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完成時間30分 育成報酬26$ 必要20$ 育てるとテンテンを獲得できる
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ペイルムーン(銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ軸) ペイルムーン(銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ軸) 主なカードキーカード サポートカード トリガーについて プレイング考察 弱点と対抗策 コメント デッキレシピ 外部リンク 主なカード キーカード 《銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ》 《銀の茨の竜使い ルキエ》のクロスライドユニット。 ソウルのカードをグレード合計6以下ならば5枚までコールできるリミットブレイクを持つ。 グレード3を呼ぶメリットは少ないので4枚程度はコールできるため、非常に展開力が高い。 《銀の茨の竜使い ルキエ》をより使いやすくしたような能力を持つ。コール前にソウルチャージがあることから柔軟性が高い。 ただ自身のパワー上昇がパワー13000で固定になってしまったため、より防御的になってしまったことが残念。 エスペシャルカウンターブラストになってしまったため、「銀の茨」以外のカードが使用しにくくなったのも難点。 《銀の茨の竜使い ルキエ》 クロスライド元のユニット。 種々のサポートカードのおかげで、枚数的な損失無くクロスライドを完成させることも可能。 展開補助は《銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ》に任せて、《銀の茨のお手伝い ゼルマ》などで早々にソウルに叩き込んでしまうのが良い。 なおパワーアップ能力があるので、ツメの場面に乗り換える選択肢もあることは覚えておきたい。 サポートカード ー「銀の茨」 《銀の茨の竜女帝 ルキエ “Я”》 《銀の茨の竜使い ルキエ》のクロスライドユニット。 カウンターブラスト(1)とリアガード1枚の呪縛をコストにソウルからユニットを1枚コールし、パワー+5000を与える。 リアガード1枚の補充で十分ならばこちらのほうが優秀な場面の方が多い。 またこちらは一切「銀の茨」を参照しないので「銀の茨」以外のカードを採用している場合は採用しておくと融通が利きやすい。 《銀の茨 アップライト・ライオン》 ソウルから「銀の茨」がコールされた時、パワー+3000を得る。 《銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ》のリミットブレイクならばかなりのパワーアップが見込める。 ただ一度の誘発のみだと《銀の茨 ライジング・ドラゴン》と同じなので見劣りする。 《銀の茨のお手伝い ゼルマ》 リアガードとソウルのユニットを入れ替える能力を持つ。 このユニットの最大の特徴は《銀の茨の獣使い アナ》でコールすることができること。 《銀の茨の獣使い アナ》の能力のスペリオルコールされるとエンドフェイズにソウルに戻るので消費しなくて済む。 当然《銀の茨の竜使い ルキエ》をソウルに仕込む役割も果たせる。 《銀の茨の獣使い エミール》 ファーストヴァンガード候補。 ソウルインするとデッキトップ3枚からグレード1〜3を各1枚までソウルに入れることができる。 圧倒的なソウルイン効率もさることながら、カウンターブラストを使用しないため《ガトリングクロー・ドラゴン》などの効果を受ける前に使用できる点が最大の特徴。 ソウルが物足りなければ《銀の茨のお手伝い ゼルマ》などで再使用するという選択肢もある。 ー「銀の茨」以外 《ミラクルポップ・エヴァ》 ヴァンガード1枚にパワーと『リアガード2枚とソウルを入れ替える自動能力』を与えるブレイクライドを持つ。 「銀の茨」は対象こそ「銀の茨」を指定するものの、ヴァンガードを指定しないものも多い。よってこのユニットにライドしていても能力自体は使用できる。 また《銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ》や《銀の茨の竜使い ルキエ》のスペリオルコール能力はいずれもリミットブレイクなのでブレイクライドを挟むターン的な余裕があることも大きい。 エスペシャルカウンターブラストやソウルイン、スペリオルコールに支障が出るがカバーは十分に可能なので狙ってみるのも良い。 《量子力学の魔法使い》 自身とソウルのカードを入れ替える起動能力を持つ。 銀の茨ではないが、《銀の茨 アップライト・ライオン》と《銀の茨の竜使い ルキエ》のパワーアップ、ヒットに依存しない《銀の茨のお手伝い ゼルマ》の使い回しに使用できる。 ある程度積んでおくと安定したファイトができるので採用を考えても良い。 トリガーについて 基本的には自由。前列のパワーも申し分ないため、スタンドトリガーも十分に活躍できる。 問題はエスペシャルカウンターブラスト。出来うる限り「銀の茨」で統一したいところではある。 しかし「銀の茨_のトリガーは1種ずつしかなく、《スカイハイ・ウォーカー》など《銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ》と相性の良い能力を持つトリガーも数多い。 ある程度別のユニットでカウンターブラストを使用できるようにしておくなどして対処したい。 プレイング考察 リアガードが埋まり切るとリミットブレイクを発動する機会がなくなる。 幸い《銀の茨の獣使い アナ》、《銀の茨のお手伝い ゼルマ》のコンボがあるのでリアガードサークルが空いていても問題無いことが多い。 これらを駆使し、リミットブレイクまではある程度展開を抑えたり、タイミングを見計らったインターセプトを行いたい。 弱点と対抗策 展開補助のみなので数値上のアタックに関してはさほど優秀とはいい難い。 《銀の茨のお手伝い ゼルマ》をスペリオルコールから繋がる1列の擬似スタンド狙えるコンボを上手く生かして序盤から手札を削っていきたい。 退却能力がある場合は強力なユニットを優先して叩きたい。 パワーが高くなる可能性がある《銀の茨 アップライト・ライオン》、バトル回数を増やしてくる《銀の茨の獣使い アナ》などが狙い目。 コメント デッキの編集議論に。雑談をする場合などは共有掲示板をご利用ください。 摘めのためのリバースもいるんじゃね? -- 2014-03-02 13 38 42 まぁヴィーナスだけでも最悪回るからそこまで必須ではないさ。・・・ルキエはヴィーナスとЯ両方使って十全だとは思うけどね。 -- 2014-03-02 13 57 35 考察編集。Яと書く事変わらん気がするが・・・まいっか。 -- 2014-03-04 19 22 01 よくよく考えてみれば、結局『光』ルキエ→『闇』ルキエになっちゃうパターンだよね・・・ -- 2014-03-04 22 00 07 まぁ赤(Я)に乗ると手札で死んでること多いからなぁ白(ヴィーナス)。使い勝手が格段にいいガルモみたいなポジだと思ってる。 -- 2014-03-05 18 45 45 このデッキもスタンドと相性良いね。パンプしたライオンスタンドは勿論の事、ソウルにゼルマがいる状態でのマリチカスタンドも面白い。もう片方の前列にライオンが居るなら尚の事。 -- 2014-03-09 06 18 01 コメント すべてのコメントを見る デッキレシピ +... メインデッキ G ユニット 枚数 備考 0 銀の茨の獣使い エミール 1 FV 銀の茨 バーキング・ドラゴン 4 銀の茨の操り人形 なたーしゃ 4 銀の茨の獣使い セルジュ 4 銀の茨のお手玉師 ナディア 4 1 銀の茨のお手伝い ゼルマ 4 銀の茨の獣使い アナ 3 銀の茨 ブリージング・ドラゴン 3 銀の茨の催眠術師 リディア 4 2 銀の茨 アップライト・ライオン 3 銀の茨の獣使い マリチカ 4 銀の茨 ライジング・ドラゴン 4 3 銀の茨の竜女皇 ヴィーナス・ルキエ 4 銀の茨の竜使い ルキエ 4 GデッキG ユニット 枚数 備考 4 銀の茨の神竜使い ミスティック・ルキエ 4 ルナスクエアの奇跡 クリフォード 4 外部リンク カードファイト!! ヴァンガード Wiki カードファイト!! ヴァンガード 共有掲示板
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白銀の侵略者(アグレッサー) ヘルヴェラ C 闇文明 (1) クリーチャー:アージェント・マジシャン/ヴォイド・アグレッサー 1000 ■スレイヤー ■このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。 作者:123 収録 DMSS-09 「時門編 第四弾 超越覚醒(ブレイキング・アウェイク)」 評価 名前 コメント
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前ページ次ページ虚無と金の卵 優秀なメイジ揃いの魔法学院の宝物庫が破られる――前代未聞。 だが崩れ去った宝物庫の壁/刻まれた犯行声明を見て、誰もがその事実を認めざるを得なかった。 ここまで強引な手段と、それが実行可能な実力の持ち主が居るとは、誰も想像すらしていなかった。 結局、教師陣の誰もが責任問題の議論に終始し、同じく誰もが責任回避するための論理を考えあぐねていた。 特に風の属性の教師、ギトーが前日の当直担当のシュヴルーズを責め立て、シュヴルーズが弁償すべしとの意見で纏めようと画策し誘導していた。 オスマンが現場に入ってくるまでは。 現場に集まった教職員を見回し、オスマンは、落ち着いた声で問いかけた。 「さて、この中でまともに当直をしたことのある教師は何人おられるかな?」 オスマンの視線を受け止めるもの――皆無。 「これが現実じゃ。 もし責任があるとしたら我々全員じゃ。勿論儂も含めて。誰もが、賊が入るなどとは夢にも思っておらんかった。 何せメイジ揃いのこの場所、虎穴に入るようなものじゃからな。しかし……」 オスマンは壁の穴を見つめる。 「この通り、大胆にも賊は忍び込み、『眠りの鐘』は盗まれてしまった。 大分荒らされているようじゃから、他の被害状況もはっきりと確認せにゃあならんが……。 ともあれ、この通り全員が油断していたのじゃ」 責任を覚悟していたシュヴルーズは感涙も隠さずにオスマンを見つめる。 照れくさくなったのか、オスマンは二、三度咳払いし、話を再会した。 「さて、犯行現場を見ていたのは誰だね?」 「この三人です」 コルベールが、後ろに控えていたルイズ、キュルケ、タバサ達に前へ出るよう促す。 ウフコックがルイズの肩に乗り、また上空をシルフィードが飛んでいたが、当然数には入っていない。 「ふむ……君達か」 ちらり、とオスマンはウフコックを見据える。 だが、自嘲気味にすぐに視線を外した。 「では、状況を説明してくれたまえ」 最も状況を冷静に見ていたのはタバサだった。 タバサの説明は的確かつ端的で、ところどころキュルケが具体的な補足を入れつつ説明をしていた。 「ふむ……では、ゴーレムの魔法を解いた後の足取りはわからない、と?」 「そうです、オールド・オスマン。深い森の中を進んでいったようで、風竜から追いかけるのは限度がありました」 「……ふむ、他に手がかりは無し、か」 オスマンは己の白い髭を撫でつつ思案な表情をとる。 「そういえば、ミス・ロングビルは何処じゃね?」 「朝から姿を見かけておりませんな……」 コルベールに何気なく尋ねた頃、この現場へ駆けて来る女性の姿があった。噂に上っていた、ロングビルであった。 「申し訳ありません。朝からフーケの件で、調査をしておりましたので」 「おお! 流石、仕事が早いのう。……して、結果は?」 「はい。フーケの居所がわかりました」 「何ですと!」 コルベールが頓狂な声を上げる。 「近所の農民が、森の廃屋に入る黒いローブ姿の男を見かけたそうです。恐らく、フーケの隠れ家かと」 「それは近いのかね?」 「徒歩で半日、馬車で4時間といったところでしょうか」 「うむ、これはすぐ王室から応援を呼んで、兵隊を差し向けて貰わねば」 「馬鹿者!」 オスマンの鋭い叱責――魔法学院を統べる者の威厳に満ちた声。 「応援を呼んでいる間に逃げられてしまうわい。降りかかった火の粉は自分で払うのが貴族じゃ! この件は儂らの手で解決する!」 高らかなオスマンの宣言に教師はどよめく。 誰しも魔法学院の建物の堅牢さを知っていた。それを力任せに破壊するフーケの手並み――まさに想像の埒外。 「では、フーケ捜索隊を編成しよう。我こそと思う者は杖を掲げよ」 誰もが見合わせ、沈黙する中、さっと一振りの杖が上がる。 ルイズの鳶色の瞳――普段以上に真剣で、固い意思に満ち溢れている。 「ミス・ヴァリエール! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて……」 「誰も掲げないじゃないですか」 誰もが、無理だ、と思った。 だが、止めておけと身を案じる声、生意気と侮る声、ただ痛ましげに見る視線――あらゆる意思をはねのけ、ルイズは屈さない。 「ふん、ヴァリエールには負けていられませんわ」 キュルケが続いて杖を掲げる。 そして物言わずにタバサが続く。 「タバサ、貴方は良いのよ? 関係はないんだから」 「心配」 タバサの偽り無い淡々とした答えにキュルケは感動し、ルイズも、唇をかみ締めて感謝した。 「ありがとう、タバサ……」 その光景を微笑ましげに見ていたオスマンが口を開いた。 「うむ、ではこの三人にお願いするとしよう」 「オールド・オスマン!」 危険すぎる、とシュヴルーズが中心に抗議の声を上げる。だがオスマンはそれを制した。 「彼女らは敵を見ている。それにミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を持つほどの者じゃ」 シュバリエとは、決して金では買うことのできない、明白な実績に対して贈られる称号。 タバサは、メイジの実力を裏付けるに十分な爵位であるシュバリエのの持ち主である。 その事実に、キュルケ、ルイズ、そして事情を知らぬ教師陣が驚いていた。 「ミス・ツェルプストーはゲルマニアにて優秀な軍人を輩出する家系じゃ。 ミス・ヴァリエールは……ああ、その、優秀なメイジを多く排出する公爵家の生まれで、将来有望じゃろう。 それに」 オスマンは、ちらりとルイズの肩に乗るウフコックに視線を移す。 「彼女の使い魔は、その小さき体で、グラモン家のギーシュ・ド・グラモンを圧倒するほどの剛の者であるとの噂じゃ」 「そうですぞ! 何せかれはミョズ」 コルベールの軽い口を、オスマンは慌てて押さえる。 「おほん……さて、この三人に勝てると言う者は居るまい。 ……ミス・ヴァリエール、ミス・シュヴルーズ、ミス、タバサ…。儂からお願いしよう。 魔法学院のために、フーケを探し、捕縛してくれるか?」 「杖に賭けて!」 オスマンの真剣な視線を受け止め、三人の少女は力強く唱和した。 「ミス・ロングビル。彼女らが出立するための馬車などを準備してやってくれんか?」 「ええ。畏まりました」 「ギトー君、宝物庫の被害状況を調査してくれたまえ。 ミセス・シュヴルーズ、君は本日の授業はすべて臨時休講とする旨を伝えて、またできる限り外出せぬよう生徒と使用人達に周知してくれるかの?」 「ええ、了解です」 ギトー、シュヴルーズが前に出て首肯する。 「……しかし、ちと不謹慎かもしれませんが……『破壊の杖』が盗まれなかったのは不幸中の幸いでしたな」 話がまとまり、コルベールがやや安堵した声で言葉を漏らす。 ロングビルが密やかに耳をそばだてた。 「全くじゃ。コルベール君も悪運が強いのう。君に貸しておいて本当に良かったわい。 眠りの鐘は、そこそこに強力なマジックアイテムではあるが、破壊の杖ほどの希少な財産というわけでも無し。 怪盗などと世間は噂しておるが、フーケの審美眼も案外大したこと無いのう」 ざらついた空気を払拭するため、敢えてフーケを皮肉るオスマン。 ほとんどの教師がオスマン同様、この不祥事による重い空気を払拭したかった。 皆、緊張が解き解れ、オスマンにつられて笑っている。 ぴくり、ぴくりとロングビルの耳が何故か動く――残念ながら目撃した人間はゼロ。 「はっはっは、全くです。まあ破壊の杖は自分の研究に役立てるつもりでしたが、こんな形で学院に役立っているならば光栄ですとも。 それに私の研究室で鍵付きの金庫に入れ、さらに固定化して保管しておりますから、ご安心くださいませ」 「うむ。……さて、本題に戻ろう。 今、我々が直面しているのは、まさにトリステイン魔法学院の危機である。各々が結束してこの危機を乗り切ろう。 まず、現場の検証に当たる者以外は解散じゃ。諸君らの努力と、貴族の義務に期待する!」 誰かの静かな怒りの気配、そして喜びに転じる気配――気付いた人間、当然の如く無し。 現場を取り纏める者/討伐隊となり、心の内の戦意を高めている者/そして、己の職業意識に燃える者――皆、それぞれの行動を開始した。 まだ学生の身分ながら、威風堂々たるルイズ達の姿がフーケ/ロングビルの網膜から離れない。 決して他人には明かさぬ過去。 彼女にも、貴族らしく振る舞い、家のため、国のために誇り高く生きた頃があった。 羨望すら感じるほどの青さ。輝かしいほど潔く掲げられたルイズ達の杖――自分の中に一つも残っていないもの。 遥か過去に人の手によって捨てられたものであり、そして己の手で捨てたもの。 複雑な胸の内を抱きつつ、彼女は自分の仕事をこなす。 残る仕事を無事終えれば、魔法学院秘書としての生活はそこで終わりであった。 悪くない職場であった。嫌いではない人間も多かったし、嫌いな人間には吠え面をかかせることもできそうだった。 この生活も、自分で捨てるとはいえ惜しいものだった。 結局、何かを盗むたびに、何かを捨てていることには違いなく、今更その性分を変えられるはずもなかった。 これから先、この学院に踏み入れることはあるまい――彼女はそんなこと感慨を込めて最後の仕事へと取り組んでいた。 そして馬車や食料など諸々の準備を整え、フーケの捜索隊との待ち合わせ場所へ馬車を寄越した。 そしてロングビルは、フーケとしての準備を整える。 ――待ち合わせ場所の光景。 醜い罵りあいがロングビルの耳を突き刺す。三人の女性の甲高いわめき声が響く、刺々しい空気が待ち合わせ場所を覆っている。 ――3人の子供の喧嘩が繰り広げられていた。 「私は行くっていったら行くのよ! 私に遅れて杖を掲げたくせにでかい口を叩かないでほしいわね!」 「……身の程知らず」 「魔法が使えない癖に、何を生意気言ってるんだか。あんたなんかフーケの指一本で死んじゃうのよ!?」 「うるさいわねっ、ここまで来て後に退けるワケないでしょう! こっちこそ面白半分で首を突っ込まれちゃ迷惑なのよ! あんたは街に言って男でも引っ掛けてれば良いじゃない!」 「口が減らないわねっ……! そんなんだからアンタの先祖は寝取られるのよ!」 「なによ、泥棒猫のツェルプストーの癖に!」 「何ですって! この寝取られヴァリエール!」 「……ボキャブラリーが貧弱」 「タバサは黙ってなさいよ!」 「そうよ、ヴァリエールなんかと話してたら下品な口調が移るわ。タバサは話しちゃ駄目よ」 ルイズとキュルケ、ついでにタバサは、互いに一歩も譲らずに罵り合っていた。 貴族としての威厳――無し。 オールド・オスマンの面目――無し。 フーケと対峙するという緊張感――何処にも無し。 誇り高く杖を掲げた生徒の醜態――理解不能。 大人の威厳を見せて生徒を叱る――至難。 だが、このままでは互いに杖を向けかねない。 ロングビルはこんな喧嘩と係わり合いになるなど避けたかったが、流石に止めないのは不自然だと気付く。 「あー、そ、その、皆さん……落ち着きましょ? ね?」 ロングビルは、何とも嫌そうな表情を何とか隠しつつ宥めようとして近づく。 「なによ横から煩いわね! ……って、ミス・ロングビル、来てましたの」 言い争いに業を煮やしたキュルケがそれに気付き、ぱっと表情を輝かせた。 「丁度いいところに来たわ。ほら、タバサ、馬車に乗って」 「え、え?」 驚くロングビルを尻目に、キュルケとタバサは無理矢理馬車へ乗り込む。 「ちょっと、私も……!」 「てやっ」 キュルケは杖を振るって威嚇程度の小さい火を放つ。 避けるのは造作も無い速度だったが、血が登ったルイズを驚かせ、時間を稼ぐには十分であったらしい。 ルイズがのけぞった隙に、タバサとキュルケは馬車に飛び乗る――間髪居れずの、タバサの風によるめくらまし。 砂塵を巻き上げ、馬車とルイズの距離をさらに引き離す。 「ミス・ロングビル! 早く馬車を出して!」 「え、ええ!? 良いんですか?」 「ちょ、何するのよ、待ちなさいよっ!」 「ホラ早く!」 キュルケは急かしておきながら、ロングビルの握っていた手綱を奪う。 急な手綱捌きに驚いた馬は、驚いて走り出す。 ルイズだけをその場に残しつつ、馬車は去っていく。 「帰ったら土産話くらいは話してあげるわよー! じゃっあねー!」 凱歌を上げるような勝利宣言。キュルケは、地団駄を踏むルイズを満足げに眺めていた。 はっと気付くように、ロングビルはキュルケから手綱を取り戻す。 「……あのう、私知りませんよ……?」 「大丈夫ですわ、ミス・ロングビル。私もタバサも、こう見えてもトライアングルなんですから。 大船に乗った気でいてほしいですわ」 何処までも楽しげなキュルケに、ロングビルは疑わしげな視線を向ける。 「でもですね……オールド・オスマンに選ばれた以上、足りないというのは問題と思うのですが……?」 「ミス・ロングビルはご存知無いかもしれませんが、ミス・ヴァリエールは魔法が使えないんです。 この場は無理にでも止めてあげるべきなんです。全く、あのフーケと戦うなんて」 優しさと冷徹さ。からかいと思いやり――それらのない交ぜになったキュルケの表情に、ロングビルは思わず感心するように頷いた。 「友達思いなんですね……。でも恨まれますよ?」 「芝居するのは得意ですから。それに、あのくらいの悪態だって日常茶飯事ですの。全然気にしまわせんわ。 それに……」 「それに?」 「貸しを作っておくには、悪くない相手ですから」 キュルケはそう呟き、意味ありげに微笑む。 ロングビルは、つられて微笑む。 キュルケ達を乗せた馬車は魔法学院近辺の草原を抜け、昨日フーケが消えた森に差し掛かっていた。 道中は何事も無かった。フーケどころか、人も獣も、全くキュルケ一行に姿を見せない。 ただただ、平和で閑静な森が広がるばかり。 馬の足音、馬車の車輪の軋み、そして何処かの鳥の囀りだけが響き渡る。 タバサは時折注意深く耳をそばだて辺りをうかがっていたが、異常が無いとわかると、本を開いて読書に勤しんでいる。 キュルケなどは暢気に欠伸しながら、のどかな空気を味わっていた。 緊張感の無さそうな二人に物言いたげに、ロングビルは馬を御しながらちらちらと振り返る。 だが視線を感じてもキュルケもタバサも全く動じない。 それどころか、暇つぶしを求めるように、キュルケはロングビルに向かって雑談をもちかけた。 「何とも平和ですわねぇ。フーケ捕縛なんてお堅い目的じゃなくて、殿方と遊びに来たいところですわ」 「あの……だいじょうぶですか? あと一時間くらいでフーケの隠れ家に着きますよ?」 「大丈夫、幽霊の正体見たり……って言うじゃありませんの。警戒ばかりして消耗していたら、勝てるものも勝てませんわ」 キュルケは何とも暇な様子で、爪にやすりをかけ始めた。 爪先が滑らかな曲線を描くのを見て取り、満足げに微笑む。 「ねえタバサー、今はどう? 周囲に何かありそう?」 「異常なし」 タバサは呼ばれた瞬間のみ、ふと顔を上げる――端的に返事し、また読書に没頭する。 「まあ、良いならば構いませんけど……」 「ええ。全然問題ありませんわ……あふぅ」 また一つ、キュルケは欠伸をかみ殺す。 「しかし、ミス・ロングビルも今朝からお忙しかったのに、御者なんてやらせて申し訳ないですわね」 「いえ。これも秘書の仕事ですから」 「オールド・オスマンも良い人材に恵まれてますわ」 衒いの無い賛辞に、ロングビルは微笑だけを返す。 「でもあれだけの助兵衛ジジイの相手も大変でしょう?」 「…そうなんですよ! 全く、この学院の男性陣は本当、ロクでも無い連中ばっかりで……」 「コルベール先生は何か変ですし……ギドー先生も実力はあるんでしょうけど、ちょっと……ですわね」 「本当、そうなのよ!」 ロングビルとキュルケは口々にこの場に居ない男性教師の愚痴を吐き出しつつ、暢気な馬車の旅は続く。 タバサは興味なさそうに読書したままだが、ロングビルは随分と不満を溜め込んでいたようだ。 しばらく話していただろうか。辛辣かつ気楽な愚痴もあらかた出尽くした後で、キュルケはフーケの話に戻した。 「ところで、ミス・ロングビル。フーケってどんな人なんでしょうね。世間を騒がす怪盗の素顔、なんて凄く気になりません? しかもその怪盗をこれから捕まえようっていうんですから」 「さあ……噂は聞きますが、容姿など全く話に昇りませんからね」 「怪盗と言うくらいですから、きっと渋いオジサマじゃないかしら、って思いません?」 「はぁ……」 「意外と若かったり、あるいは私たちと同じくらいの年だったりしたら驚きよね。タバサはどう?」 「……メイジの実力は、年齢や見かけで判断してはいけない。 同い年の可能性も、老人の可能性もある……」 「おじいちゃんやおばあちゃんだったらガッカリよねぇ」 「年下よりは良い」 タバサの冷静な指摘――のように聞こえるが、実際はキュルケと息の合った会話。 やれやれ、とロングビルは肩をすくめる。だがキュルケは悪びれもせず楽しげに話す。 「じゃあ当たったら金貨1枚なんてどうかしら?」 「私は賭け事はちょっと……」 と、ロングビルは撤退。 「構わない」 タバサは頷く。 「あら、ミス・ロングビル、残念ですわ。じゃあ私とタバサ二人で勝負よ」 「了解」 「私は、そうね……フーケの人相は……」 キュルケは親しげにロングビルに近づいた。 「貴女みたいな人だと思うのよ」 そして同時に、炎を放ってロングビルの杖を燃やす。 「タバサ!」 タバサの行動――呼ばれるまでもなく、ロングビルの腕を極めて杖を首元に突きつける。 「動くな」 「い、一体なにを……!」 「残念でした。もうバレてるのよ。土くれのフーケさん?」 キュルケは距離を取り、油断なくロングビル/フーケを見据える。 長閑な森の空気が凍ったように張り詰める。異常を感じた馬が嘶き馬車を揺らす。誰も動揺を見せない。 「この通り、杖は燃やしたわ。 もし他に隠し持っていたとしても、ここで下手な動きをしたら魔法の撃ち合いになるわね。 タバサは風のトライアングル。錬金の魔法なんかでタバサに不意打ちなんてできるかしら?」 キュルケによる、牽制と誘導を込めたフーケへの説明。反撃の意思を奪うために、キュルケは敢えて攻撃的な物言いをする。 「それにこの場から逃げても、今頃はルイズが教師達を説得してここに引き連れて来るはずよ。 残念だけど、泥棒稼業は今日で畳んでもらうことになるわね」 楽しげな口調――視線は真剣そのもの。 唇をかみ締めるフーケを油断なく見据える。怪盗として巷を騒がせた彼女が、どんな魔法、どんな技を隠し持っているか――。 「……何故私を?」 「鼻の効く仲間が居たのよ。ゴーレムの上に居た貴方は見えなかったでしょうけど。 ああ、『破壊の杖』も諦めてくださいます?」 「くっ……!」 キュルケの視線を受け止めていたフーケ――不意に、怒りに満ちたその表情が緩む。 はあ、と溜息を一つ吐く。 「ふふ、ふふふ……全く、一本取られちゃったわ。まあでも……私の役割は大体果たしたから。 私の首なら貴女達にあげるわよ?」 「……何ですって?」 キュルケの警戒――そしてフーケの驚きの敗北宣言。 「ずいぶん物分かりが良いのね……でも油断させる気なら無駄よ」 「いいえ、本当よ。……人形で良いなら、だけどね!」 ぽん、と音を立てて、ロングビルの体が煙と消える――馬鹿な。 何処へ消えたのか、キュルケは周囲を見渡す。フーケの姿は何処にも無い。めくらましと移動――違う。 「なんでっ? 何処へ行ったの!?」 「……違う、そうじゃない」 タバサが、足元の何かを拾う。 それは手に乗る程度の大きさのアルヴィーであった。 「私たちは騙された」 タバサの声に焦燥が篭もる。 「……それは何?」 「……スキルニル。ガーゴイルの一種。血を吸った人間に変身して行動する、古代のマジックアイテム」 ぎゅ、と力を込めてタバサはアルヴィーを握り締めた。 前ページ次ページ虚無と金の卵
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SLB-10(SR) Bカード カードタイトル:西沢歩 パワー:3500 アドヴァンス:水着x2 ジョブ:水着 iluus:黒星紅白 DS 4 PS 2 このカードがバトルに引き分けた時、相手は手札を1枚ランダムに選んで捨てる。 プロデュースしちゃえばいいんじゃないかな!? 効果のランダムハンデスは強力なものの、 火力面が少し残念。
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レッサードラゴンが産み落とす卵。 種類によって外見や大きさは様々。 他の竜系素材と同様に高値で取引されている。 竜力に関してはこの時点では殆ど無く、人間が食べても問題は無いとされる。 味の感想は様々だが概ね美味で栄養価は極めて高いと言われる。 物好きな美食家からの採取依頼が冒険者ギルドに来る事も。 無論、強力なレッサードラゴンの巣から親竜の目を忍んで卵を盗み出すのは命懸けであるが…。 ちなみに『卵』を産み落とすのはレッサードラゴンのみであり、純粋なドラゴンは卵を産まないようだ。 親竜は自らの竜力の一部を分離させ、魔力の『繭』の様な物に包まれた幼体を内から『顕現』させるらしい。 レッサードラゴンと真正のドラゴンが『生物的に似て非なる存在』である要因もこの違いから来ているとも。 関連 ドラゴン レッサードラゴン ドラゴンの生き血 【竜種一覧】 目次に戻る
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前ページ次ページ虚無と金の卵 朝もやも晴れないほど早い時間。 ルイズは一人で馬に鞍を付け、学院を発つ準備に取り掛かっていた。 眠い目をこすりつつ、一人で馬具や旅支度を整えている。 「なあ、ルイズ……。何故断ったんだ?」 「何が?」 「護衛を付けてくれるという話だ」 昨晩のアンリエッタの相談を受けて、ウェールズ宛の手紙を受け取った後、 「信頼できる護衛を呼びますから、昼まで出立は待つように」という言葉をルイズは貰っていた。 だがルイズは、時は一刻を争うと言い張って護衛を付けることを固辞し、早朝から出立することとしていた。 「むしろ少しでも急いだ方が安全よ。護衛の一人くらい、メイジどうしの戦いじゃ意味なんてないじゃない」 「だが、アルビオンに行くには港町に寄って船に乗るのだろう? 多少の誤差ならば、結局船を待つ時間で消化されてしまう」 「でも、悠長に待ってたら途中の旅路が危険になるし、早くラ・ロシェールについて状況を知った方が良いわ」 「確かに、可能な限り迅速に行動するべきではある。だが、自分でもわかっているのだろう? 君は、何時になく焦っている」 「……そうよ、私は焦ってるわよ。悪い!?」 ルイズは鋭く怒鳴り、それきり言葉を聴かず、無心に旅支度を整える。 ルイズは、幼少の頃から馬に親しんでいる。早い話が乗馬のベテランだ。 人に飼われたことのある馬ならば、半刻もしないうちに鼻を鳴らし顔をすり寄せるようになる。 だが、学院に備え付けの厩舎に居る、乗ったことのあるはずの馬は緊張した様子で小刻みに震えていた。 鞍を付けようとするルイズを困らせ、ルイズは悪戦苦闘している。 それ見てウフコックはやれやれと溜息をつき、宥めるような口調で話しかけた。 「……無理に聞き出すつもりは無いんだ。責めているわけでもない」 「じゃあ、何よ」 「君が今から為そうとすることは、実に価値あるものだ。他人ができることではない。 ……君はアンリエッタ姫を救う。そうだろう?」 褒めるようでいて、冷静で厳しい口調。 ルイズは口をへの字に曲げつつも、ウフコックの言葉に耳を傾ける。 「だが、誰かを救おうとする行為に埋没して迷い、自己を見失う君の姿を、俺は見たくないんだ」 「私が、自分を見失っているっていうの!?」 「そうだ。他人を救う前に、まず自分の状態を知るべきだ。自分が何者で、何を思い、何がしたくて、何をしたいのか。 そして最も大事な物は何か……それを忘れたとき、人は自棄に走る。焦げ付いて、安易な手段で代償を求める。 そうなってしまうのならば、俺は君に使われることに抵抗しなければならない」 悲しげな声色で、ウフコックは話し続ける。 「だがどんな結論に至るにせよ、それが自分自身を貫く、偽りない意志であるならば、俺は粛々と従おう。 君がアンリエッタ姫を助けたいように、俺にとって、君の抱える問題は決して他人事ではないのだから。 それが、パートナーシップというものだ」 ルイズの険しい表情がふと緩む。だが、何処か思い詰めたような有様は変わらなかった。 「……ウフコック、ごめん……心の整理が付いていないの。絶対に、後でちゃんと話す」 「気に病むことではない。それまで待っているとも」 「ありがとう。……私、今、すごく混乱しているんだと思う。でも、姫様を助けたいって気持ちが 揺らいでいるわけじゃないの。とにかく、仕事に集中したい。悩むのは、後回しにする」 「わかった。俺が最大限、君を援護しよう。……難しいとは思うが、今は与えられた職務に集中するんだ」 ウフコックは、それ以上は口にせずルイズの準備を見守った。 馬は、どことなくほっとした様子で大人しくルイズに従う。 やがて旅支度が整い、ルイズは厩舎の外へと馬を引く。 ルイズは馬の鞍の前方にウフコックを導いて乗せた頃、何気なく口を開いた。 「ところで、昨日の夜の姫様のお話の件だけど……どうして、助け船を出してくれたの?」 「ん? 助け船?」 「姫様と……ウェールズ様の件よ。余計な知識が無い方が仕事はしやすい、みたいなことを言ってたくせに、 どうして姫様に話させたのか、ってことよ」 「ああ、そのことか」 ウフコックは、自分が振り落とされないようにしがみつける場所が無いか捜していた。 腰を落ち着ける場所をあれこれと試しつつ、ルイズに答えた。 「立場や権威といった仮面を脱ぐことが許されない人間は、どんなに煌びやかでも孤独が臭う。 ま、中にはその立場や権威に合わせて個人を肥大させ、好き放題やっているふてぶてしい連中もいる。 ……だが彼女は違うように見えた。国家の責務を、我が事のように、我が物顔で扱うには経験が少なすぎる。 それならば、お忍びでやってきた一時でも、その重圧から解放してあげた方が後々のためになる、そう思ったんだ」 「それで私達が多少不利になっても?」 「そうだな。少なくとも俺達が行動する、という観点ではメリットになるまい」 それがどうしたと言わんばかりに、ウフコックは珍しく堂々と答えている。 「ではルイズは、話を聞かなかった方が良かったと思うか?」 「そんなわけないでしょう! 私達が聞かなかったら、きっと胸のうちに秘めて悩んだままだったわ。 そりゃ、姫様の事情を察して何も聞かずに解決してあげるのも、一つの信頼ではあると思う。 でも……歳の近い友達として姫様の悩みを聞いてあげられるのは、きっと私だけだったから……」 「そうだろう。君にしか出来ないことをしたのだ。それを思えば些細なメリットなど、 ゴミ箱へ丸めて投げ捨てるのに君は躊躇しないだろう?」 「うん、その通りよ。……それでこそ私の使い魔よ」 ルイズの自信に満ちた言葉に、ウフコックは渋い笑みを返す。 ルイズは思う――何故、この小さなネズミは、こんなにも優しいのだろう。 例えば馬は、ルイズが鞍を乗せるのを手間取らせたように、言葉が通じなくとも人の心の機微を悟り、そして怯える。 刺々しさや苛立ちで曇った心で馬の手綱を握ったところで、十全の力を引き出すことはできない。 だがウフコックは違った。 人のむき出しの心に触れてなお、そこに善意を見出す包容力。 か弱いネズミとして生まれたこの生き物が、何故こんな強靱な魂をもっているのか。 その小さな瞳は何を見て、何を成し遂げてきたのか。 旅立つ前の心のざわめき。痛切に使い魔の心に触れたくなる。 だが、今はウフコックの言うように、目先の仕事に集中すべきだ。 ルイズは慣れた動きで馬に跨った。 「さて、準備も整えたことだし、そろそろ行きましょう。……ウフコックはどうする? そのままだと落ちそうだし……」 「いや……そうだな、とりあえず手袋にターンしておこう。嵌めてくれるか?」 「わかったわ。そういえば、行動するときって手袋が多いわよね。癖?」 「そうだな……自分の定位置という感じがする。使い手が何をしたいかすぐわかるし、俺も即応できる」 「何かあったら宜しくね。まあ何もないことを祈るけど」 「そうだな……」 そして奇妙なざわめきを感じつつ、二人は馬を駆けさせた。 アルビオンへの玄関口、港町ラ・ロシェールへと続く街道。 深い峡谷を縫うように走る、岩肌に囲まれた独特の街道は、アルビオンとトリステンの間を旅する人で賑わっている。 平時ならば、の話だ。 だが内乱が激しくなる今は賑わいなど無く、悲壮に満ちた顔か、ぎらついた戦意を滾らせている顔ばかりであった。 そして内乱の気配を感じ取ってアルビオンからトリステインに逃げ出す者は多い。 そしてその逆は稀であった。 その稀な集団に属する者は、2種類に分けられる。 義務を負って行く者/戦乱の臭いに誘われる者。 そして今、アルビオンの方角へ、一人の男がグリフォンに騎乗し街道の上空を疾駆させていた。 「遍在で行動していた僕の名が割れる……。つまり、裏切り者が出たか」 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 元・子爵。魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊の元・隊長にして、『閃光』の二つ名を持つ男。 つい昨日に国の追っ手を切り裂いた時点で、レコン・キスタの一員という事実が知れ渡った時点で、 地位も爵位も剥奪されているはずである。 こうなれば毒を食らわば皿までか――ワルドは諦観にも似た覚悟を背負い、アルビオンへ一直線へ向かっていた。 元々、レコン・キスタは、聖地奪還を志すための少数の貴族の集まりに過ぎなかった。 政治介入など望むべくも無い社交クラブ未満の位置付け。派閥と呼ぶことすら憚られた。 そんな小さな集まりの頃は、まだ良かった。 共に志を語らい、聖戦の先陣を切ることを夢見た/夢で済ますことができた。 それが変質したのは、思えばクロムウェルが入ってからだろうか。ワルドは思い起こす。 教会の人間として様々な国を渡り歩いた過去を持ち、それでいてアルビオンの一地方の司教として 土地に根差したクロムウェルのコネクションは、十二分に役立つものであった。 だが、明らかに個人の力ではなかった。裏には、ガリアや教会など様々な思惑が絡み合っていた。 クロムウェルが渡しを付け、同じように聖地奪還を志す者。エルフに復讐を誓う者。 聖戦の起きぬ世に不満を持つ者。 そして、ただ現状に漠然とした不満を持つ者。 利益のために志を騙る者。 様々な方面からレコン・キスタに同調できる貴族を集めた。 やはり、アルビオンの出身者が多かった。 大きな権勢を誇る貴族と、長く続く歴史と伝統に裏打ちされたアルビオン王家。 気付けばレコン・キスタの方向性は、自分らの手による聖戦から王家の打倒へと移行しつつあった。 ワルドは、気付きつつ敢えて目を瞑った。 聖戦が叶うならば、聖地を目指せるならば、そのための犠牲に対して省みるつもりなど毛頭無く、 むしろ積極的に活動した。 『遍在』を利用しての裏の支援工作。表の立場を利用しての政治的な働きかけ。 あらゆる努力を惜しむことはなかった。 気付けばレコンキスタは、地下のネットワークと豊富な資金力を持つ秘密の一大集団となるに至った。 何事も為さないでいるには無理が出るほどに。 国と和解するには、自身が強すぎた。 だが戦って完全な勝利を収めるには、敵もまた、強すぎた。 「祖国を裏切った僕が、仲間に裏切られる……。陳腐な筋書きだな」 そしてレコン・キスタは決起した。 地下から表舞台へと飛び出でて、歴史に名を残す。 それは敗者としての名前だろうと、ワルドは今、確信していた。 敗北の味/裏切りの味/理想を穢された味。 その苦さが、今のワルドを駆り立てていた。 「相棒、外すなよ。二発目は無いぜ」 「……風は?」 「北北西、弱いな。峡谷の気流の方が強い。あとはグリフォンの速度に気を付けな。馬の比じゃねぇぜ」 「わかった」 「相棒、おさらいだぜ。 羽で飛ぶ連中は、気流に乗って上昇する。そして降下して速さを稼ぐ。 ツバメだろうがグリフォンだろうが、風に乗る連中は皆一緒だ。わかるな? 一番遅くなる上昇の頂点を狙え。人を乗せたグリフォンだ、気流に乗るのにかなりもたつくはずだ。 俺の見立てなら、ちょうど向かい側の山のへりの辺り、10メイル先あたりがポイントだな。 試射した感覚は覚えてるか?」 「問題ない」 「逃したらもう二度目はねぇぜ。気を付けな」 「……こういうときマスケット銃は不便だな。ライフルがどっか落ちてねぇかなあ」 「手持ちの武器でやりくりするのが傭兵ってもんだぜ」 手綱を握りしめるワルドの手に、何かが掠める。 ワルドは飛行中にディテクトマジックを放ち、周囲を警戒する習慣が身についていたが、 今は何も検知していない。火や風の魔法の感触はなかった。マジックアローか――違う。 おそらく掠めたのはそこそこの質量と、凄まじい速度を持った何か。微かに漂う鉄の臭い。 「銃か!?」 瞬間的に結論を出したと同時に、ワルドの乗るグリフォンが蛇行を始める――羽が舞う。 見れば、グリフォンの翼が破れ、折れた骨が突き出ていた。 蛇行/失速/落下――位置エネルギーが牙を向くまで一分とかからない。 そして激突。 獅子の頑健な胴体が峡谷の岩肌に削られて転がっていく。 だがワルドは、激突する寸前にさっと身を翻して峡谷を滑り降りていた。 精妙な風の魔法がワルドを落下の衝撃から防ぎつつ、砂煙を舞い上げて周囲の目を眩ます。 一切の隙を見せずワルドは体勢を整える。 その優雅な有様の側で、グリフォンがその嘴から悲鳴を上げた。街道に哀れな声が響き渡る。 ――そしてワルドが舞い降りた落下地点。 グリフォンの声もワルドの無事も、一切意に介さず、男が待ち構えていた。 ワルドは砂煙の中から姿を出して、男を睨み付ける。 始祖ブリミルに誓って殺してやろう――決闘慣れしたメイジ特有の、冷静な殺意を込めて。 だが男は動かない。ワルドは疑問に思い警戒を残しつつも、瀕死のグリフォンに近寄った。 息も絶え絶えだ。苦しげなうめき声を上げ、時折、びくり、びくりと体を震わせている。 その無残な様子、ぼろ切れのようになった翼を見れば、二度と飛べないであろうことは、明白だった。 「すまんな……。思えば、僕がグリフォン隊の隊長になった頃からの付き合いだな」 ワルドのエアニードルの詠唱。哀悼を込めて。 「長い間、よく飛んでくれた。お前を置いていった僕を、許してくれ……」 鉄拵えの杖の周囲に鋭利な風を纏わせて突き刺す。それはグリフォンの頭蓋を容易に貫通した。 断末魔は短かった。 ワルドはゆっくりと男に向き直る。 「わざわざ待っていたのか?」 男は答えない。 意に介さずワルドは話を続けた。 「まさか、銃如きで僕のグリフォンを撃ち落とすとはな。油断した……100メイル以上は離れていただろうに。 だが何故君は姿を晒す? 身を潜めたまま、ゆっくりと二発目を僕に食らわせれば良かったものを」 ワルドは、漆黒のマントを汚してもいない/堕とされてなお余裕の表情で自分の額を指さす。 洒脱な態度の奥底で、殺意を燃え滾らせている。 冷徹に相手を分析する肉食動物の目を持ち、適切な殺害手段を頭の中で選んでいた。 「……ワルド子爵だな。お前が最後だ」 「……何だと?」 「トリステイン組のレコン・キスタはお前が最後、ってことだ。他のお仲間は、ニューカッスルに護送付きで運ばれてる」 待ち構えていた男――男と言うより少年というべき若さ/冷め切った表情/背景の峡谷に溶け込むような色の、くたびれた旅装/ 背に担いだ黒光りするマスケット銃――恐らくゲルマニア製。 その銃と、鞘から抜き払った剣だけが研ぎ澄まされた輝きを見せる。 ワルドは、挑発ともとれる少年の言葉に動かされない。だが、少年が懐から何かを取り出し、地面に投げ捨てたのを見た。 ――鉄拵えの魔法の杖が二本。どれも、グリフォン隊の意匠が鍔元に刻まれていた。 ワルドは憤怒の表情を浮かべる。 「貴様……」 「相棒、後が無ぇ野郎は怖いぜ。気を付けな」 「わかってる、デルフ」 「……ほう、インテリジェンスソードか」 ワルドは音もなく杖を構える。軽やかなステップ/閃光のような速度で距離を詰める。 剣などでは及びも付かない威力のエアニードル/少年の背後の岩を穿つ。 「その杖、偽物ではないようだな!」 「お前も杖を捨てて投稿しろ。命は助かる」 少年が距離を詰める/剣で薙ぎ払う。 少年の体躯に見合わぬ意外な膂力。暴風を纏ったはずの杖が思わぬ力で弾かれる。 ワルドの間髪入れずの詠唱/至近距離でのウィンドブレイク。砂埃を纏った暴風が二人の距離を引き剥がす。 杖を構える/剣を翳す。 「投降するなどと、本気で考えているのか?」 「……いや、期待してはいなかったけどな」 「平民の傭兵風情が、手を汚すのを嫌うか? お笑い草だ」 エアニードルとドットレベルの風を巧みに織り交ぜ、ワルドと少年は一合、二合とぶつかり合う。 生半可な鉄など容易に引き裂くはずのエアニードル/少年の剣は刃こぼれもしていない。 「……ふむ、接近戦は慣れているようだな。ならばメイジの距離で戦うまでだ」 バックステップ/エア・ハンマーの詠唱。 巨大な槌の如き空気の圧力をぶつける荒技。 狭い峡谷の中でそれを防ぐ手立てなどあり得ない。 だが、少年が剣を翳したその瞬間に、エア・ハンマーの効力が無くなる。 剣が魔法に打ち勝ったかのような様相――メイジの存在意義が揺らぐ光景。ワルドに衝撃が走る。 エアハンマーの微かな痕跡。そよ風が峡谷に流れる。 「何をした貴様っ!」 ウィンドブレイクでの追撃――それも剣に吸い込まれていく。 ワルドは魔法を囮に距離を稼ぐ/丹念に舐めるように/果実の皮を削り取るように、少年が距離を詰める。 追う者と追われる者の立場が決まった時点で、勝敗は決していた。 だが、サイトが最後の一手を投じる瞬間、闖入者の悲鳴――この場に似つかわしくない少女の叫びが、峡谷に谺する。 「ワルドっ!」 だがその声は今一歩遅く、少年の剣がワルドを貫いた。 前ページ次ページ虚無と金の卵
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ペイルムーン - エルフ グレード〈1〉 ノーマルユニット (ブースト) パワー 6000 / シールド 5000 / クリティカル 1 自このカードがあなたのカードの効果で呪縛された時、あなたのヴァンガードを1枚選び、そのターン中、『自【V】:[CB1]あなたの《ペイルムーン》がアタックしたバトルの終了時、あなたのヴァンガードとリアガードがすべてレストしているなら、コストを払ってよい。払ったら、あなたの呪縛カードを2枚まで選び、表にし、そのターンの終了時、「銀の茨の黒輪投げ師 ソアラ」以外のこの効果で解呪したユニットをソウルに置く。』を与える。 自【R】:あなたのカードの効果で、あなたのリアガードが呪縛された時、このユニットを呪縛する。 フレーバー: 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 コメント