこともあり、不満を持つものはごく少数だった。 そして去年、この条文に新たに「二か月に一度人間とゆっくりの代表が会談し、近況を報告すること。ただし冬期間を除く」が追加された。 「そんなことは知ってます、俺も立ち会ってたんですから」 青年が急かした。 「まあまて…君たちは最近の里の畑の被害についてどう思う?」 長が一つの巻物を皆に見えるように広げた。 「そういえばここ数カ月、ゆっくりによる被害件数が増えている気がするな…」 「そうですね、群れの外のゆっくりによる被害件数はあまり変わっていませんが…群れのゆっくりによる被害は少しづつではありますが増えています」 「やっぱり饅頭に期待したのがまずかったんじゃないのか?」 皆がそれぞれ意見を言い合っているのを長が制して発言した。 「まあ待て、それはドスも理解している、その解決策としてドスがホームステイを提案してきたのだ」 ホームステイが被害を減らす方法?いったいどういうことなのだろうか? 「ドスが言うにはドス以外のゆっくりの殆どが世代交代をしてしまい、条約を結ぶ前から生きているゆっくりはドスを除くと数匹の成体だけらしい、 そのため若い個体が根拠のない自信を持ち始めて条約の大切さ、人間との関係を保つことの重要さを理解しないゆっくりが現れ始めているそうだ。 それでドスまりさがゆっくりに人間の持つ畑の意味や、野菜の作り方等の人間の知恵を学ばせ、群れで実践しようということらしい。 農耕が成功すればゆっくりがわざわざ人の畑を襲う理由は無くなるし、失敗してもゆっくり達に人間のルールを覚えさせることができれば 人間のものである畑の野菜に手は出さないだろうと言うのがドスの意見だ」 「確かにゆっくりは野菜は勝手に生えてくるものだと思っている個体が大勢ですからね、それを思えば畑を人間が野菜を独り占めしていると思い、憤慨するのも仕方ないでしょう」 ゆっくり好きの青年が言った。 「それで、長はどうするんです?実際にホームステイさせるにしてもうちにはそんなことする余裕なんてありませんよ」 一人で店をやりくりしている男が言った。 「もし実際に行うのであれば受け入れ先は農家か商店になるだろう、いやだというのなら無理にゆっくりを受け入れろとは言わない。 だが私は今まである程度良好な関係を築いてきたあのドスのいうことだからやってみる価値はあるのではないかと思う」 「まぁ、原因はドスの力不足なんだがな」 虐待好きのお兄さんが毒を吐いた。 「まぁまぁ、ゆっくりというのはある意味子供みたいに純粋な存在なんです、親に言われるだけじゃ理解してくれないものなんですよ。あなただって親にやってはいけないと言われたことをやったことはあるでしょう?」 「そういうもんなのかねぇ?」 結局、里ではゆっくりによるホームステイを受け入れることが決まった。 長とその側近数人を残し、その日の会合は解散となった。 一方、人里近くの森のドスの巣ではドスまりさが数匹のゆっくりに言い寄られていた。 「なんでどすはわざわざにんげんのところにゆっくりをいかせるの!?おやさいをひとりじめするにんげんなんかにおしえてもらうことはなにもないよ!!」 そう言って若いまりさは「ぷんぷん!!」と言いながら自分の巣に帰って行った。 「ごめんね…でもこれはまりさたちがゆっくりするためにひつようなことなんだよ」 「でもどす、どうしていまからにんげんのところにいくことをかんがえたの?にんげんはこわいからちかずいちゃだめってぱちゅりーのおかあさんにおしえたのはどすなんでしょう?」 側近の一人であるぱちゅりーが言った。 「それはねぱちゅりー、むかしはむれのみんながにんげんのことをしっていたからだよ…でもさいきんのゆっくりはにんげんにあまりあわなかったから、くちでいってもなかなかりかいしてくれないんだよ…」 ドスの言うとおりだった、さっきドスの巣を飛び出したまりさは過去に三回も人間の畑に侵入している。 一回は成功したが群れに帰って自慢しているところを「じけいだん」のゆっくりに捕まり、ドスの権限でリンチという刑を執行した。 二回は人間につかまり現行犯としてとことん暴行を受けた後、群れでも刑としてリンチにせざるを得なかった。人間に現行犯として潰されるゆっくりもいる以上、このまりさが生きていることは奇跡に近い。 しかし「ルールを守る正義感」ではなく「悪を許さない正義感」の強いまりさは野菜を独占する人間こそ悪で、群れのゆっくりを虐める人間に媚び、諂っているように見えるドスも悪だった。 「だからまりさはむれのみんなににんげんのことをしっかりりかいしてもらおうとおもうんだよ、そうすればにんげんにわるいことをするゆっくりはへってくれるとおもったんだよ」 「むきゅう…」 このドスは人間の強さを理解していた、必要以上に理解していたと言ってもいいかもしれない。 だから条例を結ぶ時はドスパークで脅すなんて言う方法はとらなかった、そんな事をすれば誇りもプライドもある人間が自分たちを快く思わないことは知っていたからだ。 だから条例を最後まで「どすがおねがいして、にんげんがきめてくれたおやくそく」というふうにした、ゆっくりを下どころか生物としてすら認識しないようなひどい人間もいる、 条約とか条例とか、お互いが対等に思える言葉を使うとそれだけで一部の人間の怒りを買いかねないと考えた。 だから最初にあいさつに行ったとき、前のゆっくりぷれいすから移動する途中で見つけたおいしいキノコや山菜を挨拶として渡した。条約は人間に少し有利になるようにした。 もとからここに住んでいたのは人間で、自分たちはよそ者だからだ。 関係修復不能なトラブルが起きた時の保険もうっておいたつもりだ、自分たちは人間に言われればすぐに準備して旅立つことができる。その意思表示をすることで人間に群れを壊滅させられることを防げると思う。 人間は非常に怖く、危険な存在だ。だがこの周囲には凶暴な他の動物は少なく、人間とは話し合うことができる。できるだけここから離れるわけにはいかないのだ。 ドスの趣旨を理解し、巣に戻る連中、ドスが何を言っているのかよくわからなかったが話し合っている気になった連中、人間の反るに足らず、ドスは何を弱気になっているかと文句をいう連中。 彼らが巣に帰るのを見送りながら、ドスは自分の考えがうまくいってくれるであろうことを月に祈った。 人里のとある一軒家では一人の男が酒を飲みながら聴く相手もいない愚痴を漏らしていた。 「畜生!!ゆっくりがホームステイ!?冗談じゃない!!何でどいつもこいつもあの饅頭がこれ以上でかい顔をするのを見過ごせるんだ!?」 彼はゆっくりが嫌いであった、明らかに人間を真似して小馬鹿にしてみましたと言わんばかりの下膨れ顔、しかも鳴き声まで人間そっくりにしゃべりやがる。 そのくせ虐めると人間のような声で命乞いをし、親子で泣きあい、親子といえども簡単に裏切る。本来社会的に聞くことのできないはずのそれは男を興奮させるに足るものだった。 それがなんだ?2年前にドスまりさと条約を結んでからおちおち虐待もできなくなってしまった。つい我慢できなくなって道端をいるいているだけのゆっくり一家を殺したら「条約は守らねばならぬ」と言われ、村長に灸をすえられた。 今まで男は村長を尊敬していたが、このころから村長はもうろくしてきたのではないかと思っていた。 そして村長は今回のホームステイを実行に移すつもりだ、村長はもう駄目だ、完全にボケやがった。男はこう判断した。 なぜ、畑を襲う饅頭を減らすためにわざわざ饅頭を里に招き入れるのか、んなもんどうぞどうぞと畑に招き入れて片っ端から潰してやればいいのに。 ホームステイなんてやっても時間と金の無駄だろうに、なぜゆっくりごときにそんな暇なことをするのか、誰も疑問に思わないのか? 思わないんだろうな、里の人間はみんな長を信頼し、尊敬している。その信頼されるにも尊敬されるにも足る功績を長が残したのは事実だが、その長が完全にボケてしまったことに誰も気づかないのだ。 もしかしたら気付いていても周りが怖くて言えないだけなんじゃないだろうか? 「おねえさん!!ほーむすていってなぁに?」 「ホームステイってのはね、森に住んでるゆっくり達が人間の里にお勉強しに来るのよ」 ある家では銀色のバッチをつけたれいむとれいむをひざに抱えた少女が話し合っていた。 「おべんきょう?もりのゆっくり、れいむみたいなぺっとになるの?」 「そうとはかぎらないわね、もりのゆっくりたちが勝手に畑に入って虐められることがないように人間について学ぶの」 「れいむがおねーさんにかわれはじめたときみたいに?」 「あの時は大変だったわ、散歩に連れて行くたびに里のみんなに迷惑かけて」 「ゆぅ…ごめんなさい…でもれいむはもうそんなことしないよ!!」 一度落ち込んだれいむがすぐに笑顔になる。 「そうね、森のゆっくりも、里のゆっくりも、人間も、みんな仲良くゆっくりできたらいいね…」 「きっとできるよ!!だってれいむにもできたんだもん!!」 「そうね…じゃあ、はじめましょうか?」 少女は左手にバターナイフを持つとそれをくるりと回転させた。 「村の集会だが、ゆっくりのホームステイを受け入れることに決まったよ」 別の家では初老の男性が初老の女性と話していた。 「そうなんですか?大丈夫でしょうか?ゆっくりに畑を襲わせないようにするなんて…」 「この里の中にだってゆっくりを飼ってちゃんと躾けている人だっているさ、それが野生の相手に変わっただけだよ」 「でも隣のお嬢さんからほとんどの飼いゆっくりと野生のゆっくりは中身が違うと聞きましたよ?」 「それもほとんどだろ?野生のゆっくりを拾ってちゃんと躾けた人だっているんだ、それに私は長のいうことだから成功すると思う」 「それもそうですね」 この夫婦は長が長の座についてからの付き合いがあった。 「それにうまくいけばあの悲鳴を聞く機会だって減る、そうすればお前のためにもなるだろう」 この夫婦は農家をしていた。ドスとの条例を結ぶまではそれこそ毎日のようにゆっくりが畑を荒らし、男はそれを潰していた。 しかしゆっくりはあまり似てないとはいえ人間の頭部に似ており、声に至っては人間そのものである。そんな人間そのものの悲鳴、鳴き声、命乞い、断末魔、そんな声を聞くのはもうたくさんだった。 里のほとんどの人間の考えだった。あんな限りなく人間に近い断末魔を聞くのはいくら畑を守るものといっても精神に重くのしかかるものがあった。 それを少しでも減らせるのなら…と、里の人間の殆どはホームステイに賛成だった。 次の日、ドスまりさと長は会談を行いホームステイの内容の取り決めを行った。 内容は以下のように決まった ホームステイ期間は一カ月を予定 ホームステイに参加するゆっくりは大人と子供のペアが五組 受け入れる人間は主に農業や、八百屋、魚屋などから五世帯、ただしトラブルを防ぐため飼いゆっくりがいる世帯では行わない ホームステイ中にゆっくりは人間から農業や、商業について(商業はあくまで店の物は放置しているわけではないこと程度)教育を受ける 週に一回、群れからゆっくりが経過確認のために訪問を行う 人間側が拒否すればその世帯のホームステイは即刻中止にすることができる ホームステイ中に人間やゆっくりが相手に被害を与えた場合は条約にのっとり罰し、その世帯でのホームステイは即刻中止する この条件のもと、一週間後にホームステイを行うことになった。 またホームステイの失敗を防ぐための諸注意も取り決めた ホームステイのゆっくりを区別するためにバッチをつける ゆっくりはペットになるのではなく、あくまで学習の一環である、そのため自然に存在しないような加工食品などは特別なお祝いを除き、食べさせてはいけない また、自由時間を用意し、自分で餌をとれる時間を作る 躾目的以外でのゆっくりへの体罰は認めない その他諸注意をまとめた本として「ゆっくりの飼い方」を各世帯へと配布する 里では最後の一世帯がなかなか決まらなかった、皆これが里の被害を減らす方法になると考えながらも野生のゆっくりを家に上げるということに少し不安を感じていた。 だが、結局3世帯の農家と、八百屋と魚屋が受け入れ先として決まった。 群れではまりさがゆっくりの選定を行っていた。 最初は希望者の中から選ぼうとしたのだが人間の美味しいごはんが食べたいとか、そんな理由で立候補したのが見え見えだったのでやっぱりドスが選定することになった。 いろいろ迷った挙句側近や、出来るだけ頭のいい親とその子を選に、そのゆっくりたちに訓示を行った。 訓示の内容としては あくまで勉強に行く事を忘れないこと そのため、ご飯は可能な限り自分で取ること 子は親と離れないこと 受け入れ先の人間のいうことはちゃんと聞くこと もし人間に怒られた場合はまず謝る事、そしてなぜ怒らせてしまったのか理由を聞き、そのことをしっかり覚えること 訓示を二回繰り返し、復唱させ、親全員がしっかり復唱させ、復唱できたのを確認すると送別会に移った。 「おかーさんどこいくの?」 「ぱちゅりーおかあさんとれいむはにんげんのところへいくんだよ」 「どぉちてー?」 「にんげんはこわいよ?」 「むきゅー、怖い人間でも仲良くなれればきっといっしょにゆっくりできるからよ」 家族たちは一ヶ月の別れを惜しみながら、ゆっくりゆっくりしゃべり、いつもは食べれない美味しいごはんを食べた。 「まりさ!!ゆっくりしていってね!!れいむのちびちゃんのことをよろしくたのむね!!」 「ゆっくりまかせてね!!」 ある家族は子供を他の家族に任せるためにあいさつに回った。 他のゆっくり達はそれぞれホームステイするゆっくり達に別れのあいさつをする者、何だかわからないけどおいしいごはんが食べれるからいいやと思った者、おいしい人間のご飯が食べれていいなと思うものに分かれていた。 そしてあの正義感の強いまりさは宴会場の隅っこでご飯をむーしゃむーしゃしながら挨拶し合うゆっくりをにらんでいた。 成功するわけがない。 野菜を独り占めし、それをもらおうとしただけでゆっくりをいじめ時にはそれを殺す悪の人間。 そんな人間にいつも諂い、人間の野菜の独占を当然のように見逃し、自分たちには里に行くなと言いながらちょくちょく人里に降りて行く悪のドス、奴はきっと人間と結託し野菜を食べているに違いない。 そしてそんな悪に喜んで従うあのゆっくり達、悪の子分、ゲス。 悪と悪と悪の子分が結託した作戦なんて絶対に成功するはずがない、なぜなら正しいものはいつも勝つとお父さんが言っていたからだ。 今から作戦に失敗し慌てふためく無能な悪のドスの姿が目に浮かぶ。 もし、作戦が成功するようなら…この群れは終わりだ、きっと自分のような正義のゆっくりがゆっくりできなくなり、悪のゆっくりが人間と結託してゆっくりするようになってしまう。 もしそうなるようなら…自分が正義の名に懸けて成敗してやる。 あ、このキノコ美味しい、ドスにもう一本もらってこよう。 続く 10月14日 2343 セイン このSSに感想を付ける
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『むーちゃ!むーちゃ!ちあわちぇー!』 「ゆっくりたべてね!!いっぱいあるからね!!」 『おかーしゃん!ありがちょー!!』 「れいむ!!いまかえったよ!!」 「まりさ!!おかえり!!」 『おきゃえり!!』 初夏、緑が眩しくなってくるこの季節 春先に産まれた赤ちゃんゆっくり達はゆっくりとした愛情を受けて育ち 大きさは親達と大差ないほどに成長してくる季節になる 未だ舌足らずな言葉とあまり自分で餌を獲れないところ以外は親と同じである 『ぽんぽんいっぱいだからもうねるにぇ!!』 「「ゆっくりねてね!!!」」 「ねえれいむ、そろそろれーむにも狩りの仕方を教えようと思うんだけど」 「そうだねまりさ!!そろそろだいじょうぶだよね!!」 「「じゃあ、あしたからゆっくりおぼえてもらおうね!!!」」 次の日かられーむの特訓が始まった 弱った虫から始まり、最終的には自分で餌を獲れるまで 来るべき夏本番に向けて狩りの練習が始まった 『おかーしゃん!!ぽんぽんすいちゃ!!』 「れーむ、きょうからじぶんでごはんをたべるれんしゅうをするよ!!!」 『ゆ~?にゃにしゅればいいにょ?』 「まずは、このいもむしさんをたべてね!!」 『ゆー!!しょんにゃのかんちゃんだよ!!ゆっくちたべられちぇね!!!』 『むーちゃ!むーちゃ!ちあわちぇー!』 「じゃあ、つぎはこのばったさんだよ!!」 『ゆゆー!!しょんなのじゃしゅぐにおわっちゃうよ!!』 『ゆっくちたべるよ!!むーちゃ!むーちゃ!ちあわ・・・ちぇ?ありぇ?』 『むしさん!!ゆっくちまってね!!れーみゅにたべられてね!!』 『ゆゆっ!?そっちじゃにゃいよ!!こっちにきちぇね!!』 「れーむ、そんなにいそいでたらつかまえられないよ!!」 『ゆゆっ!?そーろ、そ-ろ、ゆっくちにげないでねー』 『おかーしゃん!!ゆっくちつかまえちゃよ!!』 「さすがだよ、れーむ!!きょうはこのくらいにしようね!!」 また、木の実やきのこなどの食べれる植物も教えてゆく 「きょうはおとーさんがおしえるよ!!」 『がんばるにぇ!!おとーしゃん!!』 「まずはきのこさんだよ!!」 『へんにゃかたちだしへんないろだにぇー、たべりぇるにょ?』 「これはたべるとあぶないからだめだよ!!」 『ゆっくちわかったよ!!』 「れーむ!!あのきをみて!!おいしそうなのがあるでしょ!!」 『ゆー!!あれたべちゃい!!でもたかくちぇとどかないよ・・・』 「だいじょうぶだよ!!こうすればっ!!ちょっといだいけどてれるよ!!」 『ゆゆ・・たいあたりにゃんてむりだよ・・・いちゃいよ・・・』 「いたいのはさいしょのうちだけだよ!!ゆっくりはどきょうだよ!!」 『ゆゆ・・・ゆーっ!!・・・・・・・いだいよぉぉぉぉ!!むりだよぉぉぉ!!』 『ゆぅぅぅぅん!!!おがおがいだいよぉぉぉ!!・・・ゆぐっ!!』 『おどーざん!!ゆっくりじでだらあだまのうえにおちちぇきたよ!!ひとりでとれたよ!!』 「すごいよれーむ!!じゃあそろそろおうちにかえろうね!!」 夏、照りつける太陽、蝉の声、親の教育の元、子ゆっくり達は殆どが自分で餌を獲れる様になる 実りの秋を過ぎ、極寒の冬を耐え抜くために夏場の狩は一家総出で行う このころになると子ゆっくりからも赤ちゃん言葉は抜け、大人達の仲間入りを果たす事になる 「きょうもゆっくりがんばろうね!!」 『れーむもがんばるよ!!』 「れいむはおるすばんしながらおうちをまもるよ!!」 「「『みんなでいっしょにふゆをこえようね!!!』」」 秋、色鮮やかな山々、実り豊かな森、ゆっくり達にとって冬を越せるか越せないのかはこの季節にかかっている 冬場の保存の利く食料、寒さを防ぐための木の葉や入り口をふさぐための枝など 冬の準備のためゆっくりが一番ゆっくりしない季節 『おとーさん、おかーさん、ゆっくりそうどんしたいことがあるよ!!』 「「ゆゆっ?ゆっくりいってね!!」」 『このふゆをぶじにこえたら、れーむはここをでていくよ!!』 「ゆゆっ!!おかーさんはゆるさないよ!!まだはやいよ!!」 「れーむ、どこかにいくあてはあるの?」 『きのこいわのどーくつのまりさといっしょつくったおうちをよういしてあるよ!!』 「こどもふたりですむなんてむりだよ!!ゆっくりかんがえなおしてね!!」 「れーむ、それはじぶんでゆっくりかんがえたけっかなの?」 『ゆっくりかんがえたけっかだよ!!』 「まりさもとめてね!!むりだっていってあげてね!!」 「れいむ、れーむはゆっくりかんがえたんだよ、はなしくらいきいてあげてね!!」 『おかーさん・・・』 「とにかくおかーさんはゆるさないよ!!かってにしてね!!」 『ゆゆっ・・・ごめんなさい』 「れーむ、おかーさんはおとーさんがせっとくするからゆっくりねてね!!」 『わかったよ、ゆっくりおやすみなさい・・・』 「れいむ、おきてる?」 「・・・」 「れいむは、まりさとはじめてあったひのことおぼえてる?」 「・・・」 「あれはあめでおうちにかえれなくなって、どうくつでゆっくりしてるときだったよね?」 「・・・」 「ふたりでほっぺたをくっつけてゆっくりあさをまってたよね?」 「・・・あのときのほっぺたのあったかさはゆっくりおぼえてるよ」 「れいむだってれーむのきもちはわかるはずだよ!!どうしてはんたいするの?」 「れーむはまだこどもなんだよ、まだひとりじゃなにもできないよ・・・」 「れいむ・・・」 「やっとさんにんでゆっくりできるようになったのに、まりさはさみしくないの?」 「まりさもさみしいよ、でもふたりでゆっくりするっていったとき、れいむとまりさのかぞくもおなじきもちだったとおもうよ?」 「おとーさんとおかーさんにはしんぱいかけたよね・・・」 「だから、つぎはまりさとれいむのばんだよ!!」 「すこし・・・ひとりでゆっくりさせてね」 「れいむ・・・ゆっくりしていってね」 『おとーさん、おかーさんまだおこってるかなぁ』 「ゆー・・・だいじょうぶだよ!!きょうもゆっくりかりに「ゆっくりまってね!!」 『おかーさん・・・』 「きょうからひとりでもゆっくりできるほうほうをおしえるよ!!」 「れいむ?なにいってるの?」 「はるになったらふたりでゆっくりするんでしょう?おかーさんのちえをぜんぶおしえるよ!!」 『おかーさん!ありがとう!!』 「れいむ、さんせいしてくれるの?」 「れーむがゆっくりきめたなら、ゆっくりおーえんするのがおやの”ぎむ”だよ!!だから・・・」 「「ゆっくりがんばってね!!!」」 『ゆっくりがんばるよ!!!』 春の淡い陽気に思いをはせて三匹は巣の入り口を閉じた ~おわり~ 名前 コメント
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「ゆっくり外交の手引き」 ドスまりさが出没するよ!! 虐待というより征伐だよ!! 登場人物の個性が強いかもしれないけど、気にしないでね!! 『この村のリーダーをよんでね!!その人とはなしがしたいよ!!』 直径5メートルを超える巨体。地を震わす声。人間が雨宿りできるほどの大きな黒い帽子。 話には聞いていたが、ついにこの村に来るとは…! ばったり出くわした村人達は、驚きを隠せなかった。 「これが…!」 「ついにこの村にも…!」 「お、俺は村長を呼んでくる!!」 くいっと頬を緩ませるのは、自信の表れ。 力の篭った目は、自分の正しさを確信している証。 力こそ正義。正義こそ力。その口が無言で語るのは、2つの真理。 この世界で知らぬものはいない―――ドスまりさである。 ドスまりさは、村と森の境界にある広場に堂々と鎮座していた。 「ゆっ!ドスまりさ!このむらでもうまくいくといいね!!」 『れいむ!人間にきかれたらまずいよ!!ゆっくりしずかにしててね!』 ドスまりさは、側近であるゆっくりれいむと他に5匹程度のゆっくりを引き連れていた。 れいむとドスまりさがぼそぼそと言葉を交わすが、目の前の村人にすら届いていなかった。 しばらくして、一人の村人が5人の若い男を連れて戻ってきた。 「案内ご苦労。君達は自分の仕事に戻ってください」 「ここからは我々の仕事だ。君達は何も心配しなくていい」 普通の村人とは明らかに違う、清潔感のあるビシッとした服装。 5人は背丈も体格も顔も違うが、彼らは総じて自信ありげな笑みを浮かべている。 ドスまりさの巨体を目にしても、彼らの笑顔は崩れることはなかった。 その中の一人が、一歩前に出てドスまりさを見上げた。 「ほぅ、君が話に聞いていたドスまりさか」 『ゆっ!!まりさはリーダーに話があるんだよ!!ふつうのひととは話をしないよ!!』 ゆっくりという生き物は、相手を見た目で判断する傾向がある。 ドスまりさほどの知能を持っていてもそれは健在で、目の前の若い男が“それ”だとは気づかなかった。 5人の男は互いに顔を見合わせると、示し合わせたかのように一斉に笑い始めた。 「あっははははは!!!」「ふはははははは!!!」 「そうかそうか、ゆっくりは見た目でモノを判断するからなぁ!」 『ゆ!!何がおかしいの!?さっさとリーダーをよんできてね!!時間かせぎはむいみだよ!!』 「ははは!……これは失礼。私こそが、この村の村長である。我々は君達の訪問を歓迎するよ」 “村長”は恭しく頭を下げると、再びドスまりさの顔を見上げた。 そのドスまりさの顔は、疑問と驚きで何とも形容しがたい形に歪んでいる。 今までいくつもの人里を目にしてきたドスまりさにとって、“村長”とは白髪に髭を蓄えた老人というイメージが定着していたのだ。 『ゆ!?あなたが村長なの!?ごめんなさい!!まりさ気づかなかったよ!!』 「いやぁ気づかないのも無理はない。この若さではね、他の村の村長にもよく舐められるものさ」 ドスまりさは、外見で村長ではないと決め付けたことを詫びた。 村長もこういった経験は一度や二度ではないらしく、自嘲気味に苦笑する。 「ふふふ…さて“本題”に入ろうか。君達も、村に観光にやってきたわけではあるまい?」 『ゆ゛っ!!』 鋭い目で側近を含む6匹を見下ろす村長。 ドスまりさは、そんな視線から守るべく6匹を自分の影に隠した。 『ゆぐぐ!!そうだね!まりさも村長さんにお願いしたいことがあるよ!!』 「…お聞きしよう。我々に出来ることなら、全身全霊で協力するよ」 村長だけでなく、彼の側近4人も不敵な笑みを浮かべる。 これで、対峙しているのが人間であれば不信感を抱いて、少しは疑り深くなるものだが… 残念ながら、ドスまりさはとてもゆっくりしたゆっくりだったので、なんら違和感を抱かなかった。 キュウウウウゥゥゥゥ!!! ドスまりさの大きく開かれた口。その中心が強烈な光を放っている。 その発光体はエネルギーを吸収し、どんどん大きくなっていく。 「ゆっくりみていってね!!」 「どすまりさのすばらしさに、おそれおののいてね!!」 「これをみれば、どすまりさにていこうすることがどんなにむいみか、ゆっくりおもいしることになるよ!!」 ドスまりさを守るように、男5人衆の前に立ちはだかる6匹のゆっくり。 ゆっくりの中でも知能が高いらしく、ゆっくりらしからぬ言葉を使っているが…男達は対して驚かなかった。 そして… ズドオオォォォオン!!! ドスまりさの、唯一にして最強の必殺技―――ドススパークが放たれた。 目の前の木々は粉々に粉砕され、ところどころ赤熱している。 その惨状が、ドススパークの恐ろしさを物語っていた。 「今回もやはり―――」 「―――するわけにはいかないか?」 「いつものことながら、威力は―――」 「では、今回も―――」 村長を除く4人の男達は取り留めのない会話を交えるが、ドスまりさの耳には届いていない。 『これでゆっくり理解したよね!!まりさがその気になれば、人間なんていちころだよ!!』 「ふむ、確かに素晴らしい威力だな。人間がこれを受けたら、骨すら残らないだろう」 村長は額の汗を拭いながら、視線を上に向けてドスまりさの顔を見る。 その表情の歪みようから……ドスまりさは、今回も事がうまく進むだろうと確信した。 「それで本題……君達の“お願い”というのは?」 『ゆゆ!!まりさたちのお願いは、人間と村の“不可侵条約”を結ぶことだよ!!』 「ほぅ…詳しく聞かせて頂こうか」 そして、ドスまりさは村長に促されて不可侵条約について説明した。 それをまとめると以下のようになる。 人間はゆっくりを殺してはならない。 人間はゆっくりを攻撃してはならない。 人間はゆっくりの群れにむやみに立ち入ってはならない。 人間はゆっくりの生活を脅かしてはならない。特にゆっくりの巣などを荒らしてはならない。 ゆっくりは人間を殺してはならない。 ゆっくりは人間を攻撃してはならない。 ゆっくりは人間の生活を脅かしてはならない。特に人間の畑などを荒らしてはならない。 条約違反が発覚した場合、違反した側が違反金として食料を相手に渡す。 というものだ。 「なるほど、こちらには“畑を荒らされずに済む”というメリットがあるわけだな。 確かに、ここ最近のゆっくりによる畑荒らしの被害は、無視できないレベルまで拡大している」 『この条約をむすべば、そんなひがいもなくなるよ!!』 この条約は、ゆっくりにとっては命だけでなく生活全般を保障するものだった。 人間にとっては食料の確保以上の利点はないが、かといって条約を結ばないという選択肢はありえなかった。 ドスまりさの、存在である。 『この条約をむすばなかった場合……村長さんなら、どうなるかわかるよね!!』 明言しないが、明らかな脅しだった。 もし条約を結ばなければ、それ相応の手段に出るぞ…というドスまりさの意思表明。 『もう一度言うよ!!まりさがその気になれば、人間だっていちころなんだよ!!』 実際、このドスまりさの群れには、村の人口の5倍のゆっくりがいるという。 ゆっくりの数とドスまりさのパワーで、村の人間を脅迫しているのだ。 『かんがえる時間がひつよう?それならまりさたちは、また明日くるよ!!』 「………いや、その必要はない」 『ゆっ!?』 半分笑いが隠せていないドスまりさは、自信満々で村長に問いかけるが……その返答は意外なものだった。 「いいだろう。すぐに条約締結といこうじゃないか。こういったことはなるべく早いほうがいい」 『でも村長さん!他の人とそうだんしなくていいの!?』 ドスまりさは不審に思っていた。今まで幾つかの村と不可侵条約を結んだ事があったが、いずれの村も決断に数日を要していた。 それ自体は別におかしな事ではない筈なのだが、“別の目的”を持っているドスまりさたちにとって、その決断の早さは不審だった。 「それに関しては問題ない。私は村人に信頼されているから、こういったことも私の一存で決定を下すことができる」 『ゆっ……それなら話がはやいね!!村長さんがゆうしゅうな人で、まりさも嬉しいよ!!』 「では早速始めようか。君、あれの準備を」 若き村長が指示を出すと、一人の男が村の中心地へと走っていった。 「今、署名の準備をさせている。村長である私と、群れのリーダーである君が署名をした瞬間、条約はその翌日から発効する」 『ゆ!!問題ないよ!!でも村長さん、すぐに準備をはじめられるなんてすごいね!!』 「あぁ、今までも幾つかの群れと条約を結んだ事があってね。 君達はいつも同じような条約を結ぼうとするから、条文も既に用意してあるんだよ」 ドスまりさは、さらに不信感を募らせた。 条文が既に用意してある。今までにも他のドスまりさが率いる群れと条約を結んだ事がある。 つまり……条約に慣れているということ。もしかしたら自分達の企みも暴かれてしまうかもしれない!! その瞬間、形容しがたい不安に襲われたドスまりさだったが……それを表に出すわけにはいかない。 目の前には、今もくつくつと不敵な笑みを浮かべている人間達が、自分を見ているのだから。 しばらくして、男が必要な道具一式を持って戻ってきた。 「持ってきました!!」 「ご苦労。さて、まずはドスまりさ、君が条文の内容を確認してくれたまえ」 『ゆっ!!ゆっくり読ませてね!!』 その条文は左右に分かれていて、左にはゆっくりが理解しやすいように条文がひらがなで書かれている。 一方右側は、人間が理解しやすいようにひらがなと漢字を混ぜて記述されている。 『村長さん!!どうして右と左に分かれてるの?まりさは右側をよむことができないよ!!』 「あぁ、人間はひらがなだけだと逆に文章を理解できないんだ。だから右側には人間が理解できる文章で書いてある。 条約締結のためには不可欠な措置だ。ゆっくり理解してくれたまえ」 『ゆゆゆ……しょうがないね!!理解してあげるよ!!』 条約を結ぶためならしょうがない。ドスまりさは渋々受け入れた。 とにかく条約を結んでしまえばこちらのものだ、という考えがドスまりさにはあったのだ。 一時は不安に思ったが、結局のところ自分達の作戦に穴はない。条約を結べばこちらの勝ちだ…!! 『ゆっ!!条文にはもんだいないよ!!つぎは村長さんがよんでね!!』 「ふむ………………よし、問題ないだろう」 その後、条約に関して2,3補足として議論がなされた。 具体的には、お互いの住んでいる場所の地図を作成してお互いに提出すること。 そして、互いは村や群れで十分に条約の周知徹底を行うこと、などである。 そしてついに条約締結の手順に入る。 まず村長が署名し、次にドスまりさが朱肉に舌を押し付け、印を押す。 これで人間とゆっくりの“不可侵条約”は、成立した。 『条約の効き目は、あしたからだよね!!』 「その通り。だが我々は紳士だ。本日この時から、この条約を発効させたいのだが…」 それはドスまりさにとって、願ってもない申し出だった。 群れのゆっくりの安全を保障できる以上に、作戦を成功させられる可能性があがるからだ。 『ゆっ!!いいよ!!それじゃ条約は今から効き目をもつってことでいいね!!』 「それで構わない。ではまた会おう。お互いの平和と繁栄を願っているよ。君、彼らをお送りしろ」 『だいじょうぶだよ!!まりさは強いから、見送りなんていらないよ!! それじゃさようなら!!村長さんの村もゆっくりできるといいね!!条約を破ったら罰則だよ!!忘れないでね!!』 条約締結を果たし、ドスまりさたちは満足げに森へと立ち去っていった。 群れへと帰る途中、側近であるれいむ達がドスまりさに話しかける。 「どすまりさ!!こんかいもうまくいきそうだね!!」 『ゆぅ!そうだね!!これで人間が条約を破ったようにみせかければ、たくさん食べ物がもらえるよ!!』 「ゆぅー!!とてもゆっくりできそうだよ!!」 「ゆっくりできるね!!」「さすがどすまりさだね!!」 つまり、そういうことだ。 ドスまりさが、人間の村と不可侵条約を結ぶ目的は、群れのゆっくりの安全確保だけではない。 人間が条約を破ったようにうまく見せかけて、その証拠を人間に突きつける。 そして人間から多大な量の食料を受け取ろうという目論見が、ドスまりさにはあったのだ。 『ゆぅ…本当は悪いことだけど、みんなをゆっくりさせてあげたいよ!!にんげんがかわいそうだけど…』 「いいんだよ!!れいむたちゆっくりしたいよ!!」 「だからにんげんたちには、ゆっくりぎせいになってもらうんだよ!!それはあたりまえのことだよ!!」 人間が犠牲になるのは当然だ、と言い放つ周りのゆっくりたち。 ドスまりさはそこまでは思っていないが、自分達がゆっくりするためなら外部の犠牲はしょうがないと考えていた。 皆がゆっくりできれば、自分もゆっくりできる。皆が幸せになれば、自分も幸せになれる。 ドスまりさは、群れのために、そして自分のために……人間を陥れることにしたのだ。 『ゆ!早く帰ろうね!!帰ったらみんなに報告するよ!!』 「ゆっ!!そうだね!!かえったらゆっくりしようね!!」 「さくせんがせいこうすればゆっくりできるよ!!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 ドスまりさは、心のどこかに突っかかりを感じたが、周りのゆっくりの笑顔を見てそれを忘れ去った。 きっと自分が死んだら地獄に落ちるだろう。それは自覚している。でも綺麗事だけでは、皆をゆっくりさせることができない。 …自分は間違っていない。正しいのだ。皆をゆっくりさせるためだから、これは間違っていない。 自分にそう言い聞かせて、森の奥へと消えていった。 一方、村の中心部。 村長を先頭に、5人の男が村役場へと戻っていく。 「村長。首尾はいかがですか?」 「上々だ。なかなか頭の切れるやつのようだが、所詮はゆっくりだからな」 懐から高級な煙草を取り出し、一本口に咥える。 一番近くにいた男が、促されもしないのにその煙草の先端に火をつけた。 味わうように白い息を吐き出し、村長は周りの男に指示を出した。 「さて、仕事に入ろうか。まずは村内12箇所の掲示板に、今回締結した条約について告示。 その条約から逸脱した行動は取らぬよう、村民に呼びかけるんだ」 「わかりました」 「それと、万が一のために若い男の中から有志を募って、彼らに武器を与えておけ。 武器はゆっくりを殺せる程度で構わん。ドスまりさは……こちらが人数をそろえれば何とでもできる」 「医療班はどうしますか?」 「必要ない。どうせ血は流れん。流れるのは……餡子だけだ」 その言葉が、村長の心の内を表していた。 ドスまりさ同様、村長も条約をバカ正直に守って互いの平和を維持するつもりは毛頭なかった。 それどころか、村長はドスまりさがしようとしている以上の非道を実行しようとしている。 人間とゆっくりは―――結局のところ、互いが互いを欺こうとしているのだ。 「あぁ、それと…ひとつ行事を執り行おうと思うのだが」 「はぁ……この時期にですか?」 花火大会はもう終えたし、村民運動会はもっと先だ。側近の男は不審に思ったが… 「そうだな……行事名は、“饅頭早食い大会”とでもしておくか!」 「ははははははは!!」 「なるほど、それはすばらしい!!」 誰もが村長の真意を理解し、5人は笑いながら村役場へと戻っていった。 翌日。 母れいむと10匹の子ゆっくりからなるゆっくり一家が、村の畑のすぐそばでゆっくりしていた。 「ゆっゆー!!」「ゆっくち~♪」「ゆっきゅちしてりゅよ~♪」 「みんな!!とてもゆっくりしてるね!!おかーさんうれしいよ!!」 森の奥地とは違って、村は日当たりがよく暖かい。ゆっくりにとって、とてもゆっくりできるゆっくりプレイスだ。 今までは人間に殺されることを恐れて、なかなか村の中まで入って来れなかったが… 昨日締結された条約によって、ゆっくりの安全は保障されている。 畑を荒らしたり、人間に迷惑をかけない限り、ゆっくりは村の中の好きなところでゆっくりすることができるのだ。 「ゆ~ん!!おいちそうなたべものがありゅよ!!」 「おちびちゃん!!それはにんげんのものだよ!!たべたらゆっくりできないよ!!」 ゆっくりたちは、昨日のうちに条約の存在を知らされている。 だから、畑を荒らしたら条約違反の罰則によってゆっくりできなくなることを、全員が知っているのだ。 「お、ゆっくりじゃないか」 そこを、畑仕事の道具を担いだ一人の男が通りがかった。 今までは命を脅かす危険な存在だったが、今は条約が守ってくれる。 無防備にも、ゆっくり一家は穏やかな笑顔で男に挨拶した。 「おにーさん!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくちしていってね!!」「おしごとがんばっちぇね!!」 友好的な言葉をかけるゆっくり一家。それを聞いて気をよくした男は、一家に歩み寄っていく。 「ほー、うまそうだな!」 手近な子ゆっくりを一匹手にとって、全身を眺める男。 「ゆぎゃああああああ!!!だべないでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 「おにいさん!!あかちゃんをはなしてあげてね!!それいじょうは“じょうやくいはん”だよ!!」 「条約違反?何言ってんだか。いつも搾取されるだけの分際で」 男はまともに取り合わず、そのまま子ゆっくりに齧り付いた。 「ゆっぎゃああああおあおrがえrがおrいだいいだいいだいいだいいいいいいいいいぃい!!??」 「あがぢゃんをだべるなあ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!!どすにいいづけるぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉ!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり(笑)」 子ゆっくり一匹を食べ終えて満足した男は、一家が何を言ってもまともに聞かないで畑へと向かってしまった。 取り残された一家を襲うのは、人間に対する怒りと憎しみ。 「どうじでええぇえぇえぇぇぇぇ!!!じょうやぐがあるのにいいいいいいいいいいっぃぃぃぃぃいいぃぃ!!!」 「こうなっだらどずにいっで、なんどがじでもらうしかないよ!!」 「にんげんはやくそくをやぶったよ!!どすにこらしめてもらおうね!!」 「にんげんはゆっくりこうかいしてね!!!」 人間と共存してゆっくりできると思っていた一家は、僅か10分でその期待を裏切られた。 残った子供達を連れて一目散に森へと向かうゆっくりたち。目の前で起こったことを、余すことなくドスに報告しよう! そして、自分の子供を食べた憎き人間達を、思う存分懲らしめてもらおう!! 逃げ帰ってきたゆっくりから報告を受けたドスまりさは、側近だけを集めて会議を開いた。 「まさか、こんなにはやくゆっくりできなくなるなんて、おもってなかったよ!!」 「でもドス!!うまくすればさくせんをはやくすすめることができるよ!!」 側近の話を聞いて、ドスまりさも決意した。 『ゆゆっ!!これは立派な条約違反だよ!!人間は違反金をはらうひつようがあるよ!! さっそく人間の村に行くよ!!みんなで違反金の食べ物をもらいにいこうね!!』 そうと決まれば話は早かった。 予想していた成り行きとは違うが、現実に人間が条約違反を犯したのである。違反金を受け取るのは当然の権利だ。 ドスまりさの指示で、若く元気なゆっくりが広場に集まる。 『人間は不可侵条約をやぶったよ!!だからこれから違反金をとりにいくよ!!』 「にんげんはゆっくりできないんだね!!」 「やっぱりにんげんはだめだね!!」 「れいむたちのほうがゆっくりしてるね!!」 『みんな!!まりさにゆっくりついてきてね!!』 ゆっくりの軍団は、人間から食料を受け取るべくゆっくりと村へ跳ねていった。 これだけのゆっくりが集まれば、人間が何か文句を言っても数の暴力で対処する事が出来る。 ドスまりさは、何もかもがうまくいくこの状況を嬉しく思い……何の疑いも抱かなかった。 続き このSSに感想を付ける
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書きたかった事 ゆっくり中毒な人 虐待?お兄さん ギャグっぽい雰囲気 クリスマスだからプレゼントをね 作者 チェンマガツ 「ここをまりさたちのおうちにするよ!!」 「ありすにあったとてもとかいはなゆっくりぷれいすね」 「「「ゆっくりしゅるよ!!」」」 親まりさと親ありすそして子まりさ二匹と子ありす一匹からなる家族が人間の家でおうち宣言をした。 ここは前々から目を付けていた家で、その家主は今にも折れそうなほどの体格の人間だったのを確認している。 この親まりさは普通の人間には勝てる自信はなかったが間違いなくここの住民の男には勝てると思っていた。 それも侵入してあの住民と出くわした場合にはもしかすると戦いになると身構えていたが、運良く留守の間に部屋に入り込む事ができたようだった。 この時点でゆっくりの中ではこの家の所有権がゆっくりに移っており、まさにまりさが望んでいた無血開城であった。 恒例のおうち宣言をするとひとしきりゆっくりした後に自分達の家の探索に入る。 ゆっくりにとっては見慣れない物ばかりだが、どれも生活する上で不必要なものであり興味を示すものは少なかった。 それゆえぞんざいにもの扱って壊してしまうのだが気に留める事はいっさいない。 しばらくすると、あちこちの棚や扉を開けていたゆっくり達に奥の部屋から子まりさの呼ぶ声が聞こえ、全員でそちらに向かった。 「おとーしゃん、ここにおっきなとびらがありゅよ」 六畳ほどの和室に備え付けられていた押し入れがどうやら気になったようだった。 しかし赤ゆっくり一匹の自力では襖を開ける事が出来ず助けを呼んだようだ。 「みんなでゆっくりあけるよ!!」 「「「ゆんしょ、ゆんしょ」」」 親まりさが少しだけ空いていたところに舌を入れこじ開け、 親ありすと子供達で扉を引っ張ると少しずつではあったが動かす事ができ、ついには開ける事に成功した。 「ゆっへん、おとーさんはちからもちだろ」 「「「しゅごいね、おとーしゃん」」」 「さすがありすのかっこいいだんなだわ〜」 押し入れの入り口でゆゆーんと胸を張る父親を母子は褒め称えた。 のんびりこんなやりとりをするのも人間の家の中には捕食種がいないことを知っているからだ。 しかしこの家は違ったのだ。 このときゆっくり達は押し入れ上段に潜んでいる生き物に気が付いて居ない様子だった。 「したはおおきなどうくつだね!! うえは……」 まりさは後ずさりしながら上の様子を伺い始めた。それにならい母子も部屋の中央まで後ずさる。 「の〜び、の〜び」 親まりさがそう言いながら体を縦に伸ばしてなんとか覗こうとするが、どうも中までは見えそうにない。 子供の居る前で見えないとでも言ってしまえば父親の尊厳がもろく崩れ落ちかねない。 そうなるとあっさりと踵を返して部屋の出口へと向かおうとする。 「うえはゆっくりできそうにないからほかのへやにいくよ」 何の疑いもなくその言葉に賛同して家族の他のゆっくり達も押し入れに背を向けて親まりさについて行こうとする。 だがその瞬間を待っていたものがいた。 そう、押し入れ上段で息を潜めていた生き物だ。 衣擦れの音も出さぬよう素っ裸で伏せて、ゆっくり達を注意深く監視していた人間がそこにいた。 そして今このとき、不用心に男に背を向けたときにこのゆっくり達の悲劇が始まった。 親まりさの背後で急に地響きの衝撃と共に何かが激しく打ち付けられる音がした。 驚いてすぐに振り向くと、今まで子供達と愛するありすがいた場所には裸の人間がうつぶせの大の字で寝転がっていた。 「ゆっ!! にんげんさんびっくりさせないでね!!」 状況がまったく把握できないまりさはとりあえずぴくりとも動かない人間の様子を調べる。 妙にひょろひょろとした人間はこの家の住人であることがゆっくりでも見て取れた。 「そろーり、そろーり」 そうと分かると男の動向に注意を払いながらもなお観察を続ける。 そしてその人間の胸の下辺りから甘い香りとともに白と黒の流動性の低い物体が流れ出している事に気が付いた。 「ど、どうなっでんの゛おおおおおぉぉぉぉ!!」 ありす達がいたところに突然男が現れた。その男の下からこれはどうやらありす達に関連したものがはみ出しているのだ。 「ゆゆうぅぅぅ!! おじざん、ゆっぐりはやぐそごをどいでねええええ!!」 親まりさは健気にもまだありす達は生きていると思っているがもちろんすでにぺしゃんこである。 まりさの願いが通じたのかすぐに男はマネキンのように無表情で仰向けの体勢になるまで真横に転がった。 男がありす達の上から退くとさすがのゆっくりにでも絶望的状況であることは理解する事ができたようだった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛!! あでぃずとあがぢゃんがああああ!!」 まだ人間が隣にいるにもかかわらず滝のように涙を流しながらその亡骸にまりさは寄りすがった。 全くもって危機感のない生き物である。 まりさは警戒する事もなく男に背を向け、子供達だったものに頬を摺り合わせている。 その男はつい先程味わった感触を思い浮かべながら体を押し入れからゆっくり達にダイブした元の体勢に戻していく。 そしてまりさの帽子と男の胸が触れたとき、泣き叫んでいたまりさはすっかり忘れていた自分の置かれた立場を思い出したが時既に遅しだった。 男と床とに挟まれて身動きが取れなくなり、さらに男は容赦なくまりさに体重を乗せていった。 まとめて四匹潰したのはいささかもったいない気もしたがやはり飛び込んで正解だったな。 大小四匹のゆっくりが無惨に弾ける様子を体中で味わう事が出来た。 かなり顔が痛かったが。 そして次は大人一匹を味わうようにじわじわと潰すのだ。 大人になったゆっくりは子供のとはまた違う感触が味わえる。 まず違うのは弾力だ。皮膚が厚い分すぐに拡散しまうことなく、中の餡子に圧力が加えられながら潰れていく様子が感じられる。 この破裂する寸前の緊張状態が俺にエクスタシーをもたらしてくれるのだ。 「ぐ……げぎっ……が……」 まりさは目を血走らせて、口から餡子が漏れぬよう歯を食いしばって耐えているのか意味のない濁音しか聞こえてこない。 このぎりぎり均衡状態をどちらかが破れば結末まではあっという間であることを示唆している。 ゆっくりをすぐに潰してしまわぬよう体重を絞り上げる苦労をしているのも、このときの為にあると断言できる。 ああ、この世に生まれてきて本当に幸せだ。こんなにも痺れる快感を味わう事が出来るのだ。 電流が走るようにぞくぞくする背筋からもう絶頂に達したいとの体の指令が飛んできた。この状態は名残惜しいがしかたあるまい……。 男はまりさにゆっくりかけていた体重を一瞬緩めて、そして一気に押しつぶしにかかった。 さきほどの破裂寸前の臨界点を一気に突破し、まりさはその中身を四方八方にぶちまけながら水風船のように消えて無くなった。 体中を餡子まみれにした男はしばらくゆっくり達の命の残滓を味わいながら眠りについた。 「でもな、最近はそれでも満足できないんだよ」 「もう近寄るなよ変態」 農作業の手を休め、男二人が近況報告がてらお茶をすすっている。 「破裂した瞬間に体に激しく打ち付けられるゆっくりの皮が気持ちいいのかもな?」 「知らねえよ」 変態と呼ばれたやせ気味の男がこの趣味に溺れ始めたのは、やはり農家であれば一度は経験するだろうゆっくり被害に出くわした頃からだった。 仲間からもゆっくり被害の事は聞かされていたし、彼らが一匹残さずゆっくりを潰していた事も知っていた。 畑の作物を食い散らかして腹一杯で眠っているれいむとまりさのゆっくり家族を見つけた男は当然怒りしか湧いてこない。 なるほどこれは確かに潰したくなる不貞不貞しさだな。 すると男は一番近くにいた子ゆっくりを起こさぬように片手に取り、握るようにしてゆっくりと力を込めていった。 「むぐぐぐぐっ!!」 急に体を締め付ける痛みに子ゆっくりまりさは飛び起きて叫ぼうとした。 しかしそのとき男が丁度口を塞ぐ形でこのゆっくりを握っていたため大きい悲鳴が漏れることなく、他のゆっくりが目覚める事はなかった。 片手に収まるほどのゆっくりは指が食い込み歪に形を変え、指の隙間からは皮がはみ出るように外に飛び出てくる。 さらに力を加えていくと、はみ出ていた皮が次第に薄くなり中身の餡子が透けて見え始める。 もうこのころにはちびゆっくりからは声は聞こえなくなっていたが、男はその手を止めようとしない。 パチッ するとある点を超えた瞬間手の中でゆっくりは動きを止め周囲に餡子を飛び散らせた。 このとき男の中で何かが生まれた。 次の子ゆっくりれいむは両手で包み込むようにしながら握りつぶした。 逃げ場のないゆっくりの餡子はどんどん内圧を上げていく。 目や口から中身が漏れ出さないように工夫しているのでさきほどと比べてすぐに飛び散ってしまう事もない。 表情をうかがい知れないのが残念だが小刻みに震えているところをみるとやはり苦しいらしかった。 さらに男は容赦なく力を込めていった。 パンッ するとやはりある点で手の中のゆっくりがくぐもったかと思った瞬間に弾け飛んだ。 男からの圧迫にゆっくりがついに耐えきれなくなると息絶えて破裂する。 なるほど徐々に潰していくことで死の瞬間をピンポイントで感知する事ができるのか。 そしてその後にやってくるのは花火のように命を散らすゆっくり達。 この二点で男はゆっくり潰しにはまっていく事となった。 依然畑に残されたゆっくりは二匹、親ゆっくりまりさと子ゆっくりまりさ。 もはやそれらに生き残る可能性はまったくなかった。男の興味と快楽を満たすために潰される運命なのだ。 まずは子ゆっくりから拳を真上から振り下ろして地面とで圧迫していった。 今回は口封じをしていないため当然声が漏れる。 「ゆががががががが!! ゆべっ……」 最後に小さい悲鳴と畑に放射状の餡子を残してその短い生涯を終えた。 ちびゆっくりの声に反応して親ゆっくりが目を覚ましたが、もはや後の祭りである。 「ゆうっ!! おじさんここはまりさたちのゆっくりぷれいすだぜ!! ゆっくりでていくんだぜ!!」 「……」 こいつはどうしてくれようと悩んでいる男に子供達の様子に気が付かない親まりさは罵倒の言葉を浴びせ始める。 「まりさのことばがりかいできないの? ばかなの?」 「おい、これ何だと思う?」 男はまりさの言葉を無視し、まりさの元にしゃがみ込んで手のひらに付いた餡子を見せつけた。 「うまそうなあまあまだぜ。 まりささまはかんだいだからそれでゆるしてやるぜ」 「お前の子供だよ馬鹿」 そう言って男は親まりさに子供だったものをその両頬に擦り付ける。 親のゆっくりは男の言葉と微かに感じる暖かさ、そして側を見れば見覚えのある帽子に飛び散った餡子が目に入ってきてようやく状況を把握したようだった。 「までぃざのあが…ちゃん?」 「そうだと言っているだろ。理解できないの? 馬鹿なの?」 「ゆ、ゆがあああぁぁぁ!! ゆるざんんん!! ごろじでやるううう!!」 無惨に子供を殺された事を理解してか親まりさは男に体当たりをしかけ、ときには足に噛みついてきたが男には全く通じなかった。 これ以上相手するのが面倒になった男はまりさの帽子を取り上げて、まりさに直に座り込んだ。 「やべでぇええ、つぶれるぅぅぅ!! おでぃざんゆっぐりずわらないでね!!」 さっきまで攻撃を仕掛けてきていたのが嘘のように涙を流しながらあっさりと白旗を降り始めた。 もちろん男はその言葉に聞く耳を持たないので徐々に体重を掛けていく。 「ゆげぇぇぇづぶでぇるよぉぉぉぉ……」 丸かった体は平たい丸餅の様な形になり口からは餡子がはみ出そうになっているがまだまだ耐える事ができそうだ。 「そりゃ、ほいさ、これならどうだ」 「ゆぐっ!! ぐげっ!! ぶべっ!!」 男は親ゆっくりが子供に比べれば幾分頑丈なことがわかると、座ったままの姿勢で跳ね始めた。 親まりさはその体に掛かっていた体重が軽くなったかと思えば、 次には急にのし掛かってくる動きに合わせて言葉にならない言葉を大事な餡子と共に吐く。 男は面白くなりしばらく続けていたが、まりさの顔色が目に見えるように悪くなっていきついに白目を剥き始めた。 そろそろまずいかなと思いながらも男は跳ねていたが、 「ぐばっ!!」 とうとう口や体のあちこちから餡子を噴出させて、膨らました紙袋を潰したような音とともに派手に中身をまき散らせた。 急な事に男は尻餅をついたが子供のそれと比べものにならないゆっくりが弾ける瞬間を味わえどこか満たされていくのを感じた。 それからは手を買え品を買えあらゆる手段でゆっくり達の破裂を楽しんでいった。 畑にやってくるゆっくり達をときには道具を使い、ときには手のひら、拳、足、膝、肘、尻、顔……あらゆる肉体部分で潰していった。 そのうちノーガード作戦と称して家の鍵は全て開けて外出するようになる。 あえて家屋へのゆっくりの侵入を許し、効率よくゆっくりを集める事も男は始めたのだ。 その方法は最初はよかったのだが、開放した家にゆっくりがすでに侵入してないか気になり農作業も手が着かなくなる欠点があった。 この時点で男はゆっくり中毒とも言える症状に陥っていた。 ゆっくり集めに成功や失敗など紆余曲折あり最終的には家の中で全裸で待ち伏せするまでに至ったというわけだ。 もちろん男の方からゆっくりを探しに行った事もある。しかしそれも冬の時期になると素人では雪の下の巣を探すのが難しい。 当然ゆっくりを購入することもあったが、それではコストがかかりすぎてすぐに家計が火の車になった。 そしてどうもここのところ思う存分満たされるほどのゆっくり潰しができず男の欲求が溜まっているのだ。 男は昼間から畑の真ん中でぼーっとしていた。 鍬を立てて手のひらで支えながら顎を乗せるスタイルでだ。視点は定まらず遙か遠くを見ている。 全くの手付かずの平地の畑に溜め息混じりの男。 はたからみれば恋煩いかとでも思わんばかりだ。 そんな男に突然の吉報が舞い込んだ。男に話しかけてきたのは隣の畑で農作業を営むお茶仲間だ。 「おい、お前佇んでないで急いで村はずれの加工場に行け!!」 「なんだよ藪から棒に……」 こちとらゆっくりをどう確保するかを考えていたっていうのに。 ぶっきらぼうな表情をする男に対し、とても慌てた様子のお茶仲間が続けた。 「虐待兄さん達に情報が伝わる前に行けって」 訳が分からないと思いながらも何かと信頼している奴からの、しかもどうやらゆっくりに関する情報を聞いてただ事では無いと感じて小走り気味で加工場に向かった。 通い慣れた加工場前に着くとたしかに工場内部の異様な雰囲気が伝わってきた。 いつもなら遠くからでも聞こえてくるはずのプレス機の駆動音や煙突から常時噴出する茹で釜からの蒸気がそこには全くなかった。 そっと男が工場内に入ると完全に止まった生産ラインの前でなにやら話し込んでいる作業員がいたのでその輪に入る。 「ごめんくださーい」 「おう、なんだあんたかい」 ここでは男は有名人だった。なにせ加工前のゆっくりを買い求めにくる客の一人だからだ。 「さっそく噂が拡がってるようだな」 そう言って頭を抱える作業員が苦い表情をしている。 「何かあったんですか?」 「おや、何があったかは知らないのかい。実はなあ……」 話を要約するとこうだ。 今日の朝ゆっくり達の餌を納入する業者からどうやら賞味期限切れのものが混ざっていたらしいとの詫びが加工場に入った。 いくらゆっくり達は食べたものをなんでも餡子にするとは言え、この情報はゆっくり加工品を食べる人間に良い印象を与えるものではない。 それ故工場内の生産を一旦全部停止させた上で、その餌を食べたと疑わしいゆっくり達を一箇所に集めてみたとのことだった。 「それでその内訳は、一尺の親ゆっくりが5匹、その半分サイズが28匹、さらにその半分サイズが67匹、 さらにその半分の子ゆっくりが150匹、そして親にくっついていた奴や仕入れたばっかりの赤ゆっくりがなんとおよそ1000匹!」 こりゃ大損害になるなと肩を落とす作業員達をよそにそのゆっくり達の集合体が工場の一角の檻でひしめき合っていた。 好き勝手に発する言葉はもはやひどい雑音にしか聞こえない。 どこか甲高い声が聞こえてくる気がするのは赤ゆっくりが多いからだろう。 「それでそいつらどうするんです?」 「そりゃどうするも食品加工に使えないんだったらお前達の出番だろ」 「でも今は手持ちのお金少ないしなあ」 普段から破格の値段でゆっくりを譲り受けてはいるが、今は農作業中に抜けてきたため一匹も買えそうもない。 そんな男が頭を掻くと作業員から願ってもない言葉が返ってきた。 「いや、生きててもらっても困るからここで確実に殺してしまうのを条件にロハで譲るよ」 「ま、まじか……」 大小様々なサイズのゆっくりが総数およそ1200匹。男にとっては願ったり叶ったり状況である。 その日男は初めて神に感謝した。(守矢の神社の信仰度が上がった!) これだけ大量のゆっくりがいきなり手に入るということは、大金持ちになって札束を大量に手に入ったらやろうとしていたことを今ゆっくりで再現することができるのだ。 「ここのゆっくりは俺がすべて貰い受けます!! あと空のドラム缶を用意してください」 男は興奮気味に作業員にむかってそう告げた。 作業員が要望通りのドラム缶を転がしてくる間、男は待ちきれず褌一丁になっていた。 「なんで脱ぐんだい……」 「まぁ見ててください」 作業員の冷たい視線に耐えつつ、男はてきぱきと指示を飛ばしていく。 ゆっくり達の納められた檻の前にドラム缶が設置された。 すると何人もの手によりゆっくり達がその中に放り込まれていく。 なるべく隙間の無いよう、そして大きい物から順に詰め込んでいった。 仲間達が機械にかけられていくのを見ていたゆっくりにとって、今自分の置かれている立場はさっぱり理解できない。 だけどなんとか助かったようだと思ったのかドラム缶の中からは喜びの声が漏れてきていた。 束の間の幸せを噛みしめるゆっくり達であったが次第に苦しくなっていく事に気が付く。ドラム缶の中にいる自分たちの上に新たなゆっくりどんどんが入ってくるのだ。 「ゆっくりでていってね!!」 「おもいからゆっくりどいてね」 「ゆゆっ!! まりさもたすかりたいんだぜ」 下の方にいた大人のゆっくり達からは不満の声が漏れ始めるが、それ以上の安堵の声に打ち消されていった。 小さいゆっくり達が入れられる番になると手で入れていくのも面倒になり、ちりとりやスコップですくってはざらざらとドラム缶に詰め込んでいった。 そして全てのゆっくりが収まる頃ドラム缶はゆっくりでみっちりと満たされていた。 一番上の赤ゆっくりだけはとてもゆっくりできているが下の方では罵詈雑言が飛び交っている。 これから成就する夢は札束風呂ならぬゆっくり風呂だ。 溢れんばかりのゆっくり達に飛び込み、全身でゆっくりが潰れていくのを味わっていく。あぁ、想像するだけでもイッてしまいそうになる。 脚立を用意してもらいドラム缶の横で準備は完了した。 多くの作業員からの興味の視線やドン引きな空気を味わいつつ、男はゆっくり風呂に片足をそっといれていく。 「にゃにしちぇるの?」 「ゆっきゅりこないでにゃえ!!」 男の行動を見る事の出来る赤ゆっくり達はすぐに異変を察知したが下のゆっくり達には伝わらない。 静かに侵入してくる男の足から何匹かは何とか避ける事ができたが、それ以外は見事に犠牲になっていった。 あまりのゆっくりの密度にこれまでとは全く違った感覚が男に押し寄せてきた。 それはまるで肉を裂きながら足を突っ込んでいるようなそんな感覚だ。 少し足を進めるたびプチプチと小さい気泡が割れるような、ときにブチブチとミニトマトを歯で潰すような、 そんなゆっくり達の破裂が片足の四方八方上から下までに隈無く伝わってくる。 死を迎える直前の叫びや周りのゆっくり達の恐怖はその感覚にアクセントをつけてくれた。なんと極上の肌触りだろう。 今まで一番の至福の境地に男はすでにヘブン状態である。 まだ片足だけでこれだ。すでに2,300のゆっくりを潰しただろうか。 堪りかねてもう片足はすぐに突っ込んだ。 すると今度はその2,300のゆっくり達の最期に一気に包み込まれた。 同時多発に起こるゆっくりの今際の命の煌めきは2,300匹分が合わさって、とてつもない衝撃を男の神経に直撃させる。 両足を入れ終えるを男の体重を支えていた一匹の親ゆっくりがどうやら耐えきれず破裂したようで、男の全身ががくっと一段とゆっくり風呂に沈み込んだ。 親の破裂の衝撃波はまわりの赤ゆっくりを巻き込むには十分で連鎖的に何十もの破裂が男の足を襲う。 「どうだ、ゆ加減は?」 「とてもゆっくりできるよ!!」 泣き叫ぶ声しか聞こえないところからゆっくり達はもちろんゆっくりできていないのは明らかだ。 潰れたゆっくり達の餡子が生き残ったゆっくり達を絶望の底にたたき落としている。 精神的にもそうだが、肉体的にも餡子はゆっくりを苦しめる。 どんどん下部に溜まっていく餡子で溺れるゆっくりがいたのだ。 男は湯船ならぬゆ船の上部にいるゆっくり達を豪快に両手ですくってはまとめて潰す。 足下にいる大きめのゆっくりもじわじわと体重を掛けて潰す。 ときには体全体を使い、ドラム缶との間に挟み込んで潰していった。 もちろんうまくドラム缶からこぼれ落ちたゆっくりもいたがもれなく作業員に踏みつぶされていた。 ゆっくり風呂入り立ての頃は随分はしゃいでいた男もものの十分したころにはすでに動きがゆっくりになってきた。 「なんだい、もう飽きたのか」 「うーん、それもあるけど、ちょっと苦しい」 様子を見ていた作業員も男の言葉に呆れかえる。 1200匹のうちの大半があっという間に潰れて、ゆっくり風呂はいまやただの餡子風呂に成り果てていた。 こうなると餡子の重みで勝手に死んでいくわ、新たに潰れるゆっくりの破裂が感じ取りにくいわ、なにより餡子の重量で体が圧迫されて呼吸がしづらいのだ。 「確かに今までで一番快感だったけど……」 ゆっくり風呂が失敗だったのは、あっさりゆっくり達が潰れすぎて長く楽しめないのが一つにして最大の原因だった。 「やっぱり一匹ずつ潰すのがいいかもね」 「そりゃ悲鳴とか懇願とかなきゃいじめ甲斐もないよな」 作業員の言葉にそれもあるかもなと男は頷く。 飽きた、という理由であっさりゆっくり風呂は撤収された。 中には生き残ったゆっくりもちらほらいるだろうが、実際に火にくべられ煮殺される事になった。 全身餡子だらけの男は服をそのまま着込むわけにもいかずそのままの格好で帰宅するしかなくなった。 床を汚しながら工場内を移動するのが申し訳なかったが、申し訳ついでに作業員に提案をしてみた。 「今度生食用のゆっくりで皮が厚くてあんこの内圧が高いゆっくり作ってみません?」 「あんたがそれを潰してみたいだけだろ……。まあ検討してみるよ」 「よろしくお願いします。それと今日はありがとうございました」 「いえいえ、お得意様が満足してくれればそれで俺らは十分だよ」 工場側の優しい対応に男は何度も感謝の言葉と共に深いおじぎをしながらその場を去った。 「でさ、あのときの提案がそのまま採用されちゃって」 「そんな流れでこの新製品が生まれたとはねぇ」 男と友人は畑の縁に設置してある手作りの長椅子に座りながら休憩がてらお茶を飲む。 二人の間に置いてあるお茶菓子は村の加工場初の大ヒット商品になったゆっくり達だ。 品種改良を重ねよく弾むゆっくりを作り上げるとそれは男が要望したあのゆっくりであった。 このゆっくり達の歯ごたえは饅頭の常識を越えるそれであり、弾力性に富む皮に包まれ、それを破ると口の中を満たすように拡がる餡子が特徴だ。 またこのゆっくりは痛みはあるが打撃に強く、壁や地面に放りなげてもすぐには死なない特徴があった。 それゆえ普通にゆっくりを飼う層から、虐待をするわけではないがストレス解消代わりにゆっくりを痛めつけるライトな層の間で随分受けが良いようだった。 普段は品切れのゆっくり菓子も提案者の男は優先的に買うことができて友人を喜ばせることができた。 「お前には感謝せんといかんなあ」 「変態呼ばわりされたことはその言葉でちゃらにしといてやるよ」 そう言ってまた一つゆっくりを口に入れる。プチッフワッという食感は確かに癖になる。 あとはこれで饅頭の味じゃなけりゃなと思うのは野暮な話なんだろうな。 まぁお茶に合うからいいかと思いながらも、帰宅すると数十という数がいるこのゆっくりをどう潰すかで男の頭の中はいっぱいだった。 あとがき クリスマスだから変態お兄さんにプレゼントをっていうテーマで書いてみた。 ゆっくりプチプチのネタからインスパイアされてそれを全身で味わうゆっくり風呂ネタにしてみたり。 書いてる途中にwikiを検索してみたらすでに既出らしいねゆっくり風呂って……orz でももったいなからうpしてみる 大きい物から30、16、8、4、2cmの球体として体積を計算して一応ドラム缶にちゃんと入るかを確かめてます 充填率50〜60%くらいまでならなんとか可能かと思われるけど実際どうかはわかりません(; `・д´・)
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かなーり俺設定です 虐待要素少なめ 未来世界 というかゆっくり要素もあんまないかも 東方関係ない? ゆっくりをしゃべらせるのも苦手 初投稿 かの不可思議な饅頭。ゆっくりが発見されてから何世紀も立ったある時代の物語 人類はほぼゆっくりを制圧する事に成功し、野生のゆっくりのむれが100を超えることはほとんどなく、防犯もしっかりしている為害虫としてすら認識されなくなっていた。 そして人類は宇宙へ道を進めた。人類は月面に都市を建設して月面2世、3世が生まれていた。宇宙にしろ月にしろ酸素なしで生きられるゆっくりは理想の非常食であった。ちょっと栄養に偏りがあるが非常食、飢えをしのぐには十分であった。そのためどんな月面都市にも、宇宙船にもゆっくりがいるのであった。餌もゆっくりを潰したものを与えればいいので自給自足できる。そんな世界だ 〜火星軌道〜 「あと1時間で火星軌道に移民船団が到着します」 「火星に小規模な都市が出来て早2年、大分発展してきたな」 人類は火星に降り立ち、生活を始めていた。200万人の第1次移民は特に問題もなく火星地表で生活をし、人口酸素とゆっくりによる自給自足も一応は可能な状況だ。 都市開発が進みさらに400万人分の住居が完成し今300万人の第1次移民船団が到着しようとしている。 全長800mを超える移民用の宇宙船が300隻ほど火星の中央宇宙港に到着する。海賊対策に100mほどの警備艇が6隻、ついており火星に到着後そのまま火星に配属されるのだという。 火星の移民司令部は6ヶ月に及ぶ長い旅を窮屈な移民船でやってきた移民たちをもてなすべく準備中であった。だが悲劇は起こった。 船団左翼に位置する警備艇「はやぶさ」のクルーが叫ぶ 「せ。。。船団左舷に巨大な影が…ああ、接近してくる」 「何事だ、レーダーは何も捉えられなかったのか!?」 艇長も驚いている。 「何も映っていません。あぁ、未確認物体から熱源反応!!」 レーダーには何もない場所から指向性を持った光が伸びてくるのが表示されていた。 ズズズズズズズッッ!! 「艇長、移民船に被弾しました。損傷は軽い模様」 「むぅぅ、直ちに全警備艇に連絡、移民船にはパニックを起こさないよう注意を払うように言うんだ!!」 というか既に被弾した船ではパニックが起こっていた。いきなり巨大な振動が船全体に伝わったのである。 被弾した箇所はゆっくり貯蔵庫、蒸発したゆっくりの香ばしいにおいが漂う。 「艇長、未確認物体がメインパネルに投影できる位置まできました」 「映せ」 今まで丸い球体としか認識できなかった未確認物体の実態が明らかになる。 それは巨大なゆっくりちぇんであった。 「これは・・・ゆっくり!?ゆっくりなのか!?」 ゆっくりちぇんはまたもやどこからともなく熱線を乱射する。それは狙いも何もない当てずっぽうであったが幾らかの移民船に命中した。 直径250mほどの巨大なゆっくりちぇん… 警備艇隊の司令である中佐から命令が入る。 「船団に被害が出た。死者もいるんだ。これは正当防衛である。そっこく巨大ゆっくりを撃破せよ」 左翼と後部についていた3隻の警備艇が反転、海賊捕獲用の重力魚雷を放つ。これは破壊力をもたず特殊な重力磁場を発生させ船の移動を止め、海賊を拿捕する為の武器である。 しかしちぇんはそれをものともせず前進、あいかわらず移民船に損害が出る。 3隻の警備艇はそれぞれ射程に入り次第荷電粒子砲を撃ち始める。ちぇんはなにやら叫んでるようだが宇宙なので響かない。苦しそうな顔をしながらも前進してくる。 幸いなのはその速力がかなーり遅いということである 応援に火星に駐留していた8隻の警備艇も出撃したがまもなくちぇんは沈黙した…ように見えた。 「後続に球体多数を確認!!、あいかわらずレーダーでは補足出来ません」 ちぇんを倒した3隻の警備艇を40を越える巨大なゆっくりが襲った。 8隻の警備艇や船団残りの3隻なども応援に向かおうとする、だが前方には100匹ほどの巨大ゆっくりがいるのである。 「っ・・・挟まれた!?」 各警備艇奮闘したが数の暴力になす術もなく全滅した。 生存者がいないので定かでは無いが14隻の警備艇は立ったそれだけの数で合計40ものゆっくりをあんこに変えたという。 もちろんゆっくりするわけにはいかない。戦闘のさなか移民船団はゆっくりに集中的に襲われた。非武装の移民船に挟み撃ちはなす術も無く火星にたどり着いたのは30隻に過ぎない。火星への航路であったこの宙域はスペースデブリという名の餡子と船の残骸で溢れた。 火星の移民本部はもうてんてこ舞いである。この事件については地球に連絡しなければならない。 そして数日後火星はこの無数のゆっくりに襲われた。200万いた火星の都市は全長300m程度のゆっくりに潰され、壊滅した。移民本部の幹部に生存者なし。先の戦いで生き延びた30隻の移民船も潰され、宇宙に逃げたものもゆっくりの熱線によって損傷を受け、ほとんどが地球にたどり着く前に息絶えた。 地球に無事生還できたのは大型貨物船に乗って多大な損傷を受けながらも月にたどり着いた数千人だけである。 地球本部はあせった。火星の人工衛星によるとこの巨大なゆっくりは地球へ向かう様子である。その人工衛星からの通信も途絶えた。 何も分からない。ゆっくりは何故襲ってきたのか? 何故あんなに巨大なのか? そもそも何で宇宙にゆっくりがいるのか? 火星から地球までゆっくりは何日でたどり着けるのか? 何より地球には宇宙軍が存在しなかった。連邦とかいう統一政府も無く、現状としては2010年と変わらず190近くの国がそれぞれ別々に政治をしているのだ。ただ各国はかなり仲良くなっているが。 地球に存在する戦力は各国連合で作られている宇宙警察だけだ。 早急に宇宙軍が結成、ゆっくり対策本部がおかれた。宇宙軍といっても警察の警備艇を寄せ集め、艦隊に仕立て上げただけの代物である。旗艦はEUが試験的に運用していた空間戦闘型巡洋艦「ジュネーブ」である。 対策本部は現在分かっている事をとにかく何でも並べた。主な情報源は火星の人工衛星からである 巨大ゆっくりは通常種で編成されている事、ちぇんが直径250mほどで、その他が最大300mほど、赤ゆっくりの30mから成体の300mまでサイズは様々 ゆっくりはとにかく遅いこと。でかい図体で鈍足の移民船にすら追いつけなかった。(ただし今回は挟み撃ちにより壊滅した 無数のビームを放つ事 ゆっくりのビームは威力が低い、非武装の移民船で何十発も耐えたし警備艇もかなり耐え抜いた模様 ゆっくりの防御力は高い、防御力というより耐久力が、何発も荷電粒子砲をぶち込んでようやく沈黙する あれ?そんな怖くなくね? というのが対策本部の結論である。敵のゆっくりは100ちょっと、こっちにも警備艇が100席以上居るのである。警備艇一隻で大体3匹を撃破できるようだ、怖くは無い そういうわけで対策本部は解散、やったことといえば民間の宇宙船に巨大ゆっくりを見かけたら報告する事、余裕があれば自衛用に武装の一つ二つつけることであった。 ただこれはいい機会という事で宇宙軍用の艦艇の開発が始まった。 ==〜16ヵ月後〜== もはや誰もが巨大ゆっくりのことなど忘れかけていた。覚えていたのは火星移民本部くらいであった。 「民間の小惑星帯に資源採掘に向かう輸送船が地球と火星の間…かなり地球よりのところで連絡を絶ちました」 「海賊か?」 「いえ、ゆっくりです」 オペレーターの報告に上官らしき人物は冷や汗を流す。 「まだ状況が分からん、警備艇に偵察に行かせろ」 月面の早期警戒基地から2隻の警備艇が発進する。宇宙軍に編入されてから哨戒仕様に改造され、速力、航続力の向上、対ナマモノレーダーをつけた新型だ。 まもなくこの警備艇は地獄を見る。見るだけで体験しなかったのは幸いだ。 「司令、偵察部隊から報告です」 「嫁」 「はっ…えっ? ゆっくりの一群を確認したとの事です…あ、あぁっ・・・・・・」 「予想していたことだろ、何故そんなに青ざめる?」 「ゆっくりの数、成体だけで1000を超え、小さいのも含めて4000を超えるとの事です」 「…………」 ゆっくりは16ヶ月の間、地球へ向かっている途中、何度もすっきりーをしていたのである。 「月軌道への接近は1週間後との事です」 「5日後までに宇宙軍の全警備艇に第4ルグランジュ地点へ集結と伝えろ、一定の武装を持つ民間船にも参加するよう呼びかけろ、いや徴用しろ、強制にだ!! 海賊にも協力を要請するんだっ!!」 7日の間緊張がずっと走っていた。宇宙軍が集める事に成功した船舶は以下の通りである。 宇宙警備艇、147隻 艦隊の中核をなす艦、重力魚雷を換装した宇宙魚雷2基と2門の荷電粒子砲を装備 ジュネーブ級宇宙巡洋艦 14隻 試験艦ジュネーブを量産した艦、まったく新しい攻撃兵器であるイオン・キャノンを連装2基と宇宙魚雷4門、レーザー機銃を備える アドミラリティ・S級宇宙駆逐艦 27隻 宇宙警備艇を大型化、宇宙軍の目的に合わせた艦、高速でイオン・キャノン2門と宇宙魚雷6門を備える 武装商船 165隻 多くが貨物スペースに荷電粒子砲や実体弾を1門、多くて3門ほど装備した貨物船、ほとんどが300mを越える巨艦&鈍足、装甲なしである 武装商船(小) 327隻 機関砲レベルの武装を施した小型の貨物船、戦力になるか不明 海賊船 42隻 装備は様々、高速で宇宙軍の警備艇と対等に渡り合える物も多く中にはジュネーブ以上の戦闘力を持つものもある 良くこれだけ集めたものである。 連合艦隊は戦闘に突入した。ゆっくりは何も考えていないのかむやみやたらに突撃してくる。相変わらずわけの分からないレーザーを乱射しながら。 まだ結成してから日の浅い宇宙軍は連携が上手くとれずにいたがそれでもゆっくりに比べ優勢な能力をもって奮戦した。 ゆっくりもまた地球にいる頃の性質を忘れていないようで子ゆっくりを盾にして突撃する親と思われるれいむや安全地帯に味方を踏み潰して避難するまりさなど、様々である。 相当数撃破したのに一向にゆっくりの勢いは止まらない。 それもそのはず、500近くのゆっくりが後ろですっきりーをしているのだ。 生まれたゆっくりはすぐに投入される。実際ゆっくりの群はほとんどが子供になっていた。そんななか1kmを超える巨大なまりさがやってきた。 「ドスまりさかっ!? あいつまで等しく大きくなったのかよっ…!?」 ドスを見た兵士は誰もが同じ嫌な予感を持った。 戦力の中核である宇宙警備艇が40隻ほど、まとめて吹き飛んだ、ドススパークによって。ジュネーブに搭乗する連合艦隊の司令官はすぐさま散開を指示する。 しかし火力の密度が薄くなると今度は大量のゆっくりが隊列に侵入、乱戦となった。 相打ちを恐れないゆっくりと恐れる人間、相変わらずゆっくりの攻撃はへぼビームだけであったが効率的な宇宙軍は攻撃が出来ず被害を増していった。 さらに恐ろしい事態が起こった。ゆっくりはその巨体の有効性に気付き始めてしまった。宇宙軍に向かって体当りを仕掛けてくる。成体の直撃を受ければ一瞬で沈みかねない。赤ゆっくりの体当りでさえ相当な威力で、衝突した衝撃で慣性の法則が働き近くの味方に衝突する事もあった。 ついに司令部は撤退を決意、それに伴いアメリカに長い間封印されていたとある兵器が目を覚ます事となった。 核である。 長らく凍結されていた核が始動した。撤退しながら艦隊はゆっくりを核の射程に追い込む。1000ほどのゆっくりがついてきたがすっきり担当の500匹が来ない。 手馴れた海賊船達はゆっくりをうまく纏め上げると離脱した。世界に残されたたった数個の核が弾道ミサイルに積まれ、惜しげもなく全て発射された。 助かった… 誰もがそう思った。500匹のゆっくりは冷静にも撤退を開始したようだ。ぱちゅりーでもいるのだろう。 しかし生き残った500が再び数を増やして攻めてくる可能性は高い… 今回の戦いで宇宙軍は8割の損害を出した。 今後を考えて戦力が増強される事になる。 ゆっくりの特攻による4隻、ドススパークで3隻が失われただけとなったジュネーブクラスが高く評価された。対ゆっくりの主力艦として大量に建造される予定だ 宇宙警備艇も従来通り建造が進められた。これはどちらかというと本来の任務である海賊対策のために そして成体ゆっくりを一瞬で蒸発させる事のできる3連装パルサー・ショックカノンを装備した宇宙戦艦「ラースタチュカ」クラス等が今後建造される事になる …・・・・・・ ゆっくりは数年に一度地球に攻め込んでいる。 回数を重ねるにつれ数が増えている。10回目の攻撃となる今回はついに成体だけで10000匹を超えた 密集するとドススパークの餌食に、散開すると火力濃度が落ちて接近戦によるカミカゼを許してしまう、この憎たらしい饅頭、今まで何度も撃退してきたが毎回おびただしい数の…全体の6割近い損害を出している。一度攻めてくるとその後数年来ないのが救いだがこのままでは地球には宇宙戦士がいなくなってしまう。第1次海戦の旗艦ジュネーブの10回目の戦闘でついに餡子に潰された。火星への移民も当分先送りである 巣を潰さなければこの戦いは永遠に続くだろう… あとがき はい、ぐちゃぐちゃでした。もし読んでくださる方がいれば感謝です。 直径300mの饅頭、恐怖ですね。結局ゆっくりは一度もしゃべりませんでした。スミマセン ちなみに第1次海戦のどすまりさですが、こいつ、艦隊が散開した時点で乱戦となり、相打ちを恐れてドススパークを撃つ事が出来ずに集中砲火を浴びて意識不明、鹵獲されてしまったようです。 また巨大ゆっくりの正体。 かなーり昔に実験の一環として木星に向かって飛ばした無人調査機のスペースに紛れ込んでいたゆっくりが宇宙に適応、大型化したという設定。 攻めてきた理由は地球というなのゆっくりプレイスを取り返すため、及び非常食という非ゆっくり道的な扱いをされている地球のゆっくりを助ける為です。 タイトルはトップを狙えを想像して 評価次第では続編も書くかもですよ? 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饅頭に人の顔が貼り付いてるだけの物体、ゆっくり。 この謎生物がここ、幻想郷に突然現れてから久しく経つ。 最初の頃こそ、「ゆっくりしていってね!」→「ちょうきめえ!」のコンボで駆除されるだけだったが、 徐々に研究が進み、人間にとって様々な形で役立つものだという認識が広まってきた。 ゆっくりが今では生活物資の中でも重要な位置づけになりつつある。 ゆっくりの一番よく知られた用途はやはり食用。 何せ饅頭なので、少し汚れを落とすだけでそのまま食べられる。 幻想郷は甘味料を精製できる作物があまりよく育たないため、 これは本当にありがたいものであった。 次に力仕事。 ゆっくりは個体差が激しく、中には牛や馬以上に大きく力強く育つ傾向を持つ種がいるのだ。 これらの系統を幼体の頃から調教することで、家畜同様の存在として利用。 知能も比較的高いため、農作業や運送業の負担は大きく軽減された。 そして愛玩用。 見た目はそれなりに愛嬌があり、人語を解することもあってペットとしてもよく飼育されている。 中には徹底的な教育を施し、ゆっくりに秘書のような役割を担わせている人もいるくらいだ。 しかし、これらの用途に充てられるゆっくりは一握りの良質なゆっくりでおおむね足りる。 残りの、箸にも棒にもかからないようなゆっくりたちにはどのような使い道があるのか。 それを今から見て行こうと思う。 _______________________________ 昼が一年で最も長い時期、 幻想郷の森の中は大勢の人間たちで珍しく賑わっていた。 誰もがかごを担いでおり、手には長い菜ばしが握られている。 見た目にはゴミ拾いか山菜取りに来たようにしか見えない。 しかし、今の彼らの目的はそんなものではなく、ゆっくりだ。 彼らは木の根元を主に探り、それらの居場所を見つけようとしていた。 「あ、いたいた 相変わらずきめぇ外見だなあ」 ゆっくりを生け捕りに来た一人である青年が、大木の根元に空いた穴を覗き込むなり、苦笑しながらつぶやく。 もし何も知らない現代人がこれを見たら卒倒しているだろう。 穴の中には人間の生首のような物体がいくつも鎮座していた。これがゆっくりだ。 ゆっくりたちはまだこちらに危険性に気づいてない様子だ。 ゆっくりしていってね、と無邪気にこちらへ話しかけてくる。 しかし青年はそれに答えることなく、菜ばしで手早くゆっくりたちを背中のかごへ詰めていく。 さすがにゆっくりたちも騒ぎ始めるが、力の差が有りすぎて抵抗らしいことは一切出来ない。 数分もしないうちに、かごの中はゆっくりで満たされた。 傍目からは、巨大な白キノコがかごにたくさん収まっているようにも見える。 うーん大漁大漁、と彼は満足げだ。かごの中からは声が幾重にも聞こえてくる。 ふと周囲を見回すと、青年の仲間達がやはりゆっくりたちを満載したかごを背負っていた。 もう充分かね、と皆に呼びかけると、肯定だけが返事として来る。 この日のゆっくり捕りはこれで完了だ。 人里へ戻った青年たちは、休むよりも先に、とある作業場を訪れた。 里の人々からは一般にかぎ屋、たま屋と呼ばれ親しまれているところだ。 やあおつかれさん、と作業場の入り口で番をしていた壮年の男性が、ねぎらいの言葉を彼らへかける。 準備はできてるから、と続けて言われ、会釈した青年たちは作業場の奥へと進む。 一分ほど歩くと、周囲に比べてひときわ大きな建物が見えてきた。 彼らはそこへ重い扉を開いて入る。内部は上にも横にも意外なほど広く、遮蔽物も特に見当たらない。 せいぜい作業用の小道具が散らばっている程度だ。ただ大広間があるだけ。大勢が作業するための構造。 あらよっと、と青年たちはかごの中身を床にぶちまける。そこでようやく一息つく者も多い。 広間に放り出されたゆっくりたちは人間達に悪口を浴びせる。 しかし彼らはその言葉に反応せず、ただゆっくりたちの様子を眺めているだけ。 今は特にこれ以上何もされないようだとわかると、この建物を自分達のゆっくりプレイスだと宣言し、 ゆっくりたちは広間を好きに跳ね回り始める。割りと楽しそうだ。 これがゆっくりたちにとって最後の自由時間。 10分ほどそんな光景が続いていたのだが、眺めていた青年がふと口を開く。 「こいつらの中で他に回せそうなのいないな。全部こっちで使うわ」 彼らはゆっくりたちを選別していたのだ。 ゆっくりたちに好きにさせ、どんな行動をとるかを見れば、 他の役に立つかどうかはだいたい判断がついてしまう。 青年たちの捕ってきたゆっくりたちは自らの心配をまるでせず、ただ目の前の状況を自分勝手に楽しむだけ。 どんな運命が待っているか考えようともしない。 家族間のつながりも弱いらしく、他のゆっくりを心配するとかそういったそぶりもなかった。 野生育ちだけあって皮は丈夫なようだが、それだけだ。おおよそ最低品質のゆっくり。 こうしてこのゆっくりたちの運命は決まった。 彼らが一斉に動く。 飛び跳ねていたゆっくりたちは再び捕まえられ、かごの中に詰めなおされる。 また悪口が飛んでくるが、蝉の鳴き声程度にしか青年たちは感じていない。 そして作業が始まった。 手に持ったゆっくりに対して、男たちが小刀を当てる。 ゆっくりたちもおびえ、ゆっくりやめてね、などと命乞いの言葉を投げかけるが、やはり反応はない。 よし、と彼らは軽く気合を入れると、ジャガイモ剥きの要領でゆっくりたちの頭髪を剃っていく。 皮には傷をつけないよう、慎重かつ素早く行う。一匹剃り終われば、次のゆっくりをつかみ出す。 髪を剃られているゆっくりたちの悲鳴は一際大きくなるが、それは人間には無視され、 かごの中のゆっくりたちをさらに怯えさせるだけで終わる。 30分も経たずに、ゆっくりたちは全て頭髪を失い、ただの人面饅頭と成り果てる。 床に整然と並べられたそれらはいよいよもって不気味だ。 逃げ出さないような処置がなされているわけではないが、 ショックが大きいらしくどれも白目を剥いた放心状態。そんなことはおきないだろう。 ここからが難しい局面となる。 青年たちはまず手のひらサイズのゆっくりから取り掛かることにした。 ゆっくりを床に押し当て、静かに転がす。 その場で何度も回しているうちに、人面饅頭の形状が真球に近くなっていく。 何度も顔面を床へ押し付けられ、ゆっくりたちはまたくぐもった悲鳴をあげる。 彼らはお互いに手元のゆっくりの形状を確認しあい、できるだけ真球の精度を高めていった。 だいたい満足のいく程度に形状が整ったところで、催眠ガスを人面ボールに吹きつけ、仮死状態にする。 そうしてゆっくりたちはまた別の木箱に詰めなおされていく。 こうして一定の処理をなされたゆっくりたちとは別に、建物の一角ではもう一つ、別の工程が進んでいた。 こちらもゆっくりたちを用いることには変わらないが、扱いがだいぶ手荒い。 ゆっくりの中身である餡子を手で取り除き、集めているのだ。 餡子を全て失えばゆっくりたちは絶命する。やめてえ、などと悲鳴が常に絶えない。 からっぽの皮は、床へ無造作に捨てられ、頃合を見計らってゴミとして片付けられる。 まさにゆっくりたちの処刑場だ。 集められた餡子は黒色火薬などの様々な薬品と配合される。 混合された餡子は一般に和剤と呼ばれ、この作業場で製造されている製品、花火玉の部材となるのだ。 さらに混合餡子、和剤は花火玉の炸裂に用いる割薬用と爆発炎の色合いを調節する「星」用へ分けられ、 それぞれ水や糊とさらに混ぜ合わせた上で、鉄釜の中に用意されたモミ殻や砂粒へまぶされていく。 それらは少しずつまとまった形となっていき、次第に丸みを帯びる。 最終的には、火薬でできた親指サイズの玉がいくつも釜の中に鎮座することになった。 花火の核となる「星」だ。これが爆発することで夜空に花が咲く。 野生のゆっくりの多くは食べられなくはないが、無機物さえ食べる雑食のため、不純物が餡子に多く含まれており、あまり美味しくない。 一部の豊かな餌場を持つゆっくりや養殖されているものだけが食用になっている。 しかし、食用以外の用途においても、ゆっくりたちの餡子は大変便利な性質を持つ。 野生で暮らすうちにゆっくりの体内へ蓄積される様々な不純物は、集めれば化学薬品として使える濃度にまで達しているのだ。 餡子そのものも変質しているらしく、それらの薬品を安定させる基材として働いている。 幻想郷で火薬の原材料というと、厠で得られる焔硝くらいしかまとまった量が取れなかったものだが、 野生のゆっくりの餡子に含まれる薬品を使って「星」を作れば、バリエーションに富む爆発炎を持つ花火が作れるのだ。 薬品以外の不純物も、爆発炎の色に個性を与えてくれる。 そのため、安全に作業を行うという意味でも、基材である餡子ごと配合してしまうのが今の主流だ。 基材を何重にも用いて安定させているとはいえ火薬。 慎重に箱へ詰められ、作業場の庭で天日干しされる。 前述の、真球状に整えられた仮死状態のゆっくりたちも白目を剥いたまま並べられている。 正直、かなり不気味だ。 「星」は一度乾燥させれば完成というわけではない。 予定される爆発炎の大きさに合わせ、何度も和剤を塗りつけて大きさを増す必要がある。 塗りつける度に乾燥させる必要が有り、とても手間がかかるが、この手間を惜しめばあのきれいな花火は見られないのだ。 今回はあらかじめ作っておいた「星」で花火玉の製作を行うので、 真球状のゆっくりたちの乾燥を待てばいい。 このゆっくりたちは「星」を包み込む玉皮として集められたのだ。 野生のゆっくりの中でも、そこそこの強度の皮を持つ種類がこの工程に回される。 少し手を加えただけで理想的な玉皮として働いてくれるあたり、無駄が少ない物体だ。 乾燥し、皮がだいたい固まったゆっくりたちは、作業場の中へ再び戻される。 まな板の上へ無造作にあけられると、仮死状態だったゆっくりたちが意識を取り戻す。 意識を取り戻さないほうが幸せなのだが。 皮が固まっているため、ゆっくりたちはあまり口を動かせず、 それらの出す声はくぐもっていてよく理解できない。文句でも言っているのか。 青年たちが包丁を取り出すと、ゆっくりたちの玉が微動する。逃げようとしているのだろう。 だが皮が固まり動けない今、そんなことは出来るわけもない。 そして人間で言う耳のラインで、ゆっくりたちは縦へ一気に両断される。 ゆ゛ぎっ゛などと小さく悲鳴があがり、ゆっくりたちの一部はここで絶命してしまう。 野生のゆっくりは生命力が強く、餡子が完全に失われない限り、落命することはあまりないと一般に言われるが、 短時間で大量の餡子を失えばやはり死ぬ確率は高い。 仮死状態から覚めたばかりで、皮も固まり感覚が鈍っていても、この激痛は堪える。 残りの多くも口から軽く泡を吹いてだいたい気絶した。 半分に割られたゆっくりたちは、中の餡子を掻き出されていく。 そうするとゆっくりは意識を取り戻し、ゆ゛っゆ゛っと不安定な声が漏れる。 「星」が中に詰められる程度まで餡子を減らしても、大半のゆっくりたちは息があるようだ。 そして後頭部の方には、花火玉の起爆において、導火線の役割を果たす「親導」という棒が差し込まれる。 これが発射の際に外皮から引火し、中心部まで到達すれば爆発するのだ。 餡子を接着剤代わりにして、ゆっくりの中に「星」が隙間なく埋められていく。 中心部にはさらに割薬が詰め込まれる。これを和紙で固定すれば中身は大体完成だ。 こうして、二つに割られたゆっくりは再び貼り合わされ、外からも和紙が丁寧に貼られる。 顔の部分だけは和紙を貼らずに露出させたままにしておく。 生首のミイラのような物体が、無数に作成され、ゆっくり花火玉の製作はこれで一段落。 あとは出荷を待つのみだ。息のあるゆっくりたちは泣き言らしき声を延々と垂れ流している。 餡子が残ってさえいれば、何も食べなくてもゆっくりはしばらく生きていられるのだ。 今回製作された分は再び仮死状態にされ、翌週には納入されていった。 花火大会の夜。 人里の傍らを流れる大きな川の中州に、打ち上げ用の大筒がいくつも立てられていた。 周囲には打ち上げの職人達が大勢で待機し、世間話に花が咲く。 やがて箱詰めされた花火玉が到着すると、彼らは打ち上げ作業に取り掛かる。 箱の蓋を開けると、中にはゆっくり花火玉たちが、顔をこちらに向ける形で収まっていた。まだ生きている。 ゆっくりたちは仮死状態から覚め、こちらに気づくと、ゆっくりしていってね、と言葉を放つ。 今日の花火玉は元気がいいな、と打ち上げ職人達も感心した様子だ。 「今年のゆっくり花火玉はイキがいいやつばかりですからね。皆さんにはとびきりの悲鳴を聞かせられそうですよ」 花火職人である青年たちは、自信ありげに答えた。 花火玉のうちの一つを慎重に掴む。 自由にしてもらえると思ったのか、掴まれたゆっくりの顔の表情が明るいものになる。 だがそんなゆっくりを無視して彼らは大筒の中にそれを装填した。 大筒の奥からゆっくりの不思議がるような声が聞こえる。 職人達はきちんと玉が収まっているか確認し、さて、とつぶやいた後、大声を出した。 「発射いくぞーーーー!」 点火。 「ゆゆ!?」 ゆっくりたちも異変に気づく。 炒られた豆が弾けるような音が大筒の引火した導火線から聞こえてくる。 ゆっくり出してね!とゆっくりも逃げ出そうとするが、どうにもならない。 射出。 「ゆぴゅっ!?……あじゅいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……」 高速で打ち出されたゆっくり花火玉は、太い白色の尾を引いて上昇。一般に昇銀竜と呼ばれる花火玉だ。 「ゆっ!?すごい!おそらがちかいよ!」 打ち出されたゆっくりは、数瞬後の自分の運命も知らず、のんきに最後の思考を行う。 発射された際に親導へ引火した火が、ゆっくり花火玉の中心部に到達した。 ゆっくりの目や口を押しのけて爆圧が開放される。 「っぶぇ!」 炸裂。 ゆっくりは爆炎の中に消えた。 夜空に一輪の花が咲く。 無数の金の火塵が尾を引いて散華し、その過程で様々に変色していった。 菊先と言われる、定番の花火だ。 おお、と川岸の観客たちから歓声があがる。その中には花火玉の製作を行った青年達もいた。 花火の出来に満足げだ。 だがゆっくりたちはそれどころではない。 仲間が打ち上げられ爆発するところを間近で見て、恐慌状態に陥っている。 発射場の周辺に漂う、爆発煙の匂いもそれを煽った。 ゆっくり花火玉の入った箱が軽く振動しはじめる。 ゆっくりたちが泣き喚いたり、逃げ出そうと体をよじっているからだ。 さすがにこれは危ないので、耐火服を着込んだ者が箱を押さえつける。 箱の中のゆっくりたちは一様に絶望の表情で染まり、悲鳴を上げ続けた。 だが、これこそ花火師たちの狙いだ。 次の花火の発射準備が進む。 いやだあ、などと掴み上げられたゆっくりたちが叫ぶが、誰も相手にしない。 そうして、次の花火が淡々と打ち上げられる。 「…………ひぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああ!?!」「っぷゅ!」 空にゆっくり花火玉たちの悲鳴が響き渡る。直後、爆炎が空に花開く。 夏の夜においては、これも風流の一つだ。 通常の花火玉でも、打ち上げられると独特の風切り音が聞こえるが、 ゆっくりの悲鳴はその何倍も大きい。発射場からだいぶ離れた博麗神社でも聞こえるくらいだ。 恐怖の悲鳴と、華麗な爆炎の併せ技。耳と目で楽しむ、これがゆっくり花火玉の醍醐味だ。 「おがぁざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああん!」「あがっ!」 「もういやだぁああ!……ぱびゃぁぁぁぁぁぁああああああっ!」「ぱじゅっ!」 「……わきゃらなぃょぉぉぉぉぉぉおおお?!」「わぎゅっ!?」 「……ちぃんぽぽぽぽっぽぽぽほっ!」「ぽりゅっぷ!」 ゆっくりたちの悲鳴が爆炎に消えるたび、たまや、かぎやなどと明るい歓声が立ち上がる。 花火大会は滞りなく進み、ゆっくり花火玉の残りもほとんどなくなった。 そこへ、大会主催者、と書かれた札を胸につけた人物が現れる。 「あ!これはこれは 鬼意山ではないですか」 鬼意山、と呼ばれた彼は、打ち上げ職人達にに軽く会釈すると、 そろそろ時間なのでラストにふさわしいやつお願いしますよ、と不敵に笑う。 「ゆぶぶ……」 鬼意山のリクエストを受け、打ち上げ職人達がリヤカーに乗せて持ち出したのは、 ドスゆっくりを原材料にした、特大の花火玉だ。 現代日本の花火玉の規格で言うと、30号の花火玉のさらに数倍はある。 当のドスゆっくりは子供のゆっくりたちが目の前で次々と星になったため、すっかり生気を失っていた。 巨大なドスゆっくり花火玉を打ち上げるには、 それに用いる筒も巨大なものとなる。もはや戦争で使われる大砲にしか見えない。 ドスゆっくりは十数人がかりで荷揚げされ、縄や台車を使われて筒のの中に収まる。 ゆっくりしね、と周囲の人間に当り散らすが、返事は一切返ってこない。 もう彼らにとっては、ゆっくりの言うことは動物の鳴き声程度にしか思えないのだ。 カエルや蝉の鳴き声に耳をすますことはあっても、返事をすることなどない。 悲鳴などあげてやるものか。それがドスゆっくりの最後の意地だった。 だが、筒に収まると同時に、大筒の周囲から職人達が退避していく。 そして、数字を数える大声が響き始める。 今までの発射過程とは違う様子に、ドス花火玉も戸惑う。 やがて、大声が0を告げると、筒の下から爆炎と轟音が飛び出す。 「ゆがぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!?!!!!?」 他の花火玉とは比較にならない高速度で、大筒ごとドスゆっくりは飛翔。 決してあげるものかと誓った悲鳴も夜空にあっさり響き渡る。 爆発の恐怖と、ゆっくりの許容限度を超えた超高速に、ドスゆっくりの精神は崩壊寸前だ。 発射煙を引きながら上昇する大筒。 やがて、大筒に封入された燃料が尽き、夜空の頂点に届いたところで、 ドスゆっくりの中心部の爆薬に火が達した。 一秒を百分割しても足りない刹那の中で、 内部からの膨大な爆圧に、ドスゆっくりの真球状の体は醜く歪み、膨張する。 その両目や歯、舌がまず吹き飛び、ほぼ同時に餡子が玉皮を突き破り飛び出す。 「げぶっ!」 その醜く歪んだ姿も、一瞬でまばゆい光の中に消えた。 花火大会最後の大花火は、昼と見まごう程の輝きと轟音を放ち、消えていく。 あまりの大音響に、窓硝子にヒビが入る家屋も出た。 だがそのことに不満を持つ者はいない。 これが今の幻想郷で生きる普通の人間達にできる、最大最強の芸術作品なのだ。 花火大会が終わり、帰路に着く人々の顔は一様に明るい表情。 その様子を眺める鬼意山と職人達も実に満足そうだ。 ゆっくりたちの破片が散らばる発射場で、 次はもっと残虐にやりたいですね!と、彼らは早くも次回大会に意欲を見せていた。 超重量の物体を打ち上げるには、通常の爆薬では無理! そう考えた職人達は、妖怪たちと協力して新しい打ち上げ方法と専用爆薬を開発した。 これは現代世界の歴史においても、ロケット打ち上げ用に使われたことがあるものだ。 そして打ち上げの必要量を用意するのに、数千、数万のゆっくりが潰されたという。 これだけの手間暇をかけてこそ、花火というものは人の心を打つひとときを提供してくれる。 クソの役にも立たないゆっくりたちであっても、このように工業製品の原材料として活躍してくれるのだ。 人間がゆっくりを真の意味で使いこなすのも、そう遠くは無いだろう。 ゆっくり花火 おしまい あとがき ここまで読んでくれた方ありがとうございます。 物語風の文章を書くのは小学生以来なので、 「へー、俺こんな文章書くんだ……」と妙に客観的な視点からの作業になりました。 もっとゆっくりをじっくり痛めつけたかったのですが、 花火が一瞬で散るものである上、花火玉の製作過程へゆっくりをどうやって組み込むかに夢中で、 そこまでなかなか気が回らないという結果に。 もっとゆっくり同士のやりとりがあったほうが、虐待にも熱が入って印象的なものになるので、 もし次があればそこを重視した話を作ってみたいです。 このSSに感想を付ける
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ゆっくりいじめ系685 ゆっくりのいる街7 ※人物オリジナル注意 「ゆっくりやめてね!!!ゆっくりさせてね!!!」 「ゆっくりにげるよ!!!ゆっくりこないでね!!!」 「逃がすなー!」 「だいじょーぶだって!すぐ追いつけるよ!」 「ほーら追いつめた」 「ゆっくりやめてね!!!ゆっくりやめてね!!!」 「ゆっくりさせてね!!!ゆっくりさせてね!!!」 「「やーだよ!」」 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁあああぁぁあ!!!」 「もっどゆっぐりじだがっだよおおおぉぉおぉぉおお!!!」 ドスまりさが死んで数日が経った。 ドスの里全滅の知らせを受けたことにより今までドスを恐れてなりを潜めていた虐待派やゆっくりの存在自体を快く思ってなかった者達、 また「ドスまりさが人間を殺そうとしていた」事実を知りゆっくりの危険性を感じ取った者達は 毎日のようにゆっくりを狩り続けていた。 善いゆっくりも悪いゆっくりも関係なく。 いや、彼らはみなこう思っていた。 「ゆっくりの存在自体が悪なのだ」と。 人々がゆっくりを狩り続けた甲斐があり、この街にいるゆっくりの数は極端に減った。 「この街はゆっくりできない」そんな噂がゆっくり達の間に流れ始めたこともある。 今この街にいるゆっくりはその噂を知らぬ者、それを知りながらこの街で「ゆっくり」している己の力を過信した愚か者、食糧難でやむなく街に降りてきた者の 三通りしかいなかった。あまり変わらないような気がするが… 「あーあ。また獲物を逃しちまった…」 この少年もまた虐待派の一人。ドスまりさの里を滅ぼした張本人である。 彼は「ゆっくりがいない世界」を目指し日々ゆっくりを狩り続けていた。 しかし狩りを続けていくうちにサディスティックな感情に支配され、今では虐殺より虐待がメインとなっていた。 今日も虐待対象のゆっくりを見つけてすっきりしたいと思っていたのだが、ここ数日ゆっくりが問答無用で狩られているため、 なかなかフリーのゆっくりが見つからないのである。 例え見つけてもすぐ近くにいる人間と争奪戦に発展する。そうなってはケンカも弱く走るのも遅い少年には勝ち目がない。 子供と奪い合うのも非常に大人げない。 自分で蒔いた種とは言え、少年はすっきりできなかった。 そんな時。 「ゆっ!!!ここまでくればあんしんだね!!!ゆっくりおうちにかえるよ!!!」 一匹のまりさを見かけた。辺りをキョロキョロしている。人間から逃げていたのだろう。 帽子からは大根の葉っぱが覗いている。八百屋の野菜を盗んできたらしい。 少年は小さくガッツポーズをした。辺りには誰もいない。つまりこの「獲物」は自分が独り占めできる…そう思った。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ?ゆっくりしていってね!!!……あああぁぁぁぁあああぁあああぁあああ!!!にんげんだああぁぁぁあぁあああ!!! どうじでごんなどごろにいるのおおぉおぉぉおおおお!!!」 「ここは人間の街だぞ。何処にでもいてもおかしくないだろ。ところでお前は何をしているんだ」 「ゆゆっ!!?ままままりさはなにもしてないよ!!!おやさいをぬすんでなんかないよ!!!」 あっさり口を滑らせた。 少年は野菜を隠しているであろう帽子を取り上げてやった。 案の定大根やトマト、ジャガイモや人参などが少量だが隠されており、全て地面に落ちた。 「か、かえしてっ!!!まりさのすてきなおぼうしかえしてね!!!」 「素敵なお帽子だぁ…?」 ぶち撒けられた野菜など気にもとめず、帽子を返せと懇願するまりさ。 少年はまりさの自慢の帽子を覗き込む。 ところどころ虫に食われていたり、リボンは若干黄ばんでいたり、少々黒ずんだ何かもついていたりでとても清潔と言えるものではなかった。 「これのどーこが「すてきなおぼうし」だよwwどうみてもただのボロ布じゃねーかww」 「ま、まりさのすてきなおぼうしばかにしないでね!!!いいからすてきなおぼうしかえしてね!!!」 ゴミを素敵素敵と連呼するまりさに対し苛立ちを募らせる少年。 すると、あることを思いついた。 ゆっくりがここまで自分の装飾に拘るのは、自分の仲間に認識されなくなってしまうからである。 ゆっくりは主に装飾でしか仲間の識別ができない馬鹿なナマモノなのである。 帽子や飾りを無くしたゆっくりは群れの仲間から見放され、制裁を受けることになるのだ。 もっとも、ちゃんと仲間を認識できるゆっくりもごくまれにいるのだが。 「オッス!オラまりさ!よろしく!」 少年はまりさの薄汚い帽子を被り、そう言い放った。その見た目はインチキ臭い魔法使いそのものだった。 「ゆっ!!!おにーさんはまりさじゃないよ!!!まりさはまりさだよ!!!ゆっくりりかいしてね!!!それからすてきなおぼうしかえしてね!!!」 「ハハハ何言ってるんだぜこの饅頭は!俺がまりさだぜ!この帽子は俺が見つけたから俺のものだぜ!その野菜だってどうせお前が「見つけた」から盗んできたんだぜ!?」 「どう゛でも゛い゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉぉお゛おお゛お!!!ばり゛ざの゛お゛ぼう゛じい゛いい゛ぃぃぃぃい゛いい゛い!!!」 連中お得意のゆっくりずむ宣言にも耳を貸さずただ帽子を返せと叫び無駄な跳躍を続けるまりさ。 ここまで鬱陶しいと即殺してしまいそうなものだが、少年はあえてそうしなかった。 少年の考えは、このまままりさに成り済まし、連中の群れに混ざることにあった。 少年は残り少ない夏休みを、ゆっくり一家のホームステイに使うことに決めていた。 街にゆっくりがいないなら、連中の住処に行けばいい。 だからここで殺してしまえば巣の場所を聞き出すことができない。 「まりさ!!!こんなところにいたんだね!!!しんぱいしたんだよ!!!」 すると反対側の道から二回りほど大きいまりさが現れた。このまりさの母親なのだろう。 「にんげんのまちにちかづいたらゆっくりできないっておしえたでしょ!!!はやくゆっくりおうちにかえろうね!!!」 「ゆっ!!!おかあさんごめんなさい!!!にんげんのたべものはおいしいってれいむがおしえてくれたからいってみたくなっちゃったんだよ!!! おかあさんのいうとおりだったよ!!!にんげんがまりさのすてきなおぼうしとっちゃったの!!!ゆっくりとりかえしてね!!!」 「ゆっ!!?ぼうしのないへんなこがいるよ!!!」 「ゆゆっ!!!まりさはまりさだよ!!!おかあさんのかわいいまりさだよ!!!」 「おかあさんなんてよばないでね!!!まりさはぼうしのないへんなゆっくりをうんだおぼえはないよ!!!」 「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛おお゛お゛ぉぉぉぉおぉおお゛おお゛!!!」 やはり認識できていない。これは当たりだ。少年はそう思った。 「まりさ!!!おうちにかえろうね!!!いつまでもここにいたらゆっくりできないよ!!!」 少年に対し帰るよう促す親まりさ。 しかし全く大きさも姿形も違うというのに全然気づかないとは。恐ろしや。 「わかったんだぜ!!!さっさとおうちに案内…じゃない連れて行ってくれだぜ!!!」 「ゆっ!!!じゃあゆっくりついてきてね!!!おかあさんについてくればあんしんだからね!!!」 来た道を戻る親まりさとそれについて行く少年。 このやりとりを見ていた本物のまりさはたまったものではない。 「ゆっくりまってね!!!まりさをおいていかないでね!!!すてきなおぼうしもかえしてね!!!」 「うるさいよ!!!ぼうしのないへんなことはゆっくりできないよ!!!こっちにこないでね!!!ひとりでゆっくりしてね!!!」 「びどい゛よ゛お゛があ゛ざあ゛あ゛ぁああ゛ぁぁあ゛ぁぁあ゛ぁぁあ゛ああ゛ん゛!!! ま゛り゛ざがま゛り゛ざな゛の゛に゛い゛いぃい゛い゛いぃぃぃい゛いい゛!!!そっぢにい゛る゛の゛ばに゛ぜも゛の゛な゛の゛に゛いい゛い゛ぃいぃぃい゛ぃいい゛!!!」 必死なまりさ。心の底から信頼していたお母さんが、自分に成りすました人間を「まりさ」と呼んでいる。 どうして伝わらないの。どうしてまりさの言うことを信じてくれないの。 そう思って母に呼び掛けていると、まりさに成りすました人間がこちらの方に戻ってきた。 「ゆっ!!!まりさのすてきなおぼうしかえしにきてくれたんだね!!!ゆっくりかえしてね!!!そのあとおにいさんはゆっくりしんでね!!!」 まりさは少年を完全に敵と見なしていた。 これでやっとお母さんの元に戻れる…そんな思いとは裏腹にまりさの体は宙に浮いていた。 少年に髪を掴まれているのだ。 「ゆっ!!!ゆっくりはなしてね!!!きたないてでまりさのきれいなかみにさわらないでね!!!」 「ごちゃごちゃ五月蠅い奴だぜ!!!綺麗な髪だって!?笑わせるんだぜ!!!あちこち泥で汚れて汚いぜ!!!まだ俺様の方が綺麗だぜ!!!」 まりさの髪を罵倒する少年。少年は嘘を付いてはいない。ゆっくりは綺麗好きなナマモノだが、体型上手入れが行き届いていない部分も多い。 ゆっくりの間では綺麗でも人間基準では十分汚いと言えるのだ。 野生に生きるナマモノなのである程度は仕方がないのかもしれない。 「まりさのかみばかにしないでね!!!いいからゆっくりはなしてね!!!ゆっくりさせてね!!!おぼうしかえしてね!!!ゆっくりしんでね!!!」 「注文の多い野郎だぜ!!!どの道お前はもう用済みだぜ!!!苦しんで死ぬがいいぜ!!!」 少年はまりさをスイングして壁に叩き付けた。 「ゆびゅっ!!!?」 まりさの歯は何本か折れ、衝撃で体から餡子が噴き出した。 その様子を見ていた母まりさは 「なにやってるの!!!ぼうしのないへんなこでもひとりでゆっくりするけんりはあるよ!!!ゆっくりさせてあげてね!!!」 少年の行いを止めようとしている。 装飾無しは群れから排斥され、最悪殺されることもあるのだが。 いくら帽子が無い変な奴とはいえ同族のまりさだ。流石にやり過ぎだと思ったのだろうか。 実の子供だと思うと非常におかしな話である。 「お母さんは黙ってるんだぜ!!!帽子の無い奴はゆっくりできないんだぜ!!!この世でゆっくりできないんならあの世でゆっくりさせてあげるのが 「せめてもの慈悲」って奴なんだぜ!!!ゆっくり理解してね!!!」 少年は適当に理由を作って母まりさを諭した。 少年はまりさが死ぬまで叩き付けるのをやめるつもりはなかった。 「ゆびゅううぅ!!!」 「ゆびゃああぁああ!!!」 「ま゛り゛ざの゛あ゛んごお゛お゛おぉぉぉお゛ぉお!!!」 「じぬ゛っ!!!じんじゃう゛う゛うぅ゛うう゛ぅぅう゛う!!!」 「や゛べでっ!!!ゆ゛っぐりざぜでえ゛ええ゛ぇぇえ゛ぇえ゛え!!!」 「お゛があざあ゛ぁぁぁあ゛あん!!!だずげでえ゛え゛えぇぇえ゛ええ゛え!!!」 「ハハハ!!!地獄で永遠にゆっくりできない生活を送るがいいんだぜ!!!」 母まりさは何も言わなくなった。 ただその惨状を見るのが辛いのか、目を瞑り震えている。 そんな母まりさの耳にはまりさの悲痛な叫びも少年の先程と矛盾した言葉も届かなかった。 「ゅ…も…じ……た……」 まりさは皮だけとなり息絶えた。 「さぁゴミの始末は済んだんだぜ!!!さっさとおうちに帰るんだぜ!!! 「ゆ……そうだね!!!ゆっくりしてるとにんげんにみつかるから、ゆっくりしないでいこうね!!!」 母まりさは先程の少年の言葉を信じ、帽子無しまりさの死を忘れることにした。 (てんごくで、ゆっくりしていってね。こんどはぼうしのあるこにうまれるといいね) 心で祈りを捧げた後、再び巣を目指して跳ね始めた。 第八話「オッス!オラまりさ!一日目」 「みんな!!!ゆっくりかえってきたよ!!!おねえちゃんもいっしょだよ!!!」 「「「おかえりなさい!!!ゆっくりしていってね!!!」」」 「「「「「「「ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」」」」 町はずれのそう遠くない森…ドスのテリトリーの一部だった場所に、まりさの巣の洞窟はあった。 ドスがいなくなったとはいえ、この場所に人間が立ち入ることは滅多に無い。 もう狩り尽くされたと思っているからだろう。 家族構成は母まりさ、子まりさ三匹、赤まりさ七匹。 全員の大きさから察すると、少年が殺し成りすましたまりさは長女だったようだ。 「お姉様のお帰りだぜ!!!邪魔だからさっさと道を開けるんだぜ!!!」 「「「ゆっ!!!おねーちゃん、ごめんなさい!!!」」」 「「「「「「「ゆっくいやちゅんでね!!!」」」」」」」 横柄な態度の少年に素直に従う妹達。 一家の中での長女のカリスマ性は絶大のようだ。 たった一匹で人間の街に乗り込んでくる程だ。相当な猛者だったのだろう。こいつらの中では。 「まりさ!!!おとうさんにゆっくりおかえりなさいのほうこくをしようね!!!」 「はい???」 母の案内で奥に進むと大きな帽子が置いてあり、傍らには花が供えてあった。 先程の言葉と照らし合わせると、これが父まりさの墓標であることはすぐにわかった。 しかし少年は、父まりさの死因も、家族の境遇も一切知らなかった。 「こいつはどういうことなんだぜ!!?ゆっくり説明してほしいんだぜ!!!頭打ってちょっと忘れちまったんだぜ!!!」 「ゆぅ…しょうがないね、ゆっくりせつめいするからちゃんときいてね!!!」 少年は適当な言い訳をして家族の境遇の説明を要求した。 今から数日前、この巣に胴つきのれみりゃが現れた。 その時父まりさが自分の身をを犠牲にして家族を守ったのだ。まりさのくせに。 ちなみにれみりゃは父まりさを食って腹一杯になったから帰ったようだ。 その後、夫の形見である子供達を守ろうと母まりさは奮闘しているらしい。まりさのくせに。 その証拠に子ゆっくり達はどれもぷりぷりしており、ツラのふてぶてしさに磨きがかかっているあたり余程大切に育てられていることが伺える。 少年からすれば反吐の出る身の上話だったが、それはそれで面白いシチュエーションだと思っていた。 「どうしたの!!?おとうさんにゆっくりあいさつしてね!!!」 話を聞き、墓標から立ち去ろうとする少年を呼び止める母まりさ。 「うるさいんだぜ!!!挨拶したってどうせ死んでるんだから関係ないんだぜ!!!ゆっくり理解してね!!!」 饅頭相手だから吐けるセリフである。 「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛おお゛ぉお゛ぉぉぉ゛お゛おぉお゛お!!!」 母まりさは信じられなかった。 自分達を命懸けで守ってくれた父まりさに対し、なんてひどいことを言うんだ。 自分の育て方がいけなかったのか。それでは死んだ夫に対して申し訳が立たない。 「それよりも今日は疲れたんだぜ!!!とっとと飯の準備をしてほしいんだぜ!!!」 母まりさは思った。 そうだ、きっとこの子は疲れてるからあんなことを言ったんだ。きっと人間に酷い目にあわされそうになったから機嫌が悪かっただけなんだ。 それならお腹いっぱい食べてもらって、ゆっくりさせてあげよう。 ゆっくりできれば、元のいい子な長女に戻ってくれる。 そんな考えは最初から無駄だということをまりさは知らなかった。いや、気づかなかった。 気がつけばもう夕暮れ時。 人間の街でも夕飯を食べる時間だ。 「みんな!!!ごはんのじかんだよ!!!ゆっくりあつまってね!!!」 「「「ゆっくりいくよ!!!」」」 「「「「「「「ゆっくいできりゅね!!!」」」」」」」 巣の中央に集まるまりさ一家+α。 母まりさは大きな葉にくるんだ食料を土の上に広げる。 本日の献立は、木の実少量、花、雑草、ムカデやその他の虫、そしてどうやって捕獲したのか魚一匹だった。 虫は何匹か生きており、うねうね動き回っている。 言うまでもなく人間が食べられるものは魚しかなかった。 「みんな!!!ゆっくりたべてね!!!」 「ゆっくりたべるよ!!!」 子まりさの一匹が生きているムカデに舌を伸ばした瞬間。 「馬鹿野郎ー!!!まりさー!!!誰を喰ってるー!!!ふざけるなー!!!」 「ゆびゅうっ!!!」 少年の蹴りが子まりさの顔面にクリティカルヒットした。 吹っ飛ばされた子まりさは壁にたたきつけられ、餡子を漏らしながら痙攣している。 手加減したので死にはしないだろう。 「な゛に゛や゛っでるの゛お゛おぉお゛おぉお゛おお゛!!!」 「ま゛り゛ざの゛い゛も゛う゛どがあ゛あ゛あぁぁあ゛ぁぁあ゛ああ゛!!!」 「お゛ね゛ーじゃん゛!!!どう゛じでごん゛な゛ごどずるの゛お゛おお゛ぉお゛ぉお゛ぉお゛お!!!」 絶叫を上げる母まりさと残りの子まりさ。 赤まりさ七匹は状況が全く理解できず困惑していた。 「よく聞くんだぜ!!!虫さんだって一生懸命生きてるんだぜ!!!虫さんを食べるなんて何考えてるんだぜ!!!」 「ゆっ!!!だってむしさんはまりさたちのごばあ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛っ!!!」 抗議した子まりさに蹴りが入る。先程よりも弱めだ。 「一生懸命生きている命を食べるなんて最低だぜ!!!そんなひどいことする奴はクズだぜ!!!生きる価値無いぜ!!!」 こんな超偽善論を真に受ける人間はおそらくいないだろう。少年だって本気で言っているわけではない。 だがこいつらはゆっくり。頭が餡子で出来ているおめでたい連中だ。 少年はこいつらに対するイヤガラセの一心で心にも思っていないセリフを堂々と吐いた。 「ゆっ…まりさのいうとおりだね…みんな、むしさんはにがしてあげようね…しんだむしさんはうめてあげようね…」 「ゆぅ…むしさん、おねえちゃん、ごめんなさい…」 「ばりざがわるがっだんだね、ごべんねぇ…」 「「「「「「「むししゃん!!!ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」」」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 生きている虫たちは巣の外に出され、死んでいた虫たちは父の墓標の側に埋められた。 ここまで簡単に釣られてくれるとは。長女まりさのカリスマ性は半端ではないようだ。 「みんな!!!ごはんはすくなくなっちゃったけどゆっくりできるよね!!!」 「「ゆっくりできるよ!!!」」 「「「「「「「できりゅよ!!!」」」」」」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 虫たちの見送りと弔いを済ませた一家は食事を再開する。 「おさかなさん!!!ゆっくりたべるよ!!!」 「ちょっと待つんだぜ!!!」 「ゆっ?」 子まりさが魚を口にしようとした瞬間少年がそれを止める。虫はダメでも魚はいいのかよとツッコむためではない。 魚を食われては少年の夕食が無くなってしまう。 いざとなればまりさ達を食べればいいが、すぐに数が減ってしまっては面白くない。 「天才のまりさ様はお魚を美味しく食べる方法を知っているんだぜ!!!」 「「ゆゆっ!!!ほんとうなの!!!」」 「「「「「「「ゆっきゅいおちえちぇね!!!」」」」」」」 「すごいよまりさ!!!おかあさんにもゆっくりおしえてね!!!」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 うまく食いついてきた一家。 少年はいったん巣の外に出た。一家も痙攣している子まりさ以外着いてきた。 少年は近くの小川で魚を綺麗に洗った。食卓に置かれたときに付いた土を落としているのだ。 その後巣の入り口まで戻り同じく綺麗に洗った木の棒に魚を刺す。 そして残りの食料である植物とその辺にあった木の枝を集め、常時持ち歩いているマッチで火を付ける。 食料が燃やされていることにも気づかずまりさ達はワクワクしながらそれを見ている。 「ゆー♪とってもきれいだね!!!」 「あったかいし、ゆっくりしてるね!!!」 「「「「「「「ゆー♪ゆー♪ゆっくち♪」」」」」」」 小さな焚き火を見ながら思い思いの感想を挙げる子まりさ達。 少年は棒に刺した魚を火で焼く。 パチパチと音を立て魚に焦げ色が付いていく。 「ゆー♪いいにおいがするよ!!!」 「ゆっくりしたいいにおいだよ!!!」 「おさかなさん!!!ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「「「ゆっきゅいちようね!!!」」」」」」」 匂いに釣られ踊り出すまりさ一家。 いい感じに全体が焼けてきた。そろそろ食べてもいいだろう。 少年は魚を火から離し、息を吹きかけ冷ました後、パクリと口にした。 「うん、なかなか」 少年は魚は好きではなかったが、空腹の中、未経験の方法で焼いた魚は格別に美味かったようだ。 「おねーちゃん!!!まりさたちにもちょうだいね!!!」 「まりさたちもゆっくりたべたいよ!!!」 「「「「「「「ゆっきゅいたべしゃしぇちぇね!!!」」」」」」」 「まりさ!!!ひとりじめはだめだよ!!!ちびちゃんたちにもわけてあげてね!!!」 魚を分けろと喚き出す一家。魚は今日一番のご馳走なのだ。 しかも今日は長女が美味しくなる方法で調理してくれている。 また、虫を逃がしたせいでまだ食事にありつけていないのだ。 当然、ゆっくりをじわじわ虐めに来た少年がそんなことをするはずもなく。 「五月蠅いんだぜ!!!この調理法は俺様が考えたものだぜ!!!お前らなんかにやるわけないんだぜ!!!」 「「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛おお゛ぉお゛お゛ぉおぉお゛おお゛お!!!」」 「「「「「「「ゆ゛っぐじじだい゛よ゛おお゛おお゛おぉお゛ぉお゛お゛お゛お!!!」」」」」」」 「ばりざあ゛あ゛ぁあぁぁ゛あ゛あ゛!!!ぜっがぐの゛お゛ざがな゛ざん゛わ゛げっごじな゛ぎゃだめ゛でじょお゛お゛おぉお゛ぉお゛お゛お!!!」 空腹のため、母親共々不満が爆発したようだ。 「そんなに食べたかったら自分でやればいいんだぜ!!!明日また魚を捕ってくればいいんだぜ!!! それに一食抜いたくらいで死にはしなんだぜ!!!むしろこれは一種の修行だぜ!!!これを耐えれば強いまりさになれるんだぜ!!?」 「ゆ…ゆっくりりかいしたよ…」 「まりさもおねーちゃんみたいに、つよいまりさになりたいよ。だからゆっくりがまんするね」 「「「でもおにゃかちゅいたよー!!!」」」 「「「「ゆっくちちたいよー!!!」」」」 長女カリスマで子まりさを嗜めることはできたものの、まだ耐えることを知らない赤まりさは変わらず騒ぎ続けた。 「だいじょうぶだよ!!!まだおはなさんやはっぱさんがあるよ!!!ちびちゃんもゆっくりできるよ!!!」 母まりさは巣に置きっぱなししてあるはずの残りの食料のことを思い出し、赤まりさを宥める。 「「「「「「「しょうだっだね!!!ゆっくちちゅるね!!!」」」」」」」 我先にと巣の中に戻っていく赤まりさ。それを微笑ましく思いにこやかな表情で追いかける母まりさ。同じく嬉しそうな妹達の姿を見てにこやかな子まりさもついて行く。 だが巣の中には、まだ痙攣している子まりさ以外、何も無かった。 「「「ゆっ!?ちゃべもにょがないよ!!!」」」 「「「「これじゃゆっくちできにゃいよおおおぉぉおおお!!!」」」」 「な゛ん゛でえ゛え゛ぇぇぇえ゛え゛!!!どう゛じでえ゛え゛えぇぇぇえ゛ええ゛え゛!!!」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 先程残りの食料は少年が焚き付けに使ったのだ。無いのは当然である。 一家は魚に気をとられて気づかなかったため、少年を咎めることはなかった。 「「「しょうだ!!!きっちょおねーしゃんがちゃべちゃったんだよ!!!」」」 「「きっちょまいしゃちゃちがいにゃいあいだにちゃべちゃったんだよ!!!」」 「「おねーじゃんのじぇいじぇゆっくちできにゃいよおおおぉぉおぉおお!!!」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 ひたすら痙攣し続けているだけの子まりさにあらぬ疑いの目を向ける赤まりさ。 それが誤解だということに母まりさはちゃんと気づいていた。 「ちびちゃんちがうよ!!!おねーちゃんはたべてないよ!!!ゆっくりしんじてあげてね!!!」 「「「「「「じゃあ゛に゛ゃん゛でな゛くな゛っちぇるの゛おお゛おお゛ぉぉお゛お゛おお゛!!!」」」」」」」 「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」 「ゆ…それはわからないけど…とにかくおねーちゃんはたべてないよ!!!おかあさんにはわかるよ!!!ゆっくりしんじてあげてね!!!」 「「「ゆ…ゆっくいちんじるよ…」」」 「「「「でもおにゃかちゅいたよぉ……」」」」 「ゆ…じゃあきょうはもうおねむにしようね!!!ゆっくりねむればおなかがすくのもわすれられるよ!!!あしたになったら、いっぱいごちそうをとってきて、ゆっくりさせてあげるね!!!」 「そうだよ!!!だからきょうはがまんして、ゆっくりやすんでね!!!」 「がまんすれば、おねーちゃんみたいなつよいまりさになれるからね!!!」 「「「ゆー♪ごちちょう!!!」」」 「「「「ゆっくいたのちみにしちぇるにぇ♪」」」」 「「「「「「「ゆっくいおやしゅみなちゃい!!!」」」」」」」 言うが早いか即いびきをかき始める赤まりさ。 残念ながら姉まりさの言葉は届かなかったようだが。この赤まりさが忍耐を身につけるのはいつのことやら。 「じゃあまりさたちもゆっくりねむるね!!!」 「ゆっくりねむって、あしたのかりにそなえるね!!!」 「「ゆっくりおやすみなさい!!!」」 「ゆっ!!!ゆっくりやすんでね!!!ゆっくりしたいいゆめをみてね!!!」 姉二匹も眠りに就いた。 二匹が眠るのを見届けた母まりさは、痙攣していた子まりさに駆け寄る。 先程まで食欲のせいで忘れかけていたのだ。 「ごめんね、なにもしてあげられなくてごめんね。ゆっくりいいゆめをみてね…」 「ゆひゅー…ゆひゅー…ゆひゅー…ゆひゅー…」 子まりさの傷を舐めてやる母まりさ。気休めにもならないがそれでも母の気遣いが子まりさにはうれしかった。 痙攣も治まってきたようで、息は荒いが眠りについた。 その頃丁度、魚を食べ終えた少年も巣に戻ってきた。 「まりさ!!!ちょっとはやいけどきょうはもうねようね!!!つかれてるでしょ!!!ゆっくりやすんでね!!!」 「しょうがないんだぜ!!!それじゃそうさせてもらうとするんだぜ!!!」 まだ人間が眠るのはいささか早い時間だったが、今日はもうすることがない。 その後のプランを考えるのには丁度いい休憩時間だ。 少年は母まりさの言う通り今日はもう眠ることにした。 「それじゃあお母さん、まりさの枕になってくれだぜ!!!まりさは枕がないと眠れない体になっちまったんだぜ!!!」 「ゆっ!!?ま、まくら!!?」 母まりさは困惑した。 前に人里に降りたことがあったので枕については知っていたが。 まさか子供に枕になってくれと言われるとは思ってもみなかった。 当然枕になった体験などしたことはないが、いつも子供達は自分に寄り添って眠るため、それと大して変わらないだろうと思っていた。 母まりさは疲れ切ったであろう子供のために枕になってあげる決心をした。 「それじゃあ、まくらになってあげるね!!!ゆっくりねむっていいゆめをみてね!!!」 「へっ!!!それじゃあ使ってやるとするんだぜ!!!」 そう言って母まりさの後頭部分に頭を乗せる少年。 当然ゆっくりと人間の体重は文字通り桁が違う。 「ゆ゛っ゛!!!」 少年の頭の重みで潰れひしゃげる母まりさ。 (ああ。家の枕より柔らかいや。今度一匹捕まえて枕にしてやろうかな) 思った以上に心地よかったのか、少年はすぐに夢の世界へと落ちていった。 「ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!ゆ゛っ゛!」 「だぁー!!!うっせぇええええ!!!」 少年は母まりさの呻き声で目を覚ました。 人間の重い頭を支え続けているのだ。苦しくて当然である。 母まりさは全身から体液を出し、苦悶の表情を浮かべている。 「さっきからゆーゆー五月蠅いんだぜ!!!眠れないから静かにするんだぜ!!!息するなだぜ!!!」 「ゆっ…!!!ご、ごめんね!!!しずかにするからおかあさんをゆるしてね!!!」 少年の文句に素直に謝罪する母まりさ。 少年は再び母まりさの上に頭を乗せ眠りについた。 それから、声は全くしなくなった。 母まりさは白目を剥き、歯を食いしばり、全身から粘液を滴らせながらじっと耐えていた。 眠っている間、少年は考えていた。 (そういえば、こいつどうやって魚を捕まえたんだろう) 先ほども「また捕ってくればいい」と言った時も「無理だ」とは言わなかった。 何か捕獲する方法を知っているのだろうか。 まぁ、明日になればわかるだろう…… 少年は再び、夢の世界に落ちていった。 一日目・おわり 作:TOSSY 「ゆっくりになった男」が面白かったので書いてみました。 一応「ゆっくりのいる街6」の続きの話なんですが未読でも楽しめると思います。 今回の話は焦らず慌てず書いていきたいと思います。 補足説明:殺された長女まりさのカリスマ性が強いのは胴無しれみりゃ一匹を返り討ちにしたことがあるためです。 このSSに感想を付ける 選択肢 投票 しあわせー! 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※今までに書いたもの 神をも恐れぬ 冬虫夏草 神徳はゆっくりのために 真社会性ゆっくり ありすを洗浄してみた。 ゆっくり石切 ありすとまりさの仲直り 赤ゆっくりとらっぴんぐ ゆねくどーと ※今現在進行中のもの ゆっくりをのぞむということ1~ ※注意事項 まず、上掲の作成物リストを見てください。 見渡す限り地雷原ですね。 なので、必然的にこのSSも地雷です。 では、地雷原に踏み込んで謙虚ゲージを溜めたい人のみこの先へどうぞ。 _______________________________________________ 弥生、三月。 朗らかな陽射しが大地にあまねく生命を祝福する、緑の季節がまた巡り来た。 「春ですよー!」 高らかに歌声を響かせる春告精が誘うのは、西からの柔らかい風と、その風が伝える優しく力強い春の息吹。 野山を鎖す白い雪は足早にどこかへと消え去って、大地はモノトーンから草花の鮮やかな彩へとその装いを変えている。 その多様な彩の合間に目を配れば、冬の厳しい環境を潜り抜けて春の恵みにありつくことが出来た多くの命の歓喜の様子と、 余裕を得た彼らが新たに生み出した真新しい命を見つけることもできただろう。 「むーしゃむーしゃ!」 「むーしゃむーしゃ!」 遠く妖怪の山にまで連なる広大な山地の一角、杉林の斜面。 ここにも一組、生まれて始めての冬をなんとかやり過ごした一組の生命が早速がつがつと集めてきた昆虫や草花を頬張っていた。 草木は枯れ果て、昆虫も姿を消す冬場はゆっくりにとって忍耐に次ぐ忍耐の季節だ。備蓄食料の在庫管理を怠って、敢え無く おうちの中での餓死を迎える家族の存在もそう珍しいことではない。 だから、そうした食事制限の一切から解放される春の訪れはとても幸せであるもののはずだった。 「むーしゃむーしゃ、へっくちょん!」 「むーしゃむーしゃ、はっくちょん!」 だが、斜面に掘り抜かれたおうちの奥底で備蓄の残余を食い尽くす勢いで食料に向かう二匹には何か、ゆっくりがゆっくりで あるために重要不可欠なものが足りない。 足りないだけでなく、語尾に余分なものがついていた。 「ゆゆっ。おかしいよれいむ! しあわせー!なごはんさんなのに、おあじがぜんぜんしないよ! へっくちょん!」 「ゆゆっ!? おかしいねまりさ! しあわせー!なごはんさんなのに、れいむもおあじがしないよ! はっくちょん!」 口に含んだご飯のかけらを飛ばしながら、ぎゃあぎゃあ騒々しく言い交わす二匹。実にゆっくりできていない。 そう、二匹に足りないのは「しあわせー!」だ。 腹いっぱい、おいしいごはんを食べているはずなのに、何故かしあわせー!を感じない。 むーしゃむーしゃをいくらしても、しあわせー!の代わりに出てくるのはゆっくりできないくしゃみばかりなのだ。 「「これじゃむーしゃむーしゃしあわせー!できないよ! ぷんぷん、ぷく……へっくちょん!!」」 誰が悪いのか、なんでくしゃみが止まらないのか。 ここにいるのはれいむとまりさの二匹だけなのだから、向ける相手は勿論どこにもいない。 とにかくやり場のないゆっくりできない気持ちを表現しようと二匹は「ぷんぷん、ぷくー!」としてみようとしたが、 頬を揃ってぷっくり膨らませたところでくしゃみが止まるわけでもなく。 吸い込んだ空気を残らず吐き出し、二匹は少し困った顔をお互い相手に向け合った。 「れいむ! まりさはかぜさんかもしれないよ! へっくちょん!」 「まりさ! れいむもかぜさんかもしれないね! はっくちょん!」 馬鹿は風邪を引かないというけれど、ゆっくりだって風邪を引くものらしい。 そういえば、あんまり気にしていなかったけれどどちらも少し涙っぽい目をしているようだ。 実にゆっくりとした感覚でようやく自分と相手の身体の異常を感知し、二匹は「ゆんっ!」と揃って頷いた。 「「おねつをたしかめようね! すーり、すーり!」」 わざわざそう宣言して、二匹はお互いぴったりすりすりと身体を寄せ合う。 といっても、親愛の表現や繁殖行為と違って、すり合わせるのはおでことおでこ。 難しい顔をつき合わせて「ゆゆゆ……」と唸り、額を突きあわせること数秒間。 「おねつはないみたいだね! へっくちょん!」 「じゃあかぜさんじゃないね! はっくちょん!」 すっと身を離した二匹は一瞬ぱぁっと笑顔を咲かせ、でも流石に直後のくしゃみに何にも問題が解決していないことに気付いたらしい。 すぐに顔を曇らせて、「ゆぅぅん」と慰めあうように身をすり合わせた。 『はーりゅでーしゅよー♪』 本当なら嬉しいはずの、春の訪れを告げるそんな声も今日のところはちっとも心が躍らない。 ごはんはおあじがしなくて、だからいっぱいたべてもおいしくなくて、おなかがいっぱいになるだけではあんまりゆっくりできなくて。 風邪なら、おなかいっぱい食べていたらその内治ってしまうけれど、風邪でないなら治し方だってわからない。 さっきの呼び声も、なんだかちょっとゆっくりできない感じがした。 空を飛んでいるはるさんは一人だけのはずなのに変に重なって聞こえたし……おみみも少し、おかしくなっているのかもしれない。 おうちの外に見える世界はとーっても蒼く晴れ渡っているけれど、二匹の心の中はどんより分厚い雲で覆われて、しあわせのおひさま なんてほんの少しだって目にすることはできなさそうだった。 というかそろそろ、二匹の心の雨雲からおめめを抜けて大粒の雨が降り出しそうな。 「ゆう、こういうときは……」 涙目まりさはどうしたらいいか考える。 これが何なのか、どうしたらいいか、まりさとれいむにはわからない。でも、物知りのぱちゅりーなら知っているかもしれない。 そうだ、物知りのぱちゅりーは色々まりさやれいむが知らないことを知っている。この間だって言っていた。 はるさんはとってもゆっくりできるけど、ゆっくりできないこともあるって。 『はーりゅでーしゅよー♪』 ゆっくりできなくなったのは、春さんが来てからすぐじゃなくて、このお声が重なって聞こえるようになってからのことで…… あ、ちょっと待て。このお話はなにか関係あるような気がしてきた。 ……ええと、それはなんだっけ? 「……そうだ! ぱちゅりーが、はるさんのあいだはかふんしょうさんになることがあるかもしれないっていってたよ!」 「ゆゆっ。かふんしょうさん?」 思い出した! まりさが狭いおうちの中でぴょこんと飛び上がって喜ぶと、れいむがびっくりした顔でずるずるっと反対側の壁までずり下がった。 まりさはぱちゅりーのお話を知っていて、れいむはそのお話を全然知らない。 何故って、冬篭りを終えて無事春を迎えた群れのみんなが初めて広場に集まった時、年長さんのぱちゅりーがまりさたちみたいな 初めて春を迎えるゆっくりたちに色々春の過ごし方を教えてくれたのに、れいむは陽気に中てられてゆぅゆぅ寝息を立てていたもの。 「ゆゆっ。そっか! れいむあのときすーやすーやしてたもんね! へっくちょん!」 「あのときっていつかわからないよ。ゆっくりせつめいしてね! はっくちょん!」 少し、得意げな顔でふんぞり返ったまりさにれいむは気分を害したらしい。 ぷくー、と膨れる番の姿にまりさは楽しそうにくすくすと笑って、でもそれ以上は意地悪せずに素直に教えてあげることにした。 「ぱちゅりーはおはなさんがとってもゆっくりできているときに、かふんさんがいっぱいとびだすと、ゆっくりかふんしょうになるって いってたよ!」 花粉症になると、匂いがわからなくなったり、味がわからなくなったり、くしゃみが出たり、涙が出たりするらしい。 それって風邪さんとどう違うの?って質問も当然出たけれど、そこはぱちゅりーも上手く説明はしきらない様子で。 『むきゅ、それはほんとうにかふんしょうさんになっちゃったらわかるわ。とにかく――しちゃだめよ』 なんて誤魔化していたのも、まりさはついでに思い出した。 「……ゆぅ。そういえば、ほかのせつめいもそんなかんじでおわっちゃったようなきがするよ……っくちゅん!」 ぱちゅりーは確かに物知りだけど、あまりその知識は役に立たないような。 そんなことに思い至って、まりさは小さめの溜息を吐いた。うん、ぱちゅりーを頼りにするのは少しだけ考え直したほうがよさそうだ。 もっとも、その場にいたけど全く話を聞いてなかったれいむは全く違う感想を抱いたらしい。 「じゃあ、いまはおはなさんはゆっくりできてるんだね! それはとってもゆっくりしてるよ!」 ゆっくりしているのは、いいことだ。 それがおはなさんだって、まりさやれいむに食べられるむしさんだって、ゆっくりしている時は邪魔しちゃいけない。 それでまりさやれいむたちが少しゆっくりを我慢しなくちゃいけないとしても、他人のゆっくりを台無しにするのはとっても ゆっくりできないことだった。 そんな純粋なれいむの喜びには、まりさとしても少しも異論はない。 ――とてもたいせつな何かを忘れてしまっているような気が、ほんの少しだけしたけれど。 でも、そんなの、思い出せないならどうでもいいことなんじゃないだろうか。 「「おはなさん、かふんさん、はるさん、ゆっくりしていってね……へっくちょん!」」 だから、まりさはそれ以上考えなかった。れいむはもとより知らないのだから、何かを思うこともなかった。 とにかく自分のゆっくりは、後回しだ。かふんさんが思う存分ゆっくりしたら、自分もその後でゆっくりできるはずだから。 『はーりゅでーしゅよー♪』 まりさとれいむが春と野山の草花に向けて投げかけた心からの祝福に応えるように、またおうちの外からそんな声がやっぱり 幾重にも重なりあって聞こえた。 二匹はそれを春からの返事なのだろうと、漠然と信じた。 もちろん春という季節が、なにがしかの言葉を紡ぐことなんてありえないのだけれど。 「れいむ。はるさん、とってもゆっくりしてるよ!」 「まりさ。はるさんにもういっかいごあいさつしようね!」 しかし、信じたれいむとまりさは何とかして春の顔を見たくなった。 見て、きちんと笑顔で挨拶に答えてあげたくなった。 だからいそいそとおうちの玄関まで這い出して、もう一度、お花さんにも負けない満面の笑みを咲かせてお決まりの挨拶を投げ返す。 「「ゆっくりしていって……ゆげぇ!?」」 ……投げ返す、つもりだったのだけど。 その挨拶半ばにして、お外を眺め渡した二匹の顔が奇妙な声と共に歪んだ。それはもう、傍から見ていてこっけいなほどに。 どう見てもゆっくりできていない顔立ちを見せて、二匹はその場で凍り付いてしまった。 『ゆーっきゅり、しちぇいっちぇねーー!』 おうちをぐるりと取り巻く『春』は、愕然としたままのれいむとまりさに向けて確かに言葉を返した。 驚愕に揺れる二匹の目にもそれらは確かにとってもゆっくりとした笑顔で咲き乱れていた。 ……ただ、その『春』たちが咲き乱れている場所が、失望だったり絶望だったり諦観だったり逃避だったり、とかくゆっくりには 程遠い顔をした群れのゆっくりたちの頭に生えた茎の上だったりするのだが。 『はーりゅでーしゅよー!』 みんなの頭に鈴生りに生る『春』は、眼下の親の悲歎なんか気付きもしない様子で愛らしい声を揃えて春を謳う。 その頭に被るのは、一様におそろいの三角帽子。親の種類なんてまるで関係ない。 それは形も違えば色も違う。赤ちゃんたちのお帽子は、つばのない白い三角帽子に大きな赤いリボンが付いている。 (『かふんしょうさんにかかったら、はるですよー、っておこえがきこえてるあいだはおうちをとじまりしておそとにでちゃだめよ』) ……そういえば。 目にしたものの衝撃から立ち直らないままのまりさは、ようやくのことであの日ぱちぇりーが教えてくれたことの続きがどんなもの だったかを思い出していた。 (『そうしないと、からだにたまったかふんさんのせいではるさんのあかちゃんができちゃうから、きをつけてね』) そうだ。ぱちゅりーは『はるさんのあかちゃん』ができるといっていたんだ。 教えをぼんやりと思い出すうちに、頭頂部のむずむずとした痒みと、身体からどんどん餡子が抜けていく感覚が同時にまりさを襲った。 ここまで来たらさすがに、まりさの頭でも深く考えなくたって分かる。 「どおじでごんなごどになっでるの……?」 それでも自分の頭を確認するのが怖くて、ほんのわずかばかりの期待を込めてまりさは隣のれいむの方をちらりと見た。 「「……ゆげげっ」」 ちらりと見て、やっぱりこっちを縋るような目で見ているれいむと視線が衝突して、そのままお互いの頭の上へと視界を移動させて、 それから同時に小さな悲鳴と少量の餡子を口から吐き出した。 二匹の期待も空しく、真っ白な雲が漂うお空を背景にしてすらりと伸びた緑の茎。 そこに鈴生りに生るのはれいむともまりさとも形も違えば色も違う小さな赤ちゃん、三匹ずつ。 未だ目覚めぬその小さな赤ちゃんたちのお帽子は、つばのない白い三角帽子に大きな赤いリボンが付いている。 つまり、群れのみんなが浮かない表情で見上げている赤ちゃんたちと全く同じ種類の、ゆっくりの赤ちゃん。 極めつけは、この子達の背に生えた昆虫のような羽だ。こんなもの、この群れのゆっくりには一匹だって生えていないのに。 どうしてこんな事にと聞いても応えてくれそうな相手はいない。 よく見ると、今のこのことお外に出ていたのは自分と同じで春を迎えたのは生まれて始めての若いゆっくりしかいないようだったから。 つまり、大人のいうことをきちんと聞いていなかったお子様ばかりだったということで――まりさはこれからはきちんと、年を取った ゆっくりの言うことは聞いておこうと心に決めた。 ……それは今この場の問題を解決するには遅すぎる決意だったけれど、これからのゆん生にはとても大切なことではあるはずだ。 特に、そう。たとえば望まずして出来てしまった子の育児とかのために。 「ゅっ……」 「……ゅきゅっ……」 せっかくの陽気だというのに、『これから』を想像してげっそり疲れきってしまったまりさとれいむが見上げる先。 普通のにんっしんっならありえない速さでゆっくりとしての形を成してゆく赤ちゃんたちが、早くもごにょごにょと意味を成さない 音の羅列を口から漏らし始めている。 実際に茎から生れ落ちるのはまだ先のことだろうけど、この分なら目を見開き元気な挨拶を『両親』に向けて放つのは遠くない。 「……れいむ。ふゆごもりようのごはん、まだのこってたっけ」 「うん、まだのこってるよ……」 感情の篭らないぼそぼそとしたまりさの問いかけに、応えるれいむの声も似たようなもの。 それを耳にしたまりさは「そう、よかった」と呟いて、別に今更残っていなくても大丈夫かと思いなおした。 かふんしょうさんで赤ちゃんが出来てしまった以上は、今更お外に出る制限なんてないのだから。 お外にさえ出てよいのなら、ごはんは幾らでも集められる。季節はもう、寒くて野山にごはんの乏しい冬ではないのだし。 「「「「「「ゅきゅ……ゅきゅっ。ゆゆっ!?」」」」」」 そう。それはとても忌々しいことではあるのだけれど。 陰鬱な想いを消せないままに、まりさは頭上にその声を聞いた。 「「「「「「おきゃーしゃん? おきゃーしゃん、ゆっきゅりしちぇいってにぇ!」」」」」」 そう。忌々しいことに、春はまだ、目覚めたばっかりなのだ。 * * * 「おお、子宝子宝。おつむの中身同様、春めいたことで実に結構な騒ぎですね」 春だというのに暗雲たちこめるゆっくりプレイスを見下ろす木の枝で、一匹のきめぇ丸が嘲笑とも苦笑ともつかない笑いを 右往左往するゆっくり達に向けている。 いや、ひょっとするとそれは憐憫、もしくは共感に類する笑みだったのだろうか。 覇気のない笑顔を浮かべるきめぇ丸の頭の上には、ごたぶんにもれず白い帽子を被った赤ちゃんを実らせた茎が伸びていたのだから。 「「「ゆーゆゆー♪」」」 きめぇ丸は知っている。 今頭の上で楽しげに歌声を合わせているこの子達は、春の終わりには前触れもなく風に誘われるようにしていなくなってしまうことを。 人里や多くのゆっくりの間では、初春に突然大量発生し、初夏までにいっせいにどこかに姿を消してしまうと思われている準希少種、 ゆっくりりりー。 それがこの赤ちゃんたちの名前だった。 彼女たちは背中に生えた透き通った翅に五月の風をいっぱいに受けて、どこか根付くべき土地を求めて旅立ってしまうのだ。 そしていつかどこかの大地にたどり着き、そこに根を下ろし、雨にも溶けず鳥獣や昆虫にも食われずに済んだ一握りの子供だけが、 ゆ木となって森を作るという。 そうしてゆ木となったりりーほわいとたちは、歌うことなく、しゃべることすらなく春までひたすらに静かに過ごす。 実は付けないがゆっくりの好む味の葉を多く大地に落とす森として、多くのゆっくりを惹きつける。 「おお……おろかおろか」 「「「ゆっ♪ ゆっ♪」」」 やはりこの年に成体になったばかりの若いゆっくりとして、うかつにもその罠に引っかかってしまったきめぇ丸は頭上のわが子を リズミカルに揺らしながら、今度ははっきりとした自嘲の笑いを口元に浮かべた。 そう、あまあまな落ち葉こそがりりーのゆ木が集まるこの森の罠だ。 春に枝いっぱいの白百合に似た花を咲かせ、多くの花粉を飛ばし――落ち葉の味に惹かれてやってきたゆっくり達に、わが子を 数多宿らせるための。 きめぇ丸は同族に教わった知識をなぞって軽いため息をつき、湿度の高い視線を背後に聳える木の幹へと向けた。 上空から見れば枝葉にすっぽり覆い隠されたその部分の樹皮に、顔のような凹凸が隠されていることにどうしていま少しばかり 早く気づくことができなかったのだろう 「はーるでーすよー♪ ゆっくり、していってね♪」 「おお、拒絶拒絶。子供を育てるということまで含めて、悉く拒絶させていただきます」 その顔のような凹凸――ゆ木となったりりーの成体の歌声に、きめぇ丸は酷く嫌そうな口ぶりで応じた。 そして、なんの躊躇もなく茎を赤ちゃんごと幹、りりーの顔のある部分のすぐ傍へと叩き付ける。 声もなく弾ける、三匹の赤ちゃんゆっくり。飛散した微量の餡子が、りりーの顔をわずかに汚した。 りりーはわが子の無残な末路に一瞬不満そうに目を細めて――しかしすぐに、何事もなかったかのように花のような笑みを咲かす。 「はーるでーすよー♪」 「おお、非情非情。まああれだけ実が生っていれば十分なのでしょうかね……」 不本意に生まれた子だ。育てず、異物として排除するゆっくりはこのきめぇ丸に限ったことではない。 だからこそ、膨大な花粉を飛ばし、数多の子供を作らせる。 別に気にする必要も感じないのだろう、無邪気なゆ木りりーの歌声にきめぇ丸こそ呆れた、いささか非難を含む目を声の主へと向けた。 地上から聞こえるのは、多くの嘆きと幾らかの怒り、そしてたくさんの幼過ぎる歌声と、末期の言葉。 理不尽な子宝を得て育てようと決意するもの、間引くことに決したもの、つがいや姉妹間で意見が纏まらず争いとなったもの、 春から若ゆっくりの間に――多くはこの森に対する無知、油断による――不幸が齎されたゆっくりプレイスはいつも以上に賑やかだ。 そんなゆっくりプレイスの喧騒と、ゆ木りりーの歌声とを聞きながら、きめぇ丸はふわりと空へと飛び上がる。 花粉の季節そのものは、もうじき一応の収まりを見せるはずだ。収まったら、またここに来よう。 きっとその頃には、ある程度育った子供とその若い親を中心にもっと素敵で、悲劇的な光景が幾つも繰り広げられているだろうから。 地上を一瞥したきめぇ丸は、最後に心底からの笑いを見せた。 春が、赤ちゃんが、通常のゆっくりが言うようにひたすらゆっくりできる存在だというならば。 「おお、祝福祝福。赤ちゃんといっしょに、ゆっくりしていってね!」 地上で失意に打ちのめされる若いゆっくりたちに、それができないはずがないのだから。