約 4,894,969 件
https://w.atwiki.jp/gundamwarnexa/pages/409.html
Gにする 指定されたカードを、逆向きにしてGゾーンに移動する事です。そのカードは、以後場にある限りGとしてのみ扱います。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/595.html
そう鳥のように ◆Ee.E0P6Y2U 宮内れんげとベルク・カッツェは親友である。 れんげはカッツェのことを本当にそう思っているし、カッツェだって――れんげのそれとは少し意味合いが違うかもしれないが――尋ねられれば肯定するだろう。 二人で逃げ出した彼らは、だからか、とても楽しそうだった。 「バァァァドwwwwwwゴォwwwwwwwwwwwwwwww」 「おお高いのん、やっぱうちエアマスターやってん」 Gスーツに身を包み、カッツェは夜の街を飛ぶ。 その腕の中にはれんげの姿がある。紆余曲折を経た二人はようやく出会えたのだ。 れんげはそのことを純粋に喜んでいたし、カッツェだってそれは同じだった。 「wwwwwwwwwwwwwwwwwww」 カッツェは嗤っていた。 嗤いながら跳んで、飛んでいた。 電柱を蹴り、ビルに上り、誰かの頭上を飛び抜けていく。 笑わないれんげの代わりを補うかのように、カッツェは嗤い続ける。 「れんちょーんwwwwwちょっとお願いwwwwwww」 夜を行くカッツェはれんげに話しかける。 「んー?」とれんげが聞き返す。 「さっきみたいにィその手のアレ、使ってくれないですかぁ?」 カッツェはその耳元で囁く。 令呪を使ってくれ、と。 言うまでもなくルーラーからの令呪を打ち消す為である。 「またお願いすればいいのん?」 「そうですwwwwwwこう手を上げてwwwww真面目な顔していえば大丈夫wwwww」 大親友の頼みを断る訳にはいかない。 そうれんげが考えたかまではカッツェには分からなかった。 しかしれんげは迷うことなく、カッツェの言葉通りに言ってくれた。 ――かっちゃんを自由にして と。 手の甲の令呪が光り、最後の一角を残して消えていく。 その代わり、カッツェの身体を縛る戒めが消え去っていった。 そうして壊された籠から、災いの鳥が飛び立っていった。 「うはwwwwwwww」 自分を縛ったルーラーの顔を思い出される。これで彼女に更なる苦痛を持って報いることができるのだ。 「メ・メ・メ・メシウマァwwwwwwwwwwwwwww」 そう言わずして何と言う。 れんげも回収し、令呪の縛りも消え失せた。 嗤う。嗤う。嗤う。どこまでもカッツェは嗤う。 まだまだ聖杯戦争を楽しむことができると―― 「かっちゃん……なんか楽しそう」 それを見たれんげはぼそりと呟いた。 眼下には新都の街がある。 明かりのついた民家がある。そびえ立つ摩天楼が見える。 家庭から漏れ出す声もあれば、飲みに行く若者たちの騒がしい声だって聞こえた。 日が沈み、みなの日常がそれぞれ終わる時間。 夜。 安息な時間の流れを跳び越える。 籠から解き放たれた鳥のように、自由にカッツェとれんげは空を飛んでいる。 二人だけで…… ◇ 「追うぞ」 剣を拾い直したアンデルセンは短く言った。 「アレをあのまま野放しにする訳にはいかん。場合によっては王の闘争の邪魔になりかねん。 あのサーヴァントが明確に我々を脅かした以上、もはや“大人”も“子ども”も関係ない」 それはカッツェと――れんげへの明確なる敵対宣言だった。 眼下には倒れ伏す男女がいる。白目を剥き、ぴくぴくとその身を震わせている。 情報に依れば彼らはNPCだ。孤児院を襲撃した彼らにアンデルセンは容赦しなかった。 そしてそれを率いていたのはカッツェだ。 「……分かっています。私もあのサーヴァントを無視することはできません。 ただ私は――あくまでれんちょんさんを保護する方向でいきます」 「“子ども”だからか?」 いいえ、とルリは首を振った。 「彼女はこの聖杯戦争において明確なイレギュラーなんです。 そのイレギュラーを調べていけば、方舟について何か掴めるかもしれません。 なので出来得る限り保護していく方向でいきます」 あくまで任務の為に必要だから助けるのだと、ルリは言った。 彼女にとって、まずなさねばならないことはこの方舟の情報を持った上での脱出だ。 軍人としての彼女にとってはそれが変わることはない。 その為にもれんげの存在は重要なのだった。 れんげが“子ども”だから助けるのではなく、 あくまで“大人”としての理屈だった。 「ふん」 そのことを汲んだのかアンデルセンはそれ以上何も言わなかった。 剣を構えたまま、カッツェを追うべく駆け出す。 夜の街を飛ぶ彼らを討つべく。 「……ライダーさん、私たちも追いましょう」 とにかくカッツェを追う。 それはここにいた全ての陣営が下した判断だった。 ◇ 「殺す……」 ジナコは言う。 「殺す……」 もう一度、言う。 「殺す……」 ただその胸に精一杯の殺意を充満させて、言葉をひねり出す。。 ありとあらゆる災厄を、もうどうにもならないという苦しみを、全て一つの想いに集約させることでジナコは殺意を保っている。 ごちゃごちゃで、どす黒く沈殿してて、訳の分からない想いを ――殺す その一言に押し込んでいるのだ。 「もう一人のアタシ……“ジナコ・カリギリ”を殺す」 今この社会において“ジナコ・カリギリ”は犯罪者だ。 野蛮で反社会的な、意味不明なことを漏らしながら暴れ回る恐ろしい犯罪者。 これから先、ずっとこの名前にはそれが付いて回る。 そんなことは厭だった。 確かに碌でもない生き方をしてきた。 褒められるようなことなんてロクにない。将来の展望なんてまるでない、親の遺産を食いつぶすだけの社会の寄生虫。 ゲームスコアだって莫大なプレイ時間があったからだ。別にスキルが優れていた訳じゃない。 だけど――だからこそそんな風に終わってしまうのは厭だった。 だってそもそも自分が聖杯に臨んだのは…… ――普通の、ただの凡人としての生きたかった 最初に親が死んだ。 ニートになって、それを勝ち組なんて適当なこと言って、 みんながどんどん変わっていく中、自分だけ何一つ変わらないまま十五年も過ごして、 そのままみんなに置いていかれて、何時しかひとりぼっちになって、 ――勝ち組。勝ち組だって、本気で思ってる訳ないじゃない。 みんな嘘。嘘。嘘。 ……でも、そんな嘘すら言えなくなったら、引きこもることさえできない。 やり直したかった人生を、勝手に取られて終わるだなんて、そんなの絶対に厭だ。 こんなカツラをずっと被って名前を誤魔化して生きていくなんて、とてもできはしない。 だから、殺すしかないのだ。 “ジナコ・カリギリ”を。 殺して、取り戻す。 取り戻して、やり直す。 それがジナコの願いだった。 カッツェを殺したあとの展望など、ジナコにはない。 ただもう一人の自分を殺しただけでは、人生を取り戻すことにはならない。 そのことに薄々と気づいていながらも、敢えて先を見ず目的を単純化することで、彼女は強い殺意を保っていた。 自分を騙す嘘は得意だ。何しろ彼女は十五年も付き続けてきた。 「……ゴルゴさん」 ジナコはだから依頼する。 自身の従者に。 ゴルゴ13――13番目の男に。 「アタシを――殺して」 「…………」 ゴルゴは何も言わない。 ジナコを抱きかかえながらもカッツェを追っている。 気配遮断によって孤児院を離脱したあと、彼は一先ずジナコの言う通りにしている。 今はまだ―― ◇ 寒河江春紀が学園を出たとき、既に日は沈んでいた。 あの一瞬の三つ巴を経て、一通り手早く情報を洗い出すことには成功した。 情報は大体にして揃った。 あとは行動だけだ。 「分かった。なるほど」 学園から離脱し、街を歩きながら春紀は会話していた。 街の中、道路はひっきりなしに車が行きかう。廃棄ガスの臭いが漂ってきて、少し不快だった。 「“かっちゃん”――ベルク・カッツェがこっちに来てる訳か。 分かった、アタシらも行くよ、ルリ」 携帯電話を片手に彼女は行く。 騒々しく汚い街を切りぬけ、戦場へと向かう。 赤みかかった髪が風に吹かれ、彼女の目元を隠した。 ルリからあった突然の電話。 話によると、カッツェの姿が確認され――れんげがさらわれたらしい。 いやさらわれた、というのもおかしいか。元々カッツェは彼女のサーヴァントだ。 宮内れんげ。いたいけな“子ども” 聖杯戦争のイレギュラー。 昼に一度会って、あの時は結局何もしなかった。 「……さて」 歩きながら、ぽり、ぽり、と菓子を頬張る。 チョコレートにくるまれた甘くまろやかな味が彼女の心をすっとさせた。 ああ、気分が良い。良いってことにしておこう。 「いくかい」 その言葉は近くにいる筈のランサーへ向けたものなのか、それとも自分自身へと向けたものなのか、彼女自身分からなかった。 ◇ 「殺すべし……!」 同時刻、夜の街を駆け抜ける一騎のアサシンがいた。 都心ではクラクションが絶え間ない騒音を撒き散らしている。 疲れた顔を浮かべたサラリマンが帰路に付き、電光看板が味気なくループする下ではヨタモノ達が喚き散らしている。 高層建築に狭く切り取られた夜空の上にはおどろおどろしく光る月。 そのアサシンは元来復讐者であった。 敵を屠り、殺し尽し、復讐する。 その結果がそのまま彼の名となった。 「アサシン=サン殺すべし……!」 そして此度の聖杯戦争でも、彼は復讐者となった。 他でも己のマスターを弄び、死に至らしめたサーヴァント。 その名は――ベルク・カッツェ。 ◇ ベルク・カッツェと宮内れんげ。 この陣営はこの聖杯戦争において、普通ならば考えられない存在だった。 マスターはマスターたる自覚がなく、 サーヴァントは非力なマスターを守ることはおろか、放置してどこかに行ってしまう。 結果としてマスターである宮内れんげは他のマスターの下を転々とすることになった。 ジョンス・リー、ジナコ・カリギリ、寒河江春紀、ホシノ・ルリ、アンデルセン…… 多くの者に出会い、そして別れていった。 みながみな、彼女を“子ども”であると扱った。 その間にもカッツェはこの聖杯戦争を縦横無尽に駆け抜けていった。 それが結果として多くの死を招いた。野原しんのすけを筆頭に、彼の存在が間接的に多くの混乱と死を呼んだ。 もしも彼らがいなければ、 この聖杯戦争は違った形になっただろうか。 ジナコ・カリギリは未だ引きこもったままで、野原しんのすけはまだ平和に生きていて、 ウェイバー・ベルベットが戦いに加わることもなく、岸波白野と遠坂凛の戦いにはまた別の結末があって、 寒河江春紀は自身の甘さを自覚することなく、ホシノルリは別の糸口を探し調査を続けていて、 アンデルセンやHALは自身の方針にもう少し集中できていて…… 多くの波紋が起きた。 彼らの行動が――何一つ計画性のない彼らが、しかしそれ故にこの聖杯戦争に大きな影響を与えた。 状況をかき乱した。 彼らは多くの縁、因果の起点にいる。 「んはwwwwww追ってきてるやんwwwwwwww」 二人だけで空を飛んでいると、不意にカッツェが叫びがを上げた。 その視線の先には彼らを追い街を駆けるアンデルセンの姿があった。 尋常ではない速度で追い上げてきている。サーヴァントではないが、彼もまた歴戦の戦士だ。 最もカッツェが本気を出せば追いつける筈もなかったが――彼はあくまで状況を楽しんでいた。 まくどころか、わざと追わせるような動きをしていた。 アンデルセンだけではない。 多くの者が彼を追っていた。縁が蜘蛛の巣ように幾重にも重っている。 覚悟、憎悪、戸惑、信念……その全てが彼らを指している。 多くの縁が中心にいるカッツェとれんげを追っている。 「かっちゃん……」 その中心で、れんげは言った。 「んwwwwwなんですかぁ?wwwwww」 「かっちゃん、みんなと友だちになって欲しいのん」 「んはwwwww友達申請キターwwwwwwwwww」 カッツェはれんげの言葉を嗤う。 嗤いながら夜を飛ぶ。 不意に――橋が見えてきた。 新都と深山町を繋ぐ、大きな大きな赤い橋。 あれがあるからここの人々は交流できる。簡単に会いにいけるし、話せる。 街と街、人と人を接続する――“繋がり”を象徴するもの。 カッツェはその橋を跳び越えていく。 真っ暗な夜の川にあって、その橋が通る直線だけが光って見えた。 「だぁいじょうぶですよ」 「かっちゃん?」 「だってミィにはほらwwwwwwれんちょんがいますやぁぁんwwwwwww」 そう言って、 二人は橋を越えた。 多くの縁を引きずり回すように、彼らは街から街へと移動する。 その先に―― BACK NEXT 141-a we are not alone 投下順 141-c crowds are calling my name 141-a we are not alone 時系列順 141-c crowds are calling my name BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT 141-a we are not alone ホシノルリ&ライダー(キリコ・キュービィー) 141-c crowds are calling my name 宮内れんげ&アサシン(ベルク・カッツェ) アレクサンド・アンデルセン ジナコ・カリギリ&アサシン(ゴルゴ13) 電人HAL&アサシン(甲賀弦之介) 136 スカイ・イクリプス Sky Eclipse 寒河江春紀&ランサー(佐倉杏子) 138 フー・キルド・ニンジャスレイヤー? アサシン(ニンジャスレイヤー)
https://w.atwiki.jp/910moe/pages/1025.html
携帯電話 携帯電話が嫌いだ。どこへ行っても着信する。ワン切り、スパムメールが鬱陶しい。電源を切っておくと「どうして切ってるんだ」と言われる。つまり自由が奪われる。 携帯電話に電話をかけるのも嫌いだ。電波が悪いとぶつぶつ切れる。切れるたびにお互いにかけ直して、あげく話中音がしたりするとキレそうになる。 さらに。 喫茶店で向かい合って会話してるってのに、半月ぶりに会ったバカヤロ様は、突然携帯電話を取り出してピコピコとメールを打ち始める。 俺は突然会話を切られて、黙ってコーヒーを飲むしかない。 携帯電話なんか、大嫌いだ。 ようやくメールの返信を終えて、バカヤローは俺に視線を戻す。 「何の話だったっけ?」 「知らん」 沈黙。 お前もたまには会話をぶっつり切られる気分を味わってみろ。 ちらりとテーブルの向こう側を見ると、ほくそ笑むという表現がぴったりな言葉で笑っている男がいた。 携帯電話は嫌いだ。 一番嫌いな理由は、俺があの小さい機械に嫉妬しているという事実のせいだ。 そしてこのバカヤローが、そのことを知っていてわざと俺の目の前で誰かにメールをするということだ。 携帯電話
https://w.atwiki.jp/shinmanga/pages/269.html
罪の最後は涙じゃないよ ◆lDtTkFh3nc 「……なぜだ?なぜ俺をここへ?」 「僕としては反乱の意思表示のつもりだが…これもレシピ通りなのかもしれないね」 「……娘二人はどうなった?」 「一人は死んだ。もう一人は知らない。残念ながら僕の管轄外だ」 「……貴様らは何を考えている。貴様らの言う神とは誰の事だ」 「言っても理解できないだろう。ただ一つ言えるのは、『未来は神様のレシピで決まる』。 僕の役割が何かじっくりと考えて、行動したに過ぎない。 まぁ君の命だ。良く考えて好きにすればいい」 「……いいだろう。それが『何か』の掌の上だとしても…… 俺は強者との戦いを望むだけだ」 「……度し難いね。いや、だからこそ僕は君を選んだ…つもりだよ」 「言葉は無粋……行かせてもらおう」 ★ ★ ★ ★ ★ ついてねぇ… 思わずそう呟きたくなるような状況に、一匹の獣がため息をつく。 思えば彼が目覚めてから今まで、出会った人間はロクなのがいなかった。 状況も理解できない酔っぱらいに変態仮面。 大嫌いな白面の匂いの女に、極めつけがこの勘違い女。 自分をこともあろうに「かわいい」などと表現した上、変化を見せたらそちらを正体と思い込む始末。 決めた。今後人間相手に自分が化物であることを示すときは変化以外の手段にしよう。 そんなミョーな決意を胸に、普通の高校生の格好をしたとらはため息をもう一つ。 「『自分』を『獣』に変える力…?とにかくその能力…貴方、もしや参加者ですの?」 勝手に盛り上がり質問をしてくる相手に、心から面倒くさそうな顔で一応答える。 「あぁ…?サンカシャ?わしゃそんな名前じゃないぞ。大体、仮の姿はこっちだ、こっち」 そう言ってなんとかわからせようとするものの、勝手に興奮している相手には通じない。 そういえばさっきからなにやら憎たらしい声もどこかでペラペラ喋っている。 一応内容は耳に入れるが、大したことでもなさそうだ。 「…もういいですわ。貴方がなんであれ、この場にいる以上私の敵であることは明白! 私はロベルトの為にも…勝たねばならないのです!覚悟!!」 そう叫ぶと、少女は何も持たずに突進してくる。 それをひらりと飛び上がりかわす…ハズが、おかしなことに。 姿を人間にしていたのにそのまま飛び上がろうとしたものだから、とらはバランスを崩し、 おっとっと、と人間のような言葉をはきつつ横に転がるように突進をかわした。 ズシャ、と不思議な音が響く。見るととらが立っていた背後の壁に刀傷のような後がついていた。 「くっ!」 「なんだぁ?お前、ただの人間じゃないな?」 改めて身構える相手にひとまず距離をとると、とらは変化を解除する。 「!!」 「あー、もう人間に変化するのやめようかね、まったく」 「か、かぁいいですわ…ハッ!そ、そんな姿で私をごまかせるとでも…!」 まーたおかしなこと言ってやがる、と呆れつつ、とらは相手の処遇に考えを巡らせる。 とりあえず今自分は腹が減っている。そして目の前には人間の、それも女。これを喰わない手はない。 問題は女が身につけている臭っせぇ着物だが、あんなもん食うときにひっぺがしゃいいだろう。 最悪我慢できる程度だ。「おーでころん」とかに比べりゃちょっとはマシなものである。 しかし、ととらは歯噛みする。 この女からはそれ以上に嫌な臭がする。 さっきの奇妙な力といい、どうみても人間であるはずのこの女にはおかしな所がある。 具体的に言えば、食ってもうまくなさそうな気がするのである。 とらは知る由もないが、鈴子は「悪魔の実」を食した事でただの人間ではなくなっており、 それがとらの「食物」を見る目に不審にうつったのであろう。 思案の末、とらはひとつの決断をくだす。 「やーめた」 そう言って身を翻すと、高々と空へと飛びたってしまった。 驚いたのは鈴子である。戦闘態勢に入っていたのに放置され、呆気にとられて立ち尽くす。 「な、なにを…え?あ、ま、待ちなさい!!」 叫んだもののどこ吹く風、獣は気持ちよさそうに飛んでいく。 追いかけようと足を刃に変え、先程の要領で移動を開始した時だった。 彼女はこの移動方法で、先程思い出したくもない事故を起こしている。 それが心にあったからか、動き出してすぐ集中力が乱れた。 だから路上の段差に気がつかず、躓いて今日何度目かのズッコケをやって… 結果的に巨大な剣の一撃をかわしていた。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ から回る少女を残して獣は悠々と空中散歩中。 あの女を殺して食っても構わなかったのだが… やはりあまりウマそうでなかったのと、実はもう一つ。 近くに非常に忌々しい気配を感じたことも原因だった。 まだある程度距離はあるようだが…長い永い付き合いだ。 これくらい近づけばわかる。「獣の槍」が、そこにいると。 ということはあのクソ忌々しいちび人間も近くにいる可能性があって… そんなセットの近くで人間を食おうものなら、どうなるかわかったもんじゃない。 そこでふと、ならば攫ってどこかで食っちまえばよかったのだと気づく。 きゅ、と急ブレーキで止まり腕を組むと、ぽんと手を叩く。 (そうだよ、攫ってどっか遠くでゆっくり食えばいい。簡単な話じゃねーか。 どうせ殺し合いとかいうのをやってるんだし、一人くらいわかるめぇ。 よし、そうと決まればこの辺でいいから適当な食いもんをさがすとするか) 舌なめずりをして嬉しそうに飛んでいくその様は、バイキングを前にした少年のようだった。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 頭上を通り抜けた鉄塊に冷や汗が吹き出る。 四つん這いでシャカシャカと距離をとった鈴子が振り返ると、そこには一人の男が立っていた。 その男の姿はぼろぼろであったが、射ぬくような視線が鈴子に軽い恐怖を与えた。 先程振り抜かれたと思しき剣…?を支えにやっと立っている姿は弱々しいものの、 明らかに危険な雰囲気が漂っている。 「な、な、だ、誰ですっ!あなたは!」 「てめぇこそ、その力…化物か?ならば…」 その力、とは先程見せた「スパスパの実」の力の事だろうか? 化物か、とは失礼な話である。確かに奇妙な力は幾つかもっているが… 彼女はれっきとした人間だった。 「化物だなんて…失礼な!それを言うならそんな物を振り回す貴方の方がよほど…」 豪ッ!!! 言い切る前に風切り音がなり、またしても鉄塊が振り回される。 今度は正確に狙い澄まされ、彼女の眼前に突き立てられた。 「ヒィっ!」 「なら答えな。その力…どうやって身につけた。まさかてめぇ…『捧げた』のか? それとも『もどき』のほうか?」 意味がわからなかったが、相手はどうやらこの力の出所を教えろと言っているらしい。 驚きのあまり話してしまいそうになるが…思いとどまる。 なぜ自分がこんな男にそんな重大な情報を話さねばならないのか。 よく見れば相手は傷だらけで見るからに疲れきっている。 巨大な武器のプレッシャーについ飲み込まれていたが、屈する必要はないのだ。 「…貴方に話す義理はありませんわ」 「そうかい」 そう呟くと、男は剣を抜き去り鈴子に向けて突きを繰り出した。 すかさず両手を交差し、ガードする。 本来ならこんな防御は愚の骨頂である。しかし今の鈴子には効果的だった。 なぜなら彼女の体は「全身刃物」。それはすなわち「全身鉄の硬度」を意味する。 鉄を切れる人間でない限り、決して剣ではダメージを負わせられないのだ。 事実相手の突きは鈴子の腕を切断することはなく、少し後ろに吹き飛ばされただけで済む。 「チッ…やはりただの人間じゃねーな」 「問答無用で攻撃とは…貴方は危険ですね。申し訳ありませんけど…排除します!」 立ち上がった鈴子は両腕を刃物に変え、男に切りかかる。 攻撃を「かわす」必要がない以上、こちらの有利は絶対。そう確信しての攻撃だった。 それ故に、男の対処は想定内。剣を構えなおし、横薙ぎでの攻撃。 腕以外の全ても刃物に変え、攻撃に備える。「斬撃」は自分に通じないと思い知ればいい。 本日始めて物事が上手く進んでいる実感をもった鈴子。 そういう時こそ危ないものである。 結論から言えば、鈴子は敗北した。これでもかという程に。 襲撃者…ガッツのドラゴンころしによる一撃は「斬撃」ではなく「打撃」だったのだ。 もともと切れ味で勝負するわけではない剣である。その重量とそれを操るガッツの腕力。 それがそろえば鉄を切れぬとしても、ヘタをすれば砕ける位の威力は生まれる。 弱りきった今の彼でも、鈴子を吹き飛ばすくらいの一撃は放つことが出来た。 内臓を思い切り揺さぶられ、吐くに吐けない最悪の嘔吐感を与えられて鈴子は踞る。 「う、ケハッ」 そんなまともに動けない彼女の後ろ手を相手が掴み、何かで縛った。 拘束し、情報を奪うつもりだろうか。これはツイている。 神はまだ自分を見放していないと、鈴子は内心でほくそ笑んだ。 体が回復したら縛ったものを刃物に変えたこの身で切り、奇襲をかければいい。 あるいは相手が尋問の為に自分に触れてきたらそれを切り裂いてやる。 対抗手段はまだいくらでもある。希望は捨てませんわ、と力強く誓った。 結論から言えば、これも失敗。 ガッツが彼女を拘束したのはどこから調達したのか「鉄線」であった。 こんなもの切るにはニッパのようにテコの原理や勢いが必要だ。 こんな状態ではそのどちらも難しい。 鉄に「斬撃」が効かないことに苦しめられるのは自分だった。 ならば、相手が接触してきた時に反撃を…と身構える。 予想外にガッツがつかんできたのは頭だった。 真上から抑えるように腕を後頭部に突きつけてくる。 「(今ですわ)喰らいなさい!!」 叫びと同時に後頭部周辺を一気に刃物へ。そして背筋を全開にして頭を持ち上げる。 これで指くらいは切り飛ばせるはず…しかし、というか。 やはり、というか。これもまた、失敗だった。 「…金属音…それに先刻の動き…どういう理屈かしらねぇが…体を刃物にできる、ってとこか?」 「え、えーーーー!どうして!?」 「生憎、こっちは義手でな」 ご、と力強く地面に押し付けられ、鈴子は短く悲鳴をあげる。 ツイてない、とことんツイてなかった。 これで万策尽きた。もはや座して死を待つのみである。 「さて…その力について詳しく教えてもらう。ついでに知ってることは全部言え」 一段低くなった男の声。それが再び彼女に恐怖をもたらす。 「利用価値がねぇなら…」 そこでさらに込められる力。 抵抗むなしく、鈴子の情報は漏れていく。 「悪魔の実」について、それを食べた経緯…さらに、神を決める戦いについて。 あるいは先程の変身能力者のこと。診療所で入手した首輪のこと。 鈴子は正直に話す。実はある程度ごまかそうとしてはいたのだが…ガッツがそれを許さない。 少しでも胡散臭いと感じれば容赦なくその顔面を固い地面に叩きつけた。 御丁寧にメガネを外してくれていたとはいえ、その痛みは凄まじい。 なにより、顔は女の命である。それを傷つけられるのは…辛かった。 しかし、彼女は危険を承知でロベルトに関する情報だけは一切漏らさなかった。 それで殺されても本望。そのくらいの覚悟で臨んでいた。 結局ロベルトに関する事以外のほとんどの情報を奪われ、尋問は終わる。 「…もう十分だな」 その言葉に、鈴子は寒気を覚える。それが意味することは単純明快。 用済みとなった情報源の始末、これにほかならないだろう。 死ぬ。自分は死ぬのだ。 そう思うと恐怖と悲しみとがないまぜとなった涙が溢れ出す。 どうしてこんなことに…あぁ、助けてロベルト!と嘆くばかり。 ただ彼の力になりたかったのに…何も、何も出来ない。 結局一人で出来ることなんて限りがあった。 かといって、誰かを、ロベルト以外の誰かを頼る気にもなれなかった。 だってそうでしょう?死んだ仲間の首をはねたり、裏切ったり、裏切られたり… そんな関係に神経をすり減らすなんて御免ですもの。 そう鈴子は考えていた。本当は、『友達』が欲しい。 だがこの時点の彼女が知る『仲間』はとても『友達』とは呼べない者達ばかりだったが故に… 彼女の歪んだ人間観は孤独を選んでしまった。 それでも最期に思い出されるのは…ロベルトの顔。 最後に彼に会いたかった…そうつぶやこうとした時だった。 グルリ、と仰向けに向き直されると、顔に何かをかけられる。 「けほけほ…な、なんですの?」 「妖精の燐粉だ…持ち主は生意気な奴だが…効果は本物だからな」 答えたのはガッツだった。 本人も体の至る所に粉を塗っている。 「こ、これは確か私の支給品のハズ…」 「だからお前にも使ってやっただろうが。命と引き換えだと思えば安いもんだろ」 その言葉を理解するのに少し時間がかかった。 「こ、殺さないんですの?」 「ふん…さぁな。後で殺すかもしれないぜ。妙な事をしたらな」 言いながら乱暴に鈴子の身を起こすガッツ。 顔面の傷は随分と回復していた。 「例えばこういう時に余計な真似をするとかな。どの道逃げられねぇんだから、変な気は起こすなよ」 確かに両手を縛られた状態では逃げるにも満足に出来ない。 今半端な反撃をしても無駄ではある。しかし… 「で、でもそんな事をして、貴方になんの利があると言うのです?」 「…俺が聞きたいくらいだな。ほらよ」 鈴子を壁に寄りかからせ、何かを探し出すガッツ。 彼がこんな行動をとったのは、決して気まぐれではない。 気まぐれでこんな行動をとる男ではない。ではなぜか? 生真面目な態度のくせに、どこか抜けたところのある少女。 それがどこかの誰かさんを思い起こさせたのである。 聞けばまだ誰も殺していないという少女。決して化物ではなく、奇妙な力を持っただけの人間。 信じがたい話も混じってはいたが、あの状況で「嘘」はつくまい。 「隠し事」はあるかもしれないが… とにかく、なにも殺すことはない。そんな風に思えてしまったのである。 それは、直前に仮初とはいえ『仲間』との共闘をしていたのも大きいのだろう。 ガッツは見つけたそれを、元の場所へ戻す。 「あ…」 「なきゃ見えねぇんだろ」 メガネをかけて貰い視界に映った男の姿は、信じられないくらいに優しげに見えた。 ドカッ! ザクッ! ほぼ同時に発生した二つの音。 鈴子の体当たりによって突き飛ばされたガッツが尻餅をつきかけて踏みとどまる。 ふと手を見れば、血がついていた。 「な…」 「…バカ、ですわ」 ズルリ、と音を立てて、倒れる。 まるでスローモーションのビデオのようにゆっくりと。 ガッツは何が起こったのか必死で考える。なぜ、こうなった? 全身刃物のハズの少女の脇腹に、深々とナイフが突き刺さっていた。 「う、うぉおおおおおお!!!」 背後に走り、立てかけておいた得物を手にとると闇雲に振り回すガッツ。 今近くには誰もいなかった。しかし、目の前で少女は刺された。 そこから導き出される答えは、姿の見えない襲撃者。 その可能性に対処するための行動である。これは正解だった。 姿を消していた襲撃者はその攻撃に驚き、ナイフを鈴子の脇腹に残したまま離れてしまう。 ガッツは剣を振り回し続け、相手の接近を拒んだ。 まさしく虫の息の鈴子は思う。 なぜこんな馬鹿な事をしたのだろう、と。 メガネをかけられて、相手と目があって…なぜか照れくさくて目をそらした。 そこで偶然視界に入ったのは、転がる石ころ。それはあまりに不自然で… 直感的に、そこに誰か『居る』と思った。そしてその誰かが男に接近してると気づいた時には… もう動いていた。 もう、今度こそ本当に死ぬだろう。 結局自分は何も出来なかった。ロベルトの為に何一つ出来なかった… これは、報いなのだろうか。 自分が腕を切断した少女…首輪を奪った死体… それらが目の前で渦を巻いているような気がした。 その渦の向こうで、男は剣を振り回している。 上半身裸で包帯だけ巻いて…なんとも男っぽい姿だった。 そういえば、なぜ彼は逃げないのだろう。 そこで気がつく、男が少しずつ自分に近づいていることに。 あの人は、まさか自分を助けようとしてくれているのだろうか。 いいえ、それは少し夢を見すぎですわね…けれど… 今際の際くらい…夢をみさせてください。 自嘲気味な笑顔を浮かべて、鈴子はもう少し近くを見渡す。 (ありました、わ) そこには先程ばらまかれた変態写真の一部が落ちていた。 と同時に飛び出した大量の「あるもの」も。 先程の変身能力者に支給されたのだろうか。なんとも奇妙な偶然だ。 鈴子は最後の力でズルズルと動き、ありったけの「それら」に手で触れる。 そしてその上にゴロンと仰向けになおると、少し清々し気な顔をして叫んだ。 「ケホッ!あ、あの…貴方のお名前を…教えて…ゴホッ!」 血でむせてしまい上手く言えない。伝わっただろうか。 「何言ってやがる!今はそれどころじゃ…」 「お、お願い…です!!」 鬼気迫る声に圧倒されたか、ガッツは剣を振るう手は止めずに応える。 彼自身も疲労が蓄積し、足元が覚束ない状況だった。 「…ガッツだ」 「ガッツ、さん、です…か、ゴホッ!わ、私は…鈴子…鈴子・ジェラード、です…」 そこまで言い切ると、目を閉じる。 あの人が、助かるように。ここから逃げ出せるように。 自分は行動するんだ。そう決めた。今ここにいないロベルトにするように… ここにきて初めてまともに会話をすることが出来た、この男性の為に。 鈴子はうっすら、笑みを浮かべる。 「ごめんなさい…ロベルト」 その言葉が終わるか終わらないかのうちに、彼女の体の下から光が爆ぜる。 爆風とそれに煽られた砂煙が周囲を飲み込んだ。 煙が晴れると、そこには誰もいなかった。 少女の死体も、剣士の姿も、文字通り見えない襲撃者の姿も。 やがてガラッと音をたて瓦礫の下からガッツが姿を表した。 先程までの襲撃者の気配はない。爆発に飲まれて死んだか…恐れをなして逃げたか。 どの道、姿が見えないだけで戦闘力は高く無さそうだな、と感じた。 要警戒であることに変わりはなかったが。 なぜあの少女がこんな真似をしたのかわからなかった。 自分を突き飛ばしたのはあの攻撃から守るためだったのか。 最後に自爆したのはジリ貧となりつつあった状況を打破する為だったのか。 もはや誰にも聞くことは出来ない。 しかし、一つの事実として少女が死んだ。それだけが残った。 彼女に接近したのは情報収集の為。 放送を聞きつつ様子を確認し、人外である可能性を感じて襲撃、情報を奪おうとした。 特にグリフィスに関する情報はしっかりと吟味したが、大した物は得られなかった。 結果として奇妙な関係となってしまったが… ガッツは思う。 あの焔の男も、放送によればブラックジャックはじめあの病院にいた連中もほとんど死んだらしい。 先程共に戦った者達も、敗れたのか相討ちかはわからないが倒れたという。 ……事実、あの減らず口野郎の死体は自分の近くで見つけた。 そして今の少女も。 自分に関わった人間は皆死ぬ。 『あの連中』に言わせればこれも因果律という奴だろうか。 「……クソッ喰らえだ」 それは、ガッツが最も憎むもの。 定められた運命……そんな物に従って、アイツらは死んだっていうのか? もともと死ぬ定めだったというのか……捧げられた、『鷹の団』のように。 そんなことを認めてたまるものか。 改めて湧き上がる怒りを静かに胸に秘め、ガッツは立ち上がる。 「何度だって言うぜ。そのしたり顔で御託を並べるのは、オレが取り殺されてからにしな」 いつの間にかそこには馬に跨った一人の騎士がいる。 一瞥すらすることなく、ガッツは騎士に言い放っていた。 「……ならば命燃え尽きるまで戦うがいい。それこそが唯一の望みなり」 そう言い残し、髑髏の騎士は消える。 先程まで彼がいたその場所に鉄塊を叩き込むと、ガッツは吠えた。 【鈴子・ジェラード@うえきの法則 死亡】 【I-8/路上/1日目/日中】 【ガッツ@ベルセルク】 [状態]:疲労(特大) [服装]:上半身裸 [装備]:衝撃貝(インパクトダイアル)@ONE PIECE ドラゴンころし@ベルセルク [道具]:支給品一式、炸裂弾×2@ベルセルク、折れたキリバチ@ONE PIECE、青雲剣@封神演義、妖精の燐粉(残り50%)@ベルセルク [思考] 基本:グリフィスと、“神”に鉄塊をぶち込む。 1:運命に反逆する。 2:グリフィスを殺す。 3:グリフィスの部下の使徒どもも殺す。 4:なんか、夢に見たか? 5:なぜヤツが関わっている? [備考] ※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。 ※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。 ※紅煉を使徒ではないかと思っています。 ※妙と、簡単な情報交換をしました。 ※左手の義手に衝撃貝が仕込まれています。 ※鈴子からロベルト関係以外の様々な情報を得ました。 ※鈴子の死体と荷物、ビーズ、蝉のナイフは近くに転がっています。損傷の可能性アリ。 ※ビーズ@うえきの法則はとらの不明支給品の一つです。 【ビーズ@うえきの法則】 普通のビーズ。洋服の装飾などに用いることも当然可能。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ハァハァと息を切らし、三千院ナギは透明化を解除。 民家のソファにへたりこんだ。 失敗だった。 戦っている者同士のスキを突き、まず強そうな方から倒す。 作戦自体は悪くなかった。問題は、なぜか敗者が勝者を庇ったこと。 それで随分と予定が狂ってしまった。しかし…… (あの強そうな大男だって、結局私に攻撃をすることは出来なかったじゃないか) 見るからに普段の自分では倒せそうにない男だった。 それを追い込み、翻弄したのだ。これは自信につながることだった。 次はしっかりと強者から倒していこう、と決意も新たに、ひとまず武器を探す。 台所で数本の包丁を入手し、カバンに収めた。 落ち着こう落ち着こうと思ってはいるものの、やはり気が焦る。 休憩もそこそこに家を出ると、ナギは市街地を慎重に探索しはじめた。 姿は消していない。 常に姿を消しているとなぜかやたらと疲れる気がしたからだ。 本人としては全力で警戒しながらの行動だったが、常に命のやりとりをしてきた 猛者から見れば格好の獲物になっただろう。 運良く今の所遭遇してはいないが… 大きな通りには人が見受けられず、焦りを覚えたナギは路地裏に入った。 そこで奇妙な光景を目にする。金網の前に突然男が現れたのだ。 その男は全裸で片膝をついた状態で姿を現すと、一切を隠すことなく周囲を見渡す。 物陰からその様子を見ていたナギは赤面しつつも、すぐにブンブンと頭を振って観察を始めた。 相手は先程の男にも勝る大男だった。しかし化物という訳ではない。 武器などを所持している様子はなく、その格好から何かを隠し持っている可能性が 限りなくゼロに近いことは容易にわかる。 ナギは姿を消し、包丁を二本構えてゆっくりと男に近づく。 (慌てるな…三千院ナギ…大丈夫、うまくやれる) 男はまるでロボットが動作確認でもするみたいに手や足を動かしている。 チャンスは今だ。これを逃す手はない。 先程のように発見されるようなマヌケをしないよう慎重に歩を進め、遂に手が届く所まできた。 嫌な感じが全身を覆う。人を刺す。そんな行為を少女の体が拒否している。 それでも、たどり着きたい場所があるから… 息を浅く一吸い。そして、刃を男の脇腹に突き立てる! 見事、刃は男に刺さった。 手応えを感じナギはやや高い位置、心臓付近に第二撃の狙いを定める。 だが… ゾワッ!!!!!! 見上げた獲物と目が合った瞬間、覚えのある寒気が彼女を襲う。 とっさに包丁を手放し全力で相手から離れたが、少し遅かった。 男は腕をふるい、その指先がわずかにナギに触れる。 それだけで命を持っていかれたかと勘違いする所だった。 驚きと恐怖に思わず尻餅をつく。 息が荒い。このままでは気づかれてしまう。 ナギは深呼吸を繰り返す。 (お、落ち着け…相手はこっちの位置がわからないんだ。ここは一旦逃げれば…) 冷静に、努めて冷静に対処しようとするナギ。 その彼女の目の前で男の姿に異変が起こる。 最初は何が起こったのかわからなかった。しかしすぐに化物が擬態していたと気づく。 腕が、足が、胴体が…全身が何回りも大きく膨れ、 男の姿は人間でない『何か』へと変貌していく。 その様を見て彼女の中の憎悪もまた…同様に膨れていった。 三千院ナギの戦いは終わらない。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 寒い。 カタカタと体を震わせながら西沢歩は歩いていた。 ほぼ裸同然だった状態から、ナイブズにマントを貰ったおかげで恥ずかしさは随分減った。 しかし寒さはどうしようもない。薄いマント一枚ではとても防寒着とは言えなかった。 それはナイブズにも言えることのハズだが、彼は顔色ひとつ変えていない。 (やっぱり、人間じゃない…のかな) 先程の襲撃者が楽しげにペラペラと語った内容によれば、ナイブズは人間ではないらしい。 それならばあの強さ、威圧感、そして自分を助けてくれた謎の力と、あらゆることに納得がいく。 少しは恐怖もあった。自分が今人外の何かと行動している。それは怖い。 しかし、それはもともとだ。彼に感じる恐怖はある程度わかっていたこと。 それでも、彼女はついてきたのだ。 打算や自暴自棄、あるいは恩返し。様々な感情をないまぜにして。 だから今更その事実がハッキリしたところで接し方は変わらなかった。 なにより彼女自身が、そんなことに気を配っていられる状態ではない。 三千院ナギを守る。 考えてはみたものの、それが自分に出来るだろうか。 ハヤテ君の代わりに、と軽々しく思いはしたものの、それがどれだけ大変なことかはよく知っている。 それでも、今の彼女にはそれくらいしかすがるところがなくて。 なにより、理解し合えた友人を失いたくはなくて。 (う~、もうやめよう。これ以上考えてたら耐えられないよ。 今は目の前の、あの人たちに何ができるかの方が大事じゃないかな) 結局考えはまとまらず、とりあえず保留しておく。 先程の放送で、とりあえずナギの名は呼ばれなかった。 しかし、一つ知った名前が呼ばれてしまう。 Mr.2ボン・クレー。ボンさんの名だ。 何があったかは分からない。ただ、悪い人ではなかった。 もう絶対会えないと思うと、自分でもびっくりするほど悲しくて… 自然と涙がこみ上げてきた。 しかし立ち止まり泣いている暇はない。 ゴシゴシと目にたまった涙を拭うと、ナイブズの背を追い歩き続ける。 その時だった。 凄まじい雷鳴が天空で鳴り響く。 「きゃあああ!!ま、また!?一体な、なんなのかな!?」 思わず上を見上げると、そこを駆け抜ける二つの影。 ひとつは漆黒の、巨大な影。もうひとつは金色の、美しい風。 その二つが踊るように絡み合いながら、どこかへと飛んでいく。 「ナ、ナイブズさん…」 「……人間ではあるまい。だが同胞でもない…」 それだけ呟き、影がみえなくなると興味がないと行った感じでナイブズは再び歩き出した。 あわてて彼女も追いかける。気にはなったがもう見えなくなっていたし、なにより怖い。 影が、というよりも、一人になるのが。だからついていった。 それが普通だろう。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 崩壊したデパートを眺めて、趙公明は嬉しそうに呟く。 「さぞ、楽しかっただろうね。僕も動かずここにいればよかったかな」 そこに見受けられる様々な戦闘の痕跡に胸踊らせる。 これは多対多、しかも実にバラエティに富んだ兵装のぶつかり合いだったようだ。 先程のナイブズとの戦いといい、まったく退屈しない。 「しかしここにあったワープポイントは使えない。競技場に行くにも歩くしかないね」 彼がデパートを目指したのはそのワープポイントを利用して移動することが目的。 禁止エリアに囲まれ動きづらくなる前にさっさと抜け出そうと思ったのである。 別に競技場に向かう必要はない。 しかしナイブズという非常に興味深い存在にその情報を与えた以上、多少の価値はある。 そこにトレビアンな細工を施して、強者達を迎える舞台とするのも悪くないだろう。 映像宝貝は気になるが、獲得の目が薄いことはキンブリーに知らされている。 何者かがあの場へ襲撃を仕掛けたようだがその後はいたって静かだ。 あまり盛り上がってはいないのかもしれない。 だったら禁止エリアが進入禁止になる前にさっさと北上したほうがいいかもしれない。 その為の移動に、神の陣営からある程度知らされていたワープを有効活用しようとした訳だ。 しかしデパートは完全に崩壊し、ワープポイントの形跡などほとんど無い。 と、そこで足元に何かの気配を感じ、趙公明はしゃがみ込む。 そしてしばらく瓦礫の山を触った後、鞄から盤古幡を取り出した。 あまり力を無駄遣いしない程度に重力を操り、重い瓦礫をどかしていく。 中から出てきたのは一人の男の死体と、鎧だった。 「ふむ、中々面白そうな道具じゃないか。確か…狂戦士の甲冑! 僕が着るには少々華やかさが足りないが…誰かに貸して上げるのも悪くない」 そう言って鎧を拾い上げ鞄に収める。 その時、彼の携帯電話から着信音がなる。 「もしもし、やぁ君か。なんの用だい?え? 僕と似た立場の参加者を用意した?どういう事だい?」 不審な内容にも関わらず、趙公明の顔は明るい。 「なるほど…参加者を利用してね。それで、僕に何を求めてるのかな? …その彼と無駄な戦いはしないで欲しいと。ハハハハ!!それは無理だよ」 何かが空中を通り抜ける気配を感じ、空を見上げる。 その目にもまた、二つの影が通り過ぎるのが映った。 「強いんだろう?だから選んだのだろう?なら、戦いたいじゃないか! 君や『彼』が何を考えていようとも、僕は強者との華麗な闘いを望む!それだけさ! それが掌の上というのなら…大歓迎だよ! なんだい、嬉しそうだね。いや、僕も嬉しい。君ともいずれ闘いたいものだ。 何がしたいのか知らないけれど、頑張ってくれたまえ」 本当に嬉しそうに笑いながら会話を終え、電話をきる。 しばらく携帯を手の中で弄んだ後、瓦礫の山からヒラリと飛び降りた。 「二枚目のジョーカーという訳か。ますます楽しくなってきたね」 【I-7/デパート跡地/1日目/日中】 【趙公明@封神演義】 [状態]:薬指と小指喪失、脇腹に裂傷 [服装]:貴族風の服 [装備]:オームの剣@ONE PIECE、交換日記“マルコ”(現所有者名:趙公明)@未来日記 [道具]:支給品一式、ティーセット、盤古幡@封神演義、狂戦士の甲冑@ベルセルク、橘文の単行本、小説と漫画多数 [思考] 基本:闘いを楽しむ、ジョーカーとしての役割を果たす。 1:闘う相手を捜す。 2:競技場に向かう? 3:カノンと再戦する。 4:ヴァッシュ、ナイブズに非常に強い興味。 5:特殊な力のない人間には宝貝を使わない。 6:宝貝持ちの仙人や、特殊な能力を持った存在には全力で相手をする。 7:キンブリーが決闘を申し込んできたら、喜んで応じる。 8:ネットを通じて遊べないか考える。 9:狂戦士の甲冑で遊ぶ。 10:二人目のジョーカーに興味。 [備考] ※今ロワにはジョーカーとして参戦しています。主催について口を開くつもりはしばらくはありません。 ※参加者の戦闘に関わらないプロフィールを知っているようです。 ※会場の隠し施設や支給品についても「ある程度」知識があるようです。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 真っ暗闇で、遠くに人影が見える。 あれは…とても見覚えのある影だ。とても大切な影だ。 そう、あれは……ハヤテだ。 ハヤテ!!そう、ハヤテだ!!! やっぱり生きてた!やっと会えた! まったくあいつは、まったく!! ハヤテだけじゃない。伊澄もサクも、マリアもヒナギクも皆いる。 やっぱり私の仮説は合ってたんだ。別の世界ではみんな生きてる。 あの中心に私も……ん? 誰だ、あそこにいるのは。そこは私の場所だぞ!勝手に居座るな!! 誰だ、誰だ、誰だ!! あれは…あれは、 あれは、私だ。 私がいる。 そりゃそうか。他のハヤテ達がいるなら、他の私がいても何もおかしくない。 でも慌てることもない。『神』とやらに頼んで、アイツと私の立場を入れ替えればいいんだ。 冴えてるな、今の私。だからとりあえず、一度近づかなくっちゃな。 あ、あれ?なんだこれは? 壁…か?見えない壁みたいなのが…A○フィールド? 邪魔だなぁ…なんでこんな物があるんだ。 消えてくれ!私はハヤテ達に会いたいんだ!!! 消えろ、消えろ、消えろ!!! あっちであんなに楽しそうに話をしてるのに… 近づけないなんて非道い話があるか。誰か、誰か!おーい!! 私はここにいるぞ!ハヤテ!マリア!サク!伊澄!みんな!!! どうして…どうして近づけない……なんで…… あ!ハヤテが!ハヤテが近づいてきてくれる! やっぱり、やっぱりアイツは、最高の執事だ!!! ハヤテ、ハヤテ、ハヤテーーーーーー!!! こんな壁、壊してくれ!! みんなに会いたい、皆に触れたいんだ。 ハヤテ、お前と……手を、繋ぎたいんだ。 ハハ…なんだか今日の私、いやに素直だな。 なに、少し嫌な目にあってな…みんながいることの有り難さがよくわかったよ。 だから、な?この壁を壊してくれよ。 ……え?なんで?なんで壊せないんだ!!! ハヤテ、お前はハヤテだろう?私の最高の執事じゃないか! どうして…… この壁は、私が作った物?バカな、そんな訳あるか。 私が何を、何をしたって言うんだ。冗談はよせ。 ……なぁ、冗談だろう?そんなの聞いてなかったぞ。 私はただみんなに会いたくて…必死で…自分に出来ることをしようと思って… それが一番だって!一番あるべき姿だって思って!!だから!!! だから人まで殺したのに それがこの壁を作ったっていうのか もうみんなに触れられないのか。 楽しく喋れないのか。自慢話も、漫画の話も…何も話せないのか。 ハヤテ、お前にも……もう、なにも出来ないのか? 手が、手が繋ぎたかったのに…私の手…握って欲しかったのに… そうか、ホントだ。 よく見たら、私の手、真っ赤じゃないか。 こんな手じゃ、ハヤテも嫌だよな。 ハハ、当たり前の事なのに、どうして気がつかなかったんだろう。 こんなことして…なにも変わらない世界に戻れる訳なんてないのに。 だって、私自身が一番変わってしまったんだからな。 ハハハハ、可笑しいな。ハヤテも笑え。面白いだろう? ハハハハ……ハ、ハハハッ…… ……グスッ、う、うわぁ……うわぁああああん!!! どうして優しく微笑んでくれるんだ! 触れることも出来ないのに!もう二度と近づけないのに!! どうしてそう優しいんだ、お前は!! ……壁越しでもいい。ハヤテ。 その手を、触らせてくれ。 ゆっくりとその手を伸ばし、手と手が触れ合う。 その手をぎゅっと握り、閉じていた瞼を静かに開く。 そこにはよくある顔が見えた。でも、知っている顔だった。 自分の手を握ってくれていたのがその顔だとわかって、思わず苦笑しながらナギは呟く。 「……なんだ、お前か」 【三千院ナギ@ハヤテのごとく! 死亡】 時系列順で読む Back 135 To be, or not to be that is the question Next 136 味わうのは勝利の美酒か それとも敗北の苦汁か 投下順で読む Back 135 To be, or not to be that is the question Next 136 味わうのは勝利の美酒か それとも敗北の苦汁か 123 花の命は結構長い。女ですもの! 鈴子・ジェラード GAME OVER 131 番長たちの挽歌(下) ガッツ 138 素晴らしき日々~不連続存在~ 131 番長たちの挽歌(下) 三千院ナギ GAME OVER 130 運命よそこを退け、俺が通る 趙公明 140 『戦おうじゃないかっ、趙公明1番!!』作詞 C.公明 / 作曲 魔礼海 123 花の命は結構長い。女ですもの! とら 136 味わうのは勝利の美酒か それとも敗北の苦汁か 130 運命よそこを退け、俺が通る 西沢歩 136 味わうのは勝利の美酒か それとも敗北の苦汁か 130 運命よそこを退け、俺が通る ミリオンズ・ナイブズ 136 味わうのは勝利の美酒か それとも敗北の苦汁か
https://w.atwiki.jp/niconicokaraokedb/pages/1525.html
風のように 炎のように かせのようにほのおのように【登録タグ:HIRO Shade UR@N アダルトゲーム 曲 曲か 曲かせ 超昂閃忍ハルカ】 曲情報 作詞:HIRO? 作曲:Shade 編曲:Shade 唄:UR@N ジャンル・作品:アダルトゲーム 超昂閃忍ハルカ 備考:JOYにて配信中 カラオケ動画情報 オフボーカルワイプあり オンボーカルワイプあり コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jewelry_maiden/pages/51.html
マスター「…またやるのかい?」 金剛石「あなたを越えるのが私の目標!行きますわよ!」 天河石「なにやってるですか?あの二人」 雲母「手合わせだって」 天「金剛石ちゃん楽しそ~」 金「はあ、はあ…まだまだっ!」 マ「やれやれ…」 マスターは金剛石の胴に掌底を叩き込んだ! マ「チェックメイトだ」 金「ぐ…っ!」 ぐらりと傾く金剛石の体を受けとめるマスター(お姫様だっこ) 金「な…っ!」 マ「綺麗な肌に傷をつけてはいけないよ、金剛石」 金「な、な、な…(赤面)」 マ「ドールは顔が命だろう?…って金剛石?」 金「いやあああああっ!(顔真っ赤)」 ドゴォォォッ! 雲「きれいに一発入ったな」 天「にゃー、いたそー」
https://w.atwiki.jp/touhoukashi/pages/4298.html
【登録タグ Doppel う みぃ めらみぽっぷ ラストリモート 少女さとり ~ 3rd eye 曲 森羅万象】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); } rt { font-family Arial, Verdana, Helvetica, sans-serif; } /** Main table styling **/ #trackinfo, #lyrics { font-family Noto Sans JP , sans-serif; font-weight 350; } .track_number { font-family Rockwell; font-weight bold; } .track_number after { content . ; } #track_args, .amp_text { display none; } #trackinfo { position relative; float right; margin 0 0 1em 1em; padding 0.3em; width 320px; border-collapse separate; border-radius 5px; border-spacing 0; background-color #F9F9F9; font-size 90%; line-height 1.4em; } #trackinfo th { white-space nowrap; } #trackinfo th, #trackinfo td { border none !important; } #trackinfo thead th { background-color #D8D8D8; box-shadow 0 -3px #F9F9F9 inset; padding 4px 2.5em 7px; white-space normal; font-size 120%; text-align center; } .trackrow { background-color #F0F0F0; box-shadow 0 2px #F9F9F9 inset, 0 -2px #F9F9F9 inset; } #trackinfo td ul { margin 0; padding 0; list-style none; } #trackinfo li { line-height 16px; } #trackinfo li nth-of-type(n+2) { margin-top 6px; } #trackinfo dl { margin 0; } #trackinfo dt { font-size small; font-weight bold; } #trackinfo dd { margin-left 1.2em; } #trackinfo dd + dt { margin-top .5em; } #trackinfo_help { position absolute; top 3px; right 8px; font-size 80%; } /** Media styling **/ #trackinfo .media th { background-color #D8D8D8; padding 4px 0; font-size 95%; text-align center; } .media td { padding 0 2px; } .media iframe nth-of-type(n+2) { margin-top 0.3em; } .youtube + .nicovideo, .youtube + .soundcloud, .nicovideo + .soundcloud { margin-top 0.75em; } .media_section { display flex; align-items center; text-align center; } .media_section before, .media_section after { display block; flex-grow 1; content ; height 1px; } .media_section before { margin-right 0.5em; background linear-gradient(-90deg, #888, transparent); } .media_section after { margin-left 0.5em; background linear-gradient(90deg, #888, transparent); } .media_notice { color firebrick; font-size 77.5%; } /** Around track styling **/ .next-track { float right; } /** Infomation styling **/ #trackinfo .info_header th { padding .3em .5em; background-color #D8D8D8; font-size 95%; } #trackinfo .infomation_show_btn_wrapper { float right; font-size 12px; user-select none; } #trackinfo .infomation_show_btn { cursor pointer; } #trackinfo .info_content td { padding 0 0 0 5px; height 0; transition .3s; } #trackinfo .info_content ul { padding 0; margin 0; max-height 0; list-style initial; transition .3s; } #trackinfo .info_content li { opacity 0; visibility hidden; margin 0 0 0 1.5em; transition .3s, opacity .2s; } #trackinfo .info_content.infomation_show td { padding 5px; height 100%; } #trackinfo .info_content.infomation_show ul { padding 5px 0; max-height 50em; } #trackinfo .info_content.infomation_show li { opacity 1; visibility visible; } #trackinfo .info_content.infomation_show li nth-of-type(n+2) { margin-top 10px; } /** Lyrics styling **/ #lyrics { font-size 1.06em; line-height 1.6em; } .not_in_card, .inaudible { display inline; position relative; } .not_in_card { border-bottom dashed 1px #D0D0D0; } .tooltip { display flex; visibility hidden; position absolute; top -42.5px; left 0; width 275px; min-height 20px; max-height 100px; padding 10px; border-radius 5px; background-color #555; align-items center; color #FFF; font-size 85%; line-height 20px; text-align center; white-space nowrap; opacity 0; transition 0.7s; -webkit-user-select none; -moz-user-select none; -ms-user-select none; user-select none; } .inaudible .tooltip { top -68.5px; } span hover + .tooltip { visibility visible; top -47.5px; opacity 0.8; transition 0.3s; } .inaudible span hover + .tooltip { top -73.5px; } .not_in_card span.hide { top -42.5px; opacity 0; transition 0.7s; } .inaudible .img { display inline-block; width 3.45em; height 1.25em; margin-right 4px; margin-bottom -3.5px; margin-left 4px; background-image url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2971/7/Inaudible.png); background-size contain; background-repeat no-repeat; } .not_in_card after, .inaudible .img after { content ; visibility hidden; position absolute; top -8.5px; left 42.5%; border-width 5px; border-style solid; border-color #555 transparent transparent transparent; opacity 0; transition 0.7s; } .not_in_card hover after, .inaudible .img hover after { content ; visibility visible; top -13.5px; left 42.5%; opacity 0.8; transition 0.3s; } .not_in_card after { top -2.5px; left 50%; } .not_in_card hover after { top -7.5px; left 50%; } .not_in_card.hide after { visibility hidden; top -2.5px; opacity 0; transition 0.7s; } /** For mobile device styling **/ .uk-overflow-container { display inline; } #trackinfo.mobile { display table; float none; width 100%; margin auto; margin-bottom 1em; } #trackinfo.mobile th { text-transform none; } #trackinfo.mobile tbody tr not(.media) th { text-align left; background-color unset; } #trackinfo.mobile td { white-space normal; } document.addEventListener( DOMContentLoaded , function() { use strict ; const headers = { title アルバム別曲名 , album アルバム , circle サークル , vocal Vocal , lyric Lyric , chorus Chorus , narrator Narration , rap Rap , voice Voice , whistle Whistle (口笛) , translate Translation (翻訳) , arrange Arrange , artist Artist , bass Bass , cajon Cajon (カホン) , drum Drum , guitar Guitar , keyboard Keyboard , mc MC , mix Mix , piano Piano , sax Sax , strings Strings , synthesizer Synthesizer , trumpet Trumpet , violin Violin , original 原曲 , image_song イメージ曲 }; const rPagename = /(?=^|.*
https://w.atwiki.jp/henroy/pages/209.html
夢見ていよう(前編)◆gry038wOvE 第一回放送後──── ここの三人の集団の間では、また奇妙な亀裂が生じようとしていた。 五代雄介、西条凪、美樹さやか。三人の若者は、それぞれ性格もバラバラで、世界の特質もまちまちだった。そして、放送で呼ばれた知り合いの名前の数も。 「まどか……マミさん……」 美樹さやかという少女においては、それが最も謙虚だった。 彼女は大事な人を失いすぎたのだ。彼女の知らないところでは、彼女と最初に遭遇した虎の怪人も既に死んでいる。 親友鹿目まどかや、かつて眼前で死した巴マミ、いけ好かない魔法少女の暁美ほむらと、四つあった知り合いの名前のうち、三つがもう────塗りつぶされた。 本来なら死んだ人間の名前を塗りつぶすような惨酷な真似を、彼女はしないのだろうが、心の隅にあるもう一つの意思がそれをさせたのだった。 斎田リコがダークファウストとなり、自らの絵を薄暗く塗りつぶしたように。本人でさえ、普通に○をつけたようにしか思っていなかった。 そのまま、真っ黒で、見えなくなった名前が十八。 一見狂気じみた様子に、五代や凪は気づかない。精神的に動揺しているのは確かで、言葉をかけづらいと思うのみだった。 彼女がダークファウストであることにももちろん、気づかない。 「さやかちゃん……」 ともかく、五代が彼女の肩に触れた。かける言葉はないのだが、とりあえず何らかの形でこの空気を消し去りたかった。 だが、その手は払いのけられ、彼女は鬼気とした表情で、五代の面に向かい叫んだ。 「触らないで!!」 親友まどかの死、巴マミの二度目の死、暁美ほむらの死────そこから導き出されるのは、単なる悲しみだけではない。 マミやほむらのような魔法少女でも容赦なく殺されるこのバトルロワイアルの恐怖。自らもいつ死んでもおかしくないという絶望。 …………ここに逃げ場などなく、ただどう足掻いても生き残れないような、そんな失望。 そういえば、さやかは一度、虎の怪物に襲われ、死にかけていた(実はもうその虎の怪物さえ、この世にはいない)。 あの時から、もうさやかは死ぬ可能性を考えておかねばならなくなったのである。 「今は放っておきなさい」 「…………そうですね」 「何にせよ、放送も終わったし、ここで立ち止まっていてはならないわ。ともかく、設定した進路に向けて歩きましょう」 凪は、二人を促すように北の村へと歩き出した。 切り替えが早いようだが、それは彼女の特色のひとつでもある。 こうした行動は、素早く的確にやっていったほうが良いに決まっているからだ。 さやかという少女にも、極力なら悲しむ時間を取らせてはならない。それが、彼女にとっても命取りとなる。 それに、凪だって親しい人間の死がいかに辛いものなのかは、痛いほどわかっている。 両親のことだって、溝呂木のことだって……。 だからこそ、その悲しみや憎しみを糧に、ビーストを撃退してきた。 彼女だって、これからそうして生きていくこともできるはずだ。彼女は、自分の生き方を恥じたことはない。 まあ、五代ならばその生き方に批判的な意見を述べるだろうが。 (私たちは、死んだ者の無念を晴らして生きていくしかない……それしか、死んだ人間にできることなんてない。わかってるわね、美樹さやか……) 無論、さやかが自暴自棄になって殺し合いに積極的になるならば凪は撃つし、逆に極端にへこたれるだけならば、極力は保護したいがやむを得ず見捨てる可能性もある。 ゆえに、彼女には強く生きて欲しかった。 ★ ★ ★ ★ ★ また、こちらの二人も少しの動揺を見せているようだった。 村雨良と、響良牙である。 はっきり言えば、良牙の方はそこまで強い動揺は見せていない。不謹慎な話だが、照井竜の名前の次に巴マミの名前が呼ばれ、「天道あかね」が呼ばれなかったことに一瞬歓喜したくらいである。 無論、十八人もの命が奪われることは嘆かわしいと思ってるし、人並みの正義感を彼は有していたから、ここから先、これ以上の死者が出ないことを祈るのみだったが。 問題は村雨良のほうである。 「ミカゲ……」 呼ばれた名前が、ゼクロスのどこかを刺激する。 三影英介の名前は、彼にとって特殊だった。あの男は親友だった────。 記憶の中に在り続け、BADANの盟友だった男、三影英介。一度は死んだが、どういう事情でか彼はこの場にて蘇った。 まあ、改造人間である以上は、何者かがその残骸を回収して再生することもできるのだが、やはり傷を深く抉るような何かが、そこにはあった。 「本郷猛……」 親友を殺した仮面ライダーの名前も、ゼクロスの頭を駆け巡る。 この手で倒すべき男の名は、死者を告げる放送で呼ばれてしまった。 本郷猛と一文字隼人のダブルライダーは、彼の仇であった────三影を殺した男も同じだ。 事情を何となく聞いてはいるが、良牙は、その二つの死を悼む。 良と同じように。彼の思いを知っているがゆえに。 それから、 (シャンプー……やはり死んでいたか) その名前も胸に残った。一度、三途の川の向こう側へ逝きそうになった良牙を助けた(?)、例のシャンプー。あれは、ただの幻覚ではなかったようだ。 その時と同じで、シャンプーの死は結構割り切った態度で感じていた。 既に死を覚悟していたぶん、仕方がないことだと思っていたのだろう。 それでも、胸の奥でシャンプーとの微かな思い出も、切なく思い出されていた。 「良……知り合いの名前が呼ばれて残念だな」 「…………」 「正直言えば俺だってシャンプーが死んで、悲しい。……俺が覚悟していたよりも、ずっとな」 「悲しい…………そうか、これが『悲しみ』か」 涙は垂れない。ただ、垂れそうな気分だった。この気分こそが悲しみなのだと、男は理解する。 そして、全てを理解していく。だが、知識欲が満たされることはなかった。 そんな重苦しい表情の男を、良牙は同じように重く受け止める。獅子咆哮弾を使えたのなら、それは物凄い威力だっただろう。 「行くか、良」 「……」 「…………で、ここはどこだ?」 呪泉郷に向かうはずだった彼らの現在地は、既に森を抜けた村の近く────D-2エリアだった。 ★ ★ ★ ★ ★ 「…………二人とも、一度止まりなさい」 凪は、一度二人に制止をかけた。かなり前方に二人の人影があったからである。さやかと五代もそれに気づいたらしい。 二人とも男性────片方の年齢は平均して五代と同じくらい、もう一人が高校生ほどか。 何らかの形で協力し合っているのは確かだろうが、迂闊に接触しようとは思えない。 「念のため、警戒して」 「はい」 凪は、そう言って前方の二人のもとへとゆっくり歩いていった。 手元には銃を構えており、一応相手への威嚇を準備した状態である。 まあ、五代とであったときのように、銃を突きつけながらではなく、一応は普通に接し、不審な要素が見られた時のみこれを使う形にしたい。 「…………そこの二人、ちょっといいかしら」 三人は、二人の男性に歩み寄ると、殺し合いの最中などでなく、道を聞くような心地で彼らに接触した。 「……あんたは?」 「私は西条凪、彼が五代雄介、彼女は美樹さやかよ」 「そうか。俺は響良牙、こっちが村雨良だ」 放送で動揺していない者同士が、軽く言葉を交わす。 何かがぶつかり合うこともなく、また冗談のようなやり取りもない。 ただ、淡々とした会話で、交流というには余所余所しかった。 「……私たちは今、情報を欲しているわ」 「そうか。俺もまず一つだけ聞きたいことがある」 「何?」 「………………ここはどこだ?」 良牙は、非常に生真面目な表情で聞いた。 凪は、その質問にできる限りストレートに答えた。 「私たちは、教会から北に向かった。そして、今ここからは村も見える。つまりここは、おそらくD-2エリアよ」 「そうか。…………くそぉぉぉぉ! いつになったら呪泉郷にたどり着けるんだ!!」 「……あのさ、呪泉郷って、ここから結構離れてるよね?」 五代が口を挟む。良牙がどういう道筋を歩んできたかはわからないが、呪泉郷はここからだいぶ離れているようだった。 おそらく、彼はかなり出鱈目な道を歩んできたと見える。 少なくとも、こんなに嘆くほど呪泉郷を捜し求めた人間が、こんなにここにいるのは不自然だ。 「俺は川沿いに歩いてきたはずだが」 「…………どこに川が?」 「……」 見渡す限り、川はなかった。 冒険家の五代や軍人の凪ならば、おそらく森であっても迷うことはない。 だが、良牙という男はかなり特殊で、何が何であれ、どこでも道に迷う方向オンチだったのだ。 ゆえに、五代と凪はこの男の行動が何とも理解しがたかったのだろう。案内でもできればよかったのだが。 「……まあ、村雨さん、響くん。とにかく情報を交換しましょう。何か手がかりがあるかもしれません」 「……そうだな」 ともかく、五人は情報交換をすることに落ち着いた。 村は近いには近いのだが、できうる限り早めに情報交換を済ませておきたいので、ともかくはここで立ち止まってだ。 向かう方向も違うので、歩きながらというわけにもいかない。 「まずは、あなたたちが何らかの特殊能力を持っていないか……そこから聞きましょう」 「特殊能力?」 「変身能力と言うべきかしら。要するに、何かに変身する能力をもっていないか。そこから聞いていきたいわね」 彼女の言葉に、良牙は驚いた。 呪泉郷出身者や、仮面ライダーのことを言っているのだということが、すぐにわかったからだ。 やはり、この場にはそういう特殊な人間が山ほどいるらしい。少なくとも、一人くらいはそういう人間に遭遇しているから、こういう質問をしてきたのだろう。 天道あかねのように、変身能力も有していない少女は珍しいようだ。 「……ああ。俺は、まあ……。コイツも……うん」 極力、子豚の姿になることなど言いたくはなかったし、良牙は言い渋っていた。 ゼクロスのことに比べると、良牙の姿は男として情けない。実際、子豚になった方が戦闘能力は下がるのだし、デメリットばかりが大きい能力である。 情報を出し渋る態度を示した良牙を、凪は警戒しつつも、言う。 「図星のようね」 「図星っていうか、まあ……俺たちは確かに変身能力を持ってる。…………だ、だが! あんたたちはどうなんだ!?」 やや逆上した様子を見せ始めた良牙に対し、より警戒心を強めた凪は、情報の提供を停止しようかと想った。 このまま大した情報も得られずに彼らを手放すのは何だが、それでも比較的マシといえよう。 変身能力について触れたくないということは、バイオレンス・ドーパントに変身していた可能性だってゼロではない(まあ、凪たちの顔を知っていたようには見えなかったが)。 何にせよ、対等な関係で情報を交換し合うことはできないように思えたのだ。 まあ、話すとするなら危険人物の情報くらいだろう。 変身能力の有無についての情報を開示できるわけが……………… 「俺は変身できますよ、クウガに」 だが、そんな凪の思考を押しのけるようにして、五代が堂々とバラしてしまう。 何を考えているのだろうか。軽いノリで、笑顔を見せたまま、敵かもしれない男に自らが変身能力を持つことをバラしてしまう。 勿論、五代は他二名のことまでべらべらと話すほど馬鹿ではなかったので、あくまでクウガのことしか情報を与えない。 「クウガ……?」 それに反応したのは、後方にいる無愛想な男────村雨良であった。 彼は変身能力をもつ者がいることに、反応を示し、その名称も気がかりのようだった。 他の情報には大きな興味関心を抱いていないのに、変身能力と聞くと黙ってはいられまい。 ────カメンライダー、の可能性があるからだ。 「クウガ……なんだその動物は? いや、ゼクロスとかエターナルみたいなものか?」 「クウガは、えっと…………未確認生命体第4号って呼ばれてるんですけど、誰か知ってます?」 「……いや」 「俺も知らない」 「そうですか…………なら、ここで実演してみれば」 未確認生命体が凪にとっても知らない存在だったことを思い出す。少なくとも、この場に自分と同じ世界の出身者はいないらしいことも理解した。 ともかく、クウガとはどんな存在なのかを説明するためえに、五代がその両手をお腹の前に持ってこようとした時、きつい女性の声が響いた。 「やめなさい!」 凪が遮ったのである。 無論だが、無闇やたらと異形の姿に変身して良いものではない。第一、仮面を被っては余計に敵だか味方だかわからないのだから、警戒心を持たれる。 そのうえ、何度も変身すれば、その力に侵食されていく可能性だって否めない。 そんな凪の意図を汲み取り、五代は笑顔で頭を掻いた。 (まあ、要するにお互い変身する能力があるみたいね。元々変身能力はなかった私にも、ガイアメモリが支給された……) 本来、相手に話すべき情報をここでは伏せる。さやかのことも同様だ。 互いが心を許さない限り、綺麗には纏まらないのだ。 情報を開示するのは、好き勝手にベラベラと喋る五代だけでいい。 「……あなたたちは、これからまた呪泉郷という場所に向かうつもり?」 「ああ。その通りだ」 「それならば、また別行動ね」 変身能力を有する二人に、保護は必要ないと感じたのだろう。 それ以上に、こうして不安定な面子が増え続けると、それはそれで厄介になると考えた。 内側からチームワークが破壊され、勝手に崩壊していく場合だってある。 「一緒にならないんですか? ほら、大勢の方が色々と便利だし」 「確かにそうね。……けど、あまり人を集めすぎると、今度は内側からチームが崩壊することもある。 特殊部隊とは違う。ここにいる人は、行き当たりばったりのチームしか組めない以上、慎重に行動しなければならない」 「その人の言う通りだ。俺たちも他の仲間は必要ない」 良牙と村雨は、少なくとも五代のようなタイプとは違った。 確かに、戦力は必要だと思ってはいるが、互いが互いの能力にある程度の信頼を置いているからこそ、他の仲間を必要としないのである。 反面、凪たちのチームはそうした信頼関係よりは、各々が役割分担をした即興のチームであるがゆえ、確かに戦力面では問題も起こる可能性が高かった。 とりあえず、凪は目の前の二人の命に忠告を入れておくことにした。 いくら信用の足らない相手とはいえ、危険人物の情報くらいは開示してもよいだろう。 「別れる前に、危険人物については伝えておくわ。溝呂木眞也には要注意。それから、バイオレンスのメモリのドーパントと、白い虎の怪人にも警戒しなさい」 「そうか。なら、俺も伝えておく。仮面ライダーエターナルには警戒しろ」 ──白い、虎の、怪人。 そんな言葉が、村雨の脳裏に引っ掛かった。 少なくとも、タイガーロイドのことではないのだろう。────村雨の知っている彼は、黄色い毛皮だった。 三影に出会ったのならば、少なくとも「白い」という捕捉は不要で、「虎の怪人」とだけ言えばいい。 なのに、わざわざそういう脚注を入れたあたり、どうやらタイガーロイドのことではないのだろうと、彼は解釈した。 「…………俺たちはもう行く。急いでいるからな」 「そう。気をつけなさい」 「そうそう。呪泉郷はそのまま真っ直ぐ歩けば着くはずだから」 「わかった」 五代としても、真っ直ぐ進むだけならば迷わないとでも思っているのだろう。良牙も(一応)そうだ。 良牙は快く返答した。村雨の進路も、彼と同じである。 さて、二人はこのまま再び森に戻っていくわけだが、ここで村雨は当人も気づかぬままやり逃したことがあった。 まず、白い虎の怪人をタイガーロイドと切り離して考えたことである。 さやかはその怪人の変身前の姿も知っているのだから、詳細な情報を得ることができれば、彼は三影の動向について知ることができた。 ────まあ、既に死んでいるわけだが、それによって、凪たちも怪人の死を知ることができたはずだ。 彼らの距離は離れていく。その背中を、深刻な表情で見つめる少女がいることさえ気づかずに。 ★ ★ ★ ★ ★ さやかは、先ほどの二人が歩いていく背中を見送っていた。 結局、一言も会話を交わすことはなく別れた。…………まあ、色々と思うところもあったし、まだショックが強かったため、積極的に話す気になれなかったせいもある。 ──────彼らも変身する。 それが怖かった。 自分がその全てをかけて変身した魔法少女────それに見合うだけの強力な存在のはずなのに、それを凌駕する存在があるかもしれないということが怖かった。 だけど、魔法少女なんて結局、こうしてみればちっぽけな存在でしかないのだ。 本気で挑んだって、彼らに叶うのかもわからない。下手すれば、何もできないまま……。 じゃあ、自分は何のために魔法少女になったのだろう。 幼馴染の願いを叶えるためだけだったのか……。魔女の戦いなど、否定されて然るべきオマケだったのだろうか。 マミは何のために死んだのだろう。さやかは何のために魔法少女になったのだろう。 …………あんなにも命をかけたのに、大したリスクを負わずに変身ができる人間がいるなんて不平等だ。 (……もっと、力が欲しい。魔法少女の力を証明できる力が……) ああやって、何人も魔法少女みたいな存在がいる。 何のリスクも負わずに変身能力を有した者もいるのではないか────そう考えると、嫉妬さえ覚えた。 さやかはこの変身のために、こんなにも色んなものを失ったのに。 そのうえに、その「何のリスクもない変身者」が魔法少女より強かったら……。 ★ ★ ★ ★ ★ (面白い…………面白くなってきたぞ…………!) 溝呂木は、ついに「好機が来た」と思った。 そう、今まさに、さやかと他参加者の接触が行われているのである。 ただ、すぐに殺してしまうのは忍びないので、タイミングを見計らっているだけであった。 それからしばらくし、参加者同士の会話が終わり、解放される。 どうやらあそこで凪たちが出会った二人の参加者は、凪たちと共に行動するわけではないらしい。 その一連の様子を、溝呂木は覗いており、そして笑みを浮かべていた。 (…………お前の好きなように暴れろ!) さやかの心に乱れが生まれていたのである。 さやかは、五代たちとの出会いによって、安定しているかのように見えた。 だが、放送から先はそういうわけにもいくまい。 仲間の死を伝えられた後、彼らとの接触によって何か言い知れぬ感情の乱れが生じた。 ファウストの意識を、溝呂木が展開させる────。 そう、再び戦いが始まるのである。 ★ ★ ★ ★ ★ トクン… トクン… トクン…… 美樹さやかの鼓動が、大きな音を鳴らし始めた。 ────いや、聴覚機能が下がり、周囲の何も聞こえなくなっただけなのだ。 目も見えない。だから、周囲から見てみれば、彼女の瞳孔は死んだように開いている。 世界が真っ黒に染まり始めた。 (あ、あれ…………なんだろう、これ…………) ただ、意識だけは少しだけあった。 自らの異変を、異変と感じられるだけの意識は。 それが消えるのは、次の瞬間である────。 (え──────) さやかは、そのまま自分が沼に落ちていくような感覚に陥った。そして、そのまま意識を葬った。 実際は違う。 この現象の答えは単純であった。 さやかがさやかでなくなる。──────ダークファウスト、その意思のめばえであった。 ★ ★ ★ ★ ★ 「さや、かちゃん……?」 五代は、様子がおかしくなったさやかに一声かける。名前を呼ぶ途中、躊躇ったように、何もないところで区切った。 それは、ただ単純に、さやかに声をかけずらかったからだ。 明らかに瞳孔が開ききったさやかの姿は、まるで死んだようであり、さやかと呼んでいいのかを一瞬迷うほどに、生気がなかった。 「ハッハッハッハッハッハッ……………」 さやかの声で、奇妙な高笑いが聞こえた。その声は、既にその場を去ろうとしていた村雨と良牙にもはっきりと聞こえ、彼らは流石に気になり、振り返る。 その時──── さやかの顔に、何か妙なビジョンが重なった。人間のものではない。 黒い複眼と、二つに分かれた奇妙な頭、銀色の鉄面皮────それが、さやかの顔の上から、現れてくる。 『フハハハハハハハハハッ…………!!』 さやかの声は、野太い男性の声になる。次に彼らの目を引くのは、結果的に彼女の変貌した姿である。 闇の中から現われた彼女は、ダークファウスト────闇の道化師の姿なのである。 男性の声、不気味な容貌、いずれもさやかとは全く別人であることを証明していた。 咄嗟の出来事に、五代や良牙は固まったが、ただ一人だけ、すぐに行動できる者もいた。 「どうして、こいつが……クッ!」 凪は、さやかの姿の変貌に驚愕し、そして銃を構え、躊躇わずに一発、至近距離から弾丸を撃った。 かつて倒したはずのダークファウストが、突然目の前に発現したのが、彼女としては衝撃的だったのだろう。────仲間の孤門を襲った最大の悲劇・斎田リコの死とダークファウストのことも。リコではないダークファスウトというのが、そもそもおかしいように思えた。 しかし、こんな突然の出来事にも、冷静に対応しきることができるのが、彼女であった。 先ほどまで、ファウスウトは目の前にいたさやかだったというのに、その引き金を引く指には、一瞬の迷いさえない。 パァンッ! 乾いた銃声が鳴る。 だが、その銃撃は、ダークファウストの手のひらで弾かれてしまう。 『西条凪…………貴様は最後だ』 だが、その銃撃に、ダークファウストは言葉で反応を示した。 ダークファウストの中から聞こえた声に、凪は戦慄を覚える。 既にダークファウストを知っているがゆえ、このビーストの性質を知っている。 ウルトラマンの影の存在たち──ダークウルトラマンたちは、意思の疎通を行い、そして周囲に語りかけることもある。 そして、そのダークファウストが名指ししたのである。 ────貴様は最後、即ち「最後に殺す」と。 いくばくの焦りを感じた彼女は、傍らで呆然とする男に指示する。 「五代、あなたも変身しなさい!」 「は、はい…………わかりました! ────変身!!」 五代は普段の変身ポーズを取り、その姿をクウガへと変身した。 その間に、凪は後方支援体制を取れるよう、数歩下がる。このままだと、ファウストの手の届く距離にいることになってしまうのである。 前方を五代、そして後方を凪というのがこの二人の基本的な応戦体制である。 「良、なんだかわからんが俺たちも戦うぞ!」 「…………あれが、クウガか!」 良牙は既に前に向かって走り出していた。 一方、良は冷静にダークファウストとクウガを見据え、仮面ライダーゼクロスに変身する。 「────変身!」 五代に倣うようにそうつぶやいたゼクロスとなった良の姿は、仮面ライダーとしては何かが欠落していた。 だが、この場の助っ人としては、充分に豪としていた。 「はぁっ!」 クウガは、マイティフォームのまま、前方の怪人をひたすらに殴り続けた。 腹や肩など、極力は顔を狙っていない。しかも戦いというには、何か心に言いしれぬ抵抗感を残したままである。 そう、ファウストのことなど知らない五代にとって、これはまださやかだから、迂闊なことはできない。 あれだけ人を殺す存在になることを恐れたさやかなのだから、殺されないように戦っている。────勿論、彼女を殺しもしない。 彼女がさやかの意思とは無関係に攻撃をしかけていることはわかっている。 だが、彼女を救うために、クウガは彼女の目を覚まさせる方法を探しながら戦っていた。 「マイクロチェーン!」 だが、そんな甘い五代とは別の次元で生きているゼクロスが、別所から割り込んだ。 一切の躊躇なく、手の甲からマイクロチェーンを発射し、ファウストの体に電撃を送り出した。────まあ、彼も殺しを目的としているわけではない。ただ、目の前の怪人を撃退することには、大きな抵抗はなかっただけである。 突如として全身に電撃が走ったファウストは、思わず雄たけびをあげずにはいられなかった。 元々、ダークファウストは強い戦士ではないのだから。 『ぐぁぁぁっ!』 「衝撃集中爆弾!」 マイクロチェーンを仕舞うと、次はクウガさえも巻き込まぬ勢いで、衝撃集中爆弾を投げ込む。────いや、むしろクウガを巻き込んだ方が都合が良いと考えたのである。 何故なら、クウガの外形は、まさしく「カメンライダー」と酷似していたから────。 ベルトを使った変身や、変身ポーズ。赤い複眼や、ストロンガーのような角。むき出された筋肉など────。 その要素は、ゼクロスの知る仮面ライダーと何ら変わりがない。 つまるところ、ファウストと同時に撃退する相手であるとも思えた。 『ぐっ…………』 「うわぁっ!」 だが、衝撃集中爆弾が爆発する寸前の所で自らの前方にダークシールドを展開したファウストは、救われる。 一方、自分に向かってきた爆弾と、ダークシールドにぶつかった爆弾の誘爆を同時に受けたクウガが、少しひるんだ。目前の行動もかなりぶれている。 無造作に投げ出された爆弾の数々は、流石にクウガにも効いた。 それだけでなく、近距離にいた凪や良牙も、危険に曝されるところであった。────まあ、それはゼクロスの計算によって、危険に曝されないよう調節されていたのだが、実際に近くで爆発を見た二人からしてみれば、そんな様子には映らない。 (あいつの攻撃、見境がない……!) (危ねぇ……っ!) ゆえに、二人はまた少し後退する。もしかすれば、こうして生身の人間を突き放すことも、ゼクロスの目的だったのかもしれない。 特に良牙などは、折角参戦したのに、生身ゆえ近付くことさえできないのは気が重いことだろう。 『おのれ……!』 ダークファウストは、ゼクロスに向けてダークフラッシャーを次々と発射する。 闇の弾丸の数々が、まるでゼクロスに先ほどの衝撃集中爆弾のお返しでもするかのようにゼクロスの周囲を爆破しまくる。 ファウストは、それにひるんだゼクロスが一切攻撃をして来ないだろうと睨み、今度は眼前のクウガの体を狙った。 『死ねぇっ!』 ファウストは手を真っ直ぐ、クウガの方へと伸ばした。 かなりの近距離で、衝撃集中爆弾の威力の残滓を受けるクウガに、今度は、ダークレイ・ジャビロームが浴びせられる。 すると、クウガの体は後方に十メートルほど吹き飛ばされて転がってしまった。 クウガ、ゼクロスのいずれも、このタイミングでは地面に伏しており、立っているのはファウストと生身の人間だけであった。 (ぐ…………折角、「俺たちも戦うぞ!」などと言ったのに何もできん…………。 恥ずかしい、そして気が重い……気が重い……気が重い…………!!!!!!) 一方、その頃良牙は、再参戦を無意識下に狙っていた。 そう、彼の特技は何も、その打たれ強さと身体能力だけではない。 接近戦でなくても、使いようのある技があった。 気のコントロールも、一応はその能力のうち。────重く、そして、強い一撃がここに完成する。 「獅子咆哮弾!!」 ファウストは、まさかの生身でのビームに驚愕し、そのまま獅子咆哮弾に飲み込まれてしまった。 これには凪も驚きを隠せない。あれは身体能力などではない、只の化け物の技だ…………と。 「やったか!?」 見てみると、ファウストが強いダメージを受けて、片膝をついて座るように良牙を睨んでいた。 どうやら、攻撃は充分に効いたらしい。クウガやゼクロスとは違い、生身の良牙に対し、ファウストも少しの油断をしていたのである。一切の予備動作をせず、獅子咆哮弾はファウストにクリーンヒットした。 ファウストでなくとも、おそらく良牙の能力がこれほど高いことなどに気づかないだろう。 (や、やったぞ……! 今度は役に立った) だが、その直後の、この気の抜けようである。じーん、という効果音が聞こえそうだ。 おそらく、これではすぐには獅子咆哮弾は使えまい。 「ゼクロス・キック!」 そんな良牙のダメっぷりを補うが如く、誰からも目を離されていたゼクロスが上空から風を切って真っ直ぐファウストの方へ蹴りの体勢に入っていた。良牙以外の全員は、良牙があれだけの体術を持っていたとは知らなかったので、そちらに目を奪われてしまったのだろう。 ファウストらがゼクロスの起立と跳躍に気がついたのは、掛け声が聞こえた時である。 だから、ゼクロスの掛け声は、かなり不意だった。 ゼクロス・キックは調整不足だが、敢えてこの技を選択した理由がある。 ゼクロスは感情を表に出しはしないが、決して冷徹無比ではない。ダークファウストが女性であるようには思えなかったし、弱っているファウストが相手ならば撃退に使えると思ったのである。 ────それに、特訓とやらの前に、もう一度ゼクロス・キックを試してみたいと思った。 『何…………!』 突然の不意打ちに、ファウストは固まる。 ファウストは、上空からやってくる攻撃を、避けることもできないまま待っていた。────ダークシールドを展開するための動作もできないし、その攻撃の様子に目を奪われた。 ゼクロスの土踏まずが己の眼前に向かってくるのを、じっと見て、そして動かぬ体をどうしようかと、あがこうとしている。 ファウストがどれだけあがこうが、これは自由落下に任せた動作である以上、誰にもどうしようもないのである。 時系列順で読む Back 外道【ドーパント】Next 夢見ていよう(後編) 投下順で読む Back 外道【ドーパント】Next 夢見ていよう(後編) Back 悪魔は笑う 溝呂木眞也 Next 夢見ていよう(後編) Back 悪魔は笑う 美樹さやか Next 夢見ていよう(後編) Back 悪魔は笑う 五代雄介 Next 夢見ていよう(後編) Back I am(後編) 響良牙 Next 夢見ていよう(後編) Back I am(後編) 村雨良 Next 夢見ていよう(後編) Back 悪魔は笑う 西条凪 Next 夢見ていよう(後編)
https://w.atwiki.jp/ameba_pigg/pages/3054.html
絶対に負けられない首巻タオル tvasahi_wc_towel_*_1005.swf abe, hasebe, nagatomo, nakamura, nakazawa, okazaki 六本木 テレビ朝日ランド 絶対に負けられないエリア パソコン ファッション その他 男女共通 100アメG http //ameblo.jp/pigg-staff/entry-10540903851.html
https://w.atwiki.jp/naoma/pages/15.html
年を重ねた男性にありがちな悩みとして、薄毛に関する悩みがあります。若い時にはいかに髪の毛でおしゃれを楽しむのかといった経験をしてきた方であっても、年を重ねる度に後退していく生え際や、細くなっていく髪の毛を見て、整髪剤ではなく育毛剤を手に取る機会は訪れるものなのです。しかし、育毛剤には数多くの市販製品があるため、どれを利用すればいいのかがわからないものでもあります。 br/ br/ br/ そこで、育毛剤を選ぶ際には、まず口コミ型の育毛剤ランキングサイトを参考にするのがおすすめです。どういった育毛剤が売れており、どれだけの方に愛用されているのかが一目瞭然としてわかるためです。またどれくらいの効果が実感できるのかといった点も口コミ投稿されているため、より多くの意見を参考にして、利用する育毛剤を選ぶこともできるのです。