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前へ 「舞美!あたしたちの7年の友情はこんなもんなの!?」 暗雲立ち込める楽屋の中で、ちぃの怒号が響き渡る。 「千奈美、待って」 「そんなに私って信用ないの?いつもヘラヘラしてるから?」 ふだん明るくてにこにこしてる人が怒り出すと、本当に怖い。 まるで時間が止まってしまったように、誰も動かない。 「ごめん、そうじゃないよ。すごく複雑なことだから、まだベリーズには言ってないだけで」 舞美ちゃんの説明が、余計にちぃをいらだたせたみたいだ。 「嘘!私以外全員知ってるんでしょ!そんな、そんな大事なことなら、何で私だけ」 「いや、私も多分知らないけど。」 「私も。」 「・・・あ、そ、そうなの?」 みやとキャプテンが割って入ったら若干トーンダウンしたみたいだ。 こっそり茉麻の顔を伺ってみると、すごく強張っている。 さっき私がカマをかけた時はとぼけていたけど、間違いない。茉麻はあの千聖のことを知ってしまっている。一緒にいた熊井ちゃんも、多分。 千聖本人が今ここにいないから、何がどこまでどうなってるかはわからない。 だけどおそらく、みんなのリアクションからしてちぃたち3人以外――多分桃ちゃんも、すでにお嬢様キャラのことは知ってしまっているんだと思う。 うまくいかないな。キュートの中だけで内緒にしておきたかったのに。 ベリーズのみんなを信じてないわけじゃない。でも、私にとって千聖じゃないあの千聖を、みんなに認知させてしまうのは嫌だった。 いずれは元の千聖に戻ってもらいたいからああして仲直りをしたわけで、私は彼女を岡井千聖と認めたわけじゃないんだ。 「・・・舞美、私もちょっと悲しいよ。うちらリーダーとキャプテンで、いろいろ相談しあってきたじゃん。どうして今回に限っては何も言ってくれないの?」 「待って、舞美のこと責めないで。これはキュート全員で決めたことだから。」 「えり・・・」 「もう、いいじゃん舞美ちゃん。」 その時、ずっと黙っていた愛理が口を開いた。 「隠しきれないよ。・・・ていうか、隠すことじゃないよ。誰も千聖を拒んだりしないと思う。私たちだって、そうだったじゃない。」 愛理の横で、梨沙子もコクコクとうなずいている。 「・・・あのさ、うちと熊井ちゃんも本当に断片的なことしか知らないんだ。だから、もし良かったら、何があったか教えてほしいな。」 「そうだねー。何でゆりなさんって言ったのか気になる。」 「そか、うん・・・そうだよね、みんなちっさーのこと心配してくれてるんだよね。」 何。 何、この流れ。 「ちょっと待って舞美ちゃん!」 「舞ちゃん、もうだめだよ。」 妙に落着いた愛理の静止が勘に触る。 「ダメって何が?愛理は元の千聖より、あの千聖の方が好きなんだろうけど私は違うの。私の千聖はあの千聖じゃないんだよ。今の不自然な千聖を、わざわざみんなに広めることないじゃん!」 「不自然って何、舞ちゃん。舞ちゃんがどれだけ望んだって、もう前の千聖は戻ってこないのかもしれないんだよ。私は舞ちゃんと違って、どっちの千聖の方が好きなんて思わない。どっちも好きだよ。勝手に決めないで。」 愛理からの思わぬ反撃で、私は少しひるんだ。でもここで言い負かされるわけにはいかない。 「愛理なんかに何がわかるの?私がどれだけ千聖のこと大好きなのか、愛理には絶対わかんないよ。私はずっと、千聖の横にいたの。いっぱいケンカしたけど、ずっとずっとずっと千聖の側にいたのは私なんだから。私はまだ元の千聖に話さなきゃいけないことがいっぱいあるの。 あの千聖に話すんじゃ意味ないの。」 「・・・・舞ちゃんは勝手だよ。ああやって無茶をさせてるせいで、千聖はずっと苦しんでいるんだよ。夢の中でまで辛い思いをしてる千聖の気持ちはどうでもいいの?それに、あの事故が起きたのだって」 「・・・もうやめてよ、2人とも・・・・!こんなのやだ・・・・」 エスカレートする私たちの言い争いは、頭を抱えて座り込んだ梨沙子によって中断された。 「あ・・・・あのー・・・・・舞、ちゃん・・・?」 すっかり気をそがれたちぃの間の抜けた声が、すすり泣く梨沙子の声とともにむなしく部屋に響いた。 次へ TOP
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「ありがとう、舞さん。私も、舞さんの中に存在していいのね。」 反対側の千聖の手と私の手が、今度は私の胸の上で重なった。 右手に千聖の鼓動。 左手に自分の鼓動を感じながら、私はとても静かで穏やかな気持ちになった。 「皆さんのところに戻る?」 「・・・・もうちょっとだけ、ここにいたい。2人でいたい。」 「ええ。」 私たちは手をつないで、自然に寄り添った。 何も喋らないで、ただゆっくりと時間がすぎていく。 千聖の頭が、私の肩に乗っかる。 私の頭が、千聖の頭に乗っかる。 千聖のシャンプーの香りが鼻をくすぐる。 「・・・・・雨が、降ってきたみたいね。」 ふいに千聖が呟いた。 「そうだね。」 よっぽど強い雨なのか、静かなこの部屋にいると、バラバラと水が建物を打ち付ける音が聞こえてくる。 「じゃあさ、この雨が止んだら戻ろう。みんなのところへ。」 「まあ。ずっと朝まで止まなかったら?」 「・・・朝まで戻らない。」 「もう、そんなこと言って。」 それきりまた会話もなく、私の耳はただ降りしきる雨の音だけを拾っていた。 「・・・千聖?」 千聖はゆっくり頭を起こすと、目の前にあった衣装から、細い黄色のリボンを抜いた。 「どうするの、それ。」 「ふふ」 器用な手つきで千聖は2人の小指を結んだ。 「前に、梨沙子さんに教えてもらったの。赤い糸は永遠に恋人たちを結ぶ糸で、青は恒久の友情。黄色はゆるぎない信頼の糸なんですって。・・・私たちは、黄色い糸じゃないかしら。」 「千聖・・・・うん、そうだね。黄色だ。」 私が勝手に断ち切った2人の絆の糸を、千聖はずっと握り締めたままでいてくれたんだ。 そして、それを結びなおしてくれた。しかも、千聖の方から。 「・・・・ごめんね。」 「え?」 「なんでもない。」 素直になれない私は、千聖に何も反してあげられない。 どうか、雨が止みませんように。 まだ、2人きりでいられますように。 ただそう強く願うだけだった。 「・・・・通り雨だったみたい。もう止んでしまったわ。」 私の願いもむなしく、雨はあっというまに上がってしまった。 まだここを離れたくなかったけれど、ワガママで千聖を縛り付けるのはもう嫌だった。 「帰ろう、みんなのところへ。」 「ええ。」 私たちは小指を繋いだまま、暗い部屋をあとにした。 歩みを進めるたびに、みんなの声が大きくなる。 啖呵を切って出て行ったから、顔を見せるのがちょっとだけ恥ずかしい。 でも、今の私はもう一人じゃない。この手のぬくもりがあれば、頑張れる。 「入ろう、千聖。」 「ええ。」 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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「もう、気が済んだでしょ。離して」 だけど、そんな幸せな気分は、千聖の憮然とした声で打ち砕かれた。あんまり聞いたことがないようなその声色に、私は不安を覚えた。 抱きかかえるようにして体を起こすと、ちょうど向き合うような体勢になる。千聖は完全に無表情だった。いつも喜怒哀楽がはっきりしていて、顔を見れば機嫌がわかるはずなのに。緊張で、喉がキュッと音を立てた。 「千・・・」 「これ、外して。痛い。」 「あ、あ・・・うん」 まだ喋り方は淡々としていたけれど、千聖は眉間に皺を寄せて不快そうに体を捩った。例えネガティブな感情でも、まだこうして意思を表してくれた方が安心する。私は少し安心感を覚えて、急いで机の上の鍵を取った。 「・・・」 手錠が解ける。自由になった右手をさすりながら、千聖はじりじりと私との距離を離していく。 「・・・・・・何か、こういうこと、無理やりされるっていうのが、どういうことかわかった。」 「千聖、」 「そんなのわかりたくなかったけど。怖かった。本当に。嫌だったんだよ」 まるで独り言のように、千聖はスカートの乱れを直しながら淡々と話し続ける。 「ごめ・・・」 「謝るぐらいならさぁ、最初からやらなきゃいいじゃん」 「ごめん」 「だからさぁ」 苛立つような口調。そのまま怒ってくれたほうがまだマシだったけれど、千聖の目には涙がいっぱい溜まっていた。それで私は今更、自分のしでかした事がどういうことなのか、やっとわかった。 こんなことはするべきじゃなかった。千聖の煮え切らなさや私への甘さにつけこんで、結果的にひどく傷つけた。 「私はおもちゃじゃない」そう言って嫌がっていたのに、私はわざと聞き流した。どんなことをしても、千聖は最後には許してくれると思っていたから。えりかちゃんへの対抗心や、自分の中で膨らんでいた欲望を解消するために、自分の意思を貫いてしまった。 「・・・・帰る。」 気まずい沈黙の後、千聖はポツリとつぶやいた。 「待って。ママに車出してもらうから」 「いい。一人で帰りたい。」 「でも、その方が不自然だから。お願い、送らせて。」 必死で食い下がると、千聖は小さくため息をついてうなずいてくれた。 どうしよう。私がバカだった。 お嬢様の千聖を泣かすのはもちろん嫌だったけれど、正直この千聖に嫌われるのはもっと大打撃だった。冷や汗が吹き出る。 帰りの車の中で、千聖は一度も私の顔を見てくれなかった。ママに話しかけられた時は普通にしていたし、私が話しかければ答えてくれたけれど、私の胃は余計にキリキリ痛むだけだった。 「・・・あ、この辺でいいです。ありがとうございました。」 「そう?それじゃあ、気をつけてね」 「はい。」 「千聖・・・」 「舞ちゃん、明日頑張ろうね」 千聖は早口でそう言うと、さっさと車を降りて歩いていってしまった。信号を渡って、小さな背中がどんどん遠ざかる。 どうしよう、どうしよう。時間を元に戻せるなら、どうか今日舞の家に来る前までタイムワープしたい。いや、むしろなっきぃとエッチビデオを見てしまったあの時まで・・・ 「喧嘩でもしちゃったの?どーせ舞が千聖ちゃん怒らせちゃったんでしょ」 「うるさいな」 勘のいいママが、今はちょっぴり憎らしい。私はブランケットでバサッと体を包むと、フテ寝を決め込むことにした。・・・でも頭が興奮していて、ちっとも眠くならない。 さっき、ちょっと泣いてたな。そういえば、千聖は基本的に、マジギレというのをできない性格だった。怒ると泣いて凹んじゃう、なんて自分で言ってたぐらいだ。私は誰よりもそのことをわかっていたはずなのに、あまりにも思いやりのない行為だった。 千聖は長女のわりに甘えん坊だと思っていたけど、本当にワガママでガキなのは自分のほうだって、こんなことになるまで気がつけなかったことが情けない。 明日はゲキハロ初日なのに、果たして私も千聖も大丈夫だろうか・・・ 翌日。 「おはよ・・・」 「あら、おはようございます、舞さん。」 だけどそんな心配とは裏腹に、舞台上でなっきぃと台本の読みあわせをしていた千聖は、私の姿を捉えると、ぴょこっと頭を下げて微笑んだ。 キャラはお嬢様に戻ってるんだ。私は一瞬、千聖が昨日のことを覚えていないんじゃないかという期待を覚えた。でも、 「千聖・・・」 「あ、舞美さん。この台詞の間についてですけれど・・・」 「ねえ、」 「ごめんなさい、今ちょっと。愛理、このシーンの立ち位置を・・・」 調子付いて話しかけようとすると、プイッと違う人の所へ行ってしまう。一見本番に備えての確認に奔走しているようにも見えるけれど、よく聞けばさほど重要なことを話してわけでもない。 それこそ、長年の付き合いだからわかる。千聖は明らかに私を避けている。心が重く沈んでいく。 「舞ちゃん、大丈夫?」 そんな私の様子にいち早く気づいてくれたのは、えりかちゃんだった。 「うん・・・」 「千聖、ちょっと変だね。何かあった?」 普段はおふざけ仲間で、誰よりもはしゃいじゃうところがあるえりかちゃんは、こういう時は意外に年下組の様子を見ていてくれている。 「うん・・・・」 えりかちゃんは恋敵だけど、それ以前に私の大切なおねえちゃんだ。弱ってるときに優しくされたら、そりゃあ甘えたくなってしまう。 「舞、千聖にひどいことしちゃった。千聖が何でも許してくれるって思い込んで、怒らせちゃったの。でも、普通に謝るんじゃ足りないっていうか、どうしようもない気がして。」 内容が内容なだけに、あんまり詳しくは言えなかったけれど。それでもえりかちゃんはこんな端折った説明だけで「ふーん。そっか。」なんて言ってうなずいた。 「え・・・今のでわかるの?」 「何となくね。可愛い妹たちのことですから。」 そう言って、私の頭を肩に乗っけてくれる。 「きっと、千聖は舞ちゃんが何を考えてるのかわからないんじゃないのかな。」 「わからない・・?」 「ウチの予想だと、舞ちゃんはきっと、何の説明もなしに、いきなり千聖にワガママを言った。もしくは、何か強引にやらかした。」 「・・・うん。そうだと思う」 えりかちゃんの声は柔らかくて、それでいて頼もしい。心の中を見抜かれてしまうのは恥ずかしくて嫌な事のはずなのに、優しさが自然に染み入ってくる。 「もう、だめかも。ある意味犯罪者だもん、舞。」 「ええ???」 「だって・・・」 こういうの、何て言うんだっけ。セクハラ罪?痴漢罪っていうのはあるのかな。とにかく、そういうヘンタイ系の罪になることは間違いない。 「いや、まあ、でもさ。今ならまだ大丈夫だと思うよ。そんな、犯罪者だなんて怖いこと言わないでよ舞ちゃん。」 「そうかな」 「千聖はあれで、結構臆病なとこあるから。今は何がなんだかわからなくて、怖がってるんだと思うよ。だから、舞ちゃんが思ってること全部伝えて、安心させてあげてほしいな。ほら、今だって千聖、すっごい舞ちゃんのこと気にしてる。」 えりかちゃんがこっそり指差す先にいた千聖は、なるほど確かに私たちの方をチラチラ観察している。目が合うと、すぐに背中を向けてしまったけれど。 「あれは、えりかちゃんの方を見てたんじゃないの・・・」 「違うよ。舞ちゃんだよ。ウチとは視線がぶつからなかった」 「そう・・?そう、かな」 「そうだよ」 えりかちゃんはそこで大きく体を伸ばすと、「さ、ウチらも最後の確認しよ?」と私を促してくれた。 「ちゃんと、後で千聖と2人っきりで喋れる場所確保してあげるから。」 「本当?」 えりかちゃんは不敵に笑うと、「千聖ー!読み合わせやろう!」と千聖を手招きで呼んだ。 「ん?何で笑ってるの?」 「んーん。別に。・・・えりかちゃん、ありがとうね。」 不思議な感覚だ。やっぱり敵わないな、って思ったのに、うれしいなんて。悔しいから、それは言ってあげないけど。 ついこないだは舞美ちゃんに励ましてもらって、今日はえりかちゃん。みんな心配してくれてるんだから、ほんとにちゃんとしないと。 「さ、集中集中!」 ほどなくみんなも集まってきて、自然に全体の最終確認になる。 大丈夫。今は、やるべきことに集中して。 「舞ちゃん、次舞ちゃんだよ!」 「あ、ごめんごめん!」 私はほっぺたを2回ペチペチ叩くと、みんなの読み合わせに追いつくべく台本に目を通した。 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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いろんな人に突っ込み/2006年02月25日/学校 いろんな人に突っ込み/2006年02月25日/顔ばかりか… いろんな人に突っ込み/2006年02月25日/あーあ #blognavi
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「うー・・・」 また考えがまとまらなくなって、私はボチャンと薔薇の泡に沈み込んだ。息できなくなるまでそのままでいようかと思ったのだけれど、ふと胸騒ぎのようなものがして、なんとなく顔を上げた。 「いやっえりかさんっえりかさん!」 部屋の外で、千聖の悲鳴みたいな声が聞こえた。 「千聖!?」 私は勢いよく浴槽から出ると、ユニットバスの扉を開けた。 「えりかさん・・・・」 千聖は玄関の前で立ち尽くしていた。ほっぺたに涙の跡。 私の顔を見た途端、力が抜けてしまったように、ペタンとその場に座り込んでしまった。 「どうしたの?何かあったの?」 「・・・・・・ごめ、なさ・・・」 千聖は辛そうに眉をひそめて、ただ小さく首を横に振るだけだった。 「っクシュン!」 寒い。あんまりあわてて出てきたから、私は素っ裸な上に全身ビショビショだった。 「千聖。とりあえず、よかったら一緒にお風呂入らない?ウチ、まだシャンプーもしてないし。ね?」 涙に濡れた手を握ったら、何だか切なくなった。千聖は私にうながされるように、少しよろめきながら立ち上がった。 「・・・ごめんなさい。」 「ん?」 お先に湯船に浸かって着替えを待っていたら、千聖は急にポツリと声を漏らした。 「起きたらえりかさんがどこにもいなくて。・・・今日は、聞き分けが悪かったから、えりかさんもう呆れて・・・それで捨てられてしまったのかと思ってしまって。私」 また声が詰まる。私はシャワーカーテンを開けた。まだ私のガウンを着たままの千聖を、濡れた両腕で抱きしめた。 「ごめん、そうだよね。千聖、一人でいるの怖いんだったね。梅さんが無神経だった。」 千聖はかなり怖がりなところがあって、自分がお風呂に入るとき、なっきぃにずっと話しかけてもらったりしているという話を聞いたことがあった。 人がお風呂に入ってる時の千聖のことまでは考えてもみなかったけれど、今日みたいに少し不安定な時は、もっと気を使うべきだった。 せめてベッドサイドに手紙を置いておくとか、急に起きた千聖が怯えないようにしてあげることができたはず。 「おいで、千聖。」 「きゃっ!」 舞美の生霊でも憑いていたのか、筋力0のはずだった私は千聖を抱き上げて、一緒にお風呂の中に入った。 「・・・ガウン、濡れてしまったわ。」 「いいよ別に。全然安物だし。」 少しだけ体を離して、おなかの辺りのリボン結びをほどいた。 ・・・・なんか、エロいかもしれない。いや、かもじゃない。これはまさにエロだ。 「薔薇の匂い。綺麗・・・ピンクの泡なんて素敵。」 「千聖のほうが綺麗で素敵だよ。」 ぶはっ あんまりしょうもないセリフに自分で吹き出したけれど、千聖は真っ赤になってうつむいた。 あぁ、これはちょっとマズい。 自制心を持とうと思っても、いざこうして千聖と向き合うと、私はどうしようもないぐらい心を揺さぶられてしまう。抱きしめて、全部を暴いてしまわないと気がすまなくなる。 ・・・こういうのって、男の発想じゃなかったっけ。物理的にそうなるとかなんとか。でも私は女だからそれとはまた違うのかもしれない。 よくわからないけど、もうここまできてやめるわけにはいかない。 「千聖・・・」 「あっ」 両わきを割って、体からガウンを除いた。見慣れた小麦色の肌が露わになる。 私は千聖の体を強く抱いた。私も千聖もなかなかご立派なオッパイだから、二つがむにゅんとぶつかってつぶれてちょっと痛い。でも離れたくない。 ぺったんこのおなかがくっついて、心臓の音を感じるぐらいに、私たちはしばらく抱き合った。 「・・・そろそろ出る?」 「えっ」 「ここでシたらのぼせちゃうよ。なーに、もう我慢できないの?」 「・・・できません・・・・・」 「くぁwせdrftgyふじこlp;@っちさとー!梅さんもがまんできないよーー!!」 眉毛と目尻とほっぺたとその他いろいろが垂れ下がってヤバイ顔になってるのが、自分でもわかる。 再び舞美の生霊に取り憑いていただいた私は、何と千聖をお姫様抱っこしてお風呂を出た。 「えっえりかさん!体拭かないと、部屋が」 「もう知らん!」 かなりヨタヨタしながらバスルームを出たけど、限界訪れた。舞美は去った。千聖と一緒にベッドに倒れこむ。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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前へ アハハッ ウフフッ ギギギッ 楽しげに高級ジュエリーをショーウィンドウ越しに覗く2人を、阿修羅怒りの面で歯軋りしながら電柱の陰から覗く舞様。 「・・・中華街、行くって行ってたのに。さっさと移動しなさいよね。買いもしない首輪だの耳輪だのずっと見てて楽しいわけ?全く、女の買い物はこれだから」 「いやいや、舞ちゃんも女の子・・・・あっ、移動するみたいだよ!今度はバッグのお店入っちゃった。」 「もー!!」 舞ちゃんはバンバン足を踏み鳴らして、不愉快そうにため息をついた。 カフェを出た二人は、舞ちゃんの予言(?)どおりに中華街のほうへ行くと思いきや、立ち並ぶ雑貨屋さんや洋服屋さんを散策し始めた。 前にショッピングモールでデートした時に思ったけれど、千聖の買い物時間はそれほど長くない。結構パッパッと決めてしまう。 だけど、えりかちゃんはファッションに関してはじっくり慎重に見定めるタイプだから、当然千聖もそのペースに合わせる。そうして時間がどんどん経っていくにつれ、舞ちゃんの眉間の皺も深くなっていく。 私は結構、人の流れとか見ながらボーッとするのが好きなほうだから、別に苦じゃないけど・・・隣で舞ちゃん周辺の空気がどんどん澱んでいくのが恐ろしい。 「あれって、やっぱりおそろいのもの探してるのかな・・・。」 千聖とえりかちゃんは今度はかばん屋さんに入って、カラフルなディスプレイを熱心に見ながら、いろんな色のキーホルダーとか革のストラップを手にとって話し込んでいる。 「舞、千聖と2人だけのおそろいの物とか持ってないんだけど。・・・負けた気分。」 「あれは旅行の記念っていうか、お土産みたいなものじゃない?」 「そうかなあ・・・」 普段は強気なわりに、舞ちゃんは急にしおらしくなったりするのがかわいいと思う。 「千聖の性格からして、おそろいを持つこと自体にそんなにこだわりはないと思うよ。なっきぃとだって、おそろいのストラップつけてたじゃん。あれはよかったの?」 「だって、なっきぃはちーに優しいし変なことしないし。いや、でもあのデスメールではおなっき・・・」 「デス?」 「ううん、こっちの話。愛理、ありがとうね。・・・ね、舞達も何か見に行かない?」 「いいの?」 「舞のちーセンサーによると、まだ当分2人はこのあたりでうろうろするはずだから。」 千聖センサー・・・そりゃ頼もしい。 「ね、行こ?こっそりだよ。」 「ケッケッケ、こっそりね。」 抜き足差し足なんてしたって全然意味ないのに、変にテンションの上がった私たちは、背中を丸めてスパイのようにその場を立ち去った。 「ところで舞ちゃん、どうして今日の2人の同行を把握してるの?舞ちゃんの千聖センサーが優秀だからって、具体的にわかりすぎじゃない?」 「あーうん・・・実は、なっきぃに密偵を頼んだの。ちーは舞がこの旅行に反対してるの知ってるし、えりかちゃんも教えてくれなそうだから、なっきぃにね」 なっきぃかぁ。確かに、千聖と仲良しななっきぃなら、日程について聞き出すことぐらいできるだろうけど・・・ 「もちろん直接聞いたら怪しいから、さりげなく横にいて会話から推測してもらったんだけどね」 「えー・・そうなの?」 何か、不思議な感じ。なっきぃの性格を考えたら、密偵なんかしないで、直接千聖かえりかちゃんにストレートに聞きそうなのに。 「なっきぃは、しばらく舞からのお願いは断れないから。探る方法も、舞がお願いしたとおりにやってもらうんだ」 「断れないって、どうして?」 「どうしても。ふっふっふ」 「・・・」 さっき舞ちゃんが言いかけた、デスメールというなぞの単語が脳裏をよぎる。・・・舞ちゃん、やっぱり恐ろしい子! 「いいの、千聖?」 「え?」 目を上げると、えりかさんが少し顔を近づけてきていた。胸がトクンと音を立てる。 「舞ちゃんたち、追いかける?」 「あ・・・」 いつのまにか、店外の柱の陰にいたはずの舞さんと愛理は姿を消していた。 何色も種類のある、動物の形のキーホルダーを夢中で選んでいたから、気がつかなかったみたいだ。 「やっぱり、カフェでお見かけしたときに声をお掛けした方がよかったかしら。」 「いやー、あの時は掛けなくて良かったと思うよ。多分」 「そうですか・・・」 舞さんの姿を見つけたときは、少しだけヒヤッとした。 “えりかちゃんと旅行に行くのやめて”舞さんの言葉がふと脳裏をよぎったから。“千聖のためにならない”とも言っていた。 まさか、止めに・・・?だけど、えりかさんが「大丈夫。」と手を握ってくれたから、そのまま気づかない振りを続けた。 舞さんは、私のことを好きと言ってくれた(でも同時にとてもひどい行為を・・・)。今は元通り、仲良しなちさまいコンビに戻ることができたけれど、私は結局何も答えられないままだった。 このまま、いつまでもなあなあにしておくことはできない。でも、どうしたらいいのかわからなかった。だって私は・・・ 「千聖、買うの決めた?」 「ええ、これを・・」 「いいね。それなら色も結構種類あるし、値段もちょうどいいね。割り勘で大丈夫?」 「もちろんです」 えりかさんの手が、商品を持つ私の手ごと優しくつつんだ。 「旅行のおみやげって、こんな近場でおかしいかな?」 「でも、皆さんに差し上げたいのでしょう?」 「うん。急にお揃いのものとか増やしたくなっちゃって。・・・ね、それ買ったら、中華街の前にちょっと行きたい所があるんだけど。近くだから、付き合ってくれる?」 「ええ。もちろん」 ピンク、黄色、オレンジ、緑、青、紫。いろんな動物の形の皮のキーホルダー。今日のお土産に、キュートのみんなに私たちからのプレゼント。 「千聖と舞美は犬なんだね。イメージどおり。舞ちゃんは猫?わかるわかる!」 「ウフフ、そんなに意識して選んだわけではないんですけれど・・・」 両手をお皿みたいにしてキーホルダーをレジへ運ぶ私の肩を、舞美さんがいつもするように、えりかさんは優しく抱いてくれた。 「エアコン、効いてるね。寒くない?肩が冷たくなってるみたいだけど」 「ありがとうございます、大丈夫です」 今日のえりかさんは、何故か私の体によく触れる。普段はどちらかと言えば、適度な距離感を持つ方なのに。柔らかくて滑らかな手の感触に胸が高鳴る。 (思い出づくり・・・?) ふと、考えないようにしていた言葉が心を通り抜ける。・・・やめよう。せっかく誘ってくださったのに。 「千聖?」 「あ・・・ごめんなさい、お待たせして。今、包んでいただいてるので、店内で待ちましょう」 「そか。じゃあ、バッグの方行かない?気になるのがあるんだ」 「ええ。そうしましょう」 今度は腰に手が回って、触られるとムズムズするウエストの辺りをつつかれた。 「きゃんっ!」 「ムフフ」 「・・・もう、えりかさんたら」 いたずらっ子みたいに笑う表情は、えりかさんの大人っぽい顔立ちと対照的で、つい見とれてしまう。 「あ・・・やっぱりパスケースも見たいな。行くよ、千聖。」 「はい。」 いつも優しいえりかさんが、少し強引に、当たり前みたいに私の手を引いてくれるのが嬉しい。 熱心に小物に見入るえりかさんの綺麗な横顔を、すぐ傍でジーッと見つめることができて、幸せだった。 次へ TOP
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前へ 「ン・・・ちしゃと・・・」 それから私は、そのエッチビデオのことを思い出しては、夜な夜な悶々とする日々を送る羽目になった。 あれは、ストーリーのことを考えなければ、結構実用的(・・・)だと思う。ファンの人にもメンバーにも散々言われてることだけど、私は多分S。こうやって好きな人をネチネチいたぶるみたいなのは、元々嫌いなわけがない。 「んん」 目を閉じて、千聖の顔を思い浮かべる。 “やめて、舞さん” 「んっ」 “お願い、許して” 「・・・ちしゃとぉ」 千聖は泣き虫だから、泣き顔のサンプルはいくらでも頭の中に残っている。・・・こんな形で再生することになるとは思わなかったけど。 布団の中でタオルケットを足の間に挟んで、もそもそと足を閉じたり開いたりしてみる。頭がボーッとしてきた。 痴漢はアカン!だけど心は自由でしょ?実際にしなければいいのではないでしょうか。でも好きなプレイが痴漢(しかもする方)って萩原舞完全終了のお知らせレベルだろ。・・・何を言ってるんだ私は。頭の中にいろんな主張が入り乱れて、支離滅裂。 「あ、あ、あ」 ――そろそろやめないとまずい。こうしてアソコを刺激するの自体は初めてじゃないけれど、いつも怖くて中途半端なとこでやめていた。やめなければ、取り返しのつかないことになりそうな気がしたから。 でも、体が言うことを聞いてくれない。千聖の髪に顔をうずめるように、タオルケットに鼻先を押し付けて声を殺す。 「うー・・・」 どうしよう。ヤバイ。 これ以上のことは、したことがない。なのに、勝手に指がジャージの中に進入していく。 “舞さん、だめ” 「――――っ」 ~♪♪♪ その時、枕元に置いていたケータイが、大音量でメールの着信を告げた。 それは、私が千聖専用にしている“僕らの輝き”。 一緒に歌っている曲でもいいんだけど、やっぱり千聖にはこの曲が一番似合っていると思う。 今の私の状況にもっとも似合わない、そのさわやかで元気な歌声が、頭を冷静にさせてくれた。 「ふぅ・・・」 ベッドに正座して、ゆっくりとケータイを開く。 最近、私たちは喧嘩をした。 私が千聖に、えりかちゃんとのお泊りを中止するよう迫ったのが原因。お嬢様の千聖は優しいけれど、何でも舞の言うことを聞いてくれるっていうのとは違う。“それは、嫌よ。”と思いがけず真面目な顔で言われて、私は「千聖は無神経だ」なんて当り散らしてしまった。 実は今、千聖の誕生日に向けて、みんなで大きなドッキリを企画している。大好きな千聖を喜ばせるための重要なプロジェクトなのに、つまらない意地を張っていてもしょうがない。わかっているけれど、今更どうやって謝ればいいんだろう。 しかも、喧嘩してる相手でエッチな妄想とか・・・・私はダメ人間だ。 千聖からのメールには、無神経なことをしたのならごめんなさい、と謝罪の言葉が書いてあった。 でも、千聖から謝ってくれたっていうのに、私の心は晴れない。だって、結局千聖はえりかちゃんのところに行ってしまうんだから。 千聖は結局、根本的なことはわかってくれていない。いくら好きだと伝えても、その“好き”の意味は伝わっていない。 「千聖がえりかちゃんを好きなように、舞も千聖が好きなの。」 こういう風に言えば確実に伝わるだろう。でも、私にだってプライドがある。こんなことを口にすれば、自分が惨めな気持ちになってしまうのは明らかだった。 千聖は舞のもの。 いつも疑うことなく、そう信じてきたけれど、ここにきてその自信は揺らいでいる。 千聖が今はえりかちゃんを好きでも、最後に舞を選んでくれるなら、本当は嫌だけどまあそれでかまわない。それぐらいの譲歩はできる。でも、今は千聖の気持ちが見えない。 えりかちゃんとあんなことしてるくせに、頼まれれば私にも同じことをする、その胸の内が。 だから私は、せっかくのメールだけど、返事は返さないことにした。 私はいつでも、千聖には素直でいたい。それがいいことでも悪いことでも。だから、こんな気持ちのまま、表面的にだけ仲直りするぐらいなら、このままでいい。 じゃあどうしたら私の気が済むのか、というのはまだわからないけど。 火照りかけていた体は、そんなことを考えていたらいつの間にか静まっていた。 でも下着の中は、ちょっと不快感。もう遅い時間だけど、せめてシャワーだけでも浴びようと、私は静かに部屋を出た。 次へ TOP
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いろんな人に突っ込み/2006年02月21日/小学校って順位つけないの? いろんな人に突っ込み/2006年02月21日/まあ、こんな人も いろんな人に突っ込み/2006年02月21日/教育ママごん、不安を感じる #blognavi
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前へ 「あ、熊井ちゃん笑った!もう元気?」 「うん、何か元気でた!」 千聖は目いっぱい手を伸ばして、自分よりもずっと大きい熊井ちゃんの頭を撫でた。 熊井ちゃんも熊井ちゃんで、ちょっと頭を下げて触りやすいようにしてあげながら、さっきの暗黒顔はどこへやらニコニコしている。 今鳴いたカラスが・・・と思ったけれど、2人が笑い合っているのは何だか可愛いから、そのまま黙って見守ることにした。 ――別の星の人、か。 熊井ちゃんはもう自分で言ったことも忘れて千聖とはしゃいでいるけれど、改めてその言葉を反芻しながら千聖を観察していると、私の中で燻っていた違和感がまた大きくなってきた。 千聖はこういうヒラヒラしたスカートは穿かなかったはず。 千聖はこんな凝ったメイクはしなかったはず。 千聖はもっと大きな声で笑ったり泣いたり怒ったりしていたはず。 「もー!熊井ちゃんウケるぅ!私そんなこと言ってないよー」 のけぞってケラケラ笑う時も、パンチラ防止に足に力が入っている。手はお上品に口元を隠す。 熊井ちゃんを見つめる顔が、何だかお母さんのように優しい気がする。 お母さんて、それじゃあ私と千聖は 「茉麻ちゃん?」 「キャラが被るじゃん!」 「・・・えっ?」 「あっ、ごめん。別になんでもないよ?」 いきなり話しかけられたから、うっかり変なことを口走ってしまった。 よく考えたら、キャラは被らないよね。だって私はお母さんキャラだけど、結構豪快だしガサツだし、今千聖がやってる感じとはまた違う。 「茉麻?キャラが被るって、誰と?」 あ、ヤバイ。熊井ちゃんの興味をひきつけてしまった。こうなると、熊井ちゃんは納得いく説明を受けるまですっぽんみたいに食いついて離れてくれなくなる。 「別にたいしたことじゃないよー。何か千聖とキャラ被ったりしてって思っただけ。」 「ははは、何でー?全然違うじゃん、ねー千聖?」 千聖もケタケタ笑っている。 「だよねー。何か今日の千聖がママっぽいから。でも何か、今日の千聖は女の子らしいからお嬢様ママって感じだね。」 ・・・・・・・・・・・・ あれ? 何か変なこと言ったかな? 千聖が目を見開いて、私の顔を凝視したまま固まった。 「え、ご、ごめん!まぁと被るとかやだった?」 無言で首を横に振る千聖。 「何か言っちゃいけないこと言った?」 「あ・・・ぁの」 急に、千聖の表情が変わった。 ギュッと眉間にしわを寄せて、何かに耐えるように俯いてしまった。 「千聖?ちょっと、本当にどうしたの?」 「ごめんなさい、私」 千聖はいきなり立ち上がると、廊下を走り出した。 「待って!」 私は筋力と瞬発力だけは結構ある。後を追いかけると、千聖はさっきまでいたトイレに駆け込むところだった。 「まーさー・・・待ってよー早いよー」 「先行くから!さっきのトイレね!」 くまくました喋り方と走りの熊井ちゃんをひとまず置いて、私は千聖に専念することにした。 「千聖!千聖!どこ?」 幸いなことに、個室は一個しか鍵がかかっていなかった。 ここにいるんだ。 私は呼吸を整えて、まずは小さくノックをした。 「千聖?ここでしょ?」 「・・・・・・ごめんなさい、私、大丈夫です。」 ・・・喋り方、違ってる。 何だか声も細くて、どう考えても別人だ。 でも今はそれより。 「ねえ、千聖。私なんか気に障ること言ったなら謝るよ。」 「あの、違うんです。茉麻さんは、悪くないんです。」 「まあささんて・・・」 いろいろ聞きたいことはあるけれど、これ以上刺激するのはよくない気がする。かといって、このまま放っておくわけには絶対いかない。 「いた!まーさ!」 そのうちに熊井ちゃんがヘロヘロになりながらもトイレに入っていた。 「千聖、いるの?」 「あっちょっ」 熊井ちゃんはいきなりドアをガンガンたたき出した。 「千聖?ごめんね、私が首絞めたから?」 「ひっ!・・・あの、本当に私、違うんです。友理奈さんのせいじゃありません。」 熊井ちゃんは千聖の言葉遣いに驚いて、怯えた子供みたいな顔になった。 「ま、茉麻・・・何で?ユリナさんって言われた。」 そういわれても、私にもわけがわからない。 「千聖、とりあえず、よかったら出てきてくれないかな。私たちも何が何だか。」 「う、うん。説明してほしいな。千聖。」 ついつい夢中になって、ちょっと大きい声で2人がかりの説得を始めてしまった。 長身の熊井ちゃんに、これまた体格のいい私が、トイレを囲んで騒いでいる。 ・・・・これ、はたから見たらいじめみたいに見えるんじゃなかろうか。 「ちょっと!何してるの!千聖がそこにいるの?」 悪い予感というのはあたってしまうものだ。 独特のキャンキャン声。 振り向くと、トイレの入口に腕組みをしたなっきぃが目を吊り上げて立っていた。 次へ TOP