約 198,345 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1683.html
原作では一言だけ登場した穂群原学園の生徒会副会長。 選択肢スレでは時々登場しています。 隣町での聖杯戦争 遠坂桜 黒桐幹也の結婚
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/209.html
野良ゆっくり害は徐々に徐々に広がっていった。 その街の野良ゆっくり発生も、原因については、他の所とそう変わりは無かった。 ゆっくりペットブームをあてこんで森から乱獲されたゆっくりたちが、一時飼いゆっく りとして暮らした後に、 「飽きた」 「うぜえ」 という無責任だがこの上もなく重大な理由で捨てられた。 飼いゆっくりを捨てた人間は、無責任ではあるがそれを深刻にはとらえていなかった。 ゆっくりに接してきた彼らは、ゆっくりがいかに脆弱かをよく知っており、野良になれば すぐさま死んでしまうであろうと考えた。 人語で命乞いをする一時はともに暮らしたゆっくりを殺すまではしたくない人間にとっ ては、 「こいつら、どうせすぐ死ぬだろう」 という観測は、とても魅力的であった。 しかし、人間とゆっくりが関係を持ってからこれもまた幾度となく起こった事柄である が、人間はゆっくりという生物としては脆弱極まり無い饅頭が、種としては意外にしぶと いことを後々になってから知ったのである。 野良ゆっくりが飼いゆっくりから転落したものの、それなりにゆっくり生きられるのは、 大概がその期間である。 次第に、人間たちが減るどころかどんどん増えていく野良ゆっくりに眉をひそめだす頃 には、まだ野良ゆたちはゆん生を謳歌している。 眉をひそめるものの、ほとんどの人間はゆっくりを殺すのを躊躇う。なにしろ人語で命 乞いをし、小さな子供がおかあさんをいじめないでと甲高い舌っ足らずの声で泣き喚き、 親ゆっくりは自分はどうなってもいいからと子供を庇う。 そんなものを見せられては、人間たちも殺すまではできずに追い払うに止まることが多 い。 その捨てゆっくりが野良化した初期の段階では、いわばほとんどのものがペットゆっく りになるための躾を施されており、人間に逆らってはいけないと叩き込まれている。その ため、基本的に人間に対しては下手に出る。 これが世代が変わってくると、中には親から受け継ぐ記憶などが薄れるものも出てくる。 そこで、一部のものは人間が自分たちを殺さないのを、自分たちを恐れているからだと解 釈することになる。 哀れに思って餌をやる人間なども同じことで、自分たちの御機嫌をとっているのだとい うことになる。 こういうものが増えてくると、そろそろ黄信号である。 第一世代の時には考えられなかったようなこと――人間を罵倒するものが現れる。 それにカッとして野良ゆっくりを叩き殺す人間も出てくる。 なにも殺すまではなかったかと、親の死骸にとりすがって泣く子ゆっくりを見て心を痛 める者もいたが、その一方で、 「やってみたらなんてこたない。ゴキブリ殺すのと同じだ」 と開眼してしまう者もおり、そうなるとそろそろ赤信号だ。 保健所には対野良ゆっくりチームという名の駆除部隊があったが、増えていく野良ゆっ くりを要請に応じて駆除しに行っていた。 以前、「ゆっくり駆除の日」を定め、ボランティアを募集したところ、ヒャッハーと叫 ぶごくごく少数の人間しか集まらなかった。 いよいよ野良ゆっくりの被害が大きくなってくるにつれ、舞い込む駆除要請も増えたが、 同時に増えたのが家やら庭やらゴミ捨て場を荒らしたゆっくりを殺したのだが、死体の処 分に困っている。どうしたらよいか。という問い合わせだ。 そこで今一度「ゆっくり駆除の日」を決め募集をかけると前回を遙かに上回る人数が集 まった。 「これで、保健所の職員だけでなく、人間全体を恐れるようになり、以前よりも被害は減 るだろう」 と保健所はその意義を強調した。 とある野良ゆっくりの群れ―― リーダーの賢明なるぱちゅりーのもと、その群れは人間を怒らせないようにしていた。 人間に向かってあまあまを要求する行為や人間の家に入る行為などは厳しく禁じられてい た。それをすれば、群れの一員とは見なさないという掟を作っていた。 だが、どうしても生きていくために譲れないところがあった。 ゴミ捨て場等でのゴミ漁りである。 しかし、どうせ捨てるものなのに人間たちはそれをやると怒って追い飛ばすのだ。なん でああも人間というのはゆっくりしていないのかと、蹴飛ばされて傷を作った食料調達部 隊のものたちをぺーろぺーろしながらゆっくりたちは話し合った。 だが、蹴飛ばされる程度で済んでいたその時期は幸せだったのだ。 そのうちに、容赦無く殺されるようになった。 ゴミ捨て場に、ゆっくりを捨てるためのゴミ箱が設置されたのがそれに拍車をかけてい た。 「むきゅぅ……」 リーダーぱちゅりーは、打つ手の無い悩みに苦しんでいた。 人間が本気で自分たちを殺しにかかったら対応すべき手段など無い。 そのことは痛いほどにわかっている。せいぜい彼らの視界に入らないようにすることだ が、やはり、どうしてもゴミ漁りをせねば群れが保てない。 「ゆん、まりさだぜ」 そんなある日、近くでやはり野良ゆっくりの群れのリーダーをしているまりさがやって きた。 いつも快活なまりさだが、それにしたってここ最近はあちらとてぱちゅりーたちと同じ 悩みを抱えているはずだ。 それでも、まりさは明るく笑ってゆっくりしていた。 ……正直、とびきり性格はよいが少々思慮に足りないまりさではあるが、それにしても その笑顔には屈託が無かった。無さ過ぎた。 「ぱちゅりー、まりさたちの群れは、森に帰ることにしたんだぜ!」 まりさは、言った。 「むきゅ!?」 代々餡子に受け継がれ、さらに語り継がれた森の記憶が蘇る。 街のようなゆっくりできない場所ではない、自分たちの親たちがゆっくりしあわせーに 暮らしていた場所。 辛いこともあったが、ゆっくり暮らしていたゆっくりたちを人間が捕獲し、躾と称して ゆっくりできないことを強要してペットにしたのだ。 そして、ペットとして最後まで面倒を見るならともかく、何匹ものゆっくりが捨てられ て野良と化した。 そして今、人間たちは野良ゆっくりを目の敵にして殺しにかかっている。 酷い、と思う。 しかし、その主張を通せる力など自分たちには無い。 森――。 そこへ帰る――。 その言葉は、なんともいえぬゆっくりとした魅力を持っていた。しかし、ぱちゅりーは それの困難さを思い、そのようなことに踏み切ることは考えもしなかった。 森は遠い。 正確な距離はもちろん知らぬが、人間でさえ歩いて行くのは時間がかかるので大きなす ぃーを使っているぐらいだ。ゆっくりのあんよでは一週間はかかるのではないか。 むろん、ぱちゅりーはそれらのことを念を押すようにまりさに確認したが、まりさはま りさなりに色々考えたらしく、それらの困難は承知の上だと言う。 「ぱちゅりーたちもあとから来ればいいんだぜ、むかえをよこすんだぜ」 まりさはそう言って去って行った。 やはり無謀だ、止めた方がよい。 その制止の声は、ぱちゅりーの中で消えた。 まりさは全て覚悟の上なのだし――それに、森に帰れるというのはとてつもない魅力を 持っていた。 まりさたちがそのための道を切り開いてくれるというのなら、止めることはない。と、 賢いゆえの狡猾さもぱちゅりーにはあった。 だが、まりさたちのためにも自分たちのためにも、その壮挙の成功を祈る気持ちは本物 であった。 「ゆひぃ……ゆひぃ……ゆひぃ……」 翌日、食料調達、要するにゴミ漁りに行ったまりさがボロボロになって帰ってきた。 帰ってきたのはまりさだけである。他にもれいむやらちぇんやら、全部で五匹いたはず なのだが。 姿の見えないものの家族がまりさにその安否を尋ねるが、ぱちゅりーには既にその末路 はわかっていた。 家族たちも、まりさが質問に答えずに泣き喚いているのを見て、ようやく認め難い事実 を認めるしかなかった。 落ち着いたまりさから話を聞くと、決死の覚悟でゴミ捨て場に赴いた食料調達部隊は、 目的地に辿り着けもせずに、朝の散歩中だった人間によってまりさ以外は殺されてしまっ た。 まりさは最初に蹴飛ばされたが、むしろそのことがまりさを救った。 強く蹴られたまりさはふっ飛んで繁みの中に突っ込んだ。 まりさを蹴った人間は、しまった、と呟いて繁みを見ていたが、すぐに、まあいいやと 言ってから、他のものへの攻撃を開始した。 繁みをかきわけてまりさを探すのを億劫がったのだろう。 「ゆひぃぃぃぃ、まりざだぢ、なにがわるいごとじた? ねえ、ばちゅりー! ねえ!」 「むきゅ……」 まりさは話している内に再び錯乱して、ぱちゅりーに八つ当たりをするように叫んだ。 まりさは、繁みの中で激痛に苛まれながら、仲間の断末魔の声を聞いていたが、人間の 声も聞いた。 「おれもこんなことしたくねえんだけどなあ……お前ら、ほっとくと増える一方だからな あ。優しくすると付け上がるし……」 本当に、鬱陶しそうな感じであった。ゆっくりを虐待すること自体を楽しんでいるので はないそのことが、単なる虐待趣味者よりも恐ろしかった。 やりたくないのに、なんでやるのか。 ほっとくと増えるから殺すのか。 優しくすると付け上がる? それだけのために? まりさはそういったことを全く無茶苦茶に思いつくままにぶちまけた。 「むきゅぅ……」 ぱちゅりーは、人間の中にもゆっくりに対して優しい者がいることを知っている。彼女 の夢は、いつか人間とゆっくりが愛し合い共存できるようになることだ。 もっとも、ここ最近、そんな夢はもはや夢として見ることすらできなくなっていたが。 人間たちは、野良ゆっくりとともに生きる気は無いようだ。 「森……」 呟いて、遠くを見た。 以前より、より一層、まりさたちの森への帰還が成功することを祈った。 「わ、わがらないよぉぉぉぉ!」 ちぇんが、転がり込むようにやってきた。 あの森へと向かったまりさの群れでリーダーの補佐をしていた幹部のちぇんだ。 状態は一目でわかるほど酷い。 二本の尻尾は、千切れて無くなっているし、顔の右半分が削れており、右目は見えない ようだ。 なんの打つ手も無い状況に、ぱちゅりーたちは日に日に、まりさからの森への迎えを待 ち望むようになっていた。 ぱちゅりーは、成功を祈りつつも、その可能性は低いと理解していたが、群れのものに 少しでも生きる気力を持たせるために、そのことは言わなかった。 そのため、少数のもの以外は、皆、今にも明日にも迎えが来ると信じて頑張っていたの だ。 だから、最初にちぇんを見た時は、希望に満ちた声が上がった。ちぇんを迎えだと思っ たのだ。 ちぇんがボロボロになっているのも、森からここへ来る途中に悪い人間にでも虐待され たのであろうと思った。 ぱちゅりーと、一部の群れの幹部ともいうべき賢いものたちは、ちぇんの言葉を聞かず とも、森への帰還が失敗したのであろうことを悟った。 まりさたちが出発してからの時間が短すぎるのだ。 いくらなんでも、この時間内に森との間を往復できるとは思えなかった。 果たして、ちぇんが泣きながら語ったのは、まりさの群れが森へ辿り着くどころかその 遙か以前に壊滅し、ちぇんだけが命からがら逃げ戻ってきたのだという事実であった。 希望が反転し、絶望にうちひしがれ、狂ったように泣き叫ぶ群れのものたちを痛ましげ に見やりながらも、ぱちゅりーはちぇんを促して詳しい話を聞いた。 最初の頃は、希望に満ちた森への帰還ということで、リーダーのまりさ以下、ゆっくり たちも意気軒昂であった。 人間に見つからぬよう早朝に出発した群れはぞろぞろと進んだ。 そこで出会ったのが、おそらく朝の散歩中の人間であった。 その人間にやられたのか――皆は思った。 しかし、そうではなかった。 その人間は、ゆっくりの大行列に驚いていたが、いったいどこへ何をしに行くのかと尋 ねて来た。 リーダーまりさが森へ帰る、人間さんたちが自分たちを無理矢理に街に連れてきたので あって、自分たちの生きるべきは森なのだから、とそのようなことを言った。 それを聞いて、ぱちゅりーが顔をこわばらせる、そのような人間批判と思われるような ことを言っては危険だと思ったからだ。 しかし、その人間は、それに怒らず、むしろ納得していたという。 「そうか……お前らの親とかを無理に連れてきて、飽きたと言って捨てたのはおれたち人 間だものな……」 そう言って、お前らが森に帰るのならば人間たちも喜ぶだろうと、言った。 その言葉に、ぱちゅりーは強く反応した。 まりさの群れが壊滅したのは、その日の夕方であった。 捕食種の襲撃を受けたのだ。 しかし、それはれみりゃが三匹程度であり、それが直接の原因ではない。 その襲撃によって大騒ぎになったのを人間が聞きつけたのだ。 すぐさま保健所に通報が行き、職員がやってきた。 捕食種は飛んで逃げたが、地べたに残されたゆっくりたちは駆除されてしまった。 ちぇんは、れみりゃに尻尾をくわえられて巣に持ち帰られそうになっていたが、尻尾が 千切れて落ちた。 保健所の職員がいる地上にまではれみりゃも追ってこなかった。 そして、すぐに物陰に隠れて職員からも逃げることに成功したのである。 「ゆぅぅぅぅ!」 「そ、そんなぁぁぁ!」 「おわりだよ……もりにかえれないなら、もうれいむたち……」 「みんな! みんなにんげんにころざれぢゃうんだぁぁぁ!」 「ゆぴゃあああああん、ゆっくちできにゃいよぉぉぉ!」 「ま、まりしゃたち、にゃんで、にゃんでゆっくちできにゃいにょぉぉぉ!」 泣き喚くゆっくりたち。 「むきゅぅ……むきゅぅ……むきゅきゅぅ」 ぱちゅりーは、呻いていた。 しかし、ただ単に絶望したからではない。 ちぇんから得た情報により、人間には野良ゆっくりが森へ帰ることを喜ぶ者がいるので はないか、と考えを巡らせていたのだ。 これは、賭けになる。 一歩間違えば群れは全滅だ。 しかし、もう、このままではどうせ近い内にそうなるのではないか。 食料の調達は全く上手く行っていない。 その辺に生えている不味い草で命を繋いでいるが、そのような食事でゆっくりできない からだろう、子供たちの成長が遅いし、中には非ゆっくり症の症状を見せている子もいる。 しかし、踏み切るにはあと一押しが必要であった。 そして、その一押しはすぐに来た。 付き合いのあった群れが、人間に滅ぼされたのだ。 日頃から付き合っているだけあって、その群れもぱちゅりーの群れと方針は同じであっ た。 できうる限り、人間とは関わらないようにするのだ。 それでも、その群れは群れの場所を襲撃されてやられてしまった。 食料を調達に出かけたものがやられたのではない。 ひっそり隠れて暮らしていたのに、あそこにゆっくりが住んでいるらしいということで 保健所職員がやってきて駆除してしまったのだ。 そのことは、曲りなりにも生きていられるのだからと踏ん切りをつけられなかったぱち ゅりーの背中を強く押した。 「むきゅ……みんな、このままだと近い内に人間さんに殺されるわ」 ぱちゅりーは皆を集めて言った。 「そ、そんなゆっぐりでぎないごといわないでえええええ!」 「そうだよ、ゆっぐりでぎないよ!」 「ゆぴゃあああああん!」 ゆっくりできない言葉に、もちろんみんな拒否反応を示したが、ぱちゅりーは構わずに このままではいつか自分たちのおうちも人間に見つかって全滅させられてしまうというこ とを言い続けた。 そして、群れのものが、このままではどうせ死んでしまう、という気持ちになったのを 見計らって、ぱちゅりーは言った。 「人間さんにお願いして、森に帰してもらいましょう」 人間たちが、ざわめいていた。 人通りの多い繁華街であった。 そこに三十匹はいるかという野良ゆっくりたちが現れて、大声で叫び始めたのだ。 「お願いします! ぱちゅりーたちを森に帰してください! お願いします!」 「ゆっくりおねがいします! ゆっくりおねがいします!」 「ゆっくちおねぎゃいちましゅぅぅぅぅ!」 異様な光景に足を止める人間がたくさんいた。 そして、すぐに駆除しようという感じではないのを見て取ってぱちゅりーは切々と訴え た。 自分たちの親は元々森でゆっくり暮らしていたのを無理矢理に連れてこられてペットに されて、そして捨てられた。 自分たちは好きで街で野良ゆっくりをやっているのではない。 知り合いのまりさの群れが自分たちのあんよで森に帰ろうとしたが、ちぇん一匹を残し て全滅してしまった。 森に帰りたいが、自分たちの力では不可能だ。 だから、もう人間さんにお願いするしかない。 そう言ったことを、涙ながらにぱちゅりーが訴え、群れのゆっくりたちが合間合間にお 願いします、おねぎゃいちましゅ、と声を上げる。 ぱちゅりーとしては、人間への非難がましいことを言うのはできれば避けたいところだ ったが、やはりそれを言って人間たちにも少しは自分たちにも非はあったと思わせなけれ ば、成功しないだろうと思った。 ちぇんから聞いた人間の話だけが一縷の望みだった。 一定の効果はあった。 人間たちはあれこれと話していたが、とにかくこういった訴えを集団でしてきたゆっく りは初めてなので、すぐに駆除してしまっていいものか迷っていた。 そして、午後には、テレビ局の取材班がやってきた。 ゆっくりというのは、テレビ局にとってはよいネタであった。そのゆっくりが妙なこと をしていると聞いてやってきたのだ。 このカメラを通して、大勢の人間に話を聞いてもらえると言われて、ぱちゅりーは熱弁 を振るった。 ぱちゅりーの話は、なかなかバランスが取れていた。 ペット目的の乱獲、そして無責任に捨てて野良化させたという話で人間に罪悪感を感じ させ、知り合いのまりさの群れが自力で森に帰ろうとしたが失敗したという話で何もはじ めから人間を頼っているのではないと思わせ、そしてひたすら自分たちは無力であるから とお願いすることで人間の感情をやわらげていた。 いいから駆除してしまえ、という声はほとんど無かった。 それよりも、人間にも非はあったのだから森に帰してやろう、という声が上がった。 保健所の職員――あの恐怖の対象でしかなかった人間――がやってきて、ぱちゅりーに 森へ帰してやることを決定したことを伝えた時、ぱちゅりーも他のゆっくりたちも大泣き してひたすら顔を地面に打ち付ける、ゆっくり式の土下座をして感謝した。 それを見ていた人間たちからは歓声と拍手が上がった。 ぱちゅりーは、思った。 夢は夢ではなかった。 ゆっくりと人間が愛し合い共存する理想の世界――その実現は決して夢ではないのだ。 すぐには無理だろうが、こんなにも、自分たちのために喜んでくれる人間たちがいるの だ。不可能ではない。 ぱちゅりーたちは、とある広場に集められた。森への移動の準備が終わるまでここで暮 らせと言われ、その間は生ゴミだが食料が提供された。 明日にも駆除で全滅か、という境遇からのこの待遇である。ゆっくりたちは大喜びで、 ぱちゅりーのことを褒め称えてゆっくりした。 そして、喜ばしいことは続いた。 他の野良ゆっくりがどんどん広場に連れてこられたのだ。 聞けば、他にも森に帰りたい野良ゆっくりがいれば名乗り出ろと言ったところ、最初は 恐る恐る少数のものが、やがて、どうやら本当に森に帰してくれるし、それまでは食べ物 までくれるらしいと知った野良ゆっくりたちが我も我もとやってきているのだという。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「いっしょにもりへかえろうね!」 「もりでゆっくりしようね!」 日に日に増える仲間たちに、広場はゆっくりした声で満ちぬ日は無い。 やがて、ぱちゅりーは、この森への帰還を人間に願ったいわば功労者ということで、後 からやってきたゆっくりたちからもリーダーと仰がれるようになった。 元々ぱちゅりーの群れだったものたちはそのことを喜んだ。 自分たちのリーダーが、こんなにも多くのゆっくりにリーダーと認められる偉いゆっく りだったのだということを誇っていた。 おそらく、生涯で最高のゆっくりを広場に集められた野良ゆっくりたちは感じていた。 誰もが、これから行く森でこそ最高のゆっくりが待っているのだと思っていたが――。 ――最初の、ぱちゅりーの三十匹程度の群れだけが森に帰れば、後の悲劇は起こらなか ったであろう。 しかし、既に人間たちの意図は、当初の哀れな街の野良ゆっくりを森に帰して上げよう という、ある意味では単純素朴な善意から変質を遂げていた。 今や、その目的は、鬱陶しい野良ゆっくりをできるだけ多く森に帰してしまおう、とい うことになっていた。 人間たちとて、自分たちに非があることは認め反省していた。だから、殺さずに森に帰 して上げるという解決方法は魅力的であった。 そのことでゆっくりたちも喜ぶのだから、よいではないか。 ――彼らが、本当の意味で反省するのはもっと後のことである。 そして、元々思い込みの激しいゆっくりである。 明日無き絶望の反動のせいもあったが、既にゆっくりの大半は森に帰れば全てが上手く 行く、森ではゆっくりできないことなどは無く際限なくゆっくりできると思い込んでいる ものが多かった。 森には森で辛いことはあるだろうが、みんなで頑張って生きて行こう、人間が駆除に本 腰を入れた街よりはマシなはず、といった考えを抱いていたのは、ぱちゅりーの群れのも の他、少数であった。 「ゆっゆっ、もりにいったら、あまあまをむーしゃむーしゃするんだぜ」 「あみゃあみゃ、たのちみだにぇ!」 そんな会話をしているものがたくさんいた。そのことをぱちゅりーが知っていれば、さ すがにリーダーとなるのは躊躇ったであろうが、ぱちゅりーの周りには元からの群れのも のがいて、その声は届いていなかった。 そしてある日、とうとう明日、森に帰ると告げられた。 その時に湧き上がったゆっくりの大歓声たるや凄まじいものであった。 近所の住民はそれに驚いたものの、その理由を知ると、まあ今日だけは騒音だとか言わ ないで許してやろうと苦笑した。 「なんて勝手な!」 青年が、いきり立っていた。 それに頷く何人もの人間たち。 「だから、街の人間は信用できねえって言うんだ!」 青年の怒りに満ちた声は続く。 「街の野良ゆっくりなんだから、あっちで始末つけりゃいいじゃないか、なんだってこっ ちに持ってくるんだ」 村の会館の一番広い部屋。 そこで座っている多くの人間たち。 青年はその中で一人立ち上がり、手を振り顔を振り、時に人々から少し離れて、その人 々と向かい合って座っている初老の男を指差して叫んでいた。 「村長、なんで承知したんだ。そんな話!」 「……森は、国のもんで、わしらのもんじゃない。わしが承知せんでも……強引にやられ たらどうしようもない」 「そりゃあそうだが、その森から一番近いとこに住んでるのはおれらじゃないか」 「おい、村長だって、おれたちが言ってるようなことは全て承知の上だろう」 青年の袖を、彼と同年代らしい別の青年が引いた。 それにより、青年は憤然と鼻を鳴らしたものの、腰を下ろした。 「ええっと……それで、その野良ゆっくりってのが、約五百匹か……」 その声に応じて、うんざりしたといった感じの呻きやため息が各所に上がる。 「話にならん。駆除じゃ」 最前列にいた老人が言った。 駆除、という言葉にざわめきが起こる。ここにいる人間たちがそれに対してある程度の 抵抗感を持っていることがわかる。 「おやじさん……」 村長が、遠慮がちに言った。 「先代とわしらが散々苦労して教え込んで協定を結んだ群れでも、群れの数は百匹前後と 取り決めておるんじゃぞ。そこへ街の野良ゆっくりが五百匹じゃと。話にならん」 老人は吐き捨てるように言った。それへ同調する声が上がる。 まったくもって話にならない、と皆が思っていた。 「……やっちゃいましょうよ。しょうがないわよ」 と、一人の中年女が言った。人のよさそうなおばさんなのだが、言うことには容赦が無 い。 「街の野良ゆっくりって、テレビで見たけど、人間のことをどれいとか、死ねとか、チン ピラみたいなタチの悪い連中なんでしょ」 彼女は、テレビで特集されていたそういった映像を見ていた。やや誇張されてはいたが、 決して嘘ばかりとは言えない。 「あんなのがそんなたくさん来たら、あの子たちが酷い目にあわされないか心配よ」 その言葉にもまた同調の声が上がった。 彼女は、村と協定を結んだ群れのゆっくりたちをことの他可愛がっていた。 あの子たち、という呼び方からも、そのことは察することができよう。 「そうだ。むしろあいつらのためにも、そんな連中はやっつけてやらないと」 青年が、再び立ち上がって言った。 「よし……」 村長は、人々の間の空気が一定の方向へ向かって流れるのを感じて頷いた。 「村長、つれてきたぞ」 そこへ、一匹のまりさを抱いた男がやってきた。 「おお、来たか」 「ゆん、まりさが来たんだぜ。ゆゆ? みんな集まってどうしたんだぜ?」 まりさは村長が呼んでいると言われてやってきたので、こんなに大勢が集まっていると は思っていなかったのだろう。 「うん、まりさ、実はな……」 と、村長は、街の方から野良ゆっくりが五百匹ばかり連れて来られることを告げた。 「ゆ!? ゆゆゆ? ごひゃく、ってどのぐらいなんだぜ? まりさたちはひゃくぐらい だけど……」 このまりさは、子供の頃から人間の教育を受けた群れの子ゆっくりの中でも特に優秀と 認められて長になった個体である。 協定にあるすっきり制限により、群れの数が百と定められているために、それを遵守す るために百までの数字を理解することが長の条件みたいなもので、そのためまりさは百ま でなら数えられる。 「五百というのは……百が五個あるということじゃ」 「ゆ!? まりさたちがあと五……ゆゆゆゆ!? だ、ダメなんだぜ! そんなのダメな んだぜ!」 まりさは、それを聞くと困惑して言った。 「そんなにたくさん来たら、ごはんがなくなっちゃうんだぜ! そんなにたくさん森さん はごはんをくれないんだぜ!」 「うむ、その通りだ」 「お前でもわかることをわからん奴らがおるんじゃよ。まったく……」 村長に被せるように言ったのは、先ほど真っ先に駆除を主張した老人だ。 「それで、その五百匹の連中じゃが、おそらくゲスじゃ」 「ゆっびいいいいい!」 まりさはゆわゆわと痙攣し出してしまった。そんな大量のゲスが来たらまりさたちの群 れはあっという間に蹂躙されてしまうに違いない。 「大丈夫じゃ、わしらがついとる!」 「そうよ、そんな街のチンピラゆっくりなんかに、あんたたちをやらせるもんですか」 「それについては、お前らにも協力してもらいたい」 「ゆっ! な、なんでもするんだぜ!」 何台ものトラックが停車する。 荷台にびっしりと積み込まれているのは今朝まであの広場にいた野良ゆっくりたちだ。 「ほい、ほい、ほい」 「ほい、ほい、ほい」 「ゆっくりおろしてね! つぎはれいむだよ!」 男が手渡しでゆっくりたちを地面に下ろす。 「ゆわああああああ、ここが、ここがもりなんだねえええええ!」 「むきゅ、そうよ、おとうさんやおかあさんの故郷よ」 「ゆわーい、ゆわーい」 「ゆゆぅ、にゃんだかくうきがおいちーよ!」 「ゆっくちできりゅよ!」 念願の森へとやってきて、街で薄汚れた野良ゆっくりたちは目を輝かせていた。 「ゆゆん、にんげんさんたち、ゆっくりありがとう!」 「ゆっくち!」 去っていくトラックを見送ったゆっくりたちは、まずはおうち探しに取り掛かった。 「ゆゆぅ! 段ボールさんがどこにもないよ……」 「なんでおうちがないのぉぉぉぉ!」 「ゆゆ、ここに穴があるよ、ここをおうちにすれば……」 「ゆん! それじゃそこはまりささまのおうちにするんだぜ!」 「ゆっ! そこはれいむが見つけたんだよ!」 「うるさいんだぜ! ここはまりささまのおうちなんだぜえ!」 とてもではないが、五百匹ものゆっくりがおうちにできるような穴や洞はすぐには見つ からない。 それならばとりあえず腹ごしらえを……と食べ物を探したところ、これもまた五百匹の 満足するような量はとれない。 「リーダー、どうしよう……」 「リーダー、なんとかしてね!」 「リーダー、ゆっくりできないよ!」 「むきゅぅ……」 この時になって、ようやくぱちゅりーはリーダーを引き受けたことを後悔していた。 とにかく、この数である。 ぱちゅりーだけで統率などとてもではないができない。 結局、街に住んでいた時の群れをそのままに、どこの群れにも属していなかったものを 適当に割り振り、各群れのリーダーの上にぱちゅりーが総リーダーとして立つことにした。 「ゆん、それじゃ狩りに行ってきてね」 「ゆっくりいってくるよ!」 「おとうしゃん、がんばっちぇぇぇ!」 「あみゃあみゃたべちゃいよ!」 元街の野良ゆっくりたちは、なんとか森で生きていこうとしていた。 そして、今日も番のれいむと子供たちに見送られて、一匹のまりさが狩りに出た。 「ゆん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 道々、何匹かのゆっくりと合流する。 「ゆん、ゆん、ゆゆっ!」 一匹のれいむがぴょんぴょんと跳ねてきた。まりさたちを見てひどく驚いている。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ……ゆっくりしていってね……」 「ゆぅ……れいむはどこのれいむ? 見たことないけど」 だが、なにしろ五百匹もいるのだ。街では全く接触が無かったものも多く、顔を知らな いものが同じ群れにいてもおかしいことではない。 「れ、れいむは、ずっとここに住んでるんだよ」 「ゆゆ、それじゃ、ずっともりに住んでるんだね」 「ゆぅ、それはすごいゆっくりしてるね」 まりさたちは、れいむが森の先住ゆっくりだと知って感心していたが、れいむは決して まりさたちと目を合わせずにぴょんと跳ねて背を向けた。 「それじゃ、れいむはいそぐからいくね。ぜったいついてこないでね! ぜったいだよ!」 「「「ゆゆぅ?」」」 過剰に念を押すれいむの言葉に不思議そうにするまりさたち。 「それじゃあね、ぜったいついてこないでね! ぜったいだよ! ぜったいだよ!」 最後までれいむはそう言いながら去っていった。 「ゆぅ……気になるよ」 「……ついていってみるんだぜ」 「ゆん、ついてくるなっていってたけど……ちょっとならいいよね」 好奇心を刺激されたまりさたちは、こーそこーそとれいむを尾行した。 「ゆん! ただいま!」 「ゆっくりおかえり!」 「れいむ、おかえり!」 れいむがやってきた場所を見て、まりさたちは思わず大声を上げそうになってそれを必 死に我慢した。 「ゆぅぅぅぅ……」 「す、すごい……あんなにおやさいが……」 「あ、あんなにあったら、みんなむーしゃむーしゃできるよね……」 小声でひーそひーそと話す。 そこは、畑であり、たくさんの野菜が生えていた。 大きな数が認識できないゆっくりではあるが、視覚的にそれが五百匹のゆっくりがむー しゃむーしゃしてもなお余る量であることはわかった。 さっきのれいむは、そのおやさいの海に向かっていき、それをまりさやらありすやらの 他のゆっくりが出迎えていた。 「ゆぅ……あのおやさい、あのれいむたちのなのかな」 「……にんげんさんはいないみたいだし、そうなんだよ、きっと」 「ゆゆゆゆ、きっとあれがでんせつのおやさいがはえてくるゆっくりぷれいすなんだよ」 なおもひそひそ話すまりさたちに、れいむたちの、ちと不自然なぐらいに大声の会話が 聞こえてきた。 「れいむ! どうだった!」 「ゆん! 例のよそものたちだね! すぐそこで会ったよ!」 「ゆぅ、そんな近くにまで来ているんだね!」 まりさたちは顔を見合わせる。れいむの言う「よそもの」というのが自分たちであるの は明らかだ。となると、あのれいむは自分たちを偵察にやってきていたのか。 「ここのことを知られないようにしないとね!」 「そうだよ、ここのおやさいはぜんぶれいむたちのものだからね!」 「まりさたちじゃとてもたべきれないけど、よそものにあげることはないよ!」 思わぬ事態に呆然としていたまりさたちだが、そんな声を聞いているうちに腹が立って きた。こんな素晴らしいゆっくりぷれいすを独り占めしているなんて! 「ゆっ!」 「ゆっくりまってね!」 跳ねて行こうとするれいむを、まりさが制した。許し難いことだが今はこちらの数が少 ない。 「リーダーに言ってみんなで来よう」 「ゆん、そうだね」 「それじゃ、ゆっくりしないで帰ろうね!」 まりさたちが跳ねて行った。 それを見て、畑にいたれいむたちは顔を見合わせて頷く。 「上手くいきそうだな、れいむ、よくやったぞ」 まりさたちの位置からは見えないところに伏せていた青年が姿を現した。その手にはビ デオカメラがあった。 「ゆゆゆゆ! おやさいの生えるゆっくりぷれいすを独り占めしてるなんて、そいつらは ゲスなのぜ! やっちまうのぜえ!」 まりさたちの報告を受けて、リーダーのまりさが叫んだ。 ゲスと言うが、はっきり言ってこのまりさ自身がかなりのゲス気質であった。 「みんなを集めるんだぜ! ゲスどもを攻めるんだぜ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ゆっへっへ、でんせつのおやさいが生えてくるゆっくりぷれいすがあるなんて、やっぱ りもりはすごいんだぜ」 このまりさ、ゲス気質による容赦の無さと身体能力の高さでリーダーを張っていたもの の、頭はあまりよろしくなかった。 そのため、森に来ればあまあま食べ放題なのぜ、などというアホな考えをしていたのだ が、幻想とは違う現実に戸惑っていた。 これはおかしい。 もりはゆっくりぷれいすのはず。 きっと、どこかにおいしいものがあるに違いない。 そう思い続けていたまりさにとっては、おやさいの生えるゆっくりぷれいすは、やっぱ りそういうゆっくりできるものがもりにはあったのか、といった感じであった。 「リーダー、みんな集まったよ!」 「ようし、やろーども、ゆっくりしないでなぐりこみなのぜえ!」 「おやさいをむーしゃむーしゃできるよ!」 「おちびちゃんにもむーしゃむーしゃさせられるね!」 「「「えいえい、ゆー!」」」 まりさに率いられた二十匹ほどの集団は、大急ぎで跳ね飛んで畑へとやってきた。 「ゆゆゆ?」 「な、なんなの、まりさたち!」 先ほどのれいむやまりさたちがそれを見て驚く。 「ゆっひゃあああああ、おやさいがたくさんなのぜえ!」 「す、すごいよぉぉぉぉ、たべきれないぐらいあるよぉぉぉぉ!」 「ゆっくりできるよ! ゆっくりぃぃぃぃ!」 リーダーまりさたちは一面のおやさいを見て興奮し、雪崩を打って向かってくる。 「待ってね! ゆっくり待ってね!」 その前に、れいむが立ちはだかった。 「ここは人間さんの畑だよ! このおやさいは人間さんのものだよ! れいむたちはお手 伝いをしておやさいを分けてもらってるんだよ!」 「はあああああああ? おやさいは勝手にはえてくるんだぜ、それをお前らが独り占めし てるんだぜ! 人間さんなんかどこにいるんだぜ!」 「今はいないけど、ここは人間さんの畑なんだよ!」 「ゆっぎいいいいい! うるさいんだぜ、ゆっくりしね!」 リーダーまりさの体当たりを貰ってれいむがふっ飛ぶ。 「ゆぎ……いだいぃぃぃぃぃぃ!」 「ゆへん、こんじょーなしなのぜ。おとなしくゆっくりぷれいすを渡すんだぜ」 リーダーまりさが言うと、痛がるれいむを見てすっかり恐れをなした畑のゆっくりたち は、このゆっくりぷれいすをまりさたちに明け渡し、自分たちは奴隷になることを誓った。 「ゆふん、そういうことならわるいようにはしないのぜ」 とりあえず、まりさたちは野菜をむーしゃむーしゃしてしあわせーの声を上げた。そし てこのゆっくりぷれいすに定住するために、留守番のゆっくりや子ゆっくり赤ゆっくりを 呼び寄せた。 勇猛果敢ではあるが、既述の通り、あんまし頭のよろしくないリーダーまりさであるか ら、それらの指示が「偉大なまりささまに逆らったことを後悔しているダメれいむ」に誘 導されたものであることなど当然気付かない。 「ゆわあああああああ!」 「しゅ、しゅごいよ! おやしゃいがあんにゃに!」 「むーちゃむーちゃできりゅよ!」 「おとうしゃんたち、しゅごーい!」 この素晴らしいゆっくりぷれいすにやってきた子供たちは一様に驚き喜び、リーダーま りさたちを讃えた。 それにいい気分になっていたまりさたちだったが、それへ冷水を浴びせるように、奴隷 になったはずのれいむたちが、野菜を食べようと畑に駆け寄る子ゆっくりたちの前に立ち はだかって叫んだ。 「「「ここは人間さんの畑だよ! おやさいは人間さんのものだよ!」」」 一瞬、リーダーまりさたちは呆然とした。それはさっきも聞いた。 「まだそんなこと言ってるのかぜ! おやさいは勝手にはえてくるんだぜ、人間さんなん かどこにいるんだぜ!」 「ここにいるぞ!」 「この野菜泥棒め!」 「やれっ!」 それまで伏せていた人間が立ち上がった。 「ゆっびゃああああああ、に、にんげんざんだああああああ!」 街の野良時代に散々な目にあっているので、人間に対する恐怖心は大きい。リーダーま りさたちは逃げようとしたが、いつのまにか後ろにも人間がいて、自分たちが完全に包囲 されていることを知った。 「ゆ゛っ……ゆぐ……ゆひぃぃぃぃ、だ、だずげでええええええ!」 リーダーまりさは真っ先におそろしーしーを漏らしたところへ鍬の一撃を受けて死んだ。 「ゆ゛わあああ、やめでえええええ!」 「やじゃよぉ、まりざ、じにだくないよぉぉぉ!」 「おきゃあしゃん、たじゅげぢぇぇぇ!」 「にゃ、にゃんで、にゃんで……」 「い、いじゃいぃぃぃぃぃ!」 「ゆるじでえ! ゆるじでえええええ!」 元街の野良ゆっくりたちは、久しぶりに本気で殺す気の人間の恐怖を味わいながら皆殺 しにされた。 「むきゅぅ……」 ぱちゅりーが唸っていた。 リーダーの一人であったまりさの群れが一匹もいなくなっていると聞いたためだ。 移動するにしても、そんなに遠くに行くとも思えないし、なんらかの理由で死んだのだ としてもこちらに助けを求める前に全滅するとは思えないし、なにより死体が無い。 「総りーだー! 総りーだー!」 「むきゅ、なにかしら」 「た、たいへんだよぉぉぉ! ありすのところも誰もいないよぉぉぉぉ!」 「むきゅっ!」 ありすの群れが住んでいたのは、まりさのところと隣接した所だ。あの辺りに何かある のだろうか。 「むきゅ……きっとあの辺りに、何か、恐ろしい動物でも住んでいるのね」 ぱちゅりーはそう推測して、そちらには近付かないように群れに通達を出すことにした。 まりさとありすの群れの消失は確かに気になる。しかし、目下の問題は食料であった。 さすがにこれだけの数のゆっくりが突如移住してきたために、森の恵みと言えどもおっ ついていないのが現状だ。 その観点から言うと、立入禁止の区域を作って狩りの範囲を狭めるのはよろしくないこ とであったが、なにしろ三十四十の群れが突然消えるという事態である。 「総りーだー! 総りーだー!」 「むきゅ……なにかしら……」 なにかまた悪い知らせではないかと思う癖がついてしまっているぱちゅりーは、駆け込 んできたちぇんに対して身構える。 「このもりにずっと住んでいるっていうれいむとまりさが来て、おやさいがはえてくるゆ っくりぷれいすがあるって言うんだよー」 「むきゅ! そ、そんなものが……」 「それでね、おやさいを分けてあげるからみんなで取りに来てって」 「むきゅぅぅぅぅ」 正直、ありがたい。 そのありがたさ、そしてなんと言っても、森にずっと住んでいたというゆっくりならば、 とてもゆっくりしているだろうから嘘などつくまいという思い。 それらが、ぱちゅりーの判断力を著しく鈍らせた。 「おちびちゃんたちも連れてきてって、あっちのおちびちゃんとともだちになってほしい んだねー、わかるよー」 「むきゅ! それじゃ、みんなで行きましょう。他の群れも呼びましょう」 総リーダーの招集によってみんな集まってきた。 おやさいがはえてくるゆっくりぷれいす、という言葉に引かれぬものはいない。 まりさとありすの群れがまるごといなくなっているが、その数はそれでも四百を少し超 えている。 それらが意気揚々と、森を進む。 やっぱり、もりは凄い。 おやさいがはえてくるという伝説のゆっくりぷれいすがあるなんて! もりに帰ってきてよかった。 本当によかった。 もりは、とってもゆっくりできるよ! ゆっくり~、ゆっくり~、おやさいでゆっくり~♪ いつしか、そこかしこからおうたの声が上がる。 とってもゆっくりした笑顔のゆっくりたちは、そうやってゆっくりぷれいすを目指し、 そしてゆっくりぷれいすに辿り着き、ゆっくりぷれいすだと思っていたそこで殺された。 「むきゅ! むきゅ! むきゅっ!」 ぱちゅりーは、もうなにがなにやら、わけがわからなかった。 おやさいがはえたゆっくりぷれいすにやってきたはずであった。 そこでは、森で暮らしてきたとてもゆっくりしているゆっくりたちが歓迎してくれて、 そして、人間にさらわれて街の野良ゆっくりとなっていた自分たちと森の先住ゆっくりた ちはこれから仲良く森で暮らしていくはずだったのだ。 四百以上の口からのゆっくりしていってね、の挨拶。 それへ返ってきたのは、突然現れた人間たちによる攻撃だった。 それは、駆除だった。 使っている道具こそ違うが、それは街で保健所の職員が行っていた駆除そのものであっ た。 馬鹿な。 ここは、街じゃない。 森だ。 なんで、なんで、なんで――。 なんで、ようやく帰ってきた、ゆっくりできるはずの森にも人間の駆除があるのだ。 やっぱり――。 やっぱり、人間は野良ゆっくりを駆除せずにはいられないのだ。 あの日、一緒に喜んで拍手までしてくれたアレは、一体なんだったのだ。 広場に住ませて森に行くまでに食べ物までくれたのは、一体――。 やっぱり、ゆっくりと人間が愛し合い共存する理想郷など、夢のまた夢、理想に過ぎな かったのか――。 きっと、森に住んでいたゆっくりたちと言うのも人間にいつ駆除されるかと怯えて暮ら し、おどされて自分たちを騙しておびき出す手伝いをさせられたに違いない。 無かった。 理想郷など、ここには無かった。 そして――他のどこにもあるとは思えなかった。 ぱちゅりーは、ゆっくりと人間との対立という構図しか意識になかった。当然といえば 当然である。 それゆえに、街の人間とこの森のそばの村の人間とで、考えなどに差があるという認識 がなかった。そして、それはゆっくりにとっても同様であった。 だが、ぱちゅりーは、次々に殺されていく仲間たちの連続する断末魔の中、それを聞い てしまった。見てしまった。 そんなものには気付かぬままに、さっさと殺されていればよかったのに。 「ゆん! 街のゲスゆっくりはゆっくりしね!」 森のゆっくりが、人間と一緒に「駆除」をしていた。 「ゆわあ!」 「危ない! まりさ、危ないから前に出るなと言っただろう」 「ゆゆぅ、おにいさん、ありがとうなんだぜ」 そして、反撃されそうなところを助けてゆっくりを気遣う人間、それにお礼を言うゆっ くり。 「でも、まりさもおてつだいしたいんだぜ!」 「気持ちは嬉しいが、無理はするなよ。お前らに何かあったら……」 そのまりさと、人間の青年は、お互いを思いやっているようであった。 見れば、そこかしこで似たような光景があった。 「む……きゅ……え゛っれえええええええええ!」 ぱちゅりーは、盛大に吐いた。 ここは、理想郷だったのではないか。いや、そうなのだ。 夢に見た光景がそこにあった。 ゆっくりと人間が愛し合い共存する理想郷。 あった。 理想郷は、ここにあった。 ただ、その理想郷は、ぱちゅりーたち、元街の野良ゆっくりを激しく拒絶していた。 お前らなんかいらない、と。 お前らなんかこの理想郷には必要ない、と。 色々理由はあるのだろうが、この人間たちの駆除の理由の一つに、自分たちと仲良くし ているゆっくりたちへの危害を未然に防ぐということがあるのだろう。 明晰なぱちゅりーはそれを理解してしまった。 理解しなくていいのに、してしまった。 そして、精神が死んだ。 それに僅かに遅れて、体が死んだ。 自らが吐いた生クリームに突っ伏して、ぱちゅりーは死んだ。 「ゆるじでえええええ!」 「だずげでええ、ころざないでええええ!」 街の野良ゆっくりが一匹残らず森へ帰ったわけではない。 様々な理由から、森へ行くよりもこのまま街で暮らした方がよいと思って残ったものも いた。 このれいむとまりさも、そうであった。 いきなりそんな大勢で森に帰っても上手く行くとは限らない。 それよりも、それだけ大量の野良ゆっくりがいなくなった街の方が食料調達の競争も緩 くなるし、住みよいかもしれない。 そう考えたこの二匹は、決して愚鈍でもなく、むしろなかなか利口であった。 実際、当初は思惑通りにゆっくりできたのだ。 大量の野良ゆっくりを森に送った人間たちは、ゆっくり駆除を前ほど熱心にやる必要は 無いと思っていた。 しかし、それでも駆除を全くしなくなったわけではない。 れいむとまりさも、少々油断したところを捕まってしまったのである。 「もり! もりにがえるがら、ゆるじでええええ!」 まりさが叫んだ。 れいむを踏みつけ、まりさの髪の毛を掴んで持ち上げていた男は、それを聞くと、ぴた りと動きを止めた。 脈ありと見たまりさが、なおも叫ぶ。 「ぼりに、ぼりにがえりばずぅぅぅぅ」 踏みつけられて餡子を吐きそうになっているれいむもそれに続いた。 「そういうわけにはいかないんだよ」 男はそう言うとれいむを踏み潰し、それを見て絶叫するまりさを叩きつけてかられいむ と同じようにしてやった。 街の人々の善意で森に送られた野良ゆっくりたちが、森の近くの村の人間によって殲滅 されたということがニュースになった時、村の人間を非難する声は上がったが、それもす ぐ止んだ。 村長をはじめとする村の者たちが、毅然と反論したからだ。 そもそも、森の生態系とか何も考えずに五百匹もの野良ゆっくりを運んで来るというの が暴挙なのだ。 善良ならばまだよいが、これがどいつもこいつもタチの悪いチンピラみたいな連中とき ている。 その証拠として、村が畑の被害をなくすために躾けて協定を結び、今ではそういった利 害関係を超えて仲良く付き合っている群れのゆっくりたちが制止するのも聞かずに暴力を 振るい、畑の野菜を奪おうとした様子を撮った映像を提示した。 それらを見て、聞いて、街の人間たちは今度こそ本当に反省した。 自分たちがやって喜んでいたのは偽善であった。 自分たちの都合で負担をよそへ押し付けていただけであった。 だから、街の人間たちは野良ゆっくりを殺す。 もう、森に帰せだのなんだのという言葉には耳を貸さない。 街の野良ゆっくりは、街で始末をするべきだからだ。 終わり 書いたのは「本当に悪いのは人間さんだよ! ゆっくりは悪くないよ! 殺すけど」 でおなじみののるまあき。 久しぶりに長めの書けてよかった。 なお、このお話は余白あきさんの「人間の世界でゆっくりが見た夢」にインスパイア されています。 過去作品 anko429 ゆっくりほいくえん anko490 つむりとおねえさん anko545 ドスハンター anko580 やさしいまち anko614 恐怖! ゆっくり怪人 anko810 おちびちゃん用のドア anko1266 のるま anko1328 しょうりしゃなのじぇ anko1347 外の世界でデビュー anko1370 飼いドス anko1415 えーき裁き anko1478 身の程知らず anko1512 やけぶとりっ anko1634 かわいそうかわいそう anko1673 いきているから
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/236.html
野良ゆっくり害は徐々に徐々に広がっていった。 その街の野良ゆっくり発生も、原因については、他の所とそう変わりは無かった。 ゆっくりペットブームをあてこんで森から乱獲されたゆっくりたちが、一時飼いゆっく りとして暮らした後に、 「飽きた」 「うぜえ」 という無責任だがこの上もなく重大な理由で捨てられた。 飼いゆっくりを捨てた人間は、無責任ではあるがそれを深刻にはとらえていなかった。 ゆっくりに接してきた彼らは、ゆっくりがいかに脆弱かをよく知っており、野良になれば すぐさま死んでしまうであろうと考えた。 人語で命乞いをする一時はともに暮らしたゆっくりを殺すまではしたくない人間にとっ ては、 「こいつら、どうせすぐ死ぬだろう」 という観測は、とても魅力的であった。 しかし、人間とゆっくりが関係を持ってからこれもまた幾度となく起こった事柄である が、人間はゆっくりという生物としては脆弱極まり無い饅頭が、種としては意外にしぶと いことを後々になってから知ったのである。 野良ゆっくりが飼いゆっくりから転落したものの、それなりにゆっくり生きられるのは、 大概がその期間である。 次第に、人間たちが減るどころかどんどん増えていく野良ゆっくりに眉をひそめだす頃 には、まだ野良ゆたちはゆん生を謳歌している。 眉をひそめるものの、ほとんどの人間はゆっくりを殺すのを躊躇う。なにしろ人語で命 乞いをし、小さな子供がおかあさんをいじめないでと甲高い舌っ足らずの声で泣き喚き、 親ゆっくりは自分はどうなってもいいからと子供を庇う。 そんなものを見せられては、人間たちも殺すまではできずに追い払うに止まることが多 い。 その捨てゆっくりが野良化した初期の段階では、いわばほとんどのものがペットゆっく りになるための躾を施されており、人間に逆らってはいけないと叩き込まれている。その ため、基本的に人間に対しては下手に出る。 これが世代が変わってくると、中には親から受け継ぐ記憶などが薄れるものも出てくる。 そこで、一部のものは人間が自分たちを殺さないのを、自分たちを恐れているからだと解 釈することになる。 哀れに思って餌をやる人間なども同じことで、自分たちの御機嫌をとっているのだとい うことになる。 こういうものが増えてくると、そろそろ黄信号である。 第一世代の時には考えられなかったようなこと――人間を罵倒するものが現れる。 それにカッとして野良ゆっくりを叩き殺す人間も出てくる。 なにも殺すまではなかったかと、親の死骸にとりすがって泣く子ゆっくりを見て心を痛 める者もいたが、その一方で、 「やってみたらなんてこたない。ゴキブリ殺すのと同じだ」 と開眼してしまう者もおり、そうなるとそろそろ赤信号だ。 保健所には対野良ゆっくりチームという名の駆除部隊があったが、増えていく野良ゆっ くりを要請に応じて駆除しに行っていた。 以前、「ゆっくり駆除の日」を定め、ボランティアを募集したところ、ヒャッハーと叫 ぶごくごく少数の人間しか集まらなかった。 いよいよ野良ゆっくりの被害が大きくなってくるにつれ、舞い込む駆除要請も増えたが、 同時に増えたのが家やら庭やらゴミ捨て場を荒らしたゆっくりを殺したのだが、死体の処 分に困っている。どうしたらよいか。という問い合わせだ。 そこで今一度「ゆっくり駆除の日」を決め募集をかけると前回を遙かに上回る人数が集 まった。 「これで、保健所の職員だけでなく、人間全体を恐れるようになり、以前よりも被害は減 るだろう」 と保健所はその意義を強調した。 とある野良ゆっくりの群れ―― リーダーの賢明なるぱちゅりーのもと、その群れは人間を怒らせないようにしていた。 人間に向かってあまあまを要求する行為や人間の家に入る行為などは厳しく禁じられてい た。それをすれば、群れの一員とは見なさないという掟を作っていた。 だが、どうしても生きていくために譲れないところがあった。 ゴミ捨て場等でのゴミ漁りである。 しかし、どうせ捨てるものなのに人間たちはそれをやると怒って追い飛ばすのだ。なん でああも人間というのはゆっくりしていないのかと、蹴飛ばされて傷を作った食料調達部 隊のものたちをぺーろぺーろしながらゆっくりたちは話し合った。 だが、蹴飛ばされる程度で済んでいたその時期は幸せだったのだ。 そのうちに、容赦無く殺されるようになった。 ゴミ捨て場に、ゆっくりを捨てるためのゴミ箱が設置されたのがそれに拍車をかけてい た。 「むきゅぅ……」 リーダーぱちゅりーは、打つ手の無い悩みに苦しんでいた。 人間が本気で自分たちを殺しにかかったら対応すべき手段など無い。 そのことは痛いほどにわかっている。せいぜい彼らの視界に入らないようにすることだ が、やはり、どうしてもゴミ漁りをせねば群れが保てない。 「ゆん、まりさだぜ」 そんなある日、近くでやはり野良ゆっくりの群れのリーダーをしているまりさがやって きた。 いつも快活なまりさだが、それにしたってここ最近はあちらとてぱちゅりーたちと同じ 悩みを抱えているはずだ。 それでも、まりさは明るく笑ってゆっくりしていた。 ……正直、とびきり性格はよいが少々思慮に足りないまりさではあるが、それにしても その笑顔には屈託が無かった。無さ過ぎた。 「ぱちゅりー、まりさたちの群れは、森に帰ることにしたんだぜ!」 まりさは、言った。 「むきゅ!?」 代々餡子に受け継がれ、さらに語り継がれた森の記憶が蘇る。 街のようなゆっくりできない場所ではない、自分たちの親たちがゆっくりしあわせーに 暮らしていた場所。 辛いこともあったが、ゆっくり暮らしていたゆっくりたちを人間が捕獲し、躾と称して ゆっくりできないことを強要してペットにしたのだ。 そして、ペットとして最後まで面倒を見るならともかく、何匹ものゆっくりが捨てられ て野良と化した。 そして今、人間たちは野良ゆっくりを目の敵にして殺しにかかっている。 酷い、と思う。 しかし、その主張を通せる力など自分たちには無い。 森――。 そこへ帰る――。 その言葉は、なんともいえぬゆっくりとした魅力を持っていた。しかし、ぱちゅりーは それの困難さを思い、そのようなことに踏み切ることは考えもしなかった。 森は遠い。 正確な距離はもちろん知らぬが、人間でさえ歩いて行くのは時間がかかるので大きなす ぃーを使っているぐらいだ。ゆっくりのあんよでは一週間はかかるのではないか。 むろん、ぱちゅりーはそれらのことを念を押すようにまりさに確認したが、まりさはま りさなりに色々考えたらしく、それらの困難は承知の上だと言う。 「ぱちゅりーたちもあとから来ればいいんだぜ、むかえをよこすんだぜ」 まりさはそう言って去って行った。 やはり無謀だ、止めた方がよい。 その制止の声は、ぱちゅりーの中で消えた。 まりさは全て覚悟の上なのだし――それに、森に帰れるというのはとてつもない魅力を 持っていた。 まりさたちがそのための道を切り開いてくれるというのなら、止めることはない。と、 賢いゆえの狡猾さもぱちゅりーにはあった。 だが、まりさたちのためにも自分たちのためにも、その壮挙の成功を祈る気持ちは本物 であった。 「ゆひぃ……ゆひぃ……ゆひぃ……」 翌日、食料調達、要するにゴミ漁りに行ったまりさがボロボロになって帰ってきた。 帰ってきたのはまりさだけである。他にもれいむやらちぇんやら、全部で五匹いたはず なのだが。 姿の見えないものの家族がまりさにその安否を尋ねるが、ぱちゅりーには既にその末路 はわかっていた。 家族たちも、まりさが質問に答えずに泣き喚いているのを見て、ようやく認め難い事実 を認めるしかなかった。 落ち着いたまりさから話を聞くと、決死の覚悟でゴミ捨て場に赴いた食料調達部隊は、 目的地に辿り着けもせずに、朝の散歩中だった人間によってまりさ以外は殺されてしまっ た。 まりさは最初に蹴飛ばされたが、むしろそのことがまりさを救った。 強く蹴られたまりさはふっ飛んで繁みの中に突っ込んだ。 まりさを蹴った人間は、しまった、と呟いて繁みを見ていたが、すぐに、まあいいやと 言ってから、他のものへの攻撃を開始した。 繁みをかきわけてまりさを探すのを億劫がったのだろう。 「ゆひぃぃぃぃ、まりざだぢ、なにがわるいごとじた? ねえ、ばちゅりー! ねえ!」 「むきゅ……」 まりさは話している内に再び錯乱して、ぱちゅりーに八つ当たりをするように叫んだ。 まりさは、繁みの中で激痛に苛まれながら、仲間の断末魔の声を聞いていたが、人間の 声も聞いた。 「おれもこんなことしたくねえんだけどなあ……お前ら、ほっとくと増える一方だからな あ。優しくすると付け上がるし……」 本当に、鬱陶しそうな感じであった。ゆっくりを虐待すること自体を楽しんでいるので はないそのことが、単なる虐待趣味者よりも恐ろしかった。 やりたくないのに、なんでやるのか。 ほっとくと増えるから殺すのか。 優しくすると付け上がる? それだけのために? まりさはそういったことを全く無茶苦茶に思いつくままにぶちまけた。 「むきゅぅ……」 ぱちゅりーは、人間の中にもゆっくりに対して優しい者がいることを知っている。彼女 の夢は、いつか人間とゆっくりが愛し合い共存できるようになることだ。 もっとも、ここ最近、そんな夢はもはや夢として見ることすらできなくなっていたが。 人間たちは、野良ゆっくりとともに生きる気は無いようだ。 「森……」 呟いて、遠くを見た。 以前より、より一層、まりさたちの森への帰還が成功することを祈った。 「わ、わがらないよぉぉぉぉ!」 ちぇんが、転がり込むようにやってきた。 あの森へと向かったまりさの群れでリーダーの補佐をしていた幹部のちぇんだ。 状態は一目でわかるほど酷い。 二本の尻尾は、千切れて無くなっているし、顔の右半分が削れており、右目は見えない ようだ。 なんの打つ手も無い状況に、ぱちゅりーたちは日に日に、まりさからの森への迎えを待 ち望むようになっていた。 ぱちゅりーは、成功を祈りつつも、その可能性は低いと理解していたが、群れのものに 少しでも生きる気力を持たせるために、そのことは言わなかった。 そのため、少数のもの以外は、皆、今にも明日にも迎えが来ると信じて頑張っていたの だ。 だから、最初にちぇんを見た時は、希望に満ちた声が上がった。ちぇんを迎えだと思っ たのだ。 ちぇんがボロボロになっているのも、森からここへ来る途中に悪い人間にでも虐待され たのであろうと思った。 ぱちゅりーと、一部の群れの幹部ともいうべき賢いものたちは、ちぇんの言葉を聞かず とも、森への帰還が失敗したのであろうことを悟った。 まりさたちが出発してからの時間が短すぎるのだ。 いくらなんでも、この時間内に森との間を往復できるとは思えなかった。 果たして、ちぇんが泣きながら語ったのは、まりさの群れが森へ辿り着くどころかその 遙か以前に壊滅し、ちぇんだけが命からがら逃げ戻ってきたのだという事実であった。 希望が反転し、絶望にうちひしがれ、狂ったように泣き叫ぶ群れのものたちを痛ましげ に見やりながらも、ぱちゅりーはちぇんを促して詳しい話を聞いた。 最初の頃は、希望に満ちた森への帰還ということで、リーダーのまりさ以下、ゆっくり たちも意気軒昂であった。 人間に見つからぬよう早朝に出発した群れはぞろぞろと進んだ。 そこで出会ったのが、おそらく朝の散歩中の人間であった。 その人間にやられたのか――皆は思った。 しかし、そうではなかった。 その人間は、ゆっくりの大行列に驚いていたが、いったいどこへ何をしに行くのかと尋 ねて来た。 リーダーまりさが森へ帰る、人間さんたちが自分たちを無理矢理に街に連れてきたので あって、自分たちの生きるべきは森なのだから、とそのようなことを言った。 それを聞いて、ぱちゅりーが顔をこわばらせる、そのような人間批判と思われるような ことを言っては危険だと思ったからだ。 しかし、その人間は、それに怒らず、むしろ納得していたという。 「そうか……お前らの親とかを無理に連れてきて、飽きたと言って捨てたのはおれたち人 間だものな……」 そう言って、お前らが森に帰るのならば人間たちも喜ぶだろうと、言った。 その言葉に、ぱちゅりーは強く反応した。 まりさの群れが壊滅したのは、その日の夕方であった。 捕食種の襲撃を受けたのだ。 しかし、それはれみりゃが三匹程度であり、それが直接の原因ではない。 その襲撃によって大騒ぎになったのを人間が聞きつけたのだ。 すぐさま保健所に通報が行き、職員がやってきた。 捕食種は飛んで逃げたが、地べたに残されたゆっくりたちは駆除されてしまった。 ちぇんは、れみりゃに尻尾をくわえられて巣に持ち帰られそうになっていたが、尻尾が 千切れて落ちた。 保健所の職員がいる地上にまではれみりゃも追ってこなかった。 そして、すぐに物陰に隠れて職員からも逃げることに成功したのである。 「ゆぅぅぅぅ!」 「そ、そんなぁぁぁ!」 「おわりだよ……もりにかえれないなら、もうれいむたち……」 「みんな! みんなにんげんにころざれぢゃうんだぁぁぁ!」 「ゆぴゃあああああん、ゆっくちできにゃいよぉぉぉ!」 「ま、まりしゃたち、にゃんで、にゃんでゆっくちできにゃいにょぉぉぉ!」 泣き喚くゆっくりたち。 「むきゅぅ……むきゅぅ……むきゅきゅぅ」 ぱちゅりーは、呻いていた。 しかし、ただ単に絶望したからではない。 ちぇんから得た情報により、人間には野良ゆっくりが森へ帰ることを喜ぶ者がいるので はないか、と考えを巡らせていたのだ。 これは、賭けになる。 一歩間違えば群れは全滅だ。 しかし、もう、このままではどうせ近い内にそうなるのではないか。 食料の調達は全く上手く行っていない。 その辺に生えている不味い草で命を繋いでいるが、そのような食事でゆっくりできない からだろう、子供たちの成長が遅いし、中には非ゆっくり症の症状を見せている子もいる。 しかし、踏み切るにはあと一押しが必要であった。 そして、その一押しはすぐに来た。 付き合いのあった群れが、人間に滅ぼされたのだ。 日頃から付き合っているだけあって、その群れもぱちゅりーの群れと方針は同じであっ た。 できうる限り、人間とは関わらないようにするのだ。 それでも、その群れは群れの場所を襲撃されてやられてしまった。 食料を調達に出かけたものがやられたのではない。 ひっそり隠れて暮らしていたのに、あそこにゆっくりが住んでいるらしいということで 保健所職員がやってきて駆除してしまったのだ。 そのことは、曲りなりにも生きていられるのだからと踏ん切りをつけられなかったぱち ゅりーの背中を強く押した。 「むきゅ……みんな、このままだと近い内に人間さんに殺されるわ」 ぱちゅりーは皆を集めて言った。 「そ、そんなゆっぐりでぎないごといわないでえええええ!」 「そうだよ、ゆっぐりでぎないよ!」 「ゆぴゃあああああん!」 ゆっくりできない言葉に、もちろんみんな拒否反応を示したが、ぱちゅりーは構わずに このままではいつか自分たちのおうちも人間に見つかって全滅させられてしまうというこ とを言い続けた。 そして、群れのものが、このままではどうせ死んでしまう、という気持ちになったのを 見計らって、ぱちゅりーは言った。 「人間さんにお願いして、森に帰してもらいましょう」 人間たちが、ざわめいていた。 人通りの多い繁華街であった。 そこに三十匹はいるかという野良ゆっくりたちが現れて、大声で叫び始めたのだ。 「お願いします! ぱちゅりーたちを森に帰してください! お願いします!」 「ゆっくりおねがいします! ゆっくりおねがいします!」 「ゆっくちおねぎゃいちましゅぅぅぅぅ!」 異様な光景に足を止める人間がたくさんいた。 そして、すぐに駆除しようという感じではないのを見て取ってぱちゅりーは切々と訴え た。 自分たちの親は元々森でゆっくり暮らしていたのを無理矢理に連れてこられてペットに されて、そして捨てられた。 自分たちは好きで街で野良ゆっくりをやっているのではない。 知り合いのまりさの群れが自分たちのあんよで森に帰ろうとしたが、ちぇん一匹を残し て全滅してしまった。 森に帰りたいが、自分たちの力では不可能だ。 だから、もう人間さんにお願いするしかない。 そう言ったことを、涙ながらにぱちゅりーが訴え、群れのゆっくりたちが合間合間にお 願いします、おねぎゃいちましゅ、と声を上げる。 ぱちゅりーとしては、人間への非難がましいことを言うのはできれば避けたいところだ ったが、やはりそれを言って人間たちにも少しは自分たちにも非はあったと思わせなけれ ば、成功しないだろうと思った。 ちぇんから聞いた人間の話だけが一縷の望みだった。 一定の効果はあった。 人間たちはあれこれと話していたが、とにかくこういった訴えを集団でしてきたゆっく りは初めてなので、すぐに駆除してしまっていいものか迷っていた。 そして、午後には、テレビ局の取材班がやってきた。 ゆっくりというのは、テレビ局にとってはよいネタであった。そのゆっくりが妙なこと をしていると聞いてやってきたのだ。 このカメラを通して、大勢の人間に話を聞いてもらえると言われて、ぱちゅりーは熱弁 を振るった。 ぱちゅりーの話は、なかなかバランスが取れていた。 ペット目的の乱獲、そして無責任に捨てて野良化させたという話で人間に罪悪感を感じ させ、知り合いのまりさの群れが自力で森に帰ろうとしたが失敗したという話で何もはじ めから人間を頼っているのではないと思わせ、そしてひたすら自分たちは無力であるから とお願いすることで人間の感情をやわらげていた。 いいから駆除してしまえ、という声はほとんど無かった。 それよりも、人間にも非はあったのだから森に帰してやろう、という声が上がった。 保健所の職員――あの恐怖の対象でしかなかった人間――がやってきて、ぱちゅりーに 森へ帰してやることを決定したことを伝えた時、ぱちゅりーも他のゆっくりたちも大泣き してひたすら顔を地面に打ち付ける、ゆっくり式の土下座をして感謝した。 それを見ていた人間たちからは歓声と拍手が上がった。 ぱちゅりーは、思った。 夢は夢ではなかった。 ゆっくりと人間が愛し合い共存する理想の世界――その実現は決して夢ではないのだ。 すぐには無理だろうが、こんなにも、自分たちのために喜んでくれる人間たちがいるの だ。不可能ではない。 ぱちゅりーたちは、とある広場に集められた。森への移動の準備が終わるまでここで暮 らせと言われ、その間は生ゴミだが食料が提供された。 明日にも駆除で全滅か、という境遇からのこの待遇である。ゆっくりたちは大喜びで、 ぱちゅりーのことを褒め称えてゆっくりした。 そして、喜ばしいことは続いた。 他の野良ゆっくりがどんどん広場に連れてこられたのだ。 聞けば、他にも森に帰りたい野良ゆっくりがいれば名乗り出ろと言ったところ、最初は 恐る恐る少数のものが、やがて、どうやら本当に森に帰してくれるし、それまでは食べ物 までくれるらしいと知った野良ゆっくりたちが我も我もとやってきているのだという。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「いっしょにもりへかえろうね!」 「もりでゆっくりしようね!」 日に日に増える仲間たちに、広場はゆっくりした声で満ちぬ日は無い。 やがて、ぱちゅりーは、この森への帰還を人間に願ったいわば功労者ということで、後 からやってきたゆっくりたちからもリーダーと仰がれるようになった。 元々ぱちゅりーの群れだったものたちはそのことを喜んだ。 自分たちのリーダーが、こんなにも多くのゆっくりにリーダーと認められる偉いゆっく りだったのだということを誇っていた。 おそらく、生涯で最高のゆっくりを広場に集められた野良ゆっくりたちは感じていた。 誰もが、これから行く森でこそ最高のゆっくりが待っているのだと思っていたが――。 ――最初の、ぱちゅりーの三十匹程度の群れだけが森に帰れば、後の悲劇は起こらなか ったであろう。 しかし、既に人間たちの意図は、当初の哀れな街の野良ゆっくりを森に帰して上げよう という、ある意味では単純素朴な善意から変質を遂げていた。 今や、その目的は、鬱陶しい野良ゆっくりをできるだけ多く森に帰してしまおう、とい うことになっていた。 人間たちとて、自分たちに非があることは認め反省していた。だから、殺さずに森に帰 して上げるという解決方法は魅力的であった。 そのことでゆっくりたちも喜ぶのだから、よいではないか。 ――彼らが、本当の意味で反省するのはもっと後のことである。 そして、元々思い込みの激しいゆっくりである。 明日無き絶望の反動のせいもあったが、既にゆっくりの大半は森に帰れば全てが上手く 行く、森ではゆっくりできないことなどは無く際限なくゆっくりできると思い込んでいる ものが多かった。 森には森で辛いことはあるだろうが、みんなで頑張って生きて行こう、人間が駆除に本 腰を入れた街よりはマシなはず、といった考えを抱いていたのは、ぱちゅりーの群れのも の他、少数であった。 「ゆっゆっ、もりにいったら、あまあまをむーしゃむーしゃするんだぜ」 「あみゃあみゃ、たのちみだにぇ!」 そんな会話をしているものがたくさんいた。そのことをぱちゅりーが知っていれば、さ すがにリーダーとなるのは躊躇ったであろうが、ぱちゅりーの周りには元からの群れのも のがいて、その声は届いていなかった。 そしてある日、とうとう明日、森に帰ると告げられた。 その時に湧き上がったゆっくりの大歓声たるや凄まじいものであった。 近所の住民はそれに驚いたものの、その理由を知ると、まあ今日だけは騒音だとか言わ ないで許してやろうと苦笑した。 「なんて勝手な!」 青年が、いきり立っていた。 それに頷く何人もの人間たち。 「だから、街の人間は信用できねえって言うんだ!」 青年の怒りに満ちた声は続く。 「街の野良ゆっくりなんだから、あっちで始末つけりゃいいじゃないか、なんだってこっ ちに持ってくるんだ」 村の会館の一番広い部屋。 そこで座っている多くの人間たち。 青年はその中で一人立ち上がり、手を振り顔を振り、時に人々から少し離れて、その人 々と向かい合って座っている初老の男を指差して叫んでいた。 「村長、なんで承知したんだ。そんな話!」 「……森は、国のもんで、わしらのもんじゃない。わしが承知せんでも……強引にやられ たらどうしようもない」 「そりゃあそうだが、その森から一番近いとこに住んでるのはおれらじゃないか」 「おい、村長だって、おれたちが言ってるようなことは全て承知の上だろう」 青年の袖を、彼と同年代らしい別の青年が引いた。 それにより、青年は憤然と鼻を鳴らしたものの、腰を下ろした。 「ええっと……それで、その野良ゆっくりってのが、約五百匹か……」 その声に応じて、うんざりしたといった感じの呻きやため息が各所に上がる。 「話にならん。駆除じゃ」 最前列にいた老人が言った。 駆除、という言葉にざわめきが起こる。ここにいる人間たちがそれに対してある程度の 抵抗感を持っていることがわかる。 「おやじさん……」 村長が、遠慮がちに言った。 「先代とわしらが散々苦労して教え込んで協定を結んだ群れでも、群れの数は百匹前後と 取り決めておるんじゃぞ。そこへ街の野良ゆっくりが五百匹じゃと。話にならん」 老人は吐き捨てるように言った。それへ同調する声が上がる。 まったくもって話にならない、と皆が思っていた。 「……やっちゃいましょうよ。しょうがないわよ」 と、一人の中年女が言った。人のよさそうなおばさんなのだが、言うことには容赦が無 い。 「街の野良ゆっくりって、テレビで見たけど、人間のことをどれいとか、死ねとか、チン ピラみたいなタチの悪い連中なんでしょ」 彼女は、テレビで特集されていたそういった映像を見ていた。やや誇張されてはいたが、 決して嘘ばかりとは言えない。 「あんなのがそんなたくさん来たら、あの子たちが酷い目にあわされないか心配よ」 その言葉にもまた同調の声が上がった。 彼女は、村と協定を結んだ群れのゆっくりたちをことの他可愛がっていた。 あの子たち、という呼び方からも、そのことは察することができよう。 「そうだ。むしろあいつらのためにも、そんな連中はやっつけてやらないと」 青年が、再び立ち上がって言った。 「よし……」 村長は、人々の間の空気が一定の方向へ向かって流れるのを感じて頷いた。 「村長、つれてきたぞ」 そこへ、一匹のまりさを抱いた男がやってきた。 「おお、来たか」 「ゆん、まりさが来たんだぜ。ゆゆ? みんな集まってどうしたんだぜ?」 まりさは村長が呼んでいると言われてやってきたので、こんなに大勢が集まっていると は思っていなかったのだろう。 「うん、まりさ、実はな……」 と、村長は、街の方から野良ゆっくりが五百匹ばかり連れて来られることを告げた。 「ゆ!? ゆゆゆ? ごひゃく、ってどのぐらいなんだぜ? まりさたちはひゃくぐらい だけど……」 このまりさは、子供の頃から人間の教育を受けた群れの子ゆっくりの中でも特に優秀と 認められて長になった個体である。 協定にあるすっきり制限により、群れの数が百と定められているために、それを遵守す るために百までの数字を理解することが長の条件みたいなもので、そのためまりさは百ま でなら数えられる。 「五百というのは……百が五個あるということじゃ」 「ゆ!? まりさたちがあと五……ゆゆゆゆ!? だ、ダメなんだぜ! そんなのダメな んだぜ!」 まりさは、それを聞くと困惑して言った。 「そんなにたくさん来たら、ごはんがなくなっちゃうんだぜ! そんなにたくさん森さん はごはんをくれないんだぜ!」 「うむ、その通りだ」 「お前でもわかることをわからん奴らがおるんじゃよ。まったく……」 村長に被せるように言ったのは、先ほど真っ先に駆除を主張した老人だ。 「それで、その五百匹の連中じゃが、おそらくゲスじゃ」 「ゆっびいいいいい!」 まりさはゆわゆわと痙攣し出してしまった。そんな大量のゲスが来たらまりさたちの群 れはあっという間に蹂躙されてしまうに違いない。 「大丈夫じゃ、わしらがついとる!」 「そうよ、そんな街のチンピラゆっくりなんかに、あんたたちをやらせるもんですか」 「それについては、お前らにも協力してもらいたい」 「ゆっ! な、なんでもするんだぜ!」 何台ものトラックが停車する。 荷台にびっしりと積み込まれているのは今朝まであの広場にいた野良ゆっくりたちだ。 「ほい、ほい、ほい」 「ほい、ほい、ほい」 「ゆっくりおろしてね! つぎはれいむだよ!」 男が手渡しでゆっくりたちを地面に下ろす。 「ゆわああああああ、ここが、ここがもりなんだねえええええ!」 「むきゅ、そうよ、おとうさんやおかあさんの故郷よ」 「ゆわーい、ゆわーい」 「ゆゆぅ、にゃんだかくうきがおいちーよ!」 「ゆっくちできりゅよ!」 念願の森へとやってきて、街で薄汚れた野良ゆっくりたちは目を輝かせていた。 「ゆゆん、にんげんさんたち、ゆっくりありがとう!」 「ゆっくち!」 去っていくトラックを見送ったゆっくりたちは、まずはおうち探しに取り掛かった。 「ゆゆぅ! 段ボールさんがどこにもないよ……」 「なんでおうちがないのぉぉぉぉ!」 「ゆゆ、ここに穴があるよ、ここをおうちにすれば……」 「ゆん! それじゃそこはまりささまのおうちにするんだぜ!」 「ゆっ! そこはれいむが見つけたんだよ!」 「うるさいんだぜ! ここはまりささまのおうちなんだぜえ!」 とてもではないが、五百匹ものゆっくりがおうちにできるような穴や洞はすぐには見つ からない。 それならばとりあえず腹ごしらえを……と食べ物を探したところ、これもまた五百匹の 満足するような量はとれない。 「リーダー、どうしよう……」 「リーダー、なんとかしてね!」 「リーダー、ゆっくりできないよ!」 「むきゅぅ……」 この時になって、ようやくぱちゅりーはリーダーを引き受けたことを後悔していた。 とにかく、この数である。 ぱちゅりーだけで統率などとてもではないができない。 結局、街に住んでいた時の群れをそのままに、どこの群れにも属していなかったものを 適当に割り振り、各群れのリーダーの上にぱちゅりーが総リーダーとして立つことにした。 「ゆん、それじゃ狩りに行ってきてね」 「ゆっくりいってくるよ!」 「おとうしゃん、がんばっちぇぇぇ!」 「あみゃあみゃたべちゃいよ!」 元街の野良ゆっくりたちは、なんとか森で生きていこうとしていた。 そして、今日も番のれいむと子供たちに見送られて、一匹のまりさが狩りに出た。 「ゆん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 道々、何匹かのゆっくりと合流する。 「ゆん、ゆん、ゆゆっ!」 一匹のれいむがぴょんぴょんと跳ねてきた。まりさたちを見てひどく驚いている。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ……ゆっくりしていってね……」 「ゆぅ……れいむはどこのれいむ? 見たことないけど」 だが、なにしろ五百匹もいるのだ。街では全く接触が無かったものも多く、顔を知らな いものが同じ群れにいてもおかしいことではない。 「れ、れいむは、ずっとここに住んでるんだよ」 「ゆゆ、それじゃ、ずっともりに住んでるんだね」 「ゆぅ、それはすごいゆっくりしてるね」 まりさたちは、れいむが森の先住ゆっくりだと知って感心していたが、れいむは決して まりさたちと目を合わせずにぴょんと跳ねて背を向けた。 「それじゃ、れいむはいそぐからいくね。ぜったいついてこないでね! ぜったいだよ!」 「「「ゆゆぅ?」」」 過剰に念を押すれいむの言葉に不思議そうにするまりさたち。 「それじゃあね、ぜったいついてこないでね! ぜったいだよ! ぜったいだよ!」 最後までれいむはそう言いながら去っていった。 「ゆぅ……気になるよ」 「……ついていってみるんだぜ」 「ゆん、ついてくるなっていってたけど……ちょっとならいいよね」 好奇心を刺激されたまりさたちは、こーそこーそとれいむを尾行した。 「ゆん! ただいま!」 「ゆっくりおかえり!」 「れいむ、おかえり!」 れいむがやってきた場所を見て、まりさたちは思わず大声を上げそうになってそれを必 死に我慢した。 「ゆぅぅぅぅ……」 「す、すごい……あんなにおやさいが……」 「あ、あんなにあったら、みんなむーしゃむーしゃできるよね……」 小声でひーそひーそと話す。 そこは、畑であり、たくさんの野菜が生えていた。 大きな数が認識できないゆっくりではあるが、視覚的にそれが五百匹のゆっくりがむー しゃむーしゃしてもなお余る量であることはわかった。 さっきのれいむは、そのおやさいの海に向かっていき、それをまりさやらありすやらの 他のゆっくりが出迎えていた。 「ゆぅ……あのおやさい、あのれいむたちのなのかな」 「……にんげんさんはいないみたいだし、そうなんだよ、きっと」 「ゆゆゆゆ、きっとあれがでんせつのおやさいがはえてくるゆっくりぷれいすなんだよ」 なおもひそひそ話すまりさたちに、れいむたちの、ちと不自然なぐらいに大声の会話が 聞こえてきた。 「れいむ! どうだった!」 「ゆん! 例のよそものたちだね! すぐそこで会ったよ!」 「ゆぅ、そんな近くにまで来ているんだね!」 まりさたちは顔を見合わせる。れいむの言う「よそもの」というのが自分たちであるの は明らかだ。となると、あのれいむは自分たちを偵察にやってきていたのか。 「ここのことを知られないようにしないとね!」 「そうだよ、ここのおやさいはぜんぶれいむたちのものだからね!」 「まりさたちじゃとてもたべきれないけど、よそものにあげることはないよ!」 思わぬ事態に呆然としていたまりさたちだが、そんな声を聞いているうちに腹が立って きた。こんな素晴らしいゆっくりぷれいすを独り占めしているなんて! 「ゆっ!」 「ゆっくりまってね!」 跳ねて行こうとするれいむを、まりさが制した。許し難いことだが今はこちらの数が少 ない。 「リーダーに言ってみんなで来よう」 「ゆん、そうだね」 「それじゃ、ゆっくりしないで帰ろうね!」 まりさたちが跳ねて行った。 それを見て、畑にいたれいむたちは顔を見合わせて頷く。 「上手くいきそうだな、れいむ、よくやったぞ」 まりさたちの位置からは見えないところに伏せていた青年が姿を現した。その手にはビ デオカメラがあった。 「ゆゆゆゆ! おやさいの生えるゆっくりぷれいすを独り占めしてるなんて、そいつらは ゲスなのぜ! やっちまうのぜえ!」 まりさたちの報告を受けて、リーダーのまりさが叫んだ。 ゲスと言うが、はっきり言ってこのまりさ自身がかなりのゲス気質であった。 「みんなを集めるんだぜ! ゲスどもを攻めるんだぜ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ゆっへっへ、でんせつのおやさいが生えてくるゆっくりぷれいすがあるなんて、やっぱ りもりはすごいんだぜ」 このまりさ、ゲス気質による容赦の無さと身体能力の高さでリーダーを張っていたもの の、頭はあまりよろしくなかった。 そのため、森に来ればあまあま食べ放題なのぜ、などというアホな考えをしていたのだ が、幻想とは違う現実に戸惑っていた。 これはおかしい。 もりはゆっくりぷれいすのはず。 きっと、どこかにおいしいものがあるに違いない。 そう思い続けていたまりさにとっては、おやさいの生えるゆっくりぷれいすは、やっぱ りそういうゆっくりできるものがもりにはあったのか、といった感じであった。 「リーダー、みんな集まったよ!」 「ようし、やろーども、ゆっくりしないでなぐりこみなのぜえ!」 「おやさいをむーしゃむーしゃできるよ!」 「おちびちゃんにもむーしゃむーしゃさせられるね!」 「「「えいえい、ゆー!」」」 まりさに率いられた二十匹ほどの集団は、大急ぎで跳ね飛んで畑へとやってきた。 「ゆゆゆ?」 「な、なんなの、まりさたち!」 先ほどのれいむやまりさたちがそれを見て驚く。 「ゆっひゃあああああ、おやさいがたくさんなのぜえ!」 「す、すごいよぉぉぉぉ、たべきれないぐらいあるよぉぉぉぉ!」 「ゆっくりできるよ! ゆっくりぃぃぃぃ!」 リーダーまりさたちは一面のおやさいを見て興奮し、雪崩を打って向かってくる。 「待ってね! ゆっくり待ってね!」 その前に、れいむが立ちはだかった。 「ここは人間さんの畑だよ! このおやさいは人間さんのものだよ! れいむたちはお手 伝いをしておやさいを分けてもらってるんだよ!」 「はあああああああ? おやさいは勝手にはえてくるんだぜ、それをお前らが独り占めし てるんだぜ! 人間さんなんかどこにいるんだぜ!」 「今はいないけど、ここは人間さんの畑なんだよ!」 「ゆっぎいいいいい! うるさいんだぜ、ゆっくりしね!」 リーダーまりさの体当たりを貰ってれいむがふっ飛ぶ。 「ゆぎ……いだいぃぃぃぃぃぃ!」 「ゆへん、こんじょーなしなのぜ。おとなしくゆっくりぷれいすを渡すんだぜ」 リーダーまりさが言うと、痛がるれいむを見てすっかり恐れをなした畑のゆっくりたち は、このゆっくりぷれいすをまりさたちに明け渡し、自分たちは奴隷になることを誓った。 「ゆふん、そういうことならわるいようにはしないのぜ」 とりあえず、まりさたちは野菜をむーしゃむーしゃしてしあわせーの声を上げた。そし てこのゆっくりぷれいすに定住するために、留守番のゆっくりや子ゆっくり赤ゆっくりを 呼び寄せた。 勇猛果敢ではあるが、既述の通り、あんまし頭のよろしくないリーダーまりさであるか ら、それらの指示が「偉大なまりささまに逆らったことを後悔しているダメれいむ」に誘 導されたものであることなど当然気付かない。 「ゆわあああああああ!」 「しゅ、しゅごいよ! おやしゃいがあんにゃに!」 「むーちゃむーちゃできりゅよ!」 「おとうしゃんたち、しゅごーい!」 この素晴らしいゆっくりぷれいすにやってきた子供たちは一様に驚き喜び、リーダーま りさたちを讃えた。 それにいい気分になっていたまりさたちだったが、それへ冷水を浴びせるように、奴隷 になったはずのれいむたちが、野菜を食べようと畑に駆け寄る子ゆっくりたちの前に立ち はだかって叫んだ。 「「「ここは人間さんの畑だよ! おやさいは人間さんのものだよ!」」」 一瞬、リーダーまりさたちは呆然とした。それはさっきも聞いた。 「まだそんなこと言ってるのかぜ! おやさいは勝手にはえてくるんだぜ、人間さんなん かどこにいるんだぜ!」 「ここにいるぞ!」 「この野菜泥棒め!」 「やれっ!」 それまで伏せていた人間が立ち上がった。 「ゆっびゃああああああ、に、にんげんざんだああああああ!」 街の野良時代に散々な目にあっているので、人間に対する恐怖心は大きい。リーダーま りさたちは逃げようとしたが、いつのまにか後ろにも人間がいて、自分たちが完全に包囲 されていることを知った。 「ゆ゛っ……ゆぐ……ゆひぃぃぃぃ、だ、だずげでええええええ!」 リーダーまりさは真っ先におそろしーしーを漏らしたところへ鍬の一撃を受けて死んだ。 「ゆ゛わあああ、やめでえええええ!」 「やじゃよぉ、まりざ、じにだくないよぉぉぉ!」 「おきゃあしゃん、たじゅげぢぇぇぇ!」 「にゃ、にゃんで、にゃんで……」 「い、いじゃいぃぃぃぃぃ!」 「ゆるじでえ! ゆるじでえええええ!」 元街の野良ゆっくりたちは、久しぶりに本気で殺す気の人間の恐怖を味わいながら皆殺 しにされた。 「むきゅぅ……」 ぱちゅりーが唸っていた。 リーダーの一人であったまりさの群れが一匹もいなくなっていると聞いたためだ。 移動するにしても、そんなに遠くに行くとも思えないし、なんらかの理由で死んだのだ としてもこちらに助けを求める前に全滅するとは思えないし、なにより死体が無い。 「総りーだー! 総りーだー!」 「むきゅ、なにかしら」 「た、たいへんだよぉぉぉ! ありすのところも誰もいないよぉぉぉぉ!」 「むきゅっ!」 ありすの群れが住んでいたのは、まりさのところと隣接した所だ。あの辺りに何かある のだろうか。 「むきゅ……きっとあの辺りに、何か、恐ろしい動物でも住んでいるのね」 ぱちゅりーはそう推測して、そちらには近付かないように群れに通達を出すことにした。 まりさとありすの群れの消失は確かに気になる。しかし、目下の問題は食料であった。 さすがにこれだけの数のゆっくりが突如移住してきたために、森の恵みと言えどもおっ ついていないのが現状だ。 その観点から言うと、立入禁止の区域を作って狩りの範囲を狭めるのはよろしくないこ とであったが、なにしろ三十四十の群れが突然消えるという事態である。 「総りーだー! 総りーだー!」 「むきゅ……なにかしら……」 なにかまた悪い知らせではないかと思う癖がついてしまっているぱちゅりーは、駆け込 んできたちぇんに対して身構える。 「このもりにずっと住んでいるっていうれいむとまりさが来て、おやさいがはえてくるゆ っくりぷれいすがあるって言うんだよー」 「むきゅ! そ、そんなものが……」 「それでね、おやさいを分けてあげるからみんなで取りに来てって」 「むきゅぅぅぅぅ」 正直、ありがたい。 そのありがたさ、そしてなんと言っても、森にずっと住んでいたというゆっくりならば、 とてもゆっくりしているだろうから嘘などつくまいという思い。 それらが、ぱちゅりーの判断力を著しく鈍らせた。 「おちびちゃんたちも連れてきてって、あっちのおちびちゃんとともだちになってほしい んだねー、わかるよー」 「むきゅ! それじゃ、みんなで行きましょう。他の群れも呼びましょう」 総リーダーの招集によってみんな集まってきた。 おやさいがはえてくるゆっくりぷれいす、という言葉に引かれぬものはいない。 まりさとありすの群れがまるごといなくなっているが、その数はそれでも四百を少し超 えている。 それらが意気揚々と、森を進む。 やっぱり、もりは凄い。 おやさいがはえてくるという伝説のゆっくりぷれいすがあるなんて! もりに帰ってきてよかった。 本当によかった。 もりは、とってもゆっくりできるよ! ゆっくり~、ゆっくり~、おやさいでゆっくり~♪ いつしか、そこかしこからおうたの声が上がる。 とってもゆっくりした笑顔のゆっくりたちは、そうやってゆっくりぷれいすを目指し、 そしてゆっくりぷれいすに辿り着き、ゆっくりぷれいすだと思っていたそこで殺された。 「むきゅ! むきゅ! むきゅっ!」 ぱちゅりーは、もうなにがなにやら、わけがわからなかった。 おやさいがはえたゆっくりぷれいすにやってきたはずであった。 そこでは、森で暮らしてきたとてもゆっくりしているゆっくりたちが歓迎してくれて、 そして、人間にさらわれて街の野良ゆっくりとなっていた自分たちと森の先住ゆっくりた ちはこれから仲良く森で暮らしていくはずだったのだ。 四百以上の口からのゆっくりしていってね、の挨拶。 それへ返ってきたのは、突然現れた人間たちによる攻撃だった。 それは、駆除だった。 使っている道具こそ違うが、それは街で保健所の職員が行っていた駆除そのものであっ た。 馬鹿な。 ここは、街じゃない。 森だ。 なんで、なんで、なんで――。 なんで、ようやく帰ってきた、ゆっくりできるはずの森にも人間の駆除があるのだ。 やっぱり――。 やっぱり、人間は野良ゆっくりを駆除せずにはいられないのだ。 あの日、一緒に喜んで拍手までしてくれたアレは、一体なんだったのだ。 広場に住ませて森に行くまでに食べ物までくれたのは、一体――。 やっぱり、ゆっくりと人間が愛し合い共存する理想郷など、夢のまた夢、理想に過ぎな かったのか――。 きっと、森に住んでいたゆっくりたちと言うのも人間にいつ駆除されるかと怯えて暮ら し、おどされて自分たちを騙しておびき出す手伝いをさせられたに違いない。 無かった。 理想郷など、ここには無かった。 そして――他のどこにもあるとは思えなかった。 ぱちゅりーは、ゆっくりと人間との対立という構図しか意識になかった。当然といえば 当然である。 それゆえに、街の人間とこの森のそばの村の人間とで、考えなどに差があるという認識 がなかった。そして、それはゆっくりにとっても同様であった。 だが、ぱちゅりーは、次々に殺されていく仲間たちの連続する断末魔の中、それを聞い てしまった。見てしまった。 そんなものには気付かぬままに、さっさと殺されていればよかったのに。 「ゆん! 街のゲスゆっくりはゆっくりしね!」 森のゆっくりが、人間と一緒に「駆除」をしていた。 「ゆわあ!」 「危ない! まりさ、危ないから前に出るなと言っただろう」 「ゆゆぅ、おにいさん、ありがとうなんだぜ」 そして、反撃されそうなところを助けてゆっくりを気遣う人間、それにお礼を言うゆっ くり。 「でも、まりさもおてつだいしたいんだぜ!」 「気持ちは嬉しいが、無理はするなよ。お前らに何かあったら……」 そのまりさと、人間の青年は、お互いを思いやっているようであった。 見れば、そこかしこで似たような光景があった。 「む……きゅ……え゛っれえええええええええ!」 ぱちゅりーは、盛大に吐いた。 ここは、理想郷だったのではないか。いや、そうなのだ。 夢に見た光景がそこにあった。 ゆっくりと人間が愛し合い共存する理想郷。 あった。 理想郷は、ここにあった。 ただ、その理想郷は、ぱちゅりーたち、元街の野良ゆっくりを激しく拒絶していた。 お前らなんかいらない、と。 お前らなんかこの理想郷には必要ない、と。 色々理由はあるのだろうが、この人間たちの駆除の理由の一つに、自分たちと仲良くし ているゆっくりたちへの危害を未然に防ぐということがあるのだろう。 明晰なぱちゅりーはそれを理解してしまった。 理解しなくていいのに、してしまった。 そして、精神が死んだ。 それに僅かに遅れて、体が死んだ。 自らが吐いた生クリームに突っ伏して、ぱちゅりーは死んだ。 「ゆるじでえええええ!」 「だずげでええ、ころざないでええええ!」 街の野良ゆっくりが一匹残らず森へ帰ったわけではない。 様々な理由から、森へ行くよりもこのまま街で暮らした方がよいと思って残ったものも いた。 このれいむとまりさも、そうであった。 いきなりそんな大勢で森に帰っても上手く行くとは限らない。 それよりも、それだけ大量の野良ゆっくりがいなくなった街の方が食料調達の競争も緩 くなるし、住みよいかもしれない。 そう考えたこの二匹は、決して愚鈍でもなく、むしろなかなか利口であった。 実際、当初は思惑通りにゆっくりできたのだ。 大量の野良ゆっくりを森に送った人間たちは、ゆっくり駆除を前ほど熱心にやる必要は 無いと思っていた。 しかし、それでも駆除を全くしなくなったわけではない。 れいむとまりさも、少々油断したところを捕まってしまったのである。 「もり! もりにがえるがら、ゆるじでええええ!」 まりさが叫んだ。 れいむを踏みつけ、まりさの髪の毛を掴んで持ち上げていた男は、それを聞くと、ぴた りと動きを止めた。 脈ありと見たまりさが、なおも叫ぶ。 「ぼりに、ぼりにがえりばずぅぅぅぅ」 踏みつけられて餡子を吐きそうになっているれいむもそれに続いた。 「そういうわけにはいかないんだよ」 男はそう言うとれいむを踏み潰し、それを見て絶叫するまりさを叩きつけてかられいむ と同じようにしてやった。 街の人々の善意で森に送られた野良ゆっくりたちが、森の近くの村の人間によって殲滅 されたということがニュースになった時、村の人間を非難する声は上がったが、それもす ぐ止んだ。 村長をはじめとする村の者たちが、毅然と反論したからだ。 そもそも、森の生態系とか何も考えずに五百匹もの野良ゆっくりを運んで来るというの が暴挙なのだ。 善良ならばまだよいが、これがどいつもこいつもタチの悪いチンピラみたいな連中とき ている。 その証拠として、村が畑の被害をなくすために躾けて協定を結び、今ではそういった利 害関係を超えて仲良く付き合っている群れのゆっくりたちが制止するのも聞かずに暴力を 振るい、畑の野菜を奪おうとした様子を撮った映像を提示した。 それらを見て、聞いて、街の人間たちは今度こそ本当に反省した。 自分たちがやって喜んでいたのは偽善であった。 自分たちの都合で負担をよそへ押し付けていただけであった。 だから、街の人間たちは野良ゆっくりを殺す。 もう、森に帰せだのなんだのという言葉には耳を貸さない。 街の野良ゆっくりは、街で始末をするべきだからだ。 終わり 書いたのは「本当に悪いのは人間さんだよ! ゆっくりは悪くないよ! 殺すけど」 でおなじみののるまあき。 久しぶりに長めの書けてよかった。 なお、このお話は余白あきさんの「人間の世界でゆっくりが見た夢」にインスパイア されています。 過去作品 anko429 ゆっくりほいくえん anko490 つむりとおねえさん anko545 ドスハンター anko580 やさしいまち anko614 恐怖! ゆっくり怪人 anko810 おちびちゃん用のドア anko1266 のるま anko1328 しょうりしゃなのじぇ anko1347 外の世界でデビュー anko1370 飼いドス anko1415 えーき裁き anko1478 身の程知らず anko1512 やけぶとりっ anko1634 かわいそうかわいそう anko1673 いきているから
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/48298.html
《理想の守護者マスティア》 ≡V≡ 光文明 (5) サイキック・クリーチャー:エンジェル・コマンド 5000 ■このクリーチャーが場に出た時または解除した時、墓地からコスト5以下の光か闇のクリーチャーを1体出すことができる。 ■シンカパワー:このクリーチャーが進化した時、このターンこのクリーチャーは相手のクリーチャーの能力を受けない。 ■覚醒:自分のターンの終わり、自分の場からこのクリーチャー以外の光と闇のコマンドを1体ずつ手札に戻してもよい。そうしたらこのクリーチャーをコストの大きい方に裏返す。 (ゲーム開始時、サイキック・クリーチャーは山札に含めず、自分の超次元ゾーンに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す) 覚醒後:《機構戦士 Alterミネルヴァ》 作者:リース族 フレーバーテキスト 次元を超えたその力は、マスティア自身に新たな力を与えた 収録 DMXU-03 「伝説の復活編 第3弾 激突!!次元超獣最終決戦」 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/akb44/pages/1420.html
倉科カナをお気に入りに追加 倉科カナとは 倉科カナの79%は罠で出来ています。倉科カナの10%は株で出来ています。倉科カナの6%は濃硫酸で出来ています。倉科カナの3%は華麗さで出来ています。倉科カナの2%は下心で出来ています。 倉科カナ@ウィキペディア 倉科カナ 倉科カナの報道 岡田将生、蜷川幸雄さんの言葉を胸に舞台出演「100%の状態で見ていただくために」 - 岩手日報 岡田将生、倉科カナを“カナさま”呼び 初共演も息ピッタリ「本当にステキな女優さん」(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナが大人気に?『ハンオシ』嫌われキャラから一転「消化不良だ…」 (2021年12月10日) - エキサイトニュース TBS秋ドラマ俳優陣のNGシーンを初公開! - テレビドガッチ 竹野内豊との別れから3年…倉科カナ33歳が“女が嫌う女”役がハマる理由(文春オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 観月ありさ 30年連続の連ドラ主演!“ドロキュン”「奪い愛」で記録更新、27~30日深夜放送(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ “私のための最高の一杯”に笑顔「まさに、情熱ですね!!!」(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『ハンオシ』倉科カナ、“1人2役”で魔性の女っぷりを発揮 「あざとかわいい」と称賛の声(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 坂口健太郎「色鮮やかなスーツで撮影姿」が放つ圧倒的オーラ!(FRIDAY) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「ハンオシ」新キャラ“Kana”で無邪気な姿を披露「ただただ可愛いだけ」の声(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、カジュアルなデニム姿 “ラーメンデート”風ショットに反響(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「?裸エプロン!?」倉科カナ、肌見せスタイルに反響「服どうなってるんですか?」 - ORICON NEWS <最新ヘアカタログ>広瀬アリスのダウンヘア 綾瀬はるかのまとめ髪 観月ありさはボブにイメチェン 川口春奈、田中みな実、杏、藤原紀香、中谷美紀、天海祐希も 後編(毎日キレイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「ハンオシ」倉科カナは田中みな実、松本まりかに並ぶ“あざとさ職人”?〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、“一皮むけた感”の正体は…「使命感のようなものが芽生えた」(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「金屏風に映える着物」で透明感たっぷり!爽やかな装いをプロが解説(婦人画報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「なんてお芝居ってステキなんだろう」演じることへの熱い思いを語る<舞台『ガラスの動物園』インタビュー>(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 坂口健太郎×倉科カナの“意味深2ショット”に「心がざわざわ」 『ハンオシ』オフショット(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、女優としての使命感 コロナ禍で感じたエンターテインメントの力とは? (1) - マイナビニュース 竹野内豊が片瀬那奈に続き研音を退所…「すわ結婚か?」とファンがザワつく(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 上白石萌音ショック!『カムカム』不調で蘇る“朝ドラ2000年代の悪夢”…NHKに求められる大転換(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 鈴木梨央「結の立場で向き合い、寄り添った」倉科カナ「命を救う方法があると伝えたい」 ドキュメンタリードラマ「命のバトン ~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~」 - nhk.or.jp 倉科カナの 魔性ぶり に怒り|ニフティニュース - ニフティニュース 倉科カナ「早朝の公園ロケ現場」で放った圧倒的オーラ(FRIDAY) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「あのときの悔しさを胸に、カンパニー一同2年前より良い作品を作っていこうと思います」~『お勢、断行』が22年に待望の上演 - http //spice.eplus.jp/ 倉科カナは“美胸”で飛躍!丙午が示すヤリ手の星とは?【美女に乗っかる金運アップ術】 - auone.jp 〈2021秋ドラ美女特集〉倉科カナ「婚姻届に判を捺しただけですが」an・anで魅せたバストに業界内からある期待が… (2021年10月31日) - エキサイトニュース バイプレイヤーの泉(77) 『ハンオシ』倉科カナ、恋のライバル役には無双なり…… - マイナビニュース 倉科カナ、にっこりピースSHOTに反響「美人で綺麗」「ショート激かわいい」 (2021年10月24日) - エキサイトニュース 思いがけない妊娠…倉科カナが寄り添う「命のバトン」 - 読売新聞 倉科カナ、着物姿にファン絶賛「和服美人で可愛い」「かわいい」 - スポーツ報知 倉科カナの「ぶるるんFバスト」15年史!(2)キレイな薄茶のぷっくり先端 (2021年10月17日) - エキサイトニュース 倉科カナ「衝撃手ブラ」『anan』からの大逆襲!10月クール「科捜研」「兄嫁」ドラマ2本の重要役と12月「大舞台」の女優道 - 日刊大衆 倉科カナ“バストの谷間あらわ”なブラックコーデに反響「セクシー過ぎる」「胸元無双」 - 日刊大衆 倉科カナ、田中圭にプチクレーム「私の扱いが雑」 安田顕も驚き(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、大胆胸元の美麗ショット「色っぽい!!」「女神!!美しすぎる」 - ORICON NEWS 倉科カナ 鈴木梨央の演技力を絶賛「瞬発的にグッと集中する力がすごい」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ジャンポケ・斉藤&倉科カナが2人にあのギャグをお披露目!? ブラックサンダー新WebCM「黒雷探偵事務所~怪盗ブラックを追って~」第六話本日公開!!遂に怪盗ブラックの正体が発覚!? - PR TIMES 倉科カナ、話題の「anan」表紙と見比べられて照れ笑い ファン「本当にキレイ」 - クランクイン! 倉科カナがアンバサダー 京都国際映画祭オンラインとリアル生かした新趣向 - ニッカンスポーツ 倉科カナ、上体ひねったら“もっとスゴかった”浮かび上がるEバスト輪郭 (2021年9月13日) - エキサイトニュース 倉科カナこそ「心身たくましくセクシー」…山西惇、井上ひさしさんの抱いた理想像「わかってきた」 - 読売新聞 <今週のファッションチェック>倉科カナ チェック柄トレンチ×スリットパンツで“探偵風”の秋コーデ(毎日キレイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、“同志”ジャンポケ・斉藤と再会2ショットに反響「最高の笑顔」(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「魅力的…どうやったら…」ジャンポケ斉藤慎二を誘惑? - ニッカンスポーツ 『刑事7人』シリーズを支える紅一点・倉科カナの“デキるマドンナ”ぶり(斉藤貴志) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「刑事7人」からぶっ通し!倉科カナ、10月期もドラマ2本”掛け持ち”の離れ業 (2021年9月3日) - エキサイトニュース 倉科カナが“Cカップ倉科です“とバストサイズ告白!?騒然「謎動画」の真相 - ニフティニュース 「運命的」原作読んでいた倉科カナ「婚姻届に判を捺しただけですが」出演 - ニッカンスポーツ 倉科カナ、「シコシコしすぎ!」シモ妄想が飛び交った“シェーカー動画” (2021年8月27日) - エキサイトニュース 倉科カナ、『刑事7人』バディ役・塚本高史へ感謝「相棒で良かった」 - マイナビニュース 中川翔子、倉科カナ&前田亜季の勧めでBTSにどハマり「テテの画像を保存しまくってる」 - E-TALENTBANK 倉科カナ、心身ボロボロで舞台降板のピンチ!ベテラン女優に救われる - RBB TODAY 倉科カナ、“召喚”動画がキュートすぎる!「可愛いからスベってない!」「むしろ召喚したい」ファンメロメロ - WEBザテレビジョン 倉科カナ、大胆露出の「肩出し青ドレス」の破壊力がスゴすぎた…! 「可愛すぎて反則です」の声 - 現代ビジネス 倉科カナ、チュールスカートをくるくる回し、天真爛漫な笑顔に「ただただ可愛いだけ」「無邪気すぎる」の声<ハンオシ> - モデルプレス 倉科カナ、美しい青ドレス姿披露 “照明イマイチ”でも「スタイルが最強」と称賛の声(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナは昔からかわいかった! 今と比べると……? - grape 倉科カナが新イメージキャラに! 『魔剣伝説』超夏祭りは7/22より開催 - 電撃オンライン 倉科カナ、花束に顔を寄せる姿が「感動的な美しさ」 ショートヘアの魅力あふれる笑顔が話題(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「魔剣伝説」,新たなイメージキャラクターに女優の倉科カナさんを起用 - 4Gamer.net 倉科カナ、10年の苦しさを乗り越えて「メッセージよりもエネルギーを与えたい」 - ウォーカープラス 倉科カナ、ベッド上でのチャーミングな姿に称賛「衝撃的可愛さ」「絶対真似できない!」(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 岡田将生、倉科カナ、竪山隼太、麻実れい出演 『ガラスの動物園』ビジュアルが公開 - http //spice.eplus.jp/ 倉科カナ、バストで生徒を弄んでいた?テニス部時代エピソードに噴出した妄想 (2021年7月2日) - エキサイトニュース 倉科カナ、「去年の今頃」10枚の写真公開 「肉まん持って、斧持って」の姿にファン喝采(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース デビュー15周年の倉科カナ「どんなキツイことでもやれる」 女優生活を支えた“朝ドラ”挑戦(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、キュートな“にゃんこ”ポーズに反響「凄い破壊力!!」「反則です」 - クランクイン! 篠原ゆき子×倉科カナ×高畑淳子、役に入り込みすぎた“女優たち”のメイキング映像 - ORICON NEWS 倉科カナ、闇を抱える役柄に共感「どう踏みとどまるかなんです」 - クランクイン! 『女たち』倉科カナ、雨の中泣き崩れる魂の演技 場面カット7点解禁 - クランクイン! 倉科カナ、キュートなウインクショットに反響「可愛さの極み」「キュン死確定」 - クランクイン! 倉科カナが6日にニッポン放送特番出演 - サンケイスポーツ 倉科カナの自撮り写真に「キュン死確定」「可愛さの極み」絶賛相次ぐ - 芸能 - ニッカンスポーツ 『七つの大罪』ファンの倉科カナ、ゲスト声優オファーに「夢かな?」と驚き - クランクイン! 竹野内豊、倉科カナとの結婚回避で“ゲイ疑惑”が浮上するも真相は嫁姑問題か【芸能界、別れた二人の真相】 (2021年4月18日) - エキサイトニュース 倉科カナ:舞台稽古の合間に「YouTubeで痩せるダンス」 中川翔子&前田亜季と同じ楽屋で「家族みたいに」 - 毎日キレイ 倉科カナ「想像と違う。。笑」 桜にはしゃぐキュートな姿にネット「可愛すぎかよ!」 - クランクイン! 倉科カナ『七つの大罪』でアニメ映画声優に初挑戦 女神族を総べる“最高神”役「気を引き締めて」 - ORICON NEWS “楽器できない”倉科カナ、ヴァイオリン始めた結果… (2021年3月29日) - エキサイトニュース 倉科カナ、オフ感満載の“稽古着”トレーナー姿に「可愛すぎる」の声 - クランクイン! 倉科カナ、せっかちすぎて着替えはイリュージョン「見られて困るものはない」 | Smart FLASH[光文社週刊誌] - SmartFLASH 倉科カナ、笑顔満開『ボス恋』クランクアップショット 「お疲れ様でした」「寂しい」の声 - クランクイン! Gカップより艶っぽい!?倉科カナが見せた「スベスベ&ほっそり美脚」の魅力! (2021年3月12日) - エキサイトニュース 倉科カナ「抜け殻状態」 撮影後もバイオリン練習で「知恵熱」 おでこ冷却シート姿に「かわいい」 - スポニチアネックス Sponichi Annex 「マウンティングに聞こえちゃう」 「ボス恋」倉科カナ演じる理緒の「地雷女」ぶりに視聴者やきもき - J-CASTニュース 倉科カナ、『3月のライオン』“あかりさん”と再会ショットに反響 - クランクイン! 倉科カナ、ミニスカ&ハイヒールでキュートな笑顔 ネット絶賛「足が細すぎる!!」 - クランクイン! 倉科カナが語った「共演率高い…私にとって女優のお母さん」 - スポニチアネックス Sponichi Annex 倉科カナに千鳥・大悟「かわいい顔してますねぇ」 (2021年3月1日) - エキサイトニュース 「プレゼントはわ・た・し」倉科カナ 美背中あらわな肩出しドレス姿で小悪魔発言 - FNNプライムオンライン 『ボス恋』ラストシーンに「修羅場すぎる」の声 倉科カナのショートヘアにも反響 - クランクイン! 倉科カナ「もうこの頃はがむしゃら」デビュー1年後の写真公開 | 芸能 | ABEMA TIMES - AbemaTIMES 倉科カナ、振り向きざまのキメ顔にネット歓喜「イイ女発見」 - クランクイン! 倉科カナ:デビュー15周年記念で10年ぶりカレンダー “美背中ショット”も - MANTANWEB 倉科カナ、オフの日は「ゴロゴロしてる」干物女ぶりにSNS盛り上がる | Smart FLASH[光文社週刊誌] - SmartFLASH 倉科カナ、久々のロングヘア姿を公開 「長い髪もいい」と反響 - クランクイン! 倉科カナが33歳に、「もっともっと幸せになりますっ!」 (2020年12月23日) - エキサイトニュース 倉科カナ、上白石萌音の恋のライバルに!?「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」 - cinemacafe.net 『ルパンの娘』倉科カナ&塚本高史のサプライズ出演に驚きの声「なにこの贅沢な使い方!」 - クランクイン! 倉科カナをキャッシュ サイト名 URL 倉科カナの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る 倉科カナのリンク #blogsearch2 ページ先頭へ 倉科カナ このページについて このページは倉科カナのインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される倉科カナに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/idle/pages/318.html
名前 倉科 カナ ふりがな くらしな かな 生年月日 1987年12月23日 血液型 O型 出身地 熊本県熊本市 公式ファンサイトURL 倉科カナオフィシャルサイト 主な活動 最新ニュース TBS秋ドラマ俳優陣のNGシーンを初公開! - テレビドガッチ 10代の妊娠・出産という難役に挑戦。『命のバトン』主演鈴木梨央さんインタビュー|VERY(magacol) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 岡田将生、倉科カナ、麻実れいが描くいびつな家族像。上村聡史演出『ガラスの動物園』稽古場レポート(ぴあ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 竹野内豊との別れから3年…倉科カナ33歳が“女が嫌う女”役がハマる理由(文春オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 清野菜名、無垢な“すっぴん”公開「小学生のような目で…」 ファン絶賛「可愛すぎる」「女優さんは違うね」(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 観月ありさ 30年連続の連ドラ主演!“ドロキュン”「奪い愛」で記録更新、27~30日深夜放送(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ “私のための最高の一杯”に笑顔「まさに、情熱ですね!!!」(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、桜井木穂、伊織もえ、本郷柚巴…2021年を彩った「巨大バスト美女」たち - アサ芸プラス 倉科カナの一人二役に驚がく|ニフティニュース - ニフティニュース 『ハンオシ』倉科カナ、“1人2役”で魔性の女っぷりを発揮 「あざとかわいい」と称賛の声(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 坂口健太郎「色鮮やかなスーツで撮影姿」が放つ圧倒的オーラ!(FRIDAY) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 岡田将生が博多座初登場!意気込み語る「温かく歓迎してもらえるように頑張る」(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「ハンオシ」倉科カナが一人二役で登場 「香菜さんが怖過ぎる」「めっちゃ演技うまい」 - goo.ne.jp 倉科カナ、カジュアルなデニム姿 “ラーメンデート”風ショットに反響(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「?裸エプロン!?」倉科カナ、肌見せスタイルに反響「服どうなってるんですか?」 - ORICON NEWS 今期は豊作!主演タレントから読み解く絶対見るべき「秋ドラマ」(FRIDAY) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <最新ヘアカタログ>広瀬アリスのダウンヘア 綾瀬はるかのまとめ髪 観月ありさはボブにイメチェン 川口春奈、田中みな実、杏、藤原紀香、中谷美紀、天海祐希も 後編(毎日キレイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <最新ヘアカタログ>石原さとみのショート 深田恭子、みちょぱのアレンジヘア 倉科カナ、前田敦子、松本まりか、吉岡里帆、宇垣美里、福原遥も 前編(毎日キレイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「ハンオシ」倉科カナは田中みな実、松本まりかに並ぶ“あざとさ職人”?〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「金屏風に映える着物」で透明感たっぷり!爽やかな装いをプロが解説(婦人画報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「なんてお芝居ってステキなんだろう」演じることへの熱い思いを語る<舞台『ガラスの動物園』インタビュー>(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 坂口健太郎×倉科カナの“意味深2ショット”に「心がざわざわ」 『ハンオシ』オフショット(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、女優としての使命感 コロナ禍で感じたエンターテインメントの力とは? (1) - マイナビニュース 婚姻届に判を捺しただけですが:第5話 “百瀬”坂口健太郎、「うちにいればいい」と“美晴”倉科カナに 3人同居スタート - MANTANWEB 竹野内豊が片瀬那奈に続き研音を退所…「すわ結婚か?」とファンがザワつく(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 鈴木梨央「結の立場で向き合い、寄り添った」倉科カナ「命を救う方法があると伝えたい」 ドキュメンタリードラマ「命のバトン ~赤ちゃん縁組がつなぐ絆~」 - nhk.or.jp 倉科カナの 魔性ぶり に怒り|ニフティニュース - ニフティニュース 倉科カナ「早朝の公園ロケ現場」で放った圧倒的オーラ(FRIDAY) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「あのときの悔しさを胸に、カンパニー一同2年前より良い作品を作っていこうと思います」~『お勢、断行』が22年に待望の上演 - http //spice.eplus.jp/ 倉科カナは“美胸”で飛躍!丙午が示すヤリ手の星とは?【美女に乗っかる金運アップ術】 - auone.jp 〈2021秋ドラ美女特集〉倉科カナ「婚姻届に判を捺しただけですが」an・anで魅せたバストに業界内からある期待が… - アサ芸プラス バイプレイヤーの泉(77) 『ハンオシ』倉科カナ、恋のライバル役には無双なり…… - マイナビニュース 倉科カナ、パジャマ姿で“ゆる~い”一発芸を披露「恥じらっている感じにキュン」「世界一かわいい一発芸」の声<ハンオシ> - WEBザテレビジョン 思いがけない妊娠…倉科カナが寄り添う「命のバトン」 - 読売新聞 倉科カナ、着物姿にファン絶賛「和服美人で可愛い」「かわいい」 - スポーツ報知 倉科カナの「ぶるるんFバスト」15年史!(2)キレイな薄茶のぷっくり先端 - アサ芸プラス 倉科カナ「衝撃手ブラ」『anan』からの大逆襲!10月クール「科捜研」「兄嫁」ドラマ2本の重要役と12月「大舞台」の女優道 - 日刊大衆 倉科カナ“バストの谷間あらわ”なブラックコーデに反響「セクシー過ぎる」「胸元無双」 - 日刊大衆 倉科カナ、田中圭にプチクレーム「私の扱いが雑」 安田顕も驚き(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【目の眩むほどの輝き!】カルティエ×倉科カナが美しすぎて。(FORZA STYLE) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、大胆胸元の美麗ショット「色っぽい!!」「女神!!美しすぎる」 - ORICON NEWS 倉科カナ 鈴木梨央の演技力を絶賛「瞬発的にグッと集中する力がすごい」(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ジャンポケ・斉藤&倉科カナが2人にあのギャグをお披露目!? ブラックサンダー新WebCM「黒雷探偵事務所~怪盗ブラックを追って~」第六話本日公開!!遂に怪盗ブラックの正体が発覚!? - PR TIMES 倉科カナ、話題の「anan」表紙と見比べられて照れ笑い ファン「本当にキレイ」 - クランクイン! 倉科カナがアンバサダー 京都国際映画祭オンラインとリアル生かした新趣向 - ニッカンスポーツ 倉科カナこそ「心身たくましくセクシー」…山西惇、井上ひさしさんの抱いた理想像「わかってきた」 - 読売新聞 <今週のファッションチェック>倉科カナ チェック柄トレンチ×スリットパンツで“探偵風”の秋コーデ(毎日キレイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、お茶目な監督なりきりぶりに「可愛すぎてニヤニヤしちゃう」の声 - WEBザテレビジョン 倉科カナ、“同志”ジャンポケ・斉藤と再会2ショットに反響「最高の笑顔」(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ「魅力的…どうやったら…」ジャンポケ斉藤慎二を誘惑? - ニッカンスポーツ 『刑事7人』シリーズを支える紅一点・倉科カナの“デキるマドンナ”ぶり(斉藤貴志) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「刑事7人」からぶっ通し!倉科カナ、10月期もドラマ2本”掛け持ち”の離れ業 (2021年9月3日) - エキサイトニュース 倉科カナが“Cカップ倉科です“とバストサイズ告白!?騒然「謎動画」の真相 - ニフティニュース 「運命的」原作読んでいた倉科カナ「婚姻届に判を捺しただけですが」出演 - ニッカンスポーツ 田中圭×安田顕「らせんの迷宮」クランクアップ、倉科カナら捉えた場面カット到着(コメントあり) - 映画ナタリー 倉科カナ、「シコシコしすぎ!」シモ妄想が飛び交った“シェーカー動画” (2021年8月27日) - エキサイトニュース 倉科カナ、『刑事7人』バディ役・塚本高史へ感謝「相棒で良かった」 - マイナビニュース 中川翔子、倉科カナ&前田亜季の勧めでBTSにどハマり「テテの画像を保存しまくってる」 - E-TALENTBANK 倉科カナ、心身ボロボロで舞台降板のピンチ!ベテラン女優に救われる - RBB TODAY 倉科カナ、大胆露出の「肩出し青ドレス」の破壊力がスゴすぎた…! 「可愛すぎて反則です」の声 - 現代ビジネス 倉科カナ、チュールスカートをくるくる回し、天真爛漫な笑顔に「ただただ可愛いだけ」「無邪気すぎる」の声<ハンオシ> - モデルプレス 倉科カナ、ノースリーブから“美腕”あらわ「反則です」「スタイルが最強」 - ORICON NEWS 倉科カナは昔からかわいかった! 今と比べると……? - grape 倉科カナが新イメージキャラに! 『魔剣伝説』超夏祭りは7/22より開催 - 電撃オンライン 倉科カナ、花束に顔を寄せる姿が「感動的な美しさ」 ショートヘアの魅力あふれる笑顔が話題(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「魔剣伝説」,新たなイメージキャラクターに女優の倉科カナさんを起用 - 4Gamer.net 倉科カナ、10年の苦しさを乗り越えて「メッセージよりもエネルギーを与えたい」 - ウォーカープラス 倉科カナ、タオルで髪をゴシゴシ オフ感あふれる笑顔ショットに「可愛すぎる」と絶賛の声(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 岡田将生、倉科カナ、竪山隼太、麻実れい出演 『ガラスの動物園』ビジュアルが公開 - http //spice.eplus.jp/ 倉科カナ、「去年の今頃」10枚の写真公開 「肉まん持って、斧持って」の姿にファン喝采(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース デビュー15周年の倉科カナ「どんなキツイことでもやれる」 女優生活を支えた“朝ドラ”挑戦(クランクイン!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 倉科カナ、キュートな“にゃんこ”ポーズに反響「凄い破壊力!!」「反則です」 - クランクイン! 篠原ゆき子×倉科カナ×高畑淳子、役に入り込みすぎた“女優たち”のメイキング映像 - ORICON NEWS 倉科カナ、闇を抱える役柄に共感「どう踏みとどまるかなんです」 - クランクイン! 『女たち』倉科カナ、雨の中泣き崩れる魂の演技 場面カット7点解禁 - クランクイン! 倉科カナ、キュートなウインクショットに反響「可愛さの極み」「キュン死確定」 - クランクイン! 倉科カナが6日にニッポン放送特番出演 - サンケイスポーツ 倉科カナの自撮り写真に「キュン死確定」「可愛さの極み」絶賛相次ぐ - 芸能 - ニッカンスポーツ 『七つの大罪』ファンの倉科カナ、ゲスト声優オファーに「夢かな?」と驚き - クランクイン! 竹野内豊、倉科カナとの結婚回避で“ゲイ疑惑”が浮上するも真相は嫁姑問題か【芸能界、別れた二人の真相】 (2021年4月18日) - エキサイトニュース 倉科カナ:舞台稽古の合間に「YouTubeで痩せるダンス」 中川翔子&前田亜季と同じ楽屋で「家族みたいに」 - 毎日キレイ 倉科カナ「想像と違う。。笑」 桜にはしゃぐキュートな姿にネット「可愛すぎかよ!」 - クランクイン! 倉科カナ『七つの大罪』でアニメ映画声優に初挑戦 女神族を総べる“最高神”役「気を引き締めて」 - ORICON NEWS “楽器できない”倉科カナ、ヴァイオリン始めた結果… (2021年3月29日) - エキサイトニュース 倉科カナ、オフ感満載の“稽古着”トレーナー姿に「可愛すぎる」の声 - クランクイン! 倉科カナ、せっかちすぎて着替えはイリュージョン「見られて困るものはない」 | Smart FLASH[光文社週刊誌] - SmartFLASH 倉科カナ、笑顔満開『ボス恋』クランクアップショット 「お疲れ様でした」「寂しい」の声 - クランクイン! 倉科カナ「抜け殻状態」 撮影後もバイオリン練習で「知恵熱」 おでこ冷却シート姿に「かわいい」 - スポニチアネックス Sponichi Annex 「マウンティングに聞こえちゃう」 「ボス恋」倉科カナ演じる理緒の「地雷女」ぶりに視聴者やきもき - J-CASTニュース 倉科カナ、『3月のライオン』“あかりさん”と再会ショットに反響 - クランクイン! 倉科カナ、ミニスカ&ハイヒールでキュートな笑顔 ネット絶賛「足が細すぎる!!」 - クランクイン! 倉科カナが語った「共演率高い…私にとって女優のお母さん」 - スポニチアネックス Sponichi Annex 「プレゼントはわ・た・し」倉科カナ 美背中あらわな肩出しドレス姿で小悪魔発言 - FNNプライムオンライン 『ボス恋』ラストシーンに「修羅場すぎる」の声 倉科カナのショートヘアにも反響 - クランクイン! 倉科カナ「もうこの頃はがむしゃら」デビュー1年後の写真公開 | 芸能 | ABEMA TIMES - AbemaTIMES 倉科カナ、振り向きざまのキメ顔にネット歓喜「イイ女発見」 - クランクイン! 倉科カナ:デビュー15周年記念で10年ぶりカレンダー “美背中ショット”も - MANTANWEB 倉科カナ、久々のロングヘア姿を公開 「長い髪もいい」と反響 - クランクイン! 倉科カナ、上白石萌音の恋のライバルに!?「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」 - cinemacafe.net 『ルパンの娘』倉科カナ&塚本高史のサプライズ出演に驚きの声「なにこの贅沢な使い方!」 - クランクイン! 面白エピソード 今はありません。 もし持っている方がいらっしゃいましたら、下のメモ欄に書いて教えてください。 目撃情報 ここで見た。 または見間違えかも知れないけど、 似た人を見たという方はぜひお願いします。 どんな小さな情報でも載せていきます。 ※プライバシーに関わることは載せません。 リリースCD ASINを正しく入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 ASINを正しく入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 ASINを正しく入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 ASINを正しく入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 ASINを正しく入力してください。 videoプラグインエラー 正しいURLを入力してください。 アルバム DVD 書籍
https://w.atwiki.jp/imassousaku/pages/104.html
「プロデューサーは……軽い冗談が自分の手の届かないところで大ごとになってしまったことって、 あります?」 「……なんだって?」 お互い別行動だった昨日、なにかがあったらしい。今朝から律子の様子がおかしかった。 今日は幸い打ち合わせ関係ばかりでカメラに写る仕事は入っておらず、この妙にやつれたご面相 を全国に発信することにはならなかったが……いつまでもこのままではいるわけにもいくまい。 渋る彼女をなだめたりすかしたりの挙句、今しがたのように律子が口火を切る気になったのは もう日暮れ間近になってからだった。一服の名目で入った喫茶店、アイスティーを一口飲んで 律子が言葉を継ぐ。 「うーん、たとえば、ほんの冗談で『あなたの家が火事よ』って嘘をついたら消防車を呼ばれたとか。 『なんでも当たる占い師です』って普通のおばさんを紹介したら全国から人が集まってしまったとか」 「ふむ、プラシーボ効果ねえ」 「……それ、お医者さんから『これは血圧の薬だ』って言われて薬を渡されると、実はビタミン剤 でも高血圧の人が一時的に降圧したりするっていうのですよね。こういうことにも言うんですか?」 「拡大解釈気味だがね。あの理論のキモのひとつは『権威のある人物の言う言葉には相応の影響力 がある』という部分なんだ」 その効果を確認する実験にしても、八百屋の親父に薬を渡されたところで信じる被験者はいまい。 白衣の研究者がもっともらしい説明とともに渡した薬だから、効能を発揮するのだ。 「そうだな、たとえば高木社長がテレビ局のお偉いさんに『この人物は信頼できる、腕の立つ プロデューサーです』と、さっき街で出会ったばっかりの若造を紹介したとする」 「ふふ、プロデューサーの話ですよね、たとえ話じゃなくて」 ようやく笑みがこぼれるのを見て、会話の方向性はこうであったかと内心で胸をなでおろした。 「どうかな。するとその人物が思いつきで語った『理系アイドルVS文系アイドル・ディベート大合戦』 なんて企画が本当に番組になるわけだ」 「で、その後で担当することが決まった事務員兼任アイドル候補生がオーディションに駆り出される ことになるわけですか」 「お前が候補生で本当に良かった……いや、あくまでたとえ話だぞ」 「はいはい、そういうことにしておきます」 もちろんその番組制作に、その日プロデューサーになったばかりの俺は関与していない。実際 にはディベートではなくクイズバトルになったし、どういうわけだかプールで水着で収録されたその 番組はしかし、視聴率が取れたのでパート2が作られ、パート3の制作も決定した。後に社長から 裏話を聞いて、見出された恩を少しでも返せたかと喜んだ記憶がある。新人アイドルだったがゆえに ねちっこいカメラアングルを拒否できなかった律子からはしばらくブツクサ言われ続けたのだが、 と、いやこれは脱線だ。律子に話題を振り返す。 「で?お前は誰に何をどう吹っかけたんだ?社長みたいに『俺が敏腕プロデューサーだ』って ハリウッドにでも売り込んだのか?」 「私の身が滅びますよ、そんなことしたら。……んー、ええと」 しばし目を泳がせて、たとえ話ですよ、と改めて念を押す。 「あるところに、タカラヅカ系って言うか、ぱっと見カッコいい王子様タイプの女の子がいて、女の子 らしい立ち居振る舞いに憧れているとします」 「……真がなにかやらかしたのか?」 「ち、違いますよ逆です、たとえ話って言ったじゃないですか」 「あ、そーか」 「もうっ。で、その子が『女の子らしさを勉強したい』って相談に来たので、アイドル事務所を紹介したら」 「オーディションで落とされて、その子がふさぎこんだ?」 「社長が即採用しちゃったんです……女の子なのに、男性アイドルとして」 「あちゃあ」 現在の芸能界は少々のことはすべて話題性や個性と受け取る風潮がある。もと男性の女性タレント がいたり、逆の事例があったり、この業界では男か女かといったことは、八重歯のあるなし程度の 個性にしか過ぎないのだ。もっとも、真剣に悩んだ結果この世界に救いを見出した、という者も 存在するので全てを悪と切って捨てることは出来ないが……。 「……こうなるはずじゃなかった、って感じなのか。律子にとって」 「その場の状況から結末は読めたんですけど、ここまでとんとん拍子に進むとは思ってなくて ……あの、あくまでたとえ話ですよ?」 「わかってるって。エッセンスはこうだ、『お前はちょっとノリ過ぎた』、そうだろ?」 実際の経緯がどうあれ、その過程で律子は誰かを巻き込んでしまったのだろう。普段なら冗談は 冗談で済むよう手回しできる彼女が、場に流されて収拾をつけられなかったということなのだ。 「その子は本意でない仕事をさせられて困ってるんだな。で、お前はそれを気に病んでゆうべは 一睡もできなかったと」 「……あはは、バレてましたか」 「アイドルが目の下にクマってのはいただけないな。そんなに深刻なのか?」 「まあ、私としては少々戸惑ってます」 ことの軽重を度外視するなら、こういう事は実はよくある話だ。うっかり吹いた自慢話に食いつかれたり、 誰も聞いていないと思った愚痴を広められてしまったり。プラスの影響もあるのが噂話の侮れない ところだが、彼女はそのマイナス部分を相当シリアスに受け取っている。具体的になにが起きたか は示されていないが、人に笑顔を与える人気者商売は心配事を抱えたままやっていけるものではない。 「リアルな話をするが、損害賠償とか訴訟に発展しそうか?」 「いえ、まだそういうレベルでは」 「なら、全部ぶちまけて、謝ってすっきりするべきではないか?俺が足しになるんなら一緒に頭を 下げるが」 「それができれば、一番いいんでしょうね」 「……できないってことか?」 「はぁ」 テーブルに目を落とした律子が、上目遣いで俺を見る。 「本人が……やる気になっちゃいまして」 「ハイ?」 「私、その子を励ましちゃったんです。意にそぐわない正反対の仕事にこそ真実がある、って」 「……問題点を整理したいのだが、いいか?」 つまり、このたとえ話の内容は、こういうことだ。 1.女らしさを身に付けたい女の子が律子を頼ってきたが、律子が紹介した事務所はその子を 男性アイドルとして評価した。 2.事務所の社長は『律子の紹介なら』とその子を採用したが、律子の思惑とは裏腹に彼女を 男性アイドルとして売り出すことにしてしまった。 3.女の子は『話が違う』と律子に抗議したが、成り行き上律子は『男の子を演じることで男の子の 理想像をつかむことができる』と説得し、女の子も『律子がそう言うなら』ととりあえず男性アイドルの トップを目指す気になってしまった。 「……こんなところ?」 「はい」 「つまり律子先生は今回、ニセ薬を合計二人に処方したってわけか?」 「そう、なりますかね」 「登場人物の誰一人として困っていないようなのだが」 「私が困ってるんですっ!」 「あー了解」 律子としては、自分のプラシーボがここまで有効に作用して、今さら引っ込みがつかないのだ。 このままその子が挫折すれば律子のせい、どこかで秘密がバレても律子のせいになる。逆にこの プロジェクトが成功しても、真実を話せない律子に手柄は届くまい。 「でもアレだぞ?この話の中で悪いのは事実をネジ曲げた事務所社長だぞ?お前は知らんふりか、 なんならその子の側に立って被害者を演じる事だってできる」 「でもあの子には」 「最終的に決断したのは本人だ。たとえ律子の説得でも、本当に嫌なら断われたはずだ」 「でも……でもっ」 いつもなら、整然と論理を詰めるのは律子で、感情論で立ち向かうのは俺だ。義理人情で問題を ややこしくするのは俺で、損得を計算して冷静にことに当たるのは律子だ。それがどうしたことか、 今日だけは立場が逆だった。 手元のコーヒーを飲み干し、俺は言った。 「よし、わかった」 本当はなにもわかってなどいない。たとえ話の応酬で始まった会話は、組み合わさっていない ピースをいじるだけの成果のない遊びになっていた。しかし、その中にもゆるぎない事実がある。 いま、律子が困っている、ということだ。 「ならばこうだ。律子、お前も根性を決めろ」 そして、彼女が困っているのなら、俺はどんなことをしても彼女を助けるのだ。 律子はさっき『違いますよ、逆です』と言った。ということは、たとえ話は全くの絵空事ではないのだ ろう。ある点では彼女の話したとおりのことが起きているのだ。 「この話の最大の問題は、お前の手から離れたところでものごとが進んでいるという点だ。なら これを解決するのにベストの手段がある。律子、お前が事態を掌握するんだ」 「え、だ、だって」 「お前のたとえ話で二つ確かなことがあった。事務所社長と女の子が、お前を信頼しているという ことだ。ここに間違いはないな?」 「は、はい」 「それなら話は簡単だ。お前はその両方に食い下がれ」 秋月律子という人物の長所はその企画立案能力で、短所はその硬直性だ。計算が思い通りに いった時の効果は抜群だが、想定外の事態に対処できない。今回はその想定外の事態が 起きているのだ。 「その子の事務所に割って入って、その子に有利なプロモーションを奪い取れ。そしてその子を 指導して事実を隠蔽する能力を磨き、男とか女とかじゃない人間としての魅力を高めてやるんだ」 「で、でもよその事務所――」 「紹介したのは律子だろう、いわば保護者で後見人だ。お前にはその権利も義務もある」 「あの子にだって自分の考えが――」 「アイドルでいく道を選んだのは本人だ、その分野ではお前がはるかに先輩だろう?お前の知識と 経験から可愛い後輩にもっとも効率的な方法を指導してやるのは、むしろお前の使命じゃないのか?」 そしてその想定外の事態に対処するのがいつもの俺の役割だった。彼女が昨日、どこかで やらかした計算違いを、いま俺が補ってやるのだ。 「もちろん、おおっぴらにやったらカドが立つ。そいつを密やかにスムースに行なうのが、お前の プロデュース能力の発揮しどころだぞ」 「私の……プロデュース能力?」 「そうだよ、アイドル兼プロデューサー見習い・秋月律子どの。いまからお前は、その子の影の プロデューサーだ」 律子の目標はトップアイドルではなく、プロデューサーだ。その子にしても、わざわざ律子を 頼ってきたのは彼女のことを心得ているからにほかならない。それに、律子が全てをご破算に するのをためらう理由のひとつも、きっとここにある。 「お前には、その子をこの世界に誘った責任がある。その子に決意を固めさせた責任がある。 違うか?」 「……違っては、いないと思います」 「よし。ならば責任を果たすべきだ」 本人が意識しているか否かは置いて、律子は自分の手でアイドルをプロデュースしたいと思って いるのだ。 「律子、お前は今日からアイドル・秋月律子であると同時にプロデューサー・秋月律子だ。俺と 一緒にアイドルとしてのトップを目指し、そしてその子をトップアイドルにすべく導いてやるんだ」 律子の動きが止まっていた。躊躇しているのではない。テーブルを見つめる視線に迷いがない のがわかる。俺の説明をシミュレートし始めているのだ。 「うわー、これは……まいりましたね」 「大変だぞ。俺はもちろんお前のプロデュースの手を抜く気はないし、お前がトップを目指せない のならその子への説得力にならない」 「個人的な電話、かける時間くらいはいただけますか?」 「お前の心がけ次第だけどな。できるか?」 「……できます。やります」 再びこちらを見つめた視線にはもう迷いはない。『まいった』なんて嘘っぱちだ。楽しくてしょうが ないという表情になっている。 「あの子に関しては確信があります。絶対いいアイドルになる。あとは私の方ですけど……確かに、 ちゃんとやらなきゃ示しがつきませんからね」 「嬉しいね。ともかく、お前がアイドル頑張る気になったのが」 「なに言ってるんですか。これまでだって頑張ってましたよ」 飲みさしの紅茶をぐっとあおって、律子は立ち上がった。 「さて、そうなるとこんなところで油売ってるわけには行かないか。今日は上がりでよかったですよね?」 「ああ」 「お先に失礼します。二、三連絡をしておきたいので」 「お疲れさん。勘定はやっておく」 「すみません。でも経費清算は早くお願いしますよ?」 「はいはい」 律子を見送り、俺も荷物をまとめた。彼女だけでなく、俺も当然やることがある。これから事務所に 戻るつもりだった。 「……まるで医者の不養生だな。正確にはニセ医者だが」 『プラシーボ効果のキモ』にはもうひとつの側面がある。潜在能力の発露だ。 的確なアドバイスとともに与えられたビタミン剤は、その人物が本来持っている自己治癒力を 呼び覚まし、たとえば高血圧治療や、場合によっては腫瘍すら小さくしてしまう。病気に限ったこと ではない。記憶力や体力、あるいは……プロデュース能力にもこのニセ薬は有効なのだ。 誰かを指導する素質も能力もある律子だが、苦手なこともある。それは自分を鼓舞することだ。 人の才能を見抜いて的確なアドバイスができるくせに、自分に関してはコンプレックスの塊。そんな 彼女にプラシーボを処方できるのが、俺の数少ない取り柄だった。 これからはきっと忙しくなる。アイドルのプロデュースにプロデューサー見習いの指導。その どちらもトップレベルを要求されるに違いない。事務所に戻ったら、スケジュールの再調整をして みるつもりだった。 しかしそれで律子が満足するなら、俺には本望だろう。達成感に満ちた彼女の笑顔は今度は、 俺のやる気への特効薬になる。 「……これまたプラシーボだけどな、へっへっへ」 先の楽しみを想像しながら、俺は店をあとにした。 おわり
https://w.atwiki.jp/bu-nnaitou/pages/5.html
vip3848.jpg
https://w.atwiki.jp/angelbeats_pcgame/pages/29.html
条件 かなででHなことを想像したの条件を満たす。 松下ルートの似顔絵をかく選択で「俺」を選択。
https://w.atwiki.jp/watchmatome/pages/12.html
青目の巣 掲示板 理想郷を語る掲示板 理想郷を騙る(ヲチ・ボード) HPとブログ WHITE DRAGON(青目サイト) BLUE EYES1(赤Xサイト) BLUE EYES2(赤Xサイト) RED WARRIOR1(青目ブログ) RED WARRIOR2(青目ブログ) RED WARRIOR3(青目ブログ) 騙りブログ みあっちの部屋