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前ページ次ページナイトメイジ 翌朝……。 礼拝堂の前に二人の男女が人目を忍んでそこにいた。 といっても、それほど色気のあることを話しているわけではない。 「すまなかったね。準備を手伝ってもらって」 「あなたもマメな男ね。こんな事までしてあげるなんて」 男はワルド、そして女はベール・ゼファー。 城の地下ではニューカッスルから疎開する人々がイーグル号と拿捕したマリー・ガラント号に乗船を始めている頃だがここまではその音も声も聞こえてこない。 「これからつらい運命を生きる二人のために何かできないか、とは思ってね」 「私はあなたの婚約者の好意を買うためにしているのかと思ってたわ」 ワルドは声をつまらせてしまう。 しかめた顔のワルドを見て、ベルが笑っていた。 「その下心……無いとは言えないな。それはともかく」 ワルドにとってはこの話はあまり愉快ではなかったらしい。 「君にはもう一つ頼みがある。イーグル号で先に出発しておいてもらいたい」 「それはちょっとひどいわね。ここまで手伝わせておいて、ルイズやアンリエッタの晴れ姿を見せてもらえないの?」 「すまないね。どうやらウェールズ王子は攻撃が始まる寸前までここにいたいようなんだ。フネはそれより早く出航する。僕たちにつきあっていたら君はここに取り残されてしまう」 「あなた達はどうする気なの?」 「僕の使い魔のグリフォンを使う。それに城に残っている最後のグリフォンも使わせてもらえる事になっている。僕とルイズ、それにウェールズ王子とアンリエッタ王女はそれでここからラ・ロシェールに行くつもりだ」 「私は同乗させてもらえないのね」 「グリフォンの飛行能力を考えると2人乗りが限度なんだ。それ以上乗れないことはないが、万が一を考えると3人はやめておいた方がいい」 ベルは諦めたのか大げさに肩をすくめ、ついでに大げさに溜息もついて見せた。 「それじゃ仕方ないわね。私の大切なご主人様のことは任せたわよ」 そう言うとベルは踊るようにきびすを返し、地下の港へ続く廊下に足を向けた。 「もう行くのかね」 「置いてけぼりはごめんだもの」 わざとだろうか。 足音を高く響かせ、去りゆくベルの背中をワルドはじっと見ていた。 そこには恐ろしいほどに鋭い視線があった。 イーグル号はそれから一時間も経たないうちに出航した。 靄が船体を隠してくれている。 未熟な水兵の操るレコン・キスタのフネでは拿捕や撃沈はおろか発見も難しいだろう。 そして、今は追い風。 イーグル号は帆を広げ、すばらしい速度でアルビオン大陸を後にした。 城から去る寸前。 礼拝堂に入ったルイズは小さく歓声を上げた。 祭壇とその回りはきれいに掃き清められ、その上には銀の燭台とロウソク。 周りには城の花壇から持ってきたのであろう花が飾られていた。 「これって……」 この様式は簡易ながらも結婚式のためのものだ。 新婦の冠、そして純白の乙女のマントまで用意されている。 「ワルド子爵、これは?」 続いて入ってきたアンリエッタとウェールズも同様だった。 この城の最後に作られた華やかな飾り付けに目を奪われている。 「ウェールズ王子。こんな時ですか……いえ、こんな時だからこそ了承していただきたい。私とルイズは今、ここで結婚式を挙げたいと思います。つきましては、その媒酌を引き受けていただけないでしょうか」 「こんな時に……かい?」 「ええ、最後に花を添えたく思いましたので」 この城……いやアルビオンの最後はそれは血なまぐさいものとなるだろう。 名誉、誇り。それを伴おうがそれは事実だ。 だがそこに、未来への希望となるものがあれば。 だからこそ王子はこう答えた。 「わかった。引き受けよう」 続いてマリー・ガラント号も出航を果たした。 ラ・ロシェールから出航したときに詰まれていた硫黄は船倉には一箱たりとも残されておらず、代わりに代わりにニュー・カッスルから落ち延びる人々、それに硫黄を売り渡した代金である相場の3倍の金を積み込んでいた。 商売としては大成功のはずだ。 それは間違いない。 それでもマリー・ガラント号の船長は大喜びはできなかった。 このフネの人々を無事送り届けるという使命感。 それを胸に船長は舵を切った。 頭上に冠を添えられたルイズは夢見心地だった。 こんな時であっても、胸の奥から幸せがあふれるように思えていた。 「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」 「誓います」 重々しく、作法にかなった仕草でワルドがうなずく。 次はルイズの番だった。 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール、汝は始祖ブリミルの名においてこのものを敬い、愛し、そして夫とすることを誓いますか」 答えは決まっていた。 こんな時に結婚式というのに少し戸惑いはしたが、ワルドには何か考えがあるらしい。 それが悪いものであるはずがない。 「誓います」 この先にある幸せを信じてルイズはそう答えた。 城のホールには大量の樽が運び込まれていた。 樽の中には元は硫黄が詰め込まれていた。 今は、練金された火薬がつまっているはずである。 最後の一樽までそれを確認したパリーは、次にホール中央に置かれた机に向かった。 そこには戦装束が一式置かれていた。 「王子、これは貸していただきますぞ。返す当てはありませぬが」 パリーは元はウェールズのものであった戦装束を手にし、身につけ始めた。 婚姻の儀式はすべて終わった。 ルイズは綺麗にたたんだ純白のマントの上に冠を置き、それをウェールズに渡そうとした。 「さて、これからもう一輪の花を今度は王子と王女のお二人で添えていただけないでしょうか」 「もう一輪?それは……」 婚姻の儀式と言うことだろうか。 だが、それはできない。 アンリエッタはゲルマニアの王と結婚をしなければならない。 故にどんなに愛していてもウェールズとの婚姻をブリミルの前で誓うことはできないのだ。 「それはわかっています。ですが、婚姻によらなくともお二人が永久に互いを想い、気遣うことはできるはず。その誓いをブリミルが認めぬはずはございません」 窓より光が差し込んできた。 それに照らされたワルドは舞台の上で万民を引きつける役者のようでもあった。 「これを逃して他に機会があるとは想えませぬ。そして、これが私がお二人にできるすべてであります」 跪くワルドの前に立つアンリエッタは口をふるわせ、わななかせ、そして高鳴る胸を両の手で押さえた。 「子爵、あなたの忠誠、嬉しく思います。ウェールズ様。私からもお願いします。どうか、ここであなたとの絆を誓わせてください」 ウェールズがそれを断ろうはずもなかった。 ルイズのポケットの中にはお守りがあった。 それを渡したのは怪しげきわまりない少女ではあったが、それでもルイズの使い魔なのだ。 この旅の間、ルイズはそのお守りを離すことなくずっと持っていた。 そのお守りは悪魔の蝿という名前が与えられていた。 「ウェールズ・テューダー 。汝は始祖ブリミルの名において永久にこのものを敬い、愛し続けることを誓いますか」 「誓います」 ワルド読み上げる詔が礼拝堂に響く。 それはいかなる聖典にも祈祷書にもないが、世界で最も神聖な詔。 少なくともルイズはそう確信していた。 「アンリエッタ・ド・トリステイン 、汝は始祖ブリミルの名において永久にこのものを敬い、愛し続けることを誓いますか」 「誓います」 アンリエッタはその身分にふさわしいドレスも着ていない。 これが永遠を誓う儀式であることを示すのは冠のみ。 それでもこの儀式は万の黄金よりも価値があったのだろう。 ルイズは彼女の幸せを隠さない笑顔に歓喜し、涙を流した。 すべてはうまくいっていた。 仮面の襲撃者、海賊という困難を乗り越えここに来た。 手紙の処分も終えた。 アンリエッタもルイズも幸せを手に入れた。 ウェールズの将来が不安と言えなくもない。 だが、ここまでうまくやってこれたのだ。 必ずそれも何とかできる。 そうに違いない。 アンリエッタとウェールズのキスでこの儀式も終わった。 それは決して口外されることのないが喜びに満ちたものであった。 「ウェールズ王子、これでやり残したことはないでしょうな」 ワルドは飾りに持っていた祈祷書を閉じる。 杖の位置を確かめ、少し緩んだベルトを締め直した。 「君の心遣いに感謝するよ。もう、なにもない」 「それは……よかった」 ウェールズ胸を魔力の刃が貫く。それは、彼の背中まで伸びていた。 「ふふふ……予想通り、いえ、予想以上じゃない」 「きゃああああああああああああああああああああああああああ」 誰が叫んだのか。 アンリエッタ?それとも自分? 「アンリエッタの手紙、アルビオンやトリステインの命運。そんなものどうでも良かった」 いや、両方? どれでもいい。そんなことはどうでもいい。 それよりこれはどういう事なのだろう。 ウェールズは胸から血をまき散らして床に倒れる。 「ルイズにあげたかったものがあったのよ。それは、絶望という美酒」 血に濡れた魔力の刃を帯びる杖を持つのはワルド。 ──何が起こったの?何が起こったの? 誰も答えない。 目の前にある現実を受け入れるしかない。 ワルドがウェールズの胸を貫いたという現実を。 「その味を引き立てるため、アンリエッタを連れてきた。学友のギーシュ……は婚約者のワルドが来たからほっぽったのよね。二人の絶望はルイズのための芳醇な絶望を生む」 「ウェールズ、ウェールズ、ウェールズ」 同じ言葉しか話さないガーゴイルのようになったアンリエッタが倒れるウェールズを血にまみれるのもかまわず抱きしめた。 傷をおさえ、血を止めようとするがそんなことで止まるものでもない。 やっと手に杖があることに気づき回復の魔法を唱える。 「いやぁ!!止まって、お願い。あああぁあああっ」 水の秘薬も使わない回復の魔法にそれほどの力はない。 血と体温がウェールズの体から流れ出る。 「そして、ここに来るまでの困難をルイズ達が解決して、最良の結果が手に入るようにちょっとだけ手伝いもしてあげた」 アンリエッタの魔法など効かないとあざ笑うように血が脈動と共に吹き出した。 「死なないで。あああああっ」 アンリエッタのまとう乙女のマントは、その色を純白から真紅に変えていた。 「なぜって、そうしたらうまくできるって希望を覚えるでしょう。強い希望は絶望に最もあう酒肴なのよ」 「ワルド様。なんで、なぜ?」 理由を聞けば許せるのか? 許せるはずもない。 そんなはずなどない。 理由を聞けば許せるかもしれない。 矛盾した想いがルイズを支配する。 かすかな希望にすがりつき、ルイズは問うていた。 「もともとは城を壊してレコン・キスタを引き入れ、アンリエッタとワルドがその戦いで死んでいくところをルイズに見せるつもりだったんだけど……ふふ、もっといいことになったじゃない」 「レコン・キスタ完全勝利のためにはウェールズ王子の死に一片の疑いもあってはならない。だから、ここで死んでもらった」 希望は砕け散る。 修復など不可能なほどに。 「レコン・キスタ?なんで?裏切ったの?あの軍隊を見て?」 「僕はその前からレコン・キスタの一員だ」 希望など最初から無かった。 あえて言えば、砕くための偽物しかなかった。 「僕の目的は3つあった。一つはウェールズ王子を殺害すること。二つ目はアンリエッタの手紙を手に入れること。燃やされたからこれはもう手に入らない。だけど、もっといいものが手に入りそうだ」 ワルドはアンリエッタの髪をつかみ、引き起こす。 「いやああ。ウェールズ様が死んでしまう。あの人のところに!」 「しばらくお眠りを」 ワルドの右腕が走り、魔力を消した杖がアンリエッタのみぞおちにめり込む。 「ウェールズ……」 その言葉を最後にアンリエッタはぐったりと動かなくなった。 「生きたアンリエッタ王女を捕らえれば死体や手紙より役立つだろう」 ワルドはアンリエッタを肩に担ぎ、残った手をルイズに差し出した。 「親友は捕らわれ、その最愛の人は血にまみれた。その悲劇を起こしたのはルイズが幸せを託した婚約者。最高じゃない」 「そして、最後の3つめは君だ。行こう、ルイズ」 「いや、いやよ!行きたくない」 「いや、君は来なければならい。僕たちは婚姻をブリミルの前で誓った。それは誰にも覆すことはできない。心配することはない。行こう」 ルイズはただひたすら首を横に振り続けた。 そうすれば希望と幸せが戻ってくるとでも言うように。 「さあ、ルイズ。お膳立てはすべてできたわ。後はあなたの番。絶望を味わえば力が欲しくなる。その思いはあなたの力を目覚めさせるわ。さあ、見せて、あなたの力を」 むろん戻るはずもない。 「聞き分けのないわがままはやめるんだ。必ず君を幸せにしてみせる」 ワルドの手が差し伸べられる。 ルイズはそれから逃げたかったが、足が動くのを放棄していた。 「さあ」 遠くで音がした。 人々の雄叫び。戦いが始まったのだ。 爆音の連続。大砲の斉射だろう。 「え?あれ?ちょっと、待ちなさいよ。普通ならここでイヤー、ボーンて感じで秘めたる力が覚醒するものでしょ」 それもこれも今のルイズには幻想の彼方の出来事のようだった。そう思い込みたかった。 「始まったか……。時間もないな。ルイズ、いずれ君を迎えにいく」 「あー、ワルドもワルドよ。なに帰ろうとしているのよ。もうちょっと粘りなさいよ。あと2,3回つつけばきっとバーンてなるんだから」 マントを翻すワルドが走る。 すぐにドアを開く音と、遠ざかる足音が聞こえた。 「あーーー、行かないで。行っちゃだめーーーー」 ルイズは……その場に座こんだまま。 動いたらもっと嫌なことが起こるような気がしていた。 「行っちゃった……どうしよう」 前ページ次ページナイトメイジ
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日米枢軸ルート 第33話 改訂版 1917年2月7日、日米の宣戦布告と同時にケプラヴィーク航空基地を飛び立った日本海軍の戦略爆撃部隊は大西洋上で28機ずつの部隊に別れ、それぞれポツダム、ケーニヒスベルク、ハンブルク、マクデブルク、ケルン、ドルトムントを目指して進路をとった。 2月7日午後22時30分、日本国籍マークが書かれた爆撃機はなんの妨害もなくドイツ帝国本土上空に到着。 手始めとしてドイツ帝国有数の港湾都市であったハンブルクに対して大規模な空襲が行われた。 日本海軍が無制限潜水艦作戦というナメたマネをしたドイツに差し向けた爆撃部隊は、その全てが日本海軍航空隊の『15式戦略爆撃機』で構成されていた。 『15式戦略爆撃機』は日本軍初のジェットエンジン搭載爆撃機である『10式戦略爆撃機』のデータを踏まえ、来る欧州列強との全面戦争の際、自国の勢力圏内から欧州列強本土を直撃できる『大陸間爆撃機』として開発された最新鋭の超大型戦略爆撃機である。 その性能は約16,000kmと言う極めて長い航続距離と約14,000mと言う当時の爆撃機を遥かに越える実用上昇限度を有し、最大爆弾積載量は驚愕の約24.5トンを誇っていた。 参考までに満州戦争時の日本軍主力爆撃機にして最大の爆撃機でもあった『92式戦略爆撃機』の爆弾搭載量が、短距離爆撃任務でも3.6トン程度であった。 すなわち『15式戦略爆撃機』は1機で『92式戦略爆撃機』6機以上の攻撃力を誇っていたのだ。 対するドイツ側であるが、世界大戦初期に行われたハートリプール襲撃後から協商・同盟双方ともに都市爆撃を行っていた。 そのため、ドイツ帝国の主要都市では防空陣地と航空部隊による厳重な防空体制が構築されていたが、それらはあくまでもイギリスやフランスを相手として構築されたものである。 ドイツ軍の防空網は『15式戦略爆撃機』が規格外な程の高高度を飛行していたことや夜間と言うこともあって早期対処に失敗。 日本軍戦略爆撃機部隊はハンブルク上空まで何の妨害も受けずに到着してしまう。 目標の上空まで到達すると『15式戦略爆撃機』は爆弾倉を開放。無防備な姿をさらすハンブルグに対して爆撃を実施した。 この時、ハンブルクに襲来した『15式戦略爆撃機』は1機辺り250kg爆弾と焼夷弾を合わせて108発搭載していた。 すなわちハンブルグには短期間のうちに3,000発以上の大型爆弾が降り注いだのだ。 寝静まっていたところを突然の空襲によって叩き起こされた市民達は絶えず鳴り響く爆発音と迫りくる炎にパニックに陥る。 ハンブルグ市民にとって不幸だったのは、来襲した『15式戦略爆撃機』には通常型の航空爆弾の他に、最新鋭爆弾であるMk.4B特殊焼夷弾が搭載されていたことだ。 Mk.4B特殊焼夷弾は主燃焼剤に粘着剤を添加したいわゆるナパーム弾で、親油性ゆえに水をかけても消火ができず、10分前後も燃え続けることができる凶悪な兵器であった。 日本軍は今回の爆撃を前に高高度偵察機である参戦前から爆撃候補に上がるだろう都市を念入りに偵察していた。 さらに重要都市に関してはわざわざ日本本土やアメリカ本土にレプリカの街を造り、どのように爆弾や焼夷弾を投下すれば効率的に都市全体を焼けるかまで研究していた。 その成果は今回のハンブルグ空襲で十分以上に効果を発揮してしまう。 焼夷弾を防げる頑丈だった施設群や消防施設、橋梁はまっさきに通常爆弾で吹き飛ばされ、主要な大通りには付近の建物を吹き飛ばして瓦礫で障害を造り出した。 ただでさえパニックによって混沌としていた状況下でのこうしたハラスメント攻撃は、ハンブルク市民の避難をより困難にした。 HOST 220-247-89-251.tokyo.fdn.vectant.ne.jp 325 ホワイトベアー sage 2023/07/17(月) 18 05 29 そして、通常爆弾による攻撃によってハンブルクの機能を大きく低下させると日本軍は焼夷弾による攻撃を開始。 あらゆるものを焼き尽さんと1,000発を超えるナパーム弾が悲鳴と混沌で覆われたハンブルクに投下された。 その後にハンブルクで顕現した光景は、ハートリプールの惨状すら生易しいと表現できる地獄そのものだった。 何しろ泥縄式で行われたハートリプール砲撃とは違い、今回の爆撃は如何に効率的に、徹底的に、合理的に、多くの人間と施設を焼き尽くせるかを徹底的に研究して行われたものだ。 その被害規模は比べものにならないのは致し方ないだろう。 都市部で連続的かつ強力な爆発が多発したことでようやく敵の存在に気づいたドイツ軍は、遅まきながら迎撃要綱に基づいてただちに高射砲による攻撃や迎撃戦闘機の出撃などを実施する。 ドイツ軍の対応は実用上限高度が7,000m程度の英仏軍爆撃機であったのなら一定の効果を出せたかも知れない。 しかし、夜間で索敵能力に大きさ制限が加えられている上に相手は高度14,00m以上を飛行する『成層圏の要塞』である。 大多数のドイツ軍部隊はそもそも日本軍戦略爆撃機部隊を発見することすらできなかった。 少数ながら存在した発見に成功した部隊も、圧倒的な高度差によって運用する戦闘機や高射砲では有効な対応を取ることができず、悠々と空から爆弾を降り注ぐ怪鳥の姿を指を咥えて見ていることしかできなかった。 これまで協商軍を相手に十分に機能してきたドイツの防空網は、大日本帝国が送り込んできた『成層圏の要塞』を前にしては障害物競争の障害にすらならなかったのだ。 ハンブルク空爆だけでも大事件であるが、僅か一時間以内に同様の光景がポツダム、ケーニヒスベルク、マクデブルク、ケルン、ドルトムントの5ヶ所でも発生。これらの空爆でも日本軍はわずか1機の損害もなく作戦を完遂した。 ドイツは日米の宣戦布告から12時間も経たずに6つの都市に壊滅的な被害を受けただけでなく、爆撃を終えた航空部隊に何の行動もできずにケプラヴィーク航空基地への帰還を許してしまったのだ。 一連の爆撃によってドイツ首脳部が受けた衝撃は筆舌に尽くしがたいものだった。 上記で述べた様にそれまでも西部戦線に近い都市は連合軍による爆撃を受けていた。 それに対抗する為にドイツ帝国は少なくない数の高射砲をそれぞれの都市に配置し、迎撃機も攻撃をうけしだい直ぐさま飛び立てる様にするなど執れうる限りの処置を全て取った防空体制を整えていた。 しかし、それらの対策が今回の爆撃機では何ら意味をなさなかった。 すなわち、日本軍がその気になれば何時でも他の主要都市も焼き払う事ができる。 また、この時のドイツ首脳部はケーニヒスベルクへの攻撃はロシア領から行われたと推測した。 この攻撃によってそれそれまで安全と考えられていた東部方面の都市や前線も今後は戦略爆撃の対象となりうることが明らかになったのだ。 西部のみならず東部でもこれまで以上の爆撃対策を施さなければならない。 これらの事実はドイツ上層部を震え上がらせるには十分であった。 当然、本土防衛の役割を担い本来ならドイツへの空からの攻撃からドイツ本土を護る責務を負っていたドイツ陸軍航空隊の面目は完全に潰された。 彼らは防空体制の刷新を急務として行うのと同時に、高高度を飛ぶ協商軍の新型爆撃機に対抗可能な機体の開発に精力的に取り組んでいく。 今回の事を重く見たドイツ陸軍参謀本部の説得もあって、ドイツ内務省も重い腰を上げた。 彼らは爆撃によって一気に工業力を失う事を防ぐために工業力の分散化・疎開を開始すると同時に、一時的に各戦線に派遣していた工兵すら呼び戻してドイツ全土の各主要都市への防空壕の作成も開始するなど爆撃による被害を減そうと行動を開始する。 HOST 220-247-89-251.tokyo.fdn.vectant.ne.jp 326 ホワイトベアー sage 2023/07/17(月) 18 09 58 ドイツ国内で動きがの慌ただしくなる一方、日米では翌日の3月8日に斎藤総理大臣とタフト大統領がそれぞれ首相官邸とホワイトハウスにて今回の爆撃の成功を発表する為に記者会見を実施した。(無論、時差の関係で同時にとは行かなかったが) 記者会見内で両国はドイツ軍の混乱を誘発するために、ケーニヒスベルクを爆撃した航空隊の発信地は蓬莱島(Hourai Island)、西部方面を爆撃した航空隊の発信地を桃源郷と発表する。 これは完全なるブラフであったが、それを知らないドイツは中立国経由で流れてきたこの情報を基に海軍や陸海航空隊を動員してこの蓬莱島や桃源郷の捜索を開始、爆撃対策と合わせて貴重な時間や物資を無駄に浪費させられてしまう。 日本およびアメリカはこの爆撃で大々的な戦果を収めたが、流石に住民ごと都市を焼き払うという手段に眉を顰める国民(有権者)も多くいた。 今回のように報復としての都市部への爆撃であったらまだ何とか許容できるかもしれないが、ドイツの工業力を削り、戦争を遂行する能力を奪うためだけに都市部への無差別爆撃を実施するのは国外の目線的にも絵面が悪いし、何よりも国内の賛同を得にくい。 余裕があり余っているがゆえに国内の世論や対外的な印象も気にできる日米上層部は、人道に配慮して爆撃対象を輸送インフラに切り替えて爆撃を実施していく事を決定。ドイツ国内の鉄道網や橋梁を爆撃目標とするなど制限が加えられた。 しかし、宣戦布告と同日中にドイツ本土を攻撃すると言う衝撃的な参戦をした日米は改めて航空戦力の有効性を認識し、航空戦力そのものの増強は実施。 アイスランドへ追加の15式戦略爆撃機部隊を配置すると同時に、フランスやイギリスへの大規模な航空隊の派遣すら開始する。 航空部隊の欧州進出も急ピッチで開始されるのだが、この際各種物資は艦船で運び、部隊の要員や機体は空路で運ぶと言う画期的な方法で欧州まで運ばれる事になった。 これによって日米の兵員や航空機は幾日も船に乗って欧州まで運ばれるのではなく快適に素早く欧州への展開を可能とした。 また、この方法を取ったことによって日米軍の将兵たちは潜水艦のよる被害を一切受ける事もな無事にフランスまで移動できた。 欧州に進出した日米軍爆撃機部隊は直ちにドイツ帝国国内への爆撃を開始した。 欧州に進出した部隊は基本的に満州戦争で活躍した旧式機の改良型から編成されていた。 さらに上記のように日米軍による都市部への無差別爆撃は参戦直後以外は行われなかったことで空爆による直接的な死傷者は少なかったが、輸送インフラには激しい攻撃が加えられたことでドイツ国内の物流は寸断されてしまう。 物流の寸断と日米からの貿易の停止はただでさえ悪かったドイツの食糧供給に致命的なダメージを与え、ドイツ国内では史実のカブラの冬よりもさらに酷い飢餓が発生することになる。 欧州で航空戦力がドイツ国内に激しい空襲を実施しているので一方で、大西洋ではドイツ軍潜水艦部隊と協商軍艦隊による激しい戦い(ジュウリン)が繰り広げられていた。 日米海軍はドイツの潜水艦から各種装備を運ぶ輸送船の安全を確保する為に護送船団方式を採用し、欧州に向かう船団には護衛空母や護衛駆逐艦、巡防艦(フリゲート)、海防艦(コルベット)などから構成される護衛が着くようになった。 さらに日本海軍は護衛空母を中心に丁型護衛駆逐艦、佐渡型巡防艦、奄美型海防艦などの対潜水艦作戦を目的に建造された艦艇群を主力とした潜水艦狩り艦隊(ハンター・キラー)を数多く編成し、大西洋に派遣。ドイツ潜水艦隊への対策を急速に整えていった。 日本海軍の護衛駆逐艦や巡防艦、海防艦などの戦闘艦には全てにアクティブ・ソナーやパッシブ・ソナーが装備されている。 さらに護衛空母に搭載されていた12式対潜哨戒回転翼機(SH-12)などの艦載機とあわせて護衛艦隊やハンターキラー部隊は極めて大きな戦果を発揮、ドイツ潜水艦隊の損害は日増しに増えていった。 HOST om126237004104.9.openmobile.ne.jp 327 ホワイトベアー sage 2023/07/17(月) 18 10 32 護衛船団方式の確率とハンターキラー部隊の出現によってドイツ潜水艦は狩る立場から狩られる立場へと追いやられていく。 また、対潜水艦部隊の他にアメリカ大西洋艦隊とノーフォーク海軍基地を母港とする日本海軍第3艦隊がイギリスに進出、イギリス大艦隊と共同で北海の封鎖を開始した。 経済的面でもそれまで見逃していたオーストリア・ハンガリー帝国からドイツへの物資の流れも規制させるなど対ドイツを鮮明にさせていく。 海軍部隊や航空部隊が次々と欧州(大西洋)に派遣されていく一方、青島の攻略こそ行ったものの大規模な陸上戦力の欧州への派遣は差し控えられた。 当初は陸軍の大規模派兵も計画されていた。 しかし、日米が欧州への大規模な出兵準備を行っている最中に日米の隣国であるロシアにて市民達の暴動が発生してしまったのだ。 ロシア帝国で発生した暴動は欧州方面で軍の部隊までもが次々と反乱をおこすまで事態が悪化し、後にロシア第2革命と呼ばれることになる革命騒動まで発展してしまう。 日米はこの革命への対策を名目に欧州への大規模な派兵は避けるべきと考えた。 とは言っても、ある程度の派遣は関係上必要であることには変わりなく日本からは18個師団+数個旅団が、アメリカからは28個師団が欧州へ向けて出発した。 日米の欧州派遣軍は同年の8月頃から順次フランスに到着する。 一部部隊は前線に展開するものの、この時のドイツ軍は改めて消耗戦を行うためにソンム川より撤退し、新たに構築していた防衛線、通称ファルケンハイン・ラインまで部隊を下げるなど守勢に回っていた。 また、日米の参戦後に日米英仏の首脳達の協議で来年に発動することが決定した大規模攻勢に備え、欧州派遣軍の大半は部隊は再訓練と武器弾薬の貯蓄に入った。 1917年の西部戦線は小規模な戦いこそあったものの比較的平穏に過ぎていく事になる。 HOST om126237004104.9.openmobile.ne.jp 328 ホワイトベアー sage 2023/07/17(月) 18 11 02 以上になります。 wikiへの転載はOKです
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登録日:2012/05/01(火) 21 48 11 更新日:2024/05/27 Mon 16 05 03NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 AC ACFTS アーマード・コア ライトノベル 黒歴史 強襲任務 『タワー』を破壊せよ。 「アーマード・コアが、もしもアニメになったら?」 こんなことを考えたことのあるレイヴンやリンクスは少なくないだろう。 どこの制作会社が作るだろう?どの作品をアニメ化したら一番映えるだろう? このキャラにはどんなビジュアルが似合うだろう?声優は誰がいい? …と、こんな具合に様々な妄想をしたレイヴンやリンクスはきっと少なくない…はずである。 だが、そんなレイヴンやリンクスの夢が「実現しかけたことがある」のはご存知だろうか? すべての始まり ストーリー 作風 登場人物 メカニック 終焉 ノベライズ 外伝と余談 すべての始まり 2006年に公開された、ある一本の特報動画から全てが始まった。 その内容は要約すれば「アーマード・コア、OVA化決定」ということを知らせるもので、この一報にレイヴンやリンクスはざわついた。 2005年にAC10作目を祝う『ラストレイヴン』が終了し、暇を持て余していたレイヴンやリンクスにそのニュースは瞬く間に伝わることになる。 「既存のACと全く異なる世界観」など不安視される要素もあったものの、この時点では「『Vガンダム』『リューナイト』の石垣純哉がメカデザインを担当」「ゲストメカデザインは燃えゲーの雄ニトロプラス」などと、 その筋の人にはたまらないグッドニュースのほうが大きく、レイヴンやリンクスからなんとなく期待されていた。 「あのACがついにアニメになるとは…」「安易に萌えを持ち込まれるのだけは勘弁な」「やっぱりACはフルCGでガシガシ動いてくれるのかな?」 多くの者が、様々なこのアニメへの希望を分かち合い、正式な発売日の決定を心待ちにしていた…。 だが、そんな彼等の前に絶望が舞い降りる。 それは、ある一つの事実の判明から始まった。 そう。制作会社があの「アニメ版デモンベイン」という黒歴史を生み出してしまったVIEWWORKSだったのである。 この事実は、レイヴンやリンクスの期待を絶望に変えるのに十分すぎる威力を持っていた。 次第にレイヴンやリンクスはOVAへの期待を失っていく。 「下手にアニメ化して黒歴史が生まれるぐらいなら、アニメ化なんてされないほうがマシ」 多くのレイヴンやリンクスがそう思い始めていた…。 ストーリー 「タワーのうた、きこえない?」 世界全体を破滅に追い込んだ大災害「大破壊」を地下に都市を築くことで生き延びた人類。そして大破壊から時が流れ、人々は母なる地上へと再び進出する。 地下で起こっていた企業体の代理戦争は地上再開発にも持ち込まれ、人々は大破壊を経てなお不毛な戦争を続けていた。 企業体を母体とした2つの国家、「フェルトリカ」と「テキスタン」。この二国は恒常的な戦争状態にあった。 フェルトリカは膠着状態の戦況を打開すべく、テキスタンの要衝・都市パスカに存在する旧時代の戦略兵器「タワー」への極秘強襲作戦を決行。 ACパイロットによって構成された特務部隊をパスカに送り込み、タワーを内部から破壊することを画策する。 しかし、作戦は部隊の全滅という最悪の形で失敗した。 一人生き残った特務隊員・スパローもまたACを失い、作戦の継続は最早不可能と思われた。 だがスパローは戦闘に巻き込まれた列車の中に、自分とよく似た背格好の女性の死体を発見。彼女は死体----ソフィになりすますことでパスカへの潜入に成功する。 ソフィとなったスパローは様々な幸運に味方され、なんとかタワーの管理職員としてパスカに入り込むことが出来た。 彼女が目指すのは「タワー」の破壊。 作戦を果たすことなく散っていった仲間の遺志を継ぎ、スパローは作戦を継続する…。 作風 TCBの項が詳しいが、本作もまたゲームシリーズとは異なる所謂「パラレルのAC」である。 本作の大きな特徴は、やはり「レイヴンがほとんど登場せず、ヒューマンドラマが物語の主体」ということであろう。 はっきり言ってしまえば本作でのACの扱いは軽い。 下手をすれば十把一絡げの名無し量産機レベルの扱いであり、 この時点で「最強の陸戦兵器であるACになんてことを!訴訟!」というレイヴンもいるかもしれない。 しかし「ACが登場するヒューマンドラマ」としてみると実はそれなりに面白く、 「フェルトリカ軍人としての使命と、ソフィとしての人生」の間で揺れ動くスパロー、常に部下を見捨てて生き残ることに良心の呵責を感じるキングフィッシャーなど見どころのある登場人物も魅力的。 良作・名作とまではいかないものの、決して読むに耐えない出来というわけではない。 はっきり言ってしまえば従来のACとはかなりかけ離れた作品ではあるが、 ACファンならば暇つぶしに読んでみるのもアリかもしれない。他のACにはない味があることもまた、確かである。 登場人物 スパロー(ソフィ・ヴァール) 「…隊長。私は前に進みます」 第七次パスカ侵攻に参加したACパイロット。 遭遇戦で機体と同僚たちを失うものの、彼女と瓜二つの死体・ソフィと成り代わってパスカに潜入する。 タワーの管理職員としてパスカに入り込み虎視眈々とタワー破壊の機会を伺うが、ソフィとして生きる中で暖かな人の温もりを知り、苦悩する。 AC操縦者としての腕前はあくまで並。「信用出来ない」という理由でACを苦手とする。 ハッキング技術は高く、それを利用してACを調達するなど腕は確か。 キングフィッシャー 「何があっても進むんだ!」 第七次パスカ侵攻に参加したACパイロット。特務部隊の隊長。 どのような戦場からも生き残るが、その度に部下を失ってきた為「部下を捨てて生き残った汚い男」と噂される。 評判とは裏腹にかなりまともな人であり、部下の死に苦悩する。 第七次パスカ侵攻にて警備部隊の隊長機と交戦し、スパローを進ませるために死亡したと思われたが…? シオン 「だから僕は未来のために生きたい」 タワーの主席管理官。 旧世代の遺産であるタワーに入れ込んでおり、タワーが軍事にばかり利用されることを快く思っていない。 疎開してきたソフィの身元引受人であり、ソフィの立場を偽るスパローと共に生活する。 妻がいたが、フェルトリカの攻撃で失っている。 アザム 「誰がどう決めようが、この街を守るのは俺の仕事なんだ」 パスカ防衛隊の隊員。キングフィッシャーと互角にやりあったやり手のACパイロット。 ミナーヴァのテストパイロットでもあり、ミナーヴァに強い愛着を見せる。 メイ 「タワーのうた、きこえない?」 シオンの娘。ソフィの立場を偽るスパローに懐く。 メカニック ACの描写は希薄であり、挿絵も人物主体なためACの影ははっきり言って薄い。 フェルトリカ軍AC スパローたちが搭乗していたAC。 ミラージュ社からパーツが供給されているらしく、C03-HELIOSを主体とした高機動タイプのアセンブルの模様。 主武装はマシンガン。 KF キングフィッシャーの専用機。C04-ATLASを中心にアセンブルされた汎用タイプ。 マシンガン・レーザーライフル・ブレードを装備する他、背部にはレーダーらしき武装の存在が確認できる。 終盤でミナーヴァに柔道の投げ技をかけ、機能停止に追い込む離れ業を見せた。 テキスタン軍AC クレストからパーツを供給されている以外の詳細は不明。 タワーからのバックアップを受けており、タワーの未来予測を利用した強力な連携を可能とする。 ミナーヴァ・シリーズ タワーとの連携を強化したテキスタンの次世代型AC。 ミラージュの系譜を思わせる流線型のスタイルが特徴で、テールスタビライザーを装備する。 頭部を持たず、コアが前面に張り出した異形のスタイルであり、その姿は登場人物から 「鮫」「肉食恐竜」 などと例えられた。 計5機が製造され、 動作テストのための試験機で一切の付加機能を持たないT-0 対電子機器用特殊武器「フリッカーシステム」とカイルスフィールドディスチャージャーを搭載したT-1 複合センサー試験機のT-2 超演算プロセッサを搭載したT-3 全試験機の集大成である完成型ミナーヴァ の計5機が作中に登場する。 付加機能は贅沢な反面、試験機のためか武装は動作テスト用のマシンガンとブレードしか有していない。 タワー パスカ防衛の要である旧世代の遺産。軌道上の衛星とワイヤーを使って通信することであらゆる戦略・戦術情報を入手可能な怪物級の演算ユニット。 パスカの防衛部隊とデータリンクしており、パスカの防衛兵器はタワーの高精度未来予測を利用することでフェルトリカの侵攻を撃退してきた。 それ自体も防衛システムを搭載する他、ビーム兵器をカイルスフィールドで無力化する。 終焉 彼等の不安をかきたてるかのように、正式な発売日はなかなか決まらなかった。 「下手に早く出されるよりは…」「延期なら慣れてるさ」と、根気よく待つレイヴンやリンクス。 「もう、どうでもいい…」「どうせ黒歴史が生まれる」と、OVAを見限るレイヴンやリンクス。 「いや、もう石垣純哉とニトロのカッコイイメカが見れれば…」と期待値を落としながらも希望を捨てないレイヴンやリンクス。 しかし、事態はあっけない幕切れを迎える。VIEWWORKSの倒産によって。 これによりACのOVAの企画は流れ、フロム・ソフトウェアの公式サイトからもリンクが何のアナウンスもなく消滅。 文字通り「なかったことに」なったのであった。 この経緯から、OVA化という事実は多くのレイヴンやリンクスから黒歴史認定されている。 だがこの経緯を考えると、「歴史にさえなれなかった」という表現のほうが妥当なのかもしれない…。 ノベライズ 2007年秋。本作の存在も忘れ去られかけていた頃、ひっそりとOVAと同じ名を冠したACの小説が発売された。 内容は本来映像化されるはずだった脚本を小説へと落とし込んだもので、著者も本来OVAで脚本を担当するはずだった和智正喜が担当している。 ブックオフなど古本屋で探せば今でも見つけることができる。気になるレイヴンは手にとって見てはいかがだろうか。 外伝と余談 本作には同じ世界観で繰り広げられる外伝コミック「TOWER CITY BLADE」が存在する。 詳しくはリンク先を参照のこと。 監督となる予定だった静野孔文は近年の名探偵コナンの劇場版の監督などを務めており、監督業以外でも「爆裂天使」「セキレイ」などの絵コンテ・演出に携わっている。 あとがきでは小説版監修担当の後藤広幸氏が「いつかソフィやアザムをゲームのACにも登場させたい」と語っていたが、 2023年現在これらが表舞台に戻る気配は皆無である…やっぱり黒歴史ですか? タワーの歌が聞こえたら、追記・修正をお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] なんでACは漫画とかアニメになると主人公を女にするねん。 -- 名無しさん (2014-02-26 17 31 27) ↑でも、自分を始めこれ(中古150円)でレイヴンになった人もいるから(震え声) -- 名無しさん (2014-02-26 17 37 12) ↑でも需要が違いすぎると思うんだよ…美少女とかで萌え萌えするだけなら他に掃いて捨てるほどあんのにさ。 -- 名無しさん (2014-03-08 14 48 41) ↑ごめんよ、首輪付きは幼女だと思ってfaプレイしてたよ -- 名無しさん (2014-03-08 15 29 10) 一応、擁護するとこっちは萌えのテイストはかなり薄い方だとは思う。女である意味があるかってとこも物語の上で必要なものだし。OVAで動けばなあと惜しくなる程度には面白かったよ -- 名無しさん (2014-04-30 16 35 35) 静野かあシドニア面白かったし見たかったなあ -- 名無しさん (2015-07-29 02 17 12) この設定のいくつかがACVDにサルベージされてたりして -- 名無しさん (2015-08-21 02 47 10) 設定がV系に近いな -- 名無しさん (2015-10-11 14 39 35) おそらくタワー関連はサルベージされてるよな -- 名無しさん (2015-10-11 14 48 32) ACが最強の陸戦兵器なんて4だけやん、基本使い捨ての傭兵だぞ -- 名無しさん (2015-10-11 14 59 22) ↑乗り手が『イレギュラー』だった場合でもそれを言えるのか…? -- 名無しさん (2016-07-15 13 16 06) 最強を名乗れるのは優秀なパイロット込みの場合だろう。並のパイロットだとぶっちゃけ数で攻められるだけで沈む程度のモン -- 名無しさん (2018-07-05 21 16 14) 好きなように描いていい。女性主人公?OKですよ可愛い子がいいですね!って公式とやり取りのあった漫画なんだけどなぁ -- 名無しさん (2021-10-21 07 03 03) しかも黒歴史化してんのはLRで「レイヴンは孤高の存在であるべき」とか言ってた頭固い懐古厨が群れるのはACじゃないとか騒いで黒歴史って言葉が独り歩きしてるだけなんだよね。あいつら見事に続編のAC4で企業所属とかの設定にも噛みついてバリアー張るACとかACじゃないとか泥臭いACじゃないと嫌とか叫んでたけど、そういった連中が八つ当たりのように黒歴史とか決め付けたもんを黒歴史認定とか書いちゃってるのはファンとしてどうかと思うけどね。 -- 名無しさん (2021-10-21 07 06 01) 新作の621君は遠慮なく幼女版も生まれた模様 一度生まれたものは簡単に死なないってパパも言ってた -- 名無しさん (2023-10-31 15 23 19) 6のなんでも擬人化なんでも美少女化の二次創作と一緒にするのはちょっと…… -- 名無しさん (2023-11-01 16 16 49) キングフィッシャーがマニュアル操作に切り替えてアザムを投げ飛ばすシーンすこのすこ -- 名無しさん (2023-11-16 22 01 03) 名前 コメント
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神羅奈鼎(かむらな・かなえ) オラクルの魔女、琥珀色 作者:宗谷うずめ イラスト:海琳餅 人物情報 誕生日 8月21日 血液型 O型 身長 159cm 家族構成 父、母、弟 出身地 長野(諏訪市→軽井沢町) 詳細情報 ガーデン・学年 オラクル女子高等学校2年 レギオン LGセブンデイズ 委員会 図書館司書、禁書管理、図書館雑用 スキラー数値 81 二つ名 智慧の魔女、琥珀嘴 レアスキル ヘリオスフィア サブスキル whole order、軍神の加護、魔眼 CHARM 喰う者の亜杖、トリグラフ ルーン イサズ、イングス 属性 リリィ マディック 教導官 強化リリィ 故人 ○ ステータス 戦闘能力(近距離) S 戦闘能力(遠距離) E 継戦能力 A 指揮判断 B スピード|A| レアスキル A 呼称 一人称 ワタシ、我(厨二病時) 二人称 アナタ 先輩、後輩等 (苗字)さん 同級生 ○○ちゃん 遊馬みこ 遊馬みこ、みこ 詳細 好きなもの ギャグ(特にダジャレ)、駄菓子、後輩 苦手なもの つまらないもの 嫌いなもの 喰う者の亜杖 特技・趣味 古書店巡り、後輩のお世話、CHARMの手入れ オラクル女子高等学校二代目審判 亜麻色の長髪と明るい琥珀色の眼が特徴のリリィ 中等部時代はシエルリント女学薗に在学していたが放逐されるようにオラクル女子高等学校に編入する。当時の仮名は『琥珀觜。 審判としてオラクル女子高等学校内の図書館、『小ビブリオ』を管理している。 ギャグ、特にダジャレを好むが内容は悉くつまらない。 普段は間延びした緩い口調だが、戦闘で昂ったりギャグに面白くないと返すと、シエルリント時代の口調が飛び出す。 後輩からの人気はかなり高く、鼎目的で図書館に入り浸るリリィは少なくない。本人にそんなつもりはなくとも(他意のない)ボディタッチが多く、頭脳明晰で勉強や戦術を優しく教え、端から見ればミステリアスな美人のため、あわよくば擬似姉妹契約を結ぼうとする後輩もいる シエルリント在学中、G.E.H.E.N.A.に(真っ当な意味で)支援を受けていたため恩義があり、将来はG.E.H.E.N.A.で自身の知識でリリィをサポートするのが目標 + 喰う者の亜杖について かつて諏訪地域を蹂躙したヒュージ、『喰う者』を討伐したアステリオンが破損し醜く変質し、ラッパと杖が入り混じったような形に成り果てたもの。実質的にはCHARMではなく、契約の必要もしていない。 ポールパーツと斧部分だけが残り、喰う者の死骸に侵蝕と硬化がされ続け、完全に飲まれぬよう幾重にも封印を施されている。 鼎はこれらの逸話は「全部嘘、こういうカスタム」と言い張っている。 フェーズ1スモール級相当 CHARM名 喰う者の亜杖 ヒュージ名 セブンアイ 斧槍。アステリオンの残骸に寄生。危険度は低い フェーズ2ミドル級相当 CHARM名 蝗たちの王 ヒュージ名 アパドン 亜杖のポールパーツ部分が折れて進化した歪な二刀。トリグラフの分離形態のように扱う 折れたことで辛うじて残っていた射撃機能が完全に無くなった。攻撃の瞬間には成長させ、それ以外の時は正のマギを流し、殺し続けることで重さを無視した行動が可能。 二刀はそれぞれ勝利(長剣)、飢餓(大槌)、汚染(槍)、死(大鎌)に成長する。 フェーズ3ラージ級相当 CHARM名 獣 ヒュージ名 セレマ 大斧。喰う者の頭部が生える。CHARMとして扱える最後の段階。 フェーズ4ギガント級相当 CHARM名 いのちを喰う者 ヒュージ名 赤い竜 フェーズ3の後、喰う者が完全に復活したもの。もうCHARMではない。四つの頭と九つの顎で生きているもの、死んでいるもの、どちらでもないものを溶かして喰う。 フェーズ5アルトラ級相当 未確認。 + 喰う者について 頑強な顎を持つ3つの頭部と、細く長大な体躯を持つギガント級相当の特型ヒュージ。諏訪地域、特に諏訪湖周辺に甚大な被害を齎した。特徴として一時的に周囲のマギを取り込むことに特化した形態に変化することと、熱波の放射により金属類や取り巻きのヒュージを溶かして身に纏わせ外殻にする習性がある。 CHARMもまた、喰う者の外殻となり得、迂闊に近距離で戦闘を行なった結果、CHARMを失った者もいる。 8日間の戦闘の中で犠牲者が11人、取り込まれたCHARMは30本となった。 名もなきリリィ達の必死の抵抗により討伐されたが、最期の足掻きで自らにとどめを刺したアステリオンを取り込み生き長らえる。 その後、復活の度に殺されながらGEHENAの研究機関に輸送される。 + 審判の有難い大アルカナジョーク 愚者をぐしゃぐしゃ 魔術師、マジ? 女教皇を強行突破 女帝、てえてい 法皇?ほぉ〜う 皇帝これ買うてー 恋人とトラブル 戦車を洗車 ウチから力が湧いてくる 隠者、いいんじゃない? 運命の輪、わ〜うんめぇ〜 正義のせい 漆塗りの吊るし人 ガミガミの死神 あっ、熊 塔に行くぞ、とうっ せっせと節制 星がほし〜 月に付き添う 太陽に対応 審判のジーパン 世界、正解 来歴 + ワタシの過去のことなんかより図書室に行かない? 物心つく前に故郷に特型ヒュージ喰う者が出現。故郷が文字通り蒸発する。軽井沢に疎開することになり、その際に甲斐聖山のリリィが護衛を担当したことによりリリィを目指すようになった。 初めは近いからということで甲斐聖山への入学を予定していたが、小学五年生のある日二人のシエルリント女学薗の生徒と出会う。たまたま観光に来たのか、何かしらの調査で来たのかは知る由も無いが、魔女を自称しゴスロリ風の制服と独特の話し方は鼎を魅了し尽くし、「絶対にシエルリントに入学しよう」と決意させた。 町の図書館でマギやリリィに関連する本を読み尽くし、銀の食器を媒介にレアスキルの練習を積んだ結果、半年程度でヘリオスフィアに覚醒する。 その後しばらくして、再び町に来た憧れの魔女達にヘリオスフィアに覚醒したことを伝えると彼女達は羨むような恨むような表情をしながら「おめでとう」とだけ言い、以後鼎に会わないようになった。シエルリントから来た二人の『魔女』は実際にはリリィではなくマディックで、ただ一人の少女に見栄を張っていただけだった。 リリィになる前からヘリオスフィアが使えたということで、甲斐聖山から直接入学を希望されるほどであったが、頑なに誘いを断りシエルリント女学薗に入学した。 シエルリント在学中のことはあまり語らないか、嘘か本当かわからないことしか言わないが、話を振られるたびに「楽しいことはいっぱいあったわね〜。ワタシ魔女だったし」で締める。仮名は琥珀嘴(こはくし)で、青い鳥(夢追い人)、金糸雀(カナリア)、鉄烏(クロガネ)、翡翼(ひよく)とカヴン『テルネンサーリ』を立ち上げようとしていた事だけは本当らしい。 リリィとして 基本的にはBZ最後方からの砲撃やヘリオスフィアによる援護を行う。また、芒星央のトラップ設置をよく手伝う(というよりこれが戦闘中の一番の娯楽) 本来はスピードに特化したAZだが使用しているCHARMの特性上BZに配置せざるを得なく、かなり暇を持て余している 遊馬みこの許可、もしくはある程度戦闘が長引くと自身のCHARM喰う者の亜杖を安全のため徹底的に破壊してトリグラフに持ち替え、近接戦闘に切り替える。この時の戦い様は理不尽なまでに苛烈かつ効率的で『魔女の狩り』と喩えられる + 魔女の狩り 近接戦闘を許可された時の神羅奈鼎はCHARMを殆ど振るわない。ヒュージを指差す、もしくは目視するだけで対象の体内に超高濃度のプラスマギで創ったヘリオスフィアを展開し内側から浄化しきる。仕留め切れない場合(あるいは敢えてそうした場合)プラスマギの塊のようになったヒュージは群れからの阻害や徹底的な弱体化をさせられる。正しく魔法のようなこの攻撃はスモール級は勿論、ある程度のミドル級までは通じる。ラージ級に対しては「割に合わない」ということで行わない 上記の戦術はリリィに対しても有効であり対象の体内にヘリオスフィアを展開することで浄化や回復を行える。しかし周囲からの評判は「マギ交換の雰囲気が壊れる」「体内にヘリオスフィア?やだな……」とかなり悪い 近接戦闘ではスピードとヘリオスフィアを活用したインファイトを好む。敵の攻撃は全て極小で超高硬度のヘリオスフィアによる点の防御で防御、防げない攻撃は臨界圧縮体の爆発による減衰やカウンターで対処する。 時には分離したトリグラフの片割れを投擲し、投げた先でヘリオスフィアを展開、弾いて手元に戻すような離れ技(本人曰く宴会芸)も当然のように行う レアスキルについて レアスキルのヘリオスフィアはシンプルなスペックとしてはS級には及ばないものの挙動や効率については極まった段階まで研究し尽くしている レアスキルに覚醒した時からバリアを展開してはどこまで大きく、どこまで小さくできるかを知り、どのような形まで創れるかを知り、叩いて音を知り、どこまで遠くにまで出せるかを知り、嗅いで匂いを知り、噛んで味や硬さを知るようにしていた(本人曰くビョーキ) 現在はバリアとして安定したヘリオスフィアは一回の展開に使用するマギで最大7m、最小1.5cmまで大きさを調整できる(大きいほど脆く、小さいほど強固)(ヘリオスフィア コーラ味も作れるらしいが多分嘘) 研究の成果として、極限まで縮小したバリア、臨界圧縮体を生み出し、好んで扱う。臨界圧縮体は非常に硬いが衝撃に弱く、一点に大量のマギが集まることで密度が高く高温という特徴を持ち、何かに接触するだけで爆発しプラスマギを撒き散らす。臨界圧縮体は一度に3個まで作成可能 平時にも階段やソーサーや肘置き、椅子代わりとして乱用している 大アルカナ『審判』 テスタメントを基に外付けできて防御面の欠点を克服し治療も可能をコンセプトに開発された大アルカナ。範囲内のマギの操作を重視した設計をされている。 正位置 周囲の環境、ミドル級以下のヒュージ、リリィのマギを吸収し浄化または汚染、その後還元させる。マギの供給、怪我の治療、防御結界の修復/強化、マイナスマギの浄化等、マギに関するほぼ全ての物事にアドバンテージを取れる。ヒュージのマギも吸収するので発動するだけで範囲内の下級ヒュージを一掃できる 逆位置 正位置で吸収したマギを全て自身かリリィ一人の物にさせる。 浄化したマギを渡した場合、超大量のマギを保有するリリィを作り出し、戦力を一点にだけ集中させられる 汚染したマギを渡した場合、戦闘することなく相手を無力化できるため、ガーデンに対して背信行為をさせないための抑止力として使用できる + ... 上記の能力は全て正位置の能力。 逆位置の実際の能力は『オラクル女子高等学校の生徒にだけ機能する思考強制能力』 主に撤退や集中攻撃の効率化を目的に実装された。 リスクなしで他者の思考を操作できる能力故、制約が多く基本的には事態の収束のためにしか使われない。 制約内容 大アルカナの保有者には効力が半減する 特定の個人にだけ適応することは出来ない 保有者は能力が発動していることを口外してはいけない 保有者個人の私的な目的のためには決して使用してはならず、ガーデンの利益のためにしか利用してはならない 思考強制は重複せず一番新しい命令のみにしか効果はない 現保有者/歴代保有者には能力が一切適応されない 現在、審判のタロット能力は常に『審判の保有者以外全ての生徒の第一次船橋防衛戦に関する不幸な記憶を封印する。本人が望めば封印は解除される』が常に発動し続けており、次に逆位置の能力を使用すれば審判を発動させれば上記の効果は強制的に解除される。 総じて誰よりも公正で誰よりも冷酷な判断を下せる者 交友関係 遊馬みこ ルームメイトでレギオンの隊長 いきなり思いついたクソダジャレを浴びせたら「またそれ?本当につまらない」「クソダジャレが〜」と突っぱねられるが毎朝みこの髪をセットをしていたり適度に仲は良く、奇妙な関係。 みこの配信中は話しかけたり物音を立てず変に律儀。一度だけ本人が居ない間にリスナーに渾身のダジャレを大量に披露したがその配信は一瞬でお蔵入りになり『謎の美人が映った』と怪奇現象にされた 「宇宙は配信に夢中。映り込むのは背信行為。これがワタシのペース」らしい 芒星央 一番の被害者。図書館に未返却の本があれば何故かおかもちを持たせて回収に行かせたり、顔を合わせれば「芒さん、芒さん」から始まるクソダジャレやダル絡みの猛攻を受け続け、半ば呆れられている。しかし黙っている時や戦闘中の姿はかっこいいと評価されている。 図書館関係かつ同レギオン、なによりシエルリントが好きということで鼎はかなり星央のことを気にかけており、星央のエセシエルリント語に律儀にシエルリント語で返したり、厨二モードに入ってる時は「我が剣」と呼びトラップ戦略にも積極的に協力をしている。その様は擬似姉妹契約を結んでるような関係にも見えるが本人達にはそんなつもりは全くない。 + ネタバレ防止(クリックして開く) 後に擬似姉妹契約を結ぶ 恋ヶ窪新夏 同学年では一番仲が良い。同じヘリオスフィア持ちということで戦術関係の話もよく弾む 臨界圧縮体やヘリオスフィアの応用を伝授しようとした時には「難しいことは分かんないや!」と一蹴された 『オラクル調査隊(仮称)』でデュエットを組めば天下を取れるのではと思い込んでいる 姐応颶 ふらっと遊園地に来てはサボっている颶にダジャレを評価してもらったり雲が何の形に見えるかで遊んだりと有意義な時間を過ごしている 宗谷"シャルロット"卯月 中等部時代喰う者の亜杖が手がつけられない程に成長した際、いきなり現れラップバトルで喰う者の亜杖を破壊したのをきっかけに親友となる 作品紹介・関連リンク コメント コメントフォームを仮設置しました。マナーを守ってご活用ください。コメントをメメント。 -- 管理人 (2022-05-03 18 47 11) 名前 コメント
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登録日:2021/04/29 Thu 16 57 05 更新日:2024/06/24 Mon 23 24 43NEW! 所要時間:約 6 分で読めるべ ▽タグ一覧 24年春アニメ KADOKAWA じいさんばあさん若返る ほっこり イケメン コメディ ハートフル 三木眞一郎 弘前市 感動のラスト 新挑限 日常 漫画 美女 老夫婦 能登麻美子 若返り 農家 青森県 おしどり夫婦の2人が突然、若い頃の美男美女の姿に戻っちゃった!? 『じいさんばあさん若返る』とは、新挑 限(あらいど かぎり)による漫画作品である。 なおじ ぃ さんば ぁ さん ではなく 全て大文字が正式タイトル。 ある日突然若返った老夫婦とその周囲の人間の日常を描いたコメディ作品。 登場人物による暖かい人間関係や田舎あるあるが描かれる。 元々はpixivやXにて公開されている漫画であり、後にKADOKAWAより書籍化した。コミックス全8巻。 また書籍化してしばらくした後、KADOKAWA発行の月刊誌コミックアルナの2022年8月号より紙面での連載に至っている。 書籍後もpixivでの掲載は続けられており、話を追うだけならそれを見れば良いがコミックスにも書き下ろしの話などがあるので買う価値はある。 アニメ版は2024年春季の深夜からTOKYO MX・KBS京都・サンテレビ・BS11・青森放送で放映。全11話。 ほっこりラストからの添い遂げYO!のEDのギャップがやばい なお、原作の最終回投稿・アニメの最終話放送・コミックス最終巻発売をほぼ同タイミングで行っており、特にアニメ最終回は原作最終回投稿の翌日に放送された。 【あらすじ】 青森県でリンゴ農家を営む老夫婦、正蔵とイネはある日、見た目が若返ってしまう。 それを受け入れた2人は、家族や友人達の理解を得ながら新たな夫婦生活を満喫することになる。 【登場人物】 正蔵・イネ・未乃・詩織のCVはボイスコミック・アニメ版共通 斉藤家と親族 斉藤 正蔵(さいとう しょうぞう) CV 三木眞一郎 主人公のじいさん。青森県在住のリンゴ農家。 結婚してから58年間、旅行等の楽しい思いを妻のイネにさせられなかったことを悔やんでいたところ、突然若返る。 当時はかなりのイケメンで、かつ農業で鍛えられた逞しい肉体に若返るが、精神はそのままなので老人会のイベントなどでハッスルする。 猟友会に所属しており、射撃も得意。 自動車の運転技術にも優れており、リンゴ畑にタバコを捨てた走り屋を軽トラでぶっちぎった事がある。 若者文化にも興味があり、詩織に勧められたゲームをした際にはあっという間にトロコンしてしまった。 自分と妻に起こった若返りについては家族やご近所さんなどには事情を話し、理解を得ているため、周囲には若返る前と同じように接されているが、 それはそれとして、無自覚に若返った自分のルックスが完全にストライクゾーンだった義理の娘(息子の妻)や孫、それに近所のご婦人方をメロメロにしている。 イネとは当時珍しい恋愛結婚で、周囲の反対を押し切り、一時は駆け落ちまで考え、父親と殴り合いを演じてまでイネとの結婚に踏み切ったという。 元々夜にトイレに行くことが多かったが、若返ったせいでアッチの機能も復活してしまい、結局頻繁にトイレに行ってしまうのが悩み。 流石に生々しいためか、この辺はアニメ版では抑えられている。 ちなみに中の人は同時期に放送されたアニメでもメインキャラのじいさんを演じていた。 斉藤 イネ(さいとう いね) CV 能登麻美子 ヒロインのばあさん。旧姓は佐々木。 正蔵と共に、かつてのモデル並の美人に若返り、その美貌と長い人生で培われた包容力で、無自覚に周囲の人間を虜にしている。 普段は穏やかで優しい性格だが、芯が強く、怒ると非常に怖い。上述の正蔵との結婚騒動の際は正蔵を取られまいと、正蔵の父が用意した彼のお見合い相手に対して物凄い迫力で圧を掛けたとか。(*1) 恋愛面でも押しが強く、先に告白したのは彼女から。それ故か、今でも正蔵への愛と独占欲は強く、若返った彼にべったりになった孫に嫉妬することも。 元々は華族の令嬢で、戦時中に母方の親戚を頼った疎開先の青森で正蔵と出会うも、空襲による両親との死別、戦後の財閥解体・貴族制度の廃止に伴う一家離散、正蔵と交際した矢先に大病を患って病に伏せがちな身体になってしまう、というかなりハードな人生を歩んでいる。 そんな中、慣れなかった青森の風土に四苦八苦しながらも、正蔵と二人三脚で難局を乗り越え、子供たちを立派に育て上げた。 なお、若返った後は身体がかなり元気になった様子で、若い頃に約束したものの果たせずじまいだった新婚旅行を敢行する契機となった。 病弱だった為か子孫を残すという本能が働いていたのか、昔はじいさんが命の危機を感じるほどの性豪だった。 斉藤 義明(さいとう よしあき) CV 興津和幸 正蔵とイネの長男。県内の会社で部長職に就くサラリーマン。両親の若返りに驚くも、すぐに受け入れた。 子供の頃は母に褒められることを何よりの喜びにしていた。 親バカな一面もあり、未乃に危険がないか常に心配している。 ちなみに若い頃はヤンキーだった。 斉藤 楓(さいとう かえで) CV 櫻井智 義明の妻で看護師。イケメンアイドルオタクでもあり、若返った正蔵がタイプなのが悩み。 イネの事を母親の手本として尊敬している。 夫との馴れ初めは喧嘩した義明を手当てしたこと。 斉藤 未乃(さいとう みの) CV 三上枝織 義明と楓の娘。北町高校普通科に通う高校生。茶髪のサイドテールが特徴。 人懐っこい性格で元々祖父母を慕っており、最初は若返りにショックを受けるも、若返っても中身は変わっていないことと、 その姿が美男美女で、かつ二人ともカッコいい一面を時折見せることから、以前より慕うようになった。 学校ではマドンナ的存在で人気がある。祖母と母譲りなのかスタイルも良い。 斉藤 貴弘(さいとう たかひろ) CV 山中真尋 正蔵とイネの次男。医師。 最初は若返りを非科学的だと困惑していたが、母を元気にしたくて医者になったこともあり、 若返った影響か、母の身体が健康体になったこと自体には喜んでいる。 斉藤 詩織(さいとう しおり) CV 東山奈央 貴弘の娘。北町高校特別進学科に通う高校生。黒髪(アニメでは銀髪)のツインテールと絶対領域が特徴。 未乃からは「しおりん」と呼ばれている。声や語感が似ているしおじいちゃんっ子だがこの子ではない 進路や父との軋轢に悩み、祖父母の家に転がり込む。 従姉妹に当たる未乃同様祖父母が好きだが、素直になれない性格なので表に出すことは少ない。 未乃とは同い年で同じ学校に通っており(学科は違うが)子供の頃は仲が良かったが、最近は年頃なのもあり照れ気味。 ソファーの上に体育座りで腰掛けるのが定番スタイル。 大学の図書館で知り合った医学生の聡が気になっている模様。 中田 明美(なかだ あけみ) CV 浅野真澄 正蔵とイネの長女。現在は東京在住。 子供が三人おり、長男と長女は結婚し独立、孫もいる。 中田 真司(しんじ) CV 今井文也 明美の長男。外見は髪色以外は若返った正蔵に瓜二つ。 現在は結婚して独立、息子もいる。 中田 幸助(こうすけ) CV 木下鈴奈 真司の息子で小学生ぐらい? 曾祖父母の正蔵・イネにとても懐いており、二人もひ孫としてとても可愛がっている。 〇その他の人物 五十嵐 兵助(いがらし へいすけ) CV てらそままさき 北町町会長。正蔵とイネの同級生。 昔イネに好意を持っていたが、彼女が正蔵を選んだことで正蔵をライバル視している。 スポーツ大会で孫たちを使い正蔵のいる南町に勝とうとするが失敗した。 妻は3年前に亡くなっている。 五十嵐 大輝(いがらし だいき) CV 宮沢拓弥 兵助の孫。北町高校野球部キャプテン。 スポーツ大会で正蔵たちに敗北する。 五十嵐 将太(いがらし しょうた) CV 寺島惇太 兵助の孫。北町高校サッカー部のエース。ギザ歯が特徴。 スポーツ大会で正蔵たちに(以下略) 同級生の未乃に好意を持っているが奥手なので進展していない。 しかし、親戚(義明除く)・同級生含め周囲は2人の仲を公認しており、未乃自身ももまんざらではない。特に爺さん一押しなのが大きい様子。 終盤では彼女を名前で呼ぶ程に進展している。 + 【そして・・・】 最終話のエピローグにて、彼と思わしき老人が登場。 無事に未乃と結ばれたようで、正蔵らが育てていたリンゴ農園を受け継いでいる。 そして彼らが学生時代から育てていたリンゴの木に黄金の果実が実っており・・・? ちなみに元アスリートらしく健康には気を使っているようで、年老いてもギザ歯は健在。 高橋 一(たかはし はじめ) CV 檜山修之 正蔵らと同じく若返った老人。 口数は少ないが聡明な性格。元警察官。 高橋 セツ(たかはし せつ) CV 小林ゆう 一の妻で彼と同じく若返っている。 元は旅館の仲居で、酔った客に絡まれていた所を同じく客であった一に助けられたのが馴れ初め。 高橋 聡(たかはし さとし) CV 梶川翔平 詩織の志望する大学の医学生で、一とセツの孫。 両親が離婚して祖父母に育てられており、その2人が若返ったことでこの地方に伝わる若返りの伝承を調べていた所で詩織と知り合い、他にも若返った老人達がいることを知り、祖父母と詩織の祖父母である正蔵とイネを引き合わせた。 + 【若返りの秘密】 コミックスの描きおろしにて、2人が大切に育てていた林檎の木(CV 斎藤千和)が朽ち果て、最後に黄金の林檎を残した。 それを食べた2人は夢で寿命を示す砂時計がひっくり返り、若返ったのだった。 以降は夢の砂時計をもう一度ひっくり返すことで、もう1度老人に戻ることもできるようなった。 ちなみに身体能力は完全に回復し、老人時でも高いまま。 また、髪はふさふさになるが総白髪のまま。老人に戻ると改めてハゲる。ある意味一番訳の分からない現象である。 また、砂時計の一部を破壊すると記憶まで若返ってしまう。(自己修復可能だが) ただし、中身の砂は徐々に外にこぼれ出しており、無限に若くいられるわけではなく砂が尽きた時こそ完全な寿命だと推測されている。 追記・修正は若返ってからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] じいさんばあさんが農機具とか使って仕事してる姿が異常なまでにカッコいい。あと孫かわ -- 名無しさん (2021-04-29 19 45 19) 舞台がマジのご近所でちびった -- 名無しさん (2021-04-29 20 22 57) ドリフ×艦これから見ていたから、作者さんの成長っぷりがすごいんだよねぇ。 -- 名無しさん (2021-04-29 21 02 46) ↑3 近所の男子「(生垣の剪定するから)チェーンソー使わせてくれよ!」は笑うけど気持ちもわかる -- 名無しさん (2021-04-29 23 43 17) じいさん若返って悶々としてるのをかわいいと言うばあさんがかわいい、何この夫婦 -- 名無しさん (2021-04-30 03 44 40) ばあさん可愛いんだけど、同じくらいイケメンっぷりも見せるのが好き。 -- 名無しさん (2021-04-30 06 01 03) 作者さんの名前間違えてるのでは -- 名無しさん (2021-04-30 08 59 15) 息子二人の顔が爺さんたちにあんま似てないけど、若いころはイケメンだったのかな -- 名無しさん (2021-04-30 09 07 26) ↑2 直しました。ついでにルビ振っといた -- 名無しさん (2021-04-30 09 09 36) ↑7 線や絵が見る見る上手になっててすごいよね 忙しいだろうけどドリフ×艦これの続きもみたい -- 名無しさん (2021-04-30 11 48 45) アニメ化おめでとうございます! -- 名無しさん (2024-01-04 00 33 38) 若返り+健康体になったイネと夜の営みをしたら確実に腹上死すると怖れる正蔵。 -- 名無しさん (2024-05-03 03 28 58) ↑5 作中で長男は正蔵の父親に顔が似ているって言及されていた -- 名無しさん (2024-05-14 16 58 08) あぁ……遂に恐れていた事が…… -- 名無しさん (2024-05-25 19 15 50) EDの重さよ -- 名無しさん (2024-06-03 22 58 00) 最終回で泣くとは思わんかった… -- 名無しさん (2024-06-17 05 37 43) でもあの二人の結末はアレ以外有り得なかったよね。 -- 名無しさん (2024-06-17 06 53 56) 最終回…未乃と将太君… -- 名無しさん (2024-06-17 08 00 43) やろうと思えばサザエさん時空でともっと続けることもできただろうが、これは終わらせることにも重要な意味があると思う。 -- 名無しさん (2024-06-17 20 17 02) 老人向けなろうって感じ? -- 名無しさん (2024-06-17 20 24 57) 名前 コメント
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登録日:2020/12/29 Tue 11 19 33 更新日:2024/03/21 Thu 18 48 44NEW! 所要時間:約 12 分で読めます ▽タグ一覧 エヴァ エヴァンゲリオン ヱヴァンゲリヲン新劇場版 二子山 何故かなかなか立たなかった項目 新世紀エヴァンゲリオン 神奈川県 第3新東京市 箱根 芦ノ湖 街 要塞都市 都市 「これが、使徒迎撃専用要塞都市『第3新東京市』」 「私達の街よ」 「そして、あなたが守った街……」 第3新東京市とは、テレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズ及び「エヴァンゲリヲン新劇場版」に登場する架空の都市である。 【概要】 所在地は神奈川県の箱根町。住所としては「神奈川県第3新東京市」となる。 セカンド・インパクト後、新型爆弾で壊滅した東京都に代わり、長野県松本市が第2東京市として暫定的に遷都することとなる。 そしてその大災害から立ち直るように新しい遷都先として建設されているのが第3新東京市である。 ……と、ここまでは建前であり、その実情は、近い将来に襲来が予想される「使徒」に対応するべく建設された要塞都市である。 その地下に位置するネルフ本部、そしてひいては隠され続けているリリスを守るために建設された都市なのである。 新劇場版にてロゴが登場。ネルフと同じイチヂクの葉が逆さを向いている姿。 + 正体 実は地下のNERV本部施設があるコロニーとなっている大深度地下空間『ジオフロント』の正体は、リリスの卵である 『黒き月』 。 リリスが太古の昔に地球に降ってきた際、黒き月は現在の箱根の位置に衝突して地下深くに埋没してしまった。 ゼーレがリリスを捜索する際、裏死海文書の記述通りに箱根地下を探索すると、この大空間を発見し、その空間内部でリリスを発見するに至る。 『黒き月』というのは人類の魂が生まれ、そして還るガフの部屋である。 リリスより生まれし生命は全てこの黒き月より生まれ、そして還っていく。 南極の地下にも同様の空間があったとされ、こちらはアダムの卵である『白き月』である。 白き月は使徒の魂が生まれ、還っていく場所であったが、セカンドインパクトの際に葛城調査隊の尽力で熱滅却処置を施されてガフの部屋を焼却したため、この機能は失われた挙句、セカンドインパクトの大爆発で白き月自体も南極と共に蒸発した。 【要塞都市として】 「第3新東京市、ネルフの偽装迎撃要塞都市、遅れに遅れていた第7次建設も終わる」 「いよいよ、完成だな」 都市の多くは偽装された町と入れ替わる兵装ビル群によって守られている。 しかし本編初登場時には未完成状態であり、2回目の襲来であるシャムシエル襲来時には対空迎撃システムは4割ほどが稼働といったところであった。 使徒が襲来してからは着々と完成するどころか壊れる一方であり、イスラフェル侵攻時には稼働率はほぼゼロという有様である。 それでも人類はめげずに作り続け、壊されては作り直しを繰り返している。 ミサイルビル1つにとっても、2014年11月に着工を開始して15年の8月に完成予定というスケジュールである。いや、普通はこれくらいかかるのだろうが。 だが作中時間が進むにつれてその復旧速度は早くなり、一番難しそうな天井ビルさえも数日から数週間の間であろう次の話のときには見栄え良く再建しているのである。流石二子山を9時間足らずで要塞化できる日本の土木・建築技術である(*1)。 TV版ではラミエルによるボーリングシールドによって都市中央――本部直上の箇所が掘削されたが、その後は埋めるなどされず立坑として残ったままのようである。 第拾七話にて第七次建設を終え、とうとう完成。 第拾九話のゼルエル戦にてフル稼働するも足止めすら叶わなかった。流石に最強の使徒は相手が悪い。 その後も健気に復旧するも、精神攻撃を受け錯乱した弐号機に誤射されたりしながら、アルミサエルを巻き込んだ零号機の自爆によって事実上消滅、芦ノ湖を水源とする大きな池が残るだけになった。 【人の住む都市として】 「うちに帰れるだけ、まだマシっすよ」 上記の通り、目的としては迎撃要塞都市として建てられたこの都市だが、その町が完全なハリボテというわけではなく、きちんと住民が住んでいた。 住んでいる人は様々だが、都市の建設作業員やネルフ関係者、その家族が基本的である。 その都合上、住人は都市の目的やネルフの存在を知っているようだが、実際に使徒襲来までこの都市が戦場になるとは思っていなかったようだ。 そのためサキエル(新劇では第4の使徒)襲来後、転出届が100件を超えたという話まである。お役所はパンクだっただろう。 都市としては非常に小さく、面積としては東京23区よりも小さいほど。将来の遷都計画がいかに建前のものであるかが推測できる一面でもある。 また居住や一般生活の多くは都市の外周に位置している。 ミサトの住宅等は町外れの高級住宅感がある一方、シンジ達が通う第三新東京市立第壱中学校も北東の都市中心部からやや離れた場所に位置している。 市街地中央は兵装ビル等の戦闘の中心になることを考慮した結果なのだろうか。 こんな立地のためか、使徒襲来以降、避難訓練が頻繁に実施されているようだ。 しかしその内容、なんと日時は当日発表、シェルター待機4時間という軍事演習レベルのスケジュールである (*2)。 しかしそのせいで、シャムシエル戦の時点でも遠足気分と緊張感はかなりなくなっているようだ。 『新劇場版:破』では日常の朝の風景が描かれており、ビルが生えてくる中で通勤や通学をする人々を垣間見れる。マヤちゃん大あくび。 ネルフ職員の一部は電車通勤している姿を見ることができる。しかし青葉が「うちに帰られるだけマシ」ということから、多くの職員は泊りがけかもしれない。 まあ昼夜関係ない人類守る準軍事組織だから仕方なし。 【兵装ビル】 「総力戦よ。要塞都市全ての迎撃設備を特化運用!わずかでもいい、食い止めて」 第3新東京市の真髄であるのが、市街地中心に陣取る兵装ビル群である。 平常時は高層ビルなどが並ぶが、戦闘時にはミサイルや火砲を内蔵したビルに入れ替わるというギミックを持つ。 弾幕をこれでもかというほどに撃ち込むことを目的としているため、とにかく数を揃えようとしているのかバリエーションが多い。 ビルがスリットしてミサイルを射出するものから、ロープウェイで射撃する重機関銃など様々。エヴァを支援する立派な火器たちである。 でも基本的にATフィールドを展開している使徒には効果がない。 でてくるのは火器だけではなく、エヴァのサポートを行う設備もある。 エヴァ自身を輸送する射出口やエヴァ用の兵器を提供するビル、アンビリカルケーブルを備えたビルまでこちらも様々である。 ただでさえバリエーション豊富なビル群だが、新劇場版ではさらに詳細な設定を与えられたビル群が登場する。 特に『新劇場版:序』の初見時は、時間とCGの限りを尽くしたその火器群にその手のアニヲタ諸兄を狂乱させたのではないだろうか。 その規模は倍どころのレベルではない。 山のようなミサイルVLS、立体駐車場を利用しました感あふれるミサイルビル、艦載砲を大量に乗っけたビル、しまいには46cm砲やドーラ列車砲じみた兵器まで出てきている。機銃群に至っては火網の壁を形成している。やはりCGをフル活用しており、手書きだったら間違いなく死にそうな量だ。 上述の通り、第10の使徒戦ではその全力を発揮するためさらに量が増えている。火網の壁は火砲に変わっており、N2誘導弾が道路の下からこれでもかと撃ち込まれるほどだ。 ……それでも足止めにすらならなかったのは人類の限界というべきか。 建物が収容と現出をする構造上、都市中央部は計画された区画わけが行われている。 1区画はおよそ300m強とされていて、特に中心十字状の9つの部分がジオフロントへの収容区画となっている。 各区画は非常手段として、支えているロックボルトを爆破する「爆砕ボルト」に点火することで、強制的にその区画全体を沈下崩落、収容することができるようになっている。 福岡のキャナルシティ博多で上映されているアクアシネマ「エヴァンゲリオン 使徒、博多襲来」では、これを利用して第3新東京市ではなく福岡市の天神区画が落とされる。 ここでは爆破後の区画が描かれており、そのままジオフロントに直接落ちるわけではなく、ただ一層低い箇所に落っこちるだけのようだ(*3)。 また漫画版の設定として、兵装ビルの一部がS2機関捕食後の暴走した初号機を取り押さえ回収することに成功している。 これについて、ミサトの憶測ではあるものの、迎撃設備の目的にエヴァの拘束も含まれていた可能性もある。けど君どうやって地上に出た? 【周囲】 南には芦ノ湖が広がり、そのほかは山に囲まれている。 第3新東京市の一部は芦ノ湖北岸にまで達しており、集光ビルや港湾施設も確認ができる。ラミエル襲来時に見えたドーム状の建物が印象深いのではなかろうか。 『破』では芦ノ湖に巡洋艦が複数停泊していることが確認できるが、第10の使徒襲来時には即応できなかったのか戦闘には加わらず、ニアサード発動時にも無傷のまま停泊していることが確認できる。 それぞれに防衛線が敷かれており、代表的なのは駒ケ岳防衛線(南東)、強羅防衛線(東~北東)がある。 強羅は絶対防衛線とか言われているがまず止められない(*4) (*5)。 芦ノ湖東側には二子山が広がり、下二子山はヤシマ作戦の狙撃地点に選ばれた。その後半分吹き飛んだ。 特に新劇場版では周囲の各山脈が要塞化されており、御殿山や三島などといった要塞が山のような砲台やVLSを抱えていた。なんか全部第3新東京市の方向向いてません? なおTV版においても、ヤシマ作戦以降に二子山が要塞化、ネルフの管轄に入っていることがことがうかがえる(*6)。 【政治・行政】 「市議会は形骸に過ぎんよ。ここの市政は事実上MAGIがやっとるんだからな」 他の市町村同様に市議会が存在する。定期的に評議会も開催している。 しかし実際のところ市政は全てネルフ本部に存在するスーパーコンピューター「MAGI」によって行われている。議会はあくまでMAGIの決定に従うのみであり、実質的にネルフが取り仕切っているといえる。 甲斐甲斐しくも市議選は行われているようで、作中でも候補者が確認できる。 そんな彼は「高橋覗」、実は作中でも珍しいフルネームが全て漢字の人物である。 【ネルフとの関係】 市内各所にはネルフ本部やジオフロントにアクセスする関係者専用の進入口や、エヴァ関係の射出口、輸送路線などが存在している。 ビル群はもちろん、山の中腹、専用のトンネルなど緊急時でもそのアクセスは万全である。 またシェルターも多数配備しており、一部はジオフロント内にも存在、乗り換えの直通ルートも存在している。 ただし、都市とは密接な関係を持っての施設でもある以上仕方ないのだが、破壊工作が合ったとはいえ内情を知っていれば検問にすら引っかからず本部施設内へ突入することができるルートも存在するなど、ややセキュリティ不足は否めない。 【経過】 以下、第3新東京市の戦歴と被害状況、そして建設作業員の意地の記録である。 第3使徒サキエル/第4の使徒戦 先述の通り、本編開始時は未完成。 町としての体裁を整え、ビルの格納やエヴァの射出関係が稼働している程度である。 足止めのN2地雷で丘(鷹巣山)1つが吹っ飛ぶ。 さらにサキエルとの戦闘により電話ボックス1つ、地下装甲板、各所ビルに損害、うち1棟は初号機によって水平移動させられて番地が変わった。 また自爆によりとてもきれいなクレーターが出来上がる。序では更にひどく血の池状態。 ここから作業員の戦いは始まる。 第4使徒シャムシエル/第5の使徒戦 頑張って進めたが、迎撃システムに関しては稼働率約4割。 山の中腹からのミサイルやロープウェイなどの外郭部からの攻撃をもろともせず襲来するシャムシエルのムチでビルの一部が損壊する。 『序』ではロープウェイ砲がなくなった代わりにフルCGによる迎撃設備シーンが描かれ、公園から使徒に対して46cm砲をぶっ放す砲塔や、ビルからでてくるミサイルサイロなど色んなものが見れるので是非見てみよう。 第5使徒ラミエル/第6の使徒戦 開幕の砲撃で複数のビルが荷粒子砲により三枚抜きくらいされる。 その後都市中心のゼロエリアをゆっくりと掘削、10時間近くをかけ全装甲板を突破しジオフロントにまで達する。 ただ何も律儀にシールドでゴリゴリ掘らなくとも、あれだけ威力のある加粒子砲を下又は斜めに撃てばもっと早く装甲を突破出来た気がしてならない・・・ 照射中下げられた初号機を斜めに追いかけている事から、真横にしか撃てないと言う訳でも無い様だし。 また電力徴発のため、この町の電力もごく一部を除いて供給が止められた。 意外にも終わった後の死体(残骸)が何気に一番問題を残したようで(*7)、イスラフェル戦までその撤去作業が続くことになる。 ジオフロント中空まで伸びたボーリングマシンの部分とか撤去難しそう……。 新劇場版では初回砲撃を「対電磁光波熱線防護跳開式装甲板」なる道路から跳ね上がったシールドで見事防護、かと思いきやの第2射で見事に即落ち。 ヤシマ作戦では陽電子砲の準備のために二子山に増設変電所を作り、各変電所とケーブルで繋ぐ作業を夜までに1日足らずで完遂。 作戦発動時には各ミサイル・砲座の弾幕射撃でラミエルを牽制したが、同時に反撃で次々と蒸発していった。 後は同じように掘られ、撃沈後は形象崩壊、やはり血をばらまくこととなる。 主に中学校はスプラッタ状態以上のなにかに成り果ててるのではなかろうか。 その後、新劇場版では旧版になかった第7の使徒が襲来したが、相模湾で食い止めたため都市部に大きな被害は出なかったようだ。 ただし交戦した巡洋艦は容赦なく撃破され、瓦礫が道路にまで吹っ飛んできたり、 空中戦を終えた2号機の着地で、ブースターで弱めたとはいえ衝撃でミサトの車はおじゃんに。 また2号機が空中で投棄した超電磁洋弓銃を江の島沖で回収する旨がガヤ台詞にある。 第7使徒イスラフェル戦 ラミエル戦で受けたダメージにより稼働率はゼロに。復旧率は3割弱。 初戦による初号機・弐号機の敗退により都市内での決戦が進むが、そのためには都市の復旧が必要であった。 半分くらい残っていた使徒を一週間弱で解体しきり(*8)、同時に迎撃システムを稼働状態に復旧させるという急ピッチ作業を成し遂げた。 強羅絶対防衛線の田んぼを踏み抜きながら襲来した使徒に対し足止めやエヴァのサポートを行った。 第9使徒マトリエル戦 大停電。 全ての電気供給が止まった中、偶然のタイミングでやってきたマトリエルくんに装甲をじわじわ融解させられていく。 実はマトリエルが溶解液をダラダラ流していたところはラミエルがブレードで開けた穴ではないかという説がある。 第10使徒サハクィエル/第8の使徒戦 第3芦ノ湖として太平洋とつながるレベルの落下体。 全市民、ネルフ本部においてもD級勤務者の避難が行われた。 その後エヴァ3機(主に初号機)による猛ダッシュにて路面はガンガン荒れただろう。 『破』においては初号機のルート確保のため数々の兵装ビルが活躍した。 MABSS(*9)や専用踏み台など、第3新東京市ここにありと披露した。 代わりに音速を超えた初号機に路線や駐車車両などを吹き飛ばされていった。 戦闘後は赤い水の大洪水により都市の一部が水没する目にあったが、上述のMABSSに上手いこと防ぐことができた。 第12使徒レリエル戦 およそ680mの範囲のビル群がディラックの海へと沈んでいった。大体2区画くらい。 その際、弐号機がナイフや斧をぶっ刺して足場として登頂、沈没を回避する。 初号機が覚醒しての使徒殲滅後は影に乗っても沈まなくなったが、逆を言えばそのまま。 掘削作業から立て直して復旧したのだろうか。 第拾七話 第七次建設が終了、第3新東京市は完成となる。 第13使徒バルディエル/第9の使徒戦 松代の仮設ケイジが使徒に寄生された3号機の暴走で爆発し崩壊。 その後初号機と格闘戦になりダミープラグの反撃でズタズタにされた残骸が散らばり周囲は血みどろ、流れ出した血で川まで真っ赤に染まった。 エヴァのエピソードでも屈指のグロさである。特に新劇場版。 第14使徒ゼルエル/第10の使徒戦 駒ケ岳防衛線より侵攻したゼルエルは完成状態になった第3新東京市を蹂躙。 全力を出した迎撃設備を物ともせず、特殊装甲板を全て破壊しジオフロントへ侵入した。 その後メインシャフトを真っ直ぐ降下。 第一発令所の正面モニターを突き破り冬月やミサト達の真正面、正に目と鼻の先まで迫った。 更に右側の壁面を突き破り初号機が乱入、光線こそ撃たれなかったが壁は破られ踏み荒らされて発令所はボッコボコに。 おかげでこの第一発令所は修復されず破棄が決定、その後の役目は第二発令所が担う事になる。 最強の使徒と謳われるだけあり、ラミエルのシールドをゴリゴリ10時間耐えた22層の装甲板も光線一発で一気に18層までぶち抜かれた。 ただ上記の通り加粒子砲を使っていればどうだったかは分からないが・・・ 『破』では旧小田原防衛線を突破した第10の使徒を迎撃。 大幅に迎撃設備が強化され、住宅地の裏からでてくるミサイルサイロや、大量の火網から更にはN2誘導弾の大売り出しまで行った。 しかし効果はやはりなく、使徒によるビームによって中央区画のビルと天井都市は大崩落し、さらに次のビームで第3新東京市周辺の山々が被害を受けた挙句、24層全ての特殊装甲が一撃で突破され、ジオフロントへ侵入を許してしまった。 またジオフロント内にも迎撃設備があるようで、使徒と戦う2号機の援護を担うなど細かいところで大活躍している。 漫画版では暴走した初号機の拘束と回収を担った。 第15使徒アラエル戦 弐号機による誤射により一部の街が損傷を受ける。 第16使徒アルミサエル戦 郊外での戦闘を行うも、零号機の自爆により都市部は消滅。 芦ノ湖とつながり、第三芦ノ湖とも呼べる巨大な湖を形成することになった。 もはや復旧は不可能であり、その後は放置状態となった。 23話以降、シンジのクラスメイトたちも疎開を始める。 【最期】 「ネルフ本部の上に街があって、みんなそこにいたんだ。トウジやケンスケ。委員長やクラスのみんなも」 要塞都市として作られたものの、アルミサエル戦をもって役目を終えたかのようにその姿を消した。 24話でゼーレは『第3新東京市の消滅は都合がいい。』と発言しているため、いずれにおいても第3新東京市は消滅する運命にあったと思われる。 ミサトのマンションは郊外にあった為か被害は受けておらず、ペンペンも無事であったが、もはや住める状況ではなく、ペンペンも委員長に預けられて疎開していった。 漫画版はミサトのマンションのすぐ目の前のビル群が水没していた為、ペンペンとマンションが破壊を免れたのは本当に奇跡という他ない。 旧劇場版においては辛うじて残った郊外の迎撃設備が戦自に抵抗するも潰され、最期はN2弾道弾によって装甲板ごと表層が吹き飛ばされてしまうことになる。 新劇場版ではニアサードインパクトによって大地が裂けるかのように変形して地上にジオフロントを露呈、爆心地として放棄された。 それから14年後の『新劇場版:Q』ではニアサードインパクト後、人類補完計画の発動によって地上は崩壊。 詳しい場所まではわからないが、中心たる第3新東京市においてはもはや原型をとどめていないように見える。 NERV本部も何があったか空中に浮かんでおり、メインシャフトがリリスのいるセントラルドグマまで異常な距離で伸びていたが、後述のフォースインパクトで破壊された。 『Q』の終盤で起きたフォースインパクトでは第13号機の覚醒と共に地中に埋まっていた黒き月が裂かれた地表を破壊して出現。 さらにガフの部屋が開かれると大量のエヴァンゲリオン・インフィニティが黒き月より放出され、黒き月がさらに空中へと浮かび上がっていった。 『シンエヴァ』においては空中移動するNERV本部に牽引される黒き月が富士山に正面衝突して凄まじい音ともに富士山が動いていた。 シン・エヴァンゲリオン劇場版 || なんとマイナス宇宙、シンジの記憶の中の世界として登場。 ゲンドウが操る(*10)エヴァ第13号機と覚醒したシンジが操縦するエヴァ初号機の最後の決戦の舞台となる。 この時の第3新東京市のCGは妙にチープであり、エヴァ同士の戦いで壊れていく家屋やビル、砲台なども水平移動するなど視聴者のみんなには変に写ったことだろう。 それもそのはず、この第3新東京市は 『特撮セット』 なのだ。 映画本編を見ればわかるが、初号機は第13号機に為す術なく吹っ飛ばされてしまう。その際空に見えた部分はなんと壁であり、この時に第3新東京市がセットになっていると勘づいた人も多い。 実際、この直後のシーンにミサトの自宅マンションのシーンで戦うシーンが出てくるが、吹っ飛ばされたエヴァ初号機によって壁が壊れ、露になったのはスタジオであった。 ともあれこれで新劇場版シリーズにおける第3新東京市は見納め。 散々な目に会ってきた第3新東京市だが、新劇場版シリーズではマイナス宇宙の中であるものの、最後はそのよく知られた街並みを視聴者に見せてくれた。 【その他】 本部施設を含むジオフロントの住所も第3新東京市以下になる。ミサト同居決定前のシンジの居住予定地は「第3新東京市地下F区第6番24号」であり、これがネルフ本部、あるいは天井都市区画の住所と思われる。 表記に関して、第「3」新東京市と第「三」新東京市、TOKYO-3とTOKYO-IIIはいずれも混在が見られる。基本的にはアラビア数字。 自動車のナンバープレートにおける登録賢明表記は「3新東」。 スーパーロボット大戦シリーズだと初期の頃は気軽に東京を潰すわけにはいかないので、東京を潰す必要がある場合を除いて「第3新東京市」という名前の都市は出てこないという中々不遇な扱いを受けていた。このため、初参戦となったスーパーロボット大戦Fやαではエヴァの主要な舞台は「第2新東京市」となっている。なお、αで劇場版までやってしまったため、第3次αでは第2新東京市も登場せず(*11)、EDでシンジ達の新たな居住地として第3新東京市が登場した。という事で第3新東京市がスパロボに初登場したのは初参戦のFから7年後に発売されたスーパーロボット大戦MXとなる。また、スパロボにおいてもスパロボ補正で都市の壊滅自体は避けられる事はあれども、外宇宙からの侵略者や悪の組織やドラゴン達に襲われたり、戦争の被害を受けたりと本編に負けず劣らずの踏んだり蹴ったりである。 第3新東京市が甚大な被害を受けなかった映像作品は、2020年現在『シンカリオン』とのコラボアニメのみである。 中心部は人が住んだり訪れたりしないように出来ているがコラボレーション企画で店が出来る場合がある。少なくともセガゲーセンとローソンは「第3東京市店」がある。セガワールド、ローソン共に松本市に実在している。 「遅れに遅れた項目の追記・修正ももうすぐ終わる」 「いよいよ、完成だな」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 神奈川にあるのに「東京」って名前にしたのは何か理由があるんだっけ? -- 名無しさん (2020-12-29 13 40 57) 敵の襲来に備えた都市としては、武装はしてないけど、ファフナーの竜宮島もいいよね。EXODUSのOPでのガシャコンガシャコンと防弾壁(?)が出てくるところがなんか好き -- 名無しさん (2020-12-29 14 59 25) まだ温泉あるのかな -- 名無しさん (2020-12-29 15 32 22) ミサイルや機関砲の雨は見てるとすげーってなるけど、結局使徒相手じゃN2兵器じゃないと効かないんだよなぁ。もっと威力重視にすればいいのにとは思うけど、戦場になるのが人を住まわせてる都市という -- 名無しさん (2020-12-29 15 46 33) 「スパロボでも大体第3新東京市が出てくる」と書かれていて凄いジェネレーションギャップを感じてしまった。むしろ旧作参戦時代は第3新東京市の名前が出てくる事の方が珍しかったんだよなぁ… -- 名無しさん (2020-12-29 16 09 53) 3号機の事故は松代だから市内ではないような -- 名無しさん (2020-12-29 18 28 32) 使徒に対して効果が無い上に毎回ぶっ壊される金食い虫を直す必要ってあったの? -- 名無しさん (2020-12-29 18 44 39) スパロボのはそう言う事情があったんだな -- 名無しさん (2020-12-29 19 23 05) ↑2ネルフが予算不足に悩まされて対人防衛費を削らせるように仕向けるため -- 名無しさん (2020-12-29 20 45 22) αシリーズって書いてしまったのでサルファのリンクも貼ったんだと思うけど、実はサルファでは第2新東京市も舞台にならないんだ……申し訳ない -- 名無しさん (2020-12-29 22 10 52) 効果がないとは言っても気を引いたり要所で壁や経路になる程度の活躍はしている -- 名無しさん (2020-12-30 00 38 44) ↑1番上 そもそも東京が「東の京都」なので -- 名無しさん (2020-12-30 07 12 23) 使徒に通常兵器がほぼ効果ないのはNERVより上ならみんな知ってるのに、よく計画通したもんだ。 -- 名無しさん (2020-12-30 08 54 43) パレットライフルで殲滅された使徒もいることだし遠距離からATフィールド全開で中和しつつ通常兵器でタコ殴りにすれば効く目算はあるでしょ ミサトさん復讐鬼だからそんなチキン戦法取らないけど -- 名無しさん (2020-12-30 09 15 24) チキン戦法云々以前に指揮能力が…「一斉射」がせめて「発生する爆炎に注意しつつ火力を投入」ならまだ良かったんだが… -- 名無しさん (2020-12-30 10 11 47) ↑5新劇第8の使徒戦は第三新東京市のギミックフル活用で上手くやっていたよね。……使徒倒した後の被害が凄まじかったけど -- 名無しさん (2020-12-30 11 19 32) ↑×4 ゲームのエヴァ2で、ゼーレが将来のネルフ解体を見越して本部の対人防衛設備増強に予算をなかなか割かないって設定があったので、同じような動機でネルフが予算貯めこめないように役に立たない対使徒用防衛予算に重点置かせてたのかもしれない -- 名無しさん (2020-12-30 18 02 44) 第2新東京はテロリストの巣窟だっけ確か -- 名無しさん (2020-12-31 11 23 31) 序のラミエルに対する攻撃は国連軍のページだと国連軍がやってるみたいな書き方してこっちだとネルフがやってるみたいな書き方してるけどどっちが正しいの? -- 名無しさん (2021-01-05 14 31 33) ↑該当シーンで登場する兵器類は国連軍のもの。ミサトが要塞に「通達」していることからあくまで現場指揮も国連軍かと。ただ実質ミサトの指示で動いてるのでどちらとも捉えられるかも。 -- 名無しさん (2021-01-05 20 35 08) 『~人類の限界と言うべきか』>シン・エヴァの内容を考えるとすごく感慨深い。いや、この記事の内容自体が、アレに至る道筋を良く解説している感じがする。 -- 名無しさん (2021-04-13 21 08 07) そういえばジオフロントのことが何も書かれてないな……書くとしたら黒い月のことまで言及しないといかんけど -- 名無しさん (2021-04-25 00 03 54) エヴァ地球は使徒しか敵いなかったのもシンジ君達の運命がゼーレ共の思惑通り狂わされて行くのに繋がっていったって思うとかなり皮肉。死海文書の予言を否定するのにゴジラみたいな「人類の敵」は補完計画を否定するのに持って来い過ぎる。ゴジラは破壊を撒き散らすけど人類の闘争心をこの上なく沸き立たせてくれるからある意味絶望にして希望の化身 -- 名無しさん (2021-07-26 12 05 59) TV版のロープウェイ機関砲はさすがに無理があったんで新劇で廃止されたのか -- 名無しさん (2022-10-29 01 41 03) しかし人外で恐らく人類文明も知らぬ使徒相手に偽装する意味あったんだろうか。いや偽装されてたほうがかっこいいと言われたらそれまでだけど。 -- 名無しさん (2023-02-19 00 03 21) ↑表向きはまた訪れるかもしれない有事に備えて、敵国の不意をつくためのテストケース的な一面もあったんじゃないかな -- 名無しさん (2024-03-21 18 48 44) 名前 コメント
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色々とありながらも飛行二師展開の飛行場。 否、暦とした航空基地へ足を下ろした六六六空、三八六空であったが、 ようやく地面を踏みしめて歩ける贅沢を楽しむ暇もなく、 指揮官及び幹部クラスの将校は、ウラジオ防空担当の航空部隊。彼ら、彼女らとの臨時協議に入らざるを得なかった。 「こちらでもぎりぎりまでは追尾しました。ガンカメラで撮影も行いましたが、間違いなく強行偵察用の新種です」 リベリオン陸軍のP-38L双発戦闘機。 双発双胴という珍しい機体を持つが、重武装で高高度性能の高い機体を定数装備する、戦闘第391飛行隊の先任将校が生真面目な顔で切り出し始めた。 場所は航空基地地下に設けられた、ベトン防護の会議室である。 「欧州に展開している第8航空軍からの報告にもありますが、 あれの類似種が通過後は最低で40機以上。最悪200機の大規模空襲がたびたび見受けられた、と」 「その点は我々もウラル戦線で、同様の状況を数度確認しております」 それに応じたのは戦闘第562連隊飛行長、ナスターシャ・イヴァノワ中佐であった。 彼女は既に「あがり」を迎えた21歳のエクスウィッチであるが、 優れた部隊運営の手腕から、戦闘第562連隊の再建に引き抜かれたベテランであった。 「特に冬季、ヴォルガなどが凍結して陸上ネウロイの侵攻が可能となった時期。 ちょうど現在と同じような気候に際して、昨年末より少数ながら飛来。 直後にラロス系列の戦爆ネウロイ多数の空襲が頻発したと、陸軍部隊からの記録にもあります。私も現地で邀撃指揮を行いましたが・・・」 イヴァノワ中佐はいったん言葉を区切ると、丹精だが右頬に目立つ大きな縫合跡。 それを微かに引きつらせるような、緊張を浮かべた面立ちで続けた。 「徹底しています、それこそ虱潰しに襲い掛かってきました。 こちらも多数を撃墜し、築城で被害を局限したとはいえ、損耗は甚大でした。 増して今、この軍港都市にはネウロイが沈めそこなった輸送船が多数停泊していることを、奴らは把握していると考えるべきかと」 「一〇四戦隊としても同意見です、最短で三日後には。 モスクワハイヴなどとの距離を考慮しても、何らかの大規模空襲があるか見ています」 「飛行五戦隊も同様です。今は警急配置中隊を2個に増やし、危険は承知ですが火器弾薬の信管も既に即応体制です」 扶桑の2個飛行戦隊。一〇四戦隊の林原少佐、五戦隊の小川少佐らも同意見を述べていた。 一〇四戦隊は元よりウラジオ防空専任部隊であり、五戦隊はウラルでの損耗補充のために一時交代しているだけに、前線の空気には鋭敏である。 「そうなりますと」 この場では次席に近い立場ではあるが、存在感がどうしても目立つ六六六空指揮官。 出雲涼海軍中佐は、臨席する三八六空分遣隊津野谷和子大尉に軽く目配せすると、発言許可を得て切り出した。 「我々母艦航空隊としては、どのようなシフトに入るべきでしょうか。 幸か不幸か、機材が雑多な為に大概の高度のネウロイには、対処できます。夜戦隊もおります。 護衛空母の零戦隊も、我々とは異なる飛行場にですが、展開しています」 「正直、そちらの飛行隊が展開してくれたのは、有難い限りです」 五戦隊の小川少佐が応じた。彼女は樫城勇音中尉の嘗ての上官であり、 現在でも重爆邀撃のベテランとして、飛行隊長として奮闘している。 高野上飛曹と変わらない小柄な体躯だが、前線帰りだけに表情には戦意、疲労、冷静さ。 様々なものがない混ざって浮かんでおり、彼女を19歳という実年齢よりも、随分と上に見せていた。 「総計2個戦隊相当ですからね。常時4機飛ばしてくれるだけでも、大分助かります。 ああ、樫城中尉との縁じゃありませんが、使ってる機材も61(三式戦)と96(双発複戦)系列です。 後は一〇四戦隊さんも使ってる84(四式戦)と合わせ、我々と共同で哨戒、邀撃をと。イヴァノワ中佐、林原少佐、如何でしょう?」 「私としても異存はありません。そちらの主力はやはり扶桑陸海軍のウィッチですし、独自機材も多いようですから。ベテランが多いのも助かります」 「84でしたら共同運用も行いやすいので、大歓迎です。では続いて防空担当管区ですが・・・」 それ以降も各飛行隊、戦闘機隊の指揮官や先任将校を交えて、概略協議とはいえ会議は1時間ほど続いた。 何しろ三カ国の、それも扶桑やリベリオンの場合は、陸海軍や海兵隊の航空隊も混じっているのだ。 電探情報の共有、高射砲部隊の配置、重要防御対象の所在など、新任部隊に引き継ぐべき事項は、無数に存在していた。 「苦労とは思いますが、扶桑海軍が懸命に輸送してくれた物資と増援部隊。これの陸揚げが終わるまでの5日間。 なんとしても各位には死守していただきます。六六六空と三八六空は洋上勤務が長いので、 8交代制で陸上休養を許可しますが、飛行場へ車輌で15分以内に戻れる圏内で願います」 「心得ました。微力ながら、最善を尽くします」 「我々も可能な限り、お力添えさせていただきます」 そう。確かにヒ-88船団はウラジオストックへその大部分が、幸運にも無事に到着した。だからといって2つのウィッチ飛行隊。 そして護衛空母搭載の零戦隊の任務が完結したわけではないのだ。 彼らは荷揚げが完了するまで、そして傷病者やオラーシャからの供出品を無事に船舶ごと連れ帰るまでが任務なのだ。 道は未だに半ばであった。 「海上護衛戦10-前編 ウラジオ上陸編」 「とまあそんな次第で、三八六空と共同でウラジオ南部空域。この方面を変則8交代で哨戒任務に就くことになる」 六六六空と三八六空に割り当てられた航空基地の余剰官舎。 リベリオン陸軍が多用している簡易カマボコ型兵舎を、扶桑陸海軍でも導入した施設。その科員集合区画にて出雲中佐は説明を行っていた。 「陸上と洋上、双方から電探が常時目を光らせているけれど、 方位と高度は先日の例から見て不規則と考えた方が良いでしょう。我々三八六空は主に低空哨戒を担当します」 それを受けて津野谷大尉が自隊にも説明を行った。陸上に下りて暫く話して気づいたのだが、 彼女は兵学校出身ではないものの、涼のコレス(教育を受けた学校は異なるが、同期に相当する=コレスポンドの略称)に相当する、同年齢であった。 派手な戦歴は乏しいが、遣欧艦隊に従軍したこともあり、主に北洋方面と欧州方面で船団護衛を手堅くこなしてきた指揮官でもある。 「津野谷大尉の部隊には主に高度4000m以下、零式が最も性能を発揮できる空域を担当してもらう。 我々は・・・5000m以上、中高度から高高度の邀撃哨戒だ」 「飛行割を発表します。夜戦隊を除けば概ね4機8交代制。 夜戦隊は3機、2機の変則編成ですが、他の飛行隊からも上がるので、さほどの心配はする必要はありません」 涼の説明を引き継ぎ、ヘレーナ-六六六空次席指揮官にして夜戦隊飛行隊長。シュニッツラー少佐がブラックボードへ、 達筆なブリタニア文字で飛行割を記した。見れば高高度対応可能な者と、中高度戦闘が得意な者。その混成となっている。 「先ほどの説明にあったとおり、最早高度、進路、速度などは今までの情報はあてにならない。 そう踏んだほうが良いでしょう。第一陣は高高度対応にバッシス中尉、土井少尉。 中高度対応に大槻中尉、リトマネン曹長に上がってもらいます。哨戒は概ね3時間半、指揮官は先任のバッシス中尉」 「了解です」 「その上で、だ。初の長距離航海で疲労も蓄積していると思う。当直哨戒以外の者は、外出を含め休養が認められた。 飲酒は無理だが、車輌で15分圏内ならば外出も許可されている」 やったね、これで動かない地面を歩けるよ!あー、もうヘトヘトなどの歓声が一斉にあがった。 無理もない。艦隊勤務将兵でさえ艦艇乗務というのは、確実に心身を磨耗させてゆく。 ましてこの数ヶ月間で随分慣れたとはいえ、 かなり激烈な防空戦闘を挟んでの洋上勤務は、空軍、陸軍出身者には厳しい者も多かったのだろう。 それに苦笑しつつも涼は続けた。 「まあ第一直の者は運が悪かったと思ってくれ。 その分、後々で・・・空襲がなければだが、羽を伸ばせると考えて、1つ励んで欲しい。ん?崎山中尉?」 「出雲中佐、協議中申し訳ありません。その、直接護衛隊司令部と逓信省から、お客様が」 2個航空隊の官舎に同じく割り当てられ、同時に完全武装で交代立哨している武装救難小隊。 陸軍挺身隊で修羅場を潜ってきた、優男の猛者が珍しく困り果てたような顔をしていた。 逓信省?直接護衛隊司令部・・・?はて、これといった縁などなかったはずだが。 「協議中であれば待たせて頂くか出直すと仰られていますが、どうされます?」 「うん・・・そうだな。よし、第一哨戒班。離陸準備かかれ、管制はウラジオ連合軍防空司令部のそれに従うこと。 後は各位、官舎内にて解散。外出許可取り付けは、暫く待ってくれ」 「お会いになられます?」 「意図は読めないが、無碍に追い返すわけにもいかないしな。中尉、苦労をかけて申し訳ありません」 「いえ、お気になさらず。私も一応は警護という立場上、同席させていただきます」 本当に俺より10近く年下なのかねえ、このお嬢様は。 陸軍第二機動連隊、ブリタニアの空挺部隊などに相当する精鋭特殊偵察・破壊部隊。 そこで現実と修羅場を散々見た彼をして、自然と「上官」「海軍中佐」への態度を取らせてしまう涼の背中を見ながら、 崎山真陸軍中尉は軽く肩を竦めつつ、彼女の後に続いた。 無論、腰のガンベルトにはハイパワー自動拳銃と、不法侵入者排除用の警杖が油断なく装備されていたが。 「『由良』艦長、高野安彦中佐です。いきなりお邪魔をしてしまい、大変に申し訳ありません」 「こちらもご多忙の中、勝手に伺ってしまい恐縮です。逓信省外事第二課長、高野邦夫です」 「戦闘六六六空を預かる出雲涼中佐です。この度は、どのようなご用件で?」 一応は緊急時の来客用(仮にも中佐が最高指揮官の航空部隊なのだ)に設けられた、兵舎内の簡易応接室。 といっても簡易な木製卓と椅子、石油ストーブしかない区画だが、そこで涼が迎え入れたのは、第一種の濃紺の軍衣に身を包んだ初老の海軍中佐。 そして三十代後半の眠たげな目をした、しかし聊か油断ならない空気を纏った中級官吏であった。 (両方とも「高野」か、恐らくは上飛曹の親族か何かか?) よく見れば顔立ちの端々が、何処となく皐月に似ている部分もある。 何となく要件の察しが付いたような気がするが、こういうのはある程度の順序がある。 「私からは六六六空、三八六空に御礼を申し上げに参りました。まだ任務が終わった訳ではないのは承知です。 しかし、あなた方の奮闘がなければ半数は沈んでいました。本当に有難うございます。六九四空のところにも、防空参謀が伺っております」 「我々は・・・為すべきことを為したのみですので。お気になさらず、寧ろ一番危険な荷揚げ中の洋上警戒を、何卒こちらからも」 「心得ております。『由良』以下直接護衛隊も、現在海防艦から優先的に給油を行い、機関は止めておりません。 電探も回しております。部下達が半舷上陸どまりなのが気の毒ですが」 致し方のないことであった。丙型海防艦は燃費と信頼性に優れる、比較的枯れた蒸気タービン機関を搭載しているが、 それでも20ノットの巡航で7割近い燃料を使い果たした艦もいる。今はとにかく、彼女達の腹を重油で満たし、 一三号から二六号、三二号といった各種電探。そして高角砲と機関砲で、上空をにらみ続けてもらう他はない。 そして高野中佐の目配せを受けた中級官吏が、やはり丁寧に一礼すると、穏やかな声音で切り出し始めた。 性別は違うが、その話し方は確かに皐月によく似ていた。やはり・・・? 一方の崎山中尉は既に確信に変わっていた。はーん、成る程ね。あいつの妹だったのか、さっちんは。 そういえばよく見せられた写真、確かに彼女のだったもんなあ。あのシスコン兄貴の妹だったとはね。 「逓信省といたしましては、ヒ-88船団を守り通していただくことで、内地より無事に到着した通信機材について、御礼に参りました。 海底通信ケーブル自体は、海軍サンの潜水艦に敷設して頂きましたが、肝心の送受信機材の設営。これが始まらなければ、何時までも無線頼りでして」 これも故のある話であった。確かに過去二十年ほどで、各種無線通信技術も爆発的な進歩を遂げている。 しかし電離層や気象の影響を受けやすいことは変わりない。 そして「海底」というネウロイの侵攻を受けない聖域に存在する有線通信は、貴重な黄金の糸であった。 「防爆地下設備が間に合う前に、港湾拡張の必要性から性急に敷設してしまい、地上設備が空爆で破壊されてしまいましてね。 その不始末を補って頂いたことは、今後、何くれと便宜を図らせて頂きます。陸軍サン、海軍サンにも重々関わるお話ですから」 「有難くご好意、頂戴いたします。我々としても内地と安定した連絡が取れるというのは、何よりの報せですから。ところで・・・」 そこで出雲涼は軽く微笑した。といっても普段の凄みのあるものではない。 扶桑刀の鍔に魔眼を隠した相貌ながら、それは穏やかな。同時に多少悪戯っ気のある笑いであった。 「お2人の苗字が高野であるのは、偶然ではございませんね」 「ええ、まあ・・・こちらは私の父でもあります。それで、その」 「あー、皐月。いえ失礼、もとい高野上飛曹はこちらの航空隊の所属で、間違いありませんでしたかな?」 今度こそ涼は微笑を本物の苦笑に変えると、背後で同じく声を押し殺して笑っていた崎山中尉に頼んだ。 「中尉、すまないが」 「分かっておりますよ。では中佐、課長。少しお時間をいただけますか」 狐につままれたような顔をした、海軍下士官ウィッチの制服の上から、 ある程度の保温、防護機能を持つ魔法力付与のライフベストという、典型的な当直待機スタイル。 そんな姿でやってきた皐月は、一瞬目を丸くした。 「お父さん!?それにお祖父ちゃ・・・あ、いえ、高野中佐!」 慌てて10度の礼を為した皐月に、2人の高野。つまり皐月の実父と祖父は相好を崩した。 もう言うまでもない。海軍士官や商船乗り、あるいは逓信省官吏としては極めて有能な2人であるが、愛娘。 あるいは孫娘の前では只の親馬鹿、爺馬鹿に変わってしまうのだ。 「おお・・・皐月、立派になったなあ。姉さんや母さんによく似てきたじゃないか!」 「『由良』の艦橋からちゃんと見ておったぞ、お前が上空で守ってくれているというだけで、百人力だった!」 唐突に海軍中佐と中級官吏から、娘と孫を溺愛する中年と初老に変わった2人の男に苦笑すると、 「では30分ほど、席をはずします。上飛曹、失礼のないように」と、涼は楽しそうに笑い、 崎山中尉は今度は遠慮なく軽い笑い声を立て、立ち去っていった。 「たいちょー、崎山中尉ー!ちょっとーーーー!?」 まあ、皐月としても思わぬ形での父、祖父との再会は確かにうれしかったのだが。 そろそろ海軍に入り三年近くが経過し、准士官である飛曹長への昇任も打診されている身としては、 公私混同を盛大にやらかした父と祖父を前に、思うところもあったようだ。一通り2人のはしゃぎようを5分ほど笑顔で眺めた後に 「お父さん、お祖父ちゃん、正座」 と、有無を言わせない声音で命じ、残り25分間。たっぷりと説教してしまったらしい。 「うん、やっぱり皐月はうちの娘だね。姉さん達のときも同じことがあったんだよ」 「いやいや、婆さんの若い頃にも似ておる。あれはあれで昔から、皐月と一緒で頑固で」 「・・・高野中佐、課長?」 「「面目次第もありません・・・」」 珍しく鬼の目になった娘、孫娘を相手に、2人の中年と初老の男どもは、抗う術を知らなかった。 まあ洋の東西、時代を問わずに愛娘、孫娘に勝てる男など、そうは存在しないということであろう。 そして崎山中尉が再度、娘・孫娘にこってりと絞られた「由良」艦長と逓信省外事課長を送り出し、 出雲中佐がある用件のため、数分後に出立したため、外出許可。外出時間及び帰隊時間の申請の受け付け 、五戦隊及び一〇四戦隊より移動用に貸与された車輌。その使用許可の受諾は、 シュニッツラー少佐、ハンマーシュミット大尉、津野谷大尉、南坂大尉の4人にゆだねられた。 「はぁー・・・いやまあ、お菓子に群がる子供みたいといったら、あれですかねえ」 「概ねそんなものでしょう。まあ、私たちも折を見て休むんですし」 「一応は空襲警報が出ているので、はしゃぎすぎないように釘は刺しておきましたが、さて」 「大丈夫でしょう。うちもそれなりですが、そちらもタガの外し方は心得てるみたいですし」 出雲中佐が案件の為に連れ出した数名を除いても、二十数名の大所帯である。 また、整備班の休暇は榊大尉、斯波中尉が担当してくれているとはいえ、 早急にストライカーユニットのオーバーホールが必要な者もいるため、 そういったことも勘案して、休養と哨戒のローテーションの決定。許可を為さねばならない。 しかし津野谷大尉は小規模な護衛空母戦闘隊指揮官。 あるいは後方の訓練飛行隊教官などを交互に勤めた苦労人で、そのあたりは如才ない。 そして六六六空の幹部は言うまでもない。機材も火器も国籍も多種多様、 しかも問題児多数とあっては、否応なしに幹部達は書類仕事の達人にならざるを得ない。 「さて、少佐は夜間哨戒に備え休養。私の哨戒は後二直後・・・おや?」 「どうしました?」 「いや、ベルタの申請が出ていないもので。ちょっと行ってきます」 軽く他の大尉や少佐に会釈すると、アーディは他の面々が談笑したり、次の当直に備えて打ち合わせをしたり、 外出準備をしている中。只1人、オラーシャ文学の古典。 「カラマーゾフの兄弟」という、なかなか重い内容の古典を読んでいるベルタに歩み寄った。 「少尉、外出許可の申請がまだだけれど、どうかしたのかしら?」 「私は・・・特にすることがありません。それに官給品の外套も日向に置いてきてしまって」 アーディは内心で舌打ちした。 そういえば彼女は俸給の殆ど全てを、ロマーニャに疎開したといわれている家族に仕送りしているという。 持ち物は官給品を除くと、嘗て彼女をかばったロマーニャ空軍ウィッチから譲られた機関銃。家族の写真程度しかない。 読んでいる古典文学にしたところで、扶桑の飛行戦隊が待機用に貸し出してくれたものだ。 (単純に無欲なんじゃない。この子は・・・未だに家族との別離、戦友への罪悪感に縛られて、「楽しんではいけない」という何かに駆られてるんじゃないかしら) 「貴方は私と同じ第四直だったわね」 「はい、大尉と同じく夕刻の哨戒です。時間は・・・今が0745ですから、8時間ちょっと後です」 「そう」 アーディは相変わらずのそっけない態度で踵を返すと、何だったんだろうと首をかしげるベルタに背中を向けて、 官舎の居住区画。簡易寝台と私物行李の置いてある区画へ足早に向かった。 そして戻ってきた彼女が着用していたのは、カールスラント空軍正式の軍用外套。そしてもう一着同じものを手にし。 「え、あの、大尉?」 165cm以上ある彼女の体躯にあつらえた外套。つまり150cmそこそこのベルタにはぶかぶかのそれを着せると、 素早く自分とベルタの外出時間と帰隊時間。使用車輌をボードに書き込んでしまった。 「じゃあ少尉、私はちょっと買いものがあるから荷物持ちに来て頂戴」 「あの、まだ少佐や南坂大尉、津野谷大尉が?」 「わてくしは良いですよー」 「行ってらっしゃい」 「キューベルワーゲンじゃないけど、まあ我慢して頂戴」 他の幹部将校3人の声を背中に受けて、ベルタを官舎の外に引っ張り出したのだ。 抜け目がないというか、彼女がリベリオン疎開時代に運転したこともあるウィリス・ジープ。 そのライセンス製造品である三式四輪駆動車の使用申請が、しっかりと記してあった。 「意外ですね、あのお堅そうな大尉がああいう強引な態度に出るの」 「ああ、永井中尉はご存じないでしょうね」 アーディの素っ気無い、しかし手早い書類仕事ぶりから、 「如何にも真面目なカールスラント軍人」というイメージを抱いていた、三八六空の永井中尉。 彼女が目を丸くしているのに、ジャンヌが軽く苦笑して応じた。 「ああ見えて年下のウィッチの面倒見、良いんですよ。 妹さんや弟さんが2人か3人いるようで。年下の扱いに慣れてる感じですね」 「実は以前に、ショーコがつまみ食いのちょっとした罰ゲームで、 涼ちんの命令で彼女に『お姉ちゃん』と呼びかけさせたことがあったんですよ」 「ほほう?」 話に混ざってきた喜美佳が面白おかしそうな顔をした。 実際、ショーコは兎に角よく食べる方であり、一度だけだが飛行隊の「予備熱量糧食」扱いであった間宮羊羹を、 こっそりつまみ食いしてしまったことがあったのだ。 「そうしたら『私は曹長を妹に持った覚えはないわよ』と言葉は何時もどおりでしたが、赤面してましてねえ。 後で『お姉ちゃんなんて久々に聞いたわね』とうれしそうな顔をしてるのを、ちょーっと見てしまったんですねえ」 「へぇー、今度皐月にも言わせてみましょうかね」 永井中尉がくすくすと笑った。彼女は三八六空の選抜要員であるだけに、空中では慎重的確。 そして概ね迅速な判断能力で知られているが、陸上では意外と享楽家である。 そして航空将校とはいえウィッチという年頃の少女のネットワークは早い。 意外な側面を知られてしまったアーディが今後どうなるか、それを予想し3人のウィッチはくっくと微笑を浮かべた。 「くしゅんっ!」 「大尉、大丈夫ですか?お風邪とか・・・」 「いや、何かちょっと噂されていたような。風邪なら寧ろあなたが心配するべきね」 和製ジープでウラジオ市街の道路を、路上を行き交う車輌や市民や将兵。 そして難民の邪魔にならない程度の速度で運転しながら、アーディは軽くくしゃみをしつつ、ベルタに応じた。 横目に見るとサイズが違うせいか、まるで外套に「着られた」ように見えるベルタは、微かに痛々しかった。 「扶桑に派遣されて貨幣が円に変わったとはいえ、少尉なら毎月850円はあるでしょう。あなた、幾らかでも手元に残してる?」 「えと・・・将校用糧食と被服の洗濯代程度は」 「あのね、ベル」 幾らか発音を柔らかいものに切り替え、アーディは応じた。 彼女自身もベルタの苦悩は知っている。そこまで深刻ではないが「あの時にああすれば良かったのでは」と、判断ミスを引きずったこともある。 とはいえこの子は聊か以上に重症なようだ。 「次からは必要経費に加えて、二割か三割は残しておきなさい。 扶桑の円を暴落してるマルクに換金したら、どれだけ膨れ上がると思ってるの? 何よりあなたが元気じゃないと、仕送りを長く続けることなんて出来ないわよ」 「それは、そうなんですけれど・・・その、大尉。どちらに今は向かわれてるんです?」 「クララが教えてくれた店。オラーシャ軍放出品の雑貨店で、定価はないけれど意外と融通が利くお店らしいわよ」 程なくして、バラノワの教えてくれた店が市街地。 意外なことに未だに繁華街がそこそこ繁盛している、その中央に存在していた。聊か空襲による破損が目立つが、 各国の将兵やウィッチが店先で品定めしているあたり、店開きはしっかり行っているようだ。 「さ、行きましょうか」 「あの大尉、私はお金は殆ど持っていなくて」 「飛行隊長経験者のお給料、馬鹿にならないのよ?それにあなたに下手に風邪を引かれて、欠員されて背中ががら空きになるのは怖いし・・・」 そこでアーディは、どちらかといえば普段は読めない表情を浮かべている顔立ちに、珍しく年相応のはにかんだ様な笑みを浮かべた。 「せっかく、久々に地面を踏める休暇なのだから。たまには上官に甘えて買い物を楽しみなさい。 私達が大尉や少佐の階級を貰ってるのは、ああしろこうしろと命令する為だけじゃないのよ?」 「・・・あ、はい!」 ようやく嬉しそうなそぶりを見せてくれたベルタに、内心で安堵のため息をつくと、 何だか手のかかる妹が1人増えたみたいだけれど・・・まあ、これも悪くないかしら。彼女はそんなことを思った。 結局そこの店舗では、ベルタが気後れしない程度の被服。オラーシャ陸軍航空隊の外套。 ちょっとした洒落たデザインの防寒帽。そしてブラウニーM1910自動拳銃を、 スライドを引き遊底、機関部、銃身等に錆。劣化がないことを確認した上で、実包と予備弾倉ともども、ベルタに持たせた。 「こんな市街地で・・・必要なんですか?」という彼女の返答に、アーディは軽く頭を抱えそうになったが、スツーカ大佐の部下なら仕方ないと思い直した。 あの女傑は部下にハードな出撃を強いる反面、地上での安全にはかなりを気を配っている。 それは自衛用火器を持たせるというレベルではなく、憲兵隊や陸軍部隊に彼女自身が話をつけて、それとなく保護させるほど。 そして彼女の「頼み」を断れるカールスラント軍将兵など、陸海空軍を通じて存在しないことは、誰もが知っている事実だ。 無論、アーディ自身は愛用のガバメントを帯びている。 人に向けて実包を用いたことはないが、筒先を向けて暴漢を追い払う局面ならば、数度経験している。 言いたくはないが、このように各国将兵や難民、市民が混交している市街地では憲兵でもカバーしきれない。 そんなトラブルが往々にして起きることを、彼女は公私双方で熟知していた。 そして全く嬉しくはないが、ベルタにM1910を持たせ、自らもガバメントを携帯したことが役に立ちそうな場面が、 怪しげな雑貨店を出て暫く野戦車を転がしている間に、出来してしまった。 「よぉ、お嬢ちゃん達は・・・カールスラントのウィッチかぁ、珍しいねぇ」 「曹長ー、もしかしたらこの子達。あの六六六空じゃないですかあ」 「ああ、あの各国の女の子集めた、日向に乗ってるあの」 徽章と制服からして、扶桑陸軍の船舶工兵下士官3人。話の内容からして船団の輸送船に乗っていたのか、港湾勤務か。休暇か何かか。 いい具合に酔っ払った様子の男どもが野戦車を取り囲んだ。カールスラント語が出来るあたり、欧州派兵経験者もいるのだろう。 「うぷっ・・・お、お酒臭い」 「あっはっはっ!こりゃすまなかったな、オラーシャの酒はきっついからなぁ!」 「どうだい、何ならこのあたり。あれこれ案内してあげようか?不慣れだろう?」 「色々六六六、あの愚連隊のお話もしたいしねえ」 (お前らはロマーニャ人か!ったく、悪酔いした下士官ほど始末に終えないのは何処も一緒ね・・・) アーディは内心で悪態をついた。別段、この下士官たち3人の態度や口調に悪意は感じない。 どうやら酒の勢いと物珍しさで、寄って集ってきたらしい。 しかし自分は兎も角、スツーカ大佐や出雲中佐の庇護下で、ネウロイ以外の不測の事態から守られたベルタには、刺激がきつすぎる。 (ガバメントを抜くのは・・・まだ早いかしらね) ガンベルトの45口径自動拳銃を意識しつつ、アーディはいつもどおり。寧ろそれ以上の硬い態度で下士官3人に応じた。 「ご好意有難うございます。しかしオラーシャ人の戦友から、地理は聞いていますので大丈夫です。 車輌の近くだと危ないですから、下がってください」 「おーおー、格好良いなあ!流石、カールスラントだけあってピシッとしてるよ!」 「大丈夫大丈夫、俺たちゃ工兵だから車輌には慣れてるって」 「あんまし怖い顔してると、後ろのちびっ子まで怯えちゃうよ」 頃合ね。 悪意がないのは分かってるけれど、このままだとベルタが本当に怯えてしまう。 それにどうも周りの憲兵が敬遠しているあたり、聊か厄介な連中でもあるようだ。 あーあ、リベリオンに疎開していた頃以来ね。こういうことは。 「失礼ですが-」 「おい、貴様等」 アーディが若干の殺意をにじませ、ホルスターのガバメント。 初弾は威嚇用の空包となっているそれに手を伸ばしかけたとき、別の。何処かで聞いた声が遮った。 穏やかではあるが、有無を言わせない声音であった。 「ウォトカで酔っ払うのは良いが、子供を怖がらせるな。 痛くもない腹を俺や憲兵に探らせるつもりか?休暇は大人しく静かに楽しめ」 「ち、中尉!?」 「失礼しました、退散いたします!」 「あ、ああ、申し訳ありません。すまんね嬢ちゃんたち」 ほろ酔い下士官3名を追い払った声の方を見て、アーディは目を丸くした。 まさか、こんなところで再開するなんて? きょとんとしているベルタに申し訳なさそうに会釈すると、先方も苦笑を浮かべ、挙手の礼で応じてきた。 「お久しぶり・・・と申し上げるべきですかね。ご壮健で何よりです」 そう。そこにいたのはアーデルハイト・ハンマーシュミット大尉が徴用輸送船「にぎつ丸」で扶桑へ着任する際、 何くれと便宜を図ってくれた扶桑陸軍士官。林丈治船舶工兵中尉であった。 「悪い連中じゃないんですが、どうもここの酒には弱くて。まあ勘弁してやってください。 お詫びというわけじゃないですが、久々に『にぎつ』を見に行きませんか。ヒ-88で守って頂き、無事に到着できまして」 「そういうことでしたら、喜んで」 「大尉のお知り合いですか?」 まだ様子がつかめないベルタに、今度は衒いのない笑みを浮かべるとアーディは応じた。 「私が今使っているMG42、それを手配してくれた親切な中尉さんよ。 軍隊の要領が兎に角良い人だから、色々この機会に教わっておきなさい」 どうやら林中尉も作業監督の合間を見て、員数外の需品を。個人的なものも含めて調達に出向いていたらしい。 彼の運転してきた出雲製6輪自動貨車(GMCトラックのライセンス品)に先導される形で、2人はウラジオ軍港。その近隣まで向かうことになった。 「一応、帰隊15分圏内ぎりぎりには収まってますね・・・」 こういうことには几帳面なベルタが、野戦車に積んだマップホルダー。 そこから取り出した地図に書き込んだ、即応帰隊行動圏内。その半径を円状に書き込んだエリアを確認しながら呟いた。 「まあいざというときは、多少飛ばせば良いだけよ。元々それほど距離はないし、 『15分以内に帰隊、即応配置に就ければ良し』だから。何もかも杓子定規で考えることもないわ」 野戦車のハンドルを握り、林中尉の自動貨車を追いながら、アーディは答えた。 幸いにというべきか、流石は各国軍の受け入れ口にして、今世紀に入ってからはオラーシャとリベリオン、扶桑の貿易港というべきか。 この都市の道路はしっかりと舗装されている。空襲による穴も、工兵隊が丁寧に舗装しなおしたようだ。 今は3個師団相当の扶桑陸軍部隊や民需品。その揚陸で路上は込み合っているが、本職の船舶工兵ならではというか。 それなりに空いている道にあたりは付けていた様だ。程なくして小高い丘に入ったとき、自動貨車が若干道路を外れて停車する。 アーディもそれに合わせ、路上をふさがぬように野戦車を止めた。 「ここからですと、港が一望できましてね。はい、どうぞ」 自動貨車から降りた船舶工兵中尉は、カールツァイス製の双眼鏡を2つ。 操縦席のトランクからひょいと取り出すと、アーディとベルタに手渡した。 この人は一体、まるで歩く需品廠のようと言ったら失礼なのかしら? 「有難うございます・・・わあ」 「どうもすいません・・・成る程、これは壮観ですね」 ベルタとアーディが祖国の工学メーカーの作り出した双眼鏡、それの拡大した視野ごしに見た光景はなかなかのものであった。 扶桑、リベリオン、オラーシャ。三国の機械化工兵や土木建築業者により、急速に今も拡大工事の進む軍港。多数のクレーンや船渠、桟橋。 「あ、あれって『日向』ですよね?」 「こういうところから見ると、また違って見えるわねえ」 「面白いものでして、フネというのは陸上、海上に限っても色んな表情を持ってるんですよ?」 沖合いに目を転じれば、彼女達の母艦である「日向」を初めとする戦闘艦が、まるで1機たりとも外敵は近づけぬと言わんばかりに、 対空電探を常に回し、高角砲や機関砲も仰角がかけられ、煙突からたなびく煙により蒸気タービンが常時稼動状態なのが見て取れた。 「日向」からすれば小さいが、カールスラントなら駆逐艦並みの海防艦が、しきりに油槽船から給油を受けている姿も見える。 「綾瀬」「女鳥羽」の長15サンチ高角砲が総計16門、空を仰ぎ。 あるいは「日向」以上に古い戦艦「ボルタワ」の防空要塞と化した姿は、いやが上でも目をひいた。しかし- 「懐かしいですね、にぎつ丸。無傷だったなら何よりです」 「大尉が乗ってきた輸送船でしたよね?」 「お蔭様で。うちは陸軍の歩兵連隊等々を運んでいましたので、冷や冷やものでした。本当に感謝しております」 一番、林中尉が見て欲しかったのは「にぎつ丸」を初めとする、彼女達が守り抜き。今は懸命に揚陸を急ぐ輸送船団であった。 偶然とはいえ出会った縁のあるウィッチ達に、せめてもの謝意を示したかったのだ。 見れば将校略帽を脱ぎ、敬礼ではなくあえて彼は頭を下げていた。 「そんな私達は・・・何隻も見殺しにしてしまいました。タンカーだって炎上してしまい」 「ベルタ-」 「少尉」 アーディの言葉を遮ったのは、穏やかな顔立ちを維持したままの林中尉であった。 彼はもう一度、ウラジオ軍港の桟橋に停泊している、無数の輸送船を手で示した。 「本当はね。こんなにうまく沢山のフネがネウロイを掻い潜って、無事にたどり着ける護衛作戦。 滅多にないんですよ。確かに犠牲は出た。でもね、私達は昼夜を分かたず空を舞って、 ネウロイを退けてくれたウィッチ達を、感謝こそすれ恨んでなどいるものですか」 「あ・・・」 「ベルタ、胸を張りなさい。貴方が不慣れな夜間戦闘で懸命に戦って、戦い抜いたことが、 これだけの輸送船を無事に届けた力の1つ。堂々としていないと、船員さんや陸兵さんに失礼よ」 私は・・・今度は、守りぬけたんでしょうか。ベルタは幾らか当惑を浮かべながら、そんな言葉を呟いた。 アーディは「貴方は何時も最善を尽くしてきた、結果は後から付いてきた。それだけよ」と。 林中尉は「んじゃ面白い荷物でも見てみます?」と悪戯っぽい笑みを浮かべた。 「にぎつは歩兵連隊を運んでいたので、主な荷物は兵員と重火器、装甲兵車や自動貨車ですが・・・あれ、何でしょう?」 中尉の示した指先に双眼鏡の焦点を当てると、宮菱造船が満を辞して送り出したRORO規格高速貨客船。 その甲板のクレーンに、カンバスに包まれているが恐ろしく長大な何かが吊り上げられている。 だが、ベルタにはその長さ、太さに見覚えがあった。 「あれ、まさか・・・36センチ砲ですか?」 「そうです。輸送船複数に分乗させて持ってきたんですが、海軍サンが『扶桑』『山城』を空母に改修したとき。 それに『伊勢』『日向』を航空戦艦に改装した時に余った奴を、弾薬ごと運んできたんですよ。列車砲にするそうです」 「また大胆な・・・流石は世界三大海軍大国というべきか。うちの皇帝陛下が聞いたら、垂涎ものの話でしょうね」 そう。皇国陸海軍は只でさえ、要塞砲という名目で八八艦隊時代の41サンチ砲を大量にデッドストックしていた。 それは現在、公試の進んでいる高速戦艦に割り当てることで、ある程度は弾薬、砲塔、砲身ごとさばけたが、 今度は更に36サンチ砲総計30門以上が余剰となったのだ。 もうこれ以上の維持費、設置地区は冗談ではないと海軍が陸軍とオラーシャ陸軍に話を持ちかけ、 薬室と砲身にクローム鍍金の延命措置を施した上で、譲渡したのだ。 「海軍サンからすれば古い大砲なんでしょう、しかし陸上で使う分には破格です。600kg以上の重榴弾を30000m先まで撃ちこめます。 山脈や湖沼が天敵のネウロイを叩き潰すには最高の重砲です。これで・・・死なずに済む兵隊がまた増えたんですよ」 ベルタ・エッカート少尉。彼女は家族を「見殺しにした」、戦友を「盾にした」。その2つの鎖がその行動・所業を大きく縛り上げていた。 しかしながら、今、彼女が守ったものの一部を見せられたことは。 確かにその鎖の幾らかを解放しつつあることを、無意識ではあるが感じ取っていた。 一方その頃。六六六空と三八六空が展開した航空基地。 その滑走路脇をジャンヌは長身を伸ばすように背筋のこりを解しつつ、動かない大地を歩ける贅沢を楽しんでいた。 彼女は次の当直哨戒飛行班であり、外出は随分先。今は航空基地を「見物」しておこうと、邪魔にならぬように散策していた。 (えーと・・・あそこの防爆壕は紫電改や烈風、A8なら十分上がれる。 逆に私や少佐のユニットなら、あっちの非常壕くらいには入れてもらわないと) とはいえ、漫然と散策していたわけではない。 流石はライン川近隣最前線。その野戦飛行場で戦っていただけはあるというべきか、 今、六六六空主力が収まっている半地下構造の防爆大型格納庫。 そこが万が一空爆で大破した際、機材を分散させるのに好適な非常用格納壕を、自然と目をつけていたのだ。 「うちも負けてないけど、扶桑の築城工兵も目端が利いてるなあ・・・ あっちは多分、整備機材を避難させる簡易防爆壕かあ」 「おい、どうしたジャンヌ」 「え?」 振り返った先にいたのは、彼女と同じガリア人であり、 ガリア共和国陸軍から奇妙な縁でこの飛行隊へやってきた元陸戦ウィッチ。 エレオノール・ベネックス竜騎兵中尉が不機嫌そうな顔でこちらを見ていた。 (うわっちゃあ、一番苦手な人が来たよ。てかこの人も次の当直だったっけ。しかしまた何でこの人まで滑走路を?) 「ああ、中尉・・・いえね。もしもですが格納庫が破損したときの、 代わりになりそうな非常防爆壕に当たりをつけていたんです。 まあ散歩がてらですが。でも中尉までどうしたんです?」 「どうもこうも」 エリーが苦い顔で語ったところによると、何でも出雲中佐自らから、 「ここの対空陣地の布陣を見学して来い。気づいたら意見してもいい」と、「見学勉強」に送り出されてしまったようだ。 「そりゃまあ中尉が一番、陸戦と陸上重火器に関しちゃエキスパートですからねえ」 「一応、今の僕は航空ウィッチの筈なんだけれどね。まあ、命令とあれば仕方ないけれどさ」 話題が実務、軍務にシフトしてくれたことに内心安堵しつつ、ジャンヌは応じた。 正直、彼女はガリア共和国軍に従軍し続けたウィッチ達が、聊か苦手であった。 自分が国籍と関係なくカールスラント空軍に入隊したことは後悔していないが、 それが他のガリア人からどう見られるか。それは故郷で嫌というほど味わっている。 「多分、中尉に陸上航空基地がどんなものか。改めて見ておいて欲しかったんでしょう。 で、どうです?築城はなかなか気が利いてますけど、ここの高射陣地の具合は」 「悪くはないかな、少なくとも装備は足りてるし錬度も良い」 エリーの話によると、この航空基地はボヨールドのそれをライセンス製造した75mm高射砲24門、 それに同じメーカーの40mm高射機関砲多数が、互いの火線をカバーすべく綿密に配置されているという。 軽く高射砲兵と話をしたところ、高射陸戦ウィッチ隊までいるらしい。 「贅沢を言えば88mm以上の高射砲が欲しいけれど、 まあ、僕はいえることは精々・・・弾薬即応配置の多少の変更とか、その程度だったさ」 「そればっかりはまあ。私らが上で糞ネウロイを叩き落すしかありませんやね。中尉、ジャックの様子はどうです?」 「ユニットの状態は至って良好。但し僕が25mmを相当使い潰したので、 バラヌやリョウ、ソーニャやリッピが『調達』が終わるまでは、多少重火器は心細いとか」 船団を防護するためとはいえ、少し派手に使い潰しすぎたかなあ。 目の前で苦笑するジャンヌを前にどうしたもんかねと考えていると、履帯の音。 そしてややたどたどしいガリア語が耳朶を打った。ああん、お客さん? 「あの・・・失礼ですが、エレオノール・ベネックス中尉ではありませんか?」 「そうだが、君は?」 はー、これが扶桑の主力の三式改装甲脚か。セシールやクロエの乗っていたコメットに近いな。 限軌道式、両肩のウェポンラックに・・・おいおい、30mm長砲身を4門もか。 リョウが一度、佐世保の兵器廠で見せてくれた30mm機関砲。あれの派生型かな? 三式改との魔力結合を解除し、戦車兵と同じゴーグルを保護帽にたくし上げた顔立ちには、確かに見覚えがあった。 ああ、確か扶桑の段列護衛隊の九七式改使い。あの時は下士官だったけど、今は少尉なのか。 「葵芳野陸軍少尉です。アフリカでは随分とお世話になりまして・・・」 「あの時の話は、もう良いさ」 エリーはかすかに苦い顔をして、自分と同じ年頃の下士官上がりの陸戦ウィッチに向き合った。 「カラミティ・ブラッドヘアー・エリー」。 友軍将兵の返り血で真っ赤になりながら、なおもネウロイを殺し続けるバーサーカーのような陸戦ウィッチ。 そんな噂が広く流布して長く、彼女自身もそれに慣れてしまった。 しかしだからといって、積極的に口や耳にしたいわけではない。 後ろではジャンヌが、何と言えば良いものかと複雑そうな顔をしている。 だがこの、エリーと同年齢か1歳前後年が上下している陸戦ウィッチ。 年齢より童顔で気づきにくいが目元には諦観、戦意、冷静さがない混ざった少尉は、敢えて踏み込んだ。 「私は中尉の仇名について、他の連中がどう噂をしているか知りません。 知りたくもありません。ですが1つだけいわせてください」 「何だ?守りきれなかった姉妹達への恨み言か?」 「違います。貴方が血塗れと言われていること程度は承知しています。 でも、そんな中尉のおかげで私も含め、その何倍もの人間が助かりました。だからこうやって、最新の三式改にも乗れています」 「何がいいたい・・・?」 葵少尉は穏やかだが、視線を逸らすことを許さない目線でエリーを見据えた。 どちらかといえばヘレーナや皐月に近い優しげな顔立ちだが、今は強い意志が浮かんでいる。 エリーの常人ならば退いてしまう視線にも、臆するところはないようだ。 「ご自分を誇ってください。貴方が救ってくれた、沢山の命のために。 それにさっきの話、ちょっと盗み聞きしちゃったんですが、嬉しいんですよ。中尉が今度は空でさえ守ってくれるなんて」 「僕は航空ウィッチとしては未熟だよ、そっちに手間をかけるだけかもしれないぞ?」 「何の為に三式改と30mm4門があると思ってらっしゃるんですか? 私は・・・もう二度と、避難段列の民間人をむざと殺されたり、中尉に泣きついたりしません。 でもお会いできて良かった。それだけは忘れないでください」 葵少尉はそういい残すと、扶桑陸軍式の見事な挙手の礼で敬礼をエリーに送り、 再度防空仕様の三式改に乗り込み、周辺対空警戒へと戻っていった。 その姿は、嘗てエリーがカバーに入った泣きじゃくっている未熟な九七式改装備ウィッチではなく、1人の鉄騎兵そのものであった。 後ろでそのやり取りを見ていたジャンヌは、今だけはあえて階級を無視して、エリーの背中を強く叩いた。 「人気者じゃん?血まみれってそんだけ何倍も命を救ったって、良い事言うねえ」 「うっせ、バーカ・・・!さっさと基地の散策、再開するぞ。お前も付き合え」 「へいへい」 中尉。私はガリア共和国については含むところは腐るほどあります。 でも、貴方はもう昔の仇名の幻想なんてぶち壊して、一皮向けても良いんじゃないっすかねえ? かように牧歌的、あるいは心のかせを下ろしたウィッチも多かったが、こちらは聊か深刻な事情を抱えているものもいた。 言うまでもない、新種の強行偵察ネウロイに痛打を与えつつも、欧州仕様三式戦を大破させられたノーラ・キヴィニーット中尉であった。 幸いにというか飛行第五戦隊のストライカーユニットは、現在、四式複戦(キ-96改/102)の他に、三式戦Ⅲ型(キ61-Ⅲ)も併用している。 しかしながら、ノーラの使っている三式は輸出用の欧州仕様であり、扶桑皇国陸軍が使用しているものとは、細部がかなり異なっている。 「こりゃあ手厳しいですな」 川滝航空機工業からウラジオの川滝製ストライカー、航空機の整備維持のために派遣された、中山技師はぼりぼりと後頭部を搔いた。 いい加減に刈り込んだ頭、無精髭、黒縁眼鏡、薄汚れた白衣と、いささかだらしない外見に反して、目元には強い悟性が宿っている。 事実、整備維持に関しては一級品の技量と経験を持つエンジニアであった。 本来なら技術主任課長クラスになってもいいほどだが、歯に絹を着せない物言いから出世が遅れている、損な御仁でもある。 「うちのウィッチ達も追いつけなかったそうですが、大分派手にやられましたね」 「ああ、それもノーラの嬢ちゃんの腕が悪いわけじゃねえ。 この子はスオムスでテスパイと迎撃任務、両方を長くこなしてきたベテランだ」 「ええ、24戦隊サンからの報告書。いつも目を通していましたから。そこの所は重々」 飛行第五戦隊の整備班長と榊大尉も難しい顔をしている。 彼らの眼前には焼損箇所が目立ち、フレーム接合剥離も痛々しい欧州仕様三式戦の姿があった。 「面目次第もありません」 「ああいや、そちらさんを責めているわけじゃありません。こりゃ仕方のないことです」 「中尉のせいじゃありませんよ」 中山技師と一緒にノーラの謝罪を慌てて遮り、励ましたのはティーことオティーリエ・ハーケ少尉であった。 本来ならばここには、川滝とつながりが深く、六六六空の機械関係の知恵袋でもある樫城勇音中尉がいるべきだが、 彼女は陣竜寺中尉などと共に、前原隊の上官たちと近況報告。戦術研究に勤しんでいた。 何しろノーラの三式戦をここまで痛めつけ、他の烈風や紫電、Ta-152HやP-47Nでさえ梃子摺った化け物が「強行偵察」なのだ。 今の勇音は技術将校のサポートではなく、飛行隊本管将校として次の空襲に備えなければならない立場であった。 「ティーの嬢ちゃんよ、さっき頼んだ計算は・・・って速いな、オイ」 「僕は単純作業だけは得意ですから」 「単純作業って・・・こりゃあ技術を知ってないと出来ませんね。六六六空サンは面白いウィッチが多いですな」 そう。そして彼女が榊に「少しだけで良いから頼む」と依頼され、図面へ計算値を書き込んでいるのは、 彼女もエンジニアの父親の元で育ち、それなりに機械への造詣が深いこと。 そして本人は気づいていないが、恐ろしく計算処理能力が早い故だ。 単純作業と本人は言っているが、関数計算を行ってまで、損傷度合いや必要強度を図面へ書き込むなど、並大抵ではない。 実際、彼女が祖国で試験導入されたP-47Nを扱っていたのも、そのあたりが関わっている。 「中尉、私もスオムスからの報告書は目を通していますが・・・ご当人からこいつの癖。 後は戦闘に際して、どんなマニューバを多用されるか。ちょっと聞かせていただけますか」 中山の言葉から、整備班長2人と技師1人。 ウィッチ2人の議論、計算尺を用いた図面への計算修正書き込みは、1時間以上も続いた。 ここで修理に取り掛かるか、何らかの予備機材を用いるか。 それ次第でノーラだけではなく、六六六空の運用方針も大きく変わる。 だがある一点が幸いし、突破口となった。それはノーラの三式戦が「欧州仕様」であったこと。 それに尽きた。これが通常のⅡ型改などなら廃棄する他なかったろう。 「班長、Ⅲ型の予備部品はまだそれなりにありましたね?」 「それなりどころか、88船団が無事に届いたので唸るほどありますよ。マ-240も含めて」 川滝航空機工業製・水冷魔導エンジン「マ-240」。 カールスラントから技師を直接川滝が招聘し、彼らの最新魔導エンジンである「DB603E」を徹底研究。 自社技術で乗り切れない部分は、敢えて部品を大型化して強度を確保し、 一回り大型化しつつも信頼性を維持しつつ、1800馬力を達成した新型エンジン。 そしてこの水冷魔導エンジンは、現行の三式戦の主力であるⅢ型の心臓でもある。 「中尉の欧州仕様はDB605・603、もしくはマーリン60などの搭載を見越して、 原型であるⅡ型改より強度を大きく取ってありました。基礎フレームの歪みも何とかなりそうです。 奇しくもこいつは、Ⅲ型に殆ど近い機材でして。強度計算は慎重にやらんといかんですが」 「じゃあ・・・!」 「まあ、安心して任せて下さいよ。そちらの榊さんほど凄腕じゃないですが、 私も61は触って長いんです。中山さんと一緒に直してみましょう」 「24戦隊サンのデータでⅢ型は完成した部分も多いんです、恩返しですよ」 「有難うございます・・・!」 ノーラの顔が喜色に満たされた。確かにバラヌから借用しているP-39改も中高度までの速度、運動性と安定性に優れた良いユニットだ。 だがパイロットにとってもウィッチにとっても、空を舞う者にとっては。 特にノーラと欧州仕様三式戦のように縁の深い関係ともなれば、やはり相棒が立ち直ってくれることほど、嬉しいことはない。 「まあノーラ嬢ちゃんはとりあえず、今のところは・・・そうだな。小川少佐に頼んで、Ⅲ型で次のシフト。 飛んでみたらどうだい、時間はあるだろう。それとティーの嬢ちゃんも悪かったな」 「ああ、僕は大丈夫ですよ。計算だけなら速いですし、お手伝いします」 「「・・・・」」 榊とノーラはあるいは額に手を当て、あるいは空を仰いで沈黙した。 そう、ティーは半ば自覚しつつも「大丈夫」と無理と無茶をしでかす悪癖が、何処かで染み付いていた。 それも理詰めの根拠で確信を得ているから、たちが悪い。 「こっからは整備と技師の領分だ、ウィッチはしっかり休むのも仕事だぞ」 「あのねティー、気づいているかわからないけれど。あなた、相当に疲れが溜まって-」 「やっほー、差し入れだよー。御影ちんが持ってきてくれた緑茶と、ありあわせで簡単なクッキー作ってみたから」 そんな折、4人が三式戦を囲んでいた格納庫、そこのシャッターが盛大に開けられた。 見ればリーチェが整備器具用カーゴに緑茶の入った急須、それに簡素ではあるがバターと砂糖がうまく使われていることが分かる、 芳醇な匂いのするクッキーが盛られた大皿を運んできた。 (あ、そういえば・・・!) 「リーチェ、そういえば貴方。この後に外出予定入れてたわよね?」 「うん、林原少佐にお願いしたら、陸王のVFD1200貸してくれるって。 いやー、扶桑にもあんなパワーのあるバイク、あったんだねえ。何かMG42の付いたサイドカーまであるし」 目を転じれば既に試運転は済ませたのだろう。格納庫の外で件の陸王が1200cc特有の、低く重い暖気音を轟かせている。 そして確かに脇にはMG42機関銃が据えられたサイドカーが隣接されていた。 「リーチェ、ちょっとティーを連れて嗜好品のお買い物お願い。後で飛行隊主計に回してくれて良いから!」 「え、あ、ちょっと?中尉、僕の外出予定時間は-」 「おっけー、丁度買い物以外にも『売り子さん』が欲しかったの。 ティーならスタイル抜群だし文句なし、善は急げ、出発しんこぉーーーー!!」 「えええええええ!?」 背丈にすれば10cm以上ティーの方がリーチェよりも大きいのだが、そこは人生を楽しむことに関してはエネルギーの塊のようなリーチェ。 あっという間にティーを連れ出すと、保護帽とゴーグルをかぶせ、自らもゴーグルを下ろすと一気に始動レバーを飛ばし、エンジン回転数を増速。 「POWERRRRRRRRRR!!!!」 「うわあああっ、ちょっとちょっと、前、前!?」 何故かブリタニア語の喜悦のシャウト、そして慌てふためいたティーの悲鳴を残しながら、どう見ても軽く60km/h以上で疾走を開始した。 ここで「売り子」について誰も何も聞かなかったのは、ばの勢いに飲まれたか。そしてあるいは、知っているが知りたくもなかったが故である。 ともあれ。 「・・・んじゃま、折角の差し入れも頂戴しましたし、やりますかあ」 「ええ、まずは整備を何人か呼んで、エーテルと暖気用オイル、潤滑油を抜くところから始めましょう」 中山技師と五戦隊整備班長が忙しく動き回り始めたのを背に、榊とノーラはほっと胸を撫で下ろした。 当人が気づいているか分からないが、ティーの顔色は聊か青白いものであった。 食事や睡眠を取っていないわけではないが、彼女の体質に伴う華奢な体躯。豊富とはいえない体力。 それに先日のハードな邀撃任務、航海途中の慣れない北方洋上哨戒は相当に堪えている。 今は外出という形でも、気分転換させるほかはない。 まさにリーチェは最善のタイミングで、最良の人材として到来してくれたのだ。 「あの子の自覚の薄い無茶は、どうすれば止められるんでしょうか・・・正直、怖いですよ。 何時かすーっと落ちてしまうんじゃないのか、と」 「そいつを空で止めるためにも、なんとしても61は万全に直してやる。 今はそっちも休め。本来なら休憩中のところだからな。ま、予備機材使用も整備班長サン経由で、俺からも話は通してみる」 なお、そのことを耳にした小川少佐は「うちのⅢ型の原型を知り尽くしてる人なら、寧ろ是非」と、 大喜びで快諾してくれたという。三式はⅢ型に至って漸く本来の性能を発揮した機材であり、 ましてテスパイ勤務経験者であるなら、外部の目から見たⅢ型の所見も是非とも欲しかったのだ。 そしてノーラは今は榊の言葉に従い、休めるときに休む。 戦闘ウィッチとして必要な義務に、忠実に従うことにした。彼女の哨戒は第三直であり、それほど間がないので外出は控えているが、 動かない大地の上の寝台。そこで横になるだけでも大分回復は違う。 「さて、この欧州仕様ですが1つ腹案がありまして・・・」 「ああ、そういえばうちのⅢ型でも1個中隊。試験改修してましたね?」 「ほう・・・こいつは、図面で見たことはあるが、面白そうじゃねえか」 とはいえ如何にBf109G、F2F、La-5、そして欧州仕様三式戦と多数のユニットをテストしてきたベテランウィッチも、 仮眠している最中に、よもや自分のストライカーユニットに「新機軸」が盛り込まれるとは、予想だにしていなかった。 それは確かに完成された技術がモデルではあり、彼女の三式戦の性能を大きく高めたのだが、 六六六空の整備手順書や装備技術マニュアル。そういったものの作成手順は当然更に増大。 後に事の次第を知ってしまい、中山個人とも面識のある翻訳の一部さえ担う樫城勇音が、 「なァァァァァかやまくううぅぅぅぅン!?」と、激怒して追い回す理由には、十分なものでもあった。 欧州仕様三式戦-CW(CoolingWing)型。後にそう呼ばれる機材は、この瞬間に産声をあげたといっても良い。 一方。部隊から一旦離れた出雲涼中佐、ティリアナ・リッピ中尉。そしてクラーラ・ウラディーミナ・バラノワ中尉、 ソフィア・レオニードヴナ・レオノワ軍曹、斯波茂雄整備中尉たちが、何処へ向かっていたかというと。 「隊長は2.5tを2台も借り受けて、一体何をどれだけ買い込むつもりなのかねえ」 「さあ・・・何しろ飛行隊の予備費。その半分は使い切るつもりみたいですし」 「まさかカートゥーンみたいに、トランクに入ったドルの札束なんて本当に見るとは、思いませんでした。 何か銀行強盗に入った後のマフィアみたいですね?」 「ソーニャ、否定できなくて悲しいから止めて・・・」 そう。件の「バカーチン大尉」。 ソーニャがようやく教えてくれたところによると、本名はワシーリー・ヴィクトロヴィッチ・アルチューノフらしい-が勤務する、オラーシャ陸軍第87弾薬廠であった。 元より彼との繋がりが深い出雲涼は、この際に「纏め買い」を断行するつもりなのだ。 1台目の車輌には涼とリッピが、2代目にはクララ、斯波、ソーニャの3人が乗り込んでいる。 何れも林船舶工兵中尉が用いていたのと同じ、出雲自動車がGMCをライセンス製造したものであった。 自動貨車2台は1台目は涼の、2台目は斯波中尉の運転で比較的市街地や港湾から離れた。 万が一の誘爆に備え、隔離されているとも言える場所に存在している、巨大な弾薬廠を目指している。 再編中の部隊が多いためか、簡易舗装のこのあたりも車の通りは多いが、 火器弾薬を満載しているせいか、何れも運転は慎重であった。 「まあ君らウィッチは高給取りだからなあ。それが23人、毎月(ベルタを除く)10%の俸給を積み立て、 後は部隊公費もちゃんと名目取って、積み立てればあんな額にもなるだろうね」 流石のシゲこと斯波整備中尉。大概のことには物怖じしない彼でも、のべ20名以上のウィッチが積み立て続けた俸給の一部。 そして部隊公費をプラスアルファしたドルの札束。 それが収まったトランクを見た時は「君ら汚職とかしてないよね?」と、正気を疑う金額であった。 「それだけ隊長、本気なんでしょう。主計のお手伝いしてるんで多少知ってたんですけど、 最初はもっと少ない金額でしたし、おじさ・・・大尉もそれで構わないと、了承してましたから」 「何しろ100機爆撃を延々と受け続けて、25mmもMG42も半数近くが消耗しちゃったら、この際、 どんな重火器でも良いから手に入れておかないと。また『カクテル』造られてもかなわないし」 「あの時は仕方なかったんですよお・・・」 ジト目で眼鏡越しに睨んでくるクララに、ソーニャは軽く肩をすくめた。 あの空襲に際して重火器の不足から、あろうことか彼女は上官のウォトカストック(何故か詳細に場所を把握していた)10本近くに、 手際よく「安全に」油脂、装薬等々を混交。対ネウロイ用火炎瓶を即席で作り上げたのだ。 「まー、実際に戦果があがったなら良いけどさあ」と、クララもそれ以上は追及しなかった。 「おっそろしい娘どもだ、環少尉に至っちゃ杜で撃墜戦果あげるし」と、シゲも苦笑した。 程なくして相当に広大なベトン作りの設備。恐らく半地下構造となっているであろう、 高さはないが幅の広い建築物が多数目立つ、巨大な弾薬廠が見えてきた。 営門にはサブマシンガン、ヘルメット、アーマージャケットで完全武装した歩兵が立哨している。 その大きさは佐世保鎮守府の需品廠を一回り大きくしたほどもあった。 やがて一号車が停車して、まずは濃紺の海軍第一種軍装を纏った出雲涼中佐が下車し、歩哨に答礼しつつ何事かを話している。 恐らくは内線で件の大尉を呼び出しているのだろう。 「何度見ても大きいわねえ・・・中身はもっと物騒だけれど。 ここが万が一誘爆したら、半径1km程度は綺麗な大穴になるわね」 「先輩、さらりと怖い事言わないでくださいよ」 「とはいえこりゃあ相当入念だ、多分1トン爆弾にも耐えられるだけのベトンと鉄筋。 それにしっかりした地下構造を使ってる。流石は要塞の国だな」 と、3人が雑談をしている際に、車輌無線経由で涼の声が入った。 『許可と進入指示が出た、こちらに続いてそちらも前進してくれ』 「了解です、中佐」 シゲが再びギアを低速にいれ、ゆっくりと加速を開始し、一号車の追尾を再開する。 よくよく見れば随所に対空機関砲座や重機の据えられた鉄塔。そして自走対空砲さえ配置されている。 「以前より・・・防備が入念になってますね。空襲が厳しいんでしょうけど、 それだけ防空装備の製造も、軌道に乗ったんでしょうか」 「そう願いたいね。どんだけその旦那が在庫を抱えているか次第で、俺達の仕事も変わってくる。 出来たら整備状態が・・・これ以上は軍曹に失礼だった、悪いね」 「いえ、仕方ありませんよ。こんなご時勢ですし」 2台の自動貨車は弾薬廠のGAZジープに先導される形で、 更に10分ほど広大な舗装道路(恐らくは重戦車や203mm重砲でも楽に通れるだろう)を進み、 やがて道路沿いのこれまた半地下構造の頑丈そうなベトンの倉庫。 そこに隣接された、やはり頑丈な鉄筋構造の事務棟前でようやく停車した。 『総員降車』 出雲涼中佐の短い命令に従い、4人のウィッチと1人の整備士官は手早く自動貨車の操縦席より飛び出した。 意外なようだが、ウィッチ4人は全員が扶桑皇国海軍、オラーシャ陸軍航空隊、あるいはロマーニャ空軍の1種軍装を纏っている。 流石に斯波茂雄整備中尉だけは、その場で受領装備を確認しなければならないため、事業服であるが、 着込んだ外套には高等整備徽章を初めとする各種技術徽章がしっかりと並んでいた。 「今まではウラジオ従軍経験者以外、無線か航空郵便経由だったが、今回は初対面だ。 こういうときこそ礼節は尽くしておいて損はない」 礼節の使いどころをしっかり心得た出雲の令嬢らしいというべき、彼女の命令に従い、クララなどは聊か窮屈そうに久方ぶりの正装に及んでいる。 反面、涼は言うまでもなく、ロマーニャ商家の長女であるリッピ空軍中尉なども、なかなか絵になる姿で一種軍装を着用していた。 このあたりばかりは、育ちの差って奴かしらね。 クララが詮無きことを考えていると、GAZジープを運転していた下士官。 中肉中背だが角ばった顔立ちと鋭い目つき、濃い頬髯の目立つボレツキー曹長が「こちらへ」と、言葉少なに案内した。 彼も過去の交信でこのバロネスがオラーシャ語を解することは承知しているため、敢えて扶桑語などを使用したりはしていない。 5人の六六六空将校下士官はボレツキー曹長の先導の元、直線の少ない廊下を歩みつつ、程なくしてスチール製の扉に行き当たった。 インターフォンで「上客です」と曹長が告げると「入ってもらえ」と、無愛想極まりない声が返ってきた。 「おお、レオノア軍曹さんに・・・バラノワ中尉様か。それにそっちはロマーニャのいい所のお嬢さん、 それにあんたが件のバロネスだな?そっちは抜け目のなさそうな、腕っこきのテクノクラートってところか」 中には自分より2つは階級が上の貴族将校が混じっているにも拘らず、 ワシーリー・ヴィクトロヴィッチ・アルチューノフ輜重大尉は臆するところなく、露悪的な言葉と笑みを浮かべた。 意外なことに接客用だろうか、そこそこ上等なソファーが用意されており、座ってくれと手振りで示した。 「戦闘六六六空を預かる、扶桑皇国海軍出雲涼中佐です。この度はお初にお目にかかります」 「ふん・・・只の貴族将校って訳じゃなさそうだな。そしてかなり切羽詰ってる。用件はどの程度だ?」 「我が航空隊23名の魔女、それらに過不足なく行き渡る重火器をお願いしたく。艦長ならびに上級司令部の承諾は得ています」 「・・・・マツダ少将に航空戦隊司令部、佐世保鎮守府長官まで、か。流石はといったところか?」 多少値踏みするような顔をしたワシーリーであるが、すぐにトランクを拝見しても良いかと話を商売に切り替えた。 涼は魔法力で身体能力が許可されているわけでもないのに、片腕でごついトランクを、音もなくテーブルの上に置いた。 「航空隊主計予備費、そして魔女達の俸給からの積み立てです。中身は直接ご確認頂きたい」 「チッ・・・ご大層に溜め込みやがった、子供のお小遣い貯金にしちゃあ派手すぎるぞ」 「全額ドルです。ルーブルやフラン、マルクなどは一枚も混じっていません。 私とリッピ中尉、隊長でクロスチェックしてあります」 一応は飛行隊主計担当であるバラノワが、総計金額の書かれた書面を置くと共に言い放った。 リッピ中尉に頷くと、彼女も流暢なオラーシャ語で語り始めた。 「全て正規の俸給、予備費です。後ろ暗いドルは一枚も混じっていません。 私も私の実家も、何よりこの航空隊は『信用第一』で『商売』しておりますので」 「随分とがめつい勘定役を2人も連れてきたな?」 「貴方を相手にするとなれば、その程度の準備は必要でしょう」 ソーニャは動揺を顔に出すまいとしつつも、内心で蒼白となっていた。 出雲隊長がいざというときに人格が変わるのは、ある程度は知っている。でも普段さばけてるけど優しいリッピ中尉、 面白おかしい先輩が・・・何よりワシーリー叔父さんが、こんなに怖い顔をしてるなんて。 私の時みたいに、餞別だからというわけにはいかないんだ。 23名とそれが守る命がかかるって、こういうことなんだ。 ソーニャの顔に浮いた汗に気づいたのか、斯波中尉が無言で、意外なことに綺麗なハンカチをそっと寄越した。 同時に黒縁眼鏡の奥の瞳が、かすかに笑っていた。 大丈夫だ、問題ないよといわんばかりに。ソーニャは今は有難くハンカチを使い、そして彼の気遣いに感謝するしかなかった。 「中古ならT-44一台が買えそうなほどとはね。 もういい、ボレツキー。兵器庫に案内してやれ、準備は出来ているのだろう」 「万事抜かりなく。では皆様、こちらへ」 涼にぞんざいな敬礼を送り、5人を送り出そうとしたワシーリーだが、ぽつりと一言呟いた。 「ああ、レオノア軍曹さんよ。お前は残れ、原隊から言伝を預かっている」 その一言で、ソーニャを除く場にいる全員が、何事かを差異こそあれ察した。 涼はワシーリーに敢えて背を向け、リッピは再度ロマーニャ空軍式の見事な敬礼を送り、 バラノワは頷いて目配せし、斯波茂雄は肩をすくめ。 ボレツキーは残されたソーニャとワシーリーの間に、再建されつつあるガリアの貴重な外貨獲得手段。 ブルゴーニュ産のワインとショットグラスを2つ。音も立てずに置いて、「行きましょう」と小声で呼びかけて、全員を連れ去った。 誰もいなくなり、鉄扉が閉じた数秒後、ワシーリーは無言でソーニャを抱きしめていた。 ごつい右手はよくぞ帰ってきたといわんばかりに、背中を優しくなでさすり。 「あの・・・大尉・・・・?」 「この、お転婆が。俺とお前のカーチャンがどれだけ心配したと・・・! 元気そうで良かった、外地で何か苦労はしてねえか、虐めとかは受けてないか?軍隊に入ったからにゃ覚悟してたんだろうが、色々あったろうよ」 そう。そこにいたのは「バカーチン大尉」でもなければ、冷酷そうな主計大尉でもなく、 娘同然の姪御、弟の忘れ形見を案じ、再会を喜ぶ一人の叔父の姿であった。 叔父さんは、何も変わっていなかったんだ。 私がウィッチになる前と、変わらないワシーリー叔父さんだったんだ。 ソーニャは抱きしめられる感覚と、久方ぶりに聞く「家族」としての叔父の声に、頬に暖かいものが伝うのを感じた。 「有難う叔父さん、私は大丈夫・・・大丈夫だから。 本当に良い部隊なんだよ、艦長も飛行隊長も、先輩も、みんな良くしてくれる」 「そうか、そうか!じゃあ、まずは乾杯だ。これはソーニャが無事にウラジオに帰ったときにだけ、 飲もうと思っていたものだ。無事に開ける機会があって、本当に良かった」 叔父と姪は、確かに主計大尉と海軍軍曹と言う立場に変わったかもしれない。 それは時として戦地において、余りに冷酷な現実を強要するものかもしれない。 されど、本当の意味での血の繋がりというのは、そう易々と断ち切られるものでは、けしてない。 そのことをソフィア・ レオニードヴナ・レオノアは確かに感じ取っていた。 「咄嗟にあの2人に時間を作っていただき、有難うございます」 それまで事務的な言葉以外、一切発しなかったボレツキー曹長が、微かに感情を含んだ声音で呟いた。 背中を向けたままであるが、その印象は先ほどと少し違って見えた。 「気のせいかもしれないが、レオノアを見た瞬間、あの大尉が相当に落ち着きをなくしたように見えましてね」 「大尉にとって彼女は、娘も同然です。弟さんは戦死されています、大尉ご自身も1人ですから」 何を言って良いものか。リッピも、バラノワも、斯波も分からなかった。 ただ今は、沈黙を保ちつつ、自分の部下や後輩。あるいは整備維持という面から守るべきウィッチが、 数少ない親族と再会できたことを、素直に喜ぶべきなのだ。そのことだけは共通の認識であった。 「着きましたよ。リベリオン式の製造管理を導入し、 ウラルからここに至るまで国全体を要塞と工場にした我が国がどんなものか。ご覧頂きましょうか」 「拝見させていただこう」 第87弾薬廠。その中で厳重な防爆隔壁と扉、そして多重式の施錠に守られた区画。 そこをボレツキー曹長が手早く解錠して、開け放つ。そしてそこに存在していたのは- 「・・・連隊を完全充足しても、お釣りが来ますね」 「約束を違えないのは嬉しいですが、これは予想外でした」 「見た所、あっちが九九式系列。あの大きいパッケージは最低30mmクラスか・・・」 3人の言うとおり、そこには23名どころかオラーシャ式のウィッチ1個連隊(36名)。 それを完全充足して余りあるほどの、重火器と予備部品。整備機材。 そして各砲最低800発はあるであろう予備弾薬が、積載しやすいよう。既にドーリーに乗せられ、鎮座している姿であった。 「中身を確かめても?」 「どうぞ、一級品ですよ」 涼はまずは斯波が真っ先に「30mm級」と当たりをつけた重火器。それが収まった軽金属製の巨大なケースを開けた。 中に納まっていたのは、扶桑皇国海軍では二式改30mm。陸軍では「ホ-155Ⅱ」。 そしてオラーシャ陸軍でも使い勝手の良さと軽量さから「B-30」の名称でライセンス製造されている、30mm機関砲であった。 265gの30mm砲弾を750m/s以上で放つ高初速大口径機関砲である。 「こっちは・・・九九式二号二型、それも最新ロットです。ベルトリンクへの切り替えも可能な」 制空戦闘任務を多く担当するリッピが、やはり曹長に軽く会釈して開封した「小さい」方のケースには、 扶桑皇国陸海軍の主力50口径航空機銃が、やはり新品動揺の鈍い輝きを放っていた。 それも表面上だけではなく、銃身や薬室に煤さえない。 ブラウニー50口径弾を使う割には軽量で取り回しがよく、 MG42より威力が大きいため、密かにリッピの欲しかった機銃でもあった。 それぞれ20門以上の大小機関砲と予備部品を2人が確認している間、クララはふと。更に奥に鎮座している巨大な。 GAZジープの牽引カーゴに納まっている、鉄塊のような重金属ケースに目が行った。確かにB-30機関砲も大きいが、あちらは図抜けている。 「あれもですか?」とボレツキー曹長に尋ねると、 彼は言葉を発さずに、まるで悪戯小僧のような笑みを浮かべ、微かにうなずいた。 クララが斯波整備中尉に「願います」と頼み、一緒に確認したそれは- 「な・・・!?」 「こいつぁ機関砲じゃないね、速射砲だ。それも相当に剣呑な」 牽引カーゴから突き出るほど巨大な箱に収まったそれは、軽く3mを超える砲身と機関部。 そして円筒形の弾倉を持つ、軽く見積もって35mm以上の口径を有する「速射砲」であった。クララが微かに使い魔を解放、持ちあげてみる。 「外見よりは軽いですね、150kg前後ってところですか」 「寿命を犠牲にして軽く仕上げたんだろうね、曹長。こいつの名前や諸元を教えてもらえるかな」 「NS-37型37mmウィッチ用機関砲。取り回しが悪く、殆どがレシプロ戦闘機や攻撃機に回されましたが、 そちらのウィッチなら大丈夫だろうと、大尉が8門ばかり差し押さえておいたんです」 それは全長にしてマズルブレーキ、ウィッチ用銃床とピストルグリップを含めれば、3400mm近い「大砲」であった。 曹長の簡単な話によると、37mm焼夷徹甲弾を初速900m/sで毎分250発叩き込める、「速射砲」ではなく「機関砲」だという。 これならばあの新種でさえ、数発で撃墜できるかもしれない。龍華や喜美佳、ノーラなどなら十分扱える範疇だ。しかし・・・ 「曹長。そちらのご好意は真に有難い。予備部品、機関砲本体、弾薬、整備部品。全て新品の一級品だ。 分量も申し分ない・・・だが、余りに話がうますぎないか?」 まずは感謝を示しつつも、涼は微かな懸念がぬぐえなかった。 確かに飛行隊の予備費、積立金の過半を投入したとはいえ、これら重火器の火力と信頼性。何より物量を常軌を逸している。 正規の飛行連隊さえ充足できるという、クララの言葉が控えめに聞こえるほどに。 「我が国もやられるだけ、援軍を受け入れるだけじゃありません。 ツァーリツィンからこのウラジオストックに至るまで、徹底した合理化と工業化を無理矢理にでも進め、 質を落とさずに一年前の2.5倍の生産量を達成している。そういえばお分かりですか?」 「それは側聞している、確かに世界最強の陸軍大国だと感服したことも。 だが、これは彼が相当のやり手だとしても、1人の大尉の裁量で揃うものではないように見えるが」 やはりお見通しですが。ボレツキーはそれまでの鉄面皮に、悲しげな微苦笑を浮かべた。 そうすると彼は一気に、10は老けて見えた。地獄を見たのは、けして戦闘兵科だけではない。 「ヒ-88船団は冬のオラーシャを過ごせない傷病者も疎開させる、そう伺っています。間違いありませんよね?」 「間違いない。後遺症を持つ者、高齢者、栄養失調状態の者。1万名以上を連れ帰る予定だ」 「その中にはあの子のご母堂もいます」 涼は片眉をあげ、リッピは一瞬目を丸くし、バラノワは息を呑み、斯波は渋い顔をした。 「酷いのか?」 「いえ、内臓疾患や栄養失調じゃありません。しかし先日の空襲で負傷し、 左ひざから下に後遺症が生じ、走れないのです。 空襲を受けたときに、満足に走れないのではと、大尉が疎開を薦めたんです」 ギリッと微かに歯を食いしばる音がした。恐らくはウィッチの誰か、あるいは全員が発したのか。 それは分からない。しかし守るべき人間を傷つけられ、 一生残る後遺症を植えつけられ、怒りを感じない者などはそうはいない。 「こいつらを十全に使って避難民を、そしてソーニャのご母堂を守ってあげてください。 公私混同は承知の上です。そちらが細心の注意を払われたよう、こいつも危ない裏などは一切付いてない新品です」 「承知した。皇国海軍は石頭だが、何を守るべきかは心得ている。そして出雲は信義を違えない。 誓って彼女のご母堂を含む避難民を、ネウロイから守って見せます。改めて感謝を、曹長」 「余計なお世話かもしれませんが」 バラノワが僅かに一歩前に出た。直後に彼女はその発言を、猛烈に後悔することになるが、そのときは言わざるを得なかった。 「もしも曹長のご家族、ご親族で・・・そういう方がいるのであれば」 「良いんですよ、私は『独り』ですから。逆に気楽なんです」 「申し訳ありません・・・」 「バラノワ中尉、お前は斯波整備中尉と曹長と一緒に、補充品を自動貨車へ積み込め。 私とリッピ中尉はもう一度、大尉と軍曹の様子を見てくる」 「・・・はい」 出雲涼はこういう時、何もさせないというのが人間の心理上。最も危険であることを経験上、承知していた。 整備と兵站のエキスパートのサポートを受け、当人もそこそこ重火器の管理に心得のあるクララに、 比較的得意な作業を任せ、精神的な回復を図ることにしたのだ。 物資の運搬が他の弾薬廠下士官兵の補助も受け、自動貨車2台に積み込み終わったのはそれから1時間後。 叔父との楽しい酒で、クララでさえ見たことのない安らかな寝顔で、 すうすうと寝息を立てているソーニャを苦笑しながら。しかし優しく抱きかかえた涼が姿を現したのも、その頃であった。 「では中佐、斯波整備中尉、リッピ中尉。ソーニャと重火器を頼みます。当直までには帰隊致しますので」 「何でも『新機材』だったか?楽しみにはしているが、 帰隊予定時刻を越えても音沙汰がなければ、まあ『出迎え』にはいく。手間をかけるなよ」 「心得てますよ」 普段いい加減な彼女としては珍しく、制帽、冬季制服、軍刀、拳銃、航空徽章。 そういった全ての正装を纏ったクラーラ・ウラディーミナ・バラノワ中尉は、 これまた珍しく練れた敬礼を送り、弾薬廠より正式に借用したGAZジープで走り去っていった。 向かう先は戦闘爆撃第562連隊。 嘗て彼女が政治将校を殴り倒し、先代連隊長を脅迫した本来の原隊。 今、彼女はそこより出頭命令を受けていた。そう、空中集合でアーニャ。バラノワの同期が告げた内容は事実であったのだ。 当初は「なら指揮官協議も兼ねて」と、赴こうとした涼であるが、くしくもあの大尉に止められたのだ。 「奴は奴で将校として、自分の過去にけじめをつけたいんだろう。そ れに今の562連隊長はおっかねえ女傑だが、莫迦な理由で私刑を働く人間じゃねえよ」と。 出雲涼としては、不出来でどうしようもない部下とはいえ、そこまで言われては。 今はその新任連隊長の能力と人格。そしてバラノワの幸運を祈りつつ、送り出すほかはなかった。 人間、誰かの助けにより乗り越えるべき障害もあるが、1人でけじめをつけねばならない過去もあるのだ。 (後編に続く)
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/727.html
http //www.news.janjan.jp/living/0710/0710264601/1.php 「沖縄」はなぜ歪曲、攻撃されるのか 2007/10/27 「沖縄」はなぜ歪曲、攻撃されるのか 2007/10/27「集団自決」問題の矮小化と真実 沖縄を標的に 「生のガマ」と「死のガマ」 軍隊は住民を守らない 関連記事 10月25日、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」主催で、大城将保さん(沖縄国際大学非常勤講師・沖縄平和ネットワーク代表世話人)が「沖縄戦の真実と歪曲」と題する講演を行いました。大城将保さんは1939年沖縄県玉城村生まれの沖縄戦研究者で、『沖縄戦』(高文研)『沖縄戦を考える』(ひるぎ社)など多数の著書があります。 お話に先立って、アニメ『かんからさんしん』(原作・脚本共に大城さん)の一部が上映されました。ガマで「集団自決」(強制集団死)する寸前だった人々が、捕虜となったお姉さんが歌う思い出の歌を聞いて、我に返って、誰からともなく一緒に歌い出し、ガマから出ていくというラストシーンでした。 大城さん(以下、「私」)のお話を報告します。 「集団自決」問題の矮小化と真実 大江・岩波裁判で原告は、すべて慶良間諸島の梅沢隊長、赤松隊長の命令があったかなかったか、これさえはっきりすれば解決すると言っています。しかしいわゆる「集団自決」が渡嘉敷島、座間味島だけで起こったのかといえば、そうではなく、沖縄のあちこちで起こったのです。今日、資料として「沖縄戦における『集団自決』と『住民虐殺』の事例一覧」をお配りしてあります。これは私が足で歩き、体験者、つまり生き残った方々に聞いて作ったものです。 マスメディアは沖縄の苦労に対して、政府は冷淡すぎだとか、かわいそうだからもっと沖縄の声に耳を傾けるべきだという論調ですが、ここには落とし穴があります。ならば謝ればいいのか? そうではありません。 梅沢隊長、赤松隊長の命令があったかなかったかということだけに問題が矮小化され、沖縄の常識が本土には伝わりません。沖縄戦ではいたるところで「集団自決」と「住民虐殺」がありました。 2つの隠ぺいがあります。1つは「集団自決」というと慶良間のみ、梅沢・赤松のみとし、他を見えなくさせています。これは原告側の策略です。2つ目は、「集団自決」の裏には表裏一体のものとして「住民虐殺」があります。見せしめとして「処刑」と称して虐殺し、恐怖感を与え、「集団自決」に追い込むため、住民虐殺が行われていました。 先ほどの資料は個人で拾った未完成な資料ですが、現場で聞いて確かめたもので、他にもたくさんあると思います。というのは、「集団自決」というのは一家ごと死んでしまうので、死んだら証言できないからです。沖縄本島では人口の3人に1人が亡くなっています。3分の1の人は死んで証言できない。一緒に死のうとして死ねなかった、かろうじて生き残った人が証言しているだけだからです。 軍隊というものは目の前で命令するのではなく、口頭の命令を伝令が伝達するのです。村長や警防団長らが軍命を伝える役割を担っていました。命令文書が見つからないから命令はなかったとするのは、戦争を知らないから言えることです。戦場の現実というのは非日常なので、一般にはわからないものです。 私は「GAMA・月桃の花」という映画の原作・脚本も書きました。モデルの1人にその映画を見てもらったら、「現実はもっとひどかったのよ」と言っていました。彼女は「ガマの中はあんなに明るくないもの」と言いました。乳飲み子を餓死させ、冷たくなった体を1週間抱いていたそうです。あかりがなかったので死に顔をみることさえできず、「覚えているのは指先だけよ」と言っていました。何も言えませんでした。 私は5歳の時に熊本に疎開し、安全地帯に逃げたので、沖縄の人たちには引け目を持っています。亡くなった人のことを考えると、戦争で生き残った人たちは60年経っても心の傷を癒すことはできません。2年前に玉城村史を出しましたが、まだ語らない人がいます。 各村で勤労青年団、女子青年団を組織し、女子青年団は野戦病院に行きました。「ひめゆり」や「しらうめ」だけではないのです。防衛隊はどの村からも行っていますが、みんな同じことを言っています。手榴弾を2個持たされ、1個は敵に、1個は自決用だと。住民にも強制したのです。あるおじさんは手榴弾を腰に縛り付けていた縄が切れて、手榴弾をなくしたために生き残りました。軍隊では「しゅりゅうだん」ではなく「てりゅうだん」と言い、沖縄では今も「てりゅうだん」と言っています。 沖縄を標的に 復帰してしまうと日本軍の残虐性がうやむやにされてしまうのではないかということで、1970年代から、戦争史を作ろうという動きが始まり、「沖縄県史」を作りました。自由主義史観の人たちは、そろそろ風化しているだろうということで、60年も経ってから慶良間諸島の座間味島、渡嘉敷島に2泊3日で調査に行き、帰ってから報告会を開いて、現地に行ったら軍命はなかった、と報告しました。2005年5月に教科書を訂正すべきだと決議文をあげ、8月に梅沢隊長と赤松隊長の弟が提訴しました。2007年3月には検定結果が発表されました。 この3つはつながっています。裁判と検定問題があって複雑ですが、どちらも全体像を表に出したくないため、隊長命令があったかなかったかの一点に絞っています。本人が「ない」と言えば重みがある、とか両論併記でいいんじゃないかと言う人もいますが、沖縄の立場は「軍命はあった」とはっきりしています。 自由主義史観の者たちが、安倍内閣が発足して全体が右寄りになり、今なら沖縄を攻撃してもたいしたことないだろうと、一斉に沖縄を標的にしたのです。こんなに露骨に教科書につながるとは思っていませんでしたが、我々は調査研究プロジェクトを作り、分析研究していました。危機感があったので敏感に対応していました。一般県民は改憲への傾斜、教育基本法の改悪、改憲手続き法の制定などが動き出したことで、直接身に降りかかってくると思い、新聞に続々と投書が載りました。 沖縄戦でとことんつきあたるのは、「集団自決」と「住民虐殺」です。これがなぜ起こるのかを考えることが大切です。読谷村のチビチリガマでは140名が「集団自決」をはかり、83名が死にました。反対に、すぐ近くのシムクガマには1,000名がいましたが、「集団自決」を中止しました。『かんからさんしん』をご覧になって、「最後はみんな助かったんじゃないか」とお思いになったでしょう。どうして生き残ったのか? それは大事なテーマです。みんな死のうと思って行動したのに、あるところで踏みとどまった。「死んだ」ではなく、虐殺や恐怖からどうやって生きるかが大事です。心の中で何が起こったのでしょうか? 『かんからさんしん』は事実をフィクション化し、象徴化しています。芸術作品です。 「生のガマ」と「死のガマ」 「生のガマ」と「死のガマ」というテーマで考えてきましたが、遺族の気持ちを考えると、とてもできなかったです。シムクガマはチビチリガマに遠慮して、一切語らんでおこうということで、誰言うとなくタブーになりました。戦後50年にやっと記念碑ができましたが、遠慮しいしい、申し訳ないと思いつつなのです。 軍隊がいて、米軍に包囲されていて「集団自決」が起こらなかった所は慶良間諸島の阿嘉島、中城湾の津堅島です。津堅島では軍民一体化していました。なぜ「集団自決」が起こらなかったのでしょうか。住民は一か所においつめられ、手榴弾を渡され、晴れ着に着替えて死の準備をしていました。 その時、突如、3、4歳の女の子が猛烈に泣き出して、着物を破いたのです。鳴き声が洞窟に響き渡り、人々はそれに心を奪われました。「日本兵に殺されるよ」と言いました。泣くということは大変なことなのです。その時、おばあさんが、「神様のお告げかもしれないよ」と言いました。「どうした? どうした?」と泣いている子どものまわりに集まっている間に、死ぬことを忘れてしまったのです。「集団自決」というのは普通の精神状態ではできず、心が凍りつき、死に集中しなければできないものです。 復帰前の1968年の防衛庁戦史には、慶良間諸島では小学生、婦女子までもが崇高な犠牲精神のため自ら命を絶つ者もあった、と書かれています。それが公式見解でした。軍責はなかったとされています。軍隊というのは組織的なもので命令だけです。住民には住民の論理があり、ぶつかりあったというのが沖縄戦の一側面です。アメリカよりも日本兵がこわくなったのです。軍と民の論理の対立があり、一般民衆の論理をどうやって残せばいいのかが大事なのです。 チビチリガマは米軍上陸地点からわずか1kmのところにあり、数日前まで軍隊がいました。警防団と青年団は竹やりで武装していました。最後の切り込みがあり、それが引き金になって、1回バーンとなると、それが誘い水になり、自分たちだけ残ったら大変だと1発の銃声でワーっと突っ込んでしまったのです。 シムクガマも全く同じ状況にありました。「最後だ、切り込みに行くぞ」と竹やりで機関銃に向かっていこうとした時、ハワイ移民帰りのおじいさんが「おまえら、何やってんだ、捨てろ、やめろ」と止めました。晴れ着に着替えていましたが、おじいさんに叱られてバーンと切れて、立ちすくんでしまったのです。おじいさんと甥が「アメリカと交渉してくる」と出ていって、2人が投降するように人々を説得したのです。映画に残っています。 阿嘉島ではリーダーの人が「これから死ぬぞ」と手榴弾をやったら、音が出ない。その空白の時間に目が覚めたのです。凍りついた心が元に戻ったのです。生と死の境というのは非常に微妙なものです。頭の中は皇民化教育ですが、「生きたい」という心がある。それは普段は言えません。言ったら殺されてしまいます。何かの拍子に解放されると「生きよう」となるのです。 沖縄市の美里では字ごとに掘り起こしをしています。これから続々と出てくるでしょう。「死ぬ前に村史に書かないと」と60年かかって「○○さんはこうして死んだ」という証言が出てきています。今、市町村、字でやっているのでどんどん出てくるでしょう。美里では飯田隊長が女子どもが邪魔だとし、地元の兵になれない年齢の人に「我々は南部に行くから、家族を殺してこい」と命令しました。手榴弾はもったいないから、家に閉じ込めて火をつけて焼けと命令しました。美里部落の青年団で伝令した人の名前もはっきりしています。 軍隊は住民を守らない 軍と住民が混在した場合、住民は軍隊の犠牲になるのだということは、沖縄で10人に聞けば10人がそう答えます。「命どう宝」が合言葉で、軍隊は住民を守らなかったのです。今、国は徴兵制を復活させないと、もたないと思っていて、「強い国になりたい。強い軍隊を持ちたい」と思っています。だから「軍隊は住民を守らない」という沖縄が邪魔なのです。 沖縄は今までに何度も同じ目に遭っています。博物館の銃剣も一旦撤去されたものを引き戻しました。沖縄は「かわいそう」ではありません。経験を積んできました。教科書問題は日本全体の将来に関わるので未曾有の歴史的な県民大会を成功させました。集まったのは4万5千だとか1万だったとか言っていますが、問題をそらそうとしているのです。「軍隊は住民を守らない」、これを困る人が沖縄に攻撃を向けているのです。油断していると、将来日本が「軍隊は住民を守らない」を実地に体験することになるでしょう。 (渡辺容子) ◇ ◇ ◇ 関連記事 沖縄戦強制集団死(集団自決)教科書検定意見の撤回を! 沖縄の各メディアの既報も踏まえて 《ナショナリズム》を超え《ONE EARTH》へ~教科書検定問題から見る~ 杉並区議会の意見書(集団自決問題)は欺瞞そのもの・妥協の産物 冷静な議論が望まれる「集団自決」検定問題 「命どう宝」沖縄戦の歴史歪曲を許さない!まよなかしんや緊急トーク&コンサートin阿佐ヶ谷 ジャーナリズムは戦争を止められるか―2007反戦ティーチイン 日本:戦時の残虐行為の事実、教科書からの削除を許さない 熱気あふれる県民大会 秋の沖縄紀行(3) 新聞各紙の社説を比較 集団自決、教科書検定問題 小田原のお寺で、元日本軍兵士が証言 南部戦跡を訪れて 秋の沖縄紀行(1) 沖縄・集団自決日本軍関与:教科書検定撤回もとめて11万人のうねり
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色白な俺 第十六話 46 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 06 53.71 ID B0GyvFq50 [7/18] (言えない……読むのに集中してて忘れてたなんて(ry) ~前回のあらすじ~ 青年「ねぇ、死んだと思った? NDK」 フェルちゃん隠し事? 俺大ハッスル……誰お前ェ!? 47 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 09 42.95 ID B0GyvFq50 [8/18] 【前話より数日前...】 【ロマーニャ北部森林地帯 隠れた小屋の中】 俺「………」(正座中) サーニャ「………」ジーー 俺(気まずい、死ぬ) サーニャ「………俺さん」 俺「はい」 サーニャ「なんで正座をしなければならないのか分かりますか…?」 俺「寝ぼけた頭ではまったくもって検討がつきません、マム」プルプル サーニャ「はい…俺さんも起きてそうそう、見知らぬ場所でいきなり正座してください、と言われて混乱するのも当たり前ですね……でも……」 「起こそうと近づいた私を、その……いきなり抱き寄せるのは困ります…」ジーー 俺「ほんっとぉーーーーにサーーーーセンしたぁーーーーー!!!」バッ! サーニャ(あ、DOGEZAだ) 48 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 18 00.65 ID B0GyvFq50 [9/18] 俺「すいません、本当にすいません……どうかセクハラで訴えるのだけはご勘弁を……! 黒魔法こわい……」 サーニャ「か、顔を上げてください……理由はよく分かりませんけど、事故なんですよね? なら私は……」 俺(更にすいません。理由は九分九厘、家にあったサーニャちゃんの半裸がプリントされた抱き枕と間違えたものと思われます) サーニャ「絶対に許しません」 俺「ひぃ!心を読まれた!?」 ――――――― ―――― ―― 俺「何やらいろいろと寿命が縮んだ気がするけど………ここに至るまでの経緯と現状の整理をしようか」 サーニャ「はい……」 俺「まずはここはどこだい? 俺の記憶だと起きる前は……ローマの街に居たと思うけど」 サーニャ「えっと、ここはローマより北にいくらか先に広がってる森林地帯で、そこの森のなかほどにある旅行者向けの休息所です」 俺「森か……他に人は?」 サーニャ「北の方はネウロイの勢力圏に近づくので人は基本的には来ません。私は夜間飛行の時に天候が悪くなったら一時避難に何度かここを使ったことがあったので憶えてたんです」 「地理的には……501基地はちょっと離れてて、近くにはローマと俺さんが居た504基地くらいですね。付近の町は疎開してて人は居ない筈です」 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 19 19.24 ID avxncSrU0 しえんぬ 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 21 23.65 ID vqfarS7R0 [2/3] 支援 51 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 26 16.87 ID B0GyvFq50 [10/18] 俺「なるほど、ね。で肝心の本題だけど……俺とサーニャちゃんが何で一緒に居て、こんな辺鄙なところに?」 サーニャ「ッ――――それは……その…」 俺「………俺さ、頭ぼんやりしてて思考纏まんないんだけど、それでもさっきからローマで気を失う直前のことも含めてちょっとずつ思い出してきたんだ」ボリボリ サーニャ「…………」 俺「その思い出すことには……"一週間前の森の事"も含まれてるっつーかさ……」 サーニャ「……じゃあ、その、自分の身体の事も……?」 俺「…うん」 「たぶん―――――俺ってネウロイなんだろ? 人間なんかじゃなくて」 サーニャ「――――――」イィィィン…… サーニャ「……はい、魔道針に微弱な反応が出てます」 俺「……そっか」フゥ サーニャ「……その、ごめんなさい」 俺「いやいや、変に誤魔化されるよりはいいよ、うん」 52 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 33 55.43 ID B0GyvFq50 [11/18] サーニャ「反応そのものは俺さんを見つけた最初の時にしてたんです……」 俺「でもさ、501基地であった時は反応しなかったんだよね?」 サーニャ「はい、朝になって基地で俺さんを見舞ったときには消えてて……それであれは夢だったのか本当の事だったのか確信が持てなくて」 「だから、この痕だけが頼りでした」シュル…… 俺「首元の……これは」 サーニャ「"あの時"のです……襟に隠れる範囲だったから皆は知らなかったはずです」 俺(サーニャちゃんの雪のような軟肌に残る小さな錐を刺したような二個の痣……ここに俺は――――) 俺「……………っ」 サーニャ「……大丈夫です。痛くはないですから」 俺「……無理して笑うことないよ、その傷を付けられたときは間違いなく怖かったはずだ」 サーニャ「それでも、負い目は背負わせるのはもっと嫌なんです」 「私たちはそういう伏した顔を見たくないから飛んでるんですから」 俺「ははっ……それに俺を含めるのはどうかと思うよ」 53 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 41 06.74 ID B0GyvFq50 [12/18] サーニャ「どうしてです?」 俺「なんでって……俺はネウロイだよ? それを、サーニャちゃんや皆が守るものを壊してしまうような化物を輪に入れちゃダメじゃないか」 「それに俺は……もう実際に君を襲っている。そんなことがあるのに君に哂われることはあっても……頬笑み掛けられる資格はない」 サーニャ「……俺さん、病院であなたが言ったことは憶えてますか?」 俺「……? いや」 サーニャ「私は憶えてます……」 「"……誰か、とても頑張ってる子が居てさ。だけどその頑張りは報われなくて"」 「"それがとても歯痒く感じて助けたい、力になりたいと思うのは、間違ってるかな? 偽善だと言われちゃう、かな"」 俺「それは……」 サーニャ「この言葉が誰に向けたものかはまだ知らないです……けど悪い人はこんな優しいことは言いませんよ?」クスッ 「だから、自分のことを化物なんていうのはやめましょう」 俺「………………」 俺「………まいった、何枚もサーニャちゃんが上手だ。俺みたいな馬鹿には丸めこむ方法が思いつかないや」 サーニャ「……エイラもそうですけど、私だっていろいろ考えてるんです。それを忘れて自分一人で背負いこむのは二人とも似てますね」 俺「それ、本人が聞いたら泣くんじゃないかなー」 54 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 50 14.61 ID B0GyvFq50 [13/18] 俺「あぁそうだ、指、見せてもらっていい?」 サーニャ「ん…どうぞ」スッ 俺「この切り傷……やっぱり、意識が無くなる前はあんなに飢えてたのに今は体が落ちついてるってことは」 サーニャ「……はい、ちょっぴりですけど」 俺「……ありがとう、おかげで後悔を果たす前に死なずに済んだ」グッ サーニャ「後悔……?」 俺「あぁ、それを果たすまで俺はもう倒れない」 俺(亡くなったと思った……けど、起きてからこの身体に感じる"繋がり"……間違いない、よな) (―――――あいつは、生きている) 俺「あの、人型ネウロイを倒すまでは」 (俺の本当の身体、返して貰うぞ) サーニャ「…………」 「俺さん、一つ約束してほしいです」 俺「?」 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 50 56.51 ID Bc34Pz5N0 [11/11] さーにゃんprpr 56 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 01 56 49.64 ID B0GyvFq50 [14/18] サーニャ「わたしの事、エイラにもし会うことが出来たら"ごめんね"って伝えてくれませんか?」 「それだけでいいんです」 俺「……サーニャちゃん、いきなり何をいうんだ? それなら自分で」 サーニャ「たぶん、無理なんです。私はもうエイラに会えないんです」 俺(いったい何を……もう会えない? ―――――まさか) 俺「もしかして、それが俺達二人でここに『逃げてきた』理由……?」 サーニャ「…………」コクッ 俺「……情報漏洩、スパイ容疑だね、ネウロイ側への」 サーニャ「部隊が全滅してただ一人の生き残って、それだけでも監視が付くんですけどね。その状況で病室から消えれば……仕方ないと思います」 俺「なんだってそんなことを……!」 サーニャ「……私にも分からないんです。ただあの部屋であのネウロイとの戦ったときのことを思い出して、どうして私は無力なんだろう、って考えてたら」 「……意識がはっきりした時にはローマに居ました。後は魔道針に反応があって、それで……」 俺(……? サーニャちゃんの意思で来たわけじゃないのか? いったい何が……) 57 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 02 02 58.83 ID B0GyvFq50 [15/18] サーニャ「とにかく、私はこの後に504基地に行って出頭して来ます。幸い俺さんももう大丈夫ですし」 俺「じゃあ今までは俺を看てて……?」 サーニャ「あのまま放っておいたらどうなるか分からなかったから、というもあるんですよ? だから何もなくて良かった……もうこれで心配することもないです」 「じゃあ私は基地に連絡しますね、俺さんにもたぶん迎えが」 ガシッ サーニャ「……離してください」 俺「駄目だ、行っちゃダメだ」 サーニャ「行かないと、皆困ります」 俺「知った事か、そんなのいい―――――サーニャちゃんが捕まるなんて間違ってる、俺はそれを曲げない」ギュウ… 「それに、俺は言ったんだよね?助けたい、力になりたいと思うのは、間違ってるか?偽善かと」 サーニャ「……」 俺「思い出したんだ、それに君はこう答えた」 「"手を伸ばして下さい、その力になりたい人の手を。正しいとか間違いとかはそういうものじゃない"って」 58 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 02 07 36.36 ID B0GyvFq50 [16/18] 俺「俺はこの掴んだ君の手を離さない、絶対に………教えてくれ、サーニャちゃんの本当の望みを」 サーニャ「……ッ」 俺「俺は君を助ける、後のこととかどうすかなんて知らない。ただ決めた」 サーニャ「……………」 俺「だから――――――――――サーニャちゃん!」 サーニャ「………――――――――」 サーニャ「―――けて、」 ピチャン 「エイラを……芳佳ちゃんに皆を…」ポロポロ… サーニャ「私と一緒に――――皆を助けてください!!」 俺「うん」 「行こう、あのネウロイの元へ」 59 自分:色白な俺 第16話[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 02 12 10.16 ID B0GyvFq50 [17/18] ――――――― ――― ― 俺(サーニャちゃんは俺をずっと看病してたのか、疲れを取るように寝入ってもらった。俺は――――) 俺「まずは足が必要だな……ローマでいくつか手を回せるか、けど俺が見つかるとサーニャちゃんまで見つかるかもしれないから目立つようなものはキツイか…」ペラッ 俺(それから501基地に行ってサーニャちゃんの予備のストライカーに武装も回収して……あぁそういえば) (この504基地に本当の彼女のストライカーは回収されてるんだっけ……) 俺(けど稼動してる基地に行くのは危険だな……ここは除外するか)カリカリ 俺(それに『―――』に見つかって怒られるのもなー……、逆に『――――』はからかってくれながら手伝ってくれるかも――――……)カリカリ… 俺「あれ………?」ピタッ 「今誰のことを考えてんだろ、俺」 (手で顔を覆って、俺はその疑問に答えは出せなかった) 【続く】 60 自分:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 02 13 00.12 ID B0GyvFq50 [18/18] 今回投下分しゅーりょー 眠い、寝る 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 02 14 38.03 ID vqfarS7R0 [3/3] おつおつ 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2012/07/15(日) 02 14 41.02 ID qKJnzode0 乙! おやすみなさい 63 名前 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] 2012/07/15(日) 02 23 09.90 ID Bc34Pz5N0 おつ! 楽しくなって来たなぁ 戻る TOPへ 進む