約 1,724,993 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/58761.html
【検索用 こころちゃん 登録タグ 2024年 VOCALOID こ まりやす 一二三 曲 曲か 音街ウナ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:一二三 作曲:一二三 編曲:一二三 イラスト:まりやす 唄:音街ウナ 曲紹介 まいごの まいごの こころちゃん。 曲名:『こころちゃん』 歌詞 (YouTube動画概要欄より転載、動画に合わせ編集) どこへ行ってしまったのかい あたしのたいせつな こころちゃん 急に居なくなってしまった あたしのたいせつな こころちゃん 大人になる道中で どうやら迷子になったらしい 進みたい場所を 指さしてくれた こころちゃん 今どこかな 何したいの 何になりたかった ねぇ どこへ行って どうなりたいの ねぇ 道を きっと 踏み外さないで 暗くなる前に帰っておいで 忘れない様にと 手を繋ぎ はぐれない様にと 抱きしめた どうしてこんなに あっさりと 大事なことすら分からなくなっちまうんだろう 空の両手 本心 神隠し 夢 未来も 悩み なお目隠し 日が沈んで 暗くなって どんどん 先が見えなくなって 標識すら 生えてない 道 地図も持たずに 突っ立っているんだ ここはどこ あたし何者なんだ 辺り どこにも居ぬの お巡りさん 頼む 早く 会わせて欲しいんだよ 暗くなる前に帰って頂戴 どうしてこんな ことになった 見失うなと言っただろうが どっかの天狗に さらわれて 高いところから あたしを 笑ってるんだろう きっとそうだ 捕まえて 吐かせよう どこにいんの あたしの こころ は 何したいの 何になりたかった ねぇ どこへ行って どうなりたいの ねぇ まずは第一希望 教えて ねぇ つぎに第二希望 教えて ねぇ わからないな 行き先も 動機も わからないな 一番欲しいもの どこへいった あの頃の 心は 大人になる前 帰っておいで 忘れない様にと 手を繋ぎ はぐれない様にと 抱きしめた どうしてこんなに あっさりと 自分のことすら分からなくなっちまうんだろう 手探りで 見つめ直していけよ なんのため なにして 生きていこう? 急に 戻ってきた こころちゃん 迷いの霧が 晴れたみたいで あたしの 心に 一陣の 風が吹いて 厄が払われたようだ コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/tangura_gta/pages/82.html
プロフィール 名前 みつるちゃん 出身地 不明 誕生日 11月4日 転入日 2024年9月5日 (0年13日) 職業 EMS・薬局(EMS) プレイヤー 望月 充 SNS X(旧Twitter) YouTube YouTube Twitch Twitch ハッシュタグ #ちぇるさんあのね FAタグ #みつらぁと 基本情報 基本情報 気が付いたらロスサントス市内のマンションの部屋にいた 病院に信頼のできる人間がいると書かれた手紙を頼りに病院へ行きお世話になっている 黒ギャルの白衣の天使 交流 医療 キャラクター名 関係 白兎 にいな 頼れる院長でありたまに一緒に遊びに行く仲。二人で車(バイク)に乗ると事故りがち。ギャル男にしようとしている ぬるぽっぽ 長時間勤務仲間。 月宮 カフ 後輩でありよきお友達。助手席に乗り込みがち 逢魔 ゆあ ゆるキャラの不思議ちゃん。仲良くなりたいと密かに思ってる。 その他 キャラクター名 関係 所属 組織名 詳細 医療 研修医 薬局 EMS薬局 店長 エピソード 09/17 #1 ヘリ爆散事件 + 詳しく 共有ヘリにて北のダウン救助に向かうもののヘリの着地に失敗しヘリを爆発 爆発がガソリンスタンドへ引火しさらなる爆発を引き起こす アーカイブ 配信日付 ○日目 配信タイトル(リンク) 備考 mm/dd n 配信タイトル mm/dd n 配信タイトル
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/716.html
第31話『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。ひな祭りの雛人形――』 トントントンと、控えめな足音を立てながらせつなが階段を降りる。居間を通ってダイニングキッチンに入ると、冷蔵庫から牛乳を取り出した。 食器棚から取り出した赤いマグカップにたっぷりと注いで、目盛りを合わせて電子レンジにかける。 ホクホクと湯気を立てたホットミルクを口に運ぶと、ほっと一息ついた。 しばらくすると、あゆみがソロソロとダイニングに入ってきた。赤いパジャマの上から、ピンク色のカーディガンを羽織っている。 物音を立てて起こしてしまったのかもしれない。申し訳なく思って、せめて出迎えに立ち上がろうとするせつなを、あゆみは首を振って制した。 「お疲れさま、せっちゃん。ラブはもう休んだの?」 「うん。『明日は早いから、今夜はもう寝るね。おやすみ~』ですって」 せつなはラブの口調を真似て話すと、深いため息を付いた。自分は心配で寝付けないのに、いい気なものだと思う。 初めて見るせつなのモノマネが可笑しかったのか、困った彼女の表情がツボにはまったのか、思わずあゆみは吹き出してしまう。 「おかあさん、笑いごとじゃないわ」 「ごめんなさい。でも、ラブのために一生懸命になってくれて、ありがとう」 「お礼なんて……私だって、ラブと同じ高校に入りたいもの」 「どうしてもダメなら、二人で一緒に私立高に通ってもいいのよ?」 ラブとせつなは現在中学三年生。来月には高校受験を控えていた。 何度か行われてきた進路面談において、担任の教師はラブに私立高校との併願を勧めて来た。学年トップのせつなと違って、ラブの学力は公立高校の安全圏には無いと。 「そんなっ、ダメよ。学費だって余計にかかるし、それに――」 「ええ。学費はともかく、そうやって妥協していくと次の進学にも影響するわよね。二人とも大学に入れてあげたいし」 そこで、せつなの表情がさらに曇る。ラブの学力はもともとは平均ど真ん中程度で、特に悪いわけではなかったらしい。 それが、ある日を境にみるみる低下していったのだ。 それは、ラビリンスの侵攻が始まった日。プリキュア、キュアピーチが誕生した日だった。 ダンスだけなら、学業との両立も可能だったかもしれない。だけどその上に、“戦い”という負担が重く圧しかかった。 メビウスとの決着の後、せつなはラビリンスに戻った。それだってラブに孤独と悲しみをもたらして、学業に良くない影響を与えることになった。 「また、何か悪いことを考えているんじゃない? せっちゃんに非は無いのよ。ラブがちゃんと勉強しないだけなんだから」 「おかあさん。どうしてこの世界にも、受験なんてものがあるの?」 せつなは、まるで責めるようにあゆみに問いかける。彼女にとって、“競争”はラブたちよりずっと馴染みの深いものだ。 より優れた能力を示した者が、結果を残せた者だけが、生き残れる。“競争”はラビリンスの国民にとっては、“生きる”ことと同義と言ってもいいくらいだった。 だけどこの世界は違うはずだった。競い合って他人を蹴落とすよりも、助け合って他人と手を取り合う世界のはずだった。 「受験なんて無くたって、望むなら全員が通えるようにするべきよ。それじゃみんなが勉強しなくなるというのなら、別にプログラムを組んで――」 「――せっちゃん」 熱くなって語るせつなにストップと言うかのように、あゆみがそっと自分の口に人差し指を当てて見せる。 既に深夜と呼べる時間であることを思い出して、せつなは赤くなった。 「もう遅いわ。続きは、明日にしましょう」 「でも、明日はやることがあるって、ラブが……」 「その後でいいわ。おやすみなさい、せっちゃん」 「はい……。おやすみなさい、おかあさん」 あゆみはせつなを見送ると、自分もホットミルクを飲むことにした。 話を引き伸ばしたのは、何も時間が遅いからではない。彼女がこの問題を、ラブの受験以外の意味を重ねて捉えていると感じたからだ。 だったら、よくよく考えて答えなくてはならないだろう。明日の仕事が休みでよかったと思う。今度は、自分が眠れなくなりそうだった。 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。ひな祭りの雛人形――』 翌朝、せつなはラブに連れられて、一階の屋根裏部屋に来ていた。 圭太郎とあゆみも一緒だ。その日は休日であり、また、四人の休みが重なる日でもあった。 「こんなところに部屋があったのね」 「部屋といっても物置なんだけどね」 ラブは物置と表現したが、六畳ほどもある十分に立派な部屋だった。少し埃っぽいが掃除も行き届いていて、手を入れたら十分に生活空間になるだろう。 もっとも部屋のスペースの大半は、ダンボール箱等に詰められた荷物で占領されていた。 その中のいくつかは、せつなにも見覚えがあった。彼女の部屋を作るまで、そこに置かれていた家具だった。 「納戸といってね、普段は使わない物を収納しておくための部屋なの」 「よし、出て来たぞ。これがそうだよ」 あゆみが部屋について説明している間に、圭太郎が荷物の山の中から引っ張り出したのは、三段重ねの大きな桐の箱だった。 いったい何が入っているのかと、せつなも好奇心が抑えきれずに覗き込む。 得意そうにラブが蓋を外して、中から出てきたのは―― 「これは……みんな人形なの?」 箱にはビッシリと和風の人形が詰め込まれていた。一体一体が同じ方向を向いていて、薄葉紙に丁寧に包まれている。 顔だけ更に顔紙と呼ばれる専用の紙で覆われていて、箱には隙間なく綿の緩衝材が敷き詰められている。 人形はどれも触れるのが恐いほどに繊細で、ため息が出るほどに美しかった。 これがどんな意味を持つ物か知らないせつなですら、とても大切な物だということは、十分に伝わってくるのだった。 「あかりをつけましょ、ぼんぼりに~。お花をあげましょ、桃の花~♪」 ラブが楽しそうに歌いながら箱から人形を取り出していく。両手には白い布の手袋をはめている。人形を汚さないための配慮らしかった。 そのままチラリと目配せする。一緒に歌おうと誘われているのだと気付いて、せつなは顔を赤らめた。 それでもちょっとだけ口ずさんで、恥ずかしくなってうつむいてしまう。そんな様子を、圭太郎とあゆみは微笑ましそうに見守っていた。 「大き過ぎて飾り付けが大変なの。ラブはこういったことが好きで助かるわ。今年は特に乗り気のようだけど」 「早くせっちゃんに見せたくて、はりきってるんだな?」 「うん……。せつなのためっていうか、せつなが一緒だと楽しいもの」 せつなはラブを見つめて、視線だけで感謝の気持ちを伝えた。 桃園家では、行事を特に大切にしている。家訓でもあるだろうし、ラブがお祭り好きだからでもある。 だけど何より、幼少時代にそういった経験が出来なかったせつなのためであることは、本人も十分にわかっているのだった。 人形と小道具を全て桐の箱から出し終えると、次に飾り付けに入る。 桃園家の雛人形は、七段飾りと呼ばれる一番豪華な物らしい。上の段から順に並べていく。 一団目は『お内裏さま』、天皇様と皇后様のことで、娘が「このような理想の夫婦になれますように」との願いが込められている。 二段目は『三人官女』、「家の中心になる方を助け、支えあっていく姿を学んで欲しい」という意味らしい。 三段目は『五人囃子』、打楽器を手にした楽団で、太鼓、大鼓、小鼓、笛、謡と、音の大きな順で並ぶ。「人を楽しませる気持ち」という意味なんだとか。 四段目は『隋臣』、右大臣(若者)と左大臣(老人)で、若者の力と老人の経験を表していて、「文武両道の大切さを説く」と共に、「助け合う姿勢」を学ぶ意味がある。 五段目が『仕丁』、衛士のことであり、天皇様と皇后様の出かける際の従者を勤める。笑い上戸、怒り上戸、泣き上戸の三人の顔があり、「人間の感情の豊かさ」を教えてくれる。 六段目は、箪笥、鋏箱,長持、鏡台、針箱、火鉢、茶の湯道具。 七段目は、御駕籠、重箱、御所車。 「よーし、これで完成! すっごく綺麗でしょ? せつな」 「え、ええ……とても素敵ね」 「どうかしたの? せっちゃん」 「これって、上から順に偉い人なのよね? 身分の差が段差なのかしら」 「そうね。特にお内裏さまはこの国の象徴なの。ひな祭りが生まれた当時は、一番偉い人だったと言えるわね」 「まあ、雛人形は公家社会をあらわしたものだからなあ……」 “一番偉い人”と聞いて、せつなの表情が一瞬だけ曇った。 この世界だって、ラビリンスと同じように縦関係で社会は作られている。管理する側があって、される側がある。 せつなだって十分に理解していたつもりだが、それが何百年も前から続いていたのかと思うと、複雑な気持ちになるのだった。 「そうじゃないのよ、せっちゃん。よーく人形の表情を見てごらんなさい。雛人形は顔が命と言われているの」 「表情って、『仕丁』のこと? 笑い顔と、怒り顔と、泣き顔よね?」 「それだけじゃないわ。よく見たら、全員の表情がまちまちでしょう。それでいて、みんな幸せそうだと思わない?」 「言われてみれば、一人一人の表情が全部違うのね。それに、上から下まで衣装も華やかで、確かにみんな幸せそう」 「それぞれ役割は違うけど、助けあって支えあって、一つの社会を作り上げているの。十五体あるけど、全部で一つの雛人形ってことね。一緒に生きることの大切さを教えてくれるの」 「ええ。私、雛人形が好きになれそう」 自分が一番好きな色、あたたかな赤を基調に、鮮やかな色と模様で作られた衣装。花嫁道具を意味する調度品の数々。祝いの象徴である桃の花。 ぬくもりを感じさせる華やかな雛人形は、せつなの知っている冷たい管理国家のイメージからはほど遠いものだった。 「雛人形は他にも意味があるのよ。子供の身代わりとなって、事故や病気から守ってくれると伝えられているの」 「いずれにしても、子供の健やかで幸せな成長を祝うために飾るものなんだ」 「今日は準備の日だけど、本番の三月三日が楽しみだよ。美希たんとブッキーも誘って、パーティーしようね!」 「ええ、楽しみにしてるわ。でも、その前に――」 四人で手分けしたこともあって、作業は二時間ほどで終わった。 ひな祭りの本番はまだ一ヶ月も先だし、片付けも終わって他にこれ以上することもない。 「わかってるよ、せつな。これで息抜きできたし、今からちゃんとやるから」 「そう言って、昨夜もすぐに寝ちゃったじゃない。今日は逃がさないわよ~」 「世話をかけるなあ……せっちゃん」 「家のことはわたしがやるから、しっかり勉強するのよ」 「たはは……お手柔らかにオネガイシマス……」 そう言って、ラブとせつなは二階の部屋に上がって行ったのだった。 それから数時間後。黄色くなった陽が傾き、短い日中は終わりを迎えようとしていた。 そろそろ夕ご飯の支度を手伝う時間なのだが、ここしばらくはラブとせつなはずっと机に向かっていた。 「これも間違ってる。どうしたの? 昨日やったばかりじゃない」 「ごめーん、なんか集中できなくって。ちょっと休憩にしようよ」 「ダメよっ! どうして間違ったのか? どこがわからないのか? それを確かめて、おさらいするのが先よ」 「だから、今朝からずっとやってるじゃない……。ガミガミ言う、せつななんて嫌いだよっ!」 何かがおかしくなっていた。こんな些細なことがキッカケで喧嘩になるなんて、普段の二人なら考えられないことだった。 勉強が進まなくて、焦っているのはラブも一緒だった。付き合ってくれている、せつなにも悪いと思っていて。だからこそ、いっぱいいっぱいで―― ラブは気まずくなって、「ごめん……お茶だけ淹れたらすぐに戻るから」と言って部屋を後にした。 せつなは返事をせず、唇をかみ締めながら、じっとその場に立ち尽くすのだった。 ラブはキッチンで調理するあゆみに気付かれないように、こっそりとカウンターに向かう。 ポットのお湯で紅茶を淹れて、棚にしまっておいたドーナツを引っ張り出して、お盆に載せると逃げるように二階に上がっていった。 その足音が聞こえなくなってから、あゆみは苦笑して、包丁を置いてキッチンを後にした。 「せつなー、さっきはゴメンね。ドーナツ持って来たの。また頑張るから、一緒に食べよう?」 自分の部屋に入るだけなのに恐る恐るといった感じで、ラブがドアの隙間から声をかける。 返事が無いので、仕方なく部屋の中にそ~っと足を踏み入れた。 「あれっ? せつな、どこに行っちゃったの? 怒って自分の部屋に帰っちゃったのかな……」 部屋の中は空っぽで、机の上もそのままになっていて、特に書き置きらしき物もなかった。 ラブは後ろめたさから、すぐにせつなの部屋を訪ねる気にもなれなくて、ため息を付きながら一口だけお茶を啜った。 それは来客用の上質の紅茶で、しかも、かなり濃い目に淹れたにも関わらず、大していい香りもせず、味もまるでしないのだった。 せつなは一階の客間の大きな和室に来ていた。昨夜の約束を思い出してあゆみに会いに来たのだが、ふと雛人形を見たくなったのだ。 薄緑色の畳の上に、雛壇の赤い毛氈がよく似合っていた。座布団の上で膝を折って、じっと雛人形を見つめる。 なんとなく、人形に話を聞いてもらえるような気がしたのかもしれない。 ラブが一生懸命やってるのはわかってた。だけど、ただ精一杯頑張るだけではダメだと思った。努力には常に成果が求められる。それを競うのがコンテストであり、試験なのだから。 ラビリンスに生まれ、英才教育を施されてきた自分と、ラブを比べるのが間違いなのはわかる。だけど―― 何がなんでも合格したいって、そう願っているのはラブ自身のはずだった。それで、ついつい厳しくなってしまう……。 せつなはじっと雛人形を見つめる。公家社会から生まれた飾り物。それは上下社会でもあったはずだ。 この世界は不思議だと思う。手を取り合い、共に助け合うことを美徳としながら、同時に互いに競って、足りない枠を奪い合う。 能力の向上と効率を求め、無駄を省く社会構造を目指しながらも、ひな祭りのような行事を大切にして、無駄の中に幸せを求めようともする。 (この美しい雛人形も、同じなのかもしれない……) お内裏様を頂点とした効率的な縦社会。逆らうことの許されない上下関係と役割分担。いずれも生産性を高めるためのもの。それなのに―― まるでファッションを楽しむかのように、みんなで華やかな衣装を纏って、楽器で音楽を奏で、桃の花や調度品で飾りつけ、笑顔で宴を開く。 効率と無駄の調和。それは単なる緩急――日々の勤めと息抜きなどではなくて、もっと重要な、なにか大切な意味を持つものにも感じられた。 「どうして、この世界はこんなにも行事が多いのかしら……」 「せっちゃんは、どうしてだと思うの?」 せつなが振り向くと、すぐ後ろにあゆみが立っていた。彼女もまた、せつなの問いに答えるべく機会をうかがっていたのだ。 あゆみもすぐ隣に腰を下ろし、優しい表情でせつなに微笑みかける。 「一見、無駄に思えても、それが幸せなんだってことはわかるわ。だから、私はこの世界がこんなにも好きになったんだもの。だったら、どうして――」 「そうね、コンテストも受験も同じ。その後に控えている、お仕事だって似たようなものよ。何をするにしても成果が求められるし、それを競うこともあるわよね」 「片方で競っておきながら、片方でこうやって非生産的なことをするのは、おかしいわ……」 「それで、ひな祭りのような行事を不思議に思ったのね?」 あゆみの言葉に、コクリと、せつなは小さく頷いた。 「本当に大切なことは何かなんて、もうわかってるんでしょ?」 「えっ?」 あゆみの瞳が、深い愛情を讃えて真っ直ぐにせつなを捉える。せつなの事情なんて、その胸の奥に抱えてる想いなんて、半分も話せてないのに……。 彼女はまるで何もかもを、見通しているかのようだった。 「昨夜の質問から先に答えるわね。『どうして受験なんてものがあるのか』だったわよね?」 「うん――聞かせて!」 せつなの表情が真剣みを帯びて、瞬きもせずに、あゆみを見つめる。 あゆみは一呼吸置いてから、自分の考えを慎重に言葉にしていった。 「私たちが成果を競ったり、効率を求めたりするのは、幸せを奪い合ってるわけじゃないわ。みんなで幸せになるために、強くない人の分まで強くなるために、頑張っているのよ」 「みんなの――ために?」 「そうよ。人は手を取れば支え合える。競えばより大きな力が出せる。親は子を支えて、社会は弱い人を支えるの。そのために、競い合って力を高めていくの」 「支えるための力……。雛壇の人形はみんな楽しそうで、幸せそう。人の心のぬくもりが感じられない、かつてのラビリンスとは違うわ」 せつなの口から“ラビリンス”の名前が出て、「やっぱり」とあゆみの表情がわずかに翳る。単に、ラブの勉強が原因の喧嘩ではないだろうと思っていた。 こんなに小さな子が、こんなに小さな身体一つで、背負っているものが、どれだけ大きいことか―― あゆみはせつなの考えがまとまるのを待ってから、さらに話を続ける。 「二つ目の質問に移るわね。『どうしてこの世界にはこんなに行事が多いのか』よね?」 「うん……」 「足を止めて、周りを見るためじゃないかしら。走ってばかりいたら見落とすものもあるわ。今のせっちゃんやラブのように」 「私たちが、見落としている?」 「ええ。せっちゃんはどうしてダンスをやろうと思ったの? コンテストに合格して、ダンサーになりたかったからかしら?」 「それは違うわ……。最初はただ、ラブたちと一緒にダンスをするのが楽しかったから。って――あっ!」 せつなはハッとなって口元に手を当てる。そして大きな目で、何かを訴えかけるようにあゆみを見た。 「気が付いたみたいね。勉強も同じよ。高校に入るためにするわけじゃないでしょ? 知らないことを学ぶのが楽しいって気持ち、大事よね?」 「そうだった、前にラブが言ってたわ。『あたしは勉強も好きだよ。ただ覚えるのが苦手なのと、他に興味のあることが多いだけ』だって……」 いかにもラブらしい言葉だと思って、あゆみの頬が緩む。「あたしはニンジン嫌いじゃないもん。ただ、味が苦手なだけなのっ!」って、そんな、小さい頃のラブの言葉が蘇る。 それをせつなに伝えたら、彼女もクスクスと笑い出した。 ニンジンはともかく、勉強は本当に嫌いなわけではないはずだった。あれだけ好奇心の強い子が、“知る”ことを嫌うはずがない。 「今は忙しい時だから……。今は大変な時だから……。そうやって自分を追い込んでいったら、何のために頑張っているのかが、見えなくなってしまうことがあるでしょ? だから、必ずやってくる季節に合わせた行事で足を止めるの。その時だけでも家族や大切な人と一緒に過ごして、自分を取り巻く全てに感謝して、本当の幸せを見つめ直すためにね」 せつなはしばらく考え込んでから、迷いを吹っ切った目であゆみに向き合う。 「私は……結果を急ぐばかりに、手段と目的が入れ替わってしまっていたのね」 「わかったら、ラブと仲直り、できるわね?」 「はいっ!」 せつなが明るくそう返事したとき、ラブが駆けて来る足音が聞こえた。 「せつな、ここに居たんだね! あのね、さっきは」 「私もラブに会いにいくところだったの。さっきは」 「「ごめんなさい!!」」 二人の声が見事にハモる。頭を上げると、バツの悪そうな互いの顔が目に入り、やっぱり同時に吹き出した。 そんな様子を、側に居たあゆみと、後ろからそっと様子を伺っていた圭太郎が、微笑みながら見守っていた。 それから、いつも以上に和気藹々と夕ご飯を取って、雛人形を鑑賞しながらドーナツをみんなで頬張った。 本番は、ちらし寿司やケーキなんかも食べるんだよって、楽しそうにラブが説明する。 せつなはそんなラブの話を聞きながら、雛人形をじっと見つめる。 せつなが、さっき、あゆみに伝えたこと。 「手段と目的が入れ替わっていた」って言葉の真意は、彼女にとって深い後悔と反省を伴うものだった。 (私は今日と同じ間違いを、ラビリンスでもやっていた。幸せな世界を築くために、幸せな毎日を犠牲にしていた。本当は、この世界での日常が大切だったからこそ、同じような世界を目指したはずなのに……) 今度こそ、ひな祭りのような行事を大切に守り続けた、この家のみんなや、この世界の人々のあたたかな心を学ぼう。 時には立ち止まって、足元に目を向けよう。本当の幸せを見失わないように、一つ一つやり直そう。 それを目指して精一杯頑張ろう。そのために、自分は帰ってきたのだから―― 「さあ、ラブ。食べ終わったらまた勉強よ!」 「えーっ、もうちょっとゆっくりしようよ~」 「ラブは、私と一緒に勉強するのが楽しくないの?」 「えっ? ……もっちろん、すっごく楽しいよ!」 「なら、決まりね!」 「ええーっ、だから、もうちょっとだけ!」 「ダーメ。早く行きましょ!」 「たはは、いってきます~!」 ラブとせつなの中学生生活が終わる。 春の訪れ、新たなる旅路の門出を祝って、雛人形は優しく二人を見守っていた。
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/5743.html
522 :NPCさん:2010/12/04(土) 22 40 12 ID ??? ちょっと一人で考え込んでたら分かんなくなってきたんで質問を。 これって困? ① セッション中、不注意で飲み物をこぼす ② セッション中に食べるお菓子に、粉が付くものなど汚れるお菓子を持ってくる ③ セッション外の関係をセッション中の関係と似せる(に限らないが)事を強要する ④ セッション中、トイレ等(不可避かもしれない事)で『多く』席を外す ①は多分違う。②、④は人によっては困にされるかも。③はまぁ、困だよね・・・? って感じには思ってるんだが、どうなんだろう? ・・・それとも困ってちゃんと定義しちゃいけないもんなんだろうか・・・・・・; 523 :NPCさん:2010/12/04(土) 23 06 55 ID ??? ①はこぼすような場所に置くのも悪い 置かせるのも悪い ②は皆で注意し合えば良いだろう 箸でチップスを掴もうぜ! ④はあんまり多すぎるようだと困るけど、このスレでいう困では無いような気がするなぁ ③は確実に困だろ セッション中の関係とやらがどんなもんかは知らんが という個人の意見でした 524 :NPCさん:2010/12/04(土) 23 15 19 ID ??? ③はあれかな、「俺は部長でお前は平部員なんだから俺の言うこと聞け」系か ④はむしろ我慢できずにもらす方が困でしょw 525 :NPCさん:2010/12/04(土) 23 22 18 ID ??? 僕のキャラと君のキャラは恋人関係だから現実世界でも僕たちはつき合うべきだ!とか そんなんだと思ったw 526 :NPCさん:2010/12/04(土) 23 55 49 ID ??? 君はうちのサークルでハブラレテルからセッション中も葉ぶるね 527 :NPCさん:2010/12/05(日) 00 48 24 ID ??? ③セッション中に敵対してきたからお前しばらくはぶるわ 528 :NPCさん:2010/12/05(日) 01 09 23 ID ??? 「こないだの戦闘では世話になったからな。今日は奢ってやんよ」 だったらちょっといい話……? あ、フレアとかエッジとか夢とか GM判断で与えられるリソースがあるゲームやるときは GMに付け届けしたりする 駄菓子とかお茶注ぐとか、あくまでも冗談ですむ範囲内でだけど 529 :NPCさん:2010/12/05(日) 08 41 51 ID ??? 1は単なるミスであって飲み物をわざと他人やテーブルに振りまいたとかじゃなきゃ困じゃないだろ 2も単にお手拭も用意しろってだけの話。 3は困で間違いなし。 4は病気の場合もあるからな、病人はTRPGを趣味にするなというほうが困だと思う 4がもし何もないのにふらふらと席を立ってどこかいくというのでもそれは困ではなくほかの何かだw 530 :NPCさん:2010/12/05(日) 09 21 20 ID ??? 529 4が、10分置きに電話しないと彼女が怒るんですよ~wとかだったら困だろ 病気でもなんでも説明や時間の予測は欲しい そうすれば中座しても他のことしてればいいし 531 :NPCさん:2010/12/05(日) 09 30 23 ID ??? 1、2は事故の範疇だが あんまり続くようなら座りのいいマグカップと箸を用意しとけ 532 :NPCさん:2010/12/05(日) 09 39 47 ID ??? 俺がエスパーするに 522の言ってる人物は女性 ①、②は、まぁドジっ子ってところ ③は卓内に恋人のPLがいて、シナリオ内でも恋人にしろってことだろ?微困かな? ④は男からすると理解しずらいが、しょうがねーじゃんって感じ 用を足す以外にもメイク直しとかもあるわけだしさ 533 :NPCさん:2010/12/05(日) 15 27 11 ID ??? 522 ①卓上にこぼれ得る形態の飲み物を置くのは困。500mlペット推奨。 ②汚れた手で他人の本やシートに触れたら困。割り箸推奨。 ③冗談のレベルにとどまっていなければ困。 ④どのぐらいい多いかわからないので何とも。 1時間に1回を超えると厳しいかな(特に取り方がが計画的でない場合は) 534 :NPCさん:2010/12/05(日) 15 36 06 ID ??? 522 1.「おーっと、クソみたいな能力値のキャラが使えなくなったから新しく作るぜー!」 2.「おーっと、クソみた(以下略 3.「GM、ご飯おごってやるから判定成功させてくれよ」 4.「おーっと、クソみたいな能力値のキャラがトイレで急成長したよー」 バイオレンスなら困じゃないよ! まあ1と3かなぁ。ただし1は毎回こぼすという前提ならばの話。 535 :522:2010/12/05(日) 16 11 54 ID ??? やべぇみんな色々考えてくれてサンクス。 実の所誰か特定の知り合いを考えたわけじゃないんだ。 一人で考えてたら「迷惑な行動だけどあれ? マジでどこまで困なんだ???」って混乱して来たから相談してみただけで。 で、意外な程長く続いちゃったんだが、これ誰かの報告の邪魔になってないよな?; 困スレとしてそんなに間違ってる気はしないけど、やっぱり報告の方が重要だと思う。 と言うわけで考えてくれる人は嬉しいんだが、もし報告躊躇ってる人が居たら躊躇せずやってくれーと。 549 :NPCさん:2010/12/06(月) 07 21 53 ID ??? 525 ③に関しては鳥取では恋人ロールの果てにリアルで交際初めた奴等や 「なんでヒロインに言った台詞の方が気合い入ってるの!?」と痴話喧嘩かノロケかわからんコントを始める奴等がいるが…… 550 :NPCさん:2010/12/06(月) 08 37 59 ID ??? いるからダメなんだろ 551 :NPCさん:2010/12/06(月) 08 55 24 ID ??? こういうのも初心者じゃなきゃ軽い病気だよな。 552 :NPCさん:2010/12/06(月) 10 50 42 ID ??? 僕も交際始めたいです>< 553 :NPCさん:2010/12/06(月) 11 21 24 ID ??? 552 よしお前ちょっと四つん這いになってケツをこっちに向けろよ おう早くしろよ スレ262
https://w.atwiki.jp/kagakyon/pages/1148.html
終業式が終わり、学生の大半は見たくもない通知表が帰ってきて憂鬱になると思うころ、今のところ俺、ハルヒ、こなたしかいない文芸部室で、俺はいつものように放課後、転寝をしていた。 ハルヒ「ちょっとキョン!起きなさい!」 キョン「せっかく気持ちよく寝ていたのに、いきなり何しやがる」 ハルヒ「今日は何の日か忘れたの!?」 キョン「終業式だが」 ハルヒ「何言ってるの!今日はゆたかちゃんの誕生日でしょ!」 キョン「え!?」 こなた「そうだよキョンキョン、今日はゆーちゃんの誕生日だよ」 ハルヒ「だから、今から準備してゆたかちゃんの誕生パーティーをするんじゃない!キョン、ゆたかちゃんへのプレゼントを考えて持ってきたでしょうね?」 キョン「何!?お前いつそんなことを言った?」 ハルヒ「おとといの夜にメールをしたじゃない」 そういえばおとといはいつもより早く寝てしまって、携帯なんかには一度も触れてなかった。 昨日も同じで、携帯には触れてない。 こなた「どうするのさキョンキョン、もうすぐゆーちゃん達が来ちゃうよ」 キョン「……………。」 12月20日 そうか、今日はゆたかの誕生日だったか。 しかし困ったな。ゆたかの誕生日をメールで知っていればそれなりのものを用意できたんだが、メールを見ていなかったからなぁ。 どうしようか……。……そうだ、これでいこうか…。 途中から、長門、古泉、朝比奈さん、鶴屋さん、かがみ、つかさ、みゆき、みなみ、ひより、パティがやってきて準備をした後、主役のゆたかがやってきた。 飾られた部室には、鶴屋さんやつかさが持ってきた料理が並んでいる。 ハルヒ「誕生日おめでとう!ゆたかちゃん」 ゆたか「きょ、今日は、私のためにこんなすごいサプライズを世、用意してくれてあ、あ、ありがとうございます!」 かがみ「いいのよゆたかちゃん。今日は、ゆたかちゃんが主役の日なんだから」 鶴屋「そうにょろ、めがっさ楽しむっさ!」 みなみ「……誕生日おめでとう……ゆたか……」 古泉「本当におめでとうございます」 さてさて、料理を一通り片付けた後、プレゼント渡しが行われた。 ちなみに俺以外の持ってきた人の持ってきたものは…。 こなた…自作ネットゲーム かがみ…鷹宮神社のお守り つかさ…バルサミコ酢 みゆき…ネックレス ハルヒ…カチューシャ 朝比奈さん…ビーズの指輪 長門…カレーセット 古泉…腕時計 鶴屋さん…高そうな花瓶 みなみ…有名音楽家のCD ひより…自作同人誌 パティ…コスプレ衣装 であった。 鶴屋「あれぇ、キョン君だけまだ渡してないにょろ~」 みくる「本当ですね、どうしました?」 さて、一か八か、これでだめなら自殺を覚悟してでもやってみるか。 キョン「すまん、ゆたか。お前に渡せるものを用意できなかった。そのかわりに、俺のできる範囲のことであればなんでも言ってほしい。それじゃあだめか?」 ゆたか「え!?えっと…、じゃ、じゃあ、きょ、今から一週間、私のお兄ちゃんになってください!」 あぅ~、恥ずかしいことをいっちゃったよ~/// で、でも、今日は私の誕生日だからいいよね…。 古泉先輩も含めて、SOS団のみんなは全員キョン先輩のことが好きなのはわかっているから、抜け駆けはよくないことはわかってはいるけど…。 けど、何でも言っていいといったから、もしOKだったらこのチャンスを使ってキョン先輩に振り向いてもらうようにがんばろっ! キョン「……そんなことでいいのか?もしそれでいいのなら構わないが」 ゆたか「(こ、これってOKってことだよね、やったー///)あ、ありがとうございます!お兄ちゃん」 キョン「///おいおい、いきなりそんなよび方になるのか、…まあいいか」 ゆたか「(う、うれしすぎてたまらないよ~)」 ハルヒ「(何よキョン、何でゆたかちゃんにはやってあたしの時にはそのサプライズをやってくれなかったのよ……)」 長門・みなみ「「(………うらやましい)」」 つかさ「(いいなぁ~、ゆたかちゃん)」 みゆき「(微笑ましい光景ですね。しかし、同時にうらやましくも思います)」 ひより「(すごすぎるッス!わたしにはそんなことも思いつかなかったッス…)」 古泉「(僕もキョンたんをお兄ちゃんと呼んでみたいです……)」 パティ「(ソノセメかたもあったんですネー)」 自殺覚悟でやったアレの答えがこれになるとは思わなかった。 実の妹からお兄ちゃんと呼ばれない俺にはとても嬉しいことだったから、とてもよかった。 しかし、1週間とはいえども、兄としては妹のゆたかに一体何をしてやればいいのだろうか。 ゆたかが1週間、俺の妹になってからというもの、誕生日前と変わらぬいつも通りの日々を過ごしていた。 変わったことといえば、以前より会話の数が多くなったことと、キョン先輩ではなく、お兄ちゃんと呼ばれたことだろうか。 さて、誕生日から6日たった12月25日、ゆたかは、甘えるようにして俺に尋ねてきた。 ゆたか「お兄ちゃん、明日の予定はあいてますか?」 キョン「まぁ、あいてはいるが」 ゆたか「わ、私と買い物に付き合ってください!」 キョン「買い物か…。よし、行こうか」 ゆたか「(や、やった~///)なら、明日、朝9時に駅前でいいですか?」 キョン「わかった、楽しみにしているよ」 ゆたか「は、はい!」 やったぁ~///お兄ちゃんとデートすることができるんだ! 明日は何を着ていこうか。 お弁当を作ったほうがいいよね! あぁ~明日が待ち遠しいよぉ… 朝、私はいつもより早く起きて弁当作りにかかった。 弁当を作っていると、何度も何度もお兄ちゃんが嬉しそうに弁当を食べている姿が頭に浮かんでもう大変。 お兄ちゃんが満足してくれたらいっそ天国にも飛べちゃうよ~。 …まだ死にたくはないけど。 弁当を作り終えた後、私はこなたおねえちゃんが起きるよりも前に家を出た。 駅前には30分以上前についてしまったけれど、それでも私は構わない。 待つ時間が長ければ長いほど、会えたときに嬉しさは増すものだから。 今日は、振り向いてもらえるようにがんばろっ! …約束の時間まであと3分のところで、お兄ちゃんはやってきた。 キョン「すまん、ゆたか。待たせてしまって」 ゆたか「いいんですよ。全然気にしてないですから」 キョン「そうかい、じゃあいこうか」 ゆたか「は、はい!」 それから私とお兄ちゃんは、洋服屋をのぞいたり、雑貨屋をのぞいたりした。 お兄ちゃんといるととても楽しい。 しかしやっぱり1週間の兄ではなく、恋人同士の仲になりたい。 やっぱりだめなことなのだろうか。 ううん、そんなことはない。絶対に恋人同士の仲にしてみせる! お昼になり、大きな公園で私が作ったお弁当を食べた。 キョン「モグモグ…、ゆたかが作ったこのお弁当とてもおいしいなぁ。毎日でも食べたいぐらいだ」 ゆたか「ほ、本当ですか!」 キョン「あぁ。実の妹はこんなことをしてくれないからな。こんな妹だったら本当に嬉しいよ」 ゆたか「やっ、やったぁー」 …今日、俺はゆたかの買い物に付き合っているのだが、ゆたかを見ていて、正直かわいいと思う。 誕生日前はまったく考えもしなかったことだが。 もちろん外見もそうなのだが、仕草や性格がとてもかわいかった。 ゆたかと一緒にいると幸せな気分になれる。 今のところは俺の1週間の妹ということになっているのだが、もう少し発展してくれないだろうか。 1週間の妹としてではなく、人生のパートナーとして一緒にいたい。 しかしそれはかなわぬ夢なのだろうか。 …よし、どこかで思い切って告白してみるか! さて、弁当のあと、俺とゆたかはデパートで買い物をしたり、ゲーセンで遊んだりした。 そして最後に、デパートの屋上にある、観覧車に乗った。 今が…チャンス! キョン「なぁ、ゆたか」 ゆたか「?なんでしょうお兄ちゃん」 キョン「冗談と思うかもしれないが、俺は本気だからきいてほしい。ゆたか……好きだ!」 ゆたか「…………おにいちゃんんんんんんんっっっっっっっっっ……………」 ゆたかは俺に抱きついて泣きながら声を出した。 ゆたか「ひっぐひっく……ううっ…お兄ちゃんありがとう…ございます…ずっと、ずっとかなわないものだと思ってて…それに今日は、一週間の約束の最後の日で……もうお兄ちゃんと呼べなくなると思うと……でも本当に…ひっぐ……良かったです、わ、私も…好きです!」 キョン「…よかった……本当に良かった。…ゆたか、これからは一生お前を大事にする。絶対約束する」 ゆたか「は、はい!」 その後、涙を拭いたゆたかとキスをした。 数年後、俺とゆたかはめでたく結婚をし、子供もできた。 ゆたかにいつも支えられ、本当に幸せな毎日を過ごしている。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/264.html
第7話『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。ラブとせつなの料理対決――』 少し、強めの日差し。 梅雨を間近に控え、夏の到来を感じさせる。 熱気を払うように、一陣の風が吹きぬける。 せつなは片手でスカートを、もう片手で帽子を飛ばないように押さえた。 のどかな土曜日のお昼過ぎ。 せつなはラブと、商店街のスーパーにお買い物に出かけていた。 「みんなで、おうちで夕ご飯~」 「ちょっと! ラブったら、恥ずかしいから街中で歌うのはやめて」 ラブは、にははと笑いながら商店街の人たちに手を振って応えた。 「楽しいと、自然に歌いたくなるんだよ」 (もう……理由を聞いてるんじゃないのよ) そう思いながらも、自分もつい口ずさみそうになり顔を赤らめる。 今日は、あゆみが残業で遅くなる日。 ラブとせつなの食事当番の日。 美味しい料理でもてなそうと、あゆみが勤めるスーパーにやってきた。 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。ラブとせつなの料理対決――』 「トマトが実れば、医者が青くなるんだって」 ラブが果肉の大きなトマトを、手のひらの上で転がす。 キュウリ、ナス、ピーマン、オクラ、ニガウリ、モロヘイヤ。 みずみずしい夏野菜が美しく並ぶ。 「ことわざね、わかってるわよ。旬の野菜は大事よね」 せつながあきらめたような顔でピーマンを買い物カゴに入れた。 ふと、足を止める。目に映るのは黄色いポップ。 「ニンジンが特売なのね」 「いや、ニンジンは昨日食べたばかりっていうか、その……」 せつなが無言でラブを見つめる。 「うっ……わかりました。なんてね、全然平気だよ、せつな。だって」 せつなが居ない食卓。そんなところで食べるハンバーグより、せつなが作ってくれたニンジン料理を食べる方がずっと楽しいもの。 「もう、そんなこと言われたら買えなくなるじゃない。わかったわよ、栄養は他のもので補いましょう」 「えっ! ほんとっ? やったね!」 「なんてね、冗談よ。作ってあげるからしっかり食べてね」 せつなは容赦なく買い物カゴに徳用袋の人参を放り込んだ。 ラブの悲鳴を無視しながら思う。 私も……どんなご馳走よりも、ラブと食べるご飯の方が美味しいと。 あゆみを見つけた。ファイルを持って豆腐とにらめっこしてる。 「「おかあさ~ん」」 嬉しそうにラブとせつなが駆け寄る。あゆみも笑顔で自慢の二人の娘を迎えた。 「何しているの? おかあさん」 「ああ、これはね」 発注台帳と言うのよ。と関心を持ったせつなに説明する。 一品ごとに細かく書かれた数字の羅列。前年の販売数、先週の数、気温ごとの誤差。 「より新鮮なものを、売り切れのないようにするために頑張ってるのね」 「その通り! 全てはみんなの幸せのために、ね」 あゆみがパチリとウィンクする。 広い通路、読みやすい大きさの字、背が低くても届く陳列棚。やさしさは至る所に溢れている。 忙しそうなあゆみに別れを告げ、買い物を続けた。 「苦手なものも、ちゃんと食べるのよ~」 そう言い残したあゆみに応えて、ラブが提案する。 「せつなっ、勝負しようよ!」 お互いに苦手な食材を使って一品づつ調理する。判定はもちろんあゆみだ。 「料理なら負けないよ~」 「私が上達してないとでも思ってるの」 しばらく睨みあって、そして笑う。今夜も楽しくなりそうだった。 夕飯の下ごしらえを済ませてから、いよいよ本番。 ピンクと赤の、お揃いの可愛いエプロンをつけて腕まくり。 二人とも自信たっぷりだ。 ラブはフライパンにごま油を入れて、何やら炒めだした。 短冊に切ったピーマンを後から加えて、更にじっくり焼いていく。 せつなは、おろし金を引っ張りだした。 ボールに、サラダオイル、砂糖、玉子、シナモン、アーモンド、塩、すりおろした人参を入れ、全部一緒にする。 水で溶いた小麦粉と一緒に練りこんでいく。 互いに、苦手な食材で作りあってるのに、美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。 既に勝負は始まっていた。 『いただきま~す』 いつも通りに、美味しいラブのハンバーグ。今夜はサイズは小さめ。 そして出てきたのが―― 「これは、ピーマンの炒め物?」 砂糖と醤油で味つけて乾燥させた、たっぷりの鰹節。 カリカリに焼いたちりめんじゃこと、刻んで焼いたうす揚げ。 両面をこんがり炒めた短冊状のピーマン。 「美味しい……」 苦手なはずの、せつなの箸もどんどん進む。特有の青臭さと苦味をあまり感じなかった。 「これは……ビールが欲しくなるなあ」 「はいはい、ちゃんと用意してあるわよ」 あゆみが冷蔵庫から出してきて栓を開ける。せつながグラスを用意した。 ラブが勝ち誇った顔をする。 「まだまだ、勝負はこれからよ」 食後の紅茶の時間になる。今回せつなが作ったのはデザートだった。 「私の料理はこれ。たっぷりのニンジンを使ったキャロットケーキよ」 こげ茶色のバウンドケーキ。表面はホイップクリームで飾られている。 「うわっ~せつな、これ、すっごく美味しい」 「ほんと……やわらかい味って言うのかしら」 「上品なお菓子だね。せっちゃんにぴったりだ」 砂糖を使いすぎず、ニンジンが持つ自然な甘みを引き出す。 柔らかい生地に仕込まれた、砕いたアーモンドの舌触りが楽しい。 少しパサつくところを、ホイップクリームが上手に補っていた。 紅茶もいつもより美味しく感じられる。 「う~ん。おかわり!」 ラブが一番に食べ終わった。 一人ひとつよ。そう言ってせつなが笑う。つられておとうさん、おかあさんも。 「さあ、判定よ」 あゆみが立ち上がる。ラブをせつなは息を呑んで待った。 「今日のところは……両方美味しいので引き分け」 「「えぇ~~~!」」 「それじゃ、こうしましょう! 勝ち負けは次の対決で決めるの。今度は、ほうれんそう料理なんてどうかしら」 「おかあさん、それズルイ!」 「いいわ。私、精一杯頑張る」 「だって……わたしも苦手食材克服したいんですもの」 「無理に、夏場に食べなくても……」 圭太郎はそう言いながらも嬉しそうだ。僕は苦手なものがないからなあ、とぼやいていた。 ラブが再び歌いだす。 「みんなで、おうちで夕ご飯~」 今度はせつなも一緒に、みんなで一緒に歌いだす。 四つ葉になった桃園家に響き渡る。 それは――幸せの歌。
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/7641.html
428 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 07 28 29.60 ID 93UQRTmn0 愚痴スレ向きかも知れないが、軽く投稿 いきつけのコンベで卓建てた時のこと 困未満常連間では要警戒人物の「いつでもどこでも耽美イケメン造ってBLする」女PLが卓に来た 大方の予想通り、重要人物:依頼人の少年枠を選び、宝塚に逝けとばかりの金髪イケメンを作成した OPで行方不明になった姉を探して欲しいと来る少年に「報酬として君の心が欲しい」とロールするのはまあ自由意志だ…… しかしシーンPL無視して、少年を口説いたりペッティング宣言したので 「ここは○○のシーンです」「シーンPLのアクションを邪魔しないで下さい」「自分のシーンでやってください」といったら唐突に膨れて「少年連れて退場する」 と言って以降黙った 休憩時間に、コンベ代表がやってきた どうやら「自分がハブられた」「ロールや宣言を意図的に無視された」と訴えたぽい 状況を説明すると「似たようなことは何度かあった。確認に来ただけ」と下がった 再開後の耽美PCのシーン 少年とできちゃったと宣言 退場後のシーン中に、少年とアッーー!!!く結ばれていたという設定らしい もはやわけがわからない展開だが、「恋愛描写はほどほどに願います」としか言いようが無かった ただ、卓の雰囲気はあきらかにビミョーになっていた その後、粛々と情報集めて姉を浚って生け贄にしようとしてる魔族に魂売った神官を討伐しに逝ったのだが なんか失礼を承知で宝塚歌劇団の演劇をみているような男性陣みたいな異様に浮いた雰囲気を味わった ヒロインは実は姉ちゃん(PC1枠の幼馴染み)なんだけど、完全端役というか背景になってしまった 卓の雰囲気をバラ色に染めて耐性無い層をウップさせのは困るが、進行を妨害したりシナリオブレイクしたりしているわけでもないから 追い出せないから「別のキャラもやってみたら」と勧告しか出来ないと主催者も言っていた 地方なんでその週で別のコンベ探すと隣県まで逝かないといけないし、追い出せない困は困ったもんだと思う 429 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 07 32 20.59 ID wkAN4B8v0 登場人物全員女の子にしちゃえ 430 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 08 50 28.29 ID 8xPUCDqpO 428 乙 許可なく好感度変換吟遊プレイやってる時点で最終警告→拒否したらキックでいいんじゃない? 429 それがベターかもな 431 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 09 38 13.13 ID 5LGVFK2a0 乙 『性交渉の描写や宣言はセクハラに該当します』って注意は出来るだろうし、やってみたら? それで駄目なら本気で警察呼べ 腐女子やエロゲオタが嫌われるのって、こう言う周囲が何だろうと自分の性欲剥き出しにする所だよなぁ…… 432 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 11 04 33.66 ID /ChIs7rd0 こういう話を聞くたびに思うのだが、こういう人たちってTRPGでアカの他人相手に 自分の性的趣味を暴露すんのが恥ずかしくないんだろうかね 433 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 11 12 59.97 ID Z1m8rZTQ0 私の考えが理解されないはずがないとでも思ってんじゃないのかね 434 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 11 36 19.38 ID 5LGVFK2a0 そこまで深く考えられないぐらいの頭だからだろ 435 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 12 09 39.17 ID kz1IynSH0 428 乙 十分進行妨害になってると思うがなぁ 436 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2012/09/03(月) 12 42 16.55 ID +I2AcZFL0 428 乙 リソース払えば合法的に相手の感情を操作できるエンゼルギアやドラゴンアームズですら GMが許可しないと変更申請通らないんだぜ? 「なり茶かブログでやれ」でいいんじゃない? スレ337
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/283.html
第26話『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。クリスマスの奇跡――』 夕闇が降りてくる。この季節特有の凛と張り詰めた空気が、北からの風に乗って吹き付ける。 緑溢れる豊かな街並み。若葉、青葉、紅葉とみんなを楽しませてきた銀杏の樹。 それも寂しく剥き出しの枝を晒すのみ。 景色から色彩が失われていく。終わりの季節。かつてのせつなの心象風景。 大丈夫、そうじゃないってわかってる。手を伸ばし、そっと樹皮に触れてみる。 きっとこの下では力強い命が息づいていて、新しい芽を出すために体を休めているのだろう。 幸せの集う街。人々の笑顔はこんな季節でも翳ることを知らない。 枯れ落ちた葉の代わりに、イルミネーションが飾り付けられる。 既にいくつか点灯し、暗い街並みを優しく彩る。 日々増えていく賑やかな飾り。光の道を描いて誘導するメインストリートの照明。 あちこちから聞こえてくるクリスマスミュージック。リズミカルな音の調べ。 楽しげで、ちょっと寂しげな歌声。 孤独な冬の夜空のキャンパス。この街のみんなと一緒なら、それも心安らぐ名画に変わる。 真っ白な息を吐いて、澄んだ空気を思いっきり吸い込んだ。そして明るい表情で駆け出す。 もうすぐ訪れる、生まれて初めてのクリスマスのために。 「もうじきクリスマスだね。今年は雪が降るといいな」 「天気予報では晴れが続くみたいね。雪が降るのはいいことなの?」 「雪の夜のクリスマスはね、とっても綺麗なんだよ」 出かける前にラブと交わした会話。 初めてだからこそ、せつなに見せてあげたかった。そう残念そうにラブはつぶやいた。 雪の降る聖夜――ホワイトクリスマス。 素敵な響きだと思う。でも、その魅力は来年以降の楽しみにとっておこう。 もう十分すぎるくらいにワクワクしてるから。 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。クリスマスの奇跡――』 クローバータウンストリート。かつて四ツ葉町商店街と呼ばれていた歴史のある往来。 付いて来たがるラブを苦労してなだめて、せつなは一人で買い物に来た。 クリスマスプレゼント。こっそり買ってみんなを喜ばせたかった。 捧げるのではなく、与えてもらうのでもなく、心を込めて贈り、贈られる喜び。 この街で知った、それは大切な幸せだった。 街灯の連なった通りを抜けて、レンガ造りの壁沿いの路地裏にさしかかった時だった。 小太りした老人が座り込んでいるのを見つけた。 品の良さそうな白人のおじいさん。真っ白な髪と同じ色の豊かなひげを蓄えている。 頬と鼻はやや赤く染まっていて、白い肌とあいまってひょうきんな印象を与える。 せつなが近づくと、穏やかな表情で微笑んできた。 「どうかしたんですか? おじいさま。私は、東 せつなといいます」 「これは親切にありがとう。わしの名はニコラスというんじゃ。腰を痛めて休んでおったんじゃよ」 せつなは少し逡巡した後、体を屈めて背を向けた。街は暗く、この辺りは人通りも少ない。 放っておくことはできないと思った。 「お嬢さんや?」 「どうぞ。お家まで送っていきます」 「気持ちはありがたいんじゃが、わしは重いでな。お嬢さんの細腕では無理じゃよ」 「平気です。見た目通りの力じゃありませんから」 老人は躊躇ったものの、せつなは一度言い出したら譲る性格ではない。ついに根負けして背中に体を預けた。 確かに老人にしては体格もよく、かなりの体重だった。それでもせつなに支えきれないほどでもない。 しっかりとした足取りで歩き始めた。 賑やかな場所をくぐり抜けながら、老人の示す通りに歩き始める。 重さは苦痛ではなかったが、街の人々の視線が少し恥ずかしかった。 でも、なぜか誰にも声をかけられることはなかった。誰も、気がつかないかのように。 通りを抜けて静かな公園に着く。住宅街から少しだけ離れた、子供用の小さな施設。 その隅にあるベンチの前で降りると言いだした。 人気のない小さなベンチで並ぶようにして腰をかけた。 「ここは? おじいさまの家までちゃんと送ります」 「いや、ここでいいんじゃよ。ありがとう」 優しいけど、はっきりとした口調。これ以上は干渉してはいけない気がした。 それでも、こんな寂しい場所に一人で置いて去る気にもなれなかった。 せつなは何を話していいかわからず、二人の間に静かな時間が流れる。 「お嬢さん、いやせつなちゃんと言ったかな。――優しいんじゃな」 「私は……優しくなんてありません。本当に優しい子を知っているから」 「ほっほ、それはもしかしたらラブちゃんと言うんじゃないかね?」 「知ってらっしゃるのですか? おじいさま」 「わしは全ての子供を知っておるとも。でも、どうしてじゃろうな。お嬢さんのことだけは思い出せん」 「おじいさんは不思議な人ね。私は遠いところから来たの。だから知らなくて当然よ」 柔らかい表情。吸い込まれるように深くて、穏やかな瞳。積み重ねた年輪が生み出す、包み込まれるような安心感。 せつなは、ふと甘えたいような気持ちになって丁寧語を崩した。 おじいさん。そう呼べるほどの年齢の方と親しく話したのは初めてだと気がつく。 ラブもおじいさんが好きだったと言っていた。その方もこんなに優しい目をしていたのだろうか。 「わしは子供にプレゼントを配るのが生きがいでな。とりわけ困った子や寂しい子にな」 「素敵なお仕事ね。私もプレゼントを買いに行くところだったの」 「せつなちゃんは何か欲しい物はあるかな? 何でも一つだけわしがプレゼントしてあげよう」 「ええっ、私はいいわ。とても幸せだもの。これ以上、欲しいものなんてないわ」 「そう言わずに、どんな大きなものでも構わんよ。一つだけ、わしのためと思うてな」 「なら、小さくていいから三つ。ううん、五つ欲しい」 「ほっほっほ。それは自分の分ではなかろう。わしがプレゼントするのは良い子だけじゃ」 「だったら――私はもらう資格なんてないわ。とても悪い子だもの」 明るく弾んでいたせつなの表情に影が差し込む。おじいさんはそっとせつなの手の上にしわがれた手を重ねた。 せつなはびっくりしておじいさんを見つめる。深い緑色の瞳がその表情を映し出す。心の底まで見透かされた気がした。 おじいさんは、やがてゆっくりと首を振った。 「せつなちゃんには、特別に大きなプレゼントが必要のようじゃな」 「でも、私は……」 「良い子じゃ。わしが言うんだから間違いないぞ」 おじいさんの、優しくて、温かくて、そして確信に満ちた力強い言葉に胸がいっぱいになる。 せつなはふいに涙が込み上げてきそうになって、慌てて立ち上がって後ろを向いた。 泣かされた。それがちょっとだけ悔しくなって、イジワルを言ってみた。 「じゃあ、クリスマスに雪を降らせてほしいわ。――なぁんてね、冗談よ」 「クリスマスに雪じゃな。確かに承ったぞ、せつなちゃんや」 急に突風が吹きつける。せつなが目をかばった一瞬の後、老人はその姿を消していた。 ヒラ、ヒラ、と紙切れが落ちてくる。それはシンプルなクリスマスカードだった。 「イブの日に、夜空を見上げてごらん」 いつの間に用意したのか、素朴なメッセージ。 それからしばらく探し回ったけど、結局どこに行ったのか見つけられなかった。 どうやって消えたのかはわからないけど、事件性は無いと判断してその場を離れた。 ひと時の優しい出会いに感謝しながら。 「へ~不思議なことがあったのね」 「あたしの名前知ってたって? そんな外国人のおじいさんに心当たり無いけど」 翌日のラブの部屋。せつなは集まった三人に昨日の出来事を話した。 ラブのことを知っていた。それに特徴のある容姿をしていた。もしかしたら、誰かそのおじいさんを知っているかもしれないと思ったのだ。 できるならもう一度会いたい。もう少しお話をしてみたかった。 「もしかしたら、本当にサンタクロースなのかも」 「本で読んだわ。でも、それって伝承の中の人物でしょ」 「そうだけど、教父聖ニコラオスっていう実在した人でもあるの」 「確かにニコラスと言ったわ」 キリスト教の司教、ニコラオスの伝説。 貧しさのあまり、娘を売りに出そうとしていた家族がいた。彼はその家の屋根に金貨を投げ入れ、身売りから救ったという。これがサンタクロースの起源なんだとか。 他にも無実の罪で囚われた人を解放したなど、幾多の聖伝が残っている。 クリスマスの前の晩には、子供のいる貧しい家の戸口にプレゼントを置いていったとも伝えられている。 「さすがに詳しいわね、ブッキー。でもそれだって伝説のお話でしょ」 「居たのは事実よ。実話とも言われてるの。でも、遠い昔の外国の出来事だし」 「難しい話はわからないよ。真っ赤な服着たプレゼントを配るおじいさんの話だよね?」 「少なくとも、着ていたのは普通の茶色っぽい服だったわ」 「ある意味、本物なのかもしれないわね。公認サンタってお仕事もあるらしいし」 「趣味でやってる人もいるらしいね。夢を配るためにって」 「あたし、わりと最近までサンタクロースを信じてたんだ。おとうさんだったけど」 「アタシはママだった。ノリノリでサンタのコスプレまでしてたのよ」 「わたしも……。お父さん似合いすぎだった……」 湧き上がる笑い声。どんどん話がずれていく。せつなは苦笑しながら、それでも楽しくみんなの話を聞くことにした。 もともと大して期待していたわけでもない。もしかしたら手がかりが見つかるかもしれない。そんな気持ちだった。 なぜだかわからないけど、もう会えない。そんな予感もしていたのだ。 「どうしたの? せつな。なんか元気ないみたい」 「せつなにとって初めてのクリスマスだものね。ごめんなさい、無神経だった」 「あっ、違うの。ただ、今頃どうしてるのかなって」 「会いたいの? せつなちゃん」 「そういえば失恋した後みたいな顔してるわね。せつなってもしかして」 「ちょっと、馬鹿なこと言わないで! もし、おじいさんがいたら――あんな感じなのかなって」 そう、思っただけよ……。とせつなは小さくつぶやいた。 みんな、せつなの孤独はわかっていたつもりだった。ただ、親しくなりすぎて、馴染みすぎて、時々忘れてしまう。 せつなは親もいない。家族もいない。楽しく遊んだ子供時代が無い。愛された記憶が無い。 サンタクロースを信じていたような夢も、おじいさんに遊んでもらった思い出も、何もないんだってことを。 「ねえ、みんなでそのおじいさんを探そうよ」 「そうね、アタシも会ってみたくなったしね」 「うん、面白そう。やろう」 「ちょっと待って! 会って何かしたいわけじゃないの。迷惑かもしれないし……」 「せつなは会いたいんでしょ。理由なんてそれだけで十分だよ」 「うん、そうだけど」 「出会った近辺の聞き込みから始めましょう。似顔絵なんかがあるといいんだけど」 「せつなちゃん、絵を描ける?」 「自信ないけど、やってみるわ」 ラブが学校の授業で使ってるスケッチブックと色鉛筆を持ってきた。 みんなに注目されて顔を赤らめながらも、せつなはスラスラと鉛筆を滑らせていく。 学校中のクラブ活動にスカウトされた経験を持つせつなの実力。それは絵画でも顕著だった。みるみる白い紙に命が吹き込まれていく。 「凄い上手ね。でも、なんだか本当にサンタさんみたいに思えてきたわ」 「うんうん、お鼻も赤いしね」 「ラブちゃん、お鼻が赤いのはトナカイだと思う……」 「もう! 冷やかすなら見ないで!」 祈里の突っ込みで沸き起こる笑い声に、ちょっとだけせつながむくれる。 そうこうしながらも、かなり正確な似顔絵が描きあがった。外国人であることを強調するために色鉛筆を使ったのも良かった。 街の人たちの反応は予想した通りのものだった。 この辺りにそんな外国人の老人はいない。見たことがないと。 街に住んでいるのではなく、観光客の可能性もあった。それでも、目撃者の一人も見つからないのは不自然だった。 平時ならともかく、今はイルミネーションの飾り付けや商店街挙げてのクリスマス商戦で人通りが多い。 それなのに、せつながおじいさんをおぶって歩いていたのを見た人すらいなかった。 みんなの心に一瞬同じ思いがよぎる。せつなが夢でも見ていたんじゃないかって。 でも――せつなが必死になっている。見ず知らずの他人に、懸命に頭を下げて尋ねている。だから信じることにした。 「すみません、このおじいさんを探しています。心当たりはありませんか?」 「あ~~。着ぐるみで良ければあっちの通りで風船配ってたよ」 「着ぐるみじゃダメなんです……」 「やっぱり本物なのかなあ」 「真面目に言わせてもらえば、本物なんているはずが無いんだけど……」 「もういいの。用事があるわけではないもの。みんなありがとう」 せつなが打ち切りを口にした。もう寒空の下で五時間近く探してくれた。感謝で胸がいっぱいになる。 少しでもせつなを元気付けようと、ラブが広場のツリーの様子を見に行こうと提案した。 四ツ葉町のシンボルの一つ。商店街の外れに設けられた広場。その中心に大きなスギの樹がある。 毎年十二月に入ると、クリスマスツリーへと姿を変える。 年を重ねるごとに買い足され、増えていく装飾。リース、ベル、キャンドル、サンタ人形、模造リンゴ。 数百の装飾と数千のイルミネーションが取り付けられ、幻想的な輝きを放つ。 街中の人たちが一度はこのツリーを見に来て、クリスマスを祝うのだ。 「イブのライトアップはもっと綺麗なんだよ。そうだ! お願いしていこうよ、せつな」 「お願いって?」 「ツリーの頂上にある星飾りはね、トップスターと呼ばれてるの。約束や希望、そして導きって意味があるのよ」 「サンタさんが、そのお星様を目印に空から降りてくるとも言われてるわね」 「ふふっ、本当にサンタクロースにされちゃったわね。おじいさん」 でも、ありがとう。そうお礼を言ってせつなも手を合わせた。 本来はお願い事をする風習なんてない。でも、せつなには確かな約束があった。その時に、また会えることを信じて。 「さあ、ツリーに負けないように、あたしたちもパーティーの準備して幸せゲットだよ!」 「そうね、これ以上ないくらい完璧なクリスマスパーティーにしなきゃね!」 「きっと素敵なパーティーになるって、わたし信じてる!」 「楽しみね。私も――精一杯がんばるわ!」 無理やり口ぐせを決めて、そしてみんなで笑った。 せつなにとって初めてのクリスマス。昨年は戦いで見られなかったから。 今までの思い出を取り戻せるくらい楽しんでもらおうと、ラブたちは計画を立てていたのだ。 昨日も、今日も、そしてきっと、明日も明後日も。 幸せの先には、やっぱり幸せが待っている。そしてより大きな幸せに向かって一緒に歩いていくんだ。 クリスマス・イブ。聖なる日の前夜祭。 桃園家の庭をいっぱいに使って、盛大なクリスマスパーティーが開かれた。 美希を筆頭に、美しく着飾った四人が華麗に短いダンスを踊り、パーティーが始まった。 ラブの作ったドーナツ型のリースが食欲をかき立てる。 祈里手製のサンタやトナカイのぬいぐるみ。可愛らしくあちこちで愛嬌を振りまく。 せつなの作った切り紙のアート。雪の結晶を中心に様々な抽象パターンが幾多の模様を描く。 美希の手製のアロマキャンドル。幻想的な光の揺らぎ。そして香るいくつものアロマが癒しを施す。 圭太郎とあゆみが張り切って取り付けたカラフルな電球の数々。大きな庭に美しい光の絵画を描きだす。 正と尚子の厳かな祈りの後、食卓を彩る数々のご馳走。 フライドチキン。ローストビーフ。ピザにフライドポテト。パスタにサラダにサンドイッチ。 あゆみの教えの元で、クローバー四人で作り上げた料理だった。 そして、最後を飾るのは大きなクリスマスケーキ。イチゴをメインに数々の果物が贅沢に並ぶ。 娯楽の方も抜かりは無い。 圭太郎と正の、冴えない隠し芸が失笑を誘う。あゆみの恥ずかしそうに歌う可愛い声が、雰囲気を和ませる。 その後に披露されるレミの歌声。レコーディング経験もある元アイドルの美声が会場を魅了する。 レミはあゆみにチラっと流し目を送って、少しだけ睨みあって、そして吹きだした。 ラブの華やかなオリジナルソロダンス。せつなの鮮やかなトランプマジック。美希の三度の衣替えによる美しいポージング。 祈里の早編み……は盛り上がらなかった。 夢のように楽しい時間が過ぎていく。それでも予定の半分。ラストを飾るプレゼント交換まで、まだまだゲームやイベントはたくさん残されていた。 ひとまず休憩を挟むことにした。 せつなはふと、胸のポッケが温かくなっているのを感じた。手を入れると、そこにはおじいさんからもらったクリスマスカード。 なんだか呼ばれているような気がした。そして、美希の言葉を思い出す。 「サンタさんが、そのお星様を目印に空から降りてくるとも言われてるわね」 (お星様。トップスター。この辺りで一番大きいのは……) 「みんなごめんなさい。私、行かなきゃならないところがあるの。すぐに戻るから!」 「あっ、待って! せつな、どこに行くの!?」 突然駆け出したせつなをラブが追う。他のみんなも追いかけようとしたがラブが止めた。あたしが付いて行くからって。 動きにくい格好をしてるのはお互い様。本気を出したせつなの脚はとても速い。ラブはあっという間に引き離されていく。 せつなは広場の大きなツリーの前に立つ。 凍えるような寒さにも関わらず、そこは大勢のカップルや友人、家族連れで賑わっていた。 冷たい風を受けて、ツリーの葉や飾りがさらさらと揺れ動く。イルミネーションがゆらゆらと光の残像を描く。 聞いていた以上に美しい、そう思った。でも、ゆっくり見ている気にはなれなかった。 きょろきょろと周囲を見渡しながら求める人を探す。ここに集った人々の中に居てくれることを信じて。 見つからない。焦るせつなの耳に、かすかに響く鈴の音が聞こえてきた。 シャンシャンシャン……。 シャンシャンシャン……。シャンシャンシャン……。 シャンシャンシャン……。シャンシャンシャン……。シャンシャンシャン……。 それは、とても小さな音。ともすれば風にかき消されてしまうほどに……。 せつなの聴覚だから、かろうじて聞き取れるのだろう。周囲でその音に気が付いている人はいないようだった。 それは、空から聴こえてきた。 期待を込めて真っ暗な夜空を見上げた。 しかし、その後はそれ以上は大きくならず、また再び小さくなっていった。 せつなの瞳が失望に暗く染まる。 違う。暗く染まったのは夜空の方。星がひとつ、ふたつと消えていく。 暗い夜空がわずかな光すら失っていく。 そして、何かが落ちてくる。 それは、とても小さな白い結晶。 決して降るはずのない――雪だった。 今度こそ、辺りがザワザワと騒ぎ出す。 あるかないかわからない数だった雪の粒。 徐々に数を増やしていき、チラチラと降り注いでいく。 騒ぎはやがて歓声となり、人々を笑顔に変えていった。 生まれて初めてのクリスマス。そして、ホワイトクリスマス。 雪の降り注ぐ中で見る大きなツリー。街を照らすイルミネーションが雪の輝きと混じりあう。 美しい。それは確かに、言葉にできないほどに美しかった。 「せつなっ! やっと見つけたよ」 「ラブ……雪よ。降らないって、言ってたのに……」 「うん、凄いね。あたしもクリスマスに雪を見たのは、本当に小さい頃以来だよ」 「きっと……」 その先は口にできなかった。ラブにすら、その約束は話してなかった。 クリスマスカードも見せてなかった。 それは、せつなとおじいさんの二人だけの約束だったから。 「イブの日に、夜空を見上げてごらん」 そう書かれているクリスマスカードを、隠れるようにそっと開いた。 せつなの呼吸が驚きで一瞬止まる。 いつのまにか、メッセージが書き換えられていた。 瞳が限界まで見開かれて、そして――やがて涙が溢れ出した。 ~~Merry Christmas~~ せつなちゃんの心のように真っ白で美しい、そんな雪をプレゼントに贈ろう。 自信を持って生きなさい。 ニコラスより、愛しのせつなちゃんへ。 「……あっ……あっ……えっ、えっ、えっ……」 ぽろぽろ、ぽろぽろ、とうつむいたせつなの頬から涙が滴り落ちる。体を震わせ、時に泣き声まであげて。 ラブは驚きの表情でせつなを見つめた。その姿が、まるで小さな子供のように見えたから。 やがてそれが悲しみの涙でないことに気が付いて、そっとせつなを抱きしめた。 何も聞かずに、泣き止むまで――ずっと、ずっと、優しく抱きしめた。 そして、また二人で雪を見つめた。 ラブはせつなと一緒に見られた幸せに感謝しながら。 せつなは、この雪の美しさを一生忘れないように。 この雪に恥じないように生きていこうと誓いながら。 「さっ、せつな。帰ろう。あたしたちを待っててくれる人たちのところに」 「うん……。私たちの家に」 その雪は、クリスマスの夜まで静かに降り続けた。 せつなの幸せを――やさしく見守るかのように。
https://w.atwiki.jp/ritsuss/pages/637.html
691 名前:ss「りっちゃん店員3」[sage] 投稿日:2009/08/05(水) 23 21 52 ID 4NpgF+tQ 即興シリーズ3作目 (ただ律とほのぼの会話するだけ) ※俺=このssでの架空の人物(俺律モノ嫌いな方はスクロール推奨) 律「~♪」 俺「どうしたりっちゃん、鼻歌なんて歌っちゃって」 律「いやぁ、今日の有線は懐かし曲ばっかりじゃん?」 俺「確かにな。お、ktkr」 律「ごぜーんにじー、ふみきりにー♪」 俺「天体観測かぁ。俺がけいおん部だったころコピーしたんだぜコレ」 律「ホントに?バンプ世代じゃないかと思ってた!」 俺「ばか、思いっきり世代だっての。りっちゃんはコピーとかしないの?」 律「今は個人的にしかやらないな。バンドは基本的にオリジナルだから」 俺「高校生でオリジナルなんて、羨ましいな」 律「それがねー、あ、いらっしゃいませ♪って、唯じゃん!」 唯「あー、りっちゃんだー!」 律「声がでかーい!私は仕事中だぞ」 唯「えへへ、ごめーん。それにしてもりっちゃんコンビニで働いてたんだねー」 律「そうだぞー、りっちゃん店員と呼びなさい」エヘン 唯「了解ですりっちゃん店員!」 律「で、何を買いに来たの?」 唯「えへへー、実はね……あれ?」 律「どうした?」 唯「ほら、いまお店に夏祭り流れてるでしょ?ホワイトベリーの。それ聞いてたら忘れちゃった」テヘッ 律「な、なにしに来たんだよッ!」 唯「あはははー、ごめんね。思い出したらまた来るねー」 律「相変わらずだなぁー。またおいでー」 俺「…いまのがギターの子?」 律「そうそう。ご覧の通り、天然記念物すぎてスコア覚えられないんだよ」 俺「コピーができない理由がなんとなく分かったような気がする…」 律「さぁさぁ、仕事だ仕事!いらっしゃいませー♪」 俺「お、おう。いらっしゃいませッ!」 実際の店の有線からネタをもらった りっちゃんたちもバンプとかの世代なんじゃないかなって HTTがコピーをやってるイメージがなかったからこんなオチを付けてみた 中味の薄い即興モノですまない 出展 【けいおん!】田井中律は向日葵可愛い59【ドラム】 このSSの感想をどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/chisato_ojosama/pages/149.html
前へ 「あはっ冗談だよ。噛まない噛まない。それより、・・・えりかちゃん、舞知ってるんだ。」 舞ちゃんは耳元でゴショゴショと内緒話を始めた。 「えっ?いだだだ・・・な、なにを知ってるって?ちょ、ちょっと舞美痛い!」 「だから、えりかちゃんは千聖にもっといろいろしてたの知ってるよ。なっきぃは千聖たちのベッドの真下だったけど、舞は隣だったからね。見ちゃった。」 げっ! 「そんな顔しないでよ。なっきぃには言ってないから。・・・でもびっくしりた。あんなとこ、触るんだ。千聖エッチな声出してたね。」 「ま、舞ちゃん!」 「ああいうのを、イクっていうの?お姉ちゃんの買ってる雑誌に書いてあったけど」 舞ちゃんは淡々と喋りながらも、表情に怒りがにじみ出てきている。私の耳を掴む手も万力みたいに力がこもり始めた。 「・・・・舞が、千聖より年上だったらえりかちゃんより先にイクをやってあげたのに。えりかちゃんなんて、別に千聖のこと好きなわけじゃないのに。」 「そう!それだよえりかちゃん!」 突然、なっきぃが口を挟んできた。 「えりかちゃんは、千聖のこと好きでもないのにあんなことして。そんなの、不真面目でチャラチャラした男とかと一緒じゃん!」 「え?えりはちっさーのこと嫌いなの?嘘だー」 「みぃたんはお口ミッフィー!・・・あんなの、普通じゃないよえりかちゃん。今はえりかちゃんだけだからいいけど、もし千聖が誰とでもああいうことするようになったらどうするの?えりかちゃん、責任取れるの?」 いたたたた!なっきぃの細くて白い指が胸に食い込む。 「じゃ、じゃあもし、ウチが千聖を好きだったら?それなら問題ないの?」 私が放った言葉に、なっきぃは目を見開いて硬直した。 「えりこちゃん・・・何言ってるの」 「遊びじゃなかったら、ウチが本気なら認めてくれる?」 ・・・・私、何言ってるんだ。 無意識に口から出た言葉は、なっきぃだけじゃなく私自身も狼狽させるものだった。 千聖とこういうことするようになった一番最初の動機は、完全に悪ふざけと好奇心だった。 一緒に温泉に入って、照れて震えるお嬢様にエッチな刺激を与えた。それが始まり。 私たちの行為はどんどんエスカレートしていった。 事務所の空き部屋。 ツアーで泊まるホテル。 テレビ局のトイレ。 いろんなところで、誰にもみつからないように声を殺して千聖に触れた。 私から誘ったことは、最初の1度しかない。でも、無言で寄り添ってくる千聖を拒んだことは1度もない。そんなことは考えたこともなかった。 「えりかちゃん・・・本気で言ってるの?答えて。」 動揺して黙り込んだなっきぃに変わって、今度は舞ちゃんの真剣なまなざしと視線がぶつかった。 「ごめん、まだわかんない。例えば、って言ったでしょ。」 「えりかちゃん、わからないならそんなこと簡単に言わないで。・・・・舞は、本気なんだよ。」 「ごめん・・・」 私の心は、依然千聖への「好き」の意味を測りかねて揺れていた。 “えりかちゃんは、ちっさーが相手じゃなきゃエッチはしないと思うの。” カレー作りの時の栞菜の言葉を思い出す。 確かに、それはそうだ。 私はスキンシップが好きだから、しょっちゅうふざけてメンバーの体に触る。でも、それはその場かぎりのおふざけ。 千聖にするように、裸を抱いたりはできない。ありえない、そんなの。 「まあまあ、今日はこの辺で勘弁してあげようよ、なっきぃ。さ、部屋戻ってシャワー浴びよう!」 何が何だかわからない風だけど、この重たい雰囲気は変えたいと思ったのだろう、舞美が妙に明るい声を出した。 「・・うん」 最初の元気はどこへやら、なっきぃはうなだれてしまっていた。 「・・・えりこちゃん。」 それでも言うべきことははっきりさせたいとばかりに、もう一度私の目を見つめる。 「さっきの質問だけど・・・私はまだあんまり恋愛とかちゃんとわかってないから、えりこちゃんが千聖を好きならいいのか・・・っていうの、今は答えられない。 でもね、私は千聖のこともえりこちゃんのことも本当に大好きなの。だから、2人が変な方向に行ってほしくないの。それはわかって。」 「うん、わかった。ありがとう」 なっきぃは私の答えを聞くと、一度だけ目元をぐいっとぬぐってにっこり笑った。 「私もえりが好きだよ!えりは私と違ってしっかりしてるから、大丈夫だよ。私信じてるよ、えりのこと。何だかよくわかんないけど。じゃあね!」 最後まで意味もわからず参加していた舞美は、なっきぃの肩を抱いて出て行った。 「私も戻るね。・・・さっきは言いすぎてごめんなさい。 えりかちゃんの千聖への気持ちがはっきりしたら、私には言ってね。好きなら、ライバルになるから。敵じゃないよ、ライバル。」 それだけ言うとすぐに、舞ちゃんもコテージを出ていった。 一人取り残された私は、ヒリヒリ痛む腰をさすりながら、荒れ果てたベッドや濡れたままの床の掃除を始めた。 ――コン、コン 「えりかさん、いらっしゃいますか?あの、千聖です。入ってもいいですか。」 その時、控えめなノックとともに、鈴のような可憐な声が聞こえた。 私は返事をする前に、鍵を開けてドアを全開にした。薄い水色のナイトドレスを着た、儚い姿の美少女が立っている。 千聖が何か言い出す前に、私はその小さくて柔らかい体を抱きしめた。 「えりかさん、私言わなければいけないことがあって。」 「うん。」 背中に回された手が心なしか震えている。私は玄関を閉めて、2人きりの空間を作った。 「わ・・・私、あの、私・・・」 千聖はうつむいたまま、長いまつげの下の瞳をひどく揺らしていた。 「大丈夫、何でも言って?」 「ありがとうございます。私、」 ためらいがちに開かれた一度唇をキュッと噛み締めると、千聖は顔を上げてまっすぐに私を見た。 「私は、えりかさんのことが好きです」 ・・・ああ 私は目を閉じた。大きなため息が、口からこぼれ落ちた。 驚きはなかった。どこかで千聖の気持ちを感じ取っていたのかもしれない。そして、自分が答えるべき言葉も・・・ 「ありがとう、千聖。ウチも、千聖のこと大好き。だから」 千聖の顔に、明るい色が灯る。胸が痛い。私は言葉をつないだ。 「だから、もう終わりにしよう、千聖。」 次へ TOP