約 4,895,004 件
https://w.atwiki.jp/kara17/pages/22.html
カラオケ店ではタンバリンやマラカスといったいわゆる「鳴り物」が置いてあったりします。こういったアイテムは場を盛り上げるのに効果的だといわれ、主に若者の間で利用されています。しかし使い所が難しく、テンションが上がりすぎてカラオケの音楽までもかき消してしまうことがあります。絶妙な力加減を要する鳴り物は上級者向けのアイテムだと言えます。 できれば使用しない 慣れるまではヒトカラで練習しておくことがいいでしょう。慣れないうちから鳴り物に手を出すとたまに痛いしっぺ返しが帰ってきます(よくわからない曲のイントロ部分で盛り上げようと鳴り物を使った次の瞬間、バラードが流れ出したなど…)。そのようなことが起こりえるため、なるべく触らないようにしましょう。 歌っているときは音を添える程度に あくまで鳴り物は演奏とは別のものであるため、メンバーが歌っているときには鳴り物は控えめにするようにしましょう。「盛り上げるのはあくまで伴奏の部分」と言う鉄則を常に頭の中に入れておきましょう。 関連項目 第6条 無理に盛り上げようとしない。
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1127.html
539 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 02 33 ID 7DA+A1Ja 壁一面には賞状やら勲章やら写真が並んでいる。 英語や露語、その他良く分からない様々な言語が並んでいる。 けれど、これらは全て一点で共通している、どれもその持主の才覚を称えているということだ。 星司が居なくなってから1ヵ月後、私は最後の希望であるこの研究室に来ていた。 「やあ、お待たせしたね、申し訳ない。思った以上に会議が遅れてね。」 その言葉に振り向く、そこには私にとっての希望となる人が、ってあれ? なんで被害者側の子が居るの? そこにいたのは私の最後の希望ではなく、なんというか・・・・・・。 ・・・・・・まあ、その、つまり、要は、完璧にロリ。 うん、そう、素晴らしいくらいに金髪ロリ。 しかもオプションで丸めがねがついてる、なんていうか、すみません。 540 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 03 06 ID 7DA+A1Ja 思わず切り抜いた新聞記事と目の前の少女を見比べる。 そこには如何にも才女という美人弁護士(2×)と「勝訴!!」 という紙を嬉しそうに持つ被害者の親戚の少女(1×)の姿が間違いなくあった。 「ん、ああ、その記事か。 それはね、馬鹿な新聞記者が僕と依頼人を取り違えて紹介しやがったのだよ。 しかも、よりによって全国ネットでな。」 そう言って切り抜きを私から引ったくり、びりびりと破く。 「ちなみにだ、その記者は翌日からシベリア支局に栄転となった。 ほら、天気予報の横に有るだろ『本日のシベリア杉』、あれを1人で担当しているそうだ。」 その記事ならば見た事が有る。「本日の本数:○○本」と小さく書いてある記事だ。 今まで何の意味があって載っているのか分からなかったが、この人のせいだったのか。 「まあ、そういうわけで僕が正真正銘の、糸川 エリス、君がお探しの理工学者兼××大学長兼弁護士だ。 弁護士については副業だがね。いや、昔、司法試験も取っておいて正解だったよ。」 立派な革張りの椅子にちょこんと腰掛ける。 その姿は職員の子が遊びに来ているようにしか見えず、欠片ほどの威厳も無い。 541 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 03 32 ID 7DA+A1Ja 「さて、ここに来たという事は奴隷法絡みの事件だね?」 「ええ、そうです。私の夫がいなくなってしまって・・・。」 私、雪路 紅葉(ゆきみち もみじ)には星司(せいじ)という夫が居た。 それから彼の姉の雪路 夜宙(ゆきみち よぞら)。 1男2女というちょっと奇妙な生活ではあったが楽しい日々だった。 なのに、1ヵ月前に2人が消え去り、私の手元には一枚の紙だけが残った。 『奴隷契約の成立による婚姻関係の解消及び経緯に係る説明書』 その紙には、星司が私の知らない間に有名な財閥系企業群シス・コンティネンタルグループ傘下の金融機関から 突然多額の借金をし、その返済の為に知人に対して自身の売買を申請したこと。 しかし、売買を知った姉の夜星が競売に急遽参加し落札、事なきを得た。 なお、夜宙はNGOの聖姉妹救済協会より資金支援を受けており、現在は星司と共に同協会の保護下にある。 帰還の準備が整い次第住居に戻るとあった。 私はこれを読んで驚愕した、信頼していた星司が私に何も言わずに多額の借金をしていた事、 そして何の相談も無しに奴隷契約を結ぼうとしていた事に。 だが、最後まで読んで安堵した。あの聖姉妹救済協会が味方してくれたのだから。 542 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 03 52 ID 7DA+A1Ja 聖姉妹救済協会はこの国の奴隷制度に断固として反対しており、 兄弟が売買の危機に陥った姉妹にはいかなる事情でも即日、無利子、無期限で融資してくれる、実質は無償贈与だ。 そして、奴隷となった者にだって、買い戻し金の融資や解放運動等の強力なバックアップを行ってくれる。 さらには、周囲の目が気になる被害者達の為に新たな住居・生活まで支援してくれるという大規模NGOだ。 その影響力は政財官に浸透しており、会員の中には国会議員や大企業のトップも少なくない。 当然だが、協会の活動によって今日まで救われた奴隷・奴隷候補の数は計り知れない。 私はもはや星司は救われたもの安堵し、協会からの連絡を待った。 だが、2週間経っても連絡は来ない、いや、一度だけ星司から来た。 その言葉は「紅葉、姉さんが、助けて・・・。」のみですぐに切られてしまった。 聖姉妹救済協会に連絡を入れたが、被害者保護の名目の元に何も教えてくれなかった。 私はすぐに警察に相談した、けれども、警察は聖姉妹救済協会を信じなさいとしか言わなかった。 弁護士にだって当たってみた、しかし、誰もが聖姉妹救済協会と奴隷法だけはやっても勝てないからと断られた。 そんなときに一枚の新聞記事を図書館で見つけた。 『弁護士 糸川 エリス氏、奴隷法に基く競売の無効判決に成功、我が国初の事例』と。 そして、私は最後の希望として彼女を訪ねた。 543 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 04 13 ID 7DA+A1Ja 「成程、僕が勝った時と全く同じケースだよ、それは。」 「でしたら、何とかなりますよね?」 「いや、残念だが、そう簡単には行かないんだ。 前僕の使った手は奴隷法の盲点の盲点を付くような方法でね、 それで何とか取引を無効に持っていったんだが、ふん、その1週間後に法改正をされて穴を埋められた。」 「でも、この法律は元々半分死文化しているって聞きましたが?」 「ああ、そのはずなんだがね。僕も調べてみたんだが、どうも奴隷法というはおかしな法律でね。 大まかに言えば、買取を申請した人間には厳格な審査や制限が有るのに、親族に対しての制限はほぼ無いように出来ている。 例えばだが、申請者は申請時以上の金額を法廷に持ち込めないという半ば強制の慣習が有るんだが、 一方で親族にはそんな制限は無いし、それどころか事前に申請者の金額を知る事もできる。 言い換えれば、もしも親族が売買に参加し、十分ま金さえあれば確実に買い戻せるようになっているんだ。 そして穴があれば瞬時に改正される、なんでも今回は与野党一致だったそうだ。」 与野党が一致、官庁で使う鉛筆の本数ですら1ヶ月では纏まらないあの国会が? 「不思議だろう? それから君の旦那さんが借金をしたシス・コンティネンタルグループなんだが、 例の聖姉妹救済協会、ふん、中世の救出教会みたいなご大層な名前だよ全く、そこと関連が深いグループだよ。」 「え、だって、あの協会は奴隷解放を目指していて、なんでその協会が奴隷売買を促進するんですか!?」 544 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 04 41 ID 7DA+A1Ja 「まあ、落ち着きたまえ。おや、いかんな、僕とした事がお客さんに冷たいものも出さないとは。」 そういって、エリスさんはぱたぱたと冷蔵庫に飲み物を取りに行く。 失礼かもしれないが、お母さんの留守にお手伝いをする子みたいで可愛い。 きっと、サイダーの瓶とかを持って来ておいしそうに飲むんだろうか。 そう思うと、ちょっと頬が緩んでくる。 「いや、お待たせしたね。実は例のシベリア杉の記者からいいお歳暮をもらってね。」 来た来た、そんな嬉しそうな彼女の手には、綺麗なウォッカの瓶が・・・・・・、ウォッカ? ちなみに瓶のラベルには赤いインク?で「もう楽にして下さい。」と書いてある、本当にお歳暮なのだろうか? 「あの、それって?」 「ん、ただの水だよ、シベリアのおいしい水。 Volka、ロシア語で命の水、ちなみにラテン語で命の水はAqua Vitaeとなる。 さらにAqua Vitaを英語に持っていくとElixirとなる、万能薬だよ。なんともご利益のありそうな名前だろう? 個人的な持論だが、僕はウォッカこそが数多の錬金術師が求めたElixirだと固く信じている。 ロシア人を見たまえ、あっちの放射線漏れ対策マニュアルにはなんて書いてあるか知っているかい? まずウォッカを飲め、そして全部忘れろ、だ。 さらに軍用レーションにだってウォッカがある、何でも飲むと機関銃が当たっても大丈夫になるらしい。 いや流石は米国と世界を二分にした大国のテクノロジーだよ、すばらしい。」 そう言って、トクトクと楽しそうに氷の入った二つのグラスにウォッカを注ぐ。 待て、私にもそれを飲ます気なのか? 「あの、私は『普通』の水で良いです。」 「普通の? 割り水があったかな、うん、確か。 あまり使わないからどこにあるか忘れたけど。 ったく、人の飲物を勝手に割って嫌がらせをする馬鹿が居ないからな・・・・・・。」 いえ、その人多分健康を気遣ってくれたんだと思いますよ? またぱたぱたと冷蔵庫に飲み物を取りに行くエリスさん。 ちらりと見えた表情は寂しげだった。 545 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 05 08 ID 7DA+A1Ja 「さて、飲み物も出た。話を続けようか。」 つまみは無い、グッと一息にウォッカを飲み干す、叩きつけるようにグラスを置く。 その動作一つ一つが実におやじ臭い、と思う。 結局、普通の水は無かったらしく、私のグラスの中身は水道水だ。 これからこの弁護士で大丈夫なのだろうか。いや、他に当てなんて無いけど。 「件の聖姉妹救済協会だがね、あそこの関連議員をよく見てみたまえ、 一度として奴隷法廃止法案を出した者はいない。それどころか改正には常に賛成している。 他にもね、会員が兄弟を買い戻したなんていう話はざらなんだが、まあそこは良い。 ところが、そこから開放奴隷になったという話は全くと言って良い位無い、いや、実に面白いだろう。 そしてさらに調べて見るとだがね、この協会を作ったのは×××首相なんだよ。」 ×××首相、だがそれはおかしい、だってこの法案を作ったのは・・・ 「そう、わが国最年少にして初の女性首相、偉大なる×××首相だ。 そして奴隷購入者第一号も×××首相で対象は彼女の弟となっている。 どうかな、そうやって奴隷法に聖姉妹救済協会を繋げて見たまえ。 協会の関連企業が人身売買の原因として借金を作らせ、協会が姉妹に金を与える、 そして、姉妹はその金で奴隷法に基き兄弟を買い上げる、 協会が保護と称して彼女らを周囲から切り離す、金は企業への返済を通じて協会に戻る。 すると、兄弟が買い上げられるだけで他は何も変化していない、という訳だ。 まるで姉妹が兄弟を奴隷にする、そうゆう巫戯けた目的のシステムに見えてこないかね?」 鋭い視線が私を射さす。 そこに座っているのは酔いどれつるぺた幼女などではなく、確かに非凡の才女だった。 「まあこれは余談だが、×××首相の経歴は実に凄いよ。 何の地盤もスポンサーも持たないたった一人の若者が、政党を乗っ取り、 裏で表で次々と政敵を排除し、議員初当選と共に首相にまで上り詰め、斜陽だった我が国を救う。 そして、その圧倒的な支持を背景に力ずくで奴隷法を成立させた。 この間にどれだけの時間が掛かったと思う? 彼女が被選挙権を得てからたったの2年だよ。 それだけのカリスマと能力を持った彼女は奴隷法成立と共に姿を消した、完全にね。 そして、残されたシステムは彼女の同志達によって未だに機能し続けている、これがこの国の下らない現状さ。」 呆然とする。 なぜその人はそれだけの才能を持ちながら、こんな壮大で馬鹿げたシステムを作り出したのか、 何よりもそんなものにどうして星司が巻き込まれなくてはならないのか、私には理解ができない。 「あの、それで・・・、星司・・・・は無事・・・ですよね?」 震える声で尋ねる。 「まあ体は無事だろうね、きっと。 残念ながら、うん、申し訳ないが、今はそれ以上教えられないな。 被害者の行く末は大体同じだからな、それも色々調べた事があってね。 僕は予想が付くけど、今知っていてもきっと心が折れるだけだよ。」 辛そうな顔をしていた。 546 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 05 52 ID 7DA+A1Ja エリスさんがグラスにさらにウォッカを注ごうとする、最初の嬉々とした表情は無く悲しそうに。 濡れていたせいか、つるりとグラスがエリスさんの手から落ちる。 落ちたグラスに当たって机にあった写真立てが倒れる。 その写真にはエリスさんと年上の男性が二人で肩を組み表彰状を持って笑っていた、受賞式だろうか? 「この写真は、何かの記念ですか?」 「僕と助手、宗一というんだが、の初めての受賞の時だよ?」 「そうですか、ふふふ、楽しそうですね。」 「ああ・・・、楽しかったよ、あの時はね、本当に。 僕はそれが続くものだって思ってたよ。 だがね、その馬鹿者は、君の旦那さんと同じで買われたんだ、姉妹に。 まあ、僕の場合は、僕が持ちかけたから自業自得だがね。 どうしてもアイツが欲しくてね、アイツの窮状に付け込もうとしたんだ。 全く、悪魔から契約を勧められるどころか、自分から悪魔を呼び出し、挙句に自滅したんだからな。 いや、実に愚かだったよ、3年前の僕は。」 「その姉妹の方もやはり協会を頼って・・・?」 「違う、そいつの妹は自力で奴隷法の意味を理解し全てを計画し実行したんだ、誰にも頼らずにね。 その後協会の本性を嗅ぎつけ、上手く取り入って今はその保護下に入って消えた。 便利だったんだろうね、保護下に入ってしまえば協会の持つ記録以外では消息を追えなくなるからな。 僕がこんな事しているのもその為さ、まずは協会を取り払わないと本命にも近づけないって訳だよ。」 「宗一さんは、今は、その・・・」 「うん、声を聞いた限りは元気だったよ、昨日も電話が来たんだ。 『俺は夜澄だけのモノになれて、夜澄だけと居られて幸せで、夜澄以外のものなんか何も要らないし、 夜澄だけと愛し合って、夜澄だけを考えて、夜澄だけを幸せにしたいんだ。 だから、お前なんて邪魔だし、気持ち悪いだけだからもう俺に関わらなくていいぞ、というか関わるな。』ってね。 とても幸せそうにな、まるで上手に調整された機械みたいに一音一字一句まで幸そうな声でな。 その間中、ずっと人形女の衣擦れの音と、アイツの妹の事だ、くすくす、くすくすという幸せそうな笑い声が後ろで続いていたよ。 あれがアイツの幸せらしい。ふん、こうなっては実際救いようも無いね。」 「じゃあ、エリスさんは宗一さんを助ける為に頑張っているんですね?」 547 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 06 45 ID 7DA+A1Ja 「は? 助ける? どうやってだい?」 エリスさんは即座に否定する。 「え、だって、宗一さんを取り戻せれば助けたって事じゃないんですか?」 「取り戻せても、アイツは僕を押しのけて人形女の所に戻って行くだろうさ。 今のアイツはね、人形女の人形でいるのが幸せなんだよ、悲しい事にね。 ああ、違うね。結果として、アイツは初めからずっと人形女の為の人形だったんだろうな。 何もかもが遅すぎたって事だ、きっと僕がアイツと出会った時点でさえな。 はっ、参ったね。こうして言葉に出すと益々救いようが無くなるじゃないか。」 それは私ではなく、エリスさんが自分に向けた言葉なのだろう。 私には、彼女の言っている意味が良く分からなかった。 「でも、さっきエリスさんは協会を倒すって・・・・・・?」 「上手くやれば協会は倒せるかもね、運が良ければ奴隷法も潰せて、そしたらアイツにも会えるかもしれない。 でも僕にはアイツを助ける事は出来ないよ。 僕は、分かっているんだ。 僕が人形女に勝つことなんて出来ない事も、もう僕が好きだったアイツを取り戻せない事もね。」 十二分に分かっているんだけどね、と寂しそうに自嘲する。 「なのにね、考えてしまうんだよ、人形女が居なければ僕とアイツが歩めただろう未来を。 とても魅力的なんだ、その中の僕は幸せで、孤独なんかじゃなくて、アイツと同じ夢を見る。 ……それが僕にとって有ったかもしれないハッピーエンドなんだよ。 だから考えてしまうんだ、人形女を押しのけてアイツを僕のモノにする方法を、何度も何度も何度も。」 目を瞑り、苦しそうに言葉を吐き出す。 「何度も、失敗する。どんな方法を考えても、どんなに有利な状況を想定しても、 いつも最後にはアイツの横で笑う人形女が居て、僕は絶対そこに居ない。 もう分かっている事なんだ、僕にハッピーエンドなんて無いって。 それでも、僕は、アイツと同じ夢を見たい、未来を歩みたい、幸せが欲しい。 僕は宗一が欲しい、そして僕だけの、僕の為のハッピーエンドが欲しいんだ。 だから、可能性が無いと分かっていてもこんな事をしてしまう。 今でもアイツを取り戻せればその先にハッピーエンドが有るんだ、って見え透いた嘘を自分についている。 そうでもしないと自分を保てなってしまったんだよ。 ・・・・・・正直に言って辛くてしょうがないよ、僕は嘘が上手くないんだ。」 「でも、信じればきっと奇跡だって起きるかもしれないじゃないですか。」 548 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 07 10 ID 7DA+A1Ja エリスさんは、論外だというように笑う。 「はは、奇跡か。奇跡、最低の響きだね。 良いかい、奇跡って言うのは所詮極小の可能性が実現する事に過ぎないのさ。 つまり、起こりうる事が起こりうる範囲の内でしか起こらないという事だよ? 僕はその可能性の片鱗すら見つけられなくてね。いつもあの人形女の存在が邪魔をするんだ。 初めから無い可能性に全てを賭ける、その先にあるのは奇跡じゃなくて、狂気さ。 僕には良く分かるよ、僕は狂っている。」 「狂っている、エリスさんがですか?」 「くっくっく、そうだよ僕はね、もうとっくに狂っているんだよ。 アイツを逃してしまった日からさ。 狂人が狂人から狂人を奪おうとする、そういう話なんだよこれは。 どうだね実に馬鹿らしい話じゃないか? くっくっく。」 エリスさんは椅子を後ろに回した、笑い声に混じって小さく嗚咽の音がする。 誰かの名前を呟くのが聞こえた気がした。 「宗一さんはエリスさんの・・・・・・、大事な人だったんですね・・・。」 「だったというのは止めてくれ!! ずっと大事なんだ!!」 エリスさんが私から背を向けたまま上ずった声で叫んだ。 「その、あの、すいませんでした。」 「ん、すまん、すまん、八つ当たりとは僕らしくもないな、ふふふ。」 「いいえ、私が無神経でした。」 「君は悪くないさ。ふん、いかんね、こんな大恐慌と世界大戦が一辺に来たみたいな辛気臭い話は。 君もこんな与太話を聞くためにここに来たわけでは無いものな、では! 景気良くご商談と行こうか!!」 静寂を打ち破るようにエリスさんがぱんっと元気良く手を叩き、くるりと元気良く椅子を回転させる。 「大事な話なので初めに言って置くが、僕は奴隷法関連で8件勝利したが、12件では負けている。 さらに、その8件でハッピーエンドになった者は1人も居ない。その場で姉妹によって命を落とした者、 結局は姉妹に連れ去られた者や自らの意思で姉妹の元に戻って行った者、後は依頼人もヤンでいたりとそんな事ばかりだ。 まあ、奇跡でも起きれば君はハッピーエンド第1号になれるかも知れないね。それでも、僕を頼るかね?」 549 裏切られた人の話 補足 sage 2010/07/19(月) 23 07 31 ID 7DA+A1Ja 私は迷わなかった。 きっと私にも彼女にもバッドエンドしか待っていないのかもしれない。 それでも、私は、私の、いや私と星司の運命を彼女に託したい。 だが、一つ気になる事があった、その、お財布の具合が・・・、 弁護士って雇ったこと無いけど、毎食もやし定食ABCでどうにかなる金額じゃないよね? 因みにAが中華風もやし炒め、Bが和風餡かけもやし、Cが洋風もやしスープだ。 「ん、その顔は金の事かね? ふふふ、いや君は実に運が良いよ。 実はだね、僕は名前に『夜』が付く女が大っ嫌いでね。 そういう女は採算度外視でこの世から消してやりたくなるんだ。 実際、僕がつぶした8件の姉妹共にはみんな『夜』の字が入っていたんだからな、縁起が良いだろう? 持ち合わせが無いならいっそ只でも全く構わんよ。大事なのは君の意向だけさ。 さて、雪路 紅葉さんだったっけ、君はどうするのかな? くっくっく。」 エリスさんが笑う。 本当にいやらしく笑う、あの時代劇に出てくるお代官様のように。 これって負けフラグだったりしないよね・・・・・・、じゃなくって!! 「お、お願いします!!」 「うん、実に良い返事だ。さあ、では共に頑張ろうじゃないか、被害者のMさん。」 エリスさんはそこで、物思いに耽っている様に顎に指を当て黙った。 暫らく間をおいてからエリスさんが言葉を繋げる。 「ああ、それからだが、さっきは僕は全てを諦めているように聞こえたかもしれないが違うからな? こうやって一歩ずつ協会と法の足元を崩してゆく。そして、君のような仲間を増やす。 思いのほかだが、着実に賛同者は増えているんだ。 そして、その一歩がいつか僕にとってのゴール、アイツにたどり着く。 例え、それが僕にとってどんなに悲しい結末であろうとも、ね。」 ぎこちなくエリスさんが笑った。 彼女の深く青い瞳が私を見据える。 「君も諦めるな、抗え、奇跡が起きればハッピーエンドだって迎えられるさ。 君には奇跡を起こすだけの余地は有るよ、きっと。」 その青は、苦悩、悲しみ、絶望、願い、優しさ、正負の色んな感情が混ざり合った複雑な色だった。 550 名無しさん@ピンキー sage 2010/07/19(月) 23 07 53 ID 7DA+A1Ja エリスさんの手が私へ向けられる。 「さあ、まだ1ヶ月目なら希望は有る、急ぐとしようか。 敵は余りにも巨大で僕達は砂粒のように矮小だ。 僕達に出来る事は1秒でも早く行動し、こっそりと不意打ちを当てるだけなんだからな。 うん、そうだな、こんな所でのろのろしていたら君も僕もアラサーの仲間入りをしてしまうぞ?」 アラサー? 目の前に居る彼女は、どう見ても、その・・・・・・。 ああ、それってアラウンド・サーティーn「30だ」の方。 「おい、サーティーだからな、30だからな? 今13だと思っただろ、言っておくが僕は君より年上だからな、オトナの色香だからな?」 エリスさんが拗ねて、この話は無かった事にしようかと手を引っ込める。 私は彼女の小さな手を慌てて握った。 戻る 目次へ
https://w.atwiki.jp/duelrowa/pages/243.html
「何なんだよ…!俺の何がだめだったんだよ…」 吸血鬼少年のゆう太は裏切られたのだ、困っていたから助けてあげた勝っちゃんは 左肩に生えていた化け物の触手で友達を一人残らず殺してしまったのだ。 友情を結んだはずの相手こと勝っちゃんがなぜか食料でしかない 家畜以下なクソ人間への吸血をやめるよう訴え、あまつさえ友達を殺した。 吸血鬼ウイルスに感染した際に変な異常がでて変異し 絶望の果てに自ら命を絶ったかつての弟のように思えた少年が殺してしまった。 「ひでえよ…ひでえよ…!母ちゃんだってどうなってんのかわかんねェ…!」 もうゆう太はわけがわからなかった。 母ちゃんに言われたとおり困っている者に手を差し伸べて優しくしたのに仇で返してきた。 さっきまでおしゃべりしたり血の楽園がいかにして作られたのを教えたりして 互いに楽しくしていたのに。ゆう太は泣きじゃくり心は悲しみでいっぱいだった。 そして吸血鬼がしあわせに暮らす血の楽園は 我らが豹丸と隻腕の悪魔こと宮本明の対決で半壊し、 とどめに国連軍の数え切れないほどのミサイルで町の面影すら残らず完全に破壊された。 大好きな母ちゃんは生きているのかもわからない。 血の楽園が崩壊した直後にゆう太は 決闘会場という名のバトルロワイヤルワールドへ召喚された。 「うわあああん!ぐっす…ひっぐ…」 ◆ やっぱり無理なんだ、私のような弱くて無力な鬼が安全に生きるなんて どこにいようが弱肉強食の摂理はかわらない。 全てを諦めなにもかもに絶望した鬼の少女が会場をただ歩きさまよっていた。 名は誰にも知られていない。少女も自分の名を思い出せず 鬼のほとんどは人だったころの記憶を保てない。 この少女は累という鬼が率いる偽りの家族の一人だった。 だが彼女は累の意味不明家族ごっこに疑問を感じずにはいられなかった。 ただ鬼狩りが怖くて仲間が欲しいかっただけだ。 嫌気がさし新参の妹を連れて逃げようとした。 だができなかった。その妹は裏切り累へ密告していたのだ。 本当の妹のように思えたほど大切な存在に、 裏切りられた少女は日光に晒され灰となった。 しかし今は何事もなかったように生きている。 鬼が陽のきらめきを浴びて生きれるわけがない。 あのハ・デスという鬼や磯野という者によって復活したのだろう。 「どうせもう私は…」 だが生きていても意味など無い どうせまた自分より強い者に蹂躙されあるいは欺かれ地獄を見るだけだ。 ましに思えるようなことなんてなにも… 「え?」 幼い子どもの泣き声が聞こえたのはそのときであった。 ◆ 泣いていた子どもは当初は肌の色を見て人間だと思ったがどうやら違うようだ。 確かに肌の色は人間と同じだが、するどい牙が生えていた。 彼はいったいどうして泣きじゃくっているのだろう。 「ねえ、何かあったの?」 殺し合いの始まり早々に泣いていたのだ。 その理由は殺し合いに召喚される前にあるよう思えた。 まだ始まったばかりなのに泣きじゃくるような惨劇が起きたとは思いにくい。 殺し合いに巻き困られたこと自体に恐怖したのなら別だろうが。 「ハァ ハァ ハァ えぐっ…ひっぐ…あんたは誰なんだよ…?」 泣いている少年から名を聞かれたが自信の名は思い出せない。 「…ごめんね、私に名前はあるかもしれないけど思い出せないの。」 「…?なんで思い出せないんだ?認知症ってやつか?」 「そんなことよりどうしてこんなに泣いていたの?」 「どうしてってひどいんだよ!勝っちゃんは俺を裏切るし! 血の楽園も壊されて母ちゃんだって死んじゃったかもしれねェんだ!」 「ら、楽園…?そんなところがあるの?」 この子も同じ鬼に裏切られ嘆きながら地獄を見せられたのだろう。 …私と同じなのかも。 それにしても楽園とはいったい?あのお方や累は 家族や同族に対しても優しさを見せるようなことは全くなく、 むしろ目的のための道具や不要となったら切り捨てるくらいの価値しかない。 そんな二人が楽園を作るなんてとても考えられない。 もし作っても累やあのお方だけに都合が良いような楽園だろう。 「そうだよ!みんな毎日楽しくてこれ以上無いくらい幸せだったさ! でもたった一夜で全部おじゃんさ!こんなのってねえだろ!うああああん!!」 「そのごめんね、あなたの言う楽園がわからないのよ?よかったら教えてくれない?」 少女は少年の頭を優しく撫で、赤子を落ち着かせる母のように温かく接した。 少年は多少落ち着き、少し冷静になったことで説明できるくらいの余裕が戻ったようだ。 「ぐすっ…ああいいよ。」 少年ことゆう太は再び楽園の詳細を知らぬ者に解説するのだった。 ◆ 少年から聞いたこと全てが少女にはあまりに衝撃的だった。 血の楽園を築き上げた豹丸様、 日本国そのものをひっくり返した吸血鬼ウイルス、 そのウイルスをばらまいた雅様というあのお方とはまた別の鬼の頂点、 正直に言って全てが信じがたいことだ。鬼とは同族への優しさが殆ど無く 平和な楽園をつくるなんてありえない。 しかもその楽園は努力次第で出世できる階級社会だという、まるで人間たちのようだ、 自分のような化け物が食料の人間どもと同じで平穏で楽しく生活しているという。 この少年にも母親がいて何不自由なくともに生きていたそうだ、今は生死不明らしいが。 そして日本を滅ぼした吸血鬼ウイルス、 えっくすでえなる日に雅という吸血鬼が大感染を引き起こした。 この話を聞いたとき少年と少女はまた別の異形だという確信が持てた。 鬼はあのお方だけにしか作られない。例外もあるようだがいわゆる一次感染だけだ。 しかしウイルスは二次感染が可能であり化け物から人へ、 その人からまた別の人へとどんどん感染していくという。 鬼と吸血鬼という異形が厳密に言えば別の種族だろう。 少年は人から吸血鬼になったことには最初は混乱し、 感染して見た目は異形と化して自殺した弟のこともあり 一時は戸惑っていたが今は新人類になれたとして光栄に思い受け入れているという。 少年は楽園でずっと幸せに生きていけると思っていたが 信じていたものは音すらも立てず、一瞬でくずれた。 血の楽園創設者と豹丸とまるで鬼狩りの 柱みたいに強い人間の宮本明による激戦で町は滅び、豹丸は殺された上に、 こくれんぐんなる組織の連続爆撃で全て廃墟となって 完膚なきまでに壊されたという、最愛の母ちゃんも死んだかもしれないようだ。 鬼殺隊以外にも鬼を刈り尽くさんとする猛者がいることに驚いたが 町が破壊されたことに対し少女は深い悲しみを感じた。 累の家族ごっこに付き合うような馬鹿な者たちではなく 本当の家族が愛し合って暮らす町が消えたのだ。 弱くても強くても化け物は勝てず哀れな生涯を送るしかないと思えてしまった。 本当の平穏なんてどこにもないのかも。 「あと質問とは関係ない事なんだけど…聞いて欲しいことあるんだ」 「もしかして最初に言ってたかっちゃんに裏切られたってこと?」 「そうさカンがいいんだな、あと名前言うの遅くなっちまったなゆう太だ、よろしくな。」 「こちらこそよろしくね。」 ◆ 「あんたに話して愚痴も言えてちょっと落ち着いてきたよ、ありがとう。」 「別に、私は聞いただけでそんな大したことはしてないわよ」 根本的な心の傷はまだまだ癒えていないが 少年は悲しいことをじっくり聞いてもらいさらに落ち着いたようだ。 やはりゆう太も裏切られており、困って警察から逃げている勝っちゃんを匿い 自宅の部屋につれて仲良しな友達になり、一緒に人間の血を他の友達を連れて吸血しに行ったら 吸血した様に深く動揺し、激情した勝っちゃんは友達を化け物触手で殺したという。 恩を仇で返されトラウマになるほど悔しくそして悲しんだ。 母のいった通り優しくしただけだというのに、何がいけなかったのだ。 ゆう太はやっぱり私と一緒だ、実の兄弟のように大切に思えたが 裏切られ惨めな思いをした同じ仲間。少女はゆう太に仲間意識すらも感じていた。 「あんただってなんか浮かないつらしてるよな、そういうあんたもなにかあったんだろ?」 「そんな聞いて得するような話じゃないから聞かない方が良いわ」 「そんなこと言うなよこっちだけ聞いてもらうだけじゃもうしわけねえってば」 「ほんとに良いの?」 「良いってば!じらすなよ!」 ◆ 少女は裏切られ、家族ごっこのまとめ役だった累に処刑された話を全て話した。 「まじかよその話…?累ってやつリーダーのようなのにひたすらクソじゃないか、 同じリーダーでも豹丸様とはひどい違いだな!!」 「ひどいのはほんとに同意よ、累の言うことを聞かなかったり刃向かったりしたら知能を取られたり、最悪私みたいに殺されるのよ。」 「そんなの家族ごっこどころかたんなるDVの遊びじゃん!性格悪すぎないか!」 「うんうん(リーダーとかでぃぶいってなんなんだろう?)」 話の中ででできた知らぬ言葉にちょっと困惑したが ゆう太は同情し話しを最後まで聞いてくれた。 裏切ってしまった妹とは違い義理堅くてとても優しく立派な子に見える。 このゆう太は本当の兄弟、兄か弟のようにだって心から思えた。 「なあなあ俺とお前の二人でさ、裏切られコンビ結成しね?」 「結成って?(こんび…?)」 「だから一緒になって勝ちのこってさあ願い叶えようぜ! 血の楽園を蘇らせてそこであんた住めばいいじゃん! 母ちゃんにはバレないようにするしバレてもなんとか説得してみるからさ!」 「いやでも…優勝できるのって一人だけなんじゃないの?」 「そーなんだよなあ…とにかく問題なのはそこなんだよ、 優勝するにしてもすくなくとも俺かお前死ななきゃいけないんだ、 死ぬのなんて誰だって嫌だよ。」 「じゃあ、私が死んでみよっかな、平和に暮らしたいみんなが救われるなら嬉しいし。」 「えっ!いや何言ってんだよ!暗いよ!」 少女がはかなげにつぶやいた言葉にゆう太は驚いた。 いきなり自己犠牲を暗喩する発言や 自分を犠牲にしてでも他者のために楽園を生き返らせようとする優しさにもだ。 「んなこと言わないでなんとかして吸血鬼みんなで 生き残る方法を見つけようぜ!在るかも知れないだろ活路は!」 とても明るく前向きな子だと思う死人を蘇生させるは・ですと磯野といい もう何が起きても不思議ではないのに、臆せず未来をつかみ取ろうとしている。 そんなゆう太を少女は心底まぶしく思えた。 こうして裏切られた鬼と吸血鬼は再び進み出したのであった。 また困難に何度も何度も打ちのめされるかもしれない。 ただどんなことに遭っても歩みつづけるはずだ。 かくも残酷な世界で二人はどんな未来を見るのだろうか。 【姉蜘蛛の姉@鬼滅の刃(アニメ版)】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:優勝時の願いで血の楽園を復活させる。 1:とりあえずゆう太と行動する。 2:人間は殺す。 3;他の鬼や吸血鬼はどうすべきかしら…できれば仲間に引き込みたいけど… 4:鬼狩りやあのお方とか累には要注意。 [備考] ※参戦時期は死亡後です。 【ゆう太@彼岸島 48日後…】 [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況]基本方針:優勝で血の楽園を復活させるんだ! 1:この子(姉蜘蛛の姉)と一緒にがんばってやるぜ! 2:人間は血を吸ってから殺す。 3:他の吸血鬼がいたら合流したい。 4:宮本明や勝っちゃんには気をつける。 [備考] ※参戦時期は血の楽園が国連軍の爆撃で崩壊した後です。欠損した片腕は殺し合いに呼ばれた際に主催によって再生しました。
https://w.atwiki.jp/everun/pages/28.html
Windows の電源オプションについて Windows の電源オプションについて 元ネタ rgb400 さんの Hatena 日記のエントリ Everun は工場出荷/リカバリ直後の状態で、以下の電源設定になっている。電源設定は Windows のコントロールパネルから「電源オプション」を選ぶと見れます。 電源設定 ポータブル/ラップトップ モニタの電源を切る なし ハードディスクの電源を切る なし システムスタンバイ なし どうしてこの設定になっているか分かりませんが、このままだとバッテリーを無駄にたくさん使ってしまいます。 うちではモニタの電源を切るまでの時間を10分、システムスタンバイまでの時間を30分にしています。ハードディスクの電源は、SSD を認識しなくなるかも...というのがちょっと怖いので切らないようにしてます。
https://w.atwiki.jp/tsov/pages/38.html
信じられないんだ theme 信用出来ない 恋 a 俺は不器用だからさ いろんなヤツに騙されたよ そうやって生きるうちに 誰も信じられなくなった b 唇に触れる前に 俺に教えておくれよ お前はどんなヤツなんだい? s I ain t belevin all 理解者も 友達だって居ないのに What s In front o me いつかは お前を信じられるのかい? 氷がいつか溶けたら 何処にだって一緒に行こう a 俺は不器用だからさ 期待には答えられないよ ひとを裏切ることに 慣れちまってんのさ b 心の中は綺麗じゃないと 知ってしまってもお前は 俺の隣に居てくれるのかい s I ain t belevin all 腹の底 覗かれてるような気がする What s In front o me すぐそこで 澄んだ声が呼んでいる 明日もし晴れたら 少しだけ遠出してみよう g.s s I ain t belevin all 誰かを 欲しいなんて思うのは What s In front o me いわゆる 愛なんていうやつなのかい? 分っちゃいるのさ 多分ね お前から目が離せないんだ ただもう少しだけ ah 時間が欲しいだけなんだ o 扉を押し開けるさ 何処にだって一緒に行こう きっといつかは俺が お前の手を引くから…
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1303.html
19 名前:忘れられない人の話[] 投稿日:2011/04/07(木) 01 24 52.93 ID 74Jc7CUd 俺と彼女は今のソファに向かい合わせで座っていた。 彼女を呼び出したまでは良いが、 言おうとする事をどうしても言えないで俺は黙っていしまっている。 なんとか意を決して口を開こうとするよりも早く、 彼女が先に俺に問い掛けた。 「えっと、海斗さん、どうしたんですか?」 困った様子でこくんと彼女は小首をかしげる。 それを見て、彼女と対峙している自分の口から言葉が抜けていくのを感じた。 「……何でもないよ」 「もう、海斗さんったら」 無邪気な笑い声が彼女の口から漏れた。 「あ、ああ、そうだな」 「ふふふ、変な海斗さんです」 彼女は無邪気に笑う。 違う…… 彼女は真由なんかじゃない。 彼女は俺の妹の草夏(そうか)だ。 真由はもう3年も前に死んでるじゃないか。 なのにどうして俺はそれが分からないんだ? 20 名前:忘れられない人の話[sage] 投稿日:2011/04/07(木) 01 25 33.35 ID 74Jc7CUd 真由(まゆ) 草夏の小学生の時からの親友。 俺が出会ったのはその何年も後。 背丈は草夏と同じくらいでやや小柄、 厳格な家庭にほんの少しだけ反発して薄く髪を染めていた。 控えに笑う笑顔が印象的な俺の恋人だ。 真由との出会いは草夏が切欠だった。 高校2年生の時、家に帰ると知らない少女と一緒に妹が玄関に立っていた。 そして”この子は私の親友です。この子なら海斗さんを任せられます” の一言で強引に引き合わされた。 あの時は空良の押しの強さに驚かされた。 そして、俺も真由も草夏は何をやってるんだと呆れたものだった けれど、草夏の見立ては正しかったようで俺達はすぐに親密な仲になれた。 時には喧嘩をしたりすれ違ったりもしたがその度に草夏に助けてもらって、 そうやって何年も付き合って行く内に、 彼女は俺にとって何にも代えがたい存在になっていた。 21 名前:忘れられない人の話[sage] 投稿日:2011/04/07(木) 01 26 00.21 ID 74Jc7CUd 真由のいない日々なんてて考えられない、それくらいに。 それなのに、考えられない日々はあっさりと訪れた。 真由と付き合ってから4年目、大学2年生の夏。 真由は朝の満員のホームで列車に飛び込んで自殺した。 その知らせを受けた時に俺には何の感情も浮かばなかった。 実感できなかった。 俺は彼女の最期の姿を見ていない。 ただ、草夏から知らされただけだった、”真由が死にました”と。 だから俺は真由の居ない日々を受け入れられなかった。 なぜ、あんなにいつも側に居た真由が居ないのか? 朝、扉を開ければ彼女が笑顔で迎えてくれるのじゃないか? 夕、校門を出ればそこで彼女が待っていてくれないか? 待っていれば真由が居るんじゃないか? あそこなら、ここなら、この時間なら……。 そうやって俺は幽霊のようにいる訳の無い真由をぼんやりと探し続けていた。 そんな俺の様子を見かねた草夏は俺の心の穴を埋めるために、 少なくともその時はそう思っていた、 真由になった。 22 名前:忘れられない人の話[sage] 投稿日:2011/04/07(木) 01 26 29.26 ID 74Jc7CUd ある朝、扉を開けるとそこには俺の探し続けていた姿があった。 そう、”おはようございます、海斗先輩”と控えめに笑う、 あの日から片時も忘れたことの無い最愛の少女が居た、と勘違いした。 それは髪を切って薄く染め、真由の口調をした草夏だった。 元々、真由と草夏は声も背丈も体格も似ていたから その時の彼女の姿は真由の生き写しに見えた。 驚いて何も言えない俺へ彼女は優しく語りかけた。 ”これからは私が真由の代わりになります。 兄さんの傷が癒える日まで、いえ、例え癒えてからも” その日から彼女と俺の奇妙な関係が始まった。 同じ家に暮らしているのに玄関前で出会って、玄関前で別れる。 そして、家の中の生活ではお互いに存在しないもののように振る舞う。 いつの間にかそういう暗黙のルールも完成した。 そうやって俺の元に真由が戻ってきて、草夏が消えた。 草夏はずっと昔から真由の親友だった。 俺の知っている事はもちろん、知らない事も全部、誰よりも知っている。 細かな仕草も、反応も、二人だけの時にしか見せない甘えた様子さえも。 だから、草夏の演じる真由は俺にとって真由そのものだった。 その時はどうして草夏がそんな事をするのかも、できるのかもどうでも良かった。 ただ、死んだはずの真由が帰ってきてくれた、それだけで十分だった。 確かに俺の心の傷は偽物の真由によって癒されていたんだと思う。 けれど、ある時を過ぎてからは草夏の行為は、 逆に俺の心を蝕んでいるんじゃないかと思うようになった。 深すぎる傷口は舐めれば舐めるだけずぶずぶと腐っていくように。 あの時から頭の中では分かっていたんだ。 死んだ人は蘇らないし、俺の妹で真由の親友の草夏に恋人ごっこを求めるなんて、 そんなのは真由に対する侮辱じゃないか。 だから何度もこんな事は止めようと彼女に話そうとしてきたんだ。 なのに、目の前に居る彼女は完璧な真由で、 今みたいに真正面から彼女を見ていると 彼女を本物だと心が勝手に思い込もうとしてしまう。 駄目なんだ、もう真由を手放す事ができないんだ。 俺は真由を忘れられないんだよ……。 それだけじゃない。 この真由ごっこを止めさせる他にもう一つ彼女に言わないと、 いや、聞かないといけない事がある。 本当に真由は自殺をしたのか? どうして空良は親友が死んだのに涙の一つも流さなかった? 満員のホームで人が飛び降りた時に自殺と誰かに押されたのと何処で判別できる? 23 名前:忘れられない人の話[sage] 投稿日:2011/04/07(木) 01 27 08.81 ID 74Jc7CUd 「ねえ、海斗さん? 何か、私に聞きたい事があるのですよね?」 その声に俺の意識が思考から現実に引き戻される。 見れば彼女は困惑の表情を浮かべ続けたままだった。 「真由は本当に自殺をしたのか?」 俺は覚悟を決め、肺から鉛を吐き出すような気分で口を開いた。 「くす、何を言ってるんですか? 真由ならここにいるじゃないですか?」 彼女が愉快そうに笑う。 その笑い方は何処か暗い影が差していて、俺の記憶の中の真由とは違っている。 「違うよ、もう真由はどこにもいないだろ?」 「だから、真由はここに居る私ですってば。 いい加減にしてくれないといくら海斗さんだからって怒りますよ?」 静かに彼女は抗議する。 静かだがその声音には不当な言いがかりを撥ね付ける強い意志が籠っている。 これ以上言った所で無駄だろう。 あの日から一度だって自分が草夏であると認めようとしなかったのだから。 「分かったよ、じゃあもしも自殺をしたとしたらだ」 「……海斗さんはそんなに真由が死ぬのが楽しいんですか?」 じとーとした目で無言の圧力を押し付ける彼女。 この真由は俺の記憶の中にもある。 「俺達は自殺する日の次の日にデートの約束をしていたとする。 前の週から二人ではしゃぎながらその日の計画を立てていたんだ。 そんな日の前日にお前は自殺なんてしたくなるのか?」 「ふふ、私なら絶対にありません」 「……俺の妹の草夏はその時に何処にいたんだろうな?」 「えーと、いつも通りだったら一緒に登校してたんじゃないかなと思いますよ?」 「どうして、草夏は十年来の友達が死んだのに、 涙一つ見せなかったんだろうな?」 「うーん、はっきりとは分かりませんけど、 真由なんて実は死んでも悲しくない程度の子なのかもしれませんね」 「なんだと!?」 「もう、海斗さん、落ち着いてください。 もしもの話だって言ったのは海斗さんですよ。 だって、もし親友が死んだのに何も感情を抱かないとしたら、 それはそういう事になるじゃないですか? くす、それが道理、ですよね?」 24 名前:忘れられない人の話[sage] 投稿日:2011/04/07(木) 01 27 27.26 ID 74Jc7CUd 「確かに、そうだよな……」 模範的な解答に反論の出来ない俺の悔しそうな顔が面白かったのだろう。 彼女は滑稽そうに笑いを噛み殺している。 それから、わざとらしいニタリとした笑顔を作って言った。 「じゃあ、海斗さんが落ち着けるように楽しい昔話をしてあげます。 昔々、ある所に素敵なお兄さんとそのお兄さんの事が大好きな妹がいました。 その妹にはとある大きな悩みがあったのです。 彼女はお兄さんの事がでしたから当然、お兄さんと交わりたいと望みました。 交わってお兄さんの子を孕みたいと願っていました。 それなのにお兄さんは彼女を妹としてしか扱ってくれないのです……」 彼女は交わるという単語を口にして目を輝かす。 孕むという言葉に彼女が恍惚とした表情を浮かべる。 真由の姿と声で作り出すその有様は吐き気がするほどに、気持ち悪かった。 「そんなある日、健気な妹はある事を思い付きました。 もしも、自分にそっくりな人がお兄さんの大切な人になって、 その人がいなくなってしまえば、 自分がその人の代わりになれるのじゃないかと……」 彼女がわざとらしく言葉を止めた。 背中の芯がぞくりと冷えるのを感じた。 彼女の語る内容は馬鹿らしいと思いながらも 俺の頭から離れなくなっている疑いそのものだった。 「お前……お前は本当に……?」 「くす、あくまでお話、ですよ。 もしも、このお話が本当だったらその妹はその為に十何年も前から、 自分の都合の良い子を探して、その子を自分そっくりになるように仕立てあげて、 お兄さんとその子が両想いになれるように気の遠くなるほどの裏工作をして、 そして、お兄さんのをものにする為に何の躊躇も無く始末する。 そんな事、できると思いますか?」 その通りだ。 だから、俺も疑っていながらもどうしても信じる事ができていない。 それが本当なら、実の兄を性の対象としていて、 その為に何の感情も無く他人を使い捨てる事に何の良心のも咎めもない、 それもまだ物心が付くか付かないかの頃から、 それが俺の妹の草夏だという事だ。 そんな異常者が自分の一番近しい人間なんだとは どうがんばっても理性が認めてくれないのだ。 「ただ、もしできるとすれば、 その妹のお兄さんへの想いはどれくらい深いんでしょうね?」 口だけを歪めて、くすくすと彼女は笑った。 もう真由の原型を留めていない。 真由どころか草夏でも人でもないのじゃいないかと思える、 まるで化生のような不気味さを彼女は醸し出している。 25 名前:忘れられない人の話[sage] 投稿日:2011/04/07(木) 01 27 51.34 ID 74Jc7CUd 「ああ、でも、海斗さん。 じゃあ私も、もしもの話をして良いですか?」 「……何だよ?」 「くす、もしも……もしも今の私のお話が本当だったとしたら、 海斗さんはどうするんですか?」 彼女の質問に心臓を握られるような鈍い痛みを感じる。 それは俺が何度自分に問いても答えを出せない悩みだ。 正解は分かっているのに、何もできない。 「例え、私がその妹だったとしても、 もう一度海斗さんは真由を失えますか?」 押し黙る俺に絡みつくように彼女が言葉を続ける。 「ねえ、例え、記憶の中の真由と今の真由が違ってきたとしても……、 海斗さんの妹の草夏に近づいているとしても……?」 「え……?」 今まで何で気付いていなかったのだろう。 目の前にいる彼女は少しずつ真由から離れて草夏に戻っていないか? いつも真由は俺のことを”海斗先輩”と呼んでなかったか? ”海斗さん”と呼んでいたのは草夏だけじゃなかったか? 「違う……お前はやっぱり真由なんかじゃない。 真由はこんな事は言わない。 こんな事で笑ったりするはずがない」 「あら、じゃあ海斗さんの知ってる真由は私と何が違うんですか? 「いくらでも言える、それは……。 あれ? それは……」 俺は頭に3年前の、あの本物の思い浮かべようとする。 ほんの少しだけ髪を染めていて、小柄な少女。 ……それじゃあ目の前にいる彼女そのものじゃないか。 おかしい、肝心の中身が思い出せない。 まるでぼんやりと靄がかかったように 真由はどういうように笑っていた? いつも明るく笑っていた。 いや、でもこんな風に少し影を引いた笑いの方が自然じゃないか? 呼び方は海斗先輩だったはず。 けど、その呼び方に違和感がある。 海斗さんと言われる方が彼女らしい気がしないか? 思い出そうとすればするほどに目の前の偽物のはずの真由の姿に上塗りされていく。 そして、その偽物の方がずっと本物らしい実感がある。 俺はもう真由の事を忘れているのか? 違う、こんなに、 苦しい位に彼女の事をまだ思っているじゃないか? 26 名前:忘れられない人の話[sage] 投稿日:2011/04/07(木) 01 28 07.62 ID 74Jc7CUd 「くす、どうしましたか、海斗さん? あなたの”真由”は”私”ですよ?」 そう言って彼女は優しく両手を俺のあごに添えて顔を近づける。 「ふふ、辛いのでしょう? さ、いらっしゃって下さい、”私”の所へ」 口の中に彼女の柔らかな舌が入り込む。 その心地良い感触を俺は甘んじて受け入れることにした。 もう手遅れだと認めよう。 俺は彼女を忘れる事なんてできないんだから。
https://w.atwiki.jp/morrowind/pages/483.html
【俺Mod】Dagoth Ur Came Back From Lava【奴が溶岩に落ちて間抜けなことにならないようにする】 最終更新日 2009-12-22 タグ *AzuMite バグ 俺Mod 単純 Dagoth Ur Came Back From Lava Version 1.01 Author AzuMite http //www24.atwiki.jp/morrowind/ 概要 Dagoth Urとの戦闘時にDagoth Urが溶岩に落ちてしまってもテレポートして上に戻ってくるようにする。 衝突するMod 次のスクリプトを変更するMod。 DagothUrCreature2 ゲームの途中から導入しても大丈夫か 大丈夫だけど既にDagoth Urとの戦闘を終えてしまっていたら意味がない。 インストールの方法 普通に。 更新履歴 1.0 最初期版。 1.01 Readme.txtを書いた。 Dagoth Urがテレポートするときの効果音の音源をPCからDagoth Urに変更した。 ダウンロード このページにアップロードされたファイル -- Dagoth Ur Came Back From Lava 101.zip コメント欄 1.01 -- 管理人 (2009-12-22 17 27 27) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1117.html
399 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 57 38 ID ilFLI4vw 「……すまなかった。」 「あら、どうされましたか、兄様?」 「あの事故から、ずっとお前に全てを任せて俺の傍に縛り付けていた。」 「ふふ、そんな事を謝られるなんて、いいんですよ今更。」 「全部俺が悪いんだ。お前は俺なんかに構わずに、友人や恋人を作って、もっと広い世界に居なきゃいけなかったんだ。 それを、俺と夜澄しか居ない生活に閉じ込めて、俺なんかを愛していると言わせるまでに歪めた。 夜澄、お前の愛しているって言うのは、だから、それは間違いなんだ。」 夜澄はその事に気づいていなかったのだろう、言葉の意味が分からずに困惑している。 「あの、兄様、……何を言ってらっしゃるのですか?」 「落ち着いてくれ、確かに今は受け入れられないかも知れないけどそうなんだよ。」 「ですが、そのお話ですと、まるで夜澄は兄様と一緒に暮らしたせいで狂ってしまったというように聞こえるのですが?」 「今はそう思うかもしれないけど、それでも。」 夜澄は正気を確かめるように、怪訝そうな目で俺の顔を覗き込んだ。 「まさかとは思いますが、兄様は夜澄が寂しいというだけでどんな男にも靡くような尻軽女だとでも思ってらっしゃいますか?」 「え、いや、ちがう、でも、俺を愛してくれているのは事故のショックと、そして、俺がお前を縛り付けたからなんだよ!!」 夜澄は呆れたような表情になったが、何かに合点がいったのかくすくすとまた笑い出す。 「くすくす、そんな冗談はダメですよ、兄様。事故なんて何にも関係ないですって。 そんな事がある訳無いじゃないですか、あんな事故なんかで夜澄は変わらないですよ?」 「事故は関係ない?」 「ええ、露ほども、くすくす、いいですか? 兄様。 兄様と二人になる前も、二人だけになれた後も、ずうっと夜澄は夜澄のままですよ? 夜澄は何も変わっていません、夜澄は初めから兄様だけを想っていたんですから。」 「は?」 「くすくす、生まれてからずうっと夜澄の大事なモノは兄様だけですよ?」 思考が置いてきぼりになっている俺の顔を愛おしそうに見つめながら夜澄が続ける。 400 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 58 06 ID ilFLI4vw 「夜澄がまだ小さな時、不思議に思ったことがあったんです。 どうして兄様に触れられると心地良いのに他の人に触れられると気持ち悪いのか。 兄様の声は夜澄の中に響くのに、他の声は唯の雑音なのか。 兄様とは一つになりたいのに他の人からは離れたいのか。 くすくす、今思えば本当に馬鹿らしいです。 だって、兄様と夜澄だけが愛し合うことのできる人間で、他の人はみんな人形なんですから、くすくす。」 「人・・・形、人の形って書くやつだよな?」 「ええ、人の形をしただけの偽者です。 人にそっくりなだけ、心なんて無い。 くすくす、そんなもの愛せる訳ないじゃないですか。 人そっくりに振舞う人形なんてただ気持ちが悪いだけですよね?」 「人形って、俺たちと何も変わらない人間だろ?」 「いいえ、人形ですよ? そして、夜澄と兄様だけが特別なんです。 だって、夜澄は兄様の痛みでしたらまるで自らの身が引き裂かれるように感じる事が出来ますよ。 でも、他の人?、まあ兄様がそう仰るなら人としましょうか、が痛みにのた打ち回っていたり、 大切な方を失って嘆き悲しんでいても、くすくす、ここは病院ですから毎日煩いんです、 夜澄にはそんな方の気持ちなんて理解できませんでしたし、そもそも興味を持てませんでした。」 「お前は俺以外を人だと思えないって言うのか?」 「ふふ、そういうことになりますね。夜澄だって不思議に思う時もあったのですよ。 どうして兄様だけは違うのか、どうして兄様は全てが愛しいのかって。 でも、今の夜澄にはちゃーんと分かりますよ?」 今から言うであろう答えを確かめるかのように、じっくりと俺の瞳に視線を合わせる。 「兄様が夜澄のモノだからですよね? くすくす、兄様が居なければ夜澄は独りです。 だから夜澄を寂しくさせない為に兄様は生まれてきてくださったんです。 夜澄だけを守る為に、夜澄だけを愛してくださる為に9年も先に生まれてくださって、くすくす。 ふふ、勿論、兄様は夜澄の為だけに、今までも、これからも生きてくださるんですよね? だから、兄様は夜澄のモノなんですよ? ・・・…くすくす、本当に、夜澄は兄様だけを愛しているのですよ?」 そう言って嬉しそうに頬を赤らめる。 今夜の夜澄は今までにない位に表情が豊かだ。 401 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 58 44 ID ilFLI4vw だが、嬉しそうに夜澄の話すその内容は全てが破綻しており、俺の常識から逸脱しすぎているものだった。 少しでも理解できる部分を繋ぎ合わせるならば、夜澄は俺を愛していて、俺以外の者を認識すらもしていないという事なのか? だったら、俺との、いやお袋や親父とのあの幸せだった頃の生活も夜澄の目には写っていなかったのか? いや、そうじゃない、考えるべきはどうして今に繋がったのかだ。 「お前は昔から俺を愛している、それは良いとしてもどうしてこんな事をしたんだ?」 「あら? 今日の兄様はお疲れですね、鈍いですよ。くすくす、ちょっと考えればすぐ分かりますよ?」 「鈍い、というのは認めるが、その、これはさすがにおかしいだろう?」 夜澄の整った眉が少しだけ動いた気がする、何か気に触ったのだろうか。 「しょうがないですねー、くすくす。 夜澄は兄様を愛していますけど、一つだけ、実は一つだけ大っ嫌いな所が有るんですよ?」 顔は笑顔のままだ。だが、目は笑っていない。 「教えてくださいね、兄様。どうしてですか?」 その目は怒りと、そして憎しみで歪んでいる。 「どうして兄様は夜澄以外のモノとお話が出来るんですか、夜澄だったらそんなの気持ち悪くてできませんよ? どうして、夜澄以外のモノに心を奪われる事ができるんですか、兄様は誰の為に存在していて、誰の恋人で、誰のモノですか? 夜澄ですよね、夜澄のモノなのにどうして、夜澄と離れ離れになっていても平気でいられるのですか? 今まで兄様が夜澄をどう扱おうと夜澄は心を痛めたりはしませんでしたよ。 でも、夜澄の知らない研究室で気持ちの悪い女と実験に熱中していた兄様に、病室で夜澄の居ない職場の話を楽しそう話す兄様に、 どれだけ夜澄は悲しまされたか分かりますか? そんなものを夜澄が望んでいるなんて思えるんですか? ねえ、夜澄と離れていられる兄様、夜澄以外の事を考えられる兄様、そういう兄様を見るたびに何度も気が狂いそうになったんですよ。 どうして兄様は夜澄無しの生活で気が狂わないんですか? そんな暢気な顔をしていられるんですか? だって、おかしいですよね? そんなの狂っていますよね? 兄様は誰のモノですか? 何が一番大切な事ですか?」 「や、夜澄?」 「今回だってそうです。・・・・・・本当は先生が居住権と移動権の売買を持ちかけて、夜澄が法廷で買い戻す手筈だったんです。 なのに、自分から勝手に夜澄の傍を離れようとする。しかもあんな、気持ち悪い女の所に・・・。 もし一歩間違っていたら今頃兄様は・・・・・・、夜澄は考えるだけでもおぞましいです。 正直に言って夜澄は今回の兄様の愚行には絶望しましたよ。本当に兄様は何をしてらっしゃるんですか・・・?」 402 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 59 24 ID ilFLI4vw 「夜澄、何を・・・?」 ぎり、と歯を食いしばる音がする。 今まで見た事もない夜澄の憎悪の表情に竦んで言葉が紡ぎ出せない。 「何を? それは夜澄が言いたいですよ? 本っ当に、兄様は夜澄の為に生まれたという意味を、本当に分かっていますか?」 そこまでを息継ぎ一つせずに喋りきった夜澄が、ふぅ、と息を吸い込んだ。 そして、まあ過ぎた事ですけどね、と言ってまた楽しそうにくすくすと笑い出す。 「くすくす、夜澄はずっと兄様だけを想っているのに、夜澄のモノなのに、兄様はつまらない事にかまけてばっかり。 それどころか、放っておけば今回みたいに夜澄の傍からいなくなっちゃうじゃないですか、くすくす。 だから、ちゃんと兄様を夜澄のモノにしてあげるんですよ、心も体も。 ふふ、お父様とお母様の事故が良い切欠になりました。 ずっと病院に篭もって病気の振りをし続けるのは少し大変でしたけど、くすくす。 ああ、でも学校に行って気持ち悪い思いをしなくて済んだ分快適な生活でしたよ。 お蔭でお金も準備する事が出来ましたし。」 「金? そうだ、一体あの金は何なんだ?」 「お金ですか? 兄様が今まで夜澄の治療に出してくださったお金がありましたよね? 元気な夜澄には必要なかったのでお医者様から返していただいて、 ずっと兄様の購入資金として貯めてたんですよ、くすくす。」 「医者まで俺を騙してやがったのか?」 「あら、お医者様を責めてはいけませんよ。 あの方にだって大切なご家族がいらっしゃっるのですから理解してあげないと、まあ、どうでもいい事ですよね。」 「お前が、人を強請ったのか?」 「ふふ、過程なんてどうでも良いじゃないですか。 大切なのは兄様が完全に夜澄のモノになった事、愛し合う二人が一つになる事ですよ。 さあ、結果を愉しみましょうか? いっぱい、くすくす。」 そう言い終えると夜澄は着物の帯を解く、白い肢体が目の前に広がる。 403 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 00 01 ID ilFLI4vw 「夜澄、何をする気だ!?」 「何って、愛し合う男女がすることって一つになる以外にあるんですか?」 夜澄は不思議そうにコクンと首を傾げる。 そして、拘束されている俺のズボンを下ろし、俺のモノを口に咥えた。 その光景に固まっている俺を気にせずに舌を器用に絡める。 「ふふ、大きくなりましたね、もういいでしょう?」 夜澄はそのまま俺に跨り、糸を引く自分の秘部を指で押し開いて俺のモノをあてがおうとする。 「おい、待てよ!! 俺らは兄妹なんだぞ!!」 「そうですね、それが何か気になりますか? そんな事、・・・・・・っん・・・・・・。」 そう言ってそのまま腰を落とす。 ぬるりとした感触と共にあっさりと入った。 404 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 00 32 ID ilFLI4vw 痛がる様子も無く、夜澄は気持ちよさげに腰を上下させる。 「やめろ!! やめろよ、夜澄!!」 俺の言葉など全く聞かずに夜澄はただ腰を振る。 快感だけに集中する夜澄には何も聞こえていない。 「・・・・・・んんっ、・・・・・・ひ・・・し・・・・・・りの兄様の・・・んっ・・・・・・体、 ・・・ん・・・いい・・です・・・凄くいい・・・ん・・・、くす・・・くす、分かり・・・ます・・・よ、 もう・・・・・・出ま・・・すね? ふふ・・・いっぱい・・・いっぱい夜澄の・・・子宮に・・・・・・。」 そう途切れ途切れに言って深々と夜澄は腰を落とす、その瞬間俺は腰が抜けるような快感を感じた。 暖かいものが自身のモノから流れ出す。 腰を深く落とし、恍惚の表情で夜澄はそれを受け止める。 頭から血の気が引いていく。 ああ、終わった、俺は妹の膣に、たっぷりと。 事が済んでしまってからも、まだ夜澄は蕩けた表情のままだった。 口からは涎も垂れている。 見た事も、いや想像だって絶対にした事がなかった夜澄の痴態がそこに有った。 もうそれ以上はそんな夜澄を見たくなかった、顔を横に背け目をつぶった。 それに気づいた夜澄が俺の顔を両側から掴み、強引に正面を向かせる。 「何をしてるんですか、兄様? まだまだ夜澄は足りませんよ? くすくす、勝手に終わらせないでくださいね?」 そう言って、体をぴたりと俺に付け腰の動きを再開する。 入れる、出す、入れる、出す…。 部屋の中にベッドの揺れる音と水音だけが響く。 3回目、4回目、5回目・・・。 405 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 01 02 ID ilFLI4vw ・・・・・・2時間? いや3時間くらいだろうか? 息が苦しい、頭はまだぼんやりとしている。 一方、さっきまで横ではぁ、はぁと激しく息を切らしていた夜澄はもう落ち着き、今は俺の腹に跨る格好で座っている。 「ふふ、兄様のお×ん×ん最高でしたよ、くすくす、本当に夜澄の子宮にぴったりと嵌って。 兄様、知っていますか? 兄妹同士のまぐわいは一番気持ちいいんですよ? もう兄様は夜澄以外の体では満足できませんね? 一生、くすくす。」 俺を見つめながら嬉しそうに夜澄は言う。 その言葉に我に返る。 俺は夜澄と、妹とセックスをしてしまった、いや、レイプされたと言ったほうが正しいのか…。 「本当に、気持ちよすぎて、…くすくす、たった一週間まぐわっていないだけで夜澄はおかしくなりそうでしたよ? はしたないですね、夜澄は、くすくす。」 「・・・・・・おい?・・・・・・一週間?・・・・・・一週間ってどういうことだよ・・・・・・。」 「くすくす、ですから一週間ぶりの兄様とのまぐわいですよ?」 また夜澄が笑い出す。この状況の何がおかしいのか俺には分からない。 「ふざけるな!! 俺はそんな事今までした事無い!! 無いに決まってる!!」 「あら、よく兄様は夜澄の所に来ると一緒にお昼寝して下さいましたよね?」 まさか・・・夜澄は・・・・・・。 「くすくす、ええ、実はですね、兄様に差し上げてたお茶に秘密がありましてね。 幸せに眠れるお薬と、くすくす、元気の出るお薬、が入っていたんです。」 「お前は・・・・・・、俺と一緒の夢を見てくれたんじゃないのか?・・・・・・」 「くすくす、ごめんなさい、それもウソ、です。 本当は、寝ている兄様のお召物を脱がせて、しゃぶって、犬みたいに腰を振って、お口いっぱいに含んで、 兄様の匂いのするお口で、目を覚ました兄様と、お父様とお母様のお話をしていたんですよ。 悪い子ですね? 夜澄は、くすくす。」 夜澄がまた笑う。本当に楽しそうに笑う。 「ああ、そうですね。いつもお母様の着物を着たままでしたから、 これにはきっと夜澄の汗とよだれとお汁と、くすくす、兄様の匂いがいっぱい浸みてますね?」 そう言って夜澄が着物の裾に鼻をあてて、すんすんと匂いを嗅ぐ。嬉しそうに良い匂いですよ、と笑う。 406 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 01 31 ID ilFLI4vw 気持ちが悪い。 俺はずっとそんな気持ち悪い着物の匂いを嗅いでいたのか、そう思うと胃の奥から熱いものがこみ上げる。 今まであそこで口にしたものを、肺に吸い込んだものを全て吐き出したい。 吐き気を堪えながら、聞きたくも無い質問を続ける。 「入院してから、ずっとそうしていたのか?」 「いえ、もっと前、二人で一緒に暮らしていたときからですよ。 くすくす、良く食事をしてそのまま寝てしまう事がありましたね。」 あの時は研究が辛いからすぐに寝入っているのだと思っていた。 あれも、夜澄の仕業だったのか。 「あの頃も、本当はそれなりに楽しかったですよ? いろんな夜澄の隠し味が入った食事を召し上がって頂いて、夜は夜澄をたくさん召し上がって頂いて。 もし、隠し味を知られてしまったら、夜、目を覚まされてしまったら、 兄様は夜澄をどうされるのでしょう? 夜澄は兄様をどうするのでしょう? そう考えながら、兄様の前では兄様が望まれる妹の夜澄を演じて、 くすくす、本当に心臓が止まってしまうかと思いましたよ?」 そんな話は信じたくない。 それが本当なら、俺の大切な家族は、そんな事をしておいて、笑顔ができる女だというのか。 俺の大切な夜澄は、毎晩、家族である俺を犯しておきながら、涙を溜めて、独りにしないでとあの時俺に抱きついていたというのか。 407 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 02 03 ID ilFLI4vw 「全部、嘘なんだろ? お前は、あんな生活には耐えられなかったんだよな!?」 「くすくす、これは全部本当、ですよ。ああでも、もう今の夜澄にはあの生活は耐えられませんね。 こうやって最愛の兄様から全てを奪って夜澄だけのモノにする、こんな気持ちいい事を知ってしまった今の夜澄には、きっと。」 「気持ち良いだと!? 俺は、お前の為に自分の夢も、将来も、エリスも裏切って一緒に居たんだ、それを知ってて言っているのか!?」 「ええ、もちろん知っていますよ。兄様が悩んだ末に一緒に居て下さるといった時の必死に未練を振り切ろうとする表情、 それに自らを売る前の晩にいらした時の苦悩しきった表情。 いつも決断を迫られる度に夜澄を想う兄様、夜澄を選ぶ兄様、ええ、それを思い出すだけでも、くすくす、胸が満たされます。 自分の夢より、体より・・・・・・、何よりも夜澄が大切、そんなに兄様から愛されているなんて、 やっぱり兄様は夜澄のモノなんだって、そう思うたびに、くすくす、夜澄は幸せものです、くすくす。」 「幸せ?」 「くすくす、両親も、夢も無くされて、ご友人も、大切な物はみーんな、夜澄の為に無くなっちゃいましたね。 最後に残っているのは最愛の夜澄だけ、夜澄は本当に幸せです、くすくす。」 理解が出来ない。 ただ自分の欲望の為に家族を騙して奪って、何の痛みも感じずに、自分が幸せだと言い切る夜澄が。 「これが幸せか? これがお前がずっと望んでいた幸せだっていうのか?」 「はい。これが夜澄の望んだ最高の幸せですよ。 他にどんな幸せがありますか?」 夜澄は最上の笑顔で応える。 俺がいつか見たいとずっと願っていた不安も憂いも浮かばない綺麗な笑顔で。 「どんな幸せだと・・・。」 幸せ、両親との最期の瞬間を思い出す。 あの時の両親の顔が浮かぶ、夜澄を幸せに、と言い、 存在しない右手を夜澄に向かって伸ばしていた母親の姿が浮かぶ。 絶対に違う、あの時おふくろが望んでいた夜澄の幸せはこんなものではなかった。 「お前は、おふくろ達には、後ろめたく思わないのか? 後悔しないのか? こんな風に兄妹でやっちまって・・・・・・。 ・・・覚えてるよな、あの時お前に手を伸ばしたおふくろの手をさぁ!? こんな事知ったらどれだけ悲しむか分かるよな!? 親父や、お袋に済まないと思うだろ!? 頼むよ、そうだと言ってくれよ!! 夜澄!!」 408 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 02 26 ID ilFLI4vw 必死の言葉に応えてくれたのだろうか、夜澄は真顔に戻り、物思いをしているようだ。 そして暫く考えた後、ちょっと困ったような顔をしてから答える。 「ん、兄様のお願いです、そうですと言いたいですが。 ・・・・・・全然、思わないんですよ。 ずうっと兄様は夜澄のモノなんですから、何に罪悪感を感じればいいんですか? ごめんなさい、何が悪いのか夜澄には本当に分からないんです。くすくす、困りましたね?」 夜澄はバツが悪いのか、照れくさそうに笑っている。 その表情は穏やかで、この場所には全く相応しくない。 「それに、実はお父様やお母様の事を夜澄は何にも覚えてないんです。 お母様の手の話だって兄様がそれを言うと構ってくれたから話を合わせていただけですから・・・・・・。 良く考えてください兄様、あんな小さい子供が細々としたことを覚えていますか? さっき言ったじゃないですか? 兄様以外の人間なんていません、って。 夜澄にとってはどうでも良いお人形さんが2つ減っただけですよ。 そんな事いちいち覚えていられるわけ無いじゃないですか? 私が覚えているのは、くすくす、今にも泣きそうな可愛らしい兄様のお顔だけですよ。 くすくす、今のお顔とそっくりでしたよ?」 夜澄の言葉にまるで針金をねじ込まれたように心臓が痛む。 それでも、そこで黙ってくれればまだ救いがあったのに。 「そうですね、他に覚えている事ですと・・・、」 なのに、夜澄は何かを思い出したようで楽しげに言葉を繋いだ。 「ああ、そういえばあの後、お手洗いで、くすくす、兄様の顔を思いながら、一人で慰めたら・・・、 くすくす、涙が出るほど気持ちよくって、あれより気持ちよかったのは、くすくす、兄様と一つになった時だけですよ?」 409 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 03 05 ID ilFLI4vw う・・・そだ。 体中の血が引く。 記憶が巻き戻る。 あの時に夜澄は確かに居なかった。 ならば、泣き崩れる俺を置いて夜澄は一人で、その涙を思い出しながら、随喜の涙を流して、 そして、ついさっきまで俺の腕を握っていたあの小さな手で、 「自・・・慰をしてのか? そんな事どうでもよくって。 お前にとっては親父もお袋もそんな事なのかよ・・・。 そんな事より、性欲の方が大事なのかよ・・・?」 「くすくす、そうですね? 少なくともお母様たちよりは、くすくす。」 「最低だよ・・・。お前は、最っ低の変態だよ!!」 今の絶望を俺はこんな風にしか表せない、その無能すら憎い。 「ふふ、兄様の大切な夜澄は本当に最低ですね? くすくす。」 気持ちよさそうに夜澄が言う。 そこには、昨日までのふっと消えそうだった儚い面影などはない。 そこに居る夜澄が誰なのか分からなくなってくる。 「お前は何なんだよ!? 何だったんだよ!? いつも俺の傍に居て、家族思いで、独りで、寂しくて、黙ってやさしい笑顔を向けてくれた夜澄は何だったんだよ!?」 「ええ、演技ですよ、それは。くすくす、夜澄はお利口さんですから。 夜な夜な兄と交わる気持ち悪い妹なんて、兄様望まれない事ぐらい分かりますよ。 お淑やかで、家族思いの妹の方が兄様はお好みですよね? よーく知ってましたよ。そして、必死にそれを演じきりましたよ、くすくす。 でも、もう隠す必要も無いですから。これが本当の兄様の大事な妹の、夜澄です。 気持ち悪いですか? くすくす。」 知られないように今までがんばりましたよと小さく胸を張り、くすくすと笑う。 「昨日の夜、俺を信じると言ってくれたのもみんな演技なのか!?」 「ええ、でも、信じていたのは本当です。 兄様のする事はみーんな夜澄の為になるって。 ちゃんと信じたとおりになりましたね、くすくす。」 その楽しそうな笑い方が煩い、耳に付く、くすくす、くすくすと。 何の罪悪感も無くこの状況で笑えるというのが理解できない。 「何が楽しいんだよ?」 「あら、何で楽しくないんですか? 夜澄は病気ではありませんでした、邪魔なモノは全てなくなりました、 そして兄様は夜澄のモノで、二人はずうっと一緒になりました。 ほら、ハッピーエンドじゃないですか?」 「ふざけるな!!」 410 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 03 31 ID ilFLI4vw 俺は激昂した。 「俺が夢を捨てて、親友を裏切って、体まで売って、 そこまでして求めたのはこんなお前との共同生活なんかじゃない!!! おれの夜澄は、お前なんかじゃない!! お前は家族でも、まして恋人でもない!! お前はただn「うるさいですね?」」ぱんっ、という音が響く。 異常者だ、と言い切る前に夜澄に平手で殴られた。 「夜澄のモノがそういうお口をきいてはダメですよ。 夜澄を拒絶するのも不愉快にさせるのも禁止ですからね?」 そう言って夜澄はさっきまでの笑顔をそのまま凍らせたような表情で俺を見下ろす。 まるで本物の人形のようだと思った。 そしてふっと表情を緩めると、俺の口を塞ぐように口付けをした。 手馴れた動作で口に舌を捻じ込み、絡めて、くちゅくちゅと音を立てる。 5分はそれを続けただろうか? 夜澄はやっと満足したようで、ゆっくりと口を離した。 「んんっ、はぁ、はぁ・・・・・・。 ふふ、あんまり夜澄を困らせないでくださいね。 あんまり意地悪な事を言われちゃうと夜澄は傷ついちゃいますよ?」 「何がモノだよ、俺は俺だ、なんでも思い通りに出来るとおもうな!!」 「くすくす、今日の兄様はとっても意地悪さんですよ? このままでは兄様を夜澄の思い通りにはできませんね。 でも、ついちょっとだけ意地悪し返したくなっちゃうかもしれませんよ? 兄様は痛いのが好きですか? くすくす、恥ずかしい事は? 熱い事や苦しい事は? ふふ、どんな意地悪をしようか迷っちゃいますね? 」 夜澄は上機嫌で俺の顔に手を当てて愛しげに撫でる。 それは愛しい人に笑顔で投げかけるような言葉では無いのに。 気に入らない事をすれば拷問まがいの行為で矯正すると脅迫しているのに。 なのに、その表情は子供みたいに楽しそうだ、まるで何をして遊ぼうか迷っているかの様に。 411 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 04 04 ID ilFLI4vw 「なあ、夜澄は俺のことを愛してるんだよな・・・・・・?」 「ええ、何よりも。」 「だったら、」 「でしたら?」 夜澄は不思議そうに小首を傾げる。 「だったら、どうしてこんな事出来るんだよ!?」 「こんな事、あら、どんな事ですか?」 「俺から何もかも奪って、俺の思いを裏切った事に決まっているだろ!?」 「ふふ、簡単じゃないですか、愛しているからですよ。 くすくす、決まっているじゃないですか?」 夜澄は俺の質問がさも馬鹿らしいというように、笑う。 「愛しいから、自分のものに、独占したい、閉じ込めたい、どんな手段でも・・・・・・・、くすくす。 それこそが正しい愛なんですから。好きな人の幸せを想うなんていうのは歪んだ、唯の自己愛ですよ?」 「ふざけるなよ、自分がしている事が分かっているのか? こんなのはただの強姦だ!! 相手を犯す愛なんてあってたまるかよ!!」 「ふふ、そういう様に言うのは、自分が可愛いからですね。 相手を傷つけたくない、なんてただの卑怯者ですよ? そんなの。」 あの気持ち悪い女みたいに、と夜澄が吐き捨てるように言い放つ。 「そういう綺麗事を言う人は嫌われて傷つく事を恐れる臆病者で、 くすくす、人形から非難をされるのが怖い卑怯者です。 後はきっと、恋人を壊して愛せなくなるのを恐れる愚か者ですね、くすくす。」 「そんな筈があるか!! 本当に愛しているなら!!」 そこで言葉は夜澄に遮られた。 「本当に愛しているならば? それならば、どんな中傷でも甘んじて受けるべきですよ。 犯して、壊して、禁忌も倫理も正義も、全てを捨てて手に入れるべきでしょう? そして、どんなに壊れた恋人でも、くすくす、ほら、笑顔で心から愛せるじゃないですか?」 夜澄は心からの笑顔で語りかける、凛とした声音には一点の濁りも無い。 きっとそれは妹の夜澄ではなく、本当の夜澄の笑顔なんだと思う。 412 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 04 35 ID ilFLI4vw 本当の夜澄の笑顔は真夏の星空の様に明るくて、とても綺麗だった。 だから、俺はやっと、俺の夜澄への思いは始まりから裏切られていたんだと認め切る事ができた。 夜澄を唯一の家族として愛していた、そして家族でいる為に何度も悩んだ。 でも、夜澄はその思いを理解してくれなかった、その代わりに利用して、そして愉しんだ。 今までも、これからも俺を夜澄だけのモノにし続ける為に。 ああでも、もう夜澄を責めるもの筋違いに思えてくるよ。 だって、ただ俺と夜澄の『幸せ』に不運な齟齬があっただけなのだから。 そして、二人同じ時間を過ごして、その中で別々のハッピーエンドを求め続けていただけだったんだからな。 結局、俺は何年も1人で空回りし続けていただけだった、ただそれだけの事だ。 「兄様ならば、分かることができますよ? だって、夜澄のモノなんですから。」 もう力の入らない体から空気が漏れるように答える。 「俺には、分からないよ。もう、無理だよ、ごめんな、俺はもうお前を愛せな・・・・・・ウグッ」 「意見の相違ですね? でも夜澄はそんな答え求めてませんよ?」 今度は踵が腹にめり込む。 夜澄は立ち上っていた、俺の腹を力いっぱい踏み躙りながら言葉を続ける。 「さっき言いましたよね、夜澄を否定するなって? くすくす。 まあ、それを思い通りにするのも、愛なのですね? それでも思い通りにならなければ誰にも盗られないように壊せばいい、くすくす。 夜澄はどんな宗一兄様でも愛せますよ? くすくす。」 だから、頑張って夜澄を愛してくださいね、とまた笑い出す。 「でも安心してくださいね、いきなりそんなもったいない事なんてしませんから。 何を考えれば夜澄の想いに添えるか、何をすれば夜澄の愛に応えられるか。 一つ一つ、ぜーんぶ教えてあげますからね。何度でも、何度でも出来るまで永遠に・・・・・・、くすくす。 だから、素直に従ってくださればちゃあんと夜澄を満足させられますからね。」 「そん・・・なの・・・壊れるのと・・・・・・何が……違うん・・・だ?」 夜澄がまた踏みつける。 「さっき言ったじゃないですか? 愛しています、って。 夜澄の言葉を忘れちゃだめじゃないですか。」 痛みと苦しさで朦朧としながら壁に掛かったカレンダーを見る。 売買された人間には一ヵ月後に形だけではあるが様子見が来る、最も今更開放された所で・・・、 413 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 05 14 ID ilFLI4vw 「あら、日付が気になりますか? くすくす、大丈夫ですよ、すぐに夜澄と愛し合う以外考えられなくなりますから。」 足をどけた夜澄は俺に跨り、触れ合うぐらいに顔を近づける。 「夜澄は今まで兄様だけを愛して、これからも兄様だけを愛し続けます。 永遠に、ずうっと、ずうっと、ずーーーうっと兄様は夜澄だけのモノですよ? 絶対に手放したりなんてしませんからね、くすくすくすくす・・・・・・。」 見開いた夜澄の目が俺を見つめる。 欲望や嫉妬、狂愛でどろりと濁った瞳、なんてありふれた物は無かった。 夜澄の瞳はどこまでも、冬の夜空のように澄み切っていた、そして、そこにはうっすらと俺が写っている。 瞳に写る俺は涙を流していた、でも俺には何を悲しめばいいのかもう分からない。 これからは何に涙すればいいのかも夜澄は教えてくれるのだろうか? なにも分からない。どうして・・・・・・、 どうしてだ、今まで俺は何の為に? ―くすくす、夜澄のモノになる為ですよ。 お前は、これで、こんな事で本当に幸せなのか? ―ええ、これ以上の幸せなんて考えられないほどに、夜澄は幸せです。 そして、兄様もすぐ幸せになれますよ、くすくす。 俺の幸せは一体何なのかな? ―くす、『夜澄の幸せ』、ですよ、兄様? それが、自分の意思で紡ぐ事を夜澄に許された最後の言葉だった。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou/pages/212.html
時は、待たない。 すべてを等しく、終わりへと運んでゆく。 限りある未来の輝きを、守らんとする者よ。 汝に与えられた時は間もなく尽きる。 逃れ得ぬ滅びを前にしてもなお、運命に屈さぬ意思があるならば。 その願いは、必ず―――――― ◇ ◆ ◇ 名無鉄之介は慟哭していた。 彼の手の中にはたった今命を奪われた幼い少女の亡骸がある。 「ちくしょう…っ!」 少女の名は鹿目まどか。 彼女はアーチャーのマスターだったが、そのアーチャーはまどかが死んだと見るやどこかに去っていった。 そして名無は、何もできなかった。 何がモテない男たちの救世主だ、何が13騎士だ。 たった一人の少女も救えない、口だけは達者なクズ野郎だ。 「あ、の…野郎……!」 まどかを殺した犯人を、名無は直接目撃したわけではない。 だが鴉の使い魔から聞こえてきた声は、鳴上悠のデータファイルを再生した時に聞いた覚えがあった。 衛宮切嗣。 ライダーのマスター。 衛宮士郎の養父。 セイバー(アルトリア)の前のマスター。 魔術師殺し。 その衛宮切嗣こそが、鹿目まどかを撃ち殺した。 「なんでなんだよ…まどかちゃんはまだ中学生で…こんなとこで死んでいい子じゃないだろ…」 名無がまどかと言葉を交わした時間は少ない。 アサシンに拉致されたあと気がついたらいまいる場所に放置されていて、そこにまどかがやってきたのだ。 まどかの手にある令呪を見て敵のマスターと一瞬で気付いたが、 名無は女の子を問答無用で攻撃するような腐れ外道ではなく、 まずは誰のマスターなのか、できれば戦いたくはない…といったことを説明しているうちに、 まどかは実は名無たちと同じく聖杯を破壊するために行動しているのだと知った。 そしてまどかのサーヴァントDIOがまどかの願いと反した行動をとっているということもわかった。 そこから先はもう、止める間もない出来事だった。 まどかが令呪でDIOを呼び出して、さらに令呪で自殺を命じようとして、切嗣に撃たれた。 もっとうまくまどかを説得できていれば、 切嗣が狙っていることに気付いていれば、まどかは助かったかもしれない。 悔恨は涙となって名無の頬を濡らしていく。 「…良かった、間に合ったな」 そんな、名無の前に…ついさっき、ここから消えたばかりのDIOと、切嗣が現れた。 「て、てめえら…!」 「キャスターのマスター、いまはおまえに用はない。どけ」 片腕のないDIOのスタンドが名無を殴りつける。 とっさに出したイルバーンで受けたが、 ザ・ワールドのパンチの威力は凄まじく名無は紙のように吹き飛んだ。 「何をする気だ、アーチャー?」 「新たなマスターよ、私も先ほどの戦いでかなりの消耗をした。 ここらで一度補給をせねば、残ったやつらとは戦えん」 名無はDIOの言葉で状況を理解した。 つまりこの吸血鬼は、まどかを殺した切嗣にマスターを乗り換えたのだ。 地面に這いつくばる名無が見たのは、DIOが消えかかっているまどかを拾い上げ、 長く鋭く伸びた牙でまだデリートされていない首筋に噛み付いた瞬間だった。 「おお、これは素晴らしい。力がみなぎる…NPCとは比べ物にならん…!」 「て…てめえええええっ! まどかちゃんに何してやがる! てめえのマスターだった子だろ!?」 名無はDIOのしていることが信じられなかった。 ついさっきまで自分のマスターだったまどかが死に、DIOはあっさりとマスターを交代した。 よりにもよって、まどかを殺した犯人である衛宮切嗣にだ。 そして、DIOはまどかの血を吸っている。 寸前まで自分のマスターだった少女から何の躊躇いもなく。 DIOの全身の傷からしゅうしゅうと煙が吹き出し、見る見るうちに治癒していく。 「何をしているだと? ふん、お前たちは既に私がどういう存在か知っているんだろう」 「吸血鬼…!」 DIO、その正体はスタンド使いの吸血鬼。 血を吸うことによってすさまじい再生力を発揮する化外の存在。 「マスターの血肉は私にとっては燃料そのものだ。 一般的なサーヴァントの霊核は脳と心臓にある。 それはサーヴァントの大本である人間も同様だ。つまり…」 そういってDIOはまどかの首から牙を抜くと、まどかの遺体を片腕で上に放り投げた。 「な、なにを…」 「マドカよ…一時は君は私の友になれるかもと思ったこともあったが… やはり最後の最後はこのDIOの礎になる存在だったようだ!」 DIOが残った片腕の指先を伸ばし…落ちてきたまどかの胸を、貫いた。 「…あ……………あああああああああ! てめえ…DIOっ!」 「マスターの血はNPCのとは比べ物にならない魔力を秘めている… ならば、霊核を内包するマスターの心臓を喰らったならば、どうなる?」 DIOは抉り出したまどかの心臓を握りしめ、無造作に腕を振ってまどかの遺体を振り払う。 頭部を失い、いままた無残にも胸に大穴を開けられた まどかの遺体は見るに耐えない凄惨な有り様だった。 DIOは大きく口を開け、血に濡れるまどかの小さな心臓を…飲み込んだ。 「WRYYYYYYYYYYYYYY! 予想通りだ…かつて老いぼれジョセフの血を吸った時のように! 力が、魔力が溢れてくるのを感じるぞ!」 戦闘で失った魔力を補って余りある膨大な魔力がDIOの全身に駆け巡る。 その魔力はDIOの吸血鬼の特性を遺憾なく発揮させる。 セイバーとの戦いで失った腕が断面から新たに生え出てくる。 本体であるDIOが回復したため、 精神のヴィジョンであるスタンド・ザ・ワールドもまた五体満足な状態に回復していく。 「まどかちゃんを騙して…まどかちゃんを踏みにじって…許さねえ! てめえは絶対にぶっ殺してやる!」 サーヴァントがマスターを裏切る… マスターを乗り換えたとはいえ、何の躊躇いもなくその遺体を傷つけるDIO。 名無の怒りはここにきて頂点に達した。 絶対にこの吸血鬼を消してやると決意するが、しかし現実は非情である。 イルバーンを使えばアサシンとは何とか渡り合えたが、 それは相手が直接戦闘が苦手なアサシンだったから。 三騎士のクラスであるアーチャー、しかも例外的に接近戦を得意とするDIOの一撃は、 アサシンとは比べ物にならない威力を名無しに叩きつけた。 イルバーンは破壊されなかったものの、名無の身体は痺れて言うことを聞かない。 「フフフフ…そういきりたつな、小僧。 そら、令呪でキャスターを呼ぶがいい。そのくらいなら待ってやるぞ?」 DIOに挑発され、令呪でリインフォースを呼び出そうとして…名無はふと我に返る。 今までずっと黙っていた切嗣が、凄まじい目つきでDIOを睨んでいたからだ…名無ではなく。 「…アーチャー、お前は…吸血鬼なのか?」 「ん?そうだが、それがどうかしたか、新たなマスターよ」 DIOの答えを聞いて、切嗣は殺気に満ちた視線を新しいサーヴァントに投げかける。 それは決して生死を共にする相棒に向けるものではない。 まるで百年追い続けてきた仇を見るような…そんな目だった。 「もしやマスター、お前はなにか吸血鬼に恨みでもあるのか? たしかに我々は人間に仇なす存在であるが」 「…お前には関係ない」 切嗣が懐から煙草を取り出す。 だが名無は見ていた。 切嗣のその手が震えていることを。 激しく暴れている自分の中の感情を、必死に押さえつけているような… 「…まあ、いい。どういう思惑があるにせよ、今の我々は一蓮托生だ。 聖杯を得るまでは私はお前を裏切らんし、お前も私を裏切らないことだ。 なにせセイバーを討ったいま、もはや私を止められるサーヴァントなどおらん… 名実ともに私が最強のサーヴァントなのだからな」 DIOの言葉で名無はセイバーが敗れたこと…つまり、対DIOの作戦が失敗したことを悟った。 DIOがキャスターを呼べといったのは、キャスターが連れて来る他の仲間をも始末してやるという宣言なのだ。 アヴァロンで時間停止に対抗できるセイバーが負けたのなら、もうDIOを倒せるサーヴァントは存在しない。 だからここで一気に敵を片付けようとしているのだろう。 DIOも名無も、切嗣も知らない。 切嗣が最初のサーヴァントであるライダーを切り捨てたあと何が起こったか。 仮面ライダーオーズに託された新たな力… それを知っていれば彼らは何よりも優先してオーズを倒しに向かっただろう。 だが彼らは知らない。 ゆえにDIOは自分が頂点であると疑わない。 「アーチャー、命令だ。そのマスターを殺せ。 アーサー王を討ってもまだガウェインがいる。 吸血鬼というならやつとは相性が悪いはずだ」 「ふん、もはややつとて恐るるに足らん。 聖者の数字とやらは一度傷を受ければ発動しなくなるのだろう。 あのバーサーカーを相手に無傷でいるなどあり得んしな」 「それでもだ。 この戦いは何が起きるかわからない。 少なく見積もってもまだ十人は敵がいる。 さっきみたいに足をすくわれたくはないだろう?」 まどかが射殺されたのはDIOにとっても予想外だ。 この戦いは、そういう予想外がいつどこでどれだけ起こるか全く想像できない。 「ふん、この私に慢心を捨てろというのか。 …よかろう、たしかに貴様の言うことも一理ある。 遊びは終わりとしようか」 かつてDIOは慢心した結果ジョースターの血統に敗れた。 同じ轍は踏むまいと、DIOは名無にゆっくりと近づいてくる。 「ザ・ワールド…光栄に思うのだな、キャスターのマスター。 マドカと同じ所に送ってやろう!」 名無の目の前でDIOのザ・ワールドが拳を振り上げる。 ダイヤモンドをも砕くそのパンチが名無の頭を粉々に打ち砕く寸前…名無は光を見た。 「…リインちゃん!?」 「真名で呼ぶなと言っているだろう、マスター」 思わず口にした名無を振り返るキャスター…リインフォースが現れた瞬間を。 ◇ ◆ ◇ アサシンとスザクが去った遠坂邸の地下。 リインフォース、ルルーシュ、こなた、陽介が見守る前で…衛宮士郎は消えた。 セイバーに最後の命令、ディケイドを倒せと命じて。 あとに残ったのは彼が持っていた携帯電話とレコーダーだけ。 「…そうだ、ルルーシュの頭を…」 呆然とする一同の中で、最初に動き出したのは陽介だった。 かっと目を見開いた別世界のルルーシュの頭… なるべく視線を合わせないようにして、 陽介は頭と身体を入口のドアのところにまで引っ張ってきて挟んだ。 「…どうだ、ルルーシュ?」 「ああ…もう、大丈夫だ。キャスター、離れていいぞ」 別世界のルルーシュが自分の世界に戻されたため、アサシンのD4Cの能力が解除された。 ユニゾンでルルーシュの身体の崩壊を防いでいたリインフォースが離れる。 ルルーシュが隣を見れば、こなたは青ざめた顔でへたり込んでいた。 ――無理もない。 泉は人が死ぬのを見るのはおそらくこれが初めてだ。 天海のときは別行動だったし、遠坂凛の場合は気がついた時にはもう終わっていたらしいしな。 花村にしても、慣れているというわけではあるまい。 人は簡単に死ぬ。 最後に何かを言い残したり、物を残したりすることもあれば、何も残さず消えることもある。 衛宮士郎は何を残したか。 それは俺を…ルルーシュを助けてやってくれという一言だけだった。 それだけで…衛宮士郎は消えてしまった。 「…みんな、すまない。私はマスターの元へ行く」 静かな空気を破ったのはリインフォースだった。 忘れていたわけではないが、士郎以外に名無もまたここからいなくなっているのだ。 スザクとアサシンにさらわれて。 「マスターはまだ生きている。今探している…見つけ次第転移で追う」 「なら俺達も…」 「よせ、花村。サーヴァントのいない俺達がいっても足手まといにしかならん」 アサシンが名無をさらったのは、 おそらくこうやって追ってくるキャスターや他のサーヴァントを一網打尽にするためだろう。 ましてセイバーが死んだ今、もうDIOを止められるのは誰も居ない。 可能性があるとすれば、吸血鬼の天敵であるガウェインか、時止めへ耐性を得たアレックスだが… ガウェインはいまだスザクのランスロットと戦っていて、アレックスは極度の消耗で動けない。 唯一健在なのはこなたのライダー・オーズだが、オーズはいまアレックスを守るためにここにはいない。 こなたがオーズを令呪で呼び戻してしまうと敵地に残されたアレックスが危険だ。 時間はかかるがオーズが直接連れてくるしかない。 しかし敵の襲撃を警戒しながらなので足はかなり遅くなるはずだ。 彼らを待っている時間に余裕はない。 「キャスター、お前が行ってもアーチャーには勝てんぞ」 「わかっている。だが、マスターを助けだして逃げるだけならできるはずだ。 お前たちは柳洞寺に転移させる。ここはもう危険だからな」 サーチャーを飛ばしつつ、リインフォースは転移魔法を起動させる。 柳洞寺にマスターを隔離してしまえば、ひとまずアサシンなどの脅威は防げるだろう。 逆にルルーシュたちがついていけば、それだけ転移魔法を駆使するリインフォースに負担がかかる。 名無を救出してすぐに撤退するのなら、リインフォース一人で行くのがもっとも迅速で確実だ。 「…泉、火野を呼び戻してくれ。アレックスを連れて来るようにな。 合流すれば花村のペルソナで傷だけは回復させられる」 「う、うん…」 「私もマスターを確保したら、ガウェインを拾ってすぐに戻る。 セイバーが倒れた今、体勢を立て直さなければ…」 「おやおや、お取り込み中でしたか?」 緊迫した空気に割り込んできたのは、 アサシン達が去った出口から入ってきた白いコートの男…敵のキャスターだった。 「貴様…キャスターか!」 「おっと、お待ちなさい。私は戦いに来たのではありませんよ」 転移魔法を中断し迎撃しようとしたリインフォースに、 キンブリーは両手を上げて戦う気がないことをアピールした。 「私はメッセンジャーですよ。 そこのあなた…ルルーシュさん? あなたを迎えに来たのです」 「俺を?どういう意味だ」 「私は枢木スザクの使いです。 彼が貴方と決着を付けたいというので…道案内を努めようと思いましてね」 ついさっき相まみえたスザクは、ルルーシュの知るスザクではなかった。 ゼロレクイエムを遂行したナイトオブゼロになる前のスザク…ルルーシュと敵対していた頃の顔だった。 「彼はどうしてもあなたと決着を付けたいようでしてね。 ちょうどあなたのサーヴァントであるセイバーとバーサーカーも戦っていることですし、 あなたもスザクに言いたいことがあるでしょう?」 「ふざけんなよ!どう考えても罠じゃねーか!」 花村が食って掛かる。 それもそのはず、敵のキャスターとルルーシュを二人っきりにできるはずがない。 「おやおや…信用していただけませんか。 しかしですね、放っておけばあのセイバーはバーサーカーに討ち取られますよ? 見たところ使える令呪も残っていない様子。 彼を助けたいならマスターであるスザクを倒すしか他に方法はないと思いますがね」 「どういうつもりだ?仲間であるスザクを売るというのか」 「私はただ、彼がどういう結果を迎えるのか見てみたいだけなんですよ。 勝とうと負けようとどちらでも構わないのです」 キンブリーの笑みにルルーシュの背筋が冷たくなる。 ――こいつは狂人だ。 自分が狂っていると自覚した上で、なお正気と狂気を使い分けることができる… 今まであったことのないタイプの人種だ。 「それに、そちらのキャスターのマスターが危険なのでしょう? 私と争っている暇はないと思いますが」 「…お前の誘いを俺が断ったら?」 「その場合は…そうですね、残念ですがあなた方の邪魔をさせていただきます。 転移魔法は少し干渉されるだけで失敗する非常にデリケートなものでしょう。 私は魔術は疎いのですが、壊すことだけは得意でしてね」 キンブリーは落ちていた瓦礫を拾い上げ、壁際に放る。 するとその瓦礫は壁にあたった瞬間炸裂し、大きな穴を開けた。 爆発物を生み出す速度はリインフォースよりはるかに早く、威力もかなりのものだ。 全力を発揮できる広い空間ならともかく、この狭い地下室ではリインフォースよりもキンブリーに分がある。 「転移魔法は失敗、あなたのマスターはアサシンに殺され、 あなたがいなくなればこの場にいる三人のマスターは私に殺される。 そちらのお嬢さん、あなたは令呪が残っているようだ。 ライダー、唯一無事な彼を呼び戻しますか? そうするとあのランサーはアーチャーあたりに殺されるでしょうけどね」 しまったとルルーシュは唇を噛んだ。 場を完全に掌握されている。 こちらは一刻も早く名無を救出に向かいたいのに、キンブリーに邪魔をされては動けない。 名無が死ねば自動的にキャスターも死ぬ。そうなればもうこの場はキンブリーの独壇場だ。 キンブリーの言うとおり、オーズを戻せばこの状況は打開できる。 が、戦場に取り残されたアレックスは確実に死ぬ。 通常の時ならともかく、いまのアレックスはアサシンにすら歯がたたないだろう。 「…お前の用件は俺をスザクの元へ案内すること、それだけか?」 「おい、ルルーシュ!」 「この場は任せてくれないか、花村。 …こいつらに危害を加える気はないんだな?」 「それはお約束しますよ。 ついでに言うと、あなたとスザクの戦いに手を出すつもりもありません。 一方的にスザクが勝つのも面白くありませんからね」 キンブリーが本当のことを言っているか、ゼロとして世界を騙してきたルルーシュでさえ読み切れない。 ルルーシュたちを殺すつもりなら、こうして声をかけてくること自体がおかしい。 何故わざわざこんな接触をしてきたのか。 キンブリーの言っていることが嘘ではないとしたら…他に方法はない。 「…みんな、俺はスザクのところに行く。 キャスター、花村と泉を転移させてくれ。 ライダーはランサーを確保させて呼び戻すんだ。 名無を救出できたら合流しよう」 「ルルーシュくん、駄目だよ!離れたら危ないって!」 「だが、ここで手をこまねいていては全員が危険だ。 それに…」 ルルーシュは目を伏せた。 それに、スザクが待っているのなら、行かなければいけない。 スザクが…決着を望んでいるのなら。 「花村。鳴上悠のことをどう思っている?」 「えっ、なんだよ急に」 「答えてくれ。 あいつは自分の願いを叶えるために人を殺した。 キャスターのおかげで本心を知れたとはいえ、あいつが人殺しであることには変わりない。 あいつを憎いと思うか?」 ルルーシュの問いが冗談ではないと花村も悟る。 これはきっと必要な問いかけなのだ。 悠が殺したイリヤという少女は士郎の家族であり、切嗣の娘だったという。 あの時点で悠は二人の人間からかけがえの無いものを奪っていた。 「…いや。身内を殺された士郎や襲われたお前には悪いが、どうしても俺は悠を憎めねえ。 たとえ人殺しであっても…いいや、 あいつが人を殺してしまったからこそ、俺だけはあいつを赦してやりたい。 あいつは俺の…相棒、だから。 世界中の誰もあいつのやったことは赦してくれないと思う。 だから、俺だけは…あいつは間違ってたけど、それでも一緒にいてやりたいって思うんだ」 嘘偽りのない花村の本心だった。 一年に足りない数ヶ月しか共にいなかったが、 それでも鳴上悠は花村陽介の親友…相棒だと、胸を張って言い続けられる。 それだけが、もういない相棒へ花村ができるただひとつの弔いだろう。 「…そうか。済まないな、花村。辛いことを聞いて。 だが、俺もそうなんだ。 俺にとってもスザクはただ一人の友…だからこそ、あいつが俺を呼んでいるのなら、 俺と向き合おうとしているのなら、俺は行かないといけない」 「でも、あいつはお前を殺そうとしてるんだぜ?」 「それでもだ。俺だって和解できると思ってるわけじゃない。 いや、きっと殺しあうことになるだろう。 それでも…あいつが間違っていて、止まる気がないのなら…」 かつてルルーシュはゼロとしてスザクと戦った。 再会した時からスザクはブリタニアに所属していて敵だったが、 対立を決定的にしたのは間違いなくあの時…ルルーシュがユーフェミアを殺した時だ。 命を奪うだけでなく、その尊厳すらも踏みにじって。 あの瞬間、きっとルルーシュとスザクの道は分かたれた。 そしてスザクはブリタニアの白い死神とまで呼ばれる苛烈な騎士となった。 スザクを決定的に歪めたのは間違いなくルルーシュだ。 「心配するな、俺は死ぬ気はない。 スザクを倒して…ガウェインとともに合流する。 だから花村、泉…頼む」 ルルーシュは頭を下げる。 こなたと陽介はルルーシュの決意は固く、止められないとわかってしまった。 「…見つけた、マスター!」 そのとき、リインフォースがさらわれた名無を発見する。 もう時間はない。 「…わかったよ。その代わり…絶対生きて戻ってこいよ、ルルーシュ。 これ以上仲間が減るのは許さないかんな!」 「陽介くん!?」 「こなたちゃん。俺からも頼むよ。 ルルーシュを行かせてやってくれ。 俺は悠を止められなかったけど…ルルーシュには俺と同じ思いをしてほしくないんだ。 友達が自分の知らないところでいつのまにか死んでるなんて、悲しすぎるよ…だからさ。 せめて、ルルーシュの手でケリつけさせてやろうぜ」 「陽介くん…わかったよ。 ルルーシュくん、また会おうね。きっとだからね」 陽介からも説得され、こなたもついに折れた。 「すまないな、二人とも… キャスター、俺とこのキャスターがここから十分な距離をとったら二人を転移させてくれ。 その後は名無を助けに行くんだ」 そういって、ルルーシュは男のキャスターの後に続いて地下室から出て行った。 念入りに周辺をサーチしてキャスターが残していった罠がないこと、 また転移の邪魔をされないことを確認してリインフォースは花村とこなたを柳洞寺へと転移させた。 追ってオーズとアレックスが向かうだろう。 あとは名無を助けて自分も合流するだけだ。 「よし、マスターの転移座標を確認…!?」 再びサーチャーに意識を向けたリインフォースは驚愕した。 名無鉄之介の側に、あのアーチャー…DIOが立っている。 DIOのスタンドが名無に向けて拳を振り上げるのを見た瞬間、 リインフォースは意識するよりも早く反射的に転移魔法を発動していた。 ◇ ◆ ◇ そして…リインフォースは、間に合った。 しかし、間に合わなかった。 ザ・ワールドの拳は名無を庇ったリインフォースの胸を…霊核のある心臓を貫いていたのだ。 「り…リインちゃん!?」 「まったく…最後まで…言うことを聞かないマスターだ…な」 「ふはは…マスターが危機に陥れば来ると思っていたぞ、キャスター。 やはり貴様も我がザ・ワールドの敵ではないな」 DIOはたしかに名無を殺そうとしていた。 しかし同時に魔力を練って備えてもいたのだ。 敵のキャスターは転移魔法を使える。 ならば、この場に異変を感じた瞬間時間を止めてしまえば、 必ずキャスターはそこにいる…と。 そして予想通りキャスターは現れ、予定どおり時を止めてぶち抜いてやったのだ. 「しかし…どういうことだ?ザ・ワールドのキレが良い…」 まどかをマスターとしていた時よりかなり早く時間を止められた上に、魔力の消耗も少ない。 一般人のまどかと魔術師である切嗣の差が出たのだ。 加えて、切嗣の操る魔術は固有時制御。 DIOと同じく時間に干渉する魔術だ。 さらにまどかの心臓を喰らって魔力を限界まで充填したDIOはいま、絶好調だ。 性格の相性や出自を考えなければ、DIOのマスターとして切嗣以上はいない。 「まだ…終わってはいないぞ、アーチャー!」 ザ・ワールドの調子の良さに気を取られていたDOは、 リインフォースが右手に集めた魔力を見て即座にガードの体勢を取る。 警戒してDIOが下がった隙を逃さず、リインフォースは再度転移魔法を発動させた。 名無の視界が空転し…次に目を開いた時、DIOと切嗣はどこにもいなかった。 名無の前にいるのは、胸に大穴を開けて倒れているリインフォースだけ。 「リインちゃん!?」 「…無事か、マスター?」 「ああ、俺は大丈夫だけどリインちゃんが…! そうだ、令呪を使って!」 「無駄だ…霊核を砕かれた。 令呪でももう回復できない…」 傷ついた状態で無理に転移魔法を発動させたため、 リインフォースの体を構成する魔力はほとんどが散ってしまっていた。 名無の体ももうムーンセルによる消去が始まっている。 構わず名無はリインフォースの手をそっと握りしめた。 名無はその手の冷たさにぞっとする。 「すまない、マスター。助けに来たつもりが…」 「いい、いいんだ!リインちゃんが謝ることなんて何もねえよ!」 「私は今まで多くの人間を不幸にしてきた…だからこの結末に文句はない。 だが…お前まで巻き添えにしてしまうのは、本当にすまない…」 「何言ってんだよ! リインちゃんみたいな美女と一緒に死ねるなら、そりゃもう逆に大歓迎だっての! 人生の最後についに俺の時代が来た!って感じ? 俺リインちゃんと添い遂げちゃう?やっべなにそれテンション上がる! …だから…だからリインちゃん…」 リインフォースの冷たい手を、名無の手が包み込む。 その手はとても暖かく、途方もない心地よさをリインフォースにもたらした。 「そんな悲しそうな顔、するなよ…」 「お前…泣いているのか…」 名無の涙がこぼれ、リインフォースの頬を伝う。 その涙はとても熱い。 魔力生命にはない命の熱さだ。 名無は自分が死ぬから泣いているのではない。 リインフォースが傷ついたから泣いているのだ。 「私のために、泣いてくれるのか…?」 「当たり前だろ…俺とリインちゃんは一心同体だって… リインちゃんが痛かったら俺も痛いんだよ…」 今まで、リインフォースは名無のような人間と会ったことがなかった。 いや、一人だけ…本当のマスターである八神はやてもまた、リインフォースを思ってくれる人間だった。 祝福の風リインフォースという名もはやてにもらった。 そして、名無はリインフォースのために泣いてくれている。 リインフォースを、思ってくれている… 「ああ…そうか。私の願いは…もう叶っていたんだな。 主はやてからもらったのと同じ…あの暖かなぬくもりを… 私はもう、この手の中に持っていたんだ…」 ずっと求めていた、家族と、はやてや仲間たちと同じぬくもりを、鉄之介が与えてくれる。 それだけで、リインフォースは安らぎを得られる。 このあと意識が絶たれ、暗闇に落ちていくのだとしても、きっと大丈夫だと確信できる。 名無鉄之介の手の暖かさと、この涙の熱さを覚えていられるのなら。 「マスター…いや、鉄之介。 伝えておきたい…ことがある」 「…なんだい?」 気がつけばリインフォースは笑っていた。 心からの微笑みだった。 「ありがとう…私のマスターになってくれて。 こんな私にもう一度、誰かのために戦う機会をくれて。 私を…暖めてくれて。 本当にありがとう…」 「リインちゃん…!」 鉄之介に強く抱きしめられる。 一日前なら魔法で叩き伏せていたところだが、今は全然不快ではない。 それどころか…とても安心できる。 名無鉄之介という命の熱を感じられて、リインフォースも暖められる。 「…鉄之介。もう、私はお前を助けられない。 だから最後に何か…私にしてほしいことはあるか?」 「してほしいこと…?」 「ああ。今の私にできることなら、なんでもしてやる… それが私からお前にできる、ただひとつの恩返しだ」 キスしていいかとか、胸を揉んでいいかとか、 そういうお願いが来たとしても今ならまあ…いいかもしれない。 「じゃあさ…このイルバーン、そんで俺の令呪を、 ルルーシュのやつに送ってやることってできるか? ほら、あいつってモヤシじゃん。花村みたいなペルソナもないしさ。 多分あいつ、スザクってやつとケンカしに行くからな。 俺のダチもそうだったけど、幼馴染ってそんなもんなのかな。 まあ、だからきっと、このイルバーンが役に立つぜ」 だが名無の願いはそんなものではなかった。 名無はリインフォースだけでなく、今も死地に向かおうとする仲間を気遣っていたのだ。 自分が遠からず死ぬと決まっていても、臆さず仲間を想える。 「まったく、お前というやつは…」 バカでスケベで考えなしで、どうしようもないロクデナシだけど、 だけど最高のマスターに巡り会えたと、リインフォースは確信した。 「…令呪を使えば、できるだろう。 だが残り二画のうち一画を使い、一画をルルーシュに送れば、 その瞬間に私たちは消える。 それでも…いいか?」 「当然!だってリインちゃんと一緒だろ? じゃあ何も怖くねえよ!」 「わかった、令呪を使ってくれ。 …それと、手を、握っていてくれるか?」 「おうよ!」 リインフォースが名無から令呪を一つ分離させて、 イルバーンとともにルルーシュへと届けるべく、術式を構築していく。 ――なあ、弓樹。 俺、お前みたいな救世主にはなれなかったよ。 でもよ…お前みたいな、春儚ちゃんを笑わせてやれるお前みたいな… 女の子を笑わせてやれる男には、なれたんじゃないかと思う。 なら、いいよな? 後悔はしてないぜ。 なにせいま、俺の隣には………… 「令呪に命じる。 俺の令呪と槍王イルバーン… 大切なものを守れる力を、俺のダチに届けてやってくれ!」 「その願い、叶えてみせる――!」 【名無鉄之介@私の救世主さま 死亡】 【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's 死亡】 ◇ ◆ ◇ 「逃したか」 「いや、手ごたえはあった。 あのキャスターが私のような特性か宝具を持たん限り、助からんだろう」 キャスターが転移し、残されたDIOと切嗣。 聖杯を狙うべく手を結んだ二人だが、つい先ほどまで敵だったのだからそう易々と信頼はできない。 特にDIOは切嗣が魔術師殺しへと至る道の最初に遭遇した異変…吸血鬼だ。 切嗣はかつてセイバーにもライダーにも感じたことのないほどの憎しみをDIOに抱いていた。 しかしそれを口には出さない。 DIOはこの手で殺してやりたいほど憎い存在ではあるが、同時に切嗣の生命線でもある。 ライダーを切り捨て乗り換えた今、これ以上仕損じるわけには行かない。 「で、どうする? 朝になれば私は動けなくなるぞ」 「そんなところまで吸血鬼か。 …進むか、退くか。 セイバーを討った今、お前の時間停止に対抗できるものはいない。 そうだな?」 「他の手立てがあるなら先の戦いで出し惜しみはしないだろう。 懸念のガウェインはバーサーカー次第だな」 「…いや、もう一つ警戒すべきはアサシンだ。 こんな乱戦でこそやつらの危険は増す。 戦闘中に背中から狙われることほど厄介なことはない」 切嗣自身がいままで散々やってきたことだ。 だからこそアサシンの怖さは誰よりも深く理解している。 「アーチャー、やつがどこにいるか探れるか?」 「難しいな。どうやら仕事を終えてからは完全に傍観者を気取っていたようだ。 一度気配を絶たれてはこちらからは発見できん。 …だが、近くにはいるぞ」 それはサーヴァントとしてではなく、スタンド使いとしての直感だった。 あのアサシン…スタンド使いはDIOを最優先で警戒している。 まどかを使って確実にDIOを排除しようとしたように。 「…僕らは今も見張られていると考えるべきか」 「そうだな。退くのであれば振り切れるだろうが、進むのならばやつらは脅威だ。 だが得られるものも大きい」 辺りを見回しても当然アサシンは確認できない。 監視されているという不快感を感じるがどうしようもない。 朝日が射すまであと数時間。 一度退いて体勢を整えるか、短期決戦を挑み敵の数を減らすか。 「さてどうするマスター。 この采配が今後の戦局を左右するだろう。 お前はこのDIOをどう使うのだ?」 弄ぶように言うDIOを切嗣は睨み付ける。 そのとき、煙草の灰が落ちなければ…銃を抜いていたかもしれなかった。 ◇ ◆ ◇ 「着きましたよ」 キンブリーが連れてきたのは、ガウェインとランスロットが激突する戦場からやや離れた場所だ。 そこに、枢木スザクが待っていた。 「ありがとう、キャスター。消えてくれ」 「まったく人使いが荒い。邪魔はしませんよ、スザク」 スザクがキンブリーを追い払うと、そこに残ったのは本当にルルーシュとスザクだけだ。 「スザク…待たせたな」 「構わないさ、ルルーシュ。 君ならきっと来てくれると信じていたからね」 「そうか…スザク、俺たちはもう戻れないのか?」 「無理だね。君だってそう思ってるはずだ」 「…そうだな。無意味なことを聞いた」 「俺の狙いはわかっているんだろ?」 「ああ。わかっていて俺はここに来た」 「俺たちの内どちらかが、あるいは両方が、死ぬとしても?」 「ああ…」 まっすぐにルルーシュを見抜くスザクの瞳は、ギアスを発動させている時と同じだ。 しかしギアスに支配されてはいない…逆にギアスを支配している。 スザクはそれだけの意志と覚悟を携えて、ルルーシュの前に立っている。 ルルーシュは返答の代わりに懐から拳銃を抜き、スザクに向けて構えた。 「そうだ、それでいい。 俺たちが向き合うにはもうそれしかないんだ、ルルーシュ」 「俺たちはもう、戦うことでしか分かりあえない…そうだな、スザク」 「そうとも。 …はは、やっぱり俺と君は同じことを考えるんだな」 「そうだな。なんせ俺とお前は」 ルルーシュはそこで言葉を切る。 促すまでもなくスザクもまた口を開く。 「友達だからな」 ルルーシュとスザクが同時に発したその言葉は、開戦の狼煙。 一瞬遅れて銃声が鳴り響く。 放たれた弾丸を無造作に避けたスザクが跳躍し、 次弾を撃つ前にルルーシュの手から拳銃を蹴り飛ばした。 「…策はあるのか、ルルーシュ。 まさか今ので打ち止めってことはないだろう」 「この体力馬鹿め。 少しは手加減したらどうだ!」 「しないよ。 何をしでかすかわからない君の怖さは俺が一番良く知っているからね」 間合いをあけたスザクが剣を引き抜いた。 キンブリーが作った無銘の、しかしとにかく頑丈に錬成された剣。 「何も打つ手が無いなら、これで終わりだ!」 ルルーシュの目では追い切れない早さでスザクが迫る。 生きろというギアスを完全に制御し潜在能力を全開にしたスザクの身体能力は、 もはや人間の域に留まらない…いうなれば人間サイズのナイトメアフレームだ。 繰り出された剣は確実にルルーシュの首を切断するだろう。 迷いのない殺意。 肉弾戦でルルーシュがスザクに太刀打ちできるはずがない。 …ルルーシュ一人だけ、ならば。 ――ああ、スザク。 やっぱりこうなるんだな、俺たちは。 だが俺もここで退く気はない。 俺の帰りを待っている友のためにも、 俺を信じてくれた友のためにも、 俺はお前に…勝つ! 「力を借りるぞ、名無!」 ルルーシュの手に、長大な一振りの槍が現れる。 銘を、イルバーン。 13騎士の一つにして、名無鉄之介から託された彼の魂。 リインフォースは間に合わなかった。 名無を助けられなかった。 だが、彼らの思いはルルーシュへと繋がれた。 この手の中にあるイルバーン、そして宿った二画目の令呪が、 名無の思いをルルーシュに伝えてくれる。 負けるな、生きろ。 かつては世界を再生するために死を選んだルルーシュに、 命を投げ出すな、力の限り生きてみろと、厳しくも暖かく叱咤してくれる。 友から受け継いた槍がルルーシュの全身に力を漲らせ、迫る親友を打ち払う。 それでこそだと、スザクの目が鋭さを増す。 彼方ではガウェインとランスロットが戦っている。 そしてここでも、幕が開く。 「スザク――!」 「ルルーシュ――!」 長くいびつなすれ違いを終わらせるために。 ルルーシュとスザクは、冷たい鋼を手に親友に向かって駆け出した。 【深山町/黎明】 【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】 [令呪]:2画 [状態]:疲労(大) [装備]:槍王イルバーン、携帯電話 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [令呪]:2画 [状態]:疲労(大)、義手・義足を機械鎧化 [装備]:キャスターが制作したブレード(複数) 【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】 [状態]:疲労(中)、魔力消費(小) ※リインフォースにある術式の改良を依頼しました 【バーサーカー(ランスロット)@Fate/zero】 [状態]:疲労(中)、賢者の石の魔力残量残り80% [装備]:エッケザックス、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣 【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】 [状態]:疲労(中)、魔力消費(大) [装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石 【深山町/黎明】 【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】 [状態]:疲労(中)、魔力消費(中) [装備]:スーパータカメダル、スーパートラメダル、スーパーバッタメダル ※ディケイドのファイナルフォームライドにより、スーパータトバコンボ解放。 【ランサー(アレックス)@ARMS】 [状態]:疲労(極大)、魔力消費(極大)、ARMSの進化(進行度・中) ※対ARMSウイルスプログラムへの耐性を獲得。 ※時間停止への耐性を僅かに獲得。時が止まった事を認識できますが、まだ動く事はできません。 【深山町/黎明】 【衛宮切嗣@Fate/zero】 [令呪]:1画 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大) [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃、鋼鉄の腕、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕@エンバーミング 携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの) ※アーチャー(DIO)と契約しました。 【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:魔力充実、最高に「ハイ!」 [装備]:携帯電話 ※衛宮切嗣と契約しました。ステータスが以下のように変化します。 筋力A 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運A 宝具A → 筋力A 耐久B 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具A+ 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](4人目)・魔力消費(大) [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断 [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断 [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【深山町・柳洞寺/黎明】 【花村陽介@ペルソナ4】 [令呪]:1画 [状態]:健康、強い覚悟と決意 [装備]:スパナ@現実、“無毀なる湖光”@Fate/zero [道具]:ミネラルウォーター、カロリーメイト、医薬品一式、大学ノート、筆記用具、電池式充電器、電池、予備の服、食料@現実 契約者の鍵@ペルソナ4 ※携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています ※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました(意図的に隠された情報があるかもしれません)。 ※ジライヤがスサノオに転生しました。 【泉こなた@らき☆すた】 [令呪]:3画 [状態]:健康 [装備]:携帯電話 【新都・双子館/黎明】 【ジョン・バックス@未来日記】 [令呪]:2画 [状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、冬木市市長 [装備]:「The watcher」 [道具]:栄養ドリンク(箱)
https://w.atwiki.jp/yumi_yumi/
http //toro.2ch.net/occult/dat/1381735586.dat 1. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 16 26 26.37 ID MoigxjNti お願いします 4. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 16 34 19.98 ID mlOnoOga0 蟹は美味い 6. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 17 09 05.69 ID YhzDjJqM0 緑のモコモコとか? 7. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 17 15 11.81 ID gcQpccsji レンタカー伊勢湾岸道急停車事故 9. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 17 21 33.13 ID h1BHTbqq0 フリーエネルギーがもう開発されてること 11. 本当にあった怖い名無し 2013/10/14(月) 18 44 07.82 ID /wGDDK0F0 自殺の9割は他殺 13. 本当にあった怖い名無し 2013/10/15(火) 01 48 21.78 ID KVWUH9QF0 11 日本はアメリカに比べると自殺って決めたらほとんど死後解剖に回さないってか家族が希望しないとしないんだっけ? まぁ死んだ後の体に傷をつけたくないとか日本独特の価値観からかな 実際は一見自殺でも解剖はしたほうがいい 他殺も充分ありえる 15. 本当にあった怖い名無し 2013/10/15(火) 10 10 11.90 ID cJcs/gdmP DNA 17. 本当にあった怖い名無し 2013/10/17(木) 08 43 58.97 ID m1qaEdYM0 13 医学生の弟が解剖の実習を終えた後、「自分は絶対解剖されたくない」って言ってたわ。 わたしも最後は括る予定だけど、いくら死後とはいえ、素っ裸にされて中身までおっぴろげられるのはやっぱり恥ずかしいわ。 グロスレなんかの画像見てても、事故現場の写真より解剖写真の方が惨めな感じがするもの。 19. 本当にあった怖い名無し 2013/10/29(火) 00 43 06.52 ID WvalgYET0 宇宙人なんかいないとわかってる それを公表すると夢がなくなるから 23. 本当にあった怖い名無し 2013/11/05(火) 22 19 22.61 ID Ce4FHXz+0 癌は完璧に治せるがビジネスとして治さないようにしているだけ 人はいずれ老化で寿命の前にほぼ癌で死ぬので最も需要の高い医療ビジネスである 24. 本当にあった怖い名無し 2013/11/06(水) 20 20 07.65 ID +zjvBAnQ0 ボケない薬や治療を開発してほしい。 26. 本当にあった怖い名無し 2013/11/27(水) 04 55 15.39 ID REqElsaE0 ケネディ大使着任記念にアメリカオカルトネタを適当に ・ナチスドイツ降伏後の1ヵ月後に南米チリにドイツ軍潜水艦が浮上したが、米軍がこの搭乗員におこなった尋問内容は機密解除しないのか。 ・同時多発テロで飛行機の突撃を受けていないWTC第7ビルはなぜ倒壊したか? ・政府紙幣を発行した米国大統領は全員任期途中で交代になっているのはなぜか? ・戦後米軍がおこなった南極観測作戦「ハイジャンプ作戦」で南極大陸の6割で作戦を終了したのはなぜか?残り4割は安部政権がやっても大丈夫か?そもそも、誰の土地でもない南極大陸に飛行禁止空域が設定されているのはなぜか。 29. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 03 08 35.68 ID NErqCRq40 サンタクロースは民族的にはギリシャ人 プレゼントがもらえなかったり、期待はずれなのはサンタの国民性だからしょうがない それこそ実は配達などせずに、今はトルコ領になった故郷に里帰りして、地中海でバカンスを楽しんでたりして 30. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 03 20 24.84 ID HWHUm9J2i 絶対監視社会計画が既に破綻しているという事。 ゆとりが一枚上手のようだ。 33. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 12 46 45.29 ID 5WQcvD7s0 癌なんて治ったら、即効で財政破綻するだろw 35. 本当にあった怖い名無し 2013/12/13(金) 18 10 53.47 ID NErqCRq40 老化を極端に遅くする技術が開発されたら、癌の治療も解禁されるな そのかわり年金支給年齢が120歳からとか。平均寿命は200歳で 36. 本当にあった怖い名無し 2013/12/14(土) 02 43 34.19 ID ygVZfll50 政府通貨発行して、ベーシック・インカムやれば良いだけ。 財源の作り方は3つ。 ?税金、?借金、?通貨発行。 通貨発行でカネ作れば良いだけ。 わざわざ、借金や税金でカネを作る必要は無い。 37. 本当にあった怖い名無し 2013/12/14(土) 14 01 58.13 ID sxda5x+R0 36 通貨が増えたらインフレになるだけ。 38. 本当にあった怖い名無し 2013/12/14(土) 19 09 06.53 ID QWvJYo0G0 物価の安定とは、低インフレの事だから、インフレにすることは大事。