約 445 件
https://w.atwiki.jp/sslibrary/pages/59.html
【種別】 “紅世の徒”、通称 【初出】 III巻 【解説】 真名は“愛染他”(あいぜんた)。炎の色は山吹色。 姿はリボンをあしらったドレスと鍔広帽子に金髪碧眼の美少女で、フランス人形を思わせる姿をしていた。 外見が瓜二つな兄“愛染自”ソラトとあわせて“愛染の兄妹”と称された。 比較的若い“徒”で、兄のソラトを溺愛し、兄の欲望を叶える為に己の全てを捧げた。ただしソラトの他の女に対する欲望は一切甘受せず、特に相手がヘカテーの場合は名前を口にしただけで首を絞める程に厳しかった。 兄に対しては徹底的に甘やかし愛情を注ぐが、兄以外や自分達を侮辱する者には残忍で執念深い気質。ただし、愛に生きる者には敵に対してさえ好意的な面もあった。 他者のために当然のように我が身を削り滅びるという“徒”の中でも例外中の例外とも言える本質は『溺愛の抱擁』と呼ばれ、その本性の姿は山吹色の花弁で構成された炎のケープ。 この世を兄と共に渡り歩きながら自在法『揺りかごの園』などを用いて、兄の欲望を叶えるためのサポートに回っていた。 戦闘までに、人間に自在式を埋め込んで“燐子”『ピニオン』を多数作り、宝具『オルゴール』の力でそれらを起動・維持させて『揺りかごの園』を広域に拡大させることで、兄や自分に強力な回復力を持たせ、『ピニオン』が生み出す無数の蔦や蔓を使ってフレイムヘイズなどの敵をいたぶり殺していた。 自在師に数えられ、彼女の作り出す自在式は埋め込んだ人間を瞬時に高性能の“燐子”『ピニオン』に作り変えた。その技の冴えはウィネをして、彼の組織でもなかなか見ることはできないと思わせるほどだった。 “徒”としての統御力は大したものではないが、『揺りかごの園』『ピニオン』『オルゴール』の自在法・“燐子”・宝具の力による戦場の構築さえ完璧なら、その力は“王”以上となる。 この世に渡り来てすぐの頃、ウィネに連れられて赴いた『星黎殿』でヘカテーから訓令を受ける際に、彼女とちょっとした諍いを起こしているが、一方的にあしらわれた。 香港でフレイムヘイズ『万条の仕手』ヴィルヘルミナ・カルメルと遭遇し、シュドナイによって逃れた後、『贄殿遮那』を求める兄ソラトの欲望を叶えるため、シュドナイを護衛に伴って御崎市に来襲。 『揺りかごの園』を使ってシャナを追い込むも、マージョリーに『揺りかごの園』の力の供給源を無効化され、力を供給出来ないで居る所でソラトが斬られ、自身の“存在の力”を削りソラトの傷を治し守るが、自身は“存在の力”を使い果たしきる直前にシャナの炎に飲まれて消滅した。 全てを兄に捧げるその存在の在り様は、シャナに己の恋愛感情を自覚させる変化を促すことになった。 参照 →ソラト 【由来・元ネタ】 名前の元ネタは、アグリッパが定めたインテリジェンスで、水星を司るとする天使 ティリエル(Tiriel)と思われる。 ウィリアム・ブレイクは、アグリッパから自身の予言書の主人公に名前を採用している。ブレイクの注釈者たちは、ティリエルを物質主義の象徴と見なしている。ティリエルは兄弟たちとともに父親ハルに反乱を起こし、西の暴君となって弟たちを幽閉・追放したり、息子たちを奴隷にしたりするが、最後には盲目となって呪いながら死ぬことになる。 執着するという意味の「愛染」と「他」から真名全体で「他(確実にソラト)に執着する」という意味だと思われる。 【コメント】 ☆アニメ版で登場した。 ☆女性の“徒”の自在師は他に[とむらいの鐘]の『九垓天秤』ウルリクムミの副官アルラウネと[仮装舞踏会]の捜索猟兵レライエと“螺旋の風琴”リャナンシーがいる。 ☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手”アシズや『九垓天秤』フワワやニヌルタやソカルやウルリクムミやモレクやチェルノボーグやジャリや『両翼』のメリヒムやイルヤンカやウルリクムミの副官のアルラウネや[百鬼夜行]のギュウキやパラやゼミナやセムルヴや[革正団]とも絡んでいたら面白そうだったのにな。 ☆アニメ第2期でも、ソラトと共にメアの『ゲマインデ』の中で登場した。 ☆番外編『しんでれらのしゃな』では、サンドリヨン(ヨシダ)の意地悪な姉の一人として登場している。 ☆番外編『かぐやひめのしゃな』では、6話の舌切り雀で雀の飼い主のお婆さんとして登場している。 ☆番外編『おじょうさまのしゃな』には登場しなかった。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、パリで遊ぶ子供たちの一人として登場している。
https://w.atwiki.jp/sslibrary/pages/50.html
【種別】 “紅世の徒”、通称 【初出】 III巻 【解説】 真名は“愛染自”(あいぜんじ)。炎の色は山吹色。 外見は金髪に臙脂色のジャケットとブーツが特徴で、戦闘時には面積の狭い鎧を纏う。比較的若い“徒”かつこの世に渡り来てからも日が浅く、『天道宮』崩壊の数年ほど前にこの世に渡り来た。 外見が瓜二つな妹“愛染他”ティリエルとあわせて、“愛染の兄妹”と称された。 意志薄弱で普段は徹底的に妹に依存しつつも、目先の欲望に目が行くと妹の事にも目が行かなくなる。弱々しく言動も幼い普段の姿と、戦闘時における巧みな殺戮者としての冷酷な姿を併せ持つ、純粋ゆえに冷酷な“徒”。 この世に渡ってきた頃は、自分の名を呼んだ者(ティリエル以外)に問答無用で襲い掛かり、また人間もトーチにする量の“存在の力”すら残さず衝動のままに喰らい尽くしていた。捜索猟兵ウィネに案内させて[仮装舞踏会]の本拠地『星黎殿』にやってきた時にも、『三柱臣』ヘカテーにいきなり襲い掛かったが、あっさりと一蹴された。 物欲の権化とも言え、興味を持った物に対して強い執着心を抱き、力付くで本能のままに物にしようとした。その現れとして『欲望の嗅覚』と呼ばれる、自身が欲する物の場所を目にすることなく感じる能力を持つ。 それ以外の自在法は使えず、『達意の言』が使えないため普通の人間には彼の声は異質感の塊のような音にしか聞こえなかった。 その反面、身体能力と身のこなし、剣の腕前は凄まじく、戦場では妹のサポートのもとで片手持ちの大剣型宝具『吸血鬼』を巧みに振るい、敵と戦った。 欲望の対象となった『贄殿遮那』を求めて妹と護衛のシュドナイと共に御崎市に現れるも、妹もろともシャナに討滅された。 参照 →ティリエル 【アニメ版】 公式サイトでは、一人では“存在の力”も喰らえないほど何も出来ないとされていた。 しかし、実際には食らっている場面が何度も登場することから、一人のときは喰らうことを(封絶が張れない、トーチに加工できないといった理由で)ティリエルに禁じられていること指しているものと思われる。 また、物欲の対象が、特に武具系宝具ということになっていた。 他にも戦闘時に鎧を纏わず普段の姿のままだったりとか、『達意の言』を使っていたりとかの違いがあった。 【由来・元ネタ考察】 名前の元ネタはアグリッパが定めた、太陽を司るとするダイモーン(≒悪霊)ソラト(Sorath)と思われる。 またシュタイナーは、その講演の中で、人間の霊的存在を表すヘブライ語の四文字を合計すると六六六になり、ソラトという名前の子音が得られることを示した。シュタイナーによれば、ソラトこそが二本の角を持つ「黙示録の獣」であり、キリストの敵であるとされる。 「愛染」は煩悩または執着し愛するという意味で、真名全体で「自分(の欲望)に執着する」という意味だと思われる。正にソラトの言動そのものを表している。 【コメント】 ☆フリアグネを幼くしたようなキャラクターだな。 ☆『欲望の嗅覚』のような能力をフリアグネが持ってたらすごいことになってたんだろうな。ソラトは宝具に飽きたら捨てるけど、彼は全部溜め込むしな。 ☆アニメ第2期でも、ティリエルと共にメアの『ゲマインデ』の中で登場した。 ☆男の子の姿をした“徒”は他に[仮装舞踏会]のピルソインがいる。 ☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]のアシズや『九垓天秤』ジャリやソカルやフワワやニヌルタやウルリクムミやチェルノボーグやモレクや『両翼』のイルヤンカやメリヒムやウルリクムミの副官のアルラウネや[百鬼夜行]のギュウキやパラやゼミナやセムルヴや[革正団]のサラカエルとも絡んでいたら面白そうだったのにな。 ☆番外編『しんでれらのしゃな』では、意地悪な姉の一人として登場している。 ☆番外編『かぐやひめのしゃな』では、6話の舌切り雀で登場している。 ☆番外編『おじょうさまのしゃな』には登場しなかった。 ☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、第2幕でパリの子供たちの一人として登場している。
https://w.atwiki.jp/batohinann/pages/21.html
名前 コメント 行動待機時間表 人数 ~15人 16人~30人 31人~40人 41人~70人 重さ Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 道路 9 14 16 21 12 18 21 14 21 27 16 25 29 37 平地 15 22 26 33 19 28 33 22 33 42 26 39 46 58 森 22 33 39 48 28 40 48 33 48 60 39 56 67 84 山 31 44 54 67 39 56 67 44 67 80 54 78 96 117 近接攻撃 17 26 30 38 22 32 38 26 38 46 31 44 54 67 遠隔攻撃 33 50 58 72 41 60 72 50 72 86 58 84 100 125 アイテム使用 center 16 center 20 center 24 center 28 情報チェック center 8 center 10 center 12 center 14 待機時間は数式でもとめられる。ちょっとまってて 行動待機時間は重さ、地形、参加者数(生存者数ではない)"生存者数"に影響される。 レベル Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 重さ ~17 18~35 36~53 54~71 重さの合計÷18の小数点以下切捨て+1が重さレベルになります スタン時間 神スタン、ピコハリ、カメラ、スタンガン 鋭意製作中 人数 1 2 3 4 ピコハン 120 144 167 スタンガン 40 55 カメラ 96 112 アイテム表 名称 攻/防 クリ 重さ 乱数 名称 攻/防 クリ 重さ 乱数 素手 0? なし なし なし 首輪 なし なし 3 なし うまい棒 1 1 1 なし カメラ 1 2 5 なし 十手 1 1 2 なし 心無い野次 1 なし 1 2 新聞紙 1 2 1 なし マイク 1 なし 1 なし 大阪名物はりせんチョップ 1 1 2 なし 手裏剣 2 なし 3 4 ピコピコハンマー 1 1 2 なし バールのようなもの 2 不明 3 不明 分厚いハードカバーの小説 2 5 4 なし ボール 2 なし 3 2 プッチャン 2 6? 3 不明 38式歩兵銃 4 なし 5 8 ボクシンググローブ 2 1 3 なし 火炎瓶 4 なし 5 8 ギター 3 4? 5 不明 セクシービーム 5 なし 2 8 金属バット 3 1 5 なし ニューナンブ 5 なし 5 10 釘バット 3 4 5 なし ボウガン 5 なし 5 12 バタフライナイフ 2 5 3 なし M16自動小銃 6 なし 5 6 ブッシュナイフ 2 5 3 なし S W M19 COMBAT MAGNUM 6 なし 5 6 サバイバルナイフ 3 5 5 なし ワルサーP38 6 なし 5 6 ナタ 3 5 5 なし コルトハイウェイパトロールマン 7 なし 6 7 斧 4 5 7 なし シグ・ザウエルP230・9mmショート 7 なし 6 7 ビームサーベル 4 5 6 なし チェコ製Cz/M75 7 なし 6 7 贄殿遮那 5 5 8 なし 手榴弾 8 なし 3 16 日本刀 5 5 8 なし ワルサーPPK9mm 8 なし 7 8 斬鉄剣 6 5 8 なし デザートイーグル 9 なし 7 9 カマ 5 7 5 なし レミントンM31RS 9 なし 7 9 HBの鉛筆 1 10 1 なし イングラムM10 10 なし 10 10 スプーン 1 10 1 なし ウージー9mm 10 なし 10 10 ねぎ(武器) 1 6? 2 不明 バズーカ 25 なし 20 10 アイスピック 2 10 3 なし * * * * * ドリル 2 10? 3 なし * * * * * 庭師の鋏 2 5? 5 なし * * * * * スタンガン 3 2 5 なし 特攻服 1 なし 3 なし ウンコ 1 10 7 なし 裸エプロン 1 なし 1 なし ローソク 1 4 2 なし セリオの抱き枕 1 なし 5 なし 荒縄 2 4 3 なし エロ本 2 なし 2 なし 三角木馬 2 6? 2 不明 皮ジャン 2 なし 4 なし ムチ 2 4 2 なし フルフェイス 3 なし 5 なし アレ -50 なし 54 なし プロテクター 4 なし 7 なし ハーレーダビットソン 8 なし なし なし 防弾チョッキ 5 なし 9 なし べんつ 15 なし なし なし ジェラルミンの盾 7 なし 15 なし クリ…クリティカルの出やすさ。おそらく10段階か。 乱数…ダメージがばらつく理由のひとつ。攻撃力の割りにダメージが多かったり少なかったりする。 地形・施設 道路平地森山 診療所食料庫 診療所や食料庫で戦うと銃の命中率が若干低下します たぶん防御側のはなしだから探知で相手が中にいたらなる
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/363.html
第304話:野犬の出立 作:◆Sf10UnKI5A 前衛芸術の極致ムンク小屋では、リナ、ダナティア、テッサの三人が話し合いをしていた。 ベルガーの申し出をどうするかという相談なのだが、 シャナだけは、ベルガーが寝るのを見て同じ様にすぐ眠ってしまったのだ。 疲れが取れていないのだろうが、先ほどの一瞬の攻防の結果に拗ねただけかもしれない。 ともあれ、会議は続く。 「疑うようなことは言ったけど、やっぱりあたしはベルガーに賛成。 いずれは動かないといけないんだし、携帯電話の持ち主を見に行ってもらうだけでも十分意味があるわ」 「あたくしは反対ですわ。 エルメスに乗ったとしても単独行動は危険だし、せめて次の放送を待ってから動くべきね」 「でも、シャナさんや皆さんの知り合いのことを考えたら、少しでも早い方が……」 「あら。貴方は今まで自分を守っていたナイトをあえて危地へ送り出すのかしら?」 「随分卑怯な言い方をするんですね……ダナティアさん。 ……ベルガーさんは、私と一緒にいたら、私を守るために死ぬと思います。 だから、一人の方がいいと思うんです」 「は? 何よそれ。ノロケ?」 リナの言葉に、テッサはわずかに笑みを浮かべる。 「私とベルガーさんは、まだ会ってから半日も経っていません。 ただ、解るんです。『そういう人達』に沢山会ってきましたから。 私は弱い人間ですし、生き残るためには誰かに守られないといけません。 でも嫌なんです。こんな状況なんだから、自分の命を一番大切にして欲しいんです」 「……あたくし達になら守られてもいいというのは、最悪の時に自分のことを見捨ててくれると思ったから?」 「少なくとも、シャナさん、それにリナさんはそうじゃないですか?」 「……喧嘩売ってんの?」 「違います。一人で生き残る力を持っている人が、 一人じゃ生き残れない私を守るために死ぬのは間違ってる。そう言ってるんです。 勿論、守ってくださるというのは有り難いと思っています」 「……あんた、随っ分ネガティブ思考する子ねー。普段守られっぱなしの反動?」 「そうかもしれませんね」 ――現状、ウィスパードの力は何の役にも立ちませんから……。 テッサは口には出さず、心の中でそう付け足した。 要するに、自分とベルガーが共にいるというのは、 役に立つか解らない物しか作れない科学者の護衛に優秀な兵士を付けるようなものだ。 それは兵士の飼い殺しでしかない。 はあ、とダナティアが嘆息するのが聞こえた。 「言いたいことは解ったけど、何も今行かせる必要は無いのではなくて? さっきも言った通り、次の放送まで待ってからでも――」 ピルルルルルルル…… ピピルピルピルピピル…… ダナティアの声を遮ったのは、携帯電話の着信音だった。 「何、また電話?」 「違いますね、メールです。 ……要するに、声だけじゃなくて文字も送りあえるるんですよ。読みますね? 『こちらはセルティだ。戦闘があり保胤が怪我をした――――』」 そのメールの内容は、悪い知らせとしか言い様がなかった。 「今は安全な場所にいるみたいですね。でも……」 「セルティってのがどれだけ腕が立っても、怪我人抱えてちゃ話にならないわ。 今敵に襲われたらどうしようもないわね」 「それもそうですが、電話と違ってメールは相手を声で判断出来ません。ですから……」 「……そういうことね」 罠の可能性が更に高くなった、ということになる。しかし、 「罠だとしたら、わざわざこのフォルテッシモって奴の情報を送ってくると思う?」 「普通はそんな余計なことしないわね。とは言え、頭から信用するのも危険そのもの」 「……ちょっと待ってくださいね」 テッサは手際良く携帯を操作し、返信メールを送った。 『今はどこにいるんですか?』 すぐにメールが帰ってきた。 『A-1にいる』 「「「…………」」」 三人は、顔を見合わせ沈黙した。 島の隅という、襲われて逃げ込むにしては不自然すぎる場所。 地図を見る限りでは、特に身を隠しやすいエリアというわけでもなさそうだ。 「……判断保留ね」 最初に口を開いたのは、ダナティアだった。 「はっきり助けを求めているわけではない。ならば、無理にこちらから行く必要は無いわ。 向こうからまた連絡してくるか、それか次の放送までは――」 「案外薄情だな、アンタ」 聞こえてきたのは男の声。そして、この小屋にいる男は一人だけ(無生物を除く)。 「いつから起きてたんですか?」 「いや、さっきの電話の音で目ぇ覚めてな。話まとまったか?」 「決まってないわよ。ダナティアが折れる気無いってさ」 「嬢ちゃんは?」 「シャナ? すぐ寝ちゃったわよ。ま、怪我人だし」 そうか、と言って、ベルガーはサングラスを掛け直した。 そして壁に立てかけてあった贄殿遮那を掴む。 「テレサ。電話の相手に『一人そっちに向かう』って伝えておいてくれ」 「待ちなさい!」 用だけ言いつけ出て行こうとするベルガーを、ダナティアが呼び止めた。 「……生き残るため、この島から脱出するためには、団結しないとどうしようもないわ。 バラバラに動いていては、主催者側に対抗しようにも勝ち目が無い」 「ダナティア。ダナティア・アリール・アンクルージュ。君の考えは正しいが、一つ大切なことが抜けているな」 その物言いに、ダナティアの眉がわずかに上がる。 「それは……何?」 「形だけではなく、心から団結しなければならないということだ」 「もっと単純に言えば、信頼関係を築こう、ということだな。 ダナティア、君は、シャナが君のことをどう思っていると考える?」 「……良くは思ってないでしょうね。 友人を助けに行きたくても、自分の守護者は『止めろ』と言う。 ――それも、あたくしを通して」 「風邪の友達を見舞おうとしたら、『病気が移ります!』って親に止められたようなものね。 そしたら、その子供は誰を恨むのか」 リナが要約した。ベルガーは頷いて、 「だから、代わりに優しいお兄ちゃんが様子を見てきてやるんだよ。それで一件落着だ」 更に別の声が加わる。 「ミイラ彫りが魅入られないといいね」 しかし全員が無視した。 「……このあたくしに、ご機嫌取りに媚びへつらえとでも?」 「君は君のすべきことをすればいいさ。俺には駆けずり回るのが似合ってるってだけだ」 「……ええ、ええ! 解りましたとも! そうするのが一番良いと言うなら、勝手にしなさい!」 「ダナティアさん!? お、落ち着いて……」 突然大声を上げたダナティアを、テッサが慌ててなだめようとする。 「ただし、十二時の放送までに帰ってらっしゃい! エルメスに乗れば簡単でしょう!?」 「使わせてもらえるのか。そいつは助かった」 「運転は得意なのかい?」 エルメスが尋ねる。 「散々乗り回してたからな。多少荒いかもしれないが、大丈夫だろ?」 「うん、キノも結構乱暴だからね」 「あの、ベルガーさん……」 バイクと話すベルガーに、テッサが声をかけた。 「何だ?」 「その、勿論、相良さんやかなめさんを見つけて欲しいんですけど、 ……見つからなかったとしても、絶対に帰ってきてください」 「安心しろ。こう見えても俺は、世界で二番目に運が良いんだ」 「どうせなら一番って言った方が格好つくわよ」 「俺は謙虚なんでな」 リナとベルガーの遣り取りに、テッサは思わず笑ってしまった。 「それで、どう行くつもりなの?」 「時間は十分ある。地図に載ってる道を通って、大回りにA-1まで行くつもりだ。 無事に合流出来たら連絡しよう」 言いつつ、ベルガーはエルメスのスタンドを外し、重い車体を押し始める。 「それじゃ行ってくる。シャナが起きたら、刀は十二時まで借りておくと伝えといてくれ」 「行ってきまーす」 一人と一台がムンクを出て行く。 暫く後、エンジン音が響いたが、それもすぐに遠ざかっていった。 【G-5/南西/1日目・10:05】 『野犬:単車装備型』 【ダウゲ・ベルガー】 [状態]:心身ともに平常 [装備]:エルメス(乗車中) 贄殿遮那 黒い卵(天人の緊急避難装置) [道具]:デイパック(支給品一式) [思考]:道なりにA-1へ移動。慶滋保胤、セルティと合流。 テッサ、リナ、シャナ、ダナティアの知人捜し。 ・天人の緊急避難装置:所持者の身に危険が及ぶと、最も近い親類の所へと転移させる。 【G-5/森の南西角のムンクの迷彩小屋/1日目・10:05】 『目指せ建国チーム』 【リナ・インバース】 [状態]:少し疲労。心に強い怨念。 [装備]:騎士剣“紅蓮”(ウィザーズ・ブレイン) [道具]:デイパック(支給品一式) [思考]:仲間集め及び複数人数での生存。管理者を殺害する。 【シャナ】 [状態]:かなりの疲労。腹部に内出血(治癒中) 睡眠中。 [装備]:鈍ら刀 [道具]:デイパック(支給品一式) [思考]:睡眠中。 [備考]:内出血は回復魔法などで止められるが、体内に散弾片が残っている。 手術で摘出するまで激しい運動や衝撃で内臓を傷つける危険有り。 【ダナティア・アリール・アンクルージュ】 [状態]:左腕の掌に深い裂傷。応急処置済み。 [装備]:エルメス(キノの旅) [道具]:支給品一式(水一本消費)/半ペットボトルのシャベル [思考]:群を作りそれを護る。シャナ、テレサの護衛。 [備考]:ドレスの左腕部分~前面に血の染みが有る。左掌に血の浸みた布を巻いている。 【テレサ・テスタロッサ】 [状態]:少し疲労 [装備]:UCAT戦闘服 [道具]:デイパック×2(支給品一式) 携帯電話 [思考]:宗介、かなめが心配。 [チーム備考]:『紙の利用は計画的に』の依頼で平和島静雄を捜索。 また、島津由乃を見かけたら協力する。定期的に保胤達と連絡を取る。 2005/06/13 改行調整、誤字修正 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第303話 第304話 第305話 第294話 時系列順 第285話 第278話 リナ 第319話 第278話 テッサ 第319話 第278話 ベルガー 第308話 第278話 シャナ 第338話 第278話 ダナティア 第319話 第278話 エルメス 第308話
https://w.atwiki.jp/allrowa/pages/82.html
矜持 ◆.pKwLKR4oQ ランキング作成人はひたすら走っていた。 背中に背負う女性――よく見ると黒井ななこだった――は見るからに酷いけがを負っていて、今すぐにでも治療をしないと手遅れになるのは明らかだった。 自分の目の前で人が死ぬなどまっぴらごめん。 なにがなんでも黒井は助けると心に決めてひたすら走る。 しかしその思いとは裏腹に時間だけが刻一刻と過ぎて行くばかりだった。 「……なぁ」 「起きたのか!?」 もうそろそろ体力も限界に近づいた時、疲れによって揺れが酷くなったのか黒井が目を覚ましていた。 その声にはまるで力がなかった。 「もういいわ。私を置いてさっさと行け」 「そんな事できる訳ないだろ!」 ランキング作成者は最初こそネガティブ思考に囚われてはいたが、今は違う。 誰かを助けるという、命を救うという崇高な目的が、彼に使命感というものを育ませたのだった。 だからこそどんな命も救いたい。 命の価値にランキングもないと強く思った。 それは若干自己批判が入った思考だが、深くは考えなかった。 「ん? ちょい待った!」 「なんだ、いったい――」 「声が聞こえる、しかも女の子の声や」 黒井の言う通り、耳を澄ませてみれば近くで少女の鳴き声が聞こえてくる。 しかし今はすぐにでも黒井を治療をしなければいけない時だ。 ここはやむなしと見て見捨てるかとランキング作成者が思った瞬間―― 「アホォ! はよ、あの子の所行くで」 「おい、でもそれじゃあ黒井さんが――」 「教師は泣いている子を見捨てないもんや。ほら!」 自分が死にそうなのにも関わらず他人の事を気遣う姿勢。 それは教師、いや人として尊い姿勢だ。 ランキング作成人の中で黒井の印象が少し上がった。 程なくして泣いている少女の元へ着いた。 その娘は見るからにコスプレのような服装をしていて、それでいて半分ほどはだけていた。 なにがあったんだと思い近づこうとして時――いきなり黒井にしばかれた。 「アホが! 空気読めや。ここは教師である私が行くわ。ちょっと待っててや」 「そ、そんな身体で無茶ですよ!」 「……あの娘の格好見たら分かるやろ」 そう言われてもう一度泣いている娘の様子を見る。 そしてすぐに分かった。 乱れた服装に、この世の終わりかという雰囲気。 確かにこれは自分の出る幕ではないような気がした。 男である自分ではかえって警戒させるに違いない。 ふと見れば黒井はもうすでに少女と口を交わして、少女も少し表情が良くなっているような気がした。 とりあえずこのまま黒井に任せようと決めた。 「我が名は源義経。各々方、悪いが平氏打倒のためここで死んでくれ」 突然の襲撃があったのはその時だった。 【A-5 都市部/一日目 深夜】 【ランキング作成人@パロロワクロスネタ投下スレ】 【服装】クロス(十字架)が大きく描かれた服 【状態】健康、強い使命感 【装備】なし 【道具】支給品一式、DMカード(聖なるバリア・ミラーフォース(24時間後まで使用不能)、他4枚)@ニコロワ 【思考】 基本:どうせすぐ死ぬだろうから、それまで精一杯活躍する。 1:源義経だって!? 2:治療できる場所……病院とかあったっけ? 【黒井ななこ@らき☆すた】 【服装】いつもの教師らしい服装 【状態】ダメージ(大) 【装備】なし 【道具】支給品一式、不明支給品1~3 【思考】 1:源義経!? 2:沙枝を元気づける。 【楠沙枝@魔法少女沙枝】 【服装】ピンクのフリルが付いた可愛らしい魔法衣装 【状態】傷心、衣服が乱れている 【装備】なし 【道具】支給品一式、不明支給品1~3 【思考】 基本:??? 1:ここはどこ? ※ルルーアンの罠によって衆人環視の中で辱められている最中からの参戦。 【源義経@平家物語】 【服装】鎧 【状態】健康 【装備】『贄殿遮那』@灼眼のシャナ 【道具】支給品一式、不明支給品0~2 【思考】 基本:平家打倒するため、早く帰還する。 1:平家を打倒するため会場の皆は全員殺す。 ※壇ノ浦の合戦前夜からの参戦。 時系列順で読む Back ロストメモリー Next おれ彼氏 投下順で読む Back ロストメモリー Next おれ彼氏 せっかく1票入ったから ランキング作成人 ただそれだけできれば英雄さ せっかく1票入ったから 黒井ななこ ただそれだけできれば英雄さ GAME START 楠沙枝 ただそれだけできれば英雄さ GAME START 源義経 ただそれだけできれば英雄さ
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/275.html
無知 ◆YYVYMNVZTk 相手との間合いは、おおよそ5メートルといったところだろうか。 炎髪灼眼の少女が手にするのは槍。 背の丈140cmほどの少女が持つには、やや大きすぎる得物だ。 しかし持ち手を短くし、柄を余らせることでそれに対応。 そして新一が握るのは盾。 どっしりとした重量感が安心を与えてくれる。 じり、じりと睨み合い。 先に動いたのは流麗華美な槍使いだ。 赤髪が流れたと思った次の瞬間には、神速と形容するに値する超スピードで間合いを詰める。 そして、新一の顔めがけ突きの一閃。 (――速い!) 視認と同時、首を右に捻る。 間一髪。頬を掠める槍先が大気を切り裂き、一瞬の間を置いて冷たい風が新一の首筋を撫でていった。 まさに髪一本の間。削げた髪先が宙に舞うのが視界の隅に映る。 あと半瞬、いや、更にその半分の刹那でも遅れていたならば、少女の振るった槍はいとも容易く新一を貫いていたはずだ。 (いや、まだだ!) 槍の穂先は、新一の顔面、そのすぐ傍に静止している。 あれだけの速度で迫ってきた槍が、いつの間にかぴたりと動きを止めている。 静止から加速、そして再び静止。 ならば次に起こるアクションは? 当然、再加速! 「っはあ!」 裂帛の気合と共に横薙ぎが繰り出され、 「ぐっ……! こなくそぉぉぉぉ!」 しかし、刃が届く寸前、柄を弾くように振り上げられたビルテクターがゲイボルグを跳ね飛ばす。 ともすればそのまま得物を取り零しかねない衝撃を、少女は己の身体ごと回転させることで受け流した。 くるりと一回転。回転の力をそのまま斬撃に変換しようとするも、既に盾を構えられていることを確認し、攻撃を取り止める。 火の粉を散らしながらバックステップ。再び距離を取り、そして今度の距離は3メートル。 はじめの睨み合いから、距離は2メートル縮んだ。 一連の攻防から少女が導き出した、己の扱う槍に最も適した敵対距離だ。 「お前、やっぱりただの人間じゃないわね」 「ああそうさ。君の言うとおり、俺はただの人間なんかじゃない」 新一が持つ、超人的な身体能力――それは寄生生物(パラサイト)に起因するものである。 寄生生物は大きく分けて二つ、特筆すべき能力を持つ。 一つはその高度な知能だ。 新一の右手となった寄生生物、ミギー。寄生生物に性という概念は無いが――便宜上、ここではミギーに彼という代名詞を与えよう。 ミギーをはじめとした寄生生物たちは、宿主となる人間の身体を乗っ取った時点では、その知能は殆どゼロと言っていい。 だが彼らは、その状態からたった数日で現代社会に溶け込むだけの知識を得て、使いこなしてしまう。 そしてその知的成長は留まることを知らない。 ヒトが千年万年をかけた進化、『個人』から『集団』、そして『クニ』へとそのコミュニティを拡大させていくだけの知性を秘めているのだ。 だがこれらは、この殺し合いの場においては真の脅威とは成り得ない。 もう一つの能力とは、類稀なる戦闘力だ。 如何な格闘家であろうと、偉大なアスリートであろうと、彼らに対抗出来る人間はいないと断定してしまっても良い。 寄生・擬態した頭部を変形させることで彼らは獲物を狩る。 変幻自在に己の姿を変え、時には何者をも切り裂く鋭利な刃に、時には何者をも通さぬ強固な盾とするのだ。 運動性も申し分ない。ただの人間が獲物ならば、向こうが気づく間もなく息の根を止めることが出来る。 泉新一の右手もまた、そのような特性を持っていた。 そして――とある事件をきっかけに、泉新一自身もまた、寄生生物の持つ超運動力を手に入れてしまったのだ。 寄生生物のように、自らの手足を武器に変形させるようなことは出来ない。 だが、世界記録くらい容易に塗り替えられるほどの運動能力と寄生生物譲りの強靭なメンタルは、常人とは比べものにならないものだ。 次に先手を取ったのは、新一。 盾を自らの前に構えたまま、相手へと一直線に駆けていく。 槍というリーチの長い相手に対して距離を取ったまま戦えば、待っているのはジリ貧、そして敗北。 ならば取るべき行動は、槍の射程よりも更に奥へと詰めより、肉弾戦に持ち込むことだ。 無論、みすみすと相手の思惑通りにはさせないと、少女は溜めに溜めた槍の一閃を放つ。 だが、キンと甲高い音を立て、槍は盾の前に弾かれる。 剣聖ビルゲニアが誇る鉄壁の盾を前にしては、不得手の武器では傷一つ付けられない。 「くっ!」 「うおおおおおおっ!」 咄嗟に蹴りを放つも、苦し紛れの一撃は何ら意味を持たない。 ビルテクターに放った蹴撃は微塵も新一の勢いを削ぐことが出来ず。 だが少女の狙いは迎撃ではなかった。足蹴にした盾を踏み台にし、更に距離を取るのが目的。 ぐ、と右足に力を込め、そのまま踏み抜く勢いで後方への推進力を爆発させ―― 「逃がすか、よおっ!」 掴まれた。宙でバランスを崩し、そのまま地に落ちる少女。 右足を掴む相手の右手を、空いた左足で何度も蹴る。蹴る。蹴る。 それでも握る力は緩まない。それどころか左足、両手と順に抑えられ、完全に馬乗りになられた。 少女は灼眼に渾身の怒りを込め、相手を睨む。 ハァ、ハァと息を切らしながら、視線から目を背けることなく新一は少女に問う。 「どうして、そんなに簡単に、人を殺すだなんてこと、言えるんだよ……」 「……じゃあ、逆に質問する。殺さなければ殺されかねない。そして事態の解決のためには多少の犠牲はやむを得ない。 こんな状況下で、それでも殺人を忌避することは、合理的とは言えない。 私はただ合理的な選択を、最短経路を選んだだけ。お前は自分が殺されようとしても、不殺だなんて生温いことを言い続けるの?」 淡々と、冷酷と、それが至極当たり前であるかのように少女は疑問を口にする。 いや、単なる疑問ではないということは端々に浮かぶ皮肉な口調が物語っている。 つまりこの少女は、はっきりと、自覚的に、殺人を肯定しているのだ。 頭の奥がカッと熱くなるのを感じ、反射的に声を荒らげる。 「そうやって……! 人の痛みを考えられないからっ!」 「答えて」 攻守は逆転した。 今まで人を守ることはあっても、人と殺し合った経験など、新一には皆無だ。 喧嘩程度ならいくらでもあるが、そんなもの、根本のレベルから違う。 何時だったか、ミギーと交わした会話が思い出される。 ――だから、俺たちで寄生生物を…… ――断る。私は『ヒト』という種の味方ではなく、自分自身の味方だ。 ――シンイチ、わたしには人間的な感傷がない。だから『仲間』を殺すときも気分的にどうということはない。 ――だがわたしとシンイチが逆の立場だったらどうする? ……分からない。自分がミギーの立場だったなら、同種の生物との殺し合いにあれほどまで殉じれたのだろうか。 自分には人間を殺すことなんて出来ない。 だけど、殺人を強制されている事態が、今訪れている。 (もし俺が殺さないと、他の誰かが殺されてしまう……でも、だからってそんなに簡単に人を殺せるもんか……! そんなに簡単に、人の心を失くせるもんかっ!) 「ほら、即答出来ない。それが甘いと言っているの」 知らず知らずのうちに少女を拘束する力が緩んでいたことを気付いたときには、既に遅かった。 まず、右腕が振りほどかれる。慌てて残る左手に力を込めた瞬間、鼻っ柱に激痛。 頭突き、と認識した頃には完全に少女は手の内から離れていってしまった。 少女は再び槍を構え、敵意を剥き出しに。 「――はぁっ!」 その声音から余裕の色は完全に消え去っている。 最大最強と名高い紅世の王、“天壌の劫火”アラストールと契約した『炎髪灼眼の討ち手』――“贄殿遮那の”フレイムヘイズ。 それが少女の持つ名だ。 人を遥かに超える力を持つフレイムヘイズたる少女が、泉新一を脅威だと判断したのだ。 不得手を心得、相手に足らぬを知る。 その上で――自らの勝利のために尽力する。 まともに組合っては、体格、膂力共に劣る少女が不利である。 ならば付け入る隙はどこにあるのか。 経験、であると当たりを付ける。 口ぶりからして、短髪の青年は戦うことを是としない性格であると考えられる。交戦経験もまた少ないだろう。 ましてあの身体能力。並の人間ならばたとえ争いになったところで造作もなく勝利を収められる。 先程の少女が見せた失態こそ、良い例だ。 相手を過小評価していたとはいえ、不覚の原因は対する相手の並々ならぬ速度と力。 その認識を改め、フレイムヘイズとしての能力に、フレイムヘイズとしての経験を合算する。 万物を薙ぎ払う贄殿遮那と同様の取り扱いが、出来るはずもなかったのだ。 常に一撃必殺、かすらせただけで致命傷なのが、贄殿遮那での戦い方である。 この大槍では全てに一撃必殺の威力を込めることは困難。 威力ではない。技術を持って相手を屈するのが、ゲイボルグでの戦い方だ。 猪突はしない。槍のリーチぎりぎりからフェイントを交えながらの牽制打。 生半可な打突では盾を越えることは出来ない。 そも、まともに矛と盾を突き合わせることが間違いだった。 矛盾――まさしく故事の通りだったことに気付き、思わず頬がゆるむ。 徐々に、徐々にではあるが新一は少女に押され始めた。 正確に言えば、少女の推論である『泉新一は戦闘経験が足りない』というのは誤りである。 新一は、フレイムヘイズと同等の――いや、下手をすればそれ以上の化物である寄生生物と何度も死闘を繰り広げている。 だが、確かに新一には経験が足りなかった。 生来の能力だけでなく研鑽された技術も用いて戦う寄生生物など、戦ったことはおろか見たことさえない。 寄生生物は人間の操縦は上手い。だがそれは、あくまで性能の限界を上げただけの話。 人間が磨き上げた武術の類――まして、自分と同等の身体能力を持つ者の――を相手にしたことなど皆無だ。 目は追いつく。だから、一歩遅れて身体も反応する。 しかしそれまで。少女の細やかなフェイントに気を取られ、流れるような足捌きを前にもたつき、完全に防戦一方となるまでにそう時間はかからなかった。 「くっ……!」 「なかなか手強かったことは認めるわ。でも、その程度。少し強いだけのただの人間じゃ、相手にはならない」 風を切り放たれる、右方向からの払い。 それに対して新一が回避ではなく防御を選んだその瞬間を狙い、少女は足の裏から焔を吐き出しながら急転回。 物理常識を超えた急加速の前に、新一は無防備な右半身を晒す。 「しまった!」 「これで終わり――なっ!?」 少女が放った一撃が、新一の身体を貫かんとしたその時――『新一の右手が変形し、盾になった』。 厳密には、盾とは言えない。何故ならそれはまるで生きているかのように槍を受け止め、上方向に受け流したのだから。 ただの盾に出来る芸当ではない。そのことは、渾身の一撃を止められた少女が誰よりも知っている。 「み、ミギー……起きてたんならもっと早く助けろよ、この馬鹿野郎!」 『いきなり馬鹿野郎はないだろうシンイチ。起きて早々槍を向けられていた私の気持ちも考えてくれ』 「……お前、やっぱり人間じゃない!?」 「あ、あー……これはその、説明すると長くなるんだけど……」 『少なくとも私は人間ではない』 「んなの見りゃ分かるだろ、お前が喋ると余計面倒なことになンだから少し黙ってろい!」 「多重人格……? いや、そんなものじゃない。人格を持ち、変形する右手なんて……まさかお前も、フレイムヘイ――」 「へぇ……面白いですね、それ。でも今はゆっくりしている暇はなさそうだ。それじゃあ、縁があればまた会いましょう」 ミギーの出現で始まる喧騒。 その中に紛れ込んだ、少年の声――その場にいた者たちが疑問を感じる間もなく。 ホテルは光と音と熱に包まれた。 ◇ 「……ふぅ、ここまで距離をとれば大丈夫かな」 ホテルからちょうど1エリア分離れたC-1にて、瀬田宗次郎は独りごちる。 ホテルで炸裂した爆弾は、宗次郎が仕掛けたものだ。 支給品であったラジコンカー型爆弾――糸で繰ることもなくこちらの望むままに動く玩具は、宗次郎にとって完全に未知なるもの。 だが懇切丁寧な指示書きのおかげで、ぶっつけ本番ではあったものの思う通りの結果を得ることが出来た。 それにしても、喋る右手とはまた面妖なものだ。腹話術とも、また違う。 あれは自在に形を変え、少女の槍を受け止めた。戦闘に流用出来る――武器? 技術? 気に掛かるのは、己との戦闘の際にはあれを使わなかったということだ。 口振りからすると自らの意志で操ることは出来ないらしい。 「まァ、志々雄さんならあの程度の相手に後れを取ることもないか」 青年にしろ少女にしろ、あの戦闘を見る限りでは己と同等といったところだろう。 不覚を取ったのは己の知らぬ道具を使われたが故のことだ。 刀を持ち、真正面からぶつかるのならば如何に二人が超人的な力を持っていたとしても、同等以上に戦う自信があった。 とはいえ、得物がこれだけでは心許ないけれどね――と、宗次郎は手に持つ半分に折れた黄金の剣を眺める。 粗悪、実用には耐えない。これが剣を見ての、率直な感想。だが何も持たぬよりはマシだろうと、ホテルを飛び出す際に掴んできたものだ。 広義では己の得意とする刀だといえるが、西洋の両刃刀を握った経験は全くないと言っていい。 まずはこの得物で着実に相手を倒し、より良い武器を得る必要がある。 苦にも思わぬのか――それとも、苦を知らぬのか。 宗次郎は笑みを浮かべたまま、獲物を求めて歩き始める。 【一日目早朝/C-1】 【瀬田宗次郎@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】 [装備]黄金の剣(折れている)@ゼロの使い魔 [所持品]ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュ、基本支給品 [状態]全身打撲 [思考・行動] 1:獲物と得物を求めて徘徊。 2:弱肉強食に乗っ取り参加者を殺す。志々雄に関しては保留。 ◇ 炎髪灼眼の討ち手が目を開けたとき、目に映る景色はがらりと姿を変えていた。 元々破損だらけ、傷だらけだった内装は更に崩れ、ホテルとしての役割などとうに放棄してしまっている。 ……どうして、こうなった。 気を失う寸前の光景がフラッシュバックする。 聞こえてきた少年の声――殺し合いの場に似合わぬ車のおもちゃ――爆発。 そう、爆発だ。玩具だと思っていた車が、突然爆発したのだ。 そして自分は爆風に巻き込まれ……? いや、違う。その寸前に、自分の目の前に投げつけられたのは―― 「……盾」 少女の前には盾があった。投げつけられたときに身体にぶつけたのか、胸のあたりに痛みがある。 だがそのまま爆発に巻き込まれていたならば、軽い打撲などではすまなかったはずだ。 炎を操り支配するフレイムヘイズといえど、その爆風や衝撃まで完全に打ち消すことは出来ない。 少女が無事でいられたのは、この盾のおかげだ。 次に浮かぶ疑問は、この盾は何故ここにあるのかということ。 これは相対していた青年が持っていたもののはず。 「まさか……」 盾をどけ、周囲を探す。 ……いた。倒れ伏せた青年が、そこにいた。 「……っ! お前! しっかり!」 「あ、ああ……無事だったか。……良かった」 安堵した自分がいた事に気付く。 爆発の規模に対して、青年の傷は浅い。命に関わるほどのものではなかった。 右手を差し出し、倒れていた青年を起こし上げる。 「良かった。これで死なれていたら気分が悪い」 「おいおい、その言い方はないだろ……こっちは身を張って君を守ったっていうのに……痛っ!」 「誰も守ってなんて頼んでない。あの男は?」 「逃げられたみたいだな。……認めるよ。俺が甘かった」 「そうね。ならあっちを向いてなさい」 指示を出し、青年の診療をする。 傍のソファの残骸に隠れたのか、直撃は避けられたようだ。 だが背中から右腕にかけて中度の火傷が広がっている。 適切な治療を施せば多少の後は残るかもしれないが、すぐに完治する傷だ。 しかし青年には清潔なタオルもなければ薬もない。 「痛むかもしれないけど我慢なさい」 自らの支給品である水を丸々一本、火傷の患部にかけていく。 冷水があればそれが最適なのだが、生温い水でも効果は小さくない。 逡巡のち、少女はデイパックの中からガサゴソと支給品の一つを取り出す。 「いっ、いっ、いでぇぇぇぇ!!!」 「我慢なさいと言った。むしろ感謝して欲しいくらいだわ」 「あ、ありがとよ……いきなり戦う羽目にはなったけど、君って優しいんだな」 「う……うるさいうるさいうるさい!」 「いででででで!」 言われ慣れない感謝の言葉を受け顔がカーっと熱くなるのを感じながら、乱暴な手つきで薬を塗りたくっていく。 そのままの調子で広範囲に広がる傷の処置をしながら――少女は、生じた疑問をぶつける。 「ねぇ、何故私を助けたの?」 対し青年は、苦笑いを浮かべながら、 「ん……ああ、あの盾のことか。うーん……なんでって言われたら困るなぁ。 気付いたら勝手に身体が動いていた……これじゃ駄目かな?」 「……私には理解出来ない。戦っていた相手を助けて、自分はこんな怪我をするの?」 「君はさぁ、さっき、俺のことをただの人間じゃないって言ったよね」 「……? ええ」 「確かに俺は、ただの人間じゃない……人にはない力を持っている。 でも俺は、やっぱり人間なんだ。自分が苦しむのは嫌だけど、目の前で誰かが傷つくのも見たくない。 ましてそれが、君みたいな小さな女の子ならなおさらね」 ――人間の、感傷だと思った。 それで自分が傷ついて倒れてしまえば、元も子もない。 でもそれを、心地良いと感じてしまった自分がいた。 自分は人間とは違う――世界を救う使命を帯びたフレイムヘイズ、炎髪灼眼の討ち手なのだ。 人の生活など、人との関わりなど、そんなもの自分には必要のないもの。 必要なのは討滅に必要な力だけ。ずっとそんな生き方をしていた。 そういえば――こんなことを言っていた人間が他にもいたことを思い出す。 少女に餌扱いされながらも、少女のことを他の人間と同じように扱おうとした少年。 「で、どうするんだ? やっぱりあいつを追うのか?」 青年の声に、はっと意識を取り戻す。 いつの間にかぼうっとしていた。緊張感のなさを自省する。 あいつとは爆弾を仕掛け逃亡した男のことだろう。 あの男を野放しにしておけば、他の参加者もまた危険に晒されることになる。 別に有象無象がいくら死んだところで自分には関係ないがこの首輪を解くことの出来る参加者なら話は別だ。 被害は未然に食い止める必要がある。 こくりと首肯で青年の問いに答え、少女は男を追おうと立ち上がる。 「っと、その前に自己紹介でも……」 「自己紹介?」 「だってこれから長い付き合いになるんだぜ?」 「まさかお前、私についてくるつもり?」 至極当然と言わんばかりの顔で、青年は少女を見る。 「俺だってあいつには話を聞かなくちゃならない。目的が一緒なら道中も一緒でいいじゃないか。 それに……君にこれ以上、人を殺させるわけにはいかない」 「……何を言っても聞かなさそうな顔をしてるわね。足手まといになるようなら容赦なく切り捨てるから」 「いいぜ。ただし俺は、何があっても君を見捨てたりしないけどな」 青年の差し出した手――求められる握手。 「泉新一だ。よろしく」 炎髪灼眼の討ち手、天壌の劫火のフレイムヘイズ、贄殿遮那の―― 浮かぶのは名前ではなく、称号。別にそれでもいいかと思い――ふと、思い出す。 自分にも呼ばれる名があったことを。 「――シャナ。私のことはシャナと呼んで」 名前を付けてくれた餌に、坂井悠二に少しだけ謝意を感じ、少女は自らシャナを名乗った。 【一日目早朝/B-1 ホテルのロビー】 【シャナ@灼眼のシャナ】 [装備]:ゲイボルグ@真・女神転生if... [所持品]:基本支給品(水を一本消費)、傷薬×4@真・女神転生if...、首輪(魅音) [状態]:健康、力と運が上昇 [思考・行動] 1:新一と共に宗次郎を追い、殺す。 2:コキュートスを探す。 3:危険人物には容赦しない。 4:首輪の解除ができそうな人間を探す。解除が無理なら殺し合いに乗る。 (――シンイチ、これは一体どういう状況だ?) (詳しいことは後で話す……今はとりあえず、ばれないようにしてくれ) (了解した。……あの少女だが) (ん?) (思考が人間よりも我々寄りだな。合理的ではあるが……気をつけろ、シンイチ) 【泉新一@寄生獣(漫画)】 [装備]ビルテクター@仮面ライダーBLACK [所持品]基本支給品(水を一本消費)、拡声器@現実 イングラムM10(32/32)@バトルロワイアル [状態]疲労(小) 、背中に火傷(処置済み) [新一の思考・行動] 1:シャナと共に宗次郎を追い、話を聞く。 2:生き残る。 [ミギーの思考・行動] 1:状況を把握する。出来る限り周りに存在を知られないようにする。 2:生き残る。 【支給品説明】 【傷薬】 使用するとHPを小回復するアイテム。 学校の保健室などにも置いてあることから、現実のものと大差はないようだ。 今回は五個セットで支給されている。 時系列順で読む Back お前の姿はあいつに似ている Next 二人の黒い殺し屋 投下順で読む Back お前の姿はあいつに似ている Next 二人の黒い殺し屋 061 フレイムヘイズ×矛盾×雌伏 泉新一 078 果てしない炎の中へ(前編) シャナ 瀬田宗次郎 090 Innocence
https://w.atwiki.jp/aatrpg/pages/457.html
,.. -―--‐- 、 / ヽ `ヽ ,.´ / } ', / / , /}/,イ / ヽ ヽ _, ' / / /イィrtミ/ } /,} | | | } _,. ´ // /{/ { l ヒソ /ィチ}| / } / / / / / /_r | |-- 、 , ゞ'/{/从' / / /__/ ////{/! !///l_` イ ∧ _/,.ィ////>  ̄ { {\/∧/ }/// {/// | { \ ,.ィ´/////>´ _ _ | | }\//|//⌒ヽ\,| | . ヽ}`ヽ ィ//////////{ィニ ヽ . .从 |////{ ̄`ヽ、} /-ヽ、} }ノ ////////////イノ-ミ }ノ} イ- '} ∨///! | { }//{ ////////////// / {/イ/////\∨/ ∨ /八_ノ\∧ //////////// / / |´ ̄ ̄ ̄/ヽ }/ \/イ | |__,...イ/∧ ///////////// イ { | // \/} () ()} |//∧. ////////>´ ̄{ / . | . /,' / }/ | ヽ }////\ ////> ´ | { /ヽ ∨ / / { / _ / _} |\////\. /// |人. / \ .、 { >--- 7 () () 〈 ム \//// ヽ {// | { \ ......_,イ / | } ヽ  ̄`ヽ/\ |/ 从 \ |` ー ----- ´\ / () () |三三} ∨∧ | \ | | \ \_/ _ ___ ___}rィ、ヽ ∨ } \ { `ー' ,' / |乂ィ}_)} ∨| ヽ | / /__,...., i_ノ {/ \ / `ー― / | i / 【プレイヤー】 ぱすてる◆GymGl6Idis ◆キャラクター◆ 名前 シャナ コードネーム 炎髪灼眼の討ち手 ワークス UGNチルドレンA カバー 高校生 ブリード ピュアブリード シンドローム サラマンダー ◆ライフパス◆ 覚醒 無知 衝動 自傷 出自 天涯孤独 経験 仲間の死 邂逅 同行者 ◆能力値と技能◆(【感覚】+1 … 10点 〈白兵〉+2 … 4点 〈情報:UGN〉+1 … 1点) 【肉体】 【感覚】 【精神】 【社会】 5 1 2 2 〈白兵〉Lv.4 〈RC〉Lv.1 〈情報:UGN〉Lv.2 〈回避〉Lv.1 HP 32 侵蝕率基本値 31% 行動値 4 戦闘移動 9m 全力移動 14m 常備化ポイント 4 財産ポイント 1 ◆エフェクト・イージーエフェクト◆(取得×5 … 75点 成長×7 … 35点) 【エフェクト】 Lv 《エフェクト名》 タイミング 〈技能〉 対象 射程 侵蝕値 制限 備考 参照 番号 【サラマンダー】 2/3 《C:サラマンダー》 メジャー 〈シンドローム〉 ― ― 2 ― 基本①P.169 ① 3/5 《炎神の怒り》 メジャー/リアクション 【肉体】 ― ― 3 ― 基本①P.158 ② 1/5 《結合粉砕》 メジャー 〈シンドローム〉 ― ― 4 ピュア 基本①P.161 ③ 1/7 《氷の回廊》 マイナー ― 自身 至近 2 ― 基本②P.158 1/7 《揺るぎなき心》 マイナー ― 自身 至近 1 ― 基本②P.162 5/5 《エターナルブレイズ》 セットアップ ― 自身 至近 4 Dロイス 上級P.58 【一般エフェクト】 1/3 《リザレクト》 オート ― 自身 至近 特殊 ~100% 基本①P.169 1/1 《ワーディング》 オート ― シーン 視界 0 ― 基本①P.169 【イージーエフェクト】 / 《》 ◆コンボデータ◆ 名称 組み合わせ タイミング 〈技能〉 難易度 対象 射程 侵蝕値 劫火の息吹 ①~③ メジャー 〈白兵〉 対決 単体 至近 9 ダイス C値 攻撃力 解説 10/12(+浸食率ボーナス) 8/7 8 装甲無視 ◆アイテム◆(スネークブレード取得 … 20点) 【武器】 名称 種別 〈技能〉 命中 攻撃力 ガード値 射程 常備化ポイント 備考 参照 贄殿遮那 白兵 〈白兵〉 -1 8 3 至近/15m 経験点20点 データはスネークブレード ICP.72 【その他】 名称 個数 種別 〈技能〉 常備化ポイント 参照 思い出の一品 1 その他 〈意志〉 2 基本①P.180 ウェポンケース(スネークブレードを選択) 1 その他 ― 1 基本①P.180 カジュアル 1 その他 0 基本①P.180 携帯電話 1 その他 0 基本①P.180 制服 1 その他 0 基本①P.180 ◆ロイス◆ 対象 ポジティブ ネガティブ 備考 Dロイス【永遠の炎】 マティルダ・サントメール 慕情 《悔悟》 経験、Sロイス 刹那・F・セイエイ 《連帯感》 隔意 邂逅 友達に会える薬 懐旧 《猜疑心》 シナリオロイス、タイタス昇華 "雅兄闊歩" 《有為》 不信感 PC間ロイス、タイタス昇華 キル夫 同情 《恐怖》 タイタス昇華 できる夫 《執着》 敵愾心 タイタス昇華
https://w.atwiki.jp/jojosyana/pages/8.html
翌日、この街に住む大抵の人々にとって普通の朝が来る。 それは昨日もそうであり、明日もそうであると無意識のうちに誰もが信じている。 承太郎は仕度を終え、いつものようにキスをせがむ母をやりすごして家を出た。母、ホリィにトーチはなかった。 (ちなみに昨日、帰るなり妙にま自分を見る承太郎に、彼女が最高にハイになったのは余談である) 一応現役の高校生である承太郎は、当然のように学校へ向かう。途中どこから沸いて出るのか、 彼の取り巻きの女子生徒達(ほとんどが彼の嫌いな『うっとおしいアマ』である)が、一方的に登校を共にする。 承太郎はもちろん彼女らを無視し、彼女たちもそれでも彼といることを至福の時間としているらしい。 昨日の戦闘が、嘘のような日常。 しかし承太郎は既に知っていた。日常が非日常に破られるときは、いつも突然と言うことを。 そしてほとんどの人間は、自分が非日常のなかにいることに無自覚であることに。 教室に着くと、とりあえずクラス内にトーチとなった人がいないか確認する。 登校時に一人、どこかのサラリーマン風の男を見た以外、この学校ではまだトーチを確認してはいなかった。 「やれやれ」と承太郎が気を抜きかけた瞬間、妙な違和感から横の席を向いた。 少女がいた。承太郎に一年ぶりに非日常の世界に、戦いの世界に引きずり込んだ少女が。 「遅かったじゃない。女の子はべらせて、いい身分ね」 「……なんでてめーがいる。転校手続きでもしたか? 」 承太郎は少女を見て言った。格好は当たり前だが制服、髪も眼も通常時の黒だった。ご丁寧にペンダントも下げていた。 「話の続きはまたって言ったでしょ。あんたはまだわからないことがあるし、どうせまた会うなら近くにいたほうがいいって、 私は反対したんだけど、アラストールと相談してあんたのいる学校に割り込ませてもらったわ」 「“割り込む”だと? それとそこの席はすでに平井ってやつの席のはずだが……」 「ああ、ここの子トーチだったわ。家族全員やられてたわ。ちょうどいいから存在の力を操作して成り代わったの。 あんた以外の人間はみんな私を『平井ゆかり』って認識するのよ。」 「馬鹿な……」 「本当よ、確かめてみれば」 少女はそういうと、なぜか意地の悪そうな笑みを浮かべた。まだ昨日のことを根に持っているらしい。 承太郎は少女の言ったことが事実であることを察したようだった。落ち着いた口調で言う。 「本当の『平井ゆかり』を……誰も覚えちゃいねーのか……」 「そうよ」 承太郎自身、平井ゆかりという少女と特に親しかったわけではない。 孤独を好む一匹狼な性格のうえ、教師をも恐怖の対象とするほどの不良であったことから、 この学校に彼に憧れる者はいても、彼自身と親しい者はほとんどいなかった。 平井ゆかりに対しても、承太郎は「クラスメイト」ぐらいの繋がりで、彼女のほうもそうであった。 しかし……。 「気にいらねぇな。さっきから成り代わるとか割り込むとか……。 てめーが平井ゆかりで遊んでるようにしか見えねーぜ」 例えそれだけの関係だとしても、確かに存在したはずの彼女をいとも簡単に消し、 例の少女が当たり前のように成り代わって目の前にいるというのは、とてつもなく理不尽なように思えた。 「トーチになって時点で彼女は死んでいたのよ。 もうとっくに『物』になってるんだから成り代わるぐらいどうって……」 バァン、と破裂音に似た鋭い音が教室に響く。承太郎が叩いた机は中心から見事に陥没していた。 「そんな単純な問題じゃあ……ねーだろ」 クラス全体の空気が凍る。クラスの、いやこの学校で最も恐れられている存在、 承太郎がなにかの理由で隣の席の平井ゆかりに怒りを向けいているのだ。 呼吸をも許されぬような緊迫感の中、少女だけがその影響を受けていなかった。何故そこまで怒りを自分に向けるのか 理解できない、といったような表情をしたいる。 少女自身は、承太郎の言いたいことはわからなくもなかった。いくら物だと言っても、 つい昨日まで普通に接していた人間のことをそう簡単に死んだと割り切ることは出来ないだろう。 自分の行為は死者に対する冒涜と捉えたのかもしれない。 でも、と少女は思う。 (……それだけじゃない。なんだろう、そんな単純な、表面的な道徳観からじゃない。 もっと深い……よくわからないけど強い意思のような……) 他のフレイムヘイズと違い徒に恨みもなく、逆にフレイムヘイズだから仲間意識も薄く、 長い間トーチを『物』として扱ってきた少女にとって、 承太郎の普段表に出さない心情を完全に理解することは出来なかった。 「やっぱりこいつの近くにいるのは間違いだったんじゃない? アラストール」 不機嫌なままそっぽを向いた承太郎をちろりと見て、少女は周りに聞こえぬ程度の声でペンダントに囁いた。 アラストールは周りを気にしてか答えなかった。 授業の予鈴だけが、無常に響いた。 ちなみにこの日、イラついてる承太郎&授業をかき乱す平井ゆかりの二人によって 教師及び生徒が地獄のような重々しい時間を過ごしたのは言うまでもない この日、承太郎のクラスの生徒たちは四時限目の授業終了チャイムが福音に聞こえたそうだ。 牢獄のような教室から脱走すると、教室には未だ軽度のこう着状態の続く承太郎と少女が残っていた。 そんな苦労をよそにいつもは教室以外で一人で昼食をとる承太郎は「静かでいいぜ」とのんきに思っていた。 少女も同じようで、かばんからごそごそとなぜかメロンパンをとり出して食べ始めた。 それを食べるときだけ、今まで見せたこともないような年相応の無邪気な笑顔だった。 「てめえは行かねぇのか? てめえがどっか行ってくれりゃあ最高なんだがな」 「嫌。あんたがどっか行けば」 「てめーが行け」 「なによ、えらそーに。絶対行かない!」 「やかましい。失せろ」 「うるさいうるさいっ!! 大体お前、質問の続きあるんじゃないの!? 」 承太郎と少女は隣同士の席のため、近距離で火花を散らしてにらみ合う。 しかし少女のほうは、メロンパンの甘い誘惑でか顔が半分ほど緩んでいて、なにかちぐはぐな表情をしていた。 「質問……? ああ、そうだったな」 結局今回の争いは『昨日の質問の続き』ということで休戦となった。 ちなみに承太郎は謝罪の一言もなかった。というかしたくなかった。 「昨日……てめーらは確か燐子が出てきたしばらく後から来たが、先回りすることはできないのか? 」 「無理よ。そんなこと出来たらこんなとこにいないわ」 「……残念ながら、まず不可能だ」 少女が即答し、ペンダントのアラストールが説明をする。 どうやらこれが彼らのやり方やしい。 「我々は奴らが人喰いなどの行動を起こすときに出る『存在の力』を追って奴らの居場所を知ることが出来る。 しかし奴らがその力を使わずにいるとき、この広い中から奴らを見つけ出すことはまずできん」 「つまり大抵後手にまわるのか……フレイムヘイズってのは」 「しかたないわ。あいつら、私たちに見つからないよう必死なんだから」 「……その間にヤツらに喰われている連中もいるんだがな」 承太郎は自分の考えを遠慮なく言った。まだ彼にとってフレイムヘイズは信用に足る存在ではなかった。 彼らは徒の討滅を目的としているのは理解できたが、そこに固執して「人を救う」ということがあまり重要視されていない、 そんな風に承太郎は思っていた。 「……そんなの、しょうがないじゃない。それに、変な話だけどトーチがいないと壊れたのも直らないし。 お前の傷だってトーチの存在の力で治したのよ」 痛いところを突かれたのか、もしくはただ単にメロンパンの効果か(恐らく後者だ、と承太郎は思った) 少女は若干勢いを落としたような言い方をした。 どうやら彼女らの意識の問題ではなく「そうとしか行動できない」ためだ、 と理解した承太郎はそれ以上深く言及するのをやめた。 「そうか……にしてもてめー、本物の平井ゆかりとは似てもにつかねー やかましいガキだってえのに、よくもまあ……」 そこまで言うと承太郎は何かに気づいた様子で言葉を切った。 怪訝な表情で見る少女をじっと見て、承太郎は言った。 「そうだ……てめーの名前はなんだ? 」 「はぁ? だから私は平井ゆかりに……」 「違う。てめーは平井本人じゃあねえだろ。てめー自身の名前だ」 その質問は予想外だったのか、少女は不意をつかれてわずかに目を伏せた。 「そんなもの……ないわ。フレイムヘイズは大体単独で行動してるから、名前なんて必要なかったし。 ……徒や他のフレイムヘイズからは『炎髪灼眼の討ち手』とか使ってる刀の名前の『贄殿遮那』って呼ばれてるけど」 「贄殿遮那……ややこしいな。じゃあ俺はおめーのことを『シャナ』って呼ぶぜ。 平井ゆかりとわけなけりゃ本物に申し訳ないからな。お前もてめーとばかり呼ばれたくはねえだろ」 「……勝手にすれば? 」 少女??シャナは特に気にすることもなくそっけなく言って、 メロンパンの最後のひとかけらを、名残惜しそうに食べきった。 「それでシャナ。さっきのことだが……」 「いきなり呼び捨て? 別にいいけど」 「奴らが行動を起こして存在の力を使わない限り、居場所はわからないと言ったな? 奴らがてめーらに対してもそうなのか?」 「そうね、でも昨日、燐子のひとつが逃げたから徒は私たちの存在を知ったはず。これがどういうことかわかる? 」 「……奴らは逃げるか、手段があれば俺たちを襲う……いずれにしても行動を起こすということか」 「そ、あんた一応それだけ考える脳ミソはあるみたいね。奴らは必ず動くわ。 逃げれば追う、来るなら迎え撃つ。それだけよ」 なんとも単純な行動だが、他に方法はないのだろう。承太郎はそれとは別に、今の会話から重要な事実に気づいた。 「するとこうしてる間にも、奴らがここに襲ってくる可能性もあるんじゃあないのか?」 「やつらは大体夕暮れ時に存在の力を使うわ。それにいざとなれば封絶つかえばいいし」 「……」 こいつら、やっぱり信用できねえ???、承太郎は人命をまるっきり無視したような言い分に閉口した。 「……少なくともここをまきこむようなマネはすんじゃあねーだろーな」 昼休み終了のチャイムが虚しく響いた。
https://w.atwiki.jp/lightnovelcharacters/pages/253.html
なぁ、ハルヒよ。 一言だけだ、一言だけで良いんだ。言わせてくれ、そして答えてくれ。 ……何だこれは? 「何ってコスプレよ。見て分かんないの?」 んなこたぁ解ってる。俺が聞きたいのはこれが何の格好だと言うことだ。 いきなり髪をブリーチで真っ黒に染め上げたと思ったら緑色のシャツに茶で縁取りした白い半袖の上着と同色の長ズボン。 この制服に見えなくもない(誤文法)格好はいったい何だというのだ? 「歴とした制服よ。ちなみにみくるちゃんとセットなんだから感謝しなさいよね?」 見ると同色の布地で構成された女物の制服? を朝比奈さんが着用していた。頭に赤のリボンまでしているのは拘りだろうか? まぁこの無駄に豪勢なカラーリングをした制服にどんな暦があるのかは知らんが可愛いのでそれは良しとする。 だが、何故俺だけわざわざ髪を染められなければならんのだ? しかもワックスまで使って髪型を弄って。そこんとこを詳しくご教授願いたいのだが。 「アンタだけじゃないわよ。ほら、古泉君を見なさい」 まいりましたね。とでも言いたげな仕草をしている古泉は薄紫色のシャツの上にどっか職人が着るような黒い前掛けを着用していた。 その髪は確かに普段とは違って英国風の金色だったのだが………その右手に抱えられた銀髪の眼帯突き少女人形が圧倒的な存在感を醸し出しているので余り気にならない。 何故眼帯なんぞしてるんだ? 宇宙海賊風王妃もしくは西洋王妃風伊達政宗がその人形のコンセプトとでも言う気では無かろうな? 「いえ、この眼帯は伊達だそうですよ?」 「成る程、確かに伊達だな」 人形なんだからわざわざ片目を潰す必要なんぞ無いと言うことだろう。もしくはそれすら設定に含まれるのかもな。 そう言えば長門は何処に行ったんだ……さっきから姿が見えんのだが。 「こっち」 「あぁ、そっちにいたの…………」 スマン、思わず凍り付いてしまった。 だがな……長い黒髪で右手にポン刀ぶら下げながらこっちを見つめて首をかしげる妙に胸のでかい小柄な女の子を長門だと判断できなかった俺を誰が責められよう。 長門よ、お前の身に何があった? 「……鬘」 成る程鬘ですか情報操作で髪を伸ばしたわけじゃないんですね。じゃあその胸は中に何かを詰め込んでるというわけだな? 「……秘密」 どうせ喋るんなら秘密にはしないでいただきたい。 左右に色違いのカラコンを入れてフリルの付いた翠の服に身を包んだいかにも如雨露と田園風景が似合いそうな朝倉と戯れる朝比奈さんと同じ制服を着た紅髪になった妹を見つめながら溜息をついた。 別に妹が髪を染め上げた事を嘆いているのではない、ただいつぞやの野球の時と同じ何かを振り回す動作で今度は椅子を手に持って本当に振り回しているだけだ。 妹よ……頼むからそんな嬉しそうな顔で椅子をスイングしないでくれな? 兄さん後頭部が凄く心配だぞ。 なぁ…ハルヒよ。 お前はいつも突拍子もなく訳の分からんことを言い出すが今回はいったい何なんだ? その脇に抱えられてる金色の鬘と妙に涼しそうな服は何だ? 着るのか? その羽の作り物はどうやって付けるんだ? なんだか目眩がする。 そうだ、外を見つめよう。こんな時は気分転換をするに限る。 「夕菜が、夕菜が着ぐるみ来て暴れ出したぁぁぁ!!」 「裕一、何なのその格好? それとその杖」 「玲洗樹って言うんだってさ。一条から借りてきた……里香、何で鷹栖さんの真似してんだ?」 「シャナ…どうして髪の毛がピンク色でしかもウェーブ掛かってんだよ!? それじゃまるでヴァリエールさんじゃないか!」 「うるさいうるさいうるさい! 悠二だって髪の毛ボサボサじゃない。それに何で贄殿遮那背負ってるのよ、しかも勝手に改造して!!」 「……新庄君、何故髪を紅蓮に染め上げて緋色のカラーコンタクトをしてるのかね?」 「あ、晶穂。何トゲ突きバットなんて持ち歩いてんだよ、危ないだろ!?」 …………この学校で気分転換を求める俺が間違っていたのかもな。 誰か説明してくれ、何が起こってるんだ。 「……これは涼宮ハル」 OK解った、もういい。 充分に理解しましたとも長門さん。つまりはこう言うしかないんだろ? やれやれ………。 CAST ・涼宮ハルヒシリーズ キョン 涼宮ハルヒ 古泉一樹 長門有希 ・まぶらほ 式森和樹 ・半分の月がのぼる空 秋庭里香 戒崎裕一 ・灼眼のシャナ 坂井悠二 シャナ ・終わりのクロニクル 佐山御言 ・イリヤの空、UFOの夏 浅羽直之
https://w.atwiki.jp/fullgenre/pages/274.html
無知 ◆YYVYMNVZTk 相手との間合いは、おおよそ5メートルといったところだろうか。 炎髪灼眼の少女が手にするのは槍。 背の丈140cmほどの少女が持つには、やや大きすぎる得物だ。 しかし持ち手を短くし、柄を余らせることでそれに対応。 そして新一が握るのは盾。 どっしりとした重量感が安心を与えてくれる。 じり、じりと睨み合い。 先に動いたのは流麗華美な槍使いだ。 赤髪が流れたと思った次の瞬間には、神速と形容するに値する超スピードで間合いを詰める。 そして、新一の顔めがけ突きの一閃。 (――速い!) 視認と同時、首を右に捻る。 間一髪。頬を掠める槍先が大気を切り裂き、一瞬の間を置いて冷たい風が新一の首筋を撫でていった。 まさに髪一本の間。削げた髪先が宙に舞うのが視界の隅に映る。 あと半瞬、いや、更にその半分の刹那でも遅れていたならば、少女の振るった槍はいとも容易く新一を貫いていたはずだ。 (いや、まだだ!) 槍の穂先は、新一の顔面、そのすぐ傍に静止している。 あれだけの速度で迫ってきた槍が、いつの間にかぴたりと動きを止めている。 静止から加速、そして再び静止。 ならば次に起こるアクションは? 当然、再加速! 「っはあ!」 裂帛の気合と共に横薙ぎが繰り出され、 「ぐっ……! こなくそぉぉぉぉ!」 しかし、刃が届く寸前、柄を弾くように振り上げられたビルテクターがゲイボルグを跳ね飛ばす。 ともすればそのまま得物を取り零しかねない衝撃を、少女は己の身体ごと回転させることで受け流した。 くるりと一回転。回転の力をそのまま斬撃に変換しようとするも、既に盾を構えられていることを確認し、攻撃を取り止める。 火の粉を散らしながらバックステップ。再び距離を取り、そして今度の距離は3メートル。 はじめの睨み合いから、距離は2メートル縮んだ。 一連の攻防から少女が導き出した、己の扱う槍に最も適した敵対距離だ。 「お前、やっぱりただの人間じゃないわね」 「ああそうさ。君の言うとおり、俺はただの人間なんかじゃない」 新一が持つ、超人的な身体能力――それは寄生生物(パラサイト)に起因するものである。 寄生生物は大きく分けて二つ、特筆すべき能力を持つ。 一つはその高度な知能だ。 新一の右手となった寄生生物、ミギー。寄生生物に性という概念は無いが――便宜上、ここではミギーに彼という代名詞を与えよう。 ミギーをはじめとした寄生生物たちは、宿主となる人間の身体を乗っ取った時点では、その知能は殆どゼロと言っていい。 だが彼らは、その状態からたった数日で現代社会に溶け込むだけの知識を得て、使いこなしてしまう。 そしてその知的成長は留まることを知らない。 ヒトが千年万年をかけた進化、『個人』から『集団』、そして『クニ』へとそのコミュニティを拡大させていくだけの知性を秘めているのだ。 だがこれらは、この殺し合いの場においては真の脅威とは成り得ない。 もう一つの能力とは、類稀なる戦闘力だ。 如何な格闘家であろうと、偉大なアスリートであろうと、彼らに対抗出来る人間はいないと断定してしまっても良い。 寄生・擬態した頭部を変形させることで彼らは獲物を狩る。 変幻自在に己の姿を変え、時には何者をも切り裂く鋭利な刃に、時には何者をも通さぬ強固な盾とするのだ。 運動性も申し分ない。ただの人間が獲物ならば、向こうが気づく間もなく息の根を止めることが出来る。 泉新一の右手もまた、そのような特性を持っていた。 そして――とある事件をきっかけに、泉新一自身もまた、寄生生物の持つ超運動力を手に入れてしまったのだ。 寄生生物のように、自らの手足を武器に変形させるようなことは出来ない。 だが、世界記録くらい容易に塗り替えられるほどの運動能力と寄生生物譲りの強靭なメンタルは、常人とは比べものにならないものだ。 次に先手を取ったのは、新一。 盾を自らの前に構えたまま、相手へと一直線に駆けていく。 槍というリーチの長い相手に対して距離を取ったまま戦えば、待っているのはジリ貧、そして敗北。 ならば取るべき行動は、槍の射程よりも更に奥へと詰めより、肉弾戦に持ち込むことだ。 無論、みすみすと相手の思惑通りにはさせないと、少女は溜めに溜めた槍の一閃を放つ。 だが、キンと甲高い音を立て、槍は盾の前に弾かれる。 剣聖ビルゲニアが誇る鉄壁の盾を前にしては、不得手の武器では傷一つ付けられない。 「くっ!」 「うおおおおおおっ!」 咄嗟に蹴りを放つも、苦し紛れの一撃は何ら意味を持たない。 ビルテクターに放った蹴撃は微塵も新一の勢いを削ぐことが出来ず。 だが少女の狙いは迎撃ではなかった。足蹴にした盾を踏み台にし、更に距離を取るのが目的。 ぐ、と右足に力を込め、そのまま踏み抜く勢いで後方への推進力を爆発させ―― 「逃がすか、よおっ!」 掴まれた。宙でバランスを崩し、そのまま地に落ちる少女。 右足を掴む相手の右手を、空いた左足で何度も蹴る。蹴る。蹴る。 それでも握る力は緩まない。それどころか左足、両手と順に抑えられ、完全に馬乗りになられた。 少女は灼眼に渾身の怒りを込め、相手を睨む。 ハァ、ハァと息を切らしながら、視線から目を背けることなく新一は少女に問う。 「どうして、そんなに簡単に、人を殺すだなんてこと、言えるんだよ……」 「……じゃあ、逆に質問する。殺さなければ殺されかねない。そして事態の解決のためには多少の犠牲はやむを得ない。 こんな状況下で、それでも殺人を忌避することは、合理的とは言えない。 私はただ合理的な選択を、最短経路を選んだだけ。お前は自分が殺されようとしても、不殺だなんて生温いことを言い続けるの?」 淡々と、冷酷と、それが至極当たり前であるかのように少女は疑問を口にする。 いや、単なる疑問ではないということは端々に浮かぶ皮肉な口調が物語っている。 つまりこの少女は、はっきりと、自覚的に、殺人を肯定しているのだ。 頭の奥がカッと熱くなるのを感じ、反射的に声を荒らげる。 「そうやって……! 人の痛みを考えられないからっ!」 「答えて」 攻守は逆転した。 今まで人を守ることはあっても、人と殺し合った経験など、新一には皆無だ。 喧嘩程度ならいくらでもあるが、そんなもの、根本のレベルから違う。 何時だったか、ミギーと交わした会話が思い出される。 ――だから、俺たちで寄生生物を…… ――断る。私は『ヒト』という種の味方ではなく、自分自身の味方だ。 ――シンイチ、わたしには人間的な感傷がない。だから『仲間』を殺すときも気分的にどうということはない。 ――だがわたしとシンイチが逆の立場だったらどうする? ……分からない。自分がミギーの立場だったなら、同種の生物との殺し合いにあれほどまで殉じれたのだろうか。 自分には人間を殺すことなんて出来ない。 だけど、殺人を強制されている事態が、今訪れている。 (もし俺が殺さないと、他の誰かが殺されてしまう……でも、だからってそんなに簡単に人を殺せるもんか……! そんなに簡単に、人の心を失くせるもんかっ!) 「ほら、即答出来ない。それが甘いと言っているの」 知らず知らずのうちに少女を拘束する力が緩んでいたことを気付いたときには、既に遅かった。 まず、右腕が振りほどかれる。慌てて残る左手に力を込めた瞬間、鼻っ柱に激痛。 頭突き、と認識した頃には完全に少女は手の内から離れていってしまった。 少女は再び槍を構え、敵意を剥き出しに。 「――はぁっ!」 その声音から余裕の色は完全に消え去っている。 最大最強と名高い紅世の王、“天壌の劫火”アラストールと契約した『炎髪灼眼の討ち手』――“贄殿遮那の”フレイムヘイズ。 それが少女の持つ名だ。 人を遥かに超える力を持つフレイムヘイズたる少女が、泉新一を脅威だと判断したのだ。 不得手を心得、相手に足らぬを知る。 その上で――自らの勝利のために尽力する。 まともに組合っては、体格、膂力共に劣る少女が不利である。 ならば付け入る隙はどこにあるのか。 経験、であると当たりを付ける。 口ぶりからして、短髪の青年は戦うことを是としない性格であると考えられる。交戦経験もまた少ないだろう。 ましてあの身体能力。並の人間ならばたとえ争いになったところで造作もなく勝利を収められる。 先程の少女が見せた失態こそ、良い例だ。 相手を過小評価していたとはいえ、不覚の原因は対する相手の並々ならぬ速度と力。 その認識を改め、フレイムヘイズとしての能力に、フレイムヘイズとしての経験を合算する。 万物を薙ぎ払う贄殿遮那と同様の取り扱いが、出来るはずもなかったのだ。 常に一撃必殺、かすらせただけで致命傷なのが、贄殿遮那での戦い方である。 この大槍では全てに一撃必殺の威力を込めることは困難。 威力ではない。技術を持って相手を屈するのが、ゲイボルグでの戦い方だ。 猪突はしない。槍のリーチぎりぎりからフェイントを交えながらの牽制打。 生半可な打突では盾を越えることは出来ない。 そも、まともに矛と盾を突き合わせることが間違いだった。 矛盾――まさしく故事の通りだったことに気付き、思わず頬がゆるむ。 徐々に、徐々にではあるが新一は少女に押され始めた。 正確に言えば、少女の推論である『泉新一は戦闘経験が足りない』というのは誤りである。 新一は、フレイムヘイズと同等の――いや、下手をすればそれ以上の化物である寄生生物と何度も死闘を繰り広げている。 だが、確かに新一には経験が足りなかった。 生来の能力だけでなく研鑽された技術も用いて戦う寄生生物など、戦ったことはおろか見たことさえない。 寄生生物は人間の操縦は上手い。だがそれは、あくまで性能の限界を上げただけの話。 人間が磨き上げた武術の類――まして、自分と同等の身体能力を持つ者の――を相手にしたことなど皆無だ。 目は追いつく。だから、一歩遅れて身体も反応する。 しかしそれまで。少女の細やかなフェイントに気を取られ、流れるような足捌きを前にもたつき、完全に防戦一方となるまでにそう時間はかからなかった。 「くっ……!」 「なかなか手強かったことは認めるわ。でも、その程度。少し強いだけのただの人間じゃ、相手にはならない」 風を切り放たれる、右方向からの払い。 それに対して新一が回避ではなく防御を選んだその瞬間を狙い、少女は足の裏から焔を吐き出しながら急転回。 物理常識を超えた急加速の前に、新一は無防備な右半身を晒す。 「しまった!」 「これで終わり――なっ!?」 少女が放った一撃が、新一の身体を貫かんとしたその時――『新一の右手が変形し、盾になった』。 厳密には、盾とは言えない。何故ならそれはまるで生きているかのように槍を受け止め、上方向に受け流したのだから。 ただの盾に出来る芸当ではない。そのことは、渾身の一撃を止められた少女が誰よりも知っている。 「み、ミギー……起きてたんならもっと早く助けろよ、この馬鹿野郎!」 『いきなり馬鹿野郎はないだろうシンイチ。起きて早々槍を向けられていた私の気持ちも考えてくれ』 「……お前、やっぱり人間じゃない!?」 「あ、あー……これはその、説明すると長くなるんだけど……」 『少なくとも私は人間ではない』 「んなの見りゃ分かるだろ、お前が喋ると余計面倒なことになンだから少し黙ってろい!」 「多重人格……? いや、そんなものじゃない。人格を持ち、変形する右手なんて……まさかお前も、フレイムヘイ――」 「へぇ……面白いですね、それ。でも今はゆっくりしている暇はなさそうだ。それじゃあ、縁があればまた会いましょう」 ミギーの出現で始まる喧騒。 その中に紛れ込んだ、少年の声――その場にいた者たちが疑問を感じる間もなく。 ホテルは光と音と熱に包まれた。 ◇ 「……ふぅ、ここまで距離をとれば大丈夫かな」 ホテルからちょうど1エリア分離れたC-1にて、瀬田宗次郎は独りごちる。 ホテルで炸裂した爆弾は、宗次郎が仕掛けたものだ。 支給品であったラジコンカー型爆弾――糸で繰ることもなくこちらの望むままに動く玩具は、宗次郎にとって完全に未知なるもの。 だが懇切丁寧な指示書きのおかげで、ぶっつけ本番ではあったものの思う通りの結果を得ることが出来た。 それにしても、喋る右手とはまた面妖なものだ。腹話術とも、また違う。 あれは自在に形を変え、少女の槍を受け止めた。戦闘に流用出来る――武器? 技術? 気に掛かるのは、己との戦闘の際にはあれを使わなかったということだ。 口振りからすると自らの意志で操ることは出来ないらしい。 「まァ、志々雄さんならあの程度の相手に後れを取ることもないか」 青年にしろ少女にしろ、あの戦闘を見る限りでは己と同等といったところだろう。 不覚を取ったのは己の知らぬ道具を使われたが故のことだ。 刀を持ち、真正面からぶつかるのならば如何に二人が超人的な力を持っていたとしても、同等以上に戦う自信があった。 とはいえ、得物がこれだけでは心許ないけれどね――と、宗次郎は手に持つ半分に折れた黄金の剣を眺める。 粗悪、実用には耐えない。これが剣を見ての、率直な感想。だが何も持たぬよりはマシだろうと、ホテルを飛び出す際に掴んできたものだ。 広義では己の得意とする刀だといえるが、西洋の両刃刀を握った経験は全くないと言っていい。 まずはこの得物で着実に相手を倒し、より良い武器を得る必要がある。 苦にも思わぬのか――それとも、苦を知らぬのか。 宗次郎は笑みを浮かべたまま、獲物を求めて歩き始める。 【一日目早朝/C-1】 【瀬田宗次郎@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】 [装備]黄金の剣(折れている)@ゼロの使い魔 [所持品]ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュ、基本支給品 [状態]全身打撲 [思考・行動] 1:獲物と得物を求めて徘徊。 2:弱肉強食に乗っ取り参加者を殺す。志々雄に関しては保留。 ◇ 炎髪灼眼の討ち手が目を開けたとき、目に映る景色はがらりと姿を変えていた。 元々破損だらけ、傷だらけだった内装は更に崩れ、ホテルとしての役割などとうに放棄してしまっている。 ……どうして、こうなった。 気を失う寸前の光景がフラッシュバックする。 聞こえてきた少年の声――殺し合いの場に似合わぬ車のおもちゃ――爆発。 そう、爆発だ。玩具だと思っていた車が、突然爆発したのだ。 そして自分は爆風に巻き込まれ……? いや、違う。その寸前に、自分の目の前に投げつけられたのは―― 「……盾」 少女の前には盾があった。投げつけられたときに身体にぶつけたのか、胸のあたりに痛みがある。 だがそのまま爆発に巻き込まれていたならば、軽い打撲などではすまなかったはずだ。 炎を操り支配するフレイムヘイズといえど、その爆風や衝撃まで完全に打ち消すことは出来ない。 少女が無事でいられたのは、この盾のおかげだ。 次に浮かぶ疑問は、この盾は何故ここにあるのかということ。 これは相対していた青年が持っていたもののはず。 「まさか……」 盾をどけ、周囲を探す。 ……いた。倒れ伏せた青年が、そこにいた。 「……っ! お前! しっかり!」 「あ、ああ……無事だったか。……良かった」 安堵した自分がいた事に気付く。 爆発の規模に対して、青年の傷は浅い。命に関わるほどのものではなかった。 右手を差し出し、倒れていた青年を起こし上げる。 「良かった。これで死なれていたら気分が悪い」 「おいおい、その言い方はないだろ……こっちは身を張って君を守ったっていうのに……痛っ!」 「誰も守ってなんて頼んでない。あの男は?」 「逃げられたみたいだな。……認めるよ。俺が甘かった」 「そうね。ならあっちを向いてなさい」 指示を出し、青年の診療をする。 傍のソファの残骸に隠れたのか、直撃は避けられたようだ。 だが背中から右腕にかけて中度の火傷が広がっている。 適切な治療を施せば多少の後は残るかもしれないが、すぐに完治する傷だ。 しかし青年には清潔なタオルもなければ薬もない。 「痛むかもしれないけど我慢なさい」 自らの支給品である水を丸々一本、火傷の患部にかけていく。 冷水があればそれが最適なのだが、生温い水でも効果は小さくない。 逡巡のち、少女はデイパックの中からガサゴソと支給品の一つを取り出す。 「いっ、いっ、いでぇぇぇぇ!!!」 「我慢なさいと言った。むしろ感謝して欲しいくらいだわ」 「あ、ありがとよ……いきなり戦う羽目にはなったけど、君って優しいんだな」 「う……うるさいうるさいうるさい!」 「いででででで!」 言われ慣れない感謝の言葉を受け顔がカーっと熱くなるのを感じながら、乱暴な手つきで薬を塗りたくっていく。 そのままの調子で広範囲に広がる傷の処置をしながら――少女は、生じた疑問をぶつける。 「ねぇ、何故私を助けたの?」 対し青年は、苦笑いを浮かべながら、 「ん……ああ、あの盾のことか。うーん……なんでって言われたら困るなぁ。 気付いたら勝手に身体が動いていた……これじゃ駄目かな?」 「……私には理解出来ない。戦っていた相手を助けて、自分はこんな怪我をするの?」 「君はさぁ、さっき、俺のことをただの人間じゃないって言ったよね」 「……? ええ」 「確かに俺は、ただの人間じゃない……人にはない力を持っている。 でも俺は、やっぱり人間なんだ。自分が苦しむのは嫌だけど、目の前で誰かが傷つくのも見たくない。 ましてそれが、君みたいな小さな女の子ならなおさらね」 ――人間の、感傷だと思った。 それで自分が傷ついて倒れてしまえば、元も子もない。 でもそれを、心地良いと感じてしまった自分がいた。 自分は人間とは違う――世界を救う使命を帯びたフレイムヘイズ、炎髪灼眼の討ち手なのだ。 人の生活など、人との関わりなど、そんなもの自分には必要のないもの。 必要なのは討滅に必要な力だけ。ずっとそんな生き方をしていた。 そういえば――こんなことを言っていた人間が他にもいたことを思い出す。 少女に餌扱いされながらも、少女のことを他の人間と同じように扱おうとした少年。 「で、どうするんだ? やっぱりあいつを追うのか?」 青年の声に、はっと意識を取り戻す。 いつの間にかぼうっとしていた。緊張感のなさを自省する。 あいつとは爆弾を仕掛け逃亡した男のことだろう。 あの男を野放しにしておけば、他の参加者もまた危険に晒されることになる。 別に有象無象がいくら死んだところで自分には関係ないがこの首輪を解くことの出来る参加者なら話は別だ。 被害は未然に食い止める必要がある。 こくりと首肯で青年の問いに答え、少女は男を追おうと立ち上がる。 「っと、その前に自己紹介でも……」 「自己紹介?」 「だってこれから長い付き合いになるんだぜ?」 「まさかお前、私についてくるつもり?」 至極当然と言わんばかりの顔で、青年は少女を見る。 「俺だってあいつには話を聞かなくちゃならない。目的が一緒なら道中も一緒でいいじゃないか。 それに……君にこれ以上、人を殺させるわけにはいかない」 「……何を言っても聞かなさそうな顔をしてるわね。足手まといになるようなら容赦なく切り捨てるから」 「いいぜ。ただし俺は、何があっても君を見捨てたりしないけどな」 青年の差し出した手――求められる握手。 「泉新一だ。よろしく」 炎髪灼眼の討ち手、天壌の劫火のフレイムヘイズ、贄殿遮那の―― 浮かぶのは名前ではなく、称号。別にそれでもいいかと思い――ふと、思い出す。 自分にも呼ばれる名があったことを。 「――シャナ。私のことはシャナと呼んで」 名前を付けてくれた餌に、坂井悠二に少しだけ謝意を感じ、少女は自らシャナを名乗った。 【一日目早朝/B-1 ホテルのロビー】 【シャナ@灼眼のシャナ】 [装備]:ゲイボルグ@真・女神転生if... [所持品]:基本支給品(水を一本消費)、傷薬×4@真・女神転生if...、首輪(魅音) [状態]:健康、力と運が上昇 [思考・行動] 1:新一と共に宗次郎を追い、殺す。 2:コキュートスを探す。 3:危険人物には容赦しない。 4:首輪の解除ができそうな人間を探す。解除が無理なら殺し合いに乗る。 (――シンイチ、これは一体どういう状況だ?) (詳しいことは後で話す……今はとりあえず、ばれないようにしてくれ) (了解した。……あの少女だが) (ん?) (思考が人間よりも我々寄りだな。合理的ではあるが……気をつけろ、シンイチ) 【泉新一@寄生獣(漫画)】 [装備]ビルテクター@仮面ライダーBLACK [所持品]基本支給品(水を一本消費)、拡声器@現実 イングラムM10(32/32)@バトルロワイアル [状態]疲労(小) 、背中に火傷(処置済み) [新一の思考・行動] 1:シャナと共に宗次郎を追い、話を聞く。 2:生き残る。 [ミギーの思考・行動] 1:状況を把握する。出来る限り周りに存在を知られないようにする。 2:生き残る。 【支給品説明】 【傷薬】 使用するとHPを小回復するアイテム。 学校の保健室などにも置いてあることから、現実のものと大差はないようだ。 今回は五個セットで支給されている。 時系列順で読む Back お前の姿はあいつに似ている Next 二人の黒い殺し屋 投下順で読む Back お前の姿はあいつに似ている Next 二人の黒い殺し屋 061 フレイムヘイズ×矛盾×雌伏 泉新一 078 果てしない炎の中へ(前編) シャナ 瀬田宗次郎 090 Innocence