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嵐の前の静けさ ◆y6S7Lth9N6 「なんて気分の悪いことをしてくれますの」 親指をかみながら、少女は吐き捨てた。 赤いリボンで両側の髪はまとめられ、ぱっちりとした目の印象的な少女だ。 ブラウスにサマーセーターと灰色のスカートという組み合わせは、中学の制服らしい。 潮の匂いに鼻をひくつかせながら、不機嫌な歩みを始めた。 周囲は寂れた港らしく、無人の船が放置されている。 コンテナがいくつも並び、フォークリフトが不気味に佇んでいた。 どうやら地図で示されている港のようだ。暗くてしょうがない。 「殺されたあの人はお姉様……いえ、ちがいますわね」 彼女の敬愛するお姉様は、無気力そうな目はしておらず、喋り方にあんな個性はない。 確かに外見の美しさはそっくりそのままだが、香しい匂いはこの鼻に届かなかったし、気高い雰囲気もなかった。 ならば似ている別人――考えたくないが、クローンという可能性も考慮する――と判断するのが妥当だろう。 最近、美琴のニセモノが出没する、という噂は聞いていた。 それにここのところ美琴の態度がおかしい。クローンがどうのこうのという質問もしていた。 ならばこういうことか。 臍を噛む。結局、大事なところで自分は力になれないのか。 そしてあんな『お馬鹿さん』の力を借りる。くやしい。 悶々とした気持ちを抱えながら、黒子が進んでいるとベンチに誰か居るのを発見した。 ここが『殺し合いの場』と宣言されたことを思い出し、警戒する。 だが、相手はいつまでも動かない。目と鼻の先なのに、自分の存在すら気づいていないようだ。 なんとも無防備な人だ、と懐中電灯の光をあてる。 「こんなところで一人だと危険ですわ。こちらに危害を加えないのでしたら、わたくしが同行しても構いませんが、いかがいまたしますの?」 黒子からアプローチをしてみると、相手はようやく反応をする。 よく見ると綺麗な黒髪の女性だ。高校生くらいか。 柳眉と切れ目の瞳がこちらを射る。白い肌と白い上着が、彼女のはかなげな雰囲気を強くしていた。 思わず返事が来るのを忘れてしまう。相手に呑まれてはいけない、ともう一度声をかけようとした。 「あの、ここは天国ですか?」 なんとも珍妙な返事に、黒子は「へ?」とはしたない声を漏らした。 □ 自動販売機から買ったジュースを飲みながら、黒子はうーんと頭をひねっていた。 彼女の名前は長田結花。どうやら彼女は死んだらしい。 「どちらかというと、こちらは地獄ですわね」 「ああ、やっぱり……」 コーヒーを両手で包みながら飲んでいた結花は、何もかも諦めていたようにつぶやいた。 不思議なことに、たいていそういう人間はやけになっているものだが、彼女はそうではない。 なぜか満足そうだった。 「ただの冗談ですわ。本気にしないでください」 「はあ……でもおかしいです。私は死んだはずですから……」 「少なくともわたくしにはあなたが見えますし、なにかの勘違いではありませんの?」 黒子が尋ねると、結花は満足気な笑顔のまま首を横に振った。 妙に様になるのはなんでだろう。同時にいつか消えてしまいそうな危うげなものもある。 本当に幽霊なのだろうか。黒子の背中に悪寒が走った。 「そういえば、巻き込まれた知り合いの方はいらっしゃいますの? 名簿の確認は?」 「あ、いえ。まだ確認はしていません」 結花は黒子の指摘で、ようやく思い出したかのようにデイパックを漁った。 目簿を見つけた彼女は、初めて曇った表情を見せる。 「……知り合いの方がいらしたようですわね」 「啓太郎さん……」 名簿を握る手に力が入ったのを、黒子は見逃さない。 つぶやきには恋する乙女特有の艶があった。 「菊池啓太郎……この方は特別な人ですの?」 「はい。その、大好きな人です」 やや恥ずかしがりながら小さな声を出す彼女に、お熱いことですこと、と感想を持った。 なんとも不幸な話だ。殺しあえと命令されたあとで、恋人が参加していると知るなど。 実際、結花の表情は曇っていった。愛しのお姉様が参戦しているため、黒子にも理解できる。 もっとも、美琴の場合は心配する必要がないほど強いため、心情的に余裕があるのだが。 「それで、どうしま……」 黒子が彼女の行動方針を確かめようとしたときだった。 ドン、と何かが破壊される音が響く。 ジャッジメントとして能力者を取り締まる黒子は慌てず、音の方向を睨みつけた。 「どこかのバカがさっそく乗り気ってことですの? 長田さん、危ないですからここで隠れてくださ……」 「いえ、私も行きます」 意外にも、結花の態度ははっきりしていた。 争いに向かない、儚い印象だったのだが。 黒子としは足手まといになるため、隠れてくれたほうがありがたかったのだが、ここで一人にするのも不安ではある。 仕方なく黒子は結花を伴って、現場へと向かった。 □ 黒子は足音をたてないように壁に隠れてそっと覗く。 意外なのは、結花も慣れているかのように足音を忍ばせたことだ。 いろいろ疑問に思うが、ひとまず置いておく。 倉庫街のコンテナの一つが原型を留めないほど破壊されていた。 正面に立つ男は自分たちとそう年齢が離れていないように見えた。 全身真っ赤な服装に、赤い帽子。デイパックを肩に担ぎ、右手に赤と白のボールを握っている。 その彼の隣に立つ『ソレ』は見たことのない生物だった。 印象としては人間大の魚のムツゴロウといったところか。 青い体表とたくましい四肢のおかげで印象として迷うが、特徴的なヒレで判断した。 あの少年はいったい何者なのか。おそらく素人であろう結花を連れて離れるべきか。 ジャッジメントととして得た経験を総動員し、判断を下そうとする。 「ん? ああ、誰か居るのか」 ただそれよりも早く、黒子たちの存在は奇妙な少年に気づかれた。 先に振り向いたのは青い怪物だが、僅かな仕草だけで判断できる勘の良さにも警戒する。 黒子は隠れていてもしょうがない、と物陰から出た。 余裕があるように見せるため、ゆっくりと。 「よくわたくしに気づきましたわね。探知系の能力者ですの?」 「いや、こいつのおかげさ」 赤い少年は隣に立つ生物の肩を叩く。 「こいつ……ラグラージはヒレで微妙な空気の揺れを感知して、状況を把握するんだ」 「なるほど。それで、物を壊してなにをするつもりですの?」 黒子は言外に『やる気なら容赦しない』と告げた。 それを知ってか知らずか、目の前の少年は目を丸くし、後頭部を困ったようにかいた。 「ああ、確かにこんなことをしたら疑われるよな。ZUZU、いったんボールに戻ってくれ」 彼はそう言うと、ボールに謎の生物を収めた。 一連の出来事に、黒子は内心動揺する。生命体をあのボールに収める能力者だろうか。 だとしたら厄介だ。敵意がないのが幸いか。 「悪い悪い。後輩のポケモンしかなくてさ、技をちょっと確認していただけなんだ」 「なら、誰かを襲う気はない、ということですか?」 いつの間にか隣に立っていた結花が質問をする。 気配が全くなかったことに内心驚きつつ、少年の答えを待つ。 彼はニッコリと満面の笑顔を浮かべて頷いた。 「当然。オレの名前はレッド、よろしく」 差し出された手と彼の無邪気な表情を見て、とりあえず話だけでも聞こう。 黒子はそう結論つけてから名乗ろうとした。 グ~、と情けない音が聞こえるまで。 「あ、ごめん。そういや何か食べるのを忘れていたや。どこか移動しない?」 「緊張感のないお方ですわね……」 なんとなく美琴と付き合っていると噂の、冴えない男を思い出しながら脱力した。 □ 「へえ、知り合い探しているのか」 「こんなところに巻き込まれて、知り合いを探さない人なんてそういないと思いますわ」 「それもそうか」 黒子が突っ込んでいる目の前で、レッドはバクバクとデイパックの食料を消費していく。 結局あのあと、港の近くにあった食堂を見つけて入ったのだ。 デイパックには食料が充分ある上、こういう場所で補充が可能である。 とはいえ、遠慮なく食べていくレッドに呆れているのだが。 「なあ、あんたたち二人だけで探しに行くのか?」 サンドイッチにかぶりつきながら、レッドは尋ねてきた。 食べるか話すかどっちかにして欲しいのだが。 「現状はそうするつもりですわ。さすがに一般人を一人置いて、お姉様を探すわけには行きませんし」 「あの、私は一人でも啓太郎さんを探しにいけますが……」 「なりませんわ。野獣のうろつく危険地帯に長田さんをひとりにしたら、どうなるかは容易に想像できます。 少しは危険だということを理解してください」 はあ、と結花は納得していないように返した。 黒子が額に手を当ててため息をつくと、レッドがぺろりと上唇を舐める。 「だったらオレも一緒に行こうか? こいつの……」 彼は赤と白のボール(モンスターボールだと名前と性能の概要は教えてもらった)を持ち上げて示す。 「探知能力が役に立つ。それに仲間を探したいしいのはオレも同じだ。白井たちはポケモンを持っていないようだし」 「あら、わたくしをただの素人と舐めてもらっては困りますわよ?」 そう黒子が告げると同時に、手に持っていたジュース缶がパッと消える。 レッドの上に現れ、頭部を叩く小気味よい音が響いた。 「いまのは?」 「これはですね……」 「テレポートか」 驚く結花に説明しようとしたとき、レッドが冷静に指摘した。 頭に落ち、今は地面に転がる空き缶を拾い上げ、感心したようにこちらを見る。 「かなりの精度だな。ここまで細かい狙いが付けれるのはポケモンにもそうそういないぜ」 「……能力について知識がおありですの?」 「う~ん? テレポートはエスパータイプのポケモンがけっこう覚えられるからわかっただけだ。 それにトレーナーでも超能力や氷を使った変な技が使える奴もいるからなぁ。あいつら強かった」 黒子もそういう連中と似たような人間だと思った、とレッドは笑い飛す。 なんとなく不愉快だ。 「……まあ、足手まといにはならないようですし、長田さんを一人で抱える負担を考えたら、ありがたい提案ですわ。 レッドさん、本当にしばらくの間、同行をお願いしてもよろしいですの?」 「ぜんぜんオッケー。こちらこそよろしくな」 レッドは明るく告げ、手を結ぶことを決めた。正直自分でも簡単に信じ過ぎだと思っている。 まだ相手のことは名前とポケモンという生命がいるという情報くらいしか知らない。 移動しながらでも知ればいい、と結論をつけたのは彼の人柄ゆえか。 いずれにしても、ジャッジメントとしての誇りと責任感が黒子の行動を決めさせた。 美琴のことはいずれ合流できると信じている。 なにせ運命の相手(パートナー)なのだ。赤い糸で結ばれている限り、二人を隔てる障害などないも同然。 だからおのれと彼女に誇れる自分であり続ける。 それが白井黒子という女の生きざまだった。 長田結花は二人の真っ直ぐな『人間』を見て、複雑な気分だった。 人間への不信感は啓太郎のおかげですっかりなくなっている。 だからこそ、レッドと黒子が眩しくてしかたない。 彼らは啓太郎と同じ側の人間だ。人を殺してきた自分と違う。 結花は最初、啓太郎のために人を殺すべきか一瞬だけ迷った。 彼は人がいい。きっと長くは生きていないだろう。 早く合流するため、彼を殺しそうな連中を先に殺す。 そういう行動もありだろうか、考えたのだ。 だが、黒子はいい子だ。自分より年下なのに、戦える力を自覚して活用できる強い人間である。 レッドも穏やかながら、芯の強い瞳を見せていた。 自分や心ない誰かが人を殺し、彼らが歪むのは正直嫌だ。だから、しばらく彼らについていき、危険なら守ってあげよう。 そう結論つけた。 もっとも、不安はある。 オルフェノクである自分を彼らが受け入れてくれるのだろうか。 人を殺していた過去を知られたら、離れて行かないだろうか。 だけど、それ以上に結花は啓太郎の、彼女たちの夢を応援してあげたかった。 きっと自分に、夢を見る資格はないのだから。 【F-1/漁港近くの食堂/1日目・深夜】 【白井黒子@とある科学の超電磁砲】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品1~3(未確認) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いを止める 1:長田結花の恋人および知り合いから捜す。 2:レッドや結花から詳しい情報をもらう。 【備考】 参戦時期は五巻、御坂が部屋から出ていった後 【長田結花@仮面ライダー555】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品、不明支給品1~3(未確認) [思考・状況] 基本行動方針:啓太郎を捜す 1:自分及び黒子とレッドの知り合いを探す。 2:危害を加える人物には容赦をしない? 3:レッドと黒子を守る。いざというとき、オルフェノクの力と使うことに躊躇しない。 【備考】 参戦時期は死亡後 【レッド@ポケットモンスタースペシャル】 [状態]:健康 [装備]:モンスターボール(ラグラージ:NN『ZUZU』) [道具]:基本支給品、不明支給品0~2(未確認) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いを止める。 1:長田結花や黒子の知り合いを探すのに協力する。 2:仲間と合流。 3:自分のポケモンを探す。 4:ルビーにZUZUを返したい。 【備考】 参戦時期は29巻、バトルトーナメント以降 【ラグラージ:NN『ZUZU』】 ルビーの相棒。 コンテストではたくましさ部門担当。 頭のヒレを使って、人や敵の位置を把握する能力に長けている。 技:"いわくだき"・"がまん"・"がむしゃら"・"じしん"・"だくりゅう"・"どろあそび" "なみのり"・"ハイドロカノン"・"マッドショット"・"みずでっぽう" からてねずみポケモン。おおねずみがしんかした 投下順 モンスターズ からてねずみポケモン。おおねずみがしんかした 時系列順 モンスターズ GAME START 長田結花 [[]] GAME START 白井黒子 [[]] GAME START レッド [[]] 目次
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――の前の静けさ ◆i7XcZU0oTM 静かな街中を、たった一人で歩き続ける。 夜の闇は既に消えて、辺りを朝の光が包んでいる。 レストランから離れて、そんなに経ってはないはずだけど。 何故だか、長い時間が経過しているように感じる。 「……もう、6時過ぎなのか……」 もうそんなに経っているのか、とも思う反面。 まだそれだけしか経っていないのか、とも思ってしまう。 これまで、いつもの生活じゃ有り得ないような事ばかりだったけれど。 それでもまだ、僕は生きている。でも……別の場所では、誰かが殺されているんだ。 さっき確認した、定時更新に、殺された人の名前が載っていたから……。 そして、誰かを殺めた人のリストの中には、やっぱり川越さんの名前が……。 (……) 悶々とした気持ちのまま、僕は図書館に辿り着いた。重い足取りで、図書館へ入る。 ひんやりとした空気と、図書館特有の本の匂いが、僕を迎えた。 「……確か、キバヤシさんのいた所はこっちだったはずだけど」 朝だと言うのに、どことなく薄暗い通路を通り、キバヤシさんのいる所……資料室に向かう。 資料室の扉を開き、キバヤシさんの姿を確認した時。 「ただいま戻り……って、えぇ!?」 「アッ、ナンダオマエ! オイキバヤシ、ヒトガキタゾ!」 何だか小っちゃい生命体(?)がぽよんぽよんと跳ねながらキバヤシさんに向かっていく。 「む……ああ、バイク君。戻ってきたのか。随分と時間がかかったようだが……?」 「え、ああ、ちょっと」 「?」 どうやらキバヤシさんは、まだ定時更新を見ていないようだ……。 ここで僕が、川越さんのことを黙っていても、頭の良いキバヤシさんなら、じきに気づく。 なら、ここで話してしまったほうがいい……。 「……実は……」 ~~~ 「まさか、そんな事があったとはな」 「ええ……」 「まあ……話を聞く限り、川越は料理を貶されでもしない限り自分から人に攻撃することはないようだな。 どうしたものか……」 そう言うと、キバヤシさんは腕を組みつつ考える。 「ソンナアブナイヤツ、ホットケバイイダロ?」 「そうは言うが……」 ……確かに、川越さんをこのまま放置しておいていいのかどうか、分からない。 もしあのレストランに誰も来なかったなら、何も起こらずに済むだろう。 だが、誰かが来たら? そして、さっきのような事態になってしまったら? 今度は、どうなるか分からない。 「……説得を試みるか? いや……だが……」 なにやらブツブツと呟きながら、思案を巡らせるキバヤシさん。 ……正直、僕にもどうすればいいのか分からない。 常識的に考えるならば、まかりなりにも参加者を殺した人を放置しておくのは考えられない事だ。 だが、川越さんが人まで手にかけてしまう、とは言い切れない。 キバヤシさんも言ったが、料理を貶されでもしなければ、自分からは仕掛けないはずだ。 なら放っておいても、あまり問題は無いのではないか……? だけど、何かあってから行動を起こすのでは……。 (どうすれば……どうすればいいんだろう……?) 僕では、正しい判断が下せそうにない。 困ってキバヤシさんの方を見ると、キバヤシさんもまた悩んでいた。 「……」 お互い黙ったまま、ただ、時が流れた。 ◆ (…………) 6時は、もうとっくに過ぎている。 ……結局、私は。名前を定時更新で晒す事になってしまった。 PDAを探ろうにも、イーノックの視線があった故に、行動が起こせなかった。 そのせいで――――結局、名前が隠せなかった。 「ここをこうして……ほら、こうですよ」 「ありがとう……」 そして、今。 イーノックの方から、PDAを見ようと提案された所だ。 ……断るのもおかしいし、結局応じるしかなかった。 ひと足先に、内容に目を通す。 (…………やっぱり……載ってる) 私の、今の名前が、しっかりと、載っている。 「……16人も殺されて……ここに載ってる奴には、気を付けないと……あなたも、気を付けて下さい。 これに載ってる奴らがどこにいるか……!? あ、ちょ、ちょっと停めてくれ!」 「アイヨー」 そう言うと、ゆっくりと速度を落として、路肩に寄ったままタクシーは停まった。 一体、どうしたのだろうか。やはり、私の素性がバレてしまった!? 喉元へ、スウッと刃物が突き付けられたかのような、恐怖が心にのしかかる。 もしバレてしまったのならば、次に起こるのは……私への追求と非難。 ……止めさせないと。その事実を――――言わせちゃいけない。 言われてしまえば、私の今までやって来た事が、無駄になってしまいそうだから……。 でも、放たれた言葉は、私の想像していたものとは全く違う物だった。 「ちょっと通り過ぎちゃいましたけど……図書館がありましたよね」 「え? ……いえ、よく見てませんでした……」 「ああ……ほら、あそこ」 そう言ってイーノックが指差す先には、確かに図書館があった。 ……別に大した事じゃなかった。何だが、グッと寿命が縮んだ気がする。 額に浮かぶ汗を手の甲で拭い、安堵の息をこぼす。 でも。何故、私を責めないの?気付いたはずなのに……私が、人を殺した者だと言う事に。 さっきとはまた違う恐怖が、私の心にのしかかる。 ――――まさか、気付いた上で何も言わないの?もしそうなら、何のために? そんな事をする理由なんて、在る訳がない。 「図書館か。誰かいるんなら、接触を……いや、そもそも誰かいるんだろうか?」 私が心底動揺しているのに、まるで気がついていないようだ。 ああ、何だか全てが私を疑っている様な気さえして来た。 いつから、私はこうなってしまったのだろうか? タケシを護ると決めた時から?それとも、初めて人を手にかけてしまった時? もしかしたら……ここに来た時点で、どこかおかしくなっていたのかもしれないけど。 「……行ってみない事には始まらないな。よし、Uターンして図書館の前に停めてくれ」 「アイヨー」 ――――これから出会うであろう4人(と1体?)。 果たして、それがどのような結果をもたらすのか……? 【D-3・図書館/一日目・朝】 【マウンテンバイク@オカルト】 [状態] 健康、精神疲労(小)、川越への恐れ、苦悩 [装備] なし [道具] 基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品×1~3、治療用具一式@現実 [思考・状況] 基本:殺し合う気はない 1 川越さんを……どうすればいいんだろう? 2 レストランには、あまり戻りたくない…… 3 "スタンド使い"って何だろうか? 【キバヤシ@AA】 [状態] 健康 [装備] なし [道具] 基本支給品、PDA(忍法帖【Lv=00】)、Vやねん!タイガース×36@なんでも実況J [思考・状況] 基本 バトルロワイヤルの謎を解明する 1 川越をどうするべきか…… 2 図書館以外の場所も調査したいが、今は…… 3 バトロワは鮫島事件と何か関係がある……? だが、諸説が多すぎて現時点ではどうしようもない 【ジサクジエン@AA】 [状態] (・∀・)イイ! [思考・状況] 基本 キバヤシに従う 1 ……ドースンダ? 2 ニンポーチョーニ、クワシクナッタヨ 【D-3・図書館付近/一日目・朝】 【カーチャン@ニュー速VIP】 [状態]:健康、強いストレス、精神疲労(大) [装備]:アロハ調館内着@現地調達 [道具]:基本支給品一式×2、PDA(忍法帖【Lv=01】)、不明支給品(武器無し)×1~2、防弾ベスト@現実、 壁殴り代行のチラシ@ニュー速VIP、匕首@現実、ベレッタM92(15/15)@現実 [思考・状況] 基本:必ずタケシを生き残らせる 1 ……何が何だか分からなくなりそう 2 イーノックが使えるかどうか見極める。ダメなら…… 3 タケシの害になりそうな参加者を、命を賭けて排除する ※竹安佐和記の名前をイーノックだと思っています ※タクシー@AAに乗っています 【竹安佐和記@ゲームサロン】 [状態] 健康、現実逃避、疲労(小) [装備] 一番いい装備@エルシャダイ、ナックルダスター@現実 [道具] 基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、不明支給品(1~2) [思考・状況] 基本 "イーノック"として生き、全てを救う 1 図書館を調べてみよう…… 2 A-10神を倒す方法が見つかり次第、A-10神を倒す 3 ――――現実は見たくないけど、いつかは…… ※自身をイーノックと思いこむ事で、運動能力が向上するようです。それを疑うと力が無くなります。 ファヌソの力による物かは不明。 ※タクシー@AAに乗っています No.82 Drop out 時系列順 No.84 茶鬼 No.82 Drop out 投下順 No.84 茶鬼 No.67 feeling of love 竹安佐和記 No.96 Do it right No.67 feeling of love カーチャン No.71 知らない方が幸せだった マウンテンバイク No.73 キバヤシで学ぶバトルロワイヤルの忍法帖システム キバヤシ
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遊びの王【あそびのおう】 「遊んでいても学び続ける姿勢を持ち、デート時に能力が増える時があります」 『4』で主人公が習得する事が出来る課外活動特技の一つで、 デート時に15%の確率でパラメータが上がる。 概要 必要経験値は50。 この特技を覚える為には、サバイバル(40)、ゲーマー(40)、模倣成長(40)を取得しなければならない。 最初から取得するには、330の経験値が必要になる。 デートの際女性キャラが集合場所に来た時点で発動すると、体調を除く全パラメータが10P上昇する。 デートの最中や帰り際などでも「遊びの王」と表示される事があるが、パラメータの変動はないので要注意。 データセーブの前にしっかり確認をしよう。 反則的な性能の特技である。 リロードを繰り返してみると15%よりかなり発生確率が低いようにも思えるが、 全パラメータが10Pアップというのは魅力的である。 1回のデートごとにしっかり発動させれば勲章・高校生の神を軽く取得出来るぐらいのパラメータになる。 また、極めて稀なケースだが集合時にちゃんと発動したうえで解散時にもう一度「遊びの王」と表示されると 2回発動した事になり、なんと各パラメータが20P上昇する事がある。 こうなると主人公を知る者が見ても1日で別人のような変身を遂げたように見えるのではないだろうか。 関連項目 特技 主人公
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このwikiは闘者の学び舎の設定資料集です。
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『夜明け前の静けさ』 高口 健 ○繁華街のTV 人が行き交う。誰一人としてTVに見向きもしない。ビラ配りのアンドロイドが稼動している TVにアナウンサーのアンドロイドが写り、TV画面の右上には生中継の文字。 アナウンサー「…は病院屋上から飛び降り自殺を図ったものと思われ、現場は一時騒然となり、警察では事件の詳細を…」 ○東方中学校・グラウンド 体育教師「あと十週!みんな頑張れ!須藤はさらにもう十週!!」 女子生徒の罵声が飛ぶ。 女子生徒の中に混じり義足の少女が混じっている。 千夏「は……ぃ…」 須藤千夏(14歳)。セミロングの髪はヘアバンドで後ろを縛っている。 体操具はところどころ解れている。体育館下で男子生徒が屯している。 男子生徒A「なぁ、アイツだろ? この前、交通事故で…」 男子生徒B「もったいないよな。顔も体もいい感じだったのに…」 男子生徒A「マジで? おしいなぁ。事故に会う前に食っとけば良かった」 ○東方中学校・女子更衣室 女子生徒が着替える中、一部の生徒がある生徒を指し微笑している。 窓辺で着替える少女。その左足と両手が太陽光に反射して鉛色に光る。 少女はぎこちない両手で黙々と着替えつづける。 佐東めぐみ「ちな。その鉄のアクセサリー可愛いね、どこに行ったらそんなもの手に入るのかしら」 女子生徒「すごいオシャレよね。メガネもピッタリ。メガネ萌えってヤツ?」 教室内に笑い声が響き渡る。佐東めぐみ(14歳)も笑いを堪えている。 千夏「……。」 ○ショートホームルーム 教壇には担任の笹本先生(32歳)の姿。 外からはひぐらしのやかましいほどの鳴声。 笹本「明日は体育祭の準備があるからみんな遅刻しないで登校する事。あと、須藤。話があるから残りなさい」 先生の号令が済むと教室から須藤に注がれていた嫌な視線は徐々消える。 夕日の日差しが教室をぼんやりと明るくした。それでも蛍光灯が消されていて暗い。 教壇前の二つの机を横に向かい合わせ笹本と千夏は向かい合って座っている。 笹本「校長先生とご家族とも相談して、もっと施設の調った学校への転校する事になった。」 千夏は瞬き一つせずに俯いている。 笹本「先生もなできれば須藤をこの学校で卒業させてやりたかった…そのなんだ。それでも、転校する事で事故の事を少しでも忘れられるように…」 千夏は明らかに不機嫌面で両腕を腰で組み、小刻みに貧乏ゆすりをしている。 笹本「須藤の将来の事を考えると悪い話じゃないんだ。…須藤が幸せになれるためにも…」 千夏は立った弾みでイスを吹っ飛ばす。先生に唐突に殴りかかる。 その握り締めた拳は留まる事を知らず笹本の顔は原型をとどめない。全治3週間。 千夏の拳には血痕と汚名が残った。 ○学校の職員用掲示板 一枚の張り紙。須藤千夏の無期限停学の文字。 千夏(N)「この日、パパは学校へ呼ばれた。私は腕の痛みを理由に病院へ逃げ込んだ……。」 ○東方病院の個室 大きな窓。風に吹かれて大きな孤を描く白いカーテン。雲が山にかかっている。 点滴に繋がれた千夏の姿。部屋からは鏡は取り外され、戸には鍵が掛けられ、関係者以外立ち入り禁止の文字。 千夏「なんで私だけ…」 ○真夜中・御手洗い 便座に座り用を足す千夏。 松永「あの…すみません」 あたりを見渡す千夏。右手の壁の向こうから声がする。 松永「トイレットペーパー貸していただけませんか? こちらの紙が切れてしまっているようで…」 トイレットペーパーを取り外して手に持つ千夏。 千夏「何で? 入る前にそれぐらい気づけなかったの?」 少し間が空く。 松永「ちょっとうっかりしていて…」 千夏、一息付く。投げるが力を入れすぎて中を舞う物体は壁にバウンドして床に落ちると転がり始めた。 ○御手洗い前 トイレから出てくる松永。千夏に気づく。 松永「さっきはありがとうございました」 浅く礼をする。長く伸びた黒い髪が服を滴るように床に向かって流れる。 適当に相槌を打つ千夏。 松永「それじゃあ、お休みなさい。」 マイペースに会話が進む。しばし呆然とする千夏を横目に暗闇に消える松永。 足元の非常口の灯りだけが残る。 ○診察待合室 イスに腰掛けている千夏。看護士に付き添われて松永が入ってくる 隣に座るがお互い会話は無い。その直後に診察室に呼ばれる 千夏「はい」 松永、少し横を見て顔を微妙に傾げる。千夏、診察室へ。戸が閉まる 松永「…あっ」 ○診察室・ベッドルーム 点滴を首下から受ける千夏。カーテンを一枚隔てて横に寝る松永 松永「ねぇ、昨日会った人居ますか?」 松永の問いかけに千夏は顔を背ける。目を閉じた 松永「深夜トイレで会った方居ませんか? たしか、千夏…」 千夏、顔を赤める。 千夏「ちょっと…止めてよ」 千夏の小声がベッドルームに響き渡る。表情を顰める松永 千夏「何? 何か用?」 強い口調。 松永「さっき病室で隣に座っていましたよね? 何で声かけてくれなかったの?」 千夏「友達ってわけじゃないでしょ? それに声かけて欲しかったなら自分から声をかければいいじゃない?」 カーテンの向こう。松永が鼻を一回啜る。 千夏「そんなの自己中過ぎると思うけど…」 松永「ごめんなさい」 千夏「どっちにしても声かけられても困るし…」 松永「私、見えないの。目が…」 千夏の眉毛が一瞬動く。 松永「だから、気づけなかった…」 千夏「そう…」 室内に似合わない年期の入った時計の歯車の音がしばし流れる。 松永「そういえば私の名前教えてなかった。私、マツナガ。松に永遠の永で松永。世間一般では小学二年生だって。アナタは?」 千夏「…須藤」 松永「スドウ?」 千夏「さんずいっぱい作りに右に貝っぽいの、それに藤で須藤。中2」 松永「ふーん。」 しばし沈黙する松永 千夏「わかった?」 戸の向こうから看護士の足音が壁を伝って聞こえる。 松永「なんか良く判らないわ。また今度会った時に教えてね」 ベッドから起き上がる松永。看護士に連れられて部屋を出る。千夏、ふて腐れる。 ○自室 窓に肘を付いている千夏。指の先端にてふてふはゆっくり止まる。 千夏「松永も確か今日が診察日だったな…」 千夏(N)「松永と出会ってから一週間。初めて会った時は非常識な子だと思っていたけれども、私は彼女の持つ独特な雰囲気に何処か心地よさを感じている。意外と私に似ているのかもしれない…」 機械の両手を器用に使って着替える。左足の義足には何度も殴りつけた跡がある。 ○診察室・ベッドルーム ベッドに寝かされる松永。看護士が部屋からゆっくり出て行く。 松永「千夏居る?」 千夏「いつも通り待機中」 松永「私…」 ベッドの横のシーツを掴んで握り締め黙る松永。顔には包帯を巻いている 千夏「どうした?」 松永「……。」 千夏「恋の悩み?」 30分ほど黙り込む2人。看護士が松永を連れて行く。 松永「須藤お姉ちゃん。私ね、ここで生まれてここで育ったの。だから、今度もし会ったら須藤の学校の話聞かせてね…」 千夏「あれ…」 松永「いってきます」 ○自室 父親の須藤秀雄(39歳)が入ってくる。手には四角い箱から甘い香りが漂う。 秀雄「千夏、パパだぞ。有名ケーキ店アンティークで買ってきたぞ。一緒に食べよう」 ベッドに歩み寄る父。ケーキの匂いに混じって女物の香水の香りが強くなる。 父の姿に笑顔を見せる千夏。表情が少し引きつる。 千夏「わーい。パパありがとう(棒読み)」 秀雄「そうだろ、そうだろ。パパな店の店長さんと知り合いでね。特別に予約を入れていただいたんだ。」 千夏(N)「私はママが事故にあってからはパパと生活してきた。親戚の人達は優しい声をかけて来たが、ただ不幸の蜜を味わっているだけ。哀れだと見下してくる。今の私にはパパだけが必要だった。他には何もいらない。でも、パパはそうは思わなかったらしい……」 父が箱の四方を破って机に置く。中には苺のタルトが2つ。 秀雄「両手の調子はどうだい? まだ義腕を付け始めてから一ヶ月しか経ってないから不自由だろ? パパが食べさせようか?」 千夏「平気。自分で食べられる…」 タルトをそのまま手で持ち上げ噛み付く千夏。 千夏のベタベタになった鉄の手を布巾で拭く秀雄。 千夏「来週の日曜はパパとママの結婚記念日だね…」 秀雄、数秒無言になる。 秀雄「パパは、その日は主張で香港まで行かないと行けないんだ。ママが事故死してからもう半年。お前も交通事故にあってパパは気が気じゃないんだ。パパも千夏にずっとついていてあげたいんだ…。それで今度、その事で千夏に会って欲しい人が居るんだ」 千夏「うん、分かった。また今度その話は聞くよ…」 話を無理やり終わらせる千夏。秀雄、残ったケーキをベッド下の蔵庫の中に入れてそそくさと部屋を出る。 千夏「みんな大嫌いだ…」 ○非常階段 雲に隠れていた月夜が病棟を明るく照らし出す。非常口近くの平らな部分に根っこ路がる千夏 千夏(N)「あれから三日間、松永は診察室に顔を出さない。松永は言わなかったが看護士の話声を聞いて知っていた。松永は今、視力回復の義眼の手術を受けている。それで体に義眼が定着するのを待つため絶対安静」 自分の服装と水溜りに写った自分の顔を見る。 千夏「この姿で会うと失礼かな? 学校の話か、正直良い思い出なんて無いのよね…」 千夏の耳に診察医の声が聞こえる。窓の外から身を乗り出して診察医の部屋を覗く。 診察医は携帯電話をかけながら足早に部屋を出て行く。徐々に雷雲に覆われ見えなくなる月。雨が降り出した。 ○診察待合室 松永を探す千夏。看護士が千夏の前で足を止める。 看護士「どうしたの? 千夏ちゃん。」 切り出す事を少し躊躇する千夏 千夏「松永さんってどうかされたんですか? あの、目に障害を抱えた松永さんです。最近姿を見かけないんですけど…」 看護士はノートを見る。ページを数枚捲る。 看護士は眉を歪める 看護士「ごめんなさいね。昨夜、急に様態が悪化してね。目の手術の傷跡からばい菌が混入したらしくて…本当にごめんなさいね」 その場から立ち去る看護士。 千夏「え、ちょっと待ってください!」 固まる千夏。無常に時間は流れる。 ○屋上 午前四時。部屋から抜け出してきた千夏。 千夏(N)「松永は退院して病院から去った事になっていた。しかし、看護士の対応で悟ってしまった…」 秀雄とナオコ(21歳)の姿。 千夏「誰? その女。」 千夏はナオコを指差す。 秀雄「千夏、口には気をつけなさい。ナツコさんは、パパが一緒になろうとしている女性なのだから」 ナツコ「始めまして。アナタが千夏ちゃんね? ちーちゃんって呼んでもいいかしら?」 しばらくしてトレイに席を立つ秀雄。屋上の空気が変わる。 ナツコ「ふーん。アンタがあの人の娘…か。パパの病院に娘が入院してるから、どんなヤツかと思ったらただの障害者じゃない。私、ガキって嫌いなのよね。泣くは、言うこと聞かないわ…」 ナツコを無視する千夏。 ナツコ「話には聞いてたけど、可愛そうな子ね。交通事故で両腕と左足を切断。一命は取り留めたけどその格好はお笑いね」 千夏は下唇を噛む。ベッドに片膝ついて千夏の顔を覗き込むナツコ ナツコ「アンタさぁ。パパに迷惑をかけていると思わない訳? どうせ学校でもその両腕と足の事で虐められて、手の届かないここの病院まで逃げてきたんでしょ?」 千夏「違う…」 ナツコ「どうせ自分だけ被害者面してるんでしょ? そんな機械仕掛けのロボットが人間面するのも体外にしろよ?」 千夏「私は人間よ!ロボットじゃない。」 ナツコ「片腹痛いわね。じゃあ、アンタ自分の心臓は見たことあるの?脳は?肺は? 無いでしょ? アナタ最初から人間じゃないのよ?」 ナツコをにらみつける千夏。 ナツコ「もう家族ごっこは終わりにしましょうよ」 千夏「わたしは須藤千夏よ。ちゃんと昨日までの記憶もある。生まれたときの記憶もある。」 ナツコ「じゃあ、あの子の下の名前は覚えてるの? この病院で会った松永さんの」 黙りこむ千夏。 ナツコ「あの子はね、松永ナツコって言うの、わたしをモデルに作られたロボット。人間じゃ無いの。アナタは死んだと思っているかもしれないけど、死んでないの。壊れただけ。人じゃないの物なの。」 フェンス越しにタバコを吸い始めるナツコ。千夏、ナツコの背後に寄る。 ナツコ「秀雄さんは優しいからアナタを実の娘のように扱っている。でも、私はアナタたちが嫌いなの。ロボットのくせに人権を主張して…どこまで強欲なのかしら。だから、アナタも私のロボットみたいに止まってちょうだい。」 ナツコ、千夏の首の後ろに手を回す。腕をつねり、振りほどく千夏。 ナツコ「痛っ! アンタもあのロボットみたいに主人に逆らうわけ? もともと生きても居ないロボットもくせに。」 フェンスに千夏を押し付け首を絞める。 千夏「仮に機械だったとしても私は生きたい!」 ナツコ「本当にイライラするのよ。あんたたちには…壊れてここから居なくなれ人間もどき!」 ナツコの首を絞める力が増す。 千夏「機械なのは………人間じゃないのは…………お前たちのほうだ!!」 半回転して、今度はフェンスにナツコを押し付ける。 尋常じゃない力でフェンスに押し付けられたナツコはフェンスごと屋上から地上へと落ちた。 ○繁華街のTV 人が行き交う。誰一人としてTVに見向きもしない。ビラ配りのアンドロイドが稼動している。 TVにアナウンサーのアンドロイドが写り、TV画面の右上には生中継の文字。 アナウンサー「東方病院の院長の娘、松永ナツコ(21歳)は9月4日の深夜から明朝の間に同病院屋上から飛び降り自殺を図ったものと思われ、現場は一時騒然となりました。警察では遺書がまだ見つかって居ないため、事件としても視野に入れつつ調査を進める方針である。また、同病院から須藤秀雄(39歳)のアンドロイドも行方不明になっていることから警察では事件に何らかの形で巻き込まれていると見て捜査する方針を固めました。では、次のニュースです…」 ○ゴミ処理場 闇の中に蠢く影。皮の様な物に食らい突く千夏。 千夏「…ぅぇ」 食べたものを嘔吐する。液体がほとんど。 息は荒く、その場に倒れこむ。 日差しが徐々に千夏を照らしていく。 フェンス越しに道行く人々が千夏を見て見ぬ振りする。 主婦「ああはなりたくないわね…」 口に手を添えて口元を隠す主婦。 ゴミに埋もれている千夏。ゴミを啄ばむカラスの群れ。雨がずっと降り続いている。 千夏「私はただ…ただ、普通の生活が送りたかっただけなのに…」 千夏の頬を伝う水。突如、笑い声とも似つかぬ声を出す。 しかし、その声は次第に泣き声に変わる 千夏「私ってなんなんだろう…」 眠りに付く千夏。 ○須藤家 目を覚ます千夏。 ベッドに気付き上半身を起こす。辺りを見回す。 千夏「私の部屋だ…」 白いベッドにフローリングの床。壁は白い壁紙。 両腕を見る千夏。 千夏「直ってる? アレは夢?」 ドアにかけてあるカレンダーを見る。8月22日。 始業式の前日だ。 秀雄「千夏。パパ会社に行くから忘れずに朝食を食べるんだぞ」 秀雄が玄関から出る。それを二階の窓から見下ろす千夏。 自宅の電話が鳴る。寝巻きのまま一階へ駆け下りる。 スムーズに動く足。スムーズにドアのノブを開け、受話器をとる 千夏「はい、須藤です。」 佐東めぐみ(電話)「あ、ちな? あたしだけど、携帯見当たらなくってさぁ。」 千夏「……。」 佐東めぐみ(電話)「どしたの? まだ調子悪いの?」 千夏「…うん。」 適当に相槌をうつ地夏。 佐東めぐみ(電話)「そういえばぁ、加奈子とSheekerのボーカルの翼が付き合い始めたの知ってる? あたし、超ビックリでさぁ……」 雑談は昔話へ。雑談を続ける二人。 1時間後。 佐東めぐみ(電話)「じゃあ……また明日ね。」 千夏「うん。またね…」 受話器をゆっくり置き、ため息を一つ吐く。 しばらくぼんやりと天井を見上げる千夏。 千夏(N)「昔話をしたのにしっくり来ない。昔体験したはずなのによく覚えていない、記憶の欠落は人間にとってはよくある事だが私の場合は何か違う。データの破損というか過去の出来事を思い出としでは無く、知識として脳に蓄積している感じがする。私は私という概念を持った入れ物のように感じがする。私は何か空っぽだ。私は…誰?」 ○繁華街 千夏(N)「大型量販店、路地裏の標識、コンビニ前のアスファルト、どこも変わりなくそこにある。行き交う人々も何の疑問も無くこの不可思議な世界を生きている。それが常識だから?」 通りの向こうから女性が駆け寄ってくる。 アンケートの女性「時間ありませんか? 只今アンケートを近くの会場で行っているんですが、今時間ありませんか?」 女性はビルを指差す。女性に両肩を捕まれビルに連れ込まれる千夏。 千夏、ビルの一室に入る。机と椅子が用意されている。 アンケートの女性「じゃあ、お願いします。」 女性、部屋を出る。室内、アンケートに解答する人が数人。 しぶしぶ席に座りアンケートに記述し始める千夏。 アンケートは○×で記述する簡易な物。アンケートは30項目。 最後に『アナタは人を本気で愛した事がありますか?』という項目がある。 それを見つめる千夏。 その項目で鉛筆が止まる。ずっと止まっている。 ○自宅 夕飯の食器を並べる千夏。秀雄、席に着く。 号令で夕飯を食べ始める二人。 秀雄「……。」 千夏「………。」 箸と茶碗がぶつかる音が響く。 千夏「パパ、教えて欲しい事があるの…」 秀雄、箸を置く。 千夏「パパは人を本気で愛した事があるの?」 秀雄「ああ。あるよ」 千夏「それは誰?」 秀雄「母さんと千夏」 千夏「ねぇ、パパ。じゃあ私の事は愛してる?」 秀雄「さっきも言ったじゃないか。本気で愛してるのは母さんと千夏だけだ」 千夏「じゃあ、誰なの? 私は…誰なの? パパが愛してるのはママと千夏だけ。私は愛されてない…」 千夏(N)「私は千夏だ。千夏の事ならなんでも知っている。けれども、私は千夏であって千夏じゃない」 秀雄「何を言ってるんだ? 千夏、また病院に電話して先生に…」 食卓の台を投げ飛ばす千夏。仰け反る秀雄 千夏「うるさい!!どうして、誰も私の事を愛してくれないの? どうして、誰も私を見てくれないの? ねぇ、どうして?」 秀雄「落ち着きなさい!」 千夏「見てよ、この力…そりゃそうよ、だって私は人間じゃないもの。全部知ってるの、ナツコがベラベラ喋ってくれたから」 秀雄「……。」 千夏「私は千夏じゃない。パパの娘じゃない。私は人間じゃない。私は…私は…」 秀雄、千夏の腕を掴む。首の後ろのスイッチを押す。 急に動かなくなる千夏。 秀雄「……。」 ○自宅・千夏の部屋 目を覚ます千夏。千夏の視界に秀雄が入る。 秀雄「千夏。本当の千夏は半年前、ママと一緒に買い物に出かけたんだ」 千夏の手を握る秀雄 秀雄「千夏はパパに内緒で誕生日プレゼントを買いに行くってね。でもその帰り道、暴走した一台のトラックが千夏とママを…。」 千夏「……。」 秀雄「ママも千夏も即死だったそうだ。手にプレゼント袋を握り締めて…」 千夏「……。」 秀雄「パパは苦しみをぶつける先がわからなかった。そして千夏そっくりのアンドロイドを作り千夏の疑似記憶を埋め込んだんだ…」 千夏「……。」 秀雄「…。」 千夏「……そう。本当の事を話してくれてありがとう。」 秀雄の手を振り解き、掛け布団で顔を隠す千夏 秀雄「千夏?」 千夏「…って、部屋……から…出て……って…お願い」 秀雄、立ち上がり部屋を後にする。ドアが閉まり、外を救急車が通り過ぎる。 月光が天窓から注いでいる。 千夏(N)「やはり私は千夏では無かった。パパは私を愛しては居ない。ナツコの言う通り私はパパを幸せに出来ない」 頭を抱える千夏。 千夏(N)「私は私でわかっていたんだ。私自身、私をキライだったんだ。自分すら私を否定している。でも、パパが好きだ。パパのために何かしてあげたい。でも、私に何が出来る? 二年後、秀雄は謎の病に感染し仕事は止めざるを得ない状況に陥った。」 ○東方中学校・教室 教室の前に笹本と千夏が立っている。 笹本「今日からクラスに復帰する須藤千夏だ。みんな前みたいに仲良くしてやってくれ。」 胸を張る千夏。 千夏「また、よろしくおねがいします!」 クラスからどよめき声が発せられる。 男子生徒A「アレが須藤?」 男子生徒B「雰囲気変わったよな? なんか別人になったみたいだ」 千夏は中学を留年しつつも学生支援制度を活用して高校進学を決めた。 世間では次世代型のアンドロイドが復旧し始めていた。 ○自宅・秀雄の部屋 布団で横になっている秀雄。 千夏「じゃあ、学校に行ってくる」 秀雄「ああ、行ってらっしゃい。気をつけるんだよ」 千夏(N)「パパを蝕む病と老い…。その二つは確実にパパを死に追いやっていた……。」 中学を卒業してから一年。千夏は学年で主席で進級した。 ○自宅・秀雄の部屋 布団で横になっている秀雄。 玄関で保険の勧誘を断る千夏。千夏、廊下を通じて秀雄の部屋に入る。 千夏「パパの好きなベートーベンの悲愴かけるね」 千夏(N)「パパは昔よりも身長が低くなり、セキをよくするようになった。声も弱々しい」 秀雄「あと………一年で…卒……業じゃな…」 千夏「うん。私また学校で一番取ったんだよ? 先生も私の事すごく褒めてくれたよ」 秀雄の顔にシワが増え、目は細くなっている。 秀雄「優奈……。」 千夏「何?パパ」 秀雄「お前の本当の名前だ。」 しんしんと降り積もる雪。犬が遠くで鳴いていた。 千夏「パパ…名前なんて無くても良いの。名前なんてもう関係ないの。パパの娘なら」 秀雄「……。」 千夏「私、卒業したらうんと働くね。パパの自慢の娘になるから…見ててね。絶対…」 秀雄の頬から水が滴る。プレイヤーの電源を入れる千夏。悲愴が流れ出す。 千夏(N)「しかし同年秋、パパはいとも簡単に息を引き取った。パパを蝕み続けた病はその後、神経性免疫不順障害と名付けられた。一軒家に生気が感じられなくなった。パパが居なくなって急に広く感じられる家。必要以上に私の後を突いて回る孤独。私はこの日から自分を傷つけるのを止めた。」 ○東方病院・正門 父が他界してから12年後。 門に詰め寄る記者。人ごみを掻き分けて門に手をかける、千夏。 記者「日本初のアンドロイド議員となった感想は?」 千夏「ノーコメントで」 千夏、戸を開け家の中に入る。 千夏の腕に朝刊が握られている。 トップ記事に当選時の動画と共に『須藤千夏議員初当選!機械人権問題の確立に女神が光臨!?』の文字。 千夏(N)「私は高校卒業後、就職の道を一時諦め医療系の大学へ進学した。大学院の課程を経て、神経免疫不全障害の具体的な治療法を確率したとして功績を得た。その後、アンドロイドの特別人権保護問題の第一人者として人々の先に立ち啓蒙している。」 地下室に潜る地夏。その他数人の医師も千夏の後に続く。 ○東方病院・地下室 部屋中央には大きさ2メートルほどの古いカプセル。 千夏、カプセルの開閉ボタンを押す。 カプセルは開き、中から小学生ぐらいの少女が姿を現す。 腰まで届きそうな黒髪。 千夏「私の声が聞こえる? 私の事がわかる?」 松永「…ス、…………ス…ド………ウ?」 両目の包帯が解ける。松永、千夏を見つめる。 松永「…やっと……やっと、会えた。ただ……いま…」 周りの医師、笑顔で拍手。千夏、片ひざをつきしゃがむ。フラフラで歩いてくる松永を抱きしめる。 千夏「おかえり。ナツコ」 ○東方病院・屋上 午前四時。松永と千夏の姿。 二人の息吐くと息が白い。 松永「千夏は自分がアンドロイドだって知ってたんだね」 千夏「いいえ、私は自分がアンドロイドだって知ったのは二十一年前の丁度ここ。半ば強制にナツコに教えられたわ」 千夏、苦笑い。 松永「…ごめんなさい。」 千夏「謝る事なんて無いわ。あれはナツコに酷似した別人だったから」 千夏(N)「結局、彼女も私と同じだった。松永院長の娘のナツコちゃんは幼少の頃から病弱で短い生涯だったみたい。パパと松永院長がお互い技術協力して第ニ世代型アンドロイドが作られた……。所詮スペアに過ぎなかった自分に、彼女はそんな自分に耐えられなかった。彼女は自分自身を私に投影していたのね……甘えと妬み。嫉妬の快楽。」 松永「でも、あの人は私の…」 千夏「いいえ、違うの。今世界は変わろうとしているの。機械だろうと、人間だろうとその一瞬一瞬の時は生きているの」 松永の両肩に手をのせる千夏。 千夏「私たちにも人を愛する心があるわ。人を好きになったり、恋をして悩んだりも出来る。好きな人の子供だって産める。だから、もうその事で悩まなくいいの。ごめんね、ここまでたどり着くのに時間掛かりすぎたね。ごめんね、苦しい思いをさせて。ごめんね、あの時ナツコの身に何が起こっていたのかを知れなくて。」 松永「千夏、お母さんと同じ香りがする…」 千夏、空を見上げる。空にはうっすら月が見える。 千夏(N)「私は物じゃない、私は私。それ以上でもそれ以下でもない。故に、私はもう私を拒絶しない」 夜明け前の静けさが残る冬の出来事である。 -END-
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静けさ 静けさ、静寂、閑寂、静謐、寂寥感、沈黙 黙る、沈黙する、静まる、沈静、 静かな、閑静な、しんとした、閑散とした、黙った、しんしん、気まずい、心地よい、 _
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概要 【エルトナ大陸】の【ツスクルの村】にある学校。 高名な学者を目指し幼い頃から入学して勉学に励む。 卒業試験の【若葉の試み】に合格することで晴れて一人前と認められるが 難関のため、夢半ばにして学びの庭を去るものも少なくない。 【主人公(エルフ)】と【アサナギ】、10年連続わざと落第してきた【キュウスケ】は同期の卒業生。 【フウラ】も学者を目指していたが夢を諦め故郷に戻ることになる。
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055 エンブリヲの後の静けさ ◆BEQBTq4Ltk 「だーっ! 次から次へと何なんだよ!!」 波乱に次ぐ波乱、怒りが溜まるしかない。 エドワードは思う、いったい何が起きているんだ、と。 気付けば殺し合いに参加させられ感度を引き上げられた。 全く以て理解出来ない、したくない現実が連続で引き起こっている。 「ぐだぐだ言ってんじゃないわよ」 「あ!?」 火に油を注いでも火事が酷くなるだけである。 アンジュは近くで騒ぐエドワードに冷たい言葉を投げた。 反射的に反応する彼だがここで騒いでも良いことはない。 冷静になればアンジュと呼ばれていたこの女はあの変態と知り合いみたいだった。 怒りを抑え情報を集めることにする。 「アンジュって言ったか。俺はエドワード・エルリックだ。 単刀直入に聞くけどあのエンブリヲって野郎はなんなんだよ」 「……自分で考えればいいじゃない」 「は?」 「そもそもあんな変態のことを話したいと思う?」 御尤もな発言ではある。 あの変態と知り合いだと他人には思われたくないだろう。 しかし。 「お前、状況を考えろ! そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ! リンって子も攫われたんたぞ!」 「まぁ、そうね」 「そうねって……おい!」 「何よ、私は凛と出会って一日も経過してないのよ。それがどうしたの?」 エドワードから見ればアンジュとリンは知り合いに見えた。 他人から見れば一緒に行動している連中が元の仲間か違うかなどの区別はつかない。 言えることは行動を共にしているならば志は同じ、ぐらいだろう。 その仲間が攫われているのにアンジュは冷静だった。 冷静を通り越して我関せず、と謂わんばかりの冷たさである。 エンブリヲとは因縁がありそうに感じたがまるで腫れ物に触るように。 関わりたくないのだろうか。 人が攫われても、傷付いても。 このアンジュという女は気にせずに振舞っているのか。 「……気に喰わねえ。けど、状況が状況ってのも解る。お前はリンを助けるのか助けないのかどっちか教えてくれ」 怒号は飛ばない、飛ばさない。 人間誰しも他人の為に総てを投げ出せるほど勇敢でも無ければ馬鹿でも無い。 この裸の女が言っていることもエドワードは解ってしまう、人間ならば。 極端に言えば関われば己が危険に晒されるだけである。 黙って何処かに隠れ誰かが広川を倒すのを待てばいい。自分が汚れる必要は無い。 責任を背負う必要も無ければ正義の味方に為る義務も存在しない。 人間らしさを求めればこの状況は無視した方が安全である。 人を裸にさせ感度を引き上げ分身やワープが出来る変態と関わりたい物好きは中々存在しないだろう。 アンジュの反応は正しい、エドワードも理解している。 「助ける義理はないわね。捕まった凛が悪い」 決まりだ。 エドワードはその言葉を聞いて、返す。 「そうか。解ったよ。責めはしねえ、けど――」 最低だぜアンタ。 その言葉を言い切る前にアンジュは歩き出していた。 「私はあの変態――エンブリヲをもう一度殺す。何度だって殺してやるわ。そこに凛が居れば解放されるんじゃない?」 顔は見せずに。 表情は伺えないがその台詞には自信が込められている。 舞台で言えば決め台詞のような。己の証となるような一言。 アンジュという存在は人間らしい。 人型らしく選択が出来る、判断が出来る、覚悟が出来る、人を殺せる。 人間は他人の目を気にしてしまい自分を取り繕うとしてしまう。 己を空に閉じ込め体裁を整え周りの評価を下げない偽りの道化師と成り果てる。 だが、アンジュという女。 クソ喰らえと謂わんばかりに自我を貫き通せる強気女也。 「コイツ……最初からそう――うぶっ!?」 「このコートまだ借りるから」 エドワードの顔面にペットボトルを投げるとアンジュはコートの件を伝える。 脱げば裸、借りたままにしておくしか社会のルールを守れない。 最もこの会場で倫理が通るとは思えないが。 顔を赤くしながらペットボトルを仕舞い込むエドワード。 何はともあれアンジュが思ったよりもマシな女で助かったと安堵。 どうも自分の周りに居る女は強烈な粒揃いだと苦笑いが溢れてしまう。 苦笑いが零れるという謎の表現がしたく為るほど顔が引き攣ってしまう。 アンジュに戦う理由があれば自分も黙っている訳にはいかない。 エンブリヲには何発もぶち込まなきゃ気が済まない。 やるなら最後まで徹底的に潰さなければ怒りは収まらないだろう。 「私はこのまま南下するからアンタはどっか別の場所に行って」 「上から過ぎんだろ……俺は一人待たせてる奴がいるからソイツを回収してから探してみる」 此処まで自己中心的な性格だといっそ清々しい。 勿論最悪なことに変わりはない。不快と言えば不快ではある。 だが仲間と認める……かどうかは別として。 エドワードとアンジュはエンブリヲを潰す仲間のような関係だ。 彼女の提案を断る理由もなく、何処に行ったか解らない変態を探すには別れた方が効率的だろう。 エドは前川みくを一人にしているため彼女を迎えに行く必要が在った。 戦闘能力を持たない一般的な少女である。 エンブリヲとの交戦に加わればお荷物になるのは確実だ。 だが置いていけない。一人に出来ない。 エドは一人残される悲しみを知っている。 此処で彼がアンジュと共にエンブリヲを追ってしまえば前川みくは独人になる。 その悲しみを彼女に背負わせることを彼は絶対にしない。 「それじゃ、死ぬんじゃねぇぞ。俺もすぐに追いつくから無理はすんな」 背中を向けて腕を振るエド。 アンジュならそのまま背中を撃ち抜く可能性もあるが流石に此処で発砲はしない。 数分の関係だろうが人が死ぬのは辛い、出来るなら体験したくないものである。 彼の口から零れる言葉は皮肉ではなく心の底から出てくる真理の言葉であった。 彼の言葉にアンジュは少し笑みを零しながら答えた。 「自分の心配もしなさいよ……小さいんだから」 殺し合いに似合わない怒号が飛ぶ。 これから始まるであろう悲劇に似合わない――悲劇は既に始まっているのかもしれない。 だがエドとアンジュはこの瞬間だけ表情が緩んでいた。 強さの証拠なのだろうか。強がりではないと思うが。 エンブリヲを潰すために両者、道は違えど歩き出す。 凛を――救いに。 【G-5/1日目/黎明】 【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】 [状態]:疲労(小)、コートなし [装備]:無し [道具]:ディパック×2、基本支給品×2 、ゼラニウムの花×3(現地調達)@現実、 不明支給品×3~1、ガラスの靴@アイドルマスターシンデレラガールズ、 パイプ爆弾×4(ディパック内) @魔法少女まどか☆マギカ、みくの不明支給品1~0 [思考] 基本:主催の広川をぶっ飛ばす 1:温泉でみくと合流したあとエンブリヲを探し潰す。 2:大佐の奴をさがす。 3:前川みくの知り合いを探してやる。 4:エンブリヲ、ホムンクルスを警戒。 5:アンジュは味方……? [備考] ※登場時期はプライド戦後、セントラル突入前。 ※前川みくの知り合いについての知識を得ました。 ※ホムンクルス達がこの殺し合いに関与しているのではと疑っています。 【アンジュ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞】 [状態]:疲労(小)、全裸コート [装備]:S W M29(3/6)@現実 [道具]:デイパック×2、基本支給品×2、S W M29の予備弾54@現実 トカレフTT-33(6/8)@現実 トカレフTT-33の予備マガジン×4 不明支給品0~1 [思考] 基本:主催の広川をぶっ飛ばす 1:エンブリヲを殺す。凛を救う、ついでに。 2:モモカやタスク達を探す。 3:エンブリヲを警戒。 4:エドワードは味方……? [備考] ※登場時期は最終回エンブリヲを倒した直後辺り。 時系列順で読む Back 楔 Next 隠者と、魔法少女と、風紀委員と 投下順で読む Back 殺戮者の晩餐 Next すれ違い 033 神の発情 アンジュ 066 敵意の大地に種を蒔く エドワード・エルリック 072 鋼vs電撃vs世界
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アストリッドを追ってサウナへ行く。 更衣室で服を脱ぐ。 アストリッドについて行く。 (任意)水に飛び込んで身体を冷まし、体力を回復させる。 (任意)フラヤの火酒を一杯飲んで身体を温める。 馬小屋でスヒャールと合流する。 ワイルドハントの戦士たちに挑む。 馬に乗って<ドラウナーの岩場>に向かって逃げる。 ワイルドハントを避けながら<ドラウナーの岩場>にたどり着く。
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遊びの達人【あそびのたつじん】 「すべてのデートスポットでデートした証です」 『』に登場する勲章の一つで金のみ存在する。 一周のプレイの間に、全てのデートスポットでデートをすると獲得出来る。 概要 とにかく誰とでもいいので、全てのデートスポット(追加デートを含む)に行く事。 追加デートに関しては喫茶店やスイーツショップに行くのはもちろん、 遊園地でのナイトパレード・スキー場でのライトアップ・海での夕日なども全て見る。 ただし映画館やスタジアム・コンサート会場等は、演目・種目が違うからと何度も行く必要はない。 また、CGがあるイベントはカウントされない場合があるので、それらは別物として改めて行った方が確実。 諸々の条件を把握していればさほど難しい勲章ではないだろう。 関連項目 勲章