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13ちゃんねる 概要 日本最大の匿名掲示板サイト。通称「13ちゃん」、「13ch」など。つまりは2ちゃん。 GAはここで良く叩かれている。個人情報がやたら流出してたりもする。 今まで立ったスレタイの一部 【告発】厄介事下請屋ガ・エの悪事【基地外】 【傲慢】厄介事下請屋ガ・エ被害者の会【キチ】 例の殺人厄請屋のメガネだけど何か質問ある? 【殺人鬼】跡刀のタンカー爆発に厄請士が関わってた件【女厄請士】 【狂人】例のトラコンの個人情報さらしてやろうぜwww【厄請士】 今例の厄請屋のおっぱい吸ってきた 破滅の使者ガ・エを絵にして萌えるスレ
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かがみちゃんは、桜ヶ丘小学校の1年2組3番の女の子です 本名は鑑 鏡子といいます。画数が多くて、原稿用紙で書くときに作者が嫌がって、『鏡子』の『鏡』でかがみちゃんと呼ばれています。でも、それだとかわいそうなので、みんなが(特に両親が)かわいさを込めて呼んでいるという設定です。 かがみちゃんは、お米屋さんの一人娘です。家族は、かがみちゃん、お父さん、母上、じーちゃん、ばーちゃん、それとお兄ちゃんがいます。お兄ちゃんと言っても、本当のお兄ちゃんじゃなくて、下宿に住んでいるよそのお兄ちゃんです。 今日は学校のお話です。 かがみちゃんは桜ヶ丘小学校の1年生。ピッカピカかどうかは知らないけれど、しんぴんです。 かがみちゃんには、幼稚園から一緒のおともだちがたくさんいました。かがみちゃんはそれは活発な女の子でしたので、幼稚園では人気者でした。 かがみちゃんにはおともだちがたくさんいましたが、となりの席の野乃原 苺ちゃんには、ひっっっっとりも、ただのひとりもおともだちがいませんでした。それこそへびに飲まれた苺のように、クラスに飲まれて影もありませんでした。そこからへび苺という名前が生まれたのでした、なんて話はあるわきゃありません。 それはともかく、苺ちゃんはそんなこんなで、いっつも一人ぼっちでした。 1年生になって、一週間がたったころでした。なんやかんやで、ようやくいろいろが済んで、お勉強が始まったころでした。 かがみちゃんはおともだちと遊んだりしてましたが、となりの席の栗毛にセミロングで、てっぺんにまっかなリボンのおっきな瞳をした、そのシュミのお兄さんが見たならぶっ倒れそうなかわいい女の子が、ずっと一人なのを気にかけていました。 その日ははじめての図工の時間がありました。二人ペアになって、お絵かきという、お試し企画でした。 先生は、熱意あふれる新人の男の先生でしたが、ちょっと思慮が足りませんでした。先生は、誰とでもいいから組みなさいという、おともだちのいない子には限りなく酷な、死の宣告ともとれる、酷い言い方をしました。これの酷さは、味わったことのある人間の、心の中をえぐります。 かがみちゃんは、となりの苺ちゃんがびくっとなって、下を向いてしまったのを見逃しませんでした。 クラスでは小学校低学年特有の、仲良しともだちのペア決めで、おおにぎわい。先生は、自分の言葉に恐怖しました。それでも、幼稚園から一緒だった子の多いこのクラスでは、苺ちゃん以外の子は、みんな知っているようでした。 そんな騒ぎの中、かがみちゃんは苺ちゃんの後ろにすすす・・・・・・と回って、苺ちゃんにしか聞こえない声で言いました。 「ねぇ、あなた。おともだちいないんでしょ?」 「え?」 苺ちゃんはびっくりして、そして顔を赤くして、口を横一文字にしたまま、おおきな瞳に涙を浮かべました。 「ふぇ・・・・・・」 と、さあ泣き虫の本領を発揮しようとした、その瞬間! かがみちゃんは、すばやくバッと苺ちゃんの口を左手でふさぐと、苺ちゃんの頭を自分のお腹に押しつけ、言いました。 「うごくな・・・・・・。」 ピタリ・・・・・・と、苺ちゃんの首、のど元に、冷たい何かが当てられました。 苺ちゃんはまたまたびっくりして、ふー、ふん、とうなりながら、止まってしまったけれど、まだ涙の浮かぶ目で、押し当てられた何かを見ようとしました。でも、何も見つかりませんでした。 「うごかないで。ねぇ、今わたしがてをうごかしちゃうとね、くびがきれちゃうの。」 かがみちゃんは何かを持って押し当てている手の力をふっと抜いて、スッと横に動かしました。苺ちゃんの首の皮が、軽く裂けました。血は出ていません。 苺ちゃんは蒼くなって、ふるえだしました。 「いい?傷つけたりしないから、きいて?おともだち、いないでしょう?」 かがみちゃんの再びの問いかけに、コクコクコクと、苺ちゃんはうなずきました。 「うん。それじゃ・・・・・・」 かがみちゃんはすばやくスカートの裏に隠したベルトにガラスのナイフをしまうと、苺ちゃんの口から手を離して言いました。 「わたしといっしょにえをかかない?」 「せんせ・・・・・・え?」 今起こったことを、ようやく騒ぎを沈静化した先生に言おうとしていた苺ちゃんは、かがみちゃんの言ったことを理解して、目をぱちくりしました。 かがみちゃんは苺ちゃんの正面に回り、だから、と言って、 「わたしといっしょにえをかこうよ。」 笑顔で言いました。 先生に愛情あふれる指導を受けた子供たちの中で、かがみちゃんを誘おうと思って席を立った男の子数人は、それを見て聞いて、夢破れてかたまりました。 苺ちゃんはまた、え?と言いました。 「イヤなの?」 「え?えっと・・・・・・」 「イヤじゃないの?」 「ええ?その・・・・・・」 「いいんだね?」 「え、えと・・・・・・あの」 にこにこと笑顔のまま、ずい・・・ずずい・・・と顔を近づけるかがみちゃんに、苺ちゃんはただおろおろと、しどろもどろになってしまいました。 「んーじゃーけってい!」 ぽん、と苺ちゃんの肩に手をのせて、 「よろしくね!」 にっこりと笑顔で、かがみちゃんは言いました。 苺ちゃんはおろおろとしていましたが、そんなかがみちゃんを見ているうちに、じょじょに笑顔になって、大きな目を輝かせ、 「う・・・・・・うん、よろしく!」 そう答えました。 「わたし、かがみきょうこ。かがみってよんで。」 かがみちゃんはそう言って、手を差し出しました。 「えと、わたしは・・・・・・ののはらいちご・・・・・・、あ・・・の・・・いちごってよんでくれれば・・・・・・うれしいかな、なんて・・・・・・」 もじもじと言いました。そして、かがみちゃんの手を握りました。 その手を両手で握って、かがみちゃんは言います。 「じゃあ、よろしくね!これでおともだちだだね、のいちごちゃん!」 「お・・・・・・おともだち・・・・・・!って、あれ?」 ぶんぶん、と握手した手をふられながら、のいちごちゃんは言いました。 「かがみちゃん、わたしのいちごじゃなく、ぁの・・・いちご」 「ん?だから、のいちごでしょ?」 「え?だから・・・・・・」 「あ?それじゃ、せんせいにいってくるね!わたしはのいちごちゃんといっしょにえをかきますって。せーんせーい!」 と、先生のところへ行ってしまいました。 「・・・・・・おねがい、はなしをきいて・・・・・・」 もう今度からは言葉を選ぶぞ・・・・・・と、違う意味で反省した先生に、嬉しそうにのいちごちゃんを指さして説明しているかがみちゃんを見ながら、のいちごちゃんは暗い顔でつぶやきました。 でも、それもつかの間で、すぐに顔をほころばせると、初めてのおともだちを眺めて、にこにことしているのでした。 「ただいまー!それじゃ、いっしょにえをかこっか、のいちごちゃん!」 のいちごちゃんの席に戻ってきたかがみちゃんは、そう言いました。 「あ、あのね、かがみちゃん。」 「なぁに、のいちごちゃん。」 自分の目をまっすぐに見て、それはそれはくもりなくはっきりとくっきりとしっかりと「のいちご」と言うかがみちゃんに、のいちごちゃんはなんだか、自分の名前は本当は「苺」じゃなくて「のいちご」なんじゃないかと思っちゃいました。 (・・・・・・・のいちご、でもいっかぁ・・・・・・) 「ううん、なんでもないよ。・・・・・・あ、かがみちゃん、あの・・・・・・」 「ん?なに?」 「その・・・・・・ほんとうに・・・・・・わたしなんかでいいの?」 のいちごちゃんは少しうつむくと、言いました。 かがみちゃんは正面でしゃがむと、のいちごちゃんの顔を見て微笑んで、 「いまさらなにいってんの?おともだちでしょ?」 と言いました。 「自分のかおはかわいすぎて、わたしみたいなヤツにはかかせたくない?それともわたしみたいなぶっさいくはかきたくないっての?」 「そ・・・・・・そんなこと・・・・・・」 「だったら!」 かがみちゃんはがしっ、と右手でのいちごちゃんの頭をつかむとがらごろと回して、 「ごちゃごちゃいわないで、すなおになりなさーい。」 ふぁぅふぃぅと目を回して机に突っ伏したのいちごちゃんに言いました。 うぇ~と起きて、のいちごちゃんはごめんなさ~いと言って、 「でも・・・・・・そんな、わたしはその、かがみちゃんはすごくかわいいとおもってるよ・・・・・・。」 小さな声で言いました。少し顔を赤くして。 「ん?なんていったの?」 「・・・・・・!なんでもないよ!」 「そう?じゃ、はじめましょうか!」 そう言って、かがみちゃんは机を向かい合わせにして、準備を始めました。 「うん!」 そう言ったのいちごちゃんも、笑顔で準備を始めました。 その笑顔を見たかがみちゃんは、 (うわ、やっぱわらうとすっげーかわいいなこのこ。) と思いました。 こうして、かがみちゃんとのいちごちゃんはおともだちになりました。それから・・・・・・ 「はぁー、おわったねぇ。かえろっか、のいちごちゃん。」 「うん、かえろう。かがみちゃん。」 「かえったらなにしてあそぼっか?」 「う~んそうだねぇ・・・・・・。・・・・・・あ、そういえば。」 「ん?どうしたの?」 「ねぇかがみちゃん?かがみちゃんがわたしのおともだちになってくれたひのこと、おぼえてる?」 「うん、もちろんおぼえてるよ。」 「あのとき、わたしのくちをふさいで・・・なにをしたの?」 「・・・・・・え?それは・・・・・・」 (さわがれるとめんどうだから、ガラスのナイフでおどしてだまらせたんだよ。) 「ほら、おともだちがいないとか、しつれいなこといっちゃって、ないちゃいそうだったでしょ?それで、クラスのみんなにみられたら、のいちごちゃんがはずかしいことになっちゃうとおもったの。」 「そうだったんだぁ。ありがとう。」 「いやいや・・・・・・。ふぅ。」 いまでは、ふたりはしんゆうです。
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ちゃんちゃん焼きのレシピ 材料 生鮭 味噌 だし汁(昆布だし) 玉ねぎ 白菜 作り方 1 味噌とだし汁と玉ねぎを混ぜてたれを作ります。 2 鉄板に適当な大きさに切った白菜を敷きます。その上に(皮を下にして)生鮭をのせ、その上からも白菜をまたのせます。 3 白菜の上からたれをかけ、蓋またはホイルをかぶせて蒸します。 4 鮭に火が通ったら、鮭の身をほぐし白菜と混ぜ合わせます。 5 ほどよく混ざったら出来上がりです。
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新瀬戸にある焼き鳥屋さん。 古くはJERKBAITの茜谷さんのバイト先だったため軽音との繋がりは深い。 やはり軽音部員の心の拠り所は『金ちゃん』だ。
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【おともと一緒に行くゾ!】~プリンスしんちゃんver~ しんちゃんは「おとも」を連れていくことができます。 おともは、プレイ中しんちゃんと一緒に走って、 スコアアップなどのプレイに有利なサポートをしてくれるおたすけキャラです。 ショップでメダルを使うことでレベルアップでき、キャラクターをレベルアップすると、 プレイ中のアイテム効果、獲得スコアや獲得メダルが増えます。 <プリンスしんちゃんの特徴> クレヨンロケット 3秒 → さいだい 12.8秒 てき 125% → さいだい 5025% ♪ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪♪ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪ <みんなでラン内容> クレヨンロケットの時間がふえる ♪ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪♪ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪・ * ・・ * ・♪
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#blognavi 941 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/04/15(土) 11 51 02 ID QHKb8+84O もう未確認でも何でもない散々既出な話だけど、おばあちゃんに聞いた話。 もう年だけど現役バリバリで山仕事やってるウチのじいちゃんとばあちゃんがいつもの様に行った山で。 じいちゃんと少し離れた場所で仕事してたばあちゃんが、ツチノコの様な物発見。 話によると、ガサガサっと葉っぱやら枝やらをどかした下にいたという。 ソイツはばあちゃんと目があって ( ゚д゚ )! ばあちゃんも ( ゚д゚ )! とてもおとなしくてジッとしてたらしい。でもばあちゃん腰抜かしそうになったらしくて、 『おじいさん、変な生き物がおるぅ!』 とヘルプを求めたばあちゃんに対して、コッチに来て(見て)もいないのに、 『変な生き物はおらん』 の一言で―――終了――― ちょ、せめて話聞いてから言えwと思ったのはまぁ後日談で。 まぁツチノコって私は詳しくはないけれど、蛇だかトカゲだかに良く似た形のヤツがいるらしいね。 爬虫類好きとしては是非とも持って帰って来て欲しかったけど、ばあちゃんがあたふたしてる間に逃げちゃったらしい。顔は愛嬌があって可愛いって言ってたけどね。 残念。 カテゴリ [【UMA】未確認動物について語ろう 十五匹目【UMA】] - trackback- 2006年04月15日 17 35 47 名前 コメント #blognavi
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第30話『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。天まであがれ!(後編)――』 四人は大凧を公園に運んできていた。運ぶこと自体は大変ではなかった。 その大きさに比べて、驚くほどに軽いのだ。それでいて、とても頑丈にできている。あらためて大変なものだと感心する。 せつなは緊張した面持ちでタコ糸を握る。凧の骨組みは強靭で、生地も和紙ではなく布地だった。糸もとても丈夫な素材で作られていた。 揚げ方の簡単な説明は聞いていた。でも、それは主に怪我をしないための配慮であり、成功を願った助力ではなかった。 ラブと美希が左右から凧を支える。引っ立てと呼ばれる役目だ。凧の糸が張った瞬間に上に押し上げるように離す。 祈里は尾っぽ係りだ。尻尾が絡まないように束ねて、凧の浮上と共に手を離す。 揚げるのはせつな一人。それがせつなから切り出した約束だった。 周囲には軽く人だかりができていた。 ジャージ姿の女の子が、大きな凧を抱えて揚げようとしているのだ。人目に付かないようにするなんて不可能だった。 中にはおじいさんの姿もあった。大凧揚げは危険を伴う。観衆が近寄り過ぎないようにロープを張っていった。 「ラブ、美希、ブッキー、準備はオーケーよ。行くわ!」 『オーライ!』 十分な準備運動を終えたせつなが助走のモーションに入る。 ラブたちはカウントを数える。 「「「3――2――1――」」」 『GO!!』 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。天まで上がれ! (後編)――』 勢いよくせつなが走り出す。放たれた凧が上昇していく。周囲から歓声が巻き起こる。 しかし、それも長くは続かなかった。 風が弱くて浮力が足りないのか、せつなの揚げ方に問題があるのか、たちまち失速して落下してしまった。 がっかりする人々。表情一つ変えないおじいさん。せつなたちは黙々とスタート地点に凧を戻す。 容易なものではないことくらい、始めからわかっていた。 大切な凧を傷付けないように、慎重に準備してから再び走り出す。 しかし、やはり十メートルも揚がらないうちに落下してしまう。 せつなたちはあきらめず、何度も何度も繰り返した。 飽きたのか、諦めたのか、観衆は一人、また一人と去っていく。 開始から一時間が経過したところで、せつなの足がもつれて転倒した。三人が駆け寄る。 せつなの息は上がり、足も腕も震えていた。 大凧の抵抗を受けながら全力で走る。それはタイヤをいくつも引いてダッシュを繰り返すようなものだ。 体力には自信のあるせつなにも、相当に過酷な負担であった。 「せつなちゃん、もうあきらめよう。こんなの一人で揚げられるわけない」 「大凧って、何人かで協力して揚げるんじゃなかったっけ?」 「せつな……。大丈夫?」 「あきらめないわ。無理をお願いするんだから、こっちも無理を通さなきゃいけないの」 せつなは立ち上がり、ふらふらと落下した凧を取りに向かう。 全長四メートル。大凧としては小さな部類に入る。体格のいい慣れた男性なら、一人で揚げてしまう人も存在する。 でも、せつなの体は女性の中でも決して大きい方ではなかった。まして凧揚げなんて、生まれて始めての経験だった。 その後も、休憩を挟みながら凧揚げは三時間も続いた。空が暗くなり、これ以上は無理と判断する。 「気は済んだか? 根性は認めてやるがもう諦めろ。凧は返してもらうぞ」 「待って――ください! まだ降参はしていません!」 「まだやるつもりなのか?」 「期限は決めてないはずです。揚がるまでやります!」 「――好きにしな。凧は壊しても構わねえが、怪我だけはするんじゃねえぞ」 「ありがとうございます」 せつなは寒い中を一日中付き合ってくれた、ラブと美希と祈里にも丁寧にお礼を言った。 明日からは、なんとか一人でやれるように工夫するからって。 みんな何かを言いかけて、その言葉を呑み込んだ。せつなは一度言い出したら、決して聞くような性格ではなかったから。 夕刻の桃園家の食卓。 色鮮やかなお刺身が並ぶ。今夜は手巻き寿司だった。 熱々のお吸い物から湯気が立ち昇る。とても楽しい食事になるはずだった。 だけど――そこに、せつなの姿はなかった。 「ラブ、せっちゃんはどうしたんだ?」 「どこか、具合でも悪いの?」 「そうじゃないんだけど……。凄く疲れてるみたいで、部屋に戻るなり寝ちゃったの」 「凧揚げね、女の子の遊びじゃないのに……。無理して体を壊さなきゃいいけど」 「起こせないのか?」 「ごめん、起こしたくない」 いつもなら、花が咲いたように明るい桃園家の食卓。でも、せつなが一人いないだけで凄く寂しくて。 みんな口数も少なく、静かに食事を終えた。 コンコン コンコン コンコン 時間を開けながらの三回のノック。あゆみがお盆を抱えてせつなの部屋の前で待つ。 普段なら、寝ていても足音だけで目を覚ますような子だ。よっぽど疲れているんだろうと思った。 「おかあさん、ごめんなさい。こんな時間になってるなんて……」 「いいのよ。お雑煮を作ってみたの、これなら消化もいいわ」 一階に降りてちゃんと食べると言うせつなに、あゆみは部屋で食べることを促す。 少し二人で話したいと思ったのだ。 美味しそうにお餅を食べるせつなを、あゆみは優しく見つめる。 別に病気って訳ではないのだから、目が覚めれば元気なものだった。 食べている中で、せつなの手のひらが赤く擦り剥けていることに気が付く。少し血がにじんでいるようだ。 あゆみは救急箱を取りに戻り、手当てをしながら今日の出来事を詳しく聞いた。 「そうだったの。できるなら止めたかったけど、それじゃあ無理ね」 「心配かけてごめんなさい」 「いいのよ、わたしも職人の娘だもの」 「源おじいさまって、どんな方だったんですか?」 「その方と似てるわよ。一針一針心を込めて縫いこんでいくから、畳には価値があるんだって」 「職人って、幸せに対して妥協しない人のことなのね」 「そうね、機械縫いの畳や絨毯なんかとは最後まで相容れない人だった」 そして、そんな自分が時代から取り残される存在であることにも気が付いていた。 だから、圭太郎に跡を継ぐことを勧めなかったんだって。 心が痛む。ここにも――居たんだ。幸せの輪から外れそうになりながらも、懸命に頑張っていた人が。 きっと、おじいさんと同じような寂しさを感じながら畳を縫っていたんだと。 その技術が自分の代で途絶えることを知りながらも、決して最後まで信念を曲げなかったんだと。 「おかあさん。私はおかあさんが買ってくれたこのベッドも好きだし、ラブの畳のベッドもどちらも好きよ」 「うん、そうね。それでいいのよ」 「凧も、おじいさんのためだけに揚げてるんじゃないの。何一つ上手くいかない凧揚げが、楽しいと思ったの」 「せっちゃんを手こずらせるなんて、その凧も相当なものね」 「うん、だから――思い切ってぶつかってみる。凧にも! おじいさんにも!」 せつなは瞳を輝かせてあゆみに宣言した。精一杯がんばるわって。 あゆみも、それでこそわたしの娘よって、そう言ってせつなを抱きしめた。 そして、紙袋をせつなに手渡す。 それは、圭太郎がデパートを駆け回って探してきたもの。柔らかい羊の毛皮で作られた手袋だった。 これなら手の感覚を妨げずに、糸の摩擦から手を守ってくれる。彼もまた、せつなが諦めないことを確信していたのだった。 早朝の公園。せつなは凧を支えるための台を作ろうとしていた。棒状で地面に差込むタイプだ。 物干し竿の台座のような形状で、少し引っ張れば倒れてしまうように浅く差し込む。万が一にも凧を引っ掛けないための配慮だった。 しかし、いざやってみると思うようにいかない。昨日よりも更に浮上具合が悪いように感じた。 手を離す瞬間に、軽く上に押し上げてもらう。ほんの小さな力なのだが、それがないことが原因だと思えた。 そんなところまで器具で再現はできない。無い物ねだりをしても始まらない、今ある状況で頑張るだけだ。何度も繰り返し挑戦した。 「あ~もうやってる。せつな、早いよ!」 「見てられないわね、ほら貸しなさい!」 「待たせてゴメンね、せつなちゃん」 「みんな……。どうして?」 「せつな抜きで遊んでも楽しくないよ」 「今日だけじゃ済まないかも知れないわよ?」 「いいわ、冬休みが終わるまでだって付き合うわよ」 「昨日だって、結構楽しかったよ」 みんな、せっかくの休みを返上して付き合ってくれるという。 せつなの胸が温かくなる。勇気が湧いてくる。そう、四人一緒で出来ないことなんてあるわけがないんだ! 「「「3――2――1――」」」 『GO!!』 十メートル、二十メートル、徐々にではあるが揚がる距離が高くなっていく。 しかし、そこまでだった。どうしても風に乗り切らずに落下してしまう。 あるいは、せっかく風に乗ってもバランスを崩して横滑りして落ちてしまう。 おじいさんが言っていた、職人の教えを思い出す。 (迷わず、一心に数をこなせ。後は指が教えてくれる) 一心に数をこなす。でも、それだけじゃ駄目だ! 指が教えてくれる? 指? 今までは、凧の動きを目で追って操作しようとしていた。それではタイミングがどうしても遅れてしまう。 指が握っているのは糸。何のために四十三本もの糸が取り付けられているのだろう? 操作するために決まっている。バランスを取るために決まっている。その四十三の糸を束ねる一本を自分は握っているんだ! 凧の動きは――風の動きは、糸が教えてくれる。それを指で感じとるんだ。そのために数をこなすんだ。 凧が大きいからって、自分の操作まで大雑把になる必要は無い。 大きくたって、繊細に作られている。そんなのわかっていたはずなのに。 感じろ! 空と自分とを糸で繋ぐんだ。 糸がたるむ前に引いてやる。糸が引っ張られる前に送ってやる。 これは大空と自分との綱引きだ。綱引きのコツなら知っている。ただの力比べなんかじゃないって! ほんの小さな風を逃がさずに掴む。風に対処するんじゃなくて、風を予測して操る。 徐々に、しかし、目に見えて凧が大きく揚がるようになって行く。 そして、ついに高く、高く舞い上がった! 「やった! 揚がった!!」 「せつなっ!」 「せつなちゃん!」 グングンと高度が上昇する。糸を送る速度が追いつかない。 そして、突風! せつなの腕がもげそうなくらい強く引っ張られる。両手で支えるものの、体が一瞬浮き上がり引き倒される。 そして、そのままズルズルと地面を引きずられた。 「痛ッ――!」 「せつなっ! 糸を離して!!」 せつなは決して離さない。そのまま数メートル引きずられて凧は落下した。 「くっ、後少しだったのに……」 「せつな、大丈夫?」 「平気よ、少しコツがつかめた気がするの。次は上手くやってみせるわ」 「良かった、でも明日にしよう。もう遅いよ」 せつなは惜しそうにしたが、あゆみのことを思い出して今日は引き上げることにした。 これ以上、心配をかけるわけにはいかないから。 そして、三日目の朝。これまでとは違う、自信を漲らせた表情のせつなが立つ。 目を閉じて静かに時を待つ。風の音を聞いているのだ。 そして、風の流れが変わる。目を開き――走り出す! 弾かれるように、速く――鋭く! 「「「3――2――1――」」」 『GO!!』 ラブと美希が勢いよく凧を上に投げ出す。祈里が足をほぐすように広げて離す。 せつなは凧を引きながら糸を操る。 時に引きながら、時に繰り出しながら。 そして、突風! 体重の無いせつなは、力で支えることができない。 右の持ち手を左で支える! 浮き上がった体を空中で丸める! 体が落下する力を利用して、更に凧を引き上げる。 丸くなって座り込み、地べたを這うようにしてコントロールを立て直す。 高く――高く――高く――凧が大空に舞い上がる。 一定以上の高度に達した凧は、抜群の安定感を見せる。 もう、バランスを崩すことはないだろう。 しかし、引き上げる力は強烈だった。有無を言わせない、大空を翔ける風の強大な力。 せつなは、腕が千切れそうになるような痛みに懸命に堪える。 握力も徐々に無くなり、限界を感じた時だった。 「おめでとう、せつな。もういいよね?」 「せつなは立派に一人で揚げきったわ、アタシたちが証人よ!」 「おめでとう、せつなちゃん!」 ラブ、美希、祈里がせつなの持つ糸を一緒に支える。 力負けしなくなった土台に支えられて、大凧は更に大きく飛翔する。 ブ――ン! ブ――ン! ブ――ン! と勇ましい音を鳴らしながら凧は飛び続ける。 後から聞いた話だが、これは風箏(ふうそう)と言って、和凧の特徴であり自慢なんだとか。 パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ パチ あちこちから拍手が巻き起こる。 始めは無理と諦めて去っていった見物人たち。 しかし、せつなはあきらめなかった。その姿に自分を恥じ、こっそりと見守っていたのだ。 大凧を一人で揚げようとしている少女がいる。それが口コミになって、その数は何百人にもなっていた。 そして、その中から一人の老人が歩み寄った。 「よくやったな、お嬢ちゃん。いや、せつなちゃんだったな」 「おじいさま! 見ててくださったんですか!?」 「始めからずっと、この三日間通して見てたぜ。ここまでやるとは思わなかったがな」 「じゃあ、凧を――また、作ってくれますか?」 「ああ、俺にも火が付いちまったしな。最高の凧をこしらえてやる」 「ありがとうございます!」 「やったね、せつなっ!」 「おめでとう、せつな!」 「わたし、信じてた!」 四人、いや、五人が喜びあう中、たくさんの観衆がその周りを囲んでいく。 昔、凧で遊んだ思い出がよみがえった大人たち。 初めて凧が飛ぶ姿を見た小さな子供たち。 本来は男の子の遊びだった。 それを女の子が懸命に頑張って、巨大な凧を揚げた姿に己を恥じたのだろう。 あるいは血沸き、肉踊ったのだろう。 「その凧、僕にも作ってもらえませんか?」 「あっ、ずるい! 僕も!」 「じっちゃん凧作んのか? 俺のも頼むよ!」 「へっ、待ってな。家から山ほど持ってきてやるからな」 涙ぐんで喜ぶクローバーたち。そして、おじいさんの声も涙声だった。 「僕もやろうかな」 「それじゃあ、私も!」 「あらあら、お父さんたちまで」 「男の人って、こういうのに熱くなるのよね~」 「そこがいいんじゃない!」 圭太郎と正、あゆみにレミに尚子までいた。みんな、せつなたちを見守っていたのだ。 お疲れ様って、労いの言葉をかけていった。 「ふん、この街もまだまだ捨てたもんじゃないね」 「なんだ居たのかよ、梅干ばばあ」 「居て悪いかい? 凧じじい」 「ああ……。俺は凧じじいだ」 駄菓子屋のおばあさんも居た。きっと、ずっと見守ってくれていたのだろう。 ダルマのように着こんだ服装がそれを証明していた。 そして、盛大な凧揚げが行われた。 大小さまざまな凧が、ところ狭しと舞い上がる。 工房の無数の凧もすっかり空っぽ。その分、おじいさんの意欲は充実感で満ちていた。 クローバーたちも、思い思いの凧を揚げている。 おじいさんが、今度は小さな凧を揚げているせつなに話しかけた。 「やってるな、せつなちゃん。凧揚げはどうだ?」 「とても楽しいです。普段は見上げるだけの空が、手を繋いでいるみたいに身近に感じられて」 「それが凧揚げの魅力よ。わかってるじゃねえか」 「それに、コツをつかめたように思うんです」 「ふん、そこはわかっちゃいねえな。俺から見ればまだまだよ。見てな!」 おじいさんは手にした凧を顔の高さまで持ち上げる。 そのまま引きもせずに、スッと凧を離す。 落下するよりも先に、軽く手首をしゃくる。そのままスルスルと糸を送っていく。 まるで魔法でも見ているかのようだった。 おじいさんは一歩も動いていない。手も、小さく軽く数回振っただけだ。 それなのに、凧は空に吸い込まれていくかのようにグングンと高度を上げていく。 あっという間にせつなの凧を追い抜いてしまった。 「すご……い! おじいさまは作るだけじゃなくて、揚げるのも名人なのね!」 「当たり前よ! よく知りもしないものを作れるかってんだ!」 自信満々のそのセリフがおかしくて、せつなはクスッっと笑った。 そして、私もそう思いますって、力いっぱい返事した。 よく知らないものは、作ることもできなければ、広めることだってできはしない。 だから、自分はこの街に帰ってきたのだから。 幸せを学ぶために。みんなを笑顔と幸せでいっぱいにするために。その輪を大きく大きく広げていくために。 私――精一杯がんばるわ!
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<2ちゃんねるでの質問の注意点> デタラメな回答や複数意見がある事に留意し、 質問後24〜48時間は回答をお待ちください。
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autolinkTOP>【れ】>霊毛ちゃんちゃんこ 霊毛ちゃんちゃんこ (れいもうちゃんちゃんこ) 分類2【物】 ジャンル5【その他・作品・番組】 ゲゲゲの鬼太郎ホームページ http //www.toei-anim.co.jp/tv/kitaro/index.html 幽霊族が死ぬ時に残す霊毛を編んで作られた、阪神タイガース模様のちゃんちゃんこ。 ゲゲゲの鬼太郎がいっつも着ているいっちょうらの服。 と同時に妖怪退治にゃ欠かせない強力な万能武器でもある。 これが無かったら鬼太郎は何度負けてたか解らないぐらいに大活躍している。 登録日 2008/06/30 【れ】一覧 霊感ヤマカン第六感 レイザーラモン レイズナー レイティングシステム レイプ 霊毛ちゃんちゃんこ 礼紋茉莉花 レインボーマン レギュラー【れぎゅらー】 レザリオン 劣化 劣等感 レッドバロン レッドビッキーズ レトロ レバー レロレロ 恋愛 レンゲル 連想ゲーム 連打 ■ トップページへ移動 ▲ このページ上段に移動
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第9話『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。父の日のプレゼント――』 夕食後の一時。 家族四人が揃う団欒の時間。 今夜は圭太郎が早く帰ってきた。最近は遅いことが多かった。 そして、なぜかずっとそわそわしてる様子に見えた。 やがて思いたったように部屋に戻り、なにやらたくさんの荷物を抱えて戻ってきた。 ラブがせつなの手をつかんで逃げ出すように二階に上がろうとして――呼び止められた。 「お~い、ラブ。ちょっと頼みがあるんだが」 「えぇ~やだよ、おとうさん。どうせまたカツラの実験台なんでしょ」 「実験台は酷いな。モデルと言ってくれないか」 「やっぱりそうじゃない。もう髪も洗っちゃったのに」 「おとうさん、私でよかったら……」 『帰ってきたせっちゃん――父の日のプレゼント――』 結局、ラブとせつなの二人でモデルを務めることになった。 圭太郎はカツラメーカーに勤めている。本来の業務は販促活動だが、自らも積極的に開発に携わることも多い。 また開発から上がってきた製品も、実際に色々試して、自作と同じくらいにまで知り尽くしてからでなければ販売しようとしなかった。 効率よりも真心を優先させる。血のつながりは無くても、職人の鑑と言われた源じいさんの認めた婿である所以だ。 「だからってあたしたちで試さなくても……。会社にも専属のモデルさんとか居るんじゃ」 「まあそうなんだが。じっくり試したいし、忌憚のない意見を聞けるのも家族だからこそだ」 もっとも一人娘に生まれたラブにはいい迷惑だった。ラブも女の子、必要以上に髪の毛をいじられるのは嫌う。 繰り返し試着させられていくうちに、すっかりカツラが嫌いになっていた。 「こんなに長いのを着けるのね。私の髪が邪魔にならないかしら」 「これはオールウィッグというファッション用のカツラなんだ。このくらいの長さなら大丈夫だ」 圭太郎は手際よくせつなの前髪をまとめてピンでとめる。ネットと呼ばれるゴム網の中に、髪の毛を綺麗に収めていく。前髪の付け根にウィッグの中心を持ってきて位置を整えて完成だ。 ラブの髪は少し長いので、軽く束ねてから巻くようにしてネットの中に収めた。 「凄い――これが私なんて信じられない。まるで変身ね」 「せつな、すっごく綺麗だよ。あたしもこんなのなら嫌いじゃないかも」 今回は若い女性を対象にしたファッションウィッグということもあり、また、せつなと一緒ということもあって、すっかりラブも上機嫌になっていた。 ラブは黒髪のストレートのロング。せつなはプリンセスと名付けられた豪華なブロンドのカールだ。 ラブには落ち着いた雰囲気が備わり、せつなは明るく煌びやかな印象に変わる。 セット開始からわずかに数分。一瞬で別人に変わる様子はまるで魔法のようであり、変身と呼ぶにふさわしかった。 「そうだ。普通おしゃれと言えばメイクとファッションを思い浮かべるだろうが、一番変わるのは髪形なんだ」 二人の娘の好反応に気を良くした圭太郎が自慢げに語る。 その後もいくつものウィッグを次々に付け替えていく。それぞれに、つけ心地・軽さ・通気性・安定感などの装着感をまとめていった。 そして、これが最後と言って取り出した二つのウィッグ。それぞれラブとせつなに付けていく。 お仕事ではなく、圭太郎が個人的趣味で作り上げたものだ。もちろん販売も視野に入れてはいるけれど。 「これは――ラブ?」 「うわぁ、せつなだ!」 せつなが付けたのは、オーカーのセミロング。つまり髪を下ろしたラブの髪型と色だ。 ラブが付けたのは、黒髪のミディアムレイヤー。同じくせつなの髪だった。 もともと背格好の似ている二人のこと。本当に入れ替わったみたいに見える。変わったのは髪の毛だけなのに……。 改めてカツラの凄さを思い知った。 全ての試着が終わり、二人の髪を解いて戻す圭太郎。そして、カツラへの想いを熱く語る。 髪は年齢性別を問わず、おしゃれの最重要ポイントであること。 人は誰にでも変身願望があり、それを満たしてくれるものであること。 容姿は心の持ち方に大きな影響を与えるってこと。だから、髪を豊かにすることは、心を豊かにするんだってこと。 せつなは感心した顔で、ラブは穏やかな表情で圭太郎の話を聞いた。 ラブも恥ずかしいから嫌がっているだけで、本心ではとっくに圭太郎の仕事と情熱を見直していた。 「お疲れ様、せつな。疲れなかった?」 「平気よ。なんだか楽しかったわ」 「ならいいけど。おとうさんてばせつなも一緒だったからか、凄い張り切ってたし」 「ふふ、他人のために熱くなったり夢を語ったり、ラブの性格はおとうさん譲りなのね」 「え~~あたしはおかあさん似だよ」 「容姿はそうね。でも、おかあさんは静かな人よ」 「それって、あたしがうるさいみたいじゃ……」 今夜は遅くなったのでと、宿題だけすませてそれぞれの部屋に戻った。 せつなは手にしたものを指で梳いた。とても軽くて、すべすべしてて、触るだけで気持ちいい。 カツラのことをもっとよく知って欲しい。そう言って貸してくれたラブの髪形のウィッグだった。 そっと頭に乗せてみる。おかあさんとラブと同じ色の髪。遺伝と呼ばれる親子の絆。繋がれていく命の証。 一瞬浮かんだ、うらやましいって気持ちを慌てて掻き消した。 今、こうして家族に迎えてもらってる。愛してもらえてる。これ以上、何を望むというのだろう。 気持ちを切り替えて机に向かう。 今夜はたくさんおとうさんと一緒に居られた。色んな表情に出会えた。それをスケッチブックに描いていく。 父の日が近い。そのプレゼントに似顔絵を送るつもりだった。 “おとうさん” 行き場のなかった私を――素性の知れない私を――おかあさんと一緒に優しく迎えてくれた人。 今座ってる椅子だって、使ってる机だって、おとうさんが作ってくれたものだ。 着ているパジャマも履いてるスリッパも、このノートだって……。おとうさんが働いて、買ってくれたものだ。 計り知れない恩があるのに、何度お礼を言えたのだろう。何をしてあげられたのだろう。 向かい合って話した時間の、どれだけ少ないことだろう。 似顔絵を描こうと思って、ショックを受けた。 おかあさんの顔なら、一瞬で細かいところまで全て思い浮かべられる。すらすらと描けた。 でも、おとうさんの顔を描こうとして――想像してみて―― 自分が――情けなくなった。許せないとすら思った。 今夜のデッサンは三枚。一枚にかかる時間がずいぶん短くなってきた。様になってきたように思う。 厚くなってきた似顔絵のデッサン。一枚目から比べると大きな進歩が見て取れる。でも――まだだ。 今夜、垣間見たもの。穏やかな中に秘められた情熱。優しさの中に秘められた強い意志。 それを絵の中に込めたかった。 「おはよう、せつな。今日は父の日だね」 「ええ、プレゼントを買いに行くのよね」 今月は無駄使いをしなかった。コツコツとお駄賃も貯めた。 一緒に相談して決めた。毎日使ってもらえるものがいいって。 ブランドっていうらしい。少し高めの赤いネクタイで、ラブと二人で一本だけ買えた。 (子の愛)の花言葉を持つ百合の花を一緒に添えることにした。 「せつなはおとうさんの似顔絵も描いてるんだよね。完成した?」 「もう少しってところよ。ラブも描いたら良かったのに」 「う~ん――あたしは絵は苦手だし、なんかおとうさんに渡すのは恥ずかしいから」 「私も恥ずかしいわ。でも、今日伝えられなかったら、ずっとそのままだと思うから」 日ごろの感謝の気持ち。ありがとうって気持ち。そして――大好きだって気持ち。 おかあさんに伝える機会ならいくらでもある。 一緒にお買い物をしたり、お料理を作ったり。相談することも多いし、されることも。 二人っきりの時間も取れるし、抱きしめられたことも一度や二度じゃない。 おとうさんには――その機会がない。 異性だから? 仕事で毎日遅いから? お互いに恥ずかしがり屋だから? いくつかの言い訳が思い浮かぶ。だけど、それを理由にただ一方的に甘えているだけでいいとも思えなかった。 愛情は――変わらない。 ラブと私の、おとうさんに対する想いも。 おとうさんの、ラブと私に対する想いも。 おかあさんに対するものと、何も変わりはしないってこと。 「ねえ、ラブ。本当にこれでいいのかしら?」 「これでって?」 「ネクタイと百合の花。そして似顔絵。これでちゃんと大切なことを伝えられるのかって」 ラブは大丈夫だよって、笑ってた。絶対的な信頼。日頃ベタベタはしていなくても、心の底ではしっかりと繋がっている絆。 でも、自分にそんなものがあるのかはわからなかったし、それに甘える気にもならなかった。 おかあさんに相談することにした。 「そうね。本当に伝えたい気持ちがあるのなら、やっぱり言葉にするのが一番じゃないかしら」 日ごろの感謝の気持ち。ありがとうって気持ち。そして――大好きだって気持ち。 これを――言葉にする? 口に出して伝える? 想像しただけで顔が真っ赤になる。できるとも思えなかった。でも―― 言葉にしなければ伝わらない想いがある。それは……ずっと絵を描いてきた今のせつなには痛いほどよくわかった。 もうじき、おとうさんの帰る時間だ。「忙しいって言っても、今日くらい休めばいいのに」と、ラブが口をとがらせる。せっかくの日曜日で、しかも祝日なのにって。やるべきことがあるのに休みを優先させるって考えは、私はまだ持つことができない。でも、大切な人に休んでほしいって気持ちは、よくわかるようになっていた。 せめてもと、今夜はおとうさんの好物でフルコースのご馳走を作ることになった。おかあさんが中心になって調理に取りかかる。ラブと私もお手伝いをした。 こんな時、娘がいてよかったと思うわ。とおかあさんも上機嫌だ。 そんな中、急に雨が降り始めた。六月ももう下旬。梅雨の真っ只中であり、珍しいことではないのだけど。 「大変。今日は降らないって言ってたのに。お父さん、今日に限って傘忘れちゃってるのよ。ラブ、せっちゃん。ここはもういいからお願いできないかしら」 「ごめん。あたし、ハンバーグだけは自分で焼いちゃいたいの。せつな一人にお願いしちゃっていいかな?」 「わかったわ。行ってくる」 ハンバーグなんて帰ってきてから焼いても十分間に合うのに。疑問に思ったが気にしないことにした。 まだ少し時間がある。部屋に戻って身支度を整えているうちに、この間のウィッグが目に入った。 ちょっとだけ、いたずら心が芽生える。 おとうさんとしばらく二人きり。きっと弾まない会話。多分気まずい時間。それを埋める助けになるかもしれない。 歩き慣れた商店街の大通り、ちょっとクセのある黄土色の髪を揺らしながら歩く。 おそば屋さんにパン屋さん。見知った人が気付かず通り過ぎるのが面白かった。 駅に着いた頃には、すっかり雨は止んでいた。また降るかもしれない。かまわず待つことにした。 「おかえりなさい。おとうさん」 「えっ? せっちゃんか」 「ええ、一瞬ラブに見えたでしょ。がっかりした?」 「何を言うんだ。驚いたけど、凄く嬉しいよ」 顔を見た瞬間に駆け寄ってしまった。ウィッグで変装していることを忘れていた。ちょっと惜しかったと思う。 それでも十分、おとうさんの反応は面白くて話も弾んだ。 歩きながら話す。びっくりさせようと思ったこと。そして――髪の色だけでも血の繋がりが持てたみたいで嬉しかったこと。 家族が似ていること。きっと当たり前なこと。それは素晴らしいことに思えた。 「カツラは素晴らしいものだ――が、今夜はいらないな」 「きゃっ!」 おとうさんがウィッグとネットを一瞬で外した。もちろん簡単に出来ることじゃない。 「ラブは性格は僕。容姿はお母さん似だな。せっちゃんはその反対だ。黒髪も僕譲りだ」 「えっ? 私は……違うわ。誰にも似てないし、似るはずもないわ」 「似るんだ。家族は似ていくんだ。僕もおとうさんに似ていると言われたよ」 (おめえとは血のつながりはねえが、おめえは俺によく似ている) 源じいさんが圭太郎に語った言葉。ずっと忘れられない、最高の誉め言葉。 その想いを聞いて胸がつまる。 家族に迎えられたことで、一緒に暮らすことで、私もこの家の温かさや優しさを受け継げるのかもしれない。 もう家のすぐ前まで来ていた。二人きりで居られる時間が終わる。みんなの前では恥ずかしい、だから――今しかない! 一歩先に進んだおとうさんの手をつかんで引き止めた。 ゴツゴツした手。厳しい仕事を続けてきた手。家族みんなを守ってきた手。 両手で包んで言葉を紡ごうとした。 いつもありがとう、おとうさん。大好きって。 「どうしたんだい? せっちゃん」 「ううん――なんでもない。今日は父の日よ。おとうさん、いつもありがとう」 なんとかそれだけ言えた。最後の一言は伝えられなかった。 きっと――ラブが作ってくれたチャンスだったのに。 玄関に入るとおかあさんとラブが迎えてくれた。 それから。 みんなでご馳走を食べて。ラブと私で選んだネクタイと百合の花をプレゼントした。 いつも通りの明るい家庭。楽しそうなみんなの表情。つられて弾む私の心。 そして、いつも以上に嬉しそうなおとうさんの笑顔。 まだ渡せていない、最後のプレゼント。私にできる精一杯の気持ち。 部屋に戻って、似顔絵を手に取る。ずいぶん迷った二枚の絵。 楽しそうな笑顔と、仕事をしている凛々しい表情。 私は二枚目の絵を手に取った。 きっと、これがおとうさんの本当の顔。家族を守り、他人を思いやり、夢を追い求める男の顔。 表に大きくメッセージを書き込んだ。「おとうさん、いつもありがとう」って。 そして、裏に小さな小さな字で書き込んだ。気が付いてもらえないかもしれないけれど。 “おとうさん大好き”