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「痛っ!」 「大丈夫かベル?」 アイスランドに向かう船の上で、ベール=ゼファーは足を挫いてしまっていた。 恐らく、船の上の水が凍っていたのだろう。 「足を挫いたようだな仕方ない」 「ちょ、ちょっと何するのよ///」 そう言うと黒はベルをお姫様抱っこし始めた。 黒のたらしの発動である。 「船室まで運ぶだけだ」 「ひ、一人で歩けるわよ///」 「下手に歩けば悪化する。治療するまで待て」 そう言うと、黒は船室にベルをお姫様抱っこで運んでいった。 実際は飛べば済む話なのだが、ベルは綺麗さっぱり忘れていた。 「ぐが8ァァァ!!!」 そんな中、この光景を見た8/は吐血して倒れた。 恐らく黒のたらしを見て、モテない男の禁断症状が出たのだろう。 「大丈夫か?」 近くに居たルシフェルは8/に駆け寄るが、8/は更に吐血し体はピクピクと痙攣している。 それを見て完璧に手遅れと判断したルシフェルはあろうことか、8/の支給品を全て回収した後、8/を海に投げ捨てた。 「私の能力が制限されていなければ……。冥福を祈るよ」 そう呟くと、ルシフェルはアンクと共に黒が用意した夕食を食べ始めるのであった。 【二日目・1時50分/海上】 【ベール=ゼファー@ナイトウィザード】 【状態】ぽんこつ、アンゼロットに怒り、黒にたらされてる 【装備】船 【道具】支給品一式 【思考】基本:主催者とアンゼロットを殺す 0:足の治療をしてもらう 1:手駒を集める 2:黒と行動する 3:インデックス達を殺した三沢はいずれ殺す 4:土蜘蛛を警戒 5:アイスランドに向かいアンゼロットを殺す 【黒@DARKER THAN BLACK -黒の契約者-】 【状態】疲労(小)、たらし発動(本人無自覚) 【装備】ナイフ、ワイヤー、黒いコート、釣り道具 【道具】支給品一式、仮面、病院で回収した医療道具、車 【思考】基本:ゲーム脱出 0:ベルの足の治療をする 1:銀を探す 2:ベルと行動する 3:三沢…… 4:土蜘蛛を警戒 5:仕方ないのでアイスランドに向かう ※黒がガラスをぶち破ると自動的に『覚醒ヒロイズム』が流れます 【アンク@仮面ライダーオーズ】 【状態】完全復活前 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、不明支給品 【思考】 基本:アイスを食べる 0;アイスランドに向かいアイスを手に入れる 1:完全復活を目指す 2:映司は見捨てる 3:他のグリードから自分のコアメダルを上手く奪う 4:この殺し合い……まさか、鴻上の仕業かと思ったがアンゼロットて奴の仕業だったのか…… 5:アイスランドならアイスがある筈だ。何せアイスランドだからな 6:夕食を食う 【ルシフェル@エルシャダイ】 【状態】健康 【装備】黒いスーツ@エルシャダイ、ジオメカルトリカルサイファー 【道具】長野県の地図@現実 支給品一式、8/の支給品 【思考】基本:主催を倒して世界を救う。神は絶対だからね。 1:ベール=ゼファーを手伝う 2:能力が制限されているがどうしたものか…… 3:武器が手に入ったぞ。ラッキーだ 4:冥福を祈るよ 5:後でベルと黒に8/の事を伝えなければ 6:一先ず夕食を食おう 「あれ、ここ8?」 吐血した8/は目を覚ました。 「何処だここ?」 8/は周りを見渡す。まったく見覚えが無い景色ばかりだった。 「目が覚めましたか?8/……」 「お、お前は……」 8/に話しかけてきたのは、鬼と化した初音ミクであった。 「なんでお前がここに……」 「それは、こちらの台詞ですよ。何で貴方が竜宮城に居るんですか?まあ、私は貴方をいたぶれれば、それで良いですけど」 「り、竜宮城……?」 そうルシフェルによって海に突き落とされた後、8/は竜宮城に流れついたのだ。 「冗談じゃねええええええ!!!!」 8/は咄嗟に起き上がりミクから逃げようとする。しかし――。 「逃がしません!」 「全てはミク様の為に!!」 首輪を付けた全裸の美女達が8/を押さえつける。 「な、なんで裸なんだよ……」 「私の趣味ですよ。ここに居た連中は全て私が調教してあげましたから……」 「なん……だと……」 「乙姫、早く連れて行きなさい。さあて貴方はどういう風に調教してあげましょうか?」 (や、やばいだろ……これ。後ルシフェルは絶対に許さねえ……) 絶体絶命のピンチ!果たして8/はここから逃げることが出来るのか! 【二日目・1時50分/竜宮城】 【8/@TCBR】 【状態】全身にダメージ(中)右腕にダメージ(大)、全身に打撲の痕、ミクに恐怖、正義に目覚めた 【装備】ルシフェルに盗られた 【道具】ルシフェルに盗られた 【思考】基本:打倒アンゼロット!!!! 1:に、逃げないと…… 2:無事に逃げれたらルシフェルはぶん殴る 3:ベル、黒と合流したいが…… ※ファントムのことを10/だと思っています。 【初音ミク@VOCALOID】 【状態】鬼、ドS 【装備】ヒートロッド、アームドセイバー@仮面ライダー響鬼 【道具】支給品一式 【思考】基本:6/を殺した奴をこの世の全ての苦しみを味あわせて殺す! 1:逃げた8/をいたぶり調教する。 2:他の参加者もいたぶる。 3:家族もいつかいたぶる。 【竜宮城の皆さん@浦島太郎】 【状態】ミクに調教、裸に首輪 【思考】基本:ミクに従う
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光が眩しい。 ユーフロジーヌは、瞼の上に降り注ぐそれを感じ取り、目を覚ました。 正確に言えば、突然の衝撃で目を覚ましたのだが、まぁこの際細かいことは良いだろう。 ユーフロジーヌは、まるで生まれて初めて日光浴をするような気分だった。 ゆっくり覚醒へともってゆく間、周りがざわついているのが聞こえてくる。ここは外なのだろうとユーフロジーヌは想像する。それも、地べたに倒れているのだと分かってきた。 本来なら、うやうやしく控えた従僕 ミニストリアーレ たちがいるはずである。しかし、それらはどうやら居ないように思われる。もっとも近しく仕えてくれていたアルマⅤが起こしたのでないあたり、それは容易に想像がついた。 「死んでるの……?」 すぐそばで少女であるらしい声がする。いきなり、なんと無礼なと言ってみたくなったが、突然くちびるを開いては体に障る。そもそも瞼もこうしてゆっくり開けなければ、あまり慌てて開いては 瞼 が 破 れ て しまう。 そうして、ユーフロジーヌはそろりそろりと瞼を開き、体の具合を確かめるようにして起き上がってみた。上半身をゆっくり、そうっとそうっと起こした……つもりだった。 「あだっ」 そう、“つもり”だったのだ。 体は思いのほか勢いよく起き上がり、何かに額をぶつけてしまった。凹んでなければいいのだけれど。 「いきなり起き上がるんじゃないわよ!」 額を押さえ、涙目になった少女がこちらに叫んでいた。 ユーフロジーヌは、安堵した。 あの少女が無事なのだから、自分の頭も問題ないだろう。 もし、自分が砕けているとすれば、彼女の頭などぐちゃぐちゃになってしまっているはずである。 ユーフロジーヌは、少々、力が強い。 「ここは?」 ユーフロジーヌが口を開いた。 芝生の上に寝転がっている事はすぐに認識できた。 どうやらお父さまの研究室ではないらしい。見れば分かる。 「ここはトリステイン魔法学院です。お嬢さん」 眼鏡をかけた男性が声をかけてきた。その姿を見止め、ユーフロジーヌは問いかけた。 「あなたが新しいお父さま?」 かの男性は驚きの表情を見せる。どうやら違うらしい。 よくよく見渡してみれば、若い少年少女たちがあたりを取り囲んでいる。さっき頭をぶつけた彼女も、そうした周囲の者達と同じ服装で、同じ年恰好であった。 そこで一歩おくれて“魔法学院”という言葉を反芻する。 決してユーフロジーヌの頭の回転が遅いわけではない。ただ、起きたばかりで頭が上手く働いていないのだ。 もしかしたら、ブドウ糖が足りないのかもしれない。起きてから食事をするまでは血糖値が上がらないものなのだ。だから頭の回転が悪くなるのも仕方ないに違いない。 一旦そう結論づけてから、自分の体に血液なんて残ってないなと独りごちてみた。 ああ、突っ込み役が欲しいわ。アルマⅤ。 「あなたは、わたしの使い魔として呼び出されたのよ。でも、あなた何処の人……?」 桃色がかったブロンド髪。その少女の特徴だ。あとは声がとても可愛らしい。とにかく、その子が言うには、私は小間使いにされるということらしい。まぁ、貧乏なお父さまもいらっしゃったから出来るだろう。ちょっと物を壊してしまうことも時々あるだろうけれど。 「ええ、分かったわ」 「……? ああ、うん」 会話が成り立たないのはアルマⅤがいないからだ。そうに違いない。 「平民ってわけでもなさそうだけど……貴族にしてはボロだし」 後半はぼそぼそと言ったのだが、ユーフロジーヌは耳がとても良い。ついでに、目も壊れやすいことを除けば良い部類であったし、体の質も元が良いから当然良い。ちょっと縫い目だらけだけれど。 ユーフロジーヌは、ボロを纏っていた。 着た当初は、とても良い素材を使ったすばらしいドレスだったのだが、時間というのは残酷である。 少しユーフロジーヌが眠りすぎたせいで、衣服がぼろぼろになってしまったのだ。たった百年程度のことだというのに、時間というのは本当に残酷である。もっとも、ユーフロジーヌはその具体的な時間経過を知りはしないが。 「まぁ、いいわ……。死体を呼んだかって大騒ぎしちゃって疲れたし……契約しちゃいましょ」 「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」 この子はルイズというらしい。 そんなことを考えていたら、ユーフロジーヌは口づけをされてしまった。 「最近の子って大胆なのね」 ユーフロジーヌは暢気に感想を述べた。 すると、ルイズは険しい目つきでこちらを見た。 「うぐっ……あなた臭いわよ……」 そういって口を拭うルイズ。 ゾンビが臭いのは当たり前である。 継ぎはぎの縫い目だらけになったその体。その手術痕がそれまで美しいと羨望の的であったユーフロジーヌを化け物と呼ばしめるようになったのは、十四の時。それ以来、継ぎはぎこそすれど、ずっと変わらぬその蒼白の技術の結晶。 あるゾンビ少女は、思いもよらぬ災難に巻き込まれたらしい。
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imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 作者:ニャンとワンだふる 作品概要 後でここに記載 ジャンル 作品を読む
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どうも杉崎です。割と普通の男子そんな感じのモテモテ(?)美少年です。最近、悲しくなるほど自分でもクエスチョンマークをつけたくなってきた。何故だ。誰か教えてくれ。神よ! 時刻は十二時五十分。要するにお昼休み、ランチタイムだ。 普段なら中目黒や宇宙兄妹、深夏と一緒に机で囲んで飯を食うのだが、中目黒と宇宙兄妹は最近仲がよくなったようで、今日も含めしばしば三人だけで食事しているし、深夏は深夏でどうも真儀瑠先生に呼ばれたらしい。あの人の思いつきは会長並みに傍迷惑だから困る。ご愁傷さま、椎名さん。 まあ、こういう日には生徒会室へ行って、雑務をこなしながら飯を食うことにしている。どうせハーレムメンバーたちは一人もいないのだが、こういう時にやっておけば後の作業も楽になるというものだ。幸いにも、今日はバイトは休みの日だったので、昼休みの間に全部済ませておけば久々に体をゆっくりと休めることができるのだ。万が一のため、体力は保っておかないとな! 今日はどうやって会長を辱めようかとか、そろそろいい加減に知弦さんを攻略するのは諦めようかとか(もちろんそんな訳にはいかないのだが)、少し頬を綻ばせつつそんなことを考えながら、『生徒会』という看板の掲げられた扉をがらりと開く。 さて、面倒だし、さっさと雑務を終わらせるか――――― 「…………」 硬直する。 まるで某今日の5の2風の賢者モード作画で、全ての動きが静止される。血液さえ、凍ったかのようだった。 その目の前には、まるでただ今お着替えムードですの、体操服を頭から脱ごうとしている真冬ちゃんの姿。 ちなみに、おへそと真冬ちゃんの地味な性格の表れか、白いキャミソールは丸見え。 体操ズボンも、脱ぎかけなのか微妙にパンティーが露出している。 白い肌は透き通るように白く、雪のように儚げだ。 普段の俺なら即座に鼻血ものだろうが、残念なことにこの時は突然の出来事で思考は機能していませんでした。 「……………………え?」 漏れる、真冬ちゃんの呆然とした呟き。 きょとんとした表情は、やがて見る見るうちに朱が走っていく。 そこで俺もようやく我に帰り、今の状況を鑑みて、 「…………」 それでもなにも発することはできなかった。喉まで出てきているのに、言葉は呻きとしてしか出てこない。 何これ!?何これ!?どんな状況!?もしかしてこれ、バッドエンドルートのフラグ踏んじゃった!? 真冬ちゃんは俯き、身体は少しだけ震えている。 恐ろしいな、汗がだらだらと止まらねえぜ! 「―――――い」 「い、いや違う!不可抗力だ!俺はなにも見てないよ真冬ちゃん!」 彼女の漏れた言葉に過剰反応してしまい、慌てて弁解を図る! なので、その時はその言葉に込められた怒りを汲み取ることができなかった。 「…………せ、」 「せ?」 「先輩の、バカ―――!!!」 突如として散乱する、生徒会室の備品。 「うわっ、ごめんってだから!ちょ、物投げないで!痛い痛い!そ、そんなよりも服!服を直した方が……え、マジで。ちょ、おま、どうして本棚持ち上げてんの真冬ちゃん!?火事場の馬鹿力ったってそれには限度が……!」 うそ!?真冬ちゃんの力そんなにあったの!?ニートなのに!? 被う巨大な影。迫る、巨大な物体。 弁解虚しく、俺の意識はしばらく闇の中を浮き沈みしていた……。 / 「―――先輩。先輩は入室時にはノックしろという、人として当然のことを習わなかったのですか」 「……すいましぇん」 俺が目を覚まして、それまでに制服への更衣を済ませていた真冬ちゃんが落ち着くこと数分。俺は見事に、地面に正座をやらされています。足痺れる。あ、指先の感覚ねえや。 真冬ちゃんは顔をうっすらと桃色に染めながら、しかし仁王立ちしていて説教モードである。流石に今回は俺に非があるため、ぐうの音も出ない。 ちなみに残念なことに、動転していた脳はシャッターチャンスを逃してしまい、先程の萌え〜な図はモザイクがかかったようにしか思い出せない。残念だ。モノっっスゴク残念だ。ちなみに真冬ちゃんの攻撃が関与している可能性も否定しない。 「……なんでしょう、真冬、今物凄く先輩を引っ叩いてやらなくてはいけないような気がしました」 「それは気のせいだと思う」 意外と戦闘力の高かった真冬ちゃんにケンカを売るのは危険だと悟った。 ……そっか。深夏の妹だもんな。うん。 「それはさておいてさ」 「置いておけません。真冬の体を見られて、それで済まさせるつもりは毛頭ないですよ」 「いや、真冬ちゃんはどうしてここで体操服を着替えていたのさ」 兼ねてからの、というか元凶の疑問を聞き出す。 そもそも、この生徒会室は基本、放課後まで鍵がかかっていて使えないはずなのだが……。 「その……ですね。真冬、4限目に体育があったのですが……」 「それは知っている。選択授業で真冬ちゃんはバドミントンを選択、しかし今日もいつものように隅っこで体操座りをしてぼんやりと休んでいたのは、すでに知っている」 「な、なんで知ってるんですか先輩!?」 「……(ササッ!」 「なんで素早く顔を背向けるんですか!?」 「……出来心だったんです」 「それは出来心というより、犯罪と呼ばれるものだと真冬は思います!」 「大丈夫だ!それは、その、Fクラスの土屋クンに頼んでるから!」 「他レーベルを持ってくるなですー!」 「真冬ちゃんだって電撃電撃言ってるでしょー!」 今ここに、第三次ぐらいレーベル対戦が始まった(ウソ。 ―――しばらくお待ちください。 「や、止めましょうか、先輩……」 「そ、そうだね……この争いは、あまりに不毛だ……」 両者肩で息をつきながら、一時停戦とする。 「で、なんの話でこうなってんでしたっけ……」 「確か……4限目の体育があって……」 「ああ、そうでした。えっとですね、4限目に体育があったのですが……真冬、突然真儀瑠先生に呼ばれて手伝いされたです。その手伝いが終わった時にはもうすでにお昼休みに入ってて……更衣室は教室だったので困っていたら、真儀瑠先生がここで着替えればいいと提案してくれたんです」 「真儀瑠先生、グッジョブ!」 「ていっ」 「あう」 思わず大声で感謝を叫んだらはたかれた。 しかし幸か不幸か、ふとその拍子に壁に掛けてある時計が目に入った。 「……って!ああ―――!」 「わっ!い、いきなりどうしたんですか先輩」 「しまった!あと残り10分もねえ!」 気絶していたりふざけている間にも時間はどんどんと過ぎていた。 慌てて机の上にある雑務の資料をざっと流し読みする。 しかし流せば流すほどに、顔から血の気が引いて行くのが自分でも分かった。 こ、こんな日に限って多い……。なんてベタな展開なんだ……。 「う、うーん……まずいぞ……。と、とりあえず終わらせれる分だけ終わらせとかないと。とりあえずこの、水道修理と書類整理と、あと5個ぐらいはできるかな……!」 授業開始5分前には予令が鳴る。時間はそれを目安に終わらせるのだが、後で楽したいので、残り1分で教室に辿り着くようにしなければならない。幸いなのか、生徒会室は校舎3階の内、2階にある。つまりは2年の教室の階。要するにすぐそこ。ギリギリまで作業すれば……間に合う! 「そうしている内にも、時間は残り6分なのですが……」 「ノオォ―――!」 頭を抱えたくなる悲しいお知らせだが、そうするだけの余裕もない。口から絶叫を叫びながら、俺は30秒ほどで書類整理を終わらせる。 「速いです!先輩の整理している手が、真冬には捉えられませんでした!?」 「うおおぉぉ―――……」 書類の整理を終わらせた俺はすぐさま手洗い場へと向かう。そして水道のチェックをし、中にゴミが詰まっていたのでそれを排斥、もう一度チェックをして生徒会室へと向かう。 「―――ただいまっ!」 「え!?先輩、まだ出て行って1分も経っていませんよ!?」 こうやって真冬ちゃんの声をBGMに、俺はギリギリまで雑務を予定通りこなしていった。 / 「うう……」 とはいえ、流石に量が多すぎる……。先程決めた7個ほどの雑務は終わらせて、1分半ほど時間があるけど、流石にそんな余裕はない。 全く出番のなかった鞄を手に取ると、 「……先輩はもしかして、雑務をやりに来ていたのですか?」 真冬ちゃんは唐突に、そう切り出してきた。 「ん、見たままだね」 否定する必要もないので、そう素直に返す。 「今日は久しぶりにバイトも休みだったからね、雑務を昼休みの間に終わらせて、それからゆっくり休もうかと思ってたんだ。まあ、この程度の量ならすぐに放課後に片付けれるけどね」 「……先輩」 「まあ、大丈夫だって!今日1日休めなくても万が一の際の体力はあるから!」 「え!?中目黒先輩との万が一の際ですか!?」 「なんでそっち飛んじゃったの!?もちろん、このハーレム用のだよ!」 「とうとう先輩もこちらの世界に……頑張ってください!(拳グっ」 「イヤだよ!ってもう時間ヤバ!」 慌てて生徒会室から出ると、「先輩っ」と真冬ちゃんが俺を呼ぶ。 「なに、真冬ちゃん?でも、できれば急いでほしいんだけどっ」 「せ、先輩はその……まだ雑務が終わってないんですよね?」 ガチャガチャと鍵を慌ただしく閉める後輩。 「え?まあ」 真冬ちゃんはそれを聞くと、思考の表情を見せ、決意したように頷いて、 「…………分かりました。真冬も手伝います!」 「うん、ありがとう、気持ちだけもらっておくよ」 「振られましたっ!?」 真冬ちゃんはショックをうけたようだ。……いやあ、だって一人の方が効率いいし。色々と。 「し、しかし何と言われようとも手伝ってあげますですよ!」 「い、いや、別にホントに良いんだけど……」 いつになく強情な真冬ちゃん。一体どうしたんだ? 真冬ちゃんは慌てて階段を下りて行き―――踊り場で、ふと思い出したように振り向いてから、極上の笑顔を花開かせて。 「だって、真冬は、杉崎先輩の彼女なんですから」 そう、告げた。 …………え? 真冬ちゃんはもう踊り場から姿を消している。なんだ?どういう意味だ?え?真冬ちゃんなんて言った?俺の、彼女?えぇ? いやだってそんな言動は……あの転校の件のみ。一体全体……どうなってるんだ? 呆然としたまま、俺は立ち尽くしていた……。 / ちなみに授業には大幅に遅刻し、担当教諭だった真儀瑠先生にはごっそりぎっちり絞られました。
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第五話 災難な日 レッド・・ 「さて、今日の生徒に伝える連絡事項じゃが――」 今、この場にいるのがかなり嫌だった。 確かに自分は教師で、この部屋にいるのが普通なのだろう。他の教師達もいつもこの部屋にいる。 だが、学生時代からこの部屋の雰囲気には嫌悪感を抱いていた。何か変な空気がこの部屋に漂っているからだ。そ の空気は自分の体にまとわりつき、そのまま体の内部に入ってきて体の中を食い荒らすようなもの。 それにだけは、ずっと前から耐えられなかった。 ――あ~嫌だな~―― 「ちょっと、レッド・・・なに変な顔してるのよ。」 「へ?」 レッドは、ブルーがいきなり話し掛けてきたので、変な声を出してしまった。 ここは職員室。レッドは今、職員達による朝の集会に出席している所だった。1番奥にいるオーキド博士がなんだかよ く分からない連絡事項の話をしている。 しかし、レッドは職員室が大の苦手。そのせいで朝から景気の悪い顔で、自分の席で盛大な溜息をついていたの だ。 それをブルーに見られ、彼女が奇妙な顔してレッドに話し掛けてきたらしかった。 「朝っぱらからそんな顔して・・・朝ごはん食べてないとか?」 「いや、朝ごはんはご飯を3杯ほどと、焼き魚を2つ、コロッケ2つと、それに食パンも1枚食べてきた」 「げ!それって食べすぎじゃ・・・」 「そうか?」 ブルーは絶句して一瞬固まってしまったが、レッドはその反応を不思議に見ていた。 レッドにとって朝ごはんとは、1日の中でも2番目にカロリーを多くとる場面だ。(一番は夕食。ビリは昼食。)よって、朝 からそれだけの量を食べるのは、彼にとっては当たり前の行動だ。 しかし常人にとって、朝にそれだけ食べればまず1時間は動けなくなるだろう。 レッドはそれを自覚しておらず、「う~ん・・普通だと思うけど」と考え込みながら言った。 「食べすぎよ。あ~聞いただけで胸焼けしそう」 「ふ~ん、ま、いいけど・・・それよりさあ、もうここから出ていいか?」 「はあ?なに言ってんの。まだ終わってないでしょうが」 「だけど、もう俺限界なんだ。そろそろ倒れるかも」 正直、本当に倒れそうだった。足はさっきからずっと震えており、手などは痙攣してきてさえいる。今のレッドは、立っ ているだけで精一杯の状態だった。 「まったく、相変わらず職員室アレルギーなんだから・・・分かったわ、今日ぐらいはいいでしょ。あんまり重要な連絡も なさそうだし。後ろから、そお~っと出なさい。何かあったら私がフォローしといてあげるわ」 「さんきゅ!」 ブルーがそう言うやいなや、驚くべきスピードでレッドはドアに近づいていき、そのまま廊下に出て行った。 後ろでブルーが溜息をついているのが、少し聞こえた気がしたが・・ ※ 職員室を出ても、レッドにはまったくやる事がなかった。朝のホームルームが始まる時間までにはまだ5分ほどあり、 その時間までは教室に行くのも気が引ける。だいたい、こんんなに早くに教室に入れば、確実に生徒から「先生、ま たサボり?」とでも言われそうなので、行くにも行けなかった。 よって廊下を歩いているしかない。 しかし、廊下をずっと歩いているのも結構暇だ。もう何回も同じところを通っているような気がする。 今いるのは4階。3年生の教室がある階だ。窓からは校門が見える。 その時、ふと外から走りながら校門を通ってきた生徒が目に入った。視界の端に少し入った程度だったが、レッドは 敏感にそれを察知して、窓から校門の方を見下ろしてみた。 校門に走って入ってきた生徒は、男子の制服をきているようだった。 ――あれは・・・イエローか?―― 最初は本当の男子生徒かと思った。だが、その生徒は長い金髪の髪をポニーテールにしていて、小さな体を一生懸 命動かして走っており、どうも男子には見えなかった。 走っている影響で、そのポニーテールが左右に振られているのが見える。 まさしくイエローだった。どうやら遅刻しそうになっているらしい。物凄い速さで走っている。 ――はは、イエローらしいな―― イエローは自分のクラスの生徒。それもクラスの中心人物的存在だ。勉強、運動、共にパーフェクトに近い。自分の受 け持っている社会のテストなど、九十八点以下を取った事がないくらいだ。 ポケモンバトルの才能にも溢れていて、今まで見てきた生徒の中でも、おそらく最強に近い。あれぐらいに才能があ ると、教えがいもあるというものだった。 人望も厚く、噂によればファンクラブまであるらしいとか・・・ しかし、一見完璧に彼女だが、一方でどこか抜けているところがある。 今見た遅刻もそうだが、例えば、何もないところでこけたり、何か運んでいればそれを落としたり、クラブの合宿の時 にはコロッケにかけるはずのソースを醤油と間違えたこともあった。 そんな風に、どこか頭のネジがはずれている所がある。 だが、それもイエローらしいとレッドは思っていた。 ――飽きない奴だな、あいつは―― レッドはイエローをとても気に入っていた。そういう行動を見ていれば、まったく飽きることはないのもあるが、自分の 教えてきたことを完璧に吸収していくからでもあった。 ポケモンバトルにおいては、いつかは彼女が自分のライバルになると思っている。 ――いつか、あいつと戦ってみたいな―― 強い相手との戦い・・・これほど面白い事は、世の中にもそうはない。 レッドにとってのバトルは、5年前のあの時から、さらに面白いものになっている。 5年前・・・・レッドはポケモンリーグを優勝した。 今からでも思い出せる、あの戦い。白熱するバトル、そして強敵。 考えれば考えるほど、あの時のことが思い出されてくる。 だが、レッドはこのことを表ざたにはしてなかった。 これは赴任してくる時。校長に、リーグ優勝者だと知られると色々面倒な事が起こるからとの理由で、教えることを禁 じられているからだ。 もう5年も前のリーグなので、生徒達も自分が優勝したことなどに気付いていない。だいたい、あの時の自分の名前 は・・・・・・ 「あれ~?レッド先生、どうしてここにいるんですか?会議中じゃないんですか?」 考え事をしていると、急にそんな声が聞こえてきた。振り返ると、そこにはポケバト部の部員である女子の数名が、笑 いながらこちらを見ていた。 レッドが「いや、ちょっとな・・・・」と答えると、その数名の女子達はますます面白そうに笑顔を向けてきて、「またサボ りですね~?レッド先生も駄目ですよ~」と、注意しているのかいないのか分からないような言葉を残したまま、目の 前から去っていった。 いったいなんだったんだ・・・と思いながら、レッドはポケバト部の女子達の方を見ていた。恐らく、彼女らは自分が職 員室から逃げ出してきたことを知っているのだろう。だから、あんな面白そうに笑っているのだ。 しかし、こんな風に喋りかけられる事を、レッドは別に怒ったりはしなかった。いや、こういう風に話してくれるからこ そ、彼女達は自分を慕ってくれているのだ。 そう考えてると、先ほどから頭の中にあった、ポケモンリーグ優勝のこと、が再び思い浮かんできた。このことを隠して いるのは、彼女らの信頼を裏切っている形なのかもしれない。 そろそろ教えないと、とレッドは思った。 生徒達には、自分のポケモンに関する知識の量に驚かれることがある。 あまりに戦いについてを知っていて、しかもリーグのことを詳しく知っていたので、ある時「先生ってもしかしてリーグに 出た事ある?」と部員に聞かれたこともある。 その時は何とか誤魔化したが、そろそろ限界に近づいているだろう。 それに、生徒に隠し事をするのは自分の性に合わないし、隠し事は生徒の信頼を裏切っている形になっているかもし れないのだ。 ――・・・・・いつか、必ず・・・だな―― レッドは、窓からイエローが走っているのを見ながら、そう誓っていた。 ブルー視点・・ 「で、あるからして、これからの生徒との付き合いを―――」 ブルーでさえ、この博士の長い話にはうんざりだった。いつもより2倍余計に長い。 自分もレッドと一緒に抜け出してしまえばよかったと思わずにいられなかった。 「さて、今日はこのぐらいにしておこうかの。それでは皆、1日変な騒動を起こさないように」 ――終わった~!―― ブルーはやっと博士の長話から解放されて、大きく息を吐いた。 だが、時計を見てみると、ホームルームが始まるまでにもう1分も無いという、悲惨な状況だということが分かった。 休む時間もないのか・・・と思いながら、ブルーは教室に行く準備を始める。 ――ふふ、今日はこれを使おうかな~♪―― ブルーは自分の机の引き出しから、何か変な青い液体の入ったビンを取り出していた。それをうっとりと眺めて、ブル ーは楽しそうな笑みを浮かべていた。 「おい、ブルー。それは何だ?」 ビク! ブルーの耳元に少し怒気を含んだ声が入ってきた。 おそるおそる横を見てみると、グリーンが無表情な顔でこちらを見ている、という危険な状況が目に入ってしまった。 ブルーは数歩後ずさりして、青い液体が入ったビンを後ろに隠す。 「グ、グリーン!こ、これはなんでもないの。ただのジュースよ」 青く光っているそれはおよそジュースらしくない色で、ブルー自身、この言い訳は無理があるなと思っていた。 無論、これにグリーンが騙されるわけもなかった。 「それがジュースなわけが無いだろ!」 「ま、まあ、いいじゃない。ほらもう時間無いし、私は教室に行くわね!」 そう言うとブルーは逃げるように職員室を出て行った。「おい、ちょっと待て!」というグリーンの声が聞こえたが、ブル ーはそれを無視し、一気に廊下へと出て行った。 「まったく、ブルーはいつもいつも・・・」 残されたグリーンはそう呟いて溜息をつき、教室に行く準備を始めるのだった。 ※ ――あ~危ない危ない。これを取り上げられたら、2時間はお説教だわ―― ブルーは職員室を出ると、ゆっくりしたペースで教室に向かっていた。手にはあのビンを持ちながら。 ――さ~て、誰に飲ませようかしら?またくじ引きでもして・・・―― ドン! 「あ、すみません!」 考え事をしながら階段辺りまで歩いていった所で、誰かとぶつかった。その衝撃で、手にあった青い液体の入ったビ ンは床に落ちそうになったが、なんとかもう1つの手でささえることができ、落とすのを免れた。 ――ふう~。―― ブルーは落とさなかったことに、安堵の息を吐き、ぶつかった人物に文句を行ってやろうと顔を上げた。 そこには・・・ 「イエロー!」 「あ、あの、すみません。急いでたもので」 相変わらず男子生徒の制服を着ているイエローがいた。 目の前で頭を下げているイエローを見て、ブルーはピン!と頭で何かがひらめいた。 「それじゃ、私はこれで」 「ちょっと待って」 ブルーはそのまま教室に向かおうとするイエローの腕をとっさに掴んだ。 イエローはいきなり腕を掴んできたブルーを、怪訝そうな顔で見る。 「・・・あの、なんですか?」 「これを飲みなさい。(命令口調)」 「・・・・え?」 「これを飲みなさいって言ってるの」(ちょっと怒りながら) ブルーがきつく言って、青い液体の入ったビンを差し出す。イエローはブルーの気迫に押され、そのビンを受け取って しまった。 「あの、なんで私が、」 「いいから、飲みなさい。それとも、私にぶつかった罪の慰謝料を払いたい?」 「・・・・分かりました」 イエローは渋々といった様子で、そのビンを飲む事にしたらしい。早く教室に行かないと、というイエローの意志がブ ルーにはしっかりと感じ取る事ができた。よほど急いでいるのだろう。 ゴク! イエローが思いきってその液体を飲んだ。その顔はとても嫌そうだった。 「どう?」 「・・・・なんともありませんけど?」 イエローはきょとん、とした顔でいる。 顔色も口調も体調も変化なし。 ブルーはイエローの状態を入念にチェックし、彼女に何の変化も見られないことを確認した。 どうやら、失敗だったようだ。 ブルーは少し溜息をつき、「そう・・・・もう行っていいわよ」と、落胆した声で言った。 「はあ・・・・」 イエローは不思議な顔をしながら、教室に向かって走っていった。 一方のブルーは、何が悪かったのだろうか?とか何とかを、ぶつぶつ言っていた。 ――あの薬は、絶対に成功するはずだったのに・・・・・・・あ~また作り直しか~―― 薬に関する考え事は、1時間目の授業が始まるまで続いたそうな。 グリーン視点・・ 思わず溜息をついてしまいそうだった。 「ぐ~」 ――まったく、いつまで寝ているつもりだ―― グリーンは本当に呆れていた。 目の前には、気持ち良さそうに眠っているイエロー姿。腕を枕にして、教科書も何も出さずに、チャイムが鳴った瞬間 から眠っている。 本当に呆れ果てる。イエローの居眠りには。 毎時間、毎時間、起きている姿を見ることの方が少ない。授業なんて聞いた事もないのだろう。 しかし・・・・・・これで数学のテストが90点以上なのだから、本当に不思議なものだった。世の中が間違っているとし か思えない。 「イエロー、起きろ」 「ぐ~ぐ~」 グリーンがイエローを起こそうとするが、当の本人はまったくの無反応。 それどころか、「もうお腹いっぱい・・」なんて言う寝言まで言っている。 「・・・・・・・・」 いくらグリーンでも、我慢の限界だった。 グリーンは、自分の口をイエローの耳元に近づけて、大きく息を吸った。 そして・・・ 「イエロー!起きろ!」 「ひゃ!」 耳元で叫ばれると、さすがのイエローも飛び起きた。いきなり大きな音が耳に入ったのだから、驚いた事だろう。 しかし、グリーンはそんなことも気にせず「やっと起きたか」と呟いた。 目覚めたばかりのイエローは、何が起こっているか分からないらしい。周りを、トロンとした目で見渡しながら、「あ れ・・?」と呟いた。 グリーンは、彼女の頭を起こすように、頭を軽く小突いた。 「いた!」 「いた、じゃない。イエロー。毎日毎日、よくこれだけ寝られるな」 「・・・・・・はあ、すみません」 「はあ、じゃない。少しは授業を聞いたらどうだ。確かにお前のテストの点数はいいが、それだけでは駄目だろう。授 業を聞いてこその学校だ。・・・・・・・聞いているのか?イエロー」 「ふぁいです。」 「それでいい・・・・・ん?お前、今・・」 「あれぇ~?グリーン先生の顔が~、2つに見えてきますぅ~」 彼女の返事に違和感を感じ、グリーンはイエローの顔の方を向いてみた。 目に入ってきたのは、イエローの先ほどよりさらにトロンとした目つき。 「イエロー?」 「わぁ~なんだかと~っても気持ちいいですぅ~」 「おい、どうした。」 イエローの言動がどんどんおかしくなっていく。顔もりんごのように赤くなっていき、これではまるで・・・酔っぱらい・・・ ――まさか・・・イエローが酒を?―― だが、イエローの近くには酒の匂いなどまったくしなかった。自分の鼻は常人の数倍はいいので、間違いなくイエロー は酒など飲んでいない。 ――なら、なんだこれは?―― 「ひっく!それじゃ~わたしはレッド先生のところにぃ~」 「こ、こら、待て!」 いきなり席から立ち上がり、教室からでようとするイエローの腕をとっさに掴んでしまった。すると・・・ 「・・・なんで邪魔するんですかぁ~グリーン先生ぇ~」 イエローは思いっきりぶりっ子のような声を出し、瞳をうるうるさせて抗議してきた。 それを見たグリーンは、一瞬、「うっ!」となったが、何とか気を取り直し、とにかくここは保健室に運ぼうと決めた。 「イエロー、保健室に行くぞ。他の奴らは自習だ。問題集の25ページから30ページまでやって、後で提出すること」 そこまで言うと、グリーンはイエローの腕を引いて、教室を出て行った。 廊下出ても、イエローは「グリーン先生ぇ~やめてください~」と抗議し続けていた。が、グリーンはそれを無視し、早 い足取りで保健室に向かっていった。 ※ 残された生徒だが、女子は課題の多さに溜息をつき、男子は先ほどのイエローのぶりっ子攻撃を見て、顔を赤めたま ま呆けてしまっていたのだった。 レッド視点・・ 今日のクラブはあまりにもひどかった。 部長であるイエローが参加していないことも原因の1つだ。彼女の存在は、このクラブに想像以上の影響を与えてい る。日々の練習のメニューはもちろん、日頃からの部員の世話まで、ほとんど彼女に任せているのだから、それも当 たり前だろう。 だが、今のクラブ内容のひどさは、イエローがいない、という問題では片付かない。 いや、イエローがいるからこそひどい状況になっているのだ。 その原因は・・・ 「みんなぁ~がんばってぇ~」 イエローの変わりようだろう、とレッドはクラブ活動を見守りながら思った。 先ほどの声はイエローのものだ。 イエローは、保健室の窓から部員に声援を送りつづけている。しかもかなりの大声で。 だが、その声の質は、明らかにいつものイエローのそれとは違っているのだ。まるで5歳児が親に甘えている声でみ んなを応援している。 イエローがこうなってしまった原因は、ブルーの作った薬のせいらしい。朝にイエローは、ブルーの薬を飲んだ。その せいで、イエローは一時的に酔っぱらい状態になってしまい、それがイエローをここまで変化させてしまっていた、と いうわけだった。 ブルーの話では、これは部活が終わる頃に効能が切れるようだが・・・・(今、ブルーは生徒指導室で、グリーンにみっ ちりとしぼられている) グリーンの話だと、イエローを保健室に連れて行ったはいいが、ナナミでもその原因は分からなく、そこで、ブルーが 変なものを持っていたのを思い出し、ブルーに問いただすと、イエローに薬を飲ませたことが発覚した、という経緯だっ た。 とにかく、部活の終了までこれが続くとなると、今日の練習はほとんで出来なくなるだろう。 なぜなら、今のイエローはレッドでさえも思わず、ドキッっとしてしまうのだ。 まして生徒など、部活どころではない。現に今でも、保健室の窓からみえるイエローの姿に釘付けになっている生徒 が何人いることか・・・・ もともとファンクラブが出来るほどに可愛い顔をしているのだ。こんな様子になった彼女を見れば、誰でもこうなる。 「がんばれぇ~みんなぁ~」 レッドは、すっかり変わってしまったイエローの様子に戸惑いながら、大きな溜息をついた。 「ゴールドさぁ~ん~がんばってください~」 「お、おう・・・・」 ゴールドもまた、イエローの変わりように戸惑っていた。 放課後になってクラブに出ると、イエローがきていないことに気がついた。まあ、そこまではいい。 だが、それからイエローが変になっていると気が付いた時から・・・・・・もう、クラブは成り立っていないだろう。 なんといっても、男子部員のほとんどがイエローの方を見ているのだから。 普段からイエローを見慣れている自分でも、今の彼女は結構くる。 「ねえ、ゴールド・・・・・・イエローさん・・・どうしたのかしら・・・・」 「さあな・・・・・・・とにかく、今日はクラブできそうにねえな・・・・」 クリスと話しながら、ゴールドはイエローの方を見てみた。 未だに、彼女は保健室からクラブの応援を行っている。 (ちなみに、1度教師の1人が彼女を止めようとしたら、イエローはその教師にピカチュウの10万ボルトを浴びせてい る。よって止める事もできないのだ。) 「あぁ~・・・・・楽しいなぁ~」 そう言って笑ったイエローを見て、ゴールドは一瞬、ドキッとした。 今の彼女の姿----赤くなっている頬に、潤んでいる瞳。金色の髪を無造作に下ろし、笑顔で手を振ってくる姿。 ───・・・・・・こりゃあ、目に毒・・・・・いや、目の保養か・・・?─── ゴールドはそんなことを思いながら、イエローの変わり果てた姿をずっと眺めていた。 後々、そのことがクリスと喧嘩する理由となるのも知らずに。 イエローの日記・・ 5月22日 木曜日 晴 今日はなんだかおかしな1日だった。2時間目にあったグリーン先生の授業から、放課後まで、何があったのかまっ たく覚えていない。う~ん、変だな~? 変と言えば、私が放課後に保健室のベッドの上で目を覚ました後なんだけど、みんな、なんだか私に対する態度が 変わっているような・・・・こう、顔が赤くなって、私としゃべると妙にどもるんだよねえ・・・それもグリーン先生やレッド 先生まで!しかも、ゴールドさんとクリスさんも喧嘩してたし・・・・・ いったい何があったんだろ? まあいいや。あんまり気にしないでおこう。 そうそう、帰りにブルー先生に会ったんだけど、なんか、すっごく疲れてた。 「グリーンのばか~!」とも叫んでたし、グリーン先生と喧嘩でもしたのかな? それじゃ、このくらいにして、寝る支度をしましょう。 明日もいいことがありますように。
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穏やかな陽気が漂う、ある晴れた春の日のこと。 ヒロは友人達と山へハイキングにやってきていた。 それは、ヒロの発案によるものであった。 なんでも、冬の間の運動不足で、肉が付いてしまったことが気になり、 身体を動かしたいとのことだ。 「さ、休憩所に付いたよ。ヒロ、お昼にしよう。」 正午近く、ヒロ達は、休憩所に行き着いたところだった。 開けた場所に木の椅子とテーブルがあり、そこから少しはなれてトイレが設けられていた。 「わたし、ちょっと…」 ヒロはそれまで我慢しており、早々に用を足しにトイレへ向かった。 その場所のトイレは、垂れ流し式便所だった。 個室には蜘蛛の巣が張りめぐっており、ずいぶんと使われていない様子がうかがえた。 「あんまり綺麗なトコじゃないな…早く済ませちゃおう。」 ヒロはパンツを下げ和式便器に跨ると、もよおしていた物を一気に解き放った。 小水の落ちた先には、何者かの気配があった。 頭に皿をかぶり、甲羅を背負っているその者は、河童と呼ばれる妖怪。 ここ数年この場所で干からびていた彼だったが、 頭の皿にヒロの聖水を浴びたことで、再び目を覚ましたようだった。 河童は頭上を見上げた。 金色の水が途切れた頃、河童の目に映ったのは、 ぷくりと膨らんだ、二つの肉の塊だった。 ぐうう。 数年ぶりに目覚めた河童は当然空腹で、そこに出会った肉は大層なご馳走に見えた。 よだれをぬぐうと、河童は壁伝いに肉の元へと上り始めた。 ヒロがティッシュで局部を拭ったその時、 ひたっと何かが尻に触れた。 「ひゃ!な、なにっ?」 ヒロが暗い便器の下を、目を凝らして見つめると、にんまりと笑う緑色の生き物がいた。 「きゃああ!」 ヒロは瞬間的にその生き物が河童だと判った。 そして以前聞いた、河童は人を襲い食す者だという話を思い出す。 ヒロは慌ててその場から逃げようとする。 しかし、尻が持ち上がらなかった。 「な、なんでっ?」 河童の手が吸盤のように尻にくっ付き離れない。 河童は舌なめずりをしてヒロの尻を見つめている。 「まさか、わたしのお尻を…」 河童はヒロのぷりんとした腰に齧り付こうと口を開ける…。 「このっ、離れなさいっ。確かに最近ちょっとお肉付けちゃったけど、 あなたに食べさせる為じゃないんだから!」 ヒロは無我夢中で河童の顔面を殴りつけた。 「グァアアア!」 河童は怒りを露にすると、ヒロの尻穴に指を押し込んだ。 「ひいっ!」 指は穴を押し広げ、手、腕とどんどん入っていく。 そして奥で何かを鷲づかみ、それを引き抜いた。 ずぼっ。 「ひあっ。」 河童の手には何か球体が握られている。 「ふえ、なにぃ?なんだか急に身体の力が抜けてくぅ…。」 力なくヒロは河童の懐に腰を落とした。 河童がヒロから抜き取ったのは、”尻子玉”と呼ばれるもので、 それを抜かれた人間はふぬけになってしまうのだ。 ヒロは焦点の合わない瞳で宙を仰いでいる。 その様子を見た河童は、再びにんまりと笑うと、 ヒロの臀部をぺろりと舐めた。 「やん。」 ヒロは目線を河童にやる。 「あなた、そんなにそれが食べたいのぉ?ふふ。まあいいわ、もう好きにしちゃって。」 ヒロは思考すらまともに働かなくなってしまった。 河童は今度こそヒロの尻肉に齧り付いた。 がぶっ!ぶちりっ! 「あん。」 がぶがぶ。むしゃむしゃ。 「あんああん。」 本来危険を知らせる信号として、脳に伝わるはずの痛みを、 今のヒロは快楽ととってしまうようだ。 もぐもぐ、もぐもぐ。 「良ぃ、なんだかすごくいいよぉ。もっとぉ…もっと…食べ…てぇ♡」 河童はそのヒロの尻肉の美味しさに、堪らず夢中で貪る。 ジューシーでとろけそうな舌触り。 ムッチリと脂っぽく、肉好きにはたまらない旨さだ。 がぶり。 「ひあああ♡」 尻穴回りの肉を食べられたとき、ヒロはオーガズムに達したらしく潮を吹いた。 じゅぷじゅぷじゅぷ。 その水分を得て益々活発になった河童は、 ヒロの膣肉から陰核、膀胱、子宮、卵巣と一気に食い進めた。 「はきゅうううん♡」 ヒロの新鮮な卵はふわふわと柔らかく、 ミルキーでなめらかな味わいがクセになりそうなおいしさであった。 「ひゅええぇ…あぷあぷ。もお、だみぇえ…。」 本来ショックで死んでしまう程の激痛を受け止めたヒロは、快楽と共に昇天していく。 「ねえヒロぉ、ずいぶん長いみたいだけど大丈夫?」 ヒロを心配して、個室の前まで様子を見に来た友人の声がする。 ホワイトアウトする意識の中で、ヒロにその声は届いていただろうか。 おしまい
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「はぁ……はぁ……。ちょっと疲れてきたね……」 みなさんどうもこんにちは?こんばんわ?おはようございます?どの挨拶が正解なのかわからないけど、谷山京子です! ボクは今、さっき立ち去った華ちゃんをスライムちゃんと一緒に追いかけてます! と言ってもあの子意外と早くて、なかなか追いつけないけどね……。そもそもボクが傷心してちょっと遅かったのもあるけどあまりそこは責めないで(泣) そりゃボクは男性器が付いてるけど、乙女心くらいあるから……あんなところを見られてどう声を掛けたらいいのかわからないというのが本音です。 でもスライムちゃんは持ち前のポジティブさで「とりあえず追いかけまショウ!」とボクの手を引っ張って走らせました。 だから今こうして華ちゃんを追いかけてるんだけど……本当にどうやって謝ればいいんだろうね!もう絶望しかない気がするんですけど! 「キョーコさんはさっきの人と知り合いなんデスカ?」 一方のスライムちゃんはさすがモンむすなだけあって、全く息切れもせずにそう質問してきた。 知り合いっていうか初恋の人なんですけどー!なんて言えないよね、うん。スライムちゃん罪悪感を覚えちゃうだろうし。 よし、ここは冷静に落ち着こう。華ちゃんにドン引きされたのはすっごく、すっごく!悲しいけどスライムちゃんは何も悪くないからね! 「うん、クラスメイトの子だよ」 「そうなんデスね。でもどうして逃げたんでショウ?」 うーん……。スライムちゃんってすごく純粋みたいで、さっきのボク達の行為が世間的にアレだっていうことを理解してないみたい。 たぶんあの行為もマナを補充して主催に反逆したいっていう純粋な気持ちからなんだろうなぁ……っていうのがわかるからほんとに責めらんない! つい出来心で華ちゃんで――しちゃったからきっと罰が当たっただけなんだ。スライムちゃんは何も悪くないんだ。 それにしても今後もマナの補充でナニを刺激されるのは困るなぁ。 少しくらいそこらへんの常識を教えたほうがいいのかな? でもボク女子だからそういう話するのちょっと恥ずかしいっ! いやそりゃ性欲が強いことは認めるよ? でもボクだって女子だからね? 性欲強い女子も普通にいるからね、男子諸君! ……うん、それにしてもこんなところで恥じらってる場合じゃないんだけど。 だってこれから似たようなことがあったらすごく困るからね。そりゃマナが補充されるのは頼もしいけど、ボク達が不審者扱いされて狙われるとかありそうで嫌だ。 というか何より恥ずかしいよね。普通にやってること露出プレイだもん、そりゃ逃げるよね、うん。 「スライムちゃん、ボクのナニを刺激するのは一般的には恥ずかしいことなんだよ」 「? ナニってなンデスか?」 「な、ナニはナニだよ!? なんだろうね!?」 あああっ、もう自分でも何を言ってるのかわからなくなってきた! ナニがなんだかわからないよぅ! ナニは×××だよ、なんて言えることないじゃん! そんなのスライムちゃんに対するセクハラじゃん! 「? キョーコさん? どうシマしたか?」 スライムちゃんがボクの顔色を見ながらキョトンと首を傾げてる。 ていうか走りながら余裕で首を傾げれるってすごいねスライムちゃん!さすがモンむす! ってそんなツッコミしてる場合じゃない、どうしようこの状況! ナニはナニだよ、ボクの股間から生えてる×××だよなんて言えないし!スライムちゃんの純粋な心を汚したくない! そもそも普通の女の子には生えてないのになんでスライムちゃんは何も疑問に思わなかったんだろうね?不思議なことだらけだなぁ! もしかしてスライムちゃんも生えてる? モンむすだから生えてるの? いやでもさっきの解説で“普通”、性別を両方持つ人間なんていないって言ってたから違うのか! いやでもスライムちゃんはモンむすだから人間じゃない=生えてる可能性もありえる? え? ていうか何気にこれよく考えたら、ボクが普通の人間じゃないって言われてない? ちょっとナニが生えてるだけで普通扱いじゃないなんて酷いなぁ(泣) 「と、とりあえず走ろう!スライムちゃん!」 「わかりまシタ!」 あああっ、もうナニだとか×××だとかそういう説明をするのはやめた! とりあえず走ろう、走ろう!走って気分爽快!ナニもかも忘れよう!HAHAHA!悲しいなぁ! ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀ 「フラウ・ザ・リッパー……? ああ。あの片桐花子か……」 片桐花子は学校でちょっとした有名人だ。 フラウ・ザ・リッパーという謎の二つ名を自称する痛々しい高校生は、学校でも少し浮いた存在である。 もっとも彼女が何も特異性がないことは、駆も理解しておりあまり警戒する必要はない。 そもそも本当にジャック・ザ・リッパーの子孫であるならもっとこう、オーラのようなものがあっていいはずだ。 何より持ってるナイフが金属製ではなくプラスチックのものだというのだから、彼女は厨二病を脱しきれなかったアレな人としか言いようがない。 「知ってるんですか?」 普段ならフラウ・ザ・リッパーとして年上にもタメ口を聞くことがある花子だが、どういうわけか駆には敬語になってしまう。 一度素で返事をしてしまったというのが大きいのだろうか? 「もちろんだ。意外とキミは有名だよ。……普段とキャラが違うようだが、殺し合いに対する疲れからか?」 「そうですね……。殺し合いっていう実感はないですけどある意味疲れました……」 「ん?」 殺し合いという実感はない? 死体や殺戮現場を見たであろう人物が言うには、程遠い言葉だ。 「……どういうことだ? サイコパスの谷山京子が誰かを殺戮した現場を、見たわけじゃないのか……!?」 「ち、違います!」 駆がこれまで考えていた誤解を、花子は明確に否定した。 彼女が見たのは謎のスライムが女の子のナニを刺激していた現場であり、別に殺戮現場だなんて大袈裟なものではない。 いやまあ乙女心は殺戮されたようなものだが、それはともかく物理的に誰かが殺されたわけじゃないのである。 「……なるほど。俺の誤解か」 そして駆はようやく自分の誤解に気が付いた。 しかし自分の考えが誤解だとするなら、花子は何を伝えたかったのだろうか? スライムみたいなもの、だとか特に意味不明である。戦場でないなら、武器である可能性も低い。 (そういえば……) 参加者候補リストを広げ、そこに記載されている名前を一通り見てみる。 その中に一際目立つ謎の名前があった。その名も、スライムちゃん。 まるで芸名のような意味不明な名前だが、もしも花子の言っていたスライムのようなものの正体がこのスライムちゃんであるとしたら……。 「……その現場に案内してくれないか?」 「えっ。で、でも……」 「確認したいことがあるんだ、頼む!」 「そ、そんなこと言われても……」 「花子。君の安全は俺が保証する。だから、頼む」 「は、はい……」 そんなに真剣な視線を向けられると、なんだか恥ずかしくなってくる……と思いながらも花子は駆の希望も承認した。 ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀ ♂ ♀ ボクとスライムちゃんが走って暫くすると、向こうに人影が見えてきた。 小柄で色白なあの子は、間違いなく華ちゃんだ!やったー!と思う反面、どうしよう!感もすごい! とにかく誤解をとかなきゃなんだけど、ナニをしていたことは事実だし……あれこれもしかして何も誤解じゃない? いやでもボクから進んでやったわけじゃないし、スライムちゃんもマナの補充っていうちゃんとした目的もあったからやっぱりただのアレと違って誤解だよね! うん、そうだ!そういうことにしよう!ていうか普通に誤解でいいよね!? 向こうからやってくる華ちゃんは、よく見たら少し身長の高い男の人と一緒にいる。 きっとボクとスライムちゃんから逃げ出した後に遭遇して、そのまま同行してるんだと思うけど……ボクやスライムちゃんの変な噂が伝わってないといいなぁ。 そりゃ噂が広まっても仕方ないことはしたよ? でもこれは事故であって、意図的なものじゃないから! 意図的なものじゃなければセーフにならないかなぁ!? そんなことを考えてるうちに、距離は縮まっていって……気づけばもうすぐそこに二人は来ていた。 華ちゃん、ボクに近づくやいなやすぐに男の人の後ろに隠れちゃったけど……めちゃくちゃ気まずいよ、これ! 「あのー……華ちゃん、さっきはごめんね? スライムちゃんのマナを補充してただけなんだ……」 「ま、マナの補充でナニをナニしないでしょ!適当言わないで!それに華ちゃんって何?」 うわあああん、怒涛のナニなに攻撃だ! でもがんばれボク、なんとか誤解をとかなきゃ……。 「ほら、華ちゃんの名前って肩斬華でしょ? だからそう呼んでたんだけど……」 アレ? よく考えたらこれってキモい? 勝手にあだ名つけてましたってよく考えたらドン引き案件かなこれ!? 「ふ、ふは……」 華ちゃんの様子がおかしい。どうしたんだろう? 「ふはははは!よくぞ言ってくれた!そう、私の名前はフラウ・ザ・リッパー!肩斬華!」 「え――――?」 今、華ちゃんはなんて言った?フラウ・ザ・リッパー? え?え?嘘だよね? ボクの聞き間違いだよね? え?まさか華ちゃんがフラウ・ザ・リッパーだなんて、そんなわけないよね? 「……この子の悪い癖だ、気にしないでくれ」 「かっこいい名前デスね」 男の人とスライムちゃんは焦るボクとは対照的に呑気にしてる。 ああ、そうか。違う世界から来たなら、フラウ・ザ・リッパーのことを知らないんだ……! 「みんな、逃げて!」 スライムちゃんと男の人の手を取って、急いで走り出す。 でも男の人は予想外に力があって、なかなか引っ張れない。このままだと殺されるのに、どうして……!? 「フラウ・ザ・リッパーは殺人鬼の名前です!ボク達と一緒に逃げましょう!」 「……何?」 男の人がフラウ・ザ・リッパーをちらりと見た。 対するフラウ・ザ・リッパー「え?え?」と戸惑ってるように見えるけど、何かの演技? それとも華ちゃんがフラウ・ザ・リッパーというのはただの冗談? でも殺し合いの場でそんな不謹慎な冗談を言うかな? というよりもこの華ちゃん、ボクが知ってる華ちゃんとは何か違うように感じられる。ただのそっくりさん? いやでもさっき肩斬華って名乗ってたし……うーん、よくわかんないけど逃げないと。それともデイパックから何かを出して戦う?銃もまともに使えないのに? 「ワタシが戦いマス、キョーコさん!」 「……待ってくれ、そもそも彼女の名前は片桐花子だ。肩斬華じゃない」 「え?」 どういうことなの? やっぱりそっくりさん? そういえば本当にフラウ・ザ・リッパーならこうやって揉めてるうちに攻撃したらいいのに、なかなかしてこないのもおかしいよね。 男の人やスライムちゃんはわからないけど、何も能力や技術を持ってないボクなら簡単に殺せるはずなのに。 「フラウ・ザ・リッパーは彼女が自称してるだけの名前だ。殺人鬼の名前として聞いたことは、一度もない」 え?どういうこと? 「信長さんと同じみたいデスね。たぶん花子さんは別の世界のフラウ・ザ・リッパーだと思いマス」 「「「別の世界?」」」 ボクと男の人と花子ちゃんの声が重なる。 確かに世界が複数あるとは聞いたけど、そういうことってあるのかなぁ。 「はい。たとえば織田信長さんは他の世界では男性って色々な人に聞きましたケド、ワタシの世界では女の子デス」 「うーん、世界毎にそっくりさんがいるっていうこと?」 「かもしれないデス。少なくともキョーコさんと男の人でフラウ・ザ・リッパーに対する印象が全然違ってマス」 「それもそうだねぇ……」 確かにスライムちゃんの言う通りかもしれない。 スライムちゃんが色々と情報を持っていてよかった、このままじゃ誤解したまま逃げ出すところだった……。 「なるほど。確かに参加者候補リストには花子とは別に肩斬華の名前があったな。 ところで他の世界、という言葉について詳しく聞きたいんだけど……」 「世界はいっぱいあるんデス。ワタシも一度他の世界に飛ばされたから、わかりマス」 「……信じ難いが、スライムの君が喋ったり動いてる時点で常識は超えてる。信じるしかないか」 「ありがとうございマス。確かに他の世界ではスライムが動くのはおかしいみたいデスね」 男の人は飲み込みが早いみたいで、あっさりと理解した。 花子ちゃんは疑問符を頭にいっぱい浮かべてるけど、これが普通だよねうん。というかこのリアクション的に殺人鬼には見えないかなぁ、やっぱり。 「俺は東雲駆。よろしく」 「ワタシはスライムちゃんです、よろしくお願いしマス」 「あ、ボクは谷山京子です。ちょっとナニが付いてるだけの女の子です、よろしく」 スライムちゃんが受け容れられるなら、ボクのナニも受け容れてもらえるよね、うん。 というかこういうことは事前に説明しておいたほうがいいような気もする。急にビックリさせるのもアレだし。 「花子ちゃん、さっきはごめんね。本当にアレはスライムちゃんのマナを補充してただけだから……」 「それより先に謝ることがあるんじゃないか?」 駆さんに言われて、ハッと気付く。 そういえばボク、花子ちゃんを殺人鬼だと誤解してたんだよね。まずはそっちを謝らなきゃじゃん! 「殺人鬼だって誤解してごめんなさい」 「……いいよ」 小さい声だけど、ポツリと呟いた言葉は確かにボクの耳に届いた。許してもらえて良かった……!けどこれからは世界の違いについてもよく考えなきゃね! 「花子。これでわかったと思うが、フラウ・ザ・リッパーごっこはもうやめた方がいいかな。ここでは余計な誤解を生むだけだよ」 「はい……」 少し寂しそうな花子ちゃんの声。 フラウ・ザ・リッパーごっこをしていた時の花子ちゃんは、すごく楽しそうだった。きっとそういうのが好きなんだろうなぁ……。 でもフラウ・ザ・リッパーはボク達の世界だと殺人鬼だから、気軽に名乗っていたら絶対に誤解される。だからそれを禁じるのは、仕方ないことなんだけど……ちょっと可哀想かなぁ。 「それにしてもフラウ・ザ・リッパーか……警戒する相手が増えたな」 「そうデスね。ワタシも注意しマス」 駆さんとスライムちゃんが気を引き締める。 スライムちゃんが戦えるのはわかるけど、駆さんも戦えるのかな? なんだかボクや花子ちゃんみたいな、ただの一般人とは違うような気がする。 「さて……それじゃあ情報交換をしてもいいかな。この殺し合い、色々と変則的すぎて出来る限り情報の共有はしておいた方が良さそうだ」 「ワタシはいいデスよ」 「ボクも賛成。このまま一緒に行動してもいいんじゃないかな? 花子ちゃんは?」 「私もいいよ……」 こうしてボク達の情報交換は、始まろうとしていた。 【D-3/草原/1日目/早朝】 【谷山京子@アースP(パラレル)】 [状態]:健康 [服装]:パジャマ [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考] 基本:主催絶対許さない絶対にだ 1:東雲駆、片桐花子と情報交換をする 2:東雲駆、片桐花子と一緒に行動する? ※肩斬華のことを意識していましたが…。 【スライムちゃん@アースC(カオス)】 [状態]:マナチャージ(1) [服装]:とくになし [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考] 基本:主催を倒しまショウ 1:東雲駆、片桐花子と情報交換をする 2:東雲駆、片桐花子と一緒に行動する? ※氷と癒しの魔法(低級)が使えるらしいです。 【東雲駆@アースR】 [状態]:健康 [服装]:制服 [装備]:変幻自在@アースD [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考] 基本:平沢茜が作り出した灰色の楽園を壊す 1:首輪を解除出来る参加者を探す 2:出来る限り早く知人と合流したい 3:山村幸太、花巻咲、麻生叫、フラウ・ザ・リッパーを警戒 4:谷山京子、スライムちゃんと情報交換をする 5:片桐花子と共に行動する。 [備考] ※世界観測管理システムAKANEと平沢茜を同一人物だと思っています。 【片桐花子@アースR(リアル)】 [状態]:健康 [服装]:学生服 [装備]:??? [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 [思考] 基本:帰りたい… 1:谷山京子、スライムちゃんと情報交換をする 2:フラウ・ザ・リッパーが本物の殺人鬼……? 052.同盟破棄 投下順で読む 054.次のSS? 052.同盟破棄 時系列順で読む 0XX.次のSS? 014.谷山京子の差異難 谷山京子 0XX.次のSS? 014.谷山京子の差異難 スライムちゃん 0XX.次のSS? 032.こんどの敵は、デカスゴだ。 東雲駆 0XX.次のSS? 032.こんどの敵は、デカスゴだ。 片桐花子 0XX.次のSS?
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ドラゴンボールが当たってシックスとカワリーノも死んだ。 主催者はヒムラーだけになったが他の参加者はそれを知らない。 【シックス@ネウロ 死亡】 【カワリーノ@プリキュア5 死亡】 あとテラカスもついでに死んだ 【テラカス@カオスロワ 死亡確認】
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闇符「ルーミア、災難に負けず」 ここの所、災難続きだ。 突然幻想郷は東京市とやらと繋がってしまうし、暇潰し兼状況把握にチルノを利用しようと思ったら、あろう事か何故か成り行きで巫女に同行してしまう結果となってしまった。 大方予想は付いている、どうせ紫の暇潰しか何かだろう。 しかし傍迷惑なものだ。 唯一、今回の件で楽しみ…と言うより不快では無いと感じるのは、人間やそれに準ずる者に間近で触れ合える事だろうか。 不思議と巫女達は妖怪の私を信用し「仲間」だと思っている様だ。 何時裏切るかもわからないような者に気を許すとはなんとも言い難い事だが、それを迎撃する事も可能だと考えているのだろうか。 確かに封印を施されている私が巫女に喧嘩を売って勝てるはずも無いのだが。 「ルーミア、ご飯よー」 巫女の声が響いた。 今はやはりチルノを利用している(されている?)ミスティアと言う夜雀を倒しに行こうと、広大な公園へと足を踏み入れている所だ。 この辺りの妖怪はあらかた倒してしまっており、とりあえず今日の寝床にするつもりだ。 どうやら夕食も出来上がったらしい。 私は料理は出来ず、専ら食べるしかしない。 そもそも、調理をすると言う概念を持つ妖怪は稀、普通はそのまま齧り付くか、丸呑みだ。 「おー、お待ちかねなのだー」 巫女の方に走って行くと、焼けた肉の匂いが徐々にして来た。 ここ最近は肉なんて食べれなかったのに珍しい、そろそろ問題の夜雀の気配も近くなって来ているので、私にもっと頑張れとでも言いたいのだろうか。 頑張れも何も、私は一応今出来る最大の事をしているのだが、どうもそれは伝わり難いらしい。 まさか、私の性格作りがバレているとでも言うのだろうか? 「そろそろミスティアも近付いて来てるみたいだからね、しっかりと精を付けて置きなさいよ」 「わかったのだー」 「そう言えばルーミア、お前闇繋がりでミスティアの弱点とか知らないのか?」 またこの魔法使いは無理難題を聞いてくる。 闇繋がりと言われても、寧ろ私は夜目があまり利かない、反対の立場とでも言える。 「知らないのだー。でも、大抵そういう妖怪は武器よりも魔法が効くはずなのだー」 「おっ、そうなのか。それなら私の出番だな」 「じゃあ私はあんまり力になれないでしょうか、今回は補助に回るべきですかね」 「妖夢も戦うと良いと思うわ。実質この中で魔法が得意なのは魔理沙だけ、ダメージソースは最低二人は居るわ」 「そうだな、私一人だと色々と大変だぜ」 「あの、私は…」 「中国は適当に補助しときなさいよ」 「そうだな」 「そ、そうですか…」 哀れ、紅美鈴。 多分私も戦闘にはあまり参加しないと思うが、回復が必要なら彼女から先に回復してやる事にしよう。 しかし、巫女の作る食事は毎回いまいち味が薄い。 意図的に薄味にしているのだろうが、精進料理、と言うものだろうか。 …ただ貧乏性が付いてるだけなのかもしれないが。 ちなみに私の基本的な食事は、血の滴る生肉なのでそのままの味で十分だ。 肉は焼くと味が落ちるし固くなる。人間は何と損をしているのだろう。 ここ数日、生肉を食べていない。 かと言って、この「東京市」の妖怪の肉は不味い。 そもそも、グロテスクな妖怪が多く、食べる気も失せる。 もっと普通の動物、豚や牛は居ないのだろうか。 鳥や鼠でもまあ、我慢出来ない事は無いのだが。 しかしこれだと、自慢の髪も痛んでしまう。 食生活の痛みは髪にも出ると言うが、実際今がそうだ。 なんとなく髪に元気が無い気がする。 前髪を軽く撫でてみると、少し毛羽立っているのがわかった。 「あら、どうしたのルーミア、髪なんかいじって」 「ううー、なんだか気持ち悪いのだー」 「そういえば、こっちに来てから髪も洗ったりしてないんだよな、すっかり忘れてたぜ」 普通、忘れるだろうか? 一応表向きの性格上、そんなに身嗜み等に気遣うのは不自然なので言い出さなかったのだが、巫女達が洗っているのをそれとなく羨ましそうに見つめるぐらいはしてたのだが。 「じゃあ、丁度ほら、あそこに池もあるし、洗いましょうか」 巫女の指差す方向には、不思議とそこそこに綺麗な池がある。 こういう場所の池と言えば「沼」と言った方が正しい場合がほとんどなのだが、これは確かに池だ。 「そうしてくれると嬉しいのだー」 「自分では洗わないのか?」 こんな単純な質問をするのは魔法使いだけだ。 いや、他3名も事情は知らないだろうが。 「ルーミアのリボンは御札で、自分では触れないのよ。 それだと髪を洗うのに不便でしょ?」 「なるほどな。髪一つ洗うのも大変だって訳だ」 「そーなのだー」 幻想郷がまともな間はリトルに洗ってもらったりしていたのだがね、今じゃリトルが何所に居るかも知れない。 「どう、ルーミア、気持ち良い?」 巫女は桶の水を私の頭に少しずつ流し、髪を揉む様に洗って来た。 いかにも割れ物を触る様な手付きだ。 しかし、初めてにしては上出来、七十点と言った所だ。 ちなみにリトルならもっと遠慮無く洗う。その時は私も遠慮無しに痛いなら痛い、力が足りないならそうとはっきり言うのだが、まさか今そう言えるはずも無い。 「気持ち良いのかー」 「良いのかーって、なんで自分の事なのに疑問系なのよ」 「そーなのかー」 しかしいつも思うのだが、これは少々、馬鹿っぽいと言うより、馬鹿その物な気がする。 案の定、巫女もこれ以上会話は成り立たないだろうと言った様子で私の髪を洗うのに専念し出した。 当面の目標としては、もう少しこの口調をどうにかして、リトル以外ともまともな会話をする事だ。 「霊夢は髪、洗わないの?」 これは流石に違和感があり過ぎただろうか、言ってから後悔する。 「あら、ルーミアが洗ってくれるの?」 「お返しなのかー」 軌道修正、成功。 ちなみにまだまだ洗い足りないので、それきり言葉は発しない。 リトルにされていても思うのだが、こんなに髪を伸ばしていると他人にやってもらうのは何となく気が引ける。 かと言って、短くするのは私的に嫌だし、リトルに見られればきっと大笑いされるだろう。 これから巫女には世話になる事になる、機会があれば少しずつ素も出して行こうか。 それが還元になってくれるだろう。本来の私を伝える事が。 「もう良いよー、じゃあ霊夢、頭下げてー」 ああ、まだ弊害があった。 身長が足りないのだ。 続く のかー? あとがき 東方冥異伝プレイ中に思ったこと Top 東方冥異伝日記 名前 コメント
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闇符「ルーミア、それでも尚災難に負けず」 ここの所、災難が立て込んでいる。 もう、これは災難と言うレベルでは無いのかもしれない。 「…にしてもお前のその姿、慣れないな」 魔法使いが嘗め回す様な視線を私に向けた後、呟いた。 「可能ならば、隠したかったわ。…あなたの所為でこうなったんだから、感謝はしなさいよ?」 「ああ、わかってるって。しかしお前…そんな凄い妖怪だったのか…」 先の戦闘でこの魔法使い、霧雨魔理沙を庇った際、不幸にも髪ごとリボンが切り落とされてしまったのだ。 しかもリボンは炎に焼かれ(これはしかも味方のである)、替えのリボンはこの東京市では調達不可能と来たのである。 「でもまあ、戦力大幅アップな訳だし結果オーライって訳だ」 「…反省の色が見えないわね」 別段、この世界の敵対する生物には手加減をする必要が無い為、確かにこれは嬉しい偶然だったのかもしれない。 しかし、今まで大勢の人妖を騙して来たのが判明したのだから、気まずい他無い。 「そう言えばルーミア、霊夢知らないか?次の目的地の相談をしようと思ったんだが」 「霊夢なら鈴仙や妖夢と永遠亭に行ったわ。そろそろ落ち着いてる頃だ。って」 「ああ、そうか。なら行き先も必然的に決まりそうだな」 「いい加減、私はこの一行から外れたいんだけどね」 「なんだよ、まだ怒ってるのか?」 「誰に怒る必要があるのかしら?私があなたを助けたのは私自身の意思よ。それにあの斬撃を受けていたらあなた、痛いでは済まなかったでしょうしね」 「…確かに、あれは死ぬ筋だったよな…」 普段は霊夢や妖夢が前衛を固めてくれるのだが、一瞬出来た隙に付け込み私達後衛まで相手の剣士が駆け寄り、丁度魔法の発動直前で動けなかった魔理沙を狙ったのだ。 それも正確に心臓を狙い、もし少し目標がぶれても片腕は飛ぶかといった最悪の線だ。 これを助けないのは色々と問題があるが、気が付いた時には行動していたので半ば本能的なものだ。 今回の件で私は彼女達と随分と密接な関係となってしまい、私自身が彼女達を気に掛ける様になった。 元はと言えば、私は人間が嫌いでは無いのでそれが普通とも言えるのだが、どうもむず痒いものがある。 「しかし、相変わらずこの世界の空気には慣れないわ。実際の魔力の四分の一も発揮出来ないし、剣を召喚する事も出来ない」 「…お前って、剣を使ったりするのか?」 「私の専門はそっちの方よ。魔法は補助的なものでしか無いわ」 「…私から見れば、その四分の一以下の魔力が既に羨ましい物なんだけどな」 「あなたも千年ぐらい生きれば身に付けられると思うわ。捨虫の法ぐらいはもう習得しているでしょう?」 「え…?何だそれ、何か凄いのか?」 「…ああ、あなたはまだ人間なのか…まあ、その境地に辿り着く時がそう遠くない未来にあるでしょう」 「それはそうと、剣を使えるんだったら前線で戦ってみたらどうだ?霊夢も最近魔法主体になって来たし、お前としてもその方が良いんじゃないか?剣のストックは何本かあっただろうし」 「ありがとう。でも、その気は私には無いわ」 「なんでだ?」 「私が前に出てしまったら、誰があなたを守るのかしら?」 「…え?」 「あなたの戦い方は見ていて危なっかしい、魔法をぶっ放す為ならロクに周りも見ないじゃない」 「う…た、確かにそうだが…」 「後ろを振り向いたらあなたが血を吹き出して倒れている。なんて見て気分が良く無いわ」 「………」 「だから、目の届く場所で一緒に戦う方が良いじゃない。何かあったらまた私が助けてあげるわ」 「やけに上から目線だな」 「あら、私の方が上じゃなくて?」 「何がだよ」 私より頭一つ分は小さい魔理沙を抱きかかえる様に抱き締めた。 何故、私がこんな事をしようと思ったのかはわからない。 後から思えば赤面ものだ。 「色々と」 「…見ては、いけないものを見てしまった…」 「慧音さーん、夕飯作るの手伝ってくださいよー」 「あ、ああ美鈴、今行く…いや、その前に大スクープだ!」 「え?」 「ま、魔理沙とルーミアが!魔理沙とルーミアが大変な事に!」 「何ですか?そんな取り乱して…」 「き、禁断の愛に走った!」 「な訳無いだろ」 魔理沙が軽く慧音の頭を小突く、ナイスツッコミ。 「でも、今抱き合って…」 「あら、幻覚でも見たんじゃないかしら。そもそも、私と魔理沙が居たのはあっちの林よ?」 「そ、そうなのか?じゃあ私が見たのは…」 「おっ、あそこになんか魔物が煎るじゃないか、あいつが見せた幻だ、きっと。ちょっと倒して来るぜ!」 「あ、ああ」 「私も行かせてもらうわよ」 「ああ、気を付けてな…」 「慧音さん、疲れてるんじゃないですか?魔物の術に嵌ってしまうなんて」 「ああ、かもしれないな…済まないが夕飯は一人で作ってくれ、少し休ませてもらう」 「はい、ゆっくり休んでくださいね!!!」 「ルーミア、お前な…」 「外国では抱き合うのは一種の挨拶よ?何ら不思議では無い事では思うけど?」 「日本のベクトルで行動しろ!ここは幻想郷だ!」 「今は違うけどね」 「ま、まあそうだが」 「ふふっ、まだ顔が赤いわよ?随分と純情なのね」 「普通は驚くだろ!」 「ごめんなさい…嫌いに…なっちゃったかしら…」 「い、嫌、こっちこそごめん。そういう訳じゃ…」 「ふふっ、やっぱり純情だわ」 「お前っ!」 「あー、あなたはリトルよりからかい甲斐があるわ。本当に可愛い娘ね」 「私を玩具にするな!」 軽く涙目になりながら尚も吠える魔理沙の首に手を回し、自分の方に顔を引き寄せる。 「五月蝿くしたら、またあの娘に気付かれるわよ?」 「むーっ!苦しい!やめろ!!」 続く のかー? あとがき的シュートザムーン 新ジャンル「ルーマリ」 舞台は一応、斉藤の所に行く直前です ルーミア達が居るのは神社周辺と解釈して下さい 会話だけでこういうのを表現するのは難しい でも、会話だけでないと表現が難しい 「悪の十字架デッキ」=封印の第一解放と勝手に設定しています 第一解放って、斬魄刀の始解かよ 次は卍解をするんですね、よくわかります と言うか、ダークサイドオブザムーンの取得の方が封印解放している感があるぜ むー、ルーミアのスペルはこれで打ち止めかなぁ 後は一応、ミッドナイトバードがあるが… 最近思うんですが、物理3、魔法3の我がパーティはどうなのでしょうか? ガス欠が凄い速い気がするんだぜ Top 東方冥異伝日記 名前 コメント