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399 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 57 38 ID ilFLI4vw 「……すまなかった。」 「あら、どうされましたか、兄様?」 「あの事故から、ずっとお前に全てを任せて俺の傍に縛り付けていた。」 「ふふ、そんな事を謝られるなんて、いいんですよ今更。」 「全部俺が悪いんだ。お前は俺なんかに構わずに、友人や恋人を作って、もっと広い世界に居なきゃいけなかったんだ。 それを、俺と夜澄しか居ない生活に閉じ込めて、俺なんかを愛していると言わせるまでに歪めた。 夜澄、お前の愛しているって言うのは、だから、それは間違いなんだ。」 夜澄はその事に気づいていなかったのだろう、言葉の意味が分からずに困惑している。 「あの、兄様、……何を言ってらっしゃるのですか?」 「落ち着いてくれ、確かに今は受け入れられないかも知れないけどそうなんだよ。」 「ですが、そのお話ですと、まるで夜澄は兄様と一緒に暮らしたせいで狂ってしまったというように聞こえるのですが?」 「今はそう思うかもしれないけど、それでも。」 夜澄は正気を確かめるように、怪訝そうな目で俺の顔を覗き込んだ。 「まさかとは思いますが、兄様は夜澄が寂しいというだけでどんな男にも靡くような尻軽女だとでも思ってらっしゃいますか?」 「え、いや、ちがう、でも、俺を愛してくれているのは事故のショックと、そして、俺がお前を縛り付けたからなんだよ!!」 夜澄は呆れたような表情になったが、何かに合点がいったのかくすくすとまた笑い出す。 「くすくす、そんな冗談はダメですよ、兄様。事故なんて何にも関係ないですって。 そんな事がある訳無いじゃないですか、あんな事故なんかで夜澄は変わらないですよ?」 「事故は関係ない?」 「ええ、露ほども、くすくす、いいですか? 兄様。 兄様と二人になる前も、二人だけになれた後も、ずうっと夜澄は夜澄のままですよ? 夜澄は何も変わっていません、夜澄は初めから兄様だけを想っていたんですから。」 「は?」 「くすくす、生まれてからずうっと夜澄の大事なモノは兄様だけですよ?」 思考が置いてきぼりになっている俺の顔を愛おしそうに見つめながら夜澄が続ける。 400 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 58 06 ID ilFLI4vw 「夜澄がまだ小さな時、不思議に思ったことがあったんです。 どうして兄様に触れられると心地良いのに他の人に触れられると気持ち悪いのか。 兄様の声は夜澄の中に響くのに、他の声は唯の雑音なのか。 兄様とは一つになりたいのに他の人からは離れたいのか。 くすくす、今思えば本当に馬鹿らしいです。 だって、兄様と夜澄だけが愛し合うことのできる人間で、他の人はみんな人形なんですから、くすくす。」 「人・・・形、人の形って書くやつだよな?」 「ええ、人の形をしただけの偽者です。 人にそっくりなだけ、心なんて無い。 くすくす、そんなもの愛せる訳ないじゃないですか。 人そっくりに振舞う人形なんてただ気持ちが悪いだけですよね?」 「人形って、俺たちと何も変わらない人間だろ?」 「いいえ、人形ですよ? そして、夜澄と兄様だけが特別なんです。 だって、夜澄は兄様の痛みでしたらまるで自らの身が引き裂かれるように感じる事が出来ますよ。 でも、他の人?、まあ兄様がそう仰るなら人としましょうか、が痛みにのた打ち回っていたり、 大切な方を失って嘆き悲しんでいても、くすくす、ここは病院ですから毎日煩いんです、 夜澄にはそんな方の気持ちなんて理解できませんでしたし、そもそも興味を持てませんでした。」 「お前は俺以外を人だと思えないって言うのか?」 「ふふ、そういうことになりますね。夜澄だって不思議に思う時もあったのですよ。 どうして兄様だけは違うのか、どうして兄様は全てが愛しいのかって。 でも、今の夜澄にはちゃーんと分かりますよ?」 今から言うであろう答えを確かめるかのように、じっくりと俺の瞳に視線を合わせる。 「兄様が夜澄のモノだからですよね? くすくす、兄様が居なければ夜澄は独りです。 だから夜澄を寂しくさせない為に兄様は生まれてきてくださったんです。 夜澄だけを守る為に、夜澄だけを愛してくださる為に9年も先に生まれてくださって、くすくす。 ふふ、勿論、兄様は夜澄の為だけに、今までも、これからも生きてくださるんですよね? だから、兄様は夜澄のモノなんですよ? ・・・…くすくす、本当に、夜澄は兄様だけを愛しているのですよ?」 そう言って嬉しそうに頬を赤らめる。 今夜の夜澄は今までにない位に表情が豊かだ。 401 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 58 44 ID ilFLI4vw だが、嬉しそうに夜澄の話すその内容は全てが破綻しており、俺の常識から逸脱しすぎているものだった。 少しでも理解できる部分を繋ぎ合わせるならば、夜澄は俺を愛していて、俺以外の者を認識すらもしていないという事なのか? だったら、俺との、いやお袋や親父とのあの幸せだった頃の生活も夜澄の目には写っていなかったのか? いや、そうじゃない、考えるべきはどうして今に繋がったのかだ。 「お前は昔から俺を愛している、それは良いとしてもどうしてこんな事をしたんだ?」 「あら? 今日の兄様はお疲れですね、鈍いですよ。くすくす、ちょっと考えればすぐ分かりますよ?」 「鈍い、というのは認めるが、その、これはさすがにおかしいだろう?」 夜澄の整った眉が少しだけ動いた気がする、何か気に触ったのだろうか。 「しょうがないですねー、くすくす。 夜澄は兄様を愛していますけど、一つだけ、実は一つだけ大っ嫌いな所が有るんですよ?」 顔は笑顔のままだ。だが、目は笑っていない。 「教えてくださいね、兄様。どうしてですか?」 その目は怒りと、そして憎しみで歪んでいる。 「どうして兄様は夜澄以外のモノとお話が出来るんですか、夜澄だったらそんなの気持ち悪くてできませんよ? どうして、夜澄以外のモノに心を奪われる事ができるんですか、兄様は誰の為に存在していて、誰の恋人で、誰のモノですか? 夜澄ですよね、夜澄のモノなのにどうして、夜澄と離れ離れになっていても平気でいられるのですか? 今まで兄様が夜澄をどう扱おうと夜澄は心を痛めたりはしませんでしたよ。 でも、夜澄の知らない研究室で気持ちの悪い女と実験に熱中していた兄様に、病室で夜澄の居ない職場の話を楽しそう話す兄様に、 どれだけ夜澄は悲しまされたか分かりますか? そんなものを夜澄が望んでいるなんて思えるんですか? ねえ、夜澄と離れていられる兄様、夜澄以外の事を考えられる兄様、そういう兄様を見るたびに何度も気が狂いそうになったんですよ。 どうして兄様は夜澄無しの生活で気が狂わないんですか? そんな暢気な顔をしていられるんですか? だって、おかしいですよね? そんなの狂っていますよね? 兄様は誰のモノですか? 何が一番大切な事ですか?」 「や、夜澄?」 「今回だってそうです。・・・・・・本当は先生が居住権と移動権の売買を持ちかけて、夜澄が法廷で買い戻す手筈だったんです。 なのに、自分から勝手に夜澄の傍を離れようとする。しかもあんな、気持ち悪い女の所に・・・。 もし一歩間違っていたら今頃兄様は・・・・・・、夜澄は考えるだけでもおぞましいです。 正直に言って夜澄は今回の兄様の愚行には絶望しましたよ。本当に兄様は何をしてらっしゃるんですか・・・?」 402 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 21 59 24 ID ilFLI4vw 「夜澄、何を・・・?」 ぎり、と歯を食いしばる音がする。 今まで見た事もない夜澄の憎悪の表情に竦んで言葉が紡ぎ出せない。 「何を? それは夜澄が言いたいですよ? 本っ当に、兄様は夜澄の為に生まれたという意味を、本当に分かっていますか?」 そこまでを息継ぎ一つせずに喋りきった夜澄が、ふぅ、と息を吸い込んだ。 そして、まあ過ぎた事ですけどね、と言ってまた楽しそうにくすくすと笑い出す。 「くすくす、夜澄はずっと兄様だけを想っているのに、夜澄のモノなのに、兄様はつまらない事にかまけてばっかり。 それどころか、放っておけば今回みたいに夜澄の傍からいなくなっちゃうじゃないですか、くすくす。 だから、ちゃんと兄様を夜澄のモノにしてあげるんですよ、心も体も。 ふふ、お父様とお母様の事故が良い切欠になりました。 ずっと病院に篭もって病気の振りをし続けるのは少し大変でしたけど、くすくす。 ああ、でも学校に行って気持ち悪い思いをしなくて済んだ分快適な生活でしたよ。 お蔭でお金も準備する事が出来ましたし。」 「金? そうだ、一体あの金は何なんだ?」 「お金ですか? 兄様が今まで夜澄の治療に出してくださったお金がありましたよね? 元気な夜澄には必要なかったのでお医者様から返していただいて、 ずっと兄様の購入資金として貯めてたんですよ、くすくす。」 「医者まで俺を騙してやがったのか?」 「あら、お医者様を責めてはいけませんよ。 あの方にだって大切なご家族がいらっしゃっるのですから理解してあげないと、まあ、どうでもいい事ですよね。」 「お前が、人を強請ったのか?」 「ふふ、過程なんてどうでも良いじゃないですか。 大切なのは兄様が完全に夜澄のモノになった事、愛し合う二人が一つになる事ですよ。 さあ、結果を愉しみましょうか? いっぱい、くすくす。」 そう言い終えると夜澄は着物の帯を解く、白い肢体が目の前に広がる。 403 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 00 01 ID ilFLI4vw 「夜澄、何をする気だ!?」 「何って、愛し合う男女がすることって一つになる以外にあるんですか?」 夜澄は不思議そうにコクンと首を傾げる。 そして、拘束されている俺のズボンを下ろし、俺のモノを口に咥えた。 その光景に固まっている俺を気にせずに舌を器用に絡める。 「ふふ、大きくなりましたね、もういいでしょう?」 夜澄はそのまま俺に跨り、糸を引く自分の秘部を指で押し開いて俺のモノをあてがおうとする。 「おい、待てよ!! 俺らは兄妹なんだぞ!!」 「そうですね、それが何か気になりますか? そんな事、・・・・・・っん・・・・・・。」 そう言ってそのまま腰を落とす。 ぬるりとした感触と共にあっさりと入った。 404 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 00 32 ID ilFLI4vw 痛がる様子も無く、夜澄は気持ちよさげに腰を上下させる。 「やめろ!! やめろよ、夜澄!!」 俺の言葉など全く聞かずに夜澄はただ腰を振る。 快感だけに集中する夜澄には何も聞こえていない。 「・・・・・・んんっ、・・・・・・ひ・・・し・・・・・・りの兄様の・・・んっ・・・・・・体、 ・・・ん・・・いい・・です・・・凄くいい・・・ん・・・、くす・・・くす、分かり・・・ます・・・よ、 もう・・・・・・出ま・・・すね? ふふ・・・いっぱい・・・いっぱい夜澄の・・・子宮に・・・・・・。」 そう途切れ途切れに言って深々と夜澄は腰を落とす、その瞬間俺は腰が抜けるような快感を感じた。 暖かいものが自身のモノから流れ出す。 腰を深く落とし、恍惚の表情で夜澄はそれを受け止める。 頭から血の気が引いていく。 ああ、終わった、俺は妹の膣に、たっぷりと。 事が済んでしまってからも、まだ夜澄は蕩けた表情のままだった。 口からは涎も垂れている。 見た事も、いや想像だって絶対にした事がなかった夜澄の痴態がそこに有った。 もうそれ以上はそんな夜澄を見たくなかった、顔を横に背け目をつぶった。 それに気づいた夜澄が俺の顔を両側から掴み、強引に正面を向かせる。 「何をしてるんですか、兄様? まだまだ夜澄は足りませんよ? くすくす、勝手に終わらせないでくださいね?」 そう言って、体をぴたりと俺に付け腰の動きを再開する。 入れる、出す、入れる、出す…。 部屋の中にベッドの揺れる音と水音だけが響く。 3回目、4回目、5回目・・・。 405 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 01 02 ID ilFLI4vw ・・・・・・2時間? いや3時間くらいだろうか? 息が苦しい、頭はまだぼんやりとしている。 一方、さっきまで横ではぁ、はぁと激しく息を切らしていた夜澄はもう落ち着き、今は俺の腹に跨る格好で座っている。 「ふふ、兄様のお×ん×ん最高でしたよ、くすくす、本当に夜澄の子宮にぴったりと嵌って。 兄様、知っていますか? 兄妹同士のまぐわいは一番気持ちいいんですよ? もう兄様は夜澄以外の体では満足できませんね? 一生、くすくす。」 俺を見つめながら嬉しそうに夜澄は言う。 その言葉に我に返る。 俺は夜澄と、妹とセックスをしてしまった、いや、レイプされたと言ったほうが正しいのか…。 「本当に、気持ちよすぎて、…くすくす、たった一週間まぐわっていないだけで夜澄はおかしくなりそうでしたよ? はしたないですね、夜澄は、くすくす。」 「・・・・・・おい?・・・・・・一週間?・・・・・・一週間ってどういうことだよ・・・・・・。」 「くすくす、ですから一週間ぶりの兄様とのまぐわいですよ?」 また夜澄が笑い出す。この状況の何がおかしいのか俺には分からない。 「ふざけるな!! 俺はそんな事今までした事無い!! 無いに決まってる!!」 「あら、よく兄様は夜澄の所に来ると一緒にお昼寝して下さいましたよね?」 まさか・・・夜澄は・・・・・・。 「くすくす、ええ、実はですね、兄様に差し上げてたお茶に秘密がありましてね。 幸せに眠れるお薬と、くすくす、元気の出るお薬、が入っていたんです。」 「お前は・・・・・・、俺と一緒の夢を見てくれたんじゃないのか?・・・・・・」 「くすくす、ごめんなさい、それもウソ、です。 本当は、寝ている兄様のお召物を脱がせて、しゃぶって、犬みたいに腰を振って、お口いっぱいに含んで、 兄様の匂いのするお口で、目を覚ました兄様と、お父様とお母様のお話をしていたんですよ。 悪い子ですね? 夜澄は、くすくす。」 夜澄がまた笑う。本当に楽しそうに笑う。 「ああ、そうですね。いつもお母様の着物を着たままでしたから、 これにはきっと夜澄の汗とよだれとお汁と、くすくす、兄様の匂いがいっぱい浸みてますね?」 そう言って夜澄が着物の裾に鼻をあてて、すんすんと匂いを嗅ぐ。嬉しそうに良い匂いですよ、と笑う。 406 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 01 31 ID ilFLI4vw 気持ちが悪い。 俺はずっとそんな気持ち悪い着物の匂いを嗅いでいたのか、そう思うと胃の奥から熱いものがこみ上げる。 今まであそこで口にしたものを、肺に吸い込んだものを全て吐き出したい。 吐き気を堪えながら、聞きたくも無い質問を続ける。 「入院してから、ずっとそうしていたのか?」 「いえ、もっと前、二人で一緒に暮らしていたときからですよ。 くすくす、良く食事をしてそのまま寝てしまう事がありましたね。」 あの時は研究が辛いからすぐに寝入っているのだと思っていた。 あれも、夜澄の仕業だったのか。 「あの頃も、本当はそれなりに楽しかったですよ? いろんな夜澄の隠し味が入った食事を召し上がって頂いて、夜は夜澄をたくさん召し上がって頂いて。 もし、隠し味を知られてしまったら、夜、目を覚まされてしまったら、 兄様は夜澄をどうされるのでしょう? 夜澄は兄様をどうするのでしょう? そう考えながら、兄様の前では兄様が望まれる妹の夜澄を演じて、 くすくす、本当に心臓が止まってしまうかと思いましたよ?」 そんな話は信じたくない。 それが本当なら、俺の大切な家族は、そんな事をしておいて、笑顔ができる女だというのか。 俺の大切な夜澄は、毎晩、家族である俺を犯しておきながら、涙を溜めて、独りにしないでとあの時俺に抱きついていたというのか。 407 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 02 03 ID ilFLI4vw 「全部、嘘なんだろ? お前は、あんな生活には耐えられなかったんだよな!?」 「くすくす、これは全部本当、ですよ。ああでも、もう今の夜澄にはあの生活は耐えられませんね。 こうやって最愛の兄様から全てを奪って夜澄だけのモノにする、こんな気持ちいい事を知ってしまった今の夜澄には、きっと。」 「気持ち良いだと!? 俺は、お前の為に自分の夢も、将来も、エリスも裏切って一緒に居たんだ、それを知ってて言っているのか!?」 「ええ、もちろん知っていますよ。兄様が悩んだ末に一緒に居て下さるといった時の必死に未練を振り切ろうとする表情、 それに自らを売る前の晩にいらした時の苦悩しきった表情。 いつも決断を迫られる度に夜澄を想う兄様、夜澄を選ぶ兄様、ええ、それを思い出すだけでも、くすくす、胸が満たされます。 自分の夢より、体より・・・・・・、何よりも夜澄が大切、そんなに兄様から愛されているなんて、 やっぱり兄様は夜澄のモノなんだって、そう思うたびに、くすくす、夜澄は幸せものです、くすくす。」 「幸せ?」 「くすくす、両親も、夢も無くされて、ご友人も、大切な物はみーんな、夜澄の為に無くなっちゃいましたね。 最後に残っているのは最愛の夜澄だけ、夜澄は本当に幸せです、くすくす。」 理解が出来ない。 ただ自分の欲望の為に家族を騙して奪って、何の痛みも感じずに、自分が幸せだと言い切る夜澄が。 「これが幸せか? これがお前がずっと望んでいた幸せだっていうのか?」 「はい。これが夜澄の望んだ最高の幸せですよ。 他にどんな幸せがありますか?」 夜澄は最上の笑顔で応える。 俺がいつか見たいとずっと願っていた不安も憂いも浮かばない綺麗な笑顔で。 「どんな幸せだと・・・。」 幸せ、両親との最期の瞬間を思い出す。 あの時の両親の顔が浮かぶ、夜澄を幸せに、と言い、 存在しない右手を夜澄に向かって伸ばしていた母親の姿が浮かぶ。 絶対に違う、あの時おふくろが望んでいた夜澄の幸せはこんなものではなかった。 「お前は、おふくろ達には、後ろめたく思わないのか? 後悔しないのか? こんな風に兄妹でやっちまって・・・・・・。 ・・・覚えてるよな、あの時お前に手を伸ばしたおふくろの手をさぁ!? こんな事知ったらどれだけ悲しむか分かるよな!? 親父や、お袋に済まないと思うだろ!? 頼むよ、そうだと言ってくれよ!! 夜澄!!」 408 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 02 26 ID ilFLI4vw 必死の言葉に応えてくれたのだろうか、夜澄は真顔に戻り、物思いをしているようだ。 そして暫く考えた後、ちょっと困ったような顔をしてから答える。 「ん、兄様のお願いです、そうですと言いたいですが。 ・・・・・・全然、思わないんですよ。 ずうっと兄様は夜澄のモノなんですから、何に罪悪感を感じればいいんですか? ごめんなさい、何が悪いのか夜澄には本当に分からないんです。くすくす、困りましたね?」 夜澄はバツが悪いのか、照れくさそうに笑っている。 その表情は穏やかで、この場所には全く相応しくない。 「それに、実はお父様やお母様の事を夜澄は何にも覚えてないんです。 お母様の手の話だって兄様がそれを言うと構ってくれたから話を合わせていただけですから・・・・・・。 良く考えてください兄様、あんな小さい子供が細々としたことを覚えていますか? さっき言ったじゃないですか? 兄様以外の人間なんていません、って。 夜澄にとってはどうでも良いお人形さんが2つ減っただけですよ。 そんな事いちいち覚えていられるわけ無いじゃないですか? 私が覚えているのは、くすくす、今にも泣きそうな可愛らしい兄様のお顔だけですよ。 くすくす、今のお顔とそっくりでしたよ?」 夜澄の言葉にまるで針金をねじ込まれたように心臓が痛む。 それでも、そこで黙ってくれればまだ救いがあったのに。 「そうですね、他に覚えている事ですと・・・、」 なのに、夜澄は何かを思い出したようで楽しげに言葉を繋いだ。 「ああ、そういえばあの後、お手洗いで、くすくす、兄様の顔を思いながら、一人で慰めたら・・・、 くすくす、涙が出るほど気持ちよくって、あれより気持ちよかったのは、くすくす、兄様と一つになった時だけですよ?」 409 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 03 05 ID ilFLI4vw う・・・そだ。 体中の血が引く。 記憶が巻き戻る。 あの時に夜澄は確かに居なかった。 ならば、泣き崩れる俺を置いて夜澄は一人で、その涙を思い出しながら、随喜の涙を流して、 そして、ついさっきまで俺の腕を握っていたあの小さな手で、 「自・・・慰をしてのか? そんな事どうでもよくって。 お前にとっては親父もお袋もそんな事なのかよ・・・。 そんな事より、性欲の方が大事なのかよ・・・?」 「くすくす、そうですね? 少なくともお母様たちよりは、くすくす。」 「最低だよ・・・。お前は、最っ低の変態だよ!!」 今の絶望を俺はこんな風にしか表せない、その無能すら憎い。 「ふふ、兄様の大切な夜澄は本当に最低ですね? くすくす。」 気持ちよさそうに夜澄が言う。 そこには、昨日までのふっと消えそうだった儚い面影などはない。 そこに居る夜澄が誰なのか分からなくなってくる。 「お前は何なんだよ!? 何だったんだよ!? いつも俺の傍に居て、家族思いで、独りで、寂しくて、黙ってやさしい笑顔を向けてくれた夜澄は何だったんだよ!?」 「ええ、演技ですよ、それは。くすくす、夜澄はお利口さんですから。 夜な夜な兄と交わる気持ち悪い妹なんて、兄様望まれない事ぐらい分かりますよ。 お淑やかで、家族思いの妹の方が兄様はお好みですよね? よーく知ってましたよ。そして、必死にそれを演じきりましたよ、くすくす。 でも、もう隠す必要も無いですから。これが本当の兄様の大事な妹の、夜澄です。 気持ち悪いですか? くすくす。」 知られないように今までがんばりましたよと小さく胸を張り、くすくすと笑う。 「昨日の夜、俺を信じると言ってくれたのもみんな演技なのか!?」 「ええ、でも、信じていたのは本当です。 兄様のする事はみーんな夜澄の為になるって。 ちゃんと信じたとおりになりましたね、くすくす。」 その楽しそうな笑い方が煩い、耳に付く、くすくす、くすくすと。 何の罪悪感も無くこの状況で笑えるというのが理解できない。 「何が楽しいんだよ?」 「あら、何で楽しくないんですか? 夜澄は病気ではありませんでした、邪魔なモノは全てなくなりました、 そして兄様は夜澄のモノで、二人はずうっと一緒になりました。 ほら、ハッピーエンドじゃないですか?」 「ふざけるな!!」 410 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 03 31 ID ilFLI4vw 俺は激昂した。 「俺が夢を捨てて、親友を裏切って、体まで売って、 そこまでして求めたのはこんなお前との共同生活なんかじゃない!!! おれの夜澄は、お前なんかじゃない!! お前は家族でも、まして恋人でもない!! お前はただn「うるさいですね?」」ぱんっ、という音が響く。 異常者だ、と言い切る前に夜澄に平手で殴られた。 「夜澄のモノがそういうお口をきいてはダメですよ。 夜澄を拒絶するのも不愉快にさせるのも禁止ですからね?」 そう言って夜澄はさっきまでの笑顔をそのまま凍らせたような表情で俺を見下ろす。 まるで本物の人形のようだと思った。 そしてふっと表情を緩めると、俺の口を塞ぐように口付けをした。 手馴れた動作で口に舌を捻じ込み、絡めて、くちゅくちゅと音を立てる。 5分はそれを続けただろうか? 夜澄はやっと満足したようで、ゆっくりと口を離した。 「んんっ、はぁ、はぁ・・・・・・。 ふふ、あんまり夜澄を困らせないでくださいね。 あんまり意地悪な事を言われちゃうと夜澄は傷ついちゃいますよ?」 「何がモノだよ、俺は俺だ、なんでも思い通りに出来るとおもうな!!」 「くすくす、今日の兄様はとっても意地悪さんですよ? このままでは兄様を夜澄の思い通りにはできませんね。 でも、ついちょっとだけ意地悪し返したくなっちゃうかもしれませんよ? 兄様は痛いのが好きですか? くすくす、恥ずかしい事は? 熱い事や苦しい事は? ふふ、どんな意地悪をしようか迷っちゃいますね? 」 夜澄は上機嫌で俺の顔に手を当てて愛しげに撫でる。 それは愛しい人に笑顔で投げかけるような言葉では無いのに。 気に入らない事をすれば拷問まがいの行為で矯正すると脅迫しているのに。 なのに、その表情は子供みたいに楽しそうだ、まるで何をして遊ぼうか迷っているかの様に。 411 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 04 04 ID ilFLI4vw 「なあ、夜澄は俺のことを愛してるんだよな・・・・・・?」 「ええ、何よりも。」 「だったら、」 「でしたら?」 夜澄は不思議そうに小首を傾げる。 「だったら、どうしてこんな事出来るんだよ!?」 「こんな事、あら、どんな事ですか?」 「俺から何もかも奪って、俺の思いを裏切った事に決まっているだろ!?」 「ふふ、簡単じゃないですか、愛しているからですよ。 くすくす、決まっているじゃないですか?」 夜澄は俺の質問がさも馬鹿らしいというように、笑う。 「愛しいから、自分のものに、独占したい、閉じ込めたい、どんな手段でも・・・・・・・、くすくす。 それこそが正しい愛なんですから。好きな人の幸せを想うなんていうのは歪んだ、唯の自己愛ですよ?」 「ふざけるなよ、自分がしている事が分かっているのか? こんなのはただの強姦だ!! 相手を犯す愛なんてあってたまるかよ!!」 「ふふ、そういう様に言うのは、自分が可愛いからですね。 相手を傷つけたくない、なんてただの卑怯者ですよ? そんなの。」 あの気持ち悪い女みたいに、と夜澄が吐き捨てるように言い放つ。 「そういう綺麗事を言う人は嫌われて傷つく事を恐れる臆病者で、 くすくす、人形から非難をされるのが怖い卑怯者です。 後はきっと、恋人を壊して愛せなくなるのを恐れる愚か者ですね、くすくす。」 「そんな筈があるか!! 本当に愛しているなら!!」 そこで言葉は夜澄に遮られた。 「本当に愛しているならば? それならば、どんな中傷でも甘んじて受けるべきですよ。 犯して、壊して、禁忌も倫理も正義も、全てを捨てて手に入れるべきでしょう? そして、どんなに壊れた恋人でも、くすくす、ほら、笑顔で心から愛せるじゃないですか?」 夜澄は心からの笑顔で語りかける、凛とした声音には一点の濁りも無い。 きっとそれは妹の夜澄ではなく、本当の夜澄の笑顔なんだと思う。 412 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 04 35 ID ilFLI4vw 本当の夜澄の笑顔は真夏の星空の様に明るくて、とても綺麗だった。 だから、俺はやっと、俺の夜澄への思いは始まりから裏切られていたんだと認め切る事ができた。 夜澄を唯一の家族として愛していた、そして家族でいる為に何度も悩んだ。 でも、夜澄はその思いを理解してくれなかった、その代わりに利用して、そして愉しんだ。 今までも、これからも俺を夜澄だけのモノにし続ける為に。 ああでも、もう夜澄を責めるもの筋違いに思えてくるよ。 だって、ただ俺と夜澄の『幸せ』に不運な齟齬があっただけなのだから。 そして、二人同じ時間を過ごして、その中で別々のハッピーエンドを求め続けていただけだったんだからな。 結局、俺は何年も1人で空回りし続けていただけだった、ただそれだけの事だ。 「兄様ならば、分かることができますよ? だって、夜澄のモノなんですから。」 もう力の入らない体から空気が漏れるように答える。 「俺には、分からないよ。もう、無理だよ、ごめんな、俺はもうお前を愛せな・・・・・・ウグッ」 「意見の相違ですね? でも夜澄はそんな答え求めてませんよ?」 今度は踵が腹にめり込む。 夜澄は立ち上っていた、俺の腹を力いっぱい踏み躙りながら言葉を続ける。 「さっき言いましたよね、夜澄を否定するなって? くすくす。 まあ、それを思い通りにするのも、愛なのですね? それでも思い通りにならなければ誰にも盗られないように壊せばいい、くすくす。 夜澄はどんな宗一兄様でも愛せますよ? くすくす。」 だから、頑張って夜澄を愛してくださいね、とまた笑い出す。 「でも安心してくださいね、いきなりそんなもったいない事なんてしませんから。 何を考えれば夜澄の想いに添えるか、何をすれば夜澄の愛に応えられるか。 一つ一つ、ぜーんぶ教えてあげますからね。何度でも、何度でも出来るまで永遠に・・・・・・、くすくす。 だから、素直に従ってくださればちゃあんと夜澄を満足させられますからね。」 「そん・・・なの・・・壊れるのと・・・・・・何が……違うん・・・だ?」 夜澄がまた踏みつける。 「さっき言ったじゃないですか? 愛しています、って。 夜澄の言葉を忘れちゃだめじゃないですか。」 痛みと苦しさで朦朧としながら壁に掛かったカレンダーを見る。 売買された人間には一ヵ月後に形だけではあるが様子見が来る、最も今更開放された所で・・・、 413 裏切られた人の話4 sage 2010/07/11(日) 22 05 14 ID ilFLI4vw 「あら、日付が気になりますか? くすくす、大丈夫ですよ、すぐに夜澄と愛し合う以外考えられなくなりますから。」 足をどけた夜澄は俺に跨り、触れ合うぐらいに顔を近づける。 「夜澄は今まで兄様だけを愛して、これからも兄様だけを愛し続けます。 永遠に、ずうっと、ずうっと、ずーーーうっと兄様は夜澄だけのモノですよ? 絶対に手放したりなんてしませんからね、くすくすくすくす・・・・・・。」 見開いた夜澄の目が俺を見つめる。 欲望や嫉妬、狂愛でどろりと濁った瞳、なんてありふれた物は無かった。 夜澄の瞳はどこまでも、冬の夜空のように澄み切っていた、そして、そこにはうっすらと俺が写っている。 瞳に写る俺は涙を流していた、でも俺には何を悲しめばいいのかもう分からない。 これからは何に涙すればいいのかも夜澄は教えてくれるのだろうか? なにも分からない。どうして・・・・・・、 どうしてだ、今まで俺は何の為に? ―くすくす、夜澄のモノになる為ですよ。 お前は、これで、こんな事で本当に幸せなのか? ―ええ、これ以上の幸せなんて考えられないほどに、夜澄は幸せです。 そして、兄様もすぐ幸せになれますよ、くすくす。 俺の幸せは一体何なのかな? ―くす、『夜澄の幸せ』、ですよ、兄様? それが、自分の意思で紡ぐ事を夜澄に許された最後の言葉だった。 戻る 目次へ 次へ
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25話 秘められたる欲求 「殺し合いなんてしたくねぇ……」 狐獣人の青年、蒲生重勝は森の中で途方に暮れていた。 別に道に迷ったと言う訳ではなく殺し合いに巻き込まれた事に対してである。 彼はアダルトビデオで、女優に精液をかけたりするだけのいわゆる「汁男優」として出演し生計を立てていた。 本番こそ無かったが有名なAV女優に自分の精液をかけられるだけでも良かったし、 何より気持ち良くなれて金も稼げるのだから汁男優の仕事に満足していた。 そんな自分がまさか殺し合いなどに巻き込まれるとは予想だにしていなかった。 「死にたくねぇ……どうすっかなあ」 「あの……」 「えっ……うお! いつの間に」 いつの間にか背後に、学生服姿の少女が立っていた。 金髪で、中々の美少女だった。 ここで重勝は自分が油断し過ぎていた事を自覚する。 もしかしたら声も掛けられず殺されていたかもしれないのだから。 「あ、驚かせてすみません……私は殺し合いには乗っていないです」 「本当か? ……俺も乗ってはいないけど」 「私は、神楽坂雪子と言います」 「俺は、蒲生重勝」 「あの、蒲生さん……もし良ければ一緒にいては駄目でしょうか? 一人だと、怖くて、不安で……足手纏いにはならないようにしますから……」 「え? うーん……」 可愛い少女に一緒にいて良いかと訊かれ、重勝は少し悩む。 こんな殺し合いに巻き込まれ、不安なのは十分に理解出来る。 自分だっていつ襲われるか分からない恐怖はあった。 頼みを無碍に断るのも気が引けたので重勝は雪子の頼みを聞いてあげる事にする。 「別に良いぜ。俺も一人じゃあれだったし」 「本当ですか、ありがとうございます……あの、宜しくお願いします」 「ああこちらこそ」 「……蒲生さん、何を支給されたんですか? 私は、これなんですけど」 雪子が重勝に見せた物はグルカナイフ。 ククリとも言う「く」の字型に曲がった刀身を持った大型の刃物だ。 「でっけぇナイフだな……俺は、これなんだが」 「サブマシンガン、ですか」 重勝が雪子に見せた物は、フィンランド製の短機関銃、タンペレーン ヤティマティック。 少し上を向いた銃口とコッキングハンドルを兼ねた折り畳み式のフォアグリップが大きな特徴。 「セロテープで説明書きが貼っつけてあったから、使い方は大体分かった。 でも……これで人を撃ちたくはねぇな……脅しに使うぐらいにしてぇよ」 「人なんて殺したくない……ですよね」 「そりゃあそうだろ、いきなり殺し合いに放り込まれたからってはいそうですかって殺し合い出来る訳ねぇよ。 ……ただ、自分の身は守らなきゃいけないしな……そのためにもしかしたら相手を殺しちまう時も、あるかもしれない」 「そんな時が来なければ、良いんですが」 「だな……」 その後、二人は取り敢えず森を抜ける事にした。 この時、神楽坂雪子はある欲望を隠していた。 (滅茶苦茶にされたい……) 男に、蹂躙されたい。 身体をまさぐられ、犯されたい。 純潔を奪って貰いたい。 たっぷりと精を注がれたい。 殴られたい、首を絞められたい。 小便をかけられても肛門を舐めさせられても良い。 滅茶苦茶にして欲しい。 (蒲生さん……頼めるかなあ) その欲望を、蒲生重勝に叶えて貰おうと、雪子は考える。 【D-3/森/早朝】 【蒲生重勝】 [状態]健康 [装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40) [持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:雪子ちゃんと行動。 【神楽坂雪子】 [状態]健康 [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:蒲生さんと行動。蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。 《人物紹介》 【蒲生重勝】 読み:がもう・しげかつ 25歳。茶色の狐獣人。AVの汁男優として女優に精液をぶっかける仕事をしている。 本番こそ出来無いが気持ち良くなれて金も稼げ、本番程技量も必要無いのでこの仕事に満足している。 ジムに通っているためそこそこ引き締まった身体を持つ。 【神楽坂雪子】 読み:かぐらざか・ゆきこ 17歳。高校二年。金髪をポニーテール風に纏めている。某無双シリーズの王元姫に似ている。 家は資産家で、裕福な家庭に育つ。聡明で温厚、礼儀もしっかりしている上、巨乳でスタイルも良いと言う才色兼備。 だが、乱暴に男に犯され蹂躙されたい、奴隷になりたいと言うマゾな欲望を抱えており、 しかしその欲望が叶えられず人知れず悶々としていた所、今回の殺し合いに巻き込まれた。 024:占い師、妖狐、賞金稼ぎ 目次順 026:頭がパーン ゲーム開始 蒲生重勝 034:抑えきれぬ欲求 ゲーム開始 神楽坂雪子 034:抑えきれぬ欲求
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【29】賽は投げられた ウェアウルフの編集者の青年、ファビアンはこれから自分がするであろう事に神に許しを乞いたい気分であった。 担当している作家のアダルブレヒトは、殺し合いゲームに巻き込まれた事に憤慨していたが、 ゲームに乗る事自体は否定せず、自分に手伝えと、つまり同じように殺し合いに乗れと言ってきた。 断ればショットガンで身体に大穴を空けられるであろうから断る事は出来ず、彼はアダルブレヒトの猟犬となったのだ。 「{期待しているよ、ファビアン君、ウェアウルフとしての君の実力をね}」 「{余り戦った事は無いですがね……}」 森を出て草枯た手入れのされていない古い舗装路を歩く二人。 その背後から、全裸の竜人の少年が茂みから飛び出し二人に向けて発砲する。 「{うおっ、……何だ全裸の竜人の子供だと?}」 「{どういう経緯なのかは知りませんが……}」 「う、う」 竜人少年、信喜はいざ他参加者を見付け、襲ってはみたものの、怖そうな壮年の男性と強そうな長身のウェアウルフに、 怖気づいてしまい腰が引ける。 「{ファビアン君、小手調べだ。あの子供は任せる}」 「{……はい}」 ファビアンが信喜に近づいていく。 その双眸は普段の振り回される優しい彼の色は無く、獲物を捉えた獣の色。 それに見据えられた信喜は戦意など消え失せ、逃げようとした。 「ウガァウッ!」 獣の咆哮を発しながらファビアンは鋭い爪を信喜に振り下ろす。 信喜の背中が引き裂かれ、鮮血が古びたアスファルトの上に飛び散った。 痛い、痛い、痛いと泣き叫ぶ信喜。 しかしファビアンは手を緩めず、その細い首に食らいつき激しく左右に振り回した。肉が裂け骨が砕け、竜人の少年の命の火は消える。 「{上出来だ、やれば出来るじゃないかファビアン君}」 「{……こんな事、出来たくないんですよ?}」 「{服が血塗れだな、もう脱いだ方がいいんじゃないか?}」 「{……そうですね}」 血塗れになった衣服をファビアンは脱ぎ捨てる。 銀色の毛皮に覆われた引き締まった人狼の肉体が顕になる。 股間の逸物は何故かそそり立ち透明な粘液を垂らしていた。 「{ははは、獲物を仕留められて興奮してるのかな? 息子さんが元気になってるぞ}」 {{……認めたくないですけどねぇ……ふぅ……}」 自分が獲物を仕留めて性的な興奮まで感じているという現実に、ファビアンは少なからず落胆する。 だが、確かに満更でも無いとも思っていた。 【隆信喜 死亡】 【明朝/E-5道路】 【アダルブレヒト・ゲルデラー】 [状態]健康 [所持品]基本支給品一式、ウィンチェスターM1897(0/5、12ゲージショットシェル×10) [行動指針]殺し合いに乗る。ファビアン君は使えるな。 【ファビアン・グライスナー】 [状態]健康、全裸、軽い性的興奮、口元血塗れ [所持品]基本支給品一式、不明支給品 [行動指針]先生(アダルブレヒト・ゲルデラー)に従う。 前:無為はあらゆる不道徳の母 目次順 次:[[]] 前:危険な領域 アダルブレヒト・ゲルデラー 次:[[]] 前:危険な領域 ファビアン・グライスナー 次:[[]] 前:さっきまであった人影どこへやら 隆信喜 GAME OVER
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吏族被害者へのお盆の御供え: 共和国各地での復興作業にあたられた方、またご協力くださった方々には、本当にありがとうございました。 皆様のご尽力によって、被災地復興及び国民の帰還事業は、問題を抱えつつも順調に進んでいます。 必ずしも安全とはいえない場所で、吏族としての職務を全うし、難民となった方々の手助けをしてくださった事は誇らしいことです。 今後このような犠牲が出ることのないよう、さらなる努力をしてまいります。 復興作業で亡くなられた方の慰霊祭は合同で行いましたが、初盆のお供えをご遺族に送らせていただきました。 御霊が安らかでありますように。 吏族尚書 川原雅
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一人、雪原に残ってからどれくらい時間が経っただろう。 一時間?30分?それとも3分か? ただ一つ確かなのは、すでにロックの全身には無数の痣と刀傷があることだ。 致命傷こそまだないにしても、逃げながら戦っていた自分の動きがこうも捕らえられる、 この男の技量が半端ではない事を認めざるをえなかった。 握力がなくなり始めたことに気付いて、吹雪の剣を握りなおす。 どんなに傷ついても血で滑る事がない。片っ端から凍ってしまうからだ。 傷口にしても、外気によって塞がれてしまう。血は出ないが、体の底から冷えていく。 汗一つかいていないのに、ロックは息を荒げていた。 「どうした、口だけか」 セフィロスが嘲笑する。 一人雪原に残って自分を挑発してきた男が、自分の何かのワナにかけようとしていることはわかっている。 それが何か。他の者が逃げるまでの時間を稼いでいるのか、あるいは自分を葬り去る秘策があるのか。そんな事には、セフィロスは興味がなかった。 目の前にあるモノを破壊する、ただそれだけの原初のルール、それに従うまでだ。 「へ、俺一人さっさと殺せない奴のセリフじゃないだろ」 瞬間、ロックは飛び離れると、すぐさまロックのいた場所を白刃が通る。 二転、三転、転がって間合いを離すと、セフィロスに向けて切りかかる。 この男相手では鍔迫り合いになるのもマズい、ヒットアンドアウェイ、初手を打つと同時に逃げる、それを繰り返すしかない。 もちろん、そんな攻め方で倒せる敵などいないが、自分の役目は囮なのだから、これでよかった。 切り替えしたセフィロスの刃がロックの肩を掠める。 少し肉を持っていかれたが、ロックは意に介さず二度三度切り込んだ。 一撃目は半身を動かしただけでかわされ、二撃目はあっさり斬り弾かれる。 三撃目は、放つ前にセフィロスが蹴りを放ってきたので届く前に不発で終わった。 すぐさま間合いを離す。そしてまた同じことを繰り返すのだ。 最初の頃は余裕の表情だったセフィロスも、 次第に打ち合おうとしないロックに苛立ち始めたようだ。 剣筋は粗く鋭くなっていき、ロックはかわすだけで精一杯になる。 それでも攻撃の手を止めるわけには行かない。防戦一方になったら、後は逃げるしかなくなる。 自分の役目は彼を誘導しつつ、後続が体勢を整える時間を稼ぐことだ。 それが困難であることなど、最初から承知の上ではないか―――― そんなときだった。 二人の間に割って入る人影があった。 「な――――」 呆然とするロックを追い越して、彼女、アイラはセフィロスのほうへ歩いていく。 セフィロスを目指しているわけではない。彼などまるで無視して北に向かって歩いていく。 それがセフィロスの癇に障ったようだ。 ブゥン! 長大な刀が空を斬る。アイラはひらりと宙返りしてそれをかわした。 「ほう、道化か。やるな」 着地すると、アイラはダイアソードを抜いた。 何もしなければ無害だが、攻撃すれば反撃する。自分の邪魔をするものを排除する。 極めて原始的なロジックだった。 迫る正宗を気にせず、アイラはセフィロスに切りかかる。 今のアイラに恐怖と痛みという感覚はなかった。だからこそ、セフィロスという男だろうと躊躇いなく立ち向かう事ができる。 アイラの攻撃はかわされたが、殴りつけてきた…さすがに正宗で超近接戦は出来ない…セフィロスの拳を掴む。 「む…」 ぎし、とセフィロスの腕が軋んだ。ゾンビ化することで限界も外れているアイラの力はほっそりとした女性のものではない。 すぐさま、正宗の柄でアイラを殴り飛ばす。それは確かめるまでもなく浅い。 「ふん…いいだろう、殺してやる」 立ち上がるアイラに、初めてセフィロスは構えを取った。 両足を揃え、一方だけやや前に出す。胸のあたりで刀身が水平になるように正宗を持つ。 アイラはやや身を屈めるような格好で、剣を下段に構えた。 攻撃の応酬。 ロックはそれを呆然と見ていた。 だが、すぐに自分を取り戻す。この機会を逃す手はない。 二人の戦いを見守りながらセフィロスの隙を突いて切りかかる。 いまだセフィロスに一太刀も入れられないが、これならいけるかもしれない、ロックがそう思ったとき。 「調子に乗るな…見切ったぞ、キサマのその力」 セフィロスが大きく正宗を振りかぶる。ヤバい、とロックは飛び離れ、アイラはここぞとばかりに攻撃を仕掛ける。 刹那、セフィロスの攻撃!アイラはそれをダイアソードを翳して受け流そうとする… が、セフィロスの攻撃はアイラの首や胴を狙ったものではなかった。 「………」 半ばで軌道を変えた刃はアイラの左腕、肘から手首の間を綺麗に両断した。 ぼふ、と鈍い音を立てて、アイラの左腕が雪の上に落ちる。 途端にアイラの腕から地が噴出し、アイラは絶叫した。 「あ、あああ、ああああああああ!!!!」 跪き、落ちた腕を思わず掴む。 「妙だ思っていたが、それがキサマの力の源泉か。下らん」 アイラをゾンビかさせていた死者の指輪が腕ごとアイラの体から離れたことによって、呪いの効果が解除されたのだ。 死者として動いていたことによる負荷と、唐突に回復した自意識と痛覚がアイラの頭を混乱させる。 気が狂ったような絶叫にセフィロスは不敵な笑みを浮かべると、 ヒュン、軽く刃を振るう。それだけでアイラの命は終わる。 はずだったが、 「俺の前で人殺しなどさせないぜ!」 ロックの絶妙ともいえる横槍が入り、アイラは命拾いをした。 左腕を抱き、剣を握り、アイラは立ち上がって駆け出す。 どこからそんな瞬発力が生まれたのか、と問いたくなる勢いで。 「どこまでも邪魔をするか…!」 「当り前だ!何もかも思い通りにいくと思うなよ!」 セフィロスと切り結ぶロック。正直、体力は限界に近い。 だが、彼女のおかげで時間は稼げたし、恩を酬いるために彼女を逃がしてやりたい。 それに、奇襲ポイントまで後少しだ。後、もう少しなのだ。 一方、戦線を離脱したアイラは、森の中に駆け込んだ。 飛びそうになる意識をかき集めて、血を噴出す左腕を布で縛りつつ、必死に状況を整理する。 とはいえ、指輪を身につけた後の事は、あまり覚えていない。 ただ、自分に手を差し伸べてくれた人がいて、その手がとても暖かかった事ははっきりおぼえている。 「もう一度、逢いたいな。あの人に…」 持ってきた左腕で、紫色に鈍く光る指輪。 自分をわけのわからない状態に陥れた呪いの品。 だが、これを身につけている内は少なくとも痛みを感じることはなかったし、 体が動かなくなる事もなかった。 アイラはもう自分のものではなくなった左腕の指から、指輪を抜いた。 意識がもう、擦れ始めている。左腕から流れる血とゾンビ状態から戻ったことが重なって、 彼女の生命力はほぼ尽いていた。 何もしなければ、自分はすぐに死んでしまうだろう。 それがわかったから、アイラは残った右腕の指に、死者の指輪を嵌めた。 【セフィロス(負傷) 所持品:正宗(損傷) 基本行動方針:全員殺す 最終行動方針:勝ち残る】 【現在位置:東の平原、山脈の側】 【ロック 所持品:吹雪の剣 第一行動方針:交戦中、セフィロスを誘導する 第二行動方針:エリアを探す】 【東の平原、山脈の側】 【アイラ(ゾンビ・左腕欠損) 所持品:チェス板、駒 死者の指輪 ダイヤソード 第一行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探してついていく。死者の指輪が外れたら???】 【現在位置:東の平原、中央の森】 ←PREV INDEX NEXT→ ←PREV ロック NEXT→ ←PREV セフィロス NEXT→ ←PREV アイラ NEXT→
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伏せられた手札◆SqzC8ZECfY 「ところで君は……何故あの声のほうに向かわなかったのだね」 「……んー」 「大体は予測がつくが……その怪我と全員に支給されるはずのデイパックを持っていない点から考えるに、誰かに襲われ奪われたといったところか」 「やー、実はそーなんすよダンディなオジサマ。襲ってきた奴ってのがこれがまたすっげーおっかない奴でこの土御門さんもすっかり……」 「ふ……まあ、そんなことがあれば、あれが罠かもしれないと考えるのは無理もないだろうな。 だが……それを抜きにして、あの宣言の内容についてはどう思うか聞きたいね。 『人を殺すな』……どうだね。賛同するかい?」 「おおっ!? これはもしや試されている!? 迂闊に『はい』と答えたら『じゃあ殺しても文句ないな』でクビチョンパですか!? いやーそりゃあ人殺しはよくないっすよ、うんうん」 「……ふむ、まああの声の彼は罠など考えていまいよ。誰かが殺されてかけている状況で損得抜きに駆けつけるようなお人よしだ」 「およ? 知り合いっすか?」 「少し前に出会ってね……君も誰かの保護を受けたいなら彼のところへ行くといい。腕も確かだ。 一人でいるよりは安全だろうな。だが……」 「だが?」 「殺さないだけで問題が解決するか。答えはNOだ。ここから脱出できるわけでもなく、殺し合いが止められるわけでもない。 彼と共に自らの安全のみを手に入れても、ここから逃げられない限りはいつか殺しあわねばならない。 禁止エリアが狭まっていけば逃げ場を失い、やがて首輪が爆発するしかないからな」 「それが嫌なら殺し合えってことですかい?」 「そうだ。だから君が本当に生き残りたいのなら、最終的には彼を殺すしかない。私の見立てでは不意打ちでも相当に難しいと思うがね。 それほどまでに彼は強いと私は判断する。だからこそ始末が悪い」 「だがそれはアンタの話が本当ならって前提つきだと思うがにゃー?」 「それはその逆もまた然りだよ。あのヴァッシュ君の話を信じるかどうかというね。土御門君、だったかな?」 「ああ、その通り。土御門元春。アンタは?」 「サカキだ。ゆえに私は提案する。本当の意味で殺し合いを打破したいなら私と組めと。 そう、たとえ……ヴァッシュ君のいう『殺すな』というタブーを踏み越えることがあってもだ。 殺人を踏み越えてでも殺し合いを打破できるなら、それは僅かな犠牲を生むことになっても結果的に正しいのではないかね?」 「信用できるかどうかという根拠は?」 「そんなものは何処にも誰にもありはしない。ギラーミンが殺し合いに勝った者を生かしておくのかという点も含めてね。 ゆえに私は殺し合いに乗る価値を見出せなかった。だからこそ『打破』という選択肢を選んだのだ。君はどうするのだ?」 「……自分で選べってか」 「そうだ。一つ言っておくとするなら、怪我人で荷物もない君に対してわざわざこのような提案をしている点を考慮して欲しいがな。 そしてその怪我で、君はまさしく殺し合いの現実を身をもって知っている。私が注目したのはそこだ。君はその上でどういった判断を下すのかな」 「……」 ◇ ◇ ◇ 「ちょっとぉ、中心部に行くんじゃなかったの?」 「何のために中心部に行くのか? それは情報を集めるため、つまり他の人間と会うのに都合がいいからだ。 だが、学校も山のてっぺんに位置し、目印にもなりやすい。そしてここから近い。この際だ、寄っておくのも悪くないだろう」 「誰かがいるかもってこと?」 「ああ……そしてすでに複数の人間があつまっていれば得られる情報も増える。 さらに互いが殺しあっていた場合、誰かが殺されていれば首輪も労せずして手に入る」 「ま、別にいいけどぉ。二番目の放送でも大勢死んでれば色々と楽が出来るしねぇ」 「……」 「それと、あのお城の中の○なんだけどぉ……首輪が三つ必要ってことは三人殺す必要があるってことよねえ?」 「ああ、そうだ。首輪を集めるには首を切り落とさなければならない……死体から回収する手もあるが。それがどうした水銀燈?」 「あれはそんな三人殺すような、殺し合いに積極的な人間に対してのご褒美が用意されてるんじゃないかしらねぇ。だとすると……」 「ふむ……なんらかの強力な支給品というのがまず考えられるな」 「そうそう、それでバンバン殺してくださいって言ってるみたいに思えるわぁ」 「ふむ……」 「だからぁ、もうそろそろ積極的に行ってもいいと思うのよねぇ。いい加減、アンタの言うとおりじゃ稼げないわよぉ」 「我々の目標は生き残ることが前提であって、殺し合いで多く星を挙げることではない。前にも言ったはずだぞ」 「でもお城が禁止エリアになったりしたらどうするのよぉ? それを考えたら勿体無いじゃない。のんびりはしてられないわぁ」 「それは……ないだろう。少なくとも今度の放送、そしてもうしばらくは。ここまで大掛かりな仕掛けをわざわざ自分で潰すようなことはすまい」 「むぅ……」 「我々の同盟はほぼ形だけのものだが、それを繋いでいるのは互いの利益だ。今現在、君の利益を損なうようなことは私はしていないつもりだよ」 「……」 「さて……着いたぞ。学校だ。保健室をまず探そう。薬や包帯があればもらっておきたいからな。同じ目的で誰かがすでに来ているかもしれない」 ◇ ◇ ◇ 土御門とサカキは学校内にある教室のうちの一室にいた。 ちなみに上条当麻が園崎詩音に撃たれたのとは別の教室である。 日が差し込む教室に並ぶ机に思い思いの格好で座り、対話を進めていた。 サカキの問い――脱出と殺し合いの打破について。 土御門はそれに対して、その具体的な方法をまだ聞かされていないという当然の疑問を口にした。 「で、具体的にどうするつもりなのかにゃー? まさかここまで言って無策ですってのはお話にならんですよ?」 「ふむ、当然だな。ではそれを説明するために踏まえておきたい点がある。前回の放送で死者の名前が呼ばれたな?」 「……ああ」 一方通行。 そして……上条当麻。 彼らは死んだ。 あまりにもあっけなく現実味に乏しいほどだが、人が死ぬときなど得てしてそんなものだ。 土御門の脳裏に彼らの存在が蘇るが、だがそれは幻想だ。 彼らはもういない。あるのはかつて彼らだったモノだけだ。 ゆえにその幻想を振り払い、現実を踏破し、前へと進む。 そのために彼らの存在を思考から取り払う。 「それで?」 「うむ、そこで問題になるのは何故ギラーミンが死者を把握しているのかということだ」 「そりゃ……俺たちを監視してるからに決まってるですよ。まー問題はその方法ってとこですかい?」 「そう……効率的に考えるならば、監視カメラの類よりは私たちに発信機を取り付ける方法が妥当だろうな。これについて異論はあるか?」 この会場には無数の建築物が設置されている。 ゆえに高性能の衛星カメラでも屋内に潜り込んだ人間を監視するのは難しいだろう。 屋内にカメラを仕掛けるにしても、全ての建物に死角のないよう設置すればその数は膨大になる。 たしかにサカキの言うとおりに発信機を取り付ける方法が効率的だ。 「異論はねーっすよ。とりあえずアンタの説を採用するならどこに発信機が仕掛けられてるって話になるけどにゃー。 つかぶっちゃけ監視されてるってんなら、この会話も盗聴されてるんじゃねーすか?」 「ああ、そうである可能性は大きい。だが今のところ首輪を爆破されたりはしていない。 脱出など無理だと思われているのだろうな。私としてはありがたいがね」 「ほほー。で、なにやらすごい自信ですが肝心の具体策がまだですぜい?」 「そうだな。だが君の返事もまだ聞いていない」 今まで窓の外を眺めながら話していたが、そこでサカキは改めて椅子ごと身体を動かして土御門に向き直る。 ギロリと真正面から鋭い眼光をぶつけてきた。 おっかねーな、と内心で思いながらも表情は崩さない。 「君が私と会うまで、どういったスタンスで動いていたかは問わん。どうでもいいことだしな。 だがこのゲームで最後の一人を目指すというならやめておけ。ギラーミンが最後の一人になった者を生かす理由がどこにある?」 「生かす理由、ねえ……それを言うならこんなクソッタレサバイバルゲームを、俺らを巻き込んでやる理由自体がわかんねーっすよ。 分かってるのは俺たちが為す術もなく拉致られて爆弾取り付けられて監視されて殺し合いを強要されてるって事実だけですたい」 そうだ。 ギラーミンの言うことが本当だったとしたら突っ込みどころはいくつもある。 自分を倒せば願いは叶うとはいうが、ならば誰がその願いを叶えてくれるのか。そして誰がここから元の場所へ返してくれるのか。 さらに言えばこの名簿を見ても、ギラーミンが世界に名だたる猛者という割には土御門が知らぬ名ばかりだ。 一方通行と、超電磁砲こと御坂美琴についてはともかく、他は自分を含めてそこまで有名なのだろうか? だが、それでも、この首輪に命を握られ、このフィールドに閉じ込められ、そして監視されていることには変わりない。 「では殺し合いを続け、最後まで生き残ることを目指すと?」 「正直、この怪我じゃあキツイがにゃー。だが何の策も提示しない奴の根拠無い提案に乗っかるのもどうかと思うぜい。 ……ここでアンタを殺して荷物を奪うって選択肢もあるし、な」 その言葉とともに教室の空気が緊に張り詰める。 土御門は机をどけて椅子に両足を投げ出した格好だ。 対するサカキは正面、机に両肘をついてこちらを睨んだまま椅子に腰を下ろしている。 サカキは動かない。 土御門は投げ出した足を片方だけ引いた。 軽く踵を浮かした状態で、膝は正面に向ける体勢だ。 その脚で床を蹴ればすぐにも飛びかかれるということ。 空気が更に張り詰める。 互いが目をそらさず相手を見据えている。 「………………と、まあ悪ふざけはここまでにしておきますかにゃー」 土御門はそこでへらりとした笑みを浮かべ、全身を弛緩させた。 正面に向けた膝も同様に力を抜いてまた床へ投げ出す。 が、その刹那――、 「――ッッ」 土御門の全身のバネが跳躍運動のために駆動した。 爆発的な勢いでサカキが肘をついた机へと前蹴りを叩き込んだのだ。 重く鈍く、だが耳をつく強烈な金属音が生まれ、それはアルミ製の机がひしゃげるほどの威力を意味する。 椅子と机に挟まれ、サカキは身動きが取れなくなる。そのスキに決定的な一打を叩き込む――はずだった。 「な……!?」 土御門のそれは驚愕の表情だ。 サカキの腹部へと机を叩き込むべく全身の体重をかけて放った蹴りは、強烈な抵抗によってその威力を真っ向から受け止められていた。 抵抗の正体はサカキの腕力。 とっさに反応し、机を腕で押し返すようにして攻撃をブロックした。 サカキの顔に笑み。 「一旦、外して油断させてから奇襲か……オーソドックス過ぎてつまらん喧嘩のやり口だな」 「意外とやるですなぁ……こりゃ甘く見てたかにゃー?」 「ふ……わかったら座りたまえ。お待ちかねの策を提示してやろう」 見た目どおりの食えない男だ。 そう土御門は判断する。 だがここまでしてもあちらはまだ手を組もうとしているらしい。 余裕なのか、それともよほどこちらを買ってくれているのか。 前者であれ後者であれ、それは付け入る隙となるだろう。その理由を聞かないことには油断はできないが。 こちらが奇襲をかけたように、今度はあちらが油断した隙を突いて殺しにかかってくるかもしれないのだ。 とりあえずサカキのいうことを聞いて椅子へと座りなおす。 「んじゃ聞かせてくれ。その策って奴をよ。ついでに言えばなんで俺なんぞとそんなに組みたいのかも説明プリーズだにゃー。 念のためにいっとくとあっちの趣味はないから、そーゆーのは土御門さんお断りだぜい?」 「ふむ、では言ってやろう。策は…………ない。現時点ではな」 「……………………はい?」 ないといった。 この耳がイカレてなければ、確かにそういった。 説明するといっておきながら、ないといった。 ならばこの男は馬鹿なのか。 むしろあれか。カミやんか。無茶無策無謀の三拍子背負った超特大級の大馬鹿か。 「だからこそ……情報が必要なのだ」 「……お?」 危うくこの人物を超ド天然級命知らずお人よしの大馬鹿クラスと認定しそうになったが、どうやらまだ断定すべきときではないらしい。 サカキは淡々と言葉を続ける。 「これは君にとっては損のない話だ。そちらにまず必要なのは水と食料。そして襲撃者などの危険があった場合にその怪我を補う要素、つまり同行者の存在だ」 「その同行者に後ろからバッサリって可能性もあるのでは?」 「奪うための荷物もないのにかね? 現時点で君を殺す必要性は私には全くないのだ。ゆえに安心して欲しいと言っている。 欲しいのは情報だ。こればかりは死んでいては奪えないからな」 「じゃあ、その情報が手に入れば用なしズガン! ……とか」 そうであればわざわざ手持ちのカードを晒す馬鹿はいない。 土御門は言外にそういった意味を込めたということなのだ。 だがサカキはそれを聞いて、一笑に付すという言葉がぴったりの笑みを浮かべた。 「君はこの名簿に誰か知り合いはいるか?」 「ああ……三人いる」 嘘は言っていない。 そのうち二人がすでに死亡していたとしても。 「ならばその三人と接触する際には君が生きていたほうが情報を引き出せるだろう? それにしても具体的に誰とは言わないあたりは流石に用心深いな、くくく……」 つまりサカキは生きている土御門に用があるということだ。 土御門を殺す価値というものが、このサバイバルゲームにおいては現段階で際めて低いということもあるのだろうが。 サカキは言葉を続ける。 「この地図に記されているフィールドも実際に見てみなければ何があるのか完全に把握できるわけではない。 この名簿では私の顔見知りも何人か載っているが、彼らは確かにギラーミンのいう世に名を轟かせる『猛者』だ。 だが……それ以外の殆どは聞いたことがない名ばかりで、それは君もそうといえる。土御門、君はどこのポケモンマスターなのだ?」 「へ?……ポケモンってなんすか、ソレ」 マスターというからには何らかの称号だろうか。 しかしポケモンとは何ぞや? という、聞いたことのない単語に対して当然の疑問を返すが、それはサカキにとってかなりの予想外だったようだ。 先ほどの奇襲にも動じなかったその顔に驚愕の色が浮かび上がる。 「ポケモンを知らないだと? 馬鹿な、いったい何処に住んでいた!?」 「えー……なんかすっげー田舎者みたいに思われてませんかにゃー? 学園都市のど真ん中ですよ? 世界で一番有名といっても過言じゃない能力開発のメッカ!」 「知らん、いったいなんだそれは?」 「はいぃ?」 いったいこれはどういうことなのか。 学園都市は世界で唯一無二といってもいい特殊性と巨大さを併せ持つ、それゆえに誰もが認知する世界トップクラスの有名都市だ。 サカキのきちんとした身なりを見る限り、山奥から出たこともない仙人というわけでもないだろう。 だのに学園都市を知らない。ポケモンという理解不能な単語を知ってて当然というように語る。 何か決定的な食い違いがある。 それは一体なんだ、と土御門が考えようとした矢先に声が響いた。 「――それは君達がそれぞれ違う世界からやってきたということだよ」 その声は土御門でもサカキのものでもない。 教室の出口から聞こえてきたそれに振り向くと、そこにはいつの間にか仮面にマントというこれ以上ないくらいに怪しさ爆発の男が立っていた。 「な……」 サカキも言葉が出ない。 当たり前だ。 こんな変質者が突然現れれば無理はない。 だが仮面の男はこちらの驚きをどう受け止めたのか、軽く頷いて言葉を続ける。 「驚かせてしまってすまない。だが悪いとは思うが話は途中から聞かせてもらった……情報が必要ならば、この私が提供しよう」 「……はじめまして、私はローゼンメイデンが第一ドール。水銀燈よぉ。よろしくねぇ。そしてこの怪しい仮面はゼロっていうの」 今度はゼロとかいう仮面男の影から黒い翼の生えた西洋人形が現れた。 しかもその人形はその翼で浮いていた。 おまけに言葉も喋る。その声は本当に生きているかのような美しい少女のそれ。 その翼と同じ色の黒いゴスロリ衣装が、その長く真っ白な髪を引き立たせていた。 「な、なんとー! 近頃の萌え業界における技術発展は凄まじいと聞いてはいたが、まさかこんな高性能フィギュアまで開発されていたとはー!? あれですか? カスタムメイドですか? あなたのお好みに合わせて改造可能ですか!? ひょっとしてダッチ――ぎゃあっ!?」 その言葉を遮って黒い羽根が飛翔する。 風を切り裂き、土御門の脳天をかすめ、それはカツンと音を立てて教室の壁に突き刺さった。 水銀燈という人形の翼から放たれたものだった。 思わず土御門が椅子から腰を浮かせる。 「……言葉の意味は良くわからないけど何となく腹が立ったわぁ」 「落ち着け、水銀燈……言っておくが彼女は機械の類ではないらしい。ローゼンメイデンという名の生きた人形だ。 抽象的な物言いかもしれんが、そうとしかいえないのだから仕方がない」 仮面の男――ゼロが説明する。 サカキがここで口を開いた。 「非常識だな……だが、違う世界から来たということは自分の世界の常識が通じないと……そういうことなのか?」 「そういうことだ。話が早くて助かるよ。さて、つまりギラーミンは時空を超える……まさに非常識な力を以って我々をここに呼び寄せたということだ。 どうする。殺し合いを打破するとはその力の持ち主を敵に回すということだぞ。わかっているのか?」 「…………」 サカキの沈黙。 ゼロ、水銀燈も彼の挙動を見守る。 土御門もその例に漏れない。 やがてその口から教室の重い空気を打ち破る声が生まれた。 「……ただ命が惜しいだけならどこかに隠れて引きこもっているだろうさ。絶望するのは手を尽くしてからでいい。 とどのつまりが性分でね。このまま奴に屈するのは我慢がならないというだけの話だ」 「ではまだ諦めるつもりはない、と?」 「ああ。さて、情報をありがとう。君はそれと引き換えに何を得るつもりだ? ボランティアというような輩には見えないが」 「もちろんだ。こちらも君たちが得た情報を提供してもらう。それぞれの目的のために。生き残るために。互いのカードをな」 ゼロが椅子を一つ掴み、引き寄せてから脚を組んでどっかりと腰を下ろした。 水銀燈という人形も、ゼロと少し離れた位置にある机の上に膝を折って座りこむ。 サカキは変わらず机に肘をつき、座ったまま動かない。 立っているのは土御門だけだ。 「……」 じっとりと嫌な汗が浮かぶのを止められない。 教室の空気が重苦しくなっているのを嫌が応にも感じ取れる。 人間、非情になれる奴はなれるが、なれない奴はどうやってもなれないものだ。 そしてこの連中は非情になれる連中だ。同類である自分には直感的に分かる。 現段階で怪我を負い、支給品を持たない自分はいつ切り捨てられてもおかしくはない。 サカキはともかく、ゼロと水銀燈に関してはその目的すら不明瞭なのだから。 間違っても油断は出来ない。 この交渉は気安くできるものではない。 誇張ではなく命がけになっても不思議ではない。 「どうした?」 サカキの声。 探り合い、化かし合い、騙し合い――――上等。 胆をくくる。 最後の一人、土御門元春が席へと着いた。 「――――では、始めようか」 【B-2 学校内の教室(上条が撃たれた教室とは別)/一日目 昼】 【ゼロ@コードギアス ナイトメアオブナナリー】 【状態】:健康 【装備】:大戦槍@ワンピース 【道具】:基本支給品一式、MH5×4@ワンピース、治療器具一式 【思考・状況】 1:ナナリーの捜索。そのために情報を集める。 2:ナナリーの害になる可能性のある者は目の届く範囲に置く、無理なら殺す。 3:中心部を目指す。 4:『○』に関しては…… 5:ギラーミンを殺して、彼の持つ技術を手に入れる。 6:自分の身体に掛けられた制限を解く手段を見つける。 7:『○』対する検証を行うためにも、首輪のサンプルを手に入れる。 【備考】 ※都合が悪くなれば水銀燈は殺すつもりです。(だがなるべく戦力として使用したい) ※ギラーミンにはタイムマシンのような技術(異なる世界や時代に介入出来るようなもの)があると思っています。 ※水銀燈から真紅、ジュン、翠星石、蒼星石、彼女の世界の事についてある程度聞きました。 ※ナナリーの存在は水銀燈に言っていません ※会場がループしていると確認。半ば確信しています ※古城内にあった『○』型のくぼみには首輪が当てはまると予想しています。 ※ヴァッシュの声を一通り聞きました 【水銀燈@ローゼンメイデン】 【状態】:健康、服に若干の乱れ 【装備】:卵型爆弾@バッカーノ、強力うちわ「風神」@ドラえもん、 【道具】:基本支給品一式、ランダム支給品0~1 【思考・状況】 1:優勝を狙う。 2:しばらくはゼロと組んで行動する。 3:『○』についてはどうしようかしら……。 4:守るべき者って……バカバカしい。 【備考】 ※ナナリーの存在は知りません ※会場がループしていると確認。半ば確信しています ※古城内の大広間に『○』型のくぼみがあります。このくぼみに何が当てはまるかは不明です。 ※ヴァッシュの声を一通り聞きました 【サカキ@ポケットモンスターSPECIAL】 [状態]:健康 [装備]:投擲剣・黒鍵 5/10@Fate/zero、防刃ベスト@現実 [道具]:支給品一式×3、電伝虫@ONE PIECE×2、破魔の紅薔薇(ゲイ・シャルグ)@Fate/Zero 忍術免許皆伝の巻物仮免@ドラえもん、和道一文字@ONE PIECE、シゥネ・ケニャ(袋詰め)@うたわれるもの、謎の鍵 [思考・状況] 基本:ゲームを潰してギラーミンを消す 1:同士を集め、ギラーミンへの対抗勢力を結成する(新生ロケット団) 2:土御門、ゼロ、水銀燈からなるべく多くの情報を集める。 3:ヴァッシュとの合流。 [備考] 第三部終了(15巻)以降の時間から参戦。 ※康一、ヴァッシュの名前はまだ知りません。 ※詩音を『園崎魅音』として認識しています。 ※ギラーミンの上に黒幕が居ると推測しています。 ※表記されている道具のほかに、通常のベストが一着、デイパックに入っています。 ※防刃ベストは通常のベストに偽装したもので、銃弾等を防ぐほどの性能はありません。 ※B-2・森にベナウィの死体、広瀬康一の死体が放置されています。荷物は空のデイパックのみです。 ※ヴァッシュの声を一通り聞きました 【土御門元春@とある魔術の禁書目録】 [状態]:左の肩付近に軽傷。肋骨1本骨折。失血で衰弱。超能力により自動回復中(微弱) [装備]:レナの鉈@ひぐらしのなく頃に [道具]:なし [思考・状況] 基本:どんな手を使ってでも学園都市に帰る 1:殺し合いに生き残る 2:あくまでも証拠は残さずに、目立つ行動は取らずに行動。 3:駆け引きを駆使してなるべく自分に有利な状況を作り上げる。 [備考]: ※ウソップの本名を把握していません。 ※地図や名簿は大まかに把握しています。 ※会場がループしていることに気付いていません。 ※ヴァッシュの声を一通り聞きました。 ※原作4巻以降、原作9巻以前からの参戦です。 【治療器具一式】 ゼロが保健室から調達した包帯、ガーゼ、消毒液などの簡単な医療器具セット。 時系列順で読む Back 忍び寄る悪意 Next ――――――geass 投下順で読む Back 私らしくあるためのImagine(幻想) Next ――――――geass Back Next 合言葉はラブアンドピース(後編) サカキ それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(前編) 合言葉はラブアンドピース(後編) 土御門元春 それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(前編) 合言葉はラブアンドピース(後編) ゼロ それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(前編) 合言葉はラブアンドピース(後編) 水銀燈 それは誰にも聞こえぬ歌――勇侠青春謳(前編)
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このページはこちらに移転しました 禁じられた言葉 作詞/325スレ84 『逢いたい』なんて 言えるハズないんだ 君とは 遠すぎて この思いとどかないから あぁ、眠れない夜 1人ですごした なんども 訪れていた そう、いつしか2人 距離が出来たにさえ気付いていなかった 闇が足元 暗くして 暗渠へと誘われる 遠くの 真相知りたくて 興味本位の挑戦 『逢いたい』言ったわけないじゃん そんな強がり いいたくないのに 口を伝って宙にまう 『逢いたい』なんて 言えるハズないんだ 君とは 遠すぎて この思いとどかないから
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私がウェブページをつくることにしたきっかけ 2011年3月11日のことです。風の強い日でした。このころ、私は中部地方にて日々の生活を送っており業務で車を運転中で、ちょうど赤信号で停止していたとき、車がゆらゆらと揺れました。同乗者と、これって風じゃないよね?、ラジオつけてみたら?、などといいう話になり、ラジオをつけて、「宮城県で震度7」等のニュースが流れてきました。ひどい寒気に襲われました。東北の親族、友人、知人のことが頭をめぐり、仕事に手がつかなくなったのを覚えています。津波、原発、火災の情報がつぎつぎと入ってきます。 次の朝に、親族とその家族の安否が確認でき、一安心しました。この一晩はニュージーランドの地震でのご家族の気持ちがわかったような気がしました。 その後原発の爆発事故が起こってから、親族に避難を強く勧め、一時期中部地方に避難してきましたが、入学式が行われることをきっかけに、今ではまた、東北で生活を送っています。 この震災で亡くなられた方々の冥福をお祈り申し上げます。今の私にはこの震災を生き延び、東北で生活されておられる方々に合わせる顔がありません。原発で命がけで作業している方々に頭があがりません。私はこの震災が起こってから、関係者の方々に対して、ほとんどなにもすることができていないからです。現状安全な中部地方で日々の生活をおくることで精いっぱいです。 人一倍、罪悪感を感じているのは、10年間仙台に学生として住んでいたことがあり、放射線を取り扱っていた経験もあるからです。専門家ではありませんが、そのころの知識と照らし合わせて、情報がない中、いいかげんなことをいってパニックにならないように、しばらくは助言をその親族にしか言っておりませんでした。それでも分かることは多々ありました。テレビでは急性の症状にしか触れていないこと、海水の注入はいいがその出口について触れていないため汚染が海水や地中や空気中なのに広がるだろうということ、同心円の避難区域はおかしいこと、いつ爆発してもおかしくない状況が続いていたこと、現場の方々が映画になってもおかしくないほど当初から命がけで最善をつくしていることなどです。それらをすぐに報道しない意味は想像できました。パニックを防ぐためです。そういうやり方をした上で同時に国民の安全安心を考えた計画的な対応を推し進め、計画的に公表するものと信じることにしていました。しかし、年間限度を20ミリシーベルトとした政府の発表をきき、その危険性についてもわかりにくくしか述べない、その考え方に賛同することが全くできなくなりました。 私は、毎日のNHKの朝の連続テレビ小説を楽しみにしております。録画して時間があるときに見ています。先日ためてあったこの番組をすこしずつ消化していくとき、だんだん3月11日の回が近付いてきました。あぁ、あと○○日で地震が起こる、という視点で眺めるようになり、とうとう3月11日がきました。この番組を私と同じように楽しみにしていた、この震災で亡くなられた方々の日常はここでぷっつりと切れてしまったのです。涙が止まりませんでした。もしも3月11日以前に戻れるとしたら、私はここから逃げろ!とあらゆる手段を使って言いまわるに違いありません。 では、20年後、私が今に戻れるとして、何か後悔することはないか、と思ったのです。間違いなく涙を流して同様な後悔をすることでしょう。わかっていて、だまって、なにもしなかったことに対して。 だからこのウェブページを制作しました。私自身のために、親族のために、友人知人のために、これまで私が支えられてきた会ったことのない人々のために。私たちの子孫のために。 不安になる話は聞きたくないという方もいらっしゃるとおもいます。そのような方はこのウェブページを見ないよう、お願いいたします。私は、将来のリスクの現状分かっている可能性を正確に踏まえた上で、覚悟の上で生きていきたいという考え方なのです。原発のリスク管理と同じです。想定外の事故が起こった場合の効率的な対処は誰にもできません。だから想定をできるだけ広げておきたいというのが私の考え方です。 そのうえで、今個人個人でできることはなんだろうか、とおもっています。 私はこのウェブページがある程度の形になって、公表できて、初めて、東北の知人の安否を確認することができる心境になることができると思っています。それまで、合わせる顔が全くないのです。 どうぞご理解を賜りたく、存じます。 よろしくおねがいいたします。 追伸:このウェブページの写真は2003年6月29日の仙台市野草園で撮った思い出の写真です。東北の友人・知人はいまどうなっているんだろう。。。
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25話 秘められたる欲求 「殺し合いなんてしたくねぇ……」 狐獣人の青年、蒲生重勝は森の中で途方に暮れていた。 別に道に迷ったと言う訳ではなく殺し合いに巻き込まれた事に対してである。 彼はアダルトビデオで、女優に精液をかけたりするだけのいわゆる「汁男優」として出演し生計を立てていた。 本番こそ無かったが有名なAV女優に自分の精液をかけられるだけでも良かったし、 何より気持ち良くなれて金も稼げるのだから汁男優の仕事に満足していた。 そんな自分がまさか殺し合いなどに巻き込まれるとは予想だにしていなかった。 「死にたくねぇ……どうすっかなあ」 「あの……」 「えっ……うお! いつの間に」 いつの間にか背後に、学生服姿の少女が立っていた。 金髪で、中々の美少女だった。 ここで重勝は自分が油断し過ぎていた事を自覚する。 もしかしたら声も掛けられず殺されていたかもしれないのだから。 「あ、驚かせてすみません……私は殺し合いには乗っていないです」 「本当か? ……俺も乗ってはいないけど」 「私は、神楽坂雪子と言います」 「俺は、蒲生重勝」 「あの、蒲生さん……もし良ければ一緒にいては駄目でしょうか? 一人だと、怖くて、不安で……足手纏いにはならないようにしますから……」 「え? うーん……」 可愛い少女に一緒にいて良いかと訊かれ、重勝は少し悩む。 こんな殺し合いに巻き込まれ、不安なのは十分に理解出来る。 自分だっていつ襲われるか分からない恐怖はあった。 頼みを無碍に断るのも気が引けたので重勝は雪子の頼みを聞いてあげる事にする。 「別に良いぜ。俺も一人じゃあれだったし」 「本当ですか、ありがとうございます……あの、宜しくお願いします」 「ああこちらこそ」 「……蒲生さん、何を支給されたんですか? 私は、これなんですけど」 雪子が重勝に見せた物はグルカナイフ。 ククリとも言う「く」の字型に曲がった刀身を持った大型の刃物だ。 「でっけぇナイフだな……俺は、これなんだが」 「サブマシンガン、ですか」 重勝が雪子に見せた物は、フィンランド製の短機関銃、タンペレーン ヤティマティック。 少し上を向いた銃口とコッキングハンドルを兼ねた折り畳み式のフォアグリップが大きな特徴。 「セロテープで説明書きが貼っつけてあったから、使い方は大体分かった。 でも……これで人を撃ちたくはねぇな……脅しに使うぐらいにしてぇよ」 「人なんて殺したくない……ですよね」 「そりゃあそうだろ、いきなり殺し合いに放り込まれたからってはいそうですかって殺し合い出来る訳ねぇよ。 ……ただ、自分の身は守らなきゃいけないしな……そのためにもしかしたら相手を殺しちまう時も、あるかもしれない」 「そんな時が来なければ、良いんですが」 「だな……」 その後、二人は取り敢えず森を抜ける事にした。 この時、神楽坂雪子はある欲望を隠していた。 (滅茶苦茶にされたい……) 男に、蹂躙されたい。 身体をまさぐられ、犯されたい。 純潔を奪って貰いたい。 たっぷりと精を注がれたい。 殴られたい、首を絞められたい。 小便をかけられても肛門を舐めさせられても良い。 滅茶苦茶にして欲しい。 (蒲生さん……頼めるかなあ) その欲望を、蒲生重勝に叶えて貰おうと、雪子は考える。 【D-3/森/早朝】 【蒲生重勝】 [状態]健康 [装備]タンペレーン ヤティマティック(40/40) [持物]基本支給品一式、タンペレーン ヤティマティックの弾倉(3) [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:雪子ちゃんと行動。 【神楽坂雪子】 [状態]健康 [装備]グルカナイフ [持物]基本支給品一式 [思考] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。 1:蒲生さんと行動。蒲生さんに滅茶苦茶にして欲しい。 《人物紹介》 【蒲生重勝】 読み:がもう・しげかつ 25歳。茶色の狐獣人。AVの汁男優として女優に精液をぶっかける仕事をしている。 本番こそ出来無いが気持ち良くなれて金も稼げ、本番程技量も必要無いのでこの仕事に満足している。 ジムに通っているためそこそこ引き締まった身体を持つ。 【神楽坂雪子】 読み:かぐらざか・ゆきこ 17歳。高校二年。金髪をポニーテール風に纏めている。某無双シリーズの王元姫に似ている。 家は資産家で、裕福な家庭に育つ。聡明で温厚、礼儀もしっかりしている上、巨乳でスタイルも良いと言う才色兼備。 だが、乱暴に男に犯され蹂躙されたい、奴隷になりたいと言うマゾな欲望を抱えており、 しかしその欲望が叶えられず人知れず悶々としていた所、今回の殺し合いに巻き込まれた。 024:占い師、妖狐、賞金稼ぎ 目次順 026:頭がパーン ゲーム開始 蒲生重勝 034:抑えきれぬ欲求 ゲーム開始 神楽坂雪子 034:抑えきれぬ欲求
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