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「どんな獲物だって、必ず捕まえてみせるさ。相手は神様じゃねぇ、同じ人間なんだからよ」 - あるA級 賞金首ハンター ? 「ったくよお!・・・とんだ無駄足だ!」 「はぁ・・・すみません」 「謝ってんじゃねえ!!」 おっとりと謝る尼僧に、苛立たしげな男、ティーダは怒鳴った。 酒場でそこそこの金を払って得た情報『法王庁からの莫大な額の賞金首がいる』というのが、どうやら嘘だったらしいからだ。 ティーダが警戒しながらその場所を探って、見つけたのは古ぼけた教会。 だが、その中に居たのは一人の若い尼僧と子供たちだけだった。 男の言葉が脳裏に思い起こされる。 『額が額だけに、かなり凶悪な賞金首だ』 C級クラスとは言え、アーティファクトを所有しているティーダは完全に肩透かしを食らった気分だった。 (こいつらのどこが凶悪だ!? 話を盛るのもいい加減にしろ!) 腹いせに金品でも頂こうかと思えば何も無く、むしろここに食料を恵んでやったほどだ。 おまけに、 「もう夜も遅いですから、泊まっていって下さいな」 などと尼僧が微笑み、子供たちまでもそれに同調した。 (ただじゃ帰れねえ、きっと何か金品を隠してるに違いねえ!) 男は自らの精神的安定を保つため、ありもしない宝を探すことにした。 一週間が過ぎた。 男があると信じていた金品などは当然、無かった。 「今日も私たちに食事を与えて下さり、ありがとうございます」 「・・・ありがとうございます」 神への祈りを済ませ、貧しい食事を取る。 子供たちの騒がしい声と、尼僧の笑い声。 「リーゼ姉ちゃん! 今日、裏の森で木の実を見つけたよぉ!」 「そう? 偉いわね。どんな木の実なの?」 「うんとねぇ・・・」 貧しいながらも、本当の家族のような雰囲気だった。 そして、いつの間にかその中に溶け込もうとしている自分を見つけ、ティーダは頭を振る。 (いやいやいや! 俺はこんな所で終わるような人間じゃねえ!) 俺は有名な賞金首ハンターになる男なのだ、ティーダは自分にそう言い聞かせる。 もっとも第三者から見れば、教会の子供たちの為に薪を割っている姿などはどこから見ても、この環境に溶け込んでいる状態なのだが。 教会の尼僧、リーゼは優しくおっとりした女性だった。 彼女が笑うと、子供たちもつられて笑った。 子供が泣いていても、彼女が歌えば子供たちは泣くもの忘れ、大人しく聞いていた。 一度子供が盗みをしてきた事があった。 貧しさに耐えかねてか、リーゼの為になのかは分からない。 彼女は怒らなかった。 だが、とても悲しい顔をした。 それは子供にとって、怒られるよりも辛いことだったのか、それ以後その子供は盗みをしなくなった。 とにかくこの教会兼孤児院は、若い尼僧を中心として回っていた。 明日の保証など無い、いつ死ぬか分からない状態であったが、そこには“平穏”があった。 子供たちの誰もが、そしてティーダまでもが、この生活がずっと続くと思っていた。 その日は唐突に訪れた。 「ここがその賞金首が居るところか? まさか、お前か?」 十数人もの屈強な賞金稼ぎたちが、教会に現れた。 ティーダは首を振る。 「あんたらも、ガセネタ掴まされたみたいだな。ここにゃあ、そんな大層な奴ぁいねえ。 居るのは若い尼僧とガキどもばかりだ」 子供たちはティーダの背後に隠れ、足にしがみついている。 「なんだと!? 高い金払って、わざわざ来たってのに、何もないだと!?」 「ああ、ちなみに金目のもんも、からっきしだ」 数週間前の自分を思いだし、ティーダは肩をすくめる。 だが、その男たちはティーダと同じ考えには至らなかった。 「ちっ・・・こうなりゃあ、その尼僧さんに慰めて貰わなきゃなんねえな!」 「腹いせだ。今後間違えないように、きっちり始末しといてやるか」 「情報屋をしめるのは、ここを焼き払った後だな」 口々に勝手な事を喚き、男たちは殺気立った 「お、おい、無茶な事は止め・・・」 「るせぇんだよ!」 止めようとしたティーダの言葉は、男の言葉と拳に遮られた。 気を失うティーダが考えたのは、 『偶然にも尼僧が買い出しに行っていて不在だったのは幸せだったかもしれない』 ということだった。 戻ってきた尼僧の目に写ったのは、燃えさかる教会だった。 彼女の手から、パンを入れた篭が落ち、残雪に埋もれた。 「あっ・・・・・あああ・・・・」 「よぉ、待ってたぜ、尼僧のねーちゃんよ!」 「ひゅう! こいつはいい女だ!」 賞金稼ぎらしき男たちが、野太い笑い声を上げる。 「に・・げろ・・・・リー・・・ゼ・・・ぐふっ!」 体中を殴られ、ロープで体を拘束されていたティーダが蹴られた。 「子供たちは・・・教会は・・・私の・・生き甲斐は・・・?」 リーゼががっくりと膝を落とす。 「がははははっ! 喜びな! あんたの重荷を無くしてやったぜ! ガキの世話なんてやってらんないだろう?」 「ぎゃはははは! 礼ならそう大したもんはいらねえよ! 俺たちにほんの少しサービスしてくれりゃあいいんだ!」 男たちの下品な笑い声が響いた。 尼僧の暗く沈んだ表情は、影になっていて見えない。 ただ、小さい呟きだけが漏れた。 「・・・ぱり・・・所詮、咎人は咎人だと・・・・しゃるのですか・・・?」 「壊れたか? ちっ、まぁいい。それより死なれると楽しめねえ、押さえとけ」 背後に回った男が、リーゼを捕まえた。 髪を掴んで引き立たせる。 「死ぬなよぉ? 死んでもいいが、俺たちへのサービスが終わった後にしな」 「恨むなら、ガセネタを流した法王庁と情報屋を恨みなよ!」 彼女のその瞳に、ティーダの姿が写し込まれた。 「さようなら・・・ティーダさん・・・ずっと・・・ずっと、リーゼでいたかった・・・」 リーゼは最後にそう呟いた。 ◇◇◇ ティーダはその匂いで気が付いた。 鉄を含む、何度嗅いでも慣れないその匂い。 ゆっくりと視界が広がった。 雪で覆われ白いはずの大地は、半分以上が赤く染まっていた。 「こ・・・これは・・・?」 ティーダが顔だけを巡らせる。 どさり、と何かが倒れる音とびちゃびちゃという、何かが流れる音。 「!?・・・うっ、うわああああ!」 何度もそういった状況を見てきたティーダでさえ、目を覆いたくなるような惨状だった。 生きたまま首を引き千切られ、捨てられた死体。 大木に両手両足を縫いつけられ、少しずつ切り刻まれた死体。 両手両足だけを潰され、芋虫のように這い蹲っていたであろう死体。 そして、今、最後の得物を仕留め、満足そうな笑みを浮かべる赤黒い尼僧の姿。 尼僧の顔のパーツは間違いなくリーゼのものだった。 だが、その表情の作り方は全くの別人だった。 「きゃは、きゃははははは!! 弱っちいのに、プライドだけは一人前に振る舞うからよぉ!」 血染めの修道服に、恍惚とした表情を浮かべる女がそこに立っていた。 燃えさかる炎の紅に、返り血の赤、そして彼女自身の上気した紅が互いに異なる色合いで存在していた。 「リーゼ?・・・君は・・・?」 ティーダの言葉に、女が振り返る。 「リーゼぇ? 今は居ないわよ。今のあたしは、ロッテ。彷徨える逆十字団、死徒No10、『破滅の魔女』。まぁ、今は正式な一桁(シングル)Noになったのかもしれないけどねぇ。一桁Noどもがおっ死んでさ、きゃは、きゃははははは!!」 けたけたと笑う彼女に、以前の面影は無い。 いや、同じ顔であるが故に、その表情の違いがはっきりする。 彼女こそが、法王庁に莫大な賞金をかけられた存在だったのだ。 がっくりと倒れ伏すティーダの耳元で、金属音が響いた。 「なっ・・・」 彼女は賞金首から奪ったであろう、銃口をティーダへと向けている。 「きゃははっ! やっぱり平等でなくっちゃね。すべからく平等な苦痛を。 平等な痛みを! 平等な絶望を! 平等な死を!!」 ティーダは、ぎゅっと目を閉じる。 だが、次の瞬間に諦めに似た感情へと思い至った。 (どうせ、俺は死ぬんだ!) きっ、と銃口へと顔を向ける。 「んんっ? 何か言いたい事でもあるの?」 赤くその身を染めても、彼女は美麗だった。 形の良い唇が、不吉に歪む。 「リーゼ、お前さんがやった事は無駄じゃない! 少なくとも、俺や教会の子供たちはお前さんに救われた!」 「・・・あたしはリーゼじゃ無いって言ったでしょう?」 僅かに苛立たしげに、彼女が答えた。 「リーゼ、目を覚ませ! そりゃあ、この世界は生きていくには辛い事が多い! けど、だからって逃げてちゃあ、何も始まらない!」 「五月蠅いわね。よく聞きなさい、リーゼに騙された愚かな男。リーゼという人格は、法王庁があたしを繋ぎ止める為に作った偽りの人格なのよ。他人に従順な、他人に都合の良い、牙を抜かれた畜生なの!」 リーゼはあからさまに不機嫌な表情を浮かべ、銃口を近づける。 「それでもよ・・・お前さんと居た、このちょっとの間は良かった。ガキんちょどもだって同じ気持ちだったはずだ。例え騙されてたとしたって・・・満足さ」 「・・・・・・」 ティーダは脱力する。 「お前さんがリーゼじゃないってんなら、彼女に伝えてくれ・・・『ありがとう』ってな」 どれだけの事を伝えられたかは分からない。 だが、ティーダは伝えたい事は伝えたつもりだ。 だが・・・ 「・・・・・いのよ」 彼女がぽつりと何かを呟いた。 「?・・・・・ぐああああっ!!」 銃声が響き、ティーダの右肩に灼熱の針が突き刺さった。 「うるさいって、言ってんのよ! べらべらべらべら好き勝手、偉そうに!」 次いで銃声とティーダの苦痛の声が上がる。 左脚を撃ち抜かれたようだ。 男の顔に脂汗が浮かび、その身体が仰け反る。 髪を引っ掴まれ、顎の下に銃口が当てられる。 「そんなにリーゼが好きなら、そのリーゼに殺されなさいよ!」 狂気に顔を歪ませ、喚く彼女に、ティーダは笑った。 「へへっ・・・俺の命をくれてやるんだから、この後は絶対にリーゼに戻れよな・・・」 「っ!! だまれえええええぇぇぇぇぇぇ!!」 銃声が響いた。 ◇◇◇ 「ふぅん、それでお前さんは、この女を捜してるってわけかい?」 陽気も陰気も怒声も歓声も全てをひっくるめた喧噪の中、話し声が聞こえる。 言われた男は黙って頷き、左手でグラスを煽った。 「知らねえな。・・・悪いが、噂さえ聞いたことがねぇ」 絵師に描かせたであろう若い女性の肖像画を、酒を飲む男に返す。 「そうか・・・邪魔したな」 男は酒代をテーブルに置くと、ゆっくりと立ち上がる。 その左足を引きずるように、ゆっくりと歩き出す。 「この広い半島の中で、人を一人見つけるなんて無理だろ?」 男の背中に声がかけられた。 男はわずかに振り向き、笑いながら言った。 「おいおい、俺を誰だと思ってるんだ? 賞金首ハンターのティーダ様だぜ? 狙った獲物は必ず捕まえてんだよ!」 (何年かかろうと、必ず捕まえてやる・・・待ってろ、リーゼ) 男は酒場を後にした。
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分類 材料 入手 作成 重量 -- 形状 -- 装備 -- 材料 亜鉛鉱石x8, 錫鉱石x2 設備 高温窯 燃料 4 用途 全アイテム 青銅のたがね 青銅のつち
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タイプ 金属材 重量 4 売却値 8 mol 入手方法 購入 戦利品 合成銅+錫=青銅 イベント 依頼 素材ミセリコルディア(5) 青銅の剣(5) ケトルハット(5) スタッドレザー(5) イベント青銅 依頼 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る メニュー アイテム 素材 青銅 (C) 2010 Lindwurm/Miracle Positive All Rights Reserved.
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決闘の前日 二人は町まで買出しに出かけた。 馬には乗りなれていないミドラーは町に付くころには腰痛になっていた。 駱駝いないの、とギーシュに恨みがましい目を向けるがギーシュは取り合わない。 そもそも彼は駱駝を知らなかった。 ミドラーの服を数着と背負うタイプの袋を買う。 ミドラーが決闘に勝った場合すぐに学院を脱出できるように物資を購入する。 自分が死んだ時のために準備する、というのはどんな気持ちだろうとミドラーは彼の表情を伺うが、 ギーシュは平然としていた。 その後武器屋にてギーシュは撒き菱と魔法のレイピアを購入。 (魔法の…?) ミドラーはいぶかしく思いながらハイプリーステスでスキャンしてみる。 (鞘は…問題ない。ただの真鍮の飾り) (刀身と…鍔、それと鞘の口金部分に何か…スタンドが反発する部分がある?) ひょっとしてこんなものが切り札なのだろうか、と落胆する。 確かにスタンド本体に斬りつければダメージはあるだろう。 だが、ギーシュが挑戦し失敗たように地面からの攻撃時にはスタンドは地面と地下部分にしかいない。 攻撃している部分は、変形させたただの物質でしかないのだ。 まあ決闘相手にわざわざ弱点を教える事も無いか、と思考を切り上げる。 帰りにミドラーは、女教皇で作ったコブを馬に付けてなんとかしようと試み、 3度馬に振り落とされた。 そして決闘当日。 早朝からギーシュは決闘の場となる広場の清掃をしていた。 ごみを捨て、石畳の隙間に至るまで入念なチェックをする。 級友が数名無言で客席の設営をしてくれている。 たまに堪えきれず嗚咽を漏らす友人もいた。 彼等の中ではギーシュは討死確定らしい。 石畳のチェックをしているギーシュに、サイトが話しかけてくる。 「おい、お前また決闘すんだって?」 今朝方ギーシュとの決闘の後の昏倒から目覚めたばかりで、一連の騒動を知らないらしい。 「お前俺に負けてからまだ3日ぐらいじゃん。何?ひょっとして決闘マニぶぎゅげッ!」 サイトを杖で殴り倒したルイズが涙を浮かべて謝罪する。 そのあまりの取り乱しぶりに、 ギーシュはちょっとだけルイズに同情した。 決闘30分前 ミドラーはとうに準備を済ませて仮設テントにいた。 ギーシュはまだ現れない。何やら準備があるとかで部屋に戻ったのだ。 衆人環視の中命の取り合いをする、という初めての行為に緊張を自覚するミドラー。 僅かな日数とはいえ行動を共にしたギーシュに多少の情は移っている。 できれば死なせたくなかった。 (再起可能程度に叩きのめして…駄目だ。どちらにせよあの爺がいる) (いっそギーシュを連れて逃げるか?) (あの顔が使えれば口の中に入れたまま逃げられたのに…) ハイプリーステスの現在において最大の攻撃、巨大な顔のイメージは出せなくなっている。 承太郎に破壊されてまだ間が無い為、破壊された印象が強すぎるのだ。 溜息をついて頭を振る。 どうもあのボウヤに当てられたのか、思考が変な方向に向く。 あの子が自分に勝つ、などありえないのに。 自分がDIO様から逃れることが不可能なように。 「DIO様からは逃れられない」=「できることなら自由になりたい」であることに、 一度心が折れて服従してしまったミドラーはまだ自分では気付けない。 なおも考えているミドラーに、声が掛かる。 時間のようだ。 ミドラーは立ち上がって、決闘の場に赴いた。 決闘の場にギーシュが現れた際、観客はどよめいた。 ギーシュが盛装していたからである。 羽飾り、花飾りをふんだんにあしらった大きな帽子。 カラフルな刺繍を施した、古めかしい衣装。 腰にはこれまた飾りつけの多いレイピア。 それは、もはや舞踏会でも珍しくなった古い貴族の盛装であった。 ご丁寧に目元には仮面まで付けている。 決闘の場、正面にはオスマン師。脇にはコルベールが控えている。 約定が読み上げられる。双方が賭けるものは命と自由。 ギーシュが使い魔を手に入れるか、ミドラーが自由を手にするか。 ギーシュが命を落とすか、ミドラーが使い魔になるか。 「承知しました」 「OK…いや、えーと、それでいいです」 わりと締まらないミドラーの宣誓の言葉で、決闘は始まった。 両者の距離は6メルテほど。 ギーシュは昨日買ったレイピアをすらりと抜くと、鞘をミドラーの前方1メルテに投げ転がす。 「予告する」 ギーシュが朗々と宣言する。 「ぼくは、その鞘の位置まで歩いて近付く」 「この5メルテの距離を歩く間に、ぼくを止めてみろミドラー!」 観客は沸かない。 もはや彼の行動は死の前の傾きとしか見られていない。 右手のレイピアは下段に、左手のバラの造花の杖は横に水平に構えて、ギーシュが呪文の詠唱を開始する。 詠唱の聞こえる場所にいたメイジは全員、耳を疑った。 ギーシュは『錬金』を唱えている。ワルキューレ召喚ではない! 土の基本である錬金は呪文も極端に短い。 その末尾をゆっくりと唱えながら一歩前に踏み出す。 戦闘の駆け引きが、始まる。 ミドラーはこの期に及んでなお躊躇していた。 (この子を、どうにかして助けられないだろうか) しかし彼は呪文を唱えこちらに一歩踏み出した。 (ああもう!恨むんじゃないよ!) ハイプリーステスを発動。目標はギーシュの目の前の石畳。 ミドラーは、生まれて初めて運命を呪いながら攻撃した。 次の瞬間、 ギーシュの目の前の石畳の一つから巨大な鉄の塊が生えはじめ、 ギーシュが唱えていた『錬金』を完成させ、 ―――ミドラーが身体の左側面から血を噴出して、倒れた。 決闘の場は静まり返っていた。 歓声を上げるべきギーシュの友人達も、何が起きたのか判らなかった。 (―――何だ?)(今、何をした?)(一体、錬金で、何をした?) それはミドラーも同様。 (何だ!今何をされた!) (本体ではない!スタンドに攻撃された!?) 慌ててスタンドを引き戻そうとして、違和感を感じる。 スタンドの感覚を広げる。 石畳の間に、何か反発を感じる。 昨日感じた「魔法」とやらの感触だ。そしてこの形は…『撒き菱』! ミドラーは理解する。 スタンドが発現している石に、この撒き菱を打ち込まれたのだ、と。 ギーシュは思考する。 (第一手成功) 7箇所同時に錬金をターゲットし、どこかの石から何か生えた瞬間、その隣接する石に錬金を発動。 石の片側に金属(彼が最も得意な青銅)を錬金、石を動かして固定化の魔法をかけた撒き菱を突き刺す。 丸一日、ミドラーに跳ね飛ばされながら考えた作戦であった。 ミドラーは最初に会った時、大怪我をしていた。 魔法で作った顔を、敵に砕かれたと説明していた。 ならば、 ミドラーの魔法は、作ったものに攻撃すると彼女にダメージが行く? 最初に試してみたが、そうではなかった。逆に食い込んだ剣が自らに当り腕が千切れた。 そして、気が付く。 ミドラーの視覚を共有して見ていると、ギーシュの目では見えない何かが動いている。 地面から武器?を出現させるとき、その何かが働いている。 生えてきた鉄の塊などには、その何かはくっついていない。 地面と、その境目にくっついている。 ミドラーとつながっているのは、そこだ。 ミドラーに向かって悠然と歩く。 ミドラーがこちらを見る。何をされたか、理解したようだ。 そしてこちらを凝視―――そしてはっとした表情になる。 そうだ。これが第二手。 『今ぼくが着ている服は、何一つ金属が使われていない』 模擬戦闘の最中、木の板に乗ったときに、わざわざ木の下の地面から鉄の紐を出して、こっちを縛り上げた。 木板ごと。何故?木板から出せればもっとコンパクトに手早く縛れたはず。 レビテーションで壁近くに浮遊して誘ってみた時も、壁の石部分からしか出てこなかった。 木からは発生していない―――できない? 土に属する魔法なら、それなりに制約を負う、というわけだろうか。 これを利用すれば、かなり有利に戦える。 そして今、ギーシュの身に付けているものから金属を探し出そうとして、ミドラーは貴重な時間を無駄にした。 間合いが詰まる。 ミドラーは思考する。 (甘かったッ!) (この子は、強い!) (こちらを完全に理解して、封じるように手を打ってくる!) 最初のダメージの後、石畳からではなくギーシュの装飾品から攻撃しようとした。 しかし、ギーシュは金属を何も身につけていない。 明らかに、スタンドの特性を理解した上で封じにきている。 ギーシュは呪文を唱えながら歩いて近付いてくる。 石畳を改めて広範囲にスキャン。 ギーシュと自分の間、所々に抵抗を感じる石がある。 石畳からのスタンド攻撃は、完全に封じられている。 影響の無い遠くの石では、こちらに届くまで時間がかかり過ぎる。 あと数歩。 ミドラーは必死で思考する。 そして、辿りつく。 目の前に転がされたレイピアの鞘、それは真鍮製だ! 口の一部分は何か魔法が掛かっているが、他はただの金属! 自分をここまで追い詰めたギーシュに畏怖しつつ、 最後の一手として、ハイプリーステスを発現させ、ギーシュに襲いかかった。 目の前に自分のレイピアの鞘が跳ね上がってきた時、ギーシュは最後の仕掛けを発動した。 呪文の詠唱を中断、一言だけの合言葉を唱える。 本来はただの見栄のためにしかならない、魔法のギミックが発動する。 投げ上げた剣を、何も見ずに鞘で受ける、というつまらない効果。 ミドラーはハイプリーステスが急に引き寄せられるのを感じる。 ギーシュの剣に吸い寄せられるように、鞘がそちらに引きずられる。 抗う術もなく、剣は鞘に――いや、鞘は剣に収まった。 そして次の瞬間、 剣は振るわれ、ハイプリーステスの憑いた鞘はミドラーの頭上を越えて飛んでいった。 引き戻せ、間に合うか?とミドラーが考えた時、再び鞘は引き寄せられる。 目の前ではギーシュがレイピアを構えている。 盛装の貴族が、レイピアをぴしりと構えている。 そのあまりに型通りな光景に、ミドラーは一瞬見惚れる。 この距離ならミドラー本体にもギーシュのレイピアは届く。 あの魔法のレイピアで全力の突きならば、ハイプリーステスとて貫かれるだろう。 本体とスタンド、両者同じ防御行動をとる。 両腕で顔を咄嗟に庇ったのだ。 衝撃が走る。 何処を貫かれたのか、と身構える。 しかし、いつまでたっても痛みはやって来ない。 頭をなでる感覚がある。 顔を上げると、ギーシュが鞘に発現したハイプリーステスの頭をなでていた。 「ぼくの、勝ちだ」 右手が差し出される。 周囲の観客が、歓声を上げる。 オスマン師が、満面の笑顔で膝を打つ。 この日、青銅の魔術師は、女教皇を手に入れた。
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前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ トリステイン魔法学院の中心にある本塔。その西側にヴェストリの広場はあった。 その広場は、普段は日中でも日の辺りが悪いことから人の行き来も少ない静かな場所である。 ところが、今そこは常の静けさとはうって変わった賑わいを見せていた。 「決闘だ! ゼロのルイズの使い魔とギーシュが決闘だ!」 無責任に囃し立てる学院の生徒達に囲まれて向き合うのは、この喧噪の原因たる一人の青年と一人の少年。 ゼロのルイズの使い魔と、彼女の同級生である青銅のギーシュだ。 今の世において貴族同士の決闘は御法度。しかし、貴族と平民の決闘は禁じられていない。 そんな理屈を振りかざし、青年を決闘の場に引き摺り出したのはギーシュだった。 かつて王が力を持ち、貴族が貴族らしくあった古き良き時代には名誉と誇りを掛けた決闘が各地で行われていたらしい。 だが、実際には傍から見ると下らない理由で魔法を唱え合っていたそうだ。例えば一人の女性を二人の男性が取り合って、などである。 この決闘の理由も、傍から見ると下らないものであった。 ギーシュが恋人から貰った香水の瓶をうっかり落としてしまい、それを学院のメイドが拾ったことがきっかけで彼の浮気がばれた。 ギーシュがそのメイドに八つ当たりしているところを、ルイズの使い魔の青年に「自業自得だ」と説教された。 それに腹を立てたギーシュが青年に決闘を申し込み、そしてこの状況に至る、というわけだ。 経緯を説明すると実に下らない。だが、少なくとも当事者達にとってやる意味のある戦いではあった。 「よく逃げなかったね。その蛮勇だけは称賛に値するよ」 髪をかき上げ、芝居がかった口調で青年に言い放つギーシュ。余裕綽綽といった様子である。 思い上がった平民に対し、少々キツい灸を据えてやる。それが少年の戦う意味だった。 少年の言葉を聴いているのかいないのか、青年は目を閉じ、腕を組んで黙っていた。 青年の心に浮かぶのは絶対的強者から理不尽な怒りを向けられたメイド、シエスタの泣きそうな顔だった。 シエスタは気立てのいい娘だ。突然この世界に召喚され、右も左もわからない自分に親切にしてくれた。 そんな彼女の泣き顔など見たくはない。それが青年の戦う意味だった。 「その蛮勇に敬意を表して最後のチャンスをあげよう。土下座して僕に詫びるんだ。そうすれば許してやらないこともないよ?」 「お断りだ。オラが謝る理由はねえ。おめの方こそシエスタとあの娘っ子達に詫びることがあるんでねえか?」 ギーシュの顔が怒りに歪んだ。彼の杖たる薔薇の造花を振るい、叫ぶ。 「そうか……なら、後悔するといい! 貴族に逆らったことを!」 造花から地面に落ちた一枚の花弁が、たちまちの内に鎧を纏った女性の像となった。 魔法の力で生み出された青銅のゴーレムである。 ギーシュは己の傍に立つ等身大のゴーレムを見て獲物をいたぶる猫のような笑みを浮かべた。 「僕の二つ名は『青銅』。土のメイジだ。よってこの青銅のゴーレム"ワルキューレ"を以てお相手しよう。よもや卑怯だとは言うまいね?」 「構わん。魔法でも何でも好きに使っだらええ」 動揺の欠片も見せない生意気な平民の態度に、ギーシュの苛立ちは高まるばかりだった。 この平民は恐れるべきなのだ。顔を蒼くして後悔の表情を浮かべるべきなのだ。 だというのに、この余裕は何だ? 気に喰わない。実に気に喰わない。 その苛立ちが思わず口を吐いて出そうになったが、それは彼のプライドが許さなかった。 どうせ自分の勝ちは揺るがないのだ。これ以上平民の戯言に付き合って無駄に神経を疲れさせる必要は無い。 「行け! ワルキューレ!」 ギーシュが造花を振ると同時、青銅のゴーレムが青年に向って躍り掛かった。 周囲の歓声と悲鳴。誰もが次の瞬間青年が無残な姿を衆目に晒すことを疑わなかった。だが。 「豪石!」 右腕を真っ直ぐに突き出し、青年――アキタ・ケンは叫んでいた。その身体が強く光る。 掌にある神の石「豪石玉」から、ケンの身体に力が流れ込んだ。閉じた目の裏に浮かぶのは舞い散る火の粉のイメージだ。 広場全てを照らし出すようなその光が止んだ時、そこにいるものの姿を見てその場の誰もが仰天した。 角と牙をあしらった赤い仮面。出刃包丁型の肩当て。怪物の顔のようにも見える胸当て。腰に巻かれたベルト。全身を包む真っ黒なボディースーツ。 秋田の英雄、超神ネイガーがハルケギニアの地に降り立った。 「はっ!」 裂帛の気合を込め、ネイガーが左拳をワルキューレの胸元に叩き込んだ。轟音と共に拳がめり込む。 すかさず拳を引き抜き、左、右、左。怒りの鉄拳が唸りを上げてワルキューレの身体を乱打した。 一息のうちにワルキューレは人形の体を為さなくなった。 前衛的なオブジェと化したゴーレム目掛け、ネイガーの回し蹴りが止めとばかりに放たれた。 青銅製のゴーレムはその重量と硬さを持って蹴りを受け止めようとするものの、破壊的な威力の前に抵抗虚しく吹っ飛ばされ、どうと地面に倒れ伏した。 「ギーシュ! 二股を掛けた挙句、それがバレたからど言ってシエスタに八つ当たりするとは許せん! おなご泣かすおどこは最低だっておがさんに 習わながったのが、このほじなしめ!」 ネイガーが見得を切って見せた。それは人の声であり、神の声であり、鬼の声であった。 ネイガーに力を貸すは、来訪神ナモミハギ。ナモミ=長時間火にあたり続けることによって生じる皮膚の変質、つまりは怠け者の印を刈り取る者である ナモミハギは、転じて刃物を持ち悪や厄を剥ぎ落とす神となった。 秋田には人が人を超えて鬼神となる儀式が存在する。角と牙を持つその姿を人と呼ぶには恐れ多い。 人を惑わす悪神・悪鬼を諌め懲らしめるその存在は、まさに神をも超えたもの。ネイガーとは、正しく超神を名乗るものなのだ。 「ほ、ほじ……!?」 ただの平民だと思っていた相手が亜人に変身し、あっという間にワルキューレを破壊した。 理解を越えた事態にギーシュはただ呆然とするばかりだった。ただ一つはっきりしていることは、目の前の亜人が圧倒的に強いということ。 「ワ、ワルキューレ! やっつけて誤魔化せ!」 慌てる余りギーシュは自分でも訳のわからないことを言ってしまった。それでも何とかゴーレムを練成するための呪文を唱え、一気に六体を召喚した。 ゴーレムはこれで打ち止めだ。正に背水の陣である。 「キリタン・ソード!」 その声と共に、ネイガーの両手に一対の白刃の剣が現れた。左手のルーンが眩く輝いた。 キリタン・ソード。ケンの祖母手作りのきりたんぽが豪石玉の力で変化したきりたんぼ型の剣である。 「悪い子はいねがあぁぁぁぁぁぁ!」 右の剣に家族愛。左の剣に郷土愛。二つの大きな愛が込められた刃を携え、ネイガーが咆哮を挙げて突進した。 超神ネイガーは戦う。理不尽に脅かされて泣く子のために。地位と権力を振りかざす悪い子をごじゃぐために。 かつて秋田がだじゃく組合の手によるカメムシの大発生という恐るべき事態に直面した時、ただ一人田を守るために戦ったアキタ・ケンの熱い心は遠く 故郷を離れた今でも一転の曇りも無かった。 暴嵐の如き勢いでネイガーがキリタン・ソードを振るう。悪者を睨みつける鋭いまなぐ。出刃包丁の切っ先のように鋭い斬撃。烈火の如く燃え上がる 闘志はそれ自体が分厚い壁となって敵を寄せ付けない。その姿はまさに鬼神だった。 「天然記念物並みの必殺技――比内鶏クラッシュ!」 炎の羽が舞い踊った。立て続けに放たれた飛ぶ斬撃がワルキューレ最後の一体をバラバラに切り裂く。そして、爆発。 響き渡る鶏の声が、決着を高らかに歌い上げていた。 超神ネイガーからのメッセージ 「皆! 二股は人の心を傷付けるとても酷い行為なんだ! 軽い気持ちでやったりしたら絶対に駄目だぞ! もしそんなほじなしがいたら、このオラがごうじゃくしてける! オラは皆の笑顔が大好きだぞ! へばな!」 分かりにくいと思われる方言の解説 おがさん→母親。 ほじなし→間抜け。分別の無い者。 だじゃく→乱暴。横暴。 まなぐ→瞳。 ごうじゃぐ→叱る。 へばな→じゃあな。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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『女教皇と青銅の魔術師』 某教師の日記 ○月○日 先日手に入れた東洋の海草から抽出した秘薬の成果が出たのか、頭皮がむず痒い。 大枚をはたいた甲斐があった。 この海草成分の何が効いたのかを研究すれば、さらなる成果を生み出せるだろう。 淡水で育ち養殖が簡単なものから抽出できれば、この薬だけで巨万の富を築ける。 東洋の生物図鑑のセットを経理に陳情。最優先としておく。 あと、本日は恒例の春の使い魔召喚の日であったが、平民を呼び出した生徒が二人出た。 ルーンが両者独特であった。これも今後の研究対象にメモしておこう。 ギーシュ・ド・グラモンは武門の生まれである。 父も兄も立派な騎士であり、ギーシュは彼らに並び立つべく努力していた。 しかし現在の彼はドットメイジ。土の最底辺のメイジでしかない。 一応それなりの術は使えるが、戦力としてはまだまだ未熟。 親兄弟に認められる為にはもっと強力な、戦場でも役に立つほどの力が要る。 認められなければ? ―――知れたこと。血縁上価値ある人質として適当な人脈の娘をあてがわされ、ただの種馬扱いにされる。 他の貴族はいざ知らず、グラモン家は実力でその地位を掴み取った貴族なのだ。 力無い身内は、足手まとい。 だから彼は、使い魔の儀式には悲壮な決意をもって(外面は何事もないかのように振舞いつつ)挑んだ。 そして… 「はい?」 ギーシュは困惑していた。 召喚の儀式自体はうまくいった。呪文もつっかえなかったし、手応えだってあった。 一ヶ月前からの特訓(もちろん皆には秘密だ)は無駄ではなかったとほっとしたくらいだ。 ―――なのに何故、目の前には 顔面に重傷を負った女が、倒れているのか――― …級友は静まり返っている。リアクションに困っているようだ。 (ひょっとしたら僕がこの平民に大怪我させたって思われてる?) 「コルベール先生!召喚に失敗したようなのでもう一度やらせて下さい」 とりあえず怪我人を仰向けにしながら云う。目は開いているが意識は無いようだ。 (うわこの平民歯をボロボロに砕かれてる…グロい…) 友人がおっかなびっくり近づいてきて覗き込む。 「…うわ」「…ねえギーシュ、それ生きてるの?」「ぅぇぇ(嘔吐中)」 泣きたくなった。 誰も好き好んでこんなの召喚しねえよと言おうとしたら、コルベールU字禿から駄目押しが来た。 「ダメだ。君のやった儀式には何も問題は無かった。それは君が正しく召喚しそれに応えた使い魔だ。」 「…(心中罵詈雑言の嵐一分間)わかりました先生。では…契約します…」 口がボロボロなので上唇だけにキスをする。 (うう…なんでこんな目に…後でモンモランシーに口直しを…ってアレ?) ルーンが刻まれていく最中もその女は反応を示さなかった。 精神リンク確立。呼びかけるも思考の反応なし。やっぱり意識が無いのか… 五感リンク確立…ってしぎゃぁぁぁぁぁ! 当然、ダイレクトに重傷の痛みを共有してしまい、気絶した主と使い魔は共に救護室に運ばれる羽目になった。 (コルベール…知っててやったな…覚えてろ…育毛剤に脱毛剤入れてやる……) この後、ゼロのルイズが再び平民を召喚し契約したがギーシュがそれを知るのは翌日のことであった。 ★☆ 召喚儀式より数時間後――― 治癒魔法で怪我を完全に治癒しても、使い魔はほとんど反応を見せなかった。 名前だけは何とか聞き出せた。『ミドラー』というらしい。 正直、呼び出したのがフレッシュゴーレムやできたてゾンビの類じゃないと判ってほっとしたギーシュであった。 しかし… (精神リンク、五感リンク共完全に繋がっている。意思ある生き物なら多少の抵抗はあるのにそれすら全くない) (何か黒いような蒼いような感情が感じられるけど…絶望かな、これは?) (あの大怪我とこの状態から考えると、どこかの間諜が捕まって拷問を受けていた、ってところか。) 治療してみれば割と整った顔立ちをしている。 怪我に気を取られて気付くのが遅れたがよく見れば服装は踊り子のようだ。 当然彼はそんないかがわしい場所には入ったことは無い。服装をまじまじと見てしまい顔を赤らめたくらいだ。 とりあえずありきたりの服を着せておく。 (間諜ならそれなりのスキルはあるだろうし、意思が回復するまでは我慢するか…) 何とか自分を納得させる。これでただの平民だったらというのは考えない事にして。 「先生、僕の使い魔ですが回復するまで病室に置いてもらってかまいませんか?」 「かまいませんが、ちゃんと世話をしに来るように。明日以降はきちんと連れ回して外界に適応させる事。」 「はい。じゃあお願いします。」 (ああ、できれば見栄えのするグリフォンとかの幻獣がよかったなあ。) などと暢気な愚痴を漏らしながら自室に帰る。 彼は、自分が呼び出した者がどれだけ危険な存在か全く理解していなかった。 ★☆ 召喚翌日 ギーシュの日記 今日は人生最大の厄日だった。 まず最初の講義に使い魔を連れて行けなかったせいで、皆から笑いものになった。 よりによってゼロのルイズも同じ平民を召喚していた(しかもこっちは健康体だ!)ため、同レベル扱いされた。 何たる屈辱か。とりあえず嘲笑した奴の名前はちゃんとメモしておく。 その後食堂で、モンモランシーに派手に誤解された。 下級生のケティと二股かけてると勘違いしたらしい。完全に濡れ衣だ。 情緒不安定になってた後輩の気晴らしに付き合って遠乗りしただけなのに、なんでこんな目にあうのか。 まあその焼きもちが彼女の可愛いところでもあるのだが、公共の面前であの仕打ちはないんじゃないかモンモランシー。 あげく、うっかり話の流れと場の雰囲気でルイズの使い魔と決闘するハメになった。 なんとかこっちが話の落とし所を探して会話を打ち切ろうとしてたのに、あの馬鹿がつっかかってきて引けなくなった。 何も能力がないならせめて社会常識というか会話のマナーぐらい教えとけよルイズ… なんで僕が他人の使い魔に貴族への服従を躾けなきゃならないのか。 そして最後に 『その使い魔との決闘に負けた』 あの使い魔は残像ができるほどのスピードで動き、僕のゴーレムを両断するほどの剣術を見せた。 悪夢だ。 これで僕はこの学年で(いや、学園全体で、か?)ぶっちぎりの最下位メイジになった。 直前にモンモランシーが誤解したおかげで、彼女まで評価を下げることにならなかったのが唯一の救いか。 死にたい。 ★☆ 召喚二日目 昨日ギーシュは人生最大の厄日と日記に書き連ねていたが、それは昨日までの人生においての最悪であった。 そして今日、その記録は更新されることになる。 朝、使い魔を伴って授業に出る(朝飯は抜いた。) 教室に入った瞬間、皆の視線が一斉にギーシュと使い魔に向けられた。 (うう…視線が痛い…) 何やらぼそぼそと聞こえてくる全ての会話が自分の噂話のようにギーシュには聞こえてくる。 ミドラーは他人の視線にも全く反応していない。 ため息を付きつつ彼は図書室から借りてきた「精神と魔法」でなんとか対処法を見出そうと奮闘していた。 昼飯時、三年生の三人組がわざわざギーシュのところへやってきた。 教師の遠縁の下級貴族だ。 「ぎゃあーはっはっは、見ろよ相棒!本当に平民召喚してやがるぜぇ!」 「まあ平民に決闘申し込んで返り討ちにされる奴にゃあ似合いジャネーノ?」 「ああ、ガキくせー。」 (こいつら、まだ昔のこと根にもってやがる…) ギーシュはうんざりして無視を決め込む。 この三人が下級生の女子生徒にからんでいた所を、ギーシュが横から(予定があった様にあらわれて)女性を連れ出したのが確執の始まりであった。 女性には感謝されたが、モンモランシーに誤解されて危うく刺される所だった。 ギーシュは『美しいモノは相応の扱いを受けるべきである』という信条を貫いただけだったのだが… 「ああ!こっちを向けよテメーッ!」 「おいこの女白痴じゃね?」 何も喋らない使い魔の頭にソースをかけながら取り巻きが喋る。 そして致命的な一言を親分格が言ってしまう。 『まあ、こんな奴の主じゃあ知れたモンだろーなぁ!』 ソースをかけられたミドラーが何か反応を示すかと精神リンクを張っていたギーシュは、絶望や後悔を表す黒と蒼の精神の色が一瞬で怒りの赤一色に変化するのを感じた。 あまりの感情の波に引きずられてうっかり荒ぶる鷹のポーズを取ってしまったくらいだ。 そして彼は、自分の使い魔の意思ある言葉を初めて聞いた。 「DIO様のことを、侮辱したなッ!」 その場に居た全員が(誰?)と感じた。 しかし次に発生した事態のために誰もそんなことを構っていられなくなった。 床の石畳から、妙にカラフルな巨大な鉄の塊が飛び出して三年生を空中にふっ飛ばしたのだ。 「でェーッ!」「あ、兄貴!」 慌てて杖を構え…る前に、残り二人の足元から巨大な鉄のアームが瞬時に生えて二人を壁まで叩き付けた。 もちろん、途上にある豪勢な昼飯を全て巻き込みながら。 その時、その場に居た全ての生徒、全ての教師がミドラーを注視し、同時にほぼ同じ事を考えた。 (魔法を使っているッ!) (あの女、杖なしで魔法を!) (先住魔法か!) 天井に叩きつけられた最初の男が、静寂の中べちゃりと床に顔面から着地する。 それと同時に 悲鳴と怒号が交錯し、学院始まって以来の危険な使い魔がその猛威を奮い始めた。 フォークが踊るように飛ぶ 針金が束ねられたような縄が壁から生えて先生を団子のように縛り上げる 石畳から生えたトラバサミが生徒の足に噛み付く 三年生が呼び出した銅のゴーレムが、数十本の銛で壁に磔にされている ギーシュは自分の見ているものが信じられなかった。 明らかにこれは―――魔法だ。 スクウェアクラスの速さと強度を誇る、土の練成だ。 しかも杖を持っていない。 もしかして自分は、捕らえられていたエルフの間諜を呼び出してしまったのではないか? (止めなきゃ) がくがくと震えながらギーシュはバラを構える。 (止めないと皆殺される) (ただのメイジがエルフに勝てるもんか教師だって無理じゃないか) (止められるのは主のぼくだけででも怖い強制力なんてないし怖いそもそもこのエルフぼくを見てないし怖 い怖い怖い―――) ミドラーは飛ばそうとしていた銛を空中で急停止させた。 眼前に、バラの造花をこちらに捧げる様にした子供が飛び出してきたからだ。 記憶はおぼろげにしか無いか、たしかこの子は…怪我を治してくれたような…恩人? とりあえずこいつは敵ではないと判断する。 「隠れてなボウヤ」 「ららら乱暴はやめたまえ!」 ただの馬鹿のようだとミドラーは判断を下方修正し、とりあえず排除しようと――― 空気が震えるような凄みを食堂の入り口に感じ、反射的に身構えてそちらを見る。 長い白髪、床に届こうかとするほどの白い髭。 横一文字に構えた杖。 人の形をした悪鬼がそこに居た。 「やってくれた喃…」 妙なテンションでオールド・オスマンが囁く。 ミドラーは無言。両者15メイルほど離れて対峙する。 間に挟まれたギーシュはただ、 (空間が軋むようだ…) と、半ば死を覚悟していた。 食堂の入り口に顔を向けた状態で、ギーシュは硬直していた。 (オスマン師が覚醒しておられる!) オールド・オスマン。 トリステイン魔法学院院長。 伝説のスクエアメイジ。寿命を克服した超越者。 そして 複数の国から、封印指定されている唯一のメイジ。 どこの国にも厄介なメイジは存在する。 対象が広範囲すぎて戦に使えぬ凍結魔法、天候を司る禁呪、人心を操る禁呪… そういった魔法の使えるメイジは普通、それなりの役職を与えられて国家の監視下に置かれる。 簡単に云えば飼い殺しだ。魔法を使わせない為の地位と恵まれた生活、そして周囲に配置された監察官。 封印指定、とはそのような待遇を意味する。 ギーシュは父からそのメイジにおける禁忌について聞いていた。 一つの国家の監視下に置かれていたオスマン師はかつて辺境の地で実体化した魔獣と戦い、 三日三晩の死闘の末これを退去させた。後にこの功績により現在の学院長の地位に就くのだが――― それは半分の理由でしかない。 諸国の為政者は、恐れたのだ。 辺境の村を一つ完全に消滅させ、大きな湖を出現させた魔獣。―――本当にそれは魔獣の仕業なのか? 魔獣の目撃者は数人居るが、既に地形が変わってから駆けつけた者だけだ。 ひょっとしたら―――あの魔獣は、かの英雄が自分の過ちを隠蔽する為だけに――― 真相を知る者は、誰一人生き残っていないのだ。 かくして 元凶となった(あるいは無実の罪を着せられた)異界の本と、 魔獣を退去させた英雄(あるいは狂気の大規模殺戮者)は、 一つの国家では抑えきれぬとして、トリステイン魔法学院にて複数の国家による監視下に置かれた。 ギーシュが生まれる前から続くこの監視は、うまく機能していた。 日々の職務で忙殺し、余計な些事に関わらせない。 続く平和な日々はその鋼の如き精神を曖昧にさせ、最近では色ボケ好々爺と化していた―――はずだった。 数分前までは。 (殺される) ギーシュは確信していた。オスマン師はもはや生徒の姿など見えていない。 あと数秒のうちに、この使い魔を殺す大規模魔法をこの場にいる全てのものを巻き添えにして放つだろう。 そして―――ギーシュは思い当たる。 オスマン師を覚醒させてしまったグラモン家の使い魔。 複数国家の政治的バランスから考えて―――グラモン家の取り潰しは確定だ。 いや、父や兄の命すら危うい。 (駄目だ、それは駄目だ!) (ここで止めなきゃ駄目だ!考えろギーシュ!) 僅かコンマ数秒、しかし彼の中で最も高密度で思考した、人生最長の一秒未満が始まる。 (オスマン師とミドラー、どちらかを無力化すればこの場は収まる) (ミドラーだって師がこの上なくヤバイのは感づいてる。オスマン師が殺意を消せば落ち着く) (そしてオスマン師は明らかにこちらの説得など聞こうとしない。) (ミドラーの説得、時間が足りない上にミドラーに話しかけようと後ろを向いたらオスマン師が魔法を放つ!) (では実力行使…魔法でオスマン師を?却下!) (ミドラーを?ワルキューレ呼ぶ前に瞬殺確定!) (そもそもどちらかに呪文を始めた時点でオスマン師が殺しにかかる!) (だから呪文では駄目だ) (取るべき行動は、オスマン師に使い魔の乱行を謝罪しながら、ミドラーを無力化すること!) (考えろ、考えろギーシュ・グラモン!) (ミドラーを、呪文を使わずに、無力化!) 刹那の後、ギーシュは行動を開始した。 「偉大なるオールド・オスマン師に申し上げます!」 (大丈夫、声は震えてない) 体はオスマン師に正対。ミドラーを背後に。万が一にもミドラーの態度で師を暴発させてはならない。 「使い魔の不始末、このギーシュ・グラモンの不徳の致す所であります。」 テーブルの上から栓抜きを掴む 「しかしながら此度の惨状、三人の不心得者が使い魔への暴行を加えたことが発端となっております」 そして、言葉と同時に ―――栓抜きで、自分の左手の小指を、へし折った。 激痛がする。それはミドラーも、感覚のリンクしている使い魔にも伝わる。 「いわば使い魔の自己防衛の末の暴発であります。」 続いて薬指、中指をへし折る。 「本日がこの使い魔の初披露目でもあることを鑑みて、杖をお納めくださいますようお願いいたします」 最後に深々と一礼する。 ―――人差し指までへし折った激痛に歪む顔を隠す為に。 ミドラーは、左手を押さえて蹲っている。意識が飛んでいるようだ。 病み上がりで体力が回復してなかったのが幸いした。 ミドラーが万全の体調であったならば、左手程度では気絶しなかっただろう。 激痛に脂汗を流しながら、ギーシュはそんなことを考えた。 「今回の件は不問とする…」 オスマン師の声が食堂に響く。 ギーシュはほっとしたが、続く言葉に全身が凍りついた。 「ただし、皆の前でそれが本当にうぬの使い魔であることを証明せよ」 愕然とするギーシュ。 「しょ、証明ですと…」 「三日後、虚無の日、正午じゃ」 証明できなければ殺す、と言外に含ませてオスマン師は立ち去った。 モンモランシーが何か言いながらこちらに走ってきたが、激痛と絶望に崩れ落ちるギーシュには聞こえなかった。
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第3話 決闘!?青銅のギーシュ 悪夢だわ…あのキュルケにあんな…あんな弱みを握られるなんて。 よりによって粗相をしたことがバレるなんてヴァリエール家の恥だわっ! 生き恥よっ!恥ずかしくて…死にたい… あれもこれもすべてすべーーて!あの犬が悪いんだわっ!あのコロネ頭ッ! アレが夢のわけないじゃないっ!しかもご主人様に向かって ーーーいい年して情けないですねルイズ。プライドはないのですか? ーーー塗れた下着では気持ちが悪いですからね。さあルイズちゃんバンザーイしてください。 とか馬鹿にしてぇぇぇぇ! 見てらっしゃい!これからちゃんと仕返ししてやるんだからっ! 食堂で貴族の何たるかをみっちり叩き込んでやるわっ!! どうやってヘビを出したかなんてすっかり頭になかったルイズであった。 「ほう…ここはすごい場所ですね」 「感謝なさいっ!ここは貴族しか入れない食堂なんだからね。使い魔が入れる場所じゃないんだから」 無駄に豪華な内装。金持ちのマンモーニどもが喜びそうだ。 「このトリステイン魔法学園は魔法だけじゃなく貴族のマナーもしっかり学べるのよ。 平民のアンタには理解できないでしょうけどねっ!」 ジョルノはまったく聞いていなかったのだがルイズにはその顔がここの雰囲気に圧倒されているように 見えたらしく調子にのっていろいろくっちゃべっている。 かまう必要はないな。 「あ、コラアンタどこいくのよっ!アンタの食事まだきてないでしょ!」 「一ヶ月食事抜きといったのはアナタですよ。ルイズ」 ワスレテタマシタ。ここで期待させてまずそうな食事を出してがっかりさせるショボイ作戦は終わった… ジョルノはさっさとどこかに行ってしまった。 「何よ何よっ。後でほしくなったってあげないんだからっ!」 忘れた私が悪いと思うけど… 「ゼロのルイズが自分の使い魔に馬鹿にされてるぜ。」 「ルイズといると平民臭がうつるからあっちいきましょ。魔法が使えなくなっちゃうわ」 「許可しないィィィィ!ゼロのルイズが近づくことは許可しないィィィーー!」 聞くと飛びたくなるような冷やかし。平民臭ってなによっ! 私は貴族よ!みんなしてゼロゼロゼロって私はゼロなんかじゃないもんっ! でも魔法が使えないなら私に平民との違いなんてあるのかな…… そんなションボリするルイズを見てキュルケはやれやれね。としぶしぶルイズの隣に座ってあげた。 「一人であーんまりにも惨めだから隣に座ってあげるわ。ルイズ」 「なによっ!そ、そんな余計な気遣いなんて……い、いらないんだからっ。」 この子はホント素直じゃないわね。 フフッ 一方その頃ジョルノは 「おう!どうしたジョルノ。悪いが今忙しいから用があるなら後にしてくれねーか」 「いえ、朝の食事のお礼にと手伝いにきたのですができることはありますか?マルトーさん」 「オイオイ。アレはお前さんの祝杯だってのに。ホント律儀なヤツだなァ!ハッハッハ!」 ジョルノはただあのやかましいご主人から離れたいだけだったのだが朝の事もありここに来て 「じゃあ料理運ぶの手伝ってくれ。シエスタがオマエさんのお祝いで寝込んじまったからなあ!」 来た事を少しだけ後悔した。 「ほらルイズ。元気だしなさいよ。」 「落ち込んでなんかいないわよ。コラ頭撫でるなっ!」 ねこを飼うってこんな気分かしら。 何をやってんだろう。ジョルノに貴族の 何たるかを叩き込むんじゃなかったの?情けなくて死ぬそう… 「ほらほらルイズ。食事が運ばれてきたわよ。ウェイターが 運んでき……ってアナタはルイズの?」 「置きにくいんでじっとしてもらえますか?」 「あ、はい……」 な、なんて冷たい眼をするのこの平民は…反論する気も起きなかったわ。 「ルイズ。あなたもじっとしていて下さい。置きにくいですから」 「フンッ!ってなんでアンタが料理運んでんのよ!さっきの話はまだ 終わってないのよ。あ、こら無視するなぁ!」 ジョルノはルイズをスルーすると他の生徒にも配り始めた。 やれやれ。こんなことは二度としたくないな。 苦学生だったジョルノはアルバイトでウェイターもやった事はあるしこの程度の作業は 苦にはならなかった。だが気に食わない。ここの雰囲気が気に食わない。 周りの生徒達の顔がまず気に食わない。傲慢そうな顔をしている 奴らばかりだ。すごい髪型の女性もいるな。ロール? といってもジョルノが主に見ていたのはマルコルヌとペイジ、プラント、ジョーンズ、ボーンナム の血管針攻撃同盟の方々だが。そこにルイズの近くの席で朝っぱらから泥酔している自分と 同じ金髪の男を見た。顔立ちは整っている。胸に刺した薔薇が似合わなくセンスは皆無のようだ。 「ギーシュ。お前今誰と付き合ってんだ?教えてくれよ」 「誰が恋人お前の恋人なんだ?ギーシュ」 「付き合う?僕に特定の女性などいないさ。薔薇は多くの 女性を楽しませるために咲くのだからねっ!」 笑いながらギーシュと呼ばれた少年はワインをラッパ飲みしてた。 「おいおい飲みすぎだぜギーシュ。虚無の曜日だからって」 「ブワッハッハ!!!いいじゃあないかあジョージィィ」 「アイツなにやってるのかしら。朝っぱらからアホねえ」 「そうね。ハア…」 なんであんなアホが魔法使えて私が使えないんだろ。不条理だわ。 「あら。どこ行くの?ルイズ」 「おトイレ…」 ルイズは食堂を出ようとしてギーシュ達が馬鹿騒ぎしている横を通り過ぎようとした時だった。 ルイズはギーシュの座っているイスに足を引っ掛けてこけそうになった時にギーシュを掴んで ガタンッ ギーシュもろとも倒れてしまった。 「いてて…、君はゼロのルイズ!気をつけたまえ!!怪我するところじゃないかァァ!!!」 「うるさいわね!そんなにイスを後ろまで出しているあんたが悪いのよ!このアホ!、スケコマシ」 「なんだと…ゼロのルイズが…魔法も使えない平民となんら変わらないおちこぼれが……」 「よくもこのギーシュ・ド・グラモンを侮辱したなァああっーーーーー!!!!」 ギーシュは酔った勢いでキレてそのままルイズの頭を掴み地面に引きずり倒すと なんとッ!ルイズのお腹をおもいきり踏みつけたッ!! 「痛いッ!やめて!やめてぇ!」 普段のギーシュなら女性に暴力を振るうことなどありえない。 だが大量のアルコールのせいでギーシュは歯止めが利かなくなっていた。 周りの生徒もみな泥酔状態らしくルイズを止めるどころか調子に乗って 「ゼロのルイズのくせにでしゃばるからだ!自業自得だぜ。」 「普段から魔法も使えないくせに生意気なのよあんたは!」 「平民になったほうがいいんじゃないのか?平民のルイズゥ!」 アッハッハと爆笑しながらルイズをはやしたてる。誰一人として助けようとはしなかった。 「蹴り殺してやるッ!このド畜生がァーーーーッ!!」 「ちょ、タバサ!ちょっときて。止めるわよアイツを!」 さすがにやり過ぎてるギーシュを止めるため タバサと呼ばれた少女は小さくうなずくとキュルケと一緒にぶん殴って止めに入ろうとした。。 その時だった! 「ゴールド・エクスペリエンスッ!」 ズギャーーーーン!! その声とともにギーシュの顔に高速で飛んできた皿が顔に直撃したッ! 「ヤッダーバァアァァァァアアアアアッ!!!」 直撃したギーシュの顔は鼻血が飛び散り皿の破片は顔のいたるところに刺さっている。 「こちらのほうがよっぽどハンサムですね。」 「きさみゃ…へいミんがぁ…ヘイミんふじぇいが僕ににゃにするだぁーーーーッ!」 歯と鼻が折れているのだろう。まともにしゃべることもできないようだ。 「大丈夫!?ギーシュ!」 「だいひょうぶだよ。もんもらんひーぼきゅはだいひょうぶ。」 「ちょっとアンタ!私のギーシュにこんなことしてタダで済むと思ってないでしょうねッ!」 「タダでは済ませるつもりはありませんよ。僕のご主人様にあそこまでやってこのまま逃がすわけないでしょう」 「えらいことになったわね。タバサ。」 「朝から迷惑。」 自業自得だろう。だがあのジョルノという平民がここまでするとは。 だけど貴族相手にあんなことをしたら殺されてしまう。 「やひゃりへいみぃんはげれちゅだな!」 「タダでは済まさないわよ!平民ッ」 「あなたに用はないですよ。そのロールケーキみたいな髪の方引っ込んでてもらえますかね?」 「ロ、ロールケーキ!?平民の癖に…私まで馬鹿にしてェェェ!!ブッ殺す!!」 「まちゅんだモンもらんしー」 「ギーシュ!?止めないで!平民がでしゃばったのよっ!許せないわ!」 「わかってぇるしゃもんもらんしぃー!だかりゃ僕はこのひぇいみんに決闘をもうしこみゅ!」 「決闘ですって?」 「ひぇいみんとのけっとょうは禁止しゃれえてにゃいよモンもりゃンしぃー。そこでこにょ下郎に 礼儀というもにょを叩き込んでやるのしゃ。」 どうやら決闘という形で僕に仕返ししたいらしい。それよりまず人語をしゃべれ人語を。 あの後どうなったっけ? 体中痛い…頭がガンガンする。まだ続いてるのかな… 散々ギーシュに踏まれて蹴られて…誰も助けてくれなかった。 誰か言ってた。平民のルイズって。もしかして私は貴族の子じゃないのかな それともただのできそこない。平民とまったく変わらない。ゼロのルイズ。 蹴られている内にこのまま死んじゃってもいいような気がしてきた。 使い魔にも馬鹿にされるし。もう、どうでもいい… 不意にギーシュの蹴りが止まった。 そしてそこには顔を血まみれにしてもがいてるギーシュがいた。 え?一体誰が。 ジョルノ。アンタが助けてくれたの? 「こちらのほうがよっぽどハンサムですね。」 涙が止まらない。痛みからか。自分でもよくわからない。 でもジョルノは。私の使い魔は私を助けてくれた。 「タダでは済ませるつもりはありませんよ。僕のご主人様にあそこまでやってこのまま逃がすわけないでしょう」 僕のご主人様…私のことをご主人様っていってくれた。あの犬。ご飯抜きはなしにしてあげようかしら。 「…イズ…ルイズ!」 「だれ?」 「よかったルイズ。気がついて。心配したのよもう!!」 キュルケは私を抱きしめながら安堵した表情を浮かべていた。 ここは…学園の医務室 「ジョルノ…ジョルノはどうなったの?キュルケ」 「ジョルノ。すごかったわよ。」 「アイツは無事なのキュルケ!?」 「大丈夫よ!今はどこにいるかわからないけど。」 よかった。ジョルノが無事なんだ。 「あなたにも見せてあげたかったわ~ギーシュの情けない顔」 あの後。何がどうなったかキュルケはとてもとても楽しそうに話してくれた。 「きゃきゅごしろよひぇいみん!しんじぇももんくわにゃいな!」 「文句はありませんが。ひとつ尋ねたいことがあります。なぜルイズをあそこまで痛めつけたのですか?」 「じぇろのるいじゅのくせにこのぼくを馬鹿にしたかりゃだ!魔法もチュかえなくしぇに!」 この理由であそこまで。女の子にあそこまでやれるのか。なるほどどうしようもなく腐っているらしい。 「あそこまでやったということはやり返されても仕方がないという『覚悟』をしてきていますよね? 自分も同じ目にあっても仕方がない『覚悟』をしている人ですよね。」 「にゃにわけのわきゃらないこといってりゅんだ!広場はこっちだ。ちゅいてこい!」 「わかりました。後コレアナタが倒れたときに落とした香水です。返しますよ。」 「フンッ」 ジョルノはギーシュが落とした香水を投げつけて その香水がギーシュの手に渡ることはなかった。 あれ?モンモランシーからもらった香水はどこに… ん。へ、ヘビィィィ!? 「な、にゃンジャこりゃぁぁぁ!!」 ジョルノが投げた香水は途中でヘビに変化してなんとヘビはギーシュの股間に噛み付いたッ! 「ぎゃあアアアアアア!!ぼ、ぼきゅのあしょこにヘ、ヘビがぁぁぁぁ!!」 きしゃまぁぁ!決闘をみゃえにふいうちかぁぁ!」 「いたぶるだけのの決闘を考えてたくせに。無駄なことを考える。それに自分を知れ。何もしないと思ったのか? お前みたいな人間に。お前を噛んだヘビはタイガースネークと呼ばれる毒蛇だ。 人の致死量は0,6mg一回に注入される毒の量は26.2mgだ。血清を打たなければ通常2.3時間で死亡する。だがお前は アルコールが極度に回っているから一時間も持つまい。せいぜい苦しんで死ぬんだな。」 「しょ、しょんな!だれきゃたすきぇて!」 「だがここで選ばせてやろう。ここで死ぬかそれともルイズに「ぼくがすべて悪かったですゥゥゥゥ! 許しておくんなましィィィィ!ルイズ様ぁぁぁ!!!」と泣き叫びながら土下座して言うか。お好きなほうを。」 ルイズはギーシュにやられたからか。気絶してしまっている。だがそんなのは関係ない。 朝食中の惨事を引き起こしたのはルイズが原因かもしれないが明らかに度を越している。許すわけにはいかない。 今ここで謝らせる必要があるッ!彼女の『名誉』のためだ。この事は後で伝えればいい。 あの平民は何の魔法を使ったんだ?香水がヘビになるなんて。 いや第一杖を持っていない。先住魔法か? 周りで見ていた生徒はこんなことを思っていただろう。 「タ、タバサ。今何を使ったかわかる?」 「わからない。見当もつかない。」 「アンタギーシュに何の魔法使ったのよッ!」 「何かしたのはヘビでしょう?さあギーシュ。早くしないと局部が壊死する可能性もありますよ。ご決断を」 プライドか命か。普段の彼ならともかく泥酔してる彼には選択はひとつ。 「………わきゃった。ぼきゅが……ぼくがすべて悪かったですゥゥゥゥ!許しておくんなましィィィィ!ルイズ様ぁぁぁ!!」 地面に頭突きをかますような勢いでギーシュは土下座しながら泣き叫んだ。 ジョルノはヘビを掴み上げるとゴールド・エクスペリエンスで血清を作り上げ ギーシュに叩き込んだッ!! 「ぐほォォアァ!!」 「約束は守りますよ。ギーシュ。」 「よくも…よくもギーシュをッ!許さない!!ってギーシュにさわるな!」 「気絶しているだけです。血清を打ったから死にはしませんよ。」 ジョルノが顔の皿の破片に手を触れて… 手をどけた時にはなんとめちゃくちゃになっていた顔が元に戻っていた。 「モ、モンモランシー…」 「ギーシュ。ヨカッタ…よかったァ…」 周りから見れば何がなんだか分からなかっただろう。手を乗せたらギーシュの顔が元通りになっていた のだから。ここまで即効性のある魔法はない。では一体何を使ったのだろう。誰にも分からなかった。 物から生き物を作り出して傷を即座に治す魔法。人間の使える魔法? 「二度目はないですよ。ギーシュ」 そういい残すとジョルノはルイズを抱えて食堂から出て行った。 「~ってことよ。あの時アンタに土下座しているギーシュったら スゴイ顔してたわ。一回死んだって顔ねあれ。」 ルイズは呆けるようにその話を聞いていた。 アイツまたヘビを…まさかヘビを操る魔法を使うの? でも怪我を治したって。何がなんだかわからないわ。 「気がついたようですね。ルイズ」 「ジョ、ジョルノ?いつからいたのよ。」 「たった今です。もう体の痛みはないみたいですね。」 「ルイズ。アナタの怪我を治療もジョルノがしたのよ~感謝しなさい。」 「え?ほ、ホントなの?」 「別に嘘をついてメリットのある話には思えませんが」 「う、うるさいわねぇぇ!ご主人様を助けるのは使い魔の役目でしょ! でも……ありがとう。」 「プレーゴ(どういたしまして)」 「ふふ、タダの意地悪な人じゃないようねぇアナタ。気に入ったわ~! よく見るとカッコイイじゃない。こんな貧乳娘の使い魔なんてやめてアタシの使い魔に なりなさいよ~。是非そうしなさいな。」 「考えておきます。」 「考えるな!アンタはキッパリと断りなさいよ!犬ゥ!」 「ここまでしゃべれるならもう問題ないでしょう。もう眠る時間です。寝る準備をして下さい。」 「そおよ。小娘はもう寝る時間なのよ~。さあ私達は夜を楽しみましょ♪ダーリン」 「僕も眠いですしもう寝ますよ。それにご主人様が噛み付くような勢いで見てますから。」 「あ~ら。つれないわねぇ。それじゃおやすみなさいお二人さん。 眠れないな。疲れているはずなのだが。 「ねえ…ジョルノまだ起きてる?」 「起きてますよ。どうしましたか?」 「なんでその、私を助けてくれたの?」 「使い魔は助けるのが役目と先ほど言っていたじゃないですか」 「ごまかさないで。答えなさい。」 「…タダの気まぐれです。」 ホントは違う。僕は幼い頃いじめられ虐待されながら育った。あのまま行けばは真っ当な人生は 送れなかっただろう。あの人に助けてもらわなければ今の自分はなかった。ルイズが 昔の僕にかぶって見えた。それだけですよ。ルイズ。 「ルイズ?」 返事はない。ただのしかばねのようだ。 「眠りましたか。やれやれ。僕ももう眠ろう。おやすみルイズ」 ジョルノはもう寝たかな。寝息が聞こえる。 寝てるみたいね。 ルイズは気絶という形にせよさっき医務室で眠りっぱなしだったため眠気はなかった。 寝たふりをしていただけ。特に意味はない。と思う。 不思議な奴。最初はただのいじわるな奴かと思ったけど。やさしい所もあるのね。 それに不意打ちにせよあのギーシュに勝ったんだから。タダの平民なんかじゃない。私の使い魔。 ルイズはのっそりとベットから立ち上がると下の藁で寝ているジョルノに毛布をかけてあげた。 早朝ジョルノは寒さで起きることはなかった。 余談だがギーシュはあの後投げた香水のせいでケティとモンモランシーの 二股がバレてバレた直後に無駄無駄とオラオラのダブルラッシュを喰らい 治った顔がもっと悲惨なことになった。 「はやく…人間(元の顔)になりたい。ってあれ、僕のチ○コ治ってないィィィィ! あァァァんまりだァァァァ!!!!!!!」 to be continued
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モンスターズ2に登場する道具。 異世界の鍵の祠にある鍵の扉からマルタの国へ帰還するのに必要。 当然捨てることはできないし、通信ケーブルを通じて交換したりもできない。
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概要 Ⅲ以降に登場する道具。 どんな扉も開けてしまうすごい鍵で、「マネマネ銀」という特殊金属で作られているとのこと。 一部作品では「この鍵を鍵穴に差し込むと、先端がその鍵穴に合った形状に変化する」という恐ろしい説明がある。 これを手にいれた途端に、盗賊の如く世界中の宝物部屋を荒らし回ってアイテムを漁るのはもはやお決まりのパターンである。 また世界中の【牢屋】をこじ開けて囚人を解放出来るが、真面目に服役している奴が多く、脱走する者はほぼいない。 一部の作品ではこの鍵を持っていても開かない扉がある。 恐らく閂等で鍵をしているために外側からでは物理的に開けられないのだろうと思われるが、最後の鍵でも開かない扉を開ける専用の鍵があるケースも中には存在する。 そのあからさまなネーミングから、ストーリーの進行度がバレバレ……かと思いきや、実は各作品ごとに入手時期は結構まちまちである。 初登場のⅢからして上の世界にいるうちに手に入るし、これを手に入れた後にまだ別の鍵が手に入る作品もある。 意味合いとしては「最後まで使う鍵」といったところか。 DQⅢ DQⅣ DQⅤ DQⅥ DQⅦ DQⅧ DQⅨ DQⅢ 【浅瀬のほこら】で入手。【サマンオサ】に行くのに必要。 その気になれば船入手後すぐに手に入る。 早期に入手すればその後の展開が楽なので、船入手後すぐに取りに行くといい。 Ⅱの【きんのカギ】とは違い、周辺海域にそこまで凶悪な敵が出ないのもポイント。 なお、【アバカム】があるので鍵自体不要になりうる……かと思いきや、【イエローオーブ】の入手条件(【○○○○バーク】の発展条件)の一つに「最後の鍵を入手する」があるので、使わずにクリアすることは可能でも、入手はしなければならない。 DQⅣ 【ガーデンブルグ】女王から入手。 人質として預けた仲間を、牢獄から出すためにくれる。 牢番の兵士に連絡して開けとけばいいだけのところを、こんな物騒なものを渡す意味はあるのだろうか? 人質の仲間を連れ戻しに行くのに使うほか、同ガーデンブルグで【てんくうのたて】を入手するのにも使う。 【王家の墓】に入るためにも必要。 DQⅤ 【ブオーン】撃破後に入手。 牢獄の扉と【海の神殿】の扉を開けるのに必要。魔界に行くには必須。 逆に言うと、手に入れずにかなりイベントを進めることもできる。ブオーン討伐を後回しにして、どんどん進めてしまった人も多かったのでは? ブオーンを倒すと特に何の説明もなく横に宝箱がいつの間にか出現しているが、これは【ゴロステ】という人物が所持していたもので、ゴロステがブオーンに食われて以降ずっとその腹の中にあったのだという話が【ポートセルミ】で聞ける。 【ラインハットのカギ】に対応する扉は、この鍵でも開かない。 また、牢獄の扉の中でも、オラクルベリーとポートセルミにある モンスターじいさんの部屋にあるものはどんな鍵でも絶対に開かない。 DQⅥ 【沈没船】で入手。天馬の塔に入るのに必要。 【ろうごくのカギ】に対応する扉・錠前を開錠することは不可能。 この牢獄の鍵は前作Ⅴのラインハットの鍵と違い、最後の鍵よりももっと後で手に入るため、最後の鍵という名前ではありながら最後ではなくなってしまった。 DQⅦ 【クリスタルパレス】で入手。一見見張りがいて取れないように見えるが問題なく取れる。 クリスタルパレスに初めて訪れてすぐに入手できるが、パレス内のベッドで寝てイベントが起こってしまうとその後様々なイベントを経て【ダークパレス】に変貌するまでクリスタルパレスに戻ってこれない。 ダークパレスになってからでも入手は可能なので取り返しはつくが、先に取っておくと【王者のつるぎ】等も先に取れるので、忘れずに取っておこう。 シリーズで初めて、クリアするのに入手が必須ではない。しかも、入手は飛行手段を手に入れてからという珍しいケース。但し、クリア後ダンジョンの【謎の異世界】に行くのには必要。 また、エンディング時点でさいごのカギが【メルビン】の手持ちにあった場合、石版入手に必要なある作業が不可能になってしまうので注意。 3DS版では入手タイミング・用途ともに特に変わっていないが、上記のエンディング中の石版入手手順が変更され、さいごのカギを使わなくなった。 DQⅧ メディばあさんから入手。海賊の洞窟に入るのに必要。 DQⅨ カデスの牢獄で【ゴレオン将軍】を倒した後入手。下の階の天使を助けるのに必要。
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概要 モンスターズ2に登場する道具。【雪と氷の世界】へ行けるようになる。 入手方法がGB版とPS版で若干異なっており、GB版では道具屋の主人に【ぐんたいアリ】を渡し、父親に【キラースコップ】を渡すと、後に渡した方から貰える。どちらの魔物も水の世界で捕獲可能。 PS版では、水の世界クリア後に行ける牧場の区域で光っている地面を調べることで入手できる。