約 74,366 件
https://w.atwiki.jp/qbtd/pages/656.html
No.528 レアリティ:☆ ライフ:5 必要アビリティ:(なし 攻撃力/防御力:-/10 アビリティ:パワー1 バランス1 テキスト (テキストなし) (距離制限なし) 収録セット 第5弾 逢魔の女王編(アナリスタ・アルドラ・アイリ・アレイン・リスティ・ユーミル・カトレア・ニクス・メナス・メルファ) イラストレーター えぃわ 混合デッキ用「ライフ5」用カード。 デッキに投入する場合には「リスティ 上段防御」を優先したい。
https://w.atwiki.jp/qbtd/pages/869.html
No.OG073 レアリティ:☆☆ ライフ:5 必要アビリティ:(なし) 攻撃力/防御力:-/10 アビリティ:ゲイト2 テキスト (テキストなし) (距離制限なし) 収録セット クイーンズゲイト Vol.1 (いろは・アリス・舞・いんく) イラストレーター 泉まひる 定番となる「ライフ5」用カード。 ゲイト勢は混合コストを含む「ライフ5」カードが攻撃力を持たなくなったことに加え、 「いろは 背後をとる」をプレイするに当たり、「ゲイト」コストが「2コスト」必要となっているため、 「混合デッキ」を構築することが難しくなっている。 混合デッキを組む場合でも「クイーンズブレード」のカードを可能な限り軽くした上で、このカードにライフを 任せるのも選択肢の1つとなるだろう。その際には、ゲイトコストから「スピード」コストを賄うためのプランを、 十分に検討しておこう。
https://w.atwiki.jp/qbtd/pages/662.html
No.535 レアリティ:☆ ライフ:5 必要アビリティ:(なし) 攻撃力/防御力:10/10 アビリティ:パワー1 スピード1 テキスト (テキストなし) 距離制限:(距離制限なし) 収録セット 第5弾 逢魔の女王編(アナリスタ・アルドラ・アイリ・アレイン・リスティ・ユーミル・カトレア・ニクス・メナス・メルファ) イラストレーター みぶなつき ユーミル待望のライフ5で攻撃力を持つカード。 このカードの登場で、ようやく混合デッキ相手にも現実的に先行後攻を争うことができるようになった。 パワーやスキルのカードは高コスト帯に強力なカードが多いため、無理に高コスト帯に手を伸ばすよりは 背後をとるのみ採用するスタンスの方が結果として効果的なことも多い。今後の研究を待ちたい所だ。
https://w.atwiki.jp/gspink/pages/367.html
というわけで、とりあえず作品投下。注意書きよく読めやろうども。 【注意書き】 ・はみみつ ・バレンタインデーネタ ・季節がらのネタなので大したオチはない ・だいぶ前に書いたので、もしかしたら前回投下分よりエロくないかもしれない ・以上に興味を持てないひとはスルー では投下!! 「春美くん。これをきみに……」 仕事から帰ってきた夫は、手に大きな花束を抱えていた。赤いバラを基調とした豪華な花束を受け取って、春美は目を丸くする。 「まあ! すてきな花束ですね。どうかされたのですか?」 問うと、夫である御剣がすこし恥ずかしそうに目を伏せた。春美はついつい、そんな姿が愛らしい、などと思ってしまう。 一回り以上も年が違うのに、生意気でしょうか、という思いが浮かんで消えた。 「うむ。今日はバレンタインだからな。私から妻であるきみへのプレゼントだ」 「ばれんたいん? 何なのですか、それは」 大きな目を丸くする妻を見て、御剣はやっぱり知らなかったか、と小さくつぶやいた。 「愛する人へ贈り物をする日、とでも言えばいいのか……。日本では恋人同士で行う行事のようだが、アメリカやヨーロッパでは、 親しい間柄の者たちで、カードやプレゼントを交換する風習がある。普段言えない、感謝の気持ちを伝える日、と言ったところか」 「まあ。母の日、のようなものですか?」 「……少し違う」 春美は違いがよくわからなかったが、どちらにしても御剣の気持ちがこの花束なのだと知って、顔を綻ばせた。とても、嬉しい。 「ふふ、ありがとうございます。れいじさん」 「……きみがよろこんでくれたのなら、それでいい」 御剣も表情を和らげて微笑んだ。その笑みに春美はうっとりと見とれたが、次の瞬間にこの世の終わりを知ったような絶望的な表情を浮かべる。 「あ! でもわたくし、れいじさんに差し上げるもの、何も用意していません!!」 「ああ、別にかまわない」 「でも……わたくしも、れいじさんにお世話になっている気持ちをお伝えしたいです!」 「……お世話になっている?」 御剣の眉間のしわが深くなった。春美は、何かおかしなことを言っただろうか、と戸惑う。 「え、ええ……。だって、今住んでいるこの部屋だって、れいじさんのお家ですし……それに、わたくしの学費も、 今は里からではなくてれいじさんが支払ってくださっていると聞きました。わたくし、いつ返せるか、全然わかりません……」 春美がそう言うと、御剣は大きなため息を吐いた。眉間には、深いヒビ。 「春美くん……。きみは、私の妻だ。一緒に住むのは当然だし、妻の学費を払えないほど、収入は少なくない」 「で、でも……」 「頼むから、“世話になっている”などと他人行儀なことを言うのはやめてくれ。……とてもさみしい」 御剣のその言葉に、春美は胸を打たれた。とても、悲しい顔をさせてしまった。 「ごめんなさい。れいじさん……違うんです。お世話になってるのも、ありますけれど。 でも、やっぱりわたくし、れいじさんが好きなんです……。その気持ちを、少しでも伝えたいです」 今にも泣き出しそうな春美の顔を見て、御剣は妻の細い身体を抱きしめた。 「……なら、私が欲しいものを、ひとつもらおうか」 「! 何ですか? わたくしが用意できるものでしたら、何でもします!!」 ころりと表情を変えて、勢いよく御剣を見上げる春美。そんな春美を見て頬を緩ませた御剣は、愛らしい妻の唇をさっと奪った。 「今夜のきみを、もらえれば」 それだけで、私は満足だよ。 耳元で囁かれて、春美は顔を真っ赤にした。 「そ、それでは、いつもと同じではありませんか……」 「ああ。私は毎晩欲しいものを、愛する妻からもらえる幸せな男だな」 「もう、れいじさんったら……ん……」 可愛い抗議を唇で塞いで、御剣は妻を寝室へと運んだ。 * * 妻の身体をベッドへ座らせて、御剣は己の胸に抱きよせた。彼女の身体からは、いつもの陽だまりの匂いがする。 その香りにしばし酔いしれて、御剣は柔らかな髪に口づけを落とした。すると、いつも決まってくすぐったそうに身をよじるのが、春美のくせだった。 「ふふ、くすぐったい」 「なら、やめようか」 御剣が微笑みながらそう言うと、春美はちょっと膨れて男を見上げた。 「もう、れいじさんったら、意地悪です」 その妻の仕草がかわいらしくて、御剣はみっともなく相好を崩す。きっと、部下が見たら卒倒してしまうに違いない。 そんな顔も、彼女が好きだと言ってくれるから、別に問題はないのだが。 「意地悪だろうか。……きみには、特別優しくしているつもりなんだが、な」 額をくっつけて、春美の顔を覗き込む。長いまつ毛と大きな瞳が、恥ずかしそうに震えていた。 「れ、れいじさんは、優しい、です……」 そう言ったあと、春美は御剣にちゅっと、軽く音を立てて口づける。不意打ちだったために、御剣が頬を赤くした。 「でも、もっと、優しくしてください……。れいじさん……?」 春美も頬を赤くしながら、そんなかわいらしいことを言う。 ああ。本当に、私の妻は可憐だ。 すっかり妻の愛らしさに参ってしまった御剣は、たまらず、桜色の唇に食らいついた。 「ん、ふっ、う」 「む、はぁ……春美、くん……」 唇を重ね合わせ、舌を丁寧に絡ませ合う。もうすっかり慣れた様子で応える春美の感触が心地よくて、 御剣はなかなか口づけを終わらせることができないでいた。 「んん、き、きもち、いい、です……れいじさん……」 「私も、とても気持ちいい……」 春美の瞳は、酸欠と御剣の舌技ですっかりとろりと虚ろになっている。御剣は着物の合わせ目を崩し、 手を差し入れて柔らかなふくらみに触れる。両手を使ってふくらみをもみしだくと、春美はぶるりと身体を震わせて、熱い吐息を漏らした。 それに気を良くした御剣は、立ちあがり始めた乳頭を舌で撫で上げる。 「ぁあ、ん、れいじ、さん……」 上ずった声で名前を呼ばれて、御剣はさらに高ぶる。御剣が数度頂きを舐めあげると、春美のそれは完全に固く立ち上がった。 そのしこりを口に含んで、ちゅうと音を出してきつく吸い上げる。 「ふ、あぁ……! れいじ、さんっ」 「……なんだろうか?」 快楽に身体をよじる仕草が、たまらなく色っぽい。そんな興奮を押し殺して、御剣は妻に応えた。 胸まで桃色に染め上げて息を荒くする妻は、涙目になりながら御剣を見つめる。 「そ、その……む、胸、だけでは……」 「……足りないか?」 妻の喉につっかえた言葉を引き取ると、彼女の顔は羞恥に赤く染まる。 その様子が、また愛らしい。 御剣は誘われるままに、性急に帯をほどいて着物を脱がせる。春美はあっという間に生まれたままの姿にされ、 薄暗い光の中でシーツの海に横たわった。白く、柔らかそうな肌が室内の明かりで照らされて、 まるでそれ自体が光を放っているようだ。御剣は吸いつくような肌の感触を楽しみながら、太ももを撫でる。 春美は身体をぴくりと敏感に反応させ、身体を緊張させた。これからの快楽の予感に、目をぎゅっと瞑る。 御剣はそんな春美の仕草を見ながら、太ももから蜜壺へと手を滑らせた。すでにそこは、十分なほど潤んでいる。 その潤みへ、性急に指を突き入れる御剣。春美の細い身体が、大きく跳ねた。 「ふあ! あ、んっ……! そんな、急に入れては、だめですぅ……」 「ん? そうか。だが、中は随分ぬるぬるしている。本当は、感じているのではないか?」 夫の煽る言葉に、春美は顔を真っ赤にして視線をそらした。2本の指でぐちゅぐちゅとかき回すと、さらに蜜があふれて御剣の手を濡らす。 「あ、あ! だめ、っ!」 こんなにされては、もっと、あ、あふれてしまいますっ! 男の指を容易に受け入れ、さらに貪欲に“欲しい”とねだる自分の身体の浅ましさに、春美は羞恥を感じた。 それは、結婚して数か月経った今も変わらない。 「恥ずかしいっ……! だめ、っ」 「恥ずかしい? なぜ」 「だって、こんな、すぐ……。もの欲し気にするなんて、はしたないです……」 春美らしい考え方に、御剣は笑みを深くする。 「私が、そうした」 「え?」 「きみがそういう身体になるように、私がしたんだ。だから、春美くんは気にしなくてもいい」 春美は、夫の言うところがいまいちよくわからない。しかし、彼が自分を安心させようとしている気持ちは伝わってきた。 「わたくしは、このままで大丈夫なのですか?」 「ああ。不満などない」 「……なら、いいです」 そう言って、春美は御剣の唇にちゅっと口づけた。 「もっと、たくさんしてください……」 「……うむ」 しとやかな妻の不意打ちに、御剣の鼓動は高鳴った。一度指を抜き、春美の足を大きく開かせる。 愛液を滴らせた秘所は、ひくついて興奮しきっていた。桃色に染まって立ち上がる豆粒を、ゆっくりと舌で嬲る。 「ん、あんっ……はぁ……」 快感に小さく跳ねる妻の身体を押さえつけながら、御剣は執拗にそこを味わった。 室内には、ぴちゃりぴちゃりと卑猥な水音と可憐な嬌声が満ちる。 「あ!? れいじさん、舌っ……!」 春美が大袈裟なほど身体を震わせる。御剣の舌が、春美の秘所へと侵入したからだった。 舌で内壁を探ると、春美の息は一層熱を帯びる。 「んぁあ……! はぁっ……、れいじさぁんっ! わたくし、もうっ……気持良すぎてっ……!」 「くちゅっ……ん、イきたいのなら、イくといい……」 御剣はさらに舌を奥へとねじ込み、一層激しく内壁を舌で刺激した。春美の弱い部分もきつくさすられ、春美はとうとう限界を迎えた。 「ふ、あああっ!」 ひと際高い声を上げ、春美の身体はすぐに弛緩した。舌を抜き、身体を震わせる妻の様子を、目を細めて見つめる御剣。 「春美くん、大丈夫だろうか」 「う……ふぁい……らい、じょうぶ……れす」 「そうか。よかった」 そう言った瞬間、大股を開いている春美の中央へ、御剣が自らの剛直を突き入れた。突然の圧迫感に、春美は声を失う。 「……!! れ、れいじさ……!」 「私はまだ、何もされていないから……。早く、入れたかった」 声は穏やかなのに、腰の動きは激しい。達したばかりで敏感になった春美の中は、早くも御剣をぎゅうぎゅうと締め上げている。 「あ、あついっ……れいじさ、いつもよりっ……あついぃ」 「きみも……っ、随分と狭いっ」 夫の動きに飲み込まれ、再び快楽で頭が真っ白になろうとしてる春美だったが、突如その快楽に終わりが来る。 御剣が動くのを止め、春美の身体を持ち上げて自分へと跨らせた。 つながったままの移動に感じながらも、春美は戸惑いの視線を夫へ向ける。 「あ、あの……れいじさん……?」 「今日は、きみからキスしかしてもらっていないから……それでは、私がさみしいだろう?」 だから、きみが動いてくれ。 そう言われて、春美は顔を真っ赤にしながら途方に暮れた。そんなの、したことがない。 「う、うごくって……その、どうすれば……ああんっ!!」 「ほら、ここがきみの好きな場所だろう? 自分でこすりつけるんだ」 下から見事に自分の弱い場所を突き上げられて、春美は荒い息を吐き出す。 いつも、彼がしてくれていることを、自分でする……。それは何だか、とても恥ずかしいような気がした。 いいえ、春美はひるみません!! れいじさんを悦ばせるためですもの! そう覚悟を決めた春美は、ゆっくりとだが腰を上下させ、抜き差しし始めた。 その刺激は、ひどく御剣を焦らしたが、妻の初々しい所作を眺めるために何も口を挟まなかった。 「んん……っ! こ、こうで、だいじょうぶですか……?」 「……もっと、激しい方が春美くんの好みではないか?」 「いや……そんなこと、おっしゃらないでください……」 全身を興奮と羞恥で真っ赤にする妻の愛らしさに、御剣に悪戯心が沸いてきた。 自分の胸板に添えられた手を掴み、春美の身体の後へと持っていく。 次いで春美の膝を立てるように足を引っ張ってやった。そうすることで、春美の赤く染まった身体が 一望できるようになる。繋がった部分まではっきりと見ることができて、その卑猥な光景に、御剣はひそかに生唾を飲み込んだ。 そんな姿にされていると今ひとつ自覚のない春美は、その経験のない体位に首をかしげた。 「あ……? れいじさん、これは?」 「こうした方が、よくなれる」 「そ、そうなのですか? れいじさんはものしりですね」 こういうのは物知りとは言わないだろうと思いながらも、春美に動くように急かす。春美は、やはりゆっくりと腰を上下させ始めた。 「ん……! あ、あ!! やぁ……ちから、はいりませんっ……」 今まで前傾姿勢で抜き差しと自分の体位をコントロールしていたのに、その支えが無くなっただけで、 うまくコントロールできなくなってしまった。自分の意志とは裏腹に、どんどんと奥まで入っていってしまう。 その奥まで入り込んだ刺激に耐えられなくなりそうで、春美は慌てて腰を引くのだが、それも上手くいかずに御剣の上で 厭らしく腰をくねらせるだけとなっていた。ぐちゃぐちゃと、妻とつながっている部分から醜悪なものが出し入れされているのを見て、 御剣は快楽でおかしくなりそうだった。 全てを曝け出した妻の卑猥な踊りと、自らに絡みついてくる刺激に、御剣は眉根を寄せ、荒い息を繰り返した。 「はぁ、いい……春美……。とても、上手だ……」 「あんっ……! ほ、ほんとに……? ああぁんっ!」 妻の舌足らずの嬌声と、すっかり溶けた瞳で、二度目の絶頂にほど近くなっていることを悟る。 そんな妻の快楽をさらに促すように、充血して愛液にまみれる突起を指でいじった。 「ひゃあああ!! だ、だめですぅ……! それは、ほんとにだめぇ……!!」 「っう! すごく、ナカが締め付けてきたぞ……」 「んああ! れいじさんも、すっごくおおきくて、かたくてぇ……っ! わたくしっ……」 「……そろそろ、一緒にいこうか……春美……」 そう言うや否や、御剣は春美の身体を押し倒し、硬直した雄を春美の最奥へと突き立てた。 経った数度の抜き差しで、春美はあっという間に頂点まで上り詰める。 「ん、あ、あ、ああああああああ!!!」 「くぅ……!!」 春美が達した収縮で、御剣も絶頂にたどりつく。たっぷりと精を放つ快楽を味わって、気を失った春美を抱きしめた。 * * 「ばれんたいんとは、とても大変なのですね」 後始末を終えてから、意識を取り戻した春美が、まだ恥ずかしそうに身を小さくしてつぶやいた。 「私はとても楽しかったのだが……」 ベッドの上で逃げようとする春美の身体を追いかけて、腕の中に閉じ込める御剣。 「あれは毎年しなくてはならないのですか?」 「ム……嫌だろうか?」 「そ、そうではないのですが……」 「なら良かった。実は来月、ホワイトデーという、バレンタインのお返しの日があるのだ。 これは日本だけの風習だが……。今日は春美くんがとても頑張ってくれたから、私も来月は“お返し”をしようと思っていた」 「!!!」 「受け取ってくれるだろうか……?」 夫に真剣な瞳で見つめられ、春美はううと声を漏らす。 あんなの、そんなにたくさんできません……。でもでも、れいじさんがしてくれるのはうれしいです……。 結局春美は、小さくこくりと頷いた。その仕草を見て、御剣は満足そうに笑う。 「そうか、よかった」 「あの……れいじさん?」 「なんだろうか」 「ばれんたいんとは、日本では恋人同士が行う行事なのですよね?」 「そうだ。愛を確かめ合ったり、告白したり……まあ、色々あるようだが」 「では、わたくし、とっても大切なことを言っていません」 春美の言葉に、不思議そうな表情をする御剣。春美は真剣に御剣を見つめて、 まるで初めて告白してきた時のように頬を赤らめる。 「あの、わたくし、結婚してからもずっとれいじさんが大好きです。 れいじさんは……わたくしのこと、好きでいてくれますか……?」 唐突な愛の言葉に、御剣は驚きと嬉しさを同時に感じて、一瞬固まってしまった。 そして、次にはみっともないほど相好を崩し、この世で一番可愛いと信じて疑わない妻を抱きしめた。 「ああ。……もちろんだとも、春美……」 腕の中で、妻が微笑んだ気配がした。 おわる
https://w.atwiki.jp/qbtd/pages/989.html
No.QR070 レアリティ:☆ ライフ:5 必要アビリティ:(なし) 攻撃力/防御力:―/10 アビリティ:リベリオン1 スピード1 テキスト あなたは、メインフェイズでサイニャンのカードを2枚まで 出すことができる。 (距離制限なし) 収録セット クイーンズブレード・リベリオン 叛乱の騎士姫編 (アンネロッテ・ヴァンテ・ターニャン・シギィ) イラストレーター 中野友和
https://w.atwiki.jp/qbtd/pages/432.html
No.365 レアリティ:☆ ライフ:5 必要アビリティ:(なし) 攻撃力/防御力:10/10 アビリティ:バランス1 スピード1 テキスト (テキストなし) (距離制限なし) 収録セット 戦闘教官アレイン プレミアデッキ 第3弾 美闘士集結編(アイリ・クローデット・ノワ・メローナ・(アレイン)・(アルドラ)) イラストレーター 松竜 アレインで混合デッキを組む場合に基本となる「ライフ5」用カード。 また必要コストがないため、単色よりの混合デッキではサポート用カードとして 採用される場合もある。
https://w.atwiki.jp/qbtd/pages/107.html
No.091 レアリティ:☆ ライフ:5 必要アビリティ:(なし) 攻撃力/防御力:-/10 アビリティ:スピード2 テキスト (テキストなし) (距離制限なし) 収録セット 牙の暗殺団 構築済みデッキ 第1弾(レイナ・トモエ・リスティ・ユーミル・エキドナ・ニクス) イラストレーター F.S ライフカードとして使うのが最も多くなるだろうカード。デッキの安定感を増すためには最も選ばれやすい。 また、必要アビリティがないため、多色デッキを組む場合に選択される可能性もある。
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3934.html
「…決めた」 シエスタがヴァリエール邸に押しかけてきた次の日。 肘関節を脱臼して右腕を三角巾で吊られている才人に『あーん』するシエスタをテーブルの対面からジト目で見ていたルイズは、不意にそう言った。 「あら、婚約は時機尚早だとようやく悟りました?」 『サイトさんのメイドでいます』とか言いながら、やっぱり虎視眈々と才人を狙う黒髪のメイドは、スプーンを握り締めて嬉しそうにそう言い放つ。 あにいってんのよ婚約は決定事項なの、いい加減諦めたらどうなのこの平民女、ナニを言うんですか、まだ『婚約』ですから破棄する自由もサイトさんにはありますよミス平面胸、とか言い合いながら朝食をほっぽって取っ組み合いを始めた二人に、才人は。 「で、何を決めたんだよ?」 シエスタの上に馬乗りになって、お互いの髪を引っ掴んで引っ張り合っていたところでルイズは止まる。 それに合わせたようにシエスタも動きを止める。 そしてルイズは言った。 「…お父様に報告するわ。 姉様たちのことも、シエスタのことも含めてぜーんぶ、ね」 才人の顔から血の気が一気に引く。 今となっては二人の新居の目の前となった、湖での一件が思い出される。 やばいまずい俺殺される。 「あら、そんなことしたら一直線に婚約破棄ですわね♪ やっぱりサイトさんには私のような大き目の」 「だまんなさいこのバカ乳娘」 「ぐえ」 シエスタの口を手で塞ぐと、ルイズはシエスタの頭を床に押し付ける。 シエスタはもがもがと暴れるが、何故かルイズの手を振りほどけないでいる。 そしてルイズは、才人から顔を逸らしながら言う。 「い、言っとくけど婚約は破棄なんかしないかんね! わ、私の経歴にそんな傷付けられちゃたまったもんじゃないわ! い、いいこと、お父様に報告するのは、アンタを反省させるためなんだから! 婚約破棄なんか絶対しないんだから!分かってる?」 才人からは見えなかったが、下に組み敷かれているシエスタからは、ルイズが真っ赤になっているのが見て取れた。 ほんと、こういう見栄っ張りな所直せばもう少し可愛げもあるんでしょうけどー、などと抑え付けられながら思うシエスタだった。 そして舞台はヴァリエール本邸。 ルイズの申し出により、ヴァリエール家の一同がその食堂に勢ぞろいしていた。 まだ細かい事情を知らないヴァリエール公爵は才人と逢うなりにこにこしながら『久しぶりだな婿殿!』と言いながら才人の肩をばしんばしん叩いていた。 才人が三角巾で腕を吊っている事はあまり気にしていないようだ。 その公爵が最も上座の席に座り、その右側に公爵夫人、その隣にエレオノール、カトレアと続く。 そして公爵夫人の対面にルイズが掛け、その下座に才人、その脇にシエスタが控える。 前菜が運ばれてくると、ヴァリエール公爵が口を開いた。 「で、何だねルイズ、家族みんなで話し合いたい事とは」 ルイズは呼吸を整え、そして目の前に座る姉二人に、まるで敵対する氏族を見るような視線を送る。 二人はその視線に、エレオノールは赤くなって目を逸らし、カトレアは笑顔で受け止める。 そして、空気を全く読まずに才人の口に前菜を運ぶメイドにガンを飛ばした後。 ルイズは事の次第を話し始めたのだった。できるだけそういう描写は伏せて。 そしてルイズが話し終わると、公爵は眉間に皺を寄せ、その皺を右手で揉み解した。 「なるほど…」 はぁ、と公爵は深いため息をつく。 心なしか怒りを抑えているようにも見える。 死んだ。俺死んだ。絶対死んだ。 さようならお母様。才人は日本から説く離れた地で星になります…。 そしてルイズ。短い間だったけど、幸せだったぜ…。 才人は天を仰ぎ、涙する。 「サイトさんっ?どうしたんですかサイトさんっ?」 急に泣き出した才人にシエスタが声を掛けるが、才人は聞いていない。 シエスタ…君にも、世話になったっけなぁ…。 「エレオノール。例え研究に必要だからといって、妹の婚約者から採取するのは感心せんな」 「は、はい、お父様…」 しかし。 才人の想像とは裏腹に、公爵の言葉は、なんとエレオノールに向いていた。 「ちょ、ちょっと、お父様っ?」 ルイズは思わず立ち上がり、公爵に食って掛かる。 しかし公爵は涼しい顔で応える。 「ルイズは黙っていなさい。 エレオノールは単に研究のために、婿殿から採取を行った。そうだろう?」 「え、ええ…そうです」 赤くなって俯きながら、エレオノールはそう応える。 驚いてエレオノールを見つめる才人と、ちらりと顔を上げて、なんと才人の方を見たエレオノールの視線が見事にぶつかる。 ぽんっ、と音を立てそうな勢いで真っ赤になって、エレオノールは才人から視線を逸らした。 え、なに?今の反応なに? メガネ美人のお姉さんが俺の方見て赤くなってるよ?つか軽く萌えたんですケド。 さっきまで死を覚悟していた人間とは思えないほどデレった顔で、才人はエレオノールを見る。 その二人の間に流れるなんだからストロベリィな空気に、ルイズは苦虫を噛み潰したような顔になる。 そうして才人の方を見ていると、同じように苦虫を噛み潰しているシエスタと目が合う。 そしてルイズがこくん、と頷くと、シエスタは涼しい顔で。 ぶぎゅる。 「いだっ…!」 思い切り才人のつま先を踏み潰した。 才人は必死に声を抑え、シエスタにあにすんだよ、と視線を送るが、シエスタは知らん振りを決め込む。 三人がそうしている間にも、公爵は話を進めていく。 「そしてカトレア。元気になったというのは本当かね?」 「はい、お父様♪」 公爵の質問ににっこりと答え、カトレアは懐に隠していた杖を取り出し、呪文を詠唱する。 すると、食べ終わった前菜の皿がふわりと浮き上がり、控えていた給仕の牽くワゴンの上にかちゃかちゃと重なる。 「この通り、カトレアは元気になりました」 以前なら気軽に魔法など使えないカトレアだったが、今は魔法を使ってもけろりとしている。 「でも…」 不意に、カトレアの表情が曇る。 そして続ける。 「定期的に『お薬』を摂取しないと、ダメみたいなんです」 「そ、そうなのか?」 「はい」 もちろん『お薬』というのは才人の精液なのだが、直接的な表現はアレなので避けている。 「そういうわけでルイズ、定期的にサイト殿をお借りする事になるけど、いいかしら?」 言って笑顔をルイズに向けるカトレア。その笑顔には一切他意はない…ように見える。 「え、あの、その」 一瞬戸惑うルイズであったが、カトレアの笑顔に思わず。 「い、いいけど…」 そしてその返答を聞くなり、カトレアは才人の方を振り向く。 「と、いうわけでこれからもよろしくお願いしますね、サイト殿♪」 にっこり笑うカトレアにつられて、だらしなくにへらと才人も相好を崩す。 ルイズが親指で首を掻き切るジェスチャーをすると、シエスタが目にも留まらぬ速さで手刀を才人の喉笛にクリーンヒットさせる。 「げほ!げほ!」 咳き込む才人に全員の視線が集まるが、その時にはシエスタは既に才人の斜め後方に涼しい顔して下がっており、何が起きたのかは当人達にしか知る由はない。 さらに公爵は続ける。 「で、だ。そこに控えるメイドとのことだが」 その言葉にシエスタは一瞬ぎくりとする。 そしてルイズに、私たち友達ですよね、見捨てたりしませんよね、と笑顔を向ける。 あにいってんのよ誰が友達よこの淫乱メイド、屋敷の外に放り出されるがいいわ、としたり顔でルイズは視線を外す。 しかしルイズの思惑は見事に外れる事となる。 公爵はにっこり笑って言ったのだった。 「英雄色を好む、というではないか。 妾の一人や二人、いて当たり前だよ。なあ婿殿?」 そして才人にウインクなどする。 正直親父のウインクなど気持ち悪いものでしかなかったが、才人はなんとなく笑顔で相槌を打つ。 公爵は気をよくしたのか、席を立ってすたすたと才人の所まで歩いていき、肩など組んで語りかける。 「なぁに、わしも若い頃はぶいぶい言わしたもんだ。 婿殿はまだ大人しいほうじゃて。わしの若い頃なんぞ妻と同時に四人と」 その瞬間。 ばこん!とすごい音を立てて、食堂の大テーブルが揺れた。 公爵夫人が犯人だった。 公爵夫人はゆらりと立ち上がると、満面の笑顔を公爵に向けた。 それと同時に三姉妹の喉がごくりと鳴る。 公爵夫人は、にっこり笑いながら言った。 「あなた。すこぉしお話したいことがございます。 ちょっと外出ろやゴルァ」 笑顔のまますごい迫力でそう言って、ものすごい黒いオーラを身に纏い、すたすたと軽快に公爵夫人は食堂から出て行く。 ぱたん…とあまりにも静かに食堂の扉が閉じ、公爵夫人の姿をかき消した。 公爵は才人の肩を抱いたまま真っ青な顔で固まっている。 そして、部屋の扉の外から大音声が響いた。 『駆けあーーーーーーしッ!』 「い、いえす、まむ!」 真っ青な顔のまま、公爵は駆け足で妻を追った。 一瞬で静かになった食堂で、給仕達が何事もなかったかのように三姉妹と才人の前にメインディッシュを持ってくる。 三姉妹は全員そろってほう、とため息をついた後、気を取り直して食事を始めた。 才人は呆気に取られ、何も言葉が出ない。 そんな才人に、ルイズは警告する。 「食べておいたほうがいいわよ」 そしてそれにエレオノールがメインディッシュの鴨肉にナイフを入れながら続ける。 「これから、長時間の公開処刑が始まるから」 カトレアはあらあら困ったわ、という顔をしていたが、すぐに執事のジェロームを呼びつけて、言った。 「部屋と温室のお花たちに、水やりをお願いねジェローム。あと動物達の餌も」 「かしこまりました、お嬢様」 才人は我に帰ると、ルイズに尋ねた。 「も、もしかして、このウチで一番怖いのって…」 「母様よ。間違っても逆らわないようになさいサイト。 あと早めにソレ片付けたほうがいいわよ。たぶんあと半日はモノを口に入れられないから」 そう言うルイズの皿の上は、すでにつけ合わせの温野菜が残るのみだ。 そして才人は慌てて皿の上の料理に手を出そうとする。 その瞬間。 ばたぁん!と物凄い音を立てて扉が開く。 そこから現れたのは。 騎士装束に身を固めた公爵夫人と、その手に吊り下げられてぼっこぼっこにされて原型を留めていない公爵がいた。 「さてそれでは」 にっこり笑いながら公爵夫人は。 「家族会議を始めましょうか♪」 公開処刑の開始を告げたのだった。 結局、家族会議は公爵の過去のおいたを散々暴き立てる事に終始して、終了を迎えた。 別邸に戻ったルイズと才人は、疲れきってベッドに横になる。 「つ、疲れた…」 「あ、あんな荒れた母様初めて見たわ…」 仲良くベッドに伸びきって二人は同時にため息をつく。 そしてルイズは気付く。 「あー!アンタの処遇をどうするか忘れてたじゃないのっ!」 言って才人の鼻先にびしっ!と指を突きつける。 「ま、まあいいじゃないか、婚約破棄にならなかっただけ」 「そうです、ありがたいと思わないと」 いつの間にかベッドに腰掛けていたシエスタが才人に続ける。 「なんであんたまだ居るのよ!出て行きなさいよ!」 「私はサイトさんのメイドですっ!サイトさんがお暇を出さない限り私はサイトさんと一緒ですよーだ!」 掴みかかるルイズに、あっかんべーで応えてシエスタは言う。 そのまま、二人は取っ組み合いの喧嘩を始めてしまった。 才人はベッドの上で、大の字になって思った。 結局、変わらないまんまかぁ。 ため息をついて、喧嘩を続ける婚約者とメイドを眺めて、才人はまどろんでいった。 これから始まる、苦難の日々を想像すらせずに。 〜つづく
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/653.html
「こなた~、髪の毛梳かすからこっち来て」 「あ~い」 かがみの言葉に、こなたは狐耳をぴょこん、と揺らしながら頷くと、かがみの元までとたた、と駆け寄りました。 子狐のこなたがかがみのお家に来てから、もう、大分時間も経ち。すっかりと、人間の姿でいることにも慣れ、かがみもまたその状況を自然として受け入れていて、こなたの世話を率先してやるようになりました。 櫛を持ってこなたを手招きするかがみ。その目の前まで行ってかがみを見上げるこなたは瞳を僅かに潤ませていて、満面の笑顔。それに、無意識にでしょう、その尻尾もパタパタと揺れていました。 そんなこなたの様子を見て、かがみも相好を崩すと、床に腰を下ろして、自らの膝を示しました。 こなたは、さらに頬を赤らめて一瞬くすぐったそうに首を竦めましたが、直ぐにその膝の上に乗って丸まります。 そして、そんなこなたの髪を、かがみは梳き始めました。 サラ、サラ、と櫛が髪を梳く音だけが響くかがみの部屋で、1人と1匹。 窓からは午後の麗かな日差しが差し込んでいて、本当に、のどかな時間が、流れていました。 「こなた、気持ちいい?」 かがみが髪を撫でながら聞くと、こなたは、返事の代わりに耳をペタ、と倒して、かがみの胸の辺りに擦り寄りました。 その様は、狐というよりは猫で、そんなこなたに、かがみは苦笑しました。 「ん~♪やっぱりかがみは温かいな~、それに、柔らかい。優しい匂いがする」 かがみにじゃれつきながら、甘えん坊な一面を覗かせるこなた。直接に甘えられて、なんだか気恥ずかしくなったかがみは、プイ、と顔を背けました。 「な、何言ってるのよ……」 口調こそ強気でしたが、その顔は上気して、言葉とは裏腹なかがみの心情が如実に表れています。 そんな様子を見て、こなたはニコッと笑みを作ると、今度はかがみに抱きつきました。 「ムフフ、照れてるかがみん、萌え~」 「萌えって……アンタ時々変な言葉使うわね」 呆れたようなかがみの言葉にも、嬉しそうな顔をして、こなたは再び膝の上で丸くなりました。 その時、こなたが丸くなった拍子に、足元の傷口に巻かれた包帯が服の裾から覗き、かがみの目に留まりました。 「こなたの足の傷、大分良くなってきたわね。もう直ぐ治るわよ」 何気なく、かがみは言ったつもりでした。ですが、その言葉を聞いて、顔を上げたこなたは先程までの笑みを消し、耳や尾の毛を逆立て、緊張している様子でした。 「かがみ、それ、どういう……」 「え?だから、傷が治るって――」 かがみは、最後まで言葉を言い終えることが出来ませんでした。その前に、こなたがかがみの膝の上から、身をくねらせ、抜け出すと、凄い勢いで自らの足に爪を立て始めたからです。 「ちょっ……!こなたっ!?」 驚いたかがみは慌ててこなたを制止しようとしました。しかし、こなたは伸ばされたかがみの手を乱暴に払うと、目尻に涙を浮かべ、かがみのほうを哀しげに見やると、一気に部屋から駆け出して行ってしまいました。 「こなた……?」 後に残されたかがみは呆然とするしかありませんでした。一体、こなたは何故あんな事をしたのか、どうして、自分の下から去って行ったのか。何故、あんな哀しそうな目をしていたのか。かがみには分かりませんでした。 ぼんやりとしていたかがみの所に、母、みきがやってきました。怪訝そうに眉を顰めています。 「さっき、こなたちゃんが凄い勢いで飛び出して行ったけど、かがみ、何か知らない?」 聞かれて、かがみは先程あった事を話しました。こなたの髪を梳いていた事。こなたの足の傷の事。そして、こなたが取った行動の事。 かがみが全てを話し終えると、みきは、納得したように頷きました。 「そう……」 一言、呟いて、かがみの方に向き直ります。その瞳は少し、険しく、吊り上がっています。 「かがみは、こなたちゃんの事、どう、思ってるの?」 「え? どうって、どうって……アイツは……」 答えようとして、答えられない事にかがみは気が付きました。 こなたが家に来てから、ずっと一緒にいるのが当たり前で、当たり前だからこそ、何も考えないで。ただ、一緒にいて、楽しくて。 そんなかがみの様子を見て、みきは、ちょっと息を吐きました。 「こなたちゃんはね、かがみの事、好きだって言ってたわよ」 言われて、かがみはハッとしました。 以前、確かに、こなたにそう言われたことがあったからです。でも、その時には深く意味を考える事はしませんでした。 なぜなら、かがみもまた、こなたのことが好きだからです。 「だけど、こなたちゃんは、人間は嫌い、とも言ってたわ」 「え……?」 とつとつと、みきは語ります。 「人間は嫌いだけど、かがみは好き。こなたちゃんにとって、かがみは、特別な存在なのよ」 「! こなた……」 「だけど、やっぱり、こなたちゃんは、人間を信じられない部分があるのかしらね。迷惑をかけてるかも、って言ってた。もしかしたら、かがみが自分と一緒にいてくれるのは足を怪我してるから。その治療のためなんじゃないかって」 「そんなっ!そんなこと……」 ここで、かがみにも合点がいきました。こなたが、自身の足を傷つけようとしたこと。それは、足を怪我しているから一緒にいてもらえる。逆に、足が治ったら、一緒にいられない、そう思ったからではないでしょうか。 「かがみは、こなたちゃんに、それを伝えた? 一緒にいるのは、そのためだけじゃないって事」 「あ……」 「追いかけなさい、かがみ。もし、あなたが、こなたちゃんの事を大切に思ってるなら。言葉にしなくちゃ、伝わらない事だって、あるんだから」 そう言うと、みきは表情を柔らかくし、かがみの頭に手を伸ばしました。 「うん……」 母に頭を撫でられ、かがみは、小さな子どものように、頷きました。 「かがみ……かが、み……」 こなたは、1人で、丸まっていました。 足の包帯は真っ赤に染まり、じくじくと痛みます。 何度も、何度も足に爪を立てました。でも、こなたにも分かっているのです。そんな事をしても意味は無いという事を。 かがみは、こなたが出会った人間の中で、初めて‘特別’になりました。随分と可愛がってくれたし、常に気にかけてくれました。 だから、嬉しかったのです。かがみと同じ、人間になれたこと。 何で人間になれたのか、こなたには分かりません。だけど、そんな事はどうでも良かったのです。かがみの傍にいられれば。 こなたの足に残った傷は、かがみとの絆、でした。それが治って、消えてしまう。かがみから、離れなくてはいけなくなってしまう。ただの子狐に、戻ってしまう。 かがみと、もう、会えなくなってしまう。 それは、こなたにとって、とても恐ろしいことでした。 体の震えが、止まりません。 「かがみぃーっ!!」 「こなたっ!!」 ハッと、起き上がりました。涙でぼやけた視界に、薄い紫色が揺れています。人間より鋭敏なこなたの嗅覚は、視覚より先に、その存在を認識しました。 「かがみ~っ!!」 叫んで、こなたは立ち上がろうとしました。が、傷つけた足は力が入らず、姿勢を崩して、ガクっと倒れそうになりました。 「こなた~っ!!」 間一髪。かがみがこなたの元へ駆け寄ると、その小さな体を抱きしめ、受け止めました。 ふわ、と匂う優しい香り。柔らかくて、温かくて、こなたは、鼻の奥がツーンとするのを感じました。 かがみは、こなたの頭を、先程、母から自分がしてもらったようにゆっくり、ゆっくりと撫でました。 咄嗟の事で逆立っていたこなたの狐耳、尾の毛も、かがみの手の動きに合わせて、ゆっくりゆっくりと寝ていきました。 「かが、み、ゴメ……わたっ、かってに、かがみ、やさ、しく……でも」 しゃくり上げながら、それでも必死に言葉を紡ごうとするこなたを、そっと制すると。かがみは、こなたを落ち着かせるように、もう一度、今度は、その耳を撫でました。 こなたは、かがみにここを撫でてもらうのが好きでした。ふわふわ、もふもふ、優しく、包み込むように。 こなたは、目を細めて、首を竦めました。 かがみは、少し屈むと、こなたと目線を合わせました。 「私、こなたが来て迷惑だなんて思ったこと、一度もない。私が、こなたと一緒にいるのは、足に怪我してるから、憐れんでるからなんかじゃない。私が、こなたと一緒にいたいの」 「でも、私、人間じゃないよ。狐だよ?」 「関係ないわよ」 「自分勝手で、迷惑かけちゃうかも」 「だから、迷惑じゃないって」 「他の人間から見たら、私は……」 「その時は、私がアンタを守るから。だから、一緒にいてよ……こなた」 「……っ、かがみっ!」 こなたは、思い切りかがみの胸に飛び込みました。一房飛び出た髪の毛と、狐耳が揺れて、尾はパタパタと。そんなこなたを、かがみはぎゅっと強く抱きしめました。 「ねぇ、こなた」 「ん~?」 家に戻り、こなたの足の手当てをした後。やっぱりかがみの膝枕の上で丸くなるこなた。そんなこなたの髪を優しく撫でながらかがみは言いました。 「今度、家の神社のお祭りがあるんだけど。一緒に行かない?」 「いいの? かがみ、ずっと支度してたじゃん」 「一生懸命手伝ったからね。当日は、手伝いしなくてもいいって」 それを聞くと、パタッパタッっと今まで一定のリズムで床を叩いていた、こなたの尾がピンと立ちました。 「ホント?」 「うん」 「やったぁ~!」 「こなた、浴衣、大きくない?」 「む、そういう時、普通‘小さくない’って聞くんじゃないの?」 「いや、私のお古だし。こなたには少し大きかったかなって」 「失礼な。丁度いいよ。それに……」 「それに?」 「かがみの匂いがして、凄く落ち着く。大好きだよ、かがみ」 「なっ! は、恥ずかしいこと言うな……」 「ん~?顔が赤いぞ、かがみん?」 「あ~!私も、大好きだよっ!こなた!」 「うんっ! 行こっ、かがみ」 差し出された手を、かがみは苦笑と、微笑みの成分を半々に含んだ表情で、掴みました。 手のかかる子狐です。人になった、不思議な子狐です。でも、それ以上に、かがみにとっては、大好きな、子狐なのです。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-24 17 47 20) 最っっっ高!作った人、神!! -- 名無しさん (2010-08-13 16 50 50) 狐こなたかわいいい…狐になってこなたの可愛さが増してますねwしかもほのぼのいい話で感動した… -- 名無しさん (2009-04-12 23 33 33) 狐の嫁入りの正しい意味を知ることが出来ました 甘えん坊なこなたと、優しいかがみのカップリングはやっぱり最高ですね -- 名無しさん (2008-09-03 18 53 17) キツネという設定もあり、こなたが感情を素直に表していて、 とてもかわいいですね。 かがみの優しさにとても心が温かくなりました。 こういった童話みたいな話を私も書いてみたいです。 -- 18-236 (2008-06-21 00 57 02) そうか… 狐の嫁入りとはこういうときに使うんですねわかりましたwww -- 名無しさん (2008-06-18 09 20 49) ↓誰が上手いこと言えとw -- 名無しさん (2008-06-17 22 07 09) つまり、これはかがみの所への「狐の嫁入り」というわけですね?分かりますw -- 名無しさん (2008-06-16 23 33 14) 甘えんぼなとことか、耳とか、しっぽとか、子狐こなたんがひたすら可愛すぎる…とっても甘くて温かいSSでした。 -- 名無しさん (2008-06-16 11 06 23)
https://w.atwiki.jp/magicschool/pages/173.html
そちらは妹さんですか?未成年の方にはお酒は出せませんよ。 愛想の良いバーテンダーのその台詞を聞いた瞬間、つい噴出しそうになった。 顔を背けて口元を押さえ、肩を揺する。 「・・・教師なんだけどー」 むすっとした面持ちで、織部先生がバーテンダーに教員免許を見せた。 バーテンダーは途端に慌てた様子になって、顔を赤くしながら謝りだしている。 「仕方ないですよ、織部先生じゃ・・・くっ」 「うっさい、孝輔は黙ってて」 ぺし、と白衣の袖が俺のスーツの背中を叩く。 俺も先生も仕事あがりの服装のままで、この場からは少しだけ浮いていた。 「すみません、どうも・・・」 「いーんですよ。この人いつも間違われてますし」 申し訳なさそうなバーテンダーをフォローしておく。 織部先生の視線が痛い。 「ま、いーや。先生は寛大なのだー」 跳ねるようにカウンタ席について、着ていた白衣を背もたれにかける。 加えて足を軽く前後に振る様はこのバーに似つかわしくない、本当に子供のようだった。 しかし、教員免許見せられちゃ納得せざるを得ないわな。 この若々しさというか、もはや幼さというか、童顔とかそういうレベルじゃないからなこの人。 「フレンチ・コネクション。こっちのはファジー・ネーブルね」 「あ、ちょっと」 何を飲もうか、と思ったところで織部先生が俺の分まで勝手に頼む。 きついのを飲む気がないとは言え、ファジー・ネーブル、か。 「もしかして馬鹿にされてるのか、俺は」 「子供っぽい孝輔にはお似合いだよ。くくっ」 嫌いじゃないけど、年上(一応)の女性に「お似合いだ」と言われるとなんだか悔しい。 バーテンダーが微笑ましげに口端を上げた。更に悔しい。 そして、そう言う織部先生はフレンチ・コネクション。 正確には覚えていないが、度数は30を軽く超えていたはずだ。 「俺、ちょっと飲んだら帰るつもりなんだけど・・・」 「こらこら、先輩がバーに誘ってんだからちゃーんと付き合えー」 バーの人影はまばらだった。奥の方の席に、一人で酒を飲む男や女がちらほら。そのくらいだ。 「っても、明日も仕事ありますよ」 時計を見ると、既に10時が近くなっている。 日付が変わる頃には寝たい。睡眠時間が減ると、悪い寝起きが更に悪くなるからだ。 「この間、アルコールによる悪影響の類をきれいさっぱりする薬が完成したの」 織部先生の前に置かれた琥珀色の液体が、控えめな照明を反射する。 ほどなく俺の前にも、オレンジ色の液体で満たされたロックグラスが置かれた。 「だから付き合えって?」 「当然。拒否権とかないから」 グラスに口をつけて、こちらを見て目を細める。 10歳程度の少女にしか見えない彼女がロックグラスを傾ける姿は、酷く非現実的だ。 俺も同じようにグラスを傾けると、甘い味が喉を過ぎていくのを感じた。 「・・・・・・」 そのまま少しずつ口をつけて、お互い黙ったままでいる。 ・・・なんか話があって酒に誘われたんじゃないのか。俺から振るか。 「話」 「ん?」 「何か話があるから、俺を誘ったんじゃないんですか」 無意識に少し語尾が間延びした。 織部先生がにやりと笑って俺を見る。なんだ。 「そうだなぁ、仕事の話でもしよっか」 仕事の話か。まあ、俺達の間に共通する話題なんてそれくらいだ。 「被服科はどう?」 「いきなりどうって言われても」 臨時講師という体ではあるが、実際教師が放浪の旅で行方不明なんだから、 俺の業務は普通の教師と大差なかった。 専門的に被服科で勉強している生徒と、選択授業で被服を取っている生徒。 前者は極僅か、後者も他の選択科目に比べれば少ない。 「他の先生よりは楽なんじゃないかって思いますけど」 被服は俺の専門だし、生徒数も多くないから必然的に酷い苦労はしないし、比較的時間も食わない。 それでも今は、赴任当初の倍は仕事をするようになっていた。 「いいねー、先生はいつも大変だよ。たまに代わってくれない?」 植物属性は比較的メジャーで、専攻する生徒は多い。 あの馬鹿でかい植物園を当番制で管理しているのだから相当だろう。 その分、俺よりもずっと仕事量も苦労も多いはずだ。 「俺、植物とかすぐ枯らすタイプだし無理」 「うわ、最悪。いけない子だね、孝輔は」 かるく額を小突かれた。続いて頬をつままれる。 「にゃにするんれひゅか」 上手く喋れなかった。最高に格好悪いから今すぐ忘れたい。 「変な顔」 「誰のせいだ・・・」 小声で悪態をついて、一気にグラスを空にする。 織部先生も同じように、残り僅かになったフレンチ・コネクションを飲み干した。 「せっかくだから色んなの飲みたいなー。次、ニコラシカ」 薄赤くなった頬に触れながら頬杖をついて、織部先生が機嫌よさそうにまたカクテルを頼む。 俺ももう少し飲んでもいいかなという気になって、今度こそ何を飲もうか思案する。 「メジャーな所で、スクリュー・ドライバーなんてどう?」 冗談めかして織部先生がくつくつと笑う。 子供扱いの次は女扱いか。俺はこの人にどんな男だと思われているんだろう。 「・・・じゃ、モスコーミュール」 ひゅー、と織部先生がわざとらしく口笛を吹いた。 「飲む気になった?」 「メジャーな所、ってのを汲んでみただけ」 それ以上でも以下でもなく、本当にそれだけだ。 奇しくも、同じウォッカが使われているカクテルだったけど。 「んーっ」 織部先生が、グラスの上に乗せられた砂糖つきのレモンを二つ折りにして噛む。 少し眉を顰めながら笑うその顔を見て、口内に広がっているであろう甘酸っぱさを想像した。 「んくっ」 そして、グラスに残ったブランデーを一気に煽る。 恐ろしく良い飲みっぷりだった。 「おいしー」 照明の落とされたバーでも容易に分かるほど赤みの差した頬を歪ませ、満足そうに笑んだ。 その横顔と、グラスの底に残るブランデーの残滓を見る。 すぐに目を逸らして、モスコーミュールの注がれたタンブラーに口をつけた。 「孝輔」 「んー・・・?」 喉から出たのは随分と間抜けな声だった。 その返事を聞いた織部先生が、言いかけた言葉を飲み込んで相好を崩す。 「やっぱり子供だねー。酔い安いにも限度があるよ」 僅かに粘つく、フレンドリーな嘲笑。 見た目幼いはずの織部先生が、酷く大人に見えた。 「俺ら、浮いてませんか」 なんとなくそう思った。 頬がやけにひんやりするなと思ったらいつの間にか突っ伏していた。慌てて起き上がる。 「浮いてるかもね。たかだかファジー・ネーブル一杯とモスコーミュールに口をつけただけなのに、 こんなになってるんだから。つまり『俺ら』じゃなくて『俺』が正しいから勘違いしないよーに」 ちっち、と織部先生が指を振る。俺の顔を見て、口端を釣り上げた。 「どんな顔してます」 「鏡代わりに覗けばいいよ」 そう言って、俺のタンブラーを指す。 言われるまま、モスコーミュールの水面を覗いた。 そこにうっすらと映っているように見える俺の顔には、色がなかった。 「まだ話をしたかったんだけどなー。こんなんじゃ無理だね」 織部先生はまじまじと俺を見詰め続ける。 そんなに酔っているつもりはない。至って平静だ。 「俺、そこまで酔ってないですよ」 「酔ってる奴は皆そう言うんだよー。テンプレすぎて超笑えちゃう・・・けど我慢我慢」 いや、結構マジに酔ってなんかいない。はずだ。 話を続けようというなら、そうしよう。そんな気分になってきた。 「孝輔は男でよかったねー」 「急になんすか」 はぁ、と面白がるようなため息を吐いて、織部先生は笑顔で居続ける。 「こうして酔わせれば、誰でも連れて帰れそうだから」 「なんだそれ・・・」 意味がわからん。 わからんが、なんかとんでもない事を言われた気がした。 いつのまにかグラスの中身は大分減っていて、いつ飲んだのかは不明瞭だった。 時計を見ると、大分時間も経っている。 だけどどうでもいい、と何故かこの時の俺は思ってしまった。 「せんせ」 不自然に声が途切れた。 やれやれといった顔をする織部先生が見える。 「俺、教師として駄目かなあ」 なんとなくネガティブな思考になる。 生徒にはからかわれたり馬鹿にされてばかりだし。 そう思うと急に、自分が駄目なのではないかと、後ろ向きな考えが頭を過ぎる。 「威厳はないよねー。信頼もどうかな?小児性愛は否定的に捉えられることが多いよ」 「ロリコンって言うな・・・」 「ロリコン、とは言ってない」 意地の悪い笑みを零して、俺を見下ろす。 見下ろす? そうか、また気付かないうちに突っ伏す姿勢になっていたのか。 「今日はネガティブかー。泣くのはやめてねー」 「・・・そんな簡単に泣かない」 最後に泣いたのはいつだっけ? 「いや、孝輔結構泣いてるっていうか泣かされてるって言うか、 威厳なしに信頼も微妙なのに加えて不憫、情けないも追加。ああ、笑えてきちゃう」 織部先生の言葉がガシガシと心に刺さる。 そうか、俺は情けない奴だったか。なんで教師なんてやってんだろ。頼まれたから? 「でも先生は嫌いじゃないよ。曼珠沙華と同じくらい好き」 「基準がわかりません」 曼珠沙華ってなんだっけ? 「孝輔は孝輔の好きなようにやればいい。どうせ教職辞めても食べていけるんでしょ? なら、上手くいかなくてもいーんじゃないの」 「・・・それじゃ、生徒の奴らが困る・・・」 俺しか教師が居ないんだから、俺が職務怠慢だったら被服を勉強してる奴らは困る。 魔法被服は、独学での限界が来るのが非常に早い。 「そう思ってるならいいよ」 ぽす、と織部先生の小さな手が俺の頭に乗った。 わしわしと髪をまさぐるように撫でられる。頭皮に鳥肌が立ちそうだった。 「髪、柔らかい」 「家系です」 美緒の髪の毛も、毛先に癖がある割に柔らかい。昔は、その髪を指で梳くのが好きだった。 それは今でも嫌いじゃないがあまりやらせてくれない。なんでだ。 「年下の男の子だなぁ」 「俺と、5歳しか違わないのにな」 俺がフランスから日本に引っ越したのが5歳で、その頃、織部先生は10歳か。 今でも10歳みたいな外見だが、当時はどうだったのだろう。 「たかが5歳、されど5歳。だけどお互いこうしてお酒は飲める歳」 ああ、ここはどこだっけ? 「帰りは宇宙船に乗せてくれるんだよね」 たっ、と椅子から降りて織部先生が白衣を羽織る。財布を取り出した。勘定か。 俺も椅子から立ち上がり、飲んだ分の代金を支払う。 少しふらつく。眠いのだろうか。 今は、何時だったっけ? 小銭が100円だけ余ったが、日本にはチップなんて根付いてないのでそのままにした。 「今日は楽しかったよ、孝輔。いいものも見れたし、いいことも聞けた」 教員寮は建物こそひとつだが、流石に男女でエリアが分かれている。 その境目で、織部先生はそう言った。 「・・・なんか、織部先生が別人に見える」 それはバーでもずっと思っていたことだ。 なんだか、いつもと違う気がした。 「バーでは笑い声は控えめに。これ常識ね」 白衣の裾を翻し、たん、と軽快に織部先生が向こうを向いた。 「おやすみ、孝輔。部屋に行くまで寝ちゃ駄目だからねー」 そして肩越しにそう言って、もう振り返らなかった。 「・・・おやすみなさい」 見えないだろうけど、小さく右手を振った。 早く部屋へ帰りたい。 この体のだるさと体温の上昇と瞼の重さは、眠気によるものだ。 そうに違いないから、早く部屋へ帰って寝よう。 シスカを随分と待たせてしまったな。 夜遅くまで俺を待って、朝は早くに俺を起こす。 人形って、そういうものだ。だけど決して俺の使用人なんかじゃなくて。 結論。 「シスカは可愛い」 その可愛い人形が待っている部屋へ帰るために、俺は足早に階段を登った。 ・・・一番上の段につまずいて転んだ。痛ぇ。