約 19,118 件
https://w.atwiki.jp/jojobr3rd/pages/466.html
地上に出ると月が出ていた。あたりは明るい。川越にDIOの館がひっそりとその姿を晒している。 月光が二人の頭上から影を伸ばしている。道行く民家の窓に二人の姿が反射し、ぼんやりと影が揺らぐ。 ディエゴは鼻先を頭上に向けると、湿った空気を嗅ぎ取った。腹一杯に空気を吸い込むと、満足気に首を回した。視線を下げれば向かいの窓にジョニィが映っている。その指先は、逸れることなくディエゴの後頭部を指差していた。 「いつまでそうしてるつもりだ。人のことを指差してはいけません、ってママに習わなかったのかい、ジョニィ?」 地下にいた時からずっとそうだった。ディエゴが遺体の気配を探ろうとするたびに、鼻を鳴らしてあたりの匂いを嗅ぐたびに―――ジョニィは滑らかな動きでディエゴの後頭部に狙いをつけた。 その動きには焦りがなく、手馴れた様子だった。断固たる決意を感じさせず、まるで当たり前のように殺意を抱くジョニィにディエゴは内心ゾッとしていた。 窓に映ったジョニィがディエゴを見返す。ディエゴがずれたヘルメットの位置を調整しようと手を挙げると、ジョニィは無言のまま一歩下がり、狙いを付け直した。 居心地の悪い間が二人のあいだを漂う。行く宛をなくした腕を振り下ろし、体の両脇でブラブラと遊ばせる。しばらく経ってから鏡張りの世界でディエゴが歯をむき出しに笑った。鋭い歯が何本も覗いていた。 「おっと、君の場合はパパに、だったか。ジョースター家はなんだって大切なことをパパから学ぶんだ」 「気づいていないと思うけど、君の獣臭い息がここらに充満しているんだ。大口叩いてないでさっさと目的地に向かったらどうだ」 窓に映ったディエゴがゆっくりと目を細めた。それを合図にジョニィは浅く息を吸い、そして止めた。二人はしばらくのあいだ黙りこくった。随分と長い間そうしていたが、どちらも動かなかった。 やがてディエゴは目をそらし、一本奥まった脇道に向かって歩きだす。5メートルほど間隔をあけてジョニィはあとに続いた。 沈黙のまま、二人は黙々と歩き続けた。家と家のあいだを歩いた。橋を渡った。何度か立ち止まり、気配を探り―――そしてまた歩き出す。 ディエゴはどこに向かっているか、一向に教えなかった。ジョニィも聞かなかった。 ほとんど会話を交わさず、黙々と二人は進んだ。雲が月を覆って辺りがほんのりと暗く染まった。DIOの館にたどり着いた頃には影がほんの少し伸び、砂埃とかすかな血の匂いが風に乗ってあたりを覆っていた。 DIOの館を前に二人は並んだ。ジョニィは頑として先に扉に手をかけようとせず、仕方なしにディエゴが扉を開いた。 「ようこそ、我が館へ」 ディエゴが小さく茶化したが、ジョニィは何も言わなかった。扉を開いた途端、玄関ホールに一人の男が立っていた。 「ようこそ、ルーシー・スティールの館へ。歓迎するぜ、ジョニィ・ジョースター、ディエゴ・ブランドー」 ボルサリーノ帽子を被った、いかにも、といった感じのギャング風の男がいた。 鼻にかかったその声は、生理的に二人に嫌悪感を抱かせた。芝居ががった態度が不愉快だった。落ち着きのない目線が猜疑心をかきたてた。 警戒を顕にするディエゴに対し、ジョニィは数巡の後、その脇をすり抜けるように一歩進んだ。ディエゴを追い越すときにジョニィがそっと呟いた。 「奪われる星の下に生まれてるんだな、君ってやつは」 ムーロロのあとをついて、ジョニィが階段を上っていく。ディエゴはしばらくの間、そこに佇んでいたが、やがて首を振りながら歩きだした。 ◆ 二階の天井の高い角部屋に、ジョニィたちは案内された。 入口から向かって正面と左側の二箇所に、縦長の窓がそれぞれひとつずつあった。正面の窓のすぐ前にはこちらを向くように書き物机が置かれている。その両脇にはおよそ二メートルの高さの本棚が並んでいる。 左手には来客用に机と椅子が四脚が用意されていて、反対側には部屋主がくつろぐようにソファセットがある。 全体として高級感が漂っている空間だった。その空間の真ん中にルーシーがいた。 そよ風が向かいの窓からカーテンを中に引き入れ、ジョニィとディエゴの頬を撫でながら部屋を抜けていく。 その風に煽られて、ルーシーのワンピースの裾がめくれた。傷つきやすい脚と異様な膨らみのお腹が際立った。 ルーシーがなにか小さく呟いたが、風の音に遮られ二人には何も聞こえなかった。 ジョニィはさっと部屋に入ると壁伝いで左に逸れ、ディエゴから距離をとった。ムーロロはルーシーの近くに寄り添い立っている。ディエゴは入口に立ったまま、警戒心の高い猟犬のように部屋全体を眺めた。その指先がピクピクと震えた。 「ほんの少し目を離したすきに素敵なお友達ができたようだな、ルーシー・スティール」 ディエゴはルーシーの足元にうずくまるセッコ、ソファに座って俯く琢馬、そして傍に立つムーロロを順に眺め、そう言った。 「身篭ったガキと寝るってのはどんな気持ちなんだ、お前たち。さぞかしルーシーは『お上手』なんだろうな」 ディエゴがテーブルについた。誰も動かないのを見て、驚いたような表情をディエゴは浮かべた。 ジョニィに向かって両手を挙げ、肩をすくめる。悪人の俺が席につこうって言うんだ、なぜお前は座らない? そう言いたげな白々しい表情だった。 ジョニィはしばらくそのまま動かずにいたが、ゆっくりとディエゴの正面の席に座った。 机は蹴飛ばすには大きすぎる。椅子から立ち上がり跨ぐならば、一瞬ではあるが隙はできる。スケアリー・モンスターズの間合いではあるが、ジョニィに最初の一発を外すつもりはなかった。ルーシーにつきまとう三人が未知数である今、交渉―――もしそれが本当に交渉ならば―――するのもやぶさかではなかった。 「椅子が足りねェみたいだが」 ムーロロはルーシーのために椅子を引き、その向かいに腰掛けた。ディエゴから順に右回りにルーシー、ジョニィ、ムーロロ。これで四人が席に着いた。 「残りの二人に席に着くだけの度胸とオツムがあればな。おしゃべりがお望みなら他所でやってくれ、ボルサリーノ」 「決めるのはお前じゃねェ、ディエゴ・ブランドー。主催者はルーシーだ。お前は招かれた客に過ぎないんだぞ。 それに俺はボルサリーノじゃない。ムーロロだ。カンノーロ・ムーロロだ」 「気が向いたら覚えておいてやるよ、ボルサリーノ」 ムーロロがポケットからこれ見ようがしに拳銃を取り出し、机の上においた。ディエゴはそれを見てせせら笑った。 今更拳銃ぐらいで誰も驚かなかった。ルーシーは夢見がちな瞳で机についた三人の顔を見渡した。ジョニィも黙ったまま二人のやり取りを見つめた。 「カードでもやりながら話をしようや」 ムーロロがそれぞれにトランプを配り始めた。誰も手をつけないので三枚ほど配ったあたりでムーロロはその手を止めた。 「面白みのないやつら」 そうもごもごとムーロロは呟いた。 「これじゃあ掛金の上乗せもできやしねェ」 「図に乗るなよ、チンピラ。お前が一番この中で格下なんだ。どなたの遺体かもわからないくせにでかい面叩くな」 「……本当にそう思うのか? マジで、そう思っているのか―――ディエゴ?」 『遺体』の言葉を合図に部屋中の音が止まった。ムーロロは残された少ないトランプを手の中で弄ぶ。視線はディエゴを捉えたまま離さない。ディエゴもムーロロを見下ろしたまま、微動だにしない。 ルーシーの足元でセッコがよく懐いた飼い猫のようにうずくまっている。砂糖菓子をかじる音が四人の間にふらふらと流れた。 ディエゴは肘をテーブルに載せ、前のめりになった。右隣に座ったルーシーに顔を寄せながら囁く。 「なぜ逃げなかった」 「おい、話は終わってねェぞ、ディエゴ―――……」 ムーロロの言葉は遮られた。 「俺はお前に聞いているんだぞ、ルーシー・スティール。俺の配下の恐竜を始末した時点で―――例え匂いで追われることは確実だとしてもだ―――距離をとって振り切ることはできたはずだ。 俺はジョニィと一緒にここまでやってきた。そしてこのボルサリーノは館に入った時点で俺たちの名前を呼んだ。 スタンドか、遺体の力か、支給品の何かか―――それはわからない。だが俺たちの動きを何かしらで把握していたのは確かなはずだ。 ならなぜ逃げなかった?」 この賭けに勝算があるっていうのか―――ディエゴの最後の言葉は寸前で飲み込まれた。ディエゴが言い切る前にルーシーが顔を覆って机に突っ伏し、そして体を震わし始めたから。 嘲りと同情が三人の男たちの間で行き交ったが、それもほんのわずかな時間だった。 ルーシーが右手を鋭く突き出したと同時にディエゴの左目が鋭く痛んだ。そしてジョニィとムーロロはディエゴの顔から『左目』が浮かび出るのを見た。 「この通りよ、ジョニィ。コイツは遺体を所有している。ここまであなたにバレないようにしていたみたいだけど」 ディエゴは反射的に左手を挙げかけたが、そのまま諦めたように、机の上に腕をおろした。ルーシーが手を引っ込めるとディエゴの左目も元の場所へと収まった。 ルーシーが手を開くと、間の抜けた音を立てながら右目の眼球が机の上に転がった。三人の視線がそれを追った。 ジョニィだけが別のものを見ていた。正面に座ったディエゴの左目を真っ直ぐに見つめていた。机の下でピクリ、とジョニィの指先が動いたことに、誰も気づかなかった。 「獣相手に言葉が通じるとは思えなかった。遺体を人質に取られることが私にとっての最悪だった。 でもこうすれば、アナタはテーブルに付かざるを得ない。そうじゃないかしら、ディオ?」 「小賢しいじゃないか。博打に勝ったっていうわけだ」 「いいえ、まだ始まったに過ぎないわ。あなたをテーブルにつかせることに成功しただけ」 「えらく謙虚なんだな。1、2、3、4……5対1じゃさすがの俺も苦戦するぜ?」 「……本当にそうかしら」 ルーシーは自分を除く『4人』を見渡した。 正面に座ったムーロロは椅子の背に体重をかけ、二本足でバランスをとって体を揺すっている。目深く帽子を被って、視線の行先はわからない。 セッコは砂糖菓子に夢中、琢馬はディエゴが部屋に入ってから全くと言っていいほど動いていない。現状に興味が一切もてないようだった。向かいの壁を漫然と眺め続け、それに飽きたら自分の手をじっと睨みつけることを繰り返している。 「本当に」 そして、ジョニィ。ルーシーは右に座った青年の顔を横目で眺めた。 呼吸をしているかどうかもわからないほどに、ジョニィは穏やかに見えた。体中の力が一切感じられない。だが眼光だけが、飛び抜けて鋭い。 こわばった目が一つ一つを見透かすように注がれている。机の上に置かれた右眼球に。ディエゴの持つ左眼球に。そしてルーシーの膨らんだ腹部、遺体の頭部に。 ジョニィ、あなたを本当に信頼していいの? ルーシーはそれを問いかけられない。 自分が夫を失ったように、ジョニィも唯一無二の親友を失った。しかし同じ悲しみが一切ジョニィからは感じ取れなかった。それがルーシーをためらわせる。 テーブルのナプキンを握るものはまだ誰でもなかった。四人の腹の探り合いは続く。ムーロロが姿勢を正すとゆっくりと机の上の右眼球に手を伸ばした。 ムーロロはディエゴとジョニィに目配せを送る。別に盗もうってわけじゃない。ただ今からちょっとした手品をお見せしよう。 上品で丁寧な態度でムーロロの手が眼球に触れかけた。眼球はムーロロの手が触れる前からズズズ……と音を立ててムーロロ自身の手の方へ引っ張られていった。まるで何かに引かれ合うかのように。 「どこだ」 ムーロロが手を引っ込めると、眼球は勢いをなくした。眼球が心細げに動くのをやめるのを見て、ディエゴがムーロロに訪ねた。 「どこの部位だ」 「それを知ってどうなる。それに俺が教えるとでも?」 「だがお前はそれがどなたの遺体かもわかっていない」 「いいえ、彼は知っているわ」 ルーシーが二人の間に割って入った。ムーロロは批難するような目で向かいのルーシーを見つめたが、彼女はそれを無視した。 「あなたとジョニィの来訪を教えてくれたのも彼。私が数時間気絶している間に何が起きたかを曖昧ながらも教えてくれたのも彼」 ルーシーにとって何より優先しなければならないのは自身の安全だった。 交渉が暗礁に乗り上げれば、ディエゴは文字通り牙を向くことになりかねない。 ディエゴを飽きさせてはならない。ディエゴを餓えさせてはならない。進展を印象づけるためにルーシーはムーロロの一部を売り渡した。 「彼の情報網はホンモノよ。路地裏の排水管の数まで彼は知ってるの」 「女は信頼ならないな、ボルサリーノ。あしながおじさんは骨折り損だ」 「見返りが凶暴な恐竜野郎だったとは―――割に合わねぇよ、ほんと」 ムーロロがぼやいた。向かいから送られた恨みがましい目線にルーシーは顔を伏せる。結局のところ、今のルーシーに許されたことは見極めることだけだ。 遺体に相応しいのは誰か。机に座ったのはディエゴ、ムーロロ、ジョニィの三人だけだった。 三人の中に白馬の騎士はいなくとも、遺体が揃うまでは安全を保証してくれるパトロンがルーシーには必要だった。 なにせカーズが遺体の一部を所持しているのだ。自体は一刻を争うことになっている。 「そうなるとジョニィ、お前がこの場で一番貧乏神だ」 ディエゴの言葉に全員の視線がジョニィに向く。 遺体に関する情報のアドバンテージはこのテーブル上には存在しなかった。そうなれば残すは誰が、いくつ、遺体を所持しているかだ。 ディエゴはさりげなさを装って眼球をジョニィの方向へ誘導した。眼球の勢いは止まり、ルーシーとムーロロのちょうど間で勢いをなくす。 ジョニィは遺体を所持していない。ディエゴとムーロロはその事実を同時に確信した。 「俺は馬車馬のごとく働いた。ボルサリーノは王女様の護衛兵。王女様は玉座に座ってふんぞり返るのが仕事ってもんだ。 お前は一体何を持っている? 空手でノコノコ賭博場にやって来る田舎者でもないだろう。財布の中身を見せてもらわなきゃカウンターには座れないぜ」 「机につくのに参加料を取られるって話は聞いてない」 初めてジョニィが口を開いた。そして―――おもむろに眼球に手を伸ばした。 ムーロロは素早く拳銃を手にとると、銃口の先をジョニィに向けた。ジョニィの動きが止まった。 「図に乗るなよ、ジョニィ・ジョースター……! 5対1だとディエゴは言ったが、それはお前にとっても当てはまるんだぜ」 眼球までの距離は数センチ。眼球は動いていない。もしもムーロロが止めなければ、ジョニィはそのまま眼球を自分のものにしていただろう。 ディエゴは尻を浮かし、机の上に覆いかぶさった姿勢で動かない。対面のジョニィから目が離せない。 ディエゴの毛が逆立ち、尾てい骨のあたりが妖しく蠢いた。恐竜化の前触れだ。その鼻は戦いの匂いを嗅ぎつけていた。 ジョニィの眼が燃えた。真っ黒な目で対面のディエゴを眺め、そしてその視線をルーシーに向けた。 ルーシーは怯えた。セッコは砂糖菓子をかじるのをやめ、琢馬がうつむいていた顔を上げた。部屋は膨張するのをやめ、一気に収縮していく。 ジョニィを中心に空間が渦巻く。ジョニィが数センチ、その手を動かせば弾丸と牙が部屋を切り裂くのは明らかだった。 風がカーテンを揺らした。ジョニィは体を起こすとその指先をそのまま口元に持っていった。 「しーっ…………」 沈黙を促す。机についた三人が耳を澄ますと、扉をひっかくような音が聞こえた気がした。 数秒もしないうちに、それは耳障りな回転の音に変わった。止まることのない永遠を思わす音。音は這い上がるように動き、表に飛び出た。 それは明らかな意図を持った音だった。発生源はルーシーの足元から、そして腹部へ移り……遺体の頭部を宿すその場所へ。 「こ、これはッ!?」 「――――――『タスク act2』」 ルーシーの腹部に大きな弾痕がうごめいているのをディエゴは見た。ジョニィは座った目で、三人の顔を見渡した。 「貴様、ジョニィィィィイイ―――!? 何を考えてやがるッ―――!?」 「7秒以内に机から離れて壁に手をつけろ。今更僕を殺したところで回転は止まらない。回転を操れるのは僕だけだ。二人共従ってもらう」 椅子を蹴飛ばす音と悲鳴が響いた。ムーロロがジョニィのこめかみに銃口を突きつけ、喚いた。ジョニィは動じなかった。 ジョニィは椅子に座ったまま、ディエゴから目を離さない。両手は机に乗ったまま、ディエゴの方へ綺麗に向けられている。 ルーシーの混乱もムーロロの怒りも二人には届かない。男たちは互いに見つめ合う。ディエゴは口の端を歪ませ、吐き捨てた。 「いいのか? 遺体を諦めてお前とルーシーをこの場で八つ裂きにすることもできるんだぜ」 「本当にそう思っているのならお前は既にそれを実行しているだろう。ハッタリは効かない。それに僕が大人しくやられるとでも?」 ジョニィの目は燃えている。変わらず、黒く燃え盛る。ディエゴは苦々しい表情を浮かべ立ち上がると、時間いっぱい使い切って、壁際まで下がった。 両手は壁につけず、視線はジョニィに向けられたままだった。妥協ラインは引かれた。そしてジョニィはそれをのむ。 ディエゴが動いたのにならい、ムーロロも同じく距離をとっていた。二人が下がりきったのを合図に弾痕がルーシーの椅子の背に移動した。 途端、木片が飛び散るには大きすぎる音が聞こえた。いともたやすく椅子そのものが木っ端微塵になってしまっていた。 ルーシーがそのままバランスを失い、倒れかけた。ジョニィはさっと手を伸ばすと彼女を受け止めようとした。 が、セッコが既にルーシーを抱きかかえていた。この騒動の間もセッコは砂糖菓子に夢中だった。それは琢馬も同じことだった。 一度だけ立ち上がったが、何も起きなかったことを確認すると、またソファに座り面白くもない壁面を見つめ直す作業に戻っていた。 ルーシーはセッコに小さくありがとうと囁くと、ポケットからいつもより大きめの砂糖菓子を取り出した。そして喜ぶセッコにそれを手渡しながら、付け加えるように言う。 「セッコ、新しい砂糖菓子があるんだけど……欲しい?」 少し離れたところにあるの―――そうルーシーが言うのを待たずセッコは頷き、彼女の指示を待っていた。 ディエゴとムーロロの顔に嫌悪感が浮かぶ。傍に立つジョニィですら、不気味な様子に顔をしかめた。 しかし背に腹は変えられない。ルーシーが合図を出すとセッコは館の地面に沈み、どこかへと向かう。ジョニィとルーシーはふたり揃って窓際まで後退した。 油断なく指先が向けられたままだった。最後の最後までジョニィはディエゴを睨み、ディエゴはジョニィを皮肉げに見返した。 二人の体が窓枠から外へ雪崩打つ。ディエゴが窓際までいって覗き込めば、二人を器用に抱えたセッコが背泳ぎをしながら館から離れていくのが見えた。 ◆ バシン! 小気味良い、乾いた音が夜空に届いた。ジョニィは早くも赤く腫れ始めた頬を抑えるとルーシーを見た。怒りに燃えたルーシーの瞳が真っ直ぐに見つめ返している。 「……弁解する気はない。あの状況で君を安全に連れ去るにはこうするしかなかった」 「土手っ腹に穴をあけられた状況で、あなたは同じことを言えるかしら」 「僕自身、ムーロロに銃を突きつけられていたんだ。何よりディオがその気になったなら間違いなく僕がやられていた」 「だから公平、ここは一つ僕の顔に免じて許してよ―――そう言う気?」 ルーシーはジョニィに背を向け、体の前で腕を組んだ。ジョニィはここに来て初めて戸惑った表情を浮かべた。 たとえ最強のスタンドを持っていようと、聖人の遺体を持っていようと、ディエゴ相手に一歩も動じない肝っ玉を持った男であろうと―――女の子の喜ばせ方は自身で学ばなければいけない。 たとえ相手が人妻で、妊娠者で、年下の気難しい小娘だとしてもだ。どんな困難な状況でも女の子の機嫌を取らなければならない時が男にはある。 ジョニィはルーシーの背中から視線をそらすと、顔を伏せ、思い直したように前を向いた。耳たぶに軽く触れながら、ぼそぼそと言う。 「君には覚悟があるように感じた。もし僕が君を過大評価しているなら謝る」 「……謝る必要はないわ。でも私も謝らないわ、ジョニィ」 月が伸ばしたルーシーの影を見つめ、ジョニィはため息を吐いた。相変わらずルーシーはこちらを向かない。少し離れたところから、四つの砂糖菓子相手にはしゃぐセッコの声が聞こえてきた。 ため息を合図にルーシーがこちらに首だけを回し視線を送る。ジョニィはためらいながら彼女に近づいた。ルーシーは離れなかった。 すぐ脇に立つと、同じ方向を向いたまま話を続けた。視線の先には穏やかに川が流れ、その水面に月が反射して写っていた。 「南に向かいたいと思う。信用できる連中がいるんだ」 「……遺体を揃えるのが先だと思うけど」 首をかすかに振り、ジョニィは言う。 「信頼できるだけじゃない。ルーシー、確かに遺体は『最後には』僕『ら』が手に入れる。だが『この』遺体はあの方のものであって、あの方のものじゃないんだ」 「……話がよく見えないわ」 ルーシーは眉をひそめ、苛立ち気に言った。ジョニィは一度呼吸を挟むとディエゴの言葉を思い出しながら『この遺体』に対する違和感を説明する。 なぜヴァレンタインは遺体の部位を集めきり、そしてもう一度それをバラバラにして支給品にしたのか。 なぜこのタイミングでスティールを始末したのか(なぜもっと早く始末しなかった?)。 そもそもなぜスティールを司会進行に据えたのか。なぜルーシー・スティールが参加者に選ばれたのか。 「ディオが言うことはもっともね。それがどうアナタが言った『信頼できる連中』につながるのかしら」 話の途中、ルーシーは右腕を乱暴に振ってジョニィの言葉を遮った。 ディエゴやムーロロがあとを追ってくる可能性もある。難しい話は移動しながらでも、目的地についたあとにしてもいい。要点が聞きたかった。 ジョニィは顔に手をやると、先の混乱でどさくさに紛れて手に入れた右の眼球を取り出した。ルーシーは顔をしかめ、かばうようにお腹をさする。 二人を中心にうずが沸き起こる。水面に波紋が浮かび上がり、ザザザ……と音を立てて波が立ち上がった。 セッコは顔を上げると、耳をぴくぴくと震わせて空気の震えを感じ取った。二つの遺体と強い意志に呼応するように、辺りに大きな図形が浮かび上がる。 それは大規模な地図だった。この殺し合いの全体像を表した、これまでで最も大きな地図が地面に浮かび上がった。 うっすらと出来上がった地図を見下ろした時、ルーシーの目が細められた。 遺体は次の遺体を指し示す、そういう話は聞いたことがあった。であるならば―――この遺体が『あのお方』のものであれば―――少なくとも7つの星が浮かび上がるはずだった。 だが、地面に咲いた星の数は―――5つと1つ。 「ずっと心の中に引っかかっていたことなんだ。あとは確信が必要だった。上乗せする1%のための確信が……」 ジョニイは自分たちがいあるあたりに咲いた1つの星をさし、南西に固まったいくつかの星を指した。 咄嗟に天を仰いだルーシーに釣られ、ジョニィも空を見上げた。そこには何も言わない星屑たちが彼らを見下ろしている。 「全てはジョースターだ。この遺体の中心にはジョースターがいる……ッ!」 地面は蠢く。セッコが囁く。地図はまだ決まっていない。 砂糖菓子にかじりつくセッコの歯が、普段より鋭く、長くなっていたことには誰も気がつかなかった。 ◆ 「やられたよ、完全に出し抜かれた」 「その割には上機嫌そうだが」 窓から身を乗り出していたディエゴは体を引っ込ませるとクスクス笑いながら、テーブルに戻り、ムーロロの真正面に座った。 「スティールが死んだいま、ルーシーの株は大暴落だ。カードとしては使えない上、女一人抱えて移動したり戦ったりするのは煩わしい。 どちらにしろアイツが遺体を孕んでる以上、誰にも手出しはできないんだ。ジョニィがわざわざ子守役を引き受けてくれたと考えれば別段問題でもない。 それに……」 しゃべりすぎたと思ったのか、ディエゴはそこで突然口を閉じた。 ムーロロが先を促すように顎を振ったが、ディエゴは怪しげに微笑むだけだった。 キザな野郎だ、とムーロロは毒づいたが結果は変わらなかった。ディエゴは面白がって余計クスクス笑いを悪化させた。 張り切ったゴムがちぎれたような、だらしない空気があたりをさまよっている。いつの間にか琢馬も姿を消していた。二人ともそんなこと、と意に介さなかった。 ムーロロは机に散らばったカードを丁寧に集めなおすと、縦にカードを切り始めた。 なかなかの枚数をまとめているのもかかわらず、不思議と紙同士が擦れる音は聞こえなかった。 うまいものだな、とディエゴが褒めるとムーロロは小さく頷いた。テーブルで輪っか上に広げ、端の一枚を指で弾いた。ドミノ倒しのように一枚が起き上がる衝撃で隣が立ちあがり、最後には全部が支え合うように机の上で立ち上がった。 ディエゴは感心した。ムーロロはカードをもう一度集め、混ぜ合わせ始めた。癖のようだった。 「ジョニィたちは南に動いてるぜ。スピードはそこまで早くない。お前の脚ならすぐにでも追いつけるだろう」 カード遊びを続けながらムーロロが言った。ディエゴはムーロロの手元に視線を向けたまま、答える。 「オイオイオイオイ……俺は別に情報が欲しいわけじゃあない(あったら嬉しいのは事実だが)」 「腹を空かせた狼に別の獲物を差し出したところで、食べられてしまうことに変わりはないってわけか。だけど俺だって大人しく食われるつもりはないぜ」 先と同じようにカードを輪っか上に広げる。ムーロロの指先がカードを弾くと「イテッ!」とキンキン声が聞こえた。 ディエゴの目の前でカードたちから手と足が生え、今度は本当にそれぞれの足で『立ち上がり』はじめた。 ディエゴは汚いものに触れかけたように机から体をめいっぱい離した。両方の親指が神経質そうに、手のひらを柔らかく引っ掻いている。 「『スタンド』だったのか」 「自衛の手段だ。あの状況で襲われたらひとたまりもないんでね」 「キモが座ってるじゃないか」 カードたちが歓声を上げ、踊りながら机の上でに広がる。それまでのお喋りが嘘のように、二人は突然黙り込んだ。互いの目から視線が逸らせなくなった。 館のどこかを彷徨う琢馬の気配がする。それが二人の間をふらふらと漂い、妨げている。 机の上でカードたちがそろりと動き、隊列を組んだ。ディエゴの唇が徐々に大きく裂け、耳の下まで牙が伸びてきた。ムーロロは机の上に置かれたディエゴの手のひらに、キラリと輝くウロコがあるのを見つけた。 一度ちぎれたゴムがキリキリ……と音を立てるほどにまた、引き伸ばされる。 そして―――生暖かい風が二人の左手の窓から入った時―――二人はそのゴムをどちらも切るつもりがないことを、唐突に理解し合った。 ディエゴは共犯者にむける独特の笑みを浮かべた。ムーロロは真面目くさった顔でボルサリーノ帽子をかぶり直し、大きなあくびを一つした。 「なぁ、『ムーロロ』……」 「おう、『ディオ』」 「君とはいい友達になれそうだよ」 ムーロロの頭の片隅に、黄金に輝く流れ星がさっと走った。それも一瞬のことだった。顔を振ってその記憶を振り落とした。 「恐竜にされたらかなわねェ」 机越しにディエゴが差し出した手を、見下すとそう言った。良い気分がしないディエゴは手を引っ込めようとした。 それが引っ込むか、引っ込まないかのうちに、かわりにムーロロは一枚のカードを差し出した。 ディエゴはそのカードを手にとった。ムーロロを見つめたが、何も言わない目がディエゴを見返しているだけだった。 カードをひっくり返し、表を見る。ジョーカーだった。だがそこいたのはただのジョーカーではなく、体を苦しげに震わせているジョーカーだった。 ディエゴが見つめる先でジョーカーの姿がゆっくりと変わっていく。 ウロコが生え、爪が伸び、牙が顎を貫きかけるほどに尖っていった。やがてカードから突き出ていた四本の手足も変わり始めた。二本の足で支えていた体は今では前傾体制をとり、獲物を狙う肉食動物のような振る舞いをし始めた。 手のひらの上で踊る恐竜を見つめているうちにディエゴの中で笑いがこみ上げてきた。 最初は抑えていたが、そのうちどうしようもなく、ディエゴは大きな声で笑った。 ムーロロは何も言わず、机越しにディエゴを見つめた。冷めた目だったが、その奥には揺れる光が芽生えていた。 「窓のそばに控えている恐竜をさげてくれ。爬虫類は苦手なんでな」 ムーロロの言葉と一緒にカーテンが外へと流れ出た。少しづつではあるが風は強まっていたようだった。 【D-2 南東部 川辺/1日目 夜中】 【ジョニィ・ジョースター】 [スタンド] 『牙-タスク-』Act1 → Act2 → ??? [時間軸] SBR24巻 ネアポリス行きの船に乗船後 [状態] 右頬に腫れ [装備] ジャイロのベルトのバックル、遺体の右目 [道具] 基本支給品×2、リボルバー拳銃(6/6 予備弾薬残り18発) [思考・状況] 基本行動方針:ジャイロの無念を―― 1.ルーシーと共に行動。当面の目標はジョースター一族と合流すること。 2.遺体を集める [備考] ※Act3が使用可能かどうかは次の書き手さんにお任せします。 【ルーシー・スティール】 [時間軸] SBRレースゴール地点のトリニティ教会でディエゴを待っていたところ [状態] 処女懐胎 [装備] 遺体の頭部 [道具] 基本支給品、形見のエメラルド、大量多種の角砂糖と砂糖菓子 [思考・状況] 基本行動方針:?? 0.ディエゴから離れる 1.ジョニィと共に行動し、遺体を集める。身の安全を最優先。 [備考] ※遺体を通してトリッシュ・カーズに声をかけています。(カーズに対しては『あの方』を装っています) その他の遺体所有者を把握しているか、話しかけられるかは不明です。 【セッコ】 [スタンド] 『オアシス』 [時間軸] ローマでジョルノたちと戦う前 [状態] 健康、恐竜化(進行:極小) [装備] カメラ [道具] シュガー、エンポリオ、重ちー、ポコのしたい写真集 [思考・状況] 基本行動方針 ?? 0.角砂糖うめえ 1.DIOが死んでしまって残念 2.人間をたくさん喰いたい。何かを創ってみたい。とにかく色々試したい。新しい死体が欲しい。 3.吉良吉影をブッ殺す [備考] ※『食人』、『死骸によるオプジェの制作』という行為を覚え、喜びを感じました。 ※千帆の事は角砂糖をくれた良いヤツという認識です。ですがセッコなのですぐ忘れるかもしれません。 ※恐竜化はディエゴから距離をとっているため、進行は緩やかで、無意識です。遺体を譲渡されれば解除されるかも、しれません。 【C-3 DIOの館/一日目 夜中】 【ディエゴ・ブランドー】 [スタンド] 『スケアリー・モンスターズ』+? [時間軸] 大統領を追って線路に落ち真っ二つになった後 [状態] 健康、なかなかハイ [装備] 遺体の左目、地下地図、恐竜化した『オール・アロング・ウォッチタワー』一枚 [道具] 基本支給品×4(一食消費)鉈、ディオのマント、ジャイロの鉄球 ベアリングの弾、アメリカン・クラッカー×2、カイロ警察の拳銃(6/6) 、シュトロハイムの足を断ち切った斧 ランダム支給品11~27、全て確認済み (ディエゴ、ンドゥ―ル、ウェカピポ、ジョナサン、アダムス、ジョセフ、エリナ、承太郎、花京院、 犬好きの子供、仗助、徐倫、F・F、アナスイ、ブラックモア、織笠花恵) [思考・状況] 基本的思考:『基本世界』に帰り、得られるものは病気以外ならなんでも得る 1.ムーロロを利用して遺体を全て手に入れる。 [備考] ※DIOから部下についての情報を聞きました。ブラフォード、大統領の事は話していません。 ※教会地下に散乱していた支給品は全てディエゴが『奪い』ジョニィは自分の持っていた道具以外何も手にしていません。 ※ディエゴが本来ルーシーの監視に付けていた恐竜一匹が現在ディエゴの手元にいます。 【カンノーロ・ムーロロ】 [スタンド]:『オール・アロング・ウォッチタワー』(手元には半分のみ) [時間軸]:『恥知らずのパープルヘイズ』開始以前、第5部終了以降 [状態]:健康 [装備]:トランプセット、フロリダ州警察の拳銃(ベレッタ92D 弾数 15/15)、予備弾薬15発×2セット [道具]:基本支給品、ココ・ジャンボ、無数の紙、図画工作セット、川尻家のコーヒーメーカーセット、地下地図、遺体の脊椎、角砂糖、 不明支給品(2~10、全て確認済み、遺体はありません) [思考・状況] 基本行動方針:自分が有利になるよう動く 1.ディエゴを利用して遺体を揃えるた。ディエゴだってその気になればいつでも殺せる……のだろうか。 2.琢馬を手駒として引き留めておきたい? [備考] ※現在、亀の中に残っているカードはスペード、クラブのみの計26枚です。 会場内の探索はハートとダイヤのみで行っています。 それゆえに探索能力はこれまでの半分程に落ちています。 ※支給品二つの中身はフロリダ州警察の拳銃(ベレッタ92D 弾数 15/15)と予備弾薬15発×2セットでした。どちらも元はサンタナの支給品です。 【蓮見琢馬】 [スタンド]:『記憶を本に記録するスタンド能力』 [時間軸]:千帆の書いた小説を図書館で読んでいた途中 [状態]:健康、精神的動揺(大) [装備]:遺体の右手、自動拳銃、アヌビス神 [道具]:基本支給品×3(食料1、水ボトル半分消費)、双葉家の包丁、承太郎のタバコ(17/20)&ライター、SPWの杖、 不明支給品2~3(リサリサ1/照彦1or2:確認済み、遺体はありません) 救急用医療品、多量のメモ用紙、小説の原案メモ [思考・状況] 基本行動方針:他人に頼ることなく生き残る。 0.??? 1.自分の罪にどう向き合えばいいのかわからない。 [備考] ※参戦時期の関係上、琢馬のスタンドには未だ名前がありません。 ※琢馬はホール内で岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、虹村形兆、ウィルソン・フィリップスの顔を確認しました。 また、その他の名前を知らない周囲の人物の顔も全て記憶しているため、出会ったら思い出すと思われます。 また杜王町に滞在したことがある者や著名人ならば、直接接触したことが無くとも琢馬が知っている可能性はあります。 ※ミスタ、ミキタカから彼らの仲間の情報を聞き出しました。 ※スタンドに『銃で撃たれた記憶』が追加されました。右手の指が二本千切れかけ、大量に出血します。何かを持っていても確実に取り落とします。 琢馬自身の傷は遺体を取り込んだことにより完治しています。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 前話 登場キャラクター 次話 185 葛藤 ジョニィ・ジョースター 203 すれ違い 185 葛藤 ディエゴ・ブランドー 200 Rule Out 186 ブレイブ・ワン ルーシー・スティール 203 すれ違い 186 ブレイブ・ワン カンノーロ・ムーロロ 200 Rule Out 186 ブレイブ・ワン 蓮見琢馬 201 際会 186 ブレイブ・ワン セッコ 196 目覚めぬ者に夜明けは来ない
https://w.atwiki.jp/mnsmns/pages/33.html
登録タグ:グロ 危険度2 真実 メアリー・ヴィンとは、イギリスで8歳で殺害された女の子の名前である。検索するとメアリー・ヴィンの遺体画像がヒットする。流血などの要素は無く、とても綺麗な遺体画像となっているが、それでもキツい事には変わりないので注意が必要。 分類:グロ、真実 危険度:2
https://w.atwiki.jp/2ch-tanteidan/pages/142.html
http //www39.atwiki.jp/2ch-tanteidan/pages/58.html FRIDAY 4/9号 【福岡バラバラ殺人】悩みは交通事故だけではなかった。友人たちに打ち明けていた「社内恋愛」 捜査本部が追う「深夜、OL宅を訪れた男」 諸賀さんの両親は遺体がすべて見つかるまで通夜・葬儀はしないと言っていたという http //megalodon.jp/2010-0404-2309-25/www.nhk.or.jp/lnews/fukuoka/5013606842.html 能古島 遺体発見の女性告別式 - NHK福岡のニュース 葬儀は、すでに親族だけで済ませたということで、4日は告別式が福岡市南区の斎場で営まれ、親族や親しかった友人などおよそ550人が参列しました。 4月04日 19時06分 http //megalodon.jp/2010-0404-2245-57/www3.nhk.or.jp/news/html/20100404/t10013629701000.html 遺体の一部発見 女性の告別式 NHKニュース 4月4日 20時57分 葬儀はすでに親族だけで済ませたということで、4日は福岡市南区の斎場で告別式が営まれ、親族や親しかった友人などおよそ550人が参列しました。
https://w.atwiki.jp/trivia-mike/pages/1669.html
東京にある東京・目黒区にある公園 東急東横線の学芸大学駅ぬ南西に約300メートルの住宅街にぬ。 バラバラ死体 2016.6月23日10時半ごろ、池でバラバラに切断された遺体つか足が発見され大騒動になん。碑文谷公園は、その日からんから封鎖され、警視庁が残りの遺体の捜索と身元の特定。
https://w.atwiki.jp/akitafj/pages/9.html
畠山容疑者「首を絞めて殺した」…死体遺棄も1人で 秋田県藤里町、小学1年米山豪憲(ごうけん)君が殺害され、遺体が放置された事件で、死体遺棄容疑で逮捕された近所の無職畠山鈴香容疑者(33)が、能代署捜査本部の調べに対し、豪憲君の殺害について、「1人で首を絞めて殺しました」と詳細な供述を始めたことが6日、わかった。 遺体遺棄についても、「1人で車にのせて捨てた」と話しているという。 捜査本部は、殺人容疑での再逮捕を視野に供述の裏付けを進めている。畠山容疑者は、捜査本部の調べに、死体遺棄については全面的に認め、具体的な状況について供述している。 殺害についても関与を認める供述をしていたが、さらに、状況などについて詳しく語り始めた。遺体については、「殺害後、1人ですぐに自分の車にのせ、(遺棄現場の)草むらまで行き、捨てた」と話している。 (読売新聞) - 6月6日15時38分更新 関連トピックス: 秋田小1男児殺害事件 殺人事件 @wikiへ
https://w.atwiki.jp/prey/pages/81.html
コピープロテクション コピープロテクション 開始条件 ハルデン・グレイブスのオフィスを見つける ハイデン・グレイブスのオフィスに入る ニューロモッド製造図面のライセンスをリセットする 関連 開始条件 ニューロモッドをいくつか製造すると発生する。 これが発生する前にハイデンの端末を操作すると発生しなくなり、また事前にディビャの遺体を発見しているとセキュリティステーションのコードが手に入らなくなる。 ハルデン・グレイブスのオフィスを見つける ニューロモッド部からタロスIロビーに出るゲート前にディビャ・ナーツの遺体が落ちている。 近くに、メモ「メンテナンストンネルの地図」があり、オフィスまでの道とセキュリティステーションのコード・端末のパスワードが分かる。 ただし、事前に分子成形機で彼の遺体を発見していた場合、これは起こらない(らしい)。 この場合、セキュリティステーションにアクセスするにはハッキングが必須になってしまう。 ハイデン・グレイブスのオフィスに入る 地図に従いボランティア区画からオフィスに侵入する。 近くにはタレット2つを持ったテクノパスと汚染オペレーター3台がいる。 しっかりした装備で挑まないと厳しい。 ニューロモッド製造図面のライセンスをリセットする ハイデンの端末でリセット操作を行う。 関連 メインストーリー 勤務初日 脱出 眺めの良すぎるオフィス おぼろげな鏡の向こう ジャニュアリーと話す 回り道 音声収集 バックアップから復元する
https://w.atwiki.jp/jojotoho_row/pages/303.html
――Q.それでは次の質問ですけど、『スティール・ボール・ラン』レースとは一体どのような催しなんですか? 『まあ、簡単に言えば乗馬による大陸横断レースだ。 総距離約6,000km。世界中から集まった参加者は3,600人を超え、優勝賞金はなんと5,000万ドル(60億円)の超大規模な大会さ』 ――6,000km! 幻想郷の何十倍もの距離を馬のみで! あや~それは無謀というか、鴉天狗でさえ骨の折れる距離ですね~。 で、ジョニィさんはそのレースに出場してたわけですか。 『ああ。もっとも賞金が目当てではなく、半身不随だった脚を再び動かすための旅だったんだ。 僕が出会ったジャイロという男…彼に『回転』の秘密を教えてもらうため、レースの出場を決意した』 ――この名簿にもある『ジャイロ・ツェペリ』さんですか。 …でも、先ほど聞いた話によれば彼は既に…… 『死んでいる。僕の目の前でヴァレンタイン大統領と戦って死んだはずなんだ。 しかし名簿によれば彼は生きてこの会場に居るらしい。ならば僕はなんとしても彼に会って伝えたい言葉がある。 蓮子を救出したらジャイロを探しだし、あの主催者達を叩き潰すつもりだ』 ――大切な、御方なんですね。 …見たところジョニィさんは普通に歩けてるようですが、それもジャイロさんのおかげですか? 『勿論だ。かけがえのない彼の存在とツェペリ家の回転の技術……、まあこれは詳しくは教えられないけど。 …それとある人物の『遺体』の力のおかげ、かな』 ――遺体…? 『僕とジャイロはその遺体をめぐる戦いに巻き込まれた……いや、自ら入り込んだ。 全ての部位を集めると究極の力が手に入るという、聖人の遺体。 SBRレースとはつまり、その遺体を集める為に大統領が仕組んだ計画だったんだ』 ――お、おお…! 俄然話が大きくなってきましたねッ! それで! その遺体とは誰のものだったんです!? ヴァレンタイン氏との決着は!? レースの優勝者は!? 『おいおい、文……、インタビューに答えるとは言ったが、少し突っ込み過ぎじゃあないのか? …ホラ、向こうで露伴が苛立たしそうにコッチ睨んでるぞ。そろそろここを出発したいんだが…』 ――えーーーーそんなぁ~! もうちょっと! 最後にインタビューっぽい締めを一言だけお願いします! 『やれやれ……どこの世界もマスコミは似たようなもんだな。わかったよ、君は命の恩人だ。答えよう』 ――それでは……貴方が大切な人に一番伝えたい言葉を、お願いします。 『……親愛なる友人ジャイロ・ツェペリに、“ありがとう”と』 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『射命丸 文』 【朝】E-4 命蓮寺 本堂 私はどうしてあの人との会話を今更思い出しているのか。 堕ちた道を往くと、心は既に決めている。過去の追憶に意味なんか無い。 それでも、こうやって薄暗い寺内の木造床に寝っ転がって天井を見つめていると、物思いに耽たくもなってしまう。 そういえば…『双竜頭の間』もこんな風に薄暗い部屋だったなぁ。 あの時は岸辺露伴が居たっけ。漫画のネタになりそうなものを発見するたびに足を止めてさらりとスケッチに精を出すような、変な男。 その異常ともいえる好奇心だけは記者である私も見習う所アリ、といったものかしら。 そしてあの時の私はといえば、露伴の体よく動くだけの傀儡。 愚かにもあの主催達へと反抗心を燃やしていた頃の、現実も見れない馬鹿な小娘。 鴉天狗のプライドも粉々。ほんっっとーにムカつくわ。 ……露伴にも、自分にも。 このまま暗い天井を見つめているとその時の事を思い出して、どうにもイライラが収まらない。 軽く唸り声を上げて半身を起こし、膝に顎を乗せる。 ここは由緒正しい妖怪の寺(歴史は浅いが)。露伴がそれを聞けば目を輝かせながらスケッチ片手にお寺参りを開始していただろう。 洗脳されていた頃の私だったら、文句と不満を織り交ぜ更に特盛りの苛立ちをスパイスした言葉をぶつけ続ける姿が目に浮かぶ。 それでも、心のどこかではそんな掛け合いをまるで楽しむかのような、腑抜けた自分がその光景にいた。 露伴がかつて言った言葉のように、私もこの手にカメラがあれば横に並んでカシャカシャやっていたかもしれない。もっともこの寺の取材は何度か経験済みだけど。 ―――いっそ、私の記憶がずっと戻らなければ良かったのに。 一瞬浮かべてしまったその言葉に、自分でも驚くほど嫌気が刺す。 何を考えているのよ、私は…! あのままジョニィさんや露伴についていったところで、無事な生還を遂げられるはずがない。 なにしろ相手は未知数の巨悪。自分とは格が違う。 私は既にしてこの道を選んでしまっているのだ。 チルノも既に殺害している。彼女は最期の最期、私に命を乞ってきた…ように見えた。 その縋る手も見捨て、命を燃やし尽くした。もう後戻りは出来ないのだ。 一縷の希望でもあったジョニィさんも、あっさりと死んだ。私は何も出来なかった。 どうすればいい…? 私にどうしろっていうの…? そんなこと、決まっている。当初の目標に戻っただけじゃない。 狡く、醜く、意地汚く、みっともなく足掻いて、もがいて、騙して、裏切って、そして最後のひとりになる。 これこそが鴉天狗、射命丸文の選んだ道。生き様なの。 ―――なのにどうして、こんなにも胸が痛いのよ…。 私は……私は、自由になったはずなのに。 迷いもしがらみも、全てから解放されたはずなのに。 独りぼっちはこんなにも怖いと、初めて感じた。 心の闇に、圧し潰されそうだった。 私の選んだ道は、これほどまでに孤独の道だったのか。 私は……こんなにも弱い女だったのか。 ジョニィさんなら…どうしただろうか。 普段なら心中見下していたはずの人間という種族である彼は、本当に気高い精神をしていた。 妖怪の私から見た彼の、いうなら『人間賛歌』というものは、眩しいほどに輝いて見えた。 千を生きてきた私から見た、たかだか人間の数十にも満たない人生。 私たちから見ればなんの価値も無いような、瞬きの時間。 …でも、それがどうした。 人間から見れば、そのたった百にも満たない時間こそが人生の全てだったのだ。 私はそれをジョニィさんに教わった。 教わったまま…彼は死んだ。 彼を守ることが出来なかったことが悔しい。 彼の意志を継ぐ勇気が無かった自分の臆病さが悔しい。 彼の歩む道とは正反対の道を行く自分の滑稽さが悔しい。 何もかもが悔しくて、私は無尽に焦燥を募らせる。 ――くそっ。 くそぉ…! (くそ…クソ……ッ!) 「クソォォッ!」 頭をムシャクシャに掻き毟りながら、思わず大声を出して拳を床に叩きつける。 何をやっているのよ……私は…! ジョニィさんの『正しさ』も! 『気高さ』も! 『誇り』も『意思』も! 『想い』も!!! この場所では何の意味もないッ!! それを理解できたからこそ、私は他者の命を『奪う側』に戻ってきたんじゃないの!? なんてザマよ……射命丸文! とっとと目を覚ましなさい! 正義ごっこはもう終わったのよ! 私は…これからも全てを『捨てて』しぶとく生き残ってやるッ! 荒い息を落ち着かせるように、私はゆっくりと立ち上がって窓の方を見やった。 西の空がぼんやりと赤く染まっている。 朝焼けの方角ではない。私が燃やし拡げた火災によるものだろう。 あれから30分は経っただろうか。魔法の森の火災はじわじわと炎の威力を強めて被害を拡大させていく。 このままいけば森の全域が焼け野原になるのも時間の問題か。 「…いや。今はまだ明るいけれど……一雨来るかしら」 窓から見える空模様は今のところ陰りは無い。 だがこれでも千年以上、この空を己の庭として翔び回ってきたのだ。 天候の神様の機嫌など、なんとなく分かってしまうもの。 多分、数時間後には雨が降る。ならばあの火災も思ったよりは拡がらないかもしれない。 (こんなハリボテの世界にも…雨なんて降るのかしらね) そんなことを思いながら、私は呆然と赤い空を見つめ続けていた。 だからだろうか。 気が緩んでいた私の耳に微かに聞こえた人の声。 それに気付いた瞬間、私は情けなくも肩を大きく震わせ、外からの死角に隠れる。 本堂の入り口からそっと顔だけを覗かせると、外に居たのは赤髪の猫又妖怪。 あの特徴的な猫耳と二又の尾は知っている。 地霊殿の火車『火焔猫燐』。 彼女の無防備な背中がこちらを向けて立っていた。 「おっかしいなー。この辺りで人の叫び声が聞こえたと思ったんだよねー」 大きな独り言と共に彼女は首をキョロキョロさせて声の主を探している。 私は思わず舌打ちした。さっきの叫喚が外にも聞こえてしまったか。 どうする? 私の知っている限りではあの妖怪は大した力じゃない。 私の当面の目的である『強い者と行動を共にする』の条件に当てはまるような奴じゃない。 …ここで仕留めるか。 見たところ仲間はいないようね。 だったら事は簡単。何気なく近づき、隠し持った拳銃で脳天にズドン。 それで終わり。私、殺人数2人目。なんのトラブルも無し。あんな弱小妖怪、生かしておく価値も無いわ。 死体を運ぶ火車が死体になる。ミイラ取りが…ナントカってやつよ。 そう決めた私はすぐさま行動に移った。 マヌケそうにあっちを向いて棒立ちする彼女に気付かれないよう、そっと入り口から外に忍び出る。 スイッチが入った瞬間、私の頭の中は嘘みたいにスゥッと透き通っていく。 さっきまでの葛藤はなんだったのか。気持ち悪いぐらいに呼吸が静かだ。 あぁ、やっぱり私とジョニィさんは根っこから違う。 自分が生きる為に引く引き金の、何と軽いことか。 一歩、また一歩。 ゆっくり音をたてずに背中へと忍び寄る。 コイツはまだ気付かない。それでよく今まで猫の妖怪なんかやっていられたものね。 やっぱりダメ。相棒としては全然不合格。 恨むなら自分の力の無さを恨んで死んでね。 とうとう残り1メートルまで近づき、足を止めて懐の拳銃を取り出す。 この距離なら外さないし、致命傷確実。 躊躇なく、息の根を止める。 (Good morning,or DIE……おはようございます、それでは死んでください) 少しだけ祈り、そして指にかける力を強める。 照準はその小さな頭のてっぺん、脳神経をバッチリ破壊する。 さようなら、お燐さん。 あとほんの少しだけ、指に力を込めれば銃弾が発射されるところで、私の視界は突然グラついた。 思わず拳銃を取り落としそうになるところを寸でのところで掴み直し、慌てて懐に仕舞い込む。 (う…! な、なによ…急に目眩が…!?) 頭が痛い…! こんな時に……体調が…! 「う…ぁ痛ッ!? な、なにコレェ…!?」 見れば目の前の彼女も頭を押さえて唸っていた。 尻尾を逆立ててぐりんぐりんと曲げては伸ばしている。 2人して同時に目眩ですって…? どんな、偶然よ…ッ! 「ッッ痛たた……ぁあー、なんとか治まってきたかな――――――およ?」 「………………あ」 悶えていた彼女と目が合ってしまった。最悪。 拳銃は仕舞い込んでいたから、まだ誤魔化し通せる。 いや、待って。もう強行的にさっさと始末しようかしら…? …いやいや落ち着きなさい私。 不意打ちが失敗した以上、考え無しの戦闘は危険よ。相手の支給品次第では返り討ちの可能性も少なからずある。 得意の商売フェイス、商売フェイス…! 「や………やぁ、これはこれは地獄の黒猫、お燐さんではないですか。 こんなところで会うなんて奇遇ですね! どうでしょう、ここはひとつ昨今の地獄の流行についての取材でも…」 しまった、つい仕事グセで余計な一言を付けちゃった… 目の前の彼女はネコ科特有のツリ目をパチクリと瞬かせながら私を見て驚いている。 私は引き攣った笑みを作ったまま、数秒の沈黙が流れた。 やがてお燐は呆然とした表情を満面の笑みに変えて、テトテトとこちらへ近づいてくる。 「あぁ! お姉さんアレだ! いつぞや紅白のお姉さんと地獄に遊びに来てくれた天狗だね!」 …あぁ、そんなこともありましたね。 もっともアレは別に遊びに行ったわけではないし、そもそも陰陽玉で地上から交信してたから私の姿を知ってるわけがないんだけど。 「あはは、声を聞けば一発だよ~♪ 地上はどう? 平和でやっていけてるかな?」 なんか、相変わらず無駄に元気な娘だ。調子良く尻尾までフリフリと振っている。 しかしコイツ……特別仲が良いわけでもないのに随分と馴れ馴れしいわね。 今のこの状況、分かっているのかしら? 「幻想郷の地はいつだって平和ですよ。暇が売れたら大儲けできるってぐらいにも暇ですけど。 でもお燐さん? 今のこの状況はとても平和とはいえませんよ。 この場に居たのが私だったから良いものの、危険な人物だったらどうするんですか」 「やー…メンボクない。でも、うん。会えたのが天狗のお姉さんで良かったよ。優しそうだからねぇ♪」 …どうやら私は舐められてるのかしらね。 目の前のニヤけたユル面に天狗の鉄拳をブチ込んでやろうかと一瞬考えたけど、それは我慢して聞くべきことを聞こう。 「それはどうも。 …ところでお燐さんひとりですか? ここに来るまで誰かと会ったりは……」 「あ! そうだそうだよ! ここに来る途中魔法の森を横切ってきたんだけど、ボウボウと森が燃えてたのさ! もうべらぼうに! まーあたいもこれで火車やってるし、炎なんか怖くないんだけどねぇ。大丈夫かなぁ……」 それは多分私の仕業だろうけど、そんなことが聞きたいんじゃない。 知りたいのは『情報』だ。この娘を始末するのはその後でも良いでしょう。 「森の火事ならここからでもとてもよく見えますよ。 誰の仕業かは存じませんが、環境破壊も度を越えてますね。嘆かわしいことです。 …それで、お燐さんがここに来るまで誰かと出会ったりしましたか?」 「ん? 会ったよ、紅白のお姉さんと黒くてデッカイお兄さんにさ。すぐに別れちゃったけどねぇ」 紅白…霊夢か。 正直言うと、あまり会いたくないかな。あの巫女は無駄に勘が良すぎる。 私が優勝を狙ってることもあっさりバレそうだし、隠れ蓑には不適切。 「霊夢さんと…誰ですって?」 「霊夢お姉さんと承太郎お兄さんだよ。2人はパートナー同士みたいだったねぇ。 承太郎お兄さんは一見強面だったけど、話してみたら案外優しいところもあったよ」 承太郎。露伴の言っていた最強のスタンド使い、空条承太郎か。 聞けば相当に優秀で頭も切れる男だとか。 興味はあるけど、ますます近づけそうにない。パスパス。 …とまで考えた所でふと疑問に思った。 「…あれ? そんな強そうな方々と出会えたのに、どうしてお燐さんは彼女らと一緒に行動しなかったんですか?」 さぞ強かろう2人に会っておいて、コイツはどうして別れてわざわざ単独行動なんてしてるのか。たいして強くもないクセに。 ま、大体分かるんだけど。 「おおっとー待ってください。言わなくていいです、当ててみましょう。 そうですね……霊夢さんに邪険にされたってのがまずひとつとして、他に何か貴方自身の『目的』があったとかですか?」 「ちょっとー邪険にされたってのは余計だよー! でもさっすがジャーナリストの勘はスゴイね! あたい、今ちょっと『探し物』してるのさ♪」 「探し物…ですか?」 はて。こんな恐ろしい会場の中、何を探してるというのか。 見たところ大好きな死体集めでもなければ、マタタビや猫じゃらしに飢えているわけでもなさそうだ。 「まぁ……言うなら『死体』かねぇ。ちょっとその辺ではお目にかかれないような『レア物』の」 前言撤回。やっぱり火車はどこへ行っても火車だったか。 私は冷えた目線で若干後ずさりした。 「あ! ちょっとちょっと変な勘違いしないで欲しいなぁ! 死体集めはあたいの趣味だけど、今回のはもうちょっと尊い行為だよ!」 「死体集めに尊いもなにも」 「ちょいと! あんま死体を馬鹿にしないで欲しいね! って、こんなことが言いたいんじゃなくてさ、単刀直入に聞くけどお姉さん『聖人の遺体』ってのに心当たりあるかな?」 「聖人の、遺体……ですか? よく分かりませんけど、私はそんなもの持って―――」 ―――待って。『聖人の遺体』……ですって? その言葉を聞いた瞬間、脳内に蘇った。 GDS刑務所で、彼と交わした興味本位のインタビュー。 ―――『僕とジャイロはその遺体をめぐる戦いに巻き込まれた…いや、自ら入り込んだ』 ―――『全ての部位を集めると究極の力が手に入るという、聖人の遺体』 ―――『SBRレースとはつまり、その遺体を集める為に大統領が仕組んだ計画だったんだ』 ジョニィさんは言っていた。 自らの半身不随を治すため、友人と共にその遺体を集めていたと。 その遺体には聖なる力が備わっており、様々な力を与えてくれると。 その過程でヴァレンタインという男と闘い、死闘の末に倒したと。 ジョニィさんの集めていた『希望』が、この会場にも存在している…? (――――――ッ!!) 今、完全に理解した… ジョニィさんの亡骸に近づいた時に感じた、謎の『感覚』。 身体の中で何かが動き出すような、違和感の『正体』。 間違い、ない。 ジョニィさんの『希望』が、私の中に入り込んでいる…! 「……? お姉さん? どうしたの? 胸に手を当てていきなり黙りこくっちゃって…」 「…………あ、い…いえ、なんでもありません。 ところで……お燐さんは何故、そのような物を…?」 「あー、コレ言っちゃっていいのかなぁ? あんま話さない方がいいのかもしんないなぁ。 んーーー……、ま! 霊夢お姉さん達にも話しちゃってるし、いっか!」 それから私が聞いたのは驚きの内容。 ヴァレンタインがこの会場においても聖なる遺体を探し回っていること。 お燐がヴァレンタインと『約束』を交わし、遺体集めに奔走していること。 ヴァレンタインの事を話す彼女は『コレ言ってもいいのかな』といったものではあったけど、どこか『期待』に満ちていた。 彼のことを『妄信』、とまではいかないけど、相当に『信頼』を寄せているかのように話していた。 さっき会ったばかりの人間に対してそこまで期待するなんて、ヴァレンタインという男はかなりの『人格者』なのだろうか。 でも、私は知っている。 詳しく聞いたわけでも無いが、ヴァレンタインは……ジョニィさんの敵だった。 遺体を揃え、聖なる力を手に入れようとしたヴァレンタインは、ジョニィさんたちを何度も殺害しようと目論んだ。 そして、最期にジョニィさんの手によって……死亡した、らしい。 この娘はよりによってそんな人を『正義の人』と信じ、あまつさえ彼のために遺体を集めている…? ―――ふざけるな。 アンタが、ジョニィさんの何を知っているの。 あの人は自分の信じる道を突き進んで、そして死んだ。 私の中に眠る遺体は、彼の突き進んだ証。 彼が再び立ち上がれるようになった『軌跡』の証であり、『奇跡』の証でもある。 これは絶対、渡せない。アンタにも、ヴァレンタインにも。 「…お燐さんは、その遺体とやらを持ってるんですか?」 「うん。大統領さんから『両脚』の部位を預かってるんだ。 少しでも集めてあの人の元へ届けないとね。さとり様たちを守ってくれるって言ってたし」 呆れた。どこまでお人好しなんだか。 そんなの嘘に決まってるでしょう。アンタはヴァレンタインに『利用』されてるに過ぎないのよ。 そんなことにも気付かずにヘラヘラ笑いながらヴァレンタインの傀儡になっている彼女を見てると虫唾が走る。 露伴に洗脳されてる頃の私を思い出すから。 「なるほど、お燐さんの目的は理解できました。 私は遺体を持ってませんので尽力することは出来ませんが、他の情報を提供することぐらいは出来ますよ。 どうです? こんな所で立ち話もなんですし、中でじっくりとお話を伺いたいのですが」 「うん、勿論さ♪ いや~ここで天狗のお姉さんに出会ったのは幸運だったかもねぇ」 そうね。全く幸運だわ。 貴方のおかげで遺体の存在を知る事が出来たんですもの。 さて、適当に情報を聞いたらこの娘はさっさと始末しましょう。 私は遺体集めそのものには興味はないけど……ついでだからアンタの『両脚』も頂いていくとするわ。 死体集めが趣味の貴方には、丁度良い末路でしょう。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『火焔猫 燐』 【朝】E-4 命蓮寺 本堂 天狗のお姉さんは嘘をついている。 お姉さんが最初にあたいの後ろから近づいてきた時、確かに感じたんだ。 あたいの体内の『両脚』が騒ぎだしたのを。 それは頭痛という形であたいの頭を襲ったけれど、すぐに治まった。 一瞬、何が起こったのか分からなかったけど、後ろで笑いながら近づいてきたお姉さんを見てすぐに悟った。 ―――このお姉さん、『遺体』を持ってる……って。 あたいったら早速ラッキー♪ まさかこんなに早く遺体を見つけちゃうなんて、いやはや自分で自分の才能が恐ろしいね♪ …でも、その後お姉さんはハッキリと言った。 聖人の遺体など『持っていない』って。 あたいはその言葉がすぐに嘘だと気付いたけど、とりあえずその場は流した。 んー……これってどうするべきなんだろう? 案1 『またまたぁ~! そんなこと言って、嘘ばっかりィ! ホントは持ってるんでしょ?』 なんて猫なで声を出してスリスリと迫ってみようか? でも前にそれやって霊夢お姉さんに鬱陶しがられちゃったからなぁ… 案2 『ねぇ~え~~ん♪ 遺体くれたらイ・イ・コ・ト……してあげるんだけどナァ~♪』 と、猫を被って言い寄る…のはない。これはないや、うん。 大体あたいにそんな色気なんてないし……いや、これ以上自分で言うのはやめよう…空しくなる… 案3 強行的に遺体をネコババ! …う~ん、あたいにしては暴力的だねぇ。でもコレが一番現実的なのかなぁ。 ここまで考えたところで、あたいはふと大統領さんの言葉が浮かんだ。 ―――家族を守りたければ『戦え』。愛国心とは『家族愛』の事だ。泣いてばかりでは家族は救えない。 …そうだ。 あたいがこんなところで悩んでる間にも、みんなが苦しんでいるかもしれないんだ。 自分に出来ることをやらなきゃ。あたいだって戦えるんだ。 あたいは死体のエキスパートだ。聖人だろうが怪人だろうが死体なら持ち帰るのがあたいの仕事。 盗んでやる…! このお姉さんから、遺体を奪うッ! だから、それまで無事でいてよ…! さとり様! こいし様! おくう! ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「―――私の支給品はこの拳銃だけでした。まあまあ当たりの支給品なのではないでしょうか」 そう言ってお姉さんは拳銃という武器をあたいに見せてくれた。 愛想の良い笑顔で惜しげもなく支給品を見せつけ、それをすぐに懐に仕舞う。 お姉さんはそのままあたいに顔を向けてニコニコ顔を作ったまま、会話が途切れた。 さあ次は貴方が支給品を見せる番ですよ、といったお姉さんの笑顔を眺めながらあたいは思考する。 やっぱりこの人、『嘘吐き』だ。 この人が遺体を所持してるのは分かってる。 それなのにその事を言わないなんて、隠し事がある証拠。 その遺体は元は誰のモノ? 誰かから奪ったの? その人は今どこでどうしてるの? あたいの遺体も狙っているの? 考えれば考えるほど疑心暗鬼に包まれてくる。 あーもう、こんなのあたいのキャラじゃないはずなんだけどなぁ… でも、よく考えたら親しくもない相手にいきなり所持品を全部公開すること自体おかしいことなのかな。 この遺体も見た目はグロテスクだし、へんに見せつけると相手が驚いちゃう、って思っての嘘かも。 んー、じゃあ考え無しに遺体を持ってることを話しちゃったあたいの方が危機感足りなかったのか。 …ダメだぁ、よくわかんないや。 とにかく今は会話を続けないと。 「あたいの支給品はただのリヤカーと、大統領さんから借りた遺体、それとナイフだよ」 このナイフも本当はブラフォードお兄さんの物だったけど……それを言う気にはなれなかった。 毒が塗ってあるらしいこれをあたいが使う時が、もしかしたら来るかもしれない。 「なるほど、お互い身を守る術は揃えてるという訳ですね。 じゃあ次はお燐さんが出会った人物についてですけど…」 「うん。さっきも言った通り霊夢お姉さんと承太郎お兄さんとはジョースター邸の東で会ったよ。 2人とも異変解決に向けて動き出してるみたい。 それと、承太郎お兄さんが言うにはDIOさんって人物は近づいたら危険だってさ」 「……! DIO…!」 ここまでほとんど柔らかい印象だったお姉さんの表情が、初めて険しくなった。 その顔には、どこか軽い『恐怖』のような感情が見えたような気がしてあたいは心配になる。 「お姉さん、DIOさんを知ってるの?」 「…いえ、直接は知りません。ですが、彼の部下らしき人物と遭遇しました。 名前は『ヴァニラ・アイス』……空間を飲み込む能力を持ち、とても残虐な気性の持ち主でした。 私と……私の仲間は、GDS刑務所でそいつと闘い、そして奴は逃げ出した。 …倒しきることが、出来なかった。その、せいで…ジョニィさんは……」 なんだろう…お姉さん、『悲しんでいる』…? そして…『怒っている』、ようにも見えた。 あたいはその『ジョニィ』って人を知らないけど、お姉さんにとってその人はどんな人物だったんだろう… 「…もしかして、そのヴァニラって人にジョニィさんは…」 「…確かに、間接的にジョニィさんを殺めたのはヴァニラといっても良いかもしれません。 ですが直接ジョニィさんに手を下したのは……チルノさんです」 チルノ…? ああ、確かこいし様が地霊殿に帰ってきた時、たまに話していたねぇ。 こいし様が言うにはちょっと頭が弱いけど、無邪気で可愛らしい妖精だって聞いてたけど… 「私の推測では、チルノさんはDIOに操られていたと考えています。 あのチルノさんはあまりにもいつもの彼女とは様子が違いすぎましたから」 操られていた……って、もしかして承太郎お兄さんが言っていた『肉の芽』…! じゃあ、やっぱりブラフォードお兄さんの主であるDIOさんは危険なヒト、なのかな… 「チルノさんは激しい闘いの末、ジョニィさんと『相討ち』になりました。 そして残った仲間の古明地こいしも、チルノさんを見捨てて何処かへ逃げ去りました。 それが、私が先ほど体験した出来事です」 そっか……… ――――――って、 「………………え」 今、このお姉さんの口からさらりと出た名前は、あたいの聞き間違いじゃなければ… 「ちょッ……! お、おおおお姉さんッ!? い、今、誰が何処へ逃げたって言ったのさッ!?」 「……ん? …………あ、そういえば古明地こいしはお燐さんの…」 「だ、大事なご主人さまのひとりだよッ!! こいし様が、お姉さん達を襲ったのかい!? う、嘘…ッ!」 「いえいえ、残念ながら事実です。 お気持ちは察しますが、彼女は明確な殺意を持って私たちを撃ってきました。 ゲームに『乗っている』としか…」 「そんなわけないッッ!!!」 静かな寺内に怒号が響き渡った。 温厚だと思っていたあたいの大声に驚いたのか、お姉さんは座ったまま固まっている。 だって、そんなわけないじゃん。 こいし様が、そんな…人を撃ったなんて……あたいは信じない。信じたくない。 そうだよ…、あの人はちょっと不安定なところはあるけど、純粋で、優しくて、心地の好い、そよ風のような方だ。 何者にも縛られず、気ままで穏やかに生きていくあの人が誰かを本質的に傷付けることなんて――― あっ…… 「―――肉の、芽……?」 ふと、頭に思い浮かんだ単語。 承太郎お兄さんの言葉が瞬間、鮮明に蘇る。 『額にそいつを埋め込むことで相手を従わさせることができるモノだ。DIOという吸血鬼が使える危険な力、だな』 可能性はある。 あたいを冷ややかな目で見つめているお姉さんに、食って掛かるように問い質した。 「お姉さんッ! あの、こいし様の額には何か埋め込まれていなかった…!?」 「わわ! 何ですか急に…! 額……と言われてもあの時はそんなの確認する暇も無かったですよ」 少し困ったような顔をしながらお姉さんは後ずさりした。 あたいは何も言えなかったけど、もしお姉さんの言ったことが本当ならこいし様はきっと肉の芽によって操られてるに違いない。 多分、そのチルノって妖精もそうだったんだ。 「……どうやら、何かものしり顔のようですね。事情を聞いても…?」 お姉さんが険しい表情で聞いてきた。 あたいは説明する。承太郎のお兄さんから聞いた『肉の芽』の性質について。 最後まで聞き終わったお姉さんは納得したように頷いて口を開く。 「なるほど……と、いうことはつまりこいしさんは既にDIOの傘下に入ってしまった可能性が高そうですね」 やっぱりそうなってしまうのかな。 あたいはやりきれない思いで拳を握る。 どうすればこいし様を助けられる? 肉の芽って簡単に引っこ抜ける物なの? ブラフォードお兄さんも、肉の芽に支配されていたのかな…… 「……あの、お姉さん! お願い! あたい、お姉さんについていっても良いかな? そんな状態のこいし様をこのまま放っておけないよ! 今もどこかで誰かを傷付けてるかも…!」 「……はぁ?」 あたいはたまらなくなってお姉さんに詰め寄る。 遺体も大事だけど、こいし様はもっと大事だ。 あたいひとりじゃあこいし様を助けられないかもしれない。 でもこのお姉さんはきっと強い。この人と2人ならこいし様も助けだせるかもしれない。 「ちょっと待ってください。何で私がそこまでしなくちゃならないんです? 私はついさっき彼女に銃を向けられたばかりですよ? ハッキリ言ってもう会いたくはないんですが」 ハッキリ断絶された。 なんだいケチ、とまでは言えなかったけど、無理のない話かもしれない。 それならあたいひとりで……といきたいところだけど、お姉さんは遺体も持っている。 ここで遺体を奪う千載一遇のチャンスをむざむざ放棄し、何処に居るかも分からないこいし様を探しに出るのもなぁ… あの時、大統領さんはあたいに約束してくれた。 自分の手伝いをしてくれれば、家族を探しだして守ってくれると。 あたいは彼の誠意に答えてあげたい。遺体を手に入れるということは、それがあたいの『戦い』になるんだ。 その戦いがそのまま家族を守ることに繋がるんだ! しばらくお姉さんと同行して隙を見て盗むか、何なら今ここで奪わなければあたいはこのまま『臆病者』で終わってしまう! 「お願いだよッ! お姉さん強いんでしょ!? あたいに出来ることは何でもやるからさ! せめてあたいと一緒に行動してほしいんだ!」 強引にお姉さんの肩を掴んで押しせめる。 本当に無茶なことを言ってると思うし、迷惑な行為だろう。 でも、この距離まで密着すればお姉さんの遺体を取り込んで盗めるかもしれない…! お姉さんには悪いけど、このままごねるようなら、今ここで奪って逃げるッ! この遺体は価値の分かる者の手にしか渡っちゃダメなんだと思う。 それは多分、大統領さんだ。あたいやこのお姉さんにとってはこの遺体は所詮『猫に小判』だ。 何故かは分からないけどこの人は、『遺体を持っていない』とあたいに嘘を吐いた。そこにはきっと他意がある。 『嘘吐き』にこの遺体はきっと相応しくない。 大統領さんのように、誓いを守る『正しい人』こそが遺体の所有者となるべきなんだ! ごめんね、お姉さん…! でも、これがあたいの選んだ『正しい道』! あたいなりの『戦い』! 「ちょ……! しつこいですよお燐さん! 行きませんったら行きませんッ! 離してくださいッ!」 「そこを何とか……! あたいひとりじゃあ不安で不安で…!」 揉めるようにお姉さんの身体を掴んで離さない。 今だ…! お姉さんの体内から遺体を取り出して……! 「―――人の遺体を盗む気? いい加減にしなさいよ、この泥棒猫」 カチャ 「―――え」 突然耳に響く冷たい声と、冷たい音。 あたいの額には不気味に光る銃口が突きつけられている。 「もういいわ。聞きたいことは全部聞けたもの。悪いけど貴方はここで終わり」 さっきまでとは全然違う、お姉さんの低い声。 その瞳には冷たく黒い輝きがある。 ―――殺される。そう感じた。 「貴方のご主人……古明地こいしは、私の獲物。残念だけど貴方に家族なんて『守れない』。 貴方を殺して遺体も奪ったら、すぐに彼女も殺しに行くわ。 …それじゃあ、故郷の地獄に帰りなさい」 あまりに突然の事態に身体が動かない。 声も出せずに、家族すら守れずに、あたいの人生は幕を閉じるのか。 い…いやだいやだいやだッ! そんな…死ぬなんて、絶対に――― バン! ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『ホル・ホース』 【朝】E-4 命蓮寺 正門前 「あーーあー……」 この上なく気だるい溜息を吐きながら明るくなってきた空を仰いだのはホル・ホースだった。 ズレ落ちかけるカウボーイハットを片手で押さえながら、そのまま数秒の沈黙が流れる。 (ま……分かっちゃいたんだけどなぁ…。こうハッキリ伝えられちゃあ流石にくるぜ) 『もしかしたら』……可能性は薄いが、有り得たことだ。 先ほどの放送によって直に伝えられた『彼女』の名は、ホル・ホースの心に幾分かの傷を付けた。 自分は彼女の死ぬ瞬間は見ていない。寅丸星に襲われたが、奇跡的に逃げ延びてどこかで生き残っているかもしれない。 ホル・ホースは現実主義者ではあったが、そんなあられもない光明が心の何処かに張り付いていた。 そんな薄い希望も、完全に消滅した。 「死んだ者は死んだ者……だぜ、ホル・ホース。現実見やがれ。 今更都合の良い展開なんか望んじゃいねえよ。こりゃ映画の世界じゃねぇんだ」 既に闇の世界に身を堕としているカウボーイ被れの自分は、死の覚悟なんてとっくに完了している。 だが――― 「ヌルくせー表世界で暮らしてたガキぐらいは……せめてベッドの上で死なせてやりたかったもんだなァ…」 誰に語るわけでも無いその空虚な言葉は、空へと消えた。 キュッと帽子を被り直し、再び前を向く。 過去を振り返ってセンチな感傷を抱くなど自分の性ではない。 今の自分に出来ることは、響子が今際の際に遺した想い……すなわち寅丸星の目を覚まさせることだ。 果たして成功率はどれほどのものだろう。せめて五分程度の勝率は欲しいところだ。 そしてその成功率を限りなく底上げしてくれる人物であろう聖白蓮の治める『命蓮寺』。 彼女の手がかりが掴めるかもしれないという淡い期待を抱きながらホル・ホースはこの場所へ来た。 (……にしても、ジャパニーズ・キャッスルっつーのはどうにも異様だぜ…) 立派に聳え立つ正門を潜り、石の敷き詰められた道を警戒しながら進む。 ホル・ホースとて日本の様式美には疎く、初めて間近で見る和の景色は目を惹かれる物ばかり。 イマイチ用途の掴めない灯篭をコツコツと軽く叩いてみたり、嗅ぎ慣れない木造物の独特な匂いに心浮かれて鼻歌まで歌いだす始末。 こう見えて彼は『芸術』や『美的文化』の嗜好を多少なり持ち合わせている。 間近で見る日本の洗練された芸術に心奪われかけ、この場が殺しの場であることすら忘れそうになってしまった。 「ここが……響子の嬢ちゃんが通っていた寺、か。オレには綺麗すぎる場所でどうにも落ち着かねえ…」 必然的に浮かぶ彼女の顔をブンブンと振り払い、先へと進む。 それに先ほどから足元をよく見れば、何人かの足跡を確認している。既に誰かがこの場を訪れているのだ。 鬼が出るか蛇が出るか。本堂へと近づくたびにホル・ホースは警戒を強めながら、自らのスタンドである『皇帝』を構える。 やがて足を踏み入れたのは一際大きな本堂。 意を決して侵入するホル・ホースの耳に初めに入ったのは女の声だった。 「行きませんったら行きませんッ! 離してくださいッ!」 (女の声…! 少なくとも2人は居るみてーだが、様子がおかしいな) 機敏な動作で入り口の死角に移動し、そっと中を覗き込む。 女2人。片側は頭に猫耳、二又尻尾のおまけ付き。 その姿を見てホル・ホースはまたも彼女を思い出す。 (ワンコの次はニャンコかよ…! 半信半疑だったが響子の嬢ちゃんが語った『幻想郷』っつーのはどうやらマジらしい) となれば彼女らに聞けば聖白蓮についての情報が分かるかもしれない。 しかし何か様子がおかしい。揉め事か…? 慎重に事を見ていたホル・ホースに緊張の汗が伝う。 その時、猫耳の少女に掴まれていたもう片方の黒髪の女が拳銃を取り出し、相手の額に突きつけた。 (!! …オイオイ、ご勘弁願いてぇぜ……、ここまで来てトラブルには関わりたくねぇんだがな…!) 反射的に回れ右。触らぬ神に何とやらだ。 ここまで来て収穫ナシというのは痛恨だが、この場に目的の人物は居ない。 逃げ足の早さには定評のあるホル・ホースはすぐさま決断した。 音をたてぬよう、静かにこの場を去ろうと足を動かして――止めた。 まただ。またも自分は女を見捨てて逃げようとしている。 手の届く距離で、今回こそは救えるかもしれないというこの場面で、見ぬフリして去ろうとしている。 どこまで男を下げれば気が済む、ホル・ホース。 そうやって目の前の災を避け続け、進む先に何が待っている。 男なら誰しも心に『地図』を持っている。荒野を渡りきる自分だけの地図を。 腹に据えた、たった一つの『指針』だけは見失ってはならない。 「……そう、だったな。オレの心の地図に…『後悔』だけは持ち込んじゃいけねえ」 俺が後悔するのは……『あの時』までだぜ。 ――響子の嬢ちゃん。 伏せていた面をキッと上げ、退きかけていた足を勢いよく前に動かす。 眼光炯々に変化した目つきを『敵』と捉えた人物に刺す。 一瞬の早業。 扉の前に躍り出たホル・ホースは声を発することなく、七メートル先の黒髪の少女に『皇帝』を撃ち放った! 炸裂音と共に軌道を描くように発射された弾丸は、女が突きつけていた銃のみを弾き飛ばし、彼女の殺戮の手段を奪う。 「ッ!? 誰です…ッ!?」 「おおーっとォー! フォークダンスの練習中失礼するぜッ! そこのお前ッ! 両手を挙げてその場から動くんじゃねえぜッ! そっちの猫ちゃんもまだ動くなよ!」 突然の乱入者に戸惑う文。 それはお燐にとっても同じで、2人してホル・ホースの方を同時に振り向く。 「オレはある人物を尋ねてこの場所へ来た! 話の分かりそーな奴は見た感じそっちの猫の嬢ちゃんだな。 まず聞くが、こいつはいったいどーいう状況だ? お嬢ちゃんはそっちの黒髪の女に襲われていたって認識で間違いないか?」 予想だにしないタイミングでの男の登場に、文は思わず心の中で舌打ちした。 今の場面を人に見られるとはかなりの痛手だ。 第三者の接近に気が付かぬなんてポカをやらかしてしまった。まず確実に弁明できる状況ではない。 チラリと挙げた右手を見る。 銃で撃たれたにも関わらずほとんど傷が無い。あの距離から銃だけを弾き飛ばすようにギリギリ掠らせて狙ったのだ。 達人級の仕業。主導権を向こうが握っている限り、下手に反撃するのは悪手だろう。 仮に逃げ切れたとしても、自分の危険性について情報をバラ撒かれることは間違いない。 だが、それでも今は逃走を試みるしかない。 鴉天狗のスピードなら、可能だろう。 漆黒の翼を広げ、一か八かの飛翔に挑むその時、お燐の狼狽する声が文を驚愕させた。 「あ、あの! 待って待って帽子のおじさん! あたいとこっちのお姉さんは、その…『友達同士』だよ! あたいを助けようとしてくれたのは嬉しいけど……だから、えと、早まらないで!」 「「―――――――――は?」」 文とホル・ホースの間の抜けた声が重なった。 コイツ悪いやつだからそのまま撃っちゃって!ぐらいの台詞を覚悟していた文からすればまるで予想出来ないお燐の発言である。 「あーーー……オレにはお前が銃を突きつけられてたように見えたんだが?」 皇帝を文に向けながらもホル・ホースはお燐の言葉に首を傾げた。 「あ、あれはぁー……うん、ささいなすれ違いだよ! ちょっとした意見の相違! ケンカケンカ! あ、はははー……」 ちょっとしたケンカがどのような経緯で拳銃を突きつけられる事態になるのだろうか。 女の子のピンチを救うため、アメリカンコミック・ヒーローのようにジャジャーンと颯爽登場したのはいいが、状況が違ってきている。 微妙に引き攣った笑顔を見せるお燐の姿にホル・ホースは大きな違和感を覚えるが、殺されかけていた本人がそう言うのならそうなのかもしれない。 「それじゃあなにか? お前さんら2人は友達同士だったがささいな口論で殺人事件に発展しそうになった。 今は反省しているのでここはみんな仲良く穏便に事を進めよう……こういう事か?」 「いぐざくとりーだよおじさん! 文お姉さん、さっきはあたいも言い過ぎたからさ、また『一緒に』頑張っていこう?」 お燐の眩いほどの笑顔が、文に向けられた。 瞬間、文は察する。お燐の突然の妙な発言。 まるで自分を助けるような物言いの奥に隠された真意……その魂胆が。 (コイツ……もしかして私の『遺体』を逃さないために敢えて私を庇ったってワケ…?) なるほど彼女の目的が遺体ならばここで私を逃すことは望む展開ではない。 それならばいっそのこと身近に置いて、寝首でも掻いてやろう……そんなところか。 (舐めてくれるじゃない…! 本当に、どこまでも躾のなってない泥棒猫ね。 ……いいわ、私にとっても悪くない展開だもの) この聖人の遺体は彼女にとってそこまで執念を燃やすべき案件なのか。それともこれも大統領とやらの人格の成せる業か。 だが自分にとってもこの遺体は何故か絶対に渡したくない、己の意思を超えた物になってきている。 その想いが果たしてジョニィの遺志に通ずるところがあるのか、とにかく文は遺体を誰かに渡すなんて事は絶対にしたくなかった。 それに加え、自身のとりあえずの行動スタンスである『強い者に蓑隠れ』が達成できそうだ。 目の前で素晴らしい銃技を披露してくれたこの男と行動を共にすることは、自分の生存確率を上げてくれるだろう。 鬱陶しく付いてくる猫娘もそのうち遺体を奪いに仕掛けてくるはずだ。 その時は『正当防衛』という大義名分で返り討ちにしてしまえば、ホル・ホースにも筋の通った言い訳がたつ。 所詮は化け猫の急ごしらえで作った浅知恵。 鴉天狗である自分とは妖怪としての『クラス』が違う。 「そうですね。さっきは少しやり過ぎました。すみません、お燐さん。 なにぶんこんな状況ですので、ついカッとなって…… また、『一緒に』頑張っていきましょう!」 「うん! 『一緒に』頑張ろう、お姉さん! それとおじさん! あたいはお燐! 『火焔猫燐』! こっちのお姉さんは鴉天狗の『射命丸文』お姉さんっていうんだ! 誰か探してるのならこっちのお姉さんに聞けばわかるかも。ものしりだからね」 やや強引に話を進められたホル・ホースは困惑しながらも、この場は武器を収めることにした。 やはりさっきの光景はオレの早とちりだったか…? そんな疑問もあるにはあったが、女性を傷付けるのはやはり己の主義に反する。 このまま戦うことも無く、目的の情報を手に入れることが出来れば万々歳。 戦力増強という点でも、見たところ妖怪である彼女らをうまく相棒と出来たならば良い事尽くめだ。 だが…… (猫耳のお嬢ちゃんの方はともかく……あっちの文とかいう黒髪娘の方はどうも“クセー”んだよなあ。 さっきの一場面を考慮するとか以前に、オレの長年の『勘』が疼いてやがる) 長い間汚い仕事に手を染め、その都度にベストパートナーを選んできたおかげで、人を見る目は抜群に培われてきた。 その自慢の鑑識眼を信じるのならば、この黒髪とは行動を共にしたくはない、というのが本音だった。 しかし聖白蓮の捜索に行き詰まりを感じているのもまた事実、というよりこの広い会場でたった一人の人物を当てなく探すというのがそもそも無謀だ。 どうも彼女たち『幻想郷』に住まう者は横の広がりが大きいらしい。 ならばここは人脈を武器として確かな情報を確実に拾っていった方が有益かもしれない。 なにより聖捜索中に例の2人組と出会ってしまったら能力の相性ゆえ、今度は逃げ切れない。やはり相棒は必要なのである。 「……オーケイ。まずはお前さんたちの話を聞こうじゃねえか。 オレはホル・ホース。女には世界一優しいナイスガイだぜ」 彼女らのどこか嘘くさい態度に不安はあるが、ここはホル・ホースが目先の利を取る形となった。 (やれやれ……女の嘘は許すのが男ってもんだ、が……このホル・ホースにどこまでの器量があるかねェ……) 願わくばかつての無様を晒しださぬよう、男は自分だけの指針をもう一度噛み締める。 そして互いの喉笛を狙う鴉と猫は、それぞれの思惑を胸に秘めながら男についてゆくと決めた。 文は黒い感情を静かに燃やし続ける。 (例え卑怯と罵られようと、私は最後まで生き残る…! そしてこの遺体だけは、誰にも渡すつもりはないわ!) 体内から僅かに感じる確かな力は、文がかつて光を見出した人間の残滓。 今となっては意味のないそれを守り通す気持ちの正体は、未だ掴めない。 無意味で余計なだけのその感情を捨て去る勇気は無かった。 非道なる殺し合いに身を投じ、心を任せるだけの機械となりつつある自分にとっての唯一のアイデンティティーと成り得るものが、この遺体な気がした。 それはかつて無気力に生きていたジョニィ・ジョースターが感じた希望を、自分も同じようにこの遺体に感じているのかもしれない。 故に射命丸文は戦う。この『希望』を陥れようとする火焔猫燐は、完膚なきまで叩き潰さなければいけない。 そして、家族を守るために戦うことを決心したお燐はその『希望』を集めることに徹する。 お燐はかつてなく、燃えていた。 (この人…『こいし様を殺す』つもりだ…! そんなこと、あたいが絶対にさせないッ! 戦うことが家族を守ることに繋がる……大統領さんはそう言ってくれた。ここであたいが戦わなきゃ、家族みんなバラバラだ! 絶対に遺体を奪ってみせるッ! ……そしてっ!) 待ち受ける結果は分からない。 だが文がこのままこいしを始末しようというのであれば……手を染めることも、厭わない。 このホル・ホースと行動を共にする手前、文も強行手段に出るわけにはいかないだろう。そのための同行の提案なのだから。 いずれにせよ、文だけは逃がさない。逃がしてはならない。 こうして3人が一堂に集まり、表向きは平穏を保つ同盟のように見えた。 だが3人の指針は全て違う方向を向いている。 籠に隠れながら狡猾に息を潜めようとする鴉天狗。 籠の中の鳥を狙うため、小さな爪を磨く黒猫。 男の信念を守り通すため、先の見えぬ荒野を歩き続けるカウボーイ。 針の先に何があるか。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 【E-4 命蓮寺 本堂/朝】 【射命丸文@東方風神録】 [状態]:疲労(小)、体力消耗(小)、胸に銃痕(浅い)、服と前進に浅い切り傷 [装備]:拳銃(6/6)、聖人の遺体・脊髄、胴体@ジョジョ第7部(体内に入り込んでいます) [道具]:不明支給品(0~1)、基本支給品×3、予備弾6発、壊れゆく鉄球(レッキングボール)@ジョジョ第7部 [思考・状況] 基本行動方針:どんな手を使っても殺し合いに勝ち、生き残る 1:ホル・ホースと行動を共にしたい 2:火焔猫燐は隙を見て殺害したい。古明地こいしもいずれ始末したい 3:この遺体は守り通す 4:DIOは要警戒 5:露伴にはもう会いたくない 6:ここに希望はない [備考] ※参戦時期は東方神霊廟以降です。 ※文、ジョニィから呼び出された場所と時代、および参加者の情報を得ています。 ※参加者は幻想郷の者とジョースター家に縁のある者で構成されていると考えています。 ※火焔猫燐と情報を交換しました。 ※古明地こいしが肉の芽の洗脳を受けていると考えています。 【火焔猫燐@東方地霊殿】 [状態]:人間形態、妖力消耗(小) [装備]:毒塗りハンターナイフ@現実、聖人の遺体・両脚@ジョジョ第7部 [道具]:基本支給品、リヤカー@現実 [思考・状況] 基本行動方針:遺体を探しだし、古明地さとり他、地霊殿のメンバーと合流する。 1:家族を守る為に、遺体を探しだし大統領に渡す。 2:射命丸文が持つ遺体の奪取、及び殺害…? 3:ホル・ホースと行動を共にしたい。 4:地霊殿のメンバーと合流する。 5:ディエゴとの接触は避ける。 6:DIOとの接触は控える…? ※参戦時期は東方心綺楼以降です。 ※大統領を信頼しており、彼のために遺体を集めたい。とはいえ積極的な戦闘は望んでいません。 ※古明地こいしが肉の芽の洗脳を受けていると考えています。 【ホル・ホース@第3部 スターダストクルセイダース】 [状態]:鼻骨折、顔面骨折、疲労(中) [装備]:なし [道具]:不明支給品(確認済み)、基本支給品×2(一つは響子のもの)、スレッジハンマー(エニグマの紙に戻してある) [思考・状況] 基本行動方針:とにかく生き残る。 1:響子を死なせたことを後悔。 最期の望みを叶えることでケリをつける。 2:響子の望み通り白蓮を探して謝る。協力して寅丸星を正気に戻す。 3:火焔猫燐、射命丸文と話をする。 4:あのイカレたターミネーターみてーな軍人(シュトロハイム)とは二度と会いたくねー。 5:誰かを殺すとしても直接戦闘は極力避ける。漁父の利か暗殺を狙う。 6:使えるものは何でも利用するが、女を傷つけるのは主義に反する。とはいえ、場合によってはやむを得ない…か? 7:DIOとの接触は出来れば避けたいが、確実な勝機があれば隙を突いて殺したい。 8:あのガキ(ドッピオ)は使えそうだったが……ま、縁がなかったな。 [備考] ※参戦時期はDIOの暗殺を目論み背後から引き金を引いた直後です。 ※響子から支給品を預かっていました。 ※白蓮の容姿に関して、響子から聞いた程度の知識しかありません。 103:ワムウとこいしのDOKIDOKI添い寝物語 投下順 105:人妖彼岸之想塚 103:ワムウとこいしのDOKIDOKI添い寝物語 時系列順 105:人妖彼岸之想塚 097:進むべき道 射命丸文 127:デュプリシティ 084:G Free 火焔猫燐 127:デュプリシティ 083:デッドパロッツQ ホル・ホース 127:デュプリシティ
https://w.atwiki.jp/monosepia/pages/2632.html
. 当ページ下に放り込みログあり(添付ファイル) 2ちゃんねる / 2ch:新・放り込みスレ .
https://w.atwiki.jp/yuzuriha_mansion/pages/182.html
最良の医者 難易度:☆☆☆ 怖い度:☆☆ 本文 脳死が確認されて二週間を経過した彼の皮膚細胞は、無数のチューブに繋がれ、人工呼吸器と点滴によって生き続けていた。 しかしそれも、昨日までの話。彼は死んでしまった。 「すみません。手は尽くしたのですが…」 お医者さんはとても悲しそうな顔で告げた。 彼の亡きがらを抱いた時、とても軽くて、苦しかったんだと思う。 でも、もう苦しまなくていいんだよ?楽になれたね。 「………治療費は結構です」 決して裕福とは言えない私の状況を察してか、なんて優しいお医者さんなのだろう。 私はすぐに泣いた。 「……遺体を見るのは辛いでしょう」 お医者さんがシーツを被せる。 「……思い出は彼と共に焼いて忘れなさい」 この一言で私は立ち直れた ありがとうございます。お医者様。 ヒント なぜ遺体を見せないのだろう。 解説 一般論 彼は臓器を売却されている。 脳死だった彼の遺体から臓器は根こそぎ奪われ売却されていた。 そのため抜け殻となった彼はとても軽く、治療費を請求されなかった。 手術跡を見せるわけには行けなかったので焼いて忘れることを提案したのだ。
https://w.atwiki.jp/chaos_head/pages/19.html
ニュージェネまとめログ中西義稀wwww? ニュージェネ速報だクマ(||´ (エ) `||) ニュージェネその1@集団ダイブ ノノノ---(o||||||´▽`)oノ ニュージェネその2@妊娠男 \(||`□´||;;\) ニュージェネその3@張り付け †|†|(@□@)|†|† ニュージェネその4@ヴァンパイ屋ξ--(; ̄ξ ̄;)---ξ ニュージェネその5@ノータリン へ(´ρ`)ノ~ ニュージェネその6@DQNパズル (゚∀。)ノ・ω・)ノA` )ノ ニュージェネその?@……to be continued!!!(゜ロ)ギョエエ 渋谷で次々に起こる謎の事件。人々は「ニュージェネレーションの狂気」、略してニュージェネ事件と呼ぶようになった。 現在、警察では捜査中だが、今のところ各事件の関連性は不明だという。 第一の事件「集団ダイブ」 9月7日の深夜、高校生の男女5人が高層ビル「コーネリアスタワービル」の屋上ヘリポートから墜落。墜落した5人は即死したものと思われる。 司法解剖の結果、5人それぞれの手の爪には本人以外の肉片が残されており、同時にひっかき傷も見つかったことから、5人同士手をつないだまま、 飛び降りたものと推測されている。 その後事件現場直前の映像と思われるビデオ映像がインターネットに流出。この動画はすぐに削除されたが、動画内で被害者の一人と思われる 若者が「その目だれの目?」と口にしていることから、第四の事件との関連が濃厚になった。 警視庁は、この動画は渋谷のネットカフェ店「@カフェ」のROOM37からアップロードされたものと発表した。第二の事件「妊娠男」 男性の遺体に腹の中に胎児が埋められていた。鑑識の結果、男性と胎児のDNAに関連性は見られなかったことから、 この胎児の母親は一体誰か、この男性はなぜ殺されたのかなど、様々な憶測を呼んでいる。第三の事件「張り付け」 男性が多数の十字架状の杭で張り付けにされ殺されていた。警察では目撃者の情報を探している。被害者は渋谷のGEレートが半年前から大きく変化していると主張していた太田教授だったことが判明。 事件の前日に教授が出演する予定だったテレビ番組が何らかの圧力によって急遽差し替えられていたことも調査により判明した。 第四の事件「ヴァンパイ屋」 井の頭線の渋谷駅トイレ内個室にて男性の遺体が見つかった。その遺体は体中の血液が抜き取られ、 全身の皮膚が緑色に変色していたという。また、トイレの壁には「その目 だれの目」という落書きも見つかっている。 ネットオークションにその遺体の写真が出品されており、警察ではこの「ヴァンパイ屋」と名乗る出品者が 事件に関係していると見て捜査を進めている。第五の事件「ノータリン」 渋谷区の路上で23日未明、男性の遺体が発見された。被害者は頭蓋骨がきれいに切断され、脳が取り除かれていた。 被害者はAH東京総合病院精神科医の高科史男(41)と判明、被害者は今月の10日から勤務先である病院の仕事を休んでいたという。 死因は衰弱死と見られるため、脳を取り除かれた後もしばらくは脳死のような状態で生きていたと推測される。 第六の事件「DQNパズル」 東京都渋谷区の線路沿い鉄柱にて3人の若い男性の遺体が発見された。被害者は3人の友人同士。 3人とも胴体から身体が切断され、それぞれの上半身と下半身を別々に入れ替えて、釣り糸で縫い付けられていた。 額にはそれぞれ「D」「Q」「N」と読める傷が。 【※注】原作では第6の事件が「美味い手」、第7の事件が「DQNパズル」となっている。 「美味い手」事件は女性が自らの右手を噛み千切って食べのどを詰まらせて窒息死という事件だが、その過激性ゆえか、はたまた尺の問題か、アニメ版ではカットされた模様。