約 19,966 件
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/445.html
第114話 罪状はDV 判決は死刑 「行ったようだね。それじゃこっちも行こうか?」 クロードが暗闇に走り去ったのを見届けると、ブレアとロキは歩き始めた。 ロキはブレアに突きつけていたパラライズボルトを下げて、言う。 「一応言っとくけど、下手な真似したらお前の正体ばらして歩くからね、おとなしく歩いてなよ?」 仲間に余計な事を話されると面倒なので突きつけていたが、もう必要無い。 まあ、ブレアとしては逃げたり助けを求めたりしたところで正体を他の参加者にばらされてしまい、 実質殺し合いから脱落する事になるのだから、ロキに従うしかないだろうが。 「おとなしく歩けって言っても、もっと速く歩けよ。 さっきの不意打ちの時も思ったけど、やっぱりウスノロだな、お前」 ブレアは振り向く事もせず、沈黙を守ったまま、歩く速度を少し上げた。 (だんまり、ね。まあどうせこいつからは、まともな情報は得られないだろうしね。 だんまりでも別に良いけど少しからかってやろうかな) ブレアは参加者の中で、最もルシファーに近い人物だろう。 しかし、具体的な脱出方法やルシファーの弱点を知っているとは到底思えない。 何故ならルシファーからしてみれば、そんな事を知っている人物を送り込んでもメリットは皆無だからだ。 ブレアがこの島に来てからの情報や、事前に知らされているであろう何かしらの情報を聞き出すにしても、 今のこのような状況になってしまえばブレアが真実を話す保障など全く無い。 それならば、ブレアがだんまりを決めこんでいようがロキは構わなかった。 しかし、歩くペースが遅いのはいただけない。 「遅いって。もたもたしてると禁止エリアになるだろ?…こんなウスノロであのおっさん達を殺せるのかねえ?」 そう、こんなペースでは目的地が禁止エリアになってしまうかもしれない。 ロキは、まず最初の目的地には菅原神社を選んだ。 先程の放送では、菅原神社と鎌石村役場の2箇所に支給品が置かれるとの事。 エルネスト達が居た場所はD-2北部の辺り。そこからは菅原神社も鎌石村役場も、どちらも近く、同じような距離だった。 ロキは考える。 では、奴等は支給品を取りに行くだろうか? おそらく行くだろう。敵に対処する場合、戦うにせよ身を守るにせよアイテムは多いに越した事はないのだから。 逆に、近くに有るアイテムを取りに行かない理由の方が考え付かない。 そして支給品を入手した後は、おそらくフェイトの足の治療をする為、村に留まるはずだ。 では、奴等はどちらに行くか? 先程ロキは、フェイト達と情報交換をした時、奴等には『鎌石村では死体をゴロゴロ見たから危険だ』と、適当な事を教えた。 しかし、自分達を拷問しようとしたロキが教えた事を、今も馬鹿正直に信じている奴は居ないだろう。 その時のフェイト達3人の話からすると、奴等は平瀬村で強敵に出くわし逃げてきたようだ。 普通に考えれば平瀬村には近づかないと思われ、この2点のみから推測すると『奴等の行く先は鎌石村』となる。 だが、奴等には今ブラムスが味方についている。 ブラムスが居る今、奴等が多少の危険を冒してでも平瀬村に戻る可能性は0ではない。 むしろ、マーダーは見過ごす訳にはいかない、などというお約束の正義感を振りかざし、 その強敵の退治をブラムスに依頼する事も考えられ、その場合は平瀬村に向かう可能性は高いと思われる。 その強敵と言うのがさっきの「炎の男」(確かミカエルと名乗っていた。放送でも呼ばれていた)の事だった場合、 既に倒しているのだから、なおさら平瀬村側に向かうのを躊躇する理由は無い。 つまり結論は『どちらに行くか分からない』だ。 どちらに行っても、どちらに行かなくても、全く不思議ではない。 ならば近い方から潰していこう。 もし、奴等の言う「強敵」とやらがまだ平瀬村に居て自分に襲いかかってきても殺せば良い。 そうロキは結論付けた。 (ただ、1つ分からないんだよな。何でこいつは主催側の駒のくせにこんな弱いんだ?) 先程のブレアの不意打ちから判断すると、ブレアの身体能力はルシファーに送り込まれた駒にしては非情に低い。 ヴァルハラで見たレナスのエインフェリア達だってもっと良い動きをしていた。 単純比較すれば、ブレアはエインフェリア以下、つまり兵士でもない普通の人間程度の力しかない事になる。 ルシファーはロキの能力すら制限出来る相手だし、ブレアを強くする事くらいは簡単だっただろうに、 何故それをしなかったのだろうか?送り込むなら念の為にそれなりの能力を持たせておいても良さそうなものだが。 (まあそんなことは別に良いか。オッサン達を殺す時にはスタンガンでも持たせておけば用は足りるだろうし) ロキは気にしない事にした。どうせ直接対決させるのではなく暗殺させるのだから、ブレアが弱くてもそんなに関係ない。 それより、今はブレアの歩くペースの方が気になってきていた。 「だから遅いって。もっとキビキビ歩けよ」 歩くペースの遅いブレアに少しイラつき始めたロキは、ブレアの背中を押すように蹴った。 ブレアは「くっ」と呻き前方によろめくが、それでも振り返る事も歩みを止める事もしない。 「ほらほら、文句が有るなら言ってみなよ?」 そう言い、ロキはブレアを蹴りながら歩き始めた。 本当なら槍をブレアの背中に突きつけ「俺より走るのが遅かったら刺さっちゃうぞ~」などと ブレアをからかいながら走りたかったが、流石にそんな状況を他の参加者に見られると面倒な事になるので自粛している。 「冗談」や「イチャついていた」では通らないだろう。 (おっと、蹴ってるの見られても同じか?) 「ハハハ」 至極当然の事に気付いて思わず声を出して笑ってしまった。 ロキが突然笑い出しても、やはりブレアは振り向かない。 「…全く愛想の悪い奴だな。いや、感情表現が乏しいのか?」 嫌味を言ってみる。だがブレアはこれにも無反応だった。 ロキは蹴るのは止める事にして、ブレアを手で突いて押して歩く事にした。 到着までにどうにかリアクション取らせてみたいな、などと当初の目的とは微妙にズレた事を考えながら。 ブレアは意地や細やかな反抗をする為にロキを無視しているのでは無い。 ロキに支配されているこの状況をどうにか打開出来ないか、それを考えているのでロキの戯言など無視していた。 遅く歩いているのもわざとだ。考える時間は多い方が良い。 例え蹴り続けられる、押され続けられる屈辱を味わわせられ、いらついてノイズが大きくなろうとも。 (何か…何か有るはずよ…このクソったれをブチ殺せる手が何か…) 頭の中で響いている、チャンネルの合わないラジオのような雑音に邪魔されながらも ブレアは思いつく限りの対策を歩きながらシミュレートしていた。 〔戦う〕→〔殺される〕→『Error,Error,Error』 〔逃げ出す〕→〔ブレアがマーダーだと広められる〕or〔殺される〕→『Error,Error,Error』 〔従い続ける〕→〔用済みになれば殺される〕→『Error,Error,Error』 〔etc.etc.etc…〕→『Error,Error,Error…』 だが、今ブレアが考え得る全ての対抗策をシミュレートしても、ブレアの望む答えは得られない。 戦うにしても、このブレアの身体には戦闘能力は無く、武器の類は全てロキに抑えられている。 相手は参加者の中でもトップクラスの戦闘力を持つ男。勝ち目は0%だ。 ロキから逃げ出せるとも思えない。 逃げおおせたとしても、ブレアに都合の悪い話を広められ、 結局身動きが取れなくなり、今後は何も出来ずに終わってしまう事に成りかねない。 では従い続ければ良いのか。エルネスト、クラースを殺し、フェイトに取り入る… いや、仲間を殺す人間をあのフェイト・ラインゴッドが許す訳がないし、 そもそも用が無くなれば、同時にロキがブレアを生かしておく必要も無くなる。 まず、間違いなく殺されるだろう。 八方塞がりとは正にこの事だった。 現状を打開し、ブレアが自由を得るにはロキを殺す以外に手はないだろう。だが、その為の手段が何も無い。 (直接的な手段はダメね…何か対策を考えないと…) そう思い立ったブレアは、対策のヒントとなるような情報を探す為、この島に来てからの出来事全てを思い返す事にした。 彼女の頭の中にはこの島で自分が体験した事全てが、録画された映像のように正確に『記録』されている。 例えば、自分と居る時にレザードが話していた事は勿論、エイミがパンを食べながら噎せて咳をした回数等も全て記録されている。 その『記録』はブレアが思い返そうとすれば、いつでも思い返せるのだ。 ブレアはそれらの『記録』を全て掘り起こした。 スタート地点から現在に至るまでの膨大な情報量がブレアの脳裏を駆け巡る。 (何でも良いの。何か使える情報は無い? チラリと視界に入った物、ごく僅かながら聞こえてきた音、漂ってきた匂い、誰かが話していた事、何でも良い。 この状況を打開するヒントが何か無いの?) 〔スタート地点の断崖絶壁〕――『Nothing』 〔今までの移動中〕――『Nothing』 〔レザード、エイミと行動を共にした時〕――『Nothing』 〔エイミにグールパウダーを飲ませた時〕――『Nothing』 (この際どんな些細な事でも良い。何か1つでも。何か。何か) 〔ガウェインと取引をした時〕――『Nothing』 〔クロードと出会った時〕――『Nothing』 〔ロキと会話をした時〕―― (何てこと…可能性が1つ有ったじゃない) あまり思い出したくなかったロキとの会話を全て掘り返し、ブレアは見つけた。 というより、最初からロキは言っていたではないか。 『厄介な奴の相手をしてね。命からがら逃げてきたけどこのザマさ』 (このクソったれは誰かに敗北して逃げてきたのよ!…それは誰なの!?) ロキの顔面はみっともないくらいに腫れていた。『命からがら逃げてきた』という言葉は嘘では無いだろう。 それなら、ロキは誰から逃げてきたのか。 先程ロキは、ブレアにこのような作戦を伝えた。 『フェイトのパーティに潜り込み、三つ目と帽子を被った刺青の2人の男を暗殺しろ』 ブレアはこの島に入る前に事前に与えられた情報を検索する。 現在生き残っている参加者で、三つ目の男と言うのは「エルネスト・レヴィード」、 帽子を被った刺青の男とは「クラース・F・レスター」の事だろうが、ロキが彼らに敗北したとはとても思えない。 この2人、いや、フェイト・ラインゴッドも入れれば3人だが、確かに彼らは相当な実力者達だ。 だが、ロキは彼らを遥かに上回る戦闘能力を持っている。 能力を制限されているとはいえ、ロキの戦闘能力ならば、彼らとの1対3の戦いでも勝つのは容易のはずだ。 それでもロキは敗北した。何故か? エルネスト達の支給品が強力だったのか。それともエルネスト達の策にハマったのだろうか。 いや、そのどちらだとしても、体勢を立て直した今ならそれを警戒して再び襲い掛かれば良いだけの事。 そうしないでブレアを利用した暗殺計画を立てているという事は、 おそらくはフェイトのパーティには、ロキ1人では勝てない他の何者かが居るのだ。 (…現在の生き残りでこのクソったれに勝てそうな人物と言えば…) ブレアは再び事前情報を検索した。そして、答えはすぐに導き出される。 (ブラムス!不死者の王ブラムスがフェイト・ラインゴッドのパーティに居るのよ! ヴァルハラを統治するオーディンに匹敵する実力を持つと言われるブラムスならロキに勝てる!) 打開策、つまりロキを殺す手段の取っ掛かりがようやく見つかった。 その希望がブレアのノイズをやや治め、足取りをほんの僅か軽くさせた。 「ん?何だい?やる気出てきたのかな?」 それにロキが目ざとく気付き、話しかけてきた。 いや、先程からロキはずっとブレアを突いて押し続け、独り言のように喋り続けていたが、 ブレアはどちらも無視し続けていたのだ。 (いちいちイラつかせる男ね…) 当然、これも無視だ。 まだ、考えるべき問題は残っているのだから。 ブレアの意識は思考に戻る。 (『ブラムスを利用して、ロキを殺す』…私がロキから解放され、自由を得る為にはこの方法しか無い。なら具体的には…) まずはロキの作戦と同じく、ブラムスの居るフェイトのパーティに取り入らなくてはならないが、これは問題無い。 フェイトならブレアを信用し、仲間として受け入れてくれるだろう。 そして、フェイト達に取り入ったらすぐに、 『自分がロキに脅され、エルネストとクラースの暗殺を強要されている事』 『ロキがすぐ側で自分を監視している事』 この2つを打ち明け、フェイト達と一緒にロキを倒す作戦を立てれば良い。 ロキの作戦である『エルネスト、クラース両名の暗殺』は、力の無いブレアが行うには暗殺のタイミングを見計らなくてはならず、 パーティに潜入してすぐ、という訳には行かない事はロキにだって分かっているだろう。 つまり、ロキに疑われずに、フェイト達がロキを倒す作戦を練る時間は充分に出来るという事だ。 (ここまでは何の障害も無いわ。問題なのはフェイト達がロキと戦闘する事になった時よ) いざ戦闘となれば、ロキはブレアの裏切りに気付き、フェイト達に『ブレアは偽者だ』とばらすだろう。 それでもフェイトはロキの言う事など信じないかもしれない。 いや、正確には信じないようにする、と言うだけで、心の何処かにブレアへの疑惑を持たれ続けるのは避けられない。 フェイトはかつての冒険でIMITATIVEブレアと遭遇し、その存在を知っているのだ。 その為、ロキに『ブレアは偽者だ』と教えられれば、誰よりも簡単にそれを受け入れてもおかしくはない。 つまり、ブラムスがロキを殺したとしてもブレアはフェイトに疑われ続けてしまい、 先程のシミュレートの結果通りに身動きが取れなくなってしまう。 しかし、ロキを殺すにはブラムスの力を利用するしか方法は無いし、ロキを殺さなくては、どの道ブレアは終わりなのだ。 (なら…フェイト・ラインゴッドにばらされるのを前提で、それを誤魔化す方法は…) ブレアはもう1度『記録』を検索する。 今度はフェイトを言いくるめる、もしくは誤魔化す方法だ。 再びスタート地点から現在に至るまでの膨大な情報量が脳裏を駆け巡り、 〔スタート地点の断崖絶壁〕――『Nothing』 〔今までの移動中〕――『Nothing』 〔レザード、エイミと行動を共にした時〕――『Nothing』 〔エイミにグールパウダーを飲ませた時〕――『Nothing』 〔ガウェインと取引をした時〕――『Nothing』 〔クロードと出会った時〕――『Nothing』 〔ロキと会話をした時〕―― そして先程と同様、ロキとの会話で1つ引っかかる。 『――タチヲタスケタブレア」トハベツジンダト思うよ。本物だとしても操られているか――』 『本物だとしても操られている』 (…これは…使えるかしら…?) つまり今のブレアは『エターナルスフィア内に入っている本物のブレアがルシファーに操られている』という設定にするのだ。 この設定をフェイトに伝えれば、身動きは取りにくくなるという点は同じだが、 単純に偽者である事がばれるよりは遥かに扱いが変わってくるだろう。 ブレアが『操られている本物』であるにしても『偽者』であるにしても、ルシファー側の人物である事に違いは無い。 そして、その『ルシファー側の人物』の役割は、殺し合いを円滑に進行させる事、と言うのは誰でも簡単に想像出来るだろう。 そうすると、ブレアが『偽者』である事がばれた場合、拘束されるだけならまだしも、最悪殺される事も充分有り得る。 だが『本物が操られている』のだったら? 本物のブレアと面識の無い参加者なら、念の為に殺しておこうと考えても仕方ないかもしれないが、 かつてブレアに助けられた事の有るフェイト・ラインゴッドなら、どうにかブレアを救う手段を探そうとするのではないだろうか。 そして、そこには付け入る隙も生まれるのではないだろうか。 (自由には動けなくなるけど、ロキに従わさせられている現状よりはまだマシね…やるしかないわ!) ただ、ここで更に問題なのは「ブレアが操られている」事を伝える方法である。 操られている者が操られている事を伝えるなど不自然極まりない。 (古風な手だけど…走り書きのメモをデイバッグに忍ばせておく…なんて手かしらね) つまり、自分はルシファーに操られているから警戒しろ、という内容のメモを自分のデイバッグに隠すように入れておくのだ。 メモには、僅かな時間だがブレアが自分の意識を取り戻した時に書いた、と言う設定を一緒に書いておけば良いだろう。 仲間になる際に、フェイトに所持品を検査させてそれを見つけてもらえればきっと上手くいく。 (後はそのメモをいつ書くか…これもまた古風な手だけど用足しに行く振りでもして…) そこまで考えた時、ロキの声が耳に入ってきた。 「――ルシファーって奴も馬鹿だよな?お前みたいな役立たずを送り込むなんてさ」 (何…だと!?…こいつ…) 『ルシファー』と言う単語にブレアは反応してしまい、ついロキの方へ振り向きかけてしまう。 「おっと?反応アリかな?ふ~ん『ルシファー』か。 敬愛する『ルシファー様』を馬鹿にされてムカついたのか?」 ロキは楽しそうに話す。 「でもそうだろ?ブレアなんて知らない俺にだって、お前が偽者だって事はすぐに看破出来たんだ。 簡単に見抜かれたお前は無能。そんな無能を送り込むルシファーもまた無能って事さ。 フレイアだってもっとマシな作戦を取るよ。そうは思わないか?」 実に楽しそうな口調だ。きっとこの男は人を見下す時が一番好きなのだろう。 (…くっ…今の内にせいぜい調子に乗っていなさい… 貴様の目的のフェイト達を見つけた時こそが、貴様の死ぬ時なのだからね!) 自分の産みの親であるルシファー。 その彼をプログラムごときにバカにされるのは許せる事ではないが、今は耐える時だ。 (でも、残念ね。貴様は私が直接殺してやりたかったのに。 出来る事なら私自身が切り刻んでやりたかった。 手足を切り落とし、動けない無様な姿を笑ってやりたかった。 喉を切り裂き、そこからそのよく動く舌を引っこ抜いてやりたかった。 動けず喋れもしない貴様に、対策のヒントをくれたのは他ならぬ貴様自身なのだと言い放ってやりたかった。 でも、ブラムスに殺させるのではそれも出来ないわね…とても残念だわ) しかし“残念”という言葉とは裏腹に、ブレアは内心では笑っていた。 直接手を下す事は出来ないが、ロキが死ぬ瞬間を想像すると酷薄な笑いが表情にも出てしまいそうだ。 だが、表情に出してしまえばロキに怪しまれる。これも耐えなくては。 怒りにも喜びにも耐えて、ブレアは黙って、無表情で、暗く静かなエリアをただ歩く。 ロキの目的、そしてブレアの目的ともなったブラムスとフェイトを目指して。 先程までブレアに生じていたノイズは、今はもう殆ど治まっていた。 【F-3/深夜】 【IMITATIVEブレア】[MP残量:100%] [状態:体にやや痺れ ノイズは治まり気味 ロキに対する怒りと同時に、ロキを殺せる希望を見つけた事に対する喜びを併せ持つ] [装備:無し] [道具:荷物一式] [行動方針:参加者に出来る限り苦痛を与える。優勝はどうでもいい] [思考1:フェイト、ブラムスに接触、利用しロキを殺させる] [思考2:ロキがフェイトにブレアの正体をばらした場合に備えておく] [思考3:レザードがマーダーだと広める] [思考4:無差別な殺害はせずに、集団に入り込み内部崩壊や気持ちが揺れてる人間の後押しに重点を置き行動] [思考5:レナの死をクロードが知った場合クロードをマーダーに仕立て上げる(その場にいたら)] [備考1:※ルシオ、ルーファス、クリフの特徴を聞きました。 名前は聞いていませんが、前もって人物情報を聞かされているので特定しています] [備考2:フェイト達に会うまでは保身を優先し、誤情報を広めるつもりはありません] [備考3:クロードの持ち物で存在を知らないのは「昂魔の鏡」「首輪探知機」の2つです] 【ロキ】[MP残量:90%] [状態:自転車マスターLv4(ドリフトをマスター) 顔面に大きな痣&傷多数 顎関節脱臼(やや痛むが何とか修復完了)] [装備:グーングニル3@TOP、パラライズボルト〔単発:麻痺〕〔50〕〔50/100〕@SO3] [道具:10フォル@SO、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、スタンガン、ボーリング玉、拡声器@現実世界、万能包丁@SO3、首輪、荷物一式×2] [行動方針:ゲームの破壊] [思考1:ブレアを使ってクラース、エルネストを殺害] [思考2:1を実行後、ブラムスとフェイトを味方に付ける。出来なかった場合は…?] [思考3:ブレアは用が済んだら殺しとく] [思考4:まずは近い平瀬村から調べる] [思考5:見つけ次第ルシオの殺害] [思考6:首輪を外す方法を考える] [思考7:一応ドラゴンオーブを探してみる(有るとは思ってない)] [思考8:できれば自転車取り返したいなー] [備考1:顎を治しましたが、後2時間位は長い呪文詠唱などをすると痛みが走るかもしれません] [備考2:自分をフルボッコにした相手はブラムスと特定しています] [備考3:レザードは多分殺し合いには乗っていないだろうと予測(マーダーであるブレアが殺したがっているから)] [現在位置:F-03北部] 【残り21人+α?】 第113話← 戻る →第115話 前へ キャラ追跡表 次へ 第109話 IMITATIVEブレア 第119話 第109話 ロキ 第119話
https://w.atwiki.jp/orthopaedics/pages/5.html
・柔道整復師は国家資格である 柔道整復師は厚生労働省が認可する国家資格であり、業として(仕事として)柔道整復を行うことができる(柔道整復師法2条) 柔道整復とは、骨折・脱臼・打撲・捻挫の施術のことであるが、骨折、脱臼の施術に関しては応急処置以外は医師の同意書を必要とする。 では「柔道整復」とは何か?柔道整復師は接骨院で「何をする」のでしょうか? 「骨折の整復、固定」 (医師の同意が必要) 「脱臼の整復、固定」 (医師の同意が必要) 「打撲に対する処置」 氷で冷やす、包帯で圧迫する、くらいでしょうか。器械で温めるなんてありえません 「捻挫に対する処置」 例えば足首の捻挫をイメージしてください。ひねって大きく腫れています。どんな処置をしますか?氷で冷やす、包帯で圧迫する、場合によりテーピングで固定する、くらいでしょうか。器械で温める、マッサージするなんてありえません。 以上です。これだけです。現状では「保険の効くマッサージ」になっている接骨院ですが、本来はマッサージしたり温めたりする処置は柔道整復の施術としてはありえない処置なのです。
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/224.html
普通乗用自動車を運転していた被告が,過失により,原告運転にかかる普通乗用自動車に接触した交通事故において,原告に頸椎捻挫等の傷害が発生し,後遺障害が生じたとして,原告が,被告に対し,民法709条,710条に基づき,損害賠償を求めた事案(原告の請求一部認容) 判決 当事者 省 略 主文 1 被告は,原告に対し,金286万5402円及びこれに対する平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを4分し,その3を原告の,その1を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し1022万8434円及びこれに対する平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 第1項につき,仮執行宣言 第2 事案の概要 本件は,普通乗用自動車を運転していた被告が,過失により,原告運転にかかる普通乗用自動車に接触した交通事故において,原告に頸椎捻挫等の傷害が発生し,後遺障害が生じたとして,原告が,被告に対し,民法709条,710条に基づき,原告に生じた損害金1022万8434円及びこれに対する交通事故の日である平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めるという事案である。 1 前提となる事実(証拠を掲記した項目以外は,争いがない。なお,書証は枝番を含む。) (1)交通事故の発生 平成13年4月16日午後6時50分ころ,甲府市○○町○○番地先道路上において,被告運転にかかる普通乗用自動車(以下「被告運転車両」という。)が,対向進行中の原告運転にかかる普通乗用自動車(以下「原告運転車両」という。)に接触するという交通事故が発生した(以下「本件交通事故」という。甲1)。 (2)責任原因 本件交通事故の主な原因は,センターラインのない対面通行道路で,被告運転車両が原告進行側道路にふくらんで進行し,原告運転車両に接触したことにあり,被告には車両の運転について過失がある(甲1,4)。 (3)原告の傷害及び治療状況等 原告の治療経過の概要は以下のとおりである(甲4)。 原告は,本件交通事故当日,A病院を受診し,「頸椎捻挫,右肩~右上腕打撲」と診断された。 原告は,平成13年4月24日から,B病院整形外科を受診した。担当医となったC医師は,原告の症状を「頸椎捻挫,腰椎捻挫」と診断し,頸部,腰部,右肩から上腕痛に対し,薬物治療,リハビリテーションを実施したほか,同年9月ころからは,右肩から上腕痛に対して星状神経節ブロック,右肩周囲の痛みに対して肩甲状ブロックを実施するなどした。 原告の症状に改善がみられないことから,C医師は,同年10月29日,右肩前方関節唇損傷に外科手術を施し,術後も原告の頸部,上腕に対するレーザー治療,薬物療法やリハビリテーションが継続された。 その後,平成14年1月からは,原告は,D病院で治療を継続することとした。 (4)原告の後遺障害 原告の症状について,D病院のE医師は,「頸椎捻挫,腰椎捻挫,右腕神経叢損傷」と診断し,「右肩と右腕部の痛み 首と右肩の運動制限 右手の知覚低下あり 経過より症状固定と考えます」との診断をした(平成14年3月5日付け「診断書(証明書)」。甲3)。 また,C医師は,平成14年5月7日,原告の症状固定日は「平成14年5月7日」,傷病名は「頸椎捻挫,腰椎捻挫,右肩関節唇損傷」,自覚症状として,「①頸部~右上肢痛,②右上肢が動かない,③右上肢の感覚障害,④腰痛」があること,「各部位の後遺障害の内容」欄の「精神・神経の障害,他覚症状および検査結果」として「右肩以下上肢全体の知覚低下,異常知覚,右肩以下上肢筋力は1~2,右上肢反射は減弱している。」,同欄の人体図には,右上肢から右肩にかけて,「筋萎縮,知覚障害」があるとの診断をした(平成14年5月7日付け「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」。以下「平成14年5月7日付け後遺障害診断書」という。甲5)。 (5)原告の後遺障害等級認定の経緯 原告は,上記の診断に基づく傷害・後遺障害について,被告加入の損害保険会社であるF株式会社に対し損害賠償請求の手続をしたところ,同社は損害保険料率算出機構に対して後遺障害等級の事前認定を依頼し,原告の後遺障害は後遺障害別等級表・労働能力喪失率別表第2の後遺障害14級10号(平成16年政令第315号による改正前の自動車損害賠償保障法施行令による。以下同じ。)に当たるとの認定を受けた。同社は,これを受け,原告に対し,既払い金336万5472円に加えて,さらに,138万3758円を支払う旨の提示をした(甲6,150の1ないし6)。 原告は,上記認定に不服があるとして異議申立てをしたところ,損害保険料率算出機構は,平成16年5月6日,既認定どおり14級10号を適用するとの判断をした(甲156の2・3)。 2 争点 (1)本件交通事故によって原告に生じた傷害及び後遺障害 (2)原告の損害(逸失利益及び過失相殺) 3 当事者の主張 (1)原告に生じた傷害及び後遺障害について ア 原告の主張 C医師作成の平成14年5月7日付け後遺障害診断書によれば,原告の傷病名は頸椎捻挫,腰椎捻挫,右肩関節唇損傷で,自覚症状として右上肢が動かない,感覚障害などがみられるほか,他覚症状として右肩以下上肢全体の知覚低下,異常知覚などの記載があり,同部分には筋萎縮,知覚障害が生じているというものである。また,原告の現在の症状をみても,右肩関節は自らの意思では全く動かすことが不可能で,何か物をつかんだり,持ち上げたりすることは一切できないという状況にある。 上記原告の傷害は,本件交通事故で,右肩,右上腕に打撲を受けたことによって生じたものであり,因果関係がある。 なお,原告には,平成12年11月4日にバイクに乗車中,乗用車と衝突し,右肩前方関節唇損傷の既往症があり,右肩痛や右肩関節の外転運動制限があったことが認められるものの,本件交通事故以前の原告の右肩関節外転運動制限は本件交通事故後に悪化しているのであるから,原告の右上肢に生じた後遺障害は,本件交通事故に起因するものというべきである。 原告の右上肢は,自動がほとんど不可能で著しい可動域の制限が認められるのであるから,後遺障害等級としては,10級10号にいう「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当する。 イ 被告の主張 原告の後遺障害は,14級10号に該当するものである。 原告の頸部痛,頸部可動域制限は受傷後3か月程度で軽減しており,その経過は,一般的な頸椎捻挫の場合とほぼ一致しているほか,その後,後遺障害診断までの症状については,正確な評価を受けておらず,他覚的所見に乏しく,神経系統の障害がみられるにとどまる。 原告の右上肢痛,右上肢肩関節以下の知覚運動障害については,右手指のしびれ感,肩関節の軽度の拘縮を除き,経過に不自然な点が多く,これを裏付ける他覚的所見に乏しい。右肩関節拘縮についても,可動域の正確な測定値が経過を追って示されておらず,仮に後遺障害に該当するような可動域制限があっても本件交通事故以前から生じていた可能性が高い。 原告の腰痛についても,本件交通事故後の経過が明示されておらず,後遺障害に該当するほどの症状を呈している可能性は低い。 よって,原告の後遺障害は,頸部痛で「局部に神経症状を残すもの」との後遺障害等級14級10号に該当するか,あるいは非該当であり,手指のしびれ感で14級10号に該当するといえ,併合または単独で14級が該当する可能性が高い。 (2)原告の損害 ア 原告の主張 原告の被った損害は,以下のとおりであり,その金額合計は,1022万8434円である。 (ア)治療費 176万8412円 (イ)付添看護料 9万5000円 (19日×5000円) (ウ)入院雑費 3万0560円 (19日×1500円,サポーター費用2060円) (エ)交通費 2万3550円 (10キロメートル×157日分) (オ)休業損害 166万円 (カ)後遺症による逸失利益 533万9040円 上記のとおり,原告の後遺障害は10級10号に該当するため,労働能力喪失率は,20パーセントである。 原告は月に28万円の収入を得ていたことから,年収にして336万円の20パーセントに当たる67万2000円が失った利益である。 原告の就労可能年数31年のうち,日本に滞在して稼働できたのは10年間と認められるから,それに対応するホフマン係数7.945を掛けると,原告の逸失利益は,上記の金額となる。 (キ)後遺症による慰謝料 461万円 (ク)過失相殺 (ア)ないし(キ)を合計すると,損害額は1352万6562円となる。 原告の過失は,多くみても10パーセントであるから,上記を控除した金額は,1217万3906円となる。 (ケ)弁護士費用 142万円 (ク)の損害額から,既払い金336万5472円を控除した金額は,880万8434円である。これに対応する弁護士費用は,上記が相当であり,これを加えると,原告の損害額は1022万8434円となる。 イ 被告の主張 原告主張の損害は,治療費,交通費を除き,不知ないし争う。 本件交通事故にかかる物的損害の賠償においては,原告に20パーセントの過失があったとして合意がなされているから,本件においても原告に20パーセントの過失のあることを基に過失相殺すべきである。 また,原告が10年間日本に在留する資格があるとは認められない。 第3 当裁判所の判断 1 上記前提となる事実に証拠(甲4,60,157,各項目掲記のものとC医師の書面尋問及び原告本人。ただし,甲157及び原告本人については以下の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1)本件交通事故の状況 平成13年4月16日午後6時50分ころ,甲府市○○町○○番地先道路上において,本件交通事故が発生した。事故の態様は,センターラインのない道路において,被告運転車両が前方の原動機付自転車を避けるため,道路中央部分を超えて進行したため,対向進行していた原告運転車両と接触したというものである(甲1)。 (2)原告の傷害及び治療の経緯等 ア 治療の経緯 原告は,本件交通事故後,いったん帰宅したが,事故当日の午後11時50分ころ,A病院を受診し,頸椎捻挫,右肩,右腕打撲と診断された。この際,エックス線上特に骨折はないものの,首から右肩右腕にかけて痛みがあることから痛み止めを処方された(甲22)。 原告の希望により,平成13年4月24日からB病院において治療を受けることとなり,C医師が担当医となった。C医師は,原告には頸椎運動の高度の制限,僧帽筋の強い緊張感,右鎖骨上腕神経叢に強い圧痛,右肩自動挙上が90度に制限されており,胸腰椎移行部に圧痛があるなどの症状を認めたが,A病院で実施されたレントゲンに異常がなかったことから,頸椎捻挫,腰椎捻挫と考えて治療を開始し,原告の頸部,腰部,右肩,上腕部に対する薬物療法,リハビリテーションを行った。また,肩関節拘縮については関節可動域訓練も実施したが,原告の疼痛が強いため中止した(甲10,20,28,31)。 その後も,原告の右肩から上肢の痛みが継続したため,B病院麻酔科において,同年8月8日から星状神経節ブロック治療が,同年9月5日からは右肩周囲の肩甲状ブロック治療が追加して実施された。しかし,原告の症状が抜本的に改善することはなかったため,C医師は,右肩前方関節唇損傷の合併を疑い,痛みの除去と原因の検査を兼ねて,同年10月29日,関節鏡視下上方関節唇部分切除術を実施し,前方関節唇にみられたフラップ上の断裂を切除した(甲77ないし81)。 原告には,右頸部から肩,上腕部にかけての疼痛,右腕神経叢部の圧痛,右肩挙上制限などが残存したため,薬物療法,ブロック治療等が継続して行われた(甲61,甲75ないし甲149)。 平成14年1月,治療のためG病院への転院を予定するも実行されず(甲59,64),原告は,D病院にて受診を継続することとなった。 イ 診断経過 C医師作成の平成14年5月7日付け後遺障害診断書(甲5)によれば,原告の上肢の関節機能障害として,肩関節の左右の可動域について,挙上,伸展,外転の順に,左肩が他動で150度,50度,150度で,自動でも同じ値である一方,右肩は他動で90度,30度,90度であり,自動では,5度,0度,5度と著しく低い値となっている。 また,同年8月31日付け,損害保険会社に宛てたC医師の所見に関する書面(甲69)によれば,平成13年4月24日ころの初診時,原告の訴えの症状としては,「右肩~上腕痛,腰痛,頸痛」があり,頸椎の高度の運動制限,右僧帽筋の圧痛,右腕神経叢に圧痛があったが,右肩関節可動域の外転は自動で70度であった。約1か月後も原告の訴える症状自体は変わらなかったが,同年6月27日測定の右肩関節可動域の外転は自動で90度と回復傾向にあった。さらに,同年10月29日ころは,腰痛は消滅しており,同年7月18日測定の握力は,右が23キログラム,左が53キログラムであり,同年10月9日測定の右肩関節可動域の外転は自動で120度にまで回復している。 なお,同年10月29日の手術後にも続いていた原告の右肩,右上肢の痛みを伴う症状について,C医師は,心因が誘因となった本人の意図的なものであり,放置するしかない随意的脱臼(亜脱臼)であるとの可能性を示唆している(甲73)。また,原告の右上肢の症状は,固定装具の装着を常時要するものでもない。 (3)原告の平成12年11月4日の交通事故 原告は,本件事故以前の平成12年11月4日,バイクに乗車中に乗用車と接触事故を起こし,右肘,右肩に負傷をし(甲157),右肩腱板断裂により加療見込み6週間とみられる傷害を負い(甲16),その後,右肩前方関節唇損傷と診断された。 原告は,上記傷害でB病院においてC医師の診療を受け,右肩痛,挙上困難を回復させるための保存治療を受けた(甲19)ものの,平成13年2月14日を最後に通院していなかった(甲20,69)。 本件交通事故にかかるC医師作成の診断書等には,原告の既往症として,右肩関節唇損傷が指摘されている(甲31,41)ところ,これは,上記バイク事故に基づくものと認められる。 (4)原告の日本における生活状況及び就労状況 原告は,イラン・イスラム共和国国籍の外国人で,本件交通事故当時33歳であり,本国において地雷で負傷した足の治療を受けるため,平成2年ころ,3か月のビザで日本を訪れた者であるところ,既に在留期間は経過し,在留資格を取得することのないまま,現在に至るまで,法務省東京入国管理局主任審査官による仮放免許可を受けながら本邦に在留している(甲8,9,157ないし159)。 2 上記認定事実をもとに,以下各争点につき検討する。 (1)原告に生じた傷害及び後遺障害(争点(1)) ア 本件交通事故後,原告に頸椎捻挫,腰椎捻挫の傷害が認められることは明らかであるところ,これらによって現在原告に生じている後遺障害について,原告は,後遺障害等級としては10級10号に相当し,本件交通事故に起因すると主張し,被告は,等級としては14級10号に相当し,すべての症状について本件交通事故と因果関係を有するものとはいえない旨主張している。 イ これに関し,原告は,バイクの事故では,右肩,右手小指を自動車のガラスにぶつけ,継続して痛みがあったものの,バイクや車に乗ったり,仕事をすることはできた,本件交通事故では,被告運転車両が猛スピードで前からぶつかってきたが,その際,ハンドルを強く握っていた右腕,右肩に強いショックがあり,特に肩の痛みが強かった,バイクの事故と本件交通事故では衝撃のあった方向が違っている,本件交通事故後は手術をした後も痛みが続き,右腕は自分では持ち上げることができず,右手指も動かすことができない,右の頸部,肩部の痛みも続いており,腰部も痛い旨述べている。 この点,F株式会社の依頼による後遺障害14級10号との事前認定に対し,原告が行った異議申立てにおいて,損害保険料率算出機構は,右肩の症状について画像上外傷性の異常所見が認められないこと,本件交通事故後初診のA病院において,右頸部痛,腰痛のみとの所見があり,原告の首から右肩,右腕にかけての痛みは頸椎捻挫に伴う症状として捉えられるものと判断されると指摘し,さらに,右肩関節可動域の推移について,本件交通事故から約6か月後の所見として,外転(自動)が120度まで改善している所見があることからすれば,現在の右肩関節の可動域制限について,本件交通事故との因果関係を有し,かつ,将来にわたって回復が困難と見込まれる毀損状態で,その存在が医学的に認められたものとして評価することは困難 と判断するとしている。そして,頸椎捻挫後の頸部痛,右上肢痺れ等の症状については,画像上,経年性の変性所見が認められるものの外傷性の異常所見は認められず,神経学的所見においても異常所見に乏しく,客観的な医学的所見において裏付けられたものとは捉えがたいこと,12級12号にいう神経症状は,「神経系統の障害が他覚的に証明される場合」と解されており,原告については画像所見及び神経学的所見等において有意な所見に乏しいことから当該認定をすることも困難であるとし,結局,14級10号を上回る評価は困難である旨回答している(甲156)。 また,当審で実施した書面尋問においてC医師は,原告が本件交通事故で受診した際,原告にみられた傷害は,急激にひねったことにより生じたとみられる中程度の頸椎捻挫,腰椎捻挫であり,薬物療法,物理療法を実施したこと,右肩から上腕痛についても,頸椎捻挫から生じたものであると考え治療に当たったこと,原告には右腕神経叢部に圧痛がみられたほか,可動域制限があったことから,その改善と検査目的を兼ねて関節鏡視下上方関節唇部分切除術を実施したこと,原告の右肩関節唇損傷自体は,平成12年のバイク事故によって生じた既往症とみられるものであるが,本件交通事故によってこれが悪化した可能性があること,そして,原告には,右肩関節唇損傷の痛みから,肩を動かさないために肩関節可動域が制限されてくる関節拘 縮がみられること,原告に生じている「右肩,右上肢の運動制限,挙上制限」の原因は,右肩関節唇損傷と頸椎捻挫の両方によるものと考えられることなどを述べている。そして,画像上の異常所見がなくとも,頸部痛,上肢の痺れが生じる可能性はあり,本件交通事故後原告に生じている頸椎運動制限を後遺障害として評価するかどうかについては医師が意見を述べるべきものではないとしている。 ウ これらを総合考慮すると,本件交通事故によって原告に生じた傷害は,主には頸椎捻挫,腰椎捻挫と診断される傷害であったが,原告は,その当初から一貫して右肩,右上腕の痛みを訴えていたことからすれば,A病院で診断されたとおり,本件交通事故によって右肩から右上腕に打撲が生じていたと認めるのが相当である。そして,原告には平成12年のバイク事故に起因する右肩関節唇損傷があり,これ自体に基づく強い神経症状等があったとはみられないものの,本件交通事故後,右上肢や頸部の痛みや痺れを訴えている。そうすると,右頸部から右上肢にかけての症状は,バイク事故によって生じていた右肩関節唇損傷に,本件交通事故に起因する打撲が影響して悪化したものとみるのが相当といえ,原告の現在の症状は本件交通事故によっ て生じた傷害と認められる。 原告は,上記傷害の治療として薬物療法や物理療法,外科手術を受けるなどしたものの,現在に至るまで右上肢から頸部の痛みが軽減されず,右上肢の知覚低下,異常知覚,筋萎縮といった症状が生じているのであるから,これらの症状について,本件交通事故によって生じた後遺障害として後遺障害等級認定を行うことが必要と解する。 エ しかしながら,原告の上記症状には,エックス線撮影等の画像上異常はみられず,右肩関節の可動域も本件交通事故後いったんは回復傾向にあったことが認められるほか,神経系統上もみるべき他覚的所見に乏しい。また,本件交通事故の前後に原告の診療に当たっていたC医師においても,原告の右肩から右上肢の症状には心因的な誘因があったものとみていたことがうかがわれるほか,現に,右肩関節可動域の制限は,負傷していない左肩と比べると,自動ではかなり強度な制限がみられる反面,他動については約6割程度の可動域制限にとどまっている。 そして,右上肢の後遺障害について原告の主張を裏付けるに足りる的確な証拠は見当たらず,頸椎や腰部に後遺障害が生じているとも認められない。 オ 以上に照らせば,原告に現在生じている右頸部から右上肢にかけての痛みや痺れ,右肩関節可動域制限の後遺障害は,多分に心因的誘因に基づくもので,これを証明するに足りる他覚的所見が認められないものといわざるを得ず,「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」(12級6号)とも,「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級12号)ともいえない。結局,原告の現在の症状は,神経障害の存在は証明するまでには至らないが,症状の発生が医学的に説明できる場合に当たるといえ,後遺障害等級表上14級10号の「局部に神経症状を残すもの」に該当すると認めるのが相当である。症状固定時は,C医師の診断のとおり,平成14年5月7日とする。 (2) 原告の損害(争点(2)) 原告に生じたと認められる損害は以下のとおりであり,その合計額は244万3351円と認める。 ア(ア)治療費等 計182万2522円 a 治療費 176万8412円 争いがなく,本件交通事故と因果関係があると認められる。 b 付添看護料 原告の症状に照らし,付添看護が必要であったとは認められない。 c 入院雑費 3万0560円 19日×1500円,サポーター費用2060円 d 交通費 2万3550円 10キロメートル×157日分(争いがない。) (イ)休業損害 164万円 原告は,平成13年4月16日の受傷日から,治療のため,A病院,B病院,D病院に,少なくとも176日を入通院に要した(内19日は入院)ことが認められる(甲6)。 原告は本件事故当時レストランに勤務し,1か月に28万円の給与を得ていたところ,入通院を要した176日間に相当する休業損害は,164万円と認められる。 (ウ)後遺症による逸失利益 72万7339円 原告の後遺障害は14級10号に該当するため,労働能力喪失率は,5パーセントである。労働能力喪失期間は,原告の後遺障害の内容,部位,程度に照らし,5年間とする。 原告は日本において月28万円の収入を得ていたというのであり(甲157),年収にすれば336万円の収入があったと認められ,その5パーセントに当たる16万8000円が失った利益と認められる。 なお,原告は在留資格を有しておらず,不法残留の状態であるものの,足の治療のために仮放免許可が出されているという状況にある。原告は,日本に滞在して稼働できたのは10年間であるとするが,上記のとおり,労働能力喪失期間は5年である。そして,現在まで原告が日本に残留していることからすると,この5年の間は日本に滞在して稼働できたと認めるのが相当である。そうすると,5年間に対応するライプニッツ係数は4.3294であるから,これを基に,逸失利益を算定すると上記金額となる。 16万8000円×4.3294=72万7339円 (エ)入通院慰謝料 130万円 原告は,本件交通事故による負傷によって,症状固定時まで約13か月の通院と19日間の入院を要したため,入通院慰謝料としては130万円をもって相当と認める。 (オ)後遺症慰謝料 110万円 原告の後遺障害は,14級10号に当たるため,後遺症慰謝料としては,110万円を相当と認める。 イ 過失相殺 原告に生じた損害は,上記アの(ア)ないし(オ)の合計658万9861円と認められる。 本件交通事故は,被告がその過失により,被告運転車両を,対向進行してきた原告運転車両に接触したことで生じたものであるところ,センターラインの表示のない道路であったことなどを考慮すれば,原告の過失は10パーセントとみるべきである。 したがって,過失相殺後の金額は,593万0874円となる。 ウ 既払い金の控除 原告は,本件交通事故における損害賠償として既に336万5472円の支払いを受けているところ,これを控除した損害額は,256万5402円である。 エ 弁護士費用と総損害額 原告は,原告訴訟代人弁護士に本訴の提起・遂行を委任したところ,本件交通事故と相当因果関係の認められる弁護士費用は30万円が相当である。 したがって,原告の総損害額は286万5402円となる。 3 以上の次第で,原告の請求は,286万5402円及びこれに対する平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを請求する限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部 裁判長裁判官 新堀亮一 裁判官 倉地康弘 裁判官 青木美佳
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/225.html
普通乗用自動車を運転していた被告が,過失により,原告運転にかかる普通乗用自動車に接触した交通事故において,原告に頸椎捻挫等の傷害が発生し,後遺障害が生じたとして,原告が,被告に対し,民法709条,710条に基づき,損害賠償を求めた事案(原告の請求一部認容) 判決 当事者 省 略 主文 1 被告は,原告に対し,金286万5402円及びこれに対する平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用はこれを4分し,その3を原告の,その1を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し1022万8434円及びこれに対する平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 第1項につき,仮執行宣言 第2 事案の概要 本件は,普通乗用自動車を運転していた被告が,過失により,原告運転にかかる普通乗用自動車に接触した交通事故において,原告に頸椎捻挫等の傷害が発生し,後遺障害が生じたとして,原告が,被告に対し,民法709条,710条に基づき,原告に生じた損害金1022万8434円及びこれに対する交通事故の日である平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めるという事案である。 1 前提となる事実(証拠を掲記した項目以外は,争いがない。なお,書証は枝番を含む。) (1)交通事故の発生 平成13年4月16日午後6時50分ころ,甲府市○○町○○番地先道路上において,被告運転にかかる普通乗用自動車(以下「被告運転車両」という。)が,対向進行中の原告運転にかかる普通乗用自動車(以下「原告運転車両」という。)に接触するという交通事故が発生した(以下「本件交通事故」という。甲1)。 (2)責任原因 本件交通事故の主な原因は,センターラインのない対面通行道路で,被告運転車両が原告進行側道路にふくらんで進行し,原告運転車両に接触したことにあり,被告には車両の運転について過失がある(甲1,4)。 (3)原告の傷害及び治療状況等 原告の治療経過の概要は以下のとおりである(甲4)。 原告は,本件交通事故当日,A病院を受診し,「頸椎捻挫,右肩~右上腕打撲」と診断された。 原告は,平成13年4月24日から,B病院整形外科を受診した。担当医となったC医師は,原告の症状を「頸椎捻挫,腰椎捻挫」と診断し,頸部,腰部,右肩から上腕痛に対し,薬物治療,リハビリテーションを実施したほか,同年9月ころからは,右肩から上腕痛に対して星状神経節ブロック,右肩周囲の痛みに対して肩甲状ブロックを実施するなどした。 原告の症状に改善がみられないことから,C医師は,同年10月29日,右肩前方関節唇損傷に外科手術を施し,術後も原告の頸部,上腕に対するレーザー治療,薬物療法やリハビリテーションが継続された。 その後,平成14年1月からは,原告は,D病院で治療を継続することとした。 (4)原告の後遺障害 原告の症状について,D病院のE医師は,「頸椎捻挫,腰椎捻挫,右腕神経叢損傷」と診断し,「右肩と右腕部の痛み 首と右肩の運動制限 右手の知覚低下あり 経過より症状固定と考えます」との診断をした(平成14年3月5日付け「診断書(証明書)」。甲3)。 また,C医師は,平成14年5月7日,原告の症状固定日は「平成14年5月7日」,傷病名は「頸椎捻挫,腰椎捻挫,右肩関節唇損傷」,自覚症状として,「①頸部~右上肢痛,②右上肢が動かない,③右上肢の感覚障害,④腰痛」があること,「各部位の後遺障害の内容」欄の「精神・神経の障害,他覚症状および検査結果」として「右肩以下上肢全体の知覚低下,異常知覚,右肩以下上肢筋力は1~2,右上肢反射は減弱している。」,同欄の人体図には,右上肢から右肩にかけて,「筋萎縮,知覚障害」があるとの診断をした(平成14年5月7日付け「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」。以下「平成14年5月7日付け後遺障害診断書」という。甲5)。 (5)原告の後遺障害等級認定の経緯 原告は,上記の診断に基づく傷害・後遺障害について,被告加入の損害保険会社であるF株式会社に対し損害賠償請求の手続をしたところ,同社は損害保険料率算出機構に対して後遺障害等級の事前認定を依頼し,原告の後遺障害は後遺障害別等級表・労働能力喪失率別表第2の後遺障害14級10号(平成16年政令第315号による改正前の自動車損害賠償保障法施行令による。以下同じ。)に当たるとの認定を受けた。同社は,これを受け,原告に対し,既払い金336万5472円に加えて,さらに,138万3758円を支払う旨の提示をした(甲6,150の1ないし6)。 原告は,上記認定に不服があるとして異議申立てをしたところ,損害保険料率算出機構は,平成16年5月6日,既認定どおり14級10号を適用するとの判断をした(甲156の2・3)。 2 争点 (1)本件交通事故によって原告に生じた傷害及び後遺障害 (2)原告の損害(逸失利益及び過失相殺) 3 当事者の主張 (1)原告に生じた傷害及び後遺障害について ア 原告の主張 C医師作成の平成14年5月7日付け後遺障害診断書によれば,原告の傷病名は頸椎捻挫,腰椎捻挫,右肩関節唇損傷で,自覚症状として右上肢が動かない,感覚障害などがみられるほか,他覚症状として右肩以下上肢全体の知覚低下,異常知覚などの記載があり,同部分には筋萎縮,知覚障害が生じているというものである。また,原告の現在の症状をみても,右肩関節は自らの意思では全く動かすことが不可能で,何か物をつかんだり,持ち上げたりすることは一切できないという状況にある。 上記原告の傷害は,本件交通事故で,右肩,右上腕に打撲を受けたことによって生じたものであり,因果関係がある。 なお,原告には,平成12年11月4日にバイクに乗車中,乗用車と衝突し,右肩前方関節唇損傷の既往症があり,右肩痛や右肩関節の外転運動制限があったことが認められるものの,本件交通事故以前の原告の右肩関節外転運動制限は本件交通事故後に悪化しているのであるから,原告の右上肢に生じた後遺障害は,本件交通事故に起因するものというべきである。 原告の右上肢は,自動がほとんど不可能で著しい可動域の制限が認められるのであるから,後遺障害等級としては,10級10号にいう「1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当する。 イ 被告の主張 原告の後遺障害は,14級10号に該当するものである。 原告の頸部痛,頸部可動域制限は受傷後3か月程度で軽減しており,その経過は,一般的な頸椎捻挫の場合とほぼ一致しているほか,その後,後遺障害診断までの症状については,正確な評価を受けておらず,他覚的所見に乏しく,神経系統の障害がみられるにとどまる。 原告の右上肢痛,右上肢肩関節以下の知覚運動障害については,右手指のしびれ感,肩関節の軽度の拘縮を除き,経過に不自然な点が多く,これを裏付ける他覚的所見に乏しい。右肩関節拘縮についても,可動域の正確な測定値が経過を追って示されておらず,仮に後遺障害に該当するような可動域制限があっても本件交通事故以前から生じていた可能性が高い。 原告の腰痛についても,本件交通事故後の経過が明示されておらず,後遺障害に該当するほどの症状を呈している可能性は低い。 よって,原告の後遺障害は,頸部痛で「局部に神経症状を残すもの」との後遺障害等級14級10号に該当するか,あるいは非該当であり,手指のしびれ感で14級10号に該当するといえ,併合または単独で14級が該当する可能性が高い。 (2)原告の損害 ア 原告の主張 原告の被った損害は,以下のとおりであり,その金額合計は,1022万8434円である。 (ア)治療費 176万8412円 (イ)付添看護料 9万5000円 (19日×5000円) (ウ)入院雑費 3万0560円 (19日×1500円,サポーター費用2060円) (エ)交通費 2万3550円 (10キロメートル×157日分) (オ)休業損害 166万円 (カ)後遺症による逸失利益 533万9040円 上記のとおり,原告の後遺障害は10級10号に該当するため,労働能力喪失率は,20パーセントである。 原告は月に28万円の収入を得ていたことから,年収にして336万円の20パーセントに当たる67万2000円が失った利益である。 原告の就労可能年数31年のうち,日本に滞在して稼働できたのは10年間と認められるから,それに対応するホフマン係数7.945を掛けると,原告の逸失利益は,上記の金額となる。 (キ)後遺症による慰謝料 461万円 (ク)過失相殺 (ア)ないし(キ)を合計すると,損害額は1352万6562円となる。 原告の過失は,多くみても10パーセントであるから,上記を控除した金額は,1217万3906円となる。 (ケ)弁護士費用 142万円 (ク)の損害額から,既払い金336万5472円を控除した金額は,880万8434円である。これに対応する弁護士費用は,上記が相当であり,これを加えると,原告の損害額は1022万8434円となる。 イ 被告の主張 原告主張の損害は,治療費,交通費を除き,不知ないし争う。 本件交通事故にかかる物的損害の賠償においては,原告に20パーセントの過失があったとして合意がなされているから,本件においても原告に20パーセントの過失のあることを基に過失相殺すべきである。 また,原告が10年間日本に在留する資格があるとは認められない。 第3 当裁判所の判断 1 上記前提となる事実に証拠(甲4,60,157,各項目掲記のものとC医師の書面尋問及び原告本人。ただし,甲157及び原告本人については以下の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1)本件交通事故の状況 平成13年4月16日午後6時50分ころ,甲府市○○町○○番地先道路上において,本件交通事故が発生した。事故の態様は,センターラインのない道路において,被告運転車両が前方の原動機付自転車を避けるため,道路中央部分を超えて進行したため,対向進行していた原告運転車両と接触したというものである(甲1)。 (2)原告の傷害及び治療の経緯等 ア 治療の経緯 原告は,本件交通事故後,いったん帰宅したが,事故当日の午後11時50分ころ,A病院を受診し,頸椎捻挫,右肩,右腕打撲と診断された。この際,エックス線上特に骨折はないものの,首から右肩右腕にかけて痛みがあることから痛み止めを処方された(甲22)。 原告の希望により,平成13年4月24日からB病院において治療を受けることとなり,C医師が担当医となった。C医師は,原告には頸椎運動の高度の制限,僧帽筋の強い緊張感,右鎖骨上腕神経叢に強い圧痛,右肩自動挙上が90度に制限されており,胸腰椎移行部に圧痛があるなどの症状を認めたが,A病院で実施されたレントゲンに異常がなかったことから,頸椎捻挫,腰椎捻挫と考えて治療を開始し,原告の頸部,腰部,右肩,上腕部に対する薬物療法,リハビリテーションを行った。また,肩関節拘縮については関節可動域訓練も実施したが,原告の疼痛が強いため中止した(甲10,20,28,31)。 その後も,原告の右肩から上肢の痛みが継続したため,B病院麻酔科において,同年8月8日から星状神経節ブロック治療が,同年9月5日からは右肩周囲の肩甲状ブロック治療が追加して実施された。しかし,原告の症状が抜本的に改善することはなかったため,C医師は,右肩前方関節唇損傷の合併を疑い,痛みの除去と原因の検査を兼ねて,同年10月29日,関節鏡視下上方関節唇部分切除術を実施し,前方関節唇にみられたフラップ上の断裂を切除した(甲77ないし81)。 原告には,右頸部から肩,上腕部にかけての疼痛,右腕神経叢部の圧痛,右肩挙上制限などが残存したため,薬物療法,ブロック治療等が継続して行われた(甲61,甲75ないし甲149)。 平成14年1月,治療のためG病院への転院を予定するも実行されず(甲59,64),原告は,D病院にて受診を継続することとなった。 イ 診断経過 C医師作成の平成14年5月7日付け後遺障害診断書(甲5)によれば,原告の上肢の関節機能障害として,肩関節の左右の可動域について,挙上,伸展,外転の順に,左肩が他動で150度,50度,150度で,自動でも同じ値である一方,右肩は他動で90度,30度,90度であり,自動では,5度,0度,5度と著しく低い値となっている。 また,同年8月31日付け,損害保険会社に宛てたC医師の所見に関する書面(甲69)によれば,平成13年4月24日ころの初診時,原告の訴えの症状としては,「右肩~上腕痛,腰痛,頸痛」があり,頸椎の高度の運動制限,右僧帽筋の圧痛,右腕神経叢に圧痛があったが,右肩関節可動域の外転は自動で70度であった。約1か月後も原告の訴える症状自体は変わらなかったが,同年6月27日測定の右肩関節可動域の外転は自動で90度と回復傾向にあった。さらに,同年10月29日ころは,腰痛は消滅しており,同年7月18日測定の握力は,右が23キログラム,左が53キログラムであり,同年10月9日測定の右肩関節可動域の外転は自動で120度にまで回復している。 なお,同年10月29日の手術後にも続いていた原告の右肩,右上肢の痛みを伴う症状について,C医師は,心因が誘因となった本人の意図的なものであり,放置するしかない随意的脱臼(亜脱臼)であるとの可能性を示唆している(甲73)。また,原告の右上肢の症状は,固定装具の装着を常時要するものでもない。 (3)原告の平成12年11月4日の交通事故 原告は,本件事故以前の平成12年11月4日,バイクに乗車中に乗用車と接触事故を起こし,右肘,右肩に負傷をし(甲157),右肩腱板断裂により加療見込み6週間とみられる傷害を負い(甲16),その後,右肩前方関節唇損傷と診断された。 原告は,上記傷害でB病院においてC医師の診療を受け,右肩痛,挙上困難を回復させるための保存治療を受けた(甲19)ものの,平成13年2月14日を最後に通院していなかった(甲20,69)。 本件交通事故にかかるC医師作成の診断書等には,原告の既往症として,右肩関節唇損傷が指摘されている(甲31,41)ところ,これは,上記バイク事故に基づくものと認められる。 (4)原告の日本における生活状況及び就労状況 原告は,イラン・イスラム共和国国籍の外国人で,本件交通事故当時33歳であり,本国において地雷で負傷した足の治療を受けるため,平成2年ころ,3か月のビザで日本を訪れた者であるところ,既に在留期間は経過し,在留資格を取得することのないまま,現在に至るまで,法務省東京入国管理局主任審査官による仮放免許可を受けながら本邦に在留している(甲8,9,157ないし159)。 2 上記認定事実をもとに,以下各争点につき検討する。 (1)原告に生じた傷害及び後遺障害(争点(1)) ア 本件交通事故後,原告に頸椎捻挫,腰椎捻挫の傷害が認められることは明らかであるところ,これらによって現在原告に生じている後遺障害について,原告は,後遺障害等級としては10級10号に相当し,本件交通事故に起因すると主張し,被告は,等級としては14級10号に相当し,すべての症状について本件交通事故と因果関係を有するものとはいえない旨主張している。 イ これに関し,原告は,バイクの事故では,右肩,右手小指を自動車のガラスにぶつけ,継続して痛みがあったものの,バイクや車に乗ったり,仕事をすることはできた,本件交通事故では,被告運転車両が猛スピードで前からぶつかってきたが,その際,ハンドルを強く握っていた右腕,右肩に強いショックがあり,特に肩の痛みが強かった,バイクの事故と本件交通事故では衝撃のあった方向が違っている,本件交通事故後は手術をした後も痛みが続き,右腕は自分では持ち上げることができず,右手指も動かすことができない,右の頸部,肩部の痛みも続いており,腰部も痛い旨述べている。 この点,F株式会社の依頼による後遺障害14級10号との事前認定に対し,原告が行った異議申立てにおいて,損害保険料率算出機構は,右肩の症状について画像上外傷性の異常所見が認められないこと,本件交通事故後初診のA病院において,右頸部痛,腰痛のみとの所見があり,原告の首から右肩,右腕にかけての痛みは頸椎捻挫に伴う症状として捉えられるものと判断されると指摘し,さらに,右肩関節可動域の推移について,本件交通事故から約6か月後の所見として,外転(自動)が120度まで改善している所見があることからすれば,現在の右肩関節の可動域制限について,本件交通事故との因果関係を有し,かつ,将来にわたって回復が困難と見込まれる毀損状態で,その存在が医学的に認められたものとして評価することは困難 と判断するとしている。そして,頸椎捻挫後の頸部痛,右上肢痺れ等の症状については,画像上,経年性の変性所見が認められるものの外傷性の異常所見は認められず,神経学的所見においても異常所見に乏しく,客観的な医学的所見において裏付けられたものとは捉えがたいこと,12級12号にいう神経症状は,「神経系統の障害が他覚的に証明される場合」と解されており,原告については画像所見及び神経学的所見等において有意な所見に乏しいことから当該認定をすることも困難であるとし,結局,14級10号を上回る評価は困難である旨回答している(甲156)。 また,当審で実施した書面尋問においてC医師は,原告が本件交通事故で受診した際,原告にみられた傷害は,急激にひねったことにより生じたとみられる中程度の頸椎捻挫,腰椎捻挫であり,薬物療法,物理療法を実施したこと,右肩から上腕痛についても,頸椎捻挫から生じたものであると考え治療に当たったこと,原告には右腕神経叢部に圧痛がみられたほか,可動域制限があったことから,その改善と検査目的を兼ねて関節鏡視下上方関節唇部分切除術を実施したこと,原告の右肩関節唇損傷自体は,平成12年のバイク事故によって生じた既往症とみられるものであるが,本件交通事故によってこれが悪化した可能性があること,そして,原告には,右肩関節唇損傷の痛みから,肩を動かさないために肩関節可動域が制限されてくる関節拘 縮がみられること,原告に生じている「右肩,右上肢の運動制限,挙上制限」の原因は,右肩関節唇損傷と頸椎捻挫の両方によるものと考えられることなどを述べている。そして,画像上の異常所見がなくとも,頸部痛,上肢の痺れが生じる可能性はあり,本件交通事故後原告に生じている頸椎運動制限を後遺障害として評価するかどうかについては医師が意見を述べるべきものではないとしている。 ウ これらを総合考慮すると,本件交通事故によって原告に生じた傷害は,主には頸椎捻挫,腰椎捻挫と診断される傷害であったが,原告は,その当初から一貫して右肩,右上腕の痛みを訴えていたことからすれば,A病院で診断されたとおり,本件交通事故によって右肩から右上腕に打撲が生じていたと認めるのが相当である。そして,原告には平成12年のバイク事故に起因する右肩関節唇損傷があり,これ自体に基づく強い神経症状等があったとはみられないものの,本件交通事故後,右上肢や頸部の痛みや痺れを訴えている。そうすると,右頸部から右上肢にかけての症状は,バイク事故によって生じていた右肩関節唇損傷に,本件交通事故に起因する打撲が影響して悪化したものとみるのが相当といえ,原告の現在の症状は本件交通事故によっ て生じた傷害と認められる。 原告は,上記傷害の治療として薬物療法や物理療法,外科手術を受けるなどしたものの,現在に至るまで右上肢から頸部の痛みが軽減されず,右上肢の知覚低下,異常知覚,筋萎縮といった症状が生じているのであるから,これらの症状について,本件交通事故によって生じた後遺障害として後遺障害等級認定を行うことが必要と解する。 エ しかしながら,原告の上記症状には,エックス線撮影等の画像上異常はみられず,右肩関節の可動域も本件交通事故後いったんは回復傾向にあったことが認められるほか,神経系統上もみるべき他覚的所見に乏しい。また,本件交通事故の前後に原告の診療に当たっていたC医師においても,原告の右肩から右上肢の症状には心因的な誘因があったものとみていたことがうかがわれるほか,現に,右肩関節可動域の制限は,負傷していない左肩と比べると,自動ではかなり強度な制限がみられる反面,他動については約6割程度の可動域制限にとどまっている。 そして,右上肢の後遺障害について原告の主張を裏付けるに足りる的確な証拠は見当たらず,頸椎や腰部に後遺障害が生じているとも認められない。 オ 以上に照らせば,原告に現在生じている右頸部から右上肢にかけての痛みや痺れ,右肩関節可動域制限の後遺障害は,多分に心因的誘因に基づくもので,これを証明するに足りる他覚的所見が認められないものといわざるを得ず,「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」(12級6号)とも,「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級12号)ともいえない。結局,原告の現在の症状は,神経障害の存在は証明するまでには至らないが,症状の発生が医学的に説明できる場合に当たるといえ,後遺障害等級表上14級10号の「局部に神経症状を残すもの」に該当すると認めるのが相当である。症状固定時は,C医師の診断のとおり,平成14年5月7日とする。 (2) 原告の損害(争点(2)) 原告に生じたと認められる損害は以下のとおりであり,その合計額は244万3351円と認める。 ア(ア)治療費等 計182万2522円 a 治療費 176万8412円 争いがなく,本件交通事故と因果関係があると認められる。 b 付添看護料 原告の症状に照らし,付添看護が必要であったとは認められない。 c 入院雑費 3万0560円 19日×1500円,サポーター費用2060円 d 交通費 2万3550円 10キロメートル×157日分(争いがない。) (イ)休業損害 164万円 原告は,平成13年4月16日の受傷日から,治療のため,A病院,B病院,D病院に,少なくとも176日を入通院に要した(内19日は入院)ことが認められる(甲6)。 原告は本件事故当時レストランに勤務し,1か月に28万円の給与を得ていたところ,入通院を要した176日間に相当する休業損害は,164万円と認められる。 (ウ)後遺症による逸失利益 72万7339円 原告の後遺障害は14級10号に該当するため,労働能力喪失率は,5パーセントである。労働能力喪失期間は,原告の後遺障害の内容,部位,程度に照らし,5年間とする。 原告は日本において月28万円の収入を得ていたというのであり(甲157),年収にすれば336万円の収入があったと認められ,その5パーセントに当たる16万8000円が失った利益と認められる。 なお,原告は在留資格を有しておらず,不法残留の状態であるものの,足の治療のために仮放免許可が出されているという状況にある。原告は,日本に滞在して稼働できたのは10年間であるとするが,上記のとおり,労働能力喪失期間は5年である。そして,現在まで原告が日本に残留していることからすると,この5年の間は日本に滞在して稼働できたと認めるのが相当である。そうすると,5年間に対応するライプニッツ係数は4.3294であるから,これを基に,逸失利益を算定すると上記金額となる。 16万8000円×4.3294=72万7339円 (エ)入通院慰謝料 130万円 原告は,本件交通事故による負傷によって,症状固定時まで約13か月の通院と19日間の入院を要したため,入通院慰謝料としては130万円をもって相当と認める。 (オ)後遺症慰謝料 110万円 原告の後遺障害は,14級10号に当たるため,後遺症慰謝料としては,110万円を相当と認める。 イ 過失相殺 原告に生じた損害は,上記アの(ア)ないし(オ)の合計658万9861円と認められる。 本件交通事故は,被告がその過失により,被告運転車両を,対向進行してきた原告運転車両に接触したことで生じたものであるところ,センターラインの表示のない道路であったことなどを考慮すれば,原告の過失は10パーセントとみるべきである。 したがって,過失相殺後の金額は,593万0874円となる。 ウ 既払い金の控除 原告は,本件交通事故における損害賠償として既に336万5472円の支払いを受けているところ,これを控除した損害額は,256万5402円である。 エ 弁護士費用と総損害額 原告は,原告訴訟代人弁護士に本訴の提起・遂行を委任したところ,本件交通事故と相当因果関係の認められる弁護士費用は30万円が相当である。 したがって,原告の総損害額は286万5402円となる。 3 以上の次第で,原告の請求は,286万5402円及びこれに対する平成13年4月16日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを請求する限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部 裁判長裁判官 新堀亮一 裁判官 倉地康弘 裁判官 青木美佳
https://w.atwiki.jp/holyland4/pages/472.html
『“The Transfer” No.5』 「ねぇ、ちょっと。大丈夫?」 その声が自分に向けられたものだと気付くまでに、クェル・クスは些かの時間を要した。 異国の言葉──────日本語だったからという訳ではない。自分が話すのはまだまだ辿々しいものの、聞き取る分には早口だったり難解な言葉遣いでなければなんとかついていける。 クェルは『世界格闘大会』で日本を訪れる前からこの国に興味を持っていた。 それは、数年前の話──────。 彼女は村長である父の使いで時折、町まで買い物に出掛ける事があった。村の生活は基本的には自給自足で賄われていたが、それでもどうしても手に入りづらいものがある。薬はその代表的なものだ。 家畜から摂れた乳製品や毛皮の加工品。素朴ではあったが品質に定評のあるそれらは町に持っていけば良い値がつく。村一番の俊足であり、棍の腕前も一番だった彼女なら野盗から身を守る事も容易だったし、大人たちでさえしばしば行う役得行為──────代価の私的利用など考えもしない真面目な性格はまさに使いにうってつけだった。 そして町に出ればそれだけ、村では得られない経験に遭遇する機会を得る。 近くに文化的な遺跡が皆無な事もありいわゆる観光客の数は少なかったが、それでも時には物好きな旅人(バックパッカー、とかいうやつらしい、という事をクェルは後で知った)が町の市場や通りを歩いているのを目にした事もある。 異国からの旅人。クェルにとって世界とは、村と町と、それと草原くらいだった。 彼らはその外からやってきて、またその外へと去ってゆく。 年頃の少女らしい好奇心はクェルにも当然あったが、しかしあまりにもそれは遠すぎて想像すら出来なかった。 ある日、その男と出会うまでは。 出会った、というには一方的過ぎたかもしれない。何しろ、その男はクェルの村と町を結ぶ道の途中で行き倒れていたのだから。 ちょうど村への帰り道であり、行きに持ち運んでいた嵩張る荷物も今はない。大人の男性一人を運ぶ程度、クェルにとっては苦役にもならず、何より放っておく事は出来なかった。 幸いにして男は厄介な急病や野盗に襲われて重傷を負っていた訳ではなく、ただの空腹ゆえの衰弱だった。クェルが自分の家に運んで乳粥を食べさせると、数日の安静で男はすっかり元気を取り戻した。 回復した後も男は暫くの間、村に居着いた。クェルにとっては生まれ育った村は何の変哲もない場所だったが、男にとってはそうではなかったらしい。物珍しそうな様子で羊の毛に触れようとしては逆に追い回されたり、馬を撫でようとしては蹴られそうになったり、牛に近付こうとしては糞を飛ばされたりしていた。 男は家畜の世話役としては大して役に立たなかったが、異邦人としては驚くほどの親しみやすさですぐに村へと溶け込んだ。外部の者に対して敵対的とは言わないまでも閉鎖的だった村人とうまくやれたのは、男の人見知りしない性格と話し好きが功を奏したのだろう。 クェルも家畜の世話や水汲みの合間、食事の際には男から色々と話を聞いたものだった。色んな国を旅しているというその男の話はどれもこれもクェルにとっては新鮮で、聞く事全てが驚きの連続だった。 中でも、男の出身地である日本という国の話は面白く、歴史の話から現代の話まで全てが興味深かった。勉強というものにあまり縁がなかったクェルだが、男に教えてもらって日本語も少し覚えた。 暫くの滞在の後、いよいよ男は旅立つ事になった。その頃には頑固で強面のクェルの父親ですら、生涯の親友と別れる辛さに悲痛な面持ちで残念がっていた。目の縁が少し赤くなっていたのは、昨夜の別れの宴で普段以上に馬乳酒を飲み過ぎた所為だけでは無いはずだ。 クェルにも当然寂しい気持ちはあった。だが、出会いは別れの始まりで、別れは出会いの始まり。旅人である男を村に留めるなど、誰にも出来はしなかった。恐らく、男自身でさえ。 ──────クェルは僕の命の恩人だし、お礼を幾ら言っても言い足りない。だけど僕はあまり物は持たない主義だし、あげられるような物もないんだ。 別れ際に、男は申し訳なさそうに語った。 クェルは大きく首を振る。 男からは色々もらった。平和だが少し退屈だった日常を束の間破ってくれた出来事を。世界の広さを教えてもらったし、まだ見ぬ世界への憧れももらった。 ぽん、とクェルの頭の上に優しく手が載せられた。 武骨で硬い父の拳骨とは違う。水仕事で荒れた母のものでもない。少し頼りなく、しかし穏やかな男の手だった。 ──────クェルは本当に良い子だね。そうだ、一つだけあげられるものがあったよ。 男はふと思いつくと、少しだけ悪戯っぽい少年のような笑みを浮かべて。 ──────僕は若く見られるんだけど、これでも息子が居てね。ちょうどクェルと同じくらいかな? クェルがもう少し大きくなったら、その子をお婿さんにあげよう。 それはいい、それなら俺たちは家族になるわけだ! と、クェルの父は破顔大笑し、男の肩をどやした。当のクェルはきょとんとするばかりで、その時はまだ良く意味は分かっていなかったのだが。 それから数年の間、クェルは村の仕事をこなす傍ら今まで以上に棍の腕前を磨き、いつか訪れるその時を心待ちにしていた。大人として認められる年になり、町よりも遠くへ行ける日を。 そして運命は、クェルの前に招待状をもたらした。『世界格闘大会』への出場切符を。 「……ねぇ、聞こえる?」 再び聞こえた声が、クェルを現実に引き戻した。 目の前では、勝ち気そうな顔を少しだけ心配そうにさせた少女がしゃがみ込んでクェルと視線を合わせていた。 知らない相手ではなかった。その少女は──────”女王蜂”。乱入行為を行い、大会参加者に対して落花狼藉を働いた、言わばクェルたちにとっては敵である存在だった。実際、クェル自身は彼女と闘いこそしなかったがその討伐に名乗りを上げた選手たちと行動を共にした事実もある。それは”女王蜂”も知らないはずはなかったが──────。 混乱していたクェルの頭に少しずつ記憶が戻ってくる。 そう、自分は戦いに敗れて手傷を負い、そして──────。 砂浜から起き上がろうとしたクェルを、別の少女が押し留めた。 「まだ動かない方が良いわ。簡単な手当は済んでるようだけど、無理は禁物」 声の主は眼鏡を掛けた道着姿の少女。確か彼女も大会を掻き乱していた存在──────”秩序の守り手”。 他ならぬ自分の身体である。彼女の言う通り、もう少し休んでいた方が良さそうだというのはクェルにも分かった。ただ、その理由は闘いの後遺症だけではなくて。 「外国の子みたいだけど、言葉、分かるわよね? ちょっと聞きたいの」 ”女王蜂”の訊ね事。それは、尋ね人だった。こくり、と頷いたクェルに畳み掛けるように問い掛ける。 「この辺で見なかった? えーっと、見た目は女の子みたいなんだけど、バカでスケベで浮気者で、それから人の話を聞いてなくて、いっつも心配ばかり掛けさせる手の焼ける奴で……」 なんだか悪口ばかりだ。機関銃のように続く言葉にクェルが呆気にとられていると、”秩序の守り手”が口を挟んだ。 「それじゃわからないでしょ、もう…………概ね同意だけど。ええっと、クェルさん、だったわね。私たちが探しているのは貴女に分かりやすく言えば、”賞品の少年”なの。この辺りで見なかった?」 見なかったも何も、ついさっきまで──────この少女二人組が来る直前まで、その少年はこの場に居てクェルと話していたのだ。しかも、親切に怪我の手当てまでしてくれて。 その事を説明しようと、クェルは片言の日本語を口にした。 「その子だったらさっきまでここにいて、(脱臼してた関節を)ハメてくれた。クェルは初めて(の脱臼治療)でそのときは痛かったけど、終わったら『よく我慢したね』って撫でてくれたよ」 脱臼という日本語を知らないクェルは自分の言葉だけでは分かりづらいと思い、怪我で外れていた股関節の辺りを擦るボディランゲージも付け加える。 うん、これなら大丈夫。きっと伝わったに違いない。 勿論、全然大丈夫ではなかった。 「「ハメ……!?」」 みるみるうちに眼前の二人の少女の顔色が変わってゆく。怒りを表す表情へと。辺りに漂う空気さえ異質で不穏当なものへと変質し、浜辺に顔を出していた砂蟹が慌てて巣穴へと引っ込んだ。 「あれ、どうかした?」 幸いにして、その怒りの矛先は彼女に対してではない。寧ろ、二人がクェルに向ける眼差しは同情的なものだった。 「アイツ……こんな時なのに性懲りもなくっ……!!」 「やっぱりさっさと病院を抜け出してきて正解だったようね……」 二人はお互いに頷き合うと、意を決したように敢然と立ち上がる。 「ごめんなさい、私たちちょっと急ぐからこれで」 挨拶もそこそこに、慌ただしく去ってゆく二人。その様子をきょとんとしながら見送ったクェルだったが──────。 色恋に疎いクェルにも、本能的に彼女たちが少年と浅からぬ関係にある事を感じ取っていた。大会参加当初ではそうは行かなかっただろうが、恋を知った今の自分になら分かる。 少年の周囲に見える複数の女性の影。それはクェルの氏族の先祖であり、世界最大級の帝国を築いた草原の覇者──────好色な英雄を彼女に思い出させ、ある種の運命を感じさせた。 なお、余談ではあるがこの後、巨大蟹と巨大海老と巨大海亀が砂浜に上陸して一大バトルを繰り広げたのは此処で発せられた強烈な殺気に当てられたゆえのものである、という事実は余人の知らぬ事である──────────。 <了>
https://w.atwiki.jp/2005shock/pages/61.html
カルチャーショックによるヌード写真集が発売されるとの噂が浮上している。写真集「最後の天使 」でカモン☆リヴを撮影した写真家の四野山鬼神 が打診したとのことで真実味が増し、ファンの間では波紋が広がっている。噂の内容では、男性三人が共演する「3面」 と女性一人の「1う~面」 の二冊が同時発売され、両方とも購入された方には購入特典としてもう一冊メンバー全員のミニ写真集がプレゼントされるらしい。なんとも具体的過ぎる噂のためデタラメではないかとの声も挙がっている。 ロックバンド・カルチャーショックのメンバーのチャックは果たして開かれるのだろうか? (記者:脱臼川脱臼)
https://w.atwiki.jp/kingofprowresling/pages/72.html
■プロフィール 所属団体 フリー 階級 ヘビー級 タイトル歴 UFC-Jトーナメント優勝 選手紹介 UWFインターナショナルに入門し1993年にプロレスラーとしてデビュー。東京ドームで行われた新日本プロレスとの全面対抗戦にも出場するが、永田・石澤組の前に敗れ去る。UWF崩壊後はキングダムに移籍し、金原弘光の代役として出場したUFC-Jトーナメントで見事優勝。「プロレスラーは本当は強いんです」という名言と共に一躍その名を格闘技界に知らしめた。1998年に戦いの場をPRIDEへ移すと、ここで才能が大きく開花。不敗神話を誇っていたグレイシー一族の一人であるホイラー・グレイシーを打ち破り、ホイス・グレイシーとは90分に及ぶ熱戦を展開してTKO勝ちを収める。その後もヘンゾ・グレイシー、ハイアン・グレイシーとグレイシー一族を立て続けに撃破。「グレイシーハンター」として一世を風靡する。しかし新たなライバルとなったヴァンダレイ・シウバの前に三連敗するなど斜陽の時代に突入。その後はHERO'S、DREAMに参戦し秋山成勲、船木誠勝、田村潔司などと対戦し注目を集めるも、衰えは隠せず徐々に表舞台からフェードアウトしていく。2012年のG1クライマックス最終戦に柴田勝頼と共に登場し、新日本参戦を突如表明。2013年1月の東京ドーム大会では中邑のインターコンチネンタル王座にも挑戦するが惜敗する。永田との対戦中に右肘を脱臼し長期欠場を強いられたが、その永田とのシングルで復帰。戦いを通じて意気投合した永田とタッグを結成し、2014年1月のドーム大会でグレイシー一族を迎え撃つ。 ■レスラーカード&ブーストカード一覧(カードNo.をクリックすると解説ページにジャンプします) カードNo. レアリティ コスト グレード パワー スピード テクニック スタミナ ガッツ 連携 ボルテージ 合計値 BT03-004 RRR 4 5 10 11 12 10 10 2 2 53 IQレスラーこのカードのレスラースキルはランダムで選ばれたこのチームの他のレスラーのブーストスキルとなり、選ばれたブーストスキルの"使用者が「レスラー名」なら"の条件を必ず満たす BT03-014 RR 3 2 6 7 8 6 6 2 2 33 レスラースキルなし BT03-042 C 4 4 7 7 8 6 5 3 2 33 よろしくお願いします。この試合の対戦相手に所属団体《新日本プロレス》がいるなら高確率でガッツ+★★ BT06-002 RRR 4 1 5 7 7 4 6 4 2 29 ボコボコにしてやります!高確率でガッツ★★~★★★★この値はこのチームの〔打撃〕か〔関節〕を持つレスラーの人数に応じて上昇 BT06-009 RR 1 4 7 9 9 6 8 4 2 39 タッグマッチしかないでしょう!タッグマッチなら、一定確率でテクニック+★★★タッグパートナーに「柴田勝頼」がいるなら、このスキルの発動率は上昇する PR-014 PR 3 5 8 9 10 8 8 2 2 43 もうちょっと強い人と闘いたいですこの試合の対戦相手にパワー9以上のレスラーがいるなら、一定確率でテクニック+★★ カードNo. ブーストカード名 レアリティ コスト 発動条件・発動対象 発動確率 上昇パラメータ 上昇量 BT03-062 腕ひしぎ十字固め RRR 0 〔関節〕を持つレスラーが使用 一定 スタミナ ★★★ 桜庭和志が使用 一定 スタミナ ★★★★ BT03-091 サクラバロック C 2 特になし 低 スタミナ ★★★★ 桜庭和志が使用 高 スタミナ ★★ BT06-030 サクラバロック RRR 0 シングルマッチ以外で使用 一定 スタミナ ★★ タッグパートナーに〔関節〕を持つレスラーがいる 一定 スタミナ ★ 桜庭和志が使用 高 スタミナ ★★★★ BT06-038 オープンフィンガーフロムヘル R 0 スタンダードリーグで使用 低 ガッツ ★★★ 対戦相手に〔ヒール〕を持つレスラーがいる 一定 ガッツ ★★ 桜庭和志が使用 一定 ガッツ ★★★ ■タイトル・ユニット関連コンボ一覧 コンボ名 必須レスラー 発動条件 ▲TOPへ戻る ■レスラーカード解説 ★グレード1 カードNo. レアリティ コスト パワー スピード テクニック スタミナ ガッツ 連携 ボルテージ 合計値 BT06-002 RRR 4 5 7 7 4 6 4 2 29 サブタイトル I am a wRESTLER 所属ユニット 無し スタイル ベビーフェイス、打撃、関節 レスラースキル ボコボコにしてやります!高確率でガッツ★★~★★★★この値はこのチームの〔打撃〕か〔関節〕を持つレスラーの人数に応じて上昇 第6弾に収録されている桜庭にとって2枚目のRRRカード。特に条件を必要することなく高確率でガッツを伸ばすことが出来、スキルの伸び代がチームにいるスタイル〔打撃〕か〔関節〕持ちの人数に応じて広がっていく。「打撃と関節」ではなく「打撃か関節」なので、どちらかのスタイルを有していれば対象となる。パラメーターの合計値は29とそこまで高くないものの、6弾で連携の値が2から4に上昇したので、タッグの多いグレード1との相性は決して悪くない。RRRなので弱くは無いのだが、コストが重く編成を縛るタイプのスキルのためか人気はあまり無い。第1試合はRRのBT05-017外道対策のために連携5で固めるプレイヤーも少なくないので、その辺りも影響しているか。このカードの為だけに打撃、関節持ちを集めるというのもナンセンスなので、既に打撃や関節持ちの多いデッキを組んでる人が使ってみるぐらいの扱いがいいかと。 ▲TOPへ戻る ★グレード2 カードNo. レアリティ コスト パワー スピード テクニック スタミナ ガッツ 連携 ボルテージ 合計値 BT03-014 RR 3 6 7 8 6 6 2 2 33 サブタイトル SPEED TK RE-MIX 所属ユニット 無し スタイル ベビーフェイス、打撃、関節 レスラースキル 無し パラメータが高いがスキルを持たないタイプのカード。連携が低いのでタッグの多いグレード2とは相性が悪い。第3弾でグレード2に追加されたRRのBT03-013坂口やBT03-024藤波には連携やスキルの面で劣るが、強力なブーストがあるという点では勝っている。 ▲TOPへ戻る ★グレード4 カードNo. レアリティ コスト パワー スピード テクニック スタミナ ガッツ 連携 ボルテージ 合計値 BT06-009 RR 1 7 9 9 6 8 4 2 39 サブタイトル KS TIME 所属ユニット 無し スタイル ベビーフェイス、打撃、関節 レスラースキル タッグマッチしかないでしょう!タッグマッチなら、一定確率でテクニック+★★★タッグパートナーに「柴田勝頼」がいるなら、このスキルの発動率は上昇する 第6弾で追加されたRRカード。元々はタッグに出ると一定確率で発動スキルを持つが、パートナーに柴田がいると発動率が上昇する。パートナーの第一候補は同じグレード4にいるBT06-010柴田。グレード3にいるRRRのBT06-003柴田の方が能力は高いが、スキルがシングル限定なので相性が悪い。スキルが発動したときのゲージの伸びはBT06-010柴田に比べると鈍い。しかし枚数を重ねて柴田と組ませればかなりの確率でスキルが発動するようになるので、上昇した連携の数値と合わせてタッグで安定感のある戦いが出来る。コストが1と格段に安く、関節を持つ柴田と組むと新型のサクラバロックを生かしやすいのも魅力。柴田以外と組ませても発動率は上がらないもののスキルは発動できるので、グレード4にいる他の高レアリティレスラーを選んでみるのも一興。 カードNo. レアリティ コスト パワー スピード テクニック スタミナ ガッツ 連携 ボルテージ 合計値 BT03-042 C 4 7 7 8 6 5 3 2 33 サブタイトル 新日本参戦表明 所属ユニット 無し スタイル ベビーフェイス、打撃、関節 レスラースキル よろしくお願いします。この試合の対戦相手に所属団体《新日本プロレス》がいるなら高確率でガッツ+★★ 対戦相手に新日本プロレスのレスラーがいればガッツを上昇させるカード。同グレードの有力カードは1000%タッグ・テンコジ、矢野・飯塚など新日本所属のレスラーも多く、スキルを発動させる可能性はそこまで低くはない。しかしスキルを発動させてもクライマックスゲージはたいして伸びない。パラメータの合計はグレード2のBT03-014と一緒という低さだが、連携は3にアップしている。 ▲TOPへ戻る ★グレード5 カードNo. レアリティ コスト パワー スピード テクニック スタミナ ガッツ 連携 ボルテージ 合計値 BT03-004 RRR 4 10 11 12 10 10 2 2 53 サブタイトル IQレスラー 所属ユニット 無し スタイル ベビーフェイス、打撃、関節 レスラースキル IQレスラーこのカードのレスラースキルはランダムで選ばれたこのチームの他のレスラーのブーストスキルとなり、選ばれたブーストスキルの"使用者が「レスラー名」なら"の条件を必ず満たす レアリティの割には能力値は抑え目も、特筆すべきはそのスキル能力。レスラースキルの部分でチームにいる他のレスラーがセットしているブーストカードの効果を発動し、なおかつ自分にセットされているブーストカードは別に発動する。要は2回ブーストが発動するようなものである。高火力ブーストに上手くハマれば相当のクライマックスゲージの伸びが期待できる。欠点はどのブーストが選ばれるかは完全にコンピューター任せという点。そして満たせるのは本人ブーストの部分だけであり、任意ブーストは桜庭のスタイルに依存する。選ばれたブーストの任意ブーストの条件がヒール、投げ、空中等だったらその部分は発動できない。このことから安定した効果を目指すのならば発動率、条件などブースト選定に頭を悩ませる事になるため、長丁場のタッグ、スタンダードリーグには不向きと言える。どちらかといえば選択肢を絞れるシングルリーグ向きのカード。またスキルの発動確率が表記されていないが、確実に発動する訳ではなくスキル自体が不発の時もある。 カードNo. レアリティ コスト パワー スピード テクニック スタミナ ガッツ 連携 ボルテージ 合計値 PR-014 PR 3 8 9 10 8 8 2 2 43 サブタイトル グレイシーハンター 所属ユニット 無し スタイル ベビーフェイス、打撃、関節 レスラースキル もうちょっと強い人と闘いたいですこの試合の対戦相手にパワー9以上のレスラーがいるなら、一定確率でテクニック+★★ 第3弾ボックスの初回封入特典。対戦相手にパワー9以上のレスラーがいるとテクニックを伸ばすスキルを持つ。グレード5の強豪レスラーのほとんどが引っかかるため発動条件を満たすのは容易。ただしゲージの伸びは良いとは言えず、元々のパラメータも低いのでメインイベントを任せるのは厳しい。タッグで強力なパートナーを付ければ光明を見出せるかもしれない。 ▲TOPへ戻る ■ブーストカード解説 ★コスト0 カードNo. ブーストカード名 レアリティ 発動条件・発動対象 発動確率 上昇パラメータ 上昇量 BT03-062 腕ひしぎ十字固め RRR 〔関節〕を持つレスラーが使用 一定 スタミナ ★★★ 桜庭和志が使用 一定 スタミナ ★★★★ 第3弾に収録されているRRRのブーストカード。効果は桜庭が使用すれば一定確率で+★7が狙えなかなか強力。第6弾で追加されたリニューアル版のサクラバロックには汎用性で勝る反面、発動率で劣る。シングルリーグで強みを見せるBT03-004をメインとして使うならこちらをチョイスした方が良いか。 カードNo. ブーストカード名 レアリティ 発動条件・発動対象 発動確率 上昇パラメータ 上昇量 BT06-030 サクラバロック RRR シングルマッチ以外で使用 一定 スタミナ ★★ タッグパートナーに〔関節〕を持つレスラーがいる 一定 スタミナ ★ 桜庭和志が使用 高 スタミナ ★★★★ 第6弾で追加された2枚目のRRRブーストカード。3つの部分に効果が分かれており、全ての効果を合わせると最高で+★7が期待できる。満たすのが比較的難しくなるのはスタイル関節持ちと組むという部分だが、それを差し引いても高い確率で+★6が狙えまずまず。第6弾で追加されたRRRのBT06-002、RRのBT06-009は共にタッグでの使用が主になるためこのブーストと相性が良く、なおかつBT06-009は関節持ちの柴田と組むことが予想されるのでベストマッチ。 カードNo. ブーストカード名 レアリティ 発動条件・発動対象 発動確率 上昇パラメータ 上昇量 BT06-038 オープンフィンガーフロムヘル R スタンダードリーグで使用 低 ガッツ ★★★ 対戦相手に〔ヒール〕を持つレスラーがいる 一定 ガッツ ★★ 桜庭和志が使用 一定 ガッツ ★★★ レアリティRながら、RRRのサクラバロックと同じく効果が3つに分かれている珍しいブーストカード。全ての効果を合計すると最高で+★8が狙えるという中々の性能を持つ。狙って発動させることができるのはスタンダードリーグで使用、桜庭が使用という2つの部分で、対戦相手にヒールがいると発動の部分に関しては相手の編成に依存する。枚数を重ねて3つの効果が発動させられる環境が整えば、ブースト自体は発動することが多い。ただし低確率を含み3つ全ての効果が発動するのは稀有なため、実際の★の伸びは+2~5ぐらいに留まることが多くなるかもしれない。 ▲TOPへ戻る ★コスト2 カードNo. ブーストカード名 レアリティ 発動条件・発動対象 発動確率 上昇パラメータ 上昇量 BT03-091 サクラバロック C 特になし 低 スタミナ ★★★★ 桜庭和志が使用 高 スタミナ ★★ コモンカードでありながら+★6をマークするブースト。この手のブーストにありがちな両方低確率ということはなく、本人ブーストが高確率で多少安定感がある。第6弾で強力な効果を持ち、なおかつコスト0で扱えるブーストが増えたので、以前に比べ使い道は減ったか。 ▲TOPへ戻る コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kacchin7/pages/28.html
国A 第08MS小国(カニトップ@国王) 1位 セツル 50点 2位 古畑 44点 2位 垂直落下式亜脱臼 44点 4位 BLT 33点 5位 ホワイトサイダー 32点 6位 アニュウェイ 31点 6位 蓮 31点 8位 乾イッセイ 27点 8位 義太夫ジャクソン 27点 10位 武蔵の梨四郎 24点 総合1位のセツルが3度目の国王に就任となる。 国B 技のデパート広島支店王国(アンクシャス@国王) 1位 古畑 32点 2位 対左投手× 27点 3位 セツル 26点 4位 武蔵の梨四郎 23点 5位 ホワイトサイダー 21点 6位 Joker 18点 7位 danke.s 15点 7位 ウェッティー 15点 9位 BLT 14点 10位 KON 13点 総合1位の古畑が初の国王に就任となる。 国C セツルメント王国(セツル@国王) 1位 うーメンズ 30点 2位 アンクシャス 29点 3位 対左投手× 26点 4位 武蔵の梨四郎 25点 5位 有栖川きつね 19点 6位 乾イッセイ 18点 7位 ホワイトサイダー 16点 7位 ダンデライオン 16点 9位 ボンボン 14点 9位 ハロコン 14点 総合1位のうーメンズが初の国王に就任となる。 国D 芸能王国(ギャルゲットCDチェック@国王) 1位 垂直落下式亜脱臼 29点 2位 義太夫ジャクソン 27点 3位 対左投手× 21点 4位 号泣01 19点 5位 二宮亭三ヶ日 16点 6位 ホワイトサイダー 15点 7位 じゃん 11点 8位 K.KOBAyoshi 9点 8位 Joker 9点 10位 恋は甘く、そして辛くもあり、ほろ苦い田舎のような香りがする三世 8点 10位 武蔵の梨四郎 8点 総合1位の垂直落下式亜脱臼が初の国王に就任となる。 国E NEW‐MOVEMENT(MAD@国王) 1位 有栖川きつね 37点 2位 セツル 22点 3位 対左投手× 20点 3位 古畑 20点 5位 ホワイトサイダー 18点 5位 二宮亭三ヶ日 18点 7位 門地朗 17点 7位 danke.s 17点 7位 義太夫ジャクソン 17点 10位 MAD 16点 総合1位の有栖川きつねが初の国王に就任となる。
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/423.html
第105話 闇の王と炎の王、激突のこと(後編) 「……というわけでようやく一段落着いたので紹介する。 彼はヅラムス……じゃなくてブラムス。私がさっき逃げ出したとき、近場で偶然捕まえた助っ人だ」 残された雑木林の空き地の一角に、一同は集っていた。 ミカエルが残した多くのマグマの池はすでに冷えて固まり、飴状に融解したまま再凝固した、 不気味な傷跡が多く残る。 すでにこの一帯を焦がした熱量は主共々に死に絶え、周囲は夜の暗さと、わずかばかりの肌寒さを取り戻していた。 その中で再度小さな焚き火を囲み、一同は車座を組んでいたのだ。 クラースの紹介を受けたブラムスは、会釈も何もせずに、ひどく無愛想な様子で残る二者に名乗る。 「我はブラムス――ゆえあってこの辺りを偵察していたところ、 このクラースなる男に出会い、この喫緊の事態を知ってやって来た」 ブラムスの名乗りに応じるようにして、残る二者もまた自ら自己紹介を行う。 「フェイト・ラインゴッドです。よろしくお願いします」 「エルネスト・レヴィード。考古学を学んでいる。 ところでブラムスとやら、申し訳ないがあんたに早速質問がある」 「ほう? 何だ?」 エルネストは三つの目を同時にブラムスに向け――そして思い出したように彼の顔から視線を反らす。 それが原因か、彼の言葉の切れはいつにもなく悪い。 「その……つまり……単刀直入に聞こう。あんたはどうやら、ヴァンパイアか?」 「……ヴァンパイア?」 エルネストが突如として繰り出した言葉に、フェイトは怪訝な様子で疑問符を放つ。 エルネストは一つ頷き、今度はフェイトの方に視線を向けて語り出す。 「ああ、ヴァンパイア……すなわち、お前の故郷である地球の東欧(イースタン・ユーロップ)を発祥とする、 空想上の生き物だ。 確か元来は東欧(イースタン・ユーロップ)の民話に出てくる、ゾンビやその手の類の仲間だったのが、 地球暦で言うところの西暦1400年代、ルーマニアを統治していたヴラド三世の、 『串刺し公』の逸話と融合して生まれたものだった、と地球の民俗学の本に記述されていた気がするな。 ちなみにこのヴラド三世は自らのことを『ヴラド・ドラキュラ』と名乗ったとされるが、 彼をモチーフにして作られた地球の文学作品が『吸血鬼ドラキュラ』…… 同じく地球暦の19世紀末期に、イングランドの小説家ブラム・ストーカーが著した怪奇小説だ」 エルネストはこともなげに、それだけの知識を披露。 フェイトはそれに、思わず目を剥く事を禁じえない。 「地球人の僕よりも詳しいんですね……エルネストさん」 「まあな。俺は自分の向かった惑星の、知的生命体に伝わるこの手の伝承は一通りチェックしておく主義でね。 これがその惑星の古代文明について考察する際、役立つこともままあるからな」 「それで、エルネストさんは何故、ブラムスさんがそのヴァンパイアだと思ったんですか?」 首をかしげるフェイトに対し、エルネストは「それはな」、と短く発言。 再度ブラムスの顔に目を向けようとして――結局直視することは諦めた。 「ブラムスが見せてくれた能力、そしてミカエルを空中で無力化した、とある攻撃が論拠だ」 エルネストは右手の親指のみを立て、彼らの車座の外側にある、それを指し示す。 「幸いミカエルの死体は首から下が原形を留めている。 何なら後でミカエルの首筋を見てみろ。 小さいながらもミカエルの頚動脈にまで達している、深い刺し傷が二つ残っているはずだ」 「……それは遠慮しておきます」 心底からの嫌悪感を露に、フェイトはぞっとしない思いでエルネストの提案を断った。 確かにミカエルの死体の首から下は原形を留めてこそいるが、 首から上はブラムスの手により……もとい、足により踏み砕かれている。 フェイトとてその得物で多くのモンスターや、時には地球人をも含む知的種族を斬っては来たものの、 さすがにそんな惨殺死体を好きこのんで眺めたいと思うほどに、その精神は歪んでいない。 無論エルネストとて、その提案はあくまで冗談半分で行ったものだ、と軽く笑い飛ばすことも忘れはしないが。 「あの時フェイトはロキの方に注意が行っていたから、見逃していたかも知れないが、 実はこのブラムスという男は、俺の『ディメンジョンウィップ』でミカエルを怯ませたとき、 空中でミカエルの背後を取り、そこから不意打ちをかけようとしていた。 もちろんミカエルもただやられるままではなく、背中越しにブラムスの体を捕まえ、 自身からのゼロ距離熱放射でブラムスをこんがり焼くつもりだったんだろうが、 そこでブラムスは何と、ミカエルの首筋に噛み付いて、そこからミカエルの血を吸っていたのさ」 ブラムスはエルネストの説明を聞き届け、軽くその首を縦に振りエルネストを肯定する。 「実を言えばあの時、あのミカエルとやらが我の体を掴み取ってくれたのは、むしろ幸いであった。 奴が我の体を掴み、密着間合いまで引き寄せたことで、自然と我の口元は奴の首筋に持っていかれ、 更に我の牙に対する防御を自ら放棄した形になる。 我が奴の首筋に噛み付くための膳立てを整えたのは、皮肉にも奴自身というわけだ。 念のため奴の懐に飛び込む前に、この仮面を外しておいたのは正解であった」 ブラムスが言葉を放ち終えれば、会話の主導権は再度エルネストのものとなる。 「奴ら十賢者は、いかにネーデ史上最強の生物兵器とは言え、 生物をベースにして出来ている以上、生物にかけられた制約には逆らえない。 大量出血を起こせば失血死だってするし、そこまで行かずとも貧血になることは十分ありえる。 ましてやブラムスがさっき狙ったのは頚動脈――脳に直結する血管だ。 そんなものを破られて大出血を起こした挙句に、さらに血液まで吸い取られれば、 いかな十賢者ですらイチコロで意識を失わざるを得ない、というわけだな」 「そもそも常人ならば、我が首筋から吸血を行った時点で、頭から上に流れている血を全て失い、死に至るがな。 それなのに奴は我が吸血を行った上で、脳天から地面に叩き落としてすら、まだ辛うじて生きていた。 つくづく、出鱈目なまでの生への執着心よ」 ブラムスはひどく不満そうな、つまらなそうな、そんな憮然とした様子で首を一つだけこきりと鳴らせた。 一方のエルネストの言葉は、次をもって結論へと向かう。 「それ以前にも、ブラムスは自身の体を黒い霧に変えて、 霧になった体をミカエルの背後で再度実体化させた上で、不意打ちを行うという真似までやってくれている。 自らの体を霧に変えたり、二本の牙で吸血を行ったり、その手の能力は地球の伝承にあった、 ヴァンパイアと実に酷似していてね――それが、俺がブラムスをヴァンパイアではないかと推察した論拠だ」 「なるほど、分かりました」 疑問が氷解し、ようやくのことで腑に落ちたフェイト。 エルネストの持論については、ブラムス自身から若干の訂正が成されたのだが。 「厳密に言うなれば、我は不死者王(ノーライフキング)……不死者の王たるヴァンパイアの、そのまた王君ぞ。 ――ひとたび玉座を離れしまっては、我の威光も伝わらぬやも分からぬがな」 (*1)) ブラムスのその発言を受け、奇しくも残る3人の心の叫びはぴたりと一致していた。 ここで改めて読者諸氏に問わねばなるまい――今のブラムスについて。 今のブラムスの姿は、あちこちが焼け焦げた袈裟を着込み、その顔面は仏像の仮面がへばりついている。 極めつけはその頭部に装着された、頭髪が絶滅危惧種扱いの文字通り不毛の荒野と化した頭皮をあしらった、 セミパーフェクトハゲのカツラ。 ミカエルの巻き起こす紅蓮の嵐を潜り抜けても、不自然なまでに焦げ跡が残らないそのヅラは、 光とついでに熱の反射率まで100%なのかと思わず疑いたくなる。 とにかくそんな姿の人間――歯に衣着せずに言えば、「一見気の触れた」人間しか見えない今のブラムスの姿は、 偉大なる不死者の王と自称されて納得する者はいなくとも、 寺の住職の変装をした上で、寺に今しがた火事場泥棒を敢行してきたこそ泥と言われれば納得できてしまえる 人間の方が多数派としか思えない、実にファンキーなスタイルと言わざるを得まい。 これこそが、今の今までこの場の3人が、ブラムスの姿を直視できずにいたその理由。 ブラムスの発言を最後に、実に気まずい空気が沈留。 それをブラムス自身が感じ取ったのか、はたまた気付くことなく我が道を行った結果そうなったのか、 次なる発言者もまた、ブラムス。 「ところで次は我が問おう。果たしてロキはどうなったのだ?」 ブラムスが視線を滑らせた先にたまたまいた人物は、クラースその人。 クラースは慌てて視線を反らそうかとも一瞬考えたが、すでにブラムスにガン睨みされているこの状況では、 それも色々な意味で不可能と悟り、観念したように口を開く。 「……それは……その……どうやら逃げられたらしい……」 「……逃げられた、とな?」 「はい。僕が『ライトニングブラスト』で視界を確保した時点では、すでに向こうの雑木林から姿が消えていたんです」 奥歯に物が挟まったような物言いのクラースに代わり、質問を補完したのはフェイト。 フェイトはブラムスに、彼がミカエルと戦っている間に即席で組み立てた作戦の内容を、静かに説明。 ミカエルとの戦いと同時進行で何が起こっていたのか、それもまたブラムスの知るところとなる。 「……というわけなんです。 おそらく、ミカエルが『スピキュール』を空中から発射して、この辺り一帯を焼き払うと宣言したとき、 ロキは逃げ出すことを決定して即座に逃げ出したみたいですね」 「なるほど……そのタイミングなら、ちょうど俺の注意はミカエルの方に向いていたし、無理の無い推測だ。 俺が目を離したタイミングとロキの逃走のタイミングが上手いこと一致したから、 ロキは結果的に逃走の瞬間を目撃されずに済んだ、ということか」 フェイトの説明に納得するエルネスト。そこに、一度は口ごもったクラースの言葉が蘇る。 「フェイトが『ライトニングブラスト』でロキのいた雑木林を照らしてくれた時、 そこにはもう奴の姿はなかった。結局私の用意した『オリジン』は無駄になってしまった形というわけだ」 丸太のように太い両腕を、がっぷりと胸の前で組んだブラムスも、クラースに続く。 「ふむ……確かにあの状況では、ロキにとっての最善手は逃げ出すことだった、と考えられなくはあるまい。 奴は『スピキュール』を本気で撃てば、この辺り一帯を火山の火口のようにできると言っていたが、 あながちそれも虚言ではなかっただろう――奴の『スピキュール』を真正面から受けた我だからこそ、 それが身に染みて分かる。 もしミカエルの手により、我ら4人が消し炭になればもっけの幸いと思い、逃げを打ったのかも知れぬな」 ブラムスは赤い眼光に満ちた両目を、ふとあらぬ方へと向ける。 ついしばらく前、自身がロキを叩きのめし倒れ伏さしめた辺りの、雑木林の一角を。 「――追ってあいつにも止めを刺すのか、ブラムス?」 「もし奴の確たる消息を掴めるのなら、追撃をかけるにやぶさかではない。 だがあれほどに叩きのめしてやったのであれば、奴が治癒の魔術を使えることを感情に入れても、 どの道しばらくはまともに動けまい。 今はそれより、我はお前達3人を鎌石村まで護送することの方が、重要な事項だと判断する。 あわよくば、この殺し合いに乗っている他者により止めを刺されるか、そのまま野垂れ死ぬ事を期待しよう」 けしかけるように聞いたエルネストに、ブラムスはその意を持たぬことを告げる。 「それに、我にはお前達を相手に話さねばならぬことも聞かねばならぬことも、山積みとなっている。 我もおおよそこの島で何が起こっているのか、その全容はある程度は把握できた。 こんな下らぬ茶番にいつまでも付き合ってはいられぬ以上、この茶番を終わらせるためにも、 迅速かつ正確に動かねばならぬ。 その為にも我はお前達3人を相手に暫定的な同盟を結び、我の他の仲間が来る鎌石村に、お前達を招きたいのだ」 「――なるほど。ヴァンパイアの王様が、俺達に随分と優しいことだな」 ともすれば皮肉に聞こえかねないエルネストの発言。 それを聞いたフェイトとクラースは、思わずぎょっとなる。 「お、おいエルネスト、そういう言い方は……!」 「そうですよ、それじゃあまるで――」 「もちろん我のこの申し出が、お前達を嵌めるための罠だと疑うのならば、我も決して強要はせんがな」 ブラムスはその言葉を置き捨てるように言い、そっと踵を返す。 ブラムスが先ほど向かってきた方角となる、沖木島の北の空へと。 おりしも月の位置は、そろそろブラムスの背に移ろうかという時間帯。 「勘違いされると困るので予め言っておこう。 我がこうしてお前達と同盟を申し出たのは、あくまで我が我が居城に帰らんとするがため。 今のところ、仲間を募り共に方策を練るのが、それを成し遂げる最良の行動と判断しているからに過ぎぬ。 もし状況が変化し、この島に最後まで立ち続ける道を選ぶ方が、我が城への帰還に近いとならば――」 ブラムスは静かに、その足を踏み出す。 向かうは、沖木島の北部――鎌石村。 「――我はお前達を手にかけることすら、何のためらいも抱かぬつもりよ」 ブラムスの足元から、僅かに起こる土煙。 ミカエルが見境なく熱量を撒き散らしたその結果か、土はひどく乾ききっていた。 その土と同じくらいに乾いた、小さな笑い声。 テトラジェネスの、男のもの。 「なるほどな、その言葉を聞いて安心した」 静かに笑む、エルネスト。彼の肩にかかる金髪が、かすかに揺れる。 一方で彼の発言を聞いたフェイトとクラースは、更にその目をぎょっと見開くことになる。 「おいエルネスト――それじゃあまるで……!」 「逆に考えろ。ブラムスは俺達に、事前に自らの裏切るタイミングを告げてくれたんだ。 最初から俺達を利用するつもりで近寄ってくる人間は、ふつうそんなご丁寧な真似はしないだろう。 自身の意図を、相手に隠すことなく全て告げるというのは、馬鹿正直ではあるが最も誠実な取り引きの態度だ。 奴はああも『誠実な』態度で、俺達に取り引きを持ちかけてきた。 奴が信用のできる相手であることは、まず間違いあるまい。違うか?」 「……そうかも、知れないですけど」 それでも、フェイトの弁舌の切れは、悪い。 「ひとまず、この足で鎌石村まで向かうとするぞ。 我も先ほど鎌石村はざっと概観してきたが、あそこには身を潜めるにちょうどいい家屋はたくさんある。 今から向かえば、おそらくその道中で例の放送の時間に差し掛かるだろうが、 一旦村に着きさえすれば、体を休める時間も施設もあろう。 お前達人間は、夜間のうちは休息せねば体も保つまい……そうだろう?」 歩み出したブラムスを眺めながら、エルネストは熾した小さな焚き火に傍らの土をすくい、乗せる。 その上から軽く土を踏みしめ、完全な消火が行われたことを、手の平で温度を感じ取り再度確認。 その手つきは、すでに冒険というものに慣れ切ってしまった、アウトドア派の学者にふさわしい、鮮やかなもの。 クラースは一つ肩を竦め、「よっこらしょ」という妙に若さの感じられないかけ声と共にその場を立つ。 彼の手足に着けられた鳴子が、思い出したようにからころと鳴った。 「とりあえず現状の把握が出来なのなら、双方の情報の交換は移動しながら行えば問題はあるまい。 ところで、フェイトと言ったか」 「……何でしょうか?」 一応命の恩人とは言え、自身の態度が固いままであることを無意識のうちに感じながらも、 フェイトはブラムスの呼びかけに応えた。 ブラムスはいつの間にか、懐から一枚の白い紙を取り出し、背中越しにフェイトへと告げる。 「先ほどから出す時機を伺っていたのだが、我はお前宛てに一通の手紙を預かっていた。それを渡さねばなるまい」 「……一体、誰からのです?」 「ソフィア・エスティードなる少女からだ」 それを聴いた瞬間、フェイトの目の色が変わる。 傍らに置いておいた装備一式を無造作に引っつかみ、そのまま重たげだった腰を持ち上げ、 ブラムスの元へと駆け寄る。 「そうならそうと早く行って下さい! ソフィアはまだ生きてるんですよね!?」 「我が最後に確認できた時点では、の話だがな」 フェイトはブラムスの元にまで走ったなら、彼の手にあった手紙をほとんどひったくるような勢いで受け取る。 その様子を見る三眼の考古学者と、鳴子と刺青の召喚師は意味深な笑み。 「フェイトも、まだまだ子供ということか」 「どうやらソフィアなる子は、フェイトのステディのようだな」 いかがわしい記事の載ったタブロイド紙を開き、そこに掲載された有名人のゴシップを楽しむような、 少しばかり下賎な気持ちが2人の中に湧き、仲良く生暖かいニヤニヤ笑いを浮かべる。 一方のフェイトは、そんな大人2人の視線に気付くことなく、彼の仲間からの便りを手に取り、読み始めていた。 【D-2/夜中】 【クラース・F・レスター】[MP残量:70%] [状態:正常] [装備:ダイヤモンド@TOP] [道具:薬草エキスDX@RS、自転車@現実世界、デッキブラシ@TOP、荷物一式] [行動方針:生き残る(手段は選ばない)] [思考1:ブラムスと暫定的な同盟を結び行動] [思考2:ゲームから脱出する方法を探す] [思考3:脱出が無理ならゲームに勝つ] [現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林] 【ブラムス】[MP残量:70%] [状態:変態仮面ヅラムスに進化。本人はこの上なく真剣に扮装を敢行中。 全身に軽度の火傷(ミカエルに吸血を行ったため、じわじわ回復中)] [装備:波平のヅラ@現実世界(何故か損傷一つ無い)、トライエンプレム@SO、 袈裟@沖木島(あちこちが焼け焦げている)、仏像の仮面@沖木島] [道具:バブルローション入りイチジク浣腸(ちょっと中身が漏れた)@現実世界+SO2 荷物一式×2、和式の棺桶@沖木島] [行動方針:自らの居城に帰る(成功率が高ければ手段は問わない)] [思考1:鎌石村に向かい、他の参加者と情報交換しながらレナス達の到着を待つ] [思考2:敵対的な参加者は容赦なく殺す] [思考3:直射日光下での戦闘は出来れば避ける] [思考4:フレイを倒した者と戦ってみたい(夜間限定)] [思考5:鎌石村に向かいながら、3人と情報交換] [現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林] [備考:ブラムスのヴァンパイアの能力については、 「原作のゲームシステムで再現可能な能力のみ使用可能」というガイドラインを提案します。 今回は肉体を霧に変化させる能力をスキル「ダーク」で、 吸血によるDMEの回復は 242の武器特性で再現しました。 なお原作のゲームシステムで再現可能なスキルなどは存在しないので、 吸血による目標の下僕化は不可能とします] 【フェイト・ラインゴッド】[MP残量:75%] [状態:左足火傷(戦闘にやや支障有り。ゆっくり歩く分には問題無し)] [装備:鉄パイプ-R1@SO3] [道具:ストライクアクスの欠片@TOP?、ソフィアのメモ、荷物一式] [行動方針:仲間と合流を目指しつつ、脱出方法を考える] [思考1:ルシファーのいる場所とこの島を繋ぐリンクを探す] [思考2:確証が得られるまで推論は極力口に出さない] [思考3:ソフィアのメモを読みたい!] [現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林] [備考:参加者のブレアは偽物ではないかと考えています(あくまで予測)] [備考:ロキに武装解除された鉄パイプ-R1@SO3を取り戻しました] 【エルネスト・レヴィード】[MP残量:95%] [状態:両腕に軽い火傷(戦闘に支障無し、治療済み)] [装備:縄(間に合わせの鞭として使用)、シウススペシャル@SO1、ダークウィップ@SO2] [道具:ウッドシールド@SO2、魔杖サターンアイズ、荷物一式] [行動方針:打倒主催者] [思考1:仲間と合流] [思考2:炎のモンスターを警戒] [思考3:ブラムスを取り引き相手として信用] [現在位置:D-2北部、焼き払われた雑木林] [備考1:ロキに武装解除されたシウススペシャル@SO1を取り戻しました] [備考2:ミカエルの死体からダークウィップ@SO2、ウッドシールド@SO2、 魔杖サターンアイズを回収しました] 【ロキ】[MP残量:90%] [状態:自転車マスターLv4(ドリフトをマスター) 顔面が作画崩壊 顎関節脱臼 再起不能(リタイア)寸前 神生終了のお知らせ 現在逃走中?] [装備:グーングニル3@TOP] [道具:10フォル@SO、ファルシオン@VP2、空き瓶@RS、スタンガン、ザイル@現実世界、 首輪、荷物一式×2] [行動方針:ゲームの破壊] [思考1:レナス、ブラムスの捜索] [思考2:見つけ次第ルシオの殺害] [思考3:首輪を外す方法を考える] [思考4:一応ドラゴンオーブを探してみる(有るとは思っていない)] [思考5:痛みに耐えて顎を嵌め直す] [思考6:この状況に対応する] [現在位置:D-2北部、道から少し外れた森の中→行方不明] [備考1:現在顎が外れているため、これを整復するまで会話や呪文詠唱などはほぼ不可能です] [備考2:なおロキは自分をフルボッコにした相手がブラムスだとは、今のところ気付いていません (ただしブラムスの決め技「ブラッディカリス」を目撃して気付いた可能性もあります)] 【ミカエル死亡】 【残り22人+α?】 第105話(中編)← 戻る →第106話 前へ キャラ追跡表 次へ 第105話(中編) ブラムス 第112話 第105話(中編) ミカエル ― 第105話(中編) ロキ 第109話 第105話(中編) フェイト 第112話 第105話(中編) エルネスト 第112話 第105話(中編) クラース 第112話
https://w.atwiki.jp/2005shock/
さあ立ち上げろ、馬のごとくサイトを! カルチャーショック指数 - ▷▷▷このページはメンタイサイドの提供により作られています。カルチャーショック関係者のみの編集可です。 こちらをクリック!☞ はーい!まじめに提案(笑) 新チャック情報☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 日記は随時更新中☆ リブたんの日記UPです☞よばれてとびでてぱんぱかぱーん☆ キヨ様の日記UPです☞今宵チャッキンガム宮殿で 龍の野郎の日記UPです☞酒の肴 sayさんの日記UPです☞精神と時の部屋 丸井ちゃんのマネージャー日記UPです☞日々是精進です! おススメです♪ チャックファンのみならず使える用語がいっぱい!☞チャック語録 UP! 枕so-siさんの仕事☞新曲のボツ作品 人気投票!好きなメンバーに投票してね!New! 選択肢 投票 say (18) 龍 (17) 村井清隆 (18) カモン☆リヴ (17) 丸井太 (8) コメントもどうぞ!! a href= http //asiw.atspace.com/2yrow3gd.html african american woman /a [url=http //asiw.atspace.com/2yrow3gd.html]african american woman[/url] a href= http //asiw.atspace.com/hot-african-woman.html african woman /a [url=http //asiw.atspace.com/hot-african-woman.html]african woman[/url] a href= http //asiw.atspace.com/klfrbcwk.html scholarships for african american woman /a [url=http //asiw.atspace.com/klfrbcwk.html]scholarships for african american woman[/url] -- cxbvl (2007-05-10 20 03 07) 名前 コメント 人気投票で一位となったメンバーには「第一回しまらんチャック・オブ・ザ・イヤー」が送られます。 Profile☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ say 龍 村井清隆 カモン☆リヴ 丸井太 Diary☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ say/精神と時の部屋 UP! 龍/酒の肴 UP! 村井/今宵チャッキンガム宮殿で UP! カモン☆リヴ/よばれてとびでてぱんぱかぱーん☆ UP! マネージャー日記 丸井太/日々是精進です!New! Discography☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ Shingle News☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ お手柄バンド・カルチャーショック(朝見新聞)2005/08/19記者:緑川ゆう助 村井が白亜の豪邸を建てる!?(週刊立見2005/08/19)記者:脱臼川脱臼 カルチャーショックがフジサンテレビの「とくだっタネ」に出演(ゆざましテレビ2005/08/20) マネージャー丸井結婚秒読みか(2.5ちゃんねる2005/08/20)解説:骨折川骨折 チャック男性陣と女性メンバーヌード写真集を出す!? (週刊立見 2005/08/24) 記者:脱臼川脱臼 BBS☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ふぁん倶楽部BBS メンバーへのメッセージはココにチャックチャク(素で話題にしたいこともここに)