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進化前フレーバーテキスト クラス:エルフ コスト:8 レア :レジェンド 進化前 8/8 攻撃時 相手のリーダーを攻撃したなら、相手のリーダーの体力が0になるようダメージを与える 進化後 10/6 攻撃時 相手のリーダーを攻撃したなら、相手のリーダーの体力が0になるようダメージを与える 概要 進化後フレーバーテキスト 名前 コメント
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異形の花々(3) ◆ 「ぐあぁっ!」 その身を甚振る何度目かの斬撃に、ナイトは耐え切れずその背から地に落ちた。 敵はあの自身の命を奪いかけたオルフェノクが変身した黒い仮面ライダーに、後から合流した銀の仮面ライダーだ。 ベルトから見ても同じ世界に出自を持つのだろう彼らは、ナイトの悪い予感通り仲間であり、ただでさえ不利な状況は一層自身の敗北の色を濃くした。 黒いライダー……オーガだけでもナイトには防戦一方が関の山だというのにそこに加勢とあれば、この一方的な戦況も容易に理解できる。 それでもナイトが未だその鎧を纏い続けるのは、ひとえにこの姿で負けるわけにはいかないという、亡き友への意地によるものだ。 恋人の為、命を懸けた戦いに身を投じた友の思いを、今更自分が踏みにじるわけにはいかない。 そんなちっぽけなプライドだけが、今なおナイトの身体を立ち上がらせていた。 「……中々しぶといですね。しかし、そろそろ終わりにしましょう」 自分が加わってなおここまで手こずるとは思っていなかったのか、呆れと共に賞賛の情さえ込めた声を投げたファイズは、自身の腰に取り付けられた懐中電灯型アタッチメントへと手を伸ばす。 実力に劣るファイズすら碌に打倒できない有体のナイトを終わらせるには、やはり現状の最高威力を誇るクリムゾンスマッシュの一撃が有効だろう。 だがその腕がミッションメモリーをファイズポインターに装填するその寸前、彼の身体は唐突に現れた茶色の腕によって大きく吹き飛ばされていた。 「――えっ?」 驚きに目を見開き声を漏らしたナイトの目に映るのは、飛蝗のような風体をしたライダーの姿だった。 彼にもう少し注意力があれば、そのライダーのベルトが病院で翔太郎から麗奈へ譲渡されたものだと気付くことが出来たかもしれないが、ともかく。 人柄故か、突然現れた新手にしかし、ナイトは警戒より先に安堵を覚えていた。 「……やってくれましたね」 殴り飛ばされたファイズが、憤りと共に立ち上がる。 それと同時飛蝗の仮面ライダーも彼に向き直り、立ち向かうべく再び駆け出していく。 果たして任せても大丈夫だろうか、とそんな不安を抱く暇もなかったのは、ナイトの敵も未だ目の前に確かな存在感を伴って存在していたからだ。 「これで一対一、だな……」 状況を整理するように、ナイトが呟く。 一方のオーガは家臣が消えたことすら意に介さない様子で、再びその手に持ったオーガストランザーを大きく振り下ろす。 咄嗟の瞬発力で盾状になったダークバイザーツバイを構えて何とかそれを受け止めるが、しかし殺しきれなかった衝撃だけでも今までに感じたことのないようなダメージが、ナイトの全身に迸った。 これまでの疲労も相まって今すぐにでも身体が引きちぎれそうな錯覚を覚えるが、しかしそれでも腕を下ろすことはしない。 気合いと根性だけで勢いを殺し切り、右手に握るバイザーから抜き取った剣でオーガの横腹を切りつける。 「だあぁ!」 「――ッ」 小さな呻きと共に、鎧から火花を散らし後退するオーガ。 されど、浅い。すぐにでも気付いてしまったのは、最早自分に碌な力が残されていないことを知ってしまっているからだ。 ぶらりと垂れた自身の左腕は、もう限界を超えている。 恐らくは後数度今のように無理な攻防を繰り返せば、一生使い物にならなくなったとしても不思議はない。 限界を超えたダメージと疲労を感じながら、ナイトはオーガを睨みつける。 自分に残された手札で、敵に有効だと思えるようなものはもうないと言って過言ではない。 ブラストベントやシュートベントは打点が足りず、トリックベントはもう時間稼ぎになるかも怪しいところだ。 というよりもし仮にファイナルベントが残っていたとして、それでオーガを倒し切れたという自負があるかと問われればそれも疑わしいのだから、この状況は全く絶望的という他無かった。 (蓮……ごめんな) 「……」 無言で、しかし確かな殺意を持ってオーガが再びその剣を持ち上げる。 事前動作を目で終えるようなその動きがただ敵の緩慢さを表すような隙ではないことは、ナイトは既に知っている。 (俺、折角お前に貸し、作ってもらったけどさ) 文字通り空気を切り、今まさにこの身を真っ二つに切り離さんとする剣が振り下ろされる。 それをどこか他人事のように見上げながら、ナイトは自身の得物を握る手に力を込めた。 (悪いんだけど、これで終わりになるかもしんない――!) 瞬間、オーガの剣は碌な防御姿勢さえ取れないままのナイトを切り崩さんとその身体を捉え―――――。 「――捕まえた、ぜ」 そして次の瞬間、その刀身を肩に背負うようにして受け切ったナイトが、勝ち誇ったような声を上げた。 その異様な自信にさしものオーガも危機感を覚え、オーガストランザーを持ち上げようとするが、しかし叶わない。 この千載一遇のチャンスを無為にはしまいと勝利を手繰り寄せるように、ナイトがオーガストランザーをその腕と肩で挟み込んだからだ。 なれば自由な足を使いすぐにでも距離を取らねば、とオーガが判断するが、しかし一手遅かった。 オーガがほぼ反射的に自身の得物を手離せなかったその瞬間に、ナイトの最期の攻撃は既に放たれていたのだから。 「だあああぁぁぁぁぁぁ!!!」 絶叫と共に放たれたナイトのダークバイザーツバイの刃が、オーガの腰に鎮座するベルト、更にその中心の生命線たるオーガフォンへ、真っ直ぐに伸びる。 瞬間、敵の狙いを理解し、それは不味いと本能で察知したオーガは、神速の勢いで以てナイトの顔へ膝蹴りを放った。 それを受け、如何とも形容しがたい悲鳴と共に弾き飛ばされたナイトの鎧は、遂に限界を迎えた。 どさり、と音を立てて真司の身体が仰向けに倒れ伏す。 鼻を始めとして至るところから血が流れ、意識も朦朧として今にも気を失いそうなほど頭痛がする。 だがそれでも最後の最後まで意識を保ち続けようと意地を張り続けた、その理由は。 「――おぉぉ、おおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」 先ほどまでただ余裕と共に自身を追い詰め続けた宿敵が、そのベルトから火花を散らし苦悶するその姿を目に焼き付け、自身の勝利を確信するその為だった。 オーガのベルトに突き刺さったダークバイザーツバイが、からりと音を立てて地に落ちる。 それに伴いその身に走らせた罅を一気に広げたオーガフォンがエラーを起こし、そのベルトにセーブされていた高出力のフォトンブラッドを装着者に毒として放出する。 元々フォトンブラッドはオルフェノクにとって最大の毒なのだから、それを制御する機能が失われた今、オーガの鎧を身に着けることは最早拷問に他ならない。 或いは齎された傷が変身機能まで停止させればこの拷問も終わりを告げるのだが、果たしてそれまでの数秒だけでも、王にとっては十分致命傷と呼べるだけのものだった。 その瞬間を待ち望み、ただバチバチと全身から電流を流して苦悶に喘ぐオーガ。 その姿に自身の勝利を今度こそ悟ったか、真司は遂にその意識を闇に手放したのだった。 「……王!?」 そしてその予想だにしていなかったオーガの敗北は、ファイズの元にも届いていた。 王の目金にすら敵うオーガの圧倒的な力が、今は逆に身体を蝕む毒として王を苦しめている。 今すぐにでもそれを止めなければと、彼は脇目も振らぬまま、王の身体からオーガドライバーを引き剥がす為に走り出そうとする。 「俺を忘れるな」 だが瞬間、突如として目前に現れたパンチホッパーがその行く手を阻む。 言葉を返すより早くファイズは拳を振るうが、パンチホッパーには届かない。 躱し、或いは受け止め、その全てを時間の浪費という形で徒労に終わらせてくる。 「クッ、この死に損ないが――!」 「死に損ないはどっちだ」 らしくなく激情に身を任せ乱打を続けるファイズの面へ、パンチホッパーのストレートパンチが突き刺さる。 呻き後退したファイズを見やりながら、この因縁を終わらせるためにパンチホッパーは自身のベルトへと手を伸ばした。 ――RIDER JUMP 電子音声と共に跳び上がった敵を睨みつけ、憤りを込めてファイズはファイズショットを握りしめる。 この一撃で示すのだ。オルフェノクの築く未来は揺るがないのだと、オルフェノクこそがこの世を支配するに相応しいと信じた自分は、間違っていなかったのだと。 ただならぬ思いを込め、グランインパクトを放つファイズ。 ――RIDER PUNCH それを迎え撃つは、宙より降り立つパンチホッパーの、ただ正義の勝利を信じる鋭い拳。 ぶつかり合った二つの意思と拳は、高速の世界でなお変わらぬ速度を誇る光に包まれて、大きな衝撃と共に両者を吹き飛ばした。 「ぐあぁっ!」 絶叫と共に、ローズの身体が地を滑る。 衝撃に耐えきれなかったファイズギアがセーフ機能を発動し、彼の変身を解除したのである。 またも戦いに敗れた無念に、今度こそは余裕を取り繕うことすら出来ずローズは地に拳を打ち付けるが、とはいえ無力に打ちひしがれている時間はない。 グググと軋む体を鞭打つように立ち上がり、使い物にならなくなったオーガギアの前で茫然と膝をつくアークごと、その身を薔薇に包み姿を消した。 「――ッ」 目の前で逃げられてしまったことに、パンチホッパーは思わず舌打ちを漏らす。 ある程度戦力を削れたとはいえ、村上もあのオルフェノクも、相当の実力を持つことに変わりはない。 与えたダメージが回復され再び襲ってくればどうなるか、正直なところ全く分からなかった。 「……うっ」 ふと、目の前に倒れる男が呻くのが聞こえる。 まさか生きているとは思わず驚いた、というのが正直なところだが、とはいえ始にとっても生きていて悪い気はしない。 取りあえずはこの男をフィリップのところに連れていき、治療を受けさせるのが先かと男を背に担いだパンチホッパーは、人知れず笑みを浮かべる自分を、確かに自覚していた。 ◆ 「シェアア!」 カッシスの鋭い刃が、龍騎の頬を掠める。 ただの一撃すら躱し切れなかった事実に自分の疲労を実感しながら、されど龍騎は油断なくドラグセイバーツバイを振るうが、その剣は敵のもう片手に生えたレイピア状の腕に阻まれる。 なれば、とばかりにその脚でカッシスを蹴りつけ距離を取った龍騎は、自身のデッキへと迷いなく手を伸ばしていた。 ――SHOOT VENT ドラグバイザーツバイの放つ電子音に伴って、従者たるドラグランザーが龍騎の背後に追従するように出現する。 刃を収め銃のような形態に変化したドラグバイザーツバイをカッシスに向け構えれば、それを受けたドラグランザーもまたその口中に巨大な火炎弾を発生させる。 そしてそのまま、カッシスが龍騎の狙いに気付き感嘆の声を上げるのも気にせず、トリガーを引いた。 龍騎の挙動に伴い青いレーザーが照射されるのと同時、ドラグランザーの吐き出した火炎弾が容赦なくカッシスへ降り注ぐ。 一方で、それまで龍騎の攻撃を見定めるように立ち尽くしていたカッシスも、メテオバレットの名を持つそれが発動すると同時、何かを察するように横に跳んだ。 だが、それで簡単に逃がすような龍騎ではない。自身のレーザーとドラグランザーの火炎弾で以て、カッシスの身体を捉えようとする。 「――ガァッ!」 果たして龍騎の努力は身を結び、カッシスの身はドラグランザーの火球によって焼かれた。 同時、苦悶の声を漏らす彼の身は、どれだけ待とうと炎を吸収することはない。 そしてその光景を前に、龍騎はあることを確信していた。 カッシスワームの第二形態であるグラディウスの特殊能力たる、必殺技の吸収能力。 原理こそ不明だが仮面ライダーの必殺技を吸収し自分のものと出来るその力を取り戻したらしい今のカッシスに、何故メテオバレットが有効なのか。 その答えは、単純にドラグランザーの放つ炎は特殊なエネルギーを伴うものでなく単に超高温度の炎であり、つまりカッシスの吸収できる範疇のそれではない為だ。 確かにメテオバレットは仮面ライダーの必殺技であり、ライダーキックと同様並の怪人であれば容易に打倒できるだけの威力を持つ必殺技である。 だがそれを形成する力がタキオン粒子でもオーラエネルギーでも、ましてモーフィングパワーでもなくただの自然にも存在する炎である以上、カッシスには吸収出来ないのであった。 「……やるな、間宮麗奈」 炎に巻かれたその身体を、クロックアップを用いて何とか鎮火させたカッシスが、苛立ちを含んだ声で賞賛を述べた。 龍騎はそれに何を返すでもなかったが、今の一撃が有効だったことに対しては、確かな勝ちへの道筋を見出していた。 ドラグランザーの炎が通じるのであれば、自分にはまだ幾らか打てる手がある。 或いはデッキにある“あのカード”をうまく扱えればより効果的に勝利を手に入れられるかもしれないが、果たして手数の一つとして数えていいものかはまだ判断しかねる。 ともかくどちらにせよ今の攻防を経たカッシスもそう容易く反撃を許しはしないだろうし、最悪その素振りを見せた途端にクロックアップないしフリーズで動きを封じてくる可能性もある。 果たして、カードを引き抜き決めきれるだけの隙を作ってくれるものだろうか、と思案したその瞬間に、思いがけぬ幸運が龍騎に舞い降りた。 ――CLOCK UP 聞き覚えのある電子音が、唐突にその場に鳴り響く。 何事か、両者共に新手に警戒を抱き振り返ったその瞬間には、カッシスの身体もまた敵を迎え撃たんと超高速の世界へ入門していた。 振り返り見れば、そこにいたのは茶の体表に灰色の瞳を持つZECTのマスクドライダーシステムの一種。 元の世界で影山瞬が変身しており、第一形態の時点で軽くあしらった彼如きが自分と間宮麗奈との決闘を邪魔したことに、カッシスは苛立ちを隠せない。 だが一方のパンチホッパーはそんな事情も露知らず、ましてカッシスの能力さえ知る由もなくその拳を振るっていた。 ――RIDER JUMP ゼクターを操作したパンチホッパーが、宙へ跳び上がる。 通常の攻撃ではこちらに届かないと悟って一発逆転の一撃に希望をかけたのだろう。 だがそんな迎撃も回避も容易なそれを、カッシスは甘んじてその身に受け入れようとその手を開いた。 ――RIDER PUNCH 電子音声と共に、タキオン粒子迸るパンチホッパーの拳がカッシスへと突き刺さる。 その威力にカッシスも僅かながら後退するが、しかしそれだけ。 ライダーパンチの威力の大半を形成するワームに有効なはずのタキオン粒子は、当のカッシスワーム本人に余すところなく吸収されてしまったのだから。 「何……?」 困惑を表したパンチホッパーへ、新たな力に狂乱し腹から笑い飛ばすような豪快な笑い声と共にカッシスが迫る。 必殺の一撃が効かなかったどころか止めどない嫌な予感すら抱かせるカッシスの進軍に、パンチホッパーが戦慄を抱いたその瞬間、カッシスの腕は真っ直ぐに放たれていた。 「ライダーパンチ!」 禍々しいエネルギーの奔流が、カッシスの腕を伝いパンチホッパーの身を打ち据える。 その一撃の凄まじい威力に、まともな防御すら出来ぬまま彼は変身を解除され宙を吹き飛んだ。 一方で、無様に地に落ちたその変身者が以前自身が殺そうとした相川始その人であることを認めて、カッシスは下種な笑みを零す。 さて、どうやって殺してやるべきか。全く以て悩ましいとばかりに、愉悦と共にその足を進めたカッシスの足が突如として動かなくなったのは、それからすぐの事だった。 ――FREEZE VENT 遅れて聞こえた電子音が、その現象を起こした張本人を主張する。 やられた、と思うが早いかクロックアップし拘束から抜け出そうとするが、しかしそれを可能にする足は既に凍り付いてしまっていた。 瞬間、自身に纏わり付く氷を叩き割る為の腕すら凍り付き、いよいよ反撃の一切が不可能になったカッシスの下へ、宿敵の声が降り注いだ。 「皮肉なものだな、乃木怜治。まさかお前を攻略するのが他でもない“フリーズ”とは」 「間宮、麗奈ぁぁぁぁぁ!!!」 既に勝利を確信したような龍騎の声に、抑えきれない怒りの感情をそのまま吐き出す。 だが一方の龍騎は、カッシスの絶叫にすら特別心動かす様子もなく、ただこの状況を生み出した一枚のカードを思い出していた。 先ほどパンチホッパーが敗北したその瞬間、彼女が切ったのは使いどころに悩み今の今まで自身のデッキに残っていたストレンジベントのカード。 その状況に最も相応しいカードへ変化するとされる、まさしく変幻自在のそれの効果を麗奈は正直眉唾物だと思っていたのだが、しかし或いはと一抹の希望を託したのである。 結果、発動したそれはカッシスへの意趣返しか、その能力と同じ名を持つフリーズベントへと姿を変え、彼がどれだけ早く動けようと関係のない拘束を彼に施した。 顔まで凍らなかったせいでこの忌々しい喚き声が続くのは少々いただけないが、それも最後だと思えば我慢は出来ると、龍騎は残る最後のカードをデッキから抜き取った。 ――FINAL VENT 切り札の発動を意味するそれを受けて、ドラグランザーの背へ飛び乗った龍騎は、そのままバイクへと変形した彼に跨がり神速の勢いでカッシスへ迫る。 ドラゴンファイヤーストームと呼ばれるそれは、龍騎の世界の必殺技の中でも有数の破壊力を誇る最強の一角だ。 これを受ければ、幾ら今のカッシスと言えどその死はほぼ決定的なものと言って間違いない。 高まりきった加速の勢いのまま、ドラグランザーが前輪を持ち上げ高らかに咆哮を上げる。 その衝動のまま吐き出された火球がカッシスを直撃し、その身体と彼の周囲を燃やし尽くす。 火の海と化したその道を一直線にカッシスを打ち砕かんと駆ける龍騎はそのまま、ドラグランザーによる轢殺で以てこれまでの因縁全てに決着を付けようと力を込めて――。 「――またしても最後の最後、見誤ったな。間宮麗奈」 先ほどまでの勢いはどこへやら、目の前で物言わぬドラグランザーを前に、カッシスはただ一人の世界で誰に届くこともない勝利宣言を呟いた。 彼以外の世界は全て制止し、自分だけがこの止まった時の中を動ける、フリーズの能力が遂に発動したのである。 だが、無論知っての通り、フリーズを発動するには高く掲げたその腕を胸の高さにまで勢いよく引き戻す動作が必要になる。 足どころか肩まで凍り付いていたはずのカッシスには発動は勿論予備動作すら不可能だったはずのそれをこうして発動できたのは、皮肉なことに奇跡の産物であった。 「皮肉なものだよ。まさか君自身の炎が、俺の氷を溶かしてしまうとは」 嘲笑と共に足下の、瞬間的に気化し質量の大半を失った氷塊を見やる。 先ほど龍騎の必殺技が発動したときは半ば諦めたものだが、まさか最後の最後、ドラグランザーの放つ炎が、自身を縛る氷を溶かしてしまうとは夢にも思わなかった。 とはいえこの戦法もここまで自分を追い詰めダメージを与えたことを思うと、これは龍騎の詰めの甘さというよりも、彼女と自分の間に存在する如何ともしがたい実力の差によるものなのだろうと、カッシスは自画自賛気味に笑った。 「後一瞬、俺が早く諦めていれば勝利は君のものだったろうに。……残念で仕方ないよ」 クツクツと、思ってもいない言葉を吐き、カッシスは強度を落とした氷を自力で叩き割って龍騎の前へ歩み出でる。 これが正真正銘最後の決着だと、名残惜しい思いすら抱いて、彼はその掌へ闇を集わせた。 「じゃあな、間宮麗奈。――消えろ」 止まったときの中で、ドラグランザーごと龍騎の身体をカッシスの掌から放たれた闇が包み込む。 絶叫すら許されないその世界で、それでも凄まじい衝撃故に姿勢を崩したその身体を、最後にライダースラッシュで横凪に切り倒す。 そしてそれによって全てが終わったことを確信したように、カッシスはそれきり彼女に背を向けてその腕を振るった。 追撃の為ではない。 ただ、自分の勝利を示し、そして彼女の断末魔を聞き届ける為。 止まっていた時を、元の流れに戻す為に。 そして同時、眠っていた世界は、突然に息を吹き返す。 制止する炎は思い出したように揺らぎ、それまで黙っていた音が空気の振動を伴って爆音を掻き鳴らす。 そして――。 「――ぐあぁぁぁぁぁぁ!?」 自身の待ち望んだ女の絶望に沈んだ敗北の声が、カッシスの鼓膜に愉悦をもたらした。 悲鳴と共に麗奈の身体が地に落ち、土がその白い洋服を汚す。 ベルトに装着されていたデッキが音を立てて割れ、従者たるドラグランザーは断末魔すら許されず消滅した。 敗北。それ以外に言葉が見つからない状況を味わっていると痛感しながら、麗奈はふと、自身の敗北の理由を悟っていた。 『あんたは納得いかないのかもしれないけど、いつか絶対に俺たちであいつを倒すから、だから今は――』 乃木との戦いに向かう前、自分を止めようとした真司の言葉。 麗奈は聞き流していたが、彼が言ったその言葉にこそ、自身が聞き逃してはならない敗因があったことを、今更に麗奈は感じていた。 (俺たち、か。結局私は、仲間を信じ切れなかったんだな……) それは、真司は決してカッシスへ単身で挑むことを考えていなかったこと。 実力差を理解している、という以上に、きっと彼は知っていたのだ。 それが最も、確実な勝利を得るために必要な手段なのだと。 強い単身の力同士でぶつかって勝っても、結局は相手と同じ土俵に立ってしまった時点で、自分は昔と何も変わらないと認めたようなものだ。 もし仮にフリーズベントで動きを止めた際、乃木が吸収を出来ないだけの量の必殺技を同時に放てる仲間が、側にいてくれたなら。 乃木は自分の得物だと、周囲を遠ざけ一対一に拘ったが故の結末がこの無様な敗北なのだと、何故だか今は素直にそう認めることが出来た。 死が近づいた為の諦観からか、ただひたすらに自身の失策を悔いる麗奈の前に、未だ五体満足のカッシスが立ちはだかる。 いよいよ以て万策が尽きた心地で彼を見つめる麗奈は、最早抵抗する気力すらなく彼に翳される死の瞬間をただ待つことしか出来なかった。 「待、て……!」 瞬間、三度その場に第三者の声が飛び込む。 煩わしそうにカッシスが振り返れば、そこにいたのはどことなく見覚えのある、しかし脆弱を絵に描いたような白い仮面ライダーの姿。 遅れてきたヒーローの登場、とは到底思えない、歩くこともままならず構えすら不格好な彼の惨状を前に、思わずカッシスは鼻で嘲笑を漏らした。 「小野寺ユウスケ!無理だ、やめろ!」 後ろから小野寺と呼ばれた青年を追いかけてきたのは、フィリップである。 小野寺ユウスケ、という名は確か、詳細名簿によれば五代雄介と同じくクウガに変身出来るとされていたか。 よもや目の前のボロクズがあのライジングアルティメットと同じ仮面ライダーだとは思いもよらず、カッシスは自身の不注意を呪った。 とはいえ、どちらにせよ地の石がまだ生きている可能性を考えるのであれば、この存在は早めに刈り取っておくべきだろうか。 或いは、後々自身の手中に地の石を収めることを踏まえれば、生かさず殺さず手元に置いておくことも一つの手なのだろうか。 そうして自身を死闘極める敵としてではなく、戦利品ないし傀儡になり得る材料として見定め始めたカッシスの思いも知らず、クウガはその足を一歩前に進めた。 「無理じゃない!だって俺は決めたんだ。中途半端はしないって、五代さんの代わりに戦うって。だから……!」 戦闘を維持できるだけの力が足りない、と警告するグローイングフォームの白に染まった身体を見やりつつ、しかしクウガは萎えぬ戦意で以てカッシスを、そしてその奥で倒れ伏す麗奈をその瞳に映す。 自分のせいで誰かを傷つけてしまうくらいなら、暴走はしたくない。 その思いは決して変わっていないが、だがそうして自分が躊躇ったせいで誰かの命が奪われるのをただ見届けるのは、それ以上に嫌だった。 ダグバに燃やし尽くされたあの警官を、青年を、京介を、小沢を、自分が救えなかった数多くの人々を思い出す。 もうあんな思いはごめんだ。自分がどうなるとしても、もうあんな犠牲は、二度と生み出したくなかった。 「これ以上誰かが目の前で傷つくのを、ただ見てるくらいなら……!俺は……究極の闇にだってなってやる……!」 並々ならぬ決意と共に、クウガはベルトへ手を伸ばす。 アマダムが再三の警告を脳へと直接伝達するが、しかしそんなものは無視だ。 自分がどうなろうと、それで誰かの笑顔を守ることが出来るなら。 それで自分は十分だ。究極の闇だろうと何だろうと、この身を堕としてやろうではないか。 悲壮なまでの自己犠牲と尊いまでの理想を抱いて、クウガの身は再び禁断の変身を遂げる。 体表を覆う装甲は不完全を表す白から、究極を表す黒へ。 その瞳は心の温かさを連想させる橙色から、深淵を覗くような透き通るような黒へ。 角は凄まじき戦士を意味する4本になり、その肩からは天を突かんとする鋭利な触覚さえ伸びる。 クウガの全てが戦いに特化したものへ染まり、その心さえ枯れ果て闇に葬られる中、対するカッシスは思わぬ得物に舌なめずりした。 よもや以前敗北を喫したクウガと、こんな形で再び相見えるとは。 正直に述べてあの時戦ったライジングアルティメットに比べれば誇る迫力は可愛いものだが、それでも退屈はしないだろう。 (リベンジマッチと言うべきか、或いは単に憂さ晴らし、と言うべきか。どちらでもいいが、楽しませてくれよ?もう一人のクウガ君) 自分勝手な思考を繰り広げたカッシスが、挑発の意を込めてクウガへ向けその腕を大きく開いたまさにその瞬間。 自我を失った究極の闇が、ただ目の前の標的を打ち砕かんとその足音を轟かせた。 145:異形の花々(2) 投下順 145 異形の花々(4) 時系列順 城戸真司 三原修二 アークオルフェノク 間宮麗奈 乃木怜治(角なし) リュウタロス 小野寺ユウスケ 村上峡児 相川始 フィリップ
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イルミナさんが入室しました イルミナ ――(滴る水音に意識が戻る イルミナ ――ぅ…… イルミナ ここ、は…(朧げな意識とボヤける視界。 ここはいつしかみた洞窟だ。 海咲さんが入室しました 海咲 “ルインズベルト”よ。 イルミナ ! 貴女は…! 海咲 (イルミナの前、鉄格子越しに、腕を組んで立つ女性 海咲 イルミナ、悪いけど。 海咲 貴女を捕まえて、監禁した。 イルミナ な……! 海咲 (腕を組んだまま、状況を伝える 海咲 (イルミナは洞窟の凹みに鉄格子を嵌められただけの不恰好な牢獄に閉じ込められている イルミナ な、何故そのような……(ぐぐ、と手を付き起き上がり 風谷さんが入室しました 海咲 簡単よ。貴女が唯我の味方をするから。 風谷 (ぶぉん、と牢獄内の上部の空間が歪み、 風谷 (ふわふわと浮遊しながら状況を傍観する青年が現れる。 風谷 …ふふ 怖い怖い。 海咲 風谷…(青年に気付き、名前を呟く 風谷 で、誰だったっけこれ。(ぶおん、と海咲の横に立っている。 海咲 イルミナよ。本当の市長の娘。 イルミナ ……(他にも人が……! 海咲 ずっとずっと、ジジイに監禁されてた…可哀想な娘。 風谷 それでジジイの次に監禁するのはボクらってワケか。つくづく運がないねぇ。(感情が全くこもっていない。完全に他人事である。 海咲 っ、そんなんじゃ………(風谷の言葉に 海咲 イルミナ。 イルミナ ……、 風谷 まあ、ボクは……(と言いながらふわりと浮く 海咲 唯我の味方は辞めて、私達の側につかない? 風谷 キミには興味ないからさ。あとは二人でゆっくりとお話するといいんじゃないかな?(にこにことイルミナに。 イルミナ …な……!? 海咲 ありがとう風谷…手を出さないで居てくれて。(風谷の方を向かず小さく呟き 風谷 … お礼言われるようなことしたっけ?ただ興味ないだけだよ。(にこにこと 海咲 イルミナ。貴方は元々この土地の人間でしょう? 海咲 それをジジイにずっと自由を奪われてきた。 イルミナ ……(頷く。 海咲 唯我は…確かにジジイを倒してくれたけど、 海咲 その後の話は別よ。なんでまた支配されなくちゃ行けないの? イルミナ ………。 海咲 イルミナ、なんで唯我の味方をするの? イルミナ ……。信じているからです。(ぐ、と握り 風谷 … (にこにこしながら話を聞いている。 海咲 …、どうして、何を信じれるっていうのよ? イルミナ ……ネシスは、何年も倦怠の海に沈んでいました。 イルミナ そこから一度に引き上げられる方は、彼以外、ありえません。 イルミナ そう、思えるほど。そう、信じれるほどに、鮮烈でした。 イルミナ 少し子犬のようなところがありますが。 海咲 …(組んでいる腕を強く握りイルミナを見つめる イルミナ 私はそんな彼を信じ、支えたいと思ったのです(怯えながらも力強い目線で 海咲 …それじゃ報われない。 イルミナ そしてあわよくばあられもないところも見たい。 海咲 それじゃ、私達も、あなたもーーー、、は? イルミナ (咳払い 風谷 …… あはは。 イルミナ そして、私はあなた方の敵ではありません。いえ、敵になりたくありません。 風谷 … だってさ?どうする? (海咲に 海咲 …私だって敵になりたくないわ。 海咲 だから、こうやって、“勧誘”してるんじゃない。 風谷 … 恋慕ってやつなのかな。じゃあ簡単にはひっくり返りそうじゃないよね。 風谷 得意の拷問でもする?(にっこりと イルミナ ……!(びく!と怯える イルミナ ……、ごめんなさい。唯我様を長に迎えたあの日、民意だと信じて疑いませんでした。 イルミナ 私達……いえ、私は……皆さんの意見も聞かず、知らず……、、 海咲 ………拷問はしたくない。 海咲 イルミナは被害者だもの。 海咲 仕方ない話だわ。”民意“…民に私達”ルインズベルト“が含まれていないのは当然の話。 イルミナ …いえ、いいえ、そんな。(首を振り イルミナ 貴女も、皆様も、この地に根を下ろす同じ人間です……! 風谷 … 昔のキミじゃ想像できないセリフだね。 風谷 人は変わっていく、ってやつかな? 風谷 まあいいさ、キミができないならボクが……、って。 風谷 そんな面倒なことにボクも首を突っ込みたくはないし。 海咲 別に…変わってなんかいないのよ。 海咲 イルミナの今の発言、聞いたでしょ。 風谷 … ふーん。 海咲 あんだけ閉じ込められてたのに、唯我は信じる。私達も人間扱い。 海咲 こんな娘、虐められないのよ。 風谷 そう。じゃあ逃がすしかないんじゃない?(にこにこ 海咲 逃しは…しないわ。 風谷 きむずかしいね。 海咲 イルミナ、聞いて。 イルミナ ……。 海咲 私達は唯我を潰す。ジェネシスを潰す。ルインズベルトを公の世界にする。 海咲 唯我達とは当然何度も戦う事になる。 海咲 ジジイ亡き今、私達はジェネシスに自由に行き来出来るけど、唯我達はルインズベルトには来れないの。 海咲 …だから、あなたの力に頼ってくる事になるわ。きっと。 イルミナ ……! 海咲 だから貴女を拘束する。 イルミナ 嫌です!!(そこはハッキリと即答で 海咲 …そうよね。 イルミナ い、いやなんです……! 拘束だとか、閉じ込めるだとか、潰すだなんて……! 風谷 …… 平行線、だね。(にこにこ 海咲 仕方ないわ。 イルミナ お願いです、海咲さん! お互い歩み寄る道はありませんか!? 海咲 貴女とならあったかもしれない…でも、唯我とは無いわ。 イルミナ …………! 海咲 これはジジイの弔い合戦でもあるもの。 風谷 …… はぁ。 風谷 … その感覚、ボクには全然わからないな。 イルミナ ………っ、、、(ぎゅぅぅ、と握る指先が白い 海咲 だから、唯我を潰すのは、止められない。 風谷 …… うん。ボクは海咲たちの味方でもないし、そっちの味方でもないってことがはっきりしたよ。(イルミナを見ながら 風谷 自由にやると、いいんじゃないかな。 海咲 … 海咲 私は私の成すべき事をする。それだけよ。 イルミナ 、、……(海咲、風谷を交互に見て イルミナ お、、、お父様は……貴女のお祖父様を信じて、、成り代わられて………最後は、、、死にました。 イルミナ …………、、………、(下唇を強く噛みすぎて、血が滴る 海咲 …そう。死んだのね。 イルミナ お願い、です………皆さん…………、、 イルミナ 私達は、話し合えるはず、です…………、、 風谷 ほら、クソ野郎なんだよね。そいつの敵討ちするっていうから、キミもやっぱりクソ野郎なのさ。(にこにこと海咲に。 風谷 でも、甘ったれたキミもボクは嫌いだな。このまま餓死しちゃうよ?(イルミナに 海咲 話し合えない…のよ。 海咲 貴女と話すと、悲しくなるもの。 風谷 …うん。 飽きるまで二人でうだうだ言っていたらいいんじゃない? 風谷 餓死しそうになったらさ。ピザでも持ってきてあげるよ。 風谷 … じゃあね。また面白そうなことになったら見に来るよ。 海咲 ううん。気遣いは大丈夫よ風谷。 海咲 私も行くわ。 風谷 そう。 イルミナ ……海咲さん……っ、、! 海咲 話し合いは終わりよ。(背を向けて 海咲 その鉄格子は私の星遺物じゃない。洞窟にも魔力は宿っているけど結界は無いわ。 風谷 ふーん。 海咲 私と風谷は今から居なくなるし、ここの通りは元々人の出入りも少ないの。 海咲 唯我が攻め込んで来たら厄介だけど、貴女単体なら別にどうって事も無い。 海咲 … 海咲 じゃあね。貴女の力で逃げちゃダメよ。 イルミナ …………、、、っ、、 海咲 (色々と説明をしていき、 海咲 (歩き去っていく 風谷 … ボクらの立場が危うくなっただけってワケだね。いい作戦じゃないか。 海咲 煩いわ…何でも一回で上手く行くわけじゃないんだから… 海咲 (風谷に言い訳しながら消える 海咲さんが退室しました 風谷 … はは。いきあたりばったりじゃなくて綿密に作戦を立てることは常に大事だと思うけど。 イルミナ ……………、、、 風谷 じゃあね。王神帝によろしく言っておいてよ。(にこりとイルミナに笑って、 風谷 (ぶおんと姿を消す 風谷さんが退室しました イルミナ 、(なんとも言い難い表情で掻き消える姿を見送り―― イルミナ ……、(これは……猶予、なのでしょうか。 ???さんが入室しました ??? (海咲と風谷がその空間から去り、束の間の静けさを取り戻した空間。 ??? (少しの間の後――湿った大地がゴポ、、と溶けるように歪み始める ??? (さながら穴の底から這い上がるように、そこから現れたのは―――…… ???さんが退室しました 石造りの異形さんが入室しました イルミナ ――、何、か――、、? 石造りの異形 (現れるは、黒褐色の――…ゴーレム、というには、些か悪趣味な、有機的なデザインのそれ。 石造りの異形 (四肢と頭らしきものはある。あるが、どこか生物と無機物の中間のような――…否、それよりも。 イルミナ …、……!?(生理的な、忌避感。そう直感させる異型を目にする 石造りの異形 (幽閉されていたイルミナがその姿形を知っているかは定かでない。…だが、この生物(物体)は… 石造りの異形 (――長年に渡りネシスの民に暴虐を働き、苦しめ続けていた異形の姿そのものだ。 イルミナ こ、、れは――(ゴクリ、と唾を飲む 石造りの異形 『ニ』(口らしき器官は無い。声とも言えない音が、体の何処かから発される イルミナ (恐怖に染まりそうになった頭が総動員で警鐘する。 石造りの異形 『に』 『ゲ』 『タ 』 『La』 石造りの異形 『オ イ カ ケ ル』 イルミナ (これは、この姿は。いくつもの”悪夢”で見た―― イルミナ ――――ッ!(思わず息を呑む 石造りの異形 (―――それは宣告。 彼女の知る”悪夢”の再現は、いつでもする用意がある、と。 石造りの異形 (要するにわかりやすく脅しだ。「おとなしくしておけ」と。 石造りの異形 『・・・』(以降は何も音を発さず。殆ど微動だにもしないまま 石造りの異形 (再び溶けた地面に沈むように消えて行く 石造りの異形さんが退室しました イルミナさんが退室しました 涅根さんが入室しました 涅根 (―――ルインズベルト。の、どこか。 涅根 …はー、海咲のやつ。(やれやれ、と 涅根 妙に情深いの、悪いトコだとは思わないけどさ…… 涅根 逃げちゃダメ、じゃないでしょ。 …逃がしちゃ駄目なんだよ。もう。 涅根 話し合いとやらが、決裂しちゃった以上はね…(横目に遠くを見遣って 涅根 (逃がしたら、状況は殊更に不利になる。 敵に攻め込む道筋を再び与え、口実まで与える。 涅根 (そんな状況を放っては居られないのだ。 彼だって、勝つ気なのだから。 涅根 (四天王も一枚岩ではない。 海咲のような人情家も居れば、風谷のような傍観者もいる。 涅根 (そして、手段を択ばない者も。 涅根さんが退室しました
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光球シンボルで出る触れるものを消す光は 貴重な「波動防護の加護」を落とすのでぜひ入手しておこう。 左の黄床ルートと右の青床ルートを最後まで歩くと上の赤床ルートが開放される。 赤床ルートに入ってすぐ上の白い×に触れると外に出され、始めからやり直さなくてはならないので注意。 黄床ルートネタバレ 2F。ワープポイントが1~2つ設置された「田」の字型の床が連続している。 初期位置から左上→左下→左下→左下→右下→左下→右上→左下→左上→左下→右上とワープポイントを踏むと次のフロアへ。 4F。隠し通路で仕切られたフロア。旅人がいるか、彼の連れ合いイベントを完遂していれば問題なし。 5F。ワープポイントで繋がった部屋に囲まれて、ルートの出口がある。下の部屋に出口に続く隠し通路がある。 青床ルートネタバレ 迷路的な要素は無く、道なりに進むルート。光球は戦闘シンボル。 3Fにある白い床は乗るとダメージを受けるので、そこだけ注意。 落ちているもの なし 魔物ボス 救いを求める手 救いを掠めとる手*2 救いを囲い込む手*2 精神攻撃を主に使ってくる。耐性装備を。 5体全てがパワーヒールIIIを使うので、半端な火力だと何度も蘇生されこちらがジリ貧になる。 範囲・全体攻撃を積極的に使うと良い。 シナリオ分岐ネタバレ 母親を連れてボスを倒すとイベント。アンダス城で王を殴っても母親が離脱しなくなる他、Aエンドの内容に影響する。
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Top 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 異形世界・「異形純情浪漫譚 ハイカラみっくす!」 月と私とエリカ様 私たちが住まう「蛇の目邸」は、人界において「シノダ森」と呼ばれ疎まれる森の奥深く にある。 この森は強大な力を持つ一匹の妖狐によって支配されており、蛇の目邸が人界にあっても 人目に付かないのは、その妖狐によって張られた結界のおかげでもあった。 「キッコちゃん元気にしてるかなあ」 キッコ様。というのがその妖狐の名であり、しかしご自身は呼称になど興味がないようで、 エリカ様も勝手に狐っ娘――転じてキッコ様とお呼びになられているらしい。 私も幼少の折、蛇の目邸に来訪されたキッコ様を拝見したことがあるのだが、それは見事 な気品と優雅さを兼ね揃えたお方で、動作の一つひとつに合わせて揺れる金毛の尾は幼心 にも大変美麗だったことを記憶している。 エリカ様とキッコ様は仲が良いらしく、久眠から醒めた際はよくキッコ様の住処へと赴き、 眠っている間に起こった世事を教わったりするようだ。 しかし最近ではこの森も物騒になっていると聞いていたので、さすれば早々に雄の生物を 探し出すのが先決ではないか、と申し出たところ「まあまあ、いいじゃない」とのお言葉 が返ってきた。 「今日は雲が少ないね」 向けられた笑顔の後ろ、月のまぶしさに目を細めた私を気遣ってか、エリカ様は愛用の傘 「邪の眼」を開いてそれを遮ってくれた。 私も少々古文書に脅かされ過ぎていたのだろうか。目的を果たすのも大事だが、その前に 自分はエリカ様の従者なのだからと胸に刻み、キッコ様の住処へと羽を向けた。 シノダ森中央にある一本の巨木。他の木々さえも避けるようにして開けた場所こそ、かの キッコ様が住処と聞く。私はその場所と様子を知ってはいたが実際に訪れるのは初めてで あり、それが故に異変を察したのは、エリカ様が驚くのを見てからだった。 まるで戦でもあったかのように荒れていたキッコ様の住処。巨木の幹も所々に焼け焦げた 跡や切り傷が残されている。キッコ様の姿もそこになく、ただ荒れた芝生の上に見覚えの ある幾本かの金毛が散らばっていた。 エリカ様はしばらくの間キッコ様の名前をお呼びになっていたが、戻らぬ返事にようやく 諦めたのか、頬に手をあてて何やら思いを巡らせ始めた。 私はキッコ様の身にただならぬことが起きたように思えてならなかったので、それとなく エリカ様に伝えてみたところ、難しい顔で頭を捻ったあげく「あなたがやったの?」など と、とんちんかんなことを仰られる。 私はエリカ様に負けぬほどの難しい顔を作って見せたのだが、どうやらその紅い瞳は私に ではなく、その後ろへと向けられているようだった。 「さあなー、誰がやったんだか」 聞き覚えの無い声に振り返ると、果たしてそこには人間が――自身の丈を越すほどの長い 棒を携える青年の姿があった。 白いTシャツに汚れたジーンズという大変見窄らしい身なりの青年は、その見てくれとは 裏腹に何か穏やかでない気概を放っている。近頃噂に聞く武装隊とやらだろうか、青年は 棒を構えると、その先を私たちへと向けた。 「しっかしまだお前みたいなのが居るとはね、この森も平和にゃ程遠いか」 ため息混じりに言い捨て、肩をすくめる。 シノダ森が平和かどうかは、異形と呼ばれる私たち妖魔とその外で暮らす人間とでは見解 が異なる。そもそも人間が踏み入ってこなければ、ここは私たちにとって平和な森なのだ。 勝手に土地を踏み荒らし、安全だ危険だなどという人間の気持ちは私には分からなかった。 「この子の言う通りここは本来平和な森よ。異形なんてひどい言われようだけど、私たち にとってはあなたたち人間こそが異形だわ」 静かながらも刺が効いたエリカ様の返答に、青年は目を丸くしたあと、ぷっと吹き出した。 やがて構えていた武器を脇に納めると、大きな深呼吸からひとつ間を置いて返す。 「いや、ごめんごめん。あんたは『古い方』か、これでも違いは分かる方なんだが」 うら若き雌である我等に対し「古い方」は如何なものかと憤慨するも、それを聞いて私も 合点が行った。近頃シノダ森では低級な妖魔がどこぞより湧き出しては、ところ構わず人 を襲っていると聞き及んでいたからだ。 私自身滅多に外へ出ることがなかったので、そうした者たちを目にしたことはないのだが、 せめて私のように理性を持っていなければ、妖魔の本能による破壊行為は人間にとっても 脅威だったであろう。 それを討伐する役目とあっては、あのように武器を向けたのも致し方のないことか。そう エリカ様に耳打ちすると「へえ、そうなの」と納得し、邪の眼を握る手の力を緩めた。 人間と問題を起こす妖魔も数多くいるが、元より同じ世界に生きるもの同士がやみくもに 争ってはならない。私はそんな言葉を頭の中で反芻しながらも、目の前にある一つの事実 に気がついた。 ――こやつ、雄ではないか。 ハンサムというには程遠いが、なかなかに愛嬌のある顔立ちと溢れんばかりの若さ。 これなら激しく情熱的な生殖行為が期待できるだろう。エリカ様初恋の相手としては申し 分ない。 果たして相手が人間でいいかどうかなどという些細な問題は放っておいて、私はエリカ様 を少し離れたところまで連れ出し、事の次第を伝えた。 「え、裸になるの?」 当然でしょう、と呆れて見せる。 エリカ様は困惑した顔つきで青年に振り返るも、すぐに向き直り「そんなの無理だよ」と 小声で眉をひそめた。 しかしここを譲るわけにはいかない。恋に関しては膨大な知識を持つ私に口答えするなど 言語道断。これまでに見てきたエロスの資料によればそうした行為は裸で行われることが 常であり、つまりはそれが正しい「恋」なのだから。 それもこれも全てはエリカ様の為。 そう説き伏せると、エリカ様はしぶしぶといった表情で服をお脱ぎになりはじめ、やがて みずみずしいその肌を月光に晒した。 さすがに初めてとあって恥じらいがあるのか胸などを隠しているが、いずれそうした恥辱 も愛欲の渦に消えてなくなるであろう。次はどうするのかとの問いに私はゆっくりと頷き、 答える。 「私を抱いてっ!」 教えたままの台詞を叫びながら飛び立ったエリカ様は、瞬きもせぬうちに青年の持つ棒で もって叩き落とされた。 「な、なんだ? 色ボケ異形か!」 距離を置き再び棒を構える青年。その手にある棒はやたらと破壊力があるらしく、エリカ 様は裸のまま地面で目を回している。 意外――いや、なんの馴れ初めもなくいきなりこれでは少々強引過ぎたか。 しかしこうなってしまえば後には退けない。私は直ちに「邪の眼」を喰わえてエリカ様の 元へと飛び寄った。 「……よ、よく分かんないけど、やっつければいいのね!」 そう。あわよくば青年の命がどうなろうと、エリカ様の想いを遂げらるならそれでよし。 これは決して争いではなく、恋という崇高な目的を持つ、雄と雌のせめぎ合いなのだ。 斜に構えられた邪の目を見て、青年はぎらりと狼のような眼差しを返してきた。 逆らわずば命ぐらいは取らずにおくものの、恨みたくば我等に刃向かう若さを恨むがよい。 ――さあ青年よ、若き雄よ、その身体をエリカ様へ捧げるのだ! 上へ
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登録日:2012/03/24 Thu 23 31 06 更新日:2024/05/20 Mon 23 05 11NEW! 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 2004年 これは達磨ですか?←いいえ、飾り気のないクリスマスツリーです カイザが増えるよ! スパイダーオルフェノク デルタ涙目 マジキチ ヤンデレ レイプ 井上敏樹 井上敏樹の本気 仮面ライダー 仮面ライダー555 仮面ライダー敏鬼 傑作or問題作 執筆時間 2週間 外道草加 孕ませ 小説 小説版仮面ライダーリンク 平成ライダー 怪作 救いがない 消えたスマートブレイン 特撮 異形の花々 異色作 草加のヘイト創作!? 講談社 講談社キャラクター文庫 赤いよだれかけ 達磨 鬱 鬱展開 鬱展開の嵐 『仮面ライダーファイズ正伝 異形の花々』とは2004年に出版された小説である。テレビドラマ『仮面ライダー555』を小説化した作品。 作者は『555』の脚本を務めた井上敏樹。 ドロドロした人間模様や群像劇を特徴とするテレビ版に負けず劣らずきっついストーリー展開を見せる作品。 その反面、書いたのが井上氏ということもあって戦闘シーンの描写はかなり淡白で大ざっぱ。 「テレビと同じものをやるのではつまらない」ということで、様々な変更がなされている。 2013年1月には『小説 仮面ライダーファイズ』のタイトルで講談社キャラクター文庫から再販された。 書き下ろしの後日談が収録されているが、残念ながら井上氏と草加雅人役・村上幸平氏によるあとがきがカットされている… とはいえ、一時期高騰気味だった『異形の花々』の中古価格も再販の影響で値崩れしているので、あとがきに興味ある方は文庫と両方揃えてもいいかもしれない。 なお、ファン界隈でファイズの小説と言われる時は大体この作品を指すが、他にも『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』を題材にした作品(題:『555』)がある。 こちらの作者は井上氏ではなく、『GOSICK -ゴシック-』などで知られる桜庭一樹氏が執筆している。 ◇主な変更点 敵組織であるスマートブレイン関連がばっさりカット。『異形の花々』版の表紙には社長をはじめオルフェノク達が描かれているが、作中にはスラッグオルフェノクとドラゴンオルフェノク以外のスマブレ側のオルフェノクは登場しない。しかもドラゴンオルフェノクも北崎ではない(後述)。 一部キャラクターの背景や性格、設定などが変わっている。特に長田結花と木村沙耶は大きく変更されており、もはや誰だお前ら状態。 仮面ライダーデルタは登場しない。流星塾生もほとんど登場せず、主要登場人物、特に真理にスポットを当てた作品となっている。 ◇あらすじ 美容師を夢見る少女・園田真理は、東京で乾巧や菊池啓太郎と同居しながら修行を続けていた。 ひょんなことから出会った青年・木場勇治に好意を抱く真理の前に、かつて「流星塾」で共に過ごした仲間である草加雅人と木村沙耶が現れる……。 ◇登場人物 乾巧/仮面ライダーファイズ 本作の主人公。でも割と空気。 実はギターを弾けるという設定が登場し、ちょっと嫌がりながらもその腕前を披露する。海堂さんェ…。 物語のラストで死期が近いことを悟り…。 園田真理 本作のヒロイン。しかし登場頻度が高く彼女の視点で物語が進行することも多いため実質主人公。 木場勇治に好意を抱き交際を始めるも、かつての友達との再会が彼女に悲劇をもたらす。 自分の外見や下着について気にすることもあり、テレビ版よりも「年頃の恋する少女」という印象が強い。 菊池啓太郎 相変わらずのお人よし。 テレビ版以上にあれこれ人助けをする。心を閉ざした結花に献身的に尽くし、やがて…… 一般人でありながら怪人を孕ませるという快挙(?)を成し遂げる。 木場勇治/ホースオルフェノク ある意味でテレビ版より危なくなった人その1。 建築デザイナーを志すも才能を妬んだ友人に殺されてオルフェノクになるなど、やっぱりろくな目に遭わない。 自分に好意を向ける真理と付き合い始めるが、ホースオルフェノクであることを隠しての交際に思い悩む。 人間とオルフェノクとの架け橋になりかけた結花に自分の希望を託して祝福するが、雅人の手で彼女が殺されたことで人間に絶望し、怒りと憎悪を向ける。 そして雅人を達磨にした。 長田結花/クレインオルフェノク テレビ版から大きく変わった人その1。 母親が出産直後の彼女の姿を嫌悪し絶叫したせいで心を閉ざし、喋れなくなる。 親戚に預けられても学校にさえ行かせてもらえず過酷な生活を送る。 自分の要求を従順に聞く啓太郎に無理難題を押しつけ玩んでいたが、彼の真摯な想いによって相思相愛となる。 後に啓太郎との子供を授かるも、草加雅人率いるカイザ部隊に襲われ命を落とす。 海堂直也/スネークオルフェノク テレビ本編とあんまり変わっていないっちゅーか。 一見いいかげんでちゃらんぽらんだが、懊悩する勇治に核心をついた言葉を投げかけたりすることも。 終盤では結花の亡骸から見つけてきた子供を自らの子と称して育てている。 5年後には生死は不明ながら姿を消す。 草加雅人/仮面ライダーカイザ ある意味でテレビ版より危なくなった人その2。 相変わらずの…というか、更にヤバくなった独善的かつヤンデレな性格で策を弄し、人間との間に子を授かった結花にカイザ部隊を率いて襲いかかったり真理をレイプしたりとやりたい放題。 しかしそんな彼も自分の上を行くヤンデレの手にかかることに……。 彼を演じた村上幸平氏による巻末コメントは必見。 文庫版による加筆収録ではさらに酷い事になり、村上氏がブログにて巻末コメントを彷彿とさせる発言をしている。 木村沙耶/ドラゴンオルフェノク テレビ版から大きく変わった人その2。もはや原形を留めていない。 本編では正しい心を持つデルタの装着者の一人だったが、とんでもないヤンデレとなった。こっちが初期案だったという話もあるとかないとか。 真理とは親友だったが、次第に雅人への歪んだ愛情を露わにし不審な行動も見られるように。 その正体はドラゴンオルフェノク。 映像作品とは異なり、触れるものを灰にする能力はない。 というか死期が近いため、自身が灰化しつつある。そのため、手の灰化を隠すために常に手袋をつけている。 物語終盤、木場勇治によって達磨にされた草加雅人を拉致監禁、ずっと共に生きていこうとするが……。 中曽根/スラッグオルフェノク ナメクジの特性を持つオルフェノク。作中で正式名称は言及されず、地の分では「ナメクジタイプのオルフェノク」と呼ばれる。 でっぷりと太った中年オヤジが素体。溶解液と長い舌が武器。 交通事故で死亡し、自分が死んだことにも気づかないうちにオルフェノク化した。 真理に一方的に惚れており、彼女に飲ませた牛乳瓶の空瓶を嘗め回すという奇行を人間の頃から繰り返していた。 病院で暴れていた所をファイズのクリムゾンスマッシュで粉砕される。 オックスオルフェノク 鉄球を振り回す牛のオルフェノク。 公園で真理と勇治を襲撃したが、駆け付けたファイズに鉄球を切り裂かれ、ひるんだ所を滅多切りにされて消滅。 スカラベオルフェノク 全身を岩のような装甲で覆った黄金虫のオルフェノク。 オックスオルフェノクを倒して油断したファイズをタックルで弾き飛ばし、猛毒の唾液で毒殺しようと目論んだ。 しかし突然現れたカイザに射殺される。 マンティスオルフェノク 蟷螂のオルフェノク。夜道で女性を襲っていた所を勇治に倒される。 スコーピオンオルフェノク 蠍のオルフェノク。木の上から突然現れて結花を襲撃したが、返り討ちにされる。これにより啓太郎が彼女の正体を知ることとなった。 エレファントオルフェノク 象のオルフェノク。最初から激情態で、歩き回るだけで地響きを起こす程の巨体の持ち主。 勇介に襲いかかったが逆にボロクソにやられた。 勇介 啓太郎と結花との子供であり、人間とオルフェノクとのハーフである。 結花の亡骸から直也が見つけ出し、啓太郎の家におしかけそこで育てる事になった。 対外的には直也自身の子と冗談めかしているが、啓太郎はその真相を大体悟った模様。 2013年の書下ろしの5年後では急激な成長を遂げ、5歳で高校生並の身体に驚異的な知能を備えている。 光る人への変身能力を持つ。 ◇余談 特撮ヲタの間では本作における草加雅人の婦女暴行シーンとその最期がよくネタにされており、コピペとなってしょっちゅう貼られている。 元より有名なシーンだったが、再販以降は更に人気が上がった(気がする)。 やはり草加雅人の人気は乾巧っていう薄汚いオルフェノクを圧倒しているなぁ… なお、筆の早い井上氏らしく、この作品は2週間で仕上げた(前から考えてた内容を纏めただけなのかもしれないが)。 2020年には、テレビ版で木村沙耶役を演じた斉藤麻衣氏が、本作を読んで衝撃を受けた事を自身のSNSでコメントしている。 もうだいじょうぶだ。きっと、まりちゃんがたすけてくれる。 いつものように、ぼくの項目をみて、ついき・しゅうせいしてくれる。 雅人は真理に向かって手を伸ばした。 ホースオルフェノクは何のためらいもなくその腕を引き抜き、握り潰した。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] まさかの5年後。 虚淵に負けないぐらい怖い小説だ。 -- 名無し (2013-07-11 12 37 22) この小説の沙耶に、ドラゴンオルフェノクは正直、似合わない。 5年後、草加が蜘蛛になった事を考えれば、TV版で流星塾生を殺害したスロースオルフェノク、スパイダーオルフェノクが似合う。 手袋で灰化している手を隠しているのなら、後者だな。 澤田は39、40話で右手の灰化が始まっている。 -- 名無しさん (2013-08-08 15 58 28) 元々は沙耶がドラフェノクになる予定だったんだけどね。訳あって北崎に白羽の矢が立ったけど -- 名無しさん (2013-09-30 15 07 59) それにしても勇介の能力・変身時の描写・変身形態とかあきらかにあれだけどそれに対する続編読みたい -- 名無しさん (2013-09-30 19 44 19) この小説は好きだしそこそこ評価も良いみたいだけど何故かジェットマンの小説は評価そんなにたかくないんだよな -- 名無しさん (2013-10-23 21 40 42) ジェット小説はそもそも存在が知られてないんじゃないか? -- 名無しさん (2013-10-23 22 04 34) ↑評価があるとこをみる限りはTV版のファンとかが文句言ってるだよね、俺は例え評価が低くてもジェットマン好きだから読んでみたい -- 名無しさん (2013-10-24 14 38 52) 沙耶役の人のスケジュールの都合で没になったんだっけ…?TV版はたっくんと割と気が合いそうだったけど没にならなきゃこっちが本性に…? -- 名無しさん (2013-10-24 16 16 30) テレッテッテー、くさかは赤い涎掛けののだるまから、セミのぬけがらにレベルアップした -- 名無しさん (2013-10-24 17 03 27) ↑×2 そう思うと複雑なんだよね。あそこで死んだからこそ、たっくんといい感じになれたかもしれないキャラクターで終われたって気がして -- 名無しさん (2013-10-24 20 19 22) 最近電子書籍版も出たから本屋にないって人も手に入りやすくなったね -- 名無しさん (2013-10-24 22 41 16) 無断な部分がないからファイズのテーマが伝わりやすいよね -- 名無しさん (2013-11-08 21 41 28) この小説は英雄草加雅人が薄汚い極悪人乾巧を倒すまでの話だ皆もよんでくれるとうれしいな -- 名無しさん (2013-11-16 12 30 02) ↑ 黙ってろよ人面蜘蛛 -- 名無しさん (2013-11-16 13 08 04) 個人的にグロ表現とか除けば朝には放送できないほどハードとは感じないかな(TV版も十分ハードだし) -- 名無しさん (2013-12-10 17 35 26) エログロ要素抜けば少年向け小説として行けるとような俺は異端か? -- 名無しさん (2014-01-15 22 22 49) 今じゃ朝テレビは無理だろ。当時かなり苦情がきてたらしいからな。この内容でやったら確実にOUT。それもこれも乾巧ってやつのせいなんだ -- 名無しさん (2014-01-20 10 21 49) ↑乾巧! -- 名無しさん (2014-02-03 16 58 26) これのファイズって何だったんだろうか。カイザのプロトタイプとか? -- 名無しさん (2014-02-03 17 01 03) 鎧武の黒影トルーパーを見て真っ先に量産カイザを思い出してしまった -- 名無しさん (2014-03-19 22 43 49) 光る人をアギトだと気づけないなんて私ってホント馬鹿… -- 名無しさん (2014-04-08 19 19 09) こんな小説書くなんて、井上敏樹は本当に頭イカレてるな。よっぽど歪んだ人生送ってきたんだろうよ、親父の七光だし。 -- 名無しさん (2014-04-08 19 47 30) ↑はいはい他所でやろうねぇ~ -- 名無しさん (2014-04-08 19 56 44) ↑↑最近555の項目のあっちこっちで暴れてる井上アンチか?迷惑だし支離滅裂だから大人しくしてなさいよ -- 名無しさん (2014-04-08 19 58 17) ↑↑↑多分お前よりはまともな頭だよ。井上さんはな -- 名無しさん (2014-04-08 20 18 26) 俺の名前は、634って言うんだ。今度から634って読んでくれ。 -- 634 (2014-04-08 20 22 51) 光る人がアギトってどこ見たら分かるのか教えて欲しい -- 名無しさん (2014-04-08 20 24 44) 「アギト」と言うよりは「アギトの力を持つ者」に酷似した特徴が随所に見受けられるという感じだった気がする。 -- 名無しさん (2014-04-08 20 39 30) かっぱになったまさと -- 名無しさん (2014-04-08 20 41 17) これってもう絶版になった? -- 名無しさん (2014-04-12 18 14 22) ↑のコメント書いた者だが入手出来た。途中まで読んだがすごいダークストーリーだな。でもTV版より登場人物の過去が詳しく描写されてたのがよかった。 -- 名無しさん (2014-04-13 19 51 10) 913も量産型ライダーの仲間入りをしたって解釈でいいのかなぁ? -- 草加雅人 (2014-04-17 21 06 39) 『光る人』をアギトと連想したのが、自分だけではなく良かった -- 名無しさん (2014-04-24 20 58 55) 牛ベロ -- 名無しさん (2014-05-04 21 16 06) カイザ兵団がオルフェノクをライダーリンチするシーンには恐れを通り越して笑うしかなかったが、これってもしかしてショッカーが目指してた暴力と選民思想による恒久的世界平和なんじゃね? -- 名無しさん (2014-05-14 21 47 24) 光人 -- 名無しさん (2014-05-14 23 25 10) ↑ミスった光る人で、俺は牙狼を連想した…にしても、これから怪人やライダー抜いたら、海の底のピアノになるのかな? -- 名無しさん (2014-05-14 23 26 44) 俺は光る人をアークオルフェノクかと… -- 名無しさん (2014-06-03 13 39 34) 井上さんのスタイルとか作風上仕方ないとはいえ、やっぱアッサリした戦闘描写は残念だったな… -- 名無しさん (2014-06-03 13 47 53) 逆に言えば、戦闘がアッサリしてる分、他の所が濃いんだよな。 -- 名無しさん (2014-06-03 14 08 25) 鬱グロ展開だけじゃなくて、クリーニング屋のゆるい日常模様で和んだりできるのも、他のライダー小説には無い魅力だと思います。 -- 名無しさん (2014-06-03 14 46 33) ヤンデレ沙耶はテレビでも見たかったな -- 名無しさん (2014-07-14 09 28 08) TV版だと草加じゃなくたっくんにヤンデレてたかもしれないがよろしいか? -- 名無しさん (2014-07-15 22 24 51) ナメクジタイプのオルフェノクが出てくるが、スラッグオルフェノクのような姿なのかスネイルオルフェノクのような姿なのか不明。人間体は中曽根という男で真理のストーカー。キモ男で怪人体もキモく口からピンク色の涎を垂らしていて真里が飲んだフルーツ牛乳の空き瓶をなめてる。 -- 名無しさん (2014-07-16 02 12 59) ↑まさに中曽根、泣かそーね、だ。 -- 名無しさん (2014-07-21 19 00 44) 光る人ってもしかして衝撃ゴウライガン・・・? -- 名無しさん (2014-07-21 19 29 45) ネタバレ。ファイズのベルトは木場に破壊されますがウルフオルフェノクで勝ちます。やっぱり、たっくんはオルフェノクの時のほうが強いじゃないですかー!やだー!。あと、気がついたんだが追加の五年後でベルトは破壊されたのにどうやって巧は新しいのを手に入れたのか・・・? -- 名無しさん (2014-08-02 02 24 11) ↑花形の部下か花形に会って修復してもらったか、二番目の555ギアを探し出したか、じゃない? -- 名無しさん (2014-08-14 11 42 14) 色んなとこで感想みる限り本編微妙だけどこっちは好きとか本編は好きだけどこっちは微妙に分かれてるんだよな俺はどっちも好きだが -- 名無しさん (2014-11-07 20 49 33) 俺は好きだが、555好きの友達は嫌いだったな -- 名無しさん (2014-11-07 20 55 13) ↑まあtvと違ってヒーロー色は薄いもんなそこで好みは出るんやない、異形の花々は子供向けを意識してないから俺は有りだと思うが -- 名無しさん (2014-11-07 21 05 01) ↑やっぱ -- 名無しさん (2014-11-07 21 15 01) ↑↑井上的には子供を意識して書いた事は一度も無いらしい -- 名無しさん (2014-11-07 21 17 01) ↑多分子供をバカにしてるようなって意味だと思うが…昔は普通のヒーロー者らしい話書いてるしな -- 名無しさん (2014-11-07 22 07 26) 達磨にされた草加は下顎が無いのにどうやって食事したんだろう? -- 名無しさん (2014-11-20 17 15 15) ↑多分沙耶は流動食を与えていたんだと思う -- 名無しさん (2014-11-28 01 32 38) 地の文を読んだ感じ勇介の変身した姿はアギトというより黄金のローズオルフェノクみたいな格好じゃないか? -- 名無しさん (2015-02-06 22 57 18) 苦情苦情うるせえよ PTAの犬が! -- 名無しさん (2015-03-05 13 30 54) 勇介の急成長はアギトの闇の人みたいだし、火のエル的な存在になるんじゃないかな -- 名無しさん (2015-03-11 10 00 26) ...ということは、使徒再生的なことを実行すると、アギトが増える? -- 名無しさん (2015-10-04 07 44 51) あれだよな、仮面ライダーじゃなかったらよかったのかもしれんな -- 名無しさん (2015-10-21 02 01 23) 勇介と聞くと五代と小野寺を思い出す -- 名無しさん (2015-11-13 20 57 18) 村上氏のブログの話はブログの何月の記事に書いてある? -- 名無しさん (2015-11-22 21 47 05) 人命救助を頑張るスネークオルフェノク想像して吹いた -- 名無しさん (2016-02-04 22 08 24) 草加論的にもアギトの設定的にも勇介はまさしく光と闇の間の存在なんだろうな、アギト(光)の力を持ちながら現代に蘇ったテオス(闇)と同じような体。 -- 名無しさん (2016-02-25 22 32 58) ↑5 -- 名無しさん (2016-02-27 21 37 04) ↑途中送信 -- 名無しさん (2016-02-27 21 38 08) これって「仮面ライダー」だから良い悪いじゃなくて「555」だからこその作品なんじゃないかな -- 名無しさん (2016-02-27 21 39 21) だからこそ、勇介は巧に変わる新たな希望なんだよな -- (2016-02-28 02 31 11) 正直勇介はファイズに変身するよりも金色の人形態の方が強いんじゃなかろうか?ファイズと違って金色の人は貫手とか一撃でオルフェノク倒してるし。 -- 名無しさん (2016-07-17 19 10 57) ↑たっくんがオルフェノク形態のほうが戦績良いのにファイズになるのと同じだと思う 個人的にファイズは「555」においてデビルマンみたいな体は化け物だが心は人ままあがく戦士の象徴みたいなところがあると思う -- 名無しさん (2016-07-17 19 33 25) そういえば元々オルフェノクになれる者の条件として「アギトの力を持つ者」という設定を聞いたことあるな。555自体がアギトの後の話らしいし。 -- 名無しさん (2017-02-07 07 02 44) 手足やアゴを引きちぎるシーンをアマゾンズでもやってほしい -- 名無しさん (2017-04-15 01 49 40) ↑2たしか「HERO SAGA(雑誌連載版)」のアギト編で「ドッグロードでなく、ドッグオルフェノクで、その際の攻撃で男性はアギトになる」やスマートブレインとか乾巧の単語があったりと関連性があったみたいだな。 -- 名無しさん (2018-02-05 17 19 11) テレビ版555で木村沙耶役をやった斉藤麻衣さんが、今になってこの小説を読んで戦慄しているのは少し笑ってしまった -- 名無しさん (2020-06-19 17 15 14) 草加の悪質化辺りは流石にやり過ぎな気がする。「クセの強すぎるアンチヒーロー」の絶妙な塩梅から、「性根の腐ったゲス」に成り下がってるのはやっぱ残念。 -- 名無しさん (2020-07-12 12 38 24) ↑最大の改悪ポイントは自分が蜘蛛になった途端オルフェノク賛美に走った所だな。テレビの草加ならカブトの坊ちゃまみたいに間接的にオルフェノクを滅ぼした後、三原当たりに介錯頼むと思う -- 名無しさん (2021-07-04 20 53 53) ↑正直死んで復活するまでの過程が凄惨すぎるから改悪も何もないと思う。テレビ版草加だって下顎手足引きちぎられて達磨状態でしばらく飼われ続けた上に糞尿垂れ流しながら餓死してオルフェノクとして復活なんてしたら正気保ってられるかわからん -- 名無しさん (2022-01-13 19 24 22) 名前 コメント
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異形の花々(2) ◆ 「おーい皆集まれー!写真撮るぞー」 自分たちの恩師である増田の声が、暗い校庭に響いた。 料理をつまみ、近況を語り合い、各々がそれぞれ思い思いの同窓会を送っていた塾生たちは、しかしその声を受けて一斉に集まりだす。 会の終わりを察し先生の服を涙で濡らす他の塾生の背中を見やりながら、修二は「変わらないな」と思った。 増田先生も、他の塾生たちも、それにこの流星塾も、何もかもが昔過ごしていたあの頃のままだった。 神道が酔うと昔と同じように「流星塾の絆は永遠だ」なんて騒いで、里奈や真理達しっかり者な女子が、それを戒める。 それを何となく後ろで笑ってる西田や太田がいて、結局新井や徳本らが神道に乗っかって収集つかなくなって、先生に叱られて、皆で形だけの反省をする。 そんな変わらない光景に、ともかく昔と何も変わらない、とても楽しい会だったなと感傷に浸りつつ、修二は締めの挨拶を待っていた。 「――ちょっと待って!写真より先にー、先生に渡すものがありまーす!」 唐突に、晴子が大きな声を出して注目を集めた。 個人的な贈り物かな、とすっとぼけたことを思ったのは一瞬だけで、周囲の異様な喧騒でそうではないことは、すぐに理解出来た。 「ようやくかよ、マジでいつ渡すのかと思ったわ」 「晴子―、早く早く!先生待ち侘びちゃってるよ」 何となく抱いた嫌な予感が見事的中するように、女子数人が先生へと何か厚紙のようなものを手渡す。 びっしりと書き込まれた寄せ書きらしいそれが、間の抜けた感謝の言葉と共に和やかな雰囲気で譲渡される瞬間に寒気を覚えているのは、恐らくその場で自分だけだったに違いない。 何故か。自分はそんな寄せ書きを書いた覚えなんて、一ミリもなかったからだ。 こうして同窓会に来ているのに、皆とも話して増田先生に感謝の言葉を伝えたかったのは、俺も同じなのに。 思わず抱いてしまった疑問に由来する底冷えするような震えが、夜風と共に身体を抜けていく。 飲み物の殆ど入っていないコップが軋み、酔いによるものではない前後不覚が自分を襲う。 まさか。抱いた疑惑が、どうしても大きくなっていく。 もしかして誰も……俺が書いていないってことに気付かなかったのか? 本当に誰も、俺の存在を……気付いてもいなかったって言うのか? 焦りと困惑に喉の水分が蒸発したように枯渇していくのを感じながら、修二はただ事の顛末を見守るように恩師を見つめる。 最後の希望を託すようなその瞳はしかし、当の増田本人に気付かれることはない。 まるでテレビの向こうの出来事を見つめるようにただ見ているだけしか出来なくなった修二は、一心に待ち続けていた。 「おいお前ら、修二の名前がないじゃないか」、「ごめんね三原君、タイミング合わなかっただけでさ」――そんな風に、自分を認めてくれる声を。 されど、待てども待てども恩師はこちらに気付く様子を少しも見せることもなく、ただ寄せ書きの内容にその瞳を潤わせていた。 「皆、本当に……本当にありがとう!」 全体にざっと目を通したのだろう、すっかり目を赤くした増田は誤魔化すように周囲に向け笑顔と大きな声で応えた。 それに対する反応は様々だ、釣られて泣く者、増田の涙を笑う者、そして――自分の名前に遂に恩師さえ気付かなかったという絶望に、ただ一人打ちひしがれる者。 「俺たち流星塾生の絆は永遠だぁぁぁぁぁ!!」 いつにも増してあまりに虚しく聞こえる気がする神道の調子のいい言葉が、やけに頭に残っている。 だけれども、それ以外の記憶は如何せん覚束ないままで、そこから後どうやって自宅へ帰ったのかの記憶は、あまりよく覚えていない。 ◆ 流星塾の同窓会を終えてからの修二の生活は、前にも増して虚しいものだった。 絆だ友達だとそんなのは幻影に過ぎないんだと、ただ手元に残る確かな保障としての日銭を稼ぐ為、ひたすらバイトに打ち込んだ。 手に出来るのは本当に些細なものだ。やりがいもないし、バイト先での新しい友人関係なんてものも築く気すらなかった。 だがそれでも、かつて同じ父を持ったというだけの小さな繋がりが齎す絆に縋って一生を過ごしていくよりはずっとマシなように思えたし、少なくともそうして貯金残高が徐々に増えていくのは嬉しかった。 継続の甲斐あって辛うじて興味のあったバイクも買えたし、今の生活に何の不自由もない。 ただそうやって金を貯める為に働き続けるような、灰色の日々を漫然と過ごしていたある日のこと。 かつての流星塾生の一員である高宮から急に、自分に向けて連絡があった。 「三原か!?悪い、伝言聞いたらすぐ折り返してくれ。父さんが俺たちに助けを求めてる。詳しい事情は電話で直接話す」 矢継ぎ早なその伝言を聞いて、どうしようもなく迷った自分がいた。 流星塾の面々にはもう未練も貸しも何もないが、父さんは別だ。 自分を救ってくれたあの優しい父さんが、自分たちに助けを求めているのだというなら、相当の事情に違いない。 親孝行を望んでも、ただ優しく「お前たちは生きていてくれればそれでいい」と笑うだけだった父さんに、何かをしてやれるなら。 そうして受話器を持ち上げて、しかしすぐにそれを置いた。 ――別に俺がやる必要もないじゃないか。きっと誰か別の奴がやるさ。 抱いた思いは、昔と変わらぬ事なかれ主義故のものだった。 そうだ、助けるなんて言ったって、俺は結局何もできないじゃないか。 知識だって全然ないし、ただ慌ててしまうだけなら、誰かもっとマシな奴が俺の代わりに頑張ればいいじゃないか。それに、バイトだってあるし。 そんな、言ってしまえば逃げの為の思考故に、高宮と話せる機会は、それきり一生なくなってしまった。 それを知ったのは、それから少しした後に伝言に残されていた、神道の言葉からだった。 「三原、いきなり悪い。実は……高宮が死んだ」 無視の出来ないそんな言葉から始まった神道の伝言は、次々に驚きの展開を迎えていった。 高宮が告げていた父さんの助けが必要な出来事とは、巷に現れ始めたオルフェノクと呼ばれる怪物に関してだったこと。 一方で父さんはカイザと呼ばれるベルトも彼に渡しており、真意は不明だが恐らくはそれによってオルフェノクを倒すよう願っていただろうこと。 だがそう信じてカイザに変身した高宮の命は、その解除と共に失われたこと。 しかしそれでもカイザがなければオルフェノクに対抗できない為、対策を立てる為にかつての流星塾生に連絡して合流を呼びかけていること。 短い時間ですらすらとそれを告げる神道の声はあまりに慣れており、恐らくそれを告げるのは自分で数人目なのだろうと思った。 「なぁ頼む三原。流星塾生の絆で、化け物を倒そう。父さんの為にも」 その言葉を最後に、伝言は終わった。 聞き終えてから数分の間、自分の身体は動かなかった。 人間に紛れ込んでる化け物がいて、それを倒せるのは自分たち流星塾生だけだって? 冗談じゃない、というのが正直な感想だった。 それに変身するだけで死んでしまうベルトで戦えだなんて、死んでくれっていうようなものじゃないか。 今度は、受話器を持ち上げすらしなかった。 流星塾の絆なんてものが薄ら寒く思えるようになったというのも勿論、唯一信じていた父さんすらも、自分たちに死ぬかもしれない戦いを望むような人だったのだと思ってしまったから。 それに自分の命をわざわざ捨てるような事をしなくても、いつも通りの日常を送っていればきっとこの事態もいつの間にか終わるはずだと、そう思ったから。 だから自分はまた伝言を無視して、そして神道の声を聴くのも、それが最後になった。 それから先は、何かあれば里奈が伝言を残してくれた。 一度も返事を返さなかったというのに、里奈は協力してくれとも言わず、まるで日記をつけるように事ある毎に連絡を寄越した。 西田や犬飼、晴子ら流星塾生だけでなく、増田先生までオルフェノクとの戦いの中で死んでしまったこと。 真理のもとにもう一本のカイザギア改めファイズギアが送られており、それを無事に扱える乾巧という青年とも協力が出来たこと。 そして忌むべきカイザギアも、同窓会に来なかった塾生である草加雅人が使いこなせた為に彼の持ち物となり、オルフェノクとの戦いの展望はかなり希望を持てるものになったこと。 残る最後のベルト、デルタが沙耶に送られており、それが及ぼす精神の変調により塾生の数人がおかしくなってしまったこと。 幾度も残された伝言によってどうしようもなく事態を把握してしまっていた修二は、しかしそれでも連絡を返すことはしなかった。 どうせ自分が何かを言ったところで、きっと無意味だろうと思ったから。 現に自分が何もしなくてもベルトを使いこなして化け物を倒す強いヒーローは乾という青年と草加がいるらしいし、今更のこのこ出ていったところであっさり死ぬだけだろう。 そんな無駄死にはごめんだと、碌に伝言を聞くつもりもないはずなのにしかし、何故か毎回伝言を欠かさず聞いている自分がいた。 きっとそれは自分が関わらなくても事態が好転していくに違いないという自分の仮説を確かめる為なのだと、そう自分自身さえ納得させながら。 だがそうしてどこか他人事のつもりで耳にしていた伝言はあの日、突然自分に向け確かな圧を含んで降り注いできた。 「三原君、あのね、落ち着いて聞いて。真理が……真理が意識不明の重体で――」 それは、園田真理が戦いの中でオルフェノクの攻撃を受け意識不明になったという突然の連絡。 西田や高宮や増田先生……今までもその死を知っていた知り合いは山ほどいたはずなのに、修二にとって彼女が負傷したというその報は、今までのどれに比べてもずっと重くそして信じがたいものだった。 だって園田真理は自分にとって、いつだって目の前で起きている問題を解決してくれた正義のヒーローその人だったのだから。 父さんがベルトを送ったというのに何の疑問も抱かないほど、当然のようにいつだって主役の座にいた彼女は、きっと何があっても無事に生き続けるのだろうと、そう修二は漠然と思っていた。 そして、気付く。今までの自分は、結局の所テレビの中で繰り広げられるヒーローショーを見ていたのと何も変わらない気持ちで里奈の伝言を聞いていたのだという、その事実に。 それに気付いた途端に、修二はどうしようもない吐き気と動悸が身体の奥底から湧き出てきたのを自覚する。 今まで聞いてきた人の死は、決して他人事のそれではないのだ。 電話口に告げられた死者の名は、決してただの記号でなく自身が長年接してきた彼ら一人一人だったのだと。 そして同時に、園田真理のようなヒーローに頼り切っていても解決出来ないほど、事態は考えているよりずっと残酷で、現実に起きていることなのだと。 瞬間、今まで無視を続けてきた事が信じられないとすら思える速さで、修二は里奈に電話をかけていた。 もしかしたらこれは自分に対する手の込んだ悪戯だったのではないかと、真理の無事を確認したい一心で。 そして彼は間もなく――全てが真実だったことを知る。 オルフェノクも、ベルトも、戦うライダー達も、そして――それからすぐに、突然殺し合いへ連れてこられたということも。 ◆ 「……うじ、修二、起きて」 「う……あ……」 身体を揺すられるような感覚と共に、修二は微睡みからその思考を起こした。 徐々に明るさを増しつつある空の青をその目に映しながら酷く気怠く呼吸して、全身に残る鈍痛に気付く。 呻くように息を吐いてゆっくり寝ていられる状況ではなかったと理解すると同時、彼は声の主へ呼びかけようと自身の胸に手を当てた。 「そっちじゃ……ないよ、修二……」 心の中に憑依しているはずの魔人へ声を伝えようと念じるが、しかし返ってきたのは先ほどまでの脳に直接響くようなそれではなく、自身の鼓膜を叩く空気の振動だった。 「……リュウタ?」 まさか、と思いつつ、声の聞こえた方へ振り向く。 何故自分に憑依していたはずのリュウタロスの声が、耳に直接響くのか。 答えはあまりに当然で、そして今の修二にとってはあまりに残酷なものだった。 「よかった……気付いた……」 ようやく見つけた声の主は、確かに自身もよく知るリュウタロスに違いない。 だがその身体はいつもの鮮やかな紫を失い、ただどこにでも存在する白い砂が身体中の至る部位から漏れ出ていた。 「リュウタ!」 思わず駆け寄り、横たわる彼の身体を抱き起こそうとする。 だがそれは叶わない。背中を支えようとした修二の手はリュウタロスの身体をすり抜け、自身の手は砂と共に虚空を掴んだ。 そして同時、どうしようもなく気付く。これが、恐らくは彼と話せる最後の瞬間なのだということに。 「なん、で……なんでこんな……」 半ばパニックに陥り取り乱しながら、しかし修二にはこの状況が何故生み出されたのか嫌でも理解出来ていた。 元を正せば、そもそも乃木に首を掻き切られたあの瞬間に、リュウタロスの命は既に風前の灯火だったのである。 それをイマジン固有の能力たる憑依によって無理矢理修二に取り憑き一旦の安寧を得ただけで、結局は首輪の制限も絶体絶命の状況も何も打開出来てはいなかったのだ。 修二は知るよしもないが、この場における首輪の固有能力を制限する能力を思えば、恐らく彼がイマジンとしての憑依能力で以て誰かに取り付けるのも10分が精一杯だっただろう。 そしてそんな短すぎるタイムリミットが、村上の攻撃によるダメージで変身解除と同じく強制的に縮められてしまった。 纏めてしまえばそんな何てことのない、しかし何より残酷な答えが、今こうしてリュウタロスがその命を絶やそうとしている事の理由であった。 「修二、麗奈のこと……よろしくね」 「何死ぬみたいなこと言ってるんだよ、やめろって!」 死に際に未練を託すようならしくないリュウタロスの言葉に、修二の絶叫が響く。 その顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃに濡らし、彼の身体から溢れ続ける砂を止める為に身体を押さえるが、しかし流れ落ちる砂は収まることを知らない。 自身の抵抗がどうしようもなく無意味だと悟り残酷な現実に再び大きく吠えて、それから修二は涙で赤く染まった瞳で死にゆく魔人を見た。 「リュウタ……待ってくれよ……、お前が死んだら俺は一体、どうすればいいんだよ……」 それは最早、懇願とも言うべき情けない呼びかけだった。 この会場に来てからずっと、彼と共に行動をしてきたというのに。 彼に見限られないように頑張ってきたし、彼に恥じない自分でありたいと自分を無理矢理奮い立たせてきたというのに。 そんな彼が死んでしまったら、これから自分は何を支えにこの残酷な世界を生きていけばいいというのか。 されどそんな泣き言を述べた修二に向けて、リュウタロスは失望するでもなくただいつものように無邪気に笑った。 「ううん、僕がいなくても……修二はもう、大丈夫だよ。だってあの時……あんなに格好良かったじゃん」 「リュウタ……」 思いがけない言葉に、修二は思わず息を呑む。 リュウタロスの口から、自分を格好良いだなどと評する言葉が出てくるとは思っていなかったのである。 認められた。自身より精神的に幼く不安定だったはずの彼に自分がそんな風に思われていたという事実に、修二はしかし今までの何時よりも承認欲求が満たされたような心地を覚えた。 リュウタロスはどこまでも純粋な存在だと言うことを、修二は既に知っている。 故に、自身に向けたその言葉が単なる場を収めるための気休めではないことも、一番よく分かっているつもりだ。 弱い自分に呆れ、特訓と称し無理矢理なトレーニングを課した彼が、今の自分を格好良いと言ってくれた。 ただそれだけの些細なことが、それでも修二にとっては掛け値なしに嬉しかったのである。 だが、悲しみと喜びという自身の相反する感情を整理しきれず言葉を失った修二に対し、リュウタロスはまるで何事もないように悪戯っぽく微笑みかけた。 「ねぇ修二、僕らってさ、結構楽しかったよね。答えは聞いて――」 ――それが、最後の言葉になった。 別れの言葉を言い切らぬうちに、言葉を紡ぐ為の口も、ピースサインを作っていた手も、全て砂へと溶けて消えたのだ。 温い風が、背中を撫でかつてリュウタロスだった砂をどこかへと運んでいく。 それをどうしようもなく見つめながら、修二は何かを手繰り寄せるようにその山へと腕を潜らせる。 されど、その手は何も掴むことは出来ず。 ただ砂に塗れ白く染まった手だけが、涙に滲んだ視界に映っていた。 【リュウタロス@仮面ライダー電王 死亡確認】 【電王の世界 崩壊確定】 【残り14人】 ◆ 「ハァッ!」 気合いと共に、トリガーを引き絞る。 それによって火花と共に放たれた弾丸が、デルタの横面を掠め虚空へと消えていく。 同時、自分のそれと合わせるように穿たれたラルクの矢もまた直撃には至らず、彼らはただ一人しかいないはずの敵の接近を再び許すこととなった。 「フン!」 低い声と共に、デルタが自身の得物であるデルタフォンのグリップをラルクへ強かに打ち付ける。 短く苦痛の嗚咽を漏らし数歩下がった彼に向けて、間髪入れずに狙い澄ましたデルタの銃口が火を噴いた。 身体から火花を散らしまた数歩後退したラルク。 彼を庇うようにギャレンがデルタへと弾丸を放つが、しかしそれすら見抜いていたとばかりに彼は一瞬で身体を翻し弾丸を躱す。 超至近距離で行われた神業にギャレンが動揺する一方でデルタが放った光弾は、全てギャレンの身へと着弾した。 結果、今までの攻防の全てにおいてこちらの攻撃は一切の戦果をもたらさず、敵の攻撃だけが全てこちらのダメージとして与えられたという状況になったことを、ギャレンの鎧を纏うフィリップは冷静に、しかし戦慄と共に分析していた。 これまでの状況から一転、自分たちを裏切り敵となった村上の力は、端的に言って自身の想定を遙かに超えている。 というよりダグバとの戦いのそれなどと比べても明らかに強すぎる今のデルタの実力は、単に出し惜しみをしていたとして説明出来る領域ではない。 むしろ、先ほどあのオルフェノクにもたらされた謎の力によって自身の知るそれとは別次元に強化されたのだという方が、よりしっくり来る。 とそこまで考察を深めて、しかし今は理屈よりも戦闘自体に集中すべきかとギャレンは再びラウザーを握る手に力を込めた。 とはいえ、先ほども述べたとおりこちらの戦力に対して敵の強さが飛び抜けているのは最早自明の理だ。 或いは一発逆転を狙えうるだけの力を持つキングフォームも、橘の語ったジョーカーのカードが紛失した為に不可能であり、ラルクも先のダグバとの戦いによるダメージが尾を引いているようで、如何せん動きにキレがない。 正直かなり分の悪い戦いであると思うが、それで諦めていい戦いではないことも、ギャレンには分かっている。 そして同時、碌な連携も見込めず個々の戦力も及ばないこの不利な戦況を覆すには、一発逆転に賭けるしかないという事実も、強く理解していた。 ようやく考えの纏まった彼は、チラと後方のラルクを見やる。 歴戦の彼とて正攻法で勝ち目はないという考えは同じだったらしく、ギャレンの思考を読み取ったようにただ黙って小さく頷きを返した。 対するデルタも二人の不自然なアイコンタクトを確認したが、しかし自信の表れからか挑発するようにただその手を拱いた。 そして同時、皮肉にもそれを合図として、ギャレンとラルクが同時にデルタへ向け弾丸と矢を放つ。 案の定それらは全て敵への有効打にはなり得ないが、それで怯むはずもない。 デルタが反撃へと移るより早く、ギャレンは懐から取り出した一枚のカードをラウザーへと走らせていた。 ――RAPID ダイヤのスート4、ラピッドのカードを読み込んだギャレンラウザーが、一気呵成に弾丸を吐き出す。 それまでの射撃能力を大きく上回る連射性能で掃射されたその弾丸の雨は、幾ら身体能力の向上したデルタとて到底躱し切れるものではない。 例え狙いの正確でない乱射と呼ぶべきギャレンの攻撃であっても、デルタは反撃どころか身動きすら封じられその場でよろめいた。 「今だ、相川始!」 ――SPINNING DANCE ギャレンの合図を待つより早く、既に三枚のコンボをラウズし切っていたラルクが宙へと舞い上がる。 一方のデルタも刹那遅れて自身に必殺を為さんとするラルクに気付くが、しかしもう回避が叶う間合いではない。 身体全体で超高速の螺旋を描いて、ラルクがデルタへと迫っていく。 皮肉にもかつてデルタと同じオルフェノクをこの場で葬ったその一撃は、立ち尽くすデルタへと容赦なく突き刺さり、瞬間突き抜けた。 だがラルクに手応えの感触はない。それも当然のことだ、彼が貫いたのはデルタではなく、彼が生じさせた薔薇の山だったのだから。 「何……ッ」 思わず目を見開き風に舞う赤い薔薇を振り向いたラルク。 そんな彼を迎えたのは、予想だにしなかったデルタの鋭い拳だった。 「相川始!」 絶叫を放ったギャレンに対して、デルタは容赦なく光弾を放つ。 それによって火花を散らしたギャレンの鎧がいよいよ限界を迎え、地に倒れるフィリップ。 一方で、思わず怯んだラルクもまた、デルタのストレートキックを胸に受けその姿を相川始のものへと戻していた。 「フフフ……」 余裕を含んだ笑みでデルタが二人を見下す。 直撃の瞬間にローズオルフェノクの固有の能力によって回避し反撃を行った。 そう言えば極めて単純なことだが、それが可能になったのはオルフェノクとして完全覚醒した故に能力を行使するのがより容易になった為だった。 改めて完全覚醒した自分に、もといオルフェノクという種に敵はないと確信したデルタが、そのまま目前に倒れ伏す二人を手にかけようと手を伸ばした、その瞬間。 「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 あまりに暑苦しい絶叫が、こちらへと向かってくるのをその耳で捉えた。 また邪魔が入るのか、と僅かな苛立ちと共に振り返れば、そこにいたのは一人の青年がその腰に銀のベルトを浮かび上がらせる光景。 青年はベルトをなぞるように左拳を握り、右腕は空を切るように真っ直ぐ伸ばす。 戦意を高揚させるような待機音と共にベルトを起動させた青年は、大きく跳び上がりそして叫んだ。 「変身ッ!」 瞬間、青年の身体は赤く染め上げられ、着地と同時放たれた拳がデルタを大きく後退させた。 戦いに敗れた二人を庇う様に立つ、この混戦に突如現れた赤い戦士。 初めて出会ったはずの彼の姿にしかし、倒れ伏す二人はそれぞれ見覚えがあった。 「クウガ!?」 「何?じゃあこれが本当の……」 今現れた仮面ライダーの姿に、思わずフィリップが叫ぶ。 その戦士は二人にとっては割り切れない忌むべき過去の、その悲劇の主人公とでも言うべき五代雄介と同じ姿をしていたからだ。 かつての温かい人の心を持ち、笑顔の為戦った五代を知るフィリップが門矢士や海東大樹から聞いたもう一人のクウガを連想する一方で、究極の闇に沈んだ傀儡である五代しか知らぬ始は、初めて見る本来の戦士クウガの姿に驚嘆の意を覚えていた。 だが当のクウガ本人には二人の事情など知るよしもない。 何故自分の名を知っているのか、と疑問を抱き振り返りかけるが、相対するデルタが自身を敵と認め、構え直したのを受けて戦場へと向き直る。 「はああぁぁぁぁ!」 話は後だ、と背中で語るように駆け出したクウガは、再びその拳を振り抜きデルタを捉えようとする。 見え透いた動きは無駄だとばかりにその拳はデルタに軽く流されるも、反撃に飛んできた蹴りは自身の左腕で受け止める。 相応の実力を認めたか、デルタが称賛の意を含んだ声を漏らすのも気にせず放たれたクウガの肘鉄は遂にその身体を捉えるが、されどその後退際にデルタは自身の得物へと手を伸ばしていた。 「ファイア」 ――BURST MODE 装着者の指示を受け連射機能を発動したデルタムーバーが、次の瞬間クウガへ向けて光弾を連射する。 とはいえクウガもまた、その反撃は予想の範囲内。ベルトを青く輝かせ、俊敏性に優れたドラゴンフォームへと変身して素早く跳び上がることで、蜂の巣になることを回避した。 そのまま空中でマイティフォームへと戻ったクウガは無事に着地するが、次なる攻撃の手は未だ浮かばない。 デルタの実力はただでさえかなりのものであるのに加え、射撃能力さえ有している。 どうにかしてペガサスボウガンへ変形させられる何かを手に入れられればいいが、そう甘いことも言っていられないだろう。 であれば不利であるのを承知な上でタイタンフォームで突っ切るべきか、と決死の覚悟を決めようとしたその瞬間、思いがけぬ幸運が彼へ舞い降りた。 「小野寺ユウスケ!これを使え!」 見知らぬ青年の声が、自分の名前を呼ぶ。 一目見て自分をクウガと呼んだ声だ、と気付くのと同時、彼が放り投げた銀の何かが目についた。 その形状、そしてそれを自分へ投げ渡した青年の意図を察したその瞬間に、クウガは自身の霊石の色を赤から緑へと変化させていた。 「超変身!」 掛け声と共にペガサスフォームへと変じたクウガが、青年から投げ渡された銀の何か――ZECT-GUN――をその手に掴む。 瞬間、モーフィングパワーの発動によりZECT-GUNは質量保存の法則さえ無視して巨大なボウガンへと変形する。 同時、一瞬にして敵に遠距離用の武器が出来てしまったことに舌打ちを漏らしたデルタが光弾を発射するが、その全てはクウガの研ぎ澄まされた五感によって正確に見切られ糸を縫うような最小限の動きのみで躱されてしまう。 「なっ……」 思わず驚きにデルタが手を止めクウガを仰ぎ見たその瞬間を、彼は逃さない。 刹那の隙を突き弦を引き絞ったクウガは、そのままデルタへ向けブラストペガサスの名を持つ空気弾を放った。 対するデルタもそれに気付くが、彼が有効な回避策を講じるより早く、空気弾はデルタの腕を正確に打ち据えていた。 「――ッ!」 射られた腕に走る痛みが、デルタの腕から得物たる銃をはたき落とす。 何故自身の身体そのものを狙わず武器を狙ったのか、そんな疑問が浮かぶが、答えはすぐに示された。 「はああぁぁぁぁぁ――!」 気合いの声と共に、赤に戻ったその右足を燃え上がらせ、デルタへ向けて一直線に駆け抜けるクウガ。 反撃をせねば、と反射的に腰に手を伸ばしてすぐ、既にデルタフォンが手元にないことに気付いたデルタには、もう反撃の手段は残されていなかった。 「――うおりゃあああああぁぁぁぁぁ!!!」 飛び上がったクウガはそのまま、滾る正義を乗せて右足を伸ばす。 マイティキックの名を持つその必殺の一撃は、まるで吸い込まれるようにデルタの胸へと着弾し、その身体を大きく吹き飛ばした。 「ぐあぁ!」 その身からデルタの鎧を消失させ、地を転がるローズ。 変身が解除されたというのにオルフェノクの姿のまま現れた目の前の敵にクウガは困惑に目を見開く。 だが、当のローズ本人はそれがさも当然とでも言う様に堂々と立ちあがっていた。 王に認められ真にオルフェノクとして覚醒したものは、今まで捨てきれなかった人間としての姿を捨て去る。 その素晴らしき恩恵は大ショッカーの首輪によって齎された、人としての姿を強いる制限にも打ち勝ち、村上にとっての所謂通常の姿をオルフェノクのものとしたのであった。 いつまでも変わらぬ自身の灰の肌を見て高揚した感情を抱いたローズは、そのままデルタギアをデイパックに収め新たなドライバーを腰に迎え入れる。 見覚えのあるそのベルトにクウガが警戒を深める一方で、ローズは手に取った端末にシークエンス起動の為のコードを打ち込んだ。 ――5・5・5・ENTER ――STANDING BY 軽快な待機音声が周囲に鳴り響く中、ローズはファイズフォンをベルトに装填する。 それによって赤いフォトンブラッドがその身を包み、彼の身体は黒と銀の鎧に赤いラインを走らせたライダーズギアの一種、ファイズのものへとその姿を変えていた。 再び纏った鎧を馴染ませるように手もみした後、ファイズは腕に取り付けられたアタッチメントから黒と赤のメモリーを抜き出しベルトのものと入れ替える。 ――COMPLETE 電子音声と共に、ファイズの身体が光り輝き変化する。 一方で、敵が何をしようとしているか理解したその瞬間に、クウガは自身のベルトへとその手を伸ばしていた。 「超変身――!」 ――START UP アマダムがクウガの意思に応えその身に紫の鎧を纏わせるのとほぼ同時、アクセルフォームへの変身を完了したファイズもまた、能力による超加速を開始する。 瞬間クウガの身に襲い掛かるのは、おおよそ常人の1000倍と言われるスピードで行動することが可能になったファイズの息もつかせぬ連撃だった。 タイタンフォームに変じ機動力の衰えたクウガにとって、黒と赤、残像でしか捉えられないファイズの軌跡を相手にしては、まともな防御もままならない。 ――TIME OUT 僅か10秒のタイムリミットが終わりを告げファイズの身が通常のそれへと戻るその瞬間、クウガは遂に膝を折った。 防御力の優れるタイタンフォームと言えど、一方的に嬲られるだけのその10秒間は、最早永遠にも近い苦痛を齎したのである。 連戦に次ぐ連戦による疲労とダメージが限界を迎え、その身を不完全を表す白へと変え地に横たわったクウガを鼻で笑いつつ、ファイズはその目の端に未だナイトと交戦するオーガの姿を映した。 王たる彼がオーガの鎧を纏ってもなお倒せぬだけの実力を持つほどあのナイトが強いのかと一瞬戦慄するが、されど数秒見ていただけでそれが勘違いなのだと気付く。 というのもオーガと戦うナイトは幾度となくその膝を折り、その構えすらも覚束ないほどに既に満身創痍だったからだ。 つまりはただただひたすらに彼がタフなだけだと断じて、その根性を断ち切るためファイズはオーガの援護をしようとその歩をゆっくりと進めていった。 「――小野寺ユウスケ!無事か!?」 ファイズが自分たちへの興味を失い立ち去っていくのを受けて、フィリップはグローイングフォームとなり倒れ伏すクウガへと駆け寄った。 苦痛と共に呻き荒く呼吸するその姿はあまりに痛ましかったが、その変身を解かないのは恐らくまだ戦う意思は持っているということなのだろう。 その覚悟は見ていて辛いものがあったが、同時に変身を解いて楽になってくれと言えるだけの力を持たない自分の無力が、それ以上に苦しかった。 ともかく自分に出来る事だけはしてやろうと、肩を貸しクウガを立ち上がらせたフィリップは、彼を治療するためにGトレーラーへその足を向けた。 「ありがとう……えっと、君は……?」 「僕はフィリップ。君のことは門矢士と海東大樹から聞いて知っている。五代雄介とは違う、もう一人のクウガだと」 「えっ、五代さん……?」 士や海東はともかく、五代の名を知っているという事実にクウガは些か前のめりに問いを投げようとするが、彼の口が再び開かれるより早く、突如目の前に現れた男の声が、二人の会話を遮っていた。 「お前が、もう一人のクウガか」 二人の行先を塞ぐように立った男に、見覚えはない。 もう一人の、という口調からして彼も五代を知るものなのだろうと察することは出来るが、彼の自分を見る目は、一条は勿論このフィリップという少年のものとも何処か違う気がした。 「相川始、今は彼の治療が先だ。そこをどいてくれ」 「一つ聞かせろ、お前は何のために戦っている」 「相川始!」 フィリップの非難を込めた声を無視して、始と呼ばれた青年は自分に誤魔化しの許されない鋭い瞳を向ける。 投げられた問いの唐突さに面食らったのも勿論だが、それ以上にフィリップの怒声を受けても一切揺らがないところを見ると、理由は分からないながらも彼は自分の答えを聞かない限り動かないつもりでいることは明快だった。 何のために戦うのか。何度も問われ、そして自問自答したその問いの答えをしかし、既に揺らがぬものとして自分が持っていることを、クウガは理解していた。 「俺は……決めたんだ。皆の笑顔を守る為に戦うって。もう……一人しかいない、戦士クウガ……いや、仮面ライダークウガとして」 「……そうか」 五代の遺志さえ継いで戦う。かつて一条にも誓ったその言葉を再び確かめるように口にすれば、それを聞いた始は思案に沈むような顔をしたまま道を譲るようにその身を翻す。 訝しむように彼を見つつ、されど今はそれ以上にやるべきことがあると先を急ぐフィリップに引っ張られながら、クウガは不思議な気持ちで始の背中を見つめていた。 (皆の笑顔を守る……か) 一方で、ただ一人その場に残された始は、もう一人のクウガ――小野寺ユウスケに述べられた、彼が戦う理由を反芻するように繰り返し考えていた。 笑顔を守る。まるで抽象的で、それでいて夢見心地で要領を得ず笑ってしまうような絵空事。 だがそれを言うクウガの声音は、決して付け焼刃のそれではなく、そして同時にどこまでも真剣なものだった。 きっと、自分が今しがた抱いたような批判や嘲笑など、幾らでも受けてきたに違いない。 だがそれでも、彼はその夢を一心に信じ続け戦い続けてきたのだろう。 クウガとして、いや或いはただ一人の人間小野寺ユウスケとして、それが自分の叶えるべき夢だと、胸を張って言い続けてきたに違いない。 (きっとお前もそうだったんだろうな。五代雄介……) 次いで思いを馳せたのは、無表情のそれしか知らぬクウガ、五代雄介のこと。 金居の持つ何らかのアイテムや力によって操られた為に、ただの傀儡として戦いに明け暮れ、そして死んでいった一人の青年。 自分にとっては無表情で不気味だという印象しか残っていない彼もまたクウガだというのなら、きっともう一人のクウガたる小野寺ユウスケと同じように、誰かの笑顔を守ろうと戦っていたのかもしれない。 世界が滅ぶという大ショッカーの脅迫と、それに伴うただ一つ勝ち残った世界だけが得られる安寧の甘い蜜。 それらに踊らされ、そして同時避けられない状況だったとはいえ、一人の仮面ライダーをただの強大な力として利用し死に追いやってしまった事実に、始は今更ながら苦虫を噛むような心地を覚えた。 後悔ではない、考え足らずの苦悩でもない。だが仮面ライダーとその敵という形で彼の力を確かめられなかったことは、今なお始の心に杭のように突き刺さっていた。 (だが俺に、何をしてやれる。所詮俺は死神だ。世界を守るため、仮面ライダーと並び戦うなど、俺には……) 緑の血に濡れた己の手を仰ぎ見て、始は何ともしがたい不快感にその拳を握る。 自身の中に流れる血は、温かい人間の赤ではない。 人を襲いその力を示そうとしか思わない化け物のそれだ。 こんな自分が仮面ライダーたちのように誰かをまともに守れるなどと、やはり幻想ではないのか。 誰も答えられないその疑問と苛立ちに、始が再び陥りそうになった、しかしその時。 虚空から自身の足元に向けて、何か固い金属が投げつけられた音を耳にした。 「……これは」 危険はないらしいことを把握し、足元に転がる銀色のそれを拾い上げる。 彼が目を見開いたのは、ZECTの文字が中心に刻まれたその銀色のベルトが彼にとっても見覚えのあるものだったからだ。 ――『これは、木場さんの形見なんだ』 以前ジョーカーの男――左翔太郎が自身に対しデイパックの中身を説明する中で現れた一つのベルト。 自身が殺した木場勇治という男が持っていたというそのベルトを、無念の感情と共にその下手人たる自分に故意なく見せたあの時の光景。 その抱くべきでない居心地の悪さ故、妙に記憶にこびりついたその瞬間が、今何故かフラッシュバックしてしまっていた。 「まさか……」 妙な直感と共にふと目を配らせれば、視線の先に茶と緑の二色を持つバッタ型ガジェットが、自身の答えを待つようにこちらを見つめていた。 始は知らないが彼の名はホッパーゼクター、近くに自身の資格者たり得る存在がいることを察知し、間宮麗奈のデイパックから抜け出して始の元へ来たのである。 彼が始を自身に相応しいと感じたのは彼のジレンマに苦悩する性格故か、それとも彼の命を救った葦原涼がもう一基のホッパーゼクターに選ばれた存在であったためか、或いは――。 そのどれであるかは不明であるものの、とにかく確かなことは、始がホッパーゼクターに見初められたという、その事実が存在することだった。 「戦えというのか、お前の力で……」 ゼクターの意図を察した始は、再び自身の手に握られたベルトを見る。 これを使えば、また自分は戦えるだろう……恐らくはそう、仮面ライダーとして。 果たしてこのベルトを自分が使っていいものだろうか、思案した彼の耳に、遠くから一人の男が痛みに苦悶する声が届く。 振り返れば、そこにはオーガとファイズに良いように甚振られるナイトの姿があった。 持ち前のタフさすらもう限界に近いらしく、既にその身体は今にも倒れそうなほど傷だらけだ。 同時、その光景を前に思わず自身の手に力が籠るのを実感して、始は自身の感情に驚愕した。 そして気付く。自分は許せないのだ、善良なはずの誰かが悪に蹂躙されるその光景に、義憤とでも言うべき感情を抱いているのだと。 何故だとか、いつからだとか、そんな理屈の一切を無視するほどどうしようもなく、そんな不条理を黙ってみていられない自分がいることを、始は自覚していた。 キュイン、と先ほどよりずっと自身に近寄ったゼクターが、催促するように鳴く。 自分は既に準備が出来ている、お前はどうだ。 そんな声すら聞こえてきそうなゼクターの姿と、またその身から大きく火花を散らし地を転がるナイトの声を耳に、始は全ての躊躇いをかなぐり捨てるように勢いよく立ち上がった。 その腰にバックルを装着し、跳び上がったホッパーゼクターをその右手に受け止める。 これから先は、言い訳など通用しないただの自己満足だ。 自分が気に食わないというだけの理由で合理にかけ離れた選択をし、好んで自分の世界の勝利を遠ざける行いをする。 だがそれでいい。もしこうして戦えるのが今だけなのだとしても、それでも始はこの場に来て初めて、心から胸を張って戦える気がした。 「変身」 小さく呟き、右手に握ったホッパーゼクターをバックルへ装着する。 それによって発動する変身機能は、彼の身体を変えていく。 自身の信じる正義を為すための鎧、その力を彼に齎すために。 ――CHANGE PUNCH HOPPER 電子音と共に灰色に輝く双眸。 仮面ライダーパンチホッパーへと変身を完了した始は、その背中に風を感じた。 まるでその誕生を祝福するような追い風に自然と駆け出す足を乗せて、彼は悪へ向け一直線に走り出す。 ――『世界を救うために……行けよ、人類の味方……仮面ライダー』 どこからか聞こえた気がしたそんな声は、すぐに風に呑まれて消えた。 145:異形の花々(1) 投下順 145 異形の花々(3) 時系列順 城戸真司 三原修二 アークオルフェノク 間宮麗奈 乃木怜治(角なし) リュウタロス 小野寺ユウスケ 村上峡児 相川始 フィリップ
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異形の花々(1) 「ジェアア!」 威勢のいい掛け声と共に、カッシスの腕から生える鋭利な刃が弧を描いてアークへ迫る。 瞬間莫大な量の火花と共にあたりに響いたのは、両者の腕と腕が接触したことによる爆発音にも似た衝撃だ。 自身の研ぎ澄まされた刃がアークの皮膚に文字通り歯が立たないことにはもう驚く様子もなく、カッシスはその腕越しに物言わぬ敵対者を睨みつける。 だがそれも、そう長くは続かない。 両者の均衡を保つように二人の丁度真ん中で停滞していた互いの腕が、グググと音を立てカッシスに向けて傾きはじめる。 屈辱と驚愕に顔を顰めるカッシスに対し、対峙するアークの瞳は自身の優位に喜ぶこともなくただ無感情に光を照り返していた。 やがて、押し切られ自身の刃に身を切り裂かれる屈辱を抱いたカッシスの顔面に、強かなアークの拳が飛ぶ。 残る片腕で防御することも叶わず吹き飛び、緑の血を吐いて思い切り地面を転がるが、しかしその瞳からは未だ戦いに対する余裕は消えてはいなかった。 都合数度目にもなる攻防が、相手の実力をより正確に推し量れるだけの情報をカッシスに与えていたのである。 (パワーとスタミナは奴の方がやはり少しばかり上か。だが戦術の妙と速さに関しては比べるまでもない) 口中に塗れた血を無理矢理飲み込み、敵が一部自分より優れていることを認めながらも、カッシスはやはり大局的な自身の優位を信じて疑わない。 笑みを零しその腕を刃から人型の五本指へと変形させた彼は、その両手に闇を集わせる。 無論アークへと暗黒掌波動を放つためだが、それより早くアークの掌から青い光弾が飛んでいた。 見た目にはさほどの迫力を感じえないそれではあるものの、アークの桁外れの実力からすればその余波だけで仮面ライダーを変身解除に追い込むだけの威力を持つ。 直撃を受ければ今のカッシスと言えど大ダメージは免れないが、彼もただそれを享受するだけの愚か者ではない。 暗黒掌波動の準備を行っていない左腕を盾状のものへと変化し、攻撃を真正面から防ぎきっていた。 光弾が続くこと二発三発。まるで目の前で花火が上がっているような爆発音に苛まされながらも、カッシスは反撃の準備を完了する。 瞬間、今までただ凌ぐだけの盾に過ぎなかった左腕を剣へと変化させ光弾を両断したカッシスは、そのまま右腕に集わせた闇をアークへ向け一気に放った。 唸る闇の奔流が灰色の巨躯を黒に覆い尽くし、勝利を確信したカッシスの笑い声が響き渡る。 だがそれを一瞬で打ち砕いたのは、光輝く触手を無数に伸ばし闇の中からその姿を現したアークの神々しいまでの存在感であった。 触手を含めおおよそ2m強はあろうかという体躯のアークを見上げ思わず呆気にとられたカッシスのもとに、再び光弾の雨が降り注ぐ。 しまったとばかりに両手を盾に変化させ直撃は防ぐも、周囲への爆撃は凌ぎきれない。 インパクトと共に隆起する地面と舞い上がる砂ぼこりに巻き込まれて、カッシスはその場から身動きを封じられてしまう。 ダメージ自体は大きくないものの、クロックアップをしても逃げ切れる可能性の薄い弾幕の中で、さてどうしたものかとカッシスが逡巡した、その瞬間だった。 「うおりゃあああああああ!!!」 雄叫びと共に、見覚えのある青い双角の戦士が勢いよく飛び出してくる。 忌むべきマスクドライダーシステムの一種、ガタック。戦いの神との異名を持つそれの参戦を、しかしカッシスは冷ややかな瞳で見やる。 乃木にとっては生身でも御しうるだけの取るに足らない実力しか持たない存在だ、大きな期待が出来ようはずもない。 だがアークへ向け一直線に駆け抜けるガタックには、そんな失望など関係ない。 両肩に備え付けられた双剣を無数の触手へとそれを同時に投げつけ、アークに僅かばかりダメージを与えた。 恐らくガタックからすればそれ以上アークの攻撃が激化すれば仲間に被害が向かいかねないという危惧から来る妨害行為に過ぎなかったのだろうが、アークは自身に触れた新たな外敵へと意識を向ける。 それはほんの一瞬、しかもガタックがアークの放った光弾に蹂躙され吹き飛び、切り裂かれた触手が回復するまでの僅かな時間だけだったが、それでもその一瞬でカッシスには十分だった。 自身に向けた攻撃が止んだその一瞬で、カッシスは既に自分だけの高速移動空間へと退避する。 クロックアップを発動し体制を立て直しながら、勿論この絶好の機会を防御だけに使い切る愚を犯しはしない。 その両手を剣へと変化、そのまま飛び道具としてライダースラッシュを連続で発動し、アークを支える触手を完膚なきまでに両断する。 出来れば最後はそのまま暗黒掌波動で勝負を決めたいところであったが、時間切れだ。 通常の時間軸へと強制的に弾かれる感覚を味わいながら、カッシスは目の前でバランスを崩し崩落する灰色の巨躯を嘲笑と共に眺める。 残念ながらどこまでも感情が存在しないアークは自身の優位を崩されてなお何も言わず立ち尽くしており張り合いがなかったが、まぁそれも仕方あるまい。 楽しむには楽しめたのだし、そろそろ自分の実力も分かってきたところだからこの遊びも終わりにするかと再びカッシスが歩き出そうとしたその瞬間だった。 意識の外、まるで期待していなかった方角から、吹きすさぶ疾風と燃え盛る烈火が押し寄せてきたのは。 ◆ 「じゃあお前は今俺に憑いてるから辛うじて生きてる……ってことか?」 一人野原に立ち、どこへともなく声を発する一人の青年、三原修二。 傍から見れば明らかに異常な彼の振る舞いに、応える存在は周囲に誰もいない。 しかし彼は決してただの狂人ではない。何故ならその声に呼応するもう一つの声は、確かに彼の中に存在しているのだから。 『まぁ、そんな感じ』 自身の中に響いた声が、しかし明らかに今の事態を把握できていない声音をしていることに気付いて、修二は深く溜息を吐いた。 この声の主は、リュウタロスという怪人だ。修二と長い時間を共に過ごした、異形ではあるが心優しい少年である。 そんな彼が何故修二の中にいるのかと問われれば、それは彼の生来の性質によるものであった。 リュウタロスに曰く、先の乃木による攻撃によって致命傷を受けた彼は、このままでは実体を保っていられなくなると判断し憑依体へと変化。 以前同じように消滅の危機に瀕したキンタロスが、良太郎に憑いたことで絶体絶命の危機を回避したという経験を思い出し、そのまま身近な生身の人間である修二に憑依したとのことであった。 当然修二は身体の支配を奪われることを嫌がり彼を追い出そうとしたのだが、それはまずいと一足早く身体の主導権のみ彼に明け渡したリュウタロスの機転によって間一髪消滅を免れ、こうして説明の時間を得たのである。 『ねー修二―、僕の事情はもう分かったでしょ?早くあっち行って戦おうよー。修二は身体貸してくれるだけでいいから!』 「お前そんな簡単に言うなよ。身体を貸すとかなんか怖いし、それに――」 言葉に詰まった修二は、そのまま激しくぶつかり合う四人の戦士へと視線を移す。 乃木というワームに、自分たちを呆気なく下したオルフェノク、そしてそれらと戦う赤と青の仮面ライダー。 怪人らは勿論のことながらそれに一歩も引くことなく戦い続けている仮面ライダー達の威圧も、修二にとっては初めて目にするような凄まじいものだ。 果たして自分がリュウタロスに身体を任せて戦いに行ったとして、碌な戦果を挙げられるものだろうか。 或いは中途半端な味方がいたところで、逆に足手纏いとして迷惑になってしまうだけではないのか。 『ちょっと修二!聞こえてるんだけど?中途半端ってどういうこと!』 「ちょ、悪かったよリュウタ!だからちょっとやめてくれって!」 自身の身体の中で喚き暴れるリュウタロス。 理屈は分からないながらも実際に叩かれたような錯覚を覚えた修二はその場で一人身を捩り抗議するが、周囲に誰もいない状況でのそれは非常に奇妙な様子であった。 ともかく、自身の中の葛藤がノータイムでリュウタロスへと伝わってしまう状況に些かの疲労感を覚え始めた修二は瞬間、戦場から少し離れた場所に倒れる一つの影を見つけた。 「え、あれって――」 思考がきちんと纏まる前に、修二は思い切りその影に向け勢いよく駆け出す。 俯せに倒れ呻き続ける二角の青い戦士の下へすぐさま追い付いた彼は、脇目も降らずその身体を抱き起こしていた。 「小野寺さん!大丈夫ですか、小野寺さん!」 「え、その声……三原、さん?」 果たしてそこに倒れていたのは、先ほど麗奈を助けると戦場へ向かっていたはずの小野寺ユウスケ――彼が変身したガタックの、見るも無残な満身創痍の姿であった。 美しい青の鎧に走る裂傷はこの短い時間で彼が受けた戦いのダメージを端的に表し、仮面から漏れる荒い息遣いは激しい消耗を如実に示している。 誰が見ても戦慄を禁じ得ないようなその惨状に息を呑んだ修二の一方で、ガタックは修二の肩に手を回し、何とかといった様子ながらその足を真っ直ぐ地に突き立てていた。 「……行かなきゃ」 ぜぇぜぇと息を吐きながら、彼はそれでもその足を戦場へと向け一歩また一歩と進めていく。 明らかに戦える状況ではないその幽鬼のような足取りを見て、思わず修二は彼の肩を引き留めていた。 「待って小野寺さん!そんな傷じゃ――」 「このくらい、何てことないさ。もっとキツイ時も……たくさんあったし」 「――なんで」 まるでこのダメージさえ日常の一部であるかのように、ガタックは儚げな笑みを浮かべる。 その笑い声があまりに優しくて、彼の身に刻まれた傷との剥離に修二は言葉を詰まらせる。 “何故その傷で動けるのか”ではなく、“何故その傷で動こうとするのか”、そんな思いが込められた修二の困惑に対し、彼はただゆっくりと振り返った。 「もし自分がやれることをやらなくて誰かが傷ついたら、きっと俺は後悔する。それが嫌だから、俺は戦うんだ」 先ほどまでの諦観を含んだような儚い声とは違う、はっきりした口調。 それで以て述べられた、彼なりの戦いにかける思いを耳にして、修二は息を呑む。 自分が傷ついたりするのが楽しいわけではなく、それよりも嫌なことがあってそれを避けたいから、戦うというのか。 戦いたいがために戦うのだとばかり認識していた仮面ライダーの異なる一面を前に、修二は自分の中にある価値観が変化しつつあるのを感じていた。 「ぐあぁ!」 ふと、遥か彼方戦闘を繰り広げる龍騎とナイトが、苦痛に歪んだ声を上げた。 目を見やれば、二人の戦士がそれぞれ強敵たる怪人たちの猛攻を前に地に転がっており、まさしく絶体絶命と言って過言ではない状況であった。 「……行かなくちゃ」 ガタックが、小さく呟く。 これ以上話している時間はないとばかりにその両手に得物を構えた彼は、修二に背を向けて走り出す。 先ほどまでの満身創痍ぶりはどこへやら、堂々とした様子で戦場へ駆け抜けていくガタックの背中を見やりながら、修二はその拳を握りしめていた。 『修二!僕らも行くよ!』 瞬間、脳内にリュウタロスの声が響く。 それに伴う様にランスバックルを取り出し構えながら、修二は先ほどのガタックの言葉を思い出していた。 もし自分にやれることをやらなくて誰かが傷ついたら。 浅倉を前に戦ったとき確かに自分の思考に存在していたもので、今だってガタックが一人戦いに向かおうとしているのをじっと見ていられないという思いはある。 もしも……もしもこんなちっぽけな感情が自分には敵わないと思っていた仮面ライダー達が持つ普遍的なものなのだとしたら。 もしも未来の自分がデルタとして戦うのに得た感情なのだとしたら。 自分と未来の自分の間の壁は、案外小さなものなのかもしれないと、修二は思った。 「あぁ、行こう。リュウタ」 それに今は、自分の中に心強い仲間だっていてくれる。 まだ自分には仮面ライダーとして戦う為の心構えは、少ししか分かっていないけれど。 それでもそんな自分の心の弱さを彼が補ってくれるなら、自分は戦える。 ワイルドのカードを挿入したランスバックルが、彼の腰に巻き付いていく。 再び瞳を紫に染めたR修二がそれを開き発生したオリハルコンエレメントへ飛び込めば、そこにいたのは名の通り槍を持つ一人の戦士であった。 戦える心を持たない修二と、戦える身体を失ったリュウタロス、二人の声が重なり生まれた一人の仮面ライダーが、今確かな戦意を持って戦場へ向けその双眸を輝かせていた。 ◆ 「だあッ!」 ナイトサバイブの振るう剣が、アークオルフェノクの二の腕に受け止められる。 まるでダメージに繋がった様子のない目の前の巨躯に思わず戦慄を覚えた彼の顔に目掛け、アークの裏拳が飛ぶ。 すんでのところでバイザーを盾のように用いてダメージを軽減するも、しかしそれで衝撃を殺し切ることは出来ず、ナイトの身体は易々と吹き飛ばされてしまう。 無様に地を転がった彼が起き上がりその瞳に映したのは、同じように片膝をつき肩を上下させた龍騎の姿であった。 思いがけない背中合わせの状況に、互いの視線の先にはどちらもかつてないほどの強敵。 思わず脳裏に絶体絶命の言葉が浮かぶような絶望的な状況を前に、しかし運命は彼らをまだ見捨てることはしなかった。 ――MIGHTY ――RIDER KICK 絶望立ち込める戦場の中へ、二つの異なる電子音声が鳴り響く。 何事か、状況を把握するため振り返ろうとしたカッシスとアークへと、怒声と共に放たれた鋭い一撃がそれぞれ突き刺さった。 「グォ……!」 呻きよろめいた両者の前に降り立つのは、それぞれ緑と青を朝日に照り返す戦士の姿。 小野寺ユウスケの変じるガタックと三原修二が持っているはずのランス、勇ましい両雄が立ち並ぶ姿だった。 「麗奈、大丈夫!?」 何故逃がしたはずの修二がここに、という困惑を声に出すより早く、龍騎のもとへ駆け寄るランス。 だがその声は修二のものに非ず、されど彼女にとっては聞き覚えのある、少年のような高い声だった。 「その声、リュウタロス……?お前、生きていたのか」 「えへへー、イェイ!」 何故三原修二もここにいるのかだとか、何故憑依しているのかだとか、そんな疑問を吐く気すら失せるほど無邪気な彼のVサインを見て、龍騎は脱力したようにかぶりを振った。 どちらにせよ今はそんな些末な事象を問いただしている状態ではない。 不意の必殺技によって敵の体制を崩せこそしたが、結局のところあの強敵たちにおいてはそれすらもさほどのダメージに伝わったとは考え難い。 そんな麗奈の危惧を証明するように、4人の戦士の前でアークとカッシスがゆっくりと立ち上がる。 警戒の色を深める彼らに対し、あろうことかカッシスは高く笑い声を響かせた。 「ククク、全く面白いねライダー諸君。幾ら数を束ねて向かおうと、君たちは所詮強者たる俺の餌に過ぎないのだよ」 瞬間、気合と共にカッシスが力を籠めると、先ほどランスに突かれた箇所に留まっていたエネルギーが彼のレイピア状に変形した右腕へと集っていく。 何事か、驚きに身を硬直させた仲間たちの中で、一人敵の手の内を把握する龍騎は素早く手札を切っていた。 ――GUARD VENT 響く電子音声に呼び起こされドラグランザーがその巨体で以て4人を覆い庇うのと、カッシスがその腕を振るうのはほぼ同時だった。 放たれた禍々しい衝撃を、全て龍騎の従者たるドラグランザーが受け止める。 瞬間、最上級のミラーモンスターの献身あってなお殺し切れなかった一撃の凄まじい余波が彼らを蹂躙する。 訪れた数舜の沈黙の中、ドラグランザー越しに宿敵を睨みつける龍騎とカッシス。 互いが互いを逃れられぬ障害と捉えている今、最早それ以上の言葉は不要だった。 「――ハァッ!」 暴風が止まると同時、龍騎は従者の背から敵へ向け飛び出す。 ドラグセイバーツバイとなったバイザーを勢いよく振り下ろせば、その一撃は軽々しくカッシスのレイピアに受け止められていた。 「乃木、怜治ィィィィィ!!!」 「来い、間宮麗奈ァァァァァ!!!」 怒号と共に互いの名を叫び剣を交わす両者の間に他者が入り込む余地はなし。 それを誰ともいわずに理解したナイトら三人の仮面ライダーたちは、残る一人の強敵へと新たに目を向けた。 「……」 向けられた敵意に気付いたか、灰色の巨躯はゆっくりと三者へとその身体を向き直す。 無言であるはずなのにこれ以上ないほどの威圧感を誇るアークを前にして、彼らは誰も愚鈍であるなどと誤った認識を抱くことはない。 その動きの緩慢さが反射神経の不足からではなく余裕から来るものだと正しく理解して、目の前の強敵へ再び彼らは息を呑んだ。 ◆ 一台のトレーラーが、朝日を背に道路に停車する。 傷つき疲弊した三人の男を乗せた鉄の箱が、まさしく東西を隔てる橋へと間もなくその四脚を及ばせようという距離において止まったのは他でもない。 これから及ばんとしたその橋の上において、何らかの集団が恐らくは戦いを繰り広げているものと推察できたからだ。 「何か見えるかい、村上峡児」 一応エンジンを止めることなく運転手席においていつでも発進できるように準備を整えたフィリップが、助手席でカイザポインタへ目を通す村上へと声をかける。 すぐさま加勢してもいいのにわざわざこうして視察を行う理由は、一つに戦況の正確な把握のためだ。 誰が敵で、誰が味方なのか、そうした理解が曖昧なままで戦況をかき乱しても、却って仲間の気苦労を増やすだけ。 それに時間こそ経ったとはいえあのダグバと戦った疲労もいまだ完治とは言い難く、下手に手を出せばこちらがやられてしまう可能性も高かった。 かといって敵が誰であれフィリップに彼らを見殺しにする選択肢はないのだが、直接自分たちが戦いに赴くべきかトレーラーを用いた怪我人らの救助役に徹するべきかという身の振り方を判断するのは、決して悪手ではないと思えた。 「……まさか」 「どうした村上峡児?何があったんだ」 されど、その判断を委ねた当の本人は、ポインタを目から離し僅かに放心したように目を伏せた。 常に冷静沈着を絵に描いたような村上の珍しい動揺にフィリップは些か違和感を抱いたが、しかしこちらの懸念に気付いたか村上はいつもの表情を取り戻して向き直る。 「……いいえ、何でもありません。それよりも、あちらにいるのは貴方に聞いた左翔太郎さんの特徴によく合致すると思うのですが、確認いただいても?」 「な、翔太郎が!?本当か――――ッ!?」 思いがけぬ名前に平静を取り乱し、村上の手からカイザポインタを半ば奪い取るように受け取ろうとしたフィリップは、不意に腹部に強い衝撃を感じた。 仲間との、しかも狭い運転席の中でのやり取り故どうしても生じた隙が生みだしたその衝撃の正体が、他ならぬ村上が放った握りこぶしだったのだと気付くのと同時、フィリップは腹部に走る痛みによって強制的にその意識を刈り取られていた。 「……ふん」 力なく自身に傾れかかったフィリップを退けながら、村上はネクタイを締めなおしGトレーラーの助手席を後にする。 先ほどカイザポインターを通し見たあのオルフェノクは、恐らく単に同種というだけではないという確かな存在感を村上に訴えかけていた。 本能からか直感からか、“彼”が今までの自分が探し求めていたオルフェノクの繁栄に不可欠な我らが王なのだと、村上は半ば確信していた。 なれば、それまで築いていたコミュニティを裏切り王に尽くす選択肢を取ることは、村上にとって全く難しい選択ではない。 これまでにないほどの清々しい心地を抱いて、村上は戦地へと歩んでいく。 仮初の仲間と共に、最後に一滴残った彼自身の人間性をも置き去りにしながら。 ◆ 「ハァァ!」 ダークバイザーツバイが、空を切りアークへと迫る。 幾度となく受け止められたそれがまたも何の効果も見せぬままその灰の肉に飲み込まれるも、その一瞬がナイトへの反撃に繋がる前にガタックとランスの一撃が飛ぶ。 ナイトのそれと同様にどちらの攻撃も意味を持たずに火花だけをその場に残すが、しかしそれで攻撃を諦めるわけではない。 少なからずアークがその状況を疎ましく思い振り払おうとする勢いに任せて後退した彼らは、アークが続けざま光弾を放とうとするその瞬間に勝利の隙を感じていた。 「小野寺!今だ!」 「クロックアップ!」 ――CLOCK UP ナイトの合図に伴って、ガタックは自身の腰のクロックアップスイッチを強く叩きつける。 一人だけ高速の瞬間に飛び込んだ彼は、アークが自身に対する対抗策を講じるより早く、彼の懐に駆け寄りその両の手に携えた得物を重ね合わせていた。 「ライダーカッティング!」 ――RIDER CUTTING 凄まじいタキオンの収束と共に、彼の持つガタックダブルカリバーが電子音声を放つ。 ダブルカリバーの間に生まれたエネルギーの奔流は、僅かな猶予さえ与えずアークの身体へと到達する。 一般の怪人であれば文字通り一刀両断に伏すことが出来るだけのそれは、しかし王たる彼の身体を前には些か役者不足だったが、それでも必殺の一撃には違いなくアークの動きを阻害する役割は十分に果たせていた。 ――CLOCK OVER 高速空間を自分から終了させ、通常の時間軸へと帰還したガタックは、そのまま死力を尽くしてダブルカリバーを頭上へと掲げる。 それに伴いガタックの頭上を超えて持ち上げられたアークが、拘束を脱する為その力を行使するより早く、彼らの次なる手札は既に切られていた。 ――MIGHTY 「やあああぁぁぁぁ!!!」 幼い声の気合と共に、緑の軌跡が宙へ舞いあがる。 ランスが構えたインパクトスタップの一槍は、無防備に構えたアークの胸元へ直撃し衝撃と共に大きくその身体を吹き飛ばした。 ――FINAL VENT そして勿論、この一世一代のチャンスをここで逃すはずもなく、ナイトが切り札を切ったことを示す電子音があたりへ響いた。 怒涛の連撃が効いたか、些か動きの鈍ったアークへとダークレイダーが放つ拘束弾が到達する。 それによって一切の抵抗を不能にされた王へ向け、一直線に突き抜けるは二輪駆動へと変形を果たした従者に跨るナイトの姿だ。 瞬間、その背に纏うマントが靡いたかと思えば一瞬のうちにそれは彼の全身を包み込み、まさしく疾風の名に恥じぬ勢いで以て加速を開始する。 無論ナイトの視界も閉ざされるが、それを意に介す必要もなくこの一撃で勝負は決まるだろう。 ――ナイトの必殺技が直撃するその寸前、唐突にその場に生じた青い光弾が彼らの想定を全て覆すまでは、それは誰の目にも明らかな事象のはずだった。 「ぐああっ!?」 苦痛の悲鳴と共に、爆風によって持ち上げられた身体を地に打ち付ける三人の仮面ライダー達。 一発逆転を賭けた会心の戦略は無に帰し、ナイトのファイナルベントも消滅した為に二度同じ手を打つことは出来ない。 敗北の絶望が再び大きく目前に迫ってきたのを感じながらも、それでも諦める事はせず戦況の把握のため立ち上がった彼らが見たのは、あろうことかこちらに向けその手を翳す生身の人間であった。 彼は誰なのか、何故彼がアークではなく自分たちを攻撃したのか、そして何故生身のままこれほどの攻撃を行うことが出来るのか。 一切の理解が追い付かず困惑した彼らを置いて、突如現れたスーツの男はそのまま無防備にアークへとその足を進めていく。 「おいアンタ、何やって……」 素性の怪しい相手でも構わず呼び止めようとするナイトの声を無視して、男――村上はアークの前に迷いなく辿り着く。 彼はそれから立ち尽くすアークを恍惚の表情で数瞬見上げた後、忠誠を誓う様にその片膝をついた。 「あぁ、我らが王よ――会いたかったぞ。オルフェノクに永遠を齎し滅びから救うというその力、今この私に見せてみろ――!」 跪き見上げるだけの立場のはずながらも興奮と畏敬の入り混じった複雑な感情を吐き出す村上。 その口調は些か高圧的なものであったが、しかし王はそれを意に介する様子もなく、その巨大な掌で村上の頭を鷲掴みにした。 「ガアアァァァ!」 アークの掌から何らかのエネルギーが生じると同時、村上は悲痛な絶叫を上げる。 傍から見れば拷問のようにしか思えないそれを前にナイト達は立ち上がろうとするが、しかし身体は動かず。 どうしようもなく見届ける他なくなった彼らを前にして、いつしか迸るような強い光は村上の身体からも放たれ始めていた。 「おぉ……そうか。これが……これがオルフェノクの……ハハハ、ハハハハハハハ!!!」 昂る感情と共に叫んだ村上から発せられる光が一層の輝きを見せ、それを最後に収束していく。 瞬間、強い光に眩んだ瞳をゆっくりと開いたライダー達がその双眸に映したものは――まさしく人としての姿を捨て、完全なるオルフェノクへと覚醒したローズオルフェノクの姿だった。 「素晴らしい……いい気分だ。これで私は、本当に人間を捨て去ることが出来た」 恍惚とした口調で、されどどこか感情を欠いたように呟くローズ。 先ほどまでの興奮ぶりからすれば不気味そのものであるそれを前に戦慄を感じている暇は、しかし仮面ライダーには残されていなかった。 「ハァッ!」 思い出したかのようにこちらへと意識を向けたローズがその手を翳し、青い光弾を発射する。 先ほどは生身であったためか、或いは覚醒の余韻か。どちらにせよ先の一撃を大きく上回る威力を伴って爆発したそれは、呆気なく三人を蹂躙し大きく吹き飛ばす。 その強大な威力を前に強化形態であるナイトはともかく、ランス、ガタックの鎧は限界を迎えてその変身機能を解除され変身者の生身を晒してしまう。 目の前に広がる有り余る戦果によって、新たな自分への一層の満足を抱いたローズは、ふと足元に転がる見覚えのあるベルトを目に留める。 「む、これは……」 それは、自社の所有物であり王を守る三本のベルト、その最後の一本たるデルタギアに相違ない。 どうやら今の攻撃で誰かしらのデイパックから漏れ出たらしい。 吹き飛ばしたうちの誰かが持っていたのだろうかとどうでもいい思考を重ねつつ、ともかく手に入ったのであれば僥倖とローズはそれを自身のデイパックに収めた。 これで、三本。王を守るために存在しながら心無い者によって数多の同族を葬ってきた力が、ようやく全て我が手中に揃った。 まさしく今王が眼前に立つこの光景と相まって、最強の忠臣たる自分の手にベルトが揃ったのは半ば必然であるかのようにすら、彼には思えた。 「……待てよ」 僅かながらダメージの残る王を連れどこかへ逃げるべきか、そんな思考を繰り広げていたローズの背に向けて、荒い息の男の声が届いた。 ゆっくりと振り返り見れば、そこにあったのはあの志村純一も纏っていた、青い蝙蝠を模した騎士の如きライダーの姿だった。 鎧のところどころに罅が入り、鎧の下の本人も恐らくは満身創痍なのだろう立ち姿勢には失笑を禁じ得なかったが、とはいえ捨て置くのは些か不安が残る。 「村上峡児ィ!」 なんにせよ自分が相手をすればすぐに済むか、とナイトへ向け歩を進めようとしたローズの元へ、降り注ぐ怒号が一つ。 声の主は確認するまでもない。先ほどまで自分が共に行動していたフィリップがもう目覚めたのである。 出来れば誰かしらの人質を取り首輪の解除を成し遂げさせようと命を取っていなかったのが裏目に出たか、と自身の甘さを呪いながら、ローズはゆっくりと振り返った。 視線の先にはフィリップの他にあの相川始も立ち並んでいるのが見える。 これでナイトを加えて計三人。自分ひとりで相手どっても難しい相手ではないだろうが、些か骨が折れるのは事実か。 どうしたものかと思案して、すぐにローズはより効果的かつ素晴らしい戦略を描き出していた。 「王よ、これを。このベルトは、貴方にこそ相応しい」 今一度跪き、自身のデイパックより一本の黒と金のベルトを仰々しく王へと献上する。 帝王のベルトとも称されるその鎧は自身にもよく馴染むが、それが真に相応しいのはまこと王である彼に違いないという思いが、迷わずそれを彼の手から手放させていた。 同時、一方のアークもまた既にその使い方を知っているかのようにベルトを自身の腰へと迎え入れ、その手で以てデバイスへと正規のコードを打ち込んだ。 ――0・0・0・ENTER ――STANDING BY 「ヘン、シン」 ――COMPLETE 黄金のフォトンブラッドが、アークの巨躯を包み込む。 それに伴い生成された漆黒の鎧が彼の身体をより重厚にし、輝く赤の瞳が鋭く標的を射貫く。 仮面ライダーオーガ。帝王のベルトと呼ばれる鎧をオルフェノクの王が纏ったそれは、まさしく考え得る限りの最強のオルフェノクの姿であった。 「……」 他者とは比べものにならない威圧を誇るオーガが、ナイトに向けその足を進めていく。 その堂々たる雄姿を見やりながら、ローズも先ほど拾ったばかりのベルトをその腰へ巻き付ける。 そのまま滑らかな手つきで自身の耳元に専用デバイスを持ち上げて、彼はコードの代わりとなる自身の肉声をデバイスへと入力した。 「変身」 ――STANDING BY 冷たく呟いた声がデルタギアへと承認され、変身シークエンスが開始される。 彼が手に持ったデルタフォンをデルタムーバーと呼ばれる受け皿へ収めると、次の瞬間には彼の身体は白いフォトンブラッドに満たされていた。 ――COMPLETE 仮面ライダーデルタへ変身したローズは、その着心地を試すように手を揉みゆっくりとGトレーラーへと歩き出す。 その足取りに一切の迷いは存在しない。 ただ自身の前に立ちはだかる障害を退ける為のみの、かつて命を救われた相手すら一切の感情の揺らぎなく消し去るための、冷たい足取りだった。 「……来るぞ、準備はいいか」 一方で、躊躇なく向かい来るデルタの姿を視認した相川始は、フィリップへ向け最後の確認を取る。 突然叩き起こされ村上が裏切ったと言われたときは碌に会話をする暇もなかったが、いざという時に仲間への情やらが残っていて判断が鈍られても困る。 以前渡にも行ったそれではあるが、こうした確認を行っておくのは連携の上でも決して無駄ではないと、そう考えたのである。 「……あぁ」 問いに対する答えは、渡のそれとは違い迷いのない即答ではない。 だがその躊躇の瞬間から感じられるかつての仲間への躊躇さえも、仮面ライダーをよく知った今の時分にとっては、然程苛立たしいものではなく。 自分が求めていた答えの面倒さに我ながら呆れつつ、始は気持ちを切り替えるようにその手にラルクバックルを構えていた。 「変身」 ――OPEN UP ――TURN UP オリハルコンエレメントを潜りラルクへと変身した始の横で、同じくフィリップもギャレンへと変身する。 橘から受け継いだその鎧を纏うことに些かの抵抗は残るのかもしれないが、ともかく切り替えてもらわねば勝利の糸も掴めない強敵が相手であることは、この時点ではっきりしていることだった。 刹那、覚悟を決めたように正面を向いたギャレンがホルダーから銃を取り出すのと同時、ラルクもまた自身の得物たるボウガンから光の矢を放っていた。 144:フォルテ♪覚醒せよ、その魂 投下順 145 異形の花々(2) 時系列順 140 夢に踊れ(後編) 城戸真司 三原修二 アークオルフェノク 間宮麗奈 乃木怜治(角なし) リュウタロス 小野寺ユウスケ 142 心の中の薔薇 村上峡児 相川始 フィリップ
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【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 1 / 2 次へ 【動作の解説】 こちらは竜・竜型怪獣・恐竜AAのうち、攻撃以外の動作をしているAAを収録しています。 【このページのタグ一覧】 ゴジラ ドラゴン ワイバーン 怪獣 恐竜 竜 【外部サイト】 竜AAが活躍する作品→竜の井戸(AA戦記) 【キャラ別分類表】 三頭身モナー体型モナー体型/裸体 モナー体型/着衣 ギコ体型ギコ体型/裸体 ギコ体型/着衣 モナギコ小型モナギコ小型/裸体 モナギコ小型/着衣 ドクオ体型 八頭身八頭身男性体型八頭身男性/裸体 八頭身男性/着衣 八頭身女性体型八頭身女性/裸体 八頭身女性/着衣 八頭身小型八頭身小型/裸体 八頭身小型/着衣 特殊体型AA 拡大AA拡大AA/裸体 拡大AA/着衣 関連便利AA 攻撃系AAは【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣2へ 【収録AA】 三頭身 モナー体型 モナー体型/裸体 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 モナー体型/着衣 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 上へ ギコ体型 ギコ体型/裸体 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 [SPLIT]< ̄\ ∩∧∧ ___  ̄\\ ノ('(,,゚Д゚) /(;;\\_ // (´( 'i つ / _二__● \\____ ̄メ、,__,..(__,/  ̄\∨∨∨ \ ~(_/ ヽ、.,__ノ ___ ,\∧∧ \__ ___ ̄ __/\_二二) \ \ \ \_ / /(> \_ ヾ (___(> ))))[SPLIT] ギコ体型/着衣 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 上へ モナギコ小型 モナギコ小型/裸体 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 モナギコ小型/着衣 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 上へ ドクオ体型 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 上へ 八頭身 八頭身男性体型 八頭身男性/裸体 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 八頭身男性/着衣 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 上へ 八頭身女性体型 八頭身女性/裸体 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 八頭身女性/着衣 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 上へ 八頭身小型 八頭身小型/裸体 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 八頭身小型/着衣 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 現在収集中 上へ 特殊体型AA 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 [SPLIT]【レクス】 ___ γ´o ,,,,,,,,) < ゙''''''') < つ;; ;; つ ノ (∠、-‐(_ノ"ヽ_)[SPLIT]【シラネーヨ】 ∧ ∧ ┌───────────── ( ´ー`) < シラネーヨ \ └───/|──────── \.\______// \ / ∪∪ ̄∪∪[SPLIT] ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | シラネノオロチダーヨ | \_ __ ___ ___ __ __/ ∨ ∨∨ ∨ ∨∨ ∨ ∧ ∧ (´ー`) ∧ ∧ ∧ ∧ ( ´ー`) (´ー` ) ∧ ∧. | | ∧ ∧ ∧ ∧ ( ´ー`) | | (´ー` ) ∧ ∧ ( ´ー`) \ | | / (´ー` ) \ ___\.\∨/./ ____ / \__ ̄  ̄.__/ ./ |l| ヽ | .|__.∧l∧__| .| . | (´ー`) | ¨¨ ¨¨[SPLIT] 、 、 `゙㏍,,._ ノヒ Zf `・ wj z,,,,‐´ Z /!\尨 「ヵ ` ゝ_ ナ ⌒W`ッ r"-, ゝ__,勹 <_ノ[SPLIT]【ゴスラ】 ∧<・∀・ > ニャーヽ(三 )/ (三 ) ( ) ( )ヽ 丿 wヽ__w___二二ノ[SPLIT] ノ ノ( / \ (. 《OvO》 《 ▼ 》 《 ⌒ 》 《 ⌒ 》 《 ⌒ 》 《 @ノヽ@ ハハ,, 'д')[SPLIT] 上へ 拡大AA 拡大AA/裸体 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 [SPLIT] 、 ,.ヽ l ヽ、 / l l ゝ-─┴- 、! レ '´/ \`ヽ { ー─‐ } fl ヽ ノ ' l ` ー - ─ 7´ / l 丶 }、 _ -─ 、 ノ l ` 、 ′\ , ´ `ヽ, - '´ / \ ` ー ´ , ` ノ `ヽ、 { / ` ‐ 、_ | , ヽ / / / ` 7 / ァ‐个┐ f'´ {_, イ / 〈_,ノ j ノ  ̄ `¨ ´[SPLIT] / ̄ ̄`ヽ_____ / .;;;. 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V /´V^マ / 〉 \_ヽi.\ ト、 レ' ルfソ 、 ∧ V l .ト ) / / \ \i\jハ , Vレ从kn、 \、/ .∧ ) / ,厂 / / \ \ い\ ,/ \ト、ソリム _)ゞ/ /´/∠、 / / __,ソ⌒ヽ{`Y( `((ソVハb, 〔 `V / ./ /\ \ / / ´ ̄`て,ゝ、\.ヾ\ ,ィ' `ゞ、`トミliシ/ \ \ム,/  ̄/ / (⌒ヽ、\ \ ,ハ! ソレli!i「\/ \ノ' ∧/ / \ \λ`,ムソ ,ィ , 》V \ `ーぐ℡∧' 厶、 / /⌒ }ノ}/ノ|\,/ムィ7 ムん、,、,ンスムⅣ }ー┴‐-く /レ⌒`ソンィ从ソィレイソ'// ′,∠くゞ(_,ィ´ '⌒γ⌒` ル' / ,o ,スィ'マァz_,∠Zムム≧ 、くγ⌒ソ リ / ,o8゚ ,∠フマァ幺〔 ヽ 丶 ヽ ̄`ス、 ,ィ l ,ィiィレ^ルトヘvクゝメノノメムシ'⌒`くVへ,/⌒`_ゝ/イ ` ,ャZ,wソ'',ィ'⌒ソVヘ爻〈 / ,\/И ,ヘ ゞ伐廴,ィ `''''''"´,イ ´ソ 」ゝレレレィ / /\レヘ i ソリ赱′ ∠ノ ,トvゝ>忝式ムレレヘ,、,'\、Vべ亥《 , ゚ ムハノ.レヘ/ ,派《、レヘ ((Y介⌒` ,為込、 ((/レヘム/^ .レツヘ!`.. レい))ヘ 〉 . . ..(ソiィ⌒ヾ) 。 '^ ∠レ))ヘK^`.. ... ... .. .. . れレィヘ . . .. .'. ′ ゚ __∠,ィ=く; . V} . . . . . . . . .レへ))ゞ . . . ゚ ∠仁_レミゞ⌒)ゝ、 レ' . .. .. . . . . . レ((りム、 .. . ^ }ミ} ((⌒リ . . . . . 〉マ`く厶、 .. _;ィュ、 _r;、.. レ′ ` . . ( ィベEレミ>;、 ^ 。 ^ . . ソ ム!个く^ヾ) 。 _ィュ. . .、_,ノ/`iヲ ′ ^ 。  ̄ ′ ゚ ^ 。 ゚ [SPLIT] __________________________ /}__ /} `ヽ____________________ `ヽ/ `ヽ/ { _,....-‐ " ´ . . } } ヽ _,....-‐ "´ . / l . / / _]>-──-ヘ}\ ) _,....-‐ " ´ / / . / / _]/ .. へヘ ヘV} / _,....-‐ "´ / / . / / _}/ .. r ヘИ 〈_,.....-‐ "´ / / . / / _}, ' __ノ { 〈〉 И \ / / . / / _}/ \ \_ { \ . / / . / / _}/ . . \ l 、 \ \ . . / / . / / _}/ . / ̄\ l 、 \ \ / / . / / _}/ . / \ l 、 〉 \ / / . 〈 〈 _}/ .. ;' \ >- ´ \ / { . \ \ _}/ . { \_ノ \. ./ \ . \ \ ]/ ∧ \/ \ . \}\)\)\}>´ 〈_∧ ` '' ─‐ - _ ヽ . \ ̄ ̄ 〈_∧∧ >、 } . ヽ .. . 〈_∧_} / \ ; . } .. ` . . 〈_∧/ / } ;' . | . ... . / . . .. / / ノ . 人 . .. / .. . } / } / . . . ´ . . .. { .. . / / _ノ ,' ........ . . . . { .. . < / \ .. . . ; \ .. \ \__ { .. . /`'' ──── ''´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ .. \__  ̄`ヽ `ヽ | .. . / \  ̄`ヽ `ヽヽ } } | . { ヽ _ } } } ノr‐、ノ . . . ヽ (r‐、ノr‐、ノ、ノ {/. ヽ . . . ...\ _______ {/ {/{/ \ ` ...,,.._____ >- ` <{ \ ∠_ ◯ \ \ _三フ } \ . . ....... <_ _入l入l入lノ ` .._ _>-  ̄УKl l }  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄[SPLIT] 拡大AA/着衣 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 [SPLIT] ...,.,;; ' ' ,... ; ; ; ' ....... . . ... . ' .;; ;';. ゙''"" ´ ,ィ`゙"´ ´""''''"""´ | ... . . . . . . ; ; ' ;' ;';' ;';';'; | . . . . . . __. r─--==-、 ,.;. ;'".; ;';;` . ,,.,__ // l\ヘ . | . . . . . 囗 ; 囗 ;';[];';l].|_ l´. . . .Н. ; ; ; ロ ト、; ' ''".. ;;; ; ;'´ ヽ /.-←マ (`.. ).___,.」二ニ-‐''⌒(ゝ .. . . . . ... . ; ; ' ' .;';';';';';' | _,.,._ ; . | ! ' ;'; .| | .'; ;' ; . | .L、 ; ;;' ''""' ゙ .,__,ノ ,/ .. . ;rテ ゞフ 亡ス⌒ヽ .. .. .... .. . . \.. . . . . . . .;.. ; ;.;'; ';'.;';';';'; |''"バ ..`; ; |-i〉;';゙; .|」 ;';'; ;' ; . |; ; . |' レv^vwっ. 丿ヽマ,_/ /У゙ ーァ┬ー''T" ̄ ̄丁` . .. . .. ; .. ;.' ; ;' ;' ;';' ';';' | ' . ` .、 ; . |Y ;'; ;' |;| ;' ,';' ; ; . .├─\''゙^゙>‐''゙ ̄ ̄ハ .r─r--、_ ` ̄`^^ヾ_;ノ \ゞイ(,,ィ´. ∠,,, ∟ -┴─≪{亞亞}ゞ゙゙゙ ̄ ̄ ̄_二ニニ= ; . .、 ; ; l」 ;';'; ;' | | ';';';';' ; . | . ;. '; .ト冂‐┐ .. / , ' ソ; ;..i . . ...`'ー-==., . \_;ノ `_ 广| . | ;> ... . . ;_;_ ;. ;. .;ゞ=‐ .''''"゙゙´ ̄..; ;'; ;';'.;';'; | ,' .. . .. .;'; トl ;';' ';;;,;,Ц.;IIIIILIIIIII|ni;;;;;;; lィ⌒i |_;; ;'__, ". ;';'; ;' _ヾ.. _._.; ;ゝv´ノ. ハ;;/. . . ./レ!-‐''"´.| . . . ;;;;; ;.. ; ; ;';';';';';'; | . ; . ─囗─l.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;H ;;;,;l┘ `~~"゙~´ ̄ ̄´ / ;//\ノ /. . . /l/ . ̄ ̄ ̄| /´. レ√\ ;r─┴-'ブ'⌒ヾ . . . . ;. .. . . ; . . . . . ;. . . ; . . . . ^ ((( 巛ν .>l. . .`⌒`ヽ、 `.テ. ' " . /. .; . .ヾ. ; /´ . ; .. . . ;. '. . . ;. . . . .. . ; . . . . . ^ . .... . /. .`'ー--‐ヘ、. \ . ┴----ベ ;;;;;;γ´ ̄`シ′. .; . . r-、. . '. . . . .; . . . . . . . . . . . . ..。. . .. .^ . // ∧」 . \. \ ; ^ ノ⌒ヾ. . . . . . . . . . ;. . ;__;; . . . . . ^ '⌒ レiラ ソ . \ \ /し'⌒´ . `Y⌒ ;ノ '. .; . . . . ;∠´... .. ̄\;,;,; ._; .......∠二ヽ.... ^ 。 ゚ ∠)二). `つゞ .γ´. ;_;_ ,.;_ _;_ .,; く_;ィ' ;' .;; ; ;/´. ; ..\ . 、 ... ニ .´ ̄`ヽ .. _ . . .. ...,....,ィ彡''て,_ _ _ ;ノ_;∠,;;;;. ; ; 、 ;゙ヾ´ ;人;_;[SPLIT] 上へ 関連便利AA 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 [SPLIT]==、,-、 、ヽ、 \ ,, '''\ _メ゙ヽ、\ ̄""" ̄--‐ 、 \ /ゝ、\=─‐\\‐ /─'''''ニ二\''' |レレゝゝ、\ ̄く く , ゙、/<三三二\ ̄\ゝゝゝゝゝゞ''ヽ、 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄< 〈__入 ゙、く彡三三三二ヽくゝ\メメメゝ、_ゝ、\ | さあ願いを言えくく ゙、 ゙、ミ三三二ニ─ゝゝゝゝゝ,,,,,,,、 '( ゙''ヽ、ヽ、 < どんな願いも一つだけくくくくくく彡‐ヽ ゙、ミ三三二ニ'''くくゝゝ_ゝゝ、\\_, 」ノ, | 叶えてやろう…く く く く く 彡゙、゙、三三二ニ‐くゝ、/ ,,,,,,,,メメゝヽ''''"ゝゞ丶、 \_____二─二二彡彡、゙、三三二==くメゝ/ ゙'ヽ、メゝゝゝゝゝゝゞ''ヽ-、,,,,,,_‐'''" ̄ \彡彡ミ、゙、三二=''"く メ/ \''-、メメゝゝゝ_ゝ 、 ,,、ヽヽ、 ,,,,- ゙彡//ヾ、三二= くゝ/ .... \ ∠レ-,-‐ニ二メヽ''ヽ ノ ゙ヽ、,,,-‐//_///,,、゙、三二= ゙、 ""''' ヽ>//レレヽ,,___ /-,,,,,,-‐'''"""/////,,ヽ ゙、三二─ ゙ヽ. //-ヘヘ,、 レレレレノ''" ,l|"////ノ,、\彡'''''‐-ニ,、 ,,,,,,,,// ゙ヽフ/|/| レ' /ゝ、/ヽ|ヽレ,,゙ヽ、゙''ヽ、,,,,,,_ヽ''ニ='',,-'"、─-,,,,,_  ̄"'ノ /メ / レ/,''"へへべ''─---- ̄-メヽ"ゝゞゝヽ、 >---''" /ヘヘ、|//ヘヘヘヘヘヘヘヘ,,-イ ̄ | ̄"'''-ニニニ二-''" /ヘヘ∧/./フヘヘヘヘヘヘヘ,/イ / / / ゙ノ\、\ /ゝゝ| / /メヘヘヘヘヘヘ/'" | / / / / \\ /ゝ /|‐/ /フヘへヘヘヘ/∧ /-'"-'''"__,,-''" / /、\ //|_| /./へへへヘヘ、// |/ \_,,,,-‐'" / ゙、.゙、'"/ヽ"/'"へへヘヘヘヘ// ノ \ ,,,,-‐'" ゙、゙、.ノ //へへヘヘヘヘ//ヽ ./ ゙、''"" ,,/、゙、/-"へへヘヘヘヘヘ// |‐" \_,,,,,,,,-‐'''" | |へへへへヘヘヘヘ//ヽ ノ ゙, | |[SPLIT] 上へ 【舞台】/創作/人外/異形/竜・竜型怪獣 1 / 2 次へ